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特表2024-529239繊維充填材クラスター及び同クラスターを製造する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】繊維充填材クラスター及び同クラスターを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   D02G 1/02 20060101AFI20240730BHJP
   D02J 1/00 20060101ALI20240730BHJP
   D04H 1/02 20060101ALI20240730BHJP
   A43B 1/028 20220101ALI20240730BHJP
   A41D 31/00 20190101ALI20240730BHJP
【FI】
D02G1/02 Z
D02J1/00 K
D04H1/02
A43B1/028
A41D31/00 503E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577559
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2024-02-15
(86)【国際出願番号】 US2022034022
(87)【国際公開番号】W WO2022266463
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】63/211,792
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/264,426
(32)【優先日】2021-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/362,484
(32)【優先日】2022-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512305235
【氏名又は名称】プリマロフト,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(72)【発明者】
【氏名】デンプシー,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】メイソン,ベネッサ
【テーマコード(参考)】
4F050
4L036
4L047
【Fターム(参考)】
4F050HA20
4L036MA35
4L036PA05
4L036PA42
4L036UA06
4L047AA11
4L047AA12
4L047AA14
4L047AA17
4L047AA21
4L047AA23
4L047AB07
4L047AB09
4L047BD01
4L047BD02
4L047CB02
4L047CB04
4L047CC01
4L047CC06
(57)【要約】
本発明は、互いにランダムに交絡した複数の繊維で構成された個別の繊維充填材クラスターを提供する。複数の繊維の中には、0.2~12.0デニールでありかつ長さ8~160mmの、25~3600本の繊維がある。複数の繊維は、互いに対してランダムかつ非一様な方向を向いている。個別の繊維充填材クラスターの中には:第1の絡合度を有する1又は複数の比較的密集した繊維の領域と;1又は複数の比較的密集した領域のうち少なくとも1つに隣接した、第1の絡合度より低い第2の絡合度を有する1又は複数の比較的密集していない繊維の領域とが存在する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.2~12.0デニールでありかつ長さ8~160mmの複数の25~3600本の繊維の個別の束を得るステップであって、複数の繊維は共に長手方向に整列される、ステップと;
束の複数の繊維のうち少なくとも一部の長手方向の整列を乱雑化して、繊維が不規則に3次元的に伸びかつ交絡して、個別の繊維充填材クラスターを形成するようにする、ステップと
を含む、少なくとも1つの個別の繊維充填材クラスターを作製する方法。
【請求項2】
束の複数の繊維のうち少なくとも一部の長手方向の整列を乱雑化するステップは、束の複数の繊維のうち一部のみの長手方向の整列を乱雑化して、束の複数の繊維のうち束残存部分は共に長手方向に整列されたままであってかつ不規則に3次元的に伸びる繊維と交絡するようにすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
不規則に3次元的に伸びる繊維は、束残存部分から外側に向かって伸びる外側領域を形成する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
束残存部分は外側領域よりも高い密度の繊維を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
束の複数の繊維のうち少なくとも一部の長手方向の整列を乱雑化するステップは、束の複数の繊維全ての長手方向の整列を乱雑化して、複数の繊維のうち共に長手方向に整列されたままのものが全くないようにすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
束の複数の繊維全ての長手方向の整列を乱雑化することにより、少なくとも1つの内側の比較的密集した繊維の3次元領域と、少なくとも1つの内側の比較的密集した領域から3次元的に外側に向かって伸びる外側の比較的密集していない繊維の領域とが形成される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
束の複数の繊維のうち少なくとも一部の長手方向の整列を乱雑化するステップは、乱雑化された繊維のうち一部のみを交絡させて、乱雑化された繊維の一部は繊維充填材クラスターを形成し、かつ乱雑化された繊維の一部は繊維充填材クラスターを形成しないようにすることを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
束の複数の繊維のうち少なくとも一部の長手方向の整列を乱雑化するステップは、少なくとも1対の乱雑化部材の係合面どうしの間に束を配置して乱雑化面が束と接触するようにすることと、少なくとも1つの第1の乱雑化部材を、少なくとも1つの第2の乱雑化部材に対して、束の繊維の長手に沿った長手方向及び該長手方向に垂直な向きの横方向に沿った横方向の両方に伸びる経路に沿って、平行移動することとを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
乱雑化面の間の距離は乱雑化ステップの間はほぼ一定に維持される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの第1の乱雑化部材は、少なくとも最初の短時間は弓形の経路に沿って平行移動する;及び/又は
少なくとも1つの第1の乱雑化部材は、少なくとも最初の短時間は楕円形の経路に沿って平行移動する;及び/又は
少なくとも1つの第1の乱雑化部材は、少なくとも最初の短時間はランダムな軌道パターンに沿って平行移動する;及び/又は
係合面のうち少なくとも1つは、ほぼ平坦かつ平滑な表面を具備している;及び/又は
係合面のうち少なくとも1つは、ほぼ平面的に多数並んだ粒子又は突部を具備している、
請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
束の複数の繊維のうち少なくとも一部の長手方向の整列を乱雑化するステップは、束を少なくとも1つの気体流及び/又は液体流に供することを含む、請求項8~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
個別の束はフィラメントヤーンから得られ、かつ0.2~12.0デニール及び長さ8~76mmの複数の25~3600本の繊維を含む束であって、複数の繊維は共に長手方向に整列されており、前記繊維は複数の繊維が互いに絡合している集合ニップ部分を有しており;前記長手方向の整列を乱雑化するステップは、集合ニップ部分に隣接する複数の繊維を乱雑化することにより、集合ニップ部分から3次元的に外側に向かって伸びる繊維の少なくとも1つの外側領域を形成し、前記乱雑化ステップの後は、複数の繊維は互いに関してランダムかつ非一様な方向を向いており、かつ複数の繊維の束残存部分に相当する集合ニップ部分は、少なくとも1つの外側領域よりも高い密度の繊維を有する、請求項8~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記長手方向の整列を乱雑化するステップは、束を
― 繊維開繊機における処理;
― 反毛機における処理;又は
― 空気処理
に供することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
束を空気処理に供することは、束を空気タンブリングに供することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
繊維充填材クラスターを形成する複数の繊維は交絡したフィラメントヤーンの断片に由来し、かつクラスターの集合ニップ部分は交絡したフィラメントヤーンの集合ニップ部分に相当し;
集合ニップ部分の中の複数の繊維は、その長手長さに沿って非直線的に伸び;かつ
クラスター内のいずれの繊維も互いに接合していない、
請求項12~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
乱雑化ステップの前に、束の複数の繊維のうち少なくとも一部を束の長手長さに沿って少なくとも1つの地点で互いに接合して少なくとも1つの接合点を形成するステップをさらに含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
接合点は、少なくとも1つの接合点において繊維を互いに付着させるために、複数の繊維のうち少なくとも一部を少なくとも1つの地点において加熱することにより形成される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
複数の繊維のうち少なくとも一部を少なくとも1つの地点において加熱することは、少なくとも1つの地点の複数の繊維を、該繊維の融解温度を上回る温度の材料と接触させることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
束の複数の繊維のうち少なくとも一部の長手方向の整列を乱雑化するステップは、乱雑化された繊維のうちの一部を互いに絡合させることを含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
請求項21~57のいずれか1項に記載の繊維充填材クラスターを作製するための、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
0.2~12.0デニールでありかつ長さ8~160mmの25~3600本の繊維を含む、互いに交絡した複数の繊維を含み、
複数の繊維は、
共に長手方向に整列されている複数の繊維のうちの一部を含む束残存部分と;
互いに関してランダムかつ非一様な方向を向いている複数の繊維のうちの一部を含む、束残存部分から3次元的に外側に向かって伸びる繊維の外側領域と
を形成し、かつ
束残存部分は外側領域よりも高い密度の繊維を含む、
個別の繊維充填材クラスター。
【請求項22】
束残存部分は外側領域よりも少ない繊維(例えば外側領域よりも少なくとも25%、少なくとも50%、又は少なくとも75%少ない繊維)を含む、請求項21に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【請求項23】
複数の繊維は交絡したフィラメントヤーンの断片に由来し、かつ個別の繊維充填材クラスターの束残存部分は交絡したフィラメントヤーンに由来する集合ニップ部分に相当する、請求項21又は請求項22に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【請求項24】
束残存部分の複数の繊維は互いに絡合している、請求項23に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【請求項25】
束残存部分はその長さに沿って非直線的に伸びる、請求項21~24のいずれか1項に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【請求項26】
束残存部分はフィラメントヤーンの断片の一部分である、請求項21~25のいずれか1項に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【請求項27】
束残存部分はテクスチャード加工されたフィラメントヤーンの断片の一部分である、請求項26に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【請求項28】
束残存部分は扁平なフィラメントヤーンの断片の一部分である、請求項26に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【請求項29】
束残存部分の複数の繊維はその長手長さに沿って互いにほぼ平行に伸びる、請求項21~28のいずれか1項に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【請求項30】
複数の繊維はテクスチャード加工されていない直線状の繊維である、請求項21~29のいずれか1項に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【請求項31】
複数の繊維はテクスチャード加工された直線状の繊維である、請求項21~29のいずれか1項に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【請求項32】
複数の繊維は、
その長手長さに沿って非直線的に伸びる;及び/又は
その長手長さに沿って不規則に伸びる、
請求項21~31のいずれか1項に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【請求項33】
外側領域の複数の繊維のうちの一部は、互いに又は束残存部分の少なくとも1本の繊維と共に絡合している、請求項21~32のいずれか1項に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【請求項34】
外側領域の複数の繊維のうち約50%未満(例えば約25%未満)が互いに又は束残存部分の少なくとも1本の繊維と共に絡合している、請求項33に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【請求項35】
外側領域の複数の繊維のうち少なくとも一部が互いに又は束残存部分の少なくとも1本の繊維と共に撚り合わされている、請求項21~34のいずれかに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【請求項36】
外側領域の複数の繊維のうち約50%未満(例えば約25%未満)が互いに又は束残存部分の少なくとも1本の繊維と共に撚り合わされている、請求項35に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【請求項37】
複数の繊維のうち少なくとも一部が互いに接合された少なくとも1つの接合点を含む、請求項21~36のいずれか1項に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【請求項38】
少なくとも1つの接合点は、残存部分の一部の繊維及び外側領域の一部の繊維を含む、請求項37に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【請求項39】
少なくとも1つの接合点は、束残存部分の繊維の一部のみ及び外側領域の繊維の一部のみを含む、請求項37又は38に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【請求項40】
繊維充填材クラスターは長さ、幅及び厚さを規定し、かつ
長さ及び幅は厚さよりも大きく;及び/又は
長さは幅よりも大きい、
請求項21~39のいずれか1項に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【請求項41】
繊維充填材クラスターは長さ、幅及び厚さを規定し、かつ
長さは約0.5~約6.5cmの範囲内にあり;及び/又は
幅は約0.5~約6.5cmの範囲内にある、
請求項21~40のいずれか1項に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【請求項42】
繊維充填材クラスターはほぼ卵形の形状を画成する、請求項21~41のいずれか1項に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【請求項43】
繊維充填材クラスターはほぼ球形の形状を画成する、請求項21~41のいずれか1項に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【請求項44】
複数の繊維は約0.7~約1.7デニールである、請求項21~43のいずれか1項に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【請求項45】
束の複数の繊維は約20~約50mmの長手長さを有する、請求項21~44のいずれか1項に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【請求項46】
繊維充填材クラスターは約0.08~約0.70mg/cm(例えば約0.10~約0.50mg/cm)の密度を有する、請求項21~45のいずれか1項に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【請求項47】
複数の繊維は約50~約500本の繊維を含む、請求項21~46のいずれか1項に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【請求項48】
複数の繊維は、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ乳酸、ポリアクリル酸ブチル、アクリル、アクリレート、アセテート、ポリオレフィン、ナイロン、レーヨン、リヨセル、アラミド、スパンデックス、ビスコース、及びモダール繊維、又はこれらの組み合わせから選択された繊維である、請求項21~47のいずれか1項に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【請求項49】
複数の繊維はポリエステル繊維である、請求項21~48のいずれか1項に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【請求項50】
ポリエステル繊維は、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリ(ヘキサヒドロ‐p‐キシリレンテレフタラート)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)繊維、ポリトリメチレンテレフタラート(PTT)繊維、コポリエステル繊維(例えばPETの構造単位を含むコポリエステル繊維)、バイオポリマー繊維、タンパク質系合成素材繊維、又はこれらの組み合わせから選択される、請求項49に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【請求項51】
ポリエステル繊維はPET繊維である、請求項49に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【請求項52】
繊維は再生ポリマー材料を含む、請求項21~51のいずれか1項に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【請求項53】
複数の繊維はシリコーン処理された繊維を含む、請求項21~52のいずれか1項に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【請求項54】
複数の繊維は中実繊維を含む、請求項21~53のいずれか1項に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【請求項55】
複数の繊維は中空繊維を含む、請求項21~53のいずれか1項に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【請求項56】
束の複数の繊維は耐久撥水剤又はシリコーン化学物質でドープされている、請求項21~55のいずれか1項に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【請求項57】
0.2~12.0デニールでありかつ長さ8~160mmの25~3600本の繊維を含んでいる、互いにランダムに交絡した複数の繊維を含み、
複数の繊維は互いに関してランダムかつ非一様な方向を向いており、
複数の繊維は、
少なくとも1つの内側の比較的密集した繊維の領域と;
少なくとも1つの内側の比較的密集した領域から3次元的に外側に向かって伸びる外側の比較的密集していない繊維の領域と
を形成し、かつ
長さ0.5cm~6.5cm、幅0.5cm~6.5cm、及び密度0.08~0.70mg/cm、mg/cmである、
個別の繊維充填材クラスター。
【請求項58】
請求項21~57のいずれか1項に記載の複数の個別の繊維充填材クラスターを含む、断熱材又は充填用材料。
【請求項59】
複数の個別の繊維充填材クラスターは、第1の大きさの繊維充填材クラスターと、第1の大きさとは異なる第2の大きさの繊維充填材クラスターとを含む、請求項58に記載の断熱材又は充填用材料。
【請求項60】
請求項21~57のいずれか1項に記載の複数の個別の繊維充填材クラスター又は請求項58若しくは請求項59に記載の断熱材若しくは充填用材料を含む物品。
【請求項61】
物品は、履物、上着、衣類、寝袋、及び寝具から選択される、請求項60に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2021年6月17日に出願された米国仮特許出願公開第63/211,792号、2021年11月22日に出願された米国仮特許出願公開第63/264,426号、及び2022年4月5日に出願された米国仮特許出願公開第63/362,484号に基づく優先権を主張し、前記米国仮特許出願各々の全ての内容はここで参照により本願に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は一般に、繊維充填材(fiberfill)クラスター、該クラスターを含む物品、該クラスターを作製する方法に関する。繊維充填材クラスターは特に繊維製品分野において有用である。
【背景技術】
【0003】
繊維製品に使用するためのダウンのような品質を有する断熱用材料及び/又は充填用材料を実現することが試みられてきた。
【0004】
例えば、米国特許第5,851,665号明細書は、接合された捲縮熱可塑性繊維のクラスターを含む充填用材料であって、繊維が充填用材料の様々なクラスターにおいて様々な位置で接合している、充填材に関する。米国特許第5,851,665号明細書は、繊維の嵩を十分に大きくして結果として生じる特性を獲得するために、クラスター内の繊維が制約(例えば絡合(entanglement))を伴うことなく十分に開繊されて、繊維の嵩が(小さな接合点を除いて)完全に大きくなることの重要性を強調している。該充填用材料は、梳綿済み繊維の大量のウェブから、又は(接合後に)切断及び分離される結果としてクラスターとなるトウの中の連続フィラメントから、作られている。トウとは、通常は捲縮によって結び付いた、緩いロープのような形態にまとめられた、明白な撚りを持たない連続的な人造繊維フィラメントの大束を指す。トウは典型的には何千本ものフィラメントを含む。例えば、米国特許第5,851,665号明細書で使用されたトウは、約122,000本のフィラメントを有しかつ総デニール48.9ktex(440,100デニール)であり、これは高い繊維密度を有するクラスターをもたらすものであった。
【0005】
一般的に言えば、ダウンのような品質を有する断熱用及び/又は充填用の材料を開発するためのこれまでの努力からは、ほとんどの場合、本出願人の判断ではダウンのようだとみなすには重過ぎかつ高密度過ぎであり、かつ/又は従来の吹込み装置で適切に利用することができない、断熱用及び/又は充填用材料がもたらされてきた。例えば、これらの材料は、従来の吹込み装置を詰まらせる、及び/又はそのような装置への供給若しくは装填を行いにくい傾向があるかもしれない。あるいは、吹込み可能な場合でも、該材料は多くの場合、所望のダウンのような特性を模倣するには全く不十分である。
【0006】
例外は米国特許第10,633,244号明細書であり、同文献は、約2~4.5cmの長手長さを有しかつ複数の繊維から形成された複数の個別の長手方向に細長いフロキュールで構成されており、該フロキュールは比較的隙間の多い膨らんだ中央部分と、わずか1対の比較的凝縮した有撚の末尾部分とを備え、該末尾部分は中央部分の長手方向の両端から伸びている、吹込み可能な断熱材又は充填用材料に関する。米国特許第10,633,244号明細書の断熱材/充填用材料は、典型的な現行の衣服用充填材吹込み機において利用可能であり、かつダウンのような品質、例えばダウン断熱材の手触り、可洗濯性、嵩高性及び吹込み効率などを有する。
【0007】
それでもなお、従来の吹込み装置で吹込み可能であり、かつ望ましいダウン様の特性を有する、さらなる改良型の繊維充填材物質がなおも必要とされている。
【0008】
本発明の開示を容易にするために従来技術のある特定の態様について議論してきたが、出願人はこれらの技術的態様を決して否定するものではなく、かつ特許請求の範囲に記載された本発明は、本明細書中で議論された従来の技術的態様のうち1以上を包含しうるものと考えられる。
【0009】
本明細書においては、文書、行為、又は知識事項について参照又は議論がなされる場合、この参照又は議論は、その文書、行為、若しくは知識事項又はこれらの任意の組み合わせが、優先日の時点で、公的に入手可能であるか、公知であるか、共通の一般知識の一部であるか、又はそうでなければ適用すべき法規条項の下で先行技術を構成すること;又は、本明細書が関係している任意の問題を解決する試みに関連すると知られていること、を認めるものではない。
【発明の概要】
【0010】
簡潔に述べると、本発明は、望ましいダウン様の特性を有する吹込み可能な繊維充填材物質の必要を満たす。
【0011】
本発明は、上記に議論された技術の問題点及び欠陥のうち1以上に対処することができる。しかしながら、本発明が多くの技術領域における他の問題点及び欠陥に対処するのに有用であると判明する場合もあると考えられる。したがって、特許請求の範囲に記載された発明は、必ずしも、本明細書中で議論された特定の問題点又は欠陥のうちいずれかへの対処に限定されるように解釈されるべきではない。
【0012】
本出願人は、驚くべきことに、本発明の繊維充填材クラスターの実施形態が、天然ダウンの構造及び性能のいずれにも匹敵することを見出した。
【0013】
第1の態様では、本発明は、少なくとも1つの繊維充填材クラスターを作製する方法を提供する。該方法は、デニール数が0.2~12.0dpf(繊維/フィラメント1本あたりのデニール)及び長さ8~160mmの、複数の25~3600本の繊維の束(例えば個別の束)であって、複数の繊維が共に長手方向に整列されている束を得るステップを含む。該方法はさらに、束の複数の繊維のうち少なくとも一部の長手方向の整列を乱雑化(disrupting)して、繊維が不規則に3次元的に伸びかつ交絡(intermingle)して繊維充填材クラスター(例えば個別の繊維充填材クラスター)を形成するようにするステップを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、個別の束は本質的に複数の25~3600本の繊維から成る。いくつかの実施形態では、個別の束は複数の25~3600本の繊維から成る。
【0015】
いくつかの実施形態では、束の複数の繊維のうち少なくとも一部の長手方向の整列を乱雑化するステップは、束の複数の繊維のうち一部のみの長手方向の整列を乱雑化して、束の複数の繊維のうち束残存部分は共に長手方向に整列されたままであり、かつ不規則に3次元的に伸びる繊維と交絡するようにすることを含む。いくつかのそのような実施形態では、不規則に3次元的に伸びる繊維は、束残存部分から外側に向かって伸びる外側領域を形成する。いくつかのそのような実施形態では、束残存部分は、外側領域よりも高い密度の繊維を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、束の複数の繊維のうち少なくとも一部の長手方向の整列を乱雑化するステップは、束の複数の繊維全ての長手方向の整列を乱雑化して、複数の繊維のうち共に長手方向に整列されたままのものが全くないようにすることを含む。いくつかのそのような実施形態では、束の複数の繊維全ての長手方向の整列を乱雑化することにより、少なくとも1つの内側の比較的密集した繊維の3次元領域と、少なくとも1つの内側の比較的密集した領域から3次元的に外側に向かって伸びる外側の比較的密集していない繊維の領域とが形成される。
【0017】
いくつかの実施形態では、束の複数の繊維のうち少なくとも一部の長手方向の整列を乱雑化するステップは、乱雑化された繊維のうち一部のみを交絡させて、乱雑化された繊維の一部は繊維充填材クラスターを形成し、かつ乱雑化された繊維の一部は繊維充填材クラスターを形成しないようにすることを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、束の複数の繊維のうち少なくとも一部の長手方向の整列を乱雑化するステップは、少なくとも1対の乱雑化部材の係合面どうしの間に束を配置して乱雑化面が束と接触するようにすることと、少なくとも1つの第1の乱雑化部材を、少なくとも1つの第2の乱雑化部材に対して、束の繊維の長手長さに沿った長手方向及び該長手方向に垂直な向きの横方向に沿った横方向の両方に伸びる経路に沿って、平行移動することとを含む。いくつかのそのような実施形態では、乱雑化面どうしの間の距離は、乱雑化ステップの間はほぼ一定に維持される。いくつかのそのような実施形態では、少なくとも1つの第1の乱雑化部材は、少なくとも最初の短時間は弓形の経路に沿って平行移動する。いくつかのそのような実施形態では、少なくとも1つの第1の乱雑化部材は、少なくとも最初の短時間は楕円形の経路に沿って平行移動する。いくつかのそのような実施形態では、少なくとも1つの第1の乱雑化部材は、少なくとも最初の短時間はランダムな軌道パターンに沿って平行移動する。いくつかのそのような実施形態では、係合面のうち少なくとも1つはほぼ平坦かつ平滑な表面を具備している。いくつかのそのような実施形態では、係合面のうち少なくとも1つは、ほぼ平面的に多数並んだ粒子又は突部を具備している。いくつかのそのような実施形態では、束の複数の繊維のうち少なくとも一部の長手方向の整列を乱雑化するステップは、束を少なくとも1つの気体流及び/又は液体流に供することを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、該方法は、乱雑化ステップの前に、束の複数の繊維のうち少なくとも一部を束の長手長さに沿った少なくとも1つの地点で共に接合して少なくとも1つの接合点を形成するステップをさらに含む。いくつかのそのような実施形態では、接合点は、少なくとも1つの接合点において繊維を互いに付着させるために、複数の繊維のうち少なくとも一部を少なくとも1つの地点において加熱することにより形成される。いくつかのそのような実施形態では、複数の繊維のうち少なくとも一部を少なくとも1つの地点において加熱することは、少なくとも1つの地点の複数の繊維を、該繊維の融解温度を上回る温度の材料と接触させることを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、束の複数の繊維のうち少なくとも一部の長手方向の整列を乱雑化するステップは、乱雑化された繊維のうちの一部を互いに絡合させることを含む。いくつかのそのような実施形態では、乱雑化された繊維のうち約50%未満が少なくとも1本の他の繊維と絡合される。いくつかのそのような実施形態では、乱雑化された繊維のうち約25%未満が少なくとも1本の他の繊維と絡合される。
【0021】
いくつかの実施形態では、束の複数の繊維のうち少なくとも一部の長手方向の整列を乱雑化するステップは、乱雑化された繊維のうちの一部を撚り合わせることを含む。いくつかのそのような実施形態では、乱雑化された繊維のうち約50%未満が少なくとも1本の他の繊維と撚り合わされる。いくつかのそのような実施形態では、乱雑化された繊維のうち約25%未満が少なくとも1本の他の繊維と撚り合わされる。
【0022】
いくつかの実施形態では、該方法は、各々がデニール数0.2~12.0dpf及び長さ8~160mmの複数の25~3600本の繊維の束であって、各々の束の複数の繊維が共に長手方向に整列されている、複数の束を得るステップと、各々の束の複数の繊維のうち少なくとも一部の長手方向の整列を乱雑化して、繊維が不規則に3次元的に伸びてかつ交絡し、複数の個別の繊維充填材クラスターを形成するようにするステップとを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、束の複数の繊維はその長手長さに沿ってほぼ直線的に伸びる。いくつかの実施形態では、束の複数の繊維はその長手長さに沿って互いにほぼ平行に伸びる。いくつかの実施形態では、束の複数の繊維はテクスチャード加工されていない直線状の繊維である。
【0024】
いくつかの実施形態では、束の複数の繊維はその長手長さに沿って非直線的に伸びる。いくつかの実施形態では、束の複数の繊維はその長手長さに沿って不規則に伸びる。いくつかの実施形態では、束の複数の繊維はテクスチャード加工された繊維である。いくつかの実施形態では、束の複数の繊維は約50~約500本の繊維を含む。いくつかの実施形態では、複数の繊維は約80~約300本の繊維を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、束は繊維充填材クラスターよりも多くの繊維を含む。いくつかの実施形態では、繊維充填材クラスターは、束の一部ではなかった少なくとも1本の副次的な繊維を含む。いくつかのそのような実施形態では、少なくとも1本の副次的な繊維は乱雑化ステップの間に繊維充填材クラスターの複数の繊維と交絡される。
【0026】
いくつかの実施形態では、複数の繊維は約0.7~約1.7dpfのデニール数を有する。いくつかの実施形態では、複数の繊維はほぼ同じデニール数を有する。いくつかの実施形態では、束の複数の繊維は約20~約50mmの長手長さを有する。いくつかの実施形態では、束の複数の繊維はほぼ同じ長手長さを有する。いくつかの実施形態では、複数の繊維はほぼ同じ長さを有する。
【0027】
いくつかの実施形態では、複数の繊維は合成ポリマー繊維である。いくつかの実施形態では、複数の繊維は、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ乳酸(ポリラクチドとしても知られる)(PLA)、ポリアクリル酸ブチル(PBA)、アクリル、アクリレート、アセテート、ポリオレフィン、ナイロン、レーヨン、リヨセル、アラミド、スパンデックス、ビスコース、及びモダール繊維、又はこれらの組み合わせから選択された繊維である。いくつかの実施形態では、複数の繊維はポリエステル繊維である。いくつかのそのような実施形態では、ポリエステル繊維は、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリ(ヘキサヒドロ‐p‐キシリレンテレフタラート)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)繊維、ポリトリメチレンテレフタラート(PTT)繊維、コポリエステル繊維(例えばPETの構造単位を含むコポリエステル繊維)、又はこれらの組み合わせから選択される。いくつかのそのような実施形態では、ポリエステル繊維はPET繊維である。
【0028】
いくつかの実施形態では、繊維は再生ポリマー材料を含む。いくつかの実施形態では、複数の繊維はシリコーン処理された繊維を含む。いくつかの実施形態では、複数の繊維はシリコーン処理されていない繊維を含む。いくつかの実施形態では、複数の繊維は中実繊維を含む。いくつかの実施形態では、複数の繊維は中空繊維を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、繊維充填材クラスターは長さ、幅及び厚さを規定し、かつ長さ及び幅は厚さよりも大きい。いくつかのそのような実施形態では、長さは幅よりも大きい。
【0030】
いくつかの実施形態では、繊維充填材クラスターは長さ、幅及び厚さを規定し、かつ長さは約0.5~約6.5cm(例えば約0.90~約4cm)の範囲内にある。いくつかの実施形態では、繊維充填材クラスターは長さ、幅及び厚さを規定し、かつ幅は約0.5~約6.5cm(例えば約0.70~約3cm)の範囲内にある。いくつかの実施形態では、繊維充填材クラスターは約0.08~約0.70mg/cm(例えば約0.10~約0.50mg/cm)の密度を有する。いくつかの実施形態では、繊維充填材クラスターはほぼ卵形の形状を画成する。いくつかの実施形態では、繊維充填材クラスターはほぼ球形の形状を画成する。
【0031】
いくつかの実施形態では、束はフィラメントヤーンの断片である。いくつかのそのような実施形態では、束を得るステップはフィラメントヤーンから断片を切り出すことを含む。いくつかの実施形態では、フィラメントヤーンはテクスチャード加工されたフィラメントヤーンである。そのようないくつかの実施形態では、フィラメントヤーンは扁平なフィラメントヤーンである。
【0032】
いくつかの実施形態では、束は交絡したフィラメントヤーンの断片である。いくつかのそのような実施形態では、束を得るステップは、交絡したフィラメントヤーンから断片を切り出すことを含む。
【0033】
第2の態様では、本発明は、本発明の第1の態様に従って作製可能な繊維充填材クラスター(例えば個別の繊維充填材クラスター)を提供する。個別の繊維充填材クラスターは、互いに交絡された複数の繊維を含み、複数の繊維はデニール数が0.2~12.0dpfかつ長さが8~160mmの25~3600本の繊維を含んでいる。複数の繊維は:共に長手方向に整列された複数の繊維のうち一部又は全部を含む、束残存部分と;互いに対してランダムかつ非一様な方向を向いた複数の繊維のうち一部を含む、束残存部分から3次元的に外側に向かって伸びる繊維の外側領域と、を形成する。束残存部分は、外側領域よりも高い密度の繊維を含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、個別の繊維充填材クラスターは本質的に複数の繊維から成る。いくつかの実施形態では、個別の繊維充填材クラスターは複数の繊維から成る。いくつかの実施形態では、個別の繊維充填材クラスターは本質的に束残存部分及び外側領域から成る。いくつかの実施形態では、個別の繊維充填材クラスターは束残存部分及び外側領域から成る。
【0035】
いくつかの実施形態では、束残存部分は外側領域よりも少ない繊維を含む。いくつかのそのような実施形態では、束残存部分は外側領域より少なくとも25%少ない繊維を含む。いくつかのそのような実施形態では、束残存部分は外側領域より少なくとも50%少ない繊維を含む。いくつかのそのような実施形態では、束残存部分は外側領域より少なくとも75%少ない繊維を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、束残存部分はその長さに沿って非直線的に伸びる。いくつかの実施形態では、束残存部分はフィラメントヤーンの断片の一部分である。いくつかのそのような実施形態では、束残存部分はテクスチャード加工されたフィラメントヤーンの断片の一部分である。他のいくつかのそのような実施形態では、束残存部分は扁平なフィラメントヤーンの断片の一部分である。
【0037】
いくつかの実施形態では、束残存部分の複数の繊維はその長手長さに沿って互いにほぼ平行に伸びる。いくつかの実施形態では、複数の繊維はテクスチャード加工されていない直線状の繊維である。いくつかの実施形態では、複数の繊維はテクスチャード加工された直線状の繊維である。いくつかの実施形態では、複数の繊維はその長手長さに沿って非直線的に伸びる。いくつかの実施形態では、複数の繊維はその長手長さに沿って不規則に伸びる。
【0038】
いくつかの実施形態では、外側領域の複数の繊維のうち一部は、互いに又は束残存部分の少なくとも1本の繊維と共に絡合している。いくつかのそのような実施形態では、外側領域の複数の繊維のうち約50%未満が互いに又は束残存部分の少なくとも1本の繊維と共に絡合している。いくつかのそのような実施形態では、外側領域の複数の繊維のうち約25%未満が互いに又は束残存部分の少なくとも1本の繊維と共に絡合している。
【0039】
いくつかの実施形態では、外側領域の複数の繊維は互いに又は束残存部分の少なくとも1本の繊維と共に撚り合わされている。いくつかのそのような実施形態では、外側領域の複数の繊維のうち約50%未満が互いに又は束残存部分の少なくとも1本の繊維と共に撚り合わされている。いくつかのそのような実施形態では、外側領域の複数の繊維のうち約25%未満が互いに又は束残存部分の少なくとも1本の繊維と共に撚り合わされている。
【0040】
いくつかの実施形態では、個別の繊維充填材クラスターは、複数の繊維のうち少なくとも一部が互いに接合された少なくとも1つの接合点を具備する。いくつかのそのような実施形態では、少なくとも1つの接合点は、残存部分のいくつかの繊維及び外側領域のいくつかの繊維を含む。いくつかのそのような実施形態では、少なくとも1つの接合点は、残存部分の繊維の一部のみ及び外側領域の繊維の一部のみを含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、繊維充填材クラスターは長さ、幅及び厚さを規定し、かつ長さ及び幅は厚さよりも大きい。いくつかのそのような実施形態では、長さは幅よりも大きい。いくつかの実施形態では、繊維充填材クラスターは長さ、幅及び厚さを規定し、かつ長さは約0.5~約6.5cm(例えば約0.90~約4cm)の範囲内にある。いくつかの実施形態では、繊維充填材クラスターは長さ、幅及び厚さを規定し、かつ幅は約0.5~約6.5cm(例えば約0.70~約3cm)の範囲内にある。
【0042】
いくつかの実施形態では、繊維充填材クラスターはほぼ卵形の形状を画成する。いくつかの実施形態では、繊維充填材クラスターはほぼ球形の形状を画成する。いくつかの実施形態では、複数の繊維は約0.7~約1.7dpfのデニール数を有する。いくつかの実施形態では、複数の繊維はほぼ同じデニール数を有する。いくつかの実施形態では、束の複数の繊維は約20~約50mmの長手長さを有する。いくつかの実施形態では、束残存部分の複数の繊維はほぼ同じ長手長さを有する。いくつかの実施形態では、複数の繊維はほぼ同じ長さを有する。いくつかの実施形態では、繊維充填材クラスターは約0.08~0.70mg/cm(例えば約0.10~約0.50mg/cm)の密度を有する。いくつかの実施形態では、複数の繊維は約50~約500本の繊維を含む。いくつかの実施形態では、複数の繊維は約80~約300本の繊維を含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、複数の繊維は合成ポリマー繊維である。いくつかの実施形態では、複数の繊維は、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ乳酸(ポリラクチドとしても知られる)(PLA)、ポリアクリル酸ブチル(PBA)、アクリル、アクリレート、アセテート、ポリオレフィン、ナイロン、レーヨン、リヨセル、アラミド、スパンデックス、ビスコース、及びモダール繊維、又はこれらの組み合わせから選択された繊維である。いくつかの実施形態では、複数の繊維はポリエステル繊維である。いくつかのそのような実施形態では、ポリエステル繊維は、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリ(ヘキサヒドロ‐p‐キシリレンテレフタラート)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)繊維、ポリトリメチレンテレフタラート(PTT)繊維、コポリエステル繊維(例えばPETの構造単位を含むコポリエステル繊維)、又はこれらの組み合わせから選択される。いくつかのそのような実施形態では、ポリエステル繊維はPET繊維である。いくつかの実施形態では、繊維は再生ポリマー材料を含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、複数の繊維はシリコーン処理された繊維を含む。いくつかの実施形態では、複数の繊維はシリコーン処理されていない繊維を含む。いくつかの実施形態では、複数の繊維は中実繊維を含む。いくつかの実施形態では、複数の繊維は中空繊維を含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、複数の繊維は交絡したフィラメントヤーンの断片であり、前記断片は複数の繊維が互いに絡合している少なくとも1つの集合(mingled)ニップ部分を有している。繊維充填材クラスターを形成するための乱雑化に倣い、集合ニップ部分は集合ニップ部分と呼ばれてもよいし、又は別例として、束残存部分と呼ばれてもよい。
【0046】
第3の態様では、本発明は、本発明の第1の態様に従って作製可能な別の繊維充填材クラスター(例えば個別の繊維充填材クラスター)を提供する。この個別の繊維充填材クラスターは互いにランダムに交絡した複数の繊維を含み、複数の繊維はデニール数が0.2~12.0dpfかつ長さが8~160mmの25~3600本の繊維を含む。複数の繊維は互いに対してランダムかつ非一様な方向を向いている。複数の繊維は、少なくとも1つの内側の比較的密集した繊維の領域と;少なくとも1つの内側の比較的密集した領域から3次元的に外側に向かって伸びる、外側の比較的密集していない繊維の領域とを形成する。個別の繊維充填材クラスターは、長さが約0.5~6.5cm(例えば約0.90~4cm)、幅が約0.5~6.5cm(例えば約0.70~3cm)、及び密度が約0.08~0.70mg/cm(例えば約0.10~0.50mg/cm)である。
【0047】
いくつかの実施形態では、繊維充填材クラスターは本質的に複数の繊維から成る。いくつかの実施形態では、個別の繊維充填材クラスターは複数の繊維から成る。いくつかの実施形態では、繊維充填材クラスターは本質的に束残存部分及び外側領域から成る。いくつかの実施形態では、個別の繊維充填材クラスターは束残存部分及び外側領域から成る。
【0048】
いくつかの実施形態では、内側領域は外側領域よりも少ない繊維を含む。いくつかのそのような実施形態では、内側領域は外側領域よりも少なくとも25%少ない繊維を含む。いくつかのそのような実施形態では、内側領域は外側領域よりも少なくとも50%少ない繊維を含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、外側領域は内側領域よりも少ない繊維を含む。いくつかのそのような実施形態では、外側領域は内側領域よりも少なくとも25%少ない繊維を含む。いくつかのそのような実施形態では、外側領域は内側領域よりも少なくとも50%少ない繊維を含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、複数の繊維はその長さに沿って非直線的に伸びる。いくつかの実施形態では、複数の繊維はテクスチャード加工されていない繊維である。いくつかの実施形態では、複数の繊維はテクスチャード加工された繊維である。
【0051】
いくつかの実施形態では、複数の繊維のうちの一部は互いに絡合している。いくつかのそのような実施形態では、複数の繊維のうち約50%未満が互いに絡合している。いくつかのそのような実施形態では、複数の繊維のうち約25%未満が互いに絡合している。
【0052】
本発明の繊維充填材クラスターのいくつかの実施形態では、少なくとも1つの外側領域の複数の繊維のうち70%未満(例えば5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、又は70%未満)が互いに絡合している。
【0053】
いくつかの実施形態では、複数の繊維のうち一部は共に撚り合わされている。いくつかのそのような実施形態では、複数の繊維のうち約50%未満が共に撚り合わされている。いくつかのそのような実施形態では、複数の繊維のうち約25%未満が共に撚り合わされている。
【0054】
いくつかの実施形態では、繊維充填材クラスターは、複数の繊維のうち少なくとも一部が互いに接合されている少なくとも1つの接合点を具備する。いくつかのそのような実施形態では、少なくとも1つの接合点は、内側領域の一部の繊維及び外側領域の一部の繊維を含んでいる。いくつかのそのような実施形態では、少なくとも1つの接合点は、内側部分の一部のみの繊維及び外側領域の一部のみの繊維を含んでいる。
【0055】
いくつかの実施形態では、繊維充填材クラスターは長さ、幅及び厚さを規定し、かつ長さ及び幅は厚さよりも大きい。いくつかのそのような実施形態では、長さは幅よりも大きい。いくつかの実施形態では、繊維充填材クラスターは長さ、幅及び厚さを規定し、かつ長さは約0.5~6.5cm(例えば約0.90~約4cm)の範囲内にある。いくつかの実施形態では、繊維充填材クラスターは長さ、幅及び厚さを規定し、かつ幅は約0.5~6.5cm(例えば約0.70~約3cm)の範囲内にある。
【0056】
いくつかの実施形態では、繊維充填材クラスターはほぼ卵形の形状を画成する。いくつかの実施形態では、繊維充填材クラスターはほぼ球形の形状を画成する。
【0057】
いくつかの実施形態では、複数の繊維は約0.7~約1.7のデニール数を有する。いくつかの実施形態では、複数の繊維はほぼ同じデニール数を有する。
【0058】
いくつかの実施形態では、束の複数の繊維は約20~約50mmの長手長さを有する。いくつかの実施形態では、複数の繊維はほぼ同じ長手長さを有する。いくつかの実施形態では、繊維充填材クラスターは約0.10~約0.50mg/cmの密度を有する。いくつかの実施形態では、複数の繊維は約50~約500本の繊維を含む。いくつかのそのような実施形態では、複数の繊維は約80~約300本の繊維を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、複数の繊維は合成ポリマー繊維である。いくつかの実施形態では、複数の繊維は、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ乳酸(ポリラクチドとしても知られる)(PLA)、ポリアクリル酸ブチル(PBA)、アクリル、アクリレート、アセテート、ポリオレフィン、ナイロン、レーヨン、リヨセル、アラミド、スパンデックス、ビスコース、及びモダール繊維、又はこれらの組み合わせから選択された繊維である。いくつかの実施形態では、複数の繊維はポリエステル繊維である。いくつかのそのような実施形態では、ポリエステル繊維は、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリ(ヘキサヒドロ‐p‐キシリレンテレフタラート)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)繊維、ポリトリメチレンテレフタラート(PTT)繊維、コポリエステル繊維(例えばPETの構造単位を含むコポリエステル繊維)、又はこれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、PETの構造単位を含むコポリエステル繊維とは、以下に示すようなPETの構造単位を、1又は複数(例えば1個)の他の非PETポリエステルの構造単位と共に含むポリマー鎖で構成された繊維を指す。
【化1】
【0060】
いくつかのそのような実施形態では、ポリエステル繊維はPET繊維である。いくつかの実施形態では、繊維は再生ポリマー材料を含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、複数の繊維はシリコーン処理された繊維を含む。いくつかの実施形態では、複数の繊維はシリコーン処理されていない繊維を含む。いくつかの実施形態では、複数の繊維は中実繊維を含む。いくつかの実施形態では、複数の繊維は中空繊維を含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、複数の繊維は交絡したフィラメントヤーンの断片であり、前記断片は複数の繊維が互いに絡合している少なくとも1つの集合ニップ部分を有している。そのような実施形態では、集合ニップ部分は、少なくとも1つの内側の比較的密集した繊維の領域に相当する。
【0063】
第4の態様では、本発明は、本発明の第2及び/又は第3の態様による複数の繊維充填材クラスター(本発明の第1の態様によって作製されたものであってよい)を含む断熱材又は充填用材料を提供する。
【0064】
いくつかの実施形態では、断熱材又は充填用材料は、本質的に本発明の第2及び/又は第3の態様による繊維充填材クラスターから成る。いくつかの実施形態では、断熱材又は充填用材料は、本質的に本発明の第2の態様による繊維充填材クラスターから成る。いくつかの実施形態では、断熱材又は充填用材料は、本質的に本発明の第3の態様による繊維充填材クラスターから成る。いくつかの実施形態では、断熱材又は充填用材料は、本発明の第2及び/又は第3の態様による繊維充填材クラスターから成る。いくつかの実施形態では、断熱材又は充填用材料は、本発明の第2の態様による繊維充填材クラスターから成る。いくつかの実施形態では、断熱材又は充填用材料は、本発明の第3の態様による繊維充填材クラスターから成る。
【0065】
いくつかの実施形態では、断熱材又は充填用材料は、本発明の第2の態様による複数の第1の個別の繊維充填材クラスターと、本発明の第3の態様による複数の第2の個別の繊維充填材クラスターとを含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、複数の繊維充填材クラスターは、第1の長さの繊維で作られた第1の繊維充填材クラスターと、第1の長さとは異なる第2の長さの繊維で作られた第2の繊維充填材クラスターとを含む。いくつかの実施形態では、複数の繊維クラスターは、第1の繊維総数で作られた第1のクラスターと、第1の繊維総数とは異なる第2の繊維総数で作られた第2のクラスターとを含む。いくつかの実施形態では、複数の繊維充填材クラスターは、第1の合成材料の繊維から作られた第1の繊維充填材クラスターと、第1の合成材料とは異なる第2の合成材料の繊維から作られた第2の繊維充填材クラスターとを含む。いくつかの実施形態では、複数の繊維充填材クラスターは、第1のデニール数の繊維から作られた第1の繊維充填材クラスターと、第1のデニール数とは異なる第2のデニール数の繊維から作られた第2の繊維充填材クラスターとを含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、複数の繊維充填材クラスターは、第1の大きさの繊維充填材クラスターと、第1の大きさとは異なる第2の大きさの繊維充填材クラスターとを含む。いくつかの実施形態では、複数の繊維充填材クラスターは、第1の3次元形状の繊維充填材クラスターと、第1の3次元形状とは異なる第2の3次元形状の繊維充填材クラスターとを含む。いくつかの実施形態では、複数の繊維充填材クラスターは、第1の密度範囲の繊維充填材クラスターと、第1の密度範囲とは異なりかつ重複しない第2の密度範囲の繊維充填材クラスターとを含む。
【0068】
第5の態様では、本発明は、本発明の第4の態様による複数の断熱材又は充填用材料を含む物品を提供する。いくつかの実施形態では、該物品は、履物、上着、衣類、寝袋、及び寝具から選択される。
【0069】
本開示の繊維充填材クラスター、該クラスターを含む物品、及び該クラスターを作製する方法のある特定の実施形態はいくつかの特徴を有するが、その特徴のうち1つだけが単独で該実施形態の望ましい属性を担うことはない。後述の特許請求の範囲によって規定される繊維充填材クラスター、物品及び方法の範囲を限定することなく、それらのより顕著な特徴についてここで簡潔に議論することとする。この議論について考慮すれば、かつ特に本明細書の「発明の詳細な説明」と題した節を読めば、本明細書中に開示された様々な実施形態の特徴がどのようにして現在の最先端技術に勝る多くの利点を提供するかが理解されるであろう。例えば、本発明の繊維充填材クラスターの実施形態は、従来の吹込み装置で吹込み可能であり、かつダウンの特性を模倣する。本発明の繊維充填材クラスターの実施形態を物品に組み込むことにより、その結果得られる物品には、合成ダウン製品についての過去の他の試みと比較して、手や肌で感じられる柔らかさの増大がもたらされる。開示された繊維充填材クラスターの実施形態を含む物品は、合成ダウン製品についての過去の他の試みと比較して、熱的性能の改善をもたらす改善された嵩高性、改善された吹込み効率、及び改善された可洗濯性を備えることができる。繊維充填材クラスターの実施形態はさらに、他の合成ダウン材料では通常直面する詰まり又は他の装荷上の問題を伴うことなく、従来の吹込み装置で利用されるように構成可能である。
【0070】
本発明の上記及びその他の特徴及び利点は、本発明の様々な態様についての以降の詳細な説明を添付の特許請求の範囲及び添付図面と併せれば明白となろう。
【図面の簡単な説明】
【0071】
本発明について以下の図面と併せて後述するが、図面は必ずしも原寸に比例せず、類似の数字は類似の要素を示している。
【0072】
図1】本発明の実施形態による個別の繊維クラスターを形成するための繊維束を示す図。
【0073】
図2】本発明の実施形態によるテクスチャード加工された繊維束の一部分を示す拡大図。
【0074】
図3】本発明の実施形態による直線状の繊維束の一部分を示す拡大図。
【0075】
図4A】本発明の実施形態による個別の繊維クラスターを形成するための接合されていない繊維束を示す図。
【0076】
図4B】本発明の実施形態による個別の繊維クラスターを形成するための接合された繊維束を示す図。
【0077】
図5A】本発明の実施形態による個別の繊維クラスター製造方法の乱雑化部材を示す図。
図5B】本発明の実施形態による個別の繊維クラスター製造方法の乱雑化部材を示す図。
【0078】
図6】本発明による繊維束残存部分を備えた個別の繊維クラスターの例示の実施形態を上から見た図。
【0079】
図7】本発明による繊維束残存部分を備えた個別の繊維クラスターの別の例示の実施形態を上から見た図。
【0080】
図8】本発明による繊維束残存部分を備えた個別の繊維クラスターの別の例示の実施形態を上から見た図。
【0081】
図9】本発明による繊維束残存部分を備えた個別の繊維クラスターの別の例示の実施形態を上から見た図。
【0082】
図10】本発明による内側の交絡繊維領域を備えた個別の繊維クラスターの例示の実施形態を上から見た図。
【0083】
図11】本発明による内側の交絡繊維領域を備えた個別の繊維クラスターの別の例示の実施形態を上から見た図。
【0084】
図12】本発明による内側の交絡繊維領域を備えた個別の繊維クラスターの別の例示の実施形態を上から見た図。
【0085】
図13】本発明による内側の交絡繊維領域を備えた個別の繊維クラスターの別の例示の実施形態を上から見た図。
【0086】
図14】本発明による個別の繊維クラスターの例を上から見た写真。
【0087】
図15図12の個別の繊維クラスターの例を側方から見た写真。
【0088】
図16】本発明による個別の繊維クラスターの別の例を上から見た写真。
【0089】
図17】本発明による個別の繊維クラスターの別の例を上から見た写真。
【0090】
図18】本発明による個別の繊維クラスターの別の例を上から見た写真。
【0091】
図19】本発明による個別の繊維クラスターの別の例を上から見た写真。
【0092】
図20】本発明による複数の例示の個別の繊維クラスターを上から見た写真。
【0093】
図21図20の複数の例示の個別の繊維クラスターを正面から見た写真。
【0094】
図22】本発明による複数の例示の個別の繊維クラスターを上から見た写真。
【0095】
図23】本発明による複数の例示の個別の繊維クラスターを上から見た写真。
【0096】
図24】本発明による、相互に係合している複数の例示の個別の繊維クラスターを上から見た写真。
【0097】
図25】本発明による複数の例示の個別の繊維クラスターを上から見た写真。
【0098】
図26】本発明による、相互に係合している複数の例示の個別の繊維クラスターを上から見た写真。
【0099】
図27】交絡したフィラメントヤーンの一部分の拡大写真。
【0100】
図28】交絡したフィラメントヤーンを形成する前後のフィラメントの整列状態を示す簡略図。
【0101】
図29】交絡したフィラメントヤーンの切断片、すなわち「束」の拡大写真。
【0102】
図30】本発明の繊維充填材クラスターの実施形態の拡大写真。
【0103】
図31】本発明の繊維充填材クラスターの実施形態の拡大写真。
【0104】
図32】本発明の繊維充填材クラスターの実施形態の拡大写真。
【0105】
図33A】交絡したフィラメントヤーン(左)及び該フィラメントヤーンから形成された本発明の実施形態による複数の繊維充填材クラスターの拡大写真。
図33B図33Aの繊維充填材クラスターの拡大写真。
図33C図33Aの繊維充填材クラスターの拡大写真。
【0106】
図34】交絡したフィラメントヤーンが切断されて束を形成し、束が乱雑化されて本発明の繊維充填材クラスターの実施形態を形成するプロセスを示す図。
【0107】
図35】本発明の繊維充填材クラスターの実施形態の簡略図。
【発明の詳細な説明】
【0108】
本発明の態様、並びにその一定の特徴、利点、及び詳細について、添付図面に例証された非限定的な実施形態を参照して以下により詳しく説明する。良く知られた材料、製作ツール、加工技法などの説明は、本発明を細部にわたり不必要に分かり難くすることのないように、省略されている。しかしながら、詳細な説明及び具体的実施例が、本発明の実施形態を示してはいるが単に例証として提供されていること、かつ限定を目的としていないことは、理解されるべきである。根底にある発明概念の趣旨及び/又は範囲の中にある様々な代替形態、改変形態、追加物及び/又は改編形態は、当業者には本開示から明白となろう。
【0109】
1つの態様では、本開示は、吹込み可能性、大きさ、重量、及び/又は密度、並びにその他の特性という点においてダウンを非常によく模倣する一方で、同時にダウンと比較して改善された可洗濯性を備えていることが驚くべきことに及び/又は予想外なことに見出された、1又は複数の繊維充填材クラスターを、作製又は製造する方法を提供する。
【0110】
図1に示されるように、該方法は、0.2~12.0デニールでありかつ長さ8~160mmの複数の25~3600本の繊維12の、個別の束10であって、複数の繊維12が共に(すなわちその長さに沿って)長手方向に整列されている束を得るステップを含みうる。該方法はさらに、束10の複数の繊維12のうち少なくとも一部の長手方向の整列を乱雑化して、繊維が不規則に3次元的に伸びかつ交絡して図6~26に示したような個別の繊維充填材クラスター1を形成するようにするステップを含む。
【0111】
いくつかの実施形態では、束を得るステップは、繊維12のヤーン又はトウから束10を切り出すことを含む。例えば、ヤーン又はトウがスプールに巻かれているか又は他のかたちで多数の連続した束を含有していて、束がヤーン又はトウから切り出されるか又は他の方法で分離されてもよい。このようにして、多数の束10をヤーン又はトウから形成することができる。
【0112】
いくつかの実施形態では、束10の複数の繊維12のうち少なくとも一部の長手方向の整列を乱雑化するステップは、束10の複数の繊維12のうち一部のみの長手方向の整列を乱雑化して、束10の複数の繊維12のうち束残存部分16は、例えば図6~9、14、15及び20~26に示されるように、形成された繊維クラスター1の中で共に長手方向に整列されたままであるようになっている。そのような実施形態では、乱雑化ステップはさらに、束10の複数の繊維12のうち一部の長手方向の整列を乱雑化して、同じく図6~9、14、15及び20~26に示されるように繊維が残存部分16の繊維12と交絡してそこから不規則に3次元的に外側に向かって伸びるようになっている。従って残存部分16から不規則に3次元的に伸びる繊維12は、束残存部分16から外側に向かって伸びる外側領域18を形成する。束残存部分16は、外側領域よりも高い密度の繊維12を含むことができる(すなわち、繊維12又はその一部分がより密集している)。
【0113】
他のいくつかの実施形態では、束10の複数の繊維12のうち少なくとも一部の長手方向の整列を乱雑化するステップは、束10の複数の繊維12全ての長手方向の整列を乱雑化して、図10~13及び16~29に示されるように、複数の繊維12のうち、形成された繊維クラスター1の中で共に長手方向に整列されたままのものが本質的に全くないようにすることを含む。いくつかのそのような実施形態では、束10の複数の繊維12のうち本質的に全ての長手方向の整列を乱雑化するステップにより、少なくとも1つの内側の比較的密集した繊維の3次元領域14と、少なくとも1つの内側の比較的密集した領域14から3次元的に外側に向かって伸びる外側の比較的密集していない繊維16の領域18とが形成される。
【0114】
図4Aに示されるように、束10の複数の繊維12は互いに機械的に連結又は接合されていなくてよい。むしろ、束10の繊維12は交絡している場合があり、かつヤーン又はトウの作製又は処理過程に由来する繊維12の自然な力及び/又は整列が、束10の繊維12を共に配列した状態に保つように働く可能性がある。
【0115】
他のいくつかの実施形態では、図4Bに示されるように、束10の繊維12のうち少なくとも一部が接合点又は接合領域22において互いに接合されてもよい。例えば、該方法は、乱雑化ステップの前に、束10の複数の繊維12のうち少なくとも一部を束/繊維10/12の長手長さに沿った少なくとも1つの点22において互いに接合して少なくとも1つの接合点22を形成するステップを含むことができる。いくつかのそのような実施形態では、接合点は、少なくとも1つの接合点において繊維が互いに付着又は接合するように、少なくとも1つの地点において複数の繊維12のうち少なくとも一部を加熱することにより形成される。いくつかのそのような実施形態では、少なくとも1つの地点における複数の繊維12のうち少なくとも一部の加熱は、少なくとも1つの地点の複数の繊維12を、繊維12の融解温度を上回る温度の材料又は部材と接触させることを含む。接合点22は、任意の許容可能な手段によって(例えば高温の金属、超音波接合、レーザー処理、はんだごて、加熱空気ジェットなどを用いて)形成することができる。他のいくつかの実施形態では、接合点22は、膠、接着剤、又は繊維を互いに連結若しくは接合するように働くその他の材料によって形成されてもよい。なお、図4Bの例示の繊維束10には単一の接合点22が示されているが、繊維束10は2以上の接合点22を備えることもできる。いくつかの実施形態では、接合点22の大きさは0.10~0.50mm(例えば0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、又は0.50mm)又はこの中のあらゆる範囲及び副範囲である。
【0116】
図5Aおよび5Bに示されるように、いくつかの実施形態では、束10の複数の繊維12のうち少なくとも一部の長手方向の整列を乱雑化するステップは、束10を少なくとも1対の乱雑化部材30の係合面32どうしの間に配置して乱雑化面32が束10と接触するようにすることと、少なくとも1つの第1の乱雑化部材30を少なくとも1つの第2の乱雑化部材30に対して、束10の繊維12の長手長さに沿った長手方向及び該長手方向に垂直な向きの横方向に沿った横方向の両方に伸びる経路に沿って、平行移動することとを含む。いくつかのそのような実施形態では、乱雑化面32の間の距離は乱雑化ステップの間ほぼ一定に維持される。しかしながら、乱雑化面32は、乱雑化過程の間に近寄ったり離れたりしてもよい。いくつかのそのような実施形態では、乱雑化部材30のうち少なくとも一方が、少なくとも短時間は弓形の経路に沿って、及び/又は少なくとも短時間は直線状若しくは直線的な経路に沿って、平行移動してもよい。いくつかのそのような実施形態では、少なくとも1つの乱雑化部材30が、少なくとも短時間は楕円形の経路に沿って平行移動してもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの乱雑化部材30は、少なくとも短時間はランダムな軌道パターンに沿って平行移動する。
【0117】
乱雑化部材30のうち少なくとも1つの係合面32は、ほぼ平坦かつ平滑な表面であってよい。いくつかの実施形態では、係合面32は、束10に向かって外側/内側へと伸びてかつ繊維12を突くか掴むか又は他の方法で繊維12と接触して束10による繊維12の長手方向の整列を乱雑化するように働く、ほぼ平面的に多数並んだ粒子又は突部を具備することができる。他のいくつかの実施形態(図示せず)では、束10の複数の繊維12のうち少なくとも一部の長手方向の整列を乱雑化するステップは、束10を少なくとも1つの気体流及び/又は液体流に供することを含む。束10の複数の繊維12のうち少なくとも一部の長手方向の整列を乱雑化するという乱雑化過程(及びひいてはそのような繊維12の再編成)は、束10を擦り合わせること、束10に紙やすりをかけること、束10を摩耗させること、束10をバフ研磨すること、又は束を気体及び/又は液体の流れに供すること、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0118】
なお、乱雑化過程は、束10から繊維12のうち1又は複数を取り除き、かつその繊維12を絡合して繊維充填材クラスター1とすることはない場合もある。換言すれば、束10のうち1又は複数の繊維12は、乱雑化されはしても、繊維充填材クラスター1を形成する他の繊維とは絡合しない場合がある。同様に、乱雑化過程の間に別の束10から分離した1又は複数の繊維12が、別の束10の繊維10と共に取り込まれ(すなわち絡合し)、それにより形成される繊維充填材クラスター1に組み込まれてもよい。従って乱雑化過程は、少なくとも1本の追加の繊維を複数の繊維12に加えること、又は複数の繊維12から繊維を除去/排除することを含む場合もある。
【0119】
乱雑化ステップは、複数の繊維12を互いに絡合させて繊維充填材クラスターを形成するように作用する。用語「交絡する(intermingle)」及び同類の用語は、本明細書中では、互いに少なくとも1回交差する、すなわちすれ違う繊維を指すために使用される(すなわち、交絡した繊維は少なくとも1本の他の繊維と少なくとも1回交差する)。いくつかの実施形態では、乱雑化ステップはさらに、乱雑化された繊維12のうち少なくとも一部を互いに絡合させるように作用する。用語「絡合する(entangle)」及び同類の用語は、本明細書中では、互いに少なくとも1回交差して周囲を伸びる、すなわち巻き付く繊維を指すために使用される(すなわち、絡合した繊維は少なくとも1本の他の繊維と少なくとも1回交差してその周囲を伸びる、すなわち巻き付く)。いくつかのそのような実施形態では、乱雑化された繊維のうち約50%未満が少なくとも1本の他の繊維と絡合する。いくつかのそのような実施形態では、乱雑化された繊維のうち約25%未満が少なくとも1本の他の繊維と絡合する。いくつかの実施形態では、乱雑化ステップはさらに、乱雑化された繊維12のうち少なくとも一部を共に撚り合わせるように作用する。用語「撚り合わせる(twist)」及び同類の用語は、本明細書中では、互いに2回以上交差して周囲を伸びる、すなわち巻き付く繊維を指すために使用される(すなわち、撚り合わされた繊維は少なくとも1本の他の繊維と2回以上交差してその周囲を伸びる、すなわち巻き付く)。いくつかのそのような実施形態では、乱雑化された繊維12のうち約50%未満が少なくとも1本の他の繊維と共に撚り合わされる。いくつかのそのような実施形態では、乱雑化された繊維12のうち約25%未満が少なくとも1本の他の繊維と共に撚り合わされる。
【0120】
図3に示されるように、束10の複数の繊維12はその長手長さに沿ってほぼ直線的に伸びていてもよい。束10の複数の繊維12は、その長手長さに沿って互いにほぼ平行に伸びることができる。いくつかの実施形態では、束の複数の繊維は、図3に示されるようにテクスチャード加工されていない直線状の繊維である。
【0121】
いくつかの他の実施形態では、図2に示されるように、束10の複数の繊維12はその長手長さに沿って非直線的に伸びていてもよい。いくつかの実施形態では、束の複数の繊維は、図2に示されるように、その長手長さに沿って不規則に伸びる。例えば、図2に示されるように、束の複数の繊維12はテクスチャード加工された繊維であってもよい。テクスチャード加工の技法は当分野で良く知られており、典型的には繊維/フィラメントの平行状態を乱雑化する。そのような技法は、例えば重量を増やさずに嵩を増やすために用いることが可能であり、これにより、結果として生じる繊維がより軽量に感じられ、手触り(柔らかさ)が向上し、より不透明な外観となり、及び/又は断熱特性が向上するようにすることが可能である。任意の技術的に許容可能なテクスチャード加工処理法を使用することができるが、束10及び本発明の個別の繊維充填材クラスター1の中の繊維12に対して施されたテクスチャード加工処理法の例には、捲縮加工、ループ加工、コイル捲縮加工、クリンクル加工、加撚・解撚(twisting then untwisting)及び編組・解組(knitting then deknitting)が挙げられる。いくつかの実施形態では、束10及び/又はそれにより形成された個別の繊維充填材クラスター1の複数の繊維12は、複数の繊維12の総重量に基づいて0~100wt%(例えば0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100wt%)又はこの中のあらゆる範囲及び副範囲の、テクスチャード加工された繊維を含む。
【0122】
いくつかの実施形態(例えば、交絡したフィラメントヤーンのようなフィラメントヤーンを使用する実施形態)では、本発明は、
フィラメントヤーンから、0.2~12.0デニールであり長さが8~51mmの複数の25~3600本の繊維を含む束を得るステップであって、複数の繊維は共に長手方向に整列されており、前記繊維は複数の繊維が互いに絡合している集合ニップ部分を有している、ステップと;
集合ニップ部分に隣接した複数の繊維を乱雑化するための処理に束を供することにより、集合ニップ部分から3次元的に外側に向かって伸びる、少なくとも1つの外側の繊維の領域を形成し、それにより繊維充填材クラスターを形成するステップと
を含む、繊維充填材クラスターの作製方法を提供する。
【0123】
本明細書中で使用されるように、繊維が「共に長手方向に整列されている」ということは、繊維が直線状、有撚など何であれ、互いに同じ方向に沿って伸びていることを指す。該用語にはテクスチャード加工された繊維もテクスチャード加工されていない繊維も含まれ、かつさらにフィラメントヤーン(ニップ部分を有している交絡したフィラメントヤーンを含む)の繊維も含まれる。例えば、図27及び33Aに示された交絡したフィラメントヤーン、並びに図29に示された束はいずれも、共に長手方向に整列された繊維を有する。
【0124】
複数の繊維を乱雑化するための処理に束を供するステップは、ニップ部分に隣接した繊維の平行状態/並びを乱雑化して繊維がもはや長手方向に並ばずにニップから3次元的に外側に向かって伸びるようにする、任意の方法を含む。例えば、いくつかの実施形態では、ニップに隣接した複数の繊維を乱雑化するステップは、束を少なくとも1つの気体流及び/又は液体流に供することを含む。いくつかの実施形態では、乱雑化過程は、束を擦り合わせること、束に紙やすりをかけること、束を摩耗させること、束をバフ研磨すること、又は束を気体及び/又は液体を使用する処理(例えば、気体(空気など)及び/若しくは液体の流れ、又は気体及び/若しくは液体を使用する他の処理)に供すること、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0125】
当業者は、本開示を精査すれば、(例えばフィラメントの)束の中の複数の繊維を乱雑化することができる装置を容易に選択することが可能であろうし、かつ全てのそのような装置が本発明の方法に使用可能であると考えられる。例えば、使用可能な非限定的な機械としては、繊維開繊機又は精細開繊機(例えばマシアス・マキナリア合同会社(Masias Maquinaria SL)(以降「マシアス」とする)の開繊機AD‐160‐TP、オクティル(OCTIR)の精細開繊機、ロランド(Rolando)のベールオープナ、マシアスのリサイクル開繊機、TGBの開繊反毛機、トルツシュラー(Trutzschler)のベールオープナ)、繊維ボール形成機(例えばBolcard型又はCMM型ボールファイバー形成機、いずれもマシアス製)などが挙げられる。
【0126】
いくつかの実施形態では、集合ニップ部分に隣接した複数の繊維を乱雑化するための処理に束を供するステップは、束を
― 繊維開繊機における処理;
― 反毛機における処理;又は
― 空気処理
に供することを含む。
【0127】
いくつかの実施形態では、束を空気処理に供することには、様々な方法で行うことが可能な空気タンブリング、例えばドラム内、ローチ(Lorch)マシン若しくは改変型ローチマシン内、又はその他の装置における空気タンブリングなどに束を供することが含まれる。空気タンブリングの非限定的な例には、例えば国際公開第2017/058986号並びに米国特許第6,613,431号明細書、同第4,618,531号明細書及び同第4,794,038号明細書に記載されたものが挙げられる。
【0128】
複数の繊維12は捲縮していてもよいし捲縮していなくてもよい。螺旋状捲縮及び標準的捲縮を含む様々な捲縮が当分野において知られており、繊維が捲縮せしめられる場合は任意の所望の捲縮が存在しうるものと考えられる。束10及び/又はそれにより形成された個別の繊維充填材クラスター1の中の複数の繊維12は、複数の繊維12の総重量に基づいて0~100wt%(例えば0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100wt%)又はこの中のあらゆる範囲及び副範囲の、捲縮した繊維を含むことができる。
【0129】
いくつかの実施形態では、複数の長手方向に並んだ繊維12の束10は、30~500デニール(例えば30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、460、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、479、480、481、482、483、484、485、486、487、488、489、490、491、492、493、494、495、496、497、498、499、又は500デニール)又はこの中のあらゆる範囲及び副範囲の総デニール数を有する。デニールとは、9000メートルの繊維又はヤーンの重量(グラム)として定義される計測単位である。デニールは、繊維又はヤーンの重量(又は繊度)を指定する一般的な方法である。例えば、1.0デニールのポリエステル繊維は典型的にはおよそ10マイクロメートル(mm)の直径を有する。マイクロデニール繊維とは1.0デニール以下の繊維である一方、マクロデニール繊維は1.0を超えるデニール数を有する。
【0130】
いくつかの実施形態では、複数の繊維12は0.2~12.0デニール(例えば0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、10.1、10.2、10.3、10.4、10.5、10.6、10.7、10.8、10.9、11.0、11.1、11.2、11.3、11.4、11.5、11.6、11.7、11.8、11.9、又は12.0デニール)又はこの中のあらゆる範囲及び副範囲(例えば0.2~10.0デニール、0.5~8.0デニール、0.6~5.0デニール、0.7~3.0デニール、0.7~1.7デニールなど)のデニール数を有する。
【0131】
いくつかの実施形態では、複数の繊維12は0.2~12.0デニール(例えば0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、10.1、10.2、10.3、10.4、10.5、10.6、10.7、10.8、10.9、11.0、11.1、11.2、11.3、11.4、11.5、11.6、11.7、11.8、11.9、又は12.0デニール)又はこの中のあらゆる範囲及び副範囲(例えば0.5~8.0デニール、0.6~5.0デニール、0.7~3.0デニール、0.7~1.7デニールなど)の平均デニール数を有する。
【0132】
いくつかの実施形態では、束10及び/又はそれにより形成された個別の繊維充填材クラスターの中の複数の繊維12は、複数の繊維12の総重量に基づいて0~100wt%(例えば0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100wt%)の、1.0デニール以下(例えば0.4~1.0デニール、例えば0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、又は1.0デニールなど)のポリマー製マイクロデニール繊維12と;0~100wt%(例えば0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100wt%)の、1.0を超えるデニール数(例えば1.1~15.0デニール、例えば1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、又は15.0デニールなど)のポリマー製マクロデニール繊維12とを含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、束10の複数の繊維12は約0.7~約1.7デニールである。いくつかの実施形態では、束10の複数の繊維12はほぼ同じデニール数を有する。他のいくつかの実施形態では、束10の複数の繊維12は少なくとも2つの異なるデニール数を有する。
【0134】
いくつかの実施形態では、束10及び/又は束10から作製された個別の繊維充填材クラスターは、25~3600本の個々の繊維(例えば25、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800、810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990、1000、1010、1020、1030、1040、1050、1060、1070、1080、1090、1100、1110、1120、1130、1140、1150、1160、1170、1180、1190、1200、1210、1220、1230、1240、1250、1260、1270、1280、1290、1300、1310、1320、1330、1340、1350、1360、1370、1380、1390、1400、1410、1420、1430、1440、1450、1460、1470、1480、1490、1500、1510、1520、1530、1540、1550、1560、1570、1580、1590、1600、1610、1620、1630、1640、1650、1660、1670、1680、1690、1700、1710、1720、1730、1740、1750、1760、1770、1780、1790、1800、1810、1820、1830、1840、1850、1860、1870、1880、1890、1900、1910、1920、1930、1940、1950、1960、1970、1980、1990、2000、2010、2020、2030、2040、2050、2060、2070、2080、2090、2100、2110、2120、2130、2140、2150、2160、2170、2180、2190、2200、2210、2220、2230、2240、2250、2260、2270、2280、2290、2300、2310、2320、2330、2340、2350、2360、2370、2380、2390、2400、2410、2420、2430、2440、2450、2460、2470、2480、2490、2500、2510、2520、2530、2540、2550、2560、2570、2580、2590、2600、2610、2620、2630、2640、2650、2660、2670、2680、2690、2700、2710、2720、2730、2740、2750、2760、2770、2780、2790、2800、2810、2820、2830、2840、2850、2860、2870、2880、2890、2900、2910、2920、2930、2940、2950、2960、2970、2980、2990、3000、3010、3020、3030、3040、3050、3060、3070、3080、3090、3100、3110、3120、3130、3140、3150、3160、3170、3180、3190、3200、3210、3220、3230、3240、3250、3260、3270、3280、3290、3300、3310、3320、3330、3340、3350、3360、3370、3380、3390、3400、3410、3420、3430、3440、3450、3460、3470、3480、3490、3500、3510、3520、3530、3540、3550、3560、3570、3580、3590、又は3600本の繊維)又はこの中のあらゆる範囲及び副範囲(例えば50~500本の繊維、80~300本の繊維など)を含むことができる。
【0135】
いくつかの実施形態では、個別の束10は約25~3600本の繊維12を含む。いくつかの実施形態では、個別の束10は約50~約500本の繊維を含む。いくつかの実施形態では、個別の束10は約80~約300本の繊維を含む。上述のように、束10から形成された繊維充填材クラスター1は、乱雑化過程の本質又は仕組みが原因で、その繊維充填材クラスター1を形成する束10よりもいくらか多い繊維12、又は繊維充填材クラスター1を形成する束10よりもいくらか少ない繊維12を含む場合がある。
【0136】
いくつかの実施形態では、束10及び/又は束10により形成された繊維充填材クラスター1の複数の繊維12の長さは、8~160mm(例えば8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、又は160mm)又はこの中のあらゆる範囲及び副範囲(例えば8~75mm、15~115mm、20~50mmなど)である。いくつかの実施形態では、束10及び/又は束10により形成されたクラスター1の複数の繊維12の長手長さは約20~約50mmである。いくつかの実施形態では、束10及び/又は束10により形成されたクラスター1の複数の繊維12はほぼ同じ長手長さを有する。
【0137】
いくつかの実施形態では、複数の繊維はポリマー繊維を含む。
【0138】
いくつかの実施形態では、複数の繊維は合成ポリマー繊維を含む。本発明の個別の繊維充填材クラスター1に含まれるポリマー繊維に適したポリマー材料の選択は当業者に可能な範囲内にあり、任意のそのような材料を本発明の実施形態に使用可能であると考えられる。しかしながら、特定の実施形態では、ポリマー繊維に使用可能な非排他的なポリマーは、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ乳酸(PLA)、ポリアクリル酸ブチル(PBA)、ポリアミド(例えばナイロン/ポリアミド6.6、ポリアミド6、ポリアミド4、ポリアミド11、及びポリアミド6.10など)、アクリル、アセテート、ポリオレフィン、レーヨン、リヨセル、アラミド、スパンデックス、ビスコース、モダール繊維、バイオポリマー繊維(例えばポリヒドロキシアルカン酸(PHA)、ポリ(ヒドロキシブチラート‐コバレラート)(PHBV))、タンパク質系合成素材繊維(例えば、スパイバー(Spiber)の植物系人工タンパク質繊維材など)、及びこれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、繊維は、ポリ(エチレンテレフタラート)(PET)、ポリ(ヘキサヒドロ‐p‐キシリレンテレフタラート)、ポリ(ブチレンテレフタラート)(PBT)、ポリ‐1,4‐シクロヘキシレンジメチレンテレフタラート(PCDT)、ポリトリメチレンテレフタラート(PTT)、及びコポリエステル、例えばエステル単位のうち少なくとも30モルパーセント(例えば少なくとも35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、又は85モルパーセント)がエチレンテレフタラート単位又はヘキサヒドロ‐p‐キシリレンテレフタラート単位であるテレフタラートコポリエステルから選択されたポリエステルを含む。
【0139】
いくつかの実施形態では、繊維12はバージンポリマー材料を含む。いくつかの実施形態では、繊維12は、使用済み再生(PCR)ポリマー材料のような再生ポリマー材料を含む。
【0140】
複数の繊維12の中の繊維のうち、0~100wt%(例えば0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100wt%)又はこの中のあらゆる範囲及び副範囲(例えば0%、50%、100%など)がシリコーン処理されてもよい。
【0141】
シリコーン処理の技法は当分野において良く知られている。「シリコーン処理(された)」という用語は、繊維がケイ素を含む組成物(例えばシリコーン)でコーティングされていることを意味する。シリコーン処理の技法は当分野で良く知られており、例えば米国特許第3,454,422号明細書に記載されている。ケイ素を含む組成物は、当分野で知られた任意の方法、例えば噴霧、ミキシング、浸漬、パディングなどを使用して適用することができる。オルガノシロキサン又はポリシロキサンを挙げることができる、ケイ素を含む(例えばシリコーン)組成物は、繊維の外側部分に接合する。いくつかの実施形態では、シリコーンコーティング材は、ポリシロキサン、例えばメチルハイドロジェンポリシロキサン、変性メチルハイドロジェンポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、又はアミノ変性ジメチルポリシロキサンなどである。当分野で周知のように、ケイ素を含む組成物は、繊維に直接適用されてもよいし、適用の前に溶液又は乳濁液(例えばポリシロキサンの水性乳濁液)として溶媒で希釈されてもよい。処理の後、コーティング材を乾燥及び/又は硬化させることができる。当分野で周知のように、触媒を使用してケイ素を含む組成物(例えばSi‐H結合を含むポリシロキサン)の硬化を速くすることが可能であり、かつ便宜のために、触媒がケイ素を含む組成物の乳濁液に添加されて、その結果生じた配合物が合成繊維を処理するために使用されてもよい。適切な触媒には、鉄、コバルト、マンガン、鉛、亜鉛、及びスズのカルボン酸塩、例えば酢酸塩、オクタン酸塩、ナフテン酸塩及びオレイン酸塩などが挙げられる。いくつかの実施形態では、シリコーン処理に続き、残存溶媒を除去するために繊維を乾燥させ、次いで場合により硬化のために65°~200℃に加熱する場合もある。
【0142】
いくつかの実施形態では、束10及び/又は束10により形成された個別の繊維充填材クラスター1の複数の繊維12は、複数の繊維12の総重量に基づいて0~100wt%(例えば0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100wt%)又はこの中のあらゆる範囲及び副範囲の、1以上の添加剤(例えば、米国特許出願公開第2018‐0313001号明細書に記載されたようなエアロゲル、米国特許出願公開第2020‐0141029号明細書に記載されたようなマイクロカプセルなど)を含有するポリマー繊維を含む。
【0143】
いくつかの実施形態では、複数の繊維は、複数の繊維の総重量に基づいて0~100wt%(例えば0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100wt%)又はこの中のあらゆる範囲及び副範囲の、望ましい化学物質でドープされた繊維を含む。本明細書中で使用されるように、用語「ドープされた」とは、繊維の中に(例えばポリマー繊維のポリマーマトリクス内に)組み込まれた1以上の望ましいドーパント(化学物質と呼ぶこともできる)が存在することを指す。いくつかの実施形態では、ドーパント/化学物質は繊維マトリクス内に均質に分散している。
【0144】
望ましい繊維の表面化学物質は当分野で良く知られている。本発明の実施形態は、表面に表面化学物質(例えば上記に議論されたようなシリコーン処理)が適用された繊維を含むが、複数の繊維はさらに(及び/又は別例として)望ましい化学物質をその中に含むように形成されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、複数の繊維は耐久撥水性(DWR)及び/又はシリコーンの化学物質でドープ済みである。これは例えば、溶融紡糸過程の際に液体ポリマーが紡糸口金を通過して繊維が形成される前に望ましい化学物質を液体ポリマーに加えることにより、及び/又は複数の繊維を形成するポリマーを官能化することにより、達成することができる。
【0145】
いくつかの実施形態では、複数の繊維はDWRの化学物質でドープされ、かつその結果としてある一定の望ましい性能属性を有する。例えば、いくつかの実施形態では、DWRでドープされた繊維は、乾燥を保った表面を有し、かつ/又は繊維のクラスター化に理想的な高い摩擦係数を有するだけでなく、湿潤時熱的性能(wet thermal performance)及び/又は可洗濯性向上に適した150wt%未満の低い水吸着性を有する。
【0146】
バインダー繊維は当分野で良く知られており、典型的には生成物(例えば繊維充填材)の中の1以上の他のポリマー繊維要素の軟化温度よりも低い接合温度を有する。いくつかの実施形態では、束10及び/又は束10により形成された個別の繊維充填材クラスター1の複数の繊維12はバインダー繊維を含有しない(すなわちバインダー繊維を欠いている)か、又は5wt%未満のバインダー繊維(例えば5、4、3、2、又は1wt%未満)を含有する。
【0147】
複数の繊維12に使用される繊維は断面に任意の所望の形状(例えば円形その他)を有することができる。
【0148】
複数の繊維12は、複数の繊維12の総重量に基づいて0~100wt%(例えば0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100wt%)又はこの中のあらゆる範囲及び副範囲の、中実繊維を含むことができる。複数の繊維12は、複数の繊維12の総重量に基づいて0~100wt%(例えば0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100wt%)又はこの中のあらゆる範囲及び副範囲の、中空繊維を含むことができる。いくつかの実施形態では、複数の繊維23は分割繊維を含む。
【0149】
本発明の繊維充填材クラスターの実施形態は、従来の装置を使用して吹込み可能、又は略して「吹込み可能(blowable)」である。「吹込み可能」とは繊維産業で一般に使用される用語であり、当業者は「従来の装置を使用して吹込み可能」が何を意味するのかを容易に理解している。「吹込み可能」という用語は、材料が従来の吹込み(又は「吹込み注入」)装置によって容易に処理され、かつ同装置から断熱材として物品(例えば衣類のポケット、チャネル、又はバッフル、寝具、寝袋など)の中へ注入されることが可能であることを指す。例えば、ダウン及び本発明の繊維充填材クラスターの実施形態は、その軽量で個別の構造により従来の装置を使用した吹込みに非常に適している一方、その他の多くの繊維充填材料は塊を作るか、互いに接着するか、従来の装置を詰まらせるか、又は他の処理上の困難をもたらし、よって吹込み不可能である。材料が吹込み可能であるかどうかを判断することは十分に繊維産業の当業者に可能な範囲内にあり、吹込み可能性に関して疑義がある場合、その材料を従来の装置で試験することにより簡単に答えが得られる。従来の吹込み装置は、例えば米国特許第6,329,051号明細書に記載されている。米国特許第6,329,051号明細書の開示内容とも一致するが、従来の吹込み用装置は一般的に、材料取込み(例えば、材料を例えば混合タンクのようなタンクから受け取ることができる計量システムを通した取込み)のための手段(例えばダクト)を有する吹込みシステムを備えている。吹込み可能な材料は、詰まりを起こさず、又は妨げとなるような静止抵抗などその他の問題を引き起こすことなく、材料取込み用の手段を容易に通り抜けることができる。材料はその後、ノズルを介してその意図された送り先の中へ吹込まれる。材料を物品に使用するために従来の吹込み装置で処理することができない場合、該材料は「従来の装置を使用して吹込み可能」(又は「吹込み可能」)ではないことは、当分野において周知である。
【0150】
繊維充填材クラスター1は、少なくとも一般的には、規則的又は不規則いずれの形状を形成してもよい。長手方向の整列を乱雑化する過程の構成(乱雑化する時間、乱雑化する機構、及び乱雑化パターンなど)並びに束10の構成(繊維12の数、繊維12のテクスチャ/非テクスチャ、及び繊維12の長さなど)が、クラスター1の形成時の形状に影響を及ぼしうることが分かっている。例えば、図6~26に示されるように、繊維充填材クラスター1は卵形又は楕円形状のような細長い形状を有することができる。いくつかの実施形態では、繊維充填材クラスター1はほぼ球形の形状を有することができる。
【0151】
いくつかの実施形態では、繊維充填材クラスター1は、長さL1、幅W1及び厚さT1を規定することができる。繊維充填材クラスター1は突出繊維又は伸びた繊維12によって形成されるので、繊維充填材クラスター1の寸法は、繊維12のうち最も遠くへ伸びた範囲、及び繊維12の範囲の平均又は繊維12の範囲の平均の近似値によって定義することができる。例えば、繊維充填材クラスター1の寸法は、特定の寸法又は方向に沿って最も遠い範囲まで及ぶ3本、5本、10本又は15本の繊維12を無視することにより計測されてもよい。
【0152】
いくつかの実施形態では、長さL1及び幅W1は、図14及び15に示されるように厚さT1より大きくてもよい。いくつかのそのような実施形態では、長さL1は、同じく図14及び15に示されるように幅W1より大きくてもよい。いくつかの実施形態では、個別の繊維充填材クラスター1の長さL1は、0.5cm~6.5cm(例えば0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、又は6.5cm)又はこの中のあらゆる範囲及び副範囲(例えば0.90~4cm)であってよい。
【0153】
いくつかの実施形態では、繊維充填材クラスター1の幅W1は、0.5cm~6.5cm(例えば0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、又は6.5cm)又はこの中のあらゆる範囲及び副範囲(例えば0.70~3cm)であってよい。
【0154】
いくつかの実施形態では、繊維充填材クラスターの厚さ(又は高さ)T1は、0.70~4cm(例えば0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、又は4.0cm)又はこの中のあらゆる範囲及び副範囲であってよい。いくつかの実施形態では、繊維充填材クラスター1は、長さL1を約0.90~約4cmの範囲内に規定することができる。いくつかの実施形態では、繊維充填材クラスター1は、幅L1を約0.70~約3cmの範囲内に規定することができる。
【0155】
いくつかの実施形態では、本発明の個別の繊維充填材クラスター1の体積は、0.125~12cm(例えば0.125、0.15、、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、10.1、10.2、10.3、10.4、10.5、10.6、10.7、10.8、10.9、11.0、11.1、11.2、11.3、11.4、11.5、11.6、11.7、11.8、11.9、又は12.0cm)又はこの中のあらゆる範囲及び副範囲(例えば0.80~12cm)であってよい。
【0156】
いくつかの実施形態では、本発明の個別の繊維充填材クラスターの重量は、0.2~3mg(例えば0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、又は3.0mg)又はこの中のあらゆる範囲及び副範囲であってよい。
【0157】
いくつかの実施形態では、本発明の個別の繊維充填材クラスターの密度は、0.08~0.70mg/cm(例えば0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.30、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.40、0.41、0.42、0.43、0.44、0.45、0.46、0.47、0.48、0.49、0.50、0.51、0.52、0.53、0.54、0.55、0.56、0.57、0.58、0.59、0.60、0.61、0.62、0.63、0.64、0.65、0.66、0.67、0.68、0.69、又は0.70mg/cm)又はこの中のあらゆる範囲及び副範囲(例えば0.10~0.50mg/cm)であってよい。
【0158】
図6~9、14、15及び20~26に示されるように、本開示の1つの態様では、残存部分16及び外側領域18を備えた本発明の個別の繊維充填材クラスター1が提供される。上記に説明されたように、クラスター1の残存部分16は、束10の繊維12のうちの一部が(乱雑化過程によって)乱雑化されるか又は束10から取り除かれた後の、繊維12の束10の一部分である。このように、残存部分16は束10それ自体の残部である。しかしながら、束10の形状、大きさ及び/又は構成は残存部分16を形成するための乱雑化過程によって改変可能であることが知られている。例えば、乱雑化過程によって束10を曲げるか又は成形して、図6~9、14、15及び20~26に示された様々な非直線的形状のような非直線的形状にすることができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、残存部分16は(その長手長さに沿って)ほぼ直線的に伸びることができる。別の例として、乱雑化過程は、束10の繊維12が乱雑化される前の束10と比較してあまり密集していないか又はあまり近接した位置/間隔でないように、束10を広げるように作用することもできる。例えば、図7及び8に示されるように、乱雑化過程は、例えば乱雑化過程が束10をごくわずかしか広げないように作用する場合の図6及び9に示された他のクラスター1と比較して、束10をかなり広げるように作用することができる。
【0159】
さらに図6~9、14、15及び20~26に示されかつ上述されたように、乱雑化過程は、束10の複数の繊維12のうちの一部を、残存部分16から3次元的に伸びて外側部分又は外側領域18を形成するように乱雑化する。外側領域18を形成している乱雑化された繊維12は、相互に及び/又は残存部分16の繊維12と共に交絡して(かつ潜在的にはある程度まで絡合されかつ撚り合されて)、個別の繊維充填材クラスター1が形成されるように、かつ該クラスターがその使用時(及び例えば洗濯の際)に単一の個別の単位としてまとまるようになっている。図6~9、14、15及び20~26に示されるように、外側領域18は束残存部分16よりも繊維12の密集が大幅に少ない(すなわち束残存部分16は外側領域18よりも繊維12がより密集している)。束残存部分16と外側領域18との組み合わせは、驚いたことに及び/又は予想外なことに、吹込み可能性、大きさ、重量、及び/又は密度、並びに他の特性という点でダウンを非常によく模倣する一方で、同時にダウンと比較して改善された用途及び可洗濯性を提供する、個別の繊維充填材クラスター1を形成する。
【0160】
図6に示されるように、いくつかの実施形態では、残存部分16はかなり長く、例えば繊維充填材クラスター1の長さの少なくとも約75%であってもよい。他のいくつかの実施形態では、図9に示されるように、残存部分16はかなり短く、例えば繊維充填材クラスター1の長さの約75%未満であってもよい。他のいくつかの実施形態では、図7及び8に示されるように、残存部分16は繊維充填材クラスター1の長さの約25%~約75%であってもよい。
【0161】
図10~13及び16~29に示されるように、本開示の1つの態様では、本発明の個別の繊維充填材クラスター1は、残存部分16は備えていないが、少なくとも1つの内側の比較的密集している繊維16の領域14と、少なくとも1つの内側の比較的密集している領域から3次元的に外側に向かって伸びる外側の比較的18密集していない繊維12の領域とを備えている。内側の比較的密集している領域14の繊維12は、図10~13及び16~29に示されるように、ランダム/非一様に伸び、かつ互いにランダム/非一様に交絡し、かつしたがって残存部分16のように繊維の長手長さに沿って共に整列(すなわち長手方向に共に整列)してはいない。乱雑化過程により、束10の繊維12の長手方向の整列は全て排除すなわち乱雑化され、かつ繊維12は互いに交絡せしめられ(かつ潜在的にはある程度まで絡合されかつ撚り合され)、かつ個別の繊維充填材クラスター1が、図10~13及び16~29に示されたように、内側の比較的密集した領域14と外側の比較的密集していない領域18とを備えて形成されるようになっている。内側の比較的密集した領域14及び外側の比較的密集していない領域18の繊維12は互いに交絡せしめられて(かつ潜在的にはある程度まで絡合されかつ撚り合されて)、その結果該繊維が、使用時(及び例えば洗濯の際)に単一の個別の単位としてまとまる個別の繊維充填材クラスター1を形成する。
【0162】
図10に示されるように、いくつかの実施形態では、個別の繊維充填材クラスター1は、内側の比較的密集した領域14と外側の比較的密集していない領域18との間に段階的移行部を備えていてもよい。別例として、図11~13に示されるように、いくつかの実施形態では、個別の繊維充填材クラスター1は、内側の比較的密集した領域14と外側の比較的密集していない領域18との間により明確又は識別可能な差異又は境界を備えていてもよい。
【0163】
図11及び12に示されるように、いくつかの実施形態では、内側の比較的密集した領域14及び外側の比較的密集していない領域18は、ほぼ同じ大きさ(例えば3次元的な大きさ、例えば長さ、幅及び/又は厚さ)であってよい。反対に、図13に示されるように、いくつかの実施形態では、内側の比較的密集した領域14が外側の比較的密集していない領域18よりもかなり小さい大きさ(例えば3次元的な大きさ、例えば長さ、幅及び/又は厚さ)であってもよい。
【0164】
いくつかの実施形態では、図11に示されるように、内側の比較的密集した領域14は、外側の比較的密集していない領域18よりもわずかに多く密集していてもよい(例えば密集の多さが約50%未満)。反対に、図12に示されるように、いくつかの実施形態では、内側の比較的密集した領域14は、外側の比較的密集していない領域18よりもかなり多く密集していてもよい(例えば密集の多さが約50%より高い)。
【0165】
いくつかの実施形態では、本発明は:0.2~12.0デニールであり長さが8~76mmの25~3600本の繊維を含む複数の繊維を含んでいる繊維充填材クラスターであって、前記複数の繊維はフィラメントヤーン(例えば交絡したフィラメントヤーン)から切り出されており、複数の繊維は、複数の繊維が互いに絡合している集合ニップ部分と;複数の繊維が互いに対してランダムかつ非一様な方向を向いている、集合ニップ部分から3次元的に外側に向かって伸びる繊維の少なくとも1つの外側領域とを形成し、かつ集合ニップ部分は、少なくとも1つの外側領域よりも高い密度の繊維を有する、繊維充填材クラスターを提供する。そのような実施形態は、例えば、集合ニップ部分が繊維束残部又は少なくとも1つの内側の比較的密集した繊維の領域にそれぞれ相当する、本発明の第2又は第3の態様に該当しうる。
【0166】
フィラメントは単一の長い糸のような連続した織物用繊維/ストランドである。長さに限界のあるステープル繊維とは異なり、フィラメントの長さは限定されず、数ヤード又は数マイルにわたることができる(又は例えば、ヤーンに使用される場合、ヤーンの全長にわたることができる)。いくつかの実施形態では、フィラメントの長さは5インチから数マイルの範囲、又はこの中のあらゆる範囲及び副範囲である。例えば、いくつかの実施形態では、フィラメントの長さは少なくとも5インチ(例えば少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100インチの長さ、又はこの中の任意の範囲及び副範囲)であってよい。いくつかの実施形態では、フィラメントの長さはは少なくとも1フィート(例えば少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800、810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990、又は1000フィートの長さ、又はこの中の任意の範囲及び副範囲)であってよい。
【0167】
フィラメントヤーンは、撚りの有無に関わらず集め合わされた複数の連続したフィラメントからなるヤーンである。
【0168】
いくつかの実施形態では、複数の繊維は、例えば、Baykalら、"The effects of intermingling process parameters and number of filaments on intermingled", The Journal of The Textile Institute, (英), 2013に記載されている交絡したフィラメントヤーンから切り出される。
【0169】
交絡したフィラメントヤーンは、典型的には、フィラメントヤーン(又はそのプレヤーン形態、例えば複数の長手方向に並んだフィラメント)を、空気ジェットを使用する空気交絡過程に供して、ヤーン内の結び目のような絡合した接続点である点在した集合ニップ部分(本明細書中では「ニップ」又は「ニップ部分」とも呼ばれる)を形成することによりフィラメント間抱合を付与することにより、形成される。交絡したヤーンの別の実施形態では、ニップは例えば、絡合したニップとは対照的に(ニップ中の繊維の少なくとも部分的な溶融から)互いに結合した繊維を有する融合ニップを形成する、(空気ジェットとは対照的な)パルスレーザーにより形成される。交絡したヤーンのそのような実施形態も本発明に使用することが可能である。いくつかのそのような実施形態では、結合した、及び/又は少なくとも部分的に溶融した繊維は、本発明のクラスターの1以上のニップ部分にしか存在しない。
【0170】
図27は、ヤーン内で等間隔に位置する複数の点在したニップ42を有する、テクスチャード加工された交絡したフィラメントヤーン100の一部分の拡大写真である。図示されたフィラメントヤーン100は、1メートル当たり99個のニップを有し、これはヤーンの長さ10.1mmごとに約1個のニップがあるということである。ニップは開繊部分44によって互いに隔てられている。
【0171】
本発明のいくつかの実施形態では、フィラメントヤーンは、均一間隔のニップを、1メートル当たりのニップが13~125個(例えば1メートル当たりのニップが13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、又は125個)又はこの中のあらゆる範囲及び副範囲であるニップ頻度で有する。
【0172】
図28は、複数のフィラメント12からなる扁平なフィラメントヤーン48の緩い束が、空気交絡に供されて、開繊部分44によって隔てられた均一間隔の点在ニップ42を有し、ニップ及び開繊部分が複数のフィラメント12からなる、交絡したフィラメントヤーン100を形成することを示す、簡略図である。
【0173】
交絡したフィラメントヤーンの実施形態(及び同様に本発明の繊維充填材クラスター)の中のニップは、ヤーンにフィラメント間抱合を付与する絡合構造を有する。いくつかのニップの実施形態の構造は、Miaoら、"Air interlaced yarn structure and properties", Textile Research Journal, (米), 1995, Vol. 65, p. 433-440において分析及び議論されている。当然ながら、交絡したフィラメントヤーンが例えばパルスレーザー使用して作製される場合、ニップは絡合構造ではなく複数のフィラメントが互いに結合した構造を有する。
【0174】
いくつかの実施形態では、ニップの大きさは0.1mm~8mm(例えば0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、又は8.0mm)又はこの中のあらゆる範囲及び副範囲(例えば0.4~3mm、0.5~2.5mmなど)である。
【0175】
図29は、1個のニップ42を有する交絡したフィラメントヤーンの切断片(「束」)140の実施形態の拡大写真である。そのような切断片(束とも呼ぶことができる)を、ニップ部分に隣接する複数の繊維12を乱雑化するための処理に供することにより、本発明の繊維充填材クラスターが形成される。
【0176】
図30は、1個のニップ42を有する本発明の繊維充填材クラスター160の実施形態の拡大写真である。図31は、1個のニップ42を有する本発明の繊維充填材クラスター180である別の実施形態の拡大写真である。一見して明白であるが、図4のクラスター実施形態が束の中央にニップを有する一方、図5のクラスター実施形態は束の外側部分にニップを有する。ニップは束の長さに沿って任意の場所に位置することができる。図にもあるように、本発明の繊維充填材クラスターは個別のクラスターであり、これはクラスターが1つ1つ分離した別個のクラスターであることを意味している。
【0177】
本発明の実施形態では、フィラメントヤーンの断片は1個の断片当たり1個又は2個のニップを有するように切断され、よってその結果生じる繊維充填材クラスターも同様に1個又は2個のニップを有する。好ましい実施形態では、断片は1個のニップを有するように切断され、よってその結果生じる繊維充填材クラスターは1個のニップを有する。
【0178】
図32は、2個のニップ42を有する本発明の繊維充填材クラスター200の実施形態の拡大写真である。
【0179】
図33Aは、交絡したフィラメントヤーン(左)及び該ヤーンから形成された本発明の実施形態による複数の繊維充填材クラスターの拡大写真である。図33B及び33Cは図33Aの繊維充填材クラスターの拡大写真である。図33Aに示されたヤーンは、複数の繊維、具体的には288本のフィラメント(各フィラメントのデニール数は1.04)で作られた、300デニールの交絡したフィラメントヤーン(ニップ部分を絡合させる空気ジェットによって形成)である。該ヤーンを切断して等しい長さの束とし、各々の束の中の集合ニップ部分に隣接する複数の繊維を乱雑化するための処理に供することにより、図中のクラスターが形成された。
【0180】
本明細書中で議論されるように、フィラメントヤーンを切断して図29に示した束140のような1以上の束とした後に(そのような束は束10に相当する実施形態と考えることができる)、この束を、ニップに隣接する複数の繊維を乱雑化するための処理に供することにより、ニップから3次元的に外側に向かって伸びる繊維の少なくとも1つの外側領域が形成される。繊維の少なくとも1つの外側領域では、複数の繊維は互いに対してランダムかつ非一様な方向を向いている。ニップ部分は、少なくとも1つの外側領域よりも高い密度の繊維を有する。図30を参照すると、繊維の2つの外側領域46がニップ42から3次元的に外側に向かって伸びている。図34は、交絡したフィラメントヤーンを切断して束を形成し、束を乱雑化して、ニップから3次元的に外側に向かって伸びる繊維の2つの外側領域(破線で示されている)を有する繊維充填材クラスター24を形成する過程を示す図である。
【0181】
図35は、ニップを末端部に備えて切断された束に由来する本発明のクラスター実施形態の図である。
【0182】
上記に議論されたように、本発明のいくつかの実施形態では、繊維充填材クラスターは交絡したフィラメントヤーンから形成される。例えば、いくつかの実施形態では、繊維充填材クラスターはテクスチャード加工された交絡フィラメントヤーンから形成され、したがって該クラスター内の複数の繊維はテクスチャード加工されている。他の実施形態では、繊維充填材クラスターはテクスチャード加工されていない交絡フィラメントヤーンから形成され、したがって該クラスター内の複数の繊維はテクスチャード加工されていない。
【0183】
本発明の繊維充填材クラスターのいくつかの実施形態では、ニップ内の繊維の絡合の結果、集合ニップ部分の中の複数の繊維はその長手長さに沿って非直線的に伸びる。ニップ内の絡合及び束が切り出された後の繊維の乱雑化の両方により、ニップは少なくとも1つの外側領域よりも高い密度の繊維を有する。
【0184】
いくつかの実施形態では、本発明は本明細書中に記載されるような複数の繊維充填材クラスターを提供する。
【0185】
複数の繊維充填材クラスターのいくつかの実施形態では、繊維充填材クラスターのうち少なくとも90%(例えば少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は99.5%)はその中に同数の繊維を有するか、又は平均繊維数の±10%(例えば複数の繊維充填材クラスターにおける平均繊維数の±10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1%)の範囲内にある同数の繊維を有する。複数の繊維充填材クラスターのいくつかの実施形態では、100%のクラスターがその中に同数の繊維を有するか、又は平均繊維数の±10%以内にある同数の繊維を有する。
【0186】
複数の繊維充填材クラスターのいくつかの実施形態では、繊維充填材クラスターのうち少なくとも90%(例えば少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は99.5%)はその中に同じ長さの繊維を有する。複数の繊維充填材クラスターのいくつかの実施形態では、100%のクラスターがその中に同じ長さの繊維を有する。
【0187】
複数の繊維充填材クラスターのいくつかの実施形態では、繊維充填材クラスターのうち少なくとも90%(例えば少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は99.5%)はその中に束残存部分(又はニップ)を1つしか有していない。
【0188】
本開示の別の態様では、複数の本発明の繊維充填材クラスターを含む断熱材又は充填用材料が提供される。断熱材又は充填用材料は、残存部分16と外側領域18とを備えた複数の個別の繊維充填材クラスター1、及び/又は内側領域14と外側領域18とを備えた複数の個別の繊維充填材クラスター1から形成される(例えば、前記クラスターを含む、前記クラスターから本質的に成る、又は前記クラスターから成る)ことが可能である。
【0189】
いくつかの実施形態では、断熱材又は充填用材料は、残存部分16と外側領域18とを備えた複数の個別の繊維充填材クラスター1から形成される(例えば、前記クラスターを含む、前記クラスターから本質的に成る、又は前記クラスターから成る)。いくつかの実施形態では、断熱材又は充填用材料は、内側領域14と外側領域18とを備えた複数の個別の繊維充填材クラスター1から形成される(例えば、前記クラスターを含む、前記クラスターから本質的に成る、又は前記クラスターから成る)。
【0190】
いくつかの実施形態では、断熱材又は充填用材料の複数の繊維充填材クラスター1は、第1の長さの繊維12から形成された第1の繊維充填材クラスター1と、第1の長さとは異なる第2の長さの繊維12から形成された第2の繊維充填材クラスター1とを含むことができる。いくつかの実施形態では、断熱材又は充填用材料の複数の繊維充填材クラスター1は、第1の総数の繊維12から形成された第1のクラスター1と、繊維の第1の総数とは異なる第2の総数の繊維12から形成された第2のクラスターとを含むことができる。
【0191】
いくつかの実施形態では、断熱材又は充填用材料の複数の繊維充填材クラスター1は、第1の合成材料の繊維12から形成された第1の繊維充填材クラスター1と、第1の合成材料とは異なる第2の合成材料の繊維12から形成された第2の繊維充填材クラスター1とを含むことができる。同様に、いくつかの実施形態では、断熱材又は充填用材料の複数の繊維充填材クラスター1は、第1のデニール数の繊維12から形成された第1の繊維充填材クラスター1と、第1のデニール数とは異なる第2のデニール数の繊維12から形成された第2の繊維充填材クラスター1とを含むことができる。
【0192】
いくつかの実施形態では、断熱材又は充填用材料の複数の繊維充填材クラスター1は、第1の大きさの繊維充填材クラスター1と、第1の大きさとは異なる第2の大きさの繊維充填材クラスター1とを含むことができる。同様に、いくつかの実施形態では、断熱材又は充填用材料の複数の繊維充填材クラスター1は、第1の3次元形状の繊維充填材クラスター1と、第1の3次元形状とは異なる第2の3次元形状の繊維充填材クラスター1とを含むことができる。いくつかの実施形態では、断熱材又は充填用材料の複数の繊維充填材クラスター1は、第1の密度範囲内にある繊維充填材クラスター1と、第1の密度範囲とは異なりかつ重複しない第2の密度範囲内にある繊維充填材クラスター1とを含むことができる。
【0193】
本開示の別の態様では、断熱材又は充填用材料(すなわち複数の個別の繊維充填材クラスター1)を具備する物品が提供される。いくつかの実施形態では、該物品は、履物、上着、衣類、寝袋、及び寝具から選択される。いくつかの実施形態では、該物品は、家庭用家具(例えば、掛け布団やキルトのような寝具、枕、クッション、布張りの椅子など)である。
【0194】
[節]
本発明の非限定的な実施形態について以下の節に述べる。
【0195】
節1. 0.2~12.0デニールでありかつ長さ8~160mmの複数の25~3600本の繊維の個別の束を得るステップであって、複数の繊維は共に長手方向に整列される、ステップと;
束の複数の繊維のうち少なくとも一部の長手方向の整列を乱雑化して、繊維が不規則に3次元的に伸びかつ交絡して、個別の繊維充填材クラスターを形成するようにする、ステップと
を含む、少なくとも1つの個別の繊維充填材クラスターを作製する方法。
【0196】
節2. 束の複数の繊維のうち少なくとも一部の長手方向の整列を乱雑化するステップは、束の複数の繊維のうち一部のみの長手方向の整列を乱雑化して、束の複数の繊維のうち束残存部分は共に長手方向に整列されたままであってかつ不規則に3次元的に伸びる繊維と交絡するようにすることを含む、節1に記載の方法。
【0197】
節3. 不規則に3次元的に伸びる繊維は、束残存部分から外側に向かって伸びる外側領域を形成する、節2に記載の方法。
【0198】
節4. 束残存部分は外側領域よりも高い密度の繊維を含む、節3に記載の方法。
【0199】
節5. 束の複数の繊維のうち少なくとも一部の長手方向の整列を乱雑化するステップは、束の複数の繊維全ての長手方向の整列を乱雑化して、複数の繊維のうち共に長手方向に整列されたままのものが全くないようにすることを含む、節1に記載の方法。
【0200】
節6. 束の複数の繊維全ての長手方向の整列を乱雑化することにより、少なくとも1つの内側の比較的密集した繊維の3次元領域と、少なくとも1つの内側の比較的密集した領域から3次元的に外側に向かって伸びる外側の比較的密集していない繊維の領域とが形成される、節5に記載の方法。
【0201】
節7. 束の複数の繊維のうち少なくとも一部の長手方向の整列を乱雑化するステップは、乱雑化された繊維のうち一部のみを交絡させて、乱雑化された繊維の一部は繊維充填材クラスターを形成し、かつ乱雑化された繊維の一部は繊維充填材クラスターを形成しないようにすることを含む、節1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0202】
節8. 束の複数の繊維のうち少なくとも一部の長手方向の整列を乱雑化するステップは、少なくとも1対の乱雑化部材の係合面どうしの間に束を配置して乱雑化面が束と接触するようにすることと、少なくとも1つの第1の乱雑化部材を、少なくとも1つの第2の乱雑化部材に対して、束の繊維の長手に沿った長手方向及び該長手方向に垂直な向きの横方向に沿った横方向の両方に伸びる経路に沿って、平行移動することとを含む、節1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0203】
節9. 乱雑化面の間の距離は乱雑化ステップの間はほぼ一定に維持される、節8に記載の方法。
【0204】
節10. 少なくとも1つの第1の乱雑化部材は、少なくとも最初の短時間は弓形の経路に沿って平行移動する;及び/又は
少なくとも1つの第1の乱雑化部材は、少なくとも最初の短時間は楕円形の経路に沿って平行移動する;及び/又は
少なくとも1つの第1の乱雑化部材は、少なくとも最初の短時間はランダムな軌道パターンに沿って平行移動する;及び/又は
係合面のうち少なくとも1つは、ほぼ平坦かつ平滑な表面を具備している;及び/又は
係合面のうち少なくとも1つは、ほぼ平面的に多数並んだ粒子又は突部を具備している、
節8又は9に記載の方法。
【0205】
節11. 束の複数の繊維のうち少なくとも一部の長手方向の整列を乱雑化するステップは、束を少なくとも1つの気体流及び/又は液体流に供することを含む、節8~10のいずれか1つに記載の方法。
【0206】
節12. 個別の束はフィラメントヤーンから得られ、かつ0.2~12.0デニール及び長さ8~76mmの複数の25~3600本の繊維を含む束であって、複数の繊維は共に長手方向に整列されており、前記繊維は複数の繊維が互いに絡合している集合ニップ部分を有しており;前記長手方向の整列を乱雑化するステップは、集合ニップ部分に隣接する複数の繊維を乱雑化することにより、集合ニップ部分から3次元的に外側に向かって伸びる繊維の少なくとも1つの外側領域を形成し、前記乱雑化ステップの後は、複数の繊維は互いに関してランダムかつ非一様な方向を向いており、かつ複数の繊維の束残存部分に相当する集合ニップ部分は、少なくとも1つの外側領域よりも高い密度の繊維を有する、節8~11のいずれか1つに記載の方法。
【0207】
節13. 前記長手方向の整列を乱雑化するステップは、束を
繊維開繊機における処理;
反毛機における処理;又は
空気処理
に供することを含む、節12に記載の方法。
【0208】
節14. 束を空気処理に供することは、束を空気タンブリングに供することを含む、節13に記載の方法。
【0209】
節15. 繊維充填材クラスターを形成する複数の繊維は交絡したフィラメントヤーンの断片に由来し、かつクラスターの集合ニップ部分は交絡したフィラメントヤーンの集合ニップ部分に相当し;
集合ニップ部分の中の複数の繊維は、その長手長さに沿って非直線的に伸び;かつ
クラスター内のいずれの繊維も互いに接合していない、
節12~14のいずれか1つに記載の方法。
【0210】
節16. 乱雑化ステップの前に、束の複数の繊維のうち少なくとも一部を束の長手長さに沿って少なくとも1つの地点で互いに接合して少なくとも1つの接合点を形成するステップをさらに含む、節1~14のいずれか1つに記載の方法。
【0211】
節17. 接合点は、少なくとも1つの接合点において繊維を互いに付着させるために、複数の繊維のうち少なくとも一部を少なくとも1つの地点において加熱することにより形成される、節16に記載の方法。
【0212】
節18. 複数の繊維のうち少なくとも一部を少なくとも1つの地点において加熱することは、少なくとも1つの地点の複数の繊維を、該繊維の融解温度を上回る温度の材料と接触させることを含む、節17に記載の方法。
【0213】
節19. 束の複数の繊維のうち少なくとも一部の長手方向の整列を乱雑化するステップは、乱雑化された繊維のうちの一部を互いに絡合させることを含む、節1~18のいずれか1つに記載の方法。
【0214】
節20. 乱雑化された繊維のうち約50%未満(例えば約25%未満)が、少なくとも1本の他の繊維と絡合される、節19に記載の方法。
【0215】
節21. 束の複数の繊維のうち少なくとも一部の長手方向の整列を乱雑化するステップは、乱雑化された繊維のうちの一部を撚り合わせることを含む、節1~20のいずれか1つに記載の方法。
【0216】
節22. 乱雑化された繊維のうち約50%未満(例えば約25%未満)が、少なくとも1本の他の繊維と撚り合わされる、節21に記載の方法。
【0217】
節23. 各々が0.2~12.0デニールでありかつ長さ8~160mmの複数の25~3600本の繊維の束である複数の個別の束であって、各々の束の複数の繊維が共に長手方向に整列されている束を得るステップと;
各々の束の複数の繊維のうち少なくとも一部の長手方向の整列を乱雑化して、繊維が不規則に3次元的に伸びかつ交絡して複数の個別の繊維充填材クラスターを形成するようにするステップと
を含む、節1~22のいずれか1つに記載の方法。
【0218】
節24. 前記乱雑化ステップの前は、束の複数の繊維はその長手長さに沿ってほぼ直線的に伸びている、節1~23のいずれか1つに記載の方法。
【0219】
節25. 束の複数の繊維はその長手長さに沿って互いにほぼ平行に伸びている、節1~24のいずれか1つに記載の方法。
【0220】
節26. 束の複数の繊維は、テクスチャード加工されていない繊維である、節1~25のいずれか1つに記載の方法。
【0221】
節27. 束はテクスチャード加工されていない交絡したフィラメントヤーンである、節26に記載の方法。
【0222】
節28. 束の複数の繊維はその長手長さに沿って非直線的に伸びている、節1~23のいずれか1つに記載の方法。
【0223】
節29. 束の複数の繊維はその長手長さに沿って不規則に伸びている、節1~23及び28のいずれか1つに記載の方法。
【0224】
節30. 束の複数の繊維はテクスチャード加工された繊維である、節1~25、28、及び29のいずれか1つに記載の方法。
【0225】
節31. 束はテクスチャード加工された交絡したフィラメントヤーンである、節30に記載の方法。
【0226】
節32. 束の複数の繊維は約50~約500本の繊維を含む、節1~31のいずれか1つに記載の方法。
【0227】
節33. 複数の繊維は約80~約300本の繊維を含む、節1~32のいずれか1つに記載の方法。
【0228】
節34. 束は繊維充填材クラスターよりも多くの繊維を含む、節1~33のいずれか1つに記載の方法。
【0229】
節35. 繊維充填材クラスターは、束の一部ではなかった少なくとも1本の副次的な繊維を含む、節1~34のいずれか1つに記載の方法。
【0230】
節36. 少なくとも1本の副次的な繊維は乱雑化ステップの間に繊維充填材クラスターの複数の繊維と交絡される、節35に記載の方法。
【0231】
節37. 複数の繊維は約0.7~約1.7デニールである、節1~36のいずれか1つに記載の方法。
【0232】
節38. 複数の繊維はほぼ同じデニール数を有する、節1~37のいずれか1つに記載の方法。
【0233】
節39. 束の複数の繊維は約20~約50mmの長手長さを有する、節1~38のいずれか1つに記載の方法。
【0234】
節40. 束の複数の繊維は耐久撥水剤又はシリコーン化学物質でドープされている、節1~39のいずれか1つに記載の方法。
【0235】
節41. 複数の繊維はほぼ同じ長さを有する、節1~40のいずれか1つに記載の方法。
【0236】
節42. 複数の繊維は合成ポリマー繊維である、節1~41のいずれか1つに記載の方法。
【0237】
節43. 複数の繊維は、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ乳酸、ポリアクリル酸ブチル、アクリル、アクリレート、アセテート、ポリオレフィン、ナイロン、レーヨン、リヨセル、アラミド、スパンデックス、ビスコース、及びモダール繊維、又はこれらの組み合わせから選択された繊維である、節1~42のいずれか1つに記載の方法。
【0238】
節44. 複数の繊維はポリエステル繊維である、節1~43のいずれか1つに記載の方法。
【0239】
節45. ポリエステル繊維は、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリ(ヘキサヒドロ‐p‐キシリレンテレフタラート)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)繊維、ポリトリメチレンテレフタラート(PTT)繊維、コポリエステル繊維(例えばPETの構造単位を含むコポリエステル繊維)、又はこれらの組み合わせから選択される、節44に記載の方法。
【0240】
節46. ポリエステル繊維はPET繊維である、節44に記載の方法。
【0241】
節47. 繊維は再生ポリマー材料を含む、節1~46のいずれか1つに記載の方法。
【0242】
節48. 複数の繊維はシリコーン処理された繊維を含む、節1~47のいずれか1つに記載の方法。
【0243】
節49. 複数の繊維はシリコーン処理されていない繊維を含む、節1~48のいずれか1つに記載の方法。
【0244】
節50. 複数の繊維は中実繊維を含む、節1~49のいずれか1つに記載の方法。
【0245】
節51. 複数の繊維は中空繊維を含む、節1~50のいずれか1つに記載の方法。
【0246】
節52. 繊維充填材クラスターは長さ、幅及び厚さを規定し、かつ長さ及び幅は厚さよりも大きい、節1~51のいずれか1つに記載の方法。
【0247】
節53. 長さは幅よりも大きい、節52に記載の方法。
【0248】
節54. 繊維充填材クラスターは長さ、幅及び厚さを規定し、かつ長さは約0.90~約4cmの範囲内にある、節1~53のいずれか1つに記載の方法。
【0249】
節55. 繊維充填材クラスターは長さ、幅及び厚さを規定し、かつ幅は約0.70~約3cmの範囲内にある、節1~54のいずれか1つに記載の方法。
【0250】
節56. 繊維充填材クラスターは約0.08~約0.70mg/cm3(例えば約0.10~約0.50mg/cm3)の密度を有する、節1~55のいずれか1つに記載の方法。
【0251】
節57. 繊維充填材クラスターはほぼ卵形の形状を画成する、節1~56のいずれか1つに記載の方法。
【0252】
節58. 繊維充填材クラスターはほぼ球形の形状を画成する、節1~51及び54~57のいずれか1つに記載の方法。
【0253】
節59. 束はフィラメントヤーンの断片である、節1~58のいずれか1つに記載の方法。
【0254】
節60. 束を得るステップはフィラメントヤーンから断片を切り出すことを含む、節59に記載の方法。
【0255】
節61. フィラメントヤーンはテクスチャード加工されたフィラメントヤーンである、節59又は60に記載の方法。
【0256】
節62. フィラメントヤーンは扁平なフィラメントヤーンである、節59又は60に記載の方法。
【0257】
節63. 0.2~12.0デニールでありかつ長さ8~160mmの25~3600本の繊維を含む、互いに交絡した複数の繊維を含み、
複数の繊維は、
共に長手方向に整列されている複数の繊維のうちの一部を含む束残存部分と;
互いに関してランダムかつ非一様な方向を向いている複数の繊維のうちの一部を含む、束残存部分から3次元的に外側に向かって伸びる繊維の外側領域と
を形成し、かつ
束残存部分は外側領域よりも高い密度の繊維を含む、
個別の繊維充填材クラスター。
【0258】
節64. 束残存部分は外側領域よりも少数の繊維を含む、節63に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0259】
節65. 束残存部分は外側領域よりも少なくとも25%(例えば少なくとも50%、又は少なくとも75%)少ない繊維を含む、節63又は64に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0260】
節66. 複数の繊維は交絡したフィラメントヤーンの断片に由来し、かつ個別の繊維充填材クラスターの束残存部分は交絡したフィラメントヤーンに由来する集合ニップ部分に相当する、節63~65のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0261】
節67. 束残存部分の複数の繊維は互いに絡合している、節66に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0262】
節68. 束残存部分はその長さに沿って非直線的に伸びる、節63~67のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0263】
節69. 束残存部分はフィラメントヤーンの断片の一部分である、節63~68のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0264】
節70. 束残存部分はテクスチャード加工されたフィラメントヤーンの断片の一部分である、節69に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0265】
節71. 束残存部分は扁平なフィラメントヤーンの断片の一部分である、節69に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0266】
節72. 束残存部分の複数の繊維はその長手長さに沿って互いにほぼ平行に伸びる、節63~71のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0267】
節73. 複数の繊維はテクスチャード加工されていない直線状の繊維である、節63~72のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0268】
節74. 複数の繊維はテクスチャード加工された直線状の繊維である、節63~72のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0269】
節75. 複数の繊維はその長手長さに沿って非直線的に伸びる、節63~74のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0270】
節76. 複数の繊維はその長手長さに沿って不規則に伸びる、節63~75のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0271】
節77. 外側領域の複数の繊維のうちの一部は、互いに又は束残存部分の少なくとも1本の繊維と共に絡合している、節63~76のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0272】
節78. 外側領域の複数の繊維のうち約50%未満が互いに又は束残存部分の少なくとも1本の繊維と共に絡合している、節77に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0273】
節79. 外側領域の複数の繊維のうち約25%未満が互いに又は束残存部分の少なくとも1本の繊維と共に絡合している、節77に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0274】
節80. 外側領域の複数の繊維のうち少なくとも一部が互いに又は束残存部分の少なくとも1本の繊維と共に撚り合わされている、節1~79のいずれかに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0275】
節81. 外側領域の複数の繊維のうち約50%未満が互いに又は束残存部分の少なくとも1本の繊維と共に撚り合わされている、節80に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0276】
節82. 外側領域の複数の繊維のうち約25%未満が互いに又は束残存部分の少なくとも1本の繊維と共に撚り合わされている、節80に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0277】
節83. 複数の繊維のうち少なくとも一部が互いに接合された少なくとも1つの接合点を含む、節63~82のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0278】
節84. 少なくとも1つの接合点は、残存部分の一部の繊維及び外側領域の一部の繊維を含む、節83に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0279】
節85. 少なくとも1つの接合点は、束残存部分の繊維の一部のみ及び外側領域の繊維の一部のみを含む、節83又は84に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0280】
節86. 繊維充填材クラスターは長さ、幅及び厚さを規定し、かつ長さ及び幅は厚さよりも大きい、節63~85のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0281】
節87. 長さは幅よりも大きい、節86に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0282】
節88. 繊維充填材クラスターは長さ、幅及び厚さを規定し、かつ長さは約0.90~約4cmの範囲内にある、節1~87のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0283】
節89. 繊維充填材クラスターは長さ、幅及び厚さを規定し、かつ幅は約0.70~約3cmの範囲内にある、節1~88のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0284】
節90. 繊維充填材クラスターはほぼ卵形の形状を画成する、節1~89のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0285】
節91. 繊維充填材クラスターはほぼ球形の形状を画成する、節63~85及び88~90のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0286】
節92. 複数の繊維は約0.7~約1.7デニールである、節63~91のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0287】
節93. 複数の繊維はほぼ同じデニール数を有する、節63~92のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0288】
節94. 束の複数の繊維は約20~約50mmの長手長さを有する、節63~93のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0289】
節95. 束残存部分の複数の繊維はほぼ同じ長手長さを有する、節63~94のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0290】
節96. 複数の繊維はほぼ同じ長さを有する、節63~95のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0291】
節97. 繊維充填材クラスターは約0.08~約0.70mg/cm3(例えば約0.10~約0.50mg/cm3)の密度を有する、節63~96のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0292】
節98. 複数の繊維は約50~約500本の繊維を含む、節63~97のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0293】
節99. 複数の繊維は約80~約300本の繊維を含む、節63~98のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0294】
節100. 複数の繊維は合成ポリマー繊維である、節63~99のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0295】
節101. 複数の繊維は、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ乳酸、ポリアクリル酸ブチル、アクリル、アクリレート、アセテート、ポリオレフィン、ナイロン、レーヨン、リヨセル、アラミド、スパンデックス、ビスコース、及びモダール繊維、又はこれらの組み合わせから選択された繊維である、節63~100のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0296】
節102. 複数の繊維はポリエステル繊維である、節63~101のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0297】
節103. ポリエステル繊維は、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリ(ヘキサヒドロ‐p‐キシリレンテレフタラート)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)繊維、ポリトリメチレンテレフタラート(PTT)繊維、コポリエステル繊維(例えばPETの構造単位を含むコポリエステル繊維)、又はこれらの組み合わせから選択される、節102に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0298】
節104. ポリエステル繊維はPET繊維である、節102に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0299】
節105. 繊維は再生ポリマー材料を含む、節63~104のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0300】
節106. 複数の繊維はシリコーン処理された繊維を含む、節63~105のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0301】
節107. 複数の繊維はシリコーン処理されていない繊維を含む、節63~106のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0302】
節108. 複数の繊維は中実繊維を含む、節63~107のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0303】
節109. 複数の繊維は中空繊維を含む、節63~108のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0304】
節110. 0.2~12.0デニールでありかつ長さ8~160mmの25~3600本の繊維を含んでいる、互いにランダムに交絡した複数の繊維を含み、
複数の繊維は互いに関してランダムかつ非一様な方向を向いており、
複数の繊維は、
少なくとも1つの内側の比較的密集した繊維の領域と;
少なくとも1つの内側の比較的密集した領域から3次元的に外側に向かって伸びる外側の比較的密集していない繊維の領域と
を形成し、かつ
長さ0.5cm~6.5cm、幅0.5cm~6.5cm、及び密度0.08~0.70mg/cm3.mg/cm3である、
個別の繊維充填材クラスター。
【0305】
節111. 内側領域は外側領域よりも少ない繊維(例えば外側領域よりも少なくとも25%又は少なくとも50%少ない繊維)を含む、節110に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0306】
節112. 外側領域は内側領域よりも少ない繊維(例えば内側領域よりも少なくとも25%又は少なくとも50%少ない繊維)を含む、節110に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0307】
節113. 複数の繊維はその長さに沿って非直線的に伸びる、節111~112のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0308】
節114. 複数の繊維はテクスチャード加工されていない繊維である、節110~113のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0309】
節115. 複数の繊維はテクスチャード加工された繊維である、節110~113のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0310】
節116. 複数の繊維は交絡したフィラメントヤーンの断片に由来し、かつ個別の繊維充填材クラスターの少なくとも1つの内側の比較的密集した繊維の領域は交絡したフィラメントヤーンに由来する集合ニップ部分に相当する、節110~115のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0311】
節117. 少なくとも1つの内側の比較的密集した繊維の領域の複数の繊維は互いに絡合している、節116に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0312】
節118. クラスター内の繊維はいずれも互いに接合されていない、節116又は節117に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0313】
節119. 束の複数の繊維は耐久撥水剤又はシリコーン化学物質でドープされている、節1~118のいずれか1つに記載の方法。
【0314】
節120. 複数の繊維のうちの一部は互いに絡合している、節110~119のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0315】
節121. 複数の繊維のうち約50%未満が互いに絡合している、節120に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0316】
節122. 複数の繊維のうち約25%未満が互いに絡合している、節120に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0317】
節123. 複数の繊維のうち一部が互いに撚り合されている、節110~122のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0318】
節124. 複数の繊維のうち約50%未満が互いに撚り合されている、節123に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0319】
節125. 複数の繊維のうち約25%未満が互いに撚り合されている、節123に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0320】
節126. 複数の繊維のうち少なくとも一部が互いに接合された少なくとも1つの接合点を含む、節110~117又は119~125のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0321】
節127. 少なくとも1つの接合点は、内側領域の一部の繊維及び外側領域の一部の繊維を含む、節126に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0322】
節128. 少なくとも1つの接合点は、内側部分の繊維のうち一部のみ及び外側領域の繊維のうち一部のみを含む、節126又は節127に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0323】
節129. 繊維充填材クラスターは長さ、幅及び厚さを規定し、かつ長さ及び幅は厚さよりも大きい、節110~128のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0324】
節130. 長さは幅よりも大きい、節129に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0325】
節131. 繊維充填材クラスターは長さ、幅及び厚さを規定し、かつ長さは約0.90~約4cmの範囲内にある、節110~130のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0326】
節132. 繊維充填材クラスターは長さ、幅及び厚さを規定し、かつ幅は約0.70~約3cmの範囲内にある、節110~131のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0327】
節133. 繊維充填材クラスターはほぼ卵形の形状を画成する、節110~132のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0328】
節134. 繊維充填材クラスターはほぼ球形の形状を画成する、節110~128及び131~132のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0329】
節135. 複数の繊維は約0.7~約1.7デニールである、節110~134のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0330】
節136. 複数の繊維はほぼ同じデニール数を有する、節110~135のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0331】
節137. 束の複数の繊維は約20~約50mmの長手長さを有する、節110~136のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0332】
節138. 複数の繊維はほぼ同じ長手長さを有する、節110~137のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0333】
節139. 繊維充填材クラスターは約0.10~約0.50mg/cm3の密度を有する、節110~138のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0334】
節140. 複数の繊維は約50~約500本の繊維を含む、節110~139のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0335】
節141. 複数の繊維は約80~約300本の繊維を含む、節110~140のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0336】
節142. 複数の繊維は合成ポリマー繊維である、節110~141のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0337】
節143. 複数の繊維は、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ乳酸、ポリアクリル酸ブチル、アクリル、アクリレート、アセテート、ポリオレフィン、ナイロン、レーヨン、リヨセル、アラミド、スパンデックス、ビスコース、及びモダール繊維、又はこれらの組み合わせから選択された繊維である、節110~142のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0338】
節144. 複数の繊維はポリエステル繊維である、節110~143のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0339】
節145. ポリエステル繊維は、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリ(ヘキサヒドロ‐p‐キシリレンテレフタラート)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)繊維、ポリトリメチレンテレフタラート(PTT)繊維、コポリエステル繊維(例えばPETの構造単位を含むコポリエステル繊維)、又はこれらの組み合わせから選択される、節144に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0340】
節146. ポリエステル繊維はPET繊維である、節144に記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0341】
節147. 繊維は再生ポリマー材料を含む、節110~146のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0342】
節148. 複数の繊維はシリコーン処理された繊維を含む、節110~147のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0343】
節149. 複数の繊維はシリコーン処理されていない繊維を含む、節110~148のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0344】
節150. 複数の繊維は中実繊維を含む、節110~149のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0345】
節151. 複数の繊維は中空繊維を含む、節110~150のいずれか1つに記載の個別の繊維充填材クラスター。
【0346】
節152. 節63~151のいずれか1つに記載の複数の個別の繊維充填材クラスターを含む、断熱材又は充填用材料。
【0347】
節153. 節63~109のいずれか1つに記載の複数の第1の個別の繊維充填材クラスターと、節110~151のいずれか1つに記載の複数の第2の個別の繊維充填材クラスターとを含む、節152に記載の断熱材又は充填用材料。
【0348】
節154. 節63~109のいずれか1つに記載の複数の個別の繊維充填材クラスターから成る、節152に記載の断熱材又は充填用材料。
【0349】
節155. 節110~151のいずれか1つに記載の複数の個別の繊維充填材クラスターから成る、節152に記載の断熱材又は充填用材料。
【0350】
節156. 複数の繊維充填材クラスターは、第1の長さの繊維から形成された第1の繊維充填材クラスターと、第1の長さとは異なる第2の長さの繊維から形成された第2の繊維充填材クラスターとを含む、節152~155のいずれか1つに記載の断熱材又は充填用材料。
【0351】
節157. 複数の繊維クラスターは、第1の繊維総数から形成された第1のクラスターと、第1の繊維総数とは異なる第2の繊維総数から形成された第2のクラスターとを含む、節152~156のいずれか1つに記載の断熱材又は充填用材料。
【0352】
節158. 複数の繊維充填材クラスターは、第1の合成材料の繊維から形成された第1の繊維充填材クラスターと、第1の合成材料とは異なる第2の合成材料の繊維から形成された第2の繊維充填材クラスターとを含む、節152~157のいずれか1つに記載の断熱材又は充填用材料。
【0353】
節159. 複数の繊維充填材クラスターは、第1のデニール数の繊維から形成された第1の繊維充填材クラスターと、第1のデニール数とは異なる第2のデニール数の繊維から形成された第2の繊維充填材クラスターとを含む、節152~158のいずれか1つに記載の断熱材又は充填用材料。
【0354】
節160. 複数の繊維充填材クラスターは、第1の大きさの繊維充填材クラスターと、第1の大きさとは異なる第2の大きさの繊維充填材クラスターとを含む、節152~159のいずれか1つに記載の断熱材又は充填用材料。
【0355】
節161. 複数の繊維充填材クラスターは、第1の3次元形状の繊維充填材クラスターと、第1の3次元形状とは異なる第2の3次元形状の繊維充填材クラスターとを含む、節152~160のいずれか1つに記載の断熱材又は充填用材料。
【0356】
節162. 複数の繊維充填材クラスターは、第1の密度範囲内にある繊維充填材クラスターと、第1の密度範囲とは異なりかつ重複しない第2の密度範囲の繊維充填材クラスターとを含む、節152~161のいずれか1つに記載の断熱材又は充填用材料。
【0357】
節163. 節63~151のいずれか1つに記載の複数の個別の繊維充填材クラスター又は節152~162のいずれか1つに記載の断熱材若しくは充填用材料を含む物品。
【0358】
節164. 物品は、履物、上着、衣類、寝袋、及び寝具から選択される、節163に記載の物品。
【0359】
本発明について、以降の実施例に記載された具体的な実施形態を参照することによりここで例証するが、本発明を限定するものではない。
【実施例
【0360】
本発明について、以降の実施例に記載された具体的な実施形態を参照することによりここで例証するが、本発明を限定するものではない。
【0361】
≪実施例1≫
本発明の個別の繊維充填材クラスターの個々の実施形態及びダウンクラスター(1000フィルパワー(FP)のグースダウンの羽毛及び550FPのダックダウンの羽毛)について比較試験を実施した。本発明の個別の繊維充填材クラスターは、ほぼ平行に整列した(すなわち長手方向に整列した/並んだ)、1フィラメント当たりのデニール数(dpf)が約1.10の136本のフィラメント(よって束の総デニール数は約150)の、延伸加工されたポリエステルのヤーン又はトウを得ることにより準備した。このヤーンを切断して複数の長さ1”、2”、及び4”の長手方向に並んだ繊維束を用意した。さらに、追加の本発明の個別の繊維充填材クラスターは、ほぼ平行に整列した(すなわち長手方向に整列した/並んだ)、1フィラメント当たりのデニール数(dpf)が約2.08の96本のフィラメント(よって束の総デニール数は約200)の、延伸加工されたポリエステルのヤーン又はトウを得ることにより準備した。次いで本発明の個別の繊維充填材クラスターを、2つの乱雑化部材の間で乱雑化して複数の個別の繊維充填材クラスターを形成した。1”の1.1dpfの繊維束クラスターを長さ、幅、高さ(heigh)、及び体積に関して試験し、2”の1.1dpfの繊維束クラスター、4”の1.1dpfの繊維束クラスター及び2”の2.08dpfの繊維束クラスターについても試験した。ダウンのクラスターについても同様に試験した。各々の種類のクラスターについての結果を平均し、表Iにおいて以下に示す。
【表1】
【0362】
≪実施例2≫
重量及び体積の試験を、実施例1のサンプルについて(1個のクラスター及びクラスター10個の群の両方について)実施した。結果を表IIにおいて以下に示す。「1個(g)」の重量(g)計測値及び「密度(g/cm)」の密度計測値は、試験した10個の平均値を基にした1個についての計測平均値である。
【表2】
【0363】
なお、表IIに示されるように、4”の1.1dpfの合成クラスターは1,000FPのグースダウンの羽毛と比較して約27%密度が高いという結果であり、2”の1.1dpfの合成クラスターは550FPのグースダウンの羽毛と比較して約17%密度が高いという結果であり、かつ2”の2.08dpfの合成クラスターは1,000FPのグースダウンの羽毛と比較して約17%密度が低いという結果であった。
【0364】
当業者には容易に理解されるように、実施例において試験した特性は個別の繊維充填材クラスターを構成する繊維に応じて大きく変わりうるものであり、かつ先述の実施例は非限定的なものである。
【0365】
本明細書中で使用される専門用語は、特定の実施形態について説明するためのものにすぎず、本発明を限定するようには意図されていない。本明細書中で使用されるように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈がそうでないことを明白に示していないかぎり、複数形も含むように意図されている。用語「含む、具備する(comprise)」(及び該用語の任意の形態、例えば「含む(comprise)」及び「含んでいる(comprising)」)、「有する(have)」(及び該用語の任意の形態、例えば「有する(has)」及び「有している(having)」)、「備える、含む(include)」(及び該用語の任意の形態、例えば「備える(includes)」及び「備えている(including)」)、「含有する(contain)」(及び該用語の任意の形態、例えば「含有する(contains)」及び「含有している(containing)」)、並びにこれらの任意の他の文法的別形がオープンエンド(open-ended)の連結動詞であることも、さらに理解されよう。その結果、1以上のステップ又は要素を「含む」、「有する」、「備える」又は「含有する」方法又は物品は、その1以上のステップ又は要素を所有するが、その1以上のステップ又は要素のみを所有するようには限定されない。同様に、1以上の特徴を「含む」、「有する」、「備える」又は「含有する」、方法のステップ又は物品の要素は、その1以上の特徴を有するが、その1以上の特徴のみを所有するようには限定されない。
【0366】
本明細書中で使用されるように、用語「含んでいる(comprising)」、「有する(has)」、「備えている(including)」、「含有する(contains)」、及びこれらの他の文法的別形は、用語「~から成る(consisting of)」及び「本質的に~から成る(consisting essentially of)」を包含する。
【0367】
「本質的に~から成る」という語句、又はその文法的別形は、本明細書中で使用される場合、明示された特徴、整数、ステップ又は構成要素を指定しているとみなされるが、1以上のさらなる特徴、整数、ステップ、構成要素又はこれらの集まりが特許請求の範囲に記載された組成物又は方法の基本的かつ新規な特性を実質的に変更しない場合に限り、その追加の特徴、整数、ステップ、構成要素又はこれらの集まりが追加されることを排除しない。
【0368】
近似用語は、本明細書中で開示内容全体にわたって使用されるように、許容範囲で変化することがありうる任意の量的表現について、該表現が関係する基本機能に変化をもたらすことなく修飾するために適用することができる。従って、「約(about)」又は「ほぼ(substantially)」のような用語で修飾された値は、指定された正確な値に限定されない。例えば、これらの用語は、±5%以下、例えば±2%以下、例えば±1%以下、例えば±0.5%以下、例えば±0.2%以下、例えば±0.1%以下、例えば±0.05%以下などを指すことができる。いくつかの実例では、近似用語は、値を計測する機器の精度に相当する場合もある。
【0369】
本明細書中で引用された全ての出版物は、個々の出版物がそれぞれ、あたかも全体が記述されているかのようにして参照により本願に組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように、参照により本願に組み込まれる。
【0370】
参照により組み込まれた対象事項は、特に明確な指示のないかぎり、何らかの特許請求の範囲の限定要素の代替であるとはみなされない。
【0371】
本明細書全体にわたって1以上の範囲について言及される場合、各々の範囲は情報を提示するための簡略化した書式であるように意図されており、この場合その範囲は、範囲内にある各々の個別の点を、あたかもそれらが本明細書中に逐一記載されているかのように包含するものと理解される。
【0372】
本発明のいくつかの態様及び実施形態について本明細書中に説明及び図示してきたが、同じ目的を成し遂げるために当業者は別例の態様及び実施形態を選ぶこともできる。従って、本開示及び添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨及び範囲に含まれる全てのそのような追加かつ別例の態様及び実施形態を網羅するように意図されている。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33A
図33B
図33C
図34
図35
【国際調査報告】