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特表2024-529367カルボン酸又はアルキルエステルを製造するためのプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】カルボン酸又はアルキルエステルを製造するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   C07C 51/14 20060101AFI20240730BHJP
   C07C 53/122 20060101ALI20240730BHJP
   C07C 67/38 20060101ALI20240730BHJP
   C07C 69/24 20060101ALI20240730BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20240730BHJP
   B01J 37/20 20060101ALI20240730BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20240730BHJP
   B01J 27/224 20060101ALI20240730BHJP
   B01J 27/043 20060101ALI20240730BHJP
   B01J 35/61 20240101ALI20240730BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240730BHJP
【FI】
C07C51/14
C07C53/122
C07C67/38
C07C69/24
B01J37/08
B01J37/20
B01J37/02 101Z
B01J27/224 M
B01J27/043 M
B01J35/61
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502546
(86)(22)【出願日】2022-06-02
(85)【翻訳文提出日】2024-01-16
(86)【国際出願番号】 US2022031887
(87)【国際公開番号】W WO2023009211
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】63/227,491
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.NORPRO
2.NORIT
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】キリリン、アレクセイ
(72)【発明者】
【氏名】キロス、ベアタ エイ.
(72)【発明者】
【氏名】リー、ウェン-シェン
(72)【発明者】
【氏名】バートン、デイビッド ジー.
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169AA08
4G169AA09
4G169BA01A
4G169BA01B
4G169BA02A
4G169BA02B
4G169BA03A
4G169BA03B
4G169BA04A
4G169BA04B
4G169BA05A
4G169BA05B
4G169BA08A
4G169BA08B
4G169BB04A
4G169BB04B
4G169BB10A
4G169BB10B
4G169BB15A
4G169BB15B
4G169BC52A
4G169BC52B
4G169BC67A
4G169BC67B
4G169BD04A
4G169BD04B
4G169BD05A
4G169BD05B
4G169CB25
4G169CB62
4G169CB74
4G169CB75
4G169DA06
4G169EA02Y
4G169EB18Y
4G169EC02X
4G169EC02Y
4G169EC03X
4G169EC03Y
4G169EC04X
4G169EC04Y
4G169FA02
4G169FB14
4G169FB34
4G169FB40
4G169FB50
4G169FB57
4G169FC02
4G169FC07
4G169FC08
4H006AA02
4H006AB04
4H006AB10
4H006AB12
4H006AB50
4H006AC21
4H006AC46
4H006AC48
4H006BA20
4H006BA36
4H006BA55
4H006BA81
4H006BA85
4H006BB61
4H006BC10
4H006BE40
4H006BE60
4H006BS10
4H006KA32
4H039CA65
4H039CA66
4H039CF10
(57)【要約】
本発明は、一般に、カルボン酸又はアルキルエステルを製造するための気相プロセスに関する。一実施形態では、カルボン酸又はアルキルエステルを製造するための気相プロセスは、(a)触媒担体を提供することであって、触媒担体が、触媒担体の少なくとも一部の上にチオシアン酸コバルトの堆積物を含む、提供することと、(b)触媒担体を加熱して、担体上のチオシアン酸コバルトを硫化コバルトに変換して、担持硫化コバルト触媒を形成することと、(c)アルケンガス、水蒸気又はアルカノールガス、及び炭素含有ガスを、担持硫化コバルト触媒の存在下で反応器内で反応させて、生成物流を形成することであって、炭素含有ガスが、一酸化炭素又は一酸化炭素と二酸化炭素との混合物を含む、形成することと、を含み、水蒸気が反応物として使用される場合、生成物流がカルボン酸を含み、アルカノールガスが反応物として使用される場合、生成物流がアルキルエステルを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボン酸又はアルキルエステルを製造するための気相プロセスであって、
(a)触媒担体を提供することであって、前記触媒担体が、前記触媒担体の少なくとも一部の上にチオシアン酸コバルトの堆積物を含み、前記触媒担体が、5m/gを超える表面積を有する、提供することと、
(b)前記触媒担体を加熱して、前記担体上の前記チオシアン酸コバルトを硫化コバルトに変換して、担持硫化コバルト触媒を形成することと、
(c)アルケンガス、水蒸気又はアルカノールガス、及び炭素含有ガスを、前記担持硫化コバルト触媒の存在下で反応器内で反応させて、生成物流を形成することであって、前記炭素含有ガスが、一酸化炭素又は一酸化炭素と二酸化炭素との混合物を含む、形成することと、を含み、
水蒸気が反応物として使用される場合、前記生成物流がカルボン酸を含み、アルカノールガスが反応物として使用される場合、前記生成物流がアルキルエステルを含む、プロセス。
【請求項2】
前記触媒担体の少なくとも一部の上にチオシアン酸コバルトの堆積物を含む前記触媒担体が、チオシアン酸アニオンの存在下でコバルト(II)塩の水溶液を触媒担体と接触させて、前記水溶液を前記触媒担体の少なくとも一部の上に堆積させることによって形成される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
チオ硫酸コバルトを水に溶解して、チオシアン酸アニオンの存在下でコバルト(II)塩の前記水溶液を提供することを更に含む、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記水溶液が、コバルトに対して0.1モル当量を超えるコバルト(II)以外のカチオンを含まず、前記水溶液が、チオシアネートに対して0.1モル当量を超えるチオシアン酸アニオン以外のアニオンを含まない、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記触媒担体が、200℃~550℃の温度で加熱される、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
ステップ(b)において前記触媒担体を加熱する前に、不活性条件下、150℃以下の温度で、前記触媒担体の少なくとも一部の上にチオシアン酸コバルトの堆積物を含む前記触媒担体を乾燥させることを更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
25℃以下の温度で最大2体積パーセントのOを含む希釈酸素流で前記担持硫化コバルト触媒を不動態化することを更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記硫化コバルトが、CoS、Co、Co4、CoS、Co、Co、Co1-xS(式中、xは、0.2以下である)、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
バルク硫黄対コバルト原子比が、0.3以上である、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記触媒担体が、アルミナ、炭素、炭化ケイ素、シリカ、シリカ-アルミナ、ハーフニア、ジルコニア、チタニア、若しくはこれらの混合物を含むか、又は前記担持硫化コバルト触媒中のコバルト含有量が、前記担持硫化コバルト触媒の総重量に基づいて、5重量パーセント~50重量パーセントである、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記触媒担体の前記表面積が、10m/g超~最大800m/gである、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記触媒担体を加熱して、前記担体上の前記チオシアン酸コバルトを硫化コバルトに変換して、前記反応器の外部で担持硫化コバルト触媒を形成し、前記プロセスが、前記担持硫化コバルト触媒を前記反応器に添加することを更に含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記触媒担体を前記反応器内で加熱して、前記担体上の前記チオシアン酸コバルトを硫化コバルトに変換して、担持硫化コバルト触媒を形成する、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
カルボン酸選択性又はアルキルエステル選択性が、80モル%以上である、請求項1~13のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記アルケンガスがエチレンであるか、又は前記プロセスが連続的である、請求項1~14のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、カルボン酸又はアルキルエステルを製造するための気相プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
プロピオン酸などのカルボン酸は、除草剤、食品保存剤、プラスチック、可塑剤、及び化粧品における用途が見出されている多くの酸素化物の合成のための重要な中間体である。
【0003】
カルボン酸を製造するための様々な方法が知られている。プロピオン酸を例にとると、1つの商業的プロセスは、エチレンの液相ヒドロカルボキシル化に依存する。このプロセスでは、エチレン、一酸化炭素(carbon monoxide、CO)、及び水は、過酷な反応条件下(例えば、250~320℃及び100~300バール)で、毒性の高いNi(CO)触媒の存在下で、プロピオン酸に直接変換される。
【0004】
カルボン酸を製造するための第2の液相法は、オレフィンヒドロホルミル化を使用し、続いてアルデヒドを酸化してカルボン酸を製造する。プロピオン酸を製造するためのこの商業的に実施されている二段階反応プロセスでは、第1の段階でエチレンのヒドロホルミル化を介してプロパナールが製造され、第2の段階でプロパナールがプロピオン酸に酸化される(“Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry”Vol.30,pp.295-311(2012))。
【0005】
カルボン酸を製造する別の経路は、炭化水素の直接酸化である(“Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry”Vol.30,pp.295-311(2012))。炭化水素の直接酸化はまた、ナフサからの酢酸合成の間の副生成物としてプロピオン酸を生成するために使用され得る(“Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry”Vol.30,pp.295-311(2012))。
【0006】
エチレンの液相一段階ヒドロカルボキシル化は、二段階ヒドロホルミル化/酸化経路と比較してエチレン収率において利点を有する。しかしながら、腐食性及び毒性のニッケルカルボニル触媒を使用する高圧反応器を操作することに伴うコスト及びリスクのために、工業的使用が制限されていることが分かっている。
【0007】
上に挙げたプロセスは、液相中での反応に関する。気相ヒドロカルボキシル化に関する公開文献は限られている。初期の研究は、水蒸気をCO及びオレフィンと混合することによるカルボン酸の形成を記載していた。触媒の例は、木炭(米国特許第2,089,903号参照)、ZnCl(米国特許第1,924,767号参照)及び酸化タングステン(米国特許第2,008,348号参照)であり、全ての場合において、触媒は金属ハロゲン化物と組み合わせて使用された。これらの研究は25~900気圧の圧力範囲を示しているが、実施例は600~700気圧で実施されている。
【0008】
米国特許第3,501,518号は、カルボニル化反応が硫化Pdによって活性化され得ることを開示している。反応は、液相中、30~180℃の温度範囲、5~100Mpa(49~987atm)の圧力で行われ、ハロゲン化物又は共触媒、例えば酸及び有機ホスフィン又はニトリルの添加を必要とする。
【0009】
最近、開示された米国特許第10,144,693号は、第VIII族金属硫化物触媒を用いる改良された気相ヒドロカルボキシル化プロセスを開示した。これは、高いプロピオン酸選択性を可能にするバルク触媒及び担持触媒を含んでいた。米国特許第10,144,693号にも、硫化コバルト触媒の調製方法が記載されていた。
【0010】
プロピオン酸メチル、プロピオン酸n-プロピル、プロピオン酸n-ブチル、及びプロピオン酸n-ペンチルなどのアルキルエステルは、数ある用途の中でも、ラッカー、インク、塗料、コーティング、フィルム、及び香料における用途が見出される溶媒にとって重要である。
【0011】
脂肪族カルボン酸のアルキルエステル、例えばメタクリル酸メチル(methyl methacrylate、MMA)を製造するための様々な方法が知られている。1つの商業的方法は、アセトンシアノヒドリン(acetone cyanohydrin、ACH)技術のみに依存しており、すなわち、アセトンをシアン化水素と反応させてACHを形成し、続いて酸補助加水分解及びメタノールによるエステル化を行って、年間約400キロトンのMMAを製造する。ACH経路は伝統的に米国及び世界の他の地域で使用されるコア技術であったが、将来の容量増加のために、より低コストの代替技術が検討されている。これらの代替技術のいくつかは、エチレン系である。そのような方法の1つは、エチレンのプロピオンアルデヒドへのヒドロホルミル化、それに続くメタクロレイン(methacrolein、MA)を形成するための縮合、及びその後のMMAを形成するための酸化及びエステル化である。別の経路は、均一系パラジウム系触媒を使用してプロピオン酸メチルを作製し、次いでこれを第2の段階でホルムアルデヒドと縮合させてMMAを作製する二段階液相プロセスであるアルファプロセスである。このプロセスは、国際公開第1999/021820号に記載されている。エチレンのプロピオン酸メチルへの液相カルボニル化のための均一系触媒の他の報告としては、米国特許第3,507,891号(コバルト-ピリジン触媒)、Chem.Commun.,2001,47-48(ロジウム/b-ケトホスフィン触媒)、及びJ.Molecular Catalysis 40(1987)243-254,Hidai et al.(ルテニウム-ヨウ化物触媒)がある。
【0012】
気相で作動する不均一触媒の1つの報告は、Bhattacharyya,S.K.and Nag,S.N.,Brennstoff-Chemie,Vol.43,p.114-118(1962)によるものである。この研究は、気相中でエチレン、CO及びメタノールからプロピオン酸メチルを合成するために、シリカゲル上に担持された金属ヨウ化物を使用することを記載している。このプロセスは、大量の望ましくない副生成物酸素化物及び炭化水素化合物を生成し、253バール(25.3MPa)の圧力で動作する。
【0013】
最近、米国特許第9,938,226号は、第VIII族金属硫化物触媒を用いてアルキルアルカノエートを製造するための気相カルボニル化プロセスを開示した。米国特許第9,938,226号にも、硫化コバルト触媒の調製方法が記載されていた。
【0014】
米国特許第9,938,226号及び米国特許第10,144,693号に記載されている硫化コバルト触媒の調製方法に加えて、欧州特許第0065028(A1)号及びThermochimica Acta 425(2005),pp.13-21に記載されているように、追加の有機配位子及び/又は空気酸化を用いる、硫化コバルト触媒を調製するための代替的なアプローチがある。しかしながら、そのようなアプローチは、望ましくないCo酸化物をもたらし得る。ロシア特許第2677285号は、CoOを使用し、水素ガスで酸化物を硫化物に変換することを試みている。
【0015】
カルボン酸及び/又はアルキルエステルを製造するための代替的な気相プロセスを有することが望ましい。
【発明の概要】
【0016】
本発明の実施形態は、有利なことに、カルボン酸及び/又はアルキルエステルを製造するための代替気相プロセスを提供する。このようなプロセスは、多くの利点を提供する様式で調製された担持硫化コバルト触媒を利用する。例えば、プロセスは多用途であり、いくつかの実施形態では、Al、SiO、炭素、及びSiCなどの様々な担体を使用した触媒の調製を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、カルボニル化反応は、驚くべきことに、ハロゲン化物又は他の共触媒を必要とせずに硫化コバルト触媒を使用して進行することができ、中程度の圧力で進行することができる。いくつかの実施形態では、硫化コバルト触媒は、98%を超える高い選択性及び従来のバルク硫化コバルト触媒に匹敵するか又はそれを超える生産性を達成する直接プロピオン酸合成において有望な性能を示すことができる。
【0017】
一態様では、カルボン酸又はアルキルエステルを生成するための気相プロセスは、
(a)触媒担体を提供することであって、触媒担体が、触媒担体の少なくとも一部の上にチオシアン酸コバルトの堆積物を含み、触媒担体が、5m/g超の表面積を有する、提供することと、
(b)触媒担体を加熱して、担体上のチオシアン酸コバルトを硫化コバルトに変換して、担持硫化コバルト触媒を形成することと、
(c)アルケンガス、水蒸気又はアルカノールガス、及び炭素含有ガスを、担持硫化コバルト触媒の存在下で反応器内で反応させて、生成物流を形成することであって、炭素含有ガスが、一酸化炭素又は一酸化炭素と二酸化炭素との混合物を含む、形成することと、を含み、
水蒸気が反応物として使用される場合、生成物流はカルボン酸を含み、アルカノールガスが反応物として使用される場合、生成物流はアルキルエステルを含む。
【0018】
これら及び他の実施形態は、「発明を実施するための形態」において、より詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示は、概して、カルボン酸又はアルキルエステルを製造するための気相プロセスに関する。本プロセスは、多くの利点を提供する様式で調製される担持硫化コバルトを利用する。一般に、触媒担体は、その少なくとも一部の上にチオシアン酸コバルトの堆積物を提供され、次いで加熱されて担体上のチオシアン酸コバルトを硫化コバルトに変換し、担持硫化コバルト触媒を形成する。本明細書で更に説明するように、このような担持硫化コバルト触媒は、カルボン酸及びアルキルエステルの合成において良好に機能し、特に従来のバルク硫化コバルト触媒と比較した場合に、高い選択性及び生産性を達成する。
【0020】
元素の周期表への全ての言及は、CRC Handbook of Chemistry and Physics,71st Ed.(1990~1991)の1~10頁に公開されている元素の周期表を指す。また、族へのいずれの言及も、族を番号付けするためのIUPACシステムを使用してその元素の周期表に反映された族に対するものとする。相反する記載がない限り、文脈から黙示的でない限り、又は当該技術分野で慣習的でない限り、全ての部及びパーセントは重量に基づき、全ての試験方法は本開示の出願日時点で最新のものである。米国特許慣行のため、参照されるいかなる特許、特許出願、又は刊行物の内容は、特に合成技術、製品及び加工設計、ポリマー、触媒、定義(本開示に具体的に提供されるいかなる定義とも矛盾しない程度まで)の開示、及び当該技術分野における一般的知識に関して、参照により組み込まれる(又はその米国版に相当するものの全体が、参照によりそのように組み込まれる)。
【0021】
本開示における数値範囲は近似値であり、したがって、別途示されない限り、範囲外の値を含み得る。数値範囲には、1つの単位の増分で下限値及び上限値を含む全ての値が含まれるが、但し、任意の下限値と任意の上限値との間で少なくとも2つの単位の分離があることを条件とする。一例として、例えば分子量、重量パーセントなどの組成的、物理的、又は他の特性が100~1,000である場合、100、101、102などの全ての個々の値及び100~144、155~170、197~200などの副範囲が明示的に列挙されることが意図される。1未満である値を含有するか、又は1より大きい分数(例えば、1.1、1.5など)を含有する範囲については、1つの単位は、適切な場合には、0.0001、0.001、0.01、又は0.1とみなされる。10桁未満の1桁の数字(例えば、1~5)を含有する範囲の場合、1つの単位は典型的には0.1とみなされる。これらは、具体的に意図されるものの例に過ぎず、列挙された最低値と最高値との間の全ての可能な数値の組み合わせは、本開示において明示的に記述されているとみなされるべきである。数値範囲は、とりわけ、本発明のプロセスにおける種々の反応物の量及び本発明のプロセスの操作条件について、本開示内で提供される。
【0022】
本明細書で使用される場合、「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つ」、及び「1つ以上」は、互換的に使用される。「含む(comprise)」、「含む(include)」という用語、及びそれらの変形は、これらの用語が明細書及び特許請求の範囲に現れる場合に限定的な意味を有しない。したがって、例えば、「1つの」疎水性ポリマーの粒子を含む水性組成物は、組成物が「1つ以上の」疎水性ポリマーの粒子を含むことを意味すると解釈され得る。
【0023】
本明細書で使用される場合、「ppmw」という用語は、重量百万分率を意味する。弱塩基性アミンの濃度を評価するために使用される場合、「ppmw(窒素基準)」という句は、アミン窒素の重量を混合物の総重量で除算したものに基づく。これは、分析をアミンの分子量から独立させ、弱塩基性アミン上の活性基に焦点を合わせる。アミン窒素は、四級アミンなどの酸と反応し得ない窒素部分を含まない。
【0024】
「組成物」及び類似の用語は、2つ以上の構成成分の混合物又はブレンドを意味する。
【0025】
「ヒドロキシカルボニル化条件」及び類似の用語は、アルケン、一酸化炭素及び水(これらのうちの1つ以上は、少なくとも部分的に気体の形態である)が、固体硫化物含有触媒上で及び固体硫化物含有触媒と接触して互いに反応してカルボン酸を形成するのに必要な温度、圧力及び他の条件を意味する。一実施形態では、アルケン、CO、水のそれぞれは、少なくとも部分的に気体の形態である。一実施形態では、アルケン、CO、及び水のそれぞれは、完全に又はほぼ完全に気体の形態である。
【0026】
「ハロゲンを含まないヒドロキシカルボニル化条件」及び類似の用語は、アルケン、CO、及び水が硫化物含有触媒上で接触してカルボン酸を形成する空間に、任意の形態のハロゲンが存在しないか、又は本質的に存在しないヒドロキシカルボニル化条件を意味する。「本質的に存在しない」とは、ハロゲンの文脈において、反応空間内に存在する任意のハロゲンが、所望のカルボン酸への反応物の転化率又は選択性に実質的に影響を及ぼさない量で存在することを意味する。このようなハロゲン源は、例えば、反応若しくは触媒への供給物のうちの1つ以上から(例えば、汚染物質として)、又は装置の一部の表面などからであり得る。一実施形態では、「ハロゲンを含まない」とは、反応物の合計重量に基づいて、1000パーツパーミリオン(parts per million、ppm)未満、好ましくは10ppm未満、より好ましくは1ppm未満を意味する。
【0027】
「カルボニル化条件」及び類似の用語は、アルケン、一酸化炭素、及びアルカノール(これらのうちの1つ以上は、少なくとも部分的に気体の形態である)が、固体硫化物含有触媒上で及び固体硫化物含有触媒と接触して互いに反応してアルキルアルカノエートを形成するのに必要な温度、圧力、及び他の条件を意味する。一実施形態では、アルケン、CO、及びアルカノールのそれぞれは、少なくとも部分的に気体の形態である。一実施形態では、アルケン、CO及びアルカノールのそれぞれは、完全に又はほぼ完全に気体の形態である。
【0028】
「ハロゲンを含まないカルボニル化条件」及び類似の用語は、アルケン、CO、及びアルカノールが硫化物含有触媒上で接触してアルキルアルカノエートを形成する空間に、任意の形態のハロゲンが存在しないか、又は本質的に存在しないカルボニル化条件を意味する。「本質的に存在しない」とは、反応空間内に存在する任意のハロゲンが、所望のアルキルアルカノエートへの反応物の転化率又は選択性に実質的に影響を及ぼさない量で存在することを意味する。このようなハロゲン源は、例えば、反応又は触媒への供給物のうちの1つ以上から(例えば、汚染物質として)、又は装置の一部の表面などからであり得る。一実施形態では、「ハロゲンを含まない」は、反応物の合計重量に基づいて、1000パーツパーミリオン(ppm)未満、好ましくは10ppm未満、より好ましくは1ppm未満を意味する。
【0029】
「縮合条件」及び類似の用語は、それぞれ気体の形態のアルキルアルカノエート及びアルデヒドが、固体縮合触媒上で及び固体縮合触媒と接触して互いに反応して脂肪族カルボン酸のアルキルエステルを形成するのに必要な温度、圧力及び他の条件を意味する。
【0030】
一態様では、カルボン酸又はアルキルエステルを製造するための気相プロセスは、(a)触媒担体を提供することであって、触媒担体が、触媒担体の少なくとも一部の上にチオシアン酸コバルトの堆積物を含み、触媒担体が、5m/g超の表面積を有する、提供することと、(b)触媒担体を加熱して、担体上のチオシアン酸コバルトを硫化コバルトに変換して、担持硫化コバルト触媒を形成することと、(c)アルケンガス、水蒸気又はアルカノールガス、及び炭素含有ガスを、担持硫化コバルト触媒の存在下で反応器内で反応させて、生成物流を形成することであって、炭素含有ガスが、一酸化炭素又は一酸化炭素と二酸化炭素との混合物を含む、形成することと、を含み、水蒸気が反応物として使用される場合、生成物流がカルボン酸を含み、アルカノールガスが反応物として使用される場合、生成物流がアルキルエステルを含む、プロセス。
【0031】
いくつかの実施形態では、触媒担体の少なくとも一部の上にチオシアン酸コバルトの堆積物を含む触媒担体は、チオシアン酸アニオンの存在下でコバルト(II)塩の水溶液を触媒担体と接触させて、水溶液を触媒担体の少なくとも一部の上に堆積させることによって形成される。したがって、いくつかの実施形態では、本プロセスは、チオシアン酸アニオンの存在下でコバルト(II)塩の水溶液を触媒担体と接触させて、水溶液を触媒担体の少なくとも一部の上に堆積させ、チオシアン酸コバルトの堆積物を含む触媒担体を形成することを更に含む。いくつかの実施形態では、チオシアン酸アニオンの存在下でのコバルト(II)塩は、最初にチオ硫酸コバルトを水に溶解することによって提供される。そのような実施形態では、本プロセスは、チオ硫酸コバルトを水に溶解して、チオシアン酸アニオンの存在下でコバルト(II)塩の水溶液を提供することを更に含む。これは、1つの化合物にコバルトを提供し、別の化合物にチオシアネートを提供することよりも特に有利である。なぜなら、そのようなアプローチは、コバルトに関連するアニオン及びチオシアネートに関連するカチオンの除去を必要とするからである。いくつかの実施形態では、水溶液は、コバルトに対して0.1モル当量を超えるコバルト(II)以外のカチオンを含まず、水溶液は、チオシアネートに対して0.1モル当量を超えるチオシアン酸アニオン以外のアニオンを含まない。
【0032】
触媒担体を加熱して、担体上のチオシアン酸コバルトを硫化コバルトに変換して、担持硫化コバルト触媒を形成する場合、一部の実施形態では、触媒担体は200℃~550℃の温度で加熱される。
【0033】
いくつかの実施形態では、本発明のプロセスは、触媒担体を加熱して、担体上のチオシアン酸コバルトを硫化コバルトに変換して、担持硫化コバルト触媒を形成する前に、不活性条件下、150℃以下の温度で、触媒担体の少なくとも一部の上にチオシアン酸コバルトの堆積物を含む触媒担体を乾燥させることを更に含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、触媒担体を加熱して、担体上のチオシアン酸コバルトを硫化コバルトに変換して、反応器の外部で担持硫化コバルト触媒を形成し、本プロセスは、担持硫化コバルト触媒を反応器に添加することを更に含む。他の実施形態では、触媒担体を反応器内で加熱して、担体上のチオシアン酸コバルトを硫化コバルトに変換して、担持硫化コバルト触媒を形成する。
【0035】
いくつかの実施形態では、本発明のプロセスは、25℃以下の温度で最大2体積パーセントのOを含む希釈酸素流で担持硫化コバルト触媒を不動態化することを更に含む。いくつかの実施形態では、例えば、担持硫化コバルト触媒が反応器内で形成される場合、不動態化ステップは必要とされない場合がある。
【0036】
いくつかの実施形態では、アルケンガスはエチレンである。
【0037】
いくつかの実施形態では、本発明のフィルムは連続的である。
【0038】
生成物流がカルボン酸を含むいくつかの実施形態では、カルボン酸選択性は80モル%以上である。生成物流がアルキルエステルを含むいくつかの実施形態では、アルキルエステル選択性は80モル%以上である。
【0039】
いくつかの実施形態では、カルボン酸又はアルキルエステルを形成するための反応(例えば、アルケンガス、水蒸気又はアルカノールガス、及び炭素含有ガスを担持硫化コバルト触媒の存在下で反応させて生成物流を形成すること)は、0.1MPa~10MPaの圧力で反応器内で起こる。
【0040】
担持硫化コバルト触媒
本発明の気相プロセスで使用される触媒は、担持金属硫化物触媒である。
【0041】
本発明の実施形態で使用される担持硫化コバルト触媒は、触媒担体の少なくとも一部の上にチオシアン酸コバルトの堆積物を含む触媒担体を最初に形成することによって有利に作製することができる。様々な実施形態では、種々の触媒担体を使用することができる。一般に、触媒担体は、本明細書に記載の反応条件で使用するのに十分な機械的強度及び表面特性を有するべきである。機械的強度に関して、いくつかの実施形態では、触媒担体は、2ポンド/ミリメートルを超える破砕強度を有する。表面積に関して、触媒担体は、5m/グラム以上の表面積を有する。いくつかの実施形態では、触媒担体は、いくつかの実施形態では10m/グラム以上、好ましい実施形態では50m/グラム以上、より好ましい実施形態では100m/グラム以上の表面積を有する。いくつかの実施形態では、触媒担体の表面積は、10m/g超~最大800m/gである。本明細書で使用される場合、触媒担体の表面積は、Micromeritics ASAP 2420装置で従来技術を使用して、77.4Kで窒素吸着によって測定される。吸着測定の前に、試料を真空中、300℃で少なくとも3時間脱気する。表面積は、当業者に知られているBET法を用いて計算される。
【0042】
いくつかの実施形態では、触媒担体は、アルミナ、炭素、炭化ケイ素、シリカ、シリカ-アルミナ、ハーフニア(halfnia)、ジルコニア、チタニア、及びそれらの混合物であり得る。
【0043】
次いで、触媒担体をチオシアン酸アニオンの存在下でコバルト(II)塩の水溶液と接触させて、水溶液を触媒担体の少なくとも一部の上に堆積させる。いくつかの実施形態では、チオ硫酸コバルトを最初に水に溶解して、チオシアン酸アニオンの存在下でコバルト(II)塩の水溶液を提供し、これを触媒担体と接触させる。
【0044】
チオシアン酸アニオンの存在下でのコバルト(II)塩は、最初にチオ硫酸コバルトを水に溶解することによって提供される。そのような実施形態では、本プロセスは、チオ硫酸コバルトを水に溶解して、チオシアン酸アニオンの存在下でコバルト(II)塩の水溶液を提供することを更に含む。これは、1つの化合物にコバルトを提供し、別の化合物にチオシアネートを提供することよりも特に有利である。なぜなら、そのようなアプローチは、コバルトに関連するアニオン及びチオシアネートに関連するカチオンの除去を必要とするからである。
【0045】
チオシアン酸アニオンの存在下でコバルト(II)塩の水溶液と接触させたら、コーティングされた触媒担体を乾燥させて、実質的に全ての水を除去することができる。例えば、いくつかの実施形態では、コーティングされた触媒担体は、不活性条件下で2~5時間、150℃未満の温度で乾燥させることができる。乾燥されると、触媒担体は、触媒担体の少なくとも一部の上にチオシアン酸コバルトの堆積物を含む。
【0046】
次いで、チオシアン酸コバルトの堆積物を含む触媒担体を加熱して、担体上のチオシアン酸コバルトを硫化コバルトに変換して、担持硫化コバルト触媒を形成する。いくつかの実施形態では、触媒担体は、200℃~550℃の温度で加熱されて、チオシアン酸コバルトを硫化コバルトに変換する。いくつかの実施形態では、触媒担体を加熱して、200℃~550℃の温度で不活性ガス流中で担体上のチオシアン酸コバルトを硫化コバルトに変換する。いくつかの実施形態では、触媒担体を反応器(カルボン酸又はアルキルエステルが形成される)内で加熱して、担体上のチオシアン酸コバルトを硫化コバルトに変換することができる。他の実施形態では、触媒担体は、反応器の外側で加熱され、次いで、反応における使用のために適切な時間に反応器に提供され得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、本発明のプロセスは、25℃以下の温度で最大2体積パーセントのOを含む希釈酸素流で担持硫化コバルト触媒を不動態化することを更に含む。担持硫化コバルト触媒を不動態化することは、硫化コバルト粒子の過剰酸化を回避し、使用前に触媒を保護するのに役立ち得る。いくつかの実施形態では、例えば、担持硫化コバルト触媒が反応器内で形成される場合、不動態化ステップは必要とされない場合がある。
【0048】
硫化コバルトは、多数の相を含むことができる。いくつかの実施形態では、硫化コバルトは、CoS、Co、Co、CoS、Co、Co、Co1-xS(式中、xは、0.2以下である)、又はそれらの組み合わせを含む。触媒担体上の硫化コバルトの多くは結晶性であってもよいが、一部の実施形態では、硫化コバルトの少なくとも一部は非晶質であってもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、触媒担体は、アルミナ、炭素、炭化ケイ素、シリカ、シリカ-アルミナ、ハーフニア、ジルコニア、チタニア、又はそれらの混合物を含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、硫化コバルト中のバルク硫黄対コバルト原子比は、0.3以上である。いくつかの実施形態では、硫化コバルト中のバルク硫黄対コバルト原子比は、0.75以上である。いくつかの実施形態では、硫化コバルト中のバルク硫黄対コバルト原子比は、最大2.0である。
【0051】
いくつかの実施形態では、担持硫化コバルト触媒中のコバルト含有量は、担持硫化コバルト触媒の総重量に基づいて、5重量パーセント~50重量パーセントである。
【0052】
いくつかの実施形態では、担持硫化コバルト触媒中の酸化コバルト含有量は、酸化コバルト及び硫化コバルトの総含有量に基づいて5重量パーセント未満である。
【0053】
カルボン酸の製造
反応物
本発明の気相プロセスのいくつかの実施形態によるカルボン酸の生成において、反応物は、アルケンガス、水蒸気(すなわち、ガス状水)、及び炭素含有ガスであり、炭素含有ガスは、一酸化炭素又は一酸化炭素と二酸化炭素との混合物を含む。アルケンガスは、モノオレフィン又はポリオレフィンのいずれか、すなわち2つ以上の二重結合を含有することができる。モノオレフィンアルケンは、式C2nのものであり、式中、nは、1より大きい整数、典型的には2~8、より典型的には2~6である。いくつかの実施形態では、nは、2である(すなわち、アルケンは、エチレンである)。いくつかの実施形態では、アルケンの混合物を用いることができる。例えば、4つ以上の炭素原子を含有する市販のアルファオレフィンは、少量の対応する内部オレフィン及び/又はそれらの対応する飽和炭化水素を含有し得、そのような市販のアルケンは、使用前に必ずしもそれらから精製される必要はない。
【0054】
炭素含有ガスは、一酸化炭素又は一酸化炭素と二酸化炭素との混合物であり得る。いくつかの実施形態では、炭素含有ガスは一酸化炭素である。そのような実施形態では、一酸化炭素は、そのままで、又は反応条件下で反応試薬、生成物、及び副生成物に対して不活性である1つ以上の他のガスと組み合わせて使用することができる。このような他のガスとしては、窒素及び希ガスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
「アルケン」及び「オレフィン」という用語は、本明細書では互換的に使用される。例示的なアルファ及び内部オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、2-ブテン、2-メチルプロペン(イソブチレン)、2-メチルブテン、2-ペンテン、2-ヘキセン、3-ヘキセン、2-ヘプテン、シクロヘキセン、ブタジエン、スチレン、1,4-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン、並びにアルキルアルケノエート、アルケニルアルカノエート、アルケニルアルキルエーテル、アルケノール、アルケナールなどが挙げられる。一酸化炭素と同様に、アルケンは、不純物及び汚染物質などの他の化合物を含み得る。アルケンの場合、これらの化合物のいくつかは、アルケンが形成されたプロセスの結果として存在し得る。例えば、シェールガス又は天然ガスなどのメタン含有源は、当業者に周知の技術によってアルケンに変換することができる。アルケン製造プロセスに応じて、CO、H、CO、及び/又は他のものなどの副生成物がアルケン中に存在し得る。したがって、いくつかの実施形態では、本発明の気相プロセスは、ハロゲンを含まないヒドロキシカルボニル化条件下、250℃超~400℃の温度で、アルケンガス、一酸化炭素ガス、水蒸気、及び担持硫化コバルト触媒を接触させることによってカルボン酸を製造することを含むが、但し、アルケン、好ましくはエチレンは、シェールガス又は天然ガスなどのメタン含有源から誘導される。
【0056】
水(液体又は気体)は純粋であっても希釈されていてもよい。いくつかの実施形態では、水は、アルコール、酸、及び他の酸素化物を含む、水を提供する任意の前駆体によって少なくとも部分的に提供され得る。
【0057】
触媒
反応に使用される触媒は、上記の担持硫化コバルト触媒である。
【0058】
プロセス条件及び装置
本発明のプロセスは、固体触媒上で気相中で行われる。したがって、一実施形態では、アルケン、炭素含有ガス(例えば、CO)及び水は、ガスとして導入され、固体触媒床の上で及び固体触媒床と接触して互いに接触する。反応物は、単一又は複数の供給流で導入することができる。炭素含有ガスが一酸化炭素を含む実施形態では、CO対アルケンのモル比は、典型的には少なくとも1:1、典型的には少なくとも3:1、より典型的には3:1~50:1、更により典型的には3:1~15:1である。アルケン対蒸気のモル比は、典型的には少なくとも0.1:1、より典型的には少なくとも0.5:1、より典型的には0.1:1~10:1、更により典型的には0.2:1~2:1である。
【0059】
本プロセスは、連続モード又はバッチモードのいずれかで操作することができるが、本プロセスは好ましくは連続モードで操作される。
【0060】
プロセス温度は、250℃超~450℃、260℃~400℃、又は280℃~350℃であってもよい。プロセスの全圧は、0.1~30MPa、又は1.5~6MPaであり得る。プロセスのガス毎時空間速度は、典型的には1時間当たり触媒1リットル当たりガス供給物100~1,000,000リットル(L/L*時)、より典型的には500~5,000L/L*時である。
【0061】
一実施形態では、反応は、固定床反応器内で行われる。一実施形態では、反応器は、管型反応器である。典型的なプロトコルでは、温度及び圧力をゆっくりと反応条件まで上昇させる。触媒は、不活性ガス(窒素又はヘリウムなど)、一酸化炭素、アルケン、水、任意選択で少量のHSなどの硫黄含有ガス、及び上記の任意の組み合わせを含む供給物に曝露することができる。他の硫黄含有ガスの例としては、メルカプタン、チオフェン、ジメチルスルフィド及びジメチルジスルフィドが挙げられるが、これらに限定されない。供給ガスはまた、例えば水素などの不純物又は汚染物質を含んでもよい。反応器からの流出ガスをガスクロマトグラフィー(gas chromatography、GC)によって分析して、生成物組成及び変換されたCOの量を決定することができる。
【0062】
アルキルエステルの製造
反応物
本発明の気相プロセスのいくつかの実施形態によるアルキルエステルの生成において、反応物は、アルケンガス、アルカノールガス、及び炭素含有ガスであり、炭素含有ガスは、一酸化炭素又は一酸化炭素と二酸化炭素との混合物を含む。アルケンガスは、式C2nのものであり、式中、nは、1より大きい(>)整数であり、典型的には2~8、より典型的には2~6である。いくつかの実施形態では、nは、2である(すなわち、アルケンは、エチレンである)。いくつかの実施形態では、アルケンの混合物を用いることができる。例えば、4つ以上の炭素原子を含有する市販のアルファオレフィンは、少量の対応する内部オレフィン及び/又はそれらの対応する飽和炭化水素を含有し得、そのような市販のアルケンは、使用前に必ずしもそれらから精製される必要はない。
【0063】
炭素含有ガスは、一酸化炭素又は一酸化炭素と二酸化炭素との混合物であり得る。いくつかの実施形態では、炭素含有ガスは一酸化炭素である。そのような実施形態では、一酸化炭素は、そのままで、又は反応条件下で反応試薬、生成物、及び副生成物に対して不活性である1つ以上の他のガスと組み合わせて使用することができる。このような他のガスとしては、窒素及び希ガスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
アルカノール(すなわちアルコール)ガスは、典型的には、シアノ、カルボニル、アルコキシ又はアリール基などの1つ以上の置換基を含有してもよいC1~8アルカノールである。例示的なアルカノールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、2-プロパノール、2-ブタノール、t-ブチルアルコール及びカプリルアルコールが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の目的のために、ポリヒドロキシル化合物(例えば、ジオール及び糖)は、本発明の実施において使用され得るアルカノールと考えられる。メタノールは、いくつかの実施形態では、特に有用なアルカノールである。
【0065】
触媒
反応に使用される触媒は、上記の担持硫化コバルト触媒である。
【0066】
プロセス条件及び装置
本発明のプロセスは、固体触媒上で気相中で行われる。したがって、一実施形態では、アルケン、炭素含有ガス(例えば、CO)、及びアルカノールは、ガスとして導入され、固体触媒床の上で及び固体触媒床と接触して互いに接触する。反応物は、単一又は複数の供給流で導入することができる。炭素含有ガスが一酸化炭素を含む実施形態では、CO対アルケンのモル比は、典型的には少なくとも1:1、典型的には少なくとも3:1、より典型的には3:1~50:1、更により典型的には3:1~15:1である。アルケン対アルカノールのモル比は、典型的には少なくとも0.1:1、より典型的には少なくとも0.5:1、より典型的には0.1:1~10:1、更により典型的には0.2:1~2:1である。
【0067】
このプロセスは、連続モード又はバッチモードのいずれかで操作され得るが、このプロセスは、典型的に及び好ましくは、連続モードで操作される。
【0068】
プロセス温度は、典型的には120℃~450℃、より典型的には250℃~380℃、更により典型的には280℃~340℃である。プロセスの全圧は、典型的には0.1~20MPa、より典型的には1.5~6MPaである。本プロセスの空間速度は、典型的には1時間当たり触媒1リットル当たりガス供給物100~1,000,000リットル(L/L*時)、より典型的には500~5,000L/L*時である。
【0069】
一実施形態では、反応は、高圧固定床反応器内で行われる。一実施形態では、反応器は、管型反応器である。典型的なプロトコルでは、温度及び圧力をゆっくりと反応条件まで上昇させる。触媒は、不活性ガス(窒素又はヘリウムなど)、水素、少量のHS、一酸化炭素、オレフィン、アルカノール及び上記の任意の組み合わせからなる供給物に曝露することができる。反応器からの流出ガスをガスクロマトグラフィー(GC)によって分析して、生成物組成及び変換されたCOの量を決定する。
【0070】
本発明の気相プロセスの一実施形態では、エチレン、CO、及びメタノールをカルボニル化条件下で担持硫化コバルト触媒上及び担持硫化コバルト触媒と接触して接触させ、プロピオン酸メチルを形成する。
【0071】
脂肪族カルボン酸のアルキルエステルの製造
本発明の一実施形態では、上記の気相プロセスで製造されたアルキルエステルをアルデヒドと縮合させて、脂肪族カルボン酸のアルキルエステルを形成する。アルキルエステルがプロピオン酸メチルであり、アルデヒドがホルムアルデヒドである場合、生成物はメタクリル酸メチル(MMA)である。この縮合反応の装置、条件及びプロトコルは当業者に周知である。
【0072】
本発明のいくつかの実施形態を、以下の実施例においてより詳細に説明する。
【実施例
【0073】
以下の実施例における全ての部及び百分率は、他に示されていない限り重量による。別段の指示がない限り、圧力は絶対圧力として記載される。
【0074】
触媒の合成
多くの触媒が記載されているように合成される。本発明の実施例として記載される触媒は、本発明のいくつかの実施形態による気相プロセスにおいて使用することができる。
【0075】
本発明の実施例1
触媒Co/Alは、初期湿潤含浸法によって調製される。脱イオン水中のチオシアン酸コバルト(II)の含浸溶液を2モルの濃度で調製する。次いで、7.86グラムの40~80メッシュサイズのAl担体(NORPRO SA31132)を磁製皿に入れ、7.86ミリリットルの含浸溶液を穏やかに振盪しながら滴下する。担体の特性を表1a~1bに示す。
【0076】
表1a~1bでは、担体の表面積をMicromeritics ASAP2420装置で従来技術を使用して、77.4Kで窒素吸着によって測定する。吸着測定の前に、試料を真空中、300℃で少なくとも3時間脱気する。表面積は、当業者に知られているBET法を用いて計算される。
【0077】
含浸された触媒を有する磁製皿をステンレススチールドラムに入れ、ここで触媒を乾燥させ、以下の手順を用いて純粋なNの流れ(オーバーヘッド流5.5L/分)中で自己還元させる。N流を室温で30分間流し、室温から120℃まで2℃/分で上昇させ、120℃で2時間滞留させ、120から550℃まで3℃/分で上昇させ、550℃で4時間滞留させ、室温20~25℃(24時間~48時間)まで冷却する。次いで、触媒を1体積%のO/N流中で室温(20~25℃)で2時間不動態化させ、次いでガス流中の酸素濃度を21体積%のO/Nまで徐々に増加させる。ステンレス鋼ドラムを開ける前に、触媒を21体積%のO/N中で1時間パージする。結果は黒色物質である。触媒組成をX線蛍光(X-ray fluorescence、XRF)及びX線回折(X-ray diffraction、XRD)によって決定し、表2a~2bに報告する。
【0078】
本発明の実施例2
触媒Co/Alは、初期湿潤含浸法によって調製される。担体はAlである(NORPRO SA6173、担体特性を表1a~1bに報告する)。担体を粉砕し、40~80メッシュサイズに篩い分けする。本発明の実施例1で使用したのと同じ触媒調製方法を使用する。使用した担体の質量は9.14グラムである。初期湿潤含浸に使用される2Mのチオシアン酸コバルト(II)溶液の体積は、8.226ミリリットルである。触媒組成をXRF及びXRDによって決定し、表2a~2bに報告する。
【0079】
本発明の実施例3
触媒Co/Alは、初期湿潤含浸法によって調製される。担体はAlである(NORPRO SA6178、担体特性を表1a~1bに報告する)。担体を粉砕し、40~80メッシュサイズに篩い分けする。本発明の実施例1で使用したのと同じ触媒調製方法を使用する。使用した担体の質量は6.8グラムである。初期湿潤含浸に使用される2Mのチオシアン酸コバルト(II)溶液の体積は、5.916ミリリットルである。触媒組成をXRF及びXRDによって決定し、表2a~2bに報告する。
【0080】
本発明の実施例4
触媒Co/Al-SiOは、初期湿潤含浸法によって調製される。担体は、Al-SiOである(粉末形態のSASOL Siralox 1.5/140、担体特性を表1a~1bに報告する)。本発明の実施例1で使用したのと同じ触媒調製方法を使用する。使用した担体の質量は10グラムである。初期湿潤含浸に使用される2Mのチオシアン酸コバルト(II)溶液の体積は、9.5ミリリットルである。調製後、触媒をペレット化し、粉砕し、40~80メッシュサイズに篩い分けた。触媒組成をXRF及びXRDによって決定し、表2a~2bに報告する。
【0081】
本発明の実施例5
触媒Co/Alは、初期湿潤含浸法によって調製される。担体はAlである(NORPRO SA6176、担体特性を表1a~1bに報告する)。担体を粉砕し、40~80メッシュサイズに篩い分けする。本発明の実施例1で使用したのと同じ触媒調製方法を使用する。使用した担体の質量は10グラムである。初期湿潤含浸に使用される2Mのチオシアン酸コバルト(II)溶液の体積は、11.5ミリリットルである。触媒組成をXRF及びXRDによって決定し、表2a~2bに報告する。
【0082】
本発明の実施例6
触媒Co/Alは、初期湿潤含浸法によって調製される。担体は、4.5%のCaO及び1%のMgOでドープされた塩基性Alである(NORPRO SA65169、担体特性を表1a~1bに報告する)。担体を粉砕し、40~80メッシュサイズに篩い分けする。本発明の実施例1で使用したのと同じ触媒調製方法を使用する。使用した担体の質量は10グラムである。初期湿潤含浸に使用される2Mチオシアン酸コバルト(II)溶液の体積は、10.68ミリリットルである。触媒組成をXRF及びXRDによって決定し、表2a~2bに報告する。
【0083】
本発明の実施例7
触媒Co/Cは、初期湿潤含浸法によって調製される。担体は活性炭である(Norit GAS 610、担体特性を表1a~1bに報告する)。担体を粉砕し、40~80メッシュサイズに篩い分けする。本発明の実施例1で使用したのと同じ触媒調製方法を使用する。使用した担体の質量は10グラムである。初期湿潤含浸に使用される2Mのチオシアン酸コバルト(II)溶液の体積は、12ミリリットルである。触媒組成をXRF及びXRDによって決定し、表2a~2bに報告する。
【0084】
本発明の実施例8
触媒Co/Cは、初期湿潤含浸法によって調製される。担体は、活性炭である(Sicat Catalyst Meso-C、担体特性を表1a~1bに報告する)。担体を粉砕し、40~80メッシュサイズに篩い分けする。本発明の実施例1で使用したのと同じ触媒調製方法を使用する。使用した担体の質量は10グラムである。初期湿潤含浸に使用される2Mのチオシアン酸コバルト(II)溶液の体積は、5.2ミリリットルである。触媒組成をXRF及びXRDによって決定し、表2a~2bに報告する。
【0085】
本発明の実施例9
触媒Co/SiOは、初期湿潤含浸法によって調製される。担体はSiOである(NORPRO SS61138、担体特性を表1a~1bに報告する)。担体を粉砕し、40~80メッシュサイズに篩い分けする。本発明の実施例1で使用したのと同じ触媒調製方法を使用する。使用した担体の質量は5グラムである。初期湿潤含浸に使用される2Mのチオシアン酸コバルト(II)溶液の体積は、6.1ミリリットルである。触媒組成をXRF及びXRDによって決定し、表2a~2bに報告する。
【0086】
本発明の実施例10
触媒Co/SiOは、初期湿潤含浸法によって調製される。担体はSiOである(Fuji Sliysia Cariact Q20C、担体特性を表1a~1bに報告する)。担体を粉砕し、40~80メッシュサイズに篩い分けする。本発明の実施例1で使用したのと同じ触媒調製方法を使用する。使用した担体の質量は5グラムである。初期湿潤含浸に使用される2Mのチオシアン酸コバルト(II)溶液の体積は、5.1ミリリットルである。触媒組成をXRF及びXRDによって決定し、表2a~2bに報告する。
【0087】
本発明の実施例11
触媒CoXSy/SiO2は、初期湿潤含浸法によって調製する。担体はSiO2である(Fuji Sliysia Cariact Q30C、担体特性を表1a~1bに報告する)。担体を粉砕し、40~80メッシュサイズに篩い分けする。本発明の実施例1で使用したのと同じ触媒調製方法を使用する。使用した担体の質量は5グラムである。初期湿潤含浸に使用される2Mのチオシアン酸コバルト(II)溶液の体積は、6.1ミリリットルである。触媒組成をXRF及びXRDによって決定し、表2a~2bに報告する。
【0088】
本発明の実施例12
触媒Co/SiOは、初期湿潤含浸法によって調製される。担体はSiOである(Fuji Sliysia Cariact Q40C、担体特性を表1a~1bに報告する)。担体を粉砕し、40~80メッシュサイズに篩い分けする。本発明の実施例1で使用したのと同じ触媒調製方法を使用する。使用した担体の質量は5グラムである。初期湿潤含浸に使用される2Mのチオシアン酸コバルト(II)溶液の体積は、5.1ミリリットルである。触媒組成をXRF及びXRDによって決定し、表2a~2bに報告する。
【0089】
本発明の実施例13
触媒Co/SiOは、初期湿潤含浸法によって調製される。担体はSiOである(Fuji Sliysia Cariact Q10、担体特性を表1a~1bに報告する)。担体を粉砕し、40~80メッシュサイズに篩い分けする。本発明の実施例1で使用したのと同じ触媒調製方法を使用する。使用した担体の質量は10.2グラムである。初期湿潤含浸に使用される2Mのチオシアン酸コバルト(II)溶液の体積は、10.2ミリリットルである。乾燥及び自己還元を実施例1と同様に行うが、最終焼成温度は550℃の代わりに400℃(4時間)である。触媒不動態化を実施例1と同様に実施する。触媒組成をXRF及びXRDによって決定し、表2a~2bに報告する。
【0090】
本発明の実施例14
触媒Co/SiOは、初期湿潤含浸法によって調製される。担体はSiOである(Fuji Sliysia Cariact Q20C、担体特性を表1a~1bに報告する)。担体を粉砕し、40~80メッシュサイズに篩い分けする。本発明の実施例1で使用したのと同じ触媒調製方法を使用する。使用した担体の質量は10.2グラムである。初期湿潤含浸に使用される2Mのチオシアン酸コバルト(II)溶液の体積は、8.0ミリリットルである。乾燥及び自己還元を実施例1と同様に行うが、最終焼成温度は550℃の代わりに400℃(4時間)である。触媒不動態化を実施例1と同様に実施する。触媒組成をXRF及びXRDによって決定し、表2a~2bに報告する。
【0091】
本発明の実施例15
触媒Co/Alは、初期湿潤含浸法によって調製される。担体はAlである(NORPRO CA 08408、担体特性を表1a~1bに報告する)。担体を粉砕し、40~80メッシュサイズに篩い分けする。本発明の実施例1で使用したのと同じ触媒調製方法を使用する。使用した担体の質量は11.8グラムである。初期湿潤含浸に使用される2Mのチオシアン酸コバルト(II)溶液の体積は、10ミリリットルである。乾燥及び自己還元を実施例1と同様に行うが、最終焼成温度は550℃の代わりに400℃(4時間)である。触媒不動態化を実施例1と同様に実施する。触媒組成をXRF及びXRDによって決定し、表2a~2bに報告する。
【0092】
本発明の実施例16
触媒Co/SiCは、初期湿潤含浸法によって調製される。担体はSiCである(SiCat Catalyst製、担体特性を表1a~1bに報告する)。担体を粉砕し、40~80メッシュサイズに篩い分けする。本発明の実施例1で使用したのと同じ触媒調製方法を使用する。使用した担体の質量は10.6グラムである。初期湿潤含浸に使用される2Mのチオシアン酸コバルト(II)溶液の体積は5ミリリットルである。乾燥及び自己還元を実施例1と同様に行うが、最終焼成温度は550℃の代わりに400℃(4時間)である。触媒不動態化を実施例1と同様に実施する。触媒組成をXRF及びXRDによって決定し、表2a~2bに報告する。
【0093】
本発明の実施例17
触媒Co/ZrOは、初期湿潤含浸法によって調製される。担体はZrOである(NORPRO SZ31164、担体特性を表1a~1bに報告する)。担体を粉砕し、40~80メッシュサイズに篩い分けする。本発明の実施例1で使用したのと同じ触媒調製方法を使用する。使用した担体の質量は11.3グラムである。初期湿潤含浸に使用される2Mのチオシアン酸コバルト(II)溶液の体積は、4ミリリットルである。乾燥及び自己還元を実施例1と同様に行うが、最終焼成温度は550℃の代わりに400℃(4時間)である。触媒不動態化を実施例1と同様に実施する。触媒組成をXRF及びXRDによって決定し、表2a~2bに報告する。
【0094】
本発明の実施例18
触媒Co/Cは、初期湿潤含浸法によって調製される。担体は、活性炭である(Sicat Catalyst Meso-C、担体特性を表1a~1bに報告する)。担体を粉砕し、40~80メッシュサイズに篩い分けする。本発明の実施例1で使用したのと同じ触媒調製方法を使用する。使用した担体の質量は10.22グラムである。初期湿潤含浸に使用される2Mのチオシアン酸コバルト(II)溶液の体積は、5ミリリットルである。乾燥及び自己還元を実施例1と同様に行うが、最終焼成温度は550℃の代わりに400℃(4時間)である。触媒不動態化を実施例1と同様に実施する。触媒組成をXRF及びXRDによって決定し、表2a~2bに報告する。
【0095】
本発明の実施例19
触媒Co/TiOは、初期湿潤含浸法によって調製される。担体はTiOである(NORPRO ST31119、担体特性を表1a~1bに報告する)。担体を粉砕し、40~80メッシュサイズに篩い分けする。本発明の実施例1で使用したのと同じ触媒調製方法を使用する。使用した担体の質量は11.22グラムである。初期湿潤含浸に使用される2Mのチオシアン酸コバルト(II)溶液の体積は、5ミリリットルである。乾燥及び自己還元を実施例1と同様に行うが、最終焼成温度は550℃の代わりに400℃(4時間)である。触媒不動態化を実施例1と同様に実施する。触媒組成をXRF及びXRDによって決定し、表2a~2bに報告する。
【0096】
比較例1(バルク硫化コバルト触媒)
主結晶相としてCoを有するバルク硫化コバルト触媒は、60℃で、3200mlのHO中の酢酸コバルト(II)四水和物(440gのCo(CHCOO)・4HO、Sigma Aldrichから購入)の水溶液と、硫化アンモニウム(531.7gの(NHS、20%、Sigma Aldrichから購入)の水溶液とを使用する共沈法によって調製される。
【0097】
沈殿後、試料を60℃で15分間放置して熟成させ、次いで室温まで冷却する。スラリーの最終pHは、約6.9である。得られた沈殿物を脱イオン水で3回洗浄し(各洗浄につき500ミリリットル)、6000rpmで15分間遠心分離する。次いで、試料を真空オーブン中60℃で一晩(18時間)乾燥させ、管状炉中50ミリリットル/分のN流下550℃で1時間熱処理し、続いて1%O/Arを用いて室温で2時間不動態化する。Nads/desによって測定されたこのサンプルのBET表面積は、10.7m/gである。触媒は、XRDによれば、Co1-xS及びCo相を含有する。試験前に、触媒を錠剤化し、粉砕し、40~80メッシュサイズに篩い分けする。触媒組成をXRF及びXRDによって決定し、表2a~2bに報告する。
【0098】
比較例2
触媒Co/Alは、初期湿潤含浸法によって調製される。担体はAlである(NORPRO SA51161、担体特性を表1a~1bに報告する)。担体を粉砕し、40~80メッシュサイズに篩い分けする。本発明の実施例1で使用したのと同じ触媒調製方法を使用する。使用した担体の質量は9.2グラムである。初期湿潤含浸に使用される2Mのチオシアン酸コバルト(II)溶液の体積は、4.692ミリリットルである。触媒組成をXRF及びXRDによって決定し、表2a~2bに報告する。
【0099】
比較例3
触媒Co/Alは、初期湿潤含浸法によって調製される。
【0100】
CoO/Alの調製
最初に、脱イオン水中の酢酸コバルト(II)の含浸溶液を1モル(M)の濃度で調製する。次いで、5グラムの40~80メッシュサイズのAl担体(NORPRO SA31132、担体特性を表1a~1bに報告する)を磁器皿に入れ、穏やかに振盪しながら5mlの含浸溶液を滴下する。含浸されたままの触媒を、ボックスオーブン中、空気中、120℃で2時間乾燥させる。含浸を更に2回繰り返し、各含浸後に空気中で乾燥させる。全部で3回の含浸が行われる。3回の初期湿潤含浸に使用される1Mの酢酸コバルト(II)溶液の総体積:15.0ml。含浸された触媒を乾燥させ、次のプログラムを用いて空気中で焼成する:温度を室温から120℃まで2℃/分で上昇させ、120℃で2時間滞留させ、120から400℃まで3℃/分で上昇させ、400℃で4時間滞留させ、室温まで冷却して、担持された酸化コバルト材料CoO/Alを得る。
【0101】
CoO/Alの硫化
調製されたままのCoO/Alは、硫化アンモニウム水溶液を使用して液相中で硫化される。この目的のために、25ミリリットルの脱イオン水及び25ミリリットルの20重量%硫化アンモニウム水溶液を、磁気撹拌棒及び熱電対を備えた250ミリリットルのガラスビーカーに添加する。溶液を60℃に加熱し、次いで5グラムのCoO/Al材料を溶液に添加し、スラリーを60℃(±5℃)で20分間撹拌する。ケーキを濾紙で濾過して回収し、回収し、500mlの脱イオン水で洗浄する。
【0102】
ケーキを一晩、室温で空気中で乾燥させる。次いで、乾燥したケーキを、乾燥、自己還元及び不動態化のためにステンレス鋼ドラムに入れる。乾燥及び自動還元は、以下のプログラムを用いて純粋なN(オーバーヘッド流5.5リットル/分)の流れの中で行う。N流を室温で30分間流し、温度を室温から120℃まで2℃/分で上昇させ、120℃で2時間滞留させ、120から550℃まで3℃/分で上昇させ、550℃で4時間滞留させ、室温20~25℃(24~48時間)まで冷却する。その後、触媒を、1体積%のO/N流中、室温(20~25℃)で2時間不動態化する。次に、ガス流中の酸素濃度を21体積%のO/Nまで徐々に増加させる。ステンレス鋼ドラムを開ける前に、触媒を21体積%のO/N中で1時間パージする。黒色の担持硫化コバルト触媒が得られる。触媒組成をXRF及びXRDによって決定し、表2a~2bに報告する。
【0103】
比較例4
触媒Co/Alは、比較例3に記載の調製方法を使用して調製される。
【0104】
CoOx/Alの調製
比較例3に記載したのと同じ調製方法をこの比較例に使用する。担体はAlである(NORPRO SA6176、担体特性を表1a~1bに報告する)。担体を粉砕し、40~80メッシュサイズに篩い分けする。使用した担体の質量は5グラムである。3回の初期湿潤含浸に使用される1Mの酢酸コバルト(II)溶液の総体積は、17.25ミリリットルである。
【0105】
CoOx/Alの硫化
比較例3に記載したのと同じ硫化方法をこの比較例に使用する。
【0106】
触媒組成をXRF及びXRDによって決定し、表2a~2bに報告する。
【0107】
比較例5
触媒Co/Alを、比較例3に記載の調製方法を使用して調製する。
【0108】
CoOx/Alの調製
比較例3に記載したのと同じ調製方法をこの比較例に使用する。担体はAlである(NORPRO SA6178、担体特性を表1a~1bに報告する)。担体を粉砕し、40~80メッシュサイズに篩い分けする。使用した担体の質量は5グラムである。3回の初期湿潤含浸に使用される1Mの酢酸コバルト(II)溶液の総体積は、13.05ミリリットルである。
【0109】
CoOx/Alの硫化
比較例3に記載したのと同じ硫化方法をこの比較例に使用する。
【0110】
触媒組成をXRF及びXRDによって決定し、表2a~2bに報告する。
【0111】
比較例6
触媒Co/SiOを、比較例3に記載の調製方法を使用して調製する。
【0112】
CoOx/Siの調製
比較例3に記載したのと同じ調製方法をこの比較例に使用する。担体はSiOである(NORPRO SS61138、担体特性を表1a~1bに報告する)。担体を粉砕し、40~80メッシュサイズに篩い分けする。使用した担体の質量は5グラムである。3回の初期湿潤含浸に使用される1Mの酢酸コバルト(II)溶液の総体積は、18ミリリットルである。
【0113】
CoOx/SiOの硫化
比較例3に記載したのと同じ硫化方法をこの比較例に使用する。
【0114】
触媒組成をXRF及びXRDによって決定し、表2a~2bに報告する。
【0115】
比較例7
触媒Co/SiOを、比較例3に記載の調製方法を使用して調製する。
【0116】
CoOx/Siの調製
比較例3に記載したのと同じ調製方法をこの比較例に使用する。担体は、SiOである(Fuji Sliysia Cariact Q10、担体特性を表1a~1bに報告する)。担体を粉砕し、40~80メッシュサイズに篩い分けする。使用した担体の質量は5グラムである。3回の初期湿潤含浸に使用される1Mの酢酸コバルト(II)溶液の総体積は、12.9ミリリットルである。
【0117】
CoOx/SiOの硫化
比較例3に記載したのと同じ硫化方法をこの比較例に使用する。
【0118】
触媒組成をXRF及びXRDによって決定し、表2a~2bに報告する。
【0119】
比較例8
触媒Co/SiOを、比較例3に記載の調製方法を使用して調製する。
【0120】
CoOx/Siの調製
比較例3に記載したのと同じ調製方法をこの比較例に使用する。担体は、SiOである(Fuji Sliysia Cariact Q20C、担体特性を表1a~1bに報告する)。担体を粉砕し、40~80メッシュサイズに篩い分けする。使用した担体の質量は5グラムである。3回の初期湿潤含浸に使用される1Mの酢酸コバルト(II)溶液の総体積は、15ミリリットルである。
【0121】
CoOx/SiOの硫化
比較例3に記載したのと同じ硫化方法をこの比較例に使用する。
【0122】
触媒組成をXRF及びXRDによって決定し、表2a~2bに報告する。
【0123】
比較例9
比較例3に記載の調製方法を用いて、コバルト酸化物担持触媒CoO/Alを調製する。
【0124】
担体はAlである(NORPRO SA31132、担体特性を表1a~1bに報告する)。担体を粉砕し、40~80メッシュサイズに篩い分けする。使用した担体の質量は10グラムである。3回の初期湿潤含浸に使用される1Mの酢酸コバルト(II)溶液の総体積は、20ミリリットルである。
【0125】
XRF及びXRDによって決定された触媒組成を表2a~2bに報告する。
【0126】
比較例10
比較例3に記載の調製方法を用いて、コバルト酸化物担持触媒CoO/Alを調製する。
【0127】
担体はAlである(NORPRO SA6176、担体特性を表1a~1bに報告する)。担体を粉砕し、40~80メッシュサイズに篩い分けする。使用した担体の質量は10グラムである。2回の初期湿潤含浸に使用される1Mの酢酸コバルト(II)溶液の総体積は、23ミリリットルである。
【0128】
XRF及びXRDによって決定された触媒組成を表2a~2bに報告する。
【0129】
比較例11
比較例3に記載の調製方法を用いて、コバルト酸化物担持触媒CoO/Alを調製する。
【0130】
担体はAlである(NORPRO SA6178、担体特性を表1a~1bに報告する)。担体を粉砕し、40~80メッシュサイズに篩い分けする。使用した担体の質量は10グラムである。2回の初期湿潤含浸に使用される1Mの酢酸コバルト(II)溶液の総体積は、17.4ミリリットルである。
【0131】
XRF及びXRDによって決定された触媒組成を表2a~2bに報告する。
【0132】
比較例12
比較例3に記載の調製方法を用いて、コバルト酸化物担持触媒CoO/Alを調製する。
【0133】
担体は、粉末形態のAl-SiO(SASOL Siralox 1.5/140、担体特性を表1a~1bに報告する)。使用した担体の質量は10グラムである。2回の初期湿潤含浸に使用される1Mの酢酸コバルト(II)溶液の総体積は、19ミリリットルである。調製後、触媒をペレット化し、粉砕し、40~80メッシュサイズに篩い分ける。
【0134】
触媒組成をXRF及びXRDによって決定し、表2a~2bに報告する。
【0135】
比較例13
比較例3に記載の調製方法を使用して、コバルト酸化物担持触媒CoOx/SiOを調製する。
【0136】
担体はSiOである(NORPRO SS61138、担体特性を表1a~1bに報告する)。担体を粉砕し、40~80メッシュサイズに篩い分けする。使用した担体の質量は10グラムである。2回の初期湿潤含浸に使用される1Mの酢酸コバルト(II)溶液の総体積は、24ミリリットルである。
【0137】
触媒組成をXRF及びXRDによって決定し、表2a~2bに報告する。
【表1】

*BJH吸着平均細孔幅(4V/A)
n.a.-入手不可
【表2】

*BJH吸着平均細孔幅(4V/A)
**供給者から
n.m.-測定されず
【表3】

*収支-炭素
**含浸コバルト量及びXRFで求めたS/Co比から算出
***硫化コバルトの2つの相がXRDによって検出された。Co1-xSとCoは、約1:1wt/wt比である
^XRDに由来する試料組成。
【表4】

*収支-炭素
**含浸コバルト量及びXRFで求めたS/Co比から算出
***硫化コバルトの2つの相がXRDによって検出された。Co1-xS とCoは、約1:1wt/wt比である
^XRDに由来する試料組成。
【0138】
本発明の実施例1~19及び比較例1~13の触媒試験
動態測定
硫化コバルト触媒の動態測定は、表3に特定される条件下で固定床反応器を使用して評価される。反応器に1グラムの大きさの触媒(40~80メッシュ)を充填し、触媒床を20~40メッシュの石英チップの層の間に挟む。反応器を750psigでN下で漏れ試験し、次いで8%エチレン、56%CO及び16%Nを含有する乾燥反応ガス供給物を50標準立方センチメートル/分(sccm)の流量で流すことによって始動させる。液体水供給物は、>150℃で2.5ミリグラム/分の速度で導入され、これは、全ガス流中のエチレン/CO/水/N(体積%)=約7.5%/約53.5%/約5.9%/balとしての供給組成物をもたらす。表3中の条件1及び2については、反応温度が270度に達したとき、反応の開始とみなされる。触媒を最初に270℃で数時間試験し(条件1)、次いで290℃で試験する(条件2)。表3の条件3~5については、反応温度が250℃に達したときに、反応の開始とみなされる。触媒を最初に250℃で数時間(条件3)、次いで270℃で数時間(条件4)、次いで290℃で数時間(条件5)試験する。
【0139】
X線蛍光(X-Ray Fluorescence、XRF)測定
X線蛍光(XRF)データを、室温(room temperature、RT)で、PANalytical PW4400分光計を用いて、ロジウム陽極を有するX線管を使用して収集する。
【0140】
粉末X線回折(Powder X-ray Diffraction、XRD)
P-XRD測定は、Cu Kα(λ=1.5406Å)を使用して、General Area Diffraction Detector System(GADDS)を備えたBruker AXS回折計D8 Discoverで、周囲実験室条件で行われる。0.05°の積分ステップサイズで9~70°の2-シータ範囲を記録する。XRDパターンは、参照標準(Alコランダム、PDF#00-046-1212)に対する2-シータ較正後である。
【0141】
硫化コバルト相に使用される参照番号は以下のとおりである。
Co1-xS(“Co”)-PDF#00-042-0826,04-022-8171
Co-PDF#01-073-6395,04-004-4525
CoS-PDF#01-075-0605,03-065-3418
CoS-PDF#04-004-6455
Co-PDF#00-030-0458(立方晶)、00-002-1458(六方晶)
Co-PDF#04-006-5317
Co-PDF#00-042-1467
CoO-PDF#01-076-3832
その結果を表4~6に示す。
【0142】
本発明の実施例1~19は、担持硫化コバルト触媒が、初期湿潤含浸とそれに続く不活性条件下でのチオシアン酸コバルト(II)の熱分解によって調製され得ることを実証する。本発明の気相プロセスのいくつかの実施形態で使用される場合、調製されたままの触媒は、プロピオン酸に対する高い選択性を示す。この調製方法は用途が広く、異なるクラスの担体にわたって触媒の調製を可能にする。アルミナ、シリカ、カーボン等である。
【0143】
比較例1は、バルク硫化コバルト触媒である。本発明の実施例と比較例1との比較は、バルク触媒(67.4重量%Co)と比較して、本発明のいくつかの実施形態による担持触媒(<15重量%Co)中のより低いコバルト充填量で、担持触媒の同等の活性及び選択性性能が達成され得ることを実証する。
【0144】
比較例2は、全ての担体が本発明のいくつかの実施形態による硫化コバルト触媒の調製に適しているわけではないことを実証する。比較例2は、アルファアルミナなどの低表面積(<5m/g)を有する酸化物担体が、おそらく大きな硫化コバルト結晶子の形成のために、低活性の触媒をもたらすことを示す。
【0145】
比較例3~8は、酸化コバルトの硫化によって調製され、550℃で自己還元された担持硫化コバルト触媒が、本発明のいくつかの実施形態に従って調製された触媒と比較してより低い活性を有することを示す。
【0146】
比較例9~13は、他のクラスの触媒(すなわち、担持された酸化コバルト)がプロピオン酸の直接合成において活性でないことを示す。
【0147】
本発明の実施例及び比較例の触媒性能の計算
炭素収支は、次のように定義され計算される。
【数1】

ここで、nは種V中の炭素数であり、Viは種iのモル流量を表す。
【数2】

式中、Cpiは炭素数≧2の全ての生成物の濃度であり、Criは反応器出口における反応物である。
【数3】

(炭素数2以上の生成物は全てエチレンに由来するものとする)
ここでσは、C2に関する化学量論であり、C4sについては、σ=2であり、C6sについては、σ=3であり、他の全ての生成物、例えばアルデヒド、アルコール及びエステルについては、σ=1である。
【表5】

*重量毎時空間速度
【表6】

*データは、ストリーム上で2~8時間の平均である
【表7】

*データは、ストリーム上で2~8時間の平均である
【表8】

*データは、ストリーム上で2~8時間の平均である
【表9】

【表10】

【表11】

【表12】

【表13】

【表14】
【手続補正書】
【提出日】2024-01-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボン酸又はアルキルエステルを製造するための気相プロセスであって、
(a)触媒担体を提供することであって、前記触媒担体が、前記触媒担体の少なくとも一部の上にチオシアン酸コバルトの堆積物を含み、前記触媒担体が、5m/gを超える表面積を有する、提供することと、
(b)前記触媒担体を加熱して、前記担体上の前記チオシアン酸コバルトを硫化コバルトに変換して、担持硫化コバルト触媒を形成することと、
(c)アルケンガス、水蒸気又はアルカノールガス、及び炭素含有ガスを、前記担持硫化コバルト触媒の存在下で反応器内で反応させて、生成物流を形成することであって、前記炭素含有ガスが、一酸化炭素又は一酸化炭素と二酸化炭素との混合物を含む、形成することと、を含み、
水蒸気が反応物として使用される場合、前記生成物流がカルボン酸を含み、アルカノールガスが反応物として使用される場合、前記生成物流がアルキルエステルを含む、プロセス。
【請求項2】
前記触媒担体の少なくとも一部の上にチオシアン酸コバルトの堆積物を含む前記触媒担体が、チオシアン酸アニオンの存在下でコバルト(II)塩の水溶液を触媒担体と接触させて、前記水溶液を前記触媒担体の少なくとも一部の上に堆積させることによって形成される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
チオ硫酸コバルトを水に溶解して、チオシアン酸アニオンの存在下でコバルト(II)塩の前記水溶液を提供することを更に含む、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記水溶液が、コバルトに対して0.1モル当量を超えるコバルト(II)以外のカチオンを含まず、前記水溶液が、チオシアネートに対して0.1モル当量を超えるチオシアン酸アニオン以外のアニオンを含まない、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記触媒担体が、200℃~550℃の温度で加熱される、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
ステップ(b)において前記触媒担体を加熱する前に、不活性条件下、150℃以下の温度で、前記触媒担体の少なくとも一部の上にチオシアン酸コバルトの堆積物を含む前記触媒担体を乾燥させることを更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
25℃以下の温度で最大2体積パーセントのOを含む希釈酸素流で前記担持硫化コバルト触媒を不動態化することを更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
バルク硫黄対コバルト原子比が、0.3以上である、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記触媒担体が、アルミナ、炭素、炭化ケイ素、シリカ、シリカ-アルミナ、ハーフニア、ジルコニア、チタニア、若しくはこれらの混合物を含むか、又は前記担持硫化コバルト触媒中のコバルト含有量が、前記担持硫化コバルト触媒の総重量に基づいて、5重量パーセント~50重量パーセントである、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記触媒担体の前記表面積が、10m/g超~最大800m/gである、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【国際調査報告】