(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】光線治療装置
(51)【国際特許分類】
A61N 5/06 20060101AFI20240730BHJP
G09G 3/34 20060101ALI20240730BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20240730BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20240730BHJP
G09G 5/06 20060101ALI20240730BHJP
G09G 5/02 20060101ALI20240730BHJP
G09G 5/10 20060101ALI20240730BHJP
G09G 3/00 20060101ALI20240730BHJP
G09G 5/377 20060101ALI20240730BHJP
G09G 5/37 20060101ALI20240730BHJP
G09F 9/302 20060101ALI20240730BHJP
H04N 9/74 20060101ALI20240730BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20240730BHJP
【FI】
A61N5/06 Z
G09G3/34 J
G09G3/20 660H
G09G3/20 642J
G09G3/20 650J
G09G3/20 621A
G09G3/20 631V
G09G3/20 680D
G09G5/00 510V
G09G5/06
G09G5/02 B
G09G5/10 D
G09G3/00 M
G09G3/20 611E
G09G3/20 612U
G09G5/00 510Q
G09G5/377
G09G5/00 530M
G09G5/37 320
G09F9/302 C
H04N9/74 Z
H01L33/00 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572169
(86)(22)【出願日】2022-07-05
(85)【翻訳文提出日】2024-01-16
(86)【国際出願番号】 EP2022068515
(87)【国際公開番号】W WO2023280811
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】509349897
【氏名又は名称】デンマークス テクニスク ユニヴェルジテイト
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブローエン、 イェス
(72)【発明者】
【氏名】カーステンセン、 マーカス シュルツ
(72)【発明者】
【氏名】フェイジュー カリーロ、 グスタヴォ
(72)【発明者】
【氏名】グエン、 ゴック マイ
【テーマコード(参考)】
4C082
5C066
5C080
5C094
5C182
5F142
【Fターム(参考)】
4C082PA02
4C082PC10
4C082PE10
4C082PJ03
5C066AA03
5C066CA13
5C066EA03
5C066EB01
5C066KM13
5C066KM14
5C066KM15
5C080AA06
5C080AA07
5C080AA10
5C080BB04
5C080BB06
5C080BB09
5C080CC03
5C080CC08
5C080DD06
5C080DD14
5C080DD21
5C080EE25
5C080EE29
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5C182AA02
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5C182DA44
5C182DA53
5C182DA70
5F142EA34
5F142GA01
5F142GA02
5F142GA40
(57)【要約】
複数の光源と制御回路とを備える光線治療装置であって、複数の光源は、表示領域を有するディスプレイを形成するように空間パターンで配置され、複数の光源の各々は、色光を放出するように個別に制御可能であり、制御回路は、画像データを受信し、かつ、放出される色光の空間的に分解されたパターンを放出するように複数の光源を制御するように構成され、空間的に分解されたパターンは、受信された画像データを表し、複数の光源のそれぞれは、それぞれのユーザが知覚可能な目標画像色を有するものとして人間の観察者によって知覚可能な色光を放出し、制御回路は、色フリッカ周波数で交互に、それぞれの第1および第2の光を交互に放出させるように複数の光源の第1のサブセットの少なくとも各々を制御するように構成され、第1の光は第1の発光色を生じさせる第1の色成分のセットを有し、第2の光は第2の発光色を生じさせる第2の色成分のセットを有し、色フリッカ周波数は交互に放出される第1および第2の光が、対応する目標画像色に対応するユーザが知覚可能な融合色を有する光として人間の観察者によって知覚されるように、十分に高く選択されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源と制御回路とを備える光線治療装置であって、前記複数の光源は、ディスプレイの表示領域の少なくとも一部を形成するように空間パターンで配置され、前記複数の光源の各々は、色光を放出するように個別に制御可能であり、
前記制御回路は、
前記複数の光源の各光源について、前記光源によって表されるそれぞれの目標画像色を表す画像データを受信し、かつ、
前記光源によって表される前記目標画像色を有するものとして人間の観察者によって知覚可能な色光を放出するように前記複数の光源の各光源を制御するように構成され、
前記制御回路は、前記複数の光源の少なくとも第1のサブセットの各光源に対して、
前記光源によって表される前記目標画像色に応じて、第1および第2の色成分のセットを決定し、かつ、
色フリッカ周波数で交互に、少なくともそれぞれの第1および第2の光を交互に放出させるように前記光源を制御するように構成され、
前記第1の光は第1の発光色を生じさせる所定の前記第1の色成分のセットを有し、前記第2の光は第2の発光色を生じさせる所定の前記第2の色成分のセットを有し、前記色フリッカ周波数は交互に放出される前記第1および第2の光が前記光源によって表される前記目標画像色に対応するユーザが知覚可能な融合色を有する光として人間の観察者によって知覚されるように、十分に高く選択されている、
光線治療装置。
【請求項2】
前記色フリッカ周波数は、前記人間の観察者の脳において治療的に有効な神経反応を引き起こすように選択されている、
請求項1に記載の光線治療装置。
【請求項3】
前記色フリッカ周波数は、25Hzから60Hz、例えば30Hzから50Hz、例えば35Hzから45Hz、例えば38Hzから42Hz、例えば40Hzである、
請求項1または2に記載の光線治療装置。
【請求項4】
前記制御回路は、前記表示画像を経時的に変化させるように前記複数の光源を制御するように構成されている、
先の請求項のいずれか一項に記載の光線治療装置。
【請求項5】
前記制御回路は、第2のユーザが知覚可能な目標画像色を有する光を放出する第2の発光エリアに対する、第1のユーザが知覚可能な目標画像色を有する光を放出する第1の発光エリアのシミュレートされた移動を引き起こすように、前記複数の光源を制御するように構成されている、
請求項4に記載の光線治療装置。
【請求項6】
前記第1および第2のユーザが知覚可能な目標画像色は、人間の観察者にとって視覚的に区別できないが、異なるスペクトル分布を有している、
請求項5に記載の光線治療装置。
【請求項7】
前記制御回路は、光源の前記第1のサブセットのそれぞれについて、前記受信された画像データに応答して、前記第1のサブセットのそれぞれの前記光源の前記融合色がそれぞれの前記目標画像色に対応するように、前記第1および第2の色成分のそれぞれを選択するように構成されている、
先の請求項のいずれか一項に記載の光線治療装置。
【請求項8】
前記制御回路は、前記第1のサブセットの前記光源を、前記第1の色成分のセットと前記第2の色成分のセットとの間で同期的に交互に切り替えさせるように構成されている、
先の請求項のいずれか一項に記載の光線治療装置。
【請求項9】
前記制御回路は、制御される前記複数の光源の全ての光源を、前記第1の色成分のセットと前記第2の色成分のセットとのそれぞれの間で同期的に交互に切り替わるように第1および第2のそれぞれの光を交互に放出させるように構成されている、
請求項8に記載の光線治療装置。
【請求項10】
前記制御回路は、目標画像色を第1および第2の色成分のセットのそれぞれにマッピングするルックアップテーブルから前記第1および第2の色成分のセットを決定するように構成されている、
先の請求項のいずれか一項に記載の光線治療装置。
【請求項11】
前記制御回路は、ビデオを表す画像データのストリームを受信し、かつ、前記表示領域内に前記ビデオを表示するように前記複数の光源を制御するように構成されている、
先の請求項のいずれか一項に記載の光線治療装置。
【請求項12】
前記制御回路は、前記第1および第2の色成分のセットを交互に放出するように前記色フリッカ周波数で前記第1のサブセットの前記光源の制御のみを実行するように構成されている、
先の請求項のいずれか一項に記載の光線治療装置。
【請求項13】
前記制御回路は、前記受信された画像データに応答して光源の前記第1のサブセットを選択するように構成されている、
先の請求項のいずれか一項に記載の光線治療装置。
【請求項14】
前記制御回路は、前記第1のサブセット内の前記複数の光源のうちの選択された光源を含むだけのように構成され、前記選択された光源によって表されるべき前記目標画像色は、目標画像色の所定のセットに属している、
請求項13に記載の光線治療装置。
【請求項15】
前記受信された画像データは、前記複数の光源の各光源について一連の各目標画像色を表す時変画像データであり、前記制御回路は、前記時変画像データに応答して前記第1のサブセットを変更するように構成されている、
請求項13または14に記載の光線治療装置。
【請求項16】
前記制御回路は、前記第1のサブセット内の前記複数の光源のうちの選択された光源を含むだけのように構成され、前記選択された光源によって表される前記目標画像色は、少なくとも最小期間、特に少なくとも100ms、例えば少なくとも200ms持続する、
請求項15に記載の光線治療装置。
【請求項17】
オーディオ出力デバイスをさらに備え、前記光線治療装置は、前記色フリッカ周波数で変調された音信号を出力するように構成されている、
先の請求項のいずれか一項に記載の光線治療装置。
【請求項18】
前記色フリッカ周波数で前記交互に放出される光は、前記人間が前記交互に放出される光に曝されたときに、人間の脳において脳波、特にガンマ振動を刺激または同調させるように選択されている、
先の請求項のいずれか一項に記載の光線治療装置。
【請求項19】
前記制御回路は、前記複数の光源の少なくとも前記第1のサブセットの各光源を制御して、前記第1および第2の光のそれぞれを実質的に同じ輝度で放出するように構成されている、
先の請求項のいずれか一項に記載の光線治療装置。
【請求項20】
前記第1および第2の色成分のセットは、前記第1および第2の光が実質的に同じ輝度で放出された場合に、交互に放出される前記第1および第2の光が前記光源によって表される前記画像目標色を有する光として人間の観察者によって知覚されるように選択されている、
請求項19に記載の光線治療装置。
【請求項21】
各光源は、それぞれの色を有する光を放出するように構成された3つ以上の発光サブエレメントを備える、
先の請求項のいずれか一項に記載の光線治療装置。
【請求項22】
同時に放出される色光の色混合と、交互に放出され前記色フリッカ周波数で交互に放出される色光の色融合との組合せによって、少なくともいくつかの目標画像色を表すように構成されている、
先の請求項のいずれか一項に記載の光線治療装置。
【請求項23】
光線治療装置の制御方法であって、前記光線治療装置は複数の光源を備え、前記複数の光源は、ディスプレイの表示領域の少なくとも一部を形成するように空間パターンで配置され、前記複数の光源の各々は、色光を放出するように個別に制御可能であり、前記方法は、
前記複数の光源の各光源について、前記光源によって表されるそれぞれの目標画像色を表す画像データを受信することと、
前記光源によって表される前記目標画像色を有するものとして人間の観察者によって知覚可能な色光を放出するように前記複数の光源の各光源を制御することと、
を含み、
制御することは、
前記光源によって表される前記目標画像色に応じて、第1および第2の色成分のセットを決定することと、
色フリッカ周波数で交互に、それぞれの第1および第2の光を交互に放出させるように前記光源を制御することと、を含み、
前記第1の光は第1の発光色を生じさせる所定の前記第1の色成分のセットを有し、前記第2の光は第2の発光色を生じさせる所定の前記第2の色成分のセットを有し、前記色フリッカ周波数は、交互に放出される前記第1および第2の光が前記光源によって表される前記目標画像色に対応するユーザが知覚可能な融合色を有する光として人間の観察者によって知覚されるように十分に高く選択されている、
光線治療装置の制御方法。
【請求項24】
対象の脳においてガンマ波を誘発するための方法であって、前記方法は、
複数の光源の各光源について、前記光源によって表されるそれぞれの目標画像色を表す画像データを受信することと、
前記光源によって表される前記目標画像色を有するものとして人間の観察者によって知覚可能な色光を放出するように前記複数の光源の各光源を制御することと、
を含み、
制御することは、
前記光源によって表される前記目標画像色に応じて、第1および第2の色成分のセットを決定することと、
色フリッカ周波数で交互に、それぞれの第1および第2の光を交互に放出させるように前記光源を制御することと、を含み、
前記第1の光は第1の発光色を生じさせる所定の前記第1の色成分のセットを有し、前記第2の光は第2の発光色を生じさせる所定の前記第2の色成分のセットを有し、前記色フリッカ周波数は、交互に放出される前記第1および第2の光が前記光源によって表される前記目標画像色に対応するユーザが知覚可能な融合色を有する光として人間の観察者によって知覚されるように十分に高く選択され、前記色フリッカ周波数は、前記人間の観察者の脳においてガンマ波を誘発するために選択されている、
対象の脳においてガンマ波を誘発するための方法。
【請求項25】
前記第1および第2の色成分のセットはそれぞれ、3つの原色成分のセットから特に赤色(R)色成分、緑色(G)色成分、および青色(B)色成分から選択された色成分を含むか、または、前記選択された色成分からなり、
決定することは、
知覚される融合色を生じさせる、前記第1および第2の原色成分の輝度マッチングされた色融合を可能にするように、前記3つの原色成分のセットの第1の原色成分を前記第1の色成分のセットに追加するとともに、前記第1の原色成分とは異なる前記3つの原色成分のセットの第2の原色成分を前記第2の色成分のセットにそれぞれの量で追加することと、
前記3つの原色成分のセットの1つまたは2つの原色成分の補助セットを、前記第1および第2の色成分のセットの各々に追加することと、を含み、
前記補助セットは、前記第1および第2の原色成分とは異なる前記3つの原色成分のセットの第3の原色成分を含み、前記補助セットの前記1つまたは2つの原色成分が、前記補助セットの前記原色成分の1つまたは2つを同時に放出することによって生じる結果の色が、前記融合色と一緒に同時に放出された場合に前記目標画像色となるように、それぞれ選択された量を有している、
請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
前記第1および第2の色成分のセットはそれぞれ、3つの原色成分のセットから特に赤色(R)色成分、緑色(G)色成分、および青色(B)色成分から選択された色成分を含むか、または、前記選択された色成分からなり、
決定することは、
前記第1および第2の原色成分を同時に発光させて混合色を生じさせるように、前記3つの原色成分のセットのうちの第1の原色成分と、前記第1の原色成分とは異なる前記3つの原色成分のセットのうちの第2の原色成分とを、前記第1および第2の色成分のセットのそれぞれにそれぞれの量で加えることと、
前記3つの原色成分のセットの1つまたは2つの原色成分の補助セットを前記第1の色成分のセットに追加することと、を含み、
前記補助セットは、前記第1および第2の原色成分とは異なる前記3つの原色成分のセットの第3の原色成分を含み、前記補助セットの前記1つまたは2つの原色成分が、前記補助セットの前記原色成分の1つまたは2つを同時に放出することによって生じる結果の色が、前記混合色と一緒に交互に放出された場合に、前記結果の色と前記混合色との輝度マッチングされた色融合が、知覚される融合色を形成できるように、それぞれ選択された量を有しており、ここで、前記融合色は、前記3つの原色成分によって広がる色空間内の線上に位置し、前記線は、前記混合色と前記結果の色の間に延びるとともに前記画像目標色と交差しており、
決定することは、
前記補助セットまたは前記混合色の選択された量を、前記第1および第2の色成分の各セットに追加することであって、前記選択された量と前記融合色の前記同時の放出が前記目標画像色として知覚されるように、前記選択された量が選択されている、前記補助セットまたは前記混合色の選択された量を追加することを含む、
請求項23または24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光線治療装置、特に、アルツハイマー病、異なるタイプの認知症、睡眠、不安、または他の概日リズム関連障害などの精神疾患および神経疾患を予防、減速、延期、および/または治療するための光誘導ガンマ脳刺激のための光線治療装置に関し、脳のニューロンネットワークの特定の量のニューロン活性を増加、誘導または回復させることなどの所望の結果にとってガンマ脳刺激が最も重要である状況に関する。
【背景技術】
【0002】
光誘導ガンマ脳刺激の使用は、様々な治療および/または予防用途および/または認知訓練のために提案されている。
【0003】
WO2018/152255は、アルツハイマー病、うつ病、認知症、短期記憶の治療のため、または学習の改善、運動能力の改善、もしくは認知能力の改善のためのような光療法システム(例えば、光線療法デバイス)を開示している。この従来技術の光システムは、20~50Hzの範囲(好ましくは約40Hz)の周波数で動作する青色光源を含んでおり、それによって、このシステムは、脳波(人間の脳におけるガンマ振動)を刺激するために、人間の網膜神経節細胞が露出されることを可能にする。
【0004】
しかしながら、多用途に使用でき、ユーザフレンドリーな方式で、ユーザの長時間にわたる暴露を容易にする、光線治療装置を提供することが依然として望ましい。
【発明の概要】
【0005】
一態様によれば、複数の光源と制御回路とを備える光線治療装置の実施形態が本明細書に開示され、複数の光源は、ディスプレイの表示領域の少なくとも一部を形成するように空間パターンで配置され、複数の光源の各々は、色光を放出するように個別に制御可能であり、
制御回路は、
複数の光源の各光源について、前記光源によって表されるそれぞれの目標画像色を表す画像データを受信し、かつ、
前記光源によって表される目標画像色を有するものとして人間の観察者によって知覚可能な色光を放出するように複数の光源の各光源を制御するように構成され、
制御回路は、複数の光源の少なくとも第1のサブセットの各光源に対して、
光源によって表される目標画像色に応じて、第1および第2の色成分のセットを決定し、かつ、
色フリッカ周波数で、少なくともそれぞれの第1および第2の光を交互に放出させるように前記光源を制御するように構成され、
第1の光は第1の発光色を生じさせる所定の第1の色成分のセットを有し、第2の光は第2の発光色を生じさせる所定の第2の色成分のセットを有し、色フリッカ周波数は交互に放出される第1および第2の光が、前記光源によって表される目標画像色に対応するユーザが知覚可能な融合色を有する光として人間の観察者によって知覚されるように、十分に高く選択されている。
【0006】
したがって、本明細書に開示される装置の実施形態は、空間パターンに配置された複数の発光ピクセルまたは他の光源によって、対象の脳における神経活動の刺激、特にガンマ波の刺激を提供する。
【0007】
概して、装置は、表示領域を有するディスプレイを備える。複数の光源は、表示領域を形成するように空間パターンで配置される。一実施形態では、装置は、個別にアドレス指定可能なピクセルのアレイを備えるディスプレイを備え、すなわち、複数の光源は、ディスプレイのそれぞれのピクセルを形成する。ディスプレイは、LEDディスプレイ、OLEDディスプレイ、Q-LEDディスプレイ、LCD、または別の好適なディスプレイ技術を利用するディスプレイであってもよい。
【0008】
本明細書に説明される装置の実施形態は、実生活用途において広範に使用され、例えば、テレビジョンセットまたは他のディスプレイの形態で、日常生活における使用に好適である。装置は、放出された色光の空間的に分解されたパターンを、例えば、画像、グラフィックパターン、または別な方法でディスプレイの表示領域にわたって変動するパターンの形態で表示する。少なくともいくつかの実施形態では、画像データは時変画像データである。したがって、装置は、例えば、ビデオ、フィルム、グラフィカルアニメーション、または別な方法で経時的に、かつディスプレイの表示領域にわたって知覚可能に変動するパターンを表す画像フレームのストリームの形態で、放出された色光の空間的に分解されたパターンの時間変動系列を表示するように構成されてもよい。融合色として知覚可能な交互の色光を放出する光源はまた、色融合ピクセルとも呼ばれるであろう。装置の少なくともいくつかの実施形態は、知覚不可能なガンマ刺激を実施する。装置は、色融合ピクセル、すなわち、交互に放出される第1および第2の光が、ユーザが知覚可能な融合色を有する光として人間の観察者によって知覚されるように、十分に高い色フリッカ周波数で、第1および第2の色光を交互に放出するピクセルを含む、ディスプレイ技術を実装する。
【0009】
いくつかの実施形態では、色フリッカ周波数は、臨界フリッカ融合周波数(CFF)より小さく、臨界色融合周波数(CCFF)より高く選択されている。
【0010】
「臨界フリッカ融合周波数」は、視覚の心理物理学における概念を指す。これは、断続的な(例えば、点滅する)光刺激が平均的な人間の観察者にとって完全に安定しているように見える周波数として定義される。フリッカ融合閾値は、視覚の持続性に関連する。臨界フリッカ融合周波数は、刺激の輝度およびそのサイズに依存する(例えば、Hecht and Smith(1936) J. Gen. Physiol. 19(6): 979-89を参照されたい)。CRT上のフルスクリーンホワイトフィールドのような、中心窩を覆う大きな高輝度刺激の場合、フリッカ融合は約60Hzで起こる。
【0011】
「ユーザが知覚可能な融合色を有する光として人間の観察者によって知覚される、交互に放出される第1および第2の光を引き起こすのに十分に高い色フリッカ周波数」という語句は、交互の色のフリッカまたは点滅光に関して使用される場合、照明によって照らされるかまたは照明を観察する人間が、光の点滅/フリッカ成分を見ることができず、代わりに、点滅する光/光成分の周波数が臨界フリッカ融合周波数を下回る場合であっても、照明を実質的に一定に知覚することを意味する。それを上回ると交互に放出された第1および第2の光がユーザの知覚可能な融合色を有する光として人間の観察者によって知覚される閾値周波数は、臨界色融合周波数(CCFF)とも呼ばれる。
【0012】
したがって、装置のユーザは、例えば、映画、画像、グラフィックパターンを見ている間、コンピュータまたは他の電子デバイスなどのグラフィカルユーザインターフェースを伴うタスクを実行している間、ユーザが過度に疲れたり、退屈したり、またはそうでなければ過度に煩わしいものとして光療法を経験したりすることなく、長期間にわたって放出された光にさらされることができる。長期間にわたって曝露を提供できることは、光の刺激効果を改善する。特に、装置の少なくともいくつかの実施形態は、脳刺激光の有効な投与量を提供する一方で、装置のユーザは、現代の新規な標準的なディスプレイ技術を通して、カラフルなビデオおよび画像を見ることができる。
【0013】
装置の実施形態は、様々な光療法および/または他の脳刺激用途のために使用されてもよい。例えば、装置の実施形態は、アルツハイマー病、うつ病、認知症、短期記憶の治療および/または予防のために、あるいは学習の改善、運動能力の改善、または認知の改善のために使用されてもよい。例えば、多くの人々がディスプレイスクリーン、例えばTV、コンピュータ、スマートフォンの前で長期間を使用するので、本装置の実施形態は、光療法および/または光刺激を既存の日常ルーチンに統合することを可能にする。
【0014】
いくつかの実施形態では、装置は、経時的に変化する空間パターン、例えば、空間フリッカ周波数で変化する空間パターンを表示するように構成され、すなわち、新しいパターンが前記空間フリッカ周波数で提示されてもよい。経時的に変化する空間パターンの例には、移動格子、回転パターン、例えば、回転パターン化ディスク、または正方形パターンが含まれる。空間フリッカ周波数は、5から60Hzの間、例えば25Hzから60Hzの間、例えば30Hzから50Hzの間、例えば35Hzから45Hzの間、例えば38Hzから42Hzの間、例えば40Hzであってもよい。したがって、装置は、脳波(脳内の好ましいガンマ振動)を刺激するために、空間的に変動するパターンに目がさらされることを可能にする。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、色フリッカ周波数は、人間の観察者の脳において治療的に有効な神経反応を引き起こすように選択されている。いくつかの実施形態によれば、前記色フリッカ周波数で交互に放出される光は、人間が前記交互に放出される光に曝されたときに、人間の脳において脳波、特にガンマ振動を刺激または同調させるように選択されている。特に、いくつかの実施形態では、色フリッカ周波数は、5Hzから60Hz、例えば25Hzから60Hz、例えば30Hzから50Hz、例えば35Hzから45Hz、例えば38Hzから42Hz、例えば40Hzである。
【0016】
画像データは、キャプチャされた1つまたは複数のピクチャおよび/またはコンピュータ生成グラフィックスまたは他のコンピュータ生成画像データを表してもよい。いくつかの実施形態では、制御回路は、表示画像を経時的に変化させるように複数の光源を制御するように構成されている。特に、制御回路は、ビデオを表す画像データのストリームを受信し、かつ、表示領域内にビデオを表示するように複数の光源を制御するように構成されていてもよい。したがって、装置は、経時的に変化するビデオまたは他の画像コンテンツを表示することができ、それによって、ディスプレイがTVプログラム、映画などの娯楽および/または情報コンテンツを表示することができるので、長期間にわたる装置の使用を容易にすることができる。したがって、ユーザは、テレビを見るなどの日常の活動中にフリッカ光にさらされる可能性がある。
【0017】
いくつかの実施形態では、表示される画像データは、高解像度画像を含み得るが、他の実施形態は、単純な幾何学的パターンを表示する。例えば、一実施形態では、制御回路は、第2のユーザが知覚可能な目標色を有する光を放出する第2の発光エリアに対する、第1のユーザが知覚可能な目標色を有する光を放出する第1の発光エリアのシミュレートされた移動を引き起こすように、複数の光源を制御するように構成されている。特定の実施形態では、装置は、表示領域の少なくとも一部を横切って動くように見えるように空間フリッカ周波数で更新される移動グレーディング、例えば、複数のセグメントを含む空間パターンを表示する。セグメントは、格子状または他の規則的なパターンで配置されてもよい。セグメントは、視覚的に区別可能または視覚的に区別不可能であり得る異なる色で照明されてもよい。したがって、ディスプレイが比較的低い空間分解能を有してもよく、また、表示可能な目標色の数が制限されてもよい費用効率の高い装置が提供され得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、第1および第2のユーザが知覚可能な目標色は、人間の観察者にとって視覚的に区別できないが、異なるスペクトル分布を有している。視覚的に区別できない色の例は、それぞれのスペクトル分布を有する2つの白であってもよい。視覚的に区別可能な色のペアの例は、赤および緑を含む。
【0019】
装置の異なる実施形態は、異なる数の光源、特に異なる解像度のディスプレイを含み得ることが理解されるであろう。表示領域にわたる光源の数および光源の密度は、ディスプレイ技術、ディスプレイの寸法、および/または画像の所望の品質等の他の要因に依存し得ることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、光源の数は、所望の解像度、例えば、HD、フルHD、4K、または他の適切な解像度が達成されるように選択されている。表示領域の寸法は様々であり、スマートフォンのディスプレイから、大きなテレビ画面、例えば200インチのテレビ画面に及ぶ表示領域を含むが、これに限定されない。複数の光源は、ディスプレイの表示領域全体、またはディスプレイの表示領域の一部のみ、例えばサブ領域のみを形成し得ることがさらに理解されるであろう。
【0020】
いくつかの実施形態では、ディスプレイの全ての光源、特に、ディスプレイの全てのピクセルは、それぞれの第1および第2の色を交互に放出することによって、それぞれの融合色として、それぞれの目標画像色を放出するように動作可能および制御可能であってもよい。他の実施形態では、光源のサブセットのみがそのように適合されてもよく、残りの光源は従来のディスプレイピクセルを表す。いくつかの実施形態では、ディスプレイのいくつかまたは全ての光源、特に、ディスプレイのいくつかまたは全てのピクセルは、従来の色混合によって、特に、意図された目標画像色に混合するそれぞれの色成分を同時に放出することによって、または、それぞれの融合色として、すなわち、それぞれの第1および第2の色を交互に放出することによって、それぞれの目標画像色を放出するように選択的に動作可能および選択的に制御可能であってもよい。光源の第1のサブセットは、部分的または完全に予め決定されてもよい。追加でまたは代わりに、制御回路は、例えば、治療的神経刺激の所望の強度に応答して、および/またはユーザ制御に応答して、および/または受信された画像データの1つまたは複数の特性に応答して、1つまたは複数の基準に基づいて、色融合ピクセルとして動作させられる、すなわち融合色として色を表示するように動作させられる、光源の第1のサブセットを選択してもよい。いくつかの実施形態では、ディスプレイの複数の光源は、第1のサブセットおよび第1のサブセットから切り離された第2のサブセットに(所定の方法で、または制御回路によって適応的に)分割され、制御回路は、第1のサブセットの光源を色融合ピクセルとして動作させるだけのように、すなわち、色フリッカ周波数でそれぞれの色成分を交互に放出するように、すなわち、色フリッカ周波数で交互に放出されて色融合された場合に目標色として知覚されるそれぞれの色成分を交互に放出させてそれぞれの目標色を表示するように構成されている。第2のサブセットは、目標色として知覚されるように混合するそれぞれの色成分を同時に放出することによってのみ、それぞれの目標画像色を放出するように動作されてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、制御回路は、受信された画像データに応答して、前記複数の光源の第1のサブセットのそれぞれについての第1および第2の色成分のセットを決定し、かつ、所定のそれぞれの第1および第2のセットの色成分を有するそれぞれの第1および第2の光を交互に放出するように光源の第1のサブセットのそれぞれを制御するように構成されている。第1のサブセットのそれぞれの光源によって放出される目標画像色は、表示される画像データに応じて、光源ごとに異なり得ることが理解されるであろう。したがって、制御回路によって決定される第1および第2色成分のセットのそれぞれはまた、光源ごとに異なってもよい。第2のサブセットの光源は、同じ方式で制御され得るが、第1および第2の色成分のセットは同じであり、したがって従来のディスプレイピクセルとして効果的に動作されることが理解されるであろう。
【0022】
好ましくは、制御回路は、複数の光源の第1のサブセットの少なくともそれぞれを制御して、同期して、特に同じ色フリッカ周波数で、好ましくは同じ位相で、それぞれの第1および第2の光を交互に放出するように構成されている。特に、制御回路は、同期して、特に同じ色フリッカ周波数で、好ましくは同じ位相で、色フリッカ周波数でそれぞれの光を交互に放出する複数の光源の全ての光源を制御するように構成されていることが好ましい。したがって、ディスプレイのすべての色融合ピクセルの色フリッカ周波数は、表示領域にわたって均一である。本発明者らは、特に時間的および/または空間的な刺激を提供するために、同期した複数の発光ピクセルによってユーザの脳を刺激することが有利であることを認識した。
【0023】
使用されるディスプレイ技術に応じて、例えば、ディスプレイの画像ピクセルのそれぞれが構成される個々の色光源の数に応じて、全ての目標色が、交互に放出される色成分の色融合によって等しく良好に再現可能であるとは限らない場合がある。したがって、いくつかの実施形態では、制御回路は、受信された画像データに応答して光源の第1のサブセットを選択するように構成されている。特に、いくつかの実施形態では、制御回路は、第1のサブセット内の複数の光源のうちの選択された光源を含むだけのように構成され、選択された光源によって表されるべき目標画像色は、目標画像色の所定のセットに属している。残りの光源は、したがって、従来のディスプレイピクセルとして動作するように制御される光源の第2のサブセットに含まれ得る。
【0024】
時変画像、例えば、ビデオストリームまたは他の一連の画像フレームを表示する場合、急速に変化する色の領域は、誘発される神経活動の強度を低減させ、および/またはユーザによる色の知覚を減少させ得るため、色融合ピクセルとして表示されるのに適していないことがある。したがって、いくつかの実施形態では、受信された画像データは、複数の光源の各光源について一連の各目標画像色を表す時変画像データであり、制御回路は、時変画像データに応答して第1のサブセットを変更するように構成されている。したがって、制御回路は、特に表示される画像ストリームの変化する特性に応じて、異なる時間に色融合ピクセルとして動作する光源の異なるセットを選択し得る。この目的を達成するために、制御回路は、それぞれの光源によって表される画像目標色がどれくらい早く変化するかを決定するためにフォワードルッキングストラテジを採用してもよい。この目的を達成するために、制御回路は、適切な長さのバッファを維持してもよく、受信された一連の画像データは、表示される目標画像色の分析を可能にするように、表示される前にバッファリングされる。いくつかの実施形態では、画像データは、それぞれの目標色がどのくらい長く持続するかについての情報を含む適切なメタデータを含んでもよいことが理解されるであろう。
【0025】
特に、いくつかの実施形態では、制御回路は、第1のサブセット内の複数の光源のうちの選択された光源を含むだけのように構成され、選択された光源によって表される目標画像色は、少なくとも最小期間、特に少なくとも100ms、例えば少なくとも200ms持続する。残りの光源は、したがって、従来のディスプレイピクセルとして動作するように制御される光源の第2のサブセットに含まれ得る。いくつかの実施形態では、制御回路は、目標色と、画像ピクセルの目標画像色が一定または少なくとも実質的に一定である、例えば所定の限度内で変動するだけの間の時間と、の両方に基づいて、光源の第1のサブセットを選択してもよいことが理解されるであろう。
【0026】
いくつかの実施形態によれば、光線治療装置は、オーディオ出力デバイスをさらに備え、前記色フリッカ周波数で変調された音信号を出力し、それによって追加の刺激を提供するように構成されている。
【0027】
いくつかの実施形態では、制御回路は、ルックアップテーブルから第1および第2の色成分のセットを決定するように構成され、ルックアップテーブルは、複数の目標色のそれぞれを第1および第2の色成分のセットにマッピングする。したがって、色成分のセットの高速な決定が達成される。
【0028】
いくつかの実施形態では、制御回路は、第1および第2の光を実質的に同じ知覚輝度で、すなわち、第1の光が第1の輝度を有し、第2の光が第1の輝度と実質的に等しい第2の輝度を有するように、特に、ユーザによって知覚できないほど輝度の差が十分に小さくなるよう放出するように複数の光源を制御するように構成されている。特に、いくつかの実施形態では、制御回路は、第1の光および第2の光が、観察者によって、特に、所定の距離および/または閾値距離より大きい距離で、例えば20cmより大きい、例えば50cmより大きい、例えば1mより大きい、例えば2mより大きい距離で観察者によって知覚されるのと同じルクスレベルを有するように、複数の光源を制御するように構成されている。好ましくは、第1の光および第2の光は、同じ方向に放出され、および/またはステラジアンにおいて同じ放出方向パターンを有している。
【0029】
第1および第2の色成分のセットは、第1および第2の光が実質的に同じ輝度で放出された場合に、交互に放出される第1および第2の光が光源によって表される目標画像色に対応するユーザが知覚可能な融合色を有する光として人間の観察者によって知覚されるように選択されている。したがって、制御回路は、複数の光源の少なくとも第1のサブセットの各光源を制御して、第1および第2の光のそれぞれを実質的に同じ輝度で放出するように構成されていてもよく、それによって改善された色再現が達成される。
【0030】
いくつかの実施形態では、各光源は、それぞれの色を有する光を放出するように構成された3つ以上、好ましくは4つ以上、例えば5つ以上の発光サブエレメントのセットを備えている。したがって、第1および第2の色成分のセットの色成分の各々は、発光サブエレメントのセットのうちの1つの色であるように選択され得る。第1または第2の色成分のセットが複数の色成分、例えば複数の原色を含む場合、対応する第1または第2の色は、前記複数の色成分の混合である。したがって、多数の発光サブエレメントにより、第1および第2の色成分のセットを選択する際の可変性が大きくなり、その結果、異なる第1および第2の色、ひいては異なる融合色を作り出すことが可能となる。
【0031】
本開示は、上記および以下で説明される装置、対応するシステム、方法、および/または製品を含む様々な態様に関し、それぞれが、他の態様の1つまたは複数に関連して説明される利益および利点の1つまたは複数をもたらし、それぞれが、他の態様の1つまたは複数に関連して説明され、および/または添付の特許請求の範囲に開示される実施形態に対応する1つまたは複数の実施形態を有する。
【0032】
特に、一態様によれば、光線治療装置、特に本明細書に開示される光線治療装置を制御するための方法の実施形態が本明細書に開示され、光線治療装置は複数の光源を備え、複数の光源は、ディスプレイの表示領域の少なくとも一部を形成するように空間パターンで配置され、複数の光源の各々は、色光を放出するように個別に制御可能であり、前記方法は、
複数の光源の各光源について、前記光源によって表されるそれぞれの目標画像色を表す画像データを受信することと、
前記光源によって表される目標画像色を有するものとして人間の観察者によって知覚可能な色光を放出するように複数の光源の各光源を制御することと、
を含み、
制御することは、
光源によって表される目標画像色に応じて、第1および第2の色成分のセットを決定することと、
色フリッカ周波数で交互に、それぞれの第1および第2の光を交互に放出させるように前記光源を制御することと、を含み、
第1の光は第1の発光色を生じさせる所定の第1の色成分のセットを有し、第2の光は第2の発光色を生じさせる所定の第2の色成分のセットを有し、色フリッカ周波数は、交互に放出される第1および第2の光が前記光源によって表される目標画像色に対応するユーザが知覚可能な融合色を有する光として人間の観察者によって知覚されるように十分に高く選択されている。
【0033】
別の態様によれば、対象の脳においてガンマ波を誘発するための方法の実施形態が本明細書に開示され、前記方法は、
複数の光源の各光源について、前記光源によって表されるそれぞれの目標画像色を表す画像データを受信することと、
前記光源によって表される目標画像色を有するものとして人間の観察者によって知覚可能な色光を放出するように複数の光源の各光源を制御することと、
を含み、
制御することは、
光源によって表される目標画像色に応じて、第1および第2の色成分のセットを決定することと、
色フリッカ周波数で交互に、それぞれの第1および第2の光を交互に放出させるように前記光源を制御することと、を含み、
第1の光は第1の発光色を生じさせる所定の第1の色成分のセットを有し、第2の光は第2の発光色を生じさせる所定の第2の色成分のセットを有し、色フリッカ周波数は、交互に放出される第1および第2の光が前記光源によって表される目標画像色に対応するユーザが知覚可能な融合色を有する光として人間の観察者によって知覚されるように十分に高く選択され、色フリッカ周波数は、人間の観察者の脳においてガンマ波を誘発するために選択されている。
【0034】
いくつかの実施形態では、ユーザは、ユーザの目が、例えば、表示領域の対角線の1.5から2.5倍の間であり得る、ディスプレイからある距離に位置付けられるように、画面の正面に位置付けられてもよい。ユーザは、ユーザが適切な視野角で、例えば約30度の視野角で、または異なる適切な視野角でディスプレイを観察することができるように位置付けられてもよい。例えば、40インチディスプレイの場合、ユーザは、ディスプレイから1.5mから2.5mの距離に座ってもよい。しかしながら、異なるユーザは、異なる距離および/または視野角、例えば、最大約10mを好む場合がある。
【0035】
好ましい実施形態は、添付の図面に関連してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図2】光線治療装置の一実施形態のディスプレイを概略的に示す。
【
図3】光線治療装置の一実施形態の光源を概略的に示す。
【
図4】光線治療装置の一実施形態による色融合を概略的に示す。
【
図5】光線治療装置の一実施形態による色融合を概略的に示す。
【
図6】光線治療装置の一実施形態を制御するプロセスを概略的に示す。
【
図7】光線治療装置の一実施形態の動作を概略的に示す。
【
図8】光線治療装置の別の実施形態の光源を概略的に示す。
【
図9】光線治療装置の一実施形態による色融合を概略的に示す。
【
図10】光線治療装置の一実施形態による色融合を概略的に示す。
【
図11】目標画像色に対する第1および第2の色成分のセクトを取得するためのプロセスの一例を示す。
【
図12】目標画像色に対する第1および第2の色成分のセクトを取得するためのプロセスの別の例を示す。
【
図14】光線治療装置の一実施形態のディスプレイを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、光線治療装置の一実施形態を概略的に示す。全体的に100で示される光線治療装置は、表示装置110と制御ユニット120とを備えている。
【0038】
制御ユニット120と表示装置110とは、単一の筐体に収容された単一の装置として実現されてもよいし、互いに通信可能に接続された別個の装置として実現されてもよい。
【0039】
表示装置110は、ユーザ300によって見られる1つまたは複数の画像113を表示するための表示領域111を画定する。表示装置は、LEDディスプレイ、OLEDディスプレイ、Q-LEDディスプレイ、LCDディスプレイ等の任意の好適な表示技術を使用してもよい。
【0040】
制御ユニット120は、表示装置を制御するために構成された、集積回路または他の適切な回路であってもよい。この目的を達成するために、制御ユニットは、ディスプレイコントローラを実装してもよい。
【0041】
制御ユニット120は、画像データ200を受信し、受信された画像データに応答して1つまたは複数の画像113を表示するように表示装置を制御するように構成されている。例えば、制御ユニットは、表示装置のフレームリフレッシュレートを制御するためのフレームレートコントローラを含んでいてもよい。制御ユニットは、本明細書で説明するように、表示装置の個々のピクセルの色フリッカを制御するための色フリッカコントローラをさらに備えている。制御ユニットは、各ピクセルの輝度を制御するための輝度コントローラをさらに備えていてもよい。輝度コントローラは、例えばPWMコントローラとして実装されてもよい。
【0042】
画像データ200は、装置100の外部のデバイスから受信されてもよく、または装置100のストレージデバイスから検索されてもよく、または装置100の処理ユニットによって生成されてもよい。したがって、装置100は、画像データを受信するための好適な通信インターフェース、例えば、ネットワークアダプタ、wifiインターフェース、Bluetoothインターフェース等の有線または無線データ通信インターフェースを含んでいてもよい。代替的または追加的に、装置100は、ハードディスク、EEPROM、または別の適切なデータ記憶装置などのデータ記憶装置を含んでいてもよい。さらに代替的または追加的に、装置は、CPU、GPUおよび/またはそのようなものなどの処理ユニットを含んでいてもよい。
【0043】
画像データ200は、単一の画像を示してもよいし、または複数の画像、例えばビデオのフレームを示してもよい。画像データは、画像データに適した符号化方式に従って符号化されてもよい。
【0044】
図1の例では、制御ユニット120は、以下でより詳細に説明するように、色情報を色成分のセットにマッピングするためのマッピングモジュール121を備えている。例えば、マッピングモジュールは、色情報を色成分のセットにマッピングするためのルックアップテーブルを含んでいてもよい。
【0045】
装置100は、追加の構成要素、例えばオーディオ情報を再生するためのラウドスピーカーおよび対応するオーディオ制御回路を含んでいてもよい。
【0046】
図2は、光線治療装置、例えば
図1の装置の一実施形態のディスプレイを概略的に示す。ディスプレイ110は、ピクセル112とも呼ばれる個別に制御可能な光源のマトリクスを含んでいる。各ピクセルは有色光を発するように構成され、個々のピクセルの色および輝度は、光線治療装置の制御ユニットによって制御可能である。したがって、ディスプレイは、空間的に分解された光のパターン、例えば、画像または他の空間的に変化するパターンを放出する。この目的を達成するために、ピクセル解像度NxMで表示される画像は、ピクセルごとに目標画像色情報C(i,j)、i=1…N、j=1…Mを含むように適切に符号化されてもよく、ピクセルは、行インデックスiおよび列インデックスjによってインデックス付けされる。
【0047】
ディスプレイ110では、全てのピクセルは、本明細書で説明されるような色融合ピクセルであってもよく、すなわち、全てのピクセルは、色フリッカ周波数で交互に、少なくともそれぞれの第1および第2の光を交互に放出するように構成されてもよく、第1の光は第1の発光色を生じさせる第1の色成分のセットを有し、第2の光は第2の発光色を生じさせる第2の色成分のセットを有し、色フリッカ周波数は交互に放出される第1および第2の光が、ユーザが知覚可能な融合色を有する光として人間の観察者によって知覚されるように、十分に高く選択されている。代替として、ピクセルのサブセットのみが、色融合ピクセルであってもよく、それは、依然として、装置がユーザの脳内の脳機能を刺激することを可能にする。ピクセルは非常に小さいので、ディスプレイによっては、適切な刺激を達成するために、ピクセルのサブセットをどの程度の大きさの色融合ピクセルにするかという要件に制限、例えば、色融合されるべきは2つ毎のピクセル、3つ毎のピクセル、4つ毎のピクセル等の制限が存在する。いくつかの実施形態では、色融合ピクセルとして動作可能である全てのピクセルが、常に色融合ピクセルとして操作されるとは限らない。いくつかの実施形態では、装置の制御ユニットは、例えば、神経刺激の所望の強度に基づいて、および/または表示される受信画像データに応答して、どのピクセルを色融合ピクセルとして動作させるかを選択的に選択してもよい。いずれにしても、ディスプレイのすべての色融合ピクセルが、同期して動作するように、すなわち同じ色フリッカ周波数で、好ましくは同じ位相で色フリッカを行うように、制御されることが好ましい。
【0048】
図3は、ピクセル112の一実施形態を概略的に示す。
図3の例では、ピクセルは、6つのサブピクセル112A~Fを含む多原色ピクセルである。サブピクセル112Aは赤色光を放出するように動作可能であり、サブピクセル112Bは緑色光を放出するように動作可能であり、サブピクセル112Cは青色光を放出するように動作可能であり、すなわち、サブピクセル112A~Cは標準RGB色サブピクセルに対応する。さらに、本実施形態のピクセル112は、追加の色を有するサブピクセル、この例ではシアンサブピクセル112D、ライムサブピクセル112E、およびアンバーサブピクセル112Fを含む。多原色ピクセルの他の例は、追加のまたは代替の色サブピクセル、例えば、黄色、マゼンタ、白等のサブピクセルを含んでもよいことが理解されるであろう。多原色ピクセルの他の例は、4、5、6、7、またはそれ以上のサブピクセルなど、異なる数の色サブピクセルを含んでもよいことがさらに理解されるであろう。多原色ピクセルは、従来のディスプレイよりも広い色域を再現することができるディスプレイの提供を可能にする。さらに、この追加の可変性は、本明細書で説明されるような色融合を採用するときに特に有利であることが判明しており、これは、追加のサブピクセルによって、ピクセルが交互に切り替わることができる代替色セットの選択の可変性が大きくなり、人間の目で見ることのできる表示可能な色の範囲が広がるためである。ピクセル112は、1つまたは複数のサブピクセルをそれぞれの強度/輝度で選択的に活性化するように制御され、それによって、ピクセルが、サブピクセルの個々の色の混合から生じる色の光を放出するようにすることができる。サブピクセルの強度は、例えば、可変デューティサイクルでのサブピクセルのパルス活性化によって、例えばパルス幅変調によって制御されることができる。
【0049】
図4および
図5は、光線治療装置の一実施形態による色融合を概略的に示す。
【0050】
特に、
図4は、例えば、
図3に関連して説明されるように、赤、緑、青、ライム、シアン、および任意でアンバーのサブピクセルを含む、多原色ピクセルによって融合色を生成することができる色域401の例を示す。色域401内の色は、適切な色フリッカ周波数でサブピクセルの第1のセットとサブピクセルの第2のセットとを交互に活性化するようにピクセルを制御することによって生成されることができる。
【0051】
特に、色フリッカ周波数が十分に高く、例えば少なくとも25Hzに選択されている場合、ディスプレイを見ているユーザは、2つの異なる色の間で切り替わる/フリッカするピクセルではなく、色域401内の融合色を有するものとして、ピクセルによって放出される光を知覚するであろう。さらに、色フリッカ周波数が適切に選択されていると、フリッカは、ユーザの脳において脳刺激神経反応を誘発することができる。ユーザが融合色を知覚する間にフリッカ光からの知覚不可能な脳刺激を生じさせる、好適な色フリッカ周波数の例には、25Hzから60Hz、例えば30Hzから50Hz、例えば35Hzから45Hz、例えば38Hzから42Hz、例えば40Hzの周波数が含まれる。
【0052】
好ましい実施形態では、ユーザが知覚可能な輝度のちらつきを回避するように、ユーザにとって実質的に知覚不可能なままとなるように色フリッカ周波数で動作を切り替えるために、交互の色のセットは実質的に同じユーザ知覚輝度で放出されることが好ましく、これは、ほとんどの被験者は色のちらつきよりも輝度のちらつきに敏感だからである。発明者らは、交互に替わる色の輝度マッチングが、ユーザがフリッカ光を過度に知覚することなく融合色を知覚することを確実にするために非常に有益であることを認識した。しかしながら、輝度マッチングの要件は、色融合ピクセルが放出し得る融合色の範囲の制限を課す。例えば、2つのサブピクセルから2つの色を連続的に混合する場合、すなわち、前記2つのサブピクセルから光を同時に放出する場合、各サブピクセルの単色と単色との間の色のライン全体は、2つのサブピクセルの相対輝度を制御することによって達成され得る。しかしながら、2つのサブピクセルを色フリッカ周波数で交互に活性化することによる脳刺激色融合を採用する場合には、色融合光のフリッカが実質的に知覚できないように輝度マッチングを維持するために、色のライン全体ではなく、2つの原色の間のラインに沿った単一の色のみが達成可能であってもよい。したがって、色融合ピクセルのための輝度マッチングを維持するために、色融合の影響を低減させたりまたは排除したりすることなく、各色のセットを他の色のセットから独立して単純に調整することはできない。したがって、輝度マッチングを課すことは、可能な組み合わせの数にいくらかの制限を課す。
【0053】
例えば、それぞれの輝度で複数の原色を同時に放出することによって色混合を利用する従来のディスプレイピクセル、3つのサブピクセル(例えば、RGBピクセル)を有するピクセルは、各サブピクセルがチャネルごとに256の個別の輝度レベルを有する、24ビット/(8+8+8)ビットのトゥルーカラーRGB実装を提供してもよい。したがって、色の組合せの最大数は、256×256×256=1670万色である。48ビット/(16+16+16)ビット/ディープカラーRGB実装の場合、これは65536×65536×65536=281475000000000色である。比較すると、16ビットRGB実装はしばしばハイカラーと呼ばれ、8ビットRGB実装は単にカラーと呼ばれる。従来の、例えば16ビットRGBディスプレイにおける可能な色の組合せの最大数の上記の計算は、新しい色を生成するために各チャネルを独立して調整することができると仮定する。本明細書で説明される装置の実施形態の色融合ピクセルの場合、輝度マッチングを課すことは、各チャネルが、他のチャネルを調整する必要なく、常に独立して調整されることができないことを意味する。そうでなければ、色融合の効果は、低減または排除さえされ得る。したがって、これは、可能な組合せの数にいくらかの制限を課す。これは、線形電流駆動による限定された色域の例によって示され得る。3つの8ビットサブピクセル(例えば、RGB)を含む色融合ピクセルによって放出される特定の色融合光を仮定した場合、ピクセルは、SET1とSET2との2つの色セットであってその2つのセットはそれぞれ以下のサブピクセル輝度値に対応するセットを交互に放出するように、制御されてもよい:
[20,20,20]SET1
[0,40,0]SET2
【0054】
表示色を変えることなくピクセルの全体的な輝度を下げることが望ましいと仮定すると、各個々の輝度は、ピクセルの輝度を20分の1に低減するために、20の係数で割られてもよい:
[1,1,1]SET1
[0,2,0]SET2
【0055】
ここで、光の色を損なうことなく、ピクセルの輝度をさらに低下させることはできない。一般に、1つのエレメントがゼロまたは257になると、限界に達する。したがって、8ビット解像度の全空間は使用されることはできず、色になる。
【0056】
典型的には、色域は可能な色の領域に及ぶ。しかしながら、2つの単色サブピクセル間の色融合を伴う個々のピクセルでは、色域は線に広がる。追加のサブピクセル(例えば、多原色ディスプレイにおけるような異なる色を有する追加のLED)を追加することにより、色域が線の周りを移動できるようになる。しかし無限に移動することを可能にするわけではなく、これは、上記の例で説明されたように、あるサブピクセルの組合せは、個々のピクセルの解像度の最小値と最大値の限界のために輝度マッチング又は色変更を壊し得るからである。代替的にまたは追加的に、色域は、色混合と色融合との組合せを使用するようにピクセルを動作させることによって、すなわち、1つまたは複数の共通の色成分および1つまたは複数の異なる色成分を含むように色の第1および第2のセットを選択することによって、拡張されてもよい。特に、色成分の第2のセットは、第1の色成分のセットにも存在する1つまたは複数の色成分を含んでもよく、第2の色成分のセットは、第1の色成分のセットには存在しないか、または実質的により少ない程度で存在する1つまたは複数の色成分をさらに含んでもよい。概して、光源によって放出される個々の色成分は、前記光源のそれぞれの発光サブエレメントによって定義されてもよく、すなわち、各光源は、複数のサブエレメント、特にサブピクセルを備えていてもよく、各サブエレメントは、それぞれの色成分を放出するように構成されている。
【0057】
図5は、
図3で説明した多原色ピクセルで達成できる可能な融合色の例を示す。特に、
図5は、プランク軌跡502の周りの複数の異なる白色および色を得ることができることを示す。
【0058】
図6は、光線治療装置、例えば、
図1~
図3を参照して説明される装置の一実施形態を制御するプロセスを概略的に示す。
【0059】
最初のステップS1では、プロセスは画像データを受信する。画像データは、単一の画像または画像のシーケンスを表してもよく、任意の適切な形態で、例えば、jpg等の適切なグラフィックスフォーマット、またはmp4等のメディアコンテンツを符号化するための適切なフォーマットとして表されてもよい。画像データは、適切な解像度で画像を表し、画像ピクセルのマトリクスのそれぞれに対して色値を定義してもよい。
【0060】
任意選択で、ステップS2において、プロセスは、ディスプレイピクセルのどのサブセットが色融合ピクセルとして動作されるべきか、および、どのディスプレイピクセルが従来のディスプレイピクセルとして動作されるべきか、つまり同時放出の色成分の色混合を使用するだけかを決定する。
【0061】
特に、いくつかの実施形態では、プロセスは、色融合ピクセルとして、ある所定の目標画像色を表すことになるディスプレイピクセルを選択するだけであり、残りのディスプレイピクセルは、従来のディスプレイピクセルとして動作されてもよい。
【0062】
代替的または追加的に、プロセスは、少なくとも最小期間の間、例えば少なくとも200msの間など少なくとも100msの間、同じまたは少なくとも実質的に同じ目標画像色を表すことになる色融合ピクセルとして、ディスプレイピクセルを選択するだけである。これは、対応する色成分による色フリッカが、観察者の脳がフリッカ色を融合色として知覚するのに十分な長さで持続することを確実にする。したがって、ビデオまたは他の時変画像データを表示する場合、色融合ピクセルとして動作させられるディスプレイピクセルのサブセットは経時的に変化してもよい。
【0063】
ステップS3において、色融合ピクセルとして動作される各ディスプレイピクセルについて、プロセスは、例えば、色ルックアップテーブルに基いて、前記ディスプレイピクセルについて受信された画像色から色の2つのセットを決定する。ディスプレイピクセルのサブセットのみが色融合ピクセルである実施形態では、この決定は、前記サブセットに対して実行される必要があるだけであり得ることが理解されるであろう。代替的に、従来のピクセルとして動作されるディスプレイピクセルでは、プロセスは、色の2つのセットを互いに同一であるように選択してもよい。
【0064】
色ルックアップテーブルの例は、適切な色空間表現、例えば、それぞれが0から1の間の適切に離散化されたパラメータであり得る色度ペア座標(x,y)によってインデックス付けされてもよい。
【0065】
各色度座標に対して、ルックアップテーブルは、色の2つ以上のセットを定義してもよい。色の各セットは、強度値の配列として表されてもよい。各強度値は、ディスプレイの原色のうちの1つ、例えば、青、シアン、緑、ライム、アンバー、赤を表してもよい。各強度値は、適切な解像度で、例えば8ビットまたは16ビット値として定義されてもよい。
【0066】
例えば、色ルックアップテーブルは、例えば以下の例のように、テーブルとして表されてもよい:
x-y
BC G L
Set1 0 10 10 15
Set2 100 5 50 5
x-y
BC G L
Set1 0 20 20 30
Set2 200 10 100 10
【0067】
一般に、3つを超える原色(例えば、RGBおよび1つ、2つまたはそれ以上のさらなる色)を有する多原色ピクセルは、十分な輝度マッチングを維持しながらより多くの数の融合色の組合せを可能にするので有利である。
【0068】
一例では、6色のピクセルが仮定される(例えば、それぞれ、順序値の青、シアン、緑、ライム、アンバー、赤を有する)。しかしながら、空間はまた、3色の従来のRGB空間または多原色の異なるセットから、および/または異なる解像度の実行のために導出されることもできる。そのような空間は、色融合ピクセルの全ての可能な組合せを実行するとともに、手元の特定のディスプレイの全ての組合せに対して知覚される(x,y)ペアを測定することによる、特定のディスプレイ技術のキャリブレーションによって生成することができる。色空間は、(x,y)空間で表される必要はなく、同様の色空間、例えば、(u,v)空間、(u*,v*)または同様の色空間で表されてもよいことに留意されたい。したがって、ルックアップテーブルの他の例は異なる色空間に基づいてもよいことが理解されるであろう。さらに、装置のいくつかの実施形態は、異なる色空間に対する異なるルックアップテーブルを記憶していてもよい。LEDまたは他のタイプのサブピクセルの線形駆動を利用するとともに、明確に定義された最大と最小のLED強度値を有しているので、各ピクセルの輝度値はキャリブレーション段階において測定の必要がない。
【0069】
ステップS4において、プロセスは、所定の色のセットに従ってサブピクセルを交互に活性化するように、個々のディスプレイピクセルを、または少なくとも色融合ピクセルとして動作させられるサブセットを制御する。
【0070】
個々のディスプレイピクセルの活性化は、複数の更新レートに基づいて制御されてもよい。
1)表示された画像は、所定の表示リフレッシュレートで更新されてもよい。リフレッシュレートは、ディスプレイが表示領域を再描画できる1秒あたりの回数を決定する。リフレッシュレートは、したがって、ディスプレイが1秒あたりに表示できるフレームの最大数に関連している。一般的な表示リフレッシュレートは、120Hz、60Hz、および30Hzを含む。
2)各ピクセルは、色フリッカ周波数で、所定の色の2つのセットの間で交互に切り替わってもよい。リフレッシュレートは、好ましくは、色フリッカ周波数の少なくとも2倍であるべきである。
3)個々のサブピクセルの輝度は、例えば輝度のパルス幅変調を使用するパルスレートでのパルス活性化によって制御されてもよい。PWMは、広範囲の周波数、例えば、kHzまたはさらにはMHzの範囲のPMW周波数で動作してもよい。いくつかの実施形態では、100Hzから100kHzの範囲のPMW周波数が好ましいが、他の周波数も同様に使用されてもよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、表示リフレッシュレートは色フリッカ周波数よりも高く、パルスレートはフレームリフレッシュレートよりも高い。
【0072】
図7は、120Hzの表示リフレッシュレートで動作し、24fpsを有するビデオストリームを表示するディスプレイの一例を示し、すなわち、新しいフレームは、5回の表示リフレッシュサイクルごとに表示される。
【0073】
各フレームについて、各ピクセルは、特定のフレームのための画像データによって定義されるような目標色を表示する。ディスプレイは、ピクセルの全てまたは少なくともサブセットの目標色を融合色として、すなわち、色フリッカ周波数で原色の2つのセットの間で交互に切り替わることによって表示する。
図7の例では、色フリッカ周波数は40Hzであり、すなわち、各ピクセルは3フレームごとに原色の2つのセットの間で交互に切り替わる。
【0074】
図7では、これは、プランク軌跡702に近い融合色701を表示するピクセルについて示されている。融合色は、原色の第1のセット703(この例では赤色(例えば624nm)および青色(例えば500nm))と、原色の第2のセット704(この例では4つの原色のセット)とを交互に表示することによって表示される。
【0075】
色の2つのセットの輝度マッチングは、例えば、例えば1500kHzでのPMW変調によって、原色の相対強度を制御することによって達成されてもよい。
【0076】
図7の例では、フレームレートおよび色フリッカ周波数は、単一のフリッカ周期が単一のフレームの持続時間よりも長くなるようなものである。したがって、ディスプレイピクセルの色が急速に変化するとき、特定のピクセルのための目標画像色が再び変化する前に、1つまたは複数のフリッカ周期を完了するのに十分な時間がない。これは、観察者による色の知覚に悪影響を及ぼす可能性があり、これは、例えば、色フリッカ周波数に対するフレームレートの適切な選択により、軽減される可能性がある。あるいは、装置は、どのピクセルが任意の所定の時間に色融合ピクセルとして動作されるべきかを適応的に選択してもよい。特に、受信された画像データのストリームに基づいて、装置は、ピクセルの色が複数のフリッカ周期を許容するために十分に長い期間にわたって十分に一定のままであるピクセルを色融合ピクセルとして選択的に動作だけさせてもよい。
【0077】
図8は、光線治療装置の別の実施形態の光源を概略的に示す。特に、
図8は、ピクセル112の一実施形態を概略的に示す。
図8の例では、ピクセルはRGBピクセルであり、3つのサブピクセル112A~Cを含んでいる。サブピクセル112Aは赤色光を放出するように動作可能であり、サブピクセル112Bは緑色光を放出するように動作可能であり、サブピクセル112Cは青色光を放出するように動作可能である。ピクセル112は、1つまたは複数のサブピクセルをそれぞれの強度で選択的に活性化し、それにより、ピクセルがサブピクセルの個々の色の混合から生じる色光を放出するように制御されることができる。サブピクセルの強度は、例えば、例えばパルス幅変調による、可変デューティサイクルでのサブピクセルのパルス活性化によって制御されることができる。
【0078】
図9~
図10は、光線治療装置の一実施形態、特に、例えば
図8に関連して説明したような3つのサブピクセルを含む色融合ピクセルを有する実施形態による色融合を概略的に示す。
【0079】
例えば、
図9は、より限定された範囲ではあるが、3つのサブピクセルのピクセルでどのように色融合を得ることができるか、例えばRGBピクセルを用いてどのように色融合を得ることができるかを示す。例えば、第1の色セット(R+B)と第2の色セット(G)との切替えは、
図9の線901によって示されるように、プランク曲線の下の色が知覚できないようにすることができるだけである。同様に、第1のセット(B+G)と第2のセット(R)との色融合は、線902の周囲の色を生成する。さらに、第1のセット(R+G)と第2のセット(B)との色融合は、線903の周囲の色を生成する。
【0080】
図10は、同様の色融合のオプションを示しており、ここでは、第1のセットが3つの全原色(RGB)からの成分を含み、第2のセットは、R(線1001)、G(線1002)またはB(線1003)のいずれかを含んでいるだけである。
【0081】
図11は、RGB光源を有するディスプレイに対応する、3つの原色R(1101)、G(1102)、およびB(1103)によって広がる色域から、目標画像色に対する第1および第2の色成分のセクトを取得するためのプロセスの一例を示す。
【0082】
特に、画像目標色1104aが、RGBディスプレイピクセル、すなわち、色成分R、G、およびBのみを使用することによって表される第1の例を示す。
【0083】
最初のステップ1において、プロセスは、原色成分のうちの2つを選択する。
図11の例では、プロセスは色成分RおよびGを選択している。しかしながら、ペアR+BまたはG+Bのペアの各々が代わりに選択されてもよいことが理解されるであろう。プロセスは、選択された色成分のうちの1つ、例えばRを第1の色成分のセットに追加し、プロセスは、選択された色成分のうちの他方、例えばGを第2の色成分のセットに追加する。プロセスは、次に、選択された2つの色成分の輝度マッチングされた色融合から得られる融合色1105を決定する。特に、プロセスは、適切な色空間における融合色の色座標を決定してもよい。上述したように、選択された2つの色成分の輝度マッチングされた色融合によって、1つの融合色が得られてもよい。
【0084】
次のステップ2aでは、プロセスは、第1および第2の色成分のセットに追加されるさらなる色成分を決定する。色空間における目標画像色1104aの位置に応じて、さらなる色成分は、第3の原色成分、この例ではB、または、色成分RおよびGのうちの1つと色成分Bとを含む混合色であってもよい。
図11に示される第1の例では、画像目標色1104aは、さらなる色成分が第3の原色Bとなるように配置される。適切な量の成分Bを色成分の両方のセットに追加することによって、観察者が知覚する、結果として生じる色1108aは、融合色1105とさらなる色成分1103とを接続する破線1106a上に位置することになる。最後に、ステップ3において、目標画像色1104aと一致するまで、結果として生じる知覚される色1108aを線1106aに沿って移動させるように、プロセスはさらなる色成分1103の相対強度を決定する。
【0085】
したがって、結果として生じる第1の色成分のセットは色成分RおよびBのそれぞれの量を含み、第2の色成分のセットは色成分GおよびBのそれぞれの量を含む。適切な色フリッカ周波数および所定の相対強度で第1の色成分のセットと第2のセットとの間で交互に切り替わるように光源が制御される場合、観察者は、いかなる実質的なフリッカも知覚せずに、放出された色を意図された目標画像色1104aとして知覚する。観察者の色の知覚は、融合色1105と第3の原色Bの色混合と組み合わさった、原色RとGの色融合の組合せによって生じる。プロセスは、したがって、色成分の所定の強度を、それぞれの目標画像色によってインデックス付けされたルックアップテーブルに記憶させてもよい。
【0086】
図11は、異なる目標画像色1104bの第2の例をさらに示す。この場合、第1および第2の色成分のセットに追加されるべき(ステップ2bにおいて)さらなる色成分は、それ自体が混合色1107であり、この場合、色成分GとBとを適切な強度比で混合することから生じる。この混合色1107を第1および第2の色成分のセットのそれぞれに加える(すなわち、GおよびBの色成分を適切な比率で加える)と、破線1106bに沿った知覚される色1108bがもたらされる。第1の例と同様に、次に、プロセスは、知覚される色1108bを目標画像色1104bと位置合わせするように、さらなる色成分と融合色を生成する色成分との相対強度を調整する。したがって、結果として生じる第1の色成分のセットは、色成分R、G、およびBを含み、第2の色成分のセットは、それぞれの強度比で色成分GおよびBを含む。第1の例と同様に、観察者の色の知覚は、融合色1105とこの場合それ自体が混合色であるさらなる色1107との色混合と組み合わさった、原色RとGの色融合の組合せによって生じる。
【0087】
したがって、いくつかの実施形態では、第1および第2の色成分のセットはそれぞれ、3つの原色成分のセットから特に赤色(R)色成分、緑色(G)色成分、および青色(B)色成分から選択された色成分を含むか、または、前記選択された色成分からなり、ディスプレイピクセルを表す光源によって交互に放出される第1および第2の色成分のセットを決定することは、
知覚される融合色をもたらす、第1および第2の原色成分の輝度マッチングされた色融合を可能にするように、3つの原色成分のセットの第1の原色成分を第1の色成分のセットに追加するとともに、第1の原色成分とは異なる3つの原色成分のセットの第2の原色成分を第2の色成分のセットにそれぞれの量で追加することと、
3つの原色成分のセットの1つまたは2つの原色成分の補助セットを、第1および第2の色成分のセットの各々に追加することと、によって決定され、
補助セットは、第1および第2の原色成分とは異なる3つの原色成分のセットの第3の原色成分を含み、補助セットの1つまたは2つの原色成分が、補助セットの原色成分の1つまたは2つを同時に放出することによって生じる結果の色が、融合色と一緒に同時に放出された場合に目標画像色となるように、それぞれ選択された量を有している。
【0088】
図12は、RGB光源を有するディスプレイに対応する、3つの原色R(1201)、G(1202)、およびB(1203)によって広がる色域から、目標画像色に対する第1および第2の色成分のセクトを取得するためのプロセスの別の例を示す。
【0089】
特に、
図12は、画像目標色1204aが、RGBディスプレイピクセル、すなわち、色成分R、G、およびBのみを使用することによって表される第1の例を示す。
【0090】
最初のステップ1において、プロセスは、原色成分のうちの2つを選択する。
図12の例では、プロセスは色成分RおよびGを選択している。しかしながら、ペアR+BまたはG+Bのペアの各々が代わりに選択されてもよいことが理解されるであろう。プロセスは、選択された色成分の静的混合によって(特に同時発光によって)得ることができる混合色1205を決定する。次のステップ2aにおいて、プロセスは、選択された色成分の適切な比率を第1および第2の色成分のセットの両方に追加する。次に、プロセスは、混合色1205と第3の原色成分Bとの輝度マッチングされた色融合から得られる融合色1208aを決定する。特に、プロセスは、適切な色空間における融合色1208aの色座標を決定してもよい。上述したように、混合色1205と第3の原色Bとの輝度マッチングされた色融合により、線1106a上の1つの融合色1208aが得られてもよい。プロセスは、混合色1205との輝度マッチングされた色融合に適した強度で色成分Bを第1のセットに追加する。
【0091】
次のステップ3aおよび4では、プロセスは、結果として生じる知覚される色を線1106aに沿って意図された目標画像色1104aに移動させるように、色成分Bまたは色成分R+Gの組合せの適切なレベルを、色成分の両方のセットに同時に追加するかまたは減ずる。
【0092】
したがって、結果として生じる第1の色成分のセットは、色成分R、G、およびBのそれぞれの量を含み、第2の色成分のセットは、色成分RおよびG(および、ステップ3aにおける適用可能な補償に応じて、任意選択でB)のそれぞれの量を含む。適切な色フリッカ周波数で第1の色成分のセットと第2のセットとの間で交互に切り替わるように光源が制御される場合、観察者は、いかなる実質的なフリッカも知覚せずに、放出された色を意図された目標画像色1104aとして知覚する。観察者の色の知覚は、結果として生じる混合色1205と第3の原色Bの色フロア融合と組み合わさった、原色RとGの静的な色混合の組合せによって生じる。
【0093】
図12は、異なる目標画像色1104bの第2の例をさらに示す。この場合、(
図12の第1の例のステップ2aに代わる対応するステップ2bにおいて、)色融合のために使用されるさらなる色成分は、それ自体が混合色1207であり、この場合、色成分GおよびBのそれぞれの量の静的混合から生じる。
【0094】
したがって、いくつかの実施形態では、第1および第2の色成分のセットはそれぞれ、3つの原色成分のセットから特に赤色(R)色成分、緑色(G)色成分、および青色(B)色成分から選択された色成分を含むか、または、前記選択された色成分からなり、ディスプレイピクセルを表す光源によって交互に放出される第1および第2の色成分のセットを決定することは、
第1および第2の原色成分を同時に発光させて混合色を生じさせるように、3つの原色成分のセットのうちの第1の原色成分と、第1の原色成分とは異なる3つの原色成分のセットのうちの第2の原色成分とを、第1および第2の色成分のセットのそれぞれにそれぞれの量で加えることと、
3つの原色成分のセットの1つまたは2つの原色成分の補助セットを第1の色成分のセットに追加することと、によって決定され、補助セットは、第1および第2の原色成分とは異なる3つの原色成分のセットの第3の原色成分を含み、補助セットの1つまたは2つの原色成分が、補助セットの原色成分の1つまたは2つを同時に放出することによって生じる結果の色が、混合色と一緒に交互に放出された場合に、結果の色と混合色との輝度マッチングされた色融合が、知覚される融合色を形成できるように、それぞれ選択された量を有しており、ここで、融合色は、3つの原色成分によって広がる色空間内の線上に位置し、前記線は、混合色と結果の色の間に延びるとともに画像目標色と交差しており、
決定することは、
補助セットまたは混合色の選択された量を、第1および第2の色成分の各セットに追加することであって、選択された量と融合色の同時の放出が目標画像色として知覚されるように、選択された量が選択されている、補助セットまたは混合色の選択された量を追加することによって決定される。
【0095】
図11および
図12を参照して説明されるプロセスによって、3つの原色成分R、G、およびBに基づいて、任意で静的な色混合と組み合わせられる、色融合を使用する広範囲の目標画像色の生成が可能となるが、特に治療的に効率的な神経活動の強力な活性化が望まれる場合にはこれらのプロセスまたは別の方法によって取得可能な色域はRGB色域全体より小さくてもよい。
【0096】
第1に、両方のセットに存在し静的な色混合のために使用される色成分に対する、切り替わる色成分の相対輝度は、フリッカ光の相対的な輝度が非常に低くなり、神経活性化の強度が望ましいレベル以下に低下する可能性がある。
【0097】
第2に、ディスプレイの種類によって、得られる色値の解像度と相対強度が制限される可能性がある。例えば、多くのディスプレイシステムでは、RGB値の各々は、8ビット符号化に対応して、0と255の間の整数に設定され得る。人間の視覚的知覚は、いくつかの色を他の色よりも強く知覚するので、色融合の輝度マッチングは、取得可能な色内容の上下の境界を課す。この制限は、ディスプレイの適切な設計によって、例えば、より高い青色輝度を可能にするように追加の青色サブピクセルを追加することによって、および/または白色光もしくは他の色を放出するサブピクセルを追加することによって、軽減されてもよい。それにもかかわらず、色融合フリッカの輝度マッチングは、少なくともいくつかのディスプレイタイプについて取得可能な色域に制限を課し得る。
【0098】
図13は、そのような限定された色域の一例を概略的に示し、ここでは、取得可能な色が破線1301によって示されており、その取得可能な色は治療的に有効な神経活動を誘発するのに十分な量の色融合フリッカを用いて表現可能である。破線1301の内側の画像目標色、例えば、目標画像色1302は、任意選択で上述のような従来の色混合と組み合わせた、色融合フリッカリングによる表現に適した画像目標色である。破線1301によって区切られた領域の外側の画像目標色は、あまり適切ではない。したがって、本明細書で説明するように、いくつかの実施形態は、表示されるべき画像のそれぞれの部分における目標画像色に応答する色融合を使用して、画像のどの画像部分が表されるべきかを選択してもよい。したがって、装置は、適切な色フリッカ周波数で第1および第2の光を交互に放出するように制御されるべき画像ピクセルの第1のサブセットにどのディスプレイピクセルが含まれるべきかを選択してもよい。
図13の図示された色域は単に概略的な例示であることが理解されるであろう。取得可能な色域の正確な形状およびサイズは、特定のディスプレイ技術に依存する。
【0099】
第1および第2の色成分のセットの決定は、RGB色域に関連して、すなわち、それぞれ3つのサブエレメントR、G、およびBを有する光源に関して説明されるが、第1および第2の色成分のセットは、さらなるサブエレメントを有する光源、例えば、R、G、B、および白色のサブエレメント、または3つ、4つ、もしくはそれ以上のサブエレメントの他の組合せを有する光源に関して同様に決定されてもよいことが理解されるであろう。概して、本明細書に説明される装置のいくつかの実施形態は、同時に放出される色光の色混合と、色フリッカ周波数で交互に放出される、交互に放出される色光の色融合との組合せによって、少なくともいくつかの目標画像色を表すように構成されている。
【0100】
図14は、光線治療装置の一実施形態のディスプレイを概略的に示す。ディスプレイ1402は、1つまたは複数の色融合ピクセルによって形成されるサブエリアqを備える表示領域Qを含んでいる。いくつかの実施形態では、表示領域1402の一部分のみが色融合ピクセルを備え、残りの部分は従来の発光ピクセルを備えていてもよいことが理解されるであろう。他の実施形態では、表示領域1402全体が色融合ピクセルを含む。また、説明を容易にするために、
図14は、1つまたは複数の色融合ピクセル1403を有する単一のサブエリアqを示すだけである。光線治療装置の実施形態は、概して、複数のそのようなピクセルを備え、色融合ピクセルを有する1つまたは複数のサブエリアを含んでもよいことが理解されるであろう。さらに、やはり説明を容易にするために、表示領域1402全体の領域Qに対する色融合ピクセル1403を有する領域qのサイズは、単なる一例である。一般に、典型的なディスプレイでは、個々の色融合ピクセルは、表示領域全体のサイズと比較してかなり小さいことが理解されるであろう。
【0101】
いくつかの実施形態では、色融合ピクセルおよび/または色融合ピクセルを含む表示領域の部分のサイズは、表示領域とディスプレイを見るユーザ1401との間の意図された視距離に基づいて選択されてもよい。光線治療装置の使用中、ユーザは、ディスプレイから視距離dだけ離れて位置付けられ、したがって、1つまたは複数の色融合ピクセル1403を有するサブエリアqが視野角aで見られることとなる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の色融合ピクセルを有するサブエリア領域qは、視野角aが中心窩網膜視野以下または約3度以下となるように選択される。
【0102】
一般に、観察者がより遠くに位置するほど、色融合ピクセルを含む表示領域の部分はより大きくなるはずである。いくつかの実施形態では、装置は、従来のピクセルとして、または色融合ピクセルとして、ピクセルを選択的に制御するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、装置は、ディスプレイを見ているユーザとディスプレイとの間の距離dを感知する距離センサを含んでいてもよい。装置は、次に、例えば、色融合ピクセルとして動作させられるピクセルの数および/または位置を調整することによって、測定された距離に応答して、ディスプレイを制御してもよい。
【0103】
本明細書で説明される方法ステップのうちの少なくともいくつかの実施形態は、コンピュータ実装されてもよい。特に、本明細書で開示される方法ステップのいくつかまたはすべての実施形態は、いくつかの別個の要素を備えるハードウェアによって、および/または少なくとも部分的に適切にプログラムされたマイクロプロセッサによって実装されてもよい。
【0104】
いくつかの手段を列挙する装置クレームにおいて、これらの手段のいくつかは、ハードウェアの1つの同じ要素、構成要素、またはアイテムによって具現化され得る。特定の手段が、相互に異なる従属請求項に列挙される、または異なる実施形態において説明されるという単なる事実は、これらの手段の組合せが有利に使用され得ないことを示すものではない。
【0105】
本明細書で使用される場合、「備える/備えている」という用語は、述べられた特徴、要素、ステップ、または構成要素の存在を特定するように解釈されるが、1つまたは複数の他の特徴、要素、ステップ、構成要素、またはそれらのグループの存在または追加を排除しないことを強調されたい。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源と制御回路とを備える光線治療装置であって、前記複数の光源は、ディスプレイの表示領域の少なくとも一部を形成するように空間パターンで配置され、前記複数の光源の各々は、色光を放出するように個別に制御可能であり、
前記制御回路は、
前記複数の光源の各光源について、前記光源によって表されるそれぞれの目標画像色を表す画像データを受信し、かつ、
前記光源によって表される前記目標画像色を有するものとして人間の観察者によって知覚可能な色光を放出するように前記複数の光源の各光源を制御するように構成され、
前記制御回路は、前記複数の光源の少なくとも第1のサブセットの各光源に対して、
前記光源によって表される前記目標画像色に応じて、第1および第2の色成分のセットを決定し、かつ、
色フリッカ周波数で交互に、少なくともそれぞれの第1および第2の光を交互に放出させるように前記光源を制御するように構成され、
前記第1の光は第1の発光色を生じさせる所定の前記第1の色成分のセットを有し、前記第2の光は第2の発光色を生じさせる所定の前記第2の色成分のセットを有し、前記色フリッカ周波数は交互に放出される前記第1および第2の光が前記光源によって表される前記目標画像色に対応するユーザが知覚可能な融合色を有する光として人間の観察者によって知覚されるように、十分に高く選択されている、
光線治療装置。
【請求項2】
前記色フリッカ周波数は、前記人間の観察者の脳において治療的に有効な神経反応を引き起こすように選択されている、
請求項1に記載の光線治療装置。
【請求項3】
前記色フリッカ周波数は、25Hzから60H
zである、
請求項1または2に記載の光線治療装置。
【請求項4】
前記制御回路は
、表示画像を経時的に変化させるように前記複数の光源を制御するように構成されている、
請求項
1に記載の光線治療装置。
【請求項5】
前記制御回路は、第2のユーザが知覚可能な目標画像色を有する光を放出する第2の発光エリアに対する、第1のユーザが知覚可能な目標画像色を有する光を放出する第1の発光エリアのシミュレートされた移動を引き起こすように、前記複数の光源を制御するように構成されている、
請求項4に記載の光線治療装置。
【請求項6】
前記第1および第2のユーザが知覚可能な目標画像色は、人間の観察者にとって視覚的に区別できないが、異なるスペクトル分布を有している、
請求項5に記載の光線治療装置。
【請求項7】
前記制御回路は、光源の前記第1のサブセットのそれぞれについて、前記受信された画像データに応答して、前記第1のサブセットのそれぞれの前記光源の前記融合色がそれぞれの前記目標画像色に対応するように、前記第1および第2の色成分のそれぞれを選択するように構成されている、
請求項
1に記載の光線治療装置。
【請求項8】
前記制御回路は、前記第1のサブセットの前記光源を、前記第1の色成分のセットと前記第2の色成分のセットとの間で同期的に交互に切り替えさせるように構成されている、
請求項
1に記載の光線治療装置。
【請求項9】
前記制御回路は、制御される前記複数の光源の全ての光源を、前記第1の色成分のセットと前記第2の色成分のセットとのそれぞれの間で同期的に交互に切り替わるように第1および第2のそれぞれの光を交互に放出させるように構成されている、
請求項8に記載の光線治療装置。
【請求項10】
前記制御回路は、目標画像色を第1および第2の色成分のセットのそれぞれにマッピングするルックアップテーブルから前記第1および第2の色成分のセットを決定するように構成されている、
請求項
1に記載の光線治療装置。
【請求項11】
前記制御回路は、ビデオを表す画像データのストリームを受信し、かつ、前記表示領域内に前記ビデオを表示するように前記複数の光源を制御するように構成されている、
請求項
1に記載の光線治療装置。
【請求項12】
前記制御回路は、前記第1および第2の色成分のセットを交互に放出するように前記色フリッカ周波数で前記第1のサブセットの前記光源の制御のみを実行するように構成されている、
請求項
1に記載の光線治療装置。
【請求項13】
前記制御回路は、前記受信された画像データに応答して光源の前記第1のサブセットを選択するように構成されている、
請求項
1に記載の光線治療装置。
【請求項14】
前記制御回路は、前記第1のサブセット内の前記複数の光源のうちの選択された光源を含むだけのように構成され、前記選択された光源によって表されるべき前記目標画像色は、目標画像色の所定のセットに属している、
請求項13に記載の光線治療装置。
【請求項15】
前記受信された画像データは、前記複数の光源の各光源について一連の各目標画像色を表す時変画像データであり、前記制御回路は、前記時変画像データに応答して前記第1のサブセットを変更するように構成されている、
請求項13または14に記載の光線治療装置。
【請求項16】
前記制御回路は、前記第1のサブセット内の前記複数の光源のうちの選択された光源を含むだけのように構成され、前記選択された光源によって表される前記目標画像色は
、少なくとも100m
s持続する、
請求項15に記載の光線治療装置。
【請求項17】
オーディオ出力デバイスをさらに備え、前記光線治療装置は、前記色フリッカ周波数で変調された音信号を出力するように構成されている、
請求項
1に記載の光線治療装置。
【請求項18】
前記色フリッカ周波数で前記交互に放出される光は、前記人間が前記交互に放出される光に曝されたときに、人間の脳において脳
波を刺激または同調させるように選択されている、
請求項
1に記載の光線治療装置。
【請求項19】
前記制御回路は、前記複数の光源の少なくとも前記第1のサブセットの各光源を制御して、前記第1および第2の光のそれぞれ
を同じ輝度で放出するように構成されている、
請求項
1に記載の光線治療装置。
【請求項20】
前記第1および第2の色成分のセットは、前記第1および第2の光
が同じ輝度で放出された場合に、交互に放出される前記第1および第2の光が前記光源によって表される前記
目標画像色を有する光として人間の観察者によって知覚されるように選択されている、
請求項19に記載の光線治療装置。
【請求項21】
各光源は、それぞれの色を有する光を放出するように構成された3つ以上の発光サブエレメントを備える、
請求項
1に記載の光線治療装置。
【請求項22】
同時に放出される色光の色混合と、交互に放出され前記色フリッカ周波数で交互に放出される色光の色融合との組合せによって、少なくともいくつかの目標画像色を表すように構成されている、
請求項
1に記載の光線治療装置。
【請求項23】
光線治療装置の制御方法であって、前記光線治療装置は複数の光源を備え、前記複数の光源は、ディスプレイの表示領域の少なくとも一部を形成するように空間パターンで配置され、前記複数の光源の各々は、色光を放出するように個別に制御可能であり、前記方法は、
前記複数の光源の各光源について、前記光源によって表されるそれぞれの目標画像色を表す画像データを受信することと、
前記光源によって表される前記目標画像色を有するものとして人間の観察者によって知覚可能な色光を放出するように前記複数の光源の各光源を制御することと、
を含み、
制御することは、
前記光源によって表される前記目標画像色に応じて、第1および第2の色成分のセットを決定することと、
色フリッカ周波数で交互に、それぞれの第1および第2の光を交互に放出させるように前記光源を制御することと、を含み、
前記第1の光は第1の発光色を生じさせる所定の前記第1の色成分のセットを有し、前記第2の光は第2の発光色を生じさせる所定の前記第2の色成分のセットを有し、前記色フリッカ周波数は、交互に放出される前記第1および第2の光が前記光源によって表される前記目標画像色に対応するユーザが知覚可能な融合色を有する光として人間の観察者によって知覚されるように十分に高く選択されている、
光線治療装置の制御方法。
【請求項24】
対象の脳においてガンマ波を誘発するための
装置の制御方法であって、前記方法は、
複数の光源の各光源について、前記光源によって表されるそれぞれの目標画像色を表す画像データを受信することと、
前記光源によって表される前記目標画像色を有するものとして人間の観察者によって知覚可能な色光を放出するように前記複数の光源の各光源を制御することと、
を含み、
制御することは、
前記光源によって表される前記目標画像色に応じて、第1および第2の色成分のセットを決定することと、
色フリッカ周波数で交互に、それぞれの第1および第2の光を交互に放出させるように前記光源を制御することと、を含み、
前記第1の光は第1の発光色を生じさせる所定の前記第1の色成分のセットを有し、前記第2の光は第2の発光色を生じさせる所定の前記第2の色成分のセットを有し、前記色フリッカ周波数は、交互に放出される前記第1および第2の光が前記光源によって表される前記目標画像色に対応するユーザが知覚可能な融合色を有する光として人間の観察者によって知覚されるように十分に高く選択され、前記色フリッカ周波数は、前記人間の観察者の脳においてガンマ波を誘発するために選択されている、
対象の脳においてガンマ波を誘発するための
装置の制御方法。
【請求項25】
前記第1および第2の色成分のセットはそれぞれ、3つの原色成分のセットか
ら選択された色成分を含むか、または、前記選択された色成分からなり、
決定することは、
知覚される融合色を生じさせる
、第1および第2の原色成分の輝度マッチングされた色融合を可能にするように、前記3つの原色成分のセットの第1の原色成分を前記第1の色成分のセットに追加するとともに、前記第1の原色成分とは異なる前記3つの原色成分のセットの第2の原色成分を前記第2の色成分のセットにそれぞれの量で追加することと、
前記3つの原色成分のセットの1つまたは2つの原色成分の補助セットを、前記第1および第2の色成分のセットの各々に追加することと、を含み、
前記補助セットは、前記第1および第2の原色成分とは異なる前記3つの原色成分のセットの第3の原色成分を含み、前記補助セットの前記1つまたは2つの原色成分が、前記補助セットの前記原色成分の1つまたは2つを同時に放出することによって生じる結果の色が、前記融合色と一緒に同時に放出された場合に前記目標画像色となるように、それぞれ選択された量を有している、
請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
前記第1および第2の色成分のセットはそれぞれ、3つの原色成分のセットか
ら選択された色成分を含むか、または、前記選択された色成分からなり、
決定することは、
第1および第2の原色成分を同時に発光させて混合色を生じさせるように、前記3つの原色成分のセットのうちの第1の原色成分と、前記第1の原色成分とは異なる前記3つの原色成分のセットのうちの第2の原色成分とを、前記第1および第2の色成分のセットのそれぞれにそれぞれの量で加えることと、
前記3つの原色成分のセットの1つまたは2つの原色成分の補助セットを前記第1の色成分のセットに追加することと、を含み、
前記補助セットは、前記第1および第2の原色成分とは異なる前記3つの原色成分のセットの第3の原色成分を含み、前記補助セットの前記1つまたは2つの原色成分が、前記補助セットの前記原色成分の1つまたは2つを同時に放出することによって生じる結果の色が、前記混合色と一緒に交互に放出された場合に、前記結果の色と前記混合色との輝度マッチングされた色融合が、知覚される融合色を形成できるように、それぞれ選択された量を有しており、ここで、前記融合色は、前記3つの原色成分によって広がる色空間内の線上に位置し、前記線は、前記混合色と前記結果の色の間に延びるとともに前記
目標画像色と交差しており、
決定することは、
前記補助セットまたは前記混合色の選択された量を、前記第1および第2の色成分の各セットに追加することであって、前記選択された量と前記融合色の前記同時の放出が前記目標画像色として知覚されるように、前記選択された量が選択されている、前記補助セットまたは前記混合色の選択された量を追加することを含む、
請求項23または24に記載の方法。
【国際調査報告】