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特表2024-529158電磁放射に対する物体の透過率を決定する方法及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】電磁放射に対する物体の透過率を決定する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 22/00 20060101AFI20240725BHJP
   G01N 21/3581 20140101ALI20240725BHJP
   G01N 21/59 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
G01N22/00 Z
G01N21/3581
G01N21/59
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508692
(86)(22)【出願日】2022-08-08
(85)【翻訳文提出日】2024-04-03
(86)【国際出願番号】 EP2022072208
(87)【国際公開番号】W WO2023016976
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】102021121099.2
(32)【優先日】2021-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】309007036
【氏名又は名称】ヘルムート・フィッシャー・ゲーエムベーハー・インスティテュート・フューア・エレクトロニク・ウント・メステクニク
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マストル、リュディガー
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー、ニクラス
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA02
2G059AA05
2G059BB08
2G059EE01
2G059EE02
2G059HH01
2G059HH05
(57)【要約】
物体、例えば基板の、30ギガヘルツ(GHz)から200Ghzの間の周波数範囲における電磁放射に対する透過率を決定する、例えばコンピュータ実装方法などの方法であって、その物体の少なくとも1つの位置における基板の厚さを決定するステップと、少なくともその基板の厚さに基づいて電磁放射に対する物体の透過率を特徴づける第1のモデルによって透過率を決定するステップと、を備える方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体(OBJ;OBJ’)、例えば基板(10)の、30ギガヘルツ、GHz、と200GHzの間の周波数域の電磁放射(ES)に対する透過率(T)を決定するための、例えばコンピュータ実装方法などの方法であって、
前記物体(OBJ;OBJ’)の少なくとも1つの位置における前記基板(10)の厚さ(D-10)を決定するステップ(100)と、
少なくとも前記基板(10)の前記厚さ(D-10)に基づいて前記電磁放射(ES)に対する前記物体(OBJ;OBJ’)の前記透過率(T)を特徴づける第1のモデル(MOD-1)によって、前記透過率(T)を決定するステップ(102)と、
を含む方法。
【請求項2】
前記基板(10)上に、例えば前記基板(10)の第1の表面(10a)上に、少なくとも1つの層(11,12,13)が配置され、
前記方法は、
前記少なくとも1つの層(11,12,13)の層厚さ(D-11,D-12,D-13)、例えば前記少なくとも1つの層(11,12,13)のいくつかの層(11,12,13)、又は例えばすべての層(11,12,13)の層厚さを、例えば前記物体(OBJ;OBJ’)の少なくとも1つの位置に対して決定するステップ(110)と、
前記第1のモデル(MOD-1)、及び/又は前記基板(10)の前記厚さ(D-10)と、前記少なくとも1つの層(11,12,13)の前記層厚さ(D-11,D-12,D-13)とに基づいて、前記電磁放射(ES)に対する前記物体(OBJ;OBJ’)の前記透過率(T)を特徴づける少なくとも1つの更なるモデル(MOD-1’)によって前記透過率(T)を決定するステップ(112)と、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板(10)の前記厚さ(D-10)は、前記少なくとも1つの層(11,12,13)の前記層厚さ(D-11,D-12,D-13)よりも、少なくとも10倍、例えば少なくとも50倍大きく、例えば前記基板(10)の厚さ(D-10)は、1ミリメートル、mm、以上である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記電磁放射(ES)は、20GHzと90GHzの間、例えば60GHzと85GHzの間、例えば76GHzと81GHzの間、の周波数を有する、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
a)テラヘルツ放射(TS)に基づく少なくとも1つの測定(M-D-10-1)によって、例えば1以上の測定点(MP1,MP2,MP3,MP4,MP5)に対する前記基板(10)の前記厚さ(D-10)を決定するステップ(110a)と、
b)テラヘルツ放射(TS)に基づかない、例えば光学的及び/又は機械的測定原理に基づく、少なくとも1つの測定(M-D-10-2)によって、例えば1以上の測定点に対して前記基板(10)の前記厚さ(D-10)を決定するステップ(110b)と、
c)前記少なくとも1つの層(11,12,13)の層厚さ(D-11,D-12,D-13)を、例えば、1以上の測定点に対して、テラヘルツ放射(TS)に基づく少なくとも1つの測定(M-D-11-1)によって決定するステップ(110c)と、
d)テラヘルツ放射(TS)に基づく、例えば前記基板(10)と前記少なくとも1つの層(11,12,13)とに共通な少なくとも1つの測定(M-THz)によって、前記基板(10)の前記厚さ(D-10)及び前記少なくとも1つの層(11,12,13)の前記層厚さ(D-11,D-12,D-13)を決定するステップ(110d)と、
e)構造化データ(SD)、例えば前記物体(OBJ;OBJ’)のCADデータに基づいて、例えば1以上の測定点(MP1,MP2,MP3,MP4,MP5)に対する前記基板(10)の前記厚さ(D-10)を決定するステップ(110e)と、
f)例えば少なくとも1つの他の測定点に対する既存の厚さ、個々の層厚さの値に基づいて、例えば1以上の測定点(MP3)に対する前記基板(10)の前記厚さ(D-10)及び/又前記少なくとも1つの層厚さ(D-11,D-12,D-13)を決定するステップ(110f)、
の内の少なくとも1つのステップを含む、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
a)前記テラヘルツ放射(TS)の反射に基づく、少なくとも1つの測定(M-D-10-1;M-D-11-1;M-THz)を実行するステップ(120)と、
b)前記テラヘルツ放射(TS)の透過に基づく、少なくとも1つの測定(M-D-10-1;M-D-11-1;M-THz)を実行するステップ(120)と、
の内の少なくとも1つのステップを含み、
ここで例えば、テラヘルツ放射(TS)は、0.05テラヘルツ、THz、と10THzの間、例えば0.1THzと6THzの間の周波数範囲を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記物体(10)内、例えば前記基板(10)内、及び/又は前記少なくとも1つの層(10,11,12)内の前記電磁放射の伝播を特徴づける物質データ(MD)を提供するステップ(125)と、
任意選択により、前記物質データ(MD)を、例えば前記透過率(T)の決定(102;112)に使用するステップ(126)と、
を含む方法であって、
前記物質データは、a)例えば周波数依存の、及び/又は一定の、反射率、及び/又は例えば周波数依存の、及び/又は一定の、吸収係数を含む分散関係と、b)表面特性と、の少なくとも1つの要素を含む、請求項1~請求項6の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項8】
a)例えば、前記基板(10)の厚さ(D-10)に基づいて、及び/又は前記物体(10)、例えば前記基板(10)に関連する物質データ(MD)に基づいて、例えば前記透過率(T)を特徴づける、例えば物体モデルとしての前記第1のモデル(MOD-1)を提供するステップ(130)と、
b)例えば、前記基板(10)の前記厚さ(D-10)と、前記少なくとも1つの層(11,12,13)の層厚さ(D-11,D-12,D-13)に基づいて、及び/又は前記物体(10)、例えば基板(10)及び/又は前記少なくとも1つの層(10,11,12)に関連する物質データ(MD)に基づいて、例えば前記透過率(T)を特徴づける、例えば物体モデルとしての前記少なくとも1つの更なるモデル(MOD-1’)を提供するステップ(132)と、
の内の少なくとも1つのステップを含む、請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
a)前記物体(OBJ;OBJ’)、例えば前記基板(10)の表面(10a)からの、テラヘルツ放射(TS;TS-T,TS-R)のための送信器(21)及び/又は受信器(22)の距離と、
b)前記基板(10)の厚さ(D-10)及び/又は前記少なくとも1つの層(11,12,13)の層厚さ(D-11,D-12,D-13)と、
c)前記テラヘルツ放射(TS)の主ビーム方向(R)と、前記物体(OBJ;OBJ’)及び/又は前記基板(10)の少なくとも1つの、例えば外側界面及び/又は内側界面の面法線(ON)との間の角度(α)と、
の基準の内の少なくとも1つに対する、前記物体(10)内での前記テラヘルツ放射(TS)の伝播の依存性を考慮するステップ(135)を含む、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記考慮するステップ(135)は、前記物体(10)に関連する空間領域(RB)内で相互に隣接する2つの媒体(MED-1,MED-2)の間の少なくとも1つの界面(GF)の領域内におけるテラヘルツ放射(TS)の伝播を、少なくとも1つの層モデル(MOD-SD-1,MOD-SD-2)により特徴づけること(135a)を含み、
前記少なくとも1つの層モデル(MOD-SD-1,MOD-SD-2)は、THz放射(TS)を特徴づける項(TS-TERM)を有し、この項は、a)テラヘルツ放射(TS)の周波数と、b)前記2つの隣接する媒体(MED-1,MED-2)の少なくとも1つの、例えば第1の空間方向(R-x)に沿う空間的広がり(D-MED-1,D-MED-2)及び/又は位置と、の要素の内の少なくとも1つに依存し、
例えば、A)前記少なくとも1つの層モデル(MOD-SD-1,MOD-SD-2)は、前記少なくとも2つの媒体(MED-1,MED-2,MED-3)の間の前記少なくとも1つの界面(GF;GF-1,GF-2)における前記テラヘルツ放射(TS)の少なくとも1つの反射及び/又は透過を特徴づけ、ここで例えば、前記少なくとも1つの層モデル(MOD-SD-1,MOD-SD-2)は、異なる媒体(MED-1,MED-2,MED-3)の間の少なくとも2つの界面における前記テラヘルツ放射(TS)の複数の反射及び/又は透過を特徴づけ、また例えば、前記テラヘルツ放射(TS)を特徴づける前記項(TS-TERM)は、前記少なくとも2つの界面(GF-1,GF-2)に関してそれぞれ異なる値(TS-TERM-1,TS-TERM-2)を有し、
例えば、B)前記少なくとも1つの層モデル(MOD-SD-1,MOD-SD-2)は、前記空間領域(RB)においてそれぞれ相互に隣接する2つの媒体(MED-1,MED-2)の間の複数の界面(GF;GF-1,GF-2)における前記テラヘルツ放射(TS)の複数の反射及び/又は透過のそれぞれ1つを、コヒーレントな重ね合わせ関数(UEF)によって特徴づけ、ここで前記項(TS-TERM)は、前記コヒーレントな重ね合わせ関数(UEF)の少なくともいくつかの構成要素に対する重み因子、例えば1以外の重み因子として提供される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
例えば時間分解された第1のTHz信号(TS-1)を決定するステップ(140)を含み、
前記方法は、前記第1のTHz信号(TS-1)に基づいて、例えば少なくとも1つの時間ウィンドウ処理によって、第1の部分信号(TS-1-a)を決定するステップ(142)を含み、
例えば前記第1の部分信号(TS-1-a)は、a)前記少なくとも1つの層(11)と前記基板(10)との間の第1の界面(GS-1)、例えば前記基板(10)の第1の表面(10a)において反射され、例えばb)前記基板(10)の前記第1の表面(10a)に対向する前記基板(10)の第2の表面(10b)では反射されなかったTHz放射を特徴づける、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
第2の部分信号(TS-1-b)を決定するステップ(144)を含み、
例えば、前記第2の部分信号(TS-1-b)は、例えば、前記第1の界面(GS-1)に対向する特に第2の界面(GS-2)で反射されたTHz放射を特徴づけ、
例えば、前記基板(10)の前記第1の表面(10a)に対向する、前記基板(10)の前記第2の表面(10b)は、前記第2の界面(GS-2)を形成する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の部分信号(TS-1-a)に基づいて、例えば前記少なくとも1つの層(11,12,13)に対する第1の層モデル(MOD-SD-1)を用いて、前記少なくとも1つの層(11,12,13)の層厚さ(D-11,D-12,D-13)を決定するステップ(146)を含む、請求項11~請求項12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のTHz信号(TS-1)に基づいて、前記基板の前記厚さ(D-10)を決定するステップ(148)を含み、
例えば、前記第1のTHz信号(TS-1)に基づいて、前記基板の前記厚さ(D-10)を決定するステップ(148)は、a)前記第1のTHz信号(TS-1)に関連する伝達関数(TF-1)の高周波成分(TF-1-HFA)に基づいて前記基板(10)の前記厚さ(D-10)を決定するステップ(148a)と、b)例えば、前記第2の部分信号(TS-1-b)に関連する伝達関数(TF-2)の位相と、前記第1の部分信号(TS-1-a)に関連する伝達関数(TF-1)の位相との差を特徴づける線形位相(TF-2-LP)に基づいて前記基板(10)の前記厚さ(D-10)を決定するステップ(148b)と、の少なくとも1つのステップを含む、請求項11~請求項13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの層(11,12,13)の層厚さ(D-11,D-12,D-13)と、基板(10)の前記厚さ(D-10)を、例えば前記少なくとも1つの層(11,12,13)を有する前記基板(10)に対する第2の層モデル(MOD-SD-2)を使用して、前記第1のTHz信号(TS-1)に基づいて決定するステップ(150)を含む、請求項1~請求項14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記物体(OBJ)の少なくとも1つの測定点(MP1)に対する前記透過率(T)を決定するステップ(160)と、
前記物体(OBJ;OBJ’)の複数の測定点(MP1,MP2,MP3,MP4,Mp5)に対する前記透過率(T)を決定するステップ(162)と、
の少なくとも一方を含む、請求項1~請求項15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記物体(OBJ)の複雑さ、例えば前記物体(OBJ)の形状の複雑さが、予め決定可能な限界値を超えるかどうかを決定するステップ(165)と、
任意選択により、例えば前記複雑さが予め決定可能な限界値を超えない場合、複数の測定点(MP)に基づき、例えば前記複数の測定点に関する平均化に基づいて、前記透過率(T)を決定するステップ(166)と、
を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
例えば前記複雑さが前記予め決定可能な限界値を超える場合に、例えば前記物体の少なくとも1つの表面構造及び/又は前記物体の被膜を特徴づける前記物体(OBJ;OBJ’’)の設計モデル(MOD-DESIGN)、例えばCADモデルを使用するステップ(167)と、
任意選択により、前記設計モデル(MOD-DESIGN)を、例えば1以上の測定点(MP1,MP2,MP3,MP4,MP5)に対する測定された基板厚さ(D-10)及び/又は層厚さ(D-11,D-12,D-13)に適合させるステップ(168)と、
を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記電磁放射(ES)を放射する送信器(S-ES)を、例えばa)位置、b)寸法、c)放射角又は放射特性、d)放射強度、の要素の内の少なくとも1つに関してモデル化するステップ(170)を含む、請求項1~請求項18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記電磁放射(ES)を受信する受信器(E-ES)を、例えばa)位置、b)寸法、c)特性、例えば受信特性、の要素の内の少なくとも1つに関してモデル化するステップ(172)を含む、請求項1~請求項19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記物体(OBJ;OBJ’;OBJ’’)に対する物体モデル(MOD-OBJ)と、前記電磁放射(ES)の送信器(S-ES)及び/又は受信器(E-ES)を特徴づける少なくとも1つの更なるモデル(MOD-S-ES,MOD-E-ES)に基づいて前記透過率(T)に関する全体モデル(MOD-GES)を提供するステップ(180)と、
例えば前記物体(OBJ;OBJ’;OBJ’’)の複数の測定点(MP1,MP2,MP3,MP4,MP5)の少なくとも1つの測定点(MP1)に対して決定される透過率(T)に基づいて、及び/又は決定された層厚さ及び/又は基板厚さに基づいて、及び/又は例えば周波数依存の屈折率及び/又は一定の屈折率の少なくとも1つに基づいて、及び/又は例えば周波数依存の吸収率及び/又は一定の吸収率の少なくとも1つに基づいて、前記全体モデル(MOD-GES)を構成するステップ(182)と、
前記全体モデル(MOD-GES)を評価するステップ(184)と、
任意選択により、前記全体モデル(MOD-GES)の少なくとも1つの構成要素を調整するステップ(186)と、
を含む、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記電磁放射(ES)の受信強度を決定するステップ(184a)を含み、例えば前記評価するステップ(184)及び/又は前記決定するステップ(184a)は、ビーム追跡法及び/又は、例えば電磁放射(ES)の伝播の他の計算方法に基づいて実行される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
請求項1~請求項22のいずれか一項に記載の方法を遂行するための装置(200)。
【請求項24】
a)テラヘルツ放射(TS)を送信及び/又は受信するように設計された、少なくとも1つのTHz測定システム(20)へのインタフェースポート(206)であって、ここで例えば、前記THz測定システム(20)は、テラヘルツ放射(TS)のための少なくとも1つの送信器(21)及び/又はテラヘルツ放射(TS)のための受信器(22)及び/又はテラヘルツ放射(TS)のためのトランシーバである、インタフェースポート(206)と、
b)例えば産業ロボットなどのロボットである位置決めシステム(208)と、
のうちの少なくとも1つを備える、請求項23に記載の装置(200)。
【請求項25】
コンピュータ(202)によって実行されると前記コンピュータに請求項1~請求項22のうちのいずれか一項に記載の方法を実行させる命令(PRG)を含むコンピュータ可読記憶媒体(SM)。
【請求項26】
コンピュータプログラム(PRG)であって、コンピュータ(202)によって実行されると、コンピュータ(202)に請求項1~請求項22のうちの少なくとも一項に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラム(PRG)。
【請求項27】
請求項26に記載の前記コンピュータプログラムを送信及び/又は特徴づける、データ搬送信号(DCS)。
【請求項28】
a)物体(OBJ;OBJ’)の少なくとも1つの構成要素(10,11,12,13)の厚さ測定に基づいて、レーダ周波数範囲における前記物体の透過率(T)を決定するステップ(301)と、
b)物体(OBJ;OBJ’)の少なくとも1つの構成要素(10,11,12,13)のTHz放射(TS)の使用に基づく厚さ測定に基づいて、前記物体のレーダ周波数範囲での透過率(T)を決定するステップ(302)と、
c)THz放射(TS)を用いた反射測定に基づいて物体(OBJ;OBJ’)のレーダ周波数範囲での透過率(T)を決定するステップ(303)と、
d)前記物体(OBJ)の設計モデル、例えばCADモデルを適合させるステップ(304)と、
e)例えば同一又は連結したTHzベースの測定(M-D-10-1,M-D-11-1,M-THz)の少なくとも1つに基づくTHzベースの測定(M-D-10-1,M-D-11-1,M-THz)に基づいて、レーダ周波数範囲における物体(OBJ;OBJ’)の透過率(T)、及び前記基板(10)の厚さ(D-10)及び/又は少なくとも1つの層(11,12,13)の少なくとも1つの層厚さ(D-11,D-12,D-13)を決定するステップ(305)と、
のステップの内の少なくとも1つに対する、請求項1~請求項22のうちの少なくとも一項に記載の前記方法、及び/又は請求項23~請求項24のうちの少なくとも一項に記載の前記装置(200)、及び/又は請求項25に記載の前記コンピュータ可読記憶媒体(SM)、及び/又は請求項26に記載の前記コンピュータプログラム(PRG)、及び/又は
請求項27に記載の前記データ搬送信号(DCS)、の使用方法(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は電磁放射に対する物体の透過率を決定する方法に関する。
【0002】
本開示はさらに、電磁放射に対する物体の透過率を決定するための装置に関する。
【発明の概要】
【0003】
例示的実施形態は、物体、例えば基板(10)の、30ギガヘルツ(GHz)と200GHzの間の周波数域の電磁放射)に対する透過率を決定するための、例えばコンピュータ実装方法などの方法であって、物体の少なくとも1つの位置における基板の厚さを決定するステップと、少なくとも基板の厚さに基づいて電磁放射に対する物体の前記透過率を特徴づける第1のモデルによって透過率を決定するステップと、を含む方法に関する。したがって、いくつかの例示的実施形態では電磁放射に対する物体の透過率の効率的な決定が可能となる。
【0004】
他の例示的実施形態では、透過率は200GHzを超える周波数に対しても決定可能である。
【0005】
更なる例示的実施形態では、少なくとも1つの層が基板上、例えば基板の第1の表面上に配置され、方法が、少なくとも1つの層の内の層厚さ、例えば少なくとも1つの層のいくつかの層又は例えばすべての層の層厚さを、例えば物体の少なくとも1つの位置に対して決定するステップと、第1のモデル及び/又は基板の厚さと少なくとも1つの層の層厚さとに基づいて電磁放射に対する物体の透過率を特徴づける少なくとも1つの更なるモデル、によって透過率を決定するステップと、を含むことが提供される。
【0006】
更なる例示的実施形態では、基板は、例えば、ポリプロピレンなどのプラスチック材料を含むことができる。更なる例示的実施形態では、基板上の少なくとも1つの層は塗料層及び/又はプライマなどであってよい。
【0007】
更なる例示的実施形態では、物体は、車両、例えば自動車、の構成要素であり、例えばボディ部品、例えば塗装又は被覆されるボディ部品である。
【0008】
更なる例示的実施形態では、基板の厚さは、少なくとも1つの層の層厚さよりも、少なくとも10倍、例えば少なくとも50倍大きく、例えば基板の厚さは、1ミリメートル(mm)以上である。
【0009】
更なる例示的実施形態では、電磁放射は20GHzから90GHzの間、例えば60GHzから85GHzの間の周波数であるようにされる。
【0010】
更なる例示的実施形態では、電磁放射は、例えば自動車分野におけるレーダ用途用の、レーダ周波数範囲の周波数を有するようにされる。
【0011】
更なる例示的実施形態では、方法は、以下のステップの内の少なくとも1つを含むことが提供される。a)少なくとも1つのテラヘルツ放射に基づく測定(「THzベースの測定」)により、例えば1以上の測定点に対して基板の厚さを決定するステップ。b)テラヘルツ放射に基づかない、例えば光学的及び/又は機械的測定原理に基づく、少なくとも1つの測定によって、例えば1以上の測定点に対して、基板の厚さを決定するステップ。c)少なくとも1つの層の層厚さを、例えば1以上の測定点に対して、テラヘルツ放射に基づく少なくとも1つの測定によって決定するステップ。d)テラヘルツ放射に基づく、例えば基板と少なくとも1つの層とに共通な少なくとも1つの測定によって、基板の厚さ及び少なくとも1つの層の層厚さを決定するステップ。e)物体の構造化データ、例えば物体のCADデータに基づいて、例えば1以上の測定点に対して基板の厚さを決定するステップ。
f)例えば少なくとも1つの他の測定点の既存の厚さ又は層厚さに基づいて、例えば1以上の測定点に対して基板の厚さ及び/又は少なくとも1つの層の厚さを決定するステップ。
【0012】
更なる例示的実施形態では、方法が以下のステップの内の少なくとも1つを含むことが提供される。a)テラヘルツ放射の反射に基づく、少なくとも1つの測定を実行するステップ。b)テラヘルツ放射の透過に基づく、少なくとも1つの測定を実行するステップ。
ここで、例えばテラヘルツ放射は、0.05テラヘルツ(THz)と10THzの間、例えば0.1THzと6THzの間の周波数範囲を有する。
【0013】
更なる例示的実施形態では、レーダ周波数範囲の電磁放射に対する物体の透過率は、例えば少なくとも1つのTHzベースの反射測定に基づいて効率的に決定可能である。更なる例示的実施形態では、少なくとも1つのTHzベースの反射測定は、任意選択により、基板及び/又は少なくとも1つの層の厚さ決定に追加的に使用可能である。つまり、更なる例示的実施形態では、少なくとも1つのTHzベースの反射測定に基づいて、物体の厚さ又は層厚さの両方を、THz放射の周波数範囲とは少なくとも部分的に異なる周波数範囲、例えばレーダ周波数範囲における物体の透過率とともに、決定可能である。
【0014】
更なる例示的実施形態では、方法が、物体内の、例えば基板内及び/又は少なくとも1つの層内の電磁放射の伝播を特徴づける物質データを提供するステップと、任意選択により、例えば透過率を決定するためのその物質データを使用するステップと、を含むことが提供される。ここで、一例として物質データは、a)例えば周波数に依存する及び/又は依存しない反射率、及び/又は例えば周波数に依存する及び/又は依存しない吸収係数を含む分散関係と、b)表面特性とを含む。
【0015】
更なる例示的実施形態では、少なくともいくつかの物質に対して、例えば周波数に依存する量(反射率及び/又は吸収係数など)を使用すること、及び他のいくつかの物質に対して、例えば周波数に依存しない量(反射率及び/又は吸収係数など)を使用することも可能である。
【0016】
更なる例示的実施形態では、方法が以下のステップの内の少なくとも1つを含むことが提供される。a)基板の厚さに基づいて、及び/又は物体、例えば基板、に関連する物質データに基づいて、例えば透過率を特徴づける、例えば物体モデルとしての第1のモデルを提供するステップ。b)基板の厚さと、少なくとも1つの層の層厚さに基づいて、及び/又は物体、例えば基板及び/又は少なくとも1つの層、に関連する物質データに基づいて、例えば透過率を特徴づける、例えば物体モデルとして少なくとも1つの更なるモデルを提供するステップ。
【0017】
更なる例示的実施形態では、方法が、以下の基準の内の少なくとも1つに対する、物体内でのテラヘルツ放射の伝播の依存性を考慮するステップを含むことが提供される。a)物体例えば基板表面からの、テラヘルツ放射のための送信器及び/又は受信器の距離。b)基板の厚さ、及び/又は少なくとも1つの層の層厚さ。c)テラヘルツ放射の主ビーム方向と、物体及び/又は基板の少なくとも1つの、例えば外側界面及び/又は内側界面の面法線との間の角度。
【0018】
更なる例示的実施形態では、例えば基板の背面が前面とは主ビーム方向に対して異なる角度を有する(例えば非平坦基板)ことを考慮に入れることも可能である。これは、例えばテラヘルツ放射の主ビーム方向と、物体の背面の面法線との間の角度を考慮に入れるステップにより実施可能である。
【0019】
更なる例示的実施形態では、考慮するステップは、物体に関連する空間領域内で相互に隣接する2つの媒体の間の少なくとも1つの界面の領域内におけるテラヘルツ放射の伝播を少なくとも1つの層モデルによって特徴づけるステップを含むように提供される。この少なくとも1つの層モデルは、THz放射を特徴づける項TS-TERMを有し、この項は、a)テラヘルツ放射の周波数、b)2つの隣接する媒体の少なくとも1つの、例えば第1の空間方向に沿う空間的広がり及び/又は位置、の要素の少なくとも1つに依存し、例えば、A)少なくとも1つの層モデルは、少なくとも2つの媒体の間の少なくとも1つの界面におけるテラヘルツ放射の少なくとも1つの反射及び/又は透過を特徴づけ、例えば、少なくとも1つの層モデルは、異なる媒体の間の少なくとも2つの界面におけるテラヘルツ放射の複数の反射及び/又は透過を特徴づけ、例えば、テラヘルツ放射を特徴づける項は、少なくとも2つの界面に関してそれぞれ異なる値を有し、例えば、B)少なくとも1つの層モデルは、空間領域においてそれぞれ相互に隣接する2つの媒体の間の複数の界面におけるテラヘルツ放射の1又は複数の反射及び/又は透過を、コヒーレントな重ね合わせ関数によって特徴づけ、項は、コヒーレントな重ね合わせ関数の少なくともいくつかの構成要素に対する重み因子、例えば1ではない重み因子として提供される。
【0020】
更なる例示的実施形態では、少なくとも1つの層モデルがテラヘルツ放射によって反射配置又は透過配置にある物体のサンプル測定値を特徴づける第1成分を有することが提供される。この第1成分は周波数空間において例えば反射配置に対して次式に基づいて特徴づけることが可能である。

ここで、F(ω,x,y,z)は、例えばサンプル信号の周波数依存の電界強度を表し、ωは、テラヘルツ放射の周波数に関連する角周波数を表し、xは第1空間座標を表し、yは第2空間座標を表し、zは第3空間座標を表し、I(ω,x,y,z)は、テラヘルツ放射を生成するエミッタにおけるテラヘルツ放射の、電界強度、例えば周波数依存の電界強度を表し、exp[]は、指数関数を表し、iは虚数単位を表し、Cは真空中の光速を表し、Lは、テラヘルツ装置(例えば、THz放射のエミッタ及び/又は受信器から成る)と参照物体との間の距離を表し、ΔDは参照物体と物体の間のオフセットを表し、nは、空間領域に存在する媒体、例えば空気、の屈折率を表し、εは、空間領域に存在する媒体の消衰係数を表し、φ(ω,x,y,z)は、テラヘルツ放射を生成するエミッタにおけるテラヘルツ放射の、例えば周波数に依存する位相を表し、tA1は、空間領域にある媒体と、物体の表面を特徴づける層との間の界面における反射係数を表し、t1Aは、物体の表面を表す層と空間領域に存在する媒体との間の界面における透過係数を表し、r1Sは、物体の層と基板との間の界面における反射係数を表し、Rは、テラヘルツ放射の反射率を表し、反射及び/又は透過の数及び/又は順番を表し、r1Aは、物体の表面を表す層と空間領域に存在する媒体との間の界面における反射係数を表し、
は、THz放射又は重み因子を特徴づける項(T)を表し、これは更なる例示的実施形態では、平面波に対するモデルの補正項として理解することも可能であり、Dは、層の層厚さを表し、nは、層の屈折率を表し、εは、層の消衰係数を表し、rA1は、空間領域にある媒体と、物体の表面を特徴づける層との間の界面における反射係数を表し、α及び/又はβは、任意選択により物体に対するテラヘルツ装置の角度配向を表し、Ωは、任意選択により物体の表面特性を表し、物体の表面特性は、例えばa)表面の形状、例えば曲率、b)面粗さ、のうちの少なくとも1つを含む。
【0021】
更なる例示的実施形態では、少なくとも1つの層モデルがテラヘルツ放射TSによる反射配置又は透過配置において参照測定を特徴づける第2成分を参照物体上に有することが提供される。ここで第2成分は、周波数空間で、例えば反射配置に対して次式によって特徴づけることが可能である。

ここで、F(ω,x,y,z)は、参照信号の周波数依存の電界強度を表し、γAMは、空間領域にある媒体と、参照物体の表面との間の界面における反射係数を表す。
【0022】
更なる例示的実施形態では、例えば反射配置に関する少なくとも1つの層モデルが、周波数空間において例えば次式に基づいて特徴づけることが可能なことが提供される。

ここで、H(ω)は、テラヘルツ放射の例えば参照測定に関する伝達関数を表す。
【0023】
更なる例示的実施形態では、項は、a)テラヘルツ放射の周波数、及び/又はb)例えば第1の空間方向に沿って隣接する2つの媒体の少なくとも一方の空間的広がり及び/又は位置、に代わって、あるいはこれらに追加して、c)反射及び/又は透過の数および順序を表す反射率、d)物体及び/又は参照物体に対するテラヘルツ装置の角度配向、e)例えば少なくとも1つのテラヘルツ装置及び/又は少なくとも1つの物体の間の距離、f)少なくとも1つの物体の表面特性、例えば表面形状及び/又は面粗さ、の要素の内の少なくとも1つに依存することが提供される。
【0024】
更なる例示的実施形態では、例えば項又は重み因子による少なくとも1つの層モデルが、テラヘルツ放射の伝達関数の距離依存のスペクトル変化を、距離依存又は深さ依存の減衰及び/又は増幅としてモデル化することが提供される。
【0025】
更なる例示的実施形態では、例えば項又は重み因子による少なくとも1つの層モデルが、テラヘルツ放射の伝達関数の角度依存のスペクトル変化を、角度依存の減衰及び/又は増幅としてモデル化することが提供される。
【0026】
更なる例示的実施形態では、少なくとも1つの層モデルが、例えば項又は重み因子により、テラヘルツ放射の伝達関数のスペクトル変化を、少なくとも1つの物体の表面の少なくとも1つの特性、例えば表面形状及び/又は面粗さに基づいて、モデル化することが提供される。
【0027】
更なる例示的実施形態では、少なくとも1つの層モデルが複数層の異なる媒体から成る物体を含むことが提供される。ここで例えば、このモデルは、a)物体の、例えば隣接する層間での、テラヘルツ放射の反射及び/又は透過、b)物体におけるテラヘルツ放射の多重反射及び/又は多重透過、c)物体における、例えば反射率によって特徴づけ可能な仮想反射点及び/又は仮想透過点、d)物体における、テラヘルツ放射の様々な反射及び/又は透過のコヒーレントな重畳、の要素の内の少なくとも1つを特徴づける。
【0028】
更なる例示的実施形態では、方法が、テラヘルツ装置と物体又は参照物体、並びに任意選択によりテラヘルツ装置20と物体又は参照物体を取り囲む環境媒体、を特徴づけるシステムの光学モデルに基づいて、項及び/又は項の個別の値を決定するステップを更に含むことが提供される。ここで例えば、光学モデルは例えばシステム内のテラヘルツ放射のスペクトル伝達関数を特徴づける。
【0029】
更なる例示的実施形態では、方法が、テラヘルツ装置と物体又は参照物体、並びに任意選択によりテラヘルツ装置20と物体又は参照物体を取り囲む周囲媒体、を特徴づけるシステムの光学モデルに基づいて、項及び/又は項の個別の値を決定するステップを更に含むことが提供される。ここで、光学モデルは例えばシステム内のテラヘルツ放射の空間拡がり上の振幅及び位相を特徴づける。
【0030】
更なる例示的実施形態では、光学モデルは、テラヘルツ放射の回折効果を考慮に入れる。
【0031】
更なる例示的実施形態では、方法が、a)ビーム追跡、及び/又はb)例えばコリンズ積分などの回折積分による回折理論記述、及び/又はc)モデル関数を用いたパラメトリック計算、によるモデル化に基づく光学モデルを決定するステップと、任意選択により光学モデルを較正するステップとを更に含むことが提供される。ここで、例えば光学モデルの決定及び/又は較正のステップは、周波数分解能で実行される。
【0032】
更なる例示的実施形態では、方法が、光学モデルを、例えばスペクトル伝達関数及び/又は空間振幅及び/又は位相に関して、a)テラヘルツ装置の光学軸と物体又は参照物体の面法線との間の角度、b)テラヘルツ装置と物体又は参照物体の表面との間の距離、c)少なくとも1つの物体又は参照物体、例えば参照物体の表面特性、例えば表面の形状、例えば曲率、及び/又は面粗さに基づく特性、d)テラヘルツ放射の周波数、の要素の少なくとも1つに基づいて較正するステップをさらに備えることが提供される。
【0033】
更なる例示的実施形態では、方法が、第1の、例えば時間分解されたTHz信号を決定するステップを含むことが提供される。この方法は、第1のTHz信号に基づいて、例えば少なくとも1つの時間ウィンドウ処理によって、第1の部分信号を決定するステップを更に含み、例えば第1の部分信号は、a)少なくとも1つの層と基板、例えば基板の第1表面、との間の第1界面、(及び/又は少なくとも1つの更なる界面、例えば2つの隣接する層の間の界面)において反射され、例えばb)ただし基板の第1表面に対向する基板の第2表面では反射されなかった、THz放射を特徴づける。
【0034】
更なる例示的実施形態では、方法が、第2の部分信号を決定するステップを含むことが提供される。例えば、この第2の部分信号は、例えば、第1の界面に対向する特に第2の界面で反射されたTHz放射を特徴づけ、例えば、基板の第1の表面に対向する基板の第2の表面は、第2の界面を形成する。
【0035】
更なる例示的実施形態では、方法が、少なくとも1層の層厚さを、例えば、少なくとも1つの層に対する第1の層モデルを使用して、第1の部分信号に基づいて決定するステップを含むことが提供される。
【0036】
更なる実施形態では、方法が第1のTHz信号に基づいて基板の厚さを決定するステップを含むことが提供される。例えば、第1のTHz信号に基づいて、基板の厚さを決定するステップは、a)第1のTHz信号に関連する伝達関数の高周波成分に基づいて基板の厚さを決定するステップと、b)第2の部分信号に関連する伝達関数の位相と、第1の部分信号に関連する伝達関数の位相との差を特徴づける位相、例えば線形位相に基づいて基板の厚さを決定するステップと、の少なくとも1つのステップを含む。
【0037】
更なる例示的実施形態では、方法が、少なくとも1層の層厚さ及び基板の厚さを、第1のTHz信号に基づいて、例えば、少なくとも1つの層を有する基板に対する第2の層モデルを使用して決定するステップを含むことが提供される。
【0038】
更なる例示的実施形態では、方法が、物体の少なくとも1つの測定点に対する透過率を決定するステップ、及び/又は物体の複数の測定点の透過率を決定するステップを含むことが提供される。
【0039】
更なる例示的実施形態では、方法が、物体の複雑さ、例えば物体の形状の複雑さが、予め決定可能な限界値を超えるかどうかを決定するステップと、任意選択により、例えば複雑さが予め決定可能な限界値を超えない場合に、複数の測定点に基づく透過率を、例えば複数の測定点に関する平均化に基づいて決定するステップと、を含むことが提供される。
【0040】
更なる例示的実施形態では、方法が、例えば複雑さが予め決定可能な限界値を超える場合、物体の設計モデル、例えばCADモデルを用いるステップを含み、ここで、設計モデルは、例えば物体の少なくとも1つの表面構造及び/又は被覆を特徴づけ、また任意選択により、設計モデルを、例えば1以上の測定点に対する測定された基板厚さ及び/又は被覆厚さに適合させるステップを含むことが提供される。
【0041】
更なる例示的実施形態では、方法が、電磁放射を放出する送信器を、例えばa)位置、b)寸法、c)ビーム角又は特性、d)ビーム強度、の要素の内の少なくとも1つに関してモデル化するステップを含むことが提供される。
【0042】
更なる例示的実施形態では、方法が、電磁放射を受信する受信器を、例えばa)位置、b)寸法、c)特性、の要素の内の少なくとも1つに関してモデル化するステップを含むことが提供される。
【0043】
更なる例示的実施形態では、物体に対する物体モデルと、電磁放射の送信器及び/又は受信器を特徴づける少なくとも1つの更なるモデルとに基づいて透過率に関する全体モデルを提供するステップと、物体の少なくとも1つの測定点、例えば複数の測定点に対して決定され、物体の少なくとも1つの測定点、例えば複数の測定点に対して決定される透過率に基づいて、及び/又は決定された層厚さ及び/又は基板厚さに基づいて、及び/又は例えば周波数依存の屈折率及び/又は一定の屈折率の少なくとも1つに基づいて、及び/又は例えば周波数依存の吸収率及び/又は一定の吸収率の少なくとも1つに基づいて、全体モデルを構成するステップと、全体モデルを評価するステップと、任意選択により全体モデルの少なくとも1つの構成要素を適合するステップと、を含む方法が提供される。
【0044】
更なる例示的実施形態では、方法は、電磁放射の受信強度を決定するステップを含み、例えば評価するステッ及び/又は決定するステップは、ビーム追跡法及び/又は、例えば電磁放射の伝播の他の計算方法に基づいて実行されることが提供される。
【0045】
更なる実施形態は、実施形態による方法を実行するための装置に関する。
【0046】
更なる例示的実施形態では、装置は、a)テラヘルツ放射を送信及び/又は受信するように設計された、少なくとも1つのTHz測定システムへのインタフェース部であって、例えば、THz測定システムは、テラヘルツ放射のための少なくとも1つの送信器及び/又はテラヘルツ放射のための受信器及び/又はテラヘルツ放射のためのトランシーバである、インタフェース部と、b)例えば産業ロボットなどのロボットである位置決めシステムと、の要素のうちの少なくとも1つを備えることが提供される。
【0047】
更なる例示的実施形態は、コンピュータによって実行されると実施形態による方法をコンピュータに実行させる命令を含むコンピュータ可読記憶媒体に関する。
【0048】
更なる例示的実施形態は、コンピュータによって実行されると実施形態による方法をコンピュータに実行させる命令を含むコンピュータプログラムに関する。
【0049】
更なる例示的実施形態は、実施形態によるコンピュータプログラムを送信し、及び/又は特徴づける、データ搬送信号に関する。
【0050】
更なる例示的実施形態は、a)物体の少なくとも1つの構成要素の厚さ測定に基づいて、レーダ周波数範囲における物体の透過率を決定するステップ、b)THz放射の使用に基づく物体の少なくとも1つの構成要素の厚さ測定に基づいて、レーダ周波数範囲での物体の透過率を決定するステップ、c)THz放射を用いた反射測定に基づいてレーダ周波数範囲における物体の透過率を決定するステップ、d)物体の設計モデル、例えばCADモデルを適合させるステップ、e)少なくとも1つのTHzベースの測定に基づいて、例えば少なくとも1つの、例えば同一若しくは連結したTHzベースの測定に基づいて、レーダ周波数範囲における物体の透過率、及び基板の厚さ及び/又は少なくとも1層の少なくとも1つの層厚さを決定するステップ、の少なくとも1つに対する、実施形態による方法、及び/又は実施形態による装置、及び/又は実施形態によるコンピュータ可読記憶媒体、及び/又は実施形態によるコンピュータプログラム、及び/又は実施形態によるデータ搬送信号、の使用方法に関する。
【0051】
更なる特徴、可能な用途及び利点は、図面に示す例示的実施形態の以下の説明から得られる。説明又は図示されるすべての特徴は、それ自体又は任意の組み合わせにおいて、特許請求の範囲におけるその要約又はそれらの相互の関係に拘わらず、また説明又は図面における定式化又は表示に拘わらず、それ自体又は任意の組み合わせにおいて例示的実施形態の主題を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】例示的実施形態による簡略化されたフロー図の概略である。
図2】例示的実施形態による簡略化されたブロック図の概略である。
図3】例示的実施形態による簡略化されたブロック図の概略である。
図4】例示的実施形態による簡略化されたフロー図の概略である。
図5】例示的実施形態による簡略化されたフロー図の概略である。
図6】例示実施形態による簡略化されたブロック図の概略である。
図7】例示的実施形態による簡略化されたフロー図の概略である。
図8】例示的実施形態による簡略化されたフロー図の概略である。
図9】例示的実施形態による簡略化されたフロー図の概略である。
図10】例示的実施形態による簡略化されたフロー図の概略である。
図11】例示的実施形態による簡略化されたブロック図の概略である。
図12】例示的実施形態による簡略化されたブロック図の概略である。
図13】例示的実施形態による簡略化されたブロック図の概略である。
図14】例示的実施形態による簡略化されたブロック図の概略である。
図15】例示的実施形態による簡略化されたフロー図の概略である。
図16】例示的実施形態による簡略化されたフロー図の概略である。
図17】例示的実施形態による簡略化されたブロック図の概略である。
図18】例示的実施形態による簡略化されたタイミング図の概略である。
図19A】例示的実施形態による伝達関数の概略である。
図19B図19Aによる伝達関数の概略態様である。
図20A図19Aによる伝達関数の概略態様である。
図20B図19Aによる伝達関数の概略態様である。
図21】例示的実施形態による簡略化されたフロー図の概略である。
図22】例示的実施形態による簡略化されたフロー図の概略である。
図23】例示的実施形態による簡略化されたフロー図の概略である。
図24】例示的実施形態による簡略化されたフロー図の概略である。
図25】例示的実施形態による簡略化されたブロック図の概略である。
図26】例示的実施形態による模式的な簡略化されたフロー図である。
図27】例示的実施形態による簡略化されたブロック図の概略である。
図28】例示的実施形態による使用法の態様の概略である。
図29】例示的実施形態による簡略化されたブロック図の概略である。
図30】例示的実施形態による簡略化されたフロー図の概略である。
図31】例示的実施形態による簡略化されたビーム図の概略である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1図2を参照すると、例示的実施形態は、物体OBJ、例えば基板10の、30ギガヘルツ(GHz)から200GHzの間の周波数範囲における電磁放射ESの透過率を決定する、例えばコンピュータ実装方法などの方法に関係し、この方法が、その物体OBJの少なくとも1つの位置における基板10の厚さD-10を決定するステップ100(図1)と、少なくともその基板10の厚さD-10に基づいて電磁放射ESに対する物体OBJの透過率Tを特徴づける第1のモデルMOD-1によって透過率Tを決定するステップ102とを含む。したがって、いくつかの例示的実施形態では、電磁放射ESに対する物体OBJの透過率Tの効率的な決定が可能となる。
【0054】
図3図4の更なる例示的実施形態において、基板10上に、例えば基板10の第1の表面10a上に、少なくとも1つの層11、12、13の配置が提供される。ここで、この方法は、少なくとも1つの層11、12、13、例えばその少なくとも1つの層の内のいくつかの層、又は例えばそのすべての層11、12、13、の層厚さD-11、D-12、D-13を、物体OBJ’の少なくとも1つの位置において決定するステップ110aを含み、かつ、少なくとも基板の厚さD-10と少なくとも1つの層の11、12、13の層厚さD-11、D-12、D-13とに基づいて電磁放射ESに対する物体OBJ’の透過率Tを特徴づける第1のモデルMOD-1及び/又は少なくとも1つの更なるモデルMOD-1’により透過率Tを決定するステップ112を含むことが提供される。
【0055】
図3に示す物体OBJ’では、第1の層11は基板の表面10a上に配置され、第2の層12は第1の層11の表面11a上に配置され、第3の層13は第2の層12の表面12a上に配置される。
【0056】
更なる例示的実施形態では、基板10は、例えば、ポリプロピレンなどのプラスチック材料で構成される。更なる例示的実施形態では、基板10上の少なくとも1つの層11、12、13は塗料層及び/又はプライマなどであってよい。
【0057】
更なる例示的実施形態では、物体OBJ、OBJ’は、例えば車両、例えば自動車の構成要素であり、例えばボディ部品、例えば塗装又は被覆されるボディ部品である。
【0058】
更なる例示的実施形態では、基板10の厚さD-10は、少なくとも1つの層11、12、13の層厚さD-11、D-12、D-13より少なくとも10倍、例えば少なくとも50倍大きい。ここで、例えば基板10の厚さD-10は1ミリメートル(mm)以上である。
【0059】
更なる例示的実施形態では、基板10の厚さD-10は、少なくとも1つの層11、12、13の層厚さD-11、D-12、D-13よりも、少なくとも3倍、例えば5倍大きい。更なる例示的実施形態では、基板10の厚さD-10はまた、1mm以下であってよく、少なくとも1つの層11の層厚さは例えば200μm(マイクロメートル)であってよい。
【0060】
更なる例示的実施形態では、電磁放射ESは20GHzから90GHzの間、例えば60GHzから85GHzの間の周波数を有することが提供される。
【0061】
更なる例示的実施形態では、電磁放射ESは、例えば自動車分野におけるレーダ用途用の、レーダ周波数範囲の周波数を有するようにされる。
【0062】
図5の更なる例示的実施形態では、方法が以下のステップの少なくとも1つを含むことが提供される。
a)少なくとも1つのテラヘルツ放射に基づく測定(「THzベースの測定」)M-D-10-1により、例えば図6に示す1以上の測定点MP1、MP2、MP3、MP4、MP5に対して、基板10の厚さD-10を決定するステップ110a。
b)テラヘルツ放射に基づかない、例えば光学的及び/又は機械的測定原理に基づく、少なくとも1つの測定M-D-10-2によって、例えば1以上の測定点MP1、MP2、MP3、MP4、MP5に対して、基板10の厚さD-10を決定するステップ110b。
c)前記少なくとも1つの層11、12、13の層厚さD-11、D-12、D-13を、例えば、1以上の測定点MP1、MP2、MP3、MP4、MP5に対して、テラヘルツ放射に基づく少なくとも1つの測定M-D-11-1によって決定するステップ110c。
d)テラヘルツ放射に基づく、例えば基板10と少なくとも1つの層11、12、13とに共通の少なくとも1つの測定M-THzによって、基板10の厚さD-10、及び少なくとも1つの層11、12、13の層厚さD-11、D-12、D-13を決定するステップ110d。
e)構造化データSD、例えば物体OBJのCADデータに基づいて、例えば1以上の測定点MP1、MP2、MP3、MP4、MP5に対する基板10の厚さD-10を決定するステップ110e。
f)例えば1以上の測定点MP3に対する、基板の厚さD-10及び/又は少なくとも1つの層厚さD-11、D-12、D-13を、例えば少なくとも1つの他の測定点MP1、MP2、MP4、MP5に対する既存の厚さ又は層厚さの値に基づいて、例えば内挿及び/又は外挿によって、決定するステップ110f。
【0063】
図7の更なる例示的実施形態では、方法が以下のステップの少なくとも1つを含むことが提供される。
a)テラヘルツ放射の反射に基づいて、少なくとも1つの測定M-D-10-1、M-D-11-1、M-THzを実行するステップ120。
b)テラヘルツ放射の透過に基づいて、少なくとも1つの測定M-D-10-1、M-D-11-1、M-THzを実行するステップ122。
ここで、例えばテラヘルツ放射は、0.05テラヘルツ(THz)と10THzの間、例えば0.1THzと6THzの間の周波数範囲を有する。
【0064】
いくつかの従来法では、THzベース測定の信号対雑音比は、例えば物体の(レーダ)透過率を十分な精度で直接決定するには不十分な場合があるが、例示的実施形態では、例えばMOD-1、MOD-1’モデルを使用して、少なくとも1つのTHzベースの測定に基づいて、物体の透過率、例えばレーダ透過率を決定を可能とする。
【0065】
更なる例示的実施形態では、レーダ周波数範囲の電磁放射ESに対する物体OBJ、OBJ’の透過率Tは、少なくとも1つのTHzベースの反射測定に基づいて効率的に決定可能である。更なる例示的実施形態では、少なくとも1つのTHzベースの反射測定は、任意選択により、基板10及び/又は少なくとも1つの層11、12、13の厚さ決定にも追加的に使用可能である。つまり、更なる例示的実施形態では、少なくとも1つのTHzベースの反射測定に基づいて、物体OBJ、OBJ’の厚さ又は層厚さを、並びに、THz放射の周波数範囲とは少なくとも部分的に異なる周波数範囲、例えばレーダ周波数範囲における物体OBJ、OBJ’の透過率T、の両方を決定可能である。
【0066】
図8の更なる例示的実施形態では、方法が、物体OBJ、OBJ’、例えば基板10及び/又は少なくとも1つの層11、12、13内の電磁放射ESの伝搬を特徴づける物質データMDを提供するステップ125であって、例えばこの物質データMDは、a)例えば周波数に依存する及び/又は依存しない反射率、及び/又は例えば周波数に依存する及び/又は依存しない吸収係数を含む分散関係と、b)表面特性(粗さ及び/又は曲率など)とを含む、物質データMDの提供ステップ125と、任意選択により、例えば透過率Tの決定にその物質データを使用するステップ126と、を含むこと法が提供される。例えば、更なる例示的実施形態では、物質データMDはモデルMOD-1、MOD-1’に取り込むことが可能である。
【0067】
更なる例示的実施形態では、例えば周波数依存の分散を、当該の少なくとも1つの材料に対して既知である場合には、少なくとも1つの材料に対して使用することが可能である。
【0068】
更なる例示的実施形態では、例えば周波数に依存しない分散を少なくとも1つの材料に対して使用することも可能である。
【0069】
他の例示的実施形態では、例えば周波数に依存しない材料データを使用することで十分な場合があり、そうすることで評価を簡略化できる。
【0070】
図9の更なる例示的実施形態では、方法が以下のステップの少なくとも1つを含むことが提供される。
a)例えば、基板10の厚さD-10に基づいて、及び/又は物体OBJ、OBJ’、例えば基板10に関連する物質データMDに基づいて、透過率Tを特徴づける、例えば物体モデルとしての第1のモデルMOD-1を提供するステップ130。
b)例えば、基板10の厚さD-10、及び少なくとも1つの層11、12、13の層厚さD-11、D-12、D-13に基づいて、及び/又は物体OBJ、OBJ’、例えば基板10及び/又は少なくとも1つの層11、12、13に関連する物質データMDに基づいて、例えば透過率Tを特徴づける、例えば物体モデルとして、少なくとも1つの更なるモデルMOD-1’を提供するステップ132。
【0071】
図10、11の更な図10、11に示すように、方法が物体(10)内でのテラヘルツ放射(TS)の伝播の以下の基準(KRIT)の内の少なくとも1つに対する依存性を考慮するステップ(135)を含むことが提供される。
a)テラヘルツ放射TS-T、TS-R用送信器(21)及び/又は受信器(22)の、物体OBJ、OBJ’、例えば基板10の表面10a(図2)からの距離。
b)基板10の厚さD-10及び/又は少なくとも1つの層11、12、13の層厚さD-11、D-12、D-13。
c)テラヘルツ放射TSの主ビーム方向Rと、物体OBJ、OBJ’及び/又は基板10aの少なくとも1つの、例えば外部及び/又は内部の界面10a、例えば本実施例では基板10の表面10a、の面法線ONとの間の角度α(図12)。
【0072】
図11による例示的構成では、THz装置20、例えば測定ヘッド、が提供され、これは、THz放射TS-Tを、例えば物体OBJ、OBJ’上に放射する送信器21と、例えば物体OBJ、OBJ’で反射されたTHz放射TS-Rを受信する受信器22を有する。更なる例示的実施形態では、THzトランシーバ(トランシーバ、図示せず)もまた提供され得る。
【0073】
更なる例示的実施形態である図10、13において、考慮するステップ(135)が、物体OBJ、OBJ’に関連する空間領域内で相互に隣接する2つの媒体MED-1、MED-2の間の少なくとも1つの界面GFG、GF-1の領域内におけるテラヘルツ放射TS(図13)、TS-T、TS-Rの伝播を少なくとも1つの層モデルMOD-SD-1、MOD-SD-2により、特徴づけるステップ135aを含む。この少なくとも1つの層モデルMOD-SD-1、MOD-SD-2(図14参照)は、THz放射TSを特徴づける項TS-TERMを有し、この項は、a)テラヘルツ放射TSの周波数、b)前記2つの隣接する媒体MED-1、MED-2の少なくとも1つの、例えば第1の空間方向R-xに沿う空間的広がりD-MED-2、D-MED-2及び/又は位置、の要素の少なくとも1つに依存する。例えば、A)少なくとも1つの層モデルMOD-SD-1は、少なくとも2つの媒体MED-1、MED-2の間の少なくとも1つの界面GF、GF-1におけるテラヘルツ放射の少なくとも1つの反射及び/又は透過を特徴づけ、例えば、少なくとも1つの層モデルMOD-SD-1は、異なる媒体MED-1、MED-2、MED-3の間の少なくとも2つの界面GF、GF-1、GF-2におけるテラヘルツ放射TSの複数の反射及び/又は透過を特徴づけ、例えば、テラヘルツ放射TSを特徴づける項TS-TERMは、少なくとも2つの界面GF-1、GF-2に関してそれぞれ異なる値TS-TERM-1、TS-TERM-2を有する。また、例えば、B)少なくとも1つの層モデルMOD-SD-1は、空間領域においてそれぞれ相互に隣接する2つの媒体MED-1、MED-2、MED-3の間の複数の界面GF-1、GF-2におけるテラヘルツ放射TSの1又は複数の反射及び/又は透過を、コヒーレントな重ね合わせ関数UEF(図14)によって特徴づけ、項TS-TERMは、コヒーレント重ね合わせ関数UEFの少なくともいくつかの構成要素に対する重み因子、例えば1以外の重み因子として提供される。
【0074】
更なる例示的実施形態では、少なくとも1つの層モデルMOD-SD-1、MOD-SD-2が、テラヘルツ放射TSによって反射配置又は透過配置にある物体OBJ、OBJ’のサンプル測定値特徴づける第1成分を有することが提供される。第1の成分は周波数空間において、例えば反射配置に対して次式に基づいて表すことが可能である。
(式)

ここで、F(ω,x,y,z)は、サンプル信号の周波数依存の電界強度を表し、ωは、テラヘルツ放射の周波数に関連する角周波数を表し、xは第1空間座標を表し、yは第2空間座標を表し、zは第3空間座標を表し、I(ω,x,y,z)は、テラヘルツ放射を生成するエミッタ21におけるテラヘルツ放射TS、TS-Tの、電界強度、例えば周波数依存の電界強度を表し、exp[]は、指数関数を表し、iは虚数単位を表し、Cは真空中の光速を表し、Lは、テラヘルツ装置20(例えば、THz放射TSのエミッタ21及び/又は受信器22から成る)と、参照物体(図示せず)との間の距離を表し、ΔDは、参照物体と物体OBJ、OBJ’のずれを表し、nは、空間領域に存在する媒体、例えば空気、の屈折率を表し、εは、空間領域に存在する媒体の消衰係数を表し、φ(ω,x,y,z)は、テラヘルツ放射を放出するエミッタ21におけるテラヘルツ放射TS、TS-Tの、位相、例えば周波数依存の位相を表し、tA1は、空間領域に存在する媒体と物体OBJ、OBJ’の表面を表す層との間の界面における透過係数を表し、t1Aは、物体の表面を表す層と空間領域に存在する媒体との間の界面における透過係数を表し、r1Sは、物体の層と基板との間の界面における反射係数を表し、Rは、テラヘルツ放射の反射及び/又は透過の数及び/又は順序を特徴づける、反射率を表し、r1Aは、物体の表面を表す層と空間領域に存在する媒体との間の界面における反射係数を表し、G(D,R,ω,x,y,z,α,β,Ω)は、THz放射又は重み因子を特徴づける項TS-TERMを表し、Dは、層の層厚さを表し、nは、層の屈折率を表し、εは、層の消衰係数を表し、rA1は、空間領域にある媒体と、物体の表面を特徴づける層との間の界面における反射係数を表し、α及び/又はβは、任意選択により物体OBJ、OBJ’に対するテラヘルツ装置20の角度配向を表し、Ωは、任意選択により物体OBJ、OBJ’の表面特性を表し、物体の表面特性は、例えばa)表面の形状、例えば曲率、b)面粗さ、のうちの少なくとも1つを含む。
【0075】
更なる例示的実施形態では、THz放射を表す項TS-TERM即ちG(D,R,ω,x,y,z,α,β,Ω)は、例えば少なくともいくつかの被加数について値1を仮定することも可能である。
【0076】
更なる例示的実施形態では、少なくとも1つの層モデルMOD-SD-1、MOD-SD-2は、テラヘルツ放射TSによる反射配置又は透過配置の参照物体上の参照測定を特徴づける第2成分を有することが提供される。ここで、第2成分は、周波数空間において、例えば反射配置に対して次式で表すことが可能である。
(式)
,
ここで、F(ω,x,y,z)は例えば、参照信号の周波数に依存する電界強度を表し、rAMは、空間領域に存在する媒体と参照物体の表面との間の界面における反射係数を表す。
【0077】
更なる例示的実施形態では、少なくとも1つの層モデルが、例えば反射配置に対して、周波数空間において例えば次式に基づいて特徴づけることが可能なことが提供される。
(式)


ここで、H(ω)は、例えばテラヘルツ放射の参照測定に関する伝達関数を表す。
【0078】
更なる例示的実施形態では、項TS-TERMは、a)テラヘルツ放射TSの周波数、及び/又はb)空間的広がりD-MED-1、D-MED-2(図13)及び/又は2つの隣接する媒体MED-1、MED-2,のうちの少なくとも1つの、例えば第1の空間方向R-xに沿う位置、の代替又は追加として、c)反射及び/又は透過の数及び順序を表す反射率、d)物体OBJ、OBJ’及び/又は参照物体(図示せず)に対するテラヘルツ装置20の角度配向α、e)例えば少なくとも1つのテラヘルツ装置及び/又は少なくとも1つの物体との間の距離、f)少なくとも1つの物体の表面特性、例えば表面形状及び/又は面粗さ、のうちの少なくとも1つの要素に依存することが提供される。
【0079】
更なる例示的実施形態では、例えば項TS-TERM又は重み因子による、少なくとも1つの層モデルMOD-SD-1、MOD-SD-2が、テラヘルツ放射TSの伝達関数の距離依存のスペクトル変化を、距離依存又は深さ依存の減衰及び/又は増幅として、モデル化することが提供される。
【0080】
更なる例示的実施形態では、例えば項TS-TERM又は重み因子による、少なくとも1つの層モデルMOD-SD-1、MOD-SD-2が、テラヘルツ放射TSの伝達関数の角度依存のスペクトル変化を角度依存の減衰及び/又は増幅としてモデル化することが提供される。
【0081】
更なる例示的実施形態では、少なくとも1つの層モデルMOD-SD-1、MOD-SD-2が、例えば、項TS-TERM又は重み因子により、少なくとも1つの物体OBJ、OBJ’の表面の少なくとも1つの特性、例えば表面形状及び/又は面粗さに基づいて、テラヘルツ放射TSの伝達関数のスペクトル変化をモデル化することが提供される。
【0082】
更なる例示的実施形態では、少なくとも1つの層モデルMOD-SD-2が複数層の異なる媒体から成る物体OBJ’を含むか特徴づけることが提供される。ここで、例えば少なくとも1つの層モデルMOD-SD-2は、a)物体OBJ’における、例えば隣接する層間での、テラヘルツ放射TSの反射及び/又は透過、b)物体OBJ’におけるテラヘルツ放射TSの多重反射及び/又は多重透過、c)物体OBJ’において、例えば反射率によって特徴づけ可能な仮想反射点及び/又は仮想透過点、d)物体OBJ’における、テラヘルツ放射TSの様々な反射及び/又は透過のコヒーレントな重畳、の要素の内の少なくとも1つを特徴づける。
【0083】
更なる例示的実施形態では、方法が、テラヘルツ装置20、及び物体OBJ、OBJ’又は参照物体(図示せず)、及び任意選択によりテラヘルツ装置、及び物体又は参照物体を取り囲む周囲媒体(図示せず)を特徴づけるシステムの光学モデルに基づいて、項TS-TERM(図14)及び/又は項TS-TERMの個別の値TS-TERM-1、TS-TERM-2を決定するステップを更に含むことが提供される。ここで、例えば光学モデルは例えばシステム内のテラヘルツ放射TSのスペクトル伝達関数を特徴づける。
【0084】
更なる例示的実施形態では、方法が、テラヘルツ装置20、及び物体OBJ、OBJ’又は参照物体、及び任意選択によりテラヘルツ装置20、及び物体又は参照物体を取り囲む周囲媒体を特徴づけるシステムの光学モデルに基づいて、項TS-TERM及び/又は項の個別の値TS-TERM-1、TS-TERM-2を決定するステップを更に含むことが提供される。ここで、光学モデルは例えばシステム内のテラヘルツ放射TSの空間拡がりに亘る振幅及び位相を特徴づける。
【0085】
更なる例示的実施形態では、光学モデルがテラヘルツ放射TSの回折効果を考慮に入れることが提供される。
【0086】
更なる例示的実施形態では、方法が、a)ビーム追跡、及び/又はb)回折理論記述、例えば解説積分、例えばコリンズ積分、及び/又はc)モデル関数を用いたパラメトリック計算、によるモデル化に基づいて光学モデルを決定するステップと、任意選択により光学モデルを較正するステップ、とをさらに含むことが提供される。ここで、例えば光学モデルを決定するステップ及び/又は較正するステップは、周波数分解能で実行される。
【0087】
更なる例示的実施形態では、方法が、光学モデルを、例えば伝達関数及び/又は空間振幅及び/又は位相に関して以下の要素の少なくとも1つに基づいて較正するステップをさらに備えることが提供される。
a)テラヘルツ装置20の光学軸R(図11)と物体OBJ、OBJ’又は参照物体の面法線ONとの間の角度α
b)テラヘルツ装置20と物体OBJ、OBJ’又は参照物体の表面との間の距離D1、
c)少なくとも1つの物体又は参照物体の表面特性、例えば表面の形状、例えば曲率、及び/又は面粗さ、
d)テラヘルツ放射TSの周波数。
【0088】
更なる例示的実施形態、図14、18では、方法が、第1の、例えば時間分解されたTHz信号TS-1を決定するステップ140を含むことが提供される。ここで、この方法は、第1のTHz信号TS-1に基づいて、例えば少なくとも1つの時間ウィンドウによって、第1の部分信号TS-1-aを決定するステップ142(図15)をさらに含む。ここでこの第1の部分信号TS-1-aは、例えば(a)少なくとも1つの層11と基板10、例えば基板10の第1の表面10aとの間の第1界面GS-1(及び/又は2つの隣接する層11、12の間の少なくとも1つの更なる界面)(図17参照)で反射され、ただし、例えば(b)基板10の第1の表面10aの反対側の基板10の第2の表面10bでは反射されていない、THz放射を特徴づける。
【0089】
更なる例示的実施形態、図15、17、18では、方法が第2の部分信号TS-1-bを決定するステップ144を含むことが提供される。ここで例えば、第2の部分信号TS-1-bは、例えば特に第1の界面10aに対向する第2の界面10b(図17)で反射したTHz放射を特徴づけ、例えば、基板10の第1表面10aに対向する基板10の第2表面10bが第2の界面を形成する。
【0090】
更なる例示的実施形態では、例えば、第1の部分信号TS-1-aが、最終層(例えば基板10の表面10aに直上の)と基板の前面即ち基板表面10aとの間の反射を含む場合、部分信号TS-1-a、Ts-1bへの意味のある分離を行うことが可能である。
【0091】
更なる例示的実施形態の図15では、方法が、少なくとも1層11、12、13の層厚さD-11、D-12、D-13を、例えば、少なくとも1つの層に対する第1の層モデルMOD-SD-1を使用して、第1の部分信号TS-1-aに基づいて決定するステップ146を含むように提供される。
【0092】
更なる実施形態である図15、16において、方法が第1のTHz信号TS-1に基づいて基板10の厚さD-10を決定するステップ148を含むことが提供される。例えば、第1のTHz信号TS-1に基づいて、基板10の厚さD-10を決定するステップ148は、a)第1のTHz信号TS-1に関連する伝達関数TF-1の高周波部分TF-1-HFA(例えば図19Aを参照)に基づいて基板10の厚さD-10を決定するステップ148aと、b)例えば、第2の部分信号TS-1bに関連する伝達関数TF-2の位相と、第1の部分信号TS-1-aに関連する伝達関数TF-1の位相との差を特徴づける、たとえば線形の位相TF-2-LPに基づいて基板10の厚さD-10を決定するステップ148b(図16)と、の少なくとも1つのステップを含む。
【0093】
図18は、例えば反射配置における、例えば図13に従う例示的実施形態により取得されるTHz信号TS-1の例を示し、時間tに対する電界強度Eの時間特性によって特徴づけられる。第1の部分信号TS-1-aは信号TS-1の例えば時間t1、t2の間に含まれ、第2の部分信号TS-1-bは信号TS-1の例えば時間t4、t5の間に含まれる。ここで、更なる例示的実施形態では、部分信号は、例えば時間ウィンドウ処理又は何らかの他の方法、例えばt2<=t3<=t4である時間t3の範囲で、相互に分離可能である。
【0094】
本出願人の検討によれば、例示的実施形態において、第1の部分信号TS-1-aは、層11、12、13又はその厚さD-11、D-12、D-13の情報を有する(例えばその情報は通常、物体に照射されたTHz放射TS、TS-Tの、層11、12、13の間の界面10a、11a、12a(あるいは層13と周囲媒体、例えば空気との間の界面)での反射に起源するからである)。他方、第1の部分信号TS-1-aと第2の部分信号TS-1-bは、基板の厚さD-10に関する情報を有する。それは第2の部分信号TS-1-bが、たとえば基板10を通る比較的長い伝搬時間、例えば第1の表面10aから第2の表面10bまでと、そこから第1の表面10aに戻り、最終的にTHz受信器22にまで戻る長い伝搬時間のために、第1の部分信号TS-1-aに対して遅延時間を有するからである。このことは図18から明確に認識可能である。
【0095】
更なる例示的実施形態では、基板10の厚さD-10及び/又は層厚さD-11、D-12、D-13は、このように第1のTHz信号TS-1によって決定可能である。
【0096】
図19Aは、更なる例示的実施形態で、例えばTHz信号TS-1に基づいて決定されるようなTHz放射の伝達関数TF-1を概略的に示す。図19Aは、約0THzから約5THzの例示的周波数範囲を示す。
【0097】
比較的低いTHz周波数において、伝達関数TF-1の「高周波成分」TF-1-HFAがあり、これが比較的低周波の成分TF-1-NFAに重畳しており、出願人の検討によるとこれは基板10の厚さD-10に関係する。
【0098】
図19Bは、更なる例示的実施形態に従って修正された伝達関数TF-1’を概略的に示す。これは「高周波成分」TF-1-HFA(図19A)について調整されたものである。
【0099】
図20Aは、図19Aによる伝達関数TF-1の詳細を概略的に示す。ここで、「高周波成分」TF-1-HFAと「低周波成分」TF-1-NFAはそれぞれ別々にラベル付けされている。また図20Bは「高周波成分」TF-1-HFAのみを示す。
【0100】
更なる例示的実施形態では、伝達関数TF-1は、例えば前述の低周波成分TF-1-NFA及び高周波成分TF-1-HFAを含む。更なる例示的実施形態では、低周波成分TF-1-NFAは、例えば、塗料層など比較的薄い層11、12、13に割り当てられ、高周波成分TF-1-HFAは、とりわけ、比較的大きな基板層厚さD-10に割り当てることが可能である。
【0101】
更なる例示的実施形態では、低周波成分TF-1-NFAは、例えば、第1の部分信号TS-1-aで特徴づけることができる「上層」11、12、13での反射のみを考慮することによって、抽出可能である。
【0102】
更なる例示的実施形態では、通常更なる例示的実施形態において伝達関数TF-1’(図19B)で重畳される、高周波成分TF-1-HFAを例えば以下の手順を使用して、伝達関数TF-1(図19A)から抽出することができる。
a)例えば第1の部分信号TS-1-aの(時間的な)分離によって、低周波成分TF-1-NFAの伝達関数を決定するステップ。
b)低周波成分のこの伝達関数TF-1-NFA(図19B)を全体の伝達関数TF-1から差し引くステップ。
更なる例示的実施形態では、その結果には例えば高周波成分TF-1-HFAのみが含まれる(図20B参照)。
【0103】
更なる例示的実施形態では、高周波成分TF-1-HFAの振動の周波数は、例えば、FFT又はDFTなどのフーリエ変換によって決定され、2つの部分信号TS-1-a、TS-1-bの間の時間遅延(Δτ)に関する情報などを含む。これは、図18によるt4-t1、又は2つの部分信号TS-1-a、TS-1-bのそれぞれのゼロ交差、又は2つの部分信号TS-1-a、TS-1-bのそれぞれの重心、に少なくとも近似的に比例する。
【0104】
更なる例示的実施形態では、2つの部分信号TS-1-a、TS-1-bの間の時間遅延に関する情報は、2つの部分信号TS-1-a、TS-1-bの間のΔτとして決定され、これは、時間ドメインにおいて、例えば隣接する極値、例えば極大値、及び/又は第1のゼロ交差、及び/又は重心の探索により決定される。
【0105】
他の例示的実施形態では、2つの部分信号TS-1-a、Ts-1-b間の時間遅延、すなわち2つの部分信号TS-1-a、Ts-1-b間のΔτは、周波数ドメインにおける高周波振動のフィッティングによって決定される。
【0106】
更なる例示的実施形態では、2つの部分信号TS-1-a、Ts-1-bの間の時間遅延Δτに関する情報は、位相情報の評価により決定される。出願人の検討によれば、2つの部分信号TS-1-a、TS-1-bの間の時間遅延Δτは、線形位相の変化に反映される。この情報を利用するために、更なる例示的実施形態では2つの部分信号TS-1-a、TS-1-bが分離されて(図18参照)、部分信号TS-1-a、TS-1-bの伝達関数が形成される。「時間遅延した」第2の部分信号TS-1-bの伝達関数は、第1の部分信号TS-1-aの伝達関数に対比して、例えば追加の線形位相(図示せず)を有する。更なる例示的実施形態では、基板層厚さD-10は線形位相から決定される。例えば式
に基づいて決定される。ここで、Δτは部分信号TS-1-a、TS-1-b間の時間のずれを表し、dは基板層厚さD-10を表し、nは基板10の屈折率を表し、cは基板10内での伝搬速度(光の速度)を表す。この目的のために、更なる例示的実施形態では、入射角α(図12)及び/又は層11、12、13、例えば塗料層の影響もまた、例えば高周波成分TF-1-HFA決定の手法に基づいて、補正可能である。
【0107】
言い換えれば更なる例示的実施形態では、遅延(
)は、THz放射が基板10内の経路(例えば前方及び後方への透過の経路)を通って伝搬するのに要する時間と見做すことができる。
【0108】
更なる例示的実施形態では、Δτの決定は以下の様に遂行できる。一般性を失うことなく、層11、12、13は基板10に塗布される塗料層として例示的に形成されると仮定する。
【0109】
例示的実施形態による、塗料層などの例えば比較的薄い層11、12、13を介する時間的なずれの決定は、
(式)

である。
【0110】
例示的実施形態による基板厚さは、
(式)


である。
【0111】
更なる例示的実施形態では、平均屈折率は、例えば1つの基板層厚さD-10のみが決定されるので加重平均の値で決定される。この目的のために、更なる例示的実施形態では、例えば、それ自体は既知の方法で決定可能であるTHz参照スペクトルが使用可能である。
【0112】
上の式の要素は例として以下で説明される。
ΔL:塗料層iによる遅延
ΔL:全塗料層を通した遅延
,n:被覆層iの厚さ及び平均屈折率または周波数分解屈折率
air:空気の屈折率
substrate:基板の屈折率
θ:空気中の入射角(例えば図12の角度αと同じ)
θ:塗料層iへの入射角
θ:基板への入射角
N:ラッカ―薄層の数
Δτ:パルス間の時間遅延
【0113】
層厚さ、例えば塗料層の厚さの情報は、更なる例示的実施形態では、例えば「後方パルス」即ち第2の部分信号TS-1-bを破棄することで、例えばTHz測定値から、例えば第1のTHz信号TS-1(図18)から、抽出可能である。そうすると、残りの「前方パルス」、即ち第1の部分信号TS-1-aは、例えば塗料層11、12、13の情報のみを含む。更なる例示的実施形態によるモデルベースのフィッティングでは、塗料層11、12、13の厚さD-11、D-12、D-13を決定可能である。ここで、使用されるモデルにおいて、例えば無限に延びる(例えば厚さD-10が無限に近づく)基板10が仮定される。
【0114】
更なる例示的実施形態では、全体の層厚さ((塗料)層の厚さD-11、D-12、D-13と基板10の厚さD-10の合計)が距離測定(例えば(機械的な)キャリパ、三角測量、・・・)によって決定される。更なる例示的実施形態では、全体の層厚さの決定が、例えば少なくとも1つのTHzベース測定M-D-10-1、M-D-11-1、M-THz(図5)の代替又は追加として実行可能である。
【0115】
更なる例示的実施形態による三角測量の手順を一例として以下に記述する。
1)(例えば被覆されていない基板などの参照物体において)参照測定をすることによりゼロ点を決定、
2)サンプルを参照測定の位置に配置、
3)サンプルの頂部の測定により全体厚さを決定、
4)上のステップ3)で決定した全体厚さから塗料層の厚さを差し引く。
【0116】
更なる例示的実施形態の図21では、方法が、少なくとも1つの層11、12、13の層厚さD-11、D-12、D-13と、基板10の厚さD-10を、例えば少なくとも1つの層11、12、13を有する基板10に対する第2の層モデルMOD-SD-2を使用し、例えばフィッティング法によって、第1のTHz信号(TS-1)に基づいて決定するステップ150を含むことが提供される。更なる例示的実施形態では、例えば前に決定された層厚さ及び/又は基板層の厚さを、例えばフィッティング法の開始値として使用可能である。
【0117】
図21図22の更なる例示的実施形態では、方法が、物体OBJ、OBJ’、OBJ’’の少なくとも1つの測定点MP1、MP2、...に関する透過率Tを決定するステップ152、160、及び/又は物体OBJ、OBJ’、OBJ’’の複数の測定点MP1、MP2、...に関する透過率を決定するステップ162を含むことが提供される。この目的のために、更なる例示的実施形態では、ロボットなどの例えば少なくとも1つの位置決めシステムによって、例えば要素20、OBJ、OBJ’、OBJ’’を相互に対して配置することにより、例えば物体OBJ、OBJ’、OBJ’’のそれぞれの測定点がTHz装置20の測定範囲内に配置可能である。そうして、第1のTHz信号TS-1を、例えば、反射に基づくTHzベースの測定によってそれぞれの測定点MP1に対して決定可能である(図11の例示的配置を参照)。次に、それぞれの厚さD-10、D-11、D-12、D-13が第1のTHz信号TS-1から、前述した例示的方法で決定可能である。これにより、それぞれの厚さD-10、D-11、D-12、D-13に基づいて、例えば物体の透過率Tが決定可能であり、例えば、電磁放射ES(例えばレーダ周波数範囲)に対する物体OBJ、OBJ’、OBJ’’の透過率Tが、例えばモデルMOD-1、MOD-1’によって、現在の測定点MP1において決定可能である。
【0118】
図23の更なる例示的実施形態では、方法が、物体OBJ、OBJ’、OBJ’’の複雑さ、例えば物体の形状の複雑さが、予め決定可能な限界値を超えるかどうかを決定するステップ165、及び任意選択により、例えば複雑さが予め決定可能な限界値を超えない場合、複数の測定点MP1、MP2、...に基づき、例えば複数の測定点に関する平均化に基づいて、透過率Tを決定するステップ165を含む、ことが提供される。
【0119】
更なる例示的実施形態では、例えば以下の基準、a)少なくとも1つの表面10aの曲率、b)一定な厚さD-10の存在、c)表面の、例えば連続領域、及び区分可能な隣接領域のそれぞれの寸法、の少なくとも1つに基づいて物体の複雑さが評価可能である。
【0120】
更なる例示的実施形態では、方法が、例えば複雑さが予め決定可能な限界値を超える場合、物体の設計モデルMOD-DESIGN、例えばCADモデルを用いるステップ167を含むことが提供される。ここで、設計MOD-DESIGNは、例えば少なくとも1つの表面構造及び/又は物体の被覆を特徴づける。また、任意選択により、方法が、設計モデルMOD-DESIGNを、例えば1以上の測定点MP1、MP2、...(図6)に対して、測定された基板厚さD-10及び/又は層厚さD-11、D-12、D-13に適合させるステップ168を含むことが提供される。
【0121】
図24図25の更なる例示的実施形態では、方法が、電磁放射ESを放射する送信器S-ES、例えばレーダ送信器を、例えばa)位置(例えば物体OBJに対する)、b)寸法、c)ビーム角又は特性、d)ビーム強度、の要素の内の少なくとも1つに関してモデル化するステップ170を含むことが提供される。
【0122】
更なる例示的実施形態では、方法が、電磁放射ESを受信する受信器E-ESを、例えばa)位置、b)寸法、c)特性、の要素の内の少なくとも1つに関してモデル化するステップ172を含むことが提供される。
【0123】
図26の更なる例示的実施形態では、方法が、物体OBJに対する物体モデルMOD-OBJと、電磁放射ESの送信器S-ES及び/又は受信器E-ESを特徴づける少なくとも1つの更なるモデルMOD-S-ES、MOD-E-ES(図24)とに基づいて透過率Tに関する全体モデルMOD-GESを提供するステップ(180)と、物体OBJの少なくとも1つの測定点MP1、例えば複数の測定点MP1、MP2、...に対して決定される透過率に基づいて、及び/又は決定された層厚さ及び/又は基板厚さに基づいて、及び/又は少なくとも1つの例えば周波数に依存するか一定の屈折率及び/又は少なくとも1つの周波数に依存するか一定の吸収率及び/又は(他の)物質特性に基づいて、全体モデルMOD-GESを構成するステップ182と、全体モデルMOD-GESを評価するステップ184と、任意選択により、前記全体モデルMOD-GESの少なくとも1つの構成要素を適合するステップ186と、を含むことが提供される。
【0124】
更なる例示的実施形態の図26では、方法が、電磁放射ESの受信強度を決定するステップ184aを含むことが提供される。ここで、例えば評価するステップ184及び/又は決定するステップ184aは、ビーム追跡法及び/又は、例えば電磁放射ESの伝播の他の計算方法に基づいて実行される。
【0125】
更なる例示的実施形態では、実施形態による原理が電磁放射ESに対する物体OBJの透過率Tの、例えば少なくとも1つのTHz信号TS-1に基づく効率的評価を可能とする。ここで、更なる例示的実施形態では、特に透過率の直接的なTHzベースの決定に比べて、比較的高精度が達成可能である。
【0126】
更なる実施形態の図27は、実施形態による方法を実行するための装置200に関する。
【0127】
更なる例示的実施形態では、装置200が、コンピュータ装置(「コンピュータ」)202と、a)データDAT(例えばモデルMOD-1(図1)のデータ)、b)例えば実施形態による方法を実行するためのコンピュータプログラム、の内の少なくとも1つを少なくとも一時的に格納するための、コンピュータ装置202に関連するメモリ装置204と、を備えることが提供される。
【0128】
更に好ましい実施形態では、メモリ装置204は揮発性メモリ204a(例えばランダムアクセスメモリ(RAM))及び/又は不揮発性メモリ204b(例えばフラッシュEEPROM)を備える。
【0129】
更なる例示的実施形態では、コンピュータ装置202は、マイクロプロセッサ(μP)、マイクロコントローラ(μC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、システムオンチップ(SoC)、プログラマブル論理装置(例えばFPGA、フィールドプログラマブルゲートアレイ)、ハードウェア回路、又はこれらの任意の組み合わせ、の内の少なくとも1つを備えるか、又はこれらの少なくとも1つとして構成される。
【0130】
更なる例示的実施形態は、コンピュータ202によって実行されるとき、コンピュータ202に実施形態による方法を実行させる命令PRG’を含むコンピュータ可読記憶媒体SMに関する。
【0131】
更なる例示的実施形態は、プログラムがコンピュータ202によって実行されるとコンピュータ202に本実施形態による方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラムPRGに関する。
【0132】
更なる例示的実施形態は、実施形態に従うコンピュータプログラムPRGを特徴づけ、及び/又は送信する、データ搬送信号DCSに関する。データ搬送信号DCSは、例えば装置200の任意選択のデータインタフェースポート206を介して受信可能である。
【0133】
更なる例示的実施形態では、装置200が以下の要素の少なくとも1つを含むように提供される。a)テラヘルツ放射TS、TS-T、TS-Rを送信及び/又は受信するように設計された、少なくとも1つのTHz測定システム20(図11も参照)へのインタフェースポート206。ここで例えば、THz測定システム20は、テラヘルツ放射のための少なくとも1つの送信器21及び/又はテラヘルツ放射のための受信器22及び/又はテラヘルツ放射のためのトランシーバである。b)例えば産業ロボットなどのロボットである位置決めシステム208。
【0134】
図28の更なる例示的実施形態は、以下のステップ:a)物体OBJ;OBJ’の少なくとも1つの構成要素10、11、12、13の厚さ測定に基づいて、レーダ周波数範囲における物体OBJ、OBJ’の透過率Tを決定するステップ301、b)THz放射TSの使用に基づく物体の少なくとも1つの構成要素の厚さ測定に基づいて、レーダ周波数範囲での物体の透過率Tを決定するステップ302、c)THz放射を用いた反射測定に基づいてレーダ周波数範囲における物体の透過率Tを決定するステップ303、d)物体の設計モデルMOD-DESIGN、例えばCADモデルを適合させるステップ(304)、ここで、例えば適合された設計モデルMOD-DESIGN’(図23)を取得可能である、e)少なくとも1つのTHzベースの測定に基づいて、例えば少なくとも1つの、あるい例えば同一若しくは連結した、THzベースの測定M-THz(図5)に基づいて、レーダ周波数範囲における物体OBJ、OBJ’、OBJ’’の透過率T、及び基板10の厚さD-10及び/又は少なくとも1層11、12、13の少なくとも1つの層厚さD-11、D-12、D-13を決定するステップ305、の少なくとも1つに対する、実施形態による方法、及び/又は実施形態による装置、及び/又は、実施形態によるコンピュータ可読記憶媒体、及び/又は実施形態によるコンピュータプログラム、及び/又は実施形態によるデータ搬送信号、の使用方法300に関する。
【0135】
図29は、物体OBJ上にTHz放射TS-Tを放出するTHz送信器21と、物体OBJで反射されたTHz放射TS-Rを受信するTHz受信器22とを有する測定ヘッド25付きのTHz装置20’を概略的に示す。例えば物体OBJ上の前以って決定可能な測定点を検出するために、THz装置20’を物体OBJに対して(例えば並進及び/又は回転によって)移動させるための位置決めシステム208がTHz装置20’に付属する。THz装置20’に関連する計算装置(例えば図27によるコンピュータ202を参照)が例示的実施形態による方法を実行可能であり、その結果、例えば、レーダ周波数範囲などにおける電磁放射ESに対する物体OBJの透過率Tが、例えば少なくとも1つの測定点において決定可能であり、またインタフェースポート206を介して出力可能である。
【0136】
更なる例示的実施形態では、THz装置20’が、例えば工業用の製造設備において、例えば物体OBJに塗布されるか塗布された塗料被膜などの、例えば湿潤した、乾燥途上の、及び/又は乾燥した被膜のインライン被膜厚さ測定に使用可能である。これは、例えば、物体OBJに塗布予定の塗料層などの湿潤した、乾燥途上の、及び/又は乾燥した被膜厚さ測定用に実行されるのと同じTHz測定M-THzに基づき、また、物体のレーダ透過率などの透過率Tを決定するために層厚さ測定用に実行されるのと同じTHz測定M-THzに基づく。
【0137】
図30は、更なる例示的実施形態による簡略化されたブロック図の例を示す。ブロックE1は、少なくとも1つのTHzベースの測定M-THzを表し、そこでは例えば第1のTHz信号TS-1が取得される。ブロックE2は、THzベースの測定E1に基づく層厚さD-11、D-12、D-13、例えば塗料の層厚さの決定を表す。ブロックE3は、THzベースの測定E1に基づく基板10の厚さD-10の決定を表す。
【0138】
ブロックE4は、例えば少なくとも1つの層モデルMOD-SD-2に基づく、例えば塗料層である層厚さD-11、D-12、D-13と基板10の厚さD-10との、連結決定を表す。更なる例示的実施形態では、ブロックE4による決定は、ブロックE2、E3の少なくとも1つの代替又は追加として実行することができる。
【0139】
ブロックE5は、ブロックE2、E3、E4の少なくともいずれかの結果に基づく透過率T、例えばレーダ透過率の決定を表す。
【0140】
測定により決定可能な基板と層厚さD-10、D-11、...の一般的な非線形性の影響は、モデルベースの手法の最適化アルゴリズムが例えば局所最小に収束し得るために、更なる例示的実施形態における適合がうまくいかないことにつながる場合がある。これは、更なる例示的実施形態において、開始値SWの適切な選択により改善可能である。更なる例示的実施形態では、開始値は例えば以下のように決定される。
【0141】
更なる例示的実施形態では、塗料層厚さの決定E4は、例えば、「前面反射」TS-1-a(例えば図18及び図15の要素146を参照)のモデルベースの評価によって実行可能である。
【0142】
更なる例示的実施形態では、基板層厚さD-10の決定E3は、例えば、既に前述した手法:a)高周波成分TF-1-HFA(図16による要素148a)の抽出、b)位相ベース法148b(図16)、c)更なる、例えば非THzベースの測定M-D-10-2(キャリパ、三角測量など)による決定、のうちの少なくとも1つを使用して実行可能である。
【0143】
他の例示的実施形態では、以下の変形も考え得る。
a)層及び基板の厚さの(例えばすべての)値、又は開始値(例えばモデルベースのフィッティングE4の)がレーダ透過率Tの決定E5に直接使用可能である。この場合、一例として前述した全体層モデルの測定データへのフィッティングE4は省略される(矢印a1参照)。
b)更なる例示的実施形態では、E2及びE3で決定された層と基板の厚さの任意の数をフィッティングプロセスE4において(又はそのために、あるいはその前に)開始値として固定して、それによりフィッティングプロセスE4における自由度の数を限定することも考え得る。
【0144】
更なる例示的実施形態では、実施形態による原理を使用して、1以上の小さい(例えば外形寸法、直径<1mmの)測定点MP1における透過率Tを決定することが可能である。
【0145】
更なる例示的実施形態では、実施形態による原理は、拡張された及び/又は構造化された構成要素OBJなどを介して、レーダ透過率などの透過率Tの決定に使用可能である。更なる例示的実施形態では、レーダ透過率はそのような構成要素に対して、例えば以下の方法によって決定可能である。a)複数の支持点MP1、MP2、MP3...,上の層及び
基板厚さD-10、D-11、D-12、…のTHzベースの決定、b)基板上の更なる点の層及び基板の厚さを、例えばTHzベースで決定された厚さの値に基づき、例えば物体のCADデータを使用して、例えば内挿及び/又は外挿によって任意選択により決定、c)上記のステップa)、b)の結果に基づいた、拡張構成要素を介したレーダ透過率の決定。
【0146】
更なる例示的実施形態では、以下の態様の1以上が使用可能である:レーダ送信器S-ESのモデル化(位置、寸法、ビーム角、ビーム強度)(図24による要素170も参照);レーダ受信器E-ESのモデル化(位置、寸法、受容性)(図24による要素172も参照);構成要素OBJの物質データ、寸法及び形状を考慮に入れたレーダ放射ESの受信強度の決定。受信レーダ強度は、例えばビーム追跡(レイトレーシング)、フーリエ光学又は類似の方法によって決定可能である。
【0147】
自動車業界では、例えば自動運転の実用化は重要課題である。周辺状況及び他の道路使用者を検出するために、例えば電磁放射ESがレーダ周波数で放射され、後方散乱した放射が検出される。レーダ送信器/受信器システムは、例えば塗装されたポリマ基板OBJ’、例えば自動車のバンパの「背後」に配置される。このポリマ基板OBJ’及びその塗料層11、12、13は、(レーダ)検出器における電磁放射ESの信号強度に影響する。
【0148】
そのような被覆されたポリマ基板OBJ’などのレーダ透過率を最適化するために、その透過率Tを、例えば本実施形態による原理に基づいて、例えば、THz分光法などのテラヘルツ(THz)ベースの測定によって測定することが可能である。
【0149】
更なる例示的実施形態では、測定方法は反射測定(例えば図11参照)に基づき、したがって測定点MP1、MP2、....の任意の幾何形状及び位置に対して実行可能である。レーダ透過率決定の現行のいくつかの方法では、従来システムのエミッタ及び受信器はポリマ基板の異なる側に取り付けられるために、そのような柔軟性は許容されない。例示的実施形態による方法ではこれが回避可能であり、また同時に例示的実施形態によれば、THzベースの測定情報は、例えば塗料被覆システム11、12、13に関する例えば被覆厚さの測定に適用可能である。
【0150】
更なる例示的実施形態では、基板層厚さD-10の決定は、(レーダ)透過率Tの決定において課題を有する。本出願人による検討によれば、従来の構成要素OBJ’において、例えば基板10の厚さD-10の20μm(マイクロメートル)の変動は、例えば78GHzの周波数における透過率Tに2%の変動をもたらす。更なる例示的実施形態では、このことから、透過率Tを2%の精度で決定可能とするためには、約3mmである従来の構成要素の厚さは、相対誤差0.7%で決定されるべきである。このことは、例えばTHzベースの厚さD-10、D-11、....決定における例示的実施形態による方法によって可能となる。
【0151】
更なる例示的実施形態では、例えば層厚さの決定に使用されるMOD-SD-1、MOD-SD-2モデルは、例えば測定結果のより良好な適合を達成するために、例えば機器依存の影響なども更に記述することが可能である。いくつかの例示的実施形態によるいくつかのモデル、例えばフィッティングモデルにおいて、THz放射の伝播のモデル化には平面波が仮定されるが、更なる例示的実施形態によれば、一般的に比較的大きな、例えば2mmから3mmの基板層厚さD-10に対する更なる例示的実施形態による補正をすることが有利な場合がある。
【0152】
更なる例示的実施形態では、本出願人による検討によれば、THzベースの測定M-THzへの1つの例えば大きな影響は、THz放射TS、TS-T(図11)、例えばTHzパルス、の集束が、試料上に比較的小さい角度でなされることである。このことが図31に一例として示される:背面で反射されたTHzビーム2(「ビーム2」)は結像光学系において、前面で反射されたビーム1に対して、ビームのオフセットLiを経験する。これはその層(例えば基板)10の層厚さ及び屈折率に依存する。
【0153】
このビームのオフセットは、例えば平面波モデルに比べて、背面で反射されたビーム2(これは図18の第2の部分信号TS-1-bに関連する)の強度の低下をもたらす。
【0154】
更なる例示的実施形態では、したがって、使用されるモデルMOD-SD-1、MOD-SD-2は例えばこれらの幾何学的影響を考慮に入れるようにされる。更なる例示的実施形態では、このことは、例えば図14を参照して既に述べた項TS-TERMを使用して実行可能であり、特に図10による要素135も参照されたい。
【0155】
更なる例示的実施形態では、以下のステップの少なくともいくつかが実行可能である。
a)幾何学的因子の決定:参照(基準)金属板におけるTHz信号(例えば参照金属板で反射されたTHz信号)を、例えばTHzヘッド20、25と参照プレートとの間の距離D1を変化させて、記録するステップ。記録されたTHz信号は、幾何学因子G(D1)の決定に使用される。THzスペクトルは、距離D1からグローバル基準(例えばD1=0)までを参照する。
b)MOD-SD-2モデルの補正:MOD-SD-2モデルは、他の例示的実施形態において例えば平面シャフトのために設計されたものであるが、ここで、補正された幾何学因子G(D1)で補正される。更なる例示的実施形態では、例えば可能なそれぞれの背面反射には特定の幾何学因子G(D1)が割り当てられるようにされる。このことは、単一層システム(例えば、塗料層11、12、13を無視した基板10)に対する一例として示される。項TS-TERM:
(式)

に関する上記説明も参照されたい。
ここで、
H:モデルベースの伝達関数
R:反射の回数
tA1、t1A:空気-層及び層-空気の遷移における透過のフレネル係数
rA1、r1A:空気-層及び層-空気の遷移における反射のフレネル係数
r1S:界面層-基板における反射のフレネル係数
である。
【0156】
更なる例示的実施形態では、「正しい」位置Z(D,R)又はD1(D、R)と、したがって例えば幾何因子G(Z(D,R))は、(D,R)から決定可能である。図14を参照して前述した項TS-TERMも参照されたい。
【0157】
更なる例示的実施形態では、各層11、12、13のそれぞれの変位Li(図31)は、複数の層11、12、13を有するシステムOBJ’に対して加算可能である。
【0158】
更なる例示的実施形態では、それぞれの変位Liは、例えば厚さdiの層に対する参照金属板上の対応する距離zを決定するために、参照金属板上の距離と同じに設定される。これにより、更なる例示的実施形態における参照位置Zに関する以下の式
が得られる。言い換えれば、追加的な層による結像光学系におけるシフトは補償される。
【0159】
更なる例示的実施形態において次式:
が変位Liに適用される。
ここで、θ、θは、層の空中での入射角であり、diは層iの厚さであり、Mは層の数である。
【0160】
更なる例示的実施形態では、以下の手法が距離補正(「z-補正」)のための例えば代替として使用可能である。
【0161】
更なる例示的実施形態では、THz信号の距離依存性の理由の1つは、THzビームの角度α(図12)である。
【0162】
更なる例示的実施形態では、THz送信器21及び/又は受信器22のアンテナ形状によっては、送信アンテナ及び受信アンテナを1つの(同一)チップに実装することが可能である。これにより、入射角αを例えば0°に設定可能となり、更なる例示的実施形態において、(距離)補正なしで済ますことが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19A
図19B
図20A
図20B
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
【手続補正書】
【提出日】2024-04-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも基板(10)を含む物体(OBJ;OBJ’)の、30GHz(ギガヘルツと200GHzの間の周波数域の電磁放射(ES)に対する透過率(T)を決定するための方法であって、
a)0.1THzと6THzの間の周波数範囲を有するテラヘルツ放射(TS)に基づく少なくとも1つの測定(M-D-10-1)によって、b)0.1THzと6THzの間の周波数範囲を有するテラヘルツ放射(TS)を有する光学的及び/又は機械的測定原理に基づく少なくとも1つの測定(M-D-10-2)によって、1以上の測定点(MP1,MP2,MP3,MP4,MP5)に対して、前記物体(OBJ;OBJ’)の少なくとも1つの位置における前記基板(10)の厚さ(D-10)を決定するステップ(100)と、
少なくとも前記基板(10)の前記厚さ(D-10)に基づいて前記電磁放射(ES)に対する前記物体(OBJ;OBJ’)の前記透過率(T)を特徴づける第1のモデル(MOD-1)によって、前記透過率(T)を決定するステップ(102)と、
を含む方法。
【請求項2】
記基板(10)の第1の表面(10a)上に、少なくとも1つの層(11,12,13)が配置され、
前記方法は、
前記少なくとも1つの層(11,12,13)の層厚さ(D-11,D-12,D-13)を、前記物体(OBJ;OBJ’)の少なくとも1つの位置に対して決定するステップ(110)と、
前記第1のモデル(MOD-1)、及び/又は前記基板(10)の前記厚さ(D-10)と、前記少なくとも1つの層(11,12,13)の前記層厚さ(D-11,D-12,D-13)とに基づいて、前記電磁放射(ES)に対する前記物体(OBJ;OBJ’)の前記透過率(T)を特徴づける少なくとも1つの更なるモデル(MOD-1’)によって前記透過率(T)を決定するステップ(112)と、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板(10)の前記厚さ(D-10)は、前記少なくとも1つの層(11,12,13)の前記層厚さ(D-11,D-12,D-13)よりも、少なくとも10倍以上である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記電磁放射(ES)は、76GHzと81GHzの間の周波数を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
)前記少なくとも1つの層(11,12,13)の層厚さ(D-11,D-12,D-13)を、1以上の測定点に対して、テラヘルツ放射(TS)に基づく少なくとも1つの測定(M-D-11-1)によって決定するステップ(110c)と、
d)テラヘルツ放射(TS)に基づく、前記基板(10)と前記少なくとも1つの層(11,12,13)とに共通な少なくとも1つの測定(M-THz)によって、前記基板(10)の前記厚さ(D-10)及び前記少なくとも1つの層(11,12,13)の前記層厚さ(D-11,D-12,D-13)を決定するステップ(110d)と、
)前記物体(OBJ;OBJ’)の構造化データ(SD)に基づいて、例えば1以上の測定点(MP1,MP2,MP3,MP4,MP5)に対する前記基板(10)の前記厚さ(D-10)を決定するステップ(110e)と、
)少なくとも1つの他の測定点に対する既存の厚さ、個々の層厚さの値に基づいて、1以上の測定点(MP3)に対する前記基板(10)の前記厚さ(D-10)及び/又前記少なくとも1つの層厚さ(D-11,D-12,D-13)を決定するステップ(110f)、
の内の少なくとも1つのステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
a)前記テラヘルツ放射(TS)の反射に基づく、少なくとも1つの測定(M-D-10-1;M-D-11-1;M-THz)を実行するステップ(120)と、
b)前記テラヘルツ放射(TS)の透過に基づく、少なくとも1つの測定(M-D-10-1;M-D-11-1;M-THz)を実行するステップ(120)と、
の内の少なくとも1つのステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記物体(10)内の前記基板(10)内、及び/又は前記少なくとも1つの層(10,11,12)内の前記電磁放射の伝播を特徴づける物質データ(MD)を提供するステップ(125)と
記物質データ(MD)を使用するステップ(126)と、
を含む方法であって、
前記物質データは、a)周波数依存の、及び/又は一定の、反射率、及び/又は周波数依存の、及び/又は一定の、吸収係数を含む分散関係と、b)表面特性と、の少なくとも1つの要素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
)前記基板(10)の厚さ(D-10)に基づいて、及び/又は前記物体(10)に関連する物質データ(MD)に基づいて、前記透過率(T)を特徴づける、物体モデルとしての前記第1のモデル(MOD-1)を提供するステップ(130)と、
)前記基板(10)の前記厚さ(D-10)と、前記少なくとも1つの層(11,12,13)の層厚さ(D-11,D-12,D-13)に基づいて、及び/又は前記物体(10)の前記基板(10)及び/又は前記少なくとも1つの層(10,11,12)に関連する物質データ(MD)に基づいて、前記透過率(T)を特徴づける、例えば物体モデルとしての前記少なくとも1つの更なるモデル(MOD-1’)を提供するステップ(132)と、
の内の少なくとも1つのステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
a)前記物体(OBJ;OBJ’)からの、テラヘルツ放射(TS;TS-T,TS-R)のための送信器(21)及び/又は受信器(22)の距離と、
b)前記基板(10)の厚さ(D-10)及び/又は前記少なくとも1つの層(11,12,13)の層厚さ(D-11,D-12,D-13)と、
c)前記テラヘルツ放射(TS)の主ビーム方向(R)と、前記物体(OBJ;OBJ’)及び/又は前記基板(10)の少なくとも1つの、外側界面及び/又は内側界面の面法線(ON)との間の角度(α)と、
の基準の内の少なくとも1つに対する、前記物体(10)内での前記テラヘルツ放射(TS)の伝播の依存性を考慮するステップ(135)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記考慮するステップ(135)は、前記物体(10)に関連する空間領域(RB)内で相互に隣接する2つの媒体(MED-1,MED-2)の間の少なくとも1つの界面(GF)の領域内におけるテラヘルツ放射(TS)の伝播を、少なくとも1つの層モデル(MOD-SD-1,MOD-SD-2)により特徴づけること(135a)を含み、
前記少なくとも1つの層モデル(MOD-SD-1,MOD-SD-2)は、THz放射(TS)を特徴づける項(TS-TERM)を有し、この項は、a)テラヘルツ放射(TS)の周波数と、b)前記2つの隣接する媒体(MED-1,MED-2)の少なくとも1つの、空間的広がり(D-MED-1,D-MED-2)及び/又は位置と、の要素の内の少なくとも1つに依存し、
)前記少なくとも1つの層モデル(MOD-SD-1,MOD-SD-2)は、前記少なくとも2つの媒体(MED-1,MED-2,MED-3)の間の前記少なくとも1つの界面(GF;GF-1,GF-2)における前記テラヘルツ放射(TS)の少なくとも1つの反射及び/又は透過を特徴づけ、ここで、前記少なくとも1つの層モデル(MOD-SD-1,MOD-SD-2)は、異なる媒体(MED-1,MED-2,MED-3)の間の少なくとも2つの界面における前記テラヘルツ放射(TS)の複数の反射及び/又は透過を特徴づけ、および/または、
B)前記少なくとも1つの層モデル(MOD-SD-1,MOD-SD-2)は、前記空間領域(RB)においてそれぞれ相互に隣接する2つの媒体(MED-1,MED-2)の間の複数の界面(GF;GF-1,GF-2)における前記テラヘルツ放射(TS)の複数の反射及び/又は透過のそれぞれ1つを、コヒーレントな重ね合わせ関数(UEF)によって特徴づけ、ここで前記項(TS-TERM)は、前記コヒーレントな重ね合わせ関数(UEF)の少なくともいくつかの構成要素に対する重み因子として提供される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
間分解された第1のTHz信号(TS-1)を決定するステップ(140)を含み、
前記方法は、前記第1のTHz信号(TS-1)に基づいて、少なくとも1つの時間ウィンドウ処理によって、第1の部分信号(TS-1-a)を決定するステップ(142)を含み、
記第1の部分信号(TS-1-a)は、a)前記少なくとも1つの層(11)と前記基板(10)との間の第1の界面(GS-1)、及び前記基板(10)の第1の表面(10a)において反射され、b)前記基板(10)の前記第1の表面(10a)に対向する前記基板(10)の第2の表面(10b)では反射されなかったTHz放射を特徴づける、請求項に記載の方法。
【請求項12】
第2の部分信号(TS-1-b)を決定するステップ(144)を含み、
記第2の部分信号(TS-1-b)は、前記第1の界面(GS-1)に対向する特に第2の界面(GS-2)で反射されたTHz放射を特徴づけ、
記基板(10)の前記第1の表面(10a)に対向する、前記基板(10)の前記第2の表面(10b)は、前記第2の界面(GS-2)を形成する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の部分信号(TS-1-a)に基づいて、前記少なくとも1つの層(11,12,13)に対する第1の層モデル(MOD-SD-1)を用いて、前記少なくとも1つの層(11,12,13)の層厚さ(D-11,D-12,D-13)を決定するステップ(146)を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のTHz信号(TS-1)に基づいて、前記基板の前記厚さ(D-10)を決定するステップ(148)を含み、
記第1のTHz信号(TS-1)に基づいて、前記基板の前記厚さ(D-10)を決定するステップ(148)は、a)前記第1のTHz信号(TS-1)に関連する伝達関数(TF-1)の高周波成分(TF-1-HFA)に基づいて前記基板(10)の前記厚さ(D-10)を決定するステップ(148a)と、b)第2の部分信号(TS-1-b)に関連する伝達関数(TF-2)の位相と、前記第1の部分信号(TS-1-a)に関連する伝達関数(TF-1)の位相との差を特徴づける線形位相(TF-2-LP)に基づいて前記基板(10)の前記厚さ(D-10)を決定するステップ(148b)と、の少なくとも1つのステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの層(11,12,13)の層厚さ(D-11,D-12,D-13)と、基板(10)の前記厚さ(D-10)を、前記少なくとも1つの層(11,12,13)を有する前記基板(10)に対する第2の層モデル(MOD-SD-2)を使用して、第1のTHz信号(TS-1)に基づいて決定するステップ(150)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記物体(OBJ)の少なくとも1つの測定点(MP1)に対する前記透過率(T)を決定するステップ(160)と、
前記物体(OBJ;OBJ’)の複数の測定点(MP1,MP2,MP3,MP4,Mp5)に対する前記透過率(T)を決定するステップ(162)と、
の少なくとも一方を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記物体(OBJ)の複雑さが、予め決定可能な限界値を超えるかどうかを決定するステップ(165)と、
記複雑さが予め決定可能な限界値を超えない場合、複数の測定点(MP)に基づき、例えば前記複数の測定点に関する平均化に基づいて、前記透過率(T)を決定するステップ(166)と、
を含むか、又は、
前記複雑さが前記予め決定可能な限界値を超える場合に、前記物体の少なくとも1つの表面構造及び/又は前記物体の被膜を特徴づける前記物体(OBJ;OBJ’’)の設計モデル(MOD-DESIGN)を使用するステップ(167)と、
前記設計モデル(MOD-DESIGN)を、1以上の測定点(MP1,MP2,MP3,MP4,MP5)に対する測定された基板厚さ(D-10)及び/又は層厚さ(D-11,D-12,D-13)に適合させるステップ(168)と、
を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記電磁放射(ES)を放射する送信器(S-ES)を、a)位置、b)寸法、c)放射角又は放射特性、d)放射強度、の要素の内の少なくとも1つに関してモデル化するステップ(170)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記電磁放射(ES)を受信する受信器(E-ES)を、a)位置、b)寸法、c)受信特性、の要素の内の少なくとも1つに関してモデル化するステップ(172)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記物体(OBJ;OBJ’;OBJ’’)に対する物体モデル(MOD-OBJ)と、前記電磁放射(ES)の送信器(S-ES)及び/又は受信器(E-ES)を特徴づける少なくとも1つの更なるモデル(MOD-S-ES,MOD-E-ES)に基づいて前記透過率(T)に関する全体モデル(MOD-GES)を提供するステップ(180)と、
記物体(OBJ;OBJ’;OBJ’’)の少なくとも1つの測定点(MP1)に対して決定される透過率(T)に基づいて、及び/又は決定された層厚さ及び/又は基板厚さに基づいて、及び/又は周波数依存の屈折率及び/又は一定の屈折率の少なくとも1つに基づいて、及び/又は周波数依存の吸収率及び/又は一定の吸収率の少なくとも1つに基づいて、前記全体モデル(MOD-GES)を構成するステップ(182)と、
前記全体モデル(MOD-GES)を評価するステップ(184)と、
記全体モデル(MOD-GES)の少なくとも1つの構成要素を調整するステップ(186)と、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記電磁放射(ES)の受信強度を決定するステップ(184a)を含み、前記評価するステップ(184)及び/又は前記決定するステップ(184a)は、ビーム追跡法及び/又は、電磁放射(ES)の伝播の計算方法に基づいて実行される、請求項2に記載の方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法を遂行するための装置(200)であって、
a)テラヘルツ放射(TS)を送信及び/又は受信するように設計された、少なくとも1つのTHz測定システム(20)へのインタフェースポート(206)であって、ここで、前記THz測定システム(20)は、テラヘルツ放射(TS)のための少なくとも1つの送信器(21)及び受信器(22)及び/又はテラヘルツ放射(TS)のためのトランシーバを有する、インタフェースポート(206)と、
)位置決めシステム(208)と、
のうちの少なくとも1つを備える、装置(200)
【請求項23】
)物体(OBJ;OBJ’)の少なくとも1つの構成要素(10,11,12,13)の厚さ測定に基づいて、レーダ周波数範囲における前記物体の透過率(T)を決定するステップ(301)と、
b)物体(OBJ;OBJ’)の少なくとも1つの構成要素(10,11,12,13)のTHz放射(TS)の使用に基づく厚さ測定に基づいて、前記物体(OBJ;OBJ’)のレーダ周波数範囲での透過率(T)を決定するステップ(302)と、
c)THz放射(TS)を用いた反射測定に基づいて物体(OBJ;OBJ’)のレーダ周波数範囲での透過率(T)を決定するステップ(303)と、
d)前記物体(OBJ)の設計モデルを適合させるステップ(304)と、
)少なくとも1つTHzベースの測定(M-D-10-1,M-D-11-1,M-THz)に基づいて、レーダ周波数範囲における物体(OBJ;OBJ’)の透過率(T)、及び前記基板(10)の厚さ(D-10)及び/又は少なくとも1つの層(11,12,13)の少なくとも1つの層厚さ(D-11,D-12,D-13)を決定するステップ(305)と、
のステップの内の少なくとも1つに対する、請求項1に記載の前記方法、及び/又は請求項22に記載の前記装置(200)、の使用方法(300)。
【国際調査報告】