IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲーの特許一覧

特表2024-529177手動挿入補助具および挿入補助システム
<>
  • 特表-手動挿入補助具および挿入補助システム 図1
  • 特表-手動挿入補助具および挿入補助システム 図2
  • 特表-手動挿入補助具および挿入補助システム 図3
  • 特表-手動挿入補助具および挿入補助システム 図4
  • 特表-手動挿入補助具および挿入補助システム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】手動挿入補助具および挿入補助システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20240725BHJP
   A61M 5/158 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
A61M5/32 530
A61M5/158 500Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509382
(86)(22)【出願日】2022-07-29
(85)【翻訳文提出日】2024-04-02
(86)【国際出願番号】 EP2022071371
(87)【国際公開番号】W WO2023020812
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】63/234,317
(32)【優先日】2021-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】21211393.0
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100163061
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】アルノルト,マーク
(72)【発明者】
【氏名】キャディオ,ミシェル・アラン・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】フレイ,シュテファン-ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】コンヤ,アフメット
(72)【発明者】
【氏名】クルツ,クラウス・カール
(72)【発明者】
【氏名】ジンドリンガー,シュテファニー
(72)【発明者】
【氏名】ビーガント,ローラント・ハンス
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066FF04
4C066FF05
4C066LL30
(57)【要約】
本発明は、カニューレユニットをカニューレホルダーの中に挿入するための手動挿入補助具に関する。手動の挿入補助具は、ハンドルと、ハンドルから突出し、カニューレユニットと係合するように構成されている受容開口部を形成する2つの顎とを備える。単純かつ軽量な挿入補助具を提供するために、2つの顎間の最小隙間は、1.5mm以上かつ7mm以下であり、ハンドルからの2つの顎の各々の最大突出長さは、4mm以上かつ18mm以下である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル(2)と、
前記ハンドル(2)から突出し、カニューレユニットと係合するように構成されている受容開口部(4)を形成する2つの顎(3)と
を備え、
前記2つの顎(3)間の最小隙間(5)が、1.5mm以上かつ7mm以下であり、
前記ハンドル(2)からの前記2つの顎(3)の各々の最大突出長さ(6)が、4mm以上かつ18mm以下である、
手動挿入補助具(1)。
【請求項2】
前記2つの顎(3)の各々が、平面側方接触表面(7)を含み、前記平面側方接触表面(7)が、互いに向かって対面しており、それによって前記2つの顎(3)間の前記最小隙間(5)を定めている、請求項1に記載の手動挿入補助具(1)。
【請求項3】
前記2つの顎(3)の各々が、平面下側接触表面(8)を含み、前記平面下側接触表面(8)が、単一で共通の想像上の下側平面内に配置されている、
および/または、
前記2つの顎(3)の各々が、平面上側接触表面(19)を含み、前記平面上側接触表面(19)が、単一で共通の想像上の上側平面内に配置されている、請求項1または2に記載の手動挿入補助具(1)。
【請求項4】
前記2つの顎(3)の各々が、1mm以上かつ5mm以下の最大高さ(9)を有し、それぞれの前記最大高さ(9)が、前記2つの顎(3)間の前記最小隙間(5)に垂直な方向で測定されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の手動挿入補助具(1)。
【請求項5】
前記手動挿入補助具(1)が、前記2つの顎(3)の前記最大突出長さ(6)に沿って、かつ前記2つの顎(3)間の前記最小隙間(5)に沿って延在する第1の鏡面に対して、鏡対称である、請求項1から4のいずれか一項に記載の手動挿入補助具(1)。
【請求項6】
前記手動挿入補助具(1)が、前記2つの顎(3)の前記最大突出長さ(6)に沿って、かつ前記2つの顎(3)間の前記最小隙間(5)に対して垂直に延在する第2の鏡面に対して、鏡対称である、請求項1から5のいずれか一項に記載の手動挿入補助具(1)。
【請求項7】
前記ハンドル(2)が、滑動抵抗力を増加させるように構成されているパターン(12)を含み、好ましくは前記パターン(12)が、反復的な突起および/または陥没を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の手動挿入補助具(1)。
【請求項8】
前記2つの顎(3)の各々が、面取りした箇所を含む自由正面先端を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の手動挿入補助具(1)。
【請求項9】
前記2つの顎(3)の各々が、前記ハンドル(2)の厚さ(14)に対して垂直に延在する平面に対して角度を付けられており、前記ハンドル(2)の前記厚さ(14)が、前記ハンドル(2)の長さよりも小さく、前記ハンドル(2)の幅以下である、請求項1から8のいずれか一項に記載の手動挿入補助具(1)。
【請求項10】
前記手動挿入補助具(1)が、当該手動挿入補助具(1)をキーリングまたはジッパーに取り付けるように構成されているコネクター部(15)を備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の手動挿入補助具(1)。
【請求項11】
前記ハンドル(2)が、一時的にトークンを保持するように構成されている区画を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の手動挿入補助具(1)。
【請求項12】
前記ハンドル(2)が、インスリン容器の中に移動可能に挿入されるピストン棒に係合するように構成されている充填補助部(16)を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の手動挿入補助具(1)。
【請求項13】
前記ハンドル(2)が、少なくとも部分的に円形の外側縁部を含み、前記少なくとも部分的に円形の外側縁部および前記2つの顎(3)の自由正面先端(13)が、想像上の円を形成する、請求項1から12のいずれか一項に記載の手動挿入補助具(1)。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の手動挿入補助具(1)と、カニューレアセンブリと、を備える挿入補助システム(18)であって、
前記カニューレアセンブリ(17)が、カニューレハブを収容するケーシングを含み、前記カニューレハブが、所定の経路に沿って前記ケーシング内を移動可能であり、前記カニューレハブが、カニューレと係合部とを有し、前記係合部が、前記カニューレハブを前記所定の経路に沿って移動させるように、前記手動挿入補助具(1)の前記顎(3)によって一時的に係合されるように構成されている、挿入補助システム(18)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カニューレユニットをカニューレホルダーの中に挿入するための手動挿入補助具に関する。手動挿入補助具は、ハンドルと、ハンドルから突出し、カニューレユニットと係合するように構成されている受容開口部を形成する2つの顎とを備える。
【背景技術】
【0002】
注入によって薬剤を患者に供給するための医療供給システムの構成部品が、カニューレであり、このカニューレは、薬剤を容器から出しカニューレを通して患者の体の中に供給するために、使用中には容器と流体連通している。カニューレは、患者の皮膚を突き刺すように構成されている。使用中、カニューレホルダーは、患者の体に対して定位置にカニューレを保つ。カニューレホルダーは、患者の体に取外し可能に取り付けられるように構成されており、カニューレがカニューレホルダーの中に少なくとも部分的に挿入されているときに、カニューレを係合するように構成されている。カニューレは、力によって、カニューレホルダーに向かってその中に移動させられ、そうしてカニューレホルダーの中に少なくとも部分的に挿入される。
【0003】
一般に、カニューレの取扱いおよび挿入は、意図せずカニューレで体を刺すというリスクを与える。したがって、カニューレは、意図せず傷つけられ、または刺されることからそれぞれユーザーを保護するケーシング内に配置される。ケーシングのさらなる目的は、カニューレをポンプホルダーの中に挿入するための、カニューレが沿って移動することができる誘導経路を提供することである。特に、カニューレが柔らかいカニューレである場合、挿入針がカニューレとともにケーシング内を移動し、カニューレの挿入後には、挿入針は再び格納される。
【0004】
例えば、EP1383560B1もしくはWO2009/001346A1に記載されているような、使い捨てまたは再利用可能なインサーター装置を使用することによって、挿入を達成することができる。それらの装置は、カニューレをカニューレホルダーの中に挿入し、それによって患者の皮膚を突き刺すたびに、繰り返しカニューレおよび挿入針に所定の力をかけるために特に有益である。インサーター装置を用いてカニューレをカニューレホルダーの中に挿入する前に、対応するカニューレアセンブリが、挿入用装置の中に装着される。カニューレアセンブリは、カニューレと、カニューレが柔らかいカニューレである場合には、挿入針とを備える。さらに、カニューレアセンブリは、ケーシングとカニューレハブとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第1383560号明細書
【特許文献2】国際公開第2009/001346号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のインサーター装置のうちの1つを使用することの不利点は、カニューレホルダーを交換する必要があるときにはいつでも、カニューレをカニューレホルダーの中に挿入することができるように、患者がインサーター装置を持ち運ばなければならないことである。インサーター装置は、その大きさおよび重量のために特定の場所に忘れられがちであり、そうしてユーザーは、インサーター装置を用いてカニューレをカニューレホルダーの中に挿入することができなくなる。
【0007】
したがって、本発明の目的は、大きさおよびコストが低減され、すなわちそうしてより忘れられにくく、患者が容易に持ち運ぶことができる代替的な挿入補助具を提供することである。挿入補助具は、患者によって容易に取り扱われることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的のうちの少なくとも1つは、上記で概説した手動挿入補助具によって解決され、2つの顎間の最小隙間は、1.5mm以上かつ7mm以下であり、ハンドルからの2つの顎の各々の最大突出長さは、4mm以上かつ18mm以下である。
【0009】
2つの顎(jaws)は、カニューレアセンブリのケーシングの開口部を通してカニューレユニットのカニューレハブの一部に係合するための、受容開口部を形成する。2つの顎は、前記カニューレハブを、ケーシング内の所定の経路に沿って、挿入の方向および格納の方向に移動させるように構成されている。格納の方向は、挿入の方向の逆である。したがって、カニューレハブは、カニューレアセンブリのケーシング内に移動可能に収容されており、カニューレハブは、患者の体の中に流体を運搬するように構成されているカニューレを少なくとも備える。カニューレは柔らかいカニューレであり得、この場合、カニューレユニットはまた、患者の体を貫通するときに柔らかいカニューレを支持するように構成されている挿入針を備える。挿入針は、柔らかいカニューレが挿入された後に、柔らかいカニューレから引き離されることができる。カニューレハブは、カニューレホルダーに少なくとも部分的に取付け可能であるように構成されている。カニューレハブは、流体を通してカニューレの中に運搬することができる自己封止可能な隔壁を備え得る。カニューレハブは、挿入補助具の2つの顎によって係合されるように構成されている係合部をさらに備えてもよい。カニューレハブおよび係合部は、カニューレハブのカニューレホルダーへの挿入後に、係合部がカニューレハブから取り外されることができ、それによって、カニューレハブがカニューレホルダーの中に挿入されたまま残る一方で、係合部がカニューレアセンブリのケーシング内で引き離されることができるように構成され得る。
【0010】
一実施形態によれば、2つの顎間の最小隙間は、2.5mm以上かつ6mm以下である。2つの顎間の最小隙間は、2.7mm以上であり得、5mm以下であり得る。
【0011】
本発明の意味において、「2つの顎間の最小隙間」という用語は、対象物が2つの顎間で顎の突出方向に沿って移動することを可能にする、突出長さの最外側3分の1以内の2つの顎間の最小距離を指す。2つの顎間の最小隙間は、0に等しくはなく、そうでなければ顎が受容開口部を形成しないことになるからである。
【0012】
一実施形態によれば、2つの顎は、ハンドルから離れて互いに平行に突出する。
【0013】
ハンドルからの2つの顎の各々の最大突出長さは、6mm以上かつ15mm以下であり得る。一実施形態において、ハンドルからの2つの顎の各々の最大突出長さは、9mm以上かつ12mm以下である。本発明の意味において、2つの顎の各々の最大突出長さは、それぞれの突出の方向に沿ったハンドルとの顎の接続点と、それぞれの顎の最外側の先端との間で測定される各顎の長さを決定する。
【0014】
一実施形態によれば、2つの顎の各々が、平面側方接触表面を含み、平面側方接触表面が、互いに向かって対面しており、それによって2つの顎間の隙間を定めている。平面側方接触表面により、手動挿入補助具からカニューレハブまでの荷重伝達の改善が可能になる。平面側方接触表面は、特に互いに平行であるときに、顎の突出部の軸に関して、カニューレハブに対する意図しない傾斜を防ぐのにさらに役立つ。顎の突出の軸は、ハンドルからの顎の突出の方向に沿った方向に延在する軸である。
【0015】
手動挿入補助具とカニューレハブと間の荷重伝達の改善を可能にするために、代替的にまたは加えて、一実施形態によれば、2つの顎の各々は、平面下側接触表面を含み、平面下側接触表面が、単一で共通の想像上の下側平面内に配置されており、および/または2つの顎の各々は、平面上側接触表面を含み、平面上側接触表面が、単一で共通の想像上の上側平面内に配置されている。平面表面はまた、特にカニューレハブが対応して形成された平面接触表面を含む場合に、それぞれの顎の突出の軸周りの回転方向において、カニューレハブに対する手動挿入補助具の意図しない傾斜を防ぐ場合もある。平面表面はまた、手動挿入補助具の顎と、カニューレアセンブリのカニューレハブとの間の接触面積を増加させる場合もある。
【0016】
2つの顎の各々は、1mm以上かつ5mm以下の最大高さを有し得、それぞれの最大高さは、2つの顎間の最小隙間に垂直な方向で測定されている。一実施形態によれば、2つの顎の各々の最大高さは、1.5mm以上かつ3.5mm以下である。2つの顎は同じ高さを有し得る。一実施形態によれば、2つの顎の各々の最大高さは3mmである。
【0017】
一実施形態によれば、手動挿入補助具は、2つの顎の突出長さに沿って、かつ2つの顎間の最小隙間に沿って延在する第1の鏡面に対して、鏡対称である。第1の鏡面は、手動挿入補助具を上側部および下側部に事実上分割する。鏡対称により、手動挿入補助具の容易な取扱いが可能になる。
【0018】
代替的にまたは加えて、一実施形態によれば、手動挿入補助具は、2つの顎の突出長さに沿って、かつ2つの顎間の最小隙間に対して垂直に延在する第2の鏡面に対して、鏡対称である。第2の鏡面は、手動挿入補助具を左手側部および右手側部に事実上分割し、手動挿入補助具の容易な取扱いを可能にする。
【0019】
手動挿入補助具の取扱いを改善するため、そして特に、ユーザーがより慎重に手動挿入補助具を用いてカニューレハブに荷重をかけることを支持するために、一実施形態によれば、ハンドルは、滑動抵抗力を増加させるように構成されているパターンを含み、好ましくは前記パターンは、反復的な突起および/または陥没を有する。例えば、網羅的ではないパターンの選抜は、うね、角錐台、頭蓋帽、陥没、凹部等を備える。
【0020】
一実施形態によれば、2つの顎の各々は、面取りした箇所を含む自由正面先端を有する。面取りした箇所は、顎でカニューレアセンブリのケーシングに単純に進入し、それによって、顎がカニューレハブと係合するのに役立つ。例えば、面取りした箇所は、ハンドルからの顎の突出の軸に対して角度を付けられた表面からなる。
【0021】
2つの顎は、ハンドルの厚さに対して垂直に延在する平面に対して角度を付けられ得、ハンドルの厚さは、ハンドルの長さよりも小さく、ハンドルの幅以下である。本発明の意味において、「ハンドルの長さ」は、顎との接触点から始まってハンドルの反対端部に至るハンドルの延長部に対応する。顎と、ハンドルの厚さに対して垂直に延在する平面との間に形成される角度は、一実施形態によれば、60°以下かつ20°以上である。
【0022】
一実施形態によれば、手動挿入補助具は、当該手動挿入補助具をキーリングまたはジッパーに取り付けるように構成されているコネクター部を備える。手動挿入補助具をキーリングまたはジッパーに取り付けることは、手動挿入補助具を持ち運ぶのに役立ち、そうして手動挿入補助具を忘れ、または失くしにくくなる。網羅的ではない例によれば、手動挿入補助具、好ましくは手動挿入補助具のハンドルは、キーリングまたはジッパーを通すための貫通穴を備え得る。別の実施形態では、手動挿入補助具のハンドルは、ハンドル自体がジッパーのハンドルをも形成する。
【0023】
一実施形態によれば、ハンドルは、トークン(token)の少なくとも一部を形成し、またはトークンを一時的に保持するように構成されている区画を含む。トークンの少なくとも一部を形成するハンドルを備える手動挿入補助具は、カニューレハブをカニューレホルダーの中に手動で挿入するために使用できるだけではなく、例えばショッピングカートなどの対象物を借りるためにも使用できる。しかしながら、ハンドルは、トークンの少なくとも一部を形成する代わりに、トークンを一時的に受容するための区画を含んでもよい。したがって、ハンドルの区画は、トークンを受容するように対応して形成される。例えば、ハンドルはコインの形を有し得、区画は、コイン状に形成されたトークンを受容するための円盤状の凹部または締め具であり得る。一実施形態によれば、コイン形状のハンドルの半径は、10mm以上かつ15mm以下であり得る。
【0024】
ハンドルが、インスリン容器の中に移動可能に挿入されるプランジャーに接続されたピストン棒に係合するように構成されている充填補助部を含むときには、手動挿入補助具の目的はさらに高められうる。インスリンポンプなどの薬剤供給装置は、容器を含むカートリッジを備える。容器には、例えばインスリンなどの薬剤を充填することができ、薬剤は、容器内へとプランジャーを移動させるようにピストン棒を作動させることによって、容器から取り出すことができる。インスリンなどの薬剤がある容器を引き上げるために、プランジャーは、充填補助部によってピストン棒に接続された手動挿入補助具を用いて、格納することができる。例えば、充填補助部は、例えばドライブナットなどの、ピストン棒の結合要素を収容するように構成されている収容部を含む。充填補助部と2つの顎とは、手動挿入補助具のハンドルの両側に配置され得る。
【0025】
一実施形態によれば、ハンドルは、少なくとも部分的に円形の外側縁部を含み、ハンドルの少なくとも部分的に円形の外側縁部は、顎の外側自由先端を取り囲む想像上の円の一部である。一実施形態によれば、ハンドルの少なくとも部分的に円形の外側縁部および2つの顎の自由先端は、共通の想像上の円に載っている。想像上の円上で終端すること、またはハンドルの円形の縁部と少なくとも部分的に一致する想像上の円によって取り囲まれていることにより、ハンドルを越えて広範囲にはみ出す部品のないコンパクトな手動挿入補助具が可能になる。
【0026】
本発明は、さらに、冒頭で述べた目的のうちの少なくとも1つを解決するカニューレアセンブリ挿入システムに関する。カニューレアセンブリ挿入システムは、上記で説明した手動挿入補助具と、カニューレアセンブリとを備え、カニューレアセンブリは、カニューレハブを収容するケーシングを含み、カニューレハブは、所定の経路に沿ってケーシング内を移動可能であり、カニューレハブは、カニューレと係合部とを有し、係合部は、カニューレハブを所定の経路に沿って移動させるように、手動挿入補助具の顎によって一時的に係合されるように構成されている。
【0027】
挿入補助システムの一実施形態によれば、カニューレハブは、挿入針と柔らかいカニューレとをさらに備え、挿入針は、係合部に取り付けられており、係合部は、手動挿入補助具の顎によってカニューレハブを挿入係合部の方向に移動させるときに、カニューレハブに解放可能に取り付けられており、係合部は、手動挿入補助具の顎によって挿入針とともに係合部を格納の方向に移動させるときに、カニューレハブから取り外される。格納の方向は、挿入の方向とは逆方向である。
【0028】
一実施形態によれば、カニューレアセンブリの係合部は、シリンダーおよび2つの平行なフランジによって形成されており、フランジの各々は、シリンダーの外側周壁から外方へ半径方向にはみ出す円周の重なりを形成し、シリンダーの外側周壁の外側直径は、手動挿入補助具の2つの顎間の最小隙間以下である。シリンダーの長手方向軸に沿った係合部の2つのフランジ間の距離は、手動挿入補助具の顎の最大高さよりも大きい。
【0029】
一実施形態によれば、ハンドルからの2つの顎の各々の最大突出長さは、シリンダーの外側周壁から外方へはみ出す円周の重なりの外側直径の、少なくとも半分である。
【0030】
上記ならびに以下の実施形態の詳細な説明および特許請求の範囲における限りにおいて、挿入補助システムの文脈において説明される手動挿入補助具の特徴は、そのままで、すなわちカニューレアセンブリの存在に関係なく、手動挿入補助具に適用可能である。同様に、上記ならびに以下の実施形態の詳細な説明および特許請求の範囲における限りにおいて、手動挿入補助具の存在に関係なく、挿入補助システムに適用可能であるカニューレアセンブリの特徴が、説明されている。
【0031】
本発明のさらなる利点、特徴および技術的効果は、以下の実施形態の説明および添付の図面から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の一実施形態にかかる手動挿入補助具の概略図である。
図2】本発明の別の実施形態にかかる手動挿入補助具の概略図である。
図3】本発明の別の実施形態にかかる手動挿入補助具の概略図である。
図4】本発明の一実施形態にかかる挿入補助システムの概略図である。
図5図4にかかる挿入補助システムの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、本発明の一実施形態にかかる、カニューレユニットをカニューレホルダーの中に挿入するための手動挿入補助具1を示している。手動挿入補助具1は、ユーザーが手動挿入補助具1を取り扱うことを可能にするハンドル2を備える。ハンドル2は、円盤状の形状を有し、ハンドル2から突出する2つの顎3を含む。例えば図4および図5に示すように、2つの顎3は、カニューレユニットと係合するように構成されている受容開口部4を形成する。顎3は、ハンドル2から互いに平行に突出しており、顎3の突出長さの最外側3分の1以内の2つの顎3間の最小隙間5は、1.5mm以上かつ7mm以下である。ハンドルからの顎3の各々の最大突出長さ6、すなわちハンドル2から顎の最外側の先端までの各顎3の最大長さは、4mm以上かつ18mm以下である。例えば、別の実施形態に関して図4および図5に示すように、使用中に、2つの顎3は、カニューレユニットの対応する部分を部分的に包含する。
【0034】
容易な取扱いのために、ハンドル2は、滑動抵抗力を増加させるように構成されているパターン12を含む。例えば図1および図2に示すように、パターン12は、ハンドル2から突出している反復的に配置された突起を有する。
【0035】
手動挿入補助具1は、手動挿入補助具1をキーリングまたはジッパーに取り付けるように構成されているコネクター部15をさらに備える。ここでコネクター部は、キーリングまたはジッパーによって係合されることができるハンドル2の貫通穴である。
【0036】
図2に、本発明にかかる手動挿入補助具の第2の実施形態を示す。図2にかかる手動挿入補助具は、図1にかかる手動挿入補助具と同様であり、コネクター部15の場所、および追加の充填補助具16を有する点のみが異なる。充填補助具16は、インスリン容器の中に移動可能に挿入されたピストン棒に係合するように構成されている。したがって、充填補助具16は、例えばドライブナットなど、ピストン棒の結合要素を受容するように構成されている受容部を含む。
【0037】
図3は、ハンドル2と2つの顎3とを備える手動挿入補助具1の別の実施形態を示している。2つの顎は、ハンドル2から突出し、それによって、カニューレユニットと係合するように構成されている受容開口部4を形成する。2つの顎3の各々は、例えば図5に示すような平面下側接触表面8と、例えば同様に図5に示すような平面上側接触表面19とを含む。平面下側接触表面8は、手動挿入補助具1がカニューレユニットに係合し、カニューレユニットをカニューレホルダーに向かって移動させているときに、カニューレユニットの対応する接触表面と接触している。同様に、上側接触表面19は、手動挿入補助具1がカニューレユニットに係合し、カニューレをカニューレホルダーから離れる方向に移動させているときに、カニューレユニットの対応する接触表面と接触している。
【0038】
さらに、2つの顎3の各々は、平面側方接触表面7を含む。2つの顎3の平面側方接触表面7は、互いに向かって対面しており、それによって受容開口部4の範囲を定めている。平面側方接触表面7間の距離は、2つの顎間の最小隙間5に対応し、そうして1.5mm以上かつ7mm以下である。側方平面接触表面7は、カニューレユニットに係合するために使用できるだけではなく、カニューレアセンブリの対応する表面と接触しているときに、カニューレユニットをカニューレホルダーの中に挿入するための既定の誘導経路を画定する誘導要素としても使用できる。
【0039】
2つの顎の各々は、外側自由先端13を含む。自由先端13は、カニューレユニットとの係合を容易にする面取りした箇所を有し得る。
【0040】
図2に示す手動挿入補助具のハンドル2は、部分的に円形の外側縁部をさらに含む。ハンドルの部分的に円形の縁部は、顎3の外側自由正面先端13を取り囲む想像上の円の一部である。すなわち、顎3の正面先端13は両方とも、ハンドル2の部分的に円形の外側縁部と部分的に重なる同じ想像上の円の上の両端部で終端している。
【0041】
手動挿入補助具1は、手動挿入補助具をキーリングまたはジッパーに取り付けるように構成されているコネクター部15を備える。手動挿入補助具1は、2つの顎3の突出長さに沿って、かつ2つの顎3間の最小隙間に沿って延在する第1の鏡面に対して、鏡対称である。すなわち、第1の鏡面は、手動挿入補助具1を2つの鏡対称な上側部および下側部へと事実上分割する。さらに、手動挿入補助具1は、2つの顎3の突出長さに沿って、かつ2つの顎3間の最小隙間に対して垂直に延在する第2の鏡面に対して、鏡対称である。
【0042】
図4および図5は、カニューレアセンブリ17のカニューレユニットに係合する手動挿入補助具1を示している。手動挿入補助具1およびカニューレアセンブリ17はともに、挿入補助システム18を形成する。カニューレアセンブリ17は、カニューレハブ128を含むカニューレユニットを収容する保護要素132を有するケーシング162を含む。初めに、カニューレハブ128は、柔らかいカニューレ114と挿入針130とを含む。カニューレハブ128は、2つの顎3と係合するための係合要素136をさらに含む。係合要素136は、円筒部144と、顎3と係合するための環状の凹部を形成するように円筒部に重なる2つの重なり部とを有する。保護要素132は2つのスロットを含む。使用中、顎3は、カニューレハブの係合要素136と係合するように、スロットを通ってケーシング162の中に到達することができる。
【0043】
挿入補助システム18の手動挿入補助具1は、例えば、図1から図3に示した手動挿入補助具1のうちのいずれか1つであるように構成され得る。手動挿入補助具1のハンドル2は、顎3の最大高さ9以上である厚さ14を有する。
【符号の説明】
【0044】
1 手動挿入補助具
2 ハンドル
3 顎
4 受容開口部
5 ハンドルの2つの顎間の最小隙間
6 顎の最大突出長さ
7 平面側方接触表面
8 平面下側接触表面
9 顎の最大高さ
10 第1の鏡面
11 第2の鏡面
12 パターン
13 自由正面先端
14 ハンドルの厚さ
15 コネクター部
16 充填補助部
17 カニューレアセンブリ
18 挿入補助システム
19 平面上側接触表面
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-04-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル(2)と、
前記ハンドル(2)から突出し、カニューレユニットと係合するように構成されている受容開口部(4)を形成する2つの顎(3)と
を備え、
前記2つの顎(3)間の最小隙間(5)が、1.5mm以上かつ7mm以下であり、
前記ハンドル(2)からの前記2つの顎(3)の各々の最大突出長さ(6)が、4mm以上かつ18mm以下である、
手動挿入補助具(1)。
【請求項2】
前記2つの顎(3)の各々が、平面側方接触表面(7)を含み、前記平面側方接触表面(7)が、互いに向かって対面しており、それによって前記2つの顎(3)間の前記最小隙間(5)を定めている、請求項1に記載の手動挿入補助具(1)。
【請求項3】
前記2つの顎(3)の各々が、平面下側接触表面(8)を含み、前記平面下側接触表面(8)が、単一で共通の想像上の下側平面内に配置されている、
および/または、
前記2つの顎(3)の各々が、平面上側接触表面(19)を含み、前記平面上側接触表面(19)が、単一で共通の想像上の上側平面内に配置されている、請求項1に記載の手動挿入補助具(1)。
【請求項4】
前記2つの顎(3)の各々が、1mm以上かつ5mm以下の最大高さ(9)を有し、それぞれの前記最大高さ(9)が、前記2つの顎(3)間の前記最小隙間(5)に垂直な方向で測定されている、請求項1に記載の手動挿入補助具(1)。
【請求項5】
前記手動挿入補助具(1)が、前記2つの顎(3)の前記最大突出長さ(6)に沿って、かつ前記2つの顎(3)間の前記最小隙間(5)に沿って延在する第1の鏡面に対して、鏡対称である、請求項1に記載の手動挿入補助具(1)。
【請求項6】
前記手動挿入補助具(1)が、前記2つの顎(3)の前記最大突出長さ(6)に沿って、かつ前記2つの顎(3)間の前記最小隙間(5)に対して垂直に延在する第2の鏡面に対して、鏡対称である、請求項1に記載の手動挿入補助具(1)。
【請求項7】
前記ハンドル(2)が、滑動抵抗力を増加させるように構成されているパターン(12)を含み、好ましくは前記パターン(12)が、反復的な突起および/または陥没を有する、請求項1に記載の手動挿入補助具(1)。
【請求項8】
前記2つの顎(3)の各々が、面取りした箇所を含む自由正面先端を有する、請求項1に記載の手動挿入補助具(1)。
【請求項9】
前記2つの顎(3)の各々が、前記ハンドル(2)の厚さ(14)に対して垂直に延在する平面に対して角度を付けられており、前記ハンドル(2)の前記厚さ(14)が、前記ハンドル(2)の長さよりも小さく、前記ハンドル(2)の幅以下である、請求項1に記載の手動挿入補助具(1)。
【請求項10】
前記手動挿入補助具(1)が、当該手動挿入補助具(1)をキーリングまたはジッパーに取り付けるように構成されているコネクター部(15)を備える、請求項1に記載の手動挿入補助具(1)。
【請求項11】
前記ハンドル(2)が、一時的にトークンを保持するように構成されている区画を含む、請求項1に記載の手動挿入補助具(1)。
【請求項12】
前記ハンドル(2)が、インスリン容器の中に移動可能に挿入されるピストン棒に係合するように構成されている充填補助部(16)を含む、請求項1に記載の手動挿入補助具(1)。
【請求項13】
前記ハンドル(2)が、少なくとも部分的に円形の外側縁部を含み、前記少なくとも部分的に円形の外側縁部および前記2つの顎(3)の自由正面先端(13)が、想像上の円を形成する、請求項1に記載の手動挿入補助具(1)。
【請求項14】
請求項1に記載の手動挿入補助具(1)と、カニューレアセンブリと、を備える挿入補助システム(18)であって、
前記カニューレアセンブリ(17)が、カニューレハブを収容するケーシングを含み、前記カニューレハブが、所定の経路に沿って前記ケーシング内を移動可能であり、前記カニューレハブが、カニューレと係合部とを有し、前記係合部が、前記カニューレハブを前記所定の経路に沿って移動させるように、前記手動挿入補助具(1)の前記顎(3)によって一時的に係合されるように構成されている、挿入補助システム(18)。
【国際調査報告】