(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】防音換気パネル及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
G10K 11/16 20060101AFI20240730BHJP
E06B 7/04 20060101ALI20240730BHJP
G10K 11/172 20060101ALI20240730BHJP
G10K 11/162 20060101ALI20240730BHJP
F24F 13/24 20060101ALI20240730BHJP
F24F 13/08 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
G10K11/16 120
E06B7/04
G10K11/172
G10K11/162
F24F13/24 242
F24F13/08 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501829
(86)(22)【出願日】2022-07-07
(85)【翻訳文提出日】2024-03-05
(86)【国際出願番号】 CA2022051067
(87)【国際公開番号】W WO2023283723
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524014824
【氏名又は名称】ヴァンエアー デザイン インク.
【氏名又は名称原語表記】VANAIR DESIGN INC.
【住所又は居所原語表記】5679 Hyde Street, Burnaby, British Columbia V5G 4C6 Canada
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヒギンズ ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ ヴァイキング ワイ キング
【テーマコード(参考)】
2E036
3L081
5D061
【Fターム(参考)】
2E036JA03
2E036JB03
2E036KA01
2E036LA01
2E036MA02
2E036NA01
3L081AA08
3L081BA01
5D061AA11
5D061AA12
5D061AA23
5D061AA26
5D061BB24
5D061BB28
5D061CC04
(57)【要約】
防音換気パネルが提供される。パネルは、複数の水平流路を有するコアアセンブリと、中空中心を有し、コアアセンブリの両側面に位置する一対のカートリッジと、一対のカートリッジに位置する一対の中空側面とを含む。カートリッジのそれぞれは、複数の空気流路側開口を有する近位に面する側面、及び複数の音共振部側開口を有する遠位に面する側面を有する。垂直に方向付けられた換気溝が、カートリッジのうちの第1のカートリッジの前面を通して形成され、垂直に方向付けられた換気溝が、カートリッジのうちの第2のカートリッジの背面を通して形成される。換気溝、中空中心、空気流路側開口、及び水平流路は共に、Z字状空気流路を部分的に画定する。音共振部側開口及び中空側面は、複数の共振部を部分的に画定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の水平流路を含むコアアセンブリと、
中空中心を有し、前記コアアセンブリの両側面に位置する一対のカートリッジと、
前記一対のカートリッジに位置する一対の中空側面と、を備える防音換気パネルであって、
前記カートリッジのそれぞれは、複数の空気流路側開口を有する近位に面する側面、及び複数の音共振部側開口を有する遠位に面する側面を含み、
垂直に方向付けられた換気溝が、前記カートリッジのうちの第1のカートリッジの前面を通して形成され、垂直に方向付けられた換気溝が、前記カートリッジのうちの第2のカートリッジの背面を通して形成され、
それによって、前記換気溝、前記中空中心、前記空気流路側開口、及び前記水平流路は共に、Z字状空気流路を部分的に画定し、
それによって、前記音共振部側開口及び前記中空側面は、複数の共振部を部分的に画定する、防音換気パネル。
【請求項2】
上部レール、下部レール、及び2つの框を備える枠であって、前記一対のカートリッジは、前記上部レールと前記下部レールとの間に配設され、前記上部レール、前記下部レール、前記2つの框及び前記遠位に面する側面は、前記中空側面を部分的に画定する、枠と、
前面表皮及び背面表皮と、をさらに備え、前記枠、前記コアアセンブリ、及び前記一対のカートリッジは、前記前面表皮と前記背面表皮との間に支持的に配設され、前記カートリッジのうちの前記第1のカートリッジの前記前面を通して形成される前記垂直に方向付けられた換気溝は、前記前面表皮を通しても形成され、前記カートリッジのうちの前記第2のカートリッジの前記背面を通して形成される前記垂直に方向付けられた換気溝は、前記背面表皮を通しても形成される、請求項1に記載の防音換気パネル。
【請求項3】
前記カートリッジのそれぞれは、水平対称面及び垂直対称面を有する、請求項1又は2に記載の防音換気パネル。
【請求項4】
前記複数の空気流路側開口のそれぞれは、前記複数の水平流路のうちの対応する1つに整列される、請求項1から3のいずれか一項に記載の防音換気パネル。
【請求項5】
前記複数の空気流路側開口は、同一で、等間隔があけられ、前記複数の音共振部側開口は、同一で、等間隔があけられる、請求項1から4のいずれか一項に記載の防音換気パネル。
【請求項6】
前記複数の空気流路側開口は、前記複数の音共振部側開口よりも大きく、個数が少ない、請求項1から5のいずれか一項に記載の防音換気パネル。
【請求項7】
前記複数の空気流路側開口は、直線状に直列に配置され、前記複数の音共振部側開口は、直線状に直列に配置される、請求項1から6のいずれか一項に記載の防音換気パネル。
【請求項8】
前記空気流路側開口の間の各空間は、少なくとも1インチである、請求項1から7のいずれか一項に記載の防音換気パネル。
【請求項9】
前記カートリッジのそれぞれは、前記パネルの高さの少なくとも80%、又は少なくとも90%まで延在する、請求項1から8のいずれか一項に記載の防音換気パネル。
【請求項10】
前記水平流路は、折り畳まれた段ボールから少なくとも部分的に形成される、請求項1から9のいずれか一項に記載の防音換気パネル。
【請求項11】
前記水平流路の内面は、連続気泡発泡体、ミネラルウール又はガラス繊維などの多孔質の散逸性材料の吸音ライニングを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の防音換気パネル。
【請求項12】
前記コアアセンブリは、前記一対のカートリッジの間の空間の実質的に全てを占める、請求項1から11のいずれか一項に記載の防音換気パネル。
【請求項13】
前記コアアセンブリは、隣接して配置された6から24の水平流路を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の防音換気パネル。
【請求項14】
隣接する水平流路の間の壁は、吸音ライニングの露出表面積を増加するために複数の開口を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載の防音換気パネル。
【請求項15】
前記中空側面は、多孔質の散逸性吸音材料を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の防音換気パネル。
【請求項16】
a.上部レール、下部レール及び2つの框を備える枠を用意することと、
b.複数の水平流路を備えるコアアセンブリを用意することと、
c.中空中心を有する一対のカートリッジを用意することと、前記カートリッジは前記上部レールと前記下部レールとの間に位置し、前記コアアセンブリの両側面に位置し、前記カートリッジのそれぞれが、複数の水平流路に整列された複数の空気流路側開口を有する近位に面する側面、及び複数の音共振部側開口を有する遠位に面する側面を備え、
d.前面表皮及び背面表皮を設けることと、それによって前記音共振部側開口及び前記框の間の空間と、前記遠位に面する側面と、前記前面表皮及び前記背面表皮とが共振部を画定し、
e.前記前面表皮及び前記カートリッジのうちの第1のカートリッジの前面を通る垂直に方向付けられた換気溝を形成し、前記背面表皮及び前記カートリッジのうちの第2のカートリッジの背面を通る垂直に方向付けられた換気溝を形成することと、を含み、それによって、前記換気溝、前記中空中心、前記空気流路側開口及び前記水平流路が共にZ字状空気流路を画定する、防音換気パネルを製造する方法。
【請求項17】
ステップc.は、前記カートリッジのそれぞれ内へ挿入物を挿入することをさらに含み、前記挿入物は、遮断部分及び受容部分を備え、前記遮断部分は、前記垂直に方向付けられた換気溝が前記カートリッジの前面に形成されているか背面に形成されているかにかかわらず、ステップe.によって生成された埃及び破片を受容するように構成されている前記受容部分から、前記空気流路側開口及び前記音共振部側開口を実質的に遮断し、ステップe.の後、前記挿入物は、前記垂直に方向付けられた換気溝を通して前記カートリッジから除去される、請求項16に記載の防音換気パネルを製造する方法。
【請求項18】
ステップc.の前に、前記近位に面する側面及び前記遠位に面する側面は、(i)前記カートリッジの長さを有する矩形のブロックに切込みを入れ、(ii)切込みが入れられた前記ブロックを重ね、(iii)重ねられた前記ブロックを通る空気流路側開口又は音共振部側開口を開けることによって製造される、請求項16又は17に記載の防音換気パネルを製造する方法。
【請求項19】
ステップc.の前に、前記近位に面する側面及び前記遠位に面する側面は、(i)前記カートリッジの長さを有する細長い矩形のブロックを通る前記空気流路側開口又は前記音共振部側開口に大きさを合わせたスロットを開け、(ii)穴開けされた前記細長い矩形のブロックに指物輪郭の切込みを入れ、(iii)輪郭が付けられ且つ穴開けされた細長い前記ブロックを個々の近位に面する側面又は遠位に面する側面に裂くことによって製造される、請求項16又は17に記載の防音換気パネルを製造する方法。
【請求項20】
ステップc.の前に、前記近位に面する側面及び前記遠位に面する側面は、(i)それぞれ前記カートリッジの長さを有する2つのシートを用意し、前記シートの間に、間隔をあけられたリブを挟み、前記リブの間隔を前記空気流路側開口又は前記音共振部側開口の寸法に一致させ、(ii)前記シートを前記近位に面する側面又は前記遠位に面する側面のストリップに切断することによって製造される、請求項16又は17に記載の防音換気パネルを製造する方法。
【請求項21】
ステップc.の前に、前記カートリッジは、(i)前記近位に面する側面、前記遠位に面する側面、及び2つの支持部を共に接着してカートリッジを形成し、(ii)ステップ(i)からの複数のカートリッジを重ね、(iii)重ねられた前記カートリッジを垂直方向及び/又は水平方向に押し付けることによって製造される、請求項16又は17に記載の防音換気パネルを製造する方法。
【請求項22】
防音換気パネル用のカートリッジであって、
中空中心と、
前面と、
前記前面の反対側の背面と、
複数の空気流路側開口を有する近位に面する側面と、
複数の音共振部側開口を有する遠位に面する側面と、
前記前面又は前記背面を通して形成された垂直に方向付けられた換気溝と、を備えるカートリッジ。
【請求項23】
水平対称面及び垂直対称面を備える、請求項22に記載のカートリッジ。
【請求項24】
前記複数の空気流路側開口は、同一で、等間隔があけられ、前記複数の音共振部側開口は、同一で、等間隔があけられる、請求項22又は23に記載のカートリッジ。
【請求項25】
前記複数の空気流路側開口は、前記複数の音共振部側開口よりも大きく、個数が少ない、請求項22から24のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項26】
前記複数の空気流路側開口は、直線状に直列に配置され、前記複数の音共振部側開口は、直線状に直列に配置される、請求項22から25のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項27】
前記空気流路側開口の間の各空間は、少なくとも1インチである、請求項22から26のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項28】
矩形断面を有する2つの流路を画定するように折り畳まれた単一の段ボールシートを備える、防音換気パネル用のコア構成要素。
【請求項29】
前記シートは、前記流路のうちの少なくとも1つを形成することを容易にするために、前記シートの中間部分に直線状に配置された複数のスロット及び前記スロットに係合するための前記シートの端部での対応する複数のタブを備える、請求項28に記載のコア構成要素。
【請求項30】
前記2つの流路は、等しい大きさである、請求項28又は29に記載のコア構成要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願へのクロスリファレンス]
本出願は、2021年7月12日に出願された「SOUND ISOLATING VENTILATION PANELS AND METHODS FOR MANUFACTURING SAME」と題する米国仮特許出願63/220827の優先権及びその利益を主張し、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。アメリカ合衆国の目的上、この出願は、2021年7月12日に出願された「SOUND ISOLATING VENTILATION PANELS AND METHODS FOR MANUFACTURING SAME」と題する米国出願63/220827の米国特許法第119条に基づく利益を主張する。
【0002】
この発明は、全般に亘って、扉などの防音換気パネル、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
商業建物及び施設建物では、全ての内部空間に専用の新鮮な空気の供給及び還流/排気が設けられていることが標準である。この空気は調整されることもある(加熱/冷却、湿度制御)。建物、間取り、機械式システムに応じて、外気は建物に入り、換気機器及びダクト、並びに占有空間及び内部換気開口部を通過した後、外部に排出される。ほとんどの商業建物は、システム及び建物を通して空気を移動させるために機械式ファンを使用するが、熱浮力及び風圧などの自然力を採用するものもある。建物内の部屋の間の一般的な空気移送開口部には、扉のアンダーカット(扉の下部と床との間の隙間)、グリル、及び移送ダクトがある。気流の容量は、断面積、流路の形状、及び流路内の障害物による。所与の換気開口部又はダクトを通して、空気差圧及び空気流量は直接関係している(気流は圧力差の平方根に比例している)。換気システムのエンジニアは、標準化機関が規定する最低限度で、床面積及び占有率を考慮して、各空間へ空気を供給するシステムを設計する。
【0004】
空間を仕切り、且つ空気移送の手段を提供する所与の大きさのパネル(扉など)については、一般に、より高い空気流量を必要とする空間へのパネルの用途を増加するように、気流に対する容量を最大にすることが望ましい。
【0005】
音がパネルに入射すると、エネルギーの成分がパネルによって反射、吸収、伝送される。音の伝送は、入射音の総エネルギーに対して伝送されたエネルギーの割合である伝送係数tao、並びにパネル全体の音レベルのデシベル低減である伝送損失によって定量化される。所与のパネルでは、両方の量が周波数スペクトル全体で変化する。
【0006】
単一の均質なパネルの一側に音源があると考えると、パネルを通る音の伝送損失は、主に、単位面積あたりのパネルの質量によって画定され、6dB/オクターブの周波数とともに増加する。
図1(L.L.Beranek編、Noise Reduction、McGraw-Hill、New York、1960年より)では、領域IIは質量制御された帯域を示す。質量制御帯域である領域Iの下の周波数では、パネルの共振により伝送損失に大きな変動を引き起こす。
【0007】
さらに、パネルの剛性は伝送損失に影響を与え、曲げ波は、パネルの体積弾性率及び密度による波長で、パネルの平面を伝搬する。90度以外の角度でパネルに入射する音については、入射角と波長とが組み合わされて、パネルの曲げ波長に等しい微量な波長がパネルに沿って生じると、一種の共振が生じ、これは「一致」として知られている。一致効果により、より多くの音が伝送され、「臨界周波数」fcから上向きの帯域幅に広がり、領域IIIに示されているように、すれすれの入射波長がパネル内の曲げ波に影響を与え始める。
【0008】
単一の均質なパネルの音の伝送損失を増加させる(防音性を高める)ための主な戦略は、その質量を増加させ、質量制御された帯域の伝送損失を上方に変換することである。さらに2つの戦略、剛性の減少、すなわち、臨界周波数及び一致効果の低下を周波数軸に沿って上向きに移動させること、及び内部減衰の追加、すなわち、パネル共振の大きさ及び伝送損失における一致の低下を低減することによって、伝送損失を増加させることができる。
【0009】
空隙で分離された2つのパネルは、防音性を高めるための別の選択肢を提示する。周波数スペクトルの下端では、空隙がバネとして作用し、パネルを音響的に結合して単一のパネルとして作用する。分離距離が1/4波長に等しい周波数の上の周波数では、空隙は2つのパネルを切り離すように作用し、伝送損失は18dB/オクターブで増加する。一致効果による音の伝送率の低下も、2つのパネルのそれぞれに存在する。伝送損失は、2つのパネルの間に吸音材を追加することによって、さらに増加させることができる。これにより、パネル間を移動する波を減衰し、且つ定在波を低減することによって、2つのパネルをさらに切り離す。
【0010】
空気伝搬音は、散逸性手段又は反応性手段によって吸収できる。連続気泡多孔質材料などの散逸性吸音材は、音エネルギーの組織化された分子運動に抵抗し、それを熱に変換する。反応性吸音材は、機械的又は音響的な共振を採用して、調整された周波数帯域全体で粒子速度を上昇させ、これらの周波数帯域の音エネルギーが、散逸性材料を組み合わせた使用、又は本質的に空気吸収によって吸収される(熱に変換される)機会を提示する。「バッフル」という用語は、一般に、散逸性又は反応性手段によって音を吸収する構築(例えば、室内天井タイル)、及び音を遮断する構築(例えば、高速道路の防音障壁)を指す。
【0011】
「PANEL AND PANEL STRUCTURE FOR VENTILATION AND BOTH REACTIVE AND DISSIPATIVE SOUND DAMPENING」と題する米国特許10612239に記載の実施形態は、前面/背面上の溝及び中空中心を通るZ字状の空気流路を介して、部屋間の受動的空気移送を可能にする。パネルを横切り、空気流路を通る音の伝送は、中空中心内の吸音バッフル及び溝の周囲上の共振部によって散逸される。
【0012】
米国特許10612239号に以前に開示された実施形態は、製造可能性(及びしたがってコスト)並びに音伝送性能に関連する課題を提示する。課題は、以下を含む。
- 上部シート(表皮)と下部シート(表皮)との間に多数の構成要素を必要とする。
- 上部/下部のシート(表皮)へ積層する前に、枠において(ダボ又は浮遊式ホゾを使用して)接合しなければならない内部構成要素を使用する。
- 組み立て時に他の内部構成要素に直接接触又は調整することなく、緩く配置しなければならない構成要素を使用する。
- 組み立て後に換気溝を機械加工することが必要とされ、機械加工中に埃及び削りくずがパネルの空気流路に入るのを制限する手段を提供しない。
- アセンブリを逆には動かせないようにする構成要素を使用し、換気溝が特定の側面に機械加工される必要があるため、組み立て後にこれを追跡する必要がある。
- 溝の縁辺に適切な構造を提供するために、厚い上部/下部の表皮を必要とする。
- 公正な防音性能のみによる制限された用途。
- 公正な気流に対する容量のみによる制限された用途。
- 入口及び出口の換気溝を通して見える内面に表面仕上げを適用する機会が乏しい。
- 扉表皮が厚いため、典型的な中空の室内扉よりも重く、輸送及び設置に影響を与える重量。
- 矩形共振部の開口部/首部での応力集中による破壊/亀裂破損。
【0013】
これらの課題の少なくとも一部に対処する改良されたパネルが望ましい。
【発明の概要】
【0014】
本発明は様々な態様を有する。これらは、限定しないが、防音換気パネル、防音換気パネルを製造する方法、並びに防音換気パネルに有用なカートリッジ及びコア構成要素を含む。
【0015】
一態様では、防音換気パネルが提供される。パネルは、複数の水平流路を含むコアアセンブリと、中空中心を有し、コアアセンブリの両側面に位置する一対のカートリッジと、一対のカートリッジに位置する一対の中空側面とを含む。カートリッジのそれぞれは、複数の空気流路側開口を有する近位に面する側面、及び複数の音共振部側開口を有する遠位に面する側面を含む。垂直に方向付けられた換気溝が、カートリッジのうちの第1のカートリッジの前面を通して形成され、垂直に方向付けられた換気溝は、カートリッジのうちの第2のカートリッジの背面を通して形成される。換気溝、中空中心、空気流路側開口、及び水平流路は共に、Z字状空気流路を部分的に画定する。音共振部側開口及び中空側面は、複数の共振部を部分的に画定する。
【0016】
枠は、上部レール、下部レール、及び2つの框を備えてもよく、ここで、一対のカートリッジは、上部レールと下部レールとの間に配設されてもよく、ここで、上部レール、下部レール、2つの框及び遠位に面する側面は、中空側面を部分的に画定してもよい。
【0017】
枠は、前面表皮及び背面表皮を含んでもよく、ここで、枠、コアアセンブリ、及び一対のカートリッジは、前面表皮と背面表皮との間に支持的に配設されてもよい。カートリッジのうちの第1のカートリッジの前面を通して形成される垂直に方向付けられた換気溝は、前面表皮を通して形成されてもよく、カートリッジのうちの第2のカートリッジの背面を通して形成される垂直に方向付けられた換気溝は、背面表皮を通して形成されてもよい。
【0018】
カートリッジのそれぞれは、水平対称面及び垂直対称面を有してもよい。
【0019】
複数の空気流路側開口のそれぞれは、複数の水平流路のうちの対応する1つに整列されてもよい。
【0020】
複数の空気流路側開口は、同一で、等間隔があけられてもよく、複数の音共振部側開口は、同一で、等間隔があけられてもよい。
【0021】
複数の空気流路側開口は、複数の音共振部側開口よりも大きく、個数が少なくてもよい。
【0022】
複数の空気流路側開口は、直線状に直列に配置されてもよく、複数の音共振部側開口は、直線状に直列に配置されてもよい。
【0023】
空気流路側開口の間の各空間は、少なくとも1インチであってもよい。
【0024】
カートリッジのそれぞれは、パネルの高さの少なくとも80%、又は少なくとも90%まで延在してもよい。
【0025】
水平流路は、折り畳まれた段ボールから少なくとも部分的に形成されてもよい。
【0026】
水平流路の内面は、連続気泡発泡体、ミネラルウール又はガラス繊維などの多孔質の散逸性材料の吸音ライニングを含んでもよい。
【0027】
コアアセンブリは、一対のカートリッジの間の空間の実質的に全てを占めてもよい。
【0028】
コアアセンブリは、隣接して配置された6から24の水平流路を備えてもよい。
【0029】
隣接する水平流路の間の壁は、吸音ライニングの露出表面積を増加するために複数の開口を含んでもよい。
【0030】
中空側面は、多孔質の散逸性吸音材料を含んでもよい。
【0031】
別の態様は、防音換気パネルを製造する方法を提供し、本方法は、
a.上部レール、下部レール及び2つの框を備える枠を用意することと、
b.複数の水平流路を備えるコアアセンブリを用意することと、
c.中空中心を有する一対のカートリッジを用意することと、カートリッジは上部レールと下部レールとの間に位置し、コアアセンブリの両側面に位置し、カートリッジのそれぞれが、複数の水平流路に整列された複数の空気流路側開口を有する近位に面する側面、及び複数の音共振部側開口を有する遠位に面する側面を備え、
d.前面表皮及び背面表皮を設けることと、それによって音共振部側開口及び框の間の空間と、遠位に面する側面と、前面表皮及び背面表皮とが共振部を画定し、
e.前面表皮及びカートリッジのうちの第1のカートリッジの前面を通る垂直に方向付けられた換気溝を形成し、背面表皮及びカートリッジのうちの第2のカートリッジの背面を通る垂直に方向付けられた換気溝を形成することと、を含み、それによって、換気溝、中空中心、空気流路側開口及び水平流路が共にZ字状空気流路を画定する。
【0032】
ステップc.は、カートリッジのそれぞれ内へ挿入物を挿入することをさらに含んでもよく、挿入物は、遮断部分及び受容部分を備え、遮断部分は、垂直に方向付けられた換気溝がカートリッジの前面に形成されているか背面に形成されているかにかかわらず、ステップe.によって生成された埃及び破片を受容するように構成されている受容部分から、空気流路側開口及び音共振部側開口を実質的に遮断し、ステップe.の後、挿入物は、垂直に方向付けられた換気溝を通してカートリッジから除去される。
【0033】
ステップc.の前に、近位に面する側面及び遠位に面する側面は、(i)カートリッジの長さを有する矩形のブロックに切込みを入れ、(ii)切込みが入れられたブロックを重ね、(iii)重ねられたブロックを通る空気流路側開口又は音共振部側開口を開けることによって製造されてもよい。
【0034】
ステップc.の前に、近位に面する側面及び遠位に面する側面は、(i)カートリッジの長さを有する細長い矩形のブロックを通る空気流路側開口又は音共振部側開口に大きさを合わせたスロットを開け、(ii)穴開けされた細長い矩形のブロックに指物輪郭の切込みを入れ、(iii)輪郭が付けられ且つ穴開けされた細長いブロックを個々の近位に面する側面又は遠位に面する側面に裂くことによって製造されてもよい。
【0035】
ステップc.の前に、近位に面する側面及び遠位に面する側面は、(i)それぞれカートリッジの長さを有する2つのシートを用意し、シートの間に間隔をあけてリブを挟み、リブの間隔を空気流路側開口又は音共振部側開口の寸法に一致させ、(ii)シートを近位に面する側面又は遠位に面する側面のストリップに切断することによって製造されてもよい。
【0036】
ステップc.の前に、カートリッジは、(i)近位に面する側面、遠位に面する側面、及び2つの支持部を共に接着してカートリッジを形成し、(ii)ステップ(i)からの複数のカートリッジを重ね、(iii)重ねられたカートリッジを垂直方向及び/又は水平方向に押し付けることによって製造されてもよい。
【0037】
別の態様は、防音換気パネル用のカートリッジを提供し、カートリッジは、
中空中心と、
前面と、
前面の反対側の背面と、
複数の空気流路側開口を有する近位に面する側面と、
複数の音共振部側開口を有する遠位に面する側面と、
前面又は背面を通して形成された垂直に方向付けられた換気溝と、を備える。
【0038】
カートリッジは、水平対称面及び垂直対称面を備えてもよい。
【0039】
複数の空気流路側開口は、同一で、等間隔があけられてもよく、複数の音共振部側開口は、同一で、等間隔があけられてもよい。
【0040】
複数の空気流路側開口は、複数の音共振部側開口よりも大きく、個数が少なくてもよい。
【0041】
複数の空気流路側開口は、直線状に直列に配置されてもよく、複数の音共振部側開口は、直線状に直列に配置されてもよい。
【0042】
空気流路側開口の間の各空間は、少なくとも1インチであってもよい。
【0043】
別の態様は、防音換気パネル用のコア構成要素を提供し、コア構成要素は、矩形断面を有する2つの流路を画定するように折り畳まれた単一の段ボールシートを備える。
【0044】
シートは、流路のうちの少なくとも1つを形成することを容易にするために、シートの中間部分に直線状に配置された複数のスロット及びスロットに係合するためのシートの端部での対応する複数のタブを備えてもよい。
【0045】
2つの流路は、等しい大きさであってもよい。
【0046】
本発明は、異なる請求項、異なる段落及び/又は異なる文章に記載されている場合であっても、上記の特徴の、互いとの、且つ/又は本明細書の他の箇所に記載されている、且つ/若しくは図面に描かれている他の特徴との、全ての組合せに関することが強調される。
【0047】
上述した例示的な態様及び実施形態に加えて、さらなる態様及び実施形態は、図面を参照することによって、且つ以下の詳細な説明を検討することによって明らかになる。
【0048】
添付の図面は、本発明の非限定的な例示的実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】均質な無限パネルの理論的伝送損失を示すチャートである。
【
図2A】内部構成要素を示すために上部表皮が除去された、実施形態によるパネルの正面図である。
【
図2B】
図2Aに示された実施形態によるパネルの正面図である。
【
図3A】
図2Aに示された実施形態によるパネルの部分正面図である。
【
図5A】
図4Aに示された実施形態によるパネルの部分正面図である。
【
図6A】
図2Aに示された実施形態によるパネルのカートリッジの空気流路側の斜視図である。
【
図6B】
図2Aに示された実施形態によるパネルのカートリッジの音共振部側の斜視図である。
【
図7A】本発明の実施形態によるカートリッジの水平断面図である。
【
図7B】本発明の実施形態によるカートリッジの水平断面図である。
【
図7C】本発明の実施形態によるカートリッジの水平断面図である。
【
図7D】本発明の実施形態によるカートリッジの水平断面図である。
【
図8A】
図2Aに示された実施形態によるパネルのカートリッジの近位に面する側面の部分側面図である。
【
図8B】
図2Aに示された実施形態によるパネルのカートリッジの近位に面する側面の水平断面図である。
【
図9A】
図2Aに示された実施形態によるパネルのカートリッジの遠位に面する側面の部分側面図である。
【
図9B】
図2Aに示された実施形態によるパネルのカートリッジの遠位に面する側面の水平断面図である。
【
図10A】
図2Aに示された実施形態によるパネルのカートリッジの支持部の部分正面図である。
【
図10B】
図2Aに示された実施形態によるパネルのカートリッジの支持部の水平断面図である。
【
図11A】実施形態によるパネルを製造する方法の一部として、近位に面する側面及び遠位に面する側面を形成するさねはぎ用の溝の切込みステップを示す図である。
【
図11B】実施形態によるパネルを製造する方法の一部として、近位に面する側面及び遠位に面する側面を形成するスロット開けステップを示す図である。
【
図11C】実施形態によるパネルを製造する方法の一部として、カートリッジの近位に面する側面及び遠位に面する側面を形成するスロット開けステップを示す図である。
【
図11D】実施形態によるパネルを製造する方法の一部として、カートリッジの近位に面する側面及び遠位に面する側面を形成する指物輪郭ステップを示す図である。
【
図11E】実施形態によるパネルを製造する方法の一部として、カートリッジの近位に面する側面及び遠位に面する側面を形成する裂きステップを示す図である。
【
図11F】実施形態によるパネルを製造する方法の一部として、カートリッジの近位に面する側面及び遠位に面する側面を形成するスロット開けステップを示す図である。
【
図11G】実施形態によるパネルを製造する方法の一部として、カートリッジの近位に面する側面及び遠位に面する側面を形成する指物輪郭ステップを示す図である。
【
図11H】実施形態によるパネルを製造する方法の一部として、カートリッジの近位に面する側面及び遠位に面する側面を形成する裂きステップを示す図である。
【
図12A】実施形態によるパネルを製造する方法の一部として、カートリッジの近位に面する側面及び遠位に面する側面を形成するための敷設されたシートの斜視図である。
【
図12C】実施形態によるパネルを製造する方法の一部として、カートリッジの近位に面する側面及び遠位に面する側面を形成するための敷設されたシートの側面図である。
【
図13A】実施形態によるパネルを製造する方法の一部としてさねはぎ用の溝継ぎカートリッジを組み立てるための押圧ステップを示す図である。
【
図13B】実施形態によるパネルを製造する方法の一部として、さねはぎ継ぎカートリッジを組み立てるための押圧ステップを示す図である。
【
図13C】実施形態によるパネルを製造する方法の一部として、さねはぎ継ぎカートリッジを組み立てるための押圧ステップを示す図である。
【
図13D】実施形態によるパネルを製造する方法の一部として、引出し係止継ぎカートリッジを組み立てるための押圧ステップを示す図である。
【
図13E】実施形態によるパネルを製造する方法の一部として、引出し係止継ぎカートリッジを組み立てるための押圧ステップを示す図である。
【
図14A】
図2Aに示された実施形態によるパネルの二重流路コア要素の斜視図である。
【
図15A】吸音ライニングを有する
図14Aに示された二重流路コア要素の斜視図である。
【
図16】実施形態によるパネルの複数の単一流路コア要素の側面図である。
【
図17】実施形態によるパネルのコアアセンブリの斜視図である。
【
図18A】実施形態によるパネルのコアアセンブリの部分側面図である。
【
図18B】実施形態によるパネルのコアアセンブリの部分側面図である。
【
図18C】実施形態によるパネルのコアアセンブリの部分側面図である。
【
図19A】実施形態によるパネルのコアアセンブリの構築を示す写真である。
【
図19B】実施形態によるパネルのコアアセンブリの構築を示す写真である。
【
図20】実施形態によるパネルのコア要素のブランクの写真である。
【
図21A】本発明の実施形態による埃遮断挿入物の斜視図である。
【
図21B】
図2Aに示された実施形態によるパネルのカートリッジの内側の、
図21Aに示された埃遮断挿入物の水平断面図である。
【
図21C】
図2Aに示された実施形態によるパネルのカートリッジの内側の、
図21Aに示された埃遮断挿入物の水平断面の写真である。
【
図22A】
図2Aに示された実施形態によるパネルのカートリッジの内側の、
図21Aに示された埃遮断挿入物の除去のためのステップを示す写真である。
【
図22B】
図2Aに示された実施形態によるパネルのカートリッジの内側の、
図21Aに示された埃遮断挿入物の除去のためのステップを示す写真である。
【
図22C】
図2Aに示された実施形態によるパネルのカートリッジの内側の、
図21Aに示された埃遮断挿入物の除去のためのステップを示す写真である。
【
図22D】
図2Aに示された実施形態によるパネルのカートリッジの内側の、
図21Aに示された埃遮断挿入物の除去のためのステップを示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下の説明全体を通して、本発明をより完全に理解するために、具体的な詳細が述べられる。但し、本発明は、これらの特定事項がなくても実施されてよい。他の例では、本発明を不必要に曖昧にすることを避けるために、周知の要素が詳細に示されていないか、又は説明されていない。したがって、明細書及び図面は、限定的な意味ではなく、例示的な意味で見なされるべきである。
【0051】
【0052】
パネル
図2Aに示されるように、パネル100は、水平な上部及び下部のレール104と垂直側框106とからなる矩形枠102を有する。枠102は、枠102の中心を占めるコアアセンブリ120を囲む。コアアセンブリ120は、両側で一対のカートリッジ140の側面に位置している。共振部160は、カートリッジ140と框106との間の空間を画定する。ハードウェアブロック162は、共振部160と同様にカートリッジ140と框106との間の空間を占める。
【0053】
図2Aは、前面表皮108及び背面表皮110が省略されたパネル100を示す。
図2Aから
図3Cは、枠102、コアアセンブリ120及びカートリッジ140を挟む前面表皮108及び背面表皮110とともにパネル100を示す。
図4Aから
図5Cは、前面表皮208の下に中間前面層209を有し、背面表皮210の下に中間背面層211を有する別の実施形態によるパネル200を示す。パネル200は、パネル100と比較してその追加の厚さのために中間層209及び211を有する。例えば、パネル100は1.375インチのパネルであってもよく、パネル200は1.75インチのパネルであってもよい。
【0054】
パネル100、200などの防音換気パネルを製造する方法も提供される。ステップは、(a)上部レール、下部レール及び2つの框を備える枠を用意することと、(b)複数の水平流路を備えるコアアセンブリを用意することと、(c)中空中心を有する一対のカートリッジを用意することと、カートリッジは上部レールと下部レールとの間に位置し、コアアセンブリの両側面に位置し、カートリッジのそれぞれが、複数の水平流路に整列された複数の空気流路側開口を有する近位に面する側面、及び複数の音共振部側開口を有する遠位に面する側面を備え、(d)前面表皮及び背面表皮を設けることと、それによって、框の間の空間と、遠位に面する側面と、前面表皮及び背面表皮(共振部の空洞)と、並びに音共振部側開口が共振部を画定し、(e)前面表皮及びカートリッジのうちの第1のカートリッジの前面を通る垂直に方向付けられた換気溝を形成し、背面表皮及びカートリッジのうちの第2のカートリッジの背面を通る垂直に方向付けられた換気溝を形成することとを含み、それによって、換気溝、中空中心、空気流路側開口及び水平流路が共にZ字状空気流路を画定する。
【0055】
図21Aから
図21Cに示されるように、いくつかの実施形態では、ステップe.は、換気溝の形成中に埃及び破片がパネルに溶浸するのを防ぐために、埃遮断挿入物400をカートリッジ内に挿入することを含む。挿入物400は、遮断部分402、受容部分404及び受容溝406を有する。遮断部分402は、受容部分404及び受容溝406から空気流路側開口及び音共振部側開口を実質的に遮断し、これらは、次に、ステップe.、すなわち換気溝形成ステップによって生成された埃及び破片を捕捉且つ収集する形状とされている。挿入物400の形状は、前面側、背面側にかかわりなく同じように構成されているので、垂直に方向付けられた換気溝がカートリッジの前面に形成されているか背面に形成されているかにかかわりなく、埃及び破片は捕捉され、空気流路側開口及び音共振部側開口に入るのが防がれる。ステップe.の後、挿入物400は、
図22Aから
図22Dに示されるように、垂直に方向付けられた換気溝を通してカートリッジから引き出すことができる。
【0056】
例えば、米国特許10612239に記載の実施形態と比較して、本方法は、より少ない総構成要素、及び敷設する段階でのより少ない構成要素を採用するので、各扉の組み立てが速くなり、より多くの扉が重ねられ、製造スループットが増加する。さらに、本明細書に記載のパネルの構成要素は、構成要素の組み合わされた表面積がパネルの総表面積の大部分を占めるので(例えば、
図1を参照)、且つ各構成要素が周囲の構成要素と同じ高さに配置されるか、又は接触しているので(例えば、コア要素が実質的に単一のコアアセンブリを形成するように接続され、コアアセンブリはカートリッジの間に挟まれ、カートリッジはレールの間に挟まれる等)、単純且つ正確な配置及び組み立て時の整列のために大きさを合わせるように修正可能であり、組み立ての容易さ及び速度をさらに増加させる。
【0057】
カートリッジ
カートリッジ140は、
図2A、
図6A及び
図6Bに示されるように細長く、
図7Aから
図7Dに示されるように、中空中心142を有する概ね矩形の断面を有する。各カートリッジ140は、複数の空気流路側開口144を有する近位に面する側面143、及び複数の音共振部側開口146を有する遠位に面する側面145を有する。近位に面する側面143及び遠位に面する側面145を架橋するのは、それぞれが前面152及び背面154を有する2つの支持部147である。
図7Aは、支持部指物に対する側面を示さずにカートリッジ140の断面を示す。
図7Bから
図7Dは、それぞれ、さねはぎ用の溝指物、さねはぎ指物、及び引出し係止指物を示す。
【0058】
空気流路側開口144は、対応する水平流路122と整列且つ接続して、それらを通る途切れることのない空気の流れを提供する。空気流路側開口144は、同一で、等間隔且つ直線状に直列に配置される。いくつかの実施形態では、空気流路側開口144の間の空間156は、パネル100に十分な構造的支持及び剛性を提供するために少なくとも1インチである。いくつかの実施形態では、空気流路側開口144は、異なる大きさであり、且つ/又は等間隔があけられていない。
【0059】
音共振部側開口146、共振部160、及び表皮108、110は、パネル100のヘムホルツ共振部を画定する。音共振部側開口146は、同一で、等間隔且つ直線状に直列に配置されている。音共振部側開口146は、空気流路側開口144よりも小さく、数が多い。いくつかの実施形態では、共振部は、音共振部側開口146の大きさ、形状、及び間隔、遠位に面する側面145の厚さ(すなわち、共振部の首部の長さ)、框106とカートリッジ140との間の共振部160の容積、並びに共振部160における吸音材料の量及び配置の追加を変化させることによって、異なる周波数帯域にわたって変化する音レベルを吸収するように調整できる。いくつかの実施形態では、音共振部側開口146は、異なる大きさであり、且つ/又は等間隔があけられていない。
【0060】
垂直に方向付けられた前面換気溝148が前面表皮108、及び第1のカートリッジ140の前面152を通して形成され、垂直に方向付けられた背面換気溝150が背面表皮110、及び第2のカートリッジ140の背面154を通して形成される。換気溝148、150、カートリッジ140の中空中心142及び空気流路側開口144、並びにコアアセンブリ120の水平流路122は共に、パネル100を通るZ字状空気流路を画定する。カートリッジ140は、換気溝148、150の周囲の周りの表皮108、110に構造的支持(引張/圧縮剛性及び強度)を提供する。表皮108、110に接着されたときにカートリッジ140によって加えられる厚さ及び剛性は、換気溝148、150の縁辺での反りを緩和する。
【0061】
カートリッジ140の内部は、パネル100の見える内面を形成するので、いくつかの実施形態では、カートリッジ140は、カートリッジ140が組み立てられる前に前もって仕上げされるのに適した表面を有する、より高品質の材料(例えば、合板)で構成されてもよい。仕上げには、プライマー、塗料、クリアコート、ベニヤ、プラスチックラミネートなどを含むことができる。これらの仕上げは、換気溝148、150が形成された後のカートリッジ140の切断面にも適用できる。
【0062】
図6A及び
図6Bに最もよく示されるように、カートリッジ140は、水平対称面と垂直対称面との両方を有するので、垂直に方向付けられた換気溝148、150がいずれかの面152、154に形成されることを可能にする。換言すれば、垂直に方向付けられた換気溝148、150は可逆的であり、垂直に方向付けられた換気溝148、150がカートリッジの間違った面に誤って形成される可能性はない。
【0063】
いくつかの実施形態では、カートリッジ140のそれぞれは、パネル100の高さの少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%まで延在する。
【0064】
カートリッジ140などのカートリッジを製造する方法も提供される。
図11A及び
図11Bに示されるように、いくつかの実施形態では、パネルを製造する方法のステップc.の前に、カートリッジの近位に面する側面及び遠位に面する側面は、(i)カートリッジの長さを有する矩形のブロックにさねはぎ用の溝の切込みを入れ、(ii)さねはぎ用の溝の切込みが入れられたブロックを重ね、(iii)重ねられたブロックを通る空気流路側開口又は音共振部側開口を開けることによって製造されてもよい。
【0065】
図11Cから
図11E(さねはぎ用の溝の指物)及び
図11Fから
図11H(引出し係止の指物)に示されるように、いくつかの実施形態では、パネルを製造する方法のステップc.の前に、カートリッジの近位に面する側面及び遠位に面する側面は、(i)カートリッジの長さを有する細長い矩形のブロックを通る空気流路側開口又は音共振部側開口に大きさを合わせた穴を開けて、(ii)穴を開けた細長い矩形のブロックに指物輪郭の切込みを入れ、(iii)輪郭を付け、穴を開けた細長いブロックを個々の近位に面する側面又は遠位に面する側面に裂くことによって製造されてもよい。
【0066】
図12Aから
図12Cに示されるように、いくつかの実施形態では、パネルを製造する方法のステップc.の前に、カートリッジの近位に面する側面及び遠位に面する側面は、(i)それぞれがカートリッジの長さを有する2つのシートを用意して、シートの間に間隔をあけてリブを挟み、リブの間隔を空気流路側開口又は音共振部側開口の寸法に一致させ、(ii)シートを近位に面する側面又は遠位に面する側面のストリップに切断することによって製造されてもよい。
【0067】
図13Aから
図13Eに示されるように、いくつかの実施形態では、パネルを製造する方法のステップc.の前に、カートリッジは、(i)近位に面する側面、遠位に面する側面、及び2つの支持部を共に接着してカートリッジを形成し、(ii)ステップ(i)からの複数のカートリッジを重ね、(iii)重ねられたカートリッジを垂直方向及び/又は水平方向に押し付けることによって製造されてもよい。
図13Aに示されるように、さねはぎ用の溝継ぎは両方向の圧力を必要とするが、
図13B及び
図13Cに示されるように、さねはぎ継ぎは水平方向の圧力を必要とし、
図13D及び
図13Eに示されるように、引出し係止継ぎは垂直方向の圧力を必要とする。
【0068】
さらに他の実施形態では、カートリッジは、他の材料で構成され、印刷、射出成形又は押し出しされてもよい。
【0069】
コア
パネル100では、コアアセンブリ120は、6つの二重流路コア要素126から形成される。コアアセンブリ120は、一対のカートリッジ140とレール104との間の空間の全て又は実質的に全てを占める。
図14Aから
図15Bは、二重流路コア要素126を示す。各二重流路コア要素126は、2つの水平流路122を有する。
図14Cは、二重流路コア要素126のブランクを示す。ブランクは、
図14Bに示されるように折り畳まれ、タブ130が折り目付け部128に挿入される。コア要素126のブランクは、手動で又は自動で折り畳まれることができる。
【0070】
コアアセンブリ120、したがってパネル100の場合では、コア要素126は、段ボールから構成されてもよい。段ボール材は、他の木材複合繊維板に比べて軽量で、本質的に吸音性があり、安価で、正確に大きさに合わせて切断して生産できる。さらに、段ボールの相対的な弾力性は、表皮108と110との間の機械的接続を制限し、それによって振動及び音の伝送を分離する。したがって、コアアセンブリ120を段ボールから構築することは、パネル100に構造性(剛性及び圧縮強度)と吸音性との両方を与える。
【0071】
いくつかの実施形態では、コア要素126は、コアアセンブリ120においてさらに吸音するために、
図15A及び
図15Bに示されるような吸音ライニング124を含む。吸音ライニング124は、連続気泡発泡体、ミネラルウール及びガラス繊維などの好適な吸音材料で作られてもよい。
【0072】
図19A、
図19B及び
図20に示されるように、いくつかの実施形態では、コア要素は、水平流路を仕切る壁340に複数の開口342を含んでもよい。開口342は、コアアセンブリ120の吸音性をさらに高めることができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、コアアセンブリは、隣接して配置された6から24の水平流路を含んでもよい。二重流路コア要素の代わりに、いくつかの実施形態では、コア要素は、例えば、単一流路又は三重流路であってもよい。
図16は、例えば、ホットメルト糊などの接着剤によって互いに、組み立てられて次に取り付けられた複数の単一流路コア要素を示す。
【0074】
図17は、別の実施形態によるコアアセンブリを示す。コア要素の代わりに、コアアセンブリは、Z字状の断面を持つ一連の隔離板によって接続された2つの平らなシートで構成される。隔離板は、水平流路を画定する。
図18Aから
図18Cは、コアアセンブリのさらに別の実施形態の部分的な断面を示す。
図18Aは、隆起したシートに平らなシートが接続されたコアアセンブリを示す。
図18Bは、2つの交互に隆起したシートを有するコアアセンブリを示す。
図18Cは、内部隔離板がZ字状断面を有する二重流路コア要素を含むコアアセンブリを示す。
【0075】
構成要素(例えば、レール、框、表皮、流路、ライニング、開口、溝など)が上記で言及される場合、特に断りのない限り、その構成要素への言及は、説明された構成要素の機能を行う(すなわち、機能的に等価である)任意の構成要素を、本発明の図示された例示的な実施形態において機能を行う開示された構造と構造的に等価ではない構成要素を含め、その構成要素の等価物として含むものと解釈されるべきである。
【0076】
複数の例示的な態様及び実施形態が上記で論じられているが、当業者であれば、それらの特定の変更、並べ替え、追加及び下位の組合せを認識する。
【0077】
したがって、以下の添付の特許請求の範囲及び今後導入される特許請求の範囲は、明細書全体の最も広範な解釈と一致するような全てのそのような変更、並べ替え、追加及び下位の組合せを含むと解釈されることが意図される。
【国際調査報告】