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▶ ヘルムホルツ・ツェントルム・ミュンヘン・ドイチェス・フォーシュンクスツェントルム・フュア・ゲズントハイト・ウント・ウンベルト・ゲーエムベーハーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】IGFR-L1抗体およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/28 20060101AFI20240730BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 5/48 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 38/17 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
A61P3/10
A61P35/00
A61P5/48
A61P1/18
A61P43/00 105
A61P43/00 111
A61K39/395 N
A61K39/395 D
A61K39/395 E
A61K39/395 T
A61K38/17 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503921
(86)(22)【出願日】2022-07-25
(85)【翻訳文提出日】2024-03-11
(86)【国際出願番号】 EP2022070748
(87)【国際公開番号】W WO2023002060
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】21187469.8
(32)【優先日】2021-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】LU500470
(32)【優先日】2021-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】509160867
【氏名又は名称】ヘルムホルツ・ツェントルム・ミュンヘン・ドイチェス・フォーシュンクスツェントルム・フュア・ゲズントハイト・ウント・ウンベルト・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【弁理士】
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】リッケルト ハイコ
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュクン ウナル
(72)【発明者】
【氏名】グジベク ミハル
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA23
4C084DA39
4C084MA13
4C084MA16
4C084MA17
4C084MA22
4C084MA23
4C084MA28
4C084MA32
4C084MA35
4C084MA37
4C084MA41
4C084MA43
4C084MA52
4C084MA58
4C084MA63
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA66
4C084ZB21
4C084ZB26
4C084ZC02
4C084ZC21
4C084ZC35
4C085AA13
4C085AA14
4C085CC22
4C085CC23
4C085EE01
4C085GG01
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG06
4C085GG08
4C085GG10
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、非変性IGFR-L1タンパク質の細胞外ドメインを標的とするための新規のIGFR-L1抗体を提供する。前記抗体は、医薬として、特に、糖尿病および関連障害ならびにがんの処置に使用するために想定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含む折り畳まれた(例えば、天然の)または部分的に折り畳まれた(例えば、翻訳後修飾を伴うまたは伴わない三次構造を有する)インセプタータンパク質の細胞外ドメインに、好ましくは、IGFR-L1タンパク質内の天然エピトープに結合する抗体であって、前記折り畳まれたまたは部分的に折り畳まれたIGFR-L1タンパク質への、前記抗体による結合が、以下:
(a)Min6細胞(ATCC CRL-11506)からの溶解物のアリコートを、
(i)タンパク質のSDS-PAGEに適したバッファーと周囲温度で5分間、
(ii)タンパク質のSDS-PAGEに適したバッファー、および還元剤と、周囲温度で5分間、ならびに
(iii)タンパク質のSDS-PAGEに適したバッファー、および還元剤と、95℃で5分間
の各々と別々にインキュベートすること;
(b)前記アリコートをSDS-PAGEに供すること;
(c)SDS-PAGEゲルをウェスタンブロッティングすること;
(d)ウェスタンブロット膜を前記抗体とインキュベートすること;
に従って判定可能であり(例えば、判定され)、
ここで、前記抗体がアリコート(i)だけを検出する、
抗体。
【請求項2】
工程(a)が、
(a)Min6細胞(ATCC CRL-11506)からの溶解物のアリコートを、
(i)50mM Tris-HCl pH=6.8、2.5mM EDTA、2%(w/v)SDSおよび5%(v/v)グリセロール、バッファー、チオール剤なしで、周囲温度で5分間、
(ii)50mM Tris-HCl pH=6.8、2.5mM EDTA、2%(w/v)SDSおよび5%(v/v)グリセロール、20mM DTT、周囲温度で5分間、ならびに
(iii)50mM Tris-HCl pH=6.8、2.5mM EDTA、2%(w/v)SDSおよび5%(v/v)グリセロール、20mM DTT、95℃で5分間
の各々と別々にインキュベートすること
を含む、請求項1記載の抗体。
【請求項3】
インセプタータンパク質および/または他の受容体への、1つもしくは複数の成長因子(例えば、インスリン)または類似リガンド、モルフォゲン、ホモオリゴマー化パートナー、ヘテロオリゴマー化パートナー、および/あるいは二量体化またはオリゴマー化パートナーの結合を、増加または減少または調節または阻害する、好ましくは、インスリン受容体感作を増加または調節する、請求項1記載の抗体。
【請求項4】
InsR媒介シグナル伝達を増加させる、先行請求項のいずれか一項記載の抗体。
【請求項5】
InsR、IRS1および/またはAKTのリン酸化を増加させる、先行請求項のいずれか一項記載の抗体。
【請求項6】
前記細胞外ドメインが、SEQ ID NO:1のアミノ酸1~910の範囲であり、好ましくは、前記細胞外ドメインが、SEQ ID NO:1のアミノ酸42~910の範囲である、先行請求項のいずれか一項記載の抗体。
【請求項7】
インセプタータンパク質に、10nMまたはそれ未満、好ましくは6nMまたはそれ未満、より好ましくは5nMまたはそれ未満、さらにより好ましくは3nMまたはそれ未満のKdで結合する、先行請求項のいずれか一項記載の抗体。
【請求項8】
インセプタータンパク質を含むプロテオリポソームで齧歯類動物を免疫化することによって産生可能である、先行請求項のいずれか一項記載の抗体。
【請求項9】
(a)SEQ ID NO:2のアミノ酸19~140に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、SEQ ID NO:12のアミノ酸28~136に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、抗体;
(b)SEQ ID NO:22のアミノ酸62~177に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、SEQ ID NO:32のアミノ酸48~162に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、抗体;
(c)SEQ ID NO:42のアミノ酸20~136に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、SEQ ID NO:52のアミノ酸39~153に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、抗体;
(d)SEQ ID NO:62のアミノ酸20~141に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、SEQ ID NO:72のアミノ酸40~148に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、抗体;
(e)SEQ ID NO:82のアミノ酸58~175に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、SEQ ID NO:92のアミノ酸21~129に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、抗体;
(f)SEQ ID NO:102のアミノ酸54~171に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、SEQ ID NO:112のアミノ酸55~163に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、抗体;
(g)SEQ ID NO:122のアミノ酸19~139に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、SEQ ID NO:132のアミノ酸45~156に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、抗体;
(h)SEQ ID NO:142のアミノ酸20~139に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、SEQ ID NO:152のアミノ酸40~148に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、抗体;
(i)SEQ ID NO:162のアミノ酸20~133に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、SEQ ID NO:172のアミノ酸40~148に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、抗体;
(j)SEQ ID NO:182のアミノ酸54~175に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、SEQ ID NO:192のアミノ酸38~149に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、抗体;
(k)SEQ ID NO:202のアミノ酸55~170に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、SEQ ID NO:212のアミノ酸21~135に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、抗体;
(l)SEQ ID NO:222のアミノ酸20~144に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、SEQ ID NO:232のアミノ酸52~165に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、抗体;または
(m)抗体(a)~(l)のいずれか1つが結合するインセプタータンパク質中のエピトープと同じエピトープに結合する、抗体
である、先行請求項のいずれか一項記載の抗体。
【請求項10】
(a)SEQ ID NO:5に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:7に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:9に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、
SEQ ID NO:15に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:17に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:19に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域と
を含む、抗体;
(b)SEQ ID NO:25に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:27に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:29に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、
SEQ ID NO:35に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:37に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:39に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域と
を含む、抗体;
(c)SEQ ID NO:45に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:47に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:49に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、
SEQ ID NO:55に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:57に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:59に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域と
を含む、抗体;
(d)SEQ ID NO:65に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:67に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:69に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、
SEQ ID NO:75に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:77に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:79に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域と
を含む、抗体;
(e)SEQ ID NO:85に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:87に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:89に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、
SEQ ID NO:95に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:97に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:99に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域と
を含む、抗体;
(f)SEQ ID NO:105に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:107に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:109に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、
SEQ ID NO:115に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:117に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:119に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域と
を含む、抗体;
(g)SEQ ID NO:125に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:127に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:129に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、
SEQ ID NO:135に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:137に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:139に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域と
を含む、抗体;
(i)SEQ ID NO:145に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:147に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:149に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、
SEQ ID NO:155に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:157に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:159に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域と
を含む、抗体;
(i)SEQ ID NO:165に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:167に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:169に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、
SEQ ID NO:175に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:177に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:179に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域と
を含む、抗体;
(j)SEQ ID NO:185に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:187に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:189に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、
SEQ ID NO:195に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:197に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:199に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域と
を含む、抗体;
(k)SEQ ID NO:205に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:207に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:209に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、
SEQ ID NO:215に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:217に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:219に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域と
を含む、抗体;
(l)SEQ ID NO:225に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:227に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:229に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、
SEQ ID NO:235に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:237に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:239に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域と
を含む、抗体;または
(m)抗体(a)~(l)のいずれか1つが結合するヒトPRDX4タンパク質中のエピトープと同じエピトープに結合する、抗体
である、先行請求項のいずれか一項記載の抗体。
【請求項11】
医薬としておよび/または治療において使用するためのものである、先行請求項のいずれか一項記載の抗体。
【請求項12】
i)糖尿病、高インスリン血症および/もしくはインスリン抵抗性および/もしくはがんを処置するための;ならびに/または
ii)免疫沈降のための
方法において使用するためのものである、先行請求項のいずれか一項記載の抗体。
【請求項13】
糖尿病が、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病、前糖尿病、インスリン抵抗性、メタボリックシンドロームまたは耐糖能を含む、請求項12記載の使用のための抗体。
【請求項14】
インスリン抵抗性を防止または逆転させる方法において使用するためのものである、請求項1~11のいずれか一項記載の抗体。
【請求項15】
膵島細胞の機能不全および/または脱分化を逆転させる方法において使用するためのものである、請求項1~11のいずれか一項記載の抗体。
【請求項16】
膵臓ベータ細胞の数を増加させる方法において使用するためものである、請求項1~11のいずれか一項記載の抗体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、コンピューター読み取り可能な形式の配列表を含み、配列表は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
技術分野
本発明は、非変性IGFR-L1タンパク質の細胞外ドメインを特異的に標的とするための新規の構造特異的(例えば、立体構造特異的)IGFR-L1抗体、ならびにそれに基づく方法および使用(例えば、治療的方法および免疫沈降法)を提供する。本発明の新規のIGFR-L1抗体は、医薬としておよび/または治療において、特に、糖尿病および関連障害(例えば、高インスリン血症、インスリン抵抗性および関連障害など)の処置に使用するために想定される。本発明の新規のIGFR-L1抗体はまた、様々な免疫沈降アッセイ、例えば、先行技術からのドメイン特異的ペプチド抗体が適さない免疫沈降アッセイにおいて使用するために想定される。
【背景技術】
【0003】
背景
インスリン/インスリン様成長因子(IGF)は、複数の生理学的および病理学的プロセスの調節に関与する、リガンド、細胞表面受容体および結合タンパク質のネットワークを構成している。インスリン/IGFは、生涯のあらゆる段階で重要な発生的および代謝的役割を担っている。インスリン/IGFシグナル伝達はまた、寿命の調節にも寄与し、一方で、シグナル伝達の調節不全は、腫瘍形成に関わっている。インスリン受容体(InsR)とIGF-1受容体(IGF1R)は、それらの下流の細胞質メディエーターの大部分を共有するものの、大部分の実験的および臨床的エビデンスは、InsR活性化(主にインスリンによる)が第一に代謝活性を導くのに対し、IGF1R活性化(主にIGF-1またはIGF-2による)は増殖および分化事象を導くという見解と一致する(Sarfstein R and Werner H Endocrinology. 2013 May;154(5):1672-9(非特許文献1);Siddle K J Mol Endocrinol. 2011 Jun 17;47(1):R1-10(非特許文献2))。
【0004】
InsRおよびIGF1Rは、膜貫通チロシンキナーゼ含有受容体のファミリーに属する。成熟型では、これらは、2つの細胞外α-サブユニットとチロシンキナーゼ活性を保有する2つの膜貫通β-サブユニットから構成されるヘテロ四量体として存在する。IGF受容体とインスリン受容体は共に、高度な相同性を示す(チロシンキナーゼドメインで84%、リガンド結合ドメインで45%~65%、そして、アミノ酸配列全体で50%超)。加えて、該受容体は、ゲノム構成において顕著な類似性を提示する(Sarfstein R and Werner H, 前記(非特許文献1);Arnalez F and Helman L. Hematol Oncol Clin North Am. 2012 Jun;26(3):527-42(非特許文献3))。
【0005】
また、インスリン受容体の半分とIGF受容体の半分から構成される「ハイブリッド」受容体(IGF1Rαβに連結されたIRαβ)もある。ハイブリッドは、IGFにIGFRと類似の親和性で結合するが、インスリンにはInsRよりも実質的に低い親和性で結合する。ハイブリッド受容体が、全く異なる生理学的役割を有するかどうかは不明である(Sarfstein R and Werner H, 前記(非特許文献1);Arnalez F and Helman L., 前記(非特許文献3))。
【0006】
インスリン受容体は、エクソン11によりコードされる配列の選択的スプライシングの結果として、2つのスプライスバリアントアイソフォームで存在する;「B」アイソフォームは、インスリンのみを認識するが、腫瘍によって最もよく発現されるアイソフォームである「A」アイソフォームは、インスリンとIGF1および2の両方を認識する。両アイソフォームは、発生段階で差次的に発現され、InsR-Aは、胎児組織において優先的に発現され、InsR-Bは、成体組織、とりわけ肝臓、筋肉および脂肪細胞において優先的に発現される。IGF1Rは、反対の発現パターンを呈し、肝臓に存在せず、脂肪組織に低レベルで、脳に高レベルで存在する。加えて、その強力な抗アポトーシス性の生存促進的役割と一致して、IGF1Rは、ほとんどの腫瘍および悪性細胞で過剰発現される(Pollak M Nat Rev Cancer. 2012 Feb 16;12(3):159-69(非特許文献4), Sarfstein R and Werner H, 前記(非特許文献1); Siddle K, 前記(非特許文献2))。
【0007】
IGF1およびIGF2は、内分泌、傍分泌または自己分泌様式で発現され得るが、形質転換細胞では後者がよく見られる。肝臓がその主な産生部位である。それに対して、インスリン産生は、膵臓β細胞に限定される。インスリンおよびIGFは、InsR-Aにも高い親和性で結合するIGF2を除き、その特異的受容体に高い親和性で、非同族受容体により低い親和性で結合する(Pollak M, 前記(非特許文献4);Siddle K, 前記(非特許文献2))。
【0008】
リガンド結合は、InsRおよびIGF1Rの構造において立体構造変化を誘導し、それらの固有のチロシンキナーゼ活性を活性化する。インスリンおよびIGFは、全く異なる生理学的役割を担っているものの、これらは、同じシグナル伝達経路を利用する。InsRおよびIGF1Rの下流シグナル伝達は、大部分が、MAPK/Ras-Raf-Erk経路、ホスファチジルイノシトール-3-キナーゼ/AKT/mTOR(PI3K/AKT)経路およびヤヌスキナーゼ/シグナル伝達兼転写活性化因子(JAK/STAT)経路を通じて伝送される。最終的に、IGF1Rの活性化は、増加した細胞増殖および減少したアポトーシスをもたらすのに対し、インスリン結合によるInsRの活性化は、脂質、タンパク質および炭水化物の貯蔵および合成を促進し、それらの分解および循環への放出を阻害する。インスリンがエネルギー貯蔵または利用を増加させる最初の工程は、促進性グルコース輸送体Glut4によって媒介される、細胞への調節されたグルコース輸送を伴う(Chang et al. Mol Med. 2004 Jul-Dec; 10(7-12): 65-71.(非特許文献5))。インスリン発現は、特殊な膵臓β細胞に限定され、正常な状況下では、循環グルコースレベルによって緊密に調節される。古典的なインスリン感受性器官(肝臓、筋肉および脂肪組織)によるインスリン刺激グルコース取り込みは、循環グルコースレベルを低下させる。したがって、β細胞は、グルコース「サーモスタット」であり、グルコースを感知してインスリンを放出し、生理学的グルコースレベルを比較的狭い範囲内に維持する。微妙に均衡を保っているInsRシグナル伝達経路の破壊は、制御できないまたは異常なインスリン分泌、調節不全となった血中グルコースレベルをもたらし、最終的に、糖尿病としてよく知られた状態である膵臓β細胞の破壊または機能喪失に至る(Pollak M, 前記(非特許文献4);Siddle K, 前記(非特許文献2).;Sarfstein R and Werner H, 前記(非特許文献1);Arnalez F and Helman L., 前記(非特許文献3))。
【0009】
世界の成人人口の8.3%が罹患し、驚くべき速さで増加している真性糖尿病は、現代における最もよく見られる疾患の1つである。真性糖尿病患者の数は、2013年の3億8200万人から2035年には5億9200万人まで増加すると予測されており、これは、55%の純増加を表している。優位型は、2型糖尿病(T2D)であり、全糖尿病例のほぼ90%を占める(Hameed et al. World J Diabetes. 2015 May 15; 6(4): 598-612(非特許文献6))。
【0010】
1型糖尿病(T1D)は、世界で数百万人が罹患する自己免疫障害であり、膵臓内のランゲルハンス島中のインスリン産生β細胞の器官特異的免疫破壊の結果として生じる。これらの細胞が破壊されると、1型糖尿病患者は、血中グルコース制御を失い、その結果、急性疾患(例えば、ケトアシドーシスおよび重度低血糖症)と二次性合併症(心疾患、失明および腎不全を含む)の両方をもたらし得る。1型糖尿病は、遺伝的素因、ほとんど分かっていない環境的要因および確率的事象の組み合わせの結果として発症すると考えられているが、疾患の発症および進行を制御する正確な免疫学的、遺伝的および生理学的事象が継続して解明されている。
【0011】
早期2型糖尿病(T2D)は、古典的なインスリン標的器官のインスリン抵抗性(すなわち、過剰なカロリー摂取によって誘発されることの多い、正常なインスリン標的細胞によるグルコースの取り込み低下)によって引き起こされ、高インスリン血症に至る。当初、これらの増加したインスリンレベルは、インスリン抵抗性を克服し、高血糖症を回避するのに十分である。しかしながら、高血糖症は、最終的に、インスリン抵抗性の増加だけでなく、膵臓β細胞によるインスリン産出の減少からも生じる。
【0012】
血中グルコースレベルの制御は、糖尿病治療の主要な目標である。T1Dは、通常、インスリンの投与ならびに食事の変更および運動により管理される。しかしながら、生涯にわたり栄養摂取後にインスリン注射が要求されることは、患者の生活の質を大幅に低下させる場合がある。さらに、インスリン注射の適切な投与量およびタイミングは、困難を伴う可能性がある。T1Dの治癒または防止は、発病過程と確実に相関するバイオマーカーの欠如によって大きく損なわれており、結果として、診断時点でβ細胞数は著しく低下している。今日の1型糖尿病の大部分の臨床試験の目標は、防御免疫反応を温存しつつ、理想的には免疫寛容の誘導を通じて、機能的な残留β細胞量を向上させることである。当然ながら、このことは、治療に先立つ深刻なβ細胞破壊により、当該疾患を「治癒」することはほとんどないだろう。それゆえ、好ましくは疾患発症時に発現される信頼性のあるバイオマーカーが非常に望ましいだろう。他の方法は、インスリン分泌機能を復元するために膵臓または膵臓β細胞のいずれかを移植することに重点を置いている。しかしながら、この手法は、ドナー臓器の不足によって阻まれている。T2Dでは、インスリンに加え、合成血糖低下剤を含めた他の非インスリン治療薬も利用可能であるが、これらは、その実用的効果、投与の利便性という点で制限されることが多く、有害反応を誘起する可能性がある。
【0013】
利用可能な糖尿病治療薬の安全上の懸念および有害作用に加え、これまで試験されたあらゆる薬剤による疾患の永続的寛解の欠如から、当該疾患を調節し得る特異的介入に対する関心が高まっている。
【0014】
本発明の目的は、先行技術における必要性に応えることである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Sarfstein R and Werner H Endocrinology. 2013 May;154(5):1672-9
【非特許文献2】Siddle K J Mol Endocrinol. 2011 Jun 17;47(1):R1-10
【非特許文献3】Arnalez F and Helman L. Hematol Oncol Clin North Am. 2012 Jun;26(3):527-42
【非特許文献4】Pollak M Nat Rev Cancer. 2012 Feb 16;12(3):159-69
【非特許文献5】Chang et al. Mol Med. 2004 Jul-Dec; 10(7-12): 65-71.
【非特許文献6】Hameed et al. World J Diabetes. 2015 May 15; 6(4): 598-612
【発明の概要】
【0016】
概要
本発明は、SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含む非変性(例えば、折り畳まれたまたは部分的に折り畳まれた)インセプタータンパク質(IGFR-L1タンパク質)の細胞外ドメインに、好ましくは、IGFR-L1タンパク質内の天然エピトープに結合する抗体であって、非変性IGFR-L1タンパク質への、前記抗体による結合が、以下:
(a)Min6細胞(ATCC CRL-11506)からの溶解物のアリコートを、
(i)タンパク質のSDS-PAGEに適したバッファーと周囲温度で5分間、
(ii)タンパク質のSDS-PAGEに適したバッファー、および還元剤と、周囲温度で5分間、ならびに
(iii)タンパク質のSDS-PAGEに適したバッファー、および還元剤と、95℃で5分間
の各々と別々にインキュベートすること;
(b)前記アリコートをSDS-PAGEに供すること;
(c)SDS-PAGEゲルをウェスタンブロッティングすること;
(d)ウェスタンブロット膜を前記抗体とインキュベートすること;
に従って判定可能であり(例えば、判定され)、
ここで、前記抗体がアリコート(i)だけを検出する、
抗体に関する。
【0017】
本発明はさらに、
(a)SEQ ID NO:5に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:7に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:9に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:15に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:17に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:19に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む、抗体;
(b)SEQ ID NO:25に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:27に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:29に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:35に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:37に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:39に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む、抗体;
(c)SEQ ID NO:45に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:47に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:49に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:55に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:57に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:59に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む、抗体;
(d)SEQ ID NO:65に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:67に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:69に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:75に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:77に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:79に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む、抗体;
(e)SEQ ID NO:85に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:87に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:89に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:95に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:97に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:99に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む、抗体;
(f)SEQ ID NO:105に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:107に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:109に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:115に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:117に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:119に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む、抗体;
(g)SEQ ID NO:125に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:127に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:129に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:135に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:137に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:139に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む、抗体;
(h)SEQ ID NO:145に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:147に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:149に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:155に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:157に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:159に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む、抗体;
(i)SEQ ID NO:165に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:167に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:169に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:175に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:177に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:179に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む、抗体;
(j)SEQ ID NO:185に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:187に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:189に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:195に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:197に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:199に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む、抗体;
(k)SEQ ID NO:205に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:207に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:209に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:215に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:217に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:219に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む、抗体;
(l)SEQ ID NO:225に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:227に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:229に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:235に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:237に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:239に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む、抗体;または
(m)抗体(a)~(l)のいずれか1つが結合するヒトPRDX4(ペルオキシレドキシン-4、例えば、UniProtKB-Q13162)タンパク質中のエピトープと同じエピトープに結合する、抗体
である、抗体に関する。
【0018】
本発明はさらに、糖尿病を処置するための方法における本発明の抗体の使用に関する。
【0019】
配列表の概説
本明細書に記載されるように、また特に明記しない限り、UniProtKB Accession Numbers(https://www.uniprot.org/news/2021/04/07/release、例えば、2021年4月7日に公開されたUniProt release 2021_02で利用可能)を参照している。
【0020】
本明細書に記載されるように、特に明記しない限り、NCBI GenBank Accession Numbers(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/genbank/release/current/、例えば、2021年4月15日に公開されたRelease 243.0で利用可能)を参照している。
【0021】
SEQ ID NO:1は、本明細書において「IGFR-L1」と互換的に称されるヒトエンドソーム/リソソーム関連アポトーシス・オートファジー調節因子1(ELAPOR1)のアミノ酸配列であり、例えば、UniProtKB Accession Number:Q6UXG2-1に対応する。IGFR-L1タンパク質の細胞外ドメインは、SEQ ID NO:1のアミノ酸1~910に対応する。
【0022】
SEQ ID NO:2~241は、本発明の12個の新規の例示的な抗体(Ab、すなわち、AB-1、AB-2、AB-3、AB-4、AB-5、AB-6、AB-7、AB-8、AB-9、AB-10、AB-11およびAB-12)の鎖および特定の領域のアミノ酸配列であり、表1は、特定のSEQ ID NOと特定の重鎖領域との対応を示しており、表2は、特定のSEQ ID NOと特定の軽鎖領域との対応を示している。
【0023】
表1は、特定のSEQ ID NOと特定の重鎖領域との対応を示している(「HC」-重鎖、「L」-リーダー配列、CH+Fc領域を含む重鎖のテール領域、「HFR」-重鎖のフレームワーク領域、「CDR-H」-重鎖の相補性決定領域)。
【0024】
【表1】
【0025】
表2は、特定のSEQ ID NOと特定の軽鎖領域との対応を示している(「LC」-軽鎖、「L」-リーダー配列または「CL」-定常領域を含む軽鎖のテール領域、「LFR」-軽鎖のフレームワーク領域、「CDR-L」-軽鎖の相補性決定領域)。
【0026】
【表2】
【0027】
SEQ ID NO:242は、本明細書において使用される場合の比較のドメイン特異的ペプチドABを生成するために使用されるWO2017042242(その中のSEQ ID NO:3)に由来する例示的な比較のエピトープ配列を表しているアミノ酸配列である(例えば、図1~2を参照のこと)。
【0028】
SEQ ID NO:243は、本明細書において使用される場合の比較のドメイン特異的ペプチドABを生成するために使用されるWO2017042242(その中のSEQ ID NO:4)に由来する別の例示的な比較のエピトープ配列を表しているアミノ酸配列である(例えば、図1~2を参照のこと)。
【0029】
SEQ ID NO:244は、本明細書において使用される場合の比較のドメイン特異的ペプチドABを生成するために使用されるWO2017042242(その中のSEQ ID NO:6)に由来する本発明のさらに別の例示的な比較のエピトープ配列を表しているアミノ酸配列である(例えば、図1~2を参照のこと)。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明は、非限定例および添付の図面と併せて考慮した場合に、詳細な説明を参照してより良く理解されよう。図面は、本発明の方法の態様を図示している。
【0031】
図1】非変性条件(DTTなし、周囲温度/室温)および変性条件(+DTTまたは+DTTおよび+95℃)下での本発明の新規の構造特異的モノクローナル抗体(AB)と先行技術からのドメイン特異的ペプチドABとの比較。構造特異的ABは、ウェスタンブロッティング後のSDSゲル中で非変性条件下のタンパク質を検出するが、ペプチドABは、変性タンパク質しか検出しない。特許出願WO2017042242からのドメイン特異的ペプチドABが生成された配列ID NOが提供される。
図2】InsR/IGF1R活性化および下流シグナル伝達タンパク質の活性化に対する、本発明の新規の構造特異的モノクローナル抗体(AB)と先行技術からのドメイン特異的ペプチドABとの比較を示しているウェスタンブロッティング。構造特異的ABは、p-InsR/IGF1R、p-IRS1およびp-AKTを用量依存的な様式で活性化するが、ドメイン特異的ペプチド抗体は、InsR/IGF1R経路活性化に対して効果がないかまたは阻害効果を有する。
図3-1】本発明のAB-1~AB-12のウェスタンブロッティング。
図3-2】図3-1の続きの図である。
図4-1】本発明のAB-1~AB-12のELISA測定。
図4-2】図4-1の続きの図である。
図5-1】本発明のAB-1~AB-12の抗体親和性のKd測定。
図5-2】図5-1の続きの図である。
図5-3】図5-2の続きの図である。
図5-4】図5-3の続きの図である。
図5-5】図5-4の続きの図である。
図5-6】図5-5の続きの図である。
図6A】本発明のAB-1~AB-12の軽鎖の配列解析。A. mbed様クラスタリングガイドツリー。
図6B-1】本発明のAB-1~AB-12の軽鎖の配列解析。B. 配列アライメント。
図6B-2】図6B-1の続きの図である。
図6C】本発明のAB-1~AB-12の軽鎖の配列解析。C. 単位行列パーセント(Percent Identity Matrix)-Clustal2.1によって作成。
図7A】本発明のAB-1~AB-12の重鎖の配列解析。A. mbed様クラスタリングガイドツリー。
図7B-1】本発明のAB-1~AB-12の重鎖の配列解析。B. 配列アライメント。
図7B-2】図7B-1の続きの図である。
図7C】本発明のAB-1~AB-12の重鎖の配列解析。C. 単位行列パーセント-Clustal2.1によって作成。
図8-1】Min6細胞の調製および本発明のAB-1~AB-12のウェスタンブロッティングであり、前記ABがインスリン受容体感作を調節可能であることを示している。
図8-2】図8-1の説明を参照のこと。
【発明を実施するための形態】
【0032】
詳細な説明
本発明者らは、非変性IGFR-L1タンパク質(SEQ ID NO:1)の細胞外ドメインを特異的に標的とするための新規の構造特異的IGFR-L1抗体を産生し、特徴付けた。このことは、糖尿病を処置する、インスリン抵抗性を防止もしくは逆転させる、膵島細胞の機能不全/脱分化を逆転させる、および/または膵臓ベータ細胞の数を増加させるための新たな治療的方法につながるため、特に有利である。したがって、本明細書に記載されるような新規の構造特異的IGFR-L1抗体は、公知のドメイン特異的ペプチドABとユニークに異なり、インスリン抵抗性を防止もしくは逆転させる、膵島細胞の脱分化を逆転させる、および/または膵臓ベータ細胞の数を増加させるために糖尿病患者で使用できるという点で、新たな糖尿病患者群を定義するものと想定される。さらに、本発明の新規の構造特異的ABは、例えば、ウェスタンブロッティング後にSDSゲル中で、非変性条件下のその標的タンパク質を検出可能であるが、先行技術から公知のペプチドABは、単に変性タンパク質しか検出できない;さらに、構造特異的ABは、p-InsR/IGF1R、p-IRS1およびp-AKTを用量依存的な様式で活性化可能であるが、公知のドメイン特異的ペプチド抗体は、InsR/IGF1R経路活性化に対して効果がないかまたは阻害効果を有する。それゆえ、本発明の新規の構造特異的ABは、新規の特有のIGFR-L1抗体クラスを表す。このことは、本発明の新たな抗体が、先行技術からのドメイン特異的ペプチド抗体が適さない免疫沈降法で使用するのに適することから特に有利である。
【0033】
本発明者らは、本明細書に記載されるようなIGFR様受容体(SEQ ID NO:1)をコードするヒトKIAA1324遺伝子の機能の解明において先駆者となった。かつてUPF0577タンパク質KIAA1324またはエストロゲン誘導遺伝子121(EIG121)タンパク質と呼ばれていたKIAA1324のタンパク質産物は、がんマーカーとして一般的に知られているが、本発明者らは初めて、代謝において当該タンパク質に極めて重要な役割があると考えた。「IGFR様受容体」、「IGF様受容体」;「IGF3受容体」、「IGF3R」、「ELAPOR1」、「エンドソーム/リソソーム関連アポトーシス・オートファジー調節因子1」、「インセプター」、および「IGFR-L1」という用語は、本明細書において互換的に使用され、例えば、UniProtKB Accession Number:Q6UXG2を有する、エンドソーム/リソソーム関連アポトーシス・オートファジー調節因子1のことを指す。
【0034】
いくつかの局面では、本発明は、SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含む折り畳まれたまたは部分的に折り畳まれたインセプタータンパク質の細胞外ドメインに、好ましくは、IGFR-L1タンパク質内の天然エピトープに結合する抗体であって、前記折り畳まれたまたは部分的に折り畳まれたIGFR-L1タンパク質への、前記抗体による結合が、以下:
(a)Min6細胞(ATCC CRL-11506)からの溶解物のアリコートを、
(i)タンパク質のSDS-PAGEに適したバッファーと周囲温度で5分間、
(ii)タンパク質のSDS-PAGEに適したバッファー、および還元剤と、周囲温度で5分間、ならびに
(iii)タンパク質のSDS-PAGEに適したバッファー、および還元剤と、95℃で5分間
の各々と別々にインキュベートすること;
(b)前記アリコートをSDS-PAGEに供すること;
(c)SDS-PAGEゲルをウェスタンブロッティングすること;
(d)ウェスタンブロット膜を前記抗体とインキュベートすること;
に従って判定可能であり(例えば、判定され)、
ここで、前記抗体がアリコート(i)だけを検出する、
抗体に関する。
【0035】
本発明のいくつかのさらなる局面では、工程(a)は、以下を含む:Min6細胞(ATCC CRL-11506)からの溶解物のアリコートを、
(i)50mM Tris-HCl pH=6.8、2.5mM EDTA、2%(w/v)SDSおよび5%(v/v)グリセロール、バッファー、チオール剤なしで、周囲温度で5分間、
(ii)50mM Tris-HCl pH=6.8、2.5mM EDTA、2%(w/v)SDSおよび5%(v/v)グリセロール、20mM DTT、周囲温度で5分間、ならびに
(iii)50mM Tris-HCl pH=6.8、2.5mM EDTA、2%(w/v)SDSおよび5%(v/v)グリセロール、20mM DTT、95℃で5分間
の各々と別々にインキュベートすること。
【0036】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、インセプタータンパク質および/または他の受容体への、1つもしくは複数の成長因子(例えば、インスリン)または類似リガンド、モルフォゲン、ホモオリゴマー化パートナー、ヘテロオリゴマー化パートナー、および/あるいはダイ-オリゴマー化パートナーの結合を、増加または減少または調節または阻害可能である。
【0037】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、インスリン受容体(InsR)へのインスリンの結合を増加可能である。
【0038】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、インスリン受容体(InsR)へのインスリンの結合を調節可能である。
【0039】
本発明のいくつかの局面では、12個の抗体はすべて、IGFR-L1/インセプターの天然細胞外ドメインに対する特異的方法を使用して作製される(本明細書に開示される実施例を参照のこと)。インセプターは、形質膜でインスリン受容体複合体に間接的に結合し、活性化されたインスリン受容体複合体の内在化、ひいては脱感作を媒介する。それゆえ、インスリン産生ベータ細胞を12個の抗体のいずれか1つとインキュベートすると、抗体は、インセプターの細胞外ドメインに結合し、そのため、活性化されたインスリン受容体複合体との相互作用を抑制する。したがって、インスリン受容体は、脱感作されず、インスリンシグナル活性化が増強および/または延長される(図8)。言い換えれば、本発明のインセプターAkは、インセプター(これらはすべて、異なるパラトープ、すなわちエピトープを有し得る)に結合し、それにより、インセプターが活性化インスリン受容体複合体と効率的に一体化するのを抑制する。したがって、インスリン受容体は、効率的に脱感作されずに形質膜により長く留まり、長く活性化される。このことは、図8により本発明の12個の新規のAkすべて(p-IR/IGF1R)で裏付けられ、本発明のすべてのAkについて、特有の産生法に加え、統一的な特徴を提供する。
【0040】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、InsR媒介シグナル伝達を増加可能である。
【0041】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、InsR、IRS1および/もしくはAKTならびに/またはMEKおよび/もしくはMAPキナーゼのリン酸化を増加可能である。
【0042】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、インセプタータンパク質に、10nMまたはそれ未満、好ましくは6nMまたはそれ未満、より好ましくは5nMまたはそれ未満、さらにより好ましくは3nMまたはそれ未満のKdで結合可能である。
【0043】
いくつかの局面では、本発明の抗体は、インセプタータンパク質を含むプロテオリポソームで齧歯類動物を免疫化することによって得ることが可能である。
【0044】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、以下の構造的特徴を有する:(a)SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖と、SEQ ID NO:12に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、抗体。
【0045】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、以下の構造的特徴を有する:(b)SEQ ID NO:22に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖と、SEQ ID NO:32に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、抗体。
【0046】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、以下の構造的特徴を有する:(c)SEQ ID NO:42に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖と、SEQ ID NO:52に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、抗体。
【0047】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、以下の構造的特徴を有する:(d)SEQ ID NO:62に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖と、SEQ ID NO:72に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、抗体。
【0048】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、以下の構造的特徴を有する:(e)SEQ ID NO:82に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖と、SEQ ID NO:92に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、抗体。
【0049】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、以下の構造的特徴を有する:(f)SEQ ID NO:102に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖と、SEQ ID NO:112に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、抗体。
【0050】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、以下の構造的特徴を有する:(g)SEQ ID NO:122に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖と、SEQ ID NO:132に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、抗体。
【0051】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、以下の構造的特徴を有する:(h)SEQ ID NO:142に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖と、SEQ ID NO:152に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、抗体。
【0052】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、以下の構造的特徴を有する:(i)SEQ ID NO:162に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖と、SEQ ID NO:172に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、抗体。
【0053】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、以下の構造的特徴を有する:(j)SEQ ID NO:182に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖と、SEQ ID NO:192に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、抗体。
【0054】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、以下の構造的特徴を有する:(k)SEQ ID NO:202に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖と、SEQ ID NO:212に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、抗体。
【0055】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、以下の構造的特徴を有する:(l)SEQ ID NO:222に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖と、SEQ ID NO:232に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、抗体。
【0056】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、以下の構造的特徴を有する:(m)本明細書において定義された通りの抗体(a)~(l)のいずれか1つが結合するインセプタータンパク質中のエピトープと同じエピトープに結合する、抗体。
【0057】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、以下の構造的特徴を有する:(a)SEQ ID NO:2のアミノ酸19~140に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、SEQ ID NO:12のアミノ酸28~136に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、抗体。
【0058】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、以下の構造的特徴を有する:(b)SEQ ID NO:22のアミノ酸62~177に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、SEQ ID NO:32のアミノ酸48~162に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、抗体。
【0059】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、以下の構造的特徴を有する:(c)SEQ ID NO:42のアミノ酸20~136に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、SEQ ID NO:52のアミノ酸39~153に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、抗体。
【0060】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、以下の構造的特徴を有する:(d)SEQ ID NO:62のアミノ酸20~141に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、SEQ ID NO:72のアミノ酸40~148に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、抗体。
【0061】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、以下の構造的特徴を有する:(e)SEQ ID NO:82のアミノ酸58~175に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、SEQ ID NO:92のアミノ酸21~129に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、抗体。
【0062】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、以下の構造的特徴を有する:(f)SEQ ID NO:102のアミノ酸54~171に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、SEQ ID NO:112のアミノ酸55~163に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、抗体。
【0063】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、以下の構造的特徴を有する:(g)SEQ ID NO:122のアミノ酸19~139に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、SEQ ID NO:132のアミノ酸45~156に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、抗体。
【0064】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、以下の構造的特徴を有する:(h)SEQ ID NO:142のアミノ酸20~139に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、SEQ ID NO:152のアミノ酸40~148に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、抗体。
【0065】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、以下の構造的特徴を有する:(i)SEQ ID NO:162のアミノ酸20~133に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、SEQ ID NO:172のアミノ酸40~148に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、抗体。
【0066】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、以下の構造的特徴を有する:(j)SEQ ID NO:182のアミノ酸54~175に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、SEQ ID NO:192のアミノ酸38~149に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、抗体。
【0067】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、以下の構造的特徴を有する:(k)SEQ ID NO:202のアミノ酸55~170に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、SEQ ID NO:212のアミノ酸21~135に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、抗体。
【0068】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、以下の構造的特徴を有する:(l)SEQ ID NO:222のアミノ酸20~144に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、SEQ ID NO:232のアミノ酸52~165に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、抗体。
【0069】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、以下の構造的特徴を有する:(m)抗体(a)~(l)のいずれか1つが結合するインセプタータンパク質中のエピトープと同じエピトープに結合する、抗体。
【0070】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、以下の構造的特徴の1つまたは複数を有する:(a)SEQ ID NO:5に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:7に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:9に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:15に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:17に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:19に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む、抗体。
【0071】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、以下の構造的特徴の1つまたは複数を有する:(b)SEQ ID NO:25に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:27に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:29に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:35に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:37に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:39に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む、抗体。
【0072】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、以下の構造的特徴の1つまたは複数を有する:(c)SEQ ID NO:45に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:47に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:49に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:55に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:57に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:59に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む、抗体。
【0073】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、以下の構造的特徴の1つまたは複数を有する:(d)SEQ ID NO:65に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:67に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:69に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:75に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:77に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:79に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む、抗体。
【0074】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、以下の構造的特徴の1つまたは複数を有する:(e)SEQ ID NO:85に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:87に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:89に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:95に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:97に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:99に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む、抗体。
【0075】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、以下の構造的特徴の1つまたは複数を有する:(f)SEQ ID NO:105に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:107に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:109に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:115に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:117に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:119に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む、抗体。
【0076】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、以下の構造的特徴の1つまたは複数を有する:(g)SEQ ID NO:125に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:127に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:129に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:135に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:137に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:139に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む、抗体。
【0077】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、以下の構造的特徴の1つまたは複数を有する:(h)SEQ ID NO:145に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:147に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:149に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:155に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:157に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:159に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む、抗体。
【0078】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、以下の構造的特徴の1つまたは複数を有する:(i)SEQ ID NO:165に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:167に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:169に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:175に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:177に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:179に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む、抗体。
【0079】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、以下の構造的特徴の1つまたは複数を有する:(j)SEQ ID NO:185に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:187に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:189に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:195に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:197に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:199に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む、抗体。
【0080】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、以下の構造的特徴の1つまたは複数を有する:(k)SEQ ID NO:205に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:207に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:209に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:215に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:217に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:219に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む、抗体。
【0081】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、以下の構造的特徴の1つまたは複数を有する:(l)SEQ ID NO:225に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:227に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:229に示される通りのアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:235に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:237に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:239に示される通りのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む、抗体。
【0082】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、以下の構造的特徴の1つまたは複数を有する:(m)抗体(a)~(l)のいずれか1つが結合するヒトPRDX4タンパク質中のエピトープと同じエピトープに結合する、抗体。
【0083】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、医薬としておよび/または治療において使用するためのものである。
【0084】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、糖尿病および/または高インスリン血症を処置するための方法において使用するためのものである。
【0085】
本発明のいくつかの局面では、糖尿病は、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病、前糖尿病、インスリン抵抗性、メタボリックシンドロームまたは耐糖能または高インスリン血症を含む。
【0086】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、インスリン抵抗性を防止または逆転させる方法において使用するためのものである。
【0087】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、膵島細胞の機能不全/脱分化を逆転させる方法において使用するためのものである。
【0088】
本発明のいくつかの局面では、本発明の抗体は、膵臓ベータ細胞の数を増加させる方法において使用するためのものである。
【0089】
本発明のいくつかの局面では、保存された可変鎖配列を有するがFc鎖中に差異を有する2つの個々のクローン(例えば、AB-2およびAB-11に対応するクローン)の自然/独立した、選択/生成は、その高度に保存された/利用可能な、エピトープ/コエピトープ/抗原、および受容体構造/機能の調節におけるその重要性;抗体安定性およびバイオアベイラビリティを最適化するための、Fcドメイン配列およびその改変、変異および/または化学修飾、例えばPEG化、グリコシル化などの重要性を強調している。
【0090】
また、本明細書に記載されるIGFR様受容体に対して閾配列同一性または配列相同性を有する本明細書に開示されるIGFR様受容体の機能的バリアントも、「IGFR様受容体」という用語に包含される。前記機能的バリアントは、SEQ ID NO:1と少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、99.5%または100%の配列同一性を有すると想定される。
【0091】
さらに、前記機能的バリアントが、好ましくは、UPF0577タンパク質KIAA1324と同じ性質を示すこと、すなわち、添付の実施例に提示されるルーチン法によって評価可能であるように、InsRおよび/またはIGF1R媒介シグナル伝達、特に、(i)Aktリン酸化および/または(ii)AMPKリン酸化および/または(iii)mTORリン酸化を阻害または低減することが想定される。
【0092】
「%同一性」または「%配列同一性」という用語は、本明細書において使用される場合、本発明のポリペプチドの配列と問題となっている配列との(相同)アライメントに従った、これらの2つの配列の長い方における残基の数に関する、対になった同一残基のパーセンテージのことを指す。パーセント同一性は、同一残基の数を残基の総数で割り、得られたものに100を掛けることによって決定される。
【0093】
「相同性」という用語は、本明細書においてその通常の意味で使用され、同一のアミノ酸だけでなく、2つのタンパク質の線状アミノ酸配列中の等価な位置での保存的置換(例えば、グルタミン酸残基のアスパラギン酸残基による交換)と見なされるアミノ酸も含む。好ましくは、SEQ ID NO:182または192に示されるアミノ酸配列が「参照配列」として好ましい。
【0094】
SEQ ID NO:1は、本明細書においてIGFR様受容体とも称されるヒトUPF0577タンパク質KIAA1324を示す。
【0095】
用語「参照配列」および「野生型配列」(IGFR様受容体の)は、本明細書において互換的に使用される。あるいは、SWISS-PROT/UniProt Data Bank Accession Number Q6UXG2(2015年7月22日のエントリーバージョン95)を有するアミノ酸配列を参照配列として使用することができる。
【0096】
配列相同性または配列同一性のパーセンテージは、例えば、本明細書において、BLASTPバージョンblastp 2.2.5(2002年11月16日;Altschul, S. F. et al. (1997) Nucl. Acids Res. 25, 3389-3402を参照のこと)を使用して決定することができる。この態様では、相同性のパーセンテージは、好ましくは野生型タンパク質スキャフォールドを対比較の参照として使用した、プロペプチド配列を含むポリペプチド配列全体のアライメント(マトリックス:BLOSUM 62;ギャップコスト:11.1)に基づくものである。これは、BLASTPプログラムアウトプットの結果として示された「陽性(positives)」(相同アミノ酸)の数を、アライメントのためにプログラムにより選択されたアミノ酸の総数で割ったパーセンテージとして算出される。
【0097】
本発明との関連で、表現「別の位置に対応する位置」(例えば、領域、断片、ヌクレオチドまたはアミノ酸の位置など)は、ヌクレオチドまたはアミノ酸位置数に従って番号付けし、次いで配列同一性のパーセンテージが最大になるように配列をアラインすることによる通則に基づくものである。所与の「対応する領域」内のすべての位置が同一である必要はないので、対応する領域内の一致していない位置が「対応する位置」と見なされる場合がある。したがって、本明細書において使用される場合、指定のタンパク質配列の「アミノ酸位置[X]に対応するアミノ酸位置」についての言及は、指定のタンパク質配列のアミノ酸位置についての言及に加え、他の認識されているタンパク質ならびに構造類似体およびファミリーにおける等価な位置の集合体についての言及も表す。同じことが、必要な変更を加えることで表現「配列に対応する配列」にも適用され得る。すなわち、指定のタンパク質配列[X]「に対応する」配列についての言及は、指定のタンパク質配列の配列についての言及に加え、他の認識されているタンパク質ならびに構造類似体およびファミリーにおける等価な配列の集合体についての言及も表す。
【0098】
「InsR」または「IR」という用語は、インスリン受容体のことを指し、一般に、IR-Aアイソフォーム(「アイソフォームショート」としても知られる)とIR-Bアイソフォーム(「アイソフォームロング」としても知られる)の両方を含む。InsRは、インスリン結合領域を担持する2本のα鎖とキナーゼドメインを担持する2本のβ鎖がジスルフィド結合によって連結された四量体として生じる。InsRは、インスリン、IGF-1およびIGF-2の結合によって活性化されて、最終的に、MAPK/Ras-Raf-Erk経路、ホスファチジルイノシトール-3-キナーゼ/AKT/mTOR(PI3K/AKT)経路および/またはヤヌスキナーゼ/シグナル伝達兼転写活性化因子(JAK/STAT)経路を通じてシグナル伝達を導く、受容体チロシンキナーゼである。より正確に言えば、InsRエクトドメインのα鎖へのリガンド結合が、受容体内の構造変化を誘導して、β鎖の細胞内チロシンキナーゼドメイン内の様々なチロシン残基の自己リン酸化を導き、その結果、インスリン受容体基質(IRS1、2、3、4)、SHC、GAB1、CBLおよび他のシグナル伝達中間体を含めたいくつかの細胞内基質の動員およびリン酸化を導く。これらのリン酸化タンパク質の各々は、PI3KおよびSHP2のp85調節サブユニットを含めたSrc相同性2ドメイン(SH2ドメイン)を含有する他のシグナル伝達タンパク質に対するドッキングタンパク質として働く。IRSタンパク質のリン酸化は、2つの主要なシグナル伝達経路の活性化を導く:インスリンの代謝作用のほとんどを担っているPI3K-AKT/PKB経路と、いくつかの遺伝子の発現を調節し、PI3K経路と連携して細胞の成長および分化を制御するRas-MAPK経路。IRS1上のホスホチロシンへのPI3Kの結合、およびその後のPI3K活性化は、AKT、AMPKおよびmTOR(代謝を調節しかつインスリンからのシグナルを統合する、シグナル伝達経路)のリン酸化および活性化を導く。リガンド結合によるInsR活性化はまた、IRS1のリン酸化およびGRB2/SOSの動員を介してRas/RAF/MAP2K/MAPK経路も引き起こし、これは、細胞の成長、生存およびインスリンの細胞分化の媒介に主に関与する。
【0099】
InsRの実例は、Uniprot Acc. No. P06213(2015年7月22日のエントリーバージョン216)を有するヒトInsRおよびそのバリアントである。本発明との関連でのインスリン受容体は、好ましくは、そのリガンド、特にインスリンが結合すると、(i)AKTリン酸化および/または(ii)AMPKリン酸化および/または(iii)mTORリン酸化を誘導可能である。
【0100】
「IGF-受容体1」または「IGF1R」または「IGFRI」という用語は、本明細書において、インスリン様成長因子1受容体チロシンキナーゼのことを指すため使用される。IGF1Rは、IGF1に高い親和性で結合し、IGF2およびインスリン(INS)により低い親和性で結合する。リガンド結合は、受容体キナーゼを活性化して、受容体自己リン酸化、そして、インスリン-受容体基質(IRS1/2)、Shcおよび14-3-3タンパク質を含めた複数の基質のリン酸化を導き、最終的に、3つの主要なシグナル伝達経路:PI3K-AKT/PKB経路、Ras-MAPK経路、およびJAK/STAT経路の活性化を導く。活性化IGF1Rは、細胞の成長および生存の制御に関与する。したがって、InsRおよびIGF1Rは、類似のシグナル伝達経路に供給されるものの、InsR媒介シグナル伝達は、優先的に代謝を調節するのに対して、IGF1Rシグナル伝達は、細胞の成長および生存に関与する。
【0101】
IGF1Rの実例は、Uniprot Acc. No. P08069(2015年7月22日のエントリーバージョン185)を有するヒトIGF1Rおよびそのバリアントである。本発明との関連でのIGF1Rは、好ましくは、そのリガンド、特にIGF1が結合すると、(i)AKTリン酸化および/または(ii)AMPKリン酸化および/または(iii)mTORリン酸化を誘導可能である。
【0102】
「IGF1」または「IGFI」という用語は、インスリンと構造的かつ機能的に関連するがより高い成長促進活性を有するタンパク質である、インスリン様成長因子Iのことを指す。実例は、Uniprot Acc. No. P05019(2015年7月22日のエントリーバージョン186)を有するヒトIGF1である。本発明との関連での「IGF1」は、好ましくは、本明細書の他の箇所に記載されるように、IGF1受容体に結合して、IGF1Rシグナル伝達を誘起可能である。
【0103】
「IGF2R」または「IGF2R」または「IGFRII」という用語は、本明細書において、インスリン様成長因子2/マンノース-6-リン酸(IGF-2/M6P)受容体のことを指すため使用される。IGF2Rは、大きな細胞質外(すなわち、細胞外)ドメイン、単一の膜貫通領域および固有の触媒活性を欠いている短い細胞質テールから構成される、単一の膜貫通タンパク質である。この受容体は、IGF-1よりも高い親和性でIGF-2に結合し、インスリンには結合しない。IGF2Rは、別個の部位を介して、リソソーム酵素および多様な他のM6P含有リガンドと相互作用して、細胞外IGF-2濃度を調整し、それにより、成長刺激IGF-1受容体経路を通じてシグナル伝達を調節することが報告されている。
【0104】
IGF2Rの実例は、Uniprot Acc. No. P11717(2015年7月22日のエントリーバージョン174)を有するヒトIGF2Rおよびそのバリアントである。
【0105】
「IGF2」または「IGFII」という用語は、インスリン様成長因子IIのことを指す。実例は、Uniprot Acc. No. P01344(2015年7月22日のエントリーバージョン199)を有するヒトIGF2およびそのバリアントである。本発明との関連での「IGF2」は、好ましくは、IGF2受容体に結合可能である。
【0106】
本明細書において使用される場合、ヒトKIAA1324遺伝子のバリアントまたはオルソログは、IGFR様受容体またはその機能的バリアントをコードすることが想定され、すなわち、好ましくは、InsRおよび/またはIGF1R媒介シグナル伝達、特に(i)AKTリン酸化および/または(ii)AMPKリン酸化および/または(iii)mTORリン酸化を阻害または低減することが可能で、かつ、ヒトKIAA1324遺伝子(NCBI Gene ID 57535、2015年7月15日に更新)と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、90%、95%、97%、98%、99%、99.5%または100%の配列同一性、すなわちSEQ ID NO:7に示されるヒトKIAA1324遺伝子のコード配列と配列同一性を有する。コード配列は、前記ヒトKIAA1324遺伝子(NG_032763.1)のヌクレオチド222..374、47932..48052、50537..50729、57904..58051、58526..58606、59512..59617、59726..59875、71083..71171、74215..74392、75104..75232、75630..75720、77404..77509、77764..77901、78649..78912、80459..80632、83512..83692、84017..84113、84611..84712、85892..86018、86097..86275、86773..86938、88982..89050を連結することによって得られる。
【0107】
本明細書において使用される場合、「単離されたDNA配列」という用語は、DNA配列が由来する細胞および/または生物中に天然に存在する他の核酸配列、タンパク質、ペプチド、脂質などを含めた内在性物質から精製されたまたは実質的に精製されたDNA分子のことを指し、標準的な精製技法によって精製されたDNAだけでなく、組換え技術によって調製されたDNAおよび化学合成されたものも含む。
【0108】
本明細書において使用される場合、「折り畳まれたまたは部分的に折り畳まれた」という用語は、翻訳後修飾を伴うまたは伴わない3Dまたは三次構造、例えば、1つまたは複数のアルファヘリックス、ターン、折り畳まれていない要素、天然変性要素、コイル-コイル要素、ベータシートおよび/またはそれらの個々の構造要素を有することを意味し得る。
【0109】
本明細書において使用される場合、「三次構造」という用語は、翻訳後修飾を伴うまたは伴わない1つまたは複数のタンパク質二次構造および/またはタンパク質ドメイン、例えば、1つまたは複数のアルファヘリックス、ターン、折り畳まれていない要素、天然変性要素、コイル-コイル要素、ベータシートおよび/またはそれらの個々の構造要素を含む、ポリペプチドの三次元形状を空間内に有することを意味し得る。
【0110】
本明細書において使用される場合、「モルフォゲン」という用語は、形態形成またはパターン形成の過程でその非均一分布により組織発生のパターンを支配する物質を意味し得る。
【0111】
本明細書において使用される場合、「ホモオリゴマー化パートナー」という用語は、ポリマーまたはタンパク質複合体(例えば、インセプタータンパク質を含むタンパク質複合体)内に含まれる同一のモノマーを意味し得る。
【0112】
本明細書において使用される場合、「ヘテロオリゴマー化パートナー」という用語は、ポリマーまたはタンパク質複合体(例えば、インセプタータンパク質を含むタンパク質複合体)内に含まれる非同一のモノマーを意味し得る。
【0113】
本明細書において使用される場合、「二量体化またはオリゴマー化パートナー」という用語は、ダイマーまたはオリゴマー(例えば、インセプタータンパク質を含むタンパク質複合体)内に含まれる同一または非同一のモノマーを意味し得る。
【0114】
ベクター
本発明の核酸はまた、ベクターの形態であっても、ベクター中に存在しても、かつ/またはベクターの一部であってもよい。
【0115】
「ベクター」という用語は、(外来)遺伝物質を宿主細胞に移送するための媒体として使用される核酸分子のことを指し、非限定的に、プラスミド、ウイルス、コスミドならびに人工染色体、例えば細菌人工染色体(BAC)および酵母人工染色体(YAC)を包含する。一般に、操作されたベクターは、複製起点、マルチクローニングサイトおよび選択マーカーを含む。ベクターそれ自体は、一般的に、ヌクレオチド配列、通常、インサート(導入遺伝子)とベクターの「骨格」の機能を果たすより大きな配列を含むDNA配列である。ベクターは、導入遺伝子インサートおよび骨格の他に、遺伝子調節要素、遺伝子マーカー、抗生物質耐性、レポーター遺伝子、ターゲティング配列またはタンパク質精製タグを含めた、追加の要素を包含し得る。特に、宿主細胞での導入遺伝子の発現のための、一般的に導入遺伝子に加えて遺伝子調節配列を含む発現ベクター(発現構築物)が、本発明との関連の範囲内で想定される。
【0116】
発現ベクターは、一般に、インビトロおよび/またはインビボで(すなわち、好適な宿主細胞、宿主生物および/または発現系で)本発明の抗体の発現を提供できるベクターである。当業者は、特定のベクターの選択が、例えば、宿主細胞、ベクターの意図するコピー数、本発明の抗体の一過性発現が想定されるか安定発現が想定されるかなどに依存することを容易に理解するであろう。
【0117】
「一過性発現」は、レシピエント宿主細胞への自己複製不能な核酸(例えば、線状または非線状のDNAまたはRNA分子)またはベクターの導入から生じる。導入遺伝子の発現は、導入された配列の一過性発現を通じて起こる。
【0118】
しかしながら、本明細書に記載されるような核酸配列の「安定発現」がしばしば好ましく、これは、核酸配列を宿主細胞のゲノムに安定的に組み込むか、または本発明の核酸配列を含みかつ自己複製可能なベクターを宿主細胞に導入するかのいずれかによって達成され得る。
【0119】
本明細書に提供されるベクターは、特に、本発明の抗体をコードするDNA配列に機能的に連結されている遺伝子調節要素を含むことが想定される。
【0120】
「遺伝子調節要素」という用語は、特定の宿主生物での機能的に連結されているコード配列の発現に必要なDNA配列のことを指す。「遺伝子調節要素」という用語は、制御可能な転写プロモーター、オペレーター、エンハンサー、サイレンサー、転写ターミネーター、宿主細胞タンパク質と相互作用して転写および翻訳を実行する5'および3'非翻訳領域、ならびに開始および終止コドンを含めた遺伝子発現を制御し得る他の要素を含む。遺伝子発現に必要とされる調節領域の正確な性質は、生物によって異なり得る。原核生物の遺伝子調節要素は、例えば、プロモーター、任意でオペレーター配列、およびリボソーム結合部位(RBS)を含むが、真核細胞のための遺伝子調節要素は、プロモーター、ポリアデニル化(ポリ-A)シグナル、およびエンハンサーを含む。
【0121】
遺伝子調節要素は、発現させようとする遺伝子に「機能的に連結されている」、すなわち、当該遺伝子と機能的な関係に置かれていると想定される。例として、プロモーターまたはエンハンサーは、それがコード核酸配列の転写に影響を及ぼす場合に、その配列に「機能的に連結されている」。「機能的に連結されている」DNA配列は、連続していてもまたは連続していなくてもよい。連結は、典型的には、好都合な制限部位でのライゲーションまたは合成オリゴヌクレオチドアダプターもしくはリンカーによって達成される。
【0122】
宿主細胞
さらに、本明細書に記載されるようなベクターを含む宿主細胞(例えば、組換えおよび/または単離された宿主細胞)が本明細書に提供される。
【0123】
本明細書に記載されるような抗体をコードする核酸配列を発現させるために多様な宿主細胞を用いることができる。宿主細胞は、当技術分野において公知の遺伝子操作法を使用して調製することができる。ベクターをレシピエント宿主細胞に導入するプロセスは、本明細書において以降「形質転換」または「トランスフェクション」とも呼ばれる。この用語は、本明細書において互換的に使用される。
【0124】
宿主細胞の形質転換は、典型的には、細胞壁および/または細胞膜に物質の取り込みを可能にする一過性の孔または「穴」を開けることを伴う。形質転換プロトコルの実例は、リン酸カルシウム、エレクトロポレーション、細胞スクイージング、デンドリマー、リポソーム、陽イオンポリマー、例えばDEAE-デキストランまたはポリエチレンイミン、ソノポレーション、光学トランスフェクション、インペイルフェクション、ナノ粒子(遺伝子銃)、マグネトフェクション、粒子衝突、アルカリ陽イオン(セシウム、リチウム)、酵素消化、ガラスビーズとの撹拌、ウイルスベクターなどの使用を伴う。方法の選択は、一般的に、形質転換される細胞の種類、細胞に導入しようとするベクター、および形質転換が行われる条件に依存する。
【0125】
本明細書において使用される場合、「宿主細胞」という用語は、本明細書に記載されるようなAbをコードするベクターまたは単離核酸配列のためのレシピエントとして作用する任意の細胞または細胞培養物のことを指す。好適な宿主細胞は、原核または真核細胞を含み、細菌、酵母細胞、真菌細胞、植物細胞ならびに昆虫細胞および哺乳動物細胞などの動物細胞、例えば、ネズミ、ラット、マカクまたはヒトも含むが、これらに限定されない。
【0126】
例えば、Abは、細菌において産生させることができる。原核生物に加えて、糸状菌または酵母などの真核微生物も、本発明のIGFR様受容体のための好適なクローニングまたは発現宿主である。実例は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、クルイベロミセス属(Kluyveromyces)宿主、例えば、K. ラクチス(lactis)、K. フラギリス(fragilis)(ATCC 12424)、K. ブルガリクス(bulgaricus)(ATCC 16045)、K. ウィケラミィ(wickeramii)(ATCC 24178)、K. ワルティ(waltii)(ATCC 56500)、K. ドロソフィラルム(drosophilarum)(ATCC 36906)、K. サーモトレランス(thermotolerans)、およびK. マルキシアヌス(marxianus);ヤロウイア(yarrowia)(EP 402 226);ピキア・パストリス(Pichia pastoris)(EP 183 070);カンジダ(Candida);トリコデルマ・リエシア(Trichoderma reesia)(EP 244 234);ニューロスポーラ・クラッサ(Neurospora crassa);シュワニオミセス属(Schwanniomyces)、例えば、シュワニオミセス・オシデンタリス(Schwanniomyces occidentalis);ならびに糸状菌、例えば、ニューロスポーラ(Neurospora)、ペニシリウム(Penicillium)、トリポクラジウム(Tolypocladium)、およびアスペルギルス(Aspergillus)宿主、例えばA. ニデュランス(nidulans)およびA. ニガー(niger)を含む。
【0127】
本発明のグリコシル化抗体構築物の発現のための好適な宿主細胞はまた、多細胞生物に由来し得る。無脊椎動物細胞の例は、植物および昆虫細胞を含む。スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(毛虫)、アエデス・アエジプチ(Aedes aegypti)(蚊)、アエデス・アルボピクタス(Aedes albopictus)(蚊)、ドロソフィラ・メラノガスター(Drosophila melanogaster)(ショウジョウバエ)およびボンビクス・モリ(Bombyx mori)などの宿主から、多数のバキュロウイルス系統および変種ならびに対応する許容可能な昆虫宿主細胞が同定されている。トランスフェクションのための多様なウイルス系統、例えば、オートグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)NPVのL-1変種およびボンビクス・モリNPVのBm-5系統が公的に入手可能である。
【0128】
また、コットン、トウモロコシ、ジャガイモ、ダイズ、ペチュニア、トマト、シロイヌナズナ(Arabidopsis)およびタバコの植物細胞培養物を宿主として使用することもできる。植物細胞培養物でのタンパク質の産生において有用なクローニングおよび発現ベクターは、当業者に公知である。
【0129】
有用な哺乳動物宿主細胞株の例は、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS-7、ATCC CRL 1651);ヒト胚腎臓株(293細胞または懸濁培養で成長させるためにサブクローニングされた293細胞);ベビーハムスター腎臓細胞(BHK、ATCC CCL 10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO)、マウスセルトリ細胞(TM4);サル腎臓細胞(CVI ATCC CCL 70);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76、ATCC CRL1587);ヒト子宮頸がん細胞(HELA、ATCC CCL 2);イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL 34);バッファローラット肝細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75);ヒト肝細胞(Hep G2,1413 8065);マウス乳腺腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL5 1);TRI細胞;MRC 5細胞;FS4細胞;およびヒト肝がん細胞(Hep G2)である。
【0130】
抗体
本明細書に提供される抗体は、好ましくは、所望の生物学的活性を示す、すなわち、本明細書に記載される非変性インセプタータンパク質の細胞外ドメインに特異的に結合する。「増加させる」は、それにより、増加の検出および/または定量に使用されるそれぞれの検出法において、抗体が存在しない場合と比較して抗体の存在下でそれぞれのシグナルが増加することを表す。
【0131】
当技術分野において周知であるように、抗体は、その可変領域に位置する少なくとも1つのエピトープ認識部位を通じて標的(エピトープ)に特異的に結合可能な免疫グロブリン分子である。「抗体」という用語は、本明細書において使用される場合、モノクローナルおよびポリクローナル抗体だけでなく、その(天然に存在するまたは合成)断片またはバリアントも含み、これには、必要とされる特異性の抗原結合断片を有する抗体部分を含む、融合タンパク質、多量体アセンブリ(例えば、IgGダイマーなど)、および必要とされる特異性の抗原結合部位または断片(エピトープ認識部位)を含む抗体の他の任意の改変された構成が含まれる。実例は、CH3ドメインにつながれたscFvを含む、dAb、ナノボディ、アフィボディ、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv、単鎖Fv(scFv)、ダイアボディ、およびミニボディを含む。「抗原結合部位」を含む他の抗体フレームワークまたはスキャフォールドを本発明に従って用いることができることが理解されるであろう。したがって、「抗体」という用語は、これらのスキャフォールドも含む。言及したスキャフォールドは、例えば、抗体のCDRをその上にグラフトできる非免疫グロブリンベースの抗体およびスキャフォールドを含む。このようなスキャフォールドは、例えば、アンチカリン、アビマー、アフィリンなどを含む。
【0132】
抗体は、キメラ抗体(またはその抗原結合バリアントもしくは断片)であり得る。「キメラ抗体」という用語は、重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の種に由来するまたは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一または相同である一方で、鎖の残部が、別の種に由来するまたは別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一または相同である抗体、およびそのような抗体の断片のことを指す。
【0133】
抗体は、ヒト化抗体(またはその抗原結合バリアントもしくは断片)であり得る。「ヒト化抗体」という用語は、非ヒト抗体に由来する最小配列を含有する抗体のことを指す。一般に、ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリン(「レシピエント抗体」)上にグラフトされたマウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類などの非ヒト種に由来する免疫グロブリン(「ドナー抗体」)の超可変領域由来の残基を含む、ヒト免疫グロブリンである。ある場合に、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置き換えられる。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にもドナー抗体にも見いだされない残基を含み得る。この改変は、抗体性能をさらに精錬するために行われる。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含み、その中で、超可変ループのすべてまたは実質的にすべてが、非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FRのすべてまたは実質的にすべてが、ヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体は、任意で、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンのものも含むだろう。
【0134】
抗体は、ヒト抗体であり得る。「ヒト抗体」は、ヒトによって産生される抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を保有し、かつ/または、ヒト抗体を作製するための技法のいずれかを使用して作製されている抗体である。ヒト抗体のこの定義は、具体的に、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を排除する。ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリー(Hoogenboom and Winter, J. MoI Biol, 227:381 (1991);Marks et al, J. MoI Biol, 222:581 (1991))を含む当技術分野において公知の様々な技法を使用して産生することができる。また、ヒトモノクローナル抗体の調製に、Cole et al, Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, p. 77 (1985) およびBoerner et al., J. Immunol, 147(l):86-95 (1991) に記載されている方法が利用可能である。また、van Dijk and van de Winkel, Curr. Opin. Pharmacol, 5: 368-374 (2001)も参照されたい。ヒト抗体は、抗原投与に応答してそのような抗体を産生するように改変されているがその内因性遺伝子座は無効化されているトランスジェニック動物、例えば、免疫化キセノマウス(xenomice)に、抗原を投与することによって調製することができる(例えば、XENOMOUSE(TM)技術に関する米国特許第6,075,181号および同第6,150,584号を参照のこと)。また、例えば、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して作製されたヒト抗体に関するLi et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 103:3557-3562 (2006) も参照されたい。
【0135】
化学修飾
本発明に従って使用される抗体またはその抗原結合バリアントもしくは断片は、修飾され得る。本発明との関連で考えられる典型的な修飾は、例えば、以下に記載されるような化学修飾を含む。
【0136】
一般的に、抗体またはその抗原結合バリアントもしくは断片の本明細書の他の箇所に記載されるような非変性インセプタータンパク質の細胞外ドメインに特異的に結合する能力を無効化しない限り、あらゆる種類の修飾が考えられる。
【0137】
抗体またはその抗原結合バリアントもしくは断片の可能な化学修飾は、アミノ末端のアシル化もしくはアセチル化またはカルボキシ末端のアミド化もしくはエステル化、あるいは両方でのものを含む。修飾はまた、リシンの側鎖中のアミノ基またはトレオニンのヒドロキシル基に影響を及ぼし得る。他の好適な修飾は、例えば、様々な長さのポリペプチド鎖を用いたアミノ基の伸長(例えば、XTEN技術またはPASylation(登録商標))、N-グリコシル化、O-グリコシル化、およびヒドロキシエチルデンプンなどの炭水化物(例えば、HESylation(登録商標))またはポリシアル酸(例えば、PolyXen(登録商標)技術)の化学コンジュゲーションを含む。アルキル化(例えば、メチル化、プロピル化、ブチル化)、アリール化およびエーテル化などの化学修飾が可能であり、これらも想定される。
【0138】
本発明の抗体は、SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含む非変性インセプタータンパク質の細胞外ドメインに、好ましくは、IGFR-L1タンパク質内の天然エピトープに特異的に結合する、すなわち、InsR、IGF1RおよびIGF2Rなどの非標的分子に対して交差反応性を示さない。
【0139】
「エピトープ」という用語は、一般に、抗体もしくは免疫グロブリンまたは抗体もしくは免疫グロブリンの誘導体もしくは断片などの結合ドメインが特異的に結合する、抗原上の部位のことを指す。「エピトープ」は、抗原性であり、したがって、エピトープという用語は、時に、本明細書において「抗原構造」または「抗原決定基」とも称される。したがって、結合ドメインは、「抗原相互作用部位」である。前記結合/相互作用はまた、「特異的認識」を定義するものと理解される。「エピトープ」という用語は、線状エピトープおよび立体構造エピトープを包含する。線状エピトープは、アミノ酸一次配列内に含まれる連続したエピトープであり、典型的には、固有の配列内に少なくとも3個または少なくとも4個、より一般的に、少なくとも5個または少なくとも6個または少なくとも7個、例えば、約8個~約10個のアミノ酸を含む。立体構造エピトープは、タンパク質の折り畳みにより並列された連続していないアミノ酸によって形成される。エピトープの立体構造を決定する方法は、X線結晶構造解析、二次元核磁気共鳴(2D-NMR)分光法および部位特異的スピン標識法および電子常磁性共鳴(EPR)分光法を含むが、これらに限定されない。
【0140】
「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、本明細書において互換的に使用され得る。
【0141】
特異的結合
「結合する」および「認識する」という用語は、すべての文法形式で、本明細書において互換的に使用される。
【0142】
「特異的に結合する」という用語は、一般的に、結合物質、特に抗体が、その意図する標的に(すなわち、本明細書に記載される非変性インセプタータンパク質の細胞外ドメインに)、その非標的分子よりも高い親和性で結合することを示す。非標的分子は、IGF受容体、特に、Uniprot Acc. No. P08069(2015年7月22日のエントリーバージョン185)を有するヒトIGF1R、Uniprot Acc. No. P11717(2015年7月22日のエントリーバージョン174)を有するヒトIGF2R、およびUniprot Acc. No. P06213(2015年7月22日のエントリーバージョン216)を有するヒトInsR;ならびにその機能的バリアントを含む。好ましくは、アゴニストまたはアンタゴニストの親和性は、標的分子に対して、非標的分子に対するその親和性よりも少なくとも約5倍、好ましくは10倍、より好ましくは25倍、さらにより好ましくは50倍、最も好ましくは100倍またはそれ以上大きいだろう。好ましい抗体は、少なくとも約107M-1、好ましくは約108M-1~約109M-1、約109M-1~約1010M-1、または約1010M-1~約1012M-1の親和性で結合する。
【0143】
好ましくは、「特異的に結合する」という用語は、したがって、アンタゴニストまたはアゴニスト、例えば抗体が、その意図する標的(すなわち、IGFR様受容体)に独占的に結合することを示す。
【0144】
処置
本発明のIGFR様受容体抗体は、糖尿病の処置および診断において特に有用であることが想定される。本明細書において使用される場合、「糖尿病」は、異常なインスリン産生および耐糖能を特徴とする幅広いクラスの障害のことを指し、一般に、1型および2型糖尿病(それぞれ、若年性および成人発症型とも呼ばれる)、妊娠糖尿病、前糖尿病、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、ならびに耐糖能異常を含む。糖尿病は、インスリン産生β細胞の欠乏または機能障害から単独でまたはインスリン抵抗性との組み合わせで生じる。
【0145】
「メタボリックシンドローム」という用語は、腹部(中心性)肥満、血圧上昇、空腹時血漿グルコース上昇、高い血清トリグリセリド、低高比重リポタンパク質(HDL)および/または高低比重リポタンパク質(LDL)レベルを含む。さらに、これは、2型糖尿病および/または冠動脈心疾患を含む心血管疾患の発症リスクとも関連する。
【0146】
「β細胞」、「ベータ細胞」および「島細胞」という用語は、本明細書において互換的に使用され、ランゲルハンス島に位置する膵臓のβ細胞のことを指す。その主な機能は、インスリンを貯蔵および放出することである。
【0147】
欠陥のあるインスリン分泌は、あらゆる真性糖尿病形態の根底にある。β細胞の破壊が、1型糖尿病(T1D)の要因となっているのに対し、低下したβ細胞量と分泌機能の喪失の両方が、2型糖尿病(T2D)に関わっている。新たに出現した結果から、成熟β細胞がより前駆細胞様状態に脱分化することを伴う機能的欠損は、T2Dにおける異常分泌の重要な原動力であり得ることが示唆される。
【0148】
本発明のアンタゴニストおよびアゴニストは、β細胞の脱分化を抑制するおよび/またはβ細胞の機能喪失を元に戻す際に有利に用いることができることが企図される。本明細書に記載されるアンタゴニストおよびアゴニストは、それゆえ、医薬として使用するために想定される。特に、前記アンタゴニストおよびアゴニストは、糖尿病の予防的および/または治療的処置の方法において使用するために意図される。
【0149】
1型糖尿病は、インスリン依存性真性糖尿病(IDDM)および若年性糖尿病としても知られている。この用語は、本明細書において互換的に使用される。この形態は、糖尿病の5~10%を占め、膵臓β細胞の細胞性の自己免疫破壊によるものと考えられており、ほとんどまたは全くインスリン分泌を示さない。本明細書に提供されるIGFR様受容体のアンタゴニストおよびアゴニストは、β細胞の脱分化および/または機能喪失を抑制するまたはさらには元に戻すことが可能であり得る。したがって、本発明は、T1Dの予防または再生療法の新たな可能性を広げることが想定される。
【0150】
2型糖尿病は、成人発症型糖尿病とも称され、全糖尿病の約90~95%を占める。標的組織におけるインスリン抵抗性および膵臓β細胞からのインスリン分泌の相対的欠乏が2型糖尿病(T2D)の主な特徴である。インスリン抵抗性は、本明細書において、高血糖症へと至る標的細胞のインスリン応答不全を特徴とする状態を表すために使用される。膵臓における膵臓β細胞は、その後、インスリンの産生を増加させ、高インスリン血症を導く。特定の理論に束縛されるものではないが、本明細書に記載されるIGFR様受容体は、インスリンまたはインスリン受容体のいずれかに対するスカベンジャーとして作用することが企図される。例えば、IGFR様受容体は、インスリン受容体に結合して、その内在化を導き得る(インスリン受容体スカベンジャー)。IGFR様受容体はまた、インスリンに結合して、その内在化と潜在的にリソソーム分解を導き得る(インスリンスカベンジャー)。これらのIGFR様受容体機能を本明細書に記載されるようなアンタゴニストの助けを借りて阻害することにより、InsRおよび/またはIGF1R媒介シグナル伝達が増加し、それにより、インスリン感受性が回復し得る。
【0151】
患者
「患者」または「対象」という用語は、本明細書において使用される場合、ヒトまたは非ヒト動物、一般的に哺乳動物のことを指す。特に、哺乳動物、例えば、ウサギ、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、サル、類人猿または好ましくはヒトが想定される。したがって、本文章に記載される方法、使用および化合物は、一般に、ヒトの疾患と動物の疾患の両方に適用可能である。
【0152】
処置
「処置」という用語は、そのすべての文法形式で、治療的または予防的処置を含む。「治療的または予防的処置」は、臨床学的および/もしくは病理学的徴候の完全な防止を目的とした予防的処置、または疾患の臨床学的および/もしくは病理学的徴候の改善もしくは寛解を目的とした治療的処置を含む。したがって、「処置」という用語はまた、糖尿病の改善または防止も含む。
【0153】
本発明との関連で、「治療効果」という用語は、一般に、処置の望ましいまたは有益な影響、例えば、疾患徴候の改善または寛解のことを指す。疾患の「徴候」という用語は、本明細書において、その知覚可能な発現を説明するために使用され、身体検査の間に検出され得るおよび/または患者によって知覚可能である疾患の指標(すなわち、症状)として本明細書において以降定義される臨床学的徴候と、細胞および分子レベルでの疾患の発現を意味する病理学的徴候の両方を含む。本発明のIGFR様抗体による処置の治療効果は、当技術分野におけるルーチン法を使用して、例えば、患者の血液試料中のインスリンレベルおよび/またはグルコースレベルを測定して評価することができる。追加的にまたは代替的に、それぞれの患者の全体的な印象(例えば、健康、幸福)を評価することも可能であり、これも、治療効果が発揮されたかどうかを熟練施術者が評価するのを支援するであろう。熟練者は、本発明の化合物の治療効果を観察するのに適した多数の他の手法を把握している。
【0154】
用量
好ましくは、本明細書に記載されるような化合物の治療有効量が投与される。「治療有効量」とは、治療効果を発揮する本明細書に記載されるような化合物の量を意味する。本発明のIGFR様受容体抗体の正確な用量は、処置の目的(例えば、寛解維持か疾患の急性増悪の処置)に依存し、当業者により公知の技法を使用して確かめられるであろう。投与の経路、年齢、体重、全体的な健康、性別、食事、投与の時間、薬物相互作用および状態の重症度に合わせた調整が必要となる場合があり、当業者によりルーチン実験で確かめられるであろう。
【0155】
投与
経口、局所、経皮、皮下、静脈内、腹腔内、筋肉内または眼内を含むがこれらに限定されない多様な経路が、本発明に係る化合物の投与に適用可能である。しかしながら、所望であれば、任意の他の経路が当業者により容易に選択され得る。
【0156】
組成物
本発明のIGFR様抗体を薬学的組成物の形態で投与することが想定される。
【0157】
「薬学的組成物」という用語は、特に、ヒトへの投与に適した組成物、すなわち、好ましくは無菌であるおよび/または薬学的に許容される成分を含有する組成物のことを指す。しかしながら、非ヒト動物への投与に適した組成物も本明細書において想定される。好ましくは、薬学的組成物は、本発明のIGFR様抗体を1つまたは複数の薬学的賦形剤と一緒に含む。「賦形剤」という用語は、増量剤、結合剤、崩壊剤、コーティング剤、吸着剤、付着防止剤、流動促進剤、防腐剤、酸化防止剤、香味剤、着色剤、甘味剤、溶剤、共溶剤、緩衝剤、キレート剤、粘性付与剤、界面活性剤、希釈剤、保湿剤、担体、希釈剤、防腐剤、乳化剤、安定剤または浸透圧調節剤を含む。本発明の薬学的組成物は、様々な形態、例えば、固体、液体、気体または凍結乾燥された形態で製剤化することができ、とりわけ、軟膏、クリーム、経皮パッチ、ゲル剤、粉末剤、錠剤、溶液剤、エアロゾル、顆粒剤、丸剤、懸濁剤、乳剤、カプセル剤、シロップ剤、液剤、エリキシル剤、エキス剤、チンキ剤もしくは流エキス剤の形態、または所望の投与法に特に適した形態であり得る。
【0158】
本発明の薬学的組成物は、1つまたは複数の追加の作用物質をさらに含み得る。好ましくは、前記作用物質は、本明細書に記載される疾患の処置に治療的に有効であり、組成物中に治療有効量で存在する。例には、非限定的に、メトホルミン、スルホニル尿素、メグリチニド、チアゾリジンジオン、DPP-4阻害剤、GLP-1受容体アゴニスト、SGLT2阻害剤、インスリンおよびインスリン誘導体(インスリングルリジン、インスリンリスプロ、インスリンアスパルト、インスリングラルギン、インスリンデテミル、インスリンイソフェン)、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
【0159】
上記を考慮して、本発明は、それゆえ、本発明の1つまたは複数のIGFR-L1抗体を含む薬学的組成物も提供する。前記薬学的組成物は、特に、糖尿病の治療的および/または予防的処置の方法において使用するために意図される。
【0160】
キット
また、キットも本明細書に提供される。キットは、2つ以上の部分のキットであってもよく、本発明のIGFR様受容体抗体を、好ましくは、治療有効量でかつ薬学的に許容される形態で含む。キットの構成成分は、容器またはバイアルに含有され得る。キットは、本明細書の他の箇所に記載されるように、糖尿病の処置において有用な追加の作用物質を含むことが想定される。例示的な追加の作用物質には、非限定的に、メトホルミン、スルホニル尿素、メグリチニド、チアゾリジンジオン、DPP-4阻害剤、GLP-1受容体アゴニスト、SGLT2阻害剤、インスリンおよびインスリン誘導体(インスリングルリジン、インスリンリスプロ、インスリンアスパルト、インスリングラルギン、インスリンデテミル、インスリンイソフェン)、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
【0161】
本発明のIGFR様抗体および追加の作用物質は、患者に同時にまたは逐次的に投与することができる。
【0162】
本発明はまた、以下の項目によって特徴付けられる:
1. SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含む非変性(例えば、天然の)インセプタータンパク質の細胞外ドメインに、好ましくは、IGFR-L1タンパク質内の天然エピトープに結合する抗体(例えば、その抗原結合部分)であって、さらに好ましくは、非変性IGFR-L1タンパク質への、前記抗体による結合が、以下:
(a)Min6細胞(ATCC CRL-11506)からの溶解物のアリコートを、
(i)タンパク質のSDS-PAGEに適したバッファーと周囲温度で5分間、
(ii)タンパク質のSDS-PAGEに適したバッファー、および還元剤と、周囲温度で5分間、ならびに
(iii)タンパク質のSDS-PAGEに適したバッファー、および還元剤と、95℃で5分間
の各々と別々にインキュベートすること;
(b)前記アリコートをSDS-PAGEに供すること;
(c)SDS-PAGEゲルをウェスタンブロッティングすること;
(d)ウェスタンブロット膜を前記抗体とインキュベートすること;
に従って判定可能であり(例えば、判定され)、
ここで、前記抗体がアリコート(i)だけを検出する、
抗体。
【0163】
2. SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含む折り畳まれた(例えば、天然の)または部分的に折り畳まれた(例えば、翻訳後修飾を伴うまたは伴わない3Dおよび/または三次構造、例えば、1つまたは複数のアルファヘリックス、ターン、折り畳まれていない要素、天然変性要素、コイル-コイル要素、ベータシートおよび/またはそれらの個々の構造要素を有する)インセプタータンパク質の細胞外ドメインに、好ましくは、IGFR-L1タンパク質内の天然エピトープに結合する抗体であって、前記折り畳まれたまたは部分的に折り畳まれたIGFR-L1タンパク質への、前記抗体による結合が、以下:
(a)Min6細胞(ATCC CRL-11506)からの溶解物のアリコートを、
(i)タンパク質のSDS-PAGEに適したバッファーと周囲温度で5分間、
(ii)タンパク質のSDS-PAGEに適したバッファー、および還元剤と、周囲温度で5分間、ならびに
(iii)タンパク質のSDS-PAGEに適したバッファー、および還元剤と、95℃で5分間
の各々と別々にインキュベートすること;
(b)前記アリコートをSDS-PAGEに供すること;
(c)SDS-PAGEゲルをウェスタンブロッティングすること;
(d)ウェスタンブロット膜を前記抗体とインキュベートすること;
に従って判定可能であり(例えば、判定され)、
ここで、前記抗体がアリコート(i)だけを検出する、
抗体。
【0164】
3. 前記部分的折り畳みが、先行項目のいずれか1つによるSDS処理を用いて行われる、先行項目のいずれか1つの抗体。
【0165】
4. 工程(a)が、
(a)Min6細胞(ATCC CRL-11506)からの溶解物のアリコートを、
(i)50mM Tris-HCl pH=6.8、2.5mM EDTA、2%(w/v)SDSおよび5%(v/v)グリセロール、バッファー、チオール剤なしで、周囲温度で5分間、
(ii)50mM Tris-HCl pH=6.8、2.5mM EDTA、2%(w/v)SDSおよび5%(v/v)グリセロール、20mM DTT、周囲温度で5分間、ならびに
(iii)50mM Tris-HCl pH=6.8、2.5mM EDTA、2%(w/v)SDSおよび5%(v/v)グリセロール、20mM DTT、95℃で5分間
の各々と別々にインキュベートすること
を含む、先行項目のいずれか1つの抗体。
【0166】
5. インセプタータンパク質および/または他の受容体(例えば、InsR)への、1つもしくは複数の成長因子(例えば、インスリン)または類似リガンド、モルフォゲン、ホモオリゴマー化パートナー、ヘテロオリゴマー化パートナー、および/あるいはダイ-オリゴマー化パートナーの結合を、増加または減少または調節または阻害する、先行項目のいずれか1つの抗体。
【0167】
6. インスリン受容体(例えば、InsR)へのインスリンの結合を増加または減少または調節または阻害する、先行項目のいずれか1つの抗体。
【0168】
7. インスリン受容体(例えば、InsR)へのインスリンの結合を増加させる、先行項目のいずれか1つの抗体。
【0169】
8. インスリン受容体感受性を増加させる、先行項目のいずれか1つの抗体。
【0170】
9. インスリン受容体感受性を調節する、先行項目のいずれか1つの抗体。
【0171】
10. インスリンのオンおよびオフレート結合動力学ならびに/またはInsRキナーゼドメインの脱および過感作を調節する、先行項目のいずれか1つの抗体。
【0172】
11. 抗体が、InsR媒介シグナル伝達を増加させ、好ましくは、前記増加が、同じクラスおよび/またはサブタイプの対照抗体と比較される、先行項目のいずれか1つの抗体。
【0173】
12. 抗体が、InsR、IRS1および/もしくはAKTならびに/またはMEKおよび/もしくはMAPキナーゼのリン酸化を増加させ、好ましくは、前記増加が、同じクラスおよび/またはサブタイプの対照抗体と比較される、先行項目のいずれか1つの抗体。
【0174】
13. 前記細胞外ドメインが、SEQ ID NO:1のアミノ酸1~910の範囲であり、好ましくは、前記細胞外ドメインが、SEQ ID NO:1のアミノ酸42~910の範囲である(例えば、SEQ ID NO:1のアミノ酸1~41を有するシグナル伝達ペプチドを欠いている)、先行項目のいずれか1つの抗体。
【0175】
14. インセプタータンパク質に、10nMまたはそれ未満、好ましくは6nMまたはそれ未満、より好ましくは5nMまたはそれ未満、さらにより好ましくは3nMまたはそれ未満のKdで結合する、先行項目のいずれか1つの抗体。
【0176】
15. インセプタータンパク質を含むプロテオリポソームで齧歯類動物を免疫化することによって産生可能である、先行項目のいずれか1つの抗体。
【0177】
16.
(a)SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖と、SEQ ID NO:12に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、抗体;
(b)SEQ ID NO:22に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖と、SEQ ID NO:32に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、抗体;
(c)SEQ ID NO:42に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖と、SEQ ID NO:52に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、抗体;
(d)SEQ ID NO:62に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖と、SEQ ID NO:72に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、抗体;
(e)SEQ ID NO:82に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖と、SEQ ID NO:92に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、抗体;
(f)SEQ ID NO:102に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖と、SEQ ID NO:112に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、抗体;
(g)SEQ ID NO:122に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖と、SEQ ID NO:132に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、抗体;
(h)SEQ ID NO:142に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖と、SEQ ID NO:152に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、抗体;
(i)SEQ ID NO:162に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖と、SEQ ID NO:172に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、抗体;
(j)SEQ ID NO:182に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖と、SEQ ID NO:192に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、抗体;
(k)SEQ ID NO:202に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖と、SEQ ID NO:212に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、抗体;
(l)SEQ ID NO:222に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖と、SEQ ID NO:232に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、抗体;または
(m)抗体(a)~(l)のいずれか1つが結合するインセプタータンパク質中のエピトープと同じエピトープに結合する、抗体
である、先行項目のいずれか1つの抗体。
【0178】
17.
(a)SEQ ID NO:2のアミノ酸19~140に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、SEQ ID NO:12のアミノ酸28~136に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、抗体;
(b)SEQ ID NO:22のアミノ酸62~177に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、SEQ ID NO:32のアミノ酸48~162に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、抗体;
(c)SEQ ID NO:42のアミノ酸20~136に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、SEQ ID NO:52のアミノ酸39~153に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、抗体;
(d)SEQ ID NO:62のアミノ酸20~141に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、SEQ ID NO:72のアミノ酸40~148に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、抗体;
(e)SEQ ID NO:82のアミノ酸58~175に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、SEQ ID NO:92のアミノ酸21~129に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、抗体;
(f)SEQ ID NO:102のアミノ酸54~171に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、SEQ ID NO:112のアミノ酸55~163に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、抗体;
(g)SEQ ID NO:122のアミノ酸19~139に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、SEQ ID NO:132のアミノ酸45~156に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、抗体;
(h)SEQ ID NO:142のアミノ酸20~139に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、SEQ ID NO:152のアミノ酸40~148に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、抗体;
(i)SEQ ID NO:162のアミノ酸20~133に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、SEQ ID NO:172のアミノ酸40~148に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、抗体;
(j)SEQ ID NO:182のアミノ酸54~175に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、SEQ ID NO:192のアミノ酸38~149に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、抗体;
(k)SEQ ID NO:202のアミノ酸55~170に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、SEQ ID NO:212のアミノ酸21~135に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、抗体;
(l)SEQ ID NO:222のアミノ酸20~144に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、SEQ ID NO:232のアミノ酸52~165に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、抗体;または
(m)抗体(a)~(l)のいずれか1つが結合するインセプタータンパク質中のエピトープと同じエピトープに結合する、抗体
である、先行項目のいずれか1つの抗体。
【0179】
18. 前記可変領域が、7つのアミノ酸領域を含むかまたはそれらからなり、そのうち4つが、対応するフレームワーク領域(例えば、HFRおよび/またはLFR、例えば、本明細書の表1および/または表2に描写されている通りのもの)であり、そのうち3つが、対応するCDR(また、本明細書において「超可変領域」とも称され得る)、例えば、本明細書の表1および/または表2に描写されている通りのものである、先行項目のいずれか1つの抗体。
【0180】
19.
(a)SEQ ID NO:5に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:7に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:9に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、
SEQ ID NO:15に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:17に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:19に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域と
を含む、抗体;
(b)SEQ ID NO:25に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:27に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:29に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、
SEQ ID NO:35に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:37に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:39に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖を含む軽鎖可変領域と
を含む、抗体;
(c)SEQ ID NO:45に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:47に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:49に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、
SEQ ID NO:55に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:57に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:59に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域と
を含む、抗体;
(d)SEQ ID NO:65に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:67に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:69に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、
SEQ ID NO:75に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:77に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:79に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域と
を含む、抗体;
(e)SEQ ID NO:85に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:87に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:89に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、
SEQ ID NO:95に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:97に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:99に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域と
を含む、抗体;
(f)SEQ ID NO:105に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:107に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:109に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、
SEQ ID NO:115に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:117に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:119に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域と
を含む、抗体;
(g)SEQ ID NO:125に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:127に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:129に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、
SEQ ID NO:135に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:137に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:139に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域と
を含む、抗体;
(h)SEQ ID NO:145に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:147に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:149に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、
SEQ ID NO:155に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:157に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:159に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域と
を含む、抗体;
(i)SEQ ID NO:165に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:167に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:169に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、
SEQ ID NO:175に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:177に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:179に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域と
を含む、抗体;
(j)SEQ ID NO:185に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:187に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:189に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、
SEQ ID NO:195に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:197に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:199に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域と
を含む、抗体;
(k)SEQ ID NO:205に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:207に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:209に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、
SEQ ID NO:215に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:217に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:219に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域と
を含む、抗体;
(l)SEQ ID NO:225に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、SEQ ID NO:227に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、およびSEQ ID NO:229に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、
SEQ ID NO:235に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、SEQ ID NO:237に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、およびSEQ ID NO:239に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域と
を含む、抗体;または
(m)抗体(a)~(l)のいずれか1つが結合するヒトペルオキシレドキシン-4 タンパク質(PRDX4、例えば、UniProtKB Accession Number:Q13162を有する)中のエピトープと同じエピトープに結合する、抗体
である、先行項目のいずれか1つの抗体。
【0181】
20. SEQ ID NO:2~241に示される任意のアミノ酸配列に対して少なくとも25%(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有する1つまたは複数のアミノ酸配列を含む、先行項目のいずれか1つの抗体。
【0182】
21. 以下の1つまたは複数を含む、先行項目のいずれか1つの抗体:
i)1つまたは複数のHC(重鎖)および/またはLC(軽鎖)リーダー配列(L)、例えば、本明細書の表1および/または表2に描写されている通りのもの;
ii)1つまたは複数のフレームワーク領域HFR1および/またはLFR1、例えば、本明細書の表1および/または表2に描写されている通りのもの;
iii)1つまたは複数のフレームワーク領域HFR2および/またはLFR2、例えば、本明細書の表1および/または表2に描写されている通りのもの;
iv)1つまたは複数のフレームワーク領域HFR3および/またはLFR3、例えば、本明細書の表1および/または表2に描写されている通りのもの;
v)1つまたは複数のフレームワーク領域HFR4および/またはLFR4、例えば、本明細書の表1および/または表2に描写されている通りのもの;および/または
vi)1つまたは複数のテール領域、例えば、HL(重鎖定常領域)および/またはCL(軽鎖定常)、例えば、本明細書の表1および/または表2に描写されている通りのもの。
【0183】
22. 以下の特徴の1つまたは複数を含む、先行項目のいずれか1つの抗体:
i)SEQ ID NO:182(例えば、AB-10のHCのアミノ酸配列)の104位に対応する位置のアミノ酸Iであって、好ましくは、重鎖CDR2領域の一部である、前記アミノ酸;
ii)SEQ ID NO:182(例えば、AB-10のHCのアミノ酸配列)の111位に対応する位置のアミノ酸Tであって、好ましくは、重鎖CDR2領域の一部である、前記アミノ酸;
iii)SEQ ID NO:192(例えば、AB-10のLCのアミノ酸配列)の137位に対応する位置のアミノ酸Tであって、好ましくは、軽鎖CDR3領域の一部である、前記アミノ酸;
iv)SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも72%(例えば、少なくとも73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖;
v)SEQ ID NO:12に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも59%(例えば、少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖;
vi)SEQ ID NO:15に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも50%(例えば、少なくとも51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1(例えば、CDR-L1)を含む軽鎖可変領域;
vii)SEQ ID NO:17に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも50%(例えば、少なくとも51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2(例えば、CDR-L2)を含む軽鎖可変領域;
viii)SEQ ID NO:19に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも50%(例えば、少なくとも51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3(例えば、CDR-L3)を含む軽鎖可変領域;
ix)SEQ ID NO:5に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも50%(例えば、少なくとも51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖CDR1(例えば、CDR-H1)を含む重鎖可変領域;
x)SEQ ID NO:7に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも50%(例えば、少なくとも51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖CDR2(例えば、CDR-H2)を含む重鎖可変領域;
xi)SEQ ID NO:9に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも50%(例えば、少なくとも51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖CDR3(例えば、CDR-H3)を含む重鎖可変領域。
【0184】
23. 以下の表3に従う、元のアミノ酸の1つまたは複数(例えば、2~469個)の保存的アミノ酸置換(例えば、例示的または好ましい)を含む、先行項目のいずれか1つの抗体:
【表3】
【0185】
24. モノクローナル抗体である、先行項目のいずれか1つの抗体。
【0186】
25. キメラ、ヒト化またはヒトである、先行項目のいずれか1つの抗体。
【0187】
26. 標識基および/もしくはタンパク質タグにカップリングされている、かつ/または天然に存在しないアミノ酸との1つもしくは複数の置換を含む、先行項目のいずれか1つの抗体。
【0188】
27. ハイブリドーマによって得ることが可能である(例えば、組換え抗体である)、先行項目のいずれか1つの抗体。
【0189】
28. 医薬としておよび/または治療において使用するためのものである、先行項目のいずれか1つの抗体。
【0190】
29. 糖尿病および/またはがんを処置するための方法において使用するためのものである、先行項目のいずれか1つの抗体。
【0191】
30. 糖尿病が、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病、前糖尿病、インスリン抵抗性、メタボリックシンドロームまたは耐糖能を含む、先行項目のいずれか1つの使用のための抗体。
【0192】
31. インスリン抵抗性を防止または逆転させる方法において使用するためのものである、先行項目のいずれか1つの抗体。
【0193】
32. 膵島細胞の脱分化および/または機能不全を逆転させる方法において使用するためのものである、先行項目のいずれか1つの抗体。
【0194】
33. 膵臓ベータ細胞の数を増加させる方法において使用するためのものである、先行項目のいずれか1つの抗体。
【0195】
34. ハイブリドーマによっておよび/または任意の他の好適な哺乳動物細胞発現系によって得ることが可能である、先行項目のいずれか1つによる抗体。
【0196】
35. SEQ ID NO:1内のエクトドメインに特異的に結合可能である、先行項目のいずれか1つによる抗体。
【0197】
36. AB-1、AB-2、AB-3、AB-4、AB-5、AB-5、AB-6、AB-7、AB-8、AB-9、AB-10、AB-11およびAB-12、好ましくはAB-2およびAB-11からなる群またはそれに対応する群より選択される、先行項目のいずれか1つによる抗体。
【0198】
37. AB-2およびAB-11からなる群またはそれに対応する群より選択される、先行項目のいずれか1つによる抗体であって、前記AB-2およびAB-11が、先行項目のいずれか1つによる保存された(例えば、同一の)可変鎖配列を有するが断片結晶化可能領域(すなわち、Fc領域またはテール領域)に差異を有する(例えば、非同一配列である)2つの個々のクローンから得ることが可能である、抗体。
【0199】
38. AB-10である、先行項目のいずれか1つによる抗体。
【0200】
39. AB-11である、先行項目のいずれか1つによる抗体。
【0201】
40. AB-2である、先行項目のいずれか1つによる抗体。
【0202】
41. そのテール領域が、翻訳後修飾(例えば、グリコシル化、例えば、N-およびO-連結グリコシル化、糖化、システイン化および硫酸化;鎖短縮化(chain trimmed)、例えば、C末端リシンクリッピング;アミノ酸修飾、例えば、環化(例えば、N末端ピログルタミン酸へと)、脱アミド、酸化、異性化およびカルバミル化;ヒンジ領域鎖間ジスルフィド結合のジスルフィドスクランブリング、PEG化、メチル化、アセチル化および/またはリン酸化など)を受けており、好ましくは、前記テール領域が、(i)先行項目のいずれか1つによるFcおよびCH;ならびに/または先行項目のいずれか1つによるCLを含む、先行項目のいずれか1つによる抗体。
【0203】
42. 先行項目のいずれか1つによる1つまたは複数の抗体を含む、抗体の多量体アセンブリ(例えば、IgGダイマー)。
【0204】
43. 以下の1つまたは複数:エピトープマッピング、低温電子顕微鏡法、タンパク質結晶化、化学的架橋、質量分析法、HDX交換質量分析法、NMRおよび他の好適な構造的手法、ファージディスプレイおよび/または類似の方法を用いて得られる、好ましくは、断片および/または単離された受容体エクトドメインならびに細胞膜中の完全受容体および/または界面活性剤ミセルもしくは混合ミセル中の受容体がスクリーニングされる、先行項目のいずれか1つによる抗体のエピトープ、エピトープ、コエピトープまたは抗原。
【0205】
44. 先行項目のいずれか1つによるモノクローナル抗体を産生する、ハイブリドーマ。
【0206】
45. 先行項目のいずれか1つによる抗体をコードする、核酸。
【0207】
46. 先行項目のいずれか1つによる核酸分子の少なくとも1つを含む、発現ベクター。
【0208】
47. 第2の結合特異性を有する分子に連結された先行項目のいずれか1つの抗体を含む二重特異性分子であって、前記第2の結合特異性が前記抗体の結合特異性と異なる、二重特異性分子。
【0209】
48. 第2の作用物質に連結された先行項目のいずれか1つの抗体を含む免疫コンジュゲートであって、前記第2の作用物質が前記抗体と異なる、免疫コンジュゲート。
【0210】
49. 先行項目のいずれか1つによるベクターおよび/または核酸を含む、宿主細胞(例えば、組換え宿主細胞、例えば、単離された組換え宿主細胞)であって、好ましくは、前記ベクターおよび/または核酸で形質転換されている前記宿主細胞、さらに好ましくは、異種宿主細胞である前記宿主細胞、さらに最も好ましくは、非ヒト宿主細胞である前記宿主細胞。
【0211】
50. 先行項目のいずれか1つによる抗体、ハイブリドーマ、核酸、発現ベクター、二重特異性分子、免疫コンジュゲート、宿主細胞、多量体アセンブリを含む、組成物。
【0212】
51. 薬学的または診断用組成物である、先行項目のいずれか1つによる組成物。
【0213】
52. 先行項目のいずれか1つによる抗体の産生のための方法であって、先行項目のいずれか1つによる宿主細胞を前記抗体の合成を可能にする条件下で培養し、前記培養物から前記抗体またはその抗原結合部分を回収することを含む、方法。
【0214】
53. 前記抗体が、モノクローナルまたはポリクローナル抗体である、先行項目のいずれか1つによる方法。
【0215】
54. 糖尿病の処置、改善、予防または診断の方法であって、それを必要とする対象(例えば、ヒト)に先行項目のいずれか1つによる抗体、二重特異性分子、抗体の多量体アセンブリまたは免疫コンジュゲートの治療有効量を投与して糖尿病を処置することを含む、方法。
【0216】
55. 前記糖尿病が、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病、前糖尿病、インスリン抵抗性、メタボリックシンドロームまたは耐糖能を含む、先行項目のいずれか1つによる方法。
【0217】
56. インスリン抵抗性を防止または逆転させる方法であって、それを必要とする対象(例えば、ヒト)に先行項目のいずれか1つによる抗体、二重特異性分子、抗体の多量体アセンブリまたは免疫コンジュゲートの治療有効量を投与してインスリン抵抗性を防止または逆転させることを含む、方法。
【0218】
57. 膵島細胞の機能不全および/または脱分化を逆転させる方法であって、それを必要とする対象(例えば、ヒト)に先行項目のいずれか1つによる抗体、二重特異性分子、抗体の多量体アセンブリまたは免疫コンジュゲートの治療有効量を投与して前記膵島細胞の機能不全および/または脱分化を逆転させることを含む、方法。
【0219】
58. 膵臓ベータ細胞の数を増加させる方法であって、それを必要とする対象(例えば、ヒト)に先行項目のいずれか1つによる抗体、二重特異性分子、抗体の多量体アセンブリまたは免疫コンジュゲートの治療有効量を投与して膵臓ベータ細胞の数を増加させることを含む、方法。
【0220】
59. インビトロ、エクスビボもしくはインビボの方法またはそれらの組み合わせである、先行項目のいずれか1つによる方法。
【0221】
60. 先行項目のいずれか1つによる抗体、ハイブリドーマ、核酸、発現ベクター、二重特異性分子、免疫コンジュゲート、宿主細胞、抗体の多量体アセンブリまたは組成物を含むキットであって、かつ任意で前記キットの使用説明書を含む、キット。
【0222】
61. 医薬としておよび/または治療において使用するための、先行項目のいずれか1つによる抗体、ハイブリドーマ、核酸、発現ベクター、二重特異性分子、免疫コンジュゲート、宿主細胞、抗体の多量体アセンブリまたは組成物。
【0223】
62. 以下の方法の1つまたは複数において使用するための、先行項目のいずれか1つによる抗体、ハイブリドーマ、核酸、発現ベクター、二重特異性分子、免疫コンジュゲート、宿主細胞、抗体の多量体アセンブリまたは組成物:
i)糖尿病または関連障害(例えば、高インスリン血症、インスリン抵抗性および関連障害)の処置、改善、予防または診断の方法;
ii)インスリン抵抗性を防止または逆転させる方法;
iii)膵島細胞の機能不全/脱分化を逆転させる方法;
iv)膵臓ベータ細胞の数を増加させる方法;
v)抗体の産生または調製のための方法;
vi)非ヒト動物を免疫化するための方法;
vii)ハイブリドーマの調製のための方法;
viii)免疫沈降(例えば、「プルダウン」アッセイ)のための方法、ならびに/または以下の1つもしくは複数を用いたエピトープもしくはコエピトープもしくは抗原の同定のための方法:エピトープマッピング、低温電子顕微鏡法、タンパク質結晶化、化学的架橋、質量分析法、HDX交換質量分析法、NMRおよび他の好適な構造的手法、ファージディスプレイおよび/もしくは類似の方法;
ix)先行項目のいずれか1つによる方法;
x)インビトロ、エクスビボまたはインビボである(i)~(viii)のいずれか1つ。
【0224】
63. 以下の1つまたは複数のための、先行項目のいずれか1つによる抗体、ハイブリドーマ、核酸、発現ベクター、二重特異性分子(例えば、組換えタンパク質)、免疫コンジュゲート、宿主細胞、抗体もしくはその断片の多量体アセンブリまたは組成物の使用:
i)糖尿病および/または関連障害(例えば、高インスリン血症、インスリン抵抗性および関連障害)を処置する;
ii)インスリン抵抗性を防止または逆転させる;
iii)膵島細胞の機能不全および/もしくは脱分化を逆転させる;
iv)膵臓ベータ細胞の数を増加させる;
v)抗体の産生または調製;
vi)非ヒト動物を免疫化する;
vii)ハイブリドーマの調製;
viii)免疫沈降(例えば、「プルダウン」アッセイ)、ならびに/または以下の1つもしくは複数を用いた、エピトープもしくはコエピトープもしくは抗原の同定:エピトープマッピング、低温電子顕微鏡法、タンパク質結晶化、化学的架橋、質量分析法、HDX交換質量分析法、NMRおよび他の好適な構造的手法、ファージディスプレイおよび/もしくは類似の方法;
ix)先行項目のいずれか1つによる方法;
x)インビトロ、エクスビボまたはインビボである(i)~(ix)のいずれか1つ。
【0225】
64. 前記糖尿病が、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病、前糖尿病、インスリン抵抗性、メタボリックシンドロームまたは耐糖能を含む、先行項目のいずれか1つによる方法または使用。
【0226】
65. 先行項目のいずれか1つの抗体と溶液から/溶液中の特異的物質(例えば、ポリペプチド、例えば、組換えポリペプチド)とを接触させることを含む、免疫沈降(例えば、IPまたは「プルダウン」アッセイ)の方法。
【0227】
本明細書において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈上明確に他の指示がない限り、複数形の指示対象を含むことに留意されたい。したがって、例えば、「1つの試薬(a reagent)」についての言及は、このような種々の試薬の1つまたは複数を含み、「その方法(the method)」についての言及は、本明細書に記載される方法に改変または置き換えることができる当業者に公知の等価な工程および方法についての言及を含む。
【0228】
特に指示のない限り、一連の要素の前にくる「少なくとも」という用語は、一連の要素の中のあらゆる要素を指すものと理解されるべきである。当業者は、本明細書に記載される本発明の特定の態様に対する多くの等価物を認識するか、または過度なルーチン実験を行うことなく突き止めることができるであろう。このような等価物は、本発明に包含されることが意図される。
【0229】
「および/または」という用語は、本明細書において使用される場合はいつも、「および」、「または」および「前記用語によって連結された要素のすべてまたは任意の他の組み合わせ」の意味を含む。
【0230】
「約」または「およそ」という用語は、本明細書において使用される場合、所与の値または範囲の20%以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内を意味する。しかしながら、その用語は、名数も含み、例えば、「約20」は、20を含む。
【0231】
「より小さい」または「より大きい」という用語は、名数を含む。例えば、20より小さいは、それより小さいまたはそれに等しいことを意味する。同様に、より多いまたはより大きいは、それぞれ、それより多いもしくはそれに等しいこと、またはそれより大きいもしくはそれに等しいことを意味する。
【0232】
本明細書および以下の特許請求の範囲の全体を通して、文脈上他の解釈を必要としない限り、「含む(comprise)」という語、ならびに「含む(comprises)」および「含む(comprising)」などの変形語は、述べられた整数もしくは工程または整数もしくは工程の群を包含するが、任意の他の整数もしくは工程または整数もしくは工程の群を排除しないことを暗示するものと理解されるであろう。本明細書において使用される場合、「含む(comprising)」という用語は、「含有する(containing)」または「含む(including)」という用語と置き換えることができ、または、時として本明細書において使用される場合、「有する(having)」という用語と置き換えることができる。
【0233】
本明細書において使用される場合、「からなる(consisting of)」は、特許請求の範囲の要素において明記されていないあらゆる要素、工程、または成分を排除する。本明細書において使用される場合、「から本質的になる(consisting essentially of)」は、特許請求の範囲の基本的かつ新規の特徴に実質的に影響を及ぼさない材料も工程も排除しない。
【0234】
本発明は、本明細書に記載される特定の方法論、プロトコル、材料、試薬および物質などに限定されず、それ自体として変更が可能であることが理解されるべきである。本明細書において使用される専門用語は、特定の態様を説明することを目的としているだけで、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ定義される。
【0235】
本明細書の文書全体において引用されるすべての刊行物および特許(すべての特許、特許出願、科学刊行物、製造業者の仕様書、説明書などを含む)は、上記または下記を問わず、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。本明細書では、先行発明が理由で、本発明がそのような開示に先行する権利を有していないことを承認するものと解釈されるべきではない。参照により組み入れられる資料が本明細書と矛盾するまたは一致しない範囲では、本明細書が、あらゆるそのような資料に優先するであろう。
【0236】
本発明のおよびその利点のさらにより深い理解は、例証を目的としてのみ提供される以下の実施例から得られるであろう。実施例は、決して本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例
【0237】
材料および方法
ウェスタンブロット(例えば、本明細書の図2~3に示す通り)
Min6細胞を溶解させ(50mM Tris-HCl、150mM NaCl、2 mM EDTA、1% NP-40、pH 8.0)、ローディングバッファー(250mM Tris-HCl、12.5mM エチレンジアミン四酢酸、10%ドデシル硫酸ナトリウム、25%グリセロール)と混合した(4:1)。必要に応じて、20mM DTTおよび加熱(95deg、5分)を加えた。Min6細胞溶解物のドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)をNuPAGEゲル(4~12%ビストリスゲル、およびMOPSバッファー、Invitrogen)で実施した。ウェスタンブロッティングに、0.45μmのImmobilon-P PVDF膜(Millipore)を使用した。膜ブロッキングは、TBST(50mM Tris-HCl、pH 7.4、150mM NaCl、および0.05% Tween 20)中5%(w/v)ミルク(Carl Roth, Germany)を用いて室温で1時間行った。モノクローナルラット抗IGFR1抗体(TBST+5%(w/v)ミルク中1ug/mL)をRTで1時間アプライし、続いて、TBST中で3回の後続洗浄を行った。二次抗体のペルオキシダーゼコンジュゲートマウス抗ラット(アイソタイプ特異的;TBST+5%ミルク中)を膜とRTで1時間インキュベートした。TBSTで3回洗浄した後、West Femto基質(Thermo Fisher Scientific)を使用してHRP反応を発色させ、LAS-3000 Imaging System(Fuji)を使用して検出した。
【0238】
電気化学発光-ELISA(例えば、本明細書の図4に示す通り)
抗原(1ug)を電極表面に受動的に吸着させ(1時間、23℃)、表面の残留部位を0.2%ブタゼラチンでブロッキングした(1時間、23℃)。次いで、表面をHBS(25mM HEPES、150mM NaCl、pH 7.25)で3回洗浄した。初期スクリーニングのために、ハイブリドーマ培養物から回収した上清を0.2%ブタゼラチン溶液で10倍および100倍希釈した。
【0239】
抗体親和性のKd測定(例えば、本明細書の図5に示す通り)
標準的なプロトコルに従ってAB1~AB-12についての抗体親和性のKd測定を行った。簡潔に述べると、親和性測定のために、所望の濃度の精製ラットモノクローナル抗IGFR1を含有するブタゼラチン溶液を各ウェルに加えた。結合を23℃で2時間行った。次いで、プレートをHBS溶液で3回洗浄し、アイソタイプ特異的二次抗ラット検出抗体の溶液(1μg/mL)を加え、インキュベート(23℃、1時間)した。ウェルをHBSで3回洗浄し、リーディングバッファー(MSD界面活性剤を含まないリーディングバッファー)を加えた。SECTOR Imager 6000化学発光リーダーでデータを取得した。二次抗体の抗原への結合からバックグラウンドを決定した。記録されたデータを、GraphPad Prism 6.0ソフトウェアを使用し、ワンサイト特異的結合アルゴリズムを使用して解析した。
【0240】
配列アライメント(例えば、本明細書の図6~7に示す通り)
EMBLのClustal Omegaウェブサービス(https://www.ebi.ac.uk/Tools/msa/clustalo/)を使用し、標準的な条件を使用して、すなわち有効なmbed様クラスタリングガイドツリーおよびmbed様クラスタリング反復を用いて、アライメントを実施した。
【0241】
実施例1:本発明の新規の構造特異的モノクローナル抗体(AB)の固有の優れた特性と先行技術からのドメイン特異的ペプチドABの特性との比較
方法(例えば、図1で使用する通り):Min6細胞をマイルドな溶解バッファー中で溶解させ、BCAアッセイを使用してタンパク質を定量した。Min6溶解物を試料調製のために3つの異なる方法で使用した:a)Min6溶解物+β-MEなしの4×Laemmliバッファー。DTTを加えず、試料を熱変性させなかった。B)Min6溶解物+β-MEなしの4×Laemmliバッファー。DTTをローディングダイに加えた。試料を熱変性させなかった。C)Min6溶解物+β-MEなしの4×Laemmliバッファー。DTTをローディングダイに加えた。試料を95℃で10分間熱変性させた。次いで、試料を分離のために10% SDSゲルにロードし、ウェスタンブロット分析を実施した。一次抗体をミルクブロッキング溶液中1:1000希釈にて4℃で一晩使用した。それぞれの二次抗体を加え、シグナルを発色させた。
【0242】
結果(図1の通り):本発明の構造特異的AB(AB-2により例示される)は、ウェスタンブロッティング後のSDSゲル中で非変性条件下のタンパク質を検出するが、先行技術からのペプチドABは、変性タンパク質しか検出しない(例えば、図1)。
【0243】
方法(例えば、図2で使用する通り):Min6細胞を6ウェルプレート中で密集度80%に達するまで培養した。実験当日、細胞を、37℃のインキュベーター内、ABおよびそのそれぞれのアイソタイプ対照により、2種の異なる濃度(完全DMEM培地中、終濃度0.1μg/mlおよび1.0μg/ml)で15分間処理した。細胞を氷冷PBSで穏やかに洗浄し、プロテアーゼおよびホスファターゼ阻害剤カクテル(1:100)を含有する冷溶解バッファー中で溶解させた。細胞溶解物をエッペンドルフチューブに収集し、冷蔵室内で細胞の適切な溶解を促すためにローター上で20~30分間インキュベートした。細胞溶解物を最大速度で遠心して、細胞残屑を除去した。上清を新たなチューブに収集し、BCAアッセイを使用してタンパク質を定量した。タンパク質15~20μgをWB分析のために10% SDSゲルにロードした。
【0244】
結果(図2の通り):本発明の新規の構造特異的ABは、p-InsR/IGF1R、p-IRS1およびp-AKTを用量依存的な様式で活性化するが、先行技術からのドメイン特異的ペプチド抗体は、InsR/IGF1R経路活性化に対して効果がないかまたは阻害効果を有する。
【0245】
実施例2:新規の抗体は、インスリン受容体感受性を調節(例えば、増加)可能である
方法:Min6細胞を、図8に示しているように調製し(詳細については実施例1も参照のこと)、続いて、上記実施例1に記載のようにウェスタンブロッティングを行った。
【0246】
結果(図8の通り):
本発明の12個の抗体はすべて、IGFR-L1/インセプターの天然細胞外ドメインに対する特異的方法を使用して作製した。インセプターは、形質膜でインスリン受容体複合体に間接的に結合し、活性化されたインスリン受容体複合体の内在化、ひいては脱感作を媒介する。それゆえ、インスリン産生ベータ細胞を本発明の12個の抗体のいずれかとインキュベートすると、抗体は、インセプターの細胞外ドメインに結合し、そのため、活性化されたインスリン受容体複合体との相互作用を抑制する。したがって、インスリン受容体は、脱感作されず、インスリンシグナル活性化が増強および/または延長される(図8)。言い換えれば、本発明のインセプターAkは、インセプター(これらはすべて、異なるパラトープ、すなわちエピトープを有し得る)に結合し、それにより、インセプターが活性化インスリン受容体複合体と効率的に一体化するのを抑制する。したがって、インスリン受容体は、効率的に脱感作されずに形質膜により長く留まり、長く活性化される。このことは、図8により本発明の12個の新規のAkすべて(p-IR/IGF1R)で裏付けられ、本発明のすべてのAkについて、特有の産生法に加え、統一的な特徴を提供する。
【0247】
当業者は、本発明が、その目的を実施するために、かつ記載される結果および利点、ならびに本明細書に固有のものを得るためによく適合されることを容易に理解するであろう。さらに、当業者には、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、本明細書に開示される本発明に対して種々の置換および改変を行ってよいことが容易に明らかであろう。本明細書に記載される組成物、方法、手順、処置、分子および具体的な化合物は、現在のところ特定の態様の代表であり、例示であって、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。当業者には、その中での変更および他の用途が想起され、これらは、特許請求の範囲によって定義される本発明の精神の範囲内に包含される。本明細書における過去に公開された文書の列挙または考察は、必ずしも、その文書が先端技術の一部であるまたは一般共通の知識であるとの認識として捉えられるべきではない。
【0248】
本明細書に例示的に記載される本発明は、本明細書に具体的に開示されていない任意の1つまたは複数の要素、1つまたは複数の制限の非存在下で適切に実践され得る。したがって、例えば「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」などの用語は、拡張的かつ非限定的に解釈されるものとする。さらに加えて、本明細書において用いられる用語および表現は、限定ではなく、説明の用語として使用されており、そのような用語および表現の使用は、示されかつ記載された特徴またはその一部の任意の等価物を排除する意図はなく、主張される本発明の範囲内で様々な改変が可能であることが認識される。したがって、本発明は、例示的な態様および任意の特徴によって具体的に開示されているものの、本明細書において具現化された本発明の改変および変形が当業者に依拠し得ること、そして、そのような改変および変形が本発明の範囲内にあると見なされることが理解されるべきである。
【0249】
本発明は、本明細書において広範かつ一般的に記載されている。一般的な開示の範囲内に入る下位の種および亜属の分類の各々も、本発明の一部を形成する。これは、切り取られた材料が本明細書に具体的に列記されているか否かにかかわらず、その属から任意の主題を取り除くという条件または消極的限定の下、本発明の一般的説明を含む。
【0250】
他の態様は、以下の特許請求の範囲の範囲内にある。加えて、本発明の特徴または局面がマーカッシュ群の観点で記載される場合、当業者は、本発明がそれにより、マーカッシュ群の任意の個々のメンバーまたはメンバーの下位集団の観点でも記載されることを認識するであろう。
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図4-1】
図4-2】
図5-1】
図5-2】
図5-3】
図5-4】
図5-5】
図5-6】
図6A
図6B-1】
図6B-2】
図6C
図7A
図7B-1】
図7B-2】
図7C
図8-1】
図8-2】
【配列表】
2024529411000001.xml
【国際調査報告】