(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】電子顕微鏡検査のための改善されたナビゲーション
(51)【国際特許分類】
G01N 23/2206 20180101AFI20240730BHJP
H01J 37/147 20060101ALI20240730BHJP
H01J 37/22 20060101ALI20240730BHJP
H01J 37/28 20060101ALI20240730BHJP
G01N 23/2252 20180101ALI20240730BHJP
【FI】
G01N23/2206
H01J37/147 B
H01J37/22 502B
H01J37/22 502H
H01J37/28 B
G01N23/2252
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504163
(86)(22)【出願日】2022-07-25
(85)【翻訳文提出日】2024-03-22
(86)【国際出願番号】 GB2022051946
(87)【国際公開番号】W WO2023002226
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507329985
【氏名又は名称】オックスフォード インストルメンツ ナノテクノロジー ツールス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】ステイサム ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ピナード フィリップ
【テーマコード(参考)】
2G001
5C101
【Fターム(参考)】
2G001AA03
2G001BA05
2G001BA07
2G001BA30
2G001CA01
2G001CA03
2G001CA10
2G001FA25
2G001GA06
2G001HA07
2G001HA13
2G001JA13
5C101AA03
5C101AA22
5C101EE22
5C101EE48
5C101EE49
5C101GG04
5C101GG05
5C101GG08
5C101GG09
5C101GG37
5C101HH25
5C101HH27
5C101HH35
5C101HH36
5C101HH42
5C101HH66
5C101KK15
(57)【要約】
顕微鏡内で試料を分析する方法を説明する。本方法は、第1の検出器と第1の検出器とは異なる第2の検出器とを用いて一連の複合画像フレームを取得する段階と、各複合画像フレームを順番に示すために更新される視覚表示上に一連の複合画像フレームを実時間で表示する段階とを含む。複合画像フレームを取得する段階は、荷電粒子ビームに顕微鏡の構成視野に対応する試料領域を横断させる段階であって、モードパラメータが第1の値を有する時にビームの横断が領域上の第1の横断経路に沿い、かつ第1の横断条件セットに従い、モードパラメータが第2の値を有する時にビームの横断が領域上の第2の横断経路に沿い、かつ第2の横断条件セットに従い、ビームが第1の横断条件セットに従って第1の横断経路全体を横断するのに必要とされる第1の合計時間が、ビームが第2の横断条件セットに従って第2の横断経路全体を横断するのに必要とされる第2の合計時間よりも短い上記横断させる段階と、第1の画像フレームを取得するように領域内の第1の複数の場所で試料内に発生された得られる第1の粒子セットを第1の検出器を用いてモニタする段階であって、第1の画像フレームが、第1の複数の場所に対応してそこで発生されたモニタされた粒子から導出された値を有する複数のピクセルを含む上記モニタする段階と、第2の画像フレームを取得するように領域内の第2の複数の場所で試料内に発生された第2の得られる粒子セットを第2の検出器を用いてモニタする段階であって、第2の画像フレームが、第2の複数の場所に対応してそこで発生されたモニタされた粒子から導出されたそれぞれの値セットを有する複数のピクセルを含む上記モニタする段階と、領域内の第1及び第2の複数の場所で発生されて第1の検出器及び第2の検出器の各々によってモニタされた粒子から導出されたデータを提供するような複合画像フレームを生成するために第1の画像フレームと第2の画像フレームを組み合わせる段階とを含む。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕微鏡内で試料を分析する方法であって、
第1の検出器と前記第1の検出器とは異なる第2の検出器とを用いて一連の複合画像フレームを取得する段階であって、複合画像フレームを取得する段階が、
a)荷電粒子ビームに前記顕微鏡の構成視野に対応する試料領域を横断させる段階であって、
モードパラメータが第1の値を有する時に、前記ビームの前記横断が、前記領域上の第1の横断経路に沿い、かつ第1の横断条件セットに従い、
前記モードパラメータが第2の値を有する時に、前記ビームの前記横断が、前記領域上の第2の横断経路に沿い、かつ第2の横断条件セットに従い、
前記ビームが前記第1の横断条件セットに従って前記第1の横断経路全体を横断するのに必要とされる第1の合計時間が、前記ビームが前記第2の横断条件セットに従って前記第2の横断経路全体を横断するのに必要とされる第2の合計時間よりも短い、
前記横断させる段階、
b)第1の画像フレームを取得するように、前記領域内の第1の複数の場所で前記試料内に発生された、得られる第1の粒子セットを前記第1の検出器を用いてモニタする段階であって、前記第1の画像フレームが、前記第1の複数の場所に対応し、そこで発生された前記モニタされた粒子から導出された値を有する複数のピクセルを含む、前記モニタする段階、
c)第2の画像フレームを取得するように、前記領域内の第2の複数の場所で前記試料内に発生された、得られる第2の粒子セットを前記第2の検出器を用いてモニタする段階であって、前記第2の画像フレームが、前記第2の複数の場所に対応し、そこで発生された前記モニタされた粒子から導出されたそれぞれの値セットを有する複数のピクセルを含む、前記モニタする段階、及び
d)前記複合画像フレームが、前記領域内の前記第1及び第2の複数の場所で発生されて前記第1の検出器及び前記第2の検出器の各々によってモニタされた粒子から導出されたデータを提供するように、前記複合画像フレームを生成するべく、前記第1の画像フレームと前記第2の画像フレームを組み合わせる段階、
を含む前記取得する段階と、
各複合画像フレームを順番に示すために更新される視覚表示上に前記一連の複合画像フレームを実時間で表示する段階と、
を含む方法。
【請求項2】
前記モードパラメータの前記値は、前記構成視野が変化しているか又は変化していないかに従って構成される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記モードパラメータは、前記構成顕微鏡視野が変化していることに応答して前記第1の値を有するように構成される請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記モードパラメータは、前記構成顕微鏡視野が変化していないことに応答して前記第2の値を有するように構成される請求項2又は請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記モードパラメータは、前記構成顕微鏡視野が前記一連の複合画像フレーム内の直ぐ先行する複合画像フレームに対するものとは異なる時に、前記第1の値を有する請求項1から請求項4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記モードパラメータは、前記構成顕微鏡視野が前記一連の複合画像フレーム内の直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと同じ時に、前記第2の値を有する請求項1から請求項5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記モードパラメータ値は、ユーザ設定可能である請求項1から請求項6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記モードパラメータは、第1のユーザ入力が与えられた時に、前記第2の値に設定される請求項7に記載の方法。
【請求項9】
複合画像フレームを取得する段階が、
前記第2の画像フレームによって含まれる前記複数のピクセルの少なくとも部分集合の各々に対して、
第2のモードパラメータが第1の値を有する場合に、
前記複合画像フレームでの使用に向けて前記第2の画像フレーム内の前記ピクセルの導出された前記値セットを維持する段階、又は
前記第2のモードパラメータが第2の値を有する場合に、
増大した信号対ノイズ比を有する組合せピクセル値セットを取得するために、前記ピクセルの前記導出された値セットを、前記一連の複合画像フレーム内の1又は2以上の先行する第2の画像フレームのうちの各々の対応するピクセルの導出された値セットと組み合わせる段階、及び、前記複合画像フレームでの使用に向けて、導出された前記ピクセル値セットを、前記第2の画像フレーム内の前記組合せピクセル値セットで置換する段階、
を更に含む、
請求項1から請求項8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記第2のモードパラメータは、前記構成顕微鏡視野が前記一連の複合画像フレーム内の直ぐ先行する複合画像フレームに対するものとは異なる場合に、前記第1の値を有する請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2のモードパラメータは、前記構成顕微鏡視野が前記一連の複合画像フレーム内の直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと同じ時に、前記第2の値を有する請求項9又は請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2のモードパラメータ値は、ユーザ設定可能である請求項9から請求項11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記第2のモードパラメータは、ユーザ入力に応答して前記第2の値に設定される請求項12に記載の方法。
【請求項14】
複合画像フレームを取得する前記段階は、前記第2のモードパラメータが前記第2の値を有する場合に、前記顕微鏡の実視野と基準視野の間の差を表す視野逸脱データを取得する段階を更に含む請求項9から請求項13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記基準視野は、取得されている前記複合画像フレームに対する構成視野、及び、前記一連の複合画像フレーム内の先行する複合画像フレームに対する実視野のうちのいずれかを含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
複合画像フレームを取得する前記段階は、前記第2のモードパラメータが前記第2の値を有する場合に、前記第2の画像フレームによって含まれる前記複数のピクセルの少なくとも部分集合の各々に対して、前記一連の複合画像フレーム内の1又は2以上の先行する第2の画像フレームのうちの各々の前記対応するピクセルを決定する段階を更に含み、前記対応するピクセルは、前記視野逸脱データに従って組合せピクセル値セットを取得するように、前記ピクセルの導出された前記値セットが組み合わされる請求項14又は請求項15に記載の方法。
【請求項17】
複合画像フレームを取得する前記段階は、前記第2のモードパラメータが前記第2の値を有する場合に、前記顕微鏡の前記実視野と前記基準視野の間の前記差を低減するように、前記実視野を前記視野逸脱データに従って調節する段階を更に含む請求項14から請求項16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
複合画像フレームを取得する段階が、前記第2の画像フレームによって含まれる前記ピクセルのそれぞれの前記値セットを導出するために、1又は2以上の特性線放射にそれぞれ対応する前記第2の粒子セット内の粒子の分量を示すデータを取得するように、前記第2の粒子セットに従って取得されたスペクトルデータを処理する段階を更に含む請求項1から請求項17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記処理する段階は、前記1又は2以上の特性線放射がエネルギの範囲にわたって分散される時及び/又は重複エネルギ範囲に対応する時に、粒子の分量を示す前記データを抽出する段階を含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記値セットのうちの1又は2以上の各々が、ヒストグラムを処理した結果のセットを含み、各矩形の領域が、化学元素セットの特性放射から収集された第2の粒子の個数を表す値セットを抽出するために、前記矩形の幅に対応するエネルギ範囲内にエネルギを有するいくつかの第2の粒子を表す、
請求項18又は請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の検出器は、電子検出器である請求項1から請求項20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記第2の検出器は、X線検出器である請求項1から請求項21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記X線検出器は、ビーム源と前記試料の間に配置され、前記X線検出器は、前記試料に対面し、入射された前記荷電粒子ビームを少なくとも部分的に取り囲む1又は2以上のセンサ部分を有する請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の横断経路は、前記第1の合計時間が前記第2の合計時間よりも短いように、前記第2の横断経路のものよりも短い長さを有する請求項1から請求項23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記第1及び第2の横断条件セットは、前記第1の合計時間が前記第2の合計時間よりも短いように、前記ビームに前記第2の横断経路を横断させるものよりも速い平均速度で前記第1の横断経路を横断させるように構成される請求項1から請求項24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記第1及び第2の横断条件セットは、発生された前記第1の粒子セットがモニタされるように構成される前記領域内の場所にある、前記第1の横断経路に沿う第1の線密度が、発生された前記第1の粒子セットがモニタされるように構成される前記領域内の場所にある、前記第2の横断経路に沿う第2の線密度よりも低いように構成される請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第1及び第2の横断条件セットは、発生された前記第2の粒子セットがモニタされるように構成される前記領域内の場所にある、前記第1の横断経路に沿う第1の線密度が、発生された前記第2の粒子セットがモニタされるように構成される前記領域内の場所にある、前記第2の横断経路に沿う第2の線密度よりも低いように構成される請求項25又は請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記第1及び第2の横断条件セットは、前記第1の横断経路に沿う前記第1の複数の場所の各々で発生された前記第1の粒子セットがモニタされる第1の構成モニタ継続時間が、前記第2の横断経路に沿う前記第1の複数の場所の各々で発生された前記第1の粒子セットがモニタされる第2の構成モニタ継続時間よりも短いように構成される請求項25から請求項27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記第1及び第2の横断条件セットは、前記第1の横断経路に沿う前記第2の複数の場所の各々で発生された前記第2の粒子セットがモニタされる第1の構成モニタ継続時間が、前記第2の横断経路に沿う前記第2の複数の場所の各々で発生された前記第2の粒子セットがモニタされる第2の構成モニタ継続時間よりも短いように構成される請求項25から請求項28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
顕微鏡内で試料を分析する方法であって、
第1の検出器と前記第1の検出器とは異なる第2の検出器とを用いて一連の複合画像フレームを取得する段階であって、複合画像フレームを取得する段階が、
a)荷電粒子ビームに前記顕微鏡の構成視野に対応する試料領域を横断させる段階であって、前記構成顕微鏡視野が前記一連の複合画像フレーム内の直ぐ先行する複合画像フレームに対するものとは異なる時には、前記構成顕微鏡視野が前記一連の複合画像フレーム内の前記直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと同じである時に前記ビームに前記領域上の第2の横断経路を横断させる合計時間よりも短い合計時間で、前記ビームに前記領域上の第1の横断経路を横断させる、前記横断させる段階、
b)第1の画像フレームを取得するために、前記領域内の第1の複数の場所で前記試料内に発生された、得られる第1の粒子セットを前記第1の検出器を用いてモニタする段階であって、前記第1の画像フレームが、前記第1の複数の場所に対応し、そこで発生された前記モニタされた粒子から導出された値を有する複数のピクセルを含む、前記モニタする段階、
c)第2の画像フレームを取得するために、前記領域内の第2の複数の場所で前記試料内に発生された、得られる第2の粒子セットを前記第2の検出器を用いてモニタする段階であって、前記第2の画像フレームが、前記第2の複数の場所に対応し、そこで発生された前記モニタされた粒子から導出されたそれぞれの値セットを有する複数のピクセルを含む、前記モニタする段階、
d)前記第2の画像フレームによって含まれる前記複数のピクセルの各々に対して、
前記構成顕微鏡視野が、前記一連の複合画像フレーム内の前記直ぐ先行する複合画像フレームに対するものとは異なる場合に、
前記複合画像フレームでの使用に向けて前記第2の画像フレーム内の前記ピクセルの導出された前記値セットを維持する段階、又は
前記構成顕微鏡視野が、前記一連の複合画像フレーム内の前記直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと同じである場合に、
増大した信号対ノイズ比を有する組合せピクセル値セットを取得するために、前記ピクセルの導出された前記値セットを、前記顕微鏡視野が前記構成顕微鏡視野と同じである、前記一連の複合画像フレーム内の1又は2以上の先行する第2の画像フレームのうちの各々の対応するピクセルの導出値セットと組み合わせる段階、及び、前記複合画像フレームでの使用に向けて、導出された前記ピクセル値セットを、前記第2の画像フレーム内の前記組合せピクセル値セットで置換する段階、及び
e)前記複合画像フレームが、前記領域内の前記第1及び第2の複数の場所で発生されて前記第1の検出器及び前記第2の検出器の各々によってモニタされた粒子から導出されたデータを提供するように、前記複合画像フレームを生成するべく、前記第1の画像フレームと前記第2の画像フレームを組み合わせる段階、
を含む前記取得する段階と、
各複合画像フレームを順番に示すために更新される視覚表示上に前記一連の複合画像フレームを実時間で表示する段階と、
を含む方法。
【請求項31】
前記第1の横断経路は、前記顕微鏡の前記構成視野全体に実質的に広がる請求項1から請求項30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記第1の横断経路は、前記構成視野内に含まれる修正視野に広がる請求項1から請求項30のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記第2の横断経路は、前記構成視野を含む修正視野に広がる請求項1から請求項32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記モードパラメータは、前記構成顕微鏡視野が前記一連の複合画像フレーム内の直ぐ先行する複合画像フレームに対するものとは異なる場合に、前記第1の値に設定され、かつ、前記構成顕微鏡視野が前記一連の複合画像フレーム内の直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと同じ場合に、前記第2の値に設定される請求項1から請求項33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
複合画像フレームを取得する前記段階は、
前記第2の画像フレームによって含まれる前記複数のピクセルの各々に対して、
前記構成顕微鏡視野が前記第2の画像フレームの直ぐ先行するピクセルに対するものと異なる場合、及び、取得された前記モードパラメータが前記第2の値に等しい場合に、取得された前記モードパラメータを前記第1の値と等しいように設定する段階、又は
前記構成顕微鏡視野が前記第2の画像フレームの前記直ぐ先行するピクセルに対するものと同じである場合、及び、取得された前記モードパラメータが前記第1の値に等しい場合に、取得された前記モードパラメータを前記第2の値と等しいように設定する段階、
を更に含む、
請求項1から請求項34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
取得された前記モードパラメータを前記第1又は第2の値と等しいように設定する前記段階は、前記第2の画像フレーム内の直ぐ後のピクセルに対応する前記領域内の場所で前記試料内に発生された粒子をモニタする前に行われる請求項35に記載の方法。
【請求項37】
複合画像フレームを取得する段階が、
前記第1の画像フレームによって含まれる前記複数のピクセルの各々に対して、
前記構成顕微鏡視野が、前記一連の複合画像フレーム内の前記直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと異なる場合に、
前記複合画像フレームでの使用に向けて前記第1の画像フレーム内の前記ピクセルの前記導出値を維持する段階、又は
前記構成顕微鏡視野が、前記一連の複合画像フレーム内の前記直ぐ先行する前記複合画像フレームに対するものと同じ場合に、
増大した信号対ノイズ比を有する組合せピクセル値を取得するために、前記ピクセルの前記導出値を、前記顕微鏡視野が前記構成顕微鏡視野と同じである、前記一連の複合画像フレーム内の1又は2以上の先行する第2の画像フレームのうちの各々の対応するピクセルの導出値と組み合わせる段階、及び、前記複合画像フレームでの使用に向けて、前記導出ピクセル値を前記第1の画像フレーム内の組合せピクセル値で置換する段階、
を更に含む、
請求項1から請求項36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
複合画像フレームを取得する段階が、
1又は2以上のそれぞれの集約ピクセル値セットを取得するために、前記第2の画像フレーム内のピクセルの1又は2以上の部分集合の前記ピクセル値セットを互いにグループ分けする段階と、
前記第2の画像フレーム内のピクセルの前記1又は2以上の部分集合の各々を、それぞれの前記集約ピクセル値セットに等しい値セットを有する集約ピクセルで置換する段階と、
を更に含む、
請求項1から請求項37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
前記第2の画像フレームを取得するために前記第2の粒子セットをモニタする段階が、前記第2の検出器からの異なるタイプの2又は3以上の信号を導出し、前記信号の各々に対応する副画像フレームを取得する段階を含み、
前記第1の画像フレームと前記第2の画像フレームを組み合わせる段階が、前記第1の画像フレームを前記副画像フレームのうちの1又は2以上と組み合わせる段階を含む、
請求項1から請求項38のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
前記複合画像フレームを生成するために前記第1の画像フレームと前記第2の画像フレームを組み合わせる段階が、前記第1及び第2の画像フレームをオーバーレイする段階を含み、それにより、前記複合画像フレームが、前記領域内の前記複数の場所のうちの1つに各々が対応する複数のピクセルを含むと共に、前記第1のセットと前記第2のセットとの両方によって含まれ且つそれぞれの前記場所で発生された前記粒子から導出されたデータを提供するようになっている請求項1から請求項39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
前記第1の画像フレームと前記第2の画像フレームを組み合わせる段階が、前記第1及び第2の画像フレーム内の対応する前記ピクセルの強度に基づく前記複合画像ピクセルに対する色を計算する段階を含む請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記複合画像フレームを生成するために前記第1の画像フレームと前記第2の画像フレームを組み合わせる段階が、前記第1及び第2の画像フレームを並置する段階を含む請求項1から請求項41のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
前記顕微鏡条件は、前記荷電粒子ビームに対して構成された、試料ステージ位置及び向き、倍率、焦点、非点収差、加速電圧、ビーム電流、及び走査偏向、及び、前記試料に対して構成された位置及び向き、のうちのいずれかを含む請求項1から請求項42のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
前記一連の複合画像フレームが得られて表示される速度が、なくとも1フレーム毎秒、好ましくは少なくとも3フレーム毎秒、より好ましくは少なくとも20フレーム毎秒である請求項1から請求項43のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
前記ピクセルに対する前記信号対ノイズ比を高めるために前記ピクセルと格納された前記ピクセルを組み合わせる段階が、信号平均化又は信号積算又はカルマン再帰フィルタリング又は測定値の加算の方法によって、かつ、測定の回数に従って明度スケーリングを変更することによって、行われる請求項30から請求項44のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
顕微鏡内で試料を分析する方法であって、
第1の検出器と前記第1の検出器とは異なる第2の検出器とを用いて一連の複合画像フレームを取得するために2つの取得モードを使用する段階であって、複合画像フレームに対するデータを第1のモードで取得する段階が、
a1)荷電粒子ビームに前記顕微鏡の構成視野に対応する試料領域を時間T1にて横断させる段階、
a2)ピクセル値がモニタされた第1の粒子に対応するN1ピクセルを含む第1の画像フレームを前記領域内の位置の近傍から取得するために、前記試料内で発生された、得られる第1の粒子セットを前記第1の検出器を用いてモニタする段階、
a3)ピクセルがモニタされた第2の粒子から導出された値セットを有するN2ピクセルを含む第2の画像フレームを前記領域内の位置の近傍から取得するために、前記試料内で発生された、得られる第2の粒子セットを前記第2の検出器を用いてモニタする段階、
a4)前記構成顕微鏡視野が直ぐ先行する複合画像フレームに対するものとは異なる場合に、前記第2の画像フレーム内の各ピクセルに対して、ピクセルに対する値を、前記一連の複合画像フレーム内の次の複合画像フレームを発生させるのに使用されることになる値として使用する段階、
a5)前記構成顕微鏡視野が前記一連の複合画像フレーム内の前記直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと同じである場合に、第2のモードに変更する段階、を含み、複合画像フレームを前記第2のモードで取得する段階が、
b1)荷電粒子ビームに前記顕微鏡の構成視野に対応する試料領域を時間T2にて横断させる段階、
b2)ピクセル値がモニタされた第1の粒子に対応するM1ピクセルを含む第1の画像フレームを前記領域内の位置の近傍から取得するために、前記試料内で発生された、得られる第1の粒子セットを前記第1の検出器を用いてモニタする段階、
b3)ピクセル値がモニタされた第2の粒子から導出された値セットを有するM2ピクセルを含む第2の画像フレームを前記領域内の位置の近傍から取得するために、前記試料内で発生された、得られる第2の粒子セットを前記第2の検出器を用いてモニタする段階、
b4)前記第2の画像フレームの各ピクセルに対して、前記構成顕微鏡視野が前記一連の複合画像フレーム内の前記直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと同じである場合に、前記一連の複合画像フレーム内の次の複合画像フレームを発生させるのに使用されることになる前記対応するピクセルに対する前記値に関する前記信号対ノイズ比を高めるために、前記ピクセルに対する前記値セットを、同じ視野から以前に得られた第2の画像フレーム内の対応するピクセルの1又は2以上の値セットと組み合わせる段階、
b5)前記構成顕微鏡視野が前記一連の複合画像フレーム内の直ぐ先行する複合画像フレームに対するものから変化する場合に、前記第1のモードに変更する段階、を含み、
c)前記複合画像フレームが前記領域の空間表現であると共に、前記複合画像フレーム内の場所でのピクセルに対する値が、前記領域内の対応する場所で発生され且つ前記第1の検出器及び第2の検出器の各々によってモニタされた前記粒子から導出されたデータから導出されるように、前記複合画像フレームを生成するべく、新しい複合画像フレームを発生させるように意図した第2の粒子に対する前記ピクセル値セット及び第1の粒子に対する前記ピクセル値を使用する段階、
を含む前記前記2つの取得モードを使用する段階と、
前記一連の複合画像フレームを実時間で視覚表示上に表示する段階と、
を含み、
前記視覚表示は、前記視野が静止又は変化している時に観察者が潜在的な着目特徴部を識別することを可能にするように各複合画像フレームを順番に示すために更新され、
前記第1のモードで前記領域を横断するための前記時間T1は、前記第2のモードで前記領域を横断するための前記時間T2よりも短い、
方法。
【請求項47】
前記第2の検出器は、X線分光計、電子回折パターンカメラ、電子エネルギ損失分光計、又はカソード発光検出器のうちのいずれかである請求項1から請求項46のいずれかに記載の方法。
【請求項48】
顕微鏡内で試料を分析するための装置であって、
X線検出器と、
プロセッサと、
前記プロセッサによって実行された時に前記プロセッサに請求項1から請求項47のいずれか1項に記載の方法を実行させるコンピュータプログラムと、
を含む装置。
【請求項49】
前記視野又は前記構成顕微鏡条件の変化が、新しいデジタル画像と以前に得られたものとの数学的比較によって検出される請求項48に記載の装置。
【請求項50】
前記第2の画像フレームは、X線分光計によって取得されたスペクトル、電子に敏感なカメラによって取得された電子回折パターン、電子エネルギ損失分光計又はカソード発光検出器によって取得されたスペクトルから導出されるデータを含む請求項48又は請求項49に記載の装置。
【請求項51】
走査電子顕微鏡であって、
請求項48から請求項50のいずれかに記載の前記装置、
を含む走査電子顕微鏡。
【請求項52】
請求項1から請求項47のいずれか1項の前記方法を実行するように構成されたプログラムコードが格納されたコンピュータ可読ストレージ媒体。
【請求項53】
コンピュータプログラムであって、
実行された時に装置に請求項1から請求項47のいずれかに記載の方法を実行させる命令、
を含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡内で試料を分析する方法及び試料を分析するためのシステムに関する。特に、それは、試料の周りの改善されたナビゲーションをユーザに提供することができ、かつ複数の信号からの情報を劣悪な信号対ノイズを有するものであっても組み合わせることによって及び大面積にわたって効率的かつ実質的に探査を行うためにユーザが情報源と対話することを可能にする表示を提供することによってユーザを助けることができる。
【背景技術】
【0002】
図2は、試料の面を探査するために走査電子顕微鏡(SEM)に使用される典型的なシステムを示している。電子ビームが、真空チャンバの内側に発生され、通常は磁気又は静電レンズの組合せを用いて集束される。ビームが試料に衝突すると、一部の電子は、試料から後方散乱されるか(後方散乱電子又はBSE)、又は試料と相互作用して2次電子(SE)とX線のようないくつかの他の放射とを発生する。
【0003】
典型的に試料からのSE又はBSEのいずれかの強度に応答するように設計された電子検出器は、信号処理電子機器に接続され、かつ集束ビームによって衝突されているその部分に対応する信号を発生する。試料のその部分から放射されたX線光子もX線検出器に衝突することになり、かつ関連の信号処理を用いて個々の光子エネルギが測定され、ビームの下に存在する化学元素に対する固有輝線に対応する信号を発生させることができる。集束電子ビームは、視覚画像として示されることになる試料面の視野FOVを定める領域を横断するように試料の面にわたってビーム偏向器を用いて走査される。この横断は、典型的には、ビーム位置が、直交座標系のX方向の線に沿って駆動され、この線の端部でこの位置が、この領域を更に下ってY方向の小さい増分である次の線の開始点まで迅速に駆動(「フライバック」)される「ラスター」様式で行われる。すなわち、領域は、ビームが全領域を横断してFOVを網羅するまで線毎に走査される。ビームがFOV内で線に沿って走査している時に、電子検出器からの信号は、電子的に濾過され、規則的な周期Teでサンプリングされて又は周期Teにわたって積分されて各周期内で網羅される試料面を表す結果を与えることができる。FOVがNy線を有するラスターによって網羅され、かつFOV内の各線が時間Lを要する場合に、記録される結果の全数は、Ny×L/Teであることになる。各結果は、デジタル画像内のピクセルに対する値を構成し、データの各全フレームに対するピクセルの総数Npe=Ny×L/Teは、FOVを網羅する。このデジタル画像フレームが視覚表示ユニットに送られる時に、これらのピクセル値は、輝度を制御し、表示上のピクセル位置は、個々の結果に関する試料面上の位置に対応する。すなわち、視覚表示ユニットが試料上のFOVよりも遙かに大きい場合に、表示画像は、試料の面の非常に拡大された領域を示すことになり、「倍率」又は「MAG」は、形式的には、試料面上で走査された面積の幅に対する視覚表示画面の幅の比である。顕微鏡又はSEMは、電子ビームエネルギと、電子レンズ設定値と、集束電子ビームを偏向するために印加される場と、試料面から最終レンズまでの距離とによって支配される試料面上の領域の視野を可視化する。視覚表示モニタは、通常は、グラフィカルユーザインタフェースのための他の制御器及び情報と共に可能な最大の画像を示すであろう。試料上の視野のこの最大画像は、電子ビームが全視野にわたって走査する顕微鏡構成に対応する。電子ビームが低速で走査される場合に、電子画像に関する信号対ノイズはより良好であるが、表示更新速度は遅い。ユーザが、より良好な画像を得るために焦点又は非点収差を調節しようと望む時に、良好なS/Nを有する高速画像更新が必要である。従って、多くのSEMは、低走査速度を保持するが試料上の低減面積にわたって走査する「縮小ラスター」機能を提供し、その結果は、視覚表示上で相応に低減された面積上に示される。すなわち、倍率及びS/Nは保持されるが、表示更新速度は遙かに速い。このようにして、「縮小ラスター」は、焦点及び非点収差の対話型調節を可能にするほど十分に高速で更新する構成視野の画像の中心での実質的にサブセクションである修正されたより小さい視野を発生する。
【0004】
従来の「ラスター」走査以外に、画像に必要とされる空間解像度で集束ビームがFOVを横断することを可能にする多くの他の方法がある。一般的な方法は、「飛び越しラスター」走査を使用することであり、そこでは、Ny線に関するデータを収集するのに領域を通る2回通過が必要とされ、1回目の通過では、ビームは、最初に線に沿って向けられ、次に、その下にある線を飛ばし、これが、Ny/2「偶数番号」線が網羅されるまで繰り返され、次に、2回目の通過では、ビームは、FOVの全横断に必要とされる残りのNy/2線を網羅するために飛ばされた全ての線に沿って向けられる。別の例では、ビームは、
図1に示すように「蛇行」経路に沿って駆動することができると考えられる。このタイプの横断を用いると、電子信号測定値が周期Teにわたって取られる場合に、この周期中のビーム経路は、取得デジタル画像フレーム内のピクセルに対応することになる小さい矩形領域を横断するように位置決めすることができる。この周期に取得されるピクセル値を用いて視覚表示ユニット上の同等矩形領域の輝度を制御する場合に、輝度は、Y方向に連続走査線間に間隙が存在する従来のラスターに対するものよりもその領域をより良く表すことになる。
【0005】
電子ビームがFOVを横断し、かつ電子信号測定値が記録される間に、周期Tx中に横断された試料面上の領域を表す値セットを取得するために、X線エネルギスペクトルと同等のX線光子エネルギ測定値のヒストグラムを周期Txにわたって取得することができる。ビームがFOVを横断する間にこの取得を規則的な間隔Txで繰り返すことにより、周期Tx中に横断された領域から放射されたX線スペクトルを表す値セットを各ピクセルが有する「スペクトル画像」の単一フレームに対するピクセル値セットを取得することができる。Tx=Teである場合に、X線スペクトル画像内のピクセル数は、Npx=Npeである。しかし、Tx>Teである場合に、Npx<Npeであり、X線スペクトル画像内の各ピクセルは、デジタル電子画像内のピクセルに対するものよりも試料面上のより大きい面積を表すことになる。
【0006】
代替走査戦略では、集束電子ビームは、FOVを網羅するNpe点の矩形格子内の1つの位置に保持され、周期Teにわたって電子信号が測定され、その結果は、デジタル画像の対応するピクセルに格納される。このプロセスが矩形格子内の全ての点に関して繰り返された時に、Npeピクセルを含有する電子画像データの1つの完全な「フレーム」が得られたことになる。ピクセル値を用いて試料面上のビーム位置を中心とする同等矩形領域に対応する視覚表示ユニット上の矩形領域の輝度が制御される場合に、表示画像は、試料面上のFOVの拡大画像であることになる。ビームスポットが格子点間の面積を網羅するように入射電子ビームの焦点が若干ぼかされる場合に、デジタル電子画像内の各ピクセルに対する値は、各ビーム位置の近くの面積にわたる平均信号値を表すことになり、それによって個別位置の格子からではなく試料面上のFOVの全面積から信号が取得されたことになる。ビームが点に位置決めされている間に、Teよりも長いか又は短い可能性がある時間TxにわたってX線スペクトルを取得することもできる。ビームは、全てのNpe格子位置に位置決めされるので、試料面上の対応する位置又は当該位置の近くの小面積で取得された光子エネルギのヒストグラムに対応する値セットを各々が有するNpeピクセルを有するX線スペクトル画像の単一フレームを取得することができる。これに代えて、蛇行経路に沿う格子点にビームが順番に位置決めされる場合に、ビームがこの経路に沿う一連の格子位置に位置決めされている間の周期TxにわたってX線スペクトルを取得し続けることが可能である。一連の点に関してX線スペクトルが得られる間に全ての点で電子信号測定値が得られる場合に、X線スペクトル画像内の単一ピクセルは、多くの格子位置を網羅する試料上の矩形領域に対応することができ、それに対してデジタル電子画像内の全てのピクセルは、試料面上の格子点に対応する。
【0007】
信号を取得するための別の戦略では、ビームは、FOVを網羅する格子上の一連の点に位置決めされ、格子上の全ての点で電子信号測定値とX線スペクトルとの両方が記録される。次に、試料上の小矩形面積を網羅する点群からのX線スペクトルが合計され、各小矩形面積に関して単一スペクトルが与えられる。すなわち、取得X線スペクトル画像は、デジタル電子画像よりも少数のピクセルを含有することになり、この場合に、X線スペクトル画像内の各ピクセルは、デジタル電子画像内のピクセルよりも試料面上のより大きい面積に対応する。
【0008】
飛び越しの別の変形では、ビームは、試料のFOV範囲を網羅する矩形格子上の一連のNpe点にも位置決めされる。しかし、ビームが位置決めされる点の順序は、最初にビームが全FOV範囲を網羅するNpe/4格子点上に位置決めされ、次に、全FOV範囲を網羅するNpe/4格子点の異なるセット上に位置決めされ、このプロセスは、全領域横断を完了するためにビームが全てのNpe格子点上に位置決めされたことになるまで4回繰り返されるように位置決めされる。これは、ビームが全FOVの上を4回通り過ぎ、毎回、2倍の点間隔を有する4倍大まかな部分格子上の位置を訪れるが、FOVの最大解像度の横断を完了するための合計時間は、ビームがこの領域を1回の横断で全ての格子点上に位置決めされる場合と依然として同じであるとして考えることができる。この変形は、時として2×2飛び越しと呼ばれる。
【0009】
上述の例は包括的ではなく、電子ビームが視野に対応する試料面領域を横断する時にNeピクセルを含有するデジタル電子画像に関する単一フレームと、同じ視野からのNxピクセルを含有するX線スペクトル画像とを取得することができることを示すように意図しており、Nxは、典型的にNeよりも小さいか又はそれに等しい。
【0010】
典型的には、SEM上の「視野」は、寸法が1cmまでであるが、この寸法は、より大きいか又はかなり小さくすることができ、デジタル画像が固定サイズのモニタ上に表示される場合に、視野のサイズは倍率を実質的に試験し、すなわち、小さい視野が高い倍率を表す。精査される試料は、電子ビームの偏向によって達成することができる最大視野よりも寸法が典型的に遙かに大きく、全試料面を探査するために、通常は試料を支持するホルダ又はステージをコントローラを用いて移動する必要があり、これは、典型的に走査視野を多くのcmだけ移動する可能性がある。試料が、それにビームを透過させるほど十分に薄肉である電子顕微鏡(走査透過電子顕微鏡又はSTEM)では類似のシステムが使用される。この場合に、ビーム偏向及びステージの移動の範囲は、典型的にはSEMに関するものよりも小さい。
【0011】
電子ビームが試料に衝突する時に試料から放射される電子の数は、発生されるX線光子の数よりも典型的に数桁多い。その結果、取得X線データから取り出されるいずれのX線画像も典型的には電子画像よりも遙かに劣悪な信号対ノイズ(S/N)比のみを有し、利用可能かつX線画像を改善するのに最適な方法を使用することが望ましい。検出器によって収集されるX線の数は、電子ビームが試料に衝突する点でX線検出器によって範囲が定められる立体角によって支配される。X線検出器が電子ビームの一方の側に存在する
図2に示す配置では、収集立体角は、大面積の検出器を使用することができ、又は検出器を試料の直近に位置決めすることによって最大に拡大される。異なる配置では、X線検出器は、全収集立体角を最大に拡大するために入射電子ビームの周りに位置決めされたいくつかのセンサを使用する。この「同軸」配置では、X線検出器は、最終レンズ開口と試料の間に位置決めされ、電子ビームは、センサ間の間隙を通って進行する。
【0012】
収集立体角が最大に拡大された時であっても、単一フレームに関して導出されるX線画像に関する信号対ノイズは、電子画像に関するものよりも典型的に遙かに悪く、これは、ピクセル毎の滞留時間が短い時にユーザが細部を確認することを困難にする。信号対ノイズを改善するために滞留時間が延長される場合に、画像フレームを完成させる時間が長くなり、ユーザは、全視野を網羅する画像を確認するのにより長い時間を待たなければならない。X線撮像に関する有意な革新技術は、格納データを処理してあらゆる望ましい特性化学元素放射からX線画像を発生することができるように個々の光子の走査位置と走査エネルギとの両方を記録する技術であった(Mott及びFriel、1999年、Journal of Microscopy第193巻第1部、1999年1月号、2~14ページ)。1回の走査に対してピクセル毎に長い滞留時間を使用する代わりに、Mott及びFrielは、頻繁にデータを蓄積しながら短い滞留時間を用いて同じ視野を繰り返し走査した。これらの研究者のシステムは、新しいデータフレームが追加された時にS/Nが改善される場合に徐々に低い粒度の導出X線元素マップが出現するように各ピクセルに蓄積されたスペクトルデータを用いてX線画像を表示に向けて繰り返し与えるようにプログラムされている。X線データを取得し、導出X線元素マップを表示して得られる画像が経時的に改善することを観察するこの方法は、今までほぼ20年にわたって一般的な用法であり続けた。
【0013】
ユーザが着目領域を見つけるために試料を探査する必要がある時に、彼らは、電子画像との高速対話に向けて最適化されたSEMディスプレイを典型的に使用する。通常、SEMは、フレーム毎にリフレッシュされる高S/N電子画像を表示し、焦点又は倍率が変更されるか又は視野が変位した場合に(例えば、試料を支持するホルダ又はステージを移動する又は走査偏向にオフセットを追加することにより)、ユーザは、効率的に対話を行うほど十分に速い速度で新しい画像を確認する。移動中の特徴部を追跡するほど十分に高い更新速度は、フレーム速度が50Hzよりも低い場合があるが家庭用テレビジョンとの類似によって典型的に「TV速度」と呼ばれる。電子ビーム走査によって網羅される視野が試料面上の関連のタイプの特徴部を表示するのに適切になるように電子画像の倍率を設定した後に、ユーザは、関連の化学元素又は化学化合物を含む可能性が高い区域を見つけるために電子画像を観察しながらステージを移動することになる。可能性が高い区域が視野内に出現した時に、ユーザは、ステージの移動を停止し、次に、走査速度を調節してX線取得を開始し、Mott及びFrielによって説明されているようにS/Nがフレーム毎に改善される時の元素マップを観察することになる。視野での元素又は化合物の分布が適切でないことが早々に明らかになった場合に、ユーザは、速いフレーム速度の電子画像を用いた対話型探査に戻り、X線データを取得するのにより適切な領域を見つけるためにステージを移動することになる。電子画像に戻り、必要とされる元素の適切な分布を視野が有するか否かを検査するほど十分なX線データを取得するために繰り返し停止しながら探査を行い、持たない場合は電子画像に戻って探査を行うこのサイクルは非効率的であり、ユーザは、試料上の大面積にわたってナビゲートしようと試みる中で着目物質を含有する領域を試料上で見落す可能性もある。
【0014】
ユーザのタスクが、ある一定の特質を有する特定の化学元素、化学化合物、又は化学物質を含有する領域を見つけることである時に、問題は、電子画像が十分な情報を提供しないことである。SE信号は面トポグラフィを明確に示し、BSE信号は物質の平均原子番号を示すことができるが、いずれの信号も、化学元素含有量又は材料特質に関する特定の情報を提供せず、すなわち、ユーザは、領域が、そのような情報を提供するためにこの領域から追加データを取得するのに値する可能性が高いか否かを推測しなければならない。導出X線画像は、化学元素含有量に関する情報を提供することができるが、劣悪なS/Nのみを有し、ユーザが試料上の何処にいるのかを知ることを助けるトポグラフィのいずれの詳細又は十分に高い解像度も提供しない。すなわち、必要とされることは、ユーザが着目物質を見つけるために試料上の大面積にわたってナビゲートする間に化学元素含有量のような材料特質を可視化するための有効な方法である。
【0015】
WO 2019/016559 A1は、2つの異なるタイプの検出器を用いて得られた、すなわち、様々な画像取得特質を有する試料に関する様々な情報を表す組合せ顕微鏡試料画像を画像が得られる間に実時間で表示する段階を伴っている。この技術は、顕微鏡機器のユーザが試料の様々な領域を通ってナビゲーションを行い、試料上の着目特徴部を位置付けることを可能にする改善された速度及び効率を有する。この利益は、試料の同じ領域を同じ視野内に同時に示す2タイプの画像を表示することにより、ユーザが試料面の物理的形状又はトポグラフィを示すことができる第1のタイプの画像に基づいて潜在的な着目特徴部を例えば試料の周りにナビゲートしながら迅速に識別し、そのような潜在的な特徴部を位置付けた時に、第1の画像タイプによって提供された情報とは異なるタイプの試料領域に関する情報を取得するための第2のタイプの画像データを取得又は蓄積するために顕微鏡の視野がこれらの特徴部を含み続けるように視野を維持することを可能にすることができることに少なからず起因して生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】WO 2019/016559 A1
【特許文献2】WO 2012/110754 A1
【特許文献3】PCT/GB2011/051060
【特許文献4】US5357110
【特許文献5】PCT/GB2014/051555
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Mott及びFriel、1999年、Journal of Microscopy第193巻第1部、1999年1月号、2~14ページ
【非特許文献2】https://en.wikipedia.org/wiki/Digital_image_correlation_and_tracking
【非特許文献3】P.J.Statham著「スペクトルの事前フィルタリングを用いた最小二乗当て嵌めによる逆畳み込み及び背景除去(Deconvolution and background subtraction by least-squares fitting with prefiltering of spectra)」、Analytical Chemistry 1977、49(14)、2149~2154ページ、DOI:10.1021/ac50022a014
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかし、大きい試料面積にわたってナビゲートしながら材料特質を可視化することができ、並びに着目領域に関して取得することができる視覚データの品質を可能にする速度及び効率を更に強化する改善された分析のための方法に対する必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の第1の態様により、顕微鏡内で試料を分析する方法を提供し、本方法は、第1の検出器と第1の検出器とは異なる第2の検出器とを用いて一連の複合画像フレームを取得する段階であって、複合画像フレームを取得する段階が、
a)荷電粒子ビームに顕微鏡の構成視野に対応する試料領域を横断させる段階であって、モードパラメータが第1の値を有する時に、ビームの横断が、領域上の第1の横断経路に沿い、かつ第1の横断条件セットに従い、モードパラメータが第2の値を有する時に、ビームの横断が、領域上の第2の横断経路に沿い、かつ第2の横断条件セットに従い、ビームが第1の横断条件セットに従って第1の横断経路全体を横断するのに必要とされる第1の合計時間が、ビームが第2の横断条件セットに従って第2の横断経路全体を横断するのに必要とされる第2の合計時間よりも短い上記横断させる段階、
b)第1の複数の場所に対応し、そこで発生されたモニタされた粒子から導出された値を有する複数のピクセルを含む第1の画像フレームを取得するように、領域内の第1の複数の場所で試料内に発生された得られる第1の粒子セットを第1の検出器を用いてモニタする段階、
c)第2の複数の場所に対応し、そこで発生されたモニタされた粒子から導出されたそれぞれの値セットを有する複数のピクセルを含む第2の画像フレームを取得するように、領域内の第2の複数の場所で試料内に発生された第2の得られる粒子セットを第2の検出器を用いてモニタする段階、及び
d)領域内の第1及び第2の複数の場所で発生されて第1の検出器及び第2の検出器の各々によってモニタされた粒子から導出されたデータを提供するような複合画像フレームを発生するために第1の画像フレームと第2の画像フレームを組み合わせる段階、
を含む上記取得する段階と、
各複合画像フレームを順番に示すために更新される視覚表示上に一連の複合画像フレームを実時間で表示する段階と、
を含む。
【0020】
本方法は、ナビゲートして試料からデータを収集する時に既存電子顕微鏡検査分析技術と対比して更に別の利点を提供する。本発明者は、信号対ノイズと効率的かつ高速試料ナビゲーションとに関して追加の利益を提供する手法を考案した。この手法は、画像フレームに対するデータを取得する時に試料をビームによって走査するモードを顕微鏡の視野が変化中又は静止中のいずれであるかに基づいて変更することによって得られる。特に、本方法は、視野が変化している時の高速画像フレーム取得モードと視野が不変である時の低速モードとの間の有利な切り換えを可能にする。複合画像フレームに対するデータを取得するのに必要とされる時間の変化、所与のモードに関してフレーム全体に関するデータを取得するか又は横断経路全体からデータを取得するのに必要とされると考えられる時間の変化、又は取得速度の変化は、いくつかの方法で達成することができる。これらの手法は、取得画像の解像度を変更すること、試料面上の場所からデータを取得するのに要する平均時間を変更すること、及び横断経路が試料上の領域を網羅する範囲を変更することを含む。この切り換え方式を可能にすることにより、試料分析中に多大な利点がもたらされ、この場合に、典型的には、オペレータは、潜在的な着目特徴部又は着目領域が識別されるまで試料に対して視野を移動することによって顕微鏡内で試料をナビゲートし、その後に、このような領域又は特徴部から更に別のデータを収集しながらこの移動を停止することができる。ビームが試料面を横断し、得られる粒子をモニタする方式を試料をナビゲートするのに顕微鏡がどのように使用されるかに応答して調節することにより、大きい試料面積にわたってナビゲートしながら材料特質を可視化することを可能にする速度及び効率、並びに着目領域に関して利用可能である視覚データの品質が既存手法と対比して改善する。
【0021】
本方法は、組合せ画像を実時間で表示することによって顕微鏡下での試料の実時間追跡を容易にする。一連の取得複合画像フレームの順次の高速提示は、2つの検出器による分析中の試料の「ライブ」視像をオペレータに与える。本発明の開示の状況では、一連の複合画像フレームは、連続して発生する複数の複合画像フレームとして理解することができる。一連の複合画像フレームは、順序を有するものと考えることができる。典型的には、この順序は、複合画像フレームが得られた順序及び/又は複合画像フレームの各々の構成フレーム、すなわち、第1の画像フレームと第2の画像フレームが取得された順序である又はそれに対応する。典型的には、複合画像フレームの系列の順序は、これらの複合画像フレームが表示される順序と同じ順序である。
【0022】
この系列は、この複合画像フレームセットがより大きいフレームセット又は一連のフレームの部分集合であることを除外しない。この系列は、取得フレームの更に別のセット又は系列との時間的な重複及び/又は各セット又は系列内の複合画像フレームに関する重複のいずれの可能性も必ずしも除外しない。本発明の開示で後に議論するように、一連の複合画像フレームに、例えば、その一部とは見なされない更に別のフレームが割り込む場合がある。例えば、関与複合画像フレームが同じか又は異なる方式で得られる可能性があると考えられ、そのような相互作用的複合画像フレームは、当該の一連の複合画像フレームの一部と見なされないと考えられる。しかし、好ましくは、一連の複合画像フレームは、不断の一連の複合画像フレームである。本発明の開示では、複合画像フレーム取得段階が上述の段階を含むという特徴は、典型的な実施形態では一連の複合画像フレーム内の各複合画像フレームを取得する段階がこれらの段階を含むことを意味するものとして理解することができる。
【0023】
モードパラメータは、走査モードパラメータと呼ぶ場合がある。この命名法は、モードパラメータ値が、ビームによる走査と呼ぶ場合もあるビームによる領域の横断が実施される方式に影響を及ぼすので適切である。
【0024】
典型的には、本発明の開示では、値を有するパラメータは、典型的には、予め決められた値であるそのような特定値に等しい値を有するパラメータとして理解することができる。
【0025】
第1の値と第2の値は、典型的に異なると理解されるであろう。典型的には、モードパラメータの第1の値は、典型的に「高速」走査モードである第1の走査モードに対応する。
【0026】
典型的には、モードの特質が有することができる第2の値は、第1の走査モードとは異なり、典型的に「低速」走査モードである第2の走査モードに対応する。
【0027】
特定のモードパラメータ値が走査モードに影響を及ぼすことができる1つの方法は、複合画像フレームの取得のためのビーム横断経路を変更することによるものである。好ましくは、第1の横断経路と第2の横断経路のいずれか又は両方は、所与のフレームの横断の少なくとも開始時又は開始前に予め決定される。しかし、第1の横断経路と第2の横断経路が異なる場合に、これらの第1の経路と第2の経路のいずれか又は両方自体は、所与のフレームに関して領域を逆進している最中にモードパラメータ値の1回又は2回以上の切り換え、すなわち、第1及び第2の値への変更及び/又はこれらの値からの変更によって変更することができると考えられる場合がある。
【0028】
例えば、2つの事前構成又は予め決められた予備経路間の切り換えは、時間を消費するか又は他に非効率的なビーム経路変更を必要とする可能性があると考えられることは理解されるであろう。そのような場合に、横断される実際の第1及び/又は第2の経路を定めるために、事前構成又は予め決められた部分のいずれか又は両方からの逸脱、その除外、及び/又は変更を可能にするか又は行うことができる。
【0029】
領域内の第1の複数の場所及び第2の複数の場所は、それぞれ、典型的に第1及び第2の横断経路と一致するか又はそれらに沿って存在する。所与の複合画像フレームに関して第1の複数の場所と第2の複数の場所とのいずれか又は両方が含む場所のうちの1又は2以上又は一部の場合に全ては、第1の横断経路と第2の横断経路の両方と一致する場合がある。
【0030】
一部の実施形態では、モードパラメータの値は、構成視野が変化している又は変化していないか否かに従って構成される。好ましくは、モードパラメータは、構成視野が変化している又は変化していないか否かに従ってそれぞれ第1の値又は第2の値を有するように構成される。
【0031】
構成視野が変化状態にあることによって高速走査モードを開始するか又は他に発生させることを特に有利とすることができる。一部の好ましい実施形態では、従って、モードパラメータは、構成顕微鏡視野が変化していることに応答して第1の値を有するように構成される。パラメータが第1の値を有するように構成されることは、パラメータの値に関係なくかつ実際にパラメータがこの設定の前に値を有していたか否かに関わらず、パラメータが第1の値に設定されるとして理解することができる。そのような実施形態では、構成視野を変更することによって高速走査モードを自動的に関与させることができる。
【0032】
典型的には、モードパラメータは、構成顕微鏡視野が変化している間、すなわち、変化状態を有する間に第1の値を有する。
【0033】
上述の応答は、好ましくは即時の応答である。しかし、実際には、パラメータ値の応答的な設定での一部の遅延が必要であるか又は望ましい場合があり、すなわち、応答は、例えば、構成視野が変化状態に入れられてからの応答、時に予め決められた時間又はフレーム数が過ぎた後の応答とすることができる。好ましくは、モードパラメータは、構成視野が変化し続ける限り、又は少なくとも構成視野が変化し続ける限り、又は変化しなくなるまで第1の値に維持される。例えば、構成視野が静止状態になるか又は静止中であることによってパラメータが第2の値に自動的に設定される実施形態では、第1の値と第2の値の両方へパラメータの切り換えは、構成視野に依存して自動的に行うことができる。
【0034】
モードパラメータは、例えば、予め決められた時間にわたって又は一連の複合画像フレーム内の予め決められたフレーム数にわたって構成視野が変化状態にあることに応答して第1の値を有するようにすることができる。
【0035】
好ましくは、パラメータは、構成顕微鏡視野に加えられる変更が予め決められた閾値よりも大きい場合に、例えば、先行フレームの視野との構成視野の類似性の尺度に従って第1の値を有するように構成することができ、これらの尺度は、領域上でのこれらの構成視野間の重複程度、試料上での相対的又は絶対的な構成場所、及び/又はズームレベルを含むことができる。
【0036】
顕微鏡を構成するのに使用する視野が「変化中」であることは、視野が変化状態にあることができ、又は言い換えれば変化しているように何らかの方法で構成されることを意味するとして理解することができる。例えば、この構成変化は、試料の端から端までのパン、及び/又は試料上のより小さい又はより大きい領域にそれぞれ対応するズームイン又はズームアウトを含むことができる。パラメータが第1の値に設定される段階は、構成視野が変化状態にある又は変化状態に入れられることのいずれか又は両方に応答する段階とすることができることも理解されるであろう。例えば、第1の値は、単一構成視野移動に従って又はそれに応じて設定することができる。
【0037】
上述のように、一部の実施形態では、モードパラメータは、構成顕微鏡視野が変化していないことに応答して第2の値を有するように構成される。この応答もまた、必ずしも即時である必要はなく、上述した第1の値への設定の場合と同じく遅延させることができる。顕微鏡を構成する時に使用する視野は、所与の時点で静止中であるか又は変更されるように構成されることを理解することができる。本発明の開示で後により詳細に議論するように、実際には、実際の顕微鏡視野に加えられるいくつかの変更は、構成視野が変化しているか否かに関わらず行うことができる。すなわち、例えば、視野ドリフトに起因して実視野と構成視野とが異なる場合がある。
【0038】
この応答は、上述のように、構成視野に加えられるいずれかの変更が終わったことに対する応答とすることができる。第2の値は、例えば、予め決められた時間にわたって又は一連の複合画像フレーム内の予め決められたフレーム数にわたって構成視野が不変状態にあることに応答して設定することができる。
【0039】
構成視野の変化状態又は不変状態に応答してモードパラメータ値を設定することにより、所与の複合画像フレームの取得中に走査モード間の変更を可能にすることができる。すなわち、モードパラメータは、一連の複合画像フレーム内の所与の複合画像フレームの取得中に同じ値を有することができ、又は構成視野の状態に加えられる変更、すなわち、構成視野が静止中又は非静止中のいずれであるかに従って異なる値間で変更することができる。
【0040】
しかし、一部の実施形態では、顕微鏡を構成する時に使用する視野の状態が変化中又は不変のいずれかであることは、一連の複合画像フレーム内の2つの連続複合画像フレーム又はその構成画像フレームが、それぞれ異なるか又は同等の構成視野を有することに対応することができる。典型的には、所与の時点現在で取得されている複合画像フレームは、これら2つの連続フレームのうちの第2のもの、すなわち、後の方である。このようにして、変化中/不変の決定を行うことは、中間フレーム取得モードの変更が予想されないか又は望ましくない場合の実施に有利とすることができる。
【0041】
すなわち、一部の実施形態では、特に複合画像フレームの取得中に、モードパラメータは、構成顕微鏡視野が一連の複合画像フレーム内で直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと異なる時に第1の値を有する。パラメータ値は、例えば、構成視野に関する条件が満足されることに基づいて当該値になるように調節することができ、又はそれぞれの条件が満足され続ける間に適切な値を有したままに留まらせることができることは理解されるであろう。
【0042】
本発明の開示の状況では、「先行」という用語は、時間的に前に発生すること、すなわち、現在の複合フレームの前に得られた複合フレームを指すとして理解することができる。この状況での「直接」という用語は、取得されている現在の複合画像と一連の複合画像フレーム内で直ぐ先行する複合画像フレームとの間に介在するフレームが存在しないことを意味するとして理解することができる。これは、現在の複合画像フレームと一連の複合画像フレーム内で直ぐ先行するものとの間で複合画像フレーム又はいずれかの他のフレーム、画像、信号、又は他のデータのうちの1又は2以上を取得する段階を除外しないことは理解されるであろう。いずれかのそのような他の複合画像フレームは、それが特に第2の一連の複合画像フレームの一部ではない場合に取り込むことができる。すなわち、一連の複合画像フレームは、本発明の開示で上述したように好ましくは不断の系列であり、これは、一連の複合画像フレーム内の複合画像フレームの取得と同時に又はフレーム間に更に別のいずれのフレームも得られないことを示すことができるが、一部の実施形態では、連続画像フレームを取得する段階で実施される指定機能を中断する必要がある場合がある。例えば、走査モードで変更を行う前に1又は2以上のフレームの遅延が存在する場合に、このようにして一連の複合画像フレームを中断系列にすることができる。
【0043】
上述した機能は、連続視野間に差が発生した時に第1の走査モードが使用されることに関連する場合がある。それとは逆に、一部の実施形態では、モードパラメータは、構成顕微鏡視野が一連の複合画像フレーム内で直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと同じ時に第2の値を有する。上記と同様に、これは、パラメータ値を例えば構成視野に関する条件が満足されることに基づいて当該値になるように調節することができ、又はそれぞれの条件が満足され続ける間に適切な値を有したままに留まらせることができる。そのような実施形態の状況では、直接先行複合画像フレームは、モードパラメータに第1の値を持たせることに関して言及した直接先行複合画像フレームとほぼ同じである。一部の実施では、低速モードへの自動切り換えは、連続複合画像フレームが同じ構成視野を有するという決定に基づいて行うことができる。
【0044】
自動走査モード切り換えに加えて、走査モードをユーザによって制御することができることも可能である。すなわち、一部の実施形態では、モードパラメータ値は、ユーザ設定可能である。言い換えれば、モードパラメータは、ユーザが構成することができる値を有することができる。一部の場合に、顕微鏡のユーザが走査モードを低速モードに設定することができることが特に有利である。すなわち、ユーザが低速走査を手動で始動するための機能は、試料を分析し、説明するライブモニタ技術を使用する時に特に有利とすることができる。すなわち、一部の好ましい環境では、第1のユーザ入力が与えられた時に、モードパラメータは、第2の値に設定される。第1のユーザ入力は、ある方式の入力、例えば、コンピュータユーザインタフェースによって行われるとすることができる。入力は、モードパラメータを第3の値に設定し、それによって低速走査を発生させるための指令、キー、又はトグルを含むことができる。一部の実施形態では、ユーザ入力を用いてパラメータを第1の値と第2の値のいずれか又は両方に設定することができる。パラメータを少なくとも第2の値に切り換える機能は、好ましくは設定可能である。これは、試料のライブモニタ及びナビゲーションに対するより高い制御を容易にすることができる。
【0045】
このようにして、ユーザが低速走査を始動するための機能を与えることは、構成顕微鏡視野が一連の複合画像フレーム内で直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと異なる時又は構成視野が他に変化状態にある場合にモードパラメータが第1の値を有する構成と組み合わせて実施される時に特に有利である。このようにして、ユーザは、ナビゲートする間に画像データを改善するのに必要に応じて走査を低速モードに設定することができる。
【0046】
典型的には、ユーザは、低速モード設定を行う時に構成視野の移動を中断することになる。すなわち、再び視野移動が始められた後に走査が高速モードに切り換わることが有利である。
【0047】
試料ナビゲーション中に必要に応じて高速走査と高品質走査間の切り換えを容易にするために変更可能走査モードを実施するのに加えて、所要フレームデータを処理する方式を類似の原理に従って調節することができる。すなわち、一部の実施形態では、複合画像フレームを取得する段階は、第2の画像フレームによって含まれる複数のピクセルの少なくとも部分集合、好ましくは全ての各々に関して第2のモードパラメータが第2の値を有する場合に、増大した信号対ノイズ比を有する組合せピクセル値セットを取得するために、ピクセルの導出値セットを一連の複合画像フレーム内で1又は2以上の先行する第2の画像フレームのうちの各々のものの対応するピクセルの導出値セットと組み合わせて複合画像フレームでの使用に向けて第2の画像フレームに関する導出ピクセル値セットを組合せピクセル値セットで置換する段階、又は第2のモードパラメータが第1の値を有する場合に、複合画像フレームでの使用に向けて第2の画像フレーム内のピクセルの導出値セットを維持する段階を更に含む。
【0048】
好ましくは、複数のピクセルは、フレームを構成するピクセルセットと同じである。しかし、複数のピクセルは、このピクセルセットの部分集合である場合がある。第2のモードパラメータをフレーム処理モードパラメータと呼ぶ場合がある。上記で言及した「対応するピクセル」は、試料上の同じ場所に対応し、そこから放射された粒子から導出された値を有する異なるフレーム内のピクセルを典型的に意味する。
【0049】
第2のモードパラメータは、従って、下記でより詳細に議論するように、第2の画像フレームデータを「リフレッシュ」モード又は「蓄積」モードのいずれで処理するかを制御することができる。一部の実施形態では、第2のモードパラメータは、構成顕微鏡視野が一連の複合画像フレーム内で直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと異なる場合に第1の値を有する。この「蓄積」モード及び「リフレッシュ」モードの機能は、好ましくは第2の画像フレームに適用されるが、様々な実施形態では、これに加えて又はこれに代えて、第1の画像フレームに同じく適用することができる。
【0050】
ビームによる横断又は走査を制御するのに使用することができる本発明の開示で上述した第1のモードパラメータの場合と同様に、得られた第2の画像フレームを処理するモードを制御することができる第2のモードパラメータは、いくつかの因子に従って調節されるように構成することができる。特に、手動制御と自動切り換えとの両方が想定されている。
【0051】
従って、一部の環境では、フレーム処理の第2のモード、すなわち、蓄積モードへの自動切り換えは、一連の複合画像フレーム内で連続する構成顕微鏡視野間の類似性又は一致性に従って影響を受ける場合がある。特に、第2のモードパラメータは、構成顕微鏡視野が一連の複合画像フレーム内で直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと同じ時に第2の値を有することができる。
【0052】
フレーム処理を制御するための上述の自動パラメータ設定に加えて又はその代わりに、第2のモードパラメータはユーザ設定可能とすることができる。特に、一部の実施形態では、ユーザ入力を用いてパラメータを第1の値と第2の値のいずれか又は両方に設定することができ、少なくとも第2の値に切り換える機能を与えることが好ましい。これは、第2の画像フレーム内のデータのSN比を改善するために、得られた第2の画像フレームを組み合わせる機能をユーザに与えることでライブモニタ及びナビゲーション中に着目区域が視野の中に入った時の高品質データの迅速な取得を容易にすることができる。上記と同様に、モードパラメータがある値に設定されることは、モードパラメータが当該値を有するように構成されるとして理解することができる。すなわち、一部の実施形態では、第2のモードパラメータは、ユーザ入力に応答して第2の値に設定される。これは、ユーザ選択可能走査モードの場合と同様に、「リフレッシュ」フレーム処理モードへの切り換えが顕微鏡を構成する時に使用する視野の状態に基づいて自動的に行われる実施形態で特に有利である。このようにして、ユーザは、試料のナビゲーションが中断された時にデータを改善するために蓄積を行うためのフレーム処理機能を設定することができる。上記に即して視野の移動が再度始まった時に高速更新データを提供することを可能にするために、フレーム処理が「リフレッシュ」モードに切り換わることが有利である。
【0053】
ユーザ入力の性質は、走査モードに関して上述したものと典型的に同じである。
【0054】
一部の実施形態は、発生する可能性がある顕微鏡の実視野の不慮のドリフトを補償する段階を伴っている。実視野と所期視野又は構成視野の間のそのような逸脱は、そのような補正がない場合に一連の複合画像フレーム内の様々な画像フレームのピクセルの値を組み合わせることを非常に困難又は不可能にする場合がある。なぜならば、実視野のこの不慮の移動又は変位の結果として、典型的には、試料上の同じ場所からの信号を表すピクセルデータが2つの各々の画像フレーム内で異なる位置を有するピクセルに帰属することにある。
【0055】
本発明の開示では、一部の場合に顕微鏡の実視野が構成視野と必ずしも同じではない可能性が考えられることに言及した。これは、例えば、試料ステージ機構又はビーム偏向電子機器に対する熱的影響に起因する場合がある。複合画像フレームの取得段階は、顕微鏡の実視野と基準視野の間の差を表す視野逸脱データを取得する段階と、第2の画像フレームによって含まれる複数のピクセルの少なくとも部分集合の各々に関して一連の複合画像フレーム内で1又は2以上の先行する第2の画像フレームのうちの各々のものの対応するピクセルであって、組合せピクセル値セットを取得するために視野逸脱データに従って当該ピクセルの導出値セットと組み合わされる上記対応するピクセルを決定する段階とを更に含む。フレームが処理の「蓄積」モードを用いて得られる時にこの機能を適用することが特に有利である。すなわち、複合画像フレームの取得段階は、好ましくは、第2のモードパラメータが第2の値を有する場合に、すなわち、そのような条件下でこれらの段階を更に含む。好ましくは、補正は、この条件下でしか実施されない。しかし、この条件が満足されない時にドリフト補正を適用することが除外されるわけではない。
【0056】
上述の「差」は、視野間での試料上の直線カバレージ及び/又は面積カバレージ及び/又は位置の差とすることができる。この差は、典型的には、所与の時点、好ましくは、複合画像フレーム、特に第2の画像フレームの取得されているある時点での顕微鏡の構成視野と実視野の間の差を含むことができる。視野逸脱データは、この差の尺度、又はこの差の計算、推測、又は予想による指標、値、又は推定値とすることができる。例えば、視野逸脱データは、ベクトル表現又はドリフトベクトルを用いて表現することができる。このデータは、実視野と構成視野の間の差を示すことができ、又は例えば一連の複合画像フレーム内の他のフレームに対する相対尺度によってドリフトを示すことができる。視野逸脱データは、取得された複数の第1の画像フレームに従って利用可能である。視野逸脱データは、視野ドリフトを示すことができ、又はその尺度又は表現とすることができる。一部の実施形態では、視野逸脱データは、一部の実施形態では電子画像である連続する第1の画像フレームの相互相関によって決定することができる。
【0057】
一部の実施形態でピクセルを組み合わせるのに使用される補正は、典型的には、第2の画像フレーム内のピクセルの少なくとも部分集合であるが、好ましくは全てに対して適用され、第1の画像フレームデータを処理の「蓄積」モードで組み合わせるべきである場合は第1の画像フレームのピクセルに適用することができる。例えば、所与のフレームに関する部分集合は、対応するピクセルを見つけることができる場合がある。本発明の開示で先に上述のように、異なる画像フレーム内の2つのピクセルが対応するピクセルであることは、これらのピクセルが試料上の同じ位置に対応することと考えることができる。しかし、いくつかのピクセルに関して、周囲ピクセルが、実視野の中に意図せずにドリフトして入り込んだ試料の部分に対応する場合等には、対応するピクセルが見つからない可能性が考えられるか又は識別可能ではない場合がある。第1の画像フレームと第2の画像フレームの実質的に同時の取得を含む実施形態では、ビームに対する試料の不慮の移動は、典型的には、第1の画像フレームと第2の画像フレームの両方に影響を及ぼすことになることは理解されるであろう。好ましくは、複合画像フレームを取得する段階では、第1の画像フレームと第2の画像フレーム間の位置合わせが維持される。この位置合わせは、例えば、第1の画像フレームデータと第2の画像フレームデータとの両方をドリフト補正することにより、又は例えば第1の画像フレームデータを逸脱の基準及び/又は測定のために用いて第2の画像フレームデータのみをドリフト補正することによって達成することができ、第2の画像フレームデータのみのドリフト補正は、複合画像を発生させるために第1の画像基準データを使用する段階を含むことができる。すなわち、複合画像フレームを取得する時に画像フレームデータをドリフト補正するための上述した段階は、第1の画像フレームと第2の画像フレームのいずれか又は両方に適用することができる。
【0058】
一般的に、ドリフト補正は、フレーム間の視野のドリフト又逸脱を識別し、それによって異なる第2の画像フレーム又は複合画像フレーム内にあり、試料上の同じ場所に対応するピクセルを識別してこれらの値セットを組み合わせることを可能にするために関与させることができる。すなわち、好ましくは、組合せピクセル値セットの取得段階は、対応するピクセルが現在のピクセルと同じ試料場所に対応するか又はそこからから放射されたモニタされた粒子を表すように実施される。
【0059】
構成視野と実視野は、好ましくは同じであるが、実視野の位置のいずれかの不慮のドリフトが、第2の画像フレームの組合せデータの品質を異なるフレーム内のピクセル間の対応を乱すことによって低減する場合がある。従って、この不慮のドリフトは、好ましくは、データが試料上の同じ位置から発生する場合にのみピクセル値が組み合わされることを保証するために連続画像フレーム間で補正される。従って、一部の実施形態では、基準視野は、取得されている複合画像フレームに対して構成された視野及び系列内の先行する複合画像フレームに対する実視野のうちのいずれかを含む。この実視野は、好ましくは、複合画像フレームの取得されている顕微鏡のものである。典型的には、ドリフト補正に関わる実施形態では、第2のモードパラメータが第2の値を有する時に、システムがフレームを集積し始めると、好ましくは、集積を開始する前のいずれの遅延にも関係なく、「集積」モードで作動する周期中の第1の複合画像フレーム、典型的にはその第1の画像フレームからのデータを全ての後続フレームからのデータがドリフトに関して補正された位置と組み合わされるようにドリフト補正基準として使用することができる。従って、基準視野は、先行複合画像フレーム、典型的には第2のモードパラメータが第2の値に設定されるのに続いて得られたものの実視野又は構成視野を含むことができる。
【0060】
視野がドリフトした取得フレーム間の対応を確立するために逸脱データを使用するのに加えて又はその代わりに、このデータを用いてドリフト自体を軽減することができる。従って、一部の実施形態では、複合画像フレーム取得段階は、特に第2のモードパラメータが第2の値を有する場合に、顕微鏡の実視野と基準視野の間の差を低減するように実視野を視野逸脱データに従って調節する段階を更に含む。言い換えれば、実視野が基準視野に一致するか又は少なくともより密接に一致するように、ビーム偏向又は時にステージの位置決め及び/又は移動のような調節をその後のフレームに対する取得条件に加えることができる。
【0061】
一部の実施形態、特に、第2の検出器によってモニタされる粒子を用いてモニタされた試料場所に存在する化学元素を示すデータを導出することができる実施形態では、好ましくは、特性線放射を取得するための処理が実施される。好ましくは、この処理は、重複する固有輝線分布の場合でも実施され、好ましくは、いずれの制動放射寄与も除外する。一部の実施形態では、複合画像フレームを取得する段階は、第2の画像フレームによって含まれるピクセルの各々の値セットを導出するために、第2の粒子セット内で1又は2以上の特性線放射にそれぞれ対応する粒子の数、例えば、計数値として理解することができる分量を示すデータを取得するように第2の粒子セットに従って取得されたスペクトルデータ、好ましくは、X線スペクトルデータを処理する段階を含む。
【0062】
X線データの状況では、上記第2の粒子セットは、光子及び従ってX線光子を含むことは理解されるであろう。スペクトルデータの処理段階は、第2の検出器によって出力された1又は2以上の信号を処理する段階を含むことができる。特性線放射は、当業技術で十分に理解されているように所与の化学元素に関する状態間の様々な遷移に対応するX線遷移輝線セットを指すことができる。
【0063】
モニタされた第2の粒子セットから導出されるそれぞれの値セットは、2つの異なる元素からの線放射があるエネルギ範囲にわたって分散され、エネルギに関して重複する時でさえも、特定の特性線放射に対応する光子の数を抽出するようにX線スペクトルデータを処理することによって導出することができる。従って、処理段階は、好ましくは、1又は2以上の特性線放射が、あるエネルギ範囲にわたって分散する及び/又は重複エネルギ範囲に対応する時に粒子の分量を示すデータを抽出する段階を含む。
【0064】
好ましくは、そのような実施形態では、値セットのうちの1又は2以上が各々ヒストグラムとして表現可能なX線エネルギスペクトルデータを含み、この場合に、各矩形の面積は、矩形の幅に対応するエネルギ範囲のエネルギを有する第2の粒子の数を表している。この状況での「矩形」は、そのように表現する必要はないが、ヒストグラム上で矩形としてプロットするのに適する矩形の高さ及び幅としてそれぞれ可視化することができる1ペアの値のようなデータを典型的に含むことは理解されるであろう。値セットのうちの1又は2以上の各々は、ヒストグラムを処理した結果のセットを含むことができる。各矩形の面積及び従ってペアを構成する2つの値の積は、化学元素セットの特性放射から収集された第2の粒子の数を表す値セットを抽出するための矩形の幅に対応するエネルギ範囲のエネルギを有する第2の粒子の数を表すことができる。
【0065】
横断経路は、領域を網羅するフレームを取得するためにビームがそれにわたって又はそれに沿って走査される経路と考えることができる。
【0066】
第1の「高速」横断モードでビームが領域を横断するより短い合計時間は、いくつかの方法を個々に又は組合せに用いて発生させることができる。例えば、第1のモードでの領域の横断経路の全長は、ビームによる領域のより迅速な横断を可能にするように第2のモードに関するものよりも短くすることができる。従って、一部の実施形態では、第1の合計時間が第2の合計時間よりも短いように、第1の横断経路は、第2の横断経路のものよりも短い長さを有する。
【0067】
他の実施形態では、第1の横断経路と第2の横断経路は、等しい長さとすることができ、この場合に、横断時間の差は、第1の横断条件と第2の横断条件とが異なることに帰することができる。従って、一部の実施形態では、第1の合計時間が第2の合計時間よりも短いように、第1及び第2の横断条件セットは、ビームに第2の横断経路を特に第2の横断条件セットの下で横断させる平均速度よりも速い平均速度で第1の横断経路を特に第1の横断条件セットに従って横断させるように構成される。平均速度は、典型的には、中間速度である。従って、速度は、全横断経路を横断する平均速度に関連するように解釈することができる。このようにして、所与の横断経路は、第1の条件セットの下で第2の条件セットの下よりも速く横断することができる。
【0068】
言い換えれば、第1の経路と第2の経路とが同じであるのに対して第1の条件と第2の条件とを異ならせることができ、又は第1の条件セットと第2の条件セットとが同じであるのに対して第1の経路と第2の経路とを異ならせることができ、又は第1の経路及び第2の経路と第1の条件セット及び第2の条件セットとの両方を異ならせることができる。有利なことに、第1及び第2の経路及び条件は、互いにその組合せのいずれでも第2の経路及び条件よりも第1の経路及び条件に関して全横断時間を短くすることができる。
【0069】
典型的には、そのような実施形態では、第1及び第2の横断条件セットは、領域内で第1の発生粒子セットがモニタされるように構成された場所の第1の横断経路に沿う第1の線密度が、領域内で第1の発生粒子セットがモニタされるように構成された場所の第2の横断経路に沿う第2の線密度よりも低いように構成される。典型的には、この構成は、第1の条件セットの下で第1の横断経路を横断するための平均速度が、第2の経路及び第2の条件セットに関する平均速度よりも速くなるように適用される。
【0070】
上記で言及した線密度は、所与の横断経路の全長又は少なくともその一部分に関するそれぞれの平均線密度を指すものとして理解することができる。
【0071】
典型的には、場所の線密度は、例えば、ラスターパターンにある走査線間の経路部分を除外することができる横断経路内の1又は2以上の走査線に対応する(潜在的に断続的な)部分に関連する。
【0072】
一般的に、線密度は、横断経路の単位長さ当たりのモニタされることになる場所の分布密度、尺度、又は数を指すと解釈することができる。一部の実施形態では、上述の線密度差は、モニタされる場所の全数が第1の条件セットに従う場合に第2の条件セットに関するものよりも少ないことを意味することができる。これは、例えば、第1の経路長と第2の経路長とが同じか又は同様である場合に当て嵌めることができる。
【0073】
好ましくは、上述したような実施形態では、第1及び第2の横断条件セットは、領域内で第2の発生粒子セットがモニタされるように構成された場所の第1の横断経路に沿う第1の線密度が、領域内で第2の発生粒子セットがモニタされ始める場所の第2の横断経路に沿う第2の線密度よりも低いように、特に、第1の条件セットの下で第1の横断経路を横断するための平均速度が、第2の経路及び第2の条件セットに関する平均速度よりも速くなるように構成される。従って、速度差は、第1の場所と第2の場所とのいずれか又は両方の線密度が異なることによって達成することができる。
【0074】
これら2つのモード間の走査速度の差は、走査中にモニタ場所からの信号をモニタするために要する時間を変更することによって達成することができる。第1の横断条件セットと第2の横断条件セットとの両方は、第1の横断経路に沿う第1の複数の場所の各々で発生された第1の粒子セットがモニタされる第1の構成モニタ継続時間が、第2の横断経路に沿う第1の複数の場所の各々で発生された第1の粒子セットがモニタされる第2の構成モニタ継続時間よりも短いように構成することができる。一部の実施では、モードパラメータが第1の値を有する時に、粒子セットがそれに対してモニタされる各全ての場所に関するモニタ継続時間は、モードパラメータが第2の値を有する時に粒子セットがそれに対してモニタされる場所のうちのいずれに関するモニタ継続時間よりも短い。
【0075】
例えば、所与の条件セットの下でモニタされた場所の各々又は少なくとも一部に関するモニタ継続時間は、同じか又は実質的に同じにすることができる。
【0076】
好ましくは、モードパラメータが第1の値を有する時にモニタされた場所に関する平均又は中間のモニタ継続時間は、モードパラメータが第2の値である時の平均又は中間のモニタ継続時間よりも短い。
【0077】
同様に、第1の粒子セットと第2の粒子セットとのいずれか又は両方によって速度差に影響を及ぼすことができる。従って、一部の実施形態では、第1及び第2の横断条件セットは、第1の横断経路に沿う第2の複数の場所の各々で発生された第2の粒子セットがモニタされる第1の構成モニタ継続時間が第2の横断経路に沿う第2の複数の場所の各々で発生された第2の粒子セットがモニタされる第2の構成モニタ継続時間よりも短いように構成される。
【0078】
様々な実施形態では、所与の複合画像フレームに関して第1の横断経路と第2の横断経路とを同じにするか又は異ならせることができる。例えば、これらの経路を同じにすることができ、従って、経路を横断する速度を変更することは、領域自体を横断する速度を変更することと見なすことができる。従って、一部の実施形態では、ビームは、構成顕微鏡視野が一連の複合画像フレーム内で直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと同じ時に領域上の第2の横断経路を横断する平均速度よりも高い平均速度で領域上の第1の横断経路を横断するようになっている。
【0079】
しかし、一部の実施形態では、第2のモードに使用される横断経路は、所与の複合画像フレームに対して異ならせることができる。例えば、第2の平均速度で、すなわち、「低速」又は「静的」なモードで走査するのに飛び越し走査が使用され、第1の「高速」、「動的」なモードに対して非飛び越し走査が使用される場合に、ビームによる領域の1回の完全な走査に要する時間は、第1のモードと第2のモードとに関して同じにすることができる。そのような場合に、好ましくは、領域を組合せで網羅する複数回の走査を含むことになる第2の横断経路全体をビームが横断するのに要する時間は、領域にわたる1回の「通過」しか含まず、領域を網羅するか又は少なくとも実質的に網羅する横断経路の一部を含むことができる第1の横断経路をビームが横断するのに要する時間よりも長いままに留まる。
【0080】
言い換えれば、第2の横断経路は、例えば、領域にわたる通過をより多くの回数含めることによって第1の横断経路よりも長くすることができる。これらの場合に、第2のモードと比較して第1のモードに関する平均横断速度の増大は、第2のモードでの経路の延長に少なくとも部分的に帰することができる。一部の実施形態では、例えば、領域にわたる1回の通過に必要とされる時間は、第1の横断モード又は横断経路と第2の横断モード又は横断経路との両方で同じにすることができる。しかし、これらの場合に、第2の経路を完全に横断するのに第1の経路よりも多い通過回数を必要とするという要件は、第2の経路に必要とされる合計時間が長く、従って、横断速度が低速と見なされる可能性があることを意味する。
【0081】
本発明の開示を通して、横断速度の変化を領域を横断するのに要する時間の観点から定めるあらゆる記載実施形態に関して、当該実施形態は、代わりに横断経路を横断するのに要する時間の観点から横断速度の変化を定めることによって典型的に実施することができることも想定されている。同様に、第1及び第2の取得モードに関する横断速度の変化は、それぞれの第1及び第2の横断経路を走査するのに必要とされる合計時間の変化、又は一部の実施形態では領域を走査するのに必要とされる合計時間の変化として同等に定めることができる。横断時間は、例えば、所与のモードで全横断経路を横断するのに要すると考えられる全体の時間を含むという理由から、横断時間を「合計」時間と呼ぶ。以上の説明及び本発明の開示を通じた説明から理解されるように、一連のフレーム内のフレームの取得段階は、1つのモードでの横断を別のモードで横断する段階に切り換えることによるいずれかの中断を含む場合があり、従って、合計時間は、フレームを取得するための粒子を発生させるためにビームが試料の一部を横断するのに要する実時間と必ずしも同じである必要はない。
【0082】
同様に、横断速度の変化を説明するいずれの実施形態に関しても、この変化は、所要構成合計時間又はビームが全横断経路を横断するのに要すると考えられる合計時間の変化として理解することができる。従って、この速度は、モニタ中にビームに試料面上で所与の距離を横断させる平均速度として定める必要は必ずしもないが、一部の実施形態では、速度の変化は、これに加えて、そのような平均速度の変化に対応する場合がある。言い換えれば、平均横断速度は、全横断経路を走査するのに必要とされる時間の尺度に対応するか又はそれから導出することができる全経路の横断が発生する速度の尺度として理解することができる。
【0083】
従って、これに代えて、一部の実施形態では、複合画像フレームの取得中に、段階(a)は、荷電粒子ビームに顕微鏡の構成視野に対応する試料領域を横断させる段階を含むものとして理解することができ、構成顕微鏡視野が一連の複合画像フレーム内で直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと異なる時に、ビームは、構成顕微鏡視野が一連の複合画像フレーム内で直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと同じ時に領域上の第2の横断経路を横断する平均速度よりも速い平均速度で領域上の第1の横断経路を横断させられる。
【0084】
荷電粒子が領域を横断させられることは、典型的には、電子ビームであるビームがこの領域を走査させられるとして理解することができる。従って、本発明の開示の状況では、「走査」という用語は、試料の面、物体、又は一部をビームに横断させることとして理解することができる。
【0085】
ビームによる領域の横断中に、並びに第2の画像フレームのピクセルの処理中に、更に典型的には第1及び第2の発生粒子セットのモニタ中に、その機能は、構成顕微鏡視野が一連の複合画像フレーム内で直ぐ先行する複合画像フレームに関する視野と異なるか又は同じかのいずれであるかに依存する。現在取得されている複合画像フレームに関する構成顕微鏡視野が一連の複合画像フレーム内で直ぐ先行する複合画像フレームの視野と異なる時の複合画像フレーム取得手順の上述の部分のいずれか又は全ては、そのような直接先行複合画像フレームが存在しない時にも適用されることは理解されるであろう。従って、一連の複合画像フレーム内の第1のフレームに関して、典型的には、本方法は、現在フレームに関する構成顕微鏡視野が一連の複合画像フレーム内で直ぐ先行する複合画像フレームに関する顕微鏡視野と異なっているかのように複合画像フレーム取得手順の一部又は全てを実施する。
【0086】
典型的には、特定のフレーム取得方式は、現在フレームに関する視野と直接先行フレームに関する視野とが異なるか否かに基づいている。この決定は、例えば、所与の複合画像フレームを取得するための手順が開始された時点の顕微鏡の視野に基づいて行うことができる。一部の実施形態では、この決定は、それぞれの現在フレーム及び一連のフレーム内で直ぐ先行するフレームに関して第1の場所及び/又は複数の場所から粒子が発生されるか又はモニタされる時点、又はビームが第1の場所の上に最初に入射する時点の視野に基づく場合がある。一部の実施形態では、決定は、1回、複数回、又は複合画像フレームの取得の一部又は全てを通して連続的に行う又は評価することができる。これは、下記でより詳細に説明するように、現在フレームが完全に得られる前にモードを変更することを有利に可能にすることができる。
【0087】
より短い合計時間内でビームに領域を横断させることは、視野が同じか否かに依存して走査速度を変更し、具体的にこの場合は高くするとして理解することができる。より短い合計時間は、ビームに第2の横断経路を横断させる全横断時間よりも短い第1の横断経路に関する全横断時間を指すことは理解されるであろう。一部の実施形態では、短縮合計時間は、ビームに第2の横断経路を横断させる平均速度よりも速い平均速度で第1の横断経路を横断させることによって少なくとも部分的に得られる。しかし、これに加えて及びこれに代えて、第2の横断経路の全長よりも短い全長を有する第1の横断経路のような異なる横断経路を少なくとも部分的に使用することによって横断時間の差を発生させることができる。
【0088】
視野が変化しているか又は異なることは、視野が試料面にわたって又はそれに対して移動する段階、及び視野のサイズが拡大又は縮小される段階のうちのいずれか又は両方を含むことができることは理解されるであろう。この拡大又は縮小は、例えば、倍率レベルの変化として理解することができる。
【0089】
ビームによる領域の横断は、典型的には、「ラスター」走査パターン、「飛び越しラスター」、及び
図1に示すような「蛇行」パターン、並びに集束ビームが視野を横断することができる時に沿う多くの他のタイプの走査経路のうちのいずれか1又は2以上を含むことができる。上述の構成視野が変化したことに基づく異なる平均横断速度の条件的適用は、逆に、構成顕微鏡視野が一連の複合画像フレーム内で直ぐ先行する画像複合フレームに関する顕微鏡視野と同じである時に、ビームが、構成顕微鏡視野が一連の複合画像フレーム内で直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと異なる時に領域を横断する平均速度よりも遅い平均速度で領域を横断させられることであるとして理解することができる。本発明の開示の状況では、ビームに領域を横断させる平均速度は、フレーム全体の取得に向けて当該モードが適用された場合に所与の速度で領域を横断するのに要するか又は要すると考えられる構成合計時間又は所期合計時間の観点から理解又は定めることができる。一部の実施形態では、ビームと試料面の間の交点が面にわたって移動する速度は一定ではない。例えば、走査プロセスは、面上の個別場所間で移動し、これらの場所からの粒子をモニタするためにそこに滞留する段階を含むことができる。「高速」及び「低速」の横断モード又は走査モードは、それぞれ比較的短いピクセル滞留時間及び長いピクセル滞留時間に対応することができる。これらの滞留時間差は、各モードに関して所与のモード下で作動している間にモニタされた場所のうちの1つ、複数、又は各々のものにかつ取得された対応するピクセル値に関して発生させることができる。試料上の横断場所から信号を収集するのにより長い時間を費やし、相応にこれらの場所に関するデータをより多く収集する走査モードは、より高いSN比を有利に与える。
【0090】
より一般的には、横断速度は、所与のモード又は所与の速度で作動している時に走査プロセスを通して変化するように構成することができる。例えば、ラスター走査プロセスでは、ビームは、このパターンにある線を横断する時に1つの線の終点と次の線の始点との間で好ましくはより高速に移動する。
【0091】
典型的には、「高速」及び「低速」の平均横断速度は、上述したような走査途中の速度変化を考慮しながら、一部の実施形態では第1のモードに対応する速めの速度で全領域を横断するのに必要とされると考えられる合計時間が、一部の実施形態では第2のモードで作動する時により低い速度で全領域を横断するのに必要とされると考えられる合計時間よりも短いように構成される。更に、第1のモードに関する横断パターンと第2のモードに関する横断パターンとは同じか又は異なってもよく、異なる場合に、この走査パターン差は、平均横断速度の差に寄与することができる。
【0092】
視野が変更中又は無変更のいずれであるかにそれぞれ依存して条件的に適用される速め及び遅めの横断速度は、それに従ってT1がT2よりも小さい第1の横断継続時間T1及び第2の横断継続時間T2を用いて定めることができる。しかし、典型的には、これらの構成合計時間は、一連の複合画像フレーム内のいずれか2つの複合画像フレームに関して必ずしも同じである必要はない。言い換えれば、これらの時間は、所与のフレームに関して当該フレームに関する上述の不等関係が適用されるように好ましくは個々に定められ、同時に一連のフレーム内のいずれか2つの所与のフレームに関してT1及びT2の各々は、同じか又は異なるとすることができる。
【0093】
典型的には、横断速度は、複合画像フレームを取得し始める時点で設定される。速度は、各フレームが得られる最中に明示的には設定されない可能性が考えられ、例えば、先行複合画像フレームが得られた時から保持又は信号伝達されたもの、事前設定されたもの、格納されたもの、又は維持されたものである値、パラメータ、又は構成速度を有する場合がある。更に、下記でより詳細に議論するように、速度は、所与の複合画像フレームの取得中に調節することができる。
【0094】
モニタする第1及び第2の粒子セットの出所である場所の数は、一連の複合画像フレーム内の2つの所与の複合画像フレームに関して一定に留まるか又は異ならせることができる。従って、第1及び第2の複数の場所の各々は、各複合画像フレーム取得手順では数を異ならせることができる。
【0095】
第2の複数の場所で発生されたモニタされた粒子から導出される値セットは、1又は2以上の値のセットとすることができる。しかし、好ましくは、これらのセットは、これらのモニタされた粒子から導出される1又は2以上の値を含む。好ましい実施形態では、第2の画像フレーム内のピクセルは、第2の複数の場所から放射された粒子スペクトルを表す複数の値の各々のセットを含むことができる。
【0096】
典型的には、第2の検出器はX線検出器である。従って、第2の粒子セットはX線光子であり、第2の画像フレーム内のピクセルに対する値セットは、X線スペクトルを表している。一部の実施形態では、段階(d)で条件的に維持される導出値セットは、段階(c)でモニタされた粒子から導出された値セットとして理解することができる。
【0097】
X線に対する収集立体角を拡大するために、X線検出器がビーム源と試料の間の位置に位置決めされる配置を使用することができる。X線検出器には、試料に対面し、入射荷電粒子ビームを少なくとも部分的に取り囲む1又は2以上のセンサ部分を設けることができる。特に、好ましい実施形態では、X線検出器は、顕微鏡の粒子ビームレンズ、例えば、電子レンズの磁極片の下方に装着される。この関連では、「下方」という用語は、ビームと平行な軸に沿う位置に関して又はビームと平行な軸に沿う位置に関して磁極片よりも試料に近いことを意味するとして理解することができる。好ましくは、X線検出器は、磁極片の直下に装着される。このようにして、X線信号のSN比を改善するために第2の検出器がX線を感受する立体角を拡大することができる。試料に近い及び/又はビームを少なくとも部分的に取り囲む副磁極片検出器は、この収集立体角の拡大を容易にする。従って、好ましくは、X線検出器は、試料に対面し、ビームを少なくとも部分的に取り囲む1又は2以上のセンサ部分を有する。典型的には、センサ部分は、対応するセンサ面部分を含み、これらの面部分は、好ましくは、それが試料に向く状態で位置決めされる及び/又は向けられるという意味で試料に対面する。これらの部分がビームを少なくとも部分的に取り囲むことは、これらの部分がビームの周りに分散されることとして理解することができる。従って、1又は複数のセンサ部分は、ビームの全ての側に存在することができ、環帯のような連続体又は不連続体とすることができる。例えば、検出器は、ビームの周りに離間させて位置決めされた複数の個別センサ面の形態に位置決めすることができる。センサ面は、入射粒子を感受し、相応に信号出力を発生させるようになった活性面として理解することができる。
【0098】
しかし、信号収集に向けて改善された立体角を達成する際に、センサ部分がビームを取り囲む必要は必ずしもないことは理解されるであろう。センサ面のサイズが、これらの面の意図する作動距離、従って、1又は2以上のセンサ部分が位置する平面と、特にビームの入射点での試料面間の分離幅との組合せで大きい立体角を達成する他の配置が想定されている。
【0099】
全X線検出器面のサイズ及び/又は形状は、この面が1又は複数のいずれかのセンサ部分を含むかに関わらず、好ましくは、ビームが試料に衝突する場所で1又は2以上のセンサ部分によって範囲が定められた全立体角が作動距離及び従ってセンサ平面とビームスポットの間の分離幅又はX線センサ面のいずれかの部分とビームスポットの間の最小又は中間の分離幅が6mmよりも小さいか又はそれに等しい時に0.3ステラジアンよりも大きくなるように構成される。より好ましくは、立体角は、この作動距離範囲で0.4ステラジアンよりも大きい。これに加えて又はこれに代えて、改善されたX線信号を提供するために、X線センサ面は、10mm2よりも大きく、好ましくは、20mm2よりも大きく、更により好ましくは、30mm2、40mm2、又は50mm2よりも大きい全面積を有することができる。
【0100】
一部の実施形態では、段階(d)で条件的に適用される「組合せ」機能は、上述のように、一連の画像フレーム内で先行し、顕微鏡視野が現在の構成視野と同じである1又は2以上の第2の画像フレームの各々のものの対応するピクセルの値を含むことができる。1個又は複数のいずれの数の先行する第2の画像フレームの対応するピクセルの値セットが使用されるかは、典型的には、どの複合画像フレーム又は何個の複合画像フレームが現在の構成視野と同じ視野を有するかに依存する。好ましくは、上述の組合せプロセスでは、以前に得られ、現在の複合画像フレームと同じ視野を有する全ての導出値セットが使用される。一部の実施形態では、その組合せは、例えば、各複合画像フレームが得られる時に蓄積的に適用することができる。フレーム取得プロセスの段階(d)で言及した一連の画像フレーム内で先行し、顕微鏡視野が構成顕微鏡視野と同じである第2の画像フレームは、現在の複合画像フレームに先行する1又は2以上の各々の複合画像フレームを取得する段階の一部として取得された1又は2以上の第2の画像フレームとして理解することができる。同じく段階(d)で言及した構成顕微鏡視野は、現在の顕微鏡視野として理解することができる。様々な実施形態では、現在の構成顕微鏡視野は、現在の複合画像フレームの取得の開始時又は取得されているいずれかの予め決められた時点に構成される視野として定めることができる。一部の実施形態では、現在の構成顕微鏡視野は、例えば、複合画像フレーム取得されている所与の時点での瞬間構成視野として定めることができる。従って、そのような実施形態では、この瞬間視野は、複合画像フレームの取得を通して変えることができ、従って、一部の実施形態では、所与の複合画像フレームの取得中に発生する視野の変化に応答して取得モード又は構成横断速度を変更することができる。
【0101】
所与の複合画像フレーム取得サイクル中に、段階(d)の機能は、好ましくは、第2の画像フレームの各ピクセルに対して実施される。このようにして、段階(c)で得られたフレームの全ピクセルに条件的な「組合せ」プロセス又は「リフレッシュ」プロセスが施され、それによってS/N及び試料ナビゲーションの改善が最大に高められる。しかし、一部の実施形態では、所与の第2の画像フレームのピクセルのうちの1又は2以上は、この処理段階から除外することができる。従って、典型的には、段階(d)の機能は、第2の画像フレームによって含まれる全てのピクセルに対して必ず実施されるのではなく、第2の画像フレームによって含まれる上記複数のピクセルの各々に対して実施される。言い換えれば、一部の実施形態では、又は一連のフレーム内の1又は2以上のフレームに関して第2の画像フレームは、これら複数のピクセルに加えて更に別のピクセルを含む。これは、条件的なピクセル値の組合せがこれに加えて第1の画像フレームに適用される実施形態、及び本発明の開示で後に説明する取得モードパラメータの事前ピクセル設定を含む実施形態に類似的に適用される。
【0102】
典型的には、複合画像フレームを発生させるために第1の画像フレームと第2の画像フレームを組み合わせる段階は、視野が直接先行複合画像フレームの視野と異なる場合又は同じ場合にそれぞれ現在の複合画像フレームの取得中に導出され、保持された値セット又はそれらを置換する組合せ値セットのいずれかである値セットを有するピクセルを有する第2の画像フレームと第1の画像フレームを組み合わせる段階を含む。
【0103】
複合画像フレームの取得中に、典型的には、段階(b)と(c)は、実質的に同時に実施される。これは、第1の粒子セットをモニタする全プロセスと、第2の粒子セットをモニタする全プロセスとが、全領域に関して同時又は実質的に同時に発生するとして理解することができる。この実質的な同時性は、第1の画像フレームと第2の画像フレームが、実質的に同時に取り込まれた領域の第1及び第2の空間表現を提供するようなものである。しかし、第1及び第2の複数の場所の個々の場所に関するモニタ継続時間及びタイミングは、第1の検出器と第2の検出器との間、粒子セット間、及び検出する第1及び/又は第2の粒子の出所である場所間で異なる場合がある。例えば、様々な及び/又は可変のサンプリング速度及びピクセル解像度が使用される場合がある。従って、第1及び第2の複数の場所の個々のもので発生された粒子セットをモニタする段階は、第1及び第2の検出器による信号の全収集が同時である場合又は同時でない場合がある。
【0104】
本方法は、集束粒子ビームを使用するいずれかの荷電粒子ビーム計器内で試料を分析するのに使用することができる。従って、本発明では、いずれかのそのような計器を指す上で顕微鏡という用語を使用する。典型的には、顕微鏡は、荷電粒子ビームが電子ビームである電子顕微鏡である。他の実施形態では、荷電粒子ビームはイオンビームである。
【0105】
更に、一連の複合フレームが得られる時の複合画像フレーム内の第1の画像タイプと第2の画像タイプとの組合せの実時間表示をユーザによる試料のナビゲーションを一時停止又は中断することなく「オンザフライ」で途切れることなく実施することができる。
【0106】
本発明の開示に使用する「粒子」という用語は、イオン及び電子のような亜原子粒子、並びに電磁放射線の量子を表す粒子及び従って光子、例えば、X線光子を含む物質の粒子を含むことは理解されるであろう。一部の実施形態では、例えば、荷電粒子ビームは、試料から放射されることになり、検出器によってモニタすることができる電子及びイオンを含む得られる粒子を典型的に発生させるイオンビームである。
【0107】
本方法は、第2の検出器が所与の顕微鏡条件の下で第1の検出器がモニタするようになった信号よりも低いSN比を典型的に有する信号をモニタするタイプである実施形態で特に有利である。そのような実施形態では、第1の検出器と第2の検出器との組合せは、ユーザが試料の様々な領域を迅速に検査することを可能にするために、第1の検出器が高SN比の画像信号を高速に提供するように選択することができる。典型的には、視野を試料の様々な領域にわたって移動する又は例えば倍率によって視野を他に調節することによって試料の周りにナビゲートする上で、第2のより低いSN比の検出器は、より高い信号対ノイズの第1の検出器によって取得される第1の画像フレームよりも劣悪な品質の第1の画像フレームしか提供することができない。しかし、ユーザが、例えば、固定視野を維持するためにステージの位置又は顕微鏡条件を調節することを止めることによって視野を変更することを停止した時に、同じピクセル又は試料上の同じ場所に関する反復測定値を検出器によって取得することができ、従って、第2の画像フレームからのピクセルデータを試料内の同じ場所に対応する以前に得られた第2の画像フレームの対応するピクセルデータと組み合わせることにより、第2の検出器を用いて得られた画像のより低いSN比を軽減することができ、第2の検出器によって得られたデータから導出されたより高い品質の画像を取得することができる。
【0108】
本発明の開示で上述したように、視野が変化している時に適用される速めの走査速度は、その得られた複合画像フレームを表示することを可能にする速めのフレーム速度に起因して顕微鏡のオペレータが試料をナビゲートしながら着目特徴部をより実質的に追跡することができるという利点を提供する。特に第2の検出器に関するSN比は、典型的に速めの走査速度で低い。この理由から、従来技術では、そのようなより高い速度の使用は実現不能と考えられる。しかし、本発明者は、驚くべきことに、視野が急激に変化している時に、より容易なナビゲーションを優先してSN比を劣化させることにより高い利点が感じられることを見出した。本方法は、速めの走査速度と遅めの走査速度の間の切り換えによって静的視野に関してより高いSN比を達成することを可能にしながらこの利点を提供することができる。
【0109】
一部の実施形態では、各画像フレームは、領域内の複数の場所に対応し、そこで発生されたモニタされた粒子を表す値を有する複数のピクセルを含む。例えば、ピクセル値は、検出器によってモニタされ、対応する場所で発生された粒子の強度を表すことができる。その結果、一部の実施形態では、複合画像フレームは、複数のピクセルの各々に対して領域内の対応する場所で発生されて第1の検出器及び第2の検出器の各々によってモニタされる粒子を表すデータを提供することができる。画像フレームが電子後方散乱回折画像であるような他の実施形態では、ピクセル値は、これらの場所で発生された粒子を直接表すことができないが、代わりにそこから計算によって導出することができる。
【0110】
本発明の第2の態様により、顕微鏡内で試料を分析する方法を提供し、本方法は、
第1の検出器と、第1の検出器とは異なる第2の検出器とを用いて一連の複合画像フレームを取得する段階であって、複合画像フレームを取得する段階が、
a)荷電粒子ビームに顕微鏡の構成視野に対応する試料領域を横断させる段階であって、構成顕微鏡視野が一連の複合画像フレーム内で直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと異なる時に、ビームに構成顕微鏡視野が一連の複合画像フレーム内で直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと同じである時に領域上の第2の横断経路を横断させる合計時間よりも短い合計時間で領域上の第1の横断経路を横断させる上記横断させる段階、
b)第1の複数の場所に対応し、そこで発生されたモニタされた粒子から導出された値を有する複数のピクセルを含む第1の画像フレームを取得するように、領域内の第1の複数の場所で試料内に発生された得られる第1の粒子セットを第1の検出器を用いてモニタする段階、
c)第2の複数の場所に対応し、そこで発生されたモニタされた粒子から導出されたそれぞれの値セットを有する複数のピクセルを含む第2の画像フレームを取得するように、領域内の第2の複数の場所で試料内に発生された第2の得られる粒子セットを第2の検出器を用いてモニタする段階、
d)第2の画像フレームによって含まれる複数のピクセルの各々に対して構成顕微鏡視野が、一連の複合画像フレーム内で直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと異なる場合に、複合画像フレームでの使用に向けて第2の画像フレーム内のピクセルの導出値セットを維持し、構成顕微鏡視野が、一連の複合画像フレーム内で直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと同じである場合に、増大した信号対ノイズ比を有する組合せピクセル値セットを取得するために、ピクセルの導出値セットを一連の複合画像フレーム内で先行し、顕微鏡視野が構成顕微鏡視野と同じである1又は2以上の第2の画像フレームの各々のものの対応するピクセルの導出値セットと組み合わせて複合画像フレームでの使用に向けて第2の画像フレーム内の導出ピクセル値セットを組合せピクセル値セットで置換する段階、及び
e)領域内の第1及び第2の複数の場所で発生されて第1の検出器及び第2の検出器の各々によってモニタされた粒子から導出されたデータを提供するような複合画像フレームを発生させるために第1の画像フレームと第2の画像フレームを組み合わせる段階、
を含む上記取得する段階と、
各複合画像フレームを順番に示すために更新される視覚表示上に一連の複合画像フレームを実時間で表示する段階と、
を含む。
【0111】
ここで説明する実施及び有利な特徴は、本発明の開示で説明する第1、第2、又は第3の態様、又はそれらの特定の実施形態のうちのいずれかによる方法で使用することができる。
【0112】
第2の態様の状況で、ビームに領域上の第2の横断経路を横断させる合計時間よりも短い合計時間で領域上の第1の横断経路を横断させることは、典型的には、ビームが第1の横断経路全体を第1の横断条件セットに従って横断するのに必要とされる第1の合計時間が、第2の横断経路全体を第2の横断条件セットに従って横断するのに必要とされる第2の合計時間よりも短いことを表すことは理解されるであろう。言い換えれば、横断は、2つの経路のいずれかに沿い、2つの各々の横断条件セットのいずれかに従うことができる。
【0113】
経路の横断は、一般的に、ビーム又はビームスポットが所与の横断経路の少なくとも一部分に沿って移動することを指す。複合画像フレームの取得の継続時間にわたって又はより具体的には複合画像フレームを取得するためにビームに領域を横断させる継続時間にわたってモードが無変更である場合に、典型的には、第1の経路の全体又は第2の経路の全体が横断される。しかし、例えば、領域の横断中にモードが切り換えられる場合に、第1の経路も第2の経路も、その全てが横断されるわけではない。
【0114】
領域の横断の全体的な速度を増大させる1つの手法は、横断中の一方又は両方の検出器からのデータを少なめの場所でのみ又は少なめの頻度でのみサンプリングすることである。これは、モニタされた粒子データが取り込まれる空間解像度を低減することと考えることができる。典型的には、所与の画像フレーム内に少なめのピクセルを発生させることに対応する第1の画像フレームと第2の画像フレームの一方又は両方に関して収集されるデータ試料を少なめに取得することによって各複合画像フレームの取得段階を加速することにより、表示のより速い更新を発生させることができる。このようにして、一連の複合画像フレームをより高いフレーム速度で表示することができる。従って、一部の実施形態では、ビームに第1の横断経路又は一部の実施形態では領域をより短い合計時間又は速めの平均速度で横断させる段階は、領域内で第1の発生粒子セットがモニタされるように構成された場所の全数を構成顕微鏡視野が一連の複合画像フレーム内で直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと同じ時に領域内で第1の発生粒子セットがモニタされるように構成された場所の全数未満まで低減する段階を含む。従って、走査速度は、視野が直前のフレームに関する視野と同じか否かに依存して変更することができる。領域内の場所の上記全数は、典型的には、所与のモードでの領域に対する意図する全数と考えることができる瞬間的な構成数である。従って、この全数は、典型的には、全領域の横断及びモニタに関する点で横断の全体的な速度と同様であるとして理解することができる。
【0115】
しかし、例えば、フレームの取得中にモニタされる場所の全構成数が少なめの全数から多めの全数に増大するようにフレーム取得モードが「高速」モードから「低速」モードに変更される場合に、場所の実際の数が構成数と同じである必要は必ずしもない。そのようなフレーム取得途中のモード変更又は速度変更の場合に、横断及びモニタによって得られる実平均速度は、典型的には、「速い」構成速度及び「遅い」構成速度のいずれとも異なることになり、段階(b)及び(c)で収集される信号の出所である場所の実全数は、典型的には、多めの構成数及び少なめの構成数のいずれとも異なることになることは理解されるであろう。典型的には、実際に得られる速度及び場所の数は、これら2つの構成値の間の中間値になる。
【0116】
これらの実施形態で実施することができる複数の場所の数を少なめにする構成は、サンプリング場所の数又は時間的及び/又は空間的なサンプリング頻度が低減されるモードに切り換えることと考えることができることは理解されるであろう。第1の発生粒子セットは、段階(b)の時にモニタされるように構成されることも理解されるであろう。
【0117】
第1及び/又は第2の複数の場所の各々は、一部の実施形態では、領域内の有限面積によって定めることができる。例えば、モニタする第1及び第2の粒子セットの出所であるそれぞれの複数の面積の各々は、これらの場所を定めることができる。典型的には、「高速」取得モードが適用される時の少ない複数の場所の各々は、従って、「低速」モードが適用される時のこのような検出器又は粒子セットに対する多めの複数の場所によって定められるか又はそれに対応する面積よりも大面積によって定められる。横断場所の数を視野が無変更である時よりも少なくする結果として、上述したようにこの高速横断モードではピクセルの構成数が低減する。
【0118】
場所及び/又は対応するピクセルの数を変更する段階を含むこれらの実施形態は、逆に、構成顕微鏡視野が一連の複合画像フレーム内で直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと同じ時にビームに遅めの平均速度で領域を横断させる段階が、領域内で第1の発生粒子セットがモニタされるように構成された場所の全数を構成顕微鏡視野が一連の複合画像フレーム内で直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと異なる時に領域内で第1の発生粒子セットがモニタされるように構成された場所の全数超まで増大する段階を含むとして理解することができる。
【0119】
更に、段階(b)でモニタされた場所の数にそのような変更を加える代わりに、類似の機能をフレーム取得中に段階(c)に適用することができる。従って、一部の実施形態では、ビームに領域又は第1の横断経路をより短い合計時間又は速めの平均速度で横断させる段階は、領域内で第2の発生粒子セットがモニタされるように構成された場所の全数を構成顕微鏡視野が一連の複合画像フレーム内で直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと同じ時に領域内で第2の発生粒子セットがモニタされるように構成された場所の全数未満まで低減する段階を含む。
【0120】
異なる取得速度又は取得モードの適用段階は、解像度又はピクセル数を低減するこれに代えて又はこれに加えて、各ピクセルに関するデータを取得するのに要する時間を短縮する段階を含むことができる。視野が変化している時に「高速モード」でより迅速に導出値を取得する段階は、信号対ノイズを代償としてリフレッシュ速度を高めることを可能にする。それとは逆に、「低速モード」では、試料のナビゲーション中に視野の移動又は他の変更が中断された時にリフレッシュ速度はそれほど重要ではないので、視野が不変である時にこれらのピクセル値を取得するのにより長い時間をかけることにより、取得データに関するSN比が改善される。従って、一部の実施形態では、ビームに領域をより短い合計時間又は速めの平均速度で横断させる段階は、全領域に関する構成平均として理解することができて所与の時点で典型的に瞬間的に適用することができる構成モニタ継続時間であって、第1の複数の場所の各々で発生される第1の粒子セットがモニタされる上記構成モニタ継続時間を短縮する段階を含む。同様に、上述したように、ビームに領域を遅めの平均速度で横断させる段階は、第1の複数の場所の各々で発生される第1の粒子セットがモニタされる構成モニタ継続時間を増大する段階を含むことができる。
【0121】
モニタ継続時間は、第2の検出器によってモニタされる粒子に対しても同じく変更することができる。従って、一部の実施形態では、ビームに領域又は第1の横断経路をより短い合計時間又は速めの平均速度で横断させる段階は、第2の複数の場所の各々で発生される第2の粒子セットがモニタされる構成モニタ継続時間を短縮する段階を含む。
【0122】
上述のように、全横断時間の変更を実施することを可能にする更に別の方法は、横断経路の長さを変更する段階である。一部の実施形態では、この変更は、横断経路のサイズ、広がり、又はカバレージ面積を調節する段階を含む。
【0123】
顕微鏡の構成視野は、複合画像フレームを取得する最中のいずれかの時点、典型的には開始時点で顕微鏡が網羅するように構成される「デフォルト」視野として考えることができる。しかし、一連のフレーム内のフレームの取得中に、フレームの一部又は全てに関して実際に使用される視野は、構成視野と同じである必要は必ずしもないことは理解されるであろう。従って、視野が概念的に移動中又は静止中のいずれであるか及び/又は「高速」取得モード又は「低速」取得モードのいずれを使用すべきかを決定するのに構成視野を用い続けながら、それにも関わらず修正視野を用いて顕微鏡に画像を取り込ませることができる。従って、所与の横断経路によって網羅されるか又はその広がりによって定められる面積は、所与の複合画像フレームに対して構成された視野の一部にのみ対応する可能性が考えられる。それに関して、構成視野は、複合画像フレームの広がりを必ず定めるのではなく、複合画像フレームに関して構成されるものとして理解することができる。
【0124】
構成視野は、典型的には、ユーザによって構成されるものであるが、試料の周りの構成視野のナビゲーションを少なくとも部分的に自動化するために試料及び/又はビームの偏向オフセットのある程度の自動化が可能である。
【0125】
典型的な実施形態は、第1の横断経路と第2の横断経路とのいずれか又は両方に顕微鏡の全構成視野を網羅又は実質的に網羅させる段階を含むことができる。しかし、複合画像フレームを取得する段階の一部として視野を走査するのに必要とされる時間又は言い換えれば視野を網羅する横断経路を横断するのに必要とされる時間を変更するために視野を修正することができることも想定されている。この状況に使用する「網羅する」という用語は、「にわたって延びる」として理解することができる。好ましくは、横断経路が視野を「網羅」することは、経路が、ビームによるその横断中に当該視野内の試料の全ての部分又は実質的に全ての部分からの粒子をモニタすることができるように構成された広がり及びパターンを有することを表している。しかし、これに代えて、この「網羅」は、経路が視野と合同であること、従って、視野と一致する区域及び/又は境界を定めるとして理解することができる。
【0126】
「高速」取得モード又は「動的」取得モードは、例えば、第2の横断時間及び対応する第2の横断経路よりもそれぞれ短い第1の横断時間及び対応する第1の横断経路を有効にする段階を含むことができる。従って、第1の横断経路は、第2の横断経路よりも小さいカバレージ面積を有することができる。これは、例えば、先に言及した「より小さいラスター」構成、又は試料面上で構成視野に対応する領域よりも小さい部分領域、従って、低減された面積を有する部分領域のみを網羅するいずれかの走査パターンに対応するとして理解することができる。このようにして、一部の実施形態では、第1の横断経路は、所与のフレームに関する顕微鏡の構成視野に関して修正された視野である修正視野を網羅する。典型的には、そのような実施形態では、第1の横断経路に対応する修正視野は、構成視野よりも小さく、好ましくは、その中に部分的又は全体的に網羅される。従って、修正視野は、構成視野によって網羅されると考えられる試料の領域の一部分又は部分領域だけに対応するとして理解することができる。従って、典型的には、そのような「高速」モードで作動する時に取り込まれる画像フレームは、二者択一の「低速」モードで取り込まれる画像フレームよりも低減された面積を表している。この理由から、一連の複合画像フレーム内で得られるより小さい複合画像フレームは、一連の複合画像フレームでのフレーム間の表示寸法及び倍率の連続化の目的で、好ましくは、相応により小さいサイズで視覚表示上に表示される。
【0127】
このような実施形態は、構成視野が変化中の時に得られるフレームに関して構成視野の一部を除外し、好ましくは、構成視野が不変の時に全構成視野のどこかからのデータを取り込むことにより、変化時に不変時よりも速い画像取得速度及び表示速度を有利に与えることができる。
【0128】
一部の実施形態では、これに代えて又はこれに加えて、フレームを取り込む時に適用される視野を「低速」モード又は「静的」モードで作動するように拡大することができる。従って、一部の実施形態では、第2の横断経路は、構成視野よりも大きく、好ましくは、それを部分的又は全体的に含む広がりを有する修正視野を網羅する。従って、修正視野は、構成視野よりも長い横断経路に対応することができ、構成視野よりも長い横断時間を必要とする。
【0129】
視野が変更中又は無変更のいずれであるかに依存する横断時間又は横断速度の適用は、取得モードパラメータを用いて実施することができる。従って、一部の実施形態では、一連の複合画像フレームを取得する段階は、取得モードパラメータに従って実施され、取得モードパラメータが第1の値に等しい場合に、ビームは、取得モードパラメータが第2の値に等しい時に第2の横断経路又は領域を横断する平均速度よりも速い平均速度で第1の横断経路又は領域を横断するようにされ、取得モードパラメータは、構成顕微鏡視野が、一連の複合画像フレーム内で直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと異なる場合に第1の値に設定され、構成顕微鏡視野が、一連の複合画像フレーム内で直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと同じ場合に第2の値に設定される。逆に、そのような実施形態では、典型的には、取得モードパラメータが第2の値に等しい場合に、ビームは、取得モードパラメータが第1の値に等しい時に領域を横断する平均速度よりも遅い平均速度で領域を横断するようになっている。従って、このモードパラメータを用いて、より高い平均横断速度及びより低い平均横断速度にそれぞれ対応する「高速」取得モード又は「低速」取得モードのいずれの構成が適用されるかを示すことができる。従って、一部の実施形態により、取得モードパラメータは、特に第1の態様に関して説明した第1のモードパラメータ及び/又は第1の態様のある一定の有利な実施形態に関して説明した第2のモードパラメータのいずれかと等しくすることができる。しかし、第2の態様の実施形態に関して説明した取得モードパラメータを上述の第1及び第2のモードパラメータとは別個のもの及び/又は独立したものとすることができる。同様に、上述のモードパラメータ及び後に説明する取得モードパラメータの各々のものの第1及び第2の値は、それぞれ同じにするか又は異ならせることができる。
【0130】
典型的には、モードパラメータの値は、各複合画像フレームに関する取得プロセスの開始時に設定されるか又は少なくとも維持される。このようにして、横断速度を少なくともフレーム単位で有利に変更することができる。しかし、一部の実施形態では、このモード切換機能は、複合画像フレームの取得中に取得モード及び瞬間的構成平均横断速度を当該フレームが得られる最中に起こされる構成顕微鏡視野の変化に応答して調節することによって更に有利に適用される。従って、一部の実施形態では、段階(d)は、ビームによる領域の上記横断中、並びに第1及び第2の粒子セットの上記モニタ中に実施され、更に第2の画像フレームによって含まれる複数のピクセルの各々に対して顕微鏡視野が第2の画像フレームの直ぐ先行するピクセルに対するものと異なる場合にかつ取得モードパラメータが第2の値に等しい場合に取得モードパラメータを第1の値に設定する段階、又は構成顕微鏡視野が第2の画像フレームの直ぐ先行するピクセルに対するものと同じである場合にかつ取得モードパラメータが第1の値に等しい場合に取得モードパラメータを第2の値に設定する段階を含む。
【0131】
構成視野が中間フレームで変更される場合に、典型的には、視野に対応する領域は、取得されているフレームの開始時又は取得されている所与の時点又は予め決められた時点の視野に対応すると考えることができることは理解されるであろう。視野は、フレーム取得中に顕微鏡が移動された、移動するように構成された、又は他に変更された時に通ったいずれかの視野内に網羅される試料面の複数の部分を包含する1よりも多い視野又は組合せ視野に対応すると考えることができる。
【0132】
中間フレーム取得モードパラメータ切り換えの適用は、複数の場所のうちのその後の場所にわたるビームの横断に有利に影響を及ぼすことができる。従って、この切り換えは、第2の画像フレーム内のその後のピクセルが取得される速度に影響を及ぼすことができる。構成顕微鏡視野が直ぐ先行するピクセルに対するものと異なるか否かという条件は、所与のピクセルに対する値セットが導出又は処理された時点に関して評価することができ、視野がこの時点での視野と異なる場合にフレーム内の直ぐ先行するピクセルに対する値セットが導出される。この状況で構成顕微鏡視野が異なることは、例えば、処理中又は値セットが取得されている現在のピクセルが第2の画像フレーム内の最初のピクセルである場合に、直ぐ先行するピクセルが存在しないことを含む場合がある。ピクセル間のこの視野差は、視野が直前のピクセルの処理及び/又は取得と現在のピクセルの処理及び/又は取得との間で変更されることとして理解することができる。第2の値に等しい取得モードパラメータは、モードパラメータが「低速」モードに設定されるという追加条件として理解することができる。
【0133】
第2のフレーム内で先行又は直ぐ先行するものとして定められるピクセルは、典型的には、ピクセル値が導出及び/又は処理される順序で現在のピクセルの前に出現するピクセルを指す。典型的には、ピクセルは、信号が領域内の場所から取得された順序に対応する順序で処理される。これらの条件に基づいて、第1の値に等しい取得モードパラメータの設定は、典型的には、平均横断速度までの増大を発生させるように実施される。従って、そのような実施形態でのモードパラメータの変更は、2つのピクセルに関する構成視野の比較と現在のモードパラメータ値との両方に依存することは理解されるであろう。
【0134】
現在のピクセルに関して構成顕微鏡視野が第2の画像フレーム内で直ぐ先行するピクセルに対するものと同じという上述の条件に関して、この条件は、視野の移動又は変化が停止し、従って、直前のピクセルと処理中又は取得されている現在のピクセルとの間に変更がないという条件として理解することができる。更に、第2の値に等しい取得モードパラメータの設定は、パラメータが典型的には「高速」モードに更に設定されることにも依存する。第2の値に等しいこのパラメータ設定は、典型的には、より低い平均横断速度を発生させるために実施される。
【0135】
そのような実施形態での個々の複合画像フレームを取得する途中に取得モードを変更する機能は、視野の移動又は変更が停止された場合にビーム横断を減速し、その結果、速度変更が次のフレームの開始時に初めて行われる場合よりも早くより高い信号対ノイズデータが取得されるという利点を提供することができる。この利点は、特に、複合画像フレームが「高速」モード又は「動的」モードで得られ始めた直後に視野に対する変更が中断される状況では確認される。そのような状況では、より高い解像度での切り換え偏向データは、実質的に全てのフレーム取得継続時間データになるまで遅延させる必要があると考えられる。更に、そのような時に同じくこの中間フレーム切り換えを欠く場合に、この遅延の後に「低速」取得モード又は「静的」取得モードを適用して次のフレームを開始することができる時まで信号対ノイズ改善はないと考えられる。
【0136】
同様に、視野が変化し始める場合に中間フレームで横断を加速することによって得られる重要な利点は、リフレッシュ速度の増大が早めに発生し、その結果、ユーザ又は観察者に対してより効率的な試料ナビゲーションがもたらされることである。一部の実施形態では、特に、複合画像フレームに関するモニタされたデータが得られる前にモードパラメータの変更が構成ピクセル数又は構成画像フレーム解像度を変化させる時に、例えば、当該フレームをユーザが見る時に向けてフレームの外見及び明瞭度を承認するために影響を受けた画像フレームを処理することが有益である場合があることは認められるであろう。
【0137】
そのような画像処理を実施するために、モード変更の前の横断の途中に取得されたデータを処理するための様々な手法のような表示に向けて複合画像フレームを構成するためのいくつかのオプションが利用可能である。例えば、少数のピクセルに関して「動的」モードで低解像度で取得されたデータは、「静的」モードで得られる画像フレームのものに対応するより高い解像度を有するピクセルの格子上の同等値を与えるために中間位置で内挿することができる。一部の実施形態では、類似の内挿は、複合画像フレームのピクセルにのみ適用することができる。
【0138】
上述した利点を踏まえて、変化中の視野と不変の視野の間の中間フレームの取得の移行に応答して即座に横断速度変化を達成することが有利であることは理解されるであろう。このようにして、有利な効果をより迅速に発生させることができる。典型的には、ある一定の実施形態では、第1又は第2の値に等しい取得モードパラメータの上述の設定は、領域内で第2の画像フレーム内で直ぐ次のピクセル又は直ぐ次の処理されたピクセルに対応するか又はそれによって表される場所で試料内で発生された粒子をモニタする前に実施される。これらのモード変更の直接性は、リフレッシュ速度スコア画像解像度の改善及び/又はSN比の改善の応答性に反映される。一部の実施形態では、第1の画像フレームを取得する段階は、ある程度視野依存のピクセル処理を含む場合があることは理解されるであろう。特に、この段階は、第2の画像フレームに適用されて同じ視野を有する複数の画像フレーム内で対応するピクセルに関するデータを組み合わせることによってSN比を高めるものと類似の処理を含むことができる。従って、一部の実施形態では、複合画像フレームを取得する段階は、第1の画像フレームによって含まれる複数のピクセルの各々に対して構成顕微鏡視野が一連の複合画像フレーム内で直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと異なる場合に、複合画像フレームでの使用に向けて第1の画像フレーム内のピクセルの導出値を維持する段階、又は構成顕微鏡視野が一連の複合画像フレーム内で直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと同じ場合に、増大した信号対ノイズ比を有する組合せピクセル値を取得するために、ピクセルの導出値を一連の複合画像フレーム内で先行し、顕微鏡視野が構成顕微鏡視野と同じである1又は2以上の第2の画像フレームの各々のものの対応するピクセルの導出値と組み合わせて複合画像フレームでの使用に向けて第1の画像フレーム内の導出ピクセル値を組合せピクセル値で置換する段階を更に含む。構成顕微鏡視野が一連の複合画像フレーム内で直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと異なる条件は、上記で議論したように、例えば、現在のフレームが一連の複合画像フレーム内で最初のフレームである場合に直ぐ先行する画像フレームが存在しないことを含むことができる。
【0139】
取得データのSN比を改善するために取得モードを「静的」モードに変更するのに加えて、一部の実施形態では、このプロセスは、第2の画像フレーム内で典型的にX線ピクセルであるピクセルのグループを集約又は種分けして処理及び表示するのに少なめのピクセルを有する画像を形成する段階を含む。そのような種分けされたピクセルは、改善された信号対ノイズを有することになることは理解されるであろう。従って、一部の実施形態では、複合画像フレームを取得する段階は、1又は2以上のそれぞれの集約ピクセル値セット又は値を有する「スーパーピクセル」セットを取得するために第2の画像フレーム内のピクセルの1又は2以上の部分集合のピクセル値セットを互いにグループ分けする段階を更に含むことができる。例えば、各集約値セットは、ピクセル部分集合に好ましくは1対1で対応することができる。そのような実施形態では、複合画像フレームを取得する段階は、第2の画像フレーム内のピクセルの1又は2以上の部分集合の各々を集約ピクセル値の各々のセットに等しいか又は集約ピクセル値のピクセル部分集合に対応する値セットを有する集約ピクセル又は「スーパーピクセル」で置換する段階を含むことができる。
【0140】
典型的には、第1の検出器及び第2の検出器の各々は、構成顕微鏡条件セットの下で又はそれに従って試料の領域を観察する。第1及び第2の取得画像フレームの各々では、各ピクセルは、試料上で当該ピクセルに対応する場所で発生され、検出器によってモニタされる粒子の計数値を表す又はそれに従う値を有することができ、又は例えばこれらのモニタされた粒子のエネルギ分布を示すか又はそれを示す値セットを有することができる。一部の実施形態では、第1の画像フレーム及び第2の画像フレームのうちのいずれか又は両方での1又は2以上のピクセルは、典型的には、試料面上の小面積に対応することができる対応する場所で取得された光子エネルギのヒストグラムに対応する値セットを有することができる。各セット内の値の数は、モニタされた光子エネルギに依存して異なる可能性があることは理解されるであろう。
【0141】
一部の実施形態では、複合画像フレームの取得中に、それぞれの第2の画像フレームに関するピクセル値と、試料内の同じ場所に対応する以前に得られた第2の画像フレームの対応するピクセルデータとの組合せ段階は、視野が、以前に得られた第2の画像フレームに関する視野と同じであることに依存して自動的に実施することができる。視野が静止状態であること及び従って構成視野が静止状態であることが意図されるが、例えば、ステージ機構又はビーム偏向電子機器に対する熱的影響に起因して一部の小さい位置ドリフトが存在する場合に、連続画像フレーム間の位置の差を連続する電子画像の相互相関によって試験し(例えば、https://en.wikipedia.org/wiki/Digital_image_correlation_and_trackingに説明されているように)、この測定ドリフトを用いて、データが試料上の同じ位置からもたらされる連続フレームに関してのみピクセル値が組み合わされることを保証することができる。
【0142】
第2の画像フレームに関するピクセル値に対する組合せ処理中に、構成顕微鏡条件は、例えば、メモリ又はいずれかのタイプの機械可読媒体に格納された場合がある直前の第2の画像フレームに関する顕微鏡条件と同じであり、これは、ピクセルに関して得られる信号の内容が同じであると考えることができる。同様に、「蓄積」モードでは、第2(又は第1)の画像フレームに対応するデータが、例えば、一連のフレーム内で次のフレームでの使用に向けて格納されたに実施形態では、ピクセルデータは、必ずしもフレームの全ての位置に関して格納されない場合があることも理解されるであろう。例えば、当該の第2の画像フレームを取得する段階と直前の画像フレームとの間で集束、非点収差、倍率、電子ビーム、又は他のタイプの荷電粒子ビームの加速電圧に変更が加えられない場合に、ピクセルに関する測定値は、試料又は走査位置が移動していない限り、典型的には、試料上の当該場所に関する直前のピクセル値の反復測定を含むことになり、従って、当該ピクセルに関するSN比を改善するのに使用することができる。言い換えれば、構成顕微鏡条件が同じであることは、第2の画像フレームを取得した時に従った顕微鏡条件が、以前の第2の画像フレームを取得した時に従った顕微鏡条件と同じであるとして考えることができる。
【0143】
典型的には、複合画像フレームの実時間表示段階は、画像データが得られ次第それを処理及び表示する段階を含み、従って、画像フレームは実質的に瞬時に利用可能になる。このようにして、ユーザは、実時間複合画像フレームを試料の周りでナビゲーションを案内するためのフィードバックとして使用することができる。そのようなライブナビゲーションでは、ユーザとの対話に対する手法、並びに複合画像フレームを合成、フォーマット設定、及び表示するのに適する方法の例は、WO 2019/016559 A1の8~10ページに説明されている。画像フレームを有色複合画像に組み合わせるために、WO 2012/110754 A1に説明されているような技術を使用することができる。「実時間」表示は、ユーザがナビゲーションアクションを発生させる段階と当該アクションが視覚表示上に一連の表示複合画像フレームを構成する動画又はビデオの形態で表現される段階との間に判別可能な遅延が実質的に全くないこととして理解することができる。
【0144】
例えば、集束電子ビームが試料上でより小さい又はより大きい領域にわたって偏向されるようにユーザが倍率を変更することにより、視野の変化を発生させることができる。これに代えて、ユーザは、試料が集束電子ビームに対して移動され、従って、偏向電子ビームが到達する視野が試料面の新しい領域に移動するように、試料をその上に支持するステージ又はホルダを移動することができる。視野は、集束電子ビームが試料上の異なる領域を横断するように向けられるようにビーム偏向を変更することによって変更することができる。電子画像のコントラスト、並びに追加の信号の情報内容を変更することになるビーム電圧のような顕微鏡条件は変更することができる。これらの場合のいずれでも、既存画像データと新しく得られたデータとの即座の置換は、ユーザが新しい視野を単一フレーム時間内に確認することを可能にする。フレーム時間が十分に短い場合に、ユーザは、視覚表示ユニットを用いて視野を変更しながら試料の面上の特徴部を追跡することができることになる。
【0145】
いずれかのデータフレームの取得後に視野又は顕微鏡条件が直前のフレームに関するものと同じ場合に、典型的には、取得モードは、表示画像のS/Nが改善されたモードに変化する。このS/Nの改善は、フレームに対するデータを蓄積するのに費やされる時間の延長及び/又は連続フレームからの信号平均化又はデータの蓄積によるものとすることができる。従って、一部の実施形態では、ユーザは、着目領域を見つけるために試料面にわたって視野を移動する場合に、電子画像に示す試料の形状及び形態と、追加の信号に示す物質の組成又は材料特質に関する補足情報との組合せを確認することができることになる。着目領域が視像の中に入り次第、ユーザは移動を停止することができ、ユーザからの対話又は分析セッションの中断を全く伴わずに信号対ノイズが急速に改善されることになる。
【0146】
本発明者は、追加の信号が劣悪なS/Nを有する単一データフレームしか与えない場合であっても、多くの場合に、画像は、着目領域の大まかな場所を与えるのに十分であることを見出した。
【0147】
更に、視野が変更される間に連続フレームが表示される時に、各フレーム内のノイズは異なり、目/脳の組合せは、時間的平均化効果をもたらし、それによってユーザが単一データフレーム内では見え難い可能性がある移動特徴部を認識することを可能にする。ユーザが着目特徴を確認し次第、移動を停止した場合に、信号平均化を自動的に開始することができ、これは、いくつかのフレームが記録された後に特徴部の視認性を急速に改善することになる。
【0148】
本発明者は、表示に向けて新しい複合画像を発生させることを可能にするフレーム速度を高めるために、ビームに領域を横断させる平均速度を高めることにより、高ノイズデータの連続フレーム内で移動特徴部を確認する機能を更に引き出すことができることを認識した。フレーム速度を高めることにより、第2の粒子をモニタするためのピクセル当たりの有効取得時間が短縮され、S/Nが悪化することになるが、不鮮明化を伴わずに高速移動特徴部を撮像することを可能にし、ユーザが特徴部を実質的に追跡することを可能にするように速度を最適化することができる。
【0149】
本発明者は、視野が変化中の時に目/脳が動画内で細密部を判別することが遙かに困難であることも見出した。従って、表示画像は、視野が変化中の時に移動特徴部を追跡するユーザの機能に影響を及ぼすことなくより低い解像度(少なめのピクセル)を有することができる。より低い解像度の第2の画像フレームを発生させるために、隣接ピクセルに対するピクセル値セットを集約又は合計し、試料上のより大面積を表す単一「スーパーピクセル」に対応するピクセル値セットを与えることができる。従って、試料上の同じ領域を網羅し、少なめの数の「スーパーピクセル」を与えるために「データ種分け」を使用する第2の画像フレームを与えることができる。「スーパーピクセル」によって網羅される面積に対応する領域を電子ビームが横断する間に第2の粒子データをモニタすることにより、同じ効果を発生させることができる。これに代えて、少なめのピクセル位置でモニタされた第2の粒子のデータを取得するためにより大まかな間隔にある格子一連の点上に電子ビームを位置決めすることができる。各ピクセル値セットは、表示に向けて複合画像を発生させるのに使用されることになる値を導出するのにかなりコンピュータコストを必要とする可能性があるので、フレーム当たりのピクセル数を低減することによって全コンピュータ時間を実質的に短縮することができる。更に、同じフレーム時間に関して全取得時間が少なめの数のピクセル間で実質的に割り当てられる場合に、各ピクセル値セットは、多めのピクセルを有する画像と比較して改善されたS/Nを有する複合画像に関する導出値を発生させることになる。フレーム当たりのピクセル数を低減することはできるが、視覚表示画像は、ピクセル複製、内挿、又は所与のピクセル解像度を有する画像データを異なるピクセル解像度を有する視覚表示上にマップする「アップスケーリング」のような公知の技術によって同じサイズに保つことができる。更に、第2の画像フレーム内のピクセル数が第1の画像フレーム内のピクセル数よりも少ない場合にも、複合画像フレームの準備を容易にするために第2の画像フレームに関するピクセル値セットを複製、内挿、又はアップスケーリングによって必要に応じて同じく増大することができる。
【0150】
ユーザが「オンザフライ」で決定を行うことができる場合に上述の段階の機能のナビゲーション効率の改善を発生させるための重要な利点は、ユーザが両方の画像又は3又は4以上の検出器を有する実施形態では3つ以上の画像を同時に見ることができ、それによって全ての画像が少なくともユーザの周囲視野内にある点である。好ましくは、物質の組成又は材料特質に関する追加画像情報は、電子画像上の有色オーバーレイとして示され、それによってユーザが電子画像から目を離すことを必要とせずに追加データを提供する「ヘッドアップ」の均等物を提供する。
【0151】
上述のように、第1の検出器は、典型的に電子検出器である。しかし、他のタイプのモニタ機器を使用することができるように想定されている。
【0152】
典型的な実施形態では、第1の検出器は、試料の領域に関するトポグラフィ情報と試料物質の原子番号情報とのいずれか又は両方を含むデータを与える得られる粒子をモニタするようになっている。典型的には、そのようなデータは、2次電子検出器又は後方散乱電子検出器によって提供することができる。従って、そのような検出器は、試料面の周りに視野を迅速にナビゲートするためにユーザによる使用に適する情報を含む画像フレームを高速に提供するのに適切とすることができる。
【0153】
一部の実施形態では、第2の検出器は、構成顕微鏡条件に関して第1の検出器がモニタするようになった得られる粒子が試料内で発生される速度の10分の1よりも低い速度で試料内に発生される得られる粒子をモニタするようになっている。例えば、本方法が電子顕微鏡と併用される時に、典型的には、所与の電子顕微鏡条件に関して電子ビームが試料上に入射するのに応答して発生される得られるX線は、放射電子が発生される速度よりも1桁又はそれよりも多く低い速度で発生される。この状況での速度は、粒子が物質又は電磁放射線のいずれから構成される場合にも1秒当たりに発生される粒子の個数を指す。一部の実施形態では、第2の検出器がモニタするようになった粒子が発生される速度は、第1の検出器がモニタするようになった粒子が発生される速度の100分の1である。
【0154】
例えば、電子後方散乱回折分析を含む一部の実施形態では、第1の粒子の発生又はモニタの速度と第2の粒子の発生又はモニタの速度とのそのような差は存在しない場合がある。しかし、依然として第2の粒子に関するデータから導出される信号のS/Nは、第1の粒子データからの信号のS/Nよりも有意に低いとすることができる。
【0155】
様々な実施形態では、第2の検出器は、様々なタイプの粒子、例えば、X線、2次電子、及び後方散乱電子をモニタするようになっている。
【0156】
一部の実施形態では、第2の検出器は、X線分光計、電子回折パターンカメラ、電子エネルギ損失分光計、又はカソード発光検出器のいずれかである。
【0157】
一部の実施形態では、第2の画像フレームを取得するために第2の粒子セットをモニタする段階は、第2の検出器からの異なるタイプの2又は3以上の信号をその各々に対応する副画像フレームを取得するために取得する段階を含み、第1の画像フレームと第2の画像フレームを組み合わせる段階は、第1の画像フレームをこれらの副画像フレームのうちの1又は2以上と組み合わせる段階を含む。
【0158】
従って、一部の実施形態では、副画像フレームは、様々なタイプの情報を導出するために第2の検出器からのデータを処理することによって利用可能である。例えば、2つの異なる線放射からの記録データがエネルギに関して重複するように線放射がエネルギ範囲にわたって分散している時であっても、エネルギ範囲セットの各々に関して記録された光子の個数の尺度を与えるX線スペクトルを処理して特定の特性線放射に対応する光子の個数を測定することができる。
【0159】
一部の実施形態では、撮像カメラのような第2の検出器によって記録された電子回折パターンを処理して電子ビーム下にある物質の結晶相とこの相の配向とを決定することができ、それによって様々な相及び様々な結晶配向に対応する部分画像を発生させることができると考えられる。
【0160】
一部の実施形態では、同じ検出器から複数の信号を導出することができることになる。典型的には、そのような実施形態では、第2の検出器は、異なるタイプの2又は3以上の信号を出力することができ、これらの信号は、異なるタイプのモニタされた粒子に対応することができ、様々な副画像フレームを取得するのに使用することができる。例えば、出力することができる様々なタイプの信号は、X線分光計によって取得されたスペクトル、電子に敏感なカメラによって取得された電子回折パターン、及び電子エネルギ損失分光計又はカソード発光検出器によって取得されたスペクトルを含むことができる。これらの信号タイプのうちのいずれかを用いて、第1及び第2の画像フレームのいずれかを導出することができ、又は副画像フレームを導出することができる。従って、一部の実施形態では、第2の画像フレームを取得するために第2の粒子セットをモニタする段階は、第2の検出器から取得された異なるタイプの信号に各々が対応する第2の粒子セットの2又は3以上の部分集合をその各々に対応する副画像フレームを取得するためにモニタする段階を含む。
【0161】
一部の実施形態は、第1及び第2の検出器とは異なるタイプの第3の検出器を含む。例えば、第1、第2、及び第3の検出器の各々は、2次電子検出器、後方散乱電子検出器、及びX線検出器のうちのいずれかとすることができる。
【0162】
上述のように、画像フレームのピクセルは、モニタされた粒子のエネルギ分布を表す又はそれを示す値を有することができる。これは、各々が異なる粒子エネルギ範囲に対応する画像フレームの部分集合又は成分である2又は3以上の副画像フレームを取得することによって達成することができる。従って、一部の実施形態では、第2の画像フレームを取得するために第2の粒子セットをモニタする段階は、異なる粒子エネルギ範囲に各々が対応する第2の粒子セットの2又は3以上の部分集合をその各々に対応する副画像フレームを取得するためにモニタする段階であって、各副画像フレームが、領域内の複数の場所に対応する複数のピクセルであって、対応する部分集合によって含まれ、これらの場所で発生されたモニタされた粒子から導出された上記複数のピクセルを含む上記モニタする段階と、複数のピクセルの各々に対して領域内の対応する場所で発生され、これらの部分集合の各々によって含まれる粒子から導出されたデータを提供するような第2の画像フレームをもたらすようにこれらの副画像フレームを互いに組み合わせる段階とを含む。
【0163】
このようにして、第2の検出器は、各複合画像フレームに関して様々なエネルギ又は様々なエネルギ帯域の得られる粒子を別個にモニタするために1よりも多い関係画像(副画像フレーム)が利用可能である。これら別個の部分画像は、副画像フレームの各々に関して対応する試料場所に関する粒子計数値に対応する複数の構成ピクセルに関するピクセル値又はピクセル強度を区別することを可能にする方式で互いに組み合わせることができる。この区別は、例えば、異なる色を副画像フレームの各々に割り当てる又はそれを異なる色でレンダリングすることによって達成することができる。このレンダリングは、第2の画像フレーム内及び従って複合画像フレーム内の所与の場所又はピクセルで得られる色への可視寄与が当該場所で発生された対応するエネルギ帯域又は対応する部分集合内のモニタされた粒子の強度の視覚指標を提供するように実施することができる。
【0164】
すなわち、一部の実施形態では、副画像フレームに基づく合成色の第2の画像フレームを形成し、次に、第1の画像フレームと組み合わせて複合画像を形成することができる。
【0165】
例えば、第2の検出器がX線検出器である実施形態では、一連の複合フレーム内の各複合フレームに関して、第2の検出器は、複数の化学元素の特性エネルギ又は特性エネルギ帯域に対応するエネルギ範囲を有する複数の粒子部分集合をモニタすることによってこれらの化学元素の特性放射に関する強度をモニタする。従って、単一X線検出器から各々が異なる化学元素に対応する複数の部分画像が取得される。
【0166】
一部の実施形態では、2又は3以上の副画像フレームは、組み合わされて第2の画像フレームを形成するが、上記とは別に、複合画像フレームを形成するために第1の画像フレームと共に組み合わされる前に本方法の段階(d)に従って別個に処理される。従って、様々な実施形態では、副画像フレームのうちのいずれか又は画像フレームのうちのいずれかに関して、複合画像フレームは、「蓄積」モードと「リフレッシュ」モードとの両方で取得することができる。
【0167】
第1の画像フレームからのデータと第2の画像フレームからのデータとを組み合わせて複合画像フレームを発生して表示するのに適切な方法は、WO 2019/016559 A1の15~17ページに説明されている。各複合画像フレームに関して、第1の画像フレームと第2の画像フレームを組み合わせて第1の検出器と第2の検出器との両方によって得られたデータを含む単一画像フレームを形成することができる。好ましくは、これら2つの画像フレームを構成することは、画像内の各場所に関する第1の粒子セット情報と第2の粒子セット情報とを個々に区別することを可能にする方式でユーザに対して視覚的に示される。
【0168】
一部の他の実施形態では、2つの画像フレームをオーバーレイする代わりに、第1の画像フレームと第2の画像フレームを組み合わせる段階は、第1の画像フレームと第2の画像フレームを横並びに表示することによって実施される。従って、複合画像フレームをもたらすように第1の画像フレームと第2の画像フレームを組み合わせる段階は、第1の画像フレームと第2の画像フレームを併置する段階を含むことができる。好ましくは、そのような実施形態では、これら2つの画像フレームは、複合画像フレームが視覚表示上に表示される時に、これらの画像フレームが両方共にユーザの視野内で同時に視認可能であるように互いに並べて位置決めされる。従って、これらの実施形態では、複合画像フレームは、典型的には、少なくとも2倍大きくなり、従って、個々の第1の画像フレーム及び第2の画像フレームの各々の少なくとも2倍の個数のピクセルを含む。
【0169】
第1及び第2の画像フレームを取得する顕微鏡条件は、いくつかの異なる設定可能条件を含むことができる。電子顕微鏡の電子柱に対して構成することができるこれらの条件は、倍率、焦点、非点収差、加速電圧、ビーム電流、及び走査偏向を含むことができる。従って、上述の顕微鏡条件列挙事項は、荷電粒子ビームに対して構成することができる。位置及び向きは、試料に対して構成するか又は特に試料を保持するようになった試料ステージに対して構成することができる。言い換えれば、この空間座標は、直交座標系内のX軸、Y軸、及びZ軸の位置、並びに試料の傾斜及び回転の度数を含むことができる。第1及び第2の検出器の各々に対して輝度及びコントラストを構成することができる。
【0170】
従って、電子顕微鏡に関する視野は、典型的には、試料ステージの位置及び向き、倍率、及び走査荷電粒子ビームに加えられる偏向の度数である走査偏向のような顕微鏡条件を設定することによって構成することができる。
【0171】
一部の実施形態では、画像フレームからのピクセルの組合せは、必ずしも第2の画像フレームだけに限定されない場合がある。一部の実施形態では、画像フレームを取得する「蓄積」モードは、第1の画像フレーム、並びに第2の画像フレームに適用することができる。従って、複合画像フレームの取得段階は、第1の画像フレームの各ピクセルに対して構成顕微鏡条件が一連の複合フレーム内で直ぐ先行する取得複合フレームの格納された第1の画像フレームに関する構成顕微鏡条件と同じであり、それぞれのピクセルが、領域内で格納された第1の画像フレームによって含まれる格納されたピクセルが対応する場所に対応する場合に、このような格納されたピクセルの値と当該ピクセルの値とを当該ピクセルに関するSN比を高めるように組み合わせる段階を更に含むことができる。画像フレームを取得する段階の信号平均化又は蓄積モードを第1の検出器からの画像に適用する段階は、第1の検出器からの信号のSN比が低いか又は望ましい閾値よりも低い実施形態で有利とすることができる。
【0172】
視覚表示のフレーム速度及び従って複合画像列内で連続する複合画像が視覚表示上に表示される速度は、様々な実施形態の間で異ならせることができ、かつ設定可能とすることができる。一部の実施形態では、複合画像フレームが表示されるフレーム速度は、少なくとも1フレーム毎秒、好ましくは、少なくとも3フレーム毎秒、より好ましくは、20フレーム毎秒である。一部の実施形態では、いずれか所与の時点で単一複合画像フレームが処理される。そのような実施形態では、上記に列挙した例示的フレーム速度は、1秒又はそれ未満、0.3秒又はそれ未満、及び0.05秒又はそれ未満の複合画像取得時間又は複合画像処理時間にそれぞれ対応する。
【0173】
一部の実施形態では、一連の複合画像フレームが得られて表示される速度は、少なくとも10フレーム毎秒、好ましくは、少なくとも18フレーム毎秒、より好ましくは、少なくとも25フレーム毎秒、更により好ましくは、少なくとも50フレーム毎秒である。従って、好ましくは、一連の複合画像フレームは、動画の形態で表示され、好ましくは、表示フレーム速度は、ビデオフレーム速度に対応する。
【0174】
好ましい実施形態では、当該ピクセルに関するSN比を高めるために格納ピクセルを当該ピクセルと組み合わせる段階は、信号平均化又は信号蓄積によって実施される。検出器からの出力は信号と見なすことができ、従って、信号平均化及び信号蓄積というノイズ低減技術、従って、所与のピクセル又は領域内の特定の場所に対応するピクセルに関する同じ条件下の測定値セッである複製測定値セットにわたる平均又は合計を使用することができる。
【0175】
本発明の第3の態様により、顕微鏡内で試料を分析する方法を提供し、本方法は、第1の検出器と第1の検出器とは異なる第2の検出器とを用いて一連の複合画像フレームを取得するために2つの取得モードを使用する段階であって、第1のモードで複合画像フレームに対するデータを取得する段階が、
a1)荷電粒子ビームに顕微鏡の構成視野に対応する試料領域の領域を時間T1内に通過させる段階、
a2)領域内の位置の近傍からのモニタされた第1の粒子にピクセル値が対応するピクセルをN1個含む第1の画像フレームを取得するように、試料内で発生された得られる第1の粒子セットを第1の検出器を用いてモニタする段階、
a3)領域内の位置の近傍からのモニタされた第2の粒子から導出された値セットを有するピクセルをN2個含む第2の画像フレームを取得するように、試料内で発生された第2の得られる粒子セットを第2の検出器を用いてモニタする段階、
a4)構成顕微鏡視野が一連の複合画像フレーム内で直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと異なる場合に、第2の画像フレーム内の各ピクセルに対してピクセル値を一連の複合画像フレーム内の次の複合画像フレームを発生させるのに使用されることになる値として使用する段階、
a5)構成顕微鏡視野が一連の複合画像フレーム内で直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと同じである場合に、第2の取得モードに変更する段階、
を含み、第2のモードで複合画像フレームを取得する段階が、
b1)荷電粒子ビームに顕微鏡の構成視野に対応する試料領域の領域を時間T2内に通過させる段階、
b2)領域内の位置の近傍からのモニタされた第1の粒子にピクセル値が対応するピクセルをM1個含む第1の画像フレームを取得するように、試料内で発生された得られる第1の粒子セットを第1の検出器を用いてモニタする段階、
b3)領域内の位置の近傍からのモニタされた第2の粒子から導出された値セットを有するピクセルをM2個含む第2の画像フレームを取得するように、試料内で発生された第2の得られる粒子セットを第2の検出器を用いてモニタする段階、
b4)第2の画像フレームの各ピクセルに対して構成顕微鏡視野が一連の複合画像フレーム内で直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと同じである場合に、一連の複合画像フレーム内の次の複合画像フレームを発生させるのに使用されることになる対応するピクセルに対する値に関してSN比を高めるように、ピクセルに対する値セットを同じ視野から以前に得られた第2の画像フレーム内で対応するピクセルの1又は2以上の値セットと組み合わせる段階、
b5)構成顕微鏡視野が一連の複合画像フレーム内で直ぐ先行する複合画像フレームに関する顕微鏡視野から変化する場合に、第1の取得モードに変更する段階、及び
c)複合画像フレームが、複合画像フレーム内の場所でのピクセルに対する値が領域内で対応する場所で発生されて第1の検出器及び第2の検出器の各々によってモニタされた粒子から導出されたデータから導出される領域の空間表現であるように、新しい複合画像フレームを発生させるための第2の粒子に関するピクセル値セットと第1の粒子に関するピクセル値とを用いて複合画像フレームを生成する段階、
を含む上記使用する段階と、
一連の複合画像フレームを実時間で視覚表示上に表示する段階と、
を含み、
視覚表示は、視野が静止中又は変化している時に観察者が潜在的な着目特徴部を識別することを可能にするために各複合画像フレームを順番に示すために更新され、第1のモードで領域を通過するための時間T1は、第2のモードで領域を通過するための時間T2よりも短い。本方法は、第2の態様による実施形態として達成されることも理解することができる。第1及び第2の時間T1及びT2は、例えば、本発明の開示で第2の態様に関して先に議論した全通過時間に対応するものとして理解することができる。従って、モード切換機能は、典型的には、視野の移動又は他の変化に基づいて2つの個別取得モードの間で切り換えを行う段階を含むこれらの個別取得モードに関して定めることができる。
【0176】
本発明の第4の態様により、顕微鏡内で試料を分析するための装置を提供し、装置は、好ましくは、第1、第2、及び第3の態様のうちのいずれかによる第2の検出器であるX線検出器と、プロセッサと、プロセッサによって実行された時にプロセッサに第1、第2、及び第3の態様のうちのいずれかによる方法を実行させるコンピュータプログラムとを含む。
【0177】
そのような装置は、第1、第2、及び第3の態様のうちのいずれかによる方法を実行するのに適切なものとすることができる。
【0178】
一部の実施形態では、装置は、電子顕微鏡内の集束電子ビームが試料の面上の2次元領域にわたって走査される間に発生された信号を表示するのに適切であり、第1の信号が電子検出器から発せられ、個々の化学元素の含有量又は原子番号以外の材料特質に関する情報を提供する異なる検出器から少なくとも1つの補助信号が導出され、各信号は、領域を網羅する電子ビーム位置の2次元アレイで測定され、測定結果の対応するピクセルアレイは、領域を網羅する視野に対するデジタル画像を含み、視覚表示を用いて、複数の画像がユーザの周囲視野内に収まるように又は単一複合有色画像に組み合わされるように全ての信号に対するデジタル画像が示され、全ての信号に関する完全ピクセル測定値セットが視野を網羅し、短い期間内に視覚表示の準備が実施されて完了し、全ての信号に関して、視野を網羅する完全ピクセル測定値セット及び視覚表示の更新が絶え間なく繰り返され、視野又は顕微鏡条件が変化していないという条件下で、同じピクセル位置での少なくとも1つの補助信号の連続測定値を用いて、当該ピクセルでの測定値の信号対ノイズが改善され、視野又は顕微鏡条件のいずれの変化もない場合に、同じピクセル位置での信号の次の測定値を用いて直前の測定値が置換され、短い期間は、視野が変更されている時に観察者が移動特徴部を識別するのに画像表示が十分に速く更新されるように十分に小さい。
【0179】
そのような実施形態では、典型的には、1回よりも多い信号測定の表示結果の信号対ノイズは、測定値のカルマン平均化又は測定値を合計すること、及び測定の回数に従って明度スケーリングを調節することを用いて改善される。
【0180】
このようにして、ピクセル又は試料上の場所に関する反復測定値が複数回取得される時に、一連の複合画像フレーム内で連続する第2の画像フレームが装置によって取り込まれ、カルマン再帰フィルタを用いてかつ複数のピクセル測定値を用いてSN比を高めることができる。一部の実施形態では、画像信号の改善は、連続ピクセル測定値を互いに加え合わせ、測定値の個数及び従ってピクセルが装置によって互いに加え合わせられるフレームの個数に従って輝度を調節することによって達成される。
【0181】
典型的には、短い期間は、1秒よりも短く、好ましくは、0.3秒よりも短く、理想的には、0.05秒よりも短い。従って、装置は、目立った遅延がないか又は装置のユーザが最小限の遅延しか体感しないほど十分に高速に視覚表示の準備を実施及び完了するように構成することができる。
【0182】
装置は、系列内で連続するフレームが互いに加え合わせられる「平均化」モード又は「蓄積」モードから「リフレッシュ」モードに切り換えるように、視野が変化している時を自動的に識別するように構成することができる。一部の実施形態では、視野は、試料が移動されている場合又は走査領域がユーザの制御下で意図的に変更されている場合に変化していると見なされる。
【0183】
一部の実施形態では、視野又は顕微鏡条件の変化は、新しいデジタル画像と前回得られたものとの数学的比較によって検出される。装置は、視野に加えられた変更を識別するために順次得られた連続フレームを比較するように構成することができる。装置は、ユーザが試料の周りで視野をナビゲートする際に試料の一部分が視野の中に導入された時に試料のこれらの部分に対して「リフレッシュ」モードで作動し、それに対して視野内で移動しながらその中に留まる部分に対して「蓄積」モードで作動するように構成することができる。
【0184】
典型的には、補助信号は、X線分光計によって取得されたスペクトル、電子に敏感なカメラによって取得された電子回折パターン、電子エネルギ損失分光計によって取得されたスペクトル、又はカソード発光検出器によって取得されたスペクトルから導出される。
【0185】
一部の実施形態では、第4の態様による装置を含む走査電子顕微鏡を提供する。すなわち、有利な分析方法を実施するのに適する及び/又はそのように構成された電子ビーム計器、特に電子顕微鏡を提供することができる。
【0186】
本発明の第5の態様により、第1、第2、及び第3の態様のうちのいずれかによる方法を実行するように構成されたプログラムコードが格納されたコンピュータ可読ストレージ媒体を提供する。
【0187】
本発明の第6の態様により、実行された時に第1、第2、及び第3の態様のうちのいずれかによる方法を装置に行わせる命令を含むコンピュータプログラムを提供する。
【0188】
ここで本発明の例を添付図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0189】
【
図1】試料上の領域を横断する電子ビームに関する例示的走査パターンを示す図である。
【
図2】従来技術による試料からの電子画像及びX線画像を記録するための走査電子顕微鏡システムの構成を示す概略図である。
【
図3】試料と顕微鏡の最終レンズ磁極片との間に検出器が位置決めされた走査電子顕微鏡配置を示す概略図である。
【
図4】本発明による例示的方法を示す流れ図である。
【
図5】本発明の例によって電子画像及び色分けX線画像が得られた試料領域を示す例示的複合画像フレームを示す図である。
【
図6】本発明の例によるユーザナビゲーションのための視覚表示画面の機能要素を示す取り込み画面である。
【
図7】本発明の例による静的フレーム取得モードでビームによって網羅された構成視野及び対応する横断経路と動的取得モードでビームによって網羅された修正視野及び対応する横断経路との間の比較を示す概略図である。
【
図8】本発明による例示的方法の段階を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0190】
ここで、
図1~
図6及び
図8を参照して本発明による電子顕微鏡内で試料を分析する方法及び装置を説明する。
【0191】
本発明による一例示的方法の重要な段階の概略図が
図8に示されている。この流れ図は、単一複合画像フレームを取り込んで表示するための段階を順番に示している。モードパラメータが第1又は第2の値を有する場合に、荷電粒子ビームは、それぞれ第1の(高速)走査モード(左手の経路)又は第2の(低速)走査モード(右手の経路)に従って横断させられる。この概略図には明示的に示していないが、モードパラメータ値は、所与のフレームに関する横断が完了する前に1回又は2回以上変更することができる。そのような場合に、ビームの実際の経路は、この例では2つの経路及び対応する条件の間で相応に切り換えられる。
【0192】
モードパラメータ値には関係なく、2つの粒子セット、この例では電子及びX線光子が、それぞれの第1及び第2の検出器によってモニタされる。このモニタによって得られたフレームが組み合わされ、複合画像フレームがもたらされる。次に、このフレームは、実時間で更新されるストリーム、ビデオ、又はフレームシーケンスの一部として視覚表示上に表示され、それによって試料の分析が容易になる。適応可能走査モードは、高速視覚応答及び高い表示リフレッシュ速度を与えるものと、より高品質であり、よりノイズの少ない画像データを与えることができるものとの間で走査モードを変更することを有利に可能にする。モードパラメータは、視野を変更するように(例えば、試料ステージを移動することにより)ユーザが顕微鏡を再設定した場合に高フレーム速度をもたらすように、又はユーザが視野を変更するための命令を発することを止めた時に低速走査に切り換わるように自動的に変更することができる。
【0193】
大きい立体角を有する副磁極片検出器により、分析中のライブ撮像を改善することができる。そのような配置を
図3に描いている。試料上で着目領域の場所を迅速に決定するためにユーザが視覚表示と対話する機能は、化学情報又は物質情報を提供して第1の検出器画像を補足する第2の粒子検出器が高いS/Nを有する信号をもたらす場合に有意に改善する。SEMの側部ポート上に装着される従来のX線検出器は、X線に対して小さい収集立体角のみを有する。しかし、電子レンズの磁極片の下方に装着され、入射電子ビームを取り囲むセンサと、試料に対面する感知区域とを有するX線検出器は、全てのセンサに関してかなり大きい全収集立体角を達成することができる。大きい収集立体角を使用する場合に、導出X線信号に関するS/Nがかなり高く、試料上の視野領域のかなり高速な電子ビーム横断により、移動中の特徴部を追跡するのに許容可能な画像が利用可能である。これは、視野が変化している時に、より高速な変化を観察することができるように複合画像フレームに関するフレーム更新速度をより高速にすることを可能にする。
【0194】
図2又は
図3に示す配置のような電子顕微鏡を用いて、
図4の流れ図に示すように構成視野の移動に依存する適応可能フレーム処理を有利に更に含む更に別の例示的方法を実行することができる。本方法は、一連の複合画像フレームを取得する段階を含み、複合画像フレームのこの取得を
図4の段階によって例示している。この例では、複合画像フレームは、第1の「高速」又は「動的」モード及び第2の「低速」又は「静的」モードの各々に対する予め決められた頻度で得られる。第1のモードでの頻度は、第2のモードでのものよりも高く、従って、得られる表示の更新は、第1のモードで作動している時に第2のモードよりも高速で発生する。他の例では、複数の予め決められた頻度又は可変頻度をこれらのモードのいずれか又は両方に適用することができる。
【0195】
流れ図が示すように、適用されるモードは、構成顕微鏡視野が変化中又は静止中のいずれであるかに依存して適用される。この例では、第1のモード又は「モード1」は、N1個の場所で発生された第1の粒子セットをモニタしてN1個のピクセルを含む画像フレームを取得する段階と、N2個の場所で発生された第2の粒子セットをモニタしてN2個のピクセルを含む画像フレームを取得する段階とを含み、この場合に、N1及びN2は整数である。同様に、第2のモード又は「モード2」は、M1個の場所で発生された第1の粒子セットをモニタしてM1個のピクセルを含む画像フレームを取得する段階と、M2個の場所で発生された第2の粒子セットをモニタしてM2個のピクセルを含む画像フレームを取得する段階とを含み、この場合に、M1及びM2は整数である。第1のモードで第2のモードよりも速い全体走査速度を発生させるように、この例ではN1<M1及びN2<M2である。しかし、他の例では、これらの不等式のいずれも適用されない場合があり、第1及びモニタされた第2の粒子セットのいずれに関する場所の個数も、第1のモードと第2のモードの間で変更することができない。この例及び他の例では、第1及び第2の複数の場所内の1つの所与の場所からの粒子をモニタするのに取られる構成平均時間は、第2のモードよりも第1のモードに関して短くすることができる。この短縮は、「動的」モードにある時にモニタされた場所に対する高速な連続走査又は短い滞留時間によって達成することができる。
【0196】
上述した例でのピクセル及び場所の個数に適する値は以下の通りである。例えば、モード1は、49,152に等しいN1と、12,288に等しいN2とを有すると考えられる。モード2に切り換えた場合に、場所の個数を4倍にし、196,608に等しいM1と49,152に等しいM2とを与えることができると考えられる。この例では、S/Nを改善するために4つのピクセルから構成される複数のグループが1つの集約「スーパーピクセル」に組み合わされるようにX線データが種分けされるので、N2<N1及びM2<M1である。4:3という典型的なアスペクト比を有する画像フレームが得られた場合に、第1のモードでは256×192個のピクセルの第1の画像フレームと128×96個のピクセルの第2の画像フレームとをもたらし、第2のモードでは512×384個のピクセルの第1の画像フレームと256×192個のピクセルの第2の画像フレームとをもたらすと考えられる。場所の個数は、使用事例、取得条件、及び分析される試料に依存することになるので、N1とM1及びN2とM2が同じ倍数だけ変化することは必要ではない。その意味では、N1、M1、N2、及びM2は、4,194,304(2,048×2,048)まで又は時にそれ以上まで変えることができ、3,072(64x48)まで小さくすることができるが、これに限定されない。
【0197】
この例では、フレームの取得中に、取得モードは、構成視野が一連のフレーム内の直前のフレームと異なると決定された時に第1のモードから第2のモードに切り換えられ、更に視野が直前のフレームと異なる場合に第2のモードから第1のモードに切り換えられる。流れ図には、この切り換えを即座にフレーム取得手順が切り換え先のモードで新しく開始されるように行われるものとして例示している。しかし、様々な例では、切り換えは、取得サイクル中の様々な時点で行うことができる。例えば、切り換えは、現在フレームの取得が完了した後に行うことができる。しかし、好ましい例では、モードは、切り換えに対する条件が識別され次第切り換えられる。そのような場合に、現在フレームに関する横断手順及びモニタ手順の残余は、少なくとも別のその後の切り換えが行われるまで、好ましくは、切り換え先のモードを用いて実施される。
【0198】
フレーム取得中に、電子顕微鏡システムのユーザは、試料ステージを移動することによって顕微鏡の視野に試料の様々な領域を網羅させることができ、特定の着目領域が見出された時にその領域からの第2の画像フレームデータを蓄積するためにステージの移動を繰り返し減速又は停止することができる。
【0199】
電子顕微鏡の電子ビームは、試料領域のラスター走査を実施するようにビームを偏向することによってこの領域内の複数の場所の上に入射するようになっている。
【0200】
電子ビームが複数の場所の上に入射する結果として試料内のこれらの場所で発生された第1の粒子セットは、第1の画像フレームを取得するために第1の検出器を用いてモニタされる。電子ビームが複数の場所の上に入射する結果として試料内のこれらの場所で発生された第2の粒子セットは、第2の画像フレームを取得するために第2の検出器を用いてモニタされる。電子ビームが各場所に衝突する時に、第1及び第2の検出器は、当該場所に関して第1及び第2の粒子セットから導出されたそれぞれの信号をモニタする。従って、所与のフレームに関してこの領域に関するこれらの電子モニタ段階とX線モニタ段階とは、実質的に同時に実施される。各検出器からの信号は、ピクセルの相対的場所が複数の場所の領域内でそれぞれのピクセル値を発生した起点となったモニタされた粒子の相対的場所に対応するように位置決めされたピクセルで形成された画像を発生させるのに使用される。
【0201】
この例では、第2の画像フレーム内の各ピクセルに対して構成顕微鏡視野が、一連のフレーム内で直ぐ先行する取得複合フレームの格納された第2の画像フレームに関するものと同じであった場合に、当該ピクセルに関するSN比を高めるようにこのピクセルと格納されたピクセルが組み合わされる。従って、同じく存在する試料部分に対応し、第2の画像フレームのシーケンス内で先行するフレーム内で同じ顕微鏡条件の下でモニタされた第2の画像フレームの部分は、、取り込まれて「蓄積」モードで複合画像フレーム至るまで増大される。上記とは反対に視野が同じではなかった場合に、第2の画像フレームの当該ピクセルが「リフレッシュ」モードで取り込まれ、格納されたピクセルとは組み合わされない。
【0202】
第1の画像フレームと第2の画像フレームは、これら両方の画像フレームからの視覚データを個々に区別し、試料領域の該当部分に関連付けることができるようにこれら2つの画像を互いに重なることによって複合画像フレームをもたらすように組み合わされる。
【0203】
複合画像フレームは、発生されると、視覚表示上に実時間で表示される。この例では、領域に関する複合画像フレームは、当該領域に関するラスター走査の完了後0.05秒で表示される。
【0204】
上述した段階は、一連のフレーム内の各複合画像フレームが得られる度にそれに対して繰り返される。
【0205】
図2に示す配置のような電子顕微鏡では、物質組成又は材料特質に関する情報を提供する多くの信号源が存在する。SEM内のBSE検出器(又はSTEM内の環状暗視野検出器)は原子の原子番号による影響を受けるが、個々の化学元素の含有量に関するいずれの情報も明らかにせず、入射電子ビームの下に存在する特定の物質を一意的に識別することができない。しかし、電子に敏感な撮像カメラは、角度方向に関連付けられた電子強度変化を示す電子回折パターンを記録することができる。そのようなパターンの解析が、特定の結晶相の向き又は存在のような結晶材料特質を明らかにすることができる。例えば、薄肉試料が分析されている場合に、この膜を透過した電子のエネルギスペクトルは、電子エネルギ損失分光計(EELS)を用いて取得することができ、このスペクトル内のコア損失エッジの存在は、個々の化学元素の存在を明らかにすることができる。電子エネルギ分光計は、個々の化学元素の含有量に独特のバルク試料からのオージェ放射を明らかにするスペクトルを取得するのに使用することができる。光に敏感な検出器は、試料がカソード発光体(CL)である区域を明らかにすることができ、その信号は、物質の電子構造による影響を受ける。X線に敏感なセンサに向う特性輝線のX線の選択的ブラッグ反射をもたらす幾何学形状で結晶、回折格子、又はゾーンプレートを使用することにより、個々の化学元素からのこの輝線からX線信号が利用可能である。これら全ては、信号が、個々の化学元素の含有量又は材料特質に関する追加情報を提供し、SE又はBSEからの電子画像に対して有利な補助とすることができると考えられ、更に本発明と併用することができると考えられる例である。しかし、以下の説明は、化学元素含有量に関する追加情報を提供するのにX線分光計が使用される特定の場合に適用される。
【0206】
電子顕微鏡では、試料によって放射されたX線エネルギスペクトルを記録することを可能にする1又は2以上のX線検出器及び関連の信号プロセッサを有することが一般的である。集束電子ビームが特定のピクセル位置に偏向されている間に、光子エネルギ測定値のヒストグラムが短時間にわたって記録される。このヒストグラムは、デジタルX線エネルギスペクトルに対応し、特定の化学元素に関する特性X線放射に対応する取得光子の個数をスペクトルから導出することができ、これは、化学元素セットに対応する信号値セットが与えられる(背景制動放射及び重複の効果を最小にし、特性輝線強度を抽出するようにデジタル化されるX線エネルギスペクトルを処理するのに適する手法は、P.J.Statham著「スペクトルの事前フィルタリングを用いた最小二乗当て嵌めによる逆畳み込み及び背景除去(Deconvolution and background subtraction by least-squares fitting with prefiltering of spectra)」、Analytical Chemistry 1977、49(14)、2149~2154ページ、DOI:10.1021/ac50022a014に示されている。更に、当該位置で電子検出器(2次電子検出器又は後方散乱電子検出器のような)からの信号を記録することができる。従って、電子ビームが、1つの完全な画像フレームを構成するピクセル位置セットに偏向される場合に、デジタル電子画像と様々な化学元素に対応する1又は2以上の画像とに対応するピクセル測定値セットが利用可能である。これらの電子画像及びX線画像に関するデータは、適切にスケーリングされ、典型的には、コンピュータの制御下で視覚表示ユニットに渡される。
図6は、ユーザが電子画像に集中している時に電子画像と1又は2以上のX線画像とを同時に見ることができるように電子画像を左上に表示し、様々な化学元素に対応する1又は2以上のX線画像を電子画像のすぐ右に表示する適切な表示の例を例示している。これらの情報を同時に見ることを容易にするために、例えば、PCT/GB2011/051060又はUS5357110に説明されており、かつ
図6で説明するような技術を用いて、1又は2以上の化学元素からのX線データを組み合わせて電子画像上に有色オーバーレイとして表示することができ、電子画像上にX線情報を重ねて表示するオプションは、ユーザがコンピュータマウスを用いてこの表示上に「層マップ」と標識されたボックスの内側にカーソルを位置決めして「クリック」することによって選択することができる。
【0207】
ユーザが、着目領域を見つけるために試料を探査しようと望む時に、視野を移動する必要があり、視野が変化している間にユーザが試料を効率的に探査することを助ける実時間フィードバックをユーザに与えるように画像を処理及び表示する方法を変更しなければならない。
【0208】
視野は、いくつかの方法によって変更することができる。試料上で走査される領域のサイズが縮小されるようにビーム偏向器コイルに提供される電流(又はビーム偏向器板に提供される電圧)を低減することによって顕微鏡倍率を高めることができる。偏向にオフセットを加えるか又は試料上で走査される領域をシフトさせるために補助的な偏向器セットを使用することができる。試料を支持するホルダ又はステージを電子ビーム軸線に対して新しい位置まで移動することによって試料を物理的に移動することができる。これら全ての例では、取得される信号データは、試料上の様々な視野に対応すると考えられる。更に、ユーザが顕微鏡に対する作動電圧を変更した場合に、全ての信号内容が変化すると考えられる。
【0209】
視野が変更されている時に、ユーザは可能な限り直ちに結果を確認する必要があり、この結果は、画像が各新しいデータフレームでリフレッシュされるようにピクセル値を対応するビーム位置での新しい信号測定結果で置換することによって得られる。高いフレーム速度は、ユーザが視野の変更を続けるべきか否かを決定するほど十分に高速に画像がリフレッシュされることになることを保証する。特徴部を追跡するために、それが少なくとも2つの連続フレーム内で視認可能でなければならず、従って、視野が移動している場合に、フレーム時間は、物体を追跡することを可能にする速度を制限する。フレームリフレッシュ時間が1秒よりも少しでも長いと、ユーザは、任意性を感じなくなり、一連の思考に集中し続けることができない場合がある。0.3秒のフレームリフレッシュ時間では、特徴部が画面幅のごく一部分しか移動しないという条件下で、ユーザは、移動中の特徴部を十二分に追跡することができるが、画面更新が目立つ。フレームリフレッシュ時間が0.05秒よりも短い場合に、ユーザの残像に起因して画面更新は殆ど目立たない。しかし、ピクセル毎の滞留時間が短い時に個々のフレームに関する画像ノイズが悪くなるので、より高いフレーム速度ではS/Nが損なわれる。S/Nを改善するためにピクセル毎の滞留時間を延長させた場合に、ピクセル数を低減しない限り、フレーム時間も延びることになる。しかし、フレーム内のピクセル数を低減すると、低い空間解像度を有する撮像しか与えられない。従って、ピクセル毎の滞留時間及びフレーム毎のピクセル数を画像信号源及び視野の所要移動速度に適合するように最適化しなければならない。
【0210】
視野が移動している時に、短いフレームリフレッシュ時間は、ユーザが移動中の特徴部を追跡し、様々な領域にナビゲートするための決定を行うことを容易にするので非常に望ましい。しかし、短いフレーム時間が使用される場合に、ユーザが視野を移動することを止めた時に、リフレッシュ画像のノイズが高くなる場合がある。従って、移動中の視野に対する最良の性能と静的な視野に対する最良の性能とで相反する要件が存在する。この相反を解消するために、データを使用する方法が変更され、視野が移動中の間の「リフレッシュ」モードから視野が静止状態にある「平均化」モードに切り換えられる。
【0211】
視野が移動されていない時に、集束電子ビームが特定の位置に戻った時に取得された新しい結果は、この段階で全体のS/N比を改善するために対応するピクセル内の既存値セットと組み合わされる。値セットは、ヒストグラムであるX線エネルギスペクトルを構成することができ、このヒストグラムでは、各ビンは、小さいエネルギ範囲の記録光子数を表す又は化学元素セットの特性的な放射から収集された光子数を表す値セットを抽出するためにそのようなヒストグラムを処理した結果のセットとすることができる。X線信号は、典型的には、ピクセル滞留時間内に記録される光子数であり、特定のピクセルに関する値セット内の各値に関して新しい計数値を既存計数値に単純に加算することができ、従って、ピクセル値は、全ての新しいデータフレームを蓄積する総計数値を表している。表示に向けて、総計数値は、「平均化」モードが使用されたフレームの個数で単純に割算され、従って、強度は一定に留まるが、S/Nは、ポアソン計数ノイズの低減に起因して改善される。システムが「平均化」モードにある時にいずれの信号値のS/N改善をも提供するために、代替的実施を使用することができる。例えば、特定のピクセル値に対する「カルマン」再帰フィルタは、以下の通りに説明することができる。
Y(N)=A*S(N)+(1-A)*Y(N-1)
上式中のS(N)は、N番目の到着画像データフレームに対する信号値であり、Y(N-1)は、当該ピクセルでの直前の値であり、Y(N)は、当該ピクセルに対する新しい値であり、Aは、1よりも小さいか又はそれに等しい。A=1である場合に、上式は「リフレッシュ」モードに事実上等しいが、より小さい値のAは、直近の結果に大きく重み付けし、以前のフレームには全体効果が長期非一時的な画面のものであるように指数関数的に減衰する重みで重み付けする平均化効果を与える。しかし、特定の時点で開始してA=1/Nであるようにかつそれが全てのフレームにわたって等しい重み付けによって平均化するのと同じS/N低減をもたらすように、各連続データフレームに関してAを変更することによって最適なノイズ低減が提供される。
【0212】
カルマン再帰フィルタは、単一の格納された画像のみを用いて信号平均化を実施するための簡単な方法である。しかし、直近のN個の画像フレームのシーケンスからのデータが信号平均化計算に常に利用可能であるようにN個の新しい画像フレームからのデータを複数の別個の画像ストア内に保存するほど十分なコンピュータメモリが存在する場合に、代わりの信号平均化法を使用することができる。
【0213】
「リフレッシュ」モードと「平均化」モード間の途切れのない移行を可能にする主な要件は、ユーザが視野を移動していることをシステムが知ることである。信号取得を制御するコンピュータは、視野又は顕微鏡条件を調節するためのユーザ要求も認識している場合に、どの取得モードを使用すべきかを即座に決定することができる。そうでなければ、制御コンピュータは、視野が変化しているか否かを推測しなければならない。この場合に、電子画像データの最初のフレームが保存され、電子画像データの各その後のフレーム又は部分フレームが最初のフレームと比較され、それが異なるか否かが確認される。有意なシフトが検出され次第(例えば、2つの画像領域の相互相関度の最大値の大きさ又はオフセットの変化を観察することにより)、システムは、「リフレッシュ」モードに切り換わり、2つの連続画像が有意なシフトを示さなくなるまでこのモードに留まることになり、シフトを示さなくなった時にシステムは「平均化」モードに復帰する。この種の試験は、視野のシフトが確実に発生するようにユーザがビームの下で試料ステージを移動している場合に理想的である。この試験は、2つの画像の間の倍率の変化を検出する段階でも、通常はこの変化が相互相関結果の最大値の変化を依然としてもたらすことになるので有効である。顕微鏡条件の変化を検出するのに、他の試験を使用することができる。例えば、輝度又はコントラストが変更された場合に、顕微鏡加速電圧を変化させることによって電子ビームエネルギが変更される時でもそうなるように、デジタル画像のヒストグラムの重心及び標準偏差が変化することになる。同様に、デジタル画像のパワースペクトルの周波数分布の変化を観察することにより、焦点の変化を検出することができる。特定の化学元素に関してX線画像間の差を検出するのにも類似の方法を使用することができる。これに代えて、各ピクセルで記録された全X線スペクトルからの信号を使用するX線画像は、それが特定の化学元素に関する画像よりも良好なS/Nを有するように発生させることができる。この場合に、全X線スペクトル画像での差を用いて、視野又は条件の変化を検出することができる。これらの試験の感度は画像のS/Nに依存し、変化を検出するための基準を変化に対する遅い応答と変化がない時の誤検出との間の最良の妥協点を与えるように調節しなければならない。従って、可能である場合は必ず、画像差に関して試験を行うことを必要とすることなく正しい取得モードを選択することができるように、ユーザが走査領域を意図的に変更したことをコンピュータが知るように構成することが好ましい。
【0214】
通常は、視野がユーザによって意図的に変更されているか否かをユーザがSEMに命令を送ることにより、又は連続走査で得られた複数の画像での差から検出する方が容易である。しかし、ユーザが視野を変更するように意図しなかった場合であっても、視野は、例えば、試料ステージに対する機械的又は熱的な弛緩効果に起因して変化する場合がある。従って、1つのオプションは、取得モードを連続データフレームが信号平均化又は蓄積されるモードに切り換えるためにユーザがボタンを押下することである。このモードでは、いずれの不慮のドリフトも、データフレームが組み合わされる前に補正することができる。視野がユーザによって意図的に変更されているか否かを決定するための性能がない場合の別のオプションは、例えば、ユーザがデフォルトで高速取得モードで作業するものとし、より優れたS/Nを有する画像を検査するために取得モード又は蓄積モードに切り換えるために押下し、その後にステージ移動を再開するために押下することができる「一時停止」/「再開」ボタンを有することである。
【0215】
例示的ドリフト補正モードを本方法に以下の通りに適用することができる。
【0216】
試料がドリフトする時に、試料を辿るようにビーム位置を調節し、取得区域が視野の中に留まる限りデータを取得し続けることができる。取得区域の一部が視野のエッジに到達すると、ビームは、それ以降、取得区域内のピクセルの全てに到達することができず、データ保全性が低減する。
【0217】
取得区域のサイズが視野のサイズに近い場合又は取得区域が視野のエッジのうちの1又は2以上の近くに位置決めされた場合に、試料が視野の限界のうちの1又は2以上に到達するまである一定の方向にドリフトすることができる量はかなり限られる。この到達状況が発生するまで試料がドリフトすることができる量を増大するように、データを取得するのに使用される走査区域を視野の中心に近い安全領域まで縮小しなければならない。この安全領域は、拡張視野モードを用いて定めることができる。
【0218】
拡張視野モードが選択されると、最大許容ドリフト量は、画像視野幅の百分率として定められる。利用可能なオプションは、一例では画像幅の50%、150%、及び350%を含む。この百分率は、試料が顕微鏡上で視野のエッジに触れるまで1つの方向にドリフトすることができる画像幅の百分率である(従って、電子ビームによって走査される区域)。試料が予め決められた量だけドリフトすることを可能にするために、画像を相応に縮小しなければならない。従って、選択される百分率が高いほど、試料が予め決められた百分率だけドリフトすることを可能にするために画像は小さくなければならない。従って、拡張視野モードを用いてドリフト補正を設定した後に得られる画像は、設定前よりも高い倍率でかなり小さい区域に対するものであるように出現することになる。
【0219】
例えば、最大ドリフトが視野幅の150%に設定された場合に、元の視野の中心25%が使用されることになる。
【0220】
拡張視野モードを用いてドリフト補正を設定する前に視野及び取得区域が設定れている一部の状況では、縮小視野を有することは理想的ではない。この縮小を回避するために、「被写体サイズ維持」オプションを有効にすることができる。
【0221】
被写体サイズ維持オプションが選択されると、ドリフト補正を設定した後に得られる画像は、それが設定される前のそれらと同じに出現する(すなわち、これらの画像は同じ倍率を有し、試料の同じ区域を網羅する)。しかし、顕微鏡上で視野(電子ビームによって走査することができる区域)のエッジに到達するまで試料が「最大ドリフト」に設定された量だけドリフトし、画像が移動することを可能にするために、顕微鏡上の視野を拡大することができる。この拡大は、SEM上で背景で倍率を変更することで達成される。
【0222】
例えば、SEM上の倍率が初期状態で1000×に設定され、最大ドリフトが視野幅の50%に設定される場合に、背景ではSEM倍率は約500×に設定される。
【0223】
視野及び顕微鏡条件が静止状態にある時に必ずX線スペクトルデータが全てのピクセルに関して得られ、これらのデータは、「平均化」モードにある間にS/Nを改善するために連続画像データフレームが組み合わされる時に蓄積する。視野に加えられる変更が導入又は検出されると、取得は、「リフレッシュ」モードに切り換えられることになり、この時点で蓄積されたX線スペクトルデータは、全てのピクセルが当該ピクセル場所に関するX線エネルギスペクトルを有するX線「スペクトル画像」を形成する。視野内の全てのピクセルスペクトルの合計は、スペクトル内に出現する特性放射ピークから化学元素を自動的に識別する(「自動ID」)ように処理することができる単一「合計スペクトル」を形成する。自動IDの精度は、特許出願PCT/GB2014/051555に説明されている技術を用いてパルスパイルアップ効果に関して合計スペクトルを補正することによって改善することができる。PCT/GB2014/051555でのようにクラスター化技術を用いて類似のスペクトルを有するピクセルセットを識別することができ、類似のピクセルの1つのセットから全てのスペクトルを合計したものの解析を用いてスペクトルライブラリ内で一致するエントリを見つけることができ、又は合計スペクトルを解析して既知の化合物の組成のライブラリと照合するのに使用することができる元素組成を当該化合物を識別することができるように定量することのいずれかを行うことができる。従って、視野を変更する直前の時点で、現在の視野からX線スペクトル画像が利用可能であり、化学元素又は化合物でさえもこの視野内で検出することができる。試料を支持するホルダ又はステージの移動によって視野が制御される場合に、ステージ座標(例えば、X、Y、Z)は、視野の位置を定めることになり、一方でX及びYの視野の広がりは、ビーム偏向によって定められる。視野を中心位置からオフセットするためにビーム偏向が使用される場合に、ビーム偏向を定める追加座標が存在することになる。ステージ座標とビーム座標との組合せ及び試料面上で走査される領域のサイズは、検出された元素又は化合物のリストと共にデータベース内に保存され、格納スペースが許す場合に当該視野に関する全X線スペクトル画像が保存される。
【0224】
X線データは、典型的には、電子信号データと比較して劣悪なS/Nのみを有し、より良好なS/Nを達成するためにX線データの空間解像度の一部を犠牲にすることを有利とすることができる。例えば、X線画像は、「種分け」することができ、この場合に、各隣接ピクセルグループからのデータが組み合わされて単一出力ピクセルが与えられる。従って、X線データは、改善されたS/Nを有するピクセルのアレイに内部で変換することができるが、各ピクセルは、取得に使用された解像格子上のピクセルに対するものよりも大きい試料上面積に対応する。種分けによって内部アレイに対するピクセル数を低減することは、例えば、化学元素を識別するためにデータを処理するのに必要とされる時間を短縮することにも役立ち、従って、応答時間を改善する。種分けされたX線データが、表示に向けてX線画像に変換された時に、X線画像は、電子画像よりも低い空間解像度を有することになるが、特徴部の認識を改善する低い統計ノイズのみを有することになる。X線画像の解像度を低減することにより、電子画像のS/N比とX線画像のS/N比の間の差が視覚的に最小にされる。視野が静止状態にあり、データが蓄積している時に、X線画像の解像度の選択は、適応的とすることができ、蓄積フレームの個数が増大し、S/N比が改善する時にX線画像の解像度を高めることができる。種分けが使用されない場合であっても、表示X線画像のS/Nは、ローパス空間フィルタリング又は「平滑化」によって画像詳細部の一部のぼけという代償を用いて改善することができる。ここでもまた、視野が静止状態にある時に、蓄積フレームの個数が増大する時に平滑化の程度を低減することができる。
【0225】
X線データの種分けは、電子的方法とソフトウエアコンピュータ方法との組合せによって達成することができる。例えば、ビームが、格納された画像内で線に沿う全てのピクセルに対する値セットを保存する代わりに従来の線毎の格子ラスターパターンにわたって走査される時に、電子画像データを収集するためにビームが4つの連続位置まで移動する間にX線データを連続的に蓄積することができ、次に、線上の4つの別個の位置からのスペクトルを集約したものに対応する単一値セットが、線に沿う4番目のピクセル毎に格納される。一連の4つの連続線に関して線に沿う同じ位置に対するピクセルデータが合計される場合に、その結果は、4×4のビーム位置アレイにわたるX線データの合計を表す値の単一セットである。
【0226】
X線検出システムを使用する時に、個々のX線光子を測定することができる速度にはポアソン到着時間に起因する限界が存在し、従って、入力速度ICRに対する出力計数速度OCRの比が降下する。ユーザが試料上の大きい区域にわたって移動している時に、ICRは、様々な物質上で異なる場合がある。ビーム電流が過度に高い場合に、一部の物質上のICRが検出システムを飽和させる場合があり、より低いICRを有する物質上のものよりも低いOCRを生成する。従って、ビーム電流は、飽和を回避するように設定されなければならない。区域を探査する時に化学元素含有量がいずれの異常も示さないようにビーム電流を適切に設定するには、パルスプロセッサに過負荷がかかっている時を示す視覚ツールが有利である。
図5は、試料上の領域の視野内の全ての位置でICR及びOCRをモニタすることによって発生された表示の例を示している。電子画像は単色で表示されるが、OCR/ICRがある一定内に収まると色分けされる。例えば、OCR/ICR<0.3である場合に、色は、赤色とすることができると考えられ、0.5<OCR/ICR<0.3である場合に、色は、琥珀色にすることができると考えられる。この表示を用いて、ユーザは、典型的な視野内に「赤色」領域がないことを保証するように、すなわち、全体の視野に関する平均OCR/ICRが安全であるように見える場合があったとしても、ある一定の区域内で電子機器の過負荷が存在することにならないことを保証するようにビーム電流を調節することができる。
【0227】
典型的な例では、複合画像フレーム表示は、「静的」モードと「動的」モードとの両方で全構成視野を網羅する1又は2以上の画像を示す。これらの画像は同じサイズであるが、「動的」モードで新しいデータフレームを収集するために視野を横断する合計時間は、「静的」モードに関するものよりも短い。
【0228】
更に別の例では、上述のように、特に「縮小ラスター」を使用することによって動的モードでのデータ取得を高速化する代替的方法が使用される。この修正走査パターンを使用する場合に、電子ビームは、試料上の構成視野のサブセクションを横断し、構成視野のこのサブセクションのみが複合画像フレーム上に示される。すなわち、複合画像フレームは、それに対して初期に構成された視野よりも小さい修正視野を有する。この概念を
図7に示しており、この場合に、動的モードでより小さい領域が走査され、視野の中心に近い特徴部のみが複合画像フレーム表示内に確認されるが、試料上のより小さい領域は、短時間に横断されてより速いフレーム速度を与える。
【0229】
この例では、倍率は、静的モードと動的モードとの両方で同じであり、従って、表示の中心領域内に見ることができる特徴部は、静的モードから動的モードに切り換わる時に寸法を変化させない。しかし、動的モードでは、試料上の領域のサブセクションのみが複合画像フレーム内に示される。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕微鏡内で試料を分析する方法であって、
第1の検出器と前記第1の検出器とは異なる第2の検出器とを用いて一連の複合画像フレームを取得する段階であって、複合画像フレームを取得する段階が、
a)荷電粒子ビームに前記顕微鏡の構成視野に対応する試料領域を横断させる段階であって、
モードパラメータが第1の値を有する時に、前記ビームの前記横断が、前記領域上の第1の横断経路に沿い、かつ第1の横断条件セットに従い、
前記モードパラメータが第2の値を有する時に、前記ビームの前記横断が、前記領域上の第2の横断経路に沿い、かつ第2の横断条件セットに従い、
前記ビームが前記第1の横断条件セットに従って前記第1の横断経路全体を横断するのに必要とされる第1の合計時間が、前記ビームが前記第2の横断条件セットに従って前記第2の横断経路全体を横断するのに必要とされる第2の合計時間よりも短く、
前記モードパラメータの前記値は、前記構成視野が変化しているか又は変化していないかに従って構成される、
前記横断させる段階、
b)第1の画像フレームを取得するように、前記領域内の第1の複数の場所で前記試料内に発生された、得られる第1の粒子セットを前記第1の検出器を用いてモニタする段階であって、前記第1の画像フレームが、前記第1の複数の場所に対応し、そこで発生された前記モニタされた粒子から導出された値を有する複数のピクセルを含む、前記モニタする段階、
c)第2の画像フレームを取得するように、前記領域内の第2の複数の場所で前記試料内に発生された、得られる第2の粒子セットを前記第2の検出器を用いてモニタする段階であって、前記第2の画像フレームが、前記第2の複数の場所に対応し、そこで発生された前記モニタされた粒子から導出されたそれぞれの値セットを有する複数のピクセルを含む、前記モニタする段階、及び
d)前記複合画像フレームが、前記領域内の前記第1及び第2の複数の場所で発生されて前記第1の検出器及び前記第2の検出器の各々によってモニタされた粒子から導出されたデータを提供するように、前記複合画像フレームを生成するべく、前記第1の画像フレームと前記第2の画像フレームを組み合わせる段階、
を含む前記取得する段階と、
各複合画像フレームを順番に示すために更新される視覚表示上に前記一連の複合画像フレームを実時間で表示する段階と、
を含む方法。
【請求項2】
前記モードパラメータは、前記構成顕微鏡視野が変化していることに応答して前記第1の値を有するように構成される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記モードパラメータは、前記構成顕微鏡視野が変化していないことに応答して前記第2の値を有するように構成される請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記モードパラメータは、前記構成顕微鏡視野が前記一連の複合画像フレーム内の直ぐ先行する複合画像フレームに対するものとは異なる時に、前記第1の値を有する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記モードパラメータは、前記構成顕微鏡視野が前記一連の複合画像フレーム内の直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと同じ時に、前記第2の値を有する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記モードパラメータ値は、ユーザ設定可能である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記モードパラメータは、第1のユーザ入力が与えられた時に、前記第2の値に設定される請求項6に記載の方法。
【請求項8】
複合画像フレームを取得する段階が、
前記第2の画像フレームによって含まれる前記複数のピクセルの少なくとも部分集合の各々に対して、
第2のモードパラメータが第1の値を有する場合に、
前記複合画像フレームでの使用に向けて前記第2の画像フレーム内の前記ピクセルの導出された前記値セットを維持する段階、又は
前記第2のモードパラメータが第2の値を有する場合に、
増大した信号対ノイズ比を有する組合せピクセル値セットを取得するために、前記ピクセルの前記導出された値セットを、前記一連の複合画像フレーム内の1又は2以上の先行する第2の画像フレームのうちの各々の対応するピクセルの導出された値セットと組み合わせる段階、及び、前記複合画像フレームでの使用に向けて、導出された前記ピクセル値セットを、前記第2の画像フレーム内の前記組合せピクセル値セットで置換する段階、
を更に含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第2のモードパラメータは、前記構成顕微鏡視野が前記一連の複合画像フレーム内の直ぐ先行する複合画像フレームに対するものとは異なる場合に、前記第1の値を有する請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2のモードパラメータは、前記構成顕微鏡視野が前記一連の複合画像フレーム内の直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと同じ時に、前記第2の値を有する請求項8又は請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2のモードパラメータ値は、ユーザ設定可能である請求項8又は請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第2のモードパラメータは、ユーザ入力に応答して前記第2の値に設定される請求項11に記載の方法。
【請求項13】
複合画像フレームを取得する前記段階は、前記第2のモードパラメータが前記第2の値を有する場合に、前記顕微鏡の実視野と基準視野の間の差を表す視野逸脱データを取得する段階を更に含む請求項8又は請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記基準視野は、取得されている前記複合画像フレームに対する構成視野、及び、前記一連の複合画像フレーム内の先行する複合画像フレームに対する実視野のうちのいずれかを含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
複合画像フレームを取得する前記段階は、前記第2のモードパラメータが前記第2の値を有する場合に、前記第2の画像フレームによって含まれる前記複数のピクセルの少なくとも部分集合の各々に対して、前記一連の複合画像フレーム内の1又は2以上の先行する第2の画像フレームのうちの各々の前記対応するピクセルを決定する段階を更に含み、前記対応するピクセルは、前記視野逸脱データに従って組合せピクセル値セットを取得するように、前記ピクセルの導出された前記値セットが組み合わされる請求項13に記載の方法。
【請求項16】
複合画像フレームを取得する前記段階は、前記第2のモードパラメータが前記第2の値を有する場合に、前記顕微鏡の前記実視野と前記基準視野の間の前記差を低減するように、前記実視野を前記視野逸脱データに従って調節する段階を更に含む請求項13に記載の方法。
【請求項17】
複合画像フレームを取得する段階が、前記第2の画像フレームによって含まれる前記ピクセルのそれぞれの前記値セットを導出するために、1又は2以上の特性線放射にそれぞれ対応する前記第2の粒子セット内の粒子の分量を示すデータを取得するように、前記第2の粒子セットに従って取得されたスペクトルデータを処理する段階を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記処理する段階は、前記1又は2以上の特性線放射がエネルギの範囲にわたって分散される時及び/又は重複エネルギ範囲に対応する時に、粒子の分量を示す前記データを抽出する段階を含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記値セットのうちの1又は2以上の各々が、ヒストグラムを処理した結果のセットを含み、各矩形の領域が、化学元素セットの特性放射から収集された第2の粒子の個数を表す値セットを抽出するために、前記矩形の幅に対応するエネルギ範囲内にエネルギを有するいくつかの第2の粒子を表す、
請求項17又は請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の検出器は、電子検出器である請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記第2の検出器は、X線検出器である請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記X線検出器は、ビーム源と前記試料の間に配置され、前記X線検出器は、前記試料に対面し、入射された前記荷電粒子ビームを少なくとも部分的に取り囲む1又は2以上のセンサ部分を有する請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の横断経路は、前記第1の合計時間が前記第2の合計時間よりも短いように、前記第2の横断経路のものよりも短い長さを有する請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記第1及び第2の横断条件セットは、前記第1の合計時間が前記第2の合計時間よりも短いように、前記ビームに前記第2の横断経路を横断させるものよりも速い平均速度で前記第1の横断経路を横断させるように構成される請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記第1及び第2の横断条件セットは、発生された前記第1の粒子セットがモニタされるように構成される前記領域内の場所にある、前記第1の横断経路に沿う第1の線密度が、発生された前記第1の粒子セットがモニタされるように構成される前記領域内の場所にある、前記第2の横断経路に沿う第2の線密度よりも低いように構成される請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第1及び第2の横断条件セットは、発生された前記第2の粒子セットがモニタされるように構成される前記領域内の場所にある、前記第1の横断経路に沿う第1の線密度が、発生された前記第2の粒子セットがモニタされるように構成される前記領域内の場所にある、前記第2の横断経路に沿う第2の線密度よりも低いように構成される請求項24又は請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第1及び第2の横断条件セットは、前記第1の横断経路に沿う前記第1の複数の場所の各々で発生された前記第1の粒子セットがモニタされる第1の構成モニタ継続時間が、前記第2の横断経路に沿う前記第1の複数の場所の各々で発生された前記第1の粒子セットがモニタされる第2の構成モニタ継続時間よりも短いように構成される請求項24又は請求項25のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記第1及び第2の横断条件セットは、前記第1の横断経路に沿う前記第2の複数の場所の各々で発生された前記第2の粒子セットがモニタされる第1の構成モニタ継続時間が、前記第2の横断経路に沿う前記第2の複数の場所の各々で発生された前記第2の粒子セットがモニタされる第2の構成モニタ継続時間よりも短いように構成される請求項24又は請求項25に記載の方法。
【請求項29】
顕微鏡内で試料を分析する方法であって、
第1の検出器と前記第1の検出器とは異なる第2の検出器とを用いて一連の複合画像フレームを取得する段階であって、複合画像フレームを取得する段階が、
a)荷電粒子ビームに前記顕微鏡の構成視野に対応する試料領域を横断させる段階であって、前記構成顕微鏡視野が前記一連の複合画像フレーム内の直ぐ先行する複合画像フレームに対するものとは異なる時には、前記構成顕微鏡視野が前記一連の複合画像フレーム内の前記直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと同じである時に前記ビームに前記領域上の第2の横断経路を横断させる合計時間よりも短い合計時間で、前記ビームに前記領域上の第1の横断経路を横断させる、前記横断させる段階、
b)第1の画像フレームを取得するために、前記領域内の第1の複数の場所で前記試料内に発生された、得られる第1の粒子セットを前記第1の検出器を用いてモニタする段階であって、前記第1の画像フレームが、前記第1の複数の場所に対応し、そこで発生された前記モニタされた粒子から導出された値を有する複数のピクセルを含む、前記モニタする段階、
c)第2の画像フレームを取得するために、前記領域内の第2の複数の場所で前記試料内に発生された、得られる第2の粒子セットを前記第2の検出器を用いてモニタする段階であって、前記第2の画像フレームが、前記第2の複数の場所に対応し、そこで発生された前記モニタされた粒子から導出されたそれぞれの値セットを有する複数のピクセルを含む、前記モニタする段階、
d)前記第2の画像フレームによって含まれる前記複数のピクセルの各々に対して、
前記構成顕微鏡視野が、前記一連の複合画像フレーム内の前記直ぐ先行する複合画像フレームに対するものとは異なる場合に、
前記複合画像フレームでの使用に向けて前記第2の画像フレーム内の前記ピクセルの導出された前記値セットを維持する段階、又は
前記構成顕微鏡視野が、前記一連の複合画像フレーム内の前記直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと同じである場合に、
増大した信号対ノイズ比を有する組合せピクセル値セットを取得するために、前記ピクセルの導出された前記値セットを、前記顕微鏡視野が前記構成顕微鏡視野と同じである、前記一連の複合画像フレーム内の1又は2以上の先行する第2の画像フレームのうちの各々の対応するピクセルの導出値セットと組み合わせる段階、及び、前記複合画像フレームでの使用に向けて、導出された前記ピクセル値セットを、前記第2の画像フレーム内の前記組合せピクセル値セットで置換する段階、及び
e)前記複合画像フレームが、前記領域内の前記第1及び第2の複数の場所で発生されて前記第1の検出器及び前記第2の検出器の各々によってモニタされた粒子から導出されたデータを提供するように、前記複合画像フレームを生成するべく、前記第1の画像フレームと前記第2の画像フレームを組み合わせる段階、
を含む前記取得する段階と、
各複合画像フレームを順番に示すために更新される視覚表示上に前記一連の複合画像フレームを実時間で表示する段階と、
を含む方法。
【請求項30】
前記第1の横断経路は、前記顕微鏡の前記構成視野全体に実質的に広がる請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記第1の横断経路は、前記構成視野内に含まれる修正視野に広がる請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記第2の横断経路は、前記構成視野を含む修正視野に広がる請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記モードパラメータは、前記構成顕微鏡視野が前記一連の複合画像フレーム内の直ぐ先行する複合画像フレームに対するものとは異なる場合に、前記第1の値に設定され、かつ、前記構成顕微鏡視野が前記一連の複合画像フレーム内の直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと同じ場合に、前記第2の値に設定される請求項1に記載の方法。
【請求項34】
複合画像フレームを取得する前記段階は、
前記第2の画像フレームによって含まれる前記複数のピクセルの各々に対して、
前記構成顕微鏡視野が前記第2の画像フレームの直ぐ先行するピクセルに対するものと異なる場合、及び、取得された前記モードパラメータが前記第2の値に等しい場合に、取得された前記モードパラメータを前記第1の値と等しいように設定する段階、又は
前記構成顕微鏡視野が前記第2の画像フレームの前記直ぐ先行するピクセルに対するものと同じである場合、及び、取得された前記モードパラメータが前記第1の値に等しい場合に、取得された前記モードパラメータを前記第2の値と等しいように設定する段階、
を更に含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項35】
取得された前記モードパラメータを前記第1又は第2の値と等しいように設定する前記段階は、前記第2の画像フレーム内の直ぐ後のピクセルに対応する前記領域内の場所で前記試料内に発生された粒子をモニタする前に行われる請求項34に記載の方法。
【請求項36】
複合画像フレームを取得する段階が、
前記第1の画像フレームによって含まれる前記複数のピクセルの各々に対して、
前記構成顕微鏡視野が、前記一連の複合画像フレーム内の前記直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと異なる場合に、
前記複合画像フレームでの使用に向けて前記第1の画像フレーム内の前記ピクセルの前記導出値を維持する段階、又は
前記構成顕微鏡視野が、前記一連の複合画像フレーム内の前記直ぐ先行する前記複合画像フレームに対するものと同じ場合に、
増大した信号対ノイズ比を有する組合せピクセル値を取得するために、前記ピクセルの前記導出値を、前記顕微鏡視野が前記構成顕微鏡視野と同じである、前記一連の複合画像フレーム内の1又は2以上の先行する第2の画像フレームのうちの各々の対応するピクセルの導出値と組み合わせる段階、及び、前記複合画像フレームでの使用に向けて、前記導出ピクセル値を前記第1の画像フレーム内の組合せピクセル値で置換する段階、
を更に含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項37】
複合画像フレームを取得する段階が、
1又は2以上のそれぞれの集約ピクセル値セットを取得するために、前記第2の画像フレーム内のピクセルの1又は2以上の部分集合の前記ピクセル値セットを互いにグループ分けする段階と、
前記第2の画像フレーム内のピクセルの前記1又は2以上の部分集合の各々を、それぞれの前記集約ピクセル値セットに等しい値セットを有する集約ピクセルで置換する段階と、
を更に含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項38】
前記第2の画像フレームを取得するために前記第2の粒子セットをモニタする段階が、前記第2の検出器からの異なるタイプの2又は3以上の信号を導出し、前記信号の各々に対応する副画像フレームを取得する段階を含み、
前記第1の画像フレームと前記第2の画像フレームを組み合わせる段階が、前記第1の画像フレームを前記副画像フレームのうちの1又は2以上と組み合わせる段階を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項39】
前記複合画像フレームを生成するために前記第1の画像フレームと前記第2の画像フレームを組み合わせる段階が、前記第1及び第2の画像フレームをオーバーレイする段階を含み、それにより、前記複合画像フレームが、前記領域内の前記複数の場所のうちの1つに各々が対応する複数のピクセルを含むと共に、前記第1のセットと前記第2のセットとの両方によって含まれ且つそれぞれの前記場所で発生された前記粒子から導出されたデータを提供するようになっている請求項1に記載の方法。
【請求項40】
前記第1の画像フレームと前記第2の画像フレームを組み合わせる段階が、前記第1及び第2の画像フレーム内の対応する前記ピクセルの強度に基づく前記複合画像ピクセルに対する色を計算する段階を含む請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記複合画像フレームを生成するために前記第1の画像フレームと前記第2の画像フレームを組み合わせる段階が、前記第1及び第2の画像フレームを並置する段階を含む請求項1に記載の方法。
【請求項42】
前記顕微鏡条件は、前記荷電粒子ビームに対して構成された、試料ステージ位置及び向き、倍率、焦点、非点収差、加速電圧、ビーム電流、及び走査偏向、及び、前記試料に対して構成された位置及び向き、のうちのいずれかを含む請求項1に記載の方法。
【請求項43】
前記一連の複合画像フレームが得られて表示される速度が、なくとも1フレーム毎秒、好ましくは少なくとも3フレーム毎秒、より好ましくは少なくとも20フレーム毎秒である請求項1に記載の方法。
【請求項44】
前記ピクセルに対する前記信号対ノイズ比を高めるために前記ピクセルと格納された前記ピクセルを組み合わせる段階が、信号平均化又は信号積算又はカルマン再帰フィルタリング又は測定値の加算の方法によって、かつ、測定の回数に従って明度スケーリングを変更することによって、行われる請求項29に記載の方法。
【請求項45】
顕微鏡内で試料を分析する方法であって、
第1の検出器と前記第1の検出器とは異なる第2の検出器とを用いて一連の複合画像フレームを取得するために2つの取得モードを使用する段階であって、複合画像フレームに対するデータを第1のモードで取得する段階が、
a1)荷電粒子ビームに前記顕微鏡の構成視野に対応する試料領域を時間T1にて横断させる段階、
a2)ピクセル値がモニタされた第1の粒子に対応するN1ピクセルを含む第1の画像フレームを前記領域内の位置の近傍から取得するために、前記試料内で発生された、得られる第1の粒子セットを前記第1の検出器を用いてモニタする段階、
a3)ピクセルがモニタされた第2の粒子から導出された値セットを有するN2ピクセルを含む第2の画像フレームを前記領域内の位置の近傍から取得するために、前記試料内で発生された、得られる第2の粒子セットを前記第2の検出器を用いてモニタする段階、
a4)前記構成顕微鏡視野が直ぐ先行する複合画像フレームに対するものとは異なる場合に、前記第2の画像フレーム内の各ピクセルに対して、ピクセルに対する値を、前記一連の複合画像フレーム内の次の複合画像フレームを発生させるのに使用されることになる値として使用する段階、
a5)前記構成顕微鏡視野が前記一連の複合画像フレーム内の前記直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと同じである場合に、第2のモードに変更する段階、を含み、複合画像フレームを前記第2のモードで取得する段階が、
b1)荷電粒子ビームに前記顕微鏡の構成視野に対応する試料領域を時間T2にて横断させる段階、
b2)ピクセル値がモニタされた第1の粒子に対応するM1ピクセルを含む第1の画像フレームを前記領域内の位置の近傍から取得するために、前記試料内で発生された、得られる第1の粒子セットを前記第1の検出器を用いてモニタする段階、
b3)ピクセル値がモニタされた第2の粒子から導出された値セットを有するM2ピクセルを含む第2の画像フレームを前記領域内の位置の近傍から取得するために、前記試料内で発生された、得られる第2の粒子セットを前記第2の検出器を用いてモニタする段階、
b4)前記第2の画像フレームの各ピクセルに対して、前記構成顕微鏡視野が前記一連の複合画像フレーム内の前記直ぐ先行する複合画像フレームに対するものと同じである場合に、前記一連の複合画像フレーム内の次の複合画像フレームを発生させるのに使用されることになる前記対応するピクセルに対する前記値に関する前記信号対ノイズ比を高めるために、前記ピクセルに対する前記値セットを、同じ視野から以前に得られた第2の画像フレーム内の対応するピクセルの1又は2以上の値セットと組み合わせる段階、
b5)前記構成顕微鏡視野が前記一連の複合画像フレーム内の直ぐ先行する複合画像フレームに対するものから変化する場合に、前記第1のモードに変更する段階、を含み、
c)前記複合画像フレームが前記領域の空間表現であると共に、前記複合画像フレーム内の場所でのピクセルに対する値が、前記領域内の対応する場所で発生され且つ前記第1の検出器及び第2の検出器の各々によってモニタされた前記粒子から導出されたデータから導出されるように、前記複合画像フレームを生成するべく、新しい複合画像フレームを発生させるように意図した第2の粒子に対する前記ピクセル値セット及び第1の粒子に対する前記ピクセル値を使用する段階、
を含む前記前記2つの取得モードを使用する段階と、
前記一連の複合画像フレームを実時間で視覚表示上に表示する段階と、
を含み、
前記視覚表示は、前記視野が静止又は変化している時に観察者が潜在的な着目特徴部を識別することを可能にするように各複合画像フレームを順番に示すために更新され、
前記第1のモードで前記領域を横断するための前記時間T1は、前記第2のモードで前記領域を横断するための前記時間T2よりも短い、
方法。
【請求項46】
前記第2の検出器は、X線分光計、電子回折パターンカメラ、電子エネルギ損失分光計、又はカソード発光検出器のうちのいずれかである請求項1に記載の方法。
【請求項47】
顕微鏡内で試料を分析するための装置であって、
X線検出器と、
プロセッサと、
前記プロセッサによって実行された時に前記プロセッサに請求項1に記載の方法を実行させるコンピュータプログラムと、
を含む装置。
【請求項48】
前記視野又は前記構成顕微鏡条件の変化が、新しいデジタル画像と以前に得られたものとの数学的比較によって検出される請求項47に記載の装置。
【請求項49】
前記第2の画像フレームは、X線分光計によって取得されたスペクトル、電子に敏感なカメラによって取得された電子回折パターン、電子エネルギ損失分光計又はカソード発光検出器によって取得されたスペクトルから導出されるデータを含む請求項47又は請求項48に記載の装置。
【請求項50】
走査電子顕微鏡であって、
請求項47又は請求項48に記載の前記装置、
を含む走査電子顕微鏡。
【請求項51】
請求項1の前記方法を実行するように構成されたプログラムコードが格納されたコンピュータ可読ストレージ媒体。
【請求項52】
コンピュータプログラムであって、
実行された時に装置に請求項1に記載の方法を実行させる命令、
を含むコンピュータプログラム。
【国際調査報告】