(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】光学デバイスを用いて溶融金属浴の温度を測定するための測定装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G01J 5/0821 20220101AFI20240730BHJP
G01J 5/00 20220101ALI20240730BHJP
G01J 5/05 20220101ALI20240730BHJP
F27D 21/00 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
G01J5/0821
G01J5/00 101D
G01J5/05
F27D21/00 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502602
(86)(22)【出願日】2022-07-28
(85)【翻訳文提出日】2024-01-16
(86)【国際出願番号】 EP2022071185
(87)【国際公開番号】W WO2023025505
(87)【国際公開日】2023-03-02
(32)【優先日】2021-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】598083577
【氏名又は名称】ヘレーウス エレクトロ-ナイト インターナシヨナル エヌ ヴイ
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Electro-Nite International N.V.
【住所又は居所原語表記】Centrum Zuid 1105, B-3530 Houthalen,Belgium
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ジャンセン,ゲルト
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン フリールベルヘ,ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】ブランクス,ルック
【テーマコード(参考)】
2G066
4K056
【Fターム(参考)】
2G066AC01
2G066AC11
2G066BA38
2G066CA16
4K056CA01
4K056FA12
(57)【要約】
【解決手段】 本発明は、溶融金属浴の温度を測定するための測定装置であって、光学デバイスと、検出手段と、光学デバイス用の格納ユニットと、光学デバイス用の格納ユニット用の回転可能な支持体と、移動手段と、矯正手段と、ハウジングと、ハウジングに接続されたガイドシステムと、を備える測定装置に関する。ハウジングは、検出手段と、光学デバイス用の格納ユニットと、光学デバイスの格納ユニット用の回転可能な支持体と、移動手段と、矯正手段と、を包囲している。移動手段は、光学デバイスを繰り出し、引き戻すように適合されており、光学デバイス用の格納ユニット用の回転可能な支持体を前後に駆動するための少なくとも1つのモータと、前後に駆動するための少なくとも1つのモータにより駆動される、光学デバイスを繰り出すための繰り出し手段と、を備える。本発明はまた、溶融金属浴の温度を測定するための対応する測定装置を使用する方法に関する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融金属浴の温度を測定するための測定装置であって、
i)光学デバイスと、
ii)検出手段と、
iii)前記光学デバイス用の格納ユニットと、
iv)前記光学デバイス用の前記格納ユニット用の回転可能な支持体と、
v)移動手段と、
vi)矯正手段と、
vii)ハウジングと、
viii)前記ハウジングに接続されたガイドシステムと、
を備え、
前記光学デバイスは、内側金属管及び外側金属管によって横方向に囲まれた光ファイバを備え、
前記外側金属管は、2mm~8mmの範囲内の外径と、0.1mm~0.6mmの範囲内の壁厚とを有し、
前記ハウジングは、前記検出手段と、前記光学デバイス用の前記格納ユニットと、前記光学デバイス用の前記格納ユニット用の前記回転可能な支持体と、前記移動手段と、前記矯正手段と、を包囲しており、
前記移動手段は、前記光学デバイスを繰り出し、引き戻すように適合されており、かつ
a)前記光学デバイス用の前記格納ユニット用の前記回転可能な支持体を前後に駆動するための少なくとも1つのモータと、
b)前後に駆動するための前記少なくとも1つのモータによって駆動される、前記光学デバイスを繰り出すための繰り出し手段と、を備える、
測定装置。
【請求項2】
前記光学デバイスは、巻き取られた部分及び巻き出された部分を備え、前記巻き出された部分は、前記光学デバイスの浸漬経路を画定する、請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記浸漬経路は、ねじれた部分を含まない、請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記浸漬経路は、前記光学デバイスの前記外径の200倍よりも小さい半径を有する湾曲を含まない、請求項1~3のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項5】
前記浸漬経路は、前記光学デバイス用の前記格納ユニット上の前記光学デバイスの外側巻き取り部の端部から始まる、請求項1~4のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項6】
前記ガイドシステムの最小曲率半径は、前記光学デバイス用の前記格納ユニット上の前記光学デバイスの前記内側巻き取り部の半径の4倍よりも大きい、請求項1~5のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項7】
前記ガイドシステムは、少なくとも1つのガイド管を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つのガイド管の内径と前記光学デバイスの前記外側金属管の直径との比が2以下である、請求項7に記載の測定装置。
【請求項9】
前記ハウジングの高さは、前記光学デバイス用の前記格納ユニットの外径の1.2~2倍の範囲内である、請求項1~8のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項10】
前記測定装置は、前記光学デバイス用の前記格納ユニット用の前記回転可能な支持体を前後に駆動するための前記少なくとも1つのモータと、前記繰り出し手段を前後に駆動するための前記少なくとも1つのモータとの動きを制御するように構成された制御手段を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記光学デバイス用の前記格納ユニット用の前記回転可能な支持体を前後に駆動するための前記少なくとも1つのモータと、前記繰り出し手段を前後に駆動するための前記少なくとも1つのモータとの動きを連係させするように構成されている、請求項10に記載の測定装置。
【請求項12】
前記測定装置は、前記光学デバイスの前記先端の位置を特定する手段を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項13】
前記検出手段は、前記光学デバイス用の前記格納ユニット上に、前記格納ユニット内に、又は前記格納ユニットに配置されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の測定装置を用いて溶融金属浴の温度を測定する方法であって、少なくとも、
(i)前記光学デバイスを繰り出す工程と、
(ii)前記溶融金属浴の前記温度を測定する工程と、
(iii)前記光学デバイスを引き戻し、巻き取る工程と、
を含む、方法。
【請求項15】
前記光学デバイスの先端の位置を特定する少なくとも1つの工程を更に含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融金属浴の温度を測定するための測定装置であって、光学デバイスと、検出手段と、光学デバイス用の格納ユニットと、光学デバイス用の格納ユニット用の回転可能な支持体と、移動手段と、矯正手段と、ハウジングと、ハウジングに接続されたガイドシステムと、を備える測定装置に関する。ハウジングは、検出手段と、光学デバイス用の格納ユニットと、光学デバイスの格納ユニット用の回転可能な支持体と、移動手段と、矯正手段と、を包囲している。移動手段は、光学デバイスを繰り出し、引き戻すように適合されており、光学デバイス用の格納ユニット用の回転可能な支持体を前後に駆動するための少なくとも1つのモータと、前後に駆動するための少なくとも1つのモータにより駆動される、光学デバイスを繰り出すための繰り出し手段と、を備える。本発明はまた、溶融金属浴の温度を測定するための対応する測定装置を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冶金容器内の溶融金属浴の温度は、金属製造プロセス中の重要なパラメータであり、得られる製品の品質を決定する。典型的には、溶融金属の温度測定は、米国特許第2993944(A)号に記載されるような周知の浸漬熱電対を使用して達成される。そのような熱電対は、熱電対信号を適切な機器に伝達するように適合された電気配線及び接続を有する鋼鉄ポールを用いて、オペレータによって手動で浸漬することができる。加えて、多くの自動熱電対浸漬機械システムが、現在、熱電対浸漬を提供するために利用されている。電気アーク炉(EAF)の溶融環境における溶融金属浴、特に鉄又は鋼の温度を測定するための更なる可能な手段は、光ファイバを溶融金属に浸漬することを伴う。光ファイバは、コイル上に巻き付けられており、測定を行うために巻き出される実質的に無端のファイバとして提供され得る。溶融金属浴の温度を測定するために、このような光ファイバが冶金容器内に繰り出され、そこから光ファイバが溶融金属から受け取った熱放射を検出器に伝達することができ、そこで光信号が温度値に変換される。測定後、光ファイバを引き戻すことができる。
【0003】
得られた結果の精度及びそのような測定の歪みのない動作は、いくつかのパラメータに依存する。
【0004】
1つの重要なパラメータは、測定が行われる時点での光ファイバの状態である。冶金設備における測定状況の過酷な環境では、光ファイバは劣化する環境にさらされる。したがって、そのような光ファイバは、典型的には、保護カバー、例えば金属管によって囲まれている。金属管によって囲まれた光ファイバはまた、しばしば、光学コアワイヤ又は金属管被覆光ファイバ(FIMT)とも呼ばれる。そのような光ファイバと、追加の金属管又は保護材料の追加の層などの更なる保護手段とを備える光学デバイスが開発されており、例えば米国特許出願公開第2007268477(A1)号及び特開平10176954号(A)に開示されている。このような光学デバイスの設計に応じて、保護手段は、熱の影響から光ファイバを効率的に遮蔽するが、他の外部の物理的要因に対して依然として敏感であり得る。
【0005】
測定プロセスの別の重要な部分は、光学デバイスの正確な繰り出しであることが分かっている。繰り出しは、加速及び減速を含み、最終速度によって規定される。特に、比較的小さな断面及び薄い金属管を有する光学デバイスは、光学デバイス内の光ファイバの損傷につながる摩擦及び衝撃の影響に敏感である。更に、これらの種類の光学デバイスは、測定環境による分解及び損傷の前に、溶融金属浴中の適切な浸漬深さに到達するために、十分に速く繰り出される必要がある。これは、高い繰り出し速度と高い加速及び減速率とを必要とする。したがって、これらの壊れやすい光学デバイスは、浸漬デバイスの技術的設備に更なる課題をもたらす。
【0006】
光学デバイスを繰り出すための例示的な浸漬デバイスは、欧州特許出願公開第3051262(A1)号に記載されている。光学デバイス、特にFIMTは、2つのモータ駆動フィーダによってコイルから浸漬されたガイド管を通して繰り出され、デバイスは、光学デバイスを引き戻すのにも適している。一定の張力が荷重によって加えられる。記載された発明は、光学デバイスが引き戻されるときに起こり得る跳ね返りの問題を解決するが、それは、損傷をもたらし得る高い張力をワイヤに加える。更に、全ての測定が新しい遮蔽管を必要とし、その空間要件に関して要求が厳しいために、システムは自律性を欠く。
【0007】
光学デバイスに一定の張力を必要とする解決策が、特開平H09101206(A)号に開示されている。浸漬デバイスは、前後の繰り出しのために適合され、順次にかつ互いに独立して操作される2つの繰り出し手段を備える。このデバイスは、ルーパを更に含み、浸漬中にこのルーパ上を光学デバイスが案内される。
【0008】
典型的には、浸漬デバイスは、溶融金属を収容する容器に対してある程度の距離を置いて設置されるが、これは、容器の近くの利用可能な空間が制限されており、温度及びデバイスを損傷させる可能性の点において、環境が厳しいためである。新世代の光学デバイスは、そのような環境においてデバイスがさらされる可能性がある影響に対してロバスト性が低く、したがって、デバイスの動作位置の近くでの保護された配置が望まれる。
【0009】
例えば、欧州特許出願公開第1966573(A1)号は、断熱ハウジング内に構成要素を配置することによって、測定システムに対する熱負荷の問題に対処している。開示されたデバイスは、空間を必要とし、容器から離れて配置される必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来技術を考慮すると、高精度の結果を得るために、壊れやすい光学デバイスの正確な浸漬を可能にする測定装置及びそれを使用する方法が必要である。
【0011】
本発明の目的は、上述の問題の少なくとも1つを解決する、溶融金属浴の温度を測定するための測定装置を提供することである。特に、本発明の目的の1つは、デバイス及びその内側光ファイバに対する摩擦及びねじれの程度を最小限に抑え、高い精度及び制御で壊れやすい光学デバイスの浸漬を可能にする測定装置を提供することである。更に、本発明の目的は、繰り返される浸漬サイクルにおいて溶融金属浴の表面の一定の位置における光学デバイスによる測定を確実にする測定装置を提供することである。本発明の目的の更なる態様は、浸漬中に保護されていない光学デバイスの範囲を最小限に抑え、したがって、測定に伴う状況とは無関係に確実に動作する測定装置を提供することである。本発明によって対処される更なる態様は、低保守での動作を可能にする測定装置を提供することである。
【0012】
本発明の更なる目的は、溶融金属浴の温度を測定する測定装置を利用する方法を提供することである。
【0013】
これらの目的は、独立請求項において定義される主題によって達成される。
【0014】
本発明は、溶融金属浴の温度を測定するための測定装置であって、光学デバイスと、検出手段と、光学デバイス用の格納ユニットと、光学デバイス用の格納ユニット用の回転可能な支持体と、移動手段と、矯正手段と、ハウジングと、ハウジングに接続されたガイドシステムと、を備える測定装置を提供する。光学デバイスは、内側金属管及び外側金属管によって横方向に囲まれた光ファイバを備え、外側金属管は、2mm~8mmの範囲内の外径及び0.1mm~0.6mmの範囲内の壁厚を有する。ハウジングは、検出手段と、光学デバイス用の格納ユニットと、光学デバイス用の格納ユニット用の回転可能な支持体と、移動手段と、矯正手段と、を包囲している。移動手段は、光学デバイスを繰り出し、引き戻すように適合されており、光学デバイス用の格納ユニット用の回転可能な支持体を前後に駆動するための少なくとも1つのモータと、前後に駆動するための少なくとも1つのモータにより駆動される、光学デバイスを繰り出すための繰り出し手段と、を備える。
【0015】
更に、本発明は、本発明による測定装置を用いて溶融金属浴の温度を測定するための方法を提供する。
【0016】
より好ましい実施形態は、従属請求項に定義されている。好ましい実施形態は、個別に実現されても任意の可能な組み合わせで実現されてもよい。
【0017】
冶金設備の環境において、特に電気アーク炉(EAF)が使用される場合、頻繁な信頼性のある温度測定に対する要求は非常に高い。溶融金属の処理中に、設置された測定装置及びそれを用いて行われる測定に影響を与え得る様々な問題が生じる可能性がある。これらの問題には、冶金容器内部の事象及び影響、例えば、容器外部、ガイドシステム内の未溶融部分を有する不均一な金属溶融物、更には磁場及び電場の影響が含まれる。動作中、金属溶融物を含む容器には、検査のためにも介入のためにも接近することができない。
【0018】
驚くべきことに、測定のデータ品質は、光学デバイスと、光学デバイスの移動のために利用される移動手段との適合性、及び測定装置の更なる構成要素に関するそれぞれの構成に依存することが見出された。この文脈における「品質」とは、標準的な浸漬熱電対を使用して取得されたデータと比較した、得られた測定精度を指す。本発明による測定装置は、光学デバイスに引張力、摩擦力、又は屈曲力をかけることなく、比較的薄い外側金属シースを有する光学デバイスを繰り出し、引き戻すのに特に適していることが証明されている。
【0019】
測定は、通常、一連の工程を含み、その間、光学デバイスを、測定が行われる金属溶融物に向けて、かつ金属溶融物内へ最初に移動させ、その後、ある速度で、ある期間、金属溶融物から離す。特に、可動に配置された格納ユニット上に供給される光学デバイスの繰り出し、引き戻し、及び巻き取りは、取得可能なデータの信頼性に大きく影響する要因として認識されている。本発明による測定装置は、繰り出し速度と方向との間に急速な変化を伴う冶金設備において生じる異なる状況に必要とされる広範囲の洗練された測定スキームの適用を可能にする。
【0020】
加えて、測定装置の構成要素の本発明の構成は、保守に関して要求の厳しくない装置をもたらす。
【0021】
本発明は、溶融金属浴の温度を測定するための測定装置を提供する。
【0022】
本明細書で使用される場合、「溶融金属浴」という用語は、炉内、特に容器内の溶融物を説明するために使用される。当業者に知られている「溶融金属浴」の代替用語は、「金属溶融物」である。溶融金属浴の溶融金属は、特に限定されない。好ましい実施形態によれば、溶融金属は溶鋼である。溶融金属浴という用語は、例えばそれぞれの金属の非溶融部分を含む任意の固体部分又は気体部分の存在を除外しない。溶融金属浴は、スラグ層で覆われていてもよい。「スラグ」という用語は、製鋼炉でしばしば生成され、典型的には溶融金属の上に浮く溶融材料として存在する非鋼副生成物を指す。スラグは、金属酸化物、金属硫化物、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、マグネサイト、ドロマイト、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化マンガン、シリカ、硫黄、リン、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0023】
金属溶融物の温度は異なり、通常、金属の組成及び融解プロセスの段階に依存する。好ましい実施形態によれば、溶融金属浴の温度は、1500~1800℃の範囲内であり、より好ましくは1500~1700℃の範囲内である。
【0024】
温度が測定される溶融金属浴は、容器内、特に電気アーク炉の容器内に配置されている。
【0025】
本発明による測定装置は、内側金属管及び外側金属管によって横方向に囲まれた光ファイバを備える光学デバイス、すなわち、少なくとも2つの金属管が、光ファイバを横方向に囲む光学デバイスを備える。
【0026】
好ましくは、光ファイバは、柔軟で透明なファイバである。光ファイバは、特にIR波長範囲内の光をファイバの2つの端部の間で伝送する手段として使用されることが最も多い。好ましくは、光ファイバは、ガラス又はプラスチック、より好ましくは石英ガラスから形成される。好ましくは、光ファイバは、グレーデッドインデックスファイバ及びシングルモードステップインデックスファイバからなる群から選択される。
【0027】
光ファイバは、内側金属管によって横方向に囲まれている。好ましくは、光ファイバは、内側金属管の中心に配置されている。
【0028】
内側金属管は、光ファイバを完全に取り囲むことができる、又はケーシングが光ファイバを完全に取り囲まないように少なくとも部分的に開放することができる。
【0029】
好ましくは、光ファイバを横方向に囲む内側金属管の金属は、鉄、鋼又はステンレス鋼、特にグレード304又は316のステンレス鋼である。
【0030】
好ましくは、内側金属管は、1mm~3mmの範囲内の外径を有する。内側金属管の壁厚は、0.1mm~0.3mmの範囲内であり得る。
【0031】
光ファイバはまた、2mm~8mmの範囲内の外径及び0.1mm~0.6mmの範囲内の壁厚を有する外側金属管によって横方向に囲まれている。
【0032】
好ましくは、外側金属管の外径は、2mm~7mmの範囲内、より好ましくは3mm~6mmの範囲内である。
【0033】
好ましくは、外側金属管の壁厚は、0.2mm~0.6mmの範囲内であり、より好ましくは0.2mm~0.5mmの範囲内である。
【0034】
好ましくは、光ファイバを囲む外側金属管の金属は、鉄又は鋼又はステンレス鋼、特にグレード304又は316のステンレス鋼である。
【0035】
好ましくは、内側金属管は、外側金属管の中心に配置されている。
【0036】
好ましくは、外側金属管は、内側金属管と直接接触していない。より好ましくは、これらの少なくとも2つの金属管の間の空隙空間は、気体材料若しくは固体材料又はそれらの組み合わせからなる群から選択される材料で少なくとも部分的に充填されている。固体材料は、好ましくは、無機材料、天然ポリマー、合成ポリマー及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。気体材料は、好ましくはガス又はガスの混合物である。より好ましくは、ガスは空気又は不活性ガスである。
【0037】
好ましい実施形態によれば、光学デバイスは、内側金属管の周囲及び外側金属管内に配置された複数の分離要素を備え、これらの分離要素は、分離要素間に少なくとも1つの区画を形成する。ここで、「区画」という用語は、外側金属管内の異なる分離要素間の容積に関する。「分離要素」という用語は、外側金属管の内側に配置された、外側金属管内の容積を細分する部分に関する。好ましくは、分離要素は、開口部を備える外側金属管の内側に配置されたディスク状要素であり、光ファイバ及び内側金属管が開口部を通って延びている。分離要素の材料は、シリコーン、好ましくは二成分型シリコーン、ゴム、革、コルク、金属及びそれらの組み合わせからなる群から選択されることが好ましい。
【0038】
好ましい実施形態では、光ファイバを囲む内側金属管は、更なる層によって囲まれている。特定の好ましい要素によれば、更なる層は、複数の片、好ましくは繊維を含む。
【0039】
更に好ましい実施形態では、少なくとも1つの追加の層の材料は、織布構造、網構造、織物構造又は編物構造の形態を有する。
【0040】
好ましくは、少なくとも1つの追加の層は、非金属材料、最も好ましくは有機材料を含む。
【0041】
好ましい実施形態では、光学デバイスの線密度は、25~80g/mの範囲内、より好ましくは35~70g/mの範囲内である。線密度は、単位長さ当たりの質量によって定義される。
【0042】
光学デバイスは、上述の構成の任意の組み合わせを含み得ることを理解されたい。
【0043】
光学デバイスの全長は、300m~1000mの範囲内であり得る。光学デバイスは、測定中に消耗するため、溶融金属浴の温度及び適用される測定プロトコルに応じて、測定装置の動作中に、典型的には測定シーケンスごとに30~70cmの長さだけ短くなる。
【0044】
したがって、光学デバイスは、浸漬端及び反対端を有する。光学デバイスの先端は、光学デバイスの浸漬端の先端であり、すなわち、光学デバイスの先端は、温度を測定するために溶融金属浴に浸漬される端部である。
【0045】
好ましくは、測定装置が操作されると、光学デバイスは、浸漬端から反対端に向かう方向で消耗し、各測定シーケンスの後、光学デバイスの別の部分が浸漬端になる。すなわち、各測定シーケンス後に、先端が新たに生成される。本明細書で使用される「消耗」という用語は、例えば、溶融金属浴による、及び溶融金属浴中への、光学デバイスの融解及び溶解、光学デバイス全体又はその異なる構成要素の分解又は燃焼などの光学デバイスの損壊を指す。反対端は、検出手段に接続することができ、測定中に消耗されない。典型的な測定シナリオでは、溶融金属浴によって放出される放射光、特にIR波長範囲内の放射光は、光学デバイスの光ファイバによって検出手段に伝達される。放射光の強度及び/又はスペクトル情報は、溶融金属の温度を得るために、検出手段に接続された処理ユニットによって処理されてもよい。処理ユニットは、例えばモニタ及びキーボードなどのヒューマンマシンインターフェースに取り付けることができる。
【0046】
測定装置は、検出手段を更に備える。
【0047】
検出手段は、光学デバイス、特に、光学デバイスの反対端に結合されることが好ましい。検出手段は、光学デバイスによって送信された光信号、特にIR波長範囲内の光信号を受信するように構成されてもよい。
【0048】
好ましくは、検出手段は、検出器、特に高温計である。
【0049】
検出手段は、電気接点を含むことができる。電気接点は、好ましくは、光学デバイス用の格納ユニットに接続されるように構成されている。
【0050】
好ましくは、検出手段は、受信信号を変換するための手段、特に、アナログ-デジタル(AD)変換器に接続されている。
【0051】
検出手段は、電源手段を更に備えることができる。
【0052】
光学デバイスと検出手段とが結合されるとき、それらの間に追加の手段、例えばモードフィルタ又はファイバオーガナイザを配置することができる。
【0053】
測定装置はまた、光学デバイス用の格納ユニットを備える。
【0054】
好ましくは、光学デバイス用の格納ユニットは、回転対称である。例えば、光学デバイス用の格納ユニットは、コイル、リール、スプール、ドラム、又はカートリッジであり得る。
【0055】
光学デバイス用の格納ユニットの寸法は、その外径及び/又はその外周によって特徴付けることができる。好ましくは、光学デバイス用の格納ユニットは、40~80cmの範囲内、より好ましくは50cm~70cmの範囲内の外径を有する。
【0056】
光学デバイス用の格納ユニットは、典型的には、円筒状コアを備える。円筒状コアは、その外周及び/又はその直径によって特徴付けることができる。光学デバイス用の格納ユニットは、円筒状コアの両側に設置された、例えばディスク形状又はリング形状のサイドパネルなどの更なる構成要素を備えることもできる。そのようなパネルは、円筒状コアと同じ又はそれより大きい直径を有することができ、後者の場合、円筒状コアから延びるリムを構築している。この場合、光学デバイス用の格納ユニットの外径は、光学デバイス用の格納ユニットの円筒状コアの直径よりも大きい。パネルは、格子の形態をとってもよいし、とっていなくてもよい。
【0057】
好ましくは、光学デバイス用の格納ユニットの円筒状コアは、30~70cmの範囲内、より好ましくは35cm~65cmの範囲内、最も好ましくは40~60cmの範囲内の直径を有する。
【0058】
格納ユニットは、中空とすることができる、すなわち、内部空間を含むことができる。換言すれば、格納ユニットは、管状部を含むことができる。
【0059】
好ましくは、光学デバイスは、少なくとも部分的に光学デバイス用の格納ユニット上に、好ましくは光学デバイス用の格納ユニットの円筒状コア上に配置されている。格納ユニット上に配置された光学デバイスの部分は、光学デバイスの巻き取られた部分と呼ばれる。格納ユニット上に配置されていない光学デバイスの部分は、光学デバイスの巻き出された部分と呼ばれる。
【0060】
測定装置の動作中、光学デバイスは繰り出され、引き戻されることにより、光学デバイスの一部分の巻き出し及び巻き取りを引き起こし、言い換えれば、光学デバイスの巻き取られた部分及び巻き出された部分は、動作中に絶えず変化する。
【0061】
光学デバイスの巻き出された部分は、光学デバイスの浸漬経路を画定することができる、すなわち、光学デバイスの「浸漬経路」は、光学デバイスの巻き出された部分の各増分が通過する経路として画定することができる。換言すれば、浸漬経路は、光学デバイスの格納ユニットから始まり、光学デバイスの先端で終わる。浸漬経路は、光学デバイスが通って案内されて繰り出される測定装置の構成要素及び手段によって主に決定されることを理解されたい。好ましくは、浸漬経路は、ハウジング内で光学デバイス用の格納ユニットから始まり、繰り出し手段、矯正手段、及びガイドシステムを通って進む。したがって、浸漬経路の第1の区間は、ハウジングの内側に位置しており、浸漬経路の第2の区間はハウジングの外側に位置している。特に、第2の区間は、ガイドシステムの内側に位置している。ガイドシステムを出た後、浸漬経路は、少なくとも1つの更なる区間を含むことができる。測定装置の動作中、この少なくとも1つの更なる区間は、特に、ガイドシステムの出口と、光学デバイスの先端が溶融金属浴に浸漬される位置との間の区間であり得る。
【0062】
好ましくは、浸漬経路の最初の2つの区間は、ハウジング及びガイドシステム内に完全に包囲されている。換言すれば、光学デバイスの巻き出された部分は、ガイドシステムの出口を離れるまで、測定装置の構成要素によって完全に覆われている。したがって、動作中に光学デバイスの最大限の保護及び制御を提供することができる。
【0063】
好ましくは、浸漬経路は、ねじれた区間を含まない。換言すれば、浸漬経路は、ねじれの存在なしに湾曲している。
【0064】
好ましくは、浸漬経路は、光学デバイスの外径の200倍よりも小さい半径を有する湾曲を含まない。曲率半径は、ある点における曲線に最もよく近似する仮想円の半径によって定義される。そのような構成は、塑性変形及び損傷につながり得る過剰な屈曲及び関連する力を加えることを伴わずに、光学デバイスの浸漬を可能にする。
【0065】
光学デバイスの巻き取られた部分は、光学デバイス用の格納ユニット上に巻き付けて配置することができる。換言すれば、光学デバイスの巻き取られた部分は、光学デバイス用の格納ユニット上に、少なくとも一巻き、好ましくは複数巻きで配置されている。そのような構成では、光学デバイスの巻き取られた部分は、内側巻き取り部と、外側巻き取り部と、任意選択でその間の巻き取り部とを備える。内側巻き取り部は、第1の巻き取り部とも呼ばれてもよく、外側巻き取り部は、最後の巻き取り部とも呼ばれてもよい。内側巻き取り部の直径は、光学デバイス用の格納ユニットの円筒状コアの直径に対応し得ることを理解されたい。
【0066】
好ましくは、浸漬経路は、外側巻き取り部の端部、すなわち、光学デバイスが格納ユニット上に配置されなくなる位置から始まる。好ましくは、光学デバイスの内側巻き取り部の直径は、光学デバイスの外側巻き取り部の直径以下である。
【0067】
好ましくは、光学デバイスの巻き取り部は、光学デバイス用の格納ユニット上に重ね合わされた層として配置されている。好ましくは、内層は、内側巻き取り部を含み、外層は、外側巻き取り部を含む。光学デバイスの巻き出された部分は、外層から始まることが好ましい場合がある。換言すれば、光学デバイスの浸漬経路は、格納ユニット上に配置された光学デバイスの最外部分から始まる。したがって、光学デバイスを移動手段によって浸漬経路に沿って移動させるとき、光学デバイスは、格納ユニット上の光学デバイスの巻き取られた部分の最外位置から動かされる。この構成は、動作中の光学デバイスの制御された繰り出し及び引き戻しを確実にする。
【0068】
好ましい実施形態では、光学デバイスの反対端は、光学デバイス用の格納ユニットに接続されている、言い換えれば、光学デバイスは、格納ユニットに接続された固定端と自由端とを有する。測定装置の動作中、自由端は、光学デバイスの先端であり、固定端は、反対端である。
【0069】
光学デバイス用の格納ユニットは、交換可能であることが好ましい場合がある。したがって、格納ユニットは、測定装置の動作中に光学デバイスが消耗した後に交換することができる。
【0070】
光学デバイス用の格納ユニットは、検出手段を備えることができ、言い換えれば、検出手段は、光学デバイス用の格納ユニット上に、格納ユニット内に、又は格納ユニットに配置されている。特に、検出手段は、光学デバイス用の格納ユニットの中空空間内に配置することができる。この場合、格納ユニットが動かされるときに、検出手段も動かされることが理解されるべきである。このような構成は更に、測定装置のコンパクトな設計を可能にする。更に、そのような構成は、格納ユニットが交換可能である実施形態において、光学デバイス用の格納ユニットの設置に先立って、光学デバイス及び検出手段の較正を可能にする。
【0071】
光学デバイス用の格納ユニットは、格納ユニット用の回転可能な支持体に含まれる手段と相互作用する手段を含むことができ、言い換えれば、光学デバイス用の格納ユニット及び光学デバイス用の格納ユニット用の回転可能な支持体は、互いに互換性のある手段を備えることができる。そのような手段は、光学デバイス用の格納ユニットと格納ユニット用の回転可能な支持体との間の機械的又は電気的相互作用を確立するように構成することができる。そのような互換性のある手段は、回転可能な支持体の動作によって引き起こされる光学デバイス用の格納ユニットの動作の高度な制御を可能にし、加えて、測定装置のコンパクトな設計を促進する。
【0072】
光学デバイス用の格納ユニットは、電気的接続手段を備えることができる。特に、光学デバイス用の格納ユニットが検出手段を備えている場合には、光学デバイス用の格納ユニットに電気的接続手段を設けることにより、測定装置のコンパクトな設計を更に強化することができる。このような電気的接続手段は、分析ユニットとの信号若しくはデータ転送、電力供給、及び/又は交換のために構成され得る。
【0073】
光学デバイス用の格納ユニットは、光学デバイス用の格納ユニット用の回転可能な支持体に含まれる機械的接続手段と相互作用するように構成された、機械的接続手段を備えることができる。そのような機械的接続手段は、特に回転可能な支持体が動かされるときの、回転可能な支持体上への格納ユニットの信頼できる取り付けを確実にするように構成されている。
【0074】
光学デバイス用の格納ユニットはまた、係止手段、すなわち、光学デバイス用の格納ユニット用の回転可能な支持体上の格納ユニットの係止を可能にする手段を備えることができる。好ましくは、光学デバイス用の格納ユニット用の回転可能な支持体は、そのような実施形態において、光学デバイス用の格納ユニットの係止手段と相互作用するように構成された係止手段を備える。そのような相互作用係止手段は、好ましくは、光学デバイス用の格納ユニット用の回転可能な支持体上に格納ユニットを固定するように構成されている。
【0075】
光学デバイス用の格納ユニットは、向き設定手段を備えることができる。向き設定手段は、格納ユニット用の回転可能な支持体上への光学デバイス用の格納ユニットの容易かつ案内された取り付けを容易にし、回転可能な支持体上での光学デバイス用の格納ユニットの適切な向きを確実にするように構成されている。好ましくは、格納ユニット用の回転可能な支持体は、そのような例において格納ユニットの向き設定手段と相互作用するように構成された向き設定手段を備える。このような構成は、回転可能な支持体の動作によって駆動されるとき、光学デバイス用の格納ユニットの動作の正確な制御を可能にする。
【0076】
好ましくは、光学デバイス用の格納ユニットは、識別用の手段を備える。そのような手段は、光学デバイス用の格納ユニットに格納された光学デバイスに関する情報、例えば、較正又は長さデータとの容易なリンクを可能にする。格納ユニットの識別用の手段は、例えばバーコード若しくはQRコードなどの印刷された手段、又は例えばチップ若しくはRFIDタグなどの電子的手段、ラベル、及びそれらの組み合わせを含む群から選択することができる。
【0077】
測定装置はまた、光学デバイス用の格納ユニット用の回転可能な支持体を備え、その上に光学デバイス用の格納ユニットを取り付けることができる。この構成は、格納ユニットの回転可能な支持体が非静止構成で設置されることを必要とし、すなわち、格納ユニットが動く、特に、回転し得るように設置されている。
【0078】
また、光学デバイス用の格納ユニット用の回転可能な支持体は、モータによって動作するように構成されている。そのような構成において、格納ユニットの回転可能な支持体の動作、すなわち回転は、光学デバイス用の格納ユニットの回転をもたらすことが理解されるべきである。換言すれば、回転可能な支持体の駆動は、光学デバイス用の格納ユニットの駆動を直接もたらす。この構成によれば、光学デバイスを格納ユニットから引き出さずに、前方に押し出すことができる。
【0079】
光学デバイス用の格納ユニット用の回転可能な支持体は、単一の部分又は複数の部分から形成することができる。例えば、1つ又は複数の部分は、ロッド形状、バー形状、又はホイール形状であり得る。1つ又は複数の部分の断面は、任意の幾何学的形状を有することができ、例えば、円形、楕円形、正方形又は長方形とすることができる。好ましい実施形態では、1つ又は複数の部分の直径は、1方向に向かって増大し、言い換えれば、1つ又は複数の部分は、均一な直径を有していない。
【0080】
光学デバイス用の格納ユニット用の回転可能な支持体は、電気的接続手段を備えることができる。これにより、測定装置のコンパクトな設計を更に強化することができる。
【0081】
光学デバイス用の格納ユニット用の回転可能な支持体は、向き設定手段を備えることができる。向き設定手段は、光学デバイス用の格納ユニットの容易かつ案内された取付けを容易にし、回転可能な支持体上での格納ユニットの適切な向きを確実にするように構成されている。加えて、それは、光学デバイス用の格納ユニットと回転可能な支持体との間の電気接続の無応力接続を確実にする。
【0082】
光学デバイス用の格納ユニット用の回転可能な支持体は、係止手段、すなわち、回転可能な支持体上の光学デバイス用の格納ユニットの係止を可能にする手段を備えることができる。
【0083】
測定装置は、光学デバイスを繰り出し、引き戻すように適合された移動手段を備える。移動手段は、光学デバイスの能動的な移動を引き起こすように構成された手段として理解されるべきである。光学デバイスを移動させるために、移動手段と光学デバイスとの間の機械的接触がある程度確立されなければならない。特に、移動手段は、光学デバイスの格納ユニット用の支持体を駆動し、光学デバイスを繰り出すように適合されている。移動手段はまた、光学デバイスを反対方向に移動させる、例えば引き戻すことができる。通常、光学デバイスは、測定シーケンスが終了した後、溶融金属浴から離れる方向に引き戻される。移動手段は、浸漬経路に沿って光学デバイスを移動させることを理解されたい。本発明の意味での繰り出しとは、動作中、典型的には溶融金属浴に向けた光学デバイスの移動を意味する。引き戻しは、反対方向への移動として理解されるべきである。繰り出しは、格納ユニットからの光学デバイスの巻き出しに関連する一方、引き戻しは、格納ユニット上への巻き取り、すなわち、以前に巻き出された光学デバイスの少なくとも一部分の再配置に関連する。
【0084】
特に、移動手段は、光学デバイスにかかる摩擦力又はねじり力を最小限にして光学デバイスを移動させるように構成することができる。移動中、光学デバイスの先端は、溶融金属浴の表面より下に浸漬させることができ、そこで温度情報を得ることができる。
【0085】
移動手段は更に、光学デバイスの繰り出し速度を調整するように構成することができる。繰り出し速度、すなわち、光学デバイスの増分が移動する速度は、0.1~5.0m/秒の範囲内であり得る。
【0086】
移動手段は、光学デバイスの加速度を調整するように構成することもできる。繰り出し速度の加速は、最大25m/s2とすることができる。速い加速は、光学デバイスの繰り出し及び引き戻しの正確な制御を可能にする。
【0087】
移動手段は、光学デバイス用の格納ユニット用の回転可能な支持体を前後に駆動するための少なくとも1つのモータを含む。
【0088】
光学デバイス用の格納ユニット用の回転可能な支持体を駆動するためのモータは、格納ユニットの効率的かつ制御された回転運動を可能にする。格納ユニット用の回転可能な支持体を駆動するためのモータは、回転運動速度を適宜変更可能であり、繰り出し速度調整機構の一部として機能する。
【0089】
格納ユニット用の回転可能な支持体を駆動するための少なくとも1つのモータは、サーボモータであってもよく、及び/又はモータ位置を監視するようにサーボドライブを備えてもよい。
【0090】
移動手段は、光学デバイスを繰り出すための繰り出し手段を含む。繰り出し手段は、少なくとも1つの前後駆動用モータによって駆動される。繰り出し手段を駆動するためのモータは、光学デバイスの移動速度を適宜変更することができ、繰り出し速度調整機構の更なる部分でもある。
【0091】
繰り出しを可能にするために、光学デバイスは、繰り出し手段を通って案内され、言い換えれば、浸漬経路は、繰り出し手段を通って延びている。好ましくは、繰り出し手段は、光学デバイスと接触している。
【0092】
繰り出し手段は、光学デバイスを直線状に、すなわち回転、湾曲又は屈曲運動なしに移動させるように構成することができる。換言すれば、光学デバイスの浸漬経路は、繰り出し手段を通過するときに直線である。
【0093】
好ましい実施形態では、光学デバイスの格納ユニットと繰り出し手段との間の浸漬経路の長さは、10cm~100cmの範囲内である。したがって、浸漬経路上の光学デバイスの巻き出された部分の長さが最小化される。
【0094】
繰り出し手段を駆動するための少なくとも1つのモータは、浸漬経路上の又は浸漬経路の閉塞を検出するように構成することができる。
【0095】
繰り出し手段を駆動するための少なくとも1つのモータは、サーボモータであってもよく、及び/又はモータ位置を監視するようにサーボドライブを備えてもよい。
【0096】
好ましくは、繰り出し手段は、少なくとも一対の向かい合うホイールを備える。好ましくは、少なくとも一対の向かい合うホイールは、繰り出し手段の少なくとも1つのモータによって駆動される、すなわち、全てのホイール又は少なくとも1つのホイールがモータによって回転される。ホイールは、光学デバイスに圧縮嵌合するように配置されることが好ましい。光学デバイスは、繰り出し手段を駆動するモータに応答してホイールが回転することによって、このように駆動される。
【0097】
繰り出し手段のホイールは、光学デバイスを収容するように構成された周方向溝を有することができる。ホイールの溝の最も適切な形状及び幾何学的形状は、温度測定に適用される光学デバイスに依存する。好ましくは、ホイールの溝は、U字形である。ホイールの溝の表面は、平坦又は波形の表面を有することができる。このように構成することで、滑らずに光学デバイスを繰り出すことができる。
【0098】
好ましくは、ホイールの溝は、光学デバイスの直径より大きい直径を有する。好ましくは、ホイールの溝は、光学デバイスの外径よりも最大5%大きい直径を有する。ホイールの溝の深さは、光学デバイスの直径よりも小さいことが好ましい場合がある。好ましくは、ホイールの溝は、光学デバイスの直径よりも最大5%小さい深さを有する。好ましくは、ホイールの溝は、光学デバイスの外径よりも最大5%大きい直径、及び光学デバイスの直径よりも最大5%小さい深さを有する。したがって、一対のそのようなホイールが嵌合又は略嵌合構成で配置されたときに溝によって構築される空隙空間は、楕円形を有する。このようにして、光学デバイスは、繰り出し及び引き戻し動作中に圧縮嵌合される。
【0099】
好ましい実施形態によれば、繰り出し手段は、2対以上のホイールを備えることができる。
【0100】
繰り出し手段の2対以上のホイールは、同じ又は異なる構成を有することができる。
【0101】
好ましい実施形態では、繰り出し手段の少なくとも一対のホイールは、ばね荷重式である。換言すれば、ホイールのうちの少なくとも1つは、固定様式で取り付けられ、少なくとも1つの他のホイールは、固定されたホイールに対向して配置され、可動であり、弾性ばねによって所定の位置に保持されている。ばね荷重構成は、不必要な挟持力を加えることなく、光学デバイスの最適な案内を可能にする。好ましくは、ばね荷重式ホイールによって加えられる挟持圧力は調節可能である。
【0102】
測定装置は、光学デバイス用の格納ユニット用の回転可能な支持体を前後に駆動するための少なくとも1つのモータと、繰り出し手段を前後に駆動するための少なくとも1つのモータとの動作を制御するように構成された制御手段を更に備えることができる。特に、制御手段は、マイクロコントローラ、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)又はコンピュータなどの電子制御デバイスであってもよい。
【0103】
好ましくは、制御手段は、光学デバイス用の格納ユニット用の回転可能な支持体を前後に駆動するための少なくとも1つのモータと、繰り出し手段を前後に駆動するための少なくとも1つのモータとの動作を連係させるように構成されている。この文脈における連係とは、モータのいずれも別個に駆動されないことを意味する。この駆動は、必ずしも同期される必要はなく、すなわち正確に同じ時点で開始される必要はない。また、一方のモータの動作が、他方のモータの動作の前の別個の期間に開始されることが好ましい場合がある。このような連係により、未制御の自由長を形成することなく、光学デバイスの制御された繰り出し及び引き戻しが可能になる。そのような自由長は、ループ又はスリングを形成する可能性があり、これは、浸漬経路の閉塞又は正確な浸漬制御の喪失を引き起こすおそれがある。
【0104】
更に、測定装置は、矯正手段を備える。矯正手段は、光学デバイスとの相互作用、特に摩擦力によってのみ矯正及び/又は回転させることができる構成要素である。好ましくは、矯正は、光学デバイスの塑性変形によって行われる。光学デバイスの浸漬経路は、矯正手段を通ることを理解されたい。
【0105】
好ましくは、矯正手段は、非モータ駆動である。非モータ駆動の矯正手段は、能動的に連係又は同期されなければならない光学デバイスと相互作用する最小数の構成要素を備えた測定装置を可能にし、測定装置の信頼できる動作を可能にする。
【0106】
好ましくは、矯正手段は、2つの対向する側からの光学デバイスとの直接接触を維持するように構成することができる。このような構成では、典型的には、矯正手段は3つ以上の対向する側から光学デバイスに接触するため、矯正手段は半矯正手段として理解することができる。
【0107】
好ましくは、矯正手段は、少なくとも2つのホイール、好ましくは3つ以上のホイールを備える。一実施形態では、少なくとも2つのホイールは、光学デバイスの浸漬経路に沿って距離を置いて配置されている、すなわち、それらの回転軸は、浸漬経路に垂直な共通軸上にない。
【0108】
矯正手段の一対又は複数対のホイールは、同じ又は異なる構成を有することができる。
【0109】
好ましくは、矯正手段は、浸漬経路上の移動手段の後ろ、特に繰り出し手段の後ろに配置されている。換言すれば、光学デバイスを、浸漬経路に沿って繰り出し手段を通じて案内及び/又は移動させた後に、矯正手段を通して案内及び/又は移動させる。このようにして、光学デバイスを、格納ユニット上の光学デバイスの格納位置の近くでのみ能動的に移動させる。
【0110】
好ましい実施形態では、繰り出し手段と矯正手段との間の浸漬経路の長さは、10cm~100cmの範囲内である。したがって、浸漬経路上の光学デバイスの巻き出された部分の長さが最小化される。
【0111】
好ましくは、繰り出し手段のホイールは、非モータ駆動の矯正手段に対して70度~90度の角度で配置されている。2つの手段の間の角度は、それらの中心軸間の角度として理解されるべきである。それぞれの中心軸は、浸漬経路に垂直な軸である。
【0112】
測定装置は、ハウジングを備える。「ハウジング」という用語は、本事例では光学デバイスの繰り出し及び引き戻しのプロセスを停止させる可能性がある外部からの影響、その妨害に対してその内部を遮蔽するエンクロージャとして理解されるべきである。特に、冶金設備において、周囲は、例えば、プロセス固有の高温及び遍在する汚れ及びスクラップに起因して、過酷な環境であり得る。
【0113】
ハウジングは、検出手段と、光学デバイス用の格納ユニットと、光学デバイス用の格納ユニット用の回転可能な支持体と、移動手段と、矯正手段と、を包囲している。これは、測定装置のコンパクトな設計を可能にする。このコンパクトな設計と移動手段の構成との組み合わせ、すなわち、光学デバイスの格納ユニットの動作と連動した格納ユニットの回転可能な支持体の能動的駆動、能動的に駆動される繰り出し手段、及び隣接する矯正は、驚くべきことに、比較的薄い外側金属管を有する光学デバイスの制御された浸漬に不可欠であることが分かった。
【0114】
ハウジングは、光学デバイスの少なくとも一部、特に巻き取られた部分も覆うことを理解されたい。好ましくは、少なくとも巻き出された部分の区間、すなわち少なくとも浸漬経路の区間は、ハウジングによって覆われている。
【0115】
好ましくは、ハウジングは少なくとも1つの開口部を備え、この開口部を通して光学デバイスを移動させることができる。
【0116】
好ましくは、ハウジングの高さは、光学デバイス用の格納ユニットの外径に対応する。好ましくは、ハウジングの高さは、光学デバイス用の格納ユニットの外径の1.2~2倍の範囲内、好ましくは1.3~1.8倍の範囲内である。
【0117】
ハウジングは、保守を容易にするため又は安全上の理由でドアを有することができる。
【0118】
ハウジングは、断熱することができる。ハウジング壁は、二重層とすることができる。好ましい実施形態では、二重層ハウジング壁の間の空隙空間は、耐火材料で充填されている。
【0119】
ハウジングには、例えば冷却及び加熱に対する順応手段を設けられることが予測される。好ましい実施形態では、ハウジングは空調管理される。このようにして、ハウジングは過熱から保護される。過熱は、光学デバイスの繰り出し及び引き戻しプロセスを妨害する可能性がある。また、空調により結露が防止される。
【0120】
好ましい実施形態では、ハウジングはガス接続ポートを備える、すなわち、ハウジングは加圧又はパージすることができる。この実施形態は、ハウジングの内部を、例えば埃及び土の粒子などの環境的侵入から更に保護することを可能にする。
【0121】
好ましくは、ハウジングは、少なくとも1つのキャビネットを備える。
【0122】
好ましい実施形態では、ハウジングは、特に、格納ユニット、光学デバイス用の格納ユニット用の回転可能な支持体、移動手段、及び矯正手段のための第1のアクセス可能な区画と、測定装置の電気機器のための第2の区画とを備えるキャビネットを備える。このようにして、移動手段及び格納ユニット、したがって光学デバイスの巻き取られた部分は、他の構成要素から分離されている。第1の区画は、エンドユーザがアクセス可能であり、したがって、例えばロックによって閉鎖されていない。その結果、エンドユーザは、必要に応じて光学デバイス用の格納ユニットを挿入又は交換することができる。
【0123】
好ましくは、測定装置の電気機器を含む第2の区画は、例えばドアロックによって閉鎖されている。その結果、電気機器は良好に保護され、例えば誤用による障害が回避される。
【0124】
一実施形態では、格納ユニットと、光学デバイス用の格納ユニット用の回転可能な支持体と、移動手段の全ての構成要素とは、単一のキャビネット内に配置され、したがって別個のユニット内に配置されていない。格納ユニット及び移動手段の構成要素、特に繰り出し手段及び矯正手段は、単一のキャビネットの異なる区画内に配置することができる。
【0125】
一実施形態では、光学デバイス用の格納ユニットと、光学デバイス用の格納ユニット用の回転可能な支持体と、移動手段及び矯正手段の構成要素とは、少なくとも部分的に異なるキャビネット内に、したがって別個のユニット内に配置されている。好ましくは、これらの別個のユニットは、接続管によって接続されている。このような構成は、測定装置のモジュール設計を可能にする。
【0126】
本発明による測定装置は、ガイドシステムも備える。ガイドシステムは、光学デバイスを能動的に移動させたり影響を与えたりすることなく、光学デバイスを受動的に案内するシステムとして理解されるべきである。換言すれば、ガイドシステムは、モータ、繰り出し手段、又は矯正手段を含まない。ガイドシステムは、光学デバイスがハウジングから出るとすぐに環境から保護されることを確実にするように構成されている。ガイドシステムは、光学デバイスを容器内の溶融金属浴内へ案内する、及び/又は溶融金属浴から外へ案内する役割を果たす。浸漬経路は、ガイドシステムを通して導かれ、したがってガイドシステムの構成及び幾何学的形状によって決定されることを理解されたい。ガイドシステムは、ガイドシステムを通して光学デバイスの繰り出しを可能にするための入口及び出口を備える。
【0127】
ガイドシステムの一端は、浸漬経路の繰り出し方向に浸漬端を備えることができる。浸漬端は、溶融金属浴を収容する容器の内側に配置することができる。したがって、浸漬端は、そのような容器の内側の条件に耐えるように構成されることが好ましい。そのような条件に耐えるように構成されるとは、例えば溶鋼の温度に耐えられることを意味する。
【0128】
好ましくは、ガイドシステムの浸漬端は、温度が測定される溶融金属浴の上方に配置されている。換言すれば、光学デバイスは、上方から溶融金属浴に浸漬される。
【0129】
好ましくは、光学デバイスの浸漬経路は、最初に繰り出し手段を通り、その後に矯正手段を通り、続いてガイドシステムを通る。
【0130】
ガイドシステムの湾曲は、屈曲又はねじれなしに光学デバイスを案内するように構成されていることが有利であり得る。換言すれば、ガイドシステムは、光学デバイスにかかる屈曲力を最小限にして案内するように、光学デバイスの浸漬経路を案内する。好ましくは、ガイドシステムの最小曲率半径は、光学デバイス用の格納ユニット上の光学デバイスの内側巻き取り部の半径の4倍より大きい。
【0131】
好ましくは、ガイドシステムは、直線である、すなわち湾曲していない少なくとも1つの区間を備える。好ましくは、ガイドシステムの最後の区間、すなわちガイドシステムの出口の前の区間は直線である。
【0132】
好ましくは、ガイドシステムは、その長手方向に円形断面を有する。
【0133】
好ましくは、ガイドシステムの内径と光学デバイスの外側金属管の直径との比は2以下であり、特に、この比は1.2~1.9の範囲内である。
【0134】
ガイドシステムは、ハウジングに接続されている。そのような構成は、浸漬経路の少なくとも最初の2つの区間の覆われていない部分なしに光学デバイスの浸漬を可能にする。
【0135】
好ましくは、ガイドシステムは、コネクタによってハウジングに接続されている。コネクタは、測定装置のモジュール設計を可能にする。
【0136】
好ましい実施形態において、ガイドシステムは、互いに分離可能に接続された少なくとも2つの個別の構成要素を備える。このような構成は、測定装置のモジュール構造を可能にし、洗浄及び故障対策を可能にする。
【0137】
好ましくは、ガイドシステムは、少なくとも1つのガイド管を備える。ガイドシステムが2つ以上のガイド管を備える場合、2つ以上のガイド管を脱着可能な様式で相互接続できることが好ましい場合がある。
【0138】
好ましい実施形態では、少なくとも1つのガイド管は、金属から形成されている。
【0139】
好ましくは、少なくとも1つのガイド管の内径と光学デバイスの外側金属管の直径との比は、2以下であり、特に、この比は、1.2~1.9の範囲内である。
【0140】
好ましい実施形態では、少なくとも1つのガイド管の内径は、20mm未満、好ましくは16mm未満である。好ましくは、少なくとも1つのガイド管の内径は、4mm~20mmの範囲内、より好ましくは4~18mmの範囲内である。
【0141】
好ましくは、浸漬経路の最小曲率半径は、少なくとも1つのガイド管の内径の10倍より大きく、より好ましくは30倍大きく、最も好ましくは50倍大きい。そのような比は、屈曲なしでの光学デバイスの浸漬を可能にする。
【0142】
好ましくは、少なくとも1つのガイド管の最小曲率半径は、光学デバイス用の格納ユニット上の光学デバイスの内側巻き取り部の半径の4倍より大きい。
【0143】
好ましくは、少なくとも1つのガイド管の長さは、200cm以下、好ましくは100cm以下である。
【0144】
好ましくは、ガイドシステムは投入システムを備える。このような構成では、投入システムは、光学デバイスが溶融金属浴に浸漬される前の光学デバイスの浸漬経路の最後の区間を備える。
【0145】
投入システムは、好ましくは鋼及び/又はセラミック材料から構成されている。
【0146】
好ましくは、投入システムは直線部分で終端し、すなわち光学デバイスは、溶融金属浴に入る前に屈曲しない。したがって、光学デバイスは、溶融金属浴内へ直線状浸漬経路に沿って浸漬され、溶融金属浴から引き戻すことができる。光学デバイスの機械的特性は、光学デバイスが温度測定中にさらされる熱及び/又はその後の冷却に起因して変化する。特に、その柔軟性が減少する。浸漬経路の最後の区間において屈曲することなく光学デバイスを案内することにより、永久的な変形、したがって光学デバイスの摩耗、応力及び摩擦、容器内に存在する材料の侵入、並びに投入システムの閉塞が回避される。光学デバイスの更なる望ましくない移動も防止される。
【0147】
好ましい実施形態では、ガイドシステムは、接続された少なくとも1つのガイド管と投入システムを備える。そのような構成は、浸漬経路における保護されていない区間が最小限の部分となる光学デバイスの浸漬を確実にする。好ましくは、投入システムは、コネクタを用いて少なくとも1つのガイド管に接続されている。
【0148】
好ましくは、少なくとも1つのガイド管は、投入システムに隣接する直線部分を有し、すなわち、浸漬経路は、この区間において湾曲していない。
【0149】
好ましくは、投入システムは、ガス供給手段に接続することができるガス入口を備える。したがって、動作中に浸漬システムをガスでパージすることができる。
【0150】
好ましくは、投入システムは、吹き込みランスを含む。吹き込みランスは、それを通してパージガスを冶金容器内に吹き込むことができるランスである。これは、金属、スラグ、及び/又はデブリの投入システム内への侵入を防止することを助けることができる。パージガスは追加的に、吹き込みランス及び/又は吹き込みランス内の光学デバイスを冷却する。
【0151】
典型的には、吹き込みランスは、光学デバイスを溶融金属浴に向けて直線状浸漬経路に沿って案内するために直線状である、すなわち、湾曲していない。吹き込みランスは、一体に製造されてもよい。吹き込みランスは、特に、ガイドシステムと同軸に配置されている、及び/又はガイドシステムに軸方向に隣接して配置されている。
【0152】
一実施形態では、容器及び/又は容器内に収容された溶融金属浴に向けて方向付けられている、又は方向付けることができる吹き込みランスの端部は、ラバールノズルとして実現されている。これは、パージガス流が高速及び/又は超音速で容器内に導入されることを可能にする。したがって、光学デバイスの下の溶融金属浴を覆うスラグは、光学デバイスの浸漬前及び/又は浸漬中に変位させることができる。したがって、吹き込みランス及びガイドシステムの閉塞が防止される。加えて、光学デバイスは、容器内でも冷却され、これにより、光学デバイスの耐久性が増加し、特に正確な温度測定が可能になる。
【0153】
測定装置は、光学デバイスの先端の位置を特定する手段を更に備えることができる。光学デバイスの先端の位置を知ることは、光学デバイスを浸漬することができる精度を更に高める。特に、特定の時間枠に対して特定の浸漬速度で光学デバイスを繰り出し、引き戻すいくつかの工程を含む測定シーケンスにおいて、光学デバイスの先端の位置を知ることは、高品質の測定を確実にするための必須の入力パラメータであり得る。
【0154】
先端光学デバイスの位置を特定するための好適な手段は、更に限定されず、例えば、手段は、感知手段又は切断手段であってもよい。測定装置内の手段の位置が既知であるため、光学デバイスの先端の位置も分かることになる。
【0155】
好ましくは、先端光学デバイスの位置を特定する手段は、ガイドシステム上、ガイドシステム内、又はガイドシステムに配置されている。
【0156】
測定装置が制御手段を備える実施形態では、制御手段は、光学デバイスの先端の位置を特定する手段と相互作用するように構成することができる。
【0157】
測定装置は、光学デバイスを切断するように構成された切断手段を備えることができる。光学デバイスの切断は、浸漬経路の予期せぬ閉塞が生じた場合、又は光学デバイスの新しい先端を生成する必要がある場合に必要になる可能性がある。切断はまた、光学デバイスの先端の位置を知るため、すなわち、光学デバイスの先端の位置を特定するために採用することができる。好ましくは、切断手段は、ガイドシステム上に、ガイドシステム内に、又はガイドシステムに配置されている。
【0158】
測定装置は、光学デバイスの存在を感知するための感知手段を更に備えることができる。光学デバイスの存在を検出することは、光学デバイスが特定の位置に存在するか否かに関する情報を検出することを意味する。これは、感知手段の一部分が、測定装置内の既知の定位置に配置されることで実現することができる。感知手段は、特に、光学デバイスの先端の位置を検出するように構成することができる。
【0159】
感知手段は、誘導センサ又はガス流の特性を測定するためのセンサを含むことができる。
【0160】
ガス流の特性を測定するためのセンサの場合、感知手段は、特に、ガス流の流量、ガス流の流速、及び/又はガス流内のガス圧を測定するように構成されている。したがって、ガス流が、光学デバイスの存在を検出するために使用される。特に、ガス流は、ガイドシステム内で又はガイドシステムに近接して実現され、これにより、光学デバイスの存在は、例えばガス流の流路の少なくとも一部分を妨害することによって、ガス流に影響する。特性を測定することによって、光学デバイスの存在を検出することができる。ガイドシステムは、適切なガス源を備えてもよい。感知手段は、ガイドシステムに近接して又は遠隔位置に配置されて、ガスラインに接続されてもよい。典型的には、ガスラインは、高い耐熱性を有する。
【0161】
測定装置が制御手段を備える例示的な実施形態では、制御手段は、感知手段を制御するように構成することができる。制御手段は、感知手段と連係して移動手段のモータの動作を制御するように構成されることが有利であり得る。
【0162】
更なる実施形態では、測定装置は、光学デバイスの動きを監視するための監視手段、例えばエンコーダ又は誘導型スイッチを備えることができる。そのような監視手段は、光学デバイスの動きを監視し、したがって、意図された動きと光学デバイスの実際の動きとの比較を可能にするように構成することができる。したがって、他の方法では検出することができない、例えば遮断による光学デバイスの任意の変位を、依然として測定することができる。
【0163】
好ましくは、監視手段は、浸漬経路の方向において移動手段の後ろに配置されている。これにより、光学デバイスの動きの特に正確で障害のない監視及び高い浸漬制御が可能になる。監視手段は、光学デバイスが既知の開始点から移動する距離を監視するように構成されてもよい。開始点は、光学デバイスの先端の位置を特定するための手段、特に感知手段によって検出された光学デバイスの先端の位置によって規定することができる。したがって、位置測定後、監視デバイスは、光学デバイスのその後の移動中に先端の位置が分かることを確実にする。
【0164】
測定装置が制御手段を備える例示的な実施形態では、制御手段は、監視手段を制御するように構成することができる。好ましくは、制御手段は、監視手段によって検出された光学デバイスの位置を、移動手段のサーボモータによって検出された位置と比較するように構成されている。したがって、光学デバイスの位置の変位、ガイドシステムの閉塞、又は高い摩耗若しくは摩擦を特定することができる。
【0165】
測定装置は、データ分析のための分析ユニットも備えることができる。
【0166】
測定装置はまた、例えばスイッチ、キーボード、又はノブなどの制御機能部の形態で、ユーザ入力又は調整を可能にする制御パネルを含むことができる。制御パネルは、ハウジング上又はハウジングに配置されることが好ましい。
【0167】
測定装置は、システムフィードバックをユーザに提供することができる表示手段を含むことができる。表示手段は、ハウジング上又はハウジングに配置されることが好ましい。
【0168】
測定装置は、特に固定様式で設置することができる。好ましくは、測定装置は、測定装置が、冶金容器の外壁上に配置することができる、又は存在する場合、冶金容器の側面上のプラットフォーム上に配置することができるように構成されている。外壁上に配置される場合、測定装置は、偏心炉底出鋼式(eccentric bottom tap、EBT)プラットフォーム上に、又は冶金容器の側壁に設置されてもよい。したがって、光学デバイスは、静止位置から容器内へ移動することができる。プラットフォームは、側壁の一部分とすることができ、かつ/又は本質的に水平に整列させることができる。特に、容器の入口点は、プラットフォーム上に配置され、かつ/又は、本質的に垂直に整列された開口部である。
【0169】
本発明の更なる態様は、本発明による測定装置を用いて溶融金属浴の温度を測定するための方法である。
【0170】
本方法は、少なくとも、
(i)光学デバイスを繰り出す工程と、
(ii)溶融金属浴の温度を測定する工程と、
(iii)前記光学デバイスを引き戻し、巻き取る工程と、を含む。
【0171】
本発明による測定装置に関して言及された全ての特徴、利点及び実施形態はまた、本発明の上記の態様及び方法に適用され、その逆も同様である。
【0172】
驚くべきことに、測定装置が使用されるとき、特に、本方法が数回実行されるときに、光学デバイスの引き戻しと連動して光学デバイスを巻き取ることが、より高い信頼性をもたらすことが分かった。
【0173】
この方法は、光学デバイスの繰り出しを含む。
【0174】
繰り出し工程は、光学デバイス用の格納ユニット用の回転可能な支持体を駆動するための少なくとも1つのモータの動作と、繰り出し手段を前後に駆動するための少なくとも1つのモータの動作と、を含むことを理解されたい。
【0175】
好ましくは、移動手段の少なくとも2つのモータの動作は連係される。光学デバイス用の格納ユニット用の回転可能な支持体を前後に駆動するための少なくとも1つのモータの動作が、繰り出し手段を前後に駆動するための少なくとも1つのモータの動作の前に開始されることが有利であり得る。したがって、繰り出し手段が光学デバイスを能動的に移動させる前に、光学デバイスのいくらかの長さが、光学デバイス用の格納ユニットから巻き出される。そのような連係された動作は、本方法の精度及び信頼性を向上させることが分かっている。
【0176】
この方法は、溶融金属浴の温度を測定することを含む。温度を測定するために、溶融金属浴によって放出され、光学デバイスによって検出手段に搬送される放射光、特にIR波長範囲内の放射光が記録される。放射光の強度及び/又はスペクトル情報は、検出手段に接続された処理ユニットによって処理されてもよい。
【0177】
測定工程の間、光学デバイスは、少なくとも部分的に消耗され得る。
【0178】
本方法は、光学デバイスを引き戻し、巻き取ることを含む。デバイスを引き戻している間の巻き取りは、測定工程中に消耗されなかった光学デバイスの巻き出された部分の長さが、光学デバイス用の格納ユニット上に再配置されることを意味することを理解されたい。光学デバイスが、格納ユニットの近くではなく、溶融金属浴内に位置している先端で消耗されたとしても、消耗された長さは、巻き取られ得る光学デバイスの巻き出された部分の長さに直接影響を及ぼす。
【0179】
引き戻し及び巻き取り工程は、光学デバイス用の格納ユニット用の回転可能な支持体を前後に駆動するための少なくとも1つのモータの動作と、繰り出し手段を前後に駆動するための少なくとも1つのモータの動作と、を含むことを理解されたい。
【0180】
好ましくは、本発明による方法は、2回以上実施される。
【0181】
好ましくは、本方法は、光学デバイスの先端の位置を特定する少なくとも1つの工程を更に含む。特定は、特定実施位置に配置された光学デバイスの先端の位置を特定する手段によって実行することができる。
【0182】
光学デバイスの先端の位置の特定は、光学デバイスを繰り出す工程の前及び/又は間に行うことができる。
【0183】
光学デバイスの先端の位置を特定することは、光学デバイスを引き戻し、巻き取る工程の間及び/又は後に行うことができる。好ましくは、光学デバイスの先端は、特定実施位置まで引き戻される。これにより、光学デバイスを必要以上に引き戻すことを回避することができる。
【0184】
本方法は、光学デバイスを特定実施位置よりも更に引き戻し、光学デバイスの引き戻しを停止し、光学デバイスを再び特定実施位置に繰り出す更なる工程を更に含むことができる。好ましくは、引き戻し移動の速度は、繰り出し移動の速度よりも速い。このような追加の工程は、光学デバイス、特に先端の正確な位置決めを可能にする。特に、追加の工程は、方法が2回以上実行される場合に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0185】
本発明の根底にある概念は、図面に示された例示的な実施形態に関してより詳細に後述される。例示的な実装態様の特徴は、別段の指示がない限り、特許請求された対象と個別に又は複数で組み合わされ得る。特許請求された保護範囲は、例示的な実装態様に限定されない。
【0186】
ここで、
【
図3】
図3は、本発明による例示的な測定装置を示す。
【
図4】
図4は、高温計を担持するコイルの詳細図である。
【
図5】
図5は、光学デバイスの浸漬経路及びその湾曲を示す測定装置の簡略図である。
【
図6A】
図6Aは、2対のローラを有するフィーダの可能な構成を示す。
【
図7】
図7は、フィーダ及びス矯正機の構成を示す。
【
図8A】
図8Aは、光学デバイスの直線状浸漬経路を有する矯正機の可能な構成を示す。
【
図8B】
図8Bは、光学デバイスの蛇行した浸漬経路を有する矯正機の可能な構成を示す。
【
図9】
図9は、先端の位置を求めるためのセンサを備えた測定装置の構成を示す。
【
図10】
図10は、切断手段を有する例示的な測定装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0187】
図1は、本発明による測定装置に用いることができる消耗光学デバイス(1’、1’’、1’’’)の概略図である。光ファイバ2’、2’’、2’’’は、内側金属管3’、3’’、3’’’及び外側金属管4’、4’’、4’’’によって囲まれている。金属管の間の空隙空間5’、5’’、5’’’は、
図1Bに示すように、充填材料6’’で充填することができる。
図1Cは、内側金属管3’’’の周囲及び外側金属管4’’’の内側に配置された分離要素7’’’を有する光学デバイス1’’’の構成を示す。
【0188】
図2は、電気アーク炉(EAF)10の冶金容器9に配置されたプラットフォーム8上の測定装置200の例示的な設置を示す。コンパクトで堅牢な設計により、測定装置200全体を動作位置の近くに配置することができる。この位置は、装置200の設置に必要な空間及び動作中の光学デバイス1の長さを最小にする。プラットフォーム8は、測定装置200のガイドシステム207が接続される容器9の内部に通じる穴14を備える。容器9の内部では、光学デバイス9が、溶融金属浴11(
図2の図では見えない)に入る。
【0189】
図3は、本発明による例示的な測定装置200をより詳細に示す。コイル201上に配置された光学デバイス1は、ハウジング202内の回転可能な支持体(図示せず)上に設置されている。コイル201はまた、光学デバイス1に接続された検出器(図示せず)を担持する。好都合なことに、支持体とコイル201との間に機械的及び電気的接触が確立されている。コイル201は、測定装置200の動作後に光学デバイス1が消耗したときに交換することができる。
【0190】
図4は、例えば高温計を備える検出ユニット301を担持するコイル201の詳細図である。コイル201は、光学デバイス1を周りに巻き付けることができる中空円筒状コア302を有する。コイル201は、2つのサイドパネル303a、303bを有し、これらは、円筒状コア302から延びており、光学デバイス1がコア302から滑り落ちないことを確実にする。図示の構成では、円筒状コア302の中空部に検出ユニット301が設置されている。コイル201はまた、回転可能な支持体に接続することができる、すなわち、回転可能な支持体に、又は支持体上に取り付けることができる部分304を備える。
【0191】
ハウジング202はまた、フィーダ203及び矯正機204、並びにコイル支持体を駆動するための第1のモータ205及びフィーダ203を駆動するための第2のモータ206を含む。コイル205の支持体及びフィーダ206を駆動するためのモータは、光学デバイス1の能動的な移動を引き起こし、共に移動システムを形成する。ガイドシステム207は、任意選択的にコネクタ210を用いてハウジング202に接続されている。ガイドシステム207は、ガイド管208と、投入システム209とを備え、これらも任意選択でコネクタ211を用いて接続されている。ガイドシステム207の直径は、かなり小さく選択されなければならず、理想的には、光学デバイス1の外径の直径の2倍以下である。そのような構成は、浸漬経路500の破断又は閉塞なしに、光学デバイス1の受動的な案内を可能にする。
【0192】
図3はまた、溶融金属浴11を含む例示的な冶金容器9を示す。測定装置200は、光学デバイス1がガイドシステム207を出た後に上方から溶融金属浴11に浸漬されるように配置又は設置されている。ガイドシステムの出口212と溶融金属浴の表面12との間で、光学デバイス1は、典型的には、高温雰囲気13及び溶融金属浴11を覆うスラグ層(図示せず)を通って移動する必要がある。典型的には、スラグは、一定の体積を有しておらず、鋼処理中に時々発泡して体積が膨張する。したがって、投入システム209が、ガス流でパージされる吹き込みランス(図示せず)を備えることが有利であり得る。そのような構成では、ガスの一定のパージにより、ガイドシステムの開口部212が、凝固したスラグ及び/又は溶融金属の冷却された液滴によって閉塞されないことを確実にすることができる。パージガスの更なる利点は、ガイドシステム207並びに光学デバイス1の未使用部分を低温に保ち、それによってガイドシステム207の寿命を延ばすと同時に、光学デバイス1の未使用光ファイバの失透を防止することである。好ましくは、ガス圧は、少なくとも2バール及び/又は最大5バールの間に維持され、これは、未失透ファイバを維持するのに十分な冷却を容易にする。
【0193】
図5は、光学デバイス1の浸漬経路500及びその湾曲を示す測定装置200の簡略図である。浸漬経路は、光学デバイス1がコイル201から巻き出されて溶融金属浴11に入るまで、光学デバイス1の巻き出された部分の全ての増分がたどる経路として理解されるべきである。光学デバイス1の浸漬経路500は、コイル201から始まり、フィーダ203、矯正機204、及びガイドシステム207を通って、冶金容器9に収容された溶融金属浴11に至る。湾曲は、浸漬経路500に適合された円501の半径によって定義することができる。この特徴的な半径は、光学デバイス1の特徴と、光学デバイス1が格納されるコイル201の寸法及び半径とに関連して選択されなければならない。半径が小さすぎると、光学デバイスが過度に屈曲し破損する可能性が高くなる。
【0194】
浸漬前又は浸漬中に、光学デバイス1は、例えば、金属浴11内のスカル形成又は未溶融部分によって損傷又は分解する可能性がある。そのような要因は、特に光学デバイス1が高速で繰り出されるときに、光学デバイス1の屈曲及び/又は破損につながる可能性がある。
【0195】
図3に示す構成は、光学デバイス1の先端213が溶融金属浴12の表面下に浸漬された状態での測定シーケンス中のシステムを示す。本発明による装置200を用いて温度を得るための測定シーケンスは、光学デバイス1の繰り出し、測定信号の記録、及び光学デバイス1の引き戻しを含む。繰り出し及び引き戻しは、最適な測定結果を得るために光学デバイス1の移動の速度及び持続時間を規定するいくつかの工程を含むことができる。このような測定シーケンスの正確なパラメータは、とりわけ、溶融金属の材料、その温度、及び冶金設備の環境に依存する。繰り出し及び引き戻しの間、コイルの支持体及びコイル201の質量は、加速及び減速される必要がある。これらの構成要素の質量が大きいほど、この段階中の慣性が大きくなる。
【0196】
一般に、光学デバイス1は、浸漬端にある先端213を溶融金属浴11に向けて動かされる。2つのモータ205、206は、光学デバイス1の繰り出し速度を正確に制御することができる。繰り出しはプッシュプル機構に基づくので、すなわち、連係してモータ駆動格納ユニット205が光学デバイス1を押し、別個のモータ駆動フィーダ203が光学デバイス1を引っ張るので、光学デバイス1の外側金属管にかかる力を最小限に抑えることができる。
【0197】
図6Aは、2対のローラ601a、601bを有するフィーダ203の可能な構成を示す。ホイール又は各対のローラ601a、601bは、動作中にそれらの間に光学デバイス1が配置された状態で互いに対向して配置されている。ホイールは、光学デバイスを挟持する調節可能な力でばね付勢され、それによって、矯正に寄与しながら、最小の挟持力でねじれのない移動を支持することができる。
図6Bは、ホイールの可能な構成を示す。例示的なホイールは、円筒状U字形溝602と波形表面とを有する。典型的には、ホイールは、
図6Cに示されるように、光学デバイス1が通されるホイール間に形成される空隙空間がわずかに楕円形状を有するように配置されている。一対のローラ601の距離及びそれらの溝の形状の構成は、繰り出し中の光学デバイス1の外管のわずかな変形を可能にし、したがって、第1の矯正を可能にする。
図6Cは、ホイールの構造的特徴、すなわち溝の深さ603及び直径604を更に示す。
【0198】
フィーダ203、203’の後、光学デバイス1の浸漬経路500は、
図7でより詳細に示すように、湾曲のない直線軸上の矯正機204、204’を通って進む。光学デバイス1の矯正は、コイル201上での光学デバイス1のコイル状格納によって引き起こされる屈曲又はねじれが、少なくとも低減又は排除されることを確実にする。
【0199】
図8は、矯正機の可能な構成を示す。
図8Aでは、矯正機204’’の5つのホイール801a’、801b’、801c’、801d’、801e’は、浸漬経路500’の方向において互いに対してオフセットされて配置されている。
図8Bに示される実施形態では、矯正機204’’’のホイール802a’’、802b’’、802c’’、802d’’、802e’’は、浸漬経路500’’が直線ではなく、蛇行線をたどるように配置されている。
【0200】
図7は、浸漬経路500に関して、2対のローラ601a’、601b’を有するフィーダ203’と、2対のローラ702a、702bを有する矯正機204’’’との構成を示す。フィーダ203’及び矯正機204’は、最小距離で配置されることが有利である。更に、これら2つの構成要素の垂直関係は、加えられた最小限の力で壊れやすい光学デバイス1の効果的な矯正をもたらすことが分かっている。
図7は、正面から見たそのような垂直構成を示し、特に、構成要素203’、204’のローラ601a’、601b’、702a、702bのホイールは、互いに垂直に配置されている。これにより、一方では光学デバイス1のねじれた屈曲を低減し、他方では測定装置の効率的な動作のために必要とされる構成要素の数を最小限にすることができる。
【0201】
測定シーケンスの後、溶融金属浴11に浸漬された光学デバイス1の一部分は、溶融され、したがって、消耗される。測定が行われた後、冶金容器9内の高温雰囲気13内に位置する光学デバイスの長さは、コイル201の方向に引き戻され、次の測定シーケンスのために再使用することができる。
【0202】
信頼できる温度測定値を得るために、溶融金属浴11内においてほぼ一定の浸漬深さで測定することが望ましい場合がある。更に、着地点、すなわち、先端213が浸漬される溶融金属浴の表面12上の位置の制御は、正確な測定結果のために制御を必要とするパラメータである。着地点は、例えば、直線状浸漬経路500上にない、又は浸漬前に屈曲した、ねじれた、若しくはそうでなければ変形した光学デバイス1の繰り出しに起因してシフトされ得る。
【0203】
上記の説明が示すように、光学デバイス1は、測定装置200の動作中に絶えず巻き出し、及び巻き取られ、光学デバイス1の巻き出された部分が損傷しやすくなる可能性があり、両方向への高度に制御された正確な繰り出しを必要とする。加えて、光学デバイス1の長さ及びそれと共に重量は、各測定シーケンス中の消耗により絶えず変化する。
【0204】
本発明による測定装置200の構成は、光学デバイス1への影響を最小限に抑えながら、制御及び精度の必要性を妥協する。光学デバイス1の巻き出された部分の長さは、光学デバイスを溶融金属浴に浸漬する前に、装置の構成要素によってほぼ完全に覆われる最小レベルに維持される。
【0205】
図9は、ガイドシステム207’の端部に位置する、光学デバイス1の先端213の位置を求めるためのセンサ901を備えた、測定装置200’の構成を示す。センサ901の他の位置も可能である。追加のセンサは、装置200’全体のより高度な制御を可能にし、測定シーケンス及び得られる結果の精度を更に高める。
【0206】
図10は、切断手段1001を備えるガイドシステム207’’を有する測定装置200’’の構成を示す。特定の位置での光学デバイス1の切断は、一方では、発生している閉塞を解決することを可能にし、他方では、光学デバイス1の先端の位置を決定するために利用することができる。図示された実施形態の場合、光学デバイス1の巻き出された部分の切断部分は、測定装置200’’によって移動する光学デバイス1の後続の部分によって前方に押され、ガイドシステム207’’から押し出される。
【符号の説明】
【0207】
1、1’、1’’、1’’’ 光学デバイス
2’、2’’、2’’’ 光ファイバ
3’、3’’、3’’’ 内側金属管
4’、4’’、4’’’ 外側金属管
5’、5’’、5’’’ 空隙空間
6’’ 充填材料
7’’’ 分離要素
8 プラットフォーム
9 冶金容器
10 電気アーク炉(EAF)
11 溶融金属浴
12 溶融金属浴の表面
13 容器内雰囲気
14 容器プラットフォームの穴
200、200’、200’’ 測定装置
201 コイル
202 ハウジング
203、203’ フィーダ
204、204’、204’’、204’’’ 矯正機
205 コイル支持体を駆動するためのモータ
206 フィーダを駆動するためのモータ
207、207’、207’’ ガイドシステム
208 ガイド管
209 投入システム
210 コネクタ
211 コネクタ
212 ガイドシステムの出口
213 光学デバイスの先端
301 検出ユニット
302 コイルの円筒状コア
303a、303b コイルのサイドパネル
304 回転可能な支持体への接続
500、500’、500’’ 浸漬経路
501 浸漬経路の曲率半径を有する円
601、601a、601b、601a’、601b’ フィーダの対のローラ
602 ホイールの溝
603 ホイール溝の深さ
604 ホイール溝の直径
701 フィーダと矯正機との間の浸漬経路の一部分
702a、702b 矯正機の対のローラ
801a’、801b’、801c’、801d’、801e’ 矯正機ホイール
802a’’、802b’’、802c’’、802d’’、802e’’ 矯正機ホイール
901 センサ
1001 切断手段
【手続補正書】
【提出日】2024-01-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融金属浴の温度を測定するための測定装置であって、
i)光学デバイスと、
ii)検出手段と、
iii)前記光学デバイス用の格納ユニットと、
iv)前記光学デバイス用の前記格納ユニット用の回転可能な支持体と、
v)移動手段と、
vi)矯正手段と、
vii)ハウジングと、
viii)前記ハウジングに接続されたガイドシステムと、
を備え、
前記光学デバイスは、内側金属管及び外側金属管によって横方向に囲まれた光ファイバを備え、
前記外側金属管は、2mm~8mmの範囲内の外径と、0.1mm~0.6mmの範囲内の壁厚とを有し、
前記ハウジングは、前記検出手段と、前記光学デバイス用の前記格納ユニットと、前記光学デバイス用の前記格納ユニット用の前記回転可能な支持体と、前記移動手段と、前記矯正手段と、を包囲しており、
前記移動手段は、前記光学デバイスを繰り出し、引き戻すように適合されており、かつ
a)前記光学デバイス用の前記格納ユニット用の前記回転可能な支持体を前後に駆動するための少なくとも1つのモータと、
b)前後に駆動するための前記少なくとも1つのモータによって駆動される、前記光学デバイスを繰り出すための繰り出し手段と、を備える、
測定装置。
【請求項2】
前記光学デバイスは、巻き取られた部分及び巻き出された部分を備え、前記巻き出された部分は、前記光学デバイスの浸漬経路を画定する、請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記浸漬経路は、ねじれた部分を含まない、請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記浸漬経路は、前記光学デバイスの前記外径の200倍よりも小さい半径を有する湾曲を含まない、請求項1又は2に記載の測定装置。
【請求項5】
前記浸漬経路は、前記光学デバイス用の前記格納ユニット上の前記光学デバイスの外側巻き取り部の端部から始まる、請求項1又は2に記載の測定装置。
【請求項6】
前記ガイドシステムの最小曲率半径は、前記光学デバイス用の前記格納ユニット上の前記光学デバイスの前記内側巻き取り部の半径の4倍よりも大きい、請求項1又は2に記載の測定装置。
【請求項7】
前記ガイドシステムは、少なくとも1つのガイド管を備える、請求項1又は2に記載の測定装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つのガイド管の内径と前記光学デバイスの前記外側金属管の直径との比が2以下である、請求項7に記載の測定装置。
【請求項9】
前記ハウジングの高さは、前記光学デバイス用の前記格納ユニットの外径の1.2~2倍の範囲内である、請求項1又は2に記載の測定装置。
【請求項10】
前記測定装置は、前記光学デバイス用の前記格納ユニット用の前記回転可能な支持体を前後に駆動するための前記少なくとも1つのモータと、前記繰り出し手段を前後に駆動するための前記少なくとも1つのモータとの動きを制御するように構成された制御手段を備える、請求項1又は2に記載の測定装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記光学デバイス用の前記格納ユニット用の前記回転可能な支持体を前後に駆動するための前記少なくとも1つのモータと、前記繰り出し手段を前後に駆動するための前記少なくとも1つのモータとの動きを連係させするように構成されている、請求項10に記載の測定装置。
【請求項12】
前記測定装置は、前記光学デバイスの前記先端の位置を特定する手段を備える、請求項1又は2に記載の測定装置。
【請求項13】
前記検出手段は、前記光学デバイス用の前記格納ユニット上に、前記格納ユニット内に、又は前記格納ユニットに配置されている、請求項1又は2に記載の測定装置。
【請求項14】
請求項1又は2に記載の測定装置を用いて溶融金属浴の温度を測定する方法であって、少なくとも、
(i)前記光学デバイスを繰り出す工程と、
(ii)前記溶融金属浴の前記温度を測定する工程と、
(iii)前記光学デバイスを引き戻し、巻き取る工程と、
を含む、方法。
【請求項15】
前記光学デバイスの先端の位置を特定する少なくとも1つの工程を更に含む、請求項14に記載の方法。
【国際調査報告】