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特表2024-529254がん誘導性又は抗生物質誘導性のディスバイオシスを診断するための方法及び免疫療法によるがん治療を改善するためのそれらの使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】がん誘導性又は抗生物質誘導性のディスバイオシスを診断するための方法及び免疫療法によるがん治療を改善するためのそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/53 20060101AFI20240730BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20240730BHJP
   C12N 7/00 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 1/20 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 9/16 20060101ALI20240730BHJP
   C12Q 1/6897 20180101ALI20240730BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20240730BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 33/243 20190101ALI20240730BHJP
   A61K 31/282 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 38/14 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20240730BHJP
   A61K 38/46 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 31/203 20060101ALI20240730BHJP
   G01N 33/15 20060101ALI20240730BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20240730BHJP
   C07K 14/705 20060101ALN20240730BHJP
   C12Q 1/66 20060101ALN20240730BHJP
【FI】
G01N33/53 D
C12Q1/686 Z
C12N7/00
C12N1/20 E
C12N9/16 Z
C12Q1/6897 Z
C12M1/34 A
A61K39/395 E
A61K39/395 T
A61K35/17
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K33/243
A61K31/282
A61K38/14
A61K35/76
A61K38/46
A61K31/203
G01N33/15 Z
G01N33/50 Z
C07K14/705
C12Q1/66
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578925
(86)(22)【出願日】2022-06-21
(85)【翻訳文提出日】2024-02-20
(86)【国際出願番号】 EP2022066929
(87)【国際公開番号】W WO2022268841
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】21305846.4
(32)【優先日】2021-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21306817.4
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】508061930
【氏名又は名称】アンスティテュ ギュスタブ ルシ
(71)【出願人】
【識別番号】523269258
【氏名又は名称】エブリミューヌ
(71)【出願人】
【識別番号】520018392
【氏名又は名称】ユニベルシテ パリ-サクレー
(71)【出願人】
【識別番号】500248467
【氏名又は名称】アンスティテュ ナシオナル ドゥ ラ サントゥ エ ドゥ ラ ルシェルシェ メディカル(イーエヌエスエーエールエム)
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100170852
【弁理士】
【氏名又は名称】白樫 依子
(72)【発明者】
【氏名】マリーヌ フィデル
(72)【発明者】
【氏名】ローランス ジトボジェル
(72)【発明者】
【氏名】ロマン ダイレール
(72)【発明者】
【氏名】コンラート ラウバー
【テーマコード(参考)】
2G045
4B029
4B063
4B065
4C084
4C085
4C086
4C087
4C206
4H045
【Fターム(参考)】
2G045AA24
2G045AA40
2G045CA26
2G045DA36
2G045FB02
2G045FB03
4B029AA07
4B029BB15
4B029FA12
4B063QA01
4B063QA18
4B063QA19
4B063QQ02
4B063QQ03
4B063QQ08
4B063QQ13
4B063QQ22
4B063QQ49
4B063QQ53
4B063QQ79
4B063QR02
4B063QR33
4B063QR36
4B063QR48
4B063QR56
4B063QR60
4B063QR62
4B063QR72
4B063QR77
4B063QR80
4B063QS25
4B063QS33
4B063QS34
4B063QS36
4B063QS38
4B063QS39
4B063QX02
4B065AA01X
4B065AA98X
4B065CA44
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA44
4C084DA44
4C084DC22
4C084NA05
4C084ZB26
4C084ZC75
4C085AA13
4C085AA14
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE03
4C085GG01
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA23
4C086HA12
4C086HA24
4C086HA26
4C086HA28
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA05
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB37
4C087BB65
4C087BC83
4C087MA02
4C087NA05
4C087ZB26
4C087ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206DA12
4C206JB16
4C206MA02
4C206MA03
4C206MA04
4C206NA05
4C206ZB26
4C206ZC75
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045CA42
4H045DA50
4H045EA50
4H045EA54
4H045FA71
(57)【要約】
本発明は、抗がん免疫療法の分野に関する。特に、本発明は、がん治療の有効性におけるMAdCAM-1/α4β7軸腸内細菌叢の役割に関し、かつ患者が、がん治療、より正確には、免疫チェックポイント遮断剤PD1、PD-L1、又はPD-L2に対する抗体を、単独で若しくはCTLA4及び/又は化学療法と一緒に投与することを含む治療などの、イムノオンコロジー(imuno-oncology)(I-O)療法から利益を得る可能性が高いかどうかを決定するための方法を提供する。本発明はまた、それを必要とする患者におけるそのような治療の有効性を改善する方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イムノオンコロジー(I-O)療法に対する抵抗性又は感受性のマーカとしての血清可溶性MAdCAM-1レベルの使用であって、血清可溶性MAdCAM-1のレベルの低減が、前記I-O療法に対する抵抗性のマーカである、使用。
【請求項2】
がん関連又は抗生物質関連ディスバイオシスのマーカとしての血清可溶性MAdCAM-1レベルの使用であって、血清可溶性MAdCAM-1のレベルの低減が、がん関連又は抗生物質関連ディスバイオシスのマーカである、使用。
【請求項3】
血清可溶性MAdCAM-1を測定することを含む、がんを有する個体においてがん関連又は抗生物質関連腸管ディスバイオシスをインビトロで診断するための方法であって、血清可溶性MAdCAM-1のレベルの低減が、前記個体ががん関連又は抗生物質関連腸管ディスバイオシスを有することを指し示す、方法。
【請求項4】
前記血清可溶性MAdCAM-1のレベルが、代表的なコホートにおける前記可溶性MAdCAM-1のレベルの中央値よりも低い場合、低減しているものとみなされる、請求項1若しくは請求項2に記載の使用、又は請求項3に記載の方法。
【請求項5】
がんを有する個体が、がん免疫(I-O)療法の投与前に代償性微生物叢中心介入(MCI)を必要とするかどうかを決定するためのセラノスティック方法であって、請求項3及び請求項4のいずれか一項に記載の方法を用いて、前記個体ががん関連又は抗生物質関連ディスバイオシスを有するか否かを評価することを含み、前記個体ががん関連又は抗生物質関連ディスバイオシスを有する場合、前記個体がI-O療法による治療の投与前にMCIを必要とする、セラノスティック方法。
【請求項6】
I-O療法による前記治療が、抗PD1抗体(Ab)、抗PDL-1 Ab、抗CTLA4 Ab、抗Lag3 Ab、抗Tim3 Ab、抗TIGIT Ab、抗OX40 Ab、抗41 BB Ab、抗VISTA Ab、PD1及びLag3を標的とする二重特異性抗体、CAR-T細胞、養子TIL移入、並びにそれらの任意の組合せからなる群から選択され、単独で又は別の抗悪性腫瘍剤と組合され、特に免疫チェックポイント阻害剤(ICl)と、タキサン、シスプラチン、及び/又はオキサリプラチンとの任意の組合せである、請求項5に記載のセラノスティック方法。
【請求項7】
前記MCIが、以下:
-経口バンコマイシン抗生物質、
-エンテロクロスター(Enterocloster)新属分岐群の細菌を死滅させるファージ、
-エンテロクロスター新属分岐群の細菌を死滅させるように操作されたCrispr Cas9などのレアカットエンドヌクレアーゼ、
-アッカーマンシア(Akkermansia)菌種及び/又はアッカーマンシア・ムシニフィラ(Akkermansia muciniphila)(他の有益な細菌と混合されている可能性がある)、
-レチノイン酸、
-糞便微生物移植、並びに
-それらの混合物、
からなる群から選択される、請求項5又は6に記載のセラノスティック方法。
【請求項8】
がん誘導性ディスバイオシスを有する個体においてI-O療法と組み合わせてがんを治療するための、MCIのための薬剤であって、前記薬剤が、以下:
-経口バンコマイシン抗生物質、
-エンテロクロスター(Enterocloster)新属分岐群の細菌を死滅させるファージ、
-エンテロクロスター新属分岐群の細菌を死滅させるように操作されたCrispr Cas9などのレアカットエンドヌクレアーゼ、
-アッカーマンシア(Akkermansia)菌種及び/又はアッカーマンシア・ムシニフィラ(Akkermansia muciniphila)(他の有益な細菌と混合されている可能性がある)、
-糞便微生物組成物、及び
-それらの混合物、
からなる群から選択される、MCIのための薬剤。
【請求項9】
血清可溶性MAdCAM-1を測定することを含む、MCIの成功をフォローアップするための方法であって、血清可溶性MAdCAM-1の正常化されたレベルが、前記MCIが腸のユーバイオーシスを成功裏に回復させたことを指し示す、方法。
【請求項10】
心血管イベントを経験している高リスクのヘビースモーカ(HRHSCV)における初期NSCLC発生率を予測するバイオマーカとしての、血清可溶性MAdCAM-1レベルの使用であって、血清可溶性MAdCAM-1のレベルの低減が、NSCLCの発症を予測するマーカである、使用。
【請求項11】
可溶性MAdCAMの低い血清レベルを有する患者におけるがんの治療における使用のための、(i)抗PD1抗体又は抗PDL1抗体と、(ii)抗IL17A抗体若しくは抗IL17R抗体及び/又は組換えIL-7と、を含む、併用療法。
【請求項12】
粘膜固有層の内皮細胞におけるMAdCAM-1発現レベルを正常化することができる薬剤を同定するためのスクリーニング方法であって、(i)MAdCAM-1を発現するか、又は前記MAdCAM-1プロモータの制御下においてレポータ遺伝子を発現するように操作された培養細胞を、試験化合物とインビトロで接触させることと、及び(ii)前記化合物のいずれが、MAdCAM-1の発現、又は前記MAdCAM-1プロモータの制御下において発現されるレポータ遺伝子の発現を誘導したかを評価することと、を含む、スクリーニング方法。
【請求項13】
腸ヒト化アバターマウスに試験化合物を投与することを含む、前記粘膜固有層の内皮細胞におけるMAdCAM-1発現レベルを正常化することができる薬剤を同定するための、スクリーニング方法。
【請求項14】
アバターマウスにおける培養細胞又は他の実験で得られた結果を検証する工程を含み、アバターマウスが、8~10日間の広域スペクトルATBで前処置され、次いで経口胃管栄養法によってヒトFMT生成物によって再コロニー形成された腸ヒト化マウスであり、
(i)前記FMT生成物が、前記培養細胞において前記MAdCAM-1の発現を誘導するものと同定されている化合物であるか、又は
(ii)前記FMT生成物が、前記培養細胞において前記MAdCAM-1の発現を誘導しないものと同定されており、かつHUVEC細胞において前記MAdCAM-1の発現を誘導するものと同定されている別の化合物で富化されているか;又は
(iii)前記FMTが、ユーバイオーシス又は高可溶性MADCAM-1と関連した分類学的組成を有する、
請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
以下:
(i)胃管栄養法から8日後までに、前記腸ヒト化アバターマウスの一部を屠殺して、FMTレシピエントにおいてMAdCAM-1及びFoxp3ベースの回腸PCRを行い、それらを対照と比較すること;
(ii)前記腸ヒト化アバターマウスにおけるMAdCAM-1の有意な上方制御の場合、各群の少なくとも3匹のマウスに皮下肉腫を接種し、それらを抗PD1 Abで処置して、このFMTがATB処置マウスと比較して治療有効性を媒介し得ることを確実にすること;
(iii)腸ヒト化アバターマウスが抗PD1 Abでの前記処置に応答する場合、それを富化するために使用された前記FMT生成物又は前記非FMT化合物は、前記粘膜固有層の内皮細胞におけるMAdCAM-1発現レベルを正常化することができるものと推定すること、
を含む、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記MAdCAM-1プロモータの制御下においてレポータ遺伝子を発現する細胞と、生成物バンク中の薬剤をピッキングし、これらを培養細胞株に送達し、かつ前記レポータ遺伝子の発現を評価するように構成されたロボットと、を含む、請求項12~請求項15のいずれか一項に記載の方法を実施するためのスクリーニングプラットフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗がん免疫療法の分野に関する。特に、本発明は、がん治療の有効性におけるMAdCAM-1/α4β7軸腸内細菌叢の役割に関し、かつ患者が、がん治療、より正確には、免疫チェックポイント遮断剤PD1、PD-L1、又はPD-L2に対する抗体を、単独で若しくはCTLA4と一緒に投与することを含む治療などの、イムノオンコロジー(imuno-oncology)(I-O)療法から利益を得る可能性が高いかどうかを決定するための方法を提供する。本発明はまた、それを必要とする患者におけるそのような治療の有効性を改善する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
過去10年間に、腸内マイクロバイオームは、広範囲の進行性悪性腫瘍にわたる免疫チェックポイント遮断に対する一次抵抗性における腸管内ディスバイオシスの役割の説得力のあるエビデンスと共に、進化するイムノオンコロジーの文脈において大きな注目を集めてきた。この主張は、ステージIII及びステージIVの肺がん、腎臓がん、膀胱がん、及びメラノーマにおける抗PD-1/抗PDL-1抗体(Ab)の臨床アウトカムにおける広域スペクトル抗生物質の有害な影響を指摘する、多数の疫学的研究によって支持された。注目すべきことに、腸管内生態系の豊富さの減少は、T細胞浸潤物が乏しい腫瘍微小環境に関連していた。
【0003】
治療失敗における腸内ディスバイオシスの潜在的寄与の認識の高まりにより、多くの研究者は、免疫療法に対する抵抗性に関連したメタゲノミックベースの腸管の青写真について記載するようになった。しかしながら、どの程度まで、がん関連ディスバイオシスが腫瘍化プロセスに先行し、したがって、新生物発生と因果関係があるか、又は単にその直接的な結果であるのかについて、不明のままである。
【0004】
β7インテグリン含有ヘテロ二量体は、腸への白血球ホーミング、及び上皮表面での保持において中心的な役割を果たす。β7インテグリンサブユニットは、α4(CD49d)インテグリンサブユニットとヘテロ二量体を形成することで、α4β7インテグリンを得ることができる(また、「リンパ球パイエル板接着分子-1」(Lymphocyte Peyer’s patch Adhesion Molecule-1:LPAM-1)と称される)。α4β7インテグリンは、その対抗受容体である粘膜アドレシン細胞接着分子-1(Mucosal Addressin Cellular Adhesion Molecule-1:MAdCAM-1)との相互作用を介して、リンパ球の接着、及び血管内皮バリアを越えた循環から腸関連二次リンパ組織(gut-associated secondary lymphoid tissue:GALT)又は腸管粘膜固有層(lamina propria:LP)への血管外漏出を媒介する。膜貫通接着分子MAdCAM-1は、LP細静脈及びGALT高内皮細静脈(high endothelial venule:HEV)上に構成的に発現され、かつ炎症促進性サイトカインによって誘導可能である(Briskin et al.,1997;Gorfu et al.,2009;Ogawa et al.,2005)。レチノイン酸(Retinoic acid:RA)発現CD103+樹状細胞は、GALTにおけるα4β7インテグリン及びCCR9受容体の発現を支配して、MAdCAM-1への結合、及び腸管CCR9リガンド、CCL25を介した腸粘膜へのリンパ球のホーミングを可能にする。循環からの炎症性β7+T細胞の腸への流入及び血管外遊出を防止することによって、α4β7又はMAdCAM-1を標的とする抗体は、動物モデルにおいて及び炎症性腸疾患に罹患している患者において、大腸炎の重症度を有意に低減させた(Hassan-Zahraee et al.,2018;Reinisch et al.,2021)。腸上皮バリアの完全性を確実にするために腸管内Treg及びTH17細胞の調節機能を維持する際の、腸管内微生物叢が果たす役割への認識が高まっている(Littman and Rudensky,2010;Pandiyan et al.,2019)。
【0005】
腸管におけるそれらの精液の恒常性の役割を超えて、TH17はまた、腸外炎症性病変も制御する(Krebs et al.,2016;Lee et al.,2011a;Magnuson et al.,2015;Morton et al.,2014;Wu et al.,2010).。重要なことに、TH17及びそれらの系譜関連FoxP3調節性細胞は、慢性的な発がんの過程において誘導される炎症の期間中の耐性を回復させることによって抗腫瘍免疫監視を鈍らせる(Cochaud et al.,2013;Fridman et al.,2012;Guery and Hugues,2015;Langowski et al.,2006;Young,2016)。RORγt発現は、腸内共生生物によって誘導されるヒト及びマウスにおける、腫瘍浸潤Tregの表現型的に安定な集団を同定した(Sefik et al.,2015)。条件付きRORγtノックアウトマウスは、樹状細胞が関与する間接的な機構を介して、腫瘍発生率又はポリープ形成の低減を示した(Blatner et al.,2012;Rizzo et al.,2018)。
【0006】
免疫チェックポイント阻害剤(Immune checkpoint inhibitor:ICI)は、腫瘍免疫監視を元通りにし、かついくつかの組織学的型のがんの臨床管理のための標準的なケアになっている(Brahmerら、2015年;Robert et al.,2011)。ICIに対する一次抵抗性は、主に、腫瘍細胞の低い腫瘍突然変異負荷及び乏しい内因性抗原性(Riaz et al.,2016;Rizvi et al.,2015)、欠損抗原提示(Spranger et al.,2015)、腫瘍内T細胞疲弊(Smyth et al.,2016)、インターフェロンγ(IFNγ)シグナル伝達経路におけるゲノム欠損(Gao et al.,2016)、CSF1依存性腫瘍関連マクロファージ(Neubert et al.,2018)、及び免疫抑制性代謝キュー(Smyth et al.,2016)に起因するとされてきた。加えて、いくつかの研究は、逸脱した腸内マイクロバイオームレパートリがICI有効性に悪影響を及ぼすことを指し示し、がん免疫設定点に影響を及ぼすことにおける共生生物の決定的な重要性を示唆している(Chen and Mellman,2017)。患者生存に対する抗生物質(ATB)の影響を分析する後向き及び前向き研究は、免疫チェックポイント遮断中の臨床アウトカムに対するそれらの負の予測的影響を明らかにした(Elkrief et al.,2019b;Mohiuddin et al.,2021;Routy et al.,2017;Tinsley et al.,2019;Derosa et al.2022)。メタ分析により、ATB取込みは、抗PD1/PDL-1 Abの最初の全身投与前(全身投与の間ではなく)に投与された場合、臨床アウトカムに対してより有害であることが明らかになり、直接的な医原性効果ではなくATB過程後の再コロニー形成が有害であり得ることが示唆された(Derosa et al.,2021)。実際に、ATB治療患者は、別々の種(フンガテラ・ハセワイ(Hungatella hathewayi)など(Derosa et al.2022)によってコロニー形成される傾向にあった。これらの疫学的知見から、ATBが、腸管生態系の組成に影響を及ぼすことによって、腸管恒常性制御性T細胞サブセットの腸/腫瘍輸送に影響を及ぼすことによって腫瘍内エフェクターと調節性T細胞との間の平衡を傾斜させ(38)、それによって、がん免疫抑制を悪化させ得るという仮説が導かれた。
【発明の概要】
【0007】
最近、本発明者らが行ったメタ分析により、ATB取込みが、抗PD1/PDL-1 Abの最初の全身投与前(全身投与の間ではなく)に投与された場合、臨床アウトカムに対してより有害であることが明らかになり、直接的な医原性効果ではなくATB過程後の再コロニー形成が有害であり得ることが示唆された(Derosa et al.,Cancer Discovery,2021)。
【0008】
以下の実験部分では、本発明者らはこの仮説を確認し、かつ腸内細菌叢がいくつかの種類のがんの発生及び免疫療法に対する患者の応答に遠隔的に影響を及ぼす経路を示す。
【0009】
実際に、本発明者らは、ATB誘導性ディスバイオシス(Routy et al.,2018;Vetizou et al.,2015)が、腸作用性T細胞によって発現される粘膜アドレシン細胞接着分子-1(MAdCAM-1)とその受容体α4β7との相互作用の破壊をもたらすことを示した。
【0010】
ATBの過程が停止する場合、細菌のエンテロクロスター(Enterocloster)新属から選択された種(以前に細菌のクロストリジウム(Clostridia)クラスに分類された、エンテロクロスター・クロストリジオホルミス(Enterocloster clostridioformis)新組合せなど(Haas and Blanchard,2020))は、回腸粘膜固有層及び高内皮細静脈上における、回腸粘膜アドレシン細胞接着分子-1(madcam1)遺伝子及び細胞表面タンパク質発現を引き継ぎ、かつ下方制御する。MAdCAM-1の喪失は、腸ホーミングα4β7 TH17及びRORγTreg CD4T細胞の腫瘍床へのエクソダスを誘起し、これは、がん微小環境を許容し、PD-1遮断に対する抵抗性という結果となる。
【0011】
本発明はこれらの結果に基づいており、最初に、がんをまた有する個体ががん関連ディスバイオシス又は抗生物質関連ディスバイオシスも有するか否かを、血清若しくは回腸におけるMAdCAMの下方制御及び/又は腸オンコマイクロビオームシグネチャ(Gut OncoMicrobiome Signature:GOMS)に基づいて、インビトロで評価するための方法に関係する。この方法はまた、患者における微生物叢中心介入(microbiota-centered intervention:MCI)の効果をフォローアップするために使用され得る。
【0012】
そのようながん関連及び/又はATB関連ディスバイオシスを診断することは、特に免疫チェックポイント阻害剤(ICI)又は別のイムノオンコロジー(I-O)療法による治療を受ける前に、対象が代償性微生物叢中心介入(MCI)を必要とすることを指し示す。
【0013】
I-O療法に対する感受性を回復させるための、経口バンコマイシン抗生物質、エンテロクロスター新属分岐群の細菌を死滅させることができるファージ、及びレアカット(rare-cutting)エンドヌクレアーゼ、アッカーマンシア(Akkermansia)菌種、及び/又はアッカーマンシア・ムシニフィラ(Akkermansia muciniphila)(他の有益な細菌と混合されている可能性がある)、レチノイン酸、糞便微生物移植、並びにそれらの混合物を含むそのようなMCIの使用もまた、本発明の一部である。
【0014】
本発明はまた、低レベルの血清可溶性MAdCAMを有するがん患者のための、(i)抗PD1又は抗PDL1抗体と、(ii)抗IL-17A若しくは抗IL-17R抗体、及び/又は組換えIL-7とによる併用療法に関係する。
【0015】
本発明はまた、粘膜固有層の内皮細胞におけるMAdCAM-1発現レベルを正常化することができる薬剤を同定するための、スクリーニング方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1-1】広域スペクトル抗生物質(ATB)は、回腸脈管構造におけるMADCAM-1発現を下方制御する。
【0017】
A~D.連続広域スペクトル抗生物質(ATB:アンピシリン、コリスチン、ストレプトマイシン)後、又はATB停止から4~7日後の自発的再コロニー形成(ATBRECO)後の、RT-PCR(A)、LP細静脈(上の顕微鏡写真)及び高内皮細静脈(HEV、下側の顕微鏡写真)におけるMAdCAM-1の免疫組織化学染色(B)、LPのCD45細胞に対するフローサイトメトリーゲーティング(C)、又はC57BL/6Jマウスにおける回腸(A~D)若しくは結腸(A)組織のELISA(D)で得られた、Madcam1遺伝子生成物の相対的転写レベル(A)及びタンパク質レベル(B~D)。各ドットは、1つの回腸又は結腸を表す。E~F.8日間の経口バンコマイシン(E)又は広域スペクトルATBで処置し、それに続く4~7日間の再コロニー形成(ATBRECO)(F)、次いで、7日後の屠殺前に胃管栄養法でエンテロクロスター・クロストリジオホルミスを一度補充したマウスの回腸粘膜における、相対的なmadcam1遺伝子発現の定量的RT-PCR。各グラフは、同様の結果をもたらす2~3のうちの代表的な実験(5~6匹のマウス/群を含む)を図示する。パネルA又はE左パネルは2つの実験のデータをプールした。G.Eと同様であるが、x軸に整列した細菌種を用いてSPF条件(ATB前処置なし)において飼育したC57BL/6Jマウスで、経口胃管栄養法を実施した。
図1-2】広域スペクトル抗生物質(ATB)は、回腸脈管構造におけるMADCAM-1発現を下方制御する。 H.左パネル:診断時(PD-1遮断前)にNSCLC患者由来の糞便を用いた3日間のATB処置レシピエントマウスにおける糞便微生物移植(fecal microbiota transplantation:FMT)が、ナイーブ特定病原体除去(specific-pathogen free:SPF)マウス群で正規化された回腸Madcam1遺伝子発現に及ぼす影響(log10軸)。各実験は、異なるFMTドナーを使用し、5~6匹の動物/群を含んでいた。各ドットは回腸を表す。右パネル:ドナー糞便の分類学的組成(taxonomic composition)の教師なし階層的クラスタリング(non supervised hierarchical clustering)(ショットガンMGシーケンシングを用いて定義)、25%超の高い広がり及び臨床的に関連する細菌を選択。I.連続ATB中又はATBRECO期に、回腸粘膜固有層CD4T細胞サブセット(α4β7対CD25FoxP3Treg対RORγtCD4+(T17)細胞)のフローサイトメトリー分析を実施するA~Dと同じ実験であり、各ドットは1つの回腸を表す。同様の結果が得られている2つのうちの代表的なFacs分析が図示される。同様の回腸粘膜組織に関するqPCR関連データについては図5H図5Iもまた参照されたい。J.Aと同様であるが、ATB前処置なしのMadcam-1遺伝子欠損マウス(回腸MADCAM-1発現レベルに影響を及ぼさなかった抗PD1 Abで処置又は非処置、図には示さず)。各ドットは1つの回腸のqPCRデータを表す。
図1-3】広域スペクトル抗生物質(ATB)は、回腸脈管構造におけるMADCAM-1発現を下方制御する。 K.9人の対照(ATB非治療)患者及び7人のATB治療患者における内視鏡介入中に収集された、腸管生検におけるヒトMADCAM-1、FOXP3、RORC遺伝子のRT-PCRベースの転写レベル(表1)。各ドットは、回腸、結腸、及び盲腸のいずれかからの1つの生検を表し、単一の患者は1~3回表される。ANOVA統計分析(クラスカル・ワリス検定):p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
【表1】
【0018】
図2-1】腸作用性IL-17A及びIL-22分泌α4β7CD4T及びTreg細胞のATB後の細菌再コロニー形成によって誘導される腫瘍床への遊出
【0019】
A~B.概要図に従って照明した後(A、左パネル)、又は野生型マウスのmLNへとCFSEを注射することによって(B、左パネル)、Kaedeマウスで評価した、二次リンパ器官(腸間膜LN、脾臓、tdLN:腫瘍排出LN)における光変換(A)又はCFSE標識(B)腸起源細胞のフローサイトメトリー決定。左パネルは実験設定の概要図を示し、右パネルは、様々な二次リンパ器官におけるmLN中の組織UV-A照射又はCFSE注射の24時間後の、色勾配を用いた系統において詳述された各サブセットにおける光変換(photoconverted:PC)細胞対常在(非光変換(non photoconverted:NPC))細胞の(A)又はCFSE標識細胞対常在(非標識)細胞の(B)、相対蓄積(log2倍率変化(Fold Change:FC))を示す。統計:Benjamini-Hochberg法によってp値を調整したマン・ホイットニーの検定、p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
図2-2】腸作用性IL-17A及びIL-22分泌α4β7CD4T及びTreg細胞のATB後の細菌再コロニー形成によって誘導される腫瘍床への遊出 C.Kaede(左)、又はmLN-CFSE注射WTマウス(中央パネル)におけるtdLNへの、又は反対側(controlatreal)LNへの(右パネル)、腸由来細胞の再循環に対する、αMAdCAM-1 mAbを用いたMAdCAM-1の中和の効果。各ドットは1匹のマウスを表す。2つのうち代表的な実験が図示されており、同様の結論に達している。D.5匹のMCA205担がん動物においてmLNから細胞選別された、α4β7high対α4β7negCD4リンパ球のRNAシーケンシングにおける差次的遺伝子転写物を図示するボルケーノプロット。5匹のマウスについて各細胞型で発現された各遺伝子生成物について、(i)α4β7high対α4β7negCD4リンパ球における正規化後の、転写物の平均相対存在量の間の倍数比(fold ratio:FR)のlog2(x軸);(ii)絶対値の相対存在量に基づいて計算された、マン・ホイットニーのU検定から導出されたp値のco-log10(y軸)をコンピュータ処理して、ボルケーノプロットを作成した。黒色及び灰色のドットは有意である(p<0.05)とみなされるが、一方でバックドット(back dots)は有意ではない(p>0.05)。E.ATB前処置(アンピシリン、コリスチン、ストレプトマイシン)後のATBRECO期中にtdLNに達するCFSE(mLNに由来する、灰色のドット)又はCFSE細胞(tdLN常在細胞、黒色のドット)内のIL-17A分泌α4β7Treg(中央パネル)又はα4β7T変換(右パネル)CD4T細胞の実験設定(左パネル)及びフローサイトメトリー評価。各グラフは、2つの独立したプールした実験(5~6匹のマウス/群を含む)を図示する。F.mLN中のCFSE注射後のMadcamt1-/-マウス(ATBで処置されていない)に対する野生型を担持するMCA205中における、tdLN又は反対側LNに到達するCFSETreg細胞のフローサイトメトリー決定。各ドットは1匹のマウスを表し、同様の結果をもたらした2つのうち代表的な実験が図示されている。
図2-3】腸作用性IL-17A及びIL-22分泌α4β7CD4T及びTreg細胞のATB後の細菌再コロニー形成によって誘導される腫瘍床への遊出 G.同上。E.と同様であるが、抗MADCAM-1 Abで処置した又は処置しなかったKaedeマウスでは、フローサイトメトリーはCD25及びCD127の膜染色を用いてTregを同定することができた。H.エンテロクロスター菌種による強制経口胃管栄養法の有無にかかわらず、腸作用性CD4+T細胞の再循環に対するATB過程を停止した後の細菌再コロニー形成の短期(4~7日)効果を評価するための実験設定(左パネル)。ATBRECO期の間にtdLNに達するPC(mLNに由来)又はNPC細胞(tdLN常在細胞)内のKaedeマウスにおいて、高レベルのCD25(Tr17様、中央パネル)又はTH17変換(右パネル)を発現する、TH17細胞のフローサイトメトリー表現型決定(G)。各ドットは1匹のマウスを表し、グラフは2つのプールした実験を図示する。ANOVA統計分析(クラスカル・ワリス検定)又はウィルコクソンの対応した符号付き順位検定:生のp値を指し示す。
図2-4】腸作用性IL-17A及びIL-22分泌α4β7CD4T及びTreg細胞のATB後の細菌再コロニー形成によって誘導される腫瘍床への遊出 I.水で処理(群1)、7日間のATB処理で、ATB継続中(群2)、又はATBを4日間(ATBRECO)から停止(群3)、又はE.クロストリジオホルミス(E.clostridioformis)による経口胃管栄養法に4日間置き換え(群4)を行ったMCA205担腫瘍体において、tdLNへと遊出するCFSE+mLN由来CD4+T細胞の単一細胞トランスクリプトミクス分析であり、この実験は、5匹の動物/群を含有する。教師なしクラスタリングによるプレートベースの全長単一細胞RNA-seqデータにおけるCFSE+CD4+T細胞の遊出の4つのサブセットにおけるUMAP遺伝子パターンであり、マウスの4つの群を重ねて示す(I、左パネル)。Log2 p値による各特定の細胞型と関連した差次的遺伝子発現パターンのボルケーノプロット、及び他の3つと比較した各サブタイプの割合(Treg(I、中央パネル)と増殖細胞(I、右パネル)との倍数比。4つの実験群の各々による細胞型遺伝子パターンについては図7を参照されたい。
図2-5】腸作用性IL-17A及びIL-22分泌α4β7CD4T及びTreg細胞のATB後の細菌再コロニー形成によって誘導される腫瘍床への遊出 教師なしクラスタリングによるプレートベースの全長単一細胞RNA-seqデータにおけるCFSE+CD4+T細胞の遊出の4つのサブセットにおけるUMAP遺伝子パターンであり、マウスの4つの群を重ねて示す(I、左パネル)。Log2 p値による各特定の細胞型と関連した差次的遺伝子発現パターンのボルケーノプロット、及び他の3つと比較した各サブタイプの割合(Treg(I、中央パネル)と増殖細胞(I、右パネル)との倍数比。4つの実験群の各々による細胞型遺伝子パターンについては図7を参照されたい。
【0020】
図3-1】MAdCAM-1/α4β7軸の破壊は、マウスにおいてαPD-1ベースの免疫療法に対する不適応応答を誘導した。
【0021】
A.Itgb7又はMadcam1遺伝子欠損マウスに対する、野生型(wt)に移植された皮下MCA205(C57BL/6Jの同系)の腫瘍成長動態。2つの処置群(抗PD1対アイソタイプ対照Ab)における経時的な5~6匹のマウス/群間の腫瘍サイズの平均+SEM。B~D.抗PD1療法抗体(又はアイソタイプ対照Ab)を受けながら、アイソタイプ対照、抗α4β7 mAb、又は-αMAdCAM-1mAbで処置した動物における、皮下MCA205(B)、乳腺4T1(BALB/cの同系、C)、及び肺同所性TC1-luc(C57BL/6Jの同系、D)腫瘍の移植後の腫瘍成長動態又は腫瘍発光。肺同所性TC1腫瘍の場合、IVISのイメージングシステムを用いる全身発光を使用して、肺におけるルシフェラーゼ発現TC1速度論を定量化した。アイソタイプ対照mAb、αα4β7 mAb、又はαMAdCAM-1 mAbによるPD-1遮断前後の比率を計算した。E.Madcam1遺伝子欠損マウスに対する野生型(wt)における、CD4+T細胞脾細胞及び腫瘍浸潤リンパ球(tumor infiltrating lymphocyte:TIL)上のα4β7発現のフローサイトメトリー分析。各ドットは1匹のマウスを表す。グラフは、5匹のマウス/群の2回の独立した実験をプールした。スチューデントのt検定。
図3-2】MAdCAM-1/α4β7軸の破壊は、マウスにおいてαPD-1ベースの免疫療法に対する不適応応答を誘導した。 F.中和αMAdCAM-1 mAb又はアイソタイプ対照mAbで処置したマウスにおける、様々な免疫α4β7CD4T細胞サブセットの相対的割合(確立された皮下MCA205から解離した、TILのフローサイトメトリー分析によって決定)を示す、ヒートマップで表される教師なし階層的クラスタリング。
図3-3】MAdCAM-1/α4β7軸の破壊は、マウスにおいてαPD-1ベースの免疫療法に対する不適応応答を誘導した。 G~I.野生型(wt)対Madcam1遺伝子欠損マウス(G)における、又は抗PD1 Abで処置された若しくは処置されていない、ATB前処置レジメン((ATB停止後4日(ATBRECO-S)若しくはATB停止後12日(ATBRECO-L))を受けている野生型MCA205担腫瘍マウスにおける、α4β7Treg TILでのRorγt発現の細胞内フローサイトメトリー分析(H、I)。各ドットは1匹のマウスを表す。同様の結果をもたらし、5匹のマウス/群を含む、2つの独立した実験のうちの代表的な実験を図示する(G、I)。スチューデントのt検定(G)。
図3-4】MAdCAM-1/α4β7軸の破壊は、マウスにおいてαPD-1ベースの免疫療法に対する不適応応答を誘導した。 J.PD-1遮断の設定で、アイソタイプ対照mAb、αα4β7 mAb、又はαMAdCAM-1 mAbで処置した皮下MCA205担腫瘍マウスにおける、CCR5CD8エフェクターT細胞についての腫瘍浸潤細胞(TIL)のフローサイトメトリー分析。K.ATBRECO期の最中のαPD-1 mAbによる治療法後、及び免疫療法と並行してαIL-17A mAb(ip)を用いたIL-17Aの全身中和後の屠殺時における、皮下4T1野生型(左)又は4T1 IL-22Rα1ノックアウト(右)腫瘍細胞株の実験設定の概要図(左パネル)及び腫瘍サイズの断面研究(平均±SEM)。各実験において、4つのαPD-1腹腔内(i.p.)注射を、ATBRECO期の最中、3日ごとに投与した。各実験は6匹のマウス/群を含んでいた。2~3のうち代表的な実験を図示する。ANOVA統計分析(クラスカル・ワリス検定):生のp値を指し示す。
【0022】
図4-1】血清可溶性MADCAM-1は、NSCLC患者におけるPD1遮断に対する臨床的利益の予測因子であり、かつ腸内ディスバイオシスの尺度である。
【0023】
A.65匹のMCA205担腫瘍マウスにおけるRT-PCR決定回腸Madcam1遺伝子発現レベルと血清可溶性MADCAM-1(ELISAによって決定)との間のスピアマン相関(各ドットは1匹の動物を表す)。B.健常ボランティアにおける血清レベル(HV、n=70)と比較した、最近のATB取込みの履歴による(右パネル)、2つの独立したコホート(C01、C02、左パネル)に属する301人のNSCLC患者における可溶性MADCAM-1の血清レベルのELISAモニタリング。各ドットは1人の患者の血清を表す。C~D.NSCLC患者における血清sMADCAM-1レベルによる腸管内微生物叢の分類学的内容のα多様性及びβ多様性。95人のNSCLC患者で構成される集団全体におけるsMADCAM-1の中央値(C)、及び両群における組成物の個体間可変性(D)による、ショットガンMGシーケンシングにおけるMGS多様性ベースの豊富さ評価。E.PFS(E)及びOS(F)についてαPD-1 mAb免疫療法で治療したステージIV NSCLCの2つの独立した(左側カラム及び右側カラム)コホートにおける、各コホートの中央値に従って分割したsMADCAM-1の血清レベルの予測値のカプラン・マイヤー生存曲線及びコックス回帰線形分析(患者の説明及び多変量分析については、表5~表6を参照のこと)。
図4-2】血清可溶性MADCAM-1は、NSCLC患者におけるPD1遮断に対する臨床的利益の予測因子であり、かつ腸内ディスバイオシスの尺度である。 G.sMADCAM-1血清レベル(<(低)又は>(高)中央値)によるMGSの教師あり階層的クラスタリング(広がり>10%)、カラーコードは、様々なパイプライン及びアルゴリズムを用いて左側カラムの棒グラフに整列した、各有意種の相対的存在量を特徴付ける。H.sMADCAM-1血清レベル(<(低)又は>(高)中央値)に従って2つの群に分けた95人の患者の糞便材料中の全MGS種間の割合でのE.クロストリジオホルミスの相対存在量。各ドットは、1つの糞便/血清/患者を表す。スチューデントt’検定。
【0024】
図5-1】ATB誘導性ディスバイオシスは、腸管粘膜固有層における免疫遺伝子生成物の転写プログラムに影響を及ぼす。
【0025】
A.組織溶解物のELISA(左パネル)及びRT-PCR(右パネル)における、ケモカイン(左パネル)及びサイトカイン/転写因子(右パネル)発現プロファイルについての、ATB処理及び非処理(水)回腸、結腸、並びに腫瘍床の間のlog2倍率変化比率のヒートマップ。統計:Benjamini-Hochberg法によってp値を調整したマン・ホイットニーの検定、p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
図5-2】ATB誘導性ディスバイオシスは、腸管粘膜固有層における免疫遺伝子生成物の転写プログラムに影響を及ぼす。 B.ATB処置マウスにおけるIHCによる回腸HEV上のCD31発現の評価。C.回腸組織(左)における又は腸間膜リンパ節(右)におけるMadcam1遺伝子の相対転写レベルに対する、様々な抗生物質レジメンによる7日間の前処置又はATBRECO後の影響のRT-PCR評価。連続(c.)、Ampi:c.アンピシリン、Colist:c.コリスチン、Strepto:c.ストレプトマイシン、Vanco:c.バンコマイシン、Erythr:c.バンコマイシン。各ドットは1つの回腸を表す。グラフは、5匹のマウス/群を含む2~3回の実験を集めた。D.パイエル板(PP)(D)における、Madcam1(D、E)、及びVCAM1(E)遺伝子の相対的発現のRT-PCR評価。各ドットは1つの回腸を表す。グラフは、5匹のマウス/群を含む2つの実験を集めた。
図5-3】ATB誘導性ディスバイオシスは、腸管粘膜固有層における免疫遺伝子生成物の転写プログラムに影響を及ぼす。 E.様々なリンパ節(LN)(mLN:腸間膜LN、sk:皮膚LN、td:腫瘍排出LN)(E)における、Madcam1(D、E)、及びVCAM1(E)遺伝子の相対的発現のRT-PCR評価。各ドットは1つの回腸を表す。グラフは、5匹のマウス/群を含む2つの実験を集めた。F.様々なATBレジメン(C参照)で処置し、かつ処置停止から4日後に屠殺したマウスから採取した、回腸材料の好気性条件及び嫌気性条件下におけるカルチャロミクス(culturomics)。
図5-4】ATB誘導性ディスバイオシスは、腸管粘膜固有層における免疫遺伝子生成物の転写プログラムに影響を及ぼす。 G.各条件における培養種の質量分析法による定性的な同定。H~I.ATBで処置したマウス又は処置しなかったマウスの回腸組織におけるマウスFoxp3、RORc、及びIL17a遺伝子のRT-PCR評価(H)、並びにマウスにおける回腸Madcam1とRorc又はFoxp3との発現レベルのスピアマン相関(I)。各ドットは1匹の動物を表す。3つの独立した実験からの連結データ。J.9人の対照(ATBなし)患者及び7人のATB治療患者における内視鏡介入中に収集した、腸管生検におけるヒトFOXP3(左)及びIL-17A(右)とMadcam-1との遺伝子のRT-PCRベース転写レベル間のスピアマン相関(表1)。各ドットは、回腸、結腸、及び盲腸のいずれかからの1つの生検を表し、単一の患者は1~3回表される。ANOVA統計分析(クラスカル・ワリス検定):p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
【0026】
図6-1】様々な区画における腸起源細胞のプロファイリング。
【0027】
A.担腫瘍Kaedeマウスにおける腸管(回腸、盲腸、mLN)のUV-A照射の実験設定、並びにtdLN(上部パネル)及びmLN(下部パネル)における光変換細胞(PC)のフローサイトメトリーゲーティング戦略の概略図。開腹及び腸管区画のUV-A照射の前、5分後、及び24時間後の標的器官におけるPC頻度を指し示す。B.同上。Aと同様に、24時間でのmLN、脾臓、tdLN、及び腫瘍床におけるPC細胞の詳細な割合を有し、各ドットは1匹のマウスを表す。同様の結果をもたらす3つのうちの典型的な実験を図示する。C.異なる組織(x軸)におけるmLNでのCFSE注射の24時間後の、CFSE+細胞の実験設定(左パネル)及びフローサイトメトリー決定であり、各ドットはマウス1匹を表す。3つの独立した実験からのデータをプールしている。D.同上。B.と同様に、「腸管」(回腸+盲腸+mLN)対回腸のみのUV-A照射後の腸作用性細胞のtdLN又は腫瘍床に向かっての動員をモニタリングし、各ドットは1匹のマウスを表す。同様の結果をもたらす2つのうちの典型的な実験を図示する。
図6-2】様々な区画における腸起源細胞のプロファイリング。 E~F.UV-A照射領域(回腸対「腸管」(回腸+盲腸+mLN)に応じた、Kaedeマウス又はmLN(F)中にCFSE注射した野生型マウスにおける、脾臓、tdLN、又は腫瘍床における常在(NPC)又は再循環(PC)CD4T細胞による腸インテグリンα4β7発現のフローサイトメトリー評価。G.ATBで処置した又は処置していない、及び皮下MCA205を担持し、24時間前にmLN中でCFSE注射に供された動物におけるCFSE標識によって追跡した、tdLN中の異なるCD4+ Treg細胞型(α4β7、IL-17、IL-22の発現が変動)のフローサイトメトリー評価。ANOVA統計分析(クラスカル・ワリス検定):生p値を注記。
図6-3】H.ATBで処置した又は処置していない、及び皮下MCA205を担持し、24時間前にmLN中でCFSE注射に供された動物におけるCFSE標識によって追跡した、tdLN中の異なるCD4+ Treg細胞型(α4β7、IL-17、IL-22の発現が変動)のフローサイトメトリー評価。ANOVA統計分析(クラスカル・ワリス検定):生p値を注記。
【0028】
図7-1】再コロニー形成によって誘導される遺伝子発現プロファイリング。
【0029】
A.scRNA配列データ収集のための実験設計。5匹のMCA205担腫瘍動物を含有するマウスの4つの実験群(水、連続ATB、ATBRECO、E.クロストリジオホルミス)において、mLNでのCFSE接種の24時間後にtdLNから採取したCFSE+CD4+T細胞に対して単一細胞トランスクリプトミクスを実施した。B.品質管理及びシーケンシング後の各条件についてtdLNで回収されたCFSE+細胞の絶対数。
図7-2】再コロニー形成によって誘導される遺伝子発現プロファイリング。 C.水群(対照)に対するATBRECO群のTregサブセット細胞に属する、CFSECD4+T細胞のRNAシーケンシングにおける差次的遺伝子転写を図示するボルケーノプロット。5匹のマウスについて各細胞型で発現された各遺伝子生成物について、(i)群3対群1における正規化後の、転写物の平均相対存在量の間の倍数比(FR)のlog2(x軸);(ii)絶対値の相対存在量に基づいて計算された、マン・ホイットニーのU検定から導出されたp値のco-log10(y軸)をコンピュータ処理して、ボルケーノプロットを作成した。青色(下方制御された遺伝子生成物)及び赤色(上方制御された遺伝子生成物)のドットは有意であるとみなされるが(p<0.05)、一方でバックドットは有意ではない(p>0.05)。
図7-3】再コロニー形成によって誘導される遺伝子発現プロファイリング。 D.Cと同様であるが、Tregにおける遺伝子転写物を、ATBRECO(群3、左パネル)又はATB E.クロストリジオホルミス(群4)内の他のT細胞サブセットと比較する。
図7-4】再コロニー形成によって誘導される遺伝子発現プロファイリング。 E.Dと同様であるが、増殖性T細胞サブセットの遺伝子転写物を、陰性対照群(水、群1、左パネル)及びATBRECO(群3、右パネル)内の他のT細胞サブセットと比較する。
図7-5】再コロニー形成によって誘導される遺伝子発現プロファイリング。 F.Eと同様であるが、2つのマウス群(水、群1対ATBRECO(群3)のクラスタ1に属する細胞(UMAP、図2I)の遺伝子転写物を左パネルで比較し、次いで、これらのクラスタ1細胞サブセットの転写プロファイルをATBRECO(群3)の他のクラスタと比較する(右パネル)。
図7-6】再コロニー形成によって誘導される遺伝子発現プロファイリング。 G.Eと同様であるが、2つのマウス群(水、群1対ATBRECO(群3))におけるクラスタ0に属する細胞(UMAP、図2I)における遺伝子転写物を比較する。
【0030】
図8-1】αPD-1 mAbは、ATB誘導性ディスバイオシスによって引き起こされる腫瘍病変への、腸作用性α4β7RORγreg又はIL-17AIL-22regの蓄積を悪化させる。
【0031】
A.MCA205担腫瘍(抗PD1又はアイソタイプ対照Ab処置)マウスにおける、回腸Madcam1と腫瘍サイズとのスピアマン相関。各ドットは1匹のマウスを表す。ANOVA統計分析(クラスカル・ワリス検定):生p値を注記。B.皮下MCA205腫瘍におけるα4β7又はα4β7CD4 TIL画分の中のRORγt+ Treg(T17)のフローサイトメトリー評価。各ドットは、1つの腫瘍及びマウスを表す。C.担腫瘍者における様々な期間のATB間隔中のPD1遮断の実験設定。D~E.mLN腫瘍(D)における又は皮下MCA205腫瘍()におけるTreg内の、RORγt細胞又はIL-17A+IL-22+細胞のフローサイトメトリー評価。
図8-2】αPD-1 mAbは、ATB誘導性ディスバイオシスによって引き起こされる腫瘍病変への、腸作用性α4β7RORγreg又はIL-17AIL-22regの蓄積を悪化させる。 F.4T1腫瘍()におけるTreg内の、RORγt細胞又はIL-17A+IL-22+細胞のフローサイトメトリー評価。G.皮下(s.c.)におけるIL-17AIL-22分泌Treg細胞(左)及びα4β7Treg細胞(右)のフローサイトメトリー決定ATB停止後のPD1遮断によって、及びαPD-1ベース療法中のE.クロストリジオホルミス細菌又はL.ロイテリ(L.reuteri)細菌による自発的ATBRECOL+/-強制腸内コロニー形成によって治療された、MCA205腫瘍。各ドットは、同様の結果得る2つのうち6匹のマウス/群を含有する典型的な実験において、屠殺時の各動物の腫瘍サイズを表す。詳細な表現型については表4を参照されたい。ANOVA統計分析(クラスカル・ワリス検定):生p値を注記。
【0032】
図9-1】アッカーマンシア・ムシニフィラは、回腸Madcam-1遺伝子発現を上方制御し、かつMADCAM-1依存的様式で腸作用性T細胞の腫瘍床への再循環を防止した。
【0033】
A.生きている又は低温殺菌されたA.ムシニフィラ(A.muciniphila)SGB9228(A.muc、左パネル)の経口胃管栄養法での補充あり又は補充なしで、3日間ATBで処置し、PD1難治性NSCLC患者由来のFMTを用いて腸ヒト化したMCA205担腫瘍マウス(FMTNR)における屠殺時の腫瘍サイズ。tdLN排出皮下MCA205肉腫における、CD4T細胞によるα4β7及び/又はCCR9発現のフローサイトメトリー評価(中央及び右パネル)。B.細菌+/-抗MADCAM-1 Abで補償した抗PD1処置FMT NRアバターマウスの腫瘍サイズ間の比率として図示される、PD1遮断に対する応答に対する低温殺菌A.ムシニフィラSGB9228の代償性効果に対する抗MADCAM-1中和抗体の効果。C~D.FMT NRをコロニー形成し、かつ経口胃管栄養法によってアッカーマンシア・ムシニフィラ(A.muc)を補充し、αMAdCAM-1 mAb処置を受けた又は受けなかったマウス、及びαPD-1 mAbでの処置を受けたマウスのtdLNにおける、CD4+T細胞及びTreg細胞によるIL-17A及びIL-22サイトカイン分泌のフローサイトメトリー評価(C)。細菌+/-抗MADCAM-1 Abで補償された抗PD1処置FMT NRアバターマウスにおいてtdLNに達する、IL-17+IL-22+Treg又は総CD4T細胞の間の比率として図示された、Tr17の腸外エクソダスを防止するための低温殺菌A.ムシニフィラSGB9228の予防効果に対する抗MADCAM-1中和抗体の効果(D)。ANOVA統計分析(クラスカル・ワリス検定)又はウィルコクソンの対応した符号付き順位検定:生のp値が注記されている。
図9-2】アッカーマンシア・ムシニフィラは、回腸Madcam-1遺伝子発現を上方制御し、かつMADCAM-1依存的様式で腸作用性T細胞の腫瘍床への再循環を防止した。 E.ATB誘導性ディスバイオシスの状況で回腸HEVにおいてMADCAM-1発現の破壊がある場合に生じる、腸で初回刺激されたIL-17AIL-22RORγtα4β7Treg(T17)細胞の腫瘍微小環境への再循環を説明する図による概要。
【0034】
図10-1】可溶性MADCAM-1血清レベルは、PD-1遮断に対する臨床的利益の堅固な予測因子である。
【0035】
A.4ノットの制限三次スプライン(restricted cubic spline:RCS)を用いて、表5に記載の各コホートC01及びC02におけるPD1遮断及び血清sMADCAM-1(ELISAでモニタリングした)中における、進行又は死亡のリスクについてのハザード比(Hazard Ratio:HR)を評価するコックス線形回帰分析。ノット数は、赤池の情報量基準に従って選択された。左パネル(C01):N=115人のNSCLC患者、62人の死亡、OS中央値=15ヶ月(95%C.I:11.2~25ヶ月)、HR=0.92(95%C.I:0.88~0.97、p=0.001)右パネル(C02):N=186人のNSCLC患者、83人の死亡、OS中央値=12ヶ月(95%C.I:9~17ヶ月)、HR=0.97(95%C.I:0.94~0.99、p=0.02)。B.Prevalung研究:フォローアップの2年以内に肺がんと診断される患者(N=9)対肺がんと診断されない患者(N=56対照)の肺がん発生より前の、CVD喫煙者の血清sMADCAM-1レベル。C.serm sMADCAM-1と循環α4β7+Rorγt Tregとのスピアマン相関。E.分類学的MGSベースのクラスタリングとsMADCAM-1の中央値との分離のANOVA統計分析。
図10-2】可溶性MADCAM-1血清レベルは、PD-1遮断に対する臨床的利益の堅固な予測因子である。 D.sMADCAM-1ペア血清レベルによるNSCLC患者の糞便のショットガンMGシーケンシングに基づく分類学的組成の教師なし階層的クラスタリング。
【0036】
図11】血清中のsMAdCAM-1の中央値に従って212人のRCC患者のログランク統計学的検定を用いた、カプラン・マイヤー全生存曲線及びコックス回帰単変量分析。チロシンキナーゼ阻害剤の失敗後の抗PD1 Abに基づくセカンドライン免疫療法におけるRCC。
【0037】
図12】血清中のsMAdCAM-1の中央値に従って212人のRCC患者のログランク統計学的検定を用いた、カプラン・メヤー(Kaplan Meir)無増悪生存曲線及びコックス回帰単変量分析。チロシンキナーゼ阻害剤の失敗後の抗PD1 Abに基づくセカンドライン免疫療法におけるRCC。
【0038】
図13】前治療されたセカンドライン転移性膀胱がん患者における、抗PDL-1 Abデュルバルマブに対する臨床的利益を予測するためのバイオマーカsMAdCAM-1の有効性。
【0039】
A.各ドットは1つの時点及び患者を表し、各患者は3回表される、デュルバルマブ前のベースライン時、並びに応答者(エリート患者、PFS>5ヶ月)及び非応答者(発症者、OS>6ヶ月)における1ヶ月及び4ヶ月の治療法中の、患者の血清中のsMAdCAM_1の濃度。B~C.全コホート内のMAdCAM_1の中央値に従って分離した患者における、sMAdCAM_1の予測値、並びに生存(OD、B)及びPFS(C)のカプラン・マイヤー曲線のログランク単変量分析。
【発明を実施するための形態】
【0040】
第1の態様によれば、本発明は、当該個体からの血清試料中の可溶性MAdCAM-1を測定すること(例えば、ELISAによる)を含む、がんを有する個体においてがん関連又は抗生物質関連腸管ディスバイオシスをインビトロで診断するための方法であって、血清可溶性MAdCAM-1のレベルの低減が、個体ががん関連又は抗生物質関連腸ディスバイオシスを有することを指し示す、方法に関する。
【0041】
あるいは、上記の方法は、患者の回腸生検における回腸粘膜固有層(lamina propria:LP)細静脈における又は高内皮細静脈(HEV)における、MAdCAM-1の発現を評価することによって実施され得、ここで、LP又はHEVにおけるMAdCAM-1発現の低減は、個体ががん関連回腸障害(ileopathy)/ディスバイオシスを有することを指し示す。そのような場合、MAdCAM-1の発現は、RT-PCRによって、又は生検に対して実施されるELISA若しくはフローサイトメトリー若しくは免疫組織化学によって測定され得る。
【0042】
したがって、本発明は、がん関連又は抗生物質関連ディスバイオシスのマーカとしての血清可溶性MAdCAM-1レベルの使用であって、血清可溶性MAdCAM-1のレベルの低減が、がん関連又は抗生物質関連ディスバイオシスのマーカである、使用に関する。
【0043】
以下の実験部分に示されるように、本発明者らは、個体の血清中の可溶性MAdCAM-1のレベルがまた、イムノオンコロジー(I-O)療法に対する抵抗性又は感受性のマーカであり、ここで、血清可溶性MAdCAM-1の低減したレベルが、I-O療法に対する抵抗性のマーカであることを実証した。
【0044】
したがって、本発明によれば、個体の血清中の可溶性MAdCAM-1のレベルを使用して、個体がイムノオンコロジー(I-O)療法(低レベル)に抵抗する可能性が高いか否かを評価することができる。血清可溶性MAdCAM-1の正常な(又は上昇した)レベルは、臨床的利益のマーカである。
【0045】
本文において、「I-O療法」という語句は、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)、並びにCAR-T細胞、養子TIL移入、及びそれらの組合せを含む。本発明の文脈において、「I-O療法」とはまた、上記のI-O剤のうち1つ、並びに化学療法、特に免疫チェックポイント阻害剤(ICI)と、タキサン、ペルメトレキセド(permetrexed)、シスプラチン、及び/若しくはオキサリプラチン(oxaliplatinum)、又はEGFR阻害剤との任意の組合せなどの他の抗悪性腫瘍治療を含む、併用療法も含む。
【0046】
本発明の文脈において、「ICI」としては、抗PD1抗体(Ab)、抗PDL-1 Ab、抗CTLA4 Ab、抗Lag3 Ab、抗Tim3 Ab、抗TIGIT Ab、抗OX40 Ab、抗41 BB Ab、抗VISTA Ab、PD1及びLag3を標的とする二重特異性抗体、並びに上記の免疫チェックポイントのいずれかを遮断する非Ab分子などの同じ機能(複数可)を発揮する他の分子が挙げられる。特定の実施形態によれば、I-O療法は、抗PD1/PDL-1 Ab、例えばPD1又はPDL-1を遮断するモノクローナルAbを含む。
【0047】
治療抵抗性のある特定の場合において、ICI薬物は、役に立たないだけでなく、有害な影響さえも有し得、急速な腫瘍進行をもたらし得ることが示されている(すなわち、過進行性疾患又はHPD)。したがって、I-O治療に抵抗する可能性が高い患者を同定することは、この患者にI-O治療を投与しないことを判定するために、少なくともHPD発症を回避するための代償性治療又は併用療法なしでは投与しないことを判定するために非常に重要である。
【0048】
本発明は、I-O療法/ICIの最初の投与の60日前から42日後の範囲にわたる期間中に、広域スペクトル抗生物質を摂取した個体の抵抗性状態を評価するのに特に有用である。実際に、以下の実験部分に示すように、広域スペクトル抗生物質は、I-O抵抗性に関連したディスバイオシスのリスクを増加させる。
【0049】
上記の方法を実施する場合、血清可溶性MAdCAM-1のレベルは、それが所定の閾値よりも低い場合に低減したものとみなされる。この閾値は、例えば、代表的なコホート、例えばがんに罹患している個体のコホート、好ましくは試験された個体と同じがんに罹患している個体のコホートなどにおける、可溶性MAdCAM-1のレベルの中央値であり得る。更により好ましくは、代表的なコホートは、試験された個体と同じがんに罹患しており、かつ同じ治療スキームでI-O療法/ICIを受けている(特に、同じ治療ラインとして、少なくとも1L対2L以上の治療法を区別する)、個体のコホートである。当業者は、同じ治療歴を共有し、かつ同じI-O療法を受けた患者のコホートにおける可溶性MAdCAM-1のレベルの中央値を測定することによって、閾値を精緻化することができる。以下に開示される実験結果では、この中央値の値は、化学療法の有無にかかわらず抗PD1/L-1抗体で治療された進行した非小細胞肺がん(non small cell lung cancer:NSCLC)患者の発見及び検証コホートでは、それぞれ、177.1ng/mL及び233.3ng/mLであったが(実施例1)、一方で、セカンドライン治療法でニボルマブで治療された腎臓がん患者のコホートでは88.8ng/mLであり(実施例2.1)、かつデュルバルマブで治療された前治療された転移性膀胱を有するがん患者のコホートでは158.8ng/mLであった(実施例2.2)。
【0050】
あるいは、所定の閾値は、がんに罹患していない個体のコホートから計算され得る。例えば、血清可溶性MAdCAM-1のレベルは、それががんに罹患していない個体のコホートの下位3分位にある場合、低減しているものとみなし得る。
【0051】
上記の方法は、免疫療法単独で、又は化学療法若しくはチロシンキナーゼ阻害剤若しくはホルモン療法(アンドロゲン欠乏若しくはエストロゲン欠乏、又はLHRHアンタゴニスト)と組み合わせて適用可能であるがんに罹患している患者にとって、特に興味深い。
【0052】
そのようながんの例としては、乳がん、慢性骨髄単球性白血病(Chronic Myelomonocytic Leukemia:CMML)、結腸直腸がん、腎臓がん、肺がん(例えば、NSCLC)、尿路上皮がん、メラノーマ、卵巣がん、胃及び食道がん、中皮腫、肝細胞がん、前立腺がん、並びに抗PD1 AbについてFDA承認されている不可視性組織学が存在する任意のミスマッチ修復不全(mismatch repair insufficiency:MSI)高腫瘍が挙げられる。特定の実施形態によれば、個体は、NSCLC、メラノーマ、乳がん、腎臓がん、膀胱がん、及び結腸直腸がんからなる群から選択されるがんに罹患している。
【0053】
本発明はまた、がんを有する個体が、がん免疫(I-O)療法の投与前に代償性微生物叢中心介入(MCI)を必要とするかどうかを決定するためのセラノスティック方法であって、上記方法による、個体ががん関連又は抗生物質関連ディスバイオシスを有するか否かを評価することを含み、個体ががん関連又は抗生物質関連ディスバイオシスを有する場合、個体がI-O療法による治療の投与前にMCIを必要とする、セラノスティック方法に関する。
【0054】
肺がんなどのある特定の場合には、MCIを、別の治療、例えばHPDを回避するための化学療法と組み合わせることができる。
【0055】
本文において、「微生物叢中心介入(MCI)」という語句は、腸管内微生物叢組成物に対して直接的又は間接的な効果を有する任意の治療を指す。
【0056】
本発明によるMCIの例としては、以下:
-経口バンコマイシン抗生物質(例えば、クロストリジウム・ディフィシル(C.difficile)感染の治療と同じプロトコル)、
-エンテロクロスター新属分岐群の細菌を死滅させるファージ、
-エンテロクロスター新属分岐群の細菌を死滅させるように操作されたCrispr Cas9などのレアカットエンドヌクレアーゼ、
-アッカーマンシア菌種及び/又はアッカーマンシア・ムシニフィラ(他の有益な細菌と混合されている可能性がある)、
-レチノイン酸、
-特に生成物を用いて、例えば下記に記載されるような方法によって、粘膜固有層の内皮細胞におけるMAdCAM-1発現レベルが増加することが証明された、糞便微生物移植(FMT)、並びに
-上記治療剤の混合物、
が含まれる。
【0057】
上記では、ファージ及びエンドヌクレアーゼは、Haas and Blanchard,Int J Syst Evol Microbiol 2020;70:23-34.に報告されているクレーディング(clading)分類学に対応するエンテロクロスターリストの種の少なくとも1つの細菌を死滅させることができる場合、「エンテロクロスター新属分岐群の細菌を死滅させること」とみなされる。
【0058】
このリストは、以下を含む:
クロストリジウム(Clostridium)/エンテロクロスター・アスパラギフォルミス(Enterocloster asparagiformis)
クロストリジウム/エンテロクロスター・ラバレンス(Enterocloster lavalense)
クロストリジウム/エンテロクロスター・ボルテアエ(Enterocloster boltae)
クロストリジウム/エンテロクロスター・クロストリジオフォルメ(Enterocloster clostridioforme)
クロストリジウム/エンテロクロスター・シトロニアエ(Enterocloster citroniae)
クロストリジウム/エンテロクロスター・アルデネンゼ(Enterocloster aldenense)
クロストリジウム/エンテロクロスター・シンボジウム(Enterocloster symbosium)
フンガテラ・ハセワイ(Hungatella hathewayi)
フンガテラ・エフルビア(Hungatella effluvia)
【0059】
本発明はまた、がん誘導性ディスバイオシスを有する個体において、I-O療法と組み合わせてがんを治療するための、上に列挙したMCIのための薬剤の使用に関係する。
【0060】
本発明の別の目的は、血清可溶性MAdCAM-1のレベルを測定することを含む、MCIの成功をフォローアップするための方法であって、血清可溶性MAdCAM-1の正常化されたレベルが、MCIが腸のユーバイオーシスを成功裏に回復させたこと、又はディスバイオシスを少なくとも部分的に修正したことを指し示す、方法である。
【0061】
この方法を実施する場合、血清可溶性MAdCAM-1のレベルは、それが(上記のように)所定の閾値よりも高い場合、「正常化された」とみなすことができる。あるいは、MCIの前よりも高い場合、「正常化された」又は少なくとも「部分的に正常化された」ものとみなすことができる。
【0062】
本発明はまた、心血管イベントを経験している高リスクのヘビースモーカ(HRHSCV)における初期NSCLC発生率を予測するバイオマーカとしての、血清可溶性MAdCAM-1レベルの使用であって、血清可溶性MAdCAM-1の低減が、NSCLCの発症を予測するマーカである、使用に関する。
【0063】
以下の実験部分において、本発明者らは、腸管内ディスバイオシスの設定において、PD1遮断がGALTにおけるTH17/Tr17の腫瘍の増幅及びホーミングを促進することを実証した。本発明者らはまた、そのような状況において、IL-17A生物活性を遮断することにより、ディスバイオシスの有害な影響を回避することができることを示した。
【0064】
それ故に、IL-17A及びPD1遮断を組み合わせることは、上記の方法のうち1つによって抗PD1 Abによる治療に抵抗する可能性があると同定された患者にとって、臨床的に非常に興味深い。
【0065】
その上、IL-7は、α4β7インテグリン発現を制御し、T細胞に腸ホーミング特異性をインプリントし、炎症性腸疾患における遊出Tr17上に高発現するCD127に作用する(Belarif et al.J.Cin Invest May 2019,vol 129,numero 5)。
【0066】
結果として、組換えIL-7をPD1遮断と組み合わせることは、上記の方法のうち1つによって抗PD1 Abによる治療に抵抗する可能性があると同定された患者にとって、臨床的に非常に興味深い別の選択肢である。
【0067】
したがって、本発明の別の態様は、可溶性MAdCAMの低い血清レベルを有する患者におけるがんの治療のための、(i)抗PD1抗体又は抗PDL1抗体と、(ii)抗IL-17A抗体若しくは抗IL-17R抗体及び/又は組換えIL-7と、を含む、併用療法である。
【0068】
上記の併用療法では、IL-17R又はIL-17を遮断し、次いでPD1又はPDL-1/PDL-2を阻害することによって開始して、2つ以上の薬剤を一緒に又は別々に投与することができる。
【0069】
本発明の他の態様は、粘膜固有層の内皮細胞におけるMAdCAM-1発現レベルを正常化することができる薬剤を同定するための、方法及びツールに関する。
【0070】
そのような方法は、(i)MAdCAM-1を発現するか、又はMAdCAM-1プロモータの制御下においてレポータ遺伝子を発現するように操作された細胞を、試験される化合物とインビトロで接触させることと、及び(ii)当該化合物のいずれが、MAdCAM-1の発現、又はMAdCAM-1プロモータの制御下において発現されるレポータ遺伝子の発現を誘導したかを評価することと、を含む。
【0071】
この方法を実施するために使用され得る細胞の例としては、ヒト臍帯静脈内皮細胞(Human umbilical vein endothelial cell:HUVEC)、形質転換類洞内皮細胞(transformed sinusoidal endothelial cell:TSEC)、bEnd.3細胞、及びそれらの誘導体(特に、MAdCAM-1調節エレメントの制御下においてレポータ遺伝子を安定に組み込むことによって、これらの細胞株に由来する操作された細胞)が挙げられる。
【0072】
別の方法に従って、試験される化合物を腸ヒト化アバターマウスへと投与し、当該マウスの内皮細胞におけるMAdCAM-1の発現を測定する。
【0073】
2つの方法はまた組み合わせることもできる。
【0074】
そのような合わせたスクリーニング方法では、インビトロ結果は、アバターマウスにおける検証の工程によって完了され、ここで、アバターマウスは、8~10日間の広域スペクトルATBで前処置され、次いで経口胃管栄養法によってヒトFMT生成物によって再コロニー形成された腸ヒト化マウスであり、ここで、
(i)FMT生成物は、MAdCAM-1を発現する細胞においてMAdCAM-1の発現を誘導するものとして同定されているか、若しくはMAdCAM-1プロモータの制御下においてレポータ遺伝子を発現するように操作されているか、又は
(ii)FMT生成物は、そのような細胞においてMAdCAM-1の発現を誘導しないものと同定されており、かつこれらの細胞においてMAdCAM-1の発現を誘導するものと同定されている別の薬剤で富化されているか、又は
(iii)FMTは、(本発明者らのデータベースにおいて、又は任意の以前の実験の結果として)ユーバイオーシス又は高可溶性MADCAM-1と関連した分類学的組成を有する。
【0075】
本発明による方法はまた、以下:
(i)胃管栄養法から8日後までに、腸ヒト化アバターマウスの一部を屠殺にして、FMTレシピエントにおいてMAdCAM-1及びFoxp3ベースの回腸PCR(及び所望により、IHC染色)を行い、それらを対照(連続ATB)と比較すること;
(ii)腸ヒト化アバターマウスにおけるMAdCAM-1の有意な上方制御の場合、各群の少なくとも3匹のマウスに皮下肉腫を接種し、それらを抗PD1 Abで処置して、このFMTがATB処置マウスと比較して治療法有効性を媒介し得ることを確実にすること;
(iii)腸ヒト化アバターマウスが抗PD1 Abでの処置に応答する場合、それを富化するために使用されたFMT生成物又は非FMT剤は、粘膜固有層の内皮細胞におけるMAdCAM-1発現レベルを正常化することができるものと推定すること、
を含み得る。
【0076】
上記の方法を実施するためのスクリーニングプラットフォームもまた本発明の一部である。そのようなプラットフォームは、MAdCAM-1プロモータの制御下においてレポータ遺伝子を発現する細胞(例えば、HUVEC、TSEC、若しくはbEnd.3細胞、又はこれらに由来する細胞)と、生成物バンクにおいて薬剤をピッキングし、これらを培養細胞株に送達し、かつレポータ遺伝子の発現を(例えば、レポータ遺伝子が蛍光タンパク質を発現する場合、蛍光を測定することによって)評価するように構成されたロボットと、を含む。
【0077】
上述したように、がん患者の血清中の低レベルの可溶性MAdCAMは、この患者における腸内ディスバイオシスのマーカであり、I-O療法に対する抵抗性を誘導する可能性が高いため、この患者は、I-O療法の前に代償性調製物を必要とし、かつ有利には、以下の工程:
(i)上記のものから選択されるMCIを投与する工程と、
(ii)上記のものから選択されるI-O療法を投与する工程と、
を含む治療から有利に利益を得ることができる。
【0078】
I-O療法(例えば、上述の方法による)を開始又は継続する前にがん患者の血清中の可溶性MAdCAMのレベルを測定することは、患者が併用治療(MCI+I-O)を必要としているかどうかを決定するのに役立つ。
【0079】
この測定が特に有用である患者は、重度の腸内ディスバイオシスを有する可能性がより高いので、ICI、特に抗PD1/PDL-1 Abの最初の投与の60日前から42日後の範囲にわたる期間中に広域スペクトル抗生物質を摂取した患者である。
【0080】
有利には、可溶性MAdCAMの血清レベルの新規測定が、上記の工程(ii)の前に行われて、MCIががん関連ディバイオシス(dybiosis)を低減したか否かがチェックされる。
【0081】
上記の併用治療(MCI+I-O)を実施する場合、60日未満前に広域スペクトル抗生物質を受けた個体は、低温殺菌されたアッカーマンシア菌種及び/又はアッカーマンシア・ムシニフィラが富化された場合もある糞便微生物移植を有利に受けることができ、60日未満前に広域スペクトル抗生物質を受けていない個体は、生きているアッカーマンシア菌種、及び/又はアッカーマンシア・ムシニフィラを有利に受けることができる。
【0082】
本発明の他の特徴もまた、本発明の枠組みで実施され、かつその範囲を限定することなく、必要な実験的支持を提供する、生物学的アッセイの以下の記述の過程で明らかになるであろう。
【実施例
【0083】
実施例1:抗生物質は回腸MAdCAM-1/α4β7軸を破壊し、PD-1遮断中の腫瘍免疫監視を損なう
【0084】
材料及び方法
橋渡し研究のための医療センター及び規制承認。
【0085】
糞便材料。糞便収集のために、倫理ガイドライン及び現地のCCPPRBの承認に従って、Institut Gustave Roussy/Franceで補助研究を行った。研究名は、「Oncobiotics」、B2M倫理プロトコル番号PP:15-013であった。ヘルシンキ宣言に従って書面によるインフォームドコンセントを全ての患者から得た。内視鏡及び血液試料の収集のために、倫理ガイドライン及びRegierungsprasisium Karlsruheの承認に従って、University Clinics Heidelberg/ドイツにて、臨床研究「Einfluss von Antibiotika auf das Darm-Chemokinnetzwerk bei Patienten mit soliden Tumoren」を行った。適格患者は、扁平上皮又は非扁平上皮の組織学を有するステージIIIA~ステージIV非小細胞肺がん(NSCLC)を有し、かつ少なくとも1つの以前の治療ライン後に再発又は進行が実証された。参加地域はGustave Roussy Cancer Campus(Villejuif、フランス)であった。NSCLC患者は、欧州医薬品庁(European Medical Agency:EMA)によって承認された治療様式の一部として、抗PD-1 mAb、ニボルマブを受けた。腫瘍応答は、RECIST基準(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors)バージョン1.1(RECIST1.1)を用いて評価した。コンピュータトモグラフィ(Computer tomography:CT)スキャンを、ベースライン、及び最初の1年間は8~12週間ごと、次いで疾患進行までは12~15週間ごとに実施した。初回注射(T0)の前に、国際ヒト微生物叢標準(International Human Microbiome Standards:IHMS)ガイドライン(SOP 03 V1)に従って糞便を収集した。簡単に記載すると、嫌気性発生剤(Biomerieux)を含む収集キットを患者に与えた。試料を在宅患者によって収集し、4~24時間後に-80℃で、Gustave Roussy Cancer Campusにおいて、BHI+2%グリセロールを含む又は含まないプラスチックチューブ(1000-Sarstedtによるプラスチック容器)中で凍結させた。
【0086】
内視鏡試料及び血液試料の収集。適格患者は、2018年7月~2019年11月の間に、試験に関連しない適応症についての臨床標準プロトコルに従って回腸-結腸内視鏡検査を受けた(表1)。実行可能である場合、末端回腸、盲腸、及び左右の結腸の粘膜の内視鏡生検を各患者に実施した。組織試料を、液体窒素中で急速凍結し、-80℃で貯蔵するか、又は組織学のために2%PFAへと浸漬するかのいずれかを行った。加えて、回腸-結腸内視鏡検査(ile-colonoscopy)の前に、2つの血液試料(10mL EDTAチューブ)を収集した。含まれる全ての患者は、食事歴を評価するためのアンケートに応答し、臨床ベースラインデータを局所臨床情報システムから検索した。
【0087】
細胞培養物、試薬、及び腫瘍細胞株。MCA-205線維肉腫細胞、MC38、及びRETメラノーマ細胞(すなわち、Viktor Umansky教授の厚意により提供された、自発的メラノーマ形成を駆動するメタロチオネイン-1プロモータの制御下におけるRetがん原遺伝子の導入遺伝子強化発現によって産生された、メラノーマ)(C57BL/6マウスについて全て同系)を、10%FCS、2mM L-グルタミン、100Ul/mLペニシリン/ストレプトマイシン、1mMピルビン酸ナトリウム、及びMEM非必須アミノ酸を含有するRPMI 1640(以下、完全RPMI1640と称する)中、5%CO2の存在下にて、37℃で培養した。ルシフェラーゼをトランスフェクトしたTC-1細胞株(Eric Deutsch教授(Institut Gustave Roussy、フランス)の厚意により提供された、C57bl6マウスの同系)を、完全RPMI1640及び1mM Hepes緩衝液中5%CO2の存在下において、37℃で培養した。細胞株を、マイコプラズマ汚染について定期的に試験し、かつ10継代を超えた後は使用しなかった。
【0088】
マウス。全ての動物実験は、フランス及び欧州の法律及び規制に従って実施した。現地の施設内動物倫理委員会(institutional animal ethics board)及びフランス国リセルシェ省(French Ministere de la Recherche)は、全てのマウス実験を承認した(許可番号:2016-049-4646、2017_049_99741、2019_036_21124)。実験は、政府及び機関のガイドライン及び規制に従って実施した。雌C57BL/6はHarlan(フランス)から購入した。マウスは7~12週齢の間で使用した。MAdCAM-1-KOマウス及びITGB 7-KOマウスは、Angela Schippers、University hospital Aachen、Aachen、ドイツから厚意により提供された。MAdCAM-1-KOマウス及びITGB7-KOマウス、並びに対照同腹仔を、C57BL/6バックグラウンドで戻し交配し、University Hospital Aachenの地域動物ケア施設の施設内飼育から得た。CCR5-KOマウスは、Christophe Combadiere、Hopital Salpetriere、Paris、フランスから厚意により提供された。CCR9-KOマウスは、Forster、University hospital Hannover、Hannover、ドイツから厚意により提供された。CCR5-KOマウス及びCCR9-KOマウスの両方を、C57BL/6バックグラウンドで維持した。全てのマウス実験は、動物が特定の病原体を含まない条件で収容されたGustave Roussy Cancer Campusの動物施設で実施した。
【0089】
抗生物質処置。別途示されない場合、マウスを、アンピシリン(1mg/mL)、ストレプトマイシン(5mg/mL)、及びコリスチン(1mg/mL)を含有する広域スペクトル抗生物質溶液(ATB)(Sigma-Aldrich)をマウスの滅菌飲料水に添加して処置した。単一の抗生物質を使用した実験では、濃度は、それぞれ、アンピシリン(1mg/mL)、ストレプトマイシン(5mg/mL)、コリスチン(1mg/mL)、エリスロマイシン(1mg/mL)、又はシプロフロキサシン(0.1mg/mL)であった。溶液及びボトルを週に2回交換した。抗生物質混合物を使用した実験では、COS(ヒツジ血液5%を有するコロンビア寒天培地)プレート上の0.1g/mLのBHI+15%グリセロール中に再懸濁した糞便ペレットを、37℃で48時間にわたり、好気性条件及び嫌気性条件において毎週培養することによって、抗生物質活性を確認した。ATB処置の期間は、実験設定に基づいてわずかに異なり(αPD-1処置の7~14日前)、かつ各実験の結果に指し示されている。手短に言えば、抗PD-1 mAbの有効性を損なうために、マウスを腫瘍移植の1~2週間前にATBで処置し、かつ実験全体を通してATBを継続するか、又は個々の実験で指し示されるように抗PD-1処置開始日に中断した。糞便微生物移植実験との関連において、マウスは、動物飼料針を用いる経口胃管栄養法によって翌日に糞便微生物移植を受ける前に、3日間のATBを受けた。TC-1モデルでは、ATB処置を、腫瘍注射の3日前に開始し、最初の細菌胃管栄養法の1日前に中断した。
【0090】
MCA-205肉腫、MC38、及びRETメラノーマの皮下モデル。同系C57BL/6マウスに、それぞれ、0.8×10個のMCA-205肉腫、1.0×10個のMC38、又は0.5×106個のRETメラノーマ細胞を皮下移植し、腫瘍が20~40mmのサイズに達した時点で、抗PD-1 mAb(250μg/マウス;クローンRMP1-14)、又はアイソタイプ対照(クローン2A3)により腹腔内(i.p.)で処置した。マウスに抗PD-1 mAbを3日間隔で4回注射した。腫瘍の長さ及び幅を、キャリパーによって1週間に3回で日常的にモニタリングした。抗a4b7 mAb(DATK32、マウス当たり200μg)又は抗MadCAM mAb(MECA-367、マウス当たり200μg)を用いる実験では、mAb(又はそれらのアイソタイプ対照、いずれの場合もクローン2A3)を、0日目から開始して最終抗PD-1注射まで、3日ごとに腹腔内注射した。全ての抗体は、BioXcell、NH、米国から購入した。
【0091】
同所性ルシフェラーゼ操作TC-1。C57BL/6マウスをイソフルランで麻酔した。滅菌条件下において、各マウスの胸壁に側方切開を行い、10μLのMatrigel(Corning)中の6×10個のTC-1-Luc細胞を、肺へと注射した。皮膚切開部を外科用皮膚クリップで閉じた。腫瘍成長を、I VIS Imaging System 50シリーズ(Caliper Life Sciences/Xenogen)で週に2回モニタリングした。3日目から開始して、上記と同じ用量及びスケジュールに従って、マウスに抗PD-1 mAb又は推奨アイソタイプを注射した。
【0092】
FMT実験。糞便微生物叢移植(FMT)を、糞便材料を解凍することによって実施した。マウスを新しいケージに入れた。次いで、200μLの懸濁液を、経口胃管栄養法によって各無菌レシピエント又はATB前処置(3日間)レシピエントへと移植した。加えて、各動物の毛皮へと更に100μLを適用した。FMTの2週間後、腫瘍細胞を皮下又は同所に注射し、マウスを上述のように抗PD-1又はアイソタイプ対照で処置した。経口細菌胃管栄養法を、以下に記載されるようにαPD-1処理と同じ日に実施した。
【0093】
共生生物種による経口細菌胃管栄養法。アッカーマンシア・ムシニフィラCSUR P2261及びA.インディスティンクタス(A.indistictus)CSUR P723は、Institut hospitalo-universitaire Mediterranee Infection、Marseille、フランスによって提供された。エンテロコッカス・ヒラエ(Enterococcus hirae)13144単離物は、Gustave Roussy Cancer CampusにおいてCTXで処置されたSPFマウスの脾臓又は腸間膜リンパ節から最初に単離された。A.ムシニフィラを、3つの嫌気性発生剤(Biomerieux)を用いて作製された嫌気性雰囲気中のCOSプレート上において、37℃で少なくとも72時間にわたり成長させた。E.ヒラエ(E.hirae)13144を、5%ヒツジ血液富化コロンビア寒天上において、37℃で好気性条件にて24時間成長させた。ATB前処置マウス又はGF C57BL/6マウスのコロニー形成を、1×10個の細菌を含有する100μLの懸濁液を用いて経口胃管栄養法によって実施した。細菌胃管栄養法の場合:蛍光分光光度計(Eppendorf)を用いて、PBS中600nmの光学密度で、10CFU/mLの懸濁液を得た。各マウスについて、抗PD-1 mAbの初回注射の最初の24時間前、続いて抗PD-1 mAb注射と同日に4回の細菌胃管栄養法を実施した。E.ヒラエ(E.hirae)13144によるコロニー形成の有効性は、胃管栄養法後の48時間後に糞便を培養することによって確認された。糞便ペレットを採取し、0.1g/mLのBHI+15%グリセロール中に再懸濁した。糞便の連続希釈液を、5%ヒツジ血液富化コロンビア寒天上にプレーティングし、好気性条件及び嫌気性条件において37℃で48時間にわたりインキュベートした。48時間後、単一コロニーを単離し、グラム染色を実施した。特定の細菌の同定は、マトリックス支援レーザ脱離イオン化飛行時間型(Matrix-Assisted Laser Desorption/ Ionisation Time of Flight:MALDI-TOF)質量分析計(Andromas、Beckman Coulter、フランス)を用いて達成した。
【0094】
フローサイトメトリー分析。腫瘍、腸間膜リンパ節(mesenteric lymph node:mLN)、排出リンパ節(draining lymph node:tdLN)、及び脾臓を、個々の実験で指し示さされるように異なる時点で採取した。切除した腫瘍を小片に切断し、25μg/mLのLiberase(商標)(Roche)及び150UI/mLのDNase1(Roche)を含有するRPMI培地中において、37℃で30分間消化し、次いで破砕し、100μm及び70μmセルストレーナ(Becton&Dickinson)を用いて2回濾過した。リンパ節及び脾臓をRPMI培地で破砕し、続いて100μmセルストレーナで2回濾過した。400万個の腫瘍細胞、リンパ節細胞、又は脾細胞を、精製抗マウスCD16/CD32(クローン93;eBioscience)と共に、4℃で30分間プレインキュベートし、その後膜染色を行った。細胞内染色には、Foxp3染色キット(eBioscience)を使用した。死細胞を、Live/Dead Fixable Yellow dead cell stain kit(Life Technologies)又はLIVE/DEAD(商標)Fixable Aqua Dead Cell Stain Kitを用いて除外した。CD3(145-2C11)、CD4(GK1.5又はRM4-5)、CD8(53-6.7)、CD25(3C7)、CD44(IM7)、CD45(30-F11)、CD62L(MEL-14)、CD127(A7R34)、Foxp3(150D)、RORγt(B2D)、CXCR3(FAB1685P)、CXCR5(J252D4)、CCR2(SA203G11)、CCR4(2G12)、CCR5(HM-CCR5)、CCR6(29-2L17)、CCR7(4B12)、CCR9(CW-1.2)、ベータ7(FIB504)、a4b7/LPAM-1(DATK32及びREA457)、MadCAM-1(MECA367)に対する抗マウス抗体(全てMiltenyi、BioLegend、及びeBioscienceから購入)を使用して、細胞を染色した。染色した試料を、CytoFLEX S 13色(Beckman Coulter)又はBD Facs CANTO II(BD)で取得し、分析をKaluza software 1.5(Beckmann Coulter)で実施した。Tセントラルメモリー(TCM)ゲーティング:生存CD3+でのゲーティング後、CD4+を選択し、次いでTCMをいずれかのCD62L+であるものと同定した。エフェクターメモリーT(TEM)細胞を、CD62L及びCD44+として選択した。Th17ゲーティングは、使用したマウスモデルに依存した。Kaede蛍光色素は、PFAによる固定の際にその光変換状態を保持しない。Th17ゲーティング:生存CD3+でゲーティングした後、CD4+を選択し、次いでTh17をRORγt+として同定した。非固定細胞の場合、Th17はCXCR3-及びCCR6+として同定された。Tregゲーティング:生存CD3+でゲーティングした後、CD4+を選択し、固定細胞についてはTregをFoxP3+ CD25+として同定した。非固定細胞については、TregをCD127-CD25+として同定した。カットオフ値の定義のために、蛍光マイナスワン(Fluorescence minus one:FMO)対照を適切に使用した。
【0095】
免疫組織化学。ホルマリン固定され、パラフィン包埋されたマウス回腸、及び結腸の3μm厚の切片を、「スイスロール(swiss roll)」として調製し、かつポリ-L-リジンでコーティングされたスライドにマウントし、脱パラフィンし、段階的にアルコールから水によって水和させた。抗原賦活化は、緩衝液中で、98℃にて30分間にわたり切片を加熱することによって行った(それぞれ、CD3の染色の場合は0.01Mクエン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)による、及びFoxP3の染色の場合は1mM EDTA(pH8.0)による)。内因性ペルオキシダーゼ活性を、3%水素ペルオキシダーゼ(DAKO)で10分間にわたり阻害し、次いでPowerVision IHC/ISH Super Blocking Solution(Leica Biosystems、#PV6122)で20分間にわたり飽和させた。洗浄せずに、ウサギ抗ヒトCD3ポリクローナル抗体Ab(既製品、DAKO、#IS503)及びウサギ抗マウスFoxp3ポリクローナル抗体Ab(2μg/mL、Invitrogen、#PA1-46126)一次抗体を適用し、1時間インキュベートした後、二次AbであるPowerVisionポリホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ・コンジュゲート抗ウサギ抗体(Leica Biosystems # PV6119)を適用した。ペルオキシダーゼを、ジアミノベンジジン(Di Amino Benzidine:DAB)-ペルオキシダーゼ基質キット(DAKO)によって検出し、切片を、マイヤーヘマトキシリンで対比染色した。CD4の免疫組織化学染色を自動免疫染色装置(BenchMark ULTRA、Ventana、IGR)で実施した。95℃で32分間にわたりEDTA緩衝液(pH8.0)中において熱誘導抗原賦活化を実施した。一次モノクローナル抗マウスCD4抗体(1,246μg/mL、#ab183685、Abcam)を、抗体希釈液(Zytomed)で1:500に希釈し、スライドを37℃で1時間にわたりインキュベートした。DABを色素原として用いる検出技術のビオチン不含有ペルオキシダーゼシステムを適用した(キットultraView Universal DAB Detection kit、Ventana)。スライドはまた、ヘマトキシリンキット(Ventana)によって対比染色した。
【0096】
Kaede実験。Kaedeマウスは、トムラ・ミチオ、京都大学、京都、日本から厚意により提供され、戻し交配され、C57BL/6バックグラウンドで維持された。Kaedeトランスジェニックマウスを、2~2.5%イソフルランで麻酔し、鎮痛のためにブプレノルフィン(0.01mg/kg)を腹腔内投与した。回腸の光変換のため、腹腔内末端回腸にアクセスするために腹部皮膚及び腹膜を正中線で切断した。結腸、回腸、又は腸間膜リンパ節を含む回腸の光変換のために、盲腸極(cecal pole)を識別し、末端回腸、腸間膜リンパ節、及び近位結腸を含む盲腸極を、滅菌プラスチックコーティング外科用ドレープ上への中腹部切開を通して穏やかに動員した。非標的構造体をアルミニウム箔で覆った。標的構造体の腹側及び背側部分を、各30秒間、395nm波長発光ダイオード(Winzwon)光から放射される紫色光に曝露した。照射後、組織を滅菌等張塩化ナトリウムで湿らせ、腹膜腔に穏やかに再配置した。腹膜を、5-0モノフィルックナイロン縫合糸(Ethicon)による連続ステッチによって閉じた。皮膚は2つの9mm創傷クリップ(EZ Clip Kit)で閉じた。
【0097】
CFSEを用いた腸間膜及び腫瘍排出リンパ節からの白血球の遊走の追跡。C57Bl6マウスを、2~2.5%イソフルランで麻酔し、鎮痛のためにブプレノルフィン(0.01mg/kg)を腹腔内投与した。腹部皮膚及び腹膜を正中線で切断して、腸間膜リンパ節にアクセスした。腸間膜リンパ節を、中腹部切開を通して滅菌プラスチックコーティング外科用ドレープ上に穏やかに動員した。回腸排出腸間膜リンパ節を、それらの脈管構造に従って視覚的に識別した。2つの最も顕著な腸間膜リンパ節に、30Gインスリンシリンジを用いて5μLのPBSに希釈した100μM CFSEを注射した。腸間膜リンパ節の再配置後、腹膜を、5-0モノフィルックナイロン縫合糸(Ethicon)による連続ステッチによって閉じた。腫瘍排出リンパ節の場合、腹部皮膚を正中線で切開し、腹膜を残した。ハサミを用いて腹部皮膚と腹膜とを穏やかに分離することによって、腫瘍排出リンパ節を可視化した。腫瘍排出リンパ節に、30Gインスリンシリンジを用いて5μLのPBSで希釈した100μM CFSEを注射した。皮膚は2つの9mm創傷クリップ(EZ Clip Kit)で閉じた。
【0098】
RNA抽出及びrtPCR。溶解及び抽出プロトコルは、ヒト試料及びマウス試料について同一であった。腫瘍又は腸管試料を、0.1%ベータメルカプトエタノールを含有するRLT Plus緩衝液中の液体窒素中で急速凍結した。抽出当日、試料を4℃で解凍し、マイクロチューブホモジナイザ(Benchmark Scientific)で、RNA不含有ガラスビーズチューブ(Dutscher)中でホモジナイズした。全RNA抽出及びゲノムDNA除去は、RNeasy Mini kit(Qiagen)を用いて、製造業者の推奨に従って実施した。NanoDrop(商標)分光光度計(Thermo Fischer Scientific)を用いて測定した最大1μgのRNAを、SuperScript III Reverse Transcriptase(Life Technologies)、RNaseOUT(商標)組換えリボヌクレアーゼ阻害剤(Life Technologies)、Random primers(Promega)、及びDeoxynucleoside Triphosphate Set、PCRグレード(Roche Diagnostics)から構成される混合物を用いてcDNAへと逆転写した。
【0099】
Rhapsodyによる単一細胞RNAシーケンシング。フローサイトメトリーによってCFSE+CD4+T細胞を単離した後、細胞を、冷たいPBS中10.000細胞で洗浄し、BD Rhapsody(商標)カートリッジ上にロードし、予め設計された免疫応答パネル(マウス)を用いて、標的化された単一細胞RNA-seqについての製造者の指示に従って処理した。ライブラリを、NextSeq500システム(Illumina)上にて1.75pMでクラスタ化して、High Output v2化学を用いて細胞当たり約40.000のペアエンド(2×75bp)リードを生成した。シーケンシングした単一細胞データを、bcl2fastq2 v2.20を用いて逆多重化した。
【0100】
定量的遺伝子発現アッセイ。B2M、FoxP3、IFNγ、IL-10、IL-17、MadCAM、Ppia、RORc、TNFα(全てLife Technologies製)の発現を、StepOnePlus(商標)リアルタイムPCRシステム(Life Technologies)でUniversal Master Mix IIを用いてTaqMan(登録商標)Gene Expression Assayにより分析した。以下のランピングプロファイルを用いて増幅を行った:95℃で10分間の1サイクル、続いて95℃で30秒間、60℃で1分間の45サイクル。定量的RT-PCRデータを、2-ΔCt法に10を掛けることにより、各図に指し示すように、ハウスキーピング遺伝子β2M又はPpiaの発現レベルに対して正規化した。
【0101】
組織溶解及びケモカイン分析。腸管試料及び腫瘍試料を、50mM Tris HCl pH7.4、150mM NaCL、300mMスクロース、10mM EDTA、及び0.1%Triton 100Xを含有する非変性細胞溶解緩衝液中、液体窒素で急速凍結した。その後の溶解のために、試料を4℃で解凍し、セラミックビーズ溶解チューブ(Precellys)中のチューブホモジナイザー(Precellys)上で溶解した。組織ホモジネートを4000gで5分間遠心分離した。上清をその後の分析に使用した。組織溶解物中のケモカイン濃度を、CCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CCL25、及びMadCAM Duoset ELISAキット(RnD)を用いて、又はCytoFLEX S(Beckmann coulter)で実施されるサイトメトリー分析と共にLegendplexマウス炎症促進性ケモカインパネル(Biolegend)を用いて、製造業者の推奨に従って決定した。
【0102】
統計。マウス。データ分析は、統計環境R(http://www.R-project.org/)又はPrism 6(GraphPad、San Diego、CA、米国)のいずれかで実施した。腫瘍サイズの差は、ノンパラメトリックt検定を用いて計算した。全ての報告された試験は両側であり、p<0.05で有意とみなした。患者。NSCLC患者におけるPD1遮断に対する応答の予測因子としてのMADCAM-1。4ノットの制限三次スプライン(RCS)を用いて、sMadCAM1レベルの予後の役割を研究した。ノット数は、赤池の情報量基準に従って選択した。本発明者らは、バイオマーカ効果の非線形性について試験した。直線性仮説が拒絶されなかった場合、線形コーディングを使用してバイオマーカの効果を推定した。
結果
1.1.ATBはマウス及び患者におけるMAdCAM-1の回腸発現を下方制御する
【0103】
本発明者らは、広域スペクトルATBカクテル(アンピシリン、コリスチン、及びストレプトマイシン)によるマウスの腸内滅菌が、PD-1遮断の抗がん有効性を鈍らせたことを報告した(Routy et al.,2018a)。本発明者らは、最初に、抗PD-1 mAbで処置したMCA205担腫瘍マウスの腸管におけるケモカイン及びインテグリンリガンドの発現のATB誘導性変動を分析した。ATBは、ほとんどの回腸ケモカイン及びMadcam1遺伝子生成物の発現の有意な喪失を誘導したが(図5A、左パネル及び右パネル、図1A左パネル)、一方で、結腸及び腫瘍ケモカイン並びにMadcam1遺伝子パターンに影響を及ぼすことはできなかった(図1A右パネル、図5A右パネル)。回腸Madcam1遺伝子発現の減少は、転写だけでなく、回腸組織の免疫組織化学(図1B)、回腸CD45’LP細胞のフローサイトメトリー(図1C)、及び回腸溶解物の免疫酵素アッセイ(図1D)で測定される、タンパク質レベルでも見られた。注目すべきことに、CD31血管数の安定化によって示されるように、腸管構築物及び脈管構造の完全性がATBの投与下において保存された(図5B)。Madcam1遺伝子発現の減少は、ATB投与の3日目までに始まり、ATBを7~14日間摂取した場合、自発再コロニー形成(RECO)中のATB停止後12日目までに回復しなかった(図1D)。広域スペクトルATBとは別に、他のATBレジメンは、回腸LPだけでなく腸間膜リンパ節(mLN)でもまた、ストレプトマイシンなどのMadcam1遺伝子発現を下方制御し、ここで、Madcam1遺伝子発現は、LP(図5C、左パネル及び右パネル)並びにパイエル板(PP)(図5D)よりも高かった。アンピシリン又はエリスロマイシンとは対照的に、バンコマイシンは、mLN Madcam1発現を下方制御することができず、回腸LPにおけるMadcam1転写を増加させさえした(図5C、それぞれ、右パネル及び左パネル)。注目すべきことに、Madcam1(Vcam1ではない)遺伝子発現レベルは、腫瘍排出LNにおいてmLNよりも10倍低かった(図5E)。GALT Madcam1に対するATBの強力な阻害効果に興味を持って、本発明者らは、様々なATBレジメンで処置した動物の回腸内容物の好気性条件及び嫌気性条件下における培養を行った。回腸細菌コロニーの質量分析による同定では、ATB中止4日後に優勢になるが他の実験条件では優勢にならない、細菌(エンテロクロスター・クロストリジオホルミス新規組合せ、エンテロクロスター・ボルテアエ新規組合せ(Haas and Blanchard,2020)など)のエンテロクロスター新属分岐群に属する数種(菌種)が明らかになった(図5F)。これらのエンテロクロスター菌種は、PD1遮断に抵抗性の腎臓及び肺がん患者の便中で以前に同定された(Derosa et al.,2020)、(Derosa et al.2022)。バンコマイシン(エンテロクロスター菌種を死滅させる)は、回腸Madcam1遺伝子転写物を上方制御した(図5C、左パネル)が、一方で、エンテロクロスター・クロストリジオホルミスによる経口補充は、この効果を消滅させ、かつ更にアドレシン発現に影響を及ぼした(図1E)。同様に、自発的再コロニー形成期中のATB停止後のエンテロクロスター・クロストリジオホルミスによる経口胃管栄養法は、Madcam1発現の喪失を悪化させた(図1F)。対照的に、アッカーマンシア・ムシニフィラ(Routy et al.,2018a)、(Derosa et al.2022)又はエンテロコッカス・ヒラエ(Enterococcus hirae)(Daillere et al.,2016;Goubet et al.,2021)などの免疫原性共生生物による経口胃管栄養法は、特定病原体除去(SPF)条件で飼育されたユーバイオティクスマウスの回腸組織における基礎Madcam1発現を更に増加させることができた(図1G)。
【0104】
PD1遮断から利益を得たメラノーマ患者からの便の糞便微生物移植(FMT)は、転移性メラノーマレシピエントの1/3においてICIに対する一次抵抗性を回避することができた(Baruch et al.,2021;Davar et al.,2021)。実際に、異なるドナーFMTは、臨床的利益をレシピエントに移植することができなかった(表1)。それ故に、本発明者らは、肺又は腎臓がん患者からATBによって処置されたアバターマウスへのランダムFMT(Routy et al.,2018a,2018b)(上記で報告したとおり)が、SPF条件で飼育されたレシピエントマウスにおける回腸Madcam1遺伝子発現を下方制御できるか否かを試験した。6つのFMTのうち3つがそうであり(図1H、左パネル)、独特の分類学的組成に対応し、E.クロストリジオホルミスを含むエンテロクロスター菌種(又は、ATB関連フンガテラ・ハセワイ(Hungatella hathewayi)(Derosa et al.,2020)の過剰提示により定義され、ショットガンメタゲノミクスに基づく分析でエンテロクロスター菌種(Haas and Blanchard,2020)と同じ分岐群を共有する(図1H、右パネル)。
【0105】
炎症促進性アトポビウム・パルブルム(Atopobium parvulum)、L.ロイテリ(L.reuteri)を含むがフンガテラ・ハセワイ(H.hathewayi)を含まない、様々な共生生物によるFMTレシピエントの経口補充は、Madcam1回腸遺伝子発現に更に影響を及ぼし得る(図5G)。
【0106】
回腸におけるATB誘導性Madcam1遺伝子下方制御は、制御性サイトカイン及び転写因子(Il17a、Il22、Foxp3、RORcなど)の下方制御と並行し、かつ相関していた(図5A左パネル、図5H図5I)。これらのPCR結果は、ATBが、回腸LPにおいて粘膜CD25FoxP3CD4T細胞(Treg)及びRORγtCD4(TH17)T細胞集団の有意な喪失を誘導したことを示すフローサイトメトリー分析によって支持された(図1I)。事実、ATBは、回腸LPにおけるMadcam1遺伝子欠損の回腸免疫調節効果又はMADCAM1の抗体中和を表現型模写した(図1J)。
【0107】
マウスにおいて示されるように、本発明者らは、ATBを摂取し、かつ様々な適応症について腸内視鏡検査及び生検を受けた16人の患者において、Madcam1、Foxp3、及びRorcの腸管発現に対するATBの協調阻害効果を確認した(図1K図5J、表2)。
【表2】
【0108】
まとめると、広域スペクトルATBレジメンは、マウス及びヒトにおいて回腸粘膜アドレシンMADCAM1の持続的下方制御を誘導し、これは、回腸Foxp3、Il17a、及びRORc発現の低減と顕著に相関していた。
【0109】
1.2.腸から腫瘍排出リンパ節への腸作用性α4β7CD4T細胞のATB誘導性エクソダス
本発明者らは、MADCAM-1分子の喪失が、GALTにおけるそのα4β7受容体を発現する腸作用性T細胞のホーミング又は保持に影響を及ぼし得るものと仮定した。担腫瘍宿主における回腸T細胞の遊走を追跡するために、本発明者らは、2つの相補的な実験戦略を利用した。最初に、本発明者らは、細胞の完全性を破壊することなく細胞を不可逆的に標識することを可能にする、トランスジェニックKaedeマウスモデルを使用した。このモデルは、350~400nmの波長の紫外線への曝露後に緑色から赤色へと光変換され得る、サンゴ由来の光変換可能な蛍光タンパク質Kaede(Tomura et al.,2008)を遍在的に発現するレポータマウスを利用する。Kaedeマウスは、炎症を起こした末梢器官への遊走性腸管T17細胞を追跡するための強力なツールである(Krebs et al.,2016;Magnuson et al.,2015;Morton et al.,2014)。MCA205担腫瘍体におけるGALT細胞の運命を追跡するために、回腸、盲腸、及び腸間膜LNを、皮下腫瘍移植後10日目(D10)に光変換し、マウスを、フローサイトメトリーによる様々な器官における光変換細胞の検出のために24時間後に屠殺した(図2A図6A)。本発明者らは、照射の5分後に、腸間膜LNにおいておよそ60%の光変換率を達成した(図6A)。24時間で、腸管で光変換された(PC)白血球の22.8±2.6%のみがmLNに残ったが、かなりの割合のGALT放出光変換(PC)細胞を、脾臓(5.1±0.5%)及び腫瘍排出リンパ節(tdLN)(4.0±0.3%)の遠隔部位で検出することができた(図2A図6A図6B)。第2のアプローチを用いて、本発明者らは、外科手技によるmLNの直接CFSE標識後にカルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(carboxyfluorescein succinimidyl ester:CFSE)標識細胞を直接追跡した(Singh et al.,2016)(図2B図6C、左パネル)。CFSE注射後24時間以内に、最大1.0±0.2%の脾細胞、0.8±0.1%のtdLN細胞、及び0.2±0.02%の腫瘍滞留白血球が、mLN由来白血球で置き換えられた(図6C、右パネル)。回腸照射は、腸白血球のエクソダスをtdLN又はsc腫瘍へと動員する際に、GALTを標的としたものよりも不充分であった(図6D)。しかしながら、局所照射及びGALT照射の両方が、24時間での脾臓、tdLN、及びsc MCA205への光変換(PC)(腸由来)-CD4T細胞のα4β7画分の選択的動員を誘導したが、一方で他のPC細胞サブセットは、組織常在(非PC)細胞と比較して富化されなかった(図2A図2B及び図6E)。再び、腫瘍微小環境(tumor microenvironment:TME)内のα4β7CD4T細胞の大部分は、CFSE mLN標識後にCFSEであった(図2B図6F)。CD4T細胞の腸外エクソダスにおけるα4β7インテグリンの分子的関与を確認して、本発明者らは、tdLN中の細胞の光変換又はCFSE標識(反対側LNではなく)が、中和抗MAdCAM-1 Abで処置した担腫瘍マウスにおいて有意に増加することを示した(図2C、左パネル、中央パネル、及び右パネル)。
【0110】
腸間膜LNから遊出するα4β7CD4T細胞の表現型を解読するために、本発明者らは、担腫瘍体のmLNから精製されたα4β7CD4T細胞と比較して、α4β7highCD4T細胞のバルクRNAシーケンシングを実施した。α4β7highCD4Tの転写プロファイルは、それらのItga4(α4β7インテグリンをコードする)腸の特徴だけでなく、また、Treg機能と関連した遺伝子生成物(Icos、Ctla4、Cd74、Mki67、P2rx7(Daniel et al.,2010)、及びT17(Il17re、Tnfsf11、Il22)極性化など、の顕著な増加を明らかにしたが、一方でTnfrsf9T細胞共刺激遺伝子生成物(4-1BB)は、このサブセットにおいて有意に下方制御された(図2D)。
【0111】
次に、本発明者らは、ATB誘導性ディスバイオシスが、細胞内フローサイトメトリーと組み合わせた両方のイメージングアプローチを用いて、どのようにして腸作用性α4β7CD4T細胞の腫瘍排出LNへのエクソダスに影響するかを検討した(図2E図2F)。再コロニー形成は、α4β7Foxp3CD4T細胞(腸由来Tr17)を分泌するIL-17Aのホーミングを促進したが、α4β7Foxp3CD4T細胞(tdLN常在-Tr17)のホーミングも、IL-17Aα4β7Foxp3CD4T細胞のtdLNへのホーミングも促進しなかった(図2E図6G)。ATBは、madcam1遺伝子欠損を表現型模写した(図2F)。実際には、ATBは、局所的に拡大した(腸外、CFSE陰性)細胞によって大きく構成されるtdLNの真の(bona fide)Tregプールをほとんど増加させなかった(bearly increased)(図6H、左パネル)。Tr17のα4β7CFSE腸遊出画分は、ATB後の再コロニー形成中の24時間当たりの到達tdLNにおいて総CD4+の0.2±0.1%を表した(図6H、中央パネル)。注目すべきことに、再コロニー形成中に遊出した腸作用性Tr17は、IL-17だけでなくIL-22もまた産生した(図6H、右パネル)。
【0112】
中和抗MADCAM-1抗体はまた、CD25highα4β7CD4Tの遊出を促進した(図2G)。ATB過程後の再コロニー形成は、本発明者らがE.クロストリジオホルミスによる強制経口胃管栄養法によって模倣しようとしたエンテロクロスター菌種(図5F)の出現を伴った。実際に、この細菌は、tdLNへの、PC(非PCではない)TH 17 CD25high(CD25ではない)α4β7Tr17様CD4T細胞の腸からの排出を促進した(図2H)。
【0113】
光変換は正確な細胞内染色及び高次元表現型決定を可能にしないので、本発明者らは、E.クロストリジオホルミスが補充された又は補充されなかった14日間のATB過程(又はATBなし)から4日後に、mLNのCFSE注射の24時間後にtdLNに到達するCFSECD4T細胞のRhapsodyベースの単一細胞RNAシーケンシングを実施する腸遊出細胞のより深い特徴付けについて詳しく検討した(図7A図7B)。本発明者らは、それぞれ4つの群の各々において分配された、採取された合計451,246個の個々のCFSECD4tdLN T細胞をプロファイリングし(図7A図7B)、かつATB誘導性ディスバイオシスと関連した遺伝子シグネチャを特徴付けた。CFSECD4T細胞の教師なしクラスタリングは、データを4つの細胞クラスタ(図2H、左パネル)に分割し、本発明者らは、t確率的近傍埋め込み及び報告されたマーカ遺伝子の発現による事後標識を用いて可視化した(Cano-Gamez et al.,2020)。各クラスタは、異なる表現型と関連していた。小さなクラスタは、Foxp3、Nrp1、Il2ra、Tnfsf4、Ctlα4、及び腸管特異的遺伝子発現インプリンティング(Tnfsf18、Rgs1)によって定義されるプロトタイプの全組織エフェクターTreg発現パターンを特色とし、Tcf7及びCd52(Sefik et al.,2015)の下方制御を伴っていた(図2H、中央パネル)。このTregサブセットは、腫瘍免疫抑制に関与する負の免疫調節因子Pik3ip1を過剰発現し(Chen et al.,2019)、定常状態と比較して再コロニー形成期にCD4T細胞(Baumann et al.,2003)のCD95L媒介性アポトーシスに関与する転写因子AP1のメンバーであるFosbを下方制御し(図7C)、また、再コロニー形成期又はE.クロストリジオホルミスによる経口胃管栄養法にTr17青写真に関連する遺伝子(Sefik et al.,2015)(Iksf2(また、ヘリオスとも称される)及びLrrc32(また、TGFβ活性化因子GARPとも称される)の過剰発現によって他の全ての遊出細胞と対照的であった(図7D、左パネル及び右パネル)。対照的に、増殖の特徴(Pcna、Myc、Mapk1、Fyn、Hif1a)を有する別のクラスタは、Irf8、並びにPou2af1(また、転写因子OCT1又はOCT2の転写コアクチベータとして作用する、OBF1とも称される)及びFasによって支配され、その両方が、IL-2又はIFNγの発現をそれぞれ抑制することによって、TH17プログラムを促進した(Yosef et al.,2013)(図2H、右パネル)。この増殖性TH17サブセットはまた、原型マーカを全組織Treg(II2rb、Ctla4、Icos)、腸管Treg(Bcl2a1a、Bcl6など)、及び皮膚Treg(Lgals3)と共有した。ATB停止誘導再コロニー形成、及びE.クロストリジオホルミスによる補充の最中に、病原体特異的Th17応答の最適なプライミングに不可欠な、インフラマソームとは無関係のT細胞内因性遺伝子として記載されたカスパーゼ1遺伝子(Gao et al.,2020)が、TNFRSF並びにサイトカイン/ケモカイン形質導入及びNFkb活性化経路(Nfkb1、Cxcr3、Cxcr5、Eomes、Tnfrsf8、Tnfrsf9、Tnf、Fasl、Fas、Tigit、Icam1、Runx3、Jak2)と併せて上方制御された(図7E、表3)。残りの2つの優性細胞クラスタは、腸炎症性活性化及び/又は抑制の原型II7r及びPik3ip1遺伝子の特徴の発現を共有していた(Belarif et al.,2019;Chen et al.,2019)。それらは、再コロニー形成中のEgr1、Foxo1、Stat6、Ikbkb転写因子対Btla、Cnot2及びDusp2などの他のフィンガープリントについてわずかに異なるが(図7F図7G)、それでも全てが腫瘍免疫抑制特性に収束する(Dan Lu et al.,2020;Kim et al.,2019;Li et al.,2012)。
【0114】
それ故に、本発明者らは、抗MAdCAM-1 mAb又はATB誘導再コロニー形成のいずれかによってMAdCAM-1/α4β7軸が損なわれた条件下で、2つの独立した追跡方法によってGALTから腫瘍排出リンパ節への、腫瘍免疫監視に潜在的に有害な免疫抑制フィンガープリントを示す腸作用性α4β7CD4、最も具体的にはT17細胞の退出を実証した。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【0115】
1.3.PD1遮断の抗がん有効性はMAdCAM-1/α4β7軸に依存する
がん免疫監視の間のTr17細胞の報告された免疫抑制的役割(Blatner et al.,2012;Rizzo et al.,2018;Voigt et al.,2017)及びこれらのT細胞サブセットを保持する健康な腸の能力を考えると、本発明者らは、MADCAM-1アドレシン若しくはβ7インテグリンの遺伝的欠陥、又は特異的抗体によるMADCAM-1若しくはα4β7ヘテロ二量体の宿主中和が、治療用抗PD-1 mAbの免疫刺激能力に干渉し得ることを予想した。
【0116】
第1に、回腸Madcam1発現の喪失は、PD1遮断にかかわらず、MCA205担腫瘍動物における腫瘍サイズの増加と相関した(図8A)。次に、本発明者らは、C57BL/6マウスから同系の移植可能なMCA205線維肉腫を担持する野生型動物と比較して、Itgb7-/-マウス又はMadcam1-/-マウスにおいて、PD-1阻害の抗がん有効性の顕著な低減を観察した(図3A)。同様に、BALB/cマウスからのMCA205線維肉腫、同所性TC1肺がん、及び同系の4T1乳がんは、中和抗MAdCAM-1又は抗α4β7ヘテロ二量体抗体の存在下におけるPD1遮断にもかかわらずインビボで増殖したが、一方でMADCAM1/α4β7軸が影響を受けなかった場合、ICIに応答した(図3B図3D)。Madcam1-/-マウスでは、脾臓(図3E、左パネル)及び腫瘍におけるα4β7CD4+T細胞の再循環の構成的増加があり、ここでは、既に記載されているように、これらはTILの最大3%(図3E、右パネル)を表した(Denning et al.,2005))。フローサイトメトリー分析により、自発腫瘍進行中の中和抗MADCAM-1Abを用いたMAdCAM-1アドレシン/α4β7インテグリン軸の遮断が、TMEを再形成し、かつRORγTreg(Foxp3CD25)T17細胞の腫瘍内蓄積の約3倍の増加をもたらしたことが明らかになった(図3F図3G)。一切の操作なしのMCA205 TMEにおいて、α4β7CD4TILのうち最大76±1.5%が、RORγTregであり、α4β7’ CD4TIL内に含有されていたものは2~3倍少なかった(17±0.9%)(図8B)。皮下腫瘍では、Tregはα4β7CD4TILの12.1±1.0%を表し、これらのTregのうち、30.4+4.5%はRORγであった。(表4)
【表4】
【0117】
ATB停止4日後の再コロニー形成は、madcam-1遺伝子欠損を表現型模写し、腫瘍床におけるRORγTreg(Tr17)の割合の3~5倍の増加を誘導する(図3H)。注目すべきことに、このTr17腫瘍内ホーミングは一過性であり、抗PD1 Abを投与した場合を除いて、ATB停止後12日までにもはや観察されなかった(図3H図3I図8C)。実際に、抗PD1 Abは、MCA205担腫瘍マウスの腸間膜LNにおける、Tr17のプライミング及び/又は拡大を促進した(図8D)。抗PD1 Abは、MCA205中のRorγtTreg又はIL-17IL-22Tregとして定義されるTr17(図3I図8E)、並びに4T1担腫瘍体(図8F、左パネル及び右パネル)の腫瘍内蓄積の維持及び/又は増幅に寄与した。これに関連して、腫瘍内Tregは、18.7±3.4%のα4β7CD4TILを表し、これらのTregの中で、56.7±8.3%はRORγであった。(表4)
【0118】
PD1阻害によって促進されたTr17動員は、ATB停止後に経口胃管栄養法によってE.クロストリジオホルミスを補充した場合に更に増加したが、一方で同様の条件では、経口ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)はそうすることができなかった(図8G、右パネル及び左パネル)。驚くべきことではないが、抗PD-1 mAb治療法中のMAdCAM-1/α4β7軸の遮断は、エフェクターCCR5CD8TILの浸潤を劇的に障害した(図3J)。
【0119】
IL-17及びIL-22が直接的及び間接的な血管新生促進効果及び腫瘍形成促進効果を有すると仮定すると(Lim and Savan,2014;Voigt et al.,2017)、サイトカインの一方又は両方のいずれかを中和することにより、PD1阻害中のATB後の再コロニー形成の有害な影響を回避し得る。本発明者らは、腫瘍形成性用量の野生型又はIL-22Rα1-/-欠損乳腺4T1腫瘍細胞を播種したマウスを、抗IL-17A中和抗体と組み合わせた抗PD1 Abのip注射によって処置した(図3K、左パネル)。予想通り、IL-22Rα1-/-欠損乳腺4T1は、それらの野生型対応物よりもゆっくりと成長した。興味深いことに、抗IL-17A抗体は、野生型又はIL-22Rα1-/-欠損4T1の両方について同程度までATBの有害作用を回避することができ(図3K)、IL-22に対する腫瘍細胞反応性がATBの免疫抑制作用の根底にある本質的な機構ではないことを示唆している。
【0120】
したがって、本発明者らは、PD1遮断が、腸管内ディスバイオシスの設定においてGALTにおけるTH17/Tr17の増幅及び腫瘍へのホーミングを促進すると結論する。
【0121】
外部操作によるα4β7/MAdCAM-1軸の適合性の再確立は、ATBで治療された腫瘍担持者又は明白な腸内ディスバイオシスに罹患している腫瘍担持者におけるPD-1遮断に対する抵抗性を回復させ得る。PD1遮断を開始する前に腸内ユーバイオーシスを回復させることは、合理的な選択肢となり得る。宿主が経口アッカーマンシア・ムシニフィラ((Routy et al.,2017)、図1F図9A)で補償されない限り、短期ATB、及びそれに続くαPD-1Abにもかかわらず再発した患者からの糞便微生物移植は、回腸Madcam1下方制御(図1G)及びPD-1遮断の非効率性を引き起こした。中和抗体がこの片利共生生物薬の有益な効果を防止したので、外因性A.ムシニフィラの代償性作用はMAdCAM-1機能に依存した(図9B)。A.ムシニフィラは、MADCAM-1に依存する様式で、α4β7及びCCR9の単一又は二重陽性CD4T細胞の腸外エクソダス、及びそれらのtdLN(図9A、右パネル)へのTME再循環への再循環、並びにα4β7+CD4+IL-17+IL-22+及びTr17(図9C図9D)を防止することができた(図9D)。
【0122】
それ故に、腸管内ユーバイオーシスの回復又はIL-17Aの中和は、PD1遮断に対するATB誘導性抵抗性を打ち消すための潜在的な選択肢である。
1.4.可溶性MAdCAM-1は、進行したNSCLC患者におけるPD1遮断に対する抵抗性の予測バイオマーカである
【0123】
腸管組織生検を得ることは困難であるので、IBDに罹患し、かつ抗ヘテロ二量体α4β7抗体(ベドリズマブなど)で治療された患者のフォローアップを研究するための、sMAdCAM-1 ELISAなどの有用な血液アッセイが開発されている(Holmer et al.,2020)。しかしながら、可溶性MAdCAM-1レベルもまたマウスにおいてモニタリングされたことがない。本発明者らは、回腸madcam1遺伝子発現と血清可溶性MAdCAM-1との間に強い相関を見出した(図4A)。次に、本発明者らは、フランス(N=186)並びにフランス及びカナダ(N=115)において、化学療法の有無にかかわらず抗PD1/L-1抗体で治療された進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者の2つの独立したコホートにおいて、診断時の血清可溶性MAdCAM-1の臨床的有意性を分析した(表5)。第1に、NSCLC患者は、健常ボランティアと比較して、両方のコホートにおいて低減した循環血清sMAdCAM-1濃度を有しており、ATBを摂取した人においては更にそうであった(図4B、左パネル及び右パネル)。実際に、ATBを服用した患者は、sMAdCAM-1発現の下位3分位に属するATB非含有個体と同じ範囲のsMAdCAM-1血清レベルを示した(図4B)。全コホートの中央値を超える高いsMAdCAM-1血清レベルを呈する患者は、両コホートにおいて、他の半分と比較して長期の無増悪生存期間及び全生存期間を有していた(図4G)。各コホートについてバイオマーカの+10U/mLの増加ごとに8~10%のリスク低減を伴う、sMAdCAM-1絶対血清濃度の増加と、死亡リスクの低減との間に線形関係があった(図10A、左パネル及び右パネル)。ATB治療患者は、MAdCAM-1lowサブグループにおいて最悪のPFSを呈した(図4F)。更に、モデルにおけるECOG-PS、年齢、性別、PD-L1発現、治療法選択肢を考慮した多変量コックス回帰分析は、sMAdCAM-1がNSCLC患者におけるPD1遮断に対する臨床的利益の独立した予測因子であると結論付けた(表6)。本発明者らは、心血管イベントを経験している高リスクのヘビースモーカ(HRHSCV)における早期NSCLC発生率を予測するバイオマーカとして、このバイオマーカの臨床的関連性をPD1阻害を超えて拡大した(PREVALUNG研究、表7)。実際に、sMAdCAM-1血清レベルは、NSCLCの診断の6~12ヶ月前に肺がん小結節を発症したと認められる13人のHRHSCV個体において、発症しなかった99人の対になる対照と比較して有意に低かった(図10B)。可溶性MAdCAM-1レベルは、全コホートにおいて循環α4β7RorγtCD4T細胞と相関していた(図10C)。
【0124】
最後に、進行したNSCLC患者における可溶性MAdCAM-1血清レベルと腸内ディスバイオシスとの間の関係を直接示すために、本発明者らは、要求される全てのMG及び血清情報を提供するn=95の患者におけるショットガンメタゲノミクス(MG)分析を用いて、sMAdCAM-1血清レベルの中央値に従って腸管内微生物叢の分類学的組成を定義するメタゲノミクス種(MGS)の教師なし及び教師あり階層的クラスタリングを実施した。第1に、MAdCAM-1low患者(112人全てのNSCLC患者の中央値に基づいて分離された)においてMGS豊富性の低減があった(図4C)。更に、この異なるアルファ多様性は、有意に異なるベータ多様性を伴い、これは、分類学的腸組成が両方のサブセットにおいて類似していなかったことを意味する(図5F)。教師なしMG分析は、実際にMAdCAM-1中央値に基づいて患者をまた分離した2つのクラスタを明らかにした(フィッシャーの正確確率検定、p<0.05、図10D図10E)。
【0125】
最後に、マウスに見られ(図1G、右パネル)、大規模な一連のNSCLC患者において臨床的に予後不良に関連するMGSのリストのみを選択すると(Tsay et al.,2021;Zitvogel and Kroemer,2021)、(Derosa et al.2022)、本発明者らは、腸管E.クロストリジオホルミス及びV.パルブラ(V.parvula)の広がりが高い患者が低レベルのsMAdCAM-1を提示する患者であると結論付け、確認する。
【0126】
まとめると、これらの知見は、可溶性MAdCAM-1が、がん患者におけるPD1遮断に対する抵抗性を予測する腸管内ディスバイオシスの代用マーカであることを指し示している。
【0127】
【表5】
【表6】
【表7】
【0128】
考察
本発明者らの知見は、GALTが腸指向性免疫抑制性T22/T17(そのうち、20%までがFoxp3CD25reg細胞である)の遊出をチェックし続ける腫瘍形成プロセスによって攻撃される宿主における回腸の極めて重要な役割を明らかにする。腸及びTMEの両方は、それらの受容体又はリガンド対を発現する循環リンパ球に対して競合する細胞誘引及びホーミング分子に富む。GALTから腫瘍床へのフェイトマッピングを可能にするツールを用いて、本発明者らは、腸滞留と腫瘍沈着物への化学誘引との間の腸作用性T細胞の運命決定が、MAdCAM-1アドレシン/α4β7インテグリン分子相互作用によって少なくとも部分的に制御されることを明らかにする。
【0129】
第1に、ATBは、LP回腸細静脈におけるMAdCAM-1発現、並びに粘膜及びmLNのHEVを下方制御し、腸外病変に対するα4β7+Th17/Tr17細胞の回腸エクソダスを好む。第2に、MAdCAMの欠損又は中和は、ATBの効果を表現型模写した。Madcam-1若しくはβ7インテグリン遺伝子欠損マウス、又はこれらの分子を標的化する、中和Abを受けた動物は、腸由来のα4β7+Tr17/TH17細胞をTMEに蓄積することによって、ICIに応答することができなかった。第3に、回腸HEV上のMAdCAM-1発現を回復させること(A.ムシニフィラなど)又はIL-17A生物活性を遮断することを目的とした操作は、腫瘍免疫監視におけるATBの阻害効果を補償した。第4に、エンテロクロスター菌種(E.クロストリジオホルミスなど)を用いた強制経口胃管栄養法は、tdLNに対する腸作用性Tr17のエクソダスを悪化させた。最後に、PD1遮断は、mLNにおけるα4β7+Tr17細胞の拡大及び/又はプライミングを悪化させ、腫瘍にホーミングして戻し、がん免疫監視を損なう傾向があった。これらの一連のエビデンスは全て、ICI開始中又はICI開始後とは対照的に、ICI投与前のATBの有害作用を指摘する疫学的研究を支持している(Derosa et al.2022)。その結果、本発明者らは、血清可溶性MADCAM-1が回腸のmadcam1遺伝子発現の生物学的代用物であり、少なくともNSCLC患者においてPD1遮断に対する応答の信頼できる予測因子であることを示す。低いsMADCAM-1血清レベルは、プロTH17細菌(例えば、ベイロネラ・パルブーラ(Veilonella parvula)など)又は生理病理学的障害に関連するエンテロクロスター属由来の種によって支配される腸管内ディスバイオシスを反映した(Ghosh et al.,2020;Tsay et al.,2021;Zitvogel and Kroemer,2021)(Derosa et al.2022)。
【0130】
この実証は、腸由来T17がまた、腸外自己免疫(Magnuson et al.,2015;Morton et al.,2014;Wu et al.,2010)(Krebs et al.,2016;Lee et al.,2011b)、又は炎症性/虚血性病変(Benakis et al.,2016;Liesz et al.,2009)も制御することを示すこれまでのエビデンスに沿うものである。RORγTregは、本発明者らもATB誘導性腸内ディスバイオシス設定において上方制御されることを見出した遺伝子生成物(Ctlα4、Icos、Havcr2(Sefik Science 2015)など)の過剰発現を伴う、それらの系統関連Tregと比較して悪化した免疫抑制表現型を有する。更に、本発明者らは、以前にランドマークとなる論文(Miragaia et al.,2019;Munoz-Rojas and Mathis,2021)に記載された本発明者らのTr17フィンガープリント、TH17関連青写真(Yosef et al.,2013)、並びに腫瘍免疫監視に機能的に関連する免疫抑制形質(Dusp2/PCA1(Dan Lu et al.,2020)、PIK3ip1(Uche et al.,2018)など)において、腸特異的Treg特徴を同定した。
【0131】
がん担持者におけるこの例は、抗α4β7抗体ベドリズマブによる治療中に、腸外α4β7reg及びセントラルメモリーT細胞又はCCR6CD4Tリンパ球の再循環が増加することが報告されており、炎症性腸疾患に罹患している患者又はマカクで実施された過去の研究と一致している(Calenda et al.,2018;D’Haens et al.,2018;Fischer et al.,2016)。本発明者らの知見は、重要な臨床的意義を有する。これまでのところ、ベドリズマブは、その腸に制限された作用様式のために、ICI誘導自己免疫性大腸炎に罹患しているがん患者におけるTNFα阻害のより安全な代替物であると考えられていた(Sandborn et al.,2016)。しかしながら、前向き研究は、ICIで治療された患者における臨床アウトカム及び毒性プロファイルとこれらの新規パラメータを相関させるために、マイクロバイオーム組成、腸、又は可溶性血清MAdCAM-1発現、並びにCCR9 α4β7reg、Tr17、及びT22細胞サブセットの再循環をモニタリングすべきである。最後に、糞便微生物移植の分野は、がん担持レシピエントにおけるMADCAM-1レベルを正規化する能力に基づいて、ドナー糞便の選択を誘導する方向に進化し得る。
【0132】
これらの知見は、がん担持患者が、最も強力な腸免疫チェックポイントMADCAM-1のうち1つを変化させる抗生物質を服用することによって、そのがん関連回腸障害を悪化させ得るという概念を裏付けている(Yonekura et al 2022)。本発明者らは、ATB誘導性ディスバイオシス、最も具体的にはATB過程後の再コロニー形成過程が、腸免疫チェックポイントMADCAM-1の主要調節因子であるものと推測する。いくつかの分子的手がかりは、腸内ディスバイオシスとGALT MADCAM-1の変化とを結びつける可能性があり、例えば、胆汁酸塩の細菌誘導代謝の撹乱(Campbell et al.,2020;Song et al.,2020)、及び交感神経系の活性化(Schiller et al.,2021;Yan et al.,2021)などがあり、これは更なる研究に値する。
【0133】
実施例2:可溶性MAdCAM-1は、いくつかの固形がんにおけるPD1遮断に対する抵抗性の予測バイオマーカである
2.1.可溶性MADCAM-1は、腎臓がん患者におけるPD1遮断に対する抵抗性の予測バイオマーカである
実施例1では、本発明者らは、進行した非小細胞肺がん患者(NSCLC)の2つの独立したコホートにおいて、血清可溶性MAdCAM-1レベルが、イムノオンコロジー(I-O)療法に対する抵抗性又は感受性のマーカであることを示した。ここで、血清可溶性MAdCAM-1のレベルの低減は、I-O療法に対する抵抗性のマーカである。
【0134】
ここで、本発明者らは、この知見を別のがん型:セカンドライン治療(チロシンキナーゼ阻害剤の失敗後)において、ニボルマブで治療された腎臓がんへと拡張する(表8)。
【表8】
【0135】
全体として、NIVOREINコホートからの212人の患者を抗PD1mAb(ニボルマブ、BMS)を受けるために登録した。31人は抗生物質使用者であり(治療開始後-60日目~+42日目)、176人は抗生物質を摂取しなかった。ベースラインでの血清可溶性MAdCAM-1のELISAによりモニタリングを実施したところ、これらの212人の転移性淡明細胞型腎細胞がん(RCC)患者について88.8ng/mL(19.1,174.7)の中央値(最小、最大)(及び88.4±27.7ng/mLの平均±SD)が明らかになった。NSCLC患者について示されるように、抗生物質取込み(ATB)は、sMAdCAM-1の濃度を減少させる傾向があった(ATBの服用を控えた患者における中央値88.7ng/mLから、ATBを服用した患者における76.3ng/mLまで)。注目すべきことに、これらのATB+患者の大部分(23/31)が抗PD1 Abの開始後にATBを服用したので(臨床的にあまり有意ではない)、これは過小評価されている。
【0136】
全生存期間(OS)を、212人の患者のコホート全体について、抗PD1 Ab開始直前のsMAdCAM-1ベースラインレベルの中央値に従って分析した。RCC患者のカプラン・マイヤーOS曲線は、88.8ng/mL未満のsMAdCAM-1血清レベルを示す者が72/106例で死亡したが、一方で88.8ng/mL以上のsMAdCAM-1血清濃度を有する者では死亡率が36/106であったことを示す(p<10e-4)(図11)。この予後パラメータを、ステージIV RCCの生存に影響を及ぼす全ての臨床因子、例えば、年齢、IM DCスコア、治療ライン、及び転移位置、並びに低アルブミン血症などを包含する多変量分析で分析した。多変量分析は、sMAdCAM-1<88.8ng/mLが、IMDC重症について、HR=2.29(1.11-4.76,p=0.08)に対してsMAdCAM-1についてハザード比:2.40(1.52-3.80,p=0.0002)でIMDCスコアを上回ることを明らかにした(表9)。
【表9】
【0137】
無増悪生存期間(PFS)を、212人の患者のコホート全体について、抗PD1 Ab開始直前のsMAdCAM-1ベースラインレベルの中央値に従って分析した。RCCのカプラン・マイヤーPFS曲線は、sMAdCAM-1血清レベル<88.8ng/mLを呈する患者では、99/106のケースで進行したが、一方でsMAdCAM-1血清濃度≧88.8ng/mLを有する患者では、進行率は86/106であったことを示す(p<10e-4)(図12)。この予後パラメータを、ステージIV RCCの生存に影響を及ぼす全ての臨床因子、例えば、年齢、IM DCスコア、治療法のライン、及び転移位置、並びに低アルブミン血症などを包含する多変量分析で分析した。多変量分析により、sMAdCAM-1<88.8ng/mLがIMDCスコアと同程度に良好であることが明らかになった(表10、HR=1.55、p=0.0071)。
【表10】
【0138】
客観的応答率(ORR)に関して、NIVOREN試験(N=729のRCC患者)は、20.8%の客観的奏効率を記録した(1.完全応答の2%、及び部分応答の19.6%、進行性疾患(PD)の79.2%)。興味深いことに、sMAdCAM-1血清レベルが利用可能であった212人のRCC患者のサブグループを、ATB取込みあり/なし、及びsMAdCAM-1(≧88.8対<88.8ng/mL)に従って細分した。最初に、sMAdCAM-1による最良客観的応答のサブグループ分析により、PDの割合は、sMAdCAM-1≧88.8対<88.8ng/mLの患者でそれぞれ36.7%対62.6%であることが明らかになった(p=0.0003)(表10)。次に、本発明者らがATBを服用しなかった患者のみを検討した場合、sMAdCAM-1による最良応答の同じサブグループ分析は、PDの割合がsMAdCAM-1≧88.8対<88.8ng/mLの患者において、それぞれ38.6%対60.5%であったことを明らかにした(p=0.0044)。第3に、本発明者らがATBを服用したRCC患者を検討した場合、sMAdCAM-1による最良応答率のこのサブグループ分析は、PDの割合がsMAdCAM-1≧88.8対<88.8ng/mLの患者において、それぞれ36.4%対76.9%であったことを明らかにした(p=0.0446)。ATB治療サブグループでは、完全応答者の割合は、sMAdCAM-1≧88.8対<88.8ng/mLの患者でそれぞれ18.2%対7.7%であった(以下の表11)。
【表11】
【0139】
まとめると、これらの知見は、高レベルの血清可溶性MAdCAM-1が、RCCのセカンドライン免疫療法におけるPD1遮断に対する応答の増加に関連し、抗生物質を摂取した患者ではよりそうであることを実証している。88ng/mLの閾値は、セカンドラインに対して有効であるが、ファーストラインの患者を表すものではない。日常的な使用のために、1L又は2Lの治療法のコホートの中央値を考慮しなければならない。
【0140】
2.2.可溶性MADCAM-1は、膀胱がん患者におけるPD1遮断に対する抵抗性の予測バイオマーカである
最後に、本発明者らは、1500mgのデュルバルマブiv(抗PD-L1Abs)/4週間の固定用量を受けるために前治療した転移性膀胱がん患者を登録する、第3相試験のサブコホートにおいて、sMAdCAM-1の予測値を三倍にすることを試みた。この強力な研究では、79人の患者のみが分析され、全OS中央値は5.79ヶ月、PFS中央値は2.79ヶ月であった。本発明者らは、極端な強コホート、30人のエリート患者(OS>6ヶ月、PFS>5ヶ月、PR+CRのみ)、及び急速発症者(n=49、初回CTスキャンで、OS<6ヶ月及びPFS<5ヶ月、並びにPD)を選択した。このコホートでは、MAdCAM-1中央値(最小、最大)は158.8ng/mL(53.41、244.36)であった。図13Aにおいて、本発明者らは、sMAdCAM-1の中央値±SEMが進行者において劇的に減少し、OSが、他の半分と比較して158.8ng/mL超のsMAdCAM-1のベースラインレベルを示す患者の前半において有意に良好であったことを示す(図13B、p=0.03)。PFSは、高いMAdCAM-1レベルを有する患者において優れている傾向があった(図13C、ns)。
【0141】
2.3.結論
まとめると、これらの知見は、高レベルの血清可溶性MAdCAM-1が、ATB取込みに関係なく、RCCのセカンドライン免疫療法、セカンドライン転移性膀胱腫瘍、及びペンブロリズマブで治療した1L及び2L NSCLCにおいて、PD1/PDL-1遮断に対する応答の増加に関連することを実証している。
【0142】
略語:
α4β7:アルファ4ベータ7、Ab:抗体、ACS:アンピシリン、コリスチン、ストレプトマイシン、ATB:抗生物質、ATRA:全トランス型レチノイン酸、CCL:ケモカインリガンド、CCR:ケモカイン受容体、CD:分化クラスタ、cDC1:古典的樹状細胞1型、CFSE:カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル、cLN:反対側リンパ節、CSF-1:コロニー刺激因子1、CTL:細胞傷害性Tリンパ球、FMT:糞便粘膜移行、FoxP3:有孔ボックスP3、GALT:Gut関連リンパ組織、HEV:高内皮細静脈、IBD:炎症性腸疾患、ICI:免疫チェックポイント阻害剤、IFNγ:インターフェロンγ、LP:粘膜固有層、mAB:モノクローナル抗体、MAdCAM-1:粘膜アドレシン細胞接着分子-1、mLN:腸間膜リンパ節、PP:パイエル板、RA:レチノイン酸、RORC:RAR関連オーファン受容体C、SLO:二次リンパ器官、tdLN:腫瘍排出リンパ節、T17:T-ヘルパー17-CD4-T細胞、TME:腫瘍微小環境、TNFα:腫瘍壊死因子アルファ、Treg:調節性T細胞、Tr17:RORγt+Treg-CD4-T細胞。
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【国際調査報告】