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特表2024-529404異なるゴム層に封入されたRFIDを有するタイヤ及び関連する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】異なるゴム層に封入されたRFIDを有するタイヤ及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
   B60C 19/00 20060101AFI20240730BHJP
   C08L 9/00 20060101ALI20240730BHJP
   C08L 7/00 20060101ALI20240730BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20240730BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20240730BHJP
   B29D 30/06 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
B60C19/00 B
C08L9/00
C08L7/00
C08K3/013
B60C1/00 Z
B29D30/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503803
(86)(22)【出願日】2022-06-24
(85)【翻訳文提出日】2024-02-12
(86)【国際出願番号】 US2022073133
(87)【国際公開番号】W WO2023009923
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】63/225,836
(32)【優先日】2021-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515168916
【氏名又は名称】ブリヂストン アメリカズ タイヤ オペレーションズ、 エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロリンズ,クロード デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,セス エム.
【テーマコード(参考)】
3D131
4F501
4J002
【Fターム(参考)】
3D131AA28
3D131BA02
3D131BA07
3D131BA08
3D131BA18
3D131BC31
3D131CB11
3D131LA02
3D131LA24
4F501TA11
4F501TC20
4F501TC21
4F501TC24
4F501TE22
4F501TH04
4F501TJ03
4F501TJ11
4F501TL14
4F501TV27
4J002AC011
4J002AC031
4J002AC061
4J002AC081
4J002DA036
4J002DA046
4J002DJ016
4J002EV277
4J002EV327
4J002FD016
4J002FD146
4J002FD157
4J002GN01
(57)【要約】
【解決手段】 無線装置を含む電子通信モジュールを有するタイヤが本明細書に開示され、無線装置は、第1のゴム層と第2のゴム層との間に配置され、第2のゴム層は、第1のゴム層のT50硬化時間よりも長い160°CでのT50硬化時間を有する。第1のゴム層と第2のゴム層との間に配置された無線装置を含む電子通信モジュールを有するタイヤを硬化させるための関連する方法も開示され、第2のゴム層は、第1のゴム層のT50硬化時間よりも長い160°CでのT50硬化時間を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のゴム層と第2のゴム層との間に配置された無線装置を含む電子通信を有するタイヤであって、
前記第1のゴム層が、100部の少なくとも1種のジエン系ゴム、少なくとも1種の充填剤、及び硬化パッケージから構成され、前記第1のゴム層が、160°Cで約1.5~約3.5分、好ましくは約2~約3分のT50硬化時間T50-1を有し、
前記第2のゴム層が、少なくとも1種のジエン系ゴム、少なくとも1種の充填剤、及び硬化パッケージから構成され、前記第2のゴム層が、T50-1よりも長く、約2.5~約5分、好ましくは約3~約4分である160°CでのT50硬化時間T50-2を有し、
前記第1のゴム層及び第2のゴム層が、各々が独立して、約0.4~約3mm、好ましくは約0.5~約2mmの厚さを有する、タイヤ。
【請求項2】
前記第1のゴム層が、
a.150%未満、好ましくは約100~約70%の23°Cでの破断点伸び、
b.少なくとも3.5MPa、好ましくは約4~約6MPaの23°Cでの50%モジュラス、
c.少なくとも9MPa、好ましくは約10~約15MPaの23°Cでの破断点張力、又は
d.130°Cでの、約43~約57、好ましくは約45~約50のムーニー粘度ML1+4のうちの少なくとも1つ、好ましくは全てを満たす、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
前記第2のゴム層が、
a.少なくとも300%、好ましくは約400~約700%の23°Cでの破断点伸び、
b.少なくとも6MPa、好ましくは約7~約10MPaの23°Cでの50%モジュラス、
c.少なくとも12MPa、好ましくは約14~約20MPaの23°Cでの破断点張力、又は
d.130°Cでの、約46~約60、好ましくは約50~約55のムーニー粘度ML1+4のうちの少なくとも1つ、好ましくは全てを満たす、請求項1又は請求項2に記載のタイヤ。
【請求項4】
前記第1のゴム層の前記少なくとも1種のジエン系ゴム100部が、重量において大部分のポリブタジエン、ポリイソプレン、天然ゴム、又はこれらの混合物、好ましくは合計で10部以下のEPDM、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、又はニトリルゴムを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項5】
前記第2のゴム層の前記少なくとも1種のジエン系ゴム100部が、重量において大部分のポリイソプレン、天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、又はこれらの混合物、好ましくは合計で10部以下のEPDM、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、又はニトリルゴムを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項6】
前記第1のゴム層の前記少なくとも1種の充填剤が、好ましくはN300グレード、N500グレード、又はそれらの組み合わせから選択される、約30~約50phrのカーボンブラックを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項7】
前記第2のゴム層の前記少なくとも1種の充填剤が、カーボンブラック、シリカ、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の充填剤を約30~約50phr含み、任意のカーボンブラックが、好ましくはN300グレード、N500グレード、N600グレード、又はこれらの組み合わせから選択され、任意のシリカが、好ましくは200mg以下の窒素表面積を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項8】
前記第1のゴム層の前記硬化パッケージが、少なくとも0.7:1、好ましくは少なくとも0.9:1又は0.9:1~1.5:1の硫黄に対する加硫促進剤の重量比で、加硫剤としての硫黄及び少なくとも1種の加硫促進剤を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項9】
前記第2のゴム層の前記硬化パッケージが、0.6:1以下、好ましくは0.5:1以下、より好ましくは0.4:1以下の硫黄に対する加硫促進剤の重量比で、加硫剤としての硫黄及び少なくとも1種の加硫促進剤を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項10】
前記タイヤがインナーライナーを含み、前記無線装置が前記インナーライナーの半径方向内側に配置され、前記第2の層が前記インナーライナーに接し、前記第1のゴム層が半径方向内側に面する、請求項1から9のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項11】
電子通信モジュールを用いてタイヤを硬化させる方法であって、
未硬化タイヤカーカスと、第1のゴム層と第2のゴム層との間に配置された封入無線装置を含む電子通信モジュールとを提供することであって、
前記第1のゴム層が、100部の少なくとも1種のジエン含有ゴム、少なくとも1種の充填剤、及び硬化パッケージから構成され、前記第1のゴム層が、160°Cでの、約1.5~約3.5分、好ましくは約2~約3分のT50硬化時間T50-1を有し、
前記第2のゴム層が、少なくとも1種のジエン含有ゴム、少なくとも1種の充填剤、及び硬化パッケージから構成され、前記第2のゴム層が、T50-1よりも長く、160°Cでの、約2.5~約5分、好ましくは約3~約4分であるT50硬化時間T50-2を有し、
前記第1のゴム層及び第2のゴム層が、各々が独立して、約0.4~約3mm、好ましくは約0.5~約2mmの厚さを有する、提供することと、
前記封入無線装置を前記未硬化タイヤカーカスの少なくとも1つの構成要素に対して位置決めし、次いで、前記未硬化タイヤカーカスを前記封入無線装置と共に硬化させることとを含む、方法。
【請求項12】
前記硬化が、ペブル表面ゴム硬化ブラダの使用を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のゴム層が、
a.150%未満、好ましくは約100~約70%の23°Cでの破断点伸び、
b.少なくとも3.5MPa、好ましくは約4~約6MPaの23°Cでの50%モジュラス、
c.少なくとも9MPa、好ましくは約10~約15MPaの23°Cでの破断点張力、又は
d.130°Cでの、約43~約57、好ましくは約45~約50のムーニー粘度ML1+4のうちの少なくとも1つ、好ましくは全てを満たす、請求項11又は請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2のゴム層が、
a.少なくとも300%、好ましくは約400~約700%の23°Cでの破断点伸び、
b.少なくとも6MPa、好ましくは約7~約10MPaの23°Cでの50%モジュラス、
c.少なくとも12MPa、好ましくは約14~約20MPaの23°Cでの破断点張力、又は
d.130°Cでの、約46~約60、好ましくは約50~約55のムーニー粘度ML1+4のうちの少なくとも1つ、好ましくは以下の全てを満たす、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のゴム層の前記少なくとも1種のジエン系ゴム100部が、重量において大部分のポリブタジエン、ポリイソプレン、天然ゴム、又はこれらの混合物、好ましくは合計で10部以下のEPDM、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、又はニトリルゴムを含む、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第2のゴム層の前記少なくとも1種のジエン系ゴム100部が、重量において大部分のポリイソプレン、天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、又はこれらの混合物を含み、好ましくは合計で10部以下のEPDM、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、又はニトリルゴムを含む、請求項11から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のゴム層の前記少なくとも1種の充填剤が、好ましくはN300グレード、N500グレード、又はそれらの組み合わせから選択される、約30~約50phrのカーボンブラックを含む、請求項11から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記第2のゴム層の前記少なくとも1種の充填剤が、約30~約50phrの、カーボンブラック、シリカ、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の充填剤を含み、任意のカーボンブラックが、好ましくはN300グレード、N500グレード、N600グレード、又はこれらの組み合わせから選択され、任意のシリカが、好ましくは200mg以下の窒素表面積を有する、請求項11から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のゴム層の前記硬化パッケージが、少なくとも0.7:1、好ましくは少なくとも0.9:1又は0.9:1~1.5:1の硫黄に対する加硫促進剤の重量比で、加硫剤としての硫黄及び少なくとも1種の加硫促進剤を含む、請求項11から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記第2のゴム層の前記硬化パッケージが、0.6:1以下、好ましくは0.5:1以下、より好ましくは0.4:1以下の硫黄に対する加硫促進剤の重量比で、加硫剤としての硫黄及び少なくとも1種の加硫促進剤を含む、請求項11から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記未硬化タイヤカーカスの前記少なくとも1つの構成要素がインナーライナーであり、前記無線装置が前記インナーライナーの半径方向内側に配置され、前記第2の層が前記インナーライナーに接し、前記第1のゴム層が半径方向内側に面する、請求項11から20のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、異なるゴム組成物の層の間に封入無線装置を有するRFID又は電子通信モジュールを含むタイヤ、及び封入されたRFIDを有するタイヤを硬化させるための関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子装置(無線周波数情報装置又はRFIDと呼ばれることが多い)は、タイヤの製造、流通、及び使用中の識別及び追跡などの機能を提供するためにタイヤに組み込まれ得る。かかる装置はまた、タイヤ使用時の圧力及び温度などの物理的パラメーターを監視する機能を果たし得る。
【0003】
使用可能な識別及びモニタリング装置が多種多様であることを考慮すると、これらの装置にはまた、多種多様な装着構成が存在する。例示的な既知の装着構成は、タイヤサイドウォールへのモニタリング装置の搭載、ビードフィラーへのモニタリング装置の搭載、添付剤又は接着剤によるタイヤサイドウォールへの装置の取り付け、添付剤又は接着剤によるインナーライナーへの直接的な装置の取り付け、タイヤを支持するリムへの装置の結合、及びホイールのバルブステムへの装置の装着を含む。
【発明の概要】
【0004】
無線装置を含む電子通信モジュールを有するタイヤが本明細書に開示され、無線装置は、第1のゴム層と第2のゴム層との間に配置され、第2のゴム層は、第1のゴム層のT50硬化時間よりも長い160°CにおけるT50硬化時間を有する。第1のゴム層と第2のゴム層との間に配置された無線装置を含む電子通信モジュールを有するタイヤを硬化させるための関連する方法も開示され、第2のゴム層は、第1のゴム層のT50硬化時間よりも長い160°CにおけるT50硬化時間を有する。
【0005】
第1の実施形態では、無線装置を含む電子通信モジュールを有するタイヤが開示され、無線装置は、第1のゴム層と第2のゴム層との間に配置される。第1のゴム層は、100部の少なくとも1種のジエン系ゴム、少なくとも1種の充填剤、及び硬化パッケージから構成され、第1のゴム層は、160°Cで約1.5~約3.5分、好ましくは約2~約3分のT50硬化時間T50-1を有する。第2のゴム層は、少なくとも1種のジエン系ゴム、少なくとも1種の充填剤、及び硬化パッケージから構成され、第2のゴム層は、T50-1よりも長く、約2.5~約5分、好ましくは約3~約4分である160°CでのT50硬化時間T50-2を有する。第1の実施形態によれば、第1のゴム層及び第2のゴム層は、各々が独立して、約0.4~約3mm、好ましくは約0.5~約2mmの厚さを有する。
【0006】
第2の実施形態では、電子通信モジュールを備えたタイヤを硬化させるプロセスが提供される。第2の実施形態のプロセスによれば、未硬化タイヤカーカスと、第1のゴム層と第2のゴム層との間に配置された封入無線装置を含む電子通信モジュールとが提供される。第1のゴム層は、100部の少なくとも1種のジエン系ゴム、少なくとも1種の充填剤、及び硬化パッケージから構成され、第1のゴム層は、160°Cで約1.5~約3.5分、好ましくは約2~約3分のT50硬化時間T50-1を有する。第2のゴム層は、少なくとも1種のジエン系ゴム、少なくとも1種の充填剤、及び硬化パッケージから構成され、第2のゴム層は、T50-1よりも長く、約2.5~約5分、好ましくは約3~約4分である160°CでのT50硬化時間T50-2を有する。第2の実施形態によれば、第1のゴム層及び第2のゴム層は、各々が独立して、約0.4~約3mm、好ましくは約0.5~約2mmの厚さを有する。更に、第2の実施形態のプロセスによれば、封入無線装置(即ち、第1のゴム層と第2のゴム層との間に配置される無線装置)は、未硬化タイヤカーカスの少なくとも1つの構成要素に対して配置され、次いで、未硬化タイヤカーカスは封入無線装置と共に硬化される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
無線装置を含む電子通信モジュールを有するタイヤが本明細書に開示され、無線装置は、第1のゴム層と第2のゴム層との間に配置され、第2のゴム層は、第1のゴム層のT50硬化時間よりも長い160°CにおけるT50硬化時間を有する。第1のゴム層と第2のゴム層との間に配置された無線装置を含む電子通信モジュールを有するタイヤを硬化させるための関連する方法も開示され、第2のゴム層は、第1のゴム層のT50硬化時間よりも長い160°CにおけるT50硬化時間を有する。
【0008】
第1の実施形態では、無線装置を含む電子通信モジュールを有するタイヤが開示され、無線装置は、第1のゴム層と第2のゴム層との間に配置される。第1のゴム層は、100部の少なくとも1種のジエン系ゴム、少なくとも1種の充填剤、及び硬化パッケージから構成され、第1のゴム層は、160°Cで約1.5~約3.5分、好ましくは約2~約3分のT50硬化時間T50-1を有する。第2のゴム層は、少なくとも1種のジエン系ゴム、少なくとも1種の充填剤、及び硬化パッケージから構成され、第2のゴム層は、T50-1よりも長く、約2.5~約5分、好ましくは約3~約4分である160°CでのT50硬化時間T50-2を有する。第1の実施形態によれば、第1のゴム層及び第2のゴム層は、各々が独立して、約0.4~約3mm、好ましくは約0.5~約2mmの厚さを有する。
【0009】
第2の実施形態では、電子通信モジュールを備えたタイヤを硬化させるプロセスが提供される。第2の実施形態のプロセスによれば、未硬化タイヤカーカスと、第1のゴム層と第2のゴム層との間に配置された封入無線装置を含む電子通信モジュールとが提供される。第1のゴム層は、100部の少なくとも1種のジエン系ゴム、少なくとも1種の充填剤、及び硬化パッケージから構成され、第1のゴム層は、160°Cで約1.5~約3.5分、好ましくは約2~約3分のT50硬化時間T50-1を有する。第2のゴム層は、少なくとも1種のジエン系ゴム、少なくとも1種の充填剤、及び硬化パッケージから構成され、第2のゴム層は、T50-1よりも長く、約2.5~約5分、好ましくは約3~約4分である160°CでのT50硬化時間T50-2を有する。第2の実施形態によれば、第1のゴム層及び第2のゴム層は、各々が独立して、約0.4~約3mm、好ましくは約0.5~約2mmの厚さを有する。更に、第2の実施形態のプロセスによれば、封入無線装置(即ち、第1のゴム層と第2のゴム層との間に配置される無線装置)は、未硬化タイヤカーカスの少なくとも1つの構成要素に対して配置され、次いで、未硬化タイヤカーカスは封入無線装置と共に硬化される。
【0010】
定義
本明細書に記載される用語は、実施形態を説明するためだけのものであり、全体として本発明を限定すると解釈すべきではない。
【0011】
本明細書で使用される場合、重量において「大部分」という用語は、50重量%を超えることを指す。
【0012】
本明細書で特に明記しない限り、用語「ムーニー粘度」は、ムーニー粘度、ML1+4を指す。ゴム組成物のムーニー粘度は、加硫又は硬化に先立って測定されることを、当業者は理解するであろう。
【0013】
本明細書で使用されるとき、用語「天然ゴム」は、パラゴムノキゴムの木などの原料、及び非パラゴムノキ原料(例えば、グアユールゴムノキ及びTKSなどのタンポポ)から採取することができるものなどの、天然由来のゴムを意味する。言い換えれば、用語「天然ゴム」は、合成ポリイソプレンを除くものと解釈すべきである。
【0014】
本明細書で使用される場合、「窒素表面積」は、本明細書で説明されるように、それだけに限定されないが、シリカフィラーを含む粒状材料の窒素吸収比表面積(NSA)を指す。窒素表面積は、以下に述べるものを含む、様々な標準的方法に従って測定することができる。
【0015】
本発明で使用する場合、用語「phr」とは、ゴム100部当たりの部を意味する。ゴム100部は、少なくとも1種のジエン系エラストマー100部を指す。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「ポリイソプレン」は、合成ポリイソプレンを意味する。言い換えれば、この用語は、イソプレンモノマーから製造されたポリマーを示すために用いられ、天然由来のゴム(例えば、Hevea天然ゴム、グアユール起源の天然ゴム、又はタンポポ起源の天然ゴム)を含むと解釈すべきではない。ただし、「ポリイソプレン」という用語は、イソプレンモノマーの天然源から製造されるポリイソプレンを含むと解釈すべきである。
【0017】
電子通信モジュール
上述したように、本開示は、概して、異なるゴム組成物の層の間に封入無線装置を含むRFID又は電子通信モジュールを含むタイヤ、及び封入されたRFIDを有するタイヤを硬化させるための関連する方法に関する。本明細書に開示される第1の実施形態及び第2の実施形態によれば、電子通信モジュールは、少なくとも本体及びアンテナを含むものとして一般的に理解され得る無線装置を含む。以下でより詳細に説明するように、無線装置は、タイヤの他の構成要素(例えば、インナーライナー、1つ以上のボディプライ、サイドウォールなど)と共に硬化されることに先立って、第1のゴム層と第2のゴム層との間に配置される。無線装置が2つのゴム層の間に配置されると述べることは、無線装置が2つの層の間に封入される、及び/又はそれらによって完全に取り囲まれることを意味する。第1のゴム層及び第2のゴム層は、それらが異なる組成物を有し、異なる組成物の結果として異なるT50硬化時間(160°Cで測定)を有し、第2のゴム層のT50硬化時間(本明細書ではT50-2と呼ばれる)が第1のゴム層のT50硬化時間(本明細書ではT50-1と呼ばれる)よりも長いため、本明細書では異なると呼ばれる。(本明細書に記載されるような)2つの異なるゴム層の使用は、硬化中の無線装置の移動を最小化又は排除することによって、無線装置がタイヤ内に適切に配置されることを確実にするという利点を提供する。したがって、本明細書に開示される第1の実施形態及び第2の実施形態によれば、第1のゴム層及び第2のゴム層に封入無線装置を有する電子通信モジュールは、硬化後であっても第1のゴム層及び第2のゴム層の間に封入されたままであり、それによって、硬化中に無線装置がゴム層のうちの1つを通って又はその中に移動する可能性を低減する。そうでなければ、硬化中にゴム層を通って又はその中に移動することにより、無線装置がゴム層の表面を通って露出し(タイヤ内で見え)、そこで損傷を受けやすくなるか、又はインナーライナー内に沈み込み、1つ以上のボディプライに損傷を与える可能性がある。
【0018】
第1のゴム層
以上説明したように、第1の実施形態及び第2の実施形態によれば、無線装置は、第1のゴム層と第2のゴム層との間に配置されている。第1のゴム層のT50硬化時間(T50-1)は、第2のゴム層のT50硬化時間(T50-2)未満である。第1のゴム層は、100部の少なくとも1種のジエン系ゴム、少なくとも1種の充填剤及び硬化パッケージから構成される(それらを含む)。本明細書で使用される場合、ジエン系ゴムという語句は、少なくとも1種の共役ジエンモノマーから作製されるポリマー又はコポリマーを指すことが意図される。一般に、ジエン系ゴムの非限定的な例としては、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレン-ブタジエンゴム、及びポリブタジエンが挙げられる。少なくとも1種のジエン系ゴム、少なくとも1種の充填剤、及び第1のゴム層の硬化パッケージに使用される特定の成分は様々であってもよいが、T50-1硬化時間が約1.5~約3.5分又は1.5~3.5分(例えば、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、又は3.5分)、好ましくは約2~約3分又は2~3分(例えば、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、又は3分)となるように選択される。
【0019】
第1の実施形態及び第2の実施形態のうち特定の実施形態では、第1のゴム層は、(a)150%未満の23°Cでの破断点伸び(例えば、149%、145%、140%、135%、130%、125%、120%、115%、110%、105%、100%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%など)、好ましくは約100%~約70%又は100%~70%(例えば、100%、95%、90%、85%、80%、75%、又は70%)、(b)少なくとも3.5MPaの23°Cでの50%モジュラス(例えば、3.5MPa、4MPa、4.5MPa、5MPa、5.5MPa、6MPa、6.5MPa、7MPa、7.5MPa、8MPaなど)、好ましくは約4~約6MPa又は4~6MPa(例えば、4MPa、4.5MPa、5MPa、5.5MPa、又は6MPa)、(c)少なくとも9MPaの23°Cでの破断点張力(例えば、9MPa、9.5MPa、10MPa、10.5MPa、11MPa、11.5MPa、12MPa、12.5MPa、13MPa、13.5MPa、14MPa、14.5MPa、15MPa、15.5MPa、16MPa、17MPa、18MPaなど)、好ましくは約10~約15MPa又は10~15MPa(例えば、10MPa、10.5MPa、11MPa、11.5MPa、12MPa、12.5MPa、13MPa、13.5MPa、14MPa、14.5MPa、又は15MPa)、又は、(d)130°Cでのムーニー粘度ML1+4が約43~約57又は43~57(例えば、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、又は57、好ましくは約45~約50又は45~50(例えば、45、46、47、48、49又は50)のうちの少なくとも1つを満たすことになる。
【0020】
破断点伸び測定値(%伸びに関する)は、Ebとも呼ばれ、ゴム組成物の引裂抵抗の指標を提供する。破断点張力測定値(MPa単位)は、Tbとも呼ばれ、破断前に耐えることができる最大応力を測定することによって、ゴム組成物の強度の指標を提供する。破断点伸び及び破断点張力は、限定されるものではないが、ASTM D-412に記載されている標準的な手順のガイドラインに従って、中央に幅4mm及び厚さ1.9mmの断面寸法を有するダンベル型試料を用いて測定することができる。測定中、試験片を一定速度(毎秒20%)で歪ませ、結果として得られた力を伸展(歪み)の関数として記録することができる。23°Cで測定されたEb及びTbは、室温測定値と呼ばれることがある。50%モジュラス測定値(MPa単位)は、M50とも呼ばれ、50%伸びにおけるゴム組成物の試料の引張応力を測定する。50%モジュラス測定値は真のモジュラス測定値ではなく、Eb及びTbについて記載したのと同じ方法を使用して測定することができる。130°Cでのムーニー粘度ML1+4は、大きなローター、1分間のウォームアップ時間、及び4分間の運転時間を有するAlpha Technologies製ムーニー粘度計を使用して測定することができ、したがって、ムーニー1+4又はML1+4と呼ばれる。より具体的には、そのようなムーニー粘度は、ローターが始動する前に未硬化試料を130°Cに1分間予熱することによって測定され、ムーニー粘度は、ローターが始動してから4分後のトルクとして各試料について記録される。
【0021】
第1の実施形態及び第2の実施形態のうち特定の実施形態では、第1の層は、少なくとも70(例えば、70、75、80、85、90、95、又は100)、好ましくは70~90(例えば、70、72、74、75、76、78、80、82、84、85、86、88、又は90)、より好ましくは74~84(例えば、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、又は84)の23°CでのショアA硬度を有する。ショアA硬度は、ASTM D2240に従って、最小0.25インチゲージ及び1インチ幅を有する試料サイズ、並びに150°Cで40分の硬化条件で測定することができる。
【0022】
第1の実施形態及び第2の実施形態の好ましい実施形態では、第1のゴム層は、前述の(a)~(d)の各々、好ましくは(a)~(d)の各々をそれらの好ましい範囲で満たす。特定のそのような実施形態では、第1のゴム層はまた、ショアA硬度範囲、好ましくは好ましい範囲、より好ましくはより好ましい範囲を満たす。
【0023】
本明細書に開示される第1の実施形態及び第2の実施形態によれば、第1のゴム層中の少なくとも1種のジエン系ゴム100部を構成するために使用されるゴム(複数可)は、様々であり得る。全体として(又は合計で)、100部のゴムが第1のゴム層中に存在する。当業者に理解されるように、100部のゴムが使用されるので、ゴム層の他の成分は、100部のゴム当たりの部の量、即ちphrで説明することができる。第1の実施形態及び第2の実施形態の好ましい実施形態では、第1のゴム層の少なくとも1種のジエン系ゴムは、合計で重量において大部分(例えば、51%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、855、90%、95%、又は更に100%)のポリブタジエン、ポリイソプレン、天然ゴム、又はこれらの混合物を含み、好ましくは合計で10部以下(例えば、10部、5部、4部、3部、2部、1部、又は更に0部)のEPDM、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、又はニトリルゴムを含む。前述のより好ましい実施形態では、第1の層の少なくとも1種のジエン系ゴムは、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、又は更には100重量%のポリブタジエン、ポリイソプレン、天然ゴム、又はこれらの混合物を含む。第1の実施形態及び第2の実施形態のうち特定の実施形態では、第1の層に使用される任意のポリブタジエンは、高シスポリブタジエンであり、これは、少なくとも90%、より好ましくは少なくとも92%のシス結合含有量を有するポリブタジエンであると考えることができる。高シスポリブタジエンは、一般に、比較的低い、例えば-100°C未満のTgを有する。第1の実施形態及び第2の実施形態の他の実施形態では、第1の層に使用される任意のポリブタジエンは、例えば、約-85~約-55°C又は-85~-55°C(例えば、-85、-80、-75、-70、-65、-60、又は-55°C)、好ましくは約-80~約-60°C又は-80~-60°C(例えば、-60、-65、-70、-75、又は-80°C)の範囲で、より低いシス結合含有量、例えば90%未満、及びより高いTgを有する。第1の実施形態及び第2の実施形態のうち特定の実施形態では、第1の層に使用されるいずれのポリブタジエンゴムも官能化されていない。第1の実施形態及び第2の実施形態の他の実施形態では、第1の層に使用される任意のポリブタジエンゴムは、(例えば、末端官能性化合物及び/又はカップリング剤の使用によって)官能化される。第1の実施形態及び第2の実施形態の更に他の実施形態では、官能化ポリブタジエンゴムと非官能化ポリブタジエンゴムとの組み合わせが第1のゴム層に使用される。
【0024】
本明細書に開示される第1の実施形態及び第2の実施形態によれば、第1のゴム層の少なくとも1種の充填剤は様々であってもよい。第1の実施形態及び第2の実施形態の好ましい実施形態では、第1のゴム層の少なくとも1種の充填剤は、カーボンブラックを、好ましくは約30~約50phr又は30~50phr(例えば、30、35、40、45、又は50phr)の量で含む。カーボンブラックが例えば第1のゴム層において前述の量のうちの1つで使用される場合、カーボンブラックは、好ましくは、N300シリーズ、N500シリーズ、又はそれらの組み合わせから選択される。N300シリーズカーボンブラックの非限定的な例としては、N330及びN351が挙げられる。N500シリーズのカーボンブラックの非限定的な例としては、ASTM D-1765-82aによって指定されるN550カーボンブラックが挙げられる。第1のゴム層に使用される任意のカーボンブラックは、好ましくは、少なくとも約20m/g(少なくとも20m/gを含む)、より好ましくは少なくとも約35m/gから約200m/gまで、又はそれ以上(35m/gから200m/gまでを含む)の表面積を有するものなどの補強カーボンブラックである。カーボンブラックについて本明細書において使用される表面積の値は、臭化セチルトリメチル-アンモニウム(cetyltrimethyl-ammonium bromide、CTAB)技法を使用するASTM D-1765によって決定される。第1の実施形態及び第2の実施形態の好ましい実施形態では、第1のゴム層は、限定された量のシリカを含み(例えば、5phr、4phr、3phr、2phr、1phr未満)、更により好ましくはシリカ(即ち、0phrシリカ)を含まない。
【0025】
第1の実施形態及び第2の実施形態の好ましい実施形態では、第1のゴム層の硬化パッケージは、少なくとも0.7:1(例えば、0.7:1、0.8:1、0.9:1、1:1、1.1:1、1.2:1、1.3:1、1.4:1、1.5:1、1.6:1、1.7:1など)、好ましくは少なくとも0.9:1又は0.9:1~1.5:1(例えば、0.9:1、1:1、1.1:1、1.2:1、1.3:1、1.4:1、又は1.5:1)の硫黄に対する加硫促進剤の重量比で、加硫剤としての硫黄及び少なくとも1種の加硫促進剤を含む。特定の好適な硫黄加硫剤の例としては、「ゴム製造業者(rubbermaker)」の可溶性硫黄、二硫化アミン、ポリマー性ポリスルフィド、又は硫黄オレフィン付加物などの硫黄供与性硬化剤、及び不溶性のポリマー性硫黄が挙げられる。好ましくは、硫黄加硫剤は、可溶性硫黄、又は可溶性硫黄ポリマーと不溶性硫黄ポリマーとの混合物である。第1のゴム層の硬化パッケージにおいて使用される特定の加硫促進剤(複数可)は、変化し得る。一般に、硫黄加硫剤(複数可)は、第1の実施形態及び第2の実施形態の特定の実施形態において、3~10phr(例えば、3、4、5、6、7、8、9、又は10phr)、及び5~8phr(例えば、5、6、7、又は8phr)を含む、1~12phr(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12phr)の範囲の総量で使用されてもよく、少なくとも1種の加硫促進剤は、1又は8phr(例えば、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、又は8phr)を含む、0.7~10phr(例えば、0.7、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、又は10phr)の範囲の総量で使用されてもよく、硫黄に対する加硫促進剤の重量比は上述の通りである。第1の実施形態及び第2の実施形態の好ましい実施形態では、第1のゴム層に使用される少なくとも1種の加硫促進剤は、超高速加硫促進剤を含むか、又は超高速加硫促進剤である。一般に、以下のクラスの加硫促進剤は、超高速加硫促進剤(チオホスフェート、チオ尿素、チウラム、ジチオカルバメート、及びキサンテート)であると考えることができる。好適なチオホスフェートの非限定的な例としては、亜鉛-O,O-ジ-N-ホスホロジチオエート(ZBDP)が挙げられる。好適なチオ尿素の非限定的な例としては、エチレンチオ尿素(ETU)、ジ-ペンタメチレンチオ尿素(DPTU)、及びジブチルチオ尿素(DBTU)が挙げられる。好適なチウラムの非限定的な例としては、チウラムモノスルフィド及びチウラムポリスルフィド(例えば、TMTM(テトラメチルチウラムモノスルフィド)、TMTD(テトラメチルチウラムジスルフィド)、DPTT(ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド)、TETD(テトラエチルチウラムジスルフィド)、TiBTD(テトライソブチルチウラムジスルフィド)、TBzTD(テトラベンジルチウラムジスルフィド)などが挙げられる。ジチオカルバメートの非限定的な例としては、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDMC)、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDEC)、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDBC)、及びジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDBC)が挙げられる。好適なキサンテートの非限定的な例としては、亜鉛-イソプロピルキサンテート(ZIX)が挙げられる。
【0026】
第1のゴム層はまた、1つ以上の可塑剤(例えば、油などの液体可塑剤、又は炭化水素樹脂などのより多くの固体可塑剤)、1つ以上の酸化防止剤、1つ以上の加硫活性化剤(例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸など)、1つ以上の加硫阻害剤、及び1つ以上のスコーチ防止剤を含むがこれらに限定されない1つ以上の追加の成分を含んでもよい。本明細書に開示される第1の実施形態及び第2の実施形態によれば、第1のゴム層は、前述の追加成分のいずれか又は全てを含んでもよい。
【0027】
第1のゴム層が1つ以上の可塑剤を含む第1の実施形態及び第2の実施形態のそれらの実施形態では、使用される可塑剤(複数可)の特定の種類(複数可)及び量(複数可)は異なり得る。様々な可塑剤が第1のゴム層に使用するのに好適であり、油などの液体可塑剤及び炭化水素樹脂などのより固体可塑剤が挙げられるが、これらに限定されない。可塑剤が液体であると述べることは、23°Cの室温でのその状態を指すことを意味する。任意の液体可塑剤又は油は、伸展油(ジエン系ゴムの1つを伸展するために使用される)として存在してもよく、及び/又は遊離油(混合中に別個に添加される)として使用されてもよい。油などの好適な液体可塑剤としては、芳香族油、ナフテン油、及び低PCA油が挙げられるが、これらに限定されない。好適な低PCA油としては、IP346法によって測定すると、3重量%未満の多環式芳香族含量を有するものが挙げられる。IP346法の手順は、Institute of Petroleum(英国)発行のStandard Methods for Analysis&Testing of Petroleum and Related Products and British Standard 2000 Parts,2003,第62版に見出すことができる。好適な低PCA油としては、軽度抽出溶媒和物(MES)、処理留出物芳香族抽出物(TDAE)、TRAE、及び重ナフテン系が挙げられる。好適なMES油は、CATENEX SNR(SHELL製)、PROREX 15及びFLEXON 683(EXXONMOBIL製)、VIVATEC 200(BP製)、PLAXOLENE MS(TOTAL FINA ELF製)、TUDALEN 4160/4225(DAHLEKE製)、MES-H(REPSOL製)、MES(Z8製)、並びにOLIO MES S201(AGIP製)として市販されている。好適なTDAE油は、TYREX 20(EXXONMOBIL製)、VIVATEC 500、VIVATEC 180、及びENERTHENE 1849(BP製)、並びにEXTENSOIL 1996(REPSOL製)として入手可能である。好適な重ナフテン系油は、SHELLFELX 794、ERGON BLACK OIL、ERGON H2000、CROSS C2000、CROSS C2400、及びSAN JOAQUIN 2000Lとして入手可能である。好適な低PCA油としてはまた、野菜、木の実、及び種子から採取できるものなど、様々な植物起源の油も挙げられる。非限定例としては、以下に限定されないが、ダイズ油、ヒマワリ油(高オレイン酸ヒマワリ油を含む)、サフラワー油、コーン油、亜麻仁油、綿実油、菜種油、カシュー油、ゴマ油、ツバキ油、ホホバ油、マカダミアナッツ油、ココナツ油、及びヤシ油が挙げられる。前述の加工油を、伸展油として、即ち、油展ポリマー又は共重合体の調製のために、或いは加工油又は遊離油として使用することもできる。第1の実施形態及び第2の実施形態によれば、第1のゴム層において使用される油(加工油及び任意の伸展油)の総量は、約1~約20phr又は1~20phr(例えば、1、5、10、15、又は20phr)、好ましくは約1~約10phr又は1~10phr(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10phr)である。第1のゴム層に使用するのに好適な炭化水素樹脂は様々であってもよく、シクロペンタジエン又はジシクロペンタジエンホモポリマー又はコポリマー樹脂、テルペンホモポリマー又はコポリマー樹脂、フェノールホモポリマー又はコポリマー樹脂、C5又はC9部分ホモポリマー又はコポリマー樹脂、アルファ-メチルスチレンホモポリマー又はコポリマー樹脂、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。第1の実施形態及び第2の実施形態によれば、第1のゴム層に使用される炭化水素樹脂の総量は、約1~約10phr又は1~10phr(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10phr)、好ましくは約1~約5phr又は1~5phr(例えば、1、2、3、4、又は5phr)である。第1の実施形態及び第2の実施形態の好ましい実施形態において、可塑剤の総量は、10phr以下(例えば、10、9、8、7、6、5、4phr以下)であり、5phr以下などを含む。
【0028】
第1のゴム層が1つ以上の酸化防止剤を含む第1の実施形態及び第2の実施形態の実施形態では、使用される特定の種類(複数可)及び量(複数可)は変化し得る。様々な酸化防止剤が当業者に公知であり、これらに限定されないが、特定のワックス、フェノール系酸化防止剤、アミンフェノール系酸化防止剤、ヒドロキノン系酸化防止剤、アルキルジアミン系酸化防止剤、及びN-フェニル-N’-イソプロピル-p-フェニレンジアミン(IPPD)又はN-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-フェニレンジアミン(6PPD)などのアミン化合物系酸化防止剤を含めて、第1のゴム層に利用されてもよい。特定の実施形態では、1つ以上の種類、並びに各種類の1つ以上を利用してもよい。一般に、第1の層に使用される酸化防止剤(複数可)の総量は、1~5phr(例えば、1、2、3、4、又は5phr)である。
【0029】
第1のゴム層が1つ以上の加硫活性化剤を含む第1の実施形態及び第2の実施形態の実施形態では、使用される特定の種類(複数可)及び量(複数可)は変化し得る。一般に、加硫活性化剤は、加硫を支持するために使用される添加剤であり、無機及び有機成分の両方を含む。酸化亜鉛は、最も広く使用されている無機加硫活性化剤である。ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、及び前述の各々の亜鉛塩を含む様々な有機加硫活性化剤が、一般的に使用されている。一般に、使用される加硫活性化剤の総量は、0.1~6phr(例えば、0.1、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、又は6phr)、好ましくは0.5~4phr(例えば、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、又は4phr)、好ましくは酸化亜鉛とステアリン酸の組み合わせの範囲である。
【0030】
第1のゴム層が1つ以上の加硫阻害剤を含む第1の実施形態及び第2の実施形態のそれらの実施形態では、使用される特定の加硫阻害剤(複数可)及び量(複数可)は変化し得る。一般に、加硫阻害剤は、加硫プロセスを制御し、所望の時間及び/又は温度に達するまで加硫を遅延又は阻害するために使用される。一般的な加硫阻害剤としては、限定するものではないが、Santogard製のPVI(cyclohexylthiophthalmide、シクロヘキシルチオフタルミド)が挙げられる。一般に、加硫阻害剤の量は、0.1~3phr(例えば、0.1、0.5、1、1.5、2、2.5、又は3phr)、好ましくは0.5~2phr(例えば、0.5、1、1.5、又は2phr)である。
【0031】
第1の実施形態及び第2の実施形態のうち、第1のゴム層が1つ以上のスコーチ防止剤を含む実施形態では、使用される特定の種類(複数可)及び量(複数可)は様々であり得る。好適なスコーチ防止(並びに硬化に使用される他の成分)の一般的な開示については、Kirk-Othmer、Encyclopedia of Chemical Technology、第3版、Wiley Interscience、N.Y.を参照することができる。1982,Vol.20,pp.365~468、特にVulcanization Agents and Auxiliary Materials,pp.390~402又はA.Y.CoranによるVulcanization(Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Second Edition(1989 John Wiley & Sons,Inc.))を参照することができ、これらの両方ともが、参照により本明細書に組み込まれる。
【0032】
第2のゴム層
以上説明したように、第1の実施形態及び第2の実施形態によれば、無線装置は、第1のゴム層と第2のゴム層との間に配置されている。第2のゴム層のT50硬化時間(T50-2)は、第1のゴム層のT50硬化時間(T50-1)よりも長い。第2のゴム層は、100部の少なくとも1種のジエン系ゴム、少なくとも1種の充填剤及び硬化パッケージから構成される。本明細書で使用される場合、ジエン系ゴムという語句は、少なくとも1種の共役ジエンモノマーから作製されるポリマー又はコポリマーを指すことが意図される。一般に、ジエン系ゴムの非限定的な例としては、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレン-ブタジエンゴム、及びポリブタジエンが挙げられる。少なくとも1種のジエン系ゴム、少なくとも1種の充填剤、及び第2のゴム層の硬化パッケージに使用される特定の成分は様々であってもよいが、T50-2硬化時間が約2.5~約5分又は2.5~5分(例えば、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、又は5分)、好ましくは約3~約4分又は3~4分(例えば、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、又は4分)となるように選択される。
【0033】
第1の実施形態及び第2の実施形態のうちの特定の実施形態では、第1のゴム層は、(a)23°Cでの少なくとも300%(例えば、300%、350%、400%、450%、500%、550%、600%、650%、700%、750%、800%、850%など)、好ましくは約400%~約700%又は400%~700%(例えば、400%、450%、500%、550%、600%、650%、又は700%)の破断点伸び、(b)少なくとも6MPaの23°Cでの50%モジュラス(例えば、6MPa、7MPa、8MPa、9MPa、10MPa、11MPa、12MPaなど)、好ましくは約7MPa~約10MPa又は7MPa~10MPa(例えば、7MPa、8MPa、9MPa、又は10MPa)、(c)少なくとも12MPaの23°Cでの破断点張力(例えば、12MPa、14MPa、16MPa、18MPa、20MPa、22MPaなど)、好ましくは約14MPa~約20MPa又は14MPa~20MPa(例えば、14MPa、15MPa、16MPa、17MPa、18MPa、19MPa、又は20MPa)、(d)約46~約60又は46~60(例えば、46、48、50、52、54、56、58、又は60)、好ましくは約50~約55又は50~55(例えば、50、51、52、53、54、又は55)の130°Cでのムーニー粘度ML1+4のうちの少なくとも1つを満たすことになる。
【0034】
破断点伸び及び破断点張力は、限定されるものではないが、ASTM D-412に記載されている標準的な手順のガイドラインに従って、中央に幅4mm及び厚さ1.9mmの断面寸法を有するダンベル型試料を用いて測定することができる。測定中、試験片を一定速度(毎秒20%)で歪ませ、結果として得られた力を伸展(歪み)の関数として記録することができる。23°Cで測定されたEb及びTbは、室温測定値と呼ばれることがある。50%モジュラス測定値(MPa単位)は、M50とも呼ばれ、50%伸びにおけるゴム組成物の試料の引張応力を測定する。50%モジュラス測定値は真のモジュラス測定値ではなく、Eb及びTbについて記載したのと同じ方法を使用して測定することができる。130°Cでのムーニー粘度ML1+4は、大きなローター、1分間のウォームアップ時間、及び4分間の運転時間を有するAlpha Technologies製ムーニー粘度計を使用して測定することができ、したがって、ムーニー1+4又はML1+4と呼ばれる。より具体的には、そのようなムーニー粘度は、ローターが始動する前に未硬化試料を130°Cに1分間予熱することによって測定され、ムーニー粘度は、ローターが始動してから4分後のトルクとして各試料について記録される。
【0035】
第1の実施形態及び第2の実施形態のうち特定の実施形態では、第2の層は、23°Cで60未満(例えば、60、59、58、57、56、55、54、53、52、51、50、49、48、47など)、好ましくは約50~約55又は50~55(例えば、50、51、52、53、54、又は55)のショアA硬度を有する。ショアA硬度は、ASTM D2240に従って、最小0.25インチゲージ及び1インチ幅を有する試料サイズ、並びに150°Cで40分の硬化条件で測定することができる。
【0036】
第1の実施形態及び第2の実施形態の好ましい実施形態では、第2のゴム層は、前述の(a)~(d)の各々を満たし、より好ましくは(a)~(d)の各々をそれらの好ましい範囲で満たす。特定のこのような実施形態では、第2のゴム層もショアA硬度値を満たし、好ましくは好ましい範囲にある。
【0037】
本明細書に開示される第1の実施形態及び第2の実施形態によれば、第2のゴム層中の少なくとも1種のジエン系ゴム100部を構成するために使用されるゴム(複数可)は、様々であってもよい。第1の実施形態及び第2の実施形態の好ましい実施形態では、第2のゴム層の少なくとも1種のジエン系ゴムは、合計で重量において大部分(例えば、51%、60%、70%、80%、90%、又は更に100%)のポリイソプレン、天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、又はこれらの混合物を含み、好ましくは合計で10部以下(例えば、10部、5部、又は更に0部)のEPDM、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、又はニトリルゴムを含む。前述のより好ましい実施形態では、第2の層の少なくとも1種のジエン系ゴムは、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、又は更には100重量%のポリイソプレン、天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、又はこれらの混合物を含む。第1の実施形態及び第2の実施形態のうちの特定の実施形態では、第2の層に使用される任意のスチレン-ブタジエンゴムは官能化されていない。第1の実施形態及び第2の実施形態の他のあまり好ましくない実施形態では、第2の層に使用される任意のスチレン-ブタジエンゴムが(例えば、末端官能性化合物及び/又はカップリング剤の使用によって)官能化される。
【0038】
本明細書に開示される第1の実施形態及び第2の実施形態によれば、第2のゴム層の少なくとも1種の充填剤は様々であってもよい。第1の実施形態及び第2の実施形態の好ましい実施形態では、第1のゴム層の少なくとも1種の充填剤は、カーボンブラック、シリカ、又はこれらの混合物を、好ましくは総量で約30~約50phr又は30~50phr(例えば、30、35、40、45、又は50phr)含む。カーボンブラックが、例えば、前述の量のうちの1つで第2のゴム層に使用される場合、カーボンブラックは、好ましくは、少なくとも約20m/g(少なくとも20m/gを含む)、より好ましくは、少なくとも約35m/gから約100m/g以上(35m/gから100m/gまでを含み、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100m/gなどのその中に入る値を含む)の表面積を有するものなどの補強カーボンブラックである。カーボンブラックについて本明細書において使用される表面積の値は、臭化セチルトリメチル-アンモニウム(cetyltrimethyl-ammonium bromide、CTAB)技法を使用するASTM D-1765によって決定される。シリカが第2のゴム層に使用される場合、シリカは、好ましくは、200mg以下の窒素表面積を有し、総充填剤の20重量%以下及び総充填剤の10重量%以下を含む、総充填剤の30重量%以下(例えば、30%、25%、20%、15%、10%以下)に限定される。
【0039】
第1の実施形態及び第2の実施形態の好ましい実施形態では、第2のゴム層の硬化パッケージは、0.6:1以下(例えば、0.6:1、0.5:1、0.4:1、0.3:1以下)、好ましくは0.5:1以下(例えば、0.5:1、0.45:1、0.4:1、0.35:1、0.3:1以下)、より好ましくは0.4:1以下(例えば、0.4:1、0.35:1、0.3:1以下)の硫黄に対する加硫促進剤の重量比で、加硫剤としての硫黄及び少なくとも1種の加硫促進剤を含む。前述の範囲内の特定の重量比としては、0.6:1、0.55:1、0.5:1、0.45:1、0.4:1、0.35:1、0.3:1、0.25:1、0.2:1、0.15:1及び0.1:1が挙げられるが、これらに限定されない。第2のゴム層のための特定の好適な硫黄加硫剤の例には、「ゴム製造業者の」可溶性硫黄が含まれる。二硫化アミン、ポリマー性ポリスルフィド、又は硫黄オレフィン付加物などの硫黄供与性硬化剤、及び不溶性のポリマー性硫黄が挙げられる。好ましくは、硫黄加硫剤は、可溶性硫黄、又は可溶性硫黄ポリマーと不溶性硫黄ポリマーとの混合物である。第2のゴム層の硬化パッケージにおいて使用される特定の加硫促進剤(複数可)は、変化し得る。第1の実施形態及び第2の実施形態のうち特定の実施形態では、第2のゴム層の少なくとも1種の加硫促進剤は、スルフェンアミド、チアゾール、又はこれらの組み合わせを含む。第1の実施形態及び第2の実施形態の好ましい実施形態では、第2のゴム層の少なくとも1種の加硫促進剤はスルフェンアミドを含む。スルフェンアミド系加硫促進剤の非限定的な例としては、N-シクロへキシル-2-ベンゾチアゾール-スルフェンアミド(CBS)、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾール-スルフェンアミド(TBBS)、2-(4-モルホリノチオ)-ベンゾチアゾール(MBS)、及びN,N’-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(DCBS)が挙げられる。好適なチアゾールの非限定的な例としては、2-メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、2,2’-ジチオビス(ベンゾチアゾール)(MBTS)、及びN-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾール-スルフェンアミド(TBBS)が挙げられる。一般に、硫黄加硫剤(複数可)は、第1の実施形態及び第2の実施形態の特定の実施形態において、0.5~8phr(1~6phr、及び2~5phrを含む)の範囲の総量で使用されてもよく、少なくとも1種の加硫促進剤は、0.3~5phr(0.6又は4phrを含む)の範囲の総量で使用されてもよく、硫黄に対する加硫促進剤の重量比は上述の通りである。第1の実施形態及び第2の実施形態の好ましい実施形態では、第2のゴム層に使用される少なくとも1種の加硫促進剤は、いかなる超高速加硫促進剤も含まない(即ち、除く)。超高速加硫促進剤のクラスは、第1のゴム層に関して上で詳細に説明されている。
【0040】
第2のゴム層はまた、限定されないが、1つ以上の可塑剤(例えば、油などの液体可塑剤、又は炭化水素樹脂などのより多くの固体可塑剤)、1つ以上の酸化防止剤、1つ以上の加硫活性化剤(例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸など)、1つ以上の加硫阻害剤、及び1つ以上のスコーチ防止剤を含む、1つ以上の追加の成分を含んでもよい。本明細書に開示される第1の実施形態及び第2の実施形態によれば、第2のゴム層は、前述の追加成分のいずれか又は全てを含んでもよい。
【0041】
第2のゴム層が1つ以上の可塑剤を含む第1の実施形態及び第2の実施形態のそれらの実施形態では、使用される特定の種類(複数可)及び量(複数可)は変化し得る。様々な可塑剤が第2のゴム層に使用するのに好適であり、油などの液体可塑剤及び炭化水素樹脂などのより固体可塑剤が挙げられるが、これらに限定されない。可塑剤が液体であると述べることは、23°Cの室温でのその状態を指すことを意味する。任意の液体可塑剤又は油は、伸展油(ジエン系ゴムの1つを伸展するために使用される)として存在してもよく、及び/又は遊離油(混合中に別個に添加される)として使用されてもよい。油などの好適な液体可塑剤としては、芳香族油、ナフテン油、及び低PCA油が挙げられるが、これらに限定されない。好適な低PCA油としては、IP346法によって測定すると、3重量%未満の多環式芳香族含量を有するものが挙げられる。IP346法の手順は、Institute of Petroleum(英国)発行のStandard Methods for Analysis&Testing of Petroleum and Related Products and British Standard 2000 Parts,2003,第62版に見出すことができる。好適な低PCA油としては、軽度抽出溶媒和物(MES)、処理留出物芳香族抽出物(TDAE)、TRAE、及び重ナフテン系が挙げられる。好適なMES油は、CATENEX SNR(SHELL製)、PROREX 15及びFLEXON 683(EXXONMOBIL製)、VIVATEC 200(BP製)、PLAXOLENE MS(TOTAL FINA ELF製)、TUDALEN 4160/4225(DAHLEKE製)、MES-H(REPSOL製)、MES(Z8製)、並びにOLIO MES S201(AGIP製)として市販されている。好適なTDAE油は、TYREX 20(EXXONMOBIL製)、VIVATEC 500、VIVATEC 180、及びENERTHENE 1849(BP製)、並びにEXTENSOIL 1996(REPSOL製)として入手可能である。好適な重ナフテン系油は、SHELLFELX 794、ERGON BLACK OIL、ERGON H2000、CROSS C2000、CROSS C2400、及びSAN JOAQUIN 2000Lとして入手可能である。好適な低PCA油としてはまた、野菜、木の実、及び種子から採取できるものなど、様々な植物起源の油も挙げられる。非限定例としては、以下に限定されないが、ダイズ油、ヒマワリ油(高オレイン酸ヒマワリ油を含む)、サフラワー油、コーン油、亜麻仁油、綿実油、菜種油、カシュー油、ゴマ油、ツバキ油、ホホバ油、マカダミアナッツ油、ココナツ油、及びヤシ油が挙げられる。前述の加工油を、伸展油として、即ち、油展ポリマー又は共重合体の調製のために、或いは加工油又は遊離油として使用することもできる。第1の実施形態及び第2の実施形態によれば、第2のゴム層において使用される油(加工油及び任意の伸展油)の総量は、約1~約30phr又は1~30phr(例えば、1、5、10、15、20、25、又は30phr)、好ましくは約5~約20phr又は5~20phr(例えば、5、10、5、又は20phr)である。第2のゴム層に使用するのに好適な炭化水素樹脂は様々であってもよく、シクロペンタジエン又はジシクロペンタジエンホモポリマー又はコポリマー樹脂、テルペンホモポリマー又はコポリマー樹脂、フェノールホモポリマー又はコポリマー樹脂、C5又はC9部分ホモポリマー又はコポリマー樹脂、アルファ-メチルスチレンホモポリマー又はコポリマー樹脂、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。第1の実施形態及び第2の実施形態によれば、第1の第2の層に使用される炭化水素樹脂の総量は、約1~約10phr又は1~10phr(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10phr)、好ましくは約1~約5phr、1~5phr(例えば、1、2、3、4、又は5phr)、より好ましくは約1~約3phr又は1~3phr(例えば、1、1.5、2、2.5、又は3phr)である。第1の実施形態及び第2の実施形態の好ましい実施形態において、可塑剤の総量は、20phr以下、15phr以下などを含む、25phr以下(例えば、25、20、15、10、5、又は更には0phr)である。
【0042】
第2のゴム層が1つ以上の酸化防止剤を含む第1の実施形態及び第2の実施形態のそれらの実施形態では、使用される特定の種類(複数可)及び量(複数可)は変化し得る。様々な酸化防止剤が当業者に公知であり、これらに限定されないが、特定のワックス、フェノール系酸化防止剤、アミンフェノール系酸化防止剤、ヒドロキノン系酸化防止剤、アルキルジアミン系酸化防止剤、及びN-フェニル-N’-イソプロピル-p-フェニレンジアミン(IPPD)又はN-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-フェニレンジアミン(6PPD)などのアミン化合物系酸化防止剤を含めて、第2のゴム層に利用されてもよい。特定の実施形態では、1つ以上の種類、並びに各種類の1つ以上を利用してもよい。一般に、使用される酸化防止剤(複数可)の総量は、1~5phr(例えば、1、2、3、4、又は5phr)である。
【0043】
第2のゴム層が1つ以上の加硫活性化剤を含む第1の実施形態及び第2の実施形態のそれらの実施形態において、使用される特定の加硫活性化剤(複数可)及び量(複数可)は変化し得る。一般に、加硫活性化剤は、加硫を支持するために使用される添加剤であり、無機及び有機成分の両方を含む。酸化亜鉛は、最も広く使用されている無機加硫活性化剤である。ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、及び前述の各々の亜鉛塩を含む様々な有機加硫活性化剤が、一般的に使用されている。一般に、第2のゴム層に使用される加硫活性化剤の総量は、0.1~8phr(例えば、0.1、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、又は8phr)、好ましくは1~6phr(例えば、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、又は6phr)の範囲であり、好ましくは酸化亜鉛及びステアリン酸の組み合わせからのものである。
【0044】
第2のゴム層が1つ以上の加硫阻害剤を含む第1の実施形態及び第2の実施形態のそれらの実施形態において、使用される特定の加硫阻害剤(複数可)及び量(複数可)は変化し得る。一般に、加硫阻害剤は、加硫プロセスを制御し、所望の時間及び/又は温度に達するまで加硫を遅延又は阻害するために使用される。一般的な加硫阻害剤としては、限定するものではないが、Santogard製のPVI(cyclohexylthiophthalmide、シクロヘキシルチオフタルミド)が挙げられる。一般に、加硫阻害剤の量は、0.1~3phr(例えば、0.1、0.5、1、1.5、2、2.5、又は3phr)、好ましくは0.5~2phr(例えば、0.5、1、1.5、又は2phr)である。
【0045】
第2のゴム層が1つ以上のスコーチ防止剤を含む第1の実施形態及び第2の実施形態のそれらの実施形態では、使用される特定の種類(複数可)及び量(複数可)は変化し得る。好適なスコーチ防止(並びに硬化に使用される他の成分)の一般的な開示については、Kirk-Othmer、Encyclopedia of Chemical Technology、第3版、Wiley Interscience、N.Y.を参照することができる。1982,Vol.20,pp.365~468、特にVulcanization Agents and Auxiliary Materials,pp.390~402又はA.Y.CoranによるVulcanization(Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Second Edition(1989 John Wiley & Sons,Inc.))を参照することができ、これらの両方ともが、参照により本明細書に組み込まれる。
【0046】
ゴム層の形成
ゴム層(即ち、第1のゴム層及び第2のゴム層)の各々は、一般に、少なくとも1つの非生産用マスターバッチ段階及び最終生産用混合段階において成分を混合することを含む、従来実施されている方法に従って調製される。第1の実施形態及び第2の実施形態の特定の実施形態では、各ゴム層は、例えばバンブリミキサー又はミル粉砕用ロールで成分を一緒に混練することなどの当技術分野で公知の方法によって、その適用可能なゴム組成物(前述に開示される)の成分を混合することによって調製される。このような方法は、一般に、少なくとも1回の非生産用マスターバッチ混合段階と、最終生産用混合段階とを含む。非生産用マスターバッチ段階という用語は、当業者に既知であり、一般に、加硫剤又は加硫促進剤を添加しない混合段階(単複数の段階)であると理解されている。用語、最終生産用混合段階という用語も当業者に既知であり、一般に、ゴム組成物中に加硫剤及び加硫促進剤を添加する混合段階であると理解されている。第1の実施形態及び第2の実施形態における特定の実施形態では、ゴム層の一方又は両方は、複数の非生産用マスターバッチ混合段階を含むプロセスによって調製されたゴム組成物から調製される。
【0047】
一般に、ゴム(又はポリマー)及び充填剤は、1つ以上の非生産用又はマスターバッチ混合段階で添加される。一般に、硬化パッケージの少なくとも加硫剤成分及び加硫促進成分を最終又は生産用混合段階で添加する。
【0048】
第1の実施形態及び第2の実施形態の特定の実施形態では、ゴム層の一方又は両方は、少なくとも一つの非生産用マスターバッチ混合段階を約130°C~約200°Cの温度で実施されるプロセスを使用して調製されたゴム組成物から調製される。第1の実施形態及び第2の実施形態における特定の実施形態では、ゴム層の一方又は両方は、ゴム組成物の望ましくない事前硬化を回避するために加硫温度を下回る温度で実施される最終生産用混合段階を使用して調製されたゴム組成物から調製される。したがって、生産用又は最終混合段階の温度は、約120℃を超えるべきではなく、通常、約40℃~約120℃、又は約60℃~約110℃、とりわけ約75℃~約100℃である。第1の実施形態及び第2の実施形態の特定の実施形態では、ゴム層の一方又は両方は、少なくとも1つの非生産用混合段階及び少なくとも1つの生産用混合段階を含むプロセスに従って調製されたゴム組成物から調製される。
【0049】
ゴム層のための成分が、前述の混合手順などに従って調製されたら、それから層を形成することができる。ゴム層方法がゴム層を形成するのに好適であり、限定されるものではないが、カレンダリング又は押出プロセスなど、様々な方法が挙げられる。第1の実施形態及び第2の実施形態の好ましい実施形態では、第1のゴム層及び第2のゴム層は両方ともカレンダリングによって形成される。当業者が理解するように、カレンダリングは、ゴムが、本明細書で説明される第1のゴム層及び/又は第2のゴム層などのゴム層を生産するために対で配置されるロールを含む、一連のロール(そのうちのいくつかは加熱されてもよい)を通して移動させられるプロセスである。当業者であれば理解するように、様々な形態の押出成形が、本明細書で説明する第1のゴム層及び/又は第2のゴム層を形成する際に使用するのに好適である場合があり、その非限定的な種類としては、ローラダイ押出が挙げられる。
【0050】
上述したように、第1の実施形態及び第2の実施形態によれば、第1のゴム層及び第2のゴム層は、各々が独立して、約0.4~約3mm又は0.4~3mm(例えば、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、又は3mm)、好ましくは約0.5~約2mm又は0.5~2mm(例えば、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、又は2mm)の厚さを有する。
【0051】
タイヤ内での無線装置の位置決め
上述したように、無線装置を含む電子通信モジュールがタイヤに組み込まれる場合、特定の位置又は装着構成は変化し得る。一般に、無線装置は、第1のゴム層と第2のゴム層との間に配置された後にのみ未硬化タイヤ内に配置され、両方のゴム層は未硬化である。第1のゴム層及び第2のゴム層の硬化は、タイヤ全体の硬化中に行われる。未硬化状態では、インナーライナー、1つ以上のボディプライ、カーカスプライ、ビード、及びビードフィラーなどの構成要素のいずれかを含むタイヤは、未硬化タイヤカーカスであると考えることができる。硬化タイヤ内に配置されるものとして説明される場合、無線装置が間に配置される第1のゴム層及び第2のゴム層の両方も硬化される。
【0052】
第1の実施形態及び第2の実施形態の好ましい実施形態では、封入無線装置(即ち、第1のゴム層と第2のゴム層との間に配置された無線装置)は、タイヤインナーライナーに対して配置される。このような実施形態によれば、タイヤはインナーライナーを含み、無線装置(第1のゴム層と第2のゴム層との間に配置される)は、インナーライナーの半径方向内側に配置され、第2のゴム層はインナーライナーに接し、第1のゴム層は半径方向内側に面するか、又はインナーライナーに接しない。
【0053】
タイヤ内に封入無線装置の別の位置決めも可能である。例えば、特定の実施形態では、タイヤは、少なくとも1つのボディプライ並びにビード及びビードフィラー(インナーライナーに加えて)を含み、封入無線装置は、第1のゴム層がボディプライに接し、第2のゴム層が半径方向外側に面するように配置される。このような実施形態によれば、ボディプライに対して配置された封入比装置は、ビードフィラーを覆うボディプライの一部に沿って、或いはビードフィラーの上方にあるボディプライの一部に沿って配置されてもよい。
【0054】
タイヤの硬化
本明細書で提供される第2の実施形態によれば、電子通信モジュールを用いてタイヤを硬化させる方法が提供される。第2の実施形態の方法はまた、第1の実施形態による電子通信モジュールをタイヤに提供する方法、又は第1の実施形態によるタイヤを硬化させる方法として理解することができる。(本明細書に開示される第1の実施形態即ち、第1のゴム層と第2のゴム層との間に配置された無線装置を含む電子通信モジュールを有するタイヤは、未硬化形態のタイヤ並びに硬化形態のタイヤを包含することが意図される。)第2の実施形態のプロセスによれば、未硬化タイヤカーカスと、第1のゴム層と第2のゴム層との間に配置された封入無線装置を含む電子通信モジュールとが提供される。第1のゴム層は、100部の少なくとも1種のジエン系ゴム、少なくとも1種の充填剤、及び硬化パッケージから構成され、第1のゴム層は、160°Cで約1.5~約3.5分、好ましくは約2~約3分のT50硬化時間T50-1を有する。第2のゴム層は、少なくとも1種のジエン系ゴム、少なくとも1種の充填剤、及び硬化パッケージから構成され、第2のゴム層は、T50-1よりも長く、約2.5~約5分、好ましくは約3~約4分である160°CでのT50硬化時間T50-2を有する。第2の実施形態によれば、第1のゴム層及び第2のゴム層は、各々が独立して、約0.4~約3mm又は0.4~3mm(例えば、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、又は3mm)、好ましくは約0.5~約2mm又は0.5~2mm(例えば、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、又は2mm)の厚さを有する。更に、第2の実施形態のプロセスによれば、封入無線装置(即ち、第1のゴム層と第2のゴム層との間に配置される無線装置)は、未硬化タイヤカーカスの少なくとも1つの構成要素に対して配置され、次いで、未硬化タイヤカーカスは封入無線装置と共に硬化される。より詳細に以下に説明するように、封入無線装置が配置される未硬化タイヤカーカスの少なくとも1つの構成要素は、インナーライナー又はボディプライ、好ましくはインナーライナーを含む様々な構成要素から選択することができる。
【0055】
当業者が理解するように、未硬化タイヤカーカスの硬化及び配置された封入無線装置の特定の詳細は、未硬化タイヤカーカスの重量及び厚さなどの要因に応じて変化し得る。第2の実施形態の特定の実施形態では、硬化プロセスは、特に未硬化タイヤカーカスがトラック又はバスのラジアルタイヤ用である実施形態において、タイヤの内部温度を約135~約165°C又は135~165°C(例えば、135、140、145、150、155、160又は165°C)まで上昇させるのに十分な温度で行われる。第2の実施形態の他の実施形態では、硬化プロセスは、特に未硬化タイヤカーカスが乗用車用タイヤ用である場合、タイヤの内部温度を約160~約180°C又は160~180°C(例えば、160、165、170、175、又は180°C)に上昇させるのに十分な温度で行われる。タイヤ内部温度は、硬化プロセスで使用される様々なサービス(例えば、蒸気又は熱水)の使用によって達成されてもよい。第2の実施形態の特定の実施形態では、サービスの内部温度は、約190から210°C又は190から210°C(例えば、190、195、200、205又は210°C)であり、及び/又はサービスの外部温度は、約140から約165°C又は140から165°C(例えば、140、145、150、155、160又は165°C)である。第2の実施形態のうち特定の実施形態では、硬化プロセスはまた、約1.6~約2.7MPa(例えば、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、又は2.7MPa)を含む例示的な圧力を有する圧力下で行われる。
【0056】
第2の実施形態のうち特定の実施形態では、硬化プロセスは、ペブル表面ゴム硬化ブラダを利用する。一般に、未硬化タイヤカーカスを硬化させる全体的なプロセスは、内部及び外部の両方の熱及び圧力を加えることによって未硬化タイヤカーカスを硬化又は加硫するタイヤ硬化装置(例えば、タイヤプレス)の使用を含む。タイヤプレスは、一般に、タイヤの外側を成形し加硫する役割を果たす加熱された外側金属金型を使用し、タイヤカーカスの内側で膨張され、タイヤの内側を加硫するために加熱されるゴム硬化ブラダと共に使用されることが多い。第2の実施形態のプロセスにおけるペブル表面ゴム硬化ブラダの使用は、グリーン(未硬化タイヤカーカス)の内面と硬化ブラダとの間から空気を逃がすことを可能にするペブル表面による亀裂を防止するのに有用であり得る。閉じ込められた空気は、そうでなければ、硬化中に無線装置又はRFIDの縁部に沿って亀裂をもたらす可能性があり、これは、耐久性に悪影響を及ぼす可能性がある応力集中領域を生じさせる可能性がある。そのような実施形態によれば、ペブル表面は、膨張及び硬化中にタイヤに接触する表面である硬化ブラダの外面上に存在する。
【0057】
未硬化タイヤカーカスを硬化させるプロセス中に、硬化プロセス中の硬化ブラダへのインナーライナーの粘着又は共硬化を回避するために、硬化に先立ってインナーライナーの表面に(或いは未硬化タイヤカーカスの半径方向最も内側の構成要素に)剥離処理を施すことができる。シリコーン潤滑剤及びポリシロキサン含有剥離処理剤を含むがこれらに限定されない様々な剥離処理剤が、このような目的に有用であることが知られている。本明細書に開示される第1の実施形態及び第2の実施形態のうちの特定の実施形態では、封入無線装置が配置されるタイヤ構成要素(例えば、インナーライナー又はボディプライ)の領域は、剥離処理が施されていない。タイヤ構成要素のこの領域に(封入無線装置を位置決めすることに先立って)剥離処理を施さないことは、タイヤ構成要素(例えば、インナーライナー)との望ましくない接合を防止するのに有用であり得る。封入無線装置が配置されるタイヤ構成要素の領域に剥離処理が存在し、結果として生じる接合(例えば、インナーライナーに)は、無線装置又はRFIDの縁部に沿って亀裂をもたらし、耐久性に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0058】
本出願は、本明細書において開示されている組成物及び方法の実施形態が開示される数値範囲全体で実施できるため、明確な範囲限界が明細書内に言葉どおりに言及され得らなくても、開示される数値範囲内の任意の範囲を支持する、いくつかの数値範囲限界を開示している。実質的に任意の複数又は単数の用語を本明細書で用いることに関して、当業者は、状況又は用途に適切となるように、複数から単数へ、又は単数から複数へ置き換えることができる。様々な単数又は複数の置き換えは、簡潔にするため、本明細書では明示的に記述されている場合がある。
【0059】
全般的に、当業者は、本明細書及び特に添付の特許請求の範囲で使用された用語は、概して「オープン」な用語を意図していることを理解するであろう。例えば、「含む」という用語は、「含むがこれらに限定されない」と解釈されるべきであり、「有する」という用語は、「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、「挙げられる」という用語は、「挙げられるがこれらに限定されない」と解釈されるべきである。更に、当業者は、前置きされた請求項の記載において特定の数が意図される場合、そのような意図は当該請求項中に明示的に記載されるものとし、そのような記載がない場合は、そのような意図も存在しないことを理解するだろう。例えば、理解を助けるものとして、以下の添付の特許請求の範囲には、請求項の記載を前置きするために、前置き語句「少なくとも1つ」及び「1つ以上」の使用を含む場合がある。しかし、そのような語句の使用は、同じ請求項が、前置き語句「1つ以上」又は「少なくとも1つ」、及び、「a」又は「an」などの不定冠詞を含む場合であっても、不定冠詞「a」又は「an」による請求項の記載の前置きが、そのように前置きされた請求項の記載を含む任意の特定の請求項を、そのような記載を1つのみ含む発明に限定することを意味するものとして解釈されてはならず(例えば、「a」又は「an」は、典型的には、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」を意味すると解釈されるべきである)、請求項の記載の前置きに使用される定冠詞の使用についても同じことが言える。加えて、前置きされた請求項の記載において特定の数が明示的に記載される場合でも、当業者は、このような記載が、少なくとも記載される数を意味するものと典型的には解釈されるべきであることを理解している(例えば、他の修飾語句を持たない明らかな記載である「2つの記載」は、典型的には、少なくとも2つの記載、又は2つ以上の記載を意味する)。更に、「A、B、及びCなどのうち少なくとも1つ」に類似する慣例表現を用いる場合、全般的に、このような構成は、当業者がその慣例表現を理解し得るという意味において意図される(例えば、「A、B、及びCのうち少なくとも1つを有するシステム」として、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBを共に、A及びCを共に、B及びCを共に、並びに/又は、A、B、及びCを共になどを有するシステムが挙げられ得るが、これらに限定されない)。更に、当業者は、事実上、2つ以上の代替用語を示す任意の離接的単語又は語句は、明細書、請求項、又は図面を問わず、これらの用語のうちの1つ、これらの用語のうちのいずれか、又はこれらの用語の両方を含む可能性を企図すると理解されるべきであることを、理解するであろう。例えば、語句「A又はB」は、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むと理解されるであろう。特許、特許出願、及び非特許文献を含むがこれらに限定されない全ての参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。組成物及び方法の様々な態様並びに実施形態を本明細書に開示してきたが、他の態様及び実施形態が、当業者には明らかであろう。本明細書で開示されている様々な態様及び実施形態は、例示目的であり、特許請求の範囲により示されている真の範囲及び趣旨を限定することを意図していない。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のゴム層と第2のゴム層との間に配置された無線装置を含む電子通信を有するタイヤであって、
前記第1のゴム層が、100部の少なくとも1種のジエン系ゴム、少なくとも1種の充填剤、及び硬化パッケージから構成され、前記第1のゴム層が、160°Cでの、1.5~3.5分のT50硬化時間T50-1を有し、
前記第2のゴム層が、少なくとも1種のジエン系ゴム、少なくとも1種の充填剤、及び硬化パッケージから構成され、前記第2のゴム層が、T50-1よりも長く、160°Cでの、2.5~5分であるT50硬化時間T50-2を有し、前記第1のゴム層及び第2のゴム層が、各々が独立して、0.4~3mmの厚さを有し、
前記第1のゴム層の前記少なくとも1種のジエン系ゴム100部が、重量において大部分のポリブタジエン、ポリイソプレン、天然ゴム、又はこれらの混合物、合計で10部以下のEPDM、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、又はニトリルゴムを含み、前記第2のゴム層の前記少なくとも1種のジエン系ゴム100部が、重量において大部分のポリイソプレン、天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、又はこれらの混合物、合計で10部以下のEPDM、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、又はニトリルゴムを含み、
前記第1のゴム層の前記少なくとも1種の充填剤が、30~50phrのカーボンブラックを含み、前記第2のゴム層の前記少なくとも1種の充填剤が、30~50phrのカーボンブラック、シリカ、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の充填剤を含み、
前記第1のゴム層の前記硬化パッケージが、0.7:1~1.5:1の硫黄に対する加硫促進剤の重量比で、加硫剤としての硫黄及び少なくとも1種の加硫促進剤を含み、前記第2のゴム層の前記硬化パッケージが、0.6:1以下の硫黄に対する加硫促進剤の重量比で、加硫剤としての硫黄及び少なくとも1種の加硫促進剤を含む、タイヤ。
【請求項2】
前記第1のゴム層が、
a.150%未満の23°Cでの破断点伸び、
b.3.5MPa~6MPaの23°Cでの50%モジュラス、
c.9MPa~15MPaの23°Cでの破断点張力、又は
d.130°Cでの、43~57のムーニー粘度ML1+4のうちの少なくとも1つを満たし、
第2のゴム層が、
a.300%~700%の23°Cでの破断点伸び、
b.6MPa~10MPaの23°Cでの50%モジュラス、
c.12MPa~20MPaの23°Cでの破断点張力、又は
d.130°Cでの、46~60のムーニー粘度ML1+4のうちの少なくとも1つを満たす、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
前記タイヤがインナーライナーを含み、前記無線装置が前記インナーライナーの半径方向内側に配置されている、請求項1又は2に記載のタイヤ。
【請求項4】
電子通信モジュールを用いてタイヤを硬化させる方法であって、
未硬化タイヤカーカスと、第1のゴム層と第2のゴム層との間に配置された封入無線装置を含む電子通信モジュールとを提供することであって、
前記第1のゴム層が、100部の少なくとも1種のジエン含有ゴム、少なくとも1種の充填剤、及び硬化パッケージから構成され、前記第1のゴム層が、160°Cでの、1.5~3.5分のT50硬化時間T50-1を有し、
前記第2のゴム層が、少なくとも1種のジエン含有ゴム、少なくとも1種の充填剤、及び硬化パッケージから構成され、前記第2のゴム層が、T50-1よりも長く、2.5~5分である160°CでのT50硬化時間T50-2を有し、
前記第1のゴム層及び第2のゴム層が、各々が独立して、0.4~3mmの厚さを有する、提供することと、
前記封入無線装置を前記未硬化タイヤカーカスの少なくとも1つの構成要素に対して位置決めし、次いで、前記未硬化タイヤカーカスを前記封入無線装置と共に硬化させることであって、
前記第1のゴム層の前記少なくとも1種のジエン系ゴム100部が、重量において大部分のポリブタジエン、ポリイソプレン、天然ゴム、又はこれらの混合物、合計で10部以下のEPDM、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、又はニトリルゴムを含み、前記第2のゴム層の前記少なくとも1種のジエン系ゴム100部が、重量において大部分のポリイソプレン、天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、又はこれらの混合物を含み、合計で10部以下のEPDM、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、又はニトリルゴムを含み、
前記第1のゴム層の前記少なくとも1種の充填剤が、30~50phrのカーボンブラックを含み、前記第2のゴム層の前記少なくとも1種の充填剤が、30~50phrのカーボンブラック、シリカ、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の充填剤を含み、
前記第1のゴム層の前記硬化パッケージが、0.7:1~1.5:1の硫黄に対する加硫促進剤の重量比で、加硫剤としての硫黄及び少なくとも1種の加硫促進剤を含み、前記第2のゴム層の前記硬化パッケージが、0.6:1以下の硫黄に対する加硫促進剤の重量比で、加硫剤としての硫黄及び少なくとも1種の加硫促進剤を含む、硬化させることとを含む、方法。
【請求項5】
前記第1のゴム層が、
a.150%未満の23°Cでの破断点伸び、
b.3.5MPa~6MPaの23°Cでの50%モジュラス、
c.9MPa~15MPaの23°Cでの破断点張力、又は
d.130°Cでの、43~57のムーニー粘度ML1+4のうちの少なくとも1つを満たし、
第2のゴム層が、
a.少なくとも300%の23°Cでの破断点伸び、
b.6MPa~10MPaの23°Cでの50%モジュラス、
c.12MPa~20MPaの23°Cでの破断点張力、又は
d.130°Cでの、46~60のムーニー粘度ML1+4のうちの少なくとも1つを満たす、請求項4に記載の方法。

【国際調査報告】