(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】電気化学モジュールのためのクランプシステム
(51)【国際特許分類】
C25B 9/60 20210101AFI20240730BHJP
H01M 8/248 20160101ALI20240730BHJP
C25B 9/77 20210101ALI20240730BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20240730BHJP
C25B 1/042 20210101ALI20240730BHJP
H01M 8/12 20160101ALI20240730BHJP
【FI】
C25B9/60
H01M8/248
C25B9/77
C25B9/00 A
C25B1/042
H01M8/12 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501895
(86)(22)【出願日】2022-07-06
(85)【翻訳文提出日】2024-03-11
(86)【国際出願番号】 FR2022051358
(87)【国際公開番号】W WO2023285751
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】カール・ヴーリエ
(72)【発明者】
【氏名】マチュー・モンテルマン
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・シナル
【テーマコード(参考)】
4K021
5H126
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021CA01
4K021CA15
4K021DB04
4K021DB47
4K021DB53
5H126AA25
5H126BB06
(57)【要約】
電気化学セルおよびインターコネクタのスタックと、スタックの各端部に位置する2つの剛化プレート(P1、P2)とを備える電気化学モジュールのためのクランプシステム(S1)。前記クランプシステムは、長手方向において前記スタックに対して圧迫力を印加し、剛化プレート(P1、P2)のそれぞれが、剛化プレートに対して直交方向に位置し剛化プレートのエッジに沿って分散する8個の穴(8、10)を備える。前記クランプシステムは、8個のクランプデバイスを備え、各クランプデバイスは、剛化プレート(P1、P2)に対して機械的に連結するように構成されたカラム(12)を備える。各カラム(12)は、これらの剛化プレートの間の空間内に延在する。各クランプデバイスは、これらの剛化プレートのそれぞれに螺入する第1の要素(8)および第2の要素(10)をさらに備え、これにより、前記剛化プレート(P1、P2)に対してカラム(12)を固定し、カラム(12)に対して印加される張力を調節することを可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向への電気化学セルおよびインターコネクタのスタックと、前記スタックの各側に位置する第1の剛化プレート(P1)および第2の剛化プレート(P2、P2'、P2'')とを備えるモジュールのためのクランプシステムであって、前記クランプシステムは、前記長手方向において前記スタックに対して圧迫力を印加するように意図され、前記第1の剛化プレート(P1)および前記第2の剛化プレート(P2、P2'、P2'')のそれぞれが、前記剛化プレートに対して直交方向に位置し前記剛化プレートのエッジに沿って分散するn個の穴(8、10)を備え、nは、少なくとも2以上の整数であり、前記クランプシステムは、n個のクランプデバイスを備え、各クランプデバイスは、前記第1の剛化プレート(P1)および前記第2の剛化プレート(P2、P2'、P2'')を機械的に連結するように構成されたカラム(12)を備え、各カラム(12)は、前記第1の剛化プレートと前記第2の剛化プレートとの間の空間内に延在し、各クランプデバイスは、前記第1の剛化プレートおよび前記第2の剛化プレートのそれぞれを貫通し前記第1の剛化プレート(P1)および前記第2の剛化プレート(P2、P2'、P2'')に対して前記カラム(12)を固定する第1の手段と、前記カラムに対して印加される張力を調節するための第2の調節手段とをさらに備える、クランプシステム。
【請求項2】
前記第1の手段は、前記第1の剛化プレートと前記第2の剛化プレートとのそれぞれにカラムヘッド(26)のための空間を備え、前記空間は、前記カラムの横方向移動により前記空間内に前記カラムヘッド(26)を取り付けることを可能にするように構成される、請求項1に記載のクランプシステム。
【請求項3】
前記第1の手段は、前記第1の剛化プレートと前記第2の剛化プレートとの一方の1つの穴(4)に螺入されるように構成された少なくとも1つの第1のタップ要素(8)を備える、請求項1または2に記載のクランプシステム。
【請求項4】
前記カラム(12)は、前記第1のタップ要素(8)と協働するヘッド(26)を第1の長手方向端部に備え、前記第2の剛化プレート(P2、P2')に対して連結されるように意図されたヘッド(26)を第2の長手方向端部に備え、前記第2の調節手段は、前記第1のタップ要素(8)と前記第1の剛化プレート(P1)との協働により形成される、請求項3に記載のクランプシステム。
【請求項5】
前記第1のタップ要素(8)は、カラムヘッド(26)のための空間を備え、前記空間は、前記カラムの横方向移動により前記空間内に前記カラムヘッド(26)を取り付けることを可能にするように構成される、請求項3または4に記載のクランプシステム。
【請求項6】
前記第1の手段は、前記第2の剛化プレート(P2)の穴(5)に螺入されるように構成された第2のタップ要素(10)を備え、前記第2のタップ要素(10)は、カラムヘッド(26)のための空間を備え、前記空間は、前記カラムの横方向移動により前記空間内に前記カラムヘッド(26)を取り付けることを可能にするように構成される、請求項5に記載のクランプシステム。
【請求項7】
前記空間および前記ヘッドは、前記空間と前記ヘッドとの間に横方向隙間を形成するように構成される、請求項6に記載のクランプシステム。
【請求項8】
前記クランプデバイスは、少なくとも1つのナット(36)を備え、前記少なくとも1つのナット(36)は、前記第2の剛化プレート(P2)の穴(5')内に横方向隙間を有しつつ取り付けられ、第2のタップ要素(10')が前記穴(5')に螺入される方向とは少なくとも逆方向において軸方向への並進が不可能になるように構成される、請求項5から7のいずれか一項に記載のクランプシステム。
【請求項9】
各カラムが、2つのケーブル(C1、C2)を備え、各ケーブル(C1、C2)は、第1の端部にて、前記第1の剛化プレートおよび前記第2の剛化プレートに対して軸方向において少なくとも並進的に固定されるように構成され、第2の端部に、前記ケーブル同士を共に連結して前記第2の調節手段を形成するための手段を備える、請求項1に記載のクランプシステム。
【請求項10】
前記第1の手段は、前記第2の剛化プレートの穴に螺入されるように構成された第2のタップ要素を備え、前記ケーブルの中の一方のケーブルの前記第1の端部は、前記第1のタップ要素中に溶接され、他方のケーブルの前記第1の端部は、前記第2のタップ要素中に溶接される、請求項9に記載のクランプシステム。
【請求項11】
前記第2の調節手段は、前記ケーブルの中の一方のケーブルの前記第2の端部において回転自在に取り付けられたナット(46)と、他方のケーブルの前記第2の端部に取り付けられたタップピン(42)とを備える、請求項10に記載のクランプシステム。
【請求項12】
少なくとも1つのクランプデバイスが、前記カラムに対して印加される前記張力を提供するように構成されたひずみ計を備える、請求項1から11のいずれか一項に記載のクランプシステム。
【請求項13】
電気化学セルおよびインターコネクタのスタックと、前記スタックの各側に位置する第1の剛化プレート(P1)および第2の剛化プレート(P2、P2'、P2'')と、請求項1から12のいずれか一項に記載のクランプシステム(S1、S2、S3、S4)とを備えるモジュールであって、前記第1の剛化プレートおよび前記第2の剛化プレートは、前記剛化プレートの前記エッジに沿って配置される前記クランプデバイスを取り付けるための穴(4、5、5')を備える、モジュール。
【請求項14】
前記第2の剛化プレート(P2'')の前記穴は、前記第2の剛化プレートの前記エッジ内へと横方向に開口し、前記穴は、カラムヘッドのための載置面を形成するショルダ(38)を備える、請求項4に従属する請求項13に記載の電気化学モジュール。
【請求項15】
前記ナット(30)は、前記第2の剛化プレートの外部面のある領域に対接するカラーを備え、前記領域は、前記カラーが前記外部面の主要面から突出しないように座ぐりボア(34)を備える、請求項8に従属する請求項13に記載の電気化学モジュール。
【請求項16】
請求項1から8のいずれか一項に記載のクランプシステムにより電気化学セルおよびインターコネクタのスタックを圧迫するための方法であって、
a)電気化学セルおよびインターコネクタのスタックと、前記スタックの各側に位置する第1の剛化プレートおよび第2の剛化プレートとを用意するステップであって、前記第1の剛化プレートおよび前記第2の剛化プレートのそれぞれが、前記第1の剛化プレートおよび前記第2の剛化プレートに対して直交方向に位置し前記第1の剛化プレートおよび前記第2の剛化プレートのエッジに沿って分散するn個の穴を備える、ステップと、
b)各クランプデバイスごとに前記第1の剛化プレートの穴の中に第1のタップ要素を取り付けるステップと、
c)前記第1の要素と前記第2の剛化プレートとの間に前記カラムを取り付けるステップと、
d)前記カラムに張力を印加するステップと
を含む、方法。
【請求項17】
ステップd)の最中に、張力の印加が、前記穴に前記第1のタップ要素を螺入することによって実現される、請求項16に記載の圧迫方法。
【請求項18】
ステップc)において、第2のタップ要素が、前記第2の剛化プレートの穴の中に取り付けられ、ステップd)において、張力の印加が、前記穴に前記第1の要素を螺入するおよび/または前記穴に前記第2の要素を螺入することによって実現される、請求項16または17に記載の圧迫方法。
【請求項19】
請求項9から11のいずれか一項に記載のクランプシステムにより電気化学セルおよびインターコネクタのスタックを圧迫するための方法であって、
a)電気化学セルおよびインターコネクタのスタックと、前記スタックの各側に位置する第1の剛化プレートおよび第2の剛化プレートとを用意するステップであって、前記第1の剛化プレートおよび前記第2の剛化プレートのそれぞれが、前記第1の剛化プレートおよび前記第2の剛化プレートに対して直交方向に位置し前記第1の剛化プレートおよび前記第2の剛化プレートのエッジに沿って分散するn個の穴を備える、ステップと、
b)各取付けデバイスごとに前記第1の剛化プレートの穴の中に第1のタップ要素を取り付けるステップと、
c)各取付けデバイスごとに前記第2の剛化プレートの穴の中に第2のタップ要素を取り付けるステップと、
d)前記ケーブル同士を連結し、前記ケーブルに張力を印加するステップと
を含む、方法。
【請求項20】
p個のモジュールの重畳を備える、電解リアクタSOECもしくは共電解リアクタSOECまたは燃料電池SOFCを形成する電気化学アセンブリであって、ここでpは2以上の整数である、電気化学アセンブリを製造するための方法において、
a')電気化学セルおよびインターコネクタのスタックと、前記スタックの各側に位置する第1の剛化プレートおよび第2の剛化プレートとを用意するステップであって、前記第1の剛化プレートおよび前記第2の剛化プレートのそれぞれが、前記第1の剛化プレートおよび前記第2の剛化プレートに対して直交方向に位置し前記第1の剛化プレートおよび前記第2の剛化プレートのエッジに沿って分散するn個の穴を備える、ステップと、
b')前記スタックと前記第1の剛化プレートおよび前記第2の剛化プレートとを圧縮装置内に配置するステップと、
c')所与の軸方向圧迫力を印加するステップと、
d')前記セルと前記インターコネクタとの間にシールを作製するステップと、
e')請求項16から18のいずれか一項に記載の前記方法を適用することにより前記クランプシステムを配置するステップと、
f')p個のモジュールを製造するためにステップa')~e')を繰り返すステップと、
g')前記モジュール同士を重畳するステップと、
h')前記重畳されたモジュールを圧縮装置内に配置するステップと、
i')前記重畳されたモジュールに対して軸方向圧迫力を印加するステップと、
j')前記モジュールのすべてから前記クランプシステムを除去するステップと、
k')前記モジュール同士の間にシールを作製するステップと、
l')前記モジュール同士を圧迫状態に維持するためのシステムを取り付けるステップと、
m')前記圧縮装置を除去するステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にセルのスタックをハンドリングする最中にこのスタックに対して圧迫力を印加するように意図された、電気化学モジュールのためのクランプシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学デバイスが、高温電解のために実装される場合がある。この電気化学デバイスは、固体酸化物形電解セルすなわちSOEC(アングロサクソン語ではsolid-oxide electrolyser cell)のスタックを、または燃料電池としての固体酸化物形燃料電池すなわちSOFC(アングロサクソン語ではSolid-oxide fuel cell)のスタックを備える。
【0003】
かかるデバイスは、2つのクランププレートの間に締め付けられた電気化学セルのスタックを備えるモジュールまたはスタックを備える。これらのセルは、電気的に直列接続される。
【0004】
各電気化学セルが、2つの電極間に電解質を備える。インターコネクションプレートが、セル同士の間に配置され、これらのセル間における電気接続を確保する。さらに、インターコネクションプレートは、セルへのガス供給と、各セルにおいて生成されるガスの収集とを確保する。文献EP3183379は、セル内における電気接続およびガス分配を確保するインターコネクションプレートすなわちコネクタの一例について説明している。このインターコネクタは、厚さの薄い3つのプレートを備える。これらのプレートの中の1つは、中間プレートと呼ばれ、この中間プレートは、端部プレートと呼ばれる他の2つのプレートの間に配置される。これにより、O2チャンバおよびH2チャンバの中におけるガスの分配が可能となる。
【0005】
端部プレートの一方は、フレームを形成し、このフレームが、中間プレート上のアパーチャを画定し、セルを受けることによりこのセルが中間プレートと接触状態になる。電流が、セルおよびセルと鉛直方向に整列されるインターコネクタの領域を介して、底部から頂部にまたは頂部から底部に流れる。
【0006】
動作において、アノードおよびカソードが、電気化学反応部位となる一方で、電解質は、電気化学デバイスが電解装置モードまたは燃料電池モードのいずれで動作するかに応じてカソードからアノードへのまたはその逆方向へのイオンの移送を可能にする。
【0007】
したがって、電解装置モードでは、カソードコンパートメントは、水蒸気の供給と水還元生成物、具体的には水素の排出とを可能にする一方で、アノードコンパートメントは、排出ガスによる、カソードからアノードへ移動するO2-イオンの酸化により生成される二酸素の排出を確保する。
【0008】
次に、単体の電気化学セルによる水蒸気の電解作用(「SOEC」モード)を説明する。この電解の最中に、単体の電気化学セルは、カソードからアノードへ流れる電流を供給される。カソードコンパートメントにより送達された水蒸気は、次いで以下の半反応にしたがって電流の影響下で還元される。
2H2O+4e-→2H2+2O2-
【0009】
この反応の最中に生成された二水素が、次いで排気され、その一方でこの還元の最中に生成されたO2-イオンは、電解質を介してカソードからアノードへ移動し、そこで半反応にしたがって二酸素へと酸化される。
2O2-→O2+4e-
【0010】
さらに、かように形成された二酸素は、アノードコンパートメント内を循環する排出ガスにより排出される。
【0011】
水蒸気の電解は、以下の反応に相当するものとなる。
2H2O→2H2+O2
【0012】
燃料電池モード(「SOFC」)では、空気がカソードコンパートメント内に注入され、そこでO2-イオンへと解離される。これらのO2-イオンはアノードへと移動し、アノードコンパートメント内を循環する二水素と反応して水を形成する。代替的には、燃料電池は、CH4および空気を供給される。
【0013】
燃料電池モードでの動作により、電流の生成が可能となる。
【0014】
これらのシステムは、600℃~1000℃の間からなる温度で動作し得る。
【0015】
クランププレートは、インターコネクションプレートとセルとの間の良好な電気接触とスタックのシーリングとを確保するために、スタックに対してクランプ力を印加する。タイロッドがクランププレートを連結する。
【0016】
高温電解装置を組み込んだ工業用システムの発展は、処理済みガスのボリュームの増加を伴う(SOECまたはSOFCにおける)。このためには、表面積の増大と、セルの個数およびインターコネクションプレートの個数の増加とが必要となる。プレート数の大幅な増加およびスタックの高さの大幅な増大は、多数の技術的な難題をもたらす。これらの難題を解決しより大きな寸法を有するスタックを作製するために、少数のセルおよびインターコネクションプレートからなる複数のモジュールを備えるアセンブリを作製することがこれまで考えられてきた。
【0017】
例えば、75個のセルからなるアセンブリを作製するために、25個のセルからなる3つのモジュールが、それぞれ作製され、次いで重畳される。各モジュールは、個別に作製される。しかし、製造段階の全体にわたり、これらのセルおよびインターコネクタに対して圧迫力の印加が維持されなければならない。
【0018】
セルの側方輪郭部上におけるガラス-セラミックから作製されるシールが、各モジュールごとに施される。シーリングは、800℃の範囲内の温度の下で行われる。このシーリングの最中に、圧迫力が印加される。ハンドリング段階の最中に、この力は維持されなければならない。
【0019】
その後、モジュール同士が重畳されて最終アセンブリを作製するときに、新規のシーリングが高温印加により行われる。
【0020】
このシーリングの終了時に、最終アセンブリに対する圧迫力は、アセンブリの端部に位置しタイロッドにより連結されたクランププレートによって維持される。
【0021】
シーリング段階の最中に、圧力下に維持することは、タイロッドではなく圧縮装置により行われる。なぜならば、タイロッドは、高温印加によりねじ山にて溶接されてしまうからである。さらに、スタック上へのタイロッドの実装は、サイズが大きいものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
したがって、本発明の目的は、上記の欠点を有さない、およびとりわけモジュールの重畳または最終圧迫システムの配置を阻害しない、電気化学セルおよびインターコネクションプレートのスタックに対する圧迫力の印加を維持することを確保するための手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記の目的は、クランプデバイスのセットを備えるクランプシステムにより実現される。各クランプデバイスは、カラムを備え、このカラムは、剛化プレートの外部面同士が平坦状に維持され、積層が容易に可能な剛化プレートおよび電気化学モジュールを作製することを可能にするように、剛化プレート同士の間に延在し、剛化プレートに対して固定される。さらに、これらのカラムは、プレート同士の間に画成された空間内に留まり、これによりデバイスがコンパクト化される。
【0025】
換言すれば、本発明は、スタックのサイズを増大させることのない、セルおよびインターコネクタのスタックを一時的にクランピングするための手段を提供する。
【0026】
非常に有利には、これらのクランプデバイスは、2つの同一の剛化プレートを実装することを可能にするようなデバイスである。
【0027】
好ましくは、剛化プレートは、正方形または矩形であり、辺ごとに1~3個のクランプデバイスが設けられる。
【0028】
一実施形態では、カラムは剛体である。
【0029】
別の実施形態では、カラムは、相互に固定されたケーブルにより形成される。
【0030】
本願の対象はすなわち、長手方向への電気化学セルおよびインターコネクタのスタックと、スタックの各側に位置する第1の剛化プレートおよび第2の剛化プレートとを備えるモジュールのためのクランプシステムである。前記クランプシステムは、長手方向において前記スタックに対して圧迫力を印加するように意図され、第1の剛化プレートおよび第2の剛化プレートのそれぞれが、剛化プレートに対して直交方向に位置し剛化プレートのエッジに沿って分散するn個の穴を備える。nは、少なくとも2以上の整数である。前記クランプシステムは、n個のクランプデバイスを備え、各クランプデバイスは、第1の剛化プレートおよび第2の剛化プレートを機械的に連結するように構成されたカラムを備える。各カラムは、第1の剛化プレートと第2の剛化プレートとの間の空間内に延在する。各クランプデバイスは、第1の剛化プレートおよび第2の剛化プレートのそれぞれを貫通し前記第1の剛化プレートおよび第2の剛化プレートに対してカラムを固定する第1の手段と、カラムに対して印加される張力を調節するための第2の調節手段とをさらに備える。
【0031】
一実施形態では、第1の手段は、剛化プレートのそれぞれにカラムヘッドのための空間を備え、この空間は、カラムの横方向移動により空間内にカラムヘッドを取り付けることを可能にするように構成される。
【0032】
特に、第1の手段は、剛化プレートの一方の穴に螺入されるように構成された少なくとも1つの第1のタップ要素を備え得る。
【0033】
カラムは、第1のタップ要素と協働するヘッドを第1の長手方向端部に備え、第2の剛化プレートに対して連結されるように意図されたヘッドを第2の長手方向端部に備え得る。第2の調節手段は、第1のタップ要素と第1の剛化プレートとの協働により形成される。
【0034】
第1のタップ要素は、カラムヘッドのための空間を備え、この空間は、カラムの横方向移動により空間内にカラムヘッドを取り付けることを可能にするように構成され得る。
【0035】
さらに、第1の手段は、第2の剛化プレートの穴に螺入されるように構成された第2のタップ要素を備え、第2のタップ要素は、カラムヘッドのための空間を備え、この空間は、カラムの横方向移動により空間内にカラムヘッドを取り付けることを可能にするように構成され得る。
【0036】
有利には、これらの空間およびヘッドは、空間とヘッドとの間に横方向隙間を形成するように構成される。
【0037】
クランプデバイスは、少なくとも1つのナットを備え、この少なくとも1つのナットは、第2の剛化プレートの穴内に横方向隙間を有しつつ取り付けられ、第2のタップ要素が穴に螺入される方向とは少なくとも逆方向において軸方向への並進が不可能になるように構成され得る。
【0038】
別の実施形態では、各カラムが、2つのケーブルを備え、各ケーブルは、第1の端部にて、第1の剛化プレートおよび第2の剛化プレートに対して軸方向において少なくとも並進的に固定されるように構成され、第2の端部に、ケーブル同士を共に連結して調節手段を形成するための手段を備える。第1の手段は、第2の剛化プレートの穴に螺入されるように構成された第2のタップ要素を備えてもよく、ケーブルの中の一方のケーブルの第1の端部は、第1のタップ要素中に溶接され、他方のケーブルの第1の端部は、第2のタップ要素中に溶接され得る。
【0039】
例えば、調節手段は、これらのケーブルの一方の第2の端部上において回転自在に取り付けられたナットと、他方のケーブルの第2の端部上に取り付けられたタップピンとを備える。
【0040】
さらなる特徴によれば、少なくとも1つのクランプデバイスが、カラムに対して印加される張力を供給するように構成されたひずみ計を備える。
【0041】
本願のもう1つの対象は、電気化学セルおよびインターコネクタのスタックと、スタックの各側に位置する第1の剛化プレートおよび第2の剛化プレートと、本発明によるクランプシステムとを備えるモジュールである。第1の剛化プレートおよび第2の剛化プレートは、剛化プレートのエッジに沿って配置されるクランプデバイスを取り付けるための穴を備える。
【0042】
第2の剛化プレートの穴は、第2の剛化プレートのエッジ内へと横方向に開口し、前記穴は、カラムヘッドのための載置面を形成するショルダを備え得る。
【0043】
例えば、ナットは、第2の剛化プレートの外部面のある領域に対接するカラーを備え、前記領域は、カラーが前記外部面の主要面から突出しないように座ぐりボアを備える。
【0044】
本願のもう1つの対象は、本発明によるクランプシステムにより電気化学セルおよびインターコネクタのスタックを圧迫するための方法である。この方法は、
a)電気化学セルおよびインターコネクタのスタックと、スタックの各側に位置する第1の剛化プレートおよび第2の剛化プレートとを用意するステップであって、前記プレートのそれぞれが、第1の剛化プレートおよび第2の剛化プレートに対して直交方向に位置し剛化プレートのエッジに沿って分散するn個の穴を備える、ステップと、
b)各クランプデバイスごとに第1の剛化プレートの穴の中に第1のタップ要素を取り付けるステップと、
c)前記第1の要素と前記第2のプレートとの間にカラムを取り付けるステップと、
d)前記カラムに張力を印加するステップと
を含む。
【0045】
ステップd)の最中に、張力の印加が、穴に第1のタップ要素を螺入することによって実現され得る。
【0046】
ステップc)の最中に、第2のタップ要素が、第2の剛化プレートの穴の中に取り付けられてもよく、ステップd)の最中に、張力の印加が、穴に第1の要素を螺入するおよび/または穴に第2の要素を螺入することによって実現される。
【0047】
本願のもう1つの対象は、本発明によるクランプシステムにより電気化学セルおよびインターコネクタのスタックを圧迫するための方法である。この方法は、
a)電気化学セルおよびインターコネクタのスタックと、スタックの各側に位置する第1の剛化プレートおよび第2の剛化プレートとを用意するステップであって、前記プレートのそれぞれが、第1の剛化プレートおよび第2の剛化プレートに対して直交方向に位置し第1の剛化プレートおよび第2の剛化プレートのエッジに沿って分散するn個の穴を備える、ステップと、
b)各取付けデバイスごとに第1の剛化プレートの穴の中に第1のタップ要素を取り付けるステップと、
c)各取付けデバイスごとに第2の剛化プレートの穴の中に第2のタップ要素を取り付けるステップと、
d)前記ケーブル同士を連結し、前記ケーブルに張力を印加するステップと
を含む。
【0048】
本願のもう1つの対象は、p個のモジュールの重畳を備える、電解リアクタSOECもしくは共電解リアクタSOECまたは燃料電池SOFCを形成する電気化学アセンブリであって、ここでpは2以上の整数である、電気化学アセンブリを製造するための方法である。この方法は、
a')電気化学セルおよびインターコネクタのスタックと、スタックの各側に位置する第1の剛化プレートおよび第2の剛化プレートとを用意するステップであって、前記プレートのそれぞれが、第1の剛化プレートおよび第2の剛化プレートに対して直交方向に位置しこれらの剛化プレートのエッジに沿って分散するn個の穴を備える、ステップと、
b')前記スタックと第1の剛化プレートおよび第2の剛化プレートとを圧縮装置内に配置するステップと、
c')所与の軸方向圧迫力を印加するステップと、
d')セルとインターコネクタとの間にシールを作製するステップと、
e')本発明による方法を適用することによりクランプシステムを配置するステップと、
f')p個のモジュールを製造するためにステップa')~e')を繰り返すステップと、
g')モジュール同士を重畳するステップと、
h')前記重畳されたモジュールを圧縮装置内に配置するステップと、
i')重畳されたモジュールに対して軸方向圧迫力を印加するステップと、
j')すべてのモジュールからクランプシステムを除去するステップと、
k')モジュール同士の間にシールを作製するステップと、
l')前記モジュール同士を圧迫状態に維持するためのシステムを取り付けるステップと、
m')圧縮装置を除去するステップと
を含む。
【0049】
本発明は、以下の説明および添付の図面に基づくことによりさらによく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】本発明による電気化学アセンブリの一例の概略斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるクランプシステムを実装する電気化学モジュールの斜視図である。
【
図3】
図2のモジュールに実装されるクランプデバイスのタップ要素の斜視図である。
【
図5A】取付け段階の最中における
図2のクランプデバイスの詳細図である。
【
図5B】張力調節段階の最中における
図2のクランプデバイスを示す図である。
【
図6】
図2のクランプシステムの一変形例によるモジュールの細部の斜視図である。
【
図7A】第1の位置において第2の剛化プレート中に取り付けられたナットの位置の断面図である。
【
図7B】第2の位置において第2の剛化プレート中に取り付けられたナットの位置の断面図である。
【
図8】本発明の別の実施形態によるクランプシステムを実装する電気化学モジュールの斜視図である。
【
図11】本発明の別の実施形態によるクランプシステムを実装する電気化学モジュールの一部分の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1は、電気化学セルと電気/流体インターコネクタとのアセンブリの一例の側面図を示す。これらのセルおよびインターコネクタは、複数のモジュールM1、M2、M3に分散されており、図示する例では3つのモジュールが存在する。各モジュールは、電気化学セルおよびインターコネクタのスタックを備え、各セルは、2つのインターコネクタの間に配置される。各電気化学セルは、2つの電極の間に電解質を備える。2つの剛化プレートP1、P2が、スタックの端部に設けられ、セルおよびインターコネクタのスタックに対する圧迫力の印加を可能にする。また、これらの剛化プレートP1、P2は、上下に位置するスタックとの電気接続と流体連通とを確保する。
【0052】
この電気化学アセンブリは、電気化学アセンブリから外部への電流の伝送または収集を行うための、ならびに電気化学アセンブリから外部へのガスの搬送、収集、および循環を行うための、電気/流体コネクタを形成する2つの端部プレートPE1、PE2を備える。さらに、タイロッドTが、2つの端部プレートPE1、PE2を連結し、デバイスの動作中におけるすべてのモジュールへの圧迫力の印加を確保する。
【0053】
図2では、一実施形態によるクランプシステムS1を備えるモジュールM1が単体で示される。このクランプシステムは、とりわけモジュールのハンドリングおよび最終組立ての実施の段階の最中における、セルおよびインターコネクタのスタックに対する圧迫力の一次的な印加を確保するように意図される。このクランプシステムS1は、例えばセルとインターコネクタとの間にガラス接合部またはガラス-セラミック接合部を作製する場合など、高温を必要とする製造段階の最中には使用されるように意図されない。これらの段階の最中には、圧迫力の維持は、圧縮装置により実現される。
【0054】
クランプシステムS1は、剛化プレートP1およびP2と協働するように構成される。
【0055】
この例では、2つのプレートP1、P2は、同一または同様のものであり、プレートP1のみについて詳細に説明する。
【0056】
第1のプレートP1は、セルおよびインターコネクタのスタックと接触状態になるように意図された内方面2を備える。第1のプレートP1は、プレートP1の厚さ方向に延在するねじ穴(図示せず)を備える。この例では、これらの穴は、プレートP1を貫通する。これらの穴は、プレートP1の輪郭の全体にわたり分散される。図示する例では、プレートP1は、実質的に正方形の形状を有し、横方向外方に延在するラグ6を備える。ねじ穴が、それぞれのラグ6中に形成される。
【0057】
プレートP2は、プレートP1と同一個数のねじ穴5を備え、これらのねじ穴5は、プレートP1およびP2がスタックの各側に配置された場合に、プレートの各ねじ穴が鉛直方向に見たときに他のプレートのねじ穴に実質的に対面するように、同一構成を有する。
【0058】
各側における穴の個数は、限定的なものではなく、剛化プレートの寸法に応じて選択される。
【0059】
ラグの実装により、剛化プレートの質量を低下させることが可能となる。
【0060】
クランプシステムは、均衡のとれた圧迫力の印加を確保するために、スタックの周囲に分散されるように意図された複数のクランプデバイスのセットを備える。
【0061】
各クランプデバイスは、プレートP1のねじ穴と螺合により協働するように構成された第1の要素8と、プレートP2のねじ穴5と螺合により協働するように構成された第2の要素10と、第1の要素8および第2の要素10を剛体的に機械連結し第1の要素と第2の要素との間における張力の印加を確保するように構成されたカラム12とを備える。
【0062】
この例では、第1の要素8および第2の要素10は、同一または同様のものであり、第1の要素8のみについて詳細に説明する。
【0063】
図3において単体で図示する第1の要素は、プレートP1のねじ穴に螺入されるように構成されたタップピン15を第1の面上に備えるプレート14を備える。プレート14は、第1の面の対向側の第2の面上に2つのジョー16を備え、これらのジョー16は、それらの間にカラムの端部のための空間を画成し、カラムのための軸方向ストッパを形成する。軸方向は、スタック方向としてみなされるべきであり、2つの剛化プレートP1、P2に対して直交方向に延在する。
【0064】
図4では、第1のタップ要素を側面図において示す。各ジョーが、プレートに対して平行にかつプレートからある距離をおいて延在する停止部分18と、プレートに対して停止部分18を連結する連結部分20とを備える。2つのジョーの2つの停止部分18は、側方エッジを備え、これらの側方エッジは、相互に対面し、間にカラムのための通路を形成する。有利には、各側方エッジが凹部22を備え、これらの2つの凹部がカラムのための空間を画成する。
【0065】
好ましくは、平面図において、第1の要素8は、六角形状を有し、これにより標準的なフラットキーによるプレートP1の穴への第1の要素8の螺入が可能となる。さらに、この六角形状は、通路21を作製する場合により実用的である。代替的には、第1の要素8は、例えば10個など、3~n個の辺を備える多角形状を有する。多角形状は、ツールの配置のための空間が狭い環境内にクランプデバイスを配置することを可能にするという利点を有し、さらには以降で説明されるように、カラムの取付けのために通路同士を相互に平行に配置することを容易化し得る。
【0066】
カラム12は、ロッド24を備え、このロッド24は、長手方向端部のそれぞれにロッドの軸と合致する軸を有するディスク形状のヘッド26を備える。また、このヘッド26は、ショルダ28によりロッド24に対して連結されるように、ロッドの直径よりも大きい直径を有する。
【0067】
ジョー同士の間の通路21の幅Lは、ロッドの直径よりも大きく、ヘッドの直径よりも小さい。
【0068】
非常に有利には、2つのジョーの連結部分同士の間の距離が、カラムのヘッドの直径よりも大きくなるように選択される。
【0069】
これにより、有利には、ヘッドと連結部分との間およびロッドと停止部分中の凹部22によって画成された空間との間に得られる隙間が、2つの剛化プレートの間における平坦性、配向、および同軸性の不良を補償し得る。したがって、2つのねじ穴の若干のオフセットが、第1の要素および第2の要素の中におけるカラムの横方向移動によって補償され得る。
【0070】
次に、クランプシステムS1の取付けおよび動作を説明する。
【0071】
第1の要素8は、プレートP1のねじ穴に螺入され、第2の要素10は、プレートP2に対面するねじ穴に螺入される。第1の要素および/または第2の要素は、これらのねじ穴に完全には螺入されない。図示する例では、第2の要素10は、完全には螺入されていない。
【0072】
第1の要素および第2の要素は、通路21同士が平行になるように配向され、それによりカラムのヘッドを第1の要素および第2の要素の中に同時に取り付けることが可能となる(
図5A)。
【0073】
その後、カラム12は、プレートと停止部分との間において各ヘッドを摺動させることにより、第1の要素8および第2の要素10の中に取り付けられる、および通路内のロッド。
【0074】
次のステップの最中に、第1の要素および/または第2の要素がさらに螺入され、次いでヘッドが停止部分に当接し、次いでカラムが張力印加され、これによりスタックに対して圧迫力が加えられる。図示する例では、さらに螺入されるのは第2の要素である(
図5B)。印加される圧迫力は、1kN~数kNの範囲内である。
【0075】
ロッド24の長さは、スタックの高さおよびインターコネクタの個数に応じて選択され、それにより、ロッド24は、第1の要素8および第2の要素10と協働して2つの剛化プレートの間に圧迫力を印加することが可能となる。
【0076】
すべてのクランプデバイスS1が、スタックの全周囲にわたり2つのプレートP1とP2との間において同一の様式で取り付けられ、これによりスタックの全断面にわたり均衡のとれた圧迫力の印加が確保される。好ましくは、4~12個の間のクランプデバイスが、2つのプレートの間に取り付けられる、すなわち各側に1~3個のクランプデバイスが取り付けられる。
【0077】
例えば、これらのクランプデバイスは、セルとインターコネクタとの間にガラスシールまたはガラス-セラミックシールを作製するステップの後に配置される。このステップの最中に、圧迫力は、圧縮装置によりスタックに対して印加される。このステップは、高温を必要とする。このステップが完了し、温度が低下すると、および圧縮装置が圧迫力の印加を停止する前に、これらのクランプデバイスは、圧縮装置がその力を解除した後も圧縮装置により印加されていた圧迫力を維持するために配置される。その後、圧縮装置は、圧迫力を解除するように制御される。次いで、モジュールが、圧迫力を維持しつつハンドリングされ得る。
【0078】
複数のモジュールが作製され、次いでスタックされて、アセンブリが形成される(
図1)。電気接触素子(図示せず)が、2つの連続するスタックの2つの剛化プレートの間に配置され得る。端部プレートPE1、PE2が配置される。
【0079】
シールが、モジュール同士の間に作製されなければならない。このために、アセンブリは、圧縮装置内に配置され、圧縮装置は、アセンブリに対して圧迫力を印加するために作動される。その後、クランプデバイスが除去される。シーリングステップが実施される。その後、タイロッドが、端部プレートPE1、PE2間に配置される。
【0080】
製造全体およびその後のスタックの組立ての全体を通じて圧迫力を維持することにより、シールの保護と、セルとインターコネクタとの間の電気的接触の維持とが確保される。
【0081】
他方において、クランプデバイスにより、圧縮下にある段階同士の間にスタックに対して圧迫力が印加された状態を保持することが可能となる。他方では、プレート同士を貫通するタイロッドと剛化プレートの外部面上に載置されるボルトとを用いることより難題が生じる場合があるのとは異なり、クランプデバイスにより、スタック同士の間に難題を生じさせることなくスタック同士を重畳させることが可能となる。さらに、クランプデバイスS1は、比較的迅速かつ簡単な取付けを可能にする。
【0082】
これらの取付けデバイスは、同等または同様の剛化プレートを使用するという利点を有する。
【0083】
好ましくは、クランプデバイスは、印加される応力および変形に対する耐久性を有するように、高強度鋼から作製される。好ましくは、組立てデバイスの材料は、10GPa超のヤング率と、これらのデバイスの装填時に最終アセンブリのタイロッドに存する最大応力の10倍超の降伏強度とを有する。
【0084】
例えば、クランプデバイスは、X4CrNiMo 16-05-01ステンレス鋼から作製される。
【0085】
例えば、カラムのロッドは、1mm~20mmの間からなる、好ましくは8mmに等しい直径を有する。好ましくは、カラムの個数および直径は、カラムのセットがスタックよりも高い剛性を実質的に有するように選択される。有利には、カラムのセットの剛性とスタックの剛性との比率は、1~1000の間からなり、好ましくは50の範囲内からなる。
【0086】
一実施形態では、クランプシステムは、種々の高さのスタックに対して適合し得るようにそれぞれ異なる長さを有するカラムの複数セットを備え、第1のタップ要素および第2のタップ要素は、それぞれ異なるカラム長さに対して使用され得る。
【0087】
2つのスタック同士の間における高さの相違は、プレートP1およびP2のねじ穴内に位置する第1の要素および第2の要素の螺入レベルによって部分的に補償され得る。
【0088】
3つのモジュールを備える完成アセンブリを作製するためのクランプシステムは、少なくとも3つのセットのクランプデバイスからなる。なぜならば、とりわけ3つのスタックが重畳される場合に、各モジュールがクランプデバイスを備えるからである。
【0089】
一実施形態では、カラム12のすべてまたは一部が、それらのカラムの張力印加の最中に印加される力のモニタリングを可能にする較正済みのひずみ計を備える。例えば、カラムは、このひずみ計が中に配置される直径ボアを有する。カラムの一部分のみが、ひずみ計を備えることも可能であり、第1の要素および第2の要素に関する締付けトルクの測定値に対して変形の測定値を結合することにより、ひずみ計を使用することなく他のクランプデバイスに対するクランピングを反復することが可能となる。
【0090】
図6、
図7A、および
図7Bは、剛化プレートの穴同士の間におけるオフセットに関して大幅に高められた公差を有する
図1のスタックの一変形例を示す。
【0091】
クランプシステムS2は、クランプシステムS1の第1の要素と同等または同様であり、プレートP1のねじ穴に直接的に螺入されるように構成された、第1のタップ要素8を備える。さらに、クランプシステムS2は、クランプシステムS1の第2の要素と同等または同様の第2のタップ要素10を備える。さらに、クランプシステムS2は、剛化プレートP2の穴5'内に横方向隙間を有する状態で取り付けられるように構成されたナット30を備える。第2のタップ要素10'は、ナット30に螺入されるように構成され、第2の要素10と同様である。ナット30は、ベース32を備え、このベース32は、剛化プレートP2に対してナット30を軸方向に不動にするために、剛化プレートP2の外部面に載置されるように意図される。有利には、剛化プレートP2の外部面は、ナット30がこの外部面から突出せず、したがって別のモジュールの配置を阻害しないように、構成される。図示する例では、ナットのベース32の厚さと少なくとも同等の深さを有する座ぐりボア34が、ラグ中に形成される。
【0092】
図7Aおよび
図7Bにおいて分かるように、ナット30は、2つの剛化プレートの穴5'同士の間における不整列を補償するために剛化プレートP2'の穴5'内において横方向に移動自在である。
【0093】
クランプデバイスの位置決めは、クランプシステムS1のデバイスの位置決めと実質的に同一である。第1の要素は、剛化プレートP1の穴に螺入され、ナット30は、剛化プレートP2の穴5'内に配置され、第2の要素10'は、ナット30に部分的に螺入される。カラムヘッド12は、第1の要素8および第2の要素10'の空間内に摺入される。その後、第1の要素8および/または第2の要素10'は、カラム12に張力を印加するためにさらに螺入される。この配置が、すべてのクランプデバイスに対して繰り返される。
【0094】
この変形例では、プレートP2'中の各穴が、プレートP1の穴の直径よりも大きい直径を有するか、または第2の要素のねじ山付き部分が、第1の要素のねじ山付き部分よりも小さい直径を有する。
【0095】
図8~
図10では、本発明によるスタックの別の実施形態が示される。
【0096】
クランプシステムS3は、第1のタップ要素およびカラムを備える。カラムのヘッドの一方が、第1のタップ要素と協働し、他方のヘッドは、剛化プレートP2''と直接的に協働する。
【0097】
剛化プレートP2''は、各ヘッドのための空間36を備える。これらの空間36は、プレートを貫通する穴により形成され、剛化プレートP2'''のエッジの横方向外方において開口する。各空間36は、開通しており、第1の幅を有する第1の部分36.1と、第1の幅より大きい第2の幅を有する第2の部分36.2とを備え、これらの2つの部分の間に、カラムのヘッドのための軸方向ストッパを構成するショルダ38を画定する。
【0098】
有利には、第2の部分36.2の深さは、ヘッドが剛化プレートP2''から突出しないために十分な深さである。
【0099】
次に、クランプデバイスの配置を説明する。
【0100】
第1の要素8は、穴に部分的に螺入され、第1の要素の空間および剛化プレートP2''の空間の中にカラムヘッドを取り付けることが可能になるように配向される。空間36内に受けられるヘッドは、ショルダ38上に載置される。その後、第1の要素8は、剛化プレートP1の穴内にさらに螺入されて、カラムに張力を印加する。この動作が、クランプデバイスのそれぞれに対して繰り返される。
【0101】
この実施形態は、タップ要素の螺入だけを必要とするため、取付けの簡素化および迅速化という利点を有する。さらに、モジュールの高さを小さくすることができる。
【0102】
【0103】
クランプシステムS4は、剛化プレートP1に対して固定された第1のケーブルC1と、剛化プレートP2に対して固定された第2のケーブルC2とを備えるクランプデバイスと、これらのケーブルを連結しこれらのケーブルに対して張力を印加するためのデバイスとを備える。好ましくは、ケーブルC1およびC2は、同一直径を有する。組み立てられると、2つのケーブルC1およびC2は、カラム機能を確保する。
【0104】
第1のケーブルC1は、一方の端部C1.1に、剛化プレートP1の穴に螺入されるように構成されたタップ要素40を備える。端部C1.1は、タップ要素40に対して溶接される。第1のケーブルC1は、他方の端部C1.2に、例えばケーブルの端部C1.2上にクリンプされるねじ山付き末端部42を備える。
【0105】
第2のケーブルC2は、一方の端部C2.1に、剛化プレートP2中の穴に螺入されるように構成されたタップ要素44を備える。端部C2.1は、タップ要素44に対して溶接される。
【0106】
第2のケーブルC2は、他方の端部C2.2にナット46を備え、このナット46は、ケーブルC1が備える末端部42上に螺着され得るように、ケーブルC2の周囲において回転可能におよびケーブルC2に沿って並進可能に可動的に取り付けられる。例えば、ケーブルC2は、ナット46に挿入され、リング48が、ケーブルC2の端部C2.2上にクリンプされて、ケーブルC2上におけるナットの並進移動が限定される。代替的には、ナット46は、ケーブルC2上において回転方向に固定され、ケーブルC2は、タップ要素44内に回転自在に取り付けられる。
【0107】
各タップ要素40、44は、剛化プレートP1、P2の穴と協働するためのタップ部分44.1と、これらの穴内における要素40、44のクランピングを可能にするクランプ部分44.2とを備える。これらのクランプ部分は、有利には多角形状を有し、好ましくは六角形状を有する。
【0108】
代替的には、これらのケーブルは、
図8の例におけるものと同様にプレート上に取り付けられる。
【0109】
次に、これらのクランプデバイスの配置について説明する。
【0110】
タップ要素40は、剛化プレートP1の穴8に螺入され、タップ要素44は、剛化プレートP2の穴10に螺入される。ナット46は、ケーブルC1およびC2に張力を印加するまで末端部42上に螺着される。
【0111】
これらのケーブルC1およびC2は、十分な剛性を有するように選択される。剛性カラムクランプシステムと同様に、好ましくは、ケーブルクランプデバイスの個数およびケーブルの直径は、すべてのクランプデバイスがスタックよりも高い剛性を実質的に有するように選択される。有利には、クランプデバイスのセットの剛性のスタックの剛性に対する比率は、1~1,000の間からなり、好ましくは50の範囲内である。
【0112】
本発明によるクランプシステムは、スタック同士を圧迫状態に維持すると共に、剛化プレートの外部面から要素を突出させることを回避し、それによりスタックの重畳を簡易化し得る。
【符号の説明】
【0113】
2 内方面
5 穴
5' 穴
6 ラグ
8 第1の要素、第1のタップ要素、穴
10 第2の要素、第2のタップ要素、穴
10' 第2の要素、第2のタップ要素
12 カラム、カラムヘッド
14 プレート
15 タップピン
16 ジョー
18 停止部分
20 連結部分
21 通路
22 凹部
24 ロッド
26 ヘッド
28 ショルダ
30 ナット
32 ベース
34 座ぐりボア
36 空間
36.1 第1の部分
36.2 第2の部分
38 ショルダ
40 タップ要素
42 ねじ山付き末端部
44 タップ要素
44.1 タップ部分
44.2 クランプ部分
46 ナット
48 リング
C1 第1のケーブル
C2 第2のケーブル
C1.1 端部
C1.2 端部
C2.1 端部
C2.2 端部
M1 モジュール
M2 モジュール
M3 モジュール
P1 剛化プレート
P2' 剛化プレート
P2'' 剛化プレート
P2''' 剛化プレート
PE1 端部プレート
PE2 端部プレート
S1 クランプシステム、クランプデバイス
S2 クランプシステム
S3 クランプシステム
S4 クランプシステム
T タイロッド
【国際調査報告】