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特表2024-529315皮膚移植方法におけるメカノトランスダクション破壊媒介及びその実施における使用のための組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】皮膚移植方法におけるメカノトランスダクション破壊媒介及びその実施における使用のための組成物
(51)【国際特許分類】
   A61L 27/36 20060101AFI20240730BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240730BHJP
   A61L 27/54 20060101ALI20240730BHJP
   A61L 27/52 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240730BHJP
   A61L 27/60 20060101ALI20240730BHJP
   A61L 27/20 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
A61L27/36 100
A61P17/02
A61P43/00 121
A61L27/54
A61L27/52
A61K45/00
A61L27/60
A61L27/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500670
(86)(22)【出願日】2022-07-25
(85)【翻訳文提出日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 US2022038189
(87)【国際公開番号】W WO2023009439
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】63/227,811
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/340,145
(32)【優先日】2022-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.MATLAB
(71)【出願人】
【識別番号】517293845
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティス オブ ザ リーランド スタンフォード ジュニア ユニヴァーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・ガートナー
(72)【発明者】
【氏名】ケレン・チェン
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク・ヘン
【テーマコード(参考)】
4C081
4C084
【Fターム(参考)】
4C081AB19
4C081CD011
4C081DA12
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA63
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA891
4C084ZA892
4C084ZC751
(57)【要約】
皮膚移植方法が提供される。方法の態様は、皮膚移植片を、メカノトランスダクション遮断剤、例えば、薬理学的メカノトランスダクション遮断剤、例えば、接着斑キナーゼ阻害剤との組み合わせで、創傷に適用することを含む。また、本発明の方法を実施する使用のための組成物及びキットが提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の創傷を治療する方法であって、前記方法が、
皮膚移植片を、メカノトランスダクション遮断剤との組み合わせで、前記創傷に適用して、前記対象の前記創傷を治療することを含む、方法。
【請求項2】
前記皮膚移植片が、分層皮膚移植片である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記創傷が、深在性傷害創傷である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記深在性傷害創傷が、熱傷創傷である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記深在性傷害創傷が、外傷性創傷である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記皮膚移植片が、前記メカノトランスダクション遮断剤前に、前記創傷に適用される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記メカノトランスダクション遮断剤が、薬理学的メカノトランスダクション遮断剤を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記薬理学的メカノトランスダクション遮断剤が、接着斑キナーゼ阻害剤を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記メカノトランスダクション遮断剤が、前記創傷に、持続放出製剤で投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記持続放出製剤が、ゲル製剤を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記ゲル製剤が、ヒドロゲルを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ヒドロゲルが、生分解性プルランベースのヒドロゲルを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記方法が、前記創傷の治癒を促進する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記方法が、線維化を低減する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記方法が、拘縮を低減する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記方法が、瘢痕形成を軽減する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記方法が、コラーゲンアーキテクチャを回復させる、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記方法が、移植片生体力学的特性を改善する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記対象が、哺乳動物である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記哺乳動物が、ヒトである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
薬理学的メカノトランスダクション遮断剤を含む、薬学的組成物。
【請求項22】
前記薬理学的メカノトランスダクション遮断剤が、接着斑キナーゼ阻害剤を含む、請求項21に記載の薬学的組成物。
【請求項23】
前記薬学的組成物が、持続放出製剤を含む、請求項21又は22に記載の薬学的組成物。
【請求項24】
前記持続放出製剤が、ゲル製剤を含む、請求項23に記載の薬学的組成物。
【請求項25】
前記ゲル製剤が、ヒドロゲルを含む、請求項24に記載の薬学的組成物。
【請求項26】
ヒドロゲルが、生分解性プルランベースのヒドロゲルを含む、請求項25に記載の薬学的組成物。
【請求項27】
請求項21~26のいずれか一項に記載の薬学的組成物と、
皮膚移植片ハーベスタと、を含む、キット。
【請求項28】
皮膚移植片をヒト対象の治療部位に適用した後の瘢痕形成を低減する方法であって、前記方法が、
前記皮膚移植片を前記治療部位に適用することと、
接着斑キナーゼ阻害剤を前記皮膚移植片に送達して、前記治療部位での瘢痕形成を低減することと、を含む、方法。
【請求項29】
前記皮膚移植片が、分層皮膚移植片である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
送達ステップが、前記皮膚移植片に、前記接着斑キナーゼ阻害剤を含有する生分解性プルランベースのヒドロゲルを適用することを含む、請求項28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府権利の承認
本発明は、National Institute of Healthによって授与されたNIH交付番号DE026914下での政府支援でなされた。米国政府は本発明に特定の権利を有する。
【0002】
関連出願の相互参照
米国特許法第119条(e)に従って、本出願は、2021年7月30日に出願された米国特許仮出願第63/227,811号、及び2022年5月10日に出願された米国特許仮出願第63/340,145号の出願日の優先権を主張し、これらの出願の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
ヒト及び他の大型哺乳動物において、傷害は、典型的には、瘢痕形成をもたらし、瘢痕形成は、過剰な線維化及び機能の損失によって特徴付けられる(1~3)。体の最も表在性の器官として、皮膚は、通常、外部外傷性の力に対する第一防御であり、これにより、皮膚は、傷害、並びにその後の肥厚性瘢痕形成及び拘縮を特に受けやすい。皮膚傷害は、複数の病因を有し得るが、熱傷は、最も壊滅的なもののうちであり、主な世界的な公衆衛生上の負担(1、4)を、特に、中所得及び低所得国において(5)表す。少なくとも年間40,000件の熱傷傷害に関連する入院症例があり、128個の米国熱傷センターのそれぞれは、熱傷及び熱傷関連皮膚疾患のための平均年間200件の入院を受容している(6)。皮膚及び/又は皮下脂肪に制限された熱傷傷害は、通常、自家皮膚移植術を使用して、全層又は分層皮膚移植片(STSG)で再構築される(7)。
【0004】
臨床において、深在性熱傷及び他の深在性大表面積傷害は、自ら治癒することはほとんどない。代わりに、STSGが、低いドナー部位罹患率、有益な治癒環境の促進、及び移植片メッシュ技法を使用して比較的大きい面積を被覆する能力を有することを考慮すると、STSGは、重大な役割を果たす。皮膚移植片は、皮膚のバリア機能を迅速に回復させて、感染を予防し、死亡率を低減することにおいて重要な機能を果たすが、移植片治癒中の二次拘縮は、肥厚性瘢痕(HTS)形成をもたらす(8)。治癒した皮膚移植片はまた、非創傷皮膚と比較して、脆弱性の増加、異常な色素沈着、及び乏しいテクスチャによって特徴付けられる(9)。皮膚移植後の修正率は、20~30%と高いことが報告されており(10)、より若い患者は、しばしば、成長するにつれて複数回の皮膚移植を必要とし、ドナー部位可用性における追加の困難を提示する(11、12)。経時的に、皮膚移植片拘縮が形成され得、一般に、拘縮解放及び新しいSTSGで対処され、これは、潜在的に、拘縮の悪循環を再開する。残念ながら、衰弱させる皮膚移植後の線維化瘢痕形成、拘縮、及び他の機能的合併症を予防するために、皮膚傷害を有する患者に可用なFDA(Food and Drug Administration)承認の薬理学的療法は現在ない(7、13、14)。
【0005】
いくつかの最近の研究は、機械的シグナル伝達の上方調節が、マウスにおける傷害後の線維増殖性瘢痕化及び線維化の発達をどのように駆動することができるかを明らかにした(15~21)。本発明者らのグループは、皮膚におけるメカノトランスダクション経路の重大な重要性を特定し、その阻害が、瘢痕形成を減弱し、開放創傷治癒を改善することに成功することができることを示した(22~27)。しかしながら、これらの研究のいずれも、皮膚移植又は皮膚移植術後の治癒を駆動する一次シグナル経路を詳細に調査していない。加えて、マウスは、弛緩した皮膚の動物であり、主に、拘縮を介して治癒し、ヒトにおいて発生する瘢痕化の10%未満を有する(28、29)。対照的に、ヒト及びブタは、数桁より大きく、緊張した皮膚の動物であり、肉芽組織の上の再上皮化を介して治癒し、はるかにより多くの瘢痕化をもたらす(27)。残念ながら、これらの差は、発見をマウスからヒトへ技術移転する能力に影響する。
【0006】
大型動物におけるSTSG後の真皮リモデリング及び線維化の基礎となる分子及び細胞機構は、依然として不完全に理解されている(30、31)。単一細胞RNA配列決定(scRNA-seq)技術は、最近、どのように細胞が転写的に分析されて、疾患の病態生理学が解明され得るかについて改革した(32~34)。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、対象の創傷を治療するための方法であって、方法が、皮膚移植片を、メカノトランスダクション遮断剤との組み合わせで、創傷に適用して、対象の創傷を治療することを含む、方法を提供する。
【0008】
いくつかの場合では、本開示は、皮膚移植片をヒト対象の治療部位に適用した後の瘢痕形成を低減する方法であって、方法が、皮膚移植片を治療部位に適用することと、接着斑キナーゼ阻害剤を皮膚移植片に送達することと、治療部位での瘢痕形成を低減することと、を含む、方法を提供する。
【0009】
また、主題の方法を実施するための薬学的組成物及びキットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1-1】臨床的に関連する方法を使用する技術移転ブタモデルの開発。(A)ブタ背側上の全層切除創傷、及びドナー部位からの採取された皮膚移植片の概略図。(B)電気bovieを使用して作られた全厚創傷の段階的な写真。(C)1:1.5の比での採取されたメッシュ皮膚移植片(0.01インチ)の写真。
図1-2】(D)本来の非創傷皮膚、全層創傷、ステープルで固定された皮膚移植片、並びに3つの層のワセリンガーゼ及びボルスタードレッシングでの被覆を示す段階的な画像。(E)手術後0、7、及び90日目での移植片の写真画像。
図2-1】STSGからもたらされた瘢痕における細胞亜集団は、メカノトランスダクション及び炎症性シグナル伝達の増加によって特徴付けられる。(A)左:非創傷皮膚(上)及び90日目でのSTSG(下)の肉眼写真。スケールバー=0.5cm。中央:トリクローム染色(スケールバー=0.5mm)及びaSMA+筋線維芽細胞染色(スケールバー=100μm)。右:コラーゲン線維のピクロシリウスレッド染色(スケールバー=5μm)。(B)CurveAlign(109)を使用する、真皮厚さ、aSMA+筋線維芽細胞、及びコラーゲン整列の定量化。独立両側t検定を使用して行われた統計的比較(*p<0.05)。全てのデータは、生物学的レプリケートの平均値±SEMを表す(1条件当たりn=6つのSTSG)
図2-2】(C)STSG及び非創傷皮膚組織から単離され、scRNA-seqのために処理されたブタ細胞を示す概略図。(D)細胞型によって着色された全ての細胞のUMAP埋め込み。(E)各細胞型についての差異的に発現された遺伝子の数(0.5超の平均対数倍数変化)。骨髄系細胞についての(F)遺伝子の特徴プロット及び(G)Genetrail3による過剰表現分析(ORA)エンリッチメント経路。(H)線維芽細胞のUMAP埋め込み。(I及びJ)線維芽細胞についての最上位の特徴及び経路プロット。
図3-1】大型動物におけるメカノトランスダクションの破壊は、STSG治癒を加速し、線維化瘢痕形成を減弱し、拘縮を低減し、生体力学的特性を改善する。(A及びB)赤Durocブタの外側背側(左及び右)上に作られた、STSGを有する大面積(25cm2)全層切除創傷を示す概略図。STSGは、標準包帯ドレッシング、ブランクヒドロゲル(STSG+ブランク;STSG+B)、又はFAKI放出ヒドロゲル(STSG+FAKI;STSG+F)のいずれかで処置された(1条件当たりn=6つのSTSG)。全ての創傷は、肉眼写真によって評価された。(C)経時的な間質性上皮化、瘢痕形成、及び拘縮を追跡する代表的な画像。スケールバー=2.5cm。
図3-2】(D)経時的な瘢痕拘縮は、測定及び定量化された。(E)非創傷皮膚と比較された、手術後7日目でのSTSGの再上皮化。(F)3人の盲検化された形成外科医によってデジタル写真から評価された視覚的アナログスケール(VAS)スコア化。(G)cutometerによって誘導された変形によって評価されたSTSG硬度(1条件当たりn=6つのSTSG)。一元配置分散分析(ANOVA)及びテューキーの多重比較検定を使用して行われた統計的比較(*P<0.05)。全てのデータは、生物学的レプリケートの平均値±SEMを表す。
図4-1】大型動物のSTSGにおけるメカノトランスダクションのFAKI媒介性阻害は、コラーゲンを低減し、コラーゲン線維ネットワークの組織化を回復させる。(A)トリクローム染色は、表在性及び深在性瘢痕の境界を示す。スケールバー:1mm。(B)手術後90日目での3つの瘢痕群(STSG、STSG+ブランク、STSG+FAKI)のピクロシリウスレッド染色は、定量化され、整列(CurveAlign)及び線維長さ/幅メトリック(CT-Fire)(98、109、110)について非創傷皮膚と比較された(1条件当たりn=6つのSTSG)。スケールバー:10μm。
図4-2】(C)手術後90日目での3つの瘢痕群(STSG、STSG+ブランク、STSG+FAKI)のピクロシリウスレッド染色は、定量化され、整列(CurveAlign)及び線維長さ/幅メトリック(CT-Fire)(98、109、110)について非創傷皮膚と比較された(1条件当たりn=6つのSTSG)。スケールバー:10μm。(D~F)深在性真皮における4つの群にわたる異なるコラーゲン線維ネットワーク特徴の定量化。一元配置分散分析(ANOVA)及びテューキーの多重比較検定を使用して行われた統計的比較(*P<0.05、*P<0.01、**P<0.001)。全てのデータは、生物学的レプリケートの平均値±SEMを表す。
図5-1】メカノトランスダクション遮断は、骨髄系細胞における抗炎症性経路の早期(手術後7日目)上方調節を引き起こす。(A)STSG及びSTSG+FAKIの概略図。(B)STSGにおける早期FAK阻害の代表的な写真。スケールバー=1cm。(C)STSG又はSTSG+FAKIによって着色された、UMAP埋め込みにおいて示されるブタ細胞。(D)細胞型によって着色された細胞のUMAP埋め込み。破線は、目的の骨髄系細胞を示す。(E)細胞型によるSTSGとSTSG+FAKIとの間の差次的に発現された遺伝子の数。(F)線維芽細胞によって発現される線維化遺伝子のバイオリンプロット。
図5-2】(G)STSG又はSTSG+FAKIによって着色された骨髄系細胞のUMAP埋め込み。(H)細胞型によって着色された骨髄系細胞のUMAP埋め込み、及びオーバーレイされたRNA速度ストリーム。(I)単球系譜細胞によって発現された線維化又は抗炎症性遺伝子のバイオリンプロット。(J)骨髄系細胞のGenetrail3によるORA経路プロット。
図5-3】(K)ブタ組織における経時的なCXCL10タンパク質の免疫蛍光染色の代表的な画像。スケールバー=200μm。HM(高倍率)スケールバー=50μm。(L)手術後7日目(1条件当たりn=3)、手術後14日目(1条件当たりn=3)、及び手術後90日目(1条件当たりn=6)での経時的なブタ組織におけるF4/80及びCXCL10タンパク質の定量化。二元配置分散分析(ANOVA)及びテューキーの多重比較検定を使用して行われた統計的比較(*P<0.05、***P<0.001)。全てのデータは、生物学的レプリケートの平均値±SEMを表す。
図6-1】メカノトランスダクションの破壊は、線維芽細胞転写運命を、後期(手術後90日目)時点で線維化促進から再生へ移行させる。(A)ブタ細胞は、FAKIヒドロゲルで処置されたSTSG(STSG+FAKI)、対照STSG、及び非創傷皮膚から単離された。処置群によって着色された線維芽細胞のUMAP埋め込み。UMAP埋め込みに射影された速度流線によって可視化された、主遺伝子平均流動として示されるRNA速度。(B)CellRank(81)によって決定された6つの線維芽細胞系譜及び終末状態。(C)細胞間の転写ダイナミクスにおける全体的な差を定量化するscVeloによって全ての遺伝子にわたって計算された潜伏時間によって着色された細胞。(D)潜伏時間ピークに従って選別された、再生(左、系譜1、2)及び線維化(右、系譜3、4)運命確率と最も高い相関を有する最上位の遺伝子の平滑化された遺伝子発現を示すヒートマップ。中央:6つの系譜にわたるAPOE及びACAN遺伝子の発現。
図6-2】(E及びF)更なる深さで分析された再生(左)対線維化(右)系譜。上:UMAP埋め込みに射影された群定義遺伝子及び主要な経路の発現。下:遺伝子特異的RNA速度。紫色の点線は、スプライシングされていない:スプライシングされたmRNAの推定「定常状態」比を表す。正速度(スプライシングされていないmRNAの予想よりも高い存在量)は、遺伝子上方調節を示す。
図7-1】再生及び線維化系譜にわたるSTSG治癒の時間経過。手術後7日目(1群当たりn=3)、手術後14日目(1群当たりn=3)、及び手術後90日目(1群当たりn=6)での、STSG及びFAK阻害STSGブタ真皮組織切片の免疫蛍光染色を使用して実行されたタンパク質確認。(A)CXCL14、(B)THBS4、
図7-2】(C)APOE、及び(D)CD34についての代表的な画像。スケールバー=200μm。HM(高倍率)スケールバー=50μm。二元配置分散分析(ANOVA)及びテューキーの多重比較検定を使用して行われた統計的比較(*P<0.05、***P<0.001)。全てのデータは、生物学的レプリケートの平均値±SEMを表す。
図8-1】3D器官型瘢痕システムは、ヒト及びブタ細胞の両方における再生対線維化の2つの反対のトラジェクトリを再現する。(A)概略図:線維芽細胞は、ヒト患者試料から単離され、培養され、3Dコラーゲン足場内に播種された。コラーゲン足場は、歪みなし(NS、黒色)、歪み(青色)、又は歪み及びFAKI(歪み+FAKI、赤色)のいずれかに供された。(1条件当たりn=3)。スケールバー:1cm。(B及びC)最上位の(B)線維化及び(C)再生マーカーの免疫蛍光染色。スケールバー:100μm。一元配置分散分析(ANOVA)及びテューキーの多重比較検定を使用して行われた統計的比較(*p<0.05、**p<0.01、****p<0.0001)。全てのデータは、生物学的レプリケートの平均値±SEMを表す。
図8-2】(D)概略図:ブタ線維芽細胞が試験された。(E)速度埋め込みストリームを有し、群によって着色された線維芽細胞のUMAP埋め込み。(*)は、分化の基礎起源を示す。(F)潜伏時間によって着色されたUMAP埋め込み。(G)群による最上位の差異的に発現された遺伝子のヒートマップ。(H及びI)本発明者らの3Dシステムにおいて観察された再生(H)対線維化(I)系譜。UMAP埋め込み(上)又はバイオリンプロット(下)に射影された群定義遺伝子の発現。
図9-1】慢性ブタSTSG及び非創傷皮膚において観察された多様な細胞生態。(A)本発明者らの自動化細胞型アノテーションを確認するための細胞型定義遺伝子。(B)STSGと非創傷皮膚との間の各細胞型の代表的な割合。(C)細胞型による差次的に発現された遺伝子のヒートマップ。
図9-2】(D)細胞型による差次的に発現された遺伝子のヒートマップ。(E)線維芽細胞における遺伝子及びエンリッチメント経路の追加の特徴プロット。
図10】ヒドロゲルは、FAKIを真皮内に経時的に放出する。(A)STSGへのFAKIのヒドロゲル送達の概略図。(B)透析膜内のFAKIヒドロゲルは、経時的なFAKIの定常の放出を示す。(ブランクについてn=2;FAKIについてn=3)。二元配置分散分析(ANOVA)及びテューキーの多重比較検定を使用して行われた統計的比較(*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001)。全てのデータは、生物学的レプリケートの平均値±SEMを表す。(C)経時的な真皮内へのFAKIの浸透。
図11-1】線維分析は、深在性及び表在性真皮の両方において実行された。追加の画像、及びピクロシリウスレッド染色画像の定量化が実行された(1条件当たりn=6)。統計的比較は、分散分析(ANOVA)及びテューキーの多重比較検定を使用して行われた(*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001、****P<0.0001)。データは、生物学的レプリケートの平均値±SEMを表す。
図11-2】線維分析は、深在性及び表在性真皮の両方において実行された。追加の画像、及びピクロシリウスレッド染色画像の定量化が実行された(1条件当たりn=6)。統計的比較は、分散分析(ANOVA)及びテューキーの多重比較検定を使用して行われた(*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001、****P<0.0001)。データは、生物学的レプリケートの平均値±SEMを表す。
図11-3】線維分析は、深在性及び表在性真皮の両方において実行された。追加の画像、及びピクロシリウスレッド染色画像の定量化が実行された(1条件当たりn=6)。統計的比較は、分散分析(ANOVA)及びテューキーの多重比較検定を使用して行われた(*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001、****P<0.0001)。データは、生物学的レプリケートの平均値±SEMを表す。
図12-1】多様な細胞生態が、早期(手術後7日目)STSG及びSTSG+FAKIにおいて観察された。(A)細胞型定義遺伝子は、本発明者らの自動化細胞型アノテーションを確認する。(B)(B)線維芽細胞、並びに(C)単球及びマクロファージにおける差異的に発現されたクラスター定義遺伝子のバイオリンプロット。ボックスプロットが、中央値及び四分位範囲を示すようにオーバーレイされている。
図12-2】(C)(B)線維芽細胞、並びに(C)単球及びマクロファージにおける差異的に発現されたクラスター定義遺伝子のバイオリンプロット。ボックスプロットが、中央値及び四分位範囲を示すようにオーバーレイされている。
図13】後期(手術後90日目)線維芽細胞のCellRank及びscVelo分析。CellRankによって特定された(A)初期及び(B)終末状態。(C)各個々のセルについて示される速度ベクトル。(D)速度長さは、全ての遺伝子にわたる転写規模の増加を示す。(E、F)(E)ENPP1及び(F)ACTA2についての遺伝子分解速度。点線は、スプライシングされていないmRNA存在量対スプライシングされたmRNA存在量の推定「定常状態」比を表す。
図14-1】後期(手術後90日目)STSG、STSG+FAKI、及び非創傷皮膚からの線維芽細胞の追加の分析。(A)差異的に発現されたクラスター定義遺伝子のバイオリンプロット。ボックスプロットが、中央値及び四分位範囲を示すようにオーバーレイされている。
図14-2】(B)処置群による最上位の差異的に発現された遺伝子のヒートマップ。
図14-3】(C)遺伝子発現を示す選択特徴プロット。(D)群間を区別する主要な経路のGeneTrailを備えるUMAPプロット。
図15】ヒト患者試料におけるscRNA-seq観察のタンパク質確認。患者試料から収集されたヒト肥厚性瘢痕(HTS)(n=6つの試料)及び非創傷皮膚(n=3つの試料)の免疫蛍光染色を使用して実行されたタンパク質確認。過剰な瘢痕形成に寄与するTHBS4、又は再生脂肪生成真皮治癒に寄与するAPOEについての染色。スケールバー:50μm。統計的比較は、独立両側t検定を使用して行われた(*P<0.05、****P<0.0001)。全てのデータは、生物学的レプリケートの平均値±SEMを表す。
図16】ヒトコラーゲン足場におけるαSMAの免疫蛍光染色。スケールバー:100μm。一元配置分散分析(ANOVA)及びテューキーの多重比較検定を使用して行われた統計的比較(**P<0.01)。全てのデータは、生物学的レプリケートの平均値±SEMを表す。
図17】インビトロブタscRNA-seqデータのバイオリンプロット、並びに中央値及び四分位範囲を示すようにオーバーレイされたボックスプロット。
【0011】
定義
従来の意味で本明細書で使用される場合、「線維芽細胞」という用語は、細胞外マトリックスの合成及び組織化に関与する細胞を指す。2つの線維芽細胞系譜は、Engrailed-1系譜陰性線維芽細胞(ENF)及びEngrailed-1系譜陽性線維芽細胞(EPF)を含む。EPF系譜は、Engrailed-1を発達中のいずれかの時点で発現する全ての細胞、及びこれらの細胞の全ての子孫を含む。
【0012】
従来の意味で本明細書で使用される場合、「線維化」という用語は、器官又は組織における過剰な線維性結合組織が、部位の傷害若しくは炎症、又はその血液供給との干渉の結果として形成される又は発達することを指す。線維化は、瘢痕、異常な反応性プロセス、又は未知の若しくは理解されていない原因をもたらす正常な治癒応答の結果であり得る。
【0013】
従来の意味で本明細書で使用される場合、「瘢痕」という用語は、傷害又は疾患によって破壊された正常な組織を置換する線維性組織を指す。皮膚の外層(表皮)への損傷は、組織を再構築することによって治癒し、これらの事例では、瘢痕化は、わずかであるか、又は存在しない。しかしながら、皮膚の外表面(すなわち、真皮)の下の厚い組織層が損傷されたときに、再構築はより複雑である。体は、コラーゲン線維(体によって自然に産生されるタンパク質)を、非傷害皮膚において見出されるものとは異なる組成で設け、これは、通常、顕著な瘢痕をもたらす。創傷が治癒した後に、新しいコラーゲンが形成されるにつれて、瘢痕は改変し続け、存在するコラーゲンは、酵素的にリモデリングされ、血管が正常に戻り、これは、ほとんどの瘢痕が、傷害後2年間にわたって消え外観が改善されることを可能にする。しかしながら、ある程度の可視の傷害痕跡が永久的に残り、毛包、並びに汗及び脂腺は、再び成長しない。本明細書で使用される場合、「瘢痕面積」という用語は、傷害又は疾患によって破壊され、線維性組織によって置換された正常な組織の面積を指す。
【0014】
瘢痕は、(1)それらが、いずれもの真皮付属器(毛包、汗腺など)を欠くこと;(2)それらのコラーゲン構造が、基本的に異なり、正常な皮膚にその柔軟性及び強度を与える「バスケット織り」パターンではなく、高密度の平行線維を有すること;並びに3)それらの劣性のマトリックス構造の結果として、それらが、皮膚よりも弱いことの3つの主要な様式で、正常な皮膚とは異なる。
【0015】
本明細書で使用される場合、「瘢痕関連遺伝子」という用語は、正常な創傷治癒プロセスの一部として瘢痕化に応答して活性化されるタンパク質をコードする核酸を指す。本明細書で使用される場合、「瘢痕関連遺伝子産物」という用語は、正常な創傷治癒プロセスの一部として瘢痕化に応答して発現されるタンパク質を指す。
【0016】
瘢痕組織は、主に、組織化されていないコラーゲン細胞外マトリックスからなる。これは、筋線維芽細胞によって産生され、筋線維芽細胞は、創傷に応答して真皮線維芽細胞から分化し、これは、形質転換成長因子βの局所濃度における上昇を引き起こし、形質転換成長因子βは、(TGF-βと総称される)TGF-βΙ、TGF-β2、及びTGF-β3と称される少なくとも3つのアイソフォームにおいて存在する分泌型タンパク質である。TGF-βは、多くの組織型における線維化に関連する重要なサイトカインである(Beanes,S.et al,Expert Reviews in Molecular Medicine,vol.5,no.8,pp.1-22(2003))。瘢痕のタイプは、例えば、国際特許出願第2014/040074号に更に記載されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0017】
従来の意味で本明細書で使用される「皮膚」という用語は、体の全ての表面組織及びそこでの表面下構造を含み、これらは、例えば、粘膜及び眼組織、並びに通常の皮膚を含む。「皮膚」という表現は、創傷ゾーン自体を含み得る。創傷の表面の上の皮膚の再近似は、長い間、創傷治癒のかなりの部分の完了の一次徴候であった。欠陥のこの再閉鎖は、皮膚の保護機能を回復させ、その保護機能は、細菌、毒素、及び機械的力からの保護、並びに必須の体液を保持するためのバリアの提供を含む。角質層から始まるいくつかの層から構成された表皮は、皮膚の最外層である。最内皮膚層は、深在性真皮である。
【0018】
従来の意味で本明細書で使用される場合、「真皮付属器」という用語は、毛包、皮脂及び汗腺、指の爪、及び足指爪を含む。
【0019】
本明細書で使用される場合、「真皮位置」という用語は、いずれかのサイズ及び面積を有する、対象の皮膚の領域を指す。真皮位置は、対象の皮膚の一部分、例えば、頭皮を包含し得る。真皮位置は、1つ以上の皮膚層を含み得、1つ以上の皮膚層は、例えば、表皮及び真皮を含む。いくつかの場合では、真皮位置は、創傷を含む。
【0020】
従来の意味で本明細書で使用される場合、「創傷」という用語は、例えば、外科手術又は身体的傷害などの非生理学的プロセスからもたらされる、ヒト又は非ヒト動物の体の内部又は外部体表面における正常な組織連続性のいずれもの破壊及び/又は損失を含む。本明細書で使用される「創傷」又は「創傷環境」という表現は、瘢痕化を潜在的にもたらし得る治癒プロセスを誘発することが可能ないずれもの皮膚病変を指し、傷害によって作られる創傷、熱傷によって作られる創傷、疾患によって作られる創傷、及び外科的手順によって作られる創傷を含む。創傷は、いずれかの外部又は内部体表面上に存在し得、穿通又は非穿通であり得る。本明細書に記載される方法は、皮膚表面上の問題な創傷の治療において有益であり得る。本発明の方法により治療され得る創傷の例としては、表在性及び非表在性創傷の両方、例えば、擦過傷、裂創、温度傷害から生じる創傷(例えば、熱傷、及びいずれかのクライオベースの治療から生じるもの)、並びに外科手術からもたらされるいずれかの創傷が挙げられる。
【0021】
従来の意味で本明細書で使用される場合、「創傷治癒」という用語は、時間的及び空間的治癒プログラムの誘導を有する再生プロセスを指し、再生プロセスは、炎症、肉芽形成、新血管新生、線維芽細胞、内皮細胞、及び上皮細胞の移動、細胞外マトリックス沈着、再上皮化、並びにリモデリングのプロセスを含むが、これらに限定されない。
【0022】
ヒドロゲル。本発明の方法において有用なヒドロゲルは、捕捉された細胞の生存率を、創傷治癒を増強するのに十分な期間維持する。ヒドロゲルは既知であり、当該技術分野で創傷治癒のために使用されている。典型的には、ヒドロゲルは、重量で、最大約50%、最大約55%、最大約60%、最大約65%、最大約70%、最大約75%、最大約80%、最大約85%、最大約90%が水であり、残りの重量は、好適なポリマー、例えば、プルラン及びコラーゲン、グリコサミノグリカン、アクリレート、2-ヒドロキシメチルメタクリレート及びエチレンジメタクリレートコポリマー、カルボキシメチルセルロース、キトサン、ゼラチンなど、又は当該技術分野で既知の他の好適な親水性ポリマーを含む。ヒドロゲルは、それらのゼラチン構造を変化させることなく広範囲に膨張することができ、無定形(形状を有さない)ゲルとしての使用、並びに様々なタイプの適用システム、例えば、無定形ヒドロゲル溶液を含浸させたフラットシートヒドロゲル及び不織布ドレッシングにおける使用のために入手可能である。フラットシート(フィルム)ヒドロゲルドレッシングは、安定した架橋マクロ構造を有し、したがって、流体を吸収したときにそれらの物理的形態を保持する。
【0023】
いくつかの実施形態では、架橋ヒドロゲルフィルムは、架橋及び細孔形成を提供した条件下で、プルラン及びコラーゲンを使用して製造される。コラーゲンは、プルラン、架橋剤、及び細孔形成剤(ポロゲン)の混合物に添加され、コラーゲンは、プルランの乾燥重量に対して、少なくとも約1%及び約12.5%以下の濃度で提供される。コラーゲンは、プルランの乾燥重量に対して、約1%、約2.5%、約5%、約7.5%、約10%の濃度、通常、約2.5%~約10%の濃度で提供され得、約4%~約6%であり得る。コラーゲンは、典型的には、線維性コラーゲン、例えば、I型、II型、III型などである。目的の架橋剤は、トリメタリン酸ナトリウム(STMP)、又はトリメタリン酸ナトリウム及びトリポリリン酸ナトリウム(STMP/STPP)の組み合わせ又はの組み合わせを含む。架橋剤は、プルランに対して約5:1~約1:5の重量/重量比で含められ得、約4:1、3:1、2:1、1.75:1、1.5:1、1.25:1、1:1、1:1.25、1:1.5、1:1.75、2:1、3:1、4:1などであり得る。ゲル内結晶化のための目的のポロゲンは、いずれかの好適な塩、例えば、KClを含む。ポロゲンは、プルランに対して約5:1~約1:5の重量/重量比で含められ得、約4:1、3:1、2:1、1.75:1、1.5:1、1.25:1、1:1、1:1.25、1:1.5、1:1.75、2:1、3:1、4:1などであり得る。細胞の非存在下でのコラーゲン、プルラン、架橋剤、及びポロゲンの懸濁液が、注がれ、圧縮されてシートを形成する。好ましい厚さは、少なくとも約1mm及び約5mm以下であり、通常、約3mm以下であり、約1~2.5mm、例えば、約1.25、1.5、1.75、2mmの厚さであり得る。細孔は、相転換による膨張したヒドロゲルの迅速な乾燥を介して、ヒドロゲル内に形成される。脱水は、ポロゲンの局所的な過飽和及び結晶化をもたらす。プルラン及びコラーゲンは、相互接続されたネットワーク内の結晶の周りで強制的に組織化され、これは、KCl溶解後に網状足場形成をもたらす。
【0024】
フィルムは、乾燥状態で貯蔵され得、いずれかの好適な水性媒体中で容易に再水和する。ヒドロゲル基質の水性は、細胞成長及び持続可能性に理想的な環境を提供する。
【0025】
ヒドロゲルの機械的特徴は、平均細孔サイズ及び足場多孔度を含む。両方の変数は、ヒドロゲル内に存在するコラーゲンの濃度とともに変動する。5%のコラーゲンを含むヒドロゲルについては、平均細孔サイズは、通常、約25μm~約50μm、約30μm~約40μmの範囲であり、約35μmであり得る。10%のコラーゲンを含むヒドロゲルについては、平均細孔サイズは、通常、約10μm~約25μm、約12μm~約18μmの範囲であり、約15□mであり得る。他のコラーゲン濃度での好適なヒドロゲルは、当業者には容易に決定される。足場多孔度は、通常、約50%~約85%の範囲であり、約70%~約75%の範囲であり得、コラーゲンの濃度の増加とともに減少する。コラーゲンを欠くヒドロゲルは、偏光光学顕微鏡法でいずれもの複屈折を示さないが、コラーゲンを含むヒドロゲルは、拡散複屈折を有する。
【0026】
プルラン。真菌Aureobasidium pullulansによって産生される多糖。プルランは、アルファ-(1-6)結合マルトトリオース単位からなる直鎖ホモ多糖であり、ヒドロゲル状態で水保持能力を示し、これにより、プルランは、細胞及び生体分子の両方に理想的な治療ビヒクルとなる。加えて、プルランは、複数の官能基を含有し、これらの官能基は、架橋、並びに遺伝子材料及び治療サイトカインの送達を可能にする。更に、プルランベースの足場は、インビトロでの内皮細胞及び平滑筋細胞挙動の両方を増強することが示されている。
【0027】
コラーゲン。本明細書で使用される場合、「コラーゲン」という用語は、存在するタンパク質の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%以上が、三重らせん構成におけるコラーゲンである、組成物を指す。コラーゲンは、脊椎動物種において広く見出され、多くの異なる種について配列決定されている。種間の高度な配列類似性に起因して、異なる種からのコラーゲンは、生物医学的目的で、例えば、哺乳類種間で使用され得る。典型的な商業的動物供給源は、ウシアキレス腱、カーフスキン、及びウシの骨を含む。いくつかの実施形態では、配向性薄フィルムの調製において使用されるコラーゲンは、I型、II型、又はIII型コラーゲンであり、いずれかの好都合な供給源、例えば、ウシ、ブタなど、通常、哺乳類供給源に由来する。
【0028】
コラーゲンは、三本鎖のロープ様コイル構造を有する。皮膚、腱、及び骨の主なコラーゲンは、コラーゲンIであり、コラーゲンIは、2つのアルファ1ポリペプチド鎖と、1つのアルファ2鎖と、を含有する。軟骨のコラーゲンは、1つのタイプのポリペプチド鎖であるアルファ1のみを含有する。また、胎仔は、異なる構造のコラーゲンを含有する。間質性コラーゲンであるI型、II型、及びIII型コラーゲンについての遺伝子は、普通でない特徴的な構造を示し、この構造は、多数の比較的小さいエクソン(54及び108bp)を、進化的に保存された位置で、三重らせんgly-X-Y部分の長さに沿って有する。
【0029】
コラーゲンのタイプは、I(COL1A1、COL1A2);II(COL2A1);III(COL3A1);IV(COL4A1、COL4A2、COL4A3、COL4A4、COL4A5、COL4A6);V(COL5A1、COL5A2、COL5A3);VI(COL6A1、COL6A2、COL6A3);VII(COL7A1);VIII(COL8A1、COL8A2);IX(COL9A1、COL9A2、COL9A3);X(COL10A1);XI(COL11A1、COL11A2);XII(COL12A1);XIII(COL13A1);XIV(COL14A1);XV(COL15A1);XVI(COL16A1);XVII(COL17A1);XVIII(COL18A1);XIX(COL19A1);XX(COL20A1);XXI(COL21A1);XXII(COL22A1);XXIII(COL23A1);XXIV(COL24A1);XXV(COL25A1);XXVII(COL27A1);XXVIII(COL28A1)を含む。哺乳類コラーゲン、例えば、ウシ、ブタ、ウマなどのコラーゲンを含む他のコラーゲンが、本発明の方法に等しく好適であることが、当業者には理解されよう。
【0030】
接着斑キナーゼ(FAK)。FAKは、非受容体細胞質チロシンキナーゼである。FAKは、皮膚メカノバイオロジーの主要なメディエーターのうちの1つであり、皮膚傷害後に活性化される。機械的力は、皮膚の傷害後のリン酸化を介するFAKの活性化を増強する。FAKは、機械的ストレスのその連結を介するECMから細胞質細胞骨格への細胞シグナル伝達に寄与し、これは、炎症性経路を活性化する。線維芽細胞は、炎症性シグナル伝達によって創傷に動員され、それらによる線維化促進サイトカインの分泌は、コラーゲン合成の増加をもたらす。不良な創傷治癒に関連する様々な病態は、非定型レベルのFAKを有することが示されている。機械的力は、炎症性FAK-ERK-MCP1経路を介する病態的瘢痕化を調節し、接着斑キナーゼ(FAK)を標的とする分子戦略は、機械的力を線維化から有効に結合解除することができる。
【0031】
創傷ドレッシング。本発明のフィルムは、瘢痕を最小にする基質の改善を提供することによって、創傷ドレッシング又は人工皮膚としての使用が見出される。有効な生体活性創傷ドレッシングは、表皮及び真皮の両方の回復を必要とし得る創傷の修復を容易にすることができる。例えば、ヒドロゲル薄フィルムは、レシピエントの清拭された創傷上に配置され、それによって許容され、皮膚の真皮及び表皮構成要素の永久的な再確立のための手段を提供する。移植片は、瘢痕化を引き起こす肉芽組織の形成を抑制する。
【0032】
生物学的に活性な創傷ドレッシングについての追加の基準は、配置直後の創傷への迅速な接着;創傷からの蒸発性流体損失を制御するための、かつ創傷とドレッシング材料との間の滲出物の収集を回避するための適切な透湿性を含む。皮膚置換物は、微生物に対するバリアとして作用し、創傷において既に存在する微生物の成長を制限し、柔軟性があり、耐久性があり、破断に対する耐性があるべきである。置換物は、組織適合性を示すべきであり、すなわち、肉芽組織の形成をもたらし得る、創傷における炎症又は異物反応を誘発すべきでない。線維血管組織の内殖を可能にするヒドロゲル薄フィルムの内表面構造が提供される。外表面構造は、流体伝達を最小にし上皮化を促進するために提供され得る。
【0033】
多孔性創傷ドレッシング及び皮膚置換物などの製造における使用のための典型的な生体吸収性材料は、ポリ乳酸又はポリグリコール酸などの合成生体吸収性ポリマーを含み、また、構造タンパク質及び多糖などのバイオポリマーを含む。細胞播種前の完成したドレッシングは、包装され、好ましくは放射線滅菌される。そのような生物学的に活性な製品は、真皮組織の再生を必要とする多くの異なる用途において使用され得、これらの用途は、傷害皮膚及び難治性創傷、例えば、熱傷創傷、静脈うっ血潰瘍、糖尿病性潰瘍などの修復を含む。
【0034】
分層移植片。分層又は部分層皮膚移植片が、通常、使用され、これらの移植片については、表皮の薄層及びいくつかの真皮が、切除され、レシピエント部位上に配置される。そのような移植片は、典型的には、熱傷のために使用されるが、小さい創傷の治癒を加速するためにも使用され得る。かなりの量の真皮要素が、ドナー部位で残るため、この部位は、最終的に治癒し、再び採取され得る。
【0035】
全層移植片。全層皮膚移植片は、表皮及び真皮から構成されており、分層移植片よりも良好な外観及び機能を提供する。しかしながら、ドナー部位は、主に治癒しないため、ドナー部位が縫合閉鎖され得るような重複性皮膚の弛緩性領域(例えば、腹又は胸壁、しばしば、頭皮)でなければならない。したがって、全層移植片は、通常、美容的に感受性がある領域(例えば、顔)、又はより厚くより保護的な皮膚層(例えば、手)を必要とする領域のために確保される。全層移植片は、より厚く、より血管性であるため、分層移植片と同程度のかなり高い生存率を有さない。分層皮膚移植片は、薄(0.15~0.25mm)、中(0.3~0.4mm)又は厚(0.5~0.6mm)として分類され得る。
【0036】
複合移植片。複合皮膚移植片は、2つ以上の異なるタイプの組織を含む。最も一般に、複合皮膚移植片は、皮下組織及び表面を覆う皮膚を有する又は有さない軟骨を有する。複合移植片は、支持及び構造を提供するため、しばしば、鼻翼及びヘリカルリムの全層欠陥を修復するために使用される。
【0037】
本明細書で使用される場合、「自家移植片」という用語は、移植片組織が、個体又は対象自体の体からのものである、皮膚移植片を指す。
【0038】
本明細書で使用される場合、「同種移植片」という用語は、移植片組織が、創傷の治療を受容している対象以外の異なる個体又は対象からのものである、皮膚移植片を指す。
【0039】
本明細書で使用される場合、「異種移植片」という用語は、移植片組織が、移植片組織を受容している対象に対して、異なる種である個体からのもの又は合成移植片組織である、皮膚移植片を指す。例えば、異種移植片は、ヒトが創傷をブタ皮膚移植片で治療される場合であり得る。
【発明を実施するための形態】
【0040】
皮膚移植方法が提供される。方法の態様は、皮膚移植片を、メカノトランスダクション遮断剤、例えば、薬理学的メカノトランスダクション遮断剤、例えば、接着斑キナーゼ阻害剤との組み合わせで、創傷に適用することを含む。また、本発明の方法を実施する使用のための薬学的組成物及びキットが提供される。
【0041】
本発明がより詳細に記載される前に、本発明は、記載される特定の実施形態に限定されず、したがって、もちろん、変動し得ることを理解されたい。また、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることになるため、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明する対象となるためのものであり、限定することが意図されるものではないことも理解されるべきである。
【0042】
値の範囲が提供される場合、別途文脈が明確に指示されない限り、この範囲の上限と下限との間の、下限の単位の10分の1までの各介在値、及びこの記載される範囲内のいずれもの他の記載される値又は介在値が、本発明内に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、独立して、より小さい範囲内に含まれ得、また、記載される範囲内の具体的に除外されるいずれもの限度を条件として、本発明内に包含される。記述の範囲が、制限の一方又は両方を含む場合、それらの含まれる制限の一方又は両方を除外する範囲もまた、本発明に含まれる。
【0043】
ある範囲は、「約」という用語が数値に先行して本明細書で提示される。「約」という用語は、この用語が先行する正確な数、及びこの用語が先行する数に近い数又はほぼその数である数についての逐語的支持を提供するために本明細書で使用される。ある数が、具体的に列挙された数に近いか又はほぼその数であるかを決定する際に、列挙されていない数に近いか又はほぼその数は、提示される文脈において、具体的に列挙された数の実質的な同等性を提供する数であり得る。
【0044】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。また、本明細書に記載されるものと類似の又は均等ないずれもの方法及び材料が、本発明の実施又は試験において使用され得るが、代表的な例示的な方法及び材料が以下に記載される。
【0045】
本明細書で引用される全ての刊行物及び特許は、各個々の刊行物又は特許が、参照により組み込まれると具体的かつ個々に示されるかのように参照により本明細書に組み込まれ、方法及び/又は材料を刊行物が引用されるものに関して開示及び記載するために参照により本明細書に組み込まれる。いずれもの刊行物の引用は、出願日前のその開示についてのものであり、本発明が、従来発明のためそのような刊行物に先行する権利がないことを認めるものとして解釈されるべきでない。更に、提供される刊行物の日付は、実際の公開日とは異なり得、これらは独立して確認する必要があり得る。
【0046】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、別途文脈が明確に指示されない限り、複数の言及を含むことに留意されたい。特許請求の範囲は、いずれもの任意選択の要素を除外するように企図され得ることに更に留意されたい。したがって、この記述は、特許請求の範囲の要素の列挙に関連する「単独で」、「のみ」などのそのような排他的な用語の使用、又は「否定的」限定の使用の先行詞として機能することが意図される。
【0047】
本開示を読むことで当業者には明らかであるように、本明細書に記載及び例示される個々の実施形態のそれぞれは、異なる構成要素及び特徴を有し、これらの構成要素及び特徴は、本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のうちのいずれかの特徴から容易に分離されてもよく、又はそれらと組み合わされてもよい。記載されるいずれもの方法は、記載される事象の順序で実施されてもよく、又は論理的に可能であるいずれかの他の順序で実施されてもよい。
【0048】
装置及び方法は、文法的流動性のために、機能的な説明で記載されているか又は記載されるが、特許請求の範囲は、米国特許法第112条下で明確に記載されない限り、「手段」又は「ステップ」限定の構文によって必然的に限定されるとなんら解釈されるべきでなく、司法均等論下で特許請求の範囲によって提供される定義の意味及び均等物の完全な範囲を付与されるべきであり、特許請求の範囲は、米国特許法第112条下で明確に記載される場合、米国特許法第112条下で完全な法定による均等物が付与されるべきであることを明確に理解されたい。
【0049】
対象の創傷を治療するための方法
上記で要約されるように、対象の創傷を治療するための方法であって、方法が、皮膚移植片を、メカノトランスダクション遮断剤との組み合わせで、創傷に適用して、対象の創傷を治療することを含む、方法が提供される。創傷は、治療を必要としている対象のいずれかの創傷であり得る。本明細書に記載される方法からの利益を受容する創傷は、部分及び全層創傷;圧迫潰瘍、糖尿病性潰瘍(例えば、糖尿病性足部潰瘍)、静脈性潰瘍、下腿潰瘍などを含む潰瘍;やけど、化学的熱傷、炎熱傷及び閃光熱傷などの温度熱傷、紫外線熱傷、接触熱傷、放射線熱傷、電気熱傷などを含む熱傷(第二及び第三度熱傷);壊疽;皮膚裂傷若しくは裂創、例えば、ナイフなどによって作られるもの;切開、例えば、ナイフ、爪、鋭いガラス、剃刀などによって作られるもの;裂離;切断;外科的創傷;失敗した若しくは損なわれた皮膚/筋肉移植片若しくはフラップ;咬傷;切創、すなわち、すなわち、長さが深さよりも大きい創傷;並びに挫傷など、又は上記のうちの1つ以上の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0050】
本開示の対象は、創傷の治療を必要としているいずれかの対象であり得る。いくつかの実施形態では、対象は、哺乳動物である。本明細書に開示される方法からの利益を得る哺乳動物の非限定的な例としては、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、マウス又はラットなどのげっ歯類、及び霊長類、例えば非ヒト霊長類、ヒトなどが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、哺乳動物は、ヒトである。
【0051】
本開示の方法は、皮膚移植片を創傷に適用することを含む。皮膚移植片は、対象の創傷の治療において有用であると考えられるいずれかの皮膚移植片であり得る。本開示における使用が見出される皮膚移植片は、全層移植片、部分層移植片、複合移植片などを含むが、これらに限定されない。皮膚移植片は、自家移植片、同種移植片、又は異種移植片であり得る。いくつかの実施形態では、皮膚移植片は、メカノトランスダクション遮断剤の適用前に適用される。
【0052】
皮膚移植片を適用することに加えて、方法はまた、メカノトランサクション遮断剤を適用することを含む。本開示における使用が見出されるメカノトランスダクション遮断剤は、メカノトランスダクションシグナル伝達経路を損なういずれかの阻害剤である。メカノトランダクション遮断剤の非限定的な例としては、インテグリン阻害剤、接着斑キナーゼ(FAK)阻害剤、タリン阻害剤、ビンキュリン阻害剤、パキシリン阻害剤、ザイキシン阻害剤、VASP阻害剤、p130cas阻害剤などが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、メカノトランスダクション阻害剤は、接着斑キナーゼ(FAK)阻害剤である。FAK阻害剤の非限定的な例としては、PF-56227、PF-573228、TAE226(NVP-TAE226)、BI-4464、GSK2256098、PF-431396、PND-1186(VS-4718)、Y15、デファクチニブ(VS-6063)、ソラネソール(ノナイソプレノール)などが挙げられるが、これらに限定されない。上記に開示されるFAK阻害剤に加えて、他のタイプの阻害剤が使用され得る。例えば、他のタイプのFAK阻害剤は、siRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を含むが、これらに限定されない。FAKのCRISPR媒介性ノックアウト又はノックダウンなど。いくつかの実施形態では、メカノトランスダクション遮断剤は、薬理学的メカノトランスダクション遮断剤である。
【0053】
本開示のメカノトランスダクション遮断剤は、有用と考えられるいずれかの様式で適用され得る。いくつかの実施形態では、メカノトランスダクション遮断剤は、全身的に適用される。いくつかの実施形態では、メカノトランスダクション遮断剤は、皮膚移植片の部位で局所的に適用される。メカノトランスダクション遮断剤が局所的に適用されるときに、メカノトランスダクション遮断剤は、持続放出製剤で適用され得る。いくつかの実施形態では、持続放出製剤は、ゲル製剤を含む。いくつかの実施形態では、ゲル製剤は、ヒドロゲルを含む。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、炭水化物ベースのヒドロゲル、例えば、生分解性プルランベースのヒドロゲルを含む。プルランベースのヒドロゲルは、当該技術分野で既知であり、Wong et al.(Tissue Eng Part A.2011 Mar;17(5-6):631-44)及びWong et al.(Macromol Biosci.2011 Nov 10;11(11):1458-66)に記載されており、それぞれは、参照により本明細書に具体的に組み込まれる。
【0054】
本明細書に開示される方法は、他の方法、すなわち、メカノトランスダクション遮断剤の非存在下での皮膚移植片に対して、いくつかの利点を創傷治癒に提供する。例えば、方法は、創傷の治癒を促進してもよく、線維化を低減してもよく、拘縮を低減してもよく、瘢痕形成を軽減してもよく、コラーゲンアーキテクチャを回復させてもよく、又は移植片生体力学的特性を改善してもよい。
【0055】
本明細書に開示される方法の実施形態は、皮膚移植後に発生する拘縮の量を低減する。拘縮は、皮膚移植片の面積に対する瘢痕面積における変化の尺度である。拘縮は、瘢痕の周囲の皮膚の縁を引っ張る瘢痕形成の結果である歪みを引き起こす。本明細書に開示される方法は、拘縮における一連の低減をもたらす。例えば、拘縮は、メカノトランスダクション遮断剤の非存在下での皮膚移植片に対して、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、又は50%超の、拘縮における低減によって低減され得る。
【0056】
本明細書に開示される方法の実施形態は、皮膚移植後の創傷治癒を促進する。いくつかの実施形態では、創傷治癒の促進は、再上皮化における増加である。創傷治癒の促進が再上皮化における増加をもたらす実施形態では、再上皮化における一連の増加が発生し得る。例えば、再上皮化は、メカノトランスダクション遮断剤の非存在下での皮膚移植片に対して、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、又は50%超の、再上皮化における増加による増加であり得る。
【0057】
本明細書に開示される方法の実施形態は、皮膚移植片生体力学的特性を改善する。いくつかの実施形態では、皮膚移植片生体力学的特性の改善は、移植片の垂直変形によって測定される場合、皮膚移植片の硬度における減少及び弾性における増加である。皮膚移植片生体力学的特性の改善が、移植片の垂直変形によって測定される場合、皮膚移植片の硬度における減少及び弾性における増加である実施形態では、変形における一連の増加が発生し得る。例えば、変形は、メカノトランスダクション遮断剤の非存在下での皮膚移植片に対して、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、又は50%超の、皮膚移植片の変形における増加によって増加し得る。
【0058】
本明細書に開示される方法の実施形態は、コラーゲンアーキテクチャを回復させる。いくつかの実施形態では、コラーゲンアーキテクチャの回復は、メカノトランスダクション遮断剤を有さない皮膚移植片に対する、コラーゲン線維の整列及び長さにおける減少である。非創傷皮膚は、概して、短いランダムに整列したコラーゲンを有するとして特徴付けられる。コラーゲンアーキテクチャにおける回復がコラーゲン線維の整列における減少である実施形態では、コラーゲン線維の整列における一連の減少が発生し得る。例えば、コラーゲン線維の整列は、メカノトランスダクション遮断剤の非存在下での皮膚移植片に対して、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、又は50%超の、皮膚移植片のコラーゲン線維の整列における減少によって減少し得る。コラーゲンアーキテクチャにおける回復がコラーゲン線維の長さにおける減少である実施形態では、コラーゲン線維の長さにおける一連の減少が発生し得る。例えば、コラーゲン線維の長さは、メカノトランスダクション遮断剤の非存在下での皮膚移植片に対して、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、40%、又は40%超の、皮膚移植片のコラーゲン線維の長さにおける減少によって減少し得る。
【0059】
瘢痕形成を低減する方法
上記で要約されるように、皮膚移植片をヒト対象の治療部位に適用した後の瘢痕形成を低減するための方法であって、方法が、皮膚移植片を治療部位に適用することと、接着斑キナーゼ阻害剤を皮膚移植片に送達して、治療部位での瘢痕形成を低減することと、を含む、方法が提供される。
【0060】
皮膚移植片は、対象の創傷の治療において有用であると考えられるいずれかの皮膚移植片であり得る。本開示における使用が見出される皮膚移植片は、全層移植片、部分層移植片、複合移植片などを含むが、これらに限定されない。皮膚移植片は、自家移植片、同種移植片、又は異種移植片であり得る。
【0061】
本開示の治療部位は、治療を必要としている皮膚上のいずれかの部位であり得る。本開示における使用が見出される治療部位は、手、手掌、腕下部、腕上部、脇の下、胸部、腹部、肩部、上背、下背、頸部、顔、頭皮、骨盤、鼠径部、脚上部、脚下部、足などを含むが、これらに限定されない。
【0062】
本明細書に開示される方法における使用が見出されるFAK阻害剤は、FAKベースのシグナル伝達を損なういずれかのFAK阻害剤である。FAK阻害剤の非限定的な例としては、PF-56227、PF-573228、TAE226(NVP-TAE226)、BI-4464、GSK2256098、PF-431396、PND-1186(VS-4718)、Y15、デファクチニブ(VS-6063)、ソラネソール(ノナイソプレノール)などが挙げられるが、これらに限定されない。上記に開示されるFAK阻害剤に加えて、他のタイプの阻害剤が使用され得る。例えば、他のタイプのFAK阻害剤は、siRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を含むが、これらに限定されない。FAKのCRISPR媒介性ノックアウト又はノックダウンなど。
【0063】
本開示のFAK阻害剤は、いくつかの異なる様式で送達され得る。いくつかの実施形態では、FAK阻害剤は、全身的に送達される。いくつかの実施形態では、FAK阻害剤は、治療部位で局所的に適用される。いくつかの実施形態では、FAK阻害剤は、持続放出製剤で適用される。いくつかの実施形態では、持続放出製剤は、ゲル製剤を含む。いくつかの実施形態では、ゲル製剤は、ヒドロゲルを含む。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、生分解性プルランベースのヒドロゲルを含む。
【0064】
瘢痕形成の低減は、いくつかの異なる様式で呈し得る。いくつかの実施形態では、瘢痕形成における低減は、瘢痕の視覚的外観における低減である。いくつかの実施形態では、瘢痕形成における低減は、瘢痕形成中にかつその後に発生する拘縮における低減である。本明細書に開示される方法は、拘縮における一連の低減をもたらす。例えば、拘縮は、メカノトランスダクション遮断剤の非存在下での皮膚移植片に対して、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、又は50%超の、拘縮における低減によって低減され得る。
【0065】
併用療法
主題の方法における使用のために、上記のようなメカントランスダクション遮断剤は、他の薬学的に活性な薬剤との組み合わせで投与され得、他の薬学的に活性な薬剤は、基礎状態又は状態の症状、例えば、瘢痕化を治療する他の薬剤を含む。本明細書で使用される場合、「との組み合わせで」とは、例えば、第1の化合物が、第2の化合物の投与の全経過中に投与される使用;第1の化合物が、第2の化合物の投与と重複する期間投与される使用、例えば、第1の化合物の投与が、第2の化合物の投与前に始まり、第1の化合物の投与が、第2の化合物の投与の終了前に終了する使用;第2の化合物の投与が、第1の化合物の投与前に始まり、第2の化合物の投与が、第1の化合物の投与の終了前に終了する使用;第1の化合物の投与が、第2の化合物の投与の始まり前に始まり、第2の化合物の投与が、第1の化合物の投与の終了前に終了する使用;第2の化合物の投与が、第1の化合物の投与の始まり前に始まり、第1の化合物の投与が、第2の化合物の投与の終了前に終了する使用を指す。したがって、「組み合わせで」とはまた、2つ以上の化合物の投与を含むレジメンを指すことができる。本明細書で使用される場合、「との組み合わせで」とはまた、2つ以上の化合物の投与を指し、2つ以上の化合物は、同じ又は異なる製剤で投与され得、異なる経路の同じによって投与され得、同じ又は異なる剤形タイプにおいて投与され得る。
【0066】
本発明の方法の実施形態での併用療法における使用のための他の薬剤の例としては、YAP阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの事例では、YAP阻害剤は、所望の活性を示す小分子薬剤、例えば、YAP発現及び/又は活性を阻害する小分子薬剤である。目的の自然発生又は合成小分子化合物は、多数の化学クラス、例えば、有機分子、例えば、50超及び約2,500ダルトン未満の分子量を有する小有機化合物を含む。候補薬剤は、タンパク質との構造的相互作用、特に、水素結合のための官能基を含み、典型的には、少なくとも、アミン、カルボニル、ヒドロキシル、又はカルボキシル基を含み、好ましくは、官能性化学基のうちの少なくとも2つを含む。候補薬剤は、上記の官能基のうちの1つ以上で置換された環状炭素若しくは複素環式構造、及び/又は芳香族若しくは多環式芳香族構造を含み得る。候補薬剤はまた、ペプチド、糖類、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、誘導体、構造類似体、又はそれらの組み合わせを含む生体分子中に見出される。そのような分子は、とりわけ、スクリーニングプロトコルを使用することによって特定され得る。
【0067】
いくつかの場合では、YAP阻害剤は、光感作性薬剤である。いくつかの場合では、YAP阻害剤は、ベンゾポルフィリン誘導体(BPD)である。ベンゾポルフィリン誘導体は、いずれかの好都合なベンゾポルフィリン誘導体、例えば、米国特許第5,880,145号、米国特許第6,878,253号、米国特許第10,272,261号、及び米国特許出願第2009/0304803号に記載されているものであり得、それらの開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの場合では、ベンゾポルフィリン誘導体は、光感作性薬剤である。いくつかの場合では、YAP阻害剤は、ベルテポルフィン(ベンゾポルフィリン誘導体一塩基酸環A、BPD-MA、商品名:Visudyne(登録商標))である。
【0068】
YAP阻害剤及びその使用方法に関する更なる詳細は、米国特許出願第17/626,699号に提供されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0069】
いくつかの事例では、方法の態様は、有効量のメカノトランスダクション遮断剤を、ピエゾ阻害剤との組み合わせで投与することを含み得る。ある実施形態では、ピエゾ阻害剤は、ピエゾ1及び/又はピエゾ2阻害剤を含む。いくつかの場合では、ピエゾ阻害剤は、ピエゾ1阻害剤である。いくつかの場合では、ピエゾ阻害剤は、ピエゾ2阻害剤である。いくつかの場合では、ピエゾ1阻害剤及びピエゾ2阻害剤の両方が、対象に投与される。いくつかの場合では、方法は、ピエゾ阻害剤を投与することから本質的になる。本明細書で使用される場合、「ピエゾ阻害剤」とは、ピエゾタンパク質機能及びシグナル伝達を阻害し得る分子を指す。いくつかの場合では、ピエゾ阻害剤は、細胞機械的シグナル伝達を阻害する。いくつかの場合では、ピエゾ阻害剤は、ピエゾタンパク質発現(DNA又はRNA発現)又は活性(例えば、核転座)を低減又は阻害する。いくつかの場合では、ピエゾ阻害剤は、ピエゾタンパク質と他のシグナル伝達分子との相互作用を低減又は阻害する。ある実施形態では、ピエゾ阻害剤を投与することは、創傷における1つ以上の細胞、例えば、脂肪細胞の機械的活性化を低減し、例えば、創傷における1つ以上の細胞、例えば、脂肪細胞の機械的活性化のレベルは、好適な対照と比較して低減される。ピエゾ阻害剤及びその使用方法に関する更なる詳細は、米国特許仮出願第63/335,843号に提供されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0070】
併用療法の文脈において、併用療法化合物は、メカノトランスダクション遮断剤が投与される同じ投与経路(例えば、肺内、経口、経腸など)によって投与され得る。代替として、メカノトランスダクション遮断剤との併用療法における使用のための化合物は、異なる投与経路によって投与され得る。
【0071】
薬学的組成物
上記で要約されるように、本明細書に開示される方法を実施するための薬学的組成物が提供される。薬学的組成物は、本開示のメカノトランスダクション遮断剤と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む。
【0072】
多種多様な薬学的に許容される賦形剤が、当該技術分野で既知であり、本明細書で詳細に考察される必要はない。薬学的に許容される賦形剤は、例えば、A.Gennaro(2000)“Remington:The Science and Practice of Pharmacy,”20th edition,Lippincott,Williams,&Wilkins;Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems(1999)H.C.Ansel et al.,eds.,7th ed.,Lippincott,Williams,&Wilkins、及びHandbook of Pharmaceutical Excipients(2000)A.H.Kibbe et al.,eds.,3rd ed.Amer.Pharmaceutical Assocを含む、多様な刊行物に十分に記載されている。
【0073】
ビヒクル、アジュバント、担体、又は希釈剤などの薬学的に許容される賦形剤は、容易に一般に入手可能である。更に、pH調整剤及び緩衝剤、張性調整剤、安定剤、湿潤剤などの薬学的に許容される補助物質は、公に容易に入手可能である。
【0074】
本開示の薬学的組成物は、メカノトランスダクション遮断剤を含む。本開示における使用が見出されるメカノトランスダクション遮断剤は、メカノトランスダクションシグナル伝達経路を損なういずれかの遮断剤である。メカノトランダクション遮断剤の非限定的な例としては、インテグリン阻害剤、接着斑キナーゼ(FAK)阻害剤、タリン阻害剤、ビンキュリン阻害剤、パキシリン阻害剤、ザイキシン阻害剤、VASP阻害剤、p130cas阻害剤などが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、メカノトランスダクション阻害剤は、接着斑キナーゼ(FAK)阻害剤である。FAK阻害剤の非限定的な例としては、PF-56227、PF-573228、TAE226(NVP-TAE226)、BI-4464、GSK2256098、PF-431396、PND-1186(VS-4718)、Y15、デファクチニブ(VS-6063)、ソラネソール(ノナイソプレノール)などが挙げられるが、これらに限定されない。上記に開示されるFAK阻害剤に加えて、他のタイプの阻害剤が使用され得る。例えば、他のタイプのFAK阻害剤は、siRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を含むが、これらに限定されない。FAKのCRISPR媒介性ノックアウト又はノックダウンなど。
【0075】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、持続放出製剤を含む。本開示の持続放出製剤は、メカノトランスダクション遮断剤を長期間放出することが可能であるいずれかの持続放出製剤である。持続放出製剤は、メカノトランスダクション遮断剤を一連の時間にわたって放出することが可能である。例えば、持続放出製剤は、メカノトランスダクション阻害剤を、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも36時間、少なくとも48時間、少なくとも60時間、少なくとも72時間、少なくとも84時間、少なくとも96時間、又は96時間超放出し得る。
【0076】
本開示の持続放出製剤は、メカノトランスダクション遮断剤を、皮膚移植片内への特定の深さ内に放出することが可能である。皮膚移植片内への深さは、角質層から角質層の下の組織内への最も遠い点までの距離の尺度である。いくつかの実施形態では、持続放出製剤が皮膚移植片内に放出する特定の深さは、少なくとも0.5mm、少なくとも0.6mm、少なくとも0.7mm、少なくとも0.8mm、少なくとも0.9mm、少なくとも1mm、少なくとも1.1mm、少なくとも1.2mm、少なくとも1.3mm、少なくとも1.4mm、少なくとも1.5mm、少なくとも1.6mm、少なくとも1.7mm、少なくとも1.8mm、少なくとも1.9mm、少なくとも2mm、少なくとも2.1mm、少なくとも2.2mm、少なくとも2.3mm、少なくとも2.4mm、少なくとも2.5mm、少なくとも2.6mm、少なくとも2.7mm、少なくとも2.8mm、少なくとも2.9mm、少なくとも3mm、又は3mm超である。
【0077】
いくつかの実施形態では、持続放出製剤は、ゲル製剤を含有する。いくつかの実施形態では、ゲル製剤は、ヒドロゲル、例えば、炭水化物ベースのヒドロゲル、タンパク質ベースのヒドロゲルなどを含む。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、生分解性プルランベースのヒドロゲルを含有する。プルランベースのヒドロゲルは、当該技術分野で既知であり、Wong et al.(Tissue Eng Part A.2011 Mar;17(5-6):631-44)及びWong et al.(Macromol Biosci.2011 Nov 10;11(11):1458-66)に記載されている。
【0078】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、水性緩衝液中で製剤化される。好適な水性緩衝液としては、限定されないが、5mM~100mMの強度で変動する酢酸緩衝液、コハク酸緩衝液、クエン酸緩衝液、及びリン酸緩衝液が挙げられる。いくつかの実施形態では、水性緩衝液は、等張溶液を提供する試薬を含む。そのような試薬としては、限定されないが、塩化ナトリウム;及び糖、例えば、マンニトール、デキストロース、スクロースなどが挙げられる。いくつかの実施形態では、水性緩衝液は、ポリソルベート20又は80などの非イオン性界面活性剤を更に含む。任意選択的で、薬学的組成物は、防腐剤を更に含み得る。好適な防腐剤としては、限定されないが、ベンジルアルコール、フェノール、クロロブタノール、塩化ベンザルコニウムなどが挙げられる。多くの場合では、製剤は、約4℃で貯蔵される。薬学的組成物はまた、凍結乾燥し得、その場合では、薬学的組成物は、概して、凍結保護物質、例えば、スクロース、トレハロース、ラクトース、マルトース、及びマンニトールなどを含む。凍結乾燥された製剤は、周囲温度であっても長期間にわたって保存することができる。
【0079】
いくつかの実施形態では、メカノトランスダクション遮断剤は、第2の薬剤、例えば、上記に開示される併用療法とともに、薬学的に許容される賦形剤中で製剤化される。
【0080】
主題の薬学的組成物は、経口、皮下、筋肉内、非経口、又は他の経路で投与され得、他の経路は、例えば、経口、直腸、鼻、(経皮、エアロゾル、頬側、及び舌下を含む)局所、膣、(皮下、筋肉内、静脈内、及び皮内を含む)非経口、膀胱内、又は罹患器官内への注射を含むが、これらに限定されない。
【0081】
活性剤のそれぞれは、約0.1μg、0.5μg、1μg、5μg、10μg、50μg、100μg、500μg、1mg、5mg、10mg、50、mg、100mg、250mg、500mg、又は750mg以上の単位用量で提供され得る。
【0082】
薬学的組成物は、単位剤形で投与され得、当該技術分野で周知のいずれかの方法によって調製され得る。そのような方法は、メカノトランスダクション遮断剤を、1つ以上の副成分を構成する薬学的に許容される担体又は希釈剤と組み合わせることを含む。薬学的に許容される担体は、選択される投与経路及び標準的な薬務に基づいて選択される。各担体は、製剤の他の成分と適合性があり、対象に有害でないという意味で、「薬学的に許容される」必要がある。この担体は、固体でも液体であってもよく、種類は、一般に、使用されている投与の種類に基づいて選択される。
【0083】
好適な固体担体の例としては、ラクトース、スクロース、ゼラチン、寒天、及びバルク粉末が挙げられる。好適な液体担体の例としては、水、薬学的に許容される脂肪及び油、アルコール、又はエステル、エマルション、シロップ、若しくはエリキシル剤、懸濁液、溶液及び/若しくは懸濁液、並びに非発泡性顆粒から再構成される溶液及び/若しくは懸濁液、並びに発泡性顆粒から再構成される発泡性調製物を含む他の有機溶媒が挙げられる。そのような液体担体は、例えば、好適な溶媒、防腐剤、乳化剤、懸濁化剤、希釈剤、甘味料、増粘剤、及び融解剤を含有し得る。好ましい担体は、食用油、例えば、トウモロコシ油又はキャノーラ油である。ポリエチレングリコール、例えばPEGも良好な担体である。
【0084】
本開示の投与レジメンを提供する任意の薬物送達デバイス又はシステムが使用され得る。多種多様な送達デバイス及びシステムは、当業者に既知である。
【0085】
キット
また、本開示に記載される方法を実施するためのキット。概して、主題のキットは、上記のような上記の薬学的組成物と、皮膚移植片ハーベスタと、を含み得る。薬学的組成物は、特定の送達デバイス内に含有され得る。送達デバイスは、パッチ、ガーゼドレッシング、透明フィルムドレッシング、フォームドレッシング、ヒドロコロイドドレッシング、アルギネートドレッシング、複合ドレッシングなどを含むが、これらに限定されない。
【0086】
本開示の皮膚移植片ハーベスタは、分層皮膚移植片を生成することが可能ないずれかの皮膚移植片ハーベスタである。本開示における使用が見出される皮膚移植片ハーベスタは、外科手術ナイフ、振動Goulianナイフ、気動デルマトーム、電動デルマトームなどを含むが、これらに限定されない。
【0087】
主題のキットは、本開示の方法を実行するための構成要素のいずれかの組み合わせを含むことができる。主題のキットの構成要素は、混合物として存在してもよく、又は別個の実体であってもよい。いくつかの場合では、構成要素は、凍結乾燥混合物として存在する。いくつかの場合では、構成要素は、液体混合物として存在する。いくつかの場合では、構成要素は、ヒドロゲルなどの半販売混合物として存在する。主題のキットの構成要素は、いずれかの組み合わせで、同じ容器内にあってもよく、又は別個の容器内にあってもよい。
【0088】
主題のキットは、(ある実施形態では)主題の方法の実施についての説明書を更に含み得る。これらの説明書は、主題のキット内に様々な形態で存在し得、それらのうちの1つ以上は、キット内に存在し得る。これらの説明書が存在し得る1つの形態は、例えば、情報が印刷される1枚又は複数枚の紙などの好適な媒体又は基板上、キットのパッケージ中、添付文書などの中の印刷情報としてである。これらの説明書の更に別の形態は、情報が記録されたコンピュータ可読媒体、例えば、ディスケット、コンパクトディスク(CD)、フラッシュドライブなどである。存在し得るこれらの説明書の更に別の形態は、ウェブサイトアドレスであり、ウェブサイトアドレスは、リモートサイトでの情報にアクセスするために、インターネットを介して使用され得る。
【0089】
以下の実施例は、例示として提供され、限定として提供されるものではない。
【実施例
【0090】
以下の実施例は、どのように本発明を作製及び使用するかについての完全な開示及び説明を当業者に提供するために記載され、本発明者らが本発明者らの発明と考えるものの範囲を限定することは意図されておらず、以下の実験が、実行される全て又は唯一の実験であることを表すことは意図されていない。使用される数字(例えば、量、温度など)に対する正確性を確保する努力がなされているが、ある程度の実験誤差及び偏差が考慮されるべきである。別様に示されない限り、部とは重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏であり、圧力は大気圧又はほぼ大気圧である。
【0091】
分子及び細胞生化学における一般的な方法は、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd Ed.(Sambrook et al.,HaRBor Laboratory Press 2001)、Short Protocols in Molecular Biology,4th Ed.(Ausubel et al.eds.,John Wiley&Sons 1999)、Protein Methods(Bollag et al.,John Wiley&Sons 1996)、Nonviral Vectors for Gene Therapy(Wagner et al.eds.,Academic Press 1999)、Viral Vectors(Kaplift&Loewy eds.,Academic Press 1995)、Immunology Methods Manual(I.Lefkovits ed.,Academic Press,1997)、及びCell and Tissue Culture:Laboratory Procedures in Biotechnology(Doyle&Griffiths,John Wiley&Sons 1998)などの標準的な教本に見出され得、それらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。本開示で言及されるか又は関連する方法の試薬、クローニングベクター、細胞、及びキットは、BioRad、Agilent Technologies、Thermo Fisher Scientific、Sigma-Aldrich、New England Biolabs(NEB)、Takara Bio USA,Incなどの商業的な供給業者、並びに例えばAddgene,Inc.、American Type Culture Collection(ATCC)などのリポジトリから入手可能である。
【0092】
I.メカノトランスダクションを破壊することは、分層皮膚移植における線維化及び拘縮を減少させる
A.要約
熱傷及び他の外傷性傷害は、かなりの生物医学的負担を表す。深在性傷害のための現在の標準治療は、自家分層皮膚移植(STSG)であり、STSGは、拘縮、異常な色素沈着、及び生体力学的機能の損失を頻繁にもたらす。現在、STSG後の線維化及び拘縮を予防することができる有効な療法はない。ここで、本発明者らは、STSGの臨床的に関連するブタモデルを開発し、治癒に関与するブタ細胞集団を、単一細胞分解能で包括的に特徴付けた。本発明者らは、標準分層皮膚移植片における炎症促進性及びメカノトランスダクションシグナル伝達経路の上方調節を特定した。メカノトランスダクションを、小分子接着斑キナーゼ(FAK)阻害剤を使用して遮断することによって、本発明者らは、治癒を促進し、拘縮を低減し、瘢痕形成を軽減し、コラーゲンアーキテクチャを回復させ、最終的には、移植片生体力学的特性を改善した。急性メカノトランスダクション遮断は、骨髄系CXCL10媒介性抗炎症を、CXCL14媒介性骨髄系及び線維芽細胞動員の減少で上方調節した。より後期時点で、機械的シグナル伝達は、線維芽細胞を、線維化促進分化運命に向けて移行させたが、メカノトランスダクションの破壊は、間葉系線維芽細胞分化状態を調整して、これらの応答を遮断し、代わりに、線維芽細胞を、非創傷皮膚と類似の再生促進脂肪生成状態に向けて駆動した。次いで、本発明者らは、これらの2つの異なる線維芽細胞転写トラジェクトリを、ヒトの皮膚、ヒトの瘢痕、及びヒトの皮膚の三次元器官型モデルにおいて確認した。まとめると、メカノトランスダクションの薬理学的遮断は、STSG後の大型動物治癒を、早期抗炎症性及び後期再生転写プログラムの両方を促進することによって著しく改善し、非創傷皮膚と類似の治癒した組織をもたらした。FAK阻害は、外傷性及び熱傷傷害のための現在の補足標準治療である。
【0093】
B.材料及び方法
1.研究設計
研究の全体的な目標は、大型生物における線維化の分子ドライバーを特定し治療的に標的として、STSG後の治癒転帰を改善することであった。各ブタ(n=5)は、6つのSTSG(n=合計30個のSTSG生物学的レプリケート)を受容した。処置条件を、各ブタ背側にわたる異なるSTSGにランダムに割り当てた。様々な瘢痕特性(創傷拘縮、VAS、再上皮化、及び生着)の全ての評価を、観察者に盲検化された画像を使用して実行した。コラーゲンアーキテクチャの分析を、不偏の様式で、定量的コンピュータアルゴリズムCurveAlign及びCT-FIREを使用して実行した。10X genomicsのscRNA-seqデータを、処置群について盲検化されたStanford Functional Genomics Facilityによって捕捉及び配列決定した。scRNA-seqデータを、scRNA-seqデータのクラスタリング及び埋め込みのための定量的分析パッケージであるSeuratを使用して分析した。インビトロ実験については、(n=15)ヒトコラーゲンヒドロゲル生物学的レプリケート、(n=6)ブタヒドロゲル生物学的レプリケートを作製し、各ヒドロゲルを、異なる処置群にランダムに割り当てた。除外されたデータはなかった。これらの試料サイズは、処置の効果を一連の変数にわたって検出するのに十分な大きさであった。全ての動物作業を、Stanford APLAC及びAAALACガイドライン(APLACプロトコル31530及び32962)に従って実行した。ヒト組織試料を、IRB #54225下で、そうでなければ試料が廃棄される手順から収集した。患者識別情報を、試料のうちのいずれについても記録しなかった。
【0094】
2.STSGのための技術移転ブタモデルの開発
本発明者らは、熱傷創傷及び他の軟部組織欠陥の臨床治療に一般に適用される外科的技法を使用する新規のブタSTSGモデルを開発した。最初に、本発明者らは、25cm2の全層切除創傷を、成体赤Durocブタの背上に作り、下にある筋膜を無傷のままにした。同じ外科手術において、本発明者らは、臨床グレードの電気デルマトーム(Zimmer Biomet)を使用して、薄STSG(0.01インチ)を、同じブタから採取した。最初に、ドナー部位の非創傷皮膚を潤滑し(Surgilube)、デルマトームを、皮膚の上に制御された速度で通した。得られた皮膚を、Skin Graft Carrier(Dermacarrier II、Zimmer 00770800010)上に配置し、Skin Graft Mesher(Zimmer 7701)を介してゆっくり供給して、1:1.5の比のメッシュ移植片を作製した(41)。移植片を、移植片キャリア上に慎重に広げ、創傷床の露出した筋膜上に配置した。皮膚ステープル(Covidien 8886803712)を使用して、移植片を創傷床に固定した(1縁当たり約5つのステープル)。移植片を、3つの層のワセリンガーゼ(Xeroform、Covidien SH84-433605)で被覆して、移植片が乾燥するのを防止し、また、細菌感染を予防した。ボルスタードレッシングを、VAC Granufoam(Small Dressing Kit、Acelity M8275065)を5.5cm×5.5cmの正方形に切断することによって調製し、ガーゼ及びSTSGの上に、追加の皮膚ステープルで堅固に固定した。最後に、Telfa非接着性ドレッシング(Covidien 1961)及びTegaderm接着性ドレッシング(3M 1624W)を使用して、ボルスタースポンジドレッシングを被覆した。刺激を予防するために、かつドレッシングに影響する動物能力を最小にするために、個々のブタに適合したカスタム設計ポリエステルジャケットを使用した(Lomir Biomedical Inc)。動物に、10mg/kgのアモキシシリンを、手術後に1日2回、合計5日間経口投与した。
【0095】
処置実験については、(n=5)ブタを使用し、各ブタは、合計6つのSTSGを受容した。手術後90日目の実験のための各ブタについて、STSGを、FAKIヒドロゲル、ブランクヒドロゲル、又はヒドロゲルなし(全てのSTSGのために使用される標準ドレッシング)のいずれかを等しく受容するようにランダムに割り当て、処置条件を、各ブタ背側にわたる異なるSTSGにランダムに割り当てた。手術後7日目及び手術後14日目の実験のための各ブタについて、STSGを、FAKIヒドロゲル又はヒドロゲルなしのいずれかを等しく受容するようにランダムに割り当てた。全ての実験について、処置条件を、各ブタ背側にわたる異なるSTSGにランダムに割り当てて、いずれもの位置効果を最小にした。ヒドロゲルを、標準ドレッシング前に、STSGの上に適用した(ワセリンガーゼ+ボルスタースポンジ+Telfa+Tegaderm+カスタムジャケット)。滅菌ヒドロゲルを、適用前に、滅菌生理食塩水中に予め浸漬した。STSGを、最初の3日間静置した。次いで、ドレッシング及びヒドロゲルを、初期の傷害後の最初の3週間、第3週目まで1日おきに交換した。これらのドレッシング交換のそれぞれを、滅菌条件下で実行した。皮膚ステープルを、スキンステイプラーリムーバー(3M MMMSR3Z)で除去し、創傷及び移植片を、滅菌生理食塩水で穏やかに洗浄した。写真を、各ドレッシング交換時に撮影し、ヒドロゲル及びボルスタードレッシングを、新しいドレッシングで置換した。動物を、各ドレッシング交換のために短期間鎮静させた。
【0096】
3週間後に、ドレッシング(及びヒドロゲル)を、1週間に2回、3か月目まで交換した。STSGを、もはやボルスタードレッシングせず、代わりに、従来のドレッシングを使用した(Telfa+Tegaderm)。動物内の各STSGを、組織学的及び分子的評価のために、試験の終了時に生検した。
【0097】
3.統計
統計分析を、Prism8(GraphPad、San Diego,California)において実行した。2つの試料を比較するときに、t検定を使用した。3つ以上の試料を比較するときに、一元又は二元配置分散分析(ANOVA)のいずれか、及びテューキーの多重比較検定を使用した。データを、平均値±SEMとして提示する。0.05未満のP値を、統計学的に有意であると考えた。
【0098】
C.結果
1.自家分層皮膚移植のブタモデル
本発明者らは、熱傷創傷及び他の軟部組織欠陥の臨床治療に適用される標準化された外科的技法を使用する臨床的に関連するブタSTSGモデルを開発した。本発明者らは、赤Durocブタが、ヒトの皮膚生理学、皮膚創傷治癒動態、及び傷害後の瘢痕形成を密接に再現すること(29、37)に起因して、それを使用することを選択した(図1)。ヒト及び赤Duroc皮膚は、類似の厚さ及び生体力学的特性を有し、小型動物モデルとは異なり、両方は、厚い線維化瘢痕組織を発達させ、これが、経時的に剛性になり拘縮することによって、深在性真皮傷害が治癒する(38)。
【0099】
重度の熱傷などの全層傷害を治療するために、外科医は、しばしば、STSGを適用する前に、壊死傷害組織を切除して、下にある筋膜を露出させる(39、40)。これを模倣するために、本発明者らは、25cm2の全層切除創傷を、成体赤Durocブタの背上に作り(図1、A及びB)、下にある筋膜を無傷のままにした。同じ外科手術において、本発明者らは、STSG(0.01インチ)を、臨床グレードの電気デルマトーム(Zimmer Biomet)を使用して採取し、得られた移植片を1:1.5の比でメッシュ状にした(41)(図1C)。臨床的に、STSG(約0.01インチ)は、通常、表皮及び表在性真皮を含有するように採取され、ドナー部位が再上皮化及び治癒することを可能にする(41、42)。次いで、これらのSTSGを、生着を最大にするためにワセリンガーゼ、ボルスタードレッシング、及び皮膚ステープルを使用して、背側創傷に直接適用した(図1D)。各動物はまた、研究全体にわたって、カスタムメイドの圧縮ジャケットを着用した。全てのSTSGは、完全な生着(組み込み)を経た。本発明者らは、初期に、早期治癒期中のヒトSTSGの特徴である治癒移植片の典型的な「メッシュ」外観を観察し、続いて、かなりの移植片拘縮及び瘢痕拘縮、並びに色素沈着過剰及び粗いテクスチャを観察した(図1E)。これらの観察は、ヒトにおけるSTSG後の皮膚治癒及び拘縮の時間経過と一致した(43)。
【0100】
2.ブタ皮膚組織についてのカスタム単一細胞RNA配列決定方法は、瘢痕化に寄与する細胞亜集団を特定する
STSGは、正常な皮膚外観を回復させず、代わりに、永久的な瘢痕拘縮、並びに過剰な線維化、色素沈着過剰、及び隆起した肥厚性瘢痕(HTS)形成を、手術後(POD)90日目で示した(図2A)。具体的には、STSGは、厚い真皮を有し、厚い真皮は、より高度に整列したコラーゲン線維及びより少ない真皮付属器を有し、これらは全て、線維化治癒の古典的な徴候である。対照的に、正常な非創傷皮膚は、ランダムに整列した「バスケット織り」コラーゲンアーキテクチャを有した(*P<0.05)(図2、A及びB)。STSGはまた、より多くの線維化促進筋線維芽細胞を含有することが見出された(*P<0.05)(図2、A及びB)。
【0101】
線維化STSGと非創傷皮膚との間の差を駆動した細胞及び分子変化を更に調査するために、本発明者らは、完全な治癒後に、scRNA-seqを、10X Genomicsプラットフォームを使用して実行した(図2C)(44、45)。以前の研究は、scRNA-seqを、非創傷ヒト皮膚において実行したか(46~48)、又はヒトケロイドをヒト瘢痕と比較した(49)が、いずれの研究も、以前に、線維化組織を、非創傷皮膚に対して単一細胞分解能で直接比較していない。高品質の細胞を収集するために、本発明者らは、本発明者らの以前に公開された方法を最適化し、ブタ組織を、後期段階(手術後90日目)STSG瘢痕及び正常な非創傷皮膚の両方から採取した(44)。
【0102】
本発明者らは、カスタムブタトランスクリプトームを、Sus Scrofaゲノム(Ensembl、v11.1)(50)を使用して、非モデル生物についての10Xプロトコル(44)に従って生成して作製し、本発明者らは、これを、修正された10X CellRangerパイプラインの一部としての実装についての説明書とともに一般に入手可能にした(Data and Materials Availabilityステートメントを参照されたい)。簡潔には、全てのリード断片を、標準塩基マッチング閾値(51)、続いて、単一細胞逆多重化及び固有分子識別子(UMI)バッチ補正(52)を使用して、このトランスクリプトームにアライメントし、本発明者らが、各ブタ試料についての単一細胞mRNAカウントマトリックスを生成することを可能にした。両方の群からの個々の細胞についてのデータを、盲検化されたルーヴァンベースのクラスタリングに供し、二次元UMAP(均一多様体近似及び射影)空間(45)内に埋め込んだ(図2C)。合計7,700個の細胞を捕捉し、線維芽細胞、骨髄系細胞、リンパ系細胞、内皮細胞、血管平滑筋細胞(VSMC)、及び角化細胞の異なる集団を、自動化細胞型アノテーションを使用して、SingleRパッケージを介して特定し(図2D)、細胞型特異的マーカー遺伝子で検証した(図9A)。
【0103】
本発明者らは、線維芽細胞が、400個超の差異的に発現された遺伝子(DEG;STSGと皮膚との間の0.5超の平均対数倍率変化)を有し、骨髄系及びリンパ系細胞が、STSGと皮膚との間の200個超のDEGを有したことを観察した(図2E図9B)。対照的に、他の細胞型(角化細胞、内皮細胞、VSMC)は、100個以下のDEGを有し、これは、それらが、正常な皮膚と皮膚移植片との間で転写的に異ならないことを示した(図2E図9、C及びD)。これらの知見は、この後期時点でのSTSGにおける線維増殖性及び炎症性細胞活性の持続的な上昇を示唆し、非創傷皮膚と比較されたSTSGにおける筋線維芽細胞の数の増加の本発明者らの観察を実証した(図2、A及びB)。
【0104】
3.STSG後の線維化は、メカノトランスダクションシグナル伝達の増加に関連する
最初に、本発明者らは、骨髄系細胞を、本発明者らのSTSG及び非創傷皮膚scRNA-seqデータセットにおいて調査した。本発明者らは、過剰提示分析(ORA)のためのパイプラインであるGenetrail3を使用して、シグナル伝達経路の差次的調節を調査した(53)。最初に、本発明者らは、STSG骨髄系細胞が、CXCL8及びCD86などの炎症性マーカーの上方調節、並びに免疫応答活性化シグナルトランスダクション(GO-BP:0002758)及び炎症性応答経路(WP453)についてのエンリッチメント(54)によって特徴付けられる炎症性表現型を実証したことを観察した(図2、F及びG)。骨髄系STSG細胞はまた、TNFなどの線維化駆動遺伝子についてエンリッチメントされ(55)、ERK1/ERK2及びEGF/EGFR経路などの一般的なメカノトランスダクション経路の上方調節(56)を実証した(図2、F及びG)。これらの経路は、FAKの下流にあり、これらの免疫細胞が、より後期の時点でもメカノ応答性であることを示唆する(57、58)。
【0105】
次に、本発明者らは、90日間にわたる完全な治癒後のSTSG及び非創傷皮膚における線維芽細胞の転写プロファイルを比較した(図2H)。これらは、筋線維芽細胞関連及びコラーゲン産生遺伝子、例えば、(平滑筋アルファアクチンaSMAをコードする)ACTA2、RUNX1(runt関連転写因子1)、TAGLN(トランスゲリン)、及びCOL11A1(コラーゲンXI型アルファ1鎖)の発現における著しい上昇を明らかにし、これは、STSGにおける線維芽細胞が、コラーゲン産生及び線維化の増加に関連するより収縮性の筋線維芽細胞表現型に分化したことを示唆し、これはまた、本発明者らの免疫蛍光染色(59)によって支持された(図2、A、B、及びI;図9E)。STSG線維芽細胞は、メカノトランスダクション、及び瘢痕形成を駆動するコラーゲン産生/組織化に関連する遺伝子セット、例えば、機械的刺激への応答(GO-BP:0009612)、接着斑(WP306)、ECM集合(GO-BP:0030198)、YAPシグナル伝達(WP3967)、TGFBシグナル伝達への応答(WP560)、及び骨化(GO-BP:0001503)に関連する遺伝子セットのエンリッチメントを示した(図2I)。STSG線維芽細胞はまた、脂質生成(WP236)、脂質輸送(GO-BP:0006869)、及び内皮細胞移動の調節(GO-BP:0010594)に関連する遺伝子の下方調節によって特徴付けられ、これらの遺伝子は、再生脂肪生成マーカー、例えば、APOE(アポリポタンパク質E)、APOD(アポリポタンパク質D)、CLEC3B(c型レクチンドメインファミリー3メンバーB)、及びAGT(アンジオテンシノーゲン)(60)によって定義された(図2J図9E)。これらの経路及び遺伝子は、STSG線維芽細胞が、正常な皮膚において観察されるより恒常性の静止状態ベースラインから離れるように移行したことを示唆した。
【0106】
線維芽細胞は、概して、コラーゲン沈着及び瘢痕拘縮の一次媒介物質と考えられるが(26)、最近の研究は、線維化プロセスの調節(及び持続)における免疫細胞の役割を示唆している(61~64)。マクロファージが、ある状況では、機械的合図に応答するというある程度の証拠があるが、これらの研究は、矛盾する結果が得ており、文献は、機械的歪みが、炎症促進性及び抗炎症性応答の両方をもたらすことを示唆する(57、58)。全体として、本発明者らのトランスクリプトームデータは、STSG後に発達する組織が、非創傷皮膚とは異なり、主に、炎症性細胞及び線維芽細胞の両方におけるメカノトランスダクションシグナル伝達の増加によって特徴付けられることを示し、これは、STSGの文脈において、共有された共通の経路を示唆した。メカノトランスダクションの重要性は、開放創傷の治癒中に以前に特定されているが(23、25~27)、皮膚移植後のメカノトランスダクションシグナル伝達の寄与は、依然として調査される必要がある。STSG転帰を改善する治療法を開発するために、本発明者らは、メカノトランスダクションシグナル伝達を標的とすることが、治癒を改善し得、STSG後の瘢痕形成を低減し得ると仮定した。
【0107】
4.メカノトランスダクションを破壊することは、STSGにおける線維化を、拘縮を低減し、生着を促進し、生体力学的特性を改善することによって軽減する
STSGで治療されたブタ創傷におけるメカノトランスダクションを阻害するために、本発明者らは、FAKI(VS-6062)を、創傷治癒中の持続薬物放出に最適化された生分解性生体適合性軟性プルランベースのヒドロゲル(23)を使用して送達した(図3、A及びB)。FAKは、下流細胞内経路へのインテグリン-マトリックス力の重大なトランスデューサーである(26)。VS-6062(旧Pfizer PF-00562271)は、強力なATP競合的次世代小分子FAKIであり、これは、腫瘍成長を遮断し、進行固形腫瘍に対する第I相治験を経ている(ClinicalTrials.gov 識別子:NCT00666926)(65)。VS-6062はまた、広範囲の他のキナーゼ標的に対して、FAKについての強い選択性を有し(66、67)、本発明者らは、以前に、本発明者らのヒドロゲルにおけるこの薬物の放出を特徴付けている(23、26)。ヒドロゲルは、VS-6062を含有し、ヒドロゲルを、生理食塩水中で再水和させて、それをヒドロゲルドレッシングに変換し(図10A)、ヒドロゲルドレッシングは、薬物をゆっくり放出し、薬物は、STSG真皮に経時的に浸透する(図S2、B及びC)。他のヒドロゲルと類似して、このヒドロゲルドレッシングは、創傷又はSTSGを被覆し、乾燥を防止し、湿潤創傷治癒を容易にする(図3B)。
【0108】
本発明者らは、瘢痕の表面積を測定し、FAK阻害が、瘢痕拘縮を、早期時点で遮断したことを見出した(手術後7日目、P=0.09、手術後21日目、*P<0.05)(図3、C及びD)。対照的に、STSG及びブランクヒドロゲルで処置されたSTSGは、即時の瘢痕拘縮を、手術後7日目までに有し、これは、経時的に増加し続けた。手術後28日目で、未処置及びブランクヒドロゲル処置STSGは、70%超拘縮したが、FAKI処置STSGは、30%のみの拘縮を示した(図3D)。これらの観察は、統計的に有意であり、全ての時点にわたって続いた(*P<0.05)。
【0109】
3人の盲検化された形成外科医のパネルは、STSG再上皮化及び瘢痕外観を、視覚的アナログスケール(VAS)を使用して定量化した。VASは、形成外科医によって、瘢痕重症度を層別化し、瘢痕外観を視覚的に評価するために一般に使用される瘢痕スコア化システムである(0~100の範囲、0=非創傷皮膚、及び100=肥厚性瘢痕)(68)。これらの盲検スコアから、本発明者らは、FAKIヒドロゲルが、手術後7日目でのSTSGの間質性再上皮化を加速したことを見出した(**P<0.01)(図3E)。FAKIヒドロゲルはまた、STSG創傷の線維化外観を経時的に有意に改善し、これは、瘢痕形成の減少を実証した(*P<0.05)(図3F)。
【0110】
組織cutometer(皮膚の粘弾性特性を、負圧での変形を介して測定する非侵襲性臨床機器)を使用して、本発明者らは、FAKI処置STSGがまた、未処置STSGよりも少ない硬度及び剛性を有し(*P<0.05)(図3G)、非創傷皮膚と類似の生体力学的特性を示したことを見出した。まとめると、これらのデータは、細胞メカノトランスダクション経路を破壊する早期介入が、拘縮、剛性、及び瘢痕外観を含む、STSG後に典型的に発生する一連の合併症を軽減することを実証した。
【0111】
5.STSG後のメカノトランスダクションの薬理学的遮断は、非創傷皮膚と類似のコラーゲンアーキテクチャを回復させる
これらの肉眼的な解剖学的知見を確認するために、本発明者らは、組織学的分析を使用して、FAK阻害後の組織アーキテクチャにおける変化を観察した(図4A)。メカノトランスダクションの薬理学的遮断は、非創傷皮膚における典型的なバスケット織り様のコラーゲン線維ネットワークと類似して、深在性真皮におけるより短いよりランダムに整列したコラーゲンを有意に促進した(*P<0.05)(図4、B~E;図11、A及びB)。更に、FAK阻害は、表在性及び深在性真皮の両方にわたる全体的なコラーゲン沈着を、線維幅及び全体的なアーキテクチャ複雑性を減少させることによって減少させた(**p<0.01、***p<0.001)(図4F図11、B、及びC)。全体として、FAKI処置STSGは、発達する瘢痕の厚さ全体にわたる、非創傷皮膚のものと類似の真皮リモデリングを実証した。
【0112】
6.メカノトランスダクション遮断は、骨髄系細胞における抗炎症性経路の急性上方調節を引き起こす
これらの巨視的及び顕微鏡的な組織変化を駆動する機構を理解するために、本発明者らは、どのようにメカノトランスダクションの破壊が、細胞内での治癒に影響するかを調査した(図5A)。未処置(対照)STSG及びブランクヒドロゲルで処置されたSTSGは、広範囲の臨床瘢痕測定にわたって差を実証しなかったため(図3及び4)、本発明者らは、未処置STSG及びFAKIで処置されたSTSGからの細胞における本発明者らのscRNA-seq分析に着目した。最初に、本発明者らは、STSGの7日後のブタ組織におけるSTSG組み込みの早期段階を調査した(図5、A及びB)。再び、本発明者らは、処置及び未処置STSGの両方における多様な細胞環境を捕捉した(図5、C及びD;図12)が、創傷治癒のこの早期炎症期中に、早期時点の単球系譜細胞(マクロファージ、単球、樹状細胞)が、最も多くのDEG(170個超)を有し(図5E)、続いて、好中球及びリンパ系細胞(それぞれ約100個)であった(他の全ての細胞型は、75個未満であった)。予想外に、線維芽細胞は、約50個のDEGのみを有し、これは、線維芽細胞遺伝子発現における実質的な差がより後期に観察されたが、これらの早期時点でのその発現における強い差がなかったことを示した。例えば、両方の条件において、線維芽細胞は、COL1A1、COL3A1、(フィブロネクチンをコードする)FN1などの細胞外マトリックスマーカー、及びCXCL14などの炎症性ケモカイン(69、70)の類似の発現を示した(図5F)。これらの知見は、線維芽細胞が、このモデルにおける治癒の早期段階中に、機械的シグナル伝達によって劇的に改変されないことを示唆した。
【0113】
代わりに、骨髄系細胞(単球系譜及び好中球)において、メカノトランスダクションを阻害することは、様々な有益な転写移行を誘発した(図5、G及びH)。例えば、STSG単球系譜細胞は、COL1A1、COL3A1、及びFN1の発現の増加が、FAK阻害で抑止されたことを実証し(図5I)、これは、FAK阻害が、骨髄系細胞からの早期ECM沈着を減少させたことを示唆した。これらの知見は、以前に調査されていない、細胞外マトリックス形成に寄与する骨髄系細胞の能力を示唆する。
【0114】
メカノトランスダクションの破壊はまた、(インターフェロンガンマ誘導性タンパク質10;IP-10をコードする)骨髄系CXCL10発現を上方調節した(図5I)。CXCL10は、線維芽細胞移動を炎症促進性マーカーに応答して阻害する分泌型ケモカインである(71)。IP-10療法は、線維化を低減するために臨床的に以前に使用されている(72~74)。FAK阻害はまた、SOCS3発現を誘導した(図5I)。これは、炎症性IL6発現を減弱することが既知である(75)。差次的シグナル伝達経路(53)を調査するためにGenetrail3を使用して、本発明者らは、FAK阻害された骨髄系細胞が、IL-10抗炎症性経路(WP4495)、インターフェロンアルファ/ベータシグナル伝達(WP1835)、及び古典的な抗体媒介性補体活性化(GO-BP:0006958)に関連する遺伝子セットのエンリッチメントを示したことを観察した(図5J)。
【0115】
次いで、本発明者らは、ブタSTSG組織を経時的に(手術後7、14、90日目)収集し、STSG治癒の時間経過を、タンパク質レベルでマッピングした。免疫蛍光染色を使用して、本発明者らは、最初に、組織内のF4/80陽性マクロファージ集団の存在を調査した(図5K)。未処置STSGは、有意に増加した数のマクロファージを、早期(手術後7日目、***P<0.001)及び後期(手術後90日目、*P<0.05)時点で含有し、これは、慢性増殖性炎症性応答を示し、本発明者らの以前の骨髄系細胞知見を支持した(図2、C~G)。FAKIで処置されたSTSGは、浸潤性炎症性細胞の数を、早期(***P<0.001)及び後期(*P<0.05)時点の両方で有意に減少させた(図5、K及びL)。残った炎症性細胞のうち、メカノトランスダクションの破壊は、手術後7日目でのIP-10(CXCL10)の分泌を有意に(*P<0.05)上方調節し(図5、K及びL)、これは、創傷内への線維芽細胞動員の経時的減少、及び下流線維化の低減を示した。
【0116】
軟部組織傷害後の急性炎症に関与する骨髄系細胞は、最近、自己受容、触覚、バランス、及び聴覚を含む、体におけるいくつかの生理学的プロセスの文脈において、機械的感受性があることが特定されている(3、76、77)。創傷治癒の文脈内で、最近の研究は、メカノトランスダクションが、骨髄系転写ダイナミクスに影響し得、治癒潜在性を改変し得ることを示唆している(57、58、78)が、機構は、依然として完全に理解されていない(79)。ここで、本発明者らは、メカノトランスダクションの破壊が、炎症性動員を低減しCXCL10媒介性抗炎症性転写プロファイルを促進することによって、線維芽細胞よりも骨髄系細胞へのより大きい効果を早期時点で有することを観察した。ECM産生骨髄系細胞は、過剰な量でSTSGに動員され、これは、皮膚移植片組み込み中の骨髄系細胞コラーゲン産生の以前に認められていなかった重要性を示した。これらの知見は、機械的感受性がある骨髄系細胞がまた、再生促進表現型を促進することによって、メカノトランスダクション遮断に応答することを実証した。
【0117】
7.メカノトランスダクションの破壊は、筋線維芽細胞転写状態を、再生分化に向けて移行させる
次に、早期時点でのこれらの差で、本発明者らは、後期時点でのメカノトランスダクション遮断の役割を理解することを試みた。線維芽細胞は、STSG瘢痕と正常な皮膚との間の最も多くの遺伝子変化を90日目で有したため(図2E)、本発明者らは、線維芽細胞分化状態へのFAK阻害の効果を具体的に調査した。最初に、本発明者らは、RNA速度分析を、scVelo及びCellRankを使用して実行した(図6、A及びB)。RNA速度分析は、RNA速度情報とトランスクリプトーム類似性とを組み合わせて、細胞運命潜在性のグローバルマップを計算し、グローバルマップは、初期及び終末細胞状態を明らかにする(図13A)(80、81)。CellRankは、6つの転写的に異なる細胞系譜を特定し(図6B)、これらは、(*で標識される)初期基礎状態で起こった。FAKI処置STSGからの線維芽細胞は、非創傷皮膚からのものとの転写類似性を、主に、系譜1及び2において示したが、正常なSTSGからの細胞は、この[皮膚及びSTSG+FAKI]細胞状態から離れるように、UMAP-1軸に沿って、4つのより異種性の系譜(3、4、5、及び6)に移行した(図6、A及びB;図13、A~C)。線維芽細胞系譜3及び4は、より高い潜伏時間スコア及び速度ベクター長を示し(図6C図13D)、これは、より進行した分化状態及びより高い割合のスプライシングされた成熟RNAを示した。したがって、系譜1、2、3、及び4を、更なる分析のために選択した。
【0118】
本発明者らは、運命確率推定と、潜伏時間に沿う擬似時間的順序付けとを組み合わせて、遺伝子発現を、終末状態を導くトラジェクトリに沿って視覚化した。これは、再生系譜1及び2、並びに線維化系譜3及び4についての系譜ドライバーを明らかにした(図6、D~F;図13、A及びB)。線維化状態に沿って、本発明者らは、線維化軟骨形成マーカーTHBS2(トロンボスポンジン2;状態3及び4に沿って)、THBS4(状態3)、ACAN(アグリカン;状態3)、ENPP1(エクトヌクレオチドピロホスファターゼ1)、及び筋線維芽細胞分化マーカーACTA2(状態4)の上方調節を観察し(82~84)、これは、機械的力が、瘢痕形成中に、線維芽細胞のサブセットを、より線維化の運命に向けて押すことを示唆した(図6、D~F;図14、E及びF)。アグリカンは、軟骨細胞マーカーであり、THBS遺伝子のファミリーは、トロンボスポンジンをコードし、ECMタンパク質は、細胞-マトリックス結合を容易にし、間葉系軟骨形成及び脂肪生成分化状態を調整することが既知である(85)。STSGにおける最上位のDEGの比較はまた、以前に特定された線維化促進遺伝子、例えば、SFRP2及びTGFB1の上方調節を明らかにした(図14、A~C)(86、87)。SFRP2は、健常ヒト皮膚scRNA-seqにおいて、高い線維形成潜在性を有する線維芽細胞亜集団として以前に特定されており(46~48)、形質転換成長因子(TGF)β1は、線維化の周知のプロモーターである(88)。これは、収縮性筋線維芽細胞表現型(アクチンフィラメント組織化;系譜3、4)、軟骨細胞分化(系譜3)、及び骨化(系譜3、4)に関与する遺伝子セットについてのエンリッチメントによって支持された(図6F図14D)。STSG線維芽細胞はまた、線維芽細胞動員ケモカインCXCL14を上方調節した(図6F図14、A~C)。CXCL14は、再生分化を阻害しつつ、線維芽細胞移動及び増殖を刺激することが以前に見出されている(89、90)。
【0119】
対照的に、再生系譜1及び2に沿って、FAKI処置STSG及び非創傷皮膚は、遺伝子の類似の発現を実証し、これは、上記の線維化促進遺伝子の抑止、並びにAPOE(状態2)、CLEC3B(状態2)、CD34(状態1)、及びPPARG(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ;状態1)スプライシングされていないプレmRNAの上方調節を示し、これは、再生脂肪生成転写の誘導を示した(91、92)(図6、D及びE)。APOE及びAPODなどのアポリポタンパク質は、脂質輸送及び脂質代謝の主要なマーカーであり、これらのマーカーは、脂質輸送線維芽細胞(リポ線維芽細胞)及び脂肪細胞の両方において発現される(92、93)。アポリポタンパク質は、炎症を減弱することが見出されており、リポ線維芽細胞は、線維芽細胞亜集団であり、この線維芽細胞亜集団は、脂肪組織と相互作用し、正常な組織治癒中に脂肪細胞に分化することができることが見出されている(94)。これらのリポ線維芽細胞はまた、PPARG及びCFD(アディプシンをコードする補体因子D)を発現し、これらはまた、脂質蓄積を促進し、脂質生成の重大な転写因子である(図6E)。STSG(系譜1及び2)におけるFAK阻害はまた、脂肪生成遺伝子セット(脂肪生成、血管新生、上皮細胞移動)及び幹細胞マーカー(CD34及びNT5E)を促進した(図6E図14、B~D)。これらのマーカーの発現は、非創傷皮膚において見出される発現と一致した。加えて、トロンボスポンジンは、肥厚性瘢痕形成を、TGFβ1に依存的な様式で駆動することが見出されており(95)、TGFβ1は、脂肪生成を阻害することが見出されている(88)。メカノトランスダクション、トロンボスポンジン、及びTGFのこの下方調節は、デコリン(DCN)などの小型ロイシンリッチプロテオグリカン(SLRP)の上方調節によって更に支持された(図6D図14A)。SLRPは、瘢痕形成の原線維発生を制御することを助長し、線維化組織と比較して、非創傷皮膚において高度に発現され、TGFβ1を阻害して、HTS形成を低減する(87)。
【0120】
8.メカノトランスダクションは、再生運命の時間的進化を調整する
次いで、本発明者らは、ブタSTSG組織を、一連の時点(手術後7、14、90日目)にわたって収集し、治癒STSG組織内の線維芽細胞タンパク質発現の時間経過をマッピングした。免疫蛍光染色を使用して、本発明者らは、未処置STSGが、早期時点での線維芽細胞動員ケモカインCXCL14の発現の増加を実証し、続いて、後期時点でのCXCL14の有意な増加を実証したことを見出した(手術後90日目;***P<0.001)(図7A)。更に、未処置細胞は、より大きい存在量の軟骨形成マトリックスタンパク質トロンボスポンジン4(THBS4のタンパク質形態)を、手術後7日目(***P<0.001)、手術後14日目(***P<0.001)、及び手術後90日目(*P<0.05)にわたって発現した(図7B)。したがって、FAK阻害は、THBS4及びCXCL14発現を減弱し(図7、A及びB)、細胞動員及びその後の線維化マトリックス沈着を減少させた。メカノトランスダクションの破壊はまた、CD34の発現を、後期時点で開始し(図7C)、これは、線維芽細胞転写プロファイルが、より可塑的な茎様表現型に向けて移行することを実証した。その後、これらの茎様線維芽細胞は、手術後14日目(*P<0.05)及び90日目(*P<0.05)の両方での脂肪細胞脂質輸送アポリポタンパク質E(APOEのタンパク質形態)の増加を実証し(図7D)、これは、リポ線維芽細胞再生表現型に向かう分化の増加を示した。
【0121】
これらの知見の潜在的なヒト関連性を確認するために、本発明者らは、患者試料を臨床から収集した。本発明者らは、治癒したヒトSTSG試料を収集することはできなかったが、ヒト肥厚性瘢痕を収集することができた。本発明者らは、ヒト肥厚性瘢痕が、非創傷皮膚と比較してトロンボスポンジン4の有意な増加(*P<0.05)を実証し、これは、高度線維化瘢痕組織における細胞外マトリックスタンパク質沈着の上方調節を示したことを見出した。更に、健常ヒト皮膚は、アポリポタンパク質Eの有意な増加(*P<0.05)を実証し、これは、皮膚内の健常リポ線維芽細胞及び脂肪細胞の存在を示唆した。これらのリポ輸送細胞は、肥厚性瘢痕内に存在しなかった(図15)。
【0122】
全体として、これらのデータは、傷害後のFAK阻害が、再生表現型を促進し、線維芽細胞を、線維化状態から離れるように移行させることを実証した。本発明者らは、FAK阻害及び非創傷皮膚クラスターを導く「再生軸」、並びに反対方向に導き、高度な機械的ストレスを有する環境における未処置STSG線維芽細胞によって特徴付けられる「線維化軸」を特定した。次に、本発明者らは、これらの2つのトラジェクトリの存在を、インビトロでの正確に制御された機械的環境において再現することを試みた。
【0123】
9.機械的力の正確な操作は、線維芽細胞転写シグネチャを調整する
本発明者らのグループ及び他のグループは、ブタ創傷及びヒト皮膚の両方が、約5~20%の機械的歪みに供されること(96、97)、並びにこの機械的張力を、物理的包帯で物理的に除荷することが、線維化瘢痕形成が低減することを以前に実証している(38)。治癒STSG内の細胞によって経験される機械的歪みの増加が、インビボで観察される同じ線維芽細胞転写状態を誘発するかを決定するために、本発明者らは、歪み(したがって、ストレス)の正確な操作を、いずれもの他の潜在的な交絡因子なしで可能にする、本発明者らの以前に公開された三次元(3D)器官型瘢痕培養システムを使用した(27、98)。線維芽細胞を、最初に、ヒト皮膚から単離し、3Dコラーゲン足場内に播種した(図8A)。次いで、これらの足場を、10%の歪み(歪み、S)、10%の歪み及びFAK阻害(歪み+FAKI、S+FAKI)、又は対照としての0%の歪み(歪みなし、NS)のいずれかに供した(図8、A~C)。治癒組織が(疼痛に起因して)最大歪みに供されない可能性があると考えられたため、本発明者らは、10%の歪みプロファイルを使用して、平均創傷歪み環境を表した。
【0124】
ヒト細胞において、本発明者らは、機械的歪みに供された線維芽細胞が、歪みに供されていない線維芽細胞と比較して、線維芽細胞動員CXCL14及び線維化THBS4発現(*P<0.05)の両方を上方調節したことを観察した(図8B)。歪みに供された線維芽細胞のその後のFAK阻害は、歪みに供された線維芽細胞と比較して、CXCL14(*P<0.05)、THBS4(*P<0.05)、及びaSMA(**P<0.01)発現を有意に減少させ(図8B図16)、また、APOE(**P<0.01)及びCD34(****P<0.0001)の発現を有意に増加させた(図8C)。これらの観察は、インビボでのSTSGへのFAKIの有益な転写効果を確認した。これらの実験を、ブタ細胞及びscRNA-seqを使用して繰り返して、次いで、本発明者らは、歪みに供された線維芽細胞が、コラーゲン(COL1A1、COL3A1)及び他のECM関連遺伝子(FN1、ADAM12)、並びに線維化を駆動することが見出されている(POSTNを含む)マーカーの発現の増加(99)を実証したことを観察した(図8、D~G)。RNA速度を使用して、本発明者らは、(*で示される)埋め込みの中心から歪み(線維化)又はS+FAKI(再生)系譜のいずれかへ放散する2つの分化トラジェクトリを再び特定し(図8、E、及びF)、これは、本発明者らのインビボ分析と一致した(図6、A~C;図13)。また、インビボでの本発明者らの観察(図6C)と類似して、歪みに供された線維芽細胞は、潜伏時間及び速度擬似時間の両方で進行し、これは、機械的歪みによって誘導された転写における大きい変化を実証した(図8F)。歪みに供された線維芽細胞は、CXCL14、線維化トロンボスポンジン(THBS2)、及びコラーゲン(COL1A1)発現を上方調節し、FAK阻害は、これらの線維化促進応答の全てを抑止し、代わりに、APOE及び抗線維化遺伝子EGR1(初期増殖応答1)及びPRDX1(ペルオキシレドキシン1)の上方調節によって特徴付けられる再生トランスクリプトームシグネチャを実証し(図8、H及びI;図17)、これは、本発明者らのSTSG(図5及び6)及びヒト知見(図8、A~C)の両方に一致した。全体として、本発明者らは、生理学的機械的歪みが、ヒト及びブタ線維芽細胞の両方を、インビボで見出される同じ転写プロファイルに向けて押したことを観察し、これは、機械的力を操作することが、大型動物及びヒトの両方において線維化及び再生表現型を直接駆動することを確認した。
【0125】
まとめると、これらの知見は、大型動物及びヒト瘢痕化を特徴付け、これは、機械的力が、線維芽細胞が異なる線維化促進プログラムを呈することを促進し、線維化促進プログラムが、メカノトランスダクションを阻害することによって防がれ得、非創傷皮膚と類似の再生傾倒に向けて駆動され得ることを実証する。治癒STSGにおける線維芽細胞は、皮膚組織内の自然の高い機械的ストレスに供され、機械的ストレスは、その後、メカノトランスダクションシグナル伝達を活性化し、収縮性軟骨形成分化及び線維化コラーゲン形成をもたらす。対照的に、FAK阻害は、線維芽細胞を、この高いストレス環境から薬理学的に保護し、線維化表現型を防止し、より多くの再生脂肪生成表現型を促進する。
【0126】
10.考察
皮膚移植は、重度の熱傷及び外傷性傷害の治療のための主力であり、熱傷患者の生存を改革した(8)。残念ながら、皮膚移植片は、傷害皮膚の完璧な置換物ではなく、衰弱させる線維化肥厚性瘢痕形成及び重度の拘縮をもたらし得、これらは、複数回の修正外科手術を必要とし得る(8~12)。加えて、これらの合併症を予防し、移植後の転帰を改善するためのFDA承認の薬理学的療法は現在ない(7、13、14)。STSG治癒を駆動する機構を理解するために、本発明者らは、臨床的に関連する大型動物モデルを開発して、STSG瘢痕及び非創傷皮膚における細胞環境を特徴付け、STSGが、機械的に活性化された免疫細胞及び筋線維芽細胞によって駆動される線維増殖性及び炎症性転写プログラムの持続的な上昇を示したことを見出した。メカノトランスダクション経路は上方調節されることが見出されたため、本発明者らは、メカノトランスダクションが、STSG後の過剰な線維化及び拘縮を遮断するのに好適な標的であると判断した。
【0127】
ここで、本発明者らは、メカノトランスダクションをFAK阻害を介して調整するための小分子の持続送達が、ヒト様ブタモデルにおいて、瘢痕拘縮を低減し、再生真皮リモデリングを促進し、生体力学的皮膚特性を改善するために、STSGとともに使用され得ることを実証する。本発明者らは、標準創傷及び皮膚移植片治療において一般的に使用されるヒドロゲル内のこの持続放出形態を作製した(100)。この治療法は、ヒト移植片のための有効な療法であり、これは、現在の標準治療内に組み込まれ得、外傷性及び熱傷傷害を有する患者を助長するための技術移転機会を提供する。
【0128】
瘢痕形成及び治癒を理解するために、本発明者らのグループを含む多くのグループは、広範囲の線維化疾患状態における線維芽細胞の重要な役割を包括的に調査している(23、25、26、32、33、101、102)。しかしながら、線維芽細胞転写状態は、大型動物線維化の文脈において、又は皮膚移植片治癒の一部として、以前に調査されていない。ヒトscRNA-seqの文脈において、いくつかのグループは、以前に、非創傷ヒト皮膚を特徴付け(46~48)、ヒトケロイドと非創傷皮膚を有さないヒト瘢痕とを比較した(49)。しかしながら、線維化組織と、非創傷皮膚又は薬理学的にエンリッチメントされた再生集団とを、単一細胞分解能で直接比較することが欠如している。本発明者らの研究において、本発明者らは、後期段階瘢痕形成中の骨髄系細胞及び線維芽細胞の両方が、非創傷皮膚における細胞からの最大の転写変化を有したことを見出し、本発明者らは、STSGにおける機械的シグナル伝達が、異種性の線維化促進表現型への分化を促進することを特定した。メカノトランスダクションを破壊することによって、本発明者らは、大型動物及びヒト線維芽細胞の間葉系運命傾倒を、これらの収縮性筋線維芽細胞表現型から離れるように、脂肪生成再生分化運命に向けて転換して、非創傷皮膚において少量のランダムに組織化されたコラーゲンを産生する静止状態線維芽細胞の数を回復させる能力を実証した。
【0129】
本発明者らは、驚くべきことに、メカノトランスダクションシグナル伝達を調整することが、インビボで、線維芽細胞分化を、比較的線維化促進の運命と比較的再生促進の運命との間で直接移行させることができることを特定した。様々な組織内で、完全に分化していると以前に考えられた細胞型である間葉系前駆細胞(MPC)及び筋線維芽細胞の両方が、線維化、骨/軟骨形成、又は脂肪細胞に分化するための脂肪生成のいずれかに向けて押され得る可塑性細胞型であることが見出されている(33、103)。いくつかの以前のインビトロ研究はまた、どのように機械的刺激における変化が、アクチン細胞骨格組織化及びMPC分化に影響するかを調査している。例えば、McBeath et al.は、細胞機械的ストレスの増加が、接着性MPCを骨形成に向けて案内し、非接着性円形MPCが、脂肪生成に向けて案内されたことを見出した(104)。トロンボスポンジンはまた、間葉系細胞において、骨/軟骨形成を促進し、脂肪生成を阻害することが見出されている(105、106)。ここで、本発明者らは、これらの線維芽細胞運命を、「線維化-再生の軸」上で、機械的シグナル伝達がこの軸に沿って細胞を押し引きすることで特徴付けた。
【0130】
予想外に、線維芽細胞は、転写活性における大きい変化を、治癒の早期段階中に実証しなかった。代わりに、早期時点で、メカノトランスダクションの破壊は、主に、骨髄系系譜細胞を、CXCL10媒介性抗炎症性及び再生状態に向けて押した。以前の研究は、ケモカインを分泌して炎症性細胞の動員を促進する(26)線維化の「ドライバー」としての(25)メカノ応答性線維芽細胞に着目したが、本発明者らの知見は、治癒の異なる段階中の免疫細胞と線維芽細胞メカノトランスダクションシグナル伝達との間のより複雑な相互作用を明らかにした。骨髄系細胞における機械的シグナル伝達を早期時点で制御することは、線維芽細胞表現型に直接影響し得る炎症性シグナルの分泌を調整した。いくつかの最近の研究は、これらの線維化プロセスの調節及び持続における免疫細胞についての役割を示唆したが(61~63)、本発明者らの知見は、骨髄系細胞が、実際に、線維芽細胞を「駆動」する可能性があることを明らかにした。他の線維化疾患状態、例えば、腎線維症、特発性肺線維症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、又は肝硬変を調査する多くの研究は、典型的に、単離におけるこれらの細胞型のそれぞれの重要性を特徴付けている。本発明者らの知見に基づいて、将来の研究は、広範囲の線維化疾患状態についての治療的及び技術移転転帰を改善するために、両方の細胞型間の相互作用を調査するべきである。
【0131】
まとめると、本発明者らの研究は、ヒトスケールモデル及びヒト組織の両方における線維化の包括的な特徴付けを表し、大型生物及びヒトの両方における組織再生のための機械的力の調整の重要性を一緒に連結する。メカノトランスダクションの薬理学的遮断は、早期抗炎症及び後期再生転写プログラムを促進して、線維化を軽減し、生活の質を改善することによって、臨床的転帰を改善することができる。ヒト及び他の大型生物における瘢痕形成の軽減及び組織再生の促進は、依然として生物医学研究の「聖杯」であり(107)、本発明者らの知見は、いくつかの線維化疾患のための患者治療を改善する潜在性を有し得る。
【0132】
11.補足材料及び方法:
a.動物飼育
全ての動物研究を、Stanford Universityによって承認されたAdministrative Panel on Laboratory Animal Careプロトコル(APLAC# 31530及び32962)に従って実施した。外科手術時に体重約16~20kgの6~8週齢の雌性赤Durocブタを、Pork Power Farms(Turlock,CA)から購入した。全ての動物を、到着後少なくとも1週間順化した。全ての動物に、実験室ブタ育成飼料の食餌及び水を自由に与えた。
【0133】
b.外科手術のための動物の準備
動物の絶食を、外科的手順の12時間前に実行した。麻酔を、Stanford Veterinary Service Center(VSC)の担当者と共同して投与した。初期に、動物を、筋肉内telazolの投与で鎮静させた。末梢静脈ラインを、耳の静脈内に確立した。疼痛を最小にするために、EMLA(2.5%のリドカイン及び2.5%のプリロカイン)クリームの形態の局所麻酔剤を、カニューレ挿入前に、静脈にわたって適用した。この時間中に、10(mL/kg時間)の流体を開始した。機関ガイドラインに従って、全身麻酔を、麻酔前麻酔剤としての6~8mg/kgのtelazolの1回筋肉内投与で確立し、動物に気管内チューブを挿管し、動物を、麻酔の維持のための手順にわたって、1.5~3%のイソフルランの吸入において維持した。動物を、腹臥位で配置し、それらの背を剪毛した。皮膚を、Betadine溶液で清浄化し、アルコールですすいで、皮膚病原体の混入がないことを確実にした。動物を、滅菌様式でドレープして、滅菌野を維持した。また、熱支援及び眼潤滑を使用した。各外科的手順は、動物を鎮静させた後に約2時間続いた。
【0134】
外科的部位感染を予防するために、抗生物質を予防的にかつ手術後に投与した。25mg/kgのセファゾリンを、初期傷害の60分前に静脈内投与し、外科手術の終了の12時間後に繰り返した。10mg/kgの経口アモキシシリンを、1日2回、1週間投与した。創傷を、適切なドレッシング内に覆い包んだ。疼痛の制御を、外科手術の24時間前の50mcg/時間の経皮フェンタニルの投与によって達成した。筋肉内ヒドロモルホン(0.05mg/kg)を、外科手術前に、フェンタニルパッチが外れていた場合、又はそれが配置されていなかった場合使用した。カルプロフェンを、手術後に1回使用し、続いて、24時間毎に1回、1~2日間使用し、次いで、疼痛評価に基づいて必要に応じて使用した。
【0135】
c.ブランク及びFAKI放出プルラン-コラーゲンヒドロゲル製造
本発明者らは、いくつかの修正を有する以前に記載されているもののように(23)、ブランク及びFAKI放出ヒドロゲルを製造した。1gのプルラン(TCI 9057-02-7、Tokyo)を、1gのトリメタリン酸三ナトリウム(STMP)(Sigma Aldrich T5508)及び1gの塩化カリウム(KCl)(Fisher Scientific 7447-40-7)と混合した。粉末を、脱イオン水と混合して、5mLの総体積にし、完全に混合し、続いて、0.01Mの塩酸(HCl)中の5mLの10mg/mLのウシコラーゲン懸濁液を混合した。得られた混合物を、均質になるまでボルテックスし、次いで、架橋を開始するための0.65mLの1Nの水酸化ナトリウムNaOHもまた、穏やかにボルテックスしながら添加した。混合物を、シリコンモールド内に注ぎ、次いで、滅菌フード内で、室温で一晩乾燥させた。乾燥したフィルムを、脱イオン水で洗浄して、非架橋ポリマー、NaOH、及びKClを除去した。洗浄溶液のpHを測定し、洗浄溶液が7.0~7.5のpHに達するまで洗浄し続けた。膨張したヒドロゲルを-80℃で凍結させ、その後、凍結乾燥させて、乾燥(ブランク)パッチを製造した。
【0136】
FAKI化合物を、Verastem Oncology(VS-6062)及びSelleckchem(625249)から得た。本発明者らは、FAKIを、アセトン中に1mg/mLで溶解させ、1mLの溶液を、多孔性ヒドロゲル上に均一に注ぎ、次いで、溶媒を、滅菌フード内で蒸発させた。ブランク及びFAKI含有ヒドロゲルパッチを、個々のプラスチック袋内に配置し、電子ビーム照射を使用して、20kGyの照射線量で滅菌した。
【0137】
d.パッチFAKI放出研究
本発明者の現在の研究において使用されたプルラン-コラーゲンヒドロゲルにおいて、FAKI分子は、ヒドロゲル細孔内に物理的に封入されている。本発明者らは、この足場からのFAKIのインビトロ放出試験を実施し、FAKIの制御持続放出が、最大72時間まで続くことを実証した。簡潔には、本発明者らは、3つの2つのブランクヒドロゲル及び3つのFAKIヒドロゲルを取り、それらを15,000又は25,000MWCO透析膜チューブ(Thermo Fisher Scientific)内に配置した。次いで、本発明者らは、0.5mLのPBSを添加して、透析チューブ内のヒドロゲルを膨潤させ、透析チューブを両方の側で密封し、次いで、チューブを、50mLのFalconチューブ内の10mLのPBS中に浸漬した。本発明者らは、チューブを配置して、37℃で振盪し、試料を、以下の時点、2時間、4時間、6時間、8時間、24時間、96時間時点のそれぞれで、新しいPBSを有する新しいチューブ内に移した。次いで、本発明者らは、収集された試料のFAKI含有量を、LCMS(Applied Biosystems、API 4000 Q Trap)で分析して、各パッチにおけるFAKI含有量を計算した(図10B)。ブタ皮膚上での放出を研究するために、本発明者らは、FAKIパッチ(2mgのFAKI/25cm2)を、ブタ皮膚上に12及び24時間配置して、時間依存性放出を決定した。24時間処置されたときに、FAKIを、角質層から2mmの深さで検出した(図10C)。
【0138】
e.瘢痕拘縮分析
STSGを、各ドレッシング交換時に写真で監視した。各画像を、定規又は標準測定装置とともに撮影して、測定を標準化した。瘢痕面積を、ImageJにおいて経時的に追跡した。拘縮を、瘢痕面積における変化として測定し、第1のドレッシング交換中に、STSGの面積に正規化した。2人の独立した評価者が、瘢痕面積を測定し、得られた瘢痕面積は、2つの測定の平均であった。
【0139】
f.視覚的瘢痕及び間質性上皮化評価
各創傷の肉眼写真を、各ドレッシング交換時に撮影した。瘢痕メトリックの定量化を、これらの肉眼写真で、3人の盲検化された瘢痕専門家のパネルによって、視覚的アナログスケール(VAS)を使用して、血管分布、色素沈着、観察者快適性(例えば、全体的な美容術)、許容性、及び輪郭の5つの構成要素について実行した。合計スコアを、全ての5つのスコアの集成として計算した。より低いスコアは、瘢痕外観の改善を示す。盲検化された専門家はまた、経時的な移植片におけるメッシュの間質空間間の再上皮化の量によって定義された間質性上皮化の量を評価した。また、スコア化を、追加の対照として、非創傷皮膚について実行した。
【0140】
g.皮膚生体力学的特性の粘弾性分析
cutometer(Dual MPA 580、Courage+Khazaka Electronic)を使用して、治癒組織及び非創傷皮膚の硬度及び弾性を評価した。cutometer評価は、ヒト患者における粘弾性を測定するための最も一般的な機器のうちの1つであり(111、112)、これは、負圧(吸引)を小さい円形直径(8mmのプローブ)を介して適用することによって、皮膚表面の垂直変形を測定する。2秒間の変形(吸引)、続いて、2秒間の弛緩(吸引なし)を3回適用し、平均した。硬度を、吸引期の終了時の振幅(R0メトリック)として測定し、ブランクヒドロゲルで処置されたSTSGの値に対して正規化した(111)。一貫した負圧への変形の増加は、より少ない硬度を有する組織に対応し、非創傷皮膚により類似する。
【0141】
h.ヒト及びブタ組織試験片の収集及び凍結切片化
ブタ試験片を、研究の終了時に、各創傷の中心から採取した。ヒト肥厚性瘢痕(HTS)及び非創傷皮膚試料を、承認されたIRB(#54225)下で得た。そうでなければ、研究から収集された組織試料を廃棄する。患者識別情報を、試料とともに保持しなかった。これらの試料を、4%のパラホルムアルデヒド中に即時に固定し、脱水し、最適切断温度(OCT)化合物中に凍結埋め込みして、ミクロトームクリオスタットにおいて凍結切片化した。
【0142】
i.コラーゲンアーキテクチャの組織学的分析
マッソンのトリクローム染色及びピクロシリウスレッド染色を実行し、画像を、Leica DM5000 B正立顕微鏡で撮影した。ピクロシリウスレッドについては、偏光顕微鏡を使用して、40倍の倍率画像を得、線維整列の分析を、CurveAlign(109)及びMatFiber(98、110)を使用して実行した。整列の強度は、0(完全にランダムな線維整列)~1(完全に整列した線維)の値の範囲である。個々のコラーゲン線維パラメータ(線維長さ、幅)の定量化を、CT-FIRE(http://loci.wisc.edu/software/ctfire)を使用して実行した(109、113)。
【0143】
j.免疫蛍光染色
免疫蛍光染色を、CXCL10(Thermo Fisher Scientific、PA5-46999)、F4/80(Thermo Fisher Scientific、MF48000)、CXCL14(Thermo Fisher Scientific、10468-1-AP)、トロンボスポンジン4(THBS4)(Abcam、ab263898)、アポリポタンパク質E(APOE)(Abcam、ab52607)、CD34(Abcam、ab81289)、及びアルファ平滑筋アクチン(aSMA)(Abcam、ab5694)を標的とする一次抗体を使用して実行した。蛍光面積の量を、定量化し、著者によって記述され以前に公開されたカスタムMATLAB画像処理コード(98)を使用して、細胞(個々のDAPI核)の数に正規化した。示される全ての組織像及び免疫蛍光画像は、複数の実験の代表的な画像である。
【0144】
k.単一細胞バーコード化、ライブラリ調製、及び単一細胞RNA配列決定
本発明者らは、1cm2の組織を、本発明者らのSTSG群又は非創傷皮膚の中心から得た。最初に、組織を、メスを使用して、小さい1mm2片に完全に切断し、次いで、鋭いハサミで慎重に刻んだ。scRNA-seqのための細胞捕捉を最大にするために、組織を非常に慎重に切断して、精密な組織ペースト粘ちょう度にした。増加した酵素濃度、及びPBS中の30mLの体積の1mg/mLのLiberase(Sigma-Aldrich 5401127001)を使用して、高密度の線維化ブタ細胞外マトリックスを完全に分解した。細胞消化懸濁液を、合計2時間、37℃で一定に撹拌(回転)した。組織溶液を、最大速度ボルテックスミキサー(VWR)に30秒間供し、その後、オーブン内に1時間配置し、再び合計2時間後にVWRに供して、一緒に凝集したいずれもの組織を物理的に破壊し、常に酵素消化に曝露される組織表面積を最大にした。
【0145】
組織溶液を、100μmのナイロン細胞フィルター(Fisher-Scientific 08-771-19)に通して新しいコニカルチューブに濾過し、10%のFBSの20mLのDMEMを、フィルターに通して添加して、酵素反応をクエンチし、フィルター内に捕捉されたいずれもの細胞を解放し、下流細胞収率を最大にした。溶液を、350×gで、5分間4℃で遠心分離機内でスピンさせ、上清を吸引し、次いで、細胞を、10%のFBSの20mLのDMEM中に再懸濁させ、70μmのナイロン細胞フィルターに通した。PBS中の10%のFBSの20mLの溶液(FACS緩衝液)を、フィルターに通して添加して、残った細胞を洗浄した。
【0146】
次いで、この細胞懸濁液を、濃縮溶液中に再懸濁させ、Stanford Functional Genomics Facility(SFGF)で、10x Chromium Single Cellプラットフォーム(Single Cell 3’ v3、10x Genomics、USA)を使用して、液滴ベースのマイクロ流体単一細胞RNA配列決定(scRNA-seq)に供した。細胞懸濁液、逆転写マスターミックス、及び分画油を、単一細胞チップ上にロードし、Chromium Controllerにおいて処理し、逆転写を、53℃で45分間実行した。cDNAを、合計12サイクル(BioRad C1000 Touchサーマルサイクラー)で増幅し、cDNAサイズを、SpriSelectビーズ(Beckman Coulter、USA)及び3:5の比のSpriSelect試薬体積対試料体積を使用して選択した。cDNAを、Agilent Bioanalyzer High Sensitivity DNAチップ上で定性的制御のために分析し、5分間32℃で断片化し、続いて、末端修復及びAテーリングを、65℃で30分間行い、次いで、ダブルサイドサイズを、SpriSelectで選択した。配列決定アダプターを、20℃で15分間、cDNAにライゲーションした。cDNAを、試料特異的インデックスオリゴをプライマーとして使用して増幅し、続いて、ダブルサイドサイズ選択を更に1回行った。最終ライブラリを、Agilent Bioanalyzer High Sensitivity DNAチップ上で定性的制御目的で分析した。cDNAライブラリを、HiSeq 4000 Illuminaプラットフォームにおいて、1細胞当たり50,000個のリードを目標にして配列決定した。
【0147】
l.カスタムブタトランスクリプトーム
本発明者らは、カスタムブタトランスクリプトームを、Sus Scrofaゲノム(Ensemble、v11.1)を使用して、非モデル生物についての10Xプロトコル(44)に従って生成して作製し、本発明者らは、これを、修正された10X CellRangerパイプラインの一部としての実装についての説明書とともに一般に入手可能にした(Data Availability and Materialsを参照されたい)。簡潔には、ブタ参照ゲノム(Sus scrofa11.1、リリース98)を、Ensemblウェブサーバ(https://uswest.ensembl.org/Sus_scrofa/Info/Index)から得た。個々の染色体についてのFastaファイルを、cshellにおけるバッチ連結を使用してマージした。GTFアノテーションを、以下の引数を使用するCellRanger(10X Genomics)「mkgtf」関数を使用してフィルタリングした。
【表1】
【0148】
次いで、これらのGTF及びFASTQファイルを、CellRanger「mkref」コマンドを使用して、デフォルトパラメータ化でアセンブルした。全てのリード断片を、標準塩基マッチング閾値(51)、続いて、細胞逆多重化及びUMIバッチ補正(52)を使用して、このトランスクリプトームにアライメントし、本発明者らが、各ブタ試料についての単一細胞mRNAカウントマトリックスを生成することを可能にした。
【0149】
m.データ処理、FASTQ生成、及びリードマッピング
ベースコールを、mkfastqのCell Ranger(10X Genomics;バージョン3.1)実装を使用してリードに変換し、次いで、Cell Rangerのカウント関数及びSC3Pv3化学、並びに1試料当たり5,000個の予想される細胞を使用して、本発明者らのカスタムブタトランスクリプトームに対してアライメントした(51)。細胞バーコードを、少なくとも200個のプロファイリングされた固有転写物、10,000個未満の総転写物、及びミトコンドリア起源のそれらのトランスクリプトームの10%未満を有する最適化された閾値に基づいて、高品質のためにフィルタリングした(114)。
【0150】
n.データ正規化及び特徴的な亜集団マーカーの生成
各細胞バーコードからの固有分子識別子(UMI)を、全ての下流分析のために保持した。生UMIカウントを、1細胞当たり10,000個のUMIのスケール因子で正規化し、その後、RパッケージSeurat(バージョン3.1.1)を使用して、1の擬似カウントで自然対数変換した(52)。高度のバリアブル遺伝子を特定し、細胞を、ミトコンドリア転写産物の分数への回帰によってスケーリングした。次いで、集約されたデータを、均一多様体近似及び射影(UMAP)分析を使用して、最初の15個の主構成要素にわたって評価した(115)。自動化細胞アノテーションを、SingleRツールキット(バージョン3.11)を使用して、ENCODEブルーデータベース(116)に帰した。本発明者らは、ヒトアノテーションを使用したため、細胞型を、本発明者らのデータセット内の細胞特異的マーカーも調べることによって確認した。差次的に発現された遺伝子を、SeuratのネイティブFindMarkers関数及び0.5の対数倍率変化閾値で、ROC試験を使用して特定して、予測力を各遺伝子に割り当てた。
【0151】
o.Genetrail3を使用する過剰提示分析
Genetrail 3(53)を使用して、過剰表現分析(ORA)を、500個の最も発現されたタンパク質コード遺伝子、並びに遺伝子セットGene Ontology:生物学的プロセス(GO-BP)及びWikiPathways(WP)を使用して、各細胞について実行した。P値を、ベンジャミニ-ホッホベルグ手順を使用して調整し、遺伝子セットは、2つ~1000個の遺伝子を有することが必要とされた。
【0152】
p.scVeloを使用するRNA速度分析
RNA速度分析を、scVeloパッケージの動的モデルを使用して実行した(80)。パーティションベースのグラフ抽象化(PAGA)を、scVeloにおけるsc.tl.paga関数を使用して実行した。
【0153】
他の全てのクラスターと比較して、差次的に調節された転写ダイナミクスを有する遺伝子を見出すために、保存的であると過大評価された分散を有するウェルチのt検定を、sc.tl.rank_velocity_genes関数を使用して適用した。遺伝子を、処置によって群化された動的モデルから得られたそれらの可能性によってランク付けした。
【0154】
q.CellRank
CellRankを使用して、線維芽細胞分化の動的プロセスを、単一細胞データのマルコフ状態モデリングに基づいて明らかにした。初期及び終末細胞状態、並びに線維芽細胞運命確率を、CellRankで、scVeloによって提供された動的RNA速度情報に基づいて計算した。
【0155】
r.線維芽細胞集合3Dコラーゲン足場実験
本発明者らは、真皮線維芽細胞を、健常ヒト及びブタ皮膚試料の両方から単離し培養した。線維芽細胞を、機械的及び酵素消化によって単離し、標準条件下で、継代3まで培養した。本発明者らの以前に公開されたプロトコル(98)に従って、本発明者らは、一次線維芽細胞を使用して、線維芽細胞集合コラーゲンヒドロゲルを、200k個の細胞/mL及び2mg/mLのコラーゲン(PureCol、Advanced Biomatrix 5005)の濃度で作製した。簡潔には、コラーゲン足場を、スポンジをアームにおいて有する十字型の形状で作製し、ペトリ皿内で、硬化ポリジメチルシロキサン(PDMS;Sylgard 184 Silicone Elastomer Kit;Dow Corning)の層(約0.5cm)の上で培養した。ピンを、ヒドロゲル十字型アームにおけるスポンジに押し通して、初期前培養期間(24時間)中に足場を押さえつけた。次いで、本発明者らは、足場を、0%の歪み(歪みなし)又は10%の等二軸歪み(FAKIを有するもの又はそれを有さないもののいずれか)のいずれかに、更に48時間供した。歪みに供された未処置細胞に、10μLのDMSOを20mLの培養培地中で付与し、歪みに供された処置細胞に、DMSO中の10μLの20mMのFAKIを、20mLの培養培地中で投与して、10μMのFAKIの最終濃度を達成した。
【0156】
本発明者らは、縫合を使用して、9つの酸化チタン(IV)ドット(Sigma-Aldrich 248576)を、ゲルの中央領域の表面上に塗って、適用された歪みを追跡及び定量化した。本発明者らは、デジタルカメラを使用して、歪みの前かつその後に、マーカーを撮像した。歪みを、ピンを除去し、ヒドロゲル十字型アームを手動で伸長させ、ピンをアームに再び押し通して、足場を新しい伸長位置に保持することによって適用した。マーカー位置の写真を使用して、単一均質変形勾配テンソルFを計算し、これにより、未変形位置から変形位置への9つのマーカー位置の最小二乗最適適合マッピングを、以下の優決定行列方程式を解くことによって提供した:
x=FX+p [1]、
式中、pは、画像間の移動を考慮するために含まれる任意のベクトルである。本発明者らは、以下を使用して、変形を歪みテンソルEに変換した:
【数1】
式中、Iは、3×3の単位行列であり、3×3の単位行列は、主対角線上に1を有し、他の場所にゼロを有し、FTは、線形代数原理に従って、行列の転置を表す(117)。この歪みマトリックスEを計算することによって、本発明者らは、x及びy方向の両方の歪みを決定した。本発明者らは、ピンを手動で調整し、アームを反復で伸長させ、追加の写真を撮影し、その後、両方の方向に適用された全体的な歪みが約0.10(±0.01)になるまで、歪みを計算した。
【0157】
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【0158】
上記の実施形態のうちの少なくともいくつかでは、一実施形態で使用される1つ以上の要素は、置換えが技術的に実現可能である限り、別の実施形態で互換的に使用され得る。当業者は、特許請求される主題の範囲から逸脱することなく、上記の方法及び構造に他の様々な省略、追加、及び修正を行うことができることを理解されたい。全てのかかる修正及び変更は、添付の特許請求の範囲によって定義される主題の範囲内に入ることが意図される。
【0159】
概して、本明細書で使用される用語、及び特に、添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本体)で使用される用語は、概して、「オープンな」用語として意図されている(例えば、「含む(including)」という用語は、「含むが、これらに限定されない」と解釈されるべきであり、「有する」という用語は、「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は、「含むが、これらに限定されない」と解釈されるべきであることなど)ことが、当業者には理解されよう。特定の数の導入された特許請求の範囲の記載が意図される場合、かかる意図が特許請求の範囲内で明示的に記載され、かかる記載がない場合、かかる意図は存在しないことが当業者によって更に理解されるであろう。例えば、理解の補助として、以下の添付の特許請求の範囲は、特許請求の範囲の記載を導入するための「少なくとも1つ」及び「1つ以上」という導入語句の使用を含み得る。ただし、かかる語句の使用は、不定冠詞「a」又は「an」による特許請求の範囲の記載の導入が、かかる導入された特許請求の範囲の記載を含む特定の特許請求の範囲を、かかる記載を1つだけ含む実施形態に限定することを意味すると解釈されるべきではない。同じ主張には、「1つ以上」又は「少なくとも1つ」という導入語句と、「a」又は「an」などの不定冠詞が含まれる(例えば、「a」及び/又は「an」は「少なくとも1つ」又は「1つ以上」);同じことが、特許請求の範囲の記載を紹介するために使用される定冠詞の使用にも当てはまる。加えて、導入された特許請求の範囲の特定の数の記載が明示的に記載されていても、当業者は、かかる記載は、少なくとも記載された数を意味すると解釈されるべきであることを認識するであろう(例えば、他の修飾語なしの「2つの記載」のありのままの記載は、少なくとも2つの記載、又は2つ以上の記載を意味する)。更に、「A、B、及びCなどのうちの少なくとも1つ」に類似する慣習が使用される場合、概して、かかる構成は、当業者が慣習を理解するという意味で意図される(例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」には、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びB共に、A及びC共に、B及びC共に、並びに/又はA、B、及びC共になどを有するシステムが含まれるが、これらに限定されない)。「A、B、又はCなどのうちの少なくとも1つ」に類似する慣習が使用される場合、概して、かかる構成は、当業者が慣習を理解するという意味で意図される(例えば、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」には、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びB共に、A及びC共に、B及びC共に、並びに/又はA、B、及びC共になどを有するシステムが含まれるが、これらに限定されない)。明細書、特許請求の範囲、又は図面に関わらず、2つ以上の代替用語を提示する実質的に任意の離接語及び/又は語句は、用語の1つ、用語のいずれか、又は両方の用語を含む可能性を企図するように理解されるべきであることが、当業者によって更に理解されるであろう。例えば、「A又はB」という語句は、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むと理解されるであろう。
【0160】
加えて、本開示の特徴又は態様が、マーカッシュ群の観点から記載される場合、したがって、本開示はまた、マーカッシュ群のいずれもの個々のメンバー又はメンバーのいずれものサブ群の観点から記載されることが、当業者には認識されよう。
【0161】
当業者には理解されるように、あらゆる目的で、例えば、書面による説明を提供する観点から、本明細書に開示される全ての範囲はまた、あらゆる可能なサブ範囲、及びそれらのサブ範囲の組み合わせを包含する。任意のリストされた範囲は、同じ範囲が、少なくとも等しい2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分解されることを十分に示し、分解されることを可能にするものとして容易に認識され得る。非限定的な例として、本明細書で考察される各範囲は、容易に、下側の3分の1、真ん中の3分の1、及び上側の3分の1などに分解され得る。当業者に同様に理解されるように、「最大」、「少なくとも」、「より大きい」、「より少ない」などの全ての用語は、記載される数を含み、上述のようにサブ範囲に後に分解され得る範囲を指す。最後に、当業者に理解されるように、範囲は各個々のメンバーを含む。したがって、例えば、1~3個の物品を有する群は、1個、2個、又は3個の物品を有する群を指す。同様に、1~5個の物品を有する群は、1個、2個、3個、4個、又は5個の物品を有する群を指す、等々。
【0162】
上記の本発明は、例示及び例として、理解の明確さの目的で、ある程度詳細に記載されているが、本発明の教示を鑑みて、ある変更及び修正が、添付の特許請求の範囲の趣旨又は範囲から逸脱することなく本発明になされ得ることが、当業者には容易に明らかである。
【0163】
したがって、上記は、本発明の原理を単に例示するものである。当業者は、本明細書に明示的に記載又は示されていないが、本発明の原理を具現化し、その趣旨及び範囲内に含まれる様々な構成を考案することが可能であろうことが理解されるであろう。更に、本明細書に列挙される全ての例及び条件付き言語は、主に、本発明の原理及び本発明者によって当該技術分野を促進するために寄与する概念を閲読者が理解するのを支援することを意図しており、そのような具体的に列挙される例及び条件に限定されるものではないと解釈されるものである。更に、本発明の原理、態様、及び実施形態、並びにそれらの特定の実施例を列挙する本明細書の全ての記述は、それらの構造的及び機能的同等物の両方を包含することが意図される。加えて、そのような同等物は、現在知られている同等物及び将来開発される同等物の両方、すなわち、構造に関係なく、同じ機能を実施する開発される任意の要素を含むことが意図される。更に、本明細書に開示のいかなるものも、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に列挙されているかどうかに関わらず、公共に供することを意図しない。
【0164】
したがって、本発明の範囲が、本明細書に示され記載される例示的な実施形態に限定されることは意図されていない。むしろ、本発明の範囲及び趣旨は、添付の特許請求の範囲によって具現化される。特許請求の範囲において、米国特許法第112条(f)又は米国特許法第112条(6)は、特許請求の範囲への限定の始まりの正確な語句「のための手段」又は正確な語句「のためのステップ」が列挙されている場合にのみ、そのような特許請求の範囲に限定するために公使されると明示的に定義され、そのような正確な語句が、特許請求の範囲への限定において使用されない場合、米国特許法第112条(f)又は米国特許法第112条(6)は行使されない。
図1-1】
図1-2】
図2-1】
図2-2】
図3-1】
図3-2】
図4-1】
図4-2】
図5-1】
図5-2】
図5-3】
図6-1】
図6-2】
図7-1】
図7-2】
図8-1】
図8-2】
図9-1】
図9-2】
図10
図11-1】
図11-2】
図11-3】
図12-1】
図12-2】
図13
図14-1】
図14-2】
図14-3】
図15
図16
図17
【国際調査報告】