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特表2024-529178容器を作製するためのピンオーブンおよび方法
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  • 特表-容器を作製するためのピンオーブンおよび方法 図1
  • 特表-容器を作製するためのピンオーブンおよび方法 図2
  • 特表-容器を作製するためのピンオーブンおよび方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】容器を作製するためのピンオーブンおよび方法
(51)【国際特許分類】
   F26B 15/12 20060101AFI20240725BHJP
   F26B 9/00 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
F26B15/12 E
F26B9/00 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509447
(86)(22)【出願日】2022-08-05
(85)【翻訳文提出日】2024-04-15
(86)【国際出願番号】 DE2022100569
(87)【国際公開番号】W WO2023020653
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】102021121521.8
(32)【優先日】2021-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514117427
【氏名又は名称】ベルヴァック・プロダクション・マシーナリー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BELVAC PRODUCTION MACHINERY,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルコ・ハルムス
(72)【発明者】
【氏名】ウルフ・ラインハルト
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA02
3L113AC04
3L113AC36
3L113AC67
3L113AC76
3L113BA12
3L113DA02
3L113DA22
(57)【要約】
本発明は、容器を作製するためのピンオーブン(1)に関する。ピンオーブン(1)は、温度管理されたプロセス流体(4)を用いて容器を乾燥させるための乾燥チャンバ(2)と、乾燥チャンバ(2)の内部に配置された軸受要素を支持するための少なくとも1つの車軸(6)と、乾燥チャンバ(2)の外部に配置された少なくとも1つの車軸軸受(8)と、を備える。車軸(6)は、車軸軸受(8)により支持され、車軸軸受(8)は、ピンオーブン(1)の環境に対して断熱様式で配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を作製するためのピンオーブン(1)であって、
温度管理されたプロセス流体(4)を用いて前記容器を乾燥させるための乾燥チャンバ(2)と、
前記乾燥チャンバ(2)の内部に配置された軸受要素を支持するための少なくとも1つの車軸(6)と、
前記車軸(6)を支持する、前記乾燥チャンバ(2)の外部に配置された少なくとも1つの車軸軸受(8)と、
を備え、
前記車軸軸受(8)は、前記ピンオーブン(1)の環境に対して断熱様式で配置される、ピンオーブン(1)。
【請求項2】
前記乾燥チャンバ(2)に対して隣接して配置され、前記車軸(6)が内部に突入し、前記車軸軸受(8)が内部に配置された軸受チャンバ(12)を備え、前記軸受チャンバ(12)は、前記環境に対して断熱様式で、特に液密的に配置されるように設計される、請求項1に記載のピンオーブン(1)。
【請求項3】
前記車軸(6)が貫通して延在する、前記乾燥チャンバ(2)と前記軸受チャンバ(12)との間に延在する連結空間(14)を備える、請求項1または2に記載のピンオーブン(1)。
【請求項4】
前記軸受チャンバ(12)は、操作開口を有し、前記操作開口は、クロージャ要素(20)により閉鎖される、請求項1から3のいずれか一項に記載のピンオーブン(1)。
【請求項5】
前記軸受チャンバ(12)は、チャンバ壁部(22~28)により形成され、またはチャンバ壁部(22~28)を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のピンオーブン(1)。
【請求項6】
前記乾燥チャンバ(2)に対面する内方壁部(16)と、前記乾燥チャンバ(2)から離れる方向を向く外方壁部(30)と、を備え、前記軸受チャンバ(12)は、前記内方壁部と前記外方壁部との間の空間(32)の内部に配置される、請求項1から5のいずれか一項に記載のピンオーブン(1)。
【請求項7】
前記乾燥チャンバ(2)は、前記軸受チャンバ(12)を形成するための湾曲部を有し、前記車軸軸受(8)は、前記湾曲部の内部に配置される、請求項1から6のいずれか一項に記載のピンオーブン(1)。
【請求項8】
前記軸受チャンバ(12)は、空洞部を有するカバー要素により形成される、請求項1から7のいずれか一項に記載のピンオーブン(1)。
【請求項9】
前記乾燥チャンバ(2)から前記軸受チャンバ(12)に前記プロセス流体(4)が漏出するのを軽減または防止するための加圧流体を供給するために、前記軸受チャンバ(12)に対して流体結合された流体チャネルを備える、請求項1から8のいずれか一項に記載のピンオーブン(1)。
【請求項10】
前記車軸軸受(8)は、高温軸受である、請求項1から9のいずれか一項に記載のピンオーブン(1)。
【請求項11】
温度管理されたプロセス流体(4)を用いて容器を乾燥させるための乾燥チャンバ(2)と、前記乾燥チャンバ(2)の内部に配置された支持要素を支持するための少なくとも1つの車軸(6)と、を備えるピンオーブン(1)を作製するための方法であって、
前記車軸(6)を支持するために前記乾燥チャンバ(2)の外部に車軸軸受(8)を配置するステップと、
前記ピンオーブン(1)の環境に対して前記車軸軸受(8)を断熱するステップと、
を含む、方法。
【請求項12】
断熱する前記ステップは、軸受チャンバ(12)の内部に前記車軸軸受(8)を配置するステップと、前記環境に対して前記軸受チャンバ(12)を断熱するステップと、を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記軸受チャンバ(12)は、クロージャ要素(20)により前記環境に対して遮断される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
温度管理されたプロセス流体(4)を用いて容器を乾燥させるための乾燥チャンバ(2)と、前記乾燥チャンバ(2)の内部に配置された支持要素を支持するための少なくとも1つの車軸(6)と、前記車軸(6)を支持するストックベアリングと、を含むピンオーブン(1)のエネルギー効率を上昇させるための方法であって、
前記ストックベアリングを除去し、前記車軸(6)を支持するための車軸軸受(8)を配置することにより、前記ストックベアリングを交換するステップと、
前記車軸軸受(8)が前記環境に対して断熱様式で配置されるような、空洞部を有するカバー要素を構成するステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器を作製するためのピンオーブンと、ピンオーブンを作製するためのおよびピンオーブンのエネルギー効率を上昇させるための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
ピンオーブンは一般的に知られている。例えば飲料缶などの容器は、その外方表面上に、ラッカーまたは塗料のコーティングとして設計される仕上げ塗装材を一般的に有する。かかる仕上げ塗装材は、例えば供給業者のブランド名、使用説明、または他の内容などを表示し得る。
【0003】
さらに、缶の内方表面は、ピンオーブン後の加工ステップで通常は被覆され、次いで内部焼付オーブンとしても知られる対応する連続式オーブン内で乾燥される。また、缶の作製プロセスに影響を有するコーティングも使用される。例えば、缶は、様々なコンベヤベルト上における缶の滑り特性を調節するために缶の下面上にかかるコーティングを備え得る。
【0004】
容器ユニットに対してかかるコーティングを塗布するためのデバイスは、プリントデバイスまたはデコレータとしても知られる。このコーティングの耐久性維持を確保するために、コーティングは塗布後に固化されることが必要となる。コーティングのこの固化を行うためにピンオーブンが使用され、コーティングは、オーブン内で対流的に加熱、乾燥、および/または固化される。
【0005】
缶は、ピンチェーンにより蛇行パターンでピンオーブンの乾燥チャンバを通り搬送される。その間に、これらの缶は、コーティングの加熱、乾燥、および固化を行うために温度管理された流体流にさらされる。例えば、缶は、180℃に加熱され、規定の期間にわたりこの温度にさらされる。さらに、缶は、ピンチェーン上に缶を位置決めするためにさらなる流体流を被る。ピンチェーンおよびピンオーブンの他の構成要素は、乾燥チャンバの内部において車軸の使用を必要とする。
【0006】
車軸は、例えばころ軸受などの軸受により支持されることが知られている。乾燥チャンバの内部または乾燥チャンバの外部にこれらの軸受を配置することが可能である。乾燥チャンバの内部に軸受を配置することにより、軸受の損傷時に軸受にアクセスすることが難しくなる。さらに、軸受の交換およびメンテナンスがより困難になる。
【0007】
乾燥チャンバの外部に軸受を配置することにより、車軸を介した乾燥チャンバと環境との間における熱輸送が生じるため、これらの車軸によるエネルギー損失を常に考慮する必要がある。ピンオーブンについては、乾燥チャンバの外部に軸受を配置し、車軸を介したエネルギー損失を許容することが国際的な設計基準である。
【0008】
既存のピンオーブンにおける1つの欠点は、そのエネルギー消費量の高さである。とりわけ、使用されるファンはその電力消費量の高さが特徴的である。さらに、例えばガスバーナまたは電気加熱コイルなどの加熱ユニットが、オーブンチャンバ内でプロセス流体を加熱するために使用されるが、加熱ユニットもまたエネルギーを必要とする。生態学的要求事項および持続可能性基準を遵守するために、ピンオーブンのエネルギー消費量を低下させる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の1つの目的は、既述の欠点の中の1つ以上を緩和または解消する、容器を作製するためのピンオーブンと、ピンオーブンを作製するためのおよびピンオーブンのエネルギー効率を上昇させるための方法と、を提供することである。特に、本発明の1つの目的は、ピンオーブンのエネルギー消費量を低下させる解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、独立特許請求項の特徴によるピンオーブンおよび方法を用いて解決される。これらの態様の他の有利な実施形態は、従属特許請求項のそれぞれに示される。特許請求項および明細書において個別に挙げられる特徴は、技術的に有意な任意の様式で相互に組み合わされることが可能であり、本発明の他の実施形態が示される。
【0011】
第1の態様によれば、課題は、例えば鋼もしくはアルミニウムから、または鋼もしくはアルミニウムによって、容器を、特に缶を、好ましくは飲料缶を作製するためのピンオーブンにより解決される。ピンオーブンは、温度管理されたプロセス流体を用いて容器を乾燥させるための乾燥チャンバと、乾燥チャンバの内部に配置された支持要素を支持するための少なくとも1つの車軸と、車軸を支持する、乾燥チャンバの外部に配置された少なくとも1つの車軸軸受と、を備え、車軸軸受は、ピンオーブンの環境に対して断熱様式で配置される。
【0012】
本発明は、外部車軸軸受がピンオーブンのエネルギー消費量を増大させるという認識に基づいている。エネルギー消費量の増大は、とりわけ車軸により熱が乾燥チャンバから車軸軸受に伝導し、熱が車軸軸受から環境に逃げることによって生じる。また、エネルギー消費量の増大は、乾燥チャンバから車軸に沿って車軸軸受に向かう流体流によっても生じ得る。さらに、本発明は、ピンオーブンの環境に対して断熱様式で配置される車軸軸受によってこのエネルギー消費量の増大が回避され得るという認識にも基づいている。
【0013】
乾燥チャンバは、温度管理されたプロセス流体を用いて容器を乾燥させるように設計される。乾燥チャンバは、乾燥チャンバ内に容器が進入するのを可能にするための容器入口と、乾燥チャンバから容器が退出するための容器出口とを通常有する。特に、ピンオーブンはピンチェーンを有する。容器は、蛇行状ピンチェーンにより容器入口と容器出口との間で通常移動される。ピンチェーンは、容器がその内側で位置決めされるピンを有する。例えば180℃などのプロセス温度まで容器を加熱し、所定の期間にわたりプロセス温度に容器を維持するために、容器は温度管理されたプロセス流体で満たされる。
【0014】
ピンオーブンは、乾燥チャンバの内部に配置された貯蔵要素を支持するための少なくとも1つの車軸を有する。特に、ピンオーブンは、2つ以上の、とりわけ複数の車軸を有する。軸受要素は、車軸上に配置され得、車軸に配置され、および/または車軸に機械的に結合される乾燥チャンバ内の任意の要素である。軸受要素は、例えばディフレクションローラなどのチェーンガイドの一部であることが可能である。
【0015】
さらに、ピンオーブンは少なくとも1つの車軸軸受を有する。車軸軸受は、乾燥チャンバの外部に配置される。乾燥チャンバの外部に配置されることにより、特に、車軸軸受は乾燥チャンバに隣接して配置されることになる。さらにこれにより、車軸軸受は、断熱を伴わない環境に対して本質的に直接的な熱アクティブ連結状態になり得る。特に、乾燥チャンバの外部は、車軸軸受が乾燥チャンバから流体結合解除されることを意味しない。
【0016】
車軸軸受は、具体的にはピボット軸受であり、例えばころ軸受であり、特に玉軸受またはころ軸受である。以降でさらに定義されるように、車軸軸受は具体的には高温軸受として設計されるべきである。なぜならば、車軸軸受は好ましくは乾燥チャンバに対して断熱様式で配置されないからである。車軸は車軸軸受により支持される。
【0017】
さらに、車軸軸受は、ピンオーブンの環境に対して断熱様式で配置されることが可能である。ピンオーブンを囲む領域は、例えば作製ホールであることが可能である。とりわけ、車軸軸受は、乾燥チャンバに隣接する軸受領域の内部に配置され、軸受領域は、ピンオーブンの環境に対して断熱様式で配置される。
【0018】
特に、車軸軸受は、流体が乾燥チャンバからピンオーブンの環境内に流入しないように、ピンオーブンの環境に対して断熱様式で配置される。流体流の小部分が、いくつかのリークを介して環境内に漏入するおそれがあることが当業者には自明である。さらに、これは、乾燥チャンバからピンオーブンの環境に少量の流体が流入し得ることを含む。
【0019】
車軸は、車軸軸受と乾燥チャンバとの間にシールを有することが好ましい。かかるシールを用いることにより、乾燥チャンバと車軸軸受との間に流体が流れることが、軽減または回避される。
【0020】
車軸軸受の断熱構成により、特に、乾燥チャンバとピンオーブンの環境との間における熱交換が20%超、30%超、40%超、50%超、60%超、70%超、80%超、特に90%超だけ低下することになる。また、車軸軸受の断熱構成は、流体が乾燥チャンバからピンオーブンの環境内に実質的にまったく流入しないという特徴を有し得る。
【0021】
ピンオーブンの好ましい一実施形態は、乾燥チャンバに対して隣接して配置され、車軸が内部に突入し、車軸軸受が内部に配置された軸受チャンバを備える。軸受チャンバは、環境に対して断熱様式で、特に液密的に配置される。軸受チャンバは、ピンオーブン内に突入し得、および/またはピンオーブン外に突出し得る。好ましくは、チャンバ壁部が軸受チャンバと乾燥チャンバとの間に設けられ、車軸がチャンバ壁部を貫通して延在する。これは、例えばチャンバ壁部中の穴などにより実現され得る。また、チャンバ壁部は車軸軸受および/または軸受チャンバを有することが好ましい。さらに好ましくは、軸受チャンバは断熱様式で配置される。
【0022】
ピンオーブンの好ましい一実施形態は、乾燥チャンバと軸受チャンバとの間に延在する連結空間を備え、車軸が連結空間を貫通して延在することを特徴とする。
【0023】
連結空間は、例えば上述のチャンバ壁部中などに設けられ得る。好ましくは、車軸の主要延在方向に対して直交方向において、連結空間は車軸の車軸直径を若干上回る寸法を有する。好ましくは、連結空間は、車軸の直径の1.5倍未満、1.3倍未満、および/または1.1倍未満である。
【0024】
さらに好ましい一実施形態では、軸受チャンバは操作開口を有し、操作開口はクロージャ要素により閉鎖されることが可能である。軸受チャンバは、例えば軸受チャンバが環境に向かって開口する操作開口を有するように、ピンオーブン上において凹形状であることが可能である。さらには、クロージャ要素はプレート形状であることが好ましい。さらに、クロージャ要素は取外し可能および/または除去可能であることが好ましい。
【0025】
ピンオーブンの他の好ましい1つの設計は、軸受チャンバがチャンバ壁部により形成され、またはチャンバ壁部を備えることを特徴とする。チャンバ壁部は、例えばボックス形状であることが可能である。さらに、連結空間は、チャンバ壁部に隣接して設けることが好ましい。
【0026】
ピンオーブンのさらなる好ましい一実施形態は、乾燥チャンバに対面する内方壁部と、乾燥チャンバから離れる方向を向く外方壁部と、を備え、軸受チャンバは、内方壁部と外方壁部との間の空間の内部に配置される。外方壁部は、軸受チャンバが中に配置されるセクションに、特にピンオーブンのセクションに設けられ得る。軸受チャンバが空間の内部に配置されることにより、特に、軸受チャンバは空間の内部の少なくともセクション内に配置されることになる。さらに、軸受チャンバが中に配置されない空間のセクションは、断熱材料を有することが好ましい。
【0027】
ピンオーブンの他の好ましい設計の一変形例は、乾燥チャンバが軸受チャンバを形成するための湾曲部を有し、車軸軸受が湾曲部の内部に配置されることを特徴とする。このように設計された軸受チャンバは、特に空間節約性が高い。
【0028】
ピンオーブンの他の好ましい一実施形態では、軸受チャンバは、空洞部を有するカバー要素により形成されることが可能である。空洞部は、カバー要素の少なくとも一方の側部からアクセス可能である。特に、この側部は、車軸軸受が空洞部内に収容可能になるように乾燥チャンバに対面する。
【0029】
好ましくは、カバー要素はシェル形状および/またはフード形状を有し、それによりシェル形状および/またはフード形状のカバー要素は車軸軸受を覆い、したがって車軸軸受はピンオーブンの環境に対して断熱様式で配置される。カバー要素は、ボックス形状を有することも可能である。
【0030】
空洞部を有するカバー要素は、ピンオーブンの環境に対して断熱様式で配置される車軸軸受の改造を行うことを可能にするという利点を有する。
【0031】
特に、カバー要素は取外し可能であることが、とりわけ除去可能であることが好ましい。かかるカバー要素は、車軸軸受の交換とメンテナンスの実施とを可能にする。
【0032】
また、ピンオーブンは、乾燥チャンバから軸受チャンバにプロセス流体が漏出するのを軽減または防止するための加圧流体を供給するために軸受チャンバに対して流体結合された流体チャネルを備えることが好ましい。
【0033】
流体チャネルは、軸受チャンバの内部に背圧を発生させるために使用され得る。背圧は、乾燥チャンバから軸受チャンバにプロセス流体が進入するのを防止する。流体チャネルは、加圧流体が生成され得るように、例えばピンオーブンにより囲まれたファンの中の1つに対して結合され得る。
【0034】
ピンオーブンの別の好ましい設計の変形例は、車軸軸受が高温軸受であることを特徴とする。高温軸受は、室温よりも高い雰囲気温度内において使用される軸受として当業者には知られている。例えば、高温軸受は、動作中に最高温度が350℃に達する環境内において使用され得る。
【0035】
さらに、高温軸受は潤滑剤不使用タイプであることが好ましい。さらに、高温軸受は潤滑剤を差し続けることが好ましい。高温軸受はグラファイト潤滑剤使用タイプであることも好ましい。
【0036】
他の態様によれば、冒頭に挙げた目的は、温度管理されたプロセス流体を用いて容器を乾燥させるための乾燥チャンバと、乾燥チャンバの内部に配置された支持要素を支持するための少なくとも1つの車軸と、を備えるピンオーブンを作製するための方法により解決される。この方法は、車軸を支持するために乾燥チャンバの外部に車軸軸受を配置するステップと、ピンオーブンの環境に対して車軸軸受を断熱するステップと、を含む。
【0037】
車軸軸受は、特に車軸が車軸軸受により支持されるように構成される。さらに、車軸は、車軸軸受と乾燥チャンバとの間において封止されることが好ましい。
【0038】
さらに、断熱するステップは、軸受チャンバの内部に車軸軸受を配置するステップと、環境に対して軸受チャンバを断熱するステップと、を含むことが好ましい。環境に対して軸受チャンバを断熱するステップは、例えばクロージャ要素を用いて実現することが可能である。さらに、断熱は、軸受チャンバのチャンバ壁部により実現することが可能である。
【0039】
また、軸受チャンバの内部に車軸軸受を配置することにより、軸受チャンバは、空洞部を有するカバー要素として、とりわけシェル形状、フード形状、および/またはボックス形状を有するカバー要素として設計され、車軸軸受は、空洞部内に収容され、および/またはカバー要素により覆われることになり得る。また、軸受チャンバは、クロージャ要素により環境から遮断されることが好ましい。
【0040】
他の一態様によれば、冒頭に挙げた目的は、温度管理されたプロセス流体を用いて容器を乾燥させるための乾燥チャンバと、乾燥チャンバの内部に配置された軸受要素を支持するための少なくとも1つの車軸と、車軸を支持するストックベアリングと、を備えるピンオーブンのエネルギー効率を上昇させるための方法により解決される。この方法は、ストックベアリングを除去し、車軸を支持するための車軸軸受を配置することにより、ストックベアリングを交換するステップと、車軸軸受が環境に対して断熱様式で配置されるような、空洞部を有するカバー要素を構成するステップとを含む。
【0041】
特に、車軸軸受は、空洞部内に収容され、および/またはカバー要素により覆われる。特に、車軸軸受は高温軸受である。特に、車軸軸受は、ストックベアリングと同一の位置に配置される。さらに、車軸は延長されることが好ましい場合がある。
【0042】
エネルギー効率を上昇させるためにこの方法を利用することにより、ピンオーブンは断熱された車軸軸受を用いて改造することが可能となる。この改造は、既存の外部ストックベアリングの場合に特に適する。これにより、既に稼働下にあるピンオーブンのエネルギー効率を改善することが可能となる。
【0043】
これらの方法および可能な他の展開例は、ある特徴または方法ステップを有することにより、ピンオーブンおよびその他の展開例と共に使用するために特に適したものになり得る。
【0044】
他の態様およびそれらの可能な実施形態のさらなる利点、設計、変形例、および設計詳細についても、ピンオーブンの対応する特徴および実施形態の前述の説明を参照とする。
【0045】
添付の図面を参照として好ましい例示の実施形態をもっぱら例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】ピンオーブンの例示の一実施形態の概略二次元図である。
図2】ピンオーブンを作製するための一方法の概略図である。
図3】ピンオーブンのエネルギー効率を上昇させるための一方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
これらの図面において、同一のまたは本質的に機能上において同一もしくは同様の要素は、同一の参照符号で示される。
【0048】
図1は、容器を、特に例えば飲料缶などの缶を作製するためのピンオーブン1を示す。ピンオーブン1は、概略的に図示する温度管理されたプロセス流体4によりこれらの容器を乾燥させるための乾燥チャンバ2を備える。
【0049】
ピンオーブン1は、乾燥チャンバ2の内部に配置された貯蔵要素を支持するための車軸6を備える。軸受要素は、例えば乾燥チャンバ2の内部のピンチェーンのためのディフレクションローラであることが可能である。
【0050】
さらに、ピンオーブン1は、乾燥チャンバ2の外部に配置された車軸軸受8を備え、車軸6は、車軸軸受8により支持される。車軸軸受8は、ピンオーブン1の環境10に対して断熱様式で配置されるため、乾燥チャンバ2から環境への熱伝導が軽減される。さらに、車軸軸受がこのように断熱されることにより、流体流4は、乾燥チャンバ2からピンオーブン1の環境10内へまったく流れない。
【0051】
これにより、メンテナンスのためにまたは車軸軸受の交換のために外部車軸軸受8に容易にアクセスすることが可能となる。さらに、車軸軸受8は、環境10に対して断熱様式で配置されることにより、ピンオーブン1のエネルギー効率が上昇する。結果として、図1に示す車軸軸受8の配置により、外部軸受および内部軸受のそれぞれの利点を組み合わせることが可能となる。
【0052】
乾燥チャンバ2は、垂直方向内方壁部16により囲まれる。連結空間14が、垂直方向内方壁部16を貫通する。連結空間14は、とりわけ水平方向内方壁部18により形成される。車軸6は、連結空間14を貫通して延在する。
【0053】
車軸軸受8は、軸受チャンバ12内に配置される。軸受チャンバ12は、乾燥チャンバ2に隣接して配置される。軸受チャンバ12は、チャンバ壁部要素22~28により形成される。軸受チャンバ12は、クロージャ要素20によってさらに覆われ、クロージャ要素20もまた、チャンバ壁部要素の1つであり得る。したがって、車軸軸受8は、環境10に対して断熱様式で構成された軸受チャンバ12の内部に配置される。
【0054】
ピンオーブン1は、外方壁部30をさらに備え、外方壁部30は、乾燥チャンバ2から離れる方向を向いて配置される。空間32が、内方壁部16と外方壁部30との間に形成され、軸受チャンバ12は、空間32の内部に少なくとも部分的に配置される。断熱部34が空間32の残りの部分の内部に設けられて、環境10から乾燥チャンバ2をさらに断熱する。
【0055】
図2は、ピンオーブン1を作製するための一方法の概略図を示す。ステップ100では、車軸軸受8が、車軸6を支持するために乾燥チャンバ2の外部に配置される。ステップ102では、車軸軸受8は、ピンオーブン1の環境10に対して断熱様式で配置される。特に、これは、流体流が乾燥チャンバ2からピンオーブン1の環境10の中に流入することができないような様式でなされる。断熱102は、車軸軸受8が軸受チャンバ12の内部に配置され、軸受チャンバが環境に対して断熱様式で配置される下方ステップ102aを含む。断熱は、軸受チャンバがクロージャ要素20により環境に対して断熱様式で配置されるサブステップ102bをさらに含む。
【0056】
図3は、ピンオーブン1のエネルギー効率を上昇させるための概略的な一方法を示す。ステップ200では、ストックベアリングが、そのストックベアリングを除去し、車軸6を支持するための車軸軸受8を配置することによって交換される。ステップ202では、例えばシェルまたはフードの形態であるカバー要素が、車軸軸受8が環境10に対して断熱様式で配置されるように構成される。
【0057】
上述のピンオーブン1および対応する方法により、エネルギー効率の高いピンオーブン1が実現可能となる。これらの利点は、車軸軸受8の内部配置および外部配置のそれぞれの利点を組み合わせることよって実現される。
【0058】
従来は、缶製造における特殊な制約条件および特に缶製造において一般的に存在する高温条件により、車軸軸受8を断熱するための既存のアプローチを利用することができなかった。したがって、ピンオーブン1は、エネルギー効率の高さを特徴として有しつつ、しかしながら車軸軸受8の交換性および/またはメンテナンス性において優れている。
【符号の説明】
【0059】
1 ピンオーブン
2 乾燥チャンバ
4 プロセス流体
6 車軸
8 車軸軸受
10 環境
12 軸受チャンバ
14 連結空間
16 垂直方向内方壁部
18 水平方向内方壁部
20 クロージャ要素
22~28 チャンバ壁部要素
30 外方壁部
32 空間
34 断熱部
図1
図2
図3
【国際調査報告】