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特表2024-529275マイクロ波プラズマを使用して所望の特性を有する材料を製造するシステム、方法、及び装置
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  • 特表-マイクロ波プラズマを使用して所望の特性を有する材料を製造するシステム、方法、及び装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】マイクロ波プラズマを使用して所望の特性を有する材料を製造するシステム、方法、及び装置
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/08 20060101AFI20240730BHJP
   B01J 2/00 20060101ALI20240730BHJP
   B01J 2/16 20060101ALI20240730BHJP
   B01J 2/30 20060101ALI20240730BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20240730BHJP
   H05H 1/30 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
B01J19/08 K
B01J2/00 A
B01J2/16
B01J2/30
H05H1/46 B
H05H1/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580685
(86)(22)【出願日】2022-06-24
(85)【翻訳文提出日】2024-02-28
(86)【国際出願番号】 US2022034980
(87)【国際公開番号】W WO2023278273
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】63/202,921
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/267,469
(32)【優先日】2022-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515084719
【氏名又は名称】シックスケー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コズラウスキー,マイケル シー.
(72)【発明者】
【氏名】マイヘル,ヤレッド
(72)【発明者】
【氏名】レジダル,マッカルーフ
(72)【発明者】
【氏名】マティス,パヴェル
(72)【発明者】
【氏名】ウラル,サウラブ
【テーマコード(参考)】
2G084
4G004
4G075
【Fターム(参考)】
2G084FF01
2G084FF04
2G084FF36
2G084GG02
2G084GG08
2G084GG16
4G004AA00
4G004KA00
4G004PA01
4G075AA27
4G075AA42
4G075AA52
4G075AA62
4G075AA65
4G075BA06
4G075BB10
4G075BD09
4G075BD14
4G075CA26
4G075CA63
4G075DA02
4G075DA18
4G075EA01
4G075EB01
4G075EB21
4G075EB43
4G075EC06
4G075EC11
4G075ED15
4G075FB02
4G075FB04
4G075FC06
(57)【要約】
本明細書に開示される実施形態は、マイクロ波プラズマを使用して所望の特性を有する材料を製造するためのシステム、方法、及び装置に関する。いくつかの実施形態では所望の特性を有する材料を製造するために反復工程が使用されることがあり、この工程は、反応室内にマイクロ波プラズマを形成することと、プラズマを分析して、プラズマの特性が材料の所望の特性を生成すると予想される範囲内にあるかを決定することと、プラズマの分析に基づいて、1つ以上のパラメータを調整することと、を含む。いくつかの実施形態において、マイクロ波プラズマの長さを延長するために、マイクロ波プラズマ装置内に延長管が設けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料に所望の特性を生じさせるためにマイクロ波プラズマ中で材料を処理する方法であって、
反応室を含むマイクロ波プラズマ装置を提供することと、
前記材料の前記所望の特性に基づいて、マイクロ波出力、プラズマガス流量、プラズマガスの種類、供給材料サイズ、供給材料挿入速度、供給材料入口位置、供給材料入口方向、供給材料入口サイズ、供給材料入口形状、供給材料入口の数、プラズマ温度、スワールガス流量、スワールガスの種類、又は滞留時間のパラメータのうち少なくとも1つを選択することと、
前記反応室内でマイクロ波プラズマを形成する工程と、
前記反応室内のガス流に供給材料を注入して、供給材料をプラズマに導き、得られる材料を生成する工程と、
前記得られた材料を分析して、前記得られた材料の特性が前記所望の特性の閾値範囲内にあるかを判定する工程と、
前記得られた材料の前記分析に基づいて、1つ又は複数の前記パラメータを調整する工程と、を含む反復工程を実行することと、
前記得られた材料の特性が前記所望の特性の前記閾値範囲内に収まるまで、前記反復工程を繰り返すこと、とを含む方法。
【請求項2】
1つ又は複数の前記パラメータを調整する前に前記マイクロ波プラズマを急冷することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記得られた材料の前記特性が前記所望の特性の閾値範囲内に収まるまで、前記マイクロ波プラズマを連続的に形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記マイクロ波プラズマは、前記反応室内に収まる長さを有し、前記マイクロ波プラズマは、前記プラズマの前記長さの一部に沿って前記反応室内の下方に延びる管によって少なくとも部分的に閉じ込められる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記パラメータは、管の材料、前記反応室又は前記管の断熱レベル、前記管の被覆レベル、又は前記管の形状を更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記パラメータは、マイクロ波出力、プラズマガス流量、スワールガス流量、又は粉末搬送ガス流量を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記パラメータは、プラズマガスの種類又はスワールガスの種類を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記パラメータは、供給材料サイズ、供給材料挿入速度、供給材料入口位置、供給材料入口方向、供給材料入口サイズ、供給材料入口形状、又は供給材料入口の数を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記得られた材料を分析することは、前記得られた材料の球形度を測定することを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記材料の前記所望の特性は前記球形度を含み、前記閾値範囲は90%超の球形度である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
材料に所望の特性を生じさせるためにマイクロ波プラズマ中で材料を処理する方法であ
って、
反応室を含むマイクロ波プラズマ装置を提供することと、
前記材料の前記所望の特性に基づいて、マイクロ波出力、プラズマガス流量、プラズマガスの種類、供給材料サイズ、供給材料挿入速度、供給材料入口位置、供給材料入口方向、供給材料入口サイズ、供給材料入口形状、供給材料入口の数、プラズマ温度、スワールガス流量、スワールガスの種類、又は滞留時間のパラメータのうち少なくとも1つを選択することと、
前記反応室内にマイクロ波プラズマを形成する工程と、
前記プラズマを分析し、前記プラズマの特性が前記材料に所望の特性を生成させると想定される範囲内にあるかを判定する工程と、
前記プラズマの前記分析に基づいて、1つ又は複数の前記パラメータを調整する工程と、を含む反復工程を実行することと、
前記プラズマの前記特性が前記範囲内に収まるまで、前記反復工程を繰り返すこと、とを含む、方法。
【請求項12】
1つ又は複数の前記パラメータを調整する前に、前記マイクロ波プラズマを急冷することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記プラズマの前記特性が前記範囲内に収まるまで、前記マイクロ波プラズマを連続的に形成する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記マイクロ波プラズマは、前記反応室内に収まる長さを有し、前記マイクロ波プラズマは、前記プラズマの前記長さの一部に沿って前記反応室内の下方に延びる管によって少なくとも部分的に閉じ込められる、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記パラメータは、管の材料、前記反応室又は前記管の断熱レベル、前記管の被覆レベル、又は前記管の形状を更に含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記パラメータは、マイクロ波出力、プラズマガス流量、スワールガス流量、又は滞留時間を含む、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記パラメータは、プラズマガスの種類又はスワールガスの種類を含む、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記パラメータは、供給材料サイズ、供給材料挿入速度、供給材料入口位置、供給材料入口方向、供給材料入口サイズ、供給材料入口形状、又は供給材料入口の数を含む、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
材料に特定の特性を生じさせるためにマイクロ波プラズマ中で材料を処理する方法であって、
反応室を含むマイクロ波プラズマ装置を提供することと、
前記反応室内に収まる長さを有するマイクロ波プラズマを形成することであって、前記マイクロ波プラズマは、前記プラズマの前記長さの一部に沿って前記反応室内で下方に延びる管によって少なくとも部分的に閉じ込められる、ことと、
前記反応室内のガス流に供給材料を注入し、前記ガス流が前記管内に上昇して前記プラズマを急冷することなく、前記供給材料を前記プラズマに導くこと、とを含む、方法。
【請求項20】
前記反応室の内面に非粘着性被覆を提供することを更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記非粘着性被覆は、炭化タングステン、炭化クロム、又はニッケル合金を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記管又は前記反応室を撹拌、揺動、又は振動することを更に含む、請求項19~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記管が前記反応室内で下方に延びるにつれて、前記管は半径方向外側に拡がる、請求項19~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記管は、前記反応室内で下方に延びる1つ又は複数の円筒体積を含む、請求項19~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記1つ又は複数の円筒体積は、前記管が前記反応室内で下方に延びるにつれて、各連続する円筒体積がそれぞれ前の円筒体積より大きい直径を有するように、段状構成で配置される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記管は、前記反応室内で下方に延びる1つ又は複数の円錐体積を含む、請求項19~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記管は、前記反応室内で下方に延びる第1の円錐体積及び第2の円錐体積を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記第1の円錐体積の最も広い部分が前記第2の円錐体積の最も広い部分に接続されている、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記マイクロ波プラズマは、前記マイクロ波プラズマ装置にマイクロ波出力を供給することによって形成される、請求項19~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記マイクロ波プラズマ装置に供給される前記マイクロ波出力を増加させることを更に含む、請求項19~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記マイクロ波プラズマを形成することは、1つ又は複数のガスを前記反応室に流し、前記1つ又は複数のガスをマイクロ波出力に曝すことを含む、請求項19~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記反応室への前記1つ又は複数のガスの流量を変えることを更に含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記1つ又は複数のガスは、酸素、窒素、又は希ガスのうちの少なくとも1つを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記管はステンレス鋼を含む、請求項19~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記管又は前記反応室は、セラミックフェルトで断熱されている、請求項19~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記管は、12インチ~18インチの長さを有する、請求項19~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記管は、3インチ~24インチの直径を有する、請求項19~36のいずれか一項に
記載の方法。
【請求項38】
前記供給材料は、タングステン、チタン、ステンレス鋼、インコネル625、又はインコネル718を含む、請求項19~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記材料の前記特定の特性に基づいて、延長管の材料、前記反応室又は前記延長管の断熱レベル、前記延長管の被覆レベル、又は前記延長管の形状のパラメータのうち1つを選択することを更に含む、請求項19~38のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張出願の参照
本出願は、2021年6月30日に出願された米国仮出願第63/202,921号、及び2022年2月2日に出願された仮出願第63/267,469号の米国特許法第119条(e)に基づく優先権の利益を主張するものであり、それぞれの開示全体は参照により本明細書に援用される。
【0002】
分野
本開示は、概して、いくつかの実施形態において、マイクロ波プラズマ装置を使用して原料から材料を製造することに関する。
【背景技術】
【0003】
説明
マイクロ波プラズマを使用して所望の特性を有する材料を製造する新規のシステム、方法、及び装置が求められている。
【発明の概要】
【0004】
本概要において、本発明の特定の態様、利点、及び新規の特徴を本明細書に記載する。このような利点の全てが、必ずしも本発明の任意の特定の実施形態に従って達成され得るわけではないことを理解されたい。したがって、例えば、本明細書で教示又は示唆され得るような他の利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示される1つの利点又は一連の利点を達成する態様で本発明を具現化又は実施し得ることが当業者には認識されるであろう。
【0005】
本明細書のいくつかの実施形態は、材料に所望の特性を生じさせるためにマイクロ波プラズマ中で材料を処理する方法に関し、本方法は、反応室を含むマイクロ波プラズマ装置を提供することと、材料の所望の特性に基づいて、マイクロ波出力、プラズマガス流量、プラズマガスの種類、供給材料サイズ、供給材料挿入速度、供給材料入口位置、供給材料入口方向、供給材料入口サイズ、供給材料入口形状、供給材料入口の数、プラズマ温度、スワールガス流量、スワールガスの種類、又は滞留時間のパラメータのうち少なくとも1つを選択することと、反応室内でマイクロ波プラズマを形成する工程、反応室内のガス流に供給材料を注入して、供給材料をプラズマに導き、得られる材料を生成する工程、得られた材料を分析して、得られた材料の特性が所望の特性の閾値範囲内にあるかを判定する工程、及び得られた材料の分析に基づいて、1つ又は複数のパラメータを調整する工程を含む反復工程を実行することと、得られた材料の特性が所望の特性の閾値範囲内に収まるまで、反復工程を繰り返すこととを含む。
【0006】
いくつかの実施形態において、本方法は、1つ又は複数のパラメータを調整する前にマイクロ波プラズマを急冷することを更に含む。いくつかの実施形態において、得られた材料の特性が所望の特性の閾値範囲内に収まるまで、マイクロ波プラズマを連続的に形成する。いくつかの実施形態において、マイクロ波プラズマは、反応室内に収まる長さを有し、マイクロ波プラズマは、プラズマの長さの一部に沿って反応室内の下方に延びる管によって少なくとも部分的に閉じ込められる。いくつかの実施形態において、パラメータは、管の材料、反応室又は管の断熱レベル、管の被覆レベル、又は管の形状を更に含む。いくつかの実施形態において、パラメータは、マイクロ波出力、プラズマガス流量、スワールガス流量、又は粉末搬送ガス流量を含む。いくつかの実施形態において、パラメータは、
プラズマガスの種類又はスワールガスの種類を含む。いくつかの実施形態において、パラメータは、供給材料サイズ、供給材料挿入速度、供給材料入口位置、供給材料入口方向、供給材料入口サイズ、供給材料入口形状、又は供給材料入口の数を含む。
【0007】
いくつかの実施形態において、得られた材料を分析することは、得られた材料の球形度を測定することを含む。いくつかの実施形態において、材料の所望の特性は球形度を含み、閾値範囲は90%超の球形度である。
【0008】
本明細書のいくつかの実施形態は、材料に所望の特性を生じさせるためにマイクロ波プラズマ中で材料を処理する方法に関し、本方法は反応室を含むマイクロ波プラズマ装置を提供することと、材料の所望の特性に基づいて、マイクロ波出力、プラズマガス流量、プラズマガスの種類、供給材料サイズ、供給材料挿入速度、供給材料入口位置、供給材料入口方向、供給材料入口サイズ、供給材料入口形状、供給材料入口の数、プラズマ温度、スワールガス流量、スワールガスの種類、又は滞留時間のパラメータのうち少なくとも1つを選択することと、反応室内にマイクロ波プラズマを形成する工程、プラズマを分析し、プラズマの特性が材料に所望の特性を生成させると想定される範囲内にあるかを判定する工程、プラズマの分析に基づいて、1つ又は複数のパラメータを調整する工程を含む反復工程を実行することと、プラズマの特性が前記範囲内に収まるまで、反復工程を繰り返すこととを含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、本方法は、1つ又は複数のパラメータを調整する前に、マイクロ波プラズマを急冷することを更に含む。いくつかの実施形態において、プラズマの特性が範囲内に収まるまで、マイクロ波プラズマを連続的に形成する。いくつかの実施形態において、マイクロ波プラズマは反応室内に収まる長さを有し、マイクロ波プラズマは、プラズマの長さの一部に沿って反応室内の下方に延びる管によって少なくとも部分的に閉じ込められる。いくつかの実施形態において、パラメータは、管の材料、反応室又は管の断熱レベル、管の被覆レベル、又は管の形状を更に含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、パラメータは、マイクロ波出力、プラズマガス流量、スワールガス流量、又は滞留時間を含む。いくつかの実施形態において、パラメータは、プラズマガスの種類又はスワールガスの種類を含む。いくつかの実施形態において、パラメータは、供給材料サイズ、供給材料挿入速度、供給材料入口位置、供給材料入口方向、供給材料入口サイズ、供給材料入口形状、又は供給材料入口の数を含む。
【0011】
本明細書のいくつかの実施形態は、材料に特定の特性を生じさせるためにマイクロ波プラズマ中で材料を処理する方法に関し、本方法は、反応室を含むマイクロ波プラズマ装置を提供することと、反応室内に収まる長さを有するマイクロ波プラズマを形成することと、マイクロ波プラズマは、プラズマの長さの一部に沿って反応室内で下方に延びる管によって少なくとも部分的に閉じ込められ、反応室内のガス流に供給材料を注入し、ガス流が管内に上昇してプラズマを急冷することなく、供給材料をプラズマに導くこととを含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、本方法は、反応室の内面に非粘着性被覆を提供することを更に含む。いくつかの実施形態において、非粘着性被覆は、炭化タングステン、炭化クロム、又はニッケル合金を含む。いくつかの実施形態において、本方法は、管又は反応室を撹拌、揺動、又は振動することを更に含む。いくつかの実施形態において、管が反応室内で下方に延びるにつれて、管は半径方向外側に拡がる。いくつかの実施形態において、管は、反応室内で下方に延びる1つ又は複数の円筒体積を含む。いくつかの実施形態において、1つ又は複数円筒体積は、管が反応室内で下方に延びるにつれて、各連続する円筒体積がそれぞれ前の円筒体積より大きい直径を有するように、段状構成で配置される。いくつかの実施形態において、マイクロ波プラズマは、マイクロ波プラズマ装置にマイクロ
波出力を供給することによって形成される。いくつかの実施形態において、管は、反応室内で下方に延びる1つ又は複数の円錐体積を含む。いくつかの実施形態において、管は、反応室内で下方に延びる第1の円錐体積及び第2の円錐体積を含む。いくつかの実施形態において、第1の円錐体積の最も広い部分が第2の円錐体積の最も広い部分に接続されている。いくつかの実施形態において、2つの円錐体積を使用することは、プラズマを周囲の環境から更に隔離し、高温のプラズマガスと反応室内の比較的低温のガスとの混合を防止し得るため、より均一なプラズマ温度勾配をもたらす。いくつかの実施形態において、より均一なプラズマ温度勾配は、より均質な工程を生じさせることができる。より均質な工程により、材料処理中の材料の調整が改善され、より効率的なプロセスにつながる可能性がある。
【0013】
いくつかの実施形態において、本方法は、マイクロ波プラズマ装置に供給されるマイクロ波出力を増加させることを更に含む。いくつかの実施形態において、マイクロ波プラズマを形成することは、1つ又は複数のガスを反応室に流し、1つ又は複数のガスをマイクロ波出力に曝すことを含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、本方法は、反応室への1つ又は複数のガスの流量を変えることを更に含む。いくつかの実施形態において、1つ又は複数のガスは、酸素、窒素、又は希ガスのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態において、管はステンレス鋼を含む。いくつかの実施形態において、管又は反応室は、セラミックフェルトで断熱されている。いくつかの実施形態において、管は、12インチ~18インチの長さを有する。いくつかの実施形態において、管は、3インチ~24インチの直径を有する。いくつかの実施形態において、供給材料は、タングステン、チタン、ステンレス鋼、インコネル625、又はインコネル718を含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、本方法は、材料の特定の特性に基づいて、延長管の材料、反応室又は延長管の断熱レベル、延長管の被覆レベル、又は延長管の形状以下のパラメータのうち1つを選択することを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本図面は、例示的な実施形態を説明するために提供され、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。本明細書に記載されるシステム及び方法は、添付の図面と併せて以下の説明を参照することにより、より良く理解されるであろう。
【0017】
図1図1は、本明細書のいくつかの実施形態に係わる材料の製造に使用可能なマイクロ波プラズマトーチの実施形態を示す。
【0018】
図2図2は、本明細書のいくつかの実施形態に係わる材料の製造に使用可能な延長管を含むマイクロ波プラズマトーチの下流部分の実施形態を示す。
【0019】
図3図3は、本明細書のいくつかの実施形態に係わる材料の製造に使用可能な延長管を含むマイクロ波プラズマトーチの下流部分の別の実施形態を示す。
【0020】
図4図4は、本明細書のいくつかの実施形態に係わる材料の製造に使用可能なマイクロ波プラズマトーチの延長管の実施形態を示す。
【0021】
図5図5は、本明細書のいくつかの実施形態に係わる材料の製造に使用可能なマイクロ波プラズマトーチの延長管の別の実施形態を示す。
【0022】
図6図6は、本明細書のいくつかの実施形態に係わる材料の製造に使用可能なマイクロ波プラズマトーチの延長管の別の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
特定の好ましい実施形態及び実施例が以下に開示されるが、発明の主題は、具体的に開示された実施形態以外の、その他の代替的な実施形態及び/又は使用、並びにそれらの変形例及び等価物も対象とする。したがって、本明細書に付属する特許請求の範囲は、以下に記載される特定の実施形態のいずれによっても限定されない。例えば、本明細書に開示される任意の方法又は工程において、方法又は工程の行為又は操作は任意の適切な順序で実行されてもよく、必ずしも開示される特定の順序に限定されない。様々な操作が、特定の実施形態を理解する上で有用であり得る態様で、複数の個別操作として順番に説明され得るが、説明の順番によって、これらの操作が順番に依存することを示唆すると解釈されるべきではない。また、本明細書に記載される構造、システム、及び/又は装置は、一体化された構成要素として具現化されてもよいし、別個の構成要素として具現化されてもよい。様々な実施形態を比較するために、これらの実施形態の特定の態様及び利点を記載する。そのような態様又は利点の全てが、任意の特定の実施形態によって達成されるとは限らない。したがって、例えば、様々な実施形態は、本明細書で教示又は示唆され得るような他の態様又は利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示されるような1つの利点又は一連の利点を達成又は最適化する態様で実施され得る。
【0024】
次に、本明細書に開示される装置及び方法の構造、機能、作成、及び使用の原理に関して全体的な理解を提供するために、特定の例示的な実施形態を説明する。これらの実施形態の1つ又は複数の例が、添付の図面に示されている。当業者には、本明細書に具体的に記載され、添付の図面に示された装置及び方法は、非限定的な例示的実施形態であり、本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ定義されることが理解されるであろう。1つの例示的な実施形態に関連して図示又は説明された特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わされ得る。そのような修正及び変形は、本技術の範囲に含まれることが意図される。
【0025】
本明細書には、マイクロ波プラズマ処理を用いて原料から材料を形成する方法、装置、及び組立品の実施形態が開示される。各異なる供給原料は、マイクロ波プラズマ処理に対して、球状化、形態、アスペクト比、粒度分布(PSD)、化学、密度、直径、球形度、酸素化、硬度、及び延性などの所望の材料特性を達成するための臨界、特殊、及び特異な要件を有する。本明細書に開示されるように、マイクロ波プラズマトーチにおける処理は、マイクロ波プラズマトーチ、マイクロ波プラズマトーチのプラズマプルーム、及び/又はマイクロ波プラズマトーチの排気への原料の供給を含み得る。供給位置は、供給位置が供給原料の滞留時間と熱暴露に影響し、材料特性を変化させる可能性があるため、所望の材料に応じて変化し得る。
【0026】
本明細書のいくつかの実施形態は、マイクロ波プラズマトーチ内のマイクロ波プラズマを延長することに関する。いくつかの実施形態において、マイクロ波プラズマを延長することは、所望の材料特性を有する材料を作成するために原料を処理するのに充分な長さのプラズマを得ることを含み得る。本明細書のいくつかの実施形態は、マイクロ波プラズマ装置内の温度プロファイル及び材料滞留時間を含む所望の処理特性を得るために、マイクロ波プラズマの長さを自動又は手動で調整又は変更することに関する。いくつかの実施形態において、本明細書の実施形態によるマイクロ波プラズマ装置は、マイクロ波プラズマ装置の反応室内の下方に延びる延長管を含むことがあり、延長管は、マイクロ波プラズマを閉じ込め、その長さを延長させる。いくつかの実施形態において、延長管は、装置内でより長いマイクロ波プラズマを形成するために、マイクロ波電源によって提供されるエネルギー及び出力を集中させることができる。
【0027】
従来のマイクロ波プラズマ装置では、プラズマは、プラズマガスを過熱及びイオン化す
ることによって形成され、反応室内の下方に導かれ、反応室内で原料素材がプラズマに供給され、材料に処理される。従来のマイクロ波プラズマ装置では、プラズマ、プラズマプルーム又はプラズマの排気の長さは制限されることがあった。例えば、プラズマがマイクロ波電源から離れて反応室内の下方に延びるにつれて、プラズマは周囲のガスによって冷却され、プラズマ中の自由電子がプラズマガス原子と再結合し、プラズマが終了する。さらに、プラズマが電源から更に延びると、プラズマガスに供給されるエネルギーが不足し、再びプラズマがガスに再結合する。また、過熱状態のプラズマは周囲のガスよりも密度が低いため、プラズマは周囲のガスよりも自然に上昇し、装置内のプラズマの長さが制限される。さらに、従来の装置では、プラズマは概して一定の形状や体積を維持しないため、生成されたプラズマは、極めて動的な長さや形状を有する場合がある。
【0028】
プラズマの長さ及び安定性におけるこれらの制限に対応するために、本明細書に記載の方法及び装置は、コアプラズマ管から反応室内に下方に延びる延長管を利用し得る。いくつかの実施形態では、延長管は、マイクロ波電源からのエネルギーをより小さな体積に集中させ、従来のマイクロ波プラズマ装置を用いて可能であるよりもより長くプラズマを延長し、方向付けることができる。いくつかの実施形態では、プラズマの長さは、出力、プラズマガス流、ガスの種類、延長管の材料、反応室又は延長管の断熱レベル、延長管の被覆レベル、及び延長管の形状(例えば、テーパ状/段状)のパラメータうち1つ又は複数を設定することによって調整又は変更され得る。
【0029】
工程パラメータは、所望の材料特性を得るために最適化することができる。それぞれの特異な原料及び所望の材料特性について、工程パラメータを特定の結果に最適化することができる。米国特許出願公開第2018/0297122号、米国特許第8748785(B2)号明細書、及び米国特許第9,932,673(B2)号明細書は、開示された工程、特にマイクロ波プラズマ処理に使用することができる特定の処理技術を開示している。したがって、米国特許出願公開第2018/0297122号明細書、米国特許第8,748,785(B2)号明細書、及び米国特許第9,932,673(B2)号明細書は、参照によりその全体が組み込まれ、記載された技術は、本明細書に記載された工程に適用可能であると考えられるべきである。
【0030】
マイクロ波プラズマ装置への延長管の導入は、さらなる処理上の課題を提示し得る。例えば、原料が延長管内のプラズマによって加熱されると、原料は、反応室壁に比べてコア管表面に近接するために、コア管(すなわち、トーチライナー)又は延長管の表面に付着することがある。この問題は、特に粉末原料に関連し、コア管や延長管の壁に付着したり、被覆したりすることがあり、所望の材料の処理条件や品質に好ましくない影響を及ぼすことがある。コア管内で被覆が大きくなりすぎると、マイクロ波エネルギーがプラズマホットゾーンに入るのが遮られ、プラズマ結合が減少する。時には、プラズマが消光して不安定になることさえある。プラズマ強度が低下すると、得られる材料の品質が低下する可能性がある。いくつかの実施形態では、原料が延長管(又は反応室)の表面に付着するのを防ぐために、それらの表面に非粘着性被覆を施してもよい。
【0031】
更に、いくつかの実施形態では、付着を防止するため、及び/又は延長管の表面から原料粒子を除去するために、撹拌機、振動機、又はその他の装置が提供され得る。いくつかの実施形態において、特定の形状を有する延長管を提供することによって、マイクロ波プラズマトーチの1つ又は複数の表面への材料堆積の防止を容易にすることができる。例えば、円錐形の延長管によって、延長管の表面への堆積を防ぐことができる。
【0032】
マイクロ波プラズマ装置の反応室内に延長管を設けることのもう一つの課題は、延長管がマイクロ波プラズマ装置内のガスの循環に望ましくない影響を与える可能性があることである。特に、延長管は、チャンバのガスがプラズマ放電領域に取り込まれ、それによっ
て火炎の処理能力を低下させるような、システムのガスダイナミクスの変化を引き起こす可能性がある。このガスの上昇により、上方で形成されているプラズマが望ましくない形で急冷される可能性がある。いくつかの実施形態において、反応室内に適切なガスの循環を維持し、プラズマの急冷を防止するために、延長管は、ガスがプラズマを消光させないような形状、サイズ、及び向きにされ得る。例えば、いくつかの実施形態では、延長管は、円錐形に形成されるか、段状、テーパ状、又は適切なガス循環を可能にするその他の形状に形成され得る。
【0033】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるような延長管は、マイクロ波プラズマ装置の反応室内の下方に延びることがある。いくつかの実施形態では、延長管は、反応室の長さの少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも100%の長さ、又は前述の値の間の任意の値で下方に延びることがある。
【0034】
本明細書のいくつかの実施形態は、反復工程を使用して材料に所望の特性を生じさせるためにマイクロ波プラズマ中で材料を処理するためのシステム、方法、及び装置に関する。例えば、いくつかの実施形態では、反応室を含むマイクロ波プラズマ装置が提供され得る。いくつかの実施形態において、材料の所望の特性に基づいて、マイクロ波出力、プラズマガス流量、プラズマガスの種類、供給材料サイズ、供給材料挿入速度、供給材料入口位置、供給材料入口方向、供給材料入口サイズ、供給材料入口形状、供給材料入口の数、プラズマ温度、スワールガス流量、スワールガスの種類、又は滞留時間のパラメータのうちの少なくとも1つが選択され得る。
【0035】
いくつかの実施形態において、反復工程は、反応室内にマイクロ波プラズマを形成する工程と、反応室内のガス流に供給材料を注入して、供給材料をプラズマ内に誘導して、得られる材料を生成する工程と、得られた材料を分析して、得られた材料の特性が所望の特性の閾値範囲内にあるかを決定する工程と、得られた材料の分析に基づいて、パラメータの1つ又は複数を調整する工程とを含んで実行され得る。いくつかの実施形態において、反復工程は、得られた材料の特性が所望の特性の閾値範囲内に収まるまで繰り返され得る。
【0036】
いくつかの実施形態において、反復工程は、反応室内にマイクロ波プラズマを形成する工程と、プラズマを分析して、プラズマの特性が、材料に所望の特性を生じさせると予想される範囲内にあるかを決定する工程と、プラズマの分析に基づいて、パラメータの1つ又は複数を調整する工程とを含み得る。いくつかの実施形態において、反復工程は、プラズマの特性が範囲内に収まるまで繰り返され得る。
【0037】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の工程は、マイクロ波プラズマ装置の操作者によって手動で遂行され得る。いくつかの実施形態において、工程は、例えば、1つ又は複数のコンピュータ可読記憶装置と通信し、複数のコンピュータ実行可能命令を実行するように構成された1つ又は複数のハードウェアコンピュータプロセッサを含むコントローラを使用して自動的に遂行され得る。いくつかの実施形態において、コンピュータ実行可能命令は、所望の特性を有する材料を提供するために、本明細書に記載される反復工程を自動的に遂行するアルゴリズムを含み得る。いくつかの実施形態では、人工知能(AI)及び/又は機械学習(ML)が、所望の特性を有する材料を提供するために、本明細書に記載される反復工程を自動的に遂行するために利用されてもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、マイクロ波プラズマ装置の様々なアクチュエータ及びセンサと通信し得るコントローラは、ユーザ入力装置から材料の所望の特性の入力を受け取り、様々なパラメータを調整するために装置の様々な構成要素を制御し得る(例えば、データベース若しくはルックアップテーブルにアクセスすることによって、又は異なる入力に関連する制御工程を実行することによって、又はAI/MLアルゴリズムなどのアルゴリズムを利用することによって)。例えば、コントローラは、所望の一式の材料特性を受信し、所望の材料特性を生じさせることが期待される供給原料及びプラズマ処理パラメータを選択し得る。いくつかの実施形態では、コントローラは、上述したように、所望の材料特性を生じさせるための反復工程を指示することができる。
【0039】
マイクロ波プラズマ装置
図1は、本明細書のいくつかの実施形態による材料の製造に使用することができるマイクロ波プラズマトーチ100の実施形態を示す。いくつかの実施形態では、原料は、1つ以上の原料入口102を介して、マイクロ波プラズマ104に導入することができる。いくつかの実施形態では、マイクロ波放射源106を介したプラズマ104の点火の前に、プラズマトーチ内の流動状態を作り出すために、巻き込みガス流及び/又はシース流をマイクロ波プラズマトーチ100に注入してもよい。いくつかの実施形態では、巻き込み流及びシース流は、共に軸対称で層流であるが、他の実施形態では、ガス流は旋回流である。いくつかの実施形態では、原料はマイクロ波プラズマトーチ100に導入されてもよく、原料は、プラズマ104に向かって材料を誘導するガス流に巻き込まれ得る。
【0040】
上述したように、ガス流は、ヘリウム、ネオン、アルゴンなどの周期表の希ガス列を含み得る。上述したガスが使用され得るが、所望の材料及び処理条件に応じて様々なガスが使用され得ることが理解されたい。いくつかの実施形態では、マイクロ波プラズマ104内で、原料は、物理的及び/又は化学的に変化することがある。入口102は、プラズマ104に向かって原料を巻き込み、加速するためのプロセスガスを導入するために使用することができる。いくつかの実施形態では、プラズマ104からの熱放射による溶融からコアガス管108及び反応室110の構造を保護するため、コアガス管108及び反応室110の内壁に被覆を提供するために、第2のガス流を作り出すことができる。
【0041】
所望の材料を実現するために、マイクロ波プラズマ104の様々なパラメータが手動又は自動で調整され得る。これらのパラメータは、例えば、出力、プラズマガス流量、プラズマガスの種類、延長管の有無、延長管の材料、反応室又は延長管の断熱レベル、延長管の被覆レベル、延長管の形状(例えば、テーパ状/段状)、供給材料サイズ、供給材料挿入速度、供給材料入口位置、供給材料入口方向、供給材料入口の数、プラズマ温度、滞留時間及び冷却速度を含み得る。得られた材料は、プラズマから密閉されたチャンバ112に排出され、そこで材料が急冷された後、回収される。
【0042】
いくつかの実施形態では、原料は、マイクロ波プラズマトーチの「プルーム」又は「排気」中で処理するために、マイクロ波プラズマトーチアプリケータの後に注入される。したがって、マイクロ波プラズマトーチのプラズマは、プラズマトーチコア管108の出口端、又は更に下流で反応が行われる。いくつかの実施形態では、下流への供給が調整可能なため、温度レベルと滞留時間の正確な目標設定により、原料の最適な溶融に適した温度で、下流でプラズマプルームと原料を反応させることを可能にする。入口位置及びプラズマ特性を調整することにより、材料特性の更なるカスタマイズが可能になることがある。さらに、いくつかの実施形態では、出力、ガス流量、圧力、及び装置構成(例えば、延長管の導入)を調整することによって、プラズマプルームの長さを調整することができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、供給構成は、プラズマプルームを取り囲む1つ又は複数の個別の供給ノズルを含み得る。供給原料は、任意の方向からプラズマに入れることができ、
入口102の配置及び向きに応じてプラズマの周囲360°に供給することができる。さらに、供給原料は、得られる材料の望ましい特性を提供するために特定の温度が測定され、滞留時間が推定された入口102の配置を調整することによって、プラズマ104の長さに沿った特定の位置でプラズマに入れることができる。
【0044】
いくつかの実施形態において、プラズマ104に対する入口102の角度は、供給原料がプラズマ104に対して任意の角度で注入され得るように調整され得る。例えば、入口102は、供給原料がプラズマ104の方向に対して約0度、約5度、約10度、約15度、約20度、約25度、約30度、約35度、約40度、約45度、約50度、約55度、約60度、約65度、約70度、約75度、約80度、約85度、若しくは約90度、又は前述の値の間の任意の角度でプラズマに注入され得るように、調整され得る。
【0045】
いくつかの実施形態において、下流注入方法の実施には、下流スワール又は急冷を用いることができる。下流スワールとは、コア管108、反応室110、及び/又は延長管114の壁から粉末を遠ざけるためにプラズマトーチから下流に導入することができる追加のスワール成分を指す。
【0046】
いくつかの実施形態において、マイクロ波プラズマ装置の反応室110の長さは、約1フィート、約2フィート、約3フィート、約4フィート、約5フィート、約6フィート、約7フィート、約8フィート、約9フィート、約10フィート、約11フィート、約12フィート、約13フィート、約14フィート、約15フィート、約16フィート、約17フィート、約18フィート、約19フィート、約20フィート、約21フィート、約22フィート、約23フィート、約24フィート、約25フィート、約26フィート、約27フィート、約28フィート、約29フィート、若しくは、約30フィート、又は前述の値の間の任意の値であってもよい。
【0047】
いくつかの実施形態において、様々な処理条件及び装置構成を調整することによって延長され得るプラズマ104の長さは、約1フィート、約2フィート、約3フィート、約4フィート、約5フィート、約6フィート、約7フィート、約8フィート、約9フィート、約10フィート、約11フィート、約12フィート、約13フィート、約14フィート、約15フィート、約16フィート、約17フィート、約18フィート、約19フィート、約20フィート、約21フィート、約22フィート、約23フィート、約24フィート、約25フィート、約26フィート、約27フィート、約28フィート、約29フィート、若しくは約30フィート、又は前述の値の間の任意の値であってもよい。
【0048】
マイクロ波プラズマ処理
マイクロ波プラズマ工程では、原料は、不活性ガス及び/又は還元性ガス環境中に封入され、マイクロ波プラズマ、マイクロ波プラズマプルーム又はマイクロ波プラズマ排気中に注入される。高温プラズマ(又はプラズマプルーム又は排気)中に注入されると、原料は物理的及び/又は化学的に変化(例えば、球状化)することがある。処理後、得られた材料は不活性ガスで満たされたチャンバ内に放出され、密閉されたドラムに導かれ、そこで貯蔵され得る。この処理は、大気圧、部分真空、又は大気圧よりわずかに高い圧力で行うことができる。
【0049】
代替的な実施形態では、工程は低、中、又は高真空環境で実施することができる。工程は、バッチで又は連続して実行することができ、ドラムが処理材料で満杯になるとドラムが交換される。冷却ガス流量、滞留時間、プラズマ条件、冷却ガス組成などの工程パラメータを制御することにより、様々な材料特性を制御することができる。
【0050】
プラズマのホットゾーン内における粒子の滞留時間もまた、得られる材料特性の制御を
提供するために調整することができる。すなわち、粒子がプラズマに曝される時間の長さは、原料粒子の溶融の程度(すなわち、粒子の最内部又はコアと比較して溶融した粒子の表面)を決定する。滞留時間は、ホットゾーン内の粒子注入速度及び流量(及び層流又は乱流などの条件)のような操作変数を調整することによって調整することができる。滞留時間は、装置の変更によっても調整できる。例えば、滞留時間は、例えばプラズマを延長することによって、プラズマの断面積を変更することによって調整することができる。いくつかの実施形態では、プラズマを延長することは、マイクロ波プラズマ装置に延長管を組み込むことを含むことがある。
【0051】
いくつかの実施形態では、延長管は、図2~4に示すように、マイクロ波プラズマ装置の反応室内に延びることがある。いくつかの実施形態において、図2に示すように、延長管は、管が反応室内で下方に延びる1つ又は複数の円筒体積を含み、管が反応室内で下方に延びるにつれて、各連続する円筒体積が、各前の円筒体積よりも大きな直径を有するような、段状を含み得る。いくつかの実施形態において、図3に示されるように、延長管は、反応室内を下方に延びるにつれて半径方向外側に拡がる円錐形状を有してもよい。いくつかの実施形態において、図4に示されるように、延長管は、単一の円筒体積を含んでもよい。
【0052】
いくつかの実施形態において、延長管は二重円錐形状を有してもよく、図5に示されるように、第1の円錐形状は、反応室内に下方に延びるにつれて半径方向外向きに拡がり、第2の円錐形状は、第1の円錐形状に対して逆非対称形状であり、第1の円錐形状の端部に接続され、反応室内に下方に延びるにつれて半径方向内向きに先細りする。いくつかの実施形態において、図5に示されるように、延長管は、第1の円錐形状の最も広い部分が第2の円錐形状の最も広い部分に接続される二重円錐形状から構成されてもよい。いくつかの実施形態では、図5に示すように、第1の円錐形状の長さは、第2の円錐形状の長さよりも長い。
【0053】
いくつかの実施形態において、延長管は二重円錐形状を有してもよく、図6に示されるように、第1の円錐形状は、反応室内に下方に延びるにつれて半径方向外向きに拡がり、第2の円錐形状は、第1の円錐形状に対して逆対称形状であり、第1の円錐形状の端部に接続され、反応室内に下方に延びるにつれて半径方向内向きに先細りしている。いくつかの実施形態において、図6に示されるように、第1の円錐形状の最も広い部分は、第2の円錐形状の最も広い部分に接続される。いくつかの実施形態では、図6に示されるように、第1の円錐形状の長さは、第2の円錐形状の長さに等しい。いくつかの実施形態において、第2の円錐形状の長さは、第1の円錐形状の長さよりも長い。いくつかの実施形態において、供給材料入口は、延長管内に供給材料を挿入し得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、延長管は約1フィートの長さであってもよい。いくつかの実施形態では、延長管は、約1インチ、約2インチ、約3インチ、約4インチ、約5インチ、約6インチ、約7インチ、約8インチ、約9インチ、約10インチ、約11インチ、約1フィート、約2フィート、約3フィート、約4フィート、約5フィート、約6フィート、約7フィート、約8フィート、約9フィート、約10フィート、約11フィート、約12フィート、約13フィート、約14フィート、約15フィート、約16フィート、約17フィート、約18フィート、約19フィート、約20フィート、約21フィート、約22フィート、約23フィート、約24フィート、約25フィート、約26フィート、約27フィート、約28フィート、約29フィート、若しくは、約30フィート、又は前述の値の間の任意の値であってもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、原料粒子は、マイクロ波プラズマ内で4,000~8,000Kの温度プロファイルに曝される。いくつかの実施形態では、粒子は、マイクロ波プラ
ズマ内で3,000~8,000Kの温度プロファイルに曝される。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の温度センサが、プラズマの温度プロファイルを決定するためにマイクロ波プラズマトーチ内に配置されてもよい。
【0056】
補足的実施形態
以上、本明細書では、本発明をその特定の実施形態を参照して説明した。しかしながら、本発明のより広義の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更がなされ得ることは明らかであろう。したがって、本明細書及び図面は、制限的な意味ではなく例示的な意味合いで解釈される。
【0057】
実際、本発明は、特定の実施形態及び実施例の文脈で開示されたが、本発明は、具体的に開示された実施形態以外の、本発明の他の代替的な実施形態及び/又は使用、並びにそれらの明らかな変更及び等価物に及ぶことが当業者には理解されるであろう。さらに、本発明の実施形態のいくつかの変形例を示し、詳細に説明したが、本発明の範囲内のその他の変更も、本開示に基づいて当業者には容易に明らかであろう。また、実施形態の特定の特徴及び態様の様々な組み合わせ又は副次的組み合わせがなされても、本発明の範囲内に入り得ることが企図される。開示された本発明の実施形態の様々な態様を形成するために、開示された実施形態の様々な特徴及び態様を互いに組み合わせ、又は互いに置換できることが理解されたい。本明細書で開示される方法は、記載された順序で実行される必要はない。したがって、本明細書に開示される発明の範囲は、上述の特定の実施形態によって制限されるべきではないことが意図される。
【0058】
本開示のシステム及び方法は、それぞれいくつかの新規の態様を有し、そのうちの1つだけが、本明細書に開示される望ましい属性に単独で責任を負うものでも、必要とされるものでもないことが理解されるであろう。上述した様々な特徴及び工程は、互いに独立して使用され得るか、又は様々な方法で組み合わされ得る。全ての可能な組み合わせ及び副次的組み合わせは、本開示の範囲内に入ることが意図される。
【0059】
別々の実施形態の文脈で本明細書に記載されている特定の特徴も、単一の実施形態において組み合わせて実施することができる。その逆に、単一の実施形態の文脈で説明される様々な特徴もまた、複数の実施形態において別々に、又は任意の適切な副次的組み合わせで実施され得る。さらに、特徴は、特定の組合せで作用するものとして上述され、初出時にそのように宣言されていることもあるが、宣言された組合せからの1つ又は複数の特徴が場合によっては組合せから切り離されることがあり、宣言された組合せは、副次的組合せ又は副次的組合せの変形例に関することがある。単一の特徴又は特徴の集まりは、各実施形態に必要又は不可欠ではない。
【0060】
また、特に「できる」、「可能性がある」、「かもしれない」、「ことがある」、「例えば」などの、本明細書で使用される条件付き表現は、特に別段の記載がない限り、又は使用される文脈内で別段解釈されない限り、概して、特定の実施形態は特定の特徴、要素、及び/又はステップを含み、他の実施形態では含まない旨を伝えることを意図することが理解されるであろう。したがって、このような条件付き表現は、概して、特徴、要素、及び/若しくはステップが、1つ若しくは複数の実施形態に何らかの形で必要であること、又は1つ若しくは複数の実施形態が、これらの特徴、要素、及び/若しくはステップが、任意の特定の実施形態に含まれるか、若しくは実行されるかどうかを、作成者の入力又はプロンプトの有無にかかわらず決定するための論理を必ず含むことの示唆を意図するものではない。「備える」、「含む」、「有する」等の用語は同義であり、包括的に、オープンエンド方式で使用され、追加的要素、特徴、行為、操作等を排除するものではない。さらに、「又は」という用語は、包括的な意味で(排他的な意味ではなく)使用されるため、例えば、要素のリストを接続するために使用される場合、「又は」という用語は、リ
スト内の要素の1つ、いくつか、又は全てを意味する。さらに、本出願及び添付の特許請求の範囲で使用される冠詞「a」、「an」、及び「the」は、別段の指定がない限り、「1つ又は複数」又は「少なくとも1つ」を意味するものと解釈される。同様に、操作は、特定の順序で図面に描かれている場合があるが、そのような操作は、望ましい結果を達成するために、示された特定の順序で実行される必要はなく、連続した順序で実行される必要もなく、図示された全ての操作が実行される必要もないことを認識されたい。さらに、図面は、フローチャートの形態で1つ又は複数の例示的な工程を概略的に描いている場合がある。しかしながら、図示されていない他の操作が、概略的に図示されている例示的な方法及び工程に組み込まれてもよい。例えば、図示された操作のいずれかの前、後、同時、又は間に、1つ又は複数の追加の操作が実行されてもよい。さらに、他の実施形態において、操作を並べ替えたり、順序を変えたりしてもよい。特定の状況では、マルチタスク及び並列処理が有利である場合がある。さらに、上述した実施形態における様々なシステム構成要素の分離は、全ての実施形態においてそのような分離が必要であると理解されるべきではなく、説明したプログラム構成要素及びシステムは、概して、単一のソフトウェア製品において統合されてもよいし、複数のソフトウェア製品にパッケージ化されてもよいことが理解されるべきである。さらに、他の実施形態も以下の特許請求の範囲の範囲内にある。場合によっては、特許請求の範囲に記載された動作は、異なる順序で実行されても望ましい結果を達成することができる。
【0061】
さらに、本明細書に記載された方法及び装置は、様々な修正及び代替形態が可能であり得るが、その特定の実施例は図面に示されており、本明細書で詳細に記載されている。しかしながら、本発明は、開示された特定の形態又は方法に限定されるものではなく、逆に、本発明は、記載された様々な実施態様及び添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内に入る全ての修正、等価物、及び代替物を対象とするものであることが理解されるべきである。さらに、ある実施態様又は実施形態に関連する特定の特徴、態様、方法、特性、品質、属性、要素などの本明細書における開示は、本明細書に規定される他の全ての実施態様又は実施形態において使用することができる。本明細書に開示される方法は、記載された順序で実行される必要はない。本明細書に開示される方法は、実施者によって行われる特定の動作を含み得るが、本方法はまた、明示的又は暗示的に、それらの動作の任意の第三者による指示を含み得る。また、本明細書に開示された範囲は、あらゆる重複、部分範囲、及びそれらの組み合わせを包含する。「まで」、「少なくとも」、「より大きい」、「より小さい」、「~の間」などの表現は、記載された数を含む。「約」又は「およそ」などの用語が先行する数値は、記載された数値を含み、状況に基づいて解釈されるべきである(例えば、±5%、±10%、±15%など状況下で合理的に可能な限り正確に)。例えば、「約3.5mm」は「3.5mm」を含む。「実質的に」のような用語が先行する句は、言及された句を含み、状況に基づいて解釈されるべきである(例えば、状況下で合理的に可能な限り)。例えば、「実質的に一定」は「一定」であることを含む。特に別段の記載がない限り、すべての測定は温度と圧力を含んで標準条件下で行われる。
【0062】
本明細書で使用される場合、項目の羅列の「少なくとも1つ」に言及する句は、単一の構成要素を含んだそれらの項目の任意の組み合わせを指す。一例として、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」は、A、B、又はC、A及びB、A及びC、B及びC、並びに、A、B、及びCを対象とすることを意図している。「X、Y、及びZのうちの少なくとも1つ」などの接続詞は、特に別段の記載がない限り、項目、用語などがX、Y、又はZのうちの少なくとも1つの可能性があることを伝えるために一般的に使用されるものとして文脈に合わせて理解される。したがって、これら接続詞は、概して、特定の実施形態が少なくとも1つのX、少なくとも1つのY、及び、少なくとも1つのZの存在を要すると示唆することを意図しない。本明細書において見出しが提供される場合、それは便宜上のものであり、本明細書において開示される装置及び方法の範囲又は意味に必ずしも影響を及ぼすものではない。
【0063】
従って、特許請求の範囲は、本明細書に示される実施形態に限定されることを意図するものではなく、本開示と、本明細書に開示される原理及び新規の特徴と一致する最も広い範囲が与えられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】