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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】風車のための駆動伝達組立体
(51)【国際特許分類】
   F03D 80/50 20160101AFI20240730BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
F03D80/50
H02K7/116
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503623
(86)(22)【出願日】2022-03-10
(85)【翻訳文提出日】2024-03-18
(86)【国際出願番号】 DK2022050042
(87)【国際公開番号】W WO2023001347
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】PA202170387
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514130633
【氏名又は名称】ヴェスタス ウィンド システムズ エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【弁理士】
【氏名又は名称】川内 英主
(74)【代理人】
【識別番号】100202119
【弁理士】
【氏名又は名称】岩附 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】ラングヴァルト クローグ,ラース
(72)【発明者】
【氏名】マニク,ヘンリック ザール
(72)【発明者】
【氏名】ブロージ,ロルフ ナイボルグ
(72)【発明者】
【氏名】グンドゥズ,ムスタファ
【テーマコード(参考)】
3H178
5H607
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA22
3H178AA43
3H178BB79
3H178CC25
3H178DD04X
3H178DD12X
5H607AA08
5H607BB02
5H607BB14
5H607CC01
5H607CC03
5H607EE33
5H607FF26
(57)【要約】
風車駆動伝達組立体は、風車のための発電機に連結された増速機を含む。発電機は、半径方向外側位置にある固定子と、半径方向内側位置にある回転子とを備え、回転子は、発電機回転子軸線を中心に回転するように構成された円筒形界磁構造体を備え、回転子は、中央中空部分を画定するように構成される。回転子は、円筒形界磁構造体に接続されて構造的に支持する回転子支持枠体を更に備え、回転子支持枠体は、回転子支持枠体を円筒形界磁構造体に取り付ける回転子接続フランジと、回転子支持枠体を増速機の出力駆動軸に接続する増速機接続フランジと、回転子接続フランジと増速機接続フランジとの間に延在する遷移部とを備え、遷移部は、少なくとも部分的に、一つ以上の踏み段領域によって画定され、一つの踏み段領域または各踏み段領域は、回転子軸線に対して30度未満の角度で傾斜する表面を画定するように形成されている。有利には、踏み段領域は、中空部分の内側に一体化されたプラットフォームを提供し、修理点検要員は、その上に立って発電機の内部で作業することができる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風車のための発電機(24)に連結された増速機(22)を含む風車駆動伝達組立体において、
前記発電機(24)は、半径方向外側位置にある固定子(38)と、半径方向内側位置にある回転子(70)とを備え、前記回転子は、発電機回転子軸線(R)を中心に回転するように構成された円筒形界磁構造体(74)を備え、前記回転子は、中央中空部分を画定するように構成されており、
前記回転子は、前記円筒形界磁構造体に接続されて前記円筒形界磁構造体を構造的に支持する回転子支持枠体(72)を更に備え、
前記回転子支持枠体は、
前記回転子支持枠体を前記円筒形界磁構造体に取り付ける回転子接続フランジ(82)と、
前記回転子支持枠体を前記増速機の出力駆動軸(77)に接続する増速機接続フランジ(80)と、
前記回転子接続フランジ(82)と前記増速機接続フランジ(80)との間に延在する遷移部(90)と、
を備え、
前記遷移部(90)は、少なくとも部分的に、一つ以上の踏み段領域(96)によって画定され、一つの踏み段領域(96)または各踏み段領域(96)は、前記回転子軸線に対して30度未満の角度で傾斜する表面を画定するように形成されている、風車駆動伝達組立体。
【請求項2】
前記一つの踏み段領域(96)または前記各踏み段領域(96)は、前記回転子軸線の周りに延在する周方向に延在する踏み段表面を提供する、請求項1に記載の風車駆動伝達組立体。
【請求項3】
複数の別個の踏み段領域(96)を備える、請求項1又は2に記載の風車駆動伝達組立体。
【請求項4】
前記複数の別個の踏み段領域(96)は、それぞれの補強リブ(98)によって分離されている、請求項3に記載の風車駆動伝達組立体。
【請求項5】
前記遷移部(90)は、軸方向に向いた端面(94)を更に含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の風車駆動伝達組立体。
【請求項6】
前記軸方向に向いた前記端面(94)は、前記回転子軸線(R)の方向に沿って前記増速機接続フランジ(80)とほぼ整列されている、請求項5に記載の風車駆動伝達組立体。
【請求項7】
前記一つ以上の踏み段領域(96)は、前記回転子軸線(R)の方向に沿って、前記軸方向に向いた前記端面(94)と前記回転子接続フランジ(82)との間に配置されている、請求項5又は6に記載の風車駆動伝達組立体。
【請求項8】
前記軸方向に向いた前記端面(94)は、複数のアクセス開口(100)を含む、請求項5乃至7のいずれか一項に記載の風車駆動伝達組立体。
【請求項9】
前記複数のアクセス開口(100)のそれぞれは、少なくとも100cm、好ましくは少なくとも200cmの開口面積を有する、請求項8に記載の風車駆動伝達組立体。
【請求項10】
前記増速機接続フランジ(80)と前記回転子接続フランジ(82)との間の回転軸線に沿った距離(A)は、前記回転子接続フランジ(82)の内径の20%から60%、好ましくは20%から40%である、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の風車駆動伝達組立体。
【請求項11】
前記回転子接続フランジ(82)と前記遷移部(90)とは、第一の一体部品(104)を形成する、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の風車駆動伝達組立体。
【請求項12】
前記第一の一体部品(104)は、前記軸方向に面した端面(94)の半径方向内側のボルト環体(106)で前記増速機接続フランジ(80)に機械的に接続される、請求項11に記載の風車駆動伝達組立体。
【請求項13】
前記回転子(70)を収容する発電機修理点検キャビネット(81)をさらに備える、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の風車駆動伝達組立体。
【請求項14】
前記発電機修理点検キャビネット(81)は、増速機筐体に接続される、請求項13に記載の風車駆動伝達組立体。
【請求項15】
前記発電機修理点検キャビネット(81)は、前記回転子(70)を収容する内部室を画定し、前記発電機修理点検キャビネット(81)は、前記内部室の中へ前記発電機修理点検キャビネットによって画定された開口(121)を選択的に閉鎖するように構成された一つ以上の閉鎖要素(122、124)を備える、請求項13又は14に記載の風車駆動伝達組立体。
【請求項16】
前記増速機(22)は、少なくとも一つの遊星歯車段を含む、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の風車駆動伝達組立体。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれか一項に記載の風車駆動伝達組立体を備える、風車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に風車のための駆動伝達組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
風車は、多数の翼を有する大きなロータを用いて、風からの運動エネルギーを電気エネルギーへ変換する。典型的な水平軸風車(HAWT)は、タワーと、タワーの上のナセルと、ナセルに取り付けられたロータハブと、ロータハブに結合された複数の風車翼とを含む。風向きに応じて、ナセルと翼は、ナセルを回転させるヨーシステムと翼を回転させるピッチシステムとによって回転され、最適な方向に向けられる。
【0003】
ナセルは、例えば、主軸、増速機及び発電機を含む風車の多くの機能部品、並びに、ロータにおける機械エネルギーを電力網へ供給するための電気エネルギーへ変換する変換装置を収容する。増速機は、低速主軸の回転速度を上げ、増速機出力軸を駆動する。増速機出力軸は、発電機を駆動し、発電機は、増速機出力軸の回転を電力へ変換する。発電機によって発生された電力は、適切な消費者、例えば電力網配電システムへ供給される前に、必要に応じて変換され得る。増速機を使用しない、いわゆる「直結式」風車も知られている。直結式風車では、発電機は主軸によって直接駆動される。
【0004】
通常、風車の発電機は、内部回転子組立体を取り囲む外部固定子組立体からなるIPM(内部永久磁石)電気機械である。IPM内部回転子組立体は、典型的には、中心軸に支持された複数の環状永久磁石パッケージを含む環状構造体から構成される。増速機出力軸は、回転子組立体の中心軸と接触する。
【0005】
WO2020143888A1は、風車の発電機として使用するための特定のタイプのIPM電気機械を示している。この例では、環状構造体は、その一端部が環状支持枠体によって支持されている。回転子組立体に中心ハブを持たないことは、コストと重量の削減、冷却空気流の改善など、多くの重要な利点をもたらす。発電機の中心に供給される冷却空気は、軸方向および半径方向に自由に流れ、回転子およびそのすぐ近くに位置する発電機部品を効果的に冷却することができる。しかしながら、この設計のさらなる改良は、例えば、組立体の保守性を高めるために望ましい。
【0006】
本発明の目的は、上述した問題の一つ以上に対する解決策を提供することである。
【発明の概要】
【0007】
本発明の第一の態様によれば、風車のための発電機に連結された増速機を含む風車の駆動伝達組立体が提供される。発電機は、半径方向外側位置に固定子を、半径方向内側位置に回転子を備え、回転子は、発電機の回転子軸線を中心に回転するように構成された円筒形界磁構造体を備え、回転子は、中央中空部分を画定するように構成される。回転子は、回転子支持枠体をさらに備え、回転子支持枠体は、円筒形界磁構造体に接続されて円筒形界磁構造体を構造的に支持する。回転子支持枠体は、回転子支持枠体を円筒形界磁構造体に取り付ける回転子接続フランジと、回転子支持枠体を増速機の出力駆動軸に接続する増速機接続フランジと、回転子接続フランジと増速機接続フランジとの間に延在する遷移部とを備え、遷移部は、一つ以上の踏み段領域によって少なくとも部分的に画定され、一つの踏み段領域または各踏み段領域は、回転子軸線に対して30度未満の角度で傾斜する表面を画定するように形成されている。
【0008】
本発明の利点は、駆動伝達組立体が、特に修理点検プロセスを容易にするように構成された、発電機に連結された増速機を備えることである。典型的には、発電機に連結された増速機を含む駆動伝達システムは、すべての修理点検が発電機の外側のアクセスポイントから行われることを必要とする。しかしながら、本発明の駆動伝達組立体では、回転子の部品は、発電機に関連する様々な修理点検動作のために整備要員がアクセスするのに適した中央中空部を画定する。さらに、踏み段領域は、中空部分の内部に一体化されたプラットフォームを提供し、修理点検要員はその上に立って発電機の内部で作業することができる。
【0009】
一つの踏み段領域または各踏み段領域は、回転子軸線の周りに円周方向に全体的に又は部分的に延在していてもよい。踏み段領域は、単一の連続した表面であってもよく、又は複数の別個の踏み段領域によって画定されてもよい。複数の踏み段領域の場合、それらの少なくともいくつかは、回転子支持構造体に構造的強度を与える強化リブによって互いに分離されてもよい。
【0010】
有利には、踏み段領域を画定する遷移部は、増速機接続フランジと回転子軸線の方向に沿って概ね整列されてもよい軸方向に向いた端面を備えてもよい。端面は、修理点検動作中に修理点検技術者が回転子支持枠体の外側の領域にアクセスすることを可能にする複数のアクセス開口を画定してもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、回転子は、発電機修理点検キャビネット内に収容されてもよく、発電機修理点検キャビネットは、増速機筐体に接続されてもよい。発電機修理点検キャビネットは、回転子が収容される内部室を画定してもよく、発電機修理点検キャビネットによって画定された、内部室の中への開口を選択的に閉じるように構成された一つ以上の閉鎖要素を備えてもよい。したがって、修理点検キャビネットは、修理点検技術者が必要なときにアクセスすることができる修理点検目的のための通常は閉ざされた環境をもたらす。適切なアクセス制御システムは、アクセスが安全な条件下でのみ可能であることを保証するために、閉じに関連付けられてもよい。したがって、閉ざされた環境は、修理点検領域を汚染からより容易に避けることができることを意味する。
【0012】
本発明は、添付図面を参照して例示として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、既知の風車構成を示す正面概略図である。
図2図2は、図1の風車のナセル内に収容され得る例示的な駆動伝達部品の図である。
図3図3は、軸方向に間隔を置いた位置で示される、増速機に結合された発電機を含む既知の構成の切断図である。
図4図4は、図3の既知の発電機の発電機回転子組立体の非駆動端部から見た斜視図である。
図5図5は、図4に示される発電機回転子組立体の駆動端部から見た斜視図である。
図6図6は、本発明の一実施形態による発電機回転子組立体の縦断面図であり、発電機修理点検キャビネット内から見た部分概略図である。発電機回転子組立体は、回転子支持ハブすなわち枠体に嵌合された円筒形界磁構造体を含み、前の図に示されるように発電機内で使用され得る。
図7図7は、発電機修理点検キャビネットから分離された図6の発電機回転子組立体の斜視図である。
図8図8は、円筒形界磁構造体が省略されている状態の図6の発電機回転子組立体の別の正面斜視図である。
図9図9は、図7の発電機回転子組立体を非駆動端部から見た斜視図である。
図10図10は、発電機キャビネットの内部にある図6から図9の発電機回転子組立体の端面図であり、内部部品にアクセスするために支持枠体内に立っている整備士を示している。
図11a図11aは、アクセスドアが閉じた状態にある図10と同様の端面図である。
図11b図11aは、アクセスドアが開いた状態にある図10と同様の端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の具体的な実施形態について説明するが、特許請求の範囲に規定される本発明の概念を完全に理解するために、多数の特徴を詳細に説明する。しかしながら、本発明は、具体的な詳細なしに実施することができること、及び、場合によっては、本発明を不必要に不明瞭にしないために、周知の方法、技術および構造が詳細に説明されていないことは、当業者には明らかであろう。
【0015】
本発明は、概略的に、発電機およびその発電機が接続される関連する増速機の保守性に関連するいくつかの利点を有する発電機構成に関する。特に、発電機構成は、発電機の一部または全部を分解することなく様々な種類の調整を行うことを可能にする発電機内部への改良されたアクセスを整備士に提供する。これは、風車ナセルの範囲内における顕著な利点である。
【0016】
本発明の実施形態を適切な状況に置くために、最初に、本発明の実施形態による発電機回転子組立体を実装することができる典型的な水平軸風車(HAWT)を示す図1を参照する。この特定の画像は陸上風車を示しているが、同様の特徴が洋上風車にも見られることが理解されよう。さらに、風車が「水平軸」である述べられているが、実際の目的のために、強風時に翼と風車タワーとの間の接触を防ぐために、軸は、通常わずかに傾斜していることが当業者には理解されよう。
【0017】
風車1は、タワー2と、ヨーシステムによってタワー2の頂部に回転可能に結合されたナセル4と、ナセル4に取り付けられたロータハブ8と、ロータハブ8に結合された複数の風車翼10とを含む。ナセル4および翼10は、ヨーシステムによって回転され、風の方向に向けられる。
【0018】
ナセル4は、発電機、増速機、ロータブレーキ組立体を含む風車の多くの機能部品、ならびに風の機械的エネルギーを電力網へ供給するための電気エネルギーへ変換するコンバータ装置を収容する。図2は、ナセル4内のレイアウトの一例を示しており、そのレイアウトは、本体軸受筐体20、増速機22および発電機24を通って延在する主軸26を含む。主軸26は、ロータ8に接続され、ロータ8によって駆動され、入力駆動を増速機22へ供給する。包括的に、これらの部品は、風車の駆動伝達装置と考えることができる。増速機22は、内部歯車(不図示)を介して低速主軸の回転速度を上げ、増速機出力軸を駆動する。増速機出力軸は、発電機24を駆動し、発電機24は、増速機出力軸の回転を電気へ変換する。発電機24によって生成された電気は、必要に応じて他の部品(不図示)によって変換されてもよく、その後、適切な消費者、例えば電力網配電システムへ供給される。
【0019】
増速機22および発電機24は、一体化されたユニットとして互いに結合されてもよい。図3は、発電機24をより詳細に示している。まず、増速機22を参照して、増速機筐体は、図示された実施形態で使用される特定のタイプの増速機が遊星歯車増速機であるので、全体的に円筒形である。当業者には知られているように、遊星歯車増速機は、中央の太陽歯車の周りに配置された一連の遊星歯車を備え、これらの遊星歯車は、集合的に、取り囲んでいる内歯車内に配置される。増速機の一般的な構成は、入力軸と出力軸が共通の軸線上に配置されている。内歯車と遊星歯車と太陽歯車の間の歯数の比は、増速機の歯車比を決定する。明確にするために、増速機の詳細は、本発明の主要な主題ではないので、ここではこれ以上詳細に説明しない。他の増速機構成を使用することもできるが、現在のところ、遊星歯車増速機は、風車ナセルの範囲に適合する洗練された解決策を提供すると考えられている。このような遊星歯車増速機は、例えば、一つ、二つまたは三つの遊星歯車段などの複数の遊星歯車段を含むことができる。
【0020】
引き続き図3の切断図を参照し、図4および図5も参照して、発電機24は、内部回転子組立体32を囲む外部固定子組立体30を有するIPM(内部永久磁石)電気機械である。固定子組立体30は、固定子巻線38、固定子コア40、および固定子巻線38および固定子コア40を囲み支持する固定子枠体(不図示)を含む。しかしながら、本発明は、特定のタイプの固定子に限定されないことに留意されたい。特に、図3に示す発電機24の内部構成は、ここでは例として提供され、本発明にその適切な背景を与えるために提供される。図3から図5の発電機回転子32の特定の構成は、本発明の一部を構成するものではなく、図6から図11を参照して後述するように、本発明の一実施形態による発電機回転子の構成をよりよく理解するために提供される。
【0021】
増速機22は、発電機24の回転子組立体32に接続する出力軸31を介して発電機24に結合される。このように、増速機出力軸31の長軸線は、発電機24の回転軸線を画定する。注目すべきことに、増速機は、増速機出力軸31と同軸に整列された入力軸33も含む。発電機回転子組立体32は、発電機22内の現場で図3に断面で示されているが、図4および図5には孤立して示されている。
【0022】
発電機回転子組立体32は、駆動端部34および非駆動端部36を有する。駆動端部34は増速機22の方を向き、非駆動端部36は増速機22から離れた方を向いている。発電機回転子組立体32の非駆動端部36は図4に示され、発電機回転子組立体32の駆動端部34は図5に示されている。
【0023】
発電機回転子組立体32は、中空の中央領域を画定し、回転軸線の周りを回転するように配置された円筒環状構造体40を含む。円筒環状構造体40は、永久磁石パッケージを収容する複数の中実円形回転子棒42を含む。したがって、環状構造体40は、使用時に発電機の回転磁界を生成する役割を果たす。ここでは、棒42は、円周および厚さが等しいものとして示されているが、これは変更し得る。棒42は、回転軸線の周りに同軸に配置され、組み立てられたときに、棒42の配置が、中央に中空領域を有する円筒構造体を形成するようになっている。棒42は、棒42の各対の間に隙間が画定されるように、等間隔に配置される。これらの隙間は、発電機の中心へ供給される空気が、回転子構造体を通って流れ、発電機回転子組立体および回転子組立体32の半径方向外側に位置する部分を含む発電機の他の部分を冷却することを可能にする。この空気流は、回転子組立体32の構造体および支持体を提供するために中央ハブが必要とされないという事実によってさらに強化される。
【0024】
円筒環状構造体40は、回転子支持枠体50に接続されている。回転子支持枠体50は、図4に最もよく示されている半径方向外側の第一接続フランジ52と、図5に最もよく示されている半径方向内側の第二接続フランジ54とを備えている。第一接続フランジ52は、棒42を回転子支持枠体50に接続する働きをするので、「回転子接続フランジ」とみなすことができ、一方、第二接続フランジ54は、回転子支持枠体50を増速機出力軸31に接続する働きをするので、「増速機接続フランジ」とみなすことができる。図5では、支持枠体50を増速機出力軸31に固定するために使用される一組の接続ボルト56が、第二接続フランジ54から垂直に延在しているのが分かる。
【0025】
支持枠体50と円筒環状構造体40は、複数のタイロッド58(図4および図5ではそのうちの二つのみに参照符号が付されている)によって互いに連結されており、これらは、棒42のそれぞれの穴を通って軸方向に延在し、支持枠体50の回転子接続フランジ52を通して固定されている。ボルトのような適切な機械的締結具が、各タイロッド58の端部に設けられており、締め付けられて、棒42のパッケージを圧縮状態にし、円筒環状構造体40を一体ユニットとして支持枠体50にしっかりと固定する。
【0026】
回転子接続フランジ52および増速機接続フランジ54は、軸方向に向いた表面であり、互いに平行であるが回転子軸線に沿って間隔をあけて位置するそれぞれの平面内に広がっていることに留意されたい。この点に関して、増速機接続フランジ54は、円筒環状構造体によって画定された中空の内部領域内に幾分広がっている。さらに、増速機接続フランジ54の円周は、回転子接続フランジ52よりも小さい。
【0027】
支持枠体50は、回転子接続フランジ52と増速機接続フランジ54との間に延在する遷移部60をさらに備えている。遷移部60は、概略切頭円錐形であり、回転子軸線に対して急角度で延在している。ここに示すように、遷移部60は、回転子軸線に対して約70度から80度の角度を画定する。換言すれば、遷移部60は、約140度から160度の円錐角を有する。
【0028】
発電機が組み立てられると、発電機回転子組立体32は、外部固定子30によって取り囲まれる。次に、回転子組立体32と固定子30の両方が、図3によって最もよく理解される発電機筐体すなわちキャビネット68によって取り囲まれる。
【0029】
上記のような発電機回転子組立体32の既知の構成に関して、この構成は、発電機の設計および効率に関して様々な利点を提供するが、課題も提示することを理解されたい。例えば、発電機の内部へのアクセスが制限されているため、整備士が発電機の内部にアクセスして内部部品を点検し、必要に応じて修復措置を講じるときに問題となる。
【0030】
本発明の実施形態は、これらの問題に対処する発電機回転子組立体の改善された構成を含む。以下、本発明の実施形態を残りの図を参照して説明する。
【0031】
図示の実施形態は、上述した発電機回転子組立体32の公知の構成と機能的に等価な発電機回転子組立体70を提供する。しかしながら、本発明の実施形態は、この議論においてさらに詳細に説明されるように、いくつかの有利な態様を与える。
【0032】
図6は、発電機筐体すなわち「キャビネット」81の周囲の部品に関連して発電機回転子組立体70を部分概略図で示しているが、図7から図9は、発電機キャビネット81から分離された発電機回転子組立体70を示している。この時点で、図示された実施形態の発電機回転子組立体70は、先に説明したものと多くの類似点を共有しているので、ここでは相違点のみに焦点を当てることに留意されたい。
【0033】
大まかに言えば、発電機回転子組立体70は、使用中に回転磁界を発生するためにマグネットキャリアとして作用する円筒形界磁構造体74を支持する回転子支持枠体72を含む。円筒形界磁構造体74の構成は、図3から図5を参照して説明したものと同等であるため、この組立体に関するさらなる詳細な説明は省略する。
【0034】
発電機回転子組立体70は、駆動端部76および非駆動端部78を含む。駆動端部76は、増速機22の出力駆動軸77に接続可能であり、非駆動端部78は、増速機22から遠位にある。実質的に、発電機回転子組立体70は、非駆動端部が軸受によって回転可能に支持されていないため、片持ち式の方法で増速機出力軸77から回転可能に吊り下げられていると考えることができる。
【0035】
本質的に、回転子支持枠体72は、増速機出力軸77を円筒形界磁構造体74に連結する手段を提供する。この目的のために、回転子支持枠体72は、増速機接続フランジ80および回転子接続フランジ82を含む。
【0036】
増速機接続フランジ80および回転子接続フランジ82は、両方とも、発電機回転子組立体70の回転軸線Rに垂直に配向され、その軸線に沿って互いに間隔を置いて配置され、軸方向に向いた表面である。したがって、両方のフランジ80、82は、図示の実施形態では、回転軸線Rに垂直な平面内に延在する。
【0037】
増速機接続フランジ80は、環状の固定スロット構成84を備え、これを介して、回転子支持枠体70は、一組の適切なボルト(不図示)によって増速機出力軸77に接続可能である。したがって、固定スロット構成84は、図10に「D1」として示される第一ピッチ円直径を画定する。
【0038】
回転子接続フランジ82は、増速機接続フランジ80と同軸であり、より大きな直径を有する。回転子接続フランジ82は、前述の実施形態のように、円筒形界磁構造体74の個々の棒を通って延在する複数の円周方向に間隔を置いて配置されたタイロッド88を備えるタイロッドシステム86によって、円筒形界磁構造体74に固定される。したがって、タイロッド88の円形配列は、図6にD2として示される第二ピッチ円直径を画定する。図示されるように、第一ピッチ円直径は、第二ピッチ円直径D2よりも小さい。図示された実施形態では、第一ピッチ円直径D1は、第完了二ピッチ円直径D2の約30%である。
【0039】
好都合には、タイロッドシステム86は、円筒形界磁構造体74の回転バランスを調整するバランス手段を含む。バランス手段は、回転子接続フランジ82と六角ナットのようなタイロッド締結具89との間に捕捉されるシム又はワッシャを追加することによって達成することができる。タイロッド88の張力は、円筒形構造体74に圧縮力を加えるそれぞれの締結具89を適切に回転させることによって達成することができ、一方、回転バランスの調整は、最適な回転バランスが得られるまで、タイロッド88の配列の周りにバランスシムを追加したり除去したりすることによって達成することができる。
【0040】
遷移部90は、増速機接続フランジ80と回転子接続フランジ82との間に延在する。遷移部90の機能は、回転子支持枠体72に剛性を与える一方で、回転子接続フランジ82と増速機接続フランジ80とを間隔をあけた関係に維持し、構造体を通る良好な空気流を促進することである。
【0041】
図から容易に理解できるように、遷移部90は、二つの主要部分、すなわち、第一の切頭円錐形部分92と第二の軸方向向き表面部分94とを含む。切頭円錐形部分92は、回転子接続フランジ82に近接しており、軸方向向き表面部分94は、増速機接続フランジ80に近接している。
【0042】
切頭円錐形部分92は、複数の領域96(明確化のために、そのすべてが図に示されているわけではない)を含み、複数の領域96は、回転軸線に対して浅い角度で配向されているため、比較的平坦である。各領域96は、回転軸線に対して比較的浅い角度で軸方向に延在しているため、回転子支持枠体72内で整備士を支持するのに適した領域を提供する。したがって、各領域96は、踏み段領域とみなすことができる。図示の実施形態では、全部で9つの踏み段領域96がある。
【0043】
踏み段領域96の各々は、補強リブすなわちウェブ98によってその隣接領域から区別される。補強リブ98は、遷移部の剛性に寄与する。ここで、踏み段領域96は、比較的薄い板状部分として具体化される。
【0044】
この点で、図示された実施形態は複数の踏み段領域96を含むが、これは必須ではなく、代わりに遷移部90は、実質的に中断されることなく遷移部90の周りに円周方向に延在する曲面を画定する単一の連続踏み段領域のみを含む、任意の数の踏み段領域を画定することができることを理解されたい。
【0045】
図11に見られるように、踏み段領域96は、有益に安定した表面すなわちプラットフォームを提供し、これは、回転子支持枠体72によって囲まれ、したがって発電機キャビネット81によっても囲まれた内部室97の内部で整備士を支持するのに十分に平坦である。この態様は、回転子支持枠体の様々な他の態様、特にその内部寸法によっても利益を受ける。例えば、回転子接続フランジの内径は、1.8mよりも大きいが、2.0mよりも大きくすることができ、さらにまた2.2mよりも大きくすることができる。これは、回転子支持枠体72の内部で整備士の頭上に適切な空間を提供する。この態様は、図3から図5の遷移部60を観察することによってさらに理解することができ、この遷移部60は、回転軸線に対してはるかに急角度を画定し、回転子組立体の内部の空間の大きさを制限する。さらに、遷移部60によって提供される急勾配の表面は、整備士が快適にまたは安全に立つことができない。
【0046】
回転子支持枠体72の更なる利点は、回転子接続フランジ82と増速機接続フランジ80との間の軸方向寸法である。図示の実施形態では、「A」と記された寸法(図6参照)は、回転子接続フランジ82と増速機接続フランジ80との間の回転軸線に沿った長さを示す。寸法Aは、回転子支持枠体72の内部室97に有用な「深さ」を与えて、メンテナンス要員を完全に内部に収容するために、好ましくは、0.5mより大きい。さらに好ましくは、寸法Aは、0.6mより大きい。
【0047】
回転子支持枠体72の内部室97の深さは、踏み段領域96の浅い角度によっても恩恵を受ける。図6に見られるように、踏み段領域96は、回転軸線に平行な線に対して30度未満の角度を画定する。この角度は、図6において「B」として示される。別の言い方をすれば、遷移部90の部分は、60度未満の円錐角を画定する。切頭円錐形部分が回転子軸線Rと画定する浅い角度は、円筒形界磁構造体74の内部室97の深さに寄与する。
【0048】
上述したように、回転子支持枠体70の内部容積97の内部寸法、その内径及び深さ「A」の両方により、整備士は、それの内部に登って、その部品の様々なもの及び発電機に関連する他の部品にアクセスすることができる。これは、発電機の保守性がかなり向上することを意味するので、重要な利点である。
【0049】
踏み段領域96を画定するだけでなく、遷移部90は、軸方向に向いた表面部分94をさらに含む。軸方向に向いた表面部分94は、遷移部90の外側表面が約90度回転して回転軸線Rに対して実質的に垂直な平坦な端面を提供するように、遷移部90の駆動端部76を画定する。有利なことに、補強リブ98は、回転軸線に整列する方向に踏み段領域96に沿って延在し、踏み段領域96と軸方向に向いた表面部分94との間に広がる。
【0050】
軸方向に向いた表面部分94は、軸方向に向いた表面部分94の深さを貫通する一連のアクセス開口100を備えている。
【0051】
アクセス開口100は、この実施形態では円形配列で配置され、角度的に等間隔である。図示された実施形態では、全部で9つのアクセス開口100があり、踏み段領域96ごとに一つの構成で配置されている。アクセス開口100の円形配列は、踏み段領域96の半径方向内側にあり、増速機接続フランジ80の半径方向外側にある。この意味で、それは、増速機接続フランジ80と踏み段領域96との間に半径方向に配置されていると考えることができる。
【0052】
アクセス開口100は、回転子支持枠体72を通ってアクセスすることを可能にし、整備士が、例えば、軸受センサ(温度センサおよび加速度計)、ロータリーエンコーダなどの増速機出力軸の部品を監視するような一連の作業を行うことができるようにする。この目的のために、アクセス開口は、整備士が開口の一つを通して手を伸ばし、必要なだけ手が届くようにすることができるような適切な断面積であるべきである。この目的のために、アクセス開口の各々は、少なくとも100cmの開口面積を提供すべきであることが想定される。必要に応じて、より大きなサイズは、少なくとも200cmであり、これは、より大きなリーチスルー面積を提供し、開口を通しての視認性を改善する利点を有する。
【0053】
回転子支持枠体70は、増速機出力軸と円筒形界磁構造体74との間を接続し、駆動を伝達する単一の部品として機能するが、図示された実施形態では、好都合に、回転子支持枠体72は、少なくとも第一および第二の部品を含み、本明細書では、それぞれ102および104で示される。必要に応じて、部品は、例えば、適切な等級の鋼から鋳造されてもよい。第一の部品102は、第二の部品の半径方向内側にあり、両部品は共に円筒形界磁構造体74のハブとして機能する。したがって、第一の部品102は、「内側ハブ部品」102とみなすことができ、したがって、第二の部品104は、「外側ハブ部品」104とみなすことができる。
【0054】
図から分かるように、増速機接続フランジ80は、内側ハブ部品102の一部であり、遷移部90および回転子接続フランジ82を画定する外側ハブ部品104とは別個である。二つの部品102、104は、アクセス開口100の半径方向外側にあるボルトの円形配列106で接続される。注目すべきことに、円形配列106は、図6にD3と記されたピッチ円直径を有する。円形配列106のピッチ円直径D3は、固定配列84のピッチ円直径D1よりも大きい。このようにして少なくとも二つの部品から回転子支持枠体72を製造することは、製造上の利点を提供する。さらに、この構造は、発電機に関連する部品への便利なアクセスを可能にする。例えば、回転子組立体70が回転運動および半径方向運動に対してロックされた状態で、内側ハブ部品102を回転子支持枠体72から分解することが可能である。したがって、内側ハブ部品102は、回転子支持枠体72を増速機出力軸77に接続するボルトの円形配列84を取り外すことによって増速機から取り外すことができ、これにより、発電機の完全な分解を必要とせずに、増速機22に関連する軸受カセット(不図示)へのアクセス、メンテナンス、および取り外し/交換を可能にする。
【0055】
回転子支持枠体72は、延長部分110をさらに備える。延長部分110は、回転子接続フランジ82の非駆動側の外縁から延在し、円筒形である。延長部分110の軸方向寸法は、円筒形界磁構造体74の軸方向長さの約半分である。図示の実施形態では、延長部分110は、回転子接続フランジ82の外径とほぼ等しい直径を有する薄壁円筒形である。
【0056】
延長部分110の非駆動端部は、また、一つ以上の駆動モータ114によって係合する内歯車112を支持する。ここでは、内歯車112は、ボルト環体111で延長部分110にボルト止めされて示されている。内歯車112及び駆動モータ114は、メンテナンス中に発電機回転子組立体70の回転方向を制御することができる手段を提供する。例えば、整備士は、発電機を特定の位置に回転させる必要がある発電機の特定の部分にアクセスする必要がある場合がある。内歯車112及び駆動モータ114は、発電機回転子組立体70を介して増速機及び主軸を回転させる手段も提供する。したがって、延長部分110の軸方向寸法は、内歯車112の必要な位置に基づいて少なくとも部分的に決定されると考えることができる。図示の実施形態では、延長部分110は、また、複数の空気流開口部115を画定する。空気流開口部115は、原理的には任意の形状をとることができるが、ここに示すように、延長部分110の周りに円周方向に分布し、空気が外側方向に半径方向に流れることを可能にする複数の開口部115がある。空気流開口部115は、完全に開放されるように構成することができ、または、破片または緩んだ部品が開口部115を通過しないことを確実にするために、格子のような有孔カバーを設けることができる。延長部分110に画定された空気流開口部115に加えて、回転子支持枠体72は、第一の空気流開口部115の組と比較して半径方向内側の位置に配置された第二の空気流開口部116(図8および図9に最もよく示されている)の組も備えている。第二の空気流開口部116の組は、遷移部90の周りに円周方向に分布し、この実施形態では等角間隔で配置される。より具体的には、各開口部116は、遷移部90が回転子接続フランジ82内に鋭く曲がるひじ形に画定されている。各開口部116は、また、遷移部90に沿って軸方向にそれぞれの開口部116から短い距離だけ延在した関連する案内溝117を特徴とする。案内溝117は、遷移部90の表面に凹部または刻み目として形成される。第二の空気流開口部116の数は重要ではないが、図示の実施形態では、各踏み段領域96に対して二つの開口部116がある。第二の空気流開口部116の組は、アクセス開口100と比較して半径方向外側位置にあることに留意されたい。両組の開口部100、116は、空気流の利点を提供する。しかしながら、両組の開口部100、116を離間した半径方向位置に設けることは、回転子支持枠体を通過する空気のより均一な流れを促進する。
【0057】
延長部分110は、また、ボルト環体111に固定され、したがって内歯車112に対して半径方向外側位置にあるブレーキディスク118を支持する。ブレーキディスク118は、一組のブレーキアクチュエータ119によって作用され、一組のブレーキアクチュエータ119は、発電機修理点検キャビネット81に取り付けられ、図10に最もよく示されている。
【0058】
上記の議論から、図示された実施形態における発電機回転子組立体の様々な態様の構成は、発電機の様々な部品、特に発電機回転子組立体の保守性を高めることが理解されるであろう。例えば、回転子支持枠体72の内部容積の寸法は、整備士が発電機内部にアクセスできることを意味する。これは、以下の目的の少なくとも一つに有用である。第一に、タイロッドシステム86、関連するテンションナット89、及びバランス調整質量87に360度のアクセスが可能であり、技術者が発電機内部の単一位置にいながら、回転子支持枠体72の全周についてこれらの部品に適切な調整を加えることができる。これは、機械を分解することなく迅速に調整を行うことができるので、大きな利点を与える。さらに、発電機内部の技術者は、増速機接続フランジ80を遷移部90に接続するボルトの円形配列106に360度のアクセスが可能であり、また、回転子支持枠体72を増速機出力軸に接続するボルトの円形配列84に360度のアクセスが可能である。これにより、これらのボルト留めされた接続部の点検を迅速に行うことができ、これは、保守点検プロセス中に大きな利点となる。また、上述したように、これにより、内側ハブ部品102を取り外して、増速機軸77にアクセスすることができ、それにより、軸受カセットの取り外し及び交換が可能となる。さらに、発電機内部の大きな空間により、技術者は、内歯車112と延長部分110との間のボルト留めされた接続部に360度のアクセスが可能となる。また、内歯車112に係合する駆動モータ114にも同様にアクセス可能となる。前述し図示した種々の部品に加えて、アクセス開口100及び回転子支持枠体72の一般的な構成は、他の内部発電機部品、例えば、メンテナンス中に、回転子が半径方向に動かないようにロックするために設けられた半径方向回転子ロックシステム、回転子が軸方向に動かないようにロックするために設けられた軸方向回転子ロックシステム、迷走電流保護システム、増速機出力軸上に設けられてもよいロータリーエンコーダ、増速機出力軸上及び他の位置に設けられてもよい加速度計及び温度センサのような他のセンサシステム、メンテナンス中に回転子に制動力を加えるために設けられたブレーキディスク部品、及びロータハブ内に配置された液圧式ピッチングシステムに液圧及び/又は電力を供給するために駆動伝達組立体の中心を通って延在するピッチチューブ部品に適切なシールを与えるために設けられたピッチチューブシール部品へのアクセスを容易にすることも理解されるべきである。
【0059】
全体として考えると、回転子支持枠体72の構成は、その内部に比較的開放された容積を提供し、その容積は、様々な保守活動を行うことができる人がアクセスできるように有利な大きさ及び形状とされる。したがって、その容積は、修理点検要員を収容するような大きさ及び形状とされる発電機内部の保守室を画定すると考えることができる。これは、様々な部品へのアクセスが発電機の外部からのみ達成されるか、又は内部部品の相対的な配置により発電機内部からのアクセスが制限される公知のアプローチとは対照的である。
【0060】
有利なことに、発電機回転子組立体70の内部の開放された容積は、より保護的な環境を提供するために密閉することができるが、必要な場合には修理点検要員がアクセスすることができる。図11aおよび図11bに示すように、発電機修理点検キャビネット81の背面には、ドアまたはハッチなどの閉鎖部材120を設けることができる。閉鎖部材120は、発電機回転子組立体70が収容される内部室への発電機キャビネット81の開口部121を覆う単一のドアパネルであってもよい。あるいは、閉鎖部材120は、複数のパネルを備えてもよい。図に示すように、閉鎖部材120は、二つのドアパネル122、124を備えている。これらのドアパネル122、124は、開放を可能にする任意の適切な方法で取り付けられてもよい。例えば、ドアパネル122、124は、発電機内部へのアクセスが必要な場合に、パネルの一方または両方をキャビネット開口部から持ち上げることを可能にする締結システムによって取り付けられてもよい。あるいは、ドアパネル122、124の一方または両方は、発電機修理点検キャビネット81に接続されたままであるが、必要に応じてアクセスを得るために移動することができるように、ヒンジで連結されてもよい。図11bは、ヒンジ固定を有する一方のドアパネル124を示しており、他方のドアパネル122も同様の固定を有してもよいことが理解されよう。
【0061】
有益なことに、閉鎖部材120は、発電機の内部容積を囲い、これは、内部環境が、発電機が設置されるナセルの全体的な内部から分離されることを意味する。
【0062】
閉鎖部材120は、保守目的のために発電機の内部容積への単一の保守入口点を提供することができるという点で、さらなる利点を達成する。これは、閉鎖部材に単一の安全機構を実装して、保守のための入室を制御可能にすることができることを意味する。安全機構は、キーパッド、フィンガースキャナ、または他のアクセス制御技術によることができる。好ましくは、一つ以上の他の安全手段またはインターロックが対処されたことを安全機構が検出した場合にのみ、閉鎖部材を介したアクセスが許可される。例えば、回転子がロックされて回転子が静止し、適切な電気システムが不作動にされ、修理点検要員が発電機の内部にアクセスすることに関連する電気的リスクがない場合である。
【0063】
発電機の内側の内部容積は、十分な空間を有する保守室として提供されるので、この領域は、上述したように、発電機に関連する多くの構造およびシステムにアクセスするための専用の作業スペースとして設計することができる。例えば、床カバーを保守室に設置することにより、落下物を捕捉し、それによって緩んで外れた部品が発電機の内部にあるリスクを回避することができる。さらに、閉鎖部材120により、保守室の閉ざされた環境は、保守室からアクセス可能な領域を可能な限り清浄な状態に維持することができることを意味し、これは、ナセルの範囲を十分に清浄にすることを要求するよりも、小規模で達成する方が容易である。
【0064】
添付の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱することなく、上述した特定の実施例に多くの変更を加えることができる。一実施形態の特徴は、他の実施形態においても、そのような実施形態への追加として又はその置換として使用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11a
図11b
【国際調査報告】