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特表2024-529223デコール紙(a decor paper)として用いるインクジェット印刷可能な紙を製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】デコール紙(a decor paper)として用いるインクジェット印刷可能な紙を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/52 20060101AFI20240730BHJP
   D21H 19/40 20060101ALI20240730BHJP
   D21H 19/60 20060101ALI20240730BHJP
   E04C 2/12 20060101ALI20240730BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20240730BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20240730BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240730BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
B41M5/52 100
D21H19/40
D21H19/60
E04C2/12 B
B05D7/00 F
B05D7/24 303E
B41J2/01 501
B41M5/52 110
B41M5/00 134
B41M5/00 120
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574334
(86)(22)【出願日】2022-05-16
(85)【翻訳文提出日】2023-12-28
(86)【国際出願番号】 IB2022054533
(87)【国際公開番号】W WO2022243839
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】21174381.0
(32)【優先日】2021-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524187472
【氏名又は名称】ユニリン,ビーヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(74)【代理人】
【識別番号】100097319
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 彰
(71)【出願人】
【識別番号】523450269
【氏名又は名称】インタープリント ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100097319
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 彰
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィド, ロバート
(72)【発明者】
【氏名】タッドデイ, モルテ
【テーマコード(参考)】
2C056
2E162
2H186
4D075
4L055
【Fターム(参考)】
2C056FC06
2E162CC06
2E162FD04
2H186AB21
2H186AB34
2H186AB37
2H186AB46
2H186AB47
2H186AB49
2H186AB53
2H186BA11
2H186BB10X
2H186BB14X
2H186BB21X
2H186BB24X
2H186BB27X
2H186BB30X
2H186BB36X
2H186BB43
2H186BB49X
2H186BB50X
2H186BC08X
2H186BC24X
2H186CA03
2H186DA12
2H186FB48
4D075AC26
4D075AC28
4D075AC54
4D075AC77
4D075DA04
4D075DB18
4D075DC31
4D075DC36
4D075DC38
4D075EB19
4D075EB38
4D075EC03
4D075EC11
4D075EC13
4D075EC31
4D075EC54
4D075EC60
4L055AG05
4L055AG35
4L055AG44
4L055AG45
4L055AG54
4L055AG63
4L055AG64
4L055AG81
4L055AG82
4L055AG85
4L055AG86
4L055AG89
4L055AH02
4L055AH37
4L055AH50
4L055AJ04
4L055BE08
4L055BE10
4L055BE20
4L055EA14
4L055FA15
4L055GA15
4L055GA33
4L055GA50
(57)【要約】
インクジェット・プリンタ及び/又はアナログ印刷で、好ましくはグラビア印刷で、印刷可能であり、ラミネート・パネルの中のデコール紙として用いられる、印刷可能な紙を製造する方法であって、
当該方法は、
- 紙層を提供するステップと、
- 当該紙層の少なくとも1つの面をインク受容コーティングで塗布するステップと、
を含み、当該方法が当該紙にインク付着促進剤を提供するステップを含んでいることを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット・プリンタ(10)及び/又はアナログ印刷で、好ましくはグラビア印刷で、印刷可能であり、ラミネート・パネル(20)の中のデコール紙(15)として用いられる、紙(1)の製造方法であって、
当該方法は、
- 紙層(2)を提供するステップと、
- 当該紙層(2)の少なくとも1つの面に、インク受容コーティング(3)を塗布するステップと、
を含み、当該方法が当該紙(2)にインク付着促進剤を提供するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
- 印刷可能な紙層(1)を提供するステップと、
- 好ましくはインクジェット印刷によって、印刷可能な紙層(1)のトップ面の上に、印刷されたデコール(14)を提供するステップと、
を含む、ラミネート・パネルの中で用いられるデコール紙(15)を製造する方法であって、
当該印刷可能な紙層(1)が請求項8から10までのいずれか1つによるものであること、及び、当該印刷されたデコール(14)のトップ面の上にインク付着促進剤コーティング(16)を提供するステップ(S3)を含むこと、を特徴とする方法。
【請求項15】
基板(21)及びトップ層(22)を含むタイプのラミネート・パネル、好ましくはフロア・パネル、壁パネル、家具パネル又は天井パネル、を製造する方法であって、
当該上面層は、デコール紙(15)を有するデコラティブ層を少なくとも含み、
- 請求項11又は12に記載のデコール紙(15)を提供するステップと、
- 当該デコール紙(15)を、レジン(23)で、好ましくはサーモセッティング・メラミン・レジンで、浸み込ませるステップと、
- 好ましくは、熱及び圧力によって、当該浸み込まされたデコール紙を、当該基板の上面の上に、積層するステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデコラティブ表面を有するパネル、いわゆるデコラティブ・パネル(decorative panels)を製造する方法に関する。本発明は、また、そのようなパネルの中のデコール紙として用いるインクジェットで印刷可能な紙を製造する方法にも関する。本発明は、さらに、そのようなパネルに用いられる印刷されたデコール紙にも関し、そして、そのような紙を製造する方法にも関する。1つの変形として、得られるデコール紙は、パネルとしてではなく、いわゆるCPL(compact laminate)やHPL(high pressure laminate)のような積層組み立て部品(a laminated assembly)として用いられてもよい。
【背景技術】
【0002】
特に、本発明は、積層パネルの製造方法に関し、当該パネルは、少なくとも1つの基板材料及びその上に提供され、1つの印刷されたデコールを有する、1つのトップ層を含んでいる。当該トップ層はサーモセッティング・レジン及び1つまたは2以上の紙層から形成され、当該紙層は1つの印刷されたパターンを有するデコール紙を含んでいる。本発明のパネルは、また、家具パネル、天井パネル、フローリング・パネルまたは同等と関連してもよく、これらのパネルは、MDF(Medium Density Fiberboard)又は、HDF(High Density Fiberboard)の基板又は木材パーチクル・ボードから成るか、本質的に木材パーチクル・ボードで作られた基板材料のような木材をベースとした基板を好ましく含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
伝統的には、このようなパネルのデコールやパターンは、ロトグラビア印刷(rotogravure printing)によって紙の表面に印刷されている。得られた紙は、いわゆるラミネート・パネル(laminate panel)の中にデコラティブ紙(a decorative paper)として用いられる。上記の第1の可能性のパネルを製造するために、DPL(Direct Pressure Laminate:直接圧力積層)プロセスを実行することができる。DPLプロセスによれば、既に印刷された紙又はデコラティブ紙は、1つのデコラティブ層(a decorative layer)を形成するために、メラミン・レジン(melamine resin)とともに提供される。その後に、少なくとも1つの層の形成を基板、当該デコラティブ層及び可能であれば当該デコラティブ層のトップ面の保護層を含み、積重ね(a stack)が提供される。ここで、当該保護層又は上張り(overlay)はレジン及び/又は紙の面に基礎を置いている。当該積重ね圧縮され、当該圧縮処理の結果、デコラティブ紙、当該基板及び当該保護層の相互の接続または接着が生じ、同様に、積重ね中にレジンが存在するため硬化が生じる。圧縮作業の結果として、デコラティブ・パネルは、高い耐摩耗があり、メラミン表面を有して提供される。平板形状の基板の底面の側面に、カウンタ層(a counter layer)又はバランス層(a balancing layer)を適用することができ、あるいは代わりとして、特に家具用のラミネート・パネルの場合には、デコラティブ層は底面の側面に取り付けられてもよい。ラミネート・パネルの底面の側面におけるこのようなカウンタ層やバランス層や他の層は、デコラティブ・パネルの可能的な湾曲を禁止しあるいは妨げ、そして、例えば、当該デコラティブ層に対向する積重ねの側面において、当該積重ねの最も下方の層としてレジンを有する1つの紙層の提供として、同一の圧縮処理において適用される。DPLプロセスの一例として、EP290290が参照され、同一の圧縮処理又は圧縮作業の間にレリーフが提供されることがわかり、すなわち、圧縮構成要素、例えば構成された圧縮板に当該メラミン表面が接触される。
【0004】
アナログ印刷技術の代わりに、デジタル印刷技術、特にインクジェット印刷技術が、デコールやパターンの作成に急激に普及し、デコールやパターンが紙の上、あるいは可能であれば準備されている層の中間に平板形状の基体の上に直接に形成される。このようなデジタル技術は、デコールの印刷における柔軟性を十分に増すことができる。
【特許文献1】EP290290
【特許文献2】WO2011/124503
【特許文献3】EP1872959
【特許文献4】EP1857511
【特許文献5】EP2431190
【特許文献6】EP2293946
【特許文献7】WO2014/084787
【特許文献8】WO2015/140682
【特許文献9】WO2015/118451
これらの特許文献によって参照されるような技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のとおり、基板に接して積層される前に、印刷されたデコール紙はレジン浴の中に浸漬されて、レジンが浸み込まされている。当該浸漬によって、当該浴中へのインクの浸み出しが生じ、それによって、デコール紙の質を低下させる。インクの浸み出しは、その後、汚染された浴に浸漬することによって、さらに当該浴の汚染や当該デコール紙の汚染を生じさせる。
【0006】
【特許文献10】EP2132041
この特許文献は、デジタル印刷されたパターンの少なくとも一部を有する、レジンが提供された紙層を提供するステップの前に、サーモセッティング・レジンを紙層に提供するステップが少なくとも含まれている方法である。しかしながら、圧縮欠陥が当該レジン表面に生じ始め、そしてラミネート表面を通したあるいはラミネート表面の縁のミリング、ドリリングまたはソーイングによって上の層におけるスプリッティングをしばしば導くので、DPL工程においてラミネート・パネルを製造するためにそのような印刷された紙をさらに信頼性高く処理することは大変困難である。さらに、EP2132041のインクまたは染料は紙層を非常に湿らせており、しわを生じさせ、あるいは印刷された紙をさらに扱うことによって不安定及び/又は遅い生産プロセスに導く。この問題を解決するために、EP2132041は印刷された紙層をすみやかに乾燥させることを提案している。
【0007】
本発明は、第1に、このようなパネルにおいて用いられる。デコラティブ表面又はデコラティブ紙を有するパネルを製造する代替の方法を目的とし、そして、その好ましい実施態様とともに本技術の現状から生ずる1つ又は2以上の問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
それゆえ、本発明は第1の独立の観点によれば、インクジェット・プリンタを用いて印刷可能な紙の製造方法、及び/又は、ラミネート・パネルにおいて、アナログ印刷、好ましくはデコール紙として用いられるグラビア印刷を用いて印刷可能な紙の製造方法に関し、当該方法は少なくとも次のステップを含み、
(1)紙層を提供するステップ
(2)当該紙層の少なくとも1つの面をインク受容コーティングで塗布するステップ
当該方法は特徴として、当該紙にインク付着促進剤(an ink adhesion promoter)を提供するステップを含んでいる。発明者は、このような付着促進剤がインクの浸み出しの危険を実質的に減少でき、それによって、浸漬後にデコール紙の質を向上させることを見出した。好ましくは、当該インク付着促進剤はインク受容層において提供され、例えば、インク付着促進剤はインク受容層の成分の一部と成ることが可能である。さらに、インク受容層に付着促進剤を含ませることによって製造プロセスにおいて、一つの特別なステップを実行する必要はなくなる。
【0009】
好ましくは、当該インク付着促進剤は、尿素をベースとする促進剤、ポリウレタンをベースとする促進剤、カゼインをベースとする促進剤(a casein-based promotor)、アクリルをベースとする促進剤及び/又はこれらの混合物を含んでいる。発明者は、これらの物質が紙へのインクの付着を実質的に向上すること、及び好ましくは紙の浸漬の間にインク受容コーティングへのインクの付着を実質的に向上することを見出した。発明者は、もしインク付着促進剤が印刷されるインクをベースに選択されるならば、インクの付着は十分に向上することを見出し、特に、もしインク付着促進剤がインクに含まれているバインダと十分に同一であるならば、インクの付着は十分に向上することを見出した。十分に同一であれば、インク付着促進剤はインクのバインダと同じ物質でありうること、あるいは同一の族の物質に属することを意味する。好ましい付着剤の例として、インク付着促進剤は、尿素をベースとする促進剤、ポリウレタンをベースとする促進剤、カゼインをベースとする促進剤、スチレンをベースとする促進剤、ポリエステルをベースとする促進剤、ポリビニルをベースとする促進剤、アルキドをベースとする促進剤、ケトンをベースとする促進剤、セルロースをベースとする促進剤、ガムをベースとする促進剤、アクリルをベースとする促進剤又はこれらの混合物又はこれらのコポリマー(copolymer)を含んでいる。
【0010】
好ましい実施態様において、インク付着促進剤は、0.2g/m2以上、より好ましくは0.5g/m2以上、さらに好ましくは1g/m2以上の量で提供される。この最小量は、インクの量が平方メーターXXXXXg/m2当たり15ミリリットル以上である時に、紙へのインクの付着を最大化させるための理想値として見出された。インク付着剤は10g/m2以下、より好ましくは5g/m2以下で提供されてもよい。この最大量はインク受容層の実行の影響なしに付着効果を最大化させるための理想値として見出された。
【0011】
このインク受容層が顔料を含んでいてもよい。好ましい例において、顔料として、少なくとも、あるいは主として、シリカ粒子が用いられる。好ましくは、シリカ粒子はシラン処理されている(silane treated)。顔料のシラン処理は、一般的に、獲得されたインク受容層及びそのように処理された紙又はサーモプラスチック箔のゴミ放出能力を向上させる。シラン処理は、アミノ・オルガノ・シラン(amino-organo-silane)、ハイドロキシシラン(hydroxysilanes)、ジポダル・シラン(dipodal silanes)及び/又は他のシランのような結合薬剤を用いた処理に関する。好ましくは、結合薬剤は、獲得されるインク受容層の時間経過に伴う黄化の危険が少ないように、選択される。好ましくは、結合薬剤はインク受容層の湿潤総重量の0.1-10%である。
【0012】
他の実施態様によれば、このインク受容層の顔料は少なくとも、あるいは、主として、粒子であり、カルシウム・カーボネート、アルミナ、アルミノシリケート、整然としたメソ・ポーラス材料(ordered mesoporous materials)、モディファイド・シリカ、オーガノシリカ、モディファイド・オーガノシリカ、オーガノアルミナ、モディファイド・アルミナ、アルミネイト、モディファイド・アルミネイト、オーガのアルミネイト、モディファイド・オーガノアルミネイト、ゼオライト、金属オーガニック・フレームワークス及びポーラスなポーラー・ポリマーから成るリストから選ばれたものが用いられる。
【0013】
好ましくは、この顔料はBET表面面積が10-1600m2/gであり、好ましくは、15-500m2/gである。
【0014】
インク受容層は、好ましくは、バインダを含んでいる。バインダの好ましい実施態様においては、少なくとも、あるいは主として、ポロビニル・アルコールが用いられる。
【0015】
他の実施態様によれば、インク受容コーティングは、バインダとして、ハイドロキシエチル・セルロース;ハイドロキシプロピル・セルロース;ハイドロキシエチルメチル・セルロース;ハイドロキシプロピル・メチル・セルロース;ハイドロキシブチルメチル・セルロース;メチル・セルロース;ナトリウム・カーボキシメチル・セルロース;ナトリウム・カーボキシメチルハイドロエチル・セルロース;水可溶エチルハイドロキシエチル・セルロース;セルロース硫化物;ビニルアルコール・コポリマー;ポリビニル・アセテート;ポリビニル・アセタル;ポロビニル・パイロリロン;ポリアクリルアミド;アクリルアミド/アクリル酸コポリマー;ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル・プロパン硫化酸;ポリ(ジエチレン・トリアミン-コーアジピック酸);ポリビニル・ピリジン;ポリビニル・イミダゾール;ポリエチレン・イミン・エピクロロハイドリン改変体;ポロエチレン・イミン・エチロキシレート;ポリエチレン・オキサイド(PEO)、ポリプロピレン・オキサイド(PPO)、ポリエチレン・グリコール(PEG)及びポリビニル・エチル(PVE)のようなエチル・ボンド含有ポリマー;ポリウレタン;メラミン・レジン;ゼラチン;キャリジエナン(carrageenan);デクストラン;アラビア・ゴム;カゼイン;ペクチン;アルブミン;キチン(chitins);キトサン(chitosan);でんぷん;コラーゲン誘導体;コロジオン及び寒天から成るグループから選択される。バインダの最も好ましい変形は、ポロビニル・アセテート、エチルビニル・アセテート;ポロビニル・アセテートをベースとするブロック・コポリマー、ポリビニル・アルコールをベースとするブロック・コポリマー、アクリレート、ラテックス、ポリビニル誘導体、VCVAC誘導体、ポリオルス及びイソシアネートをベースとするポリウレタン、ポリカーボメート又はポリアルデヒドをベースとするポリウレタン、例えば水分散体/エマルジョン又は水溶液や溶媒溶液である。上記のように、インク受容層の好ましいバインダは、ポリビニル・アルコール(PVA)を含んでいるが、変形によれば、ビニルアルコール・コポリマー又は改変ポリビニル・アルコールを適用できる。改変ポロビニル・アルコールは、日本合成のPOVAL C506やPOVAL C118のような、あるいは、クラレのカチオン・ポリビニル・アルコールのグレードのようなカチオン型のポリビニル・アルコールであってもよい。
【0016】
好ましくは、紙は、インク受容層の乾燥コーティング重量として、0.2-10g/m2で提供される。
【0017】
好ましくは、インク受容コーティングは、バインダのクロスリンク反応のためクロスリンク剤を含んでもよい。クロスリンク剤は、アルデヒド、ポリアルデヒド、ジアルデヒド、アルコール、ホウ素酸(boronic acid)、ホウ砂(borax)、ポリアルコール、カーバメイト(carbamates)、ポリカーバメイト、カルボン酸、グリオザル(glyoxal)をベースとする薬剤、ジルコニウムをベースとする薬剤、チタネート及びポリカーボニック酸を含むグループから選択される。
【0018】
インク受容コーティングは、さらに分散剤を含んでもよい。分散剤は、フロキュレーション(flocculation)に抗して顔料の液体分散を安定化させるオリゴマーやポリマーである。分散剤は、ポリカーボキシレート、ポリホスフェート、ポリイオニック・ポリマー、好ましくは、ポリDADMAC(ポリジアリルジメチルランモニウム・クロライド)ポリアミン又はアルミナ塩を含んでもよい。
【0019】
好ましくは、インク受容コーティングは、分散剤の乾燥塗布重量をベースとして10%以下で、より好ましくは5%以下で提供され、実施例として5%と0.1%の間である。
【0020】
インク受容コーティングは、また、フロキュラント、好ましくは金属塩、好ましくは、カチオン金属塩を含んでもよい。好ましくは、当該金属塩は、CaCl2、MgCl2、CaBr2、MgBr2、CMA(カルシウム・マグネシウム・アセテート)、NH4Cl、カルシウム・アセテート、ZrCl4、カルシウム硝酸塩及びマグネシウム・アセテートから成るリストから選択される。溶解された金属塩の陽イオンは、顔料のエレクトロステリック安定機能を中立化する傾向がある。最も好ましいカチオン金属塩は、発明者がこれらのインク反応物質として最良の結果を得たので、CaCl2、MgCl2、CMA、カルシウム・アセテート、カルシウム・ナイトレート及びマグネシウム・アセテートである。当該フロキュラントは、ナトリウムアルミネート、アラム(alum)のようなダブル・サルフェート塩、ポリアルミナムクロライド、ポリアクリレート、ジシアンジアミド(例えば、SNFのフロクアトD15)及びポリアクリルアミドから成るリストから選択される。フロキュレーティング剤は、インク分散剤からインク顔料を引き出す。これによって、顔料がインク受容コーティングへ集中するのを防げる。主として、インクの媒体、例えば水をベースとするインクの場合には水はインク受容コーティングの中に吸収される。
【0021】
好ましくは、インク受容コーティングは、特に金属塩の場合、フロキュレーティング剤の乾燥コーティング重量をベースとして、20-70%で提供される。
【0022】
特別の実施態様において、インク受容コーティングは酸であってもよい。特別の実施態様では、1つ又は2つ以上の酸成分を含んでいる。この酸成分は有機であっても無機のいずれであってもよい。酸成分の好ましい実施例は、クエン酸、ギ酸、乳酸、propionic acid又は、これらの組み合わせである。好ましくは、この酸成分は、pHが5であり、より好ましくはpHが4.5以下である。この酸成分は、インク分散を不安定にさせる作用があり、一般的に上記の金属塩の変形として用いられる。
【0023】
インク受容コーティングは、また、次の薬剤の1つ又は2以上を含んでもよい:
- インク受容コーティングのpHを変える薬剤、特にpHを低くする薬剤。好ましくは、インク受容コーティング成分のpHはpH5まで低下され、あるいは、熟練者の範囲での選択によって物質の量やタイプを選択することにより、さらに低下される。好ましくは、物質は、ギ酸、酒石酸、酢酸、塩酸、クエン酸、リン酸、硫酸、AlCl3及びホウ酸(boronic acid)から成るリストから選択される。pHを調整すると、より好ましくはpHを低くすると、特にpHを5以下にすると、インクのインク受容コーティングへの化学的親和性が増し、そして、インクにおける顔料の分散が急に不安定になるように、顔料についての静電的安定作用を妨げる。
- 粒子表面改変剤又は結合剤:0.05-5g/m2、好ましくは0.2-2g/m2、アミノ・シラン、ウレイド・シラン、アルデヒト・シラン、テトラエチルオルソシレイト・シラン、シリアザン(siliazanes)、有機的に改変されたシラン、有機的に改変されたシリアザン、クロロシラン、有機的に改変されえたクロロシラン、バイシラン、オーガノバイシラン、シルセクイオキサン(silsesquioxanes)、ポトシルセクイオキサン、シラン・オリゴマー、有機的に改変されたシラン・オリゴマー、バイシラン・オリゴマー、有機的に改変されたバイシラン・オリゴマー、オリゴマリック・シルセクイオキサン及びオリゴマリック・ポリシルセクイオキサンから成る限定されないリストから選択される。
- 付加物:0.05-0.5g/m2の加湿剤及び/又は0.05-0.5g/m2の変形剤及び/又は0.05-0.5g/m2の防カビ剤。
【0024】
好ましくは、この紙または箔は、インク受容コーティングの乾燥重量で、0.2-10g/m2、好ましくは0.5-5g/m2で提供される。
【0025】
インク受容コーティングの上の紙層は、好ましくは、40-130g/m2のベース重量で、さらに好ましくは、60-90g/m2のベース重量で提供される。
【0026】
その上にインク受容コーティングが提供される、紙層の側面は、好ましくは、平滑化されており、好ましくは製造の間に平滑化されている。平滑化することによって、紙のコアに浸透するバインダの量を減少させ、そこに含まれる顔料が利用可能なバインダ物質によって良好にバインドされる。そして、吸収による変形は減少する。本発明の方法を用いられて得られる紙、すなわち、インク受容コーティングを含む紙、すなわち、インク受容コーティングを含む紙は、10-60秒のガレー値を有し、そして、好ましく12-50秒のガレー値を有している。好ましくは、コーティングされていない紙層の初期のガレー値に基づいて、インク受容コーティングを設けた後の紙層は、30%以下のガレー値の増加、より好ましくは、20%以下のガレー値の増加を示している。付着したインクは紙の中により滲みにくく、そして、異なるインクジェット・ヘッドを用いた印刷されたパターン間のいわゆるレジスタあるいは位置一致性はより容易に得られ、より容易に維持されるので、このような紙層は優れた印刷品質を得ることができる。当該コートされた紙層の上記のガレー値は、他のコートされた紙層よりも明確に低いこと、特に、シリカ及びバインダ(特に多量クロスリンクされたバインダ)を含むコート材を用いてコートされた紙層よりも明確に低いことに注目していただきたい。このようなガレー値によって、紙層へのレジンの浸み込み能力を向上し、そのため、支持ボードの上に積層される前に、メラミン・レジンをデコラティブ紙にしみ込ませる、家具やフロア・パネルのためのような、パネルの装飾に用いられるのに、当該紙層は特に適している。インク受容コーティングを含む紙層は、レジン浸透時間が3秒以下である。
【0027】
好ましくは、本発明の紙層は光沢がなく(Opaque)及び/又は白化剤としてチタン酸化物が含まれている。
【0028】
好ましくは、本発明の方法において、紙は水基インク又はUVキュアリング・インク又はハイドロ・UVインク、特に顔料付加インク、を用いて、印刷されることを意図している。第1に、第1の観点の方法によって得られた紙はインクジェット印刷装置を用いて印刷されることを意図している。しかし、発明者は、また、このように処理された紙はアナログ印刷装置を用いても優れた印刷品質を得ることを見出した。
【0029】
最も好ましい実施態様において、インク受容コーティングは、インクジェット受容コーティング成分を有する独特の層を形成するために、1つのステップで形成される。当該インク受容コーティングが、それぞれ、第1層が第1成分によって、続いて、第2層が第2成分で形成され、第1成分及び第2成分で形成され、第1成分及び第2成分が同一であっても、あるいは異なる成分であってもよく、そのような少なくとも2つの部分的ステップで形成されることを除外しない。
【0030】
好ましくは、本発明の方法によって得られた紙は、メラミン・レジンのようなサーモセッティング・レジンを用いて、好ましくは、インクジェット印刷によって印刷されたパターンが提供された後に、提供される。このため、紙層はその一面に、すなわち、印刷されようとする側に、インク受容層が提供されるだけである。他の面、あるいは対向する面は、対向する側がスタートからの紙層のオリジナルな性質を示すように、好ましくは、処理されない。レジンは、紙コアの中へ実質的に底側から提供される。インクジェット受容コーティングを有する紙へ十分にしみ込ませるために、しみ込ませる径路のスピードは遅くされてもよく、レジンはより粘性が低く作られてもよく、しみ込みは加圧されてもよく、及び/又はレジンは、例えば30-50℃に、加熱されてもよい。
【0031】
°
本発明の方法によって得られた紙はインクジェット・プリンタで印刷可能であるが、一般的に、紙又は箔は、実際に、ロトグラビア又はフレクソ印刷(flexo printing)のように、他の技術を用いて印刷される。
【0032】
好ましくは、当該インク受容コーティングは、紙層の上に付着され、そして例えば、熱空気炉の中で、あるいは、赤外線や近赤外線によって、あるいはマイクロウェイブ乾燥によって、好ましくは、強制的に乾燥される、液体物質である。好ましくは、液体物質は少なくともバインダの可能であれば顔料の水ベースの懸濁液である。好ましくは、液体物質組成は、液体物質の重量の4-65%の乾燥物質を有している。
【0033】
インク受容コーティングへの液体物資の付着は、例えば、インクジェット印刷のような印刷によって実施されるが、好ましくは、例えば1つ又は2以上のグラビア・ローラーによるローラー塗布、スプレー塗布、メタリング・ローラー塗布、ビード塗布、スキャッタリング塗布、スロット・ダイ塗布のような塗布技術によって実施される。後者の技術による場合には、紙又は箔の表面の少なくとも80%をカバーするように、好ましくは、コーティングは塗布される。インク受容コーティングの重量を操作し制御するためには、インライン測定システムが望ましい。このような技術によって、印刷されたパターンの局所的欠陥につながる、紙の非塗布領域が生ずる危険を低減させることができる。液体物質を付与するための好ましい装置はロトグラビアあるいはアニロックス塗布装置である。
【0034】
インク受容コーティングへの液体物質の付着は、ロトブラビア塗布ラインで実施されてもよく、代わりに、印刷装置において、印刷工程の直前に実施されてもよい。後者によって、インク受容コーディングの限られた貯蔵寿命の問題が解決される。好ましくは、液体物質の付着は、紙又は箔が、いわば、切断されずにロールから引き出される。エンドレスの形状である間に、実施されるのが好ましい。この技術によって、より均一なインク受容コーティングへの付与を可能にする。印刷装置で全ての又は一部の塗布が行われる場合には、印刷装置は好ましくは、ロールからロールへの印刷又はロールからシートへの印刷機であり、そして、インク受容コートの各々の副次層への液体物質の印刷に適した、例えばグラビア・コーター及び/又は付加的プリント・ヘッドのような、プリント・ヘッドの上流の塗布装置を含む。例えばプリント・ヘッドの付加的列である、付加的プリント・ヘッドは、パターンの実際の印刷のために用いられるノズルよりも大きな直径を有するノズルを備えている。1-100ドット・パー・インチの解像度、あるいは1-25ドット・パー・インチの解像度はこれらのノズルにより満足される。
【0035】
インク受容コーティングは、サイズ・プレス、さらに好ましくは、フィルム・プレスを備えた印刷機によって、直接に、一列に、提供されてもよい。
【0036】
インク受容コーティングのための液体物質は、20℃でDinカップ4で10-75秒の粘性を好ましくは有する。この特性によって、液体物質を紙層又は箔の表面に直接的に付与することができる。実験においては、約12%の固体含有し、かつ約20秒の粘性であれば、例えばローラー・コーターによって、前もって処理されていない紙に十分に均一に塗布できることがわかった。
【0037】
本発明は、第1の独立の観点と関係して記述された特徴を有するインク受容コーティングの組成にも関係することに注目していただきたい。第2の独立の観点によれば、第1の独立の観点における目的と同一の目的を有し、本発明は、印刷する紙のためのインク受容コーティングの組成、少なくともインク付着促進剤の組成にも関係する。第2の独立の観点の組成は第1の独立の観点に関連して記述された特徴の1つまたは2つ以上を含んでいる。
【0038】
さらに本発明は、本発明の第1の観点の方法に用いて得られる紙層にも関連することを注目していただきたい。第1の観点と同じ目的で、第3の独立の観点によれば、本発明は、インクジェット印刷のための紙にも関連し、その紙の少なくとも一面にインク受容コーティングが提供され、そのインク受容コーティングはインク付着促進剤を提供されていることを特徴としている。
【0039】
当該紙は、第1の独立の観点と関連して、前に記載した1つ又は2以上の特徴を含むことができることに注目していただきたい。
【0040】
さらに、本発明は、当該紙に当該インク付着促進剤を提供されている、ラミネート・パネルのための印刷されたデコール紙の製造方法に関連する。そして、第4の独立の観点による本発明は、積層パネル用の印刷されたデコール紙の製造方法に関連し、当該方法は、印刷可能な紙を提供するステップと、当該紙の上にデコールを印刷するステップとを含んでいる。当該方法は、インク付着促進剤を紙に提供するステップを含んでいる。インク付着促進剤は、以下に記述する2つの主な代替によって、提供される。
【0041】
第4の観点の第1の代替によれば、インク付着促進剤は、印刷するステップの前に、提供される。
【0042】
第1の代替の第1の好ましい可能性において、これは、第3の観点による印刷可能な紙を提供することによって得られ、あるいは、第1の観点の方法によって製造される。第1の代替の第1の可能性によって、デコール紙を製造する方法がさらなるステップを必要とせず、また、既存のデコール紙を製造するラインへの変更も必要としないという優位性が得られる。
【0043】
第1の代替の第2のやや好ましくない可能性において、インク付着促進剤の提供のステップは、印刷可能な紙を提供するステップの後に実行できる。インク付着促進剤は、印刷可能な紙のトップ面への塗布の形態で、例えば、そのインク受容コーティングのトップ面への塗布の形態で、提供される。このようにして、印刷された紙を製造する方法は、いずれかの印刷可能な紙を用いてスタートできる。
【0044】
第4の観点の方法の第2の代替によれば、インク付着促進剤は印刷ステップの後で提供される。インク付着促進剤は、印刷された紙のトップ面への塗布の形態で、より詳細には、紙の上に提供された、印刷されたパターンの上方への塗布の形態で、提供される。このように印刷された紙を製造する方法は、いずれかの印刷可能な紙からスタートでき、そして、印刷の後に、インク付着促進剤が提供され、インク付着促進剤は印刷可能な紙の印刷性能及び印刷品質に影響を及ぼさない。
【0045】
好ましくは、第2の代替において、インク付着促進剤は透明であるか、あるいは半透明である。インク付着促進剤のコーティングはバインダを含み、好ましくは、ポリビニル・アルコールを含んでいる。このバインダは、インク受容層のバインダと関連して前記の特徴の1つ又は、2つ以上を有している。
【0046】
インク付着促進剤は、第1及び第2の両方の代替において、液体の形態で紙の上面に塗布されてもよい。インク付着促進剤の付着は、種々の方法で得られるが、インクジェット印刷のような印刷によって、あるいは、例えば、1つ又は2つ以上でのグラビア・ローラー、スプレー塗布、メタリング・ローラー、ビード・コーティング、スキャッタリング、スロット・ダイ・コーティングによって、ローラ・コーティングのような、塗布技術で得られる。
【0047】
インク付着促進剤が提供された後に、コーティングは乾燥されてもよく、好ましくは、例えば、高温空気炉の中で、又は赤外線又は近赤外線によって、又はマイクロウェイブ乾燥によって強制的に乾燥されてもよい。種々の実施態様において、インク付着促進剤コーティングの中のインク付着促進剤及び/又はバインダは、好ましくは、例えばUV又はEB治癒のような放射治癒によって、治療されてもよい。このような場合、この方法は好ましくは、照射によって、インク付着促進剤のコーティングを治癒するステップを含んでもよい。
【0048】
好ましくは、上記の第4の観点において、紙はインクジェット・プリンタによって印刷される。好ましくは、インクジェット・プリンタは水基インクに基づいて動作し、好ましくは、シングル・パス・タイプの1つのインクジェット・プリンタ及び又はシングル・パス・モードで動作するインクジェット・プリンタが好ましい。
【0049】
好ましくは、本発明の紙層に適用される印刷されたパターンは大部分をカバーし、そして、好ましくは紙層の表面の50%又はそれ以上をカバーする。
【0050】
好ましくは、インクはバインダを含んでいる。最も好ましい実施態様において、インク中のバインダ及びインク付着促進剤中のバインダは、実質的に同一である。実質的に同一であるので、インク付着促進剤はインクのバインダと同じ物質であってもよい。好ましくは、インクのバインダは、尿素をベースとするバインダ、ポリウレタンをベースとするバインダ、カゼインをベースとするバインダ、スチレンをベースとするバインダ、ポリエステルをベースとするバインダ、ポリビニルをベースとするバインダ、アルキドをベースとするバインダ、ケトンをベースとするバインダ、メラミンをベースとするバインダ、シリコーンをベースとするバインダ、セルロースをベースとするバインダ、ガムをベースとするバインダ、アクリリックをベースとするバインダ又はこれらの混合物又はこれらのコポリマーを含んでもよい。
【0051】
好ましくは、印刷されたパターンを印刷するための用途として、顔料を含むインクで作られ、顔料を含むインクのために水をベースとするインク又はいわゆる水性インクで作られる。紙層の上に付着される顔料を含むインクの総量の乾燥重量は12g/m2以下であり、好ましくは3-4g/m2以下である。適用されるインクの乾燥重量の限界は、トップ層の圧縮欠陥及び分裂の危険を低下させるインク層へと導く。圧縮運転の間のインク層とサーモセッティング・レジンとの間の可能な干渉ははるかに低減される。インク負荷は最大12g/m2に限定されるので、インクによる紙のしわや伸びは受け入れ可能なレベルにもたらされ、その後の安定な加工工程が確保される。顔料を含むインク中の顔料は300μm以下の平均粒子径を有している。印刷されたパターンは全くそのような顔料インクを用いて形成され、又は、少なくとも本質的にそのような顔料インクを用いて形成される。付着される顔料を含むインクの総量は15ml/m2以下であり、より好ましくは10ml/m2以下であり、例えば5ml/m2以下であるのがさらに好ましい。
【0052】
好ましくは、本発明の紙層又は箔を印刷するために、デジタル・インクジェット・プリンタが適用され、そのデジタル・インクジェット・プリンタは50ピコリットル以下の体積でインクの微滴をジェット噴射することができる。例えば10ピコリットルの、15ピコリットル以下の体積の微滴を用いて作業することによって、付着されるインクの乾燥重量の限界について、かなりの優位をもたらすことを本発明者は見出した。好ましくは、デジタル・インクジェット・プリンタは、1つの又は同一の印刷において、あるいは、いわゆるハーフトーン又はグレースケールとして、種々の体積のインクの微滴を用いて作業できるように、適用される。ハーフトーン又はグレースケールの印刷が可能であるので、優れた印刷の鮮明度を維持しつつ付加されたインクの乾燥重量をはるかに低減することができる。好ましくは、デジタル・インクジェット・プリンタは、少なくとも200dpi(dots per inch)の解像度、好ましくは300dpi以上の解像度を得ることができるように適用される。
【0053】
本発明の第4の観点で得られるデコール紙は、フロア・パネル、家具パネル、天井パネル及び/又は壁パネルを製造する方法においてデコール紙としての使用に適している。このパネルは、少なくとも1つの基板材料と、印刷されたデコールが、その上に提供されるトップ層と、を含み、このトップ層はサーモセッティング・レジンと1つ又は2つ以上の紙層とを含み、紙層は、第3の独立の観点によるデコール紙及び/又は第1の独立の観点による方法によって得られるデコール紙及び/又はこれらの観点の好ましい実施態様のデコール紙を含んでいる。
【0054】
好ましくは、印刷した後に、デコール紙は、紙の重量に比べて40-250%のサーモセッティング・レジンの乾燥重量と等しいサーモセッティング・レジンの量をもって提供される。実験によれば、この範囲でサーモセッティング・レジンが提供されることによって、十分にサーモセッティング・レジンは紙の中に充満し、そして大きな程度の分裂を避け、紙の特質を高度に維持することがわかった。
【0055】
好ましくは、印刷の後に、デコール紙は、少なくとも紙コアがレジンで充満されるように、このような量のサーモセッティング・レジンを提供されている。レジンの量が紙重量の少なくとも1.5倍、あるいは少なくとも2倍に対応するように多量のレジンが提供される時に、このような充満に至る。
【0056】
好ましくは、紙層に提供された、得られたレジンは、すなわち、サーモセッティング・レジンを提供した後に、相対湿度が15%以下であり、より好ましくは重量当たり10%以下である。
【0057】
一般に、紙及びインク受容コーティングは、レジンを提供されていても提供されなくとも、相対湿度は15%以下であり、そして、好ましくは重量当たり8%以下である。
【0058】
好ましくは、紙層にサーモセッティング・レジンを提供するステップは、紙層の上に水とレジンの混合物を適用することを含んでいる。この混合物の適用は、当該混合物の浴の中に紙層を浸漬すること、及び/又は、スプレー処理、ジェット処理、又は、紙の上に混合物を塗布する他の処理を含んでいてもよい。レジンは、例えば1つ又は2つ以上のスクイーズ・ローラー及び/又はドクター・ブレードを用いて、デコール紙に付加されるレジンが定量をセットされる。
【0059】
サーモセッティング・レジンはメラミンをベースとするレジンであり、特に、メラミンに対するホルムアルデヒドの比率が1.4-2であるメラミン・ホルムアルデヒド・レジンである。このメラミンをベースとするレジンは、圧縮運転における熱にさらされている間にポリコンデンスされたレジンである。ポリコンデンス反応によって副生成物として水が生ずる。
【0060】
紙層は、レジン印刷によって、インク付着促進剤を適用した後に浸み込まされる。このようにして、インクの滲みはインク付着促進剤によって防止される。
【0061】
本発明の第4の観点の方法は、好ましくは、印刷され、かつ、レジンが提供されたデコール紙を熱圧縮するステップを含み、そして、レジンが提供され、得られたデコール紙のレジンを少なくとも治癒する。本発明の方法は、前述のDPLプロセスを形成し、印刷され、かつ、レジンが提供された、本発明の紙層は1つの積み重ねに積まれ、デコラティブ層として圧縮される。本発明の方法はHPL(Compact Laminate)(コンパクト積層)又はHPL(High Pressure Laminate)(高圧縮積層)プロセスの一部を形成し、デコラティブ層がレジンを浸み込ませたコア紙層、いわゆるクラフト紙(Kraft paper)とともに、熱圧縮され、デコラティブ層の直下に基板が形成され、そして、圧縮され、かつ、治癒され、得られた積層又は積層されたボードは、HPLの場合にはさらなる基板に接着され、パーチクル・ボード又はMDFボード又はHDFボードとなる。
【0062】
この方法は、また、積層されたパネルの上面に耐摩耗層を提供するステップを含んでいる。好ましくは、印刷の後に、好ましくは、さらなるレジン層がデコール紙の上に、例えば、上塗りとして、適用され、すなわち、デコール紙が基板の上に緩く接続されている間に、又は、既に接続されている間に、レジンが提供されキャリア層又は液体コーティングが適用される。この場合、インク付着促進剤によって、耐摩耗層が積層される間にインクが滲む危険を軽減する。
【0063】
本発明の第5の観点の方法は、トップ層に対向する基板の表面にカウンタ層又はバランシング層を適用するステップをさらに含んでいる。カウンタ層又はバランシング層は、好ましくは、サーモセッティング・レジン、好ましくは、上面層と同じレジンと紙層を含んでいる。
【0064】
好ましくは、基板、可能なカウンタ層及び可能な透明又は半透明層の相互の接続は1つの同一の圧縮処理で得られる。第5の観点の最も好ましい実施態様によれば、これらのステップはDPLプロセスで実行される。
【0065】
デコール紙、基板、前記の紙層は、それぞれの最終寸法を得るために、本発明の方法の間に分割されてもよい。DPL圧縮処理又は類似の処理によって得られるパネルは、好ましくは、のこぎりで切られ、又は、他の方法で分割される。得られたパネルの他の処理はもちろん除外されない。
【0066】
本発明の特徴をより良く示すために、例示として、実施態様が、添付の図面を参照して、以下のように記載されるが、例示は限定的な特徴ではけっしてない。
【図面の簡単な説明】
図1】 本発明の第1の観点の方法の好ましい実施態様によるインクジェット受容コーティングが提供された紙層の実施態様を概略的に示している。
図2図1におけるF2領域を拡大して図示している。
図3】 本発明の第4の観点による方法の種々のステップを示している。
図4図3の方法によって得られたパネルの斜視図である。
図5図4のV-V線で切断した断面図である。
図6】 本発明の第1の観点において使用される少数の装置を示す。
図7】 セントラル・シリンダ上のシングル-パス・モードで作動されたプリンタの側面を概略的に示す。
図8】 DIN EN ISO2409によるランク付け例の表を示す。
【発明を実施するための形態】
【0067】
図1は印刷可能な紙1を概略的に示す。印刷可能な紙1はインク受容コーティング3が提供された紙シート2を含んでいる。この場合、紙シート2は、約70g/m2の重量を有し、10-30秒のガーレイ値で表される平均空気抵抗を持つ、ベースの印刷用紙である。
【0068】
紙シート2及びインク受容コーティング3を表わす寸法は、添付図面において、発明をより良く図示するために、寸法を変えて描かれていることに注目していただきたい。
【0069】
図2はインク受容コーティング3がバインダ4及び顔料5を含んでいることを示す。好ましい実施態様において、顔料はシリカ粒子を含んでいる。本発明の第1の観点によれば、インク受容コーティング3は、さらにインク反応組成物、特にフロキュレーティング剤及び/又は分散剤、を含んでいる。例えば、カチオン金属塩のようなフロキュレーティング剤が適用されないで、インク反応組成物、特にインク不安定化剤が適用されている場合には本発明の種々の観点もまた添付図面に描かれていることに注目していただきたい。
【0070】
実施例のインク受容コーティング3は、好ましくは、尿素をベースとする促進剤、ポリウレタンをベースとする促進剤、カゼインをベースとする促進剤、スチレンをベースとする促進剤、ポリエステルをベースとする促進剤、ポリビニルをベースとする促進剤、アルキドをベースとする促進剤、ケトンをベースとする促進剤、メラミンをベースとする促進剤、シリコーンをベースとする促進剤、セルロースをベースとする促進剤、ガムをベースとする促進剤、アルキルリックをベースとする促進剤又はこれらの混合物又はこれらのコポリマーから成るグループから選択される、インク付着促進剤を含んでいる。
【0071】
インク付着促進剤は、乾燥ベースで4g/m2の量で、印刷可能な紙1の上に存在する。
【0072】
図3は、本発明の第1の観点の好ましい実施態様によれば、インク受容コーティング3は、紙シート2に液体物質6を塗布することによって得られることを示している。逆転メタリング・ローラー8を含む装置7が適用されている。この装置7は初めに過量の液体物質6を適用し、そして、ローラー8によって絞り除かれて所望の重量となり、そして、平滑な塗布表面が得られる。好ましくは、得られた半製品9は、次に、例えば高温空気炉によって、乾燥され、残留湿度レベルが好ましくは10%以下、あるいは、7%に至る。このようなことはここで図示されていないが、すばらしく類似の方法で実行される。装置7の代替として、好ましくは紙機械の中に設けられる、逆転される、1つ又は2つ以上のグラビア・ローラーによる適用、又は、サイズ・プレスによる適用、フィルム・プレスによる適用のような他の適用技術を用いることは明白である。ここで紙機械は紙を製造するラインを意味する。例えば、装置7は、紙機械における2つの乾燥ステップの間のインク受容コーティング3を適用するフィルム・プレスであってもよい。
【0073】
図4は、本発明の第4の独立の観点の第1の代替によるデコール紙を製造する方法における1つのステップを図示している。本発明の第1の観点により得られたインク受容コーティング3を有する印刷可能な紙層1は、インクジェット・プリンタ10によって印刷されてもよく、インクジェット・プリンタは、その中に、例えば印刷可能な紙層1が部分的に巻き付けられる1つのセントラル・シリンダ11と、各々が1つ又は2つ以上のプリント・ヘッドを含む種々の印刷ユニット12を含むが、印刷ユニットは、セントラル・シリンダ11のまわりに放射状に配置され、印刷される紙層1の領域の上方に配置されている。例えば、インクジェット・プリンタ10のセントラル・シリンダ11は、800-950mmの半径を有し、例えば約880mmであり、ウェブ角度が270°以上であり、例えば300°であり、好ましくは320°である。プリンタ10は、例えば、シングル・パス・タイプのプリンタに関連し、印刷されたパターンの供給は、印刷方向Dにおける印刷の間に、印刷可能な紙1のインクジェット・プリンタ10に対する相対運動、特に印刷ユニット12に対する相対運動を含む。この場合、印刷ユニット12及び複数のプリント・ヘッドは、静止し、紙層1にインクが噴出されている間に、より詳しくは、紙層12に適用されるインク付着促進剤を含むインク受容コーティング3の上にインクが噴出されている間に紙層1は動いている。紙層1のプリンタ10に対する単一の連続した運動の間に、紙層1は印刷される。得られたデコール紙13は、インク受容コーティング3のトップ面の上に印刷されたパターン又はインク層14を含んでいる。
【0074】
図5及び図6は、本発明の第4の観点の方法の第2の代替によって得られた印刷されたデコール紙15を示している。デコール紙15は紙シート2とインク受容コーティング3とを含んでいる。この場合、インク受容コーティングは、好ましくは、インク付着促進剤を含んでいないが、インク受容コーティングがインク付着促進剤を含んでいることを除外するものではない。デコール紙15は、インク受容コーティング3のトップ面に、印刷されたパターン又はインク層14をさらに含んでいる。
【0075】
デコール紙15は、印刷されたパターン又はインク層14のトップ面の上に提供され、好ましくは透明なインク付着促進剤16を含んでいる。インク付着促進剤コーティング16は、好ましくは、尿素をベースとする促進剤、ポリウレタンをベースとする促進剤、カゼインをベースとする促進剤、スチレンをベースとする促進剤、ポリエステルをベースとする促進剤、ポリビニルをベースとする促進剤、アルキドをベースとする促進剤、ケトンをベースとする促進剤、メラミンをベースとする促進剤、シリコーンをベースとする促進剤、セルロースをベースとする促進剤、ガムをベースとする促進剤、アルキルリックをベースとする促進剤又はこれらの混合物又はこれらのコポリマーから成るグループから選択されるインク付着促進剤を含んでいる。インク付着促進剤コーティング16は、またバインダを含んでおり、好ましくはポリビニル・アルコールを含んでいる。
【0076】
図5及び図6の印刷されたデコール紙15を得る方法の第2の代替の種々のステップは図7に図示されている。この例示の方法は、インクジェット受容層3を有する印刷可能な紙1を第1のローラー17からインクジェット・プリンタ10へ供給するステップS1を少なくとも含んでいる。インクジェット・プリンタ10は、好ましくは図4と関連して記載されたと同じ方法で、印刷可能な紙1のトップ面に印刷されたパターンを印刷するステップS2を実行する。この方法は、印刷されたパターン14のトップ面の上にインク付着促進剤コーティング16を塗布するステップS3をさらに含んでいる。図示された実施例において、インク付着促進剤コーティング16は、液体物質の形で提供され、そして、図3と関連して記載されたと同じ装置7を用いて提供される。図7で図示された方法は、デコール紙を乾燥するステップS4を含んでいる。実施例において熱空気炉18が用いられているが、マイクロウェイブや赤外線乾燥装置のような、他の代替の加熱装置を用いることもできる。そして、得られたデコール紙15は第2のロール19に巻き取られ、図8で図示されているような、パネルを製造する方法において用いられる準備がされる。
【0077】
図8図9で示されるタイプのラミネート・パネル20を製造する方法の種々のステップを図示している。この方法は、本特許出願の導入部で記載されているように、本発明の第5の独立の観点の図示を形成している。
【0078】
得られたデコラティブ・パネル20は少なくとも基板21とトップ層22を含んでいる。トップ層22は、本発明の第4の観点によって製造されたデコール紙15を含み、そして、この場合には、木材のパターンを表現する印刷されたパターン13を提供されている。デコール紙15は、インク受容コーティング3の中に、あるいはインク付着促進剤コーティング16の中に、インク付着促進剤を含んでいる。
【0079】
例示の実施態様の方法は、デコール紙15にサーモセッティング・レジン23を提供するステップS1‘を少なくとも含む。ここで、デコール紙15はロール24から取り出され、そして、レジン23の浴26の中に、より詳しくは水とレジン23との混合物の浴26の中に、このデコール紙15は浸漬される第1の浸漬ステーショウン25へ搬送される。そして、デコール紙15は休息され、そして、この場合、上方へ搬送される。この休息によってレジン23は紙コアへ浸透することができる。そして、デコール紙15は第2の浸漬ステーション27へ入り、そして、この場合には、レジン23の浴26の中に、より詳しくは、水とレジン23との混合物の浴26の中に、再び浸漬される。一対のスクイーズ・ローラー28によって、デコール紙15に適用されるレジン23の特定の量を添加することができる。この実施例において、種々のドクター・ブレード29は、レジンを提供されたデコール紙15の表面でレジン23の一部を取り除くことができる。
【0080】
第2のステップS2‘において、レジンが提供されたデコール紙は乾燥され、そして、残留湿度レベルは10%以下となる。実施例において熱空気炉18が用いられたが、マイクロウェイブや赤外線乾燥装置のような他の加熱装置を代替に用いることもできる。
【0081】
図8は連続したデコール紙15がシート30に切断され、そしてステップS3‘で積み重ねられることを図示している。
【0082】
図8は、続くステップS4‘において、得られたシート30又はデコール紙15が、上方及び下方の圧縮プレート32-33の間でショート・デイライト・プレス31の中で圧縮される積重ねに積み重ねられていることを図示している。この積重ねは、下方から上方へ向かって、カウンタ層34,板状の基板21、上記のデコール紙15、及び保護層35を含み、ここで、カウンタ層34及び保護層35は両者とも紙層2及びレジン23を含んでいる。そして、積重ねは圧縮され、そして、この圧縮処理によって、この積重ねの中の、基板21を含む、構成層15-21-34-35の間の相互の接着が結果として得られ、そして、同様に、使用されるレジン23が固化し又は治癒される。ここで特に、メラミン・ホルムアルデヒド・レジン23のポリコンデンセーション反応が生じ、副生成物として水が得られる。
【0083】
上方の圧縮プレート32は、ステップS4‘の圧縮処理の間に、パネル20のメラミン表面にレリーフを提供する、構成された圧縮プレートであり、そして、上方の圧縮プレート32の構成された表面36は保護層35のメラミンに接触されている。
【0084】
図9は得られたデコラティブ・パネル又はラミネート・パネル20が長方形の形状であり、そして、一対の長辺37及び一対の短辺38を備え、HDF又はMDF基板11を有する長方形のラミネート・フロア・パネルの形状である。この場合、パネル20には、長手側面37に接合手段39が提供されている。この接合手段39によって、類似のパネルの側面とともに各々の長手側面37を、組み合わされるパネルに垂直なR1方向であり、かつ、結合される側面に垂直なR2方向であり、かつ、組み合わされるパネルの平面へ、ロックすることができる。図10に示すように、この接合手段又は接合部分は、基本的に舌40と溝41の形状を有し、そして、R2方向のロックを許容する付加的協働ロック手段42が提供される。
【0085】
本発明は、以下の番号を付された文節によって定義されたパラグラフ・リストによって、さらに開示されている。
【0086】
1.- インクジェット・プリンタ及び/又はラミネート・パネルの中のデコール紙のように用いられる他の特にグラビア印刷である、アナログ印刷によって印刷可能な紙を製造する方法であり、当該方法は少なくとも次のステップを含んでいる。
(1)紙層を提供するステップ、
(2)当該紙層の少なくとも1つの面にインク受容コーティングを塗布するステップ、
ここで、当該方法は当該紙層にインク付着促進剤を提供するステップを含んでいる。
【0087】
2.- アイテム1の方法であって、当該インク付着促進剤がインク受容層に提供されている。
【0088】
3.- アイテム1又は2の方法であって、当該インク付着促進剤が、尿素をベースとする促進剤、ポリウレタンをベースとする促進剤、カゼインをベースとする促進剤、スチレンをベースとする促進剤、ポリエステルをベースとする促進剤、ポリビニルをベースとする促進剤、アルキドをベースとする促進剤、ケトンをベースとする促進剤、メラミンをベースとする促進剤、シリコーンをベースとする促進剤、セルロースをベースとする促進剤、ガムをベースとする促進剤、アルキルリックをベースとする促進剤又はこれらの混合物又はこれらのコポリマーを含む。
【0089】
4.- 前記のアイテムのいずれか1つの方法であって、インク付着促進剤が、0.2g/m2以上の量で、より好ましくは1g/m2以上の量で、提供されている。
【0090】
5.- 前記のアイテムのいずれか1つの方法であって、インク付着促進剤が、10g/m2以下の量で、より好ましくは5g/m2以下の量で、提供されている。
【0091】
6.- 前記のアイテムのいずれか1つの方法であって、当該インク受容層が少なくとも顔料及び/又はバインダを含んでいる。
【0092】
7.- アイテム6の方法であって、当該顔料がシリカを含んでいる。
【0093】
8.- アイテム6又は7の方法であって、当該バインダがポリービニル・アルコールを含んでいる。
【0094】
9.- 1つの紙層及び1つのインク受容コーティングを含む印刷可能な紙であって、当該紙は、好ましくは前記のアイテムのいずれか1つの方法によって得られたインク付着促進剤を含んでいる。
【0095】
10. - アイテム9の印刷可能な紙であって、当該インク付着促進剤はインク受容層に提供される。
【0096】
11. - アイテム9又は10の印刷可能な紙であって、当該インク付着促進剤は、尿素をベースとする促進剤、ポリウレタンをベースとする促進剤、カゼインをベースとする促進剤、スチレンをベースとする促進剤、ポリエステルをベースとする促進剤、ポリビニルをベースとする促進剤、アルキドをベースとする促進剤、ケトンをベースとする促進剤、メラミンをベースとする促進剤、シリコーンをベースとする促進剤、セルロースをベースとする促進剤、ガムをベースとする促進剤、アルキルリックをベースとする促進剤又はこれらの混合物又はこれらのコポリマーを含む。
【0097】
12. - 1つのラミネート・パネルの中に用いられるデコール紙であって、アイテム9から11までの紙層及び印刷されたデコールを含んでいる。
【0098】
13. - 1つのラミネート・パネルの中に用いられるデコール紙であって、紙層、好ましくはインク受容層、と印刷されたデコールと、当該印刷されたデコールの上方に塗布されるインク付着促進剤と、を含んでいる。
【0099】
14. - 1つのラミネート・パネルの中に用いられるデコール紙を製造する方法あって、
- 印刷可能な紙層を提供するステップと、
- 当該印刷可能な紙層のトップ面に、好ましくはインクジェット印刷によって、印刷されたデコールを提供するステップと、
を含み、印刷可能な紙層は、アイテム9から11までのいずれか1つによる、あるいは、当該方法が印刷されたデコールのトップ面に、インク付着促進剤コーティングを提供するステップを含んでいる。
【0100】
15. - アイテム14による方法であって、当該デコールはインクを印刷することによって得られ、当該インクはバインダを含み、当該バインダと当該インク付着促進剤は実質的に同じである。
【0101】
16. - アイテム15による方法であって、インクのバインダは、尿素をベースとするバインダ、ポリウレタンをベースとするバインダ、カゼインをベースとするバインダ、スチレンをベースとするバインダ、ポリエステルをベースとするバインダ、ポリビニルをベースとするバインダ、アルキドをベースとするバインダ、ケトンをベースとするバインダ、メラミンをベースとするバインダ、シリコーンをベースとするバインダ、セルロースをベースとするバインダ、ガムをベースとするバインダ、アルキルリックをベースとするバインダ剤又はこれらの混合物又はこれらのコポリマーである。
【0102】
17. - ラミネート・パネルを、好ましくは、フロア・パネル、壁パネル、家具パネル又は天井パネルを、製造する方法であって、1つの基板と1つのトップ層を含み、当該上面層は、デコール紙を有する、少なくともデコラティブ層を含み、
- アイテム12又は13によるデコール紙を提供するステップと、
- 当該デコール紙をレジンで、好ましくはサーモセッティング・レジンで浸み込ませるステップと、
- 好ましくは熱及び圧力によって、当該浸み込まされたデコール紙を、基板のトップ面の上に、好ましくは、木材をベースとする材料から作られた基体のトップ面の上に積層するステップと、
を含む。
【0103】
18. - 印刷可能なデコール紙のためのインク受容層の組成は、少なくともインク付着促進剤を含み、好ましくは、尿素をベースとする促進剤、ポリウレタンをベースとする促進剤、カゼインをベースとする促進剤、スチレンをベースとする促進剤、ポリエステルをベースとする促進剤、ポリビニルをベースとする促進剤、アルキドをベースとする促進剤、ケトンをベースとする促進剤、メラミンをベースとする促進剤、シリコーンをベースとする促進剤、セルロースをベースとする促進剤、ガムをベースとする促進剤、アルキルリックをベースとする促進剤又はこれらの混合物又はこれらのコポリマーから成るグループから選択される。
【0104】
19. - アイテム18によるインク受容層組成であって、当該組成は少なくとも顔料及び/又はバインダを含んでいる。
【0105】
本発明は上記の実施態様に限定されるものではないが、本発明のスコープからはなれることのない、種々の代替によって本発明は実現されることができる。
【符号の説明】
【0106】
1 紙
2 紙シート
3 インク受容コーティング
4 バインダ
5 顔料
6 液体物質
7 装置
8 ローラー
9 半製品
10 プリンタ
11 セントラル・シリンダ
12 印刷ユニット、紙層
13 デコール紙、印刷されたパターン
14 インク層、印刷されたパターン
15 デコール紙
16 インク付着促進剤コーティング
17 第1のローラー
18 熱空気炉
19 第2のロール
20 パネル
21 基板
22 トップ層
23 レジン
24 ロール
25 第1の浸漬ステーション
26 浴
27 第2の浸漬ステーション
28 ローラー
29 ドクター・ブレード
30 シート
31 ショート・デイライト・プレス
32 圧縮プレート
33 圧縮プレート
34 カウンタ層
35 保護層
36 表面
37 長辺、長手側面
38 短辺
39 接合手段
40 舌
41 溝
42 ロック手段
D 印刷方向
S1 ステップ
S2 ステップ
S3 ステップ
S4 ステップ
S1‘ ステップ
S2‘ ステップ
S3‘ ステップ
S4‘ ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】