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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】宝飾品類
(51)【国際特許分類】
   A44C 17/02 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
A44C17/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508774
(86)(22)【出願日】2022-08-09
(85)【翻訳文提出日】2024-03-01
(86)【国際出願番号】 AU2022050862
(87)【国際公開番号】W WO2023015338
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】2021215144
(32)【優先日】2021-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524055285
【氏名又は名称】パスパリー パールズ ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カッペン,セバスチャン
【テーマコード(参考)】
3B114
【Fターム(参考)】
3B114AA02
3B114AA11
3B114AA21
3B114HH04
(57)【要約】
宝石(20)と、基材(40)と、を含む、宝飾品類(10)。宝石(20)は、周辺領域(22)を画定する。基材(40)は、周辺領域(22)に対して配設された場所に離間した複数の開口部(42)を画定し、各開口部(42)は、それぞれの支柱(30)を受容するように寸法設定されている。支柱(30)は、宝石(20)を基材(40)上に装着するために、基材(40)から宝石(20)の周辺領域(22)に当接して延在するように開口部(42)内に固設されている。宝石(20)を基材(40)に装着するための方法も開示される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
宝飾品類であって、
周辺領域を画定する宝石と、
複数の支柱と、
前記周辺領域に対して配設された場所に離間した複数の開口部を画定する基材であって、各開口部が、前記支柱のうちの1つの一部分を受容するように寸法設定されている、基材と、を含み、
前記支柱が、前記宝石を前記基材上に装着するために、前記基材から前記周辺領域に当接して延在するように前記開口部内に固設されている、宝飾品類。
【請求項2】
前記宝石が、対称軸を画定し、各開口部が、前記軸に横断方向に延在する、請求項1に記載の宝飾品類。
【請求項3】
前記宝石が、対称平面を画定し、各開口部が、前記平面に横断方向に延在する、請求項1又は2に記載の宝飾品類。
【請求項4】
前記基材が、前記周辺領域に対応する想定上の装着領域を有し、前記開口部が、前記基材の前記想定上の装着領域内に少なくとも部分的にあるように配設されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の宝飾品類。
【請求項5】
前記開口部が、前記想定上の装着領域の周りに規則的な配列で配設されている、請求項4に記載の宝飾品類。
【請求項6】
凹部が、前記想定上の装着領域内に画定され、前記宝石を部分的に受容するように形状設定されている、請求項4又は5に記載の宝飾品類。
【請求項7】
各支柱が、前記周辺領域の一部分を捕捉するように形状設定されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の宝飾品類。
【請求項8】
各支柱が、前記周辺領域と係合するように構成された係合部分を画定する、請求項1~7のいずれか一項に記載の宝飾品類。
【請求項9】
各係合部分が、前記周辺領域の一部を受容するように形状設定されたノッチを含む、請求項9に記載の宝飾品類。
【請求項10】
前記宝石が、テーブルファセットを画定し、前記支柱が、前記テーブルファセットを前記基材に実質的に平行に装着するように配設されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の宝飾品類。
【請求項11】
各開口部が、前記支柱のうちの1つと摩擦係合して、前記支柱を前記基材に保持するように構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の宝飾品類。
【請求項12】
前記開口部のうちの1つ以上が、前記支柱を前記基材に結合するように構成された接着剤を担持する、請求項1~11のいずれか一項に記載の宝飾品類。
【請求項13】
宝飾品類であって、
複数の宝石であって、各宝石が周辺領域を画定する、複数の宝石と、
複数の支柱のセットと、
複数の開口部のセットを画定する基材であって、開口部の各セットが、前記宝石のうちの1つの前記周辺領域に対して配設された場所に離間した前記開口部を有し、各開口部が、前記支柱のうちの1つの一部分を受容するように寸法設定されており、支柱の各セットが、前記宝石を前記基材に装着するために、前記基材から前記宝石のうちの1つの前記周辺領域に当接して延在するように前記開口部のセットのうちの1つに固設されている、基材と、を含む、宝飾品類。
【請求項14】
前記基材が、曲面を画定し、各開口部が、前記曲面内に画定される、請求項1~13のいずれか一項に記載の宝飾品類。
【請求項15】
前記基材が、複曲面を画定する、請求項14に記載の宝飾品類。
【請求項16】
前記基材が、実質的に球面構造を画定する、請求項14又は15に記載の宝飾品類。
【請求項17】
前記基材が、真珠である、請求項14~16のいずれか一項に記載の宝飾品類。
【請求項18】
前記基材が、平面状の面を画定し、各開口部が、前記平面状の面内に画定される、請求項1~13のいずれか一項に記載の宝飾品類。
【請求項19】
周辺領域を画定する宝石を基材に装着する方法であって、前記方法が、
前記基材上の想定上の装着領域を選択することであって、前記想定上の装着領域が、前記宝石の前記周辺領域に実質的に対応する、選択することと、
前記基材内に複数の穴を画定するように、前記基材から材料を選択的に除去することであって、前記穴が、前記想定上の装着領域に対して配設された場所に離間している、選択的に除去することと、
支柱の一部分が前記基材と係合し、前記支柱が前記基材から延在するように、各穴に前記支柱を固定することと、
前記宝石が前記支柱内に保持されるように、前記宝石の前記周辺領域を前記支柱の各々に当接させて配設することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、宝飾品に関し、特に、基材に装着された宝石を含む宝飾品類に関する。
【背景技術】
【0002】
宝飾品の製造には、多くの場合、貴金属、真珠、真珠の真珠層、又は炭素繊維などの複合材料などの基材内又は基材上に1つ以上の宝石を装着することを伴う。これは、典型的には、基材に凹部をドリル加工するか又は他の方法で形成することを伴う。凹部は、宝石を実質的に受容するように寸法設定されている。次いで、宝石は、凹部に配置され、接着剤で基材に直接接合されるか、又は金属装着部内に固定され、装着部が凹部内に配置され、接着剤で基材に結合される。これらの手法は、基材に過度の外観の悪い損傷を引き起こす可能性があり、接着剤の欠損に起因して、宝石が基材から外れることを可能にする傾向がある。また、接着剤は、経時的に変色する可能性があり、及び/又は凹部内の宝石の配設は、宝石の光沢を抑制する可能性があり、いずれも宝飾品類の美的魅力を損なう。
【0003】
本明細書に含まれている文書、行為、材料、デバイス、物品などのいずれの考察も、これらの事項のいずれか又は全てが、添付の特許請求の範囲の各々の優先日の前に存在したかのように、本開示に関連する分野における共通一般知識であったことを認めるものとみなされるべきではない。
【発明の概要】
【0004】
いくつかの開示された実施形態によれば、周辺領域を画定する宝石と、複数の支柱と、周辺領域に対して配設された場所に離間した複数の開口部を画定する基材と、を含む、宝飾品類が提供され、各開口部は、支柱のうちの1つの一部分を受容するように寸法設定されている。支柱は、宝石を基材上に装着するために、基材から周辺領域に当接して延在するように開口部内に固設されている。
【0005】
いくつかの実施形態では、宝石は、対称軸を画定し得る。各開口部は、軸に横断方向に延在し得る。代替的に又は追加的に、宝石は、対称平面を画定し得、各開口部は、平面に横断方向に延在し得る。
【0006】
基材は、宝石の周辺領域に対応する想定上の装着領域を有し得る。開口部は、基材の想定上の装着領域内に少なくとも部分的にあるように配設され得る。いくつかの実施形態では、開口部は、想定上の装着領域の周りに規則的な配列で配設され得る。
【0007】
凹部が、想定上の装着領域内に画定され得る。凹部は、宝石を部分的に受容するように形状設定され得る。
【0008】
各支柱は、周辺領域の一部分を捕捉するように形状設定され得る。例えば、各支柱は、宝石の周辺領域と係合するように構成された係合部分を画定し得る。各係合部分は、周辺領域の一部を受容するように形状設定されたノッチを含み得る。
【0009】
宝石は、テーブルファセットを画定し得、支柱は、テーブルファセットを基材に実質的に平行に装着するように配設され得る。
【0010】
各開口部は、支柱のうちの1つと摩擦係合して、支柱を基材に保持するように構成され得る。追加的に又は代替的に、開口部のうちの1つ以上は、支柱を基材に結合するように構成された接着剤を担持し得る。
【0011】
いくつかの開示された実施形態によれば、宝飾品類であって、複数の宝石であって、各宝石が周辺領域を画定する、複数の宝石と、複数の支柱のセットと、複数の開口部のセットを画定する基材であって、開口部の各セットは、宝石のうちの1つの周辺領域に対して配設された場所に離間した開口部を有し、各開口部は、支柱のうちの1つの一部分を受容するように寸法設定されており、支柱の各セットは、宝石を基材に装着するために、基材から宝石のうちの1つの周辺領域に当接して延在するように開口部のセットのうちの1つに固設されている、基材と、を含む、宝飾品類が提供される。
【0012】
基材は、曲面を画定し得、各開口部は、曲面内に画定され得る。いくつかの実施形態では、基材は、複曲面を画定する。例えば、基材は、実質的に球面構造を画定し得る。代替的に、基材は、実質的に平面状又は平坦な面を画定し得、各開口部は、実質的に平面状の面内に画定され得る。いくつかの実施形態では、基材は、真珠である。他の実施形態では、基材は、真珠層である。
【0013】
いくつかの開示された実施形態によれば、周辺領域を画定する宝石を基材に装着する方法であって、基材上の想定上の装着領域を選択することであって、想定上の装着領域は、宝石の周辺領域に実質的に対応する、選択することと、基材内に複数の穴を画定するように、基材から材料を選択的に除去することであって、穴は、想定上の装着領域に対して配設された場所に離間している、選択的に除去することと、支柱の一部分が基材と係合し、支柱が基材から延在するように、各穴に支柱を固定することと、宝石が支柱内に保持されるように、宝石の周辺領域を支柱の各々に当接させて配設することと、を含む、方法が提供される。
【0014】
本明細書全体を通して、用語「備える(comprise)」、又は「備える(comprises)」若しくは「備える(comprising)」などの変化形は、記載された要素、整数若しくはステップ、又は要素、整数若しくはステップの群を含むことを示唆するが、任意の他の要素、整数若しくはステップ、又は要素、整数若しくはステップの群を除外することを示唆しないことが理解されるであろう。
【0015】
実施形態は、本明細書に開示されている、又は本出願の明細書に個々に若しくは集合的に示されているステップ、特徴及び/又は整数、並びに当該ステップ若しくは特徴の2つ以上のありとあらゆる組み合わせを含み得ることが認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
ここで、添付の図面を参照して、実施形態を専ら例として説明する。
【0017】
図1】真珠基材に装着された複数の宝石を含む宝飾品類の詳細図である。
図2】湾曲基材に宝石を装着する3つの段階を例示する詳細図である。
図3】湾曲基材に宝石を装着する3つの段階を例示する詳細図である。
図4】湾曲基材に宝石を装着する3つの段階を例示する詳細図である。
図5図4に示される湾曲基材に装着された宝石の断面図である。
図6図4に示される湾曲基材に装着された宝石の上面図である。
図7図1の宝飾品類の概略的な宝石レイアウトである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面において、参照符号10は、概して、本開示による宝飾品類を示す。宝飾品類10は、宝石20と、複数の支柱30と、基材40と、を含む。宝石20は、周辺領域22を画定する(図5)。基材40は、周辺領域22に対して配設された場所に離間した複数の開口部42(図2)を画定する。各開口部42は、支柱30のうちの1つの一部分に合わせて寸法設定される。支柱30は、宝石20を基材40上に装着するために、基材40から周辺領域22に当接して延在するように開口部42内に固設されている。
【0019】
図1に示されるように、いくつかの実施形態では、宝飾品類10は、複数の宝石20を含み得、各宝石20は、周辺領域22を画定する。そのような実施形態では、複数の支柱30のセットが提供され、基材40は、複数の開口部42のセットを画定し、開口部42の各セットは、宝石20のうちの1つの周辺領域22に対して配設された場所に離間した開口部42を有し、各開口部42は、支柱30のうちの1つの一部分を受容するように寸法設定されている。支柱30の各セットは、宝石20を基材40に装着するために、基材40から、宝石20のうちの1つの周辺領域22に当接して延在するように開口部42のセットのうちの1つに固設されている。
【0020】
図5に最良に示されるように、宝石20は、対称軸24を画定し得る。対称軸24を画定する宝石カットとしては、限定はされないが、ラウンド、プリンセス、ローズ、ハーフローズ、ラディアント、ブリリアント、クッション、スクエア、ボール、トリリオン、フレンチ、又は回転対称性を有する他のカットが挙げられる。代替的に又は追加的に、宝石20は、図に示される軸24と整列するなど、1つ以上の対称平面を画定し得る。対称平面を画定する宝石カットとしては、限定はされないが、ペア、レクタンギュラー、トラペーズ、ナヴェット、オーバル、ペンデローク、又は鏡映対称性を有する他のカットが挙げられ得る。
【0021】
支柱30は、宝石20の軸24が基材40の局所面に実質的に垂直であるように位置決めされるように配設され得る。基材40が球面構造を画定する場合、宝石20の対称軸24(又は対称平面)は、球面の中心に向かって延在するように位置決めされ得る。
【0022】
図4~6に例示されるようないくつかの実施形態では、宝石は、典型的には石20の平坦なクラウン面であるテーブルファセット21を画定する。そのような実施形態では、支柱30は、基材40の局所面に実質的に平行であるようにテーブルファセット21を位置決めするよう配設され得る。他の実施形態(例示せず)では、支柱30は、テーブルファセット21を、基材40に向かって傾斜するなど、基材40に対してある角度で位置決めするように配設される。他の実施形態では、宝石は、他の形状を画定し得る。例えば、宝石は、カボション宝石などの丸みを帯びた上面を有し得、支柱30は、丸みを帯びた上部を基材40に対して装着するように配設され得る。
【0023】
各開口部42は、ゼロではない角度で、宝石20の対称軸24、又は対称平面に横断方向に延在するように配設され得る。例示された実施形態では、開口部42は、細長い穴の形態であり、各々がそれぞれの開口部軸44を有する。穴は、典型的にはドリル加工によって形成されるが、レーザ切断などの、基材40から材料を選択的に除去する他の手法が本開示の範囲内であることが認識されるであろう。基材40が曲面を画定する場合、軸44は、基材40の局所面に実質的に垂直であるように配設され得る。基材40が球面構造を画定する場合、軸44は、球面の中心に向かって延在するように配設され得る。
【0024】
図5から認識され得るように、例示された実施形態では、開口部軸44は各々、宝石の対称軸24に対して所定の鋭角で配設されており、軸24と整列した対称平面の周りで鏡像化されている。開口部軸44は、対称軸24、又は対称平面に対して所定の角度で延在し得る。例えば、角度は、約3度~約5度であり得る。角度は、宝石20のサイズ及び/又は形状に依存し得る。例えば、いくつかの実施形態(例示せず)では、宝石20の周りに配設された開口部軸44の角度は、石20の周辺領域22に対する開口部40の位置に応じて変わり得る。
【0025】
典型的には、各開口部42は、支柱30のうちの1つと摩擦係合するように寸法設定される。これは、各支柱30の一部分と基材40との間に締まり嵌めを形成し、支柱30を基材40と堅く係合させる。追加的に又は代替的に、開口部42のうちの1つ以上は、支柱30を基材40に結合するように構成された接着剤を担持する。
【0026】
各支柱30は、宝石20の周辺領域22の一部分を捕捉するように形状設定され得る。例えば、例示された実施形態では、図3に最良に示されるように、各支柱30は、周辺領域22と係合するように構成された係合部分32を画定し得る。この実施形態では、係合部分32は、ノッチ34を含む。ノッチ34は、図4に示されるように、宝石20の周辺領域22の一部を受容するように形状設定されている。他の実施形態(例示せず)では、係合部分32は、フック、タブ、爪、又は宝石20を固設するために周辺領域22と相互係止若しくは把持するように構成された他の構造を含み得る。いくつかの実施形態(例示せず)では、各係合部分32は、宝石20の周辺領域22によって変形され、周辺領域22を把持するように配設された、シリコーンパッドなどの弾性変形可能な部分を含み得る。
【0027】
図1及び5に示されるような複数の宝石20を含む実施形態では、1つ以上の支柱30は、2つ以上の宝石20の周辺領域22の一部分を捕捉するように形状設定され得る。例えば、図7は、1つの宝石20のみに係合するいくつかの支柱30を示し、一方で、他の支柱30は、2つの宝石20に係合している。他の実施形態(例示せず)は、3つ以上の宝石20と係合するように構成された支柱30を含み得る。複数の宝石20と係合する支柱30は、例えば、上で説明したように、対応する複数のノッチ34又は他の保持構造を含む、具体的に構成された係合部分32を有し得る。
【0028】
再び図5を参照すると、支柱30がそれぞれの開口部42に固設されるとき、基材40に挿入される各支柱30の少なくとも一部分は、それぞれの開口部軸44と整列される。各支柱30の第1の部分は、各支柱30の第2の部分が基材40から延在するように、それぞれの開口部42内に受容される。各支柱30の第2の部分は、典型的には、支柱30の第1の部分よりも短いように寸法設定されている。例えば、支柱30の第2の部分は、支柱30の長さのおよそ25%であり得る。支柱30の第2の部分の長さは、宝石20のサイズ及び/又は周辺領域22の周りの宝石20のガードル厚さに依存し得る。基材40から延在する支柱30の第2の部分は、宝石20と係合するために必要とされる事前定義された最小値よりも大きいように選択され得る。例えば、高さが約1.2mm~約5mmの範囲の宝石20の場合、基材40から延在する支柱30の部分は、約4mm~約6mmの範囲であり得る。図5に示される実施形態10では、基材40から延在する支柱30の第2の部分は、約5mmである。
【0029】
宝石20が基材40内に装着されるとき、支柱30及び宝石20は、支柱30の対向する角度が基材40からの支柱30の引き抜きを阻止するように、ユニットとして一緒に係止し得る。このようにして、宝石20及び基材40に対する支柱30の角度配設は、宝石20を基材40に保持することを増強することができる。
【0030】
基材40は、想定上の装着領域を有し得る。装着領域は、基材40の外面上に画定される想定上のプロファイルである。プロファイルは、基材40に隣接して配設されるときの周辺領域22の突出部など、宝石20の周辺領域22に実質的に対応する。開口部42は、典型的には、基材40の想定上の装着領域内に少なくとも部分的にあるように配設されている。例えば、図6に示されるように、開口部42は、点線で示されるように、基材40の想定上の装着領域内に延在するように配設されている。いくつかの実施形態では、開口部42は、典型的には宝石20の対称軸と整列した、想定上の装着領域の中心に向かって概ね延在するように配設されている。開口部42の配設は、宝石20が基材40上に装着されるとき、開口部42が宝石20の下に実質的に隠されることを意味する。図1に示されるような他の実施形態では、開口部42は、想定上の装着領域の少なくとも部分的に外側にあるように配設され得る。これらの実施形態では、開口部42は、想定上の装着領域の中心から離れて延在し得る。この構成は、例えば、宝石20の形状が装着領域内に開口部42を配設することを阻止する場合に使用され得る。
【0031】
図6に示されるような実施形態では、開口部42は、基材40の想定上の装着領域の周りに規則的な配列で配設されている。開口部42は、代替的に、想定上の装着領域の周りに不規則的な配列で配設され得ることが認識されるであろう。図1に示されるように、基材40に装着された複数の宝石20を含むいくつかの実施形態では、開口部42の規則的及び不規則的な配列の組み合わせが、基材40に画定される。図7は、各宝石20の周辺領域22に対して配設された各支柱30の輪郭を示す。
【0032】
図2を参照すると、例示された実施形態では、凹部46が、基材40に画定され、宝石20を部分的に受容するように形状設定されている。図5に最良に示される例示された実施形態では、凹部46は、カレットとして知られる宝石20のベース部分を受容するように構成されている。凹部46の深さは、宝石が基材40に装着されるときに、宝石20の所定の部分が基材40の面レベルの上に残るように、宝石20の全体の高さに対して構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、宝石20が基材40に装着されるときに、宝石20の少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%が基材40の面レベルの上に残るように、凹部46の深さが構成される。凹部46の深さは、宝石20が基材に装着されるときに、宝石20の周辺領域22が基材40の面レベルより所定の距離だけ上に位置決めされるように構成され得る。他の実施形態では、凹部46は、存在せず、宝石46は、基材40の外面上に、又は基材40の外面に隣接して装着されることが認識されるであろう。
【0033】
いくつかの実施形態では、例えば、図3及び5において認識することができるように、凹部46は、想定上の装着領域内に完全に含まれ得る。そのような実施形態では、宝石20が基材40に装着されるときに、凹部46は、隠される。
【0034】
例示された実施形態では、基材40は真珠であり、開口部42は、真珠基材40の曲面にドリル加工される。真珠基材40は、典型的には、開口部42が画定される複曲外面を有する実質的に球面構造を画定する。いくつかの実施形態では、基材40の面は、単曲である。宝石20は、宝石20が基材40から色を反射及び屈折させるときに、真珠基材40から光沢及び輝きを得ることができる。開示された宝飾品類10及び宝石20を基材40に装着するための方法は、平面状の面を含む他の基材材料及び構造に適用可能であることが認識されるであろう。例えば、他の実施形態(例示せず)では、基材40は、リングの領域などの単曲、イヤリングの一部分などの複曲及び起伏、平面状、ファセット状、又はこれらの構造の2つ以上の組み合わせであり得る。更に、いくつかの実施形態(図示せず)では、基材40は、真珠の真珠層、金などの貴金属、若しくは炭素繊維などの複合材料、又は材料の組み合わせを含む。
【0035】
図2~4は、本開示による宝飾品類10を作製するために、1つ以上の宝石20を基材40に装着する方法を例示する。方法は、最初に基材40上の想定上の装着領域を選択することを含む。想定上の装着領域は、宝石20の周辺領域22に実質的に対応する。領域を選択することは、例えば、領域を光で基材上に投影することによる、基材の仮想的又は物理的マーキングを伴い得る。
【0036】
図2を参照すると、基材40には、典型的には基材40をドリル加工することによって、開口部42を画定するために複数の穴が形成されている。穴/開口部42は、基材40に対する宝石20の周辺領域22の意図された位置に基づいて、想定上の装着領域に対して配設された特定の場所に離間している。穴/開口部42の場所は、ドリル加工前に基材40上にマーキングされ得る。例えば、図7に示されるような基準石設定マップは、印刷された形態を適用すること、顔料を適用すること、又は基材40に光を投影することなどによって、基材上に生成されて重ねられ、開口部42の配置を画定し得る。追加的に又は代替的に、宝石20は、開口部42の配置を決定するために、基材40上に裏側を上にして配置され得る。開口部42の配置は、例えば、顕微鏡下で基材40を観察し、細いペン又は同様のマーキングツールを使用することによって、基材40上にマーキングされ得る。代替的に、いくつかの実施形態では、レーザ誘導若しくはCNCマーキング及び/又はドリル加工が用いられる。
【0037】
図3に示されるように、次いで、支柱30が、各穴42内に配設される。典型的には、穴42は、支柱30を穴42内に押し込むと、支柱30の一部分が基材40と摩擦係合し、支柱40が基材40から延在するように寸法設定される。いくつかの実施形態では、穴42は、支柱30との間隙を有するように寸法設定され、接着剤を担持し、支柱30と基材40との間の結合を生じる。更に他の実施形態では、穴42は、摩擦係合を生じ、接着剤を担持するように寸法設定される。
【0038】
図4に示されるように、宝石20を支柱30内に保持するために、宝石20の周辺領域22が支柱30の各々に当接して配設されるように、宝石20は、支柱40によって画定される境界内に配設されている。
【0039】
基材に装着された複数の宝石20を含む実施形態では、方法は、開口部42のセットをドリル加工することを含み得、各セットは、宝石20の想定上の装着領域に対して配設された複数の開口部42を含む。次いで、各支柱30の一部分が基材40に固設され、支柱30が基材40から延在するように、支柱30の相補的な複数のセットが、穴42のセット内に固定される。次いで、宝石20が支柱30のセット内に保持されるように、各宝石20の周辺領域22は、セットのうちの1つにおいて支柱30の各々に当接して配設され得る。
【0040】
実際には、説明された方法のステップは、上で説明され、図2~4に例示されるものとは異なる順序で実行され得、追加のステップを含むことができることが認識されるであろう。例えば、いくつかの用途では、宝石20は、開口部42内に支柱40を固定する前に、基材40に隣接して配設される。いくつかの実施形態について、方法は、基材40内に凹部46を形成することを含み得る。
【0041】
本開示による宝飾品類10及び方法は、宝飾品類10の耐久性を増強するために、真珠などの基材40に宝石20をしっかりと装着することを可能にし得る。例えば、支柱30を基材40に摩擦係合及び/又は結合させ、宝石20を押圧することで、石20を基材40にかなりの期間にわたって堅く保持することができる。更に、支柱30は、基材40から石20を取り外すことを可能にする変形又は別様の欠損前にかなりの力に耐えるように、基材40及び宝石20に対して配設され得る。
【0042】
開示された宝飾品類10は、基材40に対する宝石20の配設を最適化することによって、宝石20の光沢及び輝きを増強し得る。宝石、特にダイヤモンドは、周囲の光を受容して反射させる。伝統的な貴金属装着部は、装着された宝石の外観に対するいかなる曇らせる影響も最小限に抑えるために、据え付け前に高度に研磨されている。金属に据え付けられた石は、宝石からいくらかの光を反射させることを可能にするが、石は典型的には、下にある金属によって陰影がつけられる。開示された宝飾品類10は、いくつかの離散的な支柱30のみを必要とすることによって、石20に隣接する金属を最小限に抑える。結果として、宝石20によって反射される光の色及び強度は、例えば、基材40に対する石20の位置及び/若しくは配向、並びに/又は、真珠若しくは真珠層基材40の光沢及び反射などの基材40の特性のために、増強され得る。支柱30のみを使用して、このように据え付けられた宝石20は、色及び輝きの増強を示し得、これは、宝飾品類10の美的魅力及び知覚される価値を増強することができる。この効果は、基材40が白色、半透明、及び/又は湾曲するように構成されている場合に特に増強させることができる。
【0043】
開示された宝飾品類10は、生産コストを制限することができる貴金属の消費を最小限に抑えることができる。また、宝石20と接触する接着剤がないことは、経時的な接着剤の変色によって生じる宝石20の潜在的な着色を回避する。開示された原理は、凹部46の必要とされるサイズを低減し得、凹部46の縁部へのチッピングを防止するか又は隠すことができ、これは、耐久性及び/又は美的魅力を更に増強することができる。更に、宝石20は、真珠基材40の欠陥を覆うように位置決めされ得、それによって、真珠の知覚される品質を増強する。更に、本開示による方法は、宝飾品類10において具現化可能な宝飾品デザインの範囲を広げ得る。
【0044】
本開示の広い包括的な範囲から逸脱することなく、上で説明した実施形態に対して多数の変形及び/又は修正が行われ得ることが当業者によって認識されるであろう。したがって、本実施形態は、あらゆる点で、例示的であり、限定的ではないとみなされるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-04-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
宝飾品類であって、
周辺領域を画定する宝石と、
複数の支柱と、
前記周辺領域に対して配設された場所に離間した複数の開口部を画定する基材であって、各開口部が、前記支柱のうちの1つの一部分を受容するように寸法設定されている、基材と、を含み、
前記支柱が、前記宝石を前記基材上に装着するために、前記基材から前記周辺領域に当接して延在するように前記開口部内に固設されている、宝飾品類。
【請求項2】
前記宝石が、対称軸を画定し、各開口部が、前記軸に横断方向に延在する、請求項1に記載の宝飾品類。
【請求項3】
前記宝石が、対称平面を画定し、各開口部が、前記平面に横断方向に延在する、請求項に記載の宝飾品類。
【請求項4】
前記基材が、前記周辺領域に対応する想定上の装着領域を有し、前記開口部が、前記基材の前記想定上の装着領域内に少なくとも部分的にあるように配設されている、請求項に記載の宝飾品類。
【請求項5】
前記開口部が、前記想定上の装着領域の周りに規則的な配列で配設されている、請求項4に記載の宝飾品類。
【請求項6】
凹部が、前記想定上の装着領域内に画定され、前記宝石を部分的に受容するように形状設定されている、請求項に記載の宝飾品類。
【請求項7】
各支柱が、前記周辺領域の一部分を捕捉するように形状設定されている、請求項に記載の宝飾品類。
【請求項8】
各支柱が、前記周辺領域と係合するように構成された係合部分を画定する、請求項に記載の宝飾品類。
【請求項9】
各係合部分が、前記周辺領域の一部を受容するように形状設定されたノッチを含む、請求項に記載の宝飾品類。
【請求項10】
前記宝石が、テーブルファセットを画定し、前記支柱が、前記テーブルファセットを前記基材に実質的に平行に装着するように配設されている、請求項に記載の宝飾品類。
【請求項11】
各開口部が、前記支柱のうちの1つと摩擦係合して、前記支柱を前記基材に保持するように構成されている、請求項に記載の宝飾品類。
【請求項12】
前記開口部のうちの1つ以上が、前記支柱を前記基材に結合するように構成された接着剤を担持する、請求項に記載の宝飾品類。
【請求項13】
宝飾品類であって、
複数の宝石であって、各宝石が周辺領域を画定する、複数の宝石と、
複数の支柱のセットと、
複数の開口部のセットを画定する基材であって、開口部の各セットが、前記宝石のうちの1つの前記周辺領域に対して配設された場所に離間した前記開口部を有し、各開口部が、前記支柱のうちの1つの一部分を受容するように寸法設定されており、支柱の各セットが、前記宝石を前記基材に装着するために、前記基材から前記宝石のうちの1つの前記周辺領域に当接して延在するように前記開口部のセットのうちの1つに固設されている、基材と、を含む、宝飾品類。
【請求項14】
前記基材が、曲面を画定し、各開口部が、前記曲面内に画定される、請求項13に記載の宝飾品類。
【請求項15】
前記基材が、複曲面を画定する、請求項14に記載の宝飾品類。
【請求項16】
前記基材が、実質的に球面構造を画定する、請求項14に記載の宝飾品類。
【請求項17】
前記基材が、真珠である、請求項14に記載の宝飾品類。
【請求項18】
前記基材が、平面状の面を画定し、各開口部が、前記平面状の面内に画定される、請求項に記載の宝飾品類。
【請求項19】
周辺領域を画定する宝石を基材に装着する方法であって、前記方法が、
前記基材上の想定上の装着領域を選択することであって、前記想定上の装着領域が、前記宝石の前記周辺領域に実質的に対応する、選択することと、
前記基材内に複数の穴を画定するように、前記基材から材料を選択的に除去することであって、前記穴が、前記想定上の装着領域に対して配設された場所に離間している、選択的に除去することと、
支柱の一部分が前記基材と係合し、前記支柱が前記基材から延在するように、各穴に前記支柱を固定することと、
前記宝石が前記支柱内に保持されるように、前記宝石の前記周辺領域を前記支柱の各々に当接させて配設することと、を含む、方法。
【国際調査報告】