(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】混合モード電気機械的アクチュエータ駆動を管理する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
B06B 1/04 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
B06B1/04 A
B06B1/04 S
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577412
(86)(22)【出願日】2022-06-13
(85)【翻訳文提出日】2024-02-07
(86)【国際出願番号】 US2022033230
(87)【国際公開番号】W WO2022271475
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517401657
【氏名又は名称】シーラス ロジック インターナショナル セミコンダクター リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリクス、ジョン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】マルシェ、エマニュエル エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ、ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】トラン、ブライアント
(72)【発明者】
【氏名】ヤンコ、マルコ エイ.
(72)【発明者】
【氏名】プリークス、ノエル
【テーマコード(参考)】
5D107
【Fターム(参考)】
5D107BB08
5D107CC09
5D107CD01
5D107CD06
5D107CD10
5D107DE03
(57)【要約】
本開示の実施例によれば、トランスデューサ駆動システムによって、電磁アクチュエータに再生波形を駆動する方法は、負のインピーダンスを含む閉ループ電圧駆動システムを形成するように、閉ループにおいて電磁アクチュエータが再生波形により駆動される第1のモードにおいてトランスデューサ駆動システムを動作させることと、開ループにおいて電気機械的アクチュエータが再生波形により駆動される第2のモードにおいてトランスデューサ駆動システムを動作させることと、第1のモードと第2のモードとの間で動作するようにトランスデューサ駆動システムを移行させるためのモード・スイッチを動作させることと、を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスデューサ駆動システムによって、電磁アクチュエータに再生波形を駆動する方法であって、
閉ループにおいて前記電磁アクチュエータが前記再生波形により駆動される第1のモードにおいて前記トランスデューサ駆動システムを動作させ、負のインピーダンスを含む閉ループ電圧駆動システムを形成することと、
開ループにおいて電気機械的アクチュエータが前記再生波形により駆動される第2のモードにおいて前記トランスデューサ駆動システムを動作させることと、
前記第1のモードと前記第2のモードとの間で動作するように前記トランスデューサ駆動システムを移行させるためのモード・スイッチを動作させることと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記閉ループ電圧駆動システムは、前記再生波形に加えられたフィードバック補正信号を利用する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電磁アクチュエータは、触覚アクチュエータを含み、前記再生波形信号は、前記第1のモード及び前記第2のモードのうちの1つ又は複数の間に離散的触覚イベントを再生する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記トランスデューサ駆動システムによって、前記第1のモードにおいて動作するとき、前記再生波形として単一の触覚イベントの第1の部分を駆動することと、
前記トランスデューサ駆動システムによって、前記第2のモードにおいて動作するとき、前記再生波形として単一の触覚イベントの第2の部分を駆動することと、
を更に含む、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記モード・スイッチによって、前記第1のモードと前記第2のモードとの間で移行するとき、第1のレベルから第2のレベルに前記フィードバック補正信号をランプすることを更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記単一の触覚イベントに関連する前記再生波形は、その全体が前記第2のモードで再生され、次いで、ブレーキ時間を最小化するために、前記単一の触覚イベントの終わりに前記第1のモードに切り替わり、前記方法は、前記モード・スイッチによって、前記第1のモードと前記第2のモードとの間の前記移行を制御することを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記単一の触覚イベントと関連する前記再生波形は、その3つのフェーズ、すなわち、オンセット・フェーズ、定常状態フェーズ、及びブレーキング・フェーズの各々を再生し、前記方法は、前記モード・スイッチにより、前記3つのフェーズのフェーズ境界において前記第1のモードと前記第2のモードとの間の移行を制御することを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記モード・スイッチによって、前記第1のモードと前記第2のモードとの間で移行するとき、1つのレベルから別のレベルに前記再生波形をランプすることを更に含む、請求項5から7までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記再生波形のレベルは、前記フィードバック補正信号の関数であり、前記電気機械的アクチュエータに対して駆動される前記再生波形の前記レベルは、前記フィードバック補正信号のいずれのレベルについても定常状態で一定に維持される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のモードの間、
前記電気機械的アクチュエータに駆動される前記再生信号のクリッピングを回避するよう、前記モード・スイッチによって、前記再生波形の短いオンセット部分の間、前記フィードバック補正信号レベルをランプ・ダウンすることと、
前記再生波形の定常状態の部分の間に所望の信号レベルが達成されるように、前記再生波形の前記短いオンセット部分の後、前記フィードバック補正信号レベルをランプ・アップすることと、
を更に含む、請求項2から9までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記モード・スイッチがランプする前記フィードバック補正信号レベルの最小レベルは、前記再生波形のレベル及びクリッピングが発生しない前記再生波形の最大レベルの関数である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記モード・スイッチがランプする前記フィードバック補正信号の最小レベルは、前記再生波形のレベル及び望ましくない電気機械的アクチュエータ効果がユーザによって知覚される前記再生波形の最大レベルの関数である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記再生波形に、前記フィードバック補正信号のレベルを制御するためのパイロット信号を注入することを更に含む、請求項2から12までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のモードと前記第2のモードとの間で移行するとき、前記モード・スイッチによって、前記パイロット信号レベルを1つのレベルから別のレベルにランプすることを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記パイロット信号レベルは、前記電気機械的アクチュエータに対して駆動される前記パイロット信号レベルが、前記フィードバック補正信号のいずれのレベルに対しても定常状態において一定に維持されるように、前記フィードバック補正信号のレベルの関数である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2のモードの間、前記パイロット信号を無効にすることを更に含む、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記電気機械的アクチュエータのインピーダンスの推定に基づいて、前記フィードバック補正信号を調整することを更に含む、請求項13から16までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
電磁アクチュエータに再生波形を駆動するトランスデューサ駆動システムであって、
前記再生波形を生成するための出力と、
閉ループにおいて前記電磁アクチュエータが前記再生波形により駆動される第1のモードにおいて前記トランスデューサ駆動システムを動作させ、負のインピーダンスを含む閉ループ電圧駆動システムを形成し、
開ループにおいて電気機械的アクチュエータが前記再生波形により駆動される第2のモードにおいて前記トランスデューサ駆動システムを動作させ、
前記第1のモードと前記第2のモードとの間で動作するように前記トランスデューサ駆動システムを移行させるためのモード・スイッチを動作させる、
ように構成された制御サブシステムと、
を備えた、トランスデューサ駆動システム。
【請求項19】
前記閉ループ電圧駆動システムは、前記再生波形に加えられたフィードバック補正信号を利用する、請求項18に記載のトランスデューサ駆動システム。
【請求項20】
前記電磁アクチュエータは、触覚アクチュエータを含み、前記再生波形信号は、前記第1のモード及び前記第2のモードのうちの1つ又は複数の間に離散的触覚イベントを再生する、請求項19に記載のトランスデューサ駆動システム。
【請求項21】
前記第1のモードにおいて動作するとき、前記再生波形として単一の触覚イベントの第1の部分を駆動し、
前記第2のモードにおいて動作するとき、前記再生波形として単一の触覚イベントの第2の部分を駆動する、
ように更に構成される、請求項19又は20に記載のトランスデューサ駆動システム。
【請求項22】
前記モード・スイッチは、前記第1のモードと前記第2のモードとの間で移行するとき、第1のレベルから第2のレベルに前記フィードバック補正信号をランプするように更に構成される、請求項21に記載のトランスデューサ駆動システム。
【請求項23】
前記単一の触覚イベントと関連する前記再生波形は、その全体が前記第2のモードで再生され、次いで、ブレーキ時間を最小化するため、前記単一の触覚イベントの終わりに前記第1のモードに切り替わり、前記モード・スイッチは、前記第1のモードと前記第2のモードとの間の前記移行を制御するように更に構成される、請求項22に記載のトランスデューサ駆動システム。
【請求項24】
前記単一の触覚イベントと関連する前記再生波形は、その3つのフェーズ、すなわち、オンセット・フェーズ、定常状態フェーズ、及びブレーキング・フェーズの各々を再生し、前記モード・スイッチは、前記3つのフェーズのフェーズ境界において前記第1のモードと前記第2のモードとの間の移行を制御するように更に構成される、請求項22に記載のトランスデューサ駆動システム。
【請求項25】
前記モード・スイッチは、前記第1のモードと前記第2のモードとの間で移行するとき、1つのレベルから別のレベルに前記再生波形をランプするように更に構成される、請求項22から24までのいずれか一項に記載のトランスデューサ駆動システム。
【請求項26】
前記再生波形のレベルは、前記フィードバック補正信号の関数であり、前記電気機械的アクチュエータに対して駆動される前記再生波形の前記レベルは、前記フィードバック補正信号のいずれのレベルについても定常状態で一定に維持されるように、請求項25に記載のトランスデューサ駆動システム。
【請求項27】
前記モード・スイッチは、前記第1のモードの間、
前記電気機械的アクチュエータに駆動される前記再生信号のクリッピングを回避するよう、前記再生波形の短いオンセット部分の間、前記フィードバック補正信号レベルをランプ・ダウンし、
前記再生波形の定常状態の部分の間に所望の信号レベルが達成されるように、前記再生波形の前記短いオンセット部分の後、前記フィードバック補正信号レベルをランプ・アップする、
ように更に構成される、請求項19から26までのいずれか一項に記載のトランスデューサ駆動システム。
【請求項28】
前記モード・スイッチがランプする前記フィードバック補正信号レベルの最小レベルは、前記再生波形のレベル及びクリッピングが発生しない前記再生波形の最大レベルの関数である、請求項27に記載のトランスデューサ駆動システム。
【請求項29】
前記モード・スイッチがランプする前記フィードバック補正信号の最小レベルは、前記再生波形のレベル及び望ましくない電気機械的アクチュエータ効果がユーザによって知覚される前記再生波形の最大レベルの関数である、請求項27に記載のトランスデューサ駆動システム。
【請求項30】
前記再生波形に、前記フィードバック補正信号のレベルを制御するためのパイロット信号を注入するように構成されたパイロット・トーン・ジェネレータを更に備えた、請求項19から29までのいずれか一項に記載のトランスデューサ駆動システム。
【請求項31】
前記モード・スイッチは、前記第1のモードと前記第2のモードとの間で移行するとき、前記パイロット信号レベルを1つのレベルから別のレベルにランプするように更に構成される、請求項30に記載のトランスデューサ駆動システム。
【請求項32】
前記パイロット信号レベルは、前記電気機械的アクチュエータに対して駆動される前記パイロット信号レベルが、前記フィードバック補正信号のいずれのレベルに対しても定常状態において一定に維持されるように、前記フィードバック補正信号のレベルの関数である、請求項31に記載のトランスデューサ駆動システム。
【請求項33】
前記第2のモードの間、前記パイロット・トーン・ジェネレータが前記パイロット信号を生成することを無効にすることを更に含む、請求項31又は32に記載のトランスデューサ駆動システム。
【請求項34】
前記電気機械的アクチュエータのインピーダンスの推定に基づいて、前記フィードバック補正信号を調整するように更に構成される、請求項30から33までのいずれか一項に記載のトランスデューサ駆動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年6月22日に出願された米国仮特許出願第63/213,612号に対する優先権を主張する。
【0002】
本開示は、Stahlらへの「Driver Circuitry」と題し、Cirrus Logic,Inc.に譲渡された米国特許第10,828,672(以下、「Stahl特許」と称される)、Taipaleへの「Methods and Systems for Detecting and Managing Amplifier Instability」と題する米国特許出願第2021/0175869号明細書(以下、「Taipale特許出願」と称される)、及びMarchaisらへの「Methods and Systems for Estimating Coil Impedance of an Electromagnetic Transducer」と題する米国特許出願第2021/0174777号明細書(以下、「Marchais特許出願」と称される)を相互参照する。Stahl特許、Taipale特許出願、及びMarchais特許出願は全て、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本開示は概して、開ループ動作モード及び閉ループ動作モードの両方において触覚振動負荷を駆動するための増幅器の使用、およびそれらの2つの動作モードの間で切り替えるときに増幅器に送信される信号の管理とに関する。
【背景技術】
【0004】
振動-触覚トランスデューサ、例えば、線形共振アクチュエータ(LRA:linear resonant actuator)などの電気機械的アクチュエータは、ユーザへの振動的フィードバックを生成するために、携帯電話などのポータブル・デバイスにおいて広く使用される。様々な形式の振動-触覚フィードバックは、ユーザの皮膚に様々な触感を生じさせ、最新のデバイスにおける人間と機械の相互作用においてますます重要な役割を果たし得る。
【0005】
LRAは、質量-バネ・電気-機械・振動システムとしてモデル化され得る。適切に設計又は制御された駆動信号により駆動されると、LRAは、或る所望の形式の振動を生成し得る。例えば、ユーザの指に対する鮮明且つ明確な振動パターンを使用して、機械的なボタン・クリックを模倣した感覚を生じさせ得る。この明確な振動は、機械的ボタンに代わる仮想スイッチとして使用され得る。
【0006】
図1は、デバイス100における振動-触覚システムの例を示す。デバイス100は、増幅器102に印加される信号を制御するように構成されたコントローラ101を含み得る。増幅器102は次いで、信号に基づいて触覚トランスデューサ103を駆動し得る。コントローラ101は、トリガによってトリガされて信号を出力し得る。トリガは、例えば、デバイス100のスクリーン又は仮想ボタン上の圧力センサ又は力センサを含み得る。
【0007】
様々な形式の振動-触覚フィードバックの中で、長期間続く持続時間の音の振動は、着信又はメッセージ、緊急アラート、及びタイマ警告など、特定の予め定義されたイベントをデバイスのユーザに通知する重要な役割を果たし得る。音の振動通知を効率的に生成するために、触覚アクチュエータをその共振周波数で動作させることが望ましい場合がある。
【0008】
触覚トランスデューサの共振周波数f
0は、
【数1】
として近似的に推定され得る。Cは、バネ・システムのコンプライアンスであり、Mは、等価移動質量であり、等価移動質量は、触覚トランスデューサにおける実際の可動部分及び触覚トランスデューサを保持するポータブル・デバイスの質量の両方に基づいて決定され得る。
【0009】
個々の触覚トランスデューサにおけるサンプルごとのばらつき、モバイル・デバイス・アセンブリのばらつき、経年劣化による構成要素の一時的な変化、自己発熱による構成要素の変化、及びユーザがデバイスを握る様々な強さなどの使用状況に起因して、触覚トランスデューサの振動共振は、時間ごとに変化する可能性がある。
【0010】
図2Aは、質量-バネ・システム201を含む線形システムとしてモデル化された線形共振アクチュエータ(LRA)の例を示す。LRAは、印加される電圧レベル、動作温度、及び動作周波数に応じて異なる動作をする可能性がある非線形構成要素である。しかしながら、それらの構成要素は、特定の条件内では線形構成要素としてモデル化され得る。
【0011】
図2Bは、LRAの質量-バネ・システム201の電気的等価モデルを含む、線形システムとしてモデル化されたLRAの例を示す。この例では、LRAは、電気及び機械的要素を有する第3次システムとしてモデル化される。特に、Re及びLeは、それぞれ、コイル-磁気システムのDC抵抗及びコイル・インダクタンスであり、Blは、コイルの磁力係数である。駆動増幅器は、出力インピーダンスRoを有する電圧波形V(t)を出力する。端子電圧V
T(t)は、触覚トランスデューサの端子間で検知され得る。質量-バネ・システム201は、速度u(t)で移動し、速度u(t)は、逆起電力V
BEMFに比例し得る。
【0012】
LRAなどの電磁負荷は、コイル・インピーダンスZcoil及び機械的インピーダンスZmechの合計:
ZLRA=Zcoil+Zmech (2)
として見られるインピーダンスZLRAによって特徴付けられ得る。
【0013】
コイル・インピーダンスZcoilは、インダクタンスLeと直列の直流(DC:direct current)抵抗Re:
Zcoil=Re+s*Le (3)
を含み得る。
【0014】
機械的インピーダンスZ
mechは、触覚トランスデューサの質量-バネ・システムの機械的摩擦を表す電気抵抗を表す共振抵抗R
RESと、触覚トランスデューサの質量-バネ・システムの等価移動質量Mを表す電気容量を表すキャパシタンスC
MESと、触覚トランスデューサの質量-バネ・システムのコンプライアンスCを表すインダクタンスL
CESと、を含む3つのパラメーによって定義され得る。全機械的インピーダンスの電気的等価物は、R
RES、C
MES、L
CESの並列接続である。この並列接続のラプラス変換は、
【数2】
によって記述される。
【0015】
触覚トランスデューサの共振周波数f
0は、
【数3】
として表すことができる。
【0016】
LRAの品質係数Qは、
【数4】
として表すことができる。
【0017】
式(6)を参照すると、この式には抵抗器Re及びR
RESの並列接続を記述する部分式(すなわち、
【数5】
)が含まれると共に、
図2Bでは、それらの抵抗器は、直列接続で示される、ということが直感的に理解できないかもしれません。しかしながら、それは、駆動電圧Veが発振しているが、その後、突然にターンオフし、ゼロになるケースであり得る。
図2Bに示される電圧増幅器は、低いソースインピーダンス、理想的にはゼロのソースインピーダンスを有すると考えられ得る。これらの条件の下、駆動電圧Veがゼロになると、電圧増幅器は、回路から実質的に消える。その時点で、
図2Bにおける抵抗器Re最上部の端子は、抵抗器R
RESの最下部の端子と同様に接地され、そのため、式(6)に反映されているように、抵抗器ReとResは実際に並列に接続される。
【0018】
LRA又はマイクロスピーカなどの電磁トランスデューサは、応答時間が遅い場合があり得る。
図3は、LRAの駆動信号例、LRAを流れる電流、及びLRAの逆起電力(逆EMF:back electromotive force)を記述する、LRAの応答例のグラフであり、そのような逆EMFは、トランスデューサの可動要素(例えば、コイル又は磁石)の速度に比例し得る。
図3に示されるように、逆EMFのアタック時間は、エネルギーがLRAに伝達されるにつれて低速になり、LRAに蓄積された機械的エネルギーが放電されるにつれて駆動信号の終了後に、逆EMFの一部の「リンギング」が発生する場合がある。触覚LRAのコンテキストでは、そのような動作特性により、「鮮明な」触知応答ではなく、「どろどろした」クリック感又はパルス感が生じる可能性がある。よって、LRAが、
図4に示される応答と類似の応答を代わりに有することが望ましい場合があり、その応答では、駆動信号が終了した後にリンギングが最小限に抑えられ、触覚コンテキストにおいてより「鮮明な」触知応答を提供し得る、したがって、処理された駆動信号がトランスデューサに印加されるとき、トランスデューサの速度又は逆EMFが
図4のそれにより近づくように、駆動信号に処理を適用することが望ましい場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許第10,828,672
【特許文献2】米国特許出願第2021/0175869号明細書
【特許文献3】米国特許出願第2021/0174777号明細書
【特許文献4】米国特許出願第2020/0306796号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本開示の教示によれば、電気機械的負荷に結合されときの増幅器の駆動モードを開ループモードと負インピーダンスの閉ループモードとの間で適切に切り替えることに関連する欠点及び問題を低減又は除去することができる。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本開示の実施例によれば、トランスデューサ駆動システムによって、電磁アクチュエータに再生波形を駆動する方法は、閉ループにおいて電磁アクチュエータが再生波形により駆動される第1のモードにおいてトランスデューサ駆動システムを動作させ、負のインピーダンスを含む閉ループ電圧駆動システムを形成することと、開ループにおいて電気機械的アクチュエータが再生波形により駆動される第2のモードにおいてトランスデューサ駆動システムを動作させることと、第1のモードと第2のモードとの間で動作するようにトランスデューサ駆動システムを移行させるためのモード・スイッチを動作させることと、を含み得る。
【0022】
本開示のそれらの実施例及び他の実施例によれば、電磁アクチュエータに再生波形を駆動するトランスデューサ駆動システムは、再生波形を生成するための出力と、閉ループにおいて電磁アクチュエータが再生波形により駆動される第1のモードにおいてトランスデューサ駆動システムを動作させ、負のインピーダンスを含む閉ループ電圧駆動システムを形成し、開ループにおいて電気機械的アクチュエータが再生波形により駆動される第2のモードにおいてトランスデューサ駆動システムを動作させ、第1のモードと第2のモードとの間で動作するようにトランスデューサ駆動システムを移行させるためのモード・スイッチを動作させる、ように構成された制御サブシステムと、を含み得る。
【0023】
本開示の技術的な利点は、本明細書に含まれる図面、説明、及び請求項から当業者にとって容易に明らかになり得る。実施例の目的及び利点は、少なくとも請求項において特に指摘される要素、特徴、及び組み合わせによって実現及び達成される。
【0024】
先述の全体的な説明及び以下の詳細な説明の両方は、例および例示的であり、本開示に示される請求項を限定しないことが理解されよう。
【0025】
本実施例及びその利点は、添付図面と併せて以下の説明を参照することによってより完全に理解され得、添付図面では、同様の参照符号は、同様の特徴を示す。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本分野において既知である、デバイスにおける振動-触覚システムの例を示す図である。
【
図2A】本分野において既知である、線形システムとしてモデル化された線形共振アクチュエータ(LRA)の例を示す図である。
【
図2B】本分野において既知である、線形システムとしてモデル化された線形共振アクチュエータ(LRA)の例を示す図である。
【
図3】本分野において既知である、電磁負荷の例示的な波形のグラフを示す図である。
【
図4】本開示の実施例に係る、電磁負荷の望ましい例示的な波形のグラフを示す図である。
【
図5】本開示の実施例に係る、例示的なモバイル・デバイスの選択された構成要素のブロック図を示す図である。
【
図6】本開示の実施例に係る、例示的な一体型触覚システムの選択された構成要素のブロック図を示す図である。
【
図7】本開示の実施例に係る、開ループと負のインピーダンスの閉ループとの間で動作モードを切り替える際に、トランスデューサ力学を改善するための例示的なトランスデューサ駆動システムを示す図である。
【
図8】本開示の実施例に係る、乗算器の入力の値に基づいた、
図7の例示的なトランスデューサ駆動システムの動作モードの例示的な分類のテーブルを示す図である。
【
図9】本開示の実施例に係る、触覚イベントに対する触覚用語に相関する異なる波形の部分区画を示す、
図7の例示的なトランスデューサ駆動システムの例示的な電圧駆動信号及び例示的な検知された端子電圧のグラフを示す図である。
【
図10】本開示の実施例に係る、
図7の例示的なトランスデューサ駆動システムの負のインピーダンスのフィードバック補正のレベルの変更に関連する問題を示す、例示的な加速度対時間プロットのグラフを示す図である。
【
図11】本開示の実施例に係る、
図7の例示的なトランスデューサ駆動システムについての、未処理トランスデューサ駆動信号と検知された端子電圧V
T(t)との間の伝達関数の例示的なプロットのグラフを示す図である。
【
図12】本開示の実施例に係る、線形システムとしてモデル化され、負のレジスタンスを含む線形共振アクチュエータ(LRA)の実例を示す図である。
【
図13】本開示の実施例に係る、補償の利点を示す、
図7の例示的なトランスデューサ駆動システムの例示的な波形を示す図である。
【
図14】本開示の実施例に係る、
図7の例示的なトランスデューサ駆動システムに補償を適用した例示的な加速度対時間プロットのグラフを示す図である。
【
図15】本開示の実施例に係る、閉ループ動作モード中に非常に大きい再生波形を駆動することに関連する問題を示す、
図7の例示的なトランスデューサ駆動システムに関連する例示的な波形のグラフを示す図である。
【
図16】本開示の実施例に係る、クリッピングの防止と、閉ループの定常状態性能の維持との間でバランスをとる制御信号の管理を示す、
図7の例示的なトランスデューサ駆動システムの例示的な波形のグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の説明は、本開示に係る例示的な実施例を示す。更なる例示的な実施例及び実装態様が当業者にとって明らかであろう。更に、当業者であれば、以下に説明する実施形態の代わりに、またはそれに関連して、様々な等価な技術を適用することができ、そのような等価物はすべて本開示に包含されるものとみなすべきであることを認識するであろう。
【0028】
様々な電子デバイス又はスマート・デバイスは、トランスデューサ、スピーカ、及び音響出力トランスデューサ、例えば、適切な電気駆動信号を音波圧力波又は機械振動などの音響出力に変換するための任意のトランスデューサを有し得る。例えば、多くの電子デバイスは、例えば、オーディオ・コンテンツの再生、音声通信及び/又は可聴通知の提供などの音声生成のための1つ又は複数のスピーカ又はラウドスピーカを含み得る。
【0029】
そのようなスピーカ又はラウドスピーカは、電磁アクチュエータ、例えば、音声コイル・モータを含み得、音声コイル・モータは、伸縮自在なダイヤフラム、例えば、従来のラウドスピーカ・コーンに機械的に結合されるか、又はデバイスの表面、例えば、モバイル・デバイスのガラス・スクリーンに機械的に結合される。一部の電子デバイスも、例えば、近接検出タイプ用途における使用及び/又はマシン・ツー・マシン通信のための超音波を生成する能力を有する音響出力トランスデューサを含み得る。
【0030】
多くの電子デバイスは加えて又は代わりに、触覚制御フィードバック又はユーザへの通知のための振動を生成するように適合された、より特殊な音響出力トランスデューサ、例えば、触覚トランスデューサを含み得る。加えて又は代わりに、電子デバイスは、アクセサリ装置の対応するコネクタと着脱可能な嵌合接続を行うためのコネクタ、例えば、ソケットを有し得、接続されるときにアクセサリ装置の、上述したタイプの1つ又は複数のトランスデューサを駆動するよう、コネクタに駆動信号を提供するように構成され得る。よって、そのような電子デバイスは、適切な駆動信号によりホスト・デバイス又は接続されたアクセサリのトランスデューサを駆動するための駆動回路を含む。音響トランスデューサ又は触覚トランスデューサの場合、駆動信号は一般に、アナログの時間変化する電圧信号、例えば、時間変化する波形である。
【0031】
図5は、本開示の実施例に係る、例示的なホスト・デバイス502の選択された構成要素のブロック図を示す。
図5に示されるように、ホスト・デバイス502は、エンクロージャ501、コントローラ503、メモリ504、力センサ505、マイクロフォン506、線形共振アクチュエータ507、無線送信機/受信機508、スピーカ510、及び一体型触覚システム512を含み得る。
【0032】
エンクロージャ501は、ホスト・デバイス502の様々な構成要素を収容するための任意の適切な筐体、ケーシング、又は他のエンクロージャを含み得る。エンクロージャ501は、プラスチック、金属、及び/又は任意の他の適切な材料から構築され得る。加えて、エンクロージャ501は、ホスト・デバイス502がホスト・デバイス502のユーザの人により容易に持ち運べるように(例えば、サイズ及び形状が)適合され得る。したがって、ホスト・デバイス502は、スマートフォン、タブレット・コンピューティング・デバイス、ハンドヘルド・コンピューティング・デバイス、携帯情報端末、ノートブック・コンピュータ、ビデオ・ゲーム・コントローラ、又はホスト・デバイス502のユーザの人により容易に持ち運べるいずれかの他のデバイスを含み得るが、それらに限定されない。
【0033】
コントローラ503は、エンクロージャ501内に収容され得、プログラム命令を解釈及び/若しくは実行し、並びに/又はデータを処理するように構成されたいずれかのシステム、デバイス、又は装置を含み得、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP:digital signal processor)、特定用途向け集積回路(ASIC:applikation speshifwic integrated circuit)、或いはプログラム命令を解釈及び/若しくは実行し、並びに/又はデータを処理するように構成されたいずれかの他のデジタル又はアナログ回路を含み得るが、それらに限定されない。いくつかの実施例では、コントローラ503は、プログラム命令を解釈及び/若しくは実行し、並びに/又はメモリ504及び/若しくはコントローラ503にアクセス可能な他のコンピュータ可読媒体に記憶されたデータを処理する。
【0034】
メモリ504は、エンクロージャ501内に収容され得、コントローラ503に通信可能に結合され得、プログラム命令及び/又はデータを一定期間保持するように構成された任意のシステム、デバイス、又は装置(例えば、コンピュータ可読媒体)を含み得る。メモリ504は、ランダム・アクセス・メモリ(RAM:random access memory)、電気的消去可能プログラマブル・リードオンリ・メモリ(EEPROM:electrically erasable programmable read-only memory)、パーソナル・コンピュータ・メモリ・カード・インターナショナル・アソシエーション(PCMCIA:Personal Computer Memory Card International Association)カード、フラッシュ・メモリ、磁気記憶装置、光学磁気記憶装置、又は揮発性メモリ若しくはホスト・デバイス502への電源がオフされた後もデータを保持する不揮発性メモリの任意の適切な選択及び/若しくはアレイを含み得る。
【0035】
マイクロフォン506は、エンクロージャ501内に少なくとも部分的に収容され得、コントローラ503に通信可能に結合され得、マイクロフォン506に入射する音をコントローラ503によって処理され得る電気信号に変換するように構成されたいずれかのシステム、デバイス、又は装置を含み得、そのような音は、ダイヤフラム又は膜で受けとった音波振動に基づいて変化する電気キャパシタンスを有するダイヤフラム又は膜を使用して、電気信号に変換される。マイクロフォン506は、静電マイクロフォン、コンデンサ・マイクロフォン、エレクトレット・マイクロフォン、微小電気機械システム(MEMS:microelectromechanical system)マイクロフォン、又はいずれかの他の適切な容量性マイクロフォンを含み得る。
【0036】
無線送信機/受信機508は、エンクロージャ501内に収容され得、コントローラ503に通信可能に結合され得、アンテナを利用して、無線-周波数信号を生成及び送信すると共に、無線-周波数信号を受信し、そのような受信された信号によって運ばれる情報をコントローラ503が使用可能な形式に変換するように構成された任意のシステム、デバイス、又は装置を含み得る。無線送信機/受信機508は、セルラ通信(例えば、2G、3G、4G、LTEなど)、短距離無線通信(例えば、BLUETOOTH(登録商標))、商業的無線信号、テレビ信号、サテライト無線信号(例えば、GPS)、Wireless Fidelityなどを含む、様々なタイプの無線-周波数信号を送信及び/又は受信するように構成され得るが、それらに限定されない。
【0037】
スピーカ510は、エンクロージャ501内に少なくとも部分的に収容され得、エンクロージャ501の外側にあり得、コントローラ503に通信可能に結合され得、電気オーディオ信号入力に応答して音を生成するように構成されたいずれかのシステム、デバイス、又は装置を含み得る。いくつかの実施例では、スピーカは、動的ラウドスピーカを含み得、動的ラウドスピーカは、円筒磁気ギャップを通って軸方向に動くように音声コイルを拘束する伸縮自在なサスペンションを介して剛体フレームに機械的に結合された軽量ダイヤフラムを採用する。電気信号が音声コイルに印加されると、音声コイル内の電流によって磁界が生じ、可変電磁石となる。コイル及びドライバの磁気システムが相互作用し、機械的な力を生成してコイル(よって、取り付けられたコーン)を前後に動かし、それによって、増幅器から印加された電気信号の制御の下で音を再生する。
【0038】
力センサ505は、エンクロージャ501内に収容され得、力、圧力、又は接触(例えば、人間の指との相互作用)を検知し、そのような力、圧力、又は接触に応答して電気信号又は電子信号を生成するための任意の適切なシステム、デバイス、又は装置を含み得る。いくつかの実施例では、そのような電気信号又は電子信号は、力センサに印加された力、圧力、又は接触の大きさの関数であり得る。それらの実施例及び他の実施例では、そのような電子信号又は電気信号は、触覚フィードバックが与えられる入力信号と関連付けられた汎用入力/出力信号(GPIO:general purpose input/output signal)を含み得る。力センサ505は、容量性変位センサ、誘導力センサ(例えば、抵抗性-誘導-容量性センサ)、歪みゲージ、圧電力センサ、力検知レジスタ、圧電力センサ、薄膜力センサ、又は量子トンネリング・コンポジット・ベース力センサを含み得るが、それらに限定されない。本開示における明確化及び説明の目的のために、本明細書で使用される用語「力」は、力だけでなく、力を示す物理量、または力に類似する物理量、例えば圧力および接触などを指し得るが、それらに限定されない。
【0039】
線形共振アクチュエータ507は、エンクロージャ501内に収容され得、単一の軸を横切る機械振動力を生成するための任意の適切なシステム、デバイス、又は装置を含み得る。例えば、いくつかの実施例では、線形共振アクチュエータ507は、交流電圧に依存して、バネに接続された可動質量体に押し付けられた音声コイルを駆動し得る。音声コイルがバネの共振周波数で駆動されると、線形共振アクチュエータ507は、知覚可能な力で振動し得る。よって、線形共振アクチュエータ507は、特定の周波数範囲内の触覚用途において有益であり得る。明確化及び説明の目的のために、本開示は、線形共振アクチュエータ507の使用に関連して説明されるが、線形共振アクチュエータ507の代わりに又は加えて、他の任意のタイプの振動アクチュエータ(例えば、偏心回転質量アクチュエータ)を使用し得ることを理解されよう。加えて、線形共振アクチュエータ507の代わりに又は加えて、複数の軸にわたって振動機械力を生成するように構成 されたアクチュエータを使用し得ることも理解されよう。本開示において他に説明されるように、線形共振アクチュエータ507は、一体型触覚システム512から受信した信号に基づいて、機械的ボタンの交換及び容量性センサ・フィードバックのうちの少なくとも1つについて、ホストデバイス502のユーザに触覚フィードバックを提供し得る。
【0040】
一体型触覚システム512は、エンクロージャ501内に収容され得、力センサ505及び線形共振アクチュエータ507に通信可能に結合され得、ホスト・デバイス502に印加された力(例えば、ホスト・デバイス502の仮想ボタンに人間の指によって印加された力)を示す信号を力センサ505から受信し、ホスト・デバイス502に印加された力に応答して、線形共振アクチュエータ507を駆動するための電子信号を生成するように構成された任意のシステム、デバイス、又は装置を含み得る。本開示の実施例に係る例示的な一体型触覚システムの詳細は、
図6に表される。
【0041】
図5では、特定の例示的な構成要素がホスト・デバイス502に一体化されるものとして示されているが(例えば、コントローラ503、メモリ504、力センサ505、マイクロフォン506、無線送信機/受信機508、スピーカ(複数可)510)、本開示に係るホスト・デバイス502は、上に特に列挙されていない1つ又は複数の構成要素を含み得る。例えば、
図5は、或るユーザ・インタフェース構成要素を表すが、ホスト・デバイス502は、
図5に表されるものに加えて1つ又は複数の他のユーザ・インタフェース構成要素(キーパッド、タッチスクリーン、及びディスプレイを含むが、それらに限定されない)を含み得、よって、ユーザが、ホスト・デバイス502及びその関連する構成要素と相互作用し、及び/又は他の方法で操作することを可能にする。
【0042】
図6は、本開示の実施例に係る、例示的な一体型触覚システム512Aの選択された構成要素のブロック図を示す。いくつかの実施例では、一体型触覚システム512Aは、
図5の一体型触覚システム512を実装するために使用され得る。
図6に示されるように、一体型触覚システム512Aは、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)602、メモリ604、及び増幅器606を含み得る。
【0043】
DSP602は、プログラム命令を解釈及び/若しくは実行し、並びに/又はデータを処理するように構成された任意のシステム、デバイス、又は装置を含み得る。いくつかの実施例では、DSP602は、プログラム命令を解釈及び/若しくは実行し得、メモリ604及び/若しくはDSP602にアクセス可能な他のコンピュータ可読媒体に記憶されたデータを処理し得る。
【0044】
メモリ604は、DSP602に通信可能に結合され得、プログラム命令及び/又はデータを一定期間保持するように構成された任意のシステム、デバイス、又は装置(例えば、コンピュータ可読媒体)を含み得る。メモリ604は、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、電気的消去可能プログラマブル・リードオンリ・メモリ(EEPROM)、パーソナル・コンピュータ・メモリ・カード・インターナショナル・アソシエーション(PCMCIA)カード、フラッシュ・メモリ、磁気記憶装置、光学磁気記憶装置、又は揮発性メモリ若しくはホスト・デバイス502への電源がオフされた後もデータを保持する不揮発性メモリのいずれかの適切な選択及び/若しくは配列を含み得る。
【0045】
増幅器606は、DSP602に電気的に結合され得、入力信号VINの電力(例えば、時間可変電圧又は電流)を増大させて出力信号VOUTを生成するように構成された任意の適切な電子システム、デバイス、又は装置を含み得る。例えば、増幅器606は、電力供給装置(明示的には示されない)からの電力を使用し、信号の振幅を増大させ得る。増幅器606は、クラス-D増幅器を含むが、それに限定されない、任意の適切な増幅器クラスを含み得る。
【0046】
動作中、メモリ604は、1つ又は複数の触覚再生波形を記憶し得る。いくつかの実施例では、1つ又は複数の触覚再生波形の各々は、時間の関数としての線形共振アクチュエータ(例えば、線形共振アクチュエータ507)の所望の加速度として触覚応答a(t)を定義し得る。DSP602は、力センサ505に印加された力を示す力信号VSENSEを受信するように構成され得る。検知された力を示す力信号VSENSEの受信に応答して、又はそのような受信とは独立して、DSP602は、メモリ604から触覚再生波形を取得し、そのような触覚再生波形を処理して処理済み触覚再生信号VINを決定し得る。増幅器606がクラスD増幅器である実施例では、処理された触覚再生信号VINは、パルス-幅変調信号を含み得る。検知された力を示す力信号VSENSEの受信に応答して、DSP602は、処理された触覚再生信号VINを増幅器606に出力させ得、増幅器606は、処理された触覚再生信号VINを増幅して線形共振アクチュエータ507を駆動するための触覚出力信号VOUTを生成し得る。
【0047】
いくつかの実施例では、一体型触覚システム512Aは、単一の集積回路上に形成され得、よって、触覚フィードバック制御に対する既存のアプローチよりも低い待ち時間が可能になる。単一のモノシリック集積回路の一部として一体型触覚システム512Aを提供することによって、様々なインタフェースと一体型触覚システム512Aのシステム構成要素との間の待ち時間を低減又は除去し得る。
【0048】
図3に例示される問題は、線形共振アクチュエータ507の共振周波数f
0におけるインピーダンス/レジスタンスの鋭いピークを伴う、高品質係数qを有する線形共振アクチュエータ507に起因する可能性がある。
【0049】
図7は、本開示の実施例に係る、電磁負荷701のダイナミクスを改善する例示的なトランスデューサ駆動システム700を示す。いくつかの実施例では、システム700は、システム700及び電磁負荷701を含むホスト・デバイス(例えば、ホスト・デバイス502)に一体とされ得る。
【0050】
動作中、ホスト・デバイスのシステム700の触覚波形ジェネレータ722は、触覚再生波形Vref(t)を生成し得、触覚再生波形Vref(t)は、パイロット・トーン・ジェネレータ718によって生成されたパイロット・トーンが存在しない場合、触覚波形信号又はオーディオ信号を含む未処理トランスデューサ駆動信号x’(t)と同等であり得る。いくつかの実施例では、未処理トランスデューサ駆動信号x’(t)は、記憶された触覚波形及び/又は触覚波形ジェネレータ722によって記憶され若しくは触覚波形ジェネレータ722によりアクセス可能なメモリ(例えば、メモリ604)に記憶された動的に生成された触覚波形に基づいて生成され得る。
【0051】
未処理トランスデューサ駆動信号x’(t)は、コンバイナ726によって受信され得、コンバイナ726は、以下でより詳細に説明されるように、電磁負荷701のコイル・インピーダンス/レジスタンスの一部又は全てを効果的にキャンセルするために、未処理トランスデューサ駆動信号x’(t)を乗算器715からの補正項と結合してトランスデューサ駆動信号x(t)を生成し得る。また、以下で説明されるように、電磁負荷701のコイル・インピーダンス/レジスタンスを効果的に低減させることによって、システム700は、電磁負荷701の実効品質係数qを低減させ得、それにより、アタック時間を減少させ得、未処理トランスデューサ駆動信号が終了した後に発生するリンギングを最小化し得る。
図7は、コンバイナ726によって印加される仮想的な負のインピーダンス/レジスタンスを示すが、いくつかの実施例では、負のインピーダンス/レジスタンス・フィルタが未処理トランスデューサ駆動信号x’(t)に適用されてトランスデューサ駆動信号x(t)を生成し、電磁負荷701のコイル・インピーダンス/レジスタンスを効果的に低減するのと同一又は類似の効果を達成し得る。そのような負のインピーダンス/レジスタンス・フィルタの例は、Lindemannらの、Cirrus Logic International Semiconductor Ltd.に譲渡され、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる、「Methods and Systems for Improving Transducer Dynamics」と題する米国特許出願第2020/0306796号明細書(以下、「Lindemann特許出願」と称される)に記載されている。
【0052】
トランスデューサ駆動信号x(t)は次に、増幅器706によって増幅され、電磁負荷701を駆動するための駆動信号V(t)を生成し得る。駆動信号V(t)に応答して、電磁負荷701の検知された端子電圧VT(t)は、第1のアナログ-デジタル変換器(ADC)703によってデジタル表現に変換され得る。同様に、検知された電流I(t)は、第2のADC704によってデジタル表現に変換され得る。電流I(t)は、電磁負荷701の端子に結合されたレジスタンスRsを有するシャント・レジスタ702の両端で検知され得る。端子電圧VT(t)は、端子電圧検知ブロック707、例えば、電圧計によって検知され得る。
【0053】
図7に示されるように、システム700は、インピーダンス推定器714を含み得る。インピーダンス推定器714は、検知された端子電圧V
T(t)、検知された電流I(t)、及び/又は電磁負荷701の任意の他の測定されたパラメータに基づいて、電磁負荷701の電気的及び/又は機械的インピーダンス/レジスタンスの1つ又は複数の構成要素を推定し、1つ又は複数の制御信号を生成するように構成された任意の適切なシステム、デバイス、又は装置を含み得る。例えば、インピーダンス推定器714によって生成される1つの制御信号は、電磁負荷701の直流(DC)コイル・インピーダンス/レジスタンスReの推定に基づいて生成される負のインピーダンス/レジスタンスRe_negを含み得る。別の例として、インピーダンス推定器714はまた、電圧オフセットV
OFFSET及び電流オフセットI
OFFSETを生成し得、電圧オフセットV
OFFSET及び電流オフセットI
OFFSETは、それぞれ、コンバイナ710及び712によって、検知された端子電圧V
T(t)及び検知された電流I(t)から差し引かれ、インピーダンス推定器714によって検出され、存在する可能性のある測定オフセットをキャンセルし得る。更なる例として、以下で更に詳細に説明されるように、インピーダンス推定器714は、触覚状態機械716への通信のための1つ又は複数の制御信号を生成し得る。いくつかの実施例では、触覚状態機械716は、Marchais特許出願において説明されるのと同一又は類似の方式で動作し得る。
【0054】
また、
図7には、検知された端子電圧V
T(t)及び検知された電流I(t)のオフセット-キャンセルされたバージョンをフィルタする、2つの帯域通過フィルタ(BPF:bandpass filter)730及び732が示される。帯域通過フィルタ730及び732は、インピーダンス推定器714に入力される駆動信号V(t)の触覚再生コンテンツをフィルタリングして取り除き、よって、場合によっては、DCコイル・インピーダンス/レジスタンスReの正確な推定値から遠ざける可能性がある。
【0055】
図7に示されるように、モード・スイッチ740は、触覚状態機械716から、再生波形のどの特定の部分が触覚波形ジェネレータ722によって現在出力されているかに関する状態表示と共に、再生波形の信号レベルの表示、及び再生波形の動作モードに関する情報-それが開ループ動作モード(例えば、負のインピーダンス/レジスタンスが適用されていない)又は閉ループ動作モード(例えば、負のインピーダンス/レジスタンスが適用されている)であるかどうかに関する情報を受信し得る。以下で更に詳細に説明されるように、上記入力に基づいて、モード・スイッチ740は、3つの信号レベル、(i)再生波形のレベル(乗算器750によって適用されるスカラ値REF_LEVELを介した);インピーダンス/レジスタンス推定を支援するために使用されるパイロット信号のレベル(乗算器760によって適用されるスカラ値PILOT_LEVELを介した);及び負のインピーダンス/レジスタンス・フィードバック補正信号のレベル(乗算器715によって適用されるスカラ値ATTENを介した)を制御し得る。
【0056】
図8は、本開示の実施例に係る、スカラ値ATTENの値に基づく、
図7の例示的なトランスデューサ駆動システム700の動作モードの例示的な分類のテーブルを示す。ATTENの値がゼロである場合、例示的なトランスデューサ駆動システム700にはフィードバック補正が存在し得ず、よって、乗算器725によって生成された負のインピーダンス/レジスタンスは、再生波形に影響を与える限りにおいて、例示的なトランスデューサ駆動システム700には実質的に存在しない。このケースでは、トランスデューサ駆動システム700は、「開ループ」として分類され得る。その一方で、スカラATTENの値が一である場合、例示的なトランスデューサ駆動システム700は、Stahl特許、Taipale特許出願、Marchais特許出願、及びLindemann特許出願等の先に参照により組み込まれた先行文献、それらに限定されないが、に記載された負のインピーダンス/レジスタンス・システムとして動作し得る。このケースでは、トランスデューサ駆動システム700は、「閉ループ」として分類され得る。スカラATTENの値が、それらに限定されないが、ゼロと一との間の任意の値をとる場合、ただしゼロと一は含まない、例示的なトランスデューサ駆動システム700は、「部分的閉ループ」として分類され得る。通常、部分的閉ループ・システムは、閉ループと開ループの間の移行や、閉ループシステムが十分な電圧駆動を提供するにはレベルが大きすぎる触覚再生波形の開始時、あるいは、触覚再生波形の突然の終了時に、そのレベルが大きすぎて閉ループシステムが十分な電圧駆動を提供できない場合、などの状況下で短時間利用されるが、これに限定されない。
【0057】
図9は、本開示の実施例に係る、触覚イベントに対する触覚用語に相関する異なる波形の区画を示す、例えば、
図7の例示的なトランスデューサ駆動システムの、例示的な未処理トランスデューサ駆動信号x’(t)及び例示的な検知された端子電圧V
T(t)のグラフを示す。用語は、触覚再生波形の部分を分類するために提供され得る。波形の開始は、オンセットとして知られ得る。閉ループ・システムの場合、電気機械的負荷701の移動質量をより迅速に動かさせるために、閉ループ・システムがより強い未処理トランスデューサ駆動信号x’(t)を提供し得るため、波形の開始はオーバドライブとしても知られ得る。しかしながら、オンセットは、開ループ・システム及び閉ループ・システムの両方に等しく適用され得る用語である。触覚再生波形の突然の終了は、ブレーキ又はブレーキングとして知られ得る。電気機械的負荷701は、システムの減衰定数に応じて、ブレーキの後に経時的に減衰するリングを有し得る。多くの場合、触覚製品製造業者は、電磁負荷701のリンギングが迅速に減衰することを望む。ブレーキングという用語は、減衰を素早く行わせるために何らかの追加構成要素が存在することを意味している。そのような追加の構成要素は、負のインピーダンス/レジスタンス閉ループ・システム(例えば、参照によって組み込まれる参考文献に開示されるシステム)を構成する要素であり得るが、そのようなブレーキングは純粋な開ループ・システムには利用できない場合がある。それにも関わらず、ブレーキングという用語は、突然の終了と、移動質量のリンギングが完全に減衰するまでのその後の短い時間を含む、再生波形の部分を指すために使用される。触覚再生波形のそれらのオンセット部分とブレーキ部分との間では、触覚再生波形は、
図9に示されるような定常状態にあると考えられ得る。
【0058】
図8に示された例示的なトランスデューサ駆動システム700の動作モードの例示的な分類、及び
図9に示された触覚再生波形の部分の例示的な分類を更に示すために、例を示す。触覚再生波形の1サイクルまたはせいぜい数サイクルで構成される非常に短い触覚イベントである「クリック」など、いくつかの再生波形については、触覚再生波形自体のオンセットおよび定常状態部分を開ループモード(ATTEN=0)で再生することが望ましい場合がある。触覚再生波形のオンセット及び定常状態部分を開ループ・モードで再生する理由は、触覚イベントの設計者が、波形自体の間にある程度短時間で予測不可能な負のインピーダンス/レジスタンス・フィードバック補正項を持つ波形を設計することを望まない可能性があるためである。すなわち、クリック・イベントの後のリンギング減衰時間を最小化するために、設計者は、トランスデューサ駆動システム700を開ループモードから負インピーダンス/抵抗クローズドループモード(ATTEN=1)に切り替えることを望み得る。そのような場合、フィードバック補正信号の完全オフ(ATTEN=0)から完全オン(ATTEN=1)への移行は、ステップ関数を介して、又は、場合によっては、1つのレベルから次のレベルへの非常に短いランプを介して達成され得る。そうすることで、クリックは設計どおりに「再生」され、開ループ駆動アンプが許容するよりも早く終了する可能性がある。開ループモードから閉ループモードへのこの切り替えは、電磁負荷701を備える装置のユーザにユーザによる何らかの入力(テキスト メッセージの作成中に特定のアルファベット文字をクリックするなどの例)が認識されたことを示す効果的な触覚フィードバックとして機能する「鮮明な」触覚効果(例えば、電気機械的負荷701が線形共振アクチュエータの場合)を提供しうる。
【0059】
別の実例として、電磁負荷701を備えるデバイスにおける触覚イベントの設計者は、長い「バズ」イベントが完全に負のインピーダンス/レジスタンス閉ループ動作モード(ATTEN=1)内で動作することを望む場合がある。このような長い「バズ」を望む理由は、閉ループ・モードでは、このようなイベントのオンセット時間とブレーキ時間が最小化される可能性があり、ユーザにとってより心地よい触覚効果が得られるからであり、更に、バズの定常状態のエンベロープレベル(通常、電磁負荷701の共振時に再生される)は、ユニット間のばらつきや温度変化にわたって、より一貫して目標レベルに保たれる可能性がある。長いバズ・イベントの間に、電磁負荷701を含むデバイスの仮想ボタンを押す可能背のあるユーザからの突然の入力があった場合、ユーザ入力とクリック触覚効果との間にあまり待ち時間がないように、クリック触覚効果によってその突然の入力の承認を受けることであり、ATTENの値を素早く下げ、ATTEN=0で開ループのクリック効果を再生し、次いで、ATTENを1に上げて一度再生したクリックに歯切れよくブレーキをかけ、再び戻って長いバズの持続時間を終了させることで、長いバズを中断させることが望ましいかもしれない。それらの移行の各々では、ATTENのレベルが管理されるべきである。
【0060】
ユーザへの最もシームレスな触覚経験を提供するために、再生波形自体のレベルも、パイロット信号(制御ループを閉じるために使用されるインピーダンス/レジスタンス推定に必要)と共に管理される必要があり得る。
【0061】
図10は、本開示の実施例に係る、例えば、トランスデューサ駆動システム700の負のインピーダンスのフィードバック補正のレベルを(例えば、ATTENの値を介して)変更することに関連する問題を示す、電磁負荷701の移動質量に対する例示的な加速度対時間プロットのグラフを示す。特に、
図10は、オンセット及びブレーキ/ブレーキングの間に費やされた時間が変化するだけでなく、定常状態中の駆動波形のレベルも変化する、開ループ・モードと閉ループ・モードの切り替えに関連する可能性のある特定の問題を示す。何らかの理由で、開ループと閉ループの出力駆動を切り替える動機があり、製品設計者が(少なくとも)定常状態でレベル的に一定の触覚効果を維持したいと望む場合、製品の設計者は、
図10に示すレベル差の大きな変動を何らかの方法で補正しなければならない。
【0062】
図11は、本開示の実施例に係る、例えば、トランスデューサ駆動システム700の制御信号ATTENの様々なレベルにおける、未処理トランスデューサ駆動信号x’(t)と検知された端子電圧V
T(t)(電磁負荷701の逆EMFを表し得る)との間の伝達関数の例示的なプロットのグラフを示す。
図11は、適用される負のインピーダンス/レジスタンス・フィードバック補正のレベルの関数として伝達関数V
T(t)/x’(t)が変化することを明らかにすることによって、
図10を参照して上記した問題がなぜ存在し得るかを示す。特に、負のインピーダンス/レジスタンス・フィードバック補正の量が乗算器715によりATTENスカラによって調整されるとき、感度と称され得る、未処理トランスデューサ駆動信号x’(t)に対する検知された端子電圧V
T(t)の比率は、ATTENの増加の関数として単調に増大する。
【0063】
図12に簡単に目を向けると、
図12は、本開示の実施形態に従って、電気部品1202および機械部品1204の電気モデルを含み、電磁負荷701と直列に挿入された負のインピーダンスRe_negを有する負のレジスタンス・レジスタ1206を含む線形システムとしてモデル化された電磁負荷701の例を示している。負のインピーダンスRe_negが加わると、直流レジスタンスReが効果的に減算され、全体的な直流電気インピーダンスが低下するため、品質係数qが低下する可能性がある。
【0064】
実際に、負のレジスタは存在しない。代わりに、例示的なトランスデューサ駆動システム700は、電磁負荷701の数学的モデルと直列の負のインピーダンスRe_negの数学的モデルを含む、
図12に示される回路と実質的に同様に動作するように構成され得る。動作中、例示的なトランスデューサ駆動システム700(例えば、コンバイナ726の出力において)は、もし、実際に、負のインピーダンスRe_negを持つ物理レジスタを電磁負荷701と直列に配置することが可能であった場合、実質的に、
図12に示されるように、負のインピーダンスRe_neg及びDCレジスタンスReの分岐において発生する電圧V
mを計算し得る。計算された電圧V
mは次いで、電磁負荷701を駆動するために使用され得る。
【0065】
本質的に、例示的なトランスデューサ駆動システム700は、電磁負荷701に対するセンサレス速度制御フィードバック・ループを実装し得る。フィードバック・ループは、電磁負荷701のパラメータの動的推定を使用し、フィードバック(例えば、負のインピーダンスRe_neg)を生成して、電磁負荷701の電気的インピーダンス及び機械的インピーダンスのほとんどをキャンセルすることができる。DCコイル・レジスタンスReの場合、例示的なトランスデューサ駆動システム700のフィードバック・ループが安定性を達成し、所望の負のインピーダンス効果を達成するために、その推定は、非常に正確であるべきである(例えば、1%未満の誤差)。電磁負荷701の電気的インピーダンス及び機械的インピーダンスは、それに加えられる刺激(例えば、駆動信号V(t)の振幅及び周波数)、周囲温度条件、並びに/又は他の因子に応答して変化し得る。
【0066】
図12を参照して、電磁負荷701に対する感度Hは、
【数6】
として与えられ得る。
【0067】
機械的共振において、Zmech=res及び|Zle|<<Re_negであり、よって、共振H0における感度は、
【数7】
によって与えられ得る。
【0068】
したがって、制御信号ATTENを介して負のインピーダンス/レジスタンス・フィードバック補正のレベルを変更する問題を補償するために触覚再生波形に適用されるスケーリング係数REF_LEVELは、
【数8】
によって与えられ得る。
【0069】
よって、スケーリング係数REF_LEVELは、制御信号ATTENの関数として出力駆動信号を補償又は正規化する(特に、定常状態で触覚再生波形が駆動される周波数であることが多い共振時において)ために使用され得る補償項であり得る。
【0070】
図13は、本開示の実施例に係る、補償の利点を示す例示的なトランスデューサ駆動システム700の例示的な波形を示す。特に、
図13の左側は、スケーリング係数REF_LEVELによる正規化なしの感度V
T(t)/x’(t)及び検知された電流I(t)を表し、
図13の右側は、スケーリング係数REF_LEVELによる正規化による感度V
T(t)/x’(t)及び検知された電流I(t)を表す。
【0071】
図14は、本開示の実施例に係る、例示的なトランスデューサ駆動システム700に適用されるスケーリング係数REF_LEVELの補償を伴う電磁負荷701の移動質量の例示的な加速度対時間プロットのグラフを示す。
図10と比較すると、
図14は、触覚再生波形の定常状態部分に、スケーリング係数REF_LEVELの補償を適用した結果、制御信号ATTENの関数としての加速度の変動が最小化されることを示している。しかしながら、
図14は、そのような補償があっても、ATTENの値に応じ、リンギングがオンセット時に発生し、ブレーキング時にリンギングが発生し得ることを示す。
【0072】
図15は、本開示の実施例に係る、閉ループ動作モード中に非常に大きな再生波形を駆動することに関連する問題を示す、例示的なトランスデューサ駆動システム700に関連する例示的な波形のグラフを示す。特に、
図15は、負のフィードバック・システムが閉ループ動作モード(例えば、ATTEN=1)で完全に使用される間に、非常に大きな未処理トランスデューサ駆動信号x’(t)を駆動するときに発生し得る問題をしめしている。既存のアプローチでは、オンセット及びブレーキ/ブレーキングにおいて、負のインピーダンス/レジスタンス閉ループ・システムは、電磁負荷701の質量をオンセット時に迅速に移動させ、ブレーキング時に迅速に停止させるために、未処理トランスデューサ駆動信号x’(t)を大幅に増幅する。実際に、この特徴は、触覚振動製品で閉ループ・システムを使用する動機付けの一部である。しかしながら、特に強い再生波形がそのような閉ループ・システムに送信されると、結果として増幅器に送信される信号のオンセット部分とブレーキング部分が、増幅器が駆動し得る電圧レベルを超える可能性がある。そのような場合、検知された端子電圧V
T(t)が電圧CLIP_LEVELでクリップすることによって示されるように、信号クリッピングが発生し得る。クリッピングは、長期的には電磁負荷にダメージを与え、短期的には望ましくない触覚体験をもたらす可能性があるため、触覚振動システムでは一般的に望ましくない。波形の定常状態部分では、クリッピングの問題が発生しない可能性がある(閉ループ システムに関連する増幅ゲインは、クリッピングなしで定常状態のレベルを最大化する再生波形のレベルを選択する際に、触覚再生波形の設計者によって理解されている可能性があるため)。
【0073】
定常状態での閉ループ レベルと、オンセットおよびブレーキング時の「一部の」閉ループの利点とのバランスをとる1つの方法は、特に再生波形のオンセット部分とブレーキング部分でATTENレベルを動的に調整することである。
【0074】
図16は、本開示の実施例に係る、クリッピングの防止と閉ループの定常状態性能の維持との間でバランスをとる制御信号ATTENの管理を示す、例示的なトランスデューサ駆動システム700の波形例のグラフを示す。特に、閉ループ システムが大きなゲインを提供するオンセット時に、クリッピングを防止するためにATTEN値が一時的に減少することがある。LEVEL_1として指定されたレベルまでの減少量は、未処理トランスデューサ駆動信号x’(t)の振幅及び増幅器706がクリッピングする電圧レベルの関数であり得る。ATTENがオンセット時に減少する速度は、LEVEL_1と再生波形の周波数の関数であり得る(例えば、共振周波数は典型的な駆動周波数であり、アンプの出力がどの程度でクリッピングに達するかを示している)。
図16にduration_onsetとして例示される、ATTENがLEVEL_1に留まり得る時間量は、未処理トランスデューサ駆動信号x’(t)の周波数の関数であり得る。最後に、ATTENの短時間の減少をオンセット時に提供することができるのと同様に、ブレーキング時に別の短時間の減少を提供することも望ましい場合がある。そのような場合、duration_brakeとして
図16に示されるATTENがLEVEL_1に留まり得る時間量は、未処理トランスデューサ駆動信号x’(t)の周波数の関数であり得る。
【0075】
以上は線形電磁負荷への適用について説明したが、開示したものと同様または同一のシステムおよび方法を他の線形または非線形システムに適用できることを理解されたい。
【0076】
更に、上記では、LRAのモデルを実装するための負のインピーダンス/レジスタンス・フィルタの使用を考慮するが、いくつかの実施例では、モデルの代わりにLRAと数学的に等価な物が使用され得る。
【0077】
本明細書で使用されるように、2つ以上の要素が相互に「結合される(coupled)」と言及される場合、そのような用語は、間接的に接続されているか直接接続されているか、介在する要素があるかないかにかかわらず、かかる2つ以上の要素が、場合に応じて、電子的通信または機械的通信を行っていることを示す。
【0078】
本開示は、当業者であれば理解できるであろう、本明細書における例示的な実施形態に対するすべての変更、置換、変形、改変、および修正を包含する。同様に、適切な場合、添付の特許請求の範囲は、本明細書における例示的な実施形態に対する、当業者であれば理解できるすべての変更、置換、変形、改変、および修正を包含する。さらに、添付の特許請求の範囲において、装置もしくはシステム、または装置もしくはシステムの構成要素が、特定の機能を実行するように適合されている、配置されている、可能である、構成されている、可能である、操作可能である、または操作可能である、という言及は、その装置、システム、または構成要素がそのように適合、配置、可能、構成、有効、操作可能、または動作可能である限り、その装置、システム、または構成要素、またはその特定の機能が起動されているか、オンになっているか、またはロック解除されているかどうかにかかわらず、その装置、システム、または構成要素を包含する。したがって、本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載のシステム、装置、および方法に修正、追加、または省略を加えることができる。例えば、システムおよび装置の構成要素は、一体化されていても分離されていてもよい。さらに、本明細書に開示されるシステムおよび装置の動作は、より多くの、より少ない、または他の構成要素によって実行されてもよく、記載される方法は、より多くの、より少ない、または他のステップを含んでもよい。さらに、ステップは、任意の適切な順序で実行されてもよい。本明細書で使用される場合、「各」は、セットの各メンバーまたはセットのサブセットの各メンバーを指す。
【0079】
例示的な実施形態が図に図示され、以下に説明されるが、本開示の原理は、現在知られているか否かにかかわらず、任意の数の技術を用いて実施され得る。本開示は、決して、図面に図示され、上述された例示的な実施形態および技法に限定されるべきではない。
【0080】
特に断りのない限り、図面に描かれた物品は必ずしも縮尺通りに描かれていない。
【0081】
本明細書で援用されるすべての実施例および条件文言は、読者が本開示および本技術をさらに発展させるために本発明者が貢献した概念を理解するのを助けるための教育的な目的のために意図されたものであり、そのような具体的に援用された実施例および条件に限定されないものと解釈される。本開示の実施形態を詳細に説明したが、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更、置換、および改変がなされ得ることが理解されるべきである。
【0082】
以上、特定の利点を列挙したが、種々の実施形態は、列挙した利点の一部、皆無、または全部を含み得る。さらに、他の技術的利点は、前述の図および説明を検討した後、当業者には容易に明らかになるであろう。
【0083】
特許庁および本出願に基づき発行された特許の読者が添付のクレームを解釈する際の助けとなるよう、出願人は、特定のクレームにおいて「means for」または「step for」という言葉が明示的に使用されていない限り、添付のクレームまたはクレーム要素のいずれもが35 U.S.C. § 112(f)を援用することを意図していないことに留意されたい。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスデューサ駆動システムによって、電磁アクチュエータに再生波形を駆動する方法であって、
閉ループにおいて前記電磁アクチュエータが前記再生波形により駆動される第1のモードにおいて前記トランスデューサ駆動システムを動作させ、負のインピーダンスを含む閉ループ電圧駆動システムを形成することと、
開ループにおいて電気機械的アクチュエータが前記再生波形により駆動される第2のモードにおいて前記トランスデューサ駆動システムを動作させることと、
前記第1のモードと前記第2のモードとの間で動作するように前記トランスデューサ駆動システムを移行させるためのモード・スイッチを動作させることと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記閉ループ電圧駆動システムは、前記再生波形に加えられたフィードバック補正信号を利用する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電磁アクチュエータは、触覚アクチュエータを含み、前記再生波形信号は、前記第1のモード及び前記第2のモードのうちの1つ又は複数の間に離散的触覚イベントを再生する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記トランスデューサ駆動システムによって、前記第1のモードにおいて動作するとき、前記再生波形として単一の触覚イベントの第1の部分を駆動することと、
前記トランスデューサ駆動システムによって、前記第2のモードにおいて動作するとき、前記再生波形として単一の触覚イベントの第2の部分を駆動することと、
を更に含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項5】
前記モード・スイッチによって、前記第1のモードと前記第2のモードとの間で移行するとき、第1のレベルから第2のレベルに前記フィードバック補正信号をランプすることを更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記単一の触覚イベントに関連する前記再生波形は、その全体が前記第2のモードで再生され、次いで、ブレーキ時間を最小化するために、前記単一の触覚イベントの終わりに前記第1のモードに切り替わり、前記方法は、前記モード・スイッチによって、前記第1のモードと前記第2のモードとの間の前記移行を制御することを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記単一の触覚イベントと関連する前記再生波形は、その3つのフェーズ、すなわち、オンセット・フェーズ、定常状態フェーズ、及びブレーキング・フェーズの各々を再生し、前記方法は、前記モード・スイッチにより、前記3つのフェーズのフェーズ境界において前記第1のモードと前記第2のモードとの間の移行を制御することを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記モード・スイッチによって、前記第1のモードと前記第2のモードとの間で移行するとき、1つのレベルから別のレベルに前記再生波形をランプすることを更に含む、請求項
5に記載の方法。
【請求項9】
前記再生波形のレベルは、前記フィードバック補正信号の関数であり、前記電気機械的アクチュエータに対して駆動される前記再生波形の前記レベルは、前記フィードバック補正信号のいずれのレベルについても定常状態で一定に維持される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のモードの間、
前記電気機械的アクチュエータに駆動される前記再生信号のクリッピングを回避するよう、前記モード・スイッチによって、前記再生波形の短いオンセット部分の間、前記フィードバック補正信号レベルをランプ・ダウンすることと、
前記再生波形の定常状態の部分の間に所望の信号レベルが達成されるように、前記再生波形の前記短いオンセット部分の後、前記フィードバック補正信号レベルをランプ・アップすることと、
を更に含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項11】
前記モード・スイッチがランプする前記フィードバック補正信号レベルの最小レベルは、前記再生波形のレベル及びクリッピングが発生しない前記再生波形の最大レベルの関数である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記モード・スイッチがランプする前記フィードバック補正信号の最小レベルは、前記再生波形のレベル及び望ましくない電気機械的アクチュエータ効果がユーザによって知覚される前記再生波形の最大レベルの関数である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記再生波形に、前記フィードバック補正信号のレベルを制御するためのパイロット信号を注入することを更に含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のモードと前記第2のモードとの間で移行するとき、前記モード・スイッチによって、前記パイロット信号レベルを1つのレベルから別のレベルにランプすることを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記パイロット信号レベルは、前記電気機械的アクチュエータに対して駆動される前記パイロット信号レベルが、前記フィードバック補正信号のいずれのレベルに対しても定常状態において一定に維持されるように、前記フィードバック補正信号のレベルの関数である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2のモードの間、前記パイロット信号を無効にすることを更に含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項17】
前記電気機械的アクチュエータのインピーダンスの推定に基づいて、前記フィードバック補正信号を調整することを更に含む、請求項
13に記載の方法。
【請求項18】
電磁アクチュエータに再生波形を駆動するトランスデューサ駆動システムであって、
前記再生波形を生成するための出力と、
閉ループにおいて前記電磁アクチュエータが前記再生波形により駆動される第1のモードにおいて前記トランスデューサ駆動システムを動作させ、負のインピーダンスを含む閉ループ電圧駆動システムを形成し、
開ループにおいて電気機械的アクチュエータが前記再生波形により駆動される第2のモードにおいて前記トランスデューサ駆動システムを動作させ、
前記第1のモードと前記第2のモードとの間で動作するように前記トランスデューサ駆動システムを移行させるためのモード・スイッチを動作させる、
ように構成された制御サブシステムと、
を備えた、トランスデューサ駆動システム。
【請求項19】
前記閉ループ電圧駆動システムは、前記再生波形に加えられたフィードバック補正信号を利用する、請求項18に記載のトランスデューサ駆動システム。
【請求項20】
前記電磁アクチュエータは、触覚アクチュエータを含み、前記再生波形信号は、前記第1のモード及び前記第2のモードのうちの1つ又は複数の間に離散的触覚イベントを再生する、請求項19に記載のトランスデューサ駆動システム。
【請求項21】
前記第1のモードにおいて動作するとき、前記再生波形として単一の触覚イベントの第1の部分を駆動し、
前記第2のモードにおいて動作するとき、前記再生波形として単一の触覚イベントの第2の部分を駆動する、
ように更に構成される、請求項
19に記載のトランスデューサ駆動システム。
【請求項22】
前記モード・スイッチは、前記第1のモードと前記第2のモードとの間で移行するとき、第1のレベルから第2のレベルに前記フィードバック補正信号をランプするように更に構成される、請求項21に記載のトランスデューサ駆動システム。
【請求項23】
前記単一の触覚イベントと関連する前記再生波形は、その全体が前記第2のモードで再生され、次いで、ブレーキ時間を最小化するため、前記単一の触覚イベントの終わりに前記第1のモードに切り替わり、前記モード・スイッチは、前記第1のモードと前記第2のモードとの間の前記移行を制御するように更に構成される、請求項22に記載のトランスデューサ駆動システム。
【請求項24】
前記単一の触覚イベントと関連する前記再生波形は、その3つのフェーズ、すなわち、オンセット・フェーズ、定常状態フェーズ、及びブレーキング・フェーズの各々を再生し、前記モード・スイッチは、前記3つのフェーズのフェーズ境界において前記第1のモードと前記第2のモードとの間の移行を制御するように更に構成される、請求項22に記載のトランスデューサ駆動システム。
【請求項25】
前記モード・スイッチは、前記第1のモードと前記第2のモードとの間で移行するとき、1つのレベルから別のレベルに前記再生波形をランプするように更に構成される、請求項
22に記載のトランスデューサ駆動システム。
【請求項26】
前記再生波形のレベルは、前記フィードバック補正信号の関数であり、前記電気機械的アクチュエータに対して駆動される前記再生波形の前記レベルは、前記フィードバック補正信号のいずれのレベルについても定常状態で一定に維持されるように、請求項25に記載のトランスデューサ駆動システム。
【請求項27】
前記モード・スイッチは、前記第1のモードの間、
前記電気機械的アクチュエータに駆動される前記再生信号のクリッピングを回避するよう、前記再生波形の短いオンセット部分の間、前記フィードバック補正信号レベルをランプ・ダウンし、
前記再生波形の定常状態の部分の間に所望の信号レベルが達成されるように、前記再生波形の前記短いオンセット部分の後、前記フィードバック補正信号レベルをランプ・アップする、
ように更に構成される、請求項
19に記載のトランスデューサ駆動システム。
【請求項28】
前記モード・スイッチがランプする前記フィードバック補正信号レベルの最小レベルは、前記再生波形のレベル及びクリッピングが発生しない前記再生波形の最大レベルの関数である、請求項27に記載のトランスデューサ駆動システム。
【請求項29】
前記モード・スイッチがランプする前記フィードバック補正信号の最小レベルは、前記再生波形のレベル及び望ましくない電気機械的アクチュエータ効果がユーザによって知覚される前記再生波形の最大レベルの関数である、請求項27に記載のトランスデューサ駆動システム。
【請求項30】
前記再生波形に、前記フィードバック補正信号のレベルを制御するためのパイロット信号を注入するように構成されたパイロット・トーン・ジェネレータを更に備えた、請求項
19に記載のトランスデューサ駆動システム。
【請求項31】
前記モード・スイッチは、前記第1のモードと前記第2のモードとの間で移行するとき、前記パイロット信号レベルを1つのレベルから別のレベルにランプするように更に構成される、請求項30に記載のトランスデューサ駆動システム。
【請求項32】
前記パイロット信号レベルは、前記電気機械的アクチュエータに対して駆動される前記パイロット信号レベルが、前記フィードバック補正信号のいずれのレベルに対しても定常状態において一定に維持されるように、前記フィードバック補正信号のレベルの関数である、請求項31に記載のトランスデューサ駆動システム。
【請求項33】
前記第2のモードの間、前記パイロット・トーン・ジェネレータが前記パイロット信号を生成することを無効にすることを更に含む、請求項
31に記載のトランスデューサ駆動システム。
【請求項34】
前記電気機械的アクチュエータのインピーダンスの推定に基づいて、前記フィードバック補正信号を調整するように更に構成される、請求項
30に記載のトランスデューサ駆動システム。
【国際調査報告】