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特表2024-529259光ファイバーケーブル用トランジション継手
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】光ファイバーケーブル用トランジション継手
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/46 20060101AFI20240730BHJP
   H02G 3/22 20060101ALI20240730BHJP
   H02G 15/013 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
G02B6/46 301
H02G3/22
H02G15/013
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579653
(86)(22)【出願日】2022-06-27
(85)【翻訳文提出日】2024-02-16
(86)【国際出願番号】 SE2022050636
(87)【国際公開番号】W WO2023277770
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】2150847-8
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506259461
【氏名又は名称】ロックステック アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100206335
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 和宏
(72)【発明者】
【氏名】ストラング ダニエル
【テーマコード(参考)】
2H038
5G363
5G375
【Fターム(参考)】
2H038CA42
5G363AA09
5G363BA10
5G363CA05
5G363CA14
5G375AA18
5G375BA02
5G375BB42
5G375BB51
(57)【要約】
仕切り(2)を貫通する少なくとも1本の光ファイバーケーブル用トランジション継手(10、10’)。トランジション継手(10、10’)は、スリーブ(30)、圧縮性シール(50、50’)、及び電磁シールド管(70、70’)を備える。スリーブ(30)は、第1の端部(31)、第2の端部(32)、及び開口(33)を有し、開口(33)は圧縮性シール(50、50’)を受けるため第1の端部(31)から軸方向に延在し、圧縮性シール(50、50’)は光ファイバーケーブルの周囲をシールドする。シールド管(70、70’)は第1の端部(71)、第2の端部(72)、及び少なくとも1つの貫通開口(73)を有し、少なくとも1つの貫通開口(73)は、少なくとも1本の光ファイバーケーブルを受けてシールドするために第1の端部(71)と第2の端部(72)との間に配置される。スリーブ(30)の第2の端部(32)は、シールド管(70、70’)の第1の端部(71)に接続され、シールド管(70、70’)の少なくとも1つの貫通開口(73)は、少なくとも1本の光ファイバーケーブルのトランジション継手のスリーブ(30)の開口(33)に接続される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕切り(2)を貫通する少なくとも1本の光ファイバーケーブル用トランジション継手(10、10’)であって、
前記トランジション継手(10、10’)は、スリーブ(30)、圧縮性シール(50、50’)、及び電磁シールド管(70、70’)を備え、
前記スリーブ(30)は、第1の端部(31)、第2の端部(32)、及び開口(33)を有し、
前記開口(33)は前記圧縮性シール(50、50’)を受けるため前記第1の端部(31)から軸方向に延在し、
前記圧縮性シール(50、50’)は光ファイバーケーブルの周囲を密閉し、
シールド管(70、70’)は第1の端部(71)、第2の端部(72)、及び少なくとも1つの貫通開口(73、75、76、77、78)を有し、
前記少なくとも1つの貫通開口(73、75、76、77、78)は、前記少なくとも1本の光ファイバーケーブルを受けてシールドするために第1の端部(71)と第2の端部(72)との間に配置され、
前記スリーブ(30)の前記第2の端部(32)は、前記シールド管(70、70’)の前記第1の端部(71)に接続され、
前記シールド管(70、70’)の少なくとも1つの貫通開口(73、75、76、77、78)は、前記少なくとも1本の光ファイバーケーブルのトランジション継手のスリーブ(30)の開口(33)に接続される、
トランジション継手。
【請求項2】
前記スリーブ(30)の第2の端部(32)は、前記シールド管(70、70’)の第1の端部(71)と一体化されている、
請求項1に記載のトランジション継手。
【請求項3】
前記スリーブ(30)及び前記電磁シールド管(70、70’)は導電性材料を含む、
請求項1又は2に記載のトランジション継手。
【請求項4】
前記スリーブ(30)及び前記電磁シールド管(70、70’)は金属を含む、
請求項3に記載のトランジション継手。
【請求項5】
前記シールド管(70、70’)は、前記スリーブ(30)の第2の端部(32)から前記軸方向に突出する、
請求項1から4のいずれかに記載のトランジション継手。
【請求項6】
前記シールド管(70、70’)の長さは、前記シールド管(70、70’)の少なくとも1つの貫通開口(73、75、76、77、78)の内径の少なくとも4倍である、
請求項1から5のいずれかに記載のトランジション継手。
【請求項7】
前記シールド管(70’)は複数の貫通開口(75、76、77、78)を有し、
前記シールド管(70’)の長さは、各貫通開口(75、76、77、78)の内径の少なくとも4倍である、
請求項6に記載のトランジション継手。
【請求項8】
前記シールド管(70、70’)の外面(74)は少なくとも部分的にネジ切りされている、
請求項1から7のいずれかに記載のトランジション継手。
【請求項9】
前記圧縮性シール(50、50’)は、前方取り付け具(51)、後方取り付け具(52)、及び圧縮性ベース(53、53’)を備え、
前記前方取り付け具(51)及び後方取り付け具(52)は、前記圧縮性ベース(53、53’)の両端に配置される、
請求項1から8のいずれかに記載のトランジション継手。
【請求項10】
前記前方取り付け具(51)は、前記圧縮性シール(50、50’)がスリーブ(30)内に受け入れられた際に前記前方取り付け具(51)が前記スリーブ(30)の第1の端部(31)に当接するように、半径方向外側に延在する、
請求項9に記載のトランジション継手。
【請求項11】
前記圧縮性ベース(53’)は、前記ベース(53’)を貫通して延在する軸貫通開口を有し、
前記軸貫通開口は、1又は複数のモジュール(54)を受けるように構成され、
各モジュール(54)は、トランジション継手(10’)を貫通して延在する1本の光ファイバーケーブルを受けるように構成される軸開口(56’)を有する、
請求項10に記載のトランジション継手。
【請求項12】
前記トランジション継手(10’)を貫通して延在する各光ファイバーケーブルが前記スリーブ(30)のモジュール(55)及びシールド管(70’)の各貫通開口(75、76、77、78)に受け入れられるように、前記スリーブ(30)のベース(53’)に配置された前記モジュール(55)の数は、前記シールド管(70’)に設けられた貫通開口(75、76、77、78)の数に相当する、
請求項11に記載のトランジション継手。
【請求項13】
前記スリーブ(30)は管状であり、
前記シールド管(70、70’)は管状であり、
前記スリーブ(30)の直径は前記シールド管(70、70’)よりも大きい、
請求項1から12のいずれかに記載のトランジション継手。
【請求項14】
前記スリーブ(30)の第2の端部(32)は、前記スリーブ(30)の外管状面(36)と前記シールド管(70、70’)との間の半径方向に延在する当接面(35)を有する、
請求項13に記載のトランジション継手。
【請求項15】
前記トランジション継手(10、10’)が前記仕切り(2)の貫通開口内に配置される際に、前記当接面(35)が前記仕切り(2)に当接し、シールド管(70、70’)は前記仕切り(2)の開口を貫通して延在するように配置される、
請求項14に記載のトランジション継手。
【請求項16】
前記トランジション継手(10、10’)は、溶接又は固定手段によって前記仕切り(2)に取り付けられる、
請求項15に記載のトランジション継手。
【請求項17】
前記スリーブ(30)は、前記スリーブ(30)の第1の端部(31)から軸方向に延在する回転防止手段を備える、
請求項5に記載のトランジション継手。
【請求項18】
前方取り付け具(51)は、前記スリーブ(30)の回転防止手段と相互作用するための少なくとも1つの開口(62)を有する、
請求項17に記載のトランジション継手。
【請求項19】
前記回転防止手段は、前記前方取り付け具(51)の対応する1つ以上の開口(62)と連携する1つ以上の突起(61)を有する、
請求項18に記載のトランジション継手。
【請求項20】
前記回転防止手段は、少なくとも2つの突起(61)を有し、
各突起(61)には、前記前方取り付け具(51)の対応する開口(62)にバヨネットマウントで取り付ける半径方向延在部が設けられる、
請求項19に記載のトランジション継手。
【請求項21】
前記回転防止手段は、前記スリーブ(30)の第1の端部(31)の対応する穴に受け入れられる1又は複数のネジを備え、
前記1又は複数のネジは、前記前方取り付け具(51)の対応する1以上の開口(62)と連携する、
請求項18に記載のトランジション継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ファイバーケーブル用トランジション継手に関する。より具体的には、ある種の仕切りを貫通する光ファイバーケーブルの電磁シールドに関する。
【背景技術】
【0002】
時代と共に光ファイバーケーブルの使用が増加してきている。1又は複数の光ファイバーケーブルが仕切りを貫通するような設備では、仕切りの内側や外側にある様々な電気・電子機器を保護するために、電磁妨害(電磁障害。electromagnetic disturbances)を減らすことが重要である。
【0003】
電気・電子装置、機器、設備は、多かれ少なかれ電磁妨害の影響を受けやすい。電磁妨害とは、急速に変化する信号を伝送する電気回路から通常動作の副産物として発せられることが多い電磁放射であり、他の電気回路に誘起される不要な信号(干渉やノイズ)を引き起こす。これにより、他の回路の実効性能(effective performance)の中断、妨害、低下、制限が発生する。電磁妨害は、ある種の電子戦として意図的に引き起こされることもあれば、スプリアス発射(spurious emissions)や相互変調積等の結果として意図せずに引き起こされることもある。
【0004】
多くの光ファイバーケーブルは、妨害から保護し電波障害(EMI)の伝達を低減するために使用可能な導電部を有しない。一般的に、光ファイバーケーブルの保護には導波管(waveguides)を用いる。基本的には、導波管とは導電性材料のパイプである。
【0005】
従来技術SE543123は、シールドパイプ及び光ファイバーケーブルが圧縮性モジュールや圧縮性円筒形シールなどのシールド保持手段内に受け入れられる光ファイバーケーブル用トランジション継手(遷移。transition)について記載している。
【0006】
しかしながら、このような従来技術に係る光ファイバー用トランジション継手の設置は、場合によっては困難であり得る。このため、先行技術に係るトランジション継手は、特に使い方によっては、それらの使用が比較的複雑になる可能性があるという問題を有する。
【0007】
上記の見解を踏まえると、仕切りを貫通する光ファイバーケーブル用トランジション継手を提供することに関しては、さらなる開発と改善の余地がある。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、従来技術に関する問題を解決又は少なくとも軽減することにある。この目的は、添付の独立請求項に記載の手法によって達成される。好適な実施形態は、関連する従属請求項に定義されている。
【0009】
第1の態様によれば、仕切りを貫通する少なくとも1本の光ファイバーケーブル用トランジション継手が提供される。このトランジション継手は、スリーブ、圧縮性シール、及び電磁シールド管を備える。スリーブは、第1の端部、第2の端部、及び開口を有し、開口は圧縮性シールを受けるため第1の端部から軸方向に延在し、圧縮性シールは光ファイバーケーブルの周囲を密閉(seal)する。シールド管は第1の端部、第2の端部、及び少なくとも1つの貫通開口を有し、少なくとも1つの貫通開口は、少なくとも1本の光ファイバーケーブルを受けてシールド(保護。shielding)するために第1の端部と第2の端部との間に配置される。スリーブの第2の端部は、シールド管の第1の端部に接続され、シールド管の少なくとも1つの貫通開口は少なくとも1本の光ファイバーケーブルのトランジション継手のスリーブの開口に接続される。
【0010】
本発明の利点として、光ファイバーの導波管を形成するシールド管がスリーブの第2の端部に接続されることが挙げられる。このため、シールド管がスリーブから延在するので、シールド管をさらに組み立てること無しで、トランジション継手はスリーブとシールド管を備える。
【0011】
これにより、シールド性能が向上する。さらに、トランジション継手の組立・分解や仕切り壁の開口への取り付けも容易である。
【0012】
一実施形態において、スリーブの第2の端部は、シールド管の第1の端部と一体化されている。例えば、スリーブとシールド管は1つの部品として形成される。このため、効果的なシールドと組み立てが達成される。
【0013】
同時に、スリーブとシールド管の製造と設置において高いコスト効率が達成され得る。
【0014】
一実施形態において、スリーブ及び電磁シールド管は(合金を含む)金属等の導電性材料を含むか、導電性材料により形成され、このような導電性材料は、効果的なシールドとは別に、例えば溶接による金属の仕切りへの効果的な取り付けを可能にする。例えば、スリーブと電磁シールド管は同じ材料からなる1つの部品として形成される。
【0015】
一実施形態において、シールド管はスリーブの第2の端部から軸方向に突出する。このため、シールド管はスリーブから軸方向に延在し、スリーブは圧縮性シールを受け入れて密閉することができ、シールド管は光ファイバーケーブルをシールドする。シールド管の長さは、シールド管の少なくとも1つの貫通開口の内径の少なくとも4倍であり、効果的なシールド特性を発揮する。
【0016】
一実施形態において、シールド管は複数の貫通開口を有し、シールド管の長さは、各貫通開口の内径の少なくとも4倍である。このため、シールド管の長さはその中の1つの貫通開口の長さの少なくとも4倍でありながら、複数の光ファイバーケーブルをシールド管内に配置することができる。
【0017】
一実施形態において、シールド管の外面は少なくとも部分的にネジ切りされている。このため、トランジション継手を仕切りに結合するためシールド管のネジ山と連携するナットを使用するなど、トランジション継手を簡単に設置することができる。
【0018】
一実施形態において、圧縮性シールは、前方取り付け具(フィッティング。fitting)、後方取り付け具、及び圧縮性ベース(compressible base)を備える。前方取り付け具及び後方取り付け具は、圧縮性ベースの両端に配置される。
【0019】
一実施形態において、前方取り付け具は、圧縮性シールがスリーブ内に受け入れられた際に前方取り付け具がスリーブの第1の端部に当接するように、半径方向外側に延在する。
【0020】
一実施形態において、圧縮性ベースは、該ベースを貫通して延在する軸貫通開口を有する。軸貫通開口は1又は複数のモジュールを受けるように構成され、各モジュールはトランジション継手を貫通して延在する1本の光ファイバーケーブルを受けるように構成される軸開口を有する。
【0021】
一実施形態において、スリーブのベースに配置されたモジュールの数は、シールド管に設けられた貫通開口の数に相当する。つまり、トランジション継手を貫通して延在する各光ファイバーケーブルは、スリーブのモジュール及びシールド管の各貫通開口に受け入れられる。
【0022】
一実施形態において、スリーブは管状であり、シールド管は管状である。スリーブの直径はシールド管よりも大きい。このため、スリーブの第2の端部には、シールド管とスリーブの外管状面との間で半径方向に延在する当接面又はフランジが形成され、溶接により、又はシールド管に外ネジ山がある場合はナットを用いて締め付けることにより、この当接面を介して効果的にトランジション継手を仕切りに固定することができる。トランジション継手が仕切りの貫通開口内に配置される際、当接面が仕切りに当接し、シールド管は仕切りの開口を貫通して延在するように配置され得る。
【0023】
一実施形態において、スリーブは、該スリーブの第1の端部から軸方向に延在する回転防止手段を備える。例えば、前方取り付け具は、スリーブの回転防止手段と相互作用するための少なくとも1つの開口を有する。回転防止手段は、前方取り付け具の対応する1つ以上の開口と連携する1つ以上の突起を有する。このため、スリーブ内の圧縮性シールの意図しない回転が効果的に防止され、設置中又は設置後に回転によって光ファイバーケーブルが損傷するリスクを軽減することができる。一実施形態において、回転防止手段は、少なくとも2つの突起を有する。各突起には、前方取り付け具の対応する開口にバヨネットマウントで取り付ける半径方向延在部が設けられる。又は、回転防止手段は、スリーブの第1の端部の対応する穴に受け入れられる1又は複数のネジを備えてもよい。1又は複数のネジは、前方取り付け具の対応する1又は複数の開口と連携し、スリーブ内の圧縮性シールの意図しない回転を防止する。スリーブと前方取り付け具との間に回転防止手段を設置する利点として、前方取り付け具及び圧縮性シールに対するスリーブの回転運動が制限されることが挙げられる。つまり、スリーブの圧縮性シール内やシールドパイプ内の配置されたケーブルを保護することができる。ケーブルが自由に回転できない場合は、スリーブ内で自由に回転する圧縮性シールの設置中や設置前にケーブルが損傷するという潜在的なリスクがある。光ファイバーケーブルは特に壊れやすく、設置前、設置中、設置後に回転すると、トランジション継手の内側の金属のエッジでせん断されて、簡単に切れたり、壊れたり、損傷したりする可能性がある。このような回転防止方法を回転防止用の前方取り付け具の突起の半径方向延在部等の軸方向ロック機構に取り入れれば、シールがスリーブから飛び出す、つまり密閉保持(シールリテンション。seal retention)に関する一般的な問題も解決される。スリーブ上のこぶ(nubs)や突起は、取り付け具と圧縮性シールの回転を防止し得る。こぶにエッジや半径方向延在部を追加すると、いわゆる「バヨネットマウント」となり、取り付け具が軸方向のスリーブからずれたり回転しすぎたりすることをシールを少し回転させるだけで防ぐことができる。また、同様に、回転ロック機構に加え、半径方向に延在するネジの頭で軸方向のロックを行っても良い。
【図面の簡単な説明】
【0024】
例示の手段として、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係る仕切りを貫通する1本の光ファイバーケーブルのトランジション継手の概略斜視図である。
図2図1の実施形態に係るトランジション継手の一部である、スリーブ及び電磁シールド管の概略側面図である。
図3図1から図2の実施形態に係るスリーブ及び電磁シールド管の概略長手断面図である。
図4図1から図3の実施形態に係る仕切りを貫通する1本の光ファイバーケーブルのトランジション継手の概略長手断面図である。
図5図1から図4の実施形態に係るトランジション継手の概略斜視図である。
図6】他の実施形態に係るスリーブ及び電磁シールド管の概略斜視図である。
図7図6の実施形態に係るスリーブ及び電磁シールド管の概略側面図である。
図8】複数の光ファイバーケーブルを受けるために配置される、他の実施形態に係るトランジション継手の概略側面図である。
図9】複数の光ファイバーケーブルを受けるための、一実施形態に係る圧縮性シールの概略斜視図である。
図10図9の圧縮性シールを受けるためのスリーブ及び電磁シールド管の正面図を図示する。
図11図8から図10の実施形態に係るトランジション継手の斜視図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。本発明は、しかしながら、多くの異なる形式で実施されてもよく、本明細書に記載される実施形態に限定されるように解釈されるべきではない。図面において、同様の番号は同様の要素を示す。
【0027】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る仕切りを貫通する光ファイバーケーブルのトランジション継手10の斜視図である。トランジション継手10はスリーブ30、電磁シールド管70、圧縮性シール50を備える。トランジション継手10は軸を有し、該トランジション継手10を貫通して軸方向に光ファイバーケーブルを受け入れるように配置されている。本明細書中で使用される「軸(方向)」(axial)「半径(方向)」(radial)及びこれらに相当する用語は、トランジション継手10の軸及びトランジション継手10中を貫通するケーブルを考慮したものである。
【0028】
本発明によれば、トランジション継手10のシールド管70は、少なくとも1本の光ファイバーケーブル用の少なくとも1つの導波管を形成する。トランジション継手10は、少なくとも1本の光ファイバーケーブルが、仕切りの開口を貫通する際に使用することを目的とし、仕切りの例として、家やビルや同様の建築物の壁、屋根、床やその他の何かを隔てる表面や構造物、船の隔壁(バルクヘッド。bulkhead)やデッキ、電気キャビネット(electrical cabinet)、コンテナやあらゆるタイプの仕切りや分割構造などが挙げられる。分かりやすくするために、この説明では主に「仕切り」(パーティション。partition)という用語を光ファイバーケーブルが通る(貫通する)様々なパーツの総称として使用する。
【0029】
図1において、スリーブ30は管状であり、概円形の断面を有する。スリーブ30は、第1の端部31と第2の端部32を有する。電磁シールド管70は管状であり、概円形の断面を有する。電磁シールド管70は、第1の端部71と第2の端部72を有する。スリーブ30及び電磁シールド管70は金属等の導電性材料から成る。
【0030】
第1の実施形態では、スリーブ30と電磁シールド管70とは一体化されており、例えば、1つの部品として作られるため、単一の素材から成る。他の実施形態では、スリーブ30と電磁シールド管70とは、例えばスリーブ30を電磁シールド管70に溶接やネジ留めすることによって互いに取り付け又は結合された2つの個別の部品であってもよい。
【0031】
図2は、本発明の第1の実施形態に係るスリーブ30及び電磁シールド管70の側面図を図示する。スリーブ30の直径はシールド管70よりも大きい。しかし、スリーブ30とシールド管70は同じ直径を有していてもよく、又はシールド管70の直径がスリーブ30よりも大きくてもよい。
【0032】
電磁シールド管70の第1の端部71は、例えば、スリーブ30の第2の端部32と一体化される。このため、電磁シールド管70はスリーブ30から例えば軸方向に延在する。図3に示すように、少なくとも1本の光ファイバーケーブルを受けてシールドするために貫通開口73が第1の端部71と第2の端部72との間に配置される。例えば、シールド管70の長さは貫通開口73の直径の少なくとも4倍である。
【0033】
スリーブ30は、圧縮性シール50を受けるように構成されており、したがって、スリーブ30の寸法は、圧縮性シール50の周囲にしっかりとフィット(嵌合)するように選択される。図1に見られるように、スリーブ30は内側が空洞の管状シールである。スリーブ30内部の空洞は、第1の端部31から第2の端部32に向かって軸方向に延在する開口33を形成し、第1の端部31は開放端(オープンエンド。open end)である。
【0034】
圧縮性シール50は円筒形であり、スリーブ30の第1の端部31に挿入され、開口33内に配置されることを目的としている。圧縮性シール50は、前方取り付け具51、後方取り付け具52、及び圧縮性ベース53を備える。前方取り付け具51及び後方取り付け具52は、圧縮性ベース53の両端に配置される。前部及び後方取り付け具51、52は、圧縮性ベース53の貫通開口に受け入れられるネジ59によって互いに接続される。ネジ59を締めることによって、前部及び後方取り付け具51、52が互いに押し付けられ、つまり圧縮性材料からなる圧縮性ベース53が軸方向に圧縮され、半径方向の圧力がスリーブ30の管状壁に加えられ、これにより、スリーブ30と圧縮性シール50とがぴったりとフィットする。図4にスリーブ30内に配置された圧縮性シール50を図示する。
【0035】
前方取り付け具51は、圧縮性ベース53において、通常、ネジ59の操作が行われる側の取り付け具である。後方取り付け具52は、前方取り付け具51の反対側に位置する。前方取り付け具51の外径は、管状スリーブ30の内径より大きい。これは、前方取り付け具51がスリーブ30の第1の端部31に当接するように圧縮性シール50をより正確な位置に置くためである。
【0036】
圧縮性ベース53は、ベース53の中心に形成された軸開口56を有する。軸開口56は、トランジション継手10を貫通して延在する光ファイバーケーブルを受けるように構成される。多数の剥離可能層(ピーラブルレイヤ。peelable layer)58が、ベース53の軸貫通開口56の内側に位置する。圧縮性ベース53の貫通開口56の内径が、ベース53内に受け入れられた光ファイバーケーブルの外径に適合するように、層58は剥がされる。
【0037】
図3及び図4は、スリーブ30の外面である管状面36とシールド管70の第1の端部71との間で半径方向に延在する当接面35を有するスリーブ30を図示する。例えば、当接面35は、シールド管70の直径よりも大きな直径を有するスリーブ30の第2の端部によって形成される。トランジション継手10が仕切り2の開口を貫通して配置される際、当接面35は仕切り2に当接し、シールド管70は仕切り2の開口を貫通して延在するように配置される。
【0038】
トランジション継手10は、溶接又は固定手段によって仕切りに固定される。仕切りを固定するために溶接が使用される場合、スリーブ30の第2の端部32及び/又はシールド管70の第1の端部71及び/又は当接面35が仕切りに溶接される。管状シールド管70は、シールド管70の第1の端部71からシールド管70の第2の端部72まで軸方向に延在する外面74を有する。外面74は少なくとも部分的にネジが切りされており、図4及び図5に示すように、ナット91及びオプションのワッシャー92などの固定手段を受け入れるように構成される。
【0039】
次に、本発明の別の態様を図6から図7を参照しながら説明する。図6の斜視図に示すスリーブ30及び電磁シールド管70は、電磁シールド管70の外面にネジ山が形成されていないことを除いて、前述したスリーブ30及びシールド管70のすべての技術的特徴を有する。このため、図6及び図7の実施形態では、溶接によって仕切りに固定されてもよい。さらに、スリーブ30及び電磁シールド管70は、スリーブ30の第1の端部31から軸方向に延在する1以上の突起61の形態の少なくとも1つの回転防止手段を備える。図6及び図7では、スリーブ30は2つの突起61を有し、各突起61はこぶとして図示されている。突起61は、ネジ又はネジ頭であってもよい。例えば、突起はスリーブ30の一部であり、スリーブ30の第1の端部31から軸方向に突出する。突起61がネジ又はネジ頭である場合は、スリーブ30の第1の端部31は、ネジのシャンク(胴部、柄部。shank)を開口内に固定するための1又は複数の開口を有する。
【0040】
例えば図8に示すように、前方取り付け具51は、2つのパーツとして設けられ、2つのパーツ間に設けられた空間によって形成される2つの開口62を有する。各開口62は、スリーブ30の突起61の1つにフィットする。各開口62に突起61を配置することによって、前方取り付け具51及び圧縮性シール50に対するスリーブ30の回転運動が制限される。図8は、スリーブ30の第1の端部31から軸方向に延在する突起61を有するトランジション継手10を図示する。このため、一実施形態において、スリーブ30は、前方取り付け具51の対応する開口62と連携する1以上の突起61を有し、スリーブ30内の圧縮性シール50、50’の意図しない回転を防止する。
【0041】
図面には示されていないが、突起61には、例えば突起61の頂部から延在し、突起61に対して垂直等の角度を有する半径方向延在部を設けてもよい。半径方向延在部は、圧縮性シール50、50’の意図しない外側方向の軸移動を防止するように配置される。このため、突起61の半径方向延在部は、スリーブ30の第1の端部31において圧縮性シール50、50’の軸移動を停止部させる。例えば、圧縮性シール50、50’がスリーブ30に挿入される際に、半径方向延在部は、前方取り付け具51の前面と原則的に平行に延在する。例えば、半径方向延在部を有する突起61は、前方取り付け具51の開口62と連携して、スリーブ30内の圧縮性シール50、50’の意図しない回転と意図しない軸移動の両方を防止する。例えば、半径方向延在部を有する突起61は、前方取り付け具51の開口62と連携して、バヨネットマウントを成し、これによりスリーブ30に対して前方取り付け具51の圧縮性シール50、50’の回転運動と軸移動の両方を制限する。
【0042】
図8から図11を参照すると、複数の光ファイバーケーブルを仕切りに通すための本発明の実施形態が図示されている。図8は、複数の光ファイバーケーブルを仕切りに通すように構成されたトランジション継手10’の側面図である。図9は、図8の圧縮性シール50’の斜視図を図示しており、この圧縮性シール50’は、上述のような技術的特徴及び機能を備えた前方取り付け具51、後方取り付け具52、ネジ59、開口62を備える。したがって、これらの特徴について詳細な説明は省略する。1本の光ファイバーケーブル用のトランジション継手10の特徴と異なる特徴について、以下に説明する。1本の光ファイバー用のトランジション継手10が備える他の特徴は、複数の光ファイバーケーブル用のトランジション継手10’の同様の特徴に対応する、又は本発明の開示から当業者に理解される。
【0043】
圧縮性ベース53について上記に述べたように、圧縮性ベース53’は、圧縮性ベース53、53’の両側に配置された前方取り付け具51及び後方取り付け具52を有する。圧縮性ベース53’は、ベース53’を貫通して延在する軸開口を有する。軸開口はモジュール54を受けるように構成される。図9から図11では、ベース53’は4つのモジュール54を受けるように構成される。しかし、ベース53’内に別の数のモジュール54を設けてもよい。ベース53’の軸開口の形状及びサイズは、ベース53’内に設けられるモジュール54の数に適合する。各軸開口56’は、1本の光ファイバーケーブルを受けるように構成される。トランジション継手10’内に位置する各ケーブルは、圧縮性シール50’内に位置するモジュール54の軸貫通開口56’を通過する。モジュール54にケーブルを通すかどうかは任意である。
【0044】
各モジュール54は、第1のモジュール半体(ハーフ。half)55、第2のモジュール半体55、及びモジュール54の中心に形成された軸開口56’を有する。軸開口56’は、トランジション継手10’を貫通して延在する光ファイバーケーブルを受けるように構成される。開口56’は、各モジュール半体55の半円筒形の凹部によって形成される。つまり、半円筒形の凹部が互いに向かい合うように2つのモジュール半体55が互いにくっ付いて位置することによって、開口56’が形成される。多数の剥離可能層58’が、モジュール54の軸貫通開口56’の内側に位置する。モジュール54の貫通開口56’の内径がモジュール54内に受け入れられた光ファイバーケーブルの外径に適合するように、モジュール54の層58’は剥がされる。モジュール半体はそれぞれ同一であってもよく、剥離可能層はオプションである。
【0045】
図10は、図9の実施形態に係る複数の光ファイバーケーブルを受けるためのスリーブ30及び電磁シールド管70’の正面図を図示する。この実施形態では、複数のケーブルがシールド管70’及びスリーブ30を通るため、複数の貫通開口75、76、77、78がシールド管70’に設けられる。各貫通開口75、76、77、78は、第1の端部71と第2の端部72との間に配置され、1本の光ファイバーケーブルを受けてシールドする。つまり、トランジション継手10’と一体化した個別のシールドが各光ファイバーケーブルに施される。さらに、シールド管70の第1貫通開口75、第2貫通開口76、第3貫通開口77及び第4貫通開口78は、いずれも4本の光ファイバーケーブルのトランジション継手のスリーブ30の開口33に接続される。スリーブ30内に設けられるモジュール54の数は、電磁シールド管70’の貫通開口75、76、77、78の数に相当する。
【0046】
これまで、様々な実施形態を参照して本発明の説明を行ってきたが、これらの実施形態の技術的特徴を組み合わせるが可能だということは容易に理解される。つまり、トランジション継手10、10’は、1本の光ファイバーケーブル又は複数の光ファイバーケーブルを受けるように構成されることができる。
【0047】
トランジション継手10が1本の光ファイバーケーブルを保持するように構成されている場合、圧縮性シール50は、光ファイバーケーブルを受けるように構成された軸開口56を有する圧縮性ベース53を備える。光ファイバーケーブルが圧縮性シール50から電磁シールド管70、つまり、電磁シールド管70の第1の端部71とスリーブ30の第2の端部32とが互いに結合される箇所に入る際、光ファイバーケーブルは、電磁シールド管70の第1の端部71と第2の端部72との間に延在する貫通開口73内に配置される。
【0048】
トランジション継手10’が複数の光ファイバーケーブルを保持するように構成されている場合、圧縮性シール50’は各光ファイバーケーブル用のモジュール54を備え、各モジュール54は1本の光ファイバーケーブルを受けるように構成された軸開口56’を有する。光ファイバーケーブルが圧縮性シール50’から電磁シールド管70’つまり、電磁シールド管70’の第1の端部71とスリーブ30の第2の端部32とが互いに結合される箇所に入る際、光ファイバーケーブルは、電磁シールド管70’の第1の端部71と第2の端部72との間に延在する各貫通開口75~78内に配置される。
【0049】
上述したように回転を防止するためにスリーブ30の第1の端部31から軸方向に延在する1つ以上の突起61を有する実施形態は、単一ケーブル用のトランジション継手10にも複数ケーブル用のトランジション継手10’にも使用することができる。
【0050】
一例として、図11は、複数のケーブル、例えば4本の光ファイバーケーブルを仕切りに通すためのトランジション継手10’の斜視図を図示する。トランジション継手10’は2つの突起61を備え、これらの突出部はこぶである。各こぶは、前方取り付け具51の開口62内に配置される。つまり、前方取り付け具51及び圧縮性シール50に対するスリーブ30の回転運動が制限される。さらに、トランジション継手10’は、前述のように、ナット91及びワッシャー92を使用することによって仕切りに固定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】