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特表2024-529173薄い均一なバリア層を有する基板の上の電気抵抗エレメント
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】薄い均一なバリア層を有する基板の上の電気抵抗エレメント
(51)【国際特許分類】
   H01C 7/00 20060101AFI20240725BHJP
   H01C 17/075 20060101ALI20240725BHJP
   H01C 1/032 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
H01C7/00 100
H01C17/075
H01C1/032
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509131
(86)(22)【出願日】2022-08-01
(85)【翻訳文提出日】2024-02-15
(86)【国際出願番号】 EP2022071501
(87)【国際公開番号】W WO2023020815
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】102021121240.5
(32)【優先日】2021-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519452817
【氏名又は名称】ビシェイ エレクトロニック ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147762
【弁理士】
【氏名又は名称】藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】アスペルガー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ハットナー,スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】ハットナー,イェルク
【テーマコード(参考)】
5E028
5E032
5E033
【Fターム(参考)】
5E028BA03
5E028BB01
5E028CA02
5E028EA01
5E028EB01
5E028EB04
5E032CC16
5E032DA01
5E033AA02
5E033AA05
5E033AA08
5E033AA10
5E033BB02
5E033BB03
5E033BC01
5E033BE01
5E033BE02
5E033BH01
(57)【要約】
電気抵抗エレメントは、電気絶縁性のキャリア(13)と、キャリアの上の少なくとも1つの抵抗層(15)と、キャリアの上に形成され、抵抗層に接続されている少なくとも1つの電気端子(17)とを含み、抵抗層は、キャリアから離れる方を向く側において、その表面に沿って表面構造(21)を有している。また、抵抗層は、バリア層(23)によってカバーされており、バリア層(23)は、無機材料を含み、バリア層(23)は、全体を通して、および、均一な厚さ(D)で、抵抗層の表面構造を複製している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気抵抗コンポーネント(11)であって、前記電気抵抗コンポーネント(11)は、
電気絶縁性のキャリア(13)と、
前記キャリア(13)の上の少なくとも1つの抵抗層(15)と、
前記キャリア(13)において形成され、前記抵抗層(15)に接続されている少なくとも1つの電気コネクタ(17)と
を含み、
前記抵抗層(15)は、前記キャリア(13)から離れる方を向く側(25)において、その表面(19)に沿って表面構造(21)を有しており、
前記抵抗層(15)は、バリア層(23)によってカバーされており、
前記バリア層(23)は、無機材料を含み、
前記バリア層(23)は、連続的に、および、均一な厚さ(D)で、前記抵抗層(15)の前記表面構造(21)を再現している、電気抵抗コンポーネント(11)。
【請求項2】
前記バリア層(23)の最小厚さと最大厚さとの間の比率は、0.8よりも大きく、特に0.9よりも大きい、請求項1に記載の電気抵抗コンポーネント(11)。
【請求項3】
前記バリア層(23)の前記厚さ(D)は、前記キャリア(13)の表面の粗さよりも小さく、および/または、前記抵抗層(15)の前記表面構造(21)の粗さよりも小さい、請求項1または2に記載の電気抵抗コンポーネント(11)。
【請求項4】
前記抵抗層(15)から離れる方を向く前記バリア層(23)の側(29)における前記バリア層(23)の表面構造(55)の粗さは、前記抵抗層(15)の前記表面構造(21)の粗さよりも小さい、請求項1から3のいずれか一項に記載の電気抵抗コンポーネント(11)。
【請求項5】
前記抵抗層(15)の前記表面構造(21)は、凹部(37)を形成しており、前記バリア層(23)は、連続的に、および、均一な厚さ(D)で、前記凹部(37)をカバーしており、および/または、
前記抵抗層(15)の前記表面構造(21)は、壁部セクション(33、35)を有する開いた中空スペース(31)を形成しており、それぞれの中空スペース(31)の前記壁部セクション(33、35)は、前記それぞれの中空スペース(31)に関して互いに反対側に配設されており、前記バリア層(23)は、前記それぞれの中空スペース(31)の前記壁部セクション(33、35)をカバーしている、請求項1から4のいずれか一項に記載の電気抵抗コンポーネント(11)。
【請求項6】
前記抵抗層(15)に面する前記キャリア(13)の表面(71)は、少なくとも1つの凹部(38)を形成しており、前記抵抗層(15)は、前記凹部(38)の前記領域においてギャップ(49)を有しており、前記バリア層(23)は、前記キャリア(13)の前記凹部(38)、および、前記ギャップ(49)の環境の中に存在する前記抵抗層(15)を、連続的に、および、均一な厚さ(D)でカバーしている、請求項1から5のいずれか一項に記載の電気抵抗コンポーネント(11)。
【請求項7】
前記バリア層(23)は、最大限でも1000ナノメートルの厚さ(D)を有しており、および/または、前記バリア層(23)は、少なくとも5ナノメートルの厚さ(D)を有している、請求項1から6のいずれか一項に記載の電気抵抗コンポーネント(11)。
【請求項8】
前記バリア層(23)は、アモルファス構造および/または半結晶構造を有している、請求項1から7のいずれか一項に記載の電気抵抗コンポーネント(11)。
【請求項9】
前記バリア層(23)は、複数の原子層(41)を含み、前記複数の原子層(41)は、互いに重なって平行に延在しており、前記複数の原子層(41)は、前記抵抗層(15)の前記表面構造(21)を再現している、請求項1から8のいずれか一項に記載の電気抵抗コンポーネント(11)。
【請求項10】
前記バリア層(23)は、アモルファス構造を有する少なくとも1つの層(41)、および/または、半結晶構造を有する少なくとも1つの層(41)を有している、請求項1から9のいずれか一項に記載の電気抵抗コンポーネント(11)。
【請求項11】
前記バリア層(23)は、第1の材料から形成された少なくとも第1の層と、第2の材料から形成された少なくとも第2の層とを含み、前記第1の材料および前記第2の材料は、互いに異なる、請求項1から10のいずれか一項に記載の電気抵抗コンポーネント(11)。
【請求項12】
前記バリア層(23)は、電気絶縁性または半導電性として形成されている、請求項1から11のいずれか一項に記載の電気抵抗コンポーネント(11)。
【請求項13】
前記バリア層(23)は、気密なシーリングとして形成されている、請求項1から12のいずれか一項に記載の電気抵抗コンポーネント(11)。
【請求項14】
前記バリア層(23)は、前記抵抗層(15)の上に原子層堆積によって形成されている、請求項1から13のいずれか一項に記載の電気抵抗コンポーネント(11)。
【請求項15】
前記バリア層(23)は、金属酸化物、半導体酸化物、金属窒化物、半導体窒化物、金属酸窒化物、および/または半導体酸窒化物、特に、酸化アルミニウム(Al)、酸化チタン(TiO)、窒化チタン(TiN)、二酸化ハフニウム(HfO)、二酸化ジルコニウム(ZrO)、および/または酸化タングステン(WO)を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の電気抵抗コンポーネント(11)。
【請求項16】
前記バリア層(23)は、保護層(43)によって少なくとも部分的にカバーされている、請求項1から15のいずれか一項に記載の電気抵抗コンポーネント(11)。
【請求項17】
前記保護層(43)は、有機材料および/または無機材料を含む、請求項16に記載の電気抵抗コンポーネント(11)。
【請求項18】
前記保護層(43)は、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミド-アミド、シリコーン樹脂、アクリレート、ポリウレタン、および/または二酸化ケイ素(SiO)を含む、請求項16または17に記載の電気抵抗コンポーネント(11)。
【請求項19】
前記抵抗層(15)は、トリミング構造(47)を有している、請求項1から18のいずれか一項に記載の電気抵抗コンポーネント(11)。
【請求項20】
前記抵抗層は、クロム、ニッケル、シリコン、タンタル、モリブデン、ニオブ、アルミニウム、銅、チタン、炭素、窒化タンタル、および/またはサーメットを含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の電気抵抗コンポーネント(11)。
【請求項21】
前記抵抗層(15)は、平面的であるか、中空の円筒状であるか、蛇行状であるか、または螺旋状である、請求項1から20のいずれか一項に記載の電気抵抗コンポーネント(11)。
【請求項22】
前記キャリア(13)は、セラミック基板、特に、酸化アルミニウム(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、および/または二酸化ケイ素(SiO)を含む、請求項1から21のいずれか一項に記載の電気抵抗コンポーネント(11)。
【請求項23】
特に請求項1から22のいずれか一項に記載の電気抵抗コンポーネント(11)を製造する方法であって、前記方法は、
- 電気絶縁性のキャリア(13)を提供するステップ(101)と、
- 少なくとも1つの電気コネクタ(17)を前記キャリア(13)に取り付けるステップ(103)と、
- 少なくとも1つの抵抗層(15)を前記キャリア(13)に適用するステップ(105)であって、前記抵抗層(15)は、前記キャリア(13)から離れる方を向く側(25)において、その表面(19)に沿って表面構造(21)を有している、ステップと、
- バリア層(23)によって前記抵抗層(15)をカバーするステップ(107)であって、前記バリア層(23)は、無機材料を含み、前記バリア層(23)は、連続的に、および、均一な厚さ(D)で、前記抵抗層(15)の前記表面構造(21)を再現している、ステップと
を含む、方法。
【請求項24】
前記バリア層(23)は、原子層堆積によって前記抵抗層(15)に適用されている、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記抵抗層(15)は、前記バリア層(23)を共同で形成する複数の層(41)によってカバーされている、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記複数の層(41)のうちの第1の層は、第1の材料から形成されており、前記複数の層(41)のうちの第2の層は、第2の材料から形成されており、前記第1の材料および前記第2の材料は、互いに異なる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記複数の層(41)のうちの少なくとも1つの層は、アモルファス構造を有しており、および/または、前記複数の層(41)のうちの少なくとも1つの層は、半結晶構造を有している、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
前記バリア層(23)は、最大限でも1000ナノメートルの厚さ(D)を有しており、および/または、前記バリア層(23)は、少なくとも5ナノメートルの厚さ(D)を有している、請求項23から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
保護層(43)が前記バリア層(23)に適用される(109)、請求項23から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記保護層(43)は、有機材料および/または無機材料を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記保護層(43)は、スクリーン印刷によって構造化された様式で前記バリア層(23)に適用される、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
前記バリア層(23)は、前記コネクタ(17)の前記領域(65)において湿式化学的に除去され、前記保護層(43)は、エッチングマスク(45)として使用される(111)、請求項29から31のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気絶縁性のキャリアと、キャリアの上の少なくとも1つの抵抗層と、キャリアにおいて形成され、抵抗層に接続されている少なくとも1つの電気コネクタとを含む電気抵抗コンポーネントに関する。抵抗層は、キャリアから離れる方を向く側において、その表面に沿って表面構造をさらに有しており、また、バリア層によってカバーされている。
【背景技術】
【0002】
そのような電気抵抗コンポーネントは、たとえば、電気回路の2つのさらなる電気コンポーネントの間の電流フローを意図的に限定することができるようにするために、多数の用途において使用されることが可能である。そのうえ、そのような電気抵抗コンポーネントは、マイクロチップにおいて頻繁に使用されており、コンポーネントのサイズのますますの低減が目標とされるようになっており、特に、使用されるコンポーネントの平坦な設計または薄型設計が必要とされる可能性がある。しかし、同時に、高い精度が、通常、電気抵抗コンポーネントに必要とされ、たとえば、1%から0.01%の間の狭い公差範囲が事前定義され得るようになっている。そのうえ、負荷の下での電気抵抗コンポーネントの信頼性の高い使用を保証するために、1ppm/Kから50ppm/Kの間の低い温度係数が、抵抗コンポーネントに要求される可能性がある。そのうえ、電気抵抗コンポーネントの所望の長期安定性は、環境的影響に対する保護を必要とし、たとえば、おおよそ10%公称負荷、85%空気湿度、および85℃における1000時間の負荷の後の0.1%から0.5%の最大変化の要件が満足されることが可能である。
【0003】
しかし、特に、小さなおよび/または平坦な電気抵抗コンポーネントでは、抵抗層が、その比較的に小さな層厚さに起因して、電圧の同時の印加のときに(特に、陽極酸化による)腐食に関して、高い感度を有する可能性があるという問題が生じる。この問題は、一般的に、湿分の影響に対して抵抗層を保護するために、キャリアから離れる方を向く側において、抵抗層がバリア層によってカバーされているという点において、対策されることが可能である。しかし、そのようなバリア層の適用は、穏やかなしたがって頻繁に複雑なプロセスを必要とする。その理由は、バリア層の適用によって、以前に精密に設定された電気抵抗コンポーネントの特質(特に、抵抗値)を変化させないようにするために、抵抗層が、適用のプロセスによって変更または損傷されないことが可能であるからである。
【0004】
たとえば、有機化合物(たとえば、エポキシ樹脂またはシリコーン樹脂)の1つまたは複数の層は、バリア層として使用されることが可能である。しかし、蒸気形態の湿分に対する十分な保護は、通常、有機材料によって実現されない可能性があり、前記湿分は、有機バリア層を通って抵抗層と接触することができ、有機バリア層が抵抗層の不完全な保護しか提供することができないようになっている。
【0005】
それに対して代替的に、電気抵抗コンポーネントのためのバリア層は、蒸気性の湿分に対する保護効果を増加させるために、無機材料によって形成されることも可能である。この目的のために、バリア層は、たとえば、スパッタリングプロセスによって抵抗層に適用されることが可能であり、しかし、その目的のために、特定の材料が、通常は必要とされ、その製造は、比較的に複雑および/または高価である。そのうえ、そのような無機バリア層は、比較的に高い層厚さにおいてのみ抵抗層の気密なシーリングを形成することが可能であり、抵抗層の表面は、特に、非コンフォームの様式(non-conform manner)でスパッタリングプロセスによってカバーされることが可能であり、バリア層に対する凹部または抵抗層とバリア層との間の微視的な中空スペースが、抵抗層の表面構造に起因して残ることができるようになっている。これらの中空スペースをカバーするために、一方では、バリア層のすでに述べられた望ましくないほどに大きな層厚さが必要とされるが、他方では、中空スペースは、そのうえ、一般的に、求められているバリア層による抵抗層の保護効果を損なう可能性もある。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、平坦になっているかまたは薄くなっていることが可能であり、環境的影響および特に湿分影響に対して高い安定性を有する、電気抵抗コンポーネントを提供することである。
【0007】
この目的は、請求項1の特徴を有する電気抵抗コンポーネントによって満たされ、特に、バリア層が無機材料を含むという点において、および、バリア層が連続的におよび均一な厚さで抵抗層の表面構造を再現するという点において満たされる。
【0008】
抵抗層の表面に沿って抵抗層の表面構造を再現する均一な厚さの連続的なバリア層によって抵抗層をカバーすることに起因して、抵抗層をコンフォームにカバーすることが、特に実現されることが可能である。この点に関して、キャリアから離れる方を向く抵抗層の側における抵抗層の表面のすべての位置が、バリア層と直接的に接触した状態になることが可能である。しかし、バリア層と抵抗層とのまたは抵抗層の電流伝導層との連続的に直接的な接触は、絶対的に必要というわけではなく、むしろ、バリア層が抵抗層の上方に連続的なバリアを形成するということが重要である。
【0009】
抵抗層の表面に沿った抵抗層の表面構造の再現は、キャリアと抵抗層との間の移行(たとえば、キャリアの上の抵抗層の不存在と存在との間のステップ状の移行)のコースが再現されるだけではないということを意味しており、むしろ、抵抗層が存在しているそれらの領域における表面構造が、均一な厚さでバリア層によって再現されるということを意味している。バリア層のギャップは、それによって、特に回避されることが可能であり、抵抗層の信頼性の高い気密なシーリングが小さな層厚さですでに実現されることが可能であるようになっている。抵抗層の連続的な被覆および再現に起因して、抵抗層は、バリア層によって部分的にしかカバーされないのでなく、特に、湿分の浸透に対して抵抗層の全表面をシールするために、バリア層によって全表面にわたってカバーされる。
【0010】
電気抵抗コンポーネントは、たとえば、薄膜抵抗コンポーネントとして構成される(また薄層抵抗コンポーネントとして指定される)ことが可能である。そのような抵抗コンポーネントでは、抵抗層は、抵抗層が、薄膜(特に、金属薄膜)をキャリアの上に形成することができるように、たとえば、スパッタリングプロセスによってキャリアに適用されることが可能である。薄膜抵抗コンポーネントの抵抗層は、そのうえ、キャリアの表面の粗さよりも小さい層厚さを有することが可能である。たとえば、薄膜抵抗コンポーネントとして構成されている電気抵抗コンポーネントの抵抗層は、50ナノメートル(nm)から500ナノメートル(nm)の範囲にある層厚さを有することが可能である。それとは対照的に、そのような電気抵抗コンポーネントのために典型的に使用されるキャリアは、たとえば、1マイクロメートル(μm)から3マイクロメートル(μm)の粗さを有する表面を有することが可能であり、キャリアから離れる方を向く側における抵抗層の表面構造が、特に、キャリアの表面の粗さによって主に決定されることが可能であるようになっている。
【0011】
抵抗層の表面構造の粗さ、および/または、本発明に関連して述べられている別の表面の粗さは、特に、DIN 4760にしたがった5次または6次の形状偏差によって決定されることが可能である。
【0012】
薄膜抵抗コンポーネントとしての構成の代替的に、電気抵抗コンポーネントは、たとえば、厚膜抵抗コンポーネントとして構成されることも可能である。そのような電気抵抗コンポーネントのケースでは、抵抗層は、特に、ペースト(たとえば、ガラスペースト)(金属粒子または金属酸化物粒子がその中に含まれている)の形態でキャリアの上に適用または焼き付けされることが可能であり、特に、スクリーン印刷による適用が提供されることが可能である。そのような抵抗層は、最大でおおよそ10μmの層厚さを有することが可能であり、厚膜抵抗コンポーネントとして構成されている電気抵抗コンポーネントのケースでは、抵抗層の層厚さが、繰り返しになるが1μmから3μmの範囲にある可能性があるキャリアの表面の粗さを超えることが可能であるようになっている。しかし、そのような電気抵抗コンポーネントでは、抵抗層は、それ自体で、キャリアから離れる方を向く側における抵抗層の表面構造を最終的に決定する可能性のある粗さを有することが可能である。たとえば、厚膜抵抗層として形成される抵抗層の表面の粗さは、また、おおよそ0.1μmから3μmの範囲にあることが可能である。
【0013】
電気抵抗コンポーネント(それは、厚膜抵抗コンポーネントとして構成されている)の抵抗値は、特に、厚膜抵抗層としてキャリアに適用されるペーストの中の金属粒子または金属酸化物粒子の密度によって決定されることが可能である。しかし、たとえば、電気抵抗コンポーネントの精密な抵抗値を画定するために、リソグラフィー処理によってまたはレーザービームによる処理によってキャリアに抵抗層を適用した後に、そのような抵抗層にトリミング構造を提供するという提供が追加的になされることが可能である。それとは対照的に、薄膜抵抗コンポーネントとして構成されている電気抵抗コンポーネントのケースでは、抵抗層は、すでに説明されているように、最初に薄い閉じられた金属膜を形成することが可能であり、しかし、それは、所望の抵抗値を精密に設定するためにトリミング構造を提供されることが可能である。
【0014】
電気抵抗コンポーネントが薄膜抵抗コンポーネントとして構成されるか、厚膜抵抗コンポーネントとしての構成されるかに関係なく、抵抗層は、そのうえ、導電性の材料、および、適用可能な場合には、非導電性の材料を含むことが可能である。そのうえ、抵抗層は、電流伝導層を含むことが可能であり、電流伝導層の上に、抵抗層の一部として、追加的な、しかし、非コンフォームの、特に、電気的に非伝導性の材料層が、特に、部分的に適用されることが可能である。たとえば、抵抗層のそのような追加的な材料層は、抵抗層の電流伝導部を安定化させる役割を果たすことが可能である。そのような材料層は、特に、無機材料を含むことが可能であり、たとえば、スパッタリングによって抵抗層の電流伝導層に適用されることが可能であり、材料層が、特に、キャリアに対して隆起されている電流伝導層の表面のポイントに集まることが可能であるようになっており、一方では、陥凹部は、より小さな厚さの材料層によってカバーされることが可能であり、または、材料層によってカバーされていないままであることが可能である。抵抗層のそのような追加的な材料層は、追加的な材料層が存在しているセクションにおいて、抵抗層の電流伝導層の厚さよりもかなり小さい、および/または、バリア層の厚さにおおよそ等しいかもしくはそれよりも小さい厚さを有することが可能である。
【0015】
この点において、抵抗層のそのような材料層(それは、電気抵抗コンポーネントの抵抗値を実際に画定する電流伝導層に対する追加的な材料層である)は、場合によっては、キャリアから離れる方を向く側において抵抗層の表面構造に少なくとも部分的に影響を及ぼす可能性がある。したがって、そのような抵抗層では、バリア層(それは、抵抗層の表面構造を再現する)は、電流伝導層に部分的に接触し、追加的な材料層に部分的に接触することが可能である。適用可能な場合には、追加的な、しかし、非コンフォームの材料層による電流伝導層を完全に被覆すると、バリア層は、また、追加的な材料層のみと接触していることが可能であり、抵抗層の電流伝導層と接触していないことが可能である。しかし、抵抗層の一部としてのそのような材料層は、特に、追加的な材料層がコンフォームの様式で抵抗層の電流伝導層をカバーしていない、すなわち、均一な厚さでそれをカバーしていない、および/または、前記電流伝導層を連続的にカバーしていないという点で、バリア層とは異なっている。しかし、そのような追加的な材料層は、絶対的に必要であるわけではなく、むしろ、抵抗層は、バリア層によって直接的にカバーされた電流伝導層によって形成されることも可能である。
【0016】
抵抗層がその表面に沿って表面構造を有しているので、表面構造は、特に、抵抗層の表面の微視的な粗さを決定することが可能である。たとえば、抵抗層(特に、薄膜抵抗コンポーネントの抵抗層)は、物理蒸着(たとえば、スパッタリングプロセス)によって絶縁性キャリアに適用されることが可能である。そのような抵抗層は、50ナノメートルから500ナノメートルの厚さを有することが可能であり、一方では、キャリアの表面の粗さは、しかし、おおよそ0.1μmから3μmの範囲にあることが可能である。この点において、薄膜抵抗コンポーネントにおける抵抗層の表面の粗さは、キャリアの表面の粗さによって実質的に決定されることが可能であり、抵抗層の表面構造が、キャリアの粗さに主にしたがうことが可能であるようになっている。厚膜抵抗コンポーネントとして構成されている電気抵抗コンポーネントのケースでは、抵抗層の厚さは、それとは対照的に、キャリアの表面の粗さを超えることが可能であり、そのような抵抗コンポーネントでは、キャリアから離れる方を向く側における抵抗層の表面構造が、キャリアの表面のすでに補償された粗さによってではなく、抵抗層自体の表面の粗さによって決定されることが可能であるようになっている。この粗さは、(たとえば、スクリーン印刷による)そのような厚膜抵抗層の適用に起因して、おおよそ0.1μmから3μmの範囲にあることも可能である。
【0017】
特に、薄膜抵抗コンポーネントとしての電気抵抗コンポーネントの構成では、抵抗層は、キャリアへの抵抗の適用に対するシャドーイング効果によって作り出され得るギャップをさらに有することが可能である。たとえば、そのような抵抗層は、指向性プロセス(directed process)(たとえば、スパッタリングプロセス)によってキャリアに適用されることが可能である。キャリアは、オーバーシャドウされた(overshadowed)セクションを有することが可能であり、それは、キャリアのさらなるセクションによってカバーされることが可能であり、また、それは、抵抗層がそれに沿って適用される方向に関してその「シャドウ」の中に位置することが可能である。そのようなケースでは、抵抗層を形成するために使用される材料は、場合によっては、オーバーシャドウされたセクションに到達しない(または、完全には到達しない)可能性があり、オーバーシャドウされたセクションにおけるキャリアの表面が、抵抗層によってカバーされるのではなく、抵抗層が、ギャップまたは「ピンホール」を有するようになっている。バリア層は連続的に適用されており、一定の厚さで抵抗層の表面構造を再現するので、抵抗層のそのようなギャップ(すなわち、ギャップの領域において露出されたキャリア)は、バリア層によって均一にカバーされることも可能であり、バリア層は、「ピンホールフリー」であるかまたはギャップなしで形成されている。抵抗層のそのようなギャップの任意の縁部も、それによって、バリア層によってカバーされることが可能であり、縁部が同様に湿分との接触から保護されることが可能であるようになっている。抵抗層のギャップにおいて、バリア層は、特に、キャリアの表面に直接的に適用されることが可能である。
【0018】
バリア層は、抵抗層の表面構造にしたがうことが可能であり、抵抗層の表面の粗さが、抵抗層から離れる方を向く側におけるバリア層の表面における粗さを決定することが可能であるようになっている。したがって、表面構造は、特に、抵抗層自体の表面における構造であり、特に、厚膜抵抗コンポーネントとして構成されている電気抵抗コンポーネントのケースでは、たとえば、抵抗層を特定の抵抗値までトリミングするために、キャリアへの抵抗層の適用の後に、たとえば、リソグラフィー処理またはレーザービームによる処理によって形成され得る、抵抗層のより大きな構造または中断部ではない。
【0019】
バリア層の厚さは、抵抗層から離れる方を向く側におけるバリア層の表面とキャリアから離れる方を向く側における抵抗層の表面との間の間隔に対応することが可能であり、この間隔は、抵抗層の表面のそれぞれの位置において、特に、抵抗層の表面のそれぞれの位置における抵抗層の表面構造の湾曲を表現する接線の法線に沿って、決定されることが可能である。したがって、バリア層の「厚さ」は、特に、傾斜したコースでは、バリア層の「高さ」とは異なる可能性があり、バリア層は、抵抗層から離れる方を向く側において表面構造を有する可能性もあり、平面的でない可能性がある。したがって、抵抗層の表面構造は、バリア層によって補償またはカバーされるのではなく、実質的に再現されている。
【0020】
バリア層は、均一な厚さで抵抗層の表面構造を再現するので、バリア層の表面構造は、抵抗層から離れる方を向く側におけるその表面に沿って抵抗層の表面構造にしたがうことが可能である。したがって、抵抗層から離れる方を向く側におけるバリア層の表面構造の3次元のコースは、キャリアから離れる方を向く側における抵抗層の表面構造の3次元のコースを実質的に反映することが可能であり、抵抗層の表面のそれぞれの法線に沿った、キャリアから離れる方を向く側における抵抗層の表面と抵抗層から離れる方を向く側におけるバリア層の表面との間の間隔は、常にバリア層の厚さに対応することが可能である。逆に、抵抗層に面する側におけるバリア層の表面構造は、いわば、キャリアから離れる方を向く側における抵抗層の表面構造のレリーフを形成することが可能である。したがって、キャリアから離れる方を向く側におけるその表面に沿った抵抗層の表面構造の3次元のコース、および、抵抗層に面する側におけるバリア層の表面構造の3次元のコースは、特に、互いに対応することが可能であり、キャリアから離れる方を向く側における抵抗層の表面が、すべての位置においてバリア層と直接的に接触していることが可能であるようになっている。
【0021】
抵抗層の表面構造の再現に起因して、および、特に、バリア層の十分に小さな厚さに起因して、抵抗層から離れる方を向く側におけるバリア層の表面構造は、また、バリア層の厚さに起因する変位または均質化を除いて、抵抗層の表面構造に実質的に対応することが可能である。バリア層の表面は、特に、抵抗層の表面に対してバリア層の厚さだけ変位されることが可能であり、たとえば、抵抗層の表面構造の陥凹部(それは、相互に反対側の境界同士の間の特定の幅または特定の間隔を有する)が、抵抗層から離れる方を向く側におけるバリア層の表面構造における陥凹部として再現されることが可能であるようになっており、前記陥凹部の幅は、たとえば、抵抗層の表面構造における陥凹部の幅に対してバリア層の厚さのおおよそ2倍だけ低減されている。それとは対照的に、抵抗層の均一な被覆に起因して、キャリアから離れる方を向く側における抵抗層の表面構造におけるそのような陥凹部のそれぞれの深さ、および、抵抗層から離れる方を向く側におけるバリア層の表面構造におけるそのような陥凹部のそれぞれの深さは、互いに対応することが可能である。
【0022】
したがって、抵抗層から離れる方を向くその側におけるバリア層の表面構造の粗さは、抵抗層の表面構造の粗さと同様であることが可能であり、しかし、バリア層の表面構造の粗さは、抵抗層のカバーされた表面構造の特定の均質化に起因して、抵抗層の表面構造の粗さよりもいくらか小さくなっている可能性がある。
【0023】
薄い層厚さにもかかわらず、抵抗層の表面構造のそのような再現は、特に、抵抗層とバリア層との間の緊密なシールを可能にし、腐食およびそれによって引き起こされる電気抵抗コンポーネントの(たとえば、電気抵抗器の)電気的特質の変化に対して、抵抗層を信頼性高く保護する。抵抗層の表面構造における微視的な陥凹部および中空スペース、または、抵抗層におけるギャップは、特に、バリア層によって精密にカバーまたはライニングされることも可能であり(たとえば、単にカバーされるだけでなく)、抵抗層とバリア層との間にそのような中空スペースが残ることが回避されることが可能であるようになっている。バリア層は、特に、抵抗層の表面におけるそのような中空スペースまたはギャップの存在についても、完全におよび「ピンホールフリー」で抵抗層の表面をカバーすることが可能である。
【0024】
しかし、バリア層が抵抗層の表面構造を再現しているケースでは、抵抗層の表面構造における陥凹部または中空スペースが、バリア層の厚さの2倍よりも小さい幅を有しており、そのような微視的な陥凹部および/または中空スペースが、必要な場合には、バリア層によって完全に充填されて閉鎖されることが可能であるようになっているということも可能である。そのような充填された中空スペースの領域において、しかし、特に、そのような充填された中空スペースの領域においてのみ、バリア層の厚さは、陥凹部のまたは中空スペースの一方の側から出発して、中空スペースの陥凹部の他方の側の方向に、したがって、場合によっては、陥凹部のまたは中空スペースの2つの側の互いからの間隔に対応することも可能である。そのうえ、そのような狭い中空スペースまたは陥凹部では、バリア層の厚さは、陥凹部のまたは中空スペースの最も低いポイントから見て、場合によっては、陥凹部のまたは中空スペースの深さに対応することが可能である。しかし、均一な厚さのバリア層による抵抗層全体の被覆は、最終的に、ここにも存在している。その理由は、これらの偏差が、バリア層自体によって決定されるのではなく、そのような領域における抵抗層の表面の特定の構造から結果として生じるからである。
【0025】
無機材料によるバリア層の設計に起因して、抵抗層は、従来の有機バリア層に浸透することができる蒸気形態の湿分による影響に対して信頼性高く保護されることが可能である。無機材料を有するそのようなコンフォームのバリア層は、最初に説明されたように、実際に、スパッタリング(スパッタリングは、電気抵抗コンポーネントにとって典型的なものであり、スパッタリングの間に、抵抗層とバリア層との間の中空スペースが残る)によって実現されなくてもよく、たとえば、原子層堆積によるコンフォームの無機バリア層の適用が可能である。
【0026】
原子層堆積によってバリア層を適用するそのような方法では、抵抗層は、たとえば、最初に、抵抗層の表面と自己限定的な様式で反応する第1の反応物質によって、反応チャンバーの中で化学蒸着によってカバーされることが可能である。この自己限定的な反応は、コンフォーム層が形成され得るように、第1の反応物質の最大限でも1つの原子層によって抵抗層の表面をカバーすることを可能にする。後続のフラッシングまたは排気ステップでは、第1の反応物質の未反応のガスおよび任意の反応生成物が、反応チャンバーから除去されることが可能であり、抵抗層の表面の上に反応物質によって形成された層のみが残ることが可能であるようになっている。さらなるステップにおいて、第2の反応物質が、次いで、反応チャンバーの中へ導入されることが可能であり、第1の反応物質の層(それは、抵抗層をカバーする)と自己限定的な様式で反応し、第1の反応物質の反応のために第1の反応物質によって形成された層を再活性化させる。第2の反応物質の残留物を除去するためのさらなるフラッシングまたは排気ステップの後に、前記ステップは、原子層堆積のそれぞれのサイクルとして繰り返されることが可能であり、反応の自己限定的な性質に起因して、それぞれの実行において、特に最大限でも1つの原子層が、それぞれの以前に準備された層に適用されることが可能であり、または、第1のステップにおいて、電気コンポーネントの抵抗層に適用されることが可能である。これは、原子層堆積のそれぞれのプロセスステップにおいて抵抗層の表面構造を再現することを可能にし、抵抗層のコンフォームの被覆および気密なシーリングが、小さな層厚さにおいてすでに実現されることが可能であるようになっている。一般的に、原子層堆積によって適用されるバリア層の個々の層が異なる材料または異なる化学的な化合物から形成され得るように、異なるサイクルにおいて異なる材料を使用するという規定が設けられることも可能である。
【0027】
しかし、それぞれのプロセスステップが中断されるときに、または、完全な原子層が形成される前にフラッシングもしくは排気ステップが開始され、小規模な欠陥が残るときに、バリア層の厚さの小規模な差が、たとえば、原子層堆積プロセスにおいて生じる可能性もある。しかし、これらの欠陥は、後続のステップにおいて直接的に補償されることが可能であり、抵抗層の完全な気密なシーリングが、おおよそ10ナノメートルのまたはおおよそ20ナノメートルのバリア層の厚さからすでに実現されることが可能であるようになっている。一般的に、バリア層の厚さは、原子層堆積の実施されるサイクルの数によって主に決定されることが可能である。そのうえ、効率的なプロセス実施の間に信頼性の高い気密なシーリングを実現することができるように、バリア層がおおよそ50ナノメートルからおおよそ500ナノメートルまでの厚さを有するまで、または、おおよそ100ナノメートルの厚さを有するまで、原子層堆積のサイクルを実施するという規定が設けられることが可能である。一般的に、原子層堆積の方法は、たとえば、米国特許第4058430号明細書に説明されている。
【0028】
本発明のさらなる実施形態は、従属請求項から、説明から、および、図から見られ得る。
【0029】
いくつかの実施形態において、バリア層の最小厚さと最大厚さとの間の比率は、0.8よりも大きくなっていることが可能であり、特に、0.9よりも大きくなっていることが可能である。したがって、バリア層は、抵抗層の表面構造に沿ってコンフォームの様式で形成されることが可能であり、厚さの大幅な差なしに、抵抗層の表面構造の精密な再現を可能にすることができ、抵抗層から離れる方を向く側におけるバリア層の表面の表面構造が、キャリアから離れる方を向く側における抵抗層の表面構造を実質的に再現することが可能であるようになっている。説明されているように、バリア層の厚さは、特に、特定の測定ポイントにおける抵抗層の表面構造におけるそれぞれの法線に沿って決定されることが可能であり、バリア層の小規模な厚さの差は、たとえば、個々の層における少数の欠陥によって引き起こされることが可能であり、前記欠陥は、バリア層を適用するための原子層堆積の間に作り出される。
【0030】
いくつかの実施形態において、バリア層の厚さは、キャリアの表面の粗さよりも小さくなっていることが可能であり、および/または、抵抗層の表面構造の粗さよりも小さくなっていることが可能である。すでに説明されているように、薄膜抵抗コンポーネントでは、抵抗層の厚さは、抵抗層が適用されるキャリアの表面の粗さよりも小さくなっていることが可能である。したがって、キャリアから離れる方を向く側における抵抗層の表面構造は、キャリアの表面の粗さによって主に決定されることが可能であり、最終的には、同等の粗さを有することが可能であり、しかし、同等の粗さは、抵抗層の厚さに起因して、キャリアの表面よりもわずかに小さい。そのような場合では、バリア層の厚さは、したがって、キャリアの表面の粗さおよび抵抗層の表面構造の粗さよりも小さくなっていることが可能である。厚膜抵抗コンポーネントでは、抵抗層は、それとは対照的に、キャリアの表面の粗さを超える厚さを有することが可能であり、抵抗層がキャリアの表面の粗さをカバーすることが可能であるようになっており、抵抗層の表面テクスチャーが、その粗さによって直接的に決定されることが可能であり、バリア層の厚さは、抵抗層の粗さよりも小さくなっていることが可能である。しかし、抵抗層の設計に関係なく、バリア層は、抵抗層の表面構造の粗さが完全に均質化されることなく、または、陥凹部が完全に充填されることなく、表面構造を均一に再現することが可能である。
【0031】
バリア層は、薄い層として抵抗層をカバーすることが可能であり、それにもかかわらず、気密なシーリングを可能にすることができる。したがって、そのようなバリア層に起因して、抵抗層の表面構造の粗さがカバーされることが可能であるだけでなく、または、したがって、粗さによって引き起こされる陥凹部が補われることが可能であるだけでなく、表面構造の粗さは、バリア層によって直接的に再現されることも可能であり、抵抗層の表面が、バリア層によって完全に接触されることが可能であるようになっている。
【0032】
いくつかの実施形態において、抵抗層から離れる方を向くその側におけるバリア層の表面構造の粗さは、抵抗層の表面構造の粗さの値の0.2倍から1.0倍の範囲にある値を有することが可能である。したがって、バリア層は、最大限でも小規模な偏差を有する均一な厚さを有することが可能であり、抵抗層から離れる方を向く側におけるバリア層の表面構造が、抵抗層の表面の粗さによって実質的に事前定義されることが可能であるようになっている。
【0033】
そのうえ、いくつかの実施形態において、抵抗層から離れる方を向くその側におけるバリア層の表面構造の粗さは、抵抗層の表面構造の粗さよりも小さくなっていることが可能である。抵抗層の表面構造の再現に起因して、バリア層は、特に、特定の均質化を実現することが可能であるが、抵抗層の表面構造の粗さを完全に排除することはできない。この点において、バリア層の表面構造は、また、抵抗層から離れる方を向くその側における粗さを有することが可能であり、前記粗さは、抵抗層の表面構造の粗さによって決定されるが、抵抗層の被覆に起因して抵抗層の表面構造の粗さに対して低減される。
【0034】
いくつかの実施形態において、抵抗層の表面構造は、凹部を形成することが可能であり、バリア層は、連続的におよび均一な厚さで凹部をカバーすることが可能である。そのような凹部は、特に、オーバーシャドウされたセクションの表面法線に対して、抵抗層の表面のオーバーシャドウされたセクションをカバーすることが可能であり、オーバーシャドウされたセクションの表面法線が凹部に交差するようになっている。バリア層が一定の厚さ(すなわち、一定の厚さ)で凹部をカバーすることも可能であるので、そのような凹部でもバリア層のギャップを結果として生じさせない。むしろ、バリア層は、連続的におよび「ピンホールフリー」でまたはギャップなしで形成されることが可能である。凹部の被覆は、特に、原子層堆積プロセスによってバリア層を適用することによって実現されることが可能であり、一方では、バリア層を形成するために従来から使用されている指向性プロセス(たとえば、スパッタリングプロセス)は、シャドーイング効果に起因して、そのような凹部においてバリア層のギャップと結果として生じさせることが可能である。
【0035】
いくつかの実施形態において、抵抗層の表面構造は、上記に説明されている凹部の代替的にまたは追加的に、壁部セクションを有する開いた中空スペースを形成することが可能であり、それぞれの中空スペースの壁部セクションは、それぞれの中空スペースに関して互いに反対側に配設されている。それぞれの中空スペースの壁部セクションの表面法線は、特に、鋭角で互いに交差することが可能である。そのような実施形態では、バリア層は、それぞれの中空スペースの相互に反対側に配設されている壁部セクションをカバーすることが可能である。そのような開いた中空スペースは、凹形構造を有する抵抗層の表面の単なる陥凹部とは異なり、凹部をさらに形成する可能性があり、抵抗層の表面の法線が、特に、そのような中空スペースの最も低いポイントにおいて中空スペースまたは凹部の壁部セクションと交差することが可能であるようになっている。中空スペースの最も低いポイントは、この法線に沿って壁部セクションまたは凹部によってカバーされることが可能である。そのような中空スペースの開口部は、たとえば、上向きに(すなわち、キャリアから離れるように)、斜め上向きに、または横方向に配向されることが可能である。
【0036】
バリア層は、そのような中空スペースの壁部セクションをカバーすることが可能であるので、そのような中空スペースは、コンフォームの様式でバリア層によってカバーおよび/またはライニングされることも可能である。したがって、バリア層は、中空スペースが抵抗層とバリア層との間に作り出されるように、中空スペースの開口部を閉じることが可能であるだけでなく、中空スペースの壁部セクションは、バリア層によってカバーされることも可能である。したがって、抵抗層から離れる方を向くバリア層の表面は、それぞれの位置において開口部を有する中空スペースを有することも可能であり、この中空スペースは、特に、同様に、バリア層の表面において凹部を有することが可能である。しかし、必要である場合には、バリア層は、抵抗層の表面構造における中空スペースまたは陥凹部を完全に充填することが可能であり、その深さは、バリア層の厚さよりも小さく、および/または、その壁部セクションは、バリア層の厚さの2倍よりも小さい互いからの間隔を有している。
【0037】
そのうえ、いくつかの実施形態において、抵抗層は、範囲平面(plane of extent)に沿って延在することが可能であり、抵抗層のそれぞれの中空スペースの壁部セクションのうちの少なくとも1つは、抵抗層の範囲平面に対して>90度の角度を採用することが可能である。
【0038】
したがって、それぞれの中空スペースの壁部セクションのうちの少なくとも1つは、範囲平面に対して凹部を形成することが可能であり、少なくとも1つの壁部セクションの表面法線が、抵抗層の範囲平面に交差することが可能であるようになっている。少なくとも1つの壁部セクションの表面法線は、特に、壁部セクションから離れる方を向く方向に沿って、抵抗層の範囲平面に交差することが可能である。したがって、壁部セクションは、抵抗層の範囲平面の表面法線に対して、中空スペースのより低いポイントおよび特に最も低いポイントをカバーすることが可能である。しかし、いわば、範囲平面に対して張り出している、中空スペースのそのような壁部セクションは、抵抗層の表面の他のセクションに対応する均一な厚さを有するバリア層によってカバーされることも可能であり、抵抗層の保護を損なう可能性のある中空スペースが、壁部セクションとバリア層との間に作り出されないようになっている。
【0039】
いくつかの実施形態において、抵抗層に面するキャリアの表面は、少なくとも1つの凹部を形成することが可能であり、抵抗層は、凹部の領域においてギャップを有することが可能である。そのうえ、バリア層は、キャリアの凹部、および、ギャップの環境の中に存在する抵抗層を、連続的におよび均一な厚さでカバーすることが可能である。そのような実施形態では、電気抵抗コンポーネントは、特に、薄膜抵抗コンポーネントとして構成されることが可能である。
【0040】
特に、指向性プロセスによる抵抗層の適用のときに、キャリアの表面の凹部は、抵抗層を形成するための材料がキャリアに適用される方向に関して、キャリアの表面のセクションをオーバーシャドウする可能性があり、材料が、キャリアの表面のオーバーシャドウされたセクションおよび凹部に到達しないようになっている。したがって、これらの領域では、抵抗層のギャップまたは「ピンホール」が、キャリアの表面に作り出される可能性がある。それとは対照的に、連続的なバリア層は、抵抗層のそのようなギャップをカバーすることも可能であり、ギャップの領域では、キャリアの表面の凹部および/またはオーバーシャドウされたセクションを、一定の厚さでカバーすることが可能である。したがって、連続的なバリア層は、抵抗層がギャップを有している場合でも、「ピンホールフリー」であるかまたはギャップなしで形成されることが可能である。キャリアは、特に、相互に反対側に配設されている壁部セクション(その表面法線は、鋭角で交差している)を有する中空スペースを形成することも可能であり、抵抗層は、壁部セクションのうちの少なくとも1つにおいて一定の厚さでバリア層によってカバーされたギャップを有することが可能である。
【0041】
いくつかの実施形態において、バリア層は、最大限でも1000ナノメートル(nm)の厚さを有することが可能である。代替的にまたは追加的に、いくつかの実施形態において、バリア層は、少なくとも5ナノメートル(nm)の厚さを有することが可能である。バリア層の厚さは、特に、20ナノメートル(nm)から500ナノメートル(nm)の間の範囲にあることが可能であり、または、100ナノメートル(nm)から500ナノメートル(nm)の間の範囲にあることが可能である。
【0042】
そのような薄いバリア層は、特に、電気抵抗コンポーネントの全体的な薄型設計を可能にすることも可能である。この点に関して、特に、原子層堆積のプロセスによるバリア層の適用のときに、わずか100nmの厚さを有するバリア層は、湿分の進入に関して、および、特に、水蒸気による影響に関して、抵抗層の完全に気密なシーリングが前記抵抗層を保護することをすでに可能にすることができる。おおよそ500nmまでさらに厚くすることに起因して、気密なシーリングは、さらに守られることが可能であり、バリア層の適用の間の個々のステップは、たとえば、欠陥のない完全な層が原子層堆積のプロセスにおけるそれぞれのプロセスステップにおいて作り出されることを保証する必要がないことによって、加速された様式で行われることが可能である。
【0043】
いくつかの実施形態において、バリア層は、複数の原子層を含むことが可能であり、複数の原子層は、互いに重なって平行に延在しており、複数の原子層は、抵抗層の表面構造を再現している。バリア層は、特に、互いに重なって配設されている複数の連続的な原子層またはおおよそ連続的な原子層を含むことが可能である。たとえば、原子層のそれぞれは、均一な厚さで抵抗層の表面構造を再現することが可能であり、個々の原子層は、実際に、場合によっては、小規模な欠陥を有する可能性があるが、そのような欠陥は、後続の原子層によって補償されることが可能である。それぞれの原子層は、特に、バリア層に関して上記に説明されている特徴も有することが可能であり、たとえば、中空スペースの壁部セクション、抵抗層の表面構造によって形成された凹部、キャリアの表面によって形成された凹部、および/または、抵抗層のギャップを、一定の厚さでカバーすることが可能である。バリア層の複数の原子層は、同じ材料から構成されることが可能であり、または、異なる原子層は、互いに異なる材料から形成されることが可能である。
【0044】
異なる材料を有する実施形態では、バリア層は、互いに重なった、第1の材料Aの複数の(たとえば、少なくとも10個の)原子層の配置を有することが可能であり、そのような配置の上方に、バリア層は、互いに重なった、第1の材料Aとは異なる第2の材料Bの複数の(たとえば、少なくとも10個の)原子層の少なくとも1つのさらなる配置を有することが可能である。随意的に、さらなる配置の上方に、バリア層は、互いに重なった、第3の材料Cの複数の(たとえば、少なくとも10個の)原子層の少なくとも1つの配置をさらに有することが可能である。そのうえ、いくつかの実施形態において、そのような層配置の繰り返しが提供されることが可能であり、バリア層が、スキームABAB...にしたがった、または、スキームABCABC...にしたがった、互いに重なった複数の異なる層配置のシーケンスを有することが可能であるようになっている。
【0045】
いくつかの実施形態において、バリア層は、アモルファス構造を有することが可能である。一方では、結晶バリア層では、粒子境界が、格子欠陥に起因して起こる可能性があり、その粒子境界において、異なる配向の結晶の領域が互いに当接するが、バリア層のアモルファス構造は、抵抗層の均一で気密な被覆を可能にすることができる。したがって、バリア層は、特に、個々の原子層においても、環境的影響および特に湿分に対する抵抗層の信頼性の高いシーリングを損なう可能性のある亀裂または中断部なしに形成されることが可能である。たとえば、バリア層のそのようなアモルファス構造は、原子層堆積によって実現されることが可能である。
【0046】
代替的にまたは追加的に、いくつかの実施形態において、バリア層は、半結晶構造を有することが可能である。半結晶構造は、特に、それぞれの粒子境界において互いに接続されている複数の小さな結晶によって形成されることが可能である。したがって、そのような構造では、結晶化が、特に、部分的に起こる可能性があり、しかし、連続的な結晶構造は作り出されない。たとえば、それぞれの層を形成するために、結晶(しかし、連続的な結晶ではない)が部分的に形成し、次いで、粒子境界において互いに当接することが可能であるように、層を形成するためのそれぞれの反応がわずかな時間遅れで行われるという点において、半結晶構造は、バリア層を適用するための原子層堆積のコースにおいて作り出されることが可能である。
【0047】
いくつかの実施形態において、バリア層は、すでに述べられたように、複数の層で形成されることが可能である。原子層堆積では、個々の層は、特に、複数のプロセスステップおよび/またはサイクルで適用されることが可能であり、最終的に、バリア層を共同で形成することが可能である。層は、特に、互いに重なって平行に延在するすでに述べられた複数の原子層であることが可能である。
【0048】
いくつかの実施形態において、バリア層は、アモルファス構造を有する少なくとも1つの層を有することが可能である。代替的にまたは追加的に、いくつかの実施形態において、バリア層は、半結晶構造を有する少なくとも1つの層を有することが可能である。いくつかの実施形態において、バリア層は、特に、アモルファス構造を有する少なくとも1つの層と、半結晶構造を有する少なくとも1つの層とを有することが可能である。
【0049】
そのうえ、いくつかの実施形態において、バリア層は、第1の材料から形成された第1の層と、第2の材料から形成された第2の層を有することが可能であり、第1の材料および第2の材料は、互いに異なっていることが可能である。すでに説明されているように、バリア層が、異なる材料のそれぞれの複数の層の複数の配置を有する場合には、同じ材料の複数の原子層が、最初に、原子層堆積プロセスにおける複数のプロセスサイクルにおいて堆積され、第1の層配置を形成することが可能である。所定の数の原子層の後に、別の材料の原子層が、たとえば、以前に使用された反応物質を変化させることによって、堆積されることが可能である。この他の材料の複数の原子層は、その後に、再び堆積され、バリア層の第2の層配置を共同で形成することが可能である。随意的に、複数の異なる層配置の繰り返しのシーケンスが、このように形成されることが可能であり、および/または、3つ以上の異なる材料が、異なる層配置のために提供されることが可能である。
【0050】
たとえば、特に、原子層堆積によって、アモルファス構造として抵抗層をカバーする材料から、バリア層の第1の層を形成するという規定が設けられることが可能である。その後に、たとえば、後続の層が提供されることが可能であり、半結晶構造を形成する材料がそれに関して使用されている。一般的に、バリア層は、アモルファス構造の層および半結晶構造の層の任意の所望の組み合わせから形成されることが可能である。しかし、バリア層の複数の層のすべてが、アモルファス構造もしくは半結晶構造を有しており、および/または、同じ材料から形成されているという規定が設けられることも可能である。しかし、異なる材料および/または異なる構造の層の使用は、場合によっては、湿分に対するバリア層の不浸透性をさらに増加させることが可能である。
【0051】
いくつかの実施形態において、バリア層は、電気絶縁性としてまたは半導電性として形成されることが可能である。したがって、電気コンポーネントの意図される使用の間に、電流フローは、特に、バリア層と電気コネクタとの間に起こらないことが可能である。
【0052】
いくつかの実施形態において、電気抵抗コンポーネントは、特に、2つの電気コネクタを含むことが可能であり、2つの電気コネクタは、キャリアに取り付けられており、2つの電気コネクタは、抵抗層によって互いに接続されている。
【0053】
そのうえ、いくつかの実施形態において、バリア層は、気密にシールするものとして形成されることが可能である。したがって、バリア層は、液体形態のおよび/または蒸気形態の湿分に対する抵抗層の信頼性の高い保護を提供することが可能である。
【0054】
いくつかの実施形態において、バリア層は、原子層堆積によって抵抗層の上に形成されることが可能である。
【0055】
すでに説明されているように、原子層堆積によるバリア層の適用は、バリア層をキャリアに薄く適用すること、および、均一な厚さで抵抗層の表面をカバーすることを可能にすることが可能であり、無機材料を有するコンフォームのバリア層が形成され得るようになっている。したがって、原子層堆積によるバリア層の適用は、特に、抵抗層の表面構造の前記精密な再現を可能にすることができる。そのうえ、原子層堆積は、大きなプロセスウィンドウにおいてまたは大きな温度範囲において実施されることが可能であり、バリア層が抵抗層に穏やかに適用されることが可能であるようになっており、バリア層の適用による抵抗層への損傷またはその電気的特質の変化が回避されることが可能である。したがって、抵抗層は、原子層堆積を通して薄い無機バリア層によってカバーされることが可能であり、環境的影響に対して、および、特に、湿分が進入する結果としての腐食による損傷に対して、抵抗層の保護の両方の高レベルの保護が実現されることが可能であり、電気抵抗コンポーネントの以前に規定された電気的特性(たとえば、精密にトリミングされた抵抗器)がバリア層の適用によって変化されずまたは損なわれないということを保証されることが可能である。したがって、そのようなバリア層は、電気抵抗コンポーネントの必要な精度を実現することを可能にし、また、環境的影響に対するおよび負荷の下でのそれらの長期安定性を保証することを可能にする。
【0056】
いくつかの実施形態において、バリア層は、金属酸化物、半導体酸化物、金属窒化物、半導体窒化物、金属酸窒化物、および/または半導体酸窒化物を含むことが可能である。そのような実施形態では、バリア層は、特に、酸化アルミニウム(Al)、酸化チタン(TiO)、窒化チタン(TiN)、二酸化ハフニウム(HfO)、二酸化ジルコニウム(ZrO)、および/または酸化タングステン(WO)を含むことが可能である。
【0057】
そのような材料は、特に、原子層堆積によって抵抗層に手段適用されるのに適切であり、その目的のために、比較的に大きなプロセスウィンドウおよび/または温度範囲が、特に利用可能である。たとえば、酸化アルミニウム層が、原子層堆積によって、おおよそ20℃から400℃の温度範囲において抵抗層に適用されることが可能である。
【0058】
すでに説明されているように、バリア層は、特に、異なる材料の複数の層を含むことが可能であり、上述の材料または材料のグループは、特に、それぞれの層に関して考慮されることが可能である。
【0059】
いくつかの実施形態において、バリア層は、保護層によって少なくとも部分的にカバーされることが可能である。そのような保護層は、バリア層が湿分影響に対して保護層によってすでにシールドされることが可能であるという点において、環境的影響に対する抵抗層の追加的な保護を可能にすることができる。しかし、保護層は、バリア層によって抵抗層がすでにコンフォームに被覆されているということに起因して、必ずしもコンフォームの様式でバリア層をカバーする必要がない。むしろ、抵抗層から離れる方を向く側におけるバリア層の表面と保護層との間の小規模な中空スペースは、たとえば、許容可能である可能性がある。その理由は、抵抗層が、バリア層によって、ならびに、特に、場合によってはこれらの中空スペースに進入するおよび/またはそこに集まる液体に対して、すでに信頼性高く保護されることが可能であるからである。したがって、保護層は、環境的影響に対する抵抗層の保護を拡張することが可能であるが、場合によっては、バリア層よりも小さい保護効果を発現することが可能であり、したがって、簡単な様式で適用されることが可能である。
【0060】
いくつかの実施形態において、保護層は、有機材料を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、保護層は、特に、有機材料から形成されることが可能であり、および/または、有機材料から構成されることが可能である。そのうえ、いくつかの実施形態において、保護層は、代替的にまたは追加的に、無機材料を含むことが可能である。また、有機材料および無機材料の組み合わせが、保護層を形成するために提供されることも可能である。
【0061】
有機保護層が、液体形態の(たとえば、露による)湿分に対して抵抗層の信頼性の高い保護をすでに形成することが可能であり、一方では、コンフォームの無機バリア層が、特に蒸気形態の湿分に対して抵抗層の保護を完全にすることが可能であるという点において、保護層(特に、有機保護層)は、無機バリア層への有利な追加を形成することが可能である。また、有機層としての保護層は、薄くなっていることも可能であり、バリア層および保護層が、抵抗層の薄い被覆を共同で形成し、湿分の影響に対してそれを完全に保護することが可能であるようになっている。
【0062】
二重の保護効果に加えて、そのような保護層(および、特に有機保護層)は、たとえば、電気コネクタの領域において以前に適用されたバリア層を湿式化学的(wet chemically)に除去することができるようにするために、電気抵抗コンポーネントの製造の間にエッチングマスクとして使用されることも可能である。これは、たとえば、再び特定の領域において、バリア層(それは、原子層堆積によって適用されており、それは、原子層堆積のプロセスを受ける電気抵抗コンポーネントの一部の全表面をカバーすることが可能である)を除去することができるようにするために、任意の追加的な構造化ステップを省略することを可能にする。むしろ、これは、エッチングマスクとして保護層を使用する後続のエッチングステップによって、快適で簡単な様式で行われることが可能である。
【0063】
いくつかの実施形態において、保護層は、たとえば、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミド-アミド、シリコーン樹脂、アクリレート、ポリウレタン、および/または二酸化ケイ素(SiO)を含むことが可能である。
【0064】
抵抗層は、いくつかの実施形態において、トリミング構造を有することが可能である。たとえば、抵抗層の抵抗値は、そのようなトリミング構造によって精密に規定されることが可能である。
【0065】
トリミング構造は、特に、抵抗層の範囲平面に沿って、抵抗層の切開部および/または狭窄部を形成することが可能である。そのような切開部または狭窄部に起因して、トリミング構造は、特に、抵抗層の表面を中断することが可能であり、トリミング構造が、抵抗層の表面に沿った表面構造の一部ではなく、それに対してより大きな構造を形成することが可能であるようになっている。切開部および/または狭窄部は、特に、抵抗層の表面からキャリアの表面まで延在することが可能であり、抵抗層を完全に切断することが可能である。たとえば、トリミング構造は、抵抗層がキャリアに適用された後に、リソグラフィー的にまたはレーザー構造化によって形成されることが可能である。
【0066】
いくつかの実施形態において、抵抗層は、クロム、ニッケル、またはサーメットを含むことが可能である。そのうえ、抵抗層は、たとえば、シリコン、タンタル、モリブデン、ニオブ、アルミニウム、銅、チタン、炭素、および/または窒化タンタルを含むことが可能である。抵抗層は、特に、薄膜抵抗器として構成されることが可能であり、特に、薄膜抵抗器は、小さな層厚さに起因して腐食を受けやすい可能性があり、したがって、湿分に対する信頼性の高い保護を必要とする可能性がある。それに対して代替的に、抵抗層は、たとえば、厚膜抵抗器として構成されることが可能であり、特に、そのような厚膜抵抗器は、サーメットを含むことが可能である。また、サーメット厚膜抵抗器は、望ましくないことに、腐食によって影響を受ける可能性もあり、湿分に対する信頼性の高いシーリングが、そのような厚膜抵抗器に等しく必要であるようになっている。
【0067】
抵抗層は、いくつかの実施形態において、平面的であることが可能である。そのような実施形態では、キャリアは、特に、直方体であることが可能であり、抵抗層は、キャリアの表面に形成されることが可能である。
【0068】
それに対して代替的に、抵抗層は、いくつかの実施形態において、中空の円筒状になっていることが可能である。そのような実施形態では、キャリアは、特に、円筒状であることが可能であり、抵抗層は、キャリアを周辺的に取り囲むことが可能である。そのうえ、そのような実施形態では、電気コネクタは、キャリアの1つの端面をカバーするキャップとして構成されることが可能であり、および/または、円筒状のキャリアの1つの端面においてそれぞれのキャップとして構成されている2つの相互に反対側に配設された電気コネクタが、キャリアに形成されることが可能である。
【0069】
そのうえ、いくつかの実施形態において、抵抗層は、蛇行状(meandering)であるかまたは螺旋状(spiral)であることが可能である。一般的に、抵抗層の形状は、特に、抵抗コンポーネントの意図された使用に依存し得る、キャリアの形状によって決定されることが可能である。
【0070】
いくつかの実施形態において、キャリアは、セラミック基板を含むことが可能であり、特に、酸化アルミニウム(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、および/または二酸化ケイ素(SiO)を含むことが可能である。キャリアは、特に、セラミック基板から作り出されることが可能であり、および/または、セラミック基板から構成されることが可能である。
【0071】
本発明は、電気抵抗コンポーネント、および、特に、上記に説明されている実施形態のうちのいずれか1つによる電気抵抗コンポーネントを製造する方法であって、本方法は、
- 電気絶縁性のキャリアを提供するステップと、
- 少なくとも1つの電気コネクタをキャリアに取り付けるステップと、
- 少なくとも1つの抵抗層をキャリアに適用するステップであって、抵抗層は、キャリアから離れる方を向く側において、その表面に沿って表面構造を有している、ステップと、
- バリア層によって抵抗層をカバーするステップであって、バリア層は、無機材料含み、バリア層は、連続的に、および、均一な厚さで、抵抗層の表面構造を再現している、ステップと
を含む、方法にさらに関する。
【0072】
たとえば、抵抗層は、少なくとも1つのコネクタエレメントの前または後にキャリアに適用されることが可能であり、抵抗層は、それがコネクタエレメントに接触するように適用されることが可能である。そのうえ、2つのそれぞれの電気コネクタは、相互に反対側に配設されている側において、キャリアに取り付けられることが可能である。電気コネクタは、特に、導電性金属ペーストのスクリーン印刷によって、および、後続の焼き付けによって、キャリアに付加的に取り付けられることが可能である。抵抗層は、たとえば、薄膜抵抗器として構成されることが可能であり、物理蒸着プロセスによってキャリアに適用されることが可能であり、および/または、薄い金属層(それは、たとえば、ニッケル、クロム、またはサーメットを含むことが可能である)を形成することが可能である。それに対して代替的に、抵抗層は、厚膜抵抗器として構成されることが可能であり、特に、スクリーン印刷によってペーストとして(特に、金属粒子を有するかまたは金属酸化物粒子を有するガラスペーストとして)キャリアに適用されることが可能である。
【0073】
抵抗層は、電流伝導層を有しており、電流伝導層は、キャリアに適用されており、電流伝導層は、抵抗層の電流伝導層を安定化させるためにバリア層による抵抗層の被覆の前に、追加的な、しかし非コンフォームの、および/または非連続的な追加的な材料層によってカバーされることが可能であるという規定がさらに設けられることが可能である。抵抗層のそのような追加的な材料層は、特に、スパッタリングによって電流伝導層に適用されることが可能であり、そのような実施形態では、電流伝導層および追加的な材料層は、抵抗層を共同で形成し、抵抗層は、次いで、バリア層によって均一にカバーされることが可能である。しかし、一般的に、抵抗層は、電流伝導層のみによって形成されることも可能である。
【0074】
すでに上記に説明されているように、進入する湿分に対するバリア層による抵抗層の信頼性の高いシーリングは、抵抗層の表面構造の精密な再現によって実現されることが可能であり、それは、たとえば、抵抗層を適用するための物理的ガス堆積プロセスの間の凹凸に基づいて、または、キャリアの表面の粗さによって、または、スクリーン印刷による抵抗層の適用時に生じる粗さによって、決定されることが可能である。バリア層は無機材料も含むので、信頼性の高い保護が、特に、蒸気形態の湿分に対しても実現されることが可能である。
【0075】
いくつかの実施形態において、バリア層は、原子層堆積によって抵抗層に適用されることが可能である。これは、特に、比較的に大きなプロセスウィンドウにおける、または、比較的に大きな温度範囲における、バリア層の適用を可能にする。バリア層は、原子層堆積プロセスのコースにおいて、特に、複数の平行な原子層によって、抵抗層に連続して適用され、均一な厚さで抵抗層の表面構造を再現することが可能であり、均一な厚さは、原子層の数、または、原子層堆積プロセスの連続して実施されるサイクルの数によって実質的に決定されることが可能である。抵抗層の気密なシーリング、および、特に、抵抗層のすべての領域の気密なシーリングは、これによって実現されることが可能であり、たとえば、表面構造によって形成される中空スペース、抵抗層の表面構造によって形成される凹部、キャリアの表面によって形成される凹部、および/または、抵抗層のギャップも、バリア層によって均一にカバーまたはライニングされることが可能である。
【0076】
いくつかの実施形態において、抵抗層は、バリア層を共同で形成する複数の層によってカバーされることが可能である。すでに上記に説明されているように、これは、それぞれの原子層(それは、以前に作り出された層をカバーする)が原子層堆積の連続サイクルにおいて作り出されるという点において、特に、原子層堆積によって行われることが可能である。
【0077】
そのうえ、いくつかの実施形態において、複数の層のうちの第1の層は、第1の材料から形成されることが可能であり、複数の層のうちの第2の層は、第2の材料から形成されることが可能であり、第1の材料および第2の材料は、互いに異なっていることが可能である。バリア層は、特に、異なる材料の層の積層体として形成されることが可能であり、特に、すでに上記に述べられた前記材料が、個々の層に関して考慮されることが可能である。
【0078】
代替的にまたは追加的に、いくつかの実施形態において、複数の層のうちの少なくとも1つの層は、アモルファス構造を有することが可能であり、および/または、複数の層のうちの少なくとも1つの層は、半結晶構造を有することが可能である。バリア層は、特に、半結晶構造の層とアモルファス構造の層の両方を有することが可能であり、可能な限り不浸透性の抵抗層のシーリングを実現することができるようになっている。たとえば、そのようなアモルファス層および/または半結晶層は、それぞれの層を作り出すための原子層堆積プロセスにおいて適切な材料を選択することによって形成されることが可能である。
【0079】
いくつかの実施形態において、バリア層は、最大限でも1000ナノメートル(nm)の厚さを有することが可能である。代替的にまたは追加的に、バリア層は、少なくとも5ナノメートル(nm)の厚さを有することが可能である。原子層堆積によって抵抗層に適用された適用されたバリア層は、特に、そのような厚さにおいて抵抗層の信頼性の高いシーリングをすでに形成することが可能であり、バリア層は、特に、10nm、20nm、または100nmの厚さにおいて、すでに完全に気密にシーリングしていることが可能である。したがって、バリア層は、特に、おおよそ10nm、おおよそ20nm、おおよそ50nm、またはおおよそ100nmの厚さを有することが可能である。
【0080】
いくつかの実施形態において、保護層は、バリア層に適用されることが可能である。そのような保護層に起因して、環境的影響(および、特に湿分)に対してバリア層によってすでに提供された抵抗層の保護は、たとえば、液体形態の湿分をすでにバリア層から離して維持するために、完全にされることが可能である。
【0081】
いくつかの実施形態において、保護層は、有機材料を含むことが可能である。これは、特に、液体形態の湿分の通過を防止することが可能であり、一方では、無機材料を含むバリア層は、抵抗層への蒸気形態の湿分の通過を防止することが可能である。したがって、保護層およびバリア層の協働に起因して、抵抗層は、湿分の影響に関して完全に保護されることが可能である。そのうえ、いくつかの実施形態において、保護層は、無機材料、ならびに/または、有機材料および無機材料の組み合わせを含むことが可能である。
【0082】
いくつかの実施形態において、保護層は、スクリーン印刷によって構造化された様式(structured manner)でバリア層に適用されることが可能である。
【0083】
そのうえ、いくつかの実施形態において、バリア層は、コネクタエレメントの領域において湿式化学的に除去されることが可能であり、保護層は、エッチングマスクとして使用されることが可能である。保護層は、特に、構造化された様式でバリア層に適用されることが可能であるので、保護層は、バリア層に適用されることが可能であり、抵抗層を保護するために必要とされるバリア層のセクションが、保護層によってカバーされるようになっており、したがって、エッチングの間に保持されることが可能であるようになっている。それとは対照的に、少なくとも1つの電気コネクタをカバーするバリア層のセクションは、バリア層のさらなる複雑な構造化ステップが必要となることなく、エッチングマスクとして保護層を使用することによって、湿式化学的に容易に除去されることが可能である。
【0084】
バリア層は、特に、抵抗層の表面のそれぞれの縁部を越えて抵抗層をカバーすることが可能であり、キャリアに面する側において抵抗層がキャリアによって取り囲まれることが可能であるようになっており、すべてのさらなるセクションにおいて抵抗層がバリア層によって取り囲まれることが可能であるようになっている。したがって、抵抗層は、特に、電気コネクタの領域におけるバリア層の湿式化学的な除去の後にも、完全に取り囲まれ、気密にシールされることが可能である。
【0085】
そのうえ、いくつかの実施形態において、抵抗層は、バリア層の適用の前にトリミング構造を提供されることが可能である。これは、特に、リソグラフィー的におよび/またはレーザー構造化によって行われることが可能である。そのようなトリミング構造は、たとえば、抵抗層の電気抵抗を精密に規定することを可能にすることができ、トリミング構造は、たとえば、抵抗層の中に切開部および/または狭窄部を形成することが可能である。
【0086】
電気抵抗コンポーネントを製造するための前記ステップは、特に、複数の相互に接続された電気抵抗コンポーネントのためのステップを共同で実施することによって、および、次いで、電気抵抗コンポーネントを分離する(特に、ノコ引きする(sawing up))ことによって、ウエハーレベルにおいて行われることが可能である。
【0087】
そのうえ、本発明は、説明されている実施形態による方法によって製造される電気抵抗コンポーネントにも向けられている。特に、本発明は、説明されている実施形態による方法において製造される電気抵抗コンポーネントにも関する。
【0088】
本発明は、実施形態および図面を参照して、純粋に例として、以下に説明されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
図1A】電気抵抗コンポーネントを製造する方法の異なるステップにおける、電気抵抗コンポーネント(それは、電気抵抗コンポーネントとして構成されている)のそれぞれの概略図である。
図1B】電気抵抗コンポーネントを製造する方法の異なるステップにおける、電気抵抗コンポーネント(それは、電気抵抗コンポーネントとして構成されている)のそれぞれの概略図である。
図1C】電気抵抗コンポーネントを製造する方法の異なるステップにおける、電気抵抗コンポーネント(それは、電気抵抗コンポーネントとして構成されている)のそれぞれの概略図である。
図1D】電気抵抗コンポーネントを製造する方法の異なるステップにおける、電気抵抗コンポーネント(それは、電気抵抗コンポーネントとして構成されている)のそれぞれの概略図である。
図1E】電気抵抗コンポーネントを製造する方法の異なるステップにおける、電気抵抗コンポーネント(それは、電気抵抗コンポーネントとして構成されている)のそれぞれの概略図である。
図1F】電気抵抗コンポーネントを製造する方法の異なるステップにおける、電気抵抗コンポーネント(それは、電気抵抗コンポーネントとして構成されている)のそれぞれの概略図である。
図2A】電気抵抗コンポーネントのセクションのそれぞれの概略詳細図であり、電気抵抗コンポーネントは、厚膜抵抗コンポーネントとして構成されており、電気抵抗コンポーネントは、表面構造をその表面に沿って有する抵抗層を有しており、表面構造は、均一な厚さで表面構造を再現するバリア層によってカバーされており、バリア層をカバーする保護層が、図2Bに追加的に示されている、図である。
図2B】電気抵抗コンポーネントのセクションのそれぞれの概略詳細図であり、電気抵抗コンポーネントは、厚膜抵抗コンポーネントとして構成されており、電気抵抗コンポーネントは、表面構造をその表面に沿って有する抵抗層を有しており、表面構造は、均一な厚さで表面構造を再現するバリア層によってカバーされており、バリア層をカバーする保護層が、図2Bに追加的に示されている、図である。
図3A】複数の原子層を有するバリア層の形成、抵抗層に形成されたトリミング構造、バリア層によって再現された抵抗層の表面の中空スペース、および、電流伝導層および追加的な材料層を含む抵抗層を図示するための、電気抵抗コンポーネントのセクションのそれぞれのさらなる概略詳細図である。
図3B】複数の原子層を有するバリア層の形成、抵抗層に形成されたトリミング構造、バリア層によって再現された抵抗層の表面の中空スペース、および、電流伝導層および追加的な材料層を含む抵抗層を図示するための、電気抵抗コンポーネントのセクションのそれぞれのさらなる概略詳細図である。
図3C】複数の原子層を有するバリア層の形成、抵抗層に形成されたトリミング構造、バリア層によって再現された抵抗層の表面の中空スペース、および、電流伝導層および追加的な材料層を含む抵抗層を図示するための、電気抵抗コンポーネントのセクションのそれぞれのさらなる概略詳細図である。
図4A図2Aまたは図2Bに対応する電気抵抗コンポーネントのセクションのそれぞれの概略詳細図であり、しかし、抵抗コンポーネントは、薄膜抵抗コンポーネントとして構成されている、概略詳細図、および、抵抗層に形成されたトリミング構造を図示するための概略詳細図、および、シャドーイング効果によって作り出された抵抗層のギャップを図示するための概略詳細図である
図4B図2Aまたは図2Bに対応する電気抵抗コンポーネントのセクションのそれぞれの概略詳細図であり、しかし、抵抗コンポーネントは、薄膜抵抗コンポーネントとして構成されている、概略詳細図、および、抵抗層に形成されたトリミング構造を図示するための概略詳細図、および、シャドーイング効果によって作り出された抵抗層のギャップを図示するための概略詳細図である
図4C図2Aまたは図2Bに対応する電気抵抗コンポーネントのセクションのそれぞれの概略詳細図であり、しかし、抵抗コンポーネントは、薄膜抵抗コンポーネントとして構成されている、概略詳細図、および、抵抗層に形成されたトリミング構造を図示するための概略詳細図、および、シャドーイング効果によって作り出された抵抗層のギャップを図示するための概略詳細図である
図4D図2Aまたは図2Bに対応する電気抵抗コンポーネントのセクションのそれぞれの概略詳細図であり、しかし、抵抗コンポーネントは、薄膜抵抗コンポーネントとして構成されている、概略詳細図、および、抵抗層に形成されたトリミング構造を図示するための概略詳細図、および、シャドーイング効果によって作り出された抵抗層のギャップを図示するための概略詳細図である
図5A】円筒状のキャリアを有する電気抵抗コンポーネントの実施形態の斜視図である。
図5B】円筒状のキャリアを有する電気抵抗コンポーネントの実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0090】
図1Aから図1Fは、電気抵抗コンポーネント11を製造する方法を概略的に図示しており、完全な電気抵抗コンポーネント11は、図1Fにおける断面図に概略的に示されている。
【0091】
図1Aに示されている第1のステップ101において、電気絶縁性のキャリア13(それは、ここでは例として、平行六面体形状になっている)が、この方法において提供される。キャリア13は、特に、セラミック基板を含むことが可能であり、たとえば、酸化アルミニウム(Al)から形成されることが可能であり、および/または、酸化アルミニウム(Al)から構成されることが可能である。
【0092】
図1Bに示されている後続のステップ103において、2つの電気コネクタ17が、キャリア13に取り付けられ、コネクタ17は、たとえば、スクリーン印刷およびその後の導電性金属ペーストの焼き付けによって取り付けられることが可能である。2つの電気コネクタ17は、特に、それぞれの電気的接触部を形成することが可能であり、電気抵抗コンポーネント11は、電気的接触部を介して、さらなるコンポーネントに電気的に接続されることが可能である。
【0093】
次いで、ステップ105において、抵抗層15が、キャリア13に適用され、抵抗層15は、2つの電気コネクタ17を互いに接続する。たとえば、抵抗層15は、物理蒸着によってキャリア13に適用されることが可能であり、また、薄い金属層を形成することが可能であり、スパッタリングプロセス(そこでは、指向性の材料適用が行われる)が、特に、抵抗層15を適用するために使用されることが可能である。抵抗コンポーネント11は、特に、抵抗層15のそのような適用によって、薄膜抵抗コンポーネント(薄層抵抗コンポーネントとしても指定されている)として構成されることが可能であり、抵抗層15は、50ナノメートルから500ナノメートルの範囲にある厚さを有することが可能である(この点に関して、図4Aから図4Dも参照)。しかし、それに対して代替的に、抵抗コンポーネント11は、厚膜抵抗コンポーネントとして構成されることも可能であり、そのような抵抗コンポーネント11の抵抗層15は、たとえば、金属粒子または金属酸化物粒子を含むガラスペーストによって形成されることが可能であり、スクリーン印刷によってキャリア13に適用されることが可能である(この点に関して、図2Aから図3Cも参照)。そのような様式でキャリア13に適用された抵抗層15は、たとえば、最大で10μmの厚さを有することが可能である。そのうえ、最初に抵抗層15を適用するかまたは取り付け、次いで、電気コネクタ17をキャリア13に適用するかまたは取り付けることも可能である。
【0094】
たとえば、抵抗層15は、薄い金属層によって形成されることが可能であり、薄い金属層は、たとえば、ニッケルまたはクロムを含むことが可能であり、薄い金属層は、特に、物理蒸着によってキャリア13に適用されることが可能である。それに対して代替的に、抵抗層は、たとえば、サーメット厚膜によって形成されることが可能である。しかし、ニッケルまたはクロムからの形成は、特に、抵抗層15を薄膜抵抗器としてキャリア13に適用することを可能にし、電気抵抗コンポーネント11または抵抗コンポーネントの平坦な設計が実現され得るようになっている。
【0095】
抵抗層15において特定の電気抵抗を規定することができるようにするために、抵抗層15は、図1Aから図1Fには図示されていないステップにおいて、たとえば、リソグラフィー的に、または、レーザー構造化によって、抵抗層15の中に切開部および/または狭窄部を形成することによって、トリミング構造47を提供されることが可能である。そのような切開部または狭窄部は、平面図に関して抵抗層15のセクションを中断するかまたは互いに分離することが可能であり、また、側面図に関して抵抗層15を通ってキャリア13まで延在することが可能である(図3Bおよび図4Cも参照)。たとえば、したがって、図1Cおよび図1Dに図示されているステップ間において、抵抗層15にトリミング構造47を提供するという規定が設けられることが可能である。
【0096】
上記に説明されたトリミング構造47に関係なく(特に、キャリア13まで故意に到達する中断部が、トリミング構造47によって抵抗層15に形成されることが可能である)、抵抗層15は、キャリア13から離れる方を向く側25において、表面構造21を有する表面19を有しており、表面構造21は、たとえば、抵抗層15の表面19の粗さを決定することが可能である(図2Aから図4Dを参照)。故意に適用されたトリミング構造47とは対照的に、抵抗層15の異なる構造または高さが、たとえば、スパッタリングプロセスおよび/またはスクリーン印刷プロセスの間に、キャリア13に対して形成されることが可能であり、また、おおよそ0.1μmから3μmの範囲にある粗さを有する微視的な非意図的に発生させられた表面構造21の中に反映されることが可能であるという点において、表面構造21は、抵抗層15をキャリア13に適用するためのプロセスによって主に引き起こされることが可能である。
【0097】
そのうえ、特に、薄膜抵抗コンポーネントとしての抵抗コンポーネント11の構成において、抵抗層15の厚さは、抵抗層15が適用されるキャリア13の表面71の粗さよりも小さくなっていることが可能である(図4Aから図4Dを参照)。そのような電気抵抗コンポーネント11では、表面構造は、したがって、キャリア13の表面71の粗さによって実質的に決定されることが可能である。たとえば、キャリア13の表面71の粗さは、1μmから3μmの範囲にあることが可能であり、一方では、薄膜抵抗コンポーネントとして構成されている抵抗コンポーネント11の抵抗層15の厚さは、50ナノメートルから500ナノメートルの範囲にあることが可能である。厚膜抵抗コンポーネントとして構成されている抵抗コンポーネント11のケースでは、抵抗層の厚さは、それとは対照的に、最大で10μmになる可能性があり、したがって、キャリアの表面71の粗さを超える可能性があり、抵抗層15の表面構造21が、そのような場合では抵抗層15自体の粗さによって決定され得るようになっている(図2Aから図3Cを参照)。そのような粗さは、おおよそ0.1μmから3μmの上述の範囲にあることが可能であり、したがって、キャリア13の表面71の粗さに実質的に対応することが可能である。
【0098】
電気抵抗コンポーネント11のケースでは、一般的に、これらの電気抵抗コンポーネント11を可能な限り小さくし、特に、可能な限り平坦にするかまたは薄くするという要件が存在しているが、同時に、長い時間期間にわたっておよび負荷の下で高い精度および安定性を保証するという要件が存在している。たとえば、抵抗層として形成された抵抗層15において設定された抵抗が、10%公称負荷において長い使用期間(たとえば、1000時間)にわたって最大でも0.1%の変化を経験することが必要である可能性がある。そのうえ、設定抵抗値の高い精度が必要であり、たとえば、1%から0.01%の公差が要求される可能性がある。しかし、小さな層厚さに起因して、要求される薄い抵抗層15は、電圧の同時の印加のときに、陽極酸化による腐食に対して高い感度を有することが多く、そのような電気抵抗コンポーネント11の長期安定性が湿分との接触によって損なわれ得るようになっている。
【0099】
したがって、図1Dに示されているステップ107において、抵抗層15は、バリア層23によってカバーされ、バリア層23は、無機材料を含み、バリア層23は、均一な厚さDを伴って、カバーされた抵抗層15の表面構造21を再現する(図2Aから図4Dも参照)。バリア層23は、特に、原子層堆積によって抵抗層15に適用されることが可能であり、キャリア13から離れる方を向く側25において、前記抵抗層15の表面構造21を精密に再現することができるようになっている。そのような原子層堆積は、特に、抵抗層15の表面構造21を精密に再現するために、均一な厚さDを有するコンフォーム層としてバリア層23を形成することを可能にすることができる。そのうえ、原子層堆積は、比較的に広範なプロセスウィンドウにおいてまたは広範な温度範囲において行われることが可能であり、バリア層23が抵抗層15に穏やかに適用され得るようになっており、たとえば、抵抗層15において設定された抵抗がバリア層23の適用によって変化されないことが保証され得るようになっている。
【0100】
バリア層23は無機材料を含むので、バリア層23は、特に、蒸気形態の湿分に対する抵抗層15の信頼性の高い保護を提供することが可能であり、バリア層23は、抵抗層15を気密にシールすることが可能である。この目的のために、異なる材料が、バリア層23に関して考慮されることが可能であり、バリア層23は、たとえば、金属酸化物、半導体酸化物、金属窒化物、半導体窒化物、金属酸窒化物、および/または半導体酸窒化物を含むことが可能である。バリア層15は、特に、酸化アルミニウム(AlまたはAl:N)、酸化チタン(TiO)、窒化チタン(TiN)、二酸化ハフニウム(HfO)、二酸化ジルコニウム(ZrO)、および/または酸化タングステン(WO)を含むことが可能であり、それらは、たとえば、原子層堆積によって抵抗層に適用されることが可能である。上述の材料を備えたバリア層23の設計において、バリア層23は、そのうえ、特に、電気絶縁性のものとしてまたは半導電性のものとして形成されることが可能であり、電気抵抗コンポーネント11を通る電流フローまたは2つのコネクタ17の間の電流フローが、抵抗層15を通して完全に行われ得るようになっており、電気抵抗コンポーネント11の事前定義された抵抗値が、たとえば、精密に事前定義され得るようになっている。
【0101】
そのうえ、バリア層23は、アモルファス構造を有することが可能であり、アモルファス構造は、たとえば、同様に、原子層堆積によるバリア層23の適用の結果として直接的に作り出され得る。結晶構造と比較して、そのようなアモルファス構造は、均一に形成されることが可能であり、特に、粒子境界(結晶の異なって配向されたセクションが、粒子境界において互いに隣接している)を有さないことが可能である。そのような粒子境界は、結晶構造の中に望ましくない割れ目を形成する可能性があり、抵抗層15のシーリングを損なう可能性があるが、特に蒸気形態の湿分に対する信頼性の高いシーリングが、アモルファスの無機のバリア層23によって実現されることが可能である。しかし、代替的にまたは追加的に、バリア層23は、半結晶構造を有することも可能である。
【0102】
図2Aから図4Dは、バリア層23による抵抗層15の表面構造19の再現を図示するための概略詳細図を示している。図2Aから図3Cにおいて、電気抵抗コンポーネント11が図示されており、それは、厚膜抵抗コンポーネントとして構成されており、厚膜抵抗コンポーネントでは、抵抗層15の厚さが、キャリア13の表面71の粗さを超えている。それとは対照的に、図4Aから図4Dでは、薄膜抵抗コンポーネントとして構成されている電気抵抗コンポーネント11が概略的に図示されており、薄膜抵抗コンポーネントでは、キャリア13の表面71の粗さが、抵抗層15の厚さよりも大きい。しかし、単なる概略的な表現であることに起因して、精密なサイズまたは長さの比率は、そのうえ、図2Aから図4Dから見られることができない。抵抗層15の厚さとその粗さとの間の比率、または、バリア層23の厚さDと抵抗層15の厚さとの間の比率は、特に、図2Aから図4Dにおけるそれぞれの表現と精密に常に対応する必要があるわけではない。
【0103】
たとえば、図2Aおよび図4Aが示すように、均一な厚さDを有するバリア層23の形成に起因して、抵抗層15から離れる方を向くバリア層23の側29におけるバリア層23の表面構造55の3次元のコースは、キャリア13から離れる方を向く側25におけるその表面19に沿って、抵抗層15の表面構造21に精密にしたがっている。したがって、基本的に、バリア層23の表面構造55は、抵抗層15の表面構造21に対応しており、しかし、抵抗層15の表面19における陥凹部53の幅B1、または、2つのセクション67の間の間隔は、たとえば、バリア層23の表面構造55における対応する陥凹部53のケースでは、バリア層23の厚さDの2倍だけ低減される可能性がある。したがって、抵抗層15の表面19におけるセクション67と同じ高さに形成されるバリア層23の表面55における幅B2または2つのセクション69の間の間隔は、バリア層23の厚さDの2倍だけ低減された幅B1に対応することが可能である。
【0104】
バリア層23は、抵抗層15の表面19の表面構造21を再現しているので、したがって、バリア層23の表面構造55は、いわば、バリア層23の厚さDに対応する間隔において、抵抗層15の表面19の表面構造21のコースにしたがっている。それとは対照的に、抵抗層15に面する側27におけるバリア層23の構造は、特に、側27において、バリア層23が抵抗層15に直接的に隣接し、抵抗層15またはその表面19に接触しているという点において、抵抗層15の表面19の表面構造21に対応している。したがって、抵抗層15の表面19は、特に、すべての位置においてバリア層23によって接触されることが可能である。
【0105】
図2Aは、抵抗層15の表面19の表面構造21が、開いた中空スペース31を形成することが可能であり、開いた中空スペース31は、示されている断面において2つの相互に反対側に配設されている壁部セクション33および35によって境界を定められているということをさらに示している。中空スペース31は、そのうえ、開口部39を有しており、開口部39は、上向きに配向されており、すなわち、開口部39は、キャリア13から離れる方を向いている。同様に表面構造21に形成されている陥凹部53とは異なり、中空スペース31は、抵抗層15の凹部37によって境界を定められており、前記凹部37は、壁部セクション35によって形成されており、いわば、抵抗層15の範囲平面Eに対して張り出している(図3Cも参照)。
【0106】
抵抗層15のこの凹部37にもかかわらず、バリア層23は、均一な厚さDによって、表面構造21の中空スペース31の2つの壁部セクション33および35をカバーし(ひいては、凹部37もカバーし)、中空スペース31を完全にライニングする(図3Cも参照)。抵抗層15の中空スペース31の表面(凹部37を含む)は、バリア層23によって均一にカバーされており、抵抗層15から離れる方を向く側29におけるバリア層23の表面構造55が、同様に、中空スペース31の領域に開口部を有する中空スペースを有するようになっている。この点において、バリア層23は、特に、抵抗層15の表面19の表面構造21の中空スペース31の開口部39を閉じず、バリア層23による抵抗層15のシーリングまたはこのシーリングの安定性を損なう可能性のある中空スペースは、抵抗層15とバリア層23との間に作り出されない。
【0107】
図2Aから図3Cに図示されている厚膜抵抗コンポーネントの実施形態では、抵抗層15の壁部セクション33および35ならびに中空スペース31は、抵抗層15自体によって形成されている。それとは対照的に、図4Aから図4Dによって図示されている薄膜抵抗コンポーネントの実施形態では、キャリア15の表面71は、2つの凹部38を有しており、抵抗層15は、キャリア15の凹部38の領域に、それぞれのギャップ49または「ピンホール」を有している。そのようなギャップ49は、特に、抵抗層15が指向性プロセス(たとえば、スパッタリングプロセス)によって適用される場合には、キャリア13への抵抗層15の適用の間のシャドーイング効果に起因して作り出されることが可能である。図4Dによる拡大図が図示しているように、抵抗層15を形成するために使用される材料は、材料が方向Sに沿って方向付けられて適用されるときに、キャリア13の表面71の凹部38に、および、方向Sに関して凹部38によってオーバーシャドウされているキャリア13の表面71のセクション79に到達しない可能性があり、ギャップ49が抵抗層15の中に作り出されないようになっている。そのうえ、薄膜抵抗コンポーネントとして構成されている抵抗コンポーネント15のケースでは、抵抗層15は、抵抗層15の電流伝導パーツを安定化させるために、その上側側において追加的な材料層(図には示されていない)を有することが可能である。そのような追加的な層は、特に、指向性プロセスによって抵抗層15の電流伝導層に適用されることも可能であり、上記に説明されているシャドーイング効果が、同様に、追加的な材料層でも起こることが可能であるようになっており、追加的な材料層が連続的におよび「ピンホールフリー」で形成されることができないようになっている。
【0108】
したがって、抵抗層15は、キャリア15の凹部38の領域の中にギャップ49を有するが、バリア層23は、また、キャリア13の凹部38、オーバーシャドウされたセクション79、および、ギャップ49の環境の中に存在する抵抗層15を、均一な厚さDで連続的にカバーする(図4A図4B、および図4Dを参照)。したがって、ギャップ49の縁部77は、特に、また、バリア層23によってコンフォームの様式でカバーされており、湿分による縁部77における抵抗層15の影響が回避され得るようになっている(図4Dを参照)。そのうえ、キャリア13は、凹部38の領域にそれぞれの中空スペース31を再び形成し、それぞれの凹部38によって形成されている壁部セクション35は、ギャップ49を有しており、抵抗層15によってカバーされておらず、一方では、凹部を形成しないキャリア13の反対側の壁部セクション33は、抵抗層15によってカバーされている。しかし、バリア層23は、完全にコンフォームの様式で一定の厚さDによって中空スペース31をライニングしている。
【0109】
厚膜抵抗コンポーネントの1つの実施形態に関して、図3Cは、拡大された形態で抵抗層15のセクションを再び示しており、そこでは、抵抗層15の表面構造21は、キャリア13から離れる方を向く側25においてその表面19に沿って中空スペース31を形成している。図3Cから見られ得るように、凹部37を形成する壁部セクション35は、範囲平面Eに対して>90度の角度を採用しており、範囲平面Eに沿って抵抗層15が延在している。したがって、表面構造21の法線N1は、抵抗層25の表面19から離れる方を向く方向に、壁部セクション35の領域において、抵抗層15の範囲平面Eと交差する。そのうえ、表面構造21の法線N2は、壁部セクション35または凹部37と交差し、それは、この点において、中空スペース31の最も低いポイント57において、抵抗層15の表面19から離れる方を向く方向に、抵抗層15の範囲平面Eに対して張り出している。中空スペース31は、バリア層23によって完全にカバーおよびライニングされており、バリア層23の表面構造55も対応する中空スペースを有するようになっている。また、同じ幾何学的な関係が、キャリア13の表面71の凹部38(図4A図4B、および図4Dによって図示されている)および中空スペース31のケースでも存在しており、凹部38は、特に、キャリア13の範囲平面に対して>90度の角度を採用しており、前記法線は、このケースでは、キャリア13の表面71に関係することが可能である。
【0110】
そのうえ、厚膜抵抗コンポーネントの実施形態に関して、図2Aは、表面構造21が、さらなる中空スペース51を有することが可能であり、さらなる中空スペース51は、しかし、バリア層23によって充填されており、その開口部は、したがって、バリア層23によって閉じられているということを再び示している。そのような充填された中空スペース51は、中空スペース51のそれぞれの壁部セクション59がバリア層23の厚さDの2倍よりも小さな互いからの間隔を有する場合には、バリア層23によって抵抗層15をカバーする間に作り出されることが可能である。この点において、バリア層23の厚さ(そのような充填された中空スペース51の最も低いポイントから測定される)は、場合によっては、中空スペース51の深さにおおよそ対応することが可能であり、そのような測定ポイントにおけるバリア層23の厚さが、均一な厚さDを有する表面構造21の精密な再現にもかかわらず、この均一な厚さDとは異なることが可能であるようになっている。しかし、上記に説明されているように、これは、単に、中空スペース51の2つの壁部セクション59の互いからの小さな間隔に起因して結果として生じ、抵抗層15の表面19の表面構造21の不均一な再現に起因して結果として生じるものではなく、バリア層23による表面構造21のコンフォームの再現が最終的に中空スペース51においても行われるようになっている。これは、一般的に、薄膜抵抗コンポーネントとして構成されている電気抵抗コンポーネント11においても行われることが可能である。
【0111】
そのうえ、バリア層23は、互いに重なって配設されている複数の平行な層41を含むことが可能であり、それぞれの層41は、単一の原子層または複数の原子層の配置を有することが可能であるということが図3Aから見られ得る。したがって、層41は、同様に、抵抗層15の表面19の表面構造21を再現し、層41の互いに重なった平行な配置に起因して、バリア層23の厚さDは、最終的に、層41(特に、原子層)の数によって主に決定されることが可能である。バリア層23のそのような多層設計は、図4Aから図4Dによって図示されている抵抗コンポーネント11(薄膜抵抗コンポーネント)においても提供されることが可能である。
【0112】
すでに説明されているように、バリア層23は、無機材料を含み、アモルファス構造および/または半結晶構造を有することが可能である。そのうえ、層41が異なる材料を含み、バリア層23が異なる材料の積層体として形成されるという規定が設けられることが可能である。そのうえ、層41のうちのいくつかがアモルファス構造を形成し、一方では、層41のうちの他のものが半結晶構造を形成するという規定が設けられることが可能である。したがって、バリア層23は、アモルファス層および半結晶層41の組み合わせを含むことが可能であり、それぞれの構造は、特に、原子層堆積プロセスのそれぞれのサイクルの間に、適切な材料および/またはプロセス条件の選択によって作り出されることが可能である。異なる材料のそのような積層体において、それぞれの材料の個々の層41は、特に、複数の原子層(たとえば、それぞれのケースでは、10個以上の原子層)を含むことが可能である。
【0113】
一般的に、そのような原子層41は、欠陥(図3Aには示されていない)を有する可能性があり、欠陥は、たとえば、層41の完全な形成の前に原子層堆積のプロセスステップの終了によって作り出される可能性があり、気密なバリア層23は、最終的に、重ね合わせられた層41によって形成されることが可能である。しかし、そのような欠陥に起因して、バリア層23の厚さDは、わずかに変化する可能性もあり、しかし、バリア層23の最小厚さと最大厚さとの間の比率は、0.8よりも大きくなる可能性があり、特に、0.9よりも大きくなる可能性がある。バリア層23の厚さDは、特に、500nmよりも小さくなる可能性があり、および/または、少なくとも100nmになる可能性があり、100nmのバリア層23の厚さDは、抵抗層15の気密なシーリングをすでに可能にする可能性があるが、一方では、特に、バリア層23の抵抗(ひいては、湿分に対して抵抗層15をシールドするためのその信頼性)は、最大で500nmまで厚さDを増加させることによって増加されることが可能である。
【0114】
そのうえ、バリア層23が特定の均質化を実現するので、バリア層23の表面構造55の粗さは、抵抗層15の表面構造21の粗さの0.2倍から1.0倍の範囲の中にあることが可能であり、バリア層23の表面構造55の粗さは、抵抗層15の表面構造21の粗さよりも小さくなっていることが可能であるということが図2Aから図4Dから見られ得る。図3Bは、抵抗層15の表面構造21は、その粗さによって最終的に決定され、また、厚膜抵抗コンポーネントとして構成されている抵抗コンポーネント11の中のトリミング構造47と比較して、抵抗層15の表面19に沿って微視的な構造を形成しており、それは、トリミング構造47の示されている切開部によって、2つのセクション61および63に分離されていることを再び図示している。したがって、トリミング構造47は、抵抗層15の表面構造21を形成せず、むしろ、この表面構造21の重ね合わせを表している。
【0115】
薄膜抵抗コンポーネントのケースでは、抵抗層15の厚さは、それとは対照的に、図4Cが図示しているように、抵抗層15の表面構造21の粗さよりも小さくなっていることが可能であり、トリミング構造47が、表面構造21の粗さと比較して、小規模な切開部のみを形成し得るようになっている。
【0116】
バリア層23が適用された後に、および、抵抗層15が均一な厚さDによってカバーされた後に、保護層43が、ステップ109においてバリア層23に適用されることが可能である(図1Dを参照)。この保護層は、特に、有機材料を含むことが可能であり、スクリーン印刷によって構造化された様式でバリア層23に適用されることが可能である。しかし、保護層43は、必ずしもバリア層23の表面構造55を完全に再現する必要なく、むしろ、中空スペースは、場合によっては、バリア層23の表面構造55の陥凹部または中空スペースの領域において、バリア層23と保護層43との間に作り出される可能性がある。しかし、図2Bおよび図4Bが図示しているように、そのような中空スペースは、保護層43の慎重な適用によって大幅に回避されることが可能である。
【0117】
保護層43は、有機材料を含むので、環境的影響に対する抵抗層15の保護が完全なものにされることが可能である。保護層43は、特に、液体形態の湿分の通過(たとえば、露の通過)を信頼性高く可能にすることができ、一方では、バリア層23は、特定の状況下において有機保護層43を通過する可能性のある蒸気形態の湿分に対して、抵抗層15をシールすることが可能である。したがって、腐食に起因する抵抗層15への任意の損傷、および/または、その電気的特性の変化(たとえば、抵抗値の変化)は、信頼性高く防止されることが可能である。しかし、保護層43は、無機材料を含むことも可能であり、有機材料および無機材料の組み合わせも同様に可能である。
【0118】
たとえば、保護層43は、有機材料として、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミド-アミド、シリコーン樹脂、アクリレート、および/またはポリウレタンを含むことが可能である。そのうえ、保護層43は、たとえば、二酸化ケイ素(SiO)を含むことが可能である。
【0119】
抵抗層15の保護効果の増加に加えて、保護層43は、その構造化に起因して、ステップ109においてエッチングマスク45として使用されるようにさらに展開され、コネクタ17のそれぞれの領域65においてバリア層23を湿式化学的に除去することが可能である(図1Fを参照)。したがって、バリア層23(それは、特に、原子層堆積によって適用される)は、さらなる電気コンポーネントへの電気抵抗コンポーネント11の電気的接続を可能にするために、簡単な様式で、および、特に、追加的で複雑な構造化ステップを必要とすることなく、コネクタ17から除去されることが可能である。したがって、示されている電気抵抗コンポーネント11は、また、薄いコンポーネント11として容易におよび安価に構成されることが可能であり、しかし、環境的影響に対する抵抗層の信頼性の高い保護に起因して、長い時間期間にわたる高い安定性が同時に保証されることが可能である。
【0120】
図1Aおよび図1Fにおける電気抵抗コンポーネント11を製造するためのステップは、単一の電気抵抗コンポーネントに関して示されているが、特に、図1Aから図1Fを参照して説明されているステップが、ウエハーレベルにおいて行われ、それぞれの電気抵抗コンポーネント11は、後続のウエハーのノコ引きによって分離されることが可能であるという規定が設けられることが可能である。
【0121】
図1Fにおいて断面で概略的に示されている電気抵抗コンポーネント11は、特に、平行六面体形状になっていることが可能であり、抵抗層15が、キャリア13の表面に平面的な様式で適用されることが可能であるようになっている。それとは対照的に、図5Aおよび図5Bは、さらなる実施形態を示しており、さらなる実施形態では、キャリア13は、円筒として構成されており、抵抗層15は、したがって、中空の円筒として構成されており、抵抗層15は、キャリア13を周辺的に取り囲む(図5Bを参照)。同様に、保護層43も、そのような実施形態では、中空の円筒状の形状でバリア層23を取り囲むことが可能である。図5Aが示しているように、そのような円筒状の電気抵抗コンポーネント11のコネクタ17は、特に、キャリア13におけるキャップとして構成されることが可能であり、抵抗層15は、バリア層23および保護層43によって、完全に外向きに気密にシールされることが可能である。
【0122】
図5Aの実施形態に対する代替例として(そこでは、キャリア13およびコネクタ17は、バリア層23および保護層43に対して、低減された半径を有している)、コネクタ17が、保護層43と同じ半径によって形成され、円筒状の電気抵抗コンポーネント11の端面を完全にカバーするという規定が設けられることも可能である。この点に関して、コネクタは、抵抗層15の適用の後にのみ、バリア層23からおよび/または保護層43から形成され、そのような実施形態では、バリア層23は、特に、コネクタ17と抵抗層15との間の接触を可能にするために、円筒の端面の方向において抵抗層15をカバーしなくてもよいという規定が設けられることも可能である。
【符号の説明】
【0123】
11 電気抵抗コンポーネント
13 キャリア
15 抵抗層
17 電気コネクタ
19 抵抗層の表面
21 表面構造
23 バリア層
25 キャリアから離れる方を向く抵抗層の側
27 抵抗層に面するバリア層の側
29 抵抗層から離れる方を向くバリア層の側
31 開いた中空スペース
33 壁部セクション
35 壁部セクション
37 凹部
39 開口部
41 原子層
43 保護層
45 エッチングマスク
47 トリミング構造
49 ギャップ
51 充填された中空スペース
53 陥凹部
55 バリア層の表面構造
57 最も低いポイント
59 充填された中空スペースの壁部セクション
61 抵抗層のセクション
63 抵抗層のセクション
65 バリア層の領域
67 抵抗層の表面のセクション
69 バリア層の表面のセクション
71 キャリアの表面
77 縁部
101 キャリアを提供する
103 コネクタを取り付ける
105 抵抗層を適用する
107 バリア層によって抵抗層をカバーする
109 保護層を適用する
111 バリア層の湿式化学的な除去
B1 幅
B2 幅
D バリア層の厚さ
E 範囲平面
N1 抵抗層の表面の法線
N2 抵抗層の表面の法線
S 方向
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
【国際調査報告】