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特表2024-529183エネルギー効率の良い電動機-発電機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】エネルギー効率の良い電動機-発電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/28 20060101AFI20240725BHJP
   H02P 23/06 20160101ALI20240725BHJP
【FI】
H02K3/28 Z
H02P23/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531745
(86)(22)【出願日】2022-08-03
(85)【翻訳文提出日】2024-04-05
(86)【国際出願番号】 IN2022050696
(87)【国際公開番号】W WO2023012825
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】202141035653
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524049387
【氏名又は名称】パル-ケー・ダイナミクス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ティー・ケー・クンジモン
【テーマコード(参考)】
5H505
5H603
【Fターム(参考)】
5H505BB02
5H505DD05
5H505EE48
5H505HA06
5H505HB01
5H505HB10
5H505JJ26
5H505MM02
5H505MM04
5H505MM12
5H603BB01
5H603BB02
5H603BB08
5H603BB12
5H603CA00
5H603CA01
5H603CA05
5H603CC03
5H603CC07
5H603CC17
5H603CD02
(57)【要約】
本発明は、固定子(102)と、回転磁界(RMF)(108)を発生するための固定子(102)の主巻線(M)と、RMF(108)に起因して固定子(102)の主巻線(M)に対して回転するように配設される回転子(104)と、を含むエネルギー効率の良い電動機-発電機(100)に関する。固定子(102)は、回転子(104)の回転に起因して、交流EMF(110)を生成するための第1の追加巻線(F)および交流EMF(112)を生成するための第2の追加巻線(E)をさらに含む。交流EMF(110)および交流EMF(112)は、電動機-発電機の動作のために電力を連続的に供給するため、かつ、電気的負荷を駆動するための電力を供給するために、固定子(102)にインターフェース接続される電子制御ユニット(ECU)(116)を通じてそれぞれハーベストされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子(102)の主巻線(M)に主AC電力供給(106)を提供する際に、回転磁界(RMF)(108)を発生するように構成される前記主巻線(M)を備える前記固定子(102)と、
前記固定子(102)にインターフェース接続される電子制御ユニット(ECU)(116)と、
前記RMF(108)に起因して前記固定子(102)の前記主巻線(M)に対して回転するように配設される回転子(104)と、
を備える、電動機-発電機(100)において、
前記固定子(108)が、第1の追加巻線(F)および第2の追加巻線(E)をさらに備え、前記回転子(104)の回転が、前記固定子(102)の前記第1の追加巻線(F)において交流EMF(110)を誘導し、前記第1の追加巻線(F)において誘導される前記交流EMF(110)が、前記回転子(104)の回転サイクルの全体にわたって、前記固定子(102)の前記主巻線(M)にフィードバックされ、
前記回転子(104)の前記回転が、前記固定子(102)の前記第2の追加巻線(E)において交流EMF(112)をさらに誘導し、前記第2の追加巻線(E)において誘導される前記交流EMF(112)が、前記固定子(102)にインターフェース接続される前記ECU(116)を通じてハーベストされて、電気的負荷に電力を供給することを特徴とする、電動機-発電機(100)。
【請求項2】
前記固定子(102)が、複数の固定子スロット(306)を備える積層を含み、前記複数の固定子スロット(306)の各固定子スロットが、巻線ワイヤの1つまたは複数の組を備え、各組が、前記主巻線(M)、前記第1の追加巻線(F)、および前記第2の追加巻線(E)を含む、請求項1に記載の電動機-発電機(100)。
【請求項3】
前記ECU(116)が、前記第1の追加巻線(F)において誘導される前記交流EMF(110)を受け取るように構成されるフィードバックモジュール(120)を備え、前記フィードバックモジュール(120)が、前記交流EMF(110)のAC電力をDC電力に変換する、請求項1に記載の電動機-発電機(100)。
【請求項4】
前記フィードバックモジュール(120)が、前記第1の追加巻線(F)において誘導される前記交流EMF(110)を安定化するように構成されるフィルタ処理回路を備える、請求項3に記載の電動機-発電機(100)。
【請求項5】
前記フィードバックモジュール(120)が、前記交流EMF(110)のAC電力をDC電力に変換するように構成される整流器(204)を備える、請求項3に記載の電動機-発電機(100)。
【請求項6】
前記フィードバックモジュール(120)が、前記整流器(204)から出力される前記DC電力を安定化するように構成される平衡回路(206)を備える、請求項5に記載の電動機-発電機(100)。
【請求項7】
前記ECU(116)が、前記主AC電力供給(106)からのAC電力をDC電力に変換するように構成される整流器回路(118)と、前記整流器回路(118)からの前記DC電力を前記フィードバックモジュール(120)からの前記DC電力と組み合わせて、結果として得られるDC電力を生成するように構成される制御モジュール(122)と、をさらに備える、請求項3に記載の電動機-発電機(100)。
【請求項8】
前記制御モジュール(122)が、前記フィードバックモジュール(12)に接続される入力制御モジュール(208)を備え、前記入力制御モジュール(208)が、前記制御モジュール(122)に入力電圧を提供し、電流、電圧、または力率のうちの少なくとも1つの変動に起因する、前記制御モジュール(122)への前記入力電圧における変化を制御するように構成される、請求項7に記載の電動機-発電機(100)。
【請求項9】
前記制御モジュール(122)が、コントローラユニット(210)とスイッチング回路(212)とをさらに備え、前記コントローラユニット(210)が、前記スイッチング回路(212)に1つまたは複数の命令を提供して、前記スイッチング回路(212)のスイッチング作用のタイミングを制御し、前記入力モジュール(124)への適切な所望の電圧を維持する、請求項8に記載の電動機-発電機(100)。
【請求項10】
前記スイッチング回路(212)が、前記平衡回路(206)から出力電力を受け取り、前記コントローラユニット(210)が、前記入力制御モジュール(208)から必要な残りの電力を受け取る、請求項9に記載の電動機-発電機(100)。
【請求項11】
前記コントローラユニット(210)が、前記電動機-発電機(100)の動作のために、前記入力制御モジュール(208)からの前記残りの電力を前記スイッチング回路(212)に加え、前記電動機-発電機(100)の前記動作のための所望の電力が、前記平衡回路(206)からの前記出力電力と前記入力制御モジュール(208)からの前記残りの電力との加算後に、前記コントローラユニット(210)の助けにより、前記スイッチング回路(212)から送出される、請求項10に記載の電動機-発電機(100)。
【請求項12】
前記ECU(116)が、前記主AC電力供給(106)からのAC電力をDC電力に変換するように構成される整流器回路(118)と、前記第1の追加巻線(F)において誘導される前記交流EMF(110)を受け取り、前記交流EMF(110)のAC電力をDC電力に変換するように構成されるフィードバックモジュール(120)と、前記整流器回路(118)および前記フィードバックモジュール(120)からの前記DC電力を受け取り、前記主AC電力供給(106)および前記フィードバックモジュール(120)の入力電圧を組み合わせて、結果として得られるDC電力を生成するように構成される制御モジュール(122)と、前記制御モジュール(122)によって生成された前記結果として得られるDC電力を受け取るように構成される入力モジュール(124)と、を備え、前記入力モジュール(124)が、前記結果として得られるDC電力を結果として得られるAC電力に変換し、フィルタ処理し、前記結果として得られるAC電力を前記固定子(102)の前記主巻線(M)に送給する、請求項1に記載の電動機-発電機(100)。
【請求項13】
前記入力モジュール(124)が、前記制御モジュール(122)からの前記DC電圧をAC電圧に変換するように構成されるインバータ(214)を備える、請求項12に記載の電動機-発電機(100)。
【請求項14】
前記入力モジュール(124)が、前記インバータ(214)からの過剰な電流を制限するための電流制限回路(216)を備える、請求項13に記載の電動機-発電機(100)。
【請求項15】
前記入力モジュール(124)が、前記電動機-発電機(100)の前記動作のために、必要な周波数範囲を提供するための周波数制御回路(218)を備え、前記周波数制御回路(218)が、変動を抑圧しながら前記周波数範囲を維持する、請求項14に記載の電動機-発電機(100)。
【請求項16】
前記入力モジュール(124)が、誘導性-容量性LCフィルタを含むフィルタ処理回路(220)を備え、前記フィルタ処理回路(220)が、前記電圧中の高調波をフィルタ処理して、前記電動機-発電機(100)の前記動作のために前記固定子(102)に純粋なAC供給を提供する、請求項15に記載の電動機-発電機(100)。
【請求項17】
前記ECU(116)が、前記第2の追加巻線(E)おいて誘導される前記交流EMF(112)を受け取り、前記交流EMF(112)のAC電力を、電池を充電しトリガして電力を供給するDC電力に変換するように構成される出力モジュール(126)をさらに備える、請求項12に記載の電動機-発電機(100)。
【請求項18】
前記出力モジュール(126)が、整流器(222)、スイッチング回路(224)、フィルタ処理回路(226)、容量性回路(228)、トリガ回路(230)、電池(232)、および過負荷保護回路(234)を備える、請求項17に記載の電動機-発電機(100)。
【請求項19】
前記整流器(222)が、前記第2の追加巻線(E)において発生する前記交流EMF(112)のAC電力をDC電力へと変換し、前記スイッチング回路(224)が、前記整流器(222)からの前記DC電力を受け取り、一定電圧を維持する、請求項18に記載の電動機-発電機(100)。
【請求項20】
前記フィルタ処理回路(226)が、前記生成されたDC電力を純粋なDC電力にフィルタ処理する、請求項19に記載の電動機-発電機(100)。
【請求項21】
前記容量性回路(228)が、前記フィルタ処理回路(226)からの前記純粋なDC電力を格納し、低電圧条件および過電圧条件を判定することに基づいて、前記トリガ回路(230)を介して前記電池(232)をトリガする、請求項20に記載の電動機-発電機(100)。
【請求項22】
低電圧条件の期間に、前記トリガ回路(230)が、エネルギーを提供するために前記電池(232)に係合し、過電圧条件の期間に、前記トリガ回路(230)が、前記電池(232)と接続解除または係合解除する、請求項21に記載の電動機-発電機(100)。
【請求項23】
前記過負荷保護回路(234)が、過電流または高温を検出すると、過負荷条件から前記電動機-発電機(100)回路の保護をトリガする、請求項18に記載の電動機-発電機(100)。
【請求項24】
前記ECU(116)が、前記電池によって供給される前記電力を受け取り、電気的出力を提供して、前記電気的負荷に電力供給するように構成される電気的負荷モジュール(128)をさらに備える、請求項17に記載の電動機-発電機(100)。
【請求項25】
前記電気的負荷モジュール(128)が、充電回路(236)および電気的出力(238)を備え、前記充電回路(236)が、必要な電圧で前記電池(232)を充電し、前記電気的負荷が、前記電気的出力(238)に接続される、請求項24に記載の電動機-発電機(100)。
【請求項26】
固定子(102)の主巻線(M)を使用して主AC電力供給(106)に応答して回転磁界(RMF)(108)を生成するステップであって、前記固定子(102)が、電子制御ユニット(ECU)(116)にインターフェース接続される、ステップと、
前記RMF(108)に応答して、前記固定子(102)の前記主巻線(M)に対して回転子(104)を回転させるステップと、
前記回転子(104)の前記回転に応答して、前記固定子(102)の第1の追加巻線(F)において交流EMF(110)を誘導するステップと、
前記第1の追加巻線(F)において誘導される前記交流EMF(110)を、前記回転子(104)の回転サイクルの全体にわたって、前記固定子(102)の前記主巻線(M)にフィードバックするステップと、
前記回転子(104)の前記回転に応答して、前記固定子(102)の第2の追加巻線(E)において交流EMF(110)を誘導するステップと、
前記第2の追加巻線(E)において誘導される前記交流EMF(110)を、前記固定子(102)にインターフェース接続される前記ECU(116)を通じてハーベストして、電気的負荷に電力を供給するステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において開示されるシステムおよび技法は、一般的に、発電機としても機能する、エネルギー効率の良い誘導電動機に関し、より詳細には、固定子の巻線中で発生するEMFをハーベストして操作し、それによって、電動機-発電機を駆動するための電力要件の大部分を補い、電気的負荷を駆動するための電力も供給することによって、同じ容量の従来型電動機と比較して、より少ない電流を消費するエネルギー効率の良い電動機-発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギー需要の劇的な増加とともに、産業用またはそれ以外の様々な部門が、エネルギーの持続可能な形を採用し、エネルギーの再生可能な発生源を利用することに目を向けている。このことは、エネルギー要件および需要と同等である、生成されたエネルギー/電力を管理および節約するエネルギー効率の良いデバイスを実現する必要性と対になっている。
【0003】
技術の進歩とともに、電気発動機は、様々な用途の主要な駆動力として産業分野で使用されてきており、このことによって、エネルギーリソースの過度な使用が要求されている。具体的には、3相誘導電動機などの誘導電動機は、産業部門および農業部門で圧倒的に使用されており、これらの電動機が、生成される全エネルギーの65%を消費する。したがって、現在使用されている標準的な電動機と比較して、有意な量のエネルギーを節約する必要がある。また、効率を改善してそのような電動機のランニングコストを低減して、エネルギー効率の良い電動機を設計する必要がある。
【0004】
電動機への入力電力供給のタイプおよび回転子のタイプに依存して、基本的に2つのタイプの誘導電動機が存在する。入力電力供給のタイプに基づいて、誘導電動機は、単相誘導電動機と3相誘導電動機とに分類される。回転子のタイプに基づいて、誘導電動機は、かご型電動機とスリップリング電動機または巻線タイプに分類される。
【0005】
以下は、インダクタ電動機の動作原理の説明である。誘導電動機の固定子巻線に、AC入力電力供給が送給されると、AC入力電力供給に起因して固定子巻線の周りに交番磁束が生成される。この交番磁束は、同期速度で回転する。回転する磁束は、「回転磁界」(RMF)と呼ばれる。
【0006】
電磁誘導のファラデーの法則にしたがって、固定子RMFと回転子導体との間の相対的な速度によって、回転子導体中に誘導された起電力(EMF)がもたらされる。回転子導体が短絡され、こうして、誘導されたEMFに起因して回転子電流が生成される。それらの動作機構のため、そのような電動機は、誘導電動機と呼ばれる。これは、変圧器で生じる作用と同様であり、したがって、誘導電動機は、回転変圧器とも呼ばれる。
【0007】
回転子中の誘導電流は、その周りに交番磁束も生成する。この回転子磁束は、固定子磁束よりも遅れる。レンツの法則にしたがって誘導された回転子電流の方向は、その生成の原因に抵抗する方に向くようなものとなる。回転子電流の生成の原因は、回転する固定子磁束と回転子との間の相対的な速度であるので、回転子は、固定子RMFに追い付くように試みることになる。したがって、回転子は、固定子磁束のものと同じ方向に回転して、相対的な速度を最小化する。しかし、回転子は、回転する固定子磁束またはRMFの同期速度に追い付くのに成功することはない。これは、単相および3相誘導電動機の両方の基本的動作原理である。
【0008】
3相誘導電動機では、3相供給が使用されて、大電流の消費を分散させる。したがって、3相供給は、3HPの定格以上を有する誘導電動機を動作させるのに必要である。
【0009】
電気発動機、特に誘導電動機のエネルギー効率は、高度に研究された領域である。誘導電動機の効率を向上させることによって、非常に大きい量のエネルギーを節約することが可能である。誘導電動機を設計するために従来の設計手法を使用することにより、産業用効率基準を達成するのは困難である。
【0010】
現在存在する高効率誘導電動機は、高品質コアおよび巻線材料を組み込んで、電動機の動作効果を向上させる。そのような設計変更は、費用効果的でない。近年では、高品質材料を使用する代わりに、エネルギーを節約する側で、かなりの仕事および投資が行われており、様々に設計を修正することによって、電気発動機の電流効率を改善するための努力が行われている。
【0011】
多くの場合に、固定速度用途で、かご型誘導電動機が好ましい。しかし、主に巻線損失に起因して、最適な効率を有する誘導電動機は、現在、市販されていない。アモルファスコアおよび銅回転子バーの使用は、効率を向上させるために実施されている他の解決策であるが、そのような解決策は、費用の全体としての増加をもたらし、それを産業用に広く実施するのは実現可能でない可能性がある。
【0012】
電気発動機は、限定しないが、可変トルク負荷(ファン、ポンプなど)、一定トルク負荷(往復圧縮機、コンベア、スクリューなど)、および一定電力負荷(機械工具など)を挙げることができる、異なるタイプの電気的負荷を駆動するための発電機として使用される。これらの電気的負荷を駆動するためのエネルギー出力は不安定であり、電力制限、トルクおよび速度限界、ならびに電流および電圧制限のせいで影響を受ける。トルクの要件に合わせるために、特に発電機速度が典型的な電動機速度と比較して非常に低い場合、生成される電力より高い電力定格を有する電動機が必要である。さらに、電動機-発電機のトルクは、電動機-発電機のサイズおよびタイプによって制限される場合がある。したがって、発電機のトルクより高い連続的トルクを有する電動機タイプが選択されるべきである。電流および電圧制限に対処するため、負荷の下でさえ必要な電圧を発生することができる所与の電動機タイプの好適な巻線が選択されるべきである。
【0013】
発電機としての電動機の従来の使用では、機械的エネルギーが電気的エネルギーに変換される。この変換は、機械損失、結合損失、電気損失、熱損失、および磁気損失などのいくつかの損失に関連する。したがって、誘導電動機は、実際の用途では、発電機としてほとんど使用されない。というのは、誘導電動機は、一般的に、上述の損失に起因して、極端に低い電力出力を有するためである。永久磁石で構築される誘導電動機は、比較的高い効率で出力を発生することができるが、電力出力は、依然として、ある種の用途には不十分である。
【0014】
したがって、上述の難点に照らして、同じ容量の任意の従来型電動機と比較して、より少ない電流を消費し、電動機を駆動するための電力要件の大部分を補い、電気的負荷を駆動するための電力も供給するため、電動機によって生成された電力を効果的にハーベストする、エネルギー効率の良い誘導電動機の必要がある。
【0015】
本明細書の残りの部分に記載される本発明のいくつかの態様と記載されたシステムとの比較を通じて、図面を参照して、従来の伝統的な手法の制限および欠点が、当業者には明らかとなろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の主な目的は、単相または多相AC供給のいずれかからの電力を受け取ることができる、エネルギー効率の良い電動機-発電機を開発することである。電動機機能が機械的負荷をサポートする一方で、発電機機能が電気的負荷を駆動する。電動機-発電機は、再生によってその入力電力要件の大部分を補う。
【0017】
本発明の別の目的は、より高い電流効率を確立するのに最も適した、オーダーメイドの固定子巻線設計で結合される、専用設計の電子制御モジュールを備える、エネルギー効率の良い電動機-発電機を開発することである。
【0018】
本発明のさらなる目的は、エネルギー効率の良い電動機-発電機を開発することであり、この電動機-発電機では、誘導電動機の固定子巻線は、回転子の全回転サイクル期間中に固定子巻線で発生した交流EMFに起因して、結果として得られる電力が連続的に供給され、こうして、交流EMF(生成EMF)は、電動機の連続運転期間中の供給電力の主な発生源として働く。
【0019】
本発明のさらなる目的は、エネルギー効率の良い電動機-発電機を開発することであり、この電動機-発電機では、電気的負荷は、回転子の全回転サイクル期間の固定子の巻線中に発生した交流EMFに起因する、結果として得られる電力が連続的に供給される。
【0020】
本発明のさらなる目的は、産業的に製造することができ費用効果的であり、その結果、電力および機械的力が必要な用途で幅広く利用可能な、エネルギー効率の良い電動機-発電機を設計することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
図の少なくとも1つに示される、かつ/または、図の少なくとも1つに関して記載されるような、同じ容量の従来型電動機と比較してより少ない電流を消費する、エネルギー効率の良い電動機-発電機が開示される。
【0022】
電動機-発電機は、固定子の主巻線に主AC電力供給を提供する際に回転磁界(RMF)を発生するための主巻線を備える固定子と、RMFに起因して固定子の主巻線に対して回転するように配設される回転子と、を含む。固定子は、2つの追加巻線をさらに含む。第1の追加巻線は、フィードバックEMF巻線とも呼ばれ、回転子の回転に起因して、フィードバックEMF巻線中に誘導される交流起電力(EMF)を生成する。フィードバックEMF巻線中に生成される交流EMFは、次いで、ハーベストされ、操作されて、固定子にインターフェース接続される電子制御ユニット(ECU)を通じて、回転子の全回転サイクルにわたって、固定子の主巻線にフィードバックされる。こうして回転子の回転期間に生成されたエネルギーは、電動機-発電機の動作についてのエネルギー要件の大部分を満たす。固定子の第2の追加巻線は、電気的負荷EMF巻線とも呼ばれ、回転子の回転に起因して、電気的負荷EMF巻線中に誘導される交流EMFを生成する。電気的負荷EMF巻線中に生成される交流EMFは、次いで、固定子にインターフェース接続されるECUを通じてハーベストされ、電気的負荷に電力を供給する。こうして回転子の回転期間に生成されたエネルギーは、電気的負荷を駆動するエネルギー要件を満たす。
【0023】
本発明のこれらおよび他の特徴および利点は、添付図面とともに本発明の以下の詳細な記載を検討することで理解することができ、添付図面では、全体を通して、同様の参照符号は同様の部分を指す。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明によるエネルギー効率の良い電動機-発電機の概略図である。
図2図1のエネルギー効率の良い電動機-発電機の動作の概略図である。
図3】エネルギー効率の良い電動機-発電機の固定子の概略図である。
図4】エネルギー効率の良い電動機-発電機の回転子の概略図である。
図5】本発明によるエネルギー効率の良い電動機-発電機を動作させるための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に記載される実装形態は、開示されるエネルギー効率の良い電動機-発電機中に見いだすことができる。電動機-発電機は、固定子の主巻線(M)に主AC電力供給を提供する際に回転磁界(RMF)を発生するための主巻線(M)を備える固定子と、RMFに起因して固定子の主巻線(M)に対して回転するように配設される回転子と、を含む。固定子は、2つの追加巻線すなわち第1の追加巻線(F)および第2の追加巻線(E)をさらに含む。巻線M、E、およびFの各々は、単一または複数のコイルで多層化することができる。各コイルは、単一コアワイヤまたはマルチコアワイヤで製造することができる。
【0026】
第1の追加巻線(F)は、フィードバックEMF巻線(F)とも呼ばれ、回転子の回転に起因して、フィードバックEMF巻線(F)中に誘導される交流起電力(EMF)を生成する。フィードバックEMF巻線(F)中に生成される交流EMFは、次いで、ハーベストされ、操作されて、固定子にインターフェース接続される電子制御ユニット(ECU)を通じて、回転子の全回転サイクルにわたって、固定子の主巻線(M)に同時にフィードバックされる。こうして回転子の回転期間に生成されたエネルギーは、電動機-発電機の動作についてのエネルギー要件の大部分を満たす。
【0027】
ECUは、フィードバックEMF巻線(F)中に生成される交流EMFをハーベストするために、フィードバックモジュール、制御モジュール、および入力モジュールを含む。ECU中の整流器が主AC電力供給からのAC電力をDC電力に変換し、次いでDC電力が制御モジュールに送給される。フィードバックEMF巻線(F)中に生成される交流EMFがフィードバックモジュールに送給され、フィードバックモジュールが、交流EMFのAC電力をDC電力に変換し、DC電力を制御モジュールに送給する。
【0028】
制御モジュールは、主AC電力供給とフィードバックモジュールの入力電圧とを組み合わせて結果として得られるDC電力を生成するECUの構成要素である。制御モジュールは、電動機-発電機の所望の動作電圧に対して、フィードバックモジュールからの入力電圧の値を検査する。したがって、制御モジュールは、主AC電力供給から得られる電力から残りの電圧を加える。
【0029】
制御モジュールからの結果として得られるDC電力が入力モジュールに送給される。入力モジュールは、結果として得られるDC電力を結果として得られるAC電力に変換し、フィルタ処理し、結果として得られるAC電力を固定子の主巻線(M)に送給する。
【0030】
固定子の第2の追加巻線(E)は、電気的負荷EMF巻線(E)とも呼ばれ、回転子の回転に起因して、電気的負荷EMF巻線(E)中に誘導される交流EMFを生成する。電気的負荷EMF巻線(E)中に生成される交流EMFは、次いで、固定子にインターフェース接続されるECUを通じてハーベストされて、電気的負荷に電力を供給する。こうして回転子の回転期間に生成されたエネルギーは、電気的負荷を駆動するエネルギー要件を満たす。電気的負荷としては、限定しないが、抵抗性、誘導性、もしくは容量性負荷、AC、DC、もしくは脈動負荷、または、電動機-発電機100を使用して駆動できるこれらの負荷の任意の組合せが挙げられる。電動機-発電機100の異なる構成を使用して、様々な用途のための異なる電力出力を生成することができる。
【0031】
ECUは、電気的負荷EMF巻線(E)中に生成される交流EMFをハーベストするために、制御モジュール、出力モジュール、および電気的負荷モジュールを含む。制御モジュールは、出力モジュールと通信して、出力モジュールの異なる構成要素および回路を制御する。電気的負荷EMF巻線(E)中に生成される交流EMFが出力モジュールに送給され、出力モジュールは、電気的負荷EMF巻線(E)中に生成される交流EMFのAC電力をDC電力に変換し、DC電力は、限定しないが、コンデンサバンク、スーパーキャパシタ(たとえば、2重層銅コンデンサなど)、または電荷を保持する任意のデバイスを含むことができる電池を充電してトリガし、電気的負荷に電力供給する電気的出力を提供する電気的負荷モジュールに電力を供給する。
【0032】
図1は、本発明によるエネルギー効率の良い電動機-発電機の概略図である。図1を参照して、固定子102および回転子104、主AC電力供給106、固定子102の主巻線(M)、固定子102の第1の追加巻線(F)および第2の追加巻線(E)、主巻線(M)で発生した回転磁界(RMF)108、第1の追加巻線(F)で発生した交流EMF110、第2の追加巻線(E)で発生した交流EMF112、機械的負荷114、ならびに整流器118、フィードバックモジュール120、制御モジュール122、入力モジュール124、出力モジュール126、および電気的負荷モジュール128を含む電子制御ユニット(ECU)116を備える電動機-発電機100が示される。
【0033】
電動機-発電機100は、固定子102の主巻線に主AC電力供給106を提供する際に回転磁界(RMF)108を発生するための主巻線(M)を含む固定子102と、RMF108に起因して固定子102の主巻線(M)に対して回転するように配設される回転子104と、を含む。固定子102は、2つの追加巻線すなわち第1の追加巻線(F)および第2の追加巻線(E)を含む。巻線M、E、およびFの各々1つは、単一または複数のコイルを有する多層巻線であってよい。各コイルは、単一コアワイヤまたはマルチコアワイヤで製造することができる。
【0034】
第1の追加巻線(F)は、フィードバックEMF巻線(F)とも呼ばれ、回転子104の回転に起因して、フィードバックEMF巻線(F)中に誘導される交流EMF110を生成する。フィードバックEMF巻線(F)中に生成される交流EMF110は、次いで、ハーベストされ、操作されて、固定子102にインターフェース接続されるECU116を通じて、回転子の全回転サイクルにわたって、固定子102の主巻線(M)に同時にフィードバックされる。回転子104の回転期間にこうして生成されたエネルギーは、電動機-発電機100のエネルギー要件のかなりの部分をもたらす。
【0035】
ECU116は、フィードバックEMF巻線(F)中に生成される交流EMF110をハーベストするために、フィードバックモジュール120、制御モジュール122、および入力モジュール124を含む。整流器118が主AC電力供給106からのAC電力をDC電力に変換し、次いでDC電力が制御モジュール122に送給される。フィードバックEMF巻線(F)中に生成される交流EMF110がフィードバックモジュール120に送給され、フィードバックモジュール120が、交流EMF110のAC電力をDC電力に変換し、DC電力を制御モジュール122に送給する。
【0036】
制御モジュール122は、主AC電力供給106とフィードバックモジュール120の入力電圧とを組み合わせて、結果として得られるDC電力を生成するECU116の構成要素である。制御モジュール122は、電動機-発電機100の所望の動作電圧に対して、フィードバックモジュール120からの入力電圧の値を検査する。したがって、制御モジュール122は、主AC電力供給106から得られる電力から残りの電圧を加える。
【0037】
制御モジュール122からの結果として得られるDC電力が入力モジュール124に送給される。入力モジュール124は、結果として得られるDC電力を結果として得られるAC電力に変換して、フィルタ処理し、結果として得られるAC電力を固定子102の主巻線(M)に送給する。
【0038】
固定子102の第2の追加巻線(E)は、電気的負荷EMF巻線(E)とも呼ばれ、回転子104の回転に起因して、電気的負荷EMF巻線(E)中に誘導される交流EMF112を生成する。電気的負荷EMF巻線(E)中に生成される交流EMF112は、次いで、固定子102にインターフェース接続されるECU116を通じてハーベストされて、電気的負荷に電力を供給する。回転子104の回転期間にこうして生成されたエネルギーは、電気的負荷を駆動するエネルギー要件を満たす。
【0039】
ECU116は、電気的負荷EMF巻線(E)中に生成される交流EMF112をハーベストするために、制御モジュール122、出力モジュール126、および電気的負荷モジュール128を含む。制御モジュール122は、出力モジュール126と通信して、出力モジュール126の異なる構成要素および回路を制御する。電気的負荷EMF巻線(E)中に生成される交流EMF112が出力モジュール126に送給され、出力モジュール126は、交流EMF112のAC電力をDC電力に変換し、DC電力は、電池を充電してトリガし、電気的負荷に電力供給する電気的出力を提供する電気的負荷モジュール128に電力を供給する。
【0040】
図2は、図1のエネルギー効率の良い電動機-発電機の高レベル動作を図示する。図2を参照すると、フィルタ処理回路202、整流器204、および平衡回路206を含むことができるフィードバックモジュール120が示される。入力制御モジュール208、コントローラユニット210、およびスイッチング回路212を含むことができる制御モジュール122も示される。入力モジュール124は、インバータ214、電流制限回路216、周波数制御回路218、およびフィルタ処理回路220を含んで示される。出力モジュール126は、整流器222、スイッチング回路224、フィルタ処理回路226、容量性回路228、トリガ回路230、電池232、過負荷保護回路234を含んで示される。電気的負荷モジュール128は、充電回路236および電気的出力238を含むことができる。
【0041】
ECU116は、フィードバックEMF巻線(F)中に生成される交流EMF110をハーベストするために、フィードバックモジュール120、制御モジュール122、および入力モジュール124を含む。
【0042】
フィードバックモジュール120は、フィルタ処理回路202、整流器204、および平衡回路206をさらに含む。フィルタ処理回路202は、フィードバックEMF巻線(F)中で生成された交流EMF110を安定化する。フィルタ処理回路202からの出力は、交流EMF110のAC電力をDC電力または電圧に変換する整流器204に送給される。整流器204からのDC電力または電圧出力は平衡回路206に送給される。平衡回路206は、整流器回路204からのDC電力または電圧出力を安定化または維持する。フィードバックモジュール120からのDC電力または電圧出力は、制御モジュール122に送給される。
【0043】
制御モジュール122は、入力制御モジュール208、コントローラユニット210、およびスイッチング回路212を含む。入力制御モジュール208は、制御モジュール122のための動作電圧を提供し、入力電圧または制御への任意の急な変化を制御する。さらに、限定しないが、電流、電圧、および力率を含む場合がある1つまたは複数の電気的パラメータに変動があるとき、入力制御モジュール208が入力電圧を維持する。制御モジュール122は、フィードバックモジュール120の出力を受け取り、フィードバックモジュール120の出力中の誤差を検出する。誤差を検出すると、制御モジュール122は、これらの誤差を解決し、フィードバックモジュール120からの入力を制御する。
【0044】
コントローラユニット210は、ファームウェアで実装することができ、制御モジュール122の動作を担う。コントローラユニット210は、最初に、スイッチング回路212に1つまたは複数の命令を提供する。コントローラユニット210の主な機能は、スイッチング回路212のスイッチング作用のタイミングを制御すること、および、入力モジュール124への適切な所望の電圧を維持することである。所望の電圧は、主AC電力供給106からの入力電圧と、フィードバックエネルギー入力である交流EMF110と、を比較することによって提供される。この電圧は、コントローラユニット210によって取り込まれて比較される。ある実施形態では、ECU116のすべての機能は、コントローラユニット210によって制御することができる。
【0045】
スイッチング回路212は、入力モジュール124を駆動する。スイッチング回路212は、入力の1つとして、交流EMF110を平衡回路206からのフィードバックとして受け取る。スイッチング回路212への他の入力は、主AC電力供給106からの電力線入力または入力電圧である。
【0046】
スイッチング回路212は、平衡回路206からの出力電力を受け取る。平衡回路206からのこの出力電力は、電動機-発電機100の動作には十分でない。したがって、コントローラユニット210は、電動機-発電機100の適切な動作のため、入力制御モジュール208から必要な残りの電力を受け取る。
【0047】
コントローラユニット210は、電動機-発電機100の動作のために、入力制御モジュール208からの残りの電力をスイッチング回路212に加える。電動機-発電機100の動作のための所望の電力は、2つの入力電力すなわち平衡回路206からの出力電力と入力制御モジュール208からの残りの電力との加算後に、コントローラユニット210の助けにより、スイッチング回路212から送出される。
【0048】
コントローラユニット210は、電動機-発電機100の動作のため必要な電力の所望の値で、平衡回路206からの電力の値を検査する。残りの電力は、入力制御モジュール208から加えられる。一度電力の所望の値が達成されると、スイッチング回路212は、入力モジュール124のインバータ214へと切り換える。
【0049】
入力モジュール124は、インバータ214、電流制限回路216、周波数制御回路218、およびフィルタ処理回路220を含む電動機-発電機100の入力セクションである。スイッチング回路212は、インバータ214および周波数制御回路218を通じて入力モジュール124を駆動する。
【0050】
インバータ214は、入力モジュール124の構成要素である。インバータ214は、制御モジュール122から入力DC電圧を受け取り、DC電圧をAC電圧に変換する、または、電動機-発電機100の動作のために供給する。コントローラユニット210は、インバータ214の切換を制御または案内する。
【0051】
電流制限回路216は、インバータ214からの過剰な電流を制限する。周波数制御回路218は、電動機-発電機100の動作のために、必要な周波数範囲を提供する。周波数制御回路218は、変動なしにこの周波数範囲を維持もする。
【0052】
フィルタ処理回路220は、誘導性-容量性LCフィルタを含む。フィルタ処理回路220は、電動機-発電機100の動作のため固定子102へ純粋なAC供給を提供するために、電圧における高調波をフィルタ処理または除去する。
【0053】
ECU116は、電気的負荷EMF巻線(E)中に生成される交流EMF112をハーベストするために、制御モジュール122、出力モジュール126、および電気的負荷モジュール128を含む。
【0054】
出力モジュール126は、整流器222、スイッチング回路224、フィルタ処理回路226、容量性回路228、トリガ回路230、電池232、および過負荷保護回路234を含む。
【0055】
整流器222は、電気的負荷EMF巻線(E)において発生する交流EMF112のAC電力または電圧をDC電力または電圧へと変換する。
【0056】
スイッチング回路224は、整流器222からの整流出力を受け取る。ある実施形態では、スイッチング回路224は、スイッチング回路224への入力として必要な一定のDC電圧が提供されるときにだけ動作することができる。電動機-発電機100における速度の変化が負荷に影響する可能性があるために、スイッチング回路224が使用されて、一定の電圧を維持する。
【0057】
フィルタ処理回路226は、生成されたDC出力を純粋なDC電力にフィルタ処理する。
【0058】
容量性回路228は、DC入力電圧を格納し、容量性回路228が十分なエネルギーを有すると、トリガ回路230を介して電池232をトリガする。容量性回路228の目的は、格納したエネルギーを供給することによって、電池を充電することである。電池232はエネルギーを格納する。
【0059】
トリガ回路230は、電動機-発電機100を保護するのを助けるため、低電圧条件および過電圧条件を判定することに基づいて、電池232をトリガする。たとえば、低電圧条件の期間に、トリガ回路230は、エネルギーを提供するため電池232に係合する。過電圧条件の期間に、トリガ回路230は、電池232と接続解除または係合解除する。
【0060】
過負荷保護回路234は、過負荷条件期間に動作する。過負荷保護回路234は、過電流または高温を検出し、それに応じて、過負荷条件からの回路の保護をトリガする。さらに、過負荷保護回路234は、充電回路236を過充電から保護し、電池232の短絡を防止する。
【0061】
電気的負荷モジュール128は、充電回路236および電気的出力238を含む。充電回路236は電池232を定格電圧で充電する。電気的出力238は、電気的負荷が接続される出力セクションである。
【0062】
図3は、本発明によるエネルギー効率の良い電動機-発電機の固定子102の概略図である。図3を参照して、固定子102は、フレームまたはヨーク302、固定子コア304、固定子スロット306、および固定子巻線308を含んで示される。
【0063】
フレームまたはヨーク302は、固定子102の一体部分を形成する。フレームまたはヨーク302の主な機能は、電動機-発電機100の他の高度な構成要素または部分のための保護カバーを実現することである。
【0064】
固定子コア304は、固定子スロット306を含む積層からなる。固定子スロット306の各々に設けられる空間は、巻線ワイヤの1つまたは複数の組を含む固定子巻線308を収容するため、従来型スロットのものよりわずかに大きい。巻線ワイヤは、絶縁ワイヤであり、当業者に知られている任意のタイプの絶縁ワイヤであってよい。固定子スロット306のサイズは、固定子巻線308の均一な分配のために、調整および維持することができる。固定子102のスロット、極、および巻線の数は、予め規定されたパラメータであってよく、またはある実施形態では、設定可能なパラメータであってよく、もしくは、意図される用途に基づいて変えることができる。
【0065】
固定子スロット306に設けられる空間は、巻線ワイヤの1つまたは複数の組を収容するように、従来型スロットのものよりわずかに大きく、巻線ワイヤの1つまたは複数の組は、回転子104を回転するための供給電力/エネルギー(RMF108)を伝達する主巻線(M)ならびに2つの追加巻線(F)および(E)、すなわち、回転子104が回転するときに第1の追加巻線(F)において誘導される電力(交流EMF110)の伝送のために使用される第1の追加巻線(F)、および、回転子104が回転するときに第2の追加巻線(E)において誘導される電力(交流EMF112)の伝送のために使用される第2の追加巻線(E)を含む。
【0066】
さらに、固定子102は、均一な空気間隙を維持するため、機械加工されたラベットおよび/または孔を含むことができる。電動機-発電機100の固定子102に使用されるシャフトおよび複数のベアリングは、当業者に知られている任意のタイプのものであってよい。適切なサイズのボールベアリングが使用されて、回転摩擦を低減し、径方向および軸方向の負荷を支持する。固定子巻線308を冷却するための空気の十分な循環を可能にするためファンが設けられる。電動機-発電機100中で発生する熱は、少ない電流消費、ならびに、固定子巻線308の相互に反対の動作、すなわち、回転子104が回転するときに、主巻線(M)は、回転子104を回転するための供給電力/エネルギー(RMF108)に対応し、2つの追加巻線(F)および(E)は、それぞれ交流EMF110および交流EMF112の伝送に対応することに起因して、比較的少ない。したがって、冷却ファンのサイズをやはり縮小させることが可能であり、こうして、その理由により、いくらかのエネルギーが節約される。ベアリングは、シャフトの端部に収納され、フレームまたはヨーク302に固定される。
【0067】
固定子102の極の数および巻線の数は、次式にしたがって同期速度が周波数に直接比例し極の数に反比例するので、電動機-発電機100の速度に基づいて決定することができる。
【0068】
【数1】
【0069】
上式で、「N」が同期速度であり、「f」が周波数であり、「P」が極の数である。
【0070】
本発明の好ましい実施形態によれば、固定子102は、各極が4つのスロットを有する、6つの極で必要な、合計で24のスロットを備える。あらゆるスロットは3つの巻線ワイヤ、すなわち、回転子104を回転するための供給電力/エネルギー(RMF108)に対応する主巻線(M)、回転子104が回転するときに第1の追加巻線(F)において誘導される電力(交流EMF110)の伝送のために使用される第1の追加巻線(F)、および、回転子104が回転するときに第2の追加巻線(E)において誘導される電力(交流EMF112)の伝送のために使用される第2の追加巻線(E)を備える。これらの巻線のそれぞれの末端は、ECU116に接続される。
【0071】
図4は、エネルギー効率の良い電動機-発電機の回転子104の概略図である。図4を参照して、回転子104は、積層402、セパレータ404、回転子シャフト406、および端部リング408を含んで示される。
【0072】
この特定の実施形態では、回転子104はかご型タイプ回転子である。回転子104は、回転子104の積層402を分離するためのセパレータ404を有する、積層402のシリンダを含む。いくつかの実施形態では、回転子104は、その表面に埋め込まれる、回転子シャフト406に平行またはほぼ平行で、回転子104の表面に近接した、限定しないが、アルミニウム、銅、フェライト、鉄、または任意の他の材料を含むことができる、高度に導電性の材料または金属を含むことができる。回転子104の両方の端部で、回転子導体の材料と同様の材料の連続的な端部リング408によって、回転子導体が短絡される。回転子導体およびそれらの端部リング408は、それら自体で完全な閉回路を形成する。
【0073】
交流電流が固定子巻線308を通って流れると、RMF108が生成される。このことによって、それ自体の磁界を生成する回転子巻線中の電流が誘導される。固定子および回転子巻線によって生成される磁界の相互作用によって、回転子104上にトルクが生成される。
【0074】
RMF108は、回転子バーに電圧を誘導し、それが、短絡電流を引き起こして、回転子バーの中の流れを開始する。これらの回転子電流は、固定子102のRMF108と相互作用する、それらの自己磁界を発生させる。回転子磁界は、RMF108であるその原因に抵抗するよう試みることになる。したがって、回転子104は、RMF108への追従を開始する。回転子104がRMF108に追い付く瞬間に、RMF108と回転子104との間にもはや相対的な運動がないため、回転子電流は、ゼロに低下する。したがって、回転子104がゼロの接線分力を経験すると、回転子104は、当分の間減速する。回転子104の減速後、回転子104とRMF108との間の相対的な運動が再び確立され、その結果、回転子電流が再び誘導される。こうして、回転子104の回転についての接線分力が再び回復され、回転子104は再び回転を開始してRMF108を追従する。この方法で、回転子104は、RMF108の速度または同期速度(Ns)より遅い一定速度を維持する。
【0075】
図5は、本発明によるエネルギー効率の良い電動機-発電機100を動作させるための方法のフローチャートである。図5を参照すると、エネルギー効率の良い電動機-発電機100を動作させるための方法500のフローチャートが示される。
【0076】
図5に図示されるように、ステップ502で、固定子102の主巻線(M)を使用して主AC電力供給106に応答して回転磁界(RMF)が生成される。ここで、固定子102は、電子制御ユニット(ECU)116にインターフェース接続される。
【0077】
電動機-発電機100は、固定子102の主巻線に主AC電力供給106を提供する際に回転磁界(RMF)108を発生するための主巻線(M)を含む固定子102を含む。
【0078】
ステップ504で、回転子104は、RMF108に応答して、固定子102の主巻線(M)に対して回転する。固定子102は、2つの追加巻線すなわち第1の追加巻線(F)および第2の追加巻線(E)を含む。巻線M、E、およびFの各々1つは、単一または複数のコイルを有する多層巻線であってよい。各コイルは、単一コアワイヤまたはマルチコアワイヤで製造することができる。
【0079】
ステップ506で、固定子102の第1の追加巻線(F)中の交流EMF110が、回転子104の回転に応答して誘導される。
【0080】
電気的負荷EMF巻線(E)中に生成される交流EMF110は、次いで、固定子102にインターフェース接続されるECU116を通じてハーベストされて、電気的負荷に電力を供給する。
【0081】
ステップ508で、第1の追加巻線(F)において誘導される交流EMF110は、回転子104の回転サイクルの全体にわたって、固定子102の主巻線(M)にフィードバックされる。
【0082】
フィードバックEMF巻線(F)中に生成される交流EMF110は、次いで、ハーベストされ、操作されて、固定子102にインターフェース接続されるECU116を通じて、回転子104の回転サイクルの全体にわたって、固定子102の主巻線(M)に同時にフィードバックされる。
【0083】
回転子104の回転期間にこうして生成されたエネルギーは、電動機-発電機100のエネルギー要件のかなりの部分をもたらす。回転子104の回転期間にこうして生成されたエネルギーは、電動機-発電機100のエネルギー要件のかなりの部分をもたらす。
【0084】
ステップ510で、固定子102の第2の追加巻線(E)中の交流EMF112が、回転子104の回転に応答して誘導される。
【0085】
電気的負荷EMF巻線(E)中に生成される交流EMF112は、次いで、固定子102にインターフェース接続されるECU116を通じてハーベストされて、電気的負荷に電力を供給する。
【0086】
ステップ512で、第2の追加巻線(E)中に誘導される交流EMF112は、固定子102にインターフェース接続されるECU116を通じてハーベストされて、電気的負荷128に電力を供給する。
【0087】
電気的負荷EMF巻線(E)中に生成される交流EMF112は、次いで、固定子102にインターフェース接続されるECU116を通じてハーベストされて、電気的負荷に電力を供給する。回転子104の回転期間にこうして生成されたエネルギーは、電気的負荷を駆動するエネルギー要件を満たす。
【0088】
本発明の電動機-発電機は、それが、他の従来型AC電動機と比較して性能の面で信頼性を有することに起因して、広い産業用途を有するエネルギー効率の良い電動機-発電機を実現するという点で有利である。エネルギー効率の良い電動機-発電機は、電気の消費を大いに低減し、農業部門、自動車部門、および産業用電動機を幅広く使用する他の産業に金銭的利益をもたらす。
【0089】
エネルギー効率の良い電動機-発電機は、より高い電力効率を確実にするため、オーダーメイドの固定子巻線設計で結合される、専用設計された電子モジュールを実装することによって、より少ない電力を消費する。
【0090】
本発明は、固定子中に設けられる巻線の実装のために、同じ容量の従来型電動機と比較してより少ない電力を消費するエネルギー効率の良い電動機-発電機を提供する。これは、電動機が回転しているときに、明確なEMF(交流EMF)を生成することが可能であり、その結果、電動機を運転するときに電動機を駆動するための電力要件の部分が満たされる。開示される電動機-発電機は、入力電力要件への妥協なしに、3相誘導電動機の代わりに単相誘導電動機を使用することも可能にする。
【0091】
本発明は、固定子中に設けられる巻線の実装のために、電気的負荷を駆動する電力を供給するため使用されるエネルギー効率の良い単相または多相電動機-発電機を提供し、これは、電動機が回転しているときに、明確なEMF(交流EMF)を生成することが可能である。こうして、本発明の電動機-発電機は、機械的力および電力の両方を生成することが可能な単一のシステムを含む。
【0092】
さらに、単相または多相(たとえば、3相)誘導電動機は、永久磁石を使用して構築することができ、より小さい電気的、磁気的、および熱的損失を有する。
【0093】
さらに、エネルギー効率の良い電動機-発電機は、構成要素の数を低減し、したがって信頼性を改善し、単一のシステム中の一体化された電気的および機械的ジェネレータに起因した、空間を節約する設計である。
【0094】
エネルギー効率の良い電動機-発電機は、低い熱的および機械的(振動、摩擦)損失に起因して簡単な冷却システム設計も有し、低い高調波に起因して、エネルギー効率の良い電動機-発電機の関連する電気システム設計がより簡単となる。
【0095】
上で認められた利点および本明細書で記載される他の利点が単に例示であり、本発明の様々な実施形態の利益の全部の完全な表現であることは意味しないことを、当業者なら理解されよう。
【0096】
本発明は、ハードウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの組合せで実現することができる。本発明は、少なくとも1つのコンピュータシステムにおいて集中型で、または、異なる要素をいくつかの相互接続されたコンピュータシステムにわたって広げることができる分散型で実現することができる。本明細書に記載される方法を実行するように構成されるコンピュータシステムまたは他の装置/デバイスを適合させることができる。ハードウェアとソフトウェアとの組合せは、コンピュータシステム上にロードされ、実行されると、コンピュータシステムが本明細書に記載された方法を実行するように、コンピュータシステムを制御することができるコンピュータプログラムを有する汎用コンピュータシステムであってよい。本発明は、他の機能も実施する集積回路の一部を備えるハードウェアで実現することができる。本発明は、メディアレンダリングデバイスの一部を形成するファームウェアとして実現することもできる。
【0097】
本発明は、本明細書に記載される方法の実装を可能にするすべての特徴を含み、コンピュータシステム上にロードされ実行されると、これらの方法を実行するように構成することができるコンピュータプログラム製品に埋め込むこともできる。本文脈では、コンピュータプログラムとは、システムに、直接的に、または、以下すなわち、a)別の言語、コード、もしくは表記への変換、b)異なる材料形式への再生のいずれかもしくは両方の後に特定の機能を実施する情報処理能力をもたらすことが意図される命令の組の、任意の言語、コード、もしくは表記での任意の表現を意味する。
【0098】
上述の明細書では、本発明の具体的な実施形態が記載されてきた。しかし、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を行うことができることを当業者なら理解する。したがって、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく、むしろ説明と見なされるべきであり、すべてのそのような修正は、本発明の範囲に含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0099】
12 フィードバックモジュール
100 電動機-発電機
102 固定子
104 回転子
106 主AC電力供給(電力入力)
108 回転磁界(RMF)
110 交流EMF
112 交流EMF
114 機械的出力/負荷
116 電子制御ユニット(ECU)
118 整流器
120 フィードバックモジュール
122 制御モジュール
124 入力モジュール
126 出力モジュール
128 電気的負荷モジュール
202 フィルタ処理回路
204 整流器
206 平衡回路
208 入力制御モジュール
210 コントローラユニット
212 スイッチング回路
214 インバータ
216 電流制限回路
218 周波数制御回路
220 フィルタ処理回路
222 整流器
224 スイッチング回路
226 フィルタ処理回路
228 容量性回路
230 トリガ回路
232 電池
234 過負荷保護回路
236 充電回路
238 電気的出力
302 フレームまたはヨーク
304 固定子コア
306 固定子スロット
308 固定子巻線
402 積層
404 セパレータ
406 回転子シャフト
408 端部リング
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】