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特表2024-529262自動車両におけるアクアプレーニング現象を防ぐためのシステム、及び関連方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】自動車両におけるアクアプレーニング現象を防ぐためのシステム、及び関連方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20240730BHJP
   B60B 39/08 20060101ALI20240730BHJP
   B60R 1/24 20220101ALI20240730BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20240730BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240730BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20240730BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20240730BHJP
【FI】
G08G1/00 J
B60B39/08
B60R1/24
G08G1/09 F
G08G1/09 H
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579779
(86)(22)【出願日】2022-06-27
(85)【翻訳文提出日】2024-02-22
(86)【国際出願番号】 IB2022055945
(87)【国際公開番号】W WO2023275709
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】102021000017612
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523405801
【氏名又は名称】イージー レイン アイ.エス.ピー.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブランディナ、ジョバンニ
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181MC16
(57)【要約】
アクアプレーニング現象を回避するために前記運転者を支援するように構成されている電子制御ユニット(1)を備える、自動車両(V)のためのアクアプレーニング防止システム(S)が説明される。前記電子制御ユニット(1)は:
・当該電子制御ユニット(1)が、前記運転者に、前記自動車両(V)の前記タイヤが前記自動車両(V)の前記ホイール(W)及び前記道路表面の間にもはや十分なグリップが保証されないような量で前記道路表面上に広がった水層との前記接触の前に注意喚起するように構成されるように、
・自動運転支援デバイス(3)によって、及びデータ送信及び受信ユニット(2)によって検出される複数の信号をリアルタイムで受信し、
・前記受信信号を統合して、アクアプレーニングの前記リスクを示す出力信号を生成し、
・当該出力信号が最小リスク状況に対応する予め定められた値を超過する場合、前記濡れた道路表面上での前記ホイール(W)が持ち上がる及び/又はスリップする状況をもたらし得る水層に遭遇するという前記生じ得るリスクを前記運転者に予防的に通知するために、当該運転者に対する警告を生成する
ためにプログラミングされている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両のためのアクアプレーニング防止システムであって、
・複数の情報を送信及び受信するために設けられている、携帯電話ネットワークインフラストラクチャに接続可能なデータ送信及び受信ユニット、
・様々な運転機能について運転者を支援し、安全レベルを向上させるために、前記自動車両及び/又は前記自動車両が位置する環境の動的状況を検出するために設けられている、少なくとも1つの自動運転支援デバイス、
・アクアプレーニング現象を回避するために前記運転者を支援するように構成された電子制御ユニット、ここで前記電子制御ユニットは:
・前記電子制御ユニットが、前記運転者に、車両タイヤが前記自動車両のホイール及び道路表面の間にもはや十分なグリップが保証されないような量で前記道路表面上に広がった水層との接触の前に、注意喚起するように構成されるように、
・前記自動運転支援デバイス及び前記データ送信及び受信ユニットによって検出された複数の信号をリアルタイムに受信し、
・これらの信号を統合して、アクアプレーニングのリスクを示す出力信号を生成し、
・前記出力信号が、最小リスク状況に対応する予め定められた値を超過する場合、濡れた前記道路表面上で前記ホイールが持ち上がる及び/又はスリップする状況をもたらし得る水層へとバンプするという生じ得るリスクを予防的に通知するために、前記運転者に対する警告を生成する
ためにプログラミングされている、
を備える、システム。
【請求項2】
前記データ送信及び受信ユニットは:
・複数の情報を、セントラルサーバへ及び/又は同じ道路ネットワーク上に位置する他の車両へ、送信し、
・複数の情報を、前記セントラルサーバから及び同じ道路ネットワーク上に位置する他の車両から、受信する
ために、前記携帯電話ネットワークインフラストラクチャと通信するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記電子制御ユニットは、前記出力信号が中程度リスク状況に対応する予め定められた値を超過する場合、前記自動車両の速度を低減するようプログラミングされた、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記データ送信及び受信ユニットは、前記自動車両が位置する地域の局所的天候状況に関するデータを送信及び/又は受信するために、前記携帯電話ネットワークインフラストラクチャに接続されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記データ送信及び受信ユニットは、セントラルサーバにおいて利用可能なマッピングされた情報からの、又は前記自動車両が位置するのと同じ地域を通過した他の車両に取り付けられたシステムによる検出からの道路表面状況に関するデータを受信するために、前記携帯電話ネットワークインフラストラクチャに接続されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記データ送信及び受信ユニットは、前記自動車両にオンボードで搭載された車両安定性制御システムによって生じる介入の通知を送信し、及び/又は同じ地域を通過している他の車両からの前記通知を受信するために、前記携帯電話ネットワークインフラストラクチャに接続されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記データ送信及び受信ユニットは、セントラルサーバ上で利用可能な事故統計データを介して、対象のルートの危険性に関するデータを受信するために、前記携帯電話ネットワークインフラストラクチャに接続されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記自動運転支援デバイスは、前記自動車両のフロントガラス上に適用可能な、カメラが向いている方向において前記自動車両の外部で生じる事象を記録するために配置された前記カメラを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記自動運転支援デバイスは、前記自動車両の外部の物体の前記位置を走査及び検出するために、電磁波を放出及び受信するように構成された検出デバイスを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記道路表面、及び前記車両タイヤ及び前記道路表面の間で交換される力に関する情報を検出及び送信するために設けられている、1つ又は複数のセンサ付きタイヤを備え、ここで前記電子制御ユニットは前記センサ付きタイヤによって検出される複数の信号をリアルタイムで受信し、処理するようにプログラミングされている、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
・濡れた道路表面上へ向けて、その表面上に滞留する前記水層を除去するために、流体の高圧噴射を発生させるために設けられる、前記自動車両の少なくとも1つのホイールに関連付けられたインジェクタ手段、
・流体の前記高圧噴射の動作圧力を発生させるように構成されており、前記インジェクタ手段に動作可能に接続されているポンプユニット
を備え、
・ここで前記電子制御ユニットは、前記自動車両がアクアプレーニング現象を引き起こす可能性の高い水層上にすでにある場合、反応的にアクアプレーニング防止動作を発生させるために、前記ポンプユニット及び前記インジェクタ手段を駆動するようにプログラミングされている、
請求項1から10の何れか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記電子制御ユニットは、前記出力信号が高リスクの状況に対応する予め定められた値を超過する場合、前記ポンプユニットに関連付けられた液圧回路を加圧し、及び/又は流体の前記高圧噴射を発生させるように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
・前記電子制御ユニットが、前記運転者に、前記車両タイヤが前記自動車両の前記ホイール及び前記道路表面の間にもはや十分なグリップが保証されないような量で前記道路表面上に広がった水層との前記接触の前に注意喚起するように構成されるように、
・請求項1から10の何れか一項に記載のシステムを提供する段階、
・前記自動運転支援デバイス及び前記データ送信及び受信ユニットによって検出される複数の信号を、リアルタイムで受信する段階、
・前記信号を統合して、アクアプレーニングの前記リスクを示す出力信号を生成する段階、
・前記自動運転支援デバイス及び前記データ送信及び受信ユニットによって検出可能な様々なパラメータの複数の組み合わせに基づいて、アクアプレーニングの前記リスクを示すリスク尺度と前記出力信号を比較する段階、
・前記出力信号が最小リスク状況に対応する予め定められた値を超過する場合、前記濡れた道路表面上での前記ホイールが持ち上がる及び/又はスリップする状況をもたらし得る水層へとバンプするという前記生じ得るリスクを予防的に通知するために、前記運転者に対する警告を生成する段階
を備える、自動車両におけるアクアプレーニング現象を回避する方法。
【請求項14】
・濡れた道路表面上へ向けて、その表面上に滞留する前記水層を除去するために、流体の高圧噴射を発生させるために設けられる、前記自動車両の少なくとも1つのホイールに関連付けられた、インジェクタ手段を提供する段階、
・流体の前記高圧噴射の動作圧力を発生させるように構成されており、前記インジェクタ手段に動作可能に接続されているポンプユニットを提供する段階、
・アクアプレーニング防止動作を発生させるために、前記ポンプユニット及び前記インジェクタ手段を、前記電子制御ユニットによって駆動する段階、
を備える、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車両におけるアクアプレーニング現象を防ぐためのシステム及び関連方法に言及する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、アクアプレーニングは、移動する自動車両が、自動車両のホイール及び道路表面の間にもはや十分なグリップが保証されないような量で道路表面上に広がった水層に遭遇する場合に起こり得る現象である。結果的に、そのような状況において、ホイールが持ち上がる及び/又はスリップする状況が濡れた道路表面上で生じ、タイヤのグリップの結果的な消失を伴う。
【0003】
当該現象に由来するリスクを低減するために、複数の異なる解決手段が、とりわけ同じ出願人名でイタリア特許出願n.102014902296915において説明されるように、すでに開発及び提案されてきた。当該文書内で説明される解決手段は、自動車両の少なくとも1つのホイールに関連付けられた、インジェクタ手段の使用を企図し、当該インジェクタ手段は、濡れた道路表面上へ高圧流体の噴射を発生させるように適合されている。当該システムは、濡れた道路表面上へ高圧流体の当該噴射の排出が必要とされるような状況が生じる場合に動作するように構成されている。
【0004】
公知の解決手段の主な問題の1つは、アクアプレーニング防止動作を反応的に、すなわち、自動車両がすでにタイヤのグリップの消失を引き起こすように適合した水層上に位置しているときに、発生させることにある。
【発明の概要】
【0005】
[発明の目的]本発明は、自動車両タイヤがアクアプレーニング現象を発生させるような量で広がった水層と接触する前に動作し得る上記において述べた種類のシステムを、公知の解決手段と比較して安全レベルを向上させるように、実装する要望に基づく。
【0006】
本発明の更なる目的は、そのようなシステムを、相対的に容易な手段で、自動車両の総重量に対して及び開発コストに対して著しく影響することなく、実装することにある。
【0007】
本発明のなおも更なる目的は、高い柔軟性を呈し、様々な自動車両アーキテクチャへ容易に適合可能な、上記で述べたようなシステムを実装することにある。
【0008】
当該目標のうちの1つ又は複数を達成するために、本発明は:
・複数の情報を送信及び受信するために設けられている、携帯電話ネットワークインフラストラクチャに接続可能なデータ送信及び受信ユニット、
・様々な運転機能について前記運転者を支援するために、及び前記安全レベルを向上させるために、前記自動車両及び/又は前記自動車両がその中に位置する前記環境の前記動的状況を検出するために設けられている、少なくとも1つの自動運転支援デバイス、
・アクアプレーニング現象を回避するために前記運転者を支援するように構成された電子制御ユニット、ここで前記電子制御ユニットは:
・前記電子制御ユニットが、前記運転者に、前記自動車両タイヤが前記自動車両の前記ホイール及び前記道路表面の間にもはや十分なグリップが保証されないような量で前記道路表面上に広がった水層との前記接触の前に、注意喚起するように構成されるように、
・前記自動運転支援デバイスによって及び前記データ送信及び受信ユニットによって検出された複数の信号をリアルタイムに受信し、
・前記信号を統合して、アクアプレーニングの前記リスクを示す出力信号を生成し、
・前記出力信号が、最小リスク状況に対応する予め定められた値を超過する場合、前記濡れた道路表面上で前記ホイールが持ち上がる及び/又はスリップする状況をもたらし得る水層に遭遇するという前記生じ得るリスクを予防的に前記運転者に通知するために、前記運転者に対する警告を生成する
ためにプログラミングされている、
を備える、自動車両のためのアクアプレーニング防止システムに関する。
【0009】
本発明の別の目的は、上記において説明したシステムによって実装される方法にある。
【0010】
本発明の更なる特徴は、添付の従属請求項において述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明はここで、添付の図面を参照して詳細に説明され、当該添付の図面は、非限定的な例としてのみ提供される:
図1】本発明に係る、システムの好ましい実施形態を示す概略的斜視図である。
図2】本発明に係る、システムの動作を示すダイアグラムである。
図3】本発明に係る、システムの別の実施形態の更なる構成要素を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
下記の説明において、様々な具体的な詳細が、1つ又は複数の実施形態の例の十分な理解を提供するために記載される。実施形態は、具体的な詳細のうちの1つ又は複数を用いずに、又は他の方法、構成要素、材料などを用いて、実施され得る。他の例において、周知の構造、材料又は動作は、実施形態の様々な態様を不明瞭にすることを回避するために、示されず、詳細に説明されない。この明細書を通して、「1つの実施形態(one embodiment)」又は「1つの実施形態(an embodiment)」への参照は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造又は特性が少なくとも1つの実施形態において含まれるということを意味する。従って、この明細書を通して様々な箇所において「1つの実施形態において(in one embodiment)」又は「1つの実施形態において(in an embodiment)」などの語句が出現することがあるが、必ずしも全てが同じ実施形態を参照しているわけではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ又は複数の実施形態において任意の好適な様式で組み合わせることができ、及び/又は例示されている以外の様式で実施形態と関連付けられ得、その結果、例えば、本明細書においてある図を参照して例示される特徴が、別の図において例示される1つ又は複数の実施形態へ適用され得る。
【0013】
本明細書に設けられる見出しは利便性のためのみのものであり、従って保護の程度又は実施形態の範囲を説明するものではない。
【0014】
図1において、参照符号Vは、本発明に係るアクアプレーニング現象を防ぐためのシステムSを含む自動車両を、全体的に示す。
【0015】
本発明に係り、システムSは:
・複数の情報を送信及び受信するために設けられている、携帯電話ネットワークインフラストラクチャ7に接続可能なデータ送信及び受信ユニット2、
・様々な運転機能について運転者を支援するため、及び安全レベルを向上させるために、自動車両V及び/又は自動車両Vが位置する環境の動的状況を検出するために設けられている、参照符号3で全体的に示される自動運転支援デバイス、
・アクアプレーニング現象を防ぐように構成されており、且つ通信回線Lによってデータ送信及び受信ユニット2に、及び自動運転支援デバイス3に動作可能に接続されている、電子制御ユニット1
を備える。
【0016】
下記において詳細に説明される本発明の有利な特徴に係り、電子制御ユニット1は、自動車両VのタイヤWが自動車両VのホイールW及び道路表面の間にもはや十分なグリップが保証されないような量で道路表面上に広がった水層と接触する前に、アクアプレーニングのリスクについて運転者に警告するように構成されている。
【0017】
1つ又は複数の実施形態において、電子制御ユニット1は、自動車両Vの伝動機構を制御する電子モジュールである。
【0018】
データ送信及び受信ユニット2は、通信回線L1によって、例えば5Gモバイルネットワーク技術に基づいて:
・複数の情報を、セントラルサーバへ及び/又は同じ道路ネットワーク上に位置する他の車両へ送信し、
・複数の情報を、セントラルサーバから及び同じ道路ネットワーク上に位置する他の車両から、受信する
ように、ネットワーク7と通信するように構成されている。
【0019】
1つ又は複数の実施形態において、データ送信及び受信ユニット2は、自動車両Vが位置する地域の局所的天候状況に関するデータを送信及び/又は受信するために、携帯電話ネットワークインフラストラクチャ7に接続されている。
【0020】
1つ又は複数の実施形態において、データ送信及び受信ユニット2は、自動車両Vが自動車両Vに搭載されているGPSナビゲーションデバイス上で設定されたルートに沿って遭遇し得る局所的天候状況に関するデータを送信及び/又は受信するために、携帯電話ネットワークインフラストラクチャ7に接続されている。
【0021】
1つ又は複数の実施形態において、データ送信及び受信ユニット2は、セントラルサーバにおいて利用可能なマッピングされた情報から、又は自動車両Vが位置するのと同じ地域を通過した他の車両に取り付けられたシステムによる検出から得られる道路表面の状況に関するデータを受信するために、携帯電話ネットワークインフラストラクチャ7に接続されている。
【0022】
1つ又は複数の実施形態において、データ送信及び受信ユニット2は、自動車両Vにオンボードで取り付けられており、そのような状況を検出するように構成されているシステム(例えば、自動車両Vのフロントガラス上に適用されたカメラ)によって実行される検出から得られる道路表面の状況に関するデータを送信するために携帯電話ネットワークインフラストラクチャ7に接続されている。
【0023】
1つ又は複数の実施形態において、データ送信及び受信ユニット2は、自動車両Vにオンボードで搭載された車両安定性制御システムによって生じる介入の通知を送信し、及び/又は同じ地域を通過した他の車両からのそのような通知を受信するために、携帯電話ネットワークインフラストラクチャ7に接続されている。
【0024】
1つ又は複数の実施形態において、データ送信及び受信ユニット2は、セントラルサーバにおいて利用可能な事故統計データを介して、対象のルートの危険性レベルに関するデータを受信するために、携帯電話ネットワークインフラストラクチャ7に接続されている。上記において述べられたように、システムSは、様々な運転機能について運転者を支援し、安全レベルを向上させるように、自動車両V及び/又は自動車両Vが位置する環境の動的状況を検出するために設けられている少なくとも1つの自動運転支援デバイス3を備える。下記における説明から明らかになるように、電子制御ユニット1は、出力信号が様々なパラメータ(例えば、天候状況、道路交通状況、水層の存在、など)に従って自動車両の外部の状況を検出する複数の信号の組み合わせから生成されるために特に信頼性の高い出力信号を処理するように、データ送信及び受信ユニット2からのみでなく、当該少なくとも1つの自動運転支援デバイスからも入力信号を受信するためにプログラミングされている。
【0025】
本発明の1つ又は複数の実施形態において、自動運転支援デバイス3は、カメラ10を含み得、当該カメラ10は、自動車両Vのフロントガラス上に、及び/又はフロントバンパーの近くに適用可能であり、且つ当該カメラが向いている方向において自動車両Vの外部で起こる事象を記録するために配置されている。
【0026】
本発明の1つ又は複数の実施形態において、自動運転支援デバイス3は、自動車両Vの外部の走査される物体、例えば道路表面上に広がった水層などの位置を走査及び検出するために、電波又は電磁波を放出及び受信するように構成されている検出デバイス20(レーダー又はライダーであり得る)を備え得る。
【0027】
本発明の1つ又は複数の実施形態において、自動運転支援デバイス3は、道路交通についての情報を、他の自動車両へ/から、送信及び受信するように構成されている道路交通データ通信デバイス30(図2中に概略的に示される)を備え得る。
【0028】
本発明の1つ又は複数の実施形態において、自動運転支援デバイス3は、雨粒の頻度を検出し、当該頻度によって決まる特定の速度でフロントガラスワイパーを自動的に作動させるように構成されている、水の存在を検出する自動車雨センサを備え得る。
【0029】
携帯電話ネットワークインフラストラクチャ7に接続可能であるデータ送信及び受信ユニット2、及び自動運転支援デバイス3の、上記において説明された特徴のおかげで、電子制御ユニット1は:
・自動運転支援デバイス3によって及びデータ送信及び受信ユニット2によって検出された複数の信号をリアルタイムに受信し;
・受信信号を処理して、アクアプレーニングのリスクを示す出力信号を生成し;
・前記出力信号が、最小リスク状況に対応する予め定められた値を超過する場合、道路表面上でホイールが持ち上がる及び/又はスリップする状況を引き起こし得る水層に遭遇するという生じ得るリスクを、タイヤ及び広がった水層の間の接触の前に運転者に通知するために、当該運転者に対する警告を生成する
ためにプログラミングされる。
【0030】
当該特徴のおかげで、電子制御ユニット1は、出力信号が様々なパラメータ(天候状況、道路交通状況、水層の存在、など)に従って自動車両の外部の状況を検出する複数の信号の組み合わせから生成されるために特に信頼性の高い出力信号を処理するように構成されている。従って、本発明に係るシステムSは、自動車両のタイヤが広がった水層とすでに接触した後に反応的にアクアプレーニング防止動作を発生させることを必要とせずに、アクアプレーニング現象を防ぐことを可能にする。
【0031】
本発明に係り、電子制御ユニット1は、様々なパラメータ(天候状況、道路表面状況、車両安定性制御システムの介入など)の複数の組み合わせに基づいて、アクアプレーニングのリスクを示す予め定められたリスク尺度を格納し、そのような尺度をユニット2によって受信された情報から処理された出力信号とリアルタイムに比較して、最終的に、様々なシナリオにおいてアクアプレーニングを防ぐために、検出された情報に対応して動作するように構成されていることが理解されるであろう。
【0032】
図2中に示されるように、1つ又は複数の実施形態において、システムSは、システムSが搭載される自動車両Vの計器パネル6上に警告を生成するように構成されている。
【0033】
本発明の1つ又は複数の実施形態において、電子制御ユニット1は、出力信号が中程度リスク状況に対応する予め定められた値を超過する場合、自動車両Vの速度を低減するように構成されている。
【0034】
本発明の更なる特徴に係り、システムSは、道路表面、及びタイヤ及び道路表面の間で交換される力に関する情報を検出及び送信するために設けられた1つ又は複数のセンサ付きタイヤW1を更に備え得る。そのような場合、電子制御ユニット1は、センサ付きタイヤW1によって検出される信号を受信するために、及びそのような信号を、データ送信及び受信ユニット2によって受信される信号及び自動運転支援デバイス3からの信号と併せて処理するために、更にプログラミングされている。
【0035】
更なる実施形態に係り、システムSは、安全レベルを更に向上させるために、アクアプレーニング現象が生じている場合、反応的にアクアプレーニング防止動作を発生させるために設けられた、更なる構成要素を更に備え得る。この実施形態において、電子ユニット1によって処理される出力信号が高リスク状況に対応する予め定められたレベルを超過する場合、電子制御ユニット1は、そのような更なる構成要素を有効化し始めるように構成されている。
【0036】
反応的にアクアプレーニング防止動作を発生させるように構成された構成要素は、濡れた道路表面上へ、当該表面上に滞留する水層を除去するために、高圧流体の噴射を向けるように構成された、インジェクタ手段9を含み得る。インジェクタ手段9は、自動車両Vの少なくとも1つのホイール、好ましくは前ホイールの接地面の前方に関連付けられている(図2)。
【0037】
図3中に示される実施形態に係り、システムSは、インジェクタ手段9による道路表面上へ向けられた流体の噴射の動作圧力を発生させるように構成されたポンプユニット4を備える。図3において、参照符号Iは、様々な構成要素に接続するように配置された、複数の液圧導管を示し、一方で参照符号IIはシステムSの構成要素間の論理機能接続を示す。好ましくは、インジェクタ手段9によって射出される流体の噴射は、自動車両Vのフロントガラス洗浄液のタンク8から引き出される。参照符号8'は、補助液、好ましくは消泡液を格納する補助タンクを示す。混合ユニット11は、タンク8及び補助タンク8'に液圧によって接続されている。流体のフィードは、注入ポート12及び供給口13を含むポンプユニット4によって保証される。なおも図2の概略図を参照して、ポンプユニット4は電気モータ5を備えることが伺われるであろう。ポンプユニット4は、電気モータ5に関連付けられ、流体の噴射の排出が必要とされないシステムSのスタンバイ状況中にポンプユニット4の動作をブロックするように配置されているブレーキデバイス17を更に備える。なおも図3を参照して、参照符号14は、注入ポート12の上流及び供給口13の下流にそれぞれ配置された、2つの逆流防止弁を示す。流体の噴射の排出を提供するため、各インジェクタ9の上流に、流体の通過を選択的に可能にするように構成された、それぞれの電磁弁16が配置されている。システムSは、回路の圧力を制御及び制限するよう配置された、安全弁21を更に備え得る。システムSは、ポンプユニット4の重量及びその機械的複雑性を低減するために、回路全体を圧力下に保ちポンプユニット4内にダンピングスプリングを取り付ける必要を回避するために設けられたアキュムレータ15を更に備え得る。検出された状況によって決まる流体の噴射をポンプユニット4によって発生させるため、制御ユニット1は、インジェクタ手段9及び電気モータ5を制御するように構成され得る。上記において述べられたように、出力信号が高リスク状況に対応する予め定められた値を超過する場合、電子制御ユニット1は、ポンプユニット4に関連付けられた液圧回路を加圧することによって、及び/又は濡れた道路表面上へ流体の噴射を発生させることによって、システムSの当該更なる構成要素を有効化し始めるように構成されている。
【0038】
上記における説明から明らかになるように、本発明に係るシステムSは、下記の利点を達成するように適合されている:
・自動車両のタイヤがアクアプレーニング現象を発生させるような量で広がった水層と接触する前に確実に動作すること
・自動車両の総重量に対して及び開発コストに対しての過剰な影響を回避すること
・様々な自動車両アーキテクチャへの容易な適合可能性。
【0039】
当然ながら、本発明の原理を損なうことなく、実装の詳細及び実施形態は、説明及び例示された内容に対して、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲から逸脱することなく、大きく変動し得る。
図1
図2
図3
【国際調査報告】