(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】画像化を改善するためのスパースな背景の測定と補正
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
A61B6/03 550H
A61B6/03 573
A61B6/03 530Z
A61B6/03 550M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504014
(86)(22)【出願日】2021-07-23
(85)【翻訳文提出日】2024-03-18
(86)【国際出願番号】 US2021042906
(87)【国際公開番号】W WO2023003566
(87)【国際公開日】2023-01-26
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505172824
【氏名又は名称】アキュレイ インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】1240 Deming Way, Madison, WI 53717 U.S.A
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パイ チョアンヨン
(72)【発明者】
【氏名】ザーン ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ギャニオン ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ジェイン アミット
(72)【発明者】
【氏名】ユイ チーツォン
(72)【発明者】
【氏名】プレカス ゲオルギオス
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093AA26
4C093CA13
4C093EA07
4C093FA15
4C093FA22
4C093FA55
4C093FC30
4C093FE30
4C093FF34
(57)【要約】
本明細書には、第1のX線源であって、画像化に適した第1のエネルギー範囲で第1のX線光子を生成することと、第1のX線光子を画像化用に指定された領域に投影することと、を行うように構成された第1のX線源と、第1のX線源が角度経路を横断するように、第1のX線源を回転させるように構成された回転可能ガントリと、解析部分を有するデータプロセッサとを含む、画像化システムが開示される。解析部分は、角度経路に沿った画像収集角度のセットで、画像化用に指定された領域を通る第1のX線光子の透過に関する第1のデータを収集することと、角度経路に沿った背景収集角度のセットで背景データを収集することであって、システムが、背景角度間の画像化のための指定された領域の2つ以上の画像を取得する、収集することと、を行うように構成される。解析部分はまた、背景データを用いて、第1のデータのエラーを除去することと、第1のデータのエラーの除去に基づいて、補正画像を生成することと、を行うように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像化システムであって、
第1のX線源であって、
画像化に適した第1のエネルギー範囲で第1のX線光子を生成することと、
前記第1のX線光子を画像化用に指定された領域に投影することと、
を行うように構成された前記第1のX線源と、
前記第1のX線源が角度経路を横断するように、前記第1のX線源を回転させるように構成された回転可能ガントリと、
データプロセッサであって、
前記角度経路に沿った画像収集角度のセットで、前記画像化用に指定された領域を通る前記第1のX線光子の透過に関する第1のデータを収集することと、
前記角度経路に沿った背景収集角度のセットで背景データを収集することであって、前記システムが、背景角度間の画像化のための前記指定された領域の2つ以上の画像を取得する、前記収集することと、
前記背景データを用いて、前記第1のデータのエラーを除去することと、
前記第1のデータの前記エラーの除去に基づいて、補正画像を生成することと、
を行うように構成された解析部分を有する、前記データプロセッサと、
を備える、画像化システム。
【請求項2】
前記解析部分は、背景測定値の最小数を決定することによって、少なくとも部分的に、前記背景収集角度のセットを決定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記解析部分は、前記背景収集角度の間の前記画像収集角度のセットを最大化することによって、少なくとも部分的に、前記背景収集角度のセットを決定する、請求項1及び請求項2のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項4】
前記背景データを使用して前記第1のデータからエラーを除去することが、
X線検出器の測定された時間減衰応答を使用して画像を重み付けすることと、
前記第1のデータから前記重み付けされた画像を減算することと、
を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記解析部分が、前記背景データに基づいて前記時間減衰応答を再較正する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記時間減衰応答を再較正することは、2つ以上の背景画像に基づき、2つ以上の減衰項を含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記背景データを使用して前記第1のデータのエラーを除去することが、背景画像を補間することを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
X線源であって、
画像化に適したエネルギー範囲でX線光子を生成することと、
前記X線光子を画像化用に指定された領域に投影することと、
を行うように構成された前記X線源と、
前記第1のX線源が角度経路を横断するように、前記X線源を回転させるように構成された回転可能ガントリと、
データプロセッサであって、
前記角度経路に沿った第1の角度で背景データを収集することと、
前記角度経路に沿った角度範囲にわたって、前記画像化用に指定された領域を通る前記X線光子の透過に関する画像データを収集することと、
前記角度経路に沿った第2の角度で背景データを収集することであって、前記第2の角度が、前記角度範囲が前記第1の角度と前記第2の角度との間にあるように配置される、前記収集することと、
前記第1の角度及び前記第2の角度で収集された前記背景データの補間を用いて、前記画像データのエラーを除去することによって、補正画像を生成することと、
を行うように構成された解析部分を有する、前記データプロセッサと、
を備える、画像化システム。
【請求項9】
前記解析部分は、正確な背景推定のため背景測定値の最小数を決定することによって、少なくとも部分的に、前記第1の角度、前記第2の角度、及び前記角度範囲を決定する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記解析部分は、前記画像化用に指定された領域の画像の総数と、前記背景収集角度のそれぞれの間で撮影された前記画像化用に指定された領域の画像の数とのうちの少なくとも一方を最大化することによって、少なくとも部分的に、前記第1の角度、前記第2の角度、及び前記角度範囲を決定する、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記画像データからエラーを除去することが、
X線検出器の測定された時間減衰応答を使用して画像を重み付けすることと、
前記第1のデータから前記重み付けされた画像を減算することと、
を含む、請求項8~10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記解析部分が、前記背景データに基づいて前記時間減衰応答を再較正する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
コーンビームコンピュータ断層撮影(CBCT)システムを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
第2のX線源であって、
前記第1のエネルギー範囲とはエネルギーが異なる第2のエネルギー範囲で第2のX線光子を生成することと、
前記第2のX線光子を画像化用に指定された領域に投影することと、
を行うように構成された前記第2のX線源、をさらに備え、
前記解析部分は、
前記第1のX線光子及び前記第2のX線光子から得られたデータを組み合わせること、
前記第1のX線源及び前記第2のX線源の照射をインターリーブすること、及び
前記第1のX線源及び前記第2のX線源を同時に動作させること、
のうちの少なくとも1つを行うように構成されている、請求項1~13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記背景収集角度のセットは、前記角度経路に沿って均等に分散される、請求項1~15のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記背景収集角度のセットは、前記角度経路に沿って所定の角度で分散される、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記背景収集角度のセットは、計画コンピュータ断層撮影(CT)画像の解析、以前に利用可能なCT画像の解析、CT2D調査画像の解析、直交角度の画像の解析、患者アトラスの解析、取得中のデータの解析のうちの少なくとも1つを介して決定される、請求項1~16のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
前記背景収集角度のセットは、患者の幾何学的形状、取得プロトコル、及び患者の向きに対する投影角度のうちの少なくとも1つを使用して決定される、請求項1~17のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
前記解析部分が、アルゴリズムを介して前記背景収集角度のセットを決定する、請求項1~18のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
前記アルゴリズムは、CBCT再構成の精度を改善させることに基づいて、前記背景収集角度のセットを決定する、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記アルゴリズムが、前記背景収集角度のセットから共役角度を除外する、請求項19及び請求項20のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
前記アルゴリズムが、MeV放射線の使用に少なくとも部分的に基づいて、背景収集角度を選択する、請求項19~21のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項23】
前記アルゴリズムは、ラグ補正及びデータ駆動散乱補正の少なくとも一方を改善するために背景収集角度を選択する、請求項19~22のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項24】
前記背景データを使用して前記第1のデータのエラーを前記除去することが、
前記角度経路に沿った第1の角度で背景データを収集することと、
前記角度経路に沿った角度範囲で前記第1のデータを収集することと、
前記角度経路に沿った第2の角度で背景データを収集することであって、前記第2の角度が、前記角度範囲が前記第1の角度と前記第2の角度との間にあるように配置される、前記収集することと、
前記第1の角度及び第3の角度で収集された前記背景データを補間することによって、エラー画像を生成することと、
前記エラー画像を用いて前記第1のデータのエラーを除去することと、
を含む、請求項1~23のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項25】
前記アルゴリズムは、第1のスキャンに対する背景収集角度の第1のセットと、第2のスキャンに対する背景収集角度の第2のセットとを生成することができ、前記第1のセットと前記第2のセットとが異なっている、請求項19に記載のシステム。
【請求項26】
前記第1のセットと前記第2のセットとが重複しない、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記角度経路が、らせん状である、請求項19に記載のシステム。
【請求項28】
前記アルゴリズムは、前記らせんのピッチサイズに少なくとも部分的に基づいて前記背景収集角度を決定する、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記アルゴリズムは、前記画像データを使用した3D画像再構成の前記精度を改善させることに少なくとも部分的に基づいて、前記背景収集角度を決定する、請求項19に記載のシステム。
【請求項30】
画像再構成が、前記第1の線源の異なる回転に対して異なる背景収集角度のセットを選択する、請求項19に記載のシステム。
【請求項31】
前記解析部分は、前記第1のX線源の電源が切られたときに、フラットパネル検出器の読み出しが背景データを提供するように、X線制御、前記フラットパネル検出器の読み出し、及びCTスキャン制御を同期させる、請求項1~30のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項32】
前記角度経路に沿った前記第1のX線源の移動が、前記X線源の電源が切られている間に中断されない、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記解析部分は、前記背景収集角度に基づいて再構成アルゴリズムを修正することによって、3D再構成を生成するようにさらに構成される、請求項1~32のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項34】
修正は、背景収集角度間の不均一な間隔と、画像収集角度間の不均一な間隔とを考慮する、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
修正は、前記第1のX線源の第1の回転における背景画像の方位角位置と、前記第1のX線源の第2の回転における背景画像の方位角位置との間の差を考慮する、請求項33に記載のシステム。
【請求項36】
前記第1の回転の前記方位角位置は、前記第2の回転の前記方位角位置とインターリーブされる、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
画像化システムを動作させる方法であって、
画像化に適した第1のエネルギー範囲で第1のX線光子を生成することと、
前記第1のX線光子を画像化用に指定された領域に投影することと、
第1のX線源が角度経路を横断するように、前記第1のX線源を回転させることと、
前記角度経路に沿った画像収集角度のセットで、前記画像化用に指定された領域を通る前記第1のX線光子の透過に関する第1のデータを収集することと、
前記角度経路に沿った背景収集角度のセットで背景データを収集することであって、前記システムが、背景角度間の画像化のための前記指定された領域の2つ以上の画像を取得する、前記収集することと、
前記背景データを用いて、前記第1のデータのエラーを除去することと、
前記第1のデータの前記エラーの除去に基づいて、補正画像を生成することと、
を含む、方法。
【請求項38】
第1のX線源であって、
画像化に適した第1のエネルギー範囲で第1のX線光子を生成することと、
前記第1のX線光子を画像化用に指定された領域に投影することと、
を行うように構成された前記第1のX線源と、
前記第1のX線源が角度経路を横断するように、前記第1のX線源を回転させるように構成された回転可能ガントリと、
データプロセッサであって、
前記角度経路に沿った画像収集角度のセットで、前記画像化用に指定された領域を通る前記第1のX線光子の透過に関する第1のデータを収集することと、
前記角度経路に沿った背景収集角度で背景データを収集することと、
前記背景データを用いて、前記第1のデータのエラーを除去することと、
前記第1のデータの前記エラーの除去に基づいて、補正画像を生成することと、
を行うように構成された解析部分を有する、前記データプロセッサと、
を備える、画像化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年11月25日に出願されたD.Gagnon et al.による米国特許出願第16/694,148号「APPARATUS AND METHODS FOR SCALABLE FIELD OF VIEW IMAGING USING A MULTI-SOURCE SYSTEM」に関する。本出願はまた、2018年11月30日に出願された第62/773,712号(代理人整理番号38935/04001)、2018年11月30日に出願された第62/773,700号(代理人整理番号38935/04002)、2019年1月25日に出願された第62/796,831号(代理人整理番号38935/04004)、2019年2月1日に出願された第62/800,287号(代理人整理番号38935/04003)、2019年2月5日に出願された第62/801,260号(代理人整理番号38935/04006)、2019年3月4日に出願された第62/813,335号(代理人整理番号38935/04007)、2019年3月20日に出願された第62/821,116号(代理人整理番号38935/04009)、2019年4月19日に出願された第62/836,357号(代理人整理番号38935/04016)、2019年4月19日に出願された第62/836,352号(代理人整理番号38935/04017)、2019年5月6日に出願された第62/843,796号(代理人整理番号38935/04005)、及び2019年7月25日に出願された第62/878,364号(代理人整理番号38935/04008)を含む11件の米国仮特許出願に関する。本出願はまた、「MULTIMODAL RADIATION APPARATUS AND METHODS」と題する2019年11月25日出願の第16/694,145号(代理人整理番号38935/04019)、「INTEGRATED HELICAL FAN-BEAM COMPUTED TOMOGRAPHY IN IMAGE-GUIDED RADIATION TREATMENT DEVICE」と題する2019年11月25日出願の第16/694,161号(代理人整理番号38935/04011)、「COMPUTED TOMOGRAPHY SYSTEM AND METHOD FOR IMAGE IMPROVEMENT USING PRIOR IMAGE」と題する2019年11月25日出願の第16/694,166号(代理人整理番号38935/04010)、「OPTIMIZED SCANNING METHODS AND TOMOGRAPHY SYSTEM USING REGION OF INTEREST DATA」と題する2019年11月25日出願の第16/694,177号(代理人整理番号38935/04013)、「HELICAL CONE-BEAM COMPUTED TOMOGRAPHY IMAGING WITH AN OFF-CENTERED DETECTOR」と題する2019年11月25日出願の第16/694,190号(代理人整理番号38935/04015)、「MULTI-PASS COMPUTED TOMOGRAPHY SCANS FOR IMPROVED WORKFLOW AND PERFORMANCE」と題する2019年11月25日出願の第16/694,192号(代理人整理番号38935/04021)、「METHOD AND APPARATUS FOR SCATTER ESTIMATION IN CONE-BEAM COMPUTED TOMOGRAPHY」と題する2019年11月25日出願の第16/694,202号(代理人整理番号38935/04012)、「ASYMMETRIC SCATTER FITTING FOR OPTIMAL PANEL READOUT IN CONE-BEAM COMPUTED TOMOGRAPHY」と題する2019年11月25日出願の第16/694,210号(代理人整理番号38935/04014)、「METHOD AND APPARATUS FOR IMPROVING SCATTER ESTIMATION AND CORRECTION IN IMAGING」と題する2019年11月25日出願の第16/694,218号(代理人整理番号38935/04018)、及び「METHOD AND APPARATUS FOR IMAGE RECONSTRUCTION AND CORRECTION USING INTER-FRACTIONAL INFORMATION」と題する2019年11月25日出願の第16/694,230号(代理人整理番号38935/04022)を含む、同日に出願された10件の非仮米国特許出願に関する。上記で特定された特許出願(複数可)及び特許(複数可)の全ての内容は、参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0002】
開示される技術の態様は、放射線療法(RT)の間、前、及び後にX線放射を使用する患者画像化に関する。開示された技術は、特に、特定のX線検出器を帯電させることによって引き起こされる残留効果を除去することに関する。さらに、背景放射線を測定し、検出された画像を補正するために背景放射線を使用することに関する。
【背景技術】
【0003】
外照射療法は、リスクが高く侵襲的な手術に代わる非侵襲性の治療法である。それは、線形加速器(LINAC)などの治療用放射線源によって生成されたX線を用いて、病理学的解剖構造(例えば、腫瘍、病変、血管形成異常、神経障害など)を治療することができる。典型的には、線源は、複数の角度から腫瘍部位にX線ビームを向ける。線源の向きを注意深く制御することにより、各X線ビームが同じ腫瘍部位を通過するが、隣接する健常組織の異なる領域を通過することを保証することができる。これにより、腫瘍における累積放射線量を高く保つ一方で、健常組織における線量が比較的低く保たれる。
【0004】
「放射線手術」は、放射線療法よりも迅速に病変を壊死させるのに十分な線量で放射線を標的領域に照射することを指す。放射線手術では、より高い1回線量(例えば、500~2000センチグレイ)と、寡分割照射(例えば、1~5の回数または治療日)とが適用される。対照的に、放射線療法では、100~200センチグレイ及び多分割照射(例えば、30~45回)が使用され得る。放射線療法及び放射線手術のためのX線源は、MeV範囲にある傾向がある。これは、keV範囲にある傾向がある画像化用のX線源よりも高いエネルギーである。用語「放射線治療」及び「放射線療法」は、他に明記しない限り、これらの2つのMeV技法をkeVX線を使用する画像化技法と対比する便宜上、放射線手術及び/または放射線療法を意味するために、本明細書においては互換的に使用される。本明細書では、「MV」及び「MeV」のX線及び線源は、慣例に従って「kV」及び「keV」のX線及び線源と同様に、互換的に称されることに留意されたい。X線及び線源のエネルギーについて具体的に言及する場合、「MeV」及び「keV」が使用される。
【0005】
画像誘導放射線療法(IGRT)システムは、画像化及び治療のためにkeV源及びMeV源を組み合わせる。IGRTシステムは、典型的には、治療X線源を取り付け、移動させる方法によって分類される。ガントリIGRTでは、ガントリは、X線ビームの「アイソセンタ」または交点を通過する軸の周りで治療用放射線源を回転させる。結果として、球または楕円体の形状の3D体積におけるX線ビーム交差が得られる。異なるタイプのガントリは、X線源を異なるように取り付け、移動させる。Cアームガントリは、カンチレバー内に治療用放射線源を取り付け、アイソセンタを通過する軸を中心にその治療用放射線源を回転させる。リングガントンは、治療源を環状またはリング形状の要素に取り付ける。患者の身体は、環状体またはリング内の孔を通って延びる。環状体またはリングは、アイソセンタを通過する軸の周りを回転する。ロボットアームベースのシステムでは、治療放射線源をロボットアームに取り付けることにより、その運動の自由度が増す。ロボットアームは、患者の上及び周囲に延在する。これは、複数の面外方向から治療用放射線を送達するために、少なくとも5つの自由度を提供し得る。対照的に、リングまたはCアームシステムは、放射線源の回転軌道によって規定される設定角度を有する治療用放射線を送達する。
【0006】
X線画像化システムは、放射線送達を誘導するために、放射線療法システムに組み込むことができる。それらは、治療中のターゲットの動きを追跡することもできる。MeV画像化システムは、セットアップ及び治療中画像のため患者を画像化するために、治療源の反対側に検出器が配置され得る。他のアプローチは、患者のセットアップ及び治療中画像に対して、別個の独立した画像放射線源(複数可)及び/または検出器(複数可)を使用する。治療中の画像と以前のまたは治療前画像情報とを比較することにより、治療中の標的の追跡が可能になる。治療前画像情報は、例えば、CTデータ、コーンビームCT(CBCT)データ、磁気共鳴画像(MRI)データ、陽電子放射断層撮影(PET)データまたは3D回転血管造影(3DRA)データ、及びこれらの画像化モダリティから得られる任意の情報(例えば、限定するものではないが、デジタル再構成放射線写真(DRR))を含むことができる。
【0007】
上で説明したように、通常、画像化にはkeVX線源が使用される。keV線源は、ほとんどの種類の軟組織に対して良好なコントラストを提供する傾向がある。ただし、keVシステムは、画像化ゾーンに高密度の組織(例、厚い骨、石灰化した動脈など)が含まれている場合には十分に機能しない。関心のある組織がこれらの高密度物質と同じ照射領域内に位置する場合、keV画像は、keVX線と高密度物質との相互作用によって引き起こされる欠陥を受ける可能性がある。ストリークアーチファクトは、関心のある領域を不明瞭にするか、または暗くする可能性がある。X線経路に沿った金属(例えば、歯科用フィリング、インプラント、またはステント)は、光子飢餓を引き起こし、関心のある領域を不明瞭にし得る。散乱エラー及び他の問題は、追加の問題を引き起こす可能性がある。別の重要な問題は、「ビーム硬化」であり、身体の特定の部分は、身体の他の部分における選択的吸収に起因して、異なるX線光子スペクトルを「見る」。
【0008】
治療に主に使用されるMeVX線源は、画像を生成することもできる。しかしながら、MeV画像におけるコントラスト対ノイズ比(CNR)は低い可能性がある。本来のコントラストがkeVの範囲で良好ないくつかの組織、及びMeVで良好な他の組織がある。しかし、患者画像化における重要な因子である適合した線量では、MeVのX線が少なくなる。また、MeVX線は、検出がより困難であり、これらの測定においてはノイズが大きくなる。このことは、MeVCNRを全ての組織に対して一般に悪化させる。
【0009】
粗MeVX線像は、患者に対するMeV治療ビームの位置を決定するために使用されることが多い。しかし、より野心的なMeV画像化アプリケーションには未開拓の可能性がある。特に、単一の治療デバイスにおいてkeV及びMeVのX線画像化を組み合わせることは、両方のエネルギー範囲の補完的な利点を使用することができる。例えば、MeVのX線によるコントラストは、より高密度の組織がkeV画像コントラストを劣化させるkeV画像のギャップを埋める可能性がある。したがって、両方のタイプの画像からの情報を組み合わせるための改良されかつ向上した技法が以下に開示される。
【0010】
上述のシステムのそれぞれは、画像収集及び画像解析における問題を提示することができる。例えば、keV画像化で使用されるX線は、検出器に過渡的な影響を与え、それが2回以上の画像スキャンにわたって続くことがある。このため、その後のスキャンで得られた画像に異常な特徴が生じ、それが画像の特徴を覆い隠して解析を混乱させる可能性がある。このような効果は、放射線療法で使用される高エネルギーMeVX線では、帯電及びその他の残留効果を起こしやすい特定の検出器が使用されているために、観察され得る。
【発明の概要】
【0011】
本開示の態様によれば、画像化システムは、第1のX線源であって、画像化に適した第1のエネルギー範囲で第1のX線光子を生成することと、第1のX線光子を画像化用に指定された領域に投影することと、を行うように構成された第1のX線源と、第1のX線源が角度経路を横断するように、第1のX線源を回転させるように構成された回転可能ガントリと、解析部分を有するデータプロセッサとを含む。解析部分は、角度経路に沿った画像収集角度のセットで、画像化用に指定された領域を通る第1のX線光子の透過に関する第1のデータを収集することと、角度経路に沿った背景収集角度のセットで背景データを収集することであって、画像収集角度の数が、背景収集角度間で最大化される、収集することと、を行うように構成される。解析部分はまた、背景データを用いて、第1のデータのエラーを除去することと、第1のデータのエラーの除去に基づいて、補正画像を生成することと、を行うように構成される。
【0012】
解析部分は、背景測定値の最小数を決定することによって、少なくとも部分的に、背景収集角度のセットを決定することができる。解析部分は、背景収集角度の間の画像収集角度のセットを最大化することによって、少なくとも部分的に、背景収集角度のセットを決定することができる。背景データを使用して第1のデータからエラーを除去することは、X線検出器の測定された時間減衰応答を使用して画像を重み付けすることと、第1のデータから重み付けされた画像を減算することとを含み得る。解析部分は、背景データに基づいて時間減衰応答を再較正し得る。時間減衰応答を再較正することは、2つ以上の背景画像に基づくことができ、2つ以上の減衰項を含む。背景データを使用して第1のデータのエラーを除去することは、背景画像を補間することを含み得る。
【0013】
変形形態は、X線源であって、画像化に適したエネルギー範囲でX線光子を生成することと、X線光子を画像化用に指定された領域に投影することと、を行うように構成されたX線源と、第1のX線源が角度経路を横断するように、X線源を回転させるように構成された回転可能ガントリとを含む。本システムは、角度経路に沿った第1の角度で背景データを収集することと、角度経路に沿った角度範囲にわたって、画像化用に指定された領域を通る前記X線光子の透過に関する画像データを収集することと、角度経路に沿った第2の角度で背景データを収集することであって、第2の角度が、角度範囲が第1の角度と第2の角度との間にあるように配置され得る、収集することと、第1の角度及び第2の角度で収集された背景データの補間を用いて、画像データのエラーを除去することによって、補正画像を生成することと、を行うように構成された解析部分を有するデータプロセッサを含む。
【0014】
解析部分は、正確な背景推定のため背景測定値の最小数を決定することによって、少なくとも部分的に、第1の角度、第2の角度、及び角度範囲を決定し得る。解析部分は、画像化用に指定された領域の画像の総数と、背景収集角度のそれぞれの間で撮影された画像化用に指定された領域の画像の数とのうちの少なくとも一方を最大化することによって、少なくとも部分的に、第1の角度、第2の角度、及び角度範囲を決定し得る。画像データからエラーを除去することは、X線検出器の測定された時間減衰応答を使用して画像を重み付けすることと、第1のデータから重み付けされた画像を減算することとを含み得る。解析部分は、背景データに基づいて時間減衰応答を再較正し得る。本システムは、コーンビームコンピュータ断層撮影(CBCT)システムを含む。本システムは、第2のX線源であって、第1のエネルギー範囲とはエネルギーが異なる第2のエネルギー範囲で第2のX線光子を生成することと、第2のX線光子を画像化用に指定された領域に投影することと、を行うように構成された第2のX線源、を含み得、解析部分は、第1のX線光子及び第2のX線光子から得られたデータを組み合わせること、第1のX線源及び第2のX線源の照射をインターリーブすること、及び第1のX線源及び第2のX線源を同時に動作させること、のうちの少なくとも1つを行うように構成され得る。背景収集角度のセットは、角度経路に沿って均等に分散され得る。背景収集角度のセットは、角度経路に沿って所定の角度で分散され得る。背景収集角度のセットは、計画コンピュータ断層撮影(CT)画像の解析、以前に利用可能なCT画像の解析、CT2D調査画像の解析、直交角度の画像の解析、患者アトラスの解析、取得中のデータの解析のうちの少なくとも1つを介して決定され得る。
【0015】
背景収集角度のセットは、患者の幾何学的形状、取得プロトコル、及び患者の向きに対する投影角度のうちの少なくとも1つを使用して決定され得る。解析部分は、アルゴリズムを介して背景収集角度のセットを決定し得る。アルゴリズムは、CBCT再構成の精度を改善させることに基づいて、背景収集角度のセットを決定し得る。アルゴリズムは、背景収集角度のセットから共役角度を除外し得る。アルゴリズムは、MeV放射線の使用に少なくとも部分的に基づいて、背景収集角度を選択し得る。アルゴリズムは、ラグ補正及びデータ駆動散乱補正の少なくとも一方を改善するために背景収集角度を選択し得る。背景データを使用して第1のデータのエラーを除去することが、角度経路に沿った第1の角度で背景データを収集することと、角度経路に沿った角度範囲で第1のデータを収集することと、角度経路に沿った第2の角度で背景データを収集することであって、第2の角度が、角度範囲が第1の角度と第2の角度との間にあり得るように配置される、収集することと、第1の角度及び第3の角度で収集された背景データを補間することによって、エラー画像を生成することと、エラー画像を用いて第1のデータのエラーを除去することと、を含み得る。
【0016】
アルゴリズムは、第1のスキャンに対する第1の背景収集角度のセットと、第2のスキャンに対する第2の背景収集角度のセットとを生成することができ、第1のセットと第2のセットとは異なっていてもよい。第1のセットと第2のセットとは重複しない場合がある。角度経路は、らせん状であってもよい。アルゴリズムは、らせんのピッチサイズに少なくとも部分的に基づいて、背景収集角度を決定し得る。アルゴリズムは、画像データを使用した3D画像再構成の精度を改善させることに少なくとも部分的に基づいて、背景収集角度を決定し得る。画像再構成は、第1の線源の異なる回転に対して異なる背景収集角度のセットを選択し得る。解析部分は、第1のX線源の電源が切られたときに、フラットパネル検出器の読み出しが背景データを提供するように、X線制御、フラットパネル検出器の読み出し、及びCTスキャン制御を同期させることができる。角度経路に沿った第1のX線源の移動は、X線源の電源が切られている間に、中断されない場合がある。解析部分は、背景収集角度に基づいて再構成アルゴリズムを修正することによって、3D再構成を生成するようにさらに構成され得る。
【0017】
修正は、背景収集角度間の不均一な間隔と、画像収集角度間の不均一な間隔とを考慮する。修正は、第1のX線源の第1の回転における背景画像の方位角位置と、第1のX線源の第2の回転における背景画像の方位角位置との間の差を考慮する。第1の回転の方位角位置は、第2の回転の方位角位置とインターリーブされ得る。画像化システムを動作させる方法であって、画像化に適した第1のエネルギー範囲で第1のX線光子を生成することと、第1のX線光子を画像化用に指定された領域に投影することと、第1のX線源が角度経路を横断するように、第1のX線源を回転させることと、角度経路に沿った画像収集角度のセットで、画像化用に指定された領域を通る第1のX線光子の透過に関する第1のデータを収集することと、角度経路に沿った背景収集角度のセットで背景データを収集することであって、システムが、背景角度間の画像化のための指定された領域の2つ以上の画像を取得する、収集することと、背景データを用いて、第1のデータのエラーを除去することと、第1のデータのエラーの除去に基づいて、補正画像を生成することと、を含む、方法。
【0018】
変形形態は、第1のX線源であって、画像化に適した第1のエネルギー範囲で第1のX線光子を生成することと、第1のX線光子を画像化用に指定された領域に投影することと、を行うように構成された第1のX線源と、第1のX線源が角度経路を横断するように、第1のX線源を回転させるように構成された回転可能ガントリと、データプロセッサであって、角度経路に沿った画像収集角度のセットで、画像化用に指定された領域を通る第1のX線光子の透過に関する第1のデータを収集することと、角度経路に沿った背景収集角度で背景データを収集することと、背景データを用いて、第1のデータのエラーを除去することと、第1のデータのエラーの除去に基づいて、補正画像を生成することと、を行うように構成された解析部分を有する、データプロセッサと、を備える、画像化システムを含む。
【0019】
1つの実施形態に関して説明及び/または図示される特徴は、1つ以上の他の実施形態において同じように、または同様に、及び/または他の実施形態の特徴と組み合わせて、またはその特徴の代わりに、使用され得る。
【0020】
本発明の説明は、特許請求の範囲で使用されている語句を多少なりとも限定するものではなく、あるいは特許請求の範囲または本発明の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲で使用されている語句は、その全ての通常の意味を有する。
【0021】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面には、本発明の実施形態が図示されており、これらは、上記で与えられた本発明の一般的な説明、及び以下に与えられる詳細な説明と共に、本発明の実施形態を例示するのに役立つ。図に図示される要素境界(例えば、箱、箱のグループ、または他の形状)は、境界の一実施形態を表すことが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、1つの要素が複数の要素として設計されてもよく、または複数の要素が1つの要素として設計されてもよい。いくつかの実施形態では、別の要素の内部構成要素として示される要素が、外部構成要素として実装されてもよく、その逆も同様である。さらに、要素は縮尺どおりに描かれていない場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】開示された技術の一態様による例示的なマルチモーダル放射線療法装置の斜視図である。
【
図2A】開示された技術の一態様による例示的なマルチモーダル放射線療法装置の概略図である。
【
図2B】ガントリ12内の線源30用の回転経路202及び検出器34用の回転経路204を示す。
【
図2C】後続の画像に対して帯電またはゴースト発生効果を引き起こすエネルギー集中領域206で撮影された画像を示す。
【
図2D】エネルギー集中領域206を示す
図2Cの画像の強度プロファイルである。
【
図2E】
図2Cの高エネルギー領域206によって引き起こされる残留またはゴースト発生効果208を有する
図2Cの画像に続いて撮影された画像である。
【
図2F】残留またはゴースト発生効果208を示す、
図2Eの画像のプロファイルである。
【
図3A】背景Bまたは画像データIを測定することができる回転経路202の個々の角度部分を示す。
【
図3B】互い違いの背景B測定を有する2つの異なる連続する回転350及び360に対する経路202を示す。
【
図4A】本開示に従って実施され得る方法400を示すフローチャートである。
【
図4B】方法400のステップ440の詳細である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下には、本開示全体を通じて使用され得る例示的な用語の定義が含まれる。全ての用語の単数形及び複数形の両方が、各意味に含まれる。
【0024】
本明細書で使用される「構成要素」は、ハードウェアの一部、ソフトウェアの一部、またはそれらの組み合わせとして定義することができる。ハードウェアの一部は、少なくともプロセッサとメモリの一部とを含むことができ、メモリは、実行する命令を含む。構成要素は、装置に関連付けられ得る。
【0025】
本明細書で使用される「回路」と同義の「論理」には、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア及び/または関数(複数可)またはアクション(複数可)を実行するそれぞれの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。例えば、所望の用途またはニーズに基づいて、論理は、ソフトウェア制御マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)等のディスクリート論理、または他のプログラムされた論理デバイス及び/またはコントローラを含むことができる。論理は、ソフトウェアとして完全に具現化されてもよい。
【0026】
本明細書で使用される「プロセッサ」には、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、中央処理装置(CPU)、及びデジタル信号プロセッサ(DSP)等の実質的に任意の数のプロセッサシステムまたはスタンドアロンプロセッサの1つ以上が任意の組み合わせで含まれるが、これらに限定されない。プロセッサは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラム可能読み出し専用メモリ(PROM)、消去可能なプログラム可能読み出し専用メモリ(EPROM)、クロック、デコーダ、メモリコントローラ、または割り込みコントローラ等、プロセッサの動作をサポートする様々な他の回路に関連付けられ得る。これらのサポート回路は、プロセッサまたはそれに関連する電子パッケージの内部または外部に設けられ得る。サポート回路は、プロセッサと作動的に通信する。サポート回路は、ブロック図または他の図面においてプロセッサから分離して示されるとは限らない。
【0027】
本明細書で使用される「信号」には、アナログまたはデジタル信号、1つ以上のコンピュータ命令、ビットまたはビットストリーム等を含む、1つ以上の電気信号が含まれるが、これらに限定されない。
【0028】
「ソフトウェア」には、本明細書で使用される場合、コンピュータ、プロセッサ、論理、及び/または他の電子デバイスに関数、アクションを行わせ、及び/または所望の方法で挙動させる1つ以上のコンピュータ可読及び/または実行可能命令が含まれるが、これらに限定されない。命令は、動的にリンクされたソースまたはライブラリからの別々のアプリケーションまたはコードを含むルーチン、アルゴリズム、モジュール、またはプログラム等の様々な形態で具現化することができる。
【0029】
上記の例示的な定義が提供されているが、本明細書と一致する最も広い合理的な解釈が、これらの用語及び他の用語に使用されることが出願人の意図である。
【0030】
以下でより詳細に説明するように、開示される技術の実施形態は、マルチモーダル画像化/放射線療法デバイス及び方法に関する。いくつかの実施形態では、放射線療法送達デバイス及び方法は、IGRTと併せて、またはその一部として、画像化のための統合低エネルギー放射線源と、治療及び/または画像化のための高エネルギー放射線源とを利用し得る。特に、例えば、放射線療法送達デバイス及び方法は、回転(例えば、スリップリングを使って連続的に回転する能力を伴うまたは伴わない、らせん状またはステップアンドシュート式の回転)画像取得を使用して、ガントリ内で画像化するための低エネルギーのコリメートされた放射線源を、画像化及び/または治療処置のための高エネルギー放射線源と組み合わせることができる。
【0031】
keV放射線源及びMeV放射線源から、相補的な情報及び利点が十分に引き出され得る。例えば、軟組織の固有のコントラストは、低いエネルギーでより高くなり得るが、高いエネルギーでは、広いまたは高密度の構造を通る一次光子が飢餓状態になることはない。より高品質の画像を生成するために、keV及びMeVの画像化データを使用して、相互に補完することができる。高品質の体積画像化は、標的及びリスク臓器(OARS)の可視化、適応療法モニタリング、及び治療計画/再計画のために必要とされ得る。いくつかの実施形態では、マルチモーダルシステムは、位置決め、運動追跡、及び/または特徴付けまたは補正機能に使用することもできる。
【0032】
本画像取得方法論は、例えば、連続スキャン(例えば、ガントリボアを通る患者支持部の長手方向への移動に加えて、中心軸の周りのヘリカル線源軌道を伴う)、患者支持部の長手方向へのインクリメンタルな移動を伴う非連続的な円形のストップアンドリバース方式スキャン、ステップアンドシュート方式の円形スキャン等であり得る、複数回転スキャンを含むか、または別様にそれを使用することができる。
【0033】
様々な実施形態によれば、マルチモーダル装置は、例えば、ビームを制限するために、ビーム形成器(コリメータを含んでもよい)を使用して、例えば、コーンビームまたはファンビームを含むものに放射線源をコリメートする。一実施形態では、コリメートされたビームは、患者が移動する間に連続的に回転するガントリと組み合わされることができ、結果としてヘリカル画像取得をもたらす。
【0034】
いくつかの実施形態では、高品質体積画像を完了するためのスキャン回転の増加に関連する時間は、放射線療法送達プラットフォーム上にCT品質画像化を提供するために、高いガントリ速度(rate)/速度(speed)(例えば、例えば、毎分回転数(rpm)で10まで、20(rpm)まで、60(rpm)まで、またはそれ以上のrpmを含む高速スリップリング回転を使用する)、高いフレーム速度、及び/またはスパースデータ再構成技法によって軽減され得る。検出器(様々な行/スライスサイズ、構成、ダイナミックレンジ等を有する)、スキャンピッチ、及び/または動的コリメーションは、検出器の一部を選択的に露光し、アクティブ読み出し領域を選択的に画定することを含む、様々な実施形態における追加の特徴である。
【0035】
マルチモーダル装置及び方法は、関連する放射線検出器(例えば、X線放射線源から放射線を受け取るように配置された放射線検出器)の活性領域全体よりも少ない領域を露光するように放射線ビーム形状を調整することを含む、放射線源によって放出された放射線ビームの選択的及び可変コリメーションを提供することができる。また、検出器の一次領域のみを直接放射線に露光することにより、検出器の影になった領域が散乱のみを受け取ることができる。いくつかの実施形態では、検出器の影領域における散乱測定値(及びいくつかの実施形態では半影領域における測定値)を使用して、投影データを受け取る検出器の一次領域における散乱を推定することができる。
【0036】
マルチモーダル装置及び方法は、読み出し速度を改善するために、検出器の読み出し範囲を調整して検出器の活性領域を制限することを含む、選択的かつ可変の検出器読み出し領域及び範囲を提供することができる。例えば、利用可能な影領域データ未満のデータが読み取られ、散乱推定に使用されてもよい。選択的な読み出しとビーム形成との組み合わせは、散乱適合技法の様々な最適化を可能にする。
【0037】
開示された実施形態を実施し得る装置のいくつかの例示的な態様が、以下に続く。実施形態は、本明細書に開示される特定のハードウェア及び装置に限定されないことを理解されたい。例えば、本明細書に開示される方法及びアルゴリズムのいずれかは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2019年11月25日に出願された米国特許出願第16/694,148号に開示される装置によって実施され得る。
【0038】
図1及び
図2Aを参照すると、マルチモーダル装置10が示されている。マルチモーダル装置10は、例えば、IGRT送達システム(例えば、
図3Aに示され、以下で詳細に論じられるIGRT送達システム104)として、IGRTを含むが、IGRTに限定されない、様々な用途に使用することができる(
図2Aに示されるような)放射線療法デバイスに関連付けられ、及び/または一体化されてもよいことが理解されるであろう。マルチモーダル装置10は、支持ユニットまたはハウジング14によって支持されるか、または別の方法でこれらに収容される、ガントリ12と呼ばれる回転可能ガントリシステムを含む。本明細書では、ガントリは、1つ以上の放射線源及び/または関連する検出器が標的の周りを回転するときに、それらを支持することができる1つ以上のガントリ(例えば、リングまたはCアーム)を備えるガントリシステムを指す。例えば、一実施形態では、第1の放射線源及びその関連する検出器は、ガントリシステムの第1のガントリに取り付けられてもよく、第2の放射線源及びその関連する検出器は、ガントリシステムの第2のガントリに取り付けられてもよい。別の実施形態では、2つ以上の放射線源及び関連する検出器(複数可)が、例えば、ガントリシステムが1つのガントリのみから構成される場合を含めて、ガントリシステムの同じガントリに取り付けられてもよい。ガントリ、放射線源、及び放射線検出器の様々な組み合わせは、同じ装置内の同じ体積を画像化及び/または治療するために、様々なガントリシステム構成に組み合わされてもよい。例えば、keV及びMeV放射線源を、ガントリシステムの同じまたは異なるガントリに取り付けることができ、IGRTシステムの一部として画像化及び/または治療に選択的に使用することができる。異なるガントリに取り付けられた場合、放射線源は、独立して回転することができるが、依然として同じ(またはほぼ同じ)体積を同時に画像化することができる。回転可能リングガントリ12は、上述のように、10rpm以上の能力を有し得る。回転可能ガントリ12は、ガントリボア16を画定し、画像化及び/または治療のために、このボアを通して患者を移動させ、位置決めすることができる。一実施形態によれば、回転可能ガントリ12は、検出器(複数可)によって受信される高品質の画像化データに対して十分な帯域幅を提供しながら、放射線源及び関連する放射線検出器(複数可)の連続回転を提供するスリップリング式ガントリとして構成される。スリップリング式ガントリは、装置に関連する電力及び信号を搬送するケーブルの巻き取り及び巻き戻しをするために、交互の方向におけるガントリ回転を無くすことができる。このような構成は、IGRTシステムに組み込まれた場合でも、CBCTを含む連続ヘリカルコンピュータ断層撮影を可能にする。上述のように、単一回転CBCTを用いた主な問題は、中央スライス(回転を含むスライス)を除く全てのスライスでサンプリングが不十分なことである。これは、ヘリカル軌道コーンビーム画像化によって克服できる。
【0039】
患者支持部18は、回転可能ガントリ12に隣接して配置され、回転可能ガントリ12への長手方向の移動及び回転可能ガントリ12内での長手方向の移動のために、典型的には水平位で患者を支持するように構成される。患者支持部18は、患者を、例えば、ガントリ12の回転面に垂直な方向に(ガントリ12の回転軸に沿ってまたは平行に)移動させることができる。患者支持部18は、患者及び患者支持部18の移動を制御するために、患者支持部コントローラに動作可能に結合され得る。患者支持部コントローラは、回転可能ガントリ12と、回転ガントリに取り付けられて、命令された画像化及び/または治療計画に従って患者の長手方向軸の周りを回転する放射線源と同期させることができる。患者支持部がボア16内に入れられると、患者支持部を上下、左右の限られた範囲で移動させて、最適な治療のため患者体位を調整することもできる。軸x、y、及びz(ガントリ12の正面から見て、x-軸は水平であり、右を指し、y-軸はガントリ平面を指し、z-軸は垂直であり、上部を指す)が示されている。x-軸、y-軸、及びz-軸は右手の法則に従う。
【0040】
図2Aに示すように、マルチモーダル装置10は、回転ガントリ12に結合されるか、または別の方法で回転可能ガントリ12によって支持された低エネルギー放射線源(例えば、keV)30を含む。この実施形態では、低エネルギー放射線源30は、画像化用放射線源であり、高品質画像を生成するための放射線ビーム(概して32として示される)を放出する。この実施形態では、画像化用放射線源は、キロ電圧(keV)線源(例えば、約20keV~約150keVの範囲の電圧を有する臨床X線源)として構成されたX線源30である。一実施形態では、放射線のkeV線源は、150keVまでのキロ電子ボルトピーク光子エネルギー(keV)を含む。画像化用放射線源は、画像化に適した任意のタイプの透過線源であり得る。例えば、画像化用放射線源は、例えば、X線発生源(CT用を含む)または十分なエネルギー及びフラックスを有する光子を生成する任意の他の方法(例えば、ガンマ線源(例えば、コバルト-57、122keVのエネルギーピーク)、X線蛍光源(Pb k線、約70keV及び約82keVの2つのピークを通る蛍光源等)等)とすることができる。本明細書におけるX線、X線画像化、X線画像化源等への言及は、特定の実施形態についての例示的なものである。他の画像化透過用線源は、様々な他の実施形態において交換可能に使用され得る。X線検出器34(例えば、2次元平面検出器または湾曲検出器)は、回転可能ガントリ12に結合されるか、または別の方法で回転可能ガントリ12によって支持されることができる。X線検出器34は、X線源30からの放射線を受け取るように配置され、X線源30と共に回転することができる。
【0041】
X線検出器34は、開示された技術の範囲から逸脱することなく、多くの構成を取り得ることが理解されよう。
図2Aに示すように、X線検出器34は、フラットパネル検出器(例えば、多列フラットパネル検出器)として構成することができる。別の例示的な実施形態によれば、X線検出器34は、湾曲検出器として構成され得る。検出器34は、減衰されない放射線の量を検出すること、または別の方法で測定することができ、したがって(最初に生成されたものとの比較によって)患者または関連する患者ROIによって実際に減衰されたものを推測することができる。検出器34は、低エネルギー放射線源30が患者の周りを回転し、患者に向けて放射線を放出する際に、異なる角度からの減衰データを検出すること、または別の方法で収集することができる。
【0042】
図1及び
図2は、放射線源30がリングガントリ12に取り付けられたマルチモーダル装置10を示しているが、他の実施形態は、例えば、Cアームガントリ及びロボットアームベースのシステムを含む他のタイプの回転可能な画像化装置を含むことができる。ガントリベースのシステムでは、ガントリは、アイソセンタを通過する軸の周りに画像化用放射線源30を回転させる。ガントリベースのシステムは、Cアームガントリを含み、このガントリでは、画像化用放射線源30が、カンチレバー状の様式で、アイソセンタを通過する軸の上に取り付けられ、その軸の周りを回転する。ガントリベースのシステムは、患者の体がリング/トロイドのボアを通って延びる概してトロイダル形状のリングガントリ、例えば回転可能ガントリ12をさらに含み、画像化用放射線源30が、リングの周囲に取り付けられ、アイソセンタを通る軸の周りを回転する。いくつかの実施形態では、ガントリ12は連続的に回転する。他の実施形態では、ガントリ12は、回転及び反転を繰り返すケーブルベースのシステムを利用する。
【0043】
X線源30によって放出される放射線ビーム32の形状を選択的に制御し調整して、X線検出器34の活性領域の一部または領域を選択的に露光させるために、コリメータまたはビーム成形器アセンブリ(概して36として示す)がX線源30に対して位置決めされる。ビーム成形器は、放射線ビーム32がX線検出器34上に配置される方法を制御することもできる。一実施形態では、ビーム成形器36は、(例えば、より薄いまたはより厚いスリットを作るために)1つの度/次元の動きを有し得る。別の実施形態では、ビーム成形器36は、(例えば、様々なサイズの矩形を作るために)2つの度/次元の動きを有することができる。他の実施形態では、ビーム成形器36は、例えば平行四辺形を含む様々な他の動的に制御される形状にすることが可能であり得る。これらの形状の全ては、スキャン中に動的に調整され得る。いくつかの実施形態では、ビーム成形器の遮蔽部分が、回転及び/または平行移動され得る。
【0044】
ビーム成形器36は、X線源30によって放出される放射線ビーム32の形状を、限定されるものではないが、1つの検出器列幅と同じくらい小さいビーム厚さ(幅)を有するファンビームまたはコーンビームを含む、あるいは検出器の活性領域の一部のみとすることができる複数の検出器列を含む、いくつかのジオメトリで動的に調整するように制御することができる。様々な実施形態において、ビームの厚さは、数センチメートルの大きな検出器活性領域を露光し得る。例えば、5~6センチメートルの検出器の3~4センチメートル(検出器面内の長手方向で測定される)を、画像化放射線32に選択的に露光させることができる。この実施形態では、各読み出しで3~4センチメートルの投影画像データを取り込むことができ、片側または両側に約1~2センチメートルの未露光検出器領域があり、これを、後述するように、散乱データを取り込むために使用することができる。
【0045】
他の実施形態では、活性検出器の一部のいくらかが、画像化用放射線に選択的に露光され得る。例えば、いくつかの実施形態では、ビームの厚さは、約2センチメートル、1センチメートル、1センチメートル未満、またはより小さい検出器を含む同様のサイズの範囲まで低減され得る。他の実施形態では、ビームの厚さは、約4センチメートル、5センチメートル、5センチメートルより大きい、またはより大きい検出器を含む同様のサイズの範囲まで増加され得る。様々な実施形態において、露光した検出器面積とアクティブな検出器面積との比は、30~90%または50~75%であり得る。他の実施形態では、露光した検出器面積とアクティブな検出器面積との比は60~70%であり得る。しかしながら、他の実施形態では、様々な他の露光及び活性領域のサイズ、または露光される検出器面積と活性検出器面積との比が好適にされ得る。ビーム及び検出器は、検出器の影になった領域(アクティブであるが直接放射線に露光されない)が半影領域を超えて散乱データを捕捉するのに十分であるように構成することができる。
【0046】
様々な実施形態は、測定されたデータが一次(露光)領域及び影領域に対して十分であるが、速度及び放射線量制御に対しても最適化されるように、検出器の選択的露光を制御する特徴(例えば、ビームサイズ、ビーム/開口中心、コリメーション、ピッチ、検出器読み出し範囲、検出器読み出し中心等)の最適化を含み得る。ビーム成形器36の形状/位置及び検出器34の読み出し範囲は、X線源30からの放射線ビーム32が、例えば、狭い及び広いFOVスキャンの組み合わせを含む、実行されている特定の画像化タスク及び散乱推定プロセスに基づいて、X線検出器34の多くの部分またはわずかな部分をカバーするように制御することができる。装置10は、単一回転コーンビーム画像、ならびにヘリカルまたはその他の広ビーム角及び狭ビーム角のコーンビーム画像の両方を取得する能力を有する。
【0047】
ビーム成形器36は、X線源30によって放出される放射線ビーム32の形状を調整することを可能にする様々な方法で構成することができる。例えば、ビーム成形器36は、X線源30からの放射線ビームがコリメートされるようにして通過し得る開口のサイズを画定して選択的に調整する一組のジョーまたは他の好適な部材を含むように構成され得る。1つの例示的な構成によれば、ビーム成形器36は、上側ジョー及び下側ジョーを含むことができ、上側ジョー及び下側ジョーは、X線源30からの放射線ビームが通過する開口のサイズを調整するために、しかも画像化すべき患者の部分のみを照射して画像化を最適化しかつ患者線量を最小化するように患者に対するビーム32の位置を調整するために、異なる方向(例えば、平行な方向)に移動可能である。
【0048】
一実施形態によれば、X線源30からの放射線ビーム32の形状は、画像取得中に変更することができる。言い換えれば、1つの例示的な実施態様によれば、ビーム成形器36のリーフ位置及び/または開口幅は、スキャン前またはスキャン中に調整することができる。例えば、一実施形態によれば、ビーム成形器36は、X線源30の回転中に、放射線ビーム32が十分な主/影領域を有する形状を有し、画像化中に目的の対象(例えば、前立腺)のみを含むように調整されるように、選択的に制御され、動的に調整されてもよい。X線源30によって放出される放射線ビーム32の形状は、スキャン中またはスキャン後に、所望の画像取得に応じて変更することができ、これは、以下でより詳細に論じるように、画像化及び/または治療フィードバックに基づくことができる。
【0049】
図2Aに示すように、マルチモーダル装置10は、回転可能ガントリ12に結合された、または別の方法で回転可能ガントリ12によって支持された、高エネルギー放射線源(例えば、MeV)20を含む放射線療法デバイスと一体化することができる。一実施形態によれば、高エネルギー放射線源20は、関心領域の患者内の腫瘍の治療に使用される高エネルギー放射線源等、治療用放射線源として構成される。他の実施形態では、高エネルギー放射線源20は、画像化用放射線源としても構成され、または少なくともそのようなものとして利用される。治療用放射線源は、高エネルギーX線ビーム(例えば、MeVX線ビーム)、及び/または高エネルギー粒子ビーム(例えば、電子ビーム、陽子ビーム、または炭素等のより重いイオンのビーム)または別の好適な形態の高エネルギー放射線であり得ることが理解されよう。一実施形態では、高エネルギー放射線源20は、1MeV以上のメガ電子ボルトのピーク光子エネルギー(MeV)を含む。一実施形態では、高エネルギーX線ビームは、0.8MeVより大きい平均エネルギーを有する。別の実施形態では、高エネルギーX線ビームは、0.2MeVより大きい平均エネルギーを有する。別の実施形態では、高エネルギーX線ビームは、150keVより大きい平均エネルギーを有する。一般に、高エネルギー放射線源20は、低エネルギー放射線源30よりも高いエネルギーレベル(ピーク及び/または平均等)を有する。
【0050】
一実施形態では、高エネルギー放射線源20は、治療用放射線(例えば、MeV)を生成するLINACであり、画像化システムは、比較的低い強度及びより低いエネルギーの画像化用放射線(例えば、keV)を生成する独立した低エネルギー放射線源30を備える。他の実施形態では、治療用放射線源20は、例えばCo-60等の放射性同位元素とすることができ、これは一般に1MeVより大きいエネルギーを有することができる。高エネルギー放射線源20は、治療計画に従って、患者支持部18上に支持された患者内の関心領域(ROI)に向けて1つ以上の放射線ビーム(概して22で示す)を放射することができる。
【0051】
様々な実施形態において、高エネルギー放射線源20は、治療用放射線源及び画像化用放射線源として利用される。以下に詳細に説明するように、放射線源20、30は、より高品質でより良好に利用される画像を提供するために、互いに連動して使用され得る。治療用放射線源20への言及は、高エネルギー放射線源20を、画像化のためにのみ使用され得る低エネルギー放射線源30と区別するためである。しかしながら、治療用放射線源20への言及は、治療用放射線源20(高エネルギー放射線源)が治療及び/または画像化のために利用され得る実施形態を含む。他の実施形態では、少なくとも1つの追加の放射線源を回転可能ガントリ12に結合し、放射線源20、30のピーク光子エネルギーとは異なるピーク光子エネルギーで投影データを取得するように動作させることができる。
【0052】
検出器24は、回転可能ガントリ12に結合されるか、または別の方法で回転可能ガントリ12によって支持され、治療用放射線源20から放射線22を受け取るように配置され得る。検出器24は、減衰されない放射線の量を検出すること、または別の方法で測定することができ、したがって(最初に生成されたものとの比較によって)患者または関連する患者ROIによって実際に減衰されたものを推測することができる。検出器24は、治療用放射線源20が患者の周りを回転し、患者に向けて放射線を放出する際に、異なる角度からの減衰データを検出すること、または別の方法で収集することができる。
【0053】
治療用放射線源20は、ビーム成形器またはコリメータを含み得るか、または他の方法で関連付けられ得ることもさらに理解されよう。治療用放射線源20に関連付けられるビーム成形器は、画像化源30に関連付けられるビーム成形器36と同様に、いくつかの方法で構成することができる。例えば、ビーム成形器は、最小開放位置または閉鎖位置と最大開放位置との間で1つ以上の位置に移動するように動作可能な複数の組み合わせたリーフを含むことができるマルチリーフコリメータ(MLC)として構成することができる。放射線源によって放射される放射線ビームの所望の形状を得るために、所望の位置にリーフを移動させることができることが理解されよう。一実施形態では、MLCは、サブミリメートルのターゲティング精度が可能である。
【0054】
治療用放射線源20は、画像化源30と同じ平面または異なる平面(オフセット)に取り付けられ、構成され、及び/または移動され得る。いくつかの実施形態では、放射線源20、30の同時活性化によって引き起こされる散乱は、放射面をオフセットすることによってインクリメンタルに低減され得る。他の実施形態では、散乱は、交互に活性化させることによって回避され得る。例えば、同時マルチモーダル画像化では、取得は、同時に個々のパルスを取得しないで、並行して行われ得る。別の実施形態では、例えば、keV検出器上のMeV散乱の問題に対処するために、影に基づく散乱補正の使用を使用することができる。
【0055】
放射線療法デバイスと統合される場合、マルチモーダル装置10は、放射線送達処置(治療)のセットアップ(例えば、位置合わせ及び/または見当合わせ)、計画、及び/または誘導を行うために使用される画像を提供することができる。典型的なセットアップは、現在の(治療中の)画像を治療前画像情報と比較することによって達成される。治療前画像情報には、例えば、CTデータ、コーンビームCTデータ、MRIデータ、PETデータまたは3D回転アンギオグラフィ(3DRA)データ、及び/またはこれらのまたは他の画像化モダリティから得られる任意の情報が含まれ得る。いくつかの実施形態では、マルチモーダル装置10は、治療中の患者、標的、またはROIの動きを追跡することができる。
【0056】
再構成プロセッサ40は、検出器24及び/または検出器34に動作可能に結合され得る。一実施形態では、再構成プロセッサ40は、放射線源20、30から検出器24、34によって受け取られた放射線に基づいて患者画像を生成するように構成される。再構成プロセッサ40は、以下でより完全に説明される方法を実行するために使用されるように構成され得ることが理解されよう。装置10は、処理及び再構成のアルゴリズム及びソフトウェア、画像化パラメータ、前のまたは他の方法で以前に取得された画像(例えば、計画画像)からの画像データ、治療計画等を含むが、これらに限定されない情報を記憶するのに適したメモリ44を含むこともできる。
【0057】
マルチモーダル装置10は、オペレータ/ユーザインタフェース48を含むことができ、装置10のオペレータは、スキャンまたは画像化パラメータ等に関する入力を提供するために、装置10と相互作用するか、または他の方法で装置10を制御することができる。オペレータインタフェース48は、キーボード、マウス、音声起動コントローラ等の任意の適切な入力デバイスを含むことができる。装置10は、装置10のオペレータに出力を提供するためにディスプレイ52または他の人間が読み取り可能な要素を含むこともできる。例えば、ディスプレイ52は、オペレータが、再構成された患者画像と、装置10の動作に関連する画像化またはスキャンパラメータ等の他の情報とを確認することを可能にすることができる。
【0058】
図2Aに示すように、マルチモーダル装置10は、装置10の1つ以上の構成要素に動作可能に結合されたコントローラ(概して60として示す)を含む。制御装置60は、X線源30及び/または治療用放射線源20、ならびに回転可能ガントリ12の回転速度及び位置を制御するガントリモータコントローラに電力及びタイミング信号を供給することを含む、装置10の全体的な機能及び動作を制御する。コントローラ60は、以下の、患者支持コントローラ、ガントリコントローラ、治療用放射線源20及び/またはX線源30に結合されたコントローラ、ビーム成形器コントローラ、検出器24及び/またはX線検出器34に結合されたコントローラ等のうちの1つ以上を含むことができることが理解されよう。一実施形態では、コントローラ60は、他の構成要素、デバイス、及び/またはコントローラを制御することができるシステムコントローラである。
【0059】
様々な実施形態において、再構成プロセッサ40、オペレータインタフェース48、ディスプレイ52、コントローラ60及び/または他の構成要素は、1つ以上の構成要素またはデバイスに組み合わされてもよい。
【0060】
装置10は、様々な構成要素、論理、及びソフトウェアを含むことができる。一実施形態では、コントローラ60は、プロセッサ、メモリ、及びソフトウェアを含む。限定ではなく例として、マルチモーダル装置及び/または放射線療法システムは、特定の用途のための画像化及び/またはIGRTに関連する1つ以上のルーチンまたはステップを実施することができる様々な他のデバイス及び構成要素(例えば、ガントリ、放射線源、コリメータ、検出器、コントローラ、電源、患者支持部等)を含むことができ、ルーチンには、それぞれのデバイス設定、構成、及び/または位置(例えば、経路/軌道)を含む、画像化、画像ベースの事前送達ステップ、及び/または治療送達が含まれ得、これらはメモリに記憶され得る。さらに、コントローラ(複数可)は、メモリに記憶された1つ以上のルーチンまたはプロセスに従って、1つ以上のデバイス及び/または構成要素を直接的または間接的に制御することができる。直接制御の例は、画像化または治療に関連する様々な放射線源またはコリメータパラメータ(動力、速度、位置、タイミング、変調等)の設定である。間接制御の例は、患者支持コントローラまたは他の周辺デバイスへの位置、経路、速度等の通信である。装置に関連付けられ得る様々なコントローラの階層は、適切なコマンド及び/または情報を所望のデバイス及び構成要素に通信するために、任意の適切な方法で配列され得る。
【0061】
さらに、当業者は、本システム及び方法が他のコンピュータシステム構成で実施できることを理解するであろう。本発明の図示された態様は、通信ネットワークを介してリンクされたローカルまたはリモートの処理デバイスによって特定のタスクが実行される分散コンピューティング環境で実施され得る。例えば、一実施形態では、再構成プロセッサ40は、別個のシステムに関連付けられ得る。分散コンピューティング環境では、プログラムモジュールは、ローカル及びリモートの両方のメモリ記憶デバイスに置かれている場合がある。例えば、リモートデータベース、ローカルデータベース、クラウドコンピューティングプラットフォーム、クラウドデータベース、またはそれらの組み合わせを装置10と共に利用することができる。
【0062】
マルチモーダル装置10は、コンピュータを含む本発明の様々な態様を実施するための例示的な環境を利用することができ、コンピュータは、コントローラ60(例えば、プロセッサと、メモリ44であってもよいメモリとを含む)と、システムバスとを含む。システムバスは、メモリを含むがこれに限定されないシステム構成要素をプロセッサに結合することができ、他のシステム、コントローラ、構成要素、デバイス、及びプロセッサと通信することができる。メモリは、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードドライブ、フラッシュドライブ、及び他の任意の形態のコンピュータ可読媒体を含み得る。メモリは、例えば、治療計画を含み得るルーチン及びパラメータを含む様々なソフトウェア及びデータを記憶することができる。
【0063】
治療用放射線源20及び/またはX線源30は、治療用放射線源20及びX線源30の相対的な動作を制御するように構成されたコントローラ60に動作可能に結合することができる。例えば、X線源30は、治療用放射線源20と同時に制御され、動作させることができる。加えて、または代替的に、X線源30は、実施される特定の治療及び/または画像化計画に応じて、治療用放射線源20と共に連続的に制御され、動作させることができる。例えば、様々な実施形態において、放射線源20、30は、放射線源20、30からの測定された投影データが、同時に(または本質的に/ほぼ(準)同時に、例えば、互いに約50ミリ秒以内で)、または連続的に(例えば、秒、分等によって分離されて)取得されるように動作され得る。
【0064】
放射線源20、30及び検出器(複数可)24、34は、いくつかの方法で画像化及び/または治療スキャン中に患者の周りに回転を提供するように構成され得ることが理解されよう。一実施形態では、線源20、30の動き及び露光を患者支持部18の長手方向の動きと同期させることにより、処置中に患者画像の連続的なヘリカル取得またはスキャンを提供することができる。放射線源20、30及び検出器(複数可)24、34の連続回転(例えば、一定の患者の運動速度に対するガントリの連続及び一定の回転)に加えて、開示された技術の範囲から逸脱することなく、他の変形形態を採用することができることが理解されよう。例えば、回転可能ガントリ12及び患者支持部は、支持部が回転可能ガントリ12に対して(一定のまたは可変の速度で)移動されるように制御される際に、ガントリ12が患者支持部上に支持された患者の周りを(上述のように、連続的に回転するのとは対照的に)「往復」方式で回転する(例えば、時計回り及び反時計回りを交互に行う)ように制御することができる。別の実施形態では、連続的なステップアンドシュート方式の円形スキャンを用いて、患者支持部18の長手方向の移動(ステップ)が、所望の体積が捕捉されるまで、回転可能ガントリ12によるスキャン回転(シュート)と交互に行われる。マルチモーダル装置10は、体積ベース及び平面ベースの画像化取得が可能である。例えば、様々な実施形態において、マルチモーダル装置10は、体積画像及び/または平面画像を取得し、以下に説明される散乱推定/補正法を含む関連処理を実行するために使用され得る。
【0065】
放射線源及び患者の相対運動を達成して投影データを生成するために、様々な他のタイプの放射線源及び/または患者支持部の動きを利用してもよい。放射線源及び/または患者支持部の非連続運動、連続的であるが可変/非一定の(線形及び非線形を含む)移動、速度、及び/または軌道等、ならびにそれらの組み合わせが、上記の装置10の様々な実施形態との組み合わせを含めて、使用され得る。
【0066】
一実施形態では、ガントリ12の回転速度、患者支持部18の速度、ビーム成形器形状、及び/または検出器読み出し値は、画像取得中に全て一定とすることができる。他の実施形態では、これらの変数の1つ以上は、画像取得中及び/または治療中に動的に変化し得る。ガントリ12の回転速度、患者支持部18の速度、ビーム成形器形状、及び/または検出器の読み出し値は、例えば、画質、画像取得時間、線量、ワークフロー等を含む異なる要因のバランスを取るために変更することができる。
【0067】
他の実施形態では、これらの特徴は、例えば、患者セットアップ、適応療法モニタリング、治療計画等を含む、1つ以上の他の画像ベースの活動または処置と組み合わせることができる。
【0068】
残像、ラグ、及びゴースト発生
装置10及び他のCTスキャンデバイスなどの装置は、典型的には、フラットパネルを含む検出器34のような検出器を使用する。これは、
図2Bに示す構成である。
【0069】
画像データ取得中、ガントリ12が回転するにつれて、線源(例えば、線源30)及び検出器(例えば、34)の両方が、角度経路に沿って移動する。
図2Bは、線源36に対する角度経路202と、対応する検出器34に対する角度経路204とを示す。線源36及び検出器34は、同期して、それぞれの経路に沿って移動することができる。データは、角度経路に沿った様々な位置、例えば、位置204a~204dで収集される。
【0070】
各位置204a~204dにおいて、検出器は、適切なタイプのデータを収集する期間を費やすことになる。データタイプは、画像データIであり得、これは、X線源36から目的の対象(図示せず)を通るX線の横断に関するデータである。画像データIは、患者に関する診断データである傾向がある。しかしながら、本開示の文脈において、他のデータが取得されてもよい。画像データIは、断層撮影法を用いて患者の3D表現を形成するように再構成することができる。画像Iのデータを検出するためには、線源36に電源を入れてX線を放出しなければならない。あるいは、データタイプは、背景Bデータであってもよい。背景Bデータは、線源36が電源を切られたときに検出器34が検出するデータである。背景Bデータ源は、以下でより詳細に説明するように、検出器へのX線の残留効果であり得る。
【0071】
多くの理由から、フラットパネル検出器(例えば、検出器36)は、検出器とのX線相互作用によって生じる電荷をトラップすることができる材料を使用して作られる傾向がある。そのような材料の一例は、アモルファスシリコンである。この電荷トラップは、検出器34が角度経路204を横断する際に、ある画像Iデータ収集から次の画像Iデータ収集まで、残留または「ゴースト発生」残光効果を引き起こし得る。ゴースト発生は、画像Iデータ取得中に、前の画像Iデータ取得からの放射線の影響が継続していることに対応するスプリアス信号である。これは、画像品質を著しく低下させ、定量化を妨げる可能性がある。電荷トラップは、フラットパネル検出器及びアモルファスシリコンで作られた検出器との関連で本明細書で説明されるが、電荷トラップは一般的であり、シリコン光子乗算器(SiPM)などの他のシステムで起こり得ることを理解されたい。本明細書で適用されるゴースト発生のための方法及び解決策は、検出器タイプまたは材料に特有のものではないことを理解されたい。それらは、電荷トラップ効果を示す任意の検出器を用いて適用することができる。
【0072】
電荷トラッピングによる残留信号は、前のフレームにおける検出器露光から現在のフレームにおいて検出され得る。大きな角度範囲が短時間にわたってスキャンされる(例えば、角度経路204が数分または数秒にわたってスキャンされる)場合、その範囲の始めの角度(例えば、位置204a)におけるX線露光からのゴースト発生は、その範囲のもっと後の終端の角度(例えば、位置204d)における信号を劣化させ得る。これにより、再構成画像内にアーチファクトが導入され得る。そのようなアーチファクトの例としては、コントラスト低減、画像の不均一性、CT数バイアス(エラー)、及びスキンラインアーチファクトが含まれる。
【0073】
ゴースト発生は、MVX線源(例えば、線源20)を含むIGRTシステム(例えば、装置10)において、MVX線源がそのような高エネルギービームを生成するので、特に深刻になる可能性がある。MeVCT(MVCT)システムは、MVビームからの散乱がコーンビームコンピュータ断層撮影(CBCT)画像を汚染する相互汚染を引き起こし得る。これは、CBCT画像の品質及び定量化を劣化させる傾向がある。そのような効果は、取得されたデータを劣化させ、コリメータシャドーフィッティングを使用した散乱補正に悪影響を及ぼすことによるものを含む、様々な形でCBCT画像化に影響を与える。MeVビームを用いた放射線療法(RT)システムにおいて、keV画像化検出器がMeV散乱から十分に遮蔽されず、keV画像化時間がMeVビームオン/オフサイクルに近い場合、MeVからの散乱は、keV画像において著しいラグ及びゴースト発生を引き起こし得る。keV画像化がデータを取得している間にMeVビームをオンにすると、MeVビームからの散乱が、MeVビームがオンである間に取得されるkeV信号を直接劣化させる可能性がある。ラグ及びゴースト発生は、MeVビームがオフされた後に、より多くのkeVデータに影響を与える可能性がある。
【0074】
散乱補正のためにコリメータシャドーフィッティング手法を使用する場合、ラグ及びゴースト発生は、コリメータシャドーのデータを劣化させ得る。これは、コリメータ開口部領域における散乱の誤った適合及び誤った推定を引き起こし得る。誤った適合/推定は、CBCT画像化に対する散乱補正が不正確になる結果となり得る。
【0075】
従来のラグ補正では、現在の画像化角度に先行する角度からの画像は、検出器の測定された時間減衰応答によって重み付けされる。そして、重み付けされた画像は、現在の画像から差し引かれる。この手法における課題は、所定の時間減衰応答の測定中の条件が、高度に不均一な構造及びコントラストを有する患者研究の状況と一致しない可能性があることを含む。これらの条件は、X線のエネルギー、検出器上のX線照射の強度を含む。別の課題は、ラグ補正に使用される時間間隔が、時間減衰応答に基づいて経験的に決定されることである。大きな時間間隔は、ラグの推定及び補正の精度を低下させる可能性がある。さらに別の課題は、CBCT検出器がデータを取得している間に(例えば、RTシナリオにおいて)MeVビームがオンにされた場合に生じる。これは、MeVビームからの下方散乱を引き起こし、CBCT検出器をフラッシュし、その結果、後続の取得角度におけるデータに対して深刻なラグ効果が生じることになる。従来のラグ補正手法は、不正確になる可能性がある。
【0076】
図2C~
図2Fは、本開示の文脈におけるCBCTに対するデータ駆動散乱補正手法による例示的なラグ導入問題を示す。
図2Eは、
図2Cの画像の1.5分後に取得された対象画像を示す。
図2Dは、
図2Cの画像のプロファイルを示す。
図2Eは、
図2Dの画像のプロファイルを示す。
図2Cと
図2Dとの間で、距離軸上の座標方向が入れ替わっていることに留意されたい。また、
図2Eと
図2Fとの間で逆転されている。これが、特徴206及び208がそれぞれ
図2C及び
図2Eの上部に現れるが、
図2D及び
図2Fの左側に現れる理由である。
【0077】
より具体的には、
図2Cの画像は、比較的広い開口部を有するコリメータ(図示せず)を用いて撮影された。この広い開口部により、領域206はX線源(例えば、線源30)によって直接照射された。照射は、帯電が検出器(例えば、検出器34)で起こるほど強かった。帯電は、
図2Cと
図2Eとの間に画像ラグを生じさせる。このラグは、
図2Eが
図2Cの後に1分を超えて取得されているにもかかわらず、
図2E(プロファイル
図2F)の検出された光子強度の増加208として現れる。増加208は、領域206に直接対応する。これが、
図2Cの過度に照射された領域206の残留効果である。
図2Eは、わずかに小さいコリメータ開口部で撮影した。検出器ラグによる増加208は、コリメータシャドーフィッティング手法を用いた散乱の有意な過小推定をもたらした。
【0078】
以下に論じるように、本明細書に開示されるアルゴリズムは、とりわけ、これらの帯電効果を改善し、または排除さえもし得る。1つの方法は、線源36がオフである間に、
図2Eを得る前に、検出器への領域206内の照射の影響を測定することである。これを「背景」B画像またはデータと呼ぶ。その後、このデータを使用して、背景Bを
図2Eから差し引くか、または他の方法で除去して、ラグ効果を除去することができる。
【0079】
改善されたラグ補償
例示的な変形形態では、1つ以上の背景B画像が、X線源がオフにされている間に、ガントリ(例えば、ガントリ12)の回転の特定の角度で取得される。変形形態では、これらの背景B画像は、時間減衰応答重み付き先行画像を比較することによって、ラグ補正精度を推定するのに使用される。背景画像は、(例えば、ピクセルごとの)ラグ補正を較正するのにも使用され得る。これにより、患者研究における高度の不均一性を処理することが可能になり得る。MeV散乱を補正するために背景画像を使用することもできる。この場合、MeVビームをオフした後に背景画像を取得してもよい。後続の背景画像が取得された後、ラグ補正は、MeVビームダウン散乱をより正確に処理するように較正され得る。散乱補正は、コリメータシャドー手法を用いることによって改善できる。RTにおける他のデータ駆動散乱補正手法は、MeV下方散乱からのラグを処理するように適合され得る。本明細書に記載される変形形態は、背景Bデータの画像化を使用するCBCT画像化におけるラグ補正のための改良された技法を含む。
【0080】
画像取得中の背景測定
図3Aは、ガントリ12内の線源30用の回転経路202及び検出器34用の回転経路204を示す。
図3Aは、回転経路202を様々な角度スライス(例えば、角度スライス302a~302d)に分割する。本明細書において、「角度スライス」の場合のような「スライス」という用語は、経路202及び204の一方に沿った「場所」または「位置」という用語と交換可能に使用されることに留意されたい。経路に沿った特定の位置は、特定の角度スライスに対応し、その逆も同様であることを理解されたい。
【0081】
角度スライス(例えば、302a及び302b)のサイズは、単なる例示である。それらは、
図3Aに示されるよりも大きいまたは小さい経路202の部分を含み得る。一般に、検出器34及び線源30の回転速度(すなわち、線源30が経路202を横断する速度)に対するスライスサイズの相関が存在し得、これは、ガントリ12のサイズ、線源30のエネルギー、及びスキャンの目的などの他の要因にも依存し得る。任意の適切な回転速度が可能である。例示的な回転速度は、1rpm、5rpm、7rpm、及び10rpm、20rpm、及び60rpmを含む。
図3Aに示すように、角度スライスは均一である必要はない。
【0082】
図3Aの各角度スライスは、画像化データがスライスに収集される場合、「I」でラベル付けされる。背景データがスライス内に収集される場合、角度スライスは、丸で囲まれた「B」でラベル付けされる。線源30/検出器34の対が画像Iスライスに対応する位置にある間、線源30は画像化放射線を供給する。線源30/検出器34が背景Bスライスに対応する位置にあるとき、線源30はオフにされる。画像化データIを最大化するために、経路202上で可能な限り少ない背景Bスライスを有することが有利であり得る。したがって、最大補正有効性に対して背景Bスライドの位置を戦略的に決定することは重要である。
【0083】
図3Aは、画像取得における例示的な背景B位置を示す。他の位置を使用してもよい。
図3Aは、6つの背景B位置を示すが、これより多くても少なくてもよい。正確な数は、線源の回転速度、検出器の分解能、ガントリ12のサイズ及び経路202の長さ等を含むいくつかの要因に依存し得る。1つの例示的な変形形態では、29の角度スライスごとに1つの背景B測定が存在する。背景Bスキャンは、7、15、30、または50スライスごと、あるいはそれ以上のスライスごとであってもよい。一部の測定値は、「インターリーブ」された背景測定値(すなわち、経路上の1つおきの背景:I/B/I/B/I/B・・・)を有する場合がある。一般に、背景Bスライスの数は、スキャンの角度分解能に依存することになる。一変形形態では、経路204及び202上のスライスの5%を、背景Bとすることができる。別の実施形態では、背景は、経路及び/または回転の1%、2%、10%、15%、20%、またはさらに30%を占めることができる。しかしながら、画像化Iデータに当てられる経路の割合と背景Bデータとの間に逆相関が存在することを理解すべきである。したがって、背景B補正による改善された画像化と、より多くの画像Iデータの収集との間にはトレードオフがある。例えば、回転の間に生じる背景B補正が多いほど、画像化に利用可能な画像化Iデータが少なくなる。したがって、多くの場合、背景B補正スライス間の画像化Iデータを最大化することが好ましい。
【0084】
特定の例では、位置Bは、特に帯電効果及び背景効果がほぼ等方性である場合には、任意またはランダムであり得る。位置Bは、経路202の円周の周りに均等に間隔を置いて配置され得る。それらは、特定の時限事象(例えば、治療または線源20(
図2A)からの他の高エネルギーX線放射線の照射)に従って、またはそれに先行して、一致するように配置されてもよい。1つの例は、あるフレームから次のフレームへのX線照射の大きな変化が存在する背景B測定値を位置決めすることである。これは、例えば、最初のフレームがX線によって完全に照射される画像領域Aを有し、同じ領域Aが次のフレームのX線から影になる場合に生じる。フレーム間の照度におけるこの最大差により、最大の高確率でラグ効果が生じる。このラグの背景B測定は、画像Iデータに大きな影響を及ぼすようになるので、それを補正するために極めて重要である。これらの可能性は、以下でより詳細に論じられる。
【0085】
図3Bは、スキャンセット内の背景Bの角度スライス位置を互い違いにする概念を示す。これは、第1の角度スキャン350における背景B測定位置と第2の角度スキャン360における背景B測定位置との比較を示す。上述のように、データ取得は、複数のスキャン(例えば、経路204の検出器34の2つ以上のスキャン)を含むことができる。これは、例えば、結果を平均化し、精度を高めるために行われる。これらの複数のスキャンセットにおいて、1つの重要な概念は、背景Bデータ取得の位置が一貫して重複しないことを確実にすることである。この重なりは、目的の対象304の角度スライスからの画像Iデータの欠落をもたらす。この結果、最終的な断層画像にはこのデータが欠落し、したがって不完全なものとなる。
【0086】
図3Bは、この重なりを防止するために、背景B位置を互い違いにすることを示す。第1のスキャン350は、
図3Aのものと同一の背景位置Bを有する。具体的には、第1のスキャン350において、背景Bが、位置302e、302f、302i、302j、302l、及び302nで測定される。第2のスキャン360における背景は、意図的に異なる位置302a、302g、302h、302k、302m、及び302oにおいて測定される。
図3Bの例示的なケースは、第1のスキャン350と第2のスキャン360との間の隣接するスライスに再配置された背景B測定値を示しているが、これは単なる例示に過ぎない。背景位置の任意の新しい構成が可能であり、これは、背景B位置と以前のスキャンとの重なり合いが低下または最小化される限り可能である。
【0087】
背景Bの測定位置の決定
どの角度スライスが背景B及び画像Iデータを測定するかを決定するために、異なる方法が使用され得る。1つの方法は、治療及び/または画像化の前に撮影された計画CT画像を使用することである。本明細書で使用される「計画CT」画像は、典型的には、高質、高コントラスト解像度画像であり、これは、線量計画のための器官の微細な特徴及び輪郭を提供する。それらは、X線ビームのコントラスト及び他の特徴、及び結果として生じる画像を設定するために使用され得る。計画CTから、CBCT取得における投影データがシミュレートされまたは予測され得る。計画CTに基づいて経路202内の背景B位置の分布を決定するために、任意の適切なアルゴリズムを開発してもよい。背景B位置の配置は、最大補正効果及び/または最小画像Iデータ喪失のために最適化され得る。配置は、補正効果を最大化すること以外の他の考慮事項(例えば、対象304内の関心領域、様々な放射線源の照射のタイミング、計算時間、電力使用量、あるビューから次のビューへの、またはあるビューの一部の範囲にわたっての、ピクセル上の信号レベルの著しく大きな変動など)を考慮に入れることもできる。
【0088】
背景B測定の配置に関する別の考慮事項は、共役角に対して(例えば、スライス302c及び302dの両方で)背景Bを測定することを回避することである。光源30は、対象304の同じ部分を共役角で照射する(例えば、照射経路306によって示されるように、302c及び302d)。したがって、任意の再構成3D画像が対象304の対応する部分からの少なくとも1つの画像Iデータを含み得るように、少なくとも1つの共役に対して画像化Iデータ取得を有することが有利である。背景B画像が両方の共役、例えば302c及び302dで取得された場合は、対象304のこの部分に対する画像Iデータは存在しないことになる。
【0089】
背景B測定及び補正を最適化または改善するために、あるいは他の目的のために、他のパラメータを変更してもよい。
図3Aは、経路202及び204を円形として示すように見えるが、それらは、らせんまたは略らせんなどの他の形状を有することができ、有する可能性がある。なぜならば、スキャンが行われている間、患者または目的の対象304が典型的には(
図3Aに関して)ページの内外の方向に移動しているからである。経路202及び204は、楕円形であってもよく、またはさらに他の形状を有することもあり得る。
図3Aに示される円形経路の文脈で論じられる背景B測定の配置に関する考慮事項の多くは、これらの他の形状経路に適用される。追加の考慮事項があることもあり得る。例えば、ヘリカル経路の場合、背景B測定及び/または補正を改善するために、らせんのピッチ(または他のパラメータ)を変更することができる。
【0090】
シミュレートされたX線投影データ(例えば、線源30から対象204を通るX線の投影をシミュレートし、検出器34によって検出される)を使用して、角度スライスにおいて、背景Bの取得がラグ補正に最も利益を与えるであろうものを決定することができる。この決定は、例えば、検出器34が最も高い放射線レベルを受け取る場合に、背景Bを測定することによって行うことができる。上述のように、背景測定値Bは、特定のタイプの放射線(例えば、MeV治療用放射線)の照射に対してタイミングを合わせることもできる。高エネルギーX線の照射に続く角度スライスは、ラグまたは帯電効果を有し得る。したがって、以下に説明するように、背景を補償するために、背景Bをそれら角度スライスの近くに集めることが有利である可能性が高い。それら角度スライスはまた、対象304の照射の経時的変化の重大度に基づいて時間調整され得る。経路202の周りの角度スライスを測定する背景Bの分布の基準は、検出されたX線強度の大きな変化を伴う角度を含むこともできる。これらの変化は、患者における大きなコントラスト変化、または向きの変化(例えば、前/後すなわちAP、及び左/右すなわちL/R)に起因し得る。
【0091】
本明細書で論じるアルゴリズムへの入力のための他の可能なソースは、患者または対象304の特定の長さにわたって単一の角度で撮影された2D調査画像を含む。2D調査画像は、直交角(例えば、前/後(AP)、左/右(LR))を含み得る。それらは、ラグ補正のための背景画像を取得する角度を決定するために使用され得る。任意の他の適切な画像を使用して、背景測定B位置を決定してもよい。適切な画像ソースは、患者または目的の対象の画像モデル、他のCT/X線デバイスを介して撮影された画像、及び/または光学画像などを含む。画像及び/または以前のデータを使用して、患者固有のまたは対象固有のラグモデルを生成することができる。患者固有モデルは、例えば、背景を測定する同じデバイスからか、または以前の画像からかのいずれかで、患者のCTスキャンの特徴を組み込むことができる。
【0092】
加えて、または代替として、本明細書で説明されるアルゴリズムのいずれかは、画像解析以外の手段によって予め決定された背景B測定のための角度グループを識別し得る。例えば、一般的な患者アトラス、患者モデル(一般的または表現型的)、ファントムモデル、他の数学的モデル、及び/または物理的モデルの使用に関するアルゴリズムである。本明細書で使用される「患者アトラス」は、X線画像化で観察される患者の輪郭のマッピングを表す。患者アトラスは、本明細書に開示される方法を実行する装置で取得される患者画像の大規模な収集に基づいて開発される患者アトラスを含む様々なソースから取得され得る。
【0093】
本明細書に記載のアルゴリズムは、取得中に背景Bを測定するための角度スライスを決定することができる。具体的には、ある角度が取得された後、アルゴリズムは、既に取得された画像を解析し、背景画像が取得されるべきかどうかを決定する。
【0094】
検出データ内の背景B測定の角度は、ヘッダ内のタグまたは他のデータファイルを追加することによって、データ内で識別することができる。これらの指定は、背景Bデータを画像Iデータから分離するために使用することができる。指定は、様々なアルゴリズムを使用して自動的に検出することができる。適切な検出アルゴリズムは、各ビューにおいて合計カウントを生成するものを含む。背景Bの角度は、ビームをオンにした場合の隣接する角度の角度よりも大幅に小さくすることができる。例えば、X線が直接照射される領域、または患者の身体の境界付近の領域では、X線がオフである背景画像の信号は、X線がオンである隣接した角度よりも2桁低い可能性がある。
【0095】
背景Bデータは、検出器ラグ補正のための患者スキャン中に取得され得る。例えば、背景Bデータは、スキャンの前に予め決定された取得シーケンス中に取り込まれてもよく、またはスキャン中に(例えば、オンザフライで)計算されてもよい。加えて、アルゴリズムは、患者の測定された背景B情報を使用して、その患者に対する有利なまたは最適な背景B測定位置のセットを自動的に生成することができる。本明細書に記載されるこのアルゴリズム及び他のアルゴリズムでは、補間が使用され得る。背景Bデータ収集の総数は、投影ビュー(すなわち、
図3A、
図3Bの経路202に沿った角度スライスに関連付けられたビューB及びI)の総数と比較して小さくてもよい。特に、補間は、正確な画像再構成を容易にし得る。補間は、ラグ補正を改善するために背景投影画像を使用することができる間に行うことができる。
【0096】
経路204に沿った背景B測定値の角度分布は、特に異なる画像スキャンに対して、時間とともに意図的に変更され得る。一変形形態では、1つの3D再構成のための画像Iデータを生成するために、ソース30の2つ以上の完全な回転が使用される。経路304に沿ったあらゆる可能な角度が少なくとも1つの画像Iデータスキャンを有するように、2つの回転における背景B測定の位置を意図的に異ならせることができる。言い換えれば、アルゴリズムは、(例えば、
図3Bに示すように)第1の回転における背景Bの測定に割り当てられた経路204に沿った角度または位置が、第2の回転における画像Iの測定に対して異なって割り当てられ得、その逆も同様であることを確実にすることができる。ここでの2回のスキャンの議論は単に例示的なものに過ぎないことを理解されたい。この技法は、任意の適切な数のスキャンで使用され得る。また、背景Bデータ収集位置がスキャン間で意図的に変更されるヘリカルスキャンに使用されてもよい。いずれの場合も、再構成は、隣接する角度(例えば、補間)及び後続のまたは以前の回転における対応する角度からのデータから、これらの角度に対するデータを推定することができる。
【0097】
背景B測定値の角度分布は、画像化中の生データに基づいて決定することもできる。背景Bの角度分布の依存性を記述するモデルは、例えば、各ピクセルで測定される信号の変化に基づくことができる。モデルは、その変化がある閾値を超えて増加した場合に、背景B測定を課すことができる。
【0098】
背景Bを用いた画像Iデータの検出及び補正
検出器(例えば、フラットパネル検出器であってもよい検出器24及び34)、X線管(図示せず)、及びシステム制御装置(例えば、コントローラ60)は、背景データBを取得するように同期させることができ、その取得時に、X線源(例えば、線源20及び30)がオフにされ得る。RTシナリオでは、(例えば、線源20からの)MeVビームがオンにされると、検出された放射線に関する情報がCT取得制御装置(例えば、
図2Aの要素60)に渡されて、MeVビームがオフにされた後に背景B取得を開始し得る。あるいは、アルゴリズムは、MeVビームがオンにされるかどうかを検出してもよい。その場合、MeVビームによって影響を受けた画像がタグ付けされることにする。信号が、1つ以上の背景画像を取得するために、CBCTシステムをトリガするように生成され得る。CBCTスキャン中にMeVビームがオンにされる場合、背景画像に対して予め定められた角度グループが、それに応じて調整され得る。この調整を行うようにアルゴリズムを開発することができる。
【0099】
背景B測定の1つの有利な使用は、線形補間によるものである。例えば、第1の背景B測定は、画像I取得の直前に行うことができる。第2の背景B測定は、画像I取得の直後に行うことができる。次に、画像Iの測定値に対して時間及び角度が隣接する2つの背景測定値を線形補間して、両方の測定値の特徴を有する合成背景エラー画像を作成することができる。次いで、この合成背景画像を用いて、1つまたは他の背景画像を用いるよりも高い精度で、画像Iのデータを補正することができる。
【0100】
背景B補正では、リアルタイムで背景測定値Bを使用することができる。これは、時間減衰モデルに基づいて背景補正手法を更新し、改善するために使用され得る。例えば、データを補正するために使用されている時間減衰モデリングラグ補正は、進行中のまたは新しい背景B測定によって得られた新しい情報で再較正され得る。本明細書に記載される他のアルゴリズムと同様に、これは、とりわけ、補間法を用いて達成され得る。複数の背景測定値からの背景B情報を組み合わせて、補正を提供することができる。このことは、スキャンの1つが一時的状態に関する背景B情報を提供する場合(例えば、治療用放射線20のX線源がオンに切り替えられている場合、またはオフに切り替えられたばかりの場合)に特に有利であり得る。
【0101】
変形形態では、ラグ補正は、背景情報で更新されてもよい。ラグ補正においては、特定の角度からの画像は、それらを検出するために使用される検出器の測定された時間減衰応答を使用することによって重み付けされる。次いで、重み付けされた画像は、その画像を補正するために、現在の画像から差し引かれ得る。時間減衰応答は、最も典型的には、以前の検出器測定値に基づいて決定される。前の画像がラグ補正に使用される時間間隔は、最も典型的には、時間減衰応答に基づいて経験的に決定される。補正の精度は、これらのパラメータに依存する。
【0102】
本明細書に記載の背景測定値のいずれも、時間遅延補正と併せて使用することができる。例えば、時間遅延補正は、背景画像に基づいて周期的に再較正され得る。例えば、全ての背景画像に基づいて、背景画像の組み合わせに基づいて、または背景画像の平均に基づいて、再較正され得る。時間遅延補正は、1つより多い減衰項を含み得る。
【0103】
補正画像Iデータの再構成は、任意の適切な従来の解析的再構成を用いて行うことができる。典型的には、そのようなアルゴリズムでは、画像Iデータが、経路204に沿って均等に分散された位置から取得されることが優先されるか、または義務付けられる。そのような再構成スキームは、背景B測定位置が構成され及び/または最適化され得るように、経路204に沿った不規則な背景画像化に適応するように修正され得る。画像再構成アルゴリズムは、背景Bデータが得られる角度位置におけるデータの欠如を補償するように修正することができる。補償は、任意の適切な方法によって達成され得る。一例は、ビューごとの解析的再構成及び/または反復的再構成を使用することである。そのような技法は、背景Bデータ収集のためにのみ使用される角度のサブセットの影響を最小化し得る。
【0104】
再構成は、上述のように、複数のスキャン及び回転からのデータを含み得る。画像再構成アルゴリズムは、投影角度サンプリングを含み得る。特に、現在の回転の背景B画像の方位角位置は、他の回転、特に現在の回転の前及び後に生じる回転の背景B画像の方位角位置とは異なる。この場合及び他の場合には、回転から回転まで背景B測定値をインターリーブすること、場合によっては最大限にインターリーブすることが好ましい場合がある。この考慮事項では、上述したように、データ冗長度及びヘリカルピッチを使用し得る。
【0105】
この手法では、より従来の再構成アルゴリズムを修正することができる。例えば、従来のアルゴリズムでは、(角度的に)均等に間隔を空けられた画像を必要とする場合がある。この要件は、本明細書に記載のスキーム、アルゴリズム、または例のいずれかに従って間隔を空けられた背景B画像に対応するように緩和され、修正されてもよい。修正は、背景収集角度間の不均一な間隔と、画像収集角度間の不均一な間隔とを考慮し得る。修正は、線源30の回転が異なる背景画像の方位角位置間の差を考慮することができる。いくつかの変形形態では、1つの回転の方位角位置が、別の回転の方位角位置とインターリーブされてもよい。
【0106】
アルゴリズムの例示的実施
図4A及び
図4Bは、画像のラグまたはゴースト発生(
図2B~
図2F)を補正するために、本明細書で説明されるステップ及び技法のいずれかを実施し得る、例示的なアルゴリズム400を示す。アルゴリズム400は一般的なものであり、上述した任意の方法またはアルゴリズムの任意の変形形態を組み込むことができることを理解されたい。特定のステップを示すが、特定のステップが必要というわけではない。追加のステップをアルゴリズム400に追加することができ、それでも本開示の文脈内にあり得る。アルゴリズム440は、本明細書に記載される全ての装置(例えば、
図1の装置10)を含む任意の適切な装置を用いて実行され得る。これは、画像化能力のみを有する装置を用いて実行されてもよい。これはまた、RT構成で動作する装置を用いて実行することもできる。
【0107】
ステップ410において、アルゴリズム400は、X線源が画像化中に横断する角度経路を決定する。この経路は、(例えば、経路202が
図2B及び
図3に示す線源30用であるように)画像化デバイスの物理的構成によって予め決定することができる。いくつかの変形形態では、経路は、アルゴリズム400によって変更され得る。例えば、経路がヘリカルである場合、例えば、背景B測定値を改善するために、ヘリカルのピッチが変更され得る。任意の他の適切な経路決定または変更が可能である。
【0108】
ステップ420において、背景B測定位置が、ステップ410で特定された経路に沿って選択され得る。任意の適切な背景B測定位置が、本明細書に記載の考慮事項のいずれかに従って選択され得る。多くの場合、収集される画像I情報を最大化するために、背景B測定位置の数を最小化または実質的に少なく保つことが有利である場合がある。他の実施形態では、上述のように、特定の時間現象(例えば、X線源の開始またはオフへの切り替え)を捕捉するために、背景B測定値を増加させることが有利であり得る。上述したように、背景B収集位置は、1回転以上に対して選択され得る。
【0109】
上述したように、背景B位置は、アルゴリズムを介して選択することができる。アルゴリズムは、現在の画像及び以前の画像を含む任意の適切な数の入力に基づいて選択を行うことができる。このステップにおいて、背景B位置を選択するために、任意の他の入力または考慮が行われ得る。
図4Aは、データ取得(ステップ440)の前に行われるステップ420を示しているが、ステップ420は、この順序に限定されない。ステップ420は、ステップ440の前または間に実行されてもよい。人工神経回路網及び決定木などの機械学習アルゴリズムを含む任意の適切なアルゴリズムがこのステップを実行してもよい。他の数値回帰技法もまた使用され得る。
【0110】
ステップ430において、対象画像収集位置が選択される。多くの場合、背景B及び画像Iの測定位置のみが可能であるため、このステップは、ステップ420における背景B測定位置の選択によって効果的に達成される。他の実施形態では、背景Bまたは画像I測定のいずれにも対応しない位置が存在し得る。例えば、背景B減算を介して効果的に補償できない特定の過渡現象がX線検出信号に影響を与えている場合に、データを取り込まない、またはデータを取り込んで破棄することが有利であり得る。これらは、効果的な背景B測定に対して起こり過ぎる過渡現象を含み得る。
【0111】
ステップ440において、X線源(例えば、線源30)は、画像を収集するために、ステップ410において選択された経路に沿って移動される。収集される画像は、背景Bデータ及び画像Iデータの両方である。これらのデータが収集される位置は、ステップ420に従うことになる。
【0112】
ステップ450において、画像データI内のエラー(例えば、
図2B~
図2Fに示すようなラグまたはゴースト発生効果)が、背景データBを用いて補正され得る。この補正は、本明細書に記載の方法のいずれかによって行うことができる。一例としては、単純に画像Iから背景Bデータ画像を差し引くことが挙げられる。他の例は、補間技法を含み、例えば、2つ以上の背景画像を、減算と組み合わせて補間するか、または減算と組み合わせずに補間する。さらに他の技法は、背景画像を介して識別された問題点に基づいて、(例えば、畳み込みによって)画像内のピクセルを選択的に変更することを含み得る。任意の適切なアルゴリズムがこのステップを実行してもよく、または手動で実行されてもよい。適切なアルゴリズムは、人工神経回路網及び決定木などの機械学習アルゴリズムを含む。他の数値回帰技法もまた使用され得る。
【0113】
ステップ460では、ステップ450における補正の結果を用いて、補正画像を生成する。この画像は、特定のスキャンの個々の2D画像であり得る。この画像は、そのような多くの2D画像を含む3D
トモグラフィック再構成であることもあり得る。補正画像は、患者診断及び治療を含む任意の適切な目的に使用することができる。補正画像はまた、背景B測定位置の生成に役立たせるために、及び/または上述のアルゴリズム400の他の任意の態様を知らせるために使用されてもよい。
【0114】
図4Bは、アルゴリズム400における画像取得ステップ440の詳細を示す。取得ステップ440は、X線源の1つ以上の移動にわたって繰り返し実行され得る。ステップ440は、一般に、画像化Iデータの完全なセットが取得されるまで実行される。セットが「完了」しているかどうかは、当面のタスクに関係する。このセットは、1つ以上の回転に対応する1つ以上の画像Iを含み得る。典型的には、回転は、ステップ410で特定された経路全体を横断する。しかしながら、このことは、ステップ440の全ての実施に対して当てはまる必要はないことを理解されたい。
【0115】
ステップ441において、線源(例えば、線源30)は、特定の位置まで角度経路に沿って移動する。ステップ442において、アルゴリズム400は、現在位置が背景Bの収集に対応するか、または画像Iの収集に対応するかを判定する。上述のように、他のオプションがあってもよい(例えば、一部の位置は、過渡消失を可能にするために、他の位置ではデータ取得が行われないというフラグが立てられてもよい)。取得するデータのタイプの決定は、上述した任意のアルゴリズムの使用または考慮事項に基づくことができる。データタイプが選択されると、アルゴリズムは、データタイプ選択に従ってステップ443でX線源の動作状態を設定する。取得されるデータが背景Bデータである場合、線源はオフに切り替えられるか、または既にオフである場合、または電源が落とされたままになる。取得されるデータが画像Iデータである場合、線源は電源が入っていない場合には電源が入れられ、またはオンのままになる。線源の動作状態が実施されると、ステップ444において、適切なタイプのデータが収集され、記憶されるようになる。アルゴリズム400は、線源の動作状態を切り替えることによって引き起こされる過渡現象が消失するまで、データを収集するのを待つことができる。データが収集されると、アルゴリズム400は、ステップ445において、線源が経路の終端に到達したかどうかを問い合わせる。そうであれば、アルゴリズム400は、ステップ450(
図4A)に進み、収集されたデータのエラーを除去する。そうでないなら、アルゴリズム400は、ステップ441に戻り、線源を新しい位置に移動させる。アルゴリズム400は、線源がステップ410で指定された経路の終端に到達するまで、このプロセスを繰り返す。
【0116】
上記の装置及び方法が投影ドメインで使用される場合、それは各投影ビューに適用することができ、各投影ビューは平面画像である。様々な実施形態は、異なるスキャンジオメトリ、検出器位置(オフセットされた検出器を含む)、及び/またはビーム成形窓形状を利用することができる。
【0117】
上述したように、開示された技術の態様は、IGRTと共にまたはIGRTの一部として使用するための低エネルギー(例えば、keV)及び高エネルギー(例えば、MeV)の統合された線源を含むマルチモーダル放射線源を利用する放射線療法デバイス及び方法において利用することができる。一実施形態によれば、画像取得方法は、例えば、放射線療法送達プラットフォーム上でkeVCT画像化を提供するために、高速スリップリング回転と共に、らせん状の線源軌道(例えば、ガントリボアを通る患者支持部の長手方向の移動を伴う、中心軸の周りの連続的な線源回転)、または円形スキャンを含むか、またはそれを別の方法で使用することができる。
【0118】
開示された技術は、特定の態様、1つの実施形態、または複数の実施形態に関して示され、説明されたが、同等の変更及び変更が、本明細書及び添付の図面の読み取り及び理解の際に、当業者に生じることが明らかである。特に、上述の要素(構成要素、アセンブリ、デバイス、部材、組成物等)によって実行される様々な機能に関して、そのような要素を説明するために使用される(「手段」への言及を含む)用語は、別段の指示がない限り、本明細書に例示される例示的な態様、実施形態、または開示される技術の実施形態においてその機能を実行する開示される構造と構造的に同等でなくても、説明される要素の特定の機能を実行する(すなわち、機能的に同等である)任意の要素に対応することが意図される。加えて、開示された技術の特定の特徴は、いくつかの図示された態様または実施形態のうちの1つ以上に関してのみ上で述べている場合があるが、そのような特徴は、任意の所与のまたは特定の用途に対して所望され有利であり得るように、他の実施形態の1つ以上の他の特徴と組み合わされてもよい。
【0119】
本明細書に記載の実施形態は、上述のシステム及び方法に関連しているが、これらの実施形態は、例示的なものであることを意図しており、これらの実施形態の適用性を本明細書に記載の説明のみに限定することを意図していない。本発明は、その実施形態の説明によって例示されており、その実施形態は、ある程度詳細に説明されているが、添付の特許請求の範囲をそのような詳細に限定すること、または任意の方法で限定することは本出願人の意図ではない。さらなる利点及び変更は、当業者に容易に明らかになるであろう。したがって、本発明は、その広範な態様において、図示され記載された特定の詳細、代表的な装置及び方法、ならびに例示的な実施例に限定されない。したがって、出願人の一般的な発明概念の趣旨または範囲から逸脱することなく、そのような詳細から逸脱することができる。
【国際調査報告】