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特表2024-529324磁気レールブレーキ及びセンタリングデバイスを備える軌道車両のための走行装置、磁気レールブレーキ並びにセンタリングデバイス
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  • 特表-磁気レールブレーキ及びセンタリングデバイスを備える軌道車両のための走行装置、磁気レールブレーキ並びにセンタリングデバイス 図1
  • 特表-磁気レールブレーキ及びセンタリングデバイスを備える軌道車両のための走行装置、磁気レールブレーキ並びにセンタリングデバイス 図2a
  • 特表-磁気レールブレーキ及びセンタリングデバイスを備える軌道車両のための走行装置、磁気レールブレーキ並びにセンタリングデバイス 図2b
  • 特表-磁気レールブレーキ及びセンタリングデバイスを備える軌道車両のための走行装置、磁気レールブレーキ並びにセンタリングデバイス 図3a
  • 特表-磁気レールブレーキ及びセンタリングデバイスを備える軌道車両のための走行装置、磁気レールブレーキ並びにセンタリングデバイス 図3b
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】磁気レールブレーキ及びセンタリングデバイスを備える軌道車両のための走行装置、磁気レールブレーキ並びにセンタリングデバイス
(51)【国際特許分類】
   B61H 7/00 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
B61H7/00 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501259
(86)(22)【出願日】2022-06-13
(85)【翻訳文提出日】2024-01-10
(86)【国際出願番号】 EP2022065986
(87)【国際公開番号】W WO2023285047
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】202021103772.5
(32)【優先日】2021-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523408798
【氏名又は名称】フェイフェレイ トランスポート ボーフム ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン モンツァ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ネイサス
(72)【発明者】
【氏名】ラッセ シュルテ-ファーウィグ
(57)【要約】
磁気レールブレーキを備える軌道車両のための走行装置を提供するために、振動が高度に減衰可能であり、低コスト構造を有するセンタリングデバイスが提供される。軌道車両のための走行装置(100)が提案され、それは昇降デバイス(11)、トラックロッド(13)及びトラックロッド(13)に取り付けられたコイル(14)を有する磁気レールブレーキ(10)を備える。コイル(14)及びトラックロッド(13)は昇降デバイス(11)によって低位置と高位置の間で移動可能であり、センタリングデバイス(16)が設けられ、センタリングデバイス(16)はトラックロッド(13)に配置されたセンタリング手段(17)及び走行装置に配置されたセンタリング手段受容部(18)を備え、センタリング手段(17)は高位置でセンタリング手段受容部(18)に係合し、センタリングデバイス(16)は減衰要素(23)を備え、減衰要素(23)はトラックロッド(13)とセンタリング手段(17)の間に配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道車両のための走行装置(100)であって、昇降デバイス(11)、トラックロッド(13)及び該トラックロッド(13)に取り付けられたコイル(14)を有する磁気レールブレーキ(10)を備え、前記コイル(14)及び前記トラックロッド(13)は前記昇降デバイス(11)によって低位置と高位置の間で移動可能であり、センタリングデバイス(16)が設けられ、該センタリングデバイス(16)は前記トラックロッド(13)に配置されたセンタリング手段(17)及び前記走行装置に配置されたセンタリング手段受容部(18)を備え、前記センタリング手段(17)は前記高位置において前記センタリング手段受容部(18)に係合し、前記センタリングデバイス(16)は減衰要素(23)を備え、
該減衰要素(23)が、前記トラックロッド(13)と前記センタリング手段(17)の間に配置された、走行装置(100)。
【請求項2】
前記センタリング手段(17)は、心出し円錐体又は切頭円錐体(20)である、請求項1に記載の走行装置(100)。
【請求項3】
前記減衰要素(23)は、ポリマーを有し、好ましくはターポリマー、より好ましくはエチレン-プロピレン-ジエンゴムを有し、又はポリマーからなる、好ましくはターポリマー、より好ましくはエチレン-プロピレン-ジエンゴムからなる、請求項1又は2に記載の走行装置(100)。
【請求項4】
前記減衰要素(23)は、円盤状又は板状ブランクである、請求項1から3のいずれか一項に記載の走行装置(100)。
【請求項5】
前記センタリング手段(17)と前記センタリング手段受容部(18)の間に減衰要素(23)が配置されない、請求項1から4のいずれか一項に記載の走行装置(100)。
【請求項6】
前記センタリング手段受容部(18)は、前記センタリング手段(17)の外面、特に心出し円錐体又は切頭円錐体(20)の側面(29)、に対して相補的な接触面(30)を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の走行装置(100)。
【請求項7】
前記センタリング手段(17)は、ポリマーからなる、請求項1から6のいずれか一項に記載の走行装置(100)。
【請求項8】
前記センタリング手段(17)は孔(21)を有し、前記減衰要素(23)は前記孔(21)に整合して配置された開口(24)を有し、前記センタリング手段(17)は前記トラックロッド(13)に締結され、特に、前記孔(21)及び前記開口(24)を通じてガイドされる締結手段(28)によって、特にネジ(27)によって前記トラックロッド(13)に螺合される、請求項1から7のいずれか一項に記載の走行装置(100)。
【請求項9】
前記締結手段(28)はネジ(27)であり、特にM16ネジである、請求項8に記載の走行装置(100)。
【請求項10】
前記センタリング手段(17)は受容部(22)を有し、前記締結手段(28)の頭部、特に前記ネジ(27)の頭部が前記受容部(22)内に配置された、請求項8又は9に記載の走行装置(100)。
【請求項11】
ワッシャ(26)が、前記締結手段(28)の前記頭部の下方で前記受容部(22)内に配置された、請求項10に記載の走行装置(100)。
【請求項12】
前記センタリングデバイス(16)はスリーブ(25)を備え、該スリーブ(25)が前記センタリング手段(17)の前記孔(21)内に配置され、好ましくは前記スリーブ(25)が前記減衰要素(23)の前記開口(24)内に配置された、請求項8から11のいずれか一項に記載の走行装置(100)。
【請求項13】
前記スリーブ(25)が、前記センタリング手段(17)の前記孔(21)内に径方向クリアランスを有して配置された、請求項12に記載の走行装置(100)。
【請求項14】
前記径方向クリアランスは、1mm~5mm、好ましくは約3mmである、請求項13に記載の走行装置(100)。
【請求項15】
前記スリーブ(25)の軸方向全長は、前記センタリング手段(17)の前記孔(21)及び前記減衰要素(23)の前記開口(24)の軸方向全長の合計以下である、請求項12から14のいずれか一項に記載の走行装置(100)。
【請求項16】
前記センタリング手段(17)は、底面において、80mm~100mm、好ましくは約90mmの直径(32)を有する、請求項1から15のいずれか一項に記載の走行装置(100)。
【請求項17】
前記センタリング手段(17)は、20mm~40mm、好ましくは26mm~34mmの高さを有する、請求項1から16のいずれか一項に記載の走行装置(100)。
【請求項18】
前記減衰要素(23)は、90mm~110mm、好ましくは95mm~96mmの直径(31)を有する、請求項1から17のいずれか一項に記載の走行装置(100)。
【請求項19】
前記減衰要素(23)は、1mm~5mm、好ましくは2mm~4mmの高さを有する、請求項1から18のいずれか一項に記載の走行装置(100)。
【請求項20】
前記締結手段(28)、特に前記ネジ(27)は、前記センタリング手段(17)に対して75kN未満、好ましくは70kN未満、より好ましくは65kN未満の静的プリテンション力を発揮する、請求項8から19のいずれか一項に記載の走行装置(100)。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか一項に記載の走行装置(100)のための磁気レールブレーキ(10)。
【請求項22】
請求項21に記載の磁気レールブレーキ(10)のためのセンタリングデバイス(16)。
【請求項23】
請求項22に記載のセンタリングデバイス(16)のためのセンタリング手段(17)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降デバイス、トラックロッド及びそのトラックロッドに取り付けられたコイルを有する磁気レールブレーキを備える軌道車両のための走行装置であって、コイル及びトラックロッドは昇降デバイスによって低位置と高位置の間で移動可能とされ、センタリングデバイスが設けられ、センタリングデバイスはトラックロッドに配置されたセンタリング手段及び走行装置に配置されたセンタリング手段受容部を備え、センタリング手段は高位置においてセンタリング手段受容部に係合し、センタリングデバイスは減衰要素を備える、走行装置に関する。
【0002】
さらに、本発明は、走行装置のための磁気レールブレーキ及び磁気レールブレーキのためのセンタリングデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
軌道車両は、磁気レールブレーキを有し得る。磁気レールブレーキは、通常は軌道車両の走行装置、特にボギー(転向台車)に取り付けられ、トラックロッドに取り付けられたコイル、及び昇降デバイスを備える。昇降デバイスは、一方では走行装置又はボギーに接続され、他方ではトラックロッドに接続される。トラックロッドは、コイルとともに、昇降デバイスによって低位置に降下され、又は高位置に上昇され得る。低位置では、磁気レールブレーキのコイルは、軌道車両が走行するレールの直上に位置する。コイルが通電されると、磁気レールブレーキに設けられたコイル及び摺動シューがレールに取り付けられる。摺動シューとレールの間に結果として生ずる摩擦は、軌道車両の運動エネルギーを放散させる。さらに、渦電流誘導がレールに発生し、それは軌道車両の動作に反作用する力を生成する。
【0004】
高位置では、磁気レールブレーキのトラックロッド、コイル及び摺動シューは、振動及び衝撃を防止するために適所に固定的にロックされなければならない。この目的のために、従来技術では、いわゆるセンタリングデバイスが周知であり、それは通常、トラックロッドに取り付けられた心出し円錐体及び走行装置における心出し円錐体受容部を備える。高位置では、心出し円錐体は心出し円錐体受容部に係合することで、そこに配置されるトラックロッド及びコイルを水平動作に対して固定する。減衰要素が設けられて、加速力によってもたらされる走行装置に対する磁気レールブレーキの更なる振動を減少させる。従来技術では、減衰要素は、心出し円錐体受容部の内部に配置される。高位置では、心出し円錐体は、心出し円錐体受容部内に配置された減衰要素に当接する。トラックロッド又は磁気レールブレーキからの振動は、心出し円錐体を介して減衰要素に伝達され、吸収される。
【0005】
軌道車両のための走行装置の磁気レールブレーキのための周知のセンタリングデバイスは比較的複雑な構造を有するため、製造及び保守が高額となる。
【発明の概要】
【0006】
本発明の課題は、磁気レールブレーキを備える軌道車両のための走行装置であって、振動が高度に減衰されてかつ低コスト構造を有するセンタリングデバイスが設けられた走行装置を提供することである。
【0007】
本発明に内在する問題を解決するため、昇降デバイス、トラックロッド及びそのトラックロッドに取り付けられたコイルを有する磁気レールブレーキを備える軌道車両のための走行装置が提案される。コイル及びトラックロッドは昇降デバイスによって低位置と高位置の間で移動可能であり、センタリングデバイスが設けられ、センタリングデバイスはトラックロッドに配置されたセンタリング手段及び駆動装置に配置されたセンタリング手段受容部を備え、センタリング手段は高位置においてセンタリング手段受容部に係合し、センタリングデバイスは減衰要素を備える。減衰要素がトラックロッドとセンタリング手段の間に配置されることが、さらに規定される。
【0008】
従来技術から周知の軌道車両のための走行装置の磁気レールブレーキのためのセンタリングデバイスに対して、結果として減衰要素は走行装置に配置されたセンタリング手段受容部に配置されるのではなく、トラックロッド及び特にトラックロッドとセンタリング手段の間に位置する。これにより、より高いコスト効率の設計となる。
【0009】
磁気レールブレーキは、好ましくは摺動シューをさらに有する。走行装置は、ボギーであってもよいし、それを備えていてもよい。
【0010】
磁気レールブレーキの昇降デバイスは、第1の端部において軌道車両の走行装置に、特にボギーに取り付けられ、第2の端部においてトラックロッドに取り付けられる。昇降デバイスを伸展及び格納することによって、トラックロッドは、コイル及び摺動シューとともに、低位置に降下され又は高位置に上昇され得る。高位置では、センタリング手段は、下方からセンタリング手段受容部に係合する。センタリング手段受容部は、フランジともいわれることがあり、特に、走行装置又はボギーに挿入されたフランジ状円盤の形態で形成され得る。
【0011】
好ましくは、センタリング手段は、心出し円錐体又は切頭円錐体である。
【0012】
本発明の背景において、心出し円錐体は、円錐状外面を有する本体として理解される。センタリング手段は、切頭円錐体であってもよい。
【0013】
好ましくは、減衰要素は、ポリマーを有し、好ましくはターポリマー、より好ましくはエチレン-プロピレン-ジエンゴムを有し、又はポリマーからなる、好ましくはターポリマー、より好ましくはエチレン-プロピレン-ジエンゴムからなることが規定される。
【0014】
そのようなポリマーは、安価であり、高い減衰能力を有する。したがって、それらは、振動を高度に減衰する低コストのセンタリングデバイスを提供するのに特に適する。
【0015】
減衰要素は、好ましくは、円盤状又は板状ブランクとして構成される。特に、減衰要素は、平面視において円形状又は環状であり得る。
【0016】
更なる有利な効果について、センタリング手段とセンタリング手段受容部の間に減衰要素が配置されないことが規定され得る。
【0017】
したがって、従来技術と比較して、センタリング手段受容部に配置され又は取り付けられる減衰要素を有さないことが好ましい。言い換えると、高位置にあるセンタリング手段は、減衰要素がセンタリング手段とセンタリング手段受容部の間に位置することなくセンタリング手段受容部に直接当接する。
【0018】
さらに、好ましくは、センタリング手段受容部は、センタリング手段の外面に、特に心出し円錐体又は切頭円錐体の側面に対して相補的な接触面を有することが規定される。
【0019】
高位置では、センタリング手段は、好ましくは下方からセンタリング手段受容部に係合する。センタリング手段が心出し円錐体又は切頭円錐体である場合、心出し円錐体又は切頭円錐体は所定のフランク角の側面を有する。そして、センタリング手段受容部、特にフランジ又はフランジ円盤は、側面に対して相補的な下面に接触面を有し、同じフランク角を有する。
【0020】
さらに好ましくは、センタリング手段は、ポリマーからなることが規定され得る。
【0021】
出願人による実験により、ポリマーからなるセンタリング手段は安価に製造可能であり、金属製のセンタリング手段と同等のロック安全性を与えることが示された。さらに、ポリマーからなるセンタリング手段は、それ自体が減衰要素として作用し得る。
【0022】
さらに好ましくは、センタリング手段は孔を有し、減衰要素はその孔に整合された開口を有し、センタリング手段はトラックロッドに締結され、特に、孔及び開口を通じてガイドされる締結手段、特にネジによってトラックロッドに螺合されることが規定され得る。
【0023】
孔は、好ましくは、センタリング手段の中心に配置され、それを上部から下部に連続的に貫通する。孔は、ボア、アパーチャ又はダクトといわれることもある。孔は、さらに好ましくは、概ね円形状に又は丸く形成される。減衰要素は、開口を有する。減衰要素が、例えば、エチレン-プロピレン-ジエンゴムの円盤として実質的に形成される場合、減衰要素の開口は、好ましくは減衰要素の中心に形成される。トラックロッドとセンタリング手段の間に配置された減衰要素は、特に、センタリング手段の下面及びトラックロッドの上面に配置される。センタリング手段の孔と整合された開口を通じて、締結手段は、好ましくは、上面からセンタリング手段及び減衰要素を通じてガイドされ、減衰要素の下方に配置されたトラックロッドに締結され得る。締結手段がネジとして構成される場合、ネジはトラックロッドに螺合される。これにより、センタリング手段、及びセンタリング手段とトラックロッドの間に配置された減衰要素は、トラックロッドに螺合される。
【0024】
好ましくは、締結手段は、ネジであり、特にM16ネジである。
【0025】
更なる有利な効果について、センタリング手段は受容部を有し、締結手段の頭部、特にネジの頭部が受容部内に配置されることが規定され得る。
【0026】
受容部は、凹部又は窪みともいわれることがあり、特に、好ましくは切頭円錐体として構成されたセンタリング手段の上面に配置される。締結手段、特にネジは、上方からセンタリング手段の孔及び下方の減衰要素の開口を通じてガイドされ、下方のトラックロッドに締結される。そして、締結手段、特にネジの頭部は、センタリング手段の凹部内で凹設される。
【0027】
ワッシャが締結手段の頭部の下方で受容部内に配置されることが規定され得る。
【0028】
締結手段のプリテンション力が、ワッシャを介してセンタリング手段及び減衰要素に伝達される。
【0029】
さらに好ましくは、センタリングデバイスがスリーブを備え、スリーブがセンタリング手段の孔内に配置され、さらに好ましくはスリーブが減衰要素の開口内に配置されることが規定され得る。
【0030】
言い換えると、スリーブは、センタリング手段の孔内に配置され、下側部分が減衰要素の開口内に配置され得る。
【0031】
スリーブの1つの機能は、ネジプリテンション力の伝達であり得る。ネジプリテンション力は完全にスリーブに伝達され、又はスリーブと減衰要素付きのセンタリング手段との間に部分的に分割される。
【0032】
さらに、スリーブの軸方向全長は、センタリング手段の孔及び減衰要素の開口の軸方向全長の合計以下であることが規定され得る。
【0033】
好ましくは、スリーブがセンタリング手段の孔内で径方向クリアランスを有して配置されることが規定され得る。
【0034】
径方向クリアランスによって、公差補正が、組立て中に補償可能となる。
【0035】
有利には、径方向クリアランスは、1mm~5mm、好ましくは約3mmである。
【0036】
さらに好ましくは、スリーブは、減衰要素の開口に径方向クリアランスなしで配置される。
【0037】
好ましくは、センタリング手段は、底面において、80mm~100mm、好ましくは約90mmの直径を有することが規定される。
【0038】
さらに好ましくは、センタリング手段は、20mm~40mm、好ましくは26mm~34mmの高さを有することが規定され得る。
【0039】
好ましくは、減衰要素は、90mm~110mm、好ましくは95mm~96mmの直径を有することが規定され得る。
【0040】
更なる有利な効果について、減衰要素は、1mm~5mm、好ましくは2mm~4mmの高さを有することが規定され得る。
【0041】
好ましくは、締結手段、特にネジは、センタリング手段に対して75kN未満、好ましくは70kN未満、より好ましくは65kN未満の静的プリテンション力を発揮することが規定され得る。
【0042】
本発明に内在する問題に対する更なる解決手段は、上述したような走行装置のための磁気レールブレーキである。
【0043】
走行装置との関連で説明した全ての機能、特徴及び実施形態は、磁気レールブレーキにも、対応する態様で転用可能である。
【0044】
本発明に内在する課題に対する更なる解決手段は、磁気レールブレーキのためのセンタリングデバイスを提供することである。
【0045】
走行装置との関連で説明した全ての機能、特徴及び実施形態は、センタリングデバイスにも、対応する態様で転用可能である。
【0046】
本発明に係る課題に対する更なる解決手段は、センタリングデバイスのためのセンタリング手段を提供することにある。
【0047】
走行装置との関連で説明した全ての有利な効果、特徴、実施形態及び機能は、センタリング手段にも、対応する態様で転用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1図1は、軌道車両のための走行装置の一部を示す。
図2a図2aは、従来技術から周知のセンタリングデバイスの断面図を示す。
図2b図2bは、従来技術から周知のセンタリングデバイスの分解図を示す。
図3a図3aは、本発明に係るセンタリングデバイスの断面図を示す。
図3b図3bは、本発明に係るセンタリングデバイスの分解図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下に、添付図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【0050】
図1は、より詳細には図示しない軌道車両のための走行装置100の磁気レールブレーキ10を示す。磁気レールブレーキ10は昇降デバイス11を備え、昇降デバイス11は2つの空圧シリンダ12によって実現される。磁気レールブレーキ10は、トラックロッド13をさらに有する。コイル14及び少なくとも1つの摺動シュー15が、トラックロッド13に取り付けられる。図示する位置では、昇降デバイス11の空圧シリンダ12は格納されているので、磁気レールブレーキ10のトラックロッド13は高位置に配置される。走行装置100又は磁気レールブレーキ10は、それぞれ、センタリングデバイス16をさらに有する。センタリングデバイス16は、トラックロッド13に取り付けられたセンタリング手段17を備える。さらに、センタリングデバイス16は、フランジディスク19として形成されたセンタリング手段受容部18を有する。センタリング手段受容部18は、明瞭化のために、より詳細には図示しない走行装置100のキャリアに取り付けられる。
【0051】
図2a及び2bは、従来技術から周知のセンタリングデバイス200を断面図(図2a)及び分解図(図2b)に示す。周知のセンタリングデバイス200は心出し円錐体201を備え、それは、不図示のトラックロッドを通じて下方からガイドされるネジ202によってトラックロッドに接続される。略トロイダル状の減衰要素205が、センタリングフランジ204の下面203に配置される。図示する高位置では、心出し円錐体201は、下方からセンタリングフランジ204内に移動し、図2aに示すように、減衰要素205に対して同一面で当接する。
【0052】
図3a及び3bは、本発明に係るセンタリングデバイス16を示す。センタリングデバイス16は、切頭円錐体20として形成されたセンタリング手段17を有する。センタリング手段17は、ポリマーからなる。センタリング手段17又は切頭円錐体20は、上面の領域にそれぞれ中心孔21及び受容部22を有する。円盤状の減衰要素23が、センタリング手段17の下方に配置される。減衰要素23は、エチレン-プロピレン-ジエンゴムからなる。図3aの断面図に示すように、スリーブ25は、センタリング手段17の孔21を通じて及び減衰要素23の中心開口24を通じてガイドされ、そのスリーブはセンタリング手段17の孔21内に径方向クリアランスを有して配置される。スリーブ25は、減衰要素23の開口24と同一面となる。スリーブ25の上方で、ワッシャ26が受容部22内に配置される。スリーブ25を通じて上方からガイドされるネジ27として構成された締結手段28によって、センタリング手段17は、図1に係るトラックロッド13に螺合される。センタリング手段受容部18は、走行装置100の支持部に締結される。切頭円錐体20として形成されたセンタリング手段17は側面29を有し、それは、磁気レールブレーキ10の高位置において、側面29に対して相補的なセンタリング手段受容部18の内側接触面30に当接する。減衰要素23の直径31は、約96mmである。センタリング手段受容部18及びセンタリング手段17の直径32は、約90mmである。センタリング手段受容部18、センタリング手段17及び減衰要素23のアセンブリ全体は、約34mmの高さ33を有する。
【符号の説明】
【0053】
100 走行装置
10 磁気レールブレーキ
11 昇降デバイス
12 空圧シリンダ
13 トラックロッド
14 コイル
15 摺動シュー
16 センタリングデバイス
17 センタリング手段
18 センタリング手段受容部
19 フランジディスク
20 切頭円錐体
21 孔
22 受容部
23 減衰要素
24 開口
25 スリーブ
26 ワッシャ
27 ネジ
28 締結手段
29 側面
30 接触面
31 直径
32 直径
33 高さ
200 センタリングデバイス
201 心出し円錐体
202 ネジ
203 下面
204 センタリングフランジ
205 減衰要素
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
【手続補正書】
【提出日】2024-01-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道車両のための走行装置(100)であって、昇降デバイス(11)、トラックロッド(13)及び該トラックロッド(13)に取り付けられたコイル(14)を有する磁気レールブレーキ(10)を備え、前記コイル(14)及び前記トラックロッド(13)は前記昇降デバイス(11)によって低位置と高位置の間で移動可能であり、センタリングデバイス(16)が設けられ、該センタリングデバイス(16)は前記トラックロッド(13)に配置されたセンタリング手段(17)及び前記走行装置に配置されたセンタリング手段受容部(18)を備え、前記センタリング手段(17)は前記高位置において前記センタリング手段受容部(18)に係合し、前記センタリングデバイス(16)は減衰要素(23)を備え、
該減衰要素(23)が、前記トラックロッド(13)と前記センタリング手段(17)の間に配置された、走行装置(100)。
【請求項2】
前記センタリング手段(17)は、心出し円錐体又は切頭円錐体(20)である、請求項1に記載の走行装置(100)。
【請求項3】
前記減衰要素(23)は、ポリマーを有し、好ましくはターポリマー、より好ましくはエチレン-プロピレン-ジエンゴムを有し、又はポリマーからなる、好ましくはターポリマー、より好ましくはエチレン-プロピレン-ジエンゴムからなる、請求項1に記載の走行装置(100)。
【請求項4】
前記減衰要素(23)は、円盤状又は板状ブランクである、請求項1に記載の走行装置(100)。
【請求項5】
前記センタリング手段(17)と前記センタリング手段受容部(18)の間に減衰要素(23)が配置されない、請求項1に記載の走行装置(100)。
【請求項6】
前記センタリング手段受容部(18)は、前記センタリング手段(17)の外面、特に心出し円錐体又は切頭円錐体(20)の側面(29)、に対して相補的な接触面(30)を有する、請求項1に記載の走行装置(100)。
【請求項7】
前記センタリング手段(17)は、ポリマーからなる、請求項1に記載の走行装置(100)。
【請求項8】
前記センタリング手段(17)は孔(21)を有し、前記減衰要素(23)は前記孔(21)に整合して配置された開口(24)を有し、前記センタリング手段(17)は前記トラックロッド(13)に締結され、特に、前記孔(21)及び前記開口(24)を通じてガイドされる締結手段(28)によって、特にネジ(27)によって前記トラックロッド(13)に螺合される、請求項1に記載の走行装置(100)。
【請求項9】
前記締結手段(28)はネジ(27)であり、特にM16ネジである、請求項8に記載の走行装置(100)。
【請求項10】
前記センタリング手段(17)は受容部(22)を有し、前記締結手段(28)の頭部、特に前記ネジ(27)の頭部が前記受容部(22)内に配置された、請求項8に記載の走行装置(100)。
【請求項11】
ワッシャ(26)が、前記締結手段(28)の前記頭部の下方で前記受容部(22)内に配置された、請求項10に記載の走行装置(100)。
【請求項12】
前記センタリングデバイス(16)はスリーブ(25)を備え、該スリーブ(25)が前記センタリング手段(17)の前記孔(21)内に配置され、好ましくは前記スリーブ(25)が前記減衰要素(23)の前記開口(24)内に配置された、請求項8に記載の走行装置(100)。
【請求項13】
前記スリーブ(25)が、前記センタリング手段(17)の前記孔(21)内に径方向クリアランスを有して配置された、請求項12に記載の走行装置(100)。
【請求項14】
前記径方向クリアランスは、1mm~5mm、好ましくは約3mmである、請求項13に記載の走行装置(100)。
【請求項15】
前記スリーブ(25)の軸方向全長は、前記センタリング手段(17)の前記孔(21)及び前記減衰要素(23)の前記開口(24)の軸方向全長の合計以下である、請求項12に記載の走行装置(100)。
【請求項16】
前記センタリング手段(17)は、底面において、80mm~100mm、好ましくは約90mmの直径(32)を有する、請求項1に記載の走行装置(100)。
【請求項17】
前記センタリング手段(17)は、20mm~40mm、好ましくは26mm~34mmの高さを有する、請求項1に記載の走行装置(100)。
【請求項18】
前記減衰要素(23)は、90mm~110mm、好ましくは95mm~96mmの直径(31)を有する、請求項1に記載の走行装置(100)。
【請求項19】
前記減衰要素(23)は、1mm~5mm、好ましくは2mm~4mmの高さを有する、請求項1に記載の走行装置(100)。
【請求項20】
前記締結手段(28)、特に前記ネジ(27)は、前記センタリング手段(17)に対して75kN未満、好ましくは70kN未満、より好ましくは65kN未満の静的プリテンション力を発揮する、請求項8に記載の走行装置(100)。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか一項に記載の走行装置(100)のための磁気レールブレーキ(10)。
【請求項22】
請求項21に記載の磁気レールブレーキ(10)のためのセンタリングデバイス(16)。
【請求項23】
請求項22に記載のセンタリングデバイス(16)のためのセンタリング手段(17)。
【国際調査報告】