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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】スキャナと画像再構築方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/42 20240101AFI20240730BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20240730BHJP
   A61B 6/40 20240101ALI20240730BHJP
【FI】
A61B6/42 530W
A61B6/03 573
A61B6/40 530M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503608
(86)(22)【出願日】2022-07-20
(85)【翻訳文提出日】2024-03-18
(86)【国際出願番号】 US2022037662
(87)【国際公開番号】W WO2023003924
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】63/224,460
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/244,496
(32)【優先日】2021-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】523209531
【氏名又は名称】レオ・キャンサー・ケア・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マッキー,トーマス・アール
(72)【発明者】
【氏名】ヘイズ,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ハーパー,ブレント
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA02
4C093CA03
4C093EA07
4C093EA11
4C093EB12
4C093EB20
4C093EC43
(57)【要約】
本明細書で提供される技術は、従来のデュアルエネルギーCTスキャナ設計よりも空間的および時間的解像度を増加させるデュアルエネルギーCTスキャナおよび関連する画像獲得および再構築技術に関する。本明細書に開示されるように線源に配置されたデュアルエネルギーフィルタは、X線源を異なるレベルに減衰させる交互の材料を含み、それによってスペクトル分離を提供する。したがって、X線ビームによって画像化されるオブジェクトは、低エネルギースペクトルと高エネルギースペクトルの両方によってプローブされる。線源でのX線スペクトルは、検出器のチャネル方向(列方向)に沿って分割される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ断層撮影(CT)スキャナであって、
中心から第1の距離に配置され、中心の周りに回転可能である線源と、
中心の周りに回転可能な複数の検出器であって、線源から複数の距離に配置される、複数の検出器と
を備える、スキャナ。
【請求項2】
複数の検出器のそれぞれは、中心から第2の距離に配置される、請求項1に記載のスキャナ。
【請求項3】
第1の距離は、第2の距離よりも大きい、請求項2に記載のスキャナ。
【請求項4】
複数の検出器のそれぞれが線源に向けられている、請求項1に記載のスキャナ。
【請求項5】
複数の検出器のそれぞれは、入力面を画定する検出器フェイスを含み、入力面は、線源からの入射ビームに対して直交する、請求項4に記載のスキャナ。
【請求項6】
複数の検出器のそれぞれが中心に向けられている、請求項1に記載のスキャナ。
【請求項7】
複数の検出器のそれぞれは、エッジが、隣接する検出器のエッジと整列するように向けられている、請求項1に記載のスキャナ。
【請求項8】
複数の検出器が少なくとも50センチメートルの視野を画定する、請求項1に記載のスキャナ。
【請求項9】
CTスキャナは、直立構成、傾斜構成、および水平構成の間で移動可能である、請求項1に記載のスキャナ。
【請求項10】
コンピュータ断層撮影(CT)スキャナであって、
画像化面を画定する線源と、
第1の材料を含む第1のフィルタ部分、第2の材料を含む第2のフィルタ部分、ならびに第1の材料および第2の材料を含む第3のフィルタ部分を含む、フィルタと
を備え、
フィルタは、第1のフィルタ部分、第2のフィルタ部分、および第3のフィルタ部分のうちのいずれか1つを画像化面と整列させるために線源に対して移動可能である、スキャナ。
【請求項11】
第3のフィルタ部分が、第1の材料と第2の材料の交互の列を含み、各列が画像化面と交差する、請求項10に記載のスキャナ。
【請求項12】
第1の材料は、X線スペクトルを第1の量だけ減衰させ、第2の材料は、X線スペクトルを第1の量とは異なる第2の量だけ減衰させる、請求項10に記載のスキャナ。
【請求項13】
第1の材料は、10から200kVpの範囲内の励起に対応する0.1cm/gから200cm/gの範囲内の第1の質量減衰係数を有し、第2の材料は、第1の質量減衰係数とは異なる励起に対応する第2の質量減衰係数を有する、請求項10に記載のスキャナ。
【請求項14】
第1の材料は金であり、第2の材料はモリブデンである、請求項10に記載のスキャナ。
【請求項15】
第1の材料は金であり、第2の材料は錫である、請求項10に記載のスキャナ。
【請求項16】
第3のフィルタ部分は、第1のフィルタ部分と第2のフィルタ部分との間に配置される、請求項10に記載のスキャナ。
【請求項17】
フィルタは半径を画定する、請求項10に記載のスキャナ。
【請求項18】
モータ、フレーム、およびモータとフレームとの間に結合されたリンケージを備えたフィルタ調整アセンブリをさらに含み、フィルタはフレームに結合されている、請求項10に記載のスキャナ。
【請求項19】
第1のフィルタ部分は少なくとも部分的に第3のフィルタ部分と重なり、第2のフィルタ部分は少なくとも部分的に第3のフィルタ部分と重なる、請求項10に記載のスキャナ。
【請求項20】
CT画像を作成する方法であって、
線源および少なくとも1つの検出器を軸の周りに回転させることであって、少なくとも1つの検出器は、線源からの出力を検出するように構成される、ことと、
少なくとも1つの検出器からの出力信号をサンプリングされたデータとして記録することと、
サンプリングされたデータを第1のデータセットと第2のデータセットに分離することと、
データ完成モジュールを使用して第1のデータセットを完成させて、第1の完全なデータセットを作成することと、
データ完成モジュールを使用して第2のデータセットを完成させて、第2の完全なデータセットを作成することと、
完全な第1のデータセットを使用して第1のCT画像を再構築することと、
完全な第2のデータセットを使用して第2のCT画像を再構築することと
を含む、方法。
【請求項21】
データ完成モジュールは共役データを利用する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
データ完成モジュールは高次補間を利用する、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
データ完成モジュールは機械学習方法を利用する、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
第1のCT画像および/または第2のCT画像を再構築することを反復することをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
線源および少なくとも1つの検出器が、軸の周りを回転しながら、軸に沿って並進する、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
第1のデータセットを第1の幾何学的基準フレームから第2の幾何学的基準フレームに変換することをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年7月22日に出願された米国仮特許出願第63/224,460号、および2021年9月15日に出願された米国仮特許出願第63/244,496号に対する優先権を主張し、それらの全内容は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書において提供されるのは、放射線学および放射線療法、特に、しかしこれに限定されないが、医療画像化および画像再構築のための装置、方法、およびシステムに関する技術である。
【背景技術】
【0003】
医療画像化は、さまざまな種類の病気、傷害、その他の疾患に対する患者の診断、段階付け、治療計画、治療の指導、治療に対する反応の評価に使用される。特に、コンピュータ断層撮影(CT)は、異なる角度から撮影された複数の2次元X線測定を使用してオブジェクト(例えば、患者またはその一部)の3次元モデルを作り出す医療画像化の一形態である。CT画像化では、患者の標的エリアまたはその一部の断層撮影(断面)画像が作り出されるため、ユーザは患者を切らずに患者の内部を画像化できる。従来のCTでは、患者は寝台または担架の上に水平に置かれ、患者と寝台はCT走査装置内に移動される。あるいは、車輪つき担架をフィックスし、CTスキャナを水平に移動させることもできる。複数のポジションで患者を安全に画像化できるようにするには、新しい技術が必要であり、例えば、水平ポジションおよび/または実質的に水平ポジション(例えば、横たわっているポジション(例えば、腹臥位または仰臥位))に適用して、垂直ポジションおよび/または本質的に垂直ポジション(例えば、立っている、着座している、ひざまずいているなど)、ならびに前に傾斜したもしくは後に傾斜したポジションおよび他の整形外科的なポジションなどの他の患者のポジションである。このようなCTスキャナの単一エネルギーと同時デュアルエネルギー(dual energy)獲得の両方の画像再構築を可能にする新しい技術も必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2019/056055号
【特許文献2】米国特許出願公開第2020/0268327号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Kale,A.C.、「Principles of Computerized Tomographic Imaging、2001; Feldkamp,L.A.、 Practical Cone-Beam Algorithm」、 Journal of the Optical Society of America、1984;1:612-619
【非特許文献2】Tuy HK.「An inversion formula for cone-beam reconstruction」、SIAM J Appl Math.1983;43:546-52
【非特許文献3】Parker,D L、「Optimal short scan convolution reconstruction for fanbeam CT」、 Medical Physics、1982;9:254-257
【非特許文献4】Crawford,C R and King,K F、「Computed tomograph scanning with simultaneous patient translation」、American Association of Physicists in Medicine、1990;17:967-982
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に説明される技術は、医用画像化、例えば、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴画像化(MRI)、陽電子放出断層撮影(PET)、単一光子放出型コンピュータ断層撮影(SPECT)、光子カウンティングコンピュータ断層撮影、ポータル画像化(例えば、治療前)、X線写真ローカライザー、トポグラム、または走査型投影放射線撮影(「スカウトビュー」)(例えば、画像化走査前および/または治療前)に関する。
【0007】
デュアルエネルギーCT(DECT)は、単一エネルギーCTの代替または補足として臨床放射線学に役立つさまざまな患者画像を作り出せる。例えば、デュアルエネルギーCTスキャナは、低エネルギーと高エネルギーの両方で1対の画像(X線減衰マップ)を作り出せる。さらに、デュアルエネルギーCTスキャナは、放射線医学と放射線治療の両方の用途に使用できる画像タイプの中でも特に、仮想的な単一エネルギー画像、有効原子番号、電子密度、材料固有の、および仮想非造影画像を作成できる。例えば、放射線治療では、有効原子番号と電子密度の画像を使用して、粒子線治療で使用される荷電粒子の阻止能を計算できる。したがって、陽子阻止能画像は、陽子線治療の治療計画システムに使用できる。さらに、放射線学では、デュアルエネルギーCTスキャナは、腹部、腎臓、肝臓、肺の病状を診断するための貴重な情報を臨床医に提供する。また、デュアルエネルギーCTスキャナは、凝固、カルシウム、およびヨウ素化造影剤の物質の識別や、骨やその他の身体物質からのこれらの物質の分離に役立つ。場合によっては、デュアルエネルギーCTスキャナは、患者への線量を低減しながら、単一エネルギーCTと同じ品質の画像を提供できる。つまり、デュアルエネルギーCTスキャナは、例えば同じ線量の単一エネルギーCTスキャナよりも多くの診断情報を提供するなど、臨床上の利点を提供する。
【0008】
従来のデュアルエネルギーCTスキャナは、異なるkVレベルで行われる同じオブジェクトの少なくとも1回転によって時間的に分離されたシーケンシャル走査を利用する。従来のデュアルエネルギーCTのバリエーションには、X線源のエネルギーを時間的に変化させること、複数のX線管を使用すること、エネルギー分解検出器を使用すること、検出器または線源で行方向にX線ビームをフィルタリングすることが含まれる。デュアルエネルギーCT画像の品質は、とりわけ、獲得システムと再構築アルゴリズムの空間的、時間的、コントラスト、エネルギー解像度に依存する。従来のデュアルエネルギーCTスキャナでは、2つの異なるエネルギースペクトルで作り出される2つの画像の空間レジストレーションと時間解像度を改善する必要がある。特に、画像内でより高いコントラストと物質分離を提供できるように、低エネルギー獲得と高エネルギー獲得のスペクトル分離が望ましい。一部の従来のデュアルエネルギーCTスキャナには欠点がある(例えば、時間的レジストレーションが悪い、動きアーチファクトが発生しやすい、スペクトル分離が限られている、低kV画像でのノイズが高い;および/または高価、遅い、大型である、または患者により高い線量を与える)。例えば、複数の管を備えたシステムは優れた空間的および時間的解像度を提供できるが、高いコストと複雑さが伴う。
【0009】
本明細書で提供される技術は、従来のデュアルエネルギーCTスキャナ設計よりも空間的および時間的解像度を増加させるデュアルエネルギーCTスキャナおよび関連する画像獲得および再構築技術に関する。本明細書に開示されるように線源に配置されたデュアルエネルギーフィルタは、X線源を異なるレベルに減衰させる交互の材料を含み、それによってスペクトル分離を提供する。したがって、X線ビームによって画像化されるオブジェクトは、低エネルギースペクトルと高エネルギースペクトルの両方によってプローブされる。線源でのX線スペクトルは、検出器のチャネル方向(列方向)に沿って分割される。2つのエネルギースペクトルがオブジェクトを通過して同時に測定され、コントローラが低エネルギー信号と高エネルギー信号を完全なデータセットに分析し、これらのデータセットを2つの別々の低エネルギー画像と高エネルギー画像に再構築できる。
【0010】
本開示は、一態様において、中心から第1の距離に配置され、中心の周りに回転可能な線源と、中心の周りに回転可能な複数の検出器とを含むコンピュータ断層撮影(CT)スキャナを提供する。複数の検出器は、線源から複数の距離に配置される。いくつかの実施形態では、中心は回転軸である。
【0011】
いくつかの実施形態では、複数の検出器のそれぞれは、中心から第2の距離に配置される。
【0012】
いくつかの実施形態では、第1の距離は第2の距離よりも大きい。
【0013】
いくつかの実施形態では、複数の検出器のそれぞれが線源に向けられている。
【0014】
いくつかの実施形態では、複数の検出器のそれぞれは入力面を画定する検出器フェイスを含み、入力面は線源からの入射ビームに対して直交する。
【0015】
いくつかの実施形態では、複数の検出器のそれぞれは中心に向けられている。
【0016】
いくつかの実施形態では、複数の検出器のそれぞれは、エッジが、隣接する検出器のエッジと整列するように向けられている。
【0017】
いくつかの実施形態では、複数の検出器は、少なくとも50センチメートル(例えば、50、55、60、65、70、75、80、85、90センチメートルなど)の視野を画定する。
【0018】
いくつかの実施形態では、複数の検出器間の光子フルエンスの分散は50%未満である(例えば、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、または5%未満)。
【0019】
いくつかの実施形態では、CTスキャナは、直立構成、傾斜構成、および水平構成の間で移動可能である。
【0020】
本開示は、別の態様において、画像化面を画定する線源とフィルタとを含むコンピュータ断層撮影(CT)スキャナを提供する。フィルタは、第1の材料および/またはプロファイルを有する第1のフィルタ部分と、第2の材料および/またはプロファイルを有する第2のフィルタ部分と、第1の材料および第2の材料を有する第3のフィルタ部分とを含み、これには、プロファイル(ボウタイのプロファイルなど)を含めることもできる。フィルタは、第1のフィルタ部分、第2のフィルタ部分、および第3のフィルタ部分のうちのいずれか1つを画像化面と整列させるために線源に対して移動可能である。
【0021】
いくつかの実施形態では、第3のフィルタ部分は、第1の材料と第2の材料の交互の列を含み、各列は画像化面と交差する。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1の材料はX線スペクトルを第1の量だけ減衰させ、第2の材料はX線スペクトルを第1の量とは異なる第2の量だけ減衰させる。
【0023】
いくつかの実施形態では、第1の材料は、10から200kVp(例えば、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200)の範囲内の励起に対応する0.1cm/gから200cm/g(例えば、0.1、0.5、1、5、10、50、100、150、200)の範囲内の第1の質量減衰係数を有し、第2の材料は、第1の質量減衰係数とは異なる励起に対応する第2の質量減衰係数を有する。いくつかの実施形態では、2つの材料は、kVpの範囲にわたって異なるエネルギー曲線を有する。いくつかの実施形態では、第1の質量減衰係数は、特定の励起に関して第2の質量減衰係数とは少なくとも1桁異なる。いくつかの実施形態では、第1の材料は金であり、第2の材料はモリブデンである。いくつかの実施形態では、第1の材料は金であり、第2の材料は錫である。
【0024】
いくつかの実施形態では、第3のフィルタ部分は、第1のフィルタ部分と第2のフィルタ部分との間に配置される。
【0025】
いくつかの実施形態では、フィルタは半径を画定する。
【0026】
いくつかの実施形態では、フィルタ調整アセンブリは、モータ、フレーム、およびモータとフレームとの間に結合されたリンケージを含む。いくつかの実施形態では、フィルタはフレームに結合される。
【0027】
いくつかの実施形態では、第1のフィルタ部分は第3のフィルタ部分と少なくとも部分的に重なり、第2のフィルタ部分は第3のフィルタ部分と少なくとも部分的に重なる。
【0028】
本開示は、別の態様において、線源および少なくとも1つの検出器を軸の周りで回転させることを含む、CT画像を作成する方法を提供する。少なくとも1つの検出器は、線源からの出力を検出するように構成される。この方法はまた、少なくとも1つの検出器からの出力信号をサンプリングされたデータとして記録することと、サンプリングされたデータを第1のデータセットと第2のデータセットに分離することと、データ完成モジュールを使用して第1のデータセットを完成させて、第1の完全なデータセットを作成することと、データ完成モジュールを使用して第2のデータセットを完成させて、第2の完全なデータセットを作成することとを含む。この方法はまた、完全な第1のデータセットを使用して第1のCT画像を再構築することと、完全な第2のデータセットを使用して第2のCT画像を再構築することとを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、データ完成モジュールは共役データを利用する。
【0030】
いくつかの実施形態では、データ完成モジュールは高次補間を利用する。
【0031】
いくつかの実施形態では、データ完成モジュールは機械学習方法を利用する。
【0032】
いくつかの実施形態では、この方法は、第1のCT画像および/または第2のCT画像を再構築することを反復することをさらに含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、線源および少なくとも1つの検出器は、軸の周りを回転しながら、軸に沿って並進する。
【0034】
いくつかの実施形態では、方法は、第1のデータセットを第1の幾何学的基準フレームから第2の幾何学的基準フレームに変換することをさらに含む。
【0035】
追加の実施形態は、本明細書に含まれる教示に基づいて、関連技術の当業者には明らかとなるであろう。
【0036】
本技術のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の図面に関してよりよく理解されるであろう。特許または出願ファイルには、カラーで実行された少なくとも1つの図面が含まれている。カラー図面を含むこの特許または特許出願公開のコピーは、要求と必要な手数料の支払いに基づいて、特許庁によって提供される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】多軸CTスキャナの正面図である。
図2】患者配置アセンブリを含む図1のスキャナの斜視図である。
図3図1のスキャナの分解底面斜視図である。
図4図1のスキャナのスキャナリングアセンブリの斜視図である。
図5図1のスキャナの線源コリメータアセンブリの斜視図である。
図6A】フィルタが第1のポジション(例えば、底部ポジション)にある状態で示される、図5の線源コリメータアセンブリの斜視図である。
図6B】フィルタが第2のポジション(例えば、上部ポジション)にある状態で示される、図5の線源コリメータアセンブリの斜視図である。
図7】従来のファンビーム検出器アセンブリおよび本明細書に開示される実施形態による検出器アセンブリに対して向けられた線源アセンブリの上面図である。
図7B】複数の検出器のさまざまな配向の概略図である。
図8】検出器アセンブリの拡大図であり、回転軸から同じ距離に配置され、線源に向けられている各検出器を示す図である。
図9】さまざまな線源‐検出器システムの幾何学的基準フレームの概略図である。
図10】固定半径円弧に対して複数の検出器に入射する線源からのX線を示す、検出器アセンブリの拡大図であり、円弧はX線源の中心にない図である。
図11】従来の検出器アセンブリと本明細書に開示される検出器アセンブリのスキャナリング環状部のサイズの比較である図である。
図12】所与の検出器ポジションδにおける、本明細書に開示される検出器アセンブリにおけるX線フラックスの従来のファンビーム検出器アセンブリにおけるX線フラックスに対する比のグラフである。
図13】さまざまな検出器アセンブリのジオメトリおよび関連する変数の概略図である。
図14】検出器アセンブリ角度に応じてのスキャナ視野のグラフである。
図15A】検出器アセンブリによって獲得されたデータの正弦波重み付けを示す図である。
図15B】検出器アセンブリによって獲得されたデータのバイナリ重み付けを示す図である。
図16A】線源が第1のポジションにある3つのX線サンプル(A、B、C)を示し、サンプルAは高エネルギーで獲得され、サンプルBおよびCは低エネルギーで獲得される図である。
図16B】サンプルAへの共役光線をサンプルA’として示しており、これは、低エネルギーで、第2のポジションにある線源で獲得される図である。
図16C】サンプルBへの共役光線をサンプルB’として示しており、これは高エネルギーで獲得され、線源が第3のポジションにある図である。
図16D】サンプルCへの共役光線をサンプルC’として示しており、これは高エネルギーで獲得され、線源が第4のポジションにある図である。
図17A図16A-16DのサンプルA、A’、B、B’、C、およびC’のサイノグラム(sinogram)である。
図17B】ネイティブサンプルと共役サンプルの両方を含む低エネルギー再構築のサイノグラムである。
図17C】ネイティブサンプルと共役サンプルの両方を含む高エネルギー再構築のサイノグラムである。
図18】低エネルギーフィルタ、放射状デュアルエネルギーフィルタ、および高エネルギーフィルタを備えたアセンブリの斜視図である。
図19図18のデュアルエネルギーフィルタの低エネルギーおよび高エネルギーのX線エネルギースペクトルを示すグラフである。
図20】放射状に向けられている4つの低エネルギーゾーンおよび4つの高エネルギーゾーンを示す、デュアルエネルギーフィルタを含む線源および検出器アセンブリの概略図である。
図21】単一回転について獲得されたデュアルエネルギーデータのサイノグラムである。
図22A】ネイティブサンプルと共役サンプルの両方を含む低エネルギー再構築のサイノグラムである。
図22B】ネイティブサンプルと共役サンプルの両方を含む高エネルギー再構築のサイノグラムである。
図23A】低エネルギーサイノグラムである。
図23B】高エネルギーサイノグラムである。
図23C】デュアルエネルギーサイノグラムである。
図24】一連の画像であり、(a-b)はシミュレーションに使用される基準であり、(c-d)は高エネルギーおよび低エネルギー獲得再構築であり、(e-h)は共役データファイリングを使用したデュアルエネルギー獲得再構築である。
図25A】イソファン(isofan)検出器角度に関するファンビームサンプルの一次近似のグラフ比較である。
図25B】検出器角度に応じての図25Aの線形近似に対するパーセント誤差のグラフである。
図25C】視野に応じての図25Aの線形近似に対するパーセント誤差のグラフである。
図26A】均一なイソファンサンプリングのグラフである。
図26B】ファンビームジオメトリにリビニングされた(rebinned)均一なイソファンサンプリングのグラフであり、参考のために均一なファンビームサンプリングと重ねて示されている図である。
図26C】平行ビームジオメトリとしてリビニングされた均一なイソファンサンプリングのグラフであり、参考のために均一な平行ビームサンプリングと重ねて示されている図である。
図27】高次補間データ完成方式である。
図28】デュアルエネルギー画像再構築の方法である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図面は必ずしも原寸に比例して描かれておらず、また、図中のオブジェクトも相互の関係において必ずしも原寸に比例して描かれていないことを理解されたい。図面は、本明細書に開示される装置、システム、および方法のさまざまな実施形態を明確にし、理解をももたらすことを意図した図である。可能な限り、図面全体を通じて、同じまたは同様の部分を指すために同じ参照番号が使用される。さらに、図面は決して本教示の範囲を限定することを意図していないことを理解されたい。
【0039】
本明細書では、医療画像化、特に、しかし限定しないが、放射線学(例えば、コンピュータ断層撮影法を使用)および放射線治療のための装置、方法、およびシステムに関する技術が提供される。
【0040】
さまざまな実施形態のこの発明を実施するための形態では、説明の目的で、開示された実施形態の徹底的な理解を提供するために多くの特定の詳細が記載されている。しかし、当業者は、これらのさまざまな実施形態が、これらの特定の詳細の有無にかかわらず実施できることを理解するであろう。他の例では、構造およびデバイスがブロック図形態で示される。さらに、当業者であれば、方法が提示され行われる特定のシーケンスは例示的なものであり、シーケンスは変更可能であり、依然として本明細書に開示されるさまざまな実施形態の趣旨および範囲内に留まることが企図されることが容易に理解されよう。
【0041】
特許、特許出願、論文、書籍、専門書、およびインターネットウェブページを含むがこれらに限定されない、本出願で引用されるすべての文献および同様の資料は、いかなる目的においてもそれらの全体が参照により明示的に組み込まれる。他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本明細書に説明されるさまざまな実施形態が属する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。組み込まれた参考文献における用語の定義が本教示で提供される定義と異なるように見えるとき、本教示で提供される定義が優先されるものとする。本明細書で使用されるセクションの見出しは、整理のみを目的としており、説明された主題をいかなる形でも制限するものとして解釈されるべきではない。
【0042】
定義
本技術の理解を容易にするために、いくつかの用語および語句を以下に定義する。追加の定義は、発明を実施するための形態全体を通して記載される。
【0043】
本明細書および特許請求の範囲全体を通じて、以下の用語は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、本明細書に明示的に関連する意味を有する。本明細書で使用される「一実施形態において」という語句は、同じ実施形態を指し得るが、必ずしも同じ実施形態を指すわけではない。さらに、本明細書で使用される「別の実施形態において」という表現は、異なる実施形態を指し得るが、必ずしも異なる実施形態を指すわけではない。したがって、以下に説明するように、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、本発明のさまざまな実施形態を容易に組み合わせることができる。
【0044】
さらに、本明細書で使用される場合、用語「または」は包括的な「または」オペレータであり、文脈上明らかに別段の指示がない限り、用語「および/または」と同等である。「に基づいて」という用語は排他的なものではなく、文脈で明確に別段の指示がない限り、説明されていない追加のファクターに基づくことも認められる。さらに、本明細書全体を通じて、「1つ(a)」、「1つ(an)」、および「その(the)」の意味には複数の参照が含まれる。「おいて(in)」の意味には、「中に(in)」と「上に(on)」が含まれる。
【0045】
本明細書で使用される「約」、「およそ」、「実質的に」、および「大幅に」という用語は、当業者には理解されており、それらが使用される文脈に応じてある程度変化するであろう。これらの用語が使用される文脈を考慮すると、当業者には明らかではない用語の使用がある場合、「約」および「およそ」は、特定の用語のプラスまたはマイナス10%以下を意味し、「実質的に」および「大幅に」は、特定の用語のプラスまたはマイナス10%を超えることを意味する。
【0046】
本明細書で使用される場合、範囲の開示には、すべての値の開示と、範囲に与えられたエンドポイントおよびサブ範囲を含む全範囲内のさらに分割された範囲の開示が含まれる。
【0047】
本明細書で使用される場合、接尾辞「フリー」は、「フリー」が付加される単語の基となる語幹の特徴を省略する技術の実施形態を指す。すなわち、本明細書で使用される「Xフリー」という用語は、「Xなし」を意味し、Xは、「Xフリー」技術において省略された技術の特徴である。例えば、「カルシウムフリー」組成物はカルシウムを含まず、「混合フリー」方法は混合ステップを含まない、などである。
【0048】
「第1の」、「第2の」、「第3の」などの用語は、本明細書ではさまざまなステップ、要素、組成物、構成要素、領域、層、および/またはセクションを説明するために使用され得るが、これらのステップ、要素、組成物、構成要素、領域、層、および/またはセクションは、別段の指示がない限り、これらの用語によって制限されるべきではない。これらの用語は、あるステップ、要素、組成物、構成要素、領域、層、および/またはセクションを別のステップ、要素、組成物、構成要素、領域、層、および/またはセクションから区別するために使用される。「第1の」、「第2の」などの用語、およびその他の数値用語は、本明細書で使用されるとき、文脈によって明確に示されていない限り、シーケンスや順序を意味するものではない。したがって、本明細書で論じられる、第1の、ステップ、要素、組成物、構成要素、領域、層、またはセクションは、技術から逸脱することなく、第2の、ステップ、要素、組成物、構成要素、領域、層、またはセクションと呼ばれ得る。
【0049】
本明細書で使用される場合、「システム」とは、共通の目的のために一緒に動作する複数の実在する構成要素および/または抽象的構成要素を指す。いくつかの実施形態では、「システム」は、ハードウェアおよび/またはソフトウェア構成要素の統合された集合体である。いくつかの実施形態では、システムの各構成要素は、1つ以上の他の構成要素と相互作用し、および/または1つ以上の他の構成要素に関連する。いくつかの実施形態では、システムとは、方法を制御する、行う、および/または指示するための構成要素とソフトウェアとの組み合わせを指す。
【0050】
本明細書で使用される場合、「コンピュータ断層撮影」という用語は「CT」と略され、断層撮影および非断層撮影の両方の放射線撮影を指す。例えば、「CT」という用語は、X線CT、陽電子放出断層撮影(PET)、単一光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)、および光子カウンティングコンピュータ断層撮影法を含むがこれらに限定されない、多数の形態のCTを指す。一般に、コンピュータ断層撮影(CT)は、X線源と患者の周りを回転する検出器の使用と、その後の画像の異なる平面への再構築で構成される。CTで使用されるX線のための電流は、陰極から陽極への電流の流れを記述、通常はミリアンペア(mA)単位で測定される。
【0051】
本明細書で使用される場合、「[動詞]に構造化された」という用語は、識別された要素またはアセンブリが、識別された動詞を行うように形状化、サイズ化、配設、結合および/または構成された構造を有することを意味する。例えば、「移動するように構造化された」部材は、別の要素に移動可能に結合され、部材を移動させる要素を含むか、または他の要素またはアセンブリに応答して移動するように構成された部材の要素を含む。したがって、本明細書で使用される場合、「[動詞]に構造化された」とは、機能ではなく構造を指す。さらに、本明細書で使用される場合、「[動詞]に構造化される」とは、識別された要素またはアセンブリが、識別された動詞を行うことが意図され、設計されていることを意味する。
【0052】
本明細書で使用される場合、「関連する」という用語は、要素が同じアセンブリの一部であること、および/または何らかの方法で、一緒に動作すること、または互いに/と作用することを意味する。例えば、自動車には4つのタイヤと4つのホイールキャップがある。すべての要素は自動車の一部として結合されているが、各ホイールキャップは特定のタイヤと「関連する」ことが理解される。
【0053】
本明細書で使用される場合、「結合された」という用語は、任意の適切な手段によって一緒に動かないようにされた2つ以上の構成要素を指す。したがって、いくつかの実施形態では、2つ以上の部品または構成要素が「結合される」という記述は、部品が直接的または間接的に、例えば1つ以上の中間部品または構成要素を通して、接合されるか、または一緒に動作することを意味するものとする。本明細書で使用される場合、「直接的に結合された」とは、2つの要素が互いに直接接触していることを意味する。本明細書で使用される場合、「固定的に結合された」または「フィックスされた」とは、2つの構成要素が、互いに対して一定の配向を維持しながら1つとして動くように結合されることを意味する。したがって、2つの要素が結合されると、それらの要素のすべての部分が結合される。しかし、第2の要素に結合された第1の要素、例えば、第1の車輪に結合された車軸の第1の端の、特定の部分という記述は、第1の要素の特定の部分がそれの他の部分よりも第2の要素に近くに配設されることを意味する。さらに、重力のみによって所定のポジションに保持される別のオブジェクトの上に載っているオブジェクトは、上のオブジェクトが別の方法で実質的に所定のポジションに維持されない限り、下のオブジェクトに「結合」されない。すなわち、例えば、テーブル上の本はテーブルに結合されないが、テーブルに貼り付けられた本はテーブルに結合される。
【0054】
本明細書で使用される場合、「取り外し可能に結合された」または「一時的に結合された」という用語は、ある構成要素が本質的に一時的な方法で別の構成要素と結合されていることを意味する。すなわち、2つの構成要素は、構成要素の接合または分離が容易であり、構成要素に損傷を与えないような方法で結合される。したがって、「取り外し可能に結合された」構成要素は、構成要素に損傷を与えることなく、容易に結合解除および再結合することができる。
【0055】
本明細書で使用される場合、「動作可能に結合された」という用語は、それぞれが第1のポジションと第2のポジション、または第1の構成と第2の構成の間で移動可能である、いくつかの要素またはアセンブリが、第1の要素があるポジション/構成から別のポジション/構成に移動すると、第2の要素も同様にポジション/構成間を移動するように結合されていることを意味する。第1の要素は、その逆が真であることなく、別の要素に「動作可能に結合され」得ることに留意されたい。
【0056】
本明細書で使用される場合、「回転可能に結合された」という用語は、構成要素のうちの少なくとも1つが他方に対して回転可能であるような方法で結合された2つ以上の構成要素を指す。
【0057】
本明細書で使用される場合、「並進可能に結合された」という用語は、構成要素のうちの少なくとも1つが他方に対して並進可能であるような方法で結合された2つ以上の構成要素を指す。
【0058】
本明細書で使用される場合、「一時的に配設された」という用語は、第1の要素を結合解除したり、その他の方法で操作したりする必要なく、第1の要素/アセンブリを移動できるような方法で、第1の要素またはアセンブリが、第2の要素またはアセンブリ上に載っていることを意味する。例えば、単にテーブルの上に載っているだけの本、例えば本がテーブルに接着されていない、または留められていない本は、テーブル上に「一時的に配設された」ことになる。
【0059】
本明細書で使用される場合、「対応する」という用語は、2つの構造構成要素が互いに類似するようにサイズ化および形状化されており、最小限の摩擦の量で結合できることを示す。したがって、部材に「対応する」開口部は、部材が最小限の摩擦の量で開口部を通過できるように、部材よりわずかに大きいサイズにされる。2つの構成要素が「ぴったりと」互いにフィットするようにする場合、この定義は変更される。この状況では、構成要素のサイズの差がさらに小さくなり、それにより、摩擦の量が増加する。開口部を画定する要素および/または開口部に挿入される構成要素が変形可能または圧縮可能な材料で作られている場合、開口部は、開口部に挿入される構成要素よりわずかに小さいことさえあり得る。面、形状、および線に関しては、2つ以上の「対応する」面、形状、または線は、一般に同じサイズ、形状、および輪郭を持つ。
【0060】
本明細書で使用される場合、「進行パス」または「パス」は、移動する要素に関連して使用される場合、動いているときに要素が通って移動する空間を含む。したがって、移動する任意の要素には本質的に「進行パス」または「パス」がある。
【0061】
本明細書で使用される場合、2つ以上の部分または構成要素が互いに「係合する」というステートメントは、要素が直接的に、または1つ以上の中間要素または構成要素を介して、互いに力またはバイアスを及ぼすことを意味するものとする。さらに、移動する部分に関して本明細書で使用される場合、移動する部分は、あるポジションから別のポジションへの動きの間に別の要素に「係合する」ことができ、および/または、ひとたび記述されたポジションにあると、別の要素に「係合する」ことができる。したがって、「要素Aが要素Aの第1のポジションに移動すると、要素Aは要素Bと係合する」と「要素Aが要素Aの第1のポジションにあるとき、要素Aは要素Bと係合する」というステートメントは同等のステートメントであり、要素Aが、要素Aの第1のポジションに移動している間に要素Bと係合する、および/または要素Aが、要素Aの第1のポジションにある間に要素Bと係合することを意味することが理解される。
【0062】
本明細書で使用される場合、「動作可能に係合する」という用語は、「係合して移動する」ことを意味する。すなわち、「動作可能に係合する」とは、移動可能または回転可能な第2の構成要素を移動させるように構造化された第1の構成要素に関して使用されるとき、第1の構成要素が第2の構成要素を移動させるのに十分な力を適用するということを意味する。例えば、ドライバーがねじに接触して置かれ得る。ドライバーに力が適用されていないとき、ドライバーは単にねじに「結合され」ているだけである。軸方向の力がドライバーに適用されると、ドライバーはねじに押し付けられ、ねじに「係合する」。しかし、回転力がドライバーに適用されると、ドライバーはねじに「動作可能に係合し」、ねじを回転させる。さらに、電子構成要素の場合、「動作可能に係合する」とは、ある構成要素が制御信号または電流によって別の構成要素を制御することを意味する。
【0063】
本明細書で使用される場合、用語「数」は、1または1より大きい整数(例えば、複数)を意味するものとする。
【0064】
本明細書で使用される場合、「[x]はその第1のポジションと第2のポジションの間で移動する」、または、「[y]は、[x]をその第1のポジションと第2のポジションの間で移動させるように構造化される」という表現において、「[x]」は要素またはアセンブリの名前である。さらに、[x]がいくつかのポジション間を移動する要素またはアセンブリであるとき、代名詞「その(its)」は「[x]」、つまり代名詞「その(its)」の前にある名前付き要素またはアセンブリを意味する。
【0065】
本明細書で使用される場合、円形または円筒形の本体の「半径方向の側面/表面」は、その中心またはその中心を通過する高さ線の周りに延びる、またはそれらを取り囲む側面/表面である。本明細書で使用する場合、円形または円筒形の本体の「軸方向の側面/表面」は、中心を通過する高さ線に対してほぼ垂直に延びる平面内に延びる側面である。すなわち、一般に、円筒形のスープ缶の場合、「半径方向の側面/表面」はほぼ円形の側壁であり、「軸方向の側面/表面」はスープ缶の上部と底部である。
【0066】
本明細書で使用される場合、「患者」または「対象」という用語は、本技術によって提供されるさまざまな検査を受ける生物を指す。「対象」という用語には、動物、好ましくはヒトを含む哺乳動物が含まれる。好ましい実施形態では、対象は霊長類である。さらにより好ましい実施形態では、対象はヒトである。例えば、「対象」または「患者」という用語は、ヒトおよび獣医学的動物(イヌ、ネコ、ウマ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギなど)を含むがこれらに限定されない生物を指す。この技術の文脈では、「対象」または「患者」という用語は一般に、病気または傷害を診断するため;および/または治療の準備をするためにCT走査を受ける個人を指す。
【0067】
本明細書で使用される場合、「診断」検査には、対象の病状または状態の検出または識別、対象が所与の病気または状態に罹患する可能性を決定することと、病気または状態を有する対象が治療に反応する可能性を決定することと、病気または状態を有する対象の予後(またはその起こり得る進行または退行の可能性)を決定することと、および病気または状態を有する対象に対する治療の効果を決定することとが含まれる。例えば、診断は、癌を有する対象の存在もしくは可能性、あるいはそのような対象が化合物(例えば医薬品、例えば薬物)または他の治療に順調に反応する可能性を検出するために使用することができる。
【0068】
本明細書で使用される場合、「状態」という用語は、一般に、病気、疾病、傷害、事象、または健康ステータスの変化を指す。
【0069】
本明細書で使用される場合、状態に関する「治療する」または「治療」という用語は、その状態を予防すること、状態の発現または進行速度を遅らせること、状態を進行させるリスクを低減すること、状態と関連する症状の進行を予防または遅らせること、状態と関連する症状を低減するまたは終了させること、状態の完全なまたは部分的な退行を生成すること、あるいはそれらのなんらかの組み合わせを指す。いくつかの実施形態では、「治療」は、患者またはその一部(例えば、患者の組織、器官、体の一部、または患者の体の他の局所領域)を放射線(例えば、電磁放射線、電離放射線)に曝露することを含む。
【0070】
本明細書で使用される「ネットワーク」という用語は、一般に、ワイドエリアネットワーク(「WAN」)(例えば、TCP/IPベースのネットワーク)、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)、近隣エリアネットワーク(neighborhood area network)(「NAN」)、ホームエリアネットワーク(「HAN」)、または、Wi-Fi、Bluetooth、ZigBeeなどのさまざまな通信プロトコルのいずれかを使用するパーソナルエリアネットワーク(「PAN」)を含むがこれらに限定されない任意の適切な電子ネットワークを指す。いくつかの実施形態では、ネットワークは、例えば、グローバルシステムフォーモバイルコミュニケーションズ(Global System for Mobile Communications)(「GSM」)ネットワーク、汎用パケット無線サービス(「GPRS」)ネットワーク、エボリューションデータ最適化(Evolution-Data Optimized)(「EV-DO」)ネットワーク、GSMエボリューションの拡張されたデータレート(Enhanced Data Rates for GSM Evolution)(「EDGE」)ネットワーク、3GSMネットワーク、4GSMネットワーク、5GNew Radio、デジタル拡張コードレス通信(Digital Enhanced Cordless Telecommunications)(「DECT」)ネットワーク、デジタルAMPS(「IS136/TDMA」)ネットワーク、統合デジタル拡張ネットワーク(”「DEN」)ネットワークなどのセルラーネットワークである。
【0071】
本明細書で使用される「コンピュータ」という用語は、一般に、システム内の構成要素およびモジュールに電力、動作制御、および保護を提供する複数の電気および電子構成要素を含む。例えば、コンピュータは、とりわけ、処理ユニット(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または他の適切なプログラマブルデバイス)、メモリ、入力ユニット、および出力ユニットを含むことができる。処理ユニットは、とりわけ、制御ユニット、算術論理演算ユニット(「ALC」)、および複数のレジスタを含むことができ、知られたコンピュータキテクチャを使用して実装することができる(例えば、修正されたハーバードアーキテクチャ、フォンノイマンアーキテクチャなど)。「マイクロプロセッサ」または「プロセッサ」とは、スタンドアロンおよび/または分散環境で通信するように構成でき、有線または無線通信を介して他のプロセッサと通信するように構成できる1つ以上のマイクロプロセッサを指し、そのような1つ以上のプロセッサは、同様のデバイスであっても異なるデバイスであってもよい1つ以上のプロセッサによって制御されるデバイス上で動作するように構成することができる。
【0072】
本明細書で使用される「メモリ」という用語は、一般にコンピュータの任意のメモリストレージを指し、非一時的なコンピュータ可読媒体である。メモリは、例えば、プログラム記憶領域およびデータ記憶領域を含むことができる。プログラム記憶領域およびデータ記憶領域には、ROM、RAM(例えば、DRAM、SDRAMなど)、EEPROM、フラッシュメモリ、ハードディスク、SDカード、または他の適切な磁気、光学、物理、または電子メモリデバイスなどの様々なタイプのメモリの組み合わせが含まれ得る。処理ユニットはメモリに接続でき、メモリのRAM(例えば、実行中)、メモリのROM(例えば、一般に永続的な基盤上にある)、または別のメモリやディスクなどの別の非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶されることのできるソフトウェア命令を実行できる。「メモリ」は、プロセッサ制御デバイスの内部、プロセッサ制御デバイスの外部にあってよく、有線または無線ネットワークを介してアクセスできる、1つ以上のプロセッサ読み取り可能およびアクセス可能なメモリ要素および/または構成要素を含むことができる。本明細書に開示される方法の実装に含まれるソフトウェアは、メモリに記憶することができる。ソフトウェアには、例えば、ファームウェア、1つ以上のアプリケーション、プログラムデータ、フィルタ、ルール、1つ以上のプログラムモジュール、および他の実行可能な命令が含まれる。例えば、コンピュータは、メモリから取り出し、とりわけ、本明細書に説明されるプロセスおよび方法に関連する命令を実行するように構成することができる。
【0073】
本明細書で使用される「共役」という用語は、一般に、別のサンプルと反転の(reciprocal)関係を有するサンプルを指す。共役サンプルには、別のサンプルと同じ対象の断面を通して測定されたサンプルが含まれ得る。好ましい実施形態では、第1のサンプルは、第1の配向における線源および検出器を使用して獲得され、共役サンプルは、鏡映した第1の配向である第2の配向における線源および検出器を使用して獲得する。
【0074】
説明
本明細書で提供される技術は、医療画像化装置に関する。いくつかの実施形態ではコンピュータ断層撮影法(CT)について説明したが、この技術はCTでの使用に限定されず、例えば、X線撮影法、蛍光透視法、MRI、SPECT、PET、光子カウンティングコンピュータ断層撮影法、およびポータル画像化(例えば、治療前)または走査型投影放射線撮影などの他の医療画像化技術にも使用できる。コンピュータ断層撮影(CT)、特にコンピュータX線断層撮影は、ある範囲の角度で断面の平面に沿って撮影された複数のX線画像(投影)を数学的に組み合わせることにより、患者の断面画像を生成する画像化技術である。従来のCTでは、断層撮影画像を生成することは、患者の周囲の少なくとも180度、好ましくは360度の角度範囲にわたる複数の投影の投影セットを提供することが含まれる。通常、患者は、患者の周りで調整して対向して回転するX線源とX線検出器を保持するガントリの中を通って移動し、軌道運動中に連続的に(ヘリカル走査)、または軌道間で段階的に(ステップ走査)、各X線投影セットを獲得して、一緒に組織の容積を記述する隣接する断面画像のX線投影セットを取得する。従来のCTでは、患者の移動は、ガントリを通って移動する、水平方向に延びる放射線透過性のテーブル上で、水平な患者を支持することによって提供される。
【0075】
いく人かの患者のCT画像化は、患者を垂直ポジション(例えば、着座している、ひざまずいている、立っている、および/またはリクライニングしたポジション)で行うことが好ましい場合がある(例えば、座っている、座って後ろに傾いている、座って前に傾いている、立っている、立って後ろに傾いている、立って前に傾いている、ひざまずいている、ひざまずいて前に傾いている、またはひざまずいて後ろに傾いている)。例えば、胸部放射線治療を受けている肺がん患者は、この治療に伴う場合が多い咳がひどくならないように、立っているポジションでいることを好む場合がある。脊椎骨折などのいくつかの医学的状態は、体重がかかる立っているポジションでより顕著になる場合がある。したがって、垂直ポジションで患者のCT走査を記録するCTスキャナは、医療の診断と治療に役立つ。さらに、例えば、垂直ポジションの患者、従来の水平ポジションの患者、およびその他のポジションの患者を走査するために、多軸上で走査することが可能なCTスキャナは、CTスキャナの使用シナリオを拡張して、より多くの病気、傷害、疾病に対処し、CTスキャナの費用対効果を改善させることができる。
【0076】
本明細書で説明するように、デュアルエネルギーCT画像獲得は、検出器のチャネル方向(列方向)に沿ってX線エネルギースペクトルをフィルタリングする交互の材料ウィンドウ(例えば、金(Au)とモリブデン(Mo))を含む線源に配置された物理フィルタを使用して提供される。換言すれば、フィルタ内の2つの材料は、オブジェクトを検査するための異なるエネルギースペクトルを提供する。低エネルギー信号と高エネルギー信号を交互にさせる周波数は、本明細書に開示する設計の自由パラメータである。換言すれば、N個の検出器チャネルを備えた設計では、M個のチャネルごとにエネルギーレベルが交互になり、結果としてN/Mのフィルトレーションウィンドウが得られ得る。いくつかの実施形態では、交互のウィンドウは放射状に向けられている。
【0077】
検出器による交互の不連続信号測定からの2つの画像の再構築は、データ完成モジュールによって提供され、各エネルギーレベルの完全な連続信号が提供される。本明細書でさらに説明するように、いくつかの実施形態では、データ完成モジュールは、共役データ充填方式、高次補間、および/または機械学習を含む。画像は、反復再構築への入力としてネイティブの不連続信号のみを使用する、スパースな反復再構築からも形成される。本明細書に説明されるシステムおよび方法は、デュアルエネルギーCT画像の空間的、時間的、およびエネルギー解像度を改善する。
【0078】
装置
いくつかの実施形態では、本技術は、多軸医療画像化装置に関する。いくつかの実施形態では、医療画像化装置は、コンピュータ断層撮影(CT)装置、磁気共鳴画像化(MRI)装置、陽電子放出断層撮影(PET)装置、単一光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)装置、光子カウンティングコンピュータ断層撮影装置、あるいはポータル画像化もしくは走査型投影放射線撮影装置である。この技術は医療画像化装置がコンピュータ断層撮影(CT)装置である例示的な実施形態について説明されているが、この技術はCT走査装置に限定されず、実施形態は他のタイプの医療画像化装置、方法、およびシステムを含むものと理解されるべきである。
【0079】
いくつかの実施形態では、例えば図1に示すように、本技術は、支柱(例えば、第1の支柱104Aおよび/または第2の支柱104B)を備える多軸CTスキャナ100を提供する。いくつかの実施形態では、多軸CTスキャナ100は、参照により本明細書に組み込まれる、2020年12月4日に出願された米国仮特許出願第63/121304号に説明されている通りである。いくつかの実施形態では、支柱は、多軸CTスキャナ位置する部屋の床にマウントされる。さらに、いくつかの実施形態では、多軸CTスキャナ100はガントリ108(例えば、「U字型」ガントリ)を備える。いくつかの実施形態では、ガントリ108は、第1のガントリアーム112Aおよび第2のガントリアーム112Bを備える。いくつかの実施形態では、ガントリ108は、第1の支柱104Aおよび第2の支柱104Bに対して軸(例えば、軸116)の周りに回転し、例えば、第1のガントリアーム112Aおよび第2のガントリアーム112Bは、第1の支柱104Aおよび第2の支柱104Bに対して軸116の周りに回転する。したがって、CTスキャナ100は、直立構成、傾斜構成、および水平構成の間で移動可能である。いくつかの実施形態では、モータ(例えば、支柱104A、104Bに対してガントリ108を回転させるように構造化されたモータ)、給電線、および/または通信ケーブルが、ガントリアーム112Aおよび/または112Bの一方または両方内に設けられる。
【0080】
いくつかの実施形態では、例えば図2に示すように、この技術は多軸CTスキャナを提供する。いくつかの実施形態では、多軸CTスキャナは、患者のCT走査を取得するためにユーザによって使用される。いくつかの実施形態では、患者は垂直に配置される。いくつかの実施形態では、垂直に配置された患者は、わずかにリクライニングして配置され(例えば、垂直から20度以内(例えば、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20度以内))、これにより、患者は、患者の増加した不動化を提供し患者の動きを制限する支持体に対して、表面にもたれかかることができる。いくつかの実施形態では、患者は、患者配置システム120を使用して配置され、ユーザは制御ユニットを動作させる。いくつかの実施形態では、患者配置システム120は、国際特許出願公開第WO2019/056055、および米国特許出願公開第2020/0268327号に説明されているとおりであり、これらのそれぞれは参照により本明細書に組み込まれる。
【0081】
さらに、いくつかの実施形態では、図3および図4に示すように、多軸CTスキャナは、スキャナリング124(例えば、X線源および少なくとも1つのX線検出器を備える(例えば、囲む)トロイダルハウジング)を備える。いくつかの実施形態では、ガントリ108を回転させることは、スキャナリング124に軸116の周りの円弧上を回転させ、例えば第1のポジションから第2のポジションに移動させる。いくつかの実施形態では、スキャナリング124の第1のポジションにより、患者は、患者配置システム120にアクセスするおよび/またはそこから出ることができる。いくつかの実施形態では、スキャナリング124の第2のポジションは、患者のCT走査を取得するために使用されるポジションである。いくつかの実施形態では、スキャナリング124の第2のポジションは患者の頭上にある。
【0082】
いくつかの実施形態では、スキャナリング124は、CT、MRI、PET、SPECT、光子カウンティングコンピュータ断層撮影法、またはポータル画像化用の源および検出器を備える。したがって、いくつかの実施形態では、スキャナリングは、例えば、これらの画像化モードのうちの1つ以上のために、医療画像化源(例えば、電磁放射線源、X線源、ガンマ線源、電波源、光子源、陽子源、陽電子源、ガンマ線源(例えば、陽電子源からのガンマ線))および医療画像化検出器(例えば、電磁放射線検出器、X線検出器、光子検出器、ガンマ線検出器)を備える。
【0083】
さらに、いくつかの実施形態では、スキャナリング124は、第1のガントリアーム102Aおよび第2のガントリアーム102Bに実質的に平行な軸に沿って、例えば図1に示す軸128に沿って並進するように構造化される。いくつかの実施形態では、スキャナリングは、例えば、垂直ポジションにある患者のCT走査を取得するために、垂直(例えば、実質的におよび/または本質的に垂直)軸に沿って並進する。いくつかの実施形態では、スキャナリングは、例えば、水平ポジションにある患者のCT走査を取得するために、水平(例えば、実質的におよび/または本質的に水平)軸に沿って並進する。
【0084】
いくつかの実施形態では、スキャナリング124は、スキャナリング124内で移動し、したがって患者の周りを回転するX線発生器を備える(例えば、囲む)。いくつかの実施形態では、スキャナリング124は、1つ以上のX線検出器を備える(例えば、囲む)。いくつかの実施形態では、X線発生器は、スキャナリングを横切って延びる平面内にX線のファンビームを作り出す。
【0085】
いくつかの実施形態では、X線検出器は、前記平面内に円弧の検出器アレイを備える。いくつかの実施形態では、複数の固定されたX線検出器は、X線検出器が、スキャナリング124内で移動するX線源の反対側に常にあるように、スキャナリング124の円周の周りに配置される。いくつかの実施形態では、スキャナリング124は、スキャナリング124内で移動し、移動するX線発生器の反対側に配置される移動するX線検出器を備え、例えば、X線発生器とX線検出器がスキャナリング124の反対側にあるように、X線発生器とX線検出器が協調して移動する。いくつかの実施形態では、X線発生器およびX線検出器がスキャナリング124の円周の周りを移動する間、スキャナリング124は所定のポジションに並進され、固定されている。いくつかの実施形態では、スキャナリング124は、X線発生器およびX線検出器がスキャナリング124の円周の周りを移動する間に(例えば、ヘリカル走査を提供するために)1回以上並進され、および/または連続的に並進される。いくつかの実施形態では、多軸CTスキャナは、スキャナリング124からX線発生器およびX線検出器に電力を伝送し、スキャナリング124とX線発生器およびX線検出器との間で通信信号を搬送するためのスリップリング(図4)を備える。
【0086】
従来のファンビーム(「ファンビーム」)CTでは、投影の獲得に使用されるX線は、断面の平面内にある細いファンビームにコリメートされ、狭い線形検出器で受信される。例えば図7に示す従来のファンビーム構成150における複数の検出器は、X線源154に向けられており、X線源154の中心にある。換言すれば、従来のファンビーム配置150では、検出器のそれぞれは、X線源154から同じ距離、または実質的に同様の距離に配置される。従来の並列CT配置では、X線源は一連の平行光線であり、複数の検出器はX線源から同じまたは実質的に同様の距離離れて配置される。
【0087】
図7を参照すると、CTスキャナ100は、スキャナリング124内に配置されたイソファン(isofan)配置152(「イソファン検出器-線源配置」)を含む。X線源154は、平面156内にある細いファンビームを提供する(図5)。X線源154は、中心158から第1の距離D1に配置される。いくつかの実施形態では、線源154は中心158周りに回転可能である。イソファン検出器配置152は、線源154に向けられ、中心158の周りで回転可能な複数の検出器をさらに含む。図示の実施形態では、複数の検出器152は線源154からさまざまな距離に配置されている。換言すれば、複数の検出器152は、線源から一定の距離離れて配置されていない。図示の実施形態では、複数の検出器152のそれぞれは、中心158から第2の距離D2に配置されている。換言すれば、第2の距離D2(検出器から中心までの距離)は同じ、または実質的に同じである。図示の実施形態では、第1の距離D1(線源から中心までの距離)は、第2の距離D2(検出器から中心までの距離)よりも大きい。
【0088】
図8を参照すると、複数の検出器152のそれぞれは線源に向けられ(線源矢印160を参照)、回転軸(灰色の放射状線162)を中心とする。換言すれば、各検出器モジュールの平坦なフェイスは線源に向けられているが、モジュールは回転中心から同じ半径上にある。複数の検出器152のそれぞれは、入力面を画定する検出器フェイス166を含む。図示の実施形態では、入力面は、線源からの入射ビーム160に対して直交している。
【0089】
図9を参照すると、イソファン配置と従来のファンビーム配置および従来の平行配置との比較が示されている。換言すれば、図9は、線源-検出器システムにおけるX線サンプリングのための3つの幾何学的システムを示す。イソファン配置で物理的に獲得された検出器サンプルは、本明細書でさらに説明するように、他のジオメトリに変換される(リビニングされる(rebinned))ことができる。
【0090】
図10を参照すると、回転中心から等しい半径を有する検出器円弧170に対して各平坦検出器モジュールをリサンプリングするために小さな補正ステップが行われる。換言すれば、一定半径の円弧170と検出器表面166との間には補正すべき小さな距離がある。図7Bを参照すると、いくつかの実施形態では、検出器152Aは中心158に向けられ、および/またはいくつかの検出器152Bは線源154に向けられている。いくつかの実施形態では、複数の検出器152のそれぞれは、エッジが、隣接する検出器のエッジと整列するように向けられている。
【0091】
図11を参照すると、イソファン配置は、従来のファンビーム配置と比較して、CTスキャナリングのより緊密で小型な設計を可能にする。図示の実施形態では、CTスキャナリングは、内径約85cmのボアを含む。イソファン配置では、複数の検出器(「イソファン検出器」)は、厚さ約33.5cmのCTリング内に適合する。同等のファンビーム配置と比較して、CTリングは、同じX線ビーム幅をコリメートする複数の検出器(「ファンビーム検出器」)に適合するように約50.7cmである。換言すれば、イソファン配置は、従来のファンビーム配置と比較して、CTリングのサイズの約34%の低減を提供する。図11は、従来のファンビーム配置とイソファン配置のCTリング環状部の厚さの違いを示しており、両方とも85cmのボアを有している。
【0092】
図13を参照すると、本明細書で使用される3つの幾何学的システム(図9)におけるさまざまなデータ獲得および画像再構築変数が示されている。図13に示される変数のさらなる詳細は、表1にリストアップされる。
【0093】
【表1】
【0094】
以下の導出と説明を簡単にするために、管の回転速度は一定であると仮定する。したがって、線源の回転角は時間に正比例し、つまり、β∝tおよびθ∝tである。しかし、他の実施形態では、スキャナは可変の管回転速度で動作する。
【0095】
図12を参照すると、イソファン検出器配置には、検出器におけるフラックスを増加させるという利点もある。X線の幾何学的減衰は、逆二乗関係(フラックス、Φ∝1/r)に従う。そのため、従来のファンビームジオメトリよりも検出器を線源に近づけることにより、フラックスの減衰が少なくなる(つまり、より高いフラックスがイソファン検出器に到達する)。イソファン検出器に到達するフラックス(Фiso)と従来のファンビーム検出器に到達するフラックス(Фfan)の関係は、式1の比によって与えられる。
式1
【数1】
【0096】
この比は、一実施形態に対応する、RおよびDの値、および-70°≦δ≦70°の範囲について図12にプロットされている。いくつかの実施形態では、複数の検出器間の光子フルエンスの分散は50%未満である。
【0097】
図14を参照すると、イソファン検出器配置の走査視野(FOV、別名視野)が、イソファン角2δの全幅に応じて示されている。いくつかの実施形態では、視野は約75cmである。いくつかの実施形態では、複数の検出器は少なくとも約50cmの視野を画定する。
【0098】
図6A、6B、および18を参照すると、CTスキャナ100はフィルタ200を含む。フィルタ200は、X線源154に、またはその近くに配置される。換言すれば、フィルタ200は、検出器152のうちのいずれか1つよりも線源154の近くに配置される。本明細書の他の箇所で説明するように、線源154は画像化面156(図5)にスペクトルを放射する。
【0099】
図示の実施形態では、フィルタ200はデュアルエネルギーフィルタである。フィルタ200は、第1の材料を含む第1のフィルタ部分204、第2の材料を含む第2のフィルタ部分208、および第1の材料および第2の材料を含む第3のフィルタ部分212を含む。図示の実施形態では、第3のフィルタ部分212は、第1のフィルタ部分204と第2のフィルタ部分208との間に配置され、画像化面156と交差する第1の材料と第2の材料の交互の列(第1の材料と第2の材料の交互のウィンドウ)を含む。いくつかの実施形態では、第1のフィルタ部分は第3のフィルタ部分と少なくとも部分的に重なり、第2のフィルタ部分は第3のフィルタ部分と少なくとも部分的に重なる(フィルタ部分間に重なり合う遷移がある)。図示の実施形態では、フィルタ200は弓形であり、固定半径を画定する。他の実施形態では、フィルタは可変半径を画定する。他の実施形態では、フィルタは平面的であり、湾曲していない。いくつかの実施形態では、フィルタは、異なる材料の5つ以上の別個の部分を含む。いくつかの実施形態では、フィルタは空気部分を含む。他の実施形態では、フィルタは、アルミニウムフィルタまたはボウタイプロファイル部分を含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、第1の材料はX線スペクトルを第1の量だけ減衰させ、第2の材料はX線スペクトルを第1の量とは異なる第2の量だけ減衰させる。例えば、第1の材料は低エネルギースペクトルを提供し、第2の材料は高エネルギースペクトルを提供することができる。換言すれば、2つの材料は異なる質量減衰係数(密度と原子番号の両方に依存する)を持っているため、分離された平均エネルギーを持つ異なる出射光子スペクトルがオブジェクトの検査に使用される。例えば、第1の材料または第2の材料を通過する140kVp光子(エネルギー0-140keV)の元のスペクトルは、異なる出力スペクトルをもたらす。各スペクトルの一次尺度は、それぞれの平均光子エネルギーである。したがって、第1の材料はオブジェクトを検査するために平均エネルギーEの光子スペクトルをもたらし、第2の材料はオブジェクトを検査するために平均エネルギーEの光子スペクトルをもたらす。EとEが遠く離れていると有利な場合がある。
【0101】
いくつかの実施形態では、第1の材料は、10から200kVp(例えば、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200)の範囲内の励起に対応する、0.1cm/gから200cm/g(例えば、0.1、0.5、1、5、10、50、100、150、200)の範囲内の第1の質量減衰係数を有し、第2の材料は、励起に対する第1の質量減衰係数とは異なる第2の質量減衰係数を有する。いくつかの実施形態では、所与の励起レベル(例えば、140kVp)に対する第1の質量減衰係数と第2の質量減衰係数は、少なくとも1桁分離されている。いくつかの実施形態では、所与の励起レベルに対する第1の質量減衰係数と第2の質量減衰係数は、少なくとも2桁分離されている。いくつかの実施形態では、第1の質量減衰係数は、約140kVpの励起で約10cm/gであり、第2の質量減衰係数は、同じ励起で約1cm/gである。
【0102】
いくつかの実施形態では、第1の材料は金(Au)である。いくつかの実施形態では、第2の材料はモリブデン(Mo)である。いくつかの実施形態では、第2の材料は錫(Sn)である。
【0103】
図19を参照すると、低エネルギーの第1のフィルタ部分と高エネルギーの第2のフィルタ部分のX線スペクトルが示されている。150kVpのフィルタされていないスペクトルは、左の縦軸が最大値、右の縦軸が単位面積で各スペクトルを正規化するために使用される。いくつかの実施形態では、高エネルギー範囲と低エネルギー範囲は、エネルギーカットオフによって分離される。いくつかの実施形態では、エネルギーカットオフは約80kVである。他の実施形態では、エネルギーカットオフは約60kVから約100kVの範囲内である。
【0104】
図6Aおよび6Bを参照すると、CTスキャナは、CTスキャナリング内に配置されたフィルタ調整アセンブリ300を含む。フィルタ調整アセンブリ300は、モータ304、フレーム308、およびモータ304とフレーム308との間に結合されたリンケージ312を含む。図示の実施形態では、デュアルエネルギーフィルタ200はフレーム308に結合されている。したがって、フィルタ200は、第1のフィルタ部分204、第2のフィルタ部分208、および第3のフィルタ部分212のうちのいずれか1つを画像化面と整列させるために、X線源に対して移動可能である。換言すれば、フィルタ調整アセンブリ300は、目的のフィルタ部分をX線ビームと整列させるために、線源に対してフィルタ200を並進させる。図6Aは、第1のポジション(例えば、底部ポジション)にあるフィルタ200を示し、図6Bは、第2のポジション(例えば、上部ポジション)にあるフィルタ200を示す。
【0105】
単一エネルギー走査の再構築
単一エネルギーでの獲得の場合、CTスキャナのCT画像再構築は、イソファン配置(イソファンジオメトリ)におけるネイティブ獲得データを取り、イソファン線の直接分析再構築を適用することによって提供される。これには、平行ビーム(Kak)またはファンビームフィルタ逆投影(Feldkamp)再構築のための式から変数の変換が伴い、それらの再構築と同様のステップ(例えば、幾何学的な補正のためのデータの重み付け、フィルタ処理、逆投影)を行う必要があるが、ただし、これらのステップの正確なパラメータが変数の変換によって決定される場合は除く。Kale,A.C.、 「Principles of Computerized Tomographic Imaging、2001; Feldkamp,L.A.、 Practical Cone-Beam Algorithm」、 Journal of the Optical Society of America、1984;1:612-619。
【0106】
あるいは、CT画像再構築は、イソファンジオメトリにおけるネイティブ獲得データを取り、イソファンデータをファンビーム幾何学的基準フレームにリビニングする(rebinning)(変換する)ことによって提供される。イソファンサンプリングデータをファンビームジオメトリにリビニングすることは、式2によって与えられる:
式2:
【数2】
【0107】
リビニングされたファンビームデータを使用すると、従来のファンビーム再構築アルゴリズムを利用できる。あるいは、ファンビームデータを再度平行ビームジオメトリとしてリビニングすることもでき、従来の平行ビーム再構築アルゴリズムを使用することもできる。ファンビームデータを平行ビームジオメトリにリビニングすることは、式3によって与えられる:
式3:
【数3】
【0108】
特に、イソファンジオメトリでサンプリングされたデータに対して従来のファンビームまたは平行ビーム再構築アルゴリズムを使用しても、再構築の精度に大きな影響はない。これは、イソファンからファンビームへのリビニングが、再構築視野(FOV)全体にわたって線形変換に非常に近いためである。式2の一次近似は式4として示される。
式4:
【数4】
【0109】
式2と式4の両方が図25Aにプロットされている。完全なイソファン角または等価な再構築視野に応じて図25B、25Cにプロットされた線形近似(式4)のパーセント誤差(%誤差)は、視野全体について3%未満である。換言すれば、図25A-25Cは、式2および式3で与えられるγ-δ関係とその1次近似を示している。
【0110】
図26A-26Cを参照すると、線形に近いリビニング方式の効果が示されている。ネイティブイソファンサンプル(図26A)は、ファンビーム空間(図26B)および平行空間(図26C)にリビニングされ、それぞれのファンビームおよび平行空間でネイティブに取られたサンプルと比較される。換言すれば、イソファン空間(δ=nΔδ)(図26A)における均一なサンプリングは、ファンビームジオメトリ(図26B)および平行ビームジオメトリ(図26C)における補助空間にリビニングされる。比較のために、各補助空間(ファンビーム、γ=nΔγ)(平行、ρ=nΔρ)での均一なサンプリングをリビニングされたイソファンサンプルとともに示す。図26Bに示されるように、リビニングされたイソファンサンプルは、直接獲得されたファンビームサンプルとほとんど同一である。
【0111】
イソファン配置の利点は、ファンビームよりもイソファンの方が物理的にX線源近くにポジションに配置されているため、エッジ上の検出器に到達する光子フラックスが多くなるため、ファンビーム獲得ジオメトリと比較したとき、改善された画像ノイズ性能を有することである。例えば、図12を参照されたい。
【0112】
デュアルエネルギー走査再構築
ビューアーチファクトが制限されたCT画像を再構築するには、CTのTuyデータ十分条件(sufficiency condition)により、必要な最小角度走査範囲が規定される。Tuy HK.「An inversion formula for cone-beam reconstruction」、 SIAM J Appl Math.1983;43:546-52。従来のファンビームCT獲得の場合、データ十分条件は180°+2γである。ここで、2γは全ファン角度であり、したがって、ファン角度2γ=60°(従来のシステムに対する近似角度)の場合、この最小走査範囲は240°になる。したがって、単一画像再構築用の完全なデータセットは240°走査を使用して獲得できる。
【0113】
しかし、2つの完全なデータセットを取得するには、最小走査範囲(例えば480°)の2倍は必要ない。換言すれば、360°ファンビーム獲得には、240°の最小値を満たす2つの完全なデータセットが含まれる。図15Bを参照すると、360°サイノグラム(sinogram)空間内の2つの台形サンプリング領域(1つは黒、もう1つは白)が、2つの完全なデータセットを示している。幾何学的には、台形は互いに共役であり、各X線サンプルs(γ,β)が正確に2回測定されることを意味する。したがって、360°走査の場合、再構築に使用できる冗長データが正確に2セット存在する。
【0114】
例として、ファンビーム空間におけるサンプルs=s(γ,β)に対する共役サンプルs=s(γ,β)は、次の式5-6で与えられる:
式5-6:
【数5】
【0115】
一般性を失うことなく、sはsよりも遅い時間でサンプリングされると定義し、また、管速度が一定の場合ではβ∝tであるため、β>βとなることに留意されたい。画像を再構築するには、互いに共役な2つのX線サンプルに対して重みwとwが使用される。再構築に使用されるサンプルsは式7のように計算される:
式7:
=w・s+w・s
【0116】
実際の再構築理論では、重みがw,w≧0およびw+w=1を満たす必要がある。走査範囲が180°+ファン角度を超え、360°未満の単一エネルギーCT走査の場合、重みw、wは、Parker(すなわち、図15Aに示す正弦波重み)またはCrawfordとKingの方法を含むさまざまな方法を使用して従来通り決定される。Parker,D L、「Optimal short scan convolution reconstruction for fanbeam CT」、 Medical Physics、1982;9:254-257を参照のこと。Crawford,C R and King,K F、「Computed tomograph scanning with simultaneous patient translation」、American Association of Physicists in Medicine、1990;17:967-982も参照のこと。
【0117】
本明細書で説明される提案された方法を使用するデュアルエネルギー走査の場合、共役性をうまく利用することによって、低エネルギー(LE)画像および高エネルギー(HE)画像を再構築することができる。図20-21を参照すると、すべてのX線サンプルが1回転で2回サンプリングされるが、エネルギー領域が検出器のチャネルに沿って交互に配置されるため、各サンプルはLEスペクトルで1回、HEスペクトルで1回採取される。しかし、アーチファクトのない適切な再構築には、各X線ビューが同じエネルギースペクトルからのサンプルで構成されている必要がある。s=s(γ,β)がHEサンプルであると仮定すると、s=s(γ,β)=s(-γ,β+π+2γ)がLEサンプルとなり、LEおよびHEデータセットはサイノグラム空間内の点(γ,β)で、バイナリの重み、式8を使用して形成できる:
式8:
LE(γ,β)=0・s+1・s
【0118】
したがって、βでのビューでは、欠落している低エネルギーデータが、走査中の後の共役ビューからの対応する低エネルギーデータで埋められる。同様に、ビューβで欠落している高エネルギーデータは、以前のビューからの共役高エネルギーデータで埋められる:
HE(γ,β)=1・s+0・s
【0119】
図16A-16Dを参照すると、デュアルエネルギー走査システムにおける共役X線の簡略化された例が示されている。図16Aでは、3つのX線サンプルA、B、Cが獲得される。サンプルAは高エネルギー(濃い灰色の領域)で獲得され、サンプルBおよびCは低エネルギー(明るい灰色の領域)で獲得される。図16B、16C、および16Dは、各サンプルの共役光線を示す。図16Bを参照すると、サンプルAに対する共役光線はサンプルA’であり、これは低エネルギーで獲得される。したがって、同じオブジェクトデータが、AまたはA’に対応するX線パス上で、1回は高エネルギーで、もう1回は低エネルギーで測定される。同様に、図16Cおよび16Dを参照すると、パスBとB’およびCとC’は、各エネルギーレベルで測定された1つのサンプルを有する共役対である。
【0120】
いくつかの実施形態では、データ完成モジュールはデータ共役性を利用する。図17A-17Cを参照すると、共役性を使用して、画像再構築のために各エネルギーレベルで必要なデータセットを完成させることができる。換言すれば、図17-17Cは、2つのエネルギーウィンドウのみを有する単純化されたデュアルエネルギーの場合による共役データ完成の概念を示す。図17Aは、サンプルA、B、およびCと、それらのそれぞれの共役対A’、B’、およびC’がサイノグラム空間内で獲得される場所を示す。低エネルギー画像再構築の場合、サンプルA’を含む領域からの共役データを使用して、サンプルAを含むデータブロックを置き換えることができる。したがって、図17Bは形成され、低エネルギー画像を再構築するために使用できる1つの完全なデータセット(ネイティブサンプルBとC、および共役サンプルA’)を有する。同様に、図17Cでは、サンプルB’およびC’を含む図17Aの共役ブロックは、高エネルギー画像再構築に必要なデータセット(ネイティブサンプルAと、共役サンプルB’およびC’)を完成するために使用される。
【0121】
図20および図21を参照すると、図16A-16Dの簡略化された例が、検出器方向に複数の交互の低エネルギーウィンドウと高エネルギーウィンドウを備えたデュアルエネルギー源に拡張される。換言すれば、デュアルエネルギー獲得が図20に示され、単一の投影図(すなわち、角度β)におけるイソファン検出器のジオメトリを伴っている。デュアルエネルギーフィルタは線源に、またはその近くに位置し、検出器のチャネル方向(δ軸)に交互に現れる低エネルギーと高エネルギーのデータを作成する。いくつかの実施形態では、デュアルエネルギーフィルタは、対向する検出器よりも線源の近くに配置される。単一回転(0≦β≦2π)からの獲得されたデュアルエネルギーデータのサイノグラム表現(デカルト座標)が図21に示されている。具体的には、β=π-2δの実線の分割線の下にあるすべてのX線投影について、その線の上に共役X線が存在する。例えば、図21における同様の破線タイプ(例えば、太い破線、細い破線)の線は、共役サンプルである。図17A-17Cで説明したプロセスと同様に、図22Aおよび22Bは、低エネルギーおよび高エネルギーデータに対する共役X線原理を使用するデータファイリング方式を示す。塗りつぶされた陰影の領域は、物理的に獲得された低エネルギーおよび高エネルギーのデータであり、一方、パターン化またはハッシュされた領域は、後のビュー角度でサンプリングされた物理的に獲得されたデータである。
【0122】
本明細書に説明される再構築方法を使用すると、デュアルエネルギー走査は、図21、22A、および22Bに示す共役性を利用することによって、低エネルギー画像と高エネルギー画像を再構築することができる。いくつかの実施形態では、共役データファイリング方式の時間解像度は、β-β=π+2γに比例する。
【0123】
いくつかの実施形態では、データ完成モジュールは、高次補間を利用して、他のエネルギーに対応する検出器チャネルのブロック全体にわたってデータを埋める。図27を参照すると、低エネルギーおよび高エネルギーデータセットの信号を完成させるために使用される高次補間の一実施形態が示されている。検出器列にわたるデータの重み付け方式による補間により、所与の投影ビュー内に連続した同じエネルギー信号が形成される。時間的にずらされた投影ビュー(例えば、1回サンプル後、1回サンプル前)では、時間差とイソセンタからの距離の両方に比例して増加する誤差を有する。
【0124】
いくつかの実施形態では、データ完成モジュールは機械学習を利用して、所与のビュー内のエネルギーギャップにわたる補間を提供する。検出器チャネルの各ブロックは、異なるエネルギーでの減衰係数に関する情報をエンコードし、それによって連続した同じエネルギー信号を取得できる。
【0125】
いくつかの実施形態では、機械学習は、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、U-Netアーキテクチャ、および/または敵対的生成ネットワーク(GAN)を含む。例えば、機械学習ネットワークは、各エネルギーレベルに対して、T(βサンプルの数)xU(δまたはγサンプルの数)xV(検出器行の数)のサイノグラム画像(ネイティブに獲得された)を入力として、および2つのTxU/2xVサイノグラムを出力として使用できる。これら2つのサイノグラムは次いで画像再構築アルゴリズムに渡され、2つのN(xまたはyの画像ピクセル数)xNxM(zの画像ピクセル数)の画像ボリュームが作り出される。
【0126】
補間を学習する機械学習ネットワークは、同じ入力次元と出力次元を持つネットワーク(生から生への(raw-to-raw)補正ネットワーク)であり、これは、画像を再構築する方法を直接学習するネットワーク、つまりサイノグラム入力(TxUxV)を取り、2つのNxNxM画像を出力するネットワークとは異なる。他の実施形態では、機械学習ネットワークは、ネイティブデータが一度再構築される、画像から画像への(image-to-image)ネットワークを含み、その後、単一のN×N×M画像が畳み込みニューラルネットワークに渡されて、1つまたは2つのN×N×M画像を出力する。画像から画像へのネットワークはアーチファクト補正方法として使用できる。
【0127】
いくつかの実施形態では、データ完成モジュールは反復再構築(IR)アルゴリズムを利用する。いくつかの実施形態では、スパースサンプリング(例えば、圧縮センシング)に基づく反復再構築アルゴリズムは、必ずしも連続信号のデータ完成を行う必要なく、各ビュー内のネイティブの不連続信号測定値を使用することもできる。したがって、ネイティブデータのみを入力として反復再構築アルゴリズムを使用して、低エネルギー画像と高エネルギー画像を取得できる。画像間で理論上最高の空間的および時間的解像度を達成する。
【0128】
いくつかの実施形態では、データ完成モジュールは、データ共役、高次補間、機械学習、および/または反復再構築のうちのいずれか1つを利用して、デュアルエネルギーCT画像の解像度を改善する。いくつかの実施形態では、データ完成モジュールは、データ共役、高次補間、機械学習、および反復再構築の任意の組み合わせを利用する。
【0129】
本明細書で言及される再構築方式のそれぞれは、ヘリカル獲得に適用可能である。いくつかの実施形態では、X線源は、固定された対象または患者に対して回転軸(z軸)に沿って並進される。したがって、共役または高次補間データ完成モジュール内のサンプルには、それらに関連付けられたz依存性がある。したがって、データ完成の目的でのZ依存性に関連するデータの不一致は、画像アーチファクトにつながる可能性がある。これらのアーチファクトの重大度は、X線源の並進スピードの増加(つまり、ヘリカルピッチの増加、z方向スピードの増加)とともに増加する。しかし、閾値スピード未満では、これらのアーチファクトは画質に悪影響を及ぼすほど十分には存在しない。いくつかの実施形態では、閾値スピードは、画像化の最終用途(例えば、治療計画診断放射線学(treatment planning diagnostic radiology)など)に応じている。いくつかの実施形態では、閾値スピードを増加させるために、さまざまなアーチファクト補正方法が利用される。例えば、いくつかの実施形態では、アーチファクトを補正するために、画像から画像への機械学習ネットワークが利用される。
【0130】
従来のCT画像再構築アルゴリズムは、2つの基本的な仮定に基づいている:1)オブジェクトは走査全体を通じて同じままであるということ、2)すべてのビューでオブジェクトの測定値の連続的セットがあるということである。従来のCTハードウェア構成要素は、両方の仮定に従って設計されている。
【0131】
単一のエネルギーデータ獲得では、CTスキャナは両方の仮定を満たす。第1の仮定は満たされており(オブジェクトの動きがないと仮定して)、オブジェクトの材料特性(例えば、光子減衰係数)は、所与のエネルギープローブに対して同じである。第2の仮定はまた、X線源の反対側の信号を測定するための検出器の連続的セットを使用することによって満たされる。
【0132】
デュアルエネルギーデータ獲得では、従来のスキャナは両方の基本的な仮定を満たすように設計されている。具体的には、従来のデュアルエネルギーCTハードウェアでは、所与のビューの検出器チャネルが同じエネルギースペクトルを使用してプローブされるため、すべてのビューで連続信号があった。対照的に、CTスキャナ100は、検出器チャネル寸法に沿って低エネルギーと高エネルギーの交互の信号を有し、これは第2の基本的な仮定に反する。所与の投影ビュー内の低エネルギー信号と高エネルギー信号は連続的ではなくなる。本明細書に提示されるように、説明されるシステムおよび方法は、デュアルエネルギー画像再構築のためにあらゆるビューで連続信号を取得する(または不連続信号を直接使用する)ためのアルゴリズム的補正を提供する。
【0133】
図23A-23Cを参照すると、低エネルギー(図23A)、高エネルギー(図23B)およびデュアルエネルギー(図23C)についてのサイノグラム形式のCT獲得のシミュレーションが示されている。デュアルエネルギーCT獲得では、検出器のチャネル方向に沿って電磁スペクトルが交互に減衰する。図示のシミュレーションでは、デュアルエネルギーフィルタには17個の低エネルギーバンド(ウィンドウまたは列)と17個の高エネルギーバンド(ウィンドウまたは列)が含まれており、合計34の交互のバンドになる。
【0134】
図24を参照すると、図23A-23CのシミュレートされたCTサイノグラムからの画像再構築を示す。図24(a)は高エネルギー(例えば85kV)基準(reference)を示し、図24(b)は、シミュレーションに使用された低エネルギー(例えば、65kV)基準を示す。図24(c)は、高エネルギーに対する単一エネルギー獲得再構築を示す。図24(d)は、低エネルギーに対する単一エネルギー獲得再構築を示す。図24(e)は、本明細書に説明される共役データファイリング方式を利用したデュアルエネルギー獲得の補正されていない高エネルギー画像を示す。同様に、図24(f)は、本明細書に説明される共役データファイリング方式を利用したデュアルエネルギー獲得の補正されていない低エネルギー画像を示す。図24(g)および24(h)は、それぞれ図24(e)および24(f)の補正バージョン(例えばアーチファクトが除去されたもの)である。いくつかの実施形態では、アーチファクトは、図15Bに描かれたバイナリ重みを平滑化することによって除去される。例えば、バイナリ重みを平滑化することは、いくつかの実施形態では、図15Bに対するガウスフィルタを含む。換言すれば、図15Bのハードエッジは、図24(e)および24(f)に見られる画像縞につながる。本明細書で説明されるシステムおよび方法は、いくつかの利点を提供する。利点の1つは、検出器アレイが回転軸の中心にありながら、焦点を向いており、これが広いファン角を提供することである。いくつかの実施形態では、視野は約62cmである。この検出器配置はまた、焦点を中心とした従来の配置よりも、エッジでより高い光子フルエンスを提供する。図12を参照されたい。
【0135】
別の利点は、デュアルエネルギーフィルタが線源に、またはその近くに配置され、これが改善されたスペクトル分離を提供することである。さらに、デュアルエネルギーフィルタを線源に、またはその近くに配置すると、非画像化フラックスが患者に到達するのを防ぐ。
【0136】
別の利点は、ビューのサンプリングが2倍のフレームレートで実行されることである。1つおきの列(または交互の列のグループ)は、1回の回転で2つの完全なデータセットを収集する。
【0137】
別の利点は、デュアルエネルギー再構築法が、最大化されたデュアルエネルギー獲得の時間解像度を提供することである。また、異なる基準フレームを利用して、2つの完全な低エネルギーデータセットと高エネルギーデータセットを作成することもできる。欠落している低エネルギーまたは高エネルギーのデータは、共役法、補間、機械学習などを使用して埋めたり、完成させることができる。
【0138】
したがって、本明細書で説明するデュアルエネルギーCTスキャナは、検出器のチャネル寸法に沿って線源でのX線スペクトルを分割し、獲得のエネルギーとコントラストの解像度を増加させるために選ばれたフィルタ材料(例えば、AuやMo)を使用することによって、従来の設計に対して増加した空間的および時間的解像度を提供する。また、CTスキャナは、画像再構築に必要な低エネルギーおよび高エネルギーのデータセットの完全なサンプリングを提供する。
【0139】
方法
いくつかの実施形態では、この技術は、医療画像(例えば、CT走査、磁気共鳴画像化(MRI)走査、陽電子放出断層撮影(PET)走査、単一光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)走査、光子カウンティングコンピュータ断層撮影走査、あるいはポータル画像またはスキャノグラム(例えば、走査型投影放射線撮影画像)を取得するための方法を提供する。CT走査を取得するための例示的な方法が説明されるが、本技術はCT走査を取得する方法に限定されず、他のタイプの医療画像を取得するための実施形態を含む。
【0140】
いくつかの実施形態では、CT走査は以下のステップによって行われる:(1)患者は患者配置デバイス内に配置される;(2)ガントリの傾斜角度は患者の背骨の角度に合わせて調整される;(3)CTリングが患者および配置デバイスの周囲に配置される;(4)走査は、約140kVpで動作する線源を用いて獲得される(他の実施形態では、線源は約10kVpから約200kVpの範囲内で動作する)。(5)適切なフィルタが140kVpのX線ビームパスに挿入され、特定のスペクトルをもたらす:第1の材料(例えば、金)の低エネルギー、第2の材料(例えば、モリブデン)の高エネルギー、および交互の第1および第2の材料ウィンドウ(例えば、デュアルエネルギー);(6)CTリングが所望の患者ウィンドウを走査する。
【0141】
いくつかの実施形態では、方法は、患者を垂直ポジションに保持するための患者配置システムを提供することを含む(例えば、座っている、座って後ろに傾いている、座って前に傾いている、立っている、立って後ろに傾いている、立って前に傾いている、ひざまずいている、ひざまずいて前に傾いている、またはひざまずいて後ろに傾いている、または他の垂直または実質的に垂直なポジション)。例えば、国際公開第2019/056055号および米国特許第2020/0268327号を参照されたく、これらのそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0142】
いくつかの実施形態では、例えば図28に示すように、CT画像を取得および作成する方法400が示されている。図示の実施形態における方法400は、CTセットアップ段階、CT走査段階、データ準備段階、分析再構築段階、アーチファクト低減段階、および反復再構築段階に分割される。
【0143】
引き続き図28を参照すると、方法400のCTセットアップ段階は、CTスキャナに対して患者を配置することと(ステップ404)、CTスキャナリングを患者の周囲のZ軸上に配置することと(ステップ408)、デュアルエネルギーフィルタをX線ビーム内に移動させることと(ステップ412)を含む。
【0144】
方法400のCT走査段階は、線源および少なくとも1つの検出器を軸の周りで回転させながら、CTリングをz方向に並進させることを含む(ステップ416)。いくつかの実施形態では、線源および少なくとも1つの検出器は、軸の周りを回転しながら、同時に軸に沿って並進する(ヘリカル獲得)。少なくとも1つの検出器は、線源からの出力を検出するように構成される(例えば、検出器はX線の減衰を測定する)。ステップ416はまた、少なくとも1つの検出器からの出力信号をサンプリングされたデータとして記録することを含む。換言すれば、検出器出力信号は、所与の時間にサンプリングされて、その期間に関連する検出器サンプルを提供する。いくつかの実施形態では、サンプリングされたデータは、メモリ、ネットワーク、または他の適切なデータストレージソリューションに記憶される。
【0145】
方法400のデータ準備段階は、サンプリングされたデータを第1のデータセットと第2のデータセットに分離すること(ステップ420)を含む(生データを低エネルギーサイノグラムと高エネルギーサイノグラムに分離する)。方法400は、データ完成モジュールを使用して第1のデータセットを完成して第1の完全なデータセットを作成することと、データ完成モジュールを使用して第2のデータセットを完成して第2の完全なデータセットを作成することとを含む(ステップ424)。本明細書で説明されるように、いくつかの実施形態におけるデータ完成モジュールは、共役データを利用して完全なデータセットを作成した。他の実施形態では、データ完成モジュールは高次補間を利用する。他の実施形態では、データ完成モジュールは機械学習方法を利用する。他の実施形態では、データ完成モジュールは、本明細書で説明されるデータ完成方式の任意の組み合わせを利用する。いくつかの実施形態では、第1のデータセットおよび/または第2のデータセットは、第1の幾何学的基準フレーム(例えば、ネイティブイソセンタ)から第2の幾何学的基準フレーム(例えば、ファンビームまたは平行)に変換(リビニング)される(ステップ428)。
【0146】
引き続き図28を参照すると、方法400は、完全な第1のデータセットを使用して第1のCT画像を再構築すること(ステップ432)と、完全な第2のデータセットを使用して第2のCT画像を再構築すること(ステップ436)とを含む(分析再構築段階)。方法400は、いくつかの実施形態では、低エネルギー画像における画像アーチファクトの補正をさらに含み、高エネルギー画像は、任意の数の適切なアーチファクト低減技術を利用して行われる(ステップ440およびステップ444)(アーチファクト低減段階)。
【0147】
引き続き図28を参照すると、いくつかの実施形態では、方法400は、第1のCT画像を再構築することを反復することを含む反復再構築段階を含む(ステップ448)。いくつかの実施形態では、方法400は、第2のCT画像を再構築することを反復することをさらに含む(ステップ452)。
【0148】
いくつかの実施形態では、方法は、医療画像を取得する(例えば、獲得、記録するなど)ことを含む。いくつかの実施形態では、CT画像、MRI画像、PET画像、SPECT画像、光子カウンティングコンピュータ断層撮影画像または、ポータル画像または走査型投影放射線撮影画像(例えば、「スカウト」走査)を取得する(例えば、獲得、記録するなど)ことを含む。いくつかの実施形態では、方法は、画像化源(例えば、電磁放射線源、X線源、ガンマ線源、電波源、光子源、陽子源、陽電子源、ガンマ線源(例えば、陽電子源からのガンマ線))をアクティブ化することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、画像化検出器(例えば、電磁放射線検出器、X線検出器、光子検出器、ガンマ線検出器)をアクティブ化することを含み、例えば、検出器を使用して電磁放射線、X線、ガンマ線、電波、光子、陽子、陽電子などを検出する。
【0149】
CT走査方法に関するいくつかの実施形態では、方法は、スキャナリングのX線発生器を使用してX線を生成することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、スキャナリングのX線検出器を使用してX線を検出することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、X線発生器および対向するX線検出器を患者の周囲で回転させることを含む。いくつかの実施形態では、方法は、スキャナリングがガントリアームに対して固定されている間に、X線発生器および対向するX線検出器を患者の周りで回転させることを含む。いくつかの実施形態では、方法は、スキャナリングがガントリアームに対して移動する間に、X線発生器および対向するX線検出器を患者の周囲で回転させることを含む。
【0150】
システム
この技術はシステムの実施形態を提供する。例えば、この技術は多軸医療画像化システムを提供する。いくつかの実施形態では、医療画像化システムはコンピュータ断層撮影(CT)システム、磁気共鳴画像化(MRI)システム、陽電子放出断層撮影(PET)システム、単一光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)システム、光子カウンティングコンピュータ断層撮影システムまたは、ポータル画像化システムまたは走査型投影放射線撮影画像化システムである。本技術は、医療画像化システムがコンピュータ断層撮影(CT)システムである例示的な実施形態について説明されるが、本技術はCT走査システムに限定されず、実施形態は他の種類の医療画像化システムを含むものと理解されるべきである。
【0151】
いくつかの実施形態では、システムは、本明細書に説明される多軸医療画像化装置と、ガントリを回転させるおよび/またはスキャナリングを並進させるように構造化されたソフトウェア構成要素および/またはハードウェア構成要素とを備える。いくつかの実施形態では、システムは、本明細書に説明される方法を行うように構成されたソフトウェア構成要素を含む。いくつかの実施形態では、システムは、多軸医療画像化装置、医療画像を取得する(例えば、記録、獲得する)ためのソフトウェア、およびガントリの回転およびスキャナリングの並進を制御するためのソフトウェアを備える。
【0152】
いくつかの実施形態では、システムは、本明細書に説明される多軸医療画像化装置およびコントローラを備える。いくつかの実施形態では、医療画像化源および検出器はコントローラと通信する。いくつかの実施形態では、コントローラは医療画像化源をアクティブ化し、検出器から画像投影を収集する。いくつかの実施形態では、コントローラは、スキャナリングの周りで対向する医療画像化源と検出器の移動を制御する。いくつかの実施形態では、コントローラは、患者が占める領域の立面画像および/または平面画像を取得するように配置されたカメラ(例えば、水平カメラおよび/または垂直カメラ)と通信する。いくつかの実施形態では、コントローラは、断層画像などの出力画像、配置情報、およびユーザからの命令を受け取るためのキーボードなどのユーザ入力デバイスを提供するグラフィック表示端末と通信する。いくつかの実施形態では、コントローラは、非一時的制御プログラムの記憶のため(例えば、断層撮影投影セットおよび結果として生じる断層撮影画像を記憶するため)メモリと通信する1つ以上のプロセッサを含む一般的なコンピュータアーキテクチャを有する。
【0153】
いくつかの実施形態では、システムは、1つ以上のカメラを備える多軸医療画像化装置(例えば、1つ以上のカメラを備えるスキャナリング)を備える。いくつかの実施形態では、カメラは画像を記録し、それらはその後、画像化サブシステムのソフトウェア(例えば、画像記録、画像分析、画像記憶、画像操作、および/または画像比較方法を行うように構成される)および/またはハードウェア構成要素(例えば、画像を通信、記録、分析、記憶、操作、および/または比較するように構成されたマイクロプロセッサ、グラフィックプロセッサ、通信バス)によって処理される。
【0154】
いくつかの実施形態では、システムは、本明細書に説明される多軸CTスキャナと、ガントリを回転させるおよび/またはスキャナリングを並進させるように構造化されたソフトウェア構成要素および/またはハードウェア構成要素とを備える。いくつかの実施形態では、システムは、本明細書に説明される方法を行うように構成されたソフトウェア構成要素を含む。
【0155】
いくつかの実施形態では、システムは、多軸CTスキャナ、CT走査を取得する(例えば、記録、獲得する)ためのソフトウェア、およびガントリの回転およびスキャナリングの並進を制御するためのソフトウェアを備える。
【0156】
いくつかの実施形態では、システムは、本明細書に説明される多軸CTスキャナ、直立した(例えば、垂直(例えば、実質的におよび/または本質的に垂直ポジション))患者、多軸CTスキャナを移動させ、前記患者またはその一部のCT走査を獲得するように構造化された制御装置と対話するユーザを備える。
【0157】
この説明の一部では、情報に対する動作のアルゴリズムおよびシンボリックな表現の観点から、技術の実施形態を説明する。これらのアルゴリズム的記述および表現は、データ処理技術の当業者によって、彼らの作業の内容を他の当業者に効果的に伝えるために一般的に使用されている。これらの動作は、機能的に、計算的に、または論理的に説明されているが、コンピュータプログラムまたは同等の電気回路、マイクロコードなどによって実装されることが理解される。さらに、一般性を失うことなく、これらの動作の構成をモジュールと呼ぶことが便利なことが判明している。説明された動作およびそれらに関連するモジュールは、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはそれらの任意の組み合わせで具現化され得る。
【0158】
本明細書に説明される特定のステップ、動作、またはプロセスは、1つ以上のハードウェアまたはソフトウェアモジュールを単独で、または他のデバイスと組み合わせて行われまたは実装され得る。いくつかの実施形態では、ソフトウェアモジュールは、コンピュータプログラムコードを含むコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品で実装され、コンピュータプログラムコードは、説明されたいずれかまたはすべてのステップ、動作、またはプロセスを行うためにコンピュータプロセッサによって実行され得る。
【0159】
いくつかの実施形態では、システムは、仮想的に(例えば、クラウドコンピューティングリソースとして)提供されるコンピュータおよび/またはデータストレージを備える。特定の実施形態では、この技術は、本明細書に説明されるように、コンピュータの構成要素を備える、および/またはコンピュータの機能を行う仮想コンピュータシステムを提供するためのクラウドコンピューティングの使用を含む。したがって、いくつかの実施形態では、クラウドコンピューティングは、ネットワークおよび/またはインターネットを通して、本明細書に説明されるインフラストラクチャ、アプリケーション、およびソフトウェアを提供する。いくつかの実施形態では、コンピューティングリソース(例えば、データ分析、計算、データストレージ、アプリケーションプログラム、ファイルストレージなど)は、ネットワーク(例えば、インターネット)上で遠隔的に提供される。
【0160】
本技術の実施形態は、本明細書の動作を行うための装置にも関し得る。この装置は、必要な目的のために特別に構築することができ、および/またはコンピュータに記憶されたコンピュータプログラムによって選択的にアクティブ化または再構成される汎用コンピューティングデバイスを備えることができる。このようなコンピュータプログラムは、非一時的で有形のコンピュータ可読記憶媒体、またはコンピュータシステムバスに結合され得る電子命令を記憶するのに適した任意のタイプの媒体に記憶され得る。さらに、本明細書で参照される任意のコンピューティングシステムは、単一のプロセッサを含むことも、コンピューティング能力を増加させるために複数のプロセッサ設計を採用するアーキテクチャであることもできる。
【0161】
いくつかの実施形態では、本技術(例えば、システム)は、スキャナリング内に画像再構築構成要素(例えば、ハードウェア構成要素および/またはソフトウェア構成要素)を含み、画像再構築構成要素は、例えば、生データから(例えば、生の画像データから)医療画像を作り出す(例えば、再構築する)ように構成される。いくつかの実施形態では、本技術(例えば、システム)は、データ転送構成要素を含み、スキャナリングによって獲得された(例えば、スキャナリングの検出器によって獲得された)生の画像データを、医療画像を作り出す(例えば、再構築する)ように構成された構成要素に通信する。いくつかの実施形態では、スキャナリングは、データ転送構成要素を備え、医療画像を作り出す(例えば、再構築する)ように構成された構成要素は、医療画像化装置(例えば、有線および/または無線通信構成要素によって医療画像化装置に接続されたコンピュータ)とは別個である。
【0162】
用途
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される技術は、医療、臨床、および研究の現場で使用される。例えば、いくつかの実施形態では、この技術は、生物系、例えば、生物(例えば、動物、人間)、器官、組織、および/または細胞の画像化に使用される。いくつかの実施形態では、この技術は、頭、首、肺、心臓、循環系(例えば、動脈および/または静脈)、腹部、骨盤領域、胃腸系、軸骨格(例えば、脊椎)、腎臓、および/または四肢の画像化に使用される。例えば、いくつかの実施形態では、この技術は、病気および/または傷害の診断および/または治療に使用される。例えば、この技術は予防医学、病気のスクリーニング、病気の診断、病気の治療、および/または病気のモニタリングに使用される。例えば、いくつかの実施形態では、この技術は、癌の診断および/または治療に使用される。いくつかの実施形態では、この技術は、例えば、気胸、肺気腫、心肥大、線維症、横隔膜ヘルニア、蓄膿症、無気肺、肺炎、肺水腫、肺出血、原発性肺悪性腫瘍、または転移性の病気の診断のための、胸部の画像化に使用される。いくつかの実施形態では、この技術は、石灰化、骨外傷、出血、浮腫、梗塞、および/または腫瘍の診断および/または治療に使用される。この技術は、研究の現場でも使用でき、例えば、研究用途で動物、人間、器官、または組織を画像化することができる。この技術は、獣医学の医療現場で使用され、例えば、診断および/または治療のために動物、器官、または組織を画像化する。いくつかの実施形態では、この技術は、例えば、非生物オブジェクトを画像化するため、例えば、非生物オブジェクトを壊すかまたはその他の方法で破壊させることなく、構築物の特性、材料欠陥、内部内容物などを識別するための、産業用途で使用される。
【0163】
本明細書の開示は、特定の図示された実施形態に言及しているが、これらの実施形態は例として提示されており、限定として提示されていないことを理解されたい。上記明細書で言及されたすべての公開および特許は、あらゆる目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。説明された技術の範囲および趣旨から逸脱することなく、説明された組成物、方法、および技術の使用のさまざまな修正および変形は、当業者には明らかであろう。この技術を特定の例示的な実施形態に関連して説明してきたが、請求される本発明はそのような特定の実施形態に不当に限定されるべきではないことを理解されたい。実際、当業者にとって明らかな、本発明を実施するための説明されたモードのさまざまな修正は、以下の特許請求の範囲内に含まれることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16A
図16B
図16C
図16D
図17A
図17B
図17C
図18
図19
図20
図21
図22A
図22B
図23A
図23B
図23C
図24
図25A
図25B
図25C
図26A
図26B
図26C
図27
図28
【国際調査報告】