(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】補償ジョイントの使用状態を評価するための方法
(51)【国際特許分類】
G01M 99/00 20110101AFI20240730BHJP
F17D 5/00 20060101ALN20240730BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
F17D5/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502093
(86)(22)【出願日】2021-05-19
(85)【翻訳文提出日】2024-01-12
(86)【国際出願番号】 IB2021054325
(87)【国際公開番号】W WO2022243728
(87)【国際公開日】2022-11-24
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】524016622
【氏名又は名称】アイエスアイエフ エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】オドリ,マウロ
【テーマコード(参考)】
2G024
3J071
【Fターム(参考)】
2G024AA15
2G024AA21
2G024AD01
2G024CA04
2G024FA06
2G024FA15
3J071AA01
3J071AA13
3J071EE06
3J071EE07
3J071EE29
3J071FF01
(57)【要約】
炭化水素の輸送用ラインのセクション(1)に挿入された補償ジョイント(21)の状態を評価するための方法は、変形検出手段(102)を用いて、該補償ジョイント(21)で発生する機械的応力に関するデータを獲得することと、前述のデータを参照して変形検出手段(102)によって生成されたデジタル信号を、コンピューター制御中央ユニット(3)に転送することと、徐々に蓄積されたデジタルデータを処理して、該プログラム及びアルゴリズムに記憶された参照パラメーター及び/または閾値を考慮して、該ライン補償ジョイント(21)の完全性の状態についての更新レポート、同様に、該ジョイント(21)の予測可能な残存耐用期間に関するインジケーションを取得することと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素または他の流体の輸送用ラインのセクションに挿入された補償ジョイント(21)を評価するための方法であって、前記補償ジョイント(21)は、前記セクションライン(1)の連続セクション(1a,1b)の間に介在し、前記方法は、
-前記セグメント(1a,1b)の異なる点の間に及び/または前記セグメント(1a,1b)と前記補償ジョイント(21)との間に設置された変形検出手段(102)を用いて、前記セグメントライン(1)にかかる機械的応力に対する前記セグメントライン(1)の応答に関する変形データを獲得することと、
-前記変形検出手段(102)用のインターフェースが装備されたコンピューター制御中央ユニット(3)に、デジタル信号またはアナログ信号の形式の前記のデータを転送することと、を含み、前記方法は、さらに、
-適切な評価アルゴリズムを実装するコンピュータープログラムを用いて、前記の変形データを処理して、前記の変形の数、方向、及び程度を含むようにし、前記の補償ジョイント(21)の予測可能な残存耐用期間の評価指標を取得することであって、前記評価は、前記プログラムまたはアルゴリズムに記憶された複数の参照パラメーター及び/または閾値に基づいており、前記変形検出手段(102)の全てによって検出された前記変形データを、各々、前記の補償ジョイント(21)に関して、少なくとも1つの応力閾値及び少なくとも1つの破壊閾値と比較して、結果として前記補償ジョイント(21)の完全性及び/または残存耐用期間の状態の低下が生じる、応力状況または破損リスク状況の発生の信号を送る、取得することと、
-前記の補償ジョイント(21)の完全性の状態及び前記補償ジョイント(21)に関して想定できる残存耐用期間に関するレポートを定期的に生成することと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記完全性及び前記残存耐用期間の前記の評価は、検出された前記変形データのそれぞれの比較は、特定の瞬間に行われ、前記変形検出手段(102)のそれぞれについて、前記第1の応力閾値及び第1の破壊閾値と比較され、前記の補償ジョイント(21)について、各々、結果として前記補償ジョイント(21)の完全性及び/または残存耐用期間の状態の低下が生じる、突然の応力状況または破損リスク状況の発生の信号を送ることを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記完全性及び残存耐用期間の前記の評価は、検出された前記変形データの前記比較が、一定期間で検出された前記変形データの値の合計及び/または平均を考慮して行われ、前記の変形検出手段(102)の全てに対して、第2の応力閾値及び第2の破壊閾値と比較され、前記の補償ジョイント(21)について、各々、結果として前記補償ジョイント(21)の完全性及び/または残存耐用期間の状態の低下が生じる、長期の応力状況または破損のリスクの状況の発生の信号を送ることを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記変形データは、前記の変形検出手段(102)のそれぞれによって検出された拡張値または圧縮値を含むことを特徴とする、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記変形データは、前記の変形検出手段(102)のそれぞれによって検出された加速値を含むことを特徴とする、請求項2または3に記載の方法。
【請求項6】
前記変形データの前記の処理は、リモートデータ伝送手段(4)を用いる、少なくともオペレーションセンター及び/または前記ラインセクション(1)のサーベイランスの少なくとも1人の担当者への前記定期レポートの伝送前に、前記中央ユニット(3)で実行されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記変形データの前記の処理は、リモートデータ伝送手段(4)を用いて実行された伝送後、リモートオペレーティングセンターで実行され、前記中央ユニット(3)は、前記オペレーションセンターへの前記の未加工の変形データの伝送が指示され、前記オペレーションセンターは、前記の定期レポートを生成する役割があることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーベイランスシステムに関する技術分野の一部のものであり、より正確には、流体の炭化水素(メタンまたは石油パイプライン)の輸送用ラインのサーベイランス用のシステムの一部のものである、または、より一般的には、導水路等の他の流体の輸送用ラインのサーベイランス用のシステムの一部のものである。
【0002】
より具体的には、本発明は、前述のラインの限定されたセクションを連続して監視するための方法、または前述のセクションもしくは構成要素の完全性に関して危機的になる可能性がある現場に設置された補償ジョイント等、前述のラインの特定の構成要素を連続して監視するための方法を言及する。
【背景技術】
【0003】
生産現場から保管場所までの、また、これらの場所から流通サイト及び使用場所までの炭化水素(主に、メタン及び石油、またはその派生物)の輸送は、主に、地下配管、地表配管、または水中配管から成る輸送ラインであるメタンまたは石油のパイプラインによって実行されることが知られている。各ラインは、概して、炭化水素の十分な圧力及び流動値を回復するために長距離にわたって必要な圧縮場またはポンプ場によって分離されたセクションに分割される。また、補償ジョイント、流動遮断弁、減圧ユニット等のラインに他の構成要素が存在する。
【0004】
特に分配ラインに関するこれらの構成要素の多くは、サイズが制限されたキャビン等の閉鎖された人工物の内側に設置され、多くの場合、前述の構成要素を収容するのに十分ではなく、ひいては、メンテナンスのためにアクセスすることが困難である。補償ジョイントは、また、ラインのセクションと、ラインをポンプ場もしくは他の機器に接続するターミナルとの間に挿入できる、またはLNGキャリヤもしくは石油タンカー等の対応するターミナルに接続されることが意図される荷揚げ/荷降ろし桟橋に位置するラインのセクションで挿入できる。
【0005】
炭化水素の輸送用ライン用の監視システムで特定の用途を見い出すが排他的ではない、本発明の補償ジョイントの物体の使用状態を評価するための方法は、いずれも、液化炭化水素の輸送用ラインよりも、メタンの輸送用ラインに区別なく適用できる。
【0006】
既に述べたように、前述の方法を導水路等の他の同様のパイプラインに適用できる。しかしながら、説明を簡潔にするために、以下で、メタンパイプラインについて言及し、また、石油パイプライン及び炭化水素の輸送用の他のタイプのラインに、同様に、他の同様のパイプラインにも範囲を広げて全ての検討事項を考えてみる。
【0007】
技術的課題
その性質により、メタンパイプラインは、非常に異なる地形的特徴及び形態的特徴がある領域を横断しており、それらの特徴として、平地または山岳地域、乾燥地域または高湿度地域、人口集中地域または地盤沈下のリスクがある地域、人口密集地または過疎地、及び少なくとも短時間でアクセスすることが困難である地域である可能性がある。いずれの場合、メタンの供給及び分配の連続性の重要度により、メタンパイプラインのすべての単一のセクションが、常に、全くの例外及び予測不可能な場合を除いて、製品の輸送及び分配の中断を回避するために、動作可能で、最適効率になることを確実にすることが必須である。しかしながら、これらの稀な場合でさえ、問題がある現場及びそのタイプをすぐに識別することと、その問題を解決するために非常に短時間で介入し、メタンの流れを回復することと、が必須である。緊急の状況を最小にするために、パイプラインは、概して、特別に訓練されたメンテナンス技術者のチームによって指揮される。しかしながら、この技術は、いくつかの場合では不適切であり、特に、そのほとんどの危険域の一部でパイプラインの状態の十分な制御を保証することが不可能であることが分かる。
【0008】
特に重要な例は、アクセスできない、不安定で、地滑りを受ける領域を横断するパイプラインの区間に関連する。その区間は、多くの場合、パイプラインが道路または他の輸送ルートから遠くにあるとき、人が少なく及びアクセスできないエリアで見られる。これらの場合、十分に注意を払い且つ一定のサーベイランスサービスを保証することが困難であり、ひいては、非常に高価でもある。さらに、現在使用されているサーベイランス技術を用いて、多くの場合、パイプの破損の発生、またはパイプラインの他の構成要素の深刻な故障の発生を防止するであろう早期警告アクションを実行することが実質的に不可能である。例えば、不安定でぐらつく地面を伴うエリアでは、ラインのセクションまたはパイプラインの構成要素が設置される地面の地盤沈下は、ラインに深刻な問題を生じさせる可能性があり、問題があるパイプラインまたは構成要素の変位または破損が生じる。
【0009】
ある程度重大な地滑り、またはいずれの場合、地面の地盤沈下は、常に、全てが突然の現象というわけではないが、ほとんどの場合、局所的な少しの地面変位、地表のくぼみ、表面亀裂の形成等、明確に識別可能な兆候によって予想される。これらの兆候は、実際の地滑りよりも数時間前またはさらに数日前に現れる可能性がある。いずれにせよ、適時に識別される場合、リスクがあるガスパイプラインセクションの付近における状況の小さな変化により、保護アクションを起こすことを可能にし、多くの場合、輸送ラインのパイプまたは構成要素への破損または深刻な損傷を回避できる。
【0010】
さらに、特に地滑りを受けるエリアでは、パイプの特殊セクションは多くの場合ラインに設置され、周辺の土地の小さな変位と、ライン上で変位により生じる応力との影響を弱めることを可能にする。これらのパイプセクションは、端におけるばねセクション、場合により、誘電体ジョイントと呼ばれる特定のデバイスの存在によって弾性になる。これらの解決策は、前述の応力に応答して、数センチメートルにわたって、ラインセクションを縮小及び拡張することを可能にする。しかしながら、これらの特殊セクションの効果が制限され、大きなパイプラインの変位を補うことができないことは明らかである。
【0011】
いずれの場合、前述の構成要素は、その耐用期間中、上記に説明したいくつかの応力を確実に受ける。それらの応力の強度が大きくまたは小さくなるが、いずれの場合、長期的に、その構造の完全性に影響を与える傾向があり、徐々に信頼性が少なくなる。これらの構成要素がパイプラインの動作中にもたらす重要性を考えると、結果として、構成要素が常に最適効率であることと、構成要素の動作及びパイプラインの動作は、構成要素自体の疲労及び構造の経年劣化による故障によって危険にさらされないことと、は必須である。
【0012】
したがって、構成要素がその耐用期間の完了に近い状況にあるとき、構成要素を破壊する前に構成要素を交換することを可能にするために、少なくとも近似的に予測することについて強い要望がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
発明の目的
本発明の範囲は、補償ジョイントの故障または破損が発生する前に、その故障または破損の可能性についての統計的予測を行うことが可能である補償ジョイントの使用状態を評価するための方法を提案することである。
【0014】
本発明の別の目的は、補償ジョイントの使用中、補償ジョイントが受ける応力に基づいて、補償ジョイントの残存耐用期間についての予想を行って、これらの予想を利用可能にすることである。
【0015】
本発明の別の目的は、セクションに関する、または監視された輸送ライン構成要素に関する危機的になる可能性がある状況に関する早期警告情報を提供することが可能である評価方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
これらの目的及び他の目的は、ラインセクションの連続セクションを接続する弾性要素が設けられた補償ジョイントを備える、炭化水素の輸送用ラインのセクション、例えば、メタンパイプラインを監視するための方法によって完全に実現される。前述の方法は、以下の動作ステップ、すなわち、
-セクションの異なる点の間に及び/またはセクションと補償ジョイントとの間に設置された変形検出手段を用いて、ラインセクションに発生する機械的応力に対するラインセクションの応答に関する変形データを獲得することと、
-変形検出手段用のインターフェースが装備されたコンピューター制御中央ユニットに、デジタル信号またはアナログ信号の形式で検出されたデータを転送することと、
-適切な評価アルゴリズムを実装するコンピュータープログラムを用いて、前述の変形データを処理して、前述の変形の数、方向、及び程度を含むようにし、補償ジョイントの予測可能な残存耐用期間の評価指標を取得することであって、その評価は、該プログラムまたはアルゴリズムに記憶された複数の参照パラメーター及び/または閾値に基づいている、取得することと、-補償ジョイントの完全性の状態、及び補償ジョイントに関して想定できる残存耐用期間に関するレポートを定期的に生成することと、を含む。
【0017】
本発明の特有の特徴は、以下の特許請求の範囲に従って、また添付の図面、表を用いて、炭化水素の輸送用ラインのセクションまたは構成要素を監視するための方法の好ましい実施形態の以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に従った評価方法が適用される補償ジョイントを含む炭化水素の輸送用のラインのセクションを監視するためのシステムの好ましい実施形態を概略的に示す。
【
図2】
図1の自動発電機を概略的であるがより詳細に示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
上記の図では、参照符号100は、全体として、また本方法の実施態様の例として、炭化水素の輸送用ラインのセクションの監視システム、具体的には、補償ジョイント21等の特定の構成要素を含むメタンパイプラインの監視システムを示す。簡潔にするために、以下では、メタンパイプライン1のセクションについて言及する。しかしながら、本発明の従った方法は、有利に、他の炭化水素と、石油パイプライン、導水路等の他の加圧流体を輸送及び分配するためのラインセクション及びライン構成要素に同様に適用されることが理解される。
【0020】
監視される補償ジョイント21は、概して、セクション1または構成要素の完全性に対して、ひいては輸送ライン全体の動作に対して深刻な危機、危険の恐れがある現場で設置される。説明される実施形態の例では、セクション1または構成要素は、人工物または部屋の内側に設置され、例えば、閉鎖キャビン、多くの場合、地下または地階に設置される。
【0021】
例えば、
図1は、ラインの部分1を含有する部分が見える、閉鎖した製品30を示す。しかしながら、設置現場は異なり得、例えば、船から陸上に、または逆の場合も同様に炭化水素を移送するためのドッキングターミナルが挙げられることと、その構造は本発明に関連しないことと、が理解される。例えば、設置現場は、地滑り及び山崩れを受ける、ひいては不安定な丘陵または山地の領域の一部である可能性がある。
【0022】
メタンパイプラインのセクション1またはその構成要素の1つは、地表面に固定される、またはさらに埋設されることを考えると、少しのエンティティでさえ、現場に影響を与える地面の任意の運動は、システムの変形または破損を生じさせる等の応力を生じさせる可能性があることは明らかである。より具体的には、ラインセクション1は前述の補償ジョイント21を備え得、補償ジョイント21は、ラインの一部が受ける応力に応答して拡張及び縮小を受けるように設計された弾性接続部を伴う特殊セグメントから成り、そして、補償ジョイント21は、周辺の土地の少しの変位に起因して設置される。
【0023】
非包括的な例として、ラインセクション1がこれらの特殊セグメントのうちの1つによって画定されるとき、本発明に従った方法を実施でき、そのセグメントは、ラインセクション1の遮断部で挿入された補償ジョイント21を備え、ラインセクション1と補償ジョイント21との間に、ラインセクション1の2つの長さ1a,1bを接続し、ベローズタイプの2つの弾性要素22a,22bが介在する。これらの弾性要素22a、22bは、その連続性を中断することなく、ひいては、その機能性を中断することなく、ライン1のセクションの少しのエンティティの任意の変形に適応することが意図される。しかしながら、少しの変形の発生は、弾性接続セグメント21によって吸収される場合でさえ、後で起きる深刻な問題を示し、ひいては、変形自体を含み、変形に対してガスパイプラインを安全にするために、介入を計画するための注目のテーマであり得ることは明らかである。
【0024】
本発明に従った方法の実施態様に関する図に示される監視システム100は、そのようなリスクがある現場に対応して設置されることを意図し、完全に自立して動作することが可能であり、最大監視効率を、現場で利用可能である電力及び通信チャネルのリソースと組み合わせるために、プログラム可能であり得る。以下では、簡潔にするために、メタンパイプラインのセクション1のサーベイランスを参照して、本方法及び構造システム100の両方を説明する。
【0025】
しかしながら、適切なシステム構造100を用いた方法は、また、メタンまたは他の炭化水素の輸送用ラインの他の構成要素に区別なく適用できることが理解される。他の構成要素として、例えば、ポンプ場、ドッキングターミナル、遮断弁、制御式減圧ユニット等、または、水もしくは他の液体を輸送及び分配するためのシステムの実質的に同等の構造等が挙げられる。
【0026】
ラインの該セクション1に発生する機械的応力に関するデータの獲得は、有利に、複数のひずみゲージから成る該変形検出手段102の手段によって実行され、変形検出手段102は、ライン1のセクションの異なる点の間に、もしくは、ラインのセクション1の特異点と地面との間に、または、いずれの場合、これらの点と、ラインのセクション1から分離された基準点、例えば人工物30の壁との間に搭載される。
【0027】
また、ひずみゲージの数及び配置は変わり得るが、本発明の範囲から逸脱することはない。ひずみゲージは既知であり、市販のデバイスである。そのデバイスは、概して、相互に対して軸方向に摺動する2つの要素から成り、スリップを電気信号に変換するトランスデューサと、取得された電気信号を外部ユーザーに利用可能にするように設計された出力インターフェースとを含む。
【0028】
本方法が前述の特殊セグメントの1つによって定義されたラインセクション1の存在下で実施されるとき、ラインセクション1は、既に述べたように、弾性要素22a,22bの介在により該セクション1の遮断部で設置された少なくとも1つの補償ジョイント21によって、相互に接続されたセクション1a,1bを含み、機械的応力に関する前述のデータは、6個のひずみゲージによって提供される。6個のひずみゲージについて、前述のライン1aとライン1bとの長さの間に搭載され、2つの前述の長さの相対変位を検出することを意図する、第1のひずみゲージ102aと、各々、補償ジョイント21と地面との間に、セクション1a,1bと地面との間に搭載された、第2のひずみゲージ102b、第3のひずみゲージ102c、及び第4のひずみゲージ102dと、相対的な弾性要素22a,22bをバイパスする補償ジョイント21自体と2つの長さ1a,1bとの間に搭載された、第5の伸縮計102e及び第6の伸縮計102fと、が挙げられる。
【0029】
上記に説明され及び示されたひずみゲージの構成は、システム100によって提供された監視の可能性の例として考えるべきであり、包括的ではない。上記に説明したひずみゲージの部分または異なって配置された他のひずみゲージだけを含む異なる構成は、本発明の方法の実施態様に作ることができる。
【0030】
ひずみゲージ102a...102fは、適切な商業用インターフェース、有線または無線(例えば、「Bluetooth」、「Direct Wireless」、または他の同等の通信技術)が装備されたコンピューター制御中央ユニット3の互換性のある入力チャネルに、その出力インターフェースを経由して接続される。
【0031】
中央ユニット3は、現場(その場所は、屋根等がなく悪天候に曝される、または閉鎖される、もしくはそうでなければ保護される)の特徴に応じて、適切なコンテナに設置され、下記にさらに詳しく記述される監視システムの動作を管理するためのコンピュータープログラムを含む。少なくとも1つのリモートオペレーティングセンター及び/もしくはラインの該セクション1のサーベイランスの少なくとも1人の担当者、またはパイプラインを監視することが許可された他の人へのレポートの前述の伝送に関する動作フェーズでは、ひずみゲージ102a...102fから受信したデータ等のセクション1のステータスに関する情報は伝送、監視される。
【0032】
本方法では、該伝送は、逆方向に、任意のコマンドまたはアップデートを伝えることが可能であるように、変形検出手段102から該コンピューター制御中央ユニット3に向かう場合と、その逆方向の場合との両方で行うことができることが提供される。
【0033】
リモート伝送手段4のタイプは、便利に、既知であり、現場で利用可能かつ最適なものから選択される。「3G」、「4G」、または「5G」技術を用いる携帯電話データネットワークの対象範囲に含まれる現場の場合、例えば、最も便利な接続は、インターネットを介する共通接続である一方、そのような対象範囲がない場合、最適接続は、ネットワーク衛星電話でのデータ接続であり得る。代替として、無線周波数接続は送受信無線デバイスを用いて使用できる。
【0034】
したがって、中央ユニット3は、前述のリモート伝送手段4と接続するために、追加インターフェース6と、関連のソフトウェア手順とを提供する。システム100が変形検出手段102としてひずみゲージの使用を提供するため、中央ユニット3で動作するコンピュータープログラムは、該ひずみゲージからデータを獲得して記憶するための適切な手順を備えている。
【0035】
また、想定される手順として、受信されるとき、そのようなデータをリモートオペレーションセンターもしくは別の許可された人に送信すること、または送信前に、以前の読取値、もしくは既定の注意閾値の値を超える値に対する有意差を検出するために、そのデータを処理すること、が考えられる。監視システム100を完全に自立させるために、自動式太陽光発電機10を用いて、該変形検出手段102、中央ユニット3、及びリモート伝送手段4に電気的に電力を供給することが想定される。
【0036】
図2に示される有利な実施形態では、発電機10は、1つ以上の太陽光発電パネル11と、前述の変形検出手段102、中央ユニット3、及び伝送手段リモート4のために提供された仕様に従った電気コンバーターデバイス12と、不適切な生産期間に供給される太陽光発電パネルの過剰生産の期間における電荷を貯蔵するための再充電可能蓄電池の電池13と、を備える。
【0037】
いずれの場合、エネルギー変換デバイス12は、有利に、中央ユニット3(例えば、ローカルネットワークまたはUSBインターフェースを介する、商業用タイプのもの)とのデータ接続部7を備え、データ接続部7を用いて、蓄電池の充電状態に関するデータ及び情報と、必要である場合、太陽光発電パネル11の現在のエネルギー生産に関するデータ及び情報とを中央ユニット3に伝送する。
【0038】
この目的のために、中央ユニット3で動作する管理プログラムは、そのような情報を受信するための手順、そして、低エネルギー利用率の場合にシステムの動作の任意の修正のための手順が適切に提供されている。
【0039】
例えば地滑りのリスクがある現場に位置する、監視対象のメタンパイプラインのパイプライン(または他の構成要素)のセクション1は、破損または不要な運動を生じさせる大きい地滑り等の重要なイベント及び損傷イベントの発生前でさえ、例えば、地面の小さな変位、後続の大きい地滑りの前兆による、わずかな且つより段階的な応力を受ける可能性がある。この場合、パイプセクション1は、それにとって有害ではない小さな変位または変形を受ける可能性があるが、小さな変位または変形が識別される場合、現場自体の強化に関する予防介入の緊急の実施を提案し、ひいては、後続の問題を回避できる。そのような小さな変位または変形、及び等しい周囲の地面の少しの変位は、上記に説明した監視システム100によって提供されたデータの表面的な評価に続いて、指揮することが許可された人員によって、適切に認識されない場合がある。
【0040】
したがって、本方法では、データ及び/またはレポートの該伝送は、危険の恐れがある状況に注目することと、及び/またはインジケータ要素の少しの運動から派生する、ひいては、パイプセクション1の少しの変形、または監視された構成要素の少しの変形、または周囲の地面もしくは建物の少しの変形から派生する任意の異常の信号を送ることと、を行うように設計されたアラームメッセージを含み得ることが想定される。
【0041】
上記に説明した監視システム100を用いて実施されたラインのセクション1に挿入された補償ジョイント21の使用状態を評価するための方法は、以下の動作フェーズ、すなわち、
-ライン1のセクションのセグメント1a,1bの異なる点の間に及び/またはセグメント1a,1bと該補償ジョイント21との間に設置された変形検出手段102を用いて、ライン1のセクションにかかる機械的応力に対する該セクションの応答に関する変形データを獲得することと、
-変形検出手段102用のインターフェースが装備されたコンピューター制御中央ユニット3に、デジタル信号またはアナログ信号の形式で検出されたデータを転送することと、
-適切な評価アルゴリズムを実装するコンピュータープログラムを用いて、前述の変形データを処理して、前述の変形の数、方向、及び程度を含むようにし、前述の補償ジョイントの予測可能な残存耐用期間の評価指標を取得することであって、その評価は、前述のプログラムまたはアルゴリズムに記憶された複数の参照パラメーター及び/または閾値に基づいている、取得することと、
-補償ジョイント21の完全性の状態、及び補償ジョイント21に関して想定できる残存耐用期間に関するレポートを定期的に生成することと、
を含む。
【0042】
本方法の非排他的な実施形態によると、補償ジョイント21の完全性及び残存耐用期間の評価は、特定の瞬間に検出された前述の変形データのそれぞれに対して、また変形検出手段102のそれぞれに対して、例えば、実験的にサンプル補償ジョイントに対する長期試験による、第1の所定の応力閾値との比較、また、第1の所定の破壊閾値との比較を含む。
【0043】
これらの応力及び故障に関する第1の閾値は、高いエンティティの突然の単一の応力の発生に関し、その応力は、統計的に有意な方法で、各々、永久ひずみを生じさせる、または補償ジョイント21を破壊に近い状況に導くおそれがある変形、加速度、またはそれらの組み合わせに関連し得る。
【0044】
これらの第1の閾値の実現に続いて、本方法は、各々、結果として補償ジョイント21の完全性及び/または残存耐用期間の状態の低下が生じる、補償ジョイント21に関する応力状況または破損リスク状況の発生を知らせるレポートの発行を提供する。
【0045】
代替として、または加えて、補償ジョイント21の完全性及び残存耐用期間の前述の評価は、一定期間で検出された前述の変形データの値の合計及び/または平均の比較について、前述の変形検出手段102の全てに関して、第2の応力閾値及び第2の破壊閾値と比較され、同じ補償ジョイント21に関して、各々、結果として補償ジョイント21の完全性及び/または残存耐用期間の状態の低下が生じる、長期の応力状況または破損のリスクの状況の発生の信号を送ることを含む。この場合も、検出データは、拡張もしくは圧縮の変形データ、単一の変形イベントのそれぞれの加速度値、または両方の組み合わせを含み得る。
【0046】
獲得及び記憶されたデータに基づいて、また、以前に計算された及び実験的に検証された、続いて、中央ユニット3で動作する評価手順で体系化及び加えられた補償ジョイント21の応力抵抗スキームにも基づいて、いつでも、ジョイント21の使用の現状の評価及びその残存耐用期間の信頼できる予想の両方を実行することが可能である。
【0047】
本発明の主要な実施形態によると、変形データの処理は、リモートデータ伝送手段4を用いる、オペレーティングセンター及び/または制御ラインのラインセクション1のサーベイランスを担当する人への前述の定期レポートの伝送前に、前述の中央ユニット3で実行される。
【0048】
本発明の代替の実施形態によると、変形データの前述の処理は、リモートデータ伝送手段4を用いて実行された伝送後、リモートオペレーティングセンターで実行される。この場合、中央ユニット3は、オペレーションセンターへの粗い変形のデータ伝送の役割があり、中央ユニット3は、補償ジョイント21の使用状態の定期レポートを生成する役割がある。
【0049】
上記に説明した評価方法によってもたらされる利点として、シンプルで信頼できる方法で、補償ジョイント21の実際の摩耗状況の一定に更新されたステータス、同様に、別の方法で取得するのが不可能になるであろう、または別の方法で取得するのが困難かつ高価になるであろう、補償ジョイント21の残存耐用期間の予想を利用可能にすることを含む。
【0050】
本発明の別の利点として、輸送ラインをメンテナンス及び保全することが許可された1人以上の関係者に、セクションに関する、または管理された輸送ライン構成要素に関する危機的になる可能性がある状況に関する早期警告情報を提供することが可能である監視システムを提案することを含む。したがって、事前に適切に任意のメンテナンス介入を準備することが可能であり、また、該当の分配ラインの特定の危険性も考慮し、対象のセクションの現場のそのアクセス性は、非常に多くの場合、困難である可能性がある。
【0051】
しかしながら、上記に説明してきたものは、例示的な値及び非限定的な値を有し、したがって、技術的な及び/または機能的な理由により必然的に起こり得る任意の詳細な変化は、以後、下記に報告される請求項によって定義された同じ保護範囲内に含まれることが考慮されることが理解される。
【国際調査報告】