(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-02
(54)【発明の名称】橋アプローチ杭基礎用分散型グラウト圧入装置及び方法
(51)【国際特許分類】
E02D 5/34 20060101AFI20240726BHJP
【FI】
E02D5/34 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505455
(86)(22)【出願日】2023-08-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-07-25
(85)【翻訳文提出日】2024-01-29
(86)【国際出願番号】 CN2023110673
(87)【国際公開番号】W WO2023237133
(87)【国際公開日】2023-12-14
(31)【優先権主張番号】202310784664.0
(32)【優先日】2023-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521485601
【氏名又は名称】中鉄四局集団有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHINA TIESIJU CIVIL ENGINEERING GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 96, Wangjiang East Road, Baohe District, Hefei City, Anhui Province, 230023, China
(71)【出願人】
【識別番号】523097514
【氏名又は名称】中▲鉄▼四局集▲団▼第一工程有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼▲広▼瑜
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼律君
(72)【発明者】
【氏名】▲ゴン▼灼
(72)【発明者】
【氏名】牟林
(72)【発明者】
【氏名】▲韋▼▲ル▼
(72)【発明者】
【氏名】胡柱奎
(72)【発明者】
【氏名】▲衛▼志▲遠▼
(72)【発明者】
【氏名】杜宇
【テーマコード(参考)】
2D041
【Fターム(参考)】
2D041AA01
2D041BA01
2D041DA01
2D041EB05
(57)【要約】
【課題】 橋アプローチ杭基礎用分散型グラウト圧入装置及び方法である。
【解決手段】 橋アプローチ杭基礎用分散型グラウト圧入装置は、グラウト圧入管と、グラウト排出バルブと、グラウト止めバルブと、を含み、グラウト止めバルブは、グラウト注入管と圧力チャージ管とを含み、グラウト注入管は、一端がグラウト供給管によってグラウト注入ポンプに接続され、他端がクローズドエンドであり、グラウト注入管の中央部には、グラウト排出口が設けられ、グラウト注入管の両端のそれぞれには、バルーンが嵌着され、グラウト注入管の両端に位置されているバルーンは、圧力チャージ管によって直列接続され、2つのバルーンは、それぞれ、複数のグラウト排出バルブのうちの1つの両側を塞ぐことによって、グラウト注入管、グラウト排出口及び対応するグラウト排出バルブでグラウト注入チャネルを形成する。グラウト止めバルブを設けることは、異なるグラウト排出バルブに対して、独立してグラウト注入を行うことができ、それによってグラウト注入効果を保証し、グラウト注入後の杭身沈降防止性能を高めることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラウト圧入管であって、複数の前記グラウト圧入管が鉄筋籠の内側に対応的に分布され、鉄筋籠の周方向に対して均等に分布されているグラウト圧入管と、
グラウト排出バルブであって、複数の前記グラウト排出バルブが前記グラウト圧入管に均一に分布され、径方向に沿って前記鉄筋籠の外周面から突出されているグラウト排出バルブと、
前記グラウト圧入管の内に対応的に設けられ、前記グラウト圧入管の軸方向に沿ってスライド自在に装着されているグラウト止めバルブと、
を含む橋アプローチ杭基礎用分散型グラウト圧入装置であって、
前記グラウト止めバルブは、グラウト注入管と圧力チャージ管とを含み、前記グラウト注入管は、一端がグラウト供給管によってグラウト注入ポンプに接続され、他端がクローズドエンドであり、前記グラウト注入管の中央部には、グラウト排出口が設けられ、前記グラウト注入管の両端のそれぞれには、バルーンが嵌着され、前記グラウト注入管の両端に位置されている前記バルーンは、圧力チャージ管によって直列接続され、2つの前記バルーンは、それぞれ、複数の前記グラウト排出バルブのうちの1つの両側を塞ぐことによって、前記グラウト注入管、前記グラウト排出口及び対応する前記グラウト排出バルブでグラウト注入チャネルを形成する、
ことを特徴とする橋アプローチ杭基礎用分散型グラウト圧入装置。
【請求項2】
前記バルーンは、筒状構造であり、両端がそれぞれ端板によって前記グラウト注入管に固定され、2つの前記バルーンの隣接の端板の間には、前記圧力チャージ管によって連通し、前記グラウト注入管のクローズドエンドから離れる前記バルーンは、ガス供給管によってエアポンプに対応的に接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の橋アプローチ杭基礎用分散型グラウト圧入装置。
【請求項3】
前記グラウト供給管及び前記ガス供給管は一体成形されているか、または接着で一体的に接続されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の橋アプローチ杭基礎用分散型グラウト圧入装置。
【請求項4】
前記グラウト排出バルブは、前記グラウト圧入管に対応的に接続されている三方管であり、前記三方管のうちの1つのパイプは、前記鉄筋籠の径方向に延び、前記三方管の中央パイプ端部にはバックストップが設けられ、前記バックストップは中央パイプ端部に対応的に嵌着されている弾性スリーブである、
ことを特徴とする請求項1に記載の橋アプローチ杭基礎用分散型グラウト圧入装置。
【請求項5】
前記グラウト注入管のクローズドエンドは、プランジャによって着脱可能にシールされている、
ことを特徴とする請求項1に記載の橋アプローチ杭基礎用分散型グラウト圧入装置。
【請求項6】
前記グラウト圧入管の下端は鋭いシールエンドであり、前記グラウト圧入管の下端は杭孔の底部に挿入され、前記グラウト圧入管の杭孔の底部に挿入れている部分の側部には、グラウト圧入口が設けられ、前記グラウト圧入管にはグラウト圧入口に対応するゴムスリーブが嵌着されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の橋アプローチ杭基礎用分散型グラウト圧入装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の橋アプローチ杭基礎用分散型グラウト圧入装置によってグラウト圧入を行う橋アプローチ杭基礎用分散型グラウト圧入方法であって、
鉄筋籠の加工時にグラウト圧入管及びグラウト排出バルブを同期にバインドするステップS1と、
底部をクリーニングした後、鉄筋籠を杭孔の底部に放置し、杭孔の内にコンクリートを注入するステップS2と、
グラウト止めバルブを複数の前記グラウト圧入管のうちの1つの内に入れ、グラウト止めバルブの中央部のグラウト排出口をグラウト圧入管の最下部のグラウト排出バルブに正対させるステップS3と、
2つのバルーンにガスを供給し、2つのバルーンを膨張させた後、対応的なグラウト排出バルブの両側をシールし、グラウト注入管の内にグラウトを供給して、グラウト注入管と、グラウト排出口と、対応的なグラウト排出バルブとでグラウト注入チャネルを形成し、杭孔の外周にグラウト注入を行うステップS4と、
グラウト排出バルブに下から順にグラウト注入を行い、複数の前記グラウト圧入管のうちの1つのすべてのグラウト排出バルブのグラウト注入操作が完了した後、すべてのグラウト圧入管のグラウト注入が完了するまで次のグラウト圧入管のグラウト注入を行うステップS5と、を含む、
ことを特徴とする橋アプローチ杭基礎用分散型グラウト圧入方法。
【請求項8】
ステップS3において、コンクリート灌流の24時間以内にグラウト排出バルブを開栓し、開栓時に、グラウト止めバルブを介してグラウト排出バルブに清水を順次に注入し、水圧が低下した後、閉じて注水を停止し、開栓を完了する、
ことを特徴とする請求項7に記載の橋アプローチ杭基礎用分散型グラウト圧入方法。
【請求項9】
杭身のコンクリートが設計強度の85%に達した後、測定管により杭身の完全性検査を行い、検査結果に基づいて各グラウト排出バルブに対応するグラウト圧入量を設定する、
ことを特徴とする請求項7に記載の橋アプローチ杭基礎用分散型グラウト圧入方法。
【請求項10】
グラウト圧入の時に、グラウト圧入管のうちの1つのグラウト排出バルブのグラウト圧入量が設定要件に達していない場合、圧入されていないグラウト量はその上側または下側のグラウト排出バルブによって圧入する、
ことを特徴とする請求項9に記載の橋アプローチ杭基礎用分散型グラウト圧入方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は橋梁杭基礎施工の技術分野に属し、具体的には橋アプローチ杭基礎用分散型グラウト圧入装置(distributed pressure-grouting device for a bridge approach pile foundation)及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ボアホールパイル工法技術は、工事建設分野で一般的に採用されているものであり、最近の20年間に、中国のインフラ建設の急速な発展に伴い、地盤支持力に対する要求がますます高くなる一方、杭身支持力に対する要求も絶えず向上している。しかしながら、後グラウト圧入技術は、杭身支持力を明らかに高めることができるため、広く応用されている。従来技術では、グラウト注入管が鉄筋籠にバインドされ、グラウト注入管の側部のグラウト注入口によってグラウト注入を行い、杭身のコンクリートの灌流を行う際、各グラウト注入後のグラウト注入の圧力の強さが一致しており、異なる標高位置に対してグラウト注入の圧力の強さの調整を行うことができない。
【0003】
したがって、上記従来技術の不足に対して改善した技術案を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記従来技術における不足を克服し、橋アプローチ杭基礎用分散型グラウト圧入装置及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するために、以下のような技術的手段を提供する。
【0006】
グラウト圧入管であって、複数の前記グラウト圧入管が鉄筋籠の内側に対応的に分布され、鉄筋籠の周方向に対して均等に分布されているグラウト圧入管と、グラウト排出バルブであって、複数の前記グラウト排出バルブが前記グラウト圧入管に均一に分布され、径方向に沿って前記鉄筋籠の外周面から突出されているグラウト排出バルブと、前記グラウト圧入管の内に対応的に設けられ、前記グラウト圧入管の軸方向に沿ってスライド自在に装着されているグラウト止めバルブと、を含む橋アプローチ杭基礎用分散型グラウト圧入装置であって、前記グラウト止めバルブは、グラウト注入管と圧力チャージ管とを含み、前記グラウト注入管は、一端がグラウト供給管によってグラウト注入ポンプに接続され、他端がクローズドエンド(closed end)であり、前記グラウト注入管の中央部には、グラウト排出口が設けられ、前記グラウト注入管の両端のそれぞれには、バルーン(balloon)が嵌着され、前記グラウト注入管の両端に位置されている前記バルーンは、圧力チャージ管によって直列接続され、2つの前記バルーンは、それぞれ、複数の前記グラウト排出バルブのうちの1つの両側を塞ぐことによって、前記グラウト注入管、前記グラウト排出口及び対応する前記グラウト排出バルブでグラウト注入チャネルを形成する、橋アプローチ杭基礎用分散型グラウト圧入装置。
【0007】
上記の橋アプローチ杭基礎用分散型グラウト圧入装置によってグラウト圧入を行う橋アプローチ杭基礎用分散型グラウト圧入方法であって、鉄筋籠の加工時にグラウト圧入管及びグラウト排出バルブを同期にバインドするステップS1と、底部をクリーニングした後、鉄筋籠を杭孔の底部に放置し、杭孔の内にコンクリートを注入するステップS2と、グラウト止めバルブを複数の前記グラウト圧入管のうちの1つの内に入れ、グラウト止めバルブの中央部のグラウト排出口をグラウト圧入管の最下部のグラウト排出バルブに正対させるステップS3と、2つのバルーンにガスを供給し、2つのバルーンを膨張させた後、対応的なグラウト排出バルブの両側をシールし、グラウト注入管の内にグラウトを供給して、グラウト注入管と、グラウト排出口と、対応的なグラウト排出バルブとでグラウト注入チャネルを形成し、杭孔の外周にグラウト注入を行うステップS4と、グラウト排出バルブに下から順にグラウト注入を行い、複数の前記グラウト圧入管のうちの1つのすべてのグラウト排出バルブのグラウト注入操作が完了した後、すべてのグラウト圧入管のグラウト注入が完了するまで次のグラウト圧入管のグラウト注入を行うステップS5と、を含む、橋アプローチ杭基礎用分散型グラウト圧入方法。
【有益な効果】
【0008】
ボアホールパイルは、杭を形成した後、予め埋設されたグラウト排出バルブによってグラウトセメントスラリーを杭側土層に圧入し、グラウトが杭周の泥皮に対して浸透、充填、圧密、割れ、固着などの作用を果たすことによって杭側土の強度を増強させ、それによって杭基の限界荷重力を高め、沈み量を減少させる効果を達成する。
【0009】
グラウト止めバルブを設けることは、異なるグラウト排出バルブに対して、独立してグラウト注入を行うことができ、それによってグラウト注入効果を保証し、グラウト注入後の杭身沈降防止性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】最も下のリングチューブに対してグラウト注入を行う模式図である。
【
図3】杭端に対してグラウト注入を行う模式図である。
【
図6】グラウト排出バルブが挿入管(insertion pipe)を追加した後の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1~6に示すように、橋アプローチ杭基礎用分散型グラウト圧入装置は、グラウト圧入管1と、グラウト排出バルブ3と、グラウト止めバルブ6とを含み、グラウト圧入管1は、複数あってもよく、具体的には3~6個であり、好ましくは4個であり、複数のグラウト圧入管1が鉄筋籠の内側に対応的に分布され、鉄筋籠の周方向に対して均等に分布され、グラウト圧入管1は、バインドまたは溶接で鉄筋籠と固定する。
【0012】
複数のグラウト排出バルブ3がグラウト圧入管1に均一に分布され、径方向に沿って鉄筋籠の外周面から突出され、グラウト注入効果をさらに保証するために、グラウト排出バルブ3は径方向に沿って鉄筋籠の外周面から突出して杭孔の内壁に抵触することができ、これによりグラウト注入効果を高めており、同じグラウト圧入管1に杭底から5mごとにグラウト排出バルブ3を設ける。グラウト止めバルブ6は、グラウト圧入管1の内に対応的に設けられ、グラウト圧入管1の軸方向に沿ってスライド自在に装着されていることにより、正確なポイント式のグラウト注入を実現することができ、実際の需要に応じて異なる標高に対して異なるグラウト圧力を採用し、異なるグラウト圧入量を予め設定することができる。
【0013】
同じ長手方向の複数のグラウト排出バルブ3はグラウト圧入管1によって直列接続されており、一つのグラウト圧入管1によって異なる標高の複数のグラウト排出バルブ3のポイントに対してグラウト注入を行うことができ、これによって実際の需要に応じて異なる標高に対して異なるグラウト圧力を採用し、異なるグラウト圧入量を予め設定することができる。
【0014】
グラウト止めバルブ6は、グラウト注入管604と圧力チャージ管602とを含み、グラウト止めバルブ6は、グラウト圧入管1の内に対応的に設けられ、グラウト圧入管1の軸方向に沿ってスライド自在に装着されており、グラウト止めバルブ6がグラウト圧入管1に沿ってスライドするにつれて、複数のグラウト排出バルブ3を通過することができ、それによって異なるポイントのグラウト排出バルブ3に対して、独立してグラウト注入を行うことができる。グラウト注入管604は金属管であり、グラウト注入管604の一端はグラウト供給管によってグラウト注入ポンプに接続され、グラウト注入ポンプによってグラウト注入を行い、グラウト注入管604の他端はクローズドエンドである。
【0015】
グラウト注入管604の中央部には、1つまたは複数の穿孔であるグラウト排出口が設けられており、グラウト注入管604の両端のそれぞれには、バルーン601が嵌着され、グラウト注入管604の両端に位置されているバルーン601は、圧力チャージ管602によって直列接続され、バルーン601はゴム材質であり、充放気を繰り返して使用し、各グラウト排出バルブ3に対応するポイントに対してグラウト注入を行うことができる。
【0016】
バルーン601内に充気した後、バルーン601が膨張してグラウト圧入管1の内壁に抵触し、シールを形成し、グラウト止めバルブ6をグラウト注入しようとするグラウト排出バルブ3の箇所に放置し、2つのバルーン601は、それぞれ、グラウト排出バルブ3の上下両側を塞ぐことによって、グラウト注入管604、グラウト排出口及び対応するグラウト排出バルブ3でグラウト注入チャネルを形成する。
【0017】
同じグラウト圧入管1における複数のグラウト排出バルブ3に対して下から上への方式でグラウト注入操作を行うべきである。
【0018】
複数のグラウト圧入管1に対して、時計回り、反時計回り、跳注の方式でグラウト注入を行うことができる。
【0019】
バルーン601は、筒状構造であり、両端がそれぞれ端板605によってグラウト注入管604に固定され、端板605には、グラウト注入管604に対応する穿孔が設けられ、且つ溶接によってシール固定され、2つのバルーン601の隣接の端板605の間には、圧力チャージ管602によって連通し、グラウト注入管604のクローズドエンドから離れるバルーン601は、ガス供給管によってエアポンプに対応的に接続されている。
【0020】
杭孔の開口部には、ガス供給管603及び/又はグラウト供給管に対応する自動巻取機(automatic pipe rolling machine)5が設けられている。
【0021】
駆動効果を保証するために、グラウト供給管及びガス供給管603は一体成形されているか、または側壁接着で一体的に接続されている。
【0022】
自動巻取機5は、統合されたガス供給管603とグラウト供給管を同期に駆動する。
【0023】
グラウト排出バルブ3は、グラウト圧入管1に対応的に接続されている三方管であり、グラウト圧入管1は多段なものであり、隣接する両端のグラウト圧入管1は、グラウト排出バルブ3の主管の両端にそれぞれ接続され、グラウト排出バルブ3は、ねじ接続または溶接の形式でグラウト圧入管1に接続されることができる。
【0024】
三方管のうちの1つのパイプ(グラウト圧入管に垂直な中央パイプ)は、鉄筋籠の径方向に延び、三方管の中央パイプの端部にはバックストップ(backstop)7が設けられ、バックストップ7は中央パイプ端部に対応的に嵌着されている弾性スリーブ(elastic sleeve)である。
【0025】
バックストップ7はキャップ状のゴム部品であり、変形によってグラウト排出バルブ3の中央パイプをシールしており、セメントスラリーを加圧した後、バックストップ7は、変形によってグラウトを流出させるための通路を形成し、杭身の周方向に対してグラウト注入を行う。
【0026】
グラウト注入範囲を増やすことができるように、バックストップ7の中央部に挿入管4が挿通され、挿入管4は、圧力の強さで、杭身の周方向の泥土の中に入り込むことができ、具体的には、挿入管4は、グラウト排出バルブ3に対応する一端が開放端であり、他端が鋭いシールエンド(sealing end)であり、挿入管4がグラウト排出バルブ3に位置されている部分のバックストップの端部に近い内壁には、穿孔が設けられ、杭身のコンクリート灌流を行った後、グラウト注入ポンプによって給水して開栓を行い、開栓プロセスにおいて、高圧水により挿入管4の鋭いシールエンドを、外向きに、杭身の周方向の泥土に入り込み、且つ挿入管4の側部の穿孔によりグラウト注入を行い、グラウト注入の拡散範囲とグラウト注入効果を高める。
【0027】
挿入管4は、単にグラウト注入効果を高めるための追加措置であり、挿入管4の有無は、杭身の周方向の基礎グラウトの需要に影響せず、地質が硬い場合、またはバックストップ7が必要とする圧力の強さが挿入管4が泥土に挿入する圧力の強さより小さい時、バックストップ7の開栓が完了するが、挿入管4が杭身の外周の泥土を挿入していない場合もある。この場合、バックストップ7にグラウト注入を行うだけでよく、セメントスラリーは杭孔の内壁とバックストップ7との間の薄いコンクリート層を通過し、同様に杭身の周方向のグラウト注入の役割を果たすことができる。
【0028】
従って、挿入管4が杭身の周方向の泥土を挿入できることを可能な限り保証するために、杭身コンクリートの灌流の12~24時間以内に開栓操作を行い、好ましくは18時間であり、この場合、コンクリートは、一定の強度を備えており、開栓完了後の杭身のコンクリートは還流閉塞開栓通路を生じず、開栓に必要な圧力の強さを大きくするため、挿入管4をできるだけ径方向に沿って泥土を挿入するように駆動する。
【0029】
バックストップ7の端部には、挿入管4に対応する取付孔が設けられ、取付孔は挿入管4に締り嵌め、バックストップ7の内側には、挿入管4に対応的に嵌着されているゴム管701が一体成形され、ゴム管701は、バックストップ7の軸方向に延びることにより、グラウト注入プロセスにおいてグラウト排出バルブ3又は挿入管4にコンクリートが流入しないことを保証する。
【0030】
挿入管4の外径は、グラウト排出バルブ3が径方向に沿ってパイプ内径から突出するものの3分の2以下である。これによって、挿入管4が突出できない場合も挿入管4とグラウト排出バルブ3との間の隙間によってグラウト注入が行われることを保証する。
【0031】
グラウト注入管604のクローズドエンドは、プランジャ(plunger)によって着脱可能にシールされ、これによって杭端のグラウト注入を行うことができ、杭端のグラウト注入は、グラウト圧入管1によって行うことができる。
【0032】
グラウト圧入管1の下端は鋭いシールエンドであり、鉄筋籠が杭孔に沈んだ後、グラウト圧入管1の下端は杭孔の底部の泥土の中に挿入され、グラウト圧入管1の杭孔の底部に挿入れている部分の側部には、グラウト圧入口が設けられ、グラウト圧入管1にはグラウト圧入口に対応するゴムスリーブが嵌着されている。
【0033】
グラウト止めバルブ6による杭端のグラウト注入の時に、プランジャを開き、2つのバルーン601を膨張させた後、グラウト注入管604の端部、グラウト圧入口でグラウト注入チャネルを形成することができる。
【0034】
もちろん、圧力チャージ管602に手動制御弁を設けてもよく、手動制御弁を閉じて、上方の1つのバルーン601だけを膨張させ、その際に杭端にセメントスラリーを注入することができる。
【0035】
グラウト圧入量とグラウト圧入圧力の二重制御を実行し、グラウト圧入量の制御を主とし、グラウト圧入の圧力制御を補助とする。杭端のグラウト圧入時、あるグラウト圧入管1のグラウト圧入量が要求に達せず、グラウト圧入圧力が高く、グラウト圧入を続けることができない場合、圧入していないセメント量は残りの杭端のグラウト圧入管1で圧入されるべきである。
【0036】
上記のいずれか1項に記載の橋アプローチ杭基礎用分散型グラウト圧入装置によってグラウト圧入を行う橋アプローチ杭基礎用分散型グラウト圧入方法であって、鉄筋籠の加工時にグラウト圧入管1及びグラウト排出バルブ3を同期にバインドするステップS1と、
底部をクリーニングした後、鉄筋籠を杭孔の底部に放置し、杭孔の内にコンクリートを注入するステップS2と、グラウト止めバルブ6を複数のグラウト圧入管1のうちの1つの内に入れ、グラウト止めバルブ6の中央部のグラウト排出口をグラウト圧入管1の最下部のグラウト排出バルブ3に正対させるステップS3と、2つのバルーン601にガスを供給し、2つのバルーン601を膨張させた後、対応的なグラウト排出バルブ3の両側をシールし、グラウト注入管604の内にグラウトを供給して、グラウト注入管601と、グラウト排出口と、対応的なグラウト排出バルブ3とでグラウト注入チャネルを形成し、杭孔の外周にグラウト注入を行うステップS4と、グラウト排出バルブ3に下から順にグラウト注入を行い、複数のグラウト圧入管1のうちの1つのすべてのグラウト排出バルブ3のグラウト注入操作が完了した後、すべてのグラウト圧入管1のグラウト注入が完了するまで次のグラウト圧入管1のグラウト注入を行うステップS5と、を含む、橋アプローチ杭基礎用分散型グラウト圧入方法。
【0037】
ステップS3において、コンクリート灌流の24時間以内にグラウト排出バルブ3を開栓し、開栓時に、グラウト止めバルブ6を介してグラウト排出バルブ3に清水を順次に注入し、水圧が低下した後、閉じて注水を停止し、開栓を完了する。
【0038】
杭身のコンクリートが設計強度の85%に達した後、測定管(acoustic pipe)により杭身の完全性検査を行い、検査結果に基づいて各グラウト排出バルブ3に対応するグラウト圧入量を設定する。
【0039】
各測定管2は1つのグラウト圧入管1に対応し、ステップS1の実施時に測定管2を同期にバインドし、測定管2はグラウト圧入管1に密着しており、固定強度を保証するために、鉄筋籠に接続装置を設けることができ、接続装置には、グラウト圧入管1と測定管2にそれぞれ対応する穿孔が設けられ、これによって両者の相対位置を限定し、測定管2によるグラウト圧入領域に対する探査能力を保証する。
【0040】
グラウト圧入の時に、グラウト圧入管1のうちの1つのグラウト排出バルブ3のグラウト圧入量が設定要件に達していない場合、圧入されていないグラウト量は、その上側または下側のグラウト排出バルブ3によって圧入する。
【0041】
グラウト圧入の圧力が長時間正常値を下回ったり、地面からグラウトが出たり、周囲の杭孔にグラウトが出たりすることがある場合、間欠グラウト圧入を採用してもよく、間欠時間は30~60minであることが好ましい。水灰比を低くしたり、グラウト流量を低くしたり、急速凝固剤などの添加剤を加えたりすることもできる。
【0042】
杭端のすべてのグラウト圧入管1が開かない場合、測定管2の管底を持力層に掘削するか、または杭端の芯取り孔を補充グラウト通路として利用することができ、この時のグラウト注入量は設計値を取ることができる。杭の外側30cmに杭端の標高以下20cmまで掘削して、グラウト圧入管1を再埋設して補充グラウト圧入を行うこともでき、そのグラウト圧入量は設計値の120%である。
【符号の説明】
【0043】
1 グラウト圧入管
2 測定管
3 グラウト排出バルブ
4 挿入管
5 自動巻取機
6 グラウト止めバルブ
7 バックストップ
601 バルーン
602 圧力チャージ管
603 ガス供給管
604 グラウト注入管
605 端板
701 ゴム管
【手続補正書】
【提出日】2024-01-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラウト圧入管であって、複数の前記グラウト圧入管が鉄筋籠の内側に対応的に分布され、鉄筋籠の周方向に対して均等に分布されているグラウト圧入管と、
グラウト排出バルブであって、複数の前記グラウト排出バルブが前記グラウト圧入管に均一に分布され、径方向に沿って前記鉄筋籠の外周面から突出されているグラウト排出バルブと、
前記グラウト圧入管の内に対応的に設けられ、前記グラウト圧入管の軸方向に沿ってスライド自在に装着されているグラウト止めバルブと、
を含む橋アプローチ杭基礎用分散型グラウト圧入装置であって、
前記グラウト止めバルブは、グラウト注入管と圧力チャージ管とを含み、前記グラウト注入管は、一端がグラウト供給管によってグラウト注入ポンプに接続され、他端がクローズドエンドであり、前記グラウト注入管の中央部には、グラウト排出口が設けられ、前記グラウト注入管の両端のそれぞれには、バルーンが嵌着され、前記グラウト注入管の両端に位置されている前記バルーンは、圧力チャージ管によって直列接続され、2つの前記バルーンは、それぞれ、複数の前記グラウト排出バルブのうちの1つの両側を塞ぐことによって、前記グラウト注入管、前記グラウト排出口及び対応する前記グラウト排出バルブでグラウト注入チャネルを形成
し、
前記グラウト排出バルブは、前記グラウト圧入管に対応的に接続されている三方管であり、前記三方管のうちの1つのパイプは、前記鉄筋籠の径方向に延び、前記三方管の中央パイプ端部にはバックストップが設けられ、前記バックストップは中央パイプ端部に対応的に嵌着されている弾性スリーブであり、
バックストップの中央部には挿入管が挿通され、挿入管は、圧力の強さで、杭身の周方向の泥土の中に入り込み、挿入管は、グラウト排出バルブに対応する一端が開放端であり、他端が鋭いシールエンドであり、挿入管がグラウト排出バルブに位置されている部分のバックストップの端部に近い内壁には、穿孔が設けられ、杭身のコンクリート灌流を行った後、グラウト注入ポンプによって給水して開栓を行い、開栓プロセスにおいて、高圧水により挿入管の鋭いシールエンドを、外向きに、杭身の周方向の泥土に入り込み、且つ挿入管の側部の穿孔によりグラウト注入を行い、
バックストップの端部には、挿入管に対応する取付孔が設けられ、取付孔は挿入管に締り嵌め、バックストップの内側には、挿入管に対応的に嵌着されているゴム管が一体成形され、ゴム管は、バックストップの軸方向に延びる、
ことを特徴とする橋アプローチ杭基礎用分散型グラウト圧入装置。
【請求項2】
前記バルーンは、筒状構造であり、両端がそれぞれ端板によって前記グラウト注入管に固定され、2つの前記バルーンの隣接の端板の間には、前記圧力チャージ管によって連通し、前記グラウト注入管のクローズドエンドから離れる前記バルーンは、ガス供給管によってエアポンプに対応的に接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の橋アプローチ杭基礎用分散型グラウト圧入装置。
【請求項3】
前記グラウト供給管及び前記ガス供給管は一体成形されているか、または接着で一体的に接続されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の橋アプローチ杭基礎用分散型グラウト圧入装置。
【請求項4】
前記グラウト注入管のクローズドエンドは、プランジャによって着脱可能にシールされている、
ことを特徴とする請求項1に記載の橋アプローチ杭基礎用分散型グラウト圧入装置。
【請求項5】
前記グラウト圧入管の下端は鋭いシールエンドであり、前記グラウト圧入管の下端は杭孔の底部に挿入され、前記グラウト圧入管の杭孔の底部に挿入れている部分の側部には、グラウト圧入口が設けられ、前記グラウト圧入管にはグラウト圧入口に対応するゴムスリーブが嵌着されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の橋アプローチ杭基礎用分散型グラウト圧入装置。
【請求項6】
請求項1から
5のいずれか1項に記載の橋アプローチ杭基礎用分散型グラウト圧入装置によってグラウト圧入を行う橋アプローチ杭基礎用分散型グラウト圧入方法であって、
鉄筋籠の加工時にグラウト圧入管及びグラウト排出バルブを同期にバインドするステップS1と、
底部をクリーニングした後、鉄筋籠を杭孔の底部に放置し、杭孔の内にコンクリートを注入するステップS2と、
グラウト止めバルブを複数の前記グラウト圧入管のうちの1つの内に入れ、グラウト止めバルブの中央部のグラウト排出口をグラウト圧入管の最下部のグラウト排出バルブに正対させるステップS3と、
2つのバルーンにガスを供給し、2つのバルーンを膨張させた後、対応的なグラウト排出バルブの両側をシールし、グラウト注入管の内にグラウトを供給して、グラウト注入管と、グラウト排出口と、対応的なグラウト排出バルブとでグラウト注入チャネルを形成し、杭孔の外周にグラウト注入を行うステップS4と、
グラウト排出バルブに下から順にグラウト注入を行い、複数の前記グラウト圧入管のうちの1つのすべてのグラウト排出バルブのグラウト注入操作が完了した後、すべてのグラウト圧入管のグラウト注入が完了するまで次のグラウト圧入管のグラウト注入を行うステップS5と、を含む、
ことを特徴とする橋アプローチ杭基礎用分散型グラウト圧入方法。
【請求項7】
ステップS3において、コンクリート灌流の24時間以内にグラウト排出バルブを開栓し、開栓時に、グラウト止めバルブを介してグラウト排出バルブに清水を順次に注入し、水圧が低下した後、閉じて注水を停止し、開栓を完了する、
ことを特徴とする請求項
6に記載の橋アプローチ杭基礎用分散型グラウト圧入方法。
【請求項8】
杭身のコンクリートが設計強度の85%に達した後、測定管により杭身の完全性検査を行い、検査結果に基づいて各グラウト排出バルブに対応するグラウト圧入量を設定する、
ことを特徴とする請求項
6に記載の橋アプローチ杭基礎用分散型グラウト圧入方法。
【請求項9】
グラウト圧入の時に、グラウト圧入管のうちの1つのグラウト排出バルブのグラウト圧入量が設定要件に達していない場合、圧入されていないグラウト量はその上側または下側のグラウト排出バルブによって圧入する、
ことを特徴とする請求項
8に記載の橋アプローチ杭基礎用分散型グラウト圧入方法。
【国際調査報告】