IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フォンダシオン ブレーキ フランスの特許一覧 ▶ ヒタチ アステモ ハイルブロン ゲーエムベーハーの特許一覧

特表2024-529155指令に改善を加えたパーキングブレーキ装置
<>
  • 特表-指令に改善を加えたパーキングブレーキ装置 図1
  • 特表-指令に改善を加えたパーキングブレーキ装置 図2
  • 特表-指令に改善を加えたパーキングブレーキ装置 図3
  • 特表-指令に改善を加えたパーキングブレーキ装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】指令に改善を加えたパーキングブレーキ装置
(51)【国際特許分類】
   B60T 8/17 20060101AFI20240725BHJP
   B60T 13/74 20060101ALI20240725BHJP
   B60T 7/02 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
B60T8/17 Z
B60T13/74 G
B60T7/02 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508649
(86)(22)【出願日】2022-06-29
(85)【翻訳文提出日】2024-04-09
(86)【国際出願番号】 FR2022051303
(87)【国際公開番号】W WO2023017217
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】2108685
(32)【優先日】2021-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517271212
【氏名又は名称】ヒタチ アステモ フランス
【氏名又は名称原語表記】Hitachi Astemo France
【住所又は居所原語表記】126 Rue de Stalingrad, 93700 Drancy, France
(71)【出願人】
【識別番号】523360832
【氏名又は名称】ヒタチ アステモ ハイルブロン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ASTEMO HEILBRONN GmbH
【住所又は居所原語表記】2 Theresienstrasse 74072 HEILBRONN Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン・サッソ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイチャオ・ワン
(72)【発明者】
【氏名】アレックス・パトラオ・カルケイジョ
(72)【発明者】
【氏名】マクシム・デマンダー
【テーマコード(参考)】
3D048
3D124
3D246
【Fターム(参考)】
3D048BB12
3D048HH18
3D048HH58
3D048HH66
3D048HH67
3D048HH68
3D048QQ12
3D048RR29
3D048RR35
3D124AA16
3D124BB02
3D124CC41
3D124DD42
3D124DD54
3D246BA08
3D246DA02
3D246GA01
3D246GC09
3D246HA38A
3D246HA48A
3D246HA51A
3D246JB12
3D246JB43
3D246LA13Z
3D246LA15Z
3D246MA22
(57)【要約】
電気機械式パーキングブレーキの指令は、車両が停止状態にあるときに運転者が逆の指令(31)を開始した場合には、あらかじめ定義されたプランが完了することのないままに打ち切られる。その結果、通常であれば第2の指令(31)で実行されるプランそのものが短縮される。そのため、ブレーキは速やかに当初の状態に戻り、過って送られた指令は速やかに訂正される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械式の自動車両パーキングブレーキ(7)のモータ制御ユニット(9)であって、前記モータ制御ユニット(9)が前記ブレーキ(7)のアクチュエータ(8)の電気モータ(18)にブレーキの適用および解除の指令を供給し、前記指令が車両搭乗者によってスイッチ(20)に与えられる入力に応じてあらかじめ定義された戦略の支配を受ける、モータ制御ユニット(9)において、第1のアクションによってトリガされた第1の指令がなお進行中の間に前記スイッチで前記第1のアクションに続いて第2のアクションが起こされたときには、前記第1の指令を中止し、直ちに前記第2のアクションに従って第2の指令を開始するように設計されることを特徴とするモータ制御ユニット(9)。
【請求項2】
前記第1のアクションがブレーキ解除の指令であることを特徴とする、請求項1に記載のモータ制御ユニット。
【請求項3】
前記スイッチ(20)がボタンであり、前記指令はブレーキ適用指令とブレーキ解除指令が交番することを特徴とする、請求項1または2に記載のモータ制御ユニット。
【請求項4】
前記戦略が、中止されなければ、所与の最終的なブレーキ適用力を生み出す適用指令と、中止されなければ、所与の長さのブレーキアクチュエータのストロークを生み出す解除指令とを要求することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のモータ制御ユニット。
【請求項5】
前記第1の指令が適用指令である場合には、前記第2の指令では前記第1の指令と同様の持続時間が要求されることを特徴とする、請求項4に記載のモータ制御ユニット。
【請求項6】
パーキングブレーキ(7)と、ブレーキアクチュエータ(8)と、前記アクチュエータを制御する電気モータ(18)と、あらかじめ定義された戦略に支配される前記ブレーキの適用指令および解除指令を前記電気モータ(18)に供給するモータ制御ユニット(9)と、請求項1から5のいずれか一項に記載のスイッチ(20)と、を備える自動車両ブレーキ装置。
【請求項7】
請求項6に記載のブレーキ装置を備えることを特徴とする自動車両。
【請求項8】
前記ブレーキ(7)が前記車両の非駆動輪に取り付けられることを特徴とする、請求項7に記載の自動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は指令に改善を加えたパーキングブレーキに関する。
【背景技術】
【0002】
今日のパーキングブレーキは、あらかじめ定義された戦略に沿って、電気モータ制御ユニットによる制御のもと、一体型ギアドモータによって制御される電気機械式ブレーキであることがしばしばである。その指令は、車両の運転者によって、または、パーキングブレーキが車両走行中に緊急ブレーキとしても使用される場合には、走行パラメータに基づいて自動的に、それぞれトリガされ得る。
【0003】
車両が停止しているときには、運転者は、パーキングブレーキをかける指令を間違ってトリガしたり、トリガ直後に気が変わったりする可能性があるが、そのような電気機械式パーキングブレーキのスイッチは、適用される指令がどちらになるのか直接確認することもできないまま、押すたびにブレーキの適用と解除が交互に指令されるボタンであることもしばしばであるだけに、そうしたことは大いに起こり得る。それにもかかわらず、いったん制御ユニットに伝達された指令は、最初の指令を取り消す次の指令が考慮されるよりも前に最後まで遂行されることになる。
【0004】
先行技術の中には米国特許出願第2013/096796 A1号がある。そこに記されている制動方法では、一定の状況、とりわけブレーキの温度センサが故障しているときには、通常の戦略に代えて限定的なブレーキ適用戦略が採られることになっている。その場合、この方法には、ブレーキ操作ボタンが常に押された状態の「クレージーモード」の検証が含まれる。ボタンが押されるたびに、ある指標のカウント値が減っていく。その値がゼロになると、限定的なブレーキ適用戦略が通常のブレーキ適用戦略に取って代わる。方法のこの部分の機能は、過度なブレーキの適用を防ぐことによって安全を担保しながらも、間違ったボタン指令を急に是正することはないというものである。実際、「クレージーモード」の間に進行するブレーキ適用戦略は、中止されるのではなく、別の戦略に置き換えられるのであって、それも(おそらくは何度もの指令が続いた末に)ある指標の値がゼロまで落ちて初めて行われるものである。最後に留意されるべきは、戦略の変更はブレーキの適用にのみ適用されるということであり、引き続き通常どおりに行われるブレーキの解除に適用されることはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願第2013/096796 A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、間違った、または意図したものでない指令について、それらが直ちに訂正されたときには、そうした間違った指令の効果がより迅速にキャンセルされるようにすることによって、間違った、または意図したものでないパーキングブレーキの指令によって生じる時間の無駄を回避することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、その場合、ブレーキの適用戦略が最後まで行われることはなくなり、スイッチが再び押されて指令がキャンセルされた段階で速やかに中止される。
【0008】
電気機械式ブレーキの指令戦略の中止というのは普通は起こらないことであり、すでに指令が与えられたブレーキの適用を中止するということであればなおさらである。しかし、ことパーキングブレーキに関しては、車両から指令が発せられるときには車両は停止中または低速であること、したがって運転にかかわる危険がないということを考えれば、状況は異なる。
【0009】
一般的な定義によれば、本発明は、電気機械式の自動車両パーキングブレーキのモータ制御ユニットであって、モータ制御ユニットがブレーキのアクチュエータの電気モータにブレーキの適用および解除の指令を供給し、その指令が車両搭乗者によってスイッチに与えられる入力に応じてあらかじめ定義された戦略の支配を受ける、モータ制御ユニットにおいて、第1のアクションによってトリガされた第1の指令がなお進行中の間にスイッチで第1のアクションに続いて第2のアクションが起こされたときには、第1の指令を中止し、直ちにその第2のアクションに従って第2の指令を開始するように設計されることを特徴とするモータ制御ユニットに関する。
【0010】
本発明はとりわけ、第1のアクションがブレーキ解除の指令である場合に利用される。
【0011】
スイッチは有利にはボタン(またはそれに類するデバイスで、動作状態が1つだけのもの)であり、その指令は、設計によりブレーキ適用とブレーキ解除が交番する。
【0012】
本発明はとりわけ、戦略が、中止されなければ、所与の最終的なブレーキ適用力を生み出す適用指令と、中止されなければ、所与の長さのブレーキアクチュエータのストロークを生み出す解除指令とを要求するシステムに適用することができる。
【0013】
そのため、第1の指令が適用指令である場合には、第2の指令では第1の指令と同様の持続時間が要求されることが有利である。
【0014】
本発明のもう1つの態様は、対応する自動車両ブレーキ装置であって、関連するパーキングブレーキと、ブレーキアクチュエータと、アクチュエータを制御する電気モータと、あらかじめ定義された戦略に支配されるブレーキの適用指令および解除指令を電気モータに供給するモータ制御ユニットと、上述のスイッチと、を備える自動車両ブレーキ装置である。
【0015】
もう1つの態様は、そのブレーキ装置を備える自動車両であり、ブレーキは特にその車両の非駆動輪に取り付けられる。
【0016】
本発明の様々な態様、特徴および利点は、その具体的な実施形態について、純粋に例示を目的として以下の図面を用いて行う詳細な説明を通して明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】自動車両を、そのパーキングブレーキシステムおよびその制御のための手段とともに示した概略図である。
図2】電気機械式パーキングブレーキの図である。
図3】ブレーキ制御のための既存の標準戦略の図である。
図4】本発明による別戦略の図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、駆動輪であり操舵輪でもある2つの前輪2を前車軸3に備え、駆動輪でも操舵輪でもない2つの後輪4を後車軸5に備える自動車1を示している。それぞれの前輪2は、ここでは運転者がブレーキペダルを踏むことによって直接動作させるメインの常用ブレーキ6を備え、それぞれの後輪4は、同一のモータ制御ユニット9によって制御されるアクチュエータ8を有する電気機械式ブレーキ7(これ以降、単に「ブレーキ」と呼ぶ)を備える。それぞれのブレーキ7は、車両の運転者が、自動車1を停めるために解除状態から適用状態に切り換え、自動車1が動けるようにするためにそれと反対の操作を行うパーキングブレーキとして機能する。ダッシュボード19後方に着座した運転者がボタン20などのスイッチを押してブレーキ7を適用状態と解除状態の間で切り換えると、対応する電気的衝撃が伝送路21を通して中央制御ユニット9に送出される。
【0019】
車両のモデルによっては、ブレーキ7は、運転者が制動をかける際に常用ブレーキであると同時にメインブレーキ6として使用されることもあれば、メインブレーキ6の動作を補完する緊急ブレーキとして使用されることもあって、その場合、モータ制御ユニット9は、車両に取り付けられて様々なドライブパラメータを計測する各種センサ10の指示値を用い、運転者がそれに介入することはない。しかし、ブレーキ7制御に関するこうした追加的な可能性は、車両が停止状態またはほぼ停止状態にあるときに適用される本発明に影響を及ぼすものではない。
【0020】
図2は、既知のブレーキ7の典型的な実施形態を分解図で概略的に示したものである。ブレーキ7は、円筒形のハウジング12に連結されたキャリパ11を備えている。ブレーキ7は、ギアドモータ60であって、その1つのフランジ61がハウジング12の後面にねじ(ここでは図示せず)でフランジ62に連結されたギアドモータ60をさらに備える。ギアドモータ60は、電気モータ18と、前記電気モータ18の回転速度を落とすための歯車とを備える。ハウジング12は、シリンダと呼ばれる液圧キャビティ13であって、前方(図2で右手側)に向かって開放されており、可動パッド(図示せず)を支えるピストン14がその中を摺動する液圧キャビティ13を備える。制動は、ピストン14を前方に摺動させて可動パッドをキャリパ11の前端にある固定パッドに近づけ、後輪4のディスクをそれらパッドの間に挟み込むことによって果たされる。ピストン14のこの動きは、ブレーキ7が常用ブレーキとして働く場合には、車両走行中に液圧キャビティ13内の液圧を加えることによって果たされる。この圧力はピストン14の後面に加えられてピストン14を前方に押す。しかし、ブレーキ7がパーキングブレーキまたは非常ブレーキとして制御される場合、制動は、モータ制御ユニット9によって課される戦略に従って電気モータ18を使用して行われる。電気モータ18はギアドモータ60の歯車を駆動し、その歯車によって回転したねじ15が液圧キャビティ13内に延びる。ねじ15はナット16と係合し、そのナット16にピストン14の後面が当接する。ねじ15の回転はナット16およびピストン14の並進運動に変換され、ピストン14は電気モータ18が作動した時間の関数として進む。ここでのアクチュエータ8には、ギアドモータ60、したがってその電気モータ18と、ねじ15およびナット16からなるシステム17とが特に含まれる。本発明はこれら以外の車両やブレーキにも適用することができよう。
【0021】
ブレーキ7がアクチュエータ8によって動作する場合、アクチュエータ8は、あらかじめ定義され、モータ制御ユニット9に事前に教示された戦略に従ってモータ制御ユニット9がその制御を行うことになる。駐車したい、または車を離れたいと考える運転者が、解除状態と適用状態の間で切り換えを行うとき、標準的な戦略では、適用には所与のブレーキ適用の力7を決めること、解除にはアクチュエータ8またはピストン14の所与のストロークを確定することが必要とされる。いずれの場合も、そうした戦略は、適用される力に達するまで、または解除ストロークが完了するまで必ず実行される。これは、前掲の文献についても、適用される力が通常の力と比べて弱められる場合があるにせよ、なお言えることである。
【0022】
図3を参照されたい。上のグラフ22は、運転者によってボタン20に加えられる圧力を示しており、真ん中のグラフ23は、電気モータ18に流れてその制御を行う電流の強さIを表しており、下のグラフ24は、ピストン14がこなしたストロークを示している。3つのグラフ22、23および24はいずれもx軸の時間tの関数として表されている。
【0023】
運転者が時間t1に最初の衝撃25を与えると、それによって最初の指令26、すなわちここではブレーキ7の適用がトリガされる。モータ制御ユニット9によって、電気モータおよびバッテリまたはその他の電源手段が配置された電気回路が閉じ、それによって電気モータ18が動作し始める。電気回路を流れる電流は適用される力の関数として調整される。供給される電流Iの変化によって3つの時期を区別することができる。すなわち、アクチュエータ8におけるバックラッシュ補償に相当する最初のピーク期27。この間は電流Iは大きい。2番目の平坦期28はそれよりだいぶ長いが、電流Iは逆にはるかに小さく、ほぼ一定である。この時期はアクチュエータ8のアイドルストロークに相当する。そして、電流Iが規則的に増大する3番目の増大期29は、ブレーキ7の実質的かつ漸進的な適用に相当する。そのため、電流Iは適用される力にほぼ比例する。指令は、時間t3で、所望の適用力に相当する所与の停止電流閾値I0に達したところで停止される。アクチュエータ8は、下のグラフ24の対応部分、すなわち最初の部分30に示されるように、その指令26の間は一定の速度で動いており、グラフの勾配は一様である。
【0024】
時間t1からほとんど間もない時間t2に運転者によって第2の衝撃31が与えられると、ブレーキ7の解除に関する第2の指令32が電気モータ18に対して適用される。指令には、アクチュエータ8のバックラッシュ補償およびブレーキ7の漸進的解除の両方に相当する逓減を伴う第1のピーク期33と、それに続く一様な小電流Iの第2の平坦期34であって、下のグラフ24の第2の部分41によって示される第1の衝撃25以前の初期状態にほぼ戻すためのアクチュエータ8のアイドルストロークに相当する第2の平坦期34とが含まれる。この第2の平坦期には、第1の部分30と多少なりとも対称形をなす一様な下降勾配が含まれる。第2の指令32は、時間t3から間もない時間t4から始まり、その先の時間t5で終わる。標準戦略では最終的な力または変わることのないストローク長が要求されるため、第2の指令32の持続時間(t5-t4)は第1の指令26の持続時間(t3-t1)とほとんど変わらず、第2の指令32は第1の指令26が終了したところからやっと始まる。つまり、スタート時間t4は第2の衝撃31のスタート時間よりかなり先になる。もし運転者が意図せずに、または間違って車両の駐車を操作してしまい、直ちに訂正したいという場合には、この応答時間の長さは運転者には不快なものとなる。
【0025】
本発明で、図4によるブレーキ7の制御を行うように戦略を変更することが考えられたのはそのためである。ここでも時間tの関数として3つのグラフが示されている。上のグラフは、運転者によって与えられる衝撃を示したもので、図3のものと同じであるため、ここでも同じ22の符号が与えられている。そして、真ん中のグラフ35と下のグラフ36は図3のグラフ23および24と同様のものである。
【0026】
本発明に従って第1の衝撃25の時間t1に適用された第1の指令37は従来の第1の指令26と同じように始まるが、今度は、直前のものをキャンセルすることを意図した第2の衝撃26が出された時点t2で中止される。すると、第2の指令38は、その直後、システムの応答時間にのみ相当するタイミングの時間t6にスタートすることができる。第2の指令38も短縮され、すでにそれ自体短縮された最初の指令37の持続時間(t2-t1)と同様の持続時間(t7-t6)経過後の時間t7で停止することが想定される。それにより、アクチュエータ8およびブレーキ7を実質的に変化のないままの解除状態に戻すようにすることができる。その結果、下のグラフ36も2つの対称形の部分39および40を有しているが、それらは時間t7以降は、したがって標準的な戦略を適用した場合よりもはるかに迅速に、システムがその初期状態に戻ることを示している。
【0027】
運転手が出す第2の逆指令によって中止する第1の指令が解除指令である場合であっても、同様の時間の節約を果たすことができる。第1の指令は遅滞なく中断することができ、その後直ちにスタートすることができる第2の指令も短縮されるため、より早く停止電流閾値I0に到達することができるためである。
【0028】
そのため、本発明による利点の1つはパーキングブレーキ7の指令が高速化されることであり、そのほかの利点としては、電気的な省エネルギーや、動作の振れ幅が小さくなることによるブレーキ7の損耗の低減が挙げられる。
【0029】
本発明は状況が許す限りにおいてのみ適用されるものであり、それは、車両が停止状態またはほぼ停止状態にあるときであり、駐車が可能であるときである。それ以外の状況では、ブレーキ7の機能が変更されることはない。
【符号の説明】
【0030】
1 自動車
2 前輪
3 前車軸
4 後輪
5 後車軸
6 メインブレーキ
7 電気機械式ブレーキ
8 アクチュエータ
9 モータ制御ユニット
10 センサ
11 キャリパ
12 ハウジング
13 液圧キャビティ
14 ピストン
15 ねじ
16 ナット
17 ねじ-ナットシステム
18 電気モータ
19 ダッシュボード
20 ボタン
21 伝達路
22、23、24 グラフ
25 第1の衝撃
26 第1の指令
27 ピーク
28 平坦域
29 増大期
30 ストロークの第1の部分
31 第2の衝撃
32 第2の指令
33 ピーク
34 平坦域
35、36 グラフ
37 第1の指令
38 第2の指令
39、40 ストロークの部分
60 ギアドモータ
61 フランジ
62 フランジ
41 ストロークの第2の部分
I 電流の強さ
I0 指令停止電流閾値
t 時間
t1~t7 指令時間
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】