(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】容器から滅菌コンポーネントを移送するための可撓性胴部と剛性支持体との配置
(51)【国際特許分類】
A61L 2/26 20060101AFI20240730BHJP
A61M 5/00 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
A61L2/26
A61M5/00 512
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577872
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2024-02-14
(86)【国際出願番号】 EP2022066571
(87)【国際公開番号】W WO2022263635
(87)【国際公開日】2022-12-22
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】310021434
【氏名又は名称】ベクトン ディキンソン フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エイメリー,アナイス
(72)【発明者】
【氏名】ル ロッホ,クレモンティーヌ
【テーマコード(参考)】
4C058
4C066
【Fターム(参考)】
4C058AA12
4C058CC05
4C058EE26
4C066KK19
(57)【要約】
滅菌されたコンポーネントを容器から移送ポートを通して滅菌チャンバ内に移送するためのアセンブリであって、剛性支持体(70)と可撓性胴部(80)を含む。剛性支持体(70)は、実質的に環状で、第1端(76)と第2端(78)と第2端(78)に近接するシール面(72)とを含み、第2端(78)の外径は第1端(76)の外径よりも大きい。さらに、可撓性胴部(80)は、実質的に管状で、第1端部(82)と第2端部(84)を含み、第1端部(82)は開口し、第2端部(84)は剛性支持体(70)のシール面(72)に結合されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
滅菌されたコンポーネントを、容器から移送ポートを通して滅菌チャンバ内に移送するためのアセンブリであって、
剛性支持体(70)と、
可撓性胴部(80)と、を含み、
前記剛性支持体(70)は、実質的に環状であって、第1端(76)と、第2端(78)と、前記第2端(78)に近接するシール面(72)と、を含み、前記第2端(78)の外径は、前記第1端(76)の外径よりも大きく、
前記可撓性胴部(80)は、実質的に管状であって、第1端部(82)と、第2端部(84)と、を含み、前記第1端部(82)は開口し、前記第2端部(84)は前記剛性支持体(70)の前記シール面(72)に結合されている、
ことを特徴とするアセンブリ。
【請求項2】
前記剛性支持体(70)は、複数の滅菌されたコンポーネント(58)を保持するように構成された移送容器(50)のコネクタ(60)の内面壁(64)と選択的かつ摺動可能に係合するように構成されている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記可撓性胴部(80)は、前記コネクタ(60)の第1側であって前記移送容器(50)の可撓性バッグ(52)内の第1位置から、前記コネクタ(60)の第2側であって前記移送容器(50)の前記可撓性バッグ(52)の外側の第2位置まで、選択的に延伸されるように構成されている、請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記剛性支持体(70)の外面は、前記第1端(76)と前記第2端(78)との間で長手方向に延在する複数のリブ(74)を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記剛性支持体(70)の前記第2端(78)の前記外径は、前記コネクタ(60)の環状ネック(62)の外径以下である、請求項2から4のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記可撓性胴部(80)の前記第2端部(84)は、回転封止部、スナップフィット接続、又は、前記胴部(80)の前記第2端部(84)を覆って延在する剛性リング、のうちの1つによって、前記剛性支持体(70)の前記シール面(72)に結合されている、請求項1から5のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記第2端部(84)と前記シール面(72)との間の前記回転封止部は、熱シール又は接着シールのうちの1つによって形成されている、請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記剛性支持体(70)は、蒸気滅菌、ガンマ線滅菌、又は、エチレンオキシド滅菌である、滅菌に適した材料で形成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記剛性支持体(70)は、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、又は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)のうちの1つで形成されている、請求項8に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記可撓性胴部(80)は、蒸気滅菌、ガンマ線滅菌、又は、エチレンオキシド滅菌である、滅菌に適した材料で形成されている、請求項1から9のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記可撓性胴部(80)は、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、熱可塑性エラストマー(TPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、又は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のうちの1つで形成されている、請求項10に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記可撓性胴部(80)は、前記剛性支持体(70)に対して、折畳み可能又は巻かれ可能のうちの少なくとも1つである、請求項1から11のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記第1端部(82)から前記第2端部(84)までの前記可撓性胴部(80)の長さは、35から60cmの間である、請求項1から12のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記可撓性胴部(80)は、前記剛性支持体(70)の第1側における第1の収容された配列から、前記剛性支持体(70)の第2側における第2の縦長の配列に、延伸するように構成されている、請求項1から13のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項15】
前記可撓性胴部(80)は、前記第1の収容された配列から前記第2の縦長の配列に延伸するときに、前記剛性支持体(70)を通過するように構成されている、請求項14に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月18日に出願された「容器から滅菌コンポーネントを移送するための、可撓性胴部と剛性支持体との配置」と題する欧州出願第21305840.7号の優先権を主張し、その全体の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般的には、例えば医療デバイスにおいて使用される滅菌コンポーネントのパッケージング及び移送に関する。より詳細には、本開示は、容器(すなわち、バッグ)と結合して使用される、可撓性胴部と剛性支持体との配置に関し、当該容器は、滅菌されたコンポーネント(例えば、プランジャーストッパー)を当該容器から滅菌バイオ医薬チャンバ内に移送するための容器である。
【背景技術】
【0003】
当該技術分野で知られているように、薬剤、薬品又はワクチンを供給するための移送又は格納機器(例えば、注射器など)は、プランジャーロッドによって当該機器内に物質を引き込む(又は当該機器から物質を排出する)ために、一般的に管状の注射筒の内面と接触しているプランジャーストッパーを利用する。
【0004】
現在、そのような機器の多くは、自動充填マシンを使用して充填され、組み立てられる。そのようなマシンは、生産性及び精度を向上させるだけでなく、実質的に滅菌かつ無菌の充填環境を提供する。機器の様々な構成要素(例えば、プランジャーストッパー、注射筒など)は、充填マシンに別々に供給され、少なくとも、あるレベルの自動組立を可能にする。
【0005】
一般に、複数のプランジャーストッパーは、まず、組立て前に充填マシンによって接近される実質的に可撓性のバッグ内又は同様の容器内に提供される。バッグ及びその内容物は、例えば、ガンマ線照射、蒸気などによって滅菌される。このように、プランジャーストッパーは、第1の滅菌環境(すなわち、滅菌されたバッグ)から第2の滅菌環境(すなわち、滅菌充填マシン)に直接移送されることが可能である。
【0006】
図1A~
図1Cを参照すると、従来技術に係るそのような移送配置の一例が示されている。
図1Aに示されるように、バイオ医薬システム10は、「インサイドオープン」のシステムとして構成され、システム10の側壁に位置する移送ポート12は、回転可能なハンドル16を介して内側から開けることができる密閉ドア14を含む。ハンドル16は、システム10の別の側壁の開口部20から延びる一体化された手袋18を使って操作者によって利用可能である。このように、ドア14自体は、開閉プロセスの間、無菌環境に留まり、システム10内の汚染の機会を少なくしている。
【0007】
図1A~
図1Cには示されていないが、ドア14が開かれてシステム10内への滅菌されたコンポーネントの移送を開始する前に、滅菌されたコンポーネントを収容しているバッグが、例えば磁気コネクタ、ツイストロックコネクタ等によって、移送ポート12の外側に面する部分に取り付けられる。バッグのアクセス蓋(又はドア)は、バッグが移送ポート12に固定されたときに、ドア14に連結され、それによって、バッグの蓋が、システム10のドア14が開くと同時に取り外されることを可能にしている。このように、バッグ内の滅菌されたコンポーネントは、汚染を導き得る外部空気又は外部表面にさらされることなく、システム10内に移送され得る。
【0008】
しかしながら、この構成にもかかわらず、移送ポート12は、コンポーネントの移送プロセスの前に外部汚染物質にさらされる可能性がある部分を含む可能性があり、この部分は、「クリティカルゾーン」又は「懸念のリング」として一般に知られている。
図1Bを参照すると、移送ポート12へのバッグの接続の前、「懸念のリング」(すなわち、リング24)は、移送中にバッグの内容物が汚染されることを導き得る周囲雰囲気と接触し得る。したがって、このような汚染を回避するために、外側バッグ及び内側バッグを含む移送バッグが開発されており、内側バッグは、移送中にリング24からコンポーネントを保護するために、並びに、システム10内の所望の場所にコンポーネントをより良く導くために、伸長可能なスリーブとして機能するように構成されている。そのようなバッグの例は、米国特許出願公開第2019/0274922号に示され説明されている。
図1Bを参照すると、ドア14が開けられると、内側バッグ22が、操作者によって触れられて移送ポート12を通して引かれ、それによって、リング24を覆うことができる。
図1Cに示されるように、内側バッグ22が完全に伸長された後、コンポーネント26(例えば、プランジャーストッパー)は、システム10内の振動ボウルなどの容器28に導かれ得、それによって、リング24に対してバイパスをつけることができる。
【0009】
米国特許出願公開第2019/0274922号に記載されているような移送バッグは、コンポーネントの移送中に、汚染された可能性を有する表面を回避することと、例えばシステム内の容器へのコンポーネントの移動を補助することと、の両方に効果的であるが、このようなバッグは、典型的には製造が複雑かつ高価である。このような構造は、内側バッグと外側バッグの内部との間の複雑な溶接を必要とする。したがって、これらの欠点を克服するために、代替の移送バッグが考案されている。そのようなバッグの1つの構成は、剛性リングを含み、当該剛性リングは、バッグの取り外し可能な蓋に又は当該蓋の近くに配置され、当該剛性リングは、蓋が取り外されるまで、バッグ内に留まる(したがって、滅菌である)。バッグが移送ポートに結合されると、剛性リングは、移送ポートの「クリティカルゾーン」又は「懸念のリング」を効果的に覆うようにバッグから押し出されるか又は他の方法で移動されることが可能であり、コンポーネントが、この汚染された可能性を有するリング表面と接触することから保護される。そのようなバッグ構成は、(
図1A~1Cに示されるような)「インサイドオープン」の構成、又は、移送ポートのドアがシステムの外側から操作者によって操作されて開放される「アウトサイドオープン」な構成、を有するシステムでも使用可能であり得る。
【0010】
しかしながら、上述の移送バッグは、製造の複雑さやコストなどに関して米国特許出願公開第2019/0274922号に示され説明されているものの欠点を回避することができるが、剛性リングのみを含む移送バッグは、システム内の容器にコンポーネントを案内することを助けるスリーブ又は他の特徴を含まない。多くの場合、コンポーネントを移送ポート開口部から容器へ案内することが望ましく、おそらくは必要でさえある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記を考慮すると、滅菌かつ無菌のバイオ医薬チャンバ内でコンポーネントを移送ポートから容器へ移送することを補助するために、移送バッグと結合して使用される、可撓性胴部と剛性支持体との構成が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の実施形態は、滅菌されたコンポーネントを容器から移送ポートを通して滅菌チャンバ内に移送するためのアセンブリを対象とする。アセンブリは、剛性支持体と、可撓性胴部と、を含む。剛性支持体は、実質的に環状であって、第1端と、第2端と、第2端に近接するシール面と、を含む。第2端の外径は、第1端の外径よりも大きい。また、可撓性胴部は、実質的に管状であって、第1端部と、第2端部と、を有し、第1端部は、開口し、第2端部は、剛性支持体のシール面に結合されている。
【0013】
いくつかの実施形態では、剛性支持体は、複数の滅菌されたコンポーネントを保持するように構成された移送容器のコネクタの内面壁と選択的かつ摺動可能に係合するように構成されている。
【0014】
いくつかの実施形態では、可撓性胴部は、コネクタの第1側であって移送容器の可撓性バッグ内の第1位置から、コネクタの第2側であって移送容器の可撓性バッグの外側の第2位置まで、選択的に延伸されるように構成されている。
【0015】
いくつかの実施態様では、剛性支持体の外面は、第1端と第2端との間で長手方向に延在する複数のリブを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、剛性支持体の第2端の外径は、コネクタの環状ネックの外径以下である。
【0017】
いくつかの実施形態では、可撓性胴部の第2端部は、回転封止部、スナップフィット接続、又は、胴部の第2端部を覆って延在する剛性リング、のうちの1つによって、剛性支持体のシール面に結合されている。
【0018】
いくつかの実施態様では、第2端部とシール面との間の回転封止部は、熱シール又は接着シールのうちの1つによって形成されている。
【0019】
いくつかの実施形態では、剛性支持体は、蒸気滅菌、ガンマ線滅菌、又は、エチレンオキシド滅菌である、滅菌に適した材料で形成されている。
【0020】
いくつかの実施形態では、剛性支持体は、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、又は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)のうちの1つで形成されている。
【0021】
いくつかの実施形態では、可撓性胴部は、蒸気滅菌、ガンマ線滅菌、又は、エチレンオキシド滅菌である、滅菌に適した材料で形成されている。
【0022】
いくつかの実施形態では、可撓性胴部は、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、熱可塑性エラストマー(TPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、又は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のうちの1つで形成されている。
【0023】
いくつかの実施形態では、可撓性胴部は、剛性支持体に対して、折畳み可能又は巻かれ可能のうちの少なくとも1つである。
【0024】
いくつかの実施形態では、第1端部から第2端部までの可撓性胴部の長さは、35~60cmの間である。
【0025】
いくつかの実施形態では、可撓性胴部は、剛性支持体の第1側における第1の収容された配列から、剛性支持体の第2側における第2の縦長の配列に、延伸するように構成されている。
【0026】
いくつかの実施形態では、可撓性胴部は、第1の収容された配列から第2の縦長の配列に延伸するときに、剛性支持体を通過するように構成されている。
【0027】
本開示のさらなる詳細及び利点は、添付図面と併せて読まれる以下の詳細な説明から理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1Aは、従来技術に係る、第1位置にある、滅菌チャンバ用移送ポートの構成の部分内部図である。
【0029】
図1Bは、従来技術に係る、第2位置にある、
図1Aの移送ポートの構成の部分内部図である。
【0030】
図1Cは、従来技術に係る、第3位置にある、
図1Aの移送ポートの構成の部分内部図である。
【0031】
図2は、本開示の一態様に係る、剛性支持体と可撓性胴部とを含む移送バッグの構成の側面図である。
【0032】
図3は、
図2の移送バッグの構成、剛性支持体及び可撓性胴部の部分断面図である。
【0033】
図4は、本開示の一態様に係る、剛性支持体と、第1位置の可撓性胴部と、の断面図である。
【0034】
図5は、本開示の一態様に係る、移送バッグの構成と、剛性支持体と、第2位置の可撓性胴部と、の側面図である。
【0035】
図6Aは、本開示の一態様に係る、コネクタ部と、剛性支持体と、第1位置の可撓性胴部と、の側面図である。
【0036】
図6Bは、
図6Aのコネクタ部と、剛性支持体と、第2位置の可撓性胴部と、の側面図である。
【0037】
図6Cは、
図6Bのコネクタ部と、剛性支持体と、第2位置の可撓性胴部と、の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下の説明は、当業者が、本発明を実施するために企図される説明された実施形態を作成及び使用することを可能にするために提供される。しかしながら、様々な修正、等価物、変形、及び、代替物は、当業者には容易に明らかなことである。任意の及び全てのそのような修正、変形、等価物、及び、代替物は、本発明の趣旨及び範囲内に入ることが意図される。
【0039】
以下の説明のために、用語「上部」、「下部」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「最上部」、「最下部」、「横」、「縦」、及び、それらの派生語は、図面において方向が示されているように、本発明に関するものとする。しかしながら、本発明は、それとは反対に明示的に特定されない限り、様々な代替的な変形を前提としてもよいことは理解されよう。また、添付の図面に示され、及び、以下の明細書に記載される具体的な装置は、単に、本発明の例示的な実施形態であることも理解されるべきである。そのため、本明細書に開示される実施形態に関連する具体的な寸法、及び、他の物理的な特徴は、限定的であるとしてみなされるべきではない。
【0040】
図2及び
図3を参照すると、本開示の一態様に係るコンポーネント移送容器50が示されている。移送容器50は、遠位端54と近位端56とを有する可撓性の第1のバッグ52を含む。遠位端54は閉じており、一方、近位端56は開いており好ましくは環状開口の形態である。
図2に示されるように、いくつかの実施形態では、可撓性の第1のバッグ52は、例えば、ボトルネックの形態で近位端56に向かって先細になり得る。可撓性の第1のバッグ52は、蒸気滅菌、ガンマ線滅菌、又はエチレンオキシド滅菌に適した、任意の適切な可撓性材料で形成され得る。そのような可撓性材料の例は、例えば、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、熱可塑性エラストマー(TPE)、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などであり得る。さらに、可撓性の第1のバッグ52は、例えば、複数のプランジャーストッパー、複数の針カバー、複数の先端キャップなど、複数の滅菌されたコンポーネント58を、可撓性の第1のバッグ52の中に保持するようなサイズに構成されている。
【0041】
さらに
図2を参照すると、移送容器50は、コネクタ60をさらに含む。コネクタ60は、例えば、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などの、蒸気滅菌、ガンマ線滅菌、又はエチレンオキシド滅菌に適した、任意の適切な剛性材料で形成され得る。コネクタ60は、上述のように、滅菌チャンバの移送入口のドアに対してロック力を支持するように構成されている。
図2に示す実施形態では、コネクタ60は、移送入口へのツイストロック接続のために構成された遠位端を含む。しかしながら、コネクタ60は、例えば磁気接続などの、移送入口及び/又はドアへの他の形態の接続用に構成されてもよいことが理解されたい。
【0042】
図2及び
図3に示されるように、コネクタ60の近位部分は、環状ネック62を含む。可撓性バッグ52の近位端56は、回転封止部によって環状ネック62に固定される。近位端56と環状ネック62との間に回転封止部を形成する際に、例えば、熱シール、接着シールなどの任意の適切なシール方法を利用することができる。このように、可撓性バッグ52の内容物(すなわち、複数のコンポーネント58)は、移送容器50が移送ポートに結合されたときに、コネクタ60に形成された開口部66を通じて通され得る。
【0043】
さらに、
図2及び
図3加えて
図4~
図6Cを参照すると、移送容器50は、剛性支持体70と、可撓性胴部80と、をさらに含む。以下でさらに詳細に説明するように、可撓性胴部80は、回転封止部(例えば、熱シール、接着シールなど)によって、剛性支持体70に結合される。さらに、剛性支持体70は、コネクタ60の内面壁64と摺動可能に係合できるように構成されている。このように、剛性支持体70及び可撓性胴部80は、移送容器50の製造中にコネクタ60に選択的に結合でき、可撓性胴部80は、移送ポートから容器へコンポーネントを導くことと、汚染された可能性を有する「クリティカルゾーン」又は「懸念のリング」から移送ポートを保護することと、の両方を提供する。
【0044】
剛性支持体70は、例えば、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などの、任意の適切な剛性材料で形成され得る。剛性支持体70は、環状の形状であり、第1端76と、第2端部78と、を含む。第2端部78に近接してシール面72があり、シール面72は、可撓性胴部80をシール面72の上に少なくとも部分的に回転して取り付けるための適切な面を提供するように構成されている。可撓性胴部80とシール面72との間の接続は、剛性支持体70の全周に亘る完全な密封である必要はないことを理解されたい。いくつかの実施形態では、シール面72の外径は、コネクタ60の環状ネック62の外径よりも小さくてもよく、又は実質的に同じであってもよく、一方、剛性支持体70の残りの部分の外径は、コネクタ60の内面壁64の内径と実質的に同じである(又はわずかに小さい)。このように、剛性支持体70は、例えばプレスフィット接続を介してコネクタ60に結合され得るが、内壁面64に対する剛性支持体70の移動は、環状ネック62に対するシール面72の直径のために制限される。
【0045】
図3~
図6Cに示されるように、いくつかの実施形態では、剛性支持体70の環状外側側壁は、長手方向に延びる複数のリブ74を、さらに含んでもよい。これらのリブ74は、剛性支持体70とコネクタ60との間のプレスフィット接続を助けることができる。いくつかの実施形態において、剛性支持体70とコネクタ60との間の接続は、締まりばめ(又はプレスフィット)に限定されてもよい。しかしながら、他の実施形態では、剛性支持体70とコネクタ60との間の接続は、例えば、剛性支持体70とコネクタ60とをより固定的に結合するための接着剤を含んでもよい。
【0046】
再び
図2~
図6Cを参照すると、可撓性胴部80は、第1端部82と、第2端部84と、を含む。第1端部82は、環状開口部を含むように構成され、移送容器50の任意の他の構成要素に対して自由(すなわち、非取り付け)のままである。反対に、第2端部84は、実質的に環状であるが、例えば、回転封止部、スナップフィット接続、可撓性胴部80の第2端部84を覆って延在する別個の剛性リング等によって、剛性支持体70のシール面72に結合されるように構成されている。このように、いったん結合されると、剛性支持体70と可撓性胴部80は、可撓性バッグ52内でコネクタ60と選択的に係合可能な単一の構成要素を形成する。可撓性胴部80は、蒸気滅菌、ガンマ線滅菌、又はエチレンオキシド滅菌に適した、任意の適切な可撓性材料で形成され得る。そのような可撓性材料の例は、例えば、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、熱可塑性エラストマー(TPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などであり得る。
【0047】
さらに、いくつかの実施形態では、可撓性胴部80は、実質的に管状の形状である。しかしながら、可撓性胴部80は、そのような管状の形状に限定されず、そして、第1端部82、第2端部84、及び/又は、可撓性胴部80の任意の他の部分の各直径は相互に異なり得ることを理解されたい。さらに、可撓性胴部80は、用途、顧客のニーズなどに基づいて、様々な長さで提供されてもよい。例えば、可撓性胴部80は、35~60cmの間の長さを有してもよく、いくつかの実施形態では、好ましくは40~55cmの間である。しかしながら、可撓性胴部80は、そのような長さ範囲に限定されず、より長くても、より短くてもよいことを理解されたい。
【0048】
図6Aは、使用前の構成において、コネクタ60に結合された剛性支持体70及び可撓性胴部80を示す。図を明瞭にするために、可撓性バッグ52が
図6Aから省略されているが、可撓性バッグ52は、可撓性胴部80を囲み、
図2、
図3及び
図5に示されるように、例えば回転封止部によってコネクタ60に結合されることを理解されたい。使用前の構成では、可撓性胴部80は、コネクタ60のドア63の背後の可撓性バッグ(図示せず)内に、折り畳まれ、巻かれ、又は、他の方法で収容される。そして、上述のようにコネクタ60が移送ポートに結合されると、ドア63が開かれるか又は取り外され、それによって、可撓性バッグの内部が、移送ポートと滅菌チャンバの内部とに露出される。この構成では、
図5、
図6B及び
図6Cに示されように、可撓性胴部80は、剛性支持体70及びコネクタ60の各環状開口部を通して供給されるように、広げられること又は巻きが解かれることが可能である。このような可撓性胴部80の供給は、例えば、引く、押す、重力などの任意の適切な手段によって達成され得る。いったん完全に広げられると、可撓性胴部80の第1端部82は、実質的にコネクタ60を越えて延在し、それによって、
図5に示されるように、可撓性バッグ52を出る任意のコンポーネント58が滅菌チャンバ内の容器(例えば、振動ボウル)又は他の領域に導かれることが可能になる。さらに、可撓性胴部80は、可撓性胴部80を通り抜けるコンポーネント58と、移送容器が取り付けられる移送ポートの「クリティカルゾーン」又は「懸念のリング」と、の間の接触からの保護も提供する。
【0049】
上述のように、結合された剛性支持体70と可撓性胴部80は、可撓性バッグ52内のコネクタ60に永久的に取り付けられる必要はなく、移送容器50の製造中にケースバイケースでのみ含まれてもよい。このように、従来技術に係る一体化された内側及び外側バッグを有する容器を形成する複雑な製造プロセスを回避することができ、一方で、必要又は所望であれば、移送ポート開口部から容器へのコンポーネントの案内のための1つのオプション(又は様々なオプション)も提供できる。
【0050】
図2~
図6Cに関して上述した実施形態において、剛性支持体と可撓性胴部とは、例えば回転封止部、スナップフィット接続、可撓性胴部の端部上に延在する別個の剛性リング等によって、互いに結合されている別個の構成要素である。このように、剛性支持体と可撓性胴部は、複数の製造プロセスを使用して複数の材料から製造され得る。しかしながら、代替実施形態では、剛性支持体と可撓性胴部は、単一の一体部品として、共成形又はオーバーモールドされて、追加の組立ステップを回避することができることを理解されたい。別の代替実施形態では、剛性支持体と可撓性胴部は、単一の部品として全体的に同じ材料で形成することができるが、材料は、剛性支持体に必要な剛性、及び、可撓性胴部に必要な可撓性を保持するように、異なる厚さを有してもよい。すなわち、可撓性胴部の材料の厚さは、剛性支持体の材料の厚さよりも、実質的に薄い。このように可撓性胴部と剛性支持体との両方を一体的に形成するのに適した材料の例は、例えば、シリコーン又は熱可塑性エラストマー(TPE)である。
【0051】
移送容器とコンポーネント移送配置とのいくつかの実施形態が、添付の図面に示され、本明細書において詳細に説明されているが、他の実施形態は、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者に明らかであり、容易になされるであろう。例えば、本開示は、可能な限り、任意の実施形態の1つ又は複数の特徴を、任意の他の実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせることができることを企図することを理解されたい。したがって、前述の説明は、限定的なものではなく、例示的なものであることが意図される。
【国際調査報告】