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特表2024-529297IL-2を有するチェックポイント阻害剤のコンジュゲート及びその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】IL-2を有するチェックポイント阻害剤のコンジュゲート及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 19/00 20060101AFI20240730BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20240730BHJP
   C07K 14/55 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 15/26 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240730BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20240730BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 38/20 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20240730BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 47/61 20170101ALI20240730BHJP
   A61K 47/60 20170101ALI20240730BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20240730BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 9/19 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 9/10 20060101ALN20240730BHJP
【FI】
C07K19/00 ZNA
C07K16/28
C07K14/55
C12N15/13
C12N15/26
C12N15/62 Z
C12P21/02 B
C12P21/08
C12P21/02 C
A61K38/20
A61K47/64
A61K39/395 Y
A61K47/61
A61K47/60
A61K47/54
A61K39/395 V
A61P35/00
A61K9/19
C12N9/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500136
(86)(22)【出願日】2022-07-09
(85)【翻訳文提出日】2024-03-05
(86)【国際出願番号】 IB2022056362
(87)【国際公開番号】W WO2023281480
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】63/219,985
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】522240265
【氏名又は名称】ブライト ピーク セラピューティクス エージー
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パタタビラマン,ウィジャヤ,ラーガヴァン
(72)【発明者】
【氏名】クレフト,ベルトルト
(72)【発明者】
【氏名】キャラロット,ジャン-フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】アルバレス サンチェス,ルーベン
【テーマコード(参考)】
4B064
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG05
4B064AG26
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA05
4C076AA30
4C076AA95
4C076BB13
4C076BB16
4C076BB29
4C076CC27
4C076DD01
4C076DD60
4C076EE06
4C076EE13
4C076EE16
4C076EE23
4C076EE30
4C076FF51
4C076FF61
4C076FF70
4C084AA02
4C084CA53
4C084CA59
4C084DA01
4C084DA12
4C084DA14
4C084MA44
4C084MA55
4C084MA60
4C084MA66
4C084NA13
4C084ZB26
4C085AA14
4C085AA16
4C085BB11
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG02
4C085GG04
4C085GG10
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA04
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA33
4H045FA50
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、修飾抗PD-L1ポリペプチド、修飾抗PD-L1ポリペプチドを含む組成物、それらを製造する方法、及び疾患の治療のために修飾抗PD-L1ポリペプチドを使用する方法に関する。一態様では、本開示は、修飾抗PD-L1ポリペプチドを使用する癌の治療に関する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
プログラム細胞死タンパク質リガンド1(PD-L1)に選択的に結合するポリペプチドと、
修飾IL-2ポリペプチドと、
リンカーであって、前記リンカーが、
前記修飾IL-2ポリペプチドの非末端残基に共有結合した第1の結合点、および
PD-L1に選択的に結合する前記ポリペプチドに共有結合した第2の結合点
を含む、リンカーと
を含む、組成物。
【請求項2】
組成物であって、
PD-L1に選択的に結合するポリペプチドと、
修飾IL-2ポリペプチドと、
リンカーであって、前記リンカーが、
前記修飾IL-2ポリペプチドに共有結合した第1の結合点、および
PD-L1に選択的に結合する前記ポリペプチドの非末端残基に共有結合した第2の結合点
を含む、リンカーと
を含む、組成物。
【請求項3】
組成物であって、
PD-L1に選択的に結合するポリペプチドと、
修飾IL-2ポリペプチドと、
リンカーであって、前記リンカーが、化学的リンカーであり、前記リンカーが、
前記修飾IL-2ポリペプチドに共有結合した第1の結合点、および
PD-L1に選択的に結合する前記ポリペプチドに共有結合した第2の結合点
を含む、リンカーと
を含む、組成物。
【請求項4】
前記第1の結合点が、前記修飾IL-2ポリペプチドのアミノ酸残基30~110の領域内の残基にあり、前記修飾IL-2ポリペプチドのアミノ酸残基位置ナンバリングが、参照配列としての配列番号1に基づく、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記第1の結合点が、アミノ酸残基35、37、38、41、42、43、44、45、60、61、62、64、65、68、69、71、72、104、105及び107からなる群から選択されるアミノ酸残基にあり、前記修飾IL-2ポリペプチドのアミノ酸残基位置ナンバリングが、参照配列としての配列番号1に基づく、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記第1の結合点がアミノ酸残基42又は45にあり、前記修飾IL-2ポリペプチドのアミノ酸残基位置ナンバリングが参照配列としての配列番号1に基づく、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記第1の結合点が、アミノ酸残基F42Y若しくはY45にあるか、又はN末端修飾にある、請求項2又は3に記載の組成物。
【請求項8】
前記IL-2ポリペプチドが、それに共有結合した非リンカーポリマーを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
PD-L1に選択的に結合する前記ポリペプチドが、Fc領域を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
PD-L1に選択的に結合する前記ポリペプチドが、抗PD-L1抗体又は抗原結合断片である、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記抗PD-L1抗体又は抗原結合断片がFc領域を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記第2の結合点が前記Fc領域中のアミノ酸残基にある、請求項9又は11に記載の組成物。
【請求項13】
前記Fc領域が、配列番号105のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項9、11、又は12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記第2の結合点が、配列番号105のアミノ酸残基10~110からなる群から選択されるアミノ酸残基にある、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記第2の結合点が、(a)配列番号105の25~35位のアミノ酸残基、(b)配列番号105の70~80位のアミノ酸残基、又は(c)配列番号105の95~105のアミノ酸残基である、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
第2の位置結合点が、K246アミノ酸残基、K248アミノ酸残基、K288アミノ酸残基、K317アミノ酸残基、又はそれらの組合せ(Euナンバリング)の位置の前記Fc領域にある、請求項9又は11~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記第2の結合点が前記K248アミノ酸残基にある、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
PD-L1に選択的に結合する前記ポリペプチドが、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、移植抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、脱免疫化抗体、又は二重特異性抗体である、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
PD-L1に選択的に結合する前記ポリペプチドが抗原結合断片であり、前記抗原結合断片が、Fab、Fab’、F(ab’)、二重特異性F(ab’)、三重特異性F(ab’)、可変断片(Fv)、一本鎖可変断片(scFv)、dsFv、二重特異性scFv、可変重鎖ドメイン、可変軽鎖ドメイン、可変NARドメイン、二重特異性scFv、AVIMER(登録商標)、ミニボディ、ダイアボディ、二重特異性ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、マキシボディ、ラクダ状体、VHH、ミニボディ、イントラボディ、抗体部分(ドメイン抗体)を含む融合タンパク質、一本鎖結合ポリペプチド、scFv-Fc、Fab-Fc、二重特異性T細胞エンゲージャ(BiTE)、四価タンデムダイアボディ(TandAb)、二重親和性再標的化抗体(DART)、二重特異性抗体(bscAb)、単一ドメイン抗体(sdAb)、融合タンパク質、又は二重特異性ジスルフィド安定化Fv抗体断片(dsFv-dsFv’)を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
PD-L1に選択的に結合する前記ポリペプチドが、IgG、IgM、IgE、IgA、IgDを含むか、又はそれらに由来する、請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
PD-L1に選択的に結合する前記ポリペプチドが前記IgGを含み、前記IgGがIgG1、IgG4であるか、又はそれに由来する、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
PD-L1に選択的に結合する前記ポリペプチドが、アベルマブ(Bavencio、451238、KXG2PJ551I、MSB-0010682、MSB-0010718C、PF-06834635、CAS1537032-82-8)、デュルバルマブ(イミフィンジ、28X28X9OKV(UNIIコード)、MEDI-4736、CAS1428935-60-7)、アテゾリズマブ(Tecentriq、52CMI0WC3Y、MPDL-3280A、RG-7446、RO-5541267、CAS1380723-44-3)、スゲマリマブ(CS-1001、WBP-3155)、KN-046(CAS2256084-03-2)、APL-502(CBT-502、TQB-2450)、エンバホリマブ(3D-025、ASC-22、KN-035、hu56V1-Fc-m1、CAS2102192-68-5)、Bintrafusp alfa(M-7824、MSB-0011359C、NW9K8C1JN3、CAS1918149-01-5)、STI-1014(STI-A1014、ZKAB-001)、PD-L1 t-haNK、A-167(HBM-9167、KL-A167)、IMC-001(STI-3031、STI-A-1015、STI-A1015、s)、HTI-1088(SHR-1316)、IO-103、CX-072(CytomX Therapeutics)、AUPM-170(CA-170)、GS-4224、ND-021(NM21-1480、PRO-1480)、BNT-311(DuoBody-PD-L1x4-1BB、GEN-1046)、BGB-A333、IBI-322、NM-01、LY-3434172、LDP、CDX-527、IBI-318、89Zr-DFO-REGN3504、ALPN-202(CD80 vIgD-Fc)、INCB-086550、LY-3415244、SHR-1701、JS-003(JS003-30、JS003-SD)、HLX-20(PL2#3)、ES-101(INBRX-105、INBRX-105-1)、MSB-2311、PD-1-Fc-OX40L(SL-279252、TAK-252)、FS-118、FS118 mAb2、LAG-3/PD-L1 mAb2)、FAZ-053(LAE-005)、ロダポリマブ(LY-3300054、NR4MAD6PPB、CAS2118349-31-6)、MCLA-145、BMS-189、コシベリマブ(CK-301、TG-1501、CAS2216751-26-5)、IL-15Ralpha-SD/IL-15(KD-033)、WP-1066(CAS857064-38-1)、BMS-936559(MDX-1105)、BMS-986192、RC-98、CD-200AR-L(CD200AR-L)、ATA-3271、IBC-Ab002、BMX-101、AVA-04-VbP、ACE-1708、KY-1043、ACE-05(YBL-013)、ONC-0055(ONC0055、PRS-344 S-095012)、TLJ-1-CK、GR-1405、PD1ACR-T、N-809(N-IL15/PDL1)、CB-201、MEDI-1109、AVA-004(AVA-04)、CA-327、ALN-PDL、KY-1003、CD22(aPD-L1)CAR-T細胞(SL-22P)、ATA-2271(M28z1XXPD1DNR CAR T細胞)を含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
PD-L1に選択的に結合する前記ポリペプチドが、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、又はアベルマブを含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
PD-L1に選択的に結合する前記ポリペプチドが、表1のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
前記第2の結合点が、PD-L1に選択的に結合する前記ポリペプチド上のリジン残基に対するものである、請求項1~24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
前記第2の結合点が、PD-L1に選択的に結合する前記ポリペプチドの非末端アミノ酸残基にある、請求項1~25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
前記リンカーがポリマーを含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
前記ポリマーが水溶性ポリマーを含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記水溶性ポリマーが、ポリ(アルキレンオキシド)、多糖類、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリオキサゾリン、ポリ(アクリロイルモルホリン)、又はそれらの組合せを含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記ポリマーが、少なくとも約0.1kDa、少なくとも約0.5kDa、又は少なくとも約1kDaの重量平均分子量を有する、請求項27~29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
前記リンカーが、前記第1の結合点と前記第2の結合点との間に少なくとも50個の原子の鎖を含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
前記リンカーが、構造:
【化1】
であって、
【化2】
が、PD-L1に選択的に結合する前記ポリペプチドのリジン残基への前記第1の結合点であり、
Lが連結基であり、
【化3】
が、前記第1の結合点に接続する連結基への結合点である、構造を含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
前記修飾IL-2ポリペプチドが、それに共有結合した非リンカーポリマーを含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
前記非リンカーポリマーが、アミノ酸残基35、37、38、41、42、43、44、45、60、61、62、64、65、68、69、71、72、104、105及び107からなる群から選択されるN末端アミノ酸残基に結合している、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
PD-L1に選択的に結合する前記ポリペプチドが異種抗体又は抗原結合断片を含む、請求項1~34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
前記異種抗体又は抗原結合断片がリンカーを更に含み、前記リンカーが、(GS)(配列番号24)、(GGS)(配列番号25)、(GGGS)(配列番号26)、(GGSG)(配列番号27)、又は(GGSGG)(配列番号28)、(GGGGS)(配列番号29)を含み、nが1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10である、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
組成物であって、
アミノ酸残基42に結合した第1のポリマーであって、修飾IL-2ポリペプチドのアミノ酸残基位置ナンバリングが、参照配列としての配列番号1に基づく、第1のポリマーを含む、IL-2ポリペプチドと、
プログラム細胞死タンパク質リガンド1(PD-L1)に選択的に結合するポリペプチドと
を含む、組成物。
【請求項38】
PD-L1に選択的に結合する前記ポリペプチドが、抗PD-L1抗体又は抗原結合断片である、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
PD-L1に選択的に結合する前記ポリペプチドが、モノクローナル、ヒト化、移植、キメラ、ヒト、脱免疫化、又は二重特異性である、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
PD-L1に選択的に結合する前記ポリペプチドが、Fab、Fab’、F(ab’)、二重特異性F(ab’)、三重特異性F(ab’)、可変断片(Fv)、一本鎖可変断片(scFv)、dsFv、二重特異性scFv、可変重鎖ドメイン、可変軽鎖ドメイン、可変NARドメイン、二重特異性scFv、AVIMER(登録商標)、ミニボディ、ダイアボディ、二重特異性ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、マキシボディ、ラクダ状体、VHH、ミニボディ、イントラボディ、抗体部分(ドメイン抗体)を含む融合タンパク質、一本鎖結合ポリペプチド、scFv-Fc、Fab-Fc、二重特異性T細胞エンゲージャ(BiTE)、四価タンデムダイアボディ(TandAb)、二重親和性再標的化抗体(DART)、二重特異性抗体(bscAb)、単一ドメイン抗体(sdAb)、融合タンパク質、二重特異性ジスルフィド安定化Fv抗体断片(dsFv-dsFv’)を含む、請求項37~39のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項41】
PD-L1に選択的に結合する前記ポリペプチドが、IgG、IgM、IgE、IgA、IgDを含むか、又はそれらに由来する、請求項37~40のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項42】
PD-L1に選択的に結合する前記ポリペプチドが前記IgGを含み、前記IgGがIgG1、IgG4を含むか、又はそれに由来する、請求項40に記載の組成物。
【請求項43】
PD-L1に選択的に結合する前記ポリペプチドが、アベルマブ(Bavencio、451238、KXG2PJ551I、MSB-0010682、MSB-0010718C、PF-06834635、CAS1537032-82-8)、デュルバルマブ(イミフィンジ、28X28X9OKV(UNIIコード)、MEDI-4736、CAS1428935-60-7)、アテゾリズマブ(Tecentriq、52CMI0WC3Y、MPDL-3280A、RG-7446、RO-5541267、CAS1380723-44-3)、スゲマリマブ(CS-1001、WBP-3155)、KN-046(CAS2256084-03-2)、APL-502(CBT-502、TQB-2450)、エンバホリマブ(3D-025、ASC-22、KN-035、hu56V1-Fc-m1、CAS2102192-68-5)、Bintrafusp alfa(M-7824、MSB-0011359C、NW9K8C1JN3、CAS1918149-01-5)、STI-1014(STI-A1014、ZKAB-001)、PD-L1 t-haNK、A-167(HBM-9167、KL-A167)、IMC-001(STI-3031、STI-A-1015、STI-A1015、s)、HTI-1088(SHR-1316)、IO-103、CX-072(CytomX Therapeutics)、AUPM-170(CA-170)、GS-4224、ND-021(NM21-1480、PRO-1480)、BNT-311(DuoBody-PD-L1x4-1BB、GEN-1046)、BGB-A333、IBI-322、NM-01、LY-3434172、LDP、CDX-527、IBI-318、89Zr-DFO-REGN3504、ALPN-202(CD80 vIgD-Fc)、INCB-086550、LY-3415244、SHR-1701、JS-003(JS003-30、JS003-SD)、HLX-20(PL2#3)、ES-101(INBRX-105、INBRX-105-1)、MSB-2311、PD-1-Fc-OX40L(SL-279252、TAK-252)、FS-118、FS118 mAb2、LAG-3/PD-L1 mAb2)、FAZ-053(LAE-005)、ロダポリマブ(LY-3300054、NR4MAD6PPB、CAS2118349-31-6)、MCLA-145、BMS-189、コシベリマブ(CK-301、TG-1501、CAS2216751-26-5)、IL-15Ralpha-SD/IL-15(KD-033)、WP-1066(CAS857064-38-1)、BMS-936559(MDX-1105)、BMS-986192、RC-98、CD-200AR-L(CD200AR-L)、ATA-3271、IBC-Ab002、BMX-101、AVA-04-VbP、ACE-1708、KY-1043、ACE-05(YBL-013)、ONC-0055(ONC0055、PRS-344 S-095012)、TLJ-1-CK、GR-1405、PD1ACR-T、N-809(N-IL15/PDL1)、CB-201、MEDI-1109、AVA-004(AVA-04)、CA-327、ALN-PDL、KY-1003、CD22(aPD-L1)CAR-T細胞(SL-22P)、ATA-2271(M28z1XXPD1DNR CAR T細胞)を含む、請求項37~42のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項44】
PD-L1に選択的に結合する前記ポリペプチドが、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、又はアベルマブを含む、請求項37~43のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項45】
PD-L1に選択的に結合する前記ポリペプチドが、表1のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む、請求項37~44のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項46】
前記第1のポリマーが、第2の結合点でPD-L1に選択的に結合する前記ポリペプチドに共有結合される、請求項37~45のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項47】
PD-L1に選択的に結合する前記ポリペプチドがFc領域を含む、請求項37~46のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項48】
前記第2の結合点が前記Fc領域中のアミノ酸残基にある、請求項47に記載の組成物。
【請求項49】
前記Fc領域が、配列番号105の前記アミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項47又は48に記載の組成物。
【請求項50】
前記第2の結合点が、配列番号105の前記アミノ酸配列セットのアミノ酸残基10~110からなる群から選択されるアミノ酸残基にある、請求項49に記載の組成物。
【請求項51】
前記第2の結合点が、(a)配列番号105の25~35位のアミノ酸残基、(b)配列番号105の70~80位のアミノ酸残基、又は(c)配列番号105の95~105のアミノ酸残基である、請求項46~50のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項52】
前記第1のポリマーが約200~約2000ダルトンの重量平均分子量を有する、請求項37~51のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項53】
前記第1のポリマーが水溶性ポリマーを含む、請求項37~52のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項54】
前記第1のポリマーが、ポリ(アルキレンオキシド)、多糖類、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリオキサゾリン、ポリ(アクリロイルモルホリン)、又はそれらの組合せを含む、請求項37~53のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項55】
前記第1のポリマーがポリ(アルキレンオキシド)を含む、請求項54に記載の組成物。
【請求項56】
前記修飾IL-2ポリペプチドが、前記IL-2ポリペプチドに共有結合した第2のポリマーを更に含む、請求項37~55のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項57】
前記第2のポリマーが、前記Fc領域のアミノ酸残基35、37、38、41、43、44、45、60、61、62、64、65、68、69、71、72、104、105及び107からなる群から選択されるN末端アミノ酸残基に共有結合される、請求項56に記載の組成物。
【請求項58】
前記第2のポリマーが前記IL-2ポリペプチドの残基45に共有結合される、請求項56又は57に記載の組成物。
【請求項59】
前記第2のポリマーが、前記IL-2ポリペプチドの残基Y45に共有結合される、請求項56~58のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項60】
前記第2のポリマーが、第2の結合点でPD-L1に選択的に結合する前記ポリペプチドに共有結合される、請求項56~59のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項61】
前記第2のポリマーが、少なくとも約500ダルトン、少なくとも約1000ダルトン、少なくとも約2000ダルトン、少なくとも約3000ダルトン、少なくとも約4000ダルトン、少なくとも約5000ダルトン、又は少なくとも約6000ダルトンの重量平均分子量を有する、請求項56~60のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項62】
前記第2のポリマーが、少なくとも約120ダルトン、少なくとも約250ダルトン、少なくとも約300ダルトン、少なくとも約400ダルトン、少なくとも約500ダルトン、少なくとも約1000ダルトン、少なくとも約2000ダルトン、少なくとも約3000ダルトン、少なくとも約4000ダルトン、少なくとも約5000ダルトン、又は少なくとも約6000ダルトンの重量平均分子量を有する、請求項56~61のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項63】
PD-L1に選択的に結合するポリペプチドが異種抗体又は抗原結合断片を含む、請求項37~62のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項64】
前記異種抗体又は抗原結合断片がリンカーを更に含み、前記リンカーが、(GS)(配列番号24)、(GGS)(配列番号25)、(GGGS)(配列番号26)、(GGSG)(配列番号27)、又は(GGSGG)(配列番号28)、(GGGGS)(配列番号29)を含み、nが1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10である、請求項63に記載の組成物。
【請求項65】
組成物であって、
(a)配列番号105と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むFc領域を含む、抗PD-L1抗体又は抗原結合断片と、
(b)1つ以上のリンカーであって、
(i)配列番号105の30~40位
(ii)配列番号105の70~80位、及び
(iii)配列番号105の95~105位
からなる群から選択されるアミノ酸残基において前記Fc領域に共有結合した1つ以上のリンカーと、
(c)前記リンカーに共有結合した1つ以上のサイトカインと
を含む、組成物。
【請求項66】
前記アミノ酸残基が、リジン、チロシン、トリプトファン、又はシステインである、請求項65に記載の組成物。
【請求項67】
前記アミノ酸残基がリジン残基である、請求項65又は66に記載の組成物。
【請求項68】
前記抗PD-L1抗体又は抗原結合断片が、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、移植抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、脱免疫化抗体、又は二重特異性抗体である、請求項65~67のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項69】
前記抗PD-L1抗体又は抗原結合断片が、IgG、IgM、IgE、IgA、IgDを含むか、又はそれらに由来する、請求項65~68のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項70】
前記抗PD-L1抗体又は抗原結合断片が前記IgGを含み、前記IgGがIgG1、IgG4を含むか、又はそれに由来する、請求項69に記載の組成物。
【請求項71】
前記抗PD-L1抗体又は抗原結合断片が、アベルマブ(Bavencio、451238、KXG2PJ551I、MSB-0010682、MSB-0010718C、PF-06834635、CAS1537032-82-8)、デュルバルマブ(イミフィンジ、28X28X9OKV(UNIIコード)、MEDI-4736、CAS1428935-60-7)、アテゾリズマブ(Tecentriq、52CMI0WC3Y、MPDL-3280A、RG-7446、RO-5541267、CAS1380723-44-3)、スゲマリマブ(CS-1001、WBP-3155)、KN-046(CAS2256084-03-2)、APL-502(CBT-502、TQB-2450)、エンバホリマブ(3D-025、ASC-22、KN-035、hu56V1-Fc-m1、CAS2102192-68-5)、Bintrafusp alfa(M-7824、MSB-0011359C、NW9K8C1JN3、CAS1918149-01-5)、STI-1014(STI-A1014、ZKAB-001)、PD-L1 t-haNK、A-167(HBM-9167、KL-A167)、IMC-001(STI-3031、STI-A-1015、STI-A1015、s)、HTI-1088(SHR-1316)、IO-103、CX-072(CytomX Therapeutics)、AUPM-170(CA-170)、GS-4224、ND-021(NM21-1480、PRO-1480)、BNT-311(DuoBody-PD-L1x4-1BB、GEN-1046)、BGB-A333、IBI-322、NM-01、LY-3434172、LDP、CDX-527、IBI-318、89Zr-DFO-REGN3504、ALPN-202(CD80 vIgD-Fc)、INCB-086550、LY-3415244、SHR-1701、JS-003(JS003-30、JS003-SD)、HLX-20(PL2#3)、ES-101(INBRX-105、INBRX-105-1)、MSB-2311、PD-1-Fc-OX40L(SL-279252、TAK-252)、FS-118、FS118 mAb2、LAG-3/PD-L1 mAb2)、FAZ-053(LAE-005)、ロダポリマブ(LY-3300054、NR4MAD6PPB、CAS2118349-31-6)、MCLA-145、BMS-189、コシベリマブ(CK-301、TG-1501、CAS2216751-26-5)、IL-15Ralpha-SD/IL-15(KD-033)、WP-1066(CAS857064-38-1)、BMS-936559(MDX-1105)、BMS-986192、RC-98、CD-200AR-L(CD200AR-L)、ATA-3271、IBC-Ab002、BMX-101、AVA-04-VbP、ACE-1708、KY-1043、ACE-05(YBL-013)、ONC-0055(ONC0055、PRS-344 S-095012)、TLJ-1-CK、GR-1405、PD1ACR-T、N-809(N-IL15/PDL1)、CB-201、MEDI-1109、AVA-004(AVA-04)、CA-327、ALN-PDL、KY-1003、CD22(aPD-L1)CAR-T細胞(SL-22P)、ATA-2271(M28z1XXPD1DNR CAR T細胞)を含む、請求項65~70のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項72】
前記抗PD-L1抗体又は抗原結合断片が、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、又はアベルマブを含む、請求項65~71のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項73】
前記抗PD-L1抗体又は抗原結合断片が、表1のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項65~72のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項74】
前記1つ以上のサイトカインが、IL-2ポリペプチド、IL-7ポリペプチド、IL-18ポリペプチド又はそれらの組合せを含む、請求項65~70のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項75】
前記1つ以上のサイトカインが、修飾IL-2ポリペプチド、修飾IL-7ポリペプチド、修飾IL-18ポリペプチド又はそれらの組合せを含む、請求項74に記載の組成物。
【請求項76】
前記リンカーが、前記IL-2ポリペプチド、前記IL-7ポリペプチド、前記IL-18ポリペプチド、前記修飾IL-2ポリペプチド、前記修飾IL-7ポリペプチド、前記修飾IL-18ポリペプチド又はそれらの組合せの非末端残基に共有結合される、請求項75に記載の組成物。
【請求項77】
前記リンカーが、35、37、38、41、43、44、45、60、61、62、64、65、68、69、71、72、104、105及び107からなる群から選択されるアミノ酸残基に共有結合され、前記修飾IL-2ポリペプチドのアミノ酸残基位置ナンバリングが、参照配列としての配列番号1に基づく、請求項75又は76に記載の組成物。
【請求項78】
前記リンカーが、アミノ酸残基45に共有結合され、前記修飾IL-2ポリペプチドのアミノ酸残基位置ナンバリングが、参照配列としての配列番号1に基づく、請求項74~77のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項79】
前記リンカーが、前記抗PD-L1抗体又は抗原結合断片の前記アミノ酸配列中のチロシン残基に共有結合される、請求項78に記載の組成物。
【請求項80】
前記修飾IL-2ポリペプチド、前記修飾IL-7ポリペプチド、前記修飾IL-18ポリペプチド又はそれらの組合せが、それに共有結合した非リンカーポリマーを含む、請求項75~79のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項81】
前記非リンカーポリマーが、35、37、38、41、42、43、44、45、60、61、62、64、65、68、69、71、72、104、105及び107からなる群から選択されるN末端アミノ酸残基に結合しており、前記修飾IL-2ポリペプチドのアミノ酸残基位置ナンバリングが、参照配列としての配列番号1に基づく、請求項80に記載の組成物。
【請求項82】
前記リンカーがポリマーを含む、請求項65~81のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項83】
前記ポリマーが水溶性ポリマーである、請求項82に記載の組成物。
【請求項84】
前記水溶性ポリマーが、ポリ(アルキレンオキシド)、多糖類、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリオキサゾリン、ポリ(アクリロイルモルホリン)、又はそれらの組合せを含む、請求項83に記載の組成物。
【請求項85】
前記ポリマーが、前記第1の結合点と前記第2の結合点との間に少なくとも50個の原子の鎖を含む、請求項82~84のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項86】
前記ポリマーが、少なくとも約0.5kDa、少なくとも約1kDa、少なくとも約5kDa、少なくとも約10kDa、少なくとも約20kDa、又は少なくとも約30kDaの重量平均分子量を有する、請求項82~85のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項87】
前記修飾IL-2ポリペプチドが、配列番号3~23のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、請求項75~86のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項88】
前記1つ以上のサイトカインが、2つの同じ修飾IL-2ポリペプチド、2つの異なる修飾IL-2ポリペプチド、修飾IL-2ポリペプチド及び修飾IL-7ポリペプチド、修飾IL-2ポリペプチド及び修飾IL-18ポリペプチド、又は修飾IL-7ポリペプチド及び修飾IL-18ポリペプチドを含む、請求項75~87のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項89】
PD-L1又は前記抗PD-L1抗体若しくは抗原結合断片に選択的に結合するポリペプチドが、組換えポリペプチド又は合成ポリペプチドを含む、請求項1~88のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項90】
a)請求項1~89のいずれか一項に記載の組成物、及び
b)1つ以上の薬学的に許容される担体又は賦形剤
を含む、医薬組成物。
【請求項91】
非経口投与又は経腸投与のために製剤化される、請求項90に記載の医薬組成物。
【請求項92】
静脈内又は皮下投与用に製剤化される、請求項90又は91に記載の医薬組成物。
【請求項93】
凍結乾燥形態にある、請求項90~92のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項94】
前記1つ以上の薬学的に許容される担体又は賦形剤が、糖質、無機塩、抗酸化剤、界面活性剤、緩衝剤、又はそれらの任意の組合せのそれぞれの1つ以上を含む、請求項90~93のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項95】
1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上の賦形剤を含む、請求項90~94のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項96】
癌の治療を必要とする対象において癌を治療する方法であって、有効量の請求項1~89のいずれか一項に記載の組成物又は請求項90~95のいずれか一項に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項97】
前記癌が癌腫、肉腫、又はそれらの組合せである、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記癌が前記癌腫であり、前記癌腫が、皮膚扁平上皮癌(CSCC)、尿路上皮癌(UC)、腎細胞癌(RCC)、肝細胞癌(HCC)、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)、食道扁平上皮癌(ESCC)、胃食道接合部(GEJ)癌、子宮内膜癌(EC)、メルケル細胞癌(MCC)、又はそれらの組合せを含む、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記癌が、黒色腫、肺癌、膀胱癌(BC)、マイクロサテライト不安定性高(MSI-H)/ミスマッチ修復欠損(dMMR)固形腫瘍、腫瘍変異負荷高(TMB-H)固形腫瘍、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、胃癌(GC)、子宮頸癌(CC)、胸膜中皮腫(PM)、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)、縦隔原発B細胞性大細胞型リンパ腫(PMBCL)、又はそれらの組合せである、請求項96に記載の方法。
【請求項100】
a)PD-L1に選択的に結合するポリペプチドの特定の残基に反応性基を共有結合させることと、
b)前記反応性基をサイトカインに結合した相補的反応性基と接触させることと、
c)組成物を形成することと
を含む、請求項1~89のいずれか一項に記載の組成物を製造する方法。
【請求項101】
組成物を作製する方法であって、前記組成物が、
プログラム細胞死タンパク質リガンド1(PD-L1)に選択的に結合するポリペプチド、
修飾IL-2ポリペプチド、ならびに
リンカーであって、前記リンカーが、
前記修飾IL-2ポリペプチドの非末端残基に共有結合した第1の結合点、及び
PD-L1に選択的に結合する前記ポリペプチドに共有結合した第2の結合点を含む、リンカー、
を含み、前記方法が、
a)カップリング酵素の存在下でリンカーと反応性である少なくとも1つの受容体アミノ酸残基を有する抗PD-L1抗体又は抗原結合断片を提供することと、
b)前記少なくとも1つの受容体アミノ酸残基と前記リンカーとの間の共有結合の形成を引き起こすことができる酵素の存在下で、前記抗体又は抗原結合断片を、反応性基(R)を含み第1級アミンを含むリンカーと反応させることと
を含み、
前記共有結合がR部分には存在せず、前記方法が、前記少なくとも1つの受容体アミノ酸残基が前記リンカーを介して前記反応性基に共有結合を形成するのに十分な条件下で実施され、前記共有結合が前記リンカーの前記第2の結合点を含む、
方法。
【請求項102】
前記酵素がトランスアミナーゼを含む、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記酵素がトランスグルタミナーゼを含む、請求項101に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2021年7月9日に出願された米国仮出願第63/219,985号の利益を主張し、この出願は、その全体が参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
2021年には、米国で推定180万人の新規癌症例が診断され、60万人を超える人々がこの疾患で死亡する。免疫療法は、疾患の治療を支援するために対象の免疫系を利用する。免疫療法は、治療される疾患の性質に応じて免疫系を活性化又は抑制するように設計することができる。癌の治療のための様々な免疫療法の目標は、免疫系を刺激して、腫瘍又は他の癌性組織を認識し、破壊することである。
【0003】
プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)は、免疫系を下方制御し、T細胞炎症活性を抑制することによって自己寛容を促進することによって、人体の細胞に対する免疫系の応答を制御する細胞表面のタンパク質である。プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)は、免疫系の適応アームを抑制する1型膜貫通タンパク質である。PD-1及びPD-L1経路は、内因性免疫抗腫瘍活性に応答して腫瘍細胞によって発揮される適応免疫系耐性機構を表す。PD-1及びPD-L1阻害剤、例えば抗PD-1及び抗PD-L1は、PD-1及びPD-L1免疫チェックポイントタンパク質の活性を遮断するチェックポイント阻害剤抗癌剤である。しかしながら、単一機構療法単独では、多くの場合、癌を治療するには不十分である。したがって、癌治療のための改善されたツールが必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
抗プログラム細胞死タンパク質リガンド1(PD-L1)-インターロイキン2(IL2)イムノコンジュゲート(PDL1-IL2)及びその使用が本明細書に記載される。
【0005】
一態様では、プログラム細胞死タンパク質リガンド1(PD-L1)に選択的に結合するポリペプチド、修飾IL-2ポリペプチド、及びリンカーを含む、組成物であって、リンカーが、修飾IL-2ポリペプチドの非末端残基に共有結合した第1の結合点、及びPD-L1に選択的に結合するポリペプチドに共有結合した第2の結合点を含む、組成物が本明細書に記載される。
【0006】
一態様では、PD-L1に選択的に結合するポリペプチド、修飾IL-2ポリペプチド、及びリンカーを含む、組成物であって、リンカーが、修飾IL-2ポリペプチドに共有結合した第1の結合点、及びPD-L1に選択的に結合するポリペプチドの非末端残基に共有結合した第2の結合点を含む、組成物が本明細に記載される。
【0007】
別の態様では、PD-L1に選択的に結合するポリペプチド、修飾IL-2ポリペプチド及び化学的リンカーを含む組成物であって、化学的リンカーが、修飾IL-2ポリペプチドに共有結合した第1の結合点、及びPD-L1に選択的に結合するポリペプチドに共有結合した第2の結合点を含む、組成物が本明細書に記載される。
【0008】
別の態様では、PD-L1に選択的に結合するポリペプチド、修飾IL-2ポリペプチド、及び化学的リンカーを含む組成物であって、化学的リンカーが、修飾IL-2ポリペプチドに共有結合した第1の結合点、及びPD-L1に選択的に結合するポリペプチドに共有結合した第2の結合点を含み、修飾IL-2ポリペプチドはIL-2受容体βサブユニットに向かって偏向されている、組成物が本明細書に記載される。
【0009】
別の態様では、アミノ酸残基42に結合した第1のポリマーであって、修飾IL-2ポリペプチドのアミノ酸残基位置ナンバリングが、参照配列としての配列番号1に基づく、第1のポリマーを含む、IL-2ポリペプチドと、プログラム細胞死タンパク質リガンド1(PD-L1)に選択的に結合するポリペプチドとを含む、組成物が本明細書に記載される。
【0010】
別の態様では、(a)プログラム細胞死タンパク質リガンド1(PD-L1)に選択的に結合し、Fc領域を含み、Fc領域が配列番号105と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む、抗体又は抗原結合断片、(b)(i)配列番号105の25~35位、(ii)配列番号105の72~74位、(iii)配列番号105の101位からなる群から選択されるアミノ酸残基においてFc領域に共有結合される1つ以上のリンカー、及び(c)リンカーに共有結合した1つ以上のサイトカインを含む組成物が本明細書に記載される。
【0011】
別の態様では、(a)PD-L1に選択的に結合し、Fc領域を含む、抗体又はその抗原結合断片、(b)K246、K248、K288、K290及びK317(Euナンバリング)からなる群から選択されるアミノ酸残基においてFc領域に共有結合した1つ以上のリンカー、及び(c)1つ以上のリンカーに共有結合した1つ以上のサイトカインを含む組成物が本明細書に記載される。
【0012】
PD-L1に選択的に結合するポリペプチドは、例えば、抗体等の組換えタンパク質、又は合成タンパク質であり得る。
【0013】
別の態様では、a)本明細書に記載される組成物、及びb)1つ以上の薬学的に許容され得る担体又は賦形剤を含む医薬組成物が本明細書に記載される。
【0014】
別の態様では、癌の治療を必要とする対象において癌を治療する方法であって、有効量の本明細書に記載の任意の組成物又は本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む方法が本明細書に記載される。
【0015】
別の態様では、本明細書に記載の組成物を製造する方法であって、a)PD-L1に選択的に結合するポリペプチドの特定の残基に反応性基を共有結合させることと、b)反応性基をサイトカインに結合した相補的反応性基と接触させることと、c)組成物を形成することと、を含む方法が本明細書に記載される。
【0016】
別の態様では、組成物を作製する方法であって、組成物が、プログラム細胞死タンパク質リガンド1(PD-L1)に選択的に結合するポリペプチド、修飾IL-2ポリペプチド、及びリンカーを含み、リンカーは、修飾IL-2ポリペプチドの非末端残基に共有結合した第1の結合点、及びPD-L1に選択的に結合するポリペプチドに共有結合した第2の結合点を含み、方法は、a)カップリング酵素の存在下でリンカーと反応性である少なくとも1つの受容体アミノ酸残基を有するPD-L1に選択的に結合するポリペプチドを提供することと、b)PD-L1に選択的に結合する当該ポリペプチドを、第1級アミンを含むリンカーであって、反応性基(R)を含むリンカーと、少なくとも1つの受容体アミノ酸残基とリンカーとの間に共有結合を形成させることができる酵素の存在下で反応させることと、を含み、共有結合がR部分には存在せず、少なくとも1つの受容体アミノ酸残基がリンカーを介して反応性基に共有結合を形成するのに十分な条件下で実施され、共有結合がリンカーの第2の結合点を含む、組成物を作製する方法が本明細書に記載される。
【0017】
別の態様では、PD-L1に選択的に結合するポリペプチド、修飾IL-2ポリペプチド、及びリンカーを含む組成物を作製する、方法であって、リンカーは、修飾IL-2ポリペプチドの残基に共有結合した第1の結合点、及びPD-L1に選択的に結合するポリペプチドに共有結合した第2の結合点を含み、方法は、a)官能化Fc結合親和性ペプチドの存在下でリンカー前駆体と反応性である少なくとも1つの受容体アミノ酸残基を有するPD-L1に選択的に結合するポリペプチドを提供することと、b)PD-L1に選択的に結合する当該ポリペプチドを、受容体アミノ酸残基と結合を形成することができる反応性基(R)を含むリンカー前駆体と反応させることと、を含み、方法が、少なくとも1つの受容体アミノ酸残基に、リンカーを介して反応性基と共有結合を形成させるのに十分な条件下で行われ、共有結合が、リンカーの第2の結合点を含む、方法が本明細書に記載される。
【0018】
本開示の更なる態様及び利点は、本開示の例示的な実施形態のみが示され説明される以下の詳細な説明から当業者には容易に明らかになるであろう。理解されるように、本開示は、他の様々な実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細は、全て本開示から逸脱することなく、種々の明白な点で修正が可能である。したがって、図面及び説明は、本質的に例示と見なされるべきであり、限定と見なされるべきではない。
【0019】
参照による組み込み
本明細書で言及される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、あたかも各個々の刊行物、特許、又は特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる刊行物及び特許若しくは特許出願が本明細書に含まれる開示と矛盾する限り、本明細書は、そのような矛盾する材料に取って代わる及び/又は優先することを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1A】本開示の抗PD-L1-IL-2免疫サイトカイン、並びにIL2Rβ/γの上方制御及びPD-1/PDL1経路の遮断を介した抗PDL1-IL-2免疫サイトカインと活性化T細胞との相互作用を示す図である。
図1B】本明細書中に提供されるコンジュゲーション可能なIL-2ポリペプチドである組成物ABの3D表現を示す図である。
図2A】1つ又は2つのコンジュゲーションハンドルを導入するためのAJICAP技術による抗PDL1抗体の部位選択的修飾を示す図である。
図2B】非修飾デュルバルマブ(上)及びDBCOコンジュゲーションハンドルを有するデュルバルマブ(下)のQ-TOF質量スペクトルを示す図である。
図2C】DAR1、DAR2又は1~2の混合DARを有するPDL1-IL2を生成するためのIL2サイトカインの部位選択的コンジュゲーション反応を示す図である。
図2D】DAR1、DAR2又は1~2の混合DARのいずれかを有するPDL1-IL2免疫サイトカインを示す図である。
図2E】1~2の混合DARを有するPDL1-IL2免疫サイトカインのインタクトRP-HPLCトレースを示す図である。
図2F】PDL1-IL2免疫サイトカインのSEC-HPLCトレースを示す図であり、1~2の混合DAR、凝集したHMW<0.5%である。
図3】非修飾抗PDL1抗体及びコンジュゲート抗PDL1抗体がPD-L1リガンドと結合する能力を測定するプロットを示す図であり、図は、y軸に正規化されたELISAシグナルを示し、x軸にビオチン化PD-L1タンパク質の投与量を示す。この図で試験した非コンジュゲート及びコンジュゲート抗体は、それぞれデュルバルマブ、アベルマブ並びに組成物A及びBである。抗PD1抗体ペンブロリズマブも対照として使用した。
図4】非修飾抗PDL1抗体及びコンジュゲート抗PDL1抗体が、PD1/PDL1経路を妨害する能力を測定するプロットを示す図であり、図は、y軸上にエフェクター細胞NFAT-REレポーターの平均発光強度を示し、x軸上に非修飾抗PDL1抗体及びコンジュゲート抗PDL1抗体の投与量を示す。この図で試験した非コンジュゲート抗体及びコンジュゲート抗体は、それぞれデュルバルマブ及び組成物Aである。この図で試験した修飾IL-2ポリペプチドは、プロロイキン及び組成物AAである。
図5】pH6でヒト新生児型Fc受容体(FcRn)に結合する非修飾抗PDL1抗体及びコンジュゲート抗PDL1抗体の能力を測定するプロットを示す図であり、図は、y軸上に平均AlphaLISA(登録商標)FcRn-IgGシグナルを示し、x軸上に非修飾抗PD-L1抗体及びコンジュゲート抗PD-L1抗体の投与量を示す。この図で試験した非コンジュゲート抗体及びコンジュゲート抗体は、それぞれデュルバルマブ及び組成物Aである。
図6A】ヒトFcγ受容体I(CD64)に結合する非修飾抗PDL1抗体及びコンジュゲート抗PDL1抗体の能力を測定するプロットを示す図であり、図は、y軸上に平均AlphaLISA(登録商標)FcγRI-IgGシグナルを示し、x軸上に非修飾抗PDL1抗体及びコンジュゲート抗PDL1抗体の投与量を示す。この図で試験した非コンジュゲート抗体及びコンジュゲート抗体は、それぞれデュルバルマブ及び組成物Aである。
図6B】ヒトFcγ受容体IIa(CD32a)に結合する非修飾抗PDL1抗体及びコンジュゲート抗PDL1抗体の能力を測定するプロットを示す図であり、図は、y軸上に平均AlphaLISA(登録商標)FcγRIIa-IgGシグナルを示し、x軸上に非修飾抗PDL1抗体及びコンジュゲート抗PDL1抗体の投与量を示す。この図で試験した非コンジュゲート抗体及びコンジュゲート抗体は、それぞれデュルバルマブ及び組成物Aである。
図6C】ヒトFcγ受容体IIIa(CD16)に結合する非修飾抗PDL1抗体及びコンジュゲート抗PDL1抗体の能力を測定するプロットを示す図であり、図は、y軸上に平均AlphaLISA(登録商標)FcγRIIIa-IgGシグナルを示し、x軸上に非修飾抗PDL1抗体及びコンジュゲート抗PDL1抗体の投与量を示す。この図で試験した非コンジュゲート抗体及びコンジュゲート抗体は、それぞれデュルバルマブ及び組成物Aである。
図7】ヒトT細胞のインビトロ試料におけるTeff及びTreg細胞の誘導に対する、抗PDL1抗体にコンジュゲートされていない修飾IL-2ポリペプチド及びコンジュゲートされた修飾IL-2ポリペプチドの効果を測定するプロットを示す図であり、図は、y軸上にリン酸化シグナル伝達兼転写活性化因子5(pSTAT5)についての平均蛍光強度を示し、x軸上に修飾IL-2ポリペプチド及び免疫サイトカインの投与量を示す。試験した修飾IL-2ポリペプチドは、組成物AAである。この図で試験した免疫サイトカインは、組成物A及び対照としてのHer2標的化免疫サイトカイン組成物F(IL-2ポリペプチドにコンジュゲートしたトラスツズマブ抗体)である。
図8】過剰量の非コンジュゲート抗PDL1抗体の存在下又は非存在下でのヒトT細胞のインビトロ試料における静止期CD8+Teff細胞の誘導に対する、抗PDL1抗体にコンジュゲートされていない修飾IL-2ポリペプチド及びコンジュゲートされた修飾IL-2ポリペプチドの効果を測定するプロットを示す図であり、図は、y軸上にリン酸化シグナル伝達兼転写活性化因子5(pSTAT5)についての平均蛍光強度を示し、x軸上に修飾IL-2ポリペプチド及び免疫サイトカインの投与量を示す。この図で試験した修飾IL-2ポリペプチドは、組成物AAである。この図で試験した免疫サイトカインは、組成物A及び対照としてのHer2標的化免疫サイトカイン組成物F(IL-2ポリペプチドにコンジュゲートしたトラスツズマブ抗体)である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
抗PD-L1ポリペプチド又はその抗原結合断片が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、抗PD-L1ポリペプチド又はその抗原結合断片は、サイトカイン等の細胞シグナル伝達分子にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、サイトカインはIL-2である。図1は、本開示の抗PD-L1-IL-2免疫サイトカイン、並びにIL2Rβ/γの上方制御及びPD-1/PD-L1経路の遮断を介した抗PD-L1-IL-2免疫サイトカインと活性化T細胞との相互作用を示す。本開示の抗PD-L1-IL-2免疫サイトカインは、対象による相乗的有効性及び改善された耐容性を有し得る。いくつかの実施形態では、本開示の抗PD-L1-IL-2免疫サイトカインは、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を直接標的化することができる。いくつかの実施形態では、抗PD-L1-IL-2免疫サイトカインは、癌等の疾患を有する対象に対する抗PD-L1ポリペプチド又はIL-2の治療用量を有意に減少させることができる。
【0022】
抗PD-L1-IL-2免疫サイトカインは、1つ以上の作用様式によって作用し得る。いくつかの実施形態では、抗PD-L1-IL-2免疫サイトカインは、腫瘍内のPD-L1及びCD8+T細胞を標的とすることによってPD-L1を阻害することができる。いくつかの実施形態では、抗PD-L1-IL-2免疫サイトカインは、IL-2Rβγを介してT細胞及びNK細胞を活性化することができる。
【0023】
以下の説明及び実施例は、本開示の実施形態を詳細に例示する。本開示は、本明細書に記載される特定の実施形態に限定されず、したがって変化し得ることを理解されたい。当業者は、本開示の範囲内に包含される本開示の多数の変形及び修正が存在することを認識するであろう。
【0024】
本開示の様々な特徴は、単一の実施形態の文脈で記載され得るが、これらの特徴は、別々に又は任意の適切な組合せでも提供され得る。反対に、本開示は、明確にするために別個の実施形態の文脈で本明細書において記載され得るが、本開示は、単一の実施形態でも実施され得る。
【0025】
本明細書で使用される章の見出しは、系統立てのみを目的にしたものであり、記載の主題を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0026】
定義
全ての用語は、それらの用語が当業者によって理解される通りに理解されることが意図されている。別段の定義が為されなければ、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0027】
以下の定義は、当技術分野における定義を補足し、本出願を対象とするものであり、関連する又は関連しない事例、例えば、共有される特許又は出願に適用されるべきではない。本明細書に記載されるものと類似又は同等の任意の方法及び材料を本開示の試験のための実施において使用することができるが、本明細書には好ましい材料及び方法が記載されている。したがって、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を記述することのみを目的としており、限定することを意図するものではない。
【0028】
本明細書で使用される用語は、特定の事例のみを説明するためのものであり、限定することを意図するものではない。本願では、単数形の使用は、特段明記しない限り複数形の使用を含む。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も含むことが意図される。
【0029】
本願では、「又は(or)」の使用は、特段明記しない限り「及び/又は(and/or)」を意味する。本明細書で使用される「及び/又は」及び「それらの任意の組合せ」という用語及びそれらの文法上の等価物は、互換的に使用することができる。これらの用語は、任意の組合せが具体的に想定されることを伝えることができる。単に例示を目的として、以下の語句「A、B、及び/又はC」又は「A、B、C、又はそれらの任意の組合せ」は、「A個別、B個別、C個別、A及びB、B及びC、A及びC、並びにA、B、及びC」を意味することができる。「又は」という用語は、文脈が特に選言的使用を指す場合を除き、連言的又は選言的に使用することができる。
【0030】
「約(about)」又は「およそ(approximately)」という用語は、当業者によって決定される特定の値の許容可能な誤差範囲内を意味し得、これは、値がどのように測定又は決定されるか、すなわち測定システムの制限に部分的に依存する。例えば、「約」は、当技術分野の慣例に従って、1標準偏差以内又は1標準偏差超を意味することができる。あるいは、「約(about)」は、所与の値の最大20%、最大15%、最大10%、最大5%、又は最大1%の範囲を意味し得る。あるいは、特に生物学的システム又はプロセスに関して、この用語は、ある値の、5倍以内、又は2倍以内の大きさの程度を意味し得る。特定の値が本出願及び特許請求の範囲に記載されている場合、特に明記しない限り、「約」という用語は、特定の値の許容可能な誤差範囲内を意味すると仮定されるべきである。
【0031】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、用語「含む(comprising)」(及び「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」等の任意のcomprisingの形態)、「有する(having)」(「有する(have)」及び「有する(has)」等の、任意のhavingの形態)、「含む(including)」(「含む(includes)」及び「含む(include)」等の、任意のincludingの形態)又は「含有する(containing)」(「含有する(contains)」及び「含有する(contain)」等の任意のcontainingの形態)は、包括的又はオープンエンドであり、追加の列挙されていない要素又は方法工程を排除しない。本明細書で論じられる任意の実施形態は、本開示の任意の方法又は組成物に関して実施することができ、逆もまた同様であると考えられる。更に、本開示の組成物は、本開示の方法を達成するために使用することができる。
【0032】
本明細書における「いくつかの実施形態」、「一実施形態」、「1つの実施形態」又は「他の実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、本開示の少なくともいくつかの実施形態に含まれるが、必ずしも全ての実施形態に含まれるわけではないことを意味する。本開示の理解を容易にするために、多数の用語及び語句を以下に定義する。
【0033】
IL-2ポリペプチドの残基に「結合した」又は「共有結合した」基が本明細書で言及される。本明細書で使用される場合、「結合される」又は「共有結合される」は、基が示された存在にテザリングされていることを意味し、そのようなテザリングは連結基(すなわち、リンカー)を含むことができる。したがって、残基に「結合した」又は「共有結合した」基の場合、そのような連結基も包含されることが明確に企図される。
【0034】
結合親和性は、単一分子とそのリガンド/結合パートナとの間の結合相互作用の強度を指す。より高い結合親和性は、より低い結合親和性よりも高い強度の結合を指す。場合によっては、結合親和性は、2つの関連分子間の解離定数(KD)によって測定される。KD値を比較する場合、より低い値を有する結合相互作用は、より高い値を有する結合相互作用よりも高い結合親和性を有する。タンパク質-リガンド相互作用の場合、KDは、以下の式
【0035】
【数1】
であって、式中、[L]はリガンドの濃度であり、[P]はタンパク質の濃度であり、[LP]はリガンド/タンパク質複合体の濃度である、式に従って計算される。
【0036】
本明細書では、参照配列に対して特定のパーセント配列同一性を有するか、又は参照配列の位置に対応する位置の残基を指す特定のアミノ酸配列(例えば、ポリペプチド配列)を指す。配列同一性は、Matrix BLOSUM62、Gap Costs Existence:11、Extension:1、及びCompositional Adjustments Conditional Compositional Score Matrix Adjustmentのパラメータを使用して、タンパク質-タンパク質BLASTアルゴリズムによって測定される。このアライメントアルゴリズムはまた、比較される2つの配列のアライメントの分析を通じて残基が「対応する」位置にあるかどうかを評価するために使用される。
【0037】
「薬学的に許容される」という用語は、連邦政府若しくは州政府の規制機関によって承認されているか又は承認可能であるか、又はヒトを含む動物における使用のために米国薬局方若しくは他の一般に認識されている薬局方に列挙されていることを指す。
【0038】
「薬学的に許容される賦形剤、担体又は希釈剤」は、薬剤と共に対象に投与することができ、その薬理活性を破壊せず、治療量の薬剤を送達するのに十分な用量で投与した場合に非毒性である賦形剤、担体又は希釈剤を指す。
【0039】
本開示に適した「薬学的に許容される塩」は、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の問題若しくは合併症なしにヒト又は動物の組織と接触して使用するのに適していると当技術分野で一般的に考えられている酸又は塩基の塩であり得る。そのような塩には、アミン等の塩基性残基の無機及び有機酸塩、並びにカルボン酸等の酸性残基のアルカリ又は有機塩が含まれる。特定の医薬塩には、塩酸、リン酸、臭化水素酸、リンゴ酸、グリコール酸、フマル酸、硫酸、スルファミン酸、スルファニル酸、ギ酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、エタンジスルホン酸、2-ヒドロキシエチルスルホン酸、硝酸、安息香酸、2-アセトキシ安息香酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ステアリン酸、サリチル酸、グルタミン酸、アスコルビン酸、パモ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、プロピオン酸、ヒドロキシマレイン酸、ヨウ化水素酸、フェニル酢酸、酢酸等のアルカン酸、HOOC-(CH)n-COOH(式中、nは0~4である)等の酸の塩が含まれるが、これらに限定されない。同様に、薬学的に許容されるカチオンには、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、リチウム及びアンモニウムが含まれるが、これらに限定されない。当業者は、本開示及び当技術分野の知識から、更なる薬学的に許容される塩には、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,PA,p.1418(1985)によって列挙されたものが含まれることを認識するであろう。一般に、薬学的に許容される酸又は塩基塩は、任意の従来の化学的方法によって、塩基性又は酸性部分を含有する親化合物から合成することができる。簡潔には、このような塩は、これらの化合物の遊離酸又は遊離塩基形態を適切な溶媒中で化学量論量の適切な塩基又は酸と反応させることによって調製することができる。
【0040】
本明細書で提供される範囲は、その範囲内の値の全てに対する省略表現であると理解される。例えば、1~50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50、並びに例えば1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8及び1.9等の前述の整数間の全ての介在する十進値からなる群からの任意の数、数の組合せ又は部分範囲を含むものと理解される。部分範囲に関して、その範囲のいずれかの終点から延びる「入れ子状部分範囲」が特に企図される。例えば、1~50の例示的な範囲の入れ子状部分範囲は、一方の方向に1~10、1~20、1~30及び1~40、又は他方の方向に50~40、50~30、50~20、及び50~10を含み得る。
【0041】
本明細書で提供される特定の式及び他の例示は、アジド-アルキン環化付加反応から生じるトリアゾール反応生成物を示す。そのような式は、一般に、反応で形成された得られたトリアゾールの単一の位置異性体のみを示すが、式は両方の得られた位置異性体を包含することが意図されている。したがって、式は単一の位置異性体(例えば、
【0042】
【化1】
)のみを示す一方で、他の位置異性体(例えば、
【0043】
【化2】
)も包含されることが意図される。
【0044】
「対象」という用語は、治療、観察又は実験の対象である動物を指す。ほんの一例として、対象には、それだけに限らないが、ヒト又は非ヒト哺乳動物、例えば非ヒト霊長類、ウシ、ウマ、イヌ、ヒツジ又はネコが含まれる哺乳動物が含まれるが、これらに限定されない。
【0045】
「任意の(optional)」又は「任意に(optionally)」という用語は、続いて記載される事象又は状況が起こり得るが、起こる必要はないこと、及びその説明が、その事象又は状況が起こる場合と、それが起こらない場合とを含むことを意味する。
【0046】
「部分」という用語は、分子の特定のセグメント又は官能基を指す。化学部分は、多くの場合、分子に埋め込まれた又は付加された化学的実体として認識される。
【0047】
本明細書で使用される場合、「数平均分子量」(Mn)という用語は、試料中の全ての個々の単位の統計的平均分子量を意味し、式(1)
【0048】
【数2】
であって、式中、Mは単位の分子量であり、Nはその分子量の単位数である、式(1)によって定義される。
【0049】
本明細書で使用される場合、「重量平均分子量」(Mw)という用語は、式(2)
【0050】
【数3】
であって、式中、Mは単位の分子量であり、Nはその分子量の単位数である、式(2)によって定義される数を意味する。
【0051】
本明細書で使用される場合、「ピーク分子量」(Mp)は、所与の分析方法(例えば、質量分析、サイズ排除クロマトグラフィ、動的光散乱、分析遠心分離等)における最高ピークの分子量を意味する。
【0052】
本明細書で使用される場合、「非標準」アミノ酸は、天然に存在するタンパク質に一般に組み込まれる20個の標準的なアミノ酸の中にはないD型又はL型のアミノ酸残基を指し得る。
【0053】
本明細書で使用される場合、「コンジュゲーションハンドル」は、相補的な反応性基と接触すると結合を形成することができる反応性基を指す。いくつかの例では、コンジュゲーションハンドルは、好ましくは、意図される相補的反応性基を含まない他の分子との実質的な反応性を有さない。コンジュゲーションハンドル、それらのそれぞれの相補的なコンジュゲーションハンドル、及び対応する反応生成物の非限定的な例は、以下の表に見出すことができる。表の見出しは、「コンジュゲーションハンドル」又は「相補的コンジュゲーションハンドル」というタイトルの下に特定の反応性基を記載しているが、コンジュゲーションハンドルへの任意の言及は、代わりに、表に列挙された相補的コンジュゲーションハンドルを包含し得ることを意図している(例えば、トランス-シクロオクテンはコンジュゲーションハンドルであり得、この場合、テトラジンは相補的なコンジュゲーションハンドルである)。いくつかの例では、アミンコンジュゲーションハンドル及びアミンに相補的なコンジュゲーションハンドルは、生物学的系におけるアミンの遍在的存在及び標的外コンジュゲーションの可能性の増加のために、生物学的系における使用にあまり好ましくない。
【0054】
【表1】
【0055】
本出願を通して、「コンジュゲーションハンドル」という用語の前に接頭辞を使用して、コンジュゲーションハンドルが連結される機能を示す。例えば、「タンパク質コンジュゲーションハンドル」は、タンパク質に(直接又はリンカーを介して)結合したコンジュゲーションハンドルであり、「抗体コンジュゲーションハンドル」は、抗体に(直接又はリンカーを介して)結合したコンジュゲーションハンドルであり、「リンカーコンジュゲーションハンドル」は、リンカー基に結合したコンジュゲーションハンドルである(例えば、合成タンパク質と抗体とを連結するために使用される二官能性リンカー)。
【0056】
用語「アルキル」は、1~20個の炭素原子を有し、単結合によって分子の残りに結合される直鎖又は分岐の炭化水素鎖ラジカルを指す。10個までの炭素原子を含むアルキルは、C~C10アルキルと呼ばれ、同様に、例えば、6個までの炭素原子を含むアルキルは、C~Cアルキルである。他の数の炭素原子を含むアルキル(及び本明細書で定義される他の部分)も同様に表される。アルキル基としては、C~C10アルキル、C~Cアルキル、Ci~Cアルキル、C~Cアルキル、C~Cアルキル、C~Cアルキル、C~Cアルキル、C~Cアルキル、C~Cアルキル、C~Cアルキル、C~Cアルキル及びC~Cアルキルが挙げられるが、これらに限定されない。代表的なアルキル基には、メチル、エチル、-プロピル、1-メチルエチル、-ブチル、-ペンチル、1,1-ジメチルエチル、3-メチルヘキシル、2-メチルヘキシル、1-エチル-プロピル等が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、アルキルは、メチル又はエチルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、-CH(CH又は-C(CHである。本明細書中で具体的に他の意味を示さない限り、アルキル基は場合により置換されていてもよい。「アルキレン」又は「アルキレン鎖」は、分子の残りをラジカル基に連結する直鎖又は分岐二価炭化水素鎖を指す。いくつかの実施形態では、アルキレンは、-CH-、-CHCH-、又は-CHCHCH-である。いくつかの実施形態では、アルキレンは、-CH-である。いくつかの実施形態では、アルキレンは、-CHCH-である。いくつかの実施形態では、アルキレンは、-CHCHCH-である。本明細書中で具体的に他の意味を示さない限り、アルキレン基は場合により置換されていてもよい。
【0057】
「アルケニレン」又は「アルケニレン鎖」という用語は、分子の残りをラジカル基に連結する少なくとも1つの炭素-炭素二重結合が存在する直鎖又は分岐二価炭化水素鎖を指す。いくつかの実施形態では、アルケニレンは、-CH=CH-、-CHCH=CH-又は-CH=CHCH-である。いくつかの実施形態では、アルケニレンは、-CH=CH-である。いくつかの実施形態では、アルケニレンは、-CHCH=CH-である。いくつかの実施形態では、アルケニレンは、-CH=CHCH-である。
【0058】
「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合が存在する種類のアルキル基を指す。一実施形態では、アルケニル基は、式-C≡C-Rを有し、式中、Rは、アルキニル基の残りの部分を指す。いくつかの実施形態では、Rは、H又はアルキルである。いくつかの実施形態では、アルキニルは、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル等から選択される。アルキニル基の非限定的な例としては、-C≡CH、-C≡CCH、-C≡CCHCH、及び-CHCHが挙げられる。
【0059】
「アリール」という用語は、環を形成する原子のそれぞれが炭素原子である少なくとも1つの芳香環を含むラジカルを指す。アリール基は必要に応じて置換されていてもよい。アリール基の例としては、フェニル及びナフチルが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、アリールはフェニルである。構造に応じて、アリール基はモノラジカル又はジラジカル(すなわち、アリーレン基)であり得る。本明細書で具体的に他の意味を示さない限り、「アリール」又は接頭辞「ar-」(「アラルキル」等)は、必要に応じて置換されているアリールラジカルを含むことを意味する。いくつかの実施形態では、アリール基は、本明細書で定義される部分的に還元されたシクロアルキル基(例えば、1,2-ジヒドロナフタレン)を含む。いくつかの実施形態では、アリール基は、本明細書で定義される完全に還元されたシクロアルキル基(例えば、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン)を含む。アリールがシクロアルキル基を含む場合、アリールは芳香環炭素原子を介して分子の残りの部分に結合される。アリールラジカルは、縮合、スピロ又は架橋環系を含み得る単環式又は多環式(例えば、二環式、三環式又は四環式)環系であり得る。
【0060】
用語「シクロアルキル」は、環を形成する原子(すなわち、骨格原子)の各々が炭素原子である、単環式若しくは多環式非芳香族ラジカルを指す。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、飽和又は部分的に不飽和である。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、スピロ環式又は架橋化合物である。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、芳香族環と縮合している(この場合、シクロアルキルは、非芳香族環炭素原子を介して結合される)。シクロアルキル基には、3~10個の環原子を有する基が含まれる。代表的なシクロアルキルには、3~10個の炭素原子、3~8個の炭素原子、3~6個の炭素原子又は3~5個の炭素原子を有するシクロアルキルが含まれるが、これらに限定されない。単環式シクロアルキルとしては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられる。いくつかの実施形態では、単環式シクロアルキルは、シクロペンチルである。いくつかの実施形態では、単環式シクロアルキルは、シクロペンテニル又はシクロヘキセニルである。いくつかの実施形態では、単環式シクロアルキルは、シクロペンテニルである。多環式ラジカルには、例えば、アダマンチル、1,2-ジヒドロナフタレニル、1,4-ジヒドロナフタレニル、テトラニル、デカリニル、3,4-ジヒドロナフタレニル-1(2H)-オン、スピロ[2.2]ペンチル、ノルボルニル及びビシクロ[1.1.1]ペンチルが含まれる。本明細書で具体的に他の意味を示さない限り、シクロアルキル基は必要に応じて置換されていてもよい。
【0061】
「ヘテロアルキレン」又は「ヘテロアルキレン鎖」という用語は、分子の残りをラジカル基に連結する直鎖又は分岐二価ヘテロアルキル鎖を指す。本明細書で具体的に他の意味を示さない限り、ヘテロアルキル又はヘテロアルキレン基は、以下に記載されるように必要に応じて置換されていてもよい。代表的なヘテロアルキレン基には、-CH-O-CH-、-CH-N(アルキル)-CH-、-CH-N(アリール)-CH-、-OCHCHO-、-OCHCHOCHCHO-、又は-OCHCHOCHCHOCHCHO-が含まれるが、これらに限定されない。
【0062】
「ヘテシクロアルキル」という用語は、窒素、酸素及び硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含むシクロアルキル基を指す。本明細書において具体的に他の意味を示さない限り、ヘテロシクロアルキルラジカルは、縮合(アリール環又はヘテロアリール環と縮合している場合、ヘテロシクロアルキルは、非芳香族環原子を介して結合される)又は架橋環系を含み得る単環式又は二環式環系であり得る。ヘテロシクリルラジカル中の窒素、炭素又は硫黄原子は、必要に応じて酸化されていてもよい。窒素原子は、必要に応じて四級化されていてもよい。ヘテロシクリルラジカルは、部分的又は完全に飽和している。ヘテロシクリルラジカルの例としては、ジオキソラニル、チエニル[l,3]ジチアニル、テトラヒドロキノリル、テトラヒドロイソキノリル、デカヒドロキノリル、デカヒドロイソキノリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、トリチアニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1-オキソ-チオモルホリニル、及び1,1-ジオキソ-チオモルホリニルが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロシクロアルキルという用語はまた、単糖、二糖及びオリゴ糖を含むがこれらに限定されない糖質の全ての環形態を含む。特に明記しない限り、ヘテロシクロアルキルは、環内に2~12個の炭素を有する。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキルは、環内に2~10個の炭素を有する。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキルは、環内に2~10個の炭素と、1又は2個のN原子とを有する。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキルは、環内に2~10個の炭素と、3又は4個のN原子とを有する。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキルは、環内に2~12個の炭素、0~2個のN原子、0~2個のO原子、0~2個のP原子及び0~1個のS原子を有する。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキルは、環内に2~12個の炭素、1~3個のN原子、0~1個のO原子及び0~1個のS原子を有する。ヘテロシクロアルキル中の炭素原子の数に言及する場合、ヘテロシクロアルキル中の炭素原子の数は、ヘテロシクロアルキルを構成する(ヘテロ原子を含む)原子(すなわち、ヘテロシクロアルキル環の骨格原子)の総数と同じではないことが理解される。本明細書で具体的に他の意味を示さない限り、ヘテロシクロアルキル基は必要に応じて置換されていてもよい。
【0063】
用語「ヘテロアリール」は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1つ以上の環ヘテロ原子を含むアリール基を指す。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、単環式又は二環式である。単環式ヘテロアリールの具体例としては、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、ピリダジニル、トリアジニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、インドリジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インダゾール、ベンズイミダゾール、プリン、キノリジン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、1,8-ナフチリジン及びプテリジンが挙げられる。単環式ヘテロアリールの具体例としては、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、ピリダジニル、トリアジニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、及びフラザニルが挙げられる。二環式ヘテロアリールの具体例としては、インドリジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インダゾール、ベンズイミダゾール、プリン、キノリジン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、1,8-ナフチリジン、及びプテリジンが挙げられる。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、チアゾリル、チエニル、チアジアゾリル又はフリルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、環内に0~6個のN原子を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、環内に1~4個のN原子を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、環内に4~6個のN原子を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、環内に0~4個のN原子、0~1個の0原子、0~1個のP原子及び0~1個のS原子を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、環内に1~4個のN原子、0~1個のO原子及び0~1個のS原子を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、C~Cヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、単環式ヘテロアリールは、C~Cヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、単環式ヘテロアリールは、5員又は6員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、二環式ヘテロアリールは、C6~C9ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基は、本明細書で定義される部分的に還元されたシクロアルキル又はヘテロシクロアルキル基(例えば、7,8-ジヒドロキノリン)を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基は、本明細書で定義される完全に還元されたシクロアルキル又はヘテロシクロアルキル基(例えば、5,6,7,8-テトラヒドロキノリン)を含む。ヘテロアリールがシクロアルキル又はヘテロシクロアルキル基を含む場合、ヘテロアリールは、ヘテロ芳香環炭素又はヘテロ原子を介して分子の残りの部分に結合される。ヘテロアリールラジカルは、縮合、スピロ又は架橋環系を含み得る単環式又は多環式(例えば、二環式、三環式又は四環式)環系であり得る。
【0064】
「場合により置換されていてもよい」又は「置換された」という用語は、言及された基が、D、ハロゲン、-CN、-NH2、-NH(アルキル)、-N(アルキル)、-OH、-COH、-COアルキル、-C(=O)NH、-C(=O)NH(アルキル)、-C(=O)N(アルキル)、-S(=O)NH、-S(=O)NH(アルキル)、-S(=O)N(アルキル)、アルキル、シクロアルキル、フルオロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルスルホン及びアリールスルホンから個別に独立して選択される1つ以上の追加の基で任意に置換されることを意味する。いくつかの他の実施形態では、任意の置換基は、独立して、D、ハロゲン、-CN、-NH、-NH(CH)、-N(CH、-OH、-COH、-CO(C~Cアルキル)、-C(=O)NH、-C(=O)NH(C~Cアルキル)、-C(=O)N(C~Cアルキル)、-S(=O)NH、-S(=O)NH(C~Cアルキル)、-S(=O)N(C~Cアルキル)、C~Cアルキル、C~Cシクロアルキル、C~Cフルオロアルキル、C~Cヘテロアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cフルオロアルコキシ、-SC~Cアルキル、-S(=O)C~Cアルキル及び-S(=O)~Cアルキルから選択される。いくつかの実施形態では、任意の置換基は、独立して、D、ハロゲン、-CN、-NH、-OH、-NH(CH)、-N(CH、-NH(シクロプロピル)、-CH、-CHCH、-CF、-OCH及び-OCFから選択される。いくつかの実施形態では、置換された基は、先行する基の1つ又は2つで置換される。いくつかの実施形態では、脂肪族炭素原子(非環式又は環式)上の任意の置換基は、オキソ(=O)を含む。
【0065】
本明細書で使用される場合、「AJICAP(商標)技術」、「AJICAP(商標)方法」及び同様の用語は、所望の官能化を所望の部位に送達するための親和性ペプチドを使用した抗体及び関連分子の部位特異的官能化のためのシステム及び方法(現在、味の素バイオファーマサービス(「味の素」)によって製造されている)を指す。AJICAP(商標)方法論のための一般的なプロトコルは、少なくともPCT公開番号国際公開第2018199337号、PCT公開番号国際公開第2019240288号、PCT公開番号国際公開第2019240287号、PCT公開番号国際公開第2020090979号、Matsuda et al.,Mol.Pharmaceutics 2021,18,4058-4066,and Yamada et al.,AJICAP:Affinity Peptide Mediated Regiodivergent Functionalization of Native Antibodies.Angew.Chem.,Int.Ed.2019,58,5592-5597、及び特に米国特許出願公開第20200190165号の実施例2~4に見出される。いくつかの実施形態では、そのような方法論は、抗体Fc領域(例えば、IgG1 Fc領域)の位置246、位置248、位置288、位置290、及び位置317(EUナンバリング)から選択される位置のリジン残基に所望の官能化を特異的に組み込む。いくつかの実施形態では、所望の官能基化は、抗体Fc領域の残基位置248に組み込まれる(EUナンバリング)。いくつかの実施形態では、位置248は、ヒトIgG CH2領域の18番目の残基に対応する(EUナンバリング)。
【0066】
組成物AAは、残基Y45に結合した約0.5kDaのPEG基及び残基F42Yに結合した第2の約0.5kDaのPEG基を含む、配列番号3に示される配列を有する修飾IL-2ポリペプチドを指す。
【0067】
組成物ABは、残基Y45に結合した約0.5kDaのPEG基と、残基F42Yでのコンジュゲーションを容易にするアジド官能基でキャップした0.5kDaのPEG基とを含む、配列番号3に示される配列を有する修飾IL-2ポリペプチドを指す。組成物ABのイラスト画像を図1Bに示す。組成物AB及び関連する修飾IL-2ポリペプチドは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPCT公開番号国際公開第2021140416号に記載されている。組成物ABに結合したポリマーは、組成物ABとIL-2受容体αサブユニットとの相互作用を破壊し、分子をIL-2受容体βサブユニットのシグナル伝達に有利に偏向させるように作用し、したがって、IL-2ポリペプチドがWT IL-2と比較してインビボでTeff細胞を増殖及び/又は刺激する能力を増強する。
【0068】
組成物ACは、残基F42Y及びY45に結合した約0.5kDaのPEG基を含む、配列番号3に示される配列を有する修飾IL-2ポリペプチドを指す。組成物ACは、グルタル酸リンカー官能基を介してカップリングされた約0.5kDaのPEGを介してN末端A残基に結合されたアジドコンジュゲーションハンドルを含む。
【0069】
組成物Aは、組成物ABと抗PD-L1抗体デュルバルマブとの反応から調製された抗PD-L1抗体/IL-2コンジュゲートを指す。組成物Aは、組成物ABのアジド官能基と、デュルバルマブのFc領域の残基K248に結合したDBCO官能基との反応から形成される(EUナンバリング)。DBCO官能基は、味の素のAJICAP技術による親和性ペプチド系を使用してデュルバルマブに付加される。組成物Aは、1.6の薬物-抗体比を有する。
【0070】
組成物Bは、組成物ABと抗PD-L1抗体デュルバルマブとの反応から調製された抗PD-L1抗体/IL-2コンジュゲートを指す。組成物Bは、組成物ABのアジド官能基と、デュルバルマブのFc領域の残基K248に結合したDBCO官能基との反応から形成される(EUナンバリング)。DBCO官能基は、味の素のAJICAP技術による親和性ペプチド系を使用してデュルバルマブに付加される。組成物Bは、薬物-抗体比が1である。
【0071】
組成物Cは、組成物ABと抗PD-L1抗体デュルバルマブとの反応から調製された抗PD-L1抗体/IL-2コンジュゲートを指す。組成物Cは、組成物ABのアジド官能基と、デュルバルマブのFc領域の残基K248に結合したDBCO官能基との反応から形成される(EUナンバリング)。DBCO官能基は、味の素のAJICAP技術による親和性ペプチド系を使用してデュルバルマブに付加される。組成物Cは、2の薬物-抗体比を有する。
【0072】
組成物Dは、組成物ABのアジド官能基と、アテゾリズマブのFc領域の残基K248に結合したDBCO官能基との反応から形成される(EUナンバリング)。DBCO官能基は、味の素のAJICAP技術による親和性ペプチド系を使用してアテゾリズマブに付加される。組成物Dは、1の薬物-抗体比を有する。
【0073】
組成物Eは、組成物ACのアジド官能基と、アテゾリズマブのFc領域の残基K248に結合したDBCO官能基との反応から形成される(EUナンバリング)。DBCO官能基は、味の素のAJICAP技術による親和性ペプチド系を使用してアテゾリズマブに付加される。組成物Eは、2の薬物-抗体比を有する。
【0074】
組成物Fは、組成物ABのアジド官能基とトラスツズマブのFc領域の残基K248に結合したDBCO官能基との反応から形成される(EUナンバリング)。DBCO官能基は、味の素のAJICAP技術による親和性ペプチド系を使用してトラスツズマブに付加される。組成物Fは、1.5の薬物-抗体比を有する。
【0075】
組成物Gは、組成物ABのアジド官能基と、トラスツズマブのFc領域の残基K248に結合したDBCO官能基との反応から形成される(EUナンバリング)。DBCO官能基は、味の素のAJICAP技術による親和性ペプチド系を使用してトラスツズマブに付加される。組成物Gは、1の薬物-抗体比を有する。全ての免疫サイトカイン組成物の概要を以下の表に示す。
【0076】
サイトカインにコンジュゲートした抗PD-L1ポリペプチド
プログラム死リガンド1(PD-L1)は、活性化T細胞及び活性化B細胞において主に発現され、抗原受容体シグナル伝達を負に制御することができる免疫抑制受容体「プログラム死受容体1(PD-1)」のリガンドである。PD-1のリガンド(PD-L1及びPD-L2)は、構成的に発現されてもよく、又は非造血細胞組織及び様々な腫瘍型を含む多数の細胞型に由来してもよい。PD-L1は、B細胞、T細胞、骨髄細胞及び樹状細胞(DC)において発現されるが、末梢細胞、擬似血管内皮細胞及び心臓、肺等の非リンパ器官においても発現される。非限定的な、例示的な、ヒトPD-L1アミノ酸配列は、以下である。
MRIFAVFIFMTYWHLLNAFTVTVPKDLYVVEYGSNMTIECKFPVEKQLDLAALIVYWEMEDKNIIQFVHGEEDLKVQHSSYRQRARLLKDQLSLGNAALQITDVKLQDAGVYRCMISYGGADYKRITVKVNAPYNKINQRILVVDPVTSEHELTCQAEGYPKAEVIWTSSDHQVLSGKTTTTNSKREEKLFNVTSTLRINTTTNEIFYCTFRRLDPEENHTAELVIPELPLAHPPNERTHLVILGAILLCLGVALTFIFRLRKGRMMDVKKCGIQDTNSKKQSDTHLEET(配列番号120)
【0077】
1つ以上のサイトカイン分子又はその誘導体にコンジュゲートされたプログラム細胞死リガンド1(PD-L1)に結合するポリペプチド、例えば抗体及びその抗原結合断片が本明細書で提供される。本明細書で提供されるコンジュゲートは、癌細胞等の標的細胞に、PD-L1に選択的に結合するサイトカイン及びポリペプチドを同時に送達するのに有効である。同じ細胞への両方の薬剤のこの同時送達は、IL-2ポリペプチド選択性の改善、IL-2の治療可能性の向上、及びIL-2療法の投与による副作用のリスクの潜在的低減を含む、多くの利点を有する。
【0078】
本明細書で提供されるコンジュゲート組成物は、リンカーを利用して、PD-L1に結合するポリペプチドをサイトカイン、例えばIL-2ポリペプチド及びその誘導体に結合させる。いくつかの実施形態では、リンカーは、特定の残基又は残基の特定のサブセットにおいてPD-L1及びサイトカインに選択的に結合するポリペプチドの各部分に結合される。いくつかの実施形態では、リンカーは、コンジュゲートの集団が実質的に均一になるように、部位選択的に各部分に結合される。これは、コンジュゲーション反応のための試薬をコンジュゲーションされる部分に部位選択的に添加することによって、コンジュゲーション反応のための所望の試薬によりコンジュゲートされる部分を合成することによって、又はそうでなければ調製することによって、又はこれら2つのアプローチの組合せを含む、本明細書で提供されるような様々な方法で達成することができる。これらのアプローチを使用して、各部分に対するリンカーの結合部位(特定のアミノ酸残基等)を正確に選択することができる。更に、これらのアプローチは、融合タンパク質に必要とされるようなアミノ酸残基に限定されない様々なリンカーを組成物に使用することを可能にする。リンカーの選択と部分への正確な結合とのこの組合せは、いくつかの実施形態では、例えば、リンカーがサイトカインの受容体と相互作用する位置でサイトカインに結合される場合、リンカーが部分の1つの活性を調節する機能も果たすことを可能にする。
【0079】
抗PD-L1ポリペプチド
いくつかの実施形態では、本開示の抗PD-L1ポリペプチド(例えば、抗PD-L1抗体)又は抗PD-L1抗原結合断片は、PD-L1に特異的に結合する。抗体は、他の物質に結合するよりも高い親和性、結合活性で、より容易に、及び/又はより長い持続時間で結合する場合、標的に選択的に結合するか又は優先的に結合する。したがって、「特異的結合」又は「優先的結合」は、排他的結合を(含むことができるが)必ずしも必要としない。一般に、必ずしもそうとは限らないが、特異的結合への言及は、抗体又はその抗原結合断片の親和性が、無関係なアミノ酸配列に対する抗体の親和性よりも少なくとも2倍大きい、少なくとも3倍大きい、少なくとも4倍大きい、少なくとも5倍大きい、少なくとも6倍大きい、少なくとも7倍大きい、少なくとも8倍大きい、少なくとも9倍大きい、少なくとも10倍大きい、少なくとも20倍大きい、少なくとも30倍大きい、少なくとも40倍大きい、少なくとも50倍大きい、少なくとも60倍大きい、少なくとも70倍大きい、少なくとも80倍大きい、少なくとも90倍大きい、少なくとも100倍大きい、又は少なくとも1000倍大きい優先的結合を意味する。本開示の抗PD-L1ポリペプチド又は抗PD-L1抗原結合断片は、PD-L1とリガンド(例えば、PD-1)との相互作用を遮断することができる。
【0080】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、抗原結合ドメインであるか、又は抗原結合ドメインと相同である、結合ドメインを有する、免疫グロブリン(Ig)、ポリペプチド、又はタンパク質を指す。この用語は、「抗原結合断片」及び以下に記載される類似の結合断片についての他の交換可能な用語を更に含む。ネイティブ抗体及びネイティブ免疫グロブリン(Ig)は、一般に、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質であり、2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖から構成される。各軽鎖は、典型的には、1つの共有ジスルフィド結合によって重鎖に連結されているが、ジスルフィド結合の数は、異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間で異なる。各重鎖及び軽鎖はまた、規則的に間隔を置いて配置された鎖内ジスルフィド架橋を有する。各重鎖は、一端に可変ドメイン(「V」)を有し、その後に多数の定常ドメイン(「C」)が続く。各軽鎖は、一方の末端に可変ドメイン(「V」)を有し、他方の末端に定常ドメイン(「C」)を有し、軽鎖の定常ドメインは重鎖の第1の定常ドメインと整列しており、軽鎖可変ドメインは重鎖の可変ドメインと整列している。特定のアミノ酸残基は、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとの間の界面を形成すると考えられている。
【0081】
いくつかの例では、抗体又は抗原結合断片は、単離された抗体又は抗原結合断片、精製された抗体又は抗原結合断片、組換え抗体又は抗原結合断片、修飾された抗体又は抗原結合断片、又は合成抗体又は抗原結合断片を含む。
【0082】
本明細書における抗体及び抗原結合断片は、部分的又は全体的に合成的に産生され得る。抗体又は抗原結合断片は、抗原結合ドメインであり得るか、又は抗原結合ドメインと相同であり得る結合ドメインを有するポリペプチド又はタンパク質であり得る。一例では、抗体又は抗原結合断片は、適切なインビボ動物モデルにおいて産生され得、次いで単離及び/又は精製され得る。
【0083】
その重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリン(Ig)を異なるクラスに割り当てることができる。免疫グロブリンには5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMがあり、これらのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2に更に分割され得る。Ig又はその一部は、いくつかの場合、ヒトIgであり得る。いくつかの例では、C3ドメインは免疫グロブリン由来であり得る。いくつかの場合、抗体若しくは抗原結合断片、修飾された抗体若しくは抗原結合断片、又は結合剤の鎖又は一部は、Ig由来であり得る。そのような場合、Igは、IgG、IgA、IgD、IgE若しくはIgMであり得るか、又はそれらに由来する。IgがIgGである場合、IgはIgGのサブタイプであり得、IgGのサブタイプは、IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、又はIgG4を含み得る。いくつかの場合、C3ドメインは、IgG、IgA、IgD、IgE及びIgMからなる群から選択される免疫グロブリンに由来し得るか、又はそれに由来する。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される抗体又は抗原結合断片は、IgGを含むか、又はIgGに由来する。いくつかの例では、抗体又は抗原結合断片は、IgG1を含むか、又はIgG1に由来する。いくつかの例では、抗体又は抗原結合断片は、IgG4を含むか、又はIgG4に由来する。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される抗体又は抗原結合断片は、IgMを含むか、IgMに由来するか、又はIgMの単量体形態である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体又は抗原結合断片は、IgEを含むか、又はIgEに由来する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載する抗体又は抗原結合断片はIgDを含むか、又はIgDに由来する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体又は抗原結合断片は、IgAを含むか、又はIgAに由来する。
【0084】
任意の脊椎動物種由来の抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(「κ」又は「K」)又はラムダ(「λ」)と呼ばれる2つの明確に異なるタイプのうちの1つに割り当てることができる。
【0085】
抗体の「可変領域」とは、単独で又は組み合わせてのいずれかで、抗体軽鎖の可変領域又は抗体重鎖の可変領域を指す。重鎖及び軽鎖の可変領域はそれぞれ、超可変領域としても知られる3つの相補性決定領域(CDR)によって連結された4つのフレームワーク領域(FR)からなる。各鎖のCDRは、FRによって近接して一緒に保持され、他方の鎖のCDRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。CDRを決定するための少なくとも2つの技術がある。(1)種間配列可変性に基づくアプローチ(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,(5th Ed.,1991,National Institutes of Health,Bethesda Md.(1991),pages 647-669、以下「Kabat」という)、及び(2)抗原-抗体複合体の結晶学的研究に基づくアプローチ(Al-Iazikani et al.(1997)J.Molec.Biol.273:927-948))。本明細書で使用される場合、CDRは、いずれかのアプローチ又は両方のアプローチの組合せによって定義されるCDRを指し得る。
【0086】
抗体に関して、「可変ドメイン」という用語は、その特定の抗原に対する各特定の抗体の結合及び特異性に使用される抗体の可変ドメインを指す。しかしながら、可変性は、抗体の可変ドメイン全体に均一に分布していない。むしろ、それは、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインの両方の超可変領域(CDRとしても知られる)と呼ばれる3つのセグメントに集中している。可変ドメインのより高度に保存された部分は、「フレームワーク領域」又は「FR」と呼ばれる。修飾されていない重鎖及び軽鎖の可変ドメインはそれぞれ4つのFR(FR1、FR2、FR3及びFR4)を含み、主に3つのCDRが散在するβシート構成を採用し、これらは接続するループ、及び場合によりβシート構造の一部を形成する。各鎖のCDRは、FRによって近接して一緒に保持され、他方の鎖のCDRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabatを参照されたい)。
【0087】
「超可変領域」及び「CDR」という用語は、本明細書で使用される場合、抗原結合に関与する抗体のアミノ酸残基を指す。CDRは、抗原に相補的に結合し、V鎖及びV鎖のそれぞれについてCDR1、CDR2及びCDR3として知られる3つの配列領域からのアミノ酸残基を含む。軽鎖可変ドメインでは、Kabatによれば、CDRは、典型的には、およそ残基24~34(CDRL1)、50~56(CDRL2)、及び89~97(CDRL3)に対応し、重鎖可変ドメインでは、CDRは、典型的には、およそ残基31~35(CDRH1)、50~65(CDRH2)、及び95~102(CDRH3)に対応する。異なる抗体のCDRは挿入を含み得るので、アミノ酸ナンバリングは異なり得ることが理解される。Kabatナンバリングシステムは、特異的残基(例えば、軽鎖におけるCDRL1の27A、27B、27C、27D、27E及び27F)に結合した文字を利用して異なる抗体間のナンバリングにおける任意の挿入を反映するナンバリングスキームを用いて、そのような挿入を説明する。あるいは、Chothia及びLesk(J.Mol.Biol.,196:901-917(1987))によれば、軽鎖可変ドメインでは、CDRは、典型的には、およそ残基26~32(CDRL1)、50~52(CDRL2)、及び91~96(CDRL3)に対応し、重鎖可変ドメインでは、CDRは、典型的には、およそ残基26~32(CDRH1)、53~55(CDRH2)、及び96~101(CDRH3)に対応する。
【0088】
本明細書で使用される場合、「フレームワーク領域」、「FW」又は「FR」は、抗原結合ポケット又は溝の一部を形成するフレームワークアミノ酸残基を指す。いくつかの実施形態では、フレームワーク残基は、抗原結合ポケット又は溝の一部であるループを形成し、ループ内のアミノ酸残基は抗原と接触してもしなくてもよい。フレームワーク領域は、一般に、CDR間の領域を含む。Kabat et al.(前掲書)によれば、軽鎖可変ドメインでは、FRは典型的にはおよそ残基0~23(FRL1)、35~49(FRL2)、57~88(FRL3)及び98~109に対応し、重鎖可変ドメインでは、FRは典型的にはおよそ残基0~30(FRH1)、36~49(FRH2)、66~94(FRH3)及び103~133に対応する。軽鎖のKabatナンバリングで上述したように、重鎖も同様の様式での挿入を説明する(例えば、重鎖におけるCDRH1の35A、35B)。あるいは、Chothia及びLesk(前掲書)によれば、軽鎖可変ドメインでは、FRは、典型的には、およそ残基0~25(FRL1)、33~49(FRL2)53~90(FRL3)、及び97~109(FRL4)に対応し、重鎖可変ドメインでは、FRは、典型的には、およそ残基0~25(FRH1)、33~52(FRH2)、56~95(FRH3)、及び102~113(FRH4)に対応する。FRのループアミノ酸は、抗体重鎖及び/又は抗体軽鎖の三次元構造の検査によって評価及び決定することができる。三次元構造は、そのような位置がループを形成し、及び/又は抗体可変ドメイン内で抗原接触を提供する可能性が高いため、溶媒にアクセス可能なアミノ酸位置について分析することができる。溶媒に接近可能な位置のいくつかは、アミノ酸配列の多様性に耐えることができ、他の位置(例えば、構造位置)は、一般に、あまり多様ではない。抗体可変ドメインの三次元構造は、結晶構造又はタンパク質モデリングに由来し得る。
【0089】
本開示においては、必要に応じて、重鎖(H鎖)、軽鎖(L鎖)、重鎖可変領域(VH)、軽鎖可変領域(VL)、相補性決定領域(CDR)、第1の相補性決定領域(CDR1)、第2の相補性決定領域(CDR2)、第3の相補性決定領域(CDR3)、重鎖第1の相補性決定領域(VH CDR1)、重鎖第2の相補性決定領域(VH CDR2)、重鎖第3の相補性決定領域(VH CDR3)、軽鎖第1の相補性決定領域(VL CDR1)、軽鎖第2の相補性決定領域(VL CDR2)、及び軽鎖第3の相補性決定領域(VL CDR3)の略語(括弧内)を、慣用に従って使用する。
【0090】
「Fc領域」という用語は、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。「Fc領域」は、天然配列Fc領域又はバリアントFc領域であり得る。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は変化し得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、一般に、位置Cys226のアミノ酸残基又はPro230のアミノ酸残基からそのカルボキシル末端まで伸びるように定義される。Fc領域の残基のナンバリングは、KabatのようなEUインデックスのナンバリングである。免疫グロブリンのFc領域は、一般に、2つの定常ドメイン、C2及びC3を含む。
【0091】
本開示で有用な「抗体」は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、ヘテロコンジュゲート抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、移植抗体、脱免疫化抗体、それらの変異体、それらの融合物、それらのイムノコンジュゲート、それらの抗原結合断片、及び/又は抗体のグリコシル化バリアント、抗体のアミノ酸配列バリアント、及び共有結合修飾抗体を含む、必要な特異性の抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の修飾された構成を包含するが、これらに限定されない。本明細書で提供される方法及びコンジュゲートの特定の実施形態では、抗体は、抗体とタンパク質(例えば、本明細書中に提供されるサイトカイン)との間のリンカーの結合を可能にするためにFc領域を必要とする。
【0092】
いくつかの例では、抗体はモノクローナル抗体である。本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団を含む個々の抗体は、少量存在し得る、可能な天然に存在する変異を除いて同一である。典型的には異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原(エピトープ)上の単一の決定基に対するものである。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均一な抗体集団から得られる抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とすると解釈されるべきではない。
【0093】
いくつかの例では、抗体はヒト化抗体である。本明細書で使用される場合、「ヒト化」抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含む特異的キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、又はその断片である非ヒト(例えば、マウス)抗体の形態を指す。ほとんどの場合、ヒト化抗体は、レシピエントの相補性決定領域(CDR)由来の残基が、所望の特異性、親和性及び生物学的活性を有するマウス、ラット又はウサギ等の非ヒト種(ドナー抗体)のCDR由来の残基で置き換えられたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。いくつかの例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置き換えられる。更に、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にもインポートされたCDR又はフレームワーク配列にも見られないが、抗体の性能を更に改良及び最適化するために含まれる残基を含み得る。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、CDR領域の全て又は実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのCDR領域に対応し、FR領域の全て又は実質的に全てがヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のFR領域である。ヒト化抗体はまた、最適には、免疫グロブリン定常領域又はドメイン(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリン定常領域又はドメイン(Fc)の少なくとも一部を含むであろう。抗体は、例えば、国際公開第99/58572号に記載されているように修飾Fc領域を有し得る。他の形態のヒト化抗体は、元の抗体に対して変化した1つ以上(1、2、3、4、5、又は6)のCDRを有し、これは元の抗体由来の1つ以上のCDR「に由来する」1つ以上のCDRとも呼ばれる。
【0094】
必要に応じて、本明細書中に記載される抗体又は抗原結合断片を免疫原性について評価することができ、必要に応じて脱免疫化することができる(すなわち、抗体は、1つ以上のT細胞エピトープを変化させることによって免疫反応性が低くされる)。本明細書で使用される場合、「脱免疫化抗体」は、抗体配列中の1つ以上のT細胞エピトープが、対象への抗体の投与後のT細胞応答が、脱免疫化されていない抗体と比較して低下するように修飾されていることを意味する。本明細書に記載の抗体及び抗原結合断片に存在する免疫原性及びT細胞エピトープの分析は、ソフトウェア及び特異的データベースの使用を介して行うことができる。例示的なソフトウェア及びデータベースには、英国ケンブリッジのAntitopeによって開発されたiTope(商標)が含まれる。iTope(商標)は、ヒトMHCクラスII対立遺伝子へのペプチド結合の分析のためのインシリコ技術である。iTope(商標)ソフトウェアは、ヒトMHCクラスII対立遺伝子へのペプチド結合を予測し、それにより、そのような「潜在的T細胞エピトープ」の位置についての初期スクリーニングを提供する。iTope(商標)ソフトウェアは、ペプチドのアミノ酸側鎖と34個のヒトMHCクラスII対立遺伝子の結合溝内の特異的結合ポケットとの間の好ましい相互作用を予測する。重要な結合残基の位置は、試験抗体可変領域配列にまたがる1つのアミノ酸が重複する9merペプチドのインシリコ生成によって達成される。各9merペプチドを、34個のMHCクラスIIアロタイプのそれぞれに対して試験し、それらの潜在的な「適合」及びMHCクラスII結合溝との相互作用に基づいてスコア化することができる。MHCクラスII対立遺伝子の>50%に対して高い平均結合スコア(iTope(商標)スコアリング関数で>0.55)を生じるペプチドは、潜在的なT細胞エピトープと考えられる。そのような領域では、MHCクラスII溝内のペプチド結合のためのコア9アミノ酸配列を分析して、MHCクラスIIポケット残基(P1、P4、P6、P7、及びP9)及び可能なT細胞受容体(TCR)接触残基(P-l、P2、P3、P5、P8)を決定する。任意のT細胞エピトープの同定後、アミノ酸残基の変化、置換、付加、及び/又は欠失を導入して、同定されたT細胞エピトープを除去することができる。そのような変更は、同定されたエピトープを依然として除去しながら抗体の構造及び機能を保存するように行うことができる。例示的な変化には、保存的アミノ酸変化が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0095】
抗体はヒト抗体であり得る。本明細書で使用される場合、「ヒト抗体」は、ヒトによって産生される抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有する抗体、及び/又はヒト抗体を作製するための任意の適切な技術を使用して作製された抗体を意味する。ヒト抗体のこの定義には、少なくとも1つのヒト重鎖ポリペプチド又は少なくとも1つのヒト軽鎖ポリペプチドを含む抗体が含まれる。そのような一例は、マウス軽鎖及びヒト重鎖ポリペプチドを含む抗体である。一実施形態では、ヒト抗体はファージライブラリから選択され、そのファージライブラリはヒト抗体を発現する。ヒト抗体はまた、ヒト免疫グロブリン遺伝子座をトランスジェニック動物、例えば内因性免疫グロブリン遺伝子が部分的又は完全に不活性化されているマウスに導入することによって作製することができる。あるいは、ヒト抗体は、標的抗原に対する抗体を産生するヒトBリンパ球を不死化することによって調製され得る(そのようなBリンパ球は、個体から回収され得るか、又はインビトロで免疫化され得る)。
【0096】
本明細書の抗体のいずれも二重特異性であり得る。二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる抗原に対する結合特異性を有し、本明細書に開示される抗体を使用して調製することができる抗体である。従来、二重特異性抗体の組換え産生は、2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の共発現に基づいており、2つの重鎖は異なる特異性を有する。二重特異性抗体は、一方のアームに第1の結合特異性を有するハイブリッド免疫グロブリン重鎖と、他方のアームにハイブリッド免疫グロブリン重鎖-軽鎖対(第2の結合特異性を提供する)とから構成され得る。二重特異性分子の半分のみに免疫グロブリン軽鎖を有するこの非対称構造は、望ましくない免疫グロブリン鎖の組合せから所望の二重特異性化合物の分離を容易にする。
【0097】
二重特異性抗体を作製するための1つのアプローチによれば、所望の結合特異性を有する抗体可変ドメイン(抗体-抗原結合部位)が免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合される。融合は、ヒンジ、CH2及びCH3領域の少なくとも一部を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインとの融合であり得る。軽鎖結合に必要な部位を含む第1の重鎖定常領域(CH1)は、融合物の少なくとも1つに存在し得る。免疫グロブリン重鎖融合物及び所望であれば免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAを別々の発現ベクターに挿入し、適切な宿主生物に同時トランスフェクトする。これは、構築に使用される3つのポリペプチド鎖の比率が等しくないと最適な収率が得られる実施形態では、3つのポリペプチド断片の相互比率を調整する際の大きな柔軟性を提供する。しかしながら、等しい比での少なくとも2つのポリペプチド鎖の発現が高い収率をもたらす場合、又は比が特に重要でない場合、1つの発現ベクターに2つ又は3つ全てのポリペプチド鎖のコード配列を挿入することが可能である。
【0098】
いくつかの例では、本明細書における抗体はキメラ抗体である。非ヒト(例えば、マウス)抗体の「キメラ」形態には、非ヒトIgに由来する最小配列を含有するキメラ抗体が含まれる。ほとんどの場合、キメラ抗体は、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンの少なくとも一部がマウスFcの代わりに挿入されているマウス抗体である。キメラ抗体又はハイブリッド抗体はまた、架橋剤を含む合成タンパク質化学の好適な方法を使用してインビトロで調製され得る。例えば、免疫毒素は、ジスルフィド交換反応を使用して、又はチオエーテル結合を形成することによって構築され得る。この目的に適した試薬の例としては、イミノチオラート及びメチル-4-メルカプトブチリミダートが挙げられる。
【0099】
本明細書では、抗体及びその抗原結合断片、修飾抗体及びその抗原結合断片、並びに1つ以上の標的抗原上の1つ以上のエピトープに特異的に結合する結合剤が提供される。一例では、結合剤は、単一の抗原上のエピトープに選択的に結合する。別の例では、結合剤は二価であり、単一の抗原上の2つの異なるエピトープに選択的に結合するか、又は2つの異なる抗原上の2つの異なるエピトープに結合する。別の例では、結合剤は多価(すなわち、三価、四価等)であり、結合剤は、単一の抗原上の3つ以上の異なるエピトープに結合するか、又は2つ以上の(複数の)抗原上の3つ以上の異なるエピトープに結合する。
【0100】
本明細書の抗体のいずれかの抗原結合断片も企図される。「抗体の抗原結合部分」、「抗原結合ドメイン」、「抗体断片」又は「抗体の機能的断片」という用語は、本明細書では、抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つ以上の断片を指すために互換的に使用される。代表的な抗原結合断片としては、限定されないが、Fab、Fab’、F(ab’)、二重特異性F(ab’)、三重特異性F(ab’)、可変断片(Fv)、一本鎖可変断片(scFv)、dsFv、二重特異性scFv、可変重鎖ドメイン、可変軽鎖ドメイン、可変NARドメイン、二重特異性scFv、AVIMER(登録商標)、ミニボディ、ダイアボディ、二重特異性ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、マキシボディ、ラクダ状体、VHH、ミニボディ、イントラボディ、抗体部分(例えば、ドメイン抗体)を含む融合タンパク質、一本鎖結合ポリペプチド、scFv-Fc、Fab-Fc、二重特異性T細胞エンゲージャ(BiTE、単一のポリペプチド鎖として産生された2つのscFvであって、各scFvが、本明細書に記載のCDRの組合せ又はVL/VLの組合せのアミノ酸配列を含む、2つのscFv)、四価タンデムダイアボディ(TandAb、頭-尾配置の非共有ホモダイマーフォルダ、例えばscFvを含むTandAbとして産生される抗体断片であり、scFvが、本明細書に記載のCDRの組合せ又はVL/VLの組合せのアミノ酸配列を含む)、二重親和性再標的化抗体(DART、安定化鎖間ジスルフィド結合によって結合された異なるscFv)、二重特異性抗体(bscAb、グリシン-セリンリンカーを介して連結された2つの一本鎖Fv断片)、単一ドメイン抗体(sdAb)、融合タンパク質、二重特異性ジスルフィド安定化Fv抗体断片(dsFv-dsFv’、可撓性リンカーペプチドによって連結された2つの異なるジスルフィド安定化Fv抗体断片)を含む。
【0101】
2つの共有結合した抗体又は抗体の抗原結合断片を含むヘテロコンジュゲートポリペプチドも本開示の範囲内である。適切なリンカーは、結合剤を多量体化するために使用され得る。連結ペプチドの非限定的な例としては、限定されないが、(GS)(配列番号24)、(GGS)(配列番号25)、(GGGS)(配列番号26)、(GGSG)(配列番号27)、又は(GGSGG)(配列番号28)、(GGGGS)(配列番号29)が挙げられ、式中、nは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10である。例えば、連結ペプチドは、(GGGGS)(配列番号30)又は(GGGGS)(配列番号31)であり得る。いくつかの実施形態では、連結ペプチドは、一方の可変領域のカルボキシ末端と他方の可変領域のアミノ末端との間に約3.5nm架橋する。他の配列のリンカーが設計され、使用されている。次いで、リンカーを、薬物の付着又は固体支持体への付着等の更なる機能のために修飾することができる。
【0102】
本明細書で使用される場合、「結合活性」という用語は、希釈後の解離に対する2つ以上の薬剤の複合体の耐性を指す。見かけの親和性は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)又は任意の他の適切な技術等の方法によって決定することができる。結合活性は、スキャッチャード解析又は任意の他の適切な技術等の方法によって決定することができる。
【0103】
本明細書で使用される場合、「親和性」という用語は、2つの薬剤の可逆的結合の平衡定数を指し、Kとして表される。本明細書における抗体又は抗原結合断片の結合親和性(K)は、500nM、475nM、450nM、425nM、400nM、375nM、350nM、325nM、300nM、275nM、250nM、225nM、200nM、175nM、150nM、125nM、100nM、90nM、80nM、70nM、50nM、50nM、49nM、48nM、47nM、46nM、45nM、44nM、43nM、42nM、41nM、40nM、39nM、38nM、37nM、36nM、35nM、34nM、33nM、32nM、31nM、30nM、29nM、28nM、27nM、26nM、25nM、24nM、23nM、22nM、21nM、20nM、19nM、18nM、17nM、16nM、15nM、14nM、13nM、12nM、11nM、10nM、9nM、8nM、7nM、6nM、5nM、4nM、3nM、2nM、1nM、990pM、980pM、970pM、960pM、950pM、940pM、930pM、920pM、910pM、900pM、890pM、880pM、870pM、860pM、850pM、840pM、830pM、820pM、810pM、800pM、790pM、780pM、770pM、760pM、750pM、740pM、730pM、720pM、710pM、700pM、690pM、680pM、670pM、660pM、650pM、640pM、630pM、620pM、610pM、600pM、590pM、580pM、570pM、560pM、550pM、540pM、530pM、520pM、510pM、500pM、490pM、480pM、470pM、460pM、450pM、440pM、430pM、420pM、410pM、400pM、390pM、380pM、370pM、360pM、350pM、340pM、330pM、320pM、310pM、300pM、290pM、280pM、270pM、260pM、250pM、240pM、230pM、220pM、210pM、200pM、190pM、180pM、170pM未満、又はそれらの間の任意の整数であり得る。結合親和性は、表面プラズモン共鳴(SPR)、KINEXA(登録商標)バイオセンサ、シンチレーション近接アッセイ、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ORIGEN免疫アッセイ(IGEN)、蛍光消光、蛍光移動、酵母ディスプレイ、又はそれらの任意の組合せを使用して決定することができる。結合親和性はまた、適切なバイオアッセイを使用してスクリーニングされ得る。
【0104】
本明細書で使用される場合、「結合活性」という用語は、希釈後の解離に対する2つ以上の薬剤の複合体の耐性を指す。見かけの親和性は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)又は当業者によく知られている任意の他の技術等の方法によって決定することができる。結合活性は、スキャッチャード分析又は当業者によく知られている任意の他の技術等の方法によって決定することができる。
【0105】
親和性成熟抗体も本明細書で提供される。抗体の親和性を調整するため、及びCDRを特徴付けるために、以下の方法を使用することができる。抗体のCDRを特徴付ける、及び/又は抗体等のポリペプチドの結合親和性を変化させる(例えば改善する)1つの方法は、「ライブラリ走査変異誘発」と呼ばれる。一般に、ライブラリ走査変異誘発は以下のように働く。CDR中の1つ以上のアミノ酸位置は、2つ以上の(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20)アミノ酸で置換される。これにより、それぞれが2つ以上のメンバの複雑さを有する(いくつかの実施形態では、分析されるアミノ酸位置ごとに1つ)クローンの小さなライブラリが生成される(2つ以上のアミノ酸が全ての位置で置換される場合)。一般に、ライブラリは、天然(非置換)アミノ酸を含むクローンも含む。各ライブラリからの少数のクローン、例えば(ライブラリの複雑さに応じて)約20~80個のクローンを、標的ポリペプチド(又は他の結合標的)に対する結合特異性又は結合親和性についてスクリーニングすることができ、結合が増加した、同じ、減少した、又は結合がない候補が同定される。結合親和性は、約2倍以上の結合親和性の差を検出するBiacore表面プラズモン共鳴分析を使用して決定され得る。
【0106】
いくつかの例では、抗体又は抗原結合断片は、二重特異性又は多重特異性であり、2つ以上の抗原に特異的に結合することができる。場合によっては、そのような二重特異性又は多重特異性抗体又は抗原結合断片は、2つ以上の異なる抗原に特異的に結合することができる。いくつかの場合、二重特異性抗体又は抗原結合断片は、二価の抗体又は抗原結合断片であり得る。いくつかの場合、多重特異性抗体又は抗原結合断片は、二価抗体又は抗原結合断片、三価抗体又は抗原結合断片、又は四価抗体又は抗原結合断片であり得る。
【0107】
本明細書に記載の抗体又は抗原結合断片は、単離、精製、組換え、又は合成することができる。
【0108】
本明細書中に記載される抗体は、任意の好適な方法によって作製され得る。抗体は、特に高レベル発現ベクターを利用する場合、大量に産生され得ることが多い。
【0109】
一実施形態では、本開示の抗PD-L1抗体又は抗PD-L1抗原結合断片は、本明細書に記載の重鎖可変領域(VH)と軽鎖可変領域(VL)との組合せを含む。別の実施形態では、本開示の抗PD-L1抗体又は抗PD-L1抗原結合断片は、本明細書に記載の相補性決定領域(VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2及びVL CDR3)の組合せを含む。一実施形態では、本開示の抗PD-L1抗体又は抗PD-L1抗原結合断片は、修飾Modified アベルマブ(Bavencio、451238、KXG2PJ551I、MSB-0010682、MSB-0010718C、PF-06834635、CAS 1537032-82-8:EMD Serono、Merck&Co.、Merck KGaA、Merck Serono、National Cancer Institute(NCI)、Pfizer)、デュルバルマブ(イミフィンジ、28X28X9OKV(UNII code)、MEDI-4736、CAS 1428935-60-7:AstraZeneca、Celgene、Children’s Hospital Los Angeles(CHLA)、City of Hope National Medical Center、MedImmune、Memorial Sloan-Kettering Cancer Center、Mirati Therapeutics、National Cancer Institute(NCI)、Samsung Medical Center(SMC)、Washington University)、アテゾリズマブ(Tecentriq、52CMI0WC3Y、MPDL-3280A、RG-7446、RO-5541267、CAS 1380723-44-3:Academisch Medisch Centrum(AMC)、Chugai Pharmaceutical、EORTC、Genentech、Immune Design(Merck&Co.)、Memorial Sloan-Kettering Cancer Center、National Cancer Institute(NCI)、Roche、Roche Center for Medical Genomics)、Sugemalimab(CS-1001、WBP-3155:CStone Pharmaceuticals、EQRx、Pfizer)、KN-046(CAS 2256084-03-2:Jiangsu Alphamab Biopharmaceuticals、Sinovent)、APL-502(CBT-502、TQB-2450:Apollomics、Jiangsu Chia Tai Tianqing Pharmaceutical)、エンバホリマブ(3D-025、ASC-22、KN-035、hu56V1-Fc-m1、CAS 2102192-68-5:3D Medicines、Ascletis、Jiangsu Alphamab Biopharmaceuticals、Suzhou Alphamab、Tracon Pharmaceuticals、Inc.)、ビントラフスα(M-7824、MSB-0011359C、NW9K8C1JN3、CAS 1918149-01-5:EMD Serono、GlaxoSmithKline、Merck KGaA、National Cancer Institute(NCI))、STI-1014(STI-A1014、ZKAB-001:Lee’s Pharmaceutical、Sorrento Therapeutics)、PD-L1 t-haNK(ImmunityBio、NantKwest)、A-167(HBM-9167、KL-A167:Harbour BioMed、Sichuan Kelun-Biotech Biopharmaceutical)、IMC-001(STI-3031、STI-A-1015、STI-A1015、ImmuneOncia Therapeutics、Sorrento Therapeutics)、HTI-1088(SHR-1316:Atridia、Jiangsu Hengrui)、IO-103(IO Biotech)、CX-072(CytomX Therapeutics)、AUPM-170(CA-170:Aurigene、Curis)、GS-4224(Gilead)、ND-021(NM21-1480、PRO-1480:CStone Pharmaceuticals、Numab Therapeutics)、BNT-311(DuoBody-PD-L1x4-1BB、GEN-1046:BioNTech、Genmab)、BGB-A333(BeiGene)、IBI-322(Innovent Biologics)、NM-01(Nanomab Technology、Shanghai First People’s Hospital)、LY-3434172(Eli Lilly)、LDP(Dragonboat Biopharmaceutical)、CDX-527(Celldex Therapeutics)、IBI-318(Innovent Biologics、Lilly)、89Zr-DFO-REGN3504(Regeneron)、ALPN-202(CD80 vIgD-Fc:Alpine Immune Sciences)、INCB-086550(Incyte)、LY-3415244(Eli Lilly)、SHR-1701(Jiangsu Hengrui)、JS-003(JS003-30、JS003-SD:Shanghai Junshi Biosciences)、HLX-20(PL2#3:Henlix Biotech、Shanghai Henlius Biotech)、ES-101(INBRX-105、INBRX-105-1:Elpiscience BioPharma、Inhibrx)、MSB-2311(MabSpace Biosciences)、PD-1-Fc-OX40L(SL-279252、TAK-252:Heat Biologics、Shattuck Labs、Takeda)、FS-118、FS118 mAb2、LAG-3/PD-L1 mAb2:F-star Therapeutics、Merck&Co.、Merck KGaA)、FAZ-053(LAE-005:Laekna Therapeutics、Novartis)、Lodapolimab(LY-3300054、NR4MAD6PPB、CAS 2118349-31-6:Eli Lilly)、MCLA-145(Incyte、Merus)、BMS-189(BMS-986189、PD-L1-Milla from Bristol-Myers Squibb)、Cosibelimab(CK-301、TG-1501、CAS 2216751-26-5:Checkpoint Therapeutics、Dana-Farber Cancer Institute、Samsung Biologics、TG Therapeutics)、IL-15Ralpha-SD/IL-15(KD-033:Kadmon)、WP-1066(CAS 857064-38-1:M.D.Anderson Cancer Center、Moleculin Biotech)、BMS-936559(MDX-1105:Bristol-Myers Squibb、Medarex、National Institute Allergy Infect Dis.)、BMS-986192(Bristol-Myers Squibb)、RC-98(RemeGen)、CD-200AR-L(CD200AR-L:OX2 Therapeutics、University of Minnesota)、ATA-3271(Atara Biotherapeutics)、IBC-Ab002(ImmunoBrain Checkpoint)、BMX-101(Biomunex Pharmaceuticals)、AVA-04-VbP(Avacta)、ACE-1708(Acepodia Biotech)、KY-1043(Kymab、Provenance Biopharmaceuticals)、ACE-05(YBL-013:Y-Biologics)、ONC-0055(ONC0055、PRS-344 S-095012:Pieris Pharmaceuticals、Servier)、TLJ-1-CK(I-Mab Biopharma)、GR-1405(Chinese Academy of Medical Sciences)、PD1ACR-T(Taipei Medical University)、N-809(N-IL15/PDL1:ImmunityBio)、CB-201(Crescendo Biologics)、MEDI-1109(MedImmune)、AVA-004(AVA-04:Avacta)、CA-327(Aurigene、Curis)、ALN-PDL(Alnylam Pharmaceuticals)、KY-1003(Kymab)、CD22(aPD-L1)CAR-T cells(SL-22P:Hebei Senlang Biotechnology)、ATA-2271(M28z1XXPD1DNR CAR T cells:Atara Biotherapeutics)、及びZeushield細胞傷害性Tリンパ球(Second Xiangya Hosp Central South Univ.)を含む。
【0110】
いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、アベルマブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、スゲマリマブ、サザンリマブ、エンバホリマブ、ロダポリマブ、若しくはコシベリマブ、又はそれらの修飾バージョンである。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、アベルマブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、スゲマリマブ、サザンリマブ、エンバホリマブ、ロダポリマブ又はコシベリマブである。
【0111】
示された抗体と同じアミノ酸配列を共有する本明細書中で命名された抗体の一般的又はバイオシミラーバージョンもまた、抗体の名称が使用されるときに包含されることが企図される。いくつかの実施形態では、抗体は、アベルマブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、スゲマリマブ、サザンリマブ、エンバホリマブ、ロダポリマブ、又はコシベリマブのバイオシミラーである。
【0112】
いくつかの実施形態では、抗PD-L1ポリペプチドをmAB3で修飾する。いくつかの実施形態では、抗PD-L1ポリペプチドをmAB4で修飾する。
【0113】
表1は、抗PD-L1イムノコンジュゲートを調製するために修飾され得る例示的な抗PD-L1ポリペプチド(例えば、抗PD-L1抗体)及び抗PD-L1抗原結合断片の配列を提供する。表1はまた、修飾抗PD-L1イムノコンジュゲートにおいて利用され得るCDRの例示的な組合せを提供する。本明細書における抗PD-L1ポリペプチドへの言及は、代替的に、抗PD-L1抗原結合断片を指し得る。
【0114】
【表2-1】
【0115】
【表2-2】
【0116】
【表2-3】
【0117】
【表2-4】
【0118】
【表2-5】
【0119】
【表2-6】
【0120】
【表2-7】
【0121】
【表2-8】
【0122】
抗PD-L1ポリペプチド又は抗PD-L1抗原結合断片は、配列番号32、34、36、38、40、42、44、46又は48のいずれか1つのアミノ酸配列を有するVHを含む。抗PD-L1ポリペプチド又は抗PD-L1抗原結合断片は、配列番号33、35、37、39、41、43、45、47又は49のいずれか1つのアミノ酸配列を有するVHを含む。一例では、抗PD-L1ポリペプチド又は抗PD-L1抗原結合断片は、配列番号32のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号33のアミノ酸配列を有するVLを含む。別の例では、抗PD-L1ポリペプチド又は抗PD-L1抗原結合断片は、配列番号34のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号35のアミノ酸配列を有するVLを含む。別の例では、抗PD-L1ポリペプチド又は抗PD-L1抗原結合断片は、配列番号36のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号37のアミノ酸配列を有するVLを含む。別の例では、抗PD-L1ポリペプチド又は抗PD-L1抗原結合断片は、配列番号38のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号39のアミノ酸配列を有するVLを含む。別の例では、抗PD-L1ポリペプチド又は抗PD-L1抗原結合断片は、配列番号40のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号41のアミノ酸配列を有するVLを含む。別の例では、抗PD-L1ポリペプチド又は抗PD-L1抗原結合断片は、配列番号42のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号43のアミノ酸配列を有するVLを含む。別の例では、抗PD-L1ポリペプチド又は抗PD-L1抗原結合断片は、配列番号44のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号45のアミノ酸配列を有するVLを含む。別の例では、抗PD-L1ポリペプチド又は抗PD-L1抗原結合断片は、配列番号46のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号47のアミノ酸配列を有するVLを含む。別の例では、抗PD-L1ポリペプチド又は抗PD-L1抗原結合断片は、配列番号48のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号49のアミノ酸配列を有するVLを含む。
【0123】
一例では、抗PD-L1ポリペプチド又は抗PD-L1抗原結合断片は、配列番号50のアミノ酸配列を有するVH CHR1、配列番号51のアミノ酸配列を有するVH CHR2、配列番号52のアミノ酸配列を有するVH CHR3、配列番号53のアミノ酸配列を有するVL CHR1、配列番号54のアミノ酸配列を有するVL CHR2、及び配列番号55のアミノ酸配列を有するVL CHR3を含む。
【0124】
一例では、抗PD-L1ポリペプチドは、配列番号56のアミノ酸配列を有する単一ドメインコンジュゲート抗体、配列番号57のアミノ酸配列を有する三重特異的融合一本鎖抗体構築物、又は配列番号58のアミノ酸配列を有する二重特異性四量体抗体様エンゲージャを含む。
【0125】
抗HER2抗体も本明細書で提供される。抗HER2抗体は、本明細書において提供するIL-2ポリペプチドにコンジュゲートされ得る。いくつかの実施形態では、抗HER2抗体はトラスツズマブ(Herceptin、Roche、Herclon、RG597、RO452317)である。トラスツズマブは以下のVH配列を有する。
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFNIKDTYIHWVRQAPGKGLEWVARIYPTNGYTRYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCSRWGGDGFYAMDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号59)トラスツズマブのVL配列は、以下の配列である。
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVNTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSRSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQHYTTPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号60)
【0126】
Fc領域への修飾
抗PD-L1ポリペプチドであって、Fc領域を含み、Fc領域が少なくとも1つの共有結合した化学的リンカーを含む、抗PD-L1ポリペプチドが本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、アスパラギン、グルタミン、システイン又はリジン残基に共有結合される。いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、リジン又はシステイン残基に共有結合される。いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、リジン残基に共有結合される。いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、抗PD-L1ポリペプチドの定常領域に共有結合される。
【0127】
いくつかの実施形態では、抗PD-L1ポリペプチドは、Fc領域を含む。いくつかの実施形態では、Fc領域は、IgG Fc領域、IgA Fc領域、IgD Fc領域、IgM Fc領域、又はIgE Fc領域である。いくつかの実施形態では、Fc領域はIgG Fc領域、IgA Fc領域又はIgD Fc領域である。いくつかの実施形態では、Fc領域はヒトFc領域である。いくつかの実施形態では、Fc領域はヒト化されている。Fc領域。いくつかの実施形態では、Fc領域はIgG Fc領域である。いくつかの例では、IgG Fc領域は、IgG1 Fc領域、IgG2a Fc領域又はIgG4 Fc領域である。いくつかの例では、IgG Fc領域は、IgG1 Fc領域、IgG2a Fc領域又はIgG4 Fc領域である。
【0128】
抗体又は抗原結合断片のFc媒介エフェクター機能、例えば抗体依存性細胞傷害(ADCC)及び/又は補体機能を低下させるために、1つ以上の変異をFc領域に導入することができる。いくつかの例では、修飾Fcは、S228P Fc変異を含有するヒト化IgG4カッパアイソタイプを含む。いくつかの例では、修飾Fcは、重鎖CH2ドメインが、例えば、(a)L238P、L239E及びP335S、又は(2)K248、K288、及びK317等の三重変異で操作されているヒトIgG1κを含む。
【0129】
いくつかの実施形態では、Fc領域は、配列番号105(Pro Lys Ser Cys Asp Lys Thr His Thr Cys Pro Pro Cys Pro Ala Pro1 Glu Xaa Xaa Gly Xaa Pro Ser Val Phe Leu Phe Pro Pro Lys Pro Lys Asp Thr Leu Met Ile Ser Arg Thr Pro Glu Val Thr Cys Val Val Val Asp Val Ser His Glu Asp Pro Glu Val Lys Phe Asn Trp Tyr Val Asp Gly Val Glu Val His Asn Ala Lys Thr Lys Pro Arg Glu Glu Gln Tyr Asp Ser Thr Tyr Arg Val Val Ser Val Leu Thr Val Leu His Gln Asp Trp Leu Asn Gly Lys Glu Tyr Lys Cys Lys Val Ser Asn Lys Ala Leu Pro Ala Pro Ile Glu Lys Thr Ile Ser Lys Ala Lys Gly Gln Pro Arg Glu Pro Gln Val Tyr Thr Leu Pro Pro Ser Arg Xaa Glu Xaa Thr Lys Asn Gln Val Ser Leu Thr Cys Leu Val Lys Gly Phe Tyr Pro Ser Asp Ile Ala Val Glu Trp Glu Ser Asn Gly Gln Pro Glu Asn Asn Tyr Lys Xaa Thr Pro Pro Val Leu Asp Ser Asp Gly Ser Phe Phe Leu Tyr Ser Lys Leu Thr Val Asp Lys Ser Arg Trp Gln Gln Gly Asn Val Phe Ser Cys Ser Val Met His Glu Ala Leu His Asn His Tyr Thr Gln Lys Ser Leu Ser Leu Ser Pro Gly(式中、Xaaは任意の天然アミノ酸であり得る))に示される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一のアミノ酸配列を有する。
【0130】
いくつかの実施形態では、Fc領域は、配列番号105中のシステインを含有しない位置にシステイン残基を組み込むこと等によって、Fc領域を特定の残基での修飾又はコンジュゲーションに感受性にする1つ以上の変異を含む。あるいは、Fc領域は、コンジュゲーションハンドルを含む修飾天然アミノ酸又は非天然アミノ酸、例えばリンカーを介して修飾天然アミノ酸又は非天然アミノ酸に連結されたものを組み込むように修飾され得る。いくつかの実施形態では、Fc領域は、更なるサイトカイン(例えば、IL-2、IL-7又はIL-18ポリペプチド)へのリンカーの結合を促進する変異を含まない。いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、配列番号105に示される天然残基に結合される。いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、配列番号105の天然リジン残基に結合される。
【0131】
いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、抗PD-L1ポリペプチドのFc領域の1つのアミノ酸残基に共有結合し得る。いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、Fc領域の非末端残基に共有結合される。いくつかの実施形態では、非末端残基は、抗PD-L1ポリペプチドのCH1、CH2、又はCH3領域にある。いくつかの実施形態では、非末端残基は、抗PD-L1ポリペプチドのCH2領域にある。
【0132】
いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、配列番号105の10位~90位のいずれか1つのアミノ酸残基でFc領域に結合される。いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、配列番号105の10~20、10~30、10~40、10~50、10~60、10~70、1~80、10~90、10~100、10~110、10~120、10~130、10~140、10~150、10~160、10~170、10~180、10~190、又は10~200位のいずれか1つのアミノ酸残基においてFc領域に結合される。いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、配列番号105の20~40位、65~85位、又は90~110位のいずれか1つのアミノ酸残基においてFc領域に結合される。いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、配列番号105の10~30位、50~70位、又は80~100位のいずれか1つのアミノ酸残基でFc領域に結合される。いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、配列番号105の25~35位、70~80位、又は95~105位のいずれか1つのアミノ酸残基でFc領域に結合される。いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、配列番号105の15~26位、55~65位、又は85~90位のうちの1つのアミノ酸残基でFc領域に結合される。いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、配列番号105の30、32、72、74、79又は101位のいずれか1つの位置のアミノ酸残基でFc領域に結合される。いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、配列番号105の位置K30、K32、K72、K74、Q79、又はK101のいずれか1つのアミノ酸残基でFc領域に結合される。いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、配列番号105の位置K30、K32、K72、K74、又はK101のいずれか1つのアミノ酸残基でFc領域に結合される。いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、配列番号105のアミノ酸残基30でFc領域に結合される。いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、配列番号105のアミノ酸残基32でFc領域に結合される。いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、配列番号105のアミノ酸残基72でFc領域に結合される。いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、配列番号105のアミノ酸残基74でFc領域に結合される。いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、配列番号105のアミノ酸残基79でFc領域に結合される。いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、配列番号105のアミノ酸残基101でFc領域に結合される。
【0133】
いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、ポリペプチドの機能が維持されるように(例えば、ポリペプチドを変性させずに)、癌又は炎症関連抗原(例えば、抗PD-L1抗体)に選択的に結合するポリペプチドのアミノ酸残基に共有結合される。例えば、ポリペプチドがヒトIgG(例えば、ヒトIgG1)等の抗体である場合、グルタミン残基が露出した露出リジン残基と、チロシン残基が露出した露出リジン残基は、以下の位置に存在する(ウェブサイトimgt.org/IMGTScientificChart/Numbering/Hu_IGHGnber.htmlをEUナンバリングで参照)。例示的な露出リジン残基:CH2ドメイン(位置246、位置248、位置274、位置288、位置290、位置317、位置320、位置322、及び位置338)CH3ドメイン(位置360、位置414、及び位置439)。例示的な露出グルタミン残基:CH2ドメイン(位置295)。例示的な露出チロシン残基:CH2ドメイン(位置278、位置296、及び位置300)CH3ドメイン(位置436)。
【0134】
ヒトIgG、例えばヒトIgG1はまた、後の修飾のために理想的に表面露出される残基を提供するために、上に列挙した位置のいずれか1つでリジン、グルタミン又はチロシン残基で修飾されてもよい。
【0135】
いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、抗PD-L1抗体の定常領域中のアミノ酸残基に共有結合される。いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、CH1、CH2、又はCH3領域のアミノ酸残基に共有結合される。いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、CH2領域中のアミノ酸残基に共有結合される。いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、ヒトIgG FcにおけるEUナンバリングに従う残基:アミノ酸残基1~478、アミノ酸残基2~478、アミノ酸残基1~477、アミノ酸残基2~477、アミノ酸残基10~467、アミノ酸残基30~447、アミノ酸残基50~427、アミノ酸残基100~377、アミノ酸残基150~327、アミノ酸残基200~327、アミノ酸残基240~327及びアミノ酸残基240~320の群から選択される1つの残基に共有結合され得る。
【0136】
いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、ヒトIgG Fc領域の1つのリジン又はグルタミン残基に共有結合される。いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、抗PD-L1ポリペプチドのFc領域のLys246に共有結合しており、アミノ酸残基の位置番号はEuナンバリングに基づく。いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、抗PD-L1ポリペプチドのFc領域のLys248に共有結合しており、アミノ酸残基の位置番号はEuナンバリングに基づく。いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、抗PD-L1ポリペプチドのFc領域のLys288に共有結合しており、アミノ酸残基の位置番号はEuナンバリングに基づく。いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、抗PD-L1ポリペプチドのFc領域のLys290に共有結合しており、アミノ酸残基の位置番号はEuナンバリングに基づく。いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、抗体ポリペプチドのFc領域のGln295に共有結合しており、アミノ酸残基の位置番号はEuナンバリングに基づく。いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、抗PD-L1ポリペプチドのLys317に共有結合しており、アミノ酸残基の位置番号は、Euナンバリングに基づく。
【0137】
いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、アミノ酸残基のサブセットから選択されるアミノ酸残基に共有結合し得る。いくつかの実施形態では、サブセットは、抗PD-L1ポリペプチドのFc領域の2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、抗PD-L1ポリペプチドのFc領域の2つのリジン残基のうちの1つに共有結合し得る。
【0138】
いくつかの実施形態では、抗PD-L1ポリペプチドは、抗PD-L1ポリペプチドのFc領域に共有結合した2つのリンカーを含む。いくつかの実施形態では、2つのリンカーの各々は、抗PD1ポリペプチドの異なる重鎖に共有結合される。いくつかの実施形態では、2つのリンカーの各々は、同じ残基位置で抗PD-L1ポリペプチドの異なる重鎖に共有結合される。いくつかの実施形態では、2つのリンカーの各々は、異なる残基位置で抗PD-L1ポリペプチドの異なる重鎖に共有結合される。2つのリンカーが異なる残基位置に共有結合される場合、本明細書で提供される残基位置の任意の組合せを組み合わせて使用することができる。
【0139】
いくつかの実施形態では、第1の化学的リンカーは、抗PD-L1ポリペプチドの第1のFc領域のLys248に共有結合しており、第2の化学的リンカーは、抗PD-L1ポリペプチドの第2のFc領域のLys288に共有結合しており、残基の位置番号はEuナンバリングに基づく。いくつかの実施形態では、第1の化学的リンカーは、抗PD-L1ポリペプチドの第1のFc領域のLys246に共有結合しており、第2の化学的リンカーは、抗PD-L1ポリペプチドの第2のFc領域のLys288に共有結合しており、残基の位置番号はEuナンバリングに基づく。いくつかの実施形態では、第1の化学的リンカーは、抗PD-L1ポリペプチドの第1のFc領域のLys248に共有結合しており、第2の化学的リンカーは、抗PD-L1ポリペプチドの第2のFc領域のLys317に共有結合しており、残基の位置番号はEuナンバリングに基づく。いくつかの実施形態では、第1の化学的リンカーは、抗PD-L1ポリペプチドの第1のFc領域のLys246に共有結合しており、第2の化学的リンカーは、抗PD-L1ポリペプチドの第2のFc領域のLys317に共有結合しており、残基の位置番号はEuナンバリングに基づく。いくつかの実施形態では、第1の化学的リンカーは、抗PD-L1ポリペプチドの第1のFc領域のLys288に共有結合しており、第2の化学的リンカーは、抗PD-L1ポリペプチドの第2のFc領域のLys317に共有結合しており、残基の位置番号はEuナンバリングに基づく。
【0140】
Fc領域の修飾方法
プログラム死リガンド1(PD-L1)に選択的に結合するポリペプチドの修飾Fc領域を調製する方法、例えば、PD-L1に選択的に結合するポリペプチドへの、リンカー、コンジュゲーションハンドル又はサイトカインの付着のための方法も本明細書で提供される。PD-L1に結合する抗体又は他のポリペプチドのFc領域の部位特異的修飾のための様々な方法が当技術分野で公知である。
【0141】
リンカーを抗体に部位特異的に付着させるように構成された親和性ペプチドによる修飾
いくつかの実施形態では、Fc領域は、リンカー、コンジュゲーションハンドル、又はそれらの組合せを組み込むように修飾される。いくつかの実施形態では、修飾は、Fc領域を、リンカー又は他の基をFc領域に、例えばFc領域の特定の残基において結合させるように構成されたペイロードを有する親和性ペプチドと接触させることによって行われる。いくつかの実施形態では、リンカーは、Fc領域の残基と結合を形成する反応性基(例えば、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)を使用して結合される。いくつかの実施形態では、親和性ペプチドは、切断可能なリンカーを含む。切断可能なリンカーは、リンカー又は他の基がFc領域に結合した後、親和性ペプチドを除去して、Fc領域に結合した所望のリンカー又は他の基のみを残すことができるように、親和性ペプチド上に構成される。次いで、リンカー又は他の基を更に使用して、サイトカイン又はサイトカインに結合したリンカー等の更なる基をFc領域に付加することができる。
【0142】
そのような親和性ペプチドの非限定的な例は、少なくともPCT公開番号国際公開第2018199337号、PCT公開番号国際公開第2019240288号、PCT公開番号国際公開第2019240287号及びPCT公開番号国際公開第2020090979号に見出すことができ、これらはそれぞれ、その全体が本明細書に記載されているかのように参照により組み込まれる。いくつかの実施形態では、親和性ペプチドは、リンカー/コンジュゲーションハンドルペイロードに抗体のFc領域の1つ以上の特異的残基を送達するように修飾されたペプチドである。いくつかの実施形態では、親和性ペプチドは、(1)QETNPTENLYFQQKNMQCQRRFYEALHDPNLNEEQRNARIRSIRDDDC(配列番号106)、(2)QTADNQKNMQCQRRFYEALHDPNLNEEQRNARIRSIRDDCSQSANLLAEAQQLNDAQAPQA(配列番号107)、(3)QETKNMQCQRRFYEALHDPNLNEEQRNARIRSIRDDDC(配列番号108)、(4)QETFNKQCQRRFYEALHDPNLNEEQRNARIRSIRDDDC(配列番号109)、(5)QETFNMQCQRRFYEALHDPNLNKEQRNARIRSIRDDDC(配列番号110)、(6)QETFNMQCQRRFYEALHDPNLNEEQRNARIRSIKDDC(配列番号111)、(7)QETMQCQRRFYEALHDPNLNEEQRNARIRSIKDDC(配列番号112)、(8)QETQCQRRFYEALHDPNLNEEQRNARIRSIKDDC(配列番号113)、(9)QETCQRRFYEALHDPNLNEEQRNARIRSIKDDC(配列番号114)、(10)QETRGNCAYHKGQLVWCTYH(配列番号115)、及び(115)QETRGNCAYHKGQIIWCTYH(配列番号116)、又はN末端が1、2、3、4、若しくは5残基切断されている対応するペプチドの中から選択されるペプチドに対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する。本明細書で提供される抗体の残基K248にペイロードを結合させることができる切断可能なリンカー及びコンジュゲーションハンドルペイロードを有する例示的な親和性ペプチドを以下に示す(Matsuda et al.,“Chemical Site-Specific Conjugation Platform to Improve the Pharmacokinetics and Therapeutic Index of Antibody-Drug Conjugates,” Mol.Pharmaceutics 2021,18,11,4058-4066に報告されるように)。
【0143】
【化3】
【0144】
Fc領域の別の残基を標的とする別の親和性ペプチドは、AJICAP(商標)技術について上に引用した参考文献に記載されており、そのような親和性ペプチドを使用して、所望の官能性をFc領域の別の残基に結合させることができる(例えば、K246、K288等)。例えば、上記の親和性ペプチドのジスルフィド基を代わりにチオエステルで置換して、連結基の切断可能な部分としてスルフヒドリル保護基を提供することができる(例えば、親和性ペプチドの関連部分は、以下の構造
【0145】
【化4】
又は以下に記載される切断可能なリンカーの別のものを有するであろう)。
【0146】
本開示の親和性ペプチドは、切断可能なリンカーを含むことができる。いくつかの実施形態では、親和性ペプチドの切断可能なリンカーは、親和性ペプチドを、Fc領域に結合することになる基に接続し、リンカー又はコンジュゲーションハンドルを含む基が結合した後にペプチドが切断され得るように構成される。いくつかの実施形態では、切断可能なリンカーは二価の基である。いくつかの実施形態では、切断可能なリンカーは、チオエステル基、エステル基、スルファン基、メタンイミン基、オキシビニル基、チオプロパノアート基、エタン-1,2-ジオール基、(イミダゾール-1-イル)メタン-1-オン基、セレノエーテル基、シリルエーテル基、ジオキシシラン基、エーテル基、ジオキシメタン基、テトラオキソスピロ[5.5]ウンデカン基、アセトアミドエチルホスホラミダイト基、ビス(メチルチオ)-ピラゾロピラゾール-ジオン基、2-オキソ-2-フェニルエチルホルメート基、4-オキシベンジルカルバマート基、2-(4-ヒドロキシ-オキシフェニル)ジアジニル)安息香酸基、4-アミノ-2-(2-アミノ-2-オキソエチル)-4-オキソブタ-2-エン酸基、2-(2-メチレンヒドラジニル)ピリジン基、N’-メチレンホルモヒドラジド基、又はイソプロピルカルバマート基であり、そのいずれもが非置換であるか、又は置換されている。親和性ペプチドに対する切断可能なリンカーの組成及び結合点、並びに関連する使用方法は、少なくとも、PCT公開番号国際公開第2018199337号、PCT公開番号国際公開第2019240288号、PCT公開番号国際公開第2019240287号及びPCT公開番号国際公開第2020090979号に記載されている。
【0147】
いくつかの実施形態では、切断可能なリンカーは、以下:
【0148】
【化5】
の式であって、
式中、
- A又はBの一方はリンカーとの結合点であり、A又はBの他方は親和性ペプチドとの結合点であり、
- 各R2aは、独立して、H又は場合により置換されていてもよいアルキルであり、
- 各R2bは、独立して、H又は場合により置換されていてもよいアルキルであり、
- R2cは、H又は場合により置換されていてもよいアルキルであり、
-Jは、メチレン、N、S、Si又はO原子であり、
- rは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10である、式である。
【0149】
親和性ペプチドは、Fc領域へのリンカー/コンジュゲーションハンドルの共有結合を可能にするように構成された反応性基を含む。いくつかの実施形態では、反応性基は、リンカーの結合を促進するために組み込まれたFc領域のリジン残基、チロシン残基、セリン残基、システイン残基、又は非天然アミノ酸残基等の特定のアミノ酸残基の官能基に対して選択的である。反応性基は、リジンとの反応のための活性化エステル(例えば、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル又はその誘導体、ペンタフルオロフェニルエステル等が挙げられる)又はシステインとの反応のためのスルフヒドリル反応性基(例えば、α-β不飽和カルボニル又はマレイミド等のMichael受容体)等の任意の適切な官能基であり得る。いくつかの実施形態では、反応性基は以下:
【0150】
【化6】
の式であって、
式中、
- 各R5a、R5b、及びR5cは、独立して、H、ハロゲン、又は場合により置換されていてもよいアルキルであり、
- 各jは、1、2、3、4、又は5であり、
- 各kは、1、2、3、4、又は5である、式である。
【0151】
いくつかの実施形態では、親和性ペプチドは、切断可能なリンカーの切断時に反応性部分が露出するように、反応性部分を所望のアミノ酸残基に送達するために使用される。非限定的な例として、反応性基は、親和性ペプチドとFc領域との間の相互作用により抗PD-L1に選択的に結合するポリペプチドのFc領域の所望の残基と共有結合を形成する。この共有結合形成に続いて、切断可能なリンカーは、反応性部分を明らかにするために適切な条件下で切断される(例えば、切断可能なリンカーがチオエステルを含む場合、切断可能なリンカーの切断後に遊離スルフヒドリル基がFc領域に結合する)。次いで、この新しい反応性部分を使用して、その後、スルフヒドリル反応性基(例えば、α-ハロゲン化カルボニル基、α-β不飽和カルボニル基、マレイミド基等)につながれたコンジュゲーションハンドルを含む試薬によって、コンジュゲーションハンドル等の追加の部分を加えることができる。
【0152】
いくつかの実施形態では、親和性ペプチドを使用して、遊離スルフヒドリル基をFc領域のリジンに送達する。いくつかの実施形態では、次いで、遊離スルフヒドリル基を二官能性連結試薬と反応させて、新しいコンジュゲーションハンドルをFc領域に結合させる。いくつかの実施形態では、次いで、新しいコンジュゲーションハンドルを使用して、結合したサイトカインに対するリンカーを形成する。いくつかの実施形態では、新しいコンジュゲーションハンドルは、アルキン官能基である。いくつかの実施形態では、新しいコンジュゲーションハンドルは、DBCO官能基である。
【0153】
この目的に有用な例示的な二官能性連結試薬は、式A-B-Cのものであり、式中、Aはスルフヒドリル反応性コンジュゲーションハンドル(例えば、マレイミド、α、β-不飽和カルボニル、a-ハロゲン化カルボニル)であり、Bは連結基(lining group)であり、Cは新しいコンジュゲーションハンドル(例えば、DBCO等のアルキン)である。二官能性連結試薬の具体的な非限定的な例としては、以下:
【0154】
【化7】
の式であって、式中、各nは独立して1~6の整数であり、各mは独立して1~30の整数である、式及び関連分子(例えば、異性体)を含む。
【0155】
あるいは、親和性ペプチドは、反応性基とFc領域の残基との間の共有結合形成直後に(リンカー基等によって)コンジュゲーションハンドルがFc領域に付加されるように構成することができる。そのような場合、親和性ペプチドが切断され、コンジュゲーションハンドルは、IL-2ポリペプチド(又は他のサイトカイン)へのその後のコンジュゲーションの準備が直ちに整う。
別の結合方法(例えば、酵素媒介)
抗体のFc領域の親和性ペプチド媒介修飾は、Fc領域を部位特異的に修飾するために使用することができる他の方法を超える多くの利点(例えば、使いやすさ、多くの異なる抗体コンジュゲートを迅速に生成する能力、時間のかかるタンパク質操作を行う必要なしに多くの「既製の」市販の抗体を使用する能力等である)を有するが、修飾を行う他の方法も本開示の範囲内であると考えられる。
【0156】
いくつかの実施形態では、本開示は、一般に、以下を含むトランスグルタミナーゼ媒介部位特異的抗体-薬物コンジュゲート(ADC)に関する:1)グルタミン含有タグ、内因性グルタミン(例えば、操作を伴わない天然グルタミン、例えば、可変ドメイン中のグルタミン、CDR等)、及び/又は抗体操作又は操作されたトランスグルタミナーゼによって反応性にされた内因性グルタミン、及び2)アミンドナー単位、リンカー及び薬剤部分を含むアミンドナー剤。そのようなトランスグルタミナーゼ媒介部位特異的修飾の非限定的な例は、少なくとも国際公開第2020188061号、米国特許第2022133904号、米国特許第2019194641号、米国特許第2021128743号、米国特許第9764038号、米国特許第10675359号、米国特許第9717803号、米国特許第10434180号、米国特許第9427478号の刊行物に見出すことができ、それらは、それらの全体が本明細書に記載されているかのように参照により組み込まれる。
【0157】
別の態様では、本開示は、式:(Fc含有ポリペプチド-T-A)を含む操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートを提供し、ここで、Tは特定の部位で操作されたアシルドナーグルタミン含有タグであり、Aはアミンドナー剤であり、アミンドナー剤は、Fc含有ポリペプチドのカルボキシル末端、アミノ末端、又は別の部位でアシルドナーグルタミン含有タグに部位特異的にコンジュゲートされており、アシルドナーグルタミン含有タグはアミノ酸配列XXQXを含み、Xは任意のアミノ酸(例えば、Xは同じ又は異なるアミノ酸であり得る)であり、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートは位置295でのグルタミンからアスパラギンへのアミノ酸置換(Q295N、EUナンバリングスキーム)を含む。
【0158】
いくつかの実施形態では、アシルドナーグルタミン含有タグは、ポリペプチド又はFc含有ポリペプチド中の反応性Lys(例えば、アシルドナー及びトランスグルタミナーゼの存在下でアミンドナーとして共有結合を形成する能力)に空間的に隣接していない。いくつかの実施形態では、ポリペプチド又はFc含有ポリペプチドは、同じ位置の野生型ポリペプチドと比較して、カルボキシル末端の最後のアミノ酸位置にアミノ酸修飾を含む。アミノ酸修飾は、アミノ酸の欠失、挿入、置換、変異、又はそれらの任意の組合せであり得る。
【0159】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドコンジュゲートは、完全長抗体重鎖及び抗体軽鎖を含み、アシルドナーグルタミン含有タグは、重鎖、軽鎖、又は重鎖と軽鎖の両方のカルボキシル末端に位置する。
【0160】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドコンジュゲートは、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、二重特異性抗体、ミニボディ、ダイアボディ、又は抗体断片である抗体を含む。いくつかの実施形態では、抗体はIgGである。
【0161】
別の態様では、式:(Fc含有ポリペプチド-T-A)を含む操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートを調製する方法であって、ここで、Tは特定の部位で操作されたアシルドナーグルタミン含有タグであり、Aはアミンドナー剤であり、アミンドナー剤は、Fc含有ポリペプチドのカルボキシル末端、アミノ末端、又は別の部位でアシルドナーグルタミン含有タグに部位特異的にコンジュゲートされており、アシルドナーグルタミン含有タグはアミノ酸配列XXQXを含み、Xは任意のアミノ酸(例えば、Xは同じ又は異なるアミノ酸であり得る)であり、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートは位置295(Q295N、EUナンバリングスキーム)でのグルタミンからアスパラギンへのアミノ酸置換を含み、a)Fc含有ポリペプチドとアシルドナーグルタミン含有タグとを含む操作された(Fc含有ポリペプチド)-T分子を提供する工程と、b)トランスグルタミナーゼの存在下で、アミンドナー剤を操作された(Fc含有ポリペプチド)-T分子と接触させる工程と、c)操作された(Fc含有ポリペプチド)-Tをアミンドナー剤に共有結合させて、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートを形成する工程と、を含む方法が本明細書に記載される。
【0162】
別の態様では、式:ポリペプチド-T-Aを含む操作されたポリペプチドコンジュゲートを調製する方法であって、式中、Tは特定の部位で操作されたアシルドナーグルタミン含有タグであり、Aはアミンドナー剤であり、アミンドナー剤はポリペプチドのカルボキシル末端、アミノ末端、又は別の部位でアシルドナーグルタミン含有タグに部位特異的にコンジュゲートされ、アシルドナーグルタミン含有タグはアミノ酸配列LLQGPX(配列番号103)を含み、XはA又はP、又はGGLLQGPP(配列番号104)であり、a)ポリペプチドとアシルドナーグルタミン含有タグとを含む操作されたポリペプチド-T分子を提供する工程と、b)トランスグルタミナーゼの存在下でアミンドナー剤を操作されたポリペプチド-T分子と接触させる工程と、c)操作されたポリペプチド-Tをアミンドナー剤に共有結合させて、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲートを形成する工程と、を含む方法が本明細書に記載される。
【0163】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の操作されたポリペプチドコンジュゲート(例えば、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲート、操作されたFab含有ポリペプチドコンジュゲート、又は操作された抗体コンジュゲート)は、少なくとも約51%のコンジュゲーション効率を有する。別の態様では、本発明は、本明細書に記載の操作されたポリペプチドコンジュゲート(例えば、操作されたFc含有ポリペプチドコンジュゲート、操作されたFab含有ポリペプチドコンジュゲート、又は操作された抗体コンジュゲート)及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0164】
いくつかの実施形態では、目的の部分(Z)を抗体にコンジュゲートさせる方法であって、(a)カップリング酵素、例えばトランスアミダーゼの存在下で連結試薬(リンカー)と反応性である(例えば、定常領域の一次配列内)少なくとも1つの受容体アミノ酸残基(例えば、天然に存在するアミノ酸)を有する抗体を提供する工程と、(b)当該抗体を、受容体アミノ酸残基と連結試薬(R部分以外)との間に共有結合を形成させることができる酵素の存在下、連結試薬を介して反応性基(R)に(共有結合的に)連結された受容体アミノ酸残基を含む抗体を得るのに十分な条件下で、反応性基(R)、場合により保護された反応性基又は場合により保護されていない反応性基を含む連結試薬(例えば、第1級アミンを含むリンカー)と反応させる工程と、を含む方法が本明細書に記載される。場合により、抗体又は抗体断片の当該受容体残基は、+2位で非アスパラギン酸残基に隣接している。場合により、+2位の残基は非アスパラギン酸残基である。一実施形態では、+2位の残基は、非アスパラギン酸、非グルタミン残基である。一実施形態では、+2位の残基は、非アスパラギン酸、非アスパラギン残基である。一実施形態では、+2位の残基は、非負電荷アミノ酸(アスパラギン酸又はグルタミン酸以外のアミノ酸)である。場合により、受容体グルタミンは、抗体重鎖のFcドメイン中にあり、場合によりCH2ドメインの更に内部にある。場合により、抗体は、重鎖N297結合グリコシル化を含まない。場合により、受容体グルタミンは位置295にあり、+2位の残基は抗体重鎖の位置297(EUインデックスナンバリング)の残基である。
【0165】
一態様では、目的の部分(Z)を抗体にコンジュゲートする方法であって、(a)少なくとも1つの受容体グルタミン残基を有する抗体を提供する工程と、(b)当該リンカーを介して反応性基(R)に(共有結合的に)連結された受容体グルタミンを含む抗体を得るのに十分な条件下で、トランスグルタミナーゼ(TGase)の存在下で、反応性基(R)、好ましくは保護された反応性基を含む第1級アミン(リジン系リンカー)を含むリンカーと当該抗体を反応させる工程と、を含む方法が本明細書に記載される。場合により、抗体又は抗体断片の当該受容体グルタミン残基は、+2位で非アスパラギン酸残基に隣接している。場合により、+2位の残基は非アスパラギン酸残基である。一実施形態では、+2位の残基は、非アスパラギン酸、非グルタミン残基である。一実施形態では、+2位の残基は、非アスパラギン酸、非アスパラギン残基である。一実施形態では、+2位の残基は、非負電荷アミノ酸(アスパラギン酸又はグルタミン酸以外のアミノ酸)である。場合により、受容体グルタミンは、抗体重鎖のFcドメイン中にあり、場合によりCH2ドメインの更に内部にある。場合により、抗体は、重鎖N297結合グリコシル化を含まない。場合により、受容体グルタミンは位置295にあり、+2位の残基は抗体重鎖の位置297(EUインデックスナンバリング)の残基である。
【0166】
第1級アミン(リジン系リンカー)を含むリンカーを介して反応性基(R)に連結された受容体残基又は受容体グルタミン残基を含む抗体を、その後、目的の部分(Z)を含む反応パートナと反応させて、リンカーを介して目的の部分(Z)に連結された受容体残基又は受容体グルタミン残基を含む抗体を生成することができる。したがって、一実施形態では、方法は、工程(c):(i)場合により固体支持体上に固定化された、第1級アミン(リジン系リンカー)を含むリンカーを介して反応性基(R)に連結された受容体グルタミンを含む工程b)の抗体を、(ii)目的の部分(Z)及び反応性基Rと反応することができる反応性基(R’)を含む化合物と、第1級アミン(リジン系リンカー)を含むリンカーを介して目的の部分(Z)に連結された受容体グルタミンを含む抗体を得るのに十分な条件下で反応させる工程を更に含む。好ましくは、目的の部分(Z)及び反応性基Rと反応することができる反応性基(R’)を含む当該化合物は、抗体に対して80倍、40倍、20倍、10倍、5倍又は4モル当量未満で提供される。一実施形態では、抗体は、2つの受容体グルタミンを含み、目的の部分(Z)及び反応性基(R’)を含む化合物は、抗体に対して10モル当量以下で提供される。一実施形態では、抗体は、2つの受容体グルタミンを含み、目的の部分(Z)及び反応性基(R’)を含む化合物は、抗体に対して5モル当量以下で提供される。一実施形態では、抗体は、4つの受容体グルタミンを含み、目的の部分(Z)及び反応性基(R’)を含む化合物は、抗体に対して20モル当量以下で提供される。一実施形態では、抗体は、4つの受容体グルタミンを含み、目的の部分(Z)及び反応性基(R’)を含む化合物は、抗体に対して10モル当量以下で提供される。一実施形態では、工程(b)及び/又は(c)は水性条件下で行われる。場合により、工程(c)は、官能化受容体グルタミン残基を含む抗体の試料を固体支持体に固定化して、固定化抗体を含む試料を提供する工程と、固定化抗体を含む試料を化合物と反応させる工程と、場合により任意の未反応化合物を回収し、そのような回収化合物を固定化抗体との反応のために固体支持体に再導入する工程と、抗体コンジュゲートを溶出させて、Z部分を含む組成物を提供する工程と、を含む。
【0167】
コンジュゲーションハンドル化学
いくつかの実施形態では、PD-L1に選択的に結合するポリペプチドの適切に修飾されたFc領域は、PD-L1に選択的に結合するポリペプチドをIL-2ポリペプチドにコンジュゲートするために使用されるコンジュゲーションハンドルを含む。
【0168】
IL-2ポリペプチドに結合した相補的反応性基と反応することができる任意の適切な反応性基をコンジュゲーションハンドルとして使用することができる。いくつかの実施形態では、コンジュゲーションハンドルは、Cu(I)触媒又は「銅を含まない」アルキン-アジドトリアゾール形成反応(例えば、歪み促進付加環化)、シュタウディンガーライゲーション、逆電気オンデマンド型ディールス・アルダー(IEDDA)反応、「写真クリック」化学、トランスシクロクテンとのテトラジン環化付加、又はオレフィンメタセシス及び鈴木-宮浦若しくは薗頭クロスカップリング等の金属媒介プロセスのための試薬を含む。
【0169】
いくつかの実施形態では、コンジュゲーションハンドルは、「銅を含まない」アルキンアジドトリアゾール形成反応のための試薬を含む。当該アルキンアジドトリアゾール形成反応のためのアルキンの非限定的な例としては、シクロオクチン試薬(例えば、(1R,8S,9s)ビシクロ[6.1.0]ノナ-4-イン-9-イルメタノール含有試薬、ジベンゾシクロオクチン-アミン試薬、ジフルオロシクロオクチン、又はそれらの誘導体)が挙げられる。いくつかの実施形態では、アルキン官能基はFc領域に結合される。いくつかの実施形態では、アジド官能基はFc領域に結合される。
【0170】
いくつかの実施形態では、コンジュゲーションハンドルは、アジド、アルキン、テトラジン、ハライド、スルフヒドリル、ジスルフィド、マレイミド、活性化エステル、アルケン、アルデヒド、ケトン、イミン、ヒドラジン、及びヒドラジドから選択される反応性基を含む。いくつかの実施形態では、IL-2ポリペプチドは、Fc領域のコンジュゲーションハンドルに相補的な反応性基を含む。いくつかの実施形態では、コンジュゲーションハンドル及び相補的コンジュゲーションハンドルは、「CLICK」化学試薬を含む。クリック化学残基の例示的な群は、Hein et al.,“Click Chemistry,A Powerful Tool for Pharmaceutical Sciences,” Pharmaceutical Research volume 25,pages2216-2230(2008);Thirumurugan et al.,“Click Chemistry for Drug Development and Diverse Chemical-Biology Applications,” Chem.Rev.2013,113,7,4905-4979、米国特許出願公開第20160107999号、米国特許第10266502号、及び米国特許出願公開第20190204330号に記載されており、それぞれ、その全体が参照により組み込まれる。
【0171】
リンカー構造
いくつかの実施形態では、PD-L1及びサイトカイン(IL-2ポリペプチド等)に選択的に結合するポリペプチドを結合させるために使用されるリンカーは、両方の部分に結合点を含む。結合点は、本明細書で提供される結合を促進するための残基のいずれかであり得る。リンカー構造は、2つの部分間の空間的結合を作り出すための任意の適切な構造であり得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、両方の部分の共有結合を提供する。いくつかの実施形態では、リンカーは化学的リンカーである(例えば、融合タンパク質のような発現ポリペプチドではない)。
【0172】
いくつかの実施形態では、リンカーはポリマーを含む。いくつかの実施形態では、リンカーは水溶性ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、ポリ(アルキレンオキシド)、多糖類、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリオキサゾリン、ポリ(アクリロイルモルホリン)、又はそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、リンカーはポリ(アルキレンオキシド)を含む。いくつかの実施形態では、ポリ(アルキレンオキシド)は、ポリエチレングリコール若しくはポリプロピレングリコール、又はそれらの組合せである。いくつかの実施形態では、ポリ(アルキレンオキシド)は、ポリエチレングリコールである。
【0173】
いくつかの実施形態では、リンカーは二官能性リンカーである。いくつかの実施形態では、二官能性リンカーは、アミド基、エステル基、エーテル基、チオエーテル基、又はカルボニル基を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは非ポリマーリンカーを含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、非ポリマーの二官能性リンカーを含む。いくつかの実施形態では、非ポリマー二官能性リンカーは、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート、マレイミドカプロイル、バリン-シトルリン、アリル(4-メトキシフェニル)ジメチルシラン、6-(アリルオキシカルボニルアミノ)-1-ヘキサノール、4-アミノブチルアルデヒドジエチルアセタール、又は(E)-N-(2-アミノエチル)-4-{2-[4-(3-アジドプロポキシ)フェニル]ジアゼニル}ベンズアミドヒドロクロリドを含む。
【0174】
リンカーは、分岐又は直鎖であり得る。いくつかの実施形態では、リンカーは直鎖である。いくつかの実施形態では、リンカーは分岐である。いくつかの実施形態では、リンカーは、少なくとも10、20、50、100、500、1000、2000、3000、又は5000個の原子の鎖の直鎖部分(例えば、第1の結合点と第2の結合点との間で)を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、少なくとも10、20、30、40、又は50個の原子の鎖の直鎖部分を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、少なくとも10個の原子の直鎖部分を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは分岐しており、少なくとも10、20、50、100、500、1000、2000、3000又は5000個の原子の鎖の直鎖部分を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、最大で約300、250、200、150、100又は50個の原子の鎖の直鎖部分を含む。
【0175】
いくつかの実施形態では、リンカーは、約200ダルトン~約2000ダルトンの分子量を有する。いくつかの実施形態では、リンカーは、約200ダルトン~約5000ダルトンの分子量を有する。いくつかの実施形態では、リンカーは、200ダルトン~100,000ダルトンの分子量を有する。いくつかの実施形態では、リンカーは、200ダルトン~500ダルトン、200ダルトン~750ダルトン、200ダルトン~1,000ダルトン、200ダルトン~5,000ダルトン、200ダルトン~10,000ダルトン、200ダルトン~20,000ダルトン、200ダルトン~50,000ダルトン、200ダルトン~100,000ダルトン、500ダルトン~750ダルトン、500ダルトン~1,000ダルトン、500ダルトン~5,000ダルトン、500ダルトン~10,000ダルトン、500ダルトン~20,000ダルトン、500ダルトン~50,000ダルトン、500ダルトン~100,000ダルトン、750ダルトン~1,000ダルトン、750ダルトン~5,000ダルトン、750ダルトン~10,000ダルトン、750ダルトン~20,000ダルトン、750ダルトン~50,000ダルトン、750ダルトン~100,000ダルトン、1,000ダルトン~5,000ダルトン、1,000ダルトン~10,000ダルトン、1,000ダルトン~20,000ダルトン、1,000ダルトン~50,000ダルトン、1,000ダルトン~100,000ダルトン、5,000ダルトン~10,000ダルトン、5,000ダルトン~20,000ダルトン、5,000ダルトン~50,000ダルトン、5,000ダルトン~100,000ダルトン、10,000ダルトン~20,000ダルトン、10,000ダルトン~50,000ダルトン、10,000ダルトン~100,000ダルトン、20,000ダルトン~50,000ダルトン、20,000ダルトン~100,000ダルトン、又は50,000ダルトン~100,000ダルトンの分子量を有する。いくつかの実施形態では、リンカーは、200ダルトン、500ダルトン、750ダルトン、1,000ダルトン、5,000ダルトン、10,000ダルトン、20,000ダルトン、50,000ダルトン、又は100,000ダルトンの分子量を有する。いくつかの実施形態では、リンカーは、少なくとも200ダルトン、500ダルトン、750ダルトン、1,000ダルトン、5,000ダルトン、10,000ダルトン、20,000ダルトン、又は50,000ダルトンの分子量を有する。いくつかの実施形態では、リンカーは、最大で500ダルトン、750ダルトン、1,000ダルトン、5,000ダルトン、10,000ダルトン、20,000ダルトン、50,000ダルトン、又は100,000ダルトンの分子量を有する。
【0176】
いくつかの実施形態では、リンカーは式(X)
【0177】
【化8】
の構造であって、
式中、L、L、L、L、L、L、L及びLは、それぞれ独立して、-O-、-NR-、-N(R -、-OP(=O)(OR)O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-C(=O)NR-、-NRC(=O)-、-OC(=O)NR-、-NRC(=O)O-、-NRC(=O)NR-、-NRC(=S)NR-、-CR=N-、-N=CR、-NRS(=O)-、-S(=O)NR-、-C(=O)NRS(=O)-、-S(=O)NRC(=O)-、置換若しくは非置換C~Cアルキレン、置換若しくは非置換C~Cヘテロアルキレン、置換若しくは非置換C~Cアルケニレン、置換若しくは非置換C~Cアルキニレン、置換若しくは非置換C~C20アリーレン、置換若しくは非置換C~C20ヘテロアリーレン、-(CH-CH-O)qa-、-(O-CH-CHqb-、-(CH-CH(CH)-O)qc-、-(O-CH(CH)-CHqd-、コンジュゲーションハンドルと相補的コンジュゲーションハンドルとの反応生成物、又は存在せず、
各Rは、独立して、水素、置換若しくは非置換C~Cアルキル、置換若しくは非置換C~Cヘテロアルキル、置換若しくは非置換C~Cアルケニル、置換若しくは非置換C~Cアルキニル、置換若しくは非置換C~Cシクロアルキル、置換若しくは非置換C~Cヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換アリール、又は置換若しくは非置換ヘテロアリールであり、
qa、qb、qc及びqdの各々は独立して1~100の整数であり、
式中、各
【0178】
【化9】
は、PD-L1又はサイトカイン(例えば、IL-2ポリペプチド)に選択的に結合するポリペプチドへの結合点である、構造を含む。
【0179】
いくつかの実施形態では、リンカーは、1対又は複数対のコンジュゲーションハンドル及びその相補的コンジュゲーションハンドルの反応生成物を含む。いくつかの実施形態では、反応生成物は、トリアゾール、ヒドラゾン、ピリダジン、スルフィド、ジスルフィド、アミド、エステル、エーテル、オキシム、アルケン、又はそれらの任意の組合せを含む。いくつかの実施形態では、反応生成物はトリアゾールを含む。反応生成物は、リンカーの任意の部分によって第1の結合点及び第2の結合点から分離することができる。いくつかの実施形態では、反応生成物は、リンカーの実質的に中心にある。いくつかの実施形態では、反応生成物は、他の結合点よりも1つの結合点に実質的に近い。
【0180】
いくつかの実施形態では、リンカーは式(X):
【0181】
【化10】
の構造であって、
式中、L、L、L、L、L、L、L、L及びLのそれぞれは、独立して、-O-、-NR-、-(C~Cアルキレン)NR-、-NR(C~Cアルキレン)-、-N(R -、-(C~Cアルキレン)N(R -、-N(R -(C~Cアルキレン)-、-OP(=O)(OR)O-、-S-、-(C~Cアルキレン)S-、-S(C~Cアルキレン)-、-S(=O)-、-S(=O)-、-C(=O)-、-(C~Cアルキレン)C(=O)-、-C(=O)(C~Cアルキレン)-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-C(=O)NR-、-C(=O)NR(C~Cアルキレン)-、-(C~Cアルキレン)C(=O)NR-、-NRC(=O)-、-(C~Cアルキレン)NRC(=O)-、-NRC(=O)(C~Cアルキレン)-、-OC(=O)NR-、-NRC(=O)O-、-NRC(=O)NR-、-NRC(=S)NR-、-CR=N-、-N=CR、-NRS(=O)-、-S(=O)NR-、-C(=O)NRS(=O)-、-S(=O)NRC(=O)-、置換若しくは非置換C~Cアルキレン、置換若しくは非置換C~Cヘテロアルキレン、置換若しくは非置換C~Cアルケニレン、置換若しくは非置換C~Cアルキニレン、置換若しくは非置換C~C20アリーレン、置換若しくは非置換C~C20ヘテロアリーレン、-(CH-CH-O)qa-、-(O-CH-CHqb-、-(CH-CH(CH)-O)qc-、-(O-CH(CH)-CHqd-、コンジュゲーションハンドルと相補的コンジュゲーションハンドルとの反応生成物、又は存在しない、(C~Cアルキレン)であり、
各Rは、独立して、水素、置換若しくは非置換C~Cアルキル、置換若しくは非置換C~Cヘテロアルキル、置換若しくは非置換C~Cアルケニル、置換若しくは非置換C~Cアルキニル、置換若しくは非置換C~Cシクロアルキル、置換若しくは非置換C~Cヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換アリール、又は置換若しくは非置換ヘテロアリールであり、
qa、qb、qc及びqdの各々は独立して1~100の整数であり、
式中、各
【0182】
【化11】
は、PD-L1又はサイトカイン(例えば、IL-2ポリペプチド)に選択的に結合するポリペプチドへの結合点である、構造を含む。
【0183】
いくつかの実施形態では、リンカーは式(X’):
【0184】
【化12】
の構造であって、
式中、L’のそれぞれは、独立して、-O-、-NR-、-(C~Cアルキレン)NR-、-NR(C~Cアルキレン)-、-N(R -、-(C~Cアルキレン)N(R -、-N(R -(C~Cアルキレン)-、-OP(=O)(OR)O-、-S-、-(C~Cアルキレン)S-、-S(C~Cアルキレン)-、-S(=O)-、-S(=O)-、-C(=O)-、-(C~Cアルキレン)C(=O)-、-C(=O)(C~Cアルキレン)-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-C(=O)NR-、-C(=O)NR(C~Cアルキレン)-、-(C~Cアルキレン)C(=O)NR-、-NRC(=O)-、-(C~Cアルキレン)NRC(=O)-、-NRC(=O)(C~Cアルキレン)-、-OC(=O)NR-、-NRC(=O)O-、-NRC(=O)NR-、-NRC(=S)NR-、-CR=N-、-N=CR、-NRS(=O)-、-S(=O)NR-、-C(=O)NRS(=O)-、-S(=O)NRC(=O)-、置換若しくは非置換C~Cアルキレン、置換若しくは非置換C~Cヘテロアルキレン、置換若しくは非置換C~Cアルケニレン、置換若しくは非置換C~Cアルキニレン、置換若しくは非置換C~C20アリーレン、置換若しくは非置換C~C20ヘテロアリーレン、-(CH-CH-O)qa-、-(O-CH-CHqb-、-(CH-CH(CH)-O)qc-、-(O-CH(CH)-CHqd-、コンジュゲーションハンドルと相補的コンジュゲーションハンドルとの反応生成物、又は存在しない、(C~Cアルキレン)であり、
各Rは、独立して、水素、置換若しくは非置換C~Cアルキル、置換若しくは非置換C~Cヘテロアルキル、置換若しくは非置換C~Cアルケニル、置換若しくは非置換C~Cアルキニル、置換若しくは非置換C~Cシクロアルキル、置換若しくは非置換C~Cヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換アリール、又は置換若しくは非置換ヘテロアリールであり、
qa、qb、qc及びqdの各々は独立して1~100の整数であり、
gは、1~100の整数であり、
式中、各
【0185】
【化13】
が、修飾IL-2ポリペプチド又は抗体若しくは抗原結合断片への結合点である、構造を含む。
【0186】
いくつかの実施形態では、式(X)又は式(X)又は式(X’)のリンカーは、以下:
【0187】
【化14】
の構造であって、
式中、
【0188】
【化15】
は、PD-1に選択的に結合するポリペプチドのリジン残基への第1の結合点であり、
Lは連結基であり、
【0189】
【化16】
は、第1の結合点に接続する連結基に対する結合点である、構造又はその位置異性体を含む。
【0190】
いくつかの実施形態では、Lは、以下:
【0191】
【化17】
の構造であって、式中、各nは独立して1~6の整数であり、各mは1~30の整数である、構造を有する。いくつかの実施形態では、各mは独立して2又は3である。いくつかの実施形態では、各mは、1~24、1~18、1~12、又は1~6の整数である。
【0192】
いくつかの実施形態では、式(X)又は式(X)又は式(X’)のリンカーは、以下:
【0193】
【化18】
の構造であって、
式中、
【0194】
【化19】
は、PD-1に選択的に結合するポリペプチドのリジン残基への第1の結合点であり、
Lは連結基であり、
【0195】
【化20】
は、第1の結合点に接続する連結基に対する結合点である、
構造又はその位置異性体を含む。
【0196】
いくつかの実施形態では、L’’は、以下:
【0197】
【化21】
の構造であって、式中、各nは独立して1~6の整数であり、各mは独立して1~30の整数である、構造を有する。いくつかの実施形態では、各mは独立して2又は3である。いくつかの実施形態では、各mは、1~24、1~18、1~12、又は1~6の整数である。
【0198】
いくつかの実施形態では、L又はL’’は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、又はそれ以上の、以下:
【0199】
【化22】
からそれぞれ独立して以下から選択されるサブユニットであって、式中、各nは独立して1~30の整数である、サブユニットを含む。いくつかの実施形態では、各nは独立して1~6の整数である。いくつかの実施形態では、L又はL’’は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のサブユニットを含む。
【0200】
いくつかの実施形態では、L又はL’’は、式(X’’):
【0201】
【化23】
の構造であって、
式中、L1a、L2a、L3a、L4a、L5aのそれぞれは、独立して、-O-、-NRLa-、-(C~Cアルキレン)NRLa-、-NRLa(C~Cアルキレン)-、-N(R -、-(C~Cアルキレン)N(RLa (C~Cアルキレン)-、-N(R -、-OP(=O)(ORLa)O-、-S-、-(C~Cアルキレン)S-、-S(C~Cアルキレン)-、-S(=O)-、-S(=O)-、-C(=O)-、-(C~Cアルキレン)C(=O)-、-C(=O)(C~Cアルキレン)-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-C(=O)NRLa-、-C(=O)NRLa(C~Cアルキレン)-、-(C~Cアルキレン)C(=O)NRLa-、-NRLaC(=O)-、-(C~Cアルキレン)NRLaC(=O)-、-NRLaC(=O)(C~Cアルキレン)-、-OC(=O)NRLa-、-NRLaC(=O)O-、-NRLaC(=O)NRLa-、-NRLaC(=S)NRLa-、-CRLa=N-、-N=CRLa、-NRLaS(=O)-、-S(=O)NRLa-、-C(=O)NRLaS(=O)-、-S(=O)NRLaC(=O)-、置換若しくは非置換C~Cアルキレン、置換若しくは非置換C~Cヘテロアルキレン、置換若しくは非置換C~Cアルケニレン、置換若しくは非置換C~Cアルキニレン、置換若しくは非置換C~C20アリーレン、置換若しくは非置換C~C20ヘテロアリーレン、-(CH-CH-O)qe-、-(O-CH-CHqf-、-(CH-CH(CH)-O)qg-、-(O-CH(CH)-CHqh-、又は存在せず、
各RLaは独立して、水素、置換若しくは非置換C~Cアルキル、置換若しくは非置換C~Cヘテロアルキル、置換若しくは非置換C~Cアルケニル、置換若しくは非置換C~Cアルキニル、置換若しくは非置換C~Cシクロアルキル、置換若しくは非置換C~Cヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換アリール、又は置換若しくは非置換ヘテロアリールであり、
qe、qf、qg及びqhの各々は、独立して、1~100の整数である、構造である。
【0202】
いくつかの実施形態では、L又はL’’は、2~10、2~15、2~20、2~25、又は2~30個の原子の直鎖を含む。いくつかの実施形態では、直鎖は、1つ以上のアルキル基(例えば、低級アルキル(C~C))、1つ以上の芳香族基(例えば、フェニル)、1つ以上のアミド基、1つ以上のエーテル基、1つ以上のエステル基、又はそれらの任意の組合せを含む。
【0203】
いくつかの実施形態では、第1の結合点(例えば、サイトカインへの結合点)に接続する連結基は、ポリ(エチレングリコール)を含む。いくつかの実施形態では、連結基は、約2~約30個のポリ(エチレングリコール)単位を含む。いくつかの実施形態では、第1の結合点(例えば、サイトカインへの結合点)に接続する連結基は、アジド(例えば、トリアゾールはアジドの反応生成物である)を含む本明細書で提供されるサイトカインに結合する官能基である。
【0204】
いくつかの実施形態では、Lは、-O-、-NR-、-N(R+-、-OP(=O)(OR)O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-C(=O)NR-、-NRC(=O)-、-OC(=O)NR-、-NRC(=O)O-、-NRC(=O)NR-、-NRC(=S)NR-、-CR=N-、-N=CR、-NRS(=O)-、-S(=O)NR-、-C(=O)NRS(=O)-、-S(=O)NRC(=O)-、置換若しくは非置換C~Cアルキレン、置換若しくは非置換C~Cヘテロアルキレン、置換若しくは非置換C~Cアルケニレン、置換若しくは非置換C~Cアルキニレン、置換若しくは非置換C~C20アリーレン、置換若しくは非置換C~C20ヘテロアリーレン、-(CH-CH-O)qa-、-(O-CH-CHqb-、-(CH-CH(CH)-O)qc-、-(O-CH(CH)-CHqd-であり、式中、Rは、水素、置換若しくは非置換C~Cアルキル、置換若しくは非置換C~Cヘテロアルキル、置換若しくは非置換C~Cアルケニル、置換若しくは非置換C~Cアルキニル、置換若しくは非置換C~Cシクロアルキル、置換若しくは非置換C~Cヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換アリール、又は置換若しくは非置換ヘテロアリールであり、qa、qb、qc及びqdの各々は独立して1~100の整数である。
【0205】
いくつかの実施形態では、コンジュゲーションハンドル及び相補的コンジュゲーションハンドル(例えば、式(X)、式(X)、式(X’)、又は式(X’’)で指定されるように)の各反応生成物は、トリアゾール、ヒドラゾン、ピリダジン、スルフィド、ジスルフィド、アミド、エステル、エーテル、オキシム、又はアルケンを独立して含む。いくつかの実施形態では、コンジュゲーションハンドル及び相補的コンジュゲーションハンドルの各反応生成物は、トリアゾールを含む。いくつかの実施形態では、コンジュゲーションハンドル及び相補的コンジュゲーションハンドルの各反応生成物は、
【0206】
【化24】
の構造、又はその位置異性体若しくは誘導体を含む。
【0207】
いくつかの実施形態では、リンカーは切断可能なリンカーである。いくつかの実施形態では、切断可能なリンカーは、腫瘍微小環境において、その近傍において、又はその中で切断される。いくつかの実施形態では、腫瘍は、腫瘍微小環境で、その近くで、又はその中で機械的又は物理的に切断される。いくつかの実施形態では、腫瘍は、腫瘍微小環境で、その近くで、又はその中で化学的に切断される。いくつかの実施形態では、切断可能なリンカーは還元感受性リンカーである。いくつかの実施形態では、切断可能なリンカーは酸化感受性リンカーである。いくつかの実施形態では、切断可能なリンカーは、腫瘍微小環境で、その付近、又はその中のpHの結果として切断される。いくつかの実施形態では、リンカーは、腫瘍微小環境で、その付近、又はその中の腫瘍代謝産物によるものである。いくつかの実施形態では、切断可能なリンカーは、腫瘍微小環境、その付近、又はその中でプロテアーゼによって切断される。
【0208】
IL-2サイトカイン
サイトカインは、細胞シグナル伝達において重要な体内で産生されるタンパク質である。サイトカインは免疫系を調節することができ、サイトカイン療法は分子の免疫調節特性を利用して対象の免疫系を増強し、癌細胞を死滅させる。増強された生物学的活性を示すことができる、サイトカインにコンジュゲートされた抗PD-L1ポリペプチドを本明細書中に開示する。
【0209】
インターロイキン-2(IL-2)は、免疫系の調節に重要なサイトカインシグナル伝達分子である。IL-2は、免疫系が外来細胞型と内因性細胞型との間で分化するのを助け、それによって免疫系が対象自身の細胞を攻撃するのを防ぐことに関与する。IL-2は、リンパ球によって発現されるIL-2受容体(IL-2R)との相互作用を通じてその活性を達成する。これらの結合相互作用を通して、IL-2は、Tエフェクター(Teff)細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、及び制御性T細胞(Treg)の対象の集団を調節することができる。
【0210】
IL-2は、単独で、及び他の療法と組み合わせて、癌を治療するために使用されてきた。しかしながら、治療としてのIL-2の使用は、IL-2の毒性、血管漏出症候群等の望ましくない副作用、及びIL-2の短い半減期によって制限されてきた。本開示の抗PD-L1ポリペプチドへのIL-2のコンジュゲーションは、IL-2ポリペプチド選択性を改善し、IL-2の治療可能性を高め、IL-2療法の投与による副作用のリスクを潜在的に低減することができる。
【0211】
本開示は、修飾インターロイキン-2(IL-2)ポリペプチドにコンジュゲートした抗PD-L1ポリペプチド及び治療剤としてのそれらの使用を記載する。本明細書で提供される修飾IL-2ポリペプチドは、免疫療法として、又は他の免疫療法レジメンの一部として使用することができる。そのような修飾IL-2ポリペプチドは、野生型IL-2とは異なるIL-2受容体(IL-2R)に対する結合特性を示し得る。一態様では、本明細書に記載の修飾IL-2ポリペプチドは、IL-2Rαβγ複合体(IL-2Rα)に対する親和性が低下している。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、IL-2Rβγ複合体(IL-2Rβ)に対して増加した親和性を有する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドとIL-2Rβとの間の結合親和性は、野生型IL-2とIL-2Rβとの間の結合親和性と同じ又はそれより高い。本明細書中に記載される実施形態では利用されるIL-2アミノ酸配列の非限定的な例を下記の表8に示す。
【0212】
本開示のいくつかの実施形態では、IL-2ポリペプチドは、野生型IL-2と比較して、IL-2受容体βサブユニットを介したシグナル伝達に有利に偏ることが好ましい。いくつかの実施形態では、これは、a)IL-2受容体αサブユニットへのIL-2ポリペプチドの結合を阻害又は減少させること(例えば、αサブユニットと接触する残基における変異、αサブユニットと接触する残基へのポリマーの付加、又は、αサブユニットと接触する残基へのPD-L1に結合するポリペプチドへのリンカーの結合による)、及び/又はb)IL-2受容体のβサブユニットへのIL-2ポリペプチドの結合を増強する(例えば、結合を増強するβサブユニットと接触する残基における変異を有する)ことの一方又は両方によって達成される。いくつかの実施形態では、本明細書において提供する免疫サイトカイン組成物のIL-2ポリペプチドは、野生型IL-2と比較してIL-2受容体βサブユニットに偏っている。IL-2受容体βシグナル伝達に偏っている修飾を有するIL-2ポリペプチドの非限定的な例は、例えばPCT公開番号国際公開第2021140416号、国際公開第2012065086号、国際公開第2019028419号、国際公開第2012107417号、国際公開第2018119114号、国際公開第2012062228号、国際公開第2019104092号、国際公開第2012088446号及び国際公開第2015164815号に記載されており、これらはそれぞれ、その全体が本明細書に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。
【0213】
IL-2ポリペプチドへの化学的リンカーの結合点
化学的リンカーによってIL-2ポリペプチドに連結されたPD-L1に結合するポリペプチド、例えば抗体を含む組成物が本明細書で提供される。上で考察されるように、化学的リンカーは、本明細書中に提供される位置のいずれかで抗PD-L1ポリペプチドに結合され得る。リンカーの第2の結合点は、本明細書で提供されるIL-2ポリペプチドに結合される。
【0214】
いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、アミノ酸残基でIL-2ポリペプチドに結合される。いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、配列番号1のアミノ酸残基1~133のいずれか1つに対応するアミノ酸残基に結合される。いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、非末端アミノ酸残基(例えば、配列番号1のアミノ酸残基2~132のいずれか1つ、又は配列番号1のアミノ酸残基1~133のいずれか1つであって、N末端又はC末端のいずれかが1つ以上のアミノ酸残基によって伸長されている)に結合される。いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、IL-2ポリペプチドの非末端アミノ酸残基に結合しており、IL-2ポリペプチドは、配列番号1と比較してN末端短縮又はC末端短縮のいずれかを含む。
【0215】
いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、IL-2受容体(IL-2R)タンパク質又はサブユニットと相互作用するアミノ酸残基においてIL-2ポリペプチドに結合される。いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、IL-2Rαサブユニット(IL-2Rα)、IL-2Rβサブユニット(IL-2Rβ)又はIL-2Rγサブユニット(IL-2Rγ)と相互作用するアミノ酸残基に結合される。いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、IL-2Rαサブユニット(IL-2Rα)と相互作用するアミノ酸残基に結合される。いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、IL-2Rβサブユニット(IL-2Rβ)と相互作用するアミノ酸残基に結合される。いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、IL-2Rγサブユニット(IL-2Rγ)と相互作用するアミノ酸残基に結合される。
【0216】
いくつかの実施形態では、IL-2ポリペプチドと少なくとも1つのIL-2受容体サブユニットとの相互作用が減少又は遮断されるように、IL-2ポリペプチドへの結合点が選択される。いくつかの実施形態では、IL-2ポリペプチドとIL-2Rαとの相互作用が低減又は遮断されるように、結合点が選択される。いくつかの実施形態では、結合点は、IL-2ポリペプチドとIL-2Rβとの相互作用が低減されるように選択される。
【0217】
いくつかの実施形態では、リンカーは、IL-2ポリペプチドとIL-2受容体αサブユニット(IL-2Rα)との結合を破壊する残基においてIL-2ポリペプチドに結合される。これらの残基の例としては、例えば、全体が記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる、PCT公開番号国際公開第2019028419号、国際公開第2020056066号、国際公開第2021140416号及び国際公開第2021216478号に記載されているように、残基3、5、34、35、36、37、38、40、41、42、43、44、45、60、61、62、63、64、65、67、68、69、71、72、103、104、105及び107が挙げられる。
【0218】
いくつかの実施形態では、リンカーは、位置30~110のいずれか1つのアミノ酸残基においてIL-2ポリペプチドに結合しており、ここで、修飾IL-2ポリペプチドのアミノ酸残基位置ナンバリングは、参照配列としての配列番号1に基づく。いくつかの実施形態では、リンカーは、30~50位、30~70位、30~100位、40~50位、40~70位、40~100位又は40~110位のいずれか1つのアミノ酸残基でIL-2ポリペプチドに結合される。いくつかの実施形態では、リンカーは、位置35、37、38、41、42、43、44、45、60、61、62、64、65、68、69、71、72、104、105及び107のいずれか1つのアミノ酸残基でIL-2ポリペプチドに結合しており、修飾IL-2ポリペプチドのアミノ酸残基の位置ナンバリングは、参照配列としての配列番号1に基づく。いくつかの実施形態では、リンカーは、位置35、37、38、41、43、44、45、60、61、62、64、65、68、69、71、72、104、105及び107のいずれか1つのアミノ酸残基でIL-2ポリペプチドに結合しており、修飾IL-2ポリペプチドのアミノ酸残基の位置ナンバリングは、参照配列としての配列番号1に基づく。いくつかの実施形態では、リンカーは、位置35、37、38、41、42、43、44、60、61、62、64、65、68、69、71、72、104、105及び107のいずれか1つのアミノ酸残基でIL-2ポリペプチドに結合しており、修飾IL-2ポリペプチドのアミノ酸残基の位置ナンバリングは、参照配列としての配列番号1に基づく。いくつかの実施形態では、リンカーは、位置35、37、38、41、43、44、60、61、62、64、65、68、69、71、72、104、105及び107のいずれか1つのアミノ酸残基においてIL-2ポリペプチドに結合しており、ここで、修飾IL-2ポリペプチドのアミノ酸残基位置ナンバリングは、参照配列としての配列番号1に基づく。いくつかの実施形態では、リンカーは、位置35、37、38、39、40、41、42、43、44、45又は46のいずれか1つのアミノ酸残基においてIL-2ポリペプチドに結合される。いくつかの実施形態では、リンカーは、位置41、42、43、44、及び45のいずれか1つのアミノ酸残基においてIL-2ポリペプチドに結合しており、ここで、修飾IL-2ポリペプチドのアミノ酸残基位置ナンバリングは、参照配列としての配列番号1に基づく。いくつかの実施形態では、リンカーは、アミノ酸残基42又は45に結合される。いくつかの実施形態では、リンカーは、アミノ酸残基42に結合される。いくつかの実施形態では、リンカーは、アミノ酸残基45に結合される。
【0219】
いくつかの実施形態では、リンカーは、配列番号1に示されるIL-2ポリペプチドの天然アミノ酸残基であるアミノ酸残基に結合される。いくつかの実施形態では、リンカーは、配列番号1に示されるIL-2ポリペプチドの天然アミノ酸残基の修飾版であるアミノ酸残基に結合される。そのような修飾の非限定的な例としては、天然アミノ酸残基へのコンジュゲーションハンドルの組み込み若しくは結合(リンカーを介したものを含む)、又は任意の適合性のある方法を使用した天然アミノ酸への化学的リンカーの結合が挙げられる。いくつかの実施形態では、リンカーは、配列番号1のIL-2ポリペプチドと比較して置換アミノ酸残基であるアミノ酸残基に結合される。置換は、追加の官能基(例えば、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、リジン、セリン、トレオニン又はチロシン)、任意の天然アミノ酸の修飾バージョンの誘導体、又は任意の非天然アミノ酸(例えば、所望の反応性基を含有するアミノ酸、例えば、アジド、アルキン等のCLICK化学試薬)の結合により適した天然アミノ酸に対するものであり得る。置換され得るアミノ酸の非限定的な例としては、-α-(9-フルオレニルメチルオキシカルボニル)-L-ビフェニルアラニン(Fmoc-L-Bip-OH)及びN-α-(9-フルオレニルメチルオキシカルボニル)-O-ベンジル-L-チロシン(Fmoc-L-Tyr(Bzl)-OHが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な非標準アミノ酸としては、p-アセチル-L-フェニルアラニン、p-ヨード-L-フェニルアラニン、p-メトキシフェニルアラニン、O-メチル-L-チロシン、p-プロパルギルオキシフェニルアラニン、p-プロパルギル-フェニルアラニン、L-3-(2-ナフチル)アラニン、3-メチル-フェニルアラニン、O-4-アリル-L-チロシン、4-プロピル-L-チロシン、トリ-O-アセチル-GlcNAcp-セリン、L-Dopa、フッ素化フェニルアラニン、イソプロピル-L-フェニルアラニン、p-アジド-L-フェニルアラニン、p-アシル-L-フェニルアラニン、p-ベンゾイル-L-フェニルアラニン、p-ボロノフェニルアラニン、O-プロパルギルチロシン、L-ホスホセリン、ホスホノセリン、ホスホノチロシン、p-ブロモフェニルアラニン、セレノシステイン、p-アミノ-L-フェニルアラニン、イソプロピル-L-フェニルアラニン、アジド-リジン(AzK)、チロシンアミノ酸の類似体、グルタミンアミノ酸の類似体、フェニルアラニンアミノ酸の類似体、セリンアミノ酸の類似体、トレオニンアミノ酸の類似体、アルキル、アリール、アシル、アジド、シアノ、ハロ、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドロキシル、アルケニル、アルキニル、エーテル、チオール、スルホニル、セレノ、エステル、チオ酸、ボラート、ボロナート、ホスホ、ホスホノ、ホスフィン、複素環式、エノン、イミン、アルデヒド、ヒドロキシルアミン、ケト又はアミノ置換アミノ酸、β-アミノ酸、プロリン又はヒスチジン以外の環状アミノ酸、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン以外の芳香族アミノ酸、又はそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、非標準アミノ酸は、β-アミノ酸、ホモアミノ酸、環状アミノ酸及び誘導体化側鎖を有するアミノ酸から選択される。いくつかの実施形態では、非標準アミノ酸は、β-アラニン、β-アミノプロピオン酸、ピペリジン酸、アミノカプリオ酸、アミノヘプタン酸、アミノピメリン酸、デスモシン、ジアミノピメリン酸、Nα-エチルグリシン、Nα-エチルアスパラギン、ヒドロキシリジン、アロヒドロキシリジン、イソデスモシン、アロイソロイシン、ω-メチルアルギニン、Nα-メチルグリシン、Nα-メチルイソロイシン、Nα-メチルバリン、γ-カルボキシグルタマート、ε-N,N,N-トリメチルリジン、ε-N-アセチルリジン、O-ホスホセリン、Nα-アセチルセリン、Nα-ホルミルメチオニン、3-メチルヒスチジン、5-ヒドロキシリジン、及び/又は他の類似のアミノ酸を含む。
【0220】
いくつかの実施形態では、リンカーは、非天然アミノ酸残基に結合される。いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸残基は、コンジュゲーションハンドルを含む。いくつかの実施形態では、コンジュゲーションハンドルは、修飾IL-2ポリペプチドへのリンカーの付加を容易にする。コンジュゲーションハンドルは、本明細書で提供されるコンジュゲーションハンドルのいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、非天然アミノ酸に部位特異的に共有結合される。コンジュゲーションハンドルを含むアミノ酸残基の非限定的な例は、例えば、それぞれ、その全体が示されているかのように参照により組み込まれる、PCT公開番号国際公開第2015054658号、国際公開第2014036492号、及び国際公開第2021133839号、国際公開第2006069246号、及び国際公開第2007079130号に見出され得る。
【0221】
いくつかの実施形態では、リンカーは、天然アミノ酸で置換されたアミノ酸残基に結合される。いくつかの実施形態では、リンカーは、システイン、リジン又はチロシン残基で置換されたアミノ酸残基に結合される。いくつかの実施形態では、リンカーは、システイン残基で置換されたアミノ酸残基に結合される。いくつかの実施形態では、リンカーは、リジン残基で置換されたアミノ酸残基に結合される。いくつかの実施形態では、リンカーは、チロシン残基で置換されたアミノ酸残基に結合される。
【0222】
いくつかの実施形態では、リンカーは、アミノ酸残基K35、F42Y、K43、F44Y又はY45に結合される。いくつかの実施形態では、リンカーは、アミノ酸残基F42Y又はY45に結合される。いくつかの実施形態では、リンカーは、アミノ酸残基F42Yに結合される。いくつかの実施形態では、リンカーは、アミノ酸残基Y45に結合される。
【0223】
IL-2ポリペプチドに対する修飾
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の修飾IL-2ポリペプチドは、1つ以上の修飾アミノ酸残基を含有する。そのような修飾は、配列番号1のアミノ酸配列、配列番号1の配列からのアミノ酸の付加及び/若しくは欠失、又はアミノ酸残基への部分の付加等の野生型IL-2ポリペプチドの変異の形態をとることができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号1の配列からの第1のアミノ酸の欠失を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号1の配列を参照配列として使用して、C125S変異を含む。アミノ酸残基に付加され得る部分としては、ポリマー、リンカー、スペーサー、及びそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。特定のアミノ酸残基に添加すると、これらの部分は、野生型IL-2と比較して修飾IL-2ポリペプチドの活性又は他の特性を調節することができる。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、アミノ酸残基35~46の範囲内の2つの修飾を含む。いくつかの実施形態では、1つの修飾は、アミノ酸残基40~43の範囲内である。いくつかの実施形態では、1つの修飾はアミノ酸残基42にある。いくつかの実施形態では、1つの修飾は、アミノ酸残基44~46の範囲内である。いくつかの実施形態では、1つ修飾はアミノ酸残基45にある。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の修飾IL-2ポリペプチドは、1つ以上のポリマーを含有する。例えば、特定のアミノ酸残基へのポリマーの付加は、修飾IL-2ポリペプチドとIL-2R、特にαβγ複合体との結合相互作用を破壊する効果を有し得る。いくつかの実施形態では、この相互作用を破壊するためにポリマーが付加される残基には、F42及びY45が含まれる。いくつかの実施形態では、残基42又は45に添加されたポリマーは、IL-2ポリペプチドとPD-L1に結合するポリペプチドとの間のリンカーとしても作用する。
【0224】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)ポリマー等の水溶性ポリマーである。F42残基を別の残基に変異させて、例えばチロシン残基へのPEGポリマーの付加を容易にすることができる。ポリマーは、アミノ酸残基F42及びY45の一方又は両方、又はそれらの変異体に付加され得る。これらのポリマーは、IL-2ポリペプチドとPD-L1に選択的に結合するポリペプチドとの間のリンカーの形態であってもよく、又はリンカーに加えて追加のポリマーであってもよい。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、表2から選択される1つ以上のアミノ酸変異を含む。
【0225】
【表3】
【0226】
*参照配列としての配列番号1に基づく残基位置ナンバリング。
【0227】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される修飾IL-2ポリペプチドは、表3から選択される1つ以上のアミノ酸変異を含む。
【0228】
【表4】
【0229】
*参照配列としての配列番号1に基づく残基位置ナンバリング。
【0230】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される修飾IL-2ポリペプチドは、表4から選択される1つ以上のポリマーを含む。
【0231】
【表5】
【0232】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される修飾IL-2ポリペプチドは、表5に提供される変異及びポリマーを含む。いくつかの実施形態では、表のポリマーの1つ以上は、PD-L1に結合するポリペプチドに結合したリンカーの一部で置き換えられるか、又はそれを含む。
【0233】
【表6】
【0234】
*参照配列としての配列番号1に基づく残基位置ナンバリング。
【0235】
本明細書中に記載される修飾IL-2ポリペプチドは、組換えであり得る。本明細書中に記載される修飾IL-2ポリペプチドはまた、組換えポリペプチドとして発現されるのではなく、化学的に合成される場合がある。合成IL-2ポリペプチドは、少なくともPCT公開番号国際公開第2021140416号、米国特許出願公開第20190023760号、及びAsahina et al.,Angew.Chem.Int.Ed.2015,54,8226-8230に記載されており、これらの各々は、あたかもその全体が本明細書に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。修飾IL-2ポリペプチドは、全長修飾IL-2ポリペプチドの1つ以上の断片を合成し、断片を一緒にライゲーションし、ライゲーションされた全長ポリペプチドをフォールディングすることによって作製することができる。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、アミノ酸配列におけるF42Y変異、アミノ酸残基F42Yに共有結合した約500Daの第1のPEGポリマー、アミノ酸残基Y45に共有結合した約500Daの第2のPEGポリマー、及び修飾IL-2ポリペプチドのN末端に共有結合した約6kDaの任意の第3のPEGポリマーを含む。いくつかの実施形態では、PEGポリマーは、PD-L1に結合するポリペプチドにIL-2ポリペプチドを結合させたリンカーの一部を含む。
【0236】
いくつかの実施形態では、化学合成されたIL-2ポリペプチドは、PD-L1に選択的に結合するポリペプチドへのリンカーの結合を促進するために、1つ以上のアミノ酸残基に結合したコンジュゲーションハンドルを含む。コンジュゲーションハンドルは、本明細書で提供される任意のそのようなコンジュゲーションハンドルであってもよく、リンカーが結合され得る任意のアミノ酸残基に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、コンジュゲーションハンドルは、IL-2ポリペプチドのアミノ酸残基42又は45に結合される。いくつかの実施形態では、コンジュゲーションハンドルは、アジド又はアルキンを含む。あるいは、いくつかの実施形態では、コンジュゲーションハンドルは、組換えIL-2ポリペプチドの非天然又は修飾天然アミノ酸に組み込まれる。非天然アミノ酸を有する組換えIL-2ポリペプチドは、例えば、特許協力条約公開番号国際公開第2016115168号、国際公開第2002085923号、国際公開第2005019415号及び国際公開第2005003294号に記載されている方法を用いて作製することができる。
【0237】
いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、対象に投与された場合にTエフェクター(Teff)又はナチュラルキラー(NK)細胞増殖を増強する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、対象に投与された場合、制御性T細胞(Treg)の優先的活性化を防止しながら、Teff又はNK細胞増殖を増強する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、CD8+T及びNK細胞を増加させる。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、対象に投与した場合、1に近いTeff/Treg比を生じる。
【0238】
一態様では、修飾インターロイキン-2(IL-2)ポリペプチドを含む修飾ポリペプチドであって、共有結合した第1のポリマーを含む修飾IL-2ポリペプチドが本明細書に記載される。修飾インターロイキン-2(IL-2)ポリペプチドを含む修飾ポリペプチドが本明細書に記載され、ここで、修飾IL-2ポリペプチドは、残基F42Yに共有結合した第1のポリマーを含み、修飾IL-2ポリペプチドの残基位置ナンバリングは、参照配列としての配列番号1に基づく。いくつかの実施形態では、第1のポリマーは、IL-2ポリペプチド及びPD-L1に選択的に結合するポリペプチドを結合するリンカーと同じである。いくつかの実施形態では、第1のポリマーは、リンカーとは異なる追加のポリマーである。別の態様では、修飾インターロイキン-2(IL-2)ポリペプチドを含む修飾ポリペプチドであって、修飾IL-2ポリペプチドが、一次Treg(IL-2Rα/β/γ受容体を発現)及び静止期CD8+Teff(IL-2Rβ/γ受容体を発現)に対するアゴニストアッセイにおいて最大半量有効濃度(EC50)によって測定した場合に、高親和性ヘテロ三量体IL-2受容体(IL-2Rα/β/γ)を発現する細胞に対して低下した機能活性及び中間親和性ヘテロ二量体IL-2受容体(IL-2Rβ/γ)を発現する細胞に対してより大きい機能活性を示し、IL-2Rβに対する修飾IL-2ポリペプチドのEC50値とIL-2Rαに対する修飾IL-2ポリペプチドのEC50値との比が3:1未満である、修飾ポリペプチドが本明細書に記載される。いくつかの例では、修飾IL-2ポリペプチドは、本明細書に記載の修飾IL-2ポリペプチド、表8又は表5に提供される修飾IL-2ポリペプチド、表2又は表3に提供される変異を有する修飾IL-2ポリペプチド、及び/又は表4に提供されるポリマーを有する修飾IL-2ポリペプチドである。
【0239】
生物学的活性
いくつかの実施形態では、抗PD-L1ポリペプチドにコンジュゲートさせた修飾IL-2ポリペプチドから構成される抗PDL1-IL-2イムノコンジュゲートは、腫瘍浸潤リンパ節癌及び腫瘍排出リンパ節癌、並びに高レベルのPD-L1(CD274)を発現する免疫細胞に対する増強された親和性、並びに低レベル又は中レベルの表面PD-L1を発現する末梢における健康及び免疫細胞に対する低下した親和性を示す。
【0240】
いくつかの実施形態では、抗PD-L1ポリペプチド(PDL1-IL2)にコンジュゲーションした修飾IL-2ポリペプチドを含むイムノコンジュゲートは、非標的IL-2ポリペプチド又は非標的IL-2イムノコンジュゲートと比較して、血漿中での曝露と比較して、腫瘍又は腫瘍排出リンパ節内での曝露が増強されている。いくつかの実施形態では、PDL1-IL2イムノコンジュゲートの血漿又は血清中での曝露に対する腫瘍又は腫瘍排出リンパ節内での曝露の比は、非標的IL-2イムノコンジュゲート又は非コンジュゲーションIL-2ポリペプチドと比較して、少なくとも2倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍又はそれ以上である。いくつかの実施形態では、腫瘍又は腫瘍排出リンパ節内のPDL1-IL2イムノコンジュゲートの半減期は、血漿又は血清中のその半減期と比較して10倍~100倍高い。いくつかの実施形態では、PDL1-IL2イムノコンジュゲートの血漿又は血清中での曝露に対する腫瘍又は腫瘍排出リンパ節内での曝露の比は、非標的IL-2イムノコンジュゲート又は非コンジュゲーションIL-2ポリペプチドと比較して、10倍~100倍、20倍~100倍、30倍~100倍、40倍~100倍、20倍~75倍、30倍~75倍、40倍~100倍、又は40倍~75倍高い。
【0241】
いくつかの実施形態では、PDL1-IL2イムノコンジュゲートは、PD-L1を標的としないIL-2イムノコンジュゲート又はIL-2ポリペプチドと比較して、血漿又は血清曝露に対する腫瘍又は腫瘍排出リンパ節曝露の増大した比を示す。いくつかの実施形態では、抗PDL1-IL-2イムノコンジュゲートの血漿又は血清曝露に対する腫瘍又は腫瘍排出リンパ節曝露の比は、PD-L1を標的としないIL-2イムノコンジュゲート又はIL-2ポリペプチドと比較して、少なくとも2倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍高い。いくつかの実施形態では、PDL1-IL2の血漿又は血清曝露に対する腫瘍又は腫瘍排出リンパ節曝露の比は、PD-L1を標的としないIL-2イムノコンジュゲート又はIL-2ポリペプチドと比較して10倍~100倍高い。いくつかの実施形態では、PDL1-IL2イムノコンジュゲートの血漿又は血清曝露に対する腫瘍又は腫瘍排出リンパ節曝露の比は、非標的IL-2イムノコンジュゲート又はIL-2ポリペプチドと比較して、10倍~100倍、20倍~100倍、30倍~100倍、40倍~100倍、20倍~75倍、30倍~75倍、40倍~100倍、又は40倍~75倍高い。
【0242】
いくつかの実施形態では、PDL1-IL2イムノコンジュゲートによって誘導される他の組織(例えば、他の組織における同じタイプの免疫細胞)における免疫細胞集団の増殖に対する腫瘍内(例えば、腫瘍浸潤リンパ球(TIL))及び腫瘍排出リンパ節内の免疫細胞集団の増殖の比は、少なくとも1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5又はそれ以上である。いくつかの実施形態では、PDL1-IL2イムノコンジュゲートによって誘導される他の組織中の免疫細胞集団の増殖に対する腫瘍及び腫瘍排出リンパ節内の免疫細胞集団の増殖の比は、約1.5~10、約2~10、約2.5~10、約3~10、約1.5~8、約2~8、約2.5~8、約3~8、約1.5~6、約2~6、約2.5~6、又は約3~6である。いくつかの実施形態では、免疫細胞集団は、ナイーブCD8+細胞、CD4+ヘルパー細胞、CD8+セントラルメモリー細胞、CD8+エフェクターメモリー細胞、NK細胞、NKT細胞、又はそれらの任意の組合せから選択される少なくとも1つである。いくつかの実施形態では、比は、投与後の指定された時間(例えば、6時間、12時間、24時間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間又は7日間)に測定される。
【0243】
いくつかの実施形態では、抗PD-L1ポリペプチドにコンジュゲーションした修飾IL-2ポリペプチドを含むPDL1-IL2イムノコンジュゲートは、高レベルのPD-L1を発現する細胞(CD274)に対する修飾IL-2ポリペプチドのシスシグナル伝達により、PD-L1を発現しないか又は中レベルのみを発現する細胞と比較して増強された効力を示す。いくつかの実施形態では、PDL1-IL2イムノコンジュゲートについて、高レベルのPD-L1を発現する細胞におけるIL-2経路関与のEC50値(pSTAT5アッセイ)に対する、PD-L1を発現しないか又は中レベルのみ発現する細胞におけるIL-2経路関与のEC50値(pSTAT5アッセイ)の比は、最後に10、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも250、少なくとも500、少なくとも750、少なくとも1000、少なくとも1500、少なくとも2000、少なくとも2500、又は少なくとも3000である。いくつかの実施形態では、PDL1-IL2イムノコンジュゲートについて、高レベルのPD-L1を発現する細胞におけるIL-2経路関与のEC50値(pSTAT5アッセイ)に対する、PD-L1を発現しないか又は中レベルのみ発現する細胞におけるIL-2経路関与のEC50値(pSTAT5アッセイ)の比は、PD-L1を標的としないIL-2イムノコンジュゲート又はIL-2ポリペプチドと比較して、少なくとも10倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも200倍、少なくとも300倍、少なくとも400倍、少なくとも500倍、少なくとも600倍、少なくとも700倍、少なくとも800倍、少なくとも900倍又は少なくとも1000倍である。
【0244】
いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、野生型IL-2とは異なる活性を示す。本明細書で以下に提供されるこれらの修飾された生物学的活性は、いくつかの実施形態では、IL-2ポリペプチド単独(例えば、PD-L1に結合するポリペプチドにコンジュゲートされていないか、そうでなければ結合されていない)、並びにIL-2ポリペプチドがPD-L1に結合するポリペプチドにコンジュゲートされているか、そうでなければ結合する(例えば、修飾された生物学的活性は、コンジュゲーション又は付着時に保持される)場合に適用される。したがって、修飾IL-2ポリペプチドが、示された活性を有するとして本明細書中に記載される場合、本明細書中に提供される免疫サイトカイン組成物(例えば、PD-L1に結合するポリペプチドに結合したIL-2ポリペプチド)は、同じ活性を有することも想定される。
【0245】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の修飾IL-2ポリペプチドは、CD4+ヘルパー細胞、CD8+セントラルメモリー細胞、CD8+エフェクターメモリー細胞、ナイーブCD8+細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞集団、又はそれらの組合せを増殖させることができる。いくつかの例では、修飾IL-2ポリペプチドは、本明細書に記載の修飾IL-2ポリペプチド、表8又は表5に提供される修飾IL-2ポリペプチド、表2又は表3に提供される変異を有する修飾IL-2ポリペプチド、及び/又は表4に提供されるポリマーを有する修飾IL-2ポリペプチドである。
【0246】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される修飾IL-2ポリペプチドは、エフェクターT細胞(Teff細胞)の細胞集団を増殖させる。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、修飾IL-2ポリペプチドが集団と接触している場合、Teff細胞の細胞集団を少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも100%、又は少なくとも200%増殖させる。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、修飾IL-2ポリペプチドが集団と接触している場合、Teff細胞の細胞集団を少なくとも20%増殖する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、修飾IL-2ポリペプチドが集団と接触している場合、Teff細胞の細胞集団を少なくとも30%増殖する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、修飾IL-2ポリペプチドが集団と接触している場合、Teff細胞の細胞集団を少なくとも40%増殖する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、修飾IL-2ポリペプチドが集団と接触している場合、Teff細胞の細胞集団を少なくとも50%増殖する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、修飾IL-2ポリペプチドが集団と接触している場合、Teff細胞の細胞集団を少なくとも100%増殖する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、修飾IL-2ポリペプチドが集団と接触している場合、Teff細胞の細胞集団を少なくとも200%増殖する。
【0247】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される修飾IL-2ポリペプチドは、エフェクターT細胞(Teff細胞)の細胞集団を増殖させる。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、修飾IL-2ポリペプチドが集団と接触している場合、Teff細胞の細胞集団を最大で5%、最大で10%、最大で20%、最大で30%、最大で40%、最大で50%、最大で75%、最大で100%、又は最大で500%増殖させる。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、修飾IL-2ポリペプチドが集団と接触している場合、Teff細胞の細胞集団を最大で5%増殖する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、修飾IL-2ポリペプチドが集団と接触している場合、Teff細胞の細胞集団を最大で20%増殖する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、修飾IL-2ポリペプチドが集団と接触している場合、Teff細胞の細胞集団を最大で50%増殖する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、修飾IL-2ポリペプチドが集団と接触している場合、Teff細胞の細胞集団を最大で100%増殖する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、修飾IL-2ポリペプチドが集団と接触している場合、Teff細胞の細胞集団を最大で500%増殖する。
【0248】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の修飾IL-2ポリペプチドによって増殖させたTreg細胞の細胞集団増殖に対するTeff細胞の細胞集団増殖の比は、約0.1~約15、約0.5~約10、約0.75~約5、又は約1~約2である。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドによって増殖させたTreg細胞の細胞集団増殖に対するTeff細胞の細胞集団増殖の比は、0.1~15である。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドによって増殖させたTreg細胞の細胞集団増殖に対するTeff細胞の細胞集団増殖の比は、0.1~0.5、0.1~0.75、0.1~1、0.1~2、0.1~5、0.1~10、0.1~15、0.5~0.75、0.5~1、0.5~2、0.5~5、0.5~10、0.5~15、0.75~1、0.75~2、0.75~5、0.75~10、0.75~15、1~2、1~5、1~10、1~15、2~5、2~10、2~15、5~10、5~15、10~15、又はそれらの間の任意の数若しくは範囲である。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドによって増殖させたTreg細胞の細胞集団増殖に対するTeff細胞の細胞集団増殖の比は、約0.1、0.5、0.75、1、2、5、10又は15である。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドによって増殖させたTreg細胞の細胞集団増殖に対するTeff細胞の細胞集団増殖の比は、少なくとも0.1、0.5、0.75、1、2、5、又は10である。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドによって増殖させたTreg細胞の細胞集団増殖に対するTeff細胞の細胞集団増殖の比は、最大で0.5、0.75、1、2、5、10又は15である。
【0249】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される修飾IL-2ポリペプチドによって増殖させた細胞集団は、インビトロ細胞集団、インビボ細胞集団又はエクスビボ細胞集団である。いくつかの実施形態では、細胞集団はインビトロ細胞集団である。いくつかの実施形態では、細胞集団はインビボ細胞集団である。いくつかの実施形態では、細胞集団はエクスビボ細胞集団である。細胞集団は、CD4+ヘルパー細胞、CD8+セントラルメモリー細胞、CD8+エフェクターメモリー細胞、ナイーブCD8+細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、又はそれらの組合せの集団であり得る。
【0250】
いくつかの実施形態では、細胞のレベルは、修飾IL-2ポリペプチドの注射の1時間後に測定される。いくつかの実施形態では、細胞のレベルは、修飾IL-2ポリペプチドの注射の2時間後に測定される。いくつかの実施形態では、細胞のレベルは、修飾IL-2ポリペプチドの注射の4時間後に測定される。いくつかの実施形態では、細胞のレベルは、修飾IL-2ポリペプチド(例えば、インビトロ実験の場合)の注射の30分後に測定される。 いくつかの実施形態では、細胞のレベルは、特にインビボ実験のために、延長された時点(例えば、6時間、12時間、24時間、72時間、96時間、120時間、144時間、168時間等)で測定される。
【0251】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるイムノコンジュゲート組成物(例えば、リンカーを介してIL-2ポリペプチドに結合したPD-L1(例えば、デュルバルマブ等の抗PD-L1抗体)に結合するポリペプチド)は、2つの基間の結合の形成後に、成分の少なくとも1つに関連する結合親和性を維持する。例えば、IL-2ポリペプチドに連結された抗PD-L1抗体又は抗原結合断片を含むイムノコンジュゲート組成物において、いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片は、1つ以上のFc受容体への結合を保持する。いくつかの実施形態では、組成物は、非コンジュゲート抗体と比較して、約5倍以下、約10倍以下、約15倍以下、又は約20倍以下減少する、1つ以上のFc受容体への結合を示す。いくつかの実施形態では、1つ以上のFc受容体は、FcRn受容体、FcγRI受容体(CD64)、FcγRIIa受容体(CD32α)、FcγRIIβ受容体(CD32β)、FcγRIII受容体(CD16a)、又はそれらの任意の組合せである。いくつかの実施形態では、FcRn受容体、FcγRI受容体(CD64)、FcγRIIa受容体(CD32α)、及びFcγRIIβ受容体(CD32β)、FcγRIII受容体(CD16a)のそれぞれへの組成物の結合は、非コンジュゲート抗体と比較して約10倍以下減少する。
【0252】
いくつかの実施形態では、PD-L1に結合するポリペプチド(例えば、抗体)の結合は、IL-2ポリペプチドとのコンジュゲーションによる実質的な影響を受けない。いくつかの実施形態では、PD-L1へのポリペプチドの結合は、非コンジュゲート抗体と比較して約5%以下低下する。
【0253】
部位特異的修飾
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される修飾IL-2ポリペプチドは、1つ以上のアミノ酸残基に1つ以上の修飾を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドのアミノ酸残基位置ナンバリングは、参照配列としての配列番号1に基づく。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドのアミノ酸残基位置ナンバリングは、参照配列としての野生型ヒトIL-2ポリペプチドに基づく。いくつかの例では、修飾IL-2ポリペプチドは、本明細書に記載の修飾IL-2ポリペプチド、表8又は表5に提供される修飾IL-2ポリペプチド、表2又は表3に提供される変異を有する修飾IL-2ポリペプチド、及び/又は表4に提供されるポリマーを有する修飾IL-2ポリペプチドである。
【0254】
本明細書中に記載されるポリペプチドに対する修飾は、タンパク質又はタンパク質断片の野生型バージョンの変異、様々な機能の付加、アミノ酸の欠失、アミノ酸の付加、又は任意の他の修飾を包含する。ポリペプチドに付加され得る官能基としては、ポリマー、リンカー、アルキル基、検出可能な分子、例えば発色団又はフルオロフォア、反応性官能基、又はそれらの任意の組合せが挙げられる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドの個々のアミノ酸に官能基が付加される。いくつかの実施形態では、官能基は、ポリペプチドに部位特異的に付加される。いくつかの実施形態では、官能基は、PD-L1に選択的に結合するポリペプチドにIL-2ポリペプチドを結合させるために使用されるリンカーの少なくとも一部を含む。
【0255】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の修飾IL-2ポリペプチドは、残基35~46の領域からのアミノ酸残基に修飾を含み、残基のナンバリングは配列番号1に基づく。いくつかの実施形態では、修飾は、K35、L36、T37、R38、M39、L40、T41、F42、K43、F44、Y45又はM46におけるものである。いくつかの実施形態では、修飾はF42にある。いくつかの実施形態では、修飾はY45にある。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、N末端残基に修飾を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、C125S変異を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、A1欠失を含む。いくつかの実施形態では、修飾は、PD-L1に選択的に結合するポリペプチドにIL-2ポリペプチドを結合させたリンカーの結合を含む。
【0256】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される修飾IL-2ポリペプチドは、残基35~46のいずれかのアミノ酸残基に共有結合した第1のポリマーを含み、修飾IL-2ポリペプチドのアミノ酸残基位置ナンバリングは、参照配列としての配列番号1に基づく。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、残基39~43のいずれかのアミノ酸残基に共有結合した第1のポリマーを含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、アミノ酸残基F42に共有結合した第1のポリマーを含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、アミノ酸残基F42Yに共有結合した第1のポリマーを含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、残基44~46のいずれかのアミノ酸残基に共有結合した第1のポリマーを含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、アミノ酸残基Y45に共有結合した第1のポリマーを含む。いくつかの実施形態では、第1のポリマーは、PD-L1に選択的に結合するポリペプチドにIL-2ポリペプチドを結合するリンカーの一部である。いくつかの実施形態では、第1のポリマーは、PD-L1に選択的に結合するポリペプチドにIL-2ポリペプチドを結合させたリンカーとは別個の修飾である。
【0257】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される修飾IL-2ポリペプチドは、アミノ酸残基35からアミノ酸残基45までの領域のアミノ酸残基に位置する1つ以上のPEG化チロシンを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のPEG化チロシンは、アミノ酸残基42、アミノ酸残基45、又はその両方に位置する。いくつかの実施形態では、1つ以上のPEG化チロシンは、アミノ酸残基42に位置する。いくつかの実施形態では、1つ以上のPEG化チロシンは、アミノ酸残基45に位置する。いくつかの実施形態では、1つ以上のPEG化チロシンはアミノ酸残基42及びアミノ酸残基45の両方に位置する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、それぞれ独立して式(I)の構造を有する2つのPEG化チロシンを含む。本明細書で提供される様々なリンカー結合点及びポリマーを有する本明細書で提供される修飾IL-2ポリペプチドの非限定的なセットを以下の表7に示す。
【0258】
【表7】
【0259】
一態様では、1つ以上のアミノ酸置換を含む修飾IL-2ポリペプチドが本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、F42Y及びY45を含む。
【0260】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される修飾IL-2ポリペプチドは合成である。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、アミノ酸残基35~45のいずれか1つに位置するホモセリン(Hse)残基を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、アミノ酸残基61~81のいずれか1つに位置するHse残基を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、アミノ酸残基94~114のいずれか1つに位置するHse残基を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、1、2、3又はそれを超えるHse残基を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Hse41、Hse71、Hse104、又はそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Hse41、Hse71及びHse104を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸置換を含み、ここで、その少なくとも2つのアミノ酸置換は、(a)アミノ酸残基35~45のいずれか1つに位置するホモセリン(Hse)残基、(b)アミノ酸残基61~81のいずれか1つに位置するホモセリン残基、及び(c)アミノ酸残基94~114のいずれか1つに位置するホモセリン残基から選択される。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Hse41及びHse71を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Hse41及びHse104を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Hse71及びHse104を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Hse41を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Hse71を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Hse104を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、1、2、3又はそれを超えるノルロイシン(Nle)残基を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、残基18~28のいずれか1つに位置するNle残基を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、アミノ酸残基34~50のいずれか1つに位置する1つ以上のNle残基を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、アミノ酸残基20~60のいずれか1つに位置するNle残基を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、3つのNle置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、Nle23、Nle39及びNle46を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号3を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、A1欠失を有する配列番号3を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号4を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、A1欠失を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、A1欠失を有する配列番号4を含む。
【0261】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される修飾IL-2ポリペプチドは、表8に提供される配列番号3~23のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号3~23のいずれか1つの配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号3のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号3の配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号4の配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号9のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号9の配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号10のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号10の配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号11のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号11の配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号12のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号12の配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号13のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号13の配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号14のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号14の配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号15のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号15の配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号17のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号17の配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号18のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号18の配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号19のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号19の配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号20の配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号21のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号21の配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号22のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号22の配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号23のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号23の配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を含む。
【0262】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の修飾IL-2ポリペプチドは、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個又は少なくとも9個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、3~9個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、3個又は4個のアミノ酸置換、3個~5個のアミノ酸置換、3個~6個のアミノ酸置換、3個~7個のアミノ酸置換、3個~9個のアミノ酸置換、4個又は5個のアミノ酸置換、4個~6個のアミノ酸置換、4個~7個のアミノ酸置換、4個~9個のアミノ酸置換、5個又は6個のアミノ酸置換、5個~7個のアミノ酸置換、5個~9個のアミノ酸置換、6個又は7個のアミノ酸置換、6個~9個のアミノ酸置換、又は7個~9個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、3個のアミノ酸置換、4個のアミノ酸置換、5個のアミノ酸置換、6個のアミノ酸置換、7個のアミノ酸置換又は9個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、最大で4個のアミノ酸置換、5個のアミノ酸置換、6個のアミノ酸置換、7個のアミノ酸置換又は9個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換が表2から選択される。いくつかの実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換が表3から選択される。いくつかの例では、修飾IL-2ポリペプチドは、本明細書に記載の修飾IL-2ポリペプチド、表8又は表5に提供される修飾IL-2ポリペプチド、表2又は表3に提供される変異を有する修飾IL-2ポリペプチド、及び/又は表4に提供されるポリマーを有する修飾IL-2ポリペプチドである。
【0263】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される修飾IL-2ポリペプチドは、第2の修飾を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、第3の修飾を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、第2及び第3の修飾を含む。
【0264】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の修飾IL-2ポリペプチドは、配列番号3と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は100%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、配列同一性は、Matrix BLOSUM62、Gap Costs Existence:11、Extension:1、及びCompositional Adjustments Conditional Compositional Score Matrix Adjustmentのパラメータを使用して、タンパク質-タンパク質BLASTアルゴリズムによって測定される。
【0265】
本明細書中に記載されるような修飾IL-2ポリペプチドは、1つ以上の非標準アミノ酸を含むことができる。いくつかの実施形態では、場合によっては、Tyr45及び/又はPhe42は、非標準アミノ酸で置換される。いくつかの実施形態では、表2及び/又は表3に提供される位置に位置する1つ以上のアミノ酸は、1つ以上の非標準アミノ酸で置換される。非標準アミノ酸には、N-α-(9-フルオレニルメチルオキシカルボニル)-L-ビフェニルアラニン(Fmoc-L-Bip-OH)及びN-α-(9-フルオレニルメチルオキシカルボニル)-O-ベンジル-L-チロシン(Fmoc-L-Tyr(Bzl)-OHが含まれるが、これらに限定されない。例示的な非標準アミノ酸としては、p-アセチル-L-フェニルアラニン、p-ヨード-L-フェニルアラニン、p-メトキシフェニルアラニン、O-メチル-L-チロシン、p-プロパルギルオキシフェニルアラニン、p-プロパルギル-フェニルアラニン、L-3-(2-ナフチル)アラニン、3-メチル-フェニルアラニン、O-4-アリル-L-チロシン、4-プロピル-L-チロシン、トリ-O-アセチル-GlcNAcp-セリン、L-Dopa、フッ素化フェニルアラニン、イソプロピル-L-フェニルアラニン、p-アジド-L-フェニルアラニン、p-アシル-L-フェニルアラニン、p-ベンゾイル-L-フェニルアラニン、p-ボロノフェニルアラニン、O-プロパルギルチロシン、L-ホスホセリン、ホスホノセリン、ホスホノチロシン、p-ブロモフェニルアラニン、セレノシステイン、p-アミノ-L-フェニルアラニン、イソプロピル-L-フェニルアラニン、アジド-リジン(AzK)、チロシンアミノ酸の類似体、グルタミンアミノ酸の類似体、フェニルアラニンアミノ酸の類似体、セリンアミノ酸の類似体、トレオニンアミノ酸の類似体、アルキル、アリール、アシル、アジド、シアノ、ハロ、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドロキシル、アルケニル、アルキニル、エーテル、チオール、スルホニル、セレノ、エステル、チオ酸、ボラート、ボロナート、ホスホ、ホスホノ、ホスフィン、複素環式、エノン、イミン、アルデヒド、ヒドロキシルアミン、ケト又はアミノ置換アミノ酸、β-アミノ酸、プロリン又はヒスチジン以外の環状アミノ酸、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン以外の芳香族アミノ酸、又はそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、非標準アミノ酸は、β-アミノ酸、ホモアミノ酸、環状アミノ酸及び誘導体化側鎖を有するアミノ酸から選択される。いくつかの実施形態では、非標準アミノ酸は、β-アラニン、β-アミノプロピオン酸、ピペリジン酸、アミノカプリオ酸、アミノヘプタン酸、アミノピメリン酸、デスモシン、ジアミノピメリン酸、Nα-エチルグリシン、Nα-エチルアスパラギン、ヒドロキシリジン、アロヒドロキシリジン、イソデスモシン、アロイソロイシン、ω-メチルアルギニン、Nα-メチルグリシン、Nα-メチルイソロイシン、Nα-メチルバリン、γ-カルボキシグルタマート、ε-N,N,N-トリメチルリジン、ε-N-アセチルリジン、O-ホスホセリン、Nα-アセチルセリン、Nα-ホルミルメチオニン、3-メチルヒスチジン、5-ヒドロキシリジン、及び/又は他の類似のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、Tyr45及び/又はPhe42は、修飾チロシン残基で置換されている。いくつかの実施形態では、修飾チロシン残基は、アミノ、アジド、アリル、エステル及び/又はアミド官能基を含む。いくつかの実施形態では、42又は45位の修飾チロシン残基は、PD-L1に選択的に結合するポリペプチドにIL-2ポリペプチドを結合するリンカーの結合点として使用される。いくつかの実施形態では、42及び/又は45位の修飾チロシン残基は、前駆体の構造1、構造2、構造3、構造4又は構造5から構築された構造を有し、ここで、構造1は、
【0266】
【化25】
であり、
構造2は、
【0267】
【化26】
であり、
構造3は、
【0268】
【化27】
であり、
構造4は、
【0269】
【化28】
であり、
また、構造5は、
【0270】
【化29】
である。
【0271】
ポリマー
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の修飾IL-2ポリペプチドは、その上に共有結合した1つ以上のポリマーを含む。いくつかの実施形態では、記載される修飾IL-2ポリペプチドは、修飾IL-2ポリペプチドに共有結合した1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超えるポリマーを含む。いくつかの実施形態では、記載される修飾IL-2ポリペプチドは、第1のポリマーを含む。いくつかの実施形態では、第1のポリマーは、PD-L1に選択的に結合するポリペプチドにIL-2ポリペプチドを結合させたリンカーの少なくとも一部を含む。いくつかの例では、修飾IL-2ポリペプチドは、本明細書に記載の修飾IL-2ポリペプチド、表8又は表5に提供される修飾IL-2ポリペプチド、表2又は表3に提供される変異を有する修飾IL-2ポリペプチド、及び/又は表4に提供されるポリマーを有する修飾IL-2ポリペプチドである。
【0272】
いくつかの実施形態では、第1のポリマーは水溶性ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーは、ポリ(アルキレンオキシド)、多糖類、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリオキサゾリン、ポリ(アクリロイルモルホリン)、又はそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーはポリ(アルキレンオキシド)である。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーは多糖類である。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーはポリ(エチレンオキシド)である。
【0273】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の修飾IL-2ポリペプチドは、IL-2ポリペプチドのN末端に共有結合した第1のポリマーを含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、それに共有結合した第2のポリマーを含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、それに共有結合した第2及び第3のポリマーを含む。いくつかの実施形態では、第2のポリマーは、アミノ酸残基42又は45に共有結合しており、ここで、修飾IL-2ポリペプチドのアミノ酸残基位置ナンバリングは、参照配列としての配列番号1に基づく。いくつかの実施形態では、第2のポリマーは、アミノ酸残基F42Y又はY45に共有結合しており、ここで、修飾IL-2ポリペプチドのアミノ酸残基位置ナンバリングは、参照配列としての配列番号1に基づく。いくつかの実施形態では、第2及び第3のポリマーは、アミノ酸残基42及び45に共有結合しており、ここで、修飾IL-2ポリペプチドのアミノ酸残基位置ナンバリングは、参照配列としての配列番号1に基づく。いくつかの実施形態では、第2及び第3のポリマーは、アミノ酸残基F42Y及びY45に共有結合しており、ここで、修飾IL-2ポリペプチドのアミノ酸残基位置ナンバリングは、参照配列としての配列番号1に基づく。いくつかの実施形態では、第1、第2又は第3のポリマーの少なくとも1つは、PD-L1に選択的に結合するポリペプチドにIL-2ポリペプチドを結合させるために使用されるリンカーの少なくとも一部を含む。
【0274】
いくつかの実施形態では、第1のポリマー等の付着したポリマーは、約120ダルトン~約1,000ダルトンの重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、ポリマーは、約120ダルトン~約250ダルトン、約120ダルトン~約300ダルトン、約120ダルトン~約400ダルトン、約120ダルトン~約500ダルトン、約120ダルトン~約1,000ダルトン、約250ダルトン~約300ダルトン、約250ダルトン~約400ダルトン、約250ダルトン~約500ダルトン、約250ダルトン~約1,000ダルトン、約300ダルトン~約400ダルトン、約300ダルトン~約500ダルトン、約300ダルトン~約1,000ダルトン、約400ダルトン~約500ダルトン、約400ダルトン~約1,000ダルトン、又は約500ダルトン~約1,000ダルトンの重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、ポリマーは、約120ダルトン、約250ダルトン、約300ダルトン、約400ダルトン、約500ダルトン、又は約1,000ダルトンの重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、ポリマーは、少なくとも約120ダルトン、約250ダルトン、約300ダルトン、約400ダルトン、又は約500ダルトンの重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、ポリマーは、最大で約250ダルトン、約300ダルトン、約400ダルトン、約500ダルトン、又は約1,000ダルトンの重量平均分子量を有する。
【0275】
いくつかの実施形態では、第1のポリマー等の結合ポリマーは、水溶性ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーは、ポリ(アルキレンオキシド)、多糖類、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリオキサゾリン、ポリ(アクリロイルモルホリン)、又はそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーは、ポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレンオキシド)等のポリ(アルキレンオキシド)である。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーはポリエチレングリコールである。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーは、修飾ポリ(アルキレンオキシド)を含む。いくつかの実施形態では、修飾ポリ(アルキレンオキシド)は、1つ以上のリンカー基を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のリンカー基は、アミド基、エステル基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基等の二官能性リンカーを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のリンカー基は、アミドリンカー基を含む。いくつかの実施形態では、修飾ポリ(アルキレンオキシド)は、1つ以上のスペーサー基を含む。いくつかの実施形態では、スペーサー基は、置換又は非置換C~Cアルキレン基を含む。いくつかの実施形態では、スペーサー基は、-CH-、-CHCH-、又は-CHCHCH-を含む。いくつかの実施形態では、リンカー基は、双直交反応(例えば、生体適合性及び選択的反応)の生成物である。いくつかの実施形態では、生体直交反応は、Cu(I)触媒又は「銅フリー」アルキン-アジドトリアゾール形成反応、シュタウディンガーライゲーション、逆電気オンデマンド型ディールス・アルダー(IEDDA)反応、「写真クリック」化学、又はオレフィンメタセシス及び鈴木-宮浦若しくは薗頭クロスカップリング等の金属媒介プロセスである。いくつかの実施形態では、第1のポリマーは、クリック化学を介してIL-2ポリペプチドに結合される。いくつかの実施形態では、第1のポリマーは、PD-L1に選択的に結合するポリペプチドにIL-2ポリペプチドを結合させたリンカーの少なくとも一部を含む。
【0276】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される修飾IL-2ポリペプチドは、修飾IL-2ポリペプチドと、抗体及びポリマー等の誘導体化分子又は部分とのコンジュゲーションを容易にする反応基を含む。いくつかの実施形態では、反応基は、カルボン酸由来の活性エステル、混合無水物、ハロゲン化アシル、アシルアジド、ハロゲン化アルキル、N-マレイミド、イミノエステル、イソシアナート、及びイソチオシアナートの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、反応基はアジドを含む。いくつかの実施形態では、反応基は、PD-L1に選択的に結合するポリペプチドにIL-2ポリペプチドを結合するリンカーの一部を形成する。
【0277】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される修飾IL-2ポリペプチドは、アミノ酸残基に共有結合した化学試薬を含む。いくつかの実施形態では、化学試薬は生体直交試薬を含む。いくつかの実施形態では、化学試薬はアジドを含む。いくつかの実施形態では、化学試薬はアルキンを含む。いくつかの実施形態では、化学試薬は、35~46のアミノ酸残基に結合し、残基の位置のナンバリングは、参照配列としての配列番号1に基づく。いくつかの実施形態では、化学試薬は、39~43のアミノ酸残基に結合され、ここで、アミノ酸残基の位置ナンバリングは、参照配列としての配列番号1に基づく。いくつかの実施形態では、化学試薬は、アミノ酸残基42に結合され、ここで、アミノ酸残基の位置ナンバリングは、参照配列としての配列番号1に基づく。いくつかの実施形態では、化学試薬は、アミノ酸残基F42Yに結合され、ここで、アミノ酸残基の位置ナンバリングは、参照配列としての配列番号1に基づく。いくつかの実施形態では、化学試薬は、44~46のアミノ酸残基に結合され、アミノ酸残基の位置ナンバリングは、参照配列としての配列番号1に基づく。いくつかの実施形態では、化学試薬は、アミノ酸残基45に結合され、ここで、アミノ酸残基の位置ナンバリングは、参照配列としての配列番号1に基づく。いくつかの実施形態では、化学試薬は、表2又は表3に示されるアミノ酸残基のいずれかに結合される。いくつかの実施形態では、化学試薬は、PD-L1に選択的に結合するポリペプチドにIL-2ポリペプチドを結合するリンカーの一部を形成する。
【0278】
いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーは、1~10個のポリエチレングリコール鎖を含む。
【0279】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の修飾IL-2ポリペプチドは、修飾IL-2ポリペプチドに共有結合した第2のポリマーを更に含む。いくつかの実施形態では、第2のポリマーは、残基40から残基50までのアミノ酸残基領域に共有結合される。いくつかの実施形態では、第2のポリマーは、アミノ酸残基Y45に共有結合される。いくつかの実施形態では、第2のポリマーは、修飾IL-2ポリペプチドのN末端に共有結合される。いくつかの実施形態では、第2のポリマーは、PD-L1に選択的に結合するポリペプチドにIL-2ポリペプチドを結合させたリンカーの少なくとも一部を含む。
【0280】
いくつかの実施形態では、第2のポリマーは、約120ダルトン~約1,000ダルトンの重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、第2のポリマーは、約120ダルトン~約250ダルトン、約120ダルトン~約300ダルトン、約120ダルトン~約400ダルトン、約120ダルトン~約500ダルトン、約120ダルトン~約1,000ダルトン、約250ダルトン~約300ダルトン、約250ダルトン~約400ダルトン、約250ダルトン~約500ダルトン、約250ダルトン~約1,000ダルトン、約300ダルトン~約400ダルトン、約300ダルトン~約500ダルトン、約300ダルトン~約1,000ダルトン、約400ダルトン~約500ダルトン、約400ダルトン~約1,000ダルトン、又は約500ダルトン~約1,000ダルトンの重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、第2のポリマーは、約120ダルトン、約250ダルトン、約300ダルトン、約400ダルトン、約500ダルトン、又は約1,000ダルトンの重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、第2のポリマーは、少なくとも約120ダルトン、約250ダルトン、約300ダルトン、約400ダルトン、又は約500ダルトンの重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、第2のポリマーは、最大で約250ダルトン、約300ダルトン、約400ダルトン、約500ダルトン又は約1,000ダルトンの重量平均分子量を有する。
【0281】
いくつかの実施形態では、第2のポリマーは水溶性ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーは、ポリ(アルキレンオキシド)、多糖類、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリオキサゾリン、ポリ(アクリロイルモルホリン)、又はそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーはポリ(アルキレンオキシド)である。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーはポリ(エチレンオキシド)である。いくつかの実施形態では、第2のポリマーは、クリック化学を介してIL-2ポリペプチドに結合する。いくつかの実施形態では、第2のポリマーは、PD-L1に選択的に結合するポリペプチドにIL-2ポリペプチドを結合させたリンカーの少なくとも一部を含む。
【0282】
いくつかの実施形態では、第2の水溶性ポリマーは、1~10個のポリエチレングリコール鎖を含む。
【0283】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の修飾IL-2ポリペプチドは、修飾IL-2ポリペプチドに共有結合した第3のポリマーを更に含む。いくつかの実施形態では、第3のポリマーは、アミノ酸残基40からアミノ酸残基50までのアミノ酸残基領域に共有結合される。いくつかの実施形態では、第3のポリマーは、アミノ酸残基Y45に共有結合される。いくつかの実施形態では、第3のポリマーは、修飾IL-2ポリペプチドのN末端に共有結合される。
【0284】
いくつかの実施形態では、各ポリマーは水溶性ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーは、ポリ(アルキレンオキシド)、多糖類、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリオキサゾリン、ポリ(アクリロイルモルホリン)、又はそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、各水溶性ポリマーはポリ(アルキレンオキシド)である。いくつかの実施形態では、各水溶性ポリマーはポリエチレングリコールである。
【0285】
いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール鎖の各々は、独立して、直鎖又は分岐鎖である。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール鎖の各々は、直鎖ポリエチレングリコールである。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール鎖の各々は、分岐ポリエチレングリコールである。例えば、いくつかの実施形態では、第1及び第2のポリマーの各々は、直鎖ポリエチレングリコール鎖を含む。
【0286】
いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール鎖の各々は、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、アミド又はアミノ基で独立して末端がキャップされている。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール鎖の各々は、独立して、アミノ基で末端がキャップされている。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール鎖の各々は、独立して、アミド基で末端がキャップされている。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール鎖の各々は、独立して、アルコキシ基で末端がキャップされている。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール鎖の各々は、独立して、アルキル基で末端がキャップされている。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール鎖の各々は、独立して、ヒドロキシ基で末端がキャップされている。
【0287】
いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、式(I):
【0288】
【化30】
の構造であって、
式中、nは4から30から選択される整数である、構造を有する1つ以上のPEG化チロシンを含む。いくつかの実施形態では、nは、4~6、4~8、4~10、4~15、4~20、4~25、4~30、6~8、6~10、6~15、6~20、6~25、6~30、8~10、8~15、8~20、8~25、8~30、10~15、10~20、10~25、10~30、15~20、15~25、15~30、20~25、20~30又は25~30である。いくつかの実施形態では、nは、4、6、8、10、15、20、25又は30である。いくつかの実施形態では、nは、少なくとも4、6、8、10、15、20又は25である。いくつかの実施形態では、nは、最大で6、8、10、15、20、25又は30である。一態様では、本明細書に記載の修飾IL-2ポリペプチドは、1つ又は2つのアミノ酸残基で共有結合した1つ又は2つの水溶性ポリマーを含む。例えば、いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、表6に示される特徴及び結合部位を有する1つ又は2つの水溶性ポリマーを含む。
【0289】
【表8】
【0290】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、適切な前駆体材料から合成される。いくつかの実施形態では、ポリマーは、構造6、構造7、構造8、又は構造9の前駆体材料から合成され、構造6は、
【0291】
【化31】
であり、
構造7は、
【0292】
【化32】
であり、
構造8は、
【0293】
【化33】
であり、
また、構造9は、
【0294】
【化34】
である。
【0295】
直交ペイロード
本開示の抗PD-L1-IL-2イムノコンジュゲート(PDL1-IL2)は、二重直交ペイロードを含むことができる。1つの非限定的な例では、PDL1-IL2は、抗PD-L1ポリペプチド、1つの修飾IL-2ポリペプチド、及び化学的直交連結基によって抗PD-L1ポリペプチドに連結された1つのペイロードを含み得る。直交ペイロードは、アミノ酸、アミノ酸誘導体、ペプチド、タンパク質、サイトカイン、アルキル基、アリール又はヘテロアリール基、治療用小分子薬物、ポリエチレングリコール(PEG)部分、脂質、糖、ビオチン、ビオチン誘導体、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、又はペプチド核酸(PNA)であり得、そのいずれも置換、非置換、修飾、又は非修飾である。いくつかの実施形態では、直交ペイロードは治療用小分子である。いくつかの実施形態では、直交ペイロードはPEG部分である。いくつかの実施形態では、直交ペイロードは、更なるサイトカイン(例えば、IL-7又はIL-18等)である。1つの例示的な例では、ヒトIL-7は、DCDIEGKDGKQYESVLMVSIDQLLDSMKEIGSNCLNNEFNFFKRHICDANKEGMFLFRAARKLRQFLKMNSTGDFDLHLLKVSEGTTILLNCTGQVKGRKPAALGEAQPTKSLEENKSLKEQKKLNDLCFLKRLLQEIKTCWNKILMGTKEH(配列番号117)のアミノ酸配列を有するか、又は修飾ヒトIL-7である。1つの例示的な例では、ヒトIL-18は、YFGKLESKLSVIRNLNDQVLFIDQGNRPLFEDMTDSDCRDNAPRTIFIISMYKDSQPRGMAVTISVKCEKISTLSCENKIISFKEMNPPDNIKDTKSDIIFFQRSVPGHDNKMQFESSSYEGYFLACEKERDLFKLILKKEDELGDRSIMFTVQNED(配列番号118)のアミノ酸配列を有するか、又は修飾ヒトIL-18である。
【0296】
医薬組成物
本明細書に記載の修飾IL-2ポリペプチドに連結された抗PD-L1ポリペプチド、及び薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む医薬組成物を本明細書に記載する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1つ以上の賦形剤を含み、ここで、1つ以上の賦形剤には、糖質、無機塩、抗酸化剤、界面活性剤、緩衝剤又はそれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10つ又はそれを超える賦形剤を更に含み、ここで、1つ以上の賦形剤には、糖質、無機塩、抗酸化剤、界面活性剤、緩衝剤又はそれらの任意の組合せが含まれるが、これらに限定されない。
【0297】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は糖質を更に含む。特定の実施形態では、糖質は、フルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D-マンノース、ソルボース、ラクトース、スクロース、トレハロース、セロビオスラフィノース、メレチトース、マルトデキストリン、デキストラン、デンプン、マンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、ソルビトール(グルシトール)、ピラノシルソルビトール、ミオイノシトール、シクロデキストリン、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0298】
あるいは、又は加えて、医薬組成物は、無機塩を更に含む。特定の実施形態では、無機塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、硫酸ナトリウム、又はそれらの組合せからなる群から選択される。
【0299】
特定の実施形態では、医薬組成物は、抗酸化剤を更に含む。特定の実施形態では、抗酸化剤は、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、メタ重亜硫酸カリウム、没食子酸プロピル、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ビタミンE、3,4-ジヒドロキシ安息香酸、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0300】
あるいは、又は加えて、医薬組成物は、界面活性剤を更に含む。特定の実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベート、ソルビタンエステル、脂質、リン脂質、ホスファチジルエタノールアミン、脂肪酸、脂肪酸エステル、ステロイド、EDTA、亜鉛、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0301】
あるいは、又は加えて、医薬組成物は緩衝剤を更に含む。特定の実施形態では、緩衝剤は、クエン酸、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、酢酸、エタノールアミン、ヒスチジン、アミノ酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、乳酸、トリス、HEPES、又はそれらの組合せからなる群から選択される。
【0302】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、非経口投与又は経腸投与のために製剤化される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、静脈内(IV又はi.v.)又は皮下(SQ)投与のために製剤化される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、筋肉内投与のために製剤化される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は凍結乾燥形態にある。
【0303】
一態様では、修飾IL-2ポリペプチドに連結されたPD-L1に選択的に結合する記載のポリペプチドを含む液体又は凍結乾燥組成物が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドに連結されたPD-L1に選択的に結合するポリペプチドは、凍結乾燥粉末である。いくつかの実施形態では、凍結乾燥粉末を緩衝溶液に再懸濁する。いくつかの実施形態では、緩衝溶液は、緩衝剤、糖、塩、界面活性剤、又はそれらの任意の組合せを含む。いくつかの実施形態では、緩衝溶液はリン酸塩を含む。いくつかの実施形態では、リン酸塩はナトリウムNaHPOである。いくつかの実施形態では、塩は塩化ナトリウムである。いくつかの実施形態では、緩衝溶液はリン酸緩衝生理食塩水を含む。いくつかの実施形態では、緩衝溶液はマンニトールを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥粉末は、約10mMのNaHPO緩衝剤、約0.022%のSDS及び約50mg/mLのマンニトールを含み、約7.5のpHを有する溶液に懸濁される。
【0304】
剤形
本明細書に記載の修飾IL-2ポリペプチドに連結されたPD-L1に選択的に結合するポリペプチドは、様々な剤形であり得る。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドに連結されたPD-L1に選択的に結合するポリペプチドを、再構成凍結乾燥粉末として投与する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドに連結されたPD-L1に選択的に結合するポリペプチドを懸濁液として投与する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドに連結されたPD-L1に選択的に結合するポリペプチドを溶液として投与する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドに連結されたPD-L1に選択的に結合するポリペプチドを注射可能な溶液として投与する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドに連結されたPD-L1に選択的に結合するポリペプチドをIV溶液として投与する。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドに連結されたPD-L1に選択的に結合するポリペプチドを、皮下投与又は筋肉内投与によって投与する。
【0305】
治療の方法
1つの態様では、本明細書中に記載されるのは、癌の治療を必要とする対象において癌を治療する方法であって、有効量の、本明細書中に記載されるような修飾IL-2ポリペプチド又は医薬組成物に連結されたPD-L1に選択的に結合するポリペプチドを対象に投与する工程を含む方法である。いくつかの実施形態では、癌は固形癌である。癌又は腫瘍は、例えば、原発性癌又は腫瘍又は転移性癌又は腫瘍であり得る。治療される癌及び腫瘍には、黒色腫、肺癌(例えば、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌(SCLC)等である)、癌腫(例えば、皮膚扁平上皮癌(CSCC)、尿路上皮癌(UC)、腎細胞癌(RCC)、肝細胞癌(HCC)、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)、食道扁平上皮癌(ESCC)、胃食道接合部(GEJ)癌、子宮内膜癌(EC)、メルケル細胞癌(MCC)等)、膀胱癌(BC)、マイクロサテライト不安定性高(MSI-H)/ミスマッチ修復欠損(dMMR)固形腫瘍(例えば、結腸直腸癌(CRC))、腫瘍変異負荷高(TMB-H)固形腫瘍、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、胃癌(GC)、子宮頸癌(CC)、胸膜中皮腫(PM)、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)、又は縦隔原発B細胞性大細胞型リンパ腫(PMBCL)が含まれるが、これらに限定されない。
【0306】
いくつかの実施形態では、癌は固形癌である。いくつかの実施形態では、固形癌が、副腎癌、肛門癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌、脳癌、乳癌、カルチノイド癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、食道癌、眼癌、胆嚢癌、消化管間質腫瘍、生殖細胞癌、頭頸部癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、鼻腔及び副鼻腔癌、鼻咽頭癌、神経芽細胞腫、神経内分泌癌、口腔癌、中咽頭癌、卵巣癌、膵臓癌、小児癌、陰茎癌、下垂体癌、前立腺癌、皮膚癌、軟部組織癌、脊髄癌、胃癌、精巣癌、胸腺癌、甲状腺癌、尿管癌、子宮癌、膣癌、又は外陰癌である。
【0307】
本明細書では、1つ以上の追加の活性薬剤との併用療法が企図される。いくつかの実施形態では、第2の治療薬は、腫瘍型、起源の腫瘍組織、腫瘍病期、又は腫瘍によって発現される遺伝子の変異に基づいて選択される。例えば、抗PD-L1抗体は、化学療法剤、チェックポイント阻害剤、生物学的癌剤、癌特異的剤、サイトカイン療法、抗血管新生薬、癌代謝を標的とする薬物、癌細胞表面を破壊のためにマークする抗体、抗体-薬物コンジュゲート、細胞療法、一般的に使用される抗新生物剤、CAR-T療法、腫瘍溶解性ウイルス、非薬物療法、神経伝達遮断薬、又は神経成長因子遮断薬のうちの1つ以上と組み合わせて投与することができる。
【0308】
有効な応答は、対象が病気の徴候又は症状の部分的又は全体的な緩和又は軽減を経験する場合に達成され、具体的には、限定されないが、生存の延長を含む。予測無増悪生存期間は、再発数、疾患の病期及び他の因子を含む予後因子に応じて、数ヶ月から数年で測定され得る。生存期間の延長には、少なくとも1ヶ月(月)、約少なくとも2ヶ月、約少なくとも3ヶ月、約少なくとも4ヶ月、約少なくとも6ヶ月、約少なくとも1年、約少なくとも2年、約少なくとも3年、約少なくとも4年、約少なくとも5年等の期間が含まれるが、これらに限定されない。全生存又は無増悪生存も、数ヶ月から数年で測定することができる。あるいは、有効な応答は、対象の症状又は癌負荷が静止したままであり、悪化しないことであり得る。適応症の治療の更なる適応症を以下により詳細に記載する。いくつかの例では、癌又は腫瘍は、少なくとも2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%減少する。
【0309】
いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドに連結されたPD-L1に選択的に結合するポリペプチドは、単回用量の有効量の修飾IL-2ポリペプチドで投与され、(i)修飾IL-2ポリペプチドに連結されたPD-L1に選択的に結合するポリペプチドは、1日1回投与されるか、又は(ii)修飾IL-2ポリペプチドに連結されたPD-L1に選択的に結合するポリペプチドは対象に1日の期間にわたって複数回投与される、更なる実施形態を含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドに連結されたPD-L1に選択的に結合するポリペプチドを、毎日、1日おきに、1週間に3回、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、3日間に1回、4日間に1回、4日間に1回、5日間に1回、6日間に1回、2週間に1回、1週間に3回、1週間に4回、1週間に5回、1週間に6回、1ヶ月に1回、1ヶ月に2回、1ヶ月に3回、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回、4ヶ月に1回、5ヶ月に1回又は6ヶ月に1回投与する。投与には、任意の適切な経路(例えば、非経口、経腸、静脈内、皮下等)による注射が含まれるが、これに限定されない。
【0310】
製造方法
一態様では、PD-L1に選択的に結合するポリペプチドであって、PD-L1に選択的に結合するポリペプチドが反応性基(例えば、コンジュゲーションハンドル)を含むポリペプチドを提供することと、反応性基をサイトカインに結合した相補的反応性基と接触させることと、組成物を形成することとを含む、組成物の製造方法が本明細書に記載される。得られる組成物は、本明細書で提供される組成物のいずれかである。
【0311】
いくつかの実施形態では、PD-L1に選択的に結合するポリペプチドは、抗体又はその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、反応性基を含む抗体を提供することは、反応性基を抗体に結合させることを含む。いくつかの実施形態では、反応性基は、部位特異的に付加される。いくつかの実施形態では、反応性基を抗体に結合させることは、抗体を、抗体の特定の残基と結合を形成する反応性官能基を含む親和性基と接触させることを含む。いくつかの実施形態では、反応性基を抗体に結合させることは、抗体を酵素と接触させることを含む。いくつかの実施形態では、酵素は、反応性基を抗体の特定の残基に部位特異的に結合するように構成される。いくつかの実施形態では、酵素はグリコシル化酵素又はトランスグルタミナーゼ酵素である。
【0312】
いくつかの実施形態では、方法は、サイトカインに相補的反応性基を結合させる工程を更に含む。いくつかの実施形態では、相補的反応性基をサイトカインに結合させることは、サイトカインを化学的に合成することを含む。
【0313】
いくつかの実施形態では、本方法は、修飾IL-2ポリペプチドを作製することを含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドを作製する方法は、修飾IL-2ポリペプチドの2つ以上の断片を合成し、断片をライゲーションすることを含む。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドを作製する方法は、a.修飾IL-2ポリペプチドの2つ以上の断片を合成することと、b.断片をライゲーションすることと、c.ライゲーションされた断片をフォールディングする工程と、を含む。
【0314】
いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドの2つ以上の断片は化学的に合成される。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドの2つ以上の断片は、固相ペプチド合成によって合成される。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドの2つ以上の断片は、自動ペプチド合成機で合成される。
【0315】
いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超えるペプチド断片からライゲーションされる。いくつかの実施形態では、修飾ペプチドは、2つのペプチド断片からライゲーションされる。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、3つのペプチド断片からライゲーションされる。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、4つのペプチド断片からライゲーションされる。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは、2から10個のペプチド断片にライゲーションされる。
【0316】
いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドの2つ以上の断片を一緒にライゲーションする。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドの3つ以上の断片が、連続的な様式でライゲーションされる。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドの3つ以上の断片をワンポット反応でライゲーションする。
【0317】
いくつかの実施形態では、ライゲーションされた断片はフォールディングされる。いくつかの実施形態では、フォールディングは、修飾IL-2ポリペプチド内に1つ以上のジスルフィド結合を形成することを含む。いくつかの実施形態では、ライゲーションした断片をフォールディング工程に供する。いくつかの実施形態では、ライゲーションされた断片は、当技術分野で周知の方法を使用してフォールディングされる。いくつかの実施形態では、ライゲーションされたポリペプチド又はフォールディングされたポリペプチドは、1つ以上のポリマーをそれに付着させることによって更に修飾される。いくつかの実施形態では、ライゲーションされたポリペプチド又はフォールディングされたポリペプチドは、PEG化によって更に修飾される。いくつかの実施形態では、修飾IL-2ポリペプチドは合成である。
【0318】
【表9-1】
【0319】
【表9-2】
【0320】
【表9-3】
【0321】
【表9-4】
【0322】
【表9-5】
【0323】
上記の表8において、Nleはノルロイシン残基であり、Hseはホモセリン残基である。
【0324】
本開示及びその利点を詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲に定義される本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書において様々な変更、置換及び修飾を行うことができることを理解されたい。
【0325】
本開示は、例示のみを目的として与えられ、決して本開示を限定することを意図しない以下の実施例において更に例示される。
【実施例
【0326】
実施例1:デュルバルマブ-IL2免疫サイトカインの調製
抗PD-L1抗体デュルバルマブ(イミフィンジ(登録商標))及び特注の組成物ABを利用して、以下の方法で免疫サイトカインを調製した。
【0327】
デュルバルマブのコンジュゲーション可能なバリアントを、AJICAP(商標)法(味の素バイオファーマサービス)を使用して調製した。この方法は、数週間以内に>50mgのコンジュゲーション可能なデュルバルマブの産生を可能にする。コンジュゲーション可能な生成物は、更なる修飾(図2A)のための1つ又は2つの化学的ハンドルを有する。
【0328】
AJICAP(商標)方法論のための一般的なプロトコルは、少なくともPCT公開番号国際公開第2018199337号、PCT公開番号国際公開第2019240288号、PCT公開番号国際公開第2019240287号、PCT公開番号国際公開第2020090979号、Matsuda et al.,Mol.Pharmaceutics 2021,18,4058-4066,and Yamada et al.,AJICAP:Affinity Peptide Mediated Regiodivergent Functionalization of Native Antibodies.Angew.Chem.,Int.Ed.2019,58,5592-5597、及び特に米国特許出願公開第20200190165号の実施例2~4に見出される。この方法論の一般的なプロトコルを以下に提供する。
【0329】
DBCOコンジュゲーションハンドルを含む修飾抗体(例えば、デュルバルマブ等の抗PD-L1抗体)は、米国特許出願公開第20200190165号の実施例2~4から修飾されたプロトコルを使用して調製される。簡潔には、Fc領域中のリジン残基側鎖に結合した遊離スルフヒドリル基を有するPD-L1抗体を、抗体を、保護されたバージョンのスルフヒドリル基(例えば、チオエステル)をリジン残基に送達するように構成された親和性ペプチドと接触させることによって調製する。この反応を行うことができる例示的なペプチドは、Matsuda et al.,Mol.Pharmaceutics 2021,18,4058-4066に報告されるように、以下に示され、抗体のFc領域の残基K248においてNHSエステルを介してスルフヒドリル基を選択的に結合する。
【0330】
【化35】
Fc領域の別の残基を標的とする別の親和性ペプチドは、AJICAP(商標)技術について上に引用した参考文献に記載されており、そのような親和性ペプチドを使用して、所望の官能性をFc領域の別の残基に結合させることができる(例えば、K246、K288等)。例えば、上記の親和性ペプチドのジスルフィド基を代わりにチオエステルで置き換えて、スルフヒドリル保護基を提供することができる(例えば、親和性ペプチドの関連部分は、
【0331】
【化36】
の構造を有するであろう)。
【0332】
次いで、保護基を除去して、遊離スルフヒドリルを露出させる(例えば、TCEPによるジスルフィドの還元又はチオエステルの加水分解によって)。次いで、遊離スルフヒドリルを、連結基(例えば、ブロモアセトアミド-dPEG(登録商標)-アミド-DBCO)を介してDBCOコンジュゲーションハンドルに連結されたブロモアセトアミド又はブロモケトン基を含む二官能性試薬と反応させる。この方法は、存在する1つのDBCO基(DAR1)及び/又は抗体に結合した2つのDBCO基(DAR2、抗体の各Fcに連結された1つのDBCO基)を有する抗体を産生するために使用することができる。
【0333】
別の実施形態では、単一のDBCOコンジュゲーションハンドルを含む抗体は、保護基の適切な除去(例えば、ジスルフィド還元又はチオエステル切断)後に、過剰の抗PD-L1抗体を適切に負荷された親和性ペプチドと最初に反応させて単一のスルフヒドリルを導入することによって調製される。次いで、スルフヒドリル反応性コンジュゲーションハンドル及びDBCOコンジュゲーションハンドル(例えば、ブロモアセトアミド-dPEG(登録商標)-アミド-DBCO)を有する二官能性連結基を、単一のスルフヒドリルと反応させて、単一のDBCO含有抗体を生成する。次いで、単一DBCO含有抗体を、IL-2を含有する適切なアジド(例えば、CMP-003)とコンジュゲートさせて、DARが1の抗PD-L1-IL-2イムノコンジュゲートを得る。
【0334】
分析逆相高圧液体クロマトグラフィ(RP-HPLC)及び質量分析(Q-TOF)によって、デュルバルマブのコンジュゲーション可能なバリアントの純度及び同一性を確認した。非修飾のデュルバルマブ(上)及びデュルバルマブ+DBCOコンジュゲーションハンドル(下)の質量スペクトルプロファイル(Q-TOF)のプロファイルを図2Bに示す。
【0335】
デュルバルマブ-IL2コンジュゲートの調製
1(DAR1)又は2(DAR2)の反応性ハンドルを有するデュルバルマブのコンジュゲーション可能なバリアントを、2~10当量の組成物AB(pH5.2緩衝剤、5%トレハロース、rt、24時間、図2C)と反応させた。得られたコンジュゲートをカチオン交換クロマトグラフィ及び/又はサイズ排除クロマトグラフィによって精製して、組成物Aを50~60%の収率で得た。
【0336】
2つのコンジュゲーションハンドル及び2つのペイロードを有する免疫サイトカインの三次元表示を図2Dに示す。
デュルバルマブ-IL2コンジュゲートの精製及び特性評価
【0337】
デュルバルマブ-IL2コンジュゲーションを、未反応の組成物AB及び凝集物から、脱塩カラム、CIEX及びSEC(GE Healthcare Life Sciences AKTA純粋、移動相:ヒスチジン5.2/150mM NaCl/5%トレハロース、カラム:GE Healthcare Life Sciences SUPERDEX(商標)200増加3.2/300、流量:0.5mL/分)を用いて精製した。
【0338】
デュルバルマブ-IL2コンジュゲートの純度及び同一性をRP-HPLC(HPLC:ThermoFisher Scientific UHPLC Ultimate3000、カラム:Waters BEH C-4 300A、3.0μm、4.6mm、250mm、移動相A:水中0.05%TFA、移動相B:ACN:IPA:ETOH:H2Oの混合物中0.05%TFA(5:1.5:2:1.5)、流量:0.5mL/分、注入量:10μg(1mg/mLの10μL注入)、勾配:50分で0%~20%の移動相B)及びSDS-PAGEによって確認した。 図2Eは、デュルバルマブ-IL2コンジュゲート(組成物A)の逆相クロマトグラフィ特性評価データを示す。図2Fは、デュルバルマブ-IL2コンジュゲート(組成物A)の分析的サイズ排除クロマトグラフィ特性評価データを示す。
【0339】
認証試験
【0340】
【表10】
【0341】
実施例2:PD-L1結合ELISAアッセイ(図3
非修飾抗PDL1抗体及びコンジュゲート抗PDL1抗体とPD-L1(CD274)との相互作用をELISAアッセイによって測定した。これらの研究のために、Corning高結合性ハーフエリアプレート(Fisher Scientific、Reinach,Switzerland)を、PBS中0.5μg/mlの25μlの非修飾抗PDL1抗体及びコンジュゲート抗PDL1抗体で4℃で一晩コーティングした。次いで、プレートを100μlのPBS-0.02%Tween20で4回洗浄した。プレート表面を25μlのPBS-0.02%Tween20-1%BSAにより37℃で1時間ブロッキングした。次いで、プレートを100μlのPBS-0.02%Tween20で4回洗浄した。AcroBiosystemsからの25マイクロリットルの組換えビオチン化PD-L1/CD274タンパク質(PD1-H82E5-25UG、Newark,DE,USA)を、18nMから開始して0.00001nMまで7.5倍段階希釈でPBS-0.02%Tween20-0.1%BSAに添加し、37℃で2時間インキュベートした。次いで、プレートを100μlのPBS-0.02%Tween20で4回洗浄した。PBS-0.02%Tween20-0.1%BSAに1:500で希釈した25マイクロリットルのストレプトアビジン-西洋ワサビペルオキシダーゼ(#RABHRP3、Merck,Buchs,Switzerland)を各ウェルに添加し、室温で30分間インキュベートした。次いで、プレートを100μlのPBS-0.02%Tween20で4回洗浄した。50マイクロリットルのTMB基質試薬(番号CL07、Merck,Buchs,Switzerland)を各ウェルに添加し、37℃で5分間インキュベートした。37℃で5分後、50μl/ウェルの0.5MのHSO停止溶液を添加することによって、西洋ワサビペルオキシダーゼ反応を停止した。次いで、ELISAシグナルを、Perkin Elmer製のEnSpireプレートリーダー(Schwerzenbach,Switzerland)で450nmで測定した。
【0342】
図3は、非修飾抗PDL1抗体及びコンジュゲート抗PDL1抗体がPD-L1リガンドと結合する能力を測定するプロットを示し、図は、y軸に正規化されたELISAシグナルを示し、x軸にビオチン化PD-L1タンパク質の投与量を示す。この図で試験した非コンジュゲート及びコンジュゲート抗体は、それぞれデュルバルマブ、アベルマブ並びに組成物A及びBである。抗PD1抗体ペンブロリズマブも対照として使用した。
【0343】
実施例3:PD1-PDL1阻止アッセイ(図4
非修飾抗PDL1抗体及びコンジュゲート抗PDL1抗体がPD1/PDL1経路を妨害する能力を、Promega製のPD-1/PD-L1阻止バイオアッセイ(カタログ番号J1250,Madison,WI,USA)を使用して測定した。PD-1/PD-L1阻止バイオアッセイは、エフェクター細胞と免疫シナプスを模倣する標的細胞との共培養に基づく生物発光細胞ベースのアッセイである。ヒトPD-1を発現するJurkat T細胞及びNFAT応答エレメント(NFAT-RE)によって駆動されるルシフェラーゼレポーターは、ヒトPD-L1を発現するCHO-K1細胞及びJurkat細胞同族TCRを活性化するように設計された操作された細胞表面タンパク質によって活性化される。同時相互作用PD-1/PD-L1はTCRシグナル伝達を阻害し、NFAT-RE媒介性発光を抑制する。PD-1/PD-L1相互作用を遮断する抗PD-1又は抗PD-L1抗体のいずれかを添加すると、阻害性シグナルが放出され、TCR活性化が回復し、NFAT-RE発光レポーターのシグナルが増加する。
【0344】
簡潔には、PD-L1 aAPC/CHO-K1標的細胞を白色組織培養96ウェルプレートに播種し、37℃/5%COで一晩培養した。試験分子を、1μMから開始して0.002nMまでの4倍連続希釈で測定し、新たに解凍したPD-1Jurkatエフェクター細胞を添加する前に標的細胞上で10分間プレインキュベートした。37℃/5%COで6時間後、Bio-Glo試薬の添加によって活性NFAT-RE発光レポーターを評価し、Perkin Elmer(Schwerzenbach,Switzerland)製ENSPIRE(登録商標)プレートリーダー(1秒/ウェル)で測定した。
【0345】
図4は、非修飾抗PDL1抗体及びコンジュゲート抗PDL1抗体がPD1/PDL1経路を妨害する能力を測定するプロットを示し、図は、エフェクター細胞NFAT-REレポーターの平均発光強度をy軸上に示し、非修飾抗PDL1抗体及びコンジュゲート抗PDL1抗体の投与量をx軸上に示す。この図で試験した非コンジュゲート抗体及びコンジュゲート抗体は、それぞれデュルバルマブ及び組成物Aである。この図で試験した修飾IL-2ポリペプチドは、プロロイキン及び組成物AAである。この図は、コンジュゲート抗PDL1抗体がPD1/PDL1経路を妨害することができることを実証している。
【0346】
実施例4:ヒトFcRn結合アッセイ(図5
非修飾抗PDL1抗体及びコンジュゲート抗PDL1抗体と、pH6でのヒト新生児型Fc受容体(FcRn)との相互作用を、Perkin Elmer(Schwerzenbach,Switzerland)製のALPHALISA(登録商標)Human FcRn Binding Kit(AL3095C)を使用して測定した。FcRn及びIgG結合のALPHALISA(登録商標)検出は、ストレプトアビジン被覆ドナービーズ上に捕捉されたビオチン化ヒトFcRnと相互作用するためにIgG被覆ALPHALISA(登録商標)受容体ビーズを使用する。参照IgGがFcRnに結合すると、ドナー及び受容体ビーズが近接し、受容体ビーズ内のエネルギー移動反応のカスケードを引き起こす一重項酸素の移動を可能にし、615nmでの発光の鋭いピークをもたらす。ALPHALISA(登録商標)混合物への遊離IgG抗体の添加は、FcRnの参照抗体への結合についての競合を生じさせ、シグナルの喪失をもたらす。
【0347】
簡潔には、試験分子を、5μMから出発して64pMまで連続希釈で測定し、pH6のMES緩衝剤中の800nMの組換えビオチン化ヒトFcRn、40μg/mlのヒトIgGコンジュゲート化受容体ビーズ、及び40μg/mlのストレプトアビジン被覆ドナービーズからなるALPHALISA(登録商標)反応混合物とインキュベートした。23℃、暗所で90分後、ALPHALISA(登録商標)シグナルを、Perkin Elmer(Schwerzenbach,Switzerland)製プレートリーダー(680nmで励起、615nmで発光)で測定した。
【0348】
図5は、pH6でヒト新生児型Fc受容体(FcRn)に結合する非修飾抗PDL1抗体及びコンジュゲート抗PDL1抗体の能力を測定するプロットを示し、図は、y軸に平均AlphaLISA(登録商標)FcRn-IgGシグナルを示し、x軸に非修飾抗PDL1抗体及びコンジュゲート抗PDL1抗体の投与量を示す。この図で試験した非コンジュゲート抗体及びコンジュゲート抗体は、それぞれデュルバルマブ及び組成物Aである。
【0349】
実施例5:ヒトFcRg結合アッセイ(図6A図6C
非修飾抗PDL1抗体及びコンジュゲート抗PDL1抗体と、ヒトFcγ受容体I(FcγRI/CD64)、ヒトFcγ受容体II(FcγRIIa/CD32)及び低親和性ヒトFcγ受容体IIIFcγR3a/CD16 V158との相互作用を、ALPHALISA(登録商標)ヒトFcγR1/CD64(AL3081C)、FcγRIIa/CD32a 167H(AL3086C)及びFcγRIII/CD16 176P/F158(AL347HV)結合キット(Perkin Elmer,Schwerzenbach,Switzerland)をそれぞれ使用して測定した。
【0350】
Fcγ受容体及びIgG結合のALPHALISA(登録商標)検出は、ヒトIgG Fc領域被覆ALPHALISA(登録商標)受容体ビーズを使用して、ストレプトアビジン被覆ドナービーズ上に捕捉されたビオチン化ヒトFcγRI、FcγRIIa又はFcγRIIIaと相互作用する。参照IgGがFcγ受容体に結合すると、ドナー及び受容体ビーズが近接し、受容体ビーズにおけるエネルギー移動反応のカスケードを引き起こす一重項酸素の移動を可能にし、615nmでの発光の鋭いピークをもたらす。ALPHALISA(登録商標)混合物への遊離IgG抗体の添加は、Fcγ受容体の参照IgG Fc領域への結合についての競合を生じさせ、シグナルの損失をもたらす。
【0351】
簡潔には、試験分子を、5μMから4pMまで連続希釈で測定し、40μg/mlのヒトIgG Fcコンジュゲート受容体ビーズ、及び40μg/mlのストレプトアビジン被覆ドナービーズ並びに組換えビオチン化ヒトFcγRI(200nM)、FcγRIIa(120nM)又はFcγRIIIa(8nM)からなるALPHALISA(登録商標)反応混合物とインキュベートした。暗所において23℃で90分後、ALPHALISA(登録商標)シグナルを、Perkin Elmer(Schwerzenbach,Switzerland)製のENSPIRE(登録商標)プレートリーダー(680nmで励起、615nmで発光)で測定した。
【0352】
図6Aは、ヒトFcγ受容体I(CD64)に結合する非修飾抗PDL1抗体及びコンジュゲート抗PDL1抗体の能力を測定するプロットを示し、図は、y軸上に平均AlphaLISA(登録商標)FcγRI-IgGシグナルを示し、x軸上に非修飾抗PDL1抗体及びコンジュゲート抗PDL1抗体の投与量を示す。この図で試験した非コンジュゲート抗体及びコンジュゲート抗体は、それぞれデュルバルマブ及び組成物Aである。
【0353】
図6Bは、ヒトFcγ受容体IIa(CD32a)に結合する非修飾抗PDL1抗体及びコンジュゲート抗PDL1抗体の能力を測定するプロットを示し、図は、y軸上に平均AlphaLISA(登録商標)FcγRIIa-IgGシグナルを示し、x軸上に非修飾抗PDL1抗体及びコンジュゲート抗PDL1抗体の投与量を示す。この図で試験した非コンジュゲート抗体及びコンジュゲート抗体は、それぞれデュルバルマブ及び組成物Aである。
【0354】
図6Cは、ヒトFcγ受容体IIIa(CD16)に結合する非修飾抗PDL1抗体及びコンジュゲート抗PDL1抗体の能力を測定するプロットを示し、図は、y軸上に平均AlphaLISA(登録商標)FcγRIIIa-IgGシグナルを示し、x軸上に非修飾抗PDL1抗体及びコンジュゲート抗PDL1抗体の投与量を示す。この図で試験した非コンジュゲート抗体及びコンジュゲート抗体は、それぞれデュルバルマブ及び組成物Aである。
【0355】
実施例6:IL2 pStat5活性化(図7図8
ヒトT細胞集団に対する様々なIL-2ポリペプチドの効果を決定するために実験を行った。初代panT細胞(CD4+、CD8+及びTregT細胞)を、FICOLL(登録商標)勾配遠心分離を使用する末梢血単核細胞(PBMC)精製、引き続いて磁気ビーズでの陰性単離によって健康なドナーのバフィーコートから得て、その後使用するまで凍結保存した。panT細胞を解凍し、T細胞培地(RPMI10%FCS、1%グルタミン、1%NEAA、25μMβMeoH、及び1%NaPyrovate)で一晩回復させ、PBSで2回洗浄した後、細胞をPBSに再懸濁した。次いで、細胞を200,000細胞/ウェルで分配し、開始濃度316nMから3pMまで下げて37℃/5%COで40分間、抗PD1抗体にコンジュゲートされていない修飾IL-2ポリペプチド及びコンジュゲートされた修飾IL-2ポリペプチドの3.16倍連続希釈液で刺激した。インキュベーション後、細胞を、転写因子ホスホ緩衝剤キットを使用して固定し、透過処理し、その後、CD4、CD8、CD25、FoxP3、CD45RA及びpStat5についての表面免疫染色及び細胞内免疫染色を行って、細胞サブセットの同定及びStat5(シグナル伝達兼転写活性化因子5)リン酸化のレベルの測定を可能にした。FACS(蛍光活性化細胞選別)測定は、NOVOCYTE(登録商標)又はACEA(商標)のQUANTEON(商標)Flow Cytometerのいずれかを用いて行った。
【0356】
以下のT細胞サブセットについてのpStat5 MFI(中程度の蛍光強度)シグナルを、修飾IL-2ポリペプチド又は免疫サイトカインの濃度に対してプロットした。最大半量有効濃度(EC50)は、GraphPad PRISMソフトウェアを使用して、可変勾配、4パラメータ分析に基づいて計算した。
【0357】
【表11】
【0358】
図7は、ヒトT細胞のインビトロ試料におけるTeff及びTreg細胞の誘導に対する抗PDL1抗体にコンジュゲートされていない修飾IL-2ポリペプチド及びコンジュゲートされた修飾IL-2ポリペプチドの効果を測定するプロットを示し、図は、y軸上にリン酸化シグナル伝達兼転写活性化因子5(pSTAT5)についての平均蛍光強度を示し、x軸上に修飾IL-2ポリペプチド及び免疫サイトカインの投与量を示す。試験した修飾IL-2ポリペプチドは、組成物AAである。この図で試験した免疫サイトカインは、組成物A及び対照としてのHer2標的化免疫サイトカイン組成物F(IL-2ポリペプチドにコンジュゲートしたトラスツズマブ抗体)である。
【0359】
図8は、過剰量の非コンジュゲート抗PD1抗体の存在下又は非存在下でのヒトT細胞のインビトロ試料における静止期CD8+Teff細胞の誘導に対する、抗PDL1抗体にコンジュゲートされていない修飾IL-2ポリペプチド及びコンジュゲートされた修飾IL-2ポリペプチドの効果を測定するプロットを示し、図は、y軸上にリン酸化シグナル伝達兼転写活性化因子5(pSTAT5)についての平均蛍光強度を示し、x軸上に修飾IL-2ポリペプチド及び免疫サイトカインの投与量を示す。試験した修飾IL-2ポリペプチドは、組成物AAである。この図で試験した免疫サイトカインは、組成物A及び対照としてのHer2標的化免疫サイトカイン組成物F(IL-2ポリペプチドにコンジュゲートしたトラスツズマブ抗体)である。
【0360】
実施例7:組成物ABの合成
固相ペプチド合成(SPPS)を用いて合成した個々のペプチドをライゲーションすることにより、残基F42Yに結合したアジド-PEG、Y45にPEG基を含み、配列番号3のアミノ酸配列を有する修飾IL-2ポリペプチド組成物ABを合成した。個々のペプチドを、以下に記載される方法を使用して自動ペプチド合成装置で合成した。本明細書中に提供される関連する修飾IL-2を、類似のプロトコルを使用して合成した。
【0361】
市販の試薬をSigma-Aldrich、Acros、Merck又はTCI Europeから購入し、更に精製することなく使用した。固相ペプチド合成に適した側鎖保護基を有するFmocアミノ酸は、Novabiochem、Christof Senn Laboratories AG又はPeptARTから購入し、供給されたまま使用した。ペプチド合成に使用したポリエチレングリコール誘導体は、Polypureにより購入した。Sigma Aldrich製のHPLCグレードCHCNを分析及び分取HPLC精製に使用した。
【0362】
ペプチド及びタンパク質の高分解能質量スペクトル(FTMS)を、マトリックスとして4-ヒドロキシ-α-シアノケイ皮酸(HCCA)を使用して、二重ESI/MALDI-FTICR源を備えたBruker solariX(9.4T磁石)で測定した。CDスペクトルは、1.0mm経路長セルを備えたJasco J-715分光計で記録した。スペクトルは、標準感度(100mdeg)、0.5nmのデータピッチ、50nm/分の走査速度、1nmの帯域幅及び5回の蓄積で連続走査モードで25℃で収集した。
【0363】
ペプチド及びタンパク質断片を逆相高速液体クロマトグラフィ(RP-HPLC)によって分析及び精製した。ペプチド分析及び反応モニタリングは、デュアルポンプ、ミキサー及びインライン脱気装置、オートサンプラー、可変波長UV検出器(220nm及び254nmでの溶離液の同時モニタリング)及び100μl注入ループを備えた注入器を備えた分析Jasco機器で行った。ペプチド断片の精製は、20mL注入ループを備えたGilson分取装置で行った。両方の場合において、移動相は、0.1%TFAを含むMilliQ-HO(緩衝剤A)及び0.1%TFAを含むHPLCグレードCHCN(緩衝剤B)であった。分析HPLCは、bioZen(商標)IntactC4カラム(3.6μm、150×4.6mm)又はShiseido Capcell Pak MG III(5μm、150×4.6mm)カラムで、流速1mL/分で行った。分取HPLCを、Shiseido Capcell Pak UG80 C18カラム(5μm、内径50mm×250mm)で40mL/分の流速で行った。
【0364】
ペプチドセグメントは、Fmoc SPPS化学を使用して、Syro I又はCS Bio 136Xペプチド合成装置で合成した。側鎖保護基を有する以下のFmocアミノ酸を使用した:Fmoc-Ala-OH、Fmoc-Arg(Pbf)-OH、Fmoc-Asn(Trt)-OH、Fmoc-Asp(OtBu)-OH、Fmoc-Cys(Acm)、Fmoc-Gln(Trt)-OH、Fmoc-Glu(OtBu)-OH、Fmoc-Gly-OH、Fmoc-His(1-Trt)-OH、Fmoc-Ile-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Lys(Boc)-OH、Fmoc-Nle-OH、Fmoc-Phe-OH、Fmoc-Pro-OH、Fmoc-Ser(tBu)-OH、Fmoc-Thr(tBu)-OH、Fmoc-Trp(Boc)-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、Fmoc-Val-OH。Fmoc-シュードプロリンジペプチドを必要に応じて合成に組み込んだ。DMF中20%ピペリジンを用いてFmoc脱保護を行い(2×8分)、フィードバックループを用いて304nmのUVで監視して完全なFmoc除去を確実にした。カップリングは、室温又は50℃で、Fmoc-アミノ酸(樹脂置換に対して3.0~5.0当量)、カップリング試薬としてHCTU又はHATU(2.9~4.9当量)及びDIPEA又はNMM(6~10当量)を含むDMFを用いて行った。3分間予備活性化した後、溶液を移し、アミノ酸に応じて30分間又は2時間、樹脂上のペプチドと反応させた。場合によっては、二重結合が必要であった。カップリング後、未反応の遊離アミンをキャッピングするために、樹脂をDMF中20%無水酢酸で処理した。必要に応じてLiCl洗浄を行った。アリルエステルの脱保護は、フェニルシラン(24当量)及びパラジウム(0)テトラキス(トリフェニルホスフィン)(0.5当量)を含む無水ジクロロメタンを用いて行った。
【0365】
SPPSによるペプチドセグメントの合成を、微小切断及び対応する樹脂の分析によって監視した。95:2.5:2.5のTFA:DODT:HO(α-ケト酸樹脂上で合成されたα-ケト酸セグメント)又は95:2.5:2.5のTFA:TIPS:HO(2-クロロトリチルポリスチレン樹脂上で合成されたペプチド)の混合物を2時間使用して、ペプチドを樹脂から切断した。樹脂を濾別し、濾液を蒸発させ、冷ジエチルエーテルで処理し、研和し、遠心分離した。エーテル層を慎重にデカントし、残渣をジエチルエーテルに再懸濁し、トリチュレートし、遠心分離した。エーテル洗浄を2回繰り返した。
【0366】
1.1 IL-2の組成物ABバリアントの合成
IL-2(1-39)-Leu-α-ケト酸の合成
【0367】
【化37】
【0368】
IL2(1-39)-Leu-α-ケト酸(配列番号3を参照のこと)を、0.25mmol/gの置換容量を有する保護されたFmoc-α-Leu-ケト酸を予め充填したRink-アミド樹脂上で合成した。そうするために、Fmoc-Rink Amide MBHA樹脂(4g)をDMF中で15分間予備膨潤させ、Fmoc脱保護を行った。Fmoc-ロイシン保護α-ケト酸(795mg、1mmol、1.00当量)をDMF40mLに溶解し、HATU(361mg、0.95mmol、0.95当量)及びDIPEA(348μL、2mmol、2.00当量)で予備活性化した。カップリングを室温で6時間進行させた。次いで、樹脂をキャップした後、Fmoc脱保護した。セグメントの合成は、一般的方法のセクションに記載の手順を使用して、自動化Fmoc SPPSによってAla1まで0.250mmolスケールアップで行った。ペプチド合成の進行を、(95:2.5:2.5)TFA:DODT:HOの混合物を1.5時間使用して微小切断及び分析を行うことによって監視した。HPLC分析を60℃でC18カラムで行った。一般的な方法に記載の手順に従って、95:2.5:2.5 TFA:DODT:HO(15mL/g樹脂)の混合物を用いて2時間、樹脂からペプチドを切断した。粗IL2(1-39)の精製を、Shiseido capcell pak C18カラム(50×250mm)を使用し、0.1%TFAを含む30から80%CHCNの勾配で30分間の分取HPLCによって行った。純粋な生成物画分をプールし、凍結乾燥させて、650mgの純粋なIL2(1-39)1-39)-Leu-α-ケト酸(ペプチド合成、樹脂切断及び精製工程の収率69%)を得た。分析HPLC及びESI-HRMSを使用して、生成物の純度及び正確な質量を確認した。C2043465661[M]について計算されたm/z:4556.5694、測定値:4556.5783。
【0369】
組成物ABのOpr-IL2(42-69)光保護Leu-α-ケト酸の合成
【0370】
【化38】
【0371】
Opr-IL2(42-69)(配列番号3を参照のこと)光保護Leu-α-ケト酸セグメントを、0.25mmol/gの置換容量を有するFmoc-ロイシン-光保護α-ケト酸をプレロードしたRink Amide MBHA樹脂上で調製した。そうするために、4gのFmoc-Rink Amide MBHA樹脂をDMFで15分間膨潤させ、Fmoc脱保護を行った。Fmoc-ロイシン-光保護α-ケト酸(795mg、1mmol、1.00当量)をDMF40mLに溶解し、HATU(361mg、0.95mmol、0.95当量)及びDIPEA(348μL、2mmol、2.00当量)で予備活性化した。反応物を室温で6時間撹拌した。次いで、樹脂をキャップした後、Fmoc脱保護した。セグメントの合成は、一般的方法のセクションに記載の手順を用いて、自動化Fmoc SPPSによって0.151mmolスケールでNle46まで行った。Cys(Acm)-OH(樹脂に対して10当量)を、DIC(樹脂に対して5当量)を用いて室温で2時間、対称無水物法によるCys58のカップリングに使用した。予め形成されたアミノ酸Fmoc-Tyr(Ac0.5kDaPEG)-OH(3当量)を、HATU(2.9当量)及びDIPEA(6当量)を使用した単一カップリングによって45位にカップリングした。Phe44及びLys43を自動化SPPSによってカップリングさせ、続いてFmoc Tyr-アリルアセタート及びBoc-5-(S)-オキサプロリンをそれぞれ42及び41の位置で手動カップリングさせた。アリルエステルの脱保護は、フェニルシラン(449μL、3、6mmol、24当量)及びPd(Ph(87mg、0.075mmol、0.5当量)を用いて、室温で30分間、確立された標準条件に従って行った。脱保護後、O-(2-アミノエチル)-O’-(2-アジドエチル)ノナエチレングリコール(237mg、0.450mmol、3当量)を50℃で1.5時間カップリングした。ペプチド合成の進行を、(95:2.5:2.5)TFA:DODT:HOの混合物を1.5時間使用して微小切断及び分析を行うことによって監視した。HPLC分析を60℃でC18カラムで行った。一般的な方法に記載の手順に従って、95:2.5:2.5 TFA:DODT:HO(15mL/g樹脂)の混合物を用いて2時間、樹脂からペプチドを切断した。冷エーテル:ペンタン混合物(1:1)を使用して、粗ペプチドを処理及び洗浄した。粗IL2(42~69)の精製を、2段階勾配を用いたShiseido capcell pak C18カラム(50×250mm)を用いる分取HPLCによって行った:最初に、5分で0.1%TFAを含むMQ-HO中の10~30%CHCN、次いで30分で0.1%TFAを含むMQ-HO中の30~60%CHCN。純粋な生成物画分をプールし、凍結乾燥させて、117.4mgの純粋なIL2(42-69)を得た(ペプチド合成、樹脂切断及び精製工程の収率16%)。分析HPLC及びESI-HRMSを使用して、生成物の純度及び正確な質量を確認した。C230376N4674S[M]のm/z計算値:4998.6794、測定値4998.6749。
【0372】
組成物ABのFmoc-OprIL2(72-102)-Phe-α-ケト酸の合成
【0373】
【化39】
【0374】
Fmoc-OprIL2(72-102)-フェニルアラニン-α-ケト酸は、約0.25mmol/gの置換容量を有するFmoc-Phe-プロトン化α-ケト酸を予め充填したRinkAmideChemMatrix樹脂上で合成した。カップリング試薬としてHCTUを使用して、Ala73までの自動化FmocSPPSによって0.588mmol規模で合成を行った。残基72、Fmoc-Leuのカップリングは、カップリング試薬としてHATUを用いて行った。カップリングを45℃で更に2回繰り返して、完全なカップリングを確実にした。HATU(樹脂に対して2.95当量)及びNMM(樹脂に対して6.00当量)を用いて室温で2時間、Fmoc-5-オキサプロリン(樹脂に対して3.00当量)を遊離アミンに手動でカップリングさせた。ペプチド合成の進行を、(95:2.5:2.5)TFA:DODT:HOの混合物を2時間使用して微小切断及び分析を行うことによって監視した。HPLC分析を60℃でC18カラムで行った。95:2.5:2.5TFA:DODT:HO(15mL/g樹脂)の混合物を2.0時間使用して、ペプチドを樹脂から切断した。粗セグメントの精製は、60℃で予熱したShiseido Capcell Pak C18カラム(50×250mm)を使用し、0.1%TFAを含む20から75%CHCNの勾配で30分で分取HPLCによって行った。純粋な生成物画分をプールし、凍結乾燥させて、Fmoc-OprIL2(72-102)-Phe-α-ケト酸を98%超の純度(合成、切断及び精製工程について147.9mg、収率6%)で得た。分析HPLC及びESI-HRMSを使用して、生成物の純度及び正確な質量を確認した。C1842854753[M]のm/z計算値:4001.1051、測定値4001.1227。
【0375】
Opr-IL2(105-133)の合成
【0376】
【化40】
【0377】
Opr-IL2(105~133)を、0.25mmol/gの置換容量を有するFmoc-Thr-OHを予め充填した2-クロロトリチル樹脂上で合成した。キャッピング(ジイソプロピルエチルアミン、メタノール)後、Glu106までの自動化Fmoc SPPSによって0.34mmolスケール(樹脂1.5g)で合成を行った。Cys(Acm)-OH(樹脂に対して10当量)を、DIC(樹脂に対して5当量)を用いて室温で2時間、対称無水物法によるCys105のカップリングに使用した。次いで、Boc-5-オキサプロリン(樹脂に対して2.00当量)を、HATU(1.95当量)及びNMM(4当量)を使用して遊離アミンオン樹脂にカップリングした。ペプチド合成の進行を、(95:2.5:2.5)TFA:TIPS:HOの混合物を1.5時間使用して微小切断及び分析を行うことによって監視した。HPLC分析を60℃でC18カラムで行った。95:2.5:2.5 TFA:TIPS:HO(15mL/g樹脂)の混合物を2.0時間使用して、ペプチドを樹脂から切断した。粗Opr-IL2(105~133)の精製を、60℃で予熱したShiseido Capcell Pak C4カラム(50×250mm)を使用し、10分で0.1%TFAを含む10から65%CHCN、次いで20分で0.1%TFAを含む65から95%CHCNの勾配で分取HPLCによって行った。純粋な生成物画分をプールし、凍結乾燥させて、98%超の純度(108.5mg、合成、切断及び精製工程について収率9%)のOpr-IL2(105~133)を得た。分析HPLC及びESI-HRMSを使用して、生成物の純度及び正確な質量を確認した。C1582423752S[M+H]のm/z計算値:3521.7145、実測値3521.7140。
【0378】
KAHAライゲーションによる組成物ABのIL2-Seg12の合成
【0379】
【化41】
【0380】
KAHAライゲーション:Seg1(44mg、9.6μmol、1.2当量)及びSeg2(40mg、8.0μmol、1当量)を、0.1Mシュウ酸(400μL、20mM)を含有するDMSO:HO(9:1)に溶解し、60℃で20時間反応させた。 ライゲーションバイアルをアルミニウム箔に包むことによって光から保護した。KAHAライゲーションの進行は、Phenomenex C18カラム(150×4.6mm)を用いて、移動相として0.1%TFAを含有するCHCN/HOを用いて、7分で5から95%のCHCNの勾配で、60℃でuHPLCによって監視した。
【0381】
光脱保護及び精製:ライゲーションの完了後、混合物を、0.1%TFAを含有するCHCN/HO(1:1)で約20倍(8mL)に希釈し、365nmの波長で1時間照射した。光分解反応の完了は、前述の方法を使用してuHPLCに試料を注入することによって確認した。光脱保護された試料を、Shiseido Capcell Pack UG80 C18カラム(50×250mm)を60℃に保ち、2段階勾配:水中のCHCNの二重勾配:0.1%TFA:5分で10から35%、次いで35分で35から65%、溶離液として0.1%TFAを含有するCHCN及びMQ-HOを用いて40mL/分の流量で、分取HPLCによって精製した。生成物を含有する画分をプールし、凍結乾燥させて、純粋なSeg12(ライゲーション及び精製工程について25.4mg、収率40%)を得た。C422709101130S[M]のm/z計算値:9304.1694、測定値9304.1639。
【0382】
KAHAライゲーションによる組成物ABのIL2-Seg34の調製のためのKAHAライゲーション
【0383】
【化42】
【0384】
ライゲーション:Seg3(136mg、34μmol、1.2当量)及びSeg4(100mg、28.40μmol、1当量)を、0.1Mシュウ酸(1.8mL、15mM)を含有するDMSO/HO(9:1)に溶解し、60℃で16時間反応させた。KAHAライゲーションの進行は、移動相として0.1%TFAを含有するCHCN/HOを使用し、7分で30から70%CHCNの勾配で、Phenomenex C18カラム(150×4.56mm)を使用する60℃でのuHPLCによって監視した。
【0385】
Fmoc脱保護及び精製:ライゲーションの完了後、反応混合物をDMSO(6mL)で希釈し、5%のジエチルアミン(300μL)を添加し、反応混合物を室温で7分間振盪した。精製用の試料を調製するために、TFA(300μL)を含有するDMSO(4mL)で希釈した。
【0386】
試料を、60℃に保ったShiseido Capcell Pack UG80 C18カラム(50×250mm)で、0.1%TFAを含む水中30から70%CHCNの勾配を用い、40mL/分の流量で35分間、分取HPLCによって精製した。生成物を含有する画分をプールし、凍結乾燥させて、純粋なSeg34(ライゲーション及び精製後に43.4mg、収率21%)を得た。分析HPLC及びESI-HRMSを使用して、生成物の純度及び正確な質量を確認した。C32651684101S[M]のm/z計算値:7255.7545、測定値:7255.7653。
KAHAライゲーションによるIL2直鎖タンパク質組成物ABの調製のための最終的なKAHAライゲーション。
【0387】
ライゲーション:Seg12(59.2mg、6.35μmol、1.2当量)及びSeg34(38.5mg、5.3μmol、1当量)を、0.1Mシュウ酸(423μL、15mM)を含有するDMSO/HO(9:1)に溶解し、ライゲーションを60℃で24時間進行させた。KAHAライゲーションの進行は、60℃でShiseido Capcell Pak UG80 C18カラム(250×4.6mm)及び移動相として0.1%TFAを含有するCHCN/HOを使用して、14分で30から95%CHCNの勾配で分析HPLCによって監視した。
【0388】
精製:ライゲーションの完了後、反応混合物を150μLのDMSOで希釈し、続いて0.1%TFA(7mL)を含有する(1:1)CHCN:HOの混合物で更に希釈した。試料を、60℃で予熱したShiseido Capcell Pack UG80 C18カラム(50×250mm)を用いた分取HPLCに注入することによって精製し、2段階勾配:5分で10から40%及び35分で40から80%、流速:溶離液として0.1%TFAを含有するCHCN及びMQ-HOを用いて40mL/分であった。生成物を含有する画分をプールし、凍結乾燥して、Acmを含む純粋な組成物AB直鎖タンパク質を得た(42.3mg、ライゲーション及び精製工程について収率48%)。分析HPLC及びESI-HRMSを使用して、生成物の純度及び正確な質量を確認した。C7471225185229[M]のm/z計算値:16515.9340、測定値16515.9008。
【0389】
Acm脱保護:Acmを有するペプチドIL2直鎖タンパク質(35.4mg、2.14μmol)をAcOH/HO(1:1)(8.6mL、0.25mM)に溶解し、86mgのAgOAc(1%m/v)を溶液に添加した。混合物を光から保護して50℃で2.5時間振盪した。HPLCによって確認される反応の完了後、試料を、0.1%TFAを含有するCHCN:HO(1:1)で希釈し、60℃に保たれたShiseido CapCell Pak UG80 C18カラム(20×250mm)を使用する分取HPLCによって精製した。2段階勾配を精製のために使用した:5分で10から40%及び30分で40から95%、流速:10mL/分、溶離液として0.1%TFAを含有するCHCN及びMQ-HO。生成物を含有する画分をプールし、凍結乾燥して、純粋なIL2直鎖タンパク質(脱保護及び精製工程については26.1mg、収率74%)を得た。C7411215183227[M]のm/z計算値:16373.8597、測定値:16373.8253
【0390】
フォールディングされたIL-2組成物ABの合成
【0391】
【化43】
【0392】
直鎖タンパク質の再編成:直鎖タンパク質(20mg、1.221μmol)を、0.1MのTris及び30mMの還元型グルタチオン(81mL、15μMタンパク質濃度)を含有する6MのGu・HCl水溶液に溶解し、これを6MのHCl水溶液によってpH8.0に調整した。混合物を50℃で2時間穏やかに振盪し、25℃でbioZen(商標)3.6μm Intact C4カラム(150×4.6mm)を使用する分析逆相HPLCによって、0.1%TFAを含むMQ-HO中30から95%CHCNの勾配で18分、流速:1.0mL/分で監視した。
【0393】
直鎖再構成タンパク質のフォールディング:前の溶液を室温に冷却し、0.1M Tris及び1.5mM酸化グルタチオンを含有する第2緩衝溶液(240mL)でpH8.0に3倍希釈した。混合物を室温で保存し、bioZen(商標)3.6μm Intact C4カラム(150×4.6mm)を使用した分析HPLCにより25℃で、18分で0.1%TFAを含む30から95%アセトニトリルの勾配で、流速:1.0mL/分で監視した。20時間後、フォールディング溶液を10%TFA水溶液で約pH3に酸性化し、Shiseido ProteonaviC4カラム(20×250mm)を用い、0.1%TFAを含む5から40から95%アセトニトリルの二段階勾配で60分、流速:10.0mL/分で分取HPLCで精製した。フォールディングされたIL2タンパク質を含有する画分を一緒にプールし、凍結乾燥した。純粋なフォールディングされたタンパク質(3.5mg、収率18%)の純度及び同一性を、分析RP-HPLC及び高分解能ESI質量分析によって更に確認した。C7411213183227[M]のm/z計算値:16371.8441、測定値:16371.8107、組成物ABの合成の成功を確認した。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
【配列表】
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【国際調査報告】