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  • 特表-特に腕時計用の移動式発光表示装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】特に腕時計用の移動式発光表示装置
(51)【国際特許分類】
   G04B 19/30 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
G04B19/30 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509058
(86)(22)【出願日】2022-07-18
(85)【翻訳文提出日】2024-04-11
(86)【国際出願番号】 EP2022070069
(87)【国際公開番号】W WO2023020761
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】21191936.0
(32)【優先日】2021-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ブラッター、 セドリック
(72)【発明者】
【氏名】トルトラ、 ピエルパスカル
(72)【発明者】
【氏名】スプリンガー、 サイモン
(57)【要約】
本発明は、特に時計製造用の表示装置(10)に関し、表示装置は、少なくとも1つの文字盤(13)と、例えば第1の針である第1の可動体(12)とを含み、第1の可動体(12)は、文字盤(13)上の複数の位置を示すように文字盤(13)に対して移動するように構成され、表示装置は、文字盤(13)を通して光放射(16)を発するように配置される光源(18)を含み、第1の可動体(12)は、第1の可動体(12)を通過する光放射(17)の一部の色を変化させることが可能な色フィルタ(21)を含み、それによって第1の可動体(12)は文字盤(13)とは異なる色を有する。本発明は、そのような表示装置(10)を備える時計にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に時計製造用の移動式発光表示装置(1、10)において、前記表示装置は、少なくとも1つの文字盤(3、13)と、例えば第1の針である第1の可動体(2、12)とを含み、前記第1の可動体(2、12)は、前記文字盤(3、13)上の複数の位置を示すように前記文字盤(3、13)に対して移動するように構成され、前記表示装置は、前記文字盤(3、13)を通して光放射(6、16)を発するように配置される光源(8、18)を含み、前記第1の可動体(2、12)は、前記第1の可動体(2、12)を通過する前記光放射(7、17)の一部の色を変化させることが可能な色フィルタ(20、21)を含み、それによって前記第1の可動体(2、12)は前記文字盤(3、13)とは異なる色を有し、前記光源(18)は、少なくとも2つの異なる色、好ましくは3つの異なる色の離散スペクトルを含み、前記離散スペクトルはRGB型であることを特徴とする、表示装置。
【請求項2】
前記色フィルタ(20、21)は、ノッチ型帯域除去フィルタであることを特徴とする、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記色フィルタ(20、21)は、前記光源(18)の前記離散スペクトルから色を遮断するように構成される透過スペクトルを有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記光源(18)は、少なくとも2つのRGB型のライン、好ましくは少なくとも3つのRGB型のラインを含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1の可動体(2、12)の色は、前記文字盤(3、13)に対するその位置に応じて可変であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記文字盤(3、13)は、半透明であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
保護クリスタル(4、14)を備えることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記光源(8、18)を作動させる手段(23、24)を備えることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
例えば第2の針である第2の可動体を備え、前記第2の可動体は、第2の色フィルタを含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の表示装置(1、10)を備えることを特徴とする、時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動式発光表示装置に関する。特に、針付き表示装置等の時計製造の分野に適用可能である。
【0002】
また、本発明は、このような移動式発光表示装置を備えた時計に関する。
【背景技術】
【0003】
表示装置は、あらゆる種類の情報を表示するために様々な機能及び特徴を有し得る。その中には、例えば文字盤に表示された情報を示すことができるように、文字盤上を移動する少なくとも第1の可動体を含む移動式表示装置がある。
【0004】
特に時計製造業界では、このような表示装置は、腕時計又は時計に時間を表示するために使用される。時間は、例えば、時、分、さらには秒のマーカを備えた文字盤上で回転する針を使用して読み取られ得る。
【0005】
しかしながら、これらの文字盤は必ずしも読み取りやすいとは限らず、時間を注意深く読まないと間違える可能性がある。
【0006】
読み取りやすさを向上させるために、針及び文字盤、及び、場合によっては時間マーカに対比色を選択することが一般的であり、これにより、文字盤上の針の位置がよりよく観察され、間違いなく時間を推測することができる。
【0007】
しかしながら、これらの改善にもかかわらず、1時間ごとの視覚的な違いは解決されていない。その結果、依然として間違えてしまう可能性がある。
【0008】
これらの色付きディスプレイの別の欠点は、その単調な外観である。実際、ディスプレイの色は一般に変化せず、しばらくすると時計の所有者に退屈さをもたらす可能性がある。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、上記の欠点を改善し、読み取りやすさ及び美的外観を改善する表示装置を提供することである。
【0010】
この目的のために、本発明は、特に時計製造用の移動式表示装置に関し、前記表示装置は、少なくとも第1の可動体及び文字盤を含み、前記第1の可動体は、前記文字盤上の複数の位置を示すように前記文字盤に対して移動するように構成される。
【0011】
本発明の表示装置は、前記文字盤を通して光放射を発するように配置される光源を含み、前記第1の可動体は、前記第1の可動体を通過する前記光放射の一部の色を変化させるための色フィルタを含み、それによって前記第1の可動体は前記文字盤とは異なる色を有するという点で注目に値する。
【0012】
したがって、第1の可動体のフィルタを通過する光放射の一部は、文字盤を通過する光放射の残りの部分とは異なる色を有する。
【0013】
本発明の表示装置のおかげで、特に時間を正確に読み取るために、第1の可動体の位置が文字盤上で読み取りやすくなる。
【0014】
さらに、ディスプレイの審美性が時計の着用者にとってより魅力的となり、低光条件下でも視認可能になる。
【0015】
本発明の特定の実施形態によれば、前記色フィルタは、ノッチ型帯域除去フィルタである。
【0016】
本発明の特定の実施形態によれば、前記光源は、少なくとも2つの異なる色、好ましくは3つ以上の異なる色の離散スペクトルを含む。
【0017】
本発明の特定の実施形態によれば、前記離散スペクトルはRGB型である。
【0018】
本発明の特定の実施形態によれば、前記光源は、少なくとも2つのRGB型のライン、好ましくは少なくとも3つのRGB型のラインを含む。
【0019】
本発明の特定の実施形態によれば、前記フィルタは、前記光源の離散スペクトルから色を遮断するように構成される透過スペクトルを有する。
【0020】
本発明の特定の実施形態によれば、前記第1の可動体の外観は、前記文字盤に対する位置に応じて可変である。前記第1の可動体が移動すると、それは、特に離散スペクトルのために、その位置に従って色を変化させる。
【0021】
本発明の特定の実施形態によれば、前記文字盤は、半透明である。
【0022】
本発明の特定の実施形態によれば、前記表示装置は、保護クリスタルを備える。
【0023】
本発明の特定の実施形態によれば、前記第1の可動体の色は、前記文字盤に対する位置に応じて可変である。
【0024】
本発明の特定の実施形態によれば、前記表示装置は、前記光源上に配置される色フィルタを備える。
【0025】
本発明の特定の実施形態によれば、前記表示装置は、前記光源を作動させる手段を備える。
【0026】
本発明の特定の実施形態によれば、前記表示装置は、例えば第2の針である第2の可動体を備え、前記第2の可動体は、第2の色フィルタを含む。
【0027】
本発明は、そのような移動式表示装置を含む時計にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
他の特徴及び利点は、表示として、非限定的に、添付の図面を参照して、以下の説明から明らかである。
図1】本発明の第1の実施形態による移動式発光表示装置の概略図である。
図2】本発明の第2の実施形態による移動式発光表示装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
上述したように、本発明は、特に時計製造用の移動式発光表示装置1、10に関する。
【0030】
以下の実施形態では、移動式発光表示装置1、10は、時計、例えば腕時計のものである。表示装置1、10は、特に、文字盤3、13と、情報、例えば、文字盤3、13の上に配置された針によって示される時間を示すように文字盤3、13に対して移動可能な第1の可動体2、12とを備える。針は、時計1、10のムーブメント5、15によって作動する回転軸11に取り付けられる。ムーブメント5、10は、例えば、機械式ムーブメント又はクォーツムーブメントであってもよい。
【0031】
表示装置は、表示装置1、10の他の部分を保護するためのクリスタル4、14をさらに備える。
【0032】
移動式表示装置1、10は、ムーブメント5、15の上に配置された文字盤3、13を備える。
【0033】
表示装置1は、文字盤3、13の下に配置された光源8、18を備えており、光源8、18は、光放射6、16を発するように構成される。
【0034】
図1において、光源8は、例えば、LEDタイプの発光ダイオード9によって照射される光ガイドである。代替的に、光源8は、一連の発光ダイオード、OLED表面、又は電界発光シートであってもよい。OLED表面は、例えば、プリントによって得られるが、電界発光シートは、蒸着によって製造され得る。
【0035】
光源8は、文字盤3を介して光放射を発する。したがって、文字盤3は、光源8が発する光ビーム6に対応する特定の色を有する。
【0036】
文字盤3は、光源8が発する光放射の少なくとも一部を通過させるために半透明であることが好ましい。文字盤13の周辺部6は、第1の可動体12がその上を通過しないため不透明である。文字盤3は、光源8によって全体が照射されることが好ましい。
【0037】
文字盤3を通過した光放射7の一部は、第1の可動体2を通過する。
【0038】
本発明によれば、移動式表示装置1の第1の可動体2は、色フィルタ20を備える。
【0039】
色フィルタ20は、好ましくは「ノッチ」型の帯域除去フィルタである。このようなフィルタ20により、遮断すべき波長を容易に選択することができる。
【0040】
したがって、光放射7の第1の部分は、文字盤3を通過し、次に第1の可動体2の色フィルタ20を通過し、最後にクリスタル4を通過して、第1の特定の色に現れる。文字盤3を通過する光放射7の部分は、フィルタ20によって遮断された色を含まない。
【0041】
複数の可動体がある場合、例えば、複数の針がある場合、各可動体が色フィルタを備えているので、文字盤3に対してより視認性が高い。
【0042】
好ましくは、各可動体について異なる色を得るために、本体のフィルタは互いに異なる。
【0043】
光放射の第2の部分のみが、水晶4から出る前に文字盤3を通過する。したがって、光ビームの第2の部分は第2の色を有する。第2の色は、色フィルタ20によって遮断された色を含むので、第1の色7とは異なる。
【0044】
本実施形態では、文字盤3は光源8の初期色の光放射を透過させるが、第1の可動体2は色フィルタ20によって別の色に見える。
【0045】
逆に、第1の可動体2を通過する光放射7の部分は、第1の可動体2が色フィルタ20を含むので、文字盤3と比較して変化した色を有する。
【0046】
その結果、第1の可動体2と文字盤13とのコントラストが大きくなり、ディスプレイがより読み取りやすくなる。これにより、時間の視認性が向上する。
【0047】
表示装置1は、光源8を作動させる手段23を備えることが好ましい。これにより、光源8が連続して点灯したままになることが防止される。したがって、作動手段23が作動されると、第1の可動体2及び文字盤の色が視認される。作動手段23は、例えば、時計のケースに配置されたボタンを含む。
【0048】
図2に示す第2の実施形態では、光源18は、少なくとも2つの異なる色、好ましくは3つ以上の異なる色の離散スペクトルを含む。例えば、離散スペクトルは、RGB(英語で赤、緑、青を表す)型である。したがって、光源18は、異なる色のいくつかの小さな光源を含む。
【0049】
光源18は、例えば、多色の光放射16を発する少なくとも2つのRGB型のライン、好ましくは少なくとも3つのラインを含む。例えば、これらのラインは、正方行列又は同心円を形成する。
【0050】
第1の実施形態と同様に、第1の可動体12は、第1の可動体12を通過する放射17の一部の色を変化させるための色フィルタ21を含む。色フィルタ21は、好ましくは「ノッチ」型の帯域除去フィルタである。色フィルタ21は、離散スペクトルの色を遮断するように構成された透過スペクトルを有することが好ましい。
【0051】
色フィルタ21を用いてRGBスペクトルから色を除去することにより、第1の可動体17の色は、文字盤13の色とは異なる。本発明による表示装置のおかげで、第1の可動体17は、文字盤13と比較して特定の色を有する。
【0052】
さらに、第1の可動体17が移動すると、それは文字盤13上の位置に従って色を変化させる。色フィルタ21及び離散スペクトル光源18のおかげで、第1の可動体17の色は、異なる位置に対して同じではない。
【0053】
放射17のそれを通過する部分は、文字盤13上で可変であり、それによって、第1の可動体12は、文字盤13上のその位置に従って変化する色を有する。したがって、第1の可動体12を通過する放射17の部分の色は、光源18に対するその位置に従って変化する。
【0054】
したがって、本体は、文字盤13とは異なる特定の色を有するだけでなく、第1の可動体12の色は、文字盤13上のその位置に従って変化する。
【0055】
実際、光源18は離散スペクトルを含むので、光源が発する光16は、第1の本体が光源18の離散的な光源に近いか又は近くないかに応じて、文字盤の位置に依存して異なる。第1の可動体12は、RGBスペクトルの最も近い色の光をより多く受ける。
【0056】
好ましくは、表示装置20は、光源18を作動させるための手段24も備える。
【0057】
上述の実施形態の変形例では、表示装置は、第2の可動体を含む。時計の場合、可動体は、例えば、時針及び分針である。
【0058】
例えば、クロノグラフ針又は秒針のために追加の可動体も可能である。
【0059】
互いを区別するのに役立つように、各針に対して異なる色フィルタを選択することが可能である。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-04-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に時計製造用の移動式発光表示装置(1、10)において、前記表示装置は、少なくとも1つの文字盤(3、13)と、1の可動体(2、12)とを含み、前記第1の可動体(2、12)は、前記文字盤(3、13)上の複数の位置を示すように前記文字盤(3、13)に対して移動するように構成され、前記表示装置は、前記文字盤(3、13)を通して光放射(6、16)を発するように配置される光源(8、18)を含み、前記第1の可動体(2、12)は、前記第1の可動体(2、12)を通過する前記光放射(7、17)の一部の色を変化させることが可能な色フィルタ(20、21)を含み、それによって前記第1の可動体(2、12)は前記文字盤(3、13)とは異なる色を有し、前記光源(18)は、少なくとも2つの異なる色、好ましくは3つの異なる色の離散スペクトルを含み、前記離散スペクトルはRGB型であることを特徴とする、表示装置。
【請求項2】
前記第1の可動体(2、12)は、第1の針である、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記色フィルタ(20、21)は、ノッチ型帯域除去フィルタであることを特徴とする、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記色フィルタ(20、21)は、前記光源(18)の前記離散スペクトルから色を遮断するように構成される透過スペクトルを有することを特徴とする、請求項1記載の表示装置。
【請求項5】
前記光源(18)は、少なくとも2つのRGB型のライン含むことを特徴とする、請求項1記載の表示装置。
【請求項6】
前記光源(18)は、少なくとも3つのRGB型のラインを含むことを特徴とする、請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1の可動体(2、12)の色は、前記文字盤(3、13)に対するその位置に応じて可変であることを特徴とする、請求項1記載の表示装置。
【請求項8】
前記文字盤(3、13)は、半透明であることを特徴とする、請求項1記載の表示装置。
【請求項9】
保護クリスタル(4、14)を備えることを特徴とする、請求項1記載の表示装置。
【請求項10】
前記光源(8、18)を作動させる手段(23、24)を備えることを特徴とする、請求項1記載の表示装置。
【請求項11】
2の可動体を備え、前記第2の可動体は、第2の色フィルタを含むことを特徴とする、請求項1記載の表示装置。
【請求項12】
前記第2の可動体は、第2の針である、請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
請求項1記載の表示装置(1、10)を備えることを特徴とする、時計。

【国際調査報告】