(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】バックヘッドがない油圧ブレーカー
(51)【国際特許分類】
E02F 3/36 20060101AFI20240730BHJP
B25D 9/04 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
E02F3/36 A
B25D9/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580979
(86)(22)【出願日】2022-06-27
(85)【翻訳文提出日】2024-02-20
(86)【国際出願番号】 KR2022009091
(87)【国際公開番号】W WO2023277470
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】10-2021-0087005
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524001961
【氏名又は名称】チェ,オム ジ
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】チェ,オム ジ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ソン ギュ
【テーマコード(参考)】
2D012
2D058
【Fターム(参考)】
2D012DA01
2D012HB01
2D058AA12
2D058CA03
2D058CB03
2D058CB04
2D058CC25
(57)【要約】
本発明は、バックヘッドがない組立構造で、ブロックを多面体に製作した構造に関するものである。このために本発明は、バックヘッドがない組立構造で、多面体のブロックで内部の空間には圧縮ガスを充填させる。多面体の外部から流体の供給を受けるメインコントロールバルブが含まれ、多面体内部の空間にはメインコントロールバルブを制御するパイロットバルブが収容され、メインコントロールバルブによって作動するそれぞれの複動シリンダがピストンロードと結合されたモジュールを前・後進させながら一体となったインパクトラムとラムブロックモジュールを、前進させ、充填されている圧縮ガスが一体となったインパクトラムとラムブロックモジュールを後進に急移動させながら衝撃力を得るバックヘッドがない油圧ブレーカーに関するものである。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のタップとボルトホール、ガス注入口及びオイル注入口が加工されメインコントロールバルブとパイロットバルブをつなぐパイロット流路ホールが穿孔されている板材と、
多面体の外部から流体の供給を受ける前記メインコントロールバルブと、
前記多面体の内部の密閉された空間には前記メインコントロールバルブを制御する前記パイロットバルブと、
ラムブロックモジュールと一体に結合されるインパクトラムと、
前記インパクトラムが往復するラムシリンダと、
前記メインコントロールバルブによって作動するそれぞれの複動シリンダと、
前記それぞれの複動シリンダ内ピストンロードと一体に結合されるそれぞれのモジュールと、
前記それぞれのモジュールが前進と後進する時の離脱を防止するブロックガイドと、
前記それぞれのモジュールによって前進する前記インパクトラムとラムブロックモジュールと、
前記それぞれのモジュール及び前記インパクトラムとラムブロックモジュールを直線で誘導する直線ベアリングガイドと、
前進した前記インパクトラムとラムブロックモジュールを後進に押してインパクトを得させる充填された圧縮ガスを含むことを特徴とするバックヘッドがない油圧ブレーカー。
【請求項2】
前記多面体の板材組立部にシーリング処理し、前記ラムシリンダにシールリテーナーを適用して、密閉された空間に圧縮ガスを充填することを特徴とする、請求項1に記載のバックヘッドがない油圧ブレーカー。
【請求項3】
前記それぞれのモジュールは、直線ベアリングブロック、ヒンジブロック、プッシュロード及びバルブ押し調節ロードを含むことを特徴とする、請求項1に記載のバックヘッドがない油圧ブレーカー。
【請求項4】
前記パイロットバルブは、前記パイロットバルブ内の2つのスプールがシーソープレート軸を基準として突出したスプールを押す度にシーソープレートによって反復交差を特徴とする、請求項1に記載のバックヘッドがない油圧ブレーカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ブレーカーに関する。より詳細には、シリンダブロックが多面体の組立構造で、バックヘッドがない油圧ブレーカーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に油圧ブレーカーは、掘削機等の建設機械に取付けて破砕、締固め、杭打ちのために使用される。
【0003】
図1、
図2で、外部は四角形からなり内部は円筒の構造からなってチズル200を収容するフロントヘッド300、インパクトピストン600を収容するシリンダブロック400、2つのシールリテーナー700、窒素ガスが充填されるバックヘッド500等で構成された油圧ブレーカーを見ることができる。
【0004】
一般的な油圧ブレーカーの駆動方法は、外部から流体の供給を受けてインパクトピストン600が前進すると、切替バルブ800によって流路が変わり、バックヘッド500に充填されているガスの圧力によってインパクトピストン600が急後進しながら衝撃力を得るようになる。
【0005】
インパクトピストンは、下段部、中段部、上段部からなったもので、効果的な衝撃力を得るためには行程距離が長くなくてはならない。すなわち、下段部、中段部、上段部それぞれが長さが長くならなければならないが、仮に、行程距離を200mm増加させようとするなら、下段部、中段部、上段部の長さもそれぞれ200mmずつ増加させ上段ブッシュ及び下段ブッシュまで含むとインパクトピストンの長さは著しく長くなって容易に行程距離を増加させることができない構造である。
【0006】
また、インパクトピストンの行程距離が増加すると、シリンダブロック、バックヘッドの長さも増加して、全体的な構造の大きさ及び重さが増加して建設機械の稼動時の燃費や製品の生産原価も高くなるだけでなく、扱いも不便である等多くの問題点がある。
【0007】
したがって、バックヘッドの大きさを増やし内部に充填された窒素ガスの容量を増大させて充填圧力を増大させるための韓国登録特許第10-0820644号公報の「油圧式ブレーカーのバックヘッド構造」が開示されている。
【0008】
このようなブレーカーも、結局は全体的な構造の大きさが増加して前記と同じ問題点が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国登録特許第10-0820644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記した問題点を解決するためのものであって、油圧ブレーカーのシリンダブロックを組立構造にしてバックヘッドなしに製作することにより、全体の構造は縮小するだけでなく、インパクトピストンのタイプをピストン部がないインパクトラムタイプで設計して、行程距離は長くなって衝撃力が増加し、インパクトラムの長さは短くなって費用節減の効果があり、インパクトラムにはインパクトラムシリンダ一ヶ所にだけシールを使用して費用を節減する目的もある。
【0011】
また、多面体に組立てられた板材の組立面をシーリング処理し、ラムシリンダにシールリテーナーを適用して密閉された空間に圧縮ガスを充填させて既存のバックヘッドの役割を代替する目的がある。
【0012】
直線ベアリングブロック、ヒンジブロック、プッシュロード及びバルブ押し調節ロードを収容したそれぞれのモジュールが前進と後進する時の離脱を防止するブロックガイドを設置し、インパクトラムとラムブロックモジュールの直線誘導のために、多数の直線ベアリングブロック及び直線ベアリングガイドを設置してインパクトラムとラムブロックモジュールを安定的に往復移動させることに目的がある。
【0013】
また、シリンダブロックを分解組立てが可能な多面体にして、内部の消耗品の交換を容易にし、適時に消耗品を交換して長期間の使用にも最高の性能を維持することができるバックヘッドがない油圧ブレーカーを提供することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような技術的課題をなすための本発明の実施例によれば、多数のタップとボルトホール、ガス注入口及びオイル注入口が加工されメインコントロールバルブとパイロットバルブをつなぐ多数のパイロット流路ホールが穿孔されている板材、多面体の外部から流体の供給を受けるメインコントロールバルブ、多面体の内部の密閉された空間にはメインコントロールバルブを制御するパイロットバルブ、ラムブロックモジュールと一体に結合されるインパクトラム、インパクトラムが往復するラムシリンダ、メインコントロールバルブによって作動するそれぞれの複動シリンダ、それぞれの複動シリンダ内それぞれのピストンロードと一体に結合されるそれぞれのモジュール、それぞれのモジュールが前進と後進する時の離脱を防止するブロックガイド、それぞれのモジュールによって前進するインパクトラムとラムブロックモジュール、それぞれのモジュール及びインパクトラムとラムブロックモジュールを直線で誘導する直線ベアリングガイド、前進したインパクトラムとラムブロックモジュールを後進に押してインパクトを得させる充填された圧縮ガスを含むことができる。
【0015】
それぞれのモジュールが前進と後進する時の離脱を防止するブロックガイドをさらに含む。
【0016】
多面体に組立てられた板材の組立面をシーリング処理し、ラムシリンダにシールリテーナーを適用して密閉された空間に圧縮ガスを充填する。
【0017】
それぞれのモジュールは、直線ベアリングブロック、ヒンジブロック、プッシュロード及びバルブ押し調節ロードを含む。
【0018】
それぞれの複動シリンダは、ピストンロードに結合されたモジュールを含む。
【0019】
ヒンジブロックは、ラムブロックモジュールの突出部と当接する係止部を含む。
【0020】
パイロットバルブ内の2つのスプールは、シーソープレート軸を基準として二つのバルブ押し調節ロードが左右に突出するスプールを押す度にシーソープレートによって交差作動する。
【0021】
ヒンジブロックをラムブロックモジュールから分離させるリミットローラをさらに含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明によるバックヘッドがない油圧ブレーカーは、シリンダブロックを多面体形状で製作して、全体的な構造が縮小して製作費用を節減することができるだけでなく、分解組立てが容易で適時に消耗品を交換していつも最高の油圧ブレーカー性能を維持することができる。
【0023】
多面体の組立構造からなったラムシリンダにシールリテーナーを適用して密閉された空間には、圧縮ガスを充填させて排除されたバックヘッドの機能を充足する。
【0024】
また、インパクトピストンを、ピストン部がないインパクトラムタイプに構造変更して行程距離を増加させ油圧ブレーカーの衝撃力を向上させて作業能率を高め、燃費も減らすことができるだけでなく、直線ベアリングブロック及び直線ベアリングガイドを適用して、インパクトラムの長さを大幅に減縮させ、ラムシリンダには一ヶ所にのみシールリテーナーを使用して製作及び管理費用を節減する利点があるものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】従来の油圧ブレーカーの部位の形成図である。
【
図2】従来のピストンの行程区間を示した図である。
【
図3】本発明のバックヘッドがない油圧ブレーカーの側面構造図である。
【
図4】本発明のバックヘッドがない油圧ブレーカーの平面構造図である。
【
図5】本発明の第1ピストン後進完了の側面構造図である。
【
図6】本発明の第1ピストン前進時の側面構造図である。
【
図7】本発明の第1ピストン前進完了前の側面構造図である。
【
図8】本発明の第1ピストン前進完了時の側面構造図である。
【
図9】本発明のスプールの駆動方式を示した詳細図面である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付の図面を参照して本発明によるバックヘッドがない油圧ブレーカーの好ましい実施例を詳しく説明する。なお、下記で本発明を説明するにおいて、本発明の構成要素を指す用語は、それぞれの構成要素の機能を考慮して命名されたものであるため、本発明の技術的構成要素を限定する意味で理解されてはならないものである。
【0027】
図1ないし
図9を参照すると、本発明によるバックヘッドがない油圧ブレーカーは、掘削機等の建設機械に取付けて破砕、締固め、杭打ちのために使用されるもので、インパクトラム、ラムシリンダ、ラムブロックモジュール、複動シリンダ、モジュール、メインコントロールバルブ、パイロットバルブ、シールリテーナー(Seal retainer)、板材、締結タップ、直線ベアリングブロック、直線ベアリングガイド及びブロックガイドを含む。
【0028】
バックヘッドがない油圧ブレーカーは、多数の締結タップ7とボルトホール(図示なし)、ガス注入口、オイル注入口、オイル排出口(図示なし)等が加工された板材100を含み、多面体に組立てられた板材100の組立面をシーリング処理し、ラムシリンダ50にシールリテーナー80を適用して密閉された空間をつくりガスを充填させる。
【0029】
充填されたガスの圧力は、前進したインパクトラム40とラムブロックモジュール60を後進に急移動させて衝撃力を得る機能を行う。
【0030】
また、多面体に組立てられた板材100には、メインコントロールバルブ70とパイロットバルブ71を連結する多数のパイロット流路ホール6が穿孔されている。
【0031】
メインコントロールバルブ70は、外部から流体の供給を受けてパイロット流路ホール6を介して再び板材100の内部に供給し、板材100の内部空間には、メインコントロールバルブ70と複動シリンダ20、21を制御するパイロットバルブ71が収容される。
【0032】
図3及び
図4を参照すると、メインコントロールバルブ70から流体の供給を受けて前・後進で交差作動する第1、2ピストンロード10、11と、一体となった第1、2モジュール30、31により、一体となったインパクトラム40とラムブロックモジュール60は前進し、ガスの圧力によって急後進移動する。
【0033】
すなわち、一体となった第1ピストンロード10と第1モジュール30が前進時にインパクトラム40とラムブロックモジュール60を共に前進させ、前進したインパクトラム40とラムブロックモジュール60が後進すると、再び待機していた一体となった第2ピストンロード11と第2モジュール31が前進して一体となったインパクトラム40とラムブロックモジュール60を前進させる。
【0034】
さらに詳細に説明するために、
図5及び
図6を参照すると、第1、2モジュール30、31は、ヒンジブロック1、プッシュロード2、バルブ押し調節ロード5を含む(第2モジュール31もやはり第1モジュール30と同じ構成を含む)もので、直線ベアリングブロック90と一体となって前・後進時に直線ベアリングガイド91とブロックガイド92によって移動する。
【0035】
メインコントロールバルブ70によって第1ピストンロード10と共に第1モジュール30が前進し、第2ピストンロード11と共に第2モジュール31が後進するが、後進時に第2モジュール31内のヒンジブロック1がリミットロード3に密着して直立し、インパクトラム40とラムブロックモジュール60が後進する時の干渉をなくす。
【0036】
図6で、第2ピストンロード11が前進すると、第2モジュール31内のプッシュロード2がヒンジブロック1を押すことにより、ヒンジブロック1の係止部1aがラムブロックモジュール60の突出部60aに密着してインパクトラム40と前進し、
図7ないし
図9で、前進するヒンジブロック1がリミットローラ4に密着すると、前進によってヒンジブロック1に形成された傾斜面1cに沿って、リミットローラ4によってヒンジブロック1が直立しながらラムブロックモジュール60の突出部60aから分離し、一体となったインパクトラム40とラムブロックモジュール60が充填されたガスの圧力によって急後進移動しながら衝撃力を得るようになり、継続して前進する第2モジュール31内のバルブ押し調節ロード5がパイロットバルブ71内の突出したスプール72を押すと、パイロットバルブ71内のA、B流路が切換り、メインコントロールバルブ70の流路(図示なし)も切換って、一体となった第2ピストンロード11とモジュール31が後進すると同時に待機していた一体となった第1ピストンロード10と第1モジュール30が前進しながら、圧縮ガスによって後進した一体となったインパクトラム40とラムブロックモジュール60と共に前進して第2ピストンロード11及び第2モジュール31と同一の動作をすることにより、自動反復される。
【0037】
それぞれのヒンジブロック1は、それぞれのリミットロード3(1つは図示なし)に密着して直立する。
【0038】
また、パイロットバルブ71内の2つのスプール72は、シーソー原理により、シーソープレート軸72aを基準として二つのバルブ押し調節ロード5が左右で押す度にシーソープレート72bによって交差作動する。
【0039】
上記したような本発明の実施例で説明した技術的思想は、それぞれ独立的に実施されることができ、互いに組み合わされて実施されることができる。また、本発明は、図面及び発明の詳細な説明に記載された実施例を介して説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、これから多様な変形及び均等な他の実施例が可能である。したがって、本発明の技術的保護範囲は、添付された特許請求の範囲によって定められるべきものである。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、油圧ブレーカーであって、より詳細には、シリンダブロックが多面体の組立構造で、バックヘッドがない油圧ブレーカーに関するものである。
【0041】
本発明によるバックヘッドがない油圧ブレーカーは、シリンダブロックを多面体形状で製作して、全体的な構造が縮小して製作費用を節減することができるだけでなく、分解組立てが容易で適時に消耗品を交換していつも最高の油圧ブレーカー性能を維持することができる。
【0042】
多面体の組立構造からなったラムシリンダにシールリテーナーを適用して密閉された空間には、圧縮ガスを充填させて排除されたバックヘッドの機能を充足する。
【0043】
また、インパクトピストンを、ピストン部がないインパクトラムタイプに構造変更して行程距離を増加させ油圧ブレーカーの衝撃力を向上させて作業能率を高め、燃費も減らすことができるだけでなく、直線ベアリングブロック及び直線ベアリングガイドを適用して、インパクトラムの長さを大幅に減縮させ、ラムシリンダには一ヶ所にのみシールリテーナーを使用して製作及び管理費用を節減する利点があるものである。
【国際調査報告】