(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】回路基板制振機構及びそれを採用した車載機器
(51)【国際特許分類】
H05K 7/14 20060101AFI20240730BHJP
F16F 15/08 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
H05K7/14 D
F16F15/08 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501128
(86)(22)【出願日】2022-07-06
(85)【翻訳文提出日】2024-02-28
(86)【国際出願番号】 CN2022104120
(87)【国際公開番号】W WO2023280204
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】202110778824.1
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524009565
【氏名又は名称】シャンハイ ユーシン エレクトロニクス テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI YUXING ELECTRONICS TECHNOLOGY CO., LTD
【住所又は居所原語表記】Room 206, Floor 2, Building 1, No.99, Lane 215, Gaoguang Road, Qingpu District, Shanghai, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フー ビンカイ
【テーマコード(参考)】
3J048
5E348
【Fターム(参考)】
3J048AA01
3J048BA05
3J048BB01
3J048DA03
3J048EA07
5E348AA11
5E348AA16
5E348AA32
(57)【要約】
本願発明は、回路基板制振機構及びそれを採用した車載機器を開示し、該機構は、貫通穴を有する回路基板を底板に固定するために使用され、前記制振機構は、前記底板に固設される組立プレートと、固定ボルトであって、前記固定ボルトは、ナットとスタッドを含み、前記スタッドは、前記貫通穴を通過して前記ナットと嵌合することで、前記回路基板を前記組立プレートに固定する固定ボルトと、前記回路基板と前記固定ボルトのナットとの間に設置される制振ワッシャと、を含む。本願発明では、制振ゴムリングの支持リング部は、回路基板の主重量を支持し、機器が縦揺れした場合、支持リング部は、上部の制振ワッシャと上下の緩衝構造を構成すると同時に、ゴムリング自体の弾性を利用して固定ボルトの作用下で回路基板を押し付けることができるため、回路基板の上下揺れを回避できると同時に、回路基板の縦方向の衝撃を緩衝することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通穴を有する回路基板(1)を底板(2)に固定するための回路基板制振機構であって、
固定ボルト(32)であって、前記固定ボルト(32)は、ナット(321)とスタッド(322)を含み、前記スタッド(322)が前記貫通穴を通過して前記ナット(321)と嵌合することで、前記回路基板(1)を前記底板(2)に固定する固定ボルト(32)と、
制振ゴムリング(33)であって、前記制振ゴムリング(33)は、前記スタッド(322)の外側に被せられ、前記制振ゴムリング(33)は、階段状を呈し、上部の緩衝リング部(331)と下部の支持リング部(332)を含み、前記緩衝リング部(331)は、前記貫通穴内に貫設されて前記スタッド(322)と前記貫通穴の内端面との緩衝構造を構成し、前記支持リング部(332)は、前記回路基板(1)と前記底板(2)との間に係止されて前記回路基板(1)の支持構造を構成する制振ゴムリング(33)と、
前記回路基板(1)と前記固定ボルト(32)のナット(321)との間に設置される制振ワッシャ(34)と、を含むことを特徴とする、回路基板制振機構。
【請求項2】
組立プレート(31)をさらに含み、前記組立プレート(31)は、前記底板(2)に固設され、
前記スタッド(322)は、前記貫通穴を通過して前記ナット(321)と嵌合することで、前記回路基板(1)を前記組立プレート(31)に固定し、
前記支持リング部(332)は、前記回路基板(1)と前記組立プレート(31)との間に係止されて前記回路基板(1)の支持構造を構成することを特徴とする、請求項1に記載の回路基板制振機構。
【請求項3】
前記緩衝リング部(331)のスタッド(322)の軸方向に沿った厚さは、実装された前記回路基板(1)の厚さよりも大きいことを特徴とする、請求項1又は2に記載の回路基板制振機構。
【請求項4】
前記制振ワッシャ(34)は、上部ゴムパッド(341)と下部ゴムパッド(342)を含み、前記上部ゴムパッド(341)は、前記ナット(321)の下側に設置され、前記下部ゴムパッド(342)は、前記上部ゴムパッド(341)と前記回路基板(1)との間に設置され、前記下部ゴムパッド(342)は、軟質パッドであり、前記上部ゴムパッド(341)の硬度は、前記下部ゴムパッド(342)の硬度よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の回路基板制振機構。
【請求項5】
前記組立プレート(31)には、複数の固定穴が開けられ、少なくとも2つの固定穴は、互いに連携して、前記底板(2)と嵌合接続された固定グループを構成し、前記固定グループの前記固定穴内には、ネジ(319)が設けられ、前記組立プレート(31)は、前記ネジ(319)により前記底板(2)に固定されることを特徴とする、請求項2に記載の回路基板制振機構。
【請求項6】
圧力リベットナット(312)をさらに含み、前記組立プレート(31)には、実装穴が設けられ、前記固定ボルト(32)は、ねじ頭部(323)をさらに含み、前記ねじ頭部(323)は、前記実装穴を通過して前記圧力リベットナット(312)と嵌合することで、前記回路基板(1)を前記組立プレート(31)に固定することを特徴とする、請求項2に記載の回路基板制振機構。
【請求項7】
前記ねじ頭部(323)の直径は、前記実装穴の直径よりも小さく、前記スタッド(322)の直径は、前記実装穴の直径よりも大きいことを特徴とする、請求項6に記載の回路基板制振機構。
【請求項8】
前記スタッド(322)の長さは、自然状態での前記制振ワッシャ(34)と前記制振ゴムリング(33)の厚さの和よりも僅かに小さく、極端に押し付けられた場合の前記制振ワッシャ(34)と前記制振ゴムリング(33)の厚さの和よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の回路基板制振機構。
【請求項9】
前記スタッド(322)の長さHは、
【数11】
であり、ここで、
【数12】
は、制振ワッシャ(34)の総厚さを表し、h
3は、制振ゴムリング(33)における支持リング部(332)の厚さを表し、h
4は、前記回路基板(1)の厚さを表し、
【数13】
は、支持リング部(332)の予め設定された圧縮比を表し、
【数14】
は、制振ワッシャ(34)の単位横断面積当たりの弾性係数を表し、k
3は、制振ゴムリング(33)における支持リング部(332)の単位横断面積当たりの弾性係数を表し、S
n3は、制振ワッシャ(34)と支持リング部(332)との横断面積比率を表すことを特徴とする、請求項1に記載の回路基板制振機構。
【請求項10】
前記制振ゴムリング(33)と前記スタッド(322)との間の隙間は、1mmよりも小さく、前記緩衝リング部(331)の厚さは、前記回路基板(1)の厚さよりも少なくとも1mm大きいことを特徴とする、請求項1又は2に記載の回路基板制振機構。
【請求項11】
前記制振ワッシャ(34)の内径は、前記制振ゴムリング(33)の内径よりも小さいことを特徴とする、請求項1又は2に記載の回路基板制振機構。
【請求項12】
前記底板(2)は、車載機器の筐体の上部底板又は下部底板であることを特徴とする、
請求項1又は2に記載の回路基板制振機構。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の回路基板制振機構を採用することを特徴とする、車載機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願発明は、2021年07月09日に提出された、出願番号が202110778824.1であり、発明の名称が「回路基板制振機構及びそれを採用した車載機器」である中国特許出願に基づく優先権を主張する。
【0002】
本発明は、車載機器の回路基板と筐体を実装する技術分野に属し、特に回路基板制振機構及びそれを採用した車載機器に関する。
【背景技術】
【0003】
車載機器又は運動特性や振動特性を有する他の機器では、機器本体自体の振動特性により、機器内の回路基板の制振は、ずっと大きな問題となっており、現在の制振機構では、回路基板がワッシャとボルトにより筐体に実装されることが多く、個別の機器では、回路基板が接着剤で筐体に接着される。上記回路基板を実装するプロセスにおいて、筐体と回路基板は、ボルト又は接着剤で接続されるため、筐体の振動は、内部の回路基板に直接伝わり、筐体の衝撃が大きい場合、回路基板を損傷しやすい。
【発明の概要】
【0004】
筐体と回路基板との接続に関する上記問題を解決するために、本願発明は、回路基板制振機構及びそれを採用した車載機器を提供する。
【0005】
その制振機構は、貫通穴を有する回路基板を底板に固定するための回路基板制振機構であって、前記制振機構は、
固定ボルトであって、前記固定ボルトは、ナットとスタッドを含み、前記スタッドが前記貫通穴を通過して前記ナットと嵌合することで、前記回路基板を前記底板に固定する固定ボルトと、
制振ゴムリングであって、前記制振ゴムリングは、前記スタッドの外側に被せられ、前記制振ゴムリングは、階段状を呈し、上部の緩衝リング部と下部の支持リング部を含み、前記緩衝リング部は、前記貫通穴内に貫設されて、前記スタッドと前記貫通穴の内端面との緩衝構造を構成し、前記支持リング部は、前記回路基板と前記底板との間に係止されて、前記回路基板の支持構造を構成する制振ゴムリングと、
前記回路基板と前記固定ボルトのナットとの間に設置される制振ワッシャと、を含むことを特徴とする。
【0006】
さらに、前記底板に固設される組立プレートと、
固定ボルトであって、前記固定ボルトは、ナットとスタッドを含み、前記スタッドが前記貫通穴を通過して前記ナットと嵌合することで、前記回路基板を前記組立プレートに固定する固定ボルトと、を含み、
前記支持リング部は、前記回路基板と前記組立プレートとの間に係止されて、前記回路基板の支持構造を構成する。
【0007】
さらに、スタッドの軸方向に沿った前記緩衝リング部の厚さは、実装された前記回路基板の厚さよりも大きい。
【0008】
さらに、前記制振ワッシャは、上部ゴムパッドと下部ゴムパッドを含み、前記上部ゴムパッドが前記ナットの下側に設置され、前記下部ゴムパッドが前記上部ゴムパッドと前記回路基板との間に設置され、前記下部ゴムパッドが軟質パッドであり、前記上部ゴムパッドの硬度が前記下部ゴムパッドの硬度よりも大きい。
【0009】
さらに、前記組立プレートには、複数の固定穴が開けられ、少なくとも2つの固定穴が互いに連携して前記底板と嵌合接続された固定グループを構成し、前記固定グループの前記固定穴内には、ネジが設けられ、前記組立プレートは、前記ネジにより前記底板に固定される。
【0010】
さらに、圧力リベットナットをさらに含み、前記組立プレートには、実装穴が設けられ、前記固定ボルトは、ねじ頭部をさらに含み、前記ねじ頭部が前記実装穴を通過して前記圧力リベットナットと嵌合することで、前記回路基板を前記組立プレートに固定する。
【0011】
前記ねじ頭部の直径は、前記実装穴の直径よりも小さく、前記スタッドの直径は、前記実装穴の直径よりも大きい。
【0012】
さらに、前記スタッドの長さは、自然状態での前記制振ワッシャと前記制振ゴムリングの厚さの和よりも僅かに小さく、極端に押し付けられた場合の前記制振ワッシャと前記制振ゴムリングの厚さの和よりも大きい。
【0013】
さらに、前記スタッドの長さHは、
【数1】
であり、ここで、
【数2】
は、制振ワッシャの総厚さを表し、h
3は、制振ゴムリングにおける支持リング部の厚さを表し、h
4は、回路基板の厚さを表し、
【数3】
は、支持リング部の予め設定された圧縮比を表し、
【数4】
は、制振ワッシャの単位横断面積当たりの弾性係数を表し、k
3は、制振ゴムリングにおける支持リング部の単位横断面積当たりの弾性係数を表し、S
n3は、制振ワッシャと支持リング部との横断面積比率、すなわち、制振ワッシャの横断面積を支持リング部の横断面積で割った値を表す。
【0014】
さらに、前記制振ゴムリングと前記スタッドとの間の隙間は、1mmよりも小さく、前記緩衝リング部の厚さは、実装された前記回路基板の厚さよりも少なくとも1mm大きい。
【0015】
さらに、前記制振ワッシャの内径は、前記制振ゴムリングの内径よりも小さい。
【0016】
さらに、前記底板は、車載機器の筐体の上部底板又は下部底板である。
【0017】
本願発明は、車載機器をさらに提案し、該機器は、上記のうちのいずれかの回路基板制振機構を採用する。
【0018】
本願発明における底板とは、回路基板が応用又は実装される領域の基礎プレートを指し、例えば、それは、車載機器の筐体又は運動特性や振動特性を有する他の機器の筐体、側壁などであってもよい。
【0019】
本願発明の利点は、以下のとおりである。
(1)組立プレートを底板と回路基板との間の緩衝板とすることにより、実装プロセスで、回路基板は、本体筐体である底板と接触せず、筐体の振動が回路基板に直接伝わらないと同時に、筐体と組立プレートの二重層構造は、筐体の機械的強度を向上させることができ、さらに、組立プレートは、底板と回路基板との間の中継作用を果たし、回路基板のサイズ・仕様への要求がないため、回路基板のカスタマイズのコストを低減することができ、
(2)制振ゴムリングは、柔軟な材質であり、形状が階段構造であり、下部の支持リング部が回路基板と組立プレートとの間に係止され、支持リング部は、押し付けの下で回路基板と組立プレートと面接触しており、受力が均一であり、軟質ゴム表面の摩擦力が大きいため、回路基板の軸方向及び半径方向の振動を回避できると同時に、それは、柔らかく、接触面が大きく、応力が小さいため、劣悪な動作条件下での回路基板の耐用年数を延ばすことができ、緩衝リング部は、貫通穴内に延びてスタッドと回路基板との間に緩衝を提供し、
(3)制振ワッシャは、支持リング部及びナットと連携して回路基板を挟持でき、制振ワッシャ、回路基板、支持リング部間は、それぞれ面接触しているため、回路基板のスタッドの半径方向の振動を緩衝することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明の実施例又は従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明に使用される図面を簡単に説明するが、以下の説明における図面は、本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を要することなく、これらの図面から他の図面を取得することもできることは明らかである。
【
図1】本願発明の一実施形態を示す断面概略図である。
【
図2】
図1の構造の一実施形態を示す分解概略図である。
【
図3】本願発明の固定ボルトと回路基板との嵌合構造の一実施形態を示す構造概略図である。
【
図4】本願発明の機器の一実施形態を示す分解構造概略図である。
【
図5】本願発明の機器の一実施形態を示す底面構造概略図である。
【
図6】本願発明の機器の一実施形態を示す俯瞰構造概略図である。
【
図7】本願発明の固定ボルトの一実施形態を示す構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
当業者が本願発明の技術的解決手段をより良く理解できるようにするために、以下、図面及び実施例と併せて本発明をさらに詳細に説明する。
【0022】
以下、図面と併せて本願発明の技術的解決手段を明確かつ完全に説明するが、記載された実施例は、本願発明の実施例の一部であり、実施例のすべてではないことは明らかである。本願発明の実施例に基づいて、当業者が創造的な労力を要することなく想到しうる他のすべての実施例は、いずれも本願発明の保護範囲に属する。
【0023】
なお、本願発明の説明において、「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内」、「外」などの用語が示す方位又は位置関係は、図面に示される方位又は位置関係に基づくものであり、本願発明を容易に説明し、説明を簡略化するためにのみ使用され、言及される装置又は素子が特定の方位を有しなければならず、特定の方位で構築及び操作されなければならないことを示す又は暗示するものではないため、本願発明の限定として解釈されるべきではない。さらに、「第1」、「第2」、「第3」という用語は、説明の目的のみに使用され、相対的な重要性を示す又は暗示するものとして解釈されるべきではない。
【0024】
なお、本願発明の説明において、明確な規定と限定がない限り、用語「実装」、「連接」、「接続」は、広義的に理解されるべきであり、例えば、固定的な接続であってもよいし、取り外し可能な接続又は一体的な接続であってもよく、機械的接続であってもよいし、電気的接続であってもよく、直接的な連接であってもよいし、中間媒体を介した間接的な連接であってもよく、2つの素子の内部連通であってもよい。当業者にとって、特定の状況に基づいて本願発明における上記用語の特定の意味を理解することができる。
【0025】
以下、図面と併せて、本発明をさらに詳細に説明する。
【0026】
図1-
図4は、本願発明の回路基板制振機構の一実施形態を示す。該回路基板制振機構は、貫通穴を有する回路基板1を底板2に固定するために使用され、
図2を参照すると、前記制振機構は、前記底板2に固設される組立プレート31と、固定ボルト32であって、前記固定ボルト32は、ナット321とスタッド322を含み、前記スタッド322は、前記貫通穴を通過して前記ナット321と嵌合することで、前記回路基板1を前記組立プレート31に固定する固定ボルト32と、制振ゴムリング33であって、前記制振ゴムリング33は、前記スタッド322の外側に被せられ、前記制振ゴムリング33は、階段状を呈し、上部の緩衝リング部331と下部の支持リング部332を含み、前記緩衝リング部331が前記貫通穴内に貫設されて前記スタッド322と前記貫通穴の内端面との緩衝構造を構成し、前記支持リング部332が前記回路基板1と前記組立プレート31との間に係止されて前記回路基板1の支持構造を構成する制振ゴムリング33と、前記回路基板1と前記固定ボルト32のナット321との間に設置される制振ワッシャ34と、を含む。本実施形態では、
図3を参照すると、制振ゴムリング33の支持リング部332は、回路基板1の主重量を支持し、機器が縦揺れした場合、支持リング部332と上部の制振ワッシャ34が上下の緩衝構造を構成すると同時に、ゴムリング自体の弾性を利用して固定ボルト32の作用下で回路基板1を押し付けることができるため、回路基板1の上下揺れを回避できる同時に、回路基板1の縦方向の衝撃を緩衝することができる。
【0027】
前記緩衝リング部331は、スタッド322の軸方向に沿った厚さが実装された前記回路基板1の厚さよりも大きい。本実施例では、緩衝リング部331は、固定ボルト32と回路基板1の貫通穴との間に延びており、緩衝リング部331は、回路基板1の貫通穴と固定ボルト32との間の横方向の衝撃を緩衝できると同時に、制振ワッシャ34及び支持リング部332と連携して回路基板の貫通穴の位置決め構造を構成することで、回路基板1と固定ボルト32が直接接触しないようにすることができるため、剛性のある固定ボルトが衝撃力の作用下で回路基板1を損傷することを回避することができる。
【0028】
図1、
図2に示す実施形態では、任意選択で、組立プレート31を省略し、貫通穴を有する回路基板1を底板2に直接固定してもよい。すなわち、底板2に穴を開けるか、又は組立プレート31と底板2との間の固定穴を利用して、固定ボルト32を底板2に直接固定し、制振ゴムリング33と回路基板1を底板2で直接接続することで、組立プレート31を減少させ、コストを低減することになる。しかし、該構造は、組立プレートがある機構に比べて、底板2に対する要求が高く、回路基板1に適合しなければならないことを要求するため、組立プレート31がある構造よりも柔軟ではない。本発明では、組立プレート31は、中継作用をさらに有し、組立プレート31は、単純な板状であり、底板2は、一般的に機器の筐体であり、組立プレート31の各位置に穴を開けて回路基板1を実装することは、筐体に穴を開けて実装するよりも簡単で迅速であり、且つコストが低く、サイズ・仕様の異なる回路基板1は、いずれも同じ仕様の組立プレート31の異なる位置に穴を開けて実装し、その後、同じ仕様の底板2に固定することにより、回路基板1と底板2の実装コストを低減することができる。
【0029】
図3を参照すると、本実施形態では、前記制振ワッシャ34は、上部ゴムパッド341と下部ゴムパッド342を含み、前記上部ゴムパッド341は、前記ナット321の下側に設置され、前記下部ゴムパッド342は、前記上部ゴムパッド341と前記回路基板1との間に設置され、前記下部ゴムパッド342は、軟質パッドであり、前記上部ゴムパッド341の硬度は、前記下部ゴムパッド342の硬度よりも大きい。制振ワッシャ34は、本実施形態の上下連携構造を採用し、上部にある硬質上部ゴムパッド341は、ナット321との付着を回避できるため、ナット321を十分に回して回路基板1を押し付けることを確保することができるのに対し、下部にある軟質下部ゴムパッド342は、主に緩衝作用を果たし、ナット321から伝わる圧力を回路基板1に均等に分散させることを確保することができるため、回路基板1が受ける力は不均等であることを回避することができる。本願発明の上部ゴムパッド341と下部ゴムパッド342の二重層構造では、下部ゴムパッド342は、弾性がよく、ナット321と回路基板1にそれぞれ弾力を与え、ナット321が締められた後、上部ゴムパッド341を介して弾力をナット321に均等に分散させることができると同時に、ナット321に自己締め作用を果たすことができるため、経年使用による固定ボルトの緩みを回避することができる。
【0030】
図1-2を参照すると、前記組立プレート31には、複数の固定穴が開けられ、少なくとも2つの固定穴が互いに連携して、前記底板2と嵌合接続する固定グループを構成し、前記固定グループの前記固定穴内には、ネジ319が設けられ、前記組立プレート31は、前記ネジ319により前記底板2に固定される。本願発明では、組立プレート31は、固定穴グループにより底板2に点固定され、回路基板1は、固定ボルト32により組立プレート31に点固定され、「点固定」の固定方式は、固定面積と振動伝達面積を減少させることができ、中間に設置される組立プレート31を採用することにより、制振作用を十分に発揮し、回路基板1に対する底板2の衝撃を最大限に減衰させることができる。組立プレート31の材質は、一定の弾性を有するが、弾性があまり良くない材質であるため、制振作用を果たすと同時に、弾性が良すぎることによる回路基板1の振動を回避することもできる。
【0031】
図3を参照すると、底板2に近い前記組立プレート31の片側には、圧力リベットナット312が設けられ、前記スタッド322は、前記圧力リベットナット312と嵌合して前記回路基板1を前記組立プレート31に固定する。本技術的解決手段において、圧力リベットナット312がスタッド322と嵌合することで、スタッド322と組立プレート31の直接螺合を回避できるため、組立プレート31の耐用年数を延ばすことができ、その後のメンテナンスでは、組立プレート31を交換することなく、圧力リベットナット312又はスタッド322を簡単に交換するだけでよい。同時に、組立プレート31に、ネジ穴の代わりに仕様穴を開ける方式は、従来の圧力リベットナット312及び固定ボルト32を選択するのに便利であるため、本願発明の大規模生産を容易にすることができる。
【0032】
本実施例では、新型構造の圧力リベットナット312を採用し、
図3及び
図7に示すように、組立プレート31には、実装穴が設けられ、スタッド322の下方には、ねじ頭部323があり、ねじ頭部323の直径は、組立プレート31における実装穴の直径よりも小さく、スタッド322の直径は、組立プレート31における実装穴の直径よりも大きく、ねじ頭部323は、ナット321で圧力リベットナット312を締め付けるように圧力リベットナット312と嵌合する。スタッド322とねじ頭部323との間には、肩部領域324が形成され、肩部領域324は、圧力リベットナット312を締め付けるプロセスで、制振ワッシャ34及び制振ゴムリング33を過度に押し付けて、両者の弾性を失うことを回避するために、組立プレート31に当接するために使用される。
【0033】
スタッド322の長さは、自然状態での制振ワッシャ34と制振ゴムリング33の厚さの和よりも僅かに小さくなり、極端に押し付けられた場合の前記制振ワッシャ34と前記制振ゴムリング33の厚さの和よりも大幅に大きくなるように設定され、その長さは、初期には、それがある程度圧縮され、且つ十分な弾性空間が確保されるように、制振ゴムリング33に対する予め設定された圧縮比に基づいて設定され得る。例えば、その長さは、全体が10%-20%圧縮されたときの制振ワッシャ34と前記制振ゴムリング33の厚さの和と等しくなるように設定される。
【0034】
好ましくは、スタッド322の長さHを
【数5】
と設定し、ここで、h
1は、上部ゴムパッド341の厚さを表し、ここでの上部ゴムパッド341は、硬質材料でできており、基本的に圧縮されないため、ここではその元の厚さを採用し、h
2は、下部ゴムパッド342の厚さを表し、h
3は、制振ゴムリング33における支持リング部332の厚さを表し、h
4は、回路基板1の厚さを表し、
【数6】
は、支持リング部332の予め設定された圧縮比を表し、k
2は、下部ゴムパッド342の単位横断面積当たりの弾性係数を表し、k
3は、制振ゴムリング33における支持リング部332の単位横断面積当たりの弾性係数を表し、S
23は、下部ゴムパッド342と支持リング部332との横断面積比率、すなわち、下部ゴムパッド342の横断面積を支持リング部332の横断面積で割った値を表す。このようにして、制振ゴムリング33及び上部ゴムパッド341と下部ゴムパッド342が最適な圧縮量に達することを確保し、より優れた制振性能を提供することができる。
【0035】
制振ワッシャ34における2つのワッシャの弾性差異を考慮せず、それを全体とすると、スタッドの長さHは、
【数7】
であり、ここで、
【数8】
は、制振ワッシャ34の総厚さを表し、h
3は、制振ゴムリング33における支持リング部332の厚さを表し、h
4は、回路基板1の厚さを表し、
【数9】
は、支持リング部332の予め設定された圧縮比を表し、
【数10】
は、全体としての制振ワッシャ34の単位横断面積当たりの弾性係数を表し、k
3は、制振ゴムリング33における支持リング部332の単位横断面積当たりの弾性係数を表し、S
n3は、制振ワッシャ34と支持リング部332との横断面積比率、すなわち、制振ワッシャ34の横断面積を支持リング部332の横断面積で割った値を表す。ここで「支持リング部332の横断面積」とは、組立プレート31と接触する支持リング部332の横断面積を意味する。
【0036】
図3を参照すると、本実施例では、前記制振ゴムリング33と前記スタッド322との間の隙間は、1mmよりも小さい。本実施例における制振ゴムリング33とスタッド322は、密着ではなく、1mm未満の隙間が残っているため、スタッド322の貫設と制振ゴムリング33の装着を容易にできるため、実装速度を向上させることができる。
【0037】
図3を参照すると、本実施例では、前記緩衝リング部331の厚さは、実装された前記回路基板1の厚さよりも少なくとも1mm大きい。本実施例では、緩衝リング部331の厚さは、回路基板1の厚さよりも大きく、ナット321は、実装時に制振ワッシャ34を介して緩衝リング部331を回路基板1の内壁とボルト32の外側に押し付けることで、緩衝リング部331を回路基板1とスタッド322との間にさらに押し付けることができるため、回路基板1の横方向の揺れを回避することができるため、回路基板1の固定の堅牢性を向上させることができる。
【0038】
図3を参照すると、本願発明の一実施形態では、前記制振ワッシャ34の内径は、前記制振ゴムリング33の内径よりも小さい。本技術的解決手段において、制振ワッシャ34は、制振ゴムリング33を十分に覆うことができるため、ナット321の固定の緊密性を向上させることができるため、緩衝リング部331が制振ワッシャ34の内径を押し付けることを回避することができ、それにより製品の耐用年数を延ばすことができる。同時に、本実施形態では、前記緩衝リング部331の厚さが実装された前記回路基板1の厚さよりも少なくとも1mm大きく、かつ前記制振ゴムリング33と前記スタッド322との間の隙間が1mm未満である構造とすることも可能であり、制振ワッシャ34の覆いと圧迫の下で、制振ゴムリング33は、ナット321が締められた後、回路基板1とスタッド322との間の隙間を能動的に埋めることができるため、回路基板1とスタッド322との間に押し付けによる自己締め付け力が発生することができるため、製品の堅牢性を向上させ、回路基板1の横方向の揺れを回避することができる。
【0039】
前記底板2は、車載機器の筐体の上部底板又は下部底板である。本実施例では、本願発明の底板2は、機器筐体の上部底板とし、回路基板を吊り下げて実装する方式を採用してもよいか、又は機器筐体の下部底板とし、回路基板1を支持実装する方式を採用してもよい。本願発明の上部底板と下部底板は、単に重力方向の上下ではなく、機器の方向を参照して決定される。
【0040】
車載電子機器であって、該機器は、上記実施例のうちのいずれかの実装形態の制振機構を採用する。
図4-
図6を参照すると、本願発明は、車載機器を提案する。本機器では、本願発明の制振機構を除いて、回路基板1の放熱を容易にするために、機器の上部底板には、上部放熱領域41が設けられ、機器の下部底板には、下部放熱領域21が設けられ、
図5及び
図6を参照すると、前記上部放熱領域41と下部放熱領域21はいずれも、平行配列された凸起及び凸起の間に設けられた放熱流路を採用し、凸起と流路との連携により機器の上部放熱面積と下部放熱面積を増加させると同時に、放熱流路での空気の対流を向上させることができ、それにより本願発明の放熱をさらに最適化することができる。
以上、本発明の好ましい実施例と併せて本発明の原理を詳細に説明したが、当業者は、上記実施例は、本発明の例示的な実装形態の説明に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではないことを理解すべきである。実施例における詳細は、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、本発明の技術的解決手段に基づく等価変換、単純な置換などの明白な変更は、いずれも本発明の保護範囲に含まれる。
【国際調査報告】