(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】貨物の自律輸送
(51)【国際特許分類】
G05D 1/248 20240101AFI20240730BHJP
B63B 79/40 20200101ALI20240730BHJP
G01C 21/34 20060101ALI20240730BHJP
G05D 1/43 20240101ALI20240730BHJP
G05D 1/606 20240101ALI20240730BHJP
B63G 8/08 20060101ALN20240730BHJP
【FI】
G05D1/248
B63B79/40
G01C21/34
G05D1/43
G05D1/606
B63G8/08 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575900
(86)(22)【出願日】2022-06-07
(85)【翻訳文提出日】2023-12-06
(86)【国際出願番号】 US2022032454
(87)【国際公開番号】W WO2022261060
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523460475
【氏名又は名称】ジュリアン,ドミニコ,ピー.
(71)【出願人】
【識別番号】523460486
【氏名又は名称】ジェガー,ジェフリー エム.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン,ドミニコ,ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ジェガー,ジェフリー エム.
【テーマコード(参考)】
2F129
5H301
【Fターム(参考)】
2F129AA14
2F129BB02
2F129DD53
2F129FF02
5H301AA04
5H301AA05
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301DD05
5H301DD15
5H301FF11
5H301QQ04
(57)【要約】
水流、衛星位置情報システム、および衛星通信システムを利用して、出発地から目的地まで貨物を輸送するための自律型船舶および方法には、水域を航行するための船体が含まれる。通信モジュールは、現地の連絡先および衛星通信システムとの無線通信に適合している。推進モジュールは、水域を航行する船体を推進するためのものであり、好ましくは1つ以上の比較的低出力の電気モータを備える。航行モジュールは、船体を次のウェイポイントに向けて操舵するように適合されている。航行モジュールは、好ましくは舵制御システムを搭載し、水域上の船体の現在位置を見つけるための衛星位置情報システムとの通信に自体が適合した位置モジュールと接続されている。コントローラは、モジュールを制御し、情報を送信し、指令と情報を受信するように適合されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水流、衛星位置情報システム、および衛星通信システムを利用して、出発地から目的地まで貨物を輸送するための自律型船舶であって、前記自律型船舶は、
水域を航行するように適合された船体と、
現地の連絡先および前記衛星通信システムと無線通信するように適合された通信モジュールと、
前記水域を通して前記船体を推進するように適合された推進モジュールと、
次のウェイポイントに向かって前記船体を操縦するように適合された航行モジュールと、
前記水域上の前記船体の現在位置を見つけるために前記衛星位置システムと通信するように適合された位置モジュールと,
少なくとも1つのプロセッサ、揮発性メモリ、および不揮発性メモリを有するコントローラであって、前記モジュールを制御し、前記通信モジュールから受信した気象モデルを記憶し、前記水流を利用して前記現在位置から前記目的地までの経路を決定し、前記次のウェイポイントを決定し、前記水流を利用できない場合に前記推進モジュールを利用して前記航行モジュールで前記次のウェイポイントに向かって航行するように適合された、コントローラと、
前記コントローラおよび前記モジュールに電力を供給するように適合された電源を備え、
これにより、前記船体は、可能な場合は前記海流を利用し、可能でない場合は前記推進モジュールを利用して、一連の前記ウェイポイントを通って前記目的地まで航行する、自律型船舶。
【請求項2】
前記コントローラは、前記通信モジュールを利用して、前記衛星通信システムを通じてアクセス可能な気象サービスから更新された気象モデルにアクセスする、請求項1に記載の自律型船舶。
【請求項3】
前記コントローラは、前記通信モジュールを利用して、前記更新された気象モデル、推奨される次のウェイポイント、および更新された目的地の位置情報を有するネットワークにアクセスする、請求項2に記載の自律型船舶。
【請求項4】
前記コントローラは、前記通信モジュールを利用して、前記ネットワークに接続された指令センターにアクセスし、前記コントローラは、前記指令センターに前記船体の位置情報、モジュールの状態情報、貨物の状態情報、および天候情報を送信し、前記指令センターから前記次のウェイポイントを受信し、前記推進モジュールを利用する前記航行モジュールで前記ウェイポイントに向かって航行を開始するように適合されている、請求項3に記載の自律型船舶。
【請求項5】
前記電源が太陽エネルギ収集器を搭載する請求項1に記載の自律型船舶。
【請求項6】
前記太陽エネルギ集光器は、前記太陽エネルギ集光器を水面上に維持するための浮力フロートを搭載する、請求項5に記載の自律型船舶。
【請求項7】
前記船体は、前記水域で浮遊するように適合された水面船体である、請求項1に記載の自律型船舶。
【請求項8】
前記船体は、前記水域に浮遊するか、前記水域の水面下を航行するかのいずれにも適合した水面下航行可能な船体である、請求項1に記載の自律型船舶。
【請求項9】
水流、衛星位置情報システム、および衛星通信システムを利用して、出発地から目的地まで貨物を輸送するための自律型船舶であって、前記自律型船舶は、
水域を航行するように適合された船体と、
現地の連絡先および前記衛星通信システムと無線通信するように適合された通信モジュールと、
前記水域を通して前記船体を推進するように適合された推進モジュールと、
次のウェイポイントに向かって前記船体を操縦するように適合された航行モジュールと、
前記水域上の前記船体の現在位置を見つけるために前記衛星位置システムと通信するように適合された位置モジュールと,
少なくとも1つのプロセッサ、揮発性メモリ、および不揮発性メモリを有するコントローラであって、前記モジュールを制御し、前記通信モジュールから受信した気象モデルを記憶し、前記水流を利用して前記現在位置から前記目的地までの経路を決定し、前記次のウェイポイントを決定し、前記水流を利用できない場合に前記推進モジュールを利用して前記航行モジュールで前記次のウェイポイントに向かって航行するように適合された、コントローラと、
前記コントローラと前記モジュールに電力を供給するよう適合された、太陽エネルギ集光器を搭載する電源を備え、
前記コントローラは、前記通信モジュールを利用して、前記衛星通信システムを通じてアクセス可能な気象サービスから更新された気象モデルにアクセスし、前記更新された気象モデル、提案された次のウェイポイント、および更新された目的地の位置情報を有するネットワークにアクセスし、前記ネットワークに接続された指令センターにアクセスするように適合され、前記コントローラは、前記指令センターに前記船体の位置情報、モジュールの状態情報、貨物の状態情報、および気象情報を送信し、前記指令センターから前記次のウェイポイントを受信し、前記推進モジュールを利用する前記航行モジュールで前記ウェイポイントに向かって航行を開始するように適合され、
これにより、前記船体は、可能な場合は前記海流を利用し、可能でない場合は前記推進モジュールを利用して、一連の前記ウェイポイントを通って前記目的地まで航行する、自律型船舶。
【請求項10】
水流、衛星測位システム、および衛星通信システムを利用して、貨物を出発地から目的地まで自律的に輸送する方法であって、前記方法は、
a)水域を航行するように適合された船体と、現地の連絡先および前記衛星通信システムとの無線通信に適合された通信モジュールと、前記水域を通して前記船体を推進するように適合された推進モジュールと、次のウェイポイントに向かって前記船体を操縦する航行モジュールと、前記衛星通信システムと通信し、前記水域上における前記船体の現在位置を特定する位置特定モジュールと、少なくとも1つのプロセッサ、揮発性メモリ、および不揮発性メモリを有するコントローラであって、前記モジュールを制御するように適合された、コントローラと、前記コントローラおよび前記モジュールに電力を供給するように適合された電源を備える、
自律型船舶を提供するステップと、
b)前記出発地と前記目的地を包含する水域の現在の水流の地図を分析するステップと、
c)前記水流を最大限に利用し、前記推進モジュールの使用を最小限に抑える、前記出発地と前記目的地の間の経路を決定するステップと、
d)前記貨物がまだ前記船舶に積載されていない場合、前記貨物を前記船舶に積載するステップと、
e)前記次のウェイポインと前記推進モジュールに設定する速度を決定するステップと、
f)前記航行モジュールが、前記船舶の直近の既知の現在位置に基づいて進路と速度を調整するステップと、
g)前記コントローラが、前記航行モジュールと前記推進モジュールを起動するステップと、
h)前記現在位置、モジュール状態情報、および貨物状態情報を決定するステップと、
i)次のウェイポイントに到達するまで、ステップf)から繰り返すステップと、
j)ステップe)から前記船舶が前記目的地に到着するまで繰り返すステップを、備える方法。
【請求項11】
f1)前記航行モジュールが、悪天候を避けるために、最新の天気予報に基づいてコースと速度を調整するステップと、
h1)前記通信モジュールによって受信された現在の天気予報を分析するステップを、さらに含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
h2)前記コントローラが、前記通信モジュールを利用して、更新された気象モデル、提案された次のウェイポイント、および更新された目的地位置情報を有するネットワークにアクセスするステップをさらに含む、請求項l0に記載の方法。
【請求項13】
h3)前記コントローラが、前記通信モジュールを利用して、ネットワークに接続された指令センターにアクセスし、前記指令センターに前記船体の位置情報、モジュールの状態情報、貨物の状態情報、および天候情報を送信し、前記指令センターから前記次のウェイポイントを受信するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記航行モジュールが、
f2)航路、浅瀬、禁止区域を含む既知の危険を回避するために、進路と速度を調整するステップをさらに含む請求項l0に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年6月8日に出願された米国仮特許出願第63/208,442号の利益を主張するものであり、参照により本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、自律型海洋航行船舶に関し、さらに詳細には、そのような船舶のエネルギ要件を最小化するための航行方法に関する。
【背景技術】
【0003】
深刻な気候変動を防ぐために、人類は大胆な解決策を必要としている。気候変動対策の1つは、温室効果ガスであるCO2を大気中から除去することである。CO2の貯蔵庫の1つは地球の海であり、海は大気中のCO2を調整し、絶えずCO2の吸収と放出を繰り返している。
【0004】
海藻は地球上で最も急速に成長する生物の1つだが、その生息域は、概して海岸近くの、特定の場所に限られている。したがって、海洋で海藻の生育面積を増やし、成熟した植物を長期的に海底に沈めることは、大気中のCO2を恒久的に削減する手段の1つである。
【0005】
しかし、海藻を大量に養殖して海に沈めるのはコストがかかり、CO2やその他の有害な排気成分を放出する船舶を必要とするため、CO2除去の効率は低下する。
【0006】
そのため、自体が大気中の温室効果ガスに大きな影響を与えない方法で、このような海藻養殖場を海洋上または沖合の養殖場所から深層散布区域まで輸送する、自律的な無人システムが必要とされている。こうした必要なシステムは、航行と最適な海藻の生育条件の維持のために、既存の海流を最大限に利用するであろう。移動時間は大きな考慮事項ではないため、低エネルギの推進力を利用して、養殖場やその他の貨物を、好ましくは太陽エネルギなどで動く電気モータを利用して、次の最適な海流に誘導するであろう。こうした必要なシステムは、時間に制約されない他の用途にも有用で、中央司令部から簡単に制御できるであろう。こうした必要な発明は、最小限のエネルギを使用し、耐腐食性のコーティングやエンクロージャーを備えた、低コストで持続可能な材料を使用することになるであろう。本発明はこのような目的を達成するものである。
【発明の概要】
【0007】
本装置は、水流、衛星測位システム、衛星通信システムを利用して、貨物を出発地から目的地まで輸送する自律型船舶および方法である。積荷は、たとえば海藻の生育プラットフォームであり得る。しかし、ゴミ運搬船、低速貨物輸送、資材掘削船など、移動時間や航路効率は最重要事項ではなく、むしろ全走行動力の使用と人件費の最小化が最も重要な考慮事項であるような他の貨物を輸送することもできる。
【0008】
自律型船舶は、海洋などの水域を航行する船体を備える。好ましい実施形態では、船体は、水域で浮遊するように適合された水面船体である。いくつかの実施形態では、船体は、水が船体に入るのを防ぐために密閉され、それによって浮力が確保される。好ましくは、船体は、以下に説明するように生成される航行指令の下で自律的に走行するように設計される。
【0009】
他の実施形態では、船体は水面下対応船体、すなわち潜水艦であり、水域に浮くか、水域の水面下に潜るかのいずれにも適合している。このような実施形態では、通信モジュールと位置モジュールを使用する際、船体は水面まで上昇し得るが、それ以外の場合は、気象嵐などを乗り切るために水面下に留まることができる。
【0010】
通信モジュールは、現地の連絡先および衛星通信システムとのワイヤレス通信に適合している。このような無線通信は、保守支援船や他のプラットフォームなどの現地の連絡先と通信するために、双方向無線通信プロトコルなどを利用することができる。
推進モジュールは、水域を通して船体を推進するように適合されている。推進モジュールは、好ましくは、船舶とその貨物の低速低エネルギ移動に適合した1つ以上の比較的低出力の電気モータを備える。
【0011】
航行モジュールは、船体を次のウェイポイントに向けて操舵するように適合されている。航行モジュールは、好ましくは、1つ以上の舵の位置を制御するための舵制御システムを搭載し、水域上の船体の現在位置を見つけるための衛星位置情報システムとの通信に自体が適合している位置モジュールと接続されている。あるいは、船舶は、スキッド操舵方式で2つの電動プロップで操舵することもできる。
【0012】
コントローラは、少なくともプロセッサ、揮発性メモリ、および不揮発性メモリを有する。コントローラは、各モジュールを制御し、通信モジュールから受信した気象モデルを保存し、水流を利用できない場合は航行モジュールが推進モジュールを利用して次のウェイポイントに向かって航行するように適合されている。いくつかの実施形態では、コントローラはさらに、水流を利用して現在地から目的地までの経路を決定し、次のウェイポイントを決定するように適合されている。
【0013】
いくつかの実施形態では、コントローラは、通信モジュールを利用して、衛星通信システムを通じてアクセス可能な気象サービス、または他の現地サービスから更新された気象モデルにアクセスするように適合させることができる。好ましくは、通信モジュールが、気象サービスが利用可能なインターネットなどのネットワークにアクセスすることで実現される。
【0014】
さらに、提案された次のウェイポイントや更新された目的地の位置情報は、例えばネットワークを介して指令センターからアクセスすることもできる。このような実施形態では、コントローラは、船体の位置情報、モジュールの状態情報、海藻の生育状況や現地の潮流状況などの貨物の状態情報、及び現地の天候情報などを指令センターに送信するように適合されている。
【0015】
電源が搭載され、コントローラとモジュールに電力を供給するように適合されている。電源は、好ましくは、太陽光を電気に変換する光発電型太陽エネルギ集光器などの1つ以上の太陽エネルギ集光器を備える。このような太陽エネルギ集光器は、好ましくはバッテリーの充電を維持するために使用され、バッテリーはコントローラ、モジュール(複数)、電気モータ、舵制御システムなどに電力を供給する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の太陽エネルギ集光器は、船体から分離され、太陽エネルギ集光器を水上に維持するための浮力フロートを備えることができる。
【0016】
船体は、使用中、可能な場合は海流を利用し、可能でない場合は推進モジュールを利用して、一連のウェイポイントを通って目的地まで航行する。指令センターのない実施形態では、水流、衛星位置情報システム、衛星通信システムを利用して、貨物を出発地から目的地まで自律的に輸送するために、通常、以下のステップが船舶によって実行される。
a)目的地を選択し、船舶の現在位置を出発地として指定する、
b)出発地と目的地を包含する水域の現在の水流の地図を分析する、
c)水流を最大限に利用し、推進モジュールの使用を最小限にする出発地と目的地間の経路を決定する、
d)貨物がまだ船舶に積載されていない場合、貨物を船舶に積載する、
e)次のウェイポイントと、推進モジュールに設定する速度を決定する、
f)航行モジュールが、船舶の直近の既知の現在位置に基づいて進路と速度を調整する、
fl)航行モジュールが、悪天候を避けるために、最新の天気予報に基づいて進路と速度を調整する、
f2)航行モジュールが、航路、浅瀬、禁止区域を含む既知の危険を回避するために進路と速度を調整する、
g)コントローラが、航行モジュールと推進モジュールを起動する、
h)現在地、現地の状況、モジュールの状態情報、貨物の状態情報を決定する、
h1)通信モジュールによって受信された現在の天気予報を分析する、
h2)コントローラが、通信モジュールを利用して、更新された気象モデル、水流および生育状況、示唆された次のウェイポイント、および更新された目的地位置情報を有するネットワークにアクセスする、
i)次のウェイポイントに到達するまで、f)から繰り返す、および
j)船舶が目的地Dに到達するまで、e)から繰り返す。
【0017】
指令センターを利用する実施形態では、以下の追加ステップが、出発地から目的地Dまで貨物を自律的に輸送する方法に含まれてもよい。
h)コントローラが、通信モジュールを利用して、ネットワークに接続された指令センターにアクセスし、船体の位置情報、モジュールの状態情報、貨物の状態情報、および現地の天候情報を指令センターに送信し、指令センターから次のウェイポイントを受信する。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、自体が大気中の温室効果ガスに大きな影響を与えない方法で、水域を経由して目的地まで原産地を輸送する自律型無人システムである。船舶の航行は可能な限り既存の海流を利用し、船舶と貨物を次の最適な海流に誘導するためだけに低エネルギの推進力を使用し、好ましくは太陽エネルギなどを動力源とする電気モータを使用する。このシステムは、時間に制約のある他の用途にも有用であり、中央指令センターから容易に制御できる。本発明の他の特徴および利点は、本発明の原理を例示的に示す添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図3】水流および出発地から目的地までの船舶の経路を示すマップ図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の例示的な実施形態を以下に説明する。以下の説明は、これらの実施形態を十分に理解ための、および実施を可能にする説明のための具体的な詳細を提供するものである。当業者であれば、このような詳細がなくても本発明を実施できることを理解するであろう。他の例では、実施形態の説明を不必要に曖昧にすることを避けるため、周知の構造および機能は示さず、詳細には説明されていない。
【0021】
文脈上明らかに別様に要求されない限り、本明細書および特許請求の範囲全体を通じて、「備える」、「備えること」などの語は、排他的または網羅的な意味とは対照的に、包括的な意味、すなわち「含むが、限定されない」という意味で解釈される。単数または複数を用いる単語は、それぞれ複数または単数も含まれる。さらに、本出願で使用される「本明細書」、「上記」、「下記」および類似の語は、本出願全体を指すものであり、本出願の特定の部分を指すものではない。特許請求の範囲において、2つ以上の項目のリストに関して「または」という語が使用されている場合、この語は、リスト中の項目のいずれか、リスト中の項目のすべて、およびリスト中の項目の任意の組み合わせという、以下の語の解釈のすべてを対象とする。また、「各」という単語が、前に少なくとも1個であるように導入された要素に言及するために使用される場合、「各」という単語は、必ずしも複数の要素を意味するものではなく、単数の要素を意味する場合もある。
【0022】
図1~4は、水流18、衛星位置情報システム20および衛星通信システム30を利用して、出発地O1から目的地D1まで貨物15を輸送するための自律型船舶10を示している。積荷15は、例えば
図1に示すように、海藻の大型生育プラットフォームであってもよい。しかし、ゴミ運搬船、低速貨物輸送、資材掘削船など、他の貨物15を輸送することもできる。
【0023】
自律型船舶10は、海洋などの水域17を航行するのに適合されている船体4を備える。好ましい実施形態では、船体40は、水域17に浮かぶように適合された水面船体41である。いくつかの実施形態では、船体40は、水が船体40に入るのを防ぐために密閉され、それによって浮力が確保される。他の実施形態では、船体40は、寝室、浴室、食品準備エリアなど、人間の操作者(図示せず)のための設備を搭載する。しかし、好ましくは、船体40は、以下に説明するように生成される航行指令の下で自律的に走行するように設計される。
【0024】
他の実施形態では、船体40は、水域17に浮くか、水域17の水面下に浮くように適合された水面下対応船体(図示せず)、つまり潜水艦である。このような実施形態では、船体40は、通信モジュール60と位置モジュール80を使用する際には水域17の水面まで上昇することができるが、それ以外の場合には、気象嵐などを乗り切るために水面下に留まることができる。他の実施形態では、船体40はブイの形をとる。
【0025】
通信モジュール50は、現地の連絡先19(
図2)および衛星通信システム30との無線通信に適合している。このような無線通信は、保守・支援船19(
図2)などの現地の連絡先19と通信するために、双方向無線通信プロトコルなどを利用することができる。通信モジュール50は、その位置を近くの船舶に放送するための航行放送システムを備えることができ、また、夜間に船体40の位置を近くの船舶に知らせるための照明ランプを備えてもよい。
【0026】
推進モジュール60は、船体40を、水域17を通して推進するように適合されている。推進モジュール60は、好ましくは、船舶10およびその貨物15の低速低エネルギ移動に適合した1つ以上の比較的低出力の電気モータ61(プロペラ付き)を搭載する。
【0027】
航行モジュール70は、船体40を次のウェイポイントWXに向けて操舵するように適合されている。航行モジュール70は、好ましくは、1つまたは複数の舵71の位置を制御するための舵制御システム72を搭載し、水域17上の船体40の現在位置LCを見つけるための衛星位置システム20との通信に自体が適合している位置モジュール80と接続されている。
【0028】
コントローラ90は、少なくともプロセッサ91、揮発性メモリ92、不揮発性メモリ93を有する。コントローラは、モジュール50,60,70,80を制御し、通信モジュール50から受信した気象モデルを記憶し、水流を利用して現在地Lcから目的地D1までの経路PXを決定し、次のウェイポイントWXを決定し、水流18を利用できない場合に推進モジュール60を利用して航行モジュール70で次のウェイポイントに向かって航行するように適合されている。
【0029】
いくつかの実施形態では、コントローラ90は、通信モジュール50を利用して、衛星通信システム30を通じてアクセス可能な気象サービス、または他の現地サービスからの更新された気象モデル110、および水流マップ(本明細書では、モデル化された環境条件と総称する)にアクセスするように適合することができる。好ましくは、通信モジュール50が、気象サービスが利用可能なインターネットなどのネットワーク16にアクセスすることで実現される。
【0030】
さらに、提案された次のウェイポイントSWXと更新された目的地位置情報は、例えば、ネットワーク16を通じて指令センター110からアクセスすることもできる。このような実施形態では、コントローラ90は、船体40の位置情報、モジュール状態情報120、貨物状態情報130、および現地の天候情報140を指令センター110に送信するように適合されている。現地の気象情報140は、例えば、風向風速計、風向風速計、圧力センサー、温度計、湿度計、雨量計を搭載し、さらに水温、濁度、栄養塩濃度を検出するセンサーを搭載する、船上気象ステーション(図示せず)によって取得することができる。
【0031】
電源100が搭載され、コントローラ90およびモジュール50,60,70,80に電力を供給するように適合されている。電源100は、太陽光を電気に変換する光発電型太陽エネルギ集光器など、1つ以上の太陽エネルギ集光器101を搭載することが好ましい。このような太陽エネルギ集光器101は、好ましくはバッテリー102の充電を維持するために使用され、バッテリー102はコントローラ90、モジュール50,60,70,80、電動モータ61、舵制御システム72などに電力を供給する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の太陽エネルギ集光器101は、船体40から分離され、水17の上に太陽エネルギ集光器を維持するための浮力フロート102を備えることができる。選択肢として、更なる形態の電力を、風力、波力、水素、その他の気候にやさしい電源、または必要に応じて予備バッテリーによって得ることができる。
【0032】
船体40は、使用中、可能な場合は海流18を利用し、そうでない場合は推進モジュール60を利用して、一連のウェイポイントを通って目的地D
1まで航行する。指令センター110がない実施形態では、水流18、衛星測位システム20、衛星通信システム30を利用して、出発地O
1から目的地D
1まで貨物15を自律的に輸送するために、以下のステップが通常、船舶10によって実行される。
a)目的地D
1を選択し、船舶40の現在位置を原点O
1とする、
b)出発地O
1および目的地D
1を包含する水域17内の現在の水流18の地
図3を分析する(
図3)、
c)水流17を最大限に利用し、推進モジュール60の使用を最小限にする、出発地O
1と目的地D
1の間の経路P
Xを決定する、
d)貨物15がまだ船舶10に積載されていない場合、貨物15を船舶10に積載する、
e)次のウェイポイントと、推進モジュール60に設定する速度を決定する、
f)航行モジュール70が、船舶10の最後に知られた現在位置L
Cに基づいて進路と速度を調整する、
fl)航行モジュール70が、悪天候を避けるために、最新の天気予報110に基づいて進路と速度を調整する、
f2)航行モジュールが、航路、浅瀬、禁止区域を含む既知の危険を回避するために進路と速度を調整する、
g)制御装置90が、航行モジュール70と推進モジュール60を作動させる、
h)現在位置L
C、モジュール状態情報120、および貨物状態情報130を決定する、
h1)通信モジュールによって受信された現在の天気予報を分析する、
h2)コントローラが、更新された天気モデル、示唆された次のウェイポイント、および更新された目的地位置情報を有するネットワークにアクセスするために通信モジュールを利用する、
i)次のウェイポイントに到達するまで、f)から繰り返す、および
j)船舶10が目的地D
1に到達するまで、e)から繰り返す。
【0033】
指令センター110を利用する実施形態では、追加ステップは、出発地O1から目的地D1まで貨物15を自律的に輸送する方法に含まれてもよい。
h3)コントローラが、通信モジュールを利用して、ネットワーク16に接続された指令センター110にアクセスし、指令センターに船体40の位置情LC、モジュール状態情報120、貨物状態情報130、および現地の気象情報を送信し、指令センター110から次のウェイポイントを受信する。
【0034】
船舶10が特定の位置、または特定の位置から予め設定された距離内を維持する状況では、航行モジュール70は、推進モジュール60が、それがなければ船舶を定位置から遠ざける海流17の力に対抗する所望の定位置維持モードに入ることができる。近隣の海流17が回転している、または反対方向にある状況においては、航行モジュール70は、船舶10を所望の定点保持位置を周回するように航行させることができる。
【0035】
図1に示すように、貨物15が海苔養殖場である場合、船舶10は、海藻プラットフォームを昇降させるためのウインチ、成長測定データおよび海洋栄養塩データの取得など、成長および養殖を補助するためのコンポーネントをさらに装備することができる。
【0036】
本発明の特定の態様を図示し説明したが、本発明の精神と範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能であることは明らかであろう。したがって、添付の特許請求の範囲による場合を除き、本発明を限定することは意図していない。
【0037】
本発明のある特定の特徴または態様を説明する際に使用される特定の用語は、本明細書において、その用語が関連する本発明の特定の特徴、特徴、または態様に限定して再定義されることを意味するものと取るべきではない。一般に、以下の特許請求の範囲で使用される用語は、上記の詳細な説明の項でそのような用語を明確に定義しない限り、本発明を本明細書に開示された特定の実施形態に限定するものと解釈されるべきではない。したがって、本発明の実際の範囲は、開示された実施形態だけでなく、本発明を実行または実施するすべての等価な方法も包含する。
【0038】
本発明の実施形態に関する上記の詳細な説明は、網羅的であること、または本発明を上記に開示された正確な形態に限定すること、または本開示に記載された特定の使用分野に限定することを意図するものではない。本発明の具体的な実施形態および実施例は、例示を目的として上述されているが、関連技術の当業者であれば認識するように、本発明の範囲内で様々な等価な変更が可能である。また、本明細書で提供される本発明の教示は、必ずしも上述したシステムでなくても、他のシステムに適用することができる。上述した様々な実施形態の要素や行為を組み合わせて、さらなる実施形態を提供することができる。
【0039】
上記の特許および出願、ならびに添付の出願書類に記載されているものを含むその他の文献はすべて、参照により本明細書に援用される。本発明の態様は必要に応じて変更することができ、上述した様々な文献のシステム、機能、および概念を採用して、本発明のさらなる実施形態を提供することができる。
【0040】
上記の「発明を実施するための形態」に照らして、本発明に変更を加えることができる。上記の説明では、本発明のある特定の実施形態を詳述し、企図される最良の態様を説明したが、上記の文章がいかに詳細に記載されていても、本発明は多くの方法で実施することができる。したがって、実施の詳細は、本明細書に開示された発明に包含される一方で、かなり異なる可能性がある。上述のように、本発明のある特定の特徴または態様を説明する際に使用される特定の用語は、本明細書において、その用語が関連する本発明の特定の特徴、特徴、または態様に限定して再定義されることを意味するものと取るべきではない。
【0041】
本発明のある特定の態様を、ある特定の請求の形態で以下に示すが、本発明者は、本発明の 様々な態様を任意の数の請求の形態で想定している。したがって、本発明者は、出願後に、本発明の他の側面についてそのような追加請求の形態を追求するために、追加請求項を追加する権利を留保する。
【国際調査報告】