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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】加速解凍のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   F24H 3/00 20220101AFI20240730BHJP
   A61J 3/00 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
F24H3/00 Z
A61J3/00 301
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572595
(86)(22)【出願日】2022-05-25
(85)【翻訳文提出日】2024-01-19
(86)【国際出願番号】 EP2022064339
(87)【国際公開番号】W WO2022248629
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】21176087.1
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522021206
【氏名又は名称】ビオンテック・ソシエタス・エウロパエア
【氏名又は名称原語表記】BioNTech SE
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】ベイツ,ファーディア
(72)【発明者】
【氏名】ナヴラート,カリーナ
(72)【発明者】
【氏名】パンハンス,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】プレーン,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】クラウゼ,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】フリーベ,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】クーン,モリッツ
(72)【発明者】
【氏名】シェーペ,フランク
(72)【発明者】
【氏名】オッペルト,トーマス
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047AA05
4C047AA11
4C047AA31
4C047CC04
4C047EE02
(57)【要約】
1つまたは複数の容器(160)の内容物の解凍を加速するための装置(100)および関連する方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の容器(160)の内容物を解凍するための装置(100)であって、前記内容物が凍結液体を含み、前記装置(100)が、
容器キャリア(155)を備える容器ユニット(140)であって、
前記容器キャリア(155)が1つまたは複数の容器レセプタクル(150)を有し、各容器レセプタクル(150)が前記凍結液体を有する1つの容器(160)を受け入れるのに適している、容器ユニット(140)と、
ガス流発生ユニット(120)であって、
前記ガス流発生ユニット(120)が、前記装置(100)内に画定されたガス流路に沿ってガス流を発生させるように動作可能であり、
前記装置(100)が、前記容器キャリア(155)の領域において、前記ガス流路の容器領域を画定するように構成されており、
前記ガス流路の前記容器領域において、前記ガス流路の一区間が、前記それぞれの容器(160)が前記容器レセプタクル(150)内に配置されたときに前記それぞれの容器(160)の外部に沿って延在し、
前記容器ユニット(140)が、前記ガス流発生ユニット(120)に対して移動可能である、ガス流発生ユニット(120)と
を備える、装置(100)。
【請求項2】
前記装置(100)が、前記容器ユニット(140)を、振動的に前記ガス流発生ユニット(120)に対して2つの極限位置間を運動させるように構成されている、
請求項1に記載の装置(100)。
【請求項3】
前記容器キャリア(155)が、複数行の容器キャリア(155)および複数列の容器レセプタクル(155)を含み、容器レセプタクル(155)の各行および容器レセプタクル(155)の各列が、複数の容器レセプタクルを含む、
前記請求項のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項4】
2つの垂直方向または横方向に隣接した容器レセプタクル(150)間に、前記容器(160)が前記2つの隣接した容器レセプタクル(150)内に配置されたときに、前記ガス流路の前記容器領域における前記ガス流路の一区間が前記容器(160)間に形成される、
前記請求項のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項5】
各容器(160)が、前記容器レセプタクル(150)内にあるとき、前記ガス流路の2つの区間の間に挟まれる、
前記請求項のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項6】
前記装置(100)がシャーシ(110)をさらに備え、前記容器キャリア(155)が前記シャーシ(110)に接続されており、前記ガス流発生ユニット(120)が前記シャーシ(110)に固定して接続されている、
前記請求項のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項7】
前記容器(160)が前記それぞれの容器レセプタクル(150)内に受け入れられたときに、前記容器領域内の前記ガス流路の前記区間における主ガス流方向が前記容器(160)の主延在方向に沿って方向づけられる、
前記請求項のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項8】
前記ガス流発生ユニット(120)が、1つまたは複数の可動ガス流発生部材(130)を備え、前記ガス流発生部材の各々が、前記ガス流路に沿った前記全ガス流に寄与するガス流を発生させるように動作可能である、
前記請求項のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項9】
前記ガス流発生部材(130)が、一次元配置で直線的に配置されている、
請求項8に記載の装置(100)。
【請求項10】
異なるガス流発生部材(130)が、容器レセプタクル(150)の異なる列に割り当てられている、
請求項3をさらに参照する請求項8または9に記載の装置(100)。
【請求項11】
前記可動ガス流発生部材(130)が、平行な方向のガス流を発生させるように配置されている、
請求項8から10のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項12】
前記ガス流発生部材(130)がファンを備える、
請求項8から11のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項13】
前記ガス流発生ユニット(120)が、1.0m/sのうちの1つ以上8m/s以下または1.2m/s以上8m/s以下のガス流速を有するガス流を発生させるように構成されている、
前記請求項のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項14】
前記ガス流発生ユニット(120)が、9000m/h以上21000m/h以下の総ガス変位量を提供するように構成されている、
前記請求項のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項15】
前記ガス流発生ユニット(120)が、前記ガス流発生ユニット(120)の吹込み動作モードにおいて、前記ガスを前記ガス流路に沿って前記容器領域に向かって移動させるように構成されている、
前記請求項のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項16】
前記装置が、1つまたは複数のガス入口および1つまたは複数のガス出口を備え、前記ガス流路が、前記ガス入口から前記ガス出口まで延在し、かつ/または前記ガス入口と前記ガス出口とを流体接続し、前記装置(100)の前記1つまたは複数のガス入口が前記ガス流発生ユニット(120)によって画定されている、
前記請求項のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項17】
前記装置がシャーシ(110)を備え、前記容器キャリア(155)が前記シャーシに接続されており、前記容器ユニット(140)が、前記シャーシ(110)および/または前記ガス流発生ユニット(120)に対して直線的に移動可能である、
前記請求項のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項18】
前記容器ユニット(140)が、前記シャーシに対する前記容器ユニット(140)の運動が運動軸に沿った直線運動に制限されるように前記シャーシ(110)に接続されており、前記容器ユニット(140)が、前記運動軸に沿って反対方向に移動可能であり、前記運動軸が、前記シャーシ(110)に対して、かつ/または前記ガス流発生ユニット(120)に対して固定されており、前記容器ユニット(140)の前記直線運動の前記運動軸が、前記容器領域内で前記ガス流路に対して垂直であり、かつ/または前記容器(160)の延在の前記主長手方向に対して垂直である、
請求項17に記載の装置(100)。
【請求項19】
前記装置(100)が、前記2つの極限位置間の前記容器ユニット(140)の前記振動運動の振動数が、1.5Hz以下0.01Hz以上になるように構成されている、
請求項2をさらに参照する前記請求項のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項20】
前記容器ユニット(140)が容器ガスダクト(170)を備え、前記容器ガスダクト(170)が、前記容器領域で前記ガス流路を横方向または円周方向に画定し、前記容器領域において、容器の外面が、前記容器ガスダクト(170)の内壁と協働して、前記ガス流路の一区間を画定する、
前記請求項のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項21】
前記容器ユニット(140)の領域において、前記装置(100)内に画定された前記ガス流路が、前記容器ガスダクト(170)によって前記容器ユニット(140)に制限される、
請求項20に記載の装置(100)。
【請求項22】
前記装置がガス流路調整器(210)を備え、前記ガス流路調整器(210)が、前記ガス流発生ユニット(120)と前記容器ユニット(140)との間の前記ガス流路の中間領域にガス流路を画定し、かつ/または集中するように配置されている、
前記請求項のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項23】
前記ガス流路調整器(210)が、前記ガス流路の断面のサイズおよび/または形状を、前記ガス流路に沿って見たときに前記ガス流発生ユニットにより近い前記ガス流路調整器の第1の端部における第1のサイズおよび/または形状から、前記ガス流発生ユニット(120)からさらに離れた前記ガス流路調整器(210)の第2の端部における第2のサイズおよび/または形状に変更するように構成されており、前記ガス流路調整器(210)の前記第1の端部が、前記ガス流発生ユニット(120)で発生する前記ガス流を受け取るように構成されており、前記第2の端部が、前記容器ユニット(140)に向かって前記ガス流を供給するように構成されている、
請求項22に記載の装置(100)。
【請求項24】
前記ガス流路調整器(210)が、前記ガス流路の前記断面を、前記容器キャリアの断面または前記ガス流路の前記容器領域の外側境界に合わせて調整するように構成されている、
請求項22または23に記載の装置。
【請求項25】
前記ガス流路調整器(210)が、前記第1の端部に連続した開口部および/または前記第2の端部に連続した開口部を有する、
請求項23または24に記載の装置(100)。
【請求項26】
前記装置がガス分流器(180)を備え、前記ガス分流器(180)が、前記ガス流路に沿って見たときに前記ガス流発生ユニット(120)と前記容器領域との間に配置されている、
前記請求項のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項27】
前記容器ユニット(140)が前記ガス分流器(180)を備える、
請求項26に記載の装置(100)。
【請求項28】
前記ガス分流器(180)が、入ってくるガス流を前記容器領域内の前記ガス流路の前記区間に導くように構成されている、
請求項26または27に記載の装置(100)。
【請求項29】
各容器(160)が前記容器の対向する表面上に延在する前記ガス流路の少なくとも一区間を有するように、前記区間が前記ガス分流器(180)に対する前記容器レセプタクル(150)の位置に合わせて調整される、
請求項28に記載の装置(100)。
【請求項30】
前記ガス流路が、前記ガス流発生ユニット(120)と前記容器ユニット(140)との間の前記ガス流路の領域において、可撓性部材(290)によって横方向に制限される、
前記請求項のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項31】
前記領域が、前記ガス流路調整器(210)を前記ガス分流器(180)に直接接続し、前記可撓性部材(290)が前記ガス流路調整器と前記ガス分流器とに固定されており、前記可撓性部材が、前記ガス流路調整器(210)に対する前記ガス分流器(180)の移動を可能にする、
請求項22または請求項22を参照する場合の任意の他の請求項をさらに参照する請求項30に記載の装置(100)。
【請求項32】
前記装置(100)が所定の時間内に10L超および/または20L未満の充填容量を有する15個の容器の内容物を解凍することができるように前記装置(100)が構成されており、前記所定の時間が20h以下4h以上である、
前記請求項のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項33】
前記装置(100)が、例えば15個の容器(160)にわたって分配された、160Lの液体内容物の凍結相当物を、設定周囲温度が18~25°Cであり、天井高が3メートル、例えば少なくとも3メートルであり、床面積が3×5m、例えば少なくとも3×5mである空調された部屋の周囲空気を使用して、13時間未満、例えば12時間未満または11時間未満または10時間未満または9時間未満で、-50°Cから15°Cまたは-60°Cから15°Cに解凍するように構成されている、
前記請求項のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項34】
前記それぞれの容器(160)の前記凍結内容物が医療用液体である、
前記請求項のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項35】
一方の極限位置から他方の極限位置までの前記容器ユニット(140)の前記振動運動の距離が、2cm以上6cm以下である、
請求項2をさらに参照する前記請求項のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項36】
前記請求項のいずれか一項に記載の装置(100)と、
a)液体、例えば解凍処理用の液体を有する1つもしくは複数の容器(160)、ならびに/または
b)例えば、1つの動作サイクルで前記装置によって処理されるべき容器の数が前記装置内で利用可能な容器レセプタクルの数よりも少ない場合に、前記容器レセプタクルに挿入されるようなサイズおよび形状の1つもしくは複数のダミー容器と
を備える、システム。
【請求項37】
前記請求項のいずれか一項に記載の装置(100)またはシステムを使用して複数の容器(160)の凍結内容物を同時に解凍するための方法であって、
凍結内容物を有する前記容器(160)を容器レセプタクル(150)内に配置する段階と、
任意選択的に、任意の空の容器レセプタクル(150)内にダミー容器を配置する段階と、
動作サイクルを行うためにガス流発生ユニット(120)を介してガス流発生を開始する段階と、
前記動作サイクル中に前記容器ユニット(140)を前記ガス流発生ユニット(120)に対して運動させる段階と、
前記ガス流および/または前記容器ユニットの運動を所定の時間維持する段階と
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、容器に収容された凍結液体を解凍するための装置、方法およびシステムに関する。より詳細には、本開示の手段は、医療用液体、特に生物製剤液を有する容器に適用することができる。
【背景技術】
【0002】
本項は本開示の背景技術を示すために提供される。本明細書に開示されるものはいずれも出願人によって先行技術を構成することが認められていない。
【0003】
BDP(BDP:バルク製剤)などの凍結液体の凍結およびその後の急速解凍の必要性は、特にそれらが異なる場所で行われる必要があるか、または液体の貯蔵を必要とする工程段階を含む場合、(バイオ)医薬品製造スキームにおいてしばしば生じる。このスキームは、一箇所で液体物質(バルク)を製造または製剤化すること、および液体物質を異なる場所に輸送して最終製剤を調製すること(これは、薬局で、例えばバイアルで購入することができる)を含む場合がある。液体物質を凍結形態で輸送または貯蔵することがしばしば必要とされる。凍結バルク工程(凍結液体物質を含む)を使用することは、バルク製造場所が、バルクを凍結し、凍結されたバルクを出荷する工程(-60~-80°C)を備える必要があり、すべての充填・仕上げ場所(製剤(DP)が調製される場所)が、凍結されたBDPを受け取り、貯蔵し、かつ/または解凍することができる必要があることを意味する。大量生産および充填・仕上げは、凍結液体(これは通常、非凍結液体、特に医療用液体よりも長い有効期間を有する)を貯蔵する能力を有利にするこの生産工程におけるボトルネック段階であることが判明している。したがって、解凍時間の短縮(または解凍工程の加速)のための解決策、好ましくは解凍時間の短縮を効率的かつ迅速に行いながら、解凍された医療用液体の完全性および有効性に影響を及ぼさない解決策を提案する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、凍結液体物質の解凍に関する改善または新規の特徴を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、独立請求項に定義された主題によって達成される。有利な実施形態および改良は、従属請求項の対象であるか、または残りの開示から明らかになるであろう。
【0006】
本開示の装置は、容器キャリアの容器レセプタクル内の容器における対流を強制または強化し得るガス流発生ユニットを含み得る。これは、ガス流路内のガス、例えば周囲空気などの空気と容器内の物質との間の熱交換を改善し、したがって解凍を加速し得る。好ましい実施形態のように、容器の内容物が、ガス流に曝されることに加えて、例えば容器レセプタクルを収容する容器ユニットを2つの端部位置の間で前後に運動させることによって撹拌される場合、解凍サイクル中に、解凍をさらに加速することができ、解凍時間をさらに短縮することができる。ガス流発生ユニットは、容器と環境との間の熱伝達を改善し得る。例えば容器ユニットの運動による容器の内容物の撹拌は、容器内の熱分配および容器中の液体解凍を増進させ得る。動作サイクル(解凍サイクル)中の解凍工程は、例えば、解凍工程の対象となる特定の凍結液体に対して、容器運動および/またはガス流発生のパラメータを適切に選択することによって補助され得る。しかしながら、ガス流を発生させることおよび/または容器ユニットを運動させることは、解凍の加速に最も決定的な影響を及ぼすことが判明している。
【0007】
本開示から明らかになるように、提案の装置および方法は、さらなる利点を提供し得る。本開示の手段および方法を利用することにより、例えば、Sartorius(登録商標)Celsius FFTの12Lバッグなど、様々な容器、例えば15個の12L容器にわたって分配された100L超、例えば160Lの凍結液体(生産工程の典型的なバッチは、凍結形態で異なる場所に移送され、かつ/または貯蔵される必要がある160Lまでの液体バルク製剤をもたらし得る)を、以下の値、すなわち、20h、18h、16h、15h、14h、13h、12h、11h、10h、9h、8hのうちの1つ以下の時間で-60°Cから15°Cに解凍することができる。
【0008】
液体は、医療用液体、例えば医薬液や生物製剤液であってもよく、好ましくは、液体は活性医薬成分を含む。液体は、Comirnaty(登録商標)BDPであってもよい。液体は、RNAおよび/またはリポソームを含んでもよい。
【0009】
装置に関連して本明細書で開示される特徴は、装置が方法を実行するように構成され得るため、方法にも適用され、方法が装置を使用して実行され得るため、その逆も同様である。さらに、各請求項または態様(下記参照)は、その請求項または態様がそのような参照を含む場合であっても、その請求項または態様自体の主題を開示している、すなわち、独立して、先行する請求項または態様のいずれか一項を参照せずに開示していると理解されるべきである。
【0010】
以下では、一組の態様が開示される。態様は、他の態様における1つの態様の特徴の参照を容易にするために番号付けされている。態様は、本出願の開示の一部を形成し、本出願において現在請求されているものに関係なく、独立請求項および/または従属請求項の対象とすることができる。しかしながら、本発明者らは、保護の範囲が添付の特許請求の範囲によって定義され、以下の態様は特許請求の範囲を構成しないことに留意する。態様は以下の通りである。
【0011】
1.1つまたは複数の容器の内容物を解凍するための、好ましくは解凍を加速するための装置であって、内容物が凍結液体を含み、装置が、
容器キャリアを備える容器ユニットであって、容器キャリアが1つまたは複数の容器レセプタクルを有し、各容器レセプタクルが凍結液体を有する1つの容器を受け入れるのに適している、容器ユニットと、
ガス流発生ユニットであって、ガス流発生ユニットが、装置内に画定されたガス流路に沿ってガス流を発生させるように動作可能であり、装置が、容器キャリアの領域において、ガス流路の容器領域を画定するように構成されており、容器領域において、ガス流路の一区間が、それぞれの容器が容器レセプタクル内に配置されたときにそれぞれの容器の外部に沿って延在し、好ましくは、装置が、容器領域内のガス流に影響を及ぼすように、例えば、それぞれの容器の外部における対流を強化するように構成されている、ガス流発生ユニットと
を備える、装置。
【0012】
2.各容器レセプタクルが凍結液体を有する1つの容器を受け入れるのに適している、
態様1に記載の装置。
【0013】
3.容器レセプタクルが、同一の外部構造および/またはフォームファクタの容器を受け入れるように構成されている、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0014】
4.容器キャリアが、互いに上下に配置された複数の容器レセプタクルを有し、かつ/または容器キャリアが、互いに隣接して配置された複数の容器レセプタクルを有する、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0015】
5.容器キャリアが、複数行の容器レセプタクルおよび/または複数列の容器レセプタクルを含み、容器レセプタクルの各行および/または容器レセプタクルの各列が、複数の容器レセプタクルを含む、
態様4に記載の装置。
【0016】
6.列内および/または行内の容器レセプタクルの数が、2以上、3以上、4以上、5以上である、
態様5に記載の装置。
【0017】
7.列内および/または行内の容器レセプタクルの数が、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下である、
態様5または6に記載の装置。
【0018】
8.一行の容器レセプタクルの数が、2以上5以下、例えば3である、
態様5から7のいずれか一項に記載の装置。
【0019】
9.一列の容器レセプタクルの数が、2以上8以下、例えば5である、
態様5から8のいずれか一項に記載の装置。
【0020】
10.複数の容器レセプタクルが、容器キャリアのラックに一体化されている、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0021】
11.ラック内の容器レセプタクルが、列内で、例えば一列に互いに上下に積み重ねられている、
態様10に記載の装置。
【0022】
12.容器キャリアが、互いに隣接して配置された複数のラックを備える、
態様10または11に記載の装置。
【0023】
13.2つの隣接した容器レセプタクル間、好ましくは任意の2つの垂直方向および/または横方向に隣接した容器レセプタクル間において、容器が2つの隣接したレセプタクル内に配置されたときに、ガス流路の容器領域におけるガス流路の一区間が容器間に形成される、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0024】
14.容器、好ましくは各容器が、容器レセプタクル内にあるとき、ガス流路の2つの区間の間に挟まれる、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0025】
15.装置がシャーシを備え、容器キャリアが、シャーシに接続されているか、またはシャーシに接続可能である、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0026】
16.ガス流発生ユニットが、シャーシに接続されている、好ましくは固定して接続されている、
態様15に記載の装置。
【0027】
17.容器がそれぞれの容器レセプタクル内に受け入れられたときに、容器領域内のガス流路の区間における主ガス流方向が容器の主延在方向に沿って方向づけられる、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0028】
18.主延在方向が、長手方向または長さ方向、例えば容器がその最大延長または最大長さを有する方向である、
態様17に記載の装置。
【0029】
19.容器領域において、各容器が、ガス流路の少なくとも一区間に沿ったガス流に、好ましくはガス流路の複数の区間に沿ったガス流に直接曝される、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0030】
20.ガス流発生ユニットが、
電動ユニット、および
電気駆動ユニット
のうちの少なくとも1つ、任意に選択された複数、または全部である、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0031】
21.ガス流発生ユニットが、ガスを能動的に移動させるように動作可能な能動的流れ発生ユニットである、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0032】
22.ガス流発生ユニットが、1つまたは複数の可動ガス流発生部材を備え、好ましくは、ガス流発生部材の各々が、ガス流路に沿った全ガス流に寄与するガス流を発生させるように動作可能である、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0033】
23.ガス流発生部材が、好ましくは一次元配置で一行に直線的に配置されている、
態様22に記載の装置。
【0034】
24.異なるガス流発生部材が、容器レセプタクルの異なる列に割り当てられている、
請求項22または態様23に記載の装置。
【0035】
25.可動ガス流発生部材が、平行な方向のガス流を発生させるように配置されている、
態様22から24のいずれか一項に記載の装置。
【0036】
26.それぞれのガス流発生部材がファンを備える、
態様22から25のいずれか一項に記載の装置。
【0037】
27.ガス流発生部材のファンが、それらの回転軸が平行になるように配置されている、
態様26に記載の装置。
【0038】
28.それぞれのガス流発生部材が、以下の値、すなわち、3000m3/h、4000m3/h、4500m3/h、4900m3/h、5000m3/h(m:メートル、h:時間)のうちの1つ以上のガス変位量を提供するように構成されている、
態様22から27のいずれか一項に記載の装置。
【0039】
29.それぞれのガス流発生部材が、以下の値、すなわち、7000m3/h、6500m3/h、6000m3/h、5500m3/h、5000m3/hのうちの1つ以下のガス変位量を提供するように構成されている、
態様22から28のいずれか一項に記載の装置。
【0040】
30.ガス流発生ユニットおよび/またはそれぞれのガス流発生部材が、好ましくはガス流発生ユニットまたはガス流発生部材において、以下の値、すなわち、1.0m/s、1.1m/s、1.2m/s、1.3m/s、1.4m/s、1.5m/s、1.6m/s、1.7m/s、1.8m/s、1.9m/s、2m/s、2.5m/s、3m/s、3.5m/s、4m/s、4.5m/s、5m/s(m:メートル、s:秒)のうちの1つ以上のガス流速を有するガス流を発生させるように構成されている、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0041】
31.ガス流発生ユニットがガス流を発生させるように構成されており、かつ/またはそれぞれのガス流発生部材が、好ましくはガス流発生ユニットもしくはガス流発生部材において、以下の値、すなわち、8m/s、7m/s、6.5m/s、6m/s、5.5m/s、5m/s、4m/s、3.5m/s、3m/s、2.5m/s、2m/s、1.5m/sのうちの1つ以下のガス流速を有するガス流を発生させるように構成されている、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0042】
32.ガス流発生ユニットが、以下の値、すなわち、9000m3/h、10000m3/h、11000m3/h、12000m3/h、13000m3/h、14000m3/h、14500m3/h、15000m3/hのうちの1つ以上の総ガス変位量を提供するように構成されている、
前記請求項のいずれか一項に記載の装置。
【0043】
33.ガス流発生ユニットが、以下の値、すなわち、21000m3/h、19500m3/h、18000m3/h、16500m3/h、15000m3/hのうちの1つ以下の総ガス変位量を提供するように構成されている、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0044】
34.ガス流路が、ガス流路に沿って見たときに容器領域とガス流発生ユニットとの間に配置された中間領域、および/またはガス流路に沿って見たときに容器領域のガス流発生ユニットから遠い側に配置された遠隔領域を含む、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0045】
35.例えば、ガス流路内のガス流方向が、ガス流発生ユニットから中間領域を介して容器領域へ、かつ/または容器領域から遠隔領域へ、になるように、ガス流発生ユニットが、中間領域を介して容器領域に向かってガスを移動させるように構成されている、
態様34に記載の装置。
【0046】
36.ガス流発生ユニットが、ガス流発生ユニットの吹込み動作モードにおいて、ガスをガス流路に沿って容器領域に向かって移動させるように構成されている、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0047】
37.装置が、1つまたは複数のガス入口および1つまたは複数のガス出口を備え、ガス流路が、ガス入口からガス出口まで延在し、かつ/またはガス入口とガス出口とを流体接続する、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0048】
38.装置の1つまたは複数のガス出口が遠隔領域にある、
態様37に記載の装置。
【0049】
39.装置の1つまたは複数のガス入口がガス流発生ユニットによって画定されている、
態様37または38に記載の装置。
【0050】
40.容器ユニットが、シャーシおよび/またはガス流発生ユニットに対して移動可能であり、例えばシャーシに移動可能に接続されており、好ましくは、容器ユニットが、シャーシに対して、かつ/またはガス流発生ユニットに対して、少なくとも1つの方向に、例えば直線的になど、一方向に移動可能である、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0051】
41.容器ユニットが、シャーシに対する容器ユニットの運動が運動軸に沿った直線運動に制限されるようにシャーシに接続されている、
態様40に記載の装置。
【0052】
42.容器ユニットが、運動軸に沿って反対方向に移動可能である、
態様41に記載の装置。
【0053】
43.運動軸が、シャーシに対して、かつ/またはガス流発生ユニットに対して固定されている、
態様41または42に記載の装置。
【0054】
44.容器ユニットの直線運動の運動軸が、容器領域内でガス流路に対して垂直である、例えばガス流方向に対して垂直であるか、または容器の延在の主長手方向に対して垂直である、
態様41から43のいずれか一項に記載の装置。
【0055】
45.装置が、装置の動作中に、容器ユニットをシャーシに対して、好ましくは異なる、例えば反対の方向に運動させるように構成された電動機を備える、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0056】
46.電動機が、シャーシに取り付けられており、例えばギアインターフェースを介して容器ユニットに動作可能に接続されている、
態様45に記載の装置。
【0057】
47.装置が、容器ユニットを、例えば振動的に、シャーシおよび/またはガス流発生ユニットに対して2つの極限位置間を運動させるように構成されている、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0058】
48.装置が、2つの極限位置間の容器ユニットの振動運動の振動数が、以下の値、すなわち、1.5Hz、1.3Hz、1.0Hz、0.9Hz、0.8Hz、0.75Hz、0.7Hz、0.65Hz、0.6Hz、0.55Hz、0.5Hz、0.4Hz、0.35Hz(Hz=ヘルツ)のうちの1つ以下になるように構成されている、
態様47に記載の装置。
【0059】
49.装置が、2つの極限位置間の容器ユニットの振動運動の振動数が、以下の値、すなわち、0.01Hz、0.1Hz、0.2Hz、0.3Hz、0.4Hz、0.5Hz、0.6Hz、0.7Hz、0.75Hzのうちの1つ以上になるように構成されている、
態様47または48に記載の装置。
【0060】
50.容器ユニットが容器ガスダクトを備え、容器ガスダクトが、容器領域においてガス流路を横方向または円周方向に画定する、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0061】
51.容器領域において、容器の外面が、容器ガスダクトの内壁と協働して、ガス流路の一区間を画定する、
態様50に記載の装置。
【0062】
52.容器ガスダクトが容器キャリアに対して固定されており、好ましくは、容器ガスダクトと容器キャリアとが、共通の容器ユニットベースに固定されている、
態様50または51に記載の装置。
【0063】
53.容器レセプタクル、および/または容器キャリアが、容器ガスダクトによって横方向に囲まれている、
態様50から52のいずれか一項に記載の装置。
【0064】
54.容器ユニットの領域において、装置内に画定されたガス流路が、例えば容器ガスダクトによって容器ユニットに制限される、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0065】
55.装置がガス流路調整器を備える、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0066】
56.ガス流路調整器が、ガス流発生ユニットと容器ユニットとの間のガス流路の中間領域にガス流路を画定し、かつ/または集中させるように配置されている、
態様55に記載の装置。
【0067】
57.ガス流路調整器が、ガス流路の断面のサイズおよび/または形状を、例えば、ガス流路に沿って見たときにガス流発生ユニットにより近いガス流路調整器の第1の端部における第1のサイズおよび/または形状から、ガス流発生ユニットからさらに離れたガス流路調整器の第2の端部における第2のサイズおよび/または形状に変更するように構成されている、
態様55または56に記載の装置。
【0068】
58.ガス流路調整器が、ガス流路の断面を、例えばそのサイズおよび/または形状を、容器キャリアの断面またはガス流路の容器領域の外側境界に合わせて調整するように構成されている、
態様55から57のいずれか一項に記載の装置。
【0069】
59.ガス流路調整器が、ガス流路に沿って見たときにガス流発生ユニットに面した第1の端部を有し、第1の端部が、ガス流発生ユニットから遠い、または容器ユニットに面したガス流路調整器の第2の端部の断面よりも大きい断面を有する、
態様55から58のいずれか一項に記載の装置。
【0070】
60.ガス流路調整器が、第1の端部に連続した開口部および/または第2の端部に連続した開口部を有する、
態様55から59のいずれか一項に記載の装置。
【0071】
61.ガス流路調整器の第1の端部が、ガス流発生ユニットで発生するガス流、例えばガス流全体を受け取るように構成されており、第2の端部が、容器ユニットに向かってガス流を供給するように構成されている、
態様55から61のいずれか一項に記載の装置。
【0072】
62.装置がガス分流器を備え、ガス分流器が、ガス流路に沿って見たときにガス流発生ユニットと容器領域との間に配置されている、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0073】
63.容器ユニットが、例えば容器ユニットベースに固定されたガス分流器を備える、
態様62に記載の装置。
【0074】
64.ガス分流器が、ガス流路に沿って見たときにガス流路調整器と容器領域との間に配置されている、
態様62または63に記載の装置。
【0075】
65.ガス分流器が、入ってくるガス流を容器領域内のガス流路の区間に導くように構成されている、
態様62から64のいずれか一項に記載の装置。
【0076】
66.好ましくは、各容器が容器の対向する表面、例えば主表面上に延在するガス流路の少なくとも一区間を有するように、区間がガス分流器に対する容器レセプタクルの位置に合わせて調整される、
態様65に記載の装置。
【0077】
67.ガス分流器が、ガス流路の複数の区間を画定するように構成されている、
態様62から66のいずれか一項に記載の装置。
【0078】
68.区間の数が、一列に配置された容器レセプタクルの数に1を加えたものに等しい、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0079】
69.ガス分流器が、容器領域におけるガス流路の区間を画定し、かつ/またはガス流を区間に導くための1つもしくは複数のガス偏向器を備える、
態様62から68のいずれか一項に記載の装置。
【0080】
70.ガス偏向器の数が、例えば容器レセプタクルの一列の、互いに上下に積み重ねて配置された容器レセプタクルの数に等しい、
態様69に記載の装置。
【0081】
71.ガス流路に沿って見たときにガス流発生ユニットから遠いガス分流器の端部におけるそれぞれのガス偏向器の高さが、容器の高さに合わせて、かつ/または容器レセプタクルの高さに合わせて調整される、
態様69または70に記載の装置。
【0082】
72.ガス流路に沿って見たときに、ガス偏向器が、ガス流発生ユニットから容器領域に向かって広がる、
態様69から71のいずれか一項に記載の装置。
【0083】
73.それぞれのガス偏向器が、容器レセプタクルの幅方向に沿って、例えば幅方向と平行に、かつ/または容器ユニットの運動軸に沿って方向づけられている、
態様69から72のいずれか一項に記載の装置。
【0084】
74.ガス偏向器が、互いに平行に方向づけられている、
態様69から73のいずれか一項に記載の装置。
【0085】
75.ガス偏向器が、例えば、ガス流発生ユニットから容器領域までのガス流路のガス流方向に沿って断面を取ったときに、三角形の断面を有する、
態様69から74のいずれか一項に記載の装置。
【0086】
76.ガス流路に沿って見たときにガス流路調整器に面したガス分流器の端部と、ガス分流器に面したガス流路調整器の端部との間の距離が、以下の値、すなわち、50cm、40cm、30cm、25cm、20cm、15cm、10cm、5cm、4cm、3cm、2cm、1cmのうちの1つ以下である、
態様55から75のいずれか一項に記載の装置。
【0087】
77.ガス流路が、ガス流発生ユニットと容器ユニットとの間のガス流路の領域において、可撓性部材、例えば箔によって横方向に制限される、例えば円周方向に封止される、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0088】
78.領域が、ガス流路調整器をガス分流器に接続し、例えば直接接続し、好ましくは、可撓性部材がガス流路調整器とガス分流器とに固定されている、
態様77に記載の装置。
【0089】
79.可撓性部材が、ガス流路調整器に対するガス分流器の運動を可能にする、
態様77または78に記載の装置。
【0090】
80.ガス分流器が、ガス流路調整器に対して、例えば、容器の主延長に対して垂直な方向に、容器レセプタクルの幅方向に、かつ/または容器領域内のガス流路の区間の延長に対して垂直に移動可能である、
態様55から79のいずれか一項に記載の装置。
【0091】
81.ガス分流器が、ガス流路に沿って見たときにガス分流器に面したガス流路調整器の端部に沿って移動可能である、
態様80に記載の装置。
【0092】
82.ガス分流器、および、好ましくは、ガス流路調整器に対するガス分流器の運動の振幅が、ガス流路調整器に対するガス分流器の任意の相対位置において、ガス分流器のガス入口がガス流路調整器のガス出口を覆う、好ましくは完全に覆うようにガス流路調整器に対して調整される、
態様80および81のいずれか一項に記載の装置。
【0093】
83.ガス分流器のガス入口が、例えば移動方向のみなどのガス分流器の移動方向に、ガス流路調整器のガス出口よりも大きくなるように寸法決めされている、
態様82に記載の装置。
【0094】
84.装置が、動作サイクルを開始するためのトリガ機構、例えばスイッチを備える、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0095】
85.装置が、所定の時間が経過した後、例えば装置をオフに切り替えることによって動作サイクルを終了させるタイマを備える、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0096】
86.装置が、ガス流発生ユニットおよび/または容器ユニットを運動させる電動機が装置の全動作サイクル中、例えば予め設定されたパラメータで動作するように構成されており、パラメータが好ましくは全動作サイクル中一定であり、パラメータが、容器ユニットの運動の振動数、ガス流発生ユニットが動作する時間、および/または容器ユニットが運動する時間を含んでもよく、容器運動時間とガス流発生ユニット動作時間とが、同じであってもよいし(その場合、1つのタイマで十分であり得る)、または異なっていてもよい(その場合、2つのタイマが必要とされ得る)、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0097】
87.装置が、装置が所定の時間内に10L超および/または20L未満(L:リットル)の充填容量を有する15個の容器の内容物を解凍することができるように構成されている、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0098】
88.所定の時間が、以下の値、すなわち、20h、19h、18h、17h、16h、15h、14h、13h、12h、11h、10h、9h、8h、7h、6hのうちの1つ以下である、
態様87に記載の装置。
【0099】
89.所定の時間は、以下の値、すなわち、4h、5h、6h、7h、8h、9h、10hのうちの1つ以上である、
態様87または88に記載の装置。
【0100】
90.容器レセプタクルが同様に構成されている、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0101】
91.それぞれの容器レセプタクルの高さ、例えば容器キャリアの運動軸に対して垂直な寸法および/または容器領域内のガス流路の方向に対して垂直な寸法が、それぞれの容器レセプタクルの幅、例えば容器キャリアの運動軸に沿った寸法および/もしくは容器領域内のガス流路の方向に対して垂直な寸法よりも小さく、かつ/またはそれぞれの容器レセプタクルの長さ、例えば容器キャリアの運動軸および/もしくは容器領域内のガス流路に沿った方向に対して垂直な寸法よりも小さい、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0102】
92.装置が、解凍装置、好ましくは、例えば凍結用に構成されておらず、かつ/または解凍用にのみ設計された専用の解凍装置である、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0103】
93.装置が、
レセプタクル内の容器の温度に影響を及ぼす能動的加熱ユニット、
レセプタクル内の容器の温度に影響を及ぼす能動的冷却ユニット、
容器の温度を監視する温度監視ユニット
のうちのいずれか1つ、任意に選択された複数、または全部を含まない、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0104】
94.装置の動作中にガス流発生ユニットによってガス流路に沿って移動されるガスが、空気、例えば周囲空気である、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0105】
95.容器レセプタクルが、以下の値、すなわち、6L、7L、8L、9L、10L、11L、12Lのうちの1つ以上の充填容量を有する容器を保持するように構成されている、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0106】
96.容器レセプタクルが、以下の値、すなわち、20L、19L、18L、16L、15L、14L、13L、12Lのうちの1つ以下の充填容量を有する容器を保持するように構成されている、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0107】
97.装置が、例えば15個のバッグにわたって分配された、160Lの液体内容物の凍結相当物を、設定周囲温度が18~25°Cであり、天井高が3メートル、例えば少なくとも3メートルであり、床面積が3×5m2、例えば少なくとも3×5m2である空調された部屋の周囲空気を使用して、13時間未満、例えば12時間未満または11時間未満または10時間未満または9時間未満で、-50°Cから15°Cまたは-60°Cから15°Cに解凍するように構成されている、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0108】
98.装置が、容器間の区間内のガス流速が、容器が容器レセプタクル内に配置されたときに、以下の値、すなわち、1.5m/s、1.6m/s、1.7m/s、1.8m/s、1.9m/s、2m/s、2.5m/s、3m/s、3.5m/s、4m/s、4.5m/s、5m/s、5.5m/s、6m/s、7m/s、8m/s、9m/s、10m/s、10.5m/s、11m/s、11.5m/s、12m/sのうちの1つ以上になるように構成されている、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0109】
99.それぞれの容器の内容物、例えば凍結内容物が、医療用液体、例えば、コロナウイルスワクチンなどのワクチンの成分である、活性医薬成分を含む液体などの医薬液である、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0110】
100.容器が可撓性バッグを備える、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0111】
101.容器領域内のガス流路の区間において、ガス流方向が、重力に対して垂直であり、かつ/または装置のシャーシを支持する支持面に沿っている、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0112】
102.装置が、容器キャリアに対する運動に抗して容器を容器レセプタクル内に係止するように構成された1つまたは複数の係止部材を備える、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0113】
103.1つの係止部材が、容器を異なる容器レセプタクル内に、例えば一列の異なる容器レセプタクル内に、または二列の異なるレセプタクル内に係止するように構成されている、
態様102に記載の装置。
【0114】
104.それぞれの係止部材が、容器キャリアに解放可能に接続可能である、
態様102または103に記載の装置。
【0115】
105.容器レセプタクルが、容器を出口または遠隔領域から容器レセプタクルに装填することができるようにガス流路の遠隔領域または出口領域においてアクセス可能である、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0116】
106.一方の極限位置から他方の極限位置までの容器ユニットの振動運動の距離が、2cm以上、2.5cm以上、3cm以上、4cm以上(cm:センチメートル)である、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0117】
107.一方の極限位置から他方の極限位置までの容器ユニットの運動の距離が、6cm以下、5cm以下、4.5cm以下、4cm以下である、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0118】
108.例えばガス流路調整器に対する中立位置または中央位置から離れて2つの極限位置のいずれか1つに向かう容器ユニットの振動運動の振幅が、以下の値、すなわち、1cm、2cmのうちの1つ以上である、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0119】
109.例えばガス流路調整器に対する中立位置または中央位置から離れて2つの極限位置のいずれか1つに向かう容器ユニットの振動運動の振幅が、以下の値、すなわち、3cm、2cmのうちの1つ以下である、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0120】
110.容器レセプタクルおよび/または容器が、容器が隣接したレセプタクル内に配置されたときに、2つの隣接した容器(例えば、垂直および/もしくは水平に隣接した容器)間の距離ならびに/または容器領域内のガス流路の区間の幅(例えば、区間の垂直高さ)が1cm以上および/または5cm以下になるように構成されている、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0121】
111.容器ユニットの運動の振動数が、固定されているか、または、例えば振動数が選択されるように振動数を変更することができ、容器ユニットの運動が停止されるまで選択された振動数が一定である、
前記態様のいずれか一項に記載の装置。
【0122】
112.前記態様のいずれか一項に記載の装置と、
a)液体、例えば解凍処理用の液体を有する1つもしくは複数の容器、ならびに/または
b)例えば、1つの動作サイクルで装置によって処理されるべき容器の数が装置内で利用可能な容器レセプタクルの数よりも少ない場合に容器レセプタクルに挿入されるようなサイズおよび形状の1つもしくは複数のダミー容器と
を備える、システム。
【0123】
113.前記態様のいずれか一項に記載の装置またはシステムを使用して複数の容器の凍結内容物を同時に解凍するための方法であって、
凍結内容物を有する容器を容器レセプタクル内に配置する段階と、
任意選択的に、任意の空の容器レセプタクル内にダミー容器を配置する段階と、
動作サイクルを行うためにガス流発生ユニットを介してガス流発生を開始する段階と、
任意選択的に、動作サイクル中に容器ユニットをガス流発生ユニットに対して運動させる段階と、
ガス流、および、該当する場合には、容器ユニットの運動を所定の時間維持する段階と
を含む、方法。
【0124】
さらなる特徴、利点および便宜は、とりわけ添付の図面の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0125】
図1A】異なる側から見た装置の例示的実施形態を示す斜視図である。
図1B】異なる側から見た装置の例示的実施形態を示す斜視図である。
図2図1Aおよび図1Bの実施形態のガス流路調整器および容器ユニットを示す図である。
図3】装置の制御盤を示す図である。
図4】装置内の可撓性部材およびその位置を示す図である。
図5】異なる振動数の容器運動で装置を使用して解凍された凍結生物製剤液の特性を示す図である。
図6A】異なるシナリオの場合の解凍工程を示す図である。
図6B】異なるシナリオの場合の解凍工程を示す図である。
図6C】異なるシナリオの場合の解凍工程を示す図である。
図6D】異なるシナリオの場合の解凍工程を示す図である。
図7A】解凍装置の別の実施形態を示す図である。
図7B】解凍装置の別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0126】
図において、同一の要素、同一に作用する要素および同じ種類の要素には、同じ参照符号が付され得る。
【0127】
図1Aおよび図1Bは、容器の内容物の解凍を加速するための装置の一実施形態を示す斜視図である。
【0128】
装置100(解凍装置とも呼ばれる)は、シャーシ110を備える。シャーシ110には、ガス流発生ユニット120が取り付けられている。図1Aおよび図1Bに示すガス流発生ユニット120は、複数のファン130(またはガス流発生部材)を備える。装置100は、容器ユニット140をさらに備える。容器ユニット140は、シャーシ110および/またはガス流発生ユニット120に対して移動可能である。容器ユニットの運動は、好ましくは1本の軸に沿った、例えば反対方向の運動に好都合に制限された直線運動であってもよい。ガス流発生ユニット120は、容器ユニット140に向かって空気を移動させるように構成されている。ファン130は、吹込み動作において、装置100が設置された部屋から容器ユニット140に向かって空気を移動させることができる。よって、空気流は、清浄度に関する特定の要件を満たす必要なく、装置が配置されている任意の部屋からの周囲空気によって形成され得る。言い換えれば、装置はクリーンルーム内に設置される必要はない。部屋は、好ましくは、例えば18~25°Cの温度に空調される。ガス流発生ユニット120から容器ユニット140への空気流方向は、ガス流発生ユニット120に対する容器ユニット140の運動のための運動軸または容器ユニットを通る空気流方向に対して垂直であってもよい。
【0129】
容器ユニット140は、容器キャリア155を備える。容器キャリア155は、容器キャリア155内に1つまたは複数の容器レセプタクル150を備える。各容器レセプタクル150は、凍結液体を有する1つの容器160を受け入れるのに適しており、例えば、レセプタクルごとに1つの容器のみを受け入れることができる。
【0130】
容器レセプタクル150(図示の実施形態では例示的に15個)は、例えばシャーシ110またはガス流発生ユニット120に対する容器ユニット140の移動方向に沿って、互いに隣接して配置された様々なラック(実施形態ではラックごとに5つのレセプタクルを有する3つのラック)にわたって分配される。
【0131】
図示の実施形態では、3つのラックが設けられており、左側の2つのラックは、積み重ねられた容器160、例えば、Sartorius Celsius(登録商標)FFTバッグまたは液体、特に生物製剤液を取り扱い、貯蔵するのに適した他のバッグで完全に満たされている。容器内の液体は、RNAおよび/またはリポソームを含んでもよい。液体は、ワクチン、例えばコロナワクチンであってもよい。液体は、Comirnatyのバルク製剤であってもよい。
【0132】
右側のラックは、図1Aでは例示のために空である。容器レセプタクル150は、同一の構造および/または形態を有する容器160を受け入れるように構成されている。15個未満の容器160の内容物が解凍される場合、容器ユニット140内の空のレセプタクルは、容器ユニット140内の空気流の均一な分配を確保するために、好都合に塞がれるか、またはダミーユニット(例えば、空のSartorius Celsius(登録商標)FFTバッグや専用ダミーユニット)を提供される。異なる容器を取り扱うための調整を、例えばアダプタや後付け部品によって行うことができる。図示の実施形態では、容器ユニット140は、凍結液体を収容した最大15個までの容器160(図示の例ではSartorius Celsius(登録商標)FFTバッグ)に適合するように設計されたものとして示されている。例示的には、容器は、安全コアハウジングを備えた12Lバッグであってもよい。安全コアハウジングは、解凍中にバッグに構造的剛性を提供し得る。バッグの数および/または充填容量は変化し得る。上記のように、装置がそのために設計された数よりも少ない数が解凍されるべきである場合(本実施形態では15個までの容器を同時に解凍することができる)、ダミースペーサを空のラックに挿入して、容器ユニット140を通る均一な空気流を確保することができ、流れはガス流発生ユニットによって駆動される。
【0133】
容器またはバッグ160(本明細書におけるバッグへの言及は、容器への言及として理解される)は、前方から容器ユニット140内に装填されてもよく、容器キャリア155またはラックシステムによって支持される。好都合には、容器キャリア155は、バッグの表面の周りの(最大の)制約されない空気流を可能にするように構成される。これにより、解凍工程が増進され得る。バッグは、床から0.5~1.1mの高さでラックに装填される。高さは、シャーシ110の高さ調整可能な脚部295によって調整され得る。バッグ160は、好都合には、バイオプロセスバッグであり、(好都合にはラックごとに)5つの棚のみを有する容器ユニット140を示す図2に関連して示すように、装置に限られた高さが所望される場合、5つの棚のみにわたって分配されてもよい。
【0134】
図1Aおよび図1Bに示すように、容器キャリア155は、互いに上下に配置された複数のレセプタクル150を備える。あるいは、容器またはバッグの形状および空気流に対するバッグの位置決めは、図1Aおよび図1Bに示すものとは異なってもよく、例えば、バッグは、レセプタクルまたは容器ユニット内の空気流に対して水平に、かつ/または垂直に、かつ/または前面に配置することもできる。バッグはまた、互いに隣接して配置されるように使い捨て可能である。図示の実施形態におけるバッグ(好都合には凍結内容物を有する)は、間に距離を置いて積み重ねられており、バッグ間または容器間の間隔は、約1cm~約5cmで変化する(「約」は、+/-5%の逸脱を含む)。この距離は、解凍中のバッグ間の空気流のための通路、特に通路の縦幅などの通路の幅を画定し得る。
【0135】
提案の装置100は、容器キャリア155が複数行の容器レセプタクル150および/または複数列の容器レセプタクル150を備え、各行の容器レセプタクルおよび/または各列の容器レセプタクルが複数の容器160を備える形状を呈する。列は、互いに堅固に接続され得るか、または単一の一体型ラック構造に形成され得る別個のラックの一部であってもよい。容器160がレセプタクルに装填されると、容器は、例えば蝶ナット(図示せず)を使用して容器キャリア155に取り付けられた、係止部材またはプレート200によって定位置に保持することができる。1つの共通の係止部材200が二列に対して使用されてもよい。空気流は、(例えば、ステンレス鋼ダクトなどのダクトを使用して)取り付けられるかまたは装填された容器160の表面上に導かれて、容器キャリア155内のすべての容器160にわたる効率的で、むらがなく、かつ/または均一な空気流を確保にする。容器キャリアの列および/または行内の容器またはバッグ160の数は、2以上、3以上、4以上、5以上であり、列および/または行内の容器の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下である。一行の容器160の数は、2以上5以下、例えば3である。一列の容器レセプタクルの数は、2以上8以下、例えば5である。
【0136】
複数の容器160は、例えば前方(すなわち、図1Aに示されている側)から、容器キャリア155のラックに装填することができる。それぞれのラック内の容器160は、一列に、例えばラックごとに一列に互いに上下に積み重ねられる。容器キャリア155は、互いに隣接して配置された複数のラック(図示の例では3つのラック)を備える。(1つまたは複数の)ラックは、可動ラックまたは揺動ラックであってもよい。揺動ラック(または運動容器キャリア155)は、水平軸上で、例えばその軸に沿ってのみ歯車付電動機(図1Aおよび図1Bに明示されていない、図7Aおよび図7Bの参照符号「300」を参照)によって駆動されてもよい。これは、空気流に対して容器を運動させ、容器表面に沿った対流を強化することができ、かつ/または容器における空気流を乱すことができるので解凍目的に有益である。容器に沿った空気流は、非層流であってもよいし、あるいは層流であってもよい。
【0137】
図1の図示の実施形態では、各ラックは5つの容器160を受け入れることができる、すなわち各ラックは5つの容器レセプタクル155を有する。他の数の容器またはラックまたはレセプタクルも当然ながら可能である。1つのラックのレセプタクルは、列状または積み重ね配置で配置される。
【0138】
図1Aおよび図1Bの図示の実施形態は、容器160としてSartorius(登録商標)タイプのバッグ(例えば、Sartorius Celsius(登録商標)FFTバッグ)を受け入れるものとして示されている。容器ユニット140は、この種のバッグのみを受け入れることに限定されず、他の種類のバッグも使用されることが可能である。容器キャリアの後付け部品が必要とされてもよいし、または異なるバッグへの調整を容易にするために設けられてもよい。バッグは、標準的なCelsius FFTバッグとは対照的に、センサ、例えば温度センサがバッグ内の場所に配置されることを可能にするか、または場所に配置されたセンサを有する、Sartorius(登録商標)Celsius FFTの12L Thermowell Bioprocessingバッグであってもよいし、またはこれを含んでもよい(これは、解凍の進行が電子的に監視されるか、または異なる解凍シナリオを評価する評価目的で監視される場合に有利である、図6Aから図6Dを参照)。センサは、Thermowell Bioprocessingバッグのサーモウェル空洞内に直接配置されてもよいし、または標準的なCelsius FFTバッグの内側プラスチックバッグと外側シェルとの間に配置されてもよい。代替的または追加的に、バッグは、バッグコアの両側に配置された2つの外部シェルおよび2つのプレートの複合体であってもよく、この配置(いわゆる安全コアシステム)は、液体時または凍結時のどちらの場合にも、バッグ装填物を固定することができる。Sartorius(登録商標)Celsius FFTバッグは、そのような安全コアシステムを特徴とし得る。
【0139】
上述のように、提案の装置は、容器ユニット140に加えて、ガス流発生ユニット120をさらに備える。以下で詳細に説明するように、ガス流発生ユニット120は、装置100内に画定されたガス流路に沿ってガス流(記載の実施形態では、ガスは好都合には空気であるが、異なるガスも同様に使用することができるので、上記でさらに空気流とも呼ばれている)を発生させるように動作可能である。装置100は、容器キャリア155の領域において、ガス流路の容器領域を画定するように構成されている。ガス流路の容器領域では、容器160が容器レセプタクル150内に配置されたときにガス流路の一区間が容器160の外部に沿って延在し、好ましくは、装置100は、容器160の外部でガス流を強化するか、または対流を強制するように構成される。
【0140】
容器ユニット140の容器ガスダクト170は、容器キャリア155を囲み、容器ユニット140を通るガス流路の横方向境界を画定する。ガスダクト170はまた、例えばガス流方向に対して円周方向に容器領域を画定してもよい。ガス流路を通って、ガス流発生ユニット120から発生する空気(またはより一般的にガス)は、容器160の外面における空気の対流を強化または強制するために、装置の動作中に、特に異なる区間を移動することができる。容器領域において、容器の外面は、容器ガスダクト170の内壁と協働して、ガス流路の区間を画定する(この容器は、容器ガスダクトの内面に最も近い容器であり得る)。容器ガスダクト170は、容器キャリア155に対して固定されている。好ましくは、容器ガスダクト170および容器キャリア155は、容器ユニット140の共通のベースに固定されている。容器レセプタクル150および/または容器キャリア155は、容器ガスダクト170によって横方向に囲まれている。容器ユニット140の領域では、装置100内に画定されたガス流路は、図1Aに示すように、容器ガスダクト170によって容器ユニット140に制限される。
【0141】
容器レセプタクルは、特にその高さに関して、例えば図1Aの上方に、容器で満たされた場合に、互いに上下に配置された一方のラック内の2つの隣接した容器間、および/または容器ガスダクト170の内壁とその内壁に隣接した容器160との間に、ガス流発生ユニット120によって駆動されて空気が流れることができるガス流路区間または通路が形成されるように調整される。空気は、2つの隣接した容器間および/または容器ガスダクト170と隣接した容器160との間の領域で装置から離れることができる。ガス流路区間の幅は、隣接した容器間のギャップまたは容器とガスダクト170の内壁との間のギャップによって画定され得る。容器領域または容器ユニット内のガス流路区間の(垂直)幅(例えば、最大幅、最小幅、および/または平均幅)は、0.5cm以上および/または10cm以下、例えば1cm~5cmであってもよい。ここで、幅は、2つの隣接した容器間の垂直距離によって画定され得る。容器ユニット155のラックまたはレセプタクルの列は、例えば、隣接したラック間または列間の分離壁によって、互いに流体的に分離されてもよい。空気が装置から出ることができる領域は、図1Aの左端のラックにおいて「E」で強調表示されている。他のラックでは、これらの領域はそれに応じて位置決めされる。
【0142】
容器レセプタクル150は、例えば内側に突出するレール状構造(右端のラックを参照)によって提供されるそれぞれのレセプタクル150の1つまたは複数の支持面が、容器160を定位置に維持するために支持または保持の目的で容器の表面のごく一部のみを覆うように調整され得る。容器の表面の残りの部分は、空気流への曝露に、したがって空気から容器への熱伝達に利用可能である。このようにして、解凍は、装置100を通るガス流路の容器領域(すなわち、容器キャリア155を通って延在するガス流路の領域)における効果的な熱伝達によって加速され得る。
【0143】
装置100では、容器160がそれぞれの容器レセプタクル150内に受け入れられたときに、容器領域内のガス流路の区間における主ガス流方向は容器160の主延在方向に沿って方向づけられる。主延在方向は、容器がその最大延長または最大長さを有する方向などの長手方向または長さ方向である。容器領域では、各容器160は、ガス流路の少なくとも一区間に沿ったガス流に直接曝される。好ましくは、各容器160は、ガス流路の複数の区間に沿ってガス流に直接曝され、容器は、好都合には、2つの区間の間に配置される。これもまた、ガスから容器への熱伝達を増進させ得る。
【0144】
ガス流発生部材130またはファンの各々は、ガス流路に沿った全ガス流に寄与するガス流を発生させるように動作可能である。ガス流発生部材は、好ましくは一行に一次元配置で直線的に配置されている。装置100では、異なるガス流発生部材は、容器レセプタクル150の異なる列に割り当てられている。代替的または追加的に、ガス流発生部材は、平行な方向のガス流を発生させるように配置される。図1Bは、それぞれのガス流発生部材がファン130であるガス流発生部材の特定の実施態様を示しているが、ガス流発生部材はこの実施形態に限定されない。図から明らかなように、ファン130またはガス流発生部材は、それらの回転軸が平行になるように配置されている。
【0145】
(それぞれの)ガス流発生部材130は、3000m/h、4000m/h、4500m/h、4900m/h、5000m/h(m:メートル、h:時間)のうちの1つ以上のガス変位量を提供するように構成されている。さらに、(それぞれの)ガス流発生部材は、7000m/h、6500m/h、6000m/h、5500m/h 5000m/hのうちの1つ以下のガス変位量を提供するように構成されている。ガス流発生ユニットは、1.0m/s、1.1m/s、1.2m/s、1.3m/s、1.4m/s、1.5m/s、1.6m/s、1.7m/s、1.8m/s、1.9m/s、2m/s、2.5m/s、3m/s、3.5m/s、4m/s、4.5m/s、5m/s(m:メートル、s:秒)のうちの1つ以上の(ユニットにおいて、例えば(1つまたは複数の)ファンの出口において測定された)ガス流速を有するガス流を発生させるように構成されている。ガス流発生ユニット120は、8m/s、7m/s、6.5m/s、6m/s、5.5m/s、5m/s、4m/s、3.5m/s、3m/s、2.5m/s、2m/s、1.5m/sのうちの1つ以下のガス流速を有するガス流を発生させるように構成されている。ガス流は、1m/s~5m/sであってもよい。ガス流発生ユニットは、9000m/h、10000m/h、11000m/h、12000m/h、13000、14000m/h、14500m/h、15000m/hのうちの1つ以上の(すべてのガス流発生部材によって提供される)総ガス変位量を提供するように構成されている。ガス流発生ユニットは、21000m/h、19500m/h、18000m/h、16500m/h、15000m/hのうちの1つ以下の総ガス変位量を提供するように構成されている。総ガス変位量は、9000m/h~21000m/h、例えば15000m/hであってもよい。
【0146】
本開示の一実施形態による、図1Bに示すガス流発生ユニット120は、互いに水平方向に隣接して、例えば一行に取り付けられた複数の、例えば3つのファンまたはガス流発生部材130を備える。ガス流発生ユニット120は、例えば、15000m/hの総空気変位量および/または(それぞれのファンまたはガス流発生ユニットにおいて)5m/sの速度を発生させるように構成されている。代表されるファン130の各々の例示的な仕様は、製造者:Rosenberg;プロダクトキー:AKFE500-4G(S).5HAA7;電圧(V):160~、50Hz;回転速度(min-1)1150;静圧上昇(Pa):75;体積流量(m-1)4980;電流消費(A):2.7;電力消費(kW):0.4;入口の音響出力レベル(dB(A)):66;出口での音響出力レベル(dB(A)):67、であってもよい。それぞれのファンは、電動機によって駆動されてもよい。
【0147】
本発明者らは、バッグに対するファンの位置決めまたは動作モードは、空気がバッグの上に引き込まれるのではなく、ファンからバッグに押されるようなものであることに留意する。これにより、ファン電動機の熱損失の解凍工程への寄与が可能になり、よって総解凍時間が短縮される可能性がある。ラックおよびバッグの長さにわたる空気流の均一性が低下する可能性があるが、この均一性の欠如は、容器キャリアの運動によって提供される流体の機械的混合によって補償され得る。
【0148】
ガス流路は、ガス流路に沿って見たときに容器領域とガス流発生ユニット130との間に配置された中間領域、および/またはガス流路に沿って見たときに容器領域のガス流発生ユニットから遠い側に(例えば、空気出口領域Eの側に)配置された遠隔領域を含む。ガス流発生ユニット120は、ガスのガス流方向が、ガス流発生ユニットから中間領域を介して容器領域へ、かつ/または容器領域からガスが装置を出る遠隔領域へ流れるように、中間領域を介して容器領域に向かってガスを移動させるように構成されている。ガス流発生ユニットは、上述したように、ガス流発生ユニットの吹込み動作モードにおいて、ガス流路に沿って容器領域に向かってガスを移動させるように構成されている。上記のように、これは、ガス流発生部材の損失熱により容器の温度を上昇させる選択肢を提供する。
【0149】
バッグ/容器(例えば、Sartorius(登録商標)Celsius FFTバッグ)の縁部およびコアの加温速度は、バッグの形状および構成に依存することがわかっている。この差は、空気流量を増加させることによって低減することができ、よって形状および/または周囲温度の影響を低減することができる。空気流を層流範囲に保つことによる利点は観察されなかった。よって、非層流を使用することができる。高い空気流量(例えば>1.5m/s)を使用して、バッグ全体、例えば充填が等しくないバッグ全体にわたる解凍速度を標準化することができる。
【0150】
装置100では、2つの隣接した容器レセプタクル150、好ましくは任意の2つの垂直方向および/または横方向に隣接した容器レセプタクル150について、容器160がこれらの2つの隣接したレセプタクル内に配置されたとき、ガス流路の容器領域におけるガス流路の一区間が容器160間に形成される。好ましくは、各容器160は、容器レセプタクル150内にあるとき、ガス流路の2つの区間の間に挟まれる。
【0151】
上記のように、装置100はシャーシ110を備える。ガス流発生ユニット120は、シャーシ110に取り付けられている。容器キャリア155は、例えば、1つまたは複数のガイドレールを介して、シャーシ110に移動可能に接続されるか、または接続可能である。
【0152】
装置100のシャーシ110は、可変長を有し得る調整可能な脚部295を有し、やはり装置100に組み込まれた振とう床または運動容器キャリアのための水平運動軸の提供を確実にする。空気流は、シャーシ110をステンレス鋼パネルに封入する(シャーシ用のガスダクトを形成する)ことによってバッグ160上および/または装置内に導くことができる。振とう床または揺動床の(すなわち、容器ユニットの)自由度の範囲は、このガスダクトまたはステンレス鋼パネルから好都合に独立している。
【0153】
以下の項でさらに詳細に説明するように、容器ユニット140は、シャーシ110および/またはガス流発生ユニット120に対して移動可能である。容器ユニット140は、シャーシ110に移動可能に接続される。容器ユニット140は、シャーシ110に対して、かつ/またはガス流発生ユニット120に対して、直線的になど少なくとも一方向に、例えば直線的にのみ移動可能である。容器ユニット140は、シャーシ110に対する容器ユニット140の運動が運動軸に沿った直線運動に制限されるようにシャーシ110に接続することができる。これは、運動を制限または案内するために、例えば容器キャリア155上の容器ユニット140の特徴と相互作用するシャーシ110上のガイドレールまたはガイドスロットなどによって達成され得る。運動軸は、シャーシ110に対して、かつ/またはガス流発生ユニット120に対して定位置に固定されている。容器ユニット140は、運動軸に沿って反対方向に移動可能である。容器ユニット140の直線運動の運動軸は、容器領域内でガス流路に対して垂直、またはガス流方向に対して垂直である。移動方向は、容器の延在の主長手方向に対して垂直であり、かつ/または装置100の支持体、例えば装置が設置された部屋の床に対して平行である。シャーシ110に対する容器ユニット140の運動は、やはり装置100に含まれる電動機によって好都合に行われる(図1Aおよび図1Bには明示されていない、図7Aおよび図7B、項目「300」を参照)。電動機は、装置100の動作中に、シャーシ110に対して容器ユニット140を、好都合には異なる方向または反対の方向に運動させるように構成されている。電動機は、シャーシ110に取り付けられ、例えばギアインターフェースを介して容器ユニット140に動作可能に接続される。少なくとも図1Bに関連して示し、両矢印で示すように、装置は、容器ユニット140をシャーシ110および/またはガス流発生ユニット120に対して2つの極限位置間で運動させるように構成されている。例えば、容器ユニットは、例えば装置の全解凍工程中または全動作サイクル中(または解凍工程の持続時間に等しいかもしくは解凍工程の持続時間未満であり得る、少なくとも所定の時間にわたって)、振動的にこれらの極限位置の間を移動される。
【0154】
装置100は、2つの極限位置間の容器ユニット140の振動運動の振動数が、1.5Hz、1.3Hz、1.0Hz、0.9Hz、0.8Hz、0.75Hz、0.6Hz、0.5Hz(Hz=ヘルツ)のうちの1つ以下になるように構成されている。医療用物質、特に生物製剤物質、例えばComirnatyのようなRNAを含む物質は、撹拌に対して敏感な場合もある。解凍中の過度の撹拌は、例えば、濾過などによって解凍液体から回収することができる薬剤的に活性な物質の収率に関して、または充填工程が開始される前に解凍液体の濾過を行うことに関して、解凍液体に悪影響を及ぼし得る。装置100は、2つの極限位置間の容器ユニット140の振動運動の振動数が、0Hz、0.01Hz、0.1Hz、0.2Hz、0.3Hz、0.5Hz、0.6Hz、0.7Hz、0.75Hzのうちの1つ以上になるようにさらに構成されている。振動の振幅は、例えば4cmに固定されてもよい。装置は、振動数が可変であり、例えば、ユーザが例えば0Hz~1.5Hz(もしくは0Hz~0.8Hz)で変化させることができ、かつ/または複数の予め設定された振動数から特定の振動数を選択することができるように構成されてもよい。運動の振動数は、ユーザが所望の振動数を設定するように操作することができる振動数変換器を介して調整可能であってもよい。振動数は、0.01Hz~1.5Hzであってもよい。振動数は、容器ユニット140の運動中に一定であってもよい。理想的な振動数は、解凍する必要がある特定の物質または液体に依存し得る。Comirnatyの場合、0.50Hzまたは0.48Hz(またはそれ未満)および/または0.01Hz超の振動数が、特に高い収率を達成し、かつ/または濾過性に有利である(以下をさらに参照)であることがわかっている。例えばComirnaty製剤の場合、0.32Hzが振動数の適切な候補である。しかしながら、他の振動数での収率および/または濾過性も良好であった。これについては以下でさらに説明する。
【0155】
装置100はまた、1つまたは複数のガス入口および1つまたは複数のガス出口も備える。ガス流路は、ガス入口からガス出口まで延在し、かつ/またはガス入口とガス出口とを流体接続する。装置100の1つまたは複数のガス出口は、ガス流路の遠隔領域にある(図1Aの「E」で強調表示された領域を参照)。装置100の1つまたは複数のガス入口は、ガス流発生ユニット120によって、例えば、ガス入口としてファンの後側によって画定される。
【0156】
装置100は、ガス分流器180をさらに備える。ガス分流器180は、ガス流発生ユニット120と容器キャリア155との間のガス流路に配置されている。ガス分流器180は複数のフィンまたはガス偏向器190を備え、フィンまたはガス偏向器190は、例えば、シャーシ110に対する容器ユニットの運動軸に沿って延在し得る長手方向に方向づけられたスリットとして、それらの間に空気通路またはガス通路を画定するように互いに対して配置されている。空気通路は、容器160間および/または容器160と容器ガスダクト170の内壁との間の領域と好都合に位置合わせされる。各領域または区間は、好ましくはガス分流器のその他の空気通路から、上方および/または下方など垂直に流体的に分離された唯一の位置合わせされた空気通路を有し得る。このようにして、ガスが容器に沿って流れるように、容器領域内のガス流路のそれぞれの区間に空気を確実に案内することができる。ガス偏向器190、例えば水平空気ダクトは、装置が動作または運動している間にバッグ上の方向性空気流を標準化するように、可動ラック(または容器キャリア155または容器ユニット140)上に配置され得る。追加のダクト(例えば、図2のガス流路調整器210、以下を参照)が、固定されたシャーシ110上に配置されるか、または固定されたシャーシに接続されてもよく、固定シャーシには、ファンによって移動された空気を可動ラックまたは容器キャリアの運動領域内に導くように可動ラックまたは容器キャリアが配置される。
【0157】
容器キャリア155、ガス分流器180および/または容器ガスダクト170は、容器ユニット140の容器ユニットベース145に好都合に接続され、例えば固定的に接続される。容器ユニットベース145は、電動機が容器ユニット140を駆動することができるように、電動機のためのインターフェース(例えば、電動機によって駆動される部材により係合可能な歯付き部分、例えばギア)を提供するか、または有していてもよい。ベース145は、容器ユニット140の底端部に、かつ/または装置が位置する部屋の床に最も近い容器ユニットの端部に配置されてもよい。
【0158】
要約すると、装置100は、ガス流発生ユニット120とガス流路に沿った容器領域との間に配置されたガス分流器180を備える。より正確には、ガス分流器180を備えるのは容器ユニット140であり、例示的には、ガス分流器180は容器ユニット140のベース145に取り付けられている。ガス分流器180は、ガス流路に沿って見たときに、ガス流路調整器210(図2により詳細に示す)と容器領域との間に配置されている。ガス分流器180は、入ってくるガス流を容器領域内のガス流路の区間に導くように構成されている。ガス流路の区間は、好ましくは各容器が容器の2つの対向する表面(好都合には容器の主表面)にわたって延在するガス流路の少なくとも一区間を有するように、ガス分流器に対する容器レセプタクルの位置に調整される。ガス分流器180は、ガス流路の複数の区間を画定するように構成されている。これらの区間の数は、一列に配置された容器レセプタクル150の数に1を加えたものに等しくてもよい。ガス分流器180はまた、1つまたは複数のガス偏向器190も備える。これらの偏向要素は、容器領域内のガス流路の区間を画定し、かつ/または容器領域内のガス流路の区間にガス流を導く。
【0159】
図2は、容器ユニット140を示している。図2は、シャーシ110に固定的に接続されたガス流路調整器210をさらに示している。ガス流路調整器210は、動作中にガス流路調整器210に対して振動的に運動するガス分流器180または容器ユニット140上にガス流を集中させるように好都合に構成されている。ガス流路調整器210に対する容器ユニット140の位置は、振動運動をも表す両矢印によって概略的に示されている。ガス流路調整器210は、ガス流発生ユニット120(この図には明示されていない、矢印120が当該ユニットの位置を示唆している)からガスを受け取り、このガスをガス分流器180に集中させ得る。この目的のために、ガス流路調整器210の狭窄領域220が設けられてもよく、これはガス流路の断面を、例えばガス流路調整器の出口に面した側で、例えばガス分流器180の一方に合わせて調整された断面に縮小する。ガス分流器180に面したガス流路調整器210の開口部は、(容器ユニット140の)移動方向に沿ったガス分流器180の延長よりも、その方向に沿ってわずかに、例えば約2cmだけ、および/または容器ユニット140の振動運動の振幅もしくは振幅の半分だけ小さくてもよい。このようにして、ガス分流器180が、ガス流路調整器210を介してそれに集中されたガス流全体を常に収集することを確実にすることができる。大きな矢印は、容器ユニット140がガス流路調整器210に面したガス分流器180と共に装置100の動作中にどこに配置されるかを示している。調整器210と分流器180との間の距離は、以下の値、すなわち、15cm、10cm、5cm、4cm、3cm、2cm、1cmのうちの1つ以下であってもよい。ガス流路調整器210は、単一の連続した流路区間を画定してもよい。
【0160】
一方の極限位置から他方の極限位置までの容器ユニット140の振動運動の距離は、2cm以上、2.5cm以上、3cm以上、4cm以上(cm:センチメートル)である。一方の極限位置から他方の極限位置まで容器ユニット140の運動の距離は、6cm未満、5cm未満、4.5cm未満、4cm未満である。極限位置間の距離は、2cm~6cm、例えば4cmであってもよい。ガス流路調整器210またはガス流発生ユニット120に対して画定された中立位置または中央位置から離れて2つの極限位置のいずれかに向かう容器ユニット140の振動運動の振幅は、1cm、2cmのうちの1つ以上である。ガス流路調整器またはガス流発生ユニットに対する中立位置または中央位置から離れて2つの極限位置のいずれかに向かう容器ユニット140の振動運動の振幅は、3cm以下、2cm以下である。振幅は、1~3cmであってもよい。
【0161】
よって、装置100は、ガス流路調整器210をさらに備える。ガス流路調整器210は、ガス流発生ユニット120と容器ユニット140との間のガス流路の中間領域にガス流路を画定し、かつ/または集中するように配置されている。ガス流路調整器210は、ガス流路の断面のサイズおよび/または形状を、例えば、ガス流路に沿って見たときにガス流発生ユニットにより近いガス流路調整器の第1の端部における第1のサイズおよび/または形状から、ガス流発生ユニットからさらに離れたガス流路調整器の第2の端部における第2のサイズおよび/または形状に変更するように構成されている。ガス流路調整器210は、ガス流路の断面を、例えばそのサイズおよび/または形状を、容器キャリアの断面またはガス流路の容器領域の外側境界に合わせて調整するように構成されている。ガス流路調整器210は、ガス流路に沿って見たときにガス流発生ユニット120に面した第1の端部を有し、第1の端部は、ガス流発生ユニット120から遠くに位置し、容器ユニット140に面したガス流路調整器210の第2の端部の断面よりも大きい断面を有する。ガス流路調整器210は、第1の端部に連続した開口部および/または第2の端部に連続した開口部を有する。それぞれの開口部は、それぞれの端部における調整器の唯一の開口部であってもよい。
【0162】
ガス流路調整器210の第1の端部は、ガス流発生ユニット120で発生するガス流、例えばガス流全体を受け取るように構成されており、第2の端部は、容器ユニット140に向かってガス流を供給するように構成されている。
【0163】
ガス分流器180のガス偏向器190の数は、互いに上下に積み重ねて配置された、例えば容器レセプタクル150の一列に配置された容器レセプタクル150の数に等しくてもよい。ガス流路に沿って見たときにガス流発生ユニットから遠いガス分流器の端部におけるそれぞれのガス偏向器の高さは、容器の高さに合わせて、かつ/または容器レセプタクルの高さに合わせて調整される。また、ガス流路に沿って見たときに、ガス偏向器190は、ガス流発生ユニットから容器領域に向かって広がる。本開示の一実施形態では、複数のガス偏向器のそれぞれのガス偏向器は、容器レセプタクルの幅方向に沿って、またはこれと平行に、かつ/または容器ユニット140の運動軸に沿って方向付けられている。ガス偏向器190は、互いに平行に好都合に方向づけられている。ガス偏向器は三角形の断面を有し、この断面は、ガス流発生ユニットから容器領域または容器ユニット140まで見たときに、ガス流路のガス流方向に沿った断面である。ガス流路に沿って見たときに、ガス流路調整器210に面したガス分流器180の端部と、ガス分流器180に面したガス流路調整器の端部との間の距離は、以下の値、すなわち、50cm、40cm、30cm、25cm、20cm、15cm、10cm、5cm、4cm、3cm、2cm、1cmのうちの1つ以下である。ガス流路は、ガス流発生ユニット120と容器ユニット140との間のガス流路の領域、例えばガス流路調整器210の下流で、箔などの可撓性部材(図1Aおよび図1Bには明示されていない、図3の部材290を参照)によって横方向または円周方向に(例えば)好都合に制限される。ガス流路調整器210は、ガス分流器に好都合に直接接続され、かつ/または可撓性部材は、ガス流路調整器とガス分流器とに固定されてもよい。可撓性部材はまた、ガス流路調整器210に対するガス分流器180の運動を可能にし、ガス流路を画定する。ガス分流器180は、ガス流路調整器210に対して、容器の主延長に対して垂直な方向に、容器レセプタクルの幅方向に、かつ/または容器領域内のガス流路の区間の(主)延長に対して垂直に移動可能である。ガス分流器は、ガス流路に沿って見たときにガス分流器に面したガス流路調整器の端部に沿って移動可能である。ガス分流器、好ましくは、ガス流路調整器に対するガス分流器の運動の振幅は、ガス流路調整器に対するガス分流器の任意の相対位置において、ガス分流器のガス入口がガス流路調整器のガス出口、例えば出口全体を覆う、好ましくは完全に覆うようにガス流路調整器に対して好都合に調整される。ガス分流器のガス入口は、ガス流路調整器のガス出口よりも大きくなるように好都合に寸法決めされる。よって、分流器は、調整器に対して移動されるが、調整器に対する分流器の相対位置にかかわらず、調整器の出口でガス流全体を収集し得る。
【0164】
上記のように、容器ユニット140は、好都合にはガス流路の延長に対して垂直な方向に、ガス流発生ユニット120に対して変位可能である。運動は、例えばレールおよびシャーシ110、または他の適切な案内構造を介した直線運動に制限され得る。容器ユニットは、電動機駆動されてもよく、図1Bに両矢印で概略的に示されている1本の軸に沿って2つの極限位置間を前後に運動することができる。
【0165】
容器160は、容器キャリア155に好都合に解放可能に接続可能な係止部材200によって、それぞれのラックまたはレセプタクル内の定位置に係止され得る。
【0166】
装置100はまた、動作サイクルを開始するためのスイッチなどのトリガ機構も備える(図1Aおよび図1Bには明示されていない)。さらに、装置100は、所定の時間が経過した後、装置をオフに切り替えることによって動作サイクルを終了させる、少なくとも1つのタイマをさらに備える。装置(または容器ユニットの運動および/またはガス流発生)がオフに切り替えられる時間は、ユーザによって固定されてもよいし、または調整可能であってもよい。装置100は、ガス流発生ユニット120および/または容器ユニット140を運動させる電動機が装置の全動作サイクル中動作するように構成されている。この動作は、予め設定されたパラメータで行われてもよく、パラメータは、好ましくは全動作サイクル中に一定であるか、または可変である。例えば、容器ユニットの運動の振動数が変更されてもよく、かつ/または動作サイクルの持続時間が、例えばタイマを介して変更されてもよい。
【0167】
装置100は、装置が所定の時間内に10L超および/または20L未満(L:リットル)の充填容量を有する15個の容器の内容物を解凍することができるように構成されている。所定の時間は、20h、19h、18h、17h、16h、15h、14h、13h、12h、11h、10h、9h、8h、7h、6hのうちの1つ以下である。所定の時間は、4h、5h、6h、7h、8h、9h、10hのうちの1つ以上である。動作サイクル(または解凍サイクル)の所定の時間または持続時間は、4h~20hであってもよい。
【0168】
装置100内では、すべての容器レセプタクル150は同様に構成され得る。容器キャリアの運動軸に対して垂直な寸法および/または容器領域内のガス流路の方向に対して垂直な寸法として定義される、(それぞれの)容器レセプタクル150の高さは、例えば容器キャリアの運動軸に沿った寸法および/もしくは容器領域内のガス流路の方向に対して垂直な寸法として定義される、容器レセプタクルの幅よりも小さく、かつ/または容器キャリアの運動軸および/もしくは容器領域内のガス流路に沿った方向に対して垂直な寸法として定義される、それぞれの容器レセプタクルの長さよりも小さい。容器レセプタクル150は、6L以上、7L以上、8L以上、9L以上、10L以上、11L以上、12L以上の充填容量を有する容器160を保持するように構成されている。容器レセプタクル150は、20L以下、19L以下、18L以下、16L以下、15L以下、14L以下、13L以下、12L以下の充填容量を有する容器160を保持するように構成されている。容器の充填容量は、6L~20L(例えば、12LのSartorius FFTバッグ)であってもよい。
【0169】
装置100は解凍装置であり、好ましくは専用の解凍装置であり、より正確には凍結用に構成されておらず、解凍用にのみ設計された装置である。したがって、装置100は、レセプタクル内の容器の温度に影響を及ぼす能動的加熱ユニット、レセプタクル内の容器の温度に影響を及ぼす能動的冷却ユニット、および容器の温度を監視する温度監視ユニットのうちの少なくとも任意の1つを含まないか、または全部を含まない。装置100は、例えば15個のバッグにわたって分配された、160Lの液体内容物の凍結相当物を、設定周囲温度が18~25°Cであり、天井高が3メートル、例えば少なくとも3メートルであり、床面積が3×5m、例えば少なくとも3×5mである空調された部屋の周囲空気を使用して、13時間未満、例えば12時間未満または11時間未満または10時間未満または9時間未満で、-50°Cから15°Cまたは-60°Cから15°Cに解凍するように構成されている。
【0170】
装置100の動作中にガス流発生ユニット120によってガス流路に沿って移動されるガスは、例示的には周囲空気などの空気であるが、本開示の目的を達成するのに適した任意の他のガスまたは流体であってもよい。
【0171】
装置100は、容器160が容器レセプタクル150内に、かつ/またはガス流発生ユニットもしくはガス流発生部材に配置されたときに、例えば容器160間のガス流路の区間におけるガス流速が、1.5m/s、1.6m/s、1.7m/s、1.8m/s、1.9m/s、2m/s、2.5m/s、3m/s、3.5m/s、4m/s、4.5m/s、5m/s、5.5m/s、6m/s、7m/s、8m/s、9m/s、10m/s、10.5m/s、11m/s、11.5m/s、12m/sのうちの1つ以上になるように構成されている。容器の凍結内容物は、コロナウイルスワクチンなどのワクチンの成分などの活性医薬成分を含む液体などの医薬液などの医療用液体である。容器は可撓性バッグを含んでもよい。容器間のガス流路の区間におけるガス流速は、20m/s、19m/s、18m/s、17m/s、16m/s、15m/s、14m/s、13m/s、12m/sのうちの1つ以下であってもよい。容器間のガス流路の区間におけるガス流速は、1.5m/s~20m/sとすることができる。空気出口領域Eでは、本明細書に記載するように構成された解凍装置の動作中に11.5m/sまたは12m/sの速度が測定された。容器間の区間におけるガス流速は(ベルヌーイの法則のために)、ガス流発生ユニットおよび/またはそれぞれのガス流発生部材におけるガス流速よりも大きくなり得る。
【0172】
容器領域内のガス流路の区間において、ガス流方向は、重力に対して垂直であり、かつ/または装置100のシャーシ180を支持する支持面に沿っている。
【0173】
装置100はまた、容器キャリア155に対する運動に抗して容器160を容器レセプタクル150内に係止するように構成された1つまたは複数の係止部材200も備える。1つの係止部材は、一列の異なる容器レセプタクル内に、または(好都合には隣接した)二列の異なるレセプタクル内になど、異なる容器レセプタクル内に容器を係止することができるように構成されている。係止部材200は、容器キャリアに解放可能に接続可能である。容器を装填するために、(1つまたは複数の)係止部材は、レセプタクルに容器が装填された後に取り外されて容器ユニット140に固定され得る。容器レセプタクル150は、(例えば、係止部材200が取り外された後に)容器160を出口または遠隔領域から容器レセプタクル150に装填することができるように、ガス流路の遠隔領域または出口領域においてアクセス可能である。
【0174】
解凍装置100は、制御ユニット220をさらに有する(図1Aを参照)。制御ユニット220は、容器ユニットの運動のための電動機の動作を制御するコントローラ(図示せず、例えば電気または電子コントローラ)を備えてもよい。制御ユニットは、前述のタイマを備えてもよい。容器運動持続時間およびガス流持続時間を別々に設定ことができる場合、複数のタイマが設けられて、運動またはガス流は定の容器運動時間または所定のガス流時間が経過したときに終了する。これは、異なる液体に対する装置性能を最適化するのを補助し得る。制御ユニットは、ガス流発生ユニット120またはファン130に対する容器ユニット140の運動の振動数を、例えば0~0.8Hzまたは0~1.5Hzで調整または設定するための振動数調整器または振動数変換器を備えてもよい。(1つまたは複数の)タイマおよび振動数調整器は、解凍工程中に物質に及ぼされる機械的負荷に対して異なる特性および異なる許容差を有すると予想される異なる物質に合わせて装置100を調整するのに適し得る。
【0175】
解凍装置は、制御盤230をさらに有する(図1および図2には示されていない、図3を参照)。制御盤230は、制御ユニット220の閉鎖機構またはドアの後ろでアクセス可能であってもよい。制御盤230は、ユーザが装置100の操作を制御するためのスイッチまたは他の制御部材を含んでもよい。図示の実施形態では、制御盤230は、動作サイクルまたは加速解凍手順を開始するための開始またはトリガスイッチ240を含む。さらに、任意選択で、動作サイクルの持続時間を設定するためにタイマ制御部材250が利用可能であり、設定された持続時間の後、ガス流発生および/または容器ユニットの運動が停止される。上記のように、ガス流発生ユニットの動作および容器運動の維持のために、別個のタイマまたはタイマ制御部材が設けられてもよい。さらに、任意選択で、振動数制御部材260、例えばポテンショメータが設けられる。振動数制御部材によって、容器ユニットの運動の振動数を、例えば(例えば上記の境界内で)連続的に選択または調整することができ、または振動数を、例えば解凍されるべき液体に対して装置を最適化するために、複数の所定の値から選択することができる。安全部材270、例えば緊急スイッチなどを設けて、例えば、安全部材270がユーザによって作動されたときに装置全体を直ちにオフにすることができる。さらに、例えばオペレータまたはユーザに情報を表示するために、ディスプレイ280を設けてもよい。情報は、動作サイクルの選択されたまたは所定の時間、動作サイクルの完了までの残り時間、および/または容器運動の選択された振動数を含んでもよい。容器運動がガス流発生と無関係である場合、これらの処置の設定時間および/または残り時間が表示されてもよい。
【0176】
ガス流発生ユニット120によって発生するガス流は、動作サイクル中一定であってもよい(全サイクルを経てガス流が発生しない場合、当然ながら、ガス流が発生している間、流れは好都合に一定である)。代替的または追加的に、容器ユニットの運動の振動数は動作サイクル中一定であってもよい(全サイクルを経て運動が発生しない場合、当然ながら、容器ユニットが運動している間、振動数は好都合に一定である)。好ましくは、ガス流発生および/または容器運動は、全動作サイクル中に行われる。これは、解凍工程にとって特に効率的であることが証明されている。
【0177】
図4は、上記のような装置に設けられ得る可撓性部材290、例えば箔を示している。可撓性部材は、(大きな矢印によって表された)ガス流をガス流路調整器210から容器ユニット140および/またはガス分流器180に案内し得る。ガス分流器180は、既に説明しており、図4の両矢印で示すように、容器ユニット140と共に運動する。可撓性部材290は、ガスの案内を提供し、容器ユニット140がガス流発生ユニット120に対して運動する間、連続的に変形される。
【0178】
本開示はまた、本明細書全体で説明したその様々な形態および特徴の組合せのいずれかの装置100を、液体、例えば解凍処理用の液体を有する1つもしくは複数の容器、ならびに/または1つの動作サイクルで装置によって処理されるべき容器の数が装置内で利用可能な容器レセプタクルの数よりも少ない場合に、容器レセプタクルに挿入されるようなサイズおよび形状の1つもしくは複数のダミー容器と組み合わせて備えるシステムも対象とする。ダミー容器は、部分的にのみ満たされた解凍装置に対しても均一な解凍工程を保証する。
【0179】
本開示は、装置100または上記のシステムを使用して、複数の容器160の凍結内容物(凍結液体)を同時に解凍するための方法であって、凍結内容物を有する容器160を容器レセプタクル150内に少なくとも配置する段階と、任意選択的に、任意の空の容器レセプタクル内にダミー容器を配置する段階と、動作サイクルを行うためにガス流発生ユニット120を介してガス流発生を開始する段階と、任意選択的に、動作サイクル中に容器ユニット140をガス流発生ユニット120に対して運動させる段階と、ガス流、および該当する場合には、容器ユニット140の運動を所定の時間維持する段階とを含む方法をさらに対象とする。
【0180】
上記で提案した解凍装置を、例えばComirnaty用の製剤の市販のバッチの取り扱い中の観察された濾過問題に従って試験した。様々な強度の機械的振とうに設定した(すなわち、容器ユニットの運動の振動数を変化させた)加速解凍装置100を使用して、凍結製剤を解凍した。解凍工程への加速と製剤に加えられた応力の両方が、解凍中に影響を受けた。濾過および分析データは、濾過性と解凍工程中の振とう数とを正に相関させることが観察された。より高い振とう数では、不溶性微粒子の計数が増加すると、濾過性材料全体が減少した(これは、例えばフィルタが詰まっているために、濾過が適切に機能しない場合に貴重な製薬材料が失われるため望ましくない)。0.32Hz以下の振動数で解凍した材料の濾過性には有意な差はなかった。重要な品質特性に対する他の影響は、使用された解凍プロトコルと相関させることができなかった。解凍および濾過後、すべての材料は製剤の出荷規格の範囲内であった。観察に基づいて、また効率的なバッチ処理を確実にするために、凍結製剤は、好ましくは0.32Hzの振とう数で解凍される。
【0181】
保持時間を数日(非凍結製品の場合)から最大8週間まで増加させることによって製造ネットワークの調整および使用場所への配送のための充填・仕上げの柔軟性を大幅に高めるための、バルク製剤と凍結貯蔵との適合性は既に実証されている。この実証を補完するために、上記の解凍装置などの解凍装置が開発されている。上記のように、解凍装置100は、一度に最大15個の12Lバッグ160の解凍を可能にし、同じバッグの受動的解凍に必要な最大24時間と比較して、バッグ160を約6時間で解凍することを可能にする。これは、ファンを使用してバッグ上に空気流を発生させる、強制対流によって、かつ/または例えば解凍工程中にバッグの内部温度を均一化するためにバッグを機械的に混合/振とうすることによって達成または補助される。解凍装置100について特定される潜在的なリスクは、製剤の振とうに対する感受性である。
【0182】
0.75Hzの振とう数は、Comirnaty製剤が耐えることができるか、または高い収率にとって望ましい最大許容応力を超える可能性があることが観察されている。試験のために、同じ製造バッチからの製剤バッグを使用して、3つを問題なく受動的に解凍、濾過、および充填し、次いで残りの4つのバッグを解凍装置100を使用して解凍した。後者の4つのバッグの濾過は可能であったが、流量は濾過工程全体で有意に減少した(総投入質量の約20%がフィルタカプセル内のホールドアップ体積として失われる)ことが観察されている。急速解凍時間を維持しながら濾過性への影響を低減するために、濾過性に影響を及ぼす潜在的な変数として振とう数が調べられてきた。元来の指定の0.75Hzまたは0.8Hzの振動数の0~100%の振とう数を調べた。バッグ内の液体の加速/減速を低減する目的で振とう運動の振幅を一定に保った。解凍時間およびバッグ内の試験材料の泡形成(泡が多いほど濾過性が低下するおそれがある)をスクリーニングすると、元の振とう数の≦60%をさらに試験すべきであることが明らかになった。製剤の品質に対する修正された解凍工程の効果を試験するために、材料の受動的な解凍と、解凍装置100を使用した解凍の両方を行った。すべての試料を濾過し、濾過性および重要な品質特性の関数として比較した。理想的には、解凍装置100の振とう数を適切に減少させることにより、製剤の濾過性は、受動的に解凍された製剤の濾過性と同等なままになる。
【0183】
さらなる試験目的のために、11~12Lの製剤を含む8つの製剤バッグを入手し、実験開始まで-60~-80°Cで貯蔵した。最初の2つのバッグを室温(20~25°C)で16~24時間の持続時間にわたって受動的に解凍した。すべての氷が融解したとき、または2°Cの温度が観察されたときに解凍を停止した。残りのバッグを加速解凍装置100に装填し、以下の振とう数および持続時間で解凍した:
バッグ1およびバッグ2:受動的(補助なし)解凍、16~24時間
バッグ3およびバッグ4:能動的解凍、関連付けられたポテンショメータ設定を使用して、元来想定された振動数(0.75Hzまたは0.8Hz)の60%(0.48Hz)に設定された振とう数で、6時間30分
バッグ5およびバッグ6:能動的解凍、関連付けられたポテンショメータ設定で、元来想定された振動数(0.75Hzまたは0.8Hz)の40%(0.32Hz)に設定された振とう数で、7時間30分。
【0184】
振とう数は、制御盤(振動数制御部材)でポテンショメータを介して調整した。ポテンショメータのダイヤルには、100%が0.8Hzに対応し、0%が0Hzに対応するような振とう数の10%の増加に各々対応する10の目盛りがあってもよい。試験に使用した設定は、このダイヤルで4および6(すなわち40%および60%であった)。解凍ユニットの制御盤にも2つの追加のタイマスイッチがあり、これらはファンおよび振とうユニットの動作期間をそれぞれ制御する。各群の振とう低下を補償するために、最小解凍時間に追加期間を追加した。これは、振とう数の10%低下ごとに30分と概算し、よって、40%の振とう数の場合、計算された解凍時間は以下になる。
[262分+(6×30分)]=442分=7時間22分≒7時間30分
【0185】
上記の時間計算に加えて、解凍実験中、空の製剤バッグ160を使用して解凍装置100の空のスロットを塞いで、装置100内のすべてのバッグにわたる均一な空気流を確保した。
【0186】
濾過実験には、小型のフィルタであるSartopore(登録商標)2Capsule(5441307H4--SS-B)を使用した。このモデルは、2つの標準的な充填バッグ内のおよそ22LのBDPに対して150cm2の表面積~=0.147L/cm2を有し、これは市販のバッチの濾過比0.013L/cm2の10倍超に相当し、この設計は、濾過されるべきBDPのバッチ容量に対するフィルタサイズに固有の安全率の近似を可能にする。
【0187】
解凍工程後、バッグの貯蔵を行った。3つの群(40%振とう、60%振とうおよび受動的解凍、すなわち振とうなしまたは振動数0Hz)の各々から濾過前試料を採取し、-60°C未満に凍結した。製剤を20°C超の常態に戻した後、次いで、製剤を濾過した。このために、製剤を室温(19~21°C)でフィルタカプセルを通してポンプ輸送した。濾過圧力は0.2barから開始し、1.4barまで上昇させた。フィルタが目詰まりした場合、オペレータは、短時間(約5分)安定状態になるのを待った後、最大2.4barまで上昇させて、貫流を維持できるかどうかを確認した。この実験を通して、時間、圧力および質量流量を記録した。濾過後試料を同一のサンプリングプロトコルで採取し、同様に-60°Cに凍結した。
【0188】
既に述べたように、加速解凍装置の振とう数のさらなる最適化の可能性を、製剤バッチが低(約27L)量のスループットでフィルタ閉塞を引き起こし、さらに高いホールドアップ体積を有したときに特定した。追加の機械的応力が解凍後のフィルタ閉塞の主な原因の可能性があるため、0(受動的解凍)、0.32Hzおよび0.48Hzの振とう数で3回の解凍イベントを行った。この材料を、150cmの表面積を有する実験室規模のフィルタを通して5回の濾過イベントで濾過した。次いで、これで作成した濾過データを、関連する市販の製剤バッチからのデータと直接比較するために、フィルタ膜面積当たりの濾液の質量(kg/cm-2)に分解した。解凍プロトコルまたは動作サイクルの振とう数が増加すると、フィルタ背圧が著しく増加し、フィルタスループットが低下する(様々な結果を示す図5を参照)。0Hzで受動的に解凍された製剤の場合、膜面積当たりの最小スループットにも総フィルタスループットにも大きな安全率があり、これにより、通常の濾過により閉塞が発生しないことが保証される。さらに、凍結された製剤は、理論的な商業的濾過シナリオで観察可能な有意な影響なしに最大0.48Hzの振とう数に供され得、ゆえに、同時に解凍することができる完全な160kgまたは160Lの製剤(15×12L=160L)は、依然として一定圧力下で濾過されることが観察された。したがって、加速解凍プロトコルで使用される振とう数は、常にある程度のフィルタの冗長性があることようにするために、0.32Hzの設定点に、かつ/または0.48Hzの近似されたバッチ濾過性限界未満に保つことができるか、または保つべきである。
【0189】
上記の濾過実験に先立ち、0~0.8Hzの振とう数での完全装填された解凍装置の解凍時間の初期スクリーニングは、完全積載ラック(15バッグ)について、18°Cの周囲温度で、解凍時間が振とう数の0.08Hzの増加ごとに約31~35分減少し、解凍持続時間は、バッグが空気流の経路内で機械的運動なしで置かれた場合の11時間から、解凍工程の持続時間中に0.8Hzでバッグが振とうされた場合の6時間まで変化することになることを示した。性能のこの大きな差は、解凍イベント内の充填されたバッグの数の追加の変数を考慮するとさらに影響を受け、これは、図1Aおよび図1Bに示す装置に対して1から15まで変化し得る。
【0190】
なお、上記で要約した装置および構成は、複数のバッグの解凍工程に関して調べた他の構成に対して複数の利点を呈する。空気流に対するバッグの向きおよび形状の影響を、狭い側への空気流を伴う水平バッグ、広い側への空気流を伴う水平バッグ、狭い側への空気流を伴う垂直バッグ、広い側への空気流を伴う垂直バッグ、前面空気流を伴う垂直バッグなどの単一のバッグの様々な形状を考慮して調べ、バッグ間に1つのギャップを有する積み重ねられたバッグや、2つのバッグ間に異なる高さの1つのギャップを有する積み重ねられたバッグなどのバッグの積み重ねの影響も調べた。すべての空気流量で、単一のバッグについて試験したすべての形状のうち、前面空気流を伴う単一の垂直バッグの形状が解凍に関して最も効率的であることが証明された。これは、バッグが空気流に対して垂直に方向づけられた配置に対応し、凍結液体と発生する空気との間の熱伝達のための最大接触面積の表面を提供する。したがって、単一のバッグの解凍が必要な場合、バッグを安定した空気流の経路に配置することによって解凍が加速され、気流速度は速いほどよい。例示的には、バッグは、層流フード内で出口格子上に直接配置される。
【0191】
しかしながら、(最も重要なユースケースであり得る)複数のバッグの場合、最も効率的な熱伝達または熱伝達係数は、バッグ間にギャップを有する積み重ねられたバッグを調べた形状によって生じた。積み重ねられたバッグは、各バッグの上下に、バッグ表面に空気流を集中させるか、または集中させるのを補助する働きをする密閉された通路を形成し、よって、特に1m/sを超える空気流量で熱伝達係数が50~60%増加する。しかし、この構成では、熱伝達の増加は、ファンにおける不均衡な背圧および積み重ねられたバッグ間の狭い間隔に十分な空気を押し込むのに必要なバッグ長さにわたる対応する圧力降下をもたらし得る。しかしながら、この圧力降下は、バッグ間の間隔(空気流通路の通路幅)が1~5cmになるように選択される場合、熱伝達率の同等の損失なしに顕著に低減することができる。この場合、Sartorius(登録商標)Bulk Shipperの既存の積載システムの高さに対して2つのバッグ間の距離の変化を試験した。観察された背圧の低下は、これらのバッグ間通路内の空気分布のより大きな均一性を促進し、同時にファンの負荷を低減し、よって装置の予想される動作寿命を延ばすはずである。
【0192】
複数のバッグの解凍挙動を、適切に配置された温度センサを用いてFFTバッグのThermowellバージョンを使用して、様々な設定について調べた。バッグごとに3つのセンサを使用して、それぞれのセンサ位置でバッグ内の現在の温度を測定した。図6Aから図6Dは、互いに隣接して配置された5つのバッグの2つのスタックとして提供された10個のバッグの測定結果を示している。センサT1~T30は、2つのスタックのバッグの内側にあり、関連する温度が経時的にプロットされている。
【0193】
図6Aは、周囲空気の強制対流なし、バッグ撹拌/容器ユニットの運動なしでの、室温20~25°Cの部屋での解凍の進行を示している。スタックは、Sartorius(登録商標)Bulk Shipperによって提供した。この場合、72時間後でさえ、Sartorius Bulk Shipperのすべてのバッグが15°Cの温度に達してはいない。
【0194】
図6Bは、Sartorius Bulk Shipperにおける強制対流および容器撹拌(4cm離れた極限位置間の振動運動のために0.75Hzの振動数を有する)ありでの、室温20~25°Cの部屋での解凍の進行を示している(なお、この構成では、容器領域(すなわち、バッグのスタック)に特定のガス流路区間が画定されていない)。発生したガス流は、ガス流源(すなわち、(1つまたは複数の)ファンにおいて)で5m/sの速度を有していた。この場合、最後のバッグは約16.5~17時間で15°Cに達する。
【0195】
図6Cは、ガス流路区間または通路が一方のスタックの隣接したバッグの間に形成された(他に関しては図6Bと同一構成を有する)専用ラック配置における、室温20~25°Cの部屋で周囲空気の強制対流あり、および(例えば、4cm離れた極限位置間の振動運動のための0.75Hzの振動数での)容器撹拌ありの解凍の進行を示している。通路は、1~5cmの高さおよび/または幅を有していた。発生したガス流は、ガス流源(すなわち、(1つまたは複数の)ファンにおいて)で1.2m/sの速度を有していた。図示のように、ガスは、図6Bのシナリオよりもはるかに低い速度(1.2m/s対5m/s)で駆動されるが、15°Cまでの解凍時間は同等であり、図6Cのシナリオにおける解凍工程のより高い効率を示唆している。最後のバッグは約17.5時間で15°Cに達する。これは、隣接した容器間の通路内の容器の外部に沿った空気流が解凍工程を加速することを示唆している。
【0196】
図6Dは、供給源において5m/sのガス流速を有する図6Cのシナリオを示している。最後のバッグは約7.5時間で15°Cに達する、すなわち解凍時間は大幅に短縮されている。これは、1.2m/sを超える速度が解凍工程を加速することを示唆している。
【0197】
これらの結果は、より詳細に上述した解凍装置の設計の基礎を形成した。例えば、空気流発生に使用されるファンの数に関してのさらなる最適化により、上記の装置を得た。
【0198】
よって、特に(ガス流発生ユニット120を介した)強制対流と組み合わせた容器ユニットの運動は、解凍時間を大幅に短縮することができる。これらの結果は、上記でさらに説明した解凍装置の開発における考慮事項の基礎であり、好都合には、この装置にも適用され得る。
【0199】
図7Aおよび図7Bは、解凍装置100の別の実施形態の様々な図を示している。装置100は、前述の装置として構成されており、前述の装置に従って動作するが、制御ユニットは、前述の装置のようにシャーシから顕著に突出しなくてもよい。したがって、前述した特徴のすべてがこの装置にも適用され、逆もまた同様である。さらに、図には、容器ユニット140を直線的に運動させることができる電動機300が示されている。
【0200】
要約すると、上記の解凍装置は、複数の容器内の凍結液体物質、特に生物製剤物質の同時解凍を加速するのに特に適していることが発見された。
【0201】
本特許出願は、2021年5月26日に出願された欧州特許出願第21176087.1号の優先権を主張し、その全開示内容は、あらゆる目的のために本出願に組み込まれる。
【符号の説明】
【0202】
100 装置
110 シャーシ
120 ガス流発生ユニット
130 ファン
140 容器ユニット
145 容器ユニットベース
150 容器レセプタクル
155 容器キャリア
160 容器
170 容器ガスダクト
180 ガス分流器
190 ガス偏向器
200 係止部材
210 ガス流路調整器
220 制御ユニット
230 制御盤
240 始動スイッチ
250 タイマ制御部材
260 振動数制御部材
270 安全部材
280 ディスプレイ
290 可撓性部材
295 脚部
300 電動機
E 空気出口領域
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
【国際調査報告】