(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】ラジプロジルの製剤化
(51)【国際特許分類】
A61K 31/454 20060101AFI20240725BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20240725BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20240725BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240725BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240725BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240725BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
A61K31/454
A61K9/16
A61K9/10
A61K47/26
A61K47/38
A61K47/32
A61P25/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532367
(86)(22)【出願日】2022-08-05
(85)【翻訳文提出日】2024-03-29
(86)【国際出願番号】 US2022039543
(87)【国際公開番号】W WO2023014956
(87)【国際公開日】2023-02-09
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524050811
【氏名又は名称】グリン・セラピューティクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】GRIN THERAPEUTICS, INC.
【住所又は居所原語表記】101 MAIN ST. STE 1210, CAMBRIDGE, MASSACHUSETTS 02142, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ジェニン,マリー
(72)【発明者】
【氏名】マグリア,ピエランドリア
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA22
4C076AA31
4C076BB01
4C076CC01
4C076CC43
4C076DD09F
4C076DD38
4C076EE16
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4C076FF04
4C076FF05
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4C076GG13
4C086AA01
4C086AA10
4C086BC70
4C086GA07
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4C086MA03
4C086MA05
4C086MA23
4C086MA41
4C086MA52
4C086NA20
4C086ZA06
4C086ZC42
(57)【要約】
本開示は、部分的に、ラジプロジルと薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物、及びてんかん性障害などの障害の治療におけるその使用方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】
の化合物の経口投与のために製剤化された薬学的に許容される組成物であって、
前記組成物の総重量に基づいて、約0.5重量%~約15重量%の式Iの前記化合物;
少なくとも1つの充填剤;
崩壊剤;
バインダー;及び
界面活性剤を含む、前記組成物。
【請求項2】
前記薬学的に許容される組成物の総重量に基づいて、約1重量%の前記化合物を含む、請求項1に記載の薬学的に許容される組成物。
【請求項3】
前記薬学的に許容される組成物の総重量に基づいて、約10重量%の前記化合物を含む、請求項1に記載の薬学的に許容される組成物。
【請求項4】
式Iの前記化合物の無水結晶形態を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の薬学的に許容される組成物。
【請求項5】
前記無水結晶形態が、以下の2θの値(度数):7.8、22.0、23.7、27.0、及び27.6±0.2°2θの間、ならびにこれらの値を含む特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを有する、請求項4に記載の薬学的に許容される組成物。
【請求項6】
前記医薬組成物が、前記医薬組成物の総重量に基づいて、約10重量%~約80重量%の少なくとも1つの充填剤を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1つの充填剤が、製菓用糖、圧縮性糖、デキストレート、デキストリン、ブドウ糖、乳糖、マンニトール、微結晶性セルロース、粉末セルロース、ソルビトール、スクロース、タルク、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記組成物が、2つの充填剤を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記医薬組成物が、前記医薬組成物の総重量に基づいて、約1重量%~約10重量%の前記崩壊剤を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記崩壊剤が、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、微結晶性セルロース、アルファ化デンプン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記医薬組成物が、前記医薬組成物の総重量に基づいて、約1重量%~約10重量%の前記バインダーを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記バインダーが、ポビドン、デンプン、ゼラチン、糖類、天然及び合成ガム、アルギン酸塩、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、無機カルシウム塩、ケイ酸、ポリメタクリレート、ワックス、水、アルコール、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記医薬組成物が、前記医薬組成物の総重量に基づいて、約0.01重量%~約5重量%の前記界面活性剤を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記界面活性剤が、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポロキサマー、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、リン脂質、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記組成物が、経口溶液の顆粒である、請求項1~14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
式I:
【化2】
の化合物の経口投与のために製剤化された固体の薬学的に許容される組成物であって、
前記組成物の総重量に基づいて、約10重量%の式Iの前記化合物の無水結晶形態(ここで、前記無水結晶形態が、以下の2θの値(度数):7.8、22.0、23.7、27.0及び27.6±0.2°2θの間、ならびにこれらの値を含む特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを有する);
前記組成物の総重量に基づいて、マンニトール、微結晶性セルロース、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される約50重量%~80重量%の充填剤;
前記組成物の総重量に基づいて約5重量%のクロスポビドン;
前記組成物の総重量に基づいて約4%のポビドン;及び
前記組成物の総重量に基づいて約1%のポリソルベートを含む、前記組成物。
【請求項17】
式I:
【化3】
の化合物の経口投与のために製剤化された固体の薬学的に許容される組成物であって、
前記組成物の総重量に基づいて、約1重量%の式Iの前記化合物の無水結晶形態(ここで、前記無水結晶形態が、以下の2θの値(度数):7.8、22.0、23.7、27.0及び27.6±0.2°2θの間、ならびにこれらの値を含む特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを有する);
前記組成物の総重量に基づいて、マンニトール、微結晶性セルロース、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される約70重量%~89重量%の充填剤;
前記組成物の総重量に基づいて約5重量%のクロスポビドン;
前記組成物の総重量に基づいて約4%のポビドン;及び
前記組成物の総重量に基づいて約1%のポリソルベートを含む、前記組成物。
【請求項18】
HPLCによって測定される場合、前記化合物の量に対して約0.1%~0.5%以下の不純物を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の薬学的に許容される組成物。
【請求項19】
HPLCによって測定される場合、前記化合物の量に対して約0.1%~0.5%以下の6-アミノ-2-ベンゾオキサゾロンを含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の薬学的に許容される組成物。
【請求項20】
式I:
【化4】
の化合物の経口投与のために製剤化された薬学的に許容される組成物であって、
前記組成物の総重量に基づいて、約0.5重量%~15重量%の式Iの前記化合物の無水結晶形態(ここで、前記無水結晶形態が、以下の2θの値(度数):7.8、22.0、23.7、27.0及び27.6±0.2°2θの間、ならびにこれらの値を含む特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを有する);
HPLCによって測定される場合、前記化合物の量に対して約0.1%~0.5%以下の不純物;及び
1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む、前記組成物。
【請求項21】
HPLCによって測定される場合、前記化合物の量に対して約0.5%以下の不純物を含む、請求項20に記載の薬学的に許容される組成物。
【請求項22】
HPLCによって測定される場合、前記化合物の量に対して約0.05%以下の不純物を含む、請求項20または21に記載の薬学的に許容される組成物。
【請求項23】
25℃で約6か月間60%相対湿度に曝露した場合に比べて、約0.5%以下の不純物を含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の薬学的に許容される組成物。
【請求項24】
25℃で約6か月間60%相対湿度に曝露した場合に比べて、約0.05%以下の不純物を含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の薬学的に許容される組成物。
【請求項25】
25℃で約36か月間60%相対湿度に曝露した場合に比べて、約0.5%以下の不純物を含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の薬学的に許容される組成物。
【請求項26】
25℃で約36か月間60%相対湿度に曝露した場合に比べて、約0.05%以下の不純物を含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の薬学的に許容される組成物。
【請求項27】
前記組成物の総重量に基づいて約10%の前記無水結晶形態を含む、請求項18~26のいずれか一項に記載の薬学的に許容される組成物。
【請求項28】
前記組成物の総重量に基づいて約1%の前記無水結晶形態を含む、請求項18~26のいずれか一項に記載の薬学的に許容される組成物。
【請求項29】
37℃、75rpmのパドル速度でUSPIIパドル装置を使用して900mLのラウリル硫酸ナトリウム水溶液中で前記組成物を試験した場合、前記組成物は30分後に前記化合物の少なくとも80%を放出する、請求項1~28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
前記組成物を再構成の少なくとも1分~約24時間後に水性媒体中で攪拌する場合、前記組成物は前記化合物の少なくとも80%を放出する、請求項1~29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
前記水性媒体が、デンプン系懸濁液を含む、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
請求項1~31のいずれか一項に記載の薬学的に許容される組成物と、水性媒体とを含む、薬学的に許容される水性懸濁液。
【請求項33】
前記水性媒体が、デンプン系懸濁液を含む、請求項32に記載の薬学的に許容される懸濁液。
【請求項34】
式I:
【化5】
の化合物を約0.1mg/kg~2mg/kg経口送達するための薬学的に許容される水性懸濁液であって、
(i)固体の薬学的に許容される組成物であって、
前記組成物の総重量に基づいて、約10重量%の式Iの前記化合物の無水結晶形態(ここで、前記無水結晶形態が、以下の2θの値(度数):7.8、22.0、23.7、27.0及び27.6±0.2°2θの間、ならびにこれらの値を含む特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを有する);
前記組成物の総重量に基づいて、マンニトール、微結晶性セルロース、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される約50重量%~80重量%の充填剤;
前記組成物の総重量に基づいて約5重量%のクロスポビドン;
前記組成物の総重量に基づいて約4%のポビドン;及び
前記組成物の総重量に基づいて約1%のポリソルベートを含む、前記組成物;ならびに
(ii)水性媒体を含む、前記水性懸濁液。
【請求項35】
式I:
【化6】
の化合物を約0.2mg/kg~2mg/kg経口送達するための薬学的に許容される水性懸濁液であって、(i)固体の薬学的に許容される組成物であって、
前記組成物の総重量に基づいて、約1重量%の式Iの前記化合物の無水結晶形態(ここで、前記無水結晶形態が、以下の2θの値(度数):7.8、22.0、23.7、27.0及び27.6±0.2°2θの間、ならびにこれらの値を含む特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを有する);
前記組成物の総重量に基づいて、マンニトール、微結晶性セルロース、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される約70重量%~89重量%の充填剤;
前記組成物の総重量に基づいて約5重量%のクロスポビドン;
前記組成物の総重量に基づいて約4%のポビドン;及び
前記組成物の総重量に基づいて約1%のポリソルベートを含む、前記組成物;ならびに
(ii)水性媒体を含む、前記水性懸濁液。
【請求項36】
前記水性媒体が、デンプン系懸濁液を含む、請求項34または35に記載の薬学的に許容される懸濁液。
【請求項37】
式I:
【化7】
の化合物の経口投与のために製剤化された固体の薬学的に許容される組成物であって、前記組成物の総重量に基づいて、約10重量%の式Iの前記化合物の無水結晶形態(ここで、前記無水結晶形態が、以下の2θの値(度数):6.4、13.7、及び25.8±0.2°2θの間、ならびにこれらの値を含む特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを有する);前記組成物の総重量に基づいて、マンニトール、微結晶性セルロース、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される約50重量%~80重量%の充填剤;前記組成物の総重量に基づいて約5重量%のクロスポビドン;前記組成物の総重量に基づいて約4%のポビドン;及び前記組成物の総重量に基づいて約1%のポリソルベートを含む、前記組成物。
【請求項38】
式I:
【化8】
の化合物の経口投与のために製剤化された固体の薬学的に許容される組成物であって、前記組成物の総重量に基づいて、約1重量%の式Iの前記化合物の無水結晶形態(ここで、前記無水結晶形態が、以下の2θの値(度数):6.4、13.7、及び25.8±0.2°2θの間、ならびにこれらの値を含む特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを有する);前記組成物の総重量に基づいて、マンニトール、微結晶性セルロース、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される約70重量%~89重量%の充填剤;前記組成物の総重量に基づいて約5重量%のクロスポビドン;前記組成物の総重量に基づいて約4%のポビドン;及び前記組成物の総重量に基づいて約1%のポリソルベートを含む、前記組成物。
【請求項39】
式I:
【化9】
の化合物の経口投与のために製剤化された薬学的に許容される組成物であって、前記組成物の総重量に基づいて、約0.5重量%~15重量%の式Iの前記化合物の無水結晶形態(ここで、前記無水結晶形態が、以下の2θの値(度数):6.4、13.7、及び25.8±0.2°2θの間、ならびにこれらの値を含む特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを有する);HPLCによって測定される場合、前記化合物の量に対して約0.1%~0.5%以下の不純物(例えば、6-アミノ-2-ベンゾオキサゾロン);及び1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む、前記組成物。
【請求項40】
式I:
【化10】
の化合物を約0.1mg/kg~2mg/kg経口送達するための薬学的に許容される水性懸濁液であって、(i)固体の薬学的に許容される組成物であって、前記組成物の総重量に基づいて、約10重量%の式Iの前記化合物の無水結晶形態(ここで、前記無水結晶形態が、以下の2θの値(度数):6.4、13.7、及び25.8±0.2°2θの間、ならびにこれらの値を含む特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを有する);前記組成物の総重量に基づいて、マンニトール、微結晶性セルロース、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される約50重量%~80重量%の充填剤;前記組成物の総重量に基づいて約5重量%のクロスポビドン;前記組成物の総重量に基づいて約4%のポビドン;及び前記組成物の総重量に基づいて約1%のポリソルベートを含む、前記組成物;ならびに(ii)水性媒体を含む、前記水性懸濁液。
【請求項41】
式I:
【化11】
の化合物を約0.2mg/kg~2mg/kg経口送達するための薬学的に許容される水性懸濁液であって、(i)固体の薬学的に許容される組成物であって、前記組成物の総重量に基づいて、約1重量%の式Iの前記化合物の無水結晶形態(ここで、前記無水結晶形態が、以下の2θの値(度数):6.4、13.7、及び25.8±0.2°2θの間、ならびにこれらの値を含む特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを有する);前記組成物の総重量に基づいて、マンニトール、微結晶性セルロース、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される約70重量%~89重量%の充填剤;前記組成物の総重量に基づいて約5重量%のクロスポビドン;前記組成物の総重量に基づいて約4%のポビドン;及び前記組成物の総重量に基づいて約1%のポリソルベートを含む、前記組成物;ならびに(ii)水性媒体を含む、前記水性懸濁液。
【請求項42】
請求項1~31及び37~39のいずれか一項に記載の医薬組成物、または請求項32~36及び40~41のいずれか一項に記載の懸濁液を対象に投与することを含む、治療を必要とする前記対象における痙攣性障害を治療する方法。
【請求項43】
前記痙攣性障害がてんかんである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記対象が小児対象である、請求項42または43に記載の方法。
【請求項45】
前記痙攣性障害が小児痙攣症候群である、請求項42~44のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2021年8月6日に出願された米国仮特許出願第63/230,331号の利益を主張し、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体は、ニューロンの細胞膜に埋め込まれたリガンド依存性カチオンチャネルである。NMDA受容体の天然リガンドであるグルタミン酸によるNMDA受容体の過剰活性化は、細胞のカルシウム過負荷を引き起こし得る。これは、細胞機能を変化させ、最終的にニューロンの死を引き起こし得る細胞内事象のカスケードを引き起こす。NMDA受容体のモジュレーターは、中枢神経系における主要な興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸の過剰放出を伴う多くの障害を治療するために使用され得る。例えば、NMDA受容体のNR2Bサブタイプ選択的アンタゴニストは、NMDA受容体の非選択的アンタゴニストによって典型的に引き起こされる好ましくない副作用、すなわち、めまい、頭痛、幻覚、不快感、ならびに認知及び運動機能の障害などの精神異常作用をほとんどまたは全く有さないと予想される。障害の治療に有用なNMDA受容体モジュレーターが必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、一実施形態において、ラジプロジルを含む組成物、及びその使用方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態において、本明細書に記載されるのは、式I:
【化1】
の化合物の経口投与のために製剤化された薬学的に許容される組成物であり、この組成物は、組成物の総重量に基づいて、約0.5重量%~約15重量%の式Iの化合物;少なくとも1つの充填剤;崩壊剤;バインダー;及び界面活性剤を含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、式Iの化合物の形態Aを含む。形態Aは、以下の2θの値(度数):7.8、22.0、23.7、27.0、及び27.6±0.2°2θの間、ならびにこれらの値を含む特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられ得る。
【0006】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、式Iの化合物の形態Cを含む。形態Cは、以下の2θの値(度数):6.4、13.7、及び25.8±0.2°2θの間、ならびにこれらの値を含む特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられ得る。
【0007】
一実施形態において、本明細書に提供されるのは、式I:
【化2】
の化合物の経口投与のために製剤化された固体の薬学的に許容される組成物であり、この組成物は、組成物の総重量に基づいて、約10重量%の式Iの化合物の無水結晶形態(ここで、無水結晶形態は、以下の2θの値(度数):7.8、22.0、23.7、27.0及び27.6±0.2°2θの間、ならびにこれらの値を含む特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを有する);組成物の総重量に基づいて、マンニトール、微結晶性セルロース、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される約50重量%~80重量%の充填剤;組成物の総重量に基づいて約5重量%のクロスポビドン;組成物の総重量に基づいて約4%のポビドン;及び組成物の総重量に基づいて約1%のポリソルベートを含む。
【0008】
一実施形態において、本明細書に記載されるのは、式I:
【化3】
の化合物の経口投与のために製剤化された固体の薬学的に許容される組成物であり、この組成物は、組成物の総重量に基づいて、約1重量%の式Iの化合物の無水結晶形態(ここで、無水結晶形態は、以下の2θの値(度数):7.8、22.0、23.7、27.0及び27.6±0.2°2θの間、ならびにこれらの値を含む特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを有する);組成物の総重量に基づいて、マンニトール、微結晶性セルロース、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される約70重量%~89重量%の充填剤;組成物の総重量に基づいて約5重量%のクロスポビドン;組成物の総重量に基づいて約4%のポビドン;及び組成物の総重量に基づいて約1%のポリソルベートを含む。
【0009】
一実施形態において、本明細書に記載されるのは、式I:
【化4】
の化合物の経口投与のために製剤化された薬学的に許容される組成物であり、この組成物は、組成物の総重量に基づいて、約0.5重量%~15重量%の式Iの化合物の無水結晶形態(ここで、無水結晶形態は、以下の2θの値(度数):7.8、22.0、23.7、27.0及び27.6±0.2°2θの間、ならびにこれらの値を含む特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを有する);HPLCによって測定される場合、化合物の量に対して約0.1%~0.5%以下の不純物(例えば、6-アミノ-2-ベンゾオキサゾロン);及び1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0010】
一実施形態において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の薬学的に許容される組成物と、水性媒体とを含む薬学的に許容される水性懸濁液である。
【0011】
一実施態様において、本明細書に記載されるのは、式I:
【化5】
の化合物を約0.1mg/kg~2mg/kg経口送達するための薬学的に許容される水性懸濁液であり、この水性懸濁液は、(i)固体の薬学的に許容される組成物であって、組成物の総重量に基づいて、約10重量%の式Iの化合物の無水結晶形態(ここで、無水結晶形態は、以下の2θの値(度数):7.8、22.0、23.7、27.0及び27.6±0.2°2θの間、ならびにこれらの値を含む特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを有する);組成物の総重量に基づいて、マンニトール、微結晶性セルロース、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される約50重量%~80重量%の充填剤;組成物の総重量に基づいて約5重量%のクロスポビドン;組成物の総重量に基づいて約4%のポビドン;及び組成物の総重量に基づいて約1%のポリソルベートを含む、前記組成物;ならびに(ii)水性媒体を含む。
【0012】
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、式I:
【化6】
の化合物を約0.2mg/kg~2mg/kg経口送達するための薬学的に許容される水性懸濁液であり、この水性懸濁液は、(i)固体の薬学的に許容される組成物であって、組成物の総重量に基づいて、約1重量%の式Iの化合物の無水結晶形態(ここで、無水結晶形態は、以下の2θの値(度数):7.8、22.0、23.7、27.0及び27.6±0.2°2θの間、ならびにこれらの値を含む特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを有する);組成物の総重量に基づいて、マンニトール、微結晶性セルロース、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される約70重量%~89重量%の充填剤;組成物の総重量に基づいて約5重量%のクロスポビドン;組成物の総重量に基づいて約4%のポビドン;及び組成物の総重量に基づいて約1%のポリソルベートを含む、前記組成物;ならびに(ii)水性媒体を含む。いくつかの実施形態では、水性媒体は、デンプン系懸濁液(例えば、SYRSPEND(登録商標)SF)を含む。
【0013】
一実施形態において、本明細書に提供されるのは、式I:
【化7】
の化合物の経口投与のために製剤化された固体の薬学的に許容される組成物であり、この組成物は、組成物の総重量に基づいて、約10重量%の式Iの化合物の無水結晶形態(ここで、無水結晶形態は、以下の2θの値(度数):6.4、13.7、及び25.8±0.2°2θの間、ならびにこれらの値を含む特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを有する);組成物の総重量に基づいて、マンニトール、微結晶性セルロース、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される約50重量%~80重量%の充填剤;組成物の総重量に基づいて約5重量%のクロスポビドン;組成物の総重量に基づいて約4%のポビドン;及び組成物の総重量に基づいて約1%のポリソルベートを含む。
【0014】
一実施形態において、本明細書に記載されるのは、式I:
【化8】
の化合物の経口投与のために製剤化された固体の薬学的に許容される組成物であり、この組成物は、組成物の総重量に基づいて、約1重量%の式Iの化合物の無水結晶形態(ここで、無水結晶形態は、以下の2θの値(度数):6.4、13.7、及び25.8±0.2°2θの間、ならびにこれらの値を含む特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを有する);組成物の総重量に基づいて、マンニトール、微結晶性セルロース、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される約70重量%~89重量%の充填剤;組成物の総重量に基づいて約5重量%のクロスポビドン;組成物の総重量に基づいて約4%のポビドン;及び組成物の総重量に基づいて約1%のポリソルベートを含む。
【0015】
一実施形態において、本明細書に記載されるのは、式I:
【化9】
の化合物の経口投与のために製剤化された薬学的に許容される組成物であり、この組成物は、組成物の総重量に基づいて、約0.5重量%~15重量%の式Iの化合物の無水結晶形態(ここで、無水結晶形態は、以下の2θの値(度数):6.4、13.7、及び25.8±0.2°2θの間、ならびにこれらの値を含む特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを有する);HPLCによって測定される場合、化合物の量に対して約0.1%~0.5%以下の不純物(例えば、6-アミノ-2-ベンゾオキサゾロン);及び1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0016】
一実施形態において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の薬学的に許容される組成物と、水性媒体とを含む薬学的に許容される水性懸濁液である。
【0017】
一実施態様において、本明細書に記載されるのは、式I:
【化10】
の化合物を約0.1mg/kg~2mg/kg経口送達するための薬学的に許容される水性懸濁液であり、この水性懸濁液は、(i)固体の薬学的に許容される組成物であって、組成物の総重量に基づいて、約10重量%の式Iの化合物の無水結晶形態(ここで、無水結晶形態は、以下の2θの値(度数):6.4、13.7、及び25.8±0.2°2θの間、ならびにこれらの値を含む特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを有する);組成物の総重量に基づいて、マンニトール、微結晶性セルロース、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される約50重量%~80重量%の充填剤;組成物の総重量に基づいて約5重量%のクロスポビドン;組成物の総重量に基づいて約4%のポビドン;及び組成物の総重量に基づいて約1%のポリソルベートを含む、前記組成物;ならびに(ii)水性媒体を含む。
【0018】
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、式I:
【化11】
の化合物を約0.2mg/kg~2mg/kg経口送達するための薬学的に許容される水性懸濁液であり、この水性懸濁液は、(i)固体の薬学的に許容される組成物であって、組成物の総重量に基づいて、約1重量%の式Iの化合物の無水結晶形態(ここで、無水結晶形態は、以下の2θの値(度数):6.4、13.7、及び25.8±0.2°2θの間、ならびにこれらの値を含む特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを有する);組成物の総重量に基づいて、マンニトール、微結晶性セルロース、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される約70重量%~89重量%の充填剤;組成物の総重量に基づいて約5重量%のクロスポビドン;組成物の総重量に基づいて約4%のポビドン;及び組成物の総重量に基づいて約1%のポリソルベートを含む、前記組成物;ならびに(ii)水性媒体を含む。いくつかの実施形態では、水性媒体は、デンプン系懸濁液(例えば、SYRSPEND(登録商標)SF)を含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】1重量%及び10重量%のラジプロジル顆粒の例示的な製造プロセスを示す図である。
【
図2】溶解試験の前に再構成されなかった例示的なラジプロジルサンプルの溶解プロファイルを示す図である。
【
図3】溶解試験の前に再構成された例示的なラジプロジルサンプルの溶解プロファイルを示す図である。
【
図4】溶解試験の前に即時再構成を受けた例示的なラジプロジルサンプルの溶解プロファイルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示の特徴及び他の詳細は、ここで、より具体的に説明される。本明細書、実施例、及び添付の特許請求の範囲で用いられる、ある特定の用語がここに集められる。これらの定義は、本開示の残りの部分に照らして、当業者によって理解されるように読み取られるべきである。他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0021】
化合物
一実施形態において、本明細書中提供されるのは、式
【化12】
の化合物、またはその薬学的に許容される塩である。
【0022】
医薬組成物
別の実施形態において、本開示は、本明細書に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。特定の実施形態では、医薬組成物は、有効量の化合物を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、治療有効量の化合物を含む。
【0023】
本明細書に提供される医薬組成物は、経口(経腸)投与、非経口(注射による)投与、直腸投与、経皮投与、皮内投与、髄腔内投与、皮下(SC)投与、静脈内(IV)投与、筋肉内(IM)投与、及び鼻腔内投与を含むがこれらに限定されない種々の経路によって投与することができる。
【0024】
経口投与用の組成物は、バルク液体溶液もしくは懸濁液、またはバルク粉末の形態をとることができる。いくつかの実施形態では、組成物は、正確な投薬を容易にするために単位投薬形態で提示される。「単位剤形」という用語は、ヒト対象及び他の哺乳動物のための単位として用いられる投薬量として好適な物理的に別個の単位を指し、各単位が、好適な薬学的賦形剤と関連して、所望の治療効果がもたらされるように計算された所定の量の活性物質を含有する。典型的な単位剤形としては、液体組成物の場合には、予め充填された、予め測定されたアンプルまたはシリンジが挙げられ、固体組成物の場合には、丸薬、錠剤、カプセルなどが挙げられる。そのような組成物において、化合物は、通常、微量成分であり、残りは、所望の投薬形態を形成するのに役立つ様々なビヒクルまたは賦形剤及び加工助剤である。
【0025】
経口投与に好適な液体形態は、緩衝液、懸濁剤及び分散剤、着色剤、香料などを有する好適な水性または非水性ビヒクルを含み得る。固体形態は、例えば、以下の成分:微結晶性セルロース、トラガカントガム、またはゼラチンなどの結合剤;デンプンまたはラクトースなどの賦形剤、アルギン酸、プリモゲル、またはトウモロコシデンプンなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤;スクロースまたはサッカリンなどの甘味料;またはペパーミント、サリチル酸メチル、オレンジ香味料などの香味料のいずれか、または同様の性質の化合物を含み得る。
【0026】
注射可能な組成物は、典型的には、注射可能な滅菌生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、または当技術分野で知られている他の注射可能な賦形剤に基づいている。前述のように、そのような組成物中の活性化合物は、典型的には、微量成分であり、残りは注射可能な賦形剤などである。
【0027】
経皮組成物は、典型的には、活性成分(複数可)を含有する局所軟膏またはクリームとして製剤化される。軟膏として製剤化される場合、活性成分は、典型的には、パラフィン性または水混和性の軟膏ベースのいずれかと組み合わせられる。代替的に、活性成分は、例えば、水中油型クリームベースを有するクリーム中に製剤化され得る。そのような経皮製剤は、当該技術分野で周知であり、一般に、活性成分または製剤の安定性の皮膚浸透を高めるための追加の成分を含む。そのような全ての既知の経皮製剤及び成分は、本明細書に提供される開示範囲内に含まれる。
【0028】
本明細書に提供される化合物は、経皮デバイスによって投与することもできる。したがって、経皮投与は、リザーバまたは多孔質膜タイプ、または固体マトリックス型のいずれかのパッチを使用して達成することができる。
【0029】
経口投与可能、注射可能または局所投与可能な組成物のための上記成分は、単に代表的なものである。他の材料、ならびに処理技術などは、参照により本明細書に組み込まれる、Part 8 of Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th edition,1985,Mack Publishing Company,Easton,Pennsylvaniaに記述されている。
【0030】
本明細書に記載の薬学的に許容される組成物は、例えば本明細書に記載のような1つ以上の不純物を含み得る。例示的な不純物は、本明細書に提供される表7に列挙される化合物を含む。
【0031】
一実施形態において、本明細書に記載されるのは、式I:
【化13】
の化合物の経口投与のために製剤化された薬学的に許容される組成物であり、この組成物は、組成物の総重量に基づいて、約0.5重量%~約15重量%の式Iの化合物;少なくとも1つの充填剤;崩壊剤;バインダー;及び界面活性剤を含む。
【0032】
一部の実施形態では、組成物は、薬学的に許容される組成物の総重量に基づいて、約1重量%の化合物を含む。一部の実施形態では、組成物は、薬学的に許容される組成物の総重量に基づいて、約10重量%の化合物を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、式Iの化合物の無水結晶形態を含む。いくつかの実施形態では、無水結晶形態は、以下の2θの値(度数):7.8、22.0、23.7、27.0、及び27.6±0.2°2θの間、ならびにこれらの値を含む特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを有する。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、医薬組成物の総重量に基づいて、約10重量%~約80重量%の少なくとも1つの充填剤を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの充填剤は、製菓用糖、圧縮性糖、デキストレート、デキストリン、ブドウ糖、乳糖、マンニトール、微結晶性セルロース、粉末セルロース、ソルビトール、スクロース、タルク、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、該組成物は、2つの充填剤を含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、医薬組成物の総重量に基づいて、約1重量%~約10重量%の崩壊剤を含む。一部の実施形態では、崩壊剤は、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、微結晶性セルロース、アルファ化デンプン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、医薬組成物の総重量に基づいて、約1重量%~約10重量%のバインダーを含む。
【0033】
一部の実施形態では、バインダーは、ポビドン、デンプン(例えば、コーンスターチ及びデンプンペースト)、ゼラチン、糖類(例えば、スクロース、グルコース、デキストロース、デキストリン、糖蜜、ラクトース、ラクチトール、マンニトールなど)、天然及び合成ガム(例えば、アカシア、アルギン酸ナトリウム、アイリッシュモス抽出物、パンワールガム、ガッティガム、イサポール皮の粘液、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶性セルロース、酢酸セルロース、ポリ(ビニルピロリドン)、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(Veegum(登録商標))、及びカラマツアラボガラクタン)、アルギン酸塩、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、無機カルシウム塩、ケイ酸、ポリメタクリレート、ワックス、水、アルコール、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、医薬組成物の総重量に基づいて、約0.01重量%~約5重量%の界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポロキサマー、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、リン脂質、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、組成物は、経口溶液の顆粒である。
【0034】
一実施形態において、本明細書に提供されるのは、式I:
【化14】
の化合物の経口投与のために製剤化された固体の薬学的に許容される組成物であり、この組成物は、組成物の総重量に基づいて、約10重量%の式Iの化合物の無水結晶形態(ここで、無水結晶形態は、以下の2θの値(度数):7.8、22.0、23.7、27.0及び27.6±0.2°2θの間、ならびにこれらの値を含む特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを有する);組成物の総重量に基づいて、マンニトール、微結晶性セルロース、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される約50重量%~80重量%の充填剤;組成物の総重量に基づいて約5重量%のクロスポビドン;組成物の総重量に基づいて約4%のポビドン;及び組成物の総重量に基づいて約1%のポリソルベートを含む。
【0035】
一実施形態において、本明細書に記載されるのは、式I:
【化15】
の化合物の経口投与のために製剤化された固体の薬学的に許容される組成物であり、この組成物は、組成物の総重量に基づいて、約1重量%の式Iの化合物の無水結晶形態(ここで、無水結晶形態は、以下の2θの値(度数):7.8、22.0、23.7、27.0及び27.6±0.2°2θの間、ならびにこれらの値を含む特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを有する);組成物の総重量に基づいて、マンニトール、微結晶性セルロース、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される約70重量%~89重量%の充填剤;組成物の総重量に基づいて約5重量%のクロスポビドン;組成物の総重量に基づいて約4%のポビドン;及び組成物の総重量に基づいて約1%のポリソルベートを含む。
【0036】
一部の実施形態において、組成物は、HPLCによって測定される場合、化合物の量に対して不純物を約0.1%~0.5%以下(例えば、0.05%以下)含む。いくつかの実施形態では、組成物は、HPLCによって測定される場合、化合物の量に対して約0.1%~0.5%以下の6-アミノ-2-ベンゾオキサゾロンを含む。
【0037】
一実施形態において、本明細書に記載されるのは、式I:
【化16】
の化合物の経口投与のために製剤化された薬学的に許容される組成物であり、この組成物は、組成物の総重量に基づいて、約0.5重量%~15重量%の式Iの化合物の無水結晶形態(ここで、無水結晶形態は、以下の2θの値(度数):7.8、22.0、23.7、27.0及び27.6±0.2°2θの間、ならびにこれらの値を含む特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを有する);HPLCによって測定される場合、化合物の量に対して約0.1%~0.5%以下の不純物(例えば、6-アミノ-2-ベンゾオキサゾロン);及び1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0038】
一実施形態において、本明細書に提供されるのは、式I:
【化17】
の化合物の経口投与のために製剤化された固体の薬学的に許容される組成物であり、この組成物は、組成物の総重量に基づいて、約10重量%の式Iの化合物の無水結晶形態(ここで、無水結晶形態は、以下の2θの値(度数):6.4、13.7、及び25.8±0.2°2θの間、ならびにこれらの値を含む特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを有する);組成物の総重量に基づいて、マンニトール、微結晶性セルロース、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される約50重量%~80重量%の充填剤;組成物の総重量に基づいて約5重量%のクロスポビドン;組成物の総重量に基づいて約4%のポビドン;及び組成物の総重量に基づいて約1%のポリソルベートを含む。
【0039】
一実施形態において、本明細書に記載されるのは、式I:
【化18】
の化合物の経口投与のために製剤化された固体の薬学的に許容される組成物であり、この組成物は、組成物の総重量に基づいて、約1重量%の式Iの化合物の無水結晶形態(ここで、無水結晶形態は、以下の2θの値(度数):6.4、13.7、及び25.8±0.2°2θの間、ならびにこれらの値を含む特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを有する);組成物の総重量に基づいて、マンニトール、微結晶性セルロース、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される約70重量%~89重量%の充填剤;組成物の総重量に基づいて約5重量%のクロスポビドン;組成物の総重量に基づいて約4%のポビドン;及び組成物の総重量に基づいて約1%のポリソルベートを含む。
【0040】
一実施形態において、本明細書に記載されるのは、式I:
【化19】
【0041】
の化合物の経口投与のために製剤化された薬学的に許容される組成物であり、この組成物は、組成物の総重量に基づいて、約0.5重量%~15重量%の式Iの化合物の無水結晶形態(ここで、無水結晶形態は、以下の2θの値(度数):6.4、13.7、及び25.8±0.2°2θの間、ならびにこれらの値を含む特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを有する);HPLCによって測定される場合、化合物の量に対して約0.1%~0.5%以下の不純物(例えば、6-アミノ-2-ベンゾオキサゾロン);及び1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、HPLCによって測定される場合、化合物の量に対して約0.5%以下の不純物(例えば、6-アミノ-2-ベンゾオキサゾロン)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、HPLCによって測定される場合、化合物の量に対して約0.05%以下の不純物(例えば、6-アミノ-2-ベンゾオキサゾロン)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、25℃で約6か月間60%相対湿度に曝露した場合に比べて、約0.5%以下の不純物(例えば、6-アミノ-2-ベンゾオキサゾロン)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、25℃で約6か月間60%相対湿度に曝露した場合に比べて、約0.05%以下の不純物(例えば、6-アミノ-2-ベンゾオキサゾロン)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、25℃で約36か月間60%相対湿度に曝露した場合に比べて、約0.5%以下の不純物(例えば、6-アミノ-2-ベンゾオキサゾロン)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、25℃で約36か月間60%相対湿度に曝露した場合に比べて、約0.05%以下の不純物(例えば、6-アミノ-2-ベンゾオキサゾロン)を含む。一部の実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて約10%の無水結晶形態を含む。一部の実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて約1%の無水結晶形態を含む。一部の実施形態では、37℃、75rpmのパドル速度でUSPIIパドル装置を使用して900mLのラウリル硫酸ナトリウム水溶液中で組成物を試験した場合、組成物は30分後に化合物の少なくとも80%を放出する。一部の実施形態では、組成物を再構成の少なくとも1分~約24時間後に水性媒体中で攪拌する場合、組成物は化合物の少なくとも80%(例えば、少なくとも90%または少なくとも95%)を放出する。いくつかの実施形態では、水性媒体は、デンプン系懸濁液を含む。一実施形態において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の薬学的に許容される組成物と、水性媒体とを含む薬学的に許容される水性懸濁液である。いくつかの実施形態では、水性媒体は、デンプン系懸濁液(例えば、SYRSPEND(登録商標)SF)を含む。
【0042】
一実施態様において、本明細書に記載されるのは、式I:
【化20】
の化合物を約0.1mg/kg~2mg/kg経口送達するための薬学的に許容される水性懸濁液であり、この水性懸濁液は、(i)固体の薬学的に許容される組成物であって、組成物の総重量に基づいて、約10重量%の式Iの化合物の無水結晶形態(ここで、無水結晶形態は、以下の2θの値(度数):7.8、22.0、23.7、27.0及び27.6±0.2°2θの間、ならびにこれらの値を含む特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを有する);組成物の総重量に基づいて、マンニトール、微結晶性セルロース、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される約50重量%~80重量%の充填剤;組成物の総重量に基づいて約5重量%のクロスポビドン;組成物の総重量に基づいて約4%のポビドン;及び組成物の総重量に基づいて約1%のポリソルベートを含む、前記組成物;ならびに(ii)水性媒体を含む。
【0043】
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、式I:
【化21】
の化合物を約0.2mg/kg~2mg/kg経口送達するための薬学的に許容される水性懸濁液であり、この水性懸濁液は、(i)固体の薬学的に許容される組成物であって、組成物の総重量に基づいて、約1重量%の式Iの化合物の無水結晶形態(ここで、無水結晶形態は、以下の2θの値(度数):7.8、22.0、23.7、27.0及び27.6±0.2°2θの間、ならびにこれらの値を含む特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを有する);組成物の総重量に基づいて、マンニトール、微結晶性セルロース、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される約70重量%~89重量%の充填剤;組成物の総重量に基づいて約5重量%のクロスポビドン;組成物の総重量に基づいて約4%のポビドン;及び組成物の総重量に基づいて約1%のポリソルベートを含む、前記組成物;ならびに(ii)水性媒体を含む。いくつかの実施形態では、水性媒体は、デンプン系懸濁液(例えば、SYRSPEND(登録商標)SF)を含む。
【0044】
一実施態様において、本明細書に記載されるのは、式I:
【化22】
の化合物を約0.1mg/kg~2mg/kg経口送達するための薬学的に許容される水性懸濁液であり、この水性懸濁液は、(i)固体の薬学的に許容される組成物であって、組成物の総重量に基づいて、約10重量%の式Iの化合物の無水結晶形態(ここで、無水結晶形態は、以下の2θの値(度数):6.4、13.7、及び25.8±0.2°2θの間、ならびにこれらの値を含む特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを有する);組成物の総重量に基づいて、マンニトール、微結晶性セルロース、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される約50重量%~80重量%の充填剤;組成物の総重量に基づいて約5重量%のクロスポビドン;組成物の総重量に基づいて約4%のポビドン;及び組成物の総重量に基づいて約1%のポリソルベートを含む、前記組成物;ならびに(ii)水性媒体を含む。
【0045】
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、式I:
【化23】
の化合物を約0.2mg/kg~2mg/kg経口送達するための薬学的に許容される水性懸濁液であり、この水性懸濁液は、(i)固体の薬学的に許容される組成物であって、組成物の総重量に基づいて、約1重量%の式Iの化合物の無水結晶形態(ここで、無水結晶形態は、以下の2θの値(度数):6.4、13.7、及び25.8±0.2°2θの間、ならびにこれらの値を含む特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを有する);組成物の総重量に基づいて、マンニトール、微結晶性セルロース、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される約70重量%~89重量%の充填剤;組成物の総重量に基づいて約5重量%のクロスポビドン;組成物の総重量に基づいて約4%のポビドン;及び組成物の総重量に基づいて約1%のポリソルベートを含む、前記組成物;ならびに(ii)水性媒体を含む。いくつかの実施形態では、水性媒体は、デンプン系懸濁液(例えば、SYRSPEND(登録商標)SF)を含む。
【0046】
使用方法
本開示は、一実施形態において、対象にラジプロジルまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、対象における障害を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、対象は、小児対象である。
【0047】
一部の実施形態において、障害は、てんかん性障害である。一部の実施形態では、障害は、小児痙攣症候群である。一部の実施形態では、障害は、GRIN2B、GRIN2A、GRIN1、及びGRIN2DなどのNMDAグルタミン酸受容体サブユニットの突然変異を特徴とする遺伝的障害、またはNDMA受容体サブユニットNR2Bの過剰発現を特徴とする皮質発生の悪化によって決定される他のてんかん性障害(例えば、局所皮質異形成及び結節性硬化複合体)を含む、形質または状態の過剰活性なグルタミン酸作動性伝達を特徴とする脳障害である。
【0048】
一実施形態では、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の医薬組成物または本明細書に記載の薬学的に許容される懸濁液を対象に投与することを含む、治療を必要とする対象の痙攣性障害を治療する方法。一部の実施形態では、痙攣性障害はてんかんである。いくつかの実施形態では、対象は、小児対象である。一部の実施形態では、痙攣性障害は、小児痙攣症候群である。
【0049】
定義
「薬学的に許容される塩」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答などなしにヒト及び下位動物の組織と接触して使用するのに好適であり、かつ合理的な利益/リスク比に見合う塩を指す。薬学的に許容される塩は、当技術分野で周知である。例えば、Berge et al.は、J.Pharmaceutical Sciences(1977)66:1-19で薬学的に許容される塩を詳細に説明する。本開示の化合物の薬学的に許容される塩には、好適な無機及び有機の酸及び塩基に由来するものが含まれる。薬学的に許容される非毒性の酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過塩素酸のような無機酸を用いて、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸のような有機酸を用いて、あるいはイオン交換などの当技術分野において使用される他の方法を使用することによって形成される、アミノ基の塩である。他の薬学的に許容される塩は、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩を含む。適切な塩基に由来する薬学的に許容される塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、及びN+(C1-4アルキル)4塩を含む。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどを含む。さらなる薬学的に許容される塩は、適切な際に、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩、及びアリールスルホン酸塩などの対イオンを使用して形成される非毒性アンモニウム、第四級アンモニウム、及びアミンカチオンを含む。
【0050】
投与が企図される「対象」としては、ヒト(すなわち、任意の年齢群の男性または女性、例えば、小児対象(例えば、乳児、小児、思春期)または成人対象(例えば、若年成人、中年成人または高齢成人))及び/または非ヒト動物、例えば、霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル)、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、げっ歯類、ネコ、及び/またはイヌなどの哺乳動物が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、対象は、ヒトである。ある特定の実施形態では、対象は、非ヒト動物である。用語「ヒト」、「患者」、及び「対象」は、本明細書で交換可能に使用される。
【0051】
疾患、障害、及び状態は、本明細書で交換可能に使用される。
【0052】
本明細書で使用される場合、かつ別段指定されない限り、「治療する」、「治療すること」及び「治療」という用語は、対象が指定された疾患、障害または状態に罹患している間に起こり、疾患、障害もしくは状態の重症度を低減するか、または疾患、障害もしくは状態の進行を遅延させるもしくは遅らせる作用を企図し(「治療的治療」)、また、対象が指定された疾患、障害または状態に罹患し始める前に起こる作用(「予防的治療」)も企図する。
【0053】
一般に、化合物の「有効量」とは、所望の生物学的応答を誘発するのに十分な量を指す。当業者には理解されるであろうように、本開示の化合物の有効量は、所望の生物学的エンドポイント、化合物の薬物動態、治療されている疾患、投与様式、及び対象の年齢、健康、及び状態などの要因に応じて変化し得る。
【0054】
本明細書で使用される場合、かつ別段指定されない限り、化合物の「治療有効量」は、疾患、障害、もしくは状態の治療に治療的利点を提供するか、または疾患、障害、もしくは状態に関連する1つ以上の症状を遅延もしくは最小化するのに十分な量である。化合物の治療有効量は、単独での、または疾患、障害、もしくは状態の治療に治療的利点を提供する他の療法と組み合わせた治療薬の量を意味する。「治療有効量」という用語は、全体的な療法を改善するか、疾患もしくは状態の症状もしくは病因を低減もしくは回避するか、または別の治療薬の治療効力を増強する量を包含し得る。
【0055】
代替の実施形態
代替の実施形態では、本明細書に記載の化合物はまた、1つ以上の同位体置換を含んでもよい。例えば、水素は、2H(Dまたは重水素)または3H(Tまたはトリチウム)であり得、炭素は、例えば、13Cまたは14Cであり得、酸素は、例えば、18Oであり得、窒素は、例えば、15Nなどであり得る。他の実施形態では、特定の同位体(例えば、3H、13C、14C、18O、または15N)は、化合物の特定の部位を占める元素の総同位体存在量の少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または少なくとも99.9%を表すことができる。
【0056】
「ラジプロジル」とは、本明細書に記載の式Iの化合物を指し、構造:
【化24】
を有する。
【0057】
ラジプロジルは、NMDA(N-メチルD-アスパラギン酸)受容体の負のアロステリックモジュレーターである。本明細書に記載の「ラジプロジル原薬」とは、ラジプロジルの二水和物を指す。
【実施例】
【0058】
本明細書に提供される化合物は、以下の一般の方法及び手順を使用して、容易に入手可能な出発材料から調製され得る。典型的または好ましいプロセス条件(すなわち、反応温度、時間、反応物のモル比、溶媒、圧力など)が与えられる場合、特に明記しない限り、他のプロセス条件も使用することができることを理解されたい。最適な反応条件は、使用される特定の反応物または溶媒によって異なり得るが、そのような条件は、日常的な最適化によって当業者によって決定することができる。
【0059】
略語:ACN:アセトニトリル;LOQ:定量限界;NMT:以下;
【0060】
実施例1.ラジプロジルの合成。
ラジプロジルの例示的な合成は、国際公開WO2003/010159に提供され、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0061】
実施例2.ラジプロジルの形態Aの調製。
ラジプロジル形態Aの例示的な調製及び特徴付けは、米国特許出願公開第2012/0059034に提供され、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0062】
実施例3.ラジプロジル薬物顆粒。
小児用の製剤は、多単位経口剤形として開発された。このアプローチは、投与前に流動床造粒機における湿式造粒プロセスによって、再構成できる高分散性顆粒を開発することであった。
【0063】
経口懸濁剤のためのラジプロジル顆粒の製造プロセスは、流動床造粒機中での造粒と、それに続くボトル中での最終顆粒の充填とからなる。ラジプロジル顆粒は、現行のGood Manufacturing Practice(cGMP)にしたがって製造される。記載されている機器は、類似の性能を有する任意の機器によって置き換えられてもよい。経口懸濁用のラジプロジル顆粒の製造プロセスのフロー図を
図1に示す。
【0064】
異なる顆粒プロトタイプは、充填剤、界面活性剤、バインダー、及び崩壊剤に関して異なる定性的組成物を用いて、常に小児用製剤に適した賦形剤を用いて製造された。製剤開発中、流動床造粒を介して製造されたすべての顆粒プロトタイプが、ラジプロジルの形態Aを含んでいることが観察された。したがって、製造プロセスは、造粒プロセスの終了時の乾燥ステップを通して、二水和物形態を形態Aに完全に変換できるように最適化された。
【0065】
以下に示す製造配合は、1kgの顆粒の理論上のバッチサイズに対応する。他のバッチサイズの場合、すべての成分の量は、比例して調整される。
【0066】
1%ラジプロジル及び10%ラジプロジル薬物顆粒についての1kgバッチ配合を、それぞれ以下の表1及び表3に提供する。1%ラジプロジル及び10%ラジプロジル薬物顆粒のボトル充填ステップを、それぞれ表2及び表4に提供する。
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
流動床造粒機における造粒プロセスのスケールアップを行い、顆粒を1kgスケールで製造した。プロセス条件は、最終顆粒のXRPDパターンをチェックして、二水和物形態(ラジプロジル原薬)の形態Aへの完全な変換を得る目的で設定した。試験は、形態Aのみを含有する最終生成物を得るためのそのような手順の実行可能性を実証した。
【0072】
最後に、スケールアップ試験からのプロセス条件を適用することによって、ICH安定性試験のために、1kgスケールで、10%薬物負荷で1つのGMPバッチを首尾よく製造した。
【0073】
実施例3.1%ラジプロジル顆粒。
実施例3に記載のプロセスから、ラジプロジル薬物生成物を経口懸濁用ボトル中の顆粒として供給する。1%ラジプロジル薬物負荷の顆粒を、ポリプロピレン製の子供に安全なキャップが付いた60mL丸型琥珀色III型ガラス瓶に充填する。
【0074】
ラジプロジル1%薬物生成物顆粒に使用される成分の定量的組成を表5に提供する。使用されるすべての賦形剤は、造粒プロセスで一般的に使用される標準的な公定賦形剤である。
【0075】
【0076】
実施例4.10%ラジプロジル顆粒。
実施例3に記載のプロセスから、ラジプロジル薬物生成物を経口懸濁用ボトル中の顆粒として供給する。10%薬物負荷の顆粒を、ポリプロピレン製の子供に安全なキャップが付いた60mL丸型琥珀色III型ガラス瓶に充填する。
【0077】
ラジプロジル10%薬物生成物に使用される成分の定量的組成を表6に提供する。使用されるすべての賦形剤は、造粒プロセスで一般的に使用される標準的な公定賦形剤である。
【0078】
【0079】
実施例5.1%及び10%ラジプロジル顆粒の懸濁液。
1%及び10%のラジプロジル薬物負荷顆粒(それぞれ実施例2及び実施例3)を、40mLの希釈剤(4mLの飲料水及び36mLのSYRSPEND(登録商標)SF)を添加することによって即時に調製される懸濁液として再構成する。
【0080】
実施例6.ラジプロジル薬物顆粒の不純物及び安定性分析。
ラジプロジル原薬及び顆粒中の不純物を分析した。
【0081】
ラジプロジルの同定にはHPLC-DAD法を用いる。保持時間及びDADスペクトルは、ラジプロジルの参照標準を用いて得られるものと同じ特徴を有していなければならない。
【0082】
HPLC法を、ラジプロジルのアッセイ及び経口懸濁用のラジプロジル顆粒における分解生成物の決定のために使用する。原薬の定量は、サンプルのピーク面積を、参照溶液の対応するピークと比較することによって行われる(外部標準法)。分解生成物の定量は、ブランク溶液のクロマトグラムに含まれないまたは賦形剤に由来するすべてのピークの合計を0.05%以上とした面積百分率で行う。
【0083】
HPLC法を用いて、経口懸濁液用のラジプロジル顆粒中の不純物6-アミノ-2-ベンゾオキサゾロンのレベルを決定する。定量は、サンプルのピーク面積を、参照溶液のピークと比較することによって行われる(外部標準法)。
【0084】
ラジプロジル原薬バッチ中の潜在的な有機不純物と観察された有機不純物を表7に示す。
【0085】
【0086】
それぞれ実施例3及び実施例4に記載のものなどの1%及び10%の顆粒の安定性及び不純物分析、ならびに再構成された製剤を研究した。表8は、25℃/60%相対湿度(RH)で貯蔵された1%ラジプロジル顆粒の様々な時点での安定性データ及び不純物プロファイルを示す。表9は、40℃/75%相対湿度で貯蔵された1%ラジプロジル顆粒の様々な時点での安定性データ及び不純物プロファイルを示す。
【0087】
【0088】
【0089】
表10は、40℃/75%相対湿度で貯蔵された10%ラジプロジル顆粒の様々な時点での安定性データ及び不純物プロファイルを示す。
【0090】
【0091】
実施例7.ラジプロジル組成物の溶解プロファイル。
この研究は、溶解試験の前に、SYRSPEND(登録商標)及び水における再構成を伴う及び伴わない2つの薬物負荷を含む、ラジプロジル原薬及び薬物製品に対して実施された溶解実験を要約する。
【0092】
すべての溶解実験を6つの容器で行い、それらの平均を用いて比較曲線をプロットした。
【0093】
溶解の前に、Syrpend(登録商標)及び水における再構成を使用して、いくつかの溶解実験を行った。その場合、溶解試験の前に、再構成を調製し、一晩攪拌した。臨床薬局マニュアルを模倣するために、追加の試験を即時懸濁液で行った(溶解前に15分間攪拌)。
【0094】
実験で使用した溶解及び高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)パラメーターを、それぞれ以下の表11及び表12に示す。
【0095】
【0096】
【0097】
溶解試験の前にSYRSPEND(登録商標)SF及び水に再構成を行わない溶解実験
ラジプロジルを、二水和物及び形態A、ならびに形態A含有顆粒(上記の1%及び10%)及び二水和物と形態Aとの配合物(二水和物形態と形態Aの1%及び10%の配合物)として、ラウリル硫酸ナトリウム(水中0.5%)中での溶解試験に供した。
【0098】
例示的な溶解プロファイルを
図2に示す。二水和物形態の溶解プロファイルは、無水形態Aの一つより水性媒体中でより迅速に現れる。この観察は、無水形態Aが水の存在下でさえ二水和物よりも安定であることを示す安定性研究の結果を裏付けている。
【0099】
溶解試験の前にSYRSPEND(登録商標)SF及び水に再構成を行った溶解実験
ラジプロジルを、二水和物及び形態A、ならびに形態A含有顆粒(上記の1%及び10%)及び二水和物と形態Aとの配合物(二水和物形態と形態Aの1%及び10%の配合物)として、まずSYRSPEND(登録商標)と水との混合物中で再構成し、24時間撹拌した。懸濁液を引き続き溶解試験に供した。
【0100】
例示的な溶解プロファイルを
図3に示す。溶解試験(一晩撹拌)の前にSYRSPEND(登録商標)と水との混合物において再構成した配合物では、二水和物形態または無水形態Aを有する10%配合物間に差異は観察されない。この観察は、SYRSPEND(登録商標)及び水における再構成により、ラジプロジル原薬の固体形態との違いを滑らかにすることができることを明らかにしている(おそらく、より良好な濡れ性及び均一性に起因する)。
【0101】
溶解試験の前にSYRSPEND(登録商標)SF及び水に即時再構成を行った溶解実験
再構成された溶液の時間の影響を評価するために、SYRSPEND(登録商標)及び水における1%ラジプロジル形態A顆粒の即時溶液を、溶解試験の15分前に調製し、SYRSPEND(登録商標)及び水において再構成された1%ラジプロジル形態A顆粒と24時間比較した。例示的なプロファイルを
図4に示す。即時再構成した顆粒と、溶解試験の24時間の前に再構成した顆粒との間で、溶解プロファイルの差異は観察されなかった。
【0102】
実施例8.ラジプロジルの形態Cの調製。
ラジプロジル形態Cの例示的な調製及び特徴付けは、米国特許出願公開第2012/0010044に提供され、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0103】
均等物
当業者であれば、単なる日常的な実験を使用して、本明細書に具体的に記載される特定の実施形態の多数の等価物を認識するか、または確認することができるであろう。そのような同等物は、以下の特許請求の範囲内に包含されることが企図される。
【国際調査報告】