(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】高速電気機械のための回転子
(51)【国際特許分類】
F04D 29/056 20060101AFI20240730BHJP
F16C 32/06 20060101ALI20240730BHJP
F16C 17/02 20060101ALI20240730BHJP
F16C 17/04 20060101ALI20240730BHJP
F04D 25/06 20060101ALI20240730BHJP
H02K 7/08 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
F04D29/056 B
F16C32/06 Z
F16C17/02 Z
F16C17/04 Z
F04D25/06
H02K7/08 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500302
(86)(22)【出願日】2022-07-06
(85)【翻訳文提出日】2024-02-20
(86)【国際出願番号】 EP2022068664
(87)【国際公開番号】W WO2023280894
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518370378
【氏名又は名称】セレロトン・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】CELEROTON AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブラザー,マヌエル
(72)【発明者】
【氏名】ルーザー,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ディエトマン,ファビアン
【テーマコード(参考)】
3H130
3J011
3J102
5H607
【Fターム(参考)】
3H130AA12
3H130AB27
3H130AB42
3H130AC30
3H130BA95D
3H130BA95E
3H130DA02X
3H130DB01X
3H130DB02X
3H130DD01X
3H130EA02D
3H130EC12D
3H130EC12E
3H130ED02D
3H130ED02E
3J011AA04
3J011BA02
3J011BA09
3J011KA02
3J011KA03
3J011LA04
3J011SD01
3J102AA07
3J102BA03
3J102EA02
3J102EA07
5H607BB01
5H607CC01
5H607GG01
5H607GG02
5H607GG14
(57)【要約】
気体軸受を有する高速電気機械のための回転子(1)は、少なくとも1つの回転子側ラジアル軸受(21)と、回転子側アキシャル軸受(31)と、少なくとも1つの回転子側ラジアル軸受(21)を備える回転子本体(2)と、回転子側アキシャル軸受を備える回転子エンドピース(3)と、を備え、回転子の回転軸に沿って見たときに、ラジアル軸受区画(22)は、ラジアル軸受がそれに沿って延在する区画として画定される。その中で、回転子エンドピース(3)は、これらの2つの部品の接合面において回転子本体(2)を半径方向に取り囲む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体軸受を有する高速電気機械のための回転子(1)であって、
少なくとも1つの回転子側ラジアル軸受(21)と、
回転子側アキシャル軸受(31)と、
前記少なくとも1つの回転子側ラジアル軸受(21)を備える回転子本体(2)と、
前記回転子側アキシャル軸受を備える回転子エンドピース(3)と、を備え、
前記回転子の回転軸に沿って見たときに、ラジアル軸受区画(22)が、ラジアル軸受がそれに沿って延在する区画として画定され、
前記回転子エンドピース(3)は、前記2つの部品の接合面において前記回転子本体(2)を半径方向に取り囲む、回転子(1)。
【請求項2】
前記回転子本体および前記回転子エンドピースは、圧入(11)によって接合され、特に、前記圧入は円錐嵌合である、請求項1に記載の回転子(1)。
【請求項3】
前記回転子の回転軸に沿って見たときに、前記回転子エンドピース(3)は、前記回転子本体(2)のラジアル軸受区画(22)と実質的に重ならず、
特に、前記重複が、前記ラジアル軸受区画(22)における前記回転子本体(2)の直径の15%未満、または10%未満、または5%未満であるか、または重複がまったくない、請求項1または2に記載の回転子(1)。
【請求項4】
前記回転子本体(2)の材料が7E-6K^-1未満、特に5E-6K^-1未満、さらに特に4E-6K^-1未満のCTEを有し、前記回転子エンドピース(3)の材料が金属、特に鋼である、先行する請求項のいずれか1項に記載の回転子(1)。
【請求項5】
前記回転子本体(2)の材料は、10GPaより大きい、特に15GPaより大きい、さらにより特に20GPaより大きいHK5またはビッカース硬度を有する、先行する請求項のいずれか1項に記載の回転子(1)。
【請求項6】
前記回転子の回転軸に沿って見た、前記回転子本体と前記回転子エンドピースとが重なる圧入区画の長さは、前記回転子本体の直径の50%未満、特に前記回転子本体の直径の40%未満、特に前記回転子本体の直径の30%未満である、先行する請求項のいずれか1項に記載の、請求項2に従属する回転子(1)。
【請求項7】
前記回転子の回転軸に沿って見たときに、アキシャル軸受区画(32)が、前記回転子側アキシャル軸受(31)を含む区画であり、周方向溝(35)が、前記アキシャル軸受区画(32)と、前記回転子エンドピース(3)と回転子本体(2)とが重なる区画との間に配置され、
特に、前記周方向溝(35)の半径方向深さは、前記回転子本体(2)を半径方向に取り囲む場所における前記回転子エンドピース(3)の環状区画の半径方向厚さの少なくとも30%、特に少なくとも50%、特に少なくとも70%である、先行する請求項のいずれか1項に記載の回転子(1)。
【請求項8】
前記回転子エンドピース(3)は中空区画を備え、前記中空区画は、少なくとも前記アキシャル軸受区画(32)に沿って、特に軸方向における前記回転子エンドピース(3)の長さの少なくとも50%または70%に沿って軸方向に延在する、先行する請求項のいずれか1項に記載の回転子(1)。
【請求項9】
前記中空区画容積は、前記回転子の周囲への流体接続を確立する換気ダクトを含むかまたは構成し、特に前記換気ダクトは軸方向に延在する貫通孔である、請求項8に記載の回転子(1)。
【請求項10】
前記中空区画は気密に囲まれており、特に、前記中空区画は、前記回転子本体(2)を前記回転子エンドピース(3)に接合するときに変位したガスを受け入れ、それによって前記圧入を確立するように構成された圧入補償容積部を構成し、さらに特に、前記圧入補償容積は、前記回転子エンドピース(3)に挿入される前記回転子本体(2)の部分の容積の少なくとも1/5の容積を有する、請求項8に記載の回転子(1)。
【請求項11】
回転子(1)が、テンションボルト(62)によって軸方向に圧縮され、特に、少なくとも回転子端部(3)および回転子本体(2)が圧縮され、任意選択的に、回転子の磁石区画(42)、および任意選択的に、インペラ(7)または別の負荷も、テンションボルト(62)によって圧縮される、先行する請求項のいずれか一項に記載の回転子(1)。
【請求項12】
前記回転子本体(2)は、中実体である、先行する請求項のいずれか1項に記載の回転子(1)。
【請求項13】
前記回転子本体(2)は、中空円筒体であるように成形されている、請求項1~11のいずれか1項に記載の回転子(1)。
【請求項14】
前記回転子(1)は永久磁石(4)を備え、前記回転子の回転軸に沿って見たときに、磁石区画(42)は前記永久磁石(4)がそれに沿って延在する区画であり、
特に、
・前記永久磁石(4)は前記回転子本体の内側に配置され、特に前記磁石区画が2つのラジアル軸受区画(22)の間の少なくともほぼ中心にあるか、
・または、前記永久磁石(4)は、前記回転子本体(2)の、前記回転子エンドピース(3)とは反対側の遠位端に配置されている、
先行する請求項のいずれか1項に記載の回転子(1)。
【請求項15】
前記回転子本体(2)は、前記回転子エンドピース(3)に挿入された区画において、隣接する近位軸受区画と同じ外径を有し、
特にまた、第2の遠位軸受区画とも同じ外径である、先行する請求項のいずれか1項に記載の回転子(1)。
【請求項16】
前記回転子エンドピースはアキシャル軸受プレート(36)を備え、前記アキシャル軸受プレートは環状プレートであり、前記回転子本体(2)に着座しており、
特に、前記回転子本体(2)の材料は、7E-6K^-1よりも低い、特に5E-6K^-1よりも低い、さらに特に4E-6K^-1よりも低いCTEを有し、前記アキシャル軸受プレートは、金属、特に鋼から作成される、請求項7、8、9、10および11を除く、先行する請求項のいずれか1項に記載の回転子(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機械の分野に関する。本発明は、独立請求項の前文に記載されているような、気体軸受を有する高速電気機械のための回転子に関する。
【0002】
電気モータは、一般的に、回転子と固定子とを備え、固定子は、電気固定子および軸受を支持および収容する固定子本体を備える。軸受は、気体軸受である1つまたは複数のラジアル(ジャーナルとも呼ばれる)およびアキシャル(スラストとも呼ばれる)軸受を備える。多くの場合、2つのラジアル軸受が存在する。それらは、固定子の対向する両側に配置することができ、すなわち、回転子を駆動する電磁要素が2つのラジアル軸受の間に配置されるか、または固定子の同じ側に配置される。後者の配置は、オーバーハングモータ設計と呼ばれことが多い。オーバーハング設計により、2つのラジアル軸受を単一の部品に統合することができる。しかしながら、この手法の結果として、一般に回転子が長くなり、したがってより重大な回転体力学的挙動および回転子の製造労力の増大をもたらす。このため、回転子を短く保ち、製造の手間、したがってコストを単純化し、例えば回転体力学的挙動によって引き起こされる性能限界を上げるという要望によって、相反する要件が生じる。
【0003】
多くの場合、製造公差および材料要件は、回転子ラジアル軸受と回転子アキシャル軸受とで異なり、製造が単純で、種々のピース、材料、および接合面の数が少ない回転子構造を見出すことが困難になっている。
【0004】
国際公開第2018/041938号および米国特許出願公開第2019/249682号明細書は、ラジアル空気軸受およびアキシャル空気軸受を有するターボ圧縮機シャフトを開示している。管状軸受部分の一端には、インペラおよびアキシャル軸受プレートを担持するためのシャフトが挿入され、他端には、電気モータの要素を担持するための駆動部分が挿入される。管状軸受部分は硬質材料からなり、インペラ部分および/または駆動部分は、管状軸受部分の硬質材料に比べて比較的軟質な材料からなる。
【0005】
米国特許第4063850号明細書は、部分的にセラミック材料から形成されたセラミックタービンホイールおよび回転子シャフトを有するガスタービン回転子を開示しており、ホイールおよび回転子の一部は一体形成されている。回転子のセラミックシャフト部分は、エンジンの冷却ゾーン内に延在し、そこで支持管を包含し、2つのシャフト部分を架橋する鋼シャフト部分に接続される。セラミックシャフト部分は、ラジアル空気軸受によって支持されている。セラミックアキシャル軸受ディスクは、セラミックシャフト部分と一体に形成される。
【0006】
米国特許第4585396号明細書、米国特許第4854025号明細書および米国特許第4639194号明細書は、鋼回転子シャフトに接続されたセラミックタービンホイールまたはインペラを開示している。
【0007】
国際公開第2017202941号および国際公開第2020002509号は、ラジアル軸受およびアキシャル軸受が1つのピースおよび材料から作成される空気軸受を有する回転子を開示している。
【0008】
従来技術の回転子はすべて、製造が困難であり、および/または回転子の種々の部分および機能に最適な材料を使用することができない。
【0009】
したがって、本発明の目的は、従来技術に対する改善を提供する、気体軸受を有する高速電気機械のための回転子を作成することである。
【0010】
これらの目的は、請求項に記載の気体軸受を有する高速電気機械のための回転子によって達成される。
【0011】
回転子は、気体軸受を有する高速電気機械のためのものであり、回転子は、
少なくとも1つの回転子側ラジアル軸受と、
回転子側アキシャル軸受と、
少なくとも1つの回転子側ラジアル軸受を備える回転子本体と、
回転子側アキシャル軸受を備える回転子エンドピースと、を備え、
回転子の回転軸に沿って見たときに、ラジアル軸受区画は、ラジアル軸受がそれに沿って延在する区画として画定される。
【0012】
その中で、回転子エンドピースは、これらの2つの部品の接合面において回転子本体を半径方向に取り囲む。
【0013】
回転子エンドピースが回転子本体を半径方向に取り囲むによって、または逆に、回転子本体が回転子エンドピース内に少なくとも部分的に延在するによって、2つの別個の部品を、2つの部品の接合面付近の回転子本体の変形を比較的小さくして接合することが可能になる。これにより、変形しやすい回転子側ラジアル軸受を接合面に近づけることができ、回転子の長さを低減することができる。加えて、回転子ラジアル軸受区画およびアキシャル軸受区画を単一の部品にするのとは対照的に、回転子を回転子エンドピースと回転子本体とに分割することによって、材料を別個に選択することができ、それによって、特性をアキシャル軸受区画およびラジアル軸受区画の異なる要件に適合させることができる。回転子端部は、製造を容易にするように最適化することができ、回転子本体は、熱および遠心荷重下で膨張を低くするように最適化することができる。
【0014】
実施形態では、回転子が中に使用されるように設計されている高速電気機械はターボ圧縮機であり、その場合、回転子エンドピースに取り付けられたインペラを駆動することができる。他の実施形態では、高速電気機械は、ビームチョッパまたは回転プリズムもしくはミラーまたは任意の他の負荷を駆動する。他の実施形態では、高速電気機械は、ターボ圧縮器インペラと組み合わされて、または組み合わされずに、タービンによって駆動される。
【0015】
別の態様によれば、回転子は、電気機械によって、または電気機械の一部によって駆動されない。
【0016】
気体軸受は、気体潤滑軸受軸受、または気体状流体を有する流体膜軸受とも呼ばれる。気体軸受は空気軸受を含む。
【0017】
実施形態では、回転子本体および回転子エンドピースは、圧入によって接合され、特に、圧入は円錐嵌合である。
【0018】
円錐嵌合は、圧入を構成する要素の公差要件を低減し、回転子本体の内部応力を低減するという利点を有する。
【0019】
実施形態では、回転子の回転軸に沿って見たときに、回転子エンドピースは、回転子本体のラジアル軸受区画と実質的に重ならず、
特に、重複が、ラジアル軸受区画における回転子本体の直径の15%未満、または10%未満、または5%未満であるか、または重複がまったくない。
【0020】
実施形態では、回転子本体は、高速回転および高温の両方が高速回転子内に存在するため、a)回転およびb)温度の下で少なくともほぼ、可能な限り膨張しない材料から作成される。回転子と固定子の軸受ブッシングとの間の気体軸受間隙を小さく維持するために、理想的には膨張は最小限にすべきである。さらに、回転子と固定子軸受との間に乾式摩擦がある気体軸受の始動-停止時の摩耗を最小限に抑えるために、材料は理想的には硬質にすべきである。さらに、回転子本体は、回転体力学的性能および軸受性能を増大させる(すなわち、最大安定回転速度を増大させる)ために、軽量かつ剛性にすべきである。
【0021】
回転子本体が高い引張強度を有し、機械加工が容易であることが好ましいが、上述の特性とのトレードオフにおいて、より低い引張強度およびより高い製造労力が許容され得る。これは、回転子本体の直径が小さいことに起因して、回転子本体の方が回転子エンドピースよりも引張応力が低く、さらに回転子本体の形状を単純に保つことによって緩和され、回転子エンドピースよりも容易な製造を可能にする。
【0022】
実施形態では、回転子エンドピースは、引張強度対密度比が高い材料から作成され、これにより、所与の回転速度に対して比較的高い周速度、したがってより大きいアキシャル軸受外径が可能になる。より大きいアキシャル軸受直径は、より大きい最大軸方向荷重を可能にし、これは、例えば回転子に搭載されたインペラから生じる振動および軸方向推力に耐えるのに有益である。さらに、回転子本体よりも複雑な形状を有する回転子エンドピースについては、回転子本体の材料よりも機械加工が容易な材料を使用することができ、機械加工コストを低減することができる。回転子本体について、回転子と固定子アキシャル軸受との間に乾式摩擦がある気体軸受の始動-停止時の摩耗を最小限に抑えるために、材料は理想的には硬質にすべきである。
【0023】
回転子エンドピースは、a)回転およびb)温度下で低い膨張を示すことが好ましいが、上記の特性とのトレードオフにおいて、より高い膨張を許容することができる。
【0024】
結果として、回転子本体および回転子エンドピースの材料が異なる。これにより、回転子を2つの異なる材料から作成することができる2つの部分に分離することによって、
・回転子エンドピース、特に、アキシャル軸受の引張強度対密度比、およびそのより複雑な形態および公差の単純な機械加工、ならびに
・回転子本体、特にラジアル軸受の温度および回転下での低膨張
に対する異なる要件を分離することができ、2つの異なる材料は異なる要件に合わせて最適化される。
【0025】
一方、異なる材料の組み合わせが存在する従来技術では、アキシャル軸受およびインペラを回転子の残りの部分に接続する部分(高い熱膨張係数(CTE)を有する)は、2つの部品の接合面において、内側になるように配置され、その部品は、外側にラジアル軸受区画(低いCTEを有する材料)を含む。本発明によれば、反対の構成を実現することができる。
【0026】
要約すると、回転子本体2には、セラミック系材料とも呼ばれ得る第1の種類の材料が使用される。いくつかの実施形態において、第1の種類の材料は、以下の特性のうちの1つ以上を有する。
【0027】
・低CTE:7E-6K^-1、または5E-6K^-1または4E-6K^-1未満。
・低密度:4500kg/m^3未満または3500kg/m^3未満。
【0028】
・高い弾性率密度比:250GPa/3100kg/m^3または350GPa/3100kg/m^3超。
【0029】
・高硬度:10GPa超、または15GPa超、または20GPa超のHK5(ビッカース硬度)。
【0030】
第1のタイプの典型的な材料:セラミック材料、より特定的にはSiN、SiC、AlO。さらなる代替物:鉄-ニッケル合金(Invarなど)、ガラス-セラミック、炭化タングステン、炭化金属。
【0031】
要約すると、金属系材料とも呼ばれ得る第2の種類の材料が、回転子エンドピース3に使用される。実施形態において、第2の種類の材料は、良好な機械加工性を有し、以下の特性のうちの1つ以上を有する。
【0032】
・高硬度(ロックウェル硬度):40HRCまたは50HRCまたは55HRC超。
・高い引張強度対密度比:700MPa/7700kg/m^3または1500MPa/7700kg/m^3または2000MPa/7700kg/m^3超。
【0033】
典型的な材料:金属、より特定的には鋼、より具体的には高強度・高度鋼、特にEN 10027-2鋼番号1.4108、1.4125、1.4112。
【0034】
実施形態では、回転子本体材料が7E-6K^-1未満、特に5E-6K^-1未満、さらに特に4E-6K^-1未満のCTEを有し、回転子エンドピース材料が金属、特に鋼であるという特徴を含む、第1の材料特徴セットが存在する。
【0035】
実施形態では、第1の材料特徴セットを含み、回転子本体材料が10GPaより大きい、特に15GPaより大きい、さらにより特に20GPaより大きいHK5またはビッカース硬度を有するという特徴をさらに含む、第2の材料特徴セットが存在する。
【0036】
実施形態では、第2の材料特徴セットを含み、回転子エンドピースが40HRCより大きい、特に50HRCより大きい、さらにより特に55HRCより大きいロックウェル硬度を有するという特徴をさらに含む、第3の材料特徴セットが存在する。
【0037】
実施形態では、第3の材料特徴セットを含み、回転子本体が4500kg/m^3未満、特に3500kg/m^3未満の密度を有するという特徴をさらに含む、第4の材料特徴セットが存在する。
【0038】
実施形態では、第4の材料特徴セットを含み、回転子本体が250GPa/3100kg/m^3より大きい、特に350GPa/3100kg/m^3より大きいヤング率対密度比を有するという特徴をさらに含む、第5の材料特徴セットが存在する。
【0039】
実施形態によれば、回転子本体および回転子エンドピースを定義する上述の材料特性の優先事項の順位は、以下の通りである。
【0040】
・第1の優先事項:回転子本体のCTEおよび回転子エンドピースの材料、
・第2の優先事項:回転子本体のビッカース硬度、
・第3の優先事項:回転子エンドピースのロックウェル硬度、
・第4の優先事項:回転子本体の密度、および
・第5の優先事項:ヤング率を回転子本体の密度で除した値、および
・第6の優先事項:高強度を第2の種類の材料の密度で除した値。
【0041】
以下に提示される回転子の他の部品はまた、材料特性に関して同じまたは異なる優先事項を有する第1の種類の材料または第2の種類の材料であってもよい。
【0042】
実施形態では、回転子の回転軸に沿って見た、回転子本体と回転子エンドピースとが重なる圧入区画の長さは、回転子本体の直径の50%未満、特に回転子本体の直径の40%未満、特に回転子本体の直径の30%未満である。
【0043】
実施形態では、圧入区画の長さは、回転子長さの5%未満、特に回転子長さの4%未満、特に回転子長さの3%未満である。
【0044】
このように圧入区画が比較的短くても、十分に強い接続を得ることが依然として可能である場合がある。これにより、回転子を短くすることができる。
【0045】
実施形態では、回転子の回転軸に沿って見たときに、アキシャル軸受区画は、回転子側アキシャル軸受を含む区画であり、周方向溝は、アキシャル軸受区画と、回転子エンドピースと回転子本体とが重なる区画との間に配置される。
【0046】
特に、周方向溝の半径方向深さは、回転子本体を半径方向に取り囲む場所で、回転子エンドピースの環状区画の半径方向厚さの少なくとも30%、特に少なくとも50%、特に少なくとも70%である。
【0047】
これは、風損によって加熱されるアキシャル軸受またはスラスト軸受、および温度変化に敏感である圧入、ならびに、さらにまた、同じく温度変化に敏感なラジアル軸受の間に熱障壁を作り出す。さらなる利点は、周方向溝が、溝がない場合に存在することになる応力に起因する回転子側アキシャル軸受の変形を低減することができることである。そのような応力は、圧入から、または回転子エンドピースの左側と右側との間の軸方向の幾何学的非対称性から生じる。さらに、高速回転中の回転子側アキシャル軸受の遠心膨張に起因する回転子エンドピースと回転子本体との圧入の浮き上がりを回避することができる。
【0048】
実施形態では、回転子エンドピースは、圧入補償容積として作用し、圧入を確立するときに変位したガスを受け入れることができる中空区画を備える。これにより、圧縮ガスが圧入を強制的に離すという問題を排除することができる。さらに、これにより、回転子エンドピースをより弾性にし、圧入を改善することができる。さらに、中空である張り出した回転子エンドピースは、その重量を減少させ、回転子の動的挙動および軸受の安定性を改善する。
【0049】
実施形態では、回転子エンドピースは中空区画を備え、中空区画は、少なくともアキシャル軸受区画に沿って、特に軸方向における回転子エンドピースの長さの少なくとも50%または70%に沿って軸方向に延在する。
【0050】
実施形態では、中空区画容積は、回転子の周囲への流体接続を確立する換気ダクトを含むかまたは構成し、特に換気ダクトは軸方向に延在する貫通孔である。
【0051】
実施形態では、中空区画は気密に囲まれており、特に、中空区画は、回転子本体を回転子エンドピースに接合するときに変位したガスを受け入れ、それによって圧入を確立するように構成された圧入補償容積部を構成し、さらに特に、圧入補償容積は、回転子エンドピースに挿入される回転子本体の部分の容積の少なくとも1/5の容積を有する。
【0052】
実施形態では、中空区画の内径は、回転子本体の中央プラグの直径の50%~100%である。
【0053】
実施形態では、回転子エンドピースのアキシャル軸受区画以外の領域において、中空区画が存在する場所の回転子エンドピースの壁厚は、同じ軸方向ロケーションにおける回転子エンドピースの半径の最大25%である。
【0054】
中空区画が換気ダクトを備えるかまたは構成する場合、上述のガスの圧縮を排除することに加えて、プロセスガスを低速に漏出して汚染する可能性があるガスポケットの存在も排除される。
【0055】
中空区画が気密に囲まれている場合、これは、製造中にまたはプロセスガス中に現れる可能性がある粒子または塵芥などの固体材料が回転子に入るのを防ぎ、動作中にプロセスガスの望ましくない摩耗もしくは不均衡、または望ましくない汚染をもたらすという利点を有する。実施形態では、中空区画および/または圧入補償容積を構成する中央孔が、圧入の反対側の端部で閉じられるように機械加工される。他の実施形態では、中央孔は、貫通孔として製造され、キャップまたはプラグ要素で閉じられる。そのようなプラグはまた、中央孔を大きく充填するために使用することができ、回転子本体内のプラグによる回転子エンドピースの変形を補償する。
【0056】
実施形態では、回転子は、テンションボルトによって軸方向に圧縮され、特に、少なくとも回転子端部および回転子本体が圧縮され、任意選択的にまた回転子の磁石区画、および任意選択的にまたインペラまたは別の負荷も、テンションボルトによって圧縮される。
【0057】
これは、圧入を構成する要素の公差要件をさらに低減し、回転子の異なる部品を組み立てる労力を低減するという利点を有する。
【0058】
実施形態では、回転子本体は、回転子エンドピースの中央孔に挿入され、回転子本体および回転子エンドピース上の半径方向に延在する接触面が互いに対向する、軸方向に延在する中央プラグを有するように成形され、
回転子エンドピース上で、中心孔と接触面との間の縁部が面取りされ、回転子本体上で、縁部が丸みを帯び、2つのピースの面取りおよび丸み付けが、圧入区画と回転子本体の丸み付けの始まりとの間の軸方向距離が存在するように選択され、
特に、この軸方向距離は、面取り部の軸方向延在範囲の少なくとも1/4である。面取りは、凹部またはフィレットなどの別の同様の形態で置き換えられてもよい。半径は、一定の半径を有しない別の同様の形態で置き換えられてもよい。
【0059】
言い換えれば、回転子本体の丸み付き縁部の半径は、面取り部の軸方向延在範囲の4分の3未満である。実施形態では、半径は、回転子本体の直径の少なくとも3%である。
【0060】
これにより、面取り部および半径を構築する当業者がそれを構築するように、縁部が鋭利であり、および/または、距離dが小さいかもしくはないのとは対照的に、半径の周りおよび半径と圧入区画との間の領域の両方で、回転子本体の内部応力を低減することが可能になる。
【0061】
実施形態では、回転子本体は中実体である。
すなわち、これは中空体ではない。これにより、その機械的安定性を増大させることができる。
【0062】
実施形態では、回転子本体は、中空円筒体であるように成形される。
これは、製造がより単純であり、軽量化につながり、回転子安定性が増大するという利点を有することができる。
【0063】
実施形態では、回転子は永久磁石を備え、回転子の回転軸に沿って見たときに、磁石区画は永久磁石がそれに沿って延在する区画であり、
特に、
・永久磁石は回転子本体の内側に配置され、特に磁石区画が2つのラジアル軸受区画の間の少なくともほぼ中心にあるか、
・または、永久磁石は、回転子本体の、回転子エンドピースとは反対側の遠位端に配置されている。
【0064】
中心に置かれた永久磁石は、電気機械の電磁要素を、軸方向に見て、ラジアル軸受区画の間に配置することを可能にし、機械の構造が短くなる。
【0065】
遠位端にある永久磁石は、電気機械の電磁要素を、軸方向に見て、ラジアル軸受区画の外側に配置することを可能にし、回転子アセンブリおよび固定子側軸受アセンブリを単純化する。
【0066】
実施形態では、回転子本体は、回転子エンドピースに挿入された区画において、隣接する近位軸受区画と同じ外径を有し、
特にまた、第2の遠位軸受区画とも同じ外径である。
【0067】
これにより、回転子本体の製造が特に容易な形状が作成される。さらに、圧入に起因する回転子本体の内部応力を、回転子本体の直径を段階的にした設計に比べて低減することができる。
【0068】
実施形態では、回転子は、回転子エンドピースとは反対側の回転子の端部に配置されたさらなるエンドピースを備える。さらなるエンドピースは、さらなるインペラまたは任意の他の負荷またはタービンを取り付けるように設計することができる。
【0069】
実施形態では、さらなるエンドピースは、回転子本体の内側に配置された円筒スリーブを備え、永久磁石は円筒スリーブの内側に配置される。
【0070】
実施形態では、回転子エンドピースは、中間リングとアキシャル軸受プレートとを備え、アキシャル軸受プレートは環状プレートであり、中間リングに着座している。中間リングは、回転子本体に着座することができる。特に、アキシャル軸受プレートは、第1の種類の材料またはセラミック系材料から作成することができる。さらに、中間リングは、アキシャル軸受プレートおよび回転子本体に対してより柔らかい金属系材料などの第2の種類の材料から作成することができる。結果として、中間リングは、回転子本体または回転子エンドピースの他の部分の膨張に起因してアキシャル軸受プレートに及ぼされる引張応力を制限することができる。これにより、アキシャル軸受プレートの引張応力をその引張強度未満に保つことができる。
【0071】
実施形態では、第2の材料特徴セットを含み、10GPaより大きい、特に15GPaより大きい、さらに特に20GPaより大きいHK5(ビッカース硬度)を有するアキシャル軸受プレートの特徴をさらに含む、第6の材料特徴セットが存在する。
【0072】
実施形態では、第6の材料特徴セットを含み、4500kg/m^3未満、特に3500kg/m^3未満の密度を有するアキシャル軸受プレート材料の特徴をさらに含む、第7の材料特徴セットが存在する。
【0073】
実施形態では、第7の材料特徴セットを含み、4500kg/m^3未満、特に3500kg/m^3未満の密度を有する回転子本体材料の特徴をさらに含む、第8の材料特徴セットが存在する。
【0074】
実施形態によれば、アキシャル軸受プレート、回転子本体、および回転子エンドピースを定義する上述の材料特性の優先事項の順位は、以下の通りである。
【0075】
・第1の優先事項:回転子本体のCTEおよび回転子エンドピースの材料、
・第2の優先事項:アキシャル軸受プレートのビッカース硬度、
・第3の優先事項:回転子本体のビッカース硬度、
・第4の優先事項:アキシャル軸受プレートの密度、
・第5の優先事項:回転子本体の密度。
【0076】
実施形態では、回転子エンドピースはアキシャル軸受プレートを備え、アキシャル軸受プレートは環状プレートであり、回転子本体に着座しており、
特に、回転子本体の材料は、7E-6K^-1よりも低い、特に5E-6K^-1よりも低い、さらに特に4E-6K^-1よりも低いCTEを有し、アキシャル軸受プレートは、金属、特に鋼から作成される。
【0077】
言い換えれば、この実施形態では、回転子エンドピースは、主にまたは全体をアキシャル軸受プレートによって構成することができる。
【0078】
実施形態では、回転子本体の材料が7E-6K^-1よりも低い、特に5E-6K^-1よりも低い、さらに特に4E-6K^-1よりもさらに低いCTEを有し、アキシャル軸受プレートが金属、特に鋼から作成されるという特徴を含む、第9の材料特徴セットが存在する。
【0079】
実施形態では、第9の材料特徴セットを含み、回転子本体が10GPaより大きい、特に15GPaより大きい、さらにより特に20GPaより大きいHK5またはビッカース硬度を有するという特徴をさらに含む、第10の材料特徴セットが存在する。
【0080】
実施形態では、第10の材料特徴セットを含み、アキシャル軸受プレートが40HRCより大きい、特に50HRCより大きい、さらにより特に55HRCより大きいロックウェル硬度を有するという特徴をさらに含む、第11の材料特徴セットが存在する。
【0081】
実施形態では、第11の材料特徴セットを含み、回転子本体が4500kg/m^3未満、特に3500kg/m^3未満の密度を有するという特徴をさらに含む、第12の材料特徴セットが存在する。
【0082】
実施形態によれば、アキシャル軸受プレートおよび回転子本体を定義する上述の材料特性の優先事項の順位は、以下の通りである。
【0083】
・第1の優先事項:回転子本体のCTEおよびアキシャル軸受プレートの材料、
・第2の優先事項:回転子本体のビッカース硬度、
・第3の優先事項:アキシャル軸受プレートのロックウェル硬度、
・第3の優先事項:回転子本体の密度。
【0084】
本発明の一態様によれば、本明細書に記載の周方向溝は、回転子本体および回転子エンドピースが別個の部品であるか否かとは無関係に実装される。この場合、回転子は、以下の特徴によって定義される。
【0085】
気体軸受を有する高速電気機械のための回転子であって、
・少なくとも1つの回転子側ラジアル軸受と、
・回転子側アキシャル軸受と、
・少なくとも1つの回転子側ラジアル軸受と、を備え、
・回転子の回転軸に沿って見たときに、ラジアル軸受区画が、それに沿ってラジアル軸受が延在する部分として画定され、
・回転子の回転軸に沿って見たときに、アキシャル軸受区画は、回転子側アキシャル軸受を含む区画であり、
・周方向溝が、アキシャル軸受区画とその最も近いラジアル軸受区画との間に配置される、回転子。
【0086】
さらなる実施形態は、従属請求項から明らかである。
本発明の主題は、以下を概略的に示す、添付の図面に例示される例示的な実施形態を参照して、以下の本文においてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【
図1】高速電気機械のための回転子を示す図である。
【
図2】回転子エンドピース、および回転子本体と回転子エンドピースとの間の接合面の詳細図である。
【
図3】回転子エンドピース、および回転子本体と回転子エンドピースとの間の接合面の詳細図である。
【
図4】回転子エンドピース、および回転子本体と回転子エンドピースとの間の接合面の詳細図である。
【
図5】テンションボルトによって軸方向に圧縮された回転子を示す図である。
【
図7】中空回転子本体を有する回転子を示す図である。
【
図8】中空回転子本体を有する回転子を示す図である。
【
図9】機械加工が単純な回転子本体を有する回転子を示す図である。
【
図10】さらなるエンドピースを有する回転子を示す図である。
【
図11】回転子スタブシャフトとは別個のアキシャル軸受プレートを有する回転子を示す図である。
【
図12】回転子スタブシャフトとは別個のアキシャル軸受プレートを有する回転子を示す図である。
【
図13】回転子スタブシャフトとは別個のアキシャル軸受プレートを有する回転子を示す図である。
【
図14】回転子スタブシャフトとは別個のアキシャル軸受プレートを有する回転子を示す図である。
【
図15】中空回転子本体内に永久磁石を有する回転子の詳細図である。
【
図16】中空回転子本体内に永久磁石を有する回転子の詳細図である。
【
図17】ラジアル軸受区画に重なる回転子エンドピースを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0088】
原則的に、図面において同一の部品には同じ参照符号が付されている。
図1は、回転子本体2および回転子エンドピース3を有する回転子1を概略的に示す。回転子本体2は、2つの回転子側ラジアル軸受21を有する。回転子エンドピース3は、回転子側スラスト軸受プレートまたは回転子側アキシャル軸受31を備える。回転子の回転軸に沿って見たときに、各回転子側ラジアル軸受21について、対応するラジアル軸受区画22は、ラジアル軸受21がそれに沿って延在する区画として画定される。これは、気体軸受が半径方向力を生成する区画である。通常、ラジアル軸受区画は、少なくともほぼ一定のラジアル軸受間隙を有する。同様に、アキシャル軸受区画32は、回転子側アキシャル軸受31がそれに沿って延在する部分として画定される。回転子本体2および回転子エンドピース3は、これらの2つの部品の接合面において回転子本体2を半径方向に取り囲む回転子エンドピース3によって、典型的には圧入11によって接合される。圧入は、締まり嵌め、圧縮嵌めなどとも呼ばれる。回転子エンドピース3は、回転子1によって駆動されるかまたは回転子1を駆動する部品、例えばインペラ、タービン、ビームチョッパ、回転プリズムなどを担持するための軸方向スタブまたは回転子スタブシャフト38を備える。
【0089】
回転子エンドピース3は、回転子本体2の第1の端部または近位端において回転子本体2に接合される。回転子本体2は、セラミック系材料である第1の種類の材料から作成されており、回転子エンドピース3は、金属系材料である第2の種類の材料から作成されている。
【0090】
回転子本体2の反対側の第2の端部または遠位端において、永久磁石4が回転子本体2に接合されている。回転子の回転軸に沿って見たときに、回転子本体区画29、回転子端部区画39、圧入区画12、および磁石区画42は、回転子本体2、回転子エンドピース3、圧入11、および永久磁石4がそれぞれ延在する区画として画定される。
【0091】
明確にするために、
図1に示すすべての参照番号が以下の図で繰り返されるわけではない。
【0092】
図2は、一実施形態による回転子エンドピース3、および、回転子本体2に対するその接合面の詳細を概略的に示す。接合面において、回転子本体2の中央プラグ23が、回転子エンドピース3の中央孔33に挿入され、圧入11を形成する。回転子本体2の回転子本体接触面24が、回転子エンドピース3のエンドピース接触面34に押し付けられている。中央孔33は、中央プラグ23によって変位された空気またはガスを取り込む圧入補償容積33として機能する。中央孔33が一端において開口して換気ダクトとして作用する
図1の実施形態とは対照的に、し、ここでは、中央孔は、インペラ7、または回転子1によって駆動される別の要素によって閉じられ、中央孔33の端部を気密に覆う。
図3aまたは
図3bの実施形態では、中央孔33は、別個の要素とすることができるか(
図3a)、または回転子エンドピース3と組み合わせることができる(
図3b)エンドキャップ71によって覆われている。これにより、固体材料またはガスが中央孔33に出入りすることが防止される。回転子スタブシャフト38の直径は、軸方向に沿って見たときに、例えば外径および内径の段階的な変化によって変化する。
【0093】
図1~
図3はまた、アキシャル軸受区画32と、回転子エンドピース3および回転子本体2が重なる区画との間に配置された周方向溝35を示す。周方向溝35は、一方では熱障壁を構成し、回転子側アキシャル軸受31から接合面への熱伝達を低速化し、他方では、回転子側アキシャル軸受31の変形から接合面において回転子エンドピース3が変形することを低減する。周方向溝35の半径方向深さは、回転子本体2を半径方向に取り囲む場所で、回転子エンドピース3のリングまたは環状区画の半径方向厚さの少なくとも30%、特に少なくとも50%、特に少なくとも70%である。周方向溝35は、本明細書に提示される他の実施形態でも実現することができるが、いずれの場合も描かれていない。
【0094】
図4は、円錐嵌合である圧入を示し、回転子本体2および回転子エンドピース3は、軸方向に互いに向かって押圧されている。
【0095】
図5は、テンションボルト62によって軸方向に圧縮されている回転子1を示す。図の上部では、回転子端部3および回転子本体2、ならびに任意選択的にインペラ(7)または別の負荷を含む圧縮要素のグループが、テンションボルト62によって圧縮される。図の下部において、グループは、永久磁石4、またはより一般的には磁石区画42の一部も含む。
【0096】
本明細書に示す他の実施形態では、特に圧入11が円錐嵌合ではなく円筒において存在する場合、テンションボルト62も存在することができる。
【0097】
図6は、接合面の詳細を示す。互いに対向する回転子本体2および回転子エンドピース3の半径方向に延在する接触面24、34は、間隙を介して描かれているが、実際には、それらは互いに接触してもよく、または間隙を有してもよい。同様に、圧入区画12には間隙が描かれているが、実際には回転子本体2と回転子エンドピース3との間に圧入がある。回転子エンドピース3において、中央孔33と接触面34との間の縁部は面取りされており、面取りの延在範囲はcによって示されている。面取りは、凹部またはフィレットなどの別の同様の形態で置き換えられてもよい。回転子本体2において、面取り部に面する縁部は、半径rの丸みを付けられている。半径は、一定の半径を有しない別の同様の形態で置き換えられてもよい。面取り部のサイズおよび半径は、圧入区画12と回転子本体の丸み付けの始まりとの間の軸方向距離dが存在するように選択される。これにより、面取り部および半径を構築する当業者がそれを構築するように、縁部が鋭利であり、および/または、距離dが小さいかもしくはないのとは対照的に、半径の周りおよび半径と圧入区画12との間の領域の両方で、回転子本体2の内部応力を低減することが可能になる。実施形態では、この軸方向距離dは、面取り部の軸方向延在範囲cの少なくとも1/4、および/または半径rの少なくとも1/3である。言い換えれば、回転子本体の丸み付き縁部の半径は、面取り部の軸方向延在範囲の4分の3未満である。実施形態では、半径は、回転子本体の直径の少なくとも3%である。
【0098】
面取りによって可能にされる半径と周方向溝との組み合わせは、圧入区画12を軸方向に短く保つことを可能にする。
【0099】
図7は、中空回転子本体2を示す。これは、例えば押出成形によって製造することができる。
【0100】
図8は、内部に永久磁石4が配置された中空回転子本体2を示す。永久磁石4は、回転子側ラジアル軸受21の間に配置される。
【0101】
図9は、その近位端に直径の段差のない回転子本体2を示す。むしろ、近位回転子側ラジアル軸受21における回転子本体2の外径は、回転子エンドピース3に挿入されたプラグ区画と同じである。
【0102】
図10は、回転子本体の遠位端に取り付けられたさらなるエンドピース6を有する回転子本体を示す。さらなる端部は、インペラまたは圧縮機またはタービンなどの別の要素を駆動するか、または、別の要素によって駆動されることができる。さらなるエンドピース6は、永久磁石4を担持する。
【0103】
図11~
図14は、回転子エンドピースがアキシャル軸受プレート36を備える実施形態を示し、アキシャル軸受プレート36は、環状プレートであり、回転子本体2(この場合、回転子エンドピース3は、アキシャル軸受プレート36のみから構成することができ、任意選択的に中間リング37からも構成することができる)または回転子エンドピース3に着座する。したがって、これらの実施形態では、アキシャル軸受プレート36は、回転子スタブシャフト38とは別個に成形された部分である。これは、アキシャル軸受プレート36を回転子スタブシャフト38と一体的に成形することができる他の図の実施形態とは対照的である。
【0104】
図11、
図12および
図14において、回転子本体2は、回転子スタブシャフト38と一体的に成形されている。
図11、
図12、および
図13では、アキシャル軸受プレート36は、中間リング37に着座している。このような構成では、アキシャル軸受プレート36および回転子本体2をセラミック系材料から作成し、中間リング37を金属系材料から作成することができる。中間リング37は、加熱時に回転子本体2の膨張を吸収することができ、そうでなければアキシャル軸受プレート36に引張応力を誘発し、アキシャル軸受プレート36を損傷する可能性がある。
図14では、アキシャル軸受プレート36は金属系材料から作成することができ、中間リング37は省略することができる。
【0105】
図15および
図16は、回転子本体2が中空であり、永久磁石4が回転子側ラジアル軸受21の間で回転子本体2内に配置される実施形態を示す。永久磁石4と回転子本体2との間には、回転子1が加熱されたときの膨張の差を吸収するために、典型的には金属系材料から成る円筒スリーブ61が配置されている。
図15の実施形態では、図示されていない別の要素を駆動するかまたは別の要素によって駆動されるための、(
図10の実施形態のような)さらなるエンドピース6が存在する。
図16の実施形態では、さらなるエンドピース6は、円筒スリーブ61と一体的に成形されている。
【0106】
図17は、回転子の回転軸に沿って見たときに、回転子エンドピース3が回転子本体2のラジアル軸受区画22に重なる実施形態を示す。ラジアル軸受区画22は、その近位端に、回転子エンドピース3の上に部分的に延在するが、回転子エンドピース3と回転子本体2との間の接合面または圧入に寄与しない短い張り出し区画を有する。すなわち、張り出し区画は、回転子エンドピース3にいかなる径方向の力も及ぼさず、特に回転子エンドピース3に接触しない。
【0107】
本発明を本実施形態において説明したが、本発明はそれに限定されず、特許請求の範囲内で他の様態でさまざまに具体化及び実践されてもよいことを明確に理解されたい。
【国際調査報告】