(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】消化器系シミュレーション及びペーシング
(51)【国際特許分類】
A61B 5/392 20210101AFI20240730BHJP
A61B 5/395 20210101ALI20240730BHJP
A61N 1/38 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
A61B5/392
A61B5/395
A61N1/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580749
(86)(22)【出願日】2022-06-29
(85)【翻訳文提出日】2024-02-28
(86)【国際出願番号】 US2022035531
(87)【国際公開番号】W WO2023278583
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】520414837
【氏名又は名称】ベクトル メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151987
【氏名又は名称】谷口 信行
(72)【発明者】
【氏名】クルメン ロバート ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】クルメン ポール ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】カムラヴァ アレン
【テーマコード(参考)】
4C053
4C127
【Fターム(参考)】
4C053JJ21
4C053JJ40
4C127AA04
4C127CC08
4C127DD03
(57)【要約】
(胃腸疾患を含む)消化器疾患を分析して治療する方法及びシステムを提供する。システムは、このような消化器疾患の分析及び治療を支援する様々な技術(例えば、機械学習及びシミュレーション)を提供する。システムは、消化器系の解剖学的特徴及び電気的特徴に基づく消化器系の計算モデリングを採用して運動及び電気的活動をシミュレートすることができる。システムは、胃筋電図などの電気的活動の表現を生成し、この表現のシミュレーションの特性値へのマッピングを生成する。システムは、マッピングに基づいて機械学習モデルを訓練することができる。患者を治療する際には、これらのマッピング及び/又は機械学習モデルを採用して、患者から収集された電気的活動の患者表現に基づいて患者特性を識別することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消化器系の電気的活動をモデル化する1又は2以上のコンピュータシステムによって実行される方法であって、
前記消化器系の電気的活動をシミュレートするシミュレーションであって、各シミュレーションが前記消化器系の特性の特性値のセットに基づく、シミュレーションを実行することと、
複数のシミュレーションの各々につき、前記シミュレーションの前記シミュレートされた電気的活動に基づいて、前記消化器系の電気的活動を表す模擬消化器電図(EDG)を生成することと、
前記模擬EDGが生成されたシミュレーションの特性値のセットのうちの1又は2以上の特性値への前記模擬EDGのマッピングを含む特性マッピングライブラリを生成することと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
EDGを所与として特性を表す特性値を出力するように機械学習モデルを訓練することをさらに含み、前記機械学習モデルは、前記特性マッピングライブラリの前記マッピングを使用して訓練される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記機械学習モデルによって出力される前記特性値は離散領域の値である、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記機械学習モデルによって出力される前記特性値は連続領域の値である、
請求項2に記載の方法。
【請求項5】
患者から収集された患者EDGを受け取ることと、
前記特性マッピングライブラリのマッピングに基づいて訓練された機械学習モデルに前記患者EDGを入力して、前記患者の特性の特性値を示す出力を生成することと、
前記特性の前記示された特性値の指示を出力することと、
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記特性マッピングライブラリは、前記患者から収集された臨床EDGの、前記患者の特性を表す1又は2以上の特性値へのマッピングを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ある特性は、異常な電気的活動の原因位置である、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
患者から収集された患者EDGを受け取ることと、
類似性基準を満たすことに基づいて、前記特性マッピングライブラリの、前記患者EDGに類似する模擬EDGを識別することと、
前記識別された模擬EDGにマッピングされる特性の特性値の指示を出力することと、
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
複数のペーシング位置の各々につき、前記ペーシング位置におけるペーシング中にペーシングEDGを受け取り、類似性基準を満たすことに基づいて患者EDGに類似する模擬EDGに基づいて前記ペーシング位置を決定し、前記決定されたペーシング位置を出力することにより、前記消化器系内でカテーテルを案内することをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
複数のペーシング位置の各々につき、前記ペーシング位置におけるペーシング中にペーシングEDGを受け取り、ペーシング位置を出力する機械学習モデルに前記ペーシングEDGを入力し、出力されたペーシング位置を出力することにより、前記消化器系内でカテーテルを案内することをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記決定されたペーシング位置の指示を消化器系の画像上に表示することをさらに含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
消化器系の電気的活動の表現を生成する1又は2以上のコンピュータシステムによって実行される方法であって、
複数の電極を有する拡張可能な電極メッシュを患者の消化器系に挿入するように指示することと、
前記拡張可能な電極メッシュが拡張して前記消化器系の内膜に電極が接触するようになった後に、前記電極を介して受信される電気信号から生成されたメッシュ読み取り値を受け取ることと、
前記拡張可能な電極メッシュの前記電極を介して前記電気信号が受信されている間に収集された消化器電図(EDG)を受け取ることと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
前記拡張可能な電極メッシュは、3次元メッシュに拡張する前に管状形状を有する、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記拡張可能な電極メッシュは、該拡張可能な電極メッシュが取り付けられたカテーテル内のケーブルを引っ張ることによって拡張する、
請求項12に記載の方法。
【請求項15】
メッシュ読み取り値がラベル付けされたEDGを含む訓練データを使用して機械学習モデルを訓練することをさらに含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項16】
患者から収集された患者EDGに前記機械学習モデルを適用し、該機械学習モデルがメッシュ読み取り値の指示を出力することをさらに含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記消化器系の電気的活動を刺激するために、前記拡張可能な電極メッシュの電極に電気信号を付与するように指示する一方で、メッシュ読み取り値が生成された電気信号を他の電極が受信することをさらに含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
消化器系の電気的活動のシミュレーションを実行し、前記シミュレートされた電気的活動に基づいて、模擬メッシュ読み取り値及び模擬EDGを生成し、前記模擬メッシュ読み取り値への前記模擬EDGのマッピングを含むメッシュマッピングライブラリを生成することをさらに含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項19】
患者の患者消化器系の電気的活動を刺激する方法であって、
電極を有する拡張可能な電極メッシュを前記患者消化器系に挿入することと、
前記拡張可能な電極メッシュを拡張させて、前記電極が前記患者消化器系の内膜に接触するようにすることと、
前記患者消化器系の電気的活動を刺激するために、前記電極に指定パターンで電気信号が送られるように指示することと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
前記患者は麻酔下にある、
請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記拡張可能な電極メッシュは、3次元メッシュに拡張する前に管状形状を有する、
請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記拡張可能な電極メッシュは、該拡張可能な電極メッシュが取り付けられたカテーテル内のケーブルを引っ張ることによって拡張する、
請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記刺激された電気的活動中に収集された患者消化器電図(EDG)を分析することをさらに含む、
請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記分析することは、EDGを特性値にマッピングするマッピングライブラリから検索された特性の患者特性値を検討することを含み、前記患者特性値は、前記マッピングライブラリの、前記患者EDGに類似するEDGにマッピングされる、
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記刺激された電気的活動に応答して、前記電極のうちの少なくとも1つが、前記消化器系によって生成された信号を受信する、
請求項19に記載の方法。
【請求項26】
消化器系の電気的活動をモデル化する1又は2以上のコンピュータシステムであって、
コンピュータ実行可能命令を記憶する1又は2以上のコンピュータ可読記憶媒体と、
前記1又は2以上のコンピュータ実行可能命令を実行するように前記1又は2以上のコンピュータシステムを制御する1又は2以上のプロセッサと、
を備え、前記コンピュータ実行可能命令は、前記1又は2以上のコンピュータシステムを、
前記消化器系の電気的活動をシミュレートするシミュレーションであって、各シミュレーションが前記消化器系の特性の特性値のセットに基づく、シミュレーションを実行し、
複数のシミュレーションの各々につき、前記シミュレーションの前記シミュレートされた電気的活動に基づいて、前記消化器の電気的活性の模擬表現を生成し、
前記電気的活動の模擬表現が生成されたシミュレーションにおいて使用された前記特性値のセットのうちの1又は2以上の特性値への前記電気的活動の模擬表現のマッピングを含む特性マッピングライブラリを生成する、
ように制御する、
ことを特徴とする1又は2以上のコンピュータシステム。
【請求項27】
前記コンピュータ実行可能命令は、電気的活動の表現を所与として特性を表す特性値を出力するように機械学習モデルを訓練する命令をさらに含み、前記機械学習モデルは、前記特性マッピングライブラリの前記マッピングを使用して訓練される、
請求項26に記載の1又は2以上のコンピュータシステム。
【請求項28】
患者の患者消化器系の患者特性を識別する1又は2以上のコンピュータシステムであって、
コンピュータ実行可能命令を記憶する1又は2以上のコンピュータ可読記憶媒体と、
前記1又は2以上のコンピュータ実行可能命令を実行するように前記1又は2以上のコンピュータシステムを制御する1又は2以上のプロセッサと、
を備え、前記コンピュータ実行可能命令は、前記1又は2以上のコンピュータシステムを、
前記消化器系の電気的活動のライブラリ表現の、前記消化器系の特性の特性値へのマッピングを含む特性マッピングライブラリにアクセスし、
前記患者から収集された電気的活動の患者表現を受け取り、
類似性基準に基づいて、前記電気的活動の患者表現に類似する電気的活動のライブラリ表現を識別し、
前記識別された電気的活動のライブラリ表現がマッピングされる特性値の指示を出力する、
ように制御する、
ことを特徴とする1又は2以上のコンピュータシステム。
【請求項29】
前記コンピュータシステムのうちの少なくとも1つは、前記命令を実行するクラウドベースのコンピュータシステムである、
請求項28に記載の1又は2以上のコンピュータシステム。
【請求項30】
前記電気的活動の患者表現は、クライアントコンピュータシステムから受け取られる、
請求項29に記載の1又は2以上のコンピュータシステム。
【請求項31】
前記特性マッピングライブラリは、前記消化器系のシミュレートされた電気的活動に基づくマッピングを含む、
請求項28に記載の1又は2以上のコンピュータシステム。
【請求項32】
前記特性マッピングライブラリは、患者から収集された電気的活動の臨床表現に基づくマッピングを含む、
請求項28に記載の1又は2以上のコンピュータシステム。
【請求項33】
患者の消化器系内でカテーテルを案内する方法であって、
電気的活動を刺激するための電極を有する前記カテーテルを前記患者の前記消化器系に挿入することと、
前記消化器系内の複数の位置の各々につき、
前記電極を前記消化器系の粘膜に接触させることと、
前記消化器系の電気的活動を刺激するように前記電極に指示することと、
前記刺激された電気的活動に基づいて消化器電図(EDG)を収集することと、
前記電極の位置へのEDGのマッピングに基づいて決定される前記電極の位置の指示を受け取ることと、
前記電極を別の場所に動かすことと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項34】
前記カテーテルはターゲット位置に案内される、
請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記EDGは、前記電極の位置を出力する装置に入力される、
請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記位置は、該位置を出力する機械学習(ML)モデルに前記EDGを入力するコンピュータシステムによって決定され、前記MLモデルは、前記マッピングから導出された訓練データを使用して訓練される、
請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記指示は、前記位置における消化器系グラフィック上に表示される、
請求項33に記載の方法。
【請求項38】
患者の消化器系内の電極の位置を決定する1又は2以上のコンピュータシステムであって、
コンピュータ実行可能命令を記憶する1又は2以上のコンピュータ可読記憶媒体と、
前記1又は2以上のコンピュータ実行可能命令を実行するように前記1又は2以上のコンピュータシステムを制御する1又は2以上のプロセッサと、
を備え、前記コンピュータ実行可能命令は、前記1又は2以上のコンピュータシステムを、
前記患者の消化器系内の前記電極が前記消化器系の電気的活動を刺激している間に収集された消化器電図(EDG)を受け取り、
位置へのEDGのマッピングに基づいて前記電極の位置を決定し、
前記決定された位置の指示を出力する、
ように制御する、
ことを特徴とする1又は2以上のコンピュータシステム。
【請求項39】
前記位置は、該位置を出力する機械学習(ML)モデルに前記EDGを入力するコンピュータシステムによって決定され、前記MLモデルは、前記マッピングから導出された訓練データを使用して訓練される、
請求項38に記載の1又は2以上のコンピュータシステム。
【請求項40】
麻酔下にある患者の患者消化器系の電気的活動を刺激する方法であって、
電極を有する拡張可能な電極メッシュを前記患者消化器系に挿入することと、
前記拡張可能な電極メッシュを拡張させて、前記電極が前記患者消化器系の内膜に接触するようにすることと、
前記患者消化器系の電気的活動を刺激するために、前記電極に指定パターンで電気信号が送られるように指示することと、
前記刺激された電気的活動中に収集された患者消化器電図(EDG)を分析することと、
を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2021年6月29日に出願された「胃腸シミュレーション及びペーシング(Gastrointestinal Simulation and Pacing)」という名称の仮出願シリアル番号第63/216,333号の優先権を主張するものである。上記仮出願の内容は、全体が本明細書の開示の一部として引用により組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
過敏性腸症候群(IBS)、下痢及び便秘などの消化器疾患は、典型的には家庭療法、食生活の改善、市販薬、処方薬及び手術などによって治療されてきた。このような治療が上手くいく患者もいるが、それほど功を奏さないままの患者もいる。
【0003】
これらの消化器疾患を治療するために、胃腸管の電気的刺激を使用するいくつかの試みが行われてきた。1つの例は、消化器系に沿った異なる地点に電気的刺激を与える胃ペースメーカーである。1つのこのような胃ペースメーカーが、1997年11月25日に交付された「段階的多地点刺激を有する胃腸ペースメーカー(Gastro-Intestinal Pacemaker having Phased Multi-Point Stimulation)」という名称の米国特許第5,690,691号に記載されている。
【0004】
Shafik,A他著、「過敏性腸症候群患者の治療における結腸ペーシング:方法及び結果(Colonic Pacing in the Treatment of Patients with Irritable Bowel Syndrome: Technique and Results)」、Front Biosci、1月1日、第8巻、第2号、1~5頁、2003年には、別の胃ペースメーカーが記載されている。Shafikは、一部のIBS患者は不規則な徐波リズム及び異常な波動変数を有していたと述べている。Shafikは、患者にペースメーカーを埋め込んだら結腸のペーシングを制御できるようになったと述べている。一部の患者では、6ヵ月間毎日ペーシングを続けた後にペーシングを中止したところ、ペーシングなしでも症状の改善が継続した。
【0005】
Medtronic社によって導入されたさらに別のペースメーカーに、神経刺激装置及びリードを実装する腸制御(bowel control)治療システムがある。このMedtronic社のシステムは、元々は尿失禁及び便失禁のために設計されたものである。このシステムの神経刺激装置及びリードは最遠位の胃腸神経のみをターゲットにしているが、現在の研究では、IBSの治療、さらには炎症性腸疾患の可能性についてもその有効性が評価されている。腸制御治療システムは、埋め込まれると仙骨神経を刺激して、脳及び腸間の神経伝達をターゲットにする。腸制御治療システムは、脳と正しく通じていない神経に関連する伝達問題をターゲットにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,690,691号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Shafik,A他著、「過敏性腸症候群患者の治療における結腸ペーシング:方法及び結果(Colonic Pacing in the Treatment of Patients with Irritable Bowel Syndrome: Technique and Results)」、Front Biosci、1月1日、第8巻、第2号、1~5頁、2003年
【非特許文献2】Kawano M、Emoto T著、「胃及び腸によって生じる電場の多角形メッシュ双極子モデルシミュレーション(Polygonally Meshed Dipole Model Simulation of the Electrical Field Produced by the Stomach and Intestines)」、Comput Math Methods Med、2020年10月21日、2020:2971358、doi:10.1155/2020/2971358、PMID:33178331、PMCID:PMC7607902
【非特許文献3】Zhenliang He、Wangmeng Zuo、Meina Kan、Shiguang Shan、及びXilin Chen著、「AttGAN:望むものだけを変更することによる顔属性編集(AttGAN: Facial Attribute Editing by Only Changing What You Want)」、IEEE Transactions on Image Processing、2019年
【非特許文献4】Ian Goodfellow、Jean Pouget-Abadie、Mehdi Mirza、Bing Xu、David Warde-Farley、Sherjil Ozair、Aaron Courville、及びYoshua Bengio著、「敵対的生成ネット(Generative Adversarial Nets)」、Advances in Neural Information Processing Systems、2672~2680頁、2014年
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】いくつかの実施形態における、消化器系分析及び治療(DSAT)システムのコンポーネントを示すブロック図である。
【
図2】いくつかの実施形態における、特性マッピング生成コンポーネントの処理を示すフロー図である。
【
図3】いくつかの実施形態における、メッシュ読み取り値の収集及び処理プロセスを示すフロー図である。
【
図4】いくつかの実施形態における、MLモデル生成コンポーネントの処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(胃腸障害を含む)消化器系障害を分析して治療する方法及びシステムを提供する。消化器系分析及び治療(DSAT)システムが、このような消化器系障害の分析及び治療を支援する様々な技術を提供する。DSATシステムは、解剖学的特徴及び消化器系の電気的特徴に基づく消化器系の計算モデリングを採用して、(例えば、徐波及び蠕動の)運動及び電気的活動(例えば、筋電活動)をシミュレートすることができる。この特性は、胃腸移動性運動複合体(gastrointestinal migrating motor complex:MMC)、活動電位、徐波の伝播速度、カルシウムチャネルの活性化に関する徐波閾値、異常な電気的活動の位置、神経信号、アブレーション位置、胃壁厚、結腸形状及びサイズ、ペーシング位置、ペーシング速度、消化器系の内膜に付与される電気信号のパターン、病状、疾患を引き起こす組織の位置及び特性、並びに構造リモデリングなどを含む。
【0010】
DSATシステムは、特性の特性値の異なるセット(又は組み合わせ)(例えば、異なるペーシング位置及び異なる活動電位)を想定してシミュレーションを実行し、各シミュレーションの模擬データをそのシミュレーションで使用される特性値のセットにマッピングする特性マッピングライブラリを生成する。DSATシステムは、頂点(例えば、50,000個の頂点)が消化器系内の位置を表す3次元(3D)メッシュを使用して消化器系をモデル化する。結腸をモデル化する場合、3Dメッシュは、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸S状結腸接合部、直腸、肛門接合部、肛門、腸神経系の属性、及び直腸肛門抑制反射(RAIR)などを表すことができる。各シミュレーションは、15分間のシミュレーション期間にわたって例えば1秒間隔で活動をシミュレートすることができる。このような1秒間隔での15分間シミュレーションでは、3Dメッシュのメッシュ値が900セット生成される。これらの値は、電気的活動及び運動などを含む。DSATシステムは、シミュレーションを実行した後に、900セットのメッシュ値から模擬消化器電図(simulated digestive electrogram:EDG)を含む模擬データを生成する。EDGは、胃電図(EGG)、筋電図(EMG)、及び胃腸電図など、又はこれらのベクトル表現であることができる。消化器系の電気的活動をシミュレートする技術は、様々な出版物(例えば、Kawano M、Emoto T著、「胃及び腸によって生じる電場の多角形メッシュ双極子モデルシミュレーション(Polygonally Meshed Dipole Model Simulation of the Electrical Field Produced by the Stomach and Intestines)」、Comput Math Methods Med、2020年10月21日、2020:2971358、doi:10.1155/2020/2971358、PMID:33178331、PMCID:PMC7607902)に記載されている。
【0011】
臨床試験中に、患者から患者EDGを収集する。胃のEDGを収集するために、胃の近くの様々な場所に(例えば、皮膚上に)電極を配置する。結腸のEDGは、結腸に対する様々な位置に(例えば、経皮的又は経管的に)配置された電極に基づいて収集することができる。次に、DSATシステムは、患者のEDGを特性マッピングライブラリ内の模擬EDGと比較して、一致する(例えば、類似する)模擬EDGを発見する。その後、DSATシステムは、一致するEDGに関連する1又は2以上の特性値を出力して、医師がアブレーションの実行又は結腸ペースメーカーの埋め込みなどの患者のための正確な評価及び計画を策定するのを支援する。
【0012】
いくつかの実施形態では、特性マッピングライブラリが、患者の臨床データに基づくマッピングを含むことができる。これらのマッピングは、患者から収集された患者EDGを患者の消化器系の既知の特性にマッピングすることができる。これらの臨床マッピングは、シミュレーションから導出される模擬マッピングを増強してさらに大きな一群のマッピングを提供するために使用することができる。DSATシステムは、模擬マッピングのみを含むマッピング、臨床マッピングのみを含むマッピング、又は模擬マッピングと臨床マッピングとの組み合わせを含むマッピングを使用することができる。
【0013】
DSATシステムは、結腸内の様々な位置における電極の配置に基づいて電極読み取り値を収集することにより、消化器系の電気的活動のモニタリングを支援することもできる。例えば、結腸内視鏡検査中に光ファイバカテーテルを挿入するのと同様に、電極の配列を有する柔軟かつ拡張可能な管状メッシュ(3Dメッシュ)に取り付けられたカテーテルを結腸内に挿入することができる。管状電極メッシュ付きカテーテルは、管状メッシュの配置を案内する光ファイバコンポーネントを含むこともできる。管状メッシュは、所望の位置に配置されると(例えば、カテーテルの内側に沿ってケーブルを引っ張ることによって)拡張して、電極が消化器系の内膜(例えば、腸粘膜)に接触するようになる。電極は、結腸の電気的活動に基づいて生成された電気信号を受信する。これらの電気信号から、結腸の運動を引き起こす結腸の電気的活動などの消化器系の電気的活動を表すメッシュ読み取り値が収集される。メッシュ読み取り値が収集されている間に、患者の皮膚上に配置された電極を介してEDGを収集することができる。収集されたEDGへのメッシュ読み取り値の臨床メッシュマッピングをメッシュマッピングライブラリに記憶することができる。DSATシステムは、3Dメッシュによって表されるシミュレートされた電気的活動に基づいて、シミュレーション毎に模擬メッシュ読み取り値を生成することができる。メッシュマッピングライブラリは、模擬メッシュマッピング、(患者から収集された)臨床メッシュマッピング、又はこれらの両方を含むことができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、DSATシステムが、結腸の粘膜に沿った位置などの電気的活性化の位置を表す様々なシミュレーションのペーシング位置に基づいて、結腸内のカテーテルの位置を特定するのに役立つ情報を提供する。DSATシステムは、ペーシング位置を含む特性のセットと共にシミュレーションを実行することができる。DSATシステムは、特性マッピングライブラリに記憶された各シミュレーションから模擬EDGを生成する。特性マッピングライブラリは、既知のペーシング位置を有する臨床データに基づくマッピングを含むこともできる。
【0015】
アブレーション又はペースメーカーの装着などの処置中には、先端付近に電極を有するカテーテルを使用してカテーテルの位置を追跡することができる。医療提供者は、カテーテルの動きを指示し、電極が粘膜に接触している(又は粘膜の近傍に存在する)間に電極に電気信号を送信して電気的活動を刺激することを指示し、シミュレートされた電気的活動を表す患者EDGの収集を指示する。次に、DSATシステムは、特性マッピングライブラリから患者EDGに一致する(模擬又は臨床)EDGを識別する。DSATシステムは、この一致するEDGに関連する電気的活性化の位置を出力して、可能性のあるカテーテル先端位置を胃腸科専門医に知らせる。胃腸科専門医は、この位置情報を使用してカテーテルをターゲット治療位置に案内することができる。位置情報は、消化器系のグラフィック(例えば、3D画像)上に表示することができる。ターゲット位置までのターゲット経路が予め提供されている場合には、このターゲット経路をグラフィック上に表示して、ターゲット経路からの逸脱を視覚化できるように支援することができる。
【0016】
治療のための潜在的ターゲット位置が識別されると、ペーシングを採用して、例えばペーシング中に収集された患者EDGのレビューに基づいて、この潜在的ターゲット位置が治療(例えば、アブレーション又は胃ペースメーカーの設置)のための適切なターゲットであるかどうかを判定することができる。治療のための最も適切な位置を識別するために、カテーテルを異なる潜在的ターゲット位置に動かすことができる。ペーシングの潜在的ターゲット位置は、上述したようなカテーテルを潜在的ターゲット位置に案内する際と同様に識別することができる。潜在的ターゲット位置は、その潜在的ターゲット位置でのペーシング中に収集された患者EDGと、消化器疾患の発症期間中に収集された以前の患者EDGとに基づいて、実際のターゲット位置として選択することができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、DSATシステムが、胃、小腸、大腸及び結腸などの特定の臓器に対して行われる体外表面放射線治療(external body surface radiotherapy:ESBR、定位切除放射線治療(stereotactic ablative radiotherapy)としても知られている)である治療などの治療を案内するのに役立つ情報を提供する。DSATシステムは、消化器系の機能に対する治療(例えば、アブレーション)の潜在的有効性を予測して治療の実行前に治療結果を評価するために採用することができる。例えば、DSATシステムは、患者EDGに類似する模擬EDGにマッピングされた特性値のセットに基づいて治療シミュレーションを実行することができる。特性値のセットは、治療シミュレーションを実行する前に、治療の効果を表すように修正できるとともに、以前のアブレーション位置及び解剖学的特性などの患者の特性の一部を反映するように修正することもできる。例えば、アブレーション及びペースメーカーのペーシングである治療のターゲット位置を特性のセットに追加することができる。治療シミュレーションで使用される3Dメッシュの値は、類似する模擬EDGが生成されたシミュレーションの3Dメッシュの値に初期化することができる。従って、治療シミュレーションは、事実上、その類似するシミュレーションの継続である。DSATシステムは、治療シミュレーションの実行後に、治療シミュレーションに基づいて治療EDGを生成し、治療の有効性を評価できるように治療表現を出力することができる。
【0018】
EDG(又はメッシュ読み取り値)の類似性は、ピアソン相関又はコサイン類似度などの様々な類似性尺度を使用して生成された臓器固有のスコアリングモデルである類似性スコアに基づくことができる。類似性スコアが類似性基準を満たす場合、EDGは類似しているとみなされる。類似性基準は、閾値類似性スコアを上回る類似性スコア、及び生成された最も高い類似性スコアなどであることができる。類似性基準は、DSATシステムの目標用途、患者EDGを収集する設備の精度、及び上手くいった臨床治療の分析などに基づくことができる。
【0019】
いくつかの事例では、例えば結腸処置中に患者が麻酔下にある場合がある。このような場合には、結腸内の電気的活動が見られず又は制限されていることがある。DSATシステムを採用して電気的活動を刺激することができる。例えば、先端に電極を有するカテーテルを結腸内に挿入して、ターゲット位置においてMMC電気信号を活性化することができる。或いは、電気的活動をモニタするために使用されるものと同様の管状電極メッシュを使用して電気的活動を刺激することができる。例えば、メッシュが適所にくると、DSATシステムは、上行結腸の近位端から上行結腸の遠位端まで順に電気信号を送信するような所望のパターン(又は、より一般的に指定されたパターン)で電極に電気信号を送信することができる。メッシュは、結腸ペースメーカーの配置を知らせるために使用することもできる。例えば、電極をペーシングしてEDGを収集することができる。胃腸科専門医は、考えられるペースメーカーの電極の位置としてのEDGの検討に基づいて、その位置におけるペーシングの有効性を評価することができる。EDGは、例えば現在ペーシングに使用されている(単複の)電極以外の皮膚上に配置された電極又は拡張可能な電極メッシュの電極に基づいて生成することができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、DSATシステムが、患者の消化器系の特性の識別を支援する、EDGから特性へのMLモデル(EDG to characteristic ML model)と呼ばれる機械学習(ML)モデルを採用する。DSATシステムは、患者EDG(及び、場合によっては以前のアブレーション位置及びアブレーションパターンなどの患者の特性)を入力して、そのEDGに関連する特性を出力するようにMLモデルを訓練することができる。特性は、消化器疾患(例えば、異常な電気的活動)の原因位置、消化器疾患のタイプ、上手くいった(又はいかなかった)治療、及び患者人口統計(例えば、年齢及び性別)などであることができる。訓練データは、特性マッピングライブラリから導出されたデータを含むことができる。このMLモデル(及び、後述のMLモデル)は、教師あり又は教師なし訓練を使用して訓練することができ、離散領域の値(例えば、分類)、確率、及び/又は連続領域の値(例えば、回帰値)を生成することができる。説明するMLモデルのうちのいずれかに教師あり訓練を使用する場合、訓練データは、EDG、(例えば、主成分分析、潜在特徴ベクトル又はオートエンコーダを使用して)EDGから導出されたデータ、EDGに関連する特性の特性値及び患者の人口統計などを含むことができる特徴を有する特徴ベクトル、及び関心特性の特性値(例えば、離散値又は連続値)を示すラベルを含む。教師あり学習を使用する場合、MLモデルは、畳み込みニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、及び再帰型ニューラルネットワークなどであることができる。教師なし学習を使用する場合、訓練データは、上述したような同様の特徴ベクトルを含むが、ラベルは含まない。また、MLモデルは、例えばk平均クラスタリングであることもできる。訓練データは、シミュレーション、及び/又は特性マッピングライブラリのデータなどの、患者から収集された臨床データに基づくことができる。
【0021】
DSATシステムは、消化器系の電気的活動を表すメッシュ読み取り値にEDGをマッピングする、EDGからメッシュ読み取り値へのMLモデル(EDG to mesh reading ML model)と呼ばれるMLモデルを採用することができる。メッシュ読み取り値は、患者から(例えば、上述したように侵襲的に)収集された電気信号に基づくことも、或いはシミュレーションから導出することもできる。MLモデルの訓練データは、メッシュマッピングライブラリから導出されたデータを含むことができる。MLモデルは、上述したような教師あり又は教師なし訓練を使用して訓練することができる。メッシュ読み取り値は、EDG、及び上述したような(模擬メッシュ読み取り値の生成において使用される、又はメッシュ読み取り値が収集された患者の)特徴値のセットに関連付けられる。訓練データは、関連するメッシュ読み取り値がラベル付けされた(単複の)特徴として表されるEDGを含む特徴ベクトルを含むことができる。訓練後には、MLモデルを採用してEDGを入力し、メッシュ読み取り値を出力することができる。このEDGは、メッシュ読み取り値が収集されていた間に収集されたであろうEDGを表す。従って、メッシュ読み取り値は、侵襲的にメッシュ読み取り値を収集する必要なく治療を通知するのに役立つことができる。
【0022】
DSATシステムは、メッシュ読み取り値を消化器系の疾患のタイプなどの疾患特性にマッピングする、メッシュ読み取り値から疾患へのMLモデル(mesh readings to disease ML model)と呼ばれるMLモデルを採用することができる。メッシュ読み取り値は、患者から(例えば、上述したように侵襲的に)収集された電気信号に基づくことも、或いはシミュレーションから導出することもできる。MLモデルの訓練データは、メッシュマッピングライブラリから導出されたデータを含むことができる。MLモデルは、上述したような教師あり又は教師なし訓練を使用して訓練することができる。メッシュ読み取り値は、上述したような(模擬メッシュ読み取り値の生成において使用される、又はメッシュ読み取り値が収集された患者の)疾患のタイプ及び疾患の状態などの疾患特性に関連付けられる。訓練データは、関連する疾患特性がラベル付けされた(単複の)特徴として表されるメッシュ読み取り値を含む特徴ベクトルを含むことができる。訓練後には、MLモデルを採用して、患者から収集されたメッシュ読み取り値を入力し、疾患特性を出力することができる。出力される疾患特性は、メッシュ読み取り値に関連する疾患を表すことができ、侵襲的にメッシュ読み取り値を収集する必要なく治療を通知するのに役立つことができる。上述したMLモデルは、EDGからメッシュ読み取り値へのMLモデルの出力がメッシュ読み取り値から疾患へのMLモデルへの入力であるように連続して又は並行して使用することができる。
【0023】
DSATシステムは、患者が評価され治療されている処置中に臨床環境において医療提供者がリアルタイムで治療計画を策定することを可能にする(本明細書で説明するような)技術を提供する。マッピングライブラリ及び/又はMLモデルを採用して、EDG、メッシュ読み取り値、又はその処置中に患者から収集された他のデータに基づいて治療を通知できる情報を提供することができる。異なる特性値のセットを使用して何百万ものシミュレーションを実行できるので、1又は2以上のシミュレーションは、いずれかの患者のかなり正確な表現である可能性が高い。シミュレーションは、いずれかの患者を治療する前に実行することができ、いずれかの数の患者の治療を通知するために使用することができる。従って、シミュレーションを実行するコストは1回しか発生しない。また、患者からデータを収集して患者固有のシミュレーションを実行することに関連する時間及びコストが回避される。さらに、患者データの収集には、例えば手動ステップが伴うこと、或いは機器のノイズ又は精度に起因して不正確さが内在するため、DSATシステムは、より正確かつ信頼性の高い情報を生成して治療を通知することができる。DSATシステムについては、主に人間の患者の文脈で説明しているが、馬及び犬などの人間以外の患者と共に使用することもできる。
【0024】
DSATシステム及びその他の説明するシステムを実装できるコンピュータシステム(例えば、ネットワークノード又はネットワークノード群)は、中央処理装置、入力装置、出力装置(例えば、ディスプレイ装置及びスピーカ)、記憶装置(例えば、メモリ及びディスクドライブ)、ネットワークインターフェイス、グラフィックスプロセッシングユニット、通信リンク(例えば、イーサネット、WiFi、セルラー及びBluetooth)、及び全地球測位システム装置などを含むことができる。入力装置は、キーボード、ポインティングデバイス、タッチ画面、(例えば、エアジェスチャのための)ジェスチャ認識装置、頭部及び眼球追跡装置、及び音声認識のためのマイクなどを含むことができる。コンピュータシステムは、高性能コンピュータシステム、クラウドベースのコンピュータシステム、クラウドベースのコンピュータシステムと相互作用するクライアントコンピュータシステム、デスクトップコンピュータ、ラップトップ、タブレット、電子ブックリーダ、携帯情報端末、スマートフォン、ゲーム装置、及びサーバなどを含むことができる。コンピュータシステムは、コンピュータ可読記憶媒体及びデータ伝送媒体を含むコンピュータ可読媒体にアクセスすることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、一時的な伝搬信号を含まない有形記憶手段である。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、一次メモリ、キャッシュメモリ及び二次メモリ(DVDなど)などのメモリ、並びにその他のストレージが挙げられる。コンピュータ可読記憶媒体は、DSATシステム及びその他の説明するシステムを実装するコンピュータ実行可能命令又はロジックを記録し、又はこれらで符号化することができる。データ伝送媒体は、有線又は無線接続を介し、一時的な伝搬信号又は搬送波(例えば、電磁気)を介してデータを伝送するために使用される。コンピュータシステムは、鍵を生成して安全に記憶し、これらの鍵を使用してデータの暗号化及び復号を行う、中央処理装置の一部としてのセキュアな暗号プロセッサを含むことができる。
【0025】
DSATシステム及びその他の説明するシステムについては、1又は2以上のコンピュータ、プロセッサ又はその他の装置によって実行されるプログラムモジュール及びコンポーネントなどのコンピュータ実行可能命令の一般的文脈で説明することができる。プログラムモジュール又はコンポーネントは、DSATシステム及びその他の説明するシステムのタスクを実行し、又はデータタイプを実装する、ルーチン、プログラム、オブジェクト、及びデータ構造などを含む。通常、プログラムモジュールの機能は、様々な例において望む通りに組み合わせ、又は分散させることができる。DSATシステム及びその他の説明するシステムの態様は、例えば特定用途向け集積回路(ASIC)又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を使用してハードウェアに実装することができる。
【0026】
DSATシステムのコンピュータ実行可能命令の少なくとも一部は、クライアントシステムとの間でデータを送受信するクラウドシステムのサーバ上で実行される。クライアントシステムは、(例えば、消化器系のグラフィックを含む)ウェブページを受け取って表示するためのブラウザを含むことができ、及び/又はDSATシステムのいくつかの命令を含むことができる。
【0027】
機械学習モデルは、全結合、畳み込み、再帰型、オートエンコーダ又は制限付きボルツマンマシンなどのニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、ベイズ分類器及びk平均クラスタリングなどを含む、様々な教師あり又は教師なし機械学習モデル、或いはこれらの組み合わせのいずれかであることができる。機械学習モデルがディープニューラルネットワークである場合、訓練結果は、ディープニューラルネットワークの活性化関数の重みのセットである。サポートベクターマシンは、入力空間内の超曲面を発見することによって動作する。超曲面は、超曲面に最も近い肯定的な例と否定的な例との間の距離を最大化することによって肯定的な例(例えば、特徴ベクトル又は写真)と否定的な例(例えば、グラフィックの特徴ベクトル)とを分割しようと試みる。このステップは、訓練データに類似しているが同一ではないデータの正しい分類を可能にする。機械学習モデルは、離散領域の値(例えば、分類)、確率、及び/又は連続領域の値(例えば、回帰値)を生成することができる。
【0028】
サポートベクターマシンは、様々な技術を使用して訓練することができる。例えば、適応的ブースティング(adaptive boosting)は、一群の訓練データに対して複数のテストを実行する反復プロセスである。適応的ブースティングは、弱学習アルゴリズム(偶然よりもわずかに良いレベルでしか実行しないアルゴリズム)を強学習アルゴリズム(低いエラー率を示すアルゴリズム)に変換する。弱学習アルゴリズムは、訓練データの異なるサブセット上で実行される。このアルゴリズムは、前のアルゴリズム(predecessors)がミスを示しがちな例に次第に集中する。このアルゴリズムは、以前の弱学習器が犯したエラーを修正する。このアルゴリズムが適応的である理由は、前のアルゴリズムのエラー率に適応するからである。適応的ブースティングは、大まかな経験則と適度に不正確な経験則とを組み合わせて高性能アルゴリズムを形成する。適応的ブースティングは、個別に実行された各テストの結果を単一の非常に正確な分類器に組み合わせる。適応的ブースティングは、2つのリーフノードしか有していない単分割木(single-split trees)である弱分類器を使用することができる。
【0029】
ニューラルネットワークモデルは、アーキテクチャ、コスト関数及び探索アルゴリズムという3つの主要コンポーネントを有する。アーキテクチャは、入力を出力に関連付ける関数形式を(ネットワークトポロジー、ユニット接続性及び活性化関数の観点から)定める。目的関数を最小化する重みのセットを重み空間内で探索することが訓練プロセスである。1つの実施形態では、分類システムが、放射基底関数(RBF)ネットワーク及び標準的な勾配降下を探索法として使用することができる。
【0030】
畳み込みニューラルネットワーク(CNN)は、畳み込み層、正規化線形ユニット(ReLU)層、プーリング層、及び全結合(FC)層などの複数の層を有する。より複雑なCNNの中には、複数の畳み込み層、ReLU層、プーリング層及びFC層を有することができるものもある。
【0031】
畳み込み層は、(カーネル又は活性化関数とも呼ばれる)複数のフィルタを含むことができる。フィルタは、例えば画像の畳み込みウインドウ(convolutional window)を入力し、畳み込みウインドウの各画素に重みを適用して、その畳み込みウインドウの活性化値を出力する。例えば、静止画像が256×256画素である場合、畳み込みウインドウは8×8画素であることができる。フィルタは、畳み込みウインドウ内の64個の画素の各々に異なる重みを適用して、特徴値とも呼ばれる活性化値を生成することができる。畳み込み層は、適切なパディングを伴う1のストライドを仮定した画像の各画素の(ニューロンとも呼ばれる)ノードをフィルタ毎に含むことができる。各ノードは、訓練中に学習されたフィルタの重みのセットに基づいて特徴値を出力する。
【0032】
ReLU層は、畳み込み層のノード毎に、特徴値を生成するノードを有することができる。生成された特徴値は、ReLU特徴マップを形成する。ReLU層は、畳み込み特徴マップの各特徴値にフィルタを適用してReLU特徴マップの特徴値を生成する。例えば、max(0,活性化値)などのフィルタを使用して、ReLU特徴マップの特徴量が負でないことを確実にすることができる。
【0033】
プーリング層は、ReLU特徴マップをダウンサンプリングしてプーリング特徴マップを形成することにより、ReLU特徴マップのサイズを縮小するために使用することができる。プーリング層は、ReLU特徴マップの一群の特徴値を入力して特徴値を出力するプーリング関数を含む。
【0034】
FC層は、それぞれがプーリング特徴マップの全ての特徴値に接続されるいくつかのノードを含む。
【0035】
敵対的生成ネットワーク(GAN)又は属性(attGAN)を使用することもできる。attGANは、GANを使用して生成器モデルを訓練する。(Zhenliang He、Wangmeng Zuo、Meina Kan、Shiguang Shan、及びXilin Chen著、「AttGAN:望むものだけを変更することによる顔属性編集(AttGAN: Facial Attribute Editing by Only Changing What You Want)」、IEEE Transactions on Image Processing、2019年、及びIan Goodfellow、Jean Pouget-Abadie、Mehdi Mirza、Bing Xu、David Warde-Farley、Sherjil Ozair、Aaron Courville、及びYoshua Bengio著、「敵対的生成ネット(Generative Adversarial Nets)」、Advances in Neural Information Processing Systems、2672~2680頁、2014年、を参照されたい。これらの文献は引用により本明細書に組み入れられる)。属性GANは、生成器、識別器、及び属性GAN分類器を含み、物体の入力画像及び各物体の入力属性値を含む訓練データを使用して訓練される。生成器は、生成器エンコーダ及び生成器デコーダを含む。生成器エンコーダは、入力画像を入力して、入力画像を表す潜在変数の潜在ベクトルを生成するように訓練される。生成器デコーダは、入力画像の潜在ベクトル及び入力属性値を入力する。属性GAN分類器は、画像を入力してその属性値の予測を生成する。属性GANは、属性値に基づいて修正された入力画像を表す修正画像を生成するように訓練される。生成器エンコーダ及び生成器デコーダは生成器モデルを形成する。
【0036】
図1は、いくつかの実施形態における、DSATシステムのコンポーネントを示すブロック図である。DSATシステム100は、特性マッピング生成コンポーネント101、メッシュマッピング生成コンポーネント102、機械学習モデル訓練コンポーネント103、機械学習モデル適用コンポーネント104、シミュレーション実行コンポーネント105、マッピング識別コンポーネント106、及び臨床データ受信コンポーネント107を含む。DSATシステムは、モデル重みデータストア(model weights data store)111、特性マッピングライブラリ112、及びメッシュマッピングライブラリ113と連動することもできる。特性マッピング生成コンポーネントは、EDGを対応する特性にマッピングする特性マッピングライブラリを生成する。メッシュマッピング生成コンポーネントは、EDGをメッシュ読み取り値にマッピングするメッシュマッピングライブラリを生成する。MLモデル訓練コンポーネントは、特性マッピングライブラリ又はメッシュマッピングライブラリを含む訓練データに基づいてMLモデルを訓練する。MLモデル訓練コンポーネントは、活性化関数の重み又はクラスタリングデータなどの学習されたデータをモデル重みデータストアに記憶することができる。MLモデル適用コンポーネントは、入力(訓練で使用される特徴)を受け取り、入力に関連する特性(例えば、疾患特性)又はメッシュ読み取り値を識別するように訓練されたMLモデルを適用する。シミュレーション実行コンポーネントは、特性値のセットに基づいて電気的活動のシミュレーションを実行し、シミュレーションに基づいて電気的活動のEDG、メッシュ読み取り値及び/又はその他の表現を生成する。マッピング識別コンポーネントは、特性値、EDG又はメッシュ読み取り値を受け取り、特性マッピングライブラリを採用して特性を識別し、或いはメッシュマッピングライブラリを採用して、EDG及び/又はメッシュ読み取り値に関連する特性値を所与としてメッシュ読み取り値を識別する。臨床データ受信コンポーネントは、特性マッピングライブラリ又はメッシュマッピングライブラリに記憶できる臨床データを受信する。
【0037】
図2は、いくつかの実施形態における、特性マッピング生成コンポーネント200の処理を示すフロー図である。特性マッピング生成コンポーネントは、臨床データ及び/又はシミュレーションデータに基づいて、EDGを特性にマッピングする特性マッピングライブラリを生成する。コンポーネントは、ブロック201において、臨床データのマッピングを受け取る。コンポーネントは、ブロック202において、臨床マッピングを特性マッピングライブラリに記憶する。コンポーネントは、ブロック203~207において、シミュレーションを実行して模擬EDGを生成する。コンポーネントは、ブロック203において、次の特性値のセットを選択する。コンポーネントは、判定ブロック204において、全ての特性値のセットが既に選択されている場合には完了し、そうでなければブロック205に進む。コンポーネントは、ブロック205において、特性値のセットに基づいてシミュレーションを実行する。コンポーネントは、ブロック206において、シミュレーションに基づいて模擬EDG及び/又は模擬メッシュ読み取り値を生成する。コンポーネントは、ブロック207において、模擬EDG又は模擬メッシュ読み取り値の特性値のセットの(単複の)特性へのマッピングを特性マッピングライブラリに記憶する。その後、コンポーネントは、ブロック203にループして次の特性値のセットを選択する。
【0038】
図3は、いくつかの実施形態における、メッシュ読み取り値の収集及び処理プロセスを示すフロー図である。プロセス300は、電極メッシュの配置を制御する人物、及びマッピングを生成するコンピュータシステムの活動を伴う。ブロック301において、人物が、拡張可能な電極メッシュを患者の消化器系に挿入する。ブロック302において、人物が、電極が消化器系の内膜に接触するようにメッシュの拡張を制御する。いくつかの実施形態では、ブロック303において、人物が、消化器系の電気的活動の制御に役立つように電極への電気信号の付与を指示することができる。ブロック304において、EDG及びメッシュ読み取り値を収集する。ブロック306において、EDGのメッシュ読み取り値へのマッピングを生成する。ブロック307において、マッピングをメッシュマッピングライブラリに記憶する。
【0039】
図4は、いくつかの実施形態における、MLモデル生成コンポーネントの処理を示すフロー図である。MLモデル生成コンポーネント400は、特性マッピングライブラリ又はメッシュマッピングライブラリ、或いはこれらの両方に基づいてMLモデルを訓練する。コンポーネントは、ブロック401において、次のマッピングを選択する。コンポーネントは、判定ブロック402において、全てのマッピングが既に選択されている場合にはブロック406に進み、そうでなければブロック403に進む。コンポーネントは、ブロック403において、選択されたマッピングに基づいて特徴ベクトルを生成する。コンポーネントは、ブロック404において、(教師あり学習を想定して)特徴ベクトルのラベルを生成する。コンポーネントは、ブロック405において、特徴ベクトル及びラベルを訓練データとして記憶し、その後にブロック401にループして次のマッピングを選択する。コンポーネントは、ブロック406において、訓練データに基づいてMLモデルを訓練する。コンポーネントは、ブロック407において、重み又はクラスタリングデータなどの学習されたモデルデータをモデル重みデータストアに記憶して完了する。
【0040】
以下の段落では、DSATシステムの態様の様々な実施形態について説明する。システムの実装は、これらの実施形態のいずれかの組み合わせを採用することができる。後述する処理は、システムを実行に移すコンピュータ可読記憶媒体に記憶されたコンピュータ実行可能命令を実行するプロセッサを含むコンピュータシステムによって実行することができる。
【0041】
いくつかの態様では、本明細書で説明する技術が、消化器系の電気的活動をモデル化する1又は2以上のコンピュータシステムによって実行される方法であって、消化器系の電気的活動をシミュレートするシミュレーションであって、各シミュレーションが消化器系の特性の特性値のセットに基づく、シミュレーションを実行することと、複数のシミュレーションの各々につき、シミュレーションのシミュレートされた電気的活動に基づいて、消化器系の電気的活動を表す模擬消化器電図(EDG)を生成することと、模擬EDGが生成されたシミュレーションの特性値のセットのうちの1又は2以上の特性値への模擬EDGのマッピングを含む特性マッピングライブラリを生成することと、を含む方法に関する。
【0042】
いくつかの態様では、本明細書で説明する技術が、EDGを所与として特性を表す特性値を出力するように機械学習モデルを訓練することをさらに含み、機械学習モデルが、特性マッピングライブラリのマッピングを使用して訓練される、方法に関する。
【0043】
いくつかの態様では、本明細書で説明する技術が、機械学習モデルによって出力される特性値が離散領域の値である、方法に関する。
【0044】
いくつかの態様では、本明細書で説明する技術が、機械学習モデルによって出力される特性値が連続領域の値である、方法に関する。
【0045】
いくつかの態様では、本明細書で説明する技術が、患者から収集された患者EDGを受け取ることと、患者EDGを機械学習モデルに入力して、患者の特性の特性値を示す出力を生成することであって、機械学習モデルが特性マッピングライブラリのマッピングに基づいて訓練される、ことと、特性の示された特性値の指示を出力することと、をさらに含む方法に関する。
【0046】
いくつかの態様では、本明細書で説明する技術が、特性マッピングライブラリが、患者から収集された臨床EDGの、患者の特性を表す1又は2以上の特性値へのマッピングを含む、方法に関する。
【0047】
いくつかの態様では、本明細書で説明する技術が、ある特性が異常な電気的活動の原因位置である、方法に関する。
【0048】
いくつかの態様では、本明細書で説明する技術が、患者から収集された患者EDGを受け取ることと、類似性基準を満たすことに基づいて、特性マッピングライブラリの、患者EDGに類似する模擬EDGを識別することと、識別された模擬EDGにマッピングされる特性の特性値の指示を出力することと、をさらに含む方法に関する。
【0049】
いくつかの態様では、本明細書で説明する技術が、複数のペーシング位置の各々につき、ペーシング位置におけるペーシング中にペーシングEDGを受け取り、類似性基準を満たすことに基づいて患者EDGに類似する模擬EDGに基づいてペーシング位置を決定し、決定されたペーシング位置を出力することにより、消化器系内でカテーテルを案内すること、をさらに含む方法に関する。
【0050】
いくつかの態様では、本明細書で説明する技術が、複数のペーシング位置の各々につき、ペーシング位置におけるペーシング中にペーシングEDGを受け取り、ペーシング位置を出力する機械学習モデルにペーシングEDGを入力し、出力されたペーシング位置を出力することにより、消化器系内でカテーテルを案内すること、をさらに含む方法に関する。
【0051】
いくつかの態様では、本明細書で説明する技術が、決定されたペーシング位置の指示を消化器系の画像上に表示することをさらに含む方法に関する。
【0052】
いくつかの態様では、本明細書で説明する技術が、消化器系の電気的活動の表現を生成する1又は2以上のコンピュータシステムによって実行される方法であって、複数の電極を有する拡張可能な電極メッシュを患者の消化器系に挿入するように指示することと、拡張可能な電極メッシュが拡張して消化器系の内膜に電極が接触するようになった後に、電極を介して受信される電気信号から生成されたメッシュ読み取り値を受け取ることと、拡張可能な電極メッシュの電極を介して電気信号が受信されている間に収集された消化器電図(EDG)を受け取ることと、を含む方法に関する。
【0053】
いくつかの態様では、本明細書で説明する技術が、拡張可能な電極メッシュが、3次元メッシュに拡張する前に管状形状を有する、方法に関する。
【0054】
いくつかの態様では、本明細書で説明する技術が、拡張可能な電極メッシュが、拡張可能な電極メッシュが取り付けられたカテーテル内のケーブルを引っ張ることによって拡張する、方法に関する。
【0055】
いくつかの態様では、本明細書で説明する技術が、メッシュ読み取り値がラベル付けされたEDGを含む訓練データを使用して機械学習モデルを訓練することをさらに含む方法に関する。
【0056】
いくつかの態様では、本明細書で説明する技術が、患者から収集された患者EDGに機械学習モデルを適用し、機械学習モデルがメッシュ読み取り値の指示を出力することをさらに含む方法に関する。
【0057】
いくつかの態様では、本明細書で説明する技術が、消化器系の電気的活動を刺激するために、拡張可能な電極メッシュの電極に電気信号を付与するように指示する一方で、メッシュ読み取り値が生成された電気信号を他の電極が受信することをさらに含む方法に関する。
【0058】
いくつかの態様では、本明細書で説明する技術が、消化器系の電気的活動のシミュレーションを実行し、シミュレートされた電気的活動に基づいて、模擬メッシュ読み取り値及び模擬EDGを生成し、模擬メッシュ読み取り値への模擬EDGのマッピングを含むメッシュマッピングライブラリを生成することをさらに含む方法に関する。
【0059】
いくつかの態様では、本明細書で説明する技術が、患者の患者消化器系の電気的活動を刺激する方法であって、患者消化器系に、電極を有する拡張可能な電極メッシュを挿入することと、拡張可能な電極メッシュを拡張させて、患者消化器系の内膜に電極が接触するようにすることと、患者消化器系の電気的活動を刺激するために、電極に指定パターンで電気信号が送られるように指示することと、を含む方法に関する。
【0060】
いくつかの態様では、本明細書で説明する技術が、患者が麻酔下にある、方法に関する。
【0061】
いくつかの態様では、本明細書で説明する技術が、拡張可能な電極メッシュが、3次元メッシュに拡張する前に管状形状を有する、方法に関する。
【0062】
いくつかの態様では、本明細書で説明する技術が、拡張可能な電極メッシュが、拡張可能な電極メッシュが取り付けられたカテーテル内のケーブルを引っ張ることによって拡張する、方法に関する。
【0063】
いくつかの態様では、本明細書で説明する技術が、刺激された電気的活動中に収集された患者消化器電図(EDG)を分析することをさらに含む方法に関する。
【0064】
いくつかの態様では、本明細書で説明する技術が、分析することが、EDGを特性値にマッピングするマッピングライブラリから検索された特性の患者特性値を検討することを含み、患者特性値が、マッピングライブラリの、患者EDGに類似するEDGにマッピングされる、方法に関する。
【0065】
いくつかの態様では、本明細書で説明する技術が、刺激された電気的活動に応答して、電極のうちの少なくとも1つが、消化器系によって生成された信号を受信する、方法に関する。
【0066】
いくつかの態様では、本明細書で説明する技術が、消化器系の電気的活動をモデル化する1又は2以上のコンピュータシステムであって、コンピュータ実行可能命令を記憶する1又は2以上のコンピュータ可読記憶媒体と、1又は2以上のコンピュータ実行可能命令を実行するように1又は2以上のコンピュータシステムを制御する1又は2以上のプロセッサとを備え、コンピュータ実行可能命令が、1又は2以上のコンピュータシステムを、消化器系の電気的活動をシミュレートするシミュレーションであって、各シミュレーションが消化器系の特性の特性値のセットに基づく、シミュレーションを実行し、複数のシミュレーションの各々につき、シミュレーションのシミュレートされた電気的活動に基づいて、消化器の電気的活性の模擬表現を生成し、電気的活動の模擬表現が生成されたシミュレーションにおいて使用された特性値のセットのうちの1又は2以上の特性値への電気的活動の模擬表現のマッピングを含む特性マッピングライブラリを生成する、ように制御する、1又は2以上のコンピュータシステムに関する。
【0067】
いくつかの態様では、本明細書で説明する技術が、コンピュータ実行可能命令が、電気的活動の表現を所与として特性を表す特性値を出力するように機械学習モデルを訓練する命令をさらに含み、機械学習モデルが、特性マッピングライブラリのマッピングを使用して訓練される、1又は2以上のコンピュータシステムに関する。
【0068】
いくつかの態様では、本明細書で説明する技術が、患者の患者消化器系の患者特性を識別する1又は2以上のコンピュータシステムであって、コンピュータ実行可能命令を記憶する1又は2以上のコンピュータ可読記憶媒体と、1又は2以上のコンピュータ実行可能命令を実行するように1又は2以上のコンピュータシステムを制御する1又は2以上のプロセッサとを備え、コンピュータ実行可能命令が、1又は2以上のコンピュータシステムを、消化器系の電気的活動のライブラリ表現の消化器系の特性の特性値へのマッピングを含む特性マッピングライブラリにアクセスし、患者から収集された電気的活動の患者表現を受け取り、類似性基準に基づいて、電気的活動の患者表現に類似する電気的活動のライブラリ表現を識別し、識別された電気的活動のライブラリ表現がマッピングされる特性値の指示を出力する、ように制御する、1又は2以上のコンピュータシステムに関する。
【0069】
いくつかの態様では、本明細書で説明する技術が、コンピュータシステムのうちの少なくとも1つが、命令を実行するクラウドベースのコンピュータシステムである、1又は2以上のコンピュータシステムに関する。
【0070】
いくつかの態様では、本明細書で説明する技術が、電気的活動の患者表現がクライアントコンピュータシステムから受け取られる、1又は2以上のコンピュータシステムに関する。
【0071】
いくつかの態様では、本明細書で説明する技術が、特性マッピングライブラリが、消化器系のシミュレートされた電気的活動に基づくマッピングを含む、1又は2以上のコンピュータシステムに関する。
【0072】
いくつかの態様では、本明細書で説明する技術が、特性マッピングライブラリが、患者から収集された電気的活動の臨床表現に基づくマッピングを含む、1又は2以上のコンピュータシステムに関する。
【0073】
いくつかの態様では、本明細書で説明する技術が、患者の消化器系内でカテーテルを案内する方法であって、電気的活動を刺激するための電極を有するカテーテルを患者の消化器系に挿入することと、消化器系内の複数の位置の各々につき、電極を消化器系の粘膜に接触させることと、消化器系の電気的活動を刺激するように電極に指示することと、刺激された電気的活動に基づいて消化器電図(EDG)を収集することと、電極の位置へのEDGのマッピングに基づいて決定される電極の位置の指示を受け取ることと、電極を別の場所に動かすことと、を含む方法に関する。
【0074】
いくつかの態様では、本明細書で説明する技術が、カテーテルがターゲット位置に案内される、方法に関する。
【0075】
いくつかの態様では、本明細書で説明する技術が、EDGが電極の位置を出力する装置に入力される、方法に関する。
【0076】
いくつかの態様では、本明細書で説明する技術が、位置が、位置を出力する機械学習(ML)モデルにEDGを入力するコンピュータシステムによって決定され、MLモデルが、マッピングから導出された訓練データを使用して訓練される、方法に関する。
【0077】
いくつかの態様では、本明細書で説明する技術が、指示が、位置における消化器系グラフィック上に表示される、方法に関する。
【0078】
いくつかの態様では、本明細書で説明する技術が、患者の消化器系内の電極の位置を決定する1又は2以上のコンピュータシステムであって、コンピュータ実行可能命令を記憶する1又は2以上のコンピュータ可読記憶媒体と、1又は2以上のコンピュータ実行可能命令を実行するように1又は2以上のコンピュータシステムを制御する1又は2以上のプロセッサとを備え、コンピュータ実行可能命令が、1又は2以上のコンピュータシステムを、患者の消化器系内の電極が消化器系の電気的活動を刺激している間に収集された消化器電図(EDG)を受け取り、位置へのEDGのマッピングに基づいて電極の位置を決定し、決定された位置の指示を出力する、ように制御する、1又は2以上のコンピュータシステムに関する。
【0079】
いくつかの態様では、本明細書で説明する技術が、位置が、位置を出力する機械学習(ML)モデルにEDGを入力するコンピュータシステムによって決定され、MLモデルが、マッピングから導出された訓練データを使用して訓練される、1又は2以上のコンピュータシステムに関する。
【0080】
いくつかの態様では、本明細書で説明する技術が、麻酔下にある患者の患者消化器系の電気的活動を刺激する方法であって、電極を有する拡張可能な電極メッシュを患者消化器系に挿入することと、拡張可能な電極メッシュを拡張させて、電極が患者消化器系の内膜に接触するようにすることと、患者消化器系の電気的活動を刺激するために、電極に指定パターンで電気信号が送られるように指示することと、刺激された電気的活動中に収集された患者消化器電図(EDG)を分析することと、を含む方法に関する。
【0081】
構造的特徴及び/又は行為に特有の言語で主題を説明したが、添付の特許請求の範囲に定める主題は、必ずしも上述した特定の特徴又は行為に限定されるものではないと理解されたい。むしろ、上述した特定の特徴及び行為は、特許請求の範囲を実施する形態例として開示したものである。
【符号の説明】
【0082】
100 DSATシステム
101 特性マッピング生成
102 メッシュマッピング生成
103 MLモデル訓練
104 MLモデル適用
105 シミュレーション実行
106 マッピング識別
107 臨床データ受信
111 モデル重み
112 特性マッピングライブラリ
113 メッシュマッピングライブラリ
【国際調査報告】