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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】バイオプロセスシステム
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
C12M1/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501132
(86)(22)【出願日】2022-07-06
(85)【翻訳文提出日】2024-03-04
(86)【国際出願番号】 GB2022051737
(87)【国際公開番号】W WO2023281257
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】2109779.5
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524009657
【氏名又は名称】セルラー・オリジンズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ストレンジ
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・クロスリー
(72)【発明者】
【氏名】マーティン・モットラム
(72)【発明者】
【氏名】エドウィン・ストーン
(72)【発明者】
【氏名】レオ・スティーンソン
(72)【発明者】
【氏名】ポール・クリスプ
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス・ストースキス
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029AA27
4B029BB11
4B029GB03
(57)【要約】
バイオプロセスシステムであって、バイオプロセスのための動作を実施するための一連の処理ステーションと、自動化システムであって、第1の容器と、分離可能な第2の容器との間の流体接続を操作し、それによって、第1の容器と第2の容器との間の流体または細胞材料の制御された移送を可能にする無菌接続を作成する手段であって、流体接続を操作する手段が、第1の容器と、分離可能な第3の容器との間の更なるそのような流体接続を操作し得るように、流体または細胞材料の移送が完了した後に分離され得る無菌接続を作成するように構成される、作成する手段と、処理ステーションの自動化された一連の動作を制御する手段と、を備える自動化システムと、を備える、バイオプロセスシステム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
・バイオプロセスのための動作を実施するための一連の処理ステーションと、
・自動化システムと、
を備え、
前記自動化システムが、
-第1の容器と分離可能な第2の容器との間の流体接続を操作するための手段であって、それによって、前記第1の容器と前記第2の容器との間の流体または細胞材料の制御された移送を可能にする無菌接続を作成し、
流体接続を操作する前記手段が、前記第1の容器と分離可能な第3の容器との間の更なるそのような流体接続を操作し得るように、流体または細胞材料の前記移送が完了した後に分離され得る無菌接続を作成するように構成される、手段と、
-前記処理ステーションの自動化された一連の動作を制御する手段と
を備える、バイオプロセスシステム。
【請求項2】
流体接続を操作する前記手段が、容器間の流体接続を操作するとき、閉じた無菌接続を維持するように構成される、請求項1に記載のバイオプロセスシステム。
【請求項3】
流体接続を操作する前記手段が、前記第1及び第2の容器への、または前記第1及び第2の容器からの流体または細胞の前記移送が阻止されるように、分離された流体接続を封止するように更に構成される、請求項1または2に記載のバイオプロセスシステム。
【請求項4】
前記一連の処理ステーションの各々に1以上の前記容器を設置し、ステーション間で前記容器を移動する手段を更に備える、請求項1から3のいずれか一項に記載のバイオプロセスシステム。
【請求項5】
無菌的に接続された容器間での流体または細胞の前記移送を可能にする手段を更に備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のバイオプロセスシステム。
【請求項6】
前記システムが、非滅菌雰囲気内に配置される、請求項1から5のいずれか一項に記載のバイオプロセスシステム。
【請求項7】
例えば、前記流体接続を検査することによって、前記流体接続が正常に接続されたか否かを決定する手段を更に備え、好ましくは、前記流体接続が、自動的に検査される、請求項1から6のいずれか一項に記載のバイオプロセスシステム。
【請求項8】
前記チューブ間の前記無菌接続を検査するために、及び/または前記容器の各々を識別するために、カメラなどの画像取込装置またはデバイスを更に備える、請求項7に記載のバイオプロセスシステム。
【請求項9】
前記自動化された一連の動作が、所定のワークフロー、好ましくは再構成可能なバイオプロセスワークフローに従って制御される、請求項1から8のいずれか一項に記載のバイオプロセスシステム。
【請求項10】
自動化された一連の動作を制御するための前記手段が、前記バイオプロセスシステムが前記自動化された一連の動作を実施する前に、前記自動化された一連の動作をシミュレートするように構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載のバイオプロセスシステム。
【請求項11】
前記自動化された一連の動作が行われたことを検証するための監視システムを更に備える、請求項1から10のいずれか一項に記載のバイオプロセスシステム。
【請求項12】
前記一連の処理ステーションが、濃縮、洗浄及びインキュベーションを実施する手段を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のバイオプロセスシステム。
【請求項13】
前記一連の処理ステーションが、細胞数、細胞生存率、及び/または細胞表現型を決定する手段を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載のバイオプロセスシステム。
【請求項14】
前記システムが、複数の容器を同時に処理するように構成され、好ましくは前記容器のうちの2つ以上が、患者サンプルを収容する、請求項1から13のいずれか一項に記載のバイオプロセスシステム。
【請求項15】
第1の患者サンプルを収容する第1の容器が、第2の患者サンプルを収容する第2の容器とは異なる所定のワークフローを使用して処理される、請求項14に記載のバイオプロセスシステム。
【請求項16】
自動化された一連の動作を制御する前記手段が、前記バイオプロセスシステムが従う一連の行動を自動的にスケジュールするように構成される、請求項14または15に記載のバイオプロセスシステム。
【請求項17】
流体接続を操作する前記手段が、前記第1の容器に接続する第1のチューブと、前記第2の容器に接続する第2のチューブとの間に無菌接続を作成するように構成される、請求項1から16のいずれか一項に記載のバイオプロセスシステム。
【請求項18】
流体接続を操作する前記手段が、前記第1のチューブを前記第2のチューブに接合するように構成されるチューブ溶接機を備える、請求項17に記載のバイオプロセスシステム。
【請求項19】
摘んだ部分を解放するために前記接合されたチューブを操作し、それによって、前記接合されたチューブを通る流体経路を確立する手段を更に備える、請求項18に記載のバイオプロセスシステム。
【請求項20】
流体接続を操作する前記手段による使用のための補助チューブ類を提供するように構成されるチューブ供給手段を更に備える、請求項17から19のいずれか一項に記載のバイオプロセスシステム。
【請求項21】
前記チューブのうちの少なくとも1つが、前記チューブに沿った位置に少なくとも1つの識別マークを備え、好ましくは、前記識別マークが、前記チューブ上の前記識別マークの前記位置を決定するように更に構成される画像取込システムによって読み取り可能である、請求項17から20のいずれか一項に記載のバイオプロセスシステム。
【請求項22】
少なくとも1つのチューブクリップを更に備え、
前記チューブクリップが、前記第1または第2のチューブを前記チューブクリップに対して固定された位置に留めるように構成される、請求項17から21のいずれか一項に記載のバイオプロセスシステム。
【請求項23】
前記チューブクリップが、チューブを留めるように構成されるチューブ保持要素と、例えば画像取込システムを使用する自動化システムによって前記チューブクリップを識別し得るように配置された識別マークと、を備える、請求項22に記載のバイオプロセスシステム。
【請求項24】
バイオプロセスシステムのためのチューブクリップであって、
チューブを留めるように構成されるチューブ保持要素と、
自動化システムによって前記チューブクリップを識別し得るように配置される識別マークと、
を備える、チューブクリップ。
【請求項25】
前記可撓性チューブが、前記可撓性チューブの外面上に配置され、前記チューブの長さに沿って既知の間隔で離隔された複数の識別マークを備え、
前記識別マークが、例えば画像取込システムを使用する自動化システムによって識別されることを可能にするように構成される、請求項17から23のいずれか一項に記載のバイオプロセスシステム。
【請求項26】
バイオプロセスシステムのための可撓性チューブであって、
前記可撓性チューブの外面に配置され、前記チューブの長さに沿って既知の間隔で離隔された複数の識別マークを備え、
前記識別マークが、自動化システムによって識別されることを可能にするように構成される、可撓性チューブ。
【請求項27】
2つの容器を流体接続するための自動化システムであって、少なくとも第1の容器が、第1の端部に流体接続されるチューブを有し、前記チューブの第2の端部が、別のそのようなチューブと無菌接続を形成するように構成され、
前記自動化システムが、
前記第1の容器に流体接続された前記チューブの前記第2の端部と係合し、操作される1以上の位置に前記チューブを位置決めするように構成されるロボットデバイスと、
前記チューブの一部を前記チューブの前記第2の端部に向かって操作する手段であって、それによって、別のそのようなチューブとの無菌接続を作成するために前記チューブの前記第2の端部を構成する、手段と、
を備える、自動化システム。
【請求項28】
前記ロボットデバイスが、1以上の所定の経路に沿って移動することによって、前記チューブに係合し、及び/または前記チューブを位置決めするように構成される、請求項27に記載の自動化システム。
【請求項29】
前記チューブの一部を操作する前記手段が、
前記チューブの一部を前記チューブの前記第2の端部に向かってクランプする手段であって、それによって、前記チューブに摘んだ部分を形成し、これにより、前記チューブが、前記摘んだ部分の上流で流体封止される、手段と、
前記摘んだ部分の下流の前記チューブのセクションを除去する手段であって、それによって、前記チューブの前記第2の端部を除去し、これにより、別のそのようなチューブと以前に接触していない前記チューブの新規の第2の端部が形成される、手段と、
を更に備える、請求項27または28に記載の自動化システム。
【請求項30】
前記第1の容器と前記第2の容器との間の流体及び細胞材料の制御された移送を可能にする手段を更に備える、請求項29に記載の自動化システム。
【請求項31】
流体及び細胞材料の制御された移送を可能にするための前記手段が、前記無菌接続が別のそのようなチューブと行われる前に、前記チューブの前記摘んだ部分から流体を引き離すように更に構成される、請求項30に記載の自動化システム。
【請求項32】
(i)前記チューブの一部分をクランプする前記手段と、
(ii)前記チューブのセクションを除去する前記手段と、
のうちの少なくとも一方が、ロボットアームのためのエンドエフェクタとして構成される、請求項29から31のいずれか一項に記載の自動化システム。
【請求項33】
前記チューブのセクションを除去する前記手段が、切断ブレードと、例えば、レーザ、RFヒータ、及び超音波ヒータ、またはインダクタンスヒータなどの加熱デバイスと、のうちの少なくとも1つを備える、請求項29から32のいずれか一項に記載の自動化システム。
【請求項34】
別のそのようなチューブと接合されると、前記摘んだ部分を解放する手段であって、それによって、前記接合されたチューブを通る流体経路を確立するように、前記チューブを操作する、手段を更に備える、請求項29から33のいずれか一項に記載の自動化システム。
【請求項35】
前記チューブの前記第2の端部を別のそのようなチューブと接合する手段を更に備える、請求項27から34のいずれか一項に記載の自動化システム。
【請求項36】
前記チューブを接合する前記手段が、チューブ溶接部を形成するために、前記チューブを共に溶接する手段を備える、請求項35に記載の自動化システム。
【請求項37】
前記エンドエフェクタが、前記チューブに係合し、前記チューブを移動させるように構成される少なくとも1つの把持ユニットを備える、請求項32に記載の自動化システム。
【請求項38】
複数の容器を使用してバイオプロセスのための動作を実施する一連の処理ステーションを有するシステムにおいてバイオプロセスを実施する方法であって、
前記方法が、
-第1の容器と、分離可能な第2の容器との間の流体接続を操作し、それによって、前記第1の容器と前記第2の容器との間の流体または細胞材料の制御された移送を可能にする無菌接続を作成するように自動化システムを構成するステップであって、
前記流体接続を操作するステップが、前記第1の容器と、分離可能な第3の容器との間の更なるそのような流体接続を操作し得るように、流体または細胞材料の前記移送が完了した後に分離され得る無菌接続を作成する、ステップと、
-前記処理ステーションの自動化された一連の動作を制御するステップと、
を含む、方法。
【請求項39】
所定のワークフロー、好ましくは再構成可能なバイオプロセスワークフローに従って、前記自動化された一連の動作を制御するステップを更に含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
バイオプロセスシステムのためのロボットデバイスであって、前記ロボットデバイスが、
前記バイオプロセスシステムの周りの自動化された移動のために構成されるベースユニットと、
前記ベースユニットに取り付けられる少なくとも1つのロボットアームと、
前記ロボットアームに取り付けられた少なくとも1つのエンドエフェクタと、
を備え、
少なくとも1つの前記エンドエフェクタが、
2つの容器間の流体接続を操作し、それによって、それらの間の流体または細胞材料の制御された移送を可能にする無菌接続を形成することと、
2つの容器間に形成された流体接続を操作し、それらの間の流体または細胞材料の制御された移送を実施することと、
流体または細胞材料の前記移送が完了した後で、2つの容器間に形成された流体接続を分離し、それによって、各容器を無菌的に封止し、各容器と、異なる分離可能な容器との間に更なるそのような流体接続を形成することを可能にすることと、
のうちの少なくとも1つを実施するように構成される、ロボットデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物学的サンプルを操作するためのバイオプロセスシステムに関し、より具体的には、例えば、細胞療法製造を自動化するために使用され得る自動化バイオプロセスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
治療法は、出発点として小分子ではなく細胞をますます使用している。これらの製品を製造するためのアプローチは、絶えず出現している新規の治療法に追いつくために急速に進化している。近年、細胞療法の多数の新規のクラスの使用が増加している。1つのクラスは、自己細胞療法である。
【0003】
自己細胞療法は、治療法の有望なクラスであり、癌の治療から遺伝的欠陥の修正に及ぶ重要な臨床的及び商業的可能性を有する。これらの治療法は、患者から細胞を採取することと、数日から数週間にわたって細胞を操作することと、治療効果をもたらすために細胞をその患者の体内に再導入することと、を含む。自己細胞療法中に行われる工程は、複雑であることが多く、例えば、典型的なCAR-Tプロセスは、凍結保存されたロイコパックから始まる一連の工程、解凍、DMSOを除去するための洗浄、T細胞の濃縮、活性化、形質導入、増殖、濃縮、IVバッグへの製剤充填仕上げ、及び凍結保存と他のいくつかの中間製造工程を含み得る。今日まで、これらのプロセスは、高価なクラス5のクリーンルームまたはアイソレータで労働集約的な手動プロセスで通常実施されてきた。
【0004】
バイオプロセスの複雑さのために、そのような高品位のクリーンルーム内で工程を実施する必要性を排除する閉じたシステムを維持しつつ、プロセスを自動化し、それによって、必要な労力及びコストを低減することが望まれている。閉じたシステムは、周囲環境へのプロセスの曝露がないシステムであり、これにより、製造中の製品による環境の汚染を回避しつつ、環境からの汚染物質の侵入がなく、または同時に実施されている他のプロセスからの交差汚染がない。これに対する解決策を提供しようと試みたシステムがあるが、各々には限界がある。例えば、ロボットが標準的な液体処理操作を実行するアイソレータ内のロボットシステムは、エンドツーエンドの細胞療法プロセスを実行するために開発されている。しかしながら、これらのシステムは、交差汚染のリスクを最小化する方法がなく、一度に1つの患者治療法を実行することに限定され、システムを高価にし、空間を非効率にする。また、アイソレータを各実行間に、確実に滅菌して洗浄し得るには、大きな確認の負担がある。
【0005】
更に一般的なアプローチは、複雑な消耗品要素を含む閉じたシステムを使用することであり、これは、例えば消耗品要素に流体接続されたチューブを介して、生物学的サンプルを他のすべての必要な処理ステーションに接続し、ポンプ及びバルブを設けて、工程を特定の順序で実施する。しかしながら、これらの消耗品要素は、製造及び設置が極めて複雑であり、その結果、比較的高価であり、信頼性が低いことが多い。各消耗品要素は、実施されているプロセスに個別に調整する必要があり、システムの修正が柔軟でなく、新規のプロセスに適応させるために費用がかかる。プロセスが複雑になるにつれて、これらの消耗品も複雑になる。更に、通常1つの消耗品要素のみを、これらのシステムが一度に動作/操作することができ、これにより、バイオプロセスが高価になり、複数の患者が使用するための拡張に対し、空間を非効率にする。多くの場合、システムは、完全なバイオプロセス方法に必要なすべての工程を未だ実施できず、代わりに、複数の独立したユニットを順番に動作することが多く、これは、独立したユニット間で細胞(例えば、患者サンプル)を移送するために追加の労力及び専門知識が必要であることを意味する。これはまた、交差汚染の更なるリスクをもたらし、汚染が発生していないことを検出する簡単な方法はない。
【0006】
チューブ間に滅菌接続を形成する1つの方法は、半自動化機器を使用して手動で実施されるプロセスであるチューブ溶接である。滅菌チューブ溶接機は、いずれかのチューブの内容物を環境に曝露することなく、閉じた端部を有する2つのチューブ間での接続が可能であり、単一のシステム内で閉じた接続を再利用可能に作成する唯一広く受け入れられている手段である。しかしながら、既存のチューブ溶接システムは一般に大きく、チューブを溶接機に正しく挿入し、チューブを溶接機から正しく除去し、溶接後の流体の流れを可能にするために溶接領域のピンチを解除するための正確な手動操作が必要である。追加的に、既存のチューブ溶接システムは、溶接の成功を確認するために、各溶接後にオペレータによる目視検査が必要である。全体として、溶接プロセスは、4分~7分のオペレータ時間を要する可能性がある。手動操作の結果として、チューブの大部分は、各チューブ溶接操作中にユーザが廃棄することが多い。更に、従来のチューブ溶接システムは、チューブを切断し、その後に別個のチューブの端部を確実に再封止するように追加的に構成されておらず、これは、チューブを分離するとき、内容物の閉鎖を維持し得ないことを意味する。
【0007】
しかしながら、チューブ溶接が完全な(オペレータ独立の)自動化とは相容れないように見える多くの理由がある。例えば、チューブ溶接は、ロボットなどの自動化された取扱手段による取扱いが極めて困難であることがよく知られている長い可撓性チューブの取扱いを必要とする。例えば、可撓性チューブ類を、ロボットが動かしたときに、明確に定義された確定的な位置に留まる可能性は低く、チューブの係合、位置合わせ、及び方向付けが困難である。一方の端部で拘束された十分に長い可撓性チューブの端部が他方の端部で操作されたとき、チューブが画定する経路は、チューブ内の内部応力に応じて、拘束された端部と操作された端部との間の経路で、複数の一意でない解を持つことになる。このようなシステムは、多くの自由度がある。そのような用途は人間にとって理想的であるが、自動化にとっては極めて困難であり、したがって、人間のオペレータに通常任される。溶接強度は、チューブの正確な位置決め及び圧縮に極めて依存するので、ロボットによるチューブ類の係合での誤差は、溶接の失敗につながる可能性がある。また、チューブが、他のチューブと、バイオプロセスシステムの他の部分とで、ねじれる、及び/または絡まることを回避することも困難である。更に、チューブは、ロボットまたは任意の取り付けられた消耗品に予期しない張力を加え、溶接が成功する可能性を低くする、または消耗品への接続を損傷する可能性がある。最後に、コア溶接工程が自動化されている一方で、溶接部のピンチを解除するなど、正確な手動操作を必要とする自動化された補助な工程を有する市販の溶接システムはない。したがって、これまで、自動化されたチューブ溶接を含むバイオプロセスシステムを開発することは非現実的であると考えられてきた。
【0008】
上記の課題を克服し得た場合でも、バイオプロセスシステムなど、信頼性及び汚染の問題が重要であるシステム内で、予め接続された単回使用チューブ類セットの代わりに、チューブ溶接または他のインプロセス無菌移送の使用には、業界では未だかなりの抵抗がある。自動化した細胞療法プロセスでは、異なる容器間の数百の無菌流体移送は、それらのいずれも失敗することなく治療法ごとに実施されなければならず、失敗は、治療法または外部環境の汚染を引き起こす可能性がある。単回使用チューブ類セットが使用される場合、使用直前に予め滅菌されたチューブ類セットに対して完全性試験を実施して、完全性が破られていないことを確認することが可能で、滅菌性/汚染違反の損失のリスクを大幅に軽減する。対照的に、インプロセス接続を事前にチェックすることは不可能であり、個々の移送または溶接が99%の成功率を有する場合でも、100回の無菌流体移送を連続して実施するとき、すべての無菌流体移送が成功する可能性は35%に過ぎない。結果として、100個の溶接に対して許容可能な99.9%の成功を達成するためには、個々の溶接の成功率は、99.999%でなければならない。1つの選択肢は、プロセスによって必要とされるチューブ溶接動作の数を最小化する試みであり、実際、細胞療法製造のための設計機器システムに関するISO 23565規格は、「機器は、汚染のリスクを低減するために、チューブ溶接などのインプロセス接続の数が最小化するように設計され、利用されるべきである」となっている。また、業界では、複数の接続及び分離サイクルが可能な自動化された多用途流体コネクタは現在存在しないことにも留意されたい。
【0009】
したがって、業界の常識は、広範な予め接続された使い捨て消耗品の使用を通して、インプロセス接続の数を制限することによって、及びオペレータの綿密な検査によって手動で移送を実行することによって、信頼性の低いチューブ溶接の問題を完全に回避し、避けることである。
【0010】
したがって、従来のアプローチのいずれも、多くの治療法を確実に実施し、好ましくは、複数の治療法を同時に実施し得る柔軟な自律型バイオプロセスシステムを提供することができない。したがって、既存のチューブ溶接システムのかなりの複雑さ及びサイズ、ならびにバイオプロセスシステムに適用されるときの信頼性に対する厳しい要件のために、チューブ溶接を利用するバイオプロセスシステムを自動化する試みはほとんど進展していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
複数の患者サンプルを同時に任意選択的に取り扱うことができ、流体及び細胞材料の閉じた移送のための無菌流体接続を操作する改善された方法のためのバイオプロセスシステムが、必要とされ、理想的には、操作がそのようなシステムにおいて無菌または非無菌の雰囲気内で実施されるか否かにかかわらず、無菌状態を維持し得る/消耗品及び患者サンプルの汚染を防止し得る、バイオプロセスシステムが、必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書に記載するのは、バイオプロセスシステムであって、バイオプロセスのための動作を実施する一連の(例えば、複数の)処理ステーションと、自動化システムであって、第1の容器と、分離可能な第2の容器との間の流体接続を操作し、それによって、第1の容器と第2の容器との間の流体または細胞材料の制御された移送を可能にする無菌接続を作成する手段であって、流体接続を操作する手段が、第1の容器と、分離可能な第3の容器との間の更なるそのような流体接続を操作し得るように、流体または細胞材料の移送が完了した後に分離され得る無菌接続を作成するように構成される、作成する手段と、処理ステーションの自動化された一連の動作を制御する手段と、を備える自動化システムと、を備える、バイオプロセスシステムである。
【0013】
(複数の)異なる容器間に無菌(流体)接続を作成(及びその後分離)し得る自動化システム(例えば、容器を無菌的に接続及び/または分離し得る自動化システム)を提供することによって、人間のオペレータを必要とせずに一連のバイオプロセス動作を実施することができる。これは、人為的エラーを排除し、自動化システムが極めて確実にバイオプロセス方法を実施することを可能にする。本明細書で言及するように、「容器」は、本発明の文脈において「消耗品」(要素)の形態であると見なされ得る。
【0014】
有利には、無菌接続は、容器の内容物を周囲環境に曝露することなく容器間の材料の移送が行われ得ることを保証し、そうでなければ内容物を汚染する可能性がある。容器間の流体または細胞材料の移送が完了した後、容器は、分離され、次いで、一方/両方の容器は、異なる容器に流体接続され得る。これは、滅菌筐体内に自動化システム(及び処理ステーション)を設けることが厳密に必要ではないことを意味する。
【0015】
バイオプロセスシステム(すなわち、操作手段)が、無菌接続の接続と分離との両方を可能にするので、容器は、バイオプロセス用の既存の容器と比較して比較的単純であり得る。
【0016】
更に、バイオプロセスシステムは、多種多様なバイオプロセス方法(すなわち、バイオプロセス動作の異なるシーケンス)を処理するように適合され得るので、極めて柔軟であり得る。バイオプロセスシステムはまた、経時的に更なる処理ステーションを追加することが可能であるので、極めてスケーラブルである。したがって、そのような自動化システムは、1以上の容器に保持され得る異なるサンプル間の分離を(例えば無菌で)維持しつつ、複数の患者サンプルを同時に処理するために使用され得る。
【0017】
自動化された一連の動作を制御する手段は、バイオプロセスシステムの処理及び制御ユニット(例えば、「制御システム」)によって実現されてもよい。制御システムにアクセスする手段は、制御システムに対してローカルであっても、リモートであってもよい。処理ステーションの自動化された一連の動作を制御する手段はまた、自動化システム(例えば、全体)を制御してもよい。
【0018】
流体接続を操作する手段は、容器間の流体接続を操作する(例えば、または無菌接続を作成する)とき、閉じた無菌接続を作成及び/または維持し、流体接続された容器の内容物が周囲に曝露されることを阻止する(及び好ましくは防止する)ように構成され得る。追加的に、または代替的に、流体接続を操作する手段は、容器間の流体接続を分離するとき、閉じた無菌分離を作成及び/または維持し、分離された容器の内容物が周囲に曝露されることを阻止する(及び好ましくは防止する)ように(更に)構成され得る。閉じた無菌分離は、容器上に(または容器に)「無菌封止」を作成または維持することとも呼ばれ得る。
【0019】
本明細書で使用する場合、「閉じた無菌接続」または「閉じた無菌分離」という用語は、好ましくは、接続/分離プロセス中のいずれの段階でも容器の内容物が周囲に曝露されない無菌接続または無菌分離を含む。したがって、閉じた無菌接続/分離は、好ましくは滅菌状態であることを確実にするためにその形成中に滅菌剤の使用を必要としない無菌接続/分離を含む「乾式」無菌接続/分離であると考えられ得る。
【0020】
実際、真に閉じた接続/分離のために、汚染を防止するために滅菌剤が必要とされるべきではない。このようにして、バイオプロセスシステム内に滅菌剤(または「消毒剤」)の供給を提供し、維持する必要がなく、滅菌剤を運ぶためのポンプ及びバルブの必要性が排除される。したがって、バイオプロセスシステム内の電子機器または他のデバイスと干渉し得る滅菌剤の漏出または漏洩のリスクはない。これはまた、滅菌剤が容器内に侵入し、細胞を損傷または死滅させるリスクをなくし、滅菌剤が容器に入らないようにすると同時に、滅菌剤を目的の領域に完全に供給し、それによって細胞を損傷または死滅させることは困難である。更に、これにより、多種多様な汚染物質と共に作用し、対象領域を完全に含浸する滅菌剤を探す必要がなくなる。更に、有害な重金属または発熱物質などの汚染物質は依然として有害であり、滅菌剤を使用して除去することが極めて困難である可能性があるため、単に滅菌されているのではなく接続を閉じたままにすることが有利である。
【0021】
第1及び第2の容器への、または第1及び第2の容器からの流体または細胞の移送が阻止される(好ましくは防止される)ように、流体接続を操作する手段は、分離された流体接続を封止するように更に構成され得る。言い換えれば、流体接続が分離されると、分離された容器の各々は、好ましくは操作手段によって封止され、別の容器と新規に流体接続を形成する準備が整う。したがって、操作する手段は、流体接続を分離するときに容器上/容器への無菌封止を作成するように更に構成され得る。
【0022】
このようにして、多くの流体の接続及び分離のプロセス全体を通して(例えば、異なる容器間)「閉じた」システムを維持しつつ、容器は、バイオプロセスシステムから分離され得る。これにより、接続または分離中に容器の内容物及び/または周囲の汚染を潜在的に引き起こし得る、周囲への容器の内容物の曝露なしに、完全なバイオプロセス方法を実施し得る。したがって、容器は、特定のプロセスに必要な回数だけ接続及び分離され得る。代替的に、または追加的に、封止するための別個の手段(容器)が設けられてもよい。封止の手段は、無線周波数(RF)源などの電磁源を備えてもよい。
【0023】
バイオプロセスシステムは、一連の処理ステーションの各々に1以上の容器を設置し、ステーション間で容器を移動させる手段を更に備えてもよい。
【0024】
このようにして、オペレータの介入を必要とせずに、バイオプロセス方法内でいくつかの追加の工程を実施することが可能である。設置する手段は、移動式操作ユニット上にロボットアームを備え得るロボットデバイスによって、またはコンベヤによって実現されてもよい。設置する手段はまた、流体接続を操作する手段を設けてもよい。有利には、移動式操作ユニットは、正確な一連の動作に従う必要がなく、非同期プロセスを同時に実行し得る。
【0025】
流体接続は、操作手段が2つの(好ましくは可撓性の)チューブの(自由)端部を共に接合することによって作成されてもよく、それらの各々は、それぞれの容器に流体接続されて、それらの間に無菌接続を作成し得る。各容器上のチューブは、当然ながら、1以上の流体接続を操作し得るように、自由端部が容器に取り付けられた他端部から十分に離隔されるような長さを有する。
【0026】
バイオプロセスシステムは、無菌的に接続された容器間の流体または細胞の移送を可能にする手段を更に備えてもよい。移送手段は、蠕動ポンプ、シリンジポンプ、及び/または圧力駆動フローポンプなどのポンプの形態であってもよい。有利には、このポンプは、閉じたシステムを維持しつつ、容器間で流体または細胞を圧送し、それによって、容器及び/または周囲の汚染を防止し得る。
【0027】
バイオプロセスシステムは、非滅菌雰囲気内に配置されてもよい。有利には、これは、工場の運用コストを大幅に低減し、更に、オペレータがプロセスを汚染するリスクなしにバイオプロセスシステムの部品にアクセスすることを可能にする。
【0028】
バイオプロセスシステムは、例えば、流体接続を検査することによって、流体接続が正常に接続されたか否かを決定する手段を更に備えてもよく、好ましくは、流体接続は自動的に検査される。その決定は、例えば、機械的に実施され得る、マシンビジョンシステムなどを用いて視覚的に実施され得る検査であり得る。(例えば、検査)を決定する手段は、ロボットデバイス上に配置されても、またはバイオプロセスシステム内の他の場所に配置されてもよい。その決定は、故障が検出された場合、例えば汚染領域を隔離するため、またはバイオバーデン検査を実施するために、是正措置をとり得るように、実施され得る。故障がある場合、プロセス材料が接続領域に入る前に満足な接続が行われるまでプロセスを繰り返し得るように、その決定(例えば、検査)は、流体接続を通る流体移送を開始する前に、実施され得る。有利には、これは、多数のインプロセス接続であっても、必要なレベルの信頼性を維持し得ることを意味する。
【0029】
バイオプロセスシステムは、無菌接続を検査するために、及び/または容器の各々を識別するために、例えば、顕微鏡レンズを備えたカメラなどの画像取込システムまたはデバイスを更に備えてもよい。上述したように、無菌接続は、各容器に流体接続された(好ましくは可撓性の)チューブ間に作成された流体接続とすることができ、前記チューブは、無菌接続を作成する操作手段によって共に接合される。
【0030】
有利には、バイオプロセスシステムは、多数の治療法が同時に実行されるときであっても、容器のトレーサビリティを自動的に維持し、交差汚染の誤りを防止し得る。バイオプロセスシステムは、システム全体の様々な位置に配置される複数のそのような装置またはデバイスを備え得る。画像取込装置またはデバイスは、マシンビジョンシステムと呼ぶことがある。
【0031】
バイオプロセスシステムは、無菌接続からの流体漏洩を検出するように構成される1以上のセンサを更に備えてもよい。1以上のセンサは、流体センサ及び圧力センサのうちの少なくとも1つを備えてもよい。容器間の流体接続が、(例えば、各容器に接続されている)チューブ類の自由端部を共に接合するように操作する手段によって作成される場合、流体接続を操作する手段は、機械的特性を決定し得るように、無菌接続の両側で、接合されたチューブに力(例えば、引張力)を加えるように更に構成されてもよい。
【0032】
自動化された一連の動作は、1以上の所定のワークフロー、好ましくは、1以上の再構成可能なバイオプロセスワークフローに従って制御され得る。このようにして、特定のバイオプロセス方法は、バイオプロセスシステムによって実行され、バイオプロセスシステム自体のいかなる修正も必要とせずに、プロセスを容易に修正または適合し得る。
【0033】
自動化された一連の動作を制御する手段は、バイオプロセスシステムが前記シーケンスを実施する前に、自動化された一連の動作をシミュレートするように構成されてもよい。自動化された一連の動作を制御する手段は、シミュレーションの少なくとも1つの結果をオペレータに伝達し得る。少なくとも1つの結果は、特定の動作が発生したときの指示、手動工程が実施される必要があり得るときの指示、及び/または2つの同時動作間の競合が発生し得る(または発生し得ない)という指示を含み得る。シミュレーションは、シミュレーションに通知するために、現在の治療法品質メトリック及び履歴プロセスデータを使用し得る。シミュレーションはまた、所与の期間によって達成される所与のタイプの細胞の可能性のある数の指示を提供し、それらの品質の指示も与え得る。
【0034】
バイオプロセスシステムは、自動化された一連の動作が行われたことを検証するための監視システムを更に備えてもよい。監視システムは、処理ステーションの自動化された一連の動作を制御する手段によって提供されてもよい。好ましくは、監視システムへの入力は、バイオプロセスシステムの他の部分によって使用されない1以上のセンサを使用して提供される。
【0035】
好ましくは、一連の処理ステーションは、濃縮、洗浄及びインキュベーションを実施する手段を含む。このようにして、バイオプロセスシステムは、リンパ球濃縮、活性化、トランスフェクション、洗浄、増殖及び採取などを実施する動作を必要とする典型的なCAR-Tプロセスのすべての工程を容易に適応させ、実施するために使用され得る。冗長性を提供するため、または律速段階の影響を低減するなどのために、処理ステーションのいずれかの複数のインスタンスが存在し得る。例えば、通常、インキュベーションは律速段階であるので、追加のインキュベーションステーションを設けてもよいが、律速段階の影響を低減するために任意の他の処理ステーションを追加または除去してもよいことが理解されよう。
【0036】
好ましくは、一連の処理ステーションは、細胞数、細胞生存率、及び/または細胞表現型を決定する手段を含む。これは、システムの堅牢性を高め、オペレータが細胞療法プロセスを追跡し、それが仕様の範囲内であることを決定することを可能にし、これにより、仕様外のプロセスを早期に識別し得るので、信頼性の高いシステムを可能にする。このようにして、プロセスを自動的に監視し、処理されている現在の患者バッチが仕様内にあるか否かを決定することが可能である。また、細胞数を含むパラメータが自動化された一連の動作を更新するために使用される適応処理の可能性も可能にする。細胞数、細胞生存率及び/または細胞表現型を決定する手段からのデータは、自動化された一連の動作をシミュレートする手段の入力として使用され得る。
【0037】
バイオプロセスシステムは、複数の容器を同時に処理するように構成されてもよく、好ましくは、容器のうちの2つ以上が患者サンプルを収容する。このようにして、複数のバイオプロセス方法を並行して実施することが可能であり、複数の患者サンプルを処理する効率を向上し得る。バイオプロセスシステムが無菌接続を使用して接続を行うので、異なる患者サンプルを有する複数の容器を処理するためにバイオプロセスシステムを消毒または再起動する必要はない。異なる患者サンプルに対応する容器は、同じ所定のワークフローを使用し得る。
【0038】
第1の患者サンプルを収容する第1の容器は、第2の患者サンプルを収容する第2の容器とは異なる所定のワークフローを使用して処理され得る。このようにして、バイオプロセスシステムの修正または別個のバイオプロセスシステムの使用を必要とせずに、異なるワークフローが、異なる患者に対して使用され得る。
【0039】
自動化された一連の動作を制御する手段は、バイオプロセスシステムが従うべき一連の行動を自動的にスケジュールするように構成され得る。
【0040】
一連の行動は、バイオプロセスシステムの少なくとも1つのセンサから受信した入力に基づいて自動的に更新されてもよい。このようにして、対応するバイオプロセスワークフロー間の競合のリスクを最小化しつつ、複数の患者サンプルが、バイオプロセスシステムによって同時に処理され得る。例えば、処理ステーションまたは自動化システムの部分のいずれかが別個のバイオプロセスワークフローのために同時に必要とされることを最小限に抑え、好ましくは防止するように、一連の動作はスケジュールされてもよい。競合を回避することが不可能である場合、自動化された一連の動作を制御する手段は、予めプログラムされた、またはユーザが構成可能な優先順位のリストに基づいて、競合する行動のうちの1つを遅延させ得る。
【0041】
流体接続を操作する手段は、第1の容器に接続する第1のチューブと、第2の容器に接続する第2のチューブとの間に無菌接続を作成するように構成され得る。チューブ類は、自動化された取扱手段によって取り扱うことが極めて困難であるが、チューブを使用することは、いくつかの利点をもたらす。第1に、チューブは手動バイオプロセスで既に広く使用されているため、第3の者の消耗品及び他のハードウェアを採用して作業することが容易である。第2に、自動化バイオプロセスシステムの全体的な空間及びフォームファクタは、各ユニット動作が大型の使い捨て消耗品ではなく小さいチューブを作業するだけでよいため、各ユニットを小さくし得る。第3に、チューブ類が、主要な使い捨て部品であり、大量に製造され得るので、多くの部品を含む使い捨て消耗品と比較して、全体的なコストが大幅に低減され、全体的な信頼性が向上する。
【0042】
流体接続を操作する手段は、第1のチューブを第2のチューブに接合するように構成されるチューブ溶接機を備え得る。好ましくは、チューブ溶接機は、第1のチューブの自由端部を第2のチューブの自由端部に接合するように構成されるが、接続は、チューブの長さに沿ってどこに配置されてもよいことが理解されよう。本明細書で使用する場合、「チューブ溶接機」という用語は、第1及び第2のチューブを(好ましくはそれらの自由端部で)接合(すなわち、溶接)し、それによって、チューブ間に無菌(流体)接続を実現するように構成される任意のデバイスを指す。チューブ溶接は、滅菌剤を必要とせずに無菌接続を作成する便利な方法であり、すなわち、溶接は、「閉じた(無菌)接続プロセス」であることが一般に受け入れられている。チューブ溶接機は、任意の長さのチューブ類を切断し、それによって、チューブ類を分離する手段を更に備えてもよい。無菌接続が単に滅菌されるよりも「閉じた接続」であることの利点は、汚染が依然として接続経路に入る可能性があり、これは単に滅菌された接続が依然として有害であり得るということである。
【0043】
バイオプロセスシステムは、摘んだ部分を解放するために接合されたチューブを操作し、それによって、接合されたチューブを通る流体経路を確立する手段を更に備えてもよい。通常、チューブ溶接機は、摘んだ部分を除去することができず、したがって、バイオプロセスシステムに容易に組み込まれ得ない。したがって、摘んだ部分を解放する手段を提供することによって、オペレータの介入なしに、バイオプロセス方法が実施され得る。
【0044】
バイオプロセスシステムは、流体接続を操作する手段による使用のための補助チューブ類を提供するように構成されるチューブ供給手段を更に備えてもよい。
【0045】
容器間の流体接続を形成するためにチューブを使用することに関する1つの問題は、チューブが互いに、及びバイオプロセスシステムの他の部分と絡まる可能性があることである。したがって、対応する容器に接続するチューブを比較的短く保つことが有利である。チューブリールなどのチューブ供給手段を設けることにより、絡み合うリスクを更に最小化しつつ、必要に応じてチューブを延長することが可能である。
【0046】
チューブのうちの少なくとも1つは、前記チューブに沿った位置に少なくとも1つの識別マークを備えてもよく、好ましくは、識別マークは、チューブ上の識別マークの位置を決定するように更に構成される画像取込システムによって読み取り可能である。
【0047】
好ましくは、識別マークは、前記チューブに沿った所定の位置に配置される。好ましくは、チューブは、その長さに沿って規則的な間隔で配置され得る複数の識別マークを備える。識別マークは、チューブサイズ、チューブ材料、識別マークと、対応する容器との間の距離、対応する容器内に収容された物質のID、及び/またはチューブの方向(対応する容器に向かう方向を示すなど)を示してもよい。有利には、これは、自動化システムが2つのチューブを誤って接続するリスクを低減する。追加的に、これにより、流体接続を操作する手段が第1のチューブ及び第2のチューブを正確な位置及び方向で係合させ、それによって、チューブの無駄を低減することができる。
【0048】
バイオプロセスシステムは、チューブクリップに対して所定の固定/既知の(または容易に識別可能な)位置に、第1または第2のチューブを留める(または「保持する」)ように構成される、少なくとも1つのチューブクリップを更に備えてもよい。チューブクリップは、バイオプロセスシステム内の固定/既知の位置に配置されても、またはバイオプロセス動作の前に/後で/途中で、固定/既知の位置に/その位置から、移動可能であってもよい。チューブ類が、固定/既知の位置でチューブクリップに対して定位置に保持されることを可能にすることによって、自動化(例えばロボットシステム)は、空間にぶら下がったチューブ類ではないチューブ類を配置し、係合することが、極めて容易になる。チューブクリップは、バイオプロセスシステム内のチューブクリップの位置を一意に識別する識別マークを備え得る。有利には、これにより、流体接続を操作する手段が、第1または第2のチューブと係合するために、バイオプロセスシステム内の正確な位置に移動し得る。少なくとも1つのチューブクリップは、チューブの存在を、チューブ内の空気を、及び/またはチューブを通る流体の流量を、検出するためのセンサなどの追加のセンサを備え得る。チューブクリップはまた、チューブを保持する開位置から閉位置に移動し得る能動チューブクリップであってもよい。有利には、チューブクリップは、自動化システムがチューブと誤って係合し、チューブを操作するリスクを大幅に低減し、最終的にシステムの信頼性を向上させる。
【0049】
バイオプロセスシステムは、チューブを封止する手段を更に備えてもよい。チューブを封止する手段は、RF源などの電磁源を備えてもよい。
【0050】
好ましくは、バイオプロセスシステムは、流体接続を操作する手段、1以上の容器を一連の処理ステーションの各々に設置する手段、無菌的に接続された容器間の流体または細胞の移送を可能にする手段、チューブを封止する手段、及び/または流体接続を検査する手段のうちの少なくとも1つを提供するように構成される少なくとも1つのロボットデバイスを備える。少なくとも1つのロボットデバイスは、少なくとも1つのロボットアームを備え、更に、少なくとも1つのエンドエフェクタを備え得る。有利には、このようにエンドエフェクタを有するロボットデバイスを構成することによって、ロボットデバイスは、係合されるチューブに向かって移動し、それによって、溶接される消耗品の近くのチューブ類と係合し、可撓性のチューブの長さが長い必要性を低減する。これにより、自動化の課題が大幅に軽減されるだけでなく、チューブ類内に含まれるデッドボリュームが減少するという点でバイオプロセスシステム全体に利益がもたらされる。
【0051】
また、本明細書に記載するのは、(例えば、上述のバイオプロセスシステムと共に使用するための)2つの容器を流体接続するための自動化システムであって、少なくとも第1の容器が、第1の端部に流体接続されるチューブを有し、チューブの第2の端部が、別のそのようなチューブと無菌接続を形成するように構成され、自動化システムが、第1の容器に流体接続されたチューブの第2の端部と係合し、チューブを、操作される1以上の位置に位置決めするように構成されるロボットデバイス(または他の自動化手段)と、チューブの一部をチューブの第2の端部に向かって操作し、それによって、別のそのようなチューブとの無菌接続を作成するためにチューブの第2の端部を構成する手段と、を備える、自動化システムである。
【0052】
他方のチューブは、それ自体が第2の別個の容器に接続されても、または容器に接続されていないチューブの長さであってもよい。例えば、このチューブは、チューブリールなどのチューブ供給手段に提供されてもよい。チューブの一部を操作する手段は、ロボットデバイスの一部であっても、または自動化システム内の別個の構成要素(別個のロボットデバイスなど)であってもよい。
【0053】
(上記及び本明細書で説明した)「2つの容器を流体接続するための自動化システム」に関連して本明細書で説明した特徴のいずれも、(上記及び本明細書で説明した)「バイオプロセスシステム」に等価に組み込むことができ、その逆も同様であることが理解されよう。
【0054】
ロボットデバイスは、1以上の所定の経路に沿って移動することによってチューブに係合し、及び/またはチューブを位置決めするように構成されてもよい。
【0055】
有利には、反復可能で、検証可能な経路に沿って移動することによって、チューブ間の絡み合いのリスク、及び/または自動化システムの他の部分との衝突のリスクが、最小化される。例えば、ロボットデバイスは、消耗品またはチューブを(チューブクリップを介するなど)配置し、その位置から所定の方法でナビゲートしてもよい。このようにして、開始位置は、(消耗品及びチューブの様々な位置によって設定されるなど)可変であってもよく、ロボットデバイスは、所定のベクトルまたはベクトルのセットに沿って移動するなどして、その位置から繰り返し可能で、検証可能な方法でチューブを係合し、位置決めする。
【0056】
チューブの一部を操作する手段は、チューブの一部をチューブの第2の端部に向かってクランプし、それによって、チューブに摘んだ部分を形成し、これにより、チューブが、摘んだ部分の上流で流体封止される手段と、摘んだ部分の下流のチューブのセクションを除去し、それによって、チューブの第2の端部を除去し、これにより、別のそのようなチューブと以前に接触していないチューブの新規の第2の端部が形成される手段と、を更に備えてもよい。
【0057】
摘んだ部分の下流のチューブのセクションは、「端部セクション」または「下流セクション」と呼ぶことがある。有利には、摘んだ部分の上流でチューブを流体的に封止することによって、無菌接続を作成することに失敗した場合、プロセス材料が接続領域に入る前に十分な接続が行われるまで、プロセスは、繰り返され得る。
【0058】
自動化システムは、第1の容器と第2の容器との間の流体及び細胞材料の制御された移送を可能にする手段を更に備えてもよい。制御された移送を可能にする手段は、蠕動ポンプ、シリンジポンプ、または圧力駆動流ポンプなどのポンプの形態であってもよい。有利には、このポンプは、閉じたシステムを維持しつつ、容器間で流体または細胞を圧送し、それによって、容器及び/または周囲の汚染を防止し得る。制御された移送を可能にする手段は、ロボットアームのためのエンドエフェクタとして構成されてもよい。
【0059】
流体及び細胞材料の制御された移送を可能にする手段は、無菌接続が別のそのようなチューブと行われる前に、チューブ内の摘んだ部分から流体を引き離すように更に構成され得る。有利には、流体を摘んだ部分から引き離すことにより、摘んだ部分が確実に乾燥し、チューブの端部セクションを除去する信頼性を向上させ得る。更に、流体を摘んだ部分から引き離すことは、チューブの端部セクションの除去中にチューブを摘んで閉じたままにすることに役立ち得る。
【0060】
チューブの一部をクランプする手段は、ロボットデバイスとは別個のバイオプロセスシステムのステーションであってもよい。チューブのセクションを除去する手段は、ロボットデバイスとは別個のバイオプロセスシステムのステーションであってもよい。(i)チューブの一部分をクランプする手段と、(ii)チューブのセクションを除去する手段と、のうちの少なくとも1つは、ロボットアームのためのエンドエフェクタとして構成されてもよい。このようにして、ロボットアームは、チューブを別のデバイスに配置する必要なく、チューブに係合し、摘んだ部分を形成するためにチューブをクランプし、及び/またはチューブの端部セクションを除去するために、移動し得る。クランプする手段と、除去する手段との両方は、単一の共通のエンドエフェクタによって実現されてもよい。代替的に、クランプする手段、及び除去する手段は、別個のエンドエフェクタ、別個のロボットアーム、及び/または別個のロボットデバイスに設けられてもよい。エンドエフェクタ、及び/またはロボットアームは、流体及び細胞の制御された移送を可能にする手段を実現するように構成されるエンドエフェクタ、及び/またはロボットアームと同じであっても、あるいは異なるエンドエフェクタ、及びロボットアームであってもよい。
【0061】
チューブのセクションを除去する手段は、切断ブレード、ならびに加熱デバイス、例えば、レーザ、RFヒータ、及び超音波ヒータ、またはインダクタンスヒータのうちの少なくとも1つを備えてもよい。一実施形態では、切断ブレードは、加熱デバイスによって加熱されてもよく、次いで切断ブレードはその後、チューブを交差させて、それによって、切断するように移動される。他の実施形態では、加熱デバイス(RFヒータなど)は、切断ブレードが移動してチューブを交差させ、それによって、チューブを切断する前に、チューブを直接加熱してもよい。代替的に、チューブのセクションを除去する手段は、チューブに直接接触することなくチューブのセクションを除去するように構成される。
【0062】
チューブが、クランプする手段から除去されたとき、チューブに形成された摘んだ部分が、流体封止されたままであるように、自動化システムは、チューブを操作する手段を更に備えてもよい。
【0063】
自動化システムは、別のそのようなチューブと接合されると、摘んだ部分を解放し、それによって、接合されたチューブを通る流体経路を確立するように、チューブを操作する手段を更に備えてもよい。このようにして、オペレータが摘んだ部分を解放する必要なしに、容器間で流体を移送することができる。摘んだ部分を解放するようにチューブを操作する手段は、上述のロボットデバイス及び/またはエンドエフェクタのいずれかの一部であっても、あるいは自動化システムの別個の構成要素であってもよい。
【0064】
チューブの一部分を操作する手段は、チューブの第2の端部を滅菌する手段を更に備えてもよい。チューブは、別のそのようなチューブに接続されていないとき、チューブを通って第1の容器に出入りする流体または細胞材料の流れを阻止(好ましくは防止)し得るように構成される内部バルブを更に備えてもよい。
【0065】
自動化システムは、チューブの第2の端部を別のそのようなチューブと接合する手段を更に備えてもよい。チューブを接合する手段は、チューブ溶接部を形成するために、チューブを共に溶接する手段を備え得る。チューブを共に溶接してチューブ溶接部を形成することによって、閉じたシステムを維持しつつ、複数の接続及び分離を行うことが可能になる。無菌接続は、滅菌剤を必要とせずに形成され得る。
【0066】
チューブを接合する手段は、チューブの第2の端部と、他のそのようなチューブとの間を接続するように構成される接続部品を備えてもよく、好ましくは、接続部品は、チューブが流体接続されると、滅菌流体、例えば蒸気を受け入れるように構成され、それによって、無菌接続を作成する。
【0067】
エンドエフェクタは、チューブに係合し、移動させるように構成される少なくとも1つの把持ユニットを備え得る。チューブは、チューブの周りに配置された保持デバイスを備えることができ、それによって把持ユニットは、チューブに係合し、移動させるために保持部を把持する。把持ユニットが、保持デバイスを把持したとき、チューブが、保持デバイスを通って、(例えば、回転または直線的に)並進し得るように、保持デバイスは、チューブの長さに沿って移動可能であってもよい。チューブは、把持ユニットが係合するために、その外面に1以上の突起を有し得る。
【0068】
また、本明細書に開示するのは、1以上の容器(例えば、上記のバイオプロセスシステムなど)を使用してバイオプロセスのための動作を実施する一連の処理ステーションを有するシステムにおいてバイオプロセスを実施する方法であって、本方法は、第1の容器と、分離可能な第2の容器との間の流体接続を操作し、それによって、第1の容器と第2の容器との間の流体または細胞材料の制御された移送を可能にする無菌接続を作成するように自動化システムを構成することであって、流体接続を操作することが、第1の容器と、分離可能な第3の容器との間の更なるそのような流体接続を操作し得るように、流体または細胞材料の移送が完了した後に分離され得る無菌接続を作成する、構成することと、処理ステーションの自動化された一連の動作を制御することと、を含む、方法。
【0069】
有利には、容器間の無菌接続を作成し、分離するように自動化システムを構成することによって、人間のオペレータを必要とせずに一連のバイオプロセス動作を実施することが可能である。これは、人為的エラーを排除し、自動化システムが極めて確実にバイオプロセス方法を実施することを可能にする。追加的に、無菌接続は、容器の内容物を周囲環境に曝露することなく、容器間の材料の移送を確実に行い得る。これは、自動化システム及び処理ステーションを滅菌筐体内に設けることが厳密に必要ではないことを意味する。バイオプロセスシステムが、無菌接続を接続し、分離し得るので、容器は、バイオプロセスのための既存の容器と比較して比較的単純であり得る。更に、バイオプロセスシステムは、多種多様なバイオプロセス方法(すなわち、バイオプロセス動作の異なるシーケンス)を処理するように適合され得るので、極めて柔軟であり得る。バイオプロセスシステムはまた、経時的に更なる処理ステーションを追加することが可能であるので、極めてスケーラブルである。
【0070】
本方法は、所定のワークフロー、好ましくは再構成可能なバイオプロセスワークフローに従って、自動化された一連の動作を制御すること、を更に含み得る。このようにして、特定のバイオプロセス方法をバイオプロセスシステムによって実行することができ、本方法は、バイオプロセスシステム自体にいかなる修正も必要とせずに容易に修正または適合し得る。
【0071】
また、本明細書に記載するのは、第1のチューブを別のそのようなチューブに(好ましくはチューブ溶接を介して)接合し、それによって、流体経路を形成するロボットエンドエフェクタであって、チューブに係合し、チューブを、操作する1以上の位置に移動させるための手段、及び/またはチューブの一部分をクランプし、それによって、チューブの端部に向かってチューブの摘んだ部分を形成し、これにより、チューブが、摘んだ部分の上流で流体封止される手段、及び/または摘んだ部分の下流のチューブのセクションを除去し、それによって、チューブの前記端部を除去し、これにより、別のそのようなチューブと以前に接触していないチューブの新規の端部が摘んだ部分内で形成される手段、及び/またはチューブの新規の端部における摘んだ部分を別のそのようなチューブの対応する摘んだ部分と接合する手段、及び/または、別のそのようなチューブと接合されると、摘んだ部分を解放し、それによって、接合されたチューブ間に流体経路を確立するように、チューブを操作する手段、(例えば、以上のうちの1以上)を備える、ロボットエンドエフェクタである。一態様では、ロボットエンドエフェクタは、これらの列挙された特徴のすべてを備えてもよい。
【0072】
また、本明細書に記載するのは、バイオプロセスシステム(例えば、複数の分離可能な容器を使用してバイオプロセスのための動作を実施する一連の処理ステーションを有するバイオプロセスシステム)のためのロボットデバイスであって、ロボットデバイスが、バイオプロセスシステムの周りの自動化された移動のために構成されるベースユニットと、ベースユニットに取り付けられる少なくとも1つのロボットアームと、ロボットアームに取り付けられる少なくとも1つのエンドエフェクタであって、少なくとも1つのエンドエフェクタが、(i)2つの容器間の流体接続を操作し、それによって、それらの間の流体または細胞材料の制御された移送を可能にする無菌接続を形成することと、(ii)2つの容器間に形成された流体接続を操作し、それらの間の流体または細胞材料の制御された移送を実施することと、(iii)流体または細胞材料の移送が完了した後で、2つの容器間に形成された流体接続を分離し、それによって、各容器を無菌的に封止し、各容器と、異なる分離可能な容器との間に更なるそのような流体接続を形成することを可能にすることと、のうちの少なくとも1つを実施するように構成される、少なくとも1つのエンドエフェクタと、を備える、ロボットデバイスである。
【0073】
ロボットデバイス(例えば、「移動式操作ユニット」と呼ぶこともある)は、チューブ間の流体接続を操作するエンドエフェクタ(無菌接続の形成と分離との両方を含み得る)と、容器間でチューブに沿って流体を移送する(例えば、圧送する)ための別個のエンドエフェクタと、を備え得る。各エンドエフェクタは、別個のロボットアーム上に配置されてもよく、または複数のエンドエフェクタが、同じロボットアーム上に配置されてもよい。代替的に、ロボットデバイスは、チューブ間の流体接続を操作することと、容器間でチューブに沿って流体を移送することとの両方のための単一のエンドエフェクタを備えてもよい。ロボットデバイスは、RFチューブ封止装置などのチューブを封止するためのエンドエフェクタを更に備えてもよい。チューブを封止するそのようなエンドエフェクタは、別個のロボットアーム上に配置されてもよく、あるいは他のエンドエフェクタの1以上と同じロボットアーム上に配置されてもよい。
【0074】
ロボットデバイスは、例えば、バイオプロセスシステムの処理ステーション間で、バイオプロセスシステムの周り(または内部)を自動的に移動するように構成されてもよい。代替的に、または追加的に、ロボットデバイスは、バイオプロセスシステムが配置されている工場フロアにわたる自動的な移動のために構成されてもよい。ロボットデバイスは、バイオプロセスシステムの容器からサンプルを採取し、容器からサンプリング容器に流体を移送し、サンプリング容器を品質管理領域(例えば、品質管理(QC)ラボ)に輸送するように構成されてもよい。QCラボは、バイオプロセスシステムの一部であっても、または外部のQCラボであってもよい。ロボットデバイスは、品質管理領域への輸送中に、ロボットデバイス内またはロボットデバイス上にサンプリング容器を保管するために使用され得る保管領域を更に備えてもよい。
【0075】
本明細書で使用する場合、「バイオプロセス」という用語は、細胞療法、例えば自己細胞療法及び同種細胞療法、ならびにワクチン及び(小バッチ)バイオプロセスを、好ましくは含む。
【0076】
本明細書で使用する場合、「自動化システム」という用語は自動化によって動作され、及び/または制御されるシステムを、好ましくは含み、この用語は、ロボットデバイス、コンベヤ、容器に係合及び/または移動するように構成される1以上のアクチュエータ、あるいは実際には、システム内の容器及び/またはチューブを移動及び/または操作し得るこれらの特徴の任意の組合せ、のうちの1以上を好ましくは含む。
【0077】
本明細書で使用する場合、「ロボットデバイス」(または「ロボット」)という用語は、特定の機械的機能を実施するようにプログラムされた自動化された機械またはデバイスを好ましくは含み、この用語は、ロボット、コボット、x-yロボット、ロボットアーム、及び1以上のアクチュエータを好ましくは含み、場合によっては1以上のロボットエンドエフェクタも備え、1以上のセンサ、マイクロプロセッサ、及び電源も通常含む。ロボットデバイスは、バイオプロセスシステム内の固定位置に配置されても、またはバイオプロセスシステム内のいくつかの位置を通って移動するように構成されてもよい。例えば、ロボットデバイスは、レール上に設けられてもよく、あるいはロボットデバイスは、ロボットデバイスがバイオプロセスシステムの床の周りを移動または駆動することを可能にするホイール及び/またはモータを備えてもよく、そのようなロボットデバイスは、本明細書に記載の「移動式操作ユニット」と呼ぶことがある。
【0078】
本明細書で使用する場合、「無菌接続」という用語は、接続されているそれぞれの容器の内容物が周囲の空気または大気に曝露されない接続を、好ましくは含む。「無菌接続」という用語は、例えば、「閉じた接続」または「滅菌接続」と同等に呼ぶことがある。
【0079】
本明細書で使用する場合、「流体」という用語は、液体及び/または気体を、好ましくは含み、その中に含まれる細胞材料などの材料を更に含み得る。
【0080】
本明細書で使用する場合、「チューブ」または「チューブ類(tubing)」という用語は、可撓性チューブを、あるいは、熱可塑性樹脂、または例えば、CFlex(登録商標)などの他の(例えばエラストマー)材料から形成され得る可撓性部分を有する少なくとも1つのチューブを、好ましくは含む。
【0081】
本明細書に記載の任意の装置特徴を方法特徴として提供することができ、その逆も可能であることが当業者には理解されよう。本明細書に記載の任意の態様に記載し、定義した、特定の特徴、あるいは特徴の1以上の組合せは、独立して実装され、及び/または供給され、及び/または使用され得ることも理解されよう。
【0082】
更に、本発明は、単に例として本明細書に記載しており、本発明の範囲内で詳細な修正を行い得ることが理解されよう。更に、本明細書で使用する場合、任意の「ミーンズプラスファンクション」特徴は、それらの対応する構造に関して代替的に表現され得る。
【0083】
次に、添付の図面を参照して、本発明の例示的な実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0084】
図1】典型的なバイオプロセスワークフローの概略図である。
図2A】自動化バイオプロセスシステムの一実施形態の概略図である。
図2B】自動化工場として構成されたバイオプロセスシステムの特定の例を示す図である。
図2C】自動化工場として構成されたバイオプロセスシステムの特定の例を示す図である。
図3A図2に示すバイオプロセスシステムの一部であり得る2つのロボットアームを有する移動ロボットデバイスの一例を示す図である。
図3B】ロボットアーム、及びロボットアームのエンドエフェクタの様々な構成を示す図である。
図3C】ロボットアーム、及びロボットアームのエンドエフェクタの様々な構成を示す図である。
図3D】ロボットアーム、及びロボットアームのエンドエフェクタの様々な構成を示す図である。
図4A】バイオプロセスシステム内の容器を接続する補助的な可撓性チューブ類を提供し得るチューブリールを示す図である。
図4B】チューブに沿って流体を圧送するための蠕動圧送装置の一例を示す図である。
図5A】自動化バイオプロセスシステムでの使用に適した可撓性チューブの一例の断面図である。
図5B】自動化バイオプロセスシステム内での使用に適した可撓性チューブ類の一部の別の例を示す図である。
図5C】把持ユニット及びそれによって保持されるように適合した可撓性チューブ類の一部の概略例を示す図である。
図6A】観察システムによる追跡を容易にするための識別マークを有する消耗品及びチューブの例を示す図である。
図6B】チューブを留めるチューブクリップを示す図であり、チューブクリップは、ロボットデバイスによるチューブの位置特定を容易にするための識別マークを含む。
図7A】自動化バイオプロセスシステムで使用する培地または試薬の保持に適した消耗品を示す図である。
図7B】自動化バイオプロセスシステムでの遠心分離機内での使用に適した消耗品を示す図である。
図7C】自動化バイオプロセスシステムでの細胞増殖容器としての使用に適した消耗品を示す図である。
図8A】接続プロセスに沿った様々な工程における自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間の無菌接続を形成する装置の第1の実施形態を示す図である。
図8B】接続プロセスに沿った様々な工程における自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間の無菌接続を形成する装置の第1の実施形態を示す図である。
図8C】接続プロセスに沿った様々な工程における自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間の無菌接続を形成する装置の第1の実施形態を示す図である。
図8D】接続プロセスに沿った様々な工程における自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間の無菌接続を形成する装置の第1の実施形態を示す図である。
図8E】接続プロセスに沿った様々な工程における自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間の無菌接続を形成する装置の第1の実施形態を示す図である。
図8F】接続プロセスに沿った様々な工程における自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間の無菌接続を形成する装置の第1の実施形態を示す図である。
図8G】接続プロセスに沿った様々な工程における自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間の無菌接続を形成する装置の第1の実施形態を示す図である。
図8H】接続プロセスに沿った様々な工程における自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間の無菌接続を形成する装置の第1の実施形態を示す図である。
図8I】接続プロセスに沿った様々な工程における自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間の無菌接続を形成する装置の第1の実施形態を示す図である。
図8J】接続プロセスに沿った様々な工程における自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間の無菌接続を形成する装置の第1の実施形態を示す図である。
図8K】接続プロセスに沿った様々な工程における自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間の無菌接続を形成する装置の第1の実施形態を示す図である。
図8L】接続プロセスに沿った様々な工程における自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間の無菌接続を形成する装置の第1の実施形態を示す図である。
図9A】分離プロセスに沿った様々な工程における自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間の無菌接続を形成する装置の第1の実施形態を示す図である。
図9B】分離プロセスに沿った様々な工程における自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間の無菌接続を形成する装置の第1の実施形態を示す図である。
図9C】分離プロセスに沿った様々な工程における自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間の無菌接続を形成する装置の第1の実施形態を示す図である。
図9D】分離プロセスに沿った様々な工程における自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間の無菌接続を形成する装置の第1の実施形態を示す図である。
図10A】接続プロセスに沿った様々な工程における自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間の無菌接続を形成する装置の第2の実施形態を示す図である。
図10B】接続プロセスに沿った様々な工程における自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間の無菌接続を形成する装置の第2の実施形態を示す図である。
図10C】接続プロセスに沿った様々な工程における自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間の無菌接続を形成する装置の第2の実施形態を示す図である。
図10D】接続プロセスに沿った様々な工程における自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間の無菌接続を形成する装置の第2の実施形態を示す図である。
図11A】分離プロセスに沿った様々な工程における自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間の無菌接続を形成する装置の第2の実施形態を示す図である。
図11B】分離プロセスに沿った様々な工程における自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間の無菌接続を形成する装置の第2の実施形態を示す図である。
図11C】分離プロセスに沿った様々な工程における自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間の無菌接続を形成する装置の第2の実施形態を示す図である。
図11D】分離プロセスに沿った様々な工程における自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間の無菌接続を形成する装置の第2の実施形態を示す図である。
図12A】各々が端部にフランジを有する2つのチューブを示す図である。
図12B】フランジを使用してチューブを接続した後の図12Aのチューブを示す図である。
図13A図12A及び図12Bのフランジを形成するための装置を示す図である。
図13B図12A及び図12Bのフランジを形成するための装置を示す図である。
図13C図12A及び図12Bのフランジを形成するための装置を示す図である。
図13D図12A及び図12Bのフランジを形成するための装置を示す図である。
図14】自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間に無菌接続を形成する装置の第3の実施形態を示す図である。
図15A】接続プロセスに沿った2つの工程における自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間の無菌接続を形成する装置の第4の実施形態を示す図である。
図15B】接続プロセスに沿った2つの工程における自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間の無菌接続を形成する装置の第4の実施形態を示す図である。
図16A】接続プロセスに沿った2つの工程における自動化バイオプロセスシステムでフランジを有するチューブ間の無菌接続を形成する装置の第5の実施形態を示す図である。
図16B】接続プロセスに沿った2つの工程における自動化バイオプロセスシステムでフランジを有するチューブ間の無菌接続を形成する装置の第5の実施形態を示す図である。
図17A】接続プロセスに沿った様々な工程における自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間の無菌接続を形成する装置の第6の実施形態を示す図である。
図17B】接続プロセスに沿った様々な工程における自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間の無菌接続を形成する装置の第6の実施形態を示す図である。
図17C】接続プロセスに沿った様々な工程における自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間の無菌接続を形成する装置の第6の実施形態を示す図である。
図17D】接続プロセスに沿った様々な工程における自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間の無菌接続を形成する装置の第6の実施形態を示す図である。
図17E】分離プロセスに沿った2つの工程における自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間の無菌接続を形成する装置の第6の実施形態を示す図である。
図17F】分離プロセスに沿った2つの工程における自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間の無菌接続を形成する装置の第6の実施形態を示す図である。
図18A】自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間の無菌接続を形成する装置の第7の実施形態を示す図である。
図18B図18Aの接続を形成するために使用されるコネクタを示す図である。
図19】自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間に無菌接続を形成する装置の第8の実施形態を示す図である。
図20】自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間に無菌接続を形成する装置の第9の実施形態を示す図である。
図21】自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間に無菌接続を形成する装置の第10の実施形態を示す図である。
図22A】自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間に無菌接続を形成する装置の第11の実施形態を示す図である。
図22B】自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間に無菌接続を形成する装置の第11の実施形態を示す図である。
図22C】自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間に無菌接続を形成する装置の第11の実施形態を示す図である。
図22D】自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間に無菌接続を形成する装置の第11の実施形態を示す図である。
図22E】自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間に無菌接続を形成する装置の第11の実施形態を示す図である。
図22F】自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間に無菌接続を形成する装置の第11の実施形態を示す図である。
図22G】自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間に無菌接続を形成する装置の第11の実施形態を示す図である。
図23A】自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間に無菌接続を形成する装置の第12の実施形態を示す図である。
図23B】自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間に無菌接続を形成する装置の第12の実施形態を示す図である。
図23C】自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間に無菌接続を形成する装置の第12の実施形態を示す図である。
図23D】自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間に無菌接続を形成する装置の第12の実施形態を示す図である。
図23E】自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間に無菌接続を形成する装置の第12の実施形態を示す図である。
図23F】自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間に無菌接続を形成する装置の第12の実施形態を示す図である。
図23G】自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間に無菌接続を形成する装置の第12の実施形態を示す図である。
図23H】自動化バイオプロセスシステムでのチューブ間に無菌接続を形成する装置の第12の実施形態を示す図である。
図24A】自動化バイオプロセスシステムでの消耗品間に無菌接続を形成する装置の一実施形態を示す図である。
図24B】自動化バイオプロセスシステムでの消耗品間に無菌接続を形成する装置の一実施形態を示す図である。
図24C】自動化バイオプロセスシステムでの消耗品間に無菌接続を形成する装置の一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0085】
典型的なバイオプロセスワークフローの一例を図1に示す。このプロセスは、多数の容器及び試薬を含み、各矢印は、容器間の流体の移送を示す。既に前述した懸念に起因して、従来のバイオプロセスシステムは、容器及び流体経路のすべてを、単一の消耗品内に提供する。これは、容器間の交差汚染に関する懸念を軽減することができるが、複雑な消耗品は極めて高価であり、バイオプロセスワークフローの修正に柔軟性がない。一体型バルブ及びポンプの数が多いため、消耗品も信頼できない場合がある。したがって、ここで詳細に説明するように、ワークフローをはるかに小さい部分(点線で示す部分など)に分割することによって、はるかに複雑でない消耗品で同じ結果を達成することが可能である。これはまた、ワークフローが修正された場合にはるかに高い柔軟性を実現し、品質管理のためのプロセス全体を通して、サンプルの抽出を可能にする。
【0086】
本発明によるバイオプロセスシステム1の例示的な実施形態を図2Aに示している。バイオプロセスシステム1は、バイオプロセスのための処理工程を実施するように構成される一連の(例えば、「複数の」)処理ステーション20と、プロセスを(少なくとも一部)自動化する(自動化)システム1aと、を有する。
【0087】
この例示的な実施形態では、バイオプロセスシステム1は、解凍ステーション4、遠心分離機6、磁気細胞分離器8、コントローラレートフリーザ10、及び冷蔵庫11の形態の処理ステーション20を有するが、バイオプロセスシステム1によって実施される特定のプロセスに応じて、処理のための追加の代替ステーション20(図示せず)を設置してもよい。また、バイオプロセスシステム1内の別個の位置において、任意の所与の処理ステーション20の複数のインスタンスが存在してもよい。
【0088】
処理ステーション20は、濃縮ステーション、凍結保存ユニット、洗浄ステーション、細胞濃縮ステーション、細胞増殖ステーション、細胞選択ステーション、細胞数、細胞生存率、細胞表現型もしくは細胞型を決定するステーション、例えばサイトメーターステーション、及び/または任意の他の適切な処理もしくは分析工程のためのステーションの任意の組合せを含んでもよい。バイオプロセスシステム1はまた、灌流下を含む、一度に複数の消耗品13を収容し、インキュベートするために十分な大きさのインキュベータ12を有する。有利には、サイトメーターステーションは、細胞数及び品質の断続的な読み取りを得るためにサンプルを自動的に採取することを容易にし得る。これは、プロセスを制御下に維持し、適応制御によってプロセス改善を開始するために有益であり、後で詳細に説明するように、潜在的に更なる予測要素を可能にする。
【0089】
例えば、インキュベータ12は、20個の消耗品13を保管し、約37℃で動作し得るが、消耗品13の数は、実施される特定のバイオプロセスの必要性を満たすように選択され得る。更なる消耗品13のための追加の空間を提供するために、バイオプロセスシステム1内の別個の位置に追加のインキュベータ12を設けることができる。各消耗品13は、細胞サンプル、試薬、または流体を収容することができ、各消耗品13は、チューブ(150図示せず)の第2の端部につながるチューブ150の第1の端部に接続し、未接続(または「自由」)のときに流体封止される。したがって、本明細書で言及する場合、「消耗品」は、例えば、細胞療法プロセスで処理される細胞材料を保持し得る「容器」の形態であってもよい。
【0090】
消耗品13及び試薬のすべては、特定のバイオプロセスが開始される前にバイオプロセスシステム1に予め装填されてもよいが、必要に応じてプロセス全体を通して(例えば、10日間の治療法プロセスの7日目に)追加の試薬を追加してもよい。追加の試薬は、例えば、細胞の再活性化のために、または消耗品13に追加の培地を追加するために、必要とされ得る。
【0091】
特定のバイオプロセスは、バイオプロセスワークフローによって定義され、好ましくは、バイオプロセスシステム1は、いくつかのバイオプロセスワークフローを実行するように構成され得る。例えば、バイオプロセスシステム1は、複数の患者サンプルに対して同じバイオプロセスワークフローを並行して実行しても、または複数の患者サンプルに対して異なるバイオプロセスワークフローを並行して実行してもよい。各バイオプロセスワークフローは、バイオプロセスシステム1内の処理ステーション20の異なるサブセットを使用し得る。好ましい実施形態では、バイオプロセスシステム1は、濃度、洗浄及びインキュベーションプロセスを実施するためのステーション20を備える。
【0092】
バイオプロセスシステム1は、一連の処理ステーション20の各々に1以上の消耗品13を設置し、ステーション20間で消耗品13を移動させるように構成される自動化システム1aを備える。本実施形態では、消耗品13を様々なステーション20間で移動させ、消耗品13の各々に接続するチューブ150を操作し得る少なくとも1つのロボットデバイス2を、自動化システム1aは含む。代替的に、または追加的に、ロボットデバイス2は、消耗品13を処理ステーション20に接続するために、処理ステーション20を移動させるように構成されてもよい。バイオプロセスシステム1は、自動化システム1aの動作を観察するための観察システム35(例えば、マシンビジョンシステム)を更に備えてもよい。バイオプロセスシステム1は、自動化システム1aの一連の動作を制御する処理及び制御ユニット38を更に備えてもよく、言い換えれば、処理及び制御ユニット38は、処理ステーション20及び/またはロボットデバイス2を含む自動化システム1aの自動化された一連の動作を制御する手段を提供し得る。処理及び制御ユニット38は、本明細書ではバイオプロセスシステム1の個々のユニットとして説明しているが、複数のユニット、例えば、処理のため、及び制御のための別個のユニットが存在してもよいことが理解されよう。
【0093】
バイオプロセスシステム1の特定の例を図2B及び図2Cに示しており、上述のすべての処理ステーション20は、工場フロア17上の静的位置に配置されている。この構成では、バイオプロセスシステム1は、自動化工場と呼ぶことがある。各ロボットデバイス2はまた、工場フロア17に設けられ、これはいくつかの方法で実装され得る。例えば、各ロボットデバイス2は、バイオプロセスシステム1内の固定位置に配置されてもよく、またはレール18上に取り付けられてもよく、これにより、ロボットデバイス2は、ステーション20などのバイオプロセスシステム1のすべての領域にアクセスし得る。ロボットデバイス2は、協働ロボット(「コボット」)として構成されてもよい。ロボットデバイス2は、本明細書に示すように、消耗品13及びチューブ150を操作するための少なくとも1つのロボットアーム3を有しても、あるいはコンベヤベルト、1つもしくは複数のアクチュエータ、または上記の態様の任意の組合せを含んでもよい。好ましくは、バイオプロセスシステム1は、複数のロボットデバイス2を備え、バイオプロセスシステム1の異なるプロセスは、異なるロボットデバイス2によって実施される。例えば、チューブ150を操作し、別個の消耗品13間に(例えば、チューブ溶接及び封止によって)流体接続を形成し、チューブ150に沿って流体を圧送し、消耗品13を搬送し、及び/または品質管理のために消耗品13からサンプリングする、別個のロボットデバイスがある。他の動作がロボットデバイス2によって実施されてもよく、ロボットデバイス2のいずれかが、2つ以上の動作を実施するように構成されてもよいことが理解されよう。好ましくは、複数のロボットデバイス2は、ある程度の冗長性を提供するために、各動作を実施し、特定のバイオプロセスワークフローの進行を中断することなく、任意のロボットデバイス2を修理及び/または交換することを可能にするように、構成されてもよい。
【0094】
各ロボットデバイス2は、図3Aに示すような移動式操作ユニット2として実装されてもよい。移動式操作ユニット2は、ステーション20などの領域にアクセスするために、バイオプロセスシステム1のフロア17にわたって、自律的に移動するように構成され得る。各移動式操作ユニット2は、バイオプロセスシステム1内またはその周囲の自動化された移動のために構成されるベースユニット2aを備えてもよい。例えば、移動式操作ユニット2は、モータと、移動式操作ユニット2がバイオプロセスシステム1のフロア17内またはその周囲を移動し得るように共に構成される他の制御及び通信構成要素(図示せず)と、を収容し得るホイール取付けベースユニット2aを備えてもよい。例えば、移動式操作ユニット2は、処理及び制御ユニット38から命令を受信し、ならびに/あるいは処理及び制御ユニット38に(センサまたはカメラなどから)データを送信し得る通信ユニット(図示せず)を備えてもよく、これはモータを制御してホイールを駆動し、それによって、移動式操作ユニット2を駆動するように作用する。特に工場フロア17の周囲で消耗品を移動させるために移動式操作ユニット2を使用することは、正確な一連の動作を必要とするコンベヤとは異なり、非同期プロセスを同時に実行することを可能にするので有利である。
【0095】
ベースユニット2aに取り付けられ、バイオプロセスシステム1内で1以上の動作を実施するように構成される少なくとも1つのロボットアーム3を、各移動式操作ユニット2は有し得る。好ましくは、移動式操作ユニット2は、ベースユニット2aに取り付けられた複数のロボットアーム3(例えば、図3Aの例に示すように、2つのロボットアーム3)を有してもよく、これらはそれぞれ、異なる動作を実施するように構成され、これにより、例えば連続的または同時に、処理ステーション20に配置されたとき、移動式操作ユニット2によって複数の動作を実施してもよい。例えば、任意のロボットアーム3は、消耗品間の流体接続を操作するように構成されてもよく、別のロボットアーム3は、チューブ150に沿って流体を圧送するように構成されてもよい。チューブ150を封止するロボットアーム3も存在し得る。各ロボットアーム3は、バイオプロセスシステム1において少なくとも1つの動作を実施するように構成される少なくとも1つのエンドエフェクタ100を動作させ得る。
【0096】
ここで、ロボットアーム3の様々な例示的な構成を、図3B図3Dに関連して説明する。これらの構成は、移動式ロボットデバイス2(例えば、上述した移動式操作ユニット2)に組み込まれても、またはバイオプロセスシステム1内の固定位置に配置された静止ロボットデバイス2に組み込まれてもよい。図3Bに示す実施形態では、ロボットデバイス2は、第1のエンドエフェクタ100-1を有する第1のロボットアーム3-1と、第2のエンドエフェクタ100-2を有する第2のロボットアーム3-2と、を備える。これにより、移動式操作ユニット2に柔軟性を持たせ、両方のロボットアーム3-1、3-2は、独立して動作され得る。本実施例では、第1のエンドエフェクタ100-1は、詳細に後述する方法で滅菌チューブ溶接機として構成され、第2のエンドエフェクタ100-2は、チューブ150を通して流体を圧送するための圧送ユニット30として構成される。圧送ユニット30の一実施形態は、図4Bに関連して更に説明する。しかしながら、ロボットデバイス2が静止ロボットデバイス2であるとき、両方のアーム3-1、3-2が必要なすべての領域に到達することは困難である。
【0097】
代替的な実施形態では、図3Cに示すように、単一のロボットアーム3は、滅菌チューブ溶接機として構成される第1の部分100aと、圧送ユニット30として構成される第2の部分100bと、を有するエンドエフェクタ100を備える。このようにして、単一のロボットアーム3は、各部分100a、100bがその特定の目的のために動作され得るように、単純に位置を変更(例えば、回転)し得る。これにより、ロボットアーム3の到達範囲が改善され、空間効率が向上するが、エンドエフェクタ100が重くなる可能性がある。
【0098】
更なる代替として、エンドエフェクタ100は、ロボットアーム3と交換可能であってもよい。図3Dに示すように、ロボットアーム3は、既に上述したようなエンドエフェクタ100の選択と係合するように構成される把持ユニット50を有してもよい。把持ユニット50は、エンドエフェクタ100の選択を把持するための一対の顎部を有しても、または磁気結合を使用してエンドエフェクタ100のうちの1つを選択してもよい。エンドエフェクタ100の選択は、チューブ溶接機として構成されるエンドエフェクタ100-1、圧送ユニット30として構成されるエンドエフェクタ100-2、封止ユニットとして構成されるエンドエフェクタ100-3を含んでも、またはエンドエフェクタの任意の組合せを含んでもよい。エンドエフェクタ100の選択は、ロボットデバイス2によってアクセス可能なバイオプロセスシステム1内のどこにでも配置され得る。好ましくは、エンドエフェクタ100の選択は、ロボットアーム3の隣のツール保持部3aまたは「ツールベルト」3a内など、ロボットアーム3の届く範囲内に常に配置される。有利には、これにより、単一のロボットアーム3が広範囲の特殊なエンドエフェクタ100を動作させることが可能になる。
【0099】
例えば、移動式操作ユニット2は、チューブ溶接と圧送との両方のためのエンドエフェクタ100を有してもよい。したがって、移動式操作ユニット2は、2つの消耗品13を共に接合し、消耗品13間で流体を移送し得る場合がある。代替的に、または追加的に、移動式操作ユニット2は、チューブ封止のためのエンドエフェクタ100を有してもよい。代替的に、または追加的に、移動式操作ユニット2は、溶接し、流体をサンプリング消耗品13に圧送することによって、(例えばバイオリアクタから)滅菌サンプルを採取してもよい。その後、移動式操作ユニット2は、サンプリング消耗品を品質管理(QC)ラボに輸送し得る。移動式操作ユニット2は、QCラボへの輸送中にサンプリング消耗品13を保管し得る保管領域(図示せず)を備え得る。好ましくは、保管領域は温度制御される。
【0100】
自動化システム1aは、第1の消耗品13と、分離可能な第2の消耗品との間の流体接続を操作し、それによって第1の消耗品13と第2の消耗品13との間の流体または細胞材料の制御された移送を可能にする無菌接続を作成するように構成される。ここで、ロボットデバイス2は、別個の消耗品13を共に接続し得るように、チューブ150間に流体接続を形成(または操作)するために使用される。
【0101】
チューブ150間の接続は、既に上述したように、ロボットアーム3上に配置されたエンドエフェクタ100によって実施され得る。代替的に、ロボットアーム3は、チューブ150が続いて接続されるステーション20のうちの1つの別個の接続ユニット(図示せず)内でチューブを移動させ、配置してもよい。いずれの場合も、チューブ150間の接続は、無菌的に行われ、これにより、消耗品13及びチューブ150の内容物は、いかなる段階においても開いたり、周囲の空気または大気に曝露されたりすることはなく、すなわち、接続は、「閉じた」ままであり、汚染を防止するために追加の滅菌剤を必要としない。消耗品13間の「閉じた」無菌接続を形成または維持するいくつかの方法を、後に詳細に説明する。しかしながら、好ましくは、チューブ150間の流体接続を操作するために、滅菌チューブ溶接が使用される。
【0102】
流体接続も可逆的であり、これにより、必要なバイオプロセス方法を実施するために、チューブ150は、必要な回数だけ、分離され、異なる消耗品13に再接続され得る。言い換えれば、自動化システム1aは、第1の消耗品と、分離可能な第3の消耗品との間の更なるそのような流体接続を操作し得るように、流体または細胞材料の移送が完了した後に分離され得る無菌接続を作成するように構成される。
【0103】
上述したように、接続と、分離との両方の間、消耗品13及びチューブ150は、その内容物が周囲の空気または大気に曝露されることがなく、これにより、流体及び/または細胞材料の制御された移送が、共に接続された消耗品13間でのみ生じる。
【0104】
異なるチューブ150とバイオプロセスシステム1の他の部分との間の絡み合いを回避するために、各消耗品13に接続するチューブ150の長さを比較的短く保つことが望ましい。しかしながら、特定の細胞療法方法全体にわたっていくつかの別個の消耗品間で多くの接続及び分離を行うために、十分なチューブ類の供給量を有することも重要である。したがって、チューブリール19等のチューブ供給手段19が、バイオプロセスシステム1に設けられてもよい。チューブリール19の一例を図4Aに示す。チューブ供給手段19は、バイオプロセスシステム1内の固定位置に設けられても、またはエンドエフェクタ100上に直接など、ロボットデバイス2の少なくとも1つに組み込まれてもよい。特定の消耗品13に接続するチューブ150が特定のバイオプロセス工程で必要な接続を行うために十分な長さでない場合、自動化システム1aは、チューブ供給手段19から追加の長さのチューブ類を抽出し、それを使用して消耗品13に接続するチューブ150を延長してもよい。後で詳細に説明するように、チューブ150の内容物が、環境、またはチューブ供給手段19内のチューブ類の残りの長さのいずれにも曝露されないことを確実にする方法で、チューブ150の延長は、チューブ溶接によって実施されることが好ましい。
【0105】
チューブ150の内容物が、決して周囲に曝露されないので、ステーション20、消耗品13、またはロボットデバイス2の周囲に無菌雰囲気を有する必要は全くない。オペレータによるアクセスを防止するために、及び/または滅菌雰囲気を提供するために、あるいは、例えば温度、光レベルまたは他の条件を制御することによって環境を制御するために、筐体14が設けられ得る。しかしながら、好ましくは、バイオプロセスシステム1は、滅菌筐体14を必要とせず、代わりに、処理ステーション20は、人間のオペレータと、1以上のロボットデバイス2との両方によって横断され、アクセスされ得る空間内の工場フロア17に設けられる。
【0106】
バイオプロセスシステム1はまた、圧送ユニット30を有し、それは、ロボットデバイス2がそれぞれのチューブ150を介して2つの消耗品13を正常に接続すると、チューブ150に沿って流体を圧送する。既に上述したように、圧送ユニット30は、ロボットアーム3に配置されてもよい。代替的に、圧送ユニット30は、圧送が行われるようにロボットアーム3によってチューブ150が配置されるステーション20のうちの1つに配置された静止構成要素であってもよい。圧送ユニット30は、図4Bに示すような蠕動圧送装置30であってもよいが、代替的に、または追加的に、圧力駆動式フローポンプまたはシリンジポンプが使用されてもよい。任意選択で、様々なタイプのポンプを様々な圧送動作に使用してもよい。この圧送装置30は、シャフト(図示せず)上のモータによって駆動される回転ホイール31を有する。圧送装置30はまた、クランプ32を有し、圧送動作の前に、チューブ150は、ロボットデバイス2によって回転ホイール31とクランプ32との間に位置決めされる。圧送装置30は、その後、回転ホイール31とクランプ32との間でチューブ150を圧縮し、回転ホイール31が回転すると、チューブ150に沿って流体を圧送する。更に、圧送装置30は、ホイール31を回転させることなく回転ホイール31とクランプ32との間でチューブ150を圧縮することによって、チューブ150を通る流体の流れを防止するために使用され得る。圧送ユニット30が好ましいが、流体及び細胞材料の移送は、例えば重力によって、または滅菌フィルタを介したガスの添加によって行われてもよい。
【0107】
ロボットアーム3は、ロボットデバイス2が消耗品13及びチューブ150を保持し、移動させることを可能にする少なくとも1つの把持ユニット(50、図示せず)を有し得る。チューブ150は、溶接されるべき位置に操作され得るように十分に可撓性になっている。チューブ150は、チューブ150間の接続がロボットデバイス2によって着実に実施され得るように、標準化された材料、形状及び直径を有することが好ましい。例えば、バイオプロセスシステム1は、システム全体にわたって1つの標準化されたタイプのチューブのみを使用してもよく、または少数の標準化されたチューブを使用してもよい。チューブのタイプは、溶接品質を最適化するように選択され得る。極めて良好に溶接することが検証された少数の予め指定されたチューブを使用することによって、信頼性は向上し得る。
【0108】
図5Aは、非円形プロファイルを有するチューブ150の断面を示し、これにより、2つの平坦な材料ストリップを共に取り付けることによって、チューブ150は容易に製造され得る。更に、チューブ150を介して流体を圧送するために、または流体の移動を防止するために、チューブ150を摘んで閉じるために、チューブ150は、把持ユニット50によって、または圧送ユニット30によって、容易に平坦化され得る。チューブ150は、好ましくは熱可塑性樹脂から形成されるが、CFLex(登録商標)(エラストマー)材料などの他の材料で形成されてもよい。
【0109】
各チューブ150は、ロボットアーム3によって容易に操作され得る剛性の外部ケースワークによって囲まれたセクションを有し得る。代替的に、チューブ150は、容易に操作される、その外側の長さに沿って離隔した一連の突起を有してもよい。例えば、図5Bは、その長さに沿った様々な位置で予備成形された径方向(外向き)に延在するフランジ領域40の形態の一連の突起40(例えば、「取扱セクション」)を有するチューブ150を示している。
【0110】
取扱セクション40を設けることによって、チューブ150に張力を加えることが容易になり得る。例えば、図5Cは、取扱セクション40を把持するために使用され得る2つの把持部55を有する把持ユニット50を示している。このようにして、把持部55は、チューブ150に張力を加えて、それを真っ直ぐにし、圧送ユニット30に、または流体の流れを防止するためのピンチバルブ(図示せず)などの別の装置の部品に、配置されてもよい。
【0111】
バイオプロセスシステム1はまた、バイオプロセスシステム1の動作中に、または検査及び品質管理のために、使用されるセンサ及び/またはカメラなどの画像取込システムまたはデバイスを備え得る。1以上の処理ユニットと共に、これらの画像取込システムまたはデバイスは、観察システムまたはマシンビジョンシステム35と呼ぶことがあるが、処理は、処理及び制御ユニット38によって実施されてもよい。例えば、カメラは、工場フロア17上の固定位置など、バイオプロセスシステム1全体に分散されてもよい。代替的に、または追加的に、カメラ及びセンサは、ロボットデバイス2の少なくとも1つのロボットアーム3またはエンドエフェクタ100など、1以上のロボットデバイス2に配置されてもよい。
【0112】
図6Aに示すように、各消耗品13上の固有のバーコードまたはQR(登録商標)コードを使用するなどして、各消耗品13は、識別マーク13-1を使用してカメラによって識別され得る。これにより、すべての消耗品13及びサンプルを、細胞療法プロセスを通して一意で、自動的に追跡することが可能になり、トレーサビリティが維持され、電子バッチ記録(EBR)との統合が容易になり、同時に複数のバッチの処理を可能にする。固有の無線周波数識別(RFID)タグを使用するなど、他の識別方法が使用され得る。特に、バイオプロセスシステム1が、いくつかの患者サンプルを処理するとき、異なるバッチを混合するリスクを低減するために、バイオプロセスシステム1全体にわたってサンプルを正確で、自動的に追跡し得ることが重要である。
【0113】
同様に、チューブ150はまた、識別マーク150-1を使用して識別されてもよい。例えば、識別マーク150-1は、固有のバーコードまたはQRコードであってもよいが、RFIDタグを使用するなど、他の識別方法を使用してもよい。識別マーク150-1は、チューブ150の長さに沿って規則的な間隔で配置されてもよく、各識別マーク150-1は、その位置、方向、材料、サイズ及び/または他の特性などのチューブ150に関するデータを一意に提供する。例えば、識別マーク150-1は、固有の試薬ID、チューブのサイズ及び材料(溶接及び圧送パラメータに影響を及ぼし得る)、識別マーク150-1と、対応する容器13との間の距離、ならびに/またはチューブの方向(どの方向が容器13に向かうかを示すためなど)を示してもよい。識別マーク150-1は、製造業者データがマークされる方法と同様の方法で、チューブ150上に印刷されても、またはチューブ150内にレーザエッチングされてもよい。チューブ150に沿って識別マーク150-1を設けることは、いくつかの利点をもたらし得る。まず、チューブ上の識別マーク150-1を検査するだけで、特定のチューブ150がどの容器13に接続されているかを確実に識別することが可能である。これにより、2つの容器13間に無菌接続が行われる前に、接続プロセスが始まる前に、チューブ150が最初に一緒にされ、バイオプロセスシステム1内のカメラの1つによってチェックされ、それにより、容器13が誤って接続されるリスクを低減し得ることが保証される。更に、チューブ150の長さに沿ってどこで接続を行うべきかを決定することも可能であるので、チューブの無駄を最小化し、チューブ150の残りの全長に基づいて切断の数を計算し得る可能性がある。最後に、識別マーク150-1はまた、溶接及び圧送に使用されるべき設定を、処理及び制御ユニット38に示すために使用され得る。
【0114】
図6Bは、チューブ150をクリップ留めするチューブクリップ41を示している。いくつかのそのようなチューブクリップ41は、バイオプロセスシステム1全体に分散されてもよい。チューブクリップ41は、バイオプロセスシステム1内のチューブクリップ41の位置を一意に識別する識別マーク41-1を備え得る。例えば、識別マーク41-1は、固有のバーコードまたはQRコードであってもよいが、固有のRFIDタグを使用するなど、他の識別方法を使用してもよい。チューブがクリップ用顎部41-2の間に挿入されたとき、チューブクリップ41は、チューブ150を定位置に保持する少なくとも一対のクリップ用顎部41-2などのチューブ保持要素を備える。クリップ用顎部41-2に保持されたチューブ150を、識別マーク41-1のみを基準として確実に位置決めできるように、クリップ用顎部41-2は、識別マーク41-1に対して固定された位置に配置される。有利には、これは、可撓性チューブ150を自律的に位置決めし、取り扱うという課題を単純化し、代わりに、クリップ用顎部41-2間にチューブ150を位置決めするために、ロボットアーム3またはエンドエフェクタ100の把持ユニット50が、正確に定義された座標のセット(例えばXYZ座標)に移動することを可能にする。チューブクリップ41は、チューブの存在、チューブ内の空気、及び/またはチューブ150を通る流体の流量を検出し得る、気泡センサなどのセンサを更に備えてもよい。更に、チューブクリップはまた、クリップを開位置及び閉位置から移動させるためのアクチュエータを含んでもよく、開位置と閉位置との間の移動は、チューブを規定の基準点に着座させ、チューブ類がクリップから引き出されることを防止するように設計される。チューブクリップ41は、バイオプロセスシステム1内の固定位置(例えば、所定の、既知の、または容易に識別可能な位置)に配置されてもよい。チューブクリップ41は、バイオプロセス動作の前に/後で/途中で、移動可能であってもよい。例えば、チューブクリップ41は、セットアップ段階中にユーザによってバイオプロセスシステム1に最初に取り付けられても、レールまたはラックに取り付けられてもよく、その後、ユーザは、対応するチューブクリップ41に1以上のチューブ150をクリップ留めしてもよい。ロボットデバイス2がバイオプロセス動作中にチューブ150に正しく係合し得るように、マシンビジョンシステム35は、チューブクリップ41を走査し、すべてのチューブ150の初期位置を識別し得る。これは、柔軟で堅牢な設定をもたらす。
【0115】
品質管理のために、マシンビジョンシステム35のカメラ及びセンサは、チューブ150間の接続を検査し、接続を正常に作成したことを検証してもよい。カメラは、チューブ150間の接続の詳細な検査を可能にする顕微鏡レンズを有してもよい。カメラ及びセンサによる検査中に、接続をいくつかの方法で試験してもよい。超音波を使用して、接続部に空洞があるか否かを確認してもよく、及び/または把持ユニット50を使用して、接続部またはその近くでチューブ150に圧力を加えてもよい。把持ユニット50を使用して、チューブ150間の接続に張力を加え、接合したチューブ150の応力-歪みプロファイルを測定してもよい。流体センサまたは大気スニフセンサ(例えば、「匂い漏洩(sniff leak)」または「ガス漏洩」検出器)を使用して、接続からの流体漏洩を検出してもよい。測定された応力-歪みプロファイル、カメラによる目視検査、またはセンサによって測定されたパラメータが、チューブ150間の接続が不良であることを示す場合、チューブ150を分離し、無菌接続が正常に形成されるまで、新規の流体接続を操作してもよい。品質管理は、オペレータからの入力なしに、接続が行われるたびに、自動的に実施されてもよい。チューブ150間の接続は、品質管理が実施されるまで、それぞれの消耗品13から隔離されてもよい。これは、チューブ150をピンチすることによって、及び/または流体の流出のみを可能にすることによって達成され得る。このようにして、接続不良を発見した場合でも、消耗品13の内容物は、依然として周囲の空気または大気から隔離されたままである。接続不良の場合、プロセス材料が接続領域に入る前に良好な接続が行われるまで、プロセスは繰り返され得る。
【0116】
1以上のソフトウェアプログラムを実行するように、ならびに/あるいは自動化システム1a、処理ステーション20、及び/またはマシンビジョンシステム35などのバイオプロセスシステム1の様々な構成要素を制御するように、構成され得る処理及び制御ユニット38を、バイオプロセスシステム1は更に備えてもよい。処理及び制御ユニット38を、本明細書では単一のユニットとして説明しているが、処理のため、及び制御のための別個のユニットなど、同じ機能を実施するために複数のユニットを設けてもよいことが理解されよう。バイオプロセスシステム1は、ユーザが処理及び制御ユニット38によって実行される命令を入力するためのユーザインターフェース15を有してもよい。ユーザインターフェース15はまた、例えば「クラウド」に記憶されたデータを用いて、バイオプロセスシステム1のリモート監視及び/または制御を可能にするためにリモートに配置されてもよい。バイオプロセスシステム1は、装填ハッチ16を有し、新規の消耗品13は、バイオプロセスシステム1に装填され、または同等に、使用後に使用済み消耗品13は、バイオプロセスシステム1から除去され得る。オペレータはまた、ユーザインターフェース15を使用して、特定のバイオプロセスワークフローにおける特定の自動化された一連の動作を実施するようにバイオプロセスシステム1をプログラムすることができ、それによって、バイオプロセスシステム1の処理ステーションの自動化された一連の動作を制御する手段を提供する。オペレータはまた、ユーザインターフェース15を使用し、プロセスから通常のサンプルを自動的に採取し、これは、細胞数処理ステーションまたはサイトメーター上のプロセスであってもよく、あるいは環境に消耗品13の内容物のいずれも曝露することなく装填ハッチ16を介してバイオプロセスシステム1から除去されてもよい。サンプルは、細胞数、生存率、または細胞療法プロセスの進行を監視するための任意の他のパラメータについて試験するためなど、他の第3の者の機器(QCラボと呼ぶことがある)で実行され得る。細胞療法プロセスを通してサンプルを分析することによって、オペレータは、プロセスが仕様で維持されることを確実にし、更に、結果として得られるデータは、プロセス内の消耗品13ごとのガス、培地、及び他のパラメータの調整などの適応制御を可能にする。
【0117】
チューブ150の自動化された操作に関連する追加の問題は、チューブ150の自由端部が自動化システム1aにとって識別が困難であり、不確定位置にある可能性があることである。特に、長い長さのチューブ類を操作するとき、チューブ150がバイオプロセスシステム1の周りを移動すると、それらが互いに絡まったり、バイオプロセスシステム1の他の部分と衝突したりするリスクがある。したがって、処理及び制御ユニット38は、チューブ150の動きが設定された位置間の明確に定義された経路を概ねたどるように、自動化システム1aを動作させ得る。これにより、挙動を十分に特徴付け、確認し得る。言い換えれば、バイオプロセスワークフローの一連の動作は、定義されたユニット動作及び接続工程のリストを含むことができ、これらの工程は、自動化システム1aによって反復可能で、可逆的であり、チューブ150は、所定の経路に沿って任意の既知の位置から別の既知の位置に移動される。
【0118】
更に、チューブ150の自由端部を配置する必要がある場合、自動化システム1aは、対応する消耗品13を最初に配置し、次いでチューブ150の自由端部が配置されるまでチューブ150を(視覚的または機械的に)、たどり得る。これが、ロボットデバイス2のうちの1つなどによって機械的に実施される場合、ロボットデバイス2が依然として所定の経路をたどるように、ロボットデバイス2は、チューブ150を真っ直ぐにし得る。同様に、溶接作業を実施するとき、チューブ150を移動させ、2つの対応する容器間の位置などの自由空間内でチューブを接続することが望ましい場合がある。これを可能にするために、ロボットデバイス2が依然として所定の経路をたどるように、ロボットデバイス2は、(例えば、上記で概説したように、チューブクリップ41が閉位置にあるとき)チューブクリップ41を通してチューブ150を引っ張ることができ、ロボットデバイス2は、良好に配置されているチューブ150と相互作用することができ、更に、これにより、チューブ上の応力または歪みがチューブクリップ41によって吸収される。言い換えれば、チューブクリップ41を、チューブ150を引っ張る、または並進させ得るプーリまたはブラケットとして機能させてもよい。
【0119】
処理及び制御ユニット38は、バイオプロセスシステム1によって実施される一連の動作を自動的にスケジューリングする自動スケジューリングプログラムを実行し得る。複数の細胞療法動作を並行して実行することに関連する1つの課題は、動作の各々が、異なる時間に開始し、(生物学的変動のために)実行のために異なる時間を要し、異なるプログラムされたワークフローを有する可能性があることである。追加的に、バイオプロセスシステム1は、処理ステーション20、ロボットデバイス2、及び/またはロボットアーム3などの限られた数のリソースを有することになる。結果として、複数の細胞療法動作をスケジューリングする際に、多くの競合が生じる可能性があり、バイオプロセスシステム1の部品間の機械的衝突に、かなりのリスクがある可能性がある。
【0120】
これに対処するために、自動スケジューリングプログラムは、様々なユーザプログラムされたワークフローを変換し、バイオプロセスシステム1が従うべき一連の行動を決定する。自動スケジューリングプログラムは、現在の処理時間などの入力に基づいてこの一連の行動を更新し得る。自動スケジューリングプログラムが2つの競合する行動を同時に実施しなければならないと決定した場合、プログラムは、競合を回避するために指定された制限内でタスクのうちの1つを遅延させ得る。これが不可能である場合、プログラムは、代わりに、それほど重要ではないタスクを遅延させても、あるいはエラーにフラグを立てても、または人間の介入のために警報を発してもよい。タスクの重要性は、優先順位の予めプログラムされた、またはユーザが構成可能なリストに基づいて決定されてもよい。
【0121】
更に、処理及び制御ユニット38は、実行前と実行中との両方でワークフロー及び対応する一連の行動をシミュレートし得るシミュレーションプログラムを実行し、将来のイベントがいつ発生するかを決定し、更に入力材料の特性に基づいて出力製品の可能性のある品質を決定し得る。シミュレーションプログラムは、プロセス変動をシミュレートする手段を有し、履歴データ及びユーザ入力パラメータに基づいて将来の変動の知識を更新する手段を有し得る。プロセス変動は、生物学的変動、人間のオペレータの変動、及び/または機械の変動から生じ得る。シミュレーションプログラムは、競合が発生すると予測した場合に、実行の開始を妨げ、(例えば、外部QCラボにサンプルを採取する)オペレータによって手動工程がいつ実行される必要があるかを示し得る。ユーザインターフェース15はまた、次の患者の実行を開始し得るまで待機しなければならない最小時間についてユーザに警告し、動作の相互依存性のすべてを強調表示する手段を有してもよい。
【0122】
自動化システム1aは、セットアップ中の人為的エラー、製造ラインへの干渉、予期しない部品の動き、バイオプロセスの長さの変動、入力材料の到着の変動、及び/または製造システム内のノイズに起因して、検証したパラメータの範囲外に動く可能性がある。更に、処理及び制御ユニット38内のソフトウェアは、多くの複雑な機能を同時に並行して実行するため、必然的に複雑である。これは、特に特定の信頼性及び安全性要件を満たす必要があるときに、バイオプロセスシステム1を検証し、確認することを困難にする可能性がある。この問題に対処するために、処理及び制御ユニット38はまた、検証プログラム(または「立会システム(witness system)」)を実行して、バイオプロセスシステム1が意図したように正しく実施されているか否かを確認し得る。例えば、検証プログラムは、正しい一連の行動が実施されたことを確認しても、更にロボットデバイス2、チューブ150、接続、及び流体機器の実際の位置をそれらの意図した位置と比較してもよい。検証プログラムが、自動化システム1aが意図したように実施していないことを観察した場合、エラーにフラグを立て、及び/または警報を発する。処理及び制御ユニット38は、検証プログラムをシミュレーションプログラムと組み合わせて使用し、自動化システム1aが将来仕様外になる可能性があるか否かを決定し、及び/または将来の性能を予測してもよい。予測する将来の性能が仕様外である可能性が高い場合、処理及び制御ユニット38は、警報を発するか、または自動化システム1aを仕様内に戻す行動をとってもよい。好ましくは、検証プログラムは、別個のセンサのセットから、マシンビジョンシステム35で使用するセンサへのデータ入力を受信し、単一障害点を回避するために、別個のプロセスとして実行されることが好ましい。言い換えれば、マシンビジョンシステム35は、検証プログラムに入力を提供するカメラ及び/またはセンサの別個のサブセットを備え得る。
【0123】
消耗品13間の可逆的な流体接続を可能にすることによって、各消耗品13は、以前の消耗品よりも単純な構造を持ち、低コストで製造されることが可能になる。自動化(ロボット)システム1aが、人間の介入なしに完全な細胞療法プロセスの実行に必要なすべての工程を実施し得るので、人為的エラーを排除し、自動化(ロボット)システム1aは、工程を極めて確実に実施し得る。更に、すべての消耗品13をいつでも分離し、再接続し得るので、複数の細胞療法プロセスは、並行して実施され得る。同様に、オペレータは、バイオプロセスシステム1が満杯でない限りいつでも、新規の治療プロセスを開始するようにバイオプロセスシステム1に指示し得る。追加的に、任意の2つの消耗品13をロボットデバイス2が接続し得るので、プロセスは、追加の工程を導入するように、または全く異なる細胞療法の方法を実施するように、容易に適合され得る。そうするために、バイオプロセスシステム1は、異なるまたは追加の工程を含み、追加の消耗品13またはステーション20を使用するようにプログラムされてもよい。例えば、バイオプロセスシステム1は、CAR-T、NK細胞、Treg療法、HSCまたは任意の他の適切なプロセスなど、細胞療法の方法を実施してもよい。
【0124】
ここで、バイオプロセスシステム1が実施し得る細胞療法プロセスの一例を説明する。
【0125】
まず、オペレータは、装填ハッチ16を介して消耗品13のセットを装填する。これらの消耗品13は、患者白血球除去パック(ロイコパック(leukopack))に収容された処理済み血液サンプルと、培地及び試薬のためのバッグと、廃棄物を受け入れるためのバッグと、を備える。
【0126】
消耗品13を装填した後、オペレータは、ユーザインターフェース15を介して所望の細胞療法プロセスをプログラムする。最初に、ロボットデバイス2は、ロイコパックの内容物を解凍するために、ロイコパックを解凍ステーション4に置く。続いて、ロボットデバイス2のエンドエフェクタ100は、ロイコパックと消耗品13との間の無菌接続を操作し、圧送ユニット30は、ロイコパックの内容物を、無菌接続を介して消耗品13に移送する。ロボットデバイス2は、この消耗品13を細胞洗浄器6に移動させ、細胞洗浄器6は、ドラムベースの遠心分離機6、向流遠心分離機、またはスピン膜タイプデバイスなどの遠心分離機であってもよい。ロボットデバイス2は、消耗品13と、培地バッグと、廃棄物バッグとの間にいくつかの接続を順次行い、緩衝液でサンプルを複数回洗浄する。例えば、このようにして消耗品13を3回洗浄してもよい。その後、血液サンプルが、密度勾配分離が実施される消耗品13に戻される前に、密度勾配培地が試薬バッグのうちの1つから消耗品13に追加されるように、血液サンプルは、消耗品13から一時保持バッグに移動される。
【0127】
ここで、血液サンプルは、新鮮な消耗品13に移送され、活性化試薬を添加するためにロボットデバイス2によって更なる無菌接続が行われる。ロボットデバイス2は、消耗品13を24時間でインキュベータ12に移送する前に、消耗品13を穏やかに揺動及び/または回転して、活性化試薬を血液サンプルと混合する。次いで、消耗品13をインキュベータ12から除去し、血液サンプルを、レトロネクチン含有消耗品13に移送し、続いてウイルスベクターを添加する。この消耗品13をインキュベータ12に24時間で戻す。ロボットデバイス2が消耗品13をインキュベータ12から除去した後、ロボットデバイス2は、血液サンプルを遠心分離機6での使用に適した消耗品13に移送する。消耗品13が遠心分離機6から除去された後、培地バッグから緩衝液を添加し、廃棄物を廃棄物バッグに除去することによって、血液サンプルを再び数回洗浄し得る。
【0128】
次いで、血液サンプルは、灌流システムに接続された増殖容器消耗品13に移動され、細胞増殖のために7日間、インキュベータ12に配置される。最後に、血液サンプルは、この消耗品13から除去され、別の消耗品13に移送され、これにより、凍結防止剤及び他の製剤添加剤が添加される注入バッグに移送される前に、血液サンプルを遠心分離機6内で濃縮し得る。次いで、この注入バッグは、装填ハッチ16を通ってオペレータに戻される前に、コントロールレートフリーザ10に入れられ、冷凍保存される。
【0129】
上記の例示的な自動化プロセスは、いくつかの工程に従い、複数の消耗品13の使用を必要とするが、消耗品13の各々は、その形態が極めて単純であり得る。例えば、培地及び試薬のためのバッグは、チューブ150が接続される入口/出口301を有する、図7Aに示す消耗品300のようであってもよい。図7Bは、遠心分離機6での使用に適した消耗品310を示し、遠心分離機6は、入口/出口311を有するだけでなく、滅菌エアフィルタ312と、遠心分離機6の使用中にチャンバ内の流体を引き出すための真空作動栓313と、を有する。適切な消耗品、遠心分離機容器及び遠心分離機の例は、欧州特許第1144026号明細書及び米国特許第10562041号明細書に見出すことができ、それらは周知であるため、それらを本明細書で更に説明する必要はない。図7Cは、細胞増殖工程のための増殖容器としての使用に適した消耗品320を示している。これは、培地326のための入口321と、廃棄物のための出口322と、細胞接種、サンプリング及び/または細胞採取のための入口/出口323と、を有する。増殖容器320は、細胞325と、ガス透過膜324と、を含む。既に説明したように、これらの消耗品13は、従来技術の消耗品と比較して、はるかに確実に、はるかに低いコストで製造され得る。したがって、バイオプロセスシステム1は、(実質的に)ヒトの介入なしに自動化された細胞療法プロセスを提供し得る。
【0130】
図8A図8Lを参照して、チューブ150間の流体無菌接続を操作する方法の好ましい実施形態を詳細に説明する。ここで、バイオプロセスシステム1のロボットデバイス2は、エンドエフェクタ100を有するロボットアーム3を備える。エンドエフェクタ100は、ロボットアーム3に取り付けられ、2つの把持ユニット110a、110bを有する。把持ユニット110a、110bは、前述の把持ユニット50の把持部55であってもよく、別個の把持ユニットであってもよい。エンドエフェクタ100は、チューブ150a、150bの内側と周囲との間の封止を維持しつつ(すなわち、チューブ及び消耗品の内容物は大気に曝露されない)、第1のチューブ150aと第2のチューブ150bとを共に接続するように構成される。各チューブ150a、150bは、それぞれの消耗品13(図示せず)に接続する。本明細書で使用する場合、「上流」という用語は、それぞれの消耗品13に取り付けられるチューブ150a、150bの第1の端部に向かうチューブ150a、150bに沿った方向を指す。同様に、「下流」という用語は、チューブ150a、150bに沿って、チューブ150a、150bの第2の「自由」端部に向かう方向を指す。各チューブ150a、150bには、把持ユニット110a、110bによって容易に把持され得るチューブ保持部130a、130bが取り付けられる。チューブ保持部130a、130bは、同等に「保持デバイス」または「保持部」と呼んでもよい。チューブ保持部130a、130bは、歳差ホイール135a、135bの(すなわち、チューブ150を、そのそれぞれのチューブ保持部130に対して並進させる)回転を介してチューブ150a、150bに沿って移動させ得る。エンドエフェクタ100は、第1の部分120a、125aと、第2の部分120b、125bとにそれぞれ分割された第1の顎部120及び第2の顎部125を有するクランプユニット105を備える。エンドエフェクタ100はまた、切断面に沿って各顎部120、125の部分間で移動し得るブレード140を備える。
【0131】
図8Bでは、把持ユニット110a、110bは、それぞれのチューブ150a、150b上のそれぞれのチューブ保持部130a、130bを把持するように示しており、チューブ150a、150bは、クランプユニット105の顎部120、125が開位置にある状態で、クランプユニット105に隣接して配置される。
【0132】
図8Cでは、歳差ホイール135a、135bが回転して、顎部120、125を通ってチューブ150a、150bを前進させる。カメラ160は、各チューブ150a、150bがクランプユニット105内に正しく位置決めされていることと、両方のチューブ150a、150bが切断面と交差していることと、を確認するために使用される。チューブ保持部130a、130bは、クランプユニット105内のチューブ150a、150bの位置合わせを容易にする磁石を含んでもよい。チューブ150a、150bが、クランプユニット105内を摺動し、ポアソン比の影響が最小化されるように、クランプユニット105の顎部120、125は、低摩擦材料でコーティングされてもよい。
【0133】
図8Dでは、クランプユニット105の顎部120、125は、チューブ150a、150bを切断面で平らにピンチするように共にクランプされ、それによって、チューブ150a、150bを通る流体の流れを防止する。バイオプロセスシステム1内のすべてのチューブ150の寸法が同一であるので、クランプユニット105の顎部120、125は、剛性であるように構成され、これにより、クランプしたとき、チューブ公差に関係なく、チューブフォームファクタ及び位置合わせを完全に画定するための制御された公差で、チューブ150a、150bを完全に包み込む。チューブ150は、クランプユニット105との位置合わせを容易にするために、大きい平坦なフランジ領域など、予め成形されたフランジ領域を有してもよい。
【0134】
図8Eでは、圧送ユニット30は、矢印の方向にクランプユニット105から離れるように流体を圧送するために使用される。これは、両方のチューブ150a、150bが切断面で完全に乾燥していることを保証し、チューブ150a、150bを更に折り畳んで、摘んで閉じたままにすることに役立つ。
【0135】
図8Fにおいて、ブレード140は、ブレード140を滅菌して脱発熱させるために、熱源(図示せず)によって300℃~400℃に加熱される。熱源は、ブレード140、またはブレード140と接触している取付けブロック(図示せず)を加熱するために抵抗加熱を使用してもよく、あるいはブレード140は、レーザヒータなどにより直接接触することなく加熱されてもよい。ブレード140は、顎部120、125の第1の部分120a、125aと、第2の部分120b、125bとの間の切断面に沿ってブレード140を移動させる前に、部分的に冷却され、それによってチューブ150a、150bを切断する。
【0136】
図8Gは、ブレード140が切断面に沿って移動してチューブ150a、150bを切断した後、上方から見たクランプユニット105を通る切り欠きを示している。その結果、第1のチューブ150aは、それぞれの消耗品13に接続する第1の部分150aと、チューブ150aの封止端部に予め導かれた第2の部分150a’と、に切断される。同様に、第2のチューブ150bは、そのそれぞれの消耗品13に接続する第1の部分150bと、チューブ150bの封止端部に予め導かれた第2の部分150b’、とに切断される。
【0137】
図8Hでは、クランプユニット105の第1の部分120a、125aは、クランプユニット105の第2の部分120b、125bに対して移動され、それらのそれぞれの消耗品13に接続する第1のチューブ150a及び第2のチューブ150bの部分を位置合わせする。ブレード140は、第1のチューブ150aと第2のチューブ150bとの間に留まり、熱源からの熱を伝達して、チューブ150a、150bの端部を溶融する。ブレード140は、所定の時間にわたってチューブ150a、150b間に保持されても、所定の熱プロファイルを有してもよい。本実施例では、第1の部分120a、125aは、チューブ150a、150bを位置合わせするために、クランプユニット105の第2の部分120b、125bに対して並進するが、他の部分に対してクランプユニット105の一方の部分を回転させることなど他の方法で、位置合わせを実施し得ることを理解されたい。赤外線カメラまたは赤外線レーザが、チューブ150a、150bの端部が溶接のための正しい温度に達したことと、均一な温度に達したことと、を確認するために、閉ループを使用してもよい。代替的に、温度を監視するために、サーミスタ、熱電対、または測温抵抗体(RTD)が、ブレード140、取付けブロック、または熱源などの構成要素に取り付けられてもよい。
【0138】
図8Iでは、ブレード140は、顎部120、125の第1の部分120a、125aと第2の部分120b、125bとの間から除去され、クランプユニット105は、第1の部分120a、125aと、第2の部分120b、125bとを互いに向かって並進することによって、2つのチューブ150a、150bを接触させる。ブレード140によってチューブ150a、150bに以前に伝達された熱は、チューブ150a、150bを共に溶接する。
【0139】
図8Jでは、クランプユニット105の第1の顎部120及び第2の顎部125は、チューブ150a、150bのクランプを解除するために離れて移動され、これらは、ここでは単一のチューブ150を形成するために互いに接続される。
【0140】
図8Kでは、カメラ160は、2つのチューブ150a、150b間の接続を検査するために使用される。カメラ160は、顕微鏡レンズを有し、溶接が成功したか否かを識別する処理ユニット(図示せず)に接続され、カメラ160は、赤外線(IR)放射を検出し得る。歳差ホイール135a、135bは、矢印の方向にチューブ150に引張力を加えるために回転されてもよく、チューブ150の応力-歪みプロファイルを同時に測定し得る。応力-歪みプロファイルはまた、溶接が成功したか否かを確認するために処理ユニットによって分析されてもよい。
【0141】
例えば、ねじり試験または振動試験などの他の機械的試験を使用してもよい。超音波源またはX線源が、接続の空洞の存在を試験するために使用されてもよい。流体はまた、チューブ150を通って圧送されてもよく、カメラ160は、漏洩の存在を検出するために使用されてもよい。代替的に、接続は、容器内の圧力変化を検出することによって漏洩を示す圧力センサを備えた封止容器内に配置されてもよく、あるいは、空気中の水の濃度の変化を測定するために匂い検出器を使用してもよい。代替的に、封止容器に外部空気圧を供給し、空気が接続に漏れるか否かを、カメラ160が観察してもよい。代替的に、溶接の前に空気をチューブ150a、150bに圧送してもよく、次いで、空気が漏れ出ているか否かを見るために封止容器内を真空にしてもよい。生体適合性のあるダイが、溶接部の外側に追加されてもよい。溶接が成功しなかったと、処理ユニットが決定した場合、チューブ150は、再クランプされ、再溶接され得る。チューブ150a、150bがクランプユニット105によって解放される前に、接続の検査が実施されてもよい。検査中にチューブ150a、150bを摘んだままにすることによって、接続に漏洩があった場合でも、消耗品13の内容物は依然として周囲の空気及び大気から隔離されたままである。
【0142】
図8Lでは、チューブ150は、依然として接続点でピンチされており、チューブ150を通る流体の流れを妨げるねじれにつながる。ねじれを解くために、チューブ150は、接続点を通過する流体の流れを可能にするようにチューブ150を開くために、クランプユニット105によってチューブ150がピンチされた方向に対して垂直に操作される。操作は、把持ユニット110a、110bの一方によって、またはロボットアーム3に取り付けられた別個の把持ユニットによって実施されてもよい。代替的に、把持ユニット110a、110bは、ねじれを除去するために、クランプユニット105の内側でチューブ150を90°だけ回転させ、チューブ150を部分的に再クランプしてもよい。チューブ150の外側を真空にすることによって、またはチューブ150に磁石を埋め込むことによって、クランプユニット105がチューブ150を解放するときにチューブ150を開くためにチューブ150にばねを溶接することによって、あるいはチューブ150の形状を変更するように作動し得る形状記憶装置をチューブ150に埋め込むなどによって、チューブ150を開くための他の方法がある。前述の検査工程はまた、チューブ150a、150bが開かれた後に実施されてもよく、これにより、チューブ150a、150bの良好な機能試験を行い得る。好ましくは、検査工程は、チューブ150a、150bがクランプユニット105によって解放される前と、チューブ150a、150bが流体の流れを可能にするために開かれた後との両方で実施される。
【0143】
元のチューブ150a、150b間の接続が完了したので、圧送ユニット30は、細胞療法プロセスの工程を実施するために、消耗品13間でチューブ150を通して流体を圧送するように動作され得る。
【0144】
次に、図9A図9Dを参照して、2つの消耗品13の分離プロセスについて説明する。
【0145】
図9Aでは、クランプユニット105の顎部120、125が閉じられて、2つの消耗品13(図示せず)間を接続するチューブ150をピンチする。消耗品13を分離するためのクランプユニット105は、消耗品13を接続するために使用されるクランプユニット105とは異なるエンドエフェクタ100上に配置され得る。図9Bでは、ブレード140は、ブレード140を滅菌及び/または脱熱するために、熱源(図示せず)によって300℃~400℃に加熱される。チューブを良好に封止するために、分離中に使用される加熱プロファイルは、接続中に使用される加熱プロファイルと異なってもよい。ブレード140は、部分的に冷却され得る。図9Cでは、ブレード140は、顎部120、125の第1の部分120a、125aと第2の部分120b、125bとの間の切断面に沿って移動され、それによって、チューブ150を第1のチューブ150a及び第2のチューブ150bに切断し、それぞれの消耗品13に各々接続する。ブレード140は、所定の時間、チューブ150a、150b間に留まり、チューブ150a、150bの端部を溶融する。分離中にチューブ150a、150bの端部を溶融するためにかかる所定の時間は、接続中にチューブ150a、150bの端部を溶融するためにかかる所定の時間とは異なってもよい。図9Dでは、ブレード140は、クランプユニット105の顎部120、125の第1の部分120a、125aと第2の部分120b、125bとの間から除去される。クランプユニット105の顎部120、125は、チューブ150a、150bをクランプユニット105から解放するために開かれる。把持ユニット110a、110bは、ここで、チューブ保持部130a、130bを解放するか、またはチューブ保持部130a、130bを操作して、チューブ150a、150bの一方または両方を、細胞療法プロセスの後続の工程のために別個の消耗品13に接続する異なるチューブ150に取り付け得る。
【0146】
消耗品13を分離するエンドエフェクタ100が消耗品13を接続するためのものとは異なるエンドエフェクタ100である場合、異なる熱源及び/または切断方法を使用してもよい。例えば、RF源などの電磁(EM)源が、分離プロセス中にチューブ150a、150bを封止するために使用されてもよい。EM源は、別個のロボットアーム3上に配置されても、異なるロボットデバイス2上に配置されてもよい。このようにして、チューブ150は、第1のロボットアーム3上のエンドエフェクタ100によってクランプされ、流体封止され、EM源は、チューブ150のクランプされた部分を通して溶融するために使用され得る。EM源は、MHzまたはGHz周波数範囲、好ましくは40.68MHzの交流で駆動される電極を有してもよい。これにより、チューブ150の内部が溶融し、チューブを広範囲に封止する。続いて、ブレード140を使用して、熱影響ゾーンを切断し、チューブ150を2つのチューブ150a、150bに分離し得る。
【0147】
次に、図10図14を参照して、2つのチューブ150a、150bを無菌的に接続し、分離するための様々な代替の「非接触」方法について説明する。
【0148】
図10Aは、共に接続される2つのチューブ150a、150bを示し、各チューブ150a、150bは閉じた端部で終端している。図10Bでは、熱源は、矢印によって示されるように、チューブ150a、150bの閉じた端部に直接熱を加える。熱源は、赤外線または無線周波数で光を送るレーザなどの電磁放射源であってもよい。チューブ150を形成する材料は、レーザエネルギーの吸収を改善するための添加剤を含んでもよく、またはチューブ150は、レーザ光を吸収する材料に塗装されてもよい。好ましくは、添加剤は、任意の活性化のために高いレーザ強度を必要とする二光子重合を可能にし、外側から示されているときであっても、レーザ光が各チューブ150の溶接端部に非線形に集光されることを可能にする。代替的に、熱源は、超音波源であってもよく、またはチューブ150は、誘導ヒータの使用中にそれらを加熱させる添加剤を含んでもよい。ワイヤまたはブレード140の使用を含む上記の加熱方法のいずれも組み合わせて使用してもよい。
【0149】
図10Cでは、チューブ150a、150bが、共に溶接されて単一のチューブ150を形成するように、チューブ150a、150bの加熱された端部は、共に押圧される。これは、前述の歳差ホイール135a、135bを使用することによって、または把持ユニット110a、110bでチューブ150a、150bを直接操作することによって、実施されてもよい。図10Dでは、チューブ150の接続におけるねじれは、前述の方法と同様の方法を使用して除去される。既に説明したものと同様の検査及び品質管理工程も、このプロセスを使用して適用され得る。
【0150】
図11Aは、2つの部分に分離されるチューブ150を示している。図11Bでは、チューブは、前述のものと同様にクランプユニット105の内側にピンチされており、クランプユニット105の第1の顎部120は、第1の部分120aと第2の部分120bとに分割され、クランプユニット105の第2の顎部125は、第1の部分125aと第2の部分125bとに分割される。チューブ150が、第1の顎部120と第2の顎部125との間にクランプされるとき、顎部120、125の第1の部分120a、125aと第2の部分120b、125bとの間に空間が残る。図11Cでは、熱源は、矢印が示すように、クランプユニット105の第1の部分120a、125aと第2の部分120b、125bとの間でチューブ150に直接熱を加える。その結果、熱源は、チューブ150を第1の部分150aと、第2の部分150bとに切断する。図11Dでは、熱源は、チューブに熱を加え続けて、チューブ150a、150bの切断端部を、周囲の空気から確実に閉じるようにする。
【0151】
図12Aは、それぞれの端部に形成されたフランジ151a、151bを介して共に接続される2つのチューブ150a、150bを示している。図示の構成では、2つのチューブ150a、150bは、前述の方法を使用して一緒にされている。図12Bでは、封止を175と記した位置に形成するように、チューブは、170と記した位置で共に接合、溶接またはクランプされる。チューブ150a、150bは、それらを共に溶接するために、前述の方法のいずれかを使用して加熱され得る。次に、フランジの形成方法について説明する。
【0152】
図13Aは、チューブ150を示している。図13Bでは、チューブ150を通る流体の流れを防止するために、クランプ180を使用してチューブ150が機械的にピンチされている。圧送ユニット30は、クランプから流体を圧送し得る。図13Cでは、チューブ150は、チューブ150を所望のフランジ151に再形成するために、加熱されたダイ190に押し込まれる。図13Dにおいて、ダイ190は、チューブ150のフランジ151をダイ190から解放するために、冷却され、複数の部分190a、190b、190cに分離され得る。ダイ190は、オートクレーブによって、またはダイを400℃を超える温度などの高温に加熱することによって、各フランジ形成動作の間に滅菌されてもよい。
【0153】
図14は、蒸気滅菌及び熱溶接を使用して無菌溶接を形成するための別の装置を示している。既に詳細に説明した多くの構成要素と同様に、装置は、蒸気入口205を有する蒸気チャンバ200を備える。互いに溶接されるチューブ150a、150bは、蒸気チャンバ200内に延在し、開放された端部であってもよいが、既に説明したようなクランプまたはポンプを使用するなどして上流でピンチされて閉じられる。蒸気が、蒸気入口205に注入され、チューブ150a、150b及び蒸気チャンバの内部を滅菌する。蒸気からの熱はまた、蒸気チャンバ200内に延在するチューブ150a、150bの端部を溶融する。次いで、歳差ホイール135a、135bが回転して、チューブ150a、150bの端部を共に押圧し、溶接する。溶接されると、チューブ150a、150bは上流でピンチを解除され、圧送ユニット30は、接続されたチューブ150a、150bを通して流体を圧送し得る。
【0154】
図15Aは、無菌溶接を形成するための代替方法と共に接続される2つのチューブ150a、150bを示し、材料がチューブ150a、150bに加えられる。チューブ150a、150bは、上記の方法を使用して切断されても、流体の流れを防止するために上流でピンチされてもよい。図15Bでは、チューブ150a、150bが一緒にされると、高温の材料210が、2つのチューブ150a、150bの端部の周りに注入される。材料210は、射出成形金型(オーバーモールド)を使用して、2つのチューブ150a、150b間の接合の外側に適用される。これは、UV硬化接着剤または熱収縮接着剤を使用して実施されてもよい。
【0155】
図16Aは、図12A図12B、及び図13A図13Dに関連して説明したものと同様のフランジ151a、151bを有する2つのチューブ150a、150bを示している。ここで、チューブ150a、150bは、熱源または溶接を必要とせずに、クランプユニット105を使用して無菌的に共にクランプされ得る。フランジ151a、151bを滅菌するために、または追加の溶接を提供するために、熱を使用してもよい。図16Aでは、クランプユニット105の第1の部分120a、125aは、第1のチューブ150aをクランプして、フランジ151aに隣接するチューブ150aをピンチする。同様に、クランプユニット105の第2の部分120b、125bは、第2のチューブ150bをクランプし、フランジ151bに隣接するチューブ150bをピンチする。図16Bでは、クランプユニット105の第1の部分120a、125aは、クランプユニット105の第2の部分120b、125bに向かって移動して、それぞれのチューブ150a、150bのフランジ151a、151bを共にピンチする。次いで、第1の顎部120の両方の部分120a、120bは、第2の顎部125の両方の部分125a、125bから離れるように移動し、それによって、チューブ150a、150bのピンチを解除し、圧送ユニット30によって流体を圧送し得る連続チューブ150を実現する。
【0156】
図17Aは、互いに接続される2つのチューブ150a、150bを示しており、各チューブ150a、150bの端部は、それぞれのバッグ220a、220b内に配置される。図17Bでは、バッグ220a、220bを一緒にし、熱を加えて、バッグ220a、220bを共に溶接し、溶融する。前述の方法のいずれかを使用して、熱を加えてもよい。図17Cでは、レーザを使用して2つのバッグ220a、220bを連結するスロット230を切断し、図17Dでは、バッグ220a、220b内のチューブ150a、150bを一緒にして接続を形成する。レーザはまた、チューブ150a、150bを互いに溶接するために、ここで使用されてもよい。図17Eでは、チューブ150a、150bが分離された後で、チューブ150a、150bが離される逆のプロセスが起こり、図17Fでは、バッグ220a、220b間のスロット230が再び共に溶接される。ここで、2つのバッグ220a、220bを分離し得る。
【0157】
図18Aは、滅菌ボックス230を備える無菌接続を行うための代替装置を示している。滅菌ボックス230は、図18Bに示すコネクタ245などの標準的な接続を使用してチューブ150a、150bを互いに接続し得ることを意味する局所的な無菌環境を提供する。チューブ150a、150bはそれぞれ、圧送ユニット30によって流体が圧送されない限り閉じられる、それぞれのダックビルバルブ240a、240bを有する。この装置を動作させるために、チューブ150a、150bが滅菌ボックス230に挿入され、これによりチューブ150a、150bを滅菌する。次に、チューブ150a、150bは、滅菌ボックス230によって滅菌が実施された直後に、コネクタ245を使用して共に接続される。滅菌ボックス230は、蒸気を使用してチューブ150a、150bを滅菌するオートクレーブボックスであってもよい。代替的に、滅菌ボックス230は、エタノール滅菌(EtOH)エチレンオキシド滅菌(EtO)、ガンマ線照射、UV滅菌、電子ビーム滅菌、または上記の任意の組合せなどの他の方法を使用してもよい。
【0158】
図19は、蒸気のためのバルブ付き入口255を有する「T」型コネクタ250を備える、無菌接続を行うための代替装置を示している。圧送ユニット30によって流体が圧送されない限り閉じたままであるバルブ260a、260bを、互いに接続されるチューブ150a、150bはそれぞれ有する。バルブ260a、260bを閉じている間に、チューブ150a、150bをT型コネクタ250に接続した後、バルブ260a、260bが開かれて、流体がチューブ150a、150bを通って流れ得る前に、蒸気は、入口255を通って圧送されて表面を滅菌する。
【0159】
図20は、可逆的接続を形成するために互いに固定され得る、第1の部分270aと、第2の部分270bと、を有する無針コネクタ270を示している。取付け前に、無針コネクタの第1の部分270a及び第2の部分270bは、オートクレーブもしくはレーザを使用することによって、または本明細書に示すように高温ブレード275を使用することによって、滅菌される。
【0160】
図21は、それぞれの隔壁封止280a、280bを各々有する2つのチューブ150a、150bを示している。滅菌のために最初に加熱され、次いで隔壁封止280a、280bを通して挿入される針290と共に、チューブ150a、150bは接続され得る。
【0161】
図22Aは、ブレード140が表面400に取り付けられている、無菌接続を行うための代替装置を示している。表面400は、処理ステーション20のうちの1つに配置され得る。装置は、第1及び第2の部分120a、120bに分割された第1の顎部120と、第1及び第2の部分の125a、125bに分割された第2の顎部125と、を有する。顎部の第1の部分120a、125aは、ロボットデバイス2上の1以上のロボットアーム3の使用などによって、顎部の第2の部分120b、125bに対して独立して移動可能である。図22Bでは、第1のチューブ150aは、顎部の第1の部分120a、125aによってピンチされ、第2のチューブ150bは、顎部の第2の部分120b、125bによってピンチされている。図22Cでは、第1のチューブ150aは、顎部の第1の部分120a、125aを表面400上のブレード140に移動させることによって切断される。図22Dでは、第2のチューブ150bは、顎部の第2の部分120b、125bを表面400上のブレード140に移動させることによって切断される。図22Eでは、ブレード140とは別個の処理ステーション20に配置されても、またはブレード140と同じ処理ステーション20に配置されてもよい熱源410に、チューブ150a、150bは移動される。熱源410は、ブレード140によって切断されたチューブ150a、150bの端部を溶融する。図22Fでは、顎部の第1の部分120a、125a及び第2の部分120b、125bは、ブレード140によって切断されたチューブ150a、150bの端部に接触するように共に移動され、それによって、チューブ150a、150bを共に溶接して単一のチューブ150を形成する。図22Gでは、チューブ150は、第1の顎部120の第1及び第2の部分120a、120bを第2の顎部125の第1及び第2の部分125a、125bから離れるように移動させることによって解放される。
【0162】
図23Aは、無菌接続を行うための代替装置を示している。装置は、クランプユニット105が処理ステーション20のうちの1つの表面などの表面420に取り付けられていることを除いて、図8A図8Lに示すものと同様である。装置はまた、保持部130a、130bを介してチューブ150a、150bを操作するためのエンドエフェクタ100を有する。図23Bでは、エンドエフェクタ100は、第1のチューブ150aをクランプユニット105内に移動させ、図23Cでは、エンドエフェクタ100は、第2のチューブ150bをクランプユニット105内に移動させる。2つのエンドエフェクタ100を使用して、両方のチューブ150aと150bとをクランプユニット105内に同時に移動させてもよい。図23Dでは、第1の顎部120の第1の部分120a、120bは、第2の顎部125の第2の部分125a、125bに向かって移動し、チューブ150a、150bをクランプユニット105にクランプし、ピンチする。図23Eでは、ブレード140がチューブ150a、150bを切断している。前述のように、ブレード140は、チューブ150a、150bを切断する前に加熱され、熱はチューブ150a、150bの端部を溶融する。図23Fでは、ブレード140が除去され、クランプユニット105の第1の部分120a、125aがクランプユニットの第2の部分120b、125bに対して移動して、それぞれの消耗品13(図示せず)に導くチューブ150a、150bを位置合わせする。チューブ150a、150bが接触すると、それらは互いに溶接して単一のチューブ150を形成する。図23Gでは、第1の顎部120の第1及び第2の部分120a、120bは、第2の顎部125の第1及び第2の部分125a、125bから離れて、チューブ150を解放する。図23Hでは、エンドエフェクタ100は、保持部130aの一方を保持し、チューブ150をクランプユニット105から除去することを可能にする。次に、チューブ150を介して流体を圧送し得るように、チューブ150を圧送ユニット30内に配置し得る。
【0163】
図24Aは、それぞれの容器13a、13bに各々直接取り付けられた無菌コネクタ440の第1及び第2の部分440a、440bを使用して共に接続される容器13a、13b間の無菌接続を行うための代替装置を示している。ロボットアーム3は、容器13a、13bの各々を保持し、操作するために使用される。これらのコネクタは、図20に記載しているものなど、任意の可逆的無菌コネクタ440、またはエラストマーシールを有するコネクタであってもよい。図24Bにおいて、容器13a、13bは、無菌コネクタ440の第1及び第2の部分440a、440bを使用して共に接続されており、それによって、容器13a、13b間に流体のための経路を形成している。図24Cでは、重力下で、流体が、容器13aから無菌コネクタを通って容器13b内に流れ得るように、ロボットアーム3は、容器を傾斜させる。流体が移動するときに、空気が容器13a、13bを満たし得る滅菌エアフィルタ(図示せず)を、容器13a、13bは有し得る。代替的に、バッグなどの折り畳み式容器を使用してもよい。
【0164】
当技術分野で公知の他の可逆的接続が、バイオプロセス(細胞療法)システム1内での使用に適合され得ることが理解されよう。そのような接続は、容易な位置合わせのための磁気カラーなど、ロボットデバイス2によって容易に取り扱われる機能を有するように適合されてもよい。本明細書に記載の特定の実施形態の任意の特徴は、任意の適切な組合せで別の実施形態に適用され得ることが理解されよう。本明細書に記載された任意の態様において記載され、定義された様々な特徴の特定の組合せは、独立して、実装され、及び/または供給され、及び/または使用され得ることも理解されよう。本明細書に記載の任意の装置機能は、方法機能として組み込まれてもよく、その逆も同様である。
【0165】
図1を参照すると、参照番号は、以下の特徴を示す。
1000:細胞洗浄及び濃縮
1001:細胞原料
1002:緩衝
1003:細胞洗浄器
1004:廃棄物
1005:中間材料
1010:活性化、形質導入、増殖
1011:試薬
1012:培地
1013:増殖チャンバ
1014:廃棄物
1015:採取
1020:充填仕上げ
1021:最終製剤
1022:混合チャンバ
1023:製品バッグ1
1024:製品バッグ2
1025:製品バッグ3
1026:QCバッグ
【0166】
上記は本発明の例示的な実施形態を対象としているが、本発明は単に例として本明細書に記載されており、詳細な修正は本発明の範囲内で行い得ることが理解されよう。更に、当業者は、本発明が、本明細書に開示した実施形態に、あるいは本明細書に詳細に記載していない、または特許請求の範囲に定義されていない添付の図面に示された任意の詳細に、限定されなくてもよいことを理解するであろう。実際、そのような不要な機能は、本発明を損なうことなく図面から除去され得る。
【0167】
更に、本発明の他の実施形態及び更なる実施形態は、本明細書の考察から当業者には明らかであり、以下の特許請求の範囲によって決定されるその基本的範囲から逸脱することなく考案され得る。
【符号の説明】
【0168】
1 バイオプロセスシステム、1a 自動化システム、2 ロボットデバイス、2a ベースユニット、3 ロボットアーム、3-1 第1のロボットアーム、3-2 第2のロボットアーム、3a ツール保持部、ツールベルト、4 解凍ステーション、6 遠心分離機、8 磁気細胞分離器、10 コントロールレートフリーザ、11 冷蔵庫、12 インキュベータ、13 消耗品、13a 容器、13b 容器、13-1 識別マーク、14 筐体、15 ユーザインターフェース、16 装填ハッチ、17 工場フロア、18 レール、19 チューブ供給手段、20 処理ステーション、30 圧送ユニット、31 回転ホイール、32 クランプ、35 観察システム、38 処理及び制御ユニット、40 フランジ領域、一連の突起、取扱セクション、41 チューブクリップ、41-1 識別マーク、41-2 クリップ用顎部、50 把持ユニット、55 把持部、100 エンドエフェクタ、100-1 第1のエンドエフェクタ、100-2 第2のエンドエフェクタ、100a 第1の部分、100b 第2の部分、105 クランプユニット、110a 把持ユニット、110b 把持ユニット、120 第1の顎部、120a 第1の部分、120b 第2の部分、125 第2の顎部、125a 第1の部分、125b 第2の部分、130a チューブ保持部、130b チューブ保持部、135a 歳差ホイール、135b 歳差ホイール、140 ブレード、150 チューブ、150a チューブ、150b チューブ、150-1 識別マーク、150a’ 第2の部分、150b’ 第2の部分、151 フランジ、151a フランジ、151b フランジ、160 カメラ、190 ダイ、190a ダイ、190b ダイ、190c ダイ、200 蒸気チャンバ、205 蒸気入口、210 材料、220a バッグ、220b バッグ、230 スロット、滅菌ボックス、240a ダックビルバルブ、240b ダックビルバルブ、245 コネクタ、255 入口、250 T型コネクタ、260a バルブ、260b バルブ、270 無針コネクタ、270a 無針コネクタ、270b 無針コネクタ、275 高温ブレード、280a 隔壁封止、280b 隔壁封止、290 針、300 消耗品、301 入口/出口、310 消耗品、311 入口/出口、312 滅菌エアフィルタ、313 真空作動栓、320 消耗品、321 入口、322 出口、323 入口/出口、324 ガス透過膜、325 細胞、326 培地、400 表面、410 熱源、420 表面、440 無菌コネクタ、440a 無菌コネクタ、440b 無菌コネクタ
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H
図8I
図8J
図8K
図8L
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図11C
図11D
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図13D
図14
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B
図17C
図17D
図17E
図17F
図18A
図18B
図19
図20
図21
図22A
図22B
図22C
図22D
図22E
図22F
図22G
図23A
図23B
図23C
図23D
図23E
図23F
図23G
図23H
図24A
図24B
図24C
【国際調査報告】