(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】集束能力が増大したマルチビーム生成ユニット
(51)【国際特許分類】
H01J 37/153 20060101AFI20240725BHJP
H01J 37/09 20060101ALI20240725BHJP
H01J 37/12 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
H01J37/153 B
H01J37/09 Z
H01J37/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508697
(86)(22)【出願日】2022-05-25
(85)【翻訳文提出日】2024-04-15
(86)【国際出願番号】 EP2022064275
(87)【国際公開番号】W WO2023016678
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】102021208700.0
(32)【優先日】2021-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521126944
【氏名又は名称】カール ツァイス マルティセム ゲゼルシヤフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】サロフ ヤンコ
(72)【発明者】
【氏名】ザイドラー ディルク
(72)【発明者】
【氏名】シュミット トーマス
(72)【発明者】
【氏名】クリイ ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】ケストナー マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ビアー ウルリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】ジンガー ヴォルフガング
【テーマコード(参考)】
5C101
【Fターム(参考)】
5C101AA03
5C101BB08
5C101EE03
5C101EE08
5C101EE17
5C101EE22
5C101EE47
5C101EE59
5C101EE65
5C101EE66
5C101EE67
5C101EE68
5C101EE69
(57)【要約】
複数の一次荷電粒子ビームレットの各々に対するより大きい個別の集束能力を有する、マルチビームシステムのためのマルチビーム生成ユニットが提供される。マルチビーム生成ユニットは、能動終端マルチアパーチャプレートを備える。終端マルチアパーチャプレートは、複数の一次荷電粒子ビームレットの各ビームレットの個別の無収差焦点スポット調整のためのより大きい集束範囲のために使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチビームシステム(1)のためのマルチビーム生成ユニット(305)であって、入射一次荷電粒子ビーム(309)の伝播方向の順序において、
- 複数の一次荷電粒子ビームレット(3)を生成するための複数の第1の開口(85.1)を有するフィルタプレート(304)であって、前記フィルタプレート(304)は、使用中に接地レベルに接続されている、フィルタプレート(304)と、
- 第1の複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)を備える、複数の終端開口(94)を備える終端マルチアパーチャプレート(310)であって、電極(79.2、81.2)が、前記終端開口(94)の各々の周囲に配置されている、終端マルチアパーチャプレート(310)と、
- 使用中に前記複数の一次荷電粒子ビームレット(3)を透過させるように構成されている単一の開口を有するコンデンサ電極(82、84)を有するコンデンサレンズ(307)であって、前記コンデンサ電極(82、84)は、使用中に、前記複数の終端開口(94)の各々に侵入している複数の静電マイクロレンズ場(92)を生成するように構成されている、コンデンサレンズ(307)と
を備え、
前記マルチビーム生成ユニット(305)は、制御ユニット(830)であって、前記複数の静電マイクロレンズ場(92)の各々の侵入深さおよび/または形状に影響を及ぼすために前記コンデンサ電極(82、84)および前記第1の複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)の各々を個別に制御し、それによって、前記マルチビームシステム(1)の像面湾曲および/または像面傾斜を予め補償するために、中間像面(321)上の前記複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の横方向および/または軸方向焦点位置を独立して調整するように構成されている制御ユニット(830)をさらに備えている、マルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項2】
前記第1の複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)は、第1の複数の静電シリンダ電極(79.2)として形成され、各シリンダ電極(79.2)は、前記複数の終端開口(94)のうちの1つの周囲に配置され、使用中に吸引場(88)または押圧場(90)を生成するように構成されている、請求項1に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項3】
前記第1の複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)は、第1の複数の静電多極電極(81.2)として形成され、各多極電極(81.2)は、前記複数の終端開口(94)のうちの1つの周囲に配置され、使用中に吸引場(88)、押圧場(90)および/または偏向場および/または非点収差補正場を生成するように構成されている、請求項1に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項4】
前記終端マルチアパーチャプレート(310)は、前記第1の複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)を備える第1の終端電極層(306.3a)と、前記第1の複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)から絶縁されており、前記第1の終端電極層(306.3a)の上流に配置されている第2の電極層(306.3b)とを備えており、前記第2の電極層(306.3b)は、使用中に、接地電極層を形成するために前記接地レベルに接続される、請求項1~3のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項5】
前記終端マルチアパーチャプレート(310)は、単一の電極層から作成される、請求項1~3のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項6】
前記終端マルチアパーチャプレート(310)の上流に配置されている第1のマルチスティグメータプレート(306.4、306.41)として構成されているさらなるマルチアパーチャプレートをさらに備え、前記第1のマルチスティグメータプレート(306.4、306.41)は複数の開口(85.4、85.41)を有し、前記複数の開口は、各々、前記複数の開口(85.4、85.41)の周囲に配置されている複数の静電多極素子を形成する、第2の複数の個別にアドレス可能な多極電極(81、81.1)を備え、前記第2の個別にアドレス可能な多極電極(81、81.1)の各々は、前記複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各個別のビームレットを偏向、集束、またはその収差を補正するように構成されている前記制御ユニット(830)に接続されている、請求項1~5のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項7】
前記終端マルチアパーチャプレート(310)の上流に配置されている第2のマルチスティグメータプレート(306.43)として構成されているさらなるマルチアパーチャプレートをさらに備え、前記第2のマルチスティグメータプレート(306.43)は複数の開口(85.43)を有し、前記複数の開口は、各々、前記複数の開口(85.43)の周囲に配置されている複数の静電多極素子を形成する、第3の複数の個別にアドレス可能な多極電極(81.3)を備え、前記第3の個別にアドレス可能な電極(81.3)の各々は、前記複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各個別のビームレットを偏向、集束、またはその収差を補正するように構成されている前記制御ユニット(830)に接続されている、請求項6に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項8】
前記終端マルチアパーチャプレート(310)の上流に配置されている静電レンズアレイ(306.3、306.9)として構成されているさらなるマルチアパーチャプレートをさらに備え、前記静電レンズアレイ(306.3、306.9)は、使用中に複数の静電レンズ場を形成するように構成されている前記制御ユニット(830)に各々が個別に接続されている、複数の第2のシリンダ電極(79)を備える複数の開口(85.3、85.9)を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項9】
前記静電レンズアレイ(306.3、306.9)は、単一の電極層から作成されるレンズ電極プレート(306.9)である、請求項8に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項10】
前記静電レンズアレイ(306.3、306.9)は、レンズ電極層306.3aおよび接地電極層306.3bを有する2層小型レンズ電極プレート(306.3)である、請求項8に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項11】
前記コンデンサ電極(82、84)は、複数の少なくとも4つの電極セグメント(84.1~84.4)を備えるセグメント化電極(84)として形成され、前記制御ユニット(830)は、傾斜成分(323)を有する湾曲した前記中間像面(321)内で前記複数の一次荷電粒子ビームレット(3)を集束させることを容易にするために、使用中に、非対称電圧分布を前記複数の少なくとも4つの電極セグメント(84.1~84.4)に提供するように構成されている、請求項1~10のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項12】
複数の開口(85.2)を有する少なくとも第1の接地電極プレート(306.2)をさらに備え、前記接地電極プレート(306.2)は使用中に第1の接地電極を形成し、前記接地電極プレート(306.2)は、前記フィルタプレート(304)と前記終端マルチアパーチャプレート(310)との間に配置されている、請求項1~11のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項13】
前記コンデンサ電極(82、84)を有する前記コンデンサレンズ(307)および前記終端マルチアパーチャプレート(310)は、互いに対して角度Φを成して配置されており、前記角度Φは0°とは異なる、請求項1~12のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項14】
前記制御ユニット(830)は、各個別にアドレス可能な多段マイクロレンズ(316)について少なくとも6mm、好ましくは少なくとも8mm、さらにより好ましくは10mmを超える個別に可変の集束範囲変動DFを有する個別にアドレス可能な多段マイクロレンズ(316)のアレイをともに形成するために、前記終端マルチアパーチャプレート(3.10)、前記第1のマルチスティグメータプレート(306.4、306.41)および/または前記第2のマルチスティグメータプレート(306.43)および/または前記静電レンズアレイ(306.3、306.9)の前記複数の電極(79、81、79.1、81.1、79.2、81.2、81.3)の各々に複数の個別の電圧を使用中に提供するように構成されている、請求項8~13のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項15】
前記複数のマルチアパーチャプレート(306.2~306.9、310)を互いに対して所定の距離に保持するための複数のスペーサ(83.1~83.5)または支持ゾーン(179)をさらに備える、請求項1~14のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項16】
前記複数のマルチアパーチャプレート(306.4~306.9、310)のうちの少なくとも1つは、反転マルチアパーチャプレートとして構成され、前記反転マルチアパーチャプレートは、前記反転マルチアパーチャプレートのビーム入口側とは反対の下側または底部側に、前記複数の個別にアドレス可能な電極(79、79.1、79.2、81、81.1、81.2、81.3)のための電気配線接続(175)を有する、請求項1~15のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項17】
前記少なくとも1つの反転マルチアパーチャプレートは、前記反転マルチアパーチャプレートの下側または底部側にある前記電気配線接続(175)を介して前記複数の個別にアドレス可能な電極(79、79.1、79.2、81、81.1、81.2、81.3)に電気的に接触するための複数の貫通接続(149、149.1、149.2)をさらに備え、前記反転マルチアパーチャプレートの上側またはビーム入口側には、コンタクトピン(147、147.1、147.2)が配置されている、請求項16に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項18】
前記終端マルチアパーチャプレート(310)は、前記複数の開口(94)を有する導電性遮蔽層(177.2)をさらに備えており、前記導電性遮蔽層(177.2)は、前記第1の複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)から電気的に絶縁されており、前記導電性遮蔽層(177.2)は、前記個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)と前記コンデンサレンズ(307)との間で前記終端マルチアパーチャプレート(310)の前記底部側(76)に配置されている、請求項1~17のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項19】
前記入射一次荷電粒子ビーム(309)の伝播方向において、前記フィルタプレート(304)の前記第1の開口(85.1)は、第1の直径D1を有し、前記終端開口(94)は、終端直径DTを有し、DTは、1.6×D1≦DT≦2.4×D1の間の範囲内にある、請求項1~18のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項20】
前記入射一次荷電粒子ビーム(309)の伝播方向において、前記フィルタプレート304の前記第1の開口(85.1)は、第1の直径D1を有し、さらなるマルチアパーチャプレート(306.2、306.3、306.4、306.9)の前記第2の開口(85.2、85.3、85.4、85.9)は、第2の直径D2を有し、前記終端開口(94)は、終端直径DTを有し、D1<D2<DTであり、好ましくは1.3×D1≦D2≦0.8×DTである、請求項6~19に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項21】
前記コンデンサ電極(82、84)を有する前記コンデンサレンズ(307)または前記終端アパーチャプレート(310)のうちの少なくとも一方は、前記コンデンサ電極(82、84)を有する前記コンデンサレンズ(307)または前記終端アパーチャプレート(310)のうちの少なくとも一方の傾斜角または回転を調整するように構成されているマニピュレータ(340、340.1、340.2)上に搭載されている、請求項13に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項22】
終端マルチアパーチャプレート(310)であって、
- 複数の終端開口(94)であって、使用中に、前記複数の終端開口(94)に侵入している複数の静電マイクロレンズ場(92、92.1、92.2)を形成するように構成されている、複数の終端開口(94)と、
- 前記終端開口(94)の周囲に配置されている複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)と
を備え、
前記複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)は、制御ユニット(830)に個別に接続されるように構成されており、使用中に、複数の静電マイクロレンズ場(92、92.1、92.2)の各々の侵入深さおよび/または形状に個別に影響を及ぼすように構成されている、終端マルチアパーチャプレート(310)。
【請求項23】
接地レベル(0V)に接続されている、前記終端マルチアパーチャプレート(310)の終端またはビーム出射側(76)の第1の導電性遮蔽層(177.2)であって、前記複数の静電マイクロレンズ場(92)が、使用中に、前記終端開口(94)のみへと侵入するように、前記複数の静電マイクロレンズ場(92)を、前記終端マルチアパーチャプレート(310)へと侵入しないように遮蔽するように構成されている、第1の導電性遮蔽層(177.2)をさらに備える、請求項22に記載の終端マルチアパーチャプレート(310)。
【請求項24】
前記複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)の間に、使用中に、前記複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)を互いから遮蔽するように構成されている、接地レベル(0V)に接続されている遮蔽電極層(183)をさらに備える、請求項22または23に記載の終端マルチアパーチャプレート(310)。
【請求項25】
複数の個別の電圧を前記複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)に提供するための複数の配線接続(175)をさらに備え、前記複数の配線接続(175)は、前記制御ユニット(830)に接続されるように構成されている、請求項22~24のいずれか1項に記載の終端マルチアパーチャプレート(310)。
【請求項26】
前記複数の配線接続(175)は前記終端マルチアパーチャプレート(310)の第1の側に配置されており、前記導電性遮蔽層(177、177.2)から絶縁されており、前記終端マルチアパーチャプレート(310)は、前記複数の配線接続(175)に接続されており、前記制御ユニット(830)に接続されるように構成されている複数の貫通接続(149)をさらに備えている、請求項25に記載の終端マルチアパーチャプレート(310)。
【請求項27】
- 前記終端マルチアパーチャプレート(310)の上側の第2の導電性遮蔽層(177.1)であって、前記上側は、複数の荷電粒子ビームレット(3)が前記終端マルチアパーチャプレート(310)に入る側である、第2の導電性遮蔽層(177.1)と、
- 複数の平坦化絶縁層(129.2、179、179.1、179.3、179.5)と、
- 複数の電気配線接続(175)の層と、
- 前記複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)を含む電極層(129.1)と
をさらに備え、
前記電極層(129.1)、前記電気配線接続(175)の層および前記第1のまたは第2の導電性遮蔽層(177.2、177.2)の各々は、前記平坦化絶縁層(129.2、179、179.1、179.3、179.5)のうちの1つによって、隣接する層から絶縁されており、
前記平坦化絶縁層(129.2、179、179.1、179.3、179.5)の各々は、二酸化ケイ素から作成され、T<3μmを下回る、好ましくはT≦2.5μmを下回る厚さTまで水平に均される、請求項22~26のいずれか1項に記載の終端マルチアパーチャプレート(310)。
【請求項28】
前記電極層(129.1)は、50μm~100μmの厚さを有する、請求項27に記載の終端マルチアパーチャプレート(310)。
【請求項29】
複数の一次荷電粒子ビームスポット(311)の各々の焦点距離を個別に変化させる方法であって、
- 終端マルチアパーチャプレート(310)の複数の終端開口(94)の各々において複数の個別にアドレス可能な終端電極(79.2、81.2)を提供することと、
- 前記終端マルチアパーチャプレート(310)に隣接して、複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の伝播方向において前記終端マルチアパーチャプレート(310)の下流にコンデンサレンズ電極(82、84)を提供することと、
- 制御ユニット(830)によって、前記複数の終端開口(94)に侵入している複数の静電マイクロレンズ場(92)を生成するために、少なくとも第1の電圧を前記コンデンサレンズ電極(82、84)に提供することと、
- 前記制御ユニット(830)によって、複数の個別の電圧を、前記複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)の各々に提供することと、
- 前記個別にアドレス可能な終端電極(79.2、81.2)の前記複数の個別の電圧を、前記複数の静電マイクロレンズ場(92)の各々の侵入深さに影響を及ぼし、それによって、湾曲した中間像面(321)上の前記複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の軸方向焦点位置を独立して調整するように、個別に制御することと
を含む、方法。
【請求項30】
前記複数の個別にアドレス可能な終端電極(79.2、81.2)は、第1の多極電極(81.2)として形成され、前記方法は、前記複数の静電マイクロレンズ場(92)の各々の形状および/または横方向位置に影響を及ぼし、それによって、前記湾曲した中間像面(321)上の前記複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の横方向焦点位置および形状を独立して調整するように、前記第1の多極電極(81.2)への前記複数の個別の電圧を個別に制御するステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記複数の個別の電圧を個別に制御する前記ステップは、傾斜成分(232)によって、前記湾曲した中間像面(321)上での前記複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の焦点位置を調整するように構成されている、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
- 複数の開口(85.4)および複数の個別にアドレス可能な第2の多極電極(81.1)を有する第1のマルチスティグメータプレート(306.4、306.41)を、前記終端マルチアパーチャプレート(310)の上流に提供することと、
- 前記制御ユニット(830)によって、複数の個別の電圧を、前記複数の個別にアドレス可能な第2の多極電極(81.1)の各々に提供することと、
- 前記終端マルチアパーチャプレート(310)の前記複数の終端開口(94)を通過する前に、前記複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の形状および/または横方向位置に影響を及ぼすために、前記第2の多極電極(81.1)の前記複数の個別の電圧を個別に制御することと
をさらに含む、請求項29~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
- 複数の開口(85.4)および複数の個別にアドレス可能な第3の多極電極(81.3)を有する第2のマルチスティグメータプレート(306.4、306.41)を提供することと、
- 前記制御ユニット(830)によって、複数の個別の電圧を、前記複数の個別にアドレス可能な第3の多極電極(81.3)の各々に提供することと、
- 前記終端マルチアパーチャプレート(310)の前記複数の終端開口(94)を通過する前に、前記複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の形状および/または横方向位置および/または方向に影響を及ぼすために、前記第3の多極電極(81.3)の前記複数の個別の電圧を個別に制御することと
をさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
- 複数の開口(85.3、85.9)および複数の個別にアドレス可能なリング電極(79)を有する小型レンズプレート(306.3、306.9)を提供することと、
- 前記制御ユニット(830)によって、複数の個別の電圧を、前記複数の個別にアドレス可能なリング電極(79)の各々に提供することと、
- 前記終端マルチアパーチャプレート(310)の前記複数の終端開口(94)を通過する前に、前記複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の焦点位置に影響を及ぼすために、前記リング電極(79)の前記複数の個別の電圧を個別に制御することと
をさらに含む、請求項29~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の軸方向および横方向焦点位置、形状、ならびに伝播方向に共同的に影響を及ぼすために、前記多極電極(81.1、81.3)のいずれかの、および/または、前記小型レンズプレート(306.3、306.9)の前記リング電極(79)の前記個別にアドレス可能な終端電極(79.2、81.2)の前記複数の個別の電圧を個別に制御するステップをさらに含む、請求項29~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
マルチビームシステム(1)のためのマルチビーム生成ユニット(305)であって、
- 複数の一次荷電粒子ビームレット(3)を生成するための複数の第1の開口(85.1)を有するフィルタプレート(304)であって、前記フィルタプレート(304)は、使用中に接地レベルに接続されている、フィルタプレート(304)と、
- 複数のマルチアパーチャプレート(306、306.3、306.4、306.9)であって、各マルチアパーチャプレート(306、306.3、306.4、306.9)は、電極層(129.1)と、前記電極層(129.1)の第1の側に配置されている複数のコンタクトピン(147)とを備える、複数のマルチアパーチャプレート(306、306.3、306.4、306.9)と、
- 終端マルチアパーチャプレート(310)と
を備え、
- 各マルチアパーチャプレート(306、306.3、306.4、306.9)は、複数の電気配線接続(175)の層をさらに備え、
前記複数のマルチアパーチャプレート(306、306.3、306.4、306.9)のうちの少なくとも1つは、反転マルチアパーチャプレート(306、306.3、306.4、306.9)として構成され、前記複数の電気配線接続(175)の層は前記反転マルチアパーチャプレート(306、306.3、306.4、306.9)の前記電極層(129.1)の第2の側に配置されている、マルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項37】
前記反転マルチアパーチャプレート(306、306.3、306.4、306.9)は、前記複数のコンタクトピン(147)を前記複数の電気配線接続(175)と電気的に接続するための複数の貫通接続(149)をさらに備える、請求項36に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項38】
前記終端マルチアパーチャプレート(310)は、複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)を有する電極層(129.1)と、複数の電気配線接続(175)の層と、前記電極層(129.1)の第1の側に配置されている複数のコンタクトピン(147)とを備える、請求項36または37に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項39】
前記複数の電気配線接続(175)の層は、前記終端マルチアパーチャプレート(310)の前記電極層(129.1)の前記第2の側に配置されている、請求項38に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項40】
同じ前記第1の側から、各マルチアパーチャプレート(306、306.3、306.4、306.9)および/または前記終端マルチアパーチャプレート(310)の複数のコンタクトピン(147)の各々に複数の電圧を提供するように構成されている制御ユニット(830)をさらに備える、請求項36~39のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項41】
- 前記終端マルチアパーチャプレート(310)の下流に配置されており、使用中に前記複数の一次荷電粒子ビームレット(3)を透過させるように構成されている単一の開口を有するコンデンサ電極(82、84)を有するコンデンサレンズ(307)と、
- 使用中に、前記複数の終端開口(94)の各々に侵入している複数の静電マイクロレンズ場(92)を生成するように構成されている前記コンデンサ電極(82、84)と、
- 前記複数の静電マイクロレンズ場(92)の各々の侵入深さおよび/または形状に影響を及ぼすために前記コンデンサ電極(82、84)および前記終端マルチアパーチャプレート(310)の前記複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)の各々を個別に制御し、それによって、湾曲した中間像面(321)上の複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の横方向および軸方向焦点位置を独立して調整するように構成されている制御ユニット(830)と
をさらに備える、請求項36~40のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項42】
マルチビームシステム(1)のためのマルチビーム生成ユニット(305)であって、
- 入射一次荷電粒子ビームレット(309)から複数の一次荷電粒子ビームレット(3)を生成するための複数の第1の開口(85.1)を有するフィルタプレート(304)と、
- 電極層(129.1)を有する少なくとも第1のマルチアパーチャプレート(306.3、306.4、306.9)と、
- 複数の終端開口(94)を有する終端マルチアパーチャプレート(310)と、
- コンデンサ電極(82、84)を有するコンデンサレンズ(307)と、
- 前記少なくとも第1のマルチアパーチャプレート(306.3、306.4、306.9)、前記終端マルチアパーチャプレート(310)および前記コンデンサ電極(82、84)に複数の個別の電圧を提供するように構成されている制御ユニット(830)と
を備え、
前記マルチビーム生成ユニット(305)は、前記複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の軸方向焦点位置の各々を、DF>3mmを超える、好ましくはDF>4mm、さらにより好ましくはDF>6mm、例えばDF≧8mmの集束範囲DFで個別に調整するように構成されている、マルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項43】
前記終端マルチアパーチャプレート(310)は、前記複数の終端開口(94)の各々の周囲に配置されている複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)を備えており、前記制御ユニット(830)は、使用中に、複数の個別の電圧を、前記複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)の各々に提供するように構成されている、請求項42に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項44】
前記マルチビーム生成ユニット(305)は、前記複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々を、湾曲した中間面(321)上に集束させるようにさらに構成されている、請求項42または43に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項45】
前記湾曲した中間面(321)は傾斜成分(323)を有する、請求項44に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項46】
前記マルチビーム生成ユニット(305)は、前記湾曲面(321)上の前記複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の横方向焦点位置の各々を、20nmを下回る、好ましくは15nmを下回る、さらにより好ましくは10nmを下回る正確度で個別に調整するようにさらに構成されている、請求項42~45のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項47】
前記マルチビーム生成ユニット(305)は、複数の無収差焦点(311、311.1、311.2、311.3、311.4)を前記湾曲した中間面(321)上に形成するために、前記複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の形状または収差の各々を個別に調整するようにさらに構成されている、請求項42~46のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項48】
複数の開口(85.4)および複数の個別にアドレス可能な多極電極(81.1)を有する第1のマルチスティグメータプレート(306.4、306.41)をさらに備え、前記制御ユニット(830)は、複数の個別の電圧を前記複数の個別にアドレス可能な多極電極(81.1)の各々に提供するようにさらに構成されており、前記制御ユニット(830)は、前記終端マルチアパーチャプレート(310)の前記複数の終端開口(94)を通過する前に、前記複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の形状および/または横方向位置に影響を及ぼすために、前記多極電極(81.1)の前記複数の個別の電圧を個別に制御するように構成されている、請求項42~47のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マルチビーム荷電粒子顕微鏡のマルチビーム生成ユニットおよびマルチビーム偏向ユニットなどのマルチビームレーザユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
WO2005/024881は、検査される物体を電子ビームレットの束によって並列走査するために複数の電子ビームレットを用いて動作する電子顕微鏡システムを開示している。電子ビームレットの束は、一次電子ビームを、複数の開口部を有する第1のマルチアパーチャプレート上へと方向付けることによって生成される。電子ビームの電子の1つの部分は、マルチアパーチャプレートに入射し、そこで吸収され、ビームの別の部分は、マルチアパーチャプレートの開口部を透過し、以て、各開口部の下流のビーム経路において、その断面が開口部の断面によって画定される電子ビームレットが形成される。さらに、マルチアパーチャプレートの上流および/または下流のビーム経路に提供される、適切に選択された電場が、マルチアパーチャプレート内の各開口部を、開口部を通過する電子ビームレットに対してレンズとして作用させ、結果、上記各電子ビームレットが、マルチアパーチャプレートから一定の距離をおいて存在する表面内に集束される。電子ビームレットの焦点が形成される表面は、下流の光学系によって、検査される物体または試料の表面上に結像される(image)。一次電子ビームレットは、二次電子または後方散乱電子が、物体から二次電子ビームレットとして発生するのをトリガし、二次電子ビームレットは、収集されて、検出器上に結像される。二次ビームレットの各々は、別個の検出器要素へと入射し、結果、それによって検出される二次電子強度が、対応する一次ビームレットが試料に入射するロケーションにおける、試料に関係する情報を提供する。一次ビームレットの束は、試料の表面にわたって体系的に走査され、試料の電子顕微鏡像が、走査型電子顕微鏡にとって通常そうであるように生成される。走査型超音波顕微鏡の解像度は、物体に入射する一次ビームレットの焦点直径によって制限される。結果として、マルチビーム電子顕微鏡において、すべてのビームレットが、物体上に同じ小さい焦点を形成する。
【0003】
WO2005/024881において、電子の例において非常に詳細に例示されているシステムおよび方法は、一般に、荷電粒子に非常に良好に適用可能である。したがって、本発明は、複数の荷電粒子ビームによって動作し、より良好な解像度、および、複数のビームレットの各ビームレットのより狭い範囲の解像度などの、より高い結像性能を達成するために使用することができる荷電粒子ビームシステムを提案することを目的とする。マルチビーム荷電粒子顕微鏡(MCPM)の複数のビームレットは、マルチビーム生成ユニットにおいて生成される。マルチビーム荷電粒子顕微鏡(MCPM)は、一般的に、微小光学(MO)素子と巨視的素子の両方を、荷電粒子投影系において使用する。
【0004】
マルチビーム生成ユニットは、荷電粒子のビームを分割し、部分的に吸収し、それに影響を及ぼすための素子を備える。結果として、所定のラスタ構成(raster configuration)にある荷電粒子の複数のビームレットが生成される。マルチビーム生成ユニットは、第1のマルチアパーチャプレート、さらなるマルチアパーチャプレートおよび微小光学偏向素子などの微小光学素子と、専用素子設計および専用配置(special arrangement)にあるレンズなどの巨視的素子とを備える。
【0005】
マルチビーム生成ユニットは、例えば、シリコン微細構造化によって作製される、2つ以上の平行な平坦基板またはウェハのアセンブリ内に形成することができる。使用中、複数の静電光学素子が、そのような平坦基板またはウェハのうちの少なくとも2つの位置整合された開口(apertures)によって形成される。開口のいくつかは、開口に関して軸対称に配置された1つまたは複数の垂直電極を備え得、例えば、静電レンズアレイが作成される。そのような静電レンズアレイの光学収差は、複数の開口の製造不正確性に非常に敏感であることが知られている。
【0006】
所定の静電光学素子の生成のために、例えば、電極の幾何学的形状および複数の荷電粒子ビームレットの各ビームレットに対する横方向位置整合、ならびに、透過する複数の荷電粒子ビームの方向における電極間の距離など、複数の電極を精密に制御することが重要である。平坦基板、電極および平坦基板のアセンブリの作製プロセスにおける逸脱が、静電光学素子の収差を生成し、個々のビームレットの収差またはビームレットの所定のラスタ構成からの逸脱などの収差を引き起こす。
【0007】
ウェハ検査のためのマルチビーム顕微鏡は、ウェハ表面上に複数の一次荷電粒子ビームレット(primary charged particle beamlets)の複数の焦点スポットを形成する。結像レンズが、複数の一次焦点の、平坦なウェハ表面からの逸脱をもたらす、像面湾曲(field curvature)を生成する。最近、ビームスプリッタを有するマルチビーム顕微鏡が、さらに、像面の傾斜を呈することが発見された。像面湾曲の補正後であっても、複数の一次焦点が生成される像面は、ウェハ表面に対して傾斜されている。像面傾斜(image plane tilt)の向きは、磁気光学レンズによって誘発される、複数の一次荷電粒子ビームレットのラーモア回転に依存する。像面傾斜および像面湾曲が、焦点位置(focus positions)のウェハ表面からの大きい逸脱を増加させる。従来技術のマルチビーム生成ユニットは、ウェハ検査タスクに必要とされるような高い正確度で各一次荷電粒子ビームレットの焦点位置を個別に変化させるための十分なストロークを提供しない。
【0008】
電極を有するマルチアパーチャプレートは、典型的には、層堆積およびエッチング技法によって形成され、複数の異なる層から成るスタックが形成される。より大きいストロークのために、より高い電圧が静電レンズに提供される必要がある。層堆積の不均質性および電場の漏れが、マルチアパーチャプレートにわたる静電素子の不均質な電子光学特性をもたらす。マルチアパーチャ素子内の電極の従来の配置では、漂遊場が生成される可能性があり、これは、電子光学素子の性能に、制御不可能に影響を及ぼす。従来技術マルチアパーチャスタックにおいて、光学性能は一般的に制限されている。
【0009】
マルチアパーチャプレートは、例えば、薄化プロセスによってウェハから作製される薄膜を備えている。作製中に生成されるか、または、例えば熱膨張によって誘発される膜の変形は、いくつかのマルチアパーチャプレート間で距離の差を引き起こし、したがって、少なくとも2つのマルチアパーチャプレート間で、使用中に形成される複数の静電素子の差を引き起こす。膜の変形の変化は、ビームレットの複数の焦点の像面湾曲の逸脱、または、複数のビームレットのテレセントリシティ特性の逸脱をさらに導入する可能性がある。
【0010】
従来技術において、マルチアパーチャアレイの理論的性能を改善するための手段が考察されている。例えば、米国特許出願公開第2003/0209673号は、複数の一次荷電粒子ビームレット間のクロストークを低減するための手段を開示している。米国特許出願公開第2003/0209673号は、クロストークが低減した複数の電子ビームレットのための静電アインツェルレンズアレイを開示している。静電アインツェルレンズアレイは、開口アレイの下流の電子ビーム経路内に配置され(arranged)、アインツェルレンズの上側電極、中央電極、および下側電極を備え、電極の各対は、100μmの大きい距離だけ離間される。上側電極および中央電極ならびに中央電極および下側電極の間に設けられる遮蔽電極によって、クロストークが低減される。別の例において、設計収差を低減するための手段が考察されている。2014年5月30日に出願されたDE102014008083または対応する米国特許第9,552,957(B2)号は、球面収差が低減したレンズのアレイを備えるマルチアパーチャプレートの例を示している。設計収差の低減は、レンズ開口がビーム直径と比較してより大きいことによって達成される。DE102014008083は、電極に対する帯電効果を回避するために、開口直径の0.1~10倍の範囲内のマルチアパーチャプレート間の距離を提案しているが、この大きい範囲だけでは、散乱荷電粒子からの電極の望ましくない帯電効果を防止するのに十分ではないことが分かっている。
【発明の概要】
【0011】
したがって、課題は、各一次荷電粒子ビームレットの各焦点位置を個別に変化させるための大きいストロークを有するマルチビーム生成ユニット(multi-beam generating unit)を提供することである。さらなる課題は、各一次ビームレットの焦点位置をより高い精度および最小の収差で調整することができるマルチアパーチャプレートを提供することである。課題は、集束能力(focusing power)がより大きく、集束精度が高く、残留収差が最小である、小さい焦点直径を有する良好に定義されたビームレットを形成することが可能なマルチビーム生成ユニットを提供することである。マルチビーム生成またはマルチビームラスタユニットの新規の配置(arrangement)および最適化されたレイアウトによって、ビームレットの複数の焦点が、所定のラスタ構成において、かつ、大きい軸方向変動をもって生成され、マルチビーム検査システムの大きい像面湾曲を補償することが可能になる。同様にして、ビームレットの収差を導入または増大させることなく高い精度でビームレットを偏向させることが可能であるマルチビーム偏向ユニットが提供される。
【0012】
したがって、課題は、個々の光学能力が大きく、逸脱に対する感受性がより低く、収差を有意に導入または増大させず、動作中に生成する望ましくない漏れ磁界(leakage fields)がより少ない、マルチビーム生成またはマルチビーム偏向ユニットなどのマルチビームラスタユニットの設計を提供することである。さらなる課題は、使用中により高い精度の焦点位置制御を提供するマルチビームラスタユニットを提供することである。
【0013】
したがって、課題は、逸脱に対する感受性がより低く、低い収差およびより少ない散乱粒子を生成し、高い安定性および再現性でマルチビーム生成またはマルチビーム偏向ユニットの作製を可能にする、マルチアパーチャプレートの作製プロセスを提供することを含む、少なくとも3つのマルチアパーチャプレートを備えるマルチビームラスタユニットを提供することである。マルチビームラスタユニット内のマルチアパーチャプレートの新規の配置は、マルチビームラスタユニットによって生成される複数の荷電粒子ビームレットの焦点スポット位置に個別に影響を及ぼすための大きい範囲の集束能力を可能にする。
【0014】
本発明の課題は、独立請求項によって解決される。従属請求項は、有利な実施形態を対象とする。
【0015】
第1の実施形態によれば、マルチビームシステム(1)のためのマルチビーム生成ユニット(305)は、入射平行一次荷電粒子ビーム(309)から複数の一次荷電粒子ビームレット(3)を生成するための複数の第1の開口(85.1)を有するフィルタプレート(304)を備えており、フィルタプレート(304)は、使用中に接地レベルに接続されている。一次荷電粒子ビームレットは、複数の第1の開口(85.1)を透過することによって形成され、一方、入射一次荷電粒子ビーム(incident primary charged particle beam)(309)の荷電粒子の大部分は、フィルタプレート(304)のビーム入口側の導電性遮蔽層に吸収される。マルチビーム生成ユニット(305)は、終端マルチアパーチャプレート(310)をさらに備える。終端マルチアパーチャプレート(310)は、フィルタプレート(304)の下流の入射一次荷電粒子ビーム(309)の伝播方向(propagation direction)の順序(order)に配置され、複数の終端開口(terminating apertures)(94)を備えている。終端開口(94)の各々において、一次荷電粒子ビームレット(3)が、マルチビーム生成ユニット(305)を出る。各終端開口(94)は、複数の終端開口(94)の各々の周囲に配置されている第1の複数の個別にアドレス可能な電極(individually addressable electrodes)(79.2、81.2)を備えている。終端マルチアパーチャプレート(terminating multi-aperture plate)(310)の下流において、マルチビーム生成ユニット(305)は、使用中に複数の一次荷電粒子ビームレット(3)を透過させるように構成されている単一の開口を有するコンデンサ電極(condenser electrode)(82、84)を有するコンデンサレンズ(condenser lens)(307)を備えるか、または、それに接続されている。コンデンサ電極(82、84)は、使用中に、複数の終端開口(94)の各々に侵入している(penetrating)複数の静電マイクロレンズ場(electrostatic micro-lens fields)(92)を生成するように構成されている。マルチビーム生成ユニット(305)は、制御ユニット(830)をさらに備える。制御ユニット(830)は、複数の静電マイクロレンズ場(92)の各々の侵入深さ(penetration depth)および/または形状に影響を及ぼすためにコンデンサ電極(82、84)および第1の複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)の各々を個別に制御するように構成されており、以て、複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の横方向および軸方向焦点位置を独立して調整する。したがって、複数の一次荷電粒子ビームレット(3)は、使用中に、中間湾曲像面(321)内に複数の焦点(311)を形成する。中間湾曲像面(321)は、湾曲しており、マルチビームシステム(1)の像面湾曲および像面傾斜を予め補償する(pre-compensate)ための傾斜成分(tilt component)(323)を有する。
【0016】
一例において、第1の複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)は、第1の複数の静電シリンダまたはリング電極(79.2)として形成され、各シリンダまたはリング電極(79.2)は、終端開口(94)のうちの1つの周囲に配置され、使用中に吸引場(suction field)(88)または押圧場(depression field)(90)を生成するように構成されている。以て、静電マイクロレンズ場(92)の各々の侵入深さは、対応する終端開口(94)内で低減または増大され、焦点距離を広い範囲内で調整することができる。以て、個々の一次荷電粒子ビームレットの焦点(311)の軸方向位置を、広い範囲内で変化させることができる。
【0017】
別の例において、第1の複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)は、第1の複数の静電多極電極(81.2)として形成され、各多極電極(81.2)は、複数の終端開口(94)のうちの1つの周囲に配置され、使用中に吸引場(88)、押圧場(90)および/または偏向場(deflection field)および/または収差補正場を生成するように構成されている。以て、静電マイクロレンズ場(92)の各々の侵入深さが低減または増大されるだけでなく、対応する終端開口(94)内で低の複数の静電マイクロレンズ場(92)の各々の横方向位置および形状も変化される。以て、例えば、非点収差のような収差を補正することができ、個々の一次荷電粒子ビームレットの焦点(311)の横方向位置を、偏向手段によって変化させることができる。
【0018】
終端マルチアパーチャプレート(310)は、第1の複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)を備える第1の終端電極層(129.1、306.3a)と、第1の複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)から絶縁されており、第1の終端電極層(129.1 306.3a)の上流に配置されている第2の電極層(306.3b)とを備えることができる。第2の電極層(306.3b)は、使用中に、接地電極層を形成するために接地レベルに接続されている。別の形態において、終端マルチアパーチャプレート(310)は、単一の電極層(129.1)から作成される。
【0019】
マルチビーム生成ユニット(305)は、少なくとも、複数の第2の開口(85、2)を有する第2のマルチアパーチャプレートまたは接地電極プレート(306.2)をさらに備えることができる。第2のマルチアパーチャプレートは、使用中に、第1の接地電極を形成している。第2のマルチアパーチャプレート(306.2)は、フィルタプレート(304)と終端マルチアパーチャプレート(310)との間に配置されている。マルチビーム生成ユニット(305)は、複数の第4の開口(85.4、85.41)を有する第3のマルチアパーチャプレートまたは第1のマルチスティグメータプレート(multi-stigmator plate)(306.4、306.41)を備えることができ、これらは各々、複数の第4の開口(85.4、85.41)の周囲に配置されている静電多極素子を形成するために第2の複数の個別にアドレス可能な多極電極(81、81.1)を備える。第2の個別にアドレス可能な多極電極(81、81.1)の各々は、付加的に、複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々を個別に偏向、集束、またはその収差を補正するように構成されている、制御ユニット(830)に接続されている。以て、さらに大きい範囲の集束変更が達成され、一次荷電粒子ビームレット(3)がその対応する終端開口(94)に入る雨に、一次荷電粒子ビームレット(3)の方向を調整することができる。
【0020】
マルチビーム生成ユニット(305)は、複数の第4の開口(85.42)を有する第4のマルチアパーチャプレートまたは第2のマルチスティグメータプレート(306.43)を備えることができ、これらは各々、複数の第4の開口(85.42)の周囲に配置されている静電多極素子を形成するために複数の個別にアドレス可能な多極電極(81.3)を備え、個別にアドレス可能な電極(81.3)の各々は、複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々を個別に偏向、集束、またはその収差を補正するように構成されている制御ユニット(830)に接続されている。以て、またさらに大きい範囲の集束変更を達成することができる。
【0021】
マルチビーム生成ユニット(305)は、使用中に複数の静電レンズ場(electrostatic lens fields)を形成するように構成されている制御ユニット(830)に各々が個別に接続されている、複数の第2のシリンダ電極(79)を備える複数の開口(85.3、85.9)を有する、静電レンズアレイ(306.3、306.9)として形成されているさらなるマルチアパーチャプレートをさらに備えていることができる。以て、さらに大きい範囲の集束変更を達成することができる。静電レンズアレイ(306.3、306.9)は、単一の電極層から作成されるレンズ電極プレート(306.9)として形成されてもよい。別の形態において、静電レンズアレイ(306.3、306.9)は、レンズ電極層(306.3a)および接地電極層(306.3b)を有する2層小型レンズ電極プレート(two-layer lens-let electrode plate)(306.3)である。
【0022】
一例において、コンデンサ電極(82、84)は、複数の少なくとも4つの電極セグメント(84.1~84.4)を備えるセグメント化電極(segmented electrode)84として形成され、制御ユニット(830)は、使用中に、非対称電圧分布を複数の少なくとも4つの電極セグメント(84.1~84.4)に提供するように構成されている。以て、複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の集束が、傾斜成分(323)によって、湾曲した中間像面(intermediate image surface)(321)内で容易にされる。
【0023】
一例において、コンデンサ電極(82、84)および終端マルチアパーチャプレート(310)は、互いに対して角度Φを成して配置されている。以て、複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の集束が、傾斜成分(323)によって、湾曲した中間像面(321)内で容易にされる。角度Φを調整するために、コンデンサ電極(82、84)もしくは終端マルチアパーチャプレート(310)を備えるマルチアパーチャプレート(315)のスタックのいずれかまたは両方が、コンデンサ電極(82、84)もしくはマルチアパーチャプレート(315)のスタックまたは両方を傾斜または回転させるように構成されているマニピュレータ(340)に搭載することができる。
【0024】
マルチビーム生成ユニット(305)は、第2のまたはさらなる接地電極プレート(306.8)を備えることができ、それらは各々一対のマルチアパーチャプレートの間に配置されており、マルチアパーチャプレートは各々、電極層(129.1)と、複数の個別にアドレス可能な電極(79、81)とを備えている。以て、個別にアドレス可能なリングまたは多極電極(79、81)は、一次荷電粒子ビームレットの伝播方向において分離されており、互いに対して遮蔽されている。
【0025】
制御ユニット(830)は、使用中に、終端マルチアパーチャプレート(3.10)、第1のマルチスティグメータプレート(306.4、306.41)ならびに任意選択の第2のマルチスティグメータプレート(306.43)および/または静電レンズアレイ(306.3、306.9)の複数の電極(79、81)の各々に複数の個別の電圧を提供するように構成されている。終端マルチアパーチャプレート(3.10)、第1のマルチスティグメータプレート(306.4、306.41)ならびに任意選択の第2のマルチスティグメータプレート(306.43)および/または静電レンズアレイ(306.3、306.9)は、ともに、個別に可変の集束範囲変動DFを有する個別にアドレス可能な多段マイクロレンズ(316)のアレイを形成し、各個別にアドレス可能な多段マイクロレンズ(316)について、少なくともDF>1mmであり、好ましくは少なくともDF>3mmであり、さらにより好ましくはDF>5mmである。
【0026】
マルチビーム生成ユニット(305)は、複数のマルチアパーチャプレート(304、306.2~306.9、310)を互いに対して所定の距離に保持するための複数のスペーサ(83.1~83.5)または支持ゾーン(support zones)(179)をさらに備える。
【0027】
第2の実施形態において、マルチアパーチャプレートは、反転マルチアパーチャプレート(inverted multi aperture plate)として形成され、これは、反転マルチアパーチャプレートのビーム入口側とは反対の第1の側に、複数の個別にアドレス可能な電極(79、79.1、79.2、81、81.1、81.2、81.3)のための電気配線接続(175)を有する。第1の実施形態によるマルチビーム生成ユニット(305)の一例において、マルチアパーチャプレート(306.4~306.9、310)のうちの少なくとも1つは、反転マルチアパーチャプレートとして構成されている。少なくとも1つの反転マルチアパーチャプレートは、反転マルチアパーチャプレートの下側または底部側にある電気配線接続(175)を介して複数の個別にアドレス可能な電極(79、79.1、79.2、81、81.1、81.2、81.3)に電気的に接続するための複数の貫通接続(through connections)(149、149.1、149.2)をさらに備え、反転マルチアパーチャプレートの上側またはビーム入口側には、コンタクトピン(147、147.1、147.2)が配置されている。反転配置(inverted arrangement)によって、概して、電気配線接続(175)の、例えば、一次荷電粒子、散乱荷電粒子、二次荷電粒子または任意の種類の荷電粒子によって生成されるX線からの電気的絶縁および遮蔽を改善することが可能である。したがって、個別にアドレス可能な電極(79、81)を、高い正確度で動作させることができる。アパーチャプレート(306、310)の電極層(129.1)の下流の配線接続によって、配線接続からの電場の漏れの影響が低減され、対応する個別にアドレス可能な電極の各々により大きい電圧を提供し、以て、集束能力をさらに増大させることが可能である。
【0028】
一例において、マルチビーム生成ユニット(305)の終端マルチアパーチャプレート(310)は、複数の開口(94)を有する導電性遮蔽層(conductive shielding layer)(177.2)をさらに備えている。導電性遮蔽層(177.2)は、第1の複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)から電気的に絶縁されており、導電性遮蔽層(177.2)は、個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)とコンデンサレンズ(307)との間で終端マルチアパーチャプレート(310)の底部側(76)に配置されている。以て、複数の静電マイクロレンズ場(92)の侵入または外乱が効果的に低減される。
【0029】
実践例において、フィルタプレート(304)の第1の開口(85.1)は、最小の第1の直径D1を有し、終端開口(94)は、より大きい終端直径DTを有する。終端直径DTは、典型的には、1.6×D1≦DT≦2.4×D1の範囲内にある。接地電極プレート(306.2)の第2の開口(85.2)は、第2の直径D2を有する。典型的には、D2は、D1とDTとの間で選択され、D1<D2<DT、例えば、1.4×D1≦D2≦0.75×DTである。第1のまたは第2のマルチスティグメータプレート(306.4、306.41、306.43)または静電レンズアレイ(306.3、306.9)の第3のまたはさらなる開口(85.3、85.4、85.9)は、直径D3を有する。典型的には、D3は、D2とDTとの間で選択され、結果、D1<D2<D3<DT、例えば、1.4×D1≦D2≦0.9×D3≦0.8×DTである。
【0030】
本発明の第2の実施形態によれば、性能が改善されたマルチアパーチャプレート(306)が提供される。改善されたマルチアパーチャプレート(306)は、絶縁電極層(129.1)内の複数の絶縁された個別にアドレス可能な電極(79、81)を有する複数の開口(85.3、85.4、85.9、94)を備える。複数の電極(79、81)の各々は、開口(85.3、85.4、85.9、94)のうちの1つの周囲に配置されている。改善されたマルチアパーチャプレート(306)は、マルチアパーチャプレート(306)の第1の側にある、約T1≦1μmの第1の厚さT1を有する第1の導電性遮蔽層(177.1)と、第3の厚さT3≦1μmの複数の電気配線接続(175)の層とをさらに備える。第2の厚さT2の第1の平坦化絶縁層(179.5)が、第1の導電性遮蔽層(177.1)と電気配線接続(175)の層との間に配置されている。第3の平坦化絶縁層(179.3)が、電気配線接続(175)の層と絶縁電極層(129.1)の間に形成されている。第3の平坦化絶縁層(179.3)は、第4の厚さT4を有する。第3の平坦化絶縁層(179.3)には、配線接続(175)の各々と電極(79、81)との間に形成される配線接点(193)が設けられる。第1のおよび第3の平坦化絶縁層(179.5、179.3)は、二酸化ケイ素から作成され、各々が3μmを下回る、例えば、T2≦T4≦2.5μmである第2の厚さT2および第4の厚さT4まで水平に均される。好ましくは、第2の厚さT2および第4の厚さT4の各々は、2μm以下である。一例において、配線接点(193)の各々は、開口(85、94)の内側壁(87)までの距離hを置いて各個別にアドレス可能な電極(79、81)の外縁に配置される。距離hは、h>6μmよりも大きく、好ましくはh>8μmであり、例えば、h≧10μmである。
【0031】
マルチアパーチャプレート(306)は、マルチアパーチャプレート(306)の第2の側にある、第6の厚さT6≦1μmを有する第2の導電性遮蔽層(177.2)と、第2の導電性遮蔽層(177.2)と電極層(129.1)との間に形成されている、第5の厚さT5≦2.5μmを有する第3の平坦化絶縁層(129.2)とをさらに備える。平坦化絶縁層(179)の厚さが低減されることによって、マルチアパーチャプレートの周辺の電場の外乱が低減され、より高い正確度でフォトリソグラフィ処理を達成することができる。したがって、例えば、配線接点は、より高い精度で形成することができる。配線接点(193)の大きい距離hによって、配線接点(193)または電気配線接続(175)から生成される電場の漏れがさらに低減される。遮蔽層(177.1、177.2)が両側に設けられ、接地レベルに接続されることによって、マルチアパーチャプレートへのまたはそれからの電場の侵入が効果的に低減される。一例において、第1のまたは第2の導電性遮蔽層(177.1、177.2)のうちの少なくとも一方は、複数の開口(85、94)の各々への複数の突入拡張部(plunging extensions)(189)を有し、電極(79、81)に対する幅gの間隙が形成され、g<4μm、好ましくはg≦2μmである。この小さい間隙によって、マルチアパーチャプレートへのまたはそれからの電場の侵入がさらにより効果的に低減される。一例において、マルチアパーチャプレート(306)は、複数の個別にアドレス可能な電極(79、81)の間に遮蔽電極(183)をさらに備える。遮蔽電極(183)は、接地レベル(0V)に接続される。以て、個別にアドレス可能な電極(79、81)は、互いから効果的に遮蔽される。
【0032】
本実施形態の改善されたマルチアパーチャプレート(306)は、使用中に、複数の一次荷電粒子ビームレット(3)を生成し、集束させるように構成されているマルチビーム生成ユニット(305)の複数の少なくとも2つのマルチアパーチャプレート(306、306.3、306.4、310)のうちの1つである。第1の例において、改善されたマルチアパーチャプレート(306)は、マルチビーム生成ユニット(305)複数の終端開口(94)を有する終端マルチアパーチャプレート(310)であって、複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々は、複数の終端開口(94)のうちの1つにおいて、マルチビーム生成ユニット(305)を出射する。コンデンサレンズ(307)が、マルチビーム生成ユニット(305)の終端マルチアパーチャプレート(310)である改善されたマルチアパーチャプレート(306)の後ろに配置されている。コンデンサレンズ(307)は、使用中に、複数の終端開口(94)に侵入している複数の静電マイクロレンズ場(92)を生成するように構成されている。
【0033】
一例において、改善されたマルチアパーチャプレート(306、310)は、マルチアパーチャプレート(306)の第1の側に複数の配線接続(175)があり、マルチアパーチャプレート(306)の第1の側の反対の第2の側に複数のコンタクトピン(147)がある反転構成において配置されており、第1の側の複数の配線接続(175)を第2の側のコンタクトピン(147)と接続するための複数の貫通接続(149)をさらに備える。
【0034】
本発明の第3の実施形態において、終端マルチアパーチャプレート(310)のさらなる改善が提供される。終端マルチアパーチャプレート(310)は、複数の終端開口(94)を備え、これは、使用中に、複数の終端開口(94)に侵入している複数の静電マイクロレンズ場(92、92.1、92.2)を形成するように構成されている。終端開口(94)の周囲には、複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)が配置されている。複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)は、制御ユニット(830)に個別に接続されるように構成されており、使用中に、複数の静電マイクロレンズ場(92、92.1、92.2)の各々の侵入深さおよび/または形状に個別に影響を及ぼすように構成されている。終端マルチアパーチャプレート(310)は、終端マルチアパーチャプレート(310)の終端またはビーム出射側(76)に、接地レベル(0V)に接続されている第1の導電性遮蔽層(177.2)をさらに備えている。以て、複数の静電マイクロレンズ場(92)が、遮蔽され、終端マルチアパーチャプレート(310)へと侵入することを妨げられ、終端開口(94)のみへと侵入する。終端マルチアパーチャプレート(310)は、複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)の間に、複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)を互いから遮蔽するための、接地レベル(0V)に接続されている遮蔽電極(183)をさらに備える。終端マルチアパーチャプレート(310)は、複数の個別の電圧を複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)に提供するための複数の絶縁配線接続(175)をさらに備えている。複数の配線接続(175)は、制御ユニット(830)に接続されている。
【0035】
一例において、複数の配線接続(175)は終端マルチアパーチャプレート(310)の第1の側に配置されており、導電性遮蔽層(177、177.2)から絶縁されており、終端マルチアパーチャプレート(310)は、複数の配線接続(175)に接続されている複数の貫通接続(149)をさらに備えている。複数の貫通接続(149)は、制御ユニット(830)に接続されている。
【0036】
終端マルチアパーチャプレート(310)は、終端マルチアパーチャプレート(310)の上側に、第2の導電性遮蔽層(177.1)をさらに備えており、上側は、複数の荷電粒子ビームレット(3)が終端マルチアパーチャプレート(310)に入る側である。終端マルチアパーチャプレート(310)は、複数の平坦化絶縁層(129.2、179、179.1、179.3、179.5)と、平坦化絶縁層(129.2、179、179.1、179.3、179.5)の間の複数の電気配線接続(175)の層と、複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)を備える電極層(129.1)とをさらに備えている。電極層(129.1)、電気配線接続(175)の層および第1のまたは第2の導電性遮蔽層(177.2、177.2)の各々は、平坦化絶縁層(129.2、179、179.1、179.3、179.5)のうちの1つによって、隣接する層から絶縁されている。平坦化絶縁層(129.2、179、179.1、179.3、179.5)の各々は、二酸化ケイ素から作成され、T<3μmを下回る、好ましくはT≦2.5μmを下回る厚さTまで、さらにより好ましくはT≦2μmまで水平に均される。比較すると、電極層(129.1)は、典型的には、50μm~100μmの厚さを有する。
【0037】
本発明の第4の実施形態において、反転マルチアパーチャプレート(306)が提供される。反転マルチアパーチャプレート(306)は、絶縁電極層(129.1)内の複数の絶縁された個別にアドレス可能な電極(79、81)を有する複数の開口(85、94)を備える。複数の電極(79、81)の各々は、1つの開口(85、94)の周囲に配置されている。反転マルチアパーチャプレート(306)は、マルチアパーチャプレート(306)の第1の側にある、第1の厚さT1≦1μmを有する第1の導電性遮蔽層(177.1)と、第2の厚さT2≦2.5μmの第1の平坦化絶縁層(179.5)と、少なくとも、第3の厚さT3≦1μmの複数の電気配線接続(175)の層と、電極層(129.1)と電気配線接続(175)の少なくとも第1の層との間の第2の平坦化絶縁層(179.3)とをさらに備え、第2の平坦化絶縁層(179.3)は、第4の厚さT4≦2.5μmを有する。第2の平坦化絶縁層(179.3)は、フォトリソグラフィによって、配線接続(175)の各々と電極(79、81)との間に貫通配線接点(193)を形成されて構成される。
【0038】
反転マルチアパーチャプレート(306)は、複数の貫通接続(149)と、電極層(129.1)の第2の反対の側において制御ユニット(830)と接触するためのコンタクトピン(147)とをさらに備える。複数の電気配線接続(175)は、第1の絶縁電極層(129.1)の第1の側に配置され、貫通接続(149)は、第1の側から第1の絶縁電極層(129.1)を通じて第2の側に対する電気的接触を可能にする。一例において、配線接点(193)の各々は、開口(85、94)の内側壁までの距離hを置いて各個別にアドレス可能な電極(79、81)の外縁に配置され、hは好ましくはh>6μmよりも大きく、さらにより好ましくはh>10μm、例えばh=12μmである。反転マルチアパーチャプレート(306)は、マルチアパーチャプレート(306)の第2の側にある、第6の厚さT6≦1μmを有する第2の導電性遮蔽層(177.2)と、第2の導電性遮蔽層(177.2)と第2の平坦化絶縁層(179.3)の反対の電極層(129.1)との間に形成されている第3の平坦化絶縁層(129.2)とをさらに備える。第3の平坦化絶縁層(129.2)は、T5≦2.5μmの第5の厚さを有する。第2の導電性遮蔽層(177.2)は、コンタクトピン(147)を第2の導電性遮蔽層(177.2)から絶縁するための開口(148)を備える。一例において、第1のまたは第2の導電性遮蔽層(177.1、177.2)のうちの少なくとも一方は、複数の開口(85、94)の各々への複数の突入拡張部(189)を有し、電極(79、81)に対する幅gの間隙が形成され、g<4μm、好ましくはg≦2μmである。反転マルチアパーチャプレート(306)は、複数の個別にアドレス可能な電極(79、81)の間に、複数の個別にアドレス可能な電極(79、81)を互いから遮蔽するための、接地レベル(0V)に接続されている遮蔽電極(183)をさらに設けられる。
【0039】
第5の実施形態において、複数の一次荷電粒子ビームスポット(primary charged particle beam spots)(311)の各々の焦点距離を大きい範囲だけ個別に変化させる方法が与えられる。本方法は、終端マルチアパーチャプレート(310)の複数の終端開口(94)の各々において複数の個別にアドレス可能な終端電極(79.2、81.2)を提供することを含む。次のステップにおいて、本方法は、終端マルチアパーチャプレート(310)に隣接して、複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の伝播方向の下流にコンデンサレンズ電極(82、84)を提供することを含む。次のステップにおいて、本方法は、制御ユニット(830)によって、複数の終端開口(94)に侵入している複数の静電マイクロレンズ場(92)を生成するために、少なくとも第1の電圧をコンデンサレンズ電極(82、84)に提供することを含む。本方法の次のステップにおいて、複数の個別の電圧が、複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)の各々に提供される。個別にアドレス可能な終端電極(79.2、81.2)の複数の個別の電圧は、複数の静電マイクロレンズ場(92)の各々の侵入深さに影響を及ぼし、以て、例えばDF>1mm、好ましくはDF>3mm、さらにより好ましくはDF>5mmの大きい範囲で、湾曲した中間像面(321)上の複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の軸方向焦点位置(axial focus position)を独立して調整するように、さらに制御される。一例において、複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)は、複数の多極電極(81.2)として形成され、本方法は、静電マイクロレンズ場(92)の各々の形状および/または横方向位置に影響を及ぼすために、多極電極(81.2)の各々への複数の個別の電圧を個別に制御するステップをさらに含んでいる。以て、複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の横方向焦点位置および形状が、湾曲した中間像面(321)上で独立して個別に調整される。複数の個別の電圧を個別に制御するステップは、傾斜成分(232)によって、湾曲した中間像面(321)上での複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の焦点位置を調整するように構成することができる。
【0040】
本方法は、複数の開口(85.4)および複数の個別にアドレス可能な多極電極(81.1)を有する第1のマルチスティグメータプレート(306.4、306.41)を提供するステップと、制御ユニット(830)によって、複数の個別の電圧を複数の個別にアドレス可能な多極電極(81.1)の各々に提供するステップをさらに含むことができる。この例による方法は、多極電極(81.1)の複数の個別の電圧を個別に制御するステップをさらに含む。以て、複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の形状および/または横方向位置が、終端マルチアパーチャプレート(310)の複数の終端開口(94)を通過する前に影響を及ぼされる。
【0041】
本方法は、複数の開口(85.4)および複数の個別にアドレス可能な多極電極(81.3)を有する第2のマルチスティグメータプレート(306.4、306.41)を提供するステップと、制御ユニット(830)によって、複数の個別の電圧を複数の個別にアドレス可能な多極電極(81.3)の各々に提供するステップをさらに含むことができる。この例による方法は、多極電極(81.3)の複数の個別の電圧を個別に制御するステップをさらに含む。以て、複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の形状および/または横方向位置および/または方向が、終端マルチアパーチャプレート(310)の複数の終端開口(94)を通過する前に影響を及ぼされる。
【0042】
本方法は、複数の開口(85.3、85.9)および複数の個別にアドレス可能なリング電極(79)を有するレンズアレイ(306.3、306.9)を提供するステップと、制御ユニット(830)によって、複数の個別の電圧を複数の個別にアドレス可能なリング電極(79)の各々に提供するステップをさらに含むことができる。リング電極(79)の複数の個別の電圧を個別に制御することによって、複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の焦点位置が、終端マルチアパーチャプレート(310)の複数の終端開口(94)を通過する前に影響を及ぼされる。以て、レンズアレイ(306.3、306.9)によって集束が容易にされ、DF>1mm、好ましくはDF>3mm、例えばDF>5mmのより大きい範囲DFの集束調整が達成される。
【0043】
さらなる例によれば、本方法は、多極電極(81.1、81.3)のいずれかの、および/または、リング電極(79)の個別にアドレス可能な終端電極(79.2、81.2)の複数の個別の電圧を個別に制御するステップをさらに含む。本方法によれば、複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の軸方向および横方向焦点位置、形状、および伝播方向が、ともに影響を及ぼされる。
【0044】
さらなる例によれば、本方法は、コンデンサレンズ電極(82、84)もしくは一次マルチビームレット形成ユニット305のマルチアパーチャプレート(315)のスタックのいずれかまたは両方の傾斜角または回転角を制御するステップをさらに含む。本方法によれば、複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の軸方向位置が、中間像面(321)の傾斜成分(323)に寄与するために、ともに影響を及ぼされる。
【0045】
本発明の第6の実施形態によれば、少なくとも1つの反転マルチアパーチャプレートを有するマルチビーム生成ユニット(305)が与えられる。本実施形態によるマルチビーム生成ユニット(305)は、入射平行一次荷電粒子ビーム(309)から複数の一次荷電粒子ビームレット(3)を生成するための複数の第1の開口(85.1)を有するフィルタプレート(304)を備えている。フィルタプレート(304)は、使用中に、接地レベルに接続される。マルチビーム生成ユニット(305)は、複数の少なくとも2つのマルチアパーチャプレート(306、306.3、306.4、306.9、310)をさらに備えており、各マルチアパーチャプレート(306、306.3、306.4、306.9、310)は、電極層(129.1)と、電極層(129.1)の第1の側に配置されている複数のコンタクトピン(147)とを備える。複数の少なくとも2つのマルチアパーチャプレート(306、306.3、306.4、306.9、310)は、終端マルチアパーチャプレート(310)を備えている。各マルチアパーチャプレート(306、306.3、306.4、306.9)は、複数の電気配線接続(175)の少なくとも1つの層をさらに備える。マルチアパーチャプレート(306、306.3、306.4、306.9)のうちの少なくとも1つは、複数の電気配線接続(175)の層が反転マルチアパーチャプレート(306、306.3、306.4、306.9)の電極層(129.1)の第2の側に配置されている反転マルチアパーチャプレート(306、306.3、306.4、306.9)として構成されている。第2の側は、コンタクトピンが配置されている第1の側の反対である。以て、マルチビーム生成ユニット(305)の各マルチアパーチャプレートは、反転マルチアパーチャプレートの複数の電気配線接続(175)の層の位置にかかわらず、同じ第1の側において電気的に接触され得る。反転マルチアパーチャプレート(306、306.3、306.4、306.9)は、複数のコンタクトピン(147)を複数の電気配線接続(175)と電気的に接続するための複数の貫通接続(149)をさらに備える。終端マルチアパーチャプレート(310)は、複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)を有する電極層(129.1)と、複数の電気配線接続(175)の層と、電極層(129.1)の第1の側に配置されている複数のコンタクトピン(147)とを備える。一例において、終端マルチアパーチャプレート(310)の複数の電気配線接続(175)の層は、終端マルチアパーチャプレート(310)の電極層(129.1)の第2の側に配置されている。第1の側は、上側またはビーム入口側であり、第2の側は、一次ビームレット(3)がマルチアパーチャプレート(310)を出射する下側または底部側である。
【0046】
マルチビーム生成ユニット(305)は、制御ユニット(830)をさらに備えている。制御ユニット(830)は、同じ第1の側から、マルチアパーチャプレート(306、306.3、306.4、306.9)および/または終端マルチアパーチャプレート(310)の各々の複数のコンタクトピン(147)の各々に複数の個別の電圧を提供するように構成されている。
【0047】
第6の実施形態によるマルチビーム生成ユニット(305)は、使用中に複数の一次荷電粒子ビームレット(3)を透過させるように構成されている単一の開口を有するコンデンサ電極(82、84)を有するコンデンサレンズ(307)をさらに備えるてい。コンデンサ電極(82、84)は、使用中に、複数の終端開口(94)の各々に侵入している静電マイクロレンズ場(92)を生成するように構成されている。制御ユニット(830)は、コンデンサ電極(82、84)および終端マルチアパーチャプレート(310)の複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)の各々を個別に制御するように構成されている。以て、複数の静電マイクロレンズ場(92)の各々の侵入深さおよび/または形状が影響を及ぼされ、複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の横方向および軸方向焦点位置が、湾曲した中間像面(321)上で促進される。
【0048】
本発明の第7の実施形態において、マルチアパーチャプレート(306、310)を作製する方法が与えられる。本方法は、電極層(129.1)内の複数の電極(79、81)を形成するステップを含んでいる。本方法は、電極層(129.1)の第1の側に第1の絶縁層(179.1)を形成するステップをさらに含んでおり、第1の絶縁層(179.1)は、二酸化ケイ素(SiO2)などの絶縁材料から形成される。本方法は、2.5μmを下回る厚さを有する第1の水平化絶縁層(179.3)を形成するために第1の絶縁層(179.1)を研磨するステップをさらに含んでいる。本方法は、第1の水平化絶縁層(179.3)上に電気配線接続(175)の層を形成し、リソグラフィ処理するステップをさらに含んでいる。本方法は、電気配線接続(175)の層上に第2の絶縁層(179.4)を形成するステップをさらに含んでおり、第2の絶縁層(179.4)は、二酸化ケイ素(SiO2)などの絶縁材料から形成される。本方法は、2.5μmを下回る厚さを有する第2の水平化絶縁層(179.5)を形成するために第2の絶縁層(179.4)を研磨するステップをさらに含んでいる。本方法は、第2の水平化絶縁層(179.5)上に第1の導電性遮蔽層(177.1)を形成するステップをさらに含んでいる。
【0049】
一例において、本方法は、電極層(129.1)を通じて複数の貫通接続(149)を形成するステップと、電極層(129.1)の第2の側に第1の絶縁層(179.1)を形成するステップであって、第2の側は、第1の側と反対である、第1の絶縁層(179.1)を形成するステップと、2.5μmを下回る厚さを有する第1の水平化絶縁層(179.3)を形成するために第2の側の第1の絶縁層(179.1)を研磨するステップとをさらに含んでいる。本方法は、第2の側で第1の水平化絶縁層(179.3)上に第2の導電性遮蔽層(177.2)を形成するステップと、第1の側の貫通接続の各々を電気配線接続(175)のうちの1つと接続し、第2の側の貫通接続の各々をコンタクトピン(147)と接続するステップとをさらに含んでいる。
【0050】
一例において、本方法は、第1の側で第2の水平化絶縁層(179.5)上に応力低減層(187)を形成するステップをさらに含んでおり、応力低減層(187)は、窒化ケイ素(SiOX)から形成される。本方法は、応力低減層(187)上にさらなる絶縁層(179)を形成し、さらなる水平化絶縁層(179)を、2.5μmを下回る厚さまで水平に均すために、さらなる絶縁層(179)を研磨するステップをさらに含んでいる。その後、この例による第1の導電性遮蔽層(177.1)が、さらなる水平化絶縁層(179)上に形成される。
【0051】
一実施形態において、複数の透過ビームレットが、第1の方向において複数のマルチアパーチャプレートの複数の開口を通じて伝播し、高電圧供給配線接続が、第1の方向に垂直な第2の方向からマルチアパーチャプレートのうちの少なくとも1つの中の第1の電極に提供され、低電圧供給配線接続が、第1の方向および第2の方向に垂直な第3の方向からマルチアパーチャプレートのうちの少なくとも1つの中の第2の電極に提供される。
【0052】
本発明の実施形態によって、集束能力の範囲の大きいマルチビーム生成ユニット(305)が与えられる。本実施形態によるマルチビーム生成ユニット(305)は、入射平行一次荷電粒子ビーム(309)から複数の一次荷電粒子ビームレット(3)を生成するための複数の第1の開口(85.1)を有するフィルタプレート(304)を備える。マルチビーム生成ユニット(305)は、電極層(129.1)を有する少なくとも第1のマルチアパーチャプレート(306.3、306.4、306.9)と、複数の終端開口(94)を有する終端マルチアパーチャプレート(310)とをさらに備える。マルチビーム生成ユニット(305)は、コンデンサ電極(82、84)を有するコンデンサレンズ(307)と、少なくとも第1のマルチアパーチャプレート(306.3、306.4、306.9)、終端マルチアパーチャプレート(310)およびコンデンサ電極(82、84)に複数の個別の電圧を提供するように構成されている制御ユニット(830)とをさらに備える。一例において、制御ユニット(830)は、終端マルチアパーチャプレート(310)とコンデンサ電極(82、84)を有するコンデンサレンズ(307)との間の角度を調整するようにさらに構成されている。本実施形態によるマルチビーム生成ユニット(305)は、複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の軸方向焦点位置の各々を、DF>1mmを超える、好ましくはDF>3mm、さらにより好ましくはDF>5mm、例えばDF≧6mmの集束範囲DFで個別に調整するように構成されている。一例において、マルチビーム生成ユニット(305)は、複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々を、湾曲した中間面(321)上に集束させるようにさらに構成されており、湾曲した中間面(321)は、傾斜成分(323)を有する。本実施形態のいくつかによる改善されたマルチアパーチャプレートによれば、マルチビーム生成ユニット(305)は、湾曲面(321)上の複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の横方向焦点位置の各々を、20nmを下回る、好ましくは15nmを下回る、さらにより好ましくは10nmを下回る正確度で個別に調整するようにさらに構成されている。したがって、マルチビーム生成ユニット(305)は、複数の無収差焦点(311、311.1、311.2、311.3、311.4)を湾曲した中間面(321)上に高い正確度で形成するために、複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の形状または収差を個別に調整するように構成されている。本実施形態のうちのいくつかによって提供されるマルチアパーチャプレートに対する改善によれば、より高いビームレット品質が達成され、中間像面(321)における焦点(311)が、より低い収差で形成される。したがって、複数の焦点(5)が、より高い精度、および、マルチビーム荷電粒子システム(1)の像面(101)からの少ない逸脱で形成される。したがって、本発明は、より高い精度で、特に、マルチビーム荷電粒子システム(1)のより良好な補償または像面湾曲誤差で、結果として、像面(101)内に配置されているウェハ表面(25)上の焦点スポット(5)の焦点スポットサイズのより低い変動で、ウェハ検査を可能にする。マルチビーム生成ユニット(305)の個別にアドレス可能な静電レンズ場の集束範囲の増大によって、マルチビーム荷電粒子システム(1)の像面湾曲誤差の傾斜成分は、マルチビーム荷電粒子システム(1)の対物レンズ(102)による一次荷電粒子ビームレット(3)のラスタの回転に適合することができる。例えば、試料電圧供給源(503)によってウェハ(7)に供給される電圧を変化させることによって、マルチビーム荷電粒子システム(1)の結像設定が変更され、一次荷電粒子ビームレット(3)のラスタの回転が変更され、または、像面湾曲誤差の量が変更される場合であっても、像面湾曲誤差の変化は、1μmまたは3μmを超える大きい個別の焦点変更能力DFを用いて、マルチビーム生成ユニット(305)によって容易に補償することができ、または、DFは、本実施形態において上述したように、マルチアパーチャプレートの組合せによって、マルチアパーチャプレートをより良好な遮蔽および配線接続のより精密な作製とともに使用することによって、または、両方の組合せによって、さらにより大きくすることができる。
【0053】
本発明は本実施形態および例に限定されず、本実施形態および例の組合せおよび変形例も含むことを理解されたい。
【0054】
本開示の実施形態について、図面を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】ウェハ検査のためのマルチビーム荷電粒子システムの概略断面図である。
【
図2】マルチビームラスタユニット305のいくつかの態様を示す図である。
【
図3】マルチビーム生成ユニット305の第1の例を示す図である。
【
図4】2層小型レンズプレート306.3のいくつかの詳細を示す図である。
【
図5】反転2層小型レンズプレート306.3を有するマルチビーム生成ユニット305の第2の例を示す図である。
【
図6】要素の順序が変更されたマルチビーム生成ユニット305の第3の例を示す図である。
【
図7】小型レンズプレートとして形成された、終端マルチアパーチャプレート310を有するマルチビーム生成ユニット305の第4の例を示す図である。
【
図8a】終端マルチアパーチャプレート310の機能を示す図である。
【
図8b】終端マルチアパーチャプレート310の機能を示す図である。
【
図9】マルチビーム生成ユニット305の第5の例を示す図である。
【
図10】マルチビーム生成ユニット305の第6のさらに単純化された例を示す図である。
【
図11】補正能力が増大したマルチビーム生成ユニット305の第7の例を示す図である。
【
図12】補正能力が増大したマルチビーム生成ユニット305の第8の例を示す図である。
【
図13】補正能力が増大したマルチビーム生成ユニット305の第9の例を示す図である。
【
図14】リング状多極電極セグメントを有するコンデンサレンズ307を有するマルチビーム生成ユニット305の第10の例を示す図である。
【
図15a】マルチスティグメータプレート306.4の正面図である。
【
図15b】コンデンサレンズ307のリング状多極電極セグメント84.1~84.8を示す図である。
【
図16a】性能が改善されたレンズ電極層を作製するための作製ステップを示す図である。
【
図16b】性能が改善されたレンズ電極層を作製するための作製ステップを示す図である。
【
図17】貫通接続149および貫通孔151を有するレンズ電極層を作製するための作製ステップを示す図である。
【
図18】反転マルチアパーチャプレート306.3および306.4、ならびに上部または上側からの(負のz方向における)配線接続を含む複数のマルチアパーチャプレートの積み重ねの例を示す図である。
【
図19】直交する方向からの信号および電圧供給配線ラインを有する、一実施形態によるマルチビームラスタユニットを示す図である。
【
図20】終端マルチアパーチャプレートとコンデンサレンズ電極との間の一定の傾斜角を有する、一実施形態によるマルチビームラスタユニットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
下記に記載する本発明の例示的な実施形態において、機能および構造が同様の構成要素は、可能な限り、同様のまたは同一の参照符号によって指示されている。本例のマルチビームラスタユニットは、荷電粒子が正のz方向に伝播する照射ビーム経路内に記載されており、z方向は下を指している。しかしながら、マルチビームラスタユニットはまた、二次荷電粒子ビームレットが
図1の座標系において負のz方向に伝播する、結像ビーム経路内にも適用され得る。依然として、一連のマルチアパーチャプレートは、透過荷電粒子ビームまたはビームレットの伝播方向に順次配置される。ビーム入口側または上側は、透過荷電粒子ビームまたはビームレットの方向における素子の第1の表面または側であると理解され、底部側またはビーム出射側は、透過荷電粒子ビームまたはビームレットの方向における素子の最後の表面または側であると理解される。
【0057】
いくつかのアレイ素子、例えば、複数の一次荷電粒子ビームレットが、参照符号によって識別される。文脈に応じて、同じ参照符号がまた、単一の素子またはアレイ素子を識別する場合もある。各一次荷電粒子ビームレット(3.1、3.2、3.3、3.4)は、複数の一次荷電粒子ビームレット(3)のうちの1つである。素子アレイのうちの単一の素子が意図されているか否かは、文脈から明らかになる。
【0058】
図1の概略表現は、本発明の実施形態によるマルチビーム荷電粒子顕微鏡システム1の基本的な特徴および機能を示す。図面内で使用されている記号は、それらのそれぞれの機能性を記号化するように選択されていることに留意されたい。図示されているシステムのタイプは、対物レンズ102の対物面101内に上面25が位置するウェハなどの物体7の表面25上に複数の一次荷電粒子ビームスポット5を生成するために複数の一次電子ビームレット3を使用するマルチビーム走査型電子顕微鏡(MSEMまたはMulti-SEM)のタイプである。単純にするために、5つの一次荷電粒子ビームレット3および5つの一次荷電粒子ビームスポット5のみが示されている。マルチビームレット荷電粒子顕微鏡システム1の特徴および機能は、電子、または、イオンおよび特にヘリウムイオンなどの他のタイプの一次荷電粒子を使用して実施することができる。顕微鏡システム1のさらなる詳細は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、2021年6月16日に出願された国際特許出願PCT/EP2021/066255号に与えられている。
【0059】
顕微鏡システム1は、物体照射ユニット100と、検出ユニット200と、二次荷電粒子ビーム経路11を一次荷電粒子ビーム経路13から分離するためのビームスプリッタユニット400とを備える。物体照射ユニット100は、複数の一次荷電粒子ビームレット3を生成するための荷電粒子マルチビーム生成器300を備え、ウェハ7の表面25が試料ステージ500によって位置付けられる対物面101内に複数の一次荷電粒子ビームレット3を集束させるように適合されている。
【0060】
一次ビーム生成器300は、典型的には球状に湾曲した表面である中間像面321内に、複数の一次荷電粒子ビームレットスポット311を生成する。本発明の実施形態によれば、中間像面321は、物体照射ユニット100の軸外対称性によって誘発される傾斜を補償するために、さらに傾斜される。複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の複数の焦点(311)の位置は、マルチビーム生成ユニット305の下流の物体照射ユニット(100)の光学素子の像面湾曲および像面傾斜を予め補償するために、マルチビーム生成ユニット(305)によって中間像面(321)内で調整される。像面傾斜321の向きおよび像面湾曲の量は、物体照射ユニット100の駆動パラメータに従って、例えば、対物レンズ102の集束能力、または、試料電圧供給源(503)によって供給される電圧によって対物レンズ102とウェハ表面25との間に生成される静電場に応じて調整され、これらは両方とも、傾斜像面の像面湾曲および回転の主な原因である。中間像面の湾曲および傾斜に関するさらなる詳細は、参照により本明細書に組み込まれる、ドイツ特許DE102021200799B3に記載されている。
【0061】
一次ビームレット生成器300は、例えば電子などの、一次荷電粒子のソース301を含む。一次荷電粒子源301は、発散する一次荷電粒子ビームを放出し、これは、少なくとも1つのコリメートレンズ303によってコリメートされて、コリメートまたは平行一次荷電粒子ビーム309が形成される。コリメートレンズ303は、通常、1つもしくは複数の静電もしくは磁気レンズから、または、静電レンズと磁気レンズとの組合せによって構成されている。一次ビームレット生成器300は、コリメートまたは平行一次荷電粒子ビーム309の角度を調整するための偏向器302をさらに備える。コリメート一次荷電粒子ビーム309は、一次マルチビーム形成ユニット305に入射する。マルチビーム形成ユニット305は、基本的に、コリメート一次荷電粒子ビーム309によって照射される第1のマルチアパーチャプレートまたはフィルタプレート304を備える。第1のマルチアパーチャプレートまたはフィルタプレート304は複数の開口を備え、複数の開口は、コリメート一次荷電粒子ビーム309が複数の開口を透過することによって生成される複数の一次荷電粒子ビームレット3を生成するためのラスタ構成にある。マルチビームレット形成ユニット305は、ビーム309内の電子の動きの方向に対して、第1のマルチアパーチャまたはフィルタプレート304の下流に位置する、さらなるマルチアパーチャプレート306.3~306.4のうちの少なくとも2つを備える。例えば、第2のマルチアパーチャプレート306.3は、複数のリング電極を備えるマイクロレンズアレイの機能を有し、各リング電極は、複数の一次ビームレット3の焦点位置が中間像面321内で独立して調整されるように、個別に規定された電位に設定される。第3のマルチアパーチャプレート306.4は、例えば、複数のビームレットの各々を個別に偏向させるために、複数の開口の各々のための、例えば、4つまたは8つの静電素子を備える。いくつかの実施形態によるマルチビームレット形成ユニット305は、終端マルチアパーチャプレート(3.10)を有して構成されている。マルチビームレット形成ユニット305は、いくつかの例においてマルチビームレット形成ユニット305内に組み合わされる、隣接する静電場レンズ307を有してさらに構成されている。マルチビームレット形成ユニット305のさらなる詳細は、下記に説明する。任意選択の第2の場レンズ308とともに、複数の一次荷電粒子ビームレット3が、中間像面321内にまたはそれに近接して集束される。
【0062】
中間像面321内にまたはそれに近接して、複数の荷電粒子ビームレット3の各々の伝播方向を個別に操作するために、例えば、偏向器などの、静電電極を有する複数の開口を有するビームステアリングマルチアパーチャプレート390を配置することができる。ビームステアリングマルチアパーチャプレート390の開口は、一次荷電粒子ビームレット3の焦点スポット311が湾曲した中間像面321上に位置する場合であっても、複数の一次荷電粒子ビームレット3が通過することを可能にするために、より大きい直径を有するように構成されている。一次荷電粒子源301、アクティブなマルチアパーチャプレート306.3...306.4の各々、および、ビームステアリングマルチアパーチャプレート390は、制御ユニット800に接続されている一次ビームレット制御モジュール830によって制御される。
【0063】
中間像面321を通過する一次荷電粒子ビームレット3の複数の焦点が、場レンズ群(field lens group)103および対物レンズ102によって、ウェハ7の表面25が位置付けられている像面101内に結像される。試料電圧供給源(503)によってウェハに電圧を印加することによって、対物レンズ102とウェハ表面との間に減速静電場が生成される。物体照射システム100は、複数の荷電粒子ビームレット3を荷電粒子ビームレットの伝播方向と垂直な方向に偏向させることができる、第1のビームクロスオーバ(first beam cross over)108に近接する集光マルチビームラスタスキャナ110をさらに備える。本例全体を通じた一次ビームレットの伝播方向は、正のz方向にある。対物レンズ102および集光マルチビームラスタスキャナ110は、ウェハ表面25に垂直である、マルチビーム荷電粒子システム1の光軸105に中心合わせされる。ラスタ構成に配置されている複数のビームスポット5を形成する複数の一次荷電粒子ビームレット3は、ウェハ表面25にわたって同期的に走査される。一例において、複数N個の一次荷電粒子3の焦点スポット5のラスタ構成は、例えば、N=91、N=100、またはN=約300またはそれ以上のビームレットなどの、約100またはそれ以上の一次荷電粒子ビームレット3の六角形ラスタである。一次ビームスポット5は、約6μm~15μmの距離、および、例えば、3nm、2nm、またはさらに下回るものなどの、5nmを下回る直径を有する。一例において、ビームスポットサイズは、約1.5nmであり、2つの隣接するビームスポットの間の距離は、8μmである。複数の一次ビームスポット5の各々の各走査位置において、複数の二次電子がそれぞれ生成され、一次ビームスポット5と同じラスタ構成にある複数の二次電子ビームレット9が形成される。各ビームスポット5において生成される二次荷電粒子ビームレット9の強度は、対応するスポット5を照射する、衝突する一次荷電粒子ビームレット3の強度、ビームスポット5の下の物体7の材料組成およびトポロジ、ならびに、ビームスポット5における試料の充電条件に依存する。二次荷電粒子ビームレット9は、試料7と対物レンズ102との間で試料充電ユニット503によって生成される静電場によって加速される。複数の二次荷電粒子ビームレット9は、対物レンズ102とウェハ表面25との間の静電場によって加速され、対物レンズ102によって収集され、一次ビームレット3とは反対の方向において、第1の集光マルチビームラスタスキャナ110を通過する。複数の二次ビームレット9は、第1の集光マルチビームラスタスキャナ110によって走査偏向されている。複数の二次荷電粒子ビームレット9は、次いで、検出ユニット200の二次ビーム経路11に従うように、ビームスプリッタユニット400によって案内される。複数の二次電子ビームレット9は、一次荷電粒子ビームレット3とは反対の方向に進行しており、ビームスプリッタユニット400は、通常、磁場または磁場と静電場との組合せによって、二次ビーム経路11を一次ビーム経路13から分離するように構成されている。任意選択的に、追加の磁気補正素子420が、一次または二次ビーム経路内に存在する。
【0064】
検出ユニット200は、二次電子ビームレット9を像センサ207上に結像して、そこで、複数の二次荷電粒子像スポット15を形成する。検出器または像センサ207は、複数の検出ピクセルまたは個別の検出器を含む。複数の二次荷電粒子ビームスポット15の各々について、強度は別個に検出され、ウェハ表面25の材料組成は、高いスループットを有するウェハの大きい像パッチの高い分解能で検出される。例えば、8μmピッチを有する10×10ビームレットのラスタによって、約88μm×88μmの像パッチが、例えば2nm以下の像分解能で、集光マルチビームラスタスキャナ110による1回の像走査で生成される。像パッチは、ビームスポットサイズの半分によってサンプリングされ、したがって、各ビームレットの像ラインあたり8000ピクセルのピクセル数を有し、結果、100個のビームレットによって生成される像パッチは、6.4ギガピクセルを含む。デジタル像データは、制御ユニット800によって収集される。例えば並列処理を使用した、デジタル像データ収集および処理の詳細は、参照により本明細書に組み込まれる、国際特許出願第2020151904号および米国特許第9.536.702号に記載されている。
【0065】
投影システム205は、走査および結像制御ユニット820に接続されている、少なくとも第2の集光ラスタスキャナ222をさらに備える。制御ユニット800および結像制御ユニット820は、複数の二次電子焦点スポット15の位置が像センサ207において一定に保持されるように、複数の二次電子ビームレット9の複数の焦点15の位置の残差を補償するように構成されている。
【0066】
検出ユニット200の投影システム205は、さらなる静電または磁気レンズ208、209、210と、開口214が位置する複数の二次電子ビームレット9の第2のクロスオーバ212とを備える。一例において、開口214は、結像制御ユニット820に接続されている検出器(図示せず)をさらに備える。結像制御ユニット820は、少なくとも1つの静電レンズ206および第3の偏向ユニット218にさらに接続されている。投影システム205は、制御ユニット800または結像制御ユニット820に接続されている、複数の二次電子ビームレット9の各々に個別に影響を及ぼすための開口および電極を有する少なくとも第1のマルチアパーチャ補正器220と、任意選択のさらなる能動素子216とをさらに備えることができる。
【0067】
像センサ207は、投影レンズ205によって像センサ207上へと集束される二次電子ビームレット9のラスタ配置(raster arrangement)に適合するパターンにある検知領域のアレイによって構成されている。これによって、像センサ207に入射する他の二次電子ビームレットから独立して、各個別の二次電子ビームレットを検出することが可能になる。
図1に示す像センサ207は、CMOSまたはCCDセンサなどの電子感受性検出器アレイとすることができる。そのような電子感受性検出器アレイは、シンチレータ素子またはシンチレータ素子のアレイなどの、電子-光子変換ユニットを含むことができる。別の実施形態において、像センサ207は、複数の二次電子粒子像スポット15の焦点面内に配置されている電子-光子変換ユニットまたはシンチレータプレートとして構成することができる。この実施形態において、像センサ207は、複数の光電子増倍管またはアバランシェフォトダイオード(図示せず)などの、専用の光子検出素子上の二次荷電粒子像スポット15において電子-光子変換ユニットによって生成される光子を結像および案内するための中継光学系をさらに備えることができる。そのような像センサは、上記で引用されており、参照により組み込まれる、米国特許第9,536,702号に開示されている。一例において、中継光学系は、光を分割して第1の低速光検出器および第2の高速光検出器に案内するためのビームスプリッタをさらに備える。第2の高速光検出器は、例えば、複数の一次荷電粒子ビームレット3の走査速度に従って複数の二次電子ビームレット9の像信号を分解するのに十分に速い、アバランシェフォトダイオードなどのフォトダイオードのアレイによって構成されている。第1の低速光検出器は、好ましくは、焦点スポット15または複数の二次電子ビームレット9を監視し、マルチビーム荷電粒子顕微鏡1の動作を制御するための高分解能センサデータ信号を提供する、CMOSまたはCCDセンサである。
【0068】
複数の一次荷電粒子ビームレット3を走査することによって像パッチを取得している間、ステージ500は、好ましくは、移動されず、像パッチの取得後、ステージ500は、取得される次の像パッチに移動される。代替的な実施態様において、ステージ500は、集光マルチビームラスタスキャナ110によって第1の方向において複数の一次荷電粒子ビームレット3を走査することによって像が取得されている間に、第2の方向に連続的に移動される。ステージ移動およびステージ位置は、レーザ干渉計、格子干渉計、共焦点マイクロレンズアレイなどのような、当該技術分野において知られているセンサによって監視および制御される。
【0069】
本発明の一実施形態によれば、複数の電気信号が作成され、デジタル像データに変換され、制御ユニット800によって処理される。像走査中、制御ユニット800は、像センサ207が、所定の時間間隔を置いて複数の適時に分解された強度信号を複数の二次電子ビームレット9から検出するのをトリガするように構成されており、複数の一次荷電粒子ビームレット3のすべての走査位置からの像パッチのデジタル像が蓄積され、ともにスティッチングされる。
【0070】
マルチビーム生成ユニット305は、例えば、両方とも参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2019/0259575号および米国特許第10741355(B1)号において説明されている。作製誤差および散乱に非感受性であるマルチビーム生成ユニットのさらなる詳細は、参照により本明細書に組み込まれる、WO2021180365に開示されている。
【0071】
本発明の実施形態のいくつかの態様が、
図2に示されている。
図2は、マルチビーム生成ユニット305の断面を示す。
図2は、マルチビーム生成ユニット305の内側ゾーンまたは膜の一部のみを示している。下記により詳細に説明するように、マルチアパーチャプレートは、薄膜ゾーンを指示し、機械的安定性を提供するための支持ゾーンをさらに備える。マルチビーム生成ユニット305は、そのうちの1つの開口85.1のみが示されいてる複数の開口85.1を有する第1のマルチアパーチャプレートまたはフィルタプレート304を備える。入口側74において、各開口85.1は、直径D1の円形状を有する。コリメート入射電子ビーム309の部分が、開口85.1を通過しており、例えばビームレット3.1などの、複数の一次荷電粒子ビームレット3を形成している。第1のマルチアパーチャプレート304は、複数の開口85.1の周囲において衝突する電子ビーム309を停止させ、吸収するために、金属層99によって被覆されている。金属層99は、例えば、アルミニウムまたは金によって形成され、大きい容量、例えば接地(0V)に接続される。使用中に、電子ビーム309からの入射電子の大部分が、吸収層99において吸収され、吸収された電子の数に対応する電流が生成される。例えば、D1=30μmおよび150μmの複数の開口のピッチP1によって、コリメート入射電子ビーム309からの入射電子の約97%が吸収され、高い電子流が生成される。したがって、吸収層99は、使用中に、誘発される電流に対応する変動する電圧差を示し、したがって、静電素子の電極を形成するのに適していない。金属層99を含む上側セグメント331.1は、L1.1の厚さを有し、2μm≦L1.1≦5μmであり、荷電粒子ビーム309の衝突する電子に対する十分な停止力を提供し、金属フィルム99を支持する。
【0072】
図2の例のマルチアパーチャプレート304は、約5μmのz延在範囲L1.2を有する第2のセグメント331.2をさらに備える。第1のマルチアパーチャプレート304は、約7μm~10μmの厚さL1を有する。入口表面74において、開口85.1は、D1の直径を有する。第2のセグメント331.2は、内側壁が、直径が連続的に増大するx-z平面内の凹状円形断面を形成するように構成されており、x-z平面内の接線ベクトル103は、電子ビーム77が通過する主方向から外方に向いている。したがって、第2のセグメント101.2の内壁における傾斜は、通過する電子ビーム3.1から外方に向いており、マルチアパーチャプレート73.1の出射または底面107において最大開口直径D12で終端する。出射面107における最大開口直径D12は、第1のセグメント101.1の開口直径D1よりも大きい。
【0073】
一例において、ビーム出射面76は、例えば、接地レベル(0V)などの電位に接続されている導電層98によって被覆される。直径D12の境界または縁部を有する導電層は、第1のマルチアパーチャプレート304に隣接する、後続の第2のマルチアパーチャプレートまたは小型レンズプレート306.9のための対向する電極を形成する。使用中に、複数の静電レンズ素子を形成するために、第2のマルチアパーチャプレート306.9は、直径D3を有する、例えば電極79.1などの、各開口85.9の周りのリング電極79を有して構成されている。各リング電極79は、個別の電圧供給源に接続され、これは、0V~100Vの所定の電圧をリング電極79の各々に提供し、以て、例えばビームレット3.1などの、複数の一次荷電粒子ビームレット3の各々の焦点位置を調整する。第2のマルチアパーチャプレート306.9は、約30μm~300μmの長さL3を有する。
【0074】
図2のマルチビーム生成ユニット305は、複数の開口85.8を有する第3のマルチアパーチャプレートまたは接地電極306.8を備える。マルチアパーチャプレート306.8は、導電性材料によって形成されるか、または、導電層(図示せず)によって被覆され、接地レベルに接続される。したがって、マルチアパーチャプレートまたは接地電極プレート306.8は、第2のマルチアパーチャプレート306.9の中央電極79を有する複数の静電アインツェルレンズの第3の電極を形成している。第3のマルチアパーチャプレート306.8の厚さは、40μm~100μm、例えばL5=50μmである。マルチアパーチャプレート304、306.9および306.8の間の距離L2およびL4は、各々、10μm~40μmの範囲内にある。距離は、例えば、マルチアパーチャプレートの屈曲またはマルチアパーチャプレートの厚さ分布によって不均質であり得、2つのマルチアパーチャプレート間の距離はまた、例えば5μmなど、10μm未満であり得る。
図2の例および下記全体を通じて、プレート306.9またはプレート306.8などの、下側マルチアパーチャプレートの開口は、D3>D1かつD4>D1となるように、D1と比較してより大きい開口を有して構成されている。好ましくは、直径D3またはD4は、D3>1.5×D1かつD4>1.5×D1である。増大する直径のより多くの例が、下記に示される。
【0075】
図2のマルチビーム生成ユニット305によれば、像面湾曲の補償および像面傾斜の補償は、制限された範囲またはストロークでのみ可能である。下記に示す改善された設計がなければ、リング電極79.1によって形成される各個別の小型レンズによる集束能力の調整は、範囲が制限される。典型的には、そのようなアインツェルレンズによれば、中間面321内の1mm未満の集束能力を達成することができ、典型的には、電圧あたりの焦点位置の変化の比は、例えば9μm/1Vなど、1mm/100Vを下回る。より大きい集束ストロークのために、大きい電圧が電極に提供される必要があるが、これは、例えば、電場の誘発される充電および漏れによって、大きい収差およびクロストークをもたらす。集束範囲が制限されることは、ウェハ検査のためのマルチビームシステム1、ならびに、より多数の一次荷電粒子ビームレット、および、したがってより大きい場を有し、例えば、複数N>200またはN>300個の一次荷電粒子ビームレットを有するマルチビームシステム1にとって、特に問題である。そのようなシステムにおいて、像面傾斜を有する湾曲した中間像面321は、DF>1mm、好ましくはDF>3mm、またはさらにはDF>5mmを有する複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の集束能力DFの個別の独立した変更を必要とする。例えば、像面傾斜の向きおよび像面湾曲の量は、マルチビームシステム1の磁気光場レンズ群(103)および磁気光対物レンズ(102)の設定に依存し、場レンズ群(103)および対物レンズ102の各異なる設定について、複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の集束能力DFは、像面湾曲の量および像面の傾斜の向きに従って独立して個別に変更されなければならない。
【0076】
図3は、本発明の第1の例を示す。
図3によれば、第1の例のマルチビーム生成ユニット305は、電子が伝播するz方向において、一連の5つのマルチアパーチャプレート304および306.2~306.5と、大域的コンデンサレンズ307とを備える。各マルチアパーチャプレート304および306.2~306.5は、各プレート内で同じ横方向距離P1だけ離間されている複数の開口85.1~85.5を備え、各プレートは、複数の一次荷電粒子ビームレット3が生成および成形されるように位置整合されている。複数のマルチアパーチャプレート304および306.2~306.5ならびに大域的レンズ電極307は、スペーサ83.1~83.4およびスペーサ86によって離間されている。マルチビーム生成ユニット305は、内側膜ゾーン335および支持ゾーン333を有する、各マルチアパーチャプレート内に4つの開口85.1~85.5のみが示されている断面(x,z)において示されている。第1のマルチアパーチャまたはフィルタプレート304は、
図2のフィルタプレート304と同じ機能を有し、類似しているが、必ずしも底部側76に導電層98を有するとは限らない。フィルタプレート304のバルク材料は、例えば、ドープシリコンなどの導電性材料から作成され、接地レベルに接続される。第2のマルチアパーチャプレート306.2は、
図2のマルチアパーチャプレート306.8に類似している接地電極プレートである。第2のマルチアパーチャまたは接地電極プレート306.2は、例えば、ドープシリコンなどの導電性材料から作成され、接地レベル(0V)に接続される。
【0077】
第3のマルチアパーチャプレート306.3は、各々が、例えば荷電粒子ビームレット3.1~3.4などの対応する一次荷電粒子ビームレットの焦点位置を個別に変化させるように構成されている、複数の開口の複数のリング電極79を備える第1の層306.3aを有する2層小型レンズプレートである。第1の層306.3aの下流の第2の層306.3bは、第1の層から絶縁されており、ドープシリコンなどの導電性材料から作成される。第2の層306.3bは、接地レベル(0V)に接続される。接地電極プレート306.2、第1の層306.3aおよび第2の層306.3bは、使用中に、複数の一次荷電粒子ビームレット3のための複数の個別に調整可能なアインツェルレンズを形成する。より大きい集束範囲DFを有する2層小型レンズプレート306.3のさらなる詳細は、下記に説明する。
【0078】
マルチビーム生成ユニット305は、マルチ偏向器プレートとしての役割を果たすこともできる、マルチスティグメータプレート306.4の第4のマルチアパーチャをさらに備える。マルチスティグメータプレート306.4は、複数の開口85.4(
図3ではラベル付けされていない)の各々の、例えば、8個の電極などの、複数4個以上の電極81を備える。使用中に、-20V~+20Vの範囲内の異なる電圧を、電極の各々に提供することができ、以て、各ビームレット3.1~3.4に個別に影響を及ぼすことができる。例えば、反対称電圧差によって、各ビームレット3.1~3.4は、照射ユニット100の歪み収差を予め補償ために、各方向において最大数μmだけ偏向することができる。典型的には中間像面321内の約±10μmまたは像面101内の約±0.5μmの歪みを、最大±10Vの電圧によって補償することができる。例えば、各ビームレット3.1~3.4の非点収差を補償することができる。オフセット電圧によって、各多極素子が、付加的にアインツェルレンズとして機能することができる。各多極素子は、両方とも接地レベル(0V)に接続されている第2の層306.3bおよびハイブリッドレンズプレート306.5とともにラウンドレンズ場のオフセットを形成することができる。以て、集束範囲DFが付加的に増大される。
【0079】
第5のマルチアパーチャプレートまたはハイブリッドレンズプレート306.5は、ドープシリコンから作製され、接地レベル(0V)に接続されているさらなる電極を形成する。一例において、第5のマルチアパーチャプレート306.5は、また、例えば、例として金(Au)などの金属層またはAuPdなどの複合層を堆積することによって、導電層によって被覆することができる。
図3の例において、第1のコンデンサレンズ307はマルチビーム形成ユニット305に接続されている。コンデンサレンズ307は、例えば-12kV~-17kVなどの、-3kV~-20kVの高電圧を印加することができるリング電極82を備える。コンデンサレンズ307は、一方においては、ビームレット3.1~3.4を含む複数の一次荷電粒子ビームレット3に対する大域的集束作用のための大域的静電レンズ場を形成する。静電レンズ場は、例えば開口85.5の各々へと、ハイブリッドレンズプレート306.5の開口に侵入し、集束能力を有する追加の静電レンズ場が、ハイブリッドレンズプレート306.5の各開口内に生成される。しかしながら、従来技術のハイブリッドレンズプレート306.5の静電レンズ場は、個別に調整することができず、変動する像面傾斜および変動する像面湾曲量を補償することを可能にしない。
【0080】
任意選択のさらなるコンデンサレンズ308によって、ビームレット3.1~3.4を含む複数の一次荷電粒子ビームレット3の各々が、使用中に、湾曲および傾斜した中間像面321へと集束されて、焦点が無収差になるように補正されたスポットが形成される。
【0081】
図4は、集束範囲DFが増大した2層小型レンズプレート306.3のセグメント306.3aを示す。2層小型レンズプレート306.3は、複数の開口85.3および85.4(2つのみが示されている)ならびに開口85.33および85.34の周りに配置されているリング電極79.3および79.4を有する内側ゾーンまたは膜を備える。開口は、荷電粒子ビームレット3.3および3.4を透過するためにフィルタプレート304の複数の開口85.1と位置整合されている。リング電極は、例えば絶縁材料である二酸化ケイ素によって、絶縁ギャップ185を介してバルクシリコンまたはSOI基板から絶縁されている。バルクシリコンまたはSOI基板は、例えば、ドープシリコンから作成されており、接地レベルに設定されている遮蔽電極183として作用する。各リング状電極79.3、79.4は、例えば、配線接続175.4などの電気配線接続175を介して、電圧供給源、制御ユニット830(
図1参照)の電圧サポート(図示せず)に電気的に接続されており、絶縁材料179によって基板183から絶縁されている。絶縁材料は、例えば、酸化ケイ素であり、これは、バルク材料(ドープシリコン)の熱酸化または酸化ケイ素の堆積のいずれかによって、例えば、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)から生成される。絶縁材料179は、配線接続175.4の上方に延在し、結果、配線175.4およびバルク材料183は、上側で完全に被覆される。ラウンド電極79の内側壁は、絶縁材料179によって被覆されない。絶縁材料の上方に、導電性遮蔽層177が形成され、これは、2層小型レンズプレート306.3のビーム入口または上側表面173を形成する。導電層は、突入拡張部189によって開口へと延在し、幅gの小さい絶縁ギャップ181が、導電性遮蔽層177と電極79.4との間に形成され、以て、導電層177が電極79.4から絶縁される。導電層177は、例えば、接地(U=0V)などの巨大な容量に接続されている。したがって、使用中に、散乱荷電粒子が導電性遮蔽層177によって吸収され、外方に伝導されて、擾乱表面電荷が回避される。導電層177が大きい容量に接続されることによって、使用中に、安定した静電素子が生成される。以て、表面電荷が、使用中に、従来のマルチアパーチャプレートと比較して10%未満まで低減される。間隙距離gは6μmを下回り、例えば、4μmを下回り、好ましくは、例えば1μmなど、さらに2μmを下回る。小さい絶縁ギャップ181内の表面電荷は、絶縁ギャップ181の小さい距離gに起因して消滅する。さらに、改善した設計によって、配線接続175.4は、開口85.4の円筒内壁までの大きい距離hを置いて電極79.4に接続されており、結果、絶縁ギャップ181を通じて配線接続によって誘発される静電場の漏れが最小限に抑えられる。例えば、配線接続は、リング電極79.4の外縁に近接して形成される。この配置によって、例えば、最大200Vの電圧、好ましくは0V~500Vの電圧などの、より大きい電圧を、リング電極79の各々に印加することができる。距離hは、好ましくは6μmよりも大きく、例えば、10μmまたは12μmである。導電性遮蔽層177に小型レンズ層306.3aの開口85へと突入する拡張部を提供し、電極79に対する幅gの小さい間隙181を形成することによって、および、配線接続175までのより大きい距離hによって、例えば、150Vもしくは200V、またはさらには500Vの、100Vを超えるより大きい電圧を提供することができ、集束範囲DFがより大きく、収差がより低い静電レンズ素子を使用中に生成することができる。
【0082】
導電性遮蔽層177は、約2μmの厚さを有する、例えばアルミニウムなどの金属から作成され、接地に接続される。配線接続175.4は、d=1μmの厚さで、例えば、アルミニウム、金または銅によって形成される。絶縁酸化ケイ素179の絶縁層の各々は、2μm~4μmの厚さb1、b2またはb3を有する。応力が誘発する変形を回避するために、任意選択のさらなる応力補償層187を提供することができる。応力補償層187は、1μm~2μmの厚さで、例えば、SiNxによって形成することができる。層177、175および187は、絶縁材料179とともに、多層スタックMLSを形成する。好ましくは、各絶縁層は、例えば、化学機械研磨(CMP)によって、平坦化され、2.5μmを下回る厚さまで水平に均される。水平化は、例えば配線接続175または突入拡張部189のより精密なリソグラフィ処理を可能にする。水平化によって、応力補償層187を省略することができ、それによって、多層スタックMLS全体の厚さが低減する。改善されたマルチアパーチャプレートの多層スタックは、10μmの厚さを超えず、好ましくは、厚さは約8μmである。以て、静電レンズ場の擾乱がより低い導電性遮蔽層177の平坦な表面を作製することができる。
【0083】
図5は、本発明のさらなる例を示す。
図5の例は、
図3の例と同様であり、
図3が参照される。
図5において、第2のマルチアパーチャプレートまたは接地電極プレート306.2および第3のマルチアパーチャプレートまたは2層小型レンズプレート306.3の順序は反転されており、結果、複数の一次荷電粒子ビームレットが、最初に、2層小型レンズプレート306.3の第2の層または接地層306.3bに入っており、その後、複数のリング電極を含む第2の層306.3aに交差する。2層小型レンズプレート306.3の下流で、ビームレット3.1~3.4を含む複数の一次荷電粒子ビームレット(3)は、接地電極プレート306.2の開口に交差する。この配置によって、2層小型レンズプレート306.3の多層スタックMLSの遮蔽層177に衝突する散乱粒子をより少なくすることができ、MLSにおいて生成される擾乱電荷をより少なくすることができる。使用中に複数のリング開口79に提供される電圧を、より高い精度およびより少ない変動で制御することができる。加えて、MLSの厚さをさらに低減することができる。例えば、2層小型レンズプレート306.3の底部における導電性遮蔽層177の厚さを、約a=1μmまで低減することができ、MLSの厚さを約7μmまで低減することができる。
【0084】
2層小型レンズプレート306.3の反転配置によって、リング電極への二次または散乱電子の任意の流れが、電極層306.3aの上流の接地電極層306.3bによって大幅に低減される。さらに、接地電極層306.3b内の深い開口孔によってクロストークが低減され、X線または制動放射が、電極層306.3aに達する前により効果的にフィルタリングされる。電極層306.3aの下流の遮蔽層177を低減することができるか、または、さらにより大きい電圧を提供することができる。したがって、例えば、DF>3mmなどの、より大きい集束範囲DF>1mmを、
図5の例によって達成することができる。
【0085】
図6は、本発明のさらなる修正を示す。
図6の例は、
図5の例と同様であり、
図3および
図5が参照される。
図6において、マルチスティグメータプレート306.4の位置が変更されている。マルチスティグメータプレート306.4は、2層小型レンズプレート306.3の上流に配置されている。以て、各ビームレット3.1~3.4の交差位置の精密な制御が可能であり、2層小型レンズプレート306.3の小型レンズに入る前に、残留収差を予め補償することができる。
【0086】
図7は、本発明のさらなる例を示す。
図7は、
図6と同様であるが、ハイブリッドレンズプレート306.5が、単一の小型レンズ層として形成されている終端マルチアパーチャプレート310に置き換えられている。終端マルチアパーチャプレート310は、終端マルチアパーチャプレート310の複数の終端開口94の各々の周りに配置されている複数のリング電極79.2を備える。リング電極79.2の各々は、制御ユニット830に個別に接続され、制御ユニットは、使用中に、静電小型レンズ場92(下記
図8参照)の終端開口94への侵入深さを個別に独立して操作するために、複数の個別の電圧をリング電極79.2に提供するように構成されている。終端マルチアパーチャプレート310の機能は、
図8により詳細に示されている。静電コンデンサレンズ307のリング電極82によって、静電場92が、終端マルチアパーチャプレート310とリング電極82との間に生成される。静電場92は、終端マルチアパーチャプレート310の終端開口94に侵入し、マルチビーム生成ユニット305の全体的な集束能力に寄与する、終端開口94内のマイクロ小型レンズ(92.1、92.2)を形成する。これは、
図8a内で、静電小型レンズ場分布92の等電位線において示されている。終端マルチアパーチャプレート310によって、静電小型レンズ場分布92の侵入深さを複数のリング電極79.2によって個別に制御することができ、個別に調整可能なマイクロ小型レンズが形成される。例えば、静電コンデンサレンズ307の電圧に対してより大きい電圧差がリング電極79.21に印加され、使用中に、吸引場88が生成される。したがって、より能力の大きいマイクロ小型レンズ92.1が生成され、荷電粒子ビームレット3.1が、マルチビーム生成ユニット305までのより短い距離を置いて焦点311.1に集束される。コンデンサレンズ307の電圧に対してより小さい電圧差がリング電極79.22に印加され、使用中に、抑制場(suppression field)90が生成される。したがって、より集束能力の小さいマイクロ小型レンズ92.2が生成され、荷電粒子ビームレット3.2が、第1の焦点位置311.1の下流に離間された第2の焦点311.2に集束される。
図8aの電極79.21および79.22の例によれば、レンズ場92.1および92.2などの複数の静電マイクロレンズ場(92)が、個別に形成または調整され、例えば、DF>1mmまたはDF>3mmなどの、マルチビーム生成ユニットのより大きい集束範囲達成することができる。
【0087】
図8bは、終端マルチアパーチャプレート310のいくつかの修正を示す。終端マルチアパーチャプレート310は、両側を導電性遮蔽層177.1および177.2によって被覆される。両方の導電性遮蔽層177.1および177.2が、接地に接続されており、終端マルチアパーチャプレート310を効果的に遮蔽する。したがって、静電マイクロレンズ場(92)が、終端開口94を除いて、終端マルチアパーチャプレート310へと侵入することを妨げられる。複数の電極79.2が、接地レベルに接続されている遮蔽開口183によってさらに遮蔽される。以て、クロストークが低減される。したがって、例えば、DF>3mmなどの、マルチビーム生成ユニットのさらにより大きい集束範囲DFを達成することができる。
【0088】
電極79.2は、
図8aに示すように、終端開口94の下縁に形成することができる。これには、高い感度が達成されるという利点がある。電極79.2は、終端マルチアパーチャプレート310の底面までの距離mを置いて終端開口94の内部に形成することもでき、距離mは、2μm≦m≦10μmの間で選択される。好ましい距離mは、例えば、m=4μmまたは6μmによって与えられる。より小さい距離mによって、より大きい感度を達成することができる。より大きい感度によって、マイクロ小型レンズ92.1または92.2を抑制または拡大するために、電極79.2において必要とされる電圧がより低くなる。しかしながら、より大きい感度によって、終端マルチアパーチャプレート310はまた、収差または擾乱に対しても感受性になり、したがって、より安定した動画のために、例えば、m=4μmまたはm=6μmなどの、より大きい距離m>3μmが好ましい。より大きい距離mによって、導電性遮蔽層177.2ならびに電極79.21および79.22と導電性遮蔽層177.2との間の絶縁層179にも、終端マルチアパーチャプレート310へのまたはそこからの静電場の漏れを防止するために、より大きい厚さを与えることができる。導電性遮蔽層177.2によって、場電極79.2とコンデンサ電極82との間のアーク放電も防止され、場電極79.2および場電極79.2に接続されている制御ユニット(830)の電子的素子が、損傷から保護される。導電性遮蔽層177にはまた、より詳細に上述したように、終端開口94への突入拡張部189(
図8には示されていない)も設けることができる。上述したような絶縁層179の水平化によって(
図4および対応する説明を参照されたい)、高品質の平坦な遮蔽層177.2を、底面76に設けることができ、静電小型レンズ場分布92が、高い精度および低い擾乱または収差で形成される。
【0089】
図7および
図8の実施形態によれば、さらにより大きい集束範囲DFおよび複数の一次荷電粒子ビームレットの焦点位置のより大きい変動を達成することができ、像面101のさらにより大きい像面湾曲および傾斜を予め補償することができる。静電小型レンズ場分布92は、電極79.2に印加される個別の電圧によって変更され、以て、複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の焦点位置311の個別の制御が、高い効率で達成される。したがって、作動される終端マルチアパーチャプレート310の可変静電小型レンズ場分布92は、像面湾曲のより効果的な事前補償を可能にする。可変静電小型レンズ場分布92の複数のレンズ効果が一次効果であるため、例えば、小型レンズ場分布92.1または92.2などの、各可変静電小型レンズ場分布92の集束能力の変化に対してより大きい効果を達成するために必要とされる電圧がより低くなる。各可変静電小型レンズ場分布92.1または92.2の変化はまた、正または負の方向とすることもできる。したがって、約±20Vを超える中程度の電圧であっても、すでに、大きい集束能力を達成することができる。集束能力は、特に、例えば50Vまたは100Vを超える電圧を有する上述のアインツェルレンズと同様に、より大きい。終端開口94における約±25Vまたは±50Vの同様の電圧差によって、集束範囲を、アインツェルレンズと比較して少なくとも2倍の大きさのz範囲にわたって調整することができる。例えば、下記で
図4および
図16において説明されているような静電場を遮蔽するための改善された作製方法および手段によれば、終端アパーチャプレート310を高い精度で作製することができ、結果、例えば、±100V以上などの、±50Vを超えるさらにより大きい電圧差を印加することができ、さらにより大きい集束範囲を達成することができる。
【0090】
終端マルチアパーチャプレート(310)の終端開口94は、DTの直径を有する。
図7の例において、開口85.1~85.4の直径のいくつかの例が説明される。終端開口は、典型的には、1.6×D1≦DT≦2.4×D1の範囲内にある最大開口を有する。以て、フィルタ開口85.1において形成される一次ビームレットは、終端開口よりも小さい直径を有する。他方、終端開口の直径は、静電マイクロレンズ場(92.1、92.2)によるより大きい集束能力を達成することができるように、制約される。ここではマルチスティグメータプレート306.4の開口85.4である、第2の開口の直径は、D2によって与えられる。D2は、D1~DTであり、1.4×D1≦D2≦0.75×DTである。2層小型レンズプレート306.3の第3の開口85.3は、D2とDTとの間の直径D3を有し、1.4×D1≦D2≦0.9×D3≦0.8×DTである。
【0091】
図9は、
図7のさらなる修正を示し、
図7および
図8の説明も参照される。
図7とは反対に終端マルチアパーチャプレート310の単一の小型レンズ層が、終端マルチアパーチャプレート310を形成する2層小型レンズプレートに変更されている。さらに、接地電極プレート306.2の位置が、フィルタプレート304とマルチスティグメータプレート306.4との間の位置に変更されている。
図3を参照して上述したように、複数の開口85.4の各々におけるマルチスティグメータプレート306.4の8つの電極の各々に対する一定の電圧オフセットによって、マルチスティグメータプレート306.4は、使用中に、接地電極プレート306.2および接地層306.3bとともに、複数の調整可能アインツェルレンズを形成するように構成されている。終端マルチアパーチャプレート310を形成する反転2層レンズプレートのリング電極層306.3aのラウンド電極79によって、
図8に記載されているように、使用中に、終端マルチアパーチャプレート310の開口94への静電場の侵入深さを制御することができる。この例において、静電コンデンサまたは場レンズ307は、第1のリング電極307.1と、第2のリング電極307.2とを備える。第1のリング電極307.1は、例えば、接地レベルに接続することができ、第2の電極82は、例えば25kV以上の高電圧に接続することができる。場レンズ307.1および307.2を有する静電コンデンサによって生成される静電場92は、等電位線によって示されている。終端マルチアパーチャプレート310の上流のマルチスティグメータプレート306.4の配置によって、ビームレット(3.1~3.4)を含む一次荷電粒子ビームレット(3)の各々を、対応する終端開口94に入る前に偏向または成形することができる。以て、例えば、可変静電小型レンズ場分布92の収差を予め補償することができる。
【0092】
マルチスティグメータプレート306.4の複数の開口におけるオフセット電圧によって制御される複数のアインツェルレンズの組み合わされた作用、および、複数のリング電極79を有するリング電極層306.3aの終端開口94への静電マイクロレンズ場92の侵入深さの制御によって、ビームレット3.1~3.4の焦点311.1~311.4の位置を、傾斜成分323を有する所定の中間像面321に一致するように、精密に制御することができる。マルチスティグメータプレート306.4によって、使用中に、複数の焦点スポット311の横方向位置をさらに制御および調整することができるとともに、非点収差を予め補償することができる。以て、マルチビーム生成ユニット305の荷電粒子結像系(
図1参照)の像面湾曲および像面323の傾斜を予め補償するために、中間像面321の湾曲を達成することができる。中間像面321の湾曲は、一次荷電粒子ビームレットの伝播方向において凸形状であり、結果、湾曲した中間像面321の湾曲の中心は、中間像面321の下流にある。
【0093】
図10は、
図9へのさらなる修正を示し、
図9が参照される。ここでは、接地電極プレート306.2が省略されている。フィルタプレート304に、
図2に示すような電極層98(
図10には示されていない)を設けることができる。
【0094】
底部側の最後のマルチアパーチャプレート306.3の開口縁部の精度は、侵入場の精度にとって、したがって、静電マイクロレンズ場92にとって重要である。したがって、開口縁部は、高い正確度で製造されなければならない。
図11は、
図7の正を示し、
図7および
図8が参照される。
図11の例は、2つの多極素子306.4および310、ならびに、複数の一次荷電粒子ビームレット3.1.~3.4の各々に対する1つのリング電極79を備える。
図7の例に対する差は、
図7の単一の小型レンズ層の代わりに終端マルチアパーチャプレート310を形成する第2のマルチスティグメータプレートが配置されていることである。終端マルチスティグメータプレート310によって、
図8において説明したものと同様に、各終端開口94における8つの電極に一定の電圧オフセットを印加することによって、静電コンデンサ場の侵入深さの制御を達成することができる。加えて、侵入場をシフトおよび成型することができ、各ビームレットの非点収差補正を個別に達成することができる。この例によれば、多極電極81.2の各々に所定の補償電圧に提供することによって、底部側76の最後のマルチアパーチャプレート310の開口縁部の理想的な形状からの逸脱を、電気光学的に補償することができる。これらの電圧は、例えば、較正ステップにおいて決定することができる。
図12は、
図11の例のさらなる変形を示し、2層小型レンズプレート306.3が、追加のスペーサによって離間された接地電極プレート306.8およびレンズ電極プレート306.9に置き換えられている。
図13は、
図12のさらなる変形を示し、レンズ電極プレート306.9が、さらなるマルチスティグメータプレート306.43に置き換えられている。ここで、ビームレット3.1~3.4の各々に対する個別のレンズ作用を、異なる方法によって達成することができる。接地電極306.2および306.8を形成するためにマルチスティグメータプレート306.41および306.43のいずれかの8つの開口から成るセットにオフセット電圧を印加することによって、使用中に、第1のおよび第2の集束能力が達成される。
図8に示すような吸引場88または抑制場90を達成するために、終端マルチアパーチャプレート310の8つの開口から成るセットにオフセット電圧を印加することによって、使用中に、第3の集束能力が達成される。使用中に集束能力を生成する第4の方法は、参照により本明細書に組み込まれる、DE102020107738B3に記載されているような一連の四重極場を生成することによって達成される。少なくとも3つの多極素子の各々の各四重極が、互いに対して回転され、以て、無収差集束を達成することができる。集束能力を変更または調整するためにマルチスティグメータアレイ306.41、306.43および終端マルチアパーチャプレート310に供給される個別の電圧は、各々、使用中に、横方向ビームスポット位置の追加の補正および非点収差の追加の補正を達成するように調整することができることが理解される。2つ以上のマルチスティグメータプレート306.4または310を有する例において、多極素子は、マルチスティグメータプレート306.4または310の各々について異なる回転角にあることができ、より高次の非点収差またはトレフォイル収差も補償することができることがさらに理解される。
図7~
図14の例の、終端マルチアパーチャプレート310を含む複数のマルチアパーチャプレート306.3~306.9および310内の連続する電極79および81の各々を組み合わせて制御することによって、複数の多段マイクロレンズ316が形成され、集束能力または集束範囲DFが、DF>1mmを超え、好ましくはDF>3mm、さらにより好ましくはDF>5mm、例えばDF≧6mmに増大する。
【0095】
図14は、
図9に記載されている例の別の変形例を示す。
図9の例とは反対に、静電コンデンサレンズ307のラウンド電極82が、例えば、4つまたは8つのリングセグメント84.1~84.8などの、複数のリングセグメントに分割され、したがって、四重極または八重極素子が形成される。したがって、使用中に終端マルチアパーチャプレート310の終端開口94に侵入する静電マイクロレンズ場92は、例えば、セグメント化開口84のリングセグメント84.1~84.8によって生成される非対称性または不均質性を有する。リング電極84のこれらのセグメントによって、例えば、等電位面によって示されるような、静電マイクロレンズ場92の線形変動を導入することができる。以て、中間像321の必要な傾斜を容易にすることができる。静電コンデンサレンズ307の下流の追加の偏向器(
図14には示されていない)によって、複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の残留傾斜を補償することができる。
【0096】
図15aは、各開口85.4(3つのみが85.41、85.42および85.43によってマークされている)の8つの電極81.11~81.18を有するマルチスティグメータプレート306.4の上面図を概略的に示す。3つの電極81.11~81.18はともに、例えば透過一次ビームレットを偏向させるかまたは成形することが可能な多極電極81を形成する。複数の多極電極81の各々が、配線接続175によって電圧供給源に接続されている。使用中に、-20V~20Vの範囲内の複数の低電圧が複数の電極に印加される。電極81.11~81.18の各リングは、絶縁ギャップ185によって、多極電極81間の遮蔽層183を形成する導電性バルク材料から絶縁される。遮蔽層183は、接地レベルに接続される。したがって、多極電極81は、バルク材料内に具現化され、これらは両方とも、例えば、ドープシリコンから形成される。マルチスティグメータプレート306.4は、遮蔽層(
図15aには示されていない)によってさらに被覆される。
【0097】
対応する開口85または94の周囲の各電極リング79または81は、例えば12μmなどの、6μm~15μmの幅を有する。開口85または95の直径D3は、例えば、50μm≦D3≦70μmによって与えられる。したがって、各電極リングの直径D3oは、65μm≦D3≦95μmの間である。最小ピッチP1は、典型的には、直径D3o、および、2つの隣接する電極リング79または81の間の遮蔽層183によって形成される残りの絶縁ギャップによって制限される。約10μm、好ましくは約15μmの最小遮蔽距離によって、ピッチP1は、例えばP1=100μmまたはP1=150μmなどの、P1≧75μmによって選択することができる。一般的に、電極のより小さい幅が、各電極の体積、したがって容量を低減する。より小さい容量は、電極によって生成される静電場のより高速の変更にとって有利である。より大きい容量は、変動する電荷または電荷拡散に関してより大きい安定性を提供する。したがって、電極の容量の寸法は、静電場を変化させるかまたは静電場を一定に維持するための時間的要件に従って選択される。典型的には、約15μmのリング幅を有するシリンダ電極79が提供され、以て、電磁レンズ場が高度に安定した大きい容量が提供される。典型的には、例えば6μmのより小さい幅を有する多極電極81が提供され、以て、各電極81.1~81.8は、小さい容量を有して構成され、電磁多極場が高速で変化する。
【0098】
図15bは、線形勾配を有する静電場を印加するための、セグメント84.1~84.8を含むリング電極84のセグメントを概略的に示す。
【0099】
図16aおよび
図16bは、レンズ電極プレート306.9、2層小型レンズプレート306.3のレンズ電極層306.3a、マルチスティグメータプレート306.4、または終端マルチアパーチャプレート310などのマルチアパーチャプレート306を作製するための例を示す。円筒開口85、94が、半円によって指示されており、図解の右側のステップS1~S11全体にわたっている。開口は、ステップS1の前に形成し、ステップS2~ステップ11中に、フォトレジストなどの除去可能ホゴコーティングによって保護することができる。代替的なソリューションにおいては、開口は、ステップS1~S11の形成後に、リソグラフィ処理および周知のエッチング技法によって形成することができる。
【0100】
座標系は、
図1の座標系に従って選択され、z軸の正方向が、一次荷電粒子ビームレットの伝播方向にある。正のz方向および伝播方向は、通常の感覚で「下向き」である。
図1、
図2または
図16において正のz方向が「下向き」を指すのに関係なく、「上側」の平面または位置は、一次荷電粒子ビームレットが最初に交差する平面を指し、「下側」または「底部」の平面は、一次荷電粒子ビームレットがその後に交差する平面を指す。したがって、選択された座標系において、「上側」位置は、下側または底部位置としての下側z座標を有する。
【0101】
ステップS1において、第1の上層129.1および第2の層129.2の2つの層を有するSOIウェハが提供される。それらの層の厚さは、典型的には30μm~300μmである。第2の層129.2は、酸化ケイ素層(例えば、二酸化ケイ素)として形成される。第2の層129.2は、化学機械研磨(CMP)によって、例えば1μmまたはさらには0.2μmなどの、およそ2μm以下を下回るまで第2の層129.2の厚さを水平に均すことによって、低減された厚さを有することができる。上層129.1は、例えば、50μmの厚さを有する。
【0102】
代替的な例において、SOIウェハは、2層小型レンズプレート306.3の接地電極層を提供するための、例えば200μm厚の第3の層(129.3、図示せず)を備える。第1の層および任意選択の第3の層(129.1、129.3)は、ドープシリコンから構成され、有限の導電性を有し、結果、電極は、第1の層または第3の層内に直接的に形成することができる。
【0103】
ステップS2において、円形リングがデバイス層129.1内へと形成され、電極79とバルク材料183との間に絶縁ギャップ185が形成される。多極電極81について、多極電極の分離のためのさらなるトレンチまたは絶縁ギャップが、RIEエッチングによって生成される。
【0104】
ステップS3において、厚い電気絶縁層179.1が、例えば熱酸化によって形成され、したがって、約2~3μm厚の酸化ケイ素フィルム(二酸化ケイ素)が形成される(注記:ステップ3およびさらなるステップにおいて、第2の層129.2の図解は省略されている)。
【0105】
ステップS4において、絶縁ギャップ内の電気絶縁層179.1内の残りの間隙が充填され、酸化ケイ素フィルム179.2(TEOSガスの分解からの酸化物、TEOS=オルトケイ酸テトラエチル)の堆積による部分平坦化が達成される。
【0106】
ステップS5において、SiO2層179.2の不要な部分、および、部分的に酸化ケイ素層179.1がCMP(化学機械研磨)によって除去され、したがって、例えば、1μmまたはさらには0.5μmの厚さを有する、約2μm厚以下の一定の平坦な絶縁層179.3が形成される。以て、厚い二酸化ケイ素層が回避され、応力が低減される。さらに、平坦化された酸化ケイ素層によって、マルチアパーチャプレートのさらなるフォトリソグラフィ処理を、より高い正確度で実施することができる。厚さが低減されたSiO2層はまた、さらなるエッチングステップにとっても有利である。開口および他の微細構造のエッチング中に、フォトレジストマスキング層によって輪郭が画定される。例えばCMPによる平坦化および厚さの低減によって、静電素子の低収差性能に必要である、エッチングされた構造の縁部および側壁の正確度が改善される。
【0107】
厚さと不均一な二酸化ケイ素層の両方の問題が、信頼性がなく再現不能なエッチシーケンスおよび欠陥(エッチング不足、陥穴、粗い壁)の形成に寄与する。そのような欠陥および粗い側壁は、非点収差および高次の収差の既知の原因である。本発明の1つの態様は、ステップS5による平坦化二酸化ケイ素層または絶縁層の水平化によって、これらの問題が回避されることである。
【0108】
ステップS6において、配線接点193のための開口部が、内側開口側壁87から遠隔した位置において、絶縁層179.3内に形成される。
【0109】
ステップS7において、導電層が、平坦化絶縁層179.3の上方に形成される。導電層は、例えば、1μm厚のアルミニウムまたは銅層とすることができる。導電層はまた、約50nm~200nm.の厚さで金によって形成することもできる。導電層175は、すべての電極79または81に対して、電気配線接続175(1つのみが示されている)によって所定の個別の電圧を個別に提供することができるように、フォトリソグラフィによって構造化されている。
【0110】
ステップS8において、複数の配線接続175を完全に被覆するために、さらなる絶縁TEOS層179.4が形成される。TEOS層179.4は、開口の内壁87との間隙145を形成するように、フォトリソグラフィによって構造化される。
【0111】
ステップS9において、絶縁TEOS層179.4がCMPによって研削され、約0.5μm~2μmの厚さを有する残留絶縁TEOS層179.5が、配線接続175の上方に形成される。ステップS9はまた、ステップS8におけるフォトリソグラフィ構造化の前に実施することもできる。
【0112】
ステップS10において、導電性遮蔽層177.1が、金属堆積によって、残留絶縁酸化ケイ素層179.5上に形成され、間隙145内に突入拡張部189を形成する。電場の十分な遮蔽を提供し、散乱荷電粒子を吸収するために、例えば1μmなどの、最大2μmの厚さを有する金属フィルムが形成される。
【0113】
ステップS9とS10との間の2つのさらなる任意選択ステップにおいて、SiNxから形成される応力補償層が残留絶縁TEOS層179.5上に堆積され、さらなる二酸化ケイ素絶縁層が、応力絶縁層を被覆するために提供される。絶縁層は、再び、化学機械研磨によって平坦化することができる。PECVD(プラズマ化学気相成長)によって、SiNxの約-1GPa(圧縮)から+1GPa(引張)まで変動する所望の応力を、組成xおよび堆積パラメータに応じて達成することができる。
【0114】
さらなる任意選択ステップS11(別個に示されていない)において、ビーム上側の層177.1と同様に、導電性遮蔽層177.2によって、底部側76をさらに被覆することができる。第3の層129.3の事例において明らかに、第2の導電性遮蔽層177.2は、第3の層129.3の底部側に形成される。導電層177.2は、例えば、2μm厚のアルミニウム層によって形成することができる。両方の遮蔽層177.1および177.2が、接地に接続されており、マルチアパーチャプレート306への電場の漏れを防止する。第2の遮蔽層177.2は、
図5、
図6、
図9~
図11および
図14の例に示されているような、マルチアパーチャプレート306.3の反転配置にとって、特に重要である。しかしながら、反転配置は、2層小型レンズプレート306.3の反転配置に限定されず、マルチスティグメータプレート306.4などの他のマルチアパーチャプレートも、反転して、すなわち、配線接続175が荷電粒子の伝播方向において電極層の背後または後ろになるように、配置することができる。そのような構成において、配線接続175は、良好に被覆され、散乱荷電粒子に対する感受性が低くなり、例えば、誘導電荷が、低減されるか、または、電極79または81から完全に防止される。反転配置において、配線接続175はまた、フィルタプレート304の上面に生成される制動放射からも、より良好に保護される。したがって、反転配置のいくつかの例において、配線接続175の下方または下流の遮蔽層を、さらに省略することができる。
【0115】
任意選択ステップS12(図示せず)において、遮蔽層177.1および177.2を、追加の研磨によって、例えば、CMPプロセスを用いて、さらに平坦化することができる。
【0116】
図16に与えられているプロセスステップによって、より大きい集束ストロークにわたってより大きい電圧を提供することができる。加えて、酸化ケイ素層をCMPによって薄化することによって、応力によって誘発される変形の導入がより少なくなり、プロセスステップS1~S12に従って作製されるマルチアパーチャプレート306の熱変化に対する感受性がより低くなる。
【0117】
プロセスステップS1~S12によって、薄い絶縁層および導電性遮蔽層177.1内の個別の金属配線接続175を有する複数の電極を有するマルチアパーチャアレイ306が、6μm未満、好ましくは5μm未満と、MLSの厚さを大幅に低減されて製造される。いくつかの絶縁体層179.1~179.5が、絶縁ギャップ185を充填し、金属配線接続175の絶縁層を形成し、導電性遮蔽層177.1を絶縁するために、第1の電極層129.1の表面に必要とされる。化学機械研磨(CMP)によって、絶縁層はその後、研磨および平坦化され、したがって、配線接続などの層または構造の形成を、より高い正確度で実施することができる。加えて、開口のエッチングまたは配線接続もしくは他の構造の形成のための後続のエッチングプロセスが、大幅に低減される。
【0118】
CMPによって、マルチアパーチャアレイ306を、より高い再現性で製造することができる。平坦化によって、導電性遮蔽層177.1がより高い品質で形成され、電場を高い精度で制御することができる。
【0119】
2層小型レンズプレート306.3または他のマルチアパーチャプレート306の反転配置によって、電気配線接続175を、マルチアパーチャプレート306の両側に置くことができる。
図17は、電気配線接続175を、マルチアパーチャプレート306の層を通じて作製し、配線する方法を示す。スルーチップ配線接続によって、反転配置が限定されないように、各マルチアパーチャプレート306に上側から電気的に接触することが可能である。
【0120】
ステップC1において、電極層129.1が、上述したステップS6と同様に提供される。50μm~150μmの厚さを有する電極層129.1が、例えばドープシリコンなどの、バルク材料183から作成される。電極層はまた、30μm~300μmのより大きいまたはより小さい厚さで形成することもできる。熱酸化によって、第1の絶縁層179.1が、絶縁ギャップ内および電極層129.1の外面上に形成される。
【0121】
ステップC2において、配線接続175.1、175.2および175.3を含む、電圧供給源のための複数の配線接続が、電極層129.1の下側にリソグラフィによって形成される。貫通孔151のセットが、金属またはドープシリコンなどの導電性材料で充填され、貫通接続149.1および149.2が形成される。貫通接続149の数Nは、個別にアドレス可能なリング電極79(または同様に多極電極81)の数Nに対応している。各個別にアドレス可能なリング電極79は、1つの貫通接続149に接続されており、例えば、リング電極79.1は、貫通接続149.1に接続されている。すべての接続は、電極層129.1の底部または下側に作製される。さらなる絶縁層179.2が、配線接続175を絶縁するために提供される。次のフォトリソグラフィおよびエッチ処理ステップのための平坦な表面を生成するために、各堆積ステップ後に化学機械研磨を適用することができる。最後に、導電性遮蔽層177.1が、電極層129.1の底部または下側76に適用される。
【0122】
ステップC3において、上側74の貫通接続149.1および149.2が、接続またははんだ付けピン147.1および147.2に接続される。これらのピンまたはパッド147は、開口および荷電粒子ビームレットから遠く離れて、マルチアパーチャプレートの周縁に設置される。さらなる絶縁層179.3が提供される。最後に、導電性遮蔽層177.2が提供され、はんだ付けピン147.1および147.2を含むはんだ付けピン147から絶縁される。上述したように、導電性遮蔽層177.1、177.2の各々について突入拡張部を作製することができる(
図17には示されていない)。
【0123】
開口85.1~85.3.を含む、複数の開口孔が、例えばステップC2およびC3の後に、電極層129.1を通じてエッチングされる。各開口85.1~85.3は、約50μm~70μmの直径を有し、リング電極79.1~79.3の複数の絶縁ギャップ185が形成される。一例において、開口は、絶縁ギャップ185が電極層上に形成された後に、リソグラフィによって画定され、垂直深掘りRIE(DRIE)を通じてエッチングされる。
【0124】
加えて、電極層129.1の周辺において、貫通孔151がエッチングによって生成される。貫通孔151は、例えば、10μm未満、またはさらには2μm未満など、大幅により小さくすることができる。電極層129.1の他のマルチアパーチャプレート306またはスペーサ83との位置整合のために、いくつかの貫通孔151.1および151.2が生成される。貫通接続149によって、単一の小型レンズプレートもしくはレンズ電極プレート306.9または2層小型レンズプレート306.3の複数のリング電極79の各々を、配線接続175の側の反対である反対側から電気的に接続することができる。同様に、マルチスティグメータプレート306.4の複数の多極電極81の各々を、配線接続175の側の反対である反対側から電気的に接続することができる。貫通接続149およびプロセスステップC1~C3によって、一次ビーム経路制御モジュール830などの制御デバイスへの接続を、マルチアパーチャプレート306の一方の側からのみ達成しながら、リング電極79または多極電極81を両側から接続することも可能である。
【0125】
プロセスのいくつかの変形例が可能であることが理解される。例えば、ステップC1の前であっても、貫通孔を最初に生成することができ、例えば、導電性材料で充填することができ、ステップC2におけるエッチングによって、位置整合孔151.1および151.2が開かれる。
【0126】
図18は、反転レンズ電極プレート306.9を含む、複数のマルチアパーチャプレートの位置整合および積層を示す。ウェハ検査のための先進的なマルチビーム荷電粒子システムは、複雑なマルチビーム生成ユニット305またはマルチビーム偏向ユニット390(
図1参照)を必要とする。本発明の例によれば、マルチビーム生成ユニット305は、少なくとも3つのマルチアパーチャプレート306をスペーサとともに積層することによって形成される。第1のマルチアパーチャプレートまたはフィルタプレート304は、入射ビームレット309を分割し、ビームレット3.1~3.3を含む複数の一次荷電粒子ビームレット3を生成するために使用される。
図18の例において、3つのマルチアパーチャプレート306.3、306.4および306.9が、複数の透過荷電粒子ビーム3.1~3.3の各々を、大きい集束能力または大きいストロークで個別に集束させるために使用される。少なくとも1つのマルチスティグメータアレイ306.4が、ビームレット3.1~3.3の各々の横方向位置を制御して、任意の残留非点収差を予め補償するために利用される。貫通接点149によって、例えば対応する反転マルチアパーチャプレート306.3および306.4の底部側の配線接続175.1および175.2などの配線接続175を提供することが可能である。以て、散乱荷電粒子による配線接続の望ましくは充電が最小限に抑えられ、配線接続175の残留漂遊場が最小限に抑えられる。貫通接点149によって、それぞれ各マルチアパーチャプレート306.3、306.4および306.9の上面または側表面にはんだピン147.3、147.4および147.6を含むはんだピン147を提供することが可能である。はんだピン147.3、147.4および147.6を介して、配線接続157(157.3のみが
図18において識別される)が制御ユニット830(
図18には示されていない)に対して確立され、個別の電圧を複数のリング電極79.1および79.2ならびに複数の多極電極82に提供することができる。マルチアパーチャプレート306は、最適な所定の向きに積層することができる。少なくとも3つの貫通孔151(
図18には示されていない、
図17参照)によって、マルチアパーチャプレートのスタックの精密な位置整合が達成される。
【0127】
貫通接続149に加えて、フリップチップ接合技法(共晶または熱圧縮接合)によって、2つのマルチアパーチャプレート306を互いに対して付着させることができ、第1のマルチアパーチャプレートへの電気的接触を、第2のマルチアパーチャの貫通接続149を通じて確立することができる。
【0128】
マルチアパーチャプレート306のスタックは、マルチアパーチャプレートを、所定の距離を置いて積層するためのスペーサを備えることができる。
図18の例において、所定の厚さの支持ゾーン197が、膜ゾーン199またはマルチアパーチャプレート306の周縁に提供される。そのようなフレーム内膜構成によって、約数μmの小さい間隙において隣接するマルチアパーチャプレートの膜ゾーン199を調整し、アパーチャ開口部を1μmを下回る、好ましくは0.5μmを下回る高い正確度で横方向に位置整合させ、調整することが可能である。さらに、マルチアパーチャプレートのスタックは、大きい力または圧力を加えることによって、支持ゾーンまたはフレーム197と固定することができる。
【0129】
使用中にマルチビーム荷電粒子顕微鏡の性能を増強するために、例えば、複数の個別に制御されるリング電極79、または、スティグメータもしくは偏向器の複数の個別に制御される電極81による個別の集束補正によって、複数の荷電粒子ビームレットの各々が個別に制御される。複数の電極の個別の制御は、配線によって提供され、上述した遮蔽および吸収層またはセンサのための追加の配線が提供される。複数の、例えばN=100個のビームレットのための1つのマルチビームラスタユニットは、約1000個または1000個を超える個別の配線接続を有する、約1000個以上の電極を備える。電極および遮蔽または吸収層は、例えば、10Vから最大1kVの間の、数桁の差がある駆動電圧を必要とする。例えば、マルチフォーカス補正は、約200Vのための100の高電圧配線を必要とし、複合非点収差補正は、ノイズが非常に低い数ボルトのための800の低電圧配線を必要とし、吸収層が高電流を生成する。そのような電圧差を有する配線は、互いに容易に影響を及ぼし、以て、マルチビーム生成ユニット305の性能を損なう可能性がある。一実施形態において、マルチビーム生成またはラスタユニット305は、電圧差の影響を最小限に抑えるための設計特徴および構造を備える。マルチビームラスタユニットは、異なる電圧および電流のための混合信号アーキテクチャを備える。高電圧は、外部コントローラによって提供される。低電圧は、外部コントローラへのデジタルインターフェースを用いて、真空内に配置されたASICによって提供される。信号および電圧供給源のルーティングは、UHVフランジを介して得られる。異なる電圧による配線の分離は、異なる方向から電圧を供給することによって達成される。透過荷電粒子ビームレットの第1の方向(z方向)によって、例えば、低電圧が第2の方向(x方向)から供給され、高電圧が第3の方向から供給される。吸収層への高電流接続は、例えば、z方向から、または、第3の方向に平行などの、第4の方向から提供することができる。すべての配線は個別に遮蔽することができ、または、低電圧供給配線は、低電圧配線のグループ内で遮蔽することができる。より少ない高電圧配線は、より大きい距離を置いて提供することができる。一実施形態において、静電レンズのリング電極への配線接続は、配線間の距離を可能な限り大きいままにするために、電極ごとに交互に上側および下側から提供される。
図19は、一例における実施形態を示す。各々が膜ゾーン199内の平行に配置された膜および支持ゾーン197内の支持構造を有する、5つのマルチアパーチャプレート304~306.9および310を備えるマルチビームラスタユニット305が、支持基板の追加の機能を有するスペーサ86上に搭載される。支持構造および支持基板を介して、高電圧配線接続201が、正および負のy方向において、複数の開口85(4×5個のみが示されている)を有するマルチアパーチャプレートのうちの少なくとも1つの中の静電レンズのリング電極に提供される。高電圧配線接続は、接地に接続されている接地線253によって遮蔽される。周縁領域において、高電圧配線は、同軸遮蔽および絶縁部255(4つの高電圧配線接続、および参照符号251および255によって指示されているもののみの、同軸遮蔽が示されている)によって遮蔽されている。静電スティグメータおよび偏向器のための低電圧配線接続257および259が、支持基板86上に搭載されたASIC261および265からの両方のx方向(正方向のみが示されている)から提供される。低電圧配線はまた、低電圧配線の間の接地配線(図示せず)によって互いから遮蔽されている。ASICは、デジタル信号線267.1および267.2を介してデジタル信号を得ると友に、低電圧供給線269.1および269.2によって電源を得る。以て、高電圧および低電圧信号は、可能な限り分離され、漏れの相互誘導の悪影響が低減され、マルチビームラスタユニットのより信頼性の高い光学性能が達成される。
【0130】
図20は、
図14に記載されている例の別の変形例を示す。
図14の例とは反対に、マルチアパーチャプレート315のスタックおよび静電コンデンサレンズ307の電極82は、平行ではなく、互いに間に角度Φを形成する。したがって、終端マルチアパーチャプレート310と電極82との間に生成される静電場92は、非対称性を示す。静電場92は、終端マルチアパーチャプレート310の終端開口94に侵入し、マルチビーム生成ユニット305の全体的な集束能力に寄与する、終端開口94内のマイクロ小型レンズを形成する。静電場92の静電マイクロレンズ場は、非対称性を有し、終端マルチアパーチャプレート310の出射面にわたる静電マイクロレンズ場の集束能力の線形変動に寄与する。静電マイクロレンズ場は、x座標に対する焦点距離の線形依存性を有する線形成分を含む、異なる焦点距離を形成している。したがって、中間像面321の傾斜成分323が、像面湾曲に加えて生成される。したがって、荷電粒子マルチビームレット生成器300の下流に配置されている電子光学素子の像面の角度の像面湾曲および傾斜成分が予め補償される。この例は、終端マルチアパーチャプレート310に限定されず、追加の電極79を有しないハイブリッドレンズプレート306.5との組合せにおいても使用することができる。
【0131】
この例によれば、静電コンデンサレンズ電極82もしくは一次マルチビームレット形成ユニット305のマルチアパーチャプレート315のスタックまたはその両方が、一次マルチビームレット形成ユニット305の下流の複数の一次荷電粒子ビームレット3の平均伝播軸zに対して傾斜される。
図20の例において、ソース301およびコリメートレンズ303は、入射ビーム309の伝播方向がフィルタプレート304に垂直であるように構成されている。この例において、フィルタプレート204および終端マルチアパーチャプレート310を含むマルチアパーチャプレート315のスタックは、x軸に対して角度Φ1だけ傾斜されており、したがって、入射ビーム309はz軸に対して同じ角度Φ1だけ傾いている。入射ビーム309の傾斜角Φ1は、ソース301およびコリメートレンズ303の機械的傾斜、または、入射ビーム309の伝播方向をそれに従って傾斜させることができるフィルタプレート304の上流に配置されている静電偏向器302のいずれかによって達成することができる。
【0132】
図20の例において、さらに、静電コンデンサレンズ307の電極84が、x軸に対して角度Φ2だけ傾斜されており、終端アパーチャプレート310と静電コンデンサレンズ307の電極84との間のΦ=Φ1+Φ2の合計角度が得られる。以て、角度Φ3を有する中間像面321の傾斜成分323が達成される。角度Φ1は、終端マルチアパーチャプレート310の出射面および角度Φ3にある傾斜成分323の平面が、終端アパーチャプレート310の開口94内に形成されているマイクロ小型レンズを含んでいる、静電レンズ場92の単位平面と一致して互いに交差するように選択することができる。
【0133】
この例によれば、静電コンデンサレンズ電極82もしくは一次マルチビームレット形成ユニット305のマルチアパーチャプレートのスタックまたはその両方を、傾斜角Φ1およびΦ2を個別に調整するように構成されているマニピュレータ340.1または340.2上に搭載することができる。少なくとも1つのマニピュレータ340によって角度Φ1およびΦ2を適切に調整することによって、中間像面321の傾斜成分323を調整することができる。上述したように、像面湾曲および傾斜成分323は、マルチビームレット荷電粒子顕微鏡システム1の結像設定の影響下にある。特に、例えば、対物レンズ203の異なる集束能力に起因して、傾斜成分323の異なる回転が必要とされ得る。例えば、コンデンサレンズ307の電極84の少なくとも1つの傾斜または回転マニピュレータ340.2によって、傾斜成分323を調整または回転させて、磁気対物レンズ102の異なる像回転を予め補償することができる。したがって、マルチビーム荷電粒子顕微鏡システム(1)の制御ユニット(800)は、マルチビームシステム(1)の像設定に従って像面傾斜に依存して傾斜角Φ、Φ1、Φ2のうちの少なくとも1つを使用中に制御するように構成することができる。
【0134】
本発明の改善によれば、複数の一次荷電粒子ビームレットを個別に集束させるためのより大きい集束範囲が達成される。本発明の一例の改善されたマルチビーム生成ユニットは、少なくとも、複数の個別にアドレス可能な電極を有する終端マルチアパーチャプレートを備え、この電極は、終端マルチアパーチャプレートの複数の終端開口の各々においてリング電極または多極電極を形成することができる。その配置によって、終端開口への大域的静電場の侵入によって形成される、侵入マイクロレンズ場の各々を個別に操作することが可能である。以て、複数の個別にアドレス可能な電極に印加される個別の電圧差を小さくして、大きい集束範囲が達成される。
【0135】
一例の改善されたマルチビーム生成ユニットは、少なくとも第2のまたはさらなるマルチアパーチャプレートを備える。複数のマルチアパーチャプレートは、制御ユニットに電気的に接触させることができ、電気接点は、例えば、各マルチアパーチャプレートの第1の上側または第2の底部側などの、各マルチアパーチャプレートの同じ側に配置することができる。マルチアパーチャプレートのいくつかは、一方の側の複数の配線接続を他方の側の電気接点と電気的に接続するための貫通接続を備えることができる。
【0136】
一般的なマルチビームラスタユニットが、本実施形態においてはマルチビーム生成ユニット305として説明されているが、本実施形態の特徴は、マルチビーム偏向器またはマルチビームスティグメータユニットなどの、他のマルチビームラスタユニットにも適用可能である。概して、本発明の例による集束範囲が増大したマルチビームラスタユニットはまた、例えば、例えば、マルチアパーチャ補正器220として、二次ビーム経路11(
図1参照)にも適用することができる。
【0137】
本実施形態の特徴は、5nmを下回る、好ましくは3nmを下回る、より好ましくは2nmを下回る、またはさらには1nmを下回る、より高い分解能を達成するように、マルチビーム荷電粒子顕微鏡の性能を改善する。本改善は、100を超えるビームレット、300を超えるビームレット、1000を超えるビームレット、またはさらには10000を超えるビームレットなどの、より多数の複数のビームレットによるマルチビーム荷電粒子顕微鏡のさらなる発展に特に関連する。そのようなマルチビーム荷電粒子顕微鏡は、例えば、さらにより多くの配線接続を含む、より大きい直径ならびにより大きい複数の開口および電極を有するマルチアパーチャプレートを必要とする。本改善は、高い信頼性および高い再現性ならびに低い機械間の逸脱が必要とされる、例えば、半導体検査および調査における、マルチビーム荷電粒子顕微鏡の日常的な適用に特に関連する。
【0138】
本実施形態は、複数の荷電粒子ビームによって動作し、より高い結像性能を達成するために使用することができる荷電粒子ビームシステムを提供する。特に、本発明の一次マルチビームレット形成ユニット305のより大きい集束範囲DFによって、複数のビームレットの各ビームレットに対するより狭い範囲の分解能が達成される。本発明の特徴は、特に、荷電粒子ビームの数が増大している平面ウェハ検査タスクのためのマルチビームシステムに対して重要性が増大している、像面湾曲および像面傾斜の大きい範囲の事前補償を可能にする。本実施形態に記載されている特徴および方法ならびにそれらの組合せによれば、例えば、2.05nmの平均分解能で2nm~2.1nmに及ぶビームレット直径を有する複数のビームレットの核ビームレットが提供され、本実施形態の特徴および方法によって達成される分解能の範囲は、平均分解能の0.15%を下回り、好ましくは0.1%、さらにより好ましくは0.05%を下回る。
【0139】
本発明は上述した実施形態または例に限定されるものではない。実施形態または例は、完全にまたは部分的に互いに組み合わせることができる。上記説明から分かるように、多数の変形および修正が可能であり、本出願の範囲は、特定の例によって限定されないことは明らかである。
【0140】
本改善は、マルチビーム荷電粒子顕微鏡の例において説明されているにもかかわらず、本改善は、ウェハ検査のためのマルチビーム荷電粒子システムに限定レズ、マルチビームリソグラフィシステムなどの他のマルチビーム荷電粒子システムにも適用可能である。
【0141】
本実施形態全体を通じて、電子は、一般に荷電粒子として理解されるものとする。いくつかの実施形態が電子の例において説明されているが、それらは、電子に限定されるべきではなく、例えばヘリウムまたはネオンイオンなどの、すべての種類の荷電粒子に良好に適用可能である。
【0142】
本発明および本発明の実施形態は、以下の項によって説明することができる。しかしながら、本発明はこれらの項に限定されるものではない。様々な組合せおよび修正が可能であることが理解される。
【0143】
項1.マルチビームシステム(1)のためのマルチビーム生成ユニット(305)であって、入射一次荷電粒子ビーム(309)の伝播方向の順序において、
- 複数の一次荷電粒子ビームレット(3)を生成するための複数の第1の開口(85.1)を有するフィルタプレート(304)であって、フィルタプレート(304)は、使用中に接地レベルに接続されている、フィルタプレート(304)と、
- 複数の終端開口(94)の各々の周囲に配置されている第1の複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)を備えている、複数の終端開口(94)を備える終端マルチアパーチャプレート(310)と、
- 使用中に複数の一次荷電粒子ビームレット(3)を透過させるように構成されている単一の開口を有するコンデンサ電極(82、84)を有するコンデンサレンズ(307)と
を備え、
- コンデンサ電極(82、84)は、使用中に、複数の終端開口(94)の各々に侵入している複数の静電マイクロレンズ場(92)を生成するように構成されており、マルチビーム生成ユニット(305)は、制御ユニット(830)であって、複数の静電マイクロレンズ場(92)の各々の侵入深さおよび/または形状に影響を及ぼすためにコンデンサ電極(82、84)および第1の複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)の各々を個別に制御し、それによって、マルチビームシステム(1)の像面湾曲および/または像面傾斜を予め補償するために、中間像面(321)上の複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の横方向および/または軸方向焦点位置を独立して調整するように構成されている制御ユニット(830)をさらに備えている、マルチビーム生成ユニット(305)。
【0144】
項2.第1の複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)は、第1の複数の静電シリンダ電極(79.2)として形成され、各シリンダ電極(79.2)は、複数の終端開口(94)のうちの1つの周囲に配置され、使用中に吸引場(88)または押圧場(90)を生成するように構成されている、項1に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【0145】
項3.第1の複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)は、第1の複数の静電多極電極(81.2)として形成され、各多極電極(81.2)は、複数の終端開口(94)のうちの1つの周囲に配置され、使用中に吸引場(88)、押圧場(90)および/または偏向場および/または非点収差補正場を生成するように構成されている、項1に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【0146】
項4.終端マルチアパーチャプレート(310)は、第1の複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)を備える第1の終端電極層(306.3a)と、第1の複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)から絶縁されており、第1の終端電極層(306.3a)の上流に配置されている第2の電極層(306.3b)とを備えており、第2の電極層(306.3b)は、使用中に、接地電極層を形成するために接地レベルに接続される、項1~3のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【0147】
項5.終端マルチアパーチャプレート(310)は、単一の電極層から作成される、項1~3のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【0148】
項6.終端マルチアパーチャプレート(310)の上流に配置されている第1のマルチスティグメータプレート(306.4、306.41)として構成されているさらなるマルチアパーチャプレートをさらに備え、第1のマルチスティグメータプレート(306.4、306.41)は複数の開口(85.4、85.41)を有し、複数の開口は、各々、複数の開口(85.4、85.41)の周囲に配置されている複数の静電多極素子を形成する、第2の複数の個別にアドレス可能な多極電極(81、81.1)を備え、第2の個別にアドレス可能な多極電極(81、81.1)の各々は、複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各個別のビームレットを偏向、集束、またはその収差を補正するように構成されている制御ユニット(830)に接続されている、項1~5のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【0149】
項7.終端マルチアパーチャプレート(310)の上流に配置されている第2のマルチスティグメータプレート(306.43)として構成されているさらなるマルチアパーチャプレートをさらに備え、第2のマルチスティグメータプレート(306.43)は複数の開口(85.43)を有し、複数の開口は、各々、複数の開口(85.43)の周囲に配置されている複数の静電多極素子を形成する、第3の複数の個別にアドレス可能な多極電極(81.3)を備え、第3の個別にアドレス可能な電極(81.3)の各々は、複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各個別のビームレットを偏向、集束、またはその収差を補正するように構成されている制御ユニット(830)に接続されている、項6に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【0150】
項8.終端マルチアパーチャプレート(310)の上流に配置されている静電レンズアレイ(306.3、306.9)として構成されているさらなるマルチアパーチャプレートをさらに備え、静電レンズアレイ(306.3、306.9)は、使用中に複数の静電レンズ場を形成するように構成されている制御ユニット(830)に各々が個別に接続されている、複数の第2のシリンダ電極(79)を備える複数の開口(85.3、85.9)を有する、項1~7のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【0151】
項9.静電レンズアレイ(306.3、306.9)は、単一の電極層から作成されるレンズ電極プレート(306.9)である、項8に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【0152】
項10.静電レンズアレイ(306.3、306.9)は、レンズ電極層306.3aおよび接地電極層306.3bを有する2層小型レンズ電極プレート(306.3)である、項8に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【0153】
項11.一例において、コンデンサ電極(82、84)は、複数の少なくとも4つの電極セグメント(84.1~84.4)を備えるセグメント化電極(84)として形成され、制御ユニット(830)は、傾斜成分(323)を有する湾曲した中間像面(321)内で複数の一次荷電粒子ビームレット(3)を集束させることを容易にするために、使用中に、非対称電圧分布を複数の少なくとも4つの電極セグメント(84.1~84.4)に提供するように構成されている、項1~10のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【0154】
項12.複数の開口(85.2)を有する少なくとも第1の接地電極プレート(306.2)をさらに備え、接地電極プレート(306.2)は使用中に第1の接地電極を形成し、接地電極プレート(306.2)は、フィルタプレート(304)と終端マルチアパーチャプレート(310)との間に配置されている、項1~11のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【0155】
項13.第2の接地電極プレート(306.8)をさらに備える、項12に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【0156】
項14.制御ユニット(830)は、各個別にアドレス可能な多段マイクロレンズ(316)について少なくとも6mm、好ましくは少なくとも8mm、さらにより好ましくは10mmを超える個別に可変の集束範囲変動DFを有する個別にアドレス可能な多段マイクロレンズ(316)のアレイをともに形成するために、終端マルチアパーチャプレート(3.10)、第1のマルチスティグメータプレート(306.4、306.41)および/または第2のマルチスティグメータプレート(306.43)および/または静電レンズアレイ(306.3、306.9)の複数の電極(79、81、79.1、81.1、79.2、81.2、81.3)の各々に複数の個別の電圧を使用中に提供するように構成されている、項8~13のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【0157】
項15.複数のマルチアパーチャプレート(306.2~306.9、310)を互いに対して所定の距離に保持するための複数のスペーサ(83.1~83.5)または支持ゾーン(179)をさらに備える、項1~14のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【0158】
項16.複数のマルチアパーチャプレート(306.4~306.9、310)のうちの少なくとも1つは、反転マルチアパーチャプレートとして構成され、反転マルチアパーチャプレートは、反転マルチアパーチャプレートのビーム入口側とは反対の下側または底部側に、複数の個別にアドレス可能な電極(79、79.1、79.2、81、81.1、81.2、81.3)のための電気配線接続(175)を有する、項1~15のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【0159】
項17.少なくとも1つの反転マルチアパーチャプレートは、反転マルチアパーチャプレートの下側または底部側にある電気配線接続(175)を介して複数の個別にアドレス可能な電極(79、79.1、79.2、81、81.1、81.2、81.3)に電気的に接触するための複数の貫通接続(149、149.1、149.2)をさらに備え、反転マルチアパーチャプレートの上側またはビーム入口側には、コンタクトピン(147、147.1、147.2)が配置されている、項16に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【0160】
項18.終端マルチアパーチャプレート(310)は、複数の開口(94)を有する導電性遮蔽層(177.2)をさらに備えており、導電性遮蔽層(177.2)は、第1の複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)から電気的に絶縁されており、導電性遮蔽層(177.2)は、個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)とコンデンサレンズ(307)との間で終端マルチアパーチャプレート(310)の底部側(76)に配置されている、項1~17のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【0161】
項19.入射一次荷電粒子ビーム(309)の伝播方向において、フィルタプレート(304)の第1の開口(85.1)は、第1の直径D1を有し、終端開口(94)は各々、終端直径DTを有し、DTは、1.6×D1≦DT≦2.4×D1の間の範囲内にある、項1~18のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【0162】
項20.入射一次荷電粒子ビーム(309)の伝播方向において、フィルタプレート304の第1の開口(85.1)は、第1の直径D1を有し、さらなるマルチアパーチャプレート(306.2、306.3、306.4、306.9)の第2の開口(85.2、85.3、85.4、85.9)は、第2の直径D2を有し、終端開口(94)は、終端直径DTを有し、D1<D2<DTであり、好ましくは1.3×D1≦D2≦0.8×DTである、項6~19に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【0163】
項21.入射一次荷電粒子ビーム(309)の伝播方向において、フィルタプレート206.1の第1の開口(85.1)は、第1の直径D1を有し、第2のマルチアパーチャプレート(306.2、306.3、306.4、306.9)の第2の開口(85.2、85.3、85.4、85.9)は、第2の直径D2を有し、第3のまたはさらなるマルチアパーチャプレート(306.3、306.4、306.41、306.43、306.9)の第3の開口(85.2、85.3、85.4、85.9)は直径D3を有し、終端開口(94)は、終端直径DTを有し、マルチアパーチャプレートは、一次荷電粒子の伝播方向に配置されており、D1<D2<D3<DTであり、好ましくは1.4×D1≦D2≦0.9×D3≦0.8×DTである、項6~20に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【0164】
項22.マルチアパーチャプレート(306)であって、
- 絶縁電極層(129.1)内の複数の絶縁された個別にアドレス可能な電極(79、81)を有する複数の開口(85.3、85.4、85.9、94)であって、複数の電極(79、81)は、開口(85.3、85.4、85.9、94)の周囲に配置されている、複数の開口(85.3、85.4、85.9、94)と、
- 第1の厚さT1を有する、マルチアパーチャプレート(306)の第1の側にある第1の導電性遮蔽層(177.1)と、
- 第2の厚さT2の第1の平坦化絶縁層(179.5)と、
- 第3の厚さT3の複数の電気配線接続(175)の層と、
- 電極層(129.1)と電気配線接続(175)の層との間の第2の平坦化絶縁層(179.3)であって、配線接続および電極(79、81)の各々の間に配線接点(193)が形成されており、第2の平坦化絶縁層(179.3)は、第4の厚さT4を有する、第2の平坦化絶縁層(179.3)と
を備え、
第1のおよび第2の平坦化絶縁層(179.5、179.3)は、二酸化ケイ素から作成され、各々が2μmを下回る第2の厚さT2および第4の厚さT4まで水平に均され、T2≦T3≦2μmである、マルチアパーチャプレート(306)。
【0165】
項23.配線接点(193)の各々は、開口(85、94)の内側壁(87)までの距離hを置いて各個別にアドレス可能な電極(79、81)の外縁に配置され、hは好ましくはh≧6μmよりも大きく、好ましくはh>8μm、例えばh≧10μmである、項22に記載のマルチアパーチャプレート(306)。
【0166】
項24.マルチアパーチャプレート(306)は、マルチアパーチャプレート(306)の第2の側にある、第6の厚さT6を有する第2の導電性遮蔽層(177.2)と、第2の導電性遮蔽層(177.2)と電極層(129.1)との間に形成されている、第5の厚さT5<2.5μmを有する第3の平坦化絶縁層(129.2)とをさらに備える、項22または23に記載のマルチアパーチャプレート(306)。
【0167】
項25.第1のまたは第2の導電性遮蔽層(177.1、177.2)のうちの少なくとも一方は、複数の開口(85、94)の各々への複数の突入拡張部(189)を有し、電極(79、81)に対する幅gの間隙が形成され、g<4μm、好ましくはg≦2μmである、項22~24に記載のマルチアパーチャプレート(306)。
【0168】
項26.複数の個別にアドレス可能な電極(79、81)の間に、複数の個別にアドレス可能な電極(79、81)を互いから遮蔽するための、接地レベル(0V)に接続されている遮蔽電極層(183)をさらに備える、項22~25に記載のマルチアパーチャプレート(306)。
【0169】
項27.マルチアパーチャプレート(306)は、使用中に、複数の一次荷電粒子ビームレット(3)を集束させるように構成されているマルチビーム生成ユニット(305)の複数の少なくとも2つのマルチアパーチャプレート(306、306.3、306.4、306.9、310)のうちの1つである、項22~26に記載のマルチアパーチャプレート(306)。
【0170】
項28.マルチアパーチャプレート(306)は、マルチビーム生成ユニット(305)複数の終端開口(94)を有する終端マルチアパーチャプレート(310)であり、使用中に、複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々は、複数の終端開口(94)のうちの1つにおいて、マルチビーム生成ユニット(305)を出射し、複数の電極(79、81)は、使用中に、複数の終端開口(94)に使用中に侵入している複数の侵入マイクロレンズ場(92)を操作するように構成されている、項22~27に記載のマルチアパーチャプレート(306)。
【0171】
項29.コンデンサレンズ(307)が、マルチビーム生成ユニット(305)の終端マルチアパーチャプレート(310)であるマルチアパーチャプレート(306)の後ろに配置されており、使用中に、複数の終端開口(94)に侵入している複数の静電マイクロレンズ場(92)を生成するように構成されている、項28に記載のマルチアパーチャプレート(306)。
【0172】
項30.マルチアパーチャプレート(306)は、マルチアパーチャプレート(306)の第1の側に複数の配線接続(175)があり、マルチアパーチャプレート(306)の第1の側の反対の第2の側に複数のコンタクトピン(147)がある反転構成において配置されており、第1の側の複数の配線接続(175)を第2の側のコンタクトピン(147)と接続するための複数の貫通接続(149)をさらに備える、項22~29に記載のマルチアパーチャプレート(306)。
【0173】
項31.終端マルチアパーチャプレート(310)であって、
- 使用中に、複数の終端開口(94)に侵入している複数の静電マイクロレンズ場(92、92.1、92.2)を形成するように構成されている複数の終端開口(94)と、
- 終端開口(94)の周囲に配置されている複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)であって、複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)は、制御ユニット(830)に個別に接続されるように構成されており、使用中に、複数の静電マイクロレンズ場(92、92.1、92.2)の各々の侵入深さおよび/または形状に個別に影響を及ぼすように構成されている、複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)と
を備える、終端マルチアパーチャプレート(310)。
【0174】
項32.接地レベル(0V)に接続されている、終端マルチアパーチャプレート(310)の終端またはビーム出射側(76)の第1の導電性遮蔽層(177.2)であって、複数の静電マイクロレンズ場(92)が、使用中に、終端開口(94)のみへと侵入するように、複数の静電マイクロレンズ場(92)を、終端マルチアパーチャプレート(310)へと侵入しないように遮蔽するように構成されている、第1の導電性遮蔽層(177.2)をさらに備える、項31に記載の終端マルチアパーチャプレート(310)。
【0175】
項33.複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)の間に、使用中に、複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)を互いから遮蔽するように構成されている、接地レベル(0V)に接続されている遮蔽電極層(183)をさらに備える、項31または32に記載の終端マルチアパーチャプレート(310)。
【0176】
項34.複数の個別の電圧を複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)に提供するための複数の配線接続(175)をさらに備え、複数の配線接続(175)は、制御ユニット(830)に接続されるように構成されている、項31~33のいずれか1項に記載の終端マルチアパーチャプレート(310)。
【0177】
項35.複数の配線接続(175)は終端マルチアパーチャプレート(310)の第1の側に配置されており、導電性遮蔽層(177、177.2)から絶縁されており、終端マルチアパーチャプレート(310)は、複数の配線接続(175)に接続されており、制御ユニット(830)に接続されるように構成されている複数の貫通接続(149)をさらに備えている、項34に記載の終端マルチアパーチャプレート(310)。
【0178】
項36.
- 終端マルチアパーチャプレート(310)の上側の第2の導電性遮蔽層(177.1)であって、上側は、複数の荷電粒子ビームレット(3)が終端マルチアパーチャプレート(310)に入る側である、第2の導電性遮蔽層(177.1)と、
- 複数の平坦化絶縁層(129.2、179、179.1、179.3、179.5)と、
- 複数の電気配線接続(175)の層と、
- 複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)を含む電極層(129.1)と
をさらに備え、
電極層(129.1)、電気配線接続(175)の層および第1のまたは第2の導電性遮蔽層(177.2、177.2)の各々は、平坦化絶縁層(129.2、179、179.1、179.3、179.5)のうちの1つによって、隣接する層から絶縁されており、平坦化絶縁層(129.2、179、179.1、179.3、179.5)の各々は、二酸化ケイ素から作成され、T<3μmを下回る、好ましくはT≦2.5μmを下回る厚さTまで水平に均される、項32~35のいずれか1項に記載の終端マルチアパーチャプレート(310)。
【0179】
項37.電極層(129.1)は、50μm~100μmの厚さを有する、項36に記載の終端マルチアパーチャプレート(310)。
【0180】
項38.反転マルチアパーチャプレート306であって、
- 絶縁電極層(129.1)内の複数の絶縁された個別にアドレス可能な電極(79、81)を有する複数の開口(85、94)であって、複数の電極(79、81)は、開口(85、94)の周囲に配置されている、複数の開口(85、94)と、
- 第1の厚さT1を有する、マルチアパーチャプレート(306)の第1の側にある第1の導電性遮蔽層(177.1)と、
- 第2の厚さT2の第1の平坦化絶縁層(179.5)と、
- 第3の厚さT3の複数の電気配線接続(175)の層と、
- 電極層(129.1)と電気配線接続(175)の層との間の第2の平坦化絶縁層(179.3)であって、配線接続および電極(79、81)の各々の間に貫通配線接点(193)が形成されており、第2の平坦化絶縁層(179.3)は、第4の厚さT4を有する、第2の平坦化絶縁層(179.3)と、
- 第1の絶縁電極層(129.1)の第1の側の複数の電気配線接続(175)を、電極層(129.1)の第2の対向する側のコンタクトピン(147)と電気的に接続するように構成されている、第1の絶縁電極層(129.1)を通じて複数の電気配線接続(175)に接触するための複数の貫通接続(149)およびコンタクトピン(147)と
を備える、反転マルチアパーチャプレート306。
【0181】
項39.配線接点(193)の各々は、開口(85、94)の内側壁(87)までの距離hを置いて各個別にアドレス可能な電極(79、81)の外縁に配置され、hは好ましくはh>6μmよりも大きく、さらにより好ましくはh>10μm、例えばh=12μmである、項38に記載のマルチアパーチャプレート306。
【0182】
項40.マルチアパーチャプレート(306)の第2の側にある、第6の厚さT6を有する第2の導電性遮蔽層(177.2)と、第2の導電性遮蔽層(177.2)と、第2の平坦化絶縁層(179.3)の反対の電極層(129.1)との間に形成されている、第5の厚さT5<2.5μmを有する第3の平坦化絶縁層(129.2)とをさらに備え、第2の導電性遮蔽層(177.2)は、コンタクトピン(147)を第2の導電性遮蔽層(177.2)から絶縁するための開口(148)を備える、項38または39に記載のマルチアパーチャプレート306。
【0183】
項41.第1のまたは第2の導電性遮蔽層(177.1、177.2)のうちの少なくとも一方は、複数の開口(85、94)の各々への複数の突入拡張部(189)を有し、電極(79、81)に対する幅gの間隙が形成され、g<4μm、好ましくはg≦2μmである、項38~40に記載のマルチアパーチャプレート306。
【0184】
項42.複数の個別にアドレス可能な電極(79、81)の間に、複数の個別にアドレス可能な電極(79、81)を互いから遮蔽するための、接地レベル(0V)に接続されている遮蔽電極(183)をさらに備える、項38~41に記載のマルチアパーチャプレート306。
【0185】
項43.複数の一次荷電粒子ビームスポット(311)の各々の焦点距離を個別に変化させる方法であって、
- 終端マルチアパーチャプレート(310)の複数の終端開口(94)の各々において複数の個別にアドレス可能な終端電極(79.2、81.2)を提供することと、
- 終端マルチアパーチャプレート(310)に隣接して、複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の伝播方向において終端マルチアパーチャプレート(310)の下流にコンデンサレンズ電極(82、84)を提供することと、
- 制御ユニット(830)によって、複数の終端開口(94)に侵入している複数の静電マイクロレンズ場(92)を生成するために、少なくとも第1の電圧をコンデンサレンズ電極(82、84)に提供することと、
- 制御ユニット(830)によって、複数の個別の電圧を、複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)の各々に提供することと、
- 個別にアドレス可能な終端電極(79.2、81.2)の複数の個別の電圧を、複数の静電マイクロレンズ場(92)の各々の侵入深さに影響を及ぼし、それによって、湾曲した中間像面(321)上の複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の軸方向焦点位置を独立して調整するように、個別に制御することと
を含む、方法。
【0186】
項44.複数の個別にアドレス可能な終端電極(79.2、81.2)は、第1の多極電極(81.2)として形成され、方法は、複数の静電マイクロレンズ場(92)の各々の形状および/または横方向位置に影響を及ぼし、それによって、湾曲した中間像面(321)上の複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の横方向焦点位置および形状を独立して調整するように、第1の多極電極(81.2)への複数の個別の電圧を個別に制御するステップをさらに含む、項43に記載の方法。
【0187】
項45.複数の個別の電圧を個別に制御するステップは、傾斜成分(232)によって、湾曲した中間像面(321)上での複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の焦点位置を調整するように構成されている、項43または44に記載の方法。
【0188】
項46.
- 複数の開口(85.4)および複数の個別にアドレス可能な第2の多極電極(81.1)を有する第1のマルチスティグメータプレート(306.4、306.41)を、終端マルチアパーチャプレート(310)の上流に提供することと、
- 制御ユニット(830)によって、複数の個別の電圧を、複数の個別にアドレス可能な第2の多極電極(81.1)の各々に提供することと、
- 終端マルチアパーチャプレート(310)の複数の終端開口(94)を通過する前に、複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の形状および/または横方向位置に影響を及ぼすために、第2の多極電極(81.1)の複数の個別の電圧を個別に制御することと
をさらに含む、項43~45のいずれか1項に記載の方法。
【0189】
項47.
- 複数の開口(85.4)および複数の個別にアドレス可能な第3の多極電極(81.3)を有する第2のマルチスティグメータプレート(306.4、306.41)を提供することと、
- 制御ユニット(830)によって、複数の個別の電圧を、複数の個別にアドレス可能な第3の多極電極(81.3)の各々に提供することと、
- 終端マルチアパーチャプレート(310)の複数の終端開口(94)を通過する前に、複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の形状および/または横方向位置および/または方向に影響を及ぼすために、第3の多極電極(81.3)の複数の個別の電圧を個別に制御することと
をさらに含む、項46に記載の方法。
【0190】
項48.
- 複数の開口(85.3、85.9)および複数の個別にアドレス可能なリング電極(79)を有する小型レンズプレート(306.3、306.9)を提供することと、
- 制御ユニット(830)によって、複数の個別の電圧を、複数の個別にアドレス可能なリング電極(79)の各々に提供することと、
- 終端マルチアパーチャプレート(310)の複数の終端開口(94)を通過する前に、複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の焦点位置に影響を及ぼすために、リング電極(79)の複数の個別の電圧を個別に制御することと
をさらに含む、項43~47のいずれか1項に記載の方法。
【0191】
項49.複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の軸方向および横方向焦点位置、形状、ならびに伝播方向に共同的に影響を及ぼすために、多極電極(81.1、81.3)のいずれかの、および/または、小型レンズプレート(306.3、306.9)のリング電極(79)の個別にアドレス可能な終端電極(79.2、81.2)の複数の個別の電圧を個別に制御することをさらに含む、項43~48のいずれか1項に記載の方法。
【0192】
項50.マルチビームシステム(1)のためのマルチビーム生成ユニット(305)であって、
- 複数の一次荷電粒子ビームレット(3)を生成するための複数の第1の開口(85.1)を有するフィルタプレート(304)であって、フィルタプレート(304)は、使用中に接地レベルに接続されている、フィルタプレート(304)と、
- 複数のマルチアパーチャプレート(306、306.3、306.4、306.9)であって、各マルチアパーチャプレート(306、306.3、306.4、306.9)は、電極層(129.1)と、電極層(129.1)の第1の側に配置されている複数のコンタクトピン(147)とを備える、複数のマルチアパーチャプレート(306、306.3、306.4、306.9)と、
- 終端マルチアパーチャプレート(310)であって、各マルチアパーチャプレート(306、306.3、306.4、306.9)は、複数の電気配線接続(175)の層をさらに備え、複数のマルチアパーチャプレート(306、306.3、306.4、306.9)のうちの少なくとも1つは、複数の電気配線接続(175)の層が反転マルチアパーチャプレート(306、306.3、306.4、306.9)の電極層(129.1)の第2の側に配置されている反転マルチアパーチャプレート(306、306.3、306.4、306.9)として構成されている、終端マルチアパーチャプレート(310)と
を備える、マルチビーム生成ユニット(305)。
【0193】
項51.反転マルチアパーチャプレート(306、306.3、306.4、306.9)は、複数のコンタクトピン(147)を複数の電気配線接続(175)と電気的に接続するための複数の貫通接続(149)をさらに備える、項50に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【0194】
項52.終端マルチアパーチャプレート(310)は、複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)を有する電極層(129.1)と、複数の電気配線接続(175)の層と、電極層(129.1)の第1の側に配置されている複数のコンタクトピン(147)とを備える、項50または51に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【0195】
項53.複数の電気配線接続(175)の層は、終端マルチアパーチャプレート(310)の電極層(129.1)の第2の側に配置されている、項52に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【0196】
項54.同じ第1の側から、各マルチアパーチャプレート(306、306.3、306.4、306.9)および/または終端マルチアパーチャプレート(310)の複数のコンタクトピン(147)の各々に複数の電圧を提供するように構成されている制御ユニット(830)をさらに備える、項50~53のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【0197】
項55.
- 終端マルチアパーチャプレート(310)の下流に配置されており、使用中に複数の一次荷電粒子ビームレット(3)を透過させるように構成されている単一の開口を有するコンデンサ電極(82、84)を有するコンデンサレンズ(307)と、
- 使用中に、複数の終端開口(94)の各々に侵入している複数の静電マイクロレンズ場(92)を生成するように構成されているコンデンサ電極(82、84)と、
- 複数の静電マイクロレンズ場(92)の各々の侵入深さおよび/または形状に影響を及ぼすためにコンデンサ電極(82、84)および終端マルチアパーチャプレート(310)の複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)の各々を個別に制御し、それによって、湾曲した中間像面(321)上の複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の横方向および軸方向焦点位置を独立して調整するように構成されている制御ユニット(830)と
をさらに備える、項50~54のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【0198】
項56.マルチビームシステム(1)のためのマルチビーム生成ユニット(305)であって、
- 入射一次荷電粒子ビームレット(309)から複数の一次荷電粒子ビームレット(3)を生成するための複数の第1の開口(85.1)を有するフィルタプレート(304)と、
- 電極層(129.1)を有する少なくとも第1のマルチアパーチャプレート(306.3、306.4、306.9)と、
- 複数の終端開口(94)を有する終端マルチアパーチャプレート(310)と、
- コンデンサ電極(82、84)を有するコンデンサレンズ(307)と、
- 少なくとも第1のマルチアパーチャプレート(306.3、306.4、306.9)、終端マルチアパーチャプレート(310)およびコンデンサ電極(82、84)に複数の個別の電圧を提供するように構成されている制御ユニット(830)とを備え、マルチビーム生成ユニット(305)は、複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の軸方向焦点位置の各々を、DF>3mmを超える、好ましくはDF>4mm、さらにより好ましくはDF>6mm、例えばDF≧8mmの集束範囲DFで個別に調整するように構成されている、マルチビーム生成ユニット(305)。
【0199】
項57.終端マルチアパーチャプレート(310)は、複数の終端開口(94)の各々の周囲に配置されている複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)を備えており、制御ユニット(830)は、使用中に、複数の個別の電圧を、複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)の各々に提供するように構成されている、項56に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【0200】
項58.マルチビーム生成ユニット(305)は、複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々を、湾曲した中間面(321)上に集束させるようにさらに構成されている、項56または57に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【0201】
項59.湾曲した中間面(321)は傾斜成分(323)を有する、項58に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【0202】
項60.マルチビーム生成ユニット(305)は、湾曲面(321)上の複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の横方向焦点位置の各々を、20nmを下回る、好ましくは15nmを下回る、さらにより好ましくは10nmを下回る正確度で個別に調整するようにさらに構成されている、項58または59に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【0203】
項61.マルチビーム生成ユニット(305)は、複数の無収差焦点(311、311.1、311.2、311.3、311.4)を湾曲した中間面(321)上に形成するために、複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の形状または収差の各々を個別に調整するようにさらに構成されている、項58~60のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【0204】
項62.複数の開口(85.4)および複数の個別にアドレス可能な多極電極(81.1)を有する第1のマルチスティグメータプレート(306.4、306.41)を提供するステップをさらに含み、制御ユニット(830)は、複数の個別の電圧を、複数の個別にアドレス可能な多極電極(81.1)の各々に提供するようにさらに構成されており、制御ユニット(830)は、終端マルチアパーチャプレート(310)の複数の終端開口(94)を通過する前に、複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の形状および/または横方向位置に影響を及ぼすために、多極電極(81.1)の複数の個別の電圧を個別に制御する、項58~61のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【0205】
項63.マルチアパーチャプレート(306、310)を作製する方法であって、
- 電極層(129.1)内の複数の電極(79、81)を形成することと、
- 電極層(129.1)の第1の側に第1の絶縁層(179.1)を形成することであって、第1の絶縁層(179.1)は、二酸化ケイ素などの絶縁材料から形成される、第1の絶縁層(179.1)を形成することと、
- 2.5μmを下回る厚さを有する第1の水平化絶縁層(179.3)を形成するために第1の絶縁層(179.1)を研磨することと、
- 第1の水平化絶縁層(179.3)上に電気配線接続(175)の層を形成し、リソグラフィ処理することと、
- 電気配線接続(175)の層上に第2の絶縁層(179.4)を形成することであって、第2の絶縁層(179.4)は、二酸化ケイ素などの絶縁材料から形成される、第2の絶縁層(179.4)を形成することと、
- 2.5μmを下回る厚さを有する第2の水平化絶縁層(179.5)を形成するために第2の絶縁層(179.4)を研磨することと、
- 第2の水平化絶縁層(179.5)上に第1の導電性遮蔽層(177.1)を形成することと
を含む、方法。
【0206】
項64.
- 電極層(129.1)を通じて複数の貫通接続(149)を形成することと、
- 電極層(129.1)の第2の側に第1の絶縁層(179.1)を形成することであって、第2の側は、第1の側の反対である、第1の絶縁層(179.1)を形成することと、
- 2.5μmを下回る厚さを有する第1の水平化絶縁層(179.3)を形成するために、第2の側の第1の絶縁層(179.1)を研磨することと、
- 第2の側で第1の水平化絶縁層(179.3)上に第2の導電性遮蔽層(177.2)を形成することと、
- 第1の側の貫通接続の各々を電気配線接続(175)のうちの1つと接続し、第2の側の貫通接続の各々をコンタクトピン(147)と接続することと
をさらに含む、項63に記載の方法。
【0207】
項65.
- 第1の側で第2の水平化絶縁層(179.5)上に応力低減層(187)を形成することをさらに含んでおり、応力低減層(187)は、窒化ケイ素(SiNX)から形成される、応力低減層(187)を形成することと、
- 応力低減層(187)上にさらなる絶縁層(179)を形成し、さらなる水平化絶縁層(179)を、2.5μmを下回る厚さまで水平に均すために、さらなる絶縁層(179)を研磨することと、
- さらなる水平化絶縁層(179)上に第1の導電性遮蔽層(177.1)を形成することと
をさらに含む、項63または64に記載の方法。
【0208】
項66.マルチビームシステム(1)であって、
- コリメート荷電粒子ビーム(309)を生成するための荷電粒子ビーム源(301)および少なくとも1つのコリメートレンズ303と、
- 複数の一次荷電粒子ビームレット(3)を生成するためのマルチビーム生成ユニット(305)と、
- 複数の一次荷電粒子ビームレット(3)を複数の二次電子ビームレット(9)から分離するためのビーム分割器(400)と、
- 使用中に、複数の一次荷電粒子ビームレット(3)を試料(7)の表面(25)上に集束させ、使用中に、試料(7)の表面(25)において生成される複数の二次電子ビームレット(9)を収集するための対物レンズ(102)と
を備え、
マルチビーム生成ユニット(305)は、
- 複数の一次荷電粒子ビームレット(3)を生成するための複数の第1の開口(85.1)を有する少なくとも1つのフィルタプレート(304)を備えるマルチアパーチャプレート(315)のスタックと、複数の終端開口(94)を備えるハイブリッドまたは終端マルチアパーチャプレート(306.5、310)と、
- 使用中に複数の一次荷電粒子ビームレット(3)を透過させるように構成されている単一の開口を有するコンデンサ電極(82、84)を有するコンデンサレンズ(307)であって、コンデンサ電極(82、84)は、使用中に、複数の終端開口(94)の各々に侵入している複数の静電マイクロレンズ場(92)を生成するように構成されている、コンデンサレンズ(307)と
を備えており、
マルチアパーチャプレート(315)のスタックおよびコンデンサレンズ(307)のコンデンサ電極(82、84)は、互いに対して角度Φ、すなわち、マルチビームシステム(1)の像面傾斜を予め補償するための0°からの角度fの逸脱を形成する、マルチビームシステム(1)。
【0209】
項67.マルチアパーチャプレート(315)のスタックまたはコンデンサレンズ(307)のコンデンサ電極(82、84)のうちの少なくとも1つは、マルチアパーチャプレート(315)のスタックの傾斜角Φ1またはコンデンサレンズ(307)のコンデンサ電極(82、84)の傾斜角Φ2を調整するように構成されているマニピュレータ(340.1、340.2)上に搭載されている、項66に記載のシステム(1)。
【0210】
項68.コリメート荷電粒子ビーム(309)の伝播角度を、マルチアパーチャプレート(315)の傾斜したスタックに垂直になるように調整するように構成されている、フィルタプレート(304)の上流でコリメート荷電粒子ビーム(309)の伝播方向に配置されている準静的偏向器(302)をさらに備える、項66または67に記載のシステム(1)。
【0211】
項69.終端アパーチャプレート(310)は、終端開口(94)の各々の周囲に配置されている第1の複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)を備えている、項66~68のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【0212】
項70.マルチビーム生成ユニット(305)は、制御ユニット(830)であって、複数の静電マイクロレンズ場(92)の各々の侵入深さおよび/または形状に影響を及ぼすためにコンデンサ電極(82、84)および第1の複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)の各々を個別に制御し、それによって、マルチビームシステム(1)の像面湾曲および像面傾斜を予め補償するために、中間像面(321)上の複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の横方向および/または軸方向焦点位置を独立して調整するように構成されている制御ユニット(830)をさらに備えている、項66~69のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【0213】
項71.第1の複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)は、第1の複数の静電シリンダ電極(79.2)として形成され、各シリンダ電極(79.2)は、終端開口(94)のうちの1つの周囲に配置され、使用中に吸引場(88)または押圧場(90)を生成するように構成されている、項69または70に記載のシステム(1)。
【0214】
項72.第1の複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)は、第1の複数の静電多極電極(81.2)として形成され、各多極電極(81.2)は、複数の終端開口(94)のうちの1つの周囲に配置され、使用中に吸引場(88)、押圧場(90)および/または偏向場および/または非点収差補正場を生成するように構成されている、項69または70に記載のシステム(1)。
【0215】
項73.マルチビーム生成ユニット(305)は、終端マルチアパーチャプレート(310)の上流に配置されている第1のマルチスティグメータプレート(306.4、306.41)として構成されているさらなるマルチアパーチャプレートをさらに備えており、第1のマルチスティグメータプレート(306.4、306.41)は複数の開口(85.4、85.41)を有し、複数の開口は、各々、複数の開口(85.4、85.41)の周囲に配置されている複数の静電多極素子を形成する、第2の複数の個別にアドレス可能な多極電極(81、81.1)を備え、第2の個別にアドレス可能な多極電極(81、81.1)の各々は、複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各個別のビームレットを偏向、集束、またはその収差を補正するように構成されている制御ユニット(830)に接続されている、項66~72のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【0216】
項74.マルチビーム生成ユニット(305)は、終端マルチアパーチャプレート(310)の上流に配置されている第2のマルチスティグメータプレート(306.43)として構成されているさらなるマルチアパーチャプレートをさらに備えており、第2のマルチスティグメータプレート(306.43)は複数の開口(85.43)を有し、複数の開口は、各々、複数の開口(85.43)の周囲に配置されている複数の静電多極素子を形成する、第3の複数の個別にアドレス可能な多極電極(81.3)を備え、第3の個別にアドレス可能な電極(81.3)の各々は、複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各個別のビームレットを偏向、集束、またはその収差を補正するように構成されている制御ユニット(830)に接続されている、項73に記載のシステム(1)。
【0217】
項75.マルチアパーチャプレート(306、310)のうちの少なくとも1つは、反転マルチアパーチャプレートとして構成され、反転マルチアパーチャプレートは、反転マルチアパーチャプレートのビーム入口側とは反対の下側または底部側に、複数の個別にアドレス可能な電極(79、81)のための電気配線接続(175)を有する、項69~74のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【0218】
項76.少なくとも1つの反転マルチアパーチャプレートは、反転マルチアパーチャプレートの下側または底部側にある電気配線接続(175)を介して複数の個別にアドレス可能な電極(79、79.1、79.2、81、81.1、81.2、81.3)に電気的に接触するための複数の貫通接続(149、149.1、149.2)をさらに備え、反転マルチアパーチャプレートの上側またはビーム入口側には、コンタクトピン(147、147.1、147.2)が配置されている、項75に記載のシステム(1)。
【0219】
項77.マルチビームシステム(1)の像設定に従って像面傾斜に依存して傾斜角Φ、Φ1、Φ2のうちの少なくとも1つを使用中に制御するように構成されている制御ユニット(800)をさらに備え、像設定は、対物レンズ(102)による像回転を含む、項67~76のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【符号の説明】
【0220】
1 マルチビームレット荷電粒子顕微鏡システム
3 一次荷電粒子ビームレット、または複数の一次荷電粒子ビームレット
5 一次荷電粒子ビームスポット
7 物体
9 複数の二次電子ビームレットを形成する二次電子ビームレット
11 二次電子ビーム経路
13 一次ビーム経路
15 二次荷電粒子像スポット
25 ウェハ表面
74 ビーム入口または上側
76 底部側またはビーム出射側
79 リング状電極
81 多極電極
82 環状電極
83 スペーサ
84 セグメント化リング電極
85 開口
86 スペーサ
87 開口の内壁
88 吸引場
90 抑制場
92 静電マイクロレンズ場(等電位線)
94 終端開口
98 導電性材料の層
99 吸収および導電層
100 物体照射ユニット
101 像面
102 対物レンズ
103 場レンズ群
105 マルチビームレット荷電粒子顕微鏡システムの光軸
108 第1のビームクロスオーバ
110 集光マルチビームラスタスキャナ
115 ウェハ表面
145 間隙
147 はんだ付けコンタクトまたはコンタクトピン
148 遮蔽層からコンタクトピンを絶縁する開口
149 貫通接続
151 貫通孔
153 支持ユニット
157 制御ユニットへの接続ワイヤ
173 第2のマルチアパーチャプレートのビーム入口または上側表面
175 電気配線接続
177 導電性遮蔽層
179 絶縁材料
181 絶縁間隙
183 遮蔽電極を形成するバルク材料
185 絶縁間隙
187 応力補償層
189 突入拡張部
191 リング電極の外縁
193 配線接点のための開口部
195 複数の開口
197 支持ゾーン
199 膜ゾーン
200 検出ユニット
205 投影システム
206 静電レンズ
207 像センサ
208 結像レンズ
209 結像レンズ
210 結像レンズ
212 第2のクロスオーバ
214 開口フィルタ
216 能動素子
218 第3の偏向システム
220 マルチアパーチャ補正器
222 第2の偏向システム
251 高電圧配線接続
253 接地線
255 同軸遮蔽および絶縁
261 ASIC
265 ASIC
267 デジタル信号線
269 低電圧供給線
300 荷電粒子マルチビームレット生成器
301 荷電粒子源
302 準静的偏向器
303 コリメートレンズ
304 フィルタプレート
305 一次マルチビームレット形成ユニット
306 マルチアパーチャプレート
306.2 接地電極プレート
306.3 2層小型レンズプレート
306.4 マルチスティグメータプレート
306.5 ハイブリッドレンズプレート
306.8 接地電極プレート
306.9 レンズ電極プレート
307 第1の場レンズ
308 第2の場レンズ
309 一次電子ビーム
310 終端マルチアパーチャプレート
311 一次電子ビームレットスポット
315 マルチアパーチャプレートのスタック
316 多段マイクロレンズ
321 中間像面
323 中間像面傾斜成分
331.1 上側セグメント
331.2 第2のセグメント
333 支持ゾーン
335 膜ゾーン
340 傾斜または回転マニピュレータ
390 ビームステアリングマルチアパーチャプレート
400 ビームスプリッタユニット
420 磁性素子
500 試料ステージ
503 試料電圧供給源
800 制御ユニット
820 結像制御モジュール
830 一次ビーム経路制御モジュール
【手続補正書】
【提出日】2024-04-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチビームシステム(1)のためのマルチビーム生成ユニット(305)であって、入射一次荷電粒子ビーム(309)の伝播方向の順序において、
- 複数の一次荷電粒子ビームレット(3)を生成するための複数の第1の開口(85.1)を有するフィルタプレート(304)であって、前記フィルタプレート(304)は、使用中に接地レベルに接続されている、フィルタプレート(304)と、
- 第1の複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)を備える、複数の終端開口(94)を備える終端マルチアパーチャプレート(310)であって、電極(79.2、81.2)が、前記終端開口(94)の各々の周囲に配置されている、終端マルチアパーチャプレート(310)と、
- 使用中に前記複数の一次荷電粒子ビームレット(3)を透過させるように構成されている単一の開口を有するコンデンサ電極(82、84)を有するコンデンサレンズ(307)であって、前記コンデンサ電極(82、84)は、使用中に、前記複数の終端開口(94)の各々に侵入している複数の静電マイクロレンズ場(92)を生成するように構成されている、コンデンサレンズ(307)と
を備え、
前記マルチビーム生成ユニット(305)は、制御ユニット(830)であって、前記複数の静電マイクロレンズ場(92)の各々の侵入深さおよび/または形状に影響を及ぼすために前記コンデンサ電極(82、84)および前記第1の複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)の各々を個別に制御し、それによって、前記マルチビームシステム(1)の像面湾曲および/または像面傾斜を予め補償するために、中間像面(321)上の前記複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の横方向および/または軸方向焦点位置を独立して調整するように構成されている制御ユニット(830)をさらに備えている、マルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項2】
前記第1の複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)は、第1の複数の静電シリンダ電極(79.2)として形成され、各シリンダ電極(79.2)は、前記複数の終端開口(94)のうちの1つの周囲に配置され、使用中に吸引場(88)または押圧場(90)を生成するように構成されている、請求項1に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項3】
前記第1の複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)は、第1の複数の静電多極電極(81.2)として形成され、各多極電極(81.2)は、前記複数の終端開口(94)のうちの1つの周囲に配置され、使用中に吸引場(88)、押圧場(90)および/または偏向場および/または非点収差補正場を生成するように構成されている、請求項1に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項4】
前記終端マルチアパーチャプレート(310)は、前記第1の複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)を備える第1の終端電極層(306.3a)と、前記第1の複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)から絶縁されており、前記第1の終端電極層(306.3a)の上流に配置されている第2の電極層(306.3b)とを備えており、前記第2の電極層(306.3b)は、使用中に、接地電極層を形成するために前記接地レベルに接続される、請求項1~3のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項5】
前記終端マルチアパーチャプレート(310)は、単一の電極層から作成される、請求項1~3のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項6】
前記終端マルチアパーチャプレート(310)の上流に配置されている第1のマルチスティグメータプレート(306.4、306.41)として構成されているさらなるマルチアパーチャプレートをさらに備え、前記第1のマルチスティグメータプレート(306.4、306.41)は複数の開口(85.4、85.41)を有し、前記複数の開口は、各々、前記複数の開口(85.4、85.41)の周囲に配置されている複数の静電多極素子を形成する、第2の複数の個別にアドレス可能な多極電極(81、81.1)を備え、前記第2の個別にアドレス可能な多極電極(81、81.1)の各々は、前記複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各個別のビームレットを偏向、集束、またはその収差を補正するように構成されている前記制御ユニット(830)に接続されている、請求項1~
3のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項7】
前記終端マルチアパーチャプレート(310)の上流に配置されている第2のマルチスティグメータプレート(306.43)として構成されているさらなるマルチアパーチャプレートをさらに備え、前記第2のマルチスティグメータプレート(306.43)は複数の開口(85.43)を有し、前記複数の開口は、各々、前記複数の開口(85.43)の周囲に配置されている複数の静電多極素子を形成する、第3の複数の個別にアドレス可能な多極電極(81.3)を備え、前記第3の個別にアドレス可能な電極(81.3)の各々は、前記複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各個別のビームレットを偏向、集束、またはその収差を補正するように構成されている前記制御ユニット(830)に接続されている、請求項6に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項8】
前記終端マルチアパーチャプレート(310)の上流に配置されている静電レンズアレイ(306.3、306.9)として構成されているさらなるマルチアパーチャプレートをさらに備え、前記静電レンズアレイ(306.3、306.9)は、使用中に複数の静電レンズ場を形成するように構成されている前記制御ユニット(830)に各々が個別に接続されている、複数の第2のシリンダ電極(79)を備える複数の開口(85.3、85.9)を有する、請求項1~
3のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項9】
前記静電レンズアレイ(306.3、306.9)は、単一の電極層から作成されるレンズ電極プレート(306.9)である、請求項8に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項10】
前記静電レンズアレイ(306.3、306.9)は、レンズ電極層306.3aおよび接地電極層306.3bを有する2層小型レンズ電極プレート(306.3)である、請求項8に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項11】
前記コンデンサ電極(82、84)は、複数の少なくとも4つの電極セグメント(84.1~84.4)を備えるセグメント化電極(84)として形成され、前記制御ユニット(830)は、傾斜成分(323)を有する湾曲した前記中間像面(321)内で前記複数の一次荷電粒子ビームレット(3)を集束させることを容易にするために、使用中に、非対称電圧分布を前記複数の少なくとも4つの電極セグメント(84.1~84.4)に提供するように構成されている、請求項1~
3のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項12】
複数の開口(85.2)を有する少なくとも第1の接地電極プレート(306.2)をさらに備え、前記接地電極プレート(306.2)は使用中に第1の接地電極を形成し、前記接地電極プレート(306.2)は、前記フィルタプレート(304)と前記終端マルチアパーチャプレート(310)との間に配置されている、請求項1~
3のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項13】
前記コンデンサ電極(82、84)を有する前記コンデンサレンズ(307)および前記終端マルチアパーチャプレート(310)は、互いに対して角度Φを成して配置されており、前記角度Φは0°とは異なる、請求項1~
3のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項14】
前記制御ユニット(830)は、各個別にアドレス可能な多段マイクロレンズ(316)について少なくとも6mm、好ましくは少なくとも8mm、さらにより好ましくは10mmを超える個別に可変の集束範囲変動DFを有する個別にアドレス可能な多段マイクロレンズ(316)のアレイをともに形成するために、前記終端マルチアパーチャプレート(3.10)、前記第1のマルチスティグメータプレート(306.4、306.41)および/または前記第2のマルチスティグメータプレート(306.43)および/または前記静電レンズアレイ(306.3、306.9)の前記複数の電極(79、81、79.1、81.1、79.2、81.2、81.3)の各々に複数の個別の電圧を使用中に提供するように構成されている、請求項8
に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項15】
前記複数のマルチアパーチャプレート(306.2~306.9、310)を互いに対して所定の距離に保持するための複数のスペーサ(83.1~83.5)または支持ゾーン(179)をさらに備える、請求項1~
3のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項16】
前記複数のマルチアパーチャプレート(306.4~306.9、310)のうちの少なくとも1つは、反転マルチアパーチャプレートとして構成され、前記反転マルチアパーチャプレートは、前記反転マルチアパーチャプレートのビーム入口側とは反対の下側または底部側に、前記複数の個別にアドレス可能な電極(79、79.1、79.2、81、81.1、81.2、81.3)のための電気配線接続(175)を有する、請求項1~
3のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項17】
前記少なくとも1つの反転マルチアパーチャプレートは、前記反転マルチアパーチャプレートの下側または底部側にある前記電気配線接続(175)を介して前記複数の個別にアドレス可能な電極(79、79.1、79.2、81、81.1、81.2、81.3)に電気的に接触するための複数の貫通接続(149、149.1、149.2)をさらに備え、前記反転マルチアパーチャプレートの上側またはビーム入口側には、コンタクトピン(147、147.1、147.2)が配置されている、請求項16に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項18】
前記終端マルチアパーチャプレート(310)は、前記複数の開口(94)を有する導電性遮蔽層(177.2)をさらに備えており、前記導電性遮蔽層(177.2)は、前記第1の複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)から電気的に絶縁されており、前記導電性遮蔽層(177.2)は、前記個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)と前記コンデンサレンズ(307)との間で前記終端マルチアパーチャプレート(310)の前記底部側(76)に配置されている、請求項1~
3のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項19】
前記入射一次荷電粒子ビーム(309)の伝播方向において、前記フィルタプレート(304)の前記第1の開口(85.1)は、第1の直径D1を有し、前記終端開口(94)は、終端直径DTを有し、DTは、1.6×D1≦DT≦2.4×D1の間の範囲内にある、請求項1~
3のいずれか1項に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項20】
前記入射一次荷電粒子ビーム(309)の伝播方向において、前記フィルタプレート304の前記第1の開口(85.1)は、第1の直径D1を有し、さらなるマルチアパーチャプレート(306.2、306.3、306.4、306.9)の前記第2の開口(85.2、85.3、85.4、85.9)は、第2の直径D2を有し、前記終端開口(94)は、終端直径DTを有し、D1<D2<DTであり、好ましくは1.3×D1≦D2≦0.8×DTである、請求項6
に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項21】
前記コンデンサ電極(82、84)を有する前記コンデンサレンズ(307)または前記終端アパーチャプレート(310)のうちの少なくとも一方は、前記コンデンサ電極(82、84)を有する前記コンデンサレンズ(307)または前記終端アパーチャプレート(310)のうちの少なくとも一方の傾斜角または回転を調整するように構成されているマニピュレータ(340、340.1、340.2)上に搭載されている、請求項13に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項22】
終端マルチアパーチャプレート(310)であって、
- 複数の終端開口(94)であって、使用中に、前記複数の終端開口(94)に侵入している複数の静電マイクロレンズ場(92、92.1、92.2)を形成するように構成されている、複数の終端開口(94)と、
- 前記終端開口(94)の周囲に配置されている複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)と
を備え、
前記複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)は、制御ユニット(830)に個別に接続されるように構成されており、使用中に、複数の静電マイクロレンズ場(92、92.1、92.2)の各々の侵入深さおよび/または形状に個別に影響を及ぼすように構成されている、終端マルチアパーチャプレート(310)。
【請求項23】
接地レベル(0V)に接続されている、前記終端マルチアパーチャプレート(310)の終端またはビーム出射側(76)の第1の導電性遮蔽層(177.2)であって、前記複数の静電マイクロレンズ場(92)が、使用中に、前記終端開口(94)のみへと侵入するように、前記複数の静電マイクロレンズ場(92)を、前記終端マルチアパーチャプレート(310)へと侵入しないように遮蔽するように構成されている、第1の導電性遮蔽層(177.2)をさらに備える、請求項22に記載の終端マルチアパーチャプレート(310)。
【請求項24】
前記複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)の間に、使用中に、前記複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)を互いから遮蔽するように構成されている、接地レベル(0V)に接続されている遮蔽電極層(183)をさらに備える、請求項22または23に記載の終端マルチアパーチャプレート(310)。
【請求項25】
複数の個別の電圧を前記複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)に提供するための複数の配線接続(175)をさらに備え、前記複数の配線接続(175)は、前記制御ユニット(830)に接続されるように構成されている、請求項22
または23に記載の終端マルチアパーチャプレート(310)。
【請求項26】
前記複数の配線接続(175)は前記終端マルチアパーチャプレート(310)の第1の側に配置されており、前記導電性遮蔽層(177、177.2)から絶縁されており、前記終端マルチアパーチャプレート(310)は、前記複数の配線接続(175)に接続されており、前記制御ユニット(830)に接続されるように構成されている複数の貫通接続(149)をさらに備えている、請求項25に記載の終端マルチアパーチャプレート(310)。
【請求項27】
- 前記終端マルチアパーチャプレート(310)の上側の第2の導電性遮蔽層(177.1)であって、前記上側は、複数の荷電粒子ビームレット(3)が前記終端マルチアパーチャプレート(310)に入る側である、第2の導電性遮蔽層(177.1)と、
- 複数の平坦化絶縁層(129.2、179、179.1、179.3、179.5)と、
- 複数の電気配線接続(175)の層と、
- 前記複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)を含む電極層(129.1)と
をさらに備え、
前記電極層(129.1)、前記電気配線接続(175)の層および前記第1のまたは第2の導電性遮蔽層(177.2、177.2)の各々は、前記平坦化絶縁層(129.2、179、179.1、179.3、179.5)のうちの1つによって、隣接する層から絶縁されており、
前記平坦化絶縁層(129.2、179、179.1、179.3、179.5)の各々は、二酸化ケイ素から作成され、T<3μmを下回る、好ましくはT≦2.5μmを下回る厚さTまで水平に均される、請求項22
または23に記載の終端マルチアパーチャプレート(310)。
【請求項28】
前記電極層(129.1)は、50μm~100μmの厚さを有する、請求項27に記載の終端マルチアパーチャプレート(310)。
【請求項29】
複数の一次荷電粒子ビームスポット(311)の各々の焦点距離を個別に変化させる方法であって、
- 終端マルチアパーチャプレート(310)の複数の終端開口(94)の各々において複数の個別にアドレス可能な終端電極(79.2、81.2)を提供することと、
- 前記終端マルチアパーチャプレート(310)に隣接して、複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の伝播方向において前記終端マルチアパーチャプレート(310)の下流にコンデンサレンズ電極(82、84)を提供することと、
- 制御ユニット(830)によって、前記複数の終端開口(94)に侵入している複数の静電マイクロレンズ場(92)を生成するために、少なくとも第1の電圧を前記コンデンサレンズ電極(82、84)に提供することと、
- 前記制御ユニット(830)によって、複数の個別の電圧を、前記複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)の各々に提供することと、
- 前記個別にアドレス可能な終端電極(79.2、81.2)の前記複数の個別の電圧を、前記複数の静電マイクロレンズ場(92)の各々の侵入深さに影響を及ぼし、それによって、湾曲した中間像面(321)上の前記複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の軸方向焦点位置を独立して調整するように、個別に制御することと
を含む、方法。
【請求項30】
前記複数の個別にアドレス可能な終端電極(79.2、81.2)は、第1の多極電極(81.2)として形成され、前記方法は、前記複数の静電マイクロレンズ場(92)の各々の形状および/または横方向位置に影響を及ぼし、それによって、前記湾曲した中間像面(321)上の前記複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の横方向焦点位置および形状を独立して調整するように、前記第1の多極電極(81.2)への前記複数の個別の電圧を個別に制御するステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記複数の個別の電圧を個別に制御する前記ステップは、傾斜成分(232)によって、前記湾曲した中間像面(321)上での前記複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の焦点位置を調整するように構成されている、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
- 複数の開口(85.4)および複数の個別にアドレス可能な第2の多極電極(81.1)を有する第1のマルチスティグメータプレート(306.4、306.41)を、前記終端マルチアパーチャプレート(310)の上流に提供することと、
- 前記制御ユニット(830)によって、複数の個別の電圧を、前記複数の個別にアドレス可能な第2の多極電極(81.1)の各々に提供することと、
- 前記終端マルチアパーチャプレート(310)の前記複数の終端開口(94)を通過する前に、前記複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の形状および/または横方向位置に影響を及ぼすために、前記第2の多極電極(81.1)の前記複数の個別の電圧を個別に制御することと
をさらに含む、請求項29
または30に記載の方法。
【請求項33】
- 複数の開口(85.4)および複数の個別にアドレス可能な第3の多極電極(81.3)を有する第2のマルチスティグメータプレート(306.4、306.41)を提供することと、
- 前記制御ユニット(830)によって、複数の個別の電圧を、前記複数の個別にアドレス可能な第3の多極電極(81.3)の各々に提供することと、
- 前記終端マルチアパーチャプレート(310)の前記複数の終端開口(94)を通過する前に、前記複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の形状および/または横方向位置および/または方向に影響を及ぼすために、前記第3の多極電極(81.3)の前記複数の個別の電圧を個別に制御することと
をさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
- 複数の開口(85.3、85.9)および複数の個別にアドレス可能なリング電極(79)を有する小型レンズプレート(306.3、306.9)を提供することと、
- 前記制御ユニット(830)によって、複数の個別の電圧を、前記複数の個別にアドレス可能なリング電極(79)の各々に提供することと、
- 前記終端マルチアパーチャプレート(310)の前記複数の終端開口(94)を通過する前に、前記複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の焦点位置に影響を及ぼすために、前記リング電極(79)の前記複数の個別の電圧を個別に制御することと
をさらに含む、請求項29
または30に記載の方法。
【請求項35】
前記複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の軸方向および横方向焦点位置、形状、ならびに伝播方向に共同的に影響を及ぼすために、前記多極電極(81.1、81.3)のいずれかの、および/または、前記小型レンズプレート(306.3、306.9)の前記リング電極(79)の前記個別にアドレス可能な終端電極(79.2、81.2)の前記複数の個別の電圧を個別に制御するステップをさらに含む、請求項29
または30に記載の方法。
【請求項36】
マルチビームシステム(1)のためのマルチビーム生成ユニット(305)であって、
- 複数の一次荷電粒子ビームレット(3)を生成するための複数の第1の開口(85.1)を有するフィルタプレート(304)であって、前記フィルタプレート(304)は、使用中に接地レベルに接続されている、フィルタプレート(304)と、
- 複数のマルチアパーチャプレート(306、306.3、306.4、306.9)であって、各マルチアパーチャプレート(306、306.3、306.4、306.9)は、電極層(129.1)と、前記電極層(129.1)の第1の側に配置されている複数のコンタクトピン(147)とを備える、複数のマルチアパーチャプレート(306、306.3、306.4、306.9)と、
- 終端マルチアパーチャプレート(310)と
を備え、
- 各マルチアパーチャプレート(306、306.3、306.4、306.9)は、複数の電気配線接続(175)の層をさらに備え、
前記複数のマルチアパーチャプレート(306、306.3、306.4、306.9)のうちの少なくとも1つは、反転マルチアパーチャプレート(306、306.3、306.4、306.9)として構成され、前記複数の電気配線接続(175)の層は前記反転マルチアパーチャプレート(306、306.3、306.4、306.9)の前記電極層(129.1)の第2の側に配置されている、マルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項37】
前記反転マルチアパーチャプレート(306、306.3、306.4、306.9)は、前記複数のコンタクトピン(147)を前記複数の電気配線接続(175)と電気的に接続するための複数の貫通接続(149)をさらに備える、請求項36に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項38】
前記終端マルチアパーチャプレート(310)は、複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)を有する電極層(129.1)と、複数の電気配線接続(175)の層と、前記電極層(129.1)の第1の側に配置されている複数のコンタクトピン(147)とを備える、請求項36または37に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項39】
前記複数の電気配線接続(175)の層は、前記終端マルチアパーチャプレート(310)の前記電極層(129.1)の前記第2の側に配置されている、請求項38に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項40】
同じ前記第1の側から、各マルチアパーチャプレート(306、306.3、306.4、306.9)および/または前記終端マルチアパーチャプレート(310)の複数のコンタクトピン(147)の各々に複数の電圧を提供するように構成されている制御ユニット(830)をさらに備える、請求項36
または37に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項41】
- 前記終端マルチアパーチャプレート(310)の下流に配置されており、使用中に前記複数の一次荷電粒子ビームレット(3)を透過させるように構成されている単一の開口を有するコンデンサ電極(82、84)を有するコンデンサレンズ(307)と、
- 使用中に、前記複数の終端開口(94)の各々に侵入している複数の静電マイクロレンズ場(92)を生成するように構成されている前記コンデンサ電極(82、84)と、
- 前記複数の静電マイクロレンズ場(92)の各々の侵入深さおよび/または形状に影響を及ぼすために前記コンデンサ電極(82、84)および前記終端マルチアパーチャプレート(310)の前記複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)の各々を個別に制御し、それによって、湾曲した中間像面(321)上の複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の横方向および軸方向焦点位置を独立して調整するように構成されている制御ユニット(830)と
をさらに備える、請求項36
または37に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項42】
マルチビームシステム(1)のためのマルチビーム生成ユニット(305)であって、
- 入射一次荷電粒子ビームレット(309)から複数の一次荷電粒子ビームレット(3)を生成するための複数の第1の開口(85.1)を有するフィルタプレート(304)と、
- 電極層(129.1)を有する少なくとも第1のマルチアパーチャプレート(306.3、306.4、306.9)と、
- 複数の終端開口(94)を有する終端マルチアパーチャプレート(310)と、
- コンデンサ電極(82、84)を有するコンデンサレンズ(307)と、
- 前記少なくとも第1のマルチアパーチャプレート(306.3、306.4、306.9)、前記終端マルチアパーチャプレート(310)および前記コンデンサ電極(82、84)に複数の個別の電圧を提供するように構成されている制御ユニット(830)と
を備え、
前記マルチビーム生成ユニット(305)は、前記複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の軸方向焦点位置の各々を、DF>3mmを超える、好ましくはDF>4mm、さらにより好ましくはDF>6mm、例えばDF≧8mmの集束範囲DFで個別に調整するように構成されている、マルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項43】
前記終端マルチアパーチャプレート(310)は、前記複数の終端開口(94)の各々の周囲に配置されている複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)を備えており、前記制御ユニット(830)は、使用中に、複数の個別の電圧を、前記複数の個別にアドレス可能な電極(79.2、81.2)の各々に提供するように構成されている、請求項42に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項44】
前記マルチビーム生成ユニット(305)は、前記複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々を、湾曲した中間面(321)上に集束させるようにさらに構成されている、請求項42または43に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項45】
前記湾曲した中間面(321)は傾斜成分(323)を有する、請求項44に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項46】
前記マルチビーム生成ユニット(305)は、前記湾曲面(321)上の前記複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の横方向焦点位置の各々を、20nmを下回る、好ましくは15nmを下回る、さらにより好ましくは10nmを下回る正確度で個別に調整するようにさらに構成されている、請求項42
または43に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項47】
前記マルチビーム生成ユニット(305)は、複数の無収差焦点(311、311.1、311.2、311.3、311.4)を前記湾曲した中間面(321)上に形成するために、前記複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の形状または収差の各々を個別に調整するようにさらに構成されている、請求項42
または43に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【請求項48】
複数の開口(85.4)および複数の個別にアドレス可能な多極電極(81.1)を有する第1のマルチスティグメータプレート(306.4、306.41)をさらに備え、前記制御ユニット(830)は、複数の個別の電圧を前記複数の個別にアドレス可能な多極電極(81.1)の各々に提供するようにさらに構成されており、前記制御ユニット(830)は、前記終端マルチアパーチャプレート(310)の前記複数の終端開口(94)を通過する前に、前記複数の一次荷電粒子ビームレット(3)の各々の形状および/または横方向位置に影響を及ぼすために、前記多極電極(81.1)の前記複数の個別の電圧を個別に制御するように構成されている、請求項42
または43に記載のマルチビーム生成ユニット(305)。
【国際調査報告】