(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】テンプレートベースの結晶化工程モデル生成装置およびその方法
(51)【国際特許分類】
G16C 20/10 20190101AFI20240730BHJP
【FI】
G16C20/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501511
(86)(22)【出願日】2022-05-17
(85)【翻訳文提出日】2024-01-11
(86)【国際出願番号】 KR2022007081
(87)【国際公開番号】W WO2023003153
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】10-2021-0096454
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507406611
【氏名又は名称】シージェイ チェルジェダン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ホン,ソク・ビン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジュン‐ウ
(72)【発明者】
【氏名】ムン,ソン‐ジュ
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ジョン‐ホ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ワンス
(57)【要約】
本出願は、結晶化工程モデル生成装置の動作方法において、一定の順序により提供する溶解度テンプレート、粒子サイズ分布テンプレート、結晶化装置テンプレート、工程時間テンプレート、そして濃縮倍数テンプレートがそれぞれ選択される段階と、選択されたテンプレートを組み合わせて結晶化工程モデルをモデリングする段階と、結晶化工程モデルが構築されれば、注入液に対する条件を受信して、注入液を結晶化工程モデルに入力して結晶懸濁液が導出されるようにシミュレーションを行う段階と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶化工程モデル生成装置の動作方法において、
一定の順序により提供する溶解度テンプレート、粒子サイズ分布テンプレート、結晶化装置テンプレート、工程時間テンプレート、そして濃縮倍数テンプレートがそれぞれ選択される段階と、
選択されたテンプレートを組み合わせて結晶化工程モデルをモデリングする段階と、
前記結晶化工程モデルが構築されれば、注入液に対する条件を受信して、前記注入液を前記結晶化工程モデルに入力して結晶懸濁液が導出されるようにシミュレーションを行う段階と、を含む動作方法。
【請求項2】
前記選択される段階は、前記テンプレートに設定されたパラメータの基本値と異なるパラメータ値が入力されれば、入力されたパラメータ値に変更されたテンプレートを臨時格納し、
前記パラメータは、溶解度パラメータ、核生成速度モデルパラメータ、結晶成長速度モデルパラメータ、区画間単位流量フロー、沈降/浮上遮断サイズ、経時的温度、そして濃度工程条件のうち1つ以上の変数を示す、請求項1に記載の動作方法。
【請求項3】
結晶化物性および結晶化工程に対するテンプレートを構築する段階をさらに含み、
前記構築する段階は、結晶化装置の幾何学的な構造に基づいて構成単位区画を分類し、構成単位区画の循環の有無を決定して、前記結晶化装置を基準として複数の前記結晶化装置テンプレートとして構築する、請求項1に記載の動作方法。
【請求項4】
前記構築する段階は、溶解度の範囲を基準に代表されるモデル物質系がマッチングされて複数の溶解度テンプレートとして構築し、
前記溶解度テンプレートのモデル物質系は、収率を予測するためのパラメータとして用いられる、請求項3に記載の動作方法。
【請求項5】
前記構築する段階は、粒子サイズ分布の範囲を基準に代表されるモデル物質系がマッチングされて複数の粒子サイズ分布テンプレートとして構築し、
前記粒子サイズ分布テンプレートのモデル物質系は、ポピュレーションバランス式をシミュレーションするためのパラメータとして用いられる、請求項3に記載の動作方法。
【請求項6】
前記シミュレーションの実行結果を分析して、前記注入液に対する条件と前記結晶懸濁液に基づいて前記結晶化工程モデルに適用されたテンプレートのパラメータが最適化されるように分析し、分析データを提供する段階をさらに含む、請求項1に記載の動作方法。
【請求項7】
コンピューティング装置であって、命令語を含むメモリと、前記命令語を実行して結晶化工程モデルを生成する少なくとも1つのプロセッサと、を含み、
前記プロセッサは、一定の順序により提供される結晶化物性テンプレート、そして工程テンプレートに対して1つ以上のテンプレートに対して選択されれば、選択されたテンプレートを組み合わせて前記結晶化工程モデルをモデリングする、コンピューティング装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、溶解度テンプレート、粒子サイズ分布テンプレート、結晶化装置テンプレート、工程時間テンプレート、そして濃縮倍数テンプレートに対して各1つのテンプレートが選択され、
特定のテンプレートに対するパラメータが入力されれば、入力されたパラメータを適用したテンプレートを臨時格納し、パラメータが入力されなければ、当該テンプレートの基本値に設定された値が適用されたテンプレートを臨時格納する、請求項7に記載のコンピューティング装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、溶解度パラメータ、核生成速度モデルパラメータ、結晶成長速度モデルパラメータ、区画間単位流量フロー、沈降/浮上遮断サイズ、経時的温度、そして濃度工程条件のうち1つ以上のパラメータを受信する、請求項7に記載のコンピューティング装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記結晶化工程モデルが構築されれば、注入液に対する条件を受信して、前記注入液を前記結晶化工程モデルに入力して結晶懸濁液が導出されるようにシミュレーションを行う、請求項7に記載のコンピューティング装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、溶解度の範囲を基準に代表されるモデル物質系がマッチングされて構築された複数の溶解度テンプレートの中から1つの溶解度テンプレートが選択されれば、
選択された溶解度テンプレートのモデル物質系を、収率を予測するためのパラメータとして用いる、請求項7に記載のコンピューティング装置。
【請求項12】
前記プロセッサは、粒子サイズ分布の範囲を基準に代表されるモデル物質系がマッチングされて構築された複数の粒子サイズ分布テンプレートの中から1つの粒子サイズ分布テンプレートが選択されれば、
前記粒子サイズ分布テンプレートのモデル物質系を、ポピュレーションバランス式をシミュレーションするためのパラメータとして用いる、請求項7に記載のコンピューティング装置。
【請求項13】
前記プロセッサは、シミュレーションの実行結果を分析して、注入液に対する条件と結晶懸濁液に基づいて前記結晶化工程モデルに適用されたテンプレートのパラメータが最適化されるように分析し、分析データを提供する、請求項7に記載のコンピューティング装置。
【請求項14】
前記プロセッサは、前記結晶化工程モデルに適用された結晶化器テンプレートを変更して比較結晶化工程モデルを生成し、前記比較結晶化工程モデルをシミュレーションした結果を分析して、注入液に対する条件と結晶懸濁液に基づいて最適な結晶化器を推薦する、請求項7に記載のコンピューティング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
テンプレートベースの結晶化工程モデルの生成に関する。
【背景技術】
【0002】
第4次産業革命に伴い、化学およびバイオ業界においてもデジタルベースの工程モデリングおよびシミュレーション技術に対する需要が急増している。一般に、デジタル工程モデリングは、モデリングのためのプログラミング言語を用いたり、工程モデリングおよびシミュレーション専門ツールを用いることによって、モデリングに関連する専門知識や経験がない通常の化学およびバイオ基礎研究者が使用するには困難が多い。そこで、デジタル工程モデリングを作製する専門家に依頼するため、多くの費用と時間がかかり、作製された工程モデルおよびシミュレーション過程で修正したり管理するにあたり困難がある。
【0003】
また、実際の産業現場に適用する産業用設備に関連するモデリングおよびシミュレーションでは、モデリング構築作業以外にも、実際の産業現場で適用されるケース別の設備要素および専門知識が要求されるため、正確なモデルの生成作業に限界がある。例えば、化学工程のうち結晶化工程で粒子サイズ分布を有する固体相が存在するが、これに対するポピュレーションバランス式(population balance equation)を模写したり、結晶化設備の幾何学的構造によって粒子サイズ分布による沈降/浮上現象を模写しなければならない。
【0004】
したがって、専門知識や経験がない一般の基礎研究者が容易に安価な費用で多様な結晶化物性および工程テンプレートを提供する結晶化工程モデリングおよびシミュレーションを提供する技術が要求される。
【0005】
関連先行文献として韓国登録特許第1180057号公報「物質間混合現象のモデリング装置および方法」を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本出願の一つの目的は、溶解度、粒子サイズ分布、結晶化装置、工程時間および濃縮倍数に対して構築されたテンプレートを用いて選択されたテンプレートにより結晶化工程モデルを生成してシミュレーションを行うテンプレートベースの結晶化工程モデル生成装置およびその方法を提供する。
【0008】
前記課題以外にも、具体的に言及されていない他の課題を達成するのに本開示による実施例が使用できる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一実施例による結晶化工程モデル生成装置の動作方法において、一定の順序により提供する溶解度テンプレート、粒子サイズ分布テンプレート、結晶化装置テンプレート、工程時間テンプレート、そして濃縮倍数テンプレートがそれぞれ選択される段階と、選択されたテンプレートを組み合わせて結晶化工程モデルをモデリングする段階と、結晶化工程モデルが構築されれば、注入液に対する条件を受信して、注入液を結晶化工程モデルに入力して結晶懸濁液が導出されるようにシミュレーションを行う段階と、を含む。
【0010】
選択される段階は、テンプレートに設定されたパラメータの基本値と異なるパラメータ値が入力されれば、入力されたパラメータ値に変更されたテンプレートを臨時格納し、パラメータは、溶解度パラメータ、核生成速度モデルパラメータ、結晶成長速度モデルパラメータ、区画間単位流量フロー、沈降/浮上遮断サイズ、経時的温度、そして濃度工程条件のうち1つ以上の変数を示すことができる。
【0011】
結晶化物性および結晶化工程に対するテンプレートを構築する段階をさらに含み、構築する段階は、結晶化装置の幾何学的な構造に基づいて構成単位区画を分類し、構成単位区画の循環の有無を決定して、結晶化装置を基準として複数の結晶化装置テンプレートとして構築することができる。
【0012】
構築する段階は、溶解度の範囲を基準に代表されるモデル物質系がマッチングされて複数の溶解度テンプレートとして構築し、溶解度テンプレートのモデル物質系は、収率を予測するためのパラメータとして用いられる。
【0013】
構築する段階は、粒子サイズ分布の範囲を基準に代表されるモデル物質系がマッチングされて複数の粒子サイズ分布テンプレートとして構築し、粒子サイズ分布テンプレートのモデル物質系は、ポピュレーションバランス式をシミュレーションするためのパラメータとして用いられる。
【0014】
シミュレーションの実行結果を分析して、注入液に対する条件と結晶懸濁液に基づいて結晶化工程モデルに適用されたテンプレートのパラメータが最適化されるように分析し、分析データを提供する段階をさらに含むことができる。
【0015】
本開示の一実施例によるコンピューティング装置であって、命令語を含むメモリと、命令語を実行して結晶化工程モデルを生成する少なくとも1つのプロセッサと、を含み、プロセッサは、一定の順序により提供される結晶化物性テンプレート、そして工程テンプレートに対して1つ以上のテンプレートに対して選択されれば、選択されたテンプレートを組み合わせて結晶化工程モデルをモデリングする。
【0016】
プロセッサは、溶解度テンプレート、粒子サイズ分布テンプレート、結晶化装置テンプレート、工程時間テンプレート、そして濃縮倍数テンプレートに対して各1つのテンプレートが選択され、特定のテンプレートに対するパラメータが入力されれば、入力されたパラメータを適用したテンプレートを臨時格納し、パラメータが入力されなければ、当該テンプレートの基本値に設定された値が適用されたテンプレートを臨時格納することができる。
【0017】
プロセッサは、溶解度パラメータ、核生成速度モデルパラメータ、結晶成長速度モデルパラメータ、区画間単位流量フロー、沈降/浮上遮断サイズ、経時的温度、そして濃度工程条件のうち1つ以上のパラメータを受信することができる。
【0018】
プロセッサは、結晶化工程モデルが構築されれば、注入液に対する条件を受信して、注入液を結晶化工程モデルに入力して結晶懸濁液が導出されるようにシミュレーションを行うことができる。
【0019】
プロセッサは、溶解度の範囲を基準に代表されるモデル物質系がマッチングされて構築された複数の溶解度テンプレートの中から1つの溶解度テンプレートが選択されれば、選択された溶解度テンプレートのモデル物質系を、収率を予測するためのパラメータとして用いることができる。
【0020】
プロセッサは、粒子サイズ分布の範囲を基準に代表されるモデル物質系がマッチングされて構築された複数の粒子サイズ分布テンプレートの中から1つの粒子サイズ分布テンプレートが選択されれば、粒子サイズ分布テンプレートのモデル物質系を、ポピュレーションバランス式をシミュレーションするためのパラメータとして用いることができる。
【0021】
プロセッサは、シミュレーションの実行結果を分析して、注入液に対する条件と結晶懸濁液に基づいて結晶化工程モデルに適用されたテンプレートのパラメータが最適化されるように分析し、分析データを提供することができる。
【0022】
プロセッサは、結晶化工程モデルに適用された結晶化器テンプレートを変更して比較結晶化工程モデルを生成し、比較結晶化工程モデルをシミュレーションした結果を分析して、注入液に対する条件と前記結晶懸濁液に基づいて最適な結晶化器を推薦することができる。
【発明の効果】
【0023】
本開示によれば、入力されたテンプレートの情報に応じて簡単に結晶化モデルを構築し、シミュレーションを実行可能で、一般の基礎研究員も容易に安価な費用で結晶化工程モデリングおよびシミュレーションを行うことができる。
【0024】
また、実際の産業現場で用いられる結晶化装置に関する構造情報が含まれているテンプレートを提供することによって、実際のケース別の設備要素および専門知識がなくても実際の産業現場と類似して適用可能な結晶化工程を模写することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】一実施例による結晶化工程モデル生成装置の構成図である。
【
図2】一実施例による結晶化器に対するモデル構成図である。
【
図3】一実施例による結晶化器を示す例示図である。
【
図4】一実施例による結晶化工程モデル生成方法のフローチャートである。
【
図5】一実施例による結晶化器推薦方法のフローチャートである。
【
図6】一実施例によるコンピューティング装置のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付した図面を参照して、本開示の実施例について、本開示の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本開示は種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。そして、図面にて本開示を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって類似の部分については類似の図面符号を付した。
【0027】
本開示において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0028】
本開示で説明する装置は、少なくとも1つのプロセッサ、メモリ装置、通信装置などを含むハードウェアで構成され、指定された場所にハードウェアと結合されて実行されるプログラムが格納される。ハードウェアは、本開示の方法を実行可能な構成と性能を有する。プログラムは、図面を参照して説明した本開示の動作方法を実現した命令語(instructions)を含み、プロセッサとメモリ装置などのハードウェアと結合して本開示を実行する。
【0029】
本開示において、「伝送または提供」は、直接的な伝送または提供だけでなく、他の装置を介した、または迂回経路を用いた間接的な伝送または提供も含むことができる。
【0030】
本開示において、単数で記載された表現は、「1つ」または「単一」などの明示的な表現を使わない以上、単数または複数で解釈される。
【0031】
本開示において、図面に関係なく同一の図面番号は同一の構成要素を指し、「および/または」は、言及された構成要素のそれぞれおよび1つ以上のすべての組み合わせを含む。
【0032】
本開示において、第1、第2などのような序数を含む用語は多様な構成要素を説明するのに使用できるが、前記構成要素は前記用語によって限定されない。前記用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。例えば、本開示の権利範囲を逸脱しない範囲で第1構成要素は第2構成要素と名付けられ、類似して第2構成要素も第1構成要素と名付けられてもよい。
【0033】
本開示において、図面を参照して説明したフローチャートにおいて、動作順序は変更可能であり、様々な動作が併合されたり、ある動作が分割され、特定の動作は行われなくてもよい。
【0034】
図1は、一実施例による結晶化工程モデル生成装置の構成図である。
【0035】
図1を参照すれば、結晶化工程モデル生成装置100は、制御モジュール110と、テンプレート設定モジュール120と、モデル生成モジュール130と、シミュレーションモジュール140と、分析モジュール150とを含む。
【0036】
制御モジュール110、テンプレート設定モジュール120、モデル生成モジュール130、シミュレーションモジュール140、そして分析モジュール150は、少なくとも1つのプロセッサによって動作できる。結晶化工程モデル生成装置100を構成する一部のモジュールは分離されて実現されてもよいが、説明の便宜のために統合実現されたものと説明する。例えば、シミュレーションモジュール140は、モデル生成モジュール130で生成された結晶化工程モデルを実行してみるもので、生成された結晶化工程モデルを連動すれば良いので、モデル生成モジュール130、そしてシミュレーションモジュール140は常に共に実現される必要はない。
【0037】
制御モジュール110は、テンプレート設定モジュール120、モデル生成モジュール130、シミュレーションモジュール140、そして分析モジュール150それぞれの動作を制御する役割を果たす。制御モジュール110は、チェックボックス、リスト、表イメージなどを用いて、複数のテンプレートの中から1つのテンプレートを選択できるようにしたり、別途のパラメータ、環境条件などが入力可能にユーザにインターフェースを提供すると同時に、入力された値をテンプレート設定モジュール120、モデル生成モジュール130、そしてシミュレーションモジュール140にそれぞれ伝達することができる。
【0038】
テンプレート設定モジュール120は、予め設定されたテンプレートに対して1つ以上のテンプレートをユーザに提供し、提供されたテンプレートの中から1つが選択される。ここで、テンプレートは、結晶化工程モデル生成装置100が個別的に生成したり、予め構築されたテンプレートが格納されたデータベースで検索して、1つ以上のテンプレートを選択および各テンプレートのパラメータを設定することができる。詳しくは、溶解度、粒子サイズ分布、結晶化装置、工程時間、濃縮倍数などについて、一定の基準に基づいて複数のテンプレートで実現される。
【0039】
まず、溶解度テンプレートは、次の表1のように、一般的な結晶化業界で通用する基準により構築される(J.W.Mullin,Crystallization,2001)。
【0040】
【0041】
表1は、構築されたテンプレートの基準(溶解性範囲)とモデル物質系を示す。例えば、非溶解性テンプレートは、溶解度の値が0.5以下の値を有する物質系のうち、代表的にCaCO3に対応するテンプレートを示す。モデル物質系は、一般によく研究、開発、生産される溶解度に関連して代表性を有する物質を示すが、これに必ずしも限定されるものではない。そして、モデル物質系は、結晶化モデルで収率を予測するための固液相平衡モデルのパラメータを選択する過程で用いられる。固液相平衡モデルは、x固体の任意の量とy液体の任意の量とが混合された混合液に対して平衡状態に到達した時の混合液の組成を算出するモデルである。例えば、溶解進行段階(第1段階)、溶解度段階(第2段階)、溶解度後の段階(第3段階)、溶解度後の状態で異なった条件による溶解進行段階(第4段階)、溶解度状態で異なった条件で固体化された段階(第5段階)などに区分される場合、各段階に対するx固体の量、y液体の量、条件(温度など)が異なり、それによる平衡状態での組成比が異なる。これによって、固液相平衡モデルは、物質に対する組成と温度に応じた溶解度を算出するモデルで、溶解度テンプレートに含まれる。
【0042】
また、モデル物質系は、結晶化工程の初期濃度を決定するのに使用される。詳しくは、物質の溶解度に相当するモデル物質系のうちの1つが選択されれば、選択された物質系によるパラメータに基づいて固液相平衡モデルに適用する。それによって、固液相平衡モデルにより平衡状態での組成比を算出することによって、ユーザが物質の量、水の量および温度を入力すれば、平衡状態での組成比(初期濃度価)が決定される。例えば、固液相平衡モデルのパラメータである溶解度パラメータは、融解熱(Heat of Fusion)、融点(Melting point)、活動度係数(activity coefficient)などを含む。
【0043】
粒子サイズ分布テンプレートは、次の表2のように、一般的な結晶化業界で通用する基準により構築される(J.W.Mullin,Crystallization,2001)。
【0044】
【0045】
表2は、構築されたテンプレートの基準(粒子サイズ分布の範囲)とモデル物質系を示す。ここで、モデル物質系は、一般によく研究、開発、生産される粒子サイズに関連して代表性を有する物質を示すが、これに必ずしも限定されるものではない。そして、粒子サイズ分布テンプレートに設定されたモデル物質系は、粒子サイズ分布を予測するためのポピュレーションバランス式をシミュレーションするための主要要素である核生成速度モデルおよび結晶成長速度モデルのパラメータを選択するのに使用される。核生成速度および結晶成長速度を模写する式はべき関数の形態を有し、単純化すれば、核生成速度(B=kbSb)、結晶成長速度(G=kgSg)で示すことができる。kbは核生成速度定数(constant)を示し、bは核生成速度次数(order)、kgは結晶成長速度定数、gは結晶成長速度次数、Sは過飽和度を示す。先に説明した固液平衡モデルにより算出される過飽和度を原動力(driving force)として核生成速度と結晶成長速度が決定される。例えば、同一の過飽和度の状態で核生成速度が大きくて結晶成長速度が小さい場合、結晶の核は急速に生成されるのに対し、成長が十分でなくて低い平均粒度を有する結晶が生成される。逆に、核生成速度が小さくて結晶成長速度が大きい場合、生成された結晶核が十分に成長できるので、高い平均粒度を有する結晶が生成される。
【0046】
これによって、一般的な平均粒度別の核生成速度および結晶成長速度のパラメータを代表モデル物質系と共に提供することによって、計算しようとする物質の平均粒度が含まれるモデル物質系が選択されれば、自動的にモデル物質系のパラメータがマッチングされて提供される。ここで、パラメータは、一般的な結晶化工程条件で抽出された値で、パラメータそれ自体が平均粒度を意味するのではなく、後の段階で選択されるテンプレートから決定される結晶化装置、工程時間、濃縮倍数などにより結晶平均粒度を計算するのに用いられる。
【0047】
結晶化装置テンプレートは、現在通用する結晶化装置であるMSMPR(mixed suspension mixed product removal)結晶化器、強制循環結晶化器、DTB(draft tube baffled)結晶化器、Oslo結晶化器などにより構築される。
【0048】
それぞれの結晶化器は、前の時点で電算流体力学シミュレーションにより区画モデリング手法で作製できる。また、結晶化工程に必要な結晶化区画だけでなく、沈降/浮上区画、微細粒子溶解区画、蒸発区画も共に構成されている。
【0049】
結晶化装置テンプレートは、次の
図3のように示すことができるが、結晶化器に対するテンプレートを変更および追加可能なため、必ずしもこれに限定するものではない。
【0050】
【0051】
表3は、構築されたテンプレートの基準(結晶化器の種類)とそれによって構成された単位区画を示す。結晶化装置テンプレートで適用されるパラメータは、区画間単位流量フロー、沈降/浮上遮断サイズなどで、当該パラメータにより内部流動が決定される。結晶化器の種類(MSMPR、強制循環結晶化器、DTB結晶化器、Oslo結晶化器)のうち、区画間排出配分が必要なDTB結晶化器テンプレートとOslo結晶化器テンプレートで区画間単位流量フローの修正を行うことができる。DTB結晶化器テンプレートとOslo結晶化器テンプレートが選択されれば、基本的に、各結晶化器に対応する設定された基本値が提供され、後に細部条件を調整する過程で区画間単位流量フローの修正を行うことができる。
【0052】
その他にも、テンプレート自体を修正したり、新たな結晶化器のテンプレートを追加または直接デザインする場合に、結晶化器における区画での排出配分が必要な場合、別途に区画ごとに単位流量フローは修正が可能である。例えば、DTB結晶化器の基本原理は、下部インペラによって生成される流速と結晶粒子サイズによる終末速度によって大きい結晶は下部に積もり(沈降/浮上区画)、循環する過程で微細粒子は溶かし、小さい結晶は結晶成長(微細粒子溶解区画)をする。
【0053】
この時、DTB結晶化器の内部は低圧状態であるので、内部の水は低い温度で蒸発するが、当該区画は蒸発結晶化区画になる。そして、工程液は、循環ラインの熱交換器(図示せず)から熱が持続的に供給され、蒸発した水によって生成される過飽和度が結晶化の原動力(driving force)になる。
【0054】
結晶化区画から沈降/浮上区画へ移る過程で単位流量が決定されなければならず、沈降/浮上区画で沈降/浮上遮断サイズ以下の固体は微細粒子溶解区画に移動し、残りの粒子は結晶化区画に戻る。そのため、沈降/浮上区画があるDTB結晶化器テンプレートとOslo結晶化器テンプレートで沈降/浮上遮断サイズを変更することができる。
【0055】
結晶化工程時間テンプレートは、次の表4のように、工程時間を基準として構築される。
【0056】
【0057】
濃縮倍数テンプレートは、次の表5のように、一定の結晶化濃縮倍数に基づいて構築される。
【0058】
【0059】
このように構築されたテンプレートは、それぞれパラメータが基本値に設定されて連動するデータベースに格納される。各テンプレートに対するパラメータは先に説明した表の内容と同一であり、内在されたパラメータは次の通りである。言い換えれば、溶解度テンプレートに対する内在されたパラメータは、代表物質系によるそれぞれの融解熱(Heat of Fusion)、融点(Melting point)、活動度係数(activity coefficient)などを含み、細部条件の修正においてユーザによって修正可能である。
【0060】
粒子サイズ分布テンプレートの内在されたパラメータは、代表物質系によるそれぞれの核生成速度定数(kb)、核生成速度次数(b)、結晶成長速度定数(kg)、結晶成長速度次数(g)などを含み、細部条件の修正においてユーザによって修正可能である。
【0061】
結晶化装置テンプレートは、結晶化装置に対応して選択された装置ごとにパラメータが決定され、特に区画間排出配分が必要な区画がある結晶化装置のテンプレートの場合、区画間単位流量、沈降/浮上遮断サイズなどが細部条件の修正においてユーザによって修正可能である。
【0062】
結晶化工程時間テンプレートのパラメータと結晶化濃縮倍数テンプレートのパラメータは、各表4と表5と同一であり、細部条件の修正においてユーザによって修正可能である。
【0063】
このように、テンプレート設定モジュール120は、構築された複数のテンプレートを一定の段階に基づいてユーザに提供し、各テンプレートの種類ごとに1つのテンプレートが選択される。例えば、溶解度テンプレート、粒子サイズ分布テンプレート、結晶化装置テンプレート、工程時間テンプレート、そして濃縮倍数テンプレートごとに各1つのテンプレートが選択される。
【0064】
テンプレート設定モジュール120は、入力されたパラメータに基づいて選択されたテンプレートに設定されたパラメータを異なって設定することができる。ここで、別途のパラメータ値が入力されない場合、基本値に設定される。一方、ユーザによってテンプレートのモデル物質系、結晶化装置、結晶化工程時間、結晶化工程倍数が選択され、細部条件が修正される。別途のパラメータの修正がない場合、テンプレートに基本的に提供されるパラメータが使用できる。
【0065】
テンプレート設定モジュール120は、選択されたテンプレートのパラメータに対してユーザから別途に入力された場合、テンプレート設定モジュール120は、溶解度テンプレートに対する溶解度パラメータを変更し、溶解度パラメータが変更された溶解度テンプレートは臨時にデータベースに格納される。言い換えれば、テンプレート設定モジュール120は、結晶化工程モデルに適用するためにユーザから選択されたテンプレートとパラメータ値を選択して、モデル生成モジュール130に伝達する。
【0066】
モデル生成モジュール130は、選択されたテンプレートに基づいて結晶化工程モデルを生成する。モデル生成モジュール130は、選択されたテンプレートに基づいて格納されているモデル式を収集し、決定されたモデル式のパラメータを用いて最終的に結晶化工程モデルを生成する。
【0067】
シミュレーションモジュール140は、構築された結晶化工程モデルに対して設定された注入液から結晶懸濁液が導出される過程をシミュレーションする。シミュレーションモジュール140は、結晶化工程モデルに適用する環境条件を変更して繰り返しシミュレーションを行うことができ、シミュレーションの実行結果は、連動するディスプレイ装置(図示せず)に提供したり、別途のデータベースに格納することができる。ここで、環境条件は、注入液、注入液濃度、注入液温度などを示す。
【0068】
分析モジュール150は、シミュレーションの実行結果で導出される結晶懸濁液に関する情報に基づいて結晶回収率、結晶サイズなどを提供する。また、分析モジュール150は、シミュレーションの実行結果に対して分析して、構築された結晶化工程モデルに含まれているパラメータが最適化されているかを確認する。言い換えれば、分析モジュール150は、ユーザの入力に基づいて生成された結晶化工程モデルが最適化されているかを確認して、フィードバック情報を生成し出力することができる。
【0069】
分析モジュール150は、結晶回収率(懸濁液での固体結晶比率)と結晶サイズなどの基準で最適化の有無を判断することができる。例えば、結晶回収率がシミュレーションにより最も高い値を有したり、基準値以上の値を有する場合、分析モジュール150は最適化されたと推定することができる。あるいは、結晶サイズがシミュレーションにより最も大きい値を有したり、基準値以上を有する場合、分析モジュール150は最適化されたと推定することができる。ただし、結晶化の結果は状況に応じて目標とするところが異なるため、必ずしもこれに限定するものではなく、最適化の有無を判断する基準も後にユーザによって容易に変更および設定可能である。
【0070】
一方、分析モジュール150は、入力された値に基づいてフィードバック情報を生成する過程で学習が完了した機械学習モデルを用いることができる。例えば、分析モジュール150は、入力値に基づいて最も高い結晶回収率または最も大きい結晶サイズを有する結晶化器を選択するように学習された機械学習モデルを用いることができる。ここで、機械学習モデルは、与えられた状態に対する最適な行動を選択する強化学習を行うことができる。
【0071】
その他にも、分析モジュール150は、最適化基準を満足するために変更すべきパラメータ、溶解度/粒子サイズ分布/結晶化装置/工程時間/濃縮倍数テンプレートの種類などを選択するように学習された機械学習モデルを用いることができる。
【0072】
また、分析モジュール150は、フィードバック情報に基づいて最適化された結晶化器を選択できるように比較結晶化工程モデルを生成し、シミュレーションの実行を制御モジュール110に要請することができる。言い換えれば、分析モジュール150は、生成された結晶化工程モデルで結晶化器テンプレートを任意に変更して比較結晶化工程モデルを生成するようにして、複数の比較結晶化工程モデルのシミュレーションの実行結果を分析することができる。
【0073】
これによって、分析モジュール150は、分析された実行結果が最も高い結晶化工程モデルを選択し、選択された結晶化工程モデルに含まれている結晶化器を推薦することができる。分析モジュール150は、比較分析の結果に応じて最適化された結晶化工程モデルのみを提供したり、最も最適化された結晶化器を選択的に提供すると同時に、結晶化工程モデルまたは結晶化器を選択するために比較分析した結果を共に提供することができる。
【0074】
図2は、一実施例による結晶化器に対するモデル構成図であり、
図3は、一実施例による結晶化器を示す例示図である。
【0075】
図2の(a)はMSMPR(mixed suspension mixed productre moval)結晶化器の単位区画モデル、(b)は強制循環結晶化器の単位区画モデル、(c)はDTB(draft tube baffled)結晶化器の単位区画モデル、(d)はOslo結晶化器の単位区画モデルを示す。
【0076】
図3の(a)はMSMPR結晶化器、(b)は強制循環結晶化器、(c)はDTB結晶化器、(d)はOslo結晶化器を簡単に図式化した例示図である。
【0077】
図2と3を参照すれば、4つの結晶化器の装置特性に基づいて単位区画モデルが区画される。参照として、
図2にて結晶化区画番号で区分したのは、便宜上、フローにより区分しやすく作成されたもので、結晶化区画番号とは別個にすべて結晶化区画のための領域を示す。
【0078】
MSMPR結晶化器は、Mixed-Suspension、Mixed-Product Removalの略字で理論的結晶化器であり、外部のポンプを用いて結晶化器の内部工程液を強制的に循環させることによって混合させる結晶化器である。例えば、MSMPR結晶化器では、蒸発結晶化(水が蒸発する)現象が工程液全体で起こるが、実際の工程での蒸発現象は、工程液上部の表面と気体での気液平衡によって起こる。このようなMSMPR結晶化器のメリットは同質性(homogeneous)を仮定するので、理論式で簡単に計算できるというメリットがあり、核生成速度/結晶成長速度の計算が容易である。MSMPR結晶化器は、注入液が蒸発結晶化区画を経て、結晶懸濁液として導出される。
【0079】
強制循環結晶化器は、外部のポンプを用いて結晶化器の内部工程液を強制的に循環させることによって混合させる結晶化器で、循環が十分になると、MSMPR結晶化器に近い特性を有する。強制循環結晶化器は、工程液/気相表面で気液平衡によって蒸発が起こり、残りの部分では蒸発結晶化区画で起こった蒸発によって生じた過飽和度によって結晶化が起こる。このような強制循環結晶化器は、注入液が結晶化区画1、結晶化区画2、蒸発結晶化区画、そして結晶化区画3を経て、結晶懸濁液として導出される。この時、結晶化区画3から再び結晶化区画1に連結されて、もう一度結晶化区画および蒸発結晶化区画を循環することができる。
【0080】
DTB結晶化器は、下部インペラによって生成される流速と結晶粒子サイズによる終末速度によって大きい結晶は下部に積もり(沈降/浮上区画)、小さい結晶と微細粒子は循環する。このような循環過程で微細粒子は溶かし、小さい結晶は結晶成長(微細粒子溶解区画)する。
【0081】
DTB結晶化器は、区画間排出配分が必要な特定の区画(蒸発結晶化区画、沈降/浮上区画など)を除いた結晶化区画は、事前に行われた電算流体力学シミュレーションにより工程液の流動により臨時に区分すれば、
図2の(c)のように示すことができる。そのため、DTB結晶化器は、注入液が結晶化区画1、蒸発結晶化区画、結晶化区画2、そして結晶化区画3を経て、結晶懸濁液として導出される。この時、結晶化区画3から再び結晶化区画4に連結されて、もう一度結晶化区画および蒸発結晶化区画を循環したり、沈降/浮上区画を経て、微細粒子溶解区画から再び結晶化区画4に連結されて、もう一度結晶化区画および蒸発結晶化区画を循環することができる。
【0082】
Oslo結晶化器は、注入液が蒸発器に投入され、結晶化器の本体上部に連結された循環ラインとポンプによって流動が形成される。この時、形成された流動の流速と結晶粒度による終末速度の差によって結晶の沈降/浮上が生じ、広い結晶化器の本体内で浮上した小さい結晶はゆっくり滞留して結晶成長が起こる。そのため、Oslo結晶化器は、注入液が結晶化区画1、蒸発結晶化区画、結晶化区画2、そして結晶化区画3を経て、結晶懸濁液として導出される。この時、結晶化区画3から沈降/浮上区画を経て、再び結晶化区画1に連結されて、もう一度結晶化区画および蒸発結晶化区画を循環することができる。
【0083】
一方、結晶懸濁液が分離される条件は、濃縮倍数テンプレートで決定され、濃縮倍数は(注入液の体積/懸濁液の体積)で、連続式結晶化器の場合、(単位時間あたりに注入される流量)=(単位時間あたりに排出する流量)のバランスが形成されてこそ、内部工程液の体積が一定に維持される。これによって、濃縮倍数がテンプレートにより決定されると、自動的に懸濁液の体積が計算され、蒸発する水の体積が決定される。
【0084】
以下、結晶化工程モデルを生成し、シミュレーションを提供する過程について説明する。
【0085】
図4は、一実施例による結晶化工程モデル生成方法のフローチャートである。
【0086】
図4を参照すれば、結晶化工程モデル生成装置100は、溶解度テンプレートの中から1つのテンプレートが選択される(S110)。結晶化工程モデル生成装置100は、溶解度の範囲に基づいて構築された複数のテンプレートを提供し、1つのテンプレートが選択され、別途に溶解度パラメータが入力される。結晶化工程モデル生成装置100は、1つの溶解度テンプレートが選択されれば、選択された溶解度テンプレートをユーザの固有IDに対応する格納場所に臨時格納することができる。
【0087】
結晶化工程モデル生成装置100は、粒子サイズ分布テンプレートの中から1つのテンプレートが選択される(S120)。結晶化工程モデル生成装置100は、粒子サイズ分布に基づいて構築された複数のテンプレートを提供し、1つのテンプレートが選択され、別途に核生成速度モデルパラメータまたは結晶成長速度モデルパラメータが入力される。
【0088】
結晶化工程モデル生成装置100は、結晶化装置テンプレートの中から1つのテンプレートが選択される(S130)。結晶化工程モデル生成装置100は、結晶化装置に基づいて構築された複数のテンプレートを提供し、1つのテンプレートが選択され、別途に区画間単位流量フローまたは沈降/浮上遮断サイズが入力される。この時、結晶化工程モデル生成装置100は、結晶化装置に関するさらなる説明を別途に提供することができる。例えば、各結晶化装置が多く用いられるケースまたはどの工程で結晶懸濁液を導出する機器であるかに関する説明を文字またはイメージ化して提供することができる。
【0089】
結晶化工程モデル生成装置100は、工程時間テンプレートの中から1つのテンプレートが選択される(S140)。この時、結晶化工程モデル生成装置100は、選択されたテンプレートに基づいて経時的温度または濃度に対する条件に別途に入力される。
【0090】
結晶化工程モデル生成装置100は、濃縮倍数テンプレートの中から1つのテンプレートが選択される(S150)。この時、結晶化工程モデル生成装置100は、選択されたテンプレートに基づいて経時的温度または濃度に対する条件に別途に入力される。
【0091】
結晶化工程モデル生成装置100は、結晶化工程モデルを生成する(S160)。結晶化工程モデル生成装置100は、選択されたテンプレートとは別途に入力されたパラメータに基づいて結晶化工程モデルを生成することができる。ただし、別途に入力されたパラメータがない場合、各テンプレートごとに基本として設定されたパラメータが入力される。
【0092】
結晶化工程モデル生成装置100は、生成された結晶化工程モデルのシミュレーションを行う(S170)。結晶化工程モデル生成装置100は、生成された結晶化工程モデルに入力された環境条件を適用してシミュレーションを行う。
【0093】
図5は、一実施例による結晶化器推薦方法のフローチャートである。
【0094】
図5を参照すれば、結晶化工程モデル生成装置100は、生成された結晶化工程モデルに対するシミュレーションの結果を分析する(S210)。結晶化工程モデル生成装置100は、生成された結晶化工程モデルが最適化基準に満足するかを確認して、結果を分析する。
【0095】
結晶化工程モデル生成装置100は、結晶化工程モデルに対する最適化のためのパラメータおよびテンプレートの少なくとも1つを変更して比較結晶化工程モデルを生成する(S220)。例えば、結晶化工程モデル生成装置100は、最適化基準が満足しない場合、当該最適化基準を満足するために変更すべきパラメータ、溶解度/粒子サイズ分布/結晶化装置/工程時間/濃縮倍数テンプレートの種類などを選択する。そして、選択された変更条件を結晶化工程モデルに適用して比較結晶化工程モデルを生成する。この時、変更条件ごとに個別的にまたは組み合わせにより複数の比較結晶化工程モデルを生成することができる。
【0096】
結晶化工程モデル生成装置100は、生成した比較結晶化工程モデルに対するシミュレーションを行い、行われたシミュレーションの結果を比較分析する(S230)。結晶化工程モデル生成装置100は、生成された結晶化工程モデルと共に比較結晶化工程モデル間のシミュレーションの結果を比較分析する。
【0097】
結晶化工程モデル生成装置100は、注入液と懸濁液に対する最適化された結晶化器と最適化された結晶化工程モデルを含むフィードバック情報を提供する(S240)。結晶化工程モデル生成装置100は、比較分析の結果に応じて最適化された結晶化工程モデルのみを提供したり、最も最適化された結晶化器を選択的に提供することができる。ここで、フィードバック情報は、結晶化器、結晶化工程モデルに関する情報以外にも、比較分析の結果を含むことができる。言い換えれば、結晶化工程モデル生成装置100は、最適化された結晶化器、結晶化工程モデルを選択するようになった分析結果を提供することができる。
【0098】
図6は、一実施例によるコンピューティング装置のハードウェア構成図である。
【0099】
図6を参照すれば、結晶化工程モデル生成装置100は、少なくとも1つのプロセッサによって動作するコンピューティング装置200で実現される。コンピューティング装置200は、1つ以上のプロセッサ210と、プロセッサ210によって行われるコンピュータプログラムをロードするメモリ220と、コンピュータプログラムおよび各種データを格納する格納装置230と、通信インターフェース240と、これらを連結するバスと、を含むことができる。その他にも、コンピューティング装置 200は、多様な構成要素がさらに含まれてもよい。
【0100】
プロセッサ210は、コンピューティング装置200の動作を制御する装置であって、コンピュータプログラムに含まれている命令語を処理する多様な形態のプロセッサであってもよく、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processor Unit)、MCU(Micro Controller Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、または本開示の技術分野でよく知られた任意の形態のプロセッサの少なくとも1つを含んで構成される。
【0101】
メモリ220は、各種データ、命令および/または情報を格納する。メモリ220は、本開示の動作を実行するように記述された命令語がプロセッサ210によって処理されるように当該コンピュータプログラムを格納装置230からロードすることができる。メモリ220は、例えば、ROM(read only memory)、RAM(random access memory)などであってもよい。
【0102】
格納装置230は、コンピュータプログラム、各種データを非臨時的に格納することができる。格納装置230は、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリなどのような不揮発性メモリ、ハードディスク、着脱型ディスク、または本開示の属する技術分野でよく知られた任意の形態のコンピュータで読取可能な記録媒体を含んで構成される。
【0103】
通信インターフェース240は、有/無線通信を支援する有/無線通信モジュールであってもよい。バスは、コンピューティング装置200の構成要素間の通信機能を提供する。
【0104】
コンピュータプログラムは、プロセッサ210によって実行される命令語(instructions)を含み、非一時的-コンピュータ読取可能格納媒体(non-transitory computer readable storage medium)に格納され、命令語はプロセッサ210が本開示の動作を実行するように作る。コンピュータプログラムは、ネットワークを介してダウンロードされるか、製品形態で販売される。テンプレートは、プロセッサ210によって実行されるコンピュータプログラムで実現可能である。
【0105】
このように、実施例によれば、入力されたテンプレートの情報に応じて簡単に結晶化モデルを構築し、シミュレーションを実行可能で、一般の基礎研究員も容易に安価な費用で結晶化工程モデリングおよびシミュレーションを行うことができる。
【0106】
そして、理論または実験を通して得られた各種パラメータ値と環境条件が入力されれば、自動的に予想される結晶化収率と結晶サイズを計算することによって、後に実際の工程の選択に役立つことができる。
【0107】
また、実際の産業現場で用いられる結晶化装置に関する構造情報が含まれているテンプレートを提供することによって、実際のケース別の設備要素および専門知識がなくても実際の産業現場と類似して適用可能な結晶化工程を模写することができる。
【0108】
以上説明した本開示の実施例は装置および方法によってのみ実現されるものではなく、本開示の実施例の構成に対応する機能を実現するプログラムまたはそのプログラムが記録された記録媒体を介して実現されてもよい。
【0109】
以上、本開示の実施例について詳細に説明したが、本開示の権利範囲はこれに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲で定義している本開示の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本開示の権利範囲に属する。
【国際調査報告】