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特表2024-529250N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸ナトリウム多形形態A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸ナトリウム多形形態A
(51)【国際特許分類】
   C07C 231/24 20060101AFI20240730BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20240730BHJP
   A61K 38/02 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240730BHJP
   C07C 235/60 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
C07C231/24
A61K47/18
A61K38/02
A61K47/12
C07C235/60
A61K9/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578768
(86)(22)【出願日】2022-07-14
(85)【翻訳文提出日】2024-02-14
(86)【国際出願番号】 EP2022069705
(87)【国際公開番号】W WO2023285581
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】21186179.4
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
(71)【出願人】
【識別番号】509091848
【氏名又は名称】ノヴォ ノルディスク アー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルヘルムセン、トーマス、クヴィストゴート
(72)【発明者】
【氏名】ダムホルト、ザカリアス、ブリムネス、ヴィスビー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4H006
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076BB01
4C076DD41C
4C076DD52N
4C076FF04
4C076FF09
4C076FF34
4C076GG12
4C084AA03
4C084BA03
4C084MA05
4C084MA35
4C084MA41
4C084MA52
4C084NA03
4C084NA11
4C084ZC802
4H006AA02
4H006AB20
4H006BJ50
4H006BN30
4H006BS10
(57)【要約】
本発明は、N-(8-2-ヒドロキシベンゾイル)アミノカプリル酸ナトリウム形態Aを作製する方法、改善された安定性を有するSNAC多形形態A、および固体医薬剤形における当該SNAC多形形態Aの使用に関する
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)-アミノ]カプリル酸一ナトリウム(SNAC)形態Aの吸湿性を低減するための方法であって、プロセスが、
a.SNAC多形形態Aを提供する工程と、
b.工程aで提供される前記SNAC多形形態Aを、約100~140℃の温度で少なくとも15分間加熱する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記加熱が、約105~140℃の温度で最大72時間実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記加熱が、約110~135℃の温度で、例えば約115~130℃の温度で、実施される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記加熱が、少なくとも30分間実施される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記加熱が、少なくとも1時間実施される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記加熱が、少なくとも6時間実施される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記加熱が、30時間以下、例えば25時間以下実施される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
CuKα放射線を使用して測定された2.94±0.06°、5.82±0.05°、8.6±0.1°、11.45±0.15°、14.4±0.2°、および18.9±0.1°の回折角2シータ(2θ)でのピークを含むX線粉末回折パターンを示すN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリル酸一ナトリウム(SNAC)多形形態Aであって、前記SNAC多形形態Aが、動的水蒸気収着(DVS)によって決定された25℃での相対湿度(RH)約0%から約65%への相対湿度の増加に供された場合、1.3%以下の質量増加を示し、および/またはCuKα放射線を使用して測定された8.7±0.2°の回折角2シータ(2θ)でのピークが、0.85°(2θ)未満の半値全幅(FWHM)を有する、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリル酸一ナトリウム(SNAC)多形形態A。
【請求項9】
前記SNAC多形形態Aが、DVSによって決定された25℃での相対湿度(RH)約0%から約65%への相対湿度の増加に供された場合、1.1%以下の質量増加を示す、請求項8に記載のSNAC多形形態A。
【請求項10】
CuKα放射線を使用して測定された前記8.7±0.2°の回折角2シータ(2θ)でのピークが、約0.58~0.90°(2θ)、例えば約0.60~0.80°(2θ)のFWHMを有する、請求項8または9に記載のSNAC多形形態A。
【請求項11】
CuKα放射線を使用して測定された前記8.7±0.2°の回折角2シータ(2θ)でのピークが、約0.50~0.68°(2θ)、例えば約0.51~0.62°(2θ)のFWHMを有する、請求項8または9に記載のSNAC多形形態A。
【請求項12】
前記FWHMが、手動モードまたは自動モードによって測定される、請求項8~11のいずれか一項に記載のSNAC多形形態A。
【請求項13】
SNAC顆粒および/または固体経口剤形の製造のための、請求項8~12のいずれか一項に記載のSNAC多形形態Aの使用、または請求項1~7のいずれか一項に記載の方法によって得ることができるSNAC多形形態Aの使用。
【請求項14】
請求項8~12のいずれか一項に記載のSNAC多形形態Aを含む、固体医薬組成物。
【請求項15】
固体医薬組成物または剤形を製造するプロセスであって、
a.請求項1~12のいずれか一項に記載のSNAC多形形態Aを得る工程と、
b.前記SNAC多形形態Aを、滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムと、任意選択で医薬品有効成分、例えばペプチドと、任意選択で1つ以上の追加の薬学的に許容可能な賦形剤とブレンディングまたは混合する工程と、
任意選択で、c.工程bで得ることができる前記ブレンドまたは混合物を造粒する工程と、
任意選択で、d.工程cから得ることができる粒状物または顆粒を、追加の賦形剤と混合する工程と、
e.固体医薬組成物、または剤形、例えば錠剤を得る工程と、を含む、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N-(8-2-ヒドロキシベンゾイル)アミノカプリル酸ナトリウム形態Aを作製する方法、改善された安定性を有するSNAC多形形態A、および固体医薬剤形における当該SNAC多形形態Aの使用に関する。
【0002】
多くの活性化合物の経口バイオアベイラビリティを改善するための著しい薬学的ニーズがある。経口摂取後に物質の吸収の速度および度合いを制限する活性化合物または吸収界面のいずれかに固有の因子が数多くある。
【0003】
医薬賦形剤は、医薬品有効成分(API)以外の不活性物質であり、いくつかの目的を果たすために製剤に含まれる。医薬賦形剤は、薬剤吸収、薬物動態、および薬剤安定性を改変することができ、また製造可能性の観点からAPIの制限を克服するのに役立ち得る。
【0004】
例えば、治療用ペプチドの経口投与は、胃腸バリアにわたる吸収不良およびタンパク質分解酵素による広範な分解によって妨げられる。吸収促進剤は、膜透過性を促進することができ、経口バイオアベイラビリティを改善することができる。N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリル酸ナトリウム(SNAC)は、良好な安全性を有し、セマグルチド(例えば、WO2012/080471)などのペプチド、インスリン(Abbas et al.,2002)、カルシトニン(Buclin et al.,2002)などのタンパク質、およびヘパリン(未分画ヘパリンおよび2つの異なる低分子量ヘパリン)(Brayden et al.,1997、Leone-Bay et al.,1998a、Leone-Bay et al.,1998b、Money,2001、Pineo et al.,2001)などの他の巨大分子を含む多様な範囲の分子の透過性を高めることが報告されている、そのような吸収促進剤の一例である。SNACの一般的な調製プロトコルは、WO2000/46182およびWO2000/59863に記載されている。WO2008/028859は、N-(8-[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸およびそのナトリウム塩の合成のための改善された方法を記載している。
【0005】
医薬固体剤形の構成要素は、長期貯蔵中の安定性を保証できるように、様々な環境条件下で、製造中、および包装された薬剤製品などの最終医薬組成物中で安定でなければならない。医薬用量組成物の構成要素は、低い吸湿性を示すことが望ましい。典型的には、低い吸湿性および十分な安定性を示さない医薬用量組成物は、製造中に低い相対湿度条件および/または室温未満の温度設定を必要とし、製造規模が制限される可能性もあるため、産業規模での取り扱いには最適ではない。不十分な安定性はまた、医薬用量組成物に対する冷蔵または凍結貯蔵要件さえももたらす可能性があり、高価な防湿包装システムに対する要求を増加させる可能性がある。最終的な包装された薬剤製品形態などの医薬固体用量の安定性という用語は、API、賦形剤の物理的および化学的完全性、ならびに包装の無傷性を意味する。医薬賦形剤の固有の性質および物理化学的特性の意図しない変化は、製品の品質および性能特性を妨害する可能性がある、製剤中の潜在的な不安定性につながり得る。例えば、物理的不安定性は、賦形剤の相転移を伴う場合があり、これは、例えば、多形性変化、水和および脱水、析出、または非晶質もしくは結晶性の性質の変化に起因し得る。多形性は、固体分子構造が三次元空間内で少なくとも2つの異なる配置で反復的に位置付けられる能力を説明する十分に確立された現象である。これらの異なる配置は、同じ分子構造の物理化学的特性の異なるセットをもたらすことができ、これは、取り扱い、処理、および貯蔵中の材料挙動に著しく影響を与え得る。言い換えれば、ポリマー形態の違いは、いくつかの場合では、薬剤製品の品質または性能に影響を与える可能性がある。さらなる詳細については、ICHガイドラインQ6Aを参照されたい。したがって、多形性は、事前製剤化および製剤開発などの初期工程から、処理、製造、および貯蔵を通過し、最終的にはヒトにおける消費まで、すべての処理段階中において考慮されなければならない。
【0006】
WO2005/107462に記載されるように、SNACは、いくつかの異なる多形形態で結晶化し、その各々が特定の特性を有する。
【0007】
ペプチドおよびタンパク質などの経口的に送達される生物製剤のバイオアベイラビリティの増加に関するSNACの有利な特性を考慮すると、効果的な方法で低い吸湿性を示す所望の多形形態のSNACを生成する方法の開発に対する強いニーズが依然としてある。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、第1の態様では、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)-アミノ]カプリル酸一ナトリウム(SNAC)形態Aの吸湿性を低減するプロセスに関し、プロセスは、
a.SNAC多形形態Aを提供する工程と、
b.工程a.で提供されるSNAC多形形態Aを、任意選択で減圧下で、90℃超の温度、例えば約105~140℃の温度で、少なくとも約5分間、例えば少なくとも約15分間、加熱する工程と、を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)-アミノ]カプリル酸一ナトリウム形態Aを生成する方法が提供され、方法は、
a.N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)-アミノ]カプリル酸を、好適な溶媒中、例えばイソプロパノールに懸濁または溶解する工程と、
b.モル過剰のナトリウム含有塩、例えば水酸化ナトリウムを水溶液として添加して、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)-アミノ]カプリル酸一ナトリウムを形成する工程と、
c.そのように形成されたN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)-アミノ]カプリル酸一ナトリウムを単離する工程と、
d.N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)-アミノ]カプリル酸一ナトリウムを、任意選択で減圧下で、90℃超の温度、例えば約105~140℃の温度で、少なくとも約5分間、例えば少なくとも約15分間、加熱する工程と、を含む。
【0010】
本発明は、第2の態様では、SNAC多形形態Aに関し、当該SNAC多形形態Aは、DVSによって決定された25℃での相対湿度(RH)約0%から約65%への相対湿度の増加に供された場合、1.5%以下の質量増加を示すことによって特徴付けられ、および/またはCuKα放射線を使用して測定された8.7±0.2°の回折角2シータ(2θ)でのピークが、0.9°(2θ)未満のFWHMを有する。
【0011】
本発明は、別の態様では、第1または代替的な第1の態様によるプロセスによって得ることができるSNAC多形形態Aに関する。
【0012】
第3の態様における本発明は、SNAC顆粒および/または固体剤形の製造のための、第1または代替的な第1の態様によるプロセスによって得ることができるSNAC多形形態Aの使用に関する。さらに、または代替的に、第3の態様は、SNAC顆粒および/または固体剤形の製造のための、第2の態様または代替的な第2の態様によるSNAC多形形態Aの使用に関する。
【0013】
第4の態様では、本発明は、本発明の第2の態様または代替的な第2の態様によるSNAC多形形態Aを含む、固体医薬組成物に関する。いくつかの実施形態では、SNAC多形形態Aは、顆粒の形態であってもよい。いくつかの実施形態では、SNAC多形形態Aは、粉末の形態であってもよい。いくつかの実施形態では、SNAC多形形態Aは、粒子の形態であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、DVSによって決定された25℃でのRH約0%から約65%への相対湿度の増加に供された場合、1.0%未満の質量増加を示すSNAC多形形態AのX線粉末回折「XRPD」パターンを示す。
図2図2は、DVSによって決定された25℃でのRH約0%から約65%への相対湿度の増加に供された場合、約1.3%の質量増加を示すSNAC多形形態AのXRPDパターンを示す。
図3図3は、DVSによって決定された25℃でのRH約0%から約65%への相対湿度の増加に供された場合、約2.9%の質量増加を示すSNAC多形形態AのXRPDパターンを示す。
図4図4は、SNAC多形形態EのXRPDパターンを示す。
図5図5は、多形形態AとEとの混合物のXRPDパターンを示す。
図6図6は、SNAC多形形態FのXRPDパターンを示す。
図7図7は、SNAC多形形態AとFとの混合物のXRPDパターンを示す。
図8図8は、SNAC多形形態BのXRPDパターンを示す。
図9図9は、SNAC多形形態AとBとの混合物のXRPDパターンを示す。
図10図10は、非晶質SNACのXRPDパターンを示す。
図11図11は、自動モードベースラインを使用して、XRPDピーク8.7±0.2°(2θ)のFWHM(°2θ)がどのように計算されたかを例示する。
図12図12は、手動モードベースラインを使用して、XRPDピーク8.7±0.2°(2θ)のFWHM(°2θ)がどのように計算されたかを例示する。
図13図13は、異なる吸湿性を有するSNAC多形形態AのDVS等温線プロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
SNAC多形形態Aは、WO2008/028859の実施例2に従って調製され得る。SNAC多形形態Aは、CuKα放射線を使用して測定された3.0±0.2°、6.0±0.2、8.7±0.2°、11.6±0.2°、14.6±0.2°、および18.9±0.2°の回折角2シータ(2θ)でのピークを含むX線粉末回折パターンを示す。WO2008/028859に記載されるように、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)-アミノ]カプリル酸をモル過剰のナトリウム塩と反応させて、SNACを形成する。反応が水性溶媒中で実施されると、SNACの三水和物形態が形成され、次いで減圧下で乾燥することによって形態Aに変換される。乾燥工程は、WO2008/028859に記載されるように、真空下でオーブン内で実施されてもよい。乾燥工程は、WO2005/107462に記載されるように、真空下でオーブン内で実施されてもよい。しかしながら、そのような乾燥方法は、産業規模の生産に典型的に使用される量などの大量の材料を、効率的な様式で、バルク乾燥するには不十分であることが見出され得る。SNACの産業規模の生産は、典型的には、最大数トンの範囲である。通常、産業規模の製造プロセスを追求するためには、回転および/または撹拌できる真空乾燥機が必要である。好適な乾燥機の非限定的な例としては、コニカル乾燥機、バイコニカル乾燥機、球形乾燥機、パドル乾燥機、およびトレイ乾燥機が挙げられる。
【0016】
SNAC多形形態Aを生成するためのプロセスをスケールアップする取り組み中、本発明者らは、SNAC多形形態Aの品質の顕著な差異を観察した。例えば、SNAC多形形態Aの特定のバッチは、他のバッチよりも吸湿性であることが注目された。本発明者らはまた、SNAC多形形態Aの貯蔵安定性がバッチごとに異なり、吸湿性の違いに関連し得ることも観察した。注意深く分析した後、対応するXRPDパターンにより、吸湿性の増加を説明するSNAC多形形態Aにおける様々な程度の結晶欠陥の存在が指摘された。
【0017】
アップスケールされたプロセスの試験および開発中、本発明者らは驚くべきことに、SNAC多形形態Aを、90℃超の温度、例えば約105~140℃の温度で、少なくとも約5分間、例えば少なくとも約15分間加熱すると、結晶欠陥の顕著な低減をもたらすことを見出した。SNAC多形形態Aの結晶欠陥を低減することは、SNAC多形形態Aの吸湿性を著しく減少させ、したがって貯蔵安定性を改善する。これにより、製造中の相対湿度および温度を低くする必要がないため、医薬固体剤形の製造におけるSNAC多形形態Aのより効率的な使用が可能になり、周囲条件下での製造さえも可能になり得る。さらに、改善されたSNAC多形形態Aは、水分に対して透過性である包装システムの使用を可能にする。そのような包装の利点は、許容可能またはさらには長い貯蔵寿命を依然として可能にしながら、より単純かつより安価であることであり、これによりユーザーの利便性が継続的に改善する。
【0018】
第1の態様では、本発明は、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)-アミノ]カプリル酸一ナトリウム(SNAC)形態Aの吸湿性を低減するプロセスに関し、プロセスは、
A.SNAC多形形態Aを提供する工程と、
B.工程A.で提供されるSNAC多形形態Aを、任意選択で減圧下で、90℃超の温度、例えば約105~140℃の温度で、少なくとも約5分間、例えば少なくとも約15分間、加熱する工程と、を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、工程Aで提供されるSNAC多形形態Aは、DVSによって決定された25℃での相対湿度(RH)約0%から約65%への相対湿度の増加に供された場合、1.5%超の質量増加を示す。
【0020】
いくつかの実施形態では、SNAC多形形態Aは、CuKα放射線を使用して測定した場合、3.0°、6.0°、8.7°、11.6°、14.6°、および18.9°(2θ±0.2°)、例えば、2.9°、5.8°、8.6°、11.4°、14.4°、および18.8°(2θ±0.1°)のピークを含むX線粉末回折パターンを有する。いくつかの実施形態では、SNAC多形形態Aは、CuKα放射線を使用して測定した場合、2.94±0.06°、5.82±0.05°、8.55±0.08°、11.45±0.15°、14.4±0.2°、および18.87±0.08°のピークを含むX線粉末回折パターンを有する。
【0021】
いくつかの実施形態では、本発明によるSNAC多形形態Aは、図1または図2に提供される代表的なX線粉末回折パターンを有する。いくつかの実施形態では、工程Aで提供されるSNAC多形形態Aは、図3に提供される代表的なX線粉末回折パターンを有する。
【0022】
いくつかの実施形態では、加熱は、約105~140℃の温度、例えば約105~135℃の温度で実施される。
【0023】
いくつかの実施形態では、加熱は、約110~140℃の温度、例えば約110~135℃の温度、例えば約111~130℃の温度で実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約115~124℃の温度、例えば約120℃で実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約111℃の温度、または約112℃の温度、または約113℃の温度、または約114℃の温度、または約115℃の温度、または約116℃の温度、または約117℃の温度、または約118℃の温度、または約119℃の温度、または約120℃の温度、または約121℃の温度、または約122℃の温度、または約123℃の温度で実施される。
【0024】
いくつかの実施形態では、加熱は、約105~114℃の温度、例えば約110℃で実施される。
【0025】
いくつかの実施形態では、加熱は、約125~134℃の温度、例えば約130℃で実施される。
【0026】
いくつかの実施形態では、加熱は、少なくとも20分間、または少なくとも30分間、または少なくとも45分間、または少なくとも1時間、または少なくとも2時間、または少なくとも3時間、または少なくとも4時間、または少なくとも5時間、または少なくとも6時間、または少なくとも7時間、または少なくとも8時間、または少なくとも9時間、または少なくとも10時間、または少なくとも11時間、または少なくとも12時間、または少なくとも18時間、または少なくとも24時間実施される。
【0027】
いくつかの実施形態では、加熱は、72時間未満、例えば66時間未満、例えば60時間未満、例えば54時間未満、例えば48時間未満、例えば42時間未満、例えば36時間未満、例えば30時間未満実施される。
【0028】
いくつかの実施形態では、加熱は、約15分~24時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約20分~24時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約30分~24時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約45分~24時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約1~24時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約6~24時間実施される。
【0029】
いくつかの実施形態では、加熱は、約1~72時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約6~72時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約12~72時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約18~72時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約24~72時間実施される。
【0030】
いくつかの実施形態では、加熱は、約1~60時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約6~60時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約12~60時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約18~60時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約24~60時間実施される。
【0031】
いくつかの実施形態では、加熱は、約1~54時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約6~54時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約12~54時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約18~54時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約24~54時間実施される。
【0032】
いくつかの実施形態では、加熱は、約1~48時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約6~48時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約12~48時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約18~48時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約24~48時間実施される。
【0033】
いくつかの実施形態では、加熱は、約0.5~36時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約1~36時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約6~36時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約12~36時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約18~36時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約24~36時間実施される。
【0034】
いくつかの実施形態では、加熱は、約0.1~24時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約0.2~24時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約0.3~24時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約0.4~24時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約0.5~24時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約0.6~24時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約0.7~24時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約0.8~24時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約0.9~24時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約1~24時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約3~24時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約6~24時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約12~24時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約18~36時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約18~24時間実施される。
【0035】
いくつかの実施形態では、加熱は、約105~140℃の温度で、少なくとも15分間、しかし72時間以下実施されるが、ただし、温度が約100℃である場合、加熱は少なくとも24時間実施されることを条件とする。
【0036】
いくつかの実施形態では、加熱は、約105~140℃の温度で、少なくとも15分間、しかし72時間以下実施されるが、ただし、温度が約110℃である場合、加熱は少なくとも30分間実施されることを条件とする。
【0037】
いくつかの実施形態では、加熱は、約105~140℃の温度で、少なくとも15分間、しかし72時間以下実施されるが、ただし、温度が約120℃である場合、加熱は24時間以下実施されることを条件とする。
【0038】
いくつかの実施形態では、加熱は、約105~140℃の温度で、少なくとも15分間、しかし72時間以下実施されるが、ただし、温度が約130℃である場合、加熱は、5時間以下、例えば3時間以下、例えば2時間以下、例えば1時間以下、実施されることを条件とする。
【0039】
いくつかの実施形態では、加熱は、約105~140℃の温度で、少なくとも15分間、しかし72時間以下実施されるが、ただし、温度が約130℃である場合、加熱は1時間未満実施されることを条件とする。
【0040】
いくつかの実施形態では、加熱は、オーブン内で、および任意選択で減圧下で、実施される。加熱は、トレイオーブン内で実施されてもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)-アミノ]カプリル酸一ナトリウム(SNAC)を生成する方法が提供され、方法は、
a.N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)-アミノ]カプリル酸を、溶媒中、例えばイソプロパノールに懸濁または溶解する工程と、
b.工程(a)からの懸濁液または溶液に、モル過剰のナトリウム含有塩、例えば水酸化ナトリウムを水溶液として添加して、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)-アミノ]カプリル酸一ナトリウムを形成する工程と、
c.そのように形成されたN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)-アミノ]カプリル酸一ナトリウムを単離する工程と、
d.N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)-アミノ]カプリル酸一ナトリウムを乾燥させる工程と、
e.N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)-アミノ]カプリル酸一ナトリウムを、90℃超の温度、例えば約105~140℃の温度で、少なくとも約5分間、例えば少なくとも約15分間、および任意選択で72時間以下、例えば24時間以下、加熱する工程と、を含む。
【0042】
工程a.
N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)-アミノ]カプリル酸は、好適な溶媒中に溶解または懸濁される。好適な溶媒は、アルコール、例えばエタノールまたはイソプロパノールであってもよい。
【0043】
工程b.
ナトリウム含有塩は、工程aで得ることができる溶液または懸濁液に添加されてもよい。ナトリウム含有塩は、水酸化ナトリウムであってもよい。ナトリウム含有塩は、工程aで得ることができる水溶液または懸濁液の形態、例えば、10%の水溶液もしくは懸濁液、20%の水溶液もしくは懸濁液、30%の水溶液もしくは懸濁液、40%の水溶液もしくは懸濁液、50%の水溶液もしくは懸濁液、60%の水溶液もしくは懸濁液、または70%の水溶液もしくは懸濁液であってもよい。ナトリウム含有塩は、工程aで得ることができる溶液または懸濁液に等モル量で添加されてもよい。ナトリウム含有塩は、工程aで得ることができる溶液または懸濁液に、約1.02当量、約1.04当量、約1.06当量、約1.08当量、または約1.10当量添加されてもよい。
ナトリウム含有塩は、工程aで得ることができる溶液または懸濁液に、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、または約50℃で添加されてもよい。
【0044】
添加が完了した後、反応混合物を、例えば約50℃で加熱し、例えば約35℃に冷却してもよく、次いで、種晶で充填することができる。約35℃で約1時間撹拌した後、例えば、約30℃までゆっくりと冷却され、約30℃で約1時間保持されて濃厚な懸濁液を得ることができる懸濁液が生じるはずである。追加の2-プロパノールを約30℃で添加してもよく、次いで、得られたスラリーを約0℃までゆっくりと冷却し、少なくとも約4時間熟成させてもよい。
【0045】
工程c
工程bの後に得ることができるSNACを含むスラリーは、濾過され、任意選択で洗浄されてもよい。イソプロパノールと水との混合物(約10:1、v/v)を使用してもよい。
【0046】
工程d
工程cの後に得ることができる濾過および単離されたSNACを乾燥させてもよい。SNACは、減圧下および/または高温で乾燥されてもよい。例えば、SNACは、約70℃、約80℃、または約90℃で真空中で乾燥されてもよい。温度は、段階的な様式で(例えば、開始温度から60℃、70℃、90℃に)、または1つの工程で(例えば、開始温度から所望の温度、例えば90℃に直接)上昇させてもよい。
【0047】
乾燥工程は、オーブン、トレイオーブン、コニカル乾燥機、球形乾燥機、バイコニカル乾燥機、または流動床を使用して実施されて、SNAC多形形態Aを得てもよい。
【0048】
工程e.
工程dの後に得ることができる乾燥SNAC多形形態Aは、加熱されてもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、工程dの後に得ることができるSNAC多形形態Aは、約105~135℃の温度で加熱される。いくつかの実施形態では、工程dの後に得ることができるSNAC多形形態Aは、約110~140℃の温度、例えば約110~135℃の温度、例えば約111~130℃の温度で加熱される。いくつかの実施形態では、工程dの後に得ることができるSNAC多形形態Aは、約115~124℃の温度、例えば約120℃で加熱される。いくつかの実施形態では、加熱は、約111℃の温度、または約112℃の温度、約113℃の温度、約114℃の温度、または約115℃の温度、または約116℃の温度、または約117℃の温度、または約118℃の温度、または約119℃の温度、または約120℃の温度、または約121℃の温度、または約122℃の温度、または約123℃の温度で実施される。
【0050】
いくつかの実施形態では、工程dの後に得ることができるSNAC多形形態Aは、約105~114℃の温度、例えば約110℃で加熱される。
【0051】
いくつかの実施形態では、工程dの後に得ることができるSNAC多形形態Aは、約115~124℃の温度、例えば約120℃で加熱される。
【0052】
いくつかの実施形態では、工程dの後に得ることができるSNAC多形形態Aは、約125~134℃の温度、例えば約130℃で加熱される。
【0053】
いくつかの実施形態では、工程dの後に得ることができるSNAC多形形態Aの加熱は、少なくとも30分間、または少なくとも45分間、または少なくとも1時間、または少なくとも2時間、または少なくとも3時間、または少なくとも4時間、または少なくとも5時間、または少なくとも6時間、または少なくとも7時間、または少なくとも8時間、または少なくとも9時間、または少なくとも10時間、または少なくとも11時間、または少なくとも12時間、または少なくとも18時間、または少なくとも24時間、実施される。
【0054】
いくつかの実施形態では、工程dの後に得ることができるSNAC多形形態Aの加熱は、72時間未満、例えば66時間未満、例えば60時間未満、例えば54時間未満、例えば48時間未満、例えば42時間未満、例えば36時間未満、例えば30時間未満、実施される。
【0055】
いくつかの実施形態では、工程dの後に得ることができるSNAC多形形態Aの加熱は、約15分間~24時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約20分間~24時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約30分間~24時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約45分間~24時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約1~24時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約6~24時間実施される。
【0056】
いくつかの実施形態では、工程dの後に得ることができるSNAC多形形態Aの加熱は、約1~72時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約6~72時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約12~72時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約18~72時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約24~72時間実施される。
【0057】
いくつかの実施形態では、工程dの後に得ることができるSNAC多形形態Aの加熱は、約1~60時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約6~60時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約12~60時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約18~60時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約24~60時間実施される。
【0058】
いくつかの実施形態では、工程dの後に得ることができるSNAC多形形態Aの加熱は、約1~54時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約6~54時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約12~54時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約18~54時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約24~54時間実施される。
【0059】
いくつかの実施形態では、工程dの後に得ることができるSNAC多形形態Aの加熱は、約1~48時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約6~48時間実施される。いくつかの実施形態では、工程dの後に得ることができるSNAC多形形態Aの加熱は、約12~48時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約18~48時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約24~48時間実施される。
【0060】
いくつかの実施形態では、工程dの後に得ることができるSNAC多形形態Aの加熱は、約1~36時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約6~36時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約12~36時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約18~36時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約24~36時間実施される。
【0061】
いくつかの実施形態では、工程dの後に得ることができるSNAC多形形態Aの加熱は、約0.1~24時間実施される。いくつかの実施形態では、工程dの後に得ることができるSNAC多形形態Aの加熱は、約0.2~24時間実施される。いくつかの実施形態では、工程dの後に得ることができるSNAC多形形態Aの加熱は、約0.3~24時間実施される。いくつかの実施形態では、工程dの後に得ることができるSNAC多形形態Aの加熱は、約0.4~24時間実施される。いくつかの実施形態では、工程dの後に得ることができるSNAC多形形態Aの加熱は、約0.5~24時間実施される。いくつかの実施形態では、工程dの後に得ることができるSNAC多形形態Aの加熱は、約0.6~24時間実施される。いくつかの実施形態では、工程dの後に得ることができるSNAC多形形態Aの加熱は、約0.7~24時間実施される。いくつかの実施形態では、工程dの後に得ることができるSNAC多形形態Aの加熱は、約0.8~24時間実施される。いくつかの実施形態では、工程dの後に得ることができるSNAC多形形態Aの加熱は、約0.9~24時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約1~24時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約3~24時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約6~24時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約12~24時間実施される。いくつかの実施形態では、加熱は、約18~24時間実施される。
【0062】
本発明の第2の態様によれば、DVSによって決定された25℃でのRH約0%から約65%への相対湿度の増加に供された場合、1.5%以下の質量増加を示し、および/または、0.9°(2θ)未満、例えば0.85°(2θ)未満のFWHMを有するCuKα放射線を使用して測定された8.7±0.2°の回折角2シータ(2θ)でのXRDPピークを含む、SNAC多形形態Aが提供される。
【0063】
いくつかの実施形態では、DVSによって決定された25℃でのRH約0%から約65%への相対湿度の増加に供された場合、1.3%以下、例えば1.2%以下、例えば1.1%以下、例えば1.0%以下の質量増加を示すSNAC多形形態Aが提供される。いくつかの実施形態では、DVSによって決定された25℃でのRH約0%から約65%への相対湿度の増加に供された場合、1.3%以下の質量増加を示すSNAC多形形態Aは、図1または図2に提供される代表的なX線粉末回折パターンを有する。
【0064】
本発明は、別の態様では、第1の態様による方法によって得ることができるSNAC多形形態Aに関する。
【0065】
いくつかの実施形態では、本発明の第1の態様によるプロセスまたは本発明の第1の代替的な態様による方法によって得ることができるSNAC多形形態A、SNAC多形形態Aは、DVSによって決定された25℃でのRH約0%から約65%への相対湿度の増加に供された場合、1.5%以下、例えば1.3%以下、例えば1.0%以下の質量増加を示す。
【0066】
第3の態様における本発明は、SNAC顆粒および/または固体剤形の製造のための、第2の態様または代替的な第2の態様によるSNAC多形形態Aの使用に関する。
【0067】
本発明はまた、医薬固体剤形を製造するプロセスを記載する。いくつかの実施形態では、固体医薬組成物または剤形を製造するプロセスは、
a.本発明の第1の態様または代替的な第1の態様によるSNAC多形形態Aを得る工程と、
b.当該SNAC多形形態Aを、滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムと、任意選択で医薬品有効成分、例えばペプチドと、任意選択で1つ以上の追加の薬学的に許容可能な賦形剤とブレンディングまたは混合する工程と、
任意選択で、c.工程bで得ることができる当該ブレンドまたは混合物を造粒する工程と、
任意選択で、d.工程cから得ることができる粒状物または顆粒を、追加の賦形剤と混合する工程と、
e.固体医薬組成物、または剤形、例えば錠剤を得る工程と、を含む。
【0068】
第4の態様では、本発明は、SNAC多形形態Aを含む経口投与に好適な固体または乾燥医薬組成物に関する。いくつかの実施形態では、固体医薬組成物は、医薬品有効成分および任意選択で少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含む。本明細書で使用する「賦形剤」という用語は、活性治療成分または医薬品有効成分(API)以外の任意の構成要素を広く指す。賦形剤は、薬学的に不活性な物質、非活性物質、および/または治療的もしくは医薬的に活性でない物質であり得る。賦形剤は、例えば、担体、ビヒクル、充填剤、結合剤、滑沢剤、滑剤、崩壊剤、流量制御剤、結晶化阻害剤、可溶化剤、安定剤、着色剤、香味剤、界面活性剤、乳化剤、もしくはそれらの組み合わせとして、ならびに/または治療活性物質もしくは医薬品有効成分の投与および/もしくは吸収を改善するために、様々な目的を果たし得る。使用される各賦形剤の量は、当該技術分野の通常の範囲内で変化し得る。経口剤形を製剤化するために使用され得る技法および賦形剤については、Handbook of Pharmaceutical Excipients,8th edition,Sheskey et al.,Eds.,American Pharmaceuticals Association and the Pharmaceutical Press,publications department of the Royal Pharmaceutical Society of Great Britain(2017)、およびRemington:the Science and Practice of Pharmacy,22nd edition,Remington and Allen,Eds.,Pharmaceutical Press(2013)に記載されている。
【0069】
いくつかの実施形態では、賦形剤は、結合剤、例えば、ポリビニルピロリドン(ポビドン)など;充填剤、例えば、セルロース粉末、微結晶性セルロース、セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース、二塩基性リン酸カルシウム、コーンスターチ、アルファー化デンプンなど;滑沢剤および/または滑剤、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、トリベヘン酸グリセロールなど;流量制御剤、例えば、コロイダルシリカ、タルクなど;結晶化阻害剤、例えば、ポビドンなど;可溶化剤、例えば、プルロニック、ポビドンなど;着色剤、染料および顔料、例えば、赤色または黄色酸化鉄、二酸化チタン、タルクなどを含む;pH調整剤、例えば、クエン酸、酒石酸、フマル酸、クエン酸ナトリウム、二塩基性リン酸カルシウム、二塩基性リン酸ナトリウムなど;界面活性剤および乳化剤、例えば、プルロニック、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエトキシ化および水添ヒマシ油など;ならびにこれらの賦形剤および/またはアジュバントのうちの2つ以上の混合物から選択され得る。組成物は、結合剤、例えば、ポビドン、デンプン、セルロースおよびその誘導体、例えば、微結晶性セルロース、例えば、FMC(Philadelphia,PA)製のAvicel PH、Dow Chemical Corp.(Midland,MI)製のヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、およびヒドロキシルプロピルメチルセルロースMETHOCEL、スクロース、デキストロース、コーンシロップ、多糖類、ならびにゼラチンを含んでもよい。結合剤は、乾燥結合剤および/または湿式造粒結合剤から成る群から選択され得る。好適な乾燥結合剤は、例えば、セルロース粉末および微結晶性セルロース、例えば、Avicel PH 102およびAvicel PH 200である。いくつかの実施形態では、組成物は、Avicel、例えばAvicel PH 102を含む。湿式造粒または乾式造粒に好適な結合剤は、コーンスターチ、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー(コポビドン)、ならびにセルロース誘導体、例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシルプロピルメチルセルロースである。いくつかの実施形態では、組成物は、ポビドンを含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、組成物は、ラクトース、マンニトール、エリスリトール、スクロース、ソルビトール、リン酸カルシウム、例えば、カルシウム水素リン酸、微結晶性セルロース、粉末セルロース、粉砂糖、圧縮性糖、デキストレート、デキストリン、およびデキストロースから選択され得る充填剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、微結晶性セルロース、例えばAvicel PH 102またはAvicel PH 200を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、滑沢剤および/または滑剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、滑沢剤および/または滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸グリセリル、ジベヘン酸グリセリル、ベヘノイルポリオキシル-8グリセリド、ポリエチレンオキシドポリマー、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、オレイン酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、水添植物油、二酸化ケイ素、および/またはポリエチレングリコールなどを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、ステアリン酸マグネシウムまたはジベヘン酸グリセリル(例えば、ジエステル画分が優勢であるベヘン酸(C22)のモノ-、ジ-、およびトリエステルから成る、製品Compritol(登録商標)888 ATO)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、崩壊剤、例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、クロスカルメロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、または乾燥コーンスターチを含む。組成物は、1つ以上の界面活性剤、例えば、界面活性剤、少なくとも1つの界面活性剤、または2つの異なる界面活性剤を含み得る。「界面活性剤」という用語は、水溶性(親水性)部分、および脂溶性(親油性)部分で構成される、任意の分子またはイオンを指す。界面活性剤は、例えば、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、および/または両性イオン界面活性剤から成る群から選択されてもよい。本明細書の例に示されるように、本発明の組成物は、非常に高い含有量の送達剤を有する。この非常に高い含有量は、医薬品有効成分(例えば、GLP-1作動薬)も含む錠剤の全含有量に対して、または代替的に、医薬品有効成分を除く賦形剤の全含有量に対して、定義され得る。本明細書の以下の説明はまた、特定の成分、医薬品有効成分、および賦形剤から成る組成物も指し、から成る(consisting)という用語は、それでもなお、組成物の機能に効果を及ぼさない微量の任意の物質を包含すると理解されるべきであり、これはまた、から本質的に成る(consisting essential of)とも呼ばれる場合がある。そのような物質は、医薬品有効成分の調製中に残留する不純物、または製剤の品質もしくは吸収に影響を与えない最小限の量(1%未満)の任意の薬学的に許容可能な賦形剤であり得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、医薬品有効成分は、GLP-1作動薬、例えばセマグルチドである。
【0072】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、GLP-1作動薬および本発明によるSNAC多形形態Aを含み、SNAC多形形態Aは、組成物の少なくとも60%w/wで存在する。
【0073】
さらなる実施形態では、本発明によるSNAC多形形態Aは、当該組成物の71%w/w超、例えば72%w/w超、例えば73%w/w超、例えば74%w/w超、例えば75%w/w超を構成する。
【0074】
さらなる実施形態では、本発明によるSNAC多形形態Aは、当該組成物の81%w/w超、例えば82%w/w超、例えば83%w/w超、例えば84%w/w超、例えば85%w/w超を構成する。
【0075】
さらなる実施形態では、本発明によるSNAC多形形態Aは、当該組成物の91%w/w超、例えば92%w/w超、例えば93%w/w超、例えば94%w/w超、例えば95%w/w超を構成する。
【0076】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、GLP-1作動薬および本発明によるSNAC多形形態Aを含み、SNAC多形形態Aは、組成物の賦形剤の少なくとも90%w/wを構成する。
【0077】
定義
本明細書で使用する場合、「約」または「おおよそ」という用語は、数値(例えば、5、10%、1/3)とともに使用される場合、その数値よりも小さくても大きくてもよい数値の範囲を指す。いくつかの実施形態では、本明細書で使用する「約」という用語は、言及される値の±10%を意味し、その値を含む。例えば、「約5」は、5よりも10%、5%、2%、または1%小さいかまたは大きい数値の範囲、例えば、4.5~5.5、または4.75~5.25、または4.9~5.1、または4.95~5.05の範囲を指す。
【0078】
文脈によって反対のことが示されない限り、本明細書に記載されるすべての範囲は、それらの終点を含むと解釈されるべきであり、制約のない範囲は、商業的に実用的な値のみを含むと解釈されるべきである。同様に、値のリストはすべて、文脈によって反対のことが示されない限り、中間値を含むとみなされるべきである。
【0079】
本明細書で使用する場合、「賦形剤」という用語は、活性治療成分または医薬品有効成分(API)以外の任意の構成要素を広く指す。
【0080】
賦形剤は、薬学的に不活性な物質、非活性物質、および/または治療的もしくは医薬的に活性でない物質であり得る。賦形剤は、例えば、担体、ビヒクル、充填剤、結合剤、滑沢剤、滑剤、崩壊剤、流量制御剤、結晶化阻害剤可溶化剤、安定剤、着色剤、香味剤、界面活性剤、乳化剤、もしくはそれらの組み合わせとして、ならびに/または治療活性物質もしくは医薬品有効成分の投与および/もしくは吸収を改善するために、様々な目的を果たし得る。使用される各賦形剤の量は、当該技術分野の通常の範囲内で変化し得る。経口剤形を製剤化するために使用され得る技法および賦形剤については、Handbook of Pharmaceutical Excipients,8th edition,Sheskey et al.,Eds.,American Pharmaceuticals Association and the Pharmaceutical Press,publications department of the Royal Pharmaceutical Society of Great Britain(2017)、およびRemington:the Science and Practice of Pharmacy,22nd edition,Remington and Allen,Eds.,Pharmaceutical Press(2013)に記載されている。
【0081】
本明細書で使用する場合、「メジアン粒子径(D50)」は、粒子径の50%がより小さく、粒子径の50%がより大きい粒子径値を指す。
【0082】
「粒状物」および「顆粒」という用語は、上述のように調製され得る組成物材料の粒子を指すために、本明細書では互換的に使用される。
【0083】
「の温度で加熱が実施される」という表現は、加熱されたSNAC多形形態Aが示された温度を有することを意味する。言い換えれば、温度は、オーブン温度を指すのではなく、SNAC多形形態Aの実際の温度を指す。温度は、例えば、SNAC多形形態Aを加熱する場合に固体塊内で温度計を使用して制御され得る。
【0084】
「結晶欠陥」という用語は、SNAC多形形態Aの規則的な周期的結晶構造における様々な欠陥による中断、すなわち結晶構造における欠陥の形成を指すために使用される。これらの欠陥による結晶構造の中断は、結晶子径の減少を引き起こす可能性があり、したがって、回折ピークを広げることによってXRPDパターンに影響を与える可能性がある。結晶欠陥の程度が増加するSNAC多形形態Aの代表的なXRPDパターンを、それぞれ図1図3に示す。
【0085】
「多形」または「多形形態」という用語は、物質の結晶学的に別個の形態を指す。
【0086】
「多形形態A」という用語は、図1図3に示されるようなXRPDパターンをもたらす別個の周期的結晶構造を有するSNACを指す。3.0±0.2°、6.0±0.2、8.7±0.2°、11.6±0.2°、14.6±0.2°、および18.9±0.2°の回折角2シータ(2θ)での6つの特徴的なピークすべての存在により、SNAC多形形態Aは、多形形態AとE、F、またはBのいずれかとの混合物を示す図5、7および9に表されるように、他のSNAC多形形態、例えばE(図4を参照)、F(図6を参照)およびB(図8を参照)と区別される。「多形形態A」という用語はまた、195~199℃、例えば約197℃の融点開始点を有し、それまでにいかなる他の顕著な熱事象も有さず、室温から開始され、最大10℃/分の走査速度で示差走査熱量測定によって決定される、SNACを指す。
【0087】
すべての見出しおよび小見出しは、本明細書では便宜上使用されているだけであり、決して本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0088】
本明細書で提示するいっさいの例または例示的な語句(例えば「など(such as)」)の使用は、単に本発明をより明瞭にするという意図しかなく、特に明記しない限り、本発明の範囲を制限するものではない。本明細書中のいかなる語句も、特許請求されていない要素を本発明の実施に必須であると示すものとして解釈されるべきではない。
【0089】
本明細書の特許文書の引用および組み込みは、便宜上行われているだけであり、かかる特許文書の有効性、特許性および/または執行可能性のいっさいの観点を反映するものではない。
【0090】
本発明は、適用法により許可される、本明細書に添付の特許請求の範囲に記載されている主題のすべての修正および均等物を含む。
【0091】
実施形態のリスト
1.実質的に図1または図2に示されるX線粉末回折パターンを示すN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)-アミノ]カプリル酸一ナトリウムを生成する方法であって、
a.N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)-アミノ]カプリル酸を好適な溶媒中に懸濁または溶解する工程と、
b.ナトリウム含有塩、例えば水酸化ナトリウムを添加して、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)-アミノ]カプリル酸一ナトリウムを形成する工程と、
c.そのように形成されたN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)-アミノ]カプリル酸一ナトリウムを単離する工程と、
d.N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)-アミノ]カプリル酸一ナトリウムを乾燥させる工程と、
e.N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)-アミノ]カプリル酸一ナトリウムを、任意選択で減圧下で、90℃超の温度、例えば約105~140℃の温度で、少なくとも約5分間、例えば少なくとも約15分間、および任意選択で72時間以下、例えば24時間以下、加熱する工程と、を含む、方法。
2.CuKα放射線を使用して測定された3.0±0.2°、6.0±0.2、8.7±0.2°、11.6±0.2°、14.6±0.2°、および18.9±0.2°の回折角2シータ(2θ)でのピークを含むX線粉末回折パターンを示すN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)-アミノ]カプリル酸一ナトリウムを生成する方法であって、
a.N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)-アミノ]カプリル酸を好適な溶媒中に懸濁または溶解する工程と、
b.ナトリウム含有塩、例えば水酸化ナトリウムを添加して、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)-アミノ]カプリル酸一ナトリウムを形成する工程と、
c.そのように形成されたN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)-アミノ]カプリル酸一ナトリウムを単離する工程と、
d.N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)-アミノ]カプリル酸一ナトリウムを乾燥させる工程と、
e.N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)-アミノ]カプリル酸一ナトリウムを、任意選択で減圧下で、90℃超の温度の温度、例えば約105~140℃の温度で、少なくとも約5分間、例えば少なくとも約15分間、加熱する工程と、を含む、方法。
3.N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)-アミノ]カプリル酸一ナトリウム多形形態Aを生成する方法であって、
a.N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)-アミノ]カプリル酸を好適な溶媒中に懸濁または溶解する工程と、
b.ナトリウム含有塩、例えば水酸化ナトリウムを添加して、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)-アミノ]カプリル酸一ナトリウムを形成する工程と、
c.そのように形成されたN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)-アミノ]カプリル酸一ナトリウムを単離する工程と、
d.N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)-アミノ]カプリル酸一ナトリウムを乾燥させる工程と、
e.N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)-アミノ]カプリル酸一ナトリウムを、任意選択で減圧下で、90℃超の温度、例えば約105~140℃の温度で、少なくとも約5分間、例えば少なくとも約15分間、加熱する工程と、を含む、方法。
4.好適な溶媒が、アルコールである、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。
5.好適な溶媒が、イソプロパノールまたはエタノールである、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
6.好適な溶媒が、イソプロパノールである、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。
7.ナトリウム含有塩が、工程aで得ることができる水溶液または懸濁液の形態、例えば、10%の水溶液もしくは懸濁液、20%の水溶液もしくは懸濁液、30%の水溶液もしくは懸濁液、40%の水溶液もしくは懸濁液、50%の水溶液もしくは懸濁液、60%の水溶液もしくは懸濁液、または70%の水溶液もしくは懸濁液であってもよい、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法。
8.ナトリウム含有塩が、工程aで得ることができる溶液または懸濁液に等モル量で添加されてもよい、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
9.ナトリウム含有塩が、工程aで得ることができる溶液または懸濁液にモル過剰で添加されてもよい、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
10.ナトリウム含有塩が、工程aで得ることができる溶液または懸濁液に、約1.00当量、約1.02当量、約1.04当量、約1.06当量、約1.08当量、または約1.10当量添加されてもよい、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法。
11.乾燥が、真空乾燥機を使用して実施される、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法。
12.乾燥が、バイコニカル乾燥機、コニカル乾燥機、または球形乾燥機を使用して実施される、実施形態1~11のいずれか1つに記載の方法。
13.真空乾燥機が、撹拌真空乾燥機、例えば撹拌器を備える球形乾燥機または撹拌器を備えるコニカル乾燥機である、実施形態11または実施形態12に記載の方法。
14.真空乾燥機が、回転式乾燥機、例えばタンブル乾燥機である、実施形態11~14のいずれか1つに記載の方法。
15.SNAC多形形態Aにおける結晶欠陥の量を低減する方法であって、
A.SNAC多形形態Aを提供する工程と、
B.任意選択で減圧下で、90℃超の温度、例えば約105~140℃の温度で、少なくとも約5分間、例えば少なくとも約15分間、および任意選択で72時間以下、例えば24時間以下加熱する工程で提供されるSNAC多形形態Aを加熱する工程と、を含む、方法。
16.SNAC多形形態Aの安定性を増加させる方法であって、
A.SNAC多形形態Aを提供する工程と、
B.任意選択で減圧下で、90℃超の温度、例えば約105~140℃の温度で、少なくとも約5分間、例えば少なくとも約15分間、および任意選択で72時間以下、例えば24時間以下加熱する工程で提供されるSNAC多形形態Aを加熱する工程と、を含む、方法。
17.N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)-アミノ]カプリル酸一ナトリウム(SNAC)形態Aの吸湿性を低減する方法であって、プロセスが、
A.SNAC多形形態Aを提供する工程と、
B.任意選択で減圧下で、90℃超の温度、例えば約105~140℃の温度で、少なくとも約5分間、例えば少なくとも約15分間、および任意選択で72時間以下、例えば24時間以下加熱する工程で提供されるSNAC多形形態Aを加熱する工程と、を含む、方法。
18.工程Bで得ることができるSNAC多形形態Aが、実質的に図1または図2に示されるX線粉末回折パターンを示す、実施形態15~17のいずれか1つに記載の方法。
19.工程AのSNAC多形形態Aが、DVSによって決定された25℃での相対湿度(RH)約0%から約65%への相対湿度の増加に供された場合、1.3%超、例えば、1.4%超の質量増加を示す、実施形態15~18のいずれか1つに記載の方法。
20.工程AのSNAC多形形態Aが、DVSによって決定された25℃での相対湿度(RH)約0%から約65%への相対湿度の増加に供された場合、1.5%超の質量増加を示す、実施形態15~19のいずれか1つに記載の方法。
21.工程AのSNAC多形形態Aが、CuKα放射線を使用して測定された8.7±0.2°の回折角2シータ(2θ)でのピークが、0.9°(2θ)超のFWHMを有することを特徴とする、実施形態15~20のいずれか1つに記載の方法。
22.当該SNAC多形形態Aが、約110~135℃の温度で加熱される、実施形態1~21のいずれか1つに記載の方法。
23.加熱が、約105~114℃の温度、例えば約110℃で実施される、実施形態1~21のいずれか1つに記載の方法。
24.加熱が、約115~124℃の温度、例えば約120℃で実施される、実施形態1~21のいずれか1つに記載の方法。
25.加熱が、約125~134℃の温度、例えば約130℃で実施される、実施形態1~21のいずれか1つに記載の方法。
26.加熱が、約111~135℃の温度で、約118~135℃の温度で実施される、実施形態1~11のいずれか1つに記載の方法。
27.加熱が、約113~130℃の温度で、約119~135℃の温度で実施される、実施形態1~11または実施形態26のいずれか1つに記載の方法。
28.加熱が、少なくとも20分、または少なくとも30分、または少なくとも45分、または少なくとも1時間、または少なくとも2時間、または少なくとも3時間、または少なくとも4時間、または少なくとも5時間、または少なくとも6時間、または少なくとも7時間、または少なくとも8時間、または少なくとも9時間、または少なくとも10時間、または少なくとも11時間、または少なくとも12時間、または少なくとも18時間、または少なくとも24時間、実施される、実施形態1~27のいずれか1つに記載の方法。
29.加熱が、72時間未満、例えば66時間未満、例えば60時間未満、例えば54時間未満、例えば48時間未満、例えば42時間未満、例えば36時間未満、例えば30時間未満、例えば26時間未満、実施される、実施形態28のいずれか1つに記載の方法。
30.加熱が、約0.1~24時間、例えば約0.2~24時間実施される、実施形態1~29のいずれか1つに記載の方法。
31.加熱が、約0.3~24時間、例えば約0.4~24時間実施される、実施形態1~30のいずれか1つに記載の方法。
32.加熱が、約0.5~24時間、例えば約0.6~24時間実施される、実施形態1~31のいずれか1つに記載の方法。
33.加熱が、約1~24時間、例えば約0.8~24時間実施される、実施形態1~32のいずれか1つに記載の方法。
34.加熱が、約3~72時間実施される、実施形態1~30のいずれか1つに記載の方法。
35.加熱が、約6~72時間、例えば約12~72時間実施される、実施形態1~30または実施形態34のいずれか1つに記載の方法。
36.加熱が、約12~72時間実施される、実施形態1~30または実施形態34のいずれか1つに記載の方法。
37.加熱が、約1~60時間、例えば約6~60時間実施される、実施形態1~30のいずれか1つに記載の方法。
38.加熱が、約12~60時間実施され、加熱が、例えば約18~60時間、例えば約24~60時間実施される、実施形態1~30のいずれか1つに記載の方法。
39.加熱が、約1~48時間、例えば約6~48時間、例えば約12~48時間実施される、実施形態1~27のいずれか1つに記載の方法。
40.加熱が、約18~48時間、例えば約24~48時間実施される、実施形態1~30のいずれか1つに記載の方法。
41.加熱が、約1~36時間、例えば約6~36時間実施される、実施形態1~30のいずれか1つに記載の方法。
42.加熱が、約12~36時間、例えば約18~36時間実施される、実施形態1~30のいずれか1つに記載の方法。
43.加熱が、約24~36時間実施され実施される、実施形態1~33のいずれか1つに記載の方法。
44.加熱が、約30分~24時間、例えば約1~24時間実施される、実施形態1~30のいずれか1つに記載の方法。
45.加熱が、約2~24時間、例えば約3~24時間、例えば約4~24時間、例えば約5~24時間、例えば約6~24時間実施される、実施形態1~30のいずれか1つに記載の方法。
46.実施形態1~45のいずれか1つに記載の方法またはプロセスによって得ることができるSNAC多形形態A。
47.当該SNAC多形形態Aが、DVSによって決定された25℃での相対湿度(RH)約0%から約65%への相対湿度の増加に供された場合、1.5%以下、例えば1.4%以下の質量増加を示すことによって特徴付けられる、実施形態1~45のいずれか1つに記載の方法またはプロセスによって得ることができるSNAC多形形態A。
48.当該SNAC多形形態Aが、DVSによって決定された25℃での相対湿度(RH)約0%から約65%への相対湿度の増加に供された場合、1.3%以下、例えば1.2%以下、例えば1.1%以下、例えば1.0%以下の質量増加を示すことによって特徴付けられる、実施形態1~45のいずれか1つに記載の方法またはプロセスによって得ることができるSNAC多形形態A。
49.CuKα放射線を使用して測定された8.7±0.2°の回折角2シータ(2θ)でのピークが、0.9°(2θ)未満、例えば0.85°(2θ)未満のFWHMを有する、実施形態1~45のいずれか1つに記載の方法によって得ることができるSNAC多形形態A。
50.CuKα放射線を使用して測定された8.7±0.2°の回折角2シータ(2θ)のピークが、約0.58~0.9°(2θ)、例えば約0.60~0.80°(2θ)のFWHMを有することを特徴とする、実施形態49に記載のSNAC多形形態A。
51.CuKα放射線を使用して測定された8.7±0.2°の回折角2シータ(2θ)でのピークが、約0.50~0.68°(2θ)、例えば約0.51~0.62°(2θ)のFWHMを有することを特徴とする、実施形態49または実施形態50に記載のSNAC多形形態A。
52.FWHMが、方法1に従って手動モードによって測定される、実施形態49~51に記載のSNAC多形形態A。
53.FWHMが、方法1に従って自動モードによって測定される、実施形態49~51に記載のSNAC多形形態A。
54.DVSによって決定された25℃での相対湿度(RH)約0%から約65%への相対湿度の増加に供された場合、1.5%以下の質量増加を示す、SNAC多形形態A。
55.DVSによって決定された25℃での相対湿度(RH)約0%から約65%への相対湿度の増加に供された場合、1.3%以下、例えば1.2%以下、例えば1.1%以下の質量増加を示す、実施形態54に記載のSNAC多形形態A。
56.DVSによって決定された25℃での相対湿度(RH)約0%から約65%への相対湿度の増加に供された場合、1.0%以下の質量増加を示す、実施形態54に記載のSNAC多形形態A。
57.CuKα放射線を使用して測定された8.7±0.2°の回折角2シータ(2θ)でのピークが、0.9°(2θ)未満、例えば0.85°(2θ)未満のFWHMを有することを特徴とする、SNAC多形形態A。
58.CuKα放射線を使用して測定された8.7±0.2°の回折角2シータ(2θ)のピークが、約0.58~0.9°(2θ)、例えば約0.60~0.80°(2θ)のFWHMを有することを特徴とする、実施形態57に記載のSNAC多形形態A。
59.CuKα放射線を使用して測定された8.7±0.2°の回折角2シータ(2θ)でのピークが、約0.50~0.68°(2θ)、例えば約0.51~0.62°(2θ)のFWHMを有することを特徴とする、実施形態57または実施形態58に記載のSNAC多形形態A。
60.FWHMが、方法1-X線粉末回折に記載される手動モードによって測定される、実施形態57~59に記載のSNAC多形形態A。
61.FWHMが、方法1-X線粉末回折に記載される自動モードによって測定される、実施形態57~59に記載のSNAC多形形態A。
62.99.5%未満の結晶欠陥を含む、SNAC多形形態A。
63.99%未満の結晶欠陥、例えば98%未満の結晶欠陥を含む、SNAC多形形態A。
64.99%未満の結晶欠陥、例えば97%未満の結晶欠陥を含む、SNAC多形形態A。
65.99%未満の結晶欠陥、例えば96%未満の結晶欠陥を含む、SNAC多形形態A。
66.99%未満の結晶欠陥、例えば95%未満の結晶欠陥を含む、SNAC多形形態A。
67.0~5%の結晶欠陥、例えば0.01~5%、例えば0.1~5%、例えば0.5~5%を含む、SNAC多形形態A。
68.SNAC顆粒および/または固体剤形の製造のための、実施形態43~47のいずれか1つに記載の方法によって得ることができるSNAC多形形態Aの使用。
69.SNAC顆粒および/または固体剤形の製造のための、実施形態48~55のいずれか1つに記載のSNAC多形形態Aの使用。
70.実施形態1~69のいずれか1つに記載のSNAC多形形態Aを含む、固体医薬組成物。
71.SNAC多形形態Aが、粉末または粒状物の形態である、実施形態70に記載の固体医薬組成物。
72.SNAC多形形態Aが、約0.1~2000μmのメジアン粒子径(D50)を有する、実施形態70または実施形態71に記載の固体医薬組成物。
73.メジアン粒子径が、約100-1000μm、例えば約150~800μm、例えば約200~600μmである、実施形態72に記載の固体医薬組成物。
74.メジアン粒子径が、約0.1~100μm、例えば約0.5~80μm、例えば約1~50μm、例えば約5~30μmである、実施形態72に記載の固体医薬組成物。
75.医薬品有効成分、滑沢剤、および任意選択で1つ以上の追加の薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含む、実施形態70~75のいずれか1つに記載の固体医薬組成物。
76.固体医薬組成物または剤形を製造するプロセスであって、
a.本発明の第1の態様によるSNAC多形形態Aを得る工程と、
b.当該SNAC多形形態Aを、滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムと、任意選択で医薬品有効成分、例えばペプチドと、任意選択で1つ以上の追加の薬学的に許容可能な賦形剤とブレンディングまたは混合する工程と、
任意選択で、c.工程bで得ることができる当該ブレンドまたは混合物を造粒する工程と、
任意選択で、d.工程cから得ることができる粒状物または顆粒を、追加の賦形剤と混合する工程と、
e.固体医薬組成物、または剤形、例えば錠剤を得る工程と、を含む、プロセス。
77.実質的に図1または図2に示されるX線粉末回折パターンを示す、実施形態55に記載のSNAC多形形態A。
【実施例
【0092】
略語
FWHM-半値全幅
XRPD-粉末X線回折
DVS-動的水蒸気収着
RH-相対湿度
SNAC-N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)-アミノ]カプリル酸一ナトリウム
【0093】
一般的な検出方法および特性評価方法
N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリル酸一ナトリウム(SNAC)は、WO2008/028859の実施例2に記載される手順に従って調製することができる。任意選択で、WO2008/028859の実施例2に記載されるオーブンの代わりに、コニカル、バイコニカル、または球形の乾燥機を乾燥工程で使用してもよい。
【0094】
方法1-X線粉末回折
XRPDを、周囲条件でMalvern Panalytical Empyrean回折計を使用して実施した。回折パターンを、Empyrean Cu LFF HR(45kV/40mA)源およびPIXcel3D-Medipix3 1x1検出器を使用して、室温で測定した。測定は、0.067335°2θ/秒の走査速度および0.0262606°2θのステップサイズを使用して、2~40°2θの範囲で実施された。試料を、透過モードで、1秒のスピナー回転時間で測定した。おおよそ200mgの試料を、2枚のKaptonポリイミド薄膜の間に置いた。測定は、入射ビームに0.04ラジアンのソーラースリットおよび0.5°の固定発散スリット、ならびに回折ビームに3mmの散乱防止スリットおよび0.04ラジアンのソーラースリットを使用して実施された。
【0095】
試料の多形形態は、試料について得られたディフラクトグラムを、SNAC多形および溶媒和物についての参照ディフラクトグラムと比較することによって決定された。
【0096】
結晶欠陥の程度は、より多くの結晶欠陥によりピークの広がりおよびより低いピーク高さが引き起こされる可能性があり、これにより、回折ピークに寄与する同一配向を有する格子面が少ないことに起因してFWHM値がより高くなることから、FWHMの使用によって評価された。反対に、結晶欠陥がない場合、同一配向を有する格子面が増加し、その結果、より狭くより高い回折ピークをもたらし、より小さなFWHM値をもたらす。FWHMは、ピークの頂点を見つけ、x軸をベースラインとして適用して(自動モード)(図11を参照)、または2つの周囲のトラフにまたがるベースラインを適用して(手動モード)(図12を参照)ピークの高さを測定することによって、8.7±0.2°2θの特徴的なピークを使用して計算された。次に、この値を半分に割って、半分の高さを求める。以下、その半分の高さでのピークの幅が測定され、°2θで報告される。あるいは、6.0±0.2°2θでのピークを使用して、FWHMを計算してもよい。
【0097】
方法2-水分チャンバーを使用するX線粉末回折(XRPD)
Anton Paar水分チャンバーモデルMFD 2017、タイプMCH-transを使用した非周囲条件でのXRPD測定を、XRPD測定について方法1に記載される設定と同じ設定を使用して実施した。水分チャンバーにより、XRPD測定中に試料の湿度および温度を制御することができる。
【0098】
方法3-動的水蒸気収着(DVS)
水分の収着/脱着データは、Surface Measurement SystemsからのDynamic Vapour Sorption Advantage 1によって測定された。分析前に、試料を五酸化リンを含有するデシケーター内で最大約48時間乾燥させた。おおよそ20mgの試料を天秤皿に入れ、機器に装填し、次いで、窒素パージを使用して0%RHで、試料を機器内で最低500分間さらに乾燥させた。さらなる乾燥後に得られた試料重量を0%開始重量として割り当て、すべての重量増加および減少をこの開始重量に対して計算した。25℃で窒素パージを使用して、相対湿度(RH)0~90%の範囲にわたって収着および脱着等温線を収集した。分析に使用した平衡の閾値は、0.002~0.0005dm/dtであった。
【0099】
実施例1:加熱温度および時間の効果
目的は、結晶欠陥の程度、多形形態、およびSNAC多形形態Aの吸湿性に対する加熱温度および時間の効果を調査することであった。
【0100】
0.97°2θのFWHM(自動モード)および開始から65%RHでの1.98%の水分取り込みを有するSNAC多形形態Aのバッチ(バッチ5)からの試料を、トレイオーブン内でそれぞれ90、100、110、120、130、および140℃に加熱した。試料は、それぞれの温度に最大72時間曝露された。試料サイズは、試料がオーブン温度まで数分以内に完全に平衡化されることを確実にするのに十分な小ささであった。試料を、高温曝露の72時間の間に採取し、方法1に従ってXRPD測定に供して、x軸をベースラインとするFWHM(自動モード)を使用して、結晶欠陥への影響および多形形態を決定した。結果を表1および表2に示す。
【0101】
【表1】
【0102】
表1に示すように、SNAC形態Aが高温に曝露されるとFWMHは減少するが、これは、回折ピークがより狭くより高くなることから明らかであるように、結晶欠陥の程度の低減を示している。さらに、結晶欠陥の程度は、より高い温度およびより長い曝露で最も低減される。表1に示す結果は、結晶欠陥の大幅な低減が、6~24時間後に90~140℃の温度で得られ、その後は、わずかなさらなる低減のみが得られることを示している。結晶欠陥の低減の際立った部分は、高温での曝露のおよそ1時間後に既に達成されており、15分後には既に顕著な低減が得られている。
【0103】
【表2】
【0104】
表2に示すように、SNAC多形形態Aは、120℃から開始する温度に曝露された場合に多形形態Bへの変換を開始する。表2に示すように、温度が高いほど、多形形態Bへの変換の開始時間が早くなる。最大約110℃の温度での最大72時間の曝露後には、多形形態は変換されない。例えば、120℃では24時間超後に変換が開始し、130℃では1時間後に、140℃では0.5時間後に開始する。
【0105】
さらに、示された高温での24時間の曝露後に試料を採取し、方法3に従って動的水蒸気収着測定に供して吸湿性を決定した。水分取り込みを65%RHで測定した。結果を表3に示す。SNAC多形形態Aを高温に24時間曝露した場合には、65%RHで吸収される水分が減少するため、吸湿性が減少する。
【0106】
【表3】
【0107】
結論として、SNAC形態Aを90℃超の高温に最大72時間曝露した場合、結晶欠陥の程度および吸湿性の両方が、SNAC形態Aについて著しく低減される。120℃以上の温度では、SNAC形態Aは、過度に長い時間曝露された場合、多形形態Bへと変換され始める可能性がある。結晶欠陥の顕著な低減は、15分後に既に達成されており、次いで1時間後には、全体的な低減の大部分が達成され、次いで温度に応じて、6~24時間を超える曝露時間は、それをさらにわずかに減少させるのみである。
【0108】
実施例2-SNAC多形形態Aの異なるバッチに対する熱処理の効果
目的は、SNAC多形形態Aのいくつかのバッチの結晶欠陥の程度、多形形態、および吸湿性に対する熱処理の効果を調査することであった。
【0109】
SNAC多形形態Aの異なるバッチからの試料をトレイオーブン内で熱処理に供し、試料サイズは、試料がオーブン温度まで数分以内に完全に平衡化されることを確実にするのに十分な小ささであった。試料を、熱処理の前および熱処理の後にバッチから採取し、方法1に従ってXRPD測定に供して、x軸をベースラインとするFWHM(自動モード)を使用して、結晶欠陥への影響および多形形態を決定した。さらに、試料はまた、方法3に従ってDVS測定に供され、吸湿性に対する熱処理の影響を決定した。
【0110】
【表4】
【0111】
表4の結果は、115℃以上で最大24時間の最適化された熱処理に供される場合、SNAC多形形態Aバッチの結晶欠陥および吸湿性が低減されることを示している。これは、格子面の乱れおよび中断が少なくなることで回折ピークがより狭くより高くなる、FWHM結果の際立った減少によって示され、吸湿性が大幅に低減される、65%RHでの吸収水分の際立った減少によって示される。さらに、150℃で最大1時間の熱処理により、形態Aが形態Bへと変換され始め、したがって、高すぎる温度または高温での過度に長い時間により、多形形態Aから形態Bへの変換が可能になり得るという実施例1からの発見が裏付けられる。
【0112】
結論として、SNAC形態Aのおよそ115~120℃で最大24時間の熱処理は、結晶欠陥および吸湿性を際立って低減させる。そして、130℃超の温度では、多形形態Aから多形形態Bへの変換を避けるために、曝露時間を1時間未満に維持しなければならない。
【0113】
実施例3:SNAC三水和物(多形形態F)への変換の開始のための相対湿度閾値
目的は、SNAC形態Aから、SNACの三水和物形態である形態Fへの変換を引き起こすために必要な相対湿度に対する結晶欠陥の程度および吸湿性の影響を評価することであった。
【0114】
SNAC多形形態Aの異なるバッチからの試料を、XRPD方法2に従って多形形態の同時決定が可能な湿度チャンバー内で周囲条件で、相対湿度のレベルの上昇に供した。どの相対湿度で形態Aから形態Fへの多形変換が開始したのかを決定するために、SNAC多形形態Fの特徴的な回折ピークの出現についてディフラクトグラムを視覚的に検証した。
【0115】
【表5】
【0116】
表5の結果は、形態Aから形態Fへの多形変換の開始が、FWHM結果がより高い場合、5~10%低い相対湿度で起こることを示している。同様に、形態Fへの変換は、65%RHでの水吸収が高い場合、5~10%低い相対湿度で起こることが見出された。
【0117】
結論として、より高い程度の結晶欠陥および増加した吸湿性により、したがって、形態Aから形態Fへの変換の開始についての閾値がより低くなる。
【0118】
実施例4:粉砕による結晶欠陥を増加させる効果。
目的は、粉砕によって誘発されたSNAC形態Aのバッチにおける結晶欠陥の程度の増加が、FWHM、多形形態、および水分取り込みに与える効果を調査することであった。
【0119】
SNAC形態Aのバッチからの約1gの試料を、乳棒を用いて乳鉢中で約10分間手動で粉砕した。試料を粉砕の前および後に採取し、方法1に従ってXRPD測定に供して、x軸をベースラインとするFWHM(自動モード)を使用して、結晶欠陥への影響および多形形態を決定した。さらに、粉砕の前および後の試料はまた、方法3に従ってDVS測定に供され、吸湿性に対する熱処理の影響を決定した。
【0120】
【表6】
【0121】
結果は、SNAC形態Aが乳鉢中で手動で粉砕され、したがってより多くの結晶欠陥を有する場合、65%RHでの水分吸収が大幅に増加することを示している。
【0122】
結論として、結果は、SNAC形態Aの粉砕による結晶欠陥の程度の増加が、粉砕後の水分吸収が著しく高いため、際立って増加した吸湿性をもたらすことを示している。
【0123】
本発明の特定の特徴が本明細書に例証および記載されているが、ここで、多くの修正、代用、変更、および均等物が当業者に想到されるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲が本発明の真の趣旨の範囲内に含まれるすべての修正および変更を包含するよう意図されていることを理解されたい。
【0124】
実施例5:WO2008/028859の実施例2に従って製造されたSNACの結晶欠陥。
目的は、結晶欠陥の程度、多形形態、およびSNAC多形形態Aの吸湿性に対する、WO2008/028859の実施例2に記載される手順に従ってSNACを製造する効果を調査することであった。
【0125】
SNAC多形形態Aを、WO2008/028859の実施例2に記載される手順に従って製造した。試料を、90℃で18時間乾燥させた後に採取し、方法1に従ってXRPD測定に供して、x軸をベースラインとするFWHM(自動モード)を使用して、結晶欠陥への影響および多形形態を決定した。さらに、試料はまた、方法3に従ってDVS測定に供され、吸湿性を決定した。
【0126】
【表7】
【0127】
表7の結果は、WO2008/028859の実施例2に記載される手順に従って製造された場合、SNAC多形形態Aバッチの結晶欠陥および吸湿性が望ましくないほど高いことを示している。90℃で18時間乾燥させることは、90℃で最大72時間乾燥させた実施例1にも示すように、結晶欠陥および吸湿性を低減するには不十分であることが示されている。
【0128】
結論として、WO2008/02889の実施例2に記載される手順に従って製造されたSNAC多形形態Aは、結晶欠陥および吸湿性が望ましくないほど高く、結晶欠陥および吸湿性を際立って低減するために90℃超の熱処理を必要とするであろう。
図1
図2
図3
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図5
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【国際調査報告】