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特表2024-529425CRISPR/Cas編集系のためのガイドRNA
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】CRISPR/Cas編集系のためのガイドRNA
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/11 20060101AFI20240730BHJP
   C12N 15/33 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 15/55 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 9/78 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 9/16 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 31/712 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 31/7125 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 38/46 20060101ALI20240730BHJP
   C07K 7/06 20060101ALN20240730BHJP
【FI】
C12N15/11 Z ZNA
C12N15/33
C12N15/09 110
C12N15/55
C12N9/78
C12N9/16 Z
A61K48/00
A61P3/00
A61P1/16
A61K31/7105
A61K31/712
A61K31/7125
A61K38/46
C07K7/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504461
(86)(22)【出願日】2022-07-22
(85)【翻訳文提出日】2024-03-21
(86)【国際出願番号】 US2022074041
(87)【国際公開番号】W WO2023004409
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】63/255,927
(32)【優先日】2021-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/225,322
(32)【優先日】2021-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520439645
【氏名又は名称】ビーム セラピューティクス インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】キャファティ、ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】パッカー、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】アラティン-シャウス、イヴォンヌ
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ロー-イ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA13
4C084BA44
4C084DC22
4C084MA24
4C084NA14
4C084ZA751
4C084ZC211
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA24
4C086NA14
4C086ZA75
4C086ZC21
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA14
4H045BA54
4H045CA01
4H045EA20
(57)【要約】
本発明は、とりわけ、NLS配列にコンジュゲートされたガイドRNA(NLS-gRNA)、並びにそれを作製するための方法、及びそれを使用するための方法を提供する。例えば、一部の実施形態では、gRNAの3’末端は、化学部分及びペプチドスペーサーを含むリンカーを介して、核局在化配列(NLS)のN末端にコンジュゲートされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドRNA(gRNA)であって、リンカーを介して前記gRNAに連結された核局在化シグナル(NLS)を含み、前記リンカーが、前記gRNAの3’又は5’末端にコンジュゲートされたシステイン残基を含む、ガイドRNA(gRNA)。
【請求項2】
前記gRNAが、1つ以上の修飾を含む、請求項1に記載のgRNA。
【請求項3】
1つ以上の修飾が、2’-OMe、2’-フルオロ、又はホスホロチオエート連結である、請求項2に記載のgRNA。
【請求項4】
前記gRNAが、3’末端及び/又は5’末端に1つ以上の修飾を含む、請求項2又は3に記載のgRNA。
【請求項5】
前記1つ以上の修飾が、前記gRNAの3’末端から1、2、3、4、及び/又は5個のヌクレオチドで生じる、請求項4に記載のgRNA。
【請求項6】
前記1つ以上の修飾が、前記gRNAの5’末端から1、2、3、4、及び/又は5個のヌクレオチドで生じる、請求項2~5のいずれか一項に記載のgRNA。
【請求項7】
gRNAの40%、50%、60%、70%、又は80%超のヌクレオチドが、修飾されている、請求項2~6のいずれか一項に記載のgRNA。
【請求項8】
前記NLSが、シミアンウイルス40(SV40)に由来する、先行請求項のいずれか一項に記載のgRNA。
【請求項9】
前記NLSが、KKKRKV(配列番号57)のアミノ酸配列を含む、請求項8に記載のgRNA。
【請求項10】
前記リンカーが、ペプチドスペーサーを更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載のgRNA。
【請求項11】
前記ペプチドスペーサーが、KRTADGSEFESP(配列番号58)のアミノ酸配列を含む、請求項10に記載のgRNA。
【請求項12】
前記リンカーが、前記gRNAを、前記ペプチドスペーサー又は前記NLSにコンジュゲートする化学部分を更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載のgRNA。
【請求項13】
前記化学部分が、前記ペプチドスペーサー若しくは前記NLSアミノ酸配列のN末端、及び/又は前記gRNAの3’末端に共有結合している、請求項12に記載のgRNA。
【請求項14】
前記化学部分が、前記ペプチドスペーサー又は前記NLSのシステイン残基に共有結合している、請求項12又は13に記載のgRNA。
【請求項15】
前記化学部分が、マレイミド-チオール付加物を含む、請求項12~14のいずれか一項に記載のgRNA。
【請求項16】
前記NLSを含む前記gRNAが、前記NLSを含まないgRNAと比較して、塩基編集効率を改善する、先行請求項のいずれか一項に記載のgRNA。
【請求項17】
前記gRNAが、シングルガイドRNA(sgRNA)、tracrRNA、又はcrRNAである、先行請求項のいずれか一項に記載のgRNA。
【請求項18】
前記gRNAが、SaCas9骨格配列を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のgRNA。
【請求項19】
前記gRNAが、SaCas9又はそのバリアントに結合したとき、核酸配列5’-NNGRRT-3’、又は5’-GAGAAT-3’に対するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)特異性を有する、請求項18に記載のgRNA。
【請求項20】
前記gRNAが、核酸配列:5’-CAGUAUGGACACUGUCCAAA-3’(配列番号2)を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のgRNA。
【請求項21】
gRNAが、以下の核酸配列:
CACCAGUAUGGACACUGUCCAAAGUUUUAGUACUCUGUAAUGAAAAUUACAGAAUCUACUAAAACAAGGCAAAAUGCCGUGUUUAUCUCGUCAACUUGUUGGCGAGAUUUU(配列番号27)、及び
CCACCAGUAUGGACACUGUCCAAAGUUUUAGUACUCUGUAAUGAAAAUUACAGAAUCUACUAAAACAAGGCAAAAUGCCGUGUUUAUCUCGUCAACUUGUUGGCGAGAUUUU(配列番号28)のうちの1つを含むか又はそれからなる、先行請求項のいずれか一項に記載のgRNA。
【請求項22】
脂質ナノ粒子(LNP)と会合しているか又はそれに封入されている先行請求項のいずれか一項に記載のgRNAを含む、組成物。
【請求項23】
前記LNPが、塩基エディターをコードするmRNAを更に含み、
(i)任意選択的に、前記塩基エディターが、Cas9ドメイン及び少なくとも1つのアデノシンデアミナーゼバリアントドメインを含み、前記アデノシンデアミナーゼバリアントドメインが、以下のアミノ酸配列のアミノ酸位置82にグリシン(G)、アミノ酸位置147にスレオニン(T)又はアスパラギン酸(D)、アミノ酸位置154にセリン(S)、並びにアミノ酸位置36にヒスチジン(H)、アミノ酸位置76にチロシン、アミノ酸位置149にチロシン、アミノ酸位置157にリジン(K)、及びアミノ酸位置167にアスパラギン(N)のうちの1つ以上を含み、前記アデノシンデアミナーゼが、前記アミノ酸配列
MSEVEFSHEYWMRHALTLAKRARDEREVPVGAVLVLNNRVIGEGWNRAIGLHDPTAHAEIMALRQGGLVMQNYRLIDATLYVTFEPCVMCAGAMIHSRIGRVVFGVRNAKTGAAGSLMDVLHYPGMNHRVEITEGILADECAALLCYFFRMPRQVFNAQKKAQSSTD(配列番号3)に対して少なくとも約85%、90%、95%、若しくは98%の同一性、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する改変を有し、
(ii)任意選択的に、アデノシンデアミナーゼバリアントドメインが、配列番号3:MSEVEFSHEYWMRHALTLAKRARDEREVPVGAVLVLNNRVIGEGWNRAIGLHDPTAHAEIMALRQGGLVMQNYRLIDATLYVTFEPCVMCAGAMIHSRIGRVVFGVRNAKTGAAGSLMDVLHYPGMNHRVEITEGILADECAALLCYFFRMPRQVFNAQKKAQSSTD(配列番号3)に関して、以下の改変の組み合わせ
a)I76Y+V82G+Y147T+Q154S、
b)L36H+V82G+Y147T+Q154S+N157K、
c)V82G+Y147D+F149Y+Q154S+D167N、
d)L36H+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+N157K+D167N、
e)L36H+I76Y+V82G+Y147T+Q154S+N157K、
f)I76Y+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+D167N、
g)Y147D+F149Y+D167N、
h)L36H、I76Y、V82G、Q154S、及びN157K、
i)I76Y、V82G、Q154S、若しくは
j)L36H+I76Y+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+N157K+D167Nのいずれか、
又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する改変の組み合わせを含み、
(iii)任意選択的に、前記アデノシンデアミナーゼバリアントが、配列番号3の以下の改変の組み合わせI76Y+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+D167N、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する改変を含み。
(iv)任意選択的に、前記Cas9ドメインが、Staphylococcus aureus Cas9(SaCas9)であり、
(v)任意選択的に、前記mRNAが、アミノ酸配列:
MSEVEFSHEYWMRHALTLAKRARDEREVPVGAVLVLNNRVIGEGWNRAIGLHDPTAHAEIMALRQGGLVMQNYRLYDATLYGTFEPCVMCAGAMIHSRIGRVVFGVRNAKTGAAGSLMDVLHYPGMNHRVEITEGILADECAALLCDFYRMPRSVFNAQKKAQSSTNSGGSSGGSSGSETPGTSESATPESSGGSSGGSKRNYILGLAIGITSVGYGIIDYETRDVIDAGVRLFKEANVENNEGRRSKRGARRLKRRRRHRIQRVKKLLFDYNLLTDHSELSGINPYEARVKGLSQKLSEEEFSAALLHLAKRRGVHNVNEVEEDTGNELSTKEQISRNSKALEEKYVAELQLERLKKDGEVRGSINRFKTSDYVKEAKQLLKVQKAYHQLDQSFIDTYIDLLETRRTYYEGPGEGSPFGWKDIKEWYEMLMGHCTYFPEELRSVKYAYNADLYNALNDLNNLVITRDENEKLEYYEKFQIIENVFKQKKKPTLKQIAKEILVNEEDIKGYRVTSTGKPEFTNLKVYHDIKDITARKEIIENAELLDQIAKILTIYQSSEDIQEELTNLNSELTQEEIEQISNLKGYTGTHNLSLKAINLILDELWHTNDNQIAIFNRLKLVPKKVDLSQQKEIPTTLVDDFILSPVVKRSFIQSIKVINAIIKKYGLPNDIIIELAREKNSKDAQKMINEMQKRNRQTNERIEEIIRTTGKENAKYLIEKIKLHDMQEGKCLYSLEAIPLEDLLNNPFNYEVDHIIPRSVSFDNSFNNKVLVKQEENSKKGNRTPFQYLSSSDSKISYETFKKHILNLAKGKGRISKTKKEYLLEERDINRFSVQKDFINRNLVDTRYATRGLMNLLRSYFRVNNLDVKVKSINGGFTSFLRRKWKFKKERNKGYKHHAEDALIIANADFIFKEWKKLDKAKKVMENQMFEEKQAESMPEIETEQEYKEIFITPHQIKHIKDFKDYKYSHRVDKKPNRELINDTLYSTRKDDKGNTLIVNNLNGLYDKDNDKLKKLINKSPEKLLMYHHDPQTYQKLKLIMEQYGDEKNPLYKYYEETGNYLTKYSKKDNGPVIKKIKYYGNKLNAHLDITDDYPNSRNKVVKLSLKPYRFDVYLDNGVYKFVTVKNLDVIKKENYYEVNSKCYEEAKKLKKISNQAEFIASFYNNDLIKINGELYRVIGVNNDLLNRIEVNMIDITYREYLENMNDKRPPRIIKTIASKTQSIKKYSTDILGNLYEVKSKKHPQIIKKGEGADKRTADGSEFESPKKKRKV(配列番号65)、又はそれと少なくとも85%、90%、95%、若しくは98%同一のアミノ酸配列を含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる塩基エディターをコードする、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
ヌクレアーゼ又は前記ヌクレアーゼをコードするmRNAを更に含む、請求項1~22のいずれか一項に記載のgRNAを含む組成物。
【請求項25】
ポリヌクレオチドプログラマブルDNA結合ドメイン又は前記ポリヌクレオチドプログラマブルDNA結合ドメインをコードするmRNAを更に含む、請求項1~22のいずれか一項に記載のgRNAを含む組成物。
【請求項26】
前記組成物が、gRNA及び前記ヌクレアーゼをコードするmRNAを1:1~10:1の比率で含む、請求項23~25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
前記組成物が、gRNA及び前記ヌクレアーゼをコードするmRNAを1:1の比率で含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記組成物が、gRNA及び前記ヌクレアーゼをコードするmRNAを3:1の比率で含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項29】
前記組成物が、gRNA及び前記ヌクレアーゼをコードするmRNAを9:1の比率で含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項30】
前記ヌクレアーゼ又は前記ポリヌクレオチドプログラマブルDNA結合ドメインが、Casタンパク質である、請求項24~29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
前記Casタンパク質が、Cas9である、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
前記Casタンパク質が、Cpf1、Cas12a、Cas12b、Cas12c、Cas12d、Cas12e、Cas12f、Cas12g、Cas12h、Cas12i、Cas12j、Cas12k、又はCas13である、請求項30に記載の組成物。
【請求項33】
前記ヌクレアーゼ又は前記ポリヌクレオチドプログラマブルDNA結合ドメインが、ニッカーゼである、請求項24~32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
前記ヌクレアーゼ又は前記ポリヌクレオチドプログラマブルDNA結合ドメインが、修飾されている、請求項24~33のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項35】
前記ヌクレアーゼ又は前記ポリヌクレオチドプログラマブルDNA結合ドメインが、異種ポリペプチドに融合している、請求項24~34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
前記異種ポリペプチドが、デアミナーゼドメインである、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
複合体であって、
(i)ポリヌクレオチドプログラマブルDNA結合ドメイン及び少なくとも1つのアデノシンデアミナーゼバリアントドメインであって、前記アデノシンデアミナーゼバリアントドメインが、以下のアミノ酸配列のアミノ酸位置82にグリシン(G)、アミノ酸位置147にスレオニン(T)又はアスパラギン酸(D)、アミノ酸位置154にセリン(S)、並びにアミノ酸位置36にヒスチジン(H)、アミノ酸位置76にチロシン、アミノ酸位置149にチロシン、アミノ酸位置157にリジン(K)、及びアミノ酸位置167にアスパラギン(N)のうちの1つ以上を含み、前記アデノシンデアミナーゼが、前記アミノ酸配列
MSEVEFSHEYWMRHALTLAKRARDEREVPVGAVLVLNNRVIGEGWNRAIGLHDPTAHAEIMALRQGGLVMQNYRLIDATLYVTFEPCVMCAGAMIHSRIGRVVFGVRNAKTGAAGSLMDVLHYPGMNHRVEITEGILADECAALLCYFFRMPRQVFNAQKKAQSSTD(配列番号3)に対して少なくとも約85%の同一性、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する改変を有する、ポリヌクレオチドプログラマブルDNA結合ドメイン及び少なくとも1つのアデノシンデアミナーゼバリアントドメインと、
(ii)請求項1~21のいずれか一項に記載のgRNAと、を含む、複合体。
【請求項38】
複合体であって、
(i)ポリヌクレオチドプログラマブルDNA結合ドメイン及び少なくとも1つのアデノシンデアミナーゼバリアントドメインであって、前記アデノシンデアミナーゼバリアントドメインが、配列番号3:MSEVEFSHEYWMRHALTLAKRARDEREVPVGAVLVLNNRVIGEGWNRAIGLHDPTAHAEIMALRQGGLVMQNYRLIDATLYVTFEPCVMCAGAMIHSRIGRVVFGVRNAKTGAAGSLMDVLHYPGMNHRVEITEGILADECAALLCYFFRMPRQVFNAQKKAQSSTD(配列番号3)に関して、以下の改変の組み合わせ
a)I76Y+V82G+Y147T+Q154S、
b)L36H+V82G+Y147T+Q154S+N157K、
c)V82G+Y147D+F149Y+Q154S+D167N、
d)L36H+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+N157K+D167N、
e)L36H+I76Y+V82G+Y147T+Q154S+N157K、
f)I76Y+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+D167N、
g)Y147D+F149Y+D167N、
h)L36H、I76Y、V82G、Q154S、及びN157K、
i)I76Y、V82G、Q154S、若しくは
j)L36H+I76Y+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+N157K+D167Nのいずれか、
又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する改変の組み合わせを含む、ポリヌクレオチドプログラマブルDNA結合ドメイン及び少なくとも1つのアデノシンデアミナーゼバリアントドメインと、
(ii)請求項1~21のいずれか一項に記載のgRNAと、を含む、複合体。
【請求項39】
前記アデノシンデアミナーゼが、配列番号3に対して少なくとも約90%又は約95%の同一性を有する、請求項37又は38に記載の複合体。
【請求項40】
前記アデノシンデアミナーゼが、配列番号3を含むか又はそれから本質的になる、請求項37又は38に記載の複合体。
【請求項41】
前記アデノシンデアミナーゼバリアントが、配列番号3の以下の改変の組み合わせI76Y+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+D167N、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する改変を含む、請求項37~40のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項42】
前記ポリヌクレオチドプログラマブルDNA結合ドメインが、Cas9である、請求項37~41のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項43】
前記Cas9が、ヌクレアーゼ死Cas9(dCas9)、Cas9ニッカーゼ(nCas9)、又はヌクレアーゼ活性Cas9を含む、請求項42に記載の複合体。
【請求項44】
前記Cas9が、Staphylococcus aureus Cas9(SaCas9)、Streptococcus thermophilus1 Cas9(St1Cas9)、Streptococcus pyogenes Cas9(SpCas9)、又はそれらのバリアントである、請求項42又は43に記載の複合体。
【請求項45】
前記アデノシンデアミナーゼバリアントドメインが、前記ポリヌクレオチドプログラマブルDNA結合ドメインに対して内部にある、請求項37~44のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項46】
請求項1~21のいずれか一項に記載のgRNA、請求項22~36のいずれか一項に記載の組成物、又は請求項37~45のいずれか一項に記載の複合体と、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物。
【請求項47】
疾患又は障害を治療するための薬剤の調製に使用するための、請求項46に記載の薬学的組成物。
【請求項48】
操作された又は天然に生じないCRISPR関連Cas(CRISPR-Cas)系を含む組成物であって:
(a)Casタンパク質、
(b)gRNAであって、リンカーを介してgRNAに連結された核局在化シグナル(NLS)を含む、gRNAを含み、
前記リンカーが、前記gRNAの3’末端にコンジュゲートされたシステイン残基を含み、
前記gRNAが、Casタンパク質と複合体を形成し、前記Casタンパク質を標的DNAに標的化することができる、組成物。
【請求項49】
前記Casタンパク質が、異種ポリペプチドに融合している、請求項48に記載の組成物。
【請求項50】
前記異種ポリペプチドが、デアミナーゼドメインである、請求項49に記載の組成物。
【請求項51】
デアミナーゼバリアントドメインが、以下のアミノ酸配列のアミノ酸位置82にグリシン(G)、アミノ酸位置147にスレオニン(T)又はアスパラギン酸(D)、アミノ酸位置154にセリン(S)、並びにアミノ酸位置36にヒスチジン(H)、アミノ酸位置76にチロシン、アミノ酸位置149にチロシン、アミノ酸位置157にリジン(K)、及びアミノ酸位置167にアスパラギン(N)のうちの1つ以上を含み、アデノシンデアミナーゼが、前記アミノ酸配列
MSEVEFSHEYWMRHALTLAKRARDEREVPVGAVLVLNNRVIGEGWNRAIGLHDPTAHAEIMALRQGGLVMQNYRLIDATLYVTFEPCVMCAGAMIHSRIGRVVFGVRNAKTGAAGSLMDVLHYPGMNHRVEITEGILADECAALLCYFFRMPRQVFNAQKKAQSSTD(配列番号3)に対して少なくとも約85%の同一性、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する改変を有する、請求項50に記載の組成物。
【請求項52】
前記デアミナーゼバリアントドメインが、配列番号3:MSEVEFSHEYWMRHALTLAKRARDEREVPVGAVLVLNNRVIGEGWNRAIGLHDPTAHAEIMALRQGGLVMQNYRLIDATLYVTFEPCVMCAGAMIHSRIGRVVFGVRNAKTGAAGSLMDVLHYPGMNHRVEITEGILADECAALLCYFFRMPRQVFNAQKKAQSSTD(配列番号3)に関して、以下の改変の組み合わせ
a)I76Y+V82G+Y147T+Q154S、
b)L36H+V82G+Y147T+Q154S+N157K、
c)V82G+Y147D+F149Y+Q154S+D167N、
d)L36H+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+N157K+D167N、
e)L36H+I76Y+V82G+Y147T+Q154S+N157K、
f)I76Y+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+D167N、
g)Y147D+F149Y+D167N、
h)L36H、I76Y、V82G、Q154S、及びN157K、
i)I76Y、V82G、Q154S、若しくは
j)L36H+I76Y+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+N157K+D167Nのいずれか、
又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する改変の組み合わせを含む、請求項51に記載の組成物。
【請求項53】
前記アデノシンデアミナーゼが、配列番号3に対して少なくとも約90%の同一性を有する、請求項51又は52に記載の組成物。
【請求項54】
前記アデノシンデアミナーゼが、配列番号3に対して少なくとも約95%の同一性を有する、請求項51又は52に記載の組成物。
【請求項55】
前記アデノシンデアミナーゼが、配列番号3を含むか又はそれから本質的になる、請求項51又は52に記載の組成物。
【請求項56】
アデノシンデアミナーゼバリアントが、配列番号3の以下の改変の組み合わせI76Y+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+D167N、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する改変を含む、請求項51又は52に記載の組成物。
【請求項57】
Cas9タンパク質が、Cas9である、請求項51~56のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項58】
前記Cas9が、ヌクレアーゼ死Cas9(dCas9)、Cas9ニッカーゼ(nCas9)、又はヌクレアーゼ活性Cas9を含む、請求項57に記載の組成物。
【請求項59】
前記Cas9が、Staphylococcus aureus Cas9(SaCas9)、Streptococcus thermophilus1 Cas9(St1Cas9)、Streptococcus pyogenes Cas9(SpCas9)、又はそれらのバリアントである、請求項57又は58に記載の組成物。
【請求項60】
前記gRNAが、核酸配列:5’-CAGUAUGGACACUGUCCAAA-3’(配列番号2)を含む、請求項51~59のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項61】
アデノシンデアミナーゼバリアントドメインが、前記Casタンパク質に対して内部にある、請求項51~60のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項62】
前記gRNAが、1つ以上の修飾を含む、請求項51~61のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項63】
1つ以上の修飾が、2’-OMe、2’-フルオロ、又はホスホロチオエート連結である、請求項62に記載の組成物。
【請求項64】
前記gRNAが、3’末端及び/又は5’末端に1つ以上の修飾を含む、請求項40~52のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項65】
前記1つ以上の修飾が、前記gRNAの3’末端から1、2、3、4、及び/又は5個のヌクレオチドで生じる、請求項64に記載の組成物。
【請求項66】
前記1つ以上の修飾が、前記gRNAの5’末端から1、2、3、4、及び/又は5個のヌクレオチドで生じる、請求項64に記載の組成物。
【請求項67】
gRNAの40%、50%、60%、70%、又は80%超のヌクレオチドが、修飾されている、請求項51~66のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項68】
前記NLSが、シミアンウイルス40(SV40)に由来する、請求項51~67のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項69】
前記NLSが、KKKRKV(配列番号57)のアミノ酸配列を含む、請求項68に記載の組成物。
【請求項70】
前記リンカーが、ペプチドスペーサーを更に含む、請求項51~69のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項71】
前記ペプチドスペーサーが、KRTADGSEFESP(配列番号58)のアミノ酸配列を含む、請求項70に記載の組成物。
【請求項72】
前記リンカーが、前記gRNAを、前記ペプチドスペーサー又は前記NLSにコンジュゲートする化学部分を更に含む、請求項51~71のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項73】
前記NLSを含む前記gRNAが、前記NLSを含まないgRNAと比較して、塩基編集効率を改善する、請求項51~72のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項74】
前記gRNAが、シングルガイドRNA(sgRNA)、tracrRNA、又はcrRNAである、請求項40~73のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項75】
遺伝子疾患の治療を必要としている対象において遺伝子疾患を治療する方法であって、前記対象に、請求項1~21のいずれか一項に記載のgRNA、請求項22~36のいずれか一項に記載の組成物、請求項37~45のいずれか一項に記載の複合体、請求項46若しくは47に記載の薬学的組成物、又は請求項48~74のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、方法。
【請求項76】
グリコーゲン蓄積症1a型(GSD1a)を治療する方法であって、対象に、請求項1~21のいずれか一項に記載のgRNA、若しくは表7におけるG6PC標的配列の相補体にハイブリダイゼーションするgRNA、請求項22~36のいずれか一項に記載の組成物、請求項37~45のいずれか一項に記載の複合体、請求項46若しくは47に記載の薬学的組成物、又は請求項51~74のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、方法。
【請求項77】
操作された又は天然に生じないCRISPR関連Cas(CRISPR-Cas)系を含む組成物であって:
(a)saCas9タンパク質、
(b)Cas9タンパク質に融合されたアデノシンデアミナーゼバリアント、
(c)gRNAであって、リンカーを介してgRNAに連結された核局在化シグナル(NLS)を含む、gRNAを含み、
前記リンカーが、前記gRNAの3’末端にコンジュゲートされたシステイン残基を含み、
前記gRNAが、saCas9タンパク質と複合体を形成し、前記saCas9タンパク質を標的DNAに標的化することができ
前記アデノシンデアミナーゼバリアントが、配列番号3に関して、V82G、Y147T/D、Q154S、並びにL36H、I76Y、F149Y、N157K、及びD167Nのうちの1つ以上を含み、
前記gRNAが、配列番号2を含む、組成物。
【請求項78】
細胞における標的核酸を修飾する方法であって:
前記細胞を、ヌクレアーゼ及び請求項1~21のいずれか一項に記載のgRNAと接触させることを含み、前記gRNAが、前記標的核酸にハイブリダイゼーションすることができる直接反復配列及びスペーサー配列を含み、
Cas9タンパク質が、前記gRNAに結合し、前記gRNAに相補的な標的核酸配列における修飾を引き起こすことができる、方法。
【請求項79】
真核細胞における標的核酸の発現を改変する方法であって:
前記細胞を、ヌクレアーゼ及び請求項1~21のいずれか一項に記載のgRNAと接触させることを含み、sRNAが、前記標的核酸にハイブリダイゼーションすることができる直接反復配列及びスペーサー配列を含み、
Cas9タンパク質が、前記gRNAに結合し、前記gRNAに相補的な標的核酸配列における修飾を引き起こすことができる、方法。
【請求項80】
前記方法が、遺伝子の塩基編集をもたらす、請求項78又は79に記載の方法。
【請求項81】
請求項1~21のいずれか一項に記載のgRNAを含む、操作された天然に生じないCRISPR-Cas系。
【請求項82】
核局在化シグナル(NLS)を含むガイドRNAを作製する方法であって:
gRNAが前記NLSにコンジュゲートされるように、3’末端にアミン基を含む前記gRNAを、前記NLS配列及びN末端においてシステイン残基を含むペプチドと接触させることを含む、方法。
【請求項83】
請求項1~22のいずれか一項に記載のgRNAを含む組成物であって、前記組成物の核送達が、NLSを含まないgRNAを含む組成物に対して約2~5倍増加する、組成物。
【請求項84】
前記gRNAが、表8における配列のうちのいずれか1つに対して70%、80%、90%、95%、99%又は100%の同一性を有する配列を含む、請求項83に記載の組成物。
【請求項85】
遺伝子編集効率が、NLSを含まないgRNAに対して約2~5倍増加する、請求項46~74及び77のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項86】
gRNA標的配列が、配列番号17に対して70%、80%、90%、95%、99%又は100%の同一性を有する、請求項76に記載の方法。
【請求項87】
前記gRNAが、肝臓、腎臓、脳、及び心臓から選択される臓器のうちの1つ以上を標的とする、請求項76に記載の方法。
【請求項88】
前記gRNAが、肝臓を標的とする、請求項87に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年7月23日に出願された米国仮特許出願シリアル番号第63/255,322号、及び2021年10月14日に出願された同第63/255,927号に対する優先権を主張し、これらの内容は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表の引用参照
2022年7月22日に作成され、サイズが59.9キロバイトである「BEM-011WO_ST26.xml」という名称のファイルの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
CRISPR/Cas編集系は、遺伝子編集及び塩基編集を含む関連する系における用途のために、Casエンドヌクレアーゼと関連するガイドRNA分子(gRNA)及び関連する酵素の使用を含む。簡潔に述べると、1つ以上のgRNA分子は、複合体中のCasタンパク質とともに構築され、リボ核酸複合体(RNP)を、(例えば、Cas9及びCas12系における)特定のDNA及び/又は(例えば、Cas13系における)RNA配列に導く。
【0004】
治療用途に使用されるgRNAの一般的な形態は、Cas9などのCasタンパク質とリボ核タンパク質を形成する、およそ100個のヌクレオチドの単一の非天然RNAである。CRISPR/Cas編集系を新しい技術(例えば、遺伝子編集)に適合させる能力は、所望の編集を可能にするために、ガイドRNA(gRNA)が標的細胞内で十分に長く持続することを必要とする。ヌクレアーゼによるgRNAの分解は、所望の編集を達成するための重要な課題である。更に、gRNAは、リボ核酸(RNPに構築され、核に効率的に輸送される必要がある。
【発明の概要】
【0005】
CRISPR-Cas系に使用するためのgRNAの効力を増強するための、方法、組成物、及びキットが本明細書に提供される。本発明は、一部の態様では、CRISPR-Cas系に使用するための増加した効力、例えば、成功した編集事象の増加した頻度を有する、NLS配列にコンジュゲートされたgRNA(NLS-gRNA)を産生する方法を提供する。本発明のNLS-gRNAは、gRNAの核へのより良好な輸送を提供して、細胞質RNaseから保護し、RNPの形成のためのgRNAのより高い局所濃度を増加させることができる。本発明のNLS-gRNAは、NLS配列を含まない対応するgRNAと比較して顕著により高い効力を有し、また、高度に修飾されたgRNAと比較してより高い効力を示す。
【0006】
一態様では、本発明は、とりわけ、ガイドRNA(gRNA)であって、リンカーを介してgRNAに連結された核局在化シグナル(NLS)を含む、ガイドRNA(gRNA)を提供し、リンカーは、gRNAの3’末端にコンジュゲートされたシステイン残基を含む。
【0007】
一部の実施形態では、リンカーは、N末端にシステイン残基を含む。一部の実施形態では、リンカーは、C末端にシステイン残基を含む。一部の実施形態では、リンカーは、リンカー内の内部部位にシステイン残基を含む。
【0008】
一部の実施形態では、リンカーは、gRNAの3’末端にコンジュゲートされる。一部の実施形態では、リンカーは、gRNAの5’末端にコンジュゲートされる。一部の実施形態では、リンカーは、gRNA内の内部領域にコンジュゲートされる。一部の実施形態では、リンカーは、gRNA内の第1のヘアピン領域にコンジュゲートされる。一部の実施形態では、リンカーは、gRNA内の第2のヘアピン領域にコンジュゲートされる。一部の実施形態では、リンカーは、gRNA内のバルジ領域にコンジュゲートされる。一部の実施形態では、gRNAは、1つ以上の修飾を含む。一部の実施形態では、1つ以上の修飾は、2’OMe修飾である。一部の実施形態では、1つ以上の修飾は、2’-フルオロ修飾を含む。一部の実施形態では、1つ以上の修飾は、ホスホロチオエート連結を含む。
【0009】
一部の実施形態では、gRNAは、骨格修飾を含まない。一部の実施形態では、1つ以上の修飾は、gRNAの3’末端からの1、2、3、4、5、6、7、8、及び9個のヌクレオチドで生じる。一部の実施形態では、1つ以上の修飾は、gRNAの3’末端からの1、2、3、4、5、6、7、及び8個のヌクレオチドで生じる。一部の実施形態では、1つ以上の修飾は、gRNAの3’末端からの1、2、3、4、5、6、及び7個のヌクレオチドで生じる。一部の実施形態では、1つ以上の修飾は、gRNAの3’末端からの1、2、3、4、5、及び6個のヌクレオチドで生じる。一部の実施形態では、1つ以上の修飾は、gRNAの3’末端からの1、2、3、4、及び5個のヌクレオチドで生じる。一部の実施形態では、1つ以上の修飾は、gRNAの3’末端からの1、2、3、及び4個のヌクレオチドで生じる。一部の実施形態では、1つ以上の修飾は、gRNAの3’末端からの1、2、及び3個のヌクレオチドで生じる。一部の実施形態では、1つ以上の修飾は、gRNAの3’末端からの1及び2個のヌクレオチドで生じる。一部の実施形態では、1つ以上の修飾は、gRNAの3’末端からの1個のヌクレオチドで生じる。
【0010】
一部の実施形態では、1つ以上の修飾は、gRNAの5’末端からの1、2、3、4、5、6、7、8、及び9個のヌクレオチドで生じる。一部の実施形態では、1つ以上の修飾は、gRNAの5’末端からの1、2、3、4、5、6、7、及び8個のヌクレオチドで生じる。一部の実施形態では、1つ以上の修飾は、gRNAの5’末端からの1、2、3、4、5、6、及び7個のヌクレオチドで生じる。一部の実施形態では、1つ以上の修飾は、gRNAの5’末端からの1、2、3、4、5、及び6個のヌクレオチドで生じる。一部の実施形態では、1つ以上の修飾は、gRNAの5’末端からの1、2、3、4、及び5個のヌクレオチドで生じる。一部の実施形態では、1つ以上の修飾は、gRNAの5’末端からの1、2、3、及び4個のヌクレオチドで生じる。一部の実施形態では、1つ以上の修飾は、gRNAの5’末端からの1、2、及び3個のヌクレオチドで生じる。一部の実施形態では、1つ以上の修飾は、gRNAの5’末端からの1及び2個のヌクレオチドで生じる。一部の実施形態では、1つ以上の修飾は、gRNAの5’末端からの1個のヌクレオチドで生じる。
【0011】
一部の実施形態では、gRNAの10%超が修飾されている。一部の実施形態では、gRNAの20%超が修飾されている。一部の実施形態では、gRNAの30%超が修飾されている。一部の実施形態では、gRNAの35%超が修飾されている。一部の実施形態では、gRNAの40%超が修飾されている。一部の実施形態では、gRNAの45%超が修飾されている。一部の実施形態では、gRNAの50%超が修飾されている。一部の実施形態では、gRNAの55%超が修飾されている。一部の実施形態では、gRNAの60%超が修飾されている。一部の実施形態では、gRNAの65%超が修飾されている。一部の実施形態では、gRNAの70%超が修飾されている。一部の実施形態では、gRNAの75%超が修飾されている。一部の実施形態では、gRNAの80%超が修飾されている。一部の実施形態では、gRNAの85%超が修飾されている。一部の実施形態では、gRNAの88%超が修飾されている。一部の実施形態では、gRNAの90%超が修飾されている。一部の実施形態では、gRNAの95%超が修飾されている。
【0012】
一部の実施形態では、gRNAの10%未満が修飾されている。一部の実施形態では、gRNAの20%未満が修飾されている。一部の実施形態では、gRNAの30%未満が修飾されている。一部の実施形態では、gRNAの35%未満が修飾されている。一部の実施形態では、gRNAの40%未満が修飾されている。一部の実施形態では、gRNAの45%未満が修飾されている。一部の実施形態では、gRNAの50%未満が修飾されている。一部の実施形態では、gRNAの55%未満が修飾されている。一部の実施形態では、gRNAの60%未満が修飾されている。一部の実施形態では、gRNAの65%未満が修飾されている。一部の実施形態では、gRNAの70%未満が修飾されている。一部の実施形態では、gRNAの75%未満が修飾されている。一部の実施形態では、gRNAの80%未満が修飾されている。一部の実施形態では、gRNAの85%未満が修飾されている。一部の実施形態では、gRNAの88%未満が修飾されている。一部の実施形態では、gRNAの90%未満が修飾されている。一部の実施形態では、gRNAの95%未満が修飾されている。
【0013】
一部の実施形態では、gRNAは、1つ以上のNLS配列にコンジュゲートされる。一部の実施形態では、gRNAは、3’末端又はその付近に約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個若しくはそれ以上又は約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個超若しくはそれ以上のNLS、5’末端又はその付近に約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個若しくはそれ以上又は約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個超若しくはそれ以上のNLS、あるいはこれらの組み合わせ(例えば、3’末端に1つ以上のNLS、及び5’末端に1つ以上のNLS)を含み得る。2つ以上のNLSが存在する場合、単一のNLSが2つ以上のコピーに存在し得るように、かつ/又は1つ以上の他のNLSとの組み合わせで1つ以上のコピーに存在し得るように、各々が、他とは独立して選択され得る。
【0014】
NLSの非限定的な例としては、アミノ酸配列PKKKRKV(配列番号41)を有するSV40ウイルス大型T抗原のNLS、ヌクレオプラスミン由来のNLS(例えば、配列KRPAATKKAGQAKKKK(配列番号42)を有するヌクレオプラスミン二分NLS)、アミノ酸配列PAAKRVKLD(配列番号43)又はRQRRNELKRSP(配列番号44)を有するc-myc NLS、配列NQSSNFGPMKGGNFGGRSSGPYGGGGQYFAKPRNQGGY(配列番号45)を有するhRNPA1 M9 NLS、インポーチン-アルファ由来のIBBドメインの配列RMRIZFKNKGKDTAELRRRRVEVSVELRKAKKDEQILKRRNV(配列番号46)、筋腫Tタンパク質の配列VSRKRPRP(配列番号47)及びPPKKARED(配列番号48)、ヒトp53の配列POPKKKPL(配列番号49)、マウスc-abl IVの配列SALIKKKKKMAP(配列番号50)、インフルエンザウイルスNS1の配列DRLRR(配列番号51)及びPKQKKRK(配列番号52)、肝炎ウイルスデルタ抗原の配列RKLKKKIKKL(配列番号53)、マウスMx1タンパク質の配列REKKKFLKRR(配列番号54)、ヒトポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼの配列KRKGDEVDGVDEVAKKKSKK(配列番号55)、並びにステロイドホルモン受容体(ヒト)グルココルチコイドの配列RKCLQAGMNLEARKTKK(配列番号56)に由来するNLS配列が挙げられる。
【0015】
一部の実施形態では、NLSは、シミアンウイルス40(SV40)に由来する。一部の実施形態では、NLSは、KKKRKV(配列番号57)のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、NLSは、二分NLSを含む。一部の実施形態では、NLSは、SV40 NLSを有する二分NLSを含む。
【0016】
一部の実施形態では、リンカーは、ペプチドスペーサーを更に含む。一部の実施形態では、ペプチドスペーサーは、2個を超えるアミノ酸を含む。一部の実施形態では、ペプチドスペーサーは、3個を超えるアミノ酸を含む。一部の実施形態では、ペプチドスペーサーは、4個を超えるアミノ酸を含む。一部の実施形態では、ペプチドスペーサーは、5個を超えるアミノ酸を含む。一部の実施形態では、ペプチドスペーサーは、6個を超えるアミノ酸を含む。一部の実施形態では、ペプチドスペーサーは、7個を超えるアミノ酸を含む。一部の実施形態では、ペプチドスペーサーは、8個を超えるアミノ酸を含む。一部の実施形態では、ペプチドスペーサーは、9個を超えるアミノ酸を含む。一部の実施形態では、ペプチドスペーサーは、10個を超えるアミノ酸を含む。一部の実施形態では、ペプチドスペーサーは、12個を超えるアミノ酸を含む。一部の実施形態では、ペプチドスペーサーは、15個を超えるアミノ酸を含む。一部の実施形態では、ペプチドスペーサーは、18個を超えるアミノ酸を含む。一部の実施形態では、ペプチドスペーサーは、20個を超えるアミノ酸を含む。一部の実施形態では、ペプチドスペーサーは、25個を超えるアミノ酸を含む。一部の実施形態では、ペプチドスペーサーは、30個を超えるアミノ酸を含む。
【0017】
一部の実施形態では、ペプチドスペーサーは、2~30個のアミノ酸を含む。一部の実施形態では、ペプチドスペーサーは、5~25個のアミノ酸を含む。一部の実施形態では、ペプチドスペーサーは、7~20個のアミノ酸を含む。一部の実施形態では、ペプチドスペーサーは、7~15個のアミノ酸を含む。一部の実施形態では、ペプチドスペーサーは、7~12個のアミノ酸を含む。
【0018】
一部の実施形態では、ペプチドスペーサーは、約5個のアミノ酸を含む。一部の実施形態では、ペプチドスペーサーは、約7個のアミノ酸を含む。一部の実施形態では、ペプチドスペーサーは、約8個のアミノ酸を含む。一部の実施形態では、ペプチドスペーサーは、約9個のアミノ酸を含む。一部の実施形態では、ペプチドスペーサーは、約10個のアミノ酸を含む。一部の実施形態では、ペプチドスペーサーは、約11個のアミノ酸を含む。一部の実施形態では、ペプチドスペーサーは、約12個のアミノ酸を含む。一部の実施形態では、ペプチドスペーサーは、約13個のアミノ酸を含む。一部の実施形態では、ペプチドスペーサーは、約14個のアミノ酸を含む。一部の実施形態では、ペプチドスペーサーは、約15個のアミノ酸を含む。
【0019】
一部の実施形態では、ペプチドスペーサーは、KRTADGSEFESP(配列番号58)のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ペプチドスペーサーは、KRTADGSEFESPのアミノ酸配列と70%同一である。一部の実施形態では、ペプチドスペーサーは、KRTADGSEFESPのアミノ酸配列と75%同一である。一部の実施形態では、ペプチドスペーサーは、KRTADGSEFESPのアミノ酸配列と80%同一である。一部の実施形態では、ペプチドスペーサーは、KRTADGSEFESPのアミノ酸配列と85%同一である。一部の実施形態では、ペプチドスペーサーは、KRTADGSEFESPのアミノ酸配列と90%同一である。一部の実施形態では、ペプチドスペーサーは、KRTADGSEFESPのアミノ酸配列と92%同一である。一部の実施形態では、ペプチドスペーサーは、KRTADGSEFESPのアミノ酸配列と95%同一である。一部の実施形態では、ペプチドスペーサーは、KRTADGSEFESPのアミノ酸配列と97%同一である。一部の実施形態では、ペプチドスペーサーは、KRTADGSEFESPのアミノ酸配列と99%同一である。
【0020】
一部の実施形態では、リンカーは、gRNAを、ペプチドスペーサー又はNLSにコンジュゲートする化学部分を更に含む。
【0021】
実施形態では、gRNAは、リンカーを介してNLSにコンジュゲートされる。実施形態では、当該リンカーは、化学部分(例えば、L)及び/又はペプチド部分(例えば、ペプチドスペーサー)を含む。
【0022】
実施形態では、gRNAは、化学部分(例えば、L)を介してNLSに直接コンジュゲートされる。実施形態では、化学部分(例えば、L)は、非ペプチド性である。実施形態では、化学部分(例えば、L)は、gRNA及びNLSの両方に共有結合している。
【0023】
実施形態では、gRNAは、ペプチド部分(例えば、ペプチドスペーサー)を介してNLSにコンジュゲートされる。実施形態では、ペプチド部分(例えば、ペプチドスペーサー)は、gRNA及びNLSの両方に共有結合している。
【0024】
実施形態では、gRNAは、化学部分(例えば、L)及びペプチド部分(例えば、ペプチドスペーサー)の両方を含むリンカーを介してNLSにコンジュゲートされる。実施形態では、かかるコンジュゲートは、化学部分L(例えば、非ペプチド性の化学部分)がgRNA及びペプチドスペーサーに共有結合しており、ペプチドスペーサーがNLSに共有結合している、式(I)による構造を有することができる。
【化1】
【0025】
実施形態では、gRNAは、ペプチドスペーサー又はNLSアミノ酸配列のC末端に共有結合した化学部分(例えば、L)を介してNLSにコンジュゲートされる。
【0026】
実施形態では、gRNAは、ペプチドスペーサー又はNLSアミノ酸配列のN末端に共有結合した化学部分(例えば、L)を介してNLSにコンジュゲートされる。
【0027】
実施形態では、gRNAは、gRNAの3’末端に共有結合した化学部分(例えば、L)を介してペプチドスペーサー又はNLSにコンジュゲートされる。
【0028】
実施形態では、gRNAは、gRNAの5’末端に共有結合した化学部分(例えば、L)を介してペプチドスペーサー又はNLSにコンジュゲートされる。
【0029】
実施形態では、化学部分(例えば、L)は、ペプチドスペーサー又はNLSのチオール含有残基(例えば、システイン残基)に共有結合している。
【0030】
実施形態では、化学部分(例えば、L)は、ペプチドスペーサー又はNLSのセレン含有残基(例えば、セレノシステイン残基)に共有結合している。
【0031】
実施形態では、化学部分(例えば、L)は、ペプチドスペーサー又はNLSのアミノ含有残基(例えば、リジン残基)に共有結合している。
【0032】
実施形態では、化学部分(例えば、L)は、ペプチドスペーサー又はNLSのフェノール含有残基(例えば、チロシン残基)に共有結合している。
【0033】
実施形態では、リンカー(例えば、本明細書に記載のチオール、セレン、アミノ、又はフェノール含有残基)の形成に使用されるアミノ酸残基は、化学修飾を含む。
【0034】
一部の実施形態では、ガイドRNAは、核酸リンカー配列を更に含む。一部の実施形態では、核酸リンカー配列は、RNA配列である。
【0035】
一部の実施形態では、核酸リンカー配列は、ガイドRNA配列の5’末端及び/又は3’末端に配置されている。
【0036】
一部の実施形態では、核酸リンカーは、約1~50個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸リンカーは、約1~45個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸リンカーは、約1~40個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸リンカーは、約1~35個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸リンカーは、約1~30個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸リンカーは、約1~25個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸リンカーは、約1~20個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸リンカーは、約1~15個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸リンカーは、約1~10個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸リンカーは、約1~5個のヌクレオチドを含む。
【0037】
一部の実施形態では、核酸リンカーは、約5個のヌクレオチド、約10個のヌクレオチド、約15個のヌクレオチド、約20個のヌクレオチド、約25個のヌクレオチド、約30個のヌクレオチド、約35個のヌクレオチド、約40個のヌクレオチド、約45個のヌクレオチド、又は約50個のヌクレオチドを含む。
【0038】
一部の実施形態では、ガイドRNAは、核酸リンカーを含まない。一部の実施形態では、核酸リンカーは、約1個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸リンカーは、約2個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸リンカーは、約3個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸リンカーは、約4個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸リンカーは、約5個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸リンカーは、約6個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸リンカーは、約7個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸リンカーは、約8個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸リンカーは、約9個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸リンカーは、約10個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸リンカーは、約11個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸リンカーは、約12個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸リンカーは、約13個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸リンカーは、約14個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸リンカーは、約15個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸リンカーは、約16個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸リンカーは、約17個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸リンカーは、約18個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸リンカーは、約19個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸リンカーは、約20個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸リンカーは、約21個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸リンカーは、約22個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸リンカーは、約23個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸リンカーは、約24個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸リンカーは、約25個のヌクレオチドを含む。
【0039】
一部の実施形態では、核酸リンカーは、約50~100個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸リンカーは、約100~150個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸リンカーは、約150~200個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸リンカーは、約200~500個のヌクレオチドを含む。
【0040】
一部の実施形態では、核酸リンカー配列は、直鎖状リンカー配列である。一部の実施形態では、リンカー配列は、非直鎖状配列である。一部の実施形態では、リンカー配列は、RNA二次構造を含む。
【0041】
一部の実施形態では、核酸リンカー配列は、ガイドRNA配列の3’末端及び/又は5’末端に配置される。
【0042】
一部の実施形態では、NLSを含むgRNAは、NLSを含まないgRNAと比較して、塩基編集効率を改善する。一部の実施形態では、NLSを含むgRNAは、NLSを含まないgRNAと比較して、塩基編集効率を少なくとも1.5倍改善する。一部の実施形態では、NLSを含むgRNAは、NLSを含まないgRNAと比較して、塩基編集効率を少なくとも2倍改善する。一部の実施形態では、NLSを含むgRNAは、NLSを含まないgRNAと比較して、塩基編集効率を少なくとも2.5倍改善する。一部の実施形態では、NLSを含むgRNAは、NLSを含まないgRNAと比較して、塩基編集効率を少なくとも3倍改善する。一部の実施形態では、NLSを含むgRNAは、NLSを含まないgRNAと比較して、塩基編集効率を少なくとも4倍改善する。一部の実施形態では、NLSを含むgRNAは、NLSを含まないgRNAと比較して、塩基編集効率を少なくとも5倍改善する。
【0043】
一部の実施形態では、ガイドRNAは、天然のCRISPR系に見出される直接反復配列を更に含む。
【0044】
一部の実施形態では、gRNAは、シングルガイドRNA(sgRNA)である。一部の実施形態では、gRNAは、tracrRNAである。一部の実施形態では、gRNAは、crRNAである。
【0045】
一部の実施形態では、ガイドRNAは、クラスター化して規則的に散在する短い回文配列反復(CRISPR)RNA(crRNA)を含む。一部の実施形態では、ガイドRNAは、トランス活性化RNA(tracrRNA)を更に含む。
【0046】
一部の実施形態では、crRNAは、修飾されている。一部の実施形態では、tracrRNAは、修飾されている。一部の実施形態では、crRNA、及び/又は化学的に修飾されたヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、tracrRNAは、折り畳みを維持する追加の配列を含む。一部の実施形態では、リンカーは、化学的に修飾されたヌクレオチドを含む。
【0047】
一部の実施形態では、crRNA、tracrRNA、及び/又はリンカーに対する修飾は、1)化学修飾、2)二次構造を保存する任意のヌクレオチド置換、3)GC含有量の改変、4)tracrRNAの予測される折り畳みを維持するための配列の追加のうちの1つ以上を含む。
【0048】
一部の実施形態では、方法であって、NLS-gRNAが、伸長ガイドRNA、又はCas9ガイドRNA、又はCas13ガイドRNA、又はCas12ガイドRNA、例えば、Cas12aガイドRNA、Cas12bガイドRNA、Cas12cガイドRNA、Cas12dガイドRNA、Cas12eガイドRNA、Cas12fガイドRNA、Cas12gガイドRNA、Cas12hガイドRNA、Cas12iガイドRNA、Cas12jガイドRNA、Cas12kガイドRNAである、方法が本明細書に提供される。したがって、一部の実施形態では、NLS-gRNAは、伸長ガイドRNAである。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、Cas9ガイドRNAである。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、Cas13ガイドRNAである。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、Cas12ガイドRNAである。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、Cas12aガイドRNAである。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、Cas12bガイドRNAである。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、Cas12cガイドRNAである。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、Cas12dガイドRNAである。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、Cas12eガイドRNAである。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、Cas12fガイドRNAである。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、Cas12gガイドRNAである。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、Cas12hガイドRNAである。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、Cas12iガイドRNAである。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、Cas12jガイドRNAである。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、Cas12kガイドRNAである。
【0049】
一部の実施形態では、NLS-gRNAは、以下、スペーサー、下部ステム、バルジ、上部ステム、ネクサス、及びヘアピンのうちの1つ以上を含む。
【0050】
一部の実施形態では、ステムループは、GC塩基対を含む。
【0051】
一部の実施形態では、方法であって、NLS-gRNAが、約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%又はそれ以上の収率で産生される、方法が本明細書に提供される。したがって、一部の実施形態では、NLS-gRNAは、約50%の収率で産生される。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、約55%の収率で産生される。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、約60%の収率で産生される。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、約65%の収率で産生される。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、約70%の収率で産生される。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、約75%の収率で産生される。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、約80%の収率で産生される。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、約85%の収率で産生される。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、約90%の収率で産生される。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、約95%の収率で産生される。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、約99%超の収率で産生される。
【0052】
一部の実施形態では、NLS-gRNAは、従来の合成方法と比較して、収率が50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%又はそれ以上改善して産生される。したがって、一部の実施形態では、NLS-gRNAは、従来の合成方法と比較して、収率が50%改善して産生される。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、従来の合成方法と比較して、収率が55%改善して産生される。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、従来の合成方法と比較して、収率が60%改善して産生される。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、従来の合成方法と比較して、収率が65%改善して産生される。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、従来の合成方法と比較して、収率が70%改善して産生される。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、従来の合成方法と比較して、収率が75%改善して産生される。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、従来の合成方法と比較して、収率が80%改善して産生される。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、従来の合成方法と比較して、収率が85%改善して産生される。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、従来の合成方法と比較して、収率が90%改善して産生される。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、従来の合成方法と比較して、収率が95%改善して産生される。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、従来の合成方法と比較して、収率が99%改善して産生される。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、従来の合成方法と比較して、収率が99%超改善して産生される。
【0053】
一部の実施形態では、NLS-gRNAは、約40個のヌクレオチド、約100個のヌクレオチド、約125個のヌクレオチド、約150個のヌクレオチド、約175個のヌクレオチド、約200個のヌクレオチド、又は約200個よりも大きいヌクレオチドの長さを有する。したがって、一部の実施形態では、NLS-gRNAは、約40個のヌクレオチドの長さを有する。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、約100個のヌクレオチドの長さを有する。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、約125個のヌクレオチドの長さを有する。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、約150個のヌクレオチドの長さを有する。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、約175個のヌクレオチドの長さを有する。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、約200個のヌクレオチドの長さを有する。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、約200個よりも大きいヌクレオチドの長さを有する。
【0054】
一部の実施形態では、NLS-gRNAの長さは、Cas依存性である。例えば、一部の実施形態では、Cas12aについてのNLS-gRNAの長さは、40個のヌクレオチドよりも大きい。一部の実施形態では、Cas9についてのNLS-gRNAの長さは、123個のヌクレオチドよりも大きい。一部の実施形態では、Cas9についてのNLS-gRNAの長さは、125~200個のヌクレオチドである。一部の実施形態では、Cas9についてのNLS-gRNAの長さは、125~250個のヌクレオチドである。一部の実施形態では、Cas9についてのNLS-gRNAの長さは、125~300個のヌクレオチドである。一部の実施形態では、Cas9についてのNLS-gRNAの長さは、125~350個のヌクレオチドである。一部の実施形態では、Cas9についてのNLS-gRNAの長さは、125~400個のヌクレオチドである。一部の実施形態では、Cas9についてのNLS-gRNAの長さは、125~450個のヌクレオチドである。一部の実施形態では、Cas9についてのNLS-gRNAの長さは、125~500個のヌクレオチドである。
【0055】
一部の実施形態では、NLS-gRNAは、1つ以上の骨格修飾を含む。
【0056】
一部の実施形態では、1つ以上の骨格修飾は、2’O-メチル又はホスホロチオエート修飾を含む。したがって、一部の実施形態では、1つ以上の骨格修飾は、2’O-メチル修飾を含む。一部の実施形態では、1つ以上の骨格修飾は、ホスホロチオエート修飾を含む。
【0057】
一部の実施形態では、1つ以上の骨格修飾は、2’-O-メチル3’-ホスホロチオエート、2’-O-メチル、2’-リボ3’-ホスホロチオエート、2’-フルロ、2’-O-メトキシエチルモルホリノ(PMO)、ロック核酸(LNA)、デオキシ、又は5’ホスフェート修飾から選択される。したがって、一部の実施形態では、1つ以上の骨格修飾は、2’-O-メチル3’-ホスホロチオエート修飾を含む。一部の実施形態では、1つ以上の骨格修飾は、2’-O-メチル修飾を含む。一部の実施形態では、1つ以上の修飾は、2’-リボ3’-ホスホロチオエート修飾を含む。一部の実施形態では、1つ以上の修飾は、2’-フルロ修飾を含む。一部の実施形態では、1つ以上の修飾は、2’-O-メトキシエチルモルホリノ(PMO)を含む。一部の実施形態では、1つ以上の修飾は、ロック核酸(LNA)を含む。一部の実施形態では、1つ以上の修飾は、デオキシ修飾を含む。一部の実施形態では、1つ以上の修飾は、5’ホスフェート修飾を含む。
【0058】
様々な修飾されたRNA塩基には、当該技術分野で既知であり、例えば、2-メトキシエトキシA、2-メトキシエトキシMeC、2-メトキシエトキシG、2-メトキシエトキシTなどの2’-O-メトキシ-エチル塩基(2’-MOE)を含む。他の修飾された塩基には、例えば、2’-O-メチルRNA塩基、及びフルオロ塩基が含まれる。様々なフルオロ塩基が既知であり、例えば、フルオロC、フルオロU、フルオロA、フルオロG塩基が挙げられる。様々な2’-Oメチル修飾もまた、本明細書に記載の方法とともに使用され得る。例えば、以下の2’-Oメチル修飾のうちの1つ以上を含む以下のRNAを、記載の方法とともに使用することができる:2’-OMe-5-メチル-rC、2’-OMe-rT、2’-OMe-rI、2’-OMe-2-アミノ-rA、アミノリンカー-C6-rC、アミノリンカー-C6-rU、2’-OMe-5-Br-rU、2’-OMe-5-I-rU、2-OMe-7-デアザ-rG。
【0059】
一部の実施形態では、RNAは、以下の修飾、ホスホロチオエート、2’O-メチル、2’フルオロ(2’F)、デオキシのうちの1つ以上を含む。一部の実施形態では、RNAは、3’末端に2’OMe修飾を含む。一部の実施形態では、RNAは、5’末端に2’OMe修飾を含む。一部の実施形態では、RNAは、3’末端及び5’末端に2’OMe修飾を含む。一部の実施形態では、RNAは、以下の修飾のうちの1つ以上を含む:2’-O-2-メトキシエチル(MOE)、ロック核酸、架橋核酸、アンロック核酸、ペプチド核酸、モルホリノ核酸。一部の実施形態では、RNAは、以下の塩基修飾のうちの1つ以上を含む:2,6-ジアミノプリン、2-アミノプリン、シュードウラシル、N1-メチル-シュードウラシル、5’メチルシトシン、2’ピリミジノン(ゼブラリン)、チミン。他の修飾された塩基としては、例えば、2-アミノプリン、5-ブロモdU、デオキシウリジン、2,6-ジアミノプリン(2-アミノ-dA)、ジデオキシ-C、デオキシイノシン、ヒドロキシメチルdC、反転dT、イソ-dG、イソ-dC、反転ジデオキシ-T、5-メチルdC、5-メチルdC、5-ニトロインドール、Super T(登録商標)、2’-F-r(C、U)、2’-NH2-r(C、U)、2,2’-無水-U、3’-デオキシ-r(A、C、G、U)、3’-O-メチル-r(A、C、G、U)、rT、rI、5-メチル-rC、2-アミノ-rA、rスペーサー(脱塩基)、7-デアザ-rG、7-デアザ-rA、8-オキソ-rG、5-ハロゲン化-rU、N-アルキル化-rNが挙げられる。
【0060】
本明細書では、他の化学的に修飾されたRNAを使用することができる。例えば、RNAは、例えば、5’Int,3’アジド(NHSエステル)、5’ヘキシニル、5’Int,3’5-オクタジイニルdU、5’,Intビオチン(アジド)、5’,Int6-FAM(アジド)、及び5’,Int5-TAMRA(アジド)などの修飾された塩基を含み得る。本明細書に記載の方法とともに使用され得るRNAヌクレオチド修飾の他の例としては、例えば、5’リン酸化及び3’リン酸化などのリン酸化修飾が挙げられる。RNAはまた、以下の修飾、アミノ修飾、ビオチン化、チオール修飾、アルキン修飾子、アデニル化、アジド(NHSエステル)、コレステロール-TEG、及びジゴキシゲニン(NHSエステル)のうちの1つ以上を有し得る。
【0061】
一部の実施形態では、本方法は、約50%、60%、70%、80%、90%、又は90%超の純度でNLS-gRNAを産生する。したがって、一部の実施形態では、本方法は、約50%の純度でNLS-gRNAを産生する。一部の実施形態では、本方法は、約60%の純度でNLS-gRNAを産生する。一部の実施形態では、本方法は、約70%の純度でNLS-gRNAを産生する。一部の実施形態では、本方法は、約80%の純度でNLS-gRNAを産生する。一部の実施形態では、本方法は、約90%の純度でNLS-gRNAを産生する。一部の実施形態では、本方法は、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は99%超の純度でNLS-gRNAを産生する。一部の実施形態では、本方法は、約91%の純度でNLS-gRNAを産生する。一部の実施形態では、本方法は、約92%の純度でNLS-gRNAを産生する。一部の実施形態では、本方法は、約93%の純度でNLS-gRNAを産生する。一部の実施形態では、本方法は、約94%の純度でNLS-gRNAを産生する。一部の実施形態では、本方法は、約95%の純度でNLS-gRNAを産生する。一部の実施形態では、本方法は、約96%の純度でNLS-gRNAを産生する。一部の実施形態では、本方法は、約97%の純度でNLS-gRNAを産生する。一部の実施形態では、本方法は、約98%の純度でNLS-gRNAを産生する。一部の実施形態では、本方法は、約99%の純度でNLS-gRNAを産生する。一部の実施形態では、本方法は、約99%超の純度でNLS-gRNAを産生する。
【0062】
一態様では、本発明は、とりわけ、ガイドRNA(gRNA)であって、リンカーを介してgRNAに連結された核局在化シグナル(NLS)を含む、ガイドRNA(gRNA)を含む組成物を提供し、リンカーは、gRNAの3’末端にコンジュゲートされたシステイン残基を含み、NLS-ガイドRNAは、脂質ナノ粒子(LNP)に封入されている。一態様では、本発明は、とりわけ、ガイドRNA(gRNA)であって、リンカーを介してgRNAに連結された核局在化シグナル(NLS)を含む、ガイドRNA(gRNA)を含む組成物を提供し、リンカーは、gRNAの3’末端にコンジュゲートされたシステイン残基を含み、NLS-ガイドRNAは、脂質ナノ粒子(LNP)と会合している。
【0063】
一部の実施形態では、組成物は、ヌクレアーゼを含む。一部の実施形態では、組成物は、ヌクレアーゼをコードする核酸を含む。一部の実施形態では、組成物は、ヌクレアーゼをコードするmRNAを含む。
【0064】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼは、NLSにコンジュゲートされる。一部の実施形態では、Casタンパク質は、NLSにコンジュゲートされる。一部の実施形態では、Casタンパク質は、NLSを含まない。一部の実施形態では、Casタンパク質は、NLSにコンジュゲートされない。一部の実施形態では、Cas9タンパク質は、NLSを含まない。一部の実施形態では、Cas9タンパク質は、NLSにコンジュゲートされない。
【0065】
一部の実施形態では、組成物は、NLS-gRNA及びヌクレアーゼをコードするmRNAを含む。一部の実施形態では、組成物は、NLS-gRNA及びヌクレアーゼをコードするmRNAを1:1の重量比で含む。一部の実施形態では、組成物は、NLS-gRNA及びヌクレアーゼをコードするmRNAを2:1の重量比で含む。一部の実施形態では、組成物は、NLS-gRNA及びヌクレアーゼをコードするmRNAを3:1の重量比で含む。一部の実施形態では、組成物は、NLS-gRNA及びヌクレアーゼをコードするmRNAを4:1の重量比で含む。一部の実施形態では、組成物は、NLS-gRNA及びヌクレアーゼをコードするmRNAを5:1の重量比で含む。一部の実施形態では、組成物は、NLS-gRNA及びヌクレアーゼをコードするmRNAを6:1の重量比で含む。一部の実施形態では、組成物は、NLS-gRNA及びヌクレアーゼをコードするmRNAを7:1の重量比で含む。一部の実施形態では、組成物は、NLS-gRNA及びヌクレアーゼをコードするmRNAを8:1の重量比で含む。一部の実施形態では、組成物は、NLS-gRNA及びヌクレアーゼをコードするmRNAを9:1の重量比で含む。一部の実施形態では、組成物は、NLS-gRNA及びヌクレアーゼをコードするmRNAを10:1の重量比で含む。一部の実施形態では、組成物は、NLS-gRNA及びヌクレアーゼをコードするmRNAを12:1の重量比で含む。一部の実施形態では、組成物は、NLS-gRNA及びヌクレアーゼをコードするmRNAを15:1の重量比で含む。
【0066】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼは、CRISPRクラス2 II型酵素である。一部の実施形態では、ヌクレアーゼは、CRISPRクラス2 V型酵素である。一部の実施形態では、ヌクレアーゼCRISPRクラス2 VI型酵素。一部の実施形態では、ヌクレアーゼは、Cas9、Cpf1、SaCas9、Cas12、Cas13、又はそれらの修飾されたバージョンである。したがって、一部の実施形態では、ヌクレアーゼは、Cas9又はその修飾されたバージョンである。一部の実施形態では、ヌクレアーゼは、Cpf1又はその修飾されたバージョンである。一部の実施形態では、ヌクレアーゼは、Staphylococcus aureus Cas9(SaCas9)又はその修飾されたバージョンである。一部の実施形態では、ヌクレアーゼは、Streptococcus thermophilus 1 Cas9(St1Cas9)又はその修飾されたバージョンである。一部の実施形態では、ヌクレアーゼは、Streptococcus pyogenes Cas9(SpCas9)又はその修飾されたバージョンである。一部の実施形態では、ヌクレアーゼは、Cas12又はその修飾されたバージョンである。一部の実施形態では、ヌクレアーゼは、Cas13又はその修飾されたバージョンである。
【0067】
一部の実施形態では、Cas9は、ヌクレアーゼ死Cas9(dCas9)を含む。一部の実施形態では、Cas9は、Cas9ニッカーゼ(nCas9)を含む。一部の実施形態では、Cas9は、ヌクレアーゼ活性Cas9を含む。
【0068】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼドメインは、異種ポリペプチドに融合している。一部の実施形態では、異種ポリペプチドは、核酸(例えば、DNA)に修飾を行うことができるエフェクタードメインを含む。例えば、DNAエフェクタードメインは、シチジンデアミナーゼドメイン、シトシンドメイン、又はアデノシンデアミナーゼドメインなどのデアミナーゼドメインであり得る。ある特定の実施形態では、デアミナーゼドメインは、APOBEC又はAIDシチジンデアミナーゼなどのシチジンデアミナーゼドメインである。シチジンをウリジンに脱アミノ化することができる塩基編集タンパク質について、例えば、DNA分子内のCからTへの変異を誘導するために、シチジンデアミナーゼは、アポリポタンパク質B mRNA編集複合体(APOBEC)ファミリーデアミナーゼからのデアミナーゼであり得る。一部の実施形態では、異種ポリペプチドは、シチジン又はシトシンデアミナーゼドメインである。一部の実施形態では、異種ポリペプチドは、シトシンデアミナーゼドメインである。一部の実施形態では、異種ポリペプチドは、シチジンデアミナーゼドメインである。一部の実施形態では、異種ポリペプチドは、アデノシン又はアデニンデアミナーゼドメインである。一部の実施形態では、異種ポリペプチドは、アデノシンドメインである。一部の実施形態では、異種ポリペプチドは、アデニンドメインである。
【0069】
一部の実施形態では、異種ポリペプチドは、アデノシンデアミナーゼバリアントドメインである。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントドメインは、配列番号3に関して1つ以上の変異を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントドメインは、V82Gを含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントドメインは、Y147T/Dを含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントドメインは、Q154Sを含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントドメインは、L36Hを含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントドメインは、I76Yを含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントドメインは、F149Yを含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントドメインは、N157Kを含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントドメインは、V82G、Y147T/D、及びQ154Sを含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントドメインは、V82G、Y147T/D、Q154S、及びL36Hを含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントドメインは、V82G、Y147T/D、Q154S、及びI76Yを含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントドメインは、V82G、Y147T/D、Q154S、及びF149Yを含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントドメインは、V82G、Y147T/D、Q154S、及びN157Kを含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントドメインは、V82G、Y147T/D、Q154S、及びD167Nを含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントドメインは、V82G、Y147T/D、Q154S、並びにL36H、I76Y、F149Y、N157K、及びD167Nのうちの1つ以上を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼドメインは、変異I76Y、V82G、Y147T、及びQ154Sを含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼドメインは、変異L36H、V82G、Y147T、Q154S、及びN157Kを含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼドメインは、変異V82G、Y147D、F149Y、Q154S、及びD167Nを含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼドメインは、変異L36H、V82G、Y147D、F149Y、Q154S、N157K、及びD167Nを含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼドメインは、変異L36H、I76Y、V82G、Y147T、Q154S、及びN157Kを含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼドメインは、変異I76Y、V82G、Y147D、F149Y、Q154S、及びD167Nを含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼドメインは、変異Y147D、F149Y、及びD167Nを含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼドメインは、変異L36H、I76Y、V82G、Q154S、及びN157Kを含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼドメインは、変異I76Y、V82G、及びQ154Sを含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼドメインは、変異L36H、I76Y、V82G、Y147D、F149Y、Q154S、N157K、及びD167Nを含む。
【0070】
一部の実施形態では、異種ポリペプチドは、ヌクレアーゼドメインのN末端に融合している。一部の実施形態では、異種ポリペプチドは、ヌクレアーゼドメインのC末端に融合している。一部の実施形態では、異種ポリペプチドは、ヌクレアーゼドメインに対して内部にある。一部の実施形態では、異種ポリペプチドは、Cas9のN末端に融合している。一部の実施形態では、異種ポリペプチドは、Cas9のC末端に融合している。一部の実施形態では、異種ポリペプチドは、Cas9に対して内部にある。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、Cas9のN末端に融合している。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、Cas9のC末端に融合している。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、Cas9に対して内部にある。
【0071】
一部の実施形態では、NLS-gRNAは、CRISPR/Cas系との使用に好適である。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、CRISPRクラス2 II型酵素との使用に好適である。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、CRISPRクラス2 V型酵素との使用に好適である。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、CRISPRクラス2 VI型酵素との使用に好適である。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、Cas9、Cpf1、SaCas9、Cas12、Cas13、又はそれらの修飾されたバージョンとの使用に好適である。したがって、一部の実施形態では、NLS-gRNAは、Cas9又はその修飾されたバージョンとの使用に好適である。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、Cpf1又はその修飾されたバージョンとの使用に好適である。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、SaCas9又はその修飾されたバージョンとの使用に好適である。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、Cas12又はその修飾されたバージョンとの使用に好適である。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、Cas13又はその修飾されたバージョンとの使用に好適である。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、Cas酵素との複合体における。
【0072】
一部の実施形態では、一部のCas、例えば、Cas12a及びCas13のエンドヌクレアーゼ活性によって切断され、Casタンパク質との構築前又は構築中にgRNAを直線化するRNA配列が含まれる。
【0073】
一部の実施形態では、NLS-gRNAは、NLS配列を含まないgRNAと比較して、増加した安定性及び細胞エキソヌクレアーゼに対する耐性を提供する。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、CRISPR/Cas編集系を使用して、標的細胞において増加した編集事象を提供する。
【0074】
一部の実施形態では、NLS-gRNAは、CRISPRクラス2 II型酵素との複合体にある。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、CRISPRクラス2 V型酵素との複合体にある。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、CRISPRクラス2 VI型酵素との複合体にある。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、Cas9、Cpf1、SaCas9、Cas12、Cas13、又はそれらの修飾されたバージョンとの複合体にある。
【0075】
一部の態様では、Casタンパク質複合体が提供され、複合体は、Casヌクレアーゼ及びNLS-gRNAを含む。
【0076】
一部の実施形態では、Casヌクレアーゼは、CRISPRクラス2 II型酵素である。一部の実施形態では、Casヌクレアーゼは、CRISPRクラス2 V型酵素である。一部の実施形態では、Casヌクレアーゼは、CRISPRクラス2 VI型酵素である。一部の実施形態では、Casヌクレアーゼは、Cas9、Cpf1、SaCas9、Cas12、Cas13、又はそれらの修飾されたバージョンから選択される。
【0077】
一部の実施形態では、標的化された転写活性化、標的化された転写抑制、標的化されたエピゲノム修飾、又は標的化されたゲノム修飾のための方法が本明細書に提供され、本方法は、真核細胞内に(a)NLSコンジュゲートガイドRNA(NLS-gRNA)、(b)少なくとも1つのCRISPR/Casタンパク質又は少なくとも1つのCRISPR/Casタンパク質をコードする核酸を導入することを含み、(a)及び(b)と染色体DNAにおける標的配列との相互作用が、標的化された転写活性化、標的化された転写抑制、標的化されたエピゲノム修飾、又は標的化されたゲノム修飾をもたらす。
【0078】
一部の実施形態では、標的化されたRNA修飾のための方法が本明細書に提供され、本方法は、真核細胞内に(a)NLSコンジュゲートガイドRNA(NLS-gRNA)、及び(b)少なくとも1つのCRISPR/Casタンパク質又は少なくとも1つのCRISPR/Casタンパク質をコードする核酸を導入することを含み、(a)及び(b)と染色体DNAによって発現されたRNAとの相互作用が、染色体DNAによって発現されたRNAの修飾をもたらす。
【0079】
一部の実施形態では、染色体DNAによって発現されたRNAは、メッセンジャーRNA(mRNA)である。
【0080】
一部の態様では、本発明は、本発明のNLS-gRNAと、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物を提供する。
【0081】
一態様では、本発明は、とりわけ、Casタンパク質、リンカーを介してgRNAに連結された核局在化シグナル(NLS)を含むgRNAを含む、操作された又は天然に生じないCRISPR関連Cas(CRISPR-Cas)系を含む組成物を提供し、リンカーは、gRNAの3’末端にコンジュゲートされたシステイン残基を含み、gRNAは、Casタンパク質と複合体を形成し、Cas9タンパク質を標的DNAに標的化することができる。
【0082】
一部の実施形態では、gRNAは、核酸配列:5’-CAGUAUGGACACUGUCCAAA-3’(配列番号2)を含む。
【0083】
一態様では、本発明は、とりわけ、(a)saCas9タンパク質、(b)Cas9タンパク質に融合されたアデノシンデアミナーゼバリアント、及び(c)リンカーを介してgRNAに連結された核局在化シグナル(NLS)を含むgRNAを含む、操作された又は天然に生じないCRISPR関連Cas(CRISPR-Cas)系を含む組成物を提供し、リンカーは、gRNAの3’末端にコンジュゲートされたシステイン残基を含み、gRNAは、saCas9タンパク質と複合体を形成し、saCas9タンパク質を標的DNAに標的化することができ、アデノシンデアミナーゼバリアントは、配列番号3に関して、V82G、Y147T/D、Q154S、並びにL36H、I76Y、F149Y、N157K、及びD167Nのうちの1つ以上を含み、gRNAは、配列番号2を含む。
【0084】
一態様では、本発明は、とりわけ、遺伝子疾患の治療を必要としている対象において、対象に本発明の組成物(例えば、NLS-gRNA)を投与することによって遺伝子疾患を治療する方法を提供する。
【0085】
一態様では、本発明は、とりわけ、グリコーゲン蓄積症1a型(GSD1a)を治療する方法を提供し、本方法は、対象に本発明の組成物(例えば、NLS-gRNA)を投与することを含む。
【0086】
一部の実施形態では、NLSにコンジュゲートされたgRNAを含む組成物が本明細書に提供され、組成物の核送達は、NLSを含まないgRNAを含む組成物に対して約2~5倍増加する。一部の実施形態では、組成物の核送達は、NLSを含まないgRNAを含む組成物に対して約2倍増加する。一部の実施形態では、組成物の核送達は、NLSを含まないgRNAを含む組成物に対して約3倍増加する。一部の実施形態では、NLSを含まないgRNAを含む組成物に対して約4倍までの増加における核送達。一部の実施形態では、NLSを含まないgRNAを含む組成物に対して約5倍までの増加における核送達。一部の実施形態では、NLSを含まないgRNAを含む組成物に対して約2倍超までの増加における核送達。一部の実施形態では、NLSを含まないgRNAを含む組成物に対して1.5~10倍までの増加における核送達。一部の実施形態では、NLSを含まないgRNAを含む組成物に対して約10倍超までの増加における核送達。
【0087】
一部の実施形態では、gRNAは、表8の配列のうちのいずれか1つに対して70%、80%、90%、95%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、gRNAは、表8の配列のうちのいずれか1つに対して70%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、gRNAは、表8の配列のうちのいずれか1つに対して75%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、gRNAは、表8の配列のうちのいずれか1つに対して80%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、gRNAは、表8の配列のうちのいずれか1つに対して85%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、gRNAは、表8の配列のうちのいずれか1つに対して90%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、gRNAは、表8の配列のうちのいずれか1つに対して95%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、gRNAは、表8の配列のうちのいずれか1つに対して99%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、gRNAは、表8の配列のうちのいずれか1つに対して100%の同一性を有する配列を含む。
【0088】
一部の実施形態では、NLSにコンジュゲートされたgRNAを含む組成物が本明細書に提供され、遺伝子編集効率は、NLSを含まないgRNAに対して約2~5倍増加する。一部の実施形態では、遺伝子編集効率は、NLSを含まないgRNAに対して約2倍増加する。一部の実施形態では、遺伝子編集効率は、NLSを含まないgRNAに対して約3倍増加する。一部の実施形態では、遺伝子編集効率は、NLSを含まないgRNAに対して約4倍増加する。一部の実施形態では、遺伝子編集効率は、NLSを含まないgRNAに対して約5倍増加する。一部の実施形態では、遺伝子編集効率は、NLSを含まないgRNAに対して約1.5~10倍増加する。
【0089】
一部の実施形態では、gRNA標的配列は、配列番号17に対して70%、80%、90%、95%、99%又は100%の同一性を有する。一部の実施形態では、gRNA標的配列は、配列番号17に対して70%の同一性を有する。一部の実施形態では、gRNA標的配列は、配列番号17に対して75%の同一性を有する。一部の実施形態では、gRNA標的配列は、配列番号17に対して70%、80%の同一性を有する。一部の実施形態では、gRNA標的配列は、配列番号17に対して85%の同一性を有する。一部の実施形態では、gRNA標的配列は、配列番号17に対して90%の同一性を有する。一部の実施形態では、gRNA標的配列は、配列番号17に対して95%の同一性を有する。一部の実施形態では、gRNA標的配列は、配列番号17に対して100%の同一性を有する。
【0090】
一部の実施形態では、gRNAは、肝臓、腎臓、脳、及び心臓から選択される臓器のうちの1つ以上を標的とする。一部の実施形態では、gRNAは、肝臓を標的とする。
【0091】
定義
本発明をより容易に理解するために、特定の用語を最初に以下に定義する。以下の用語及び他の用語についての更なる定義は、本明細書全体を通して記載される。
【0092】
A又はAn:「a」及び「an」という冠詞は、冠詞の文法的目的語のうちの1つ又は2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を指すために本明細書で使用される。一例として、「要素」は、1つの要素又は2つ以上の要素を意味する。
【0093】
およそ又は約:本明細書で使用される場合、「およそ」又は「約」という用語は、1つ以上の目的の値に適用される場合、記載される参照値に類似する値を指す。ある特定の実施形態では、「およそ」又は「約」という用語は、別段の記載がない限り、又は文脈から明らかでない限り、記載された参照値のいずれかの方向(より大きいか、より小さい)で25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%又はそれ未満内に収まる値の範囲を指す(そのような数値が可能な値の100%を超える場合を除く)。
【0094】
~と関連する/会合している(associated with):一方の存在、レベル及び/又は形態が、他方の存在、レベル及び/又は形態と相関する場合に用語が本明細書で使用される場合、2つの事象又は実体は、互いに「関連する」。例えば、特定の実体(例えば、ポリペプチド)は、その存在、レベル及び/又は形態が(例えば、関連する集団全体にわたって)疾患、障害若しくは状態の発生率及び/又はその感受性と相関する場合、特定の疾患、障害若しくは状態と関連するとみなされる。一部の実施形態では、2つ以上の実体が、直接的又は間接的に相互作用する場合、それらが互いに物理的に近接し、それを維持するように、物理的に互いに「会合している」。一部の実施形態では、互いに物理的に会合している2つ以上の実体が、互いに共有結合しており、一部の実施形態では、互いに物理的に会合している2つ以上の実体が、互いに共有結合していないが、例えば、水素結合、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用、磁性、及びそれらの組み合わせによって、非共有結合的に会合している。
【0095】
「アデノシンデアミナーゼ」又は「アデニンデアミナーゼ」とは、アデニン又はアデノシンの加水分解の脱アミノ化を触媒することができるポリペプチド又はその断片を意味する。一部の実施形態では、デアミナーゼ又はデアミナーゼドメインは、アデノシンからイノシンへの、又はデオキシアデノシンからデオキシイノシンへの加水分解の脱アミノ化を触媒するアデノシンデアミナーゼである。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、デオキシリボ核酸(DNA)におけるアデニン又はアデノシンの加水分解の脱アミノ化を触媒する。本明細書に提供されるアデノシンデアミナーゼ(例えば、操作されたアデノシンデアミナーゼ、進化したアデノシンデアミナーゼ)は、藻類、細菌、菌類、植物、無脊椎動物(例えば、昆虫)、及び脊椎動物(例えば、両生類、哺乳動物)が挙げられるが、これらに限定されない、任意の生物(例えば、真核生物、原核生物)に由来し得る。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、1つ以上の改変を有するアデノシンデアミナーゼバリアントであり、標的ポリヌクレオチド(例えば、DNA、RNA)におけるアデニン及びシトシンの両方を脱アミノ化することができる。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、一本鎖又は二本鎖である。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、DNAにおけるアデニン及びシトシンの両方を脱アミノ化することができる。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、一本鎖DNAにおけるアデニン及びシトシンの両方を脱アミノ化することができる。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、RNAにおけるアデニン及びシトシンの両方を脱アミノ化することができる。
【0096】
「アデノシンデアミナーゼ活性」とは、ポリヌクレオチドにおけるアデニン又はアデノシンのグアニンへの脱アミノ化を触媒することを意味する。一部の実施形態では、本明細書に提供されるアデノシンデアミナーゼバリアントは、アデノシンデアミナーゼ活性を維持する(例えば、参照アデノシンデアミナーゼ(例えば、TadA*8.20又はTadA*8.19)の活性の少なくとも約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又はそれ以上)。
【0097】
「アデノシン塩基エディター(ABE)」とは、アデノシンデアミナーゼを含む塩基エディターを意味する。
【0098】
「アデノシン塩基エディター8(ABE8)ポリペプチド」又は「ABE8」とは、以下の参照配列のアミノ酸位置82及び/又は166に改変を含むアデノシンデアミナーゼバリアントを含む、本明細書で定義される塩基エディターを意味する。MSEVEFSHEYWMRHALTLAKRARDEREVPVGAVLVLNNRVIGEGWNRAIGLHDPTAHAEIMALRQGGLVMQNYRLIDATLYVTFEPCVMCAGAMIHSRIGRVVFGVRNAKTGAAGSLMDVLHYPGMNHRVEITEGILADECAALLCYFFRMPRQVFNAQKKAQSSTD(配列番号3)。一部の実施形態では、ABE8は、参照配列に対して、本明細書に記載の更なる改変を含む。
【0099】
「アデノシン塩基エディター8(ABE8)ポリヌクレオチド」とは、ABE8ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0100】
「アデノシンデアミナーゼポリヌクレオチド」は、アデノシンデアミナーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを意味する。特定の実施形態では、アデノシンデアミナーゼポリヌクレオチドは、V82G、Y147T/D、Q154S、並びにL36H、I76Y、F149Y、N157K、及びD167Nのうちの1つ以上を含むアデノシンデアミナーゼバリアントをコードする。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼポリヌクレオチドは、以下の改変の組み合わせのうちの1つを含むアデノシンデアミナーゼバリアントをコードする:V82G+Y147T+Q154S、I76Y+V82G+Y147T+Q154S、L36H+V82G+Y147T+Q154S+N157K、V82G+Y147D+F149Y+Q154S+D167N、L36H+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+N157K+D167N、L36H+I76Y+V82G+Y147T+Q154S+N157K、I76Y+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+D167N、又はL36H+I76Y+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+N157K+D167N。
【0101】
一部の実施形態では、デアミナーゼ又はデアミナーゼドメインは、ヒト、チンパンジー、ゴリラ、サル、ウシ、イヌ、ラット、又はマウスなどの生物由来の天然に存在するデアミナーゼのバリアントである。一部の実施形態では、デアミナーゼ又はデアミナーゼドメインは、天然に生じない。例えば、一部の実施形態では、デアミナーゼ又はデアミナーゼドメインは、天然に存在するデアミナーゼと少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、又は少なくとも99.9%同一である。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、E.coli、S.aureus、B.subtilis、S.typhi、S.putrefaciens、H.influenzae、C.crescentus、又はG.sulfurreducensなどの細菌由来である。
【0102】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadAデアミナーゼである。一部の実施形態では、TadAデアミナーゼは、E.coli TadA(ecTadA)デアミナーゼ又はその断片である。一部の実施形態では、ecTadAデアミナーゼは、切断型ecTadAである。例えば、切断型ecTadAは、全長ecTadAに対して、1つ以上のN末端アミノ酸を欠失し得る。一部の実施形態では、切断型ecTadAは、全長ecTadAに対して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個のN末端アミノ酸残基を欠失し得る。一部の実施形態では、切断型ecTadAは、全長ecTadAに対して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個のC末端アミノ酸残基を欠失し得る。一部の実施形態では、ecTadAデアミナーゼは、N末端メチオニンを含まない。一部の実施形態では、TadAデアミナーゼは、N末端切断型TadAである。特定の実施形態では、TadAは、PCT/US2017/045381(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるTadAのうちのいずれか1つである。
【0103】
一部の実施形態では、TadAデアミナーゼは、TadAバリアントである。一部の実施形態では、TadAバリアントは、V82G、Y147T/D、Q154S、並びにL36H、I76Y、F149Y、N157K、及びD167Nのうちの1つ以上を含むTadA*7.10である。一部の実施形態では、TadAバリアントは、以下の中から選択される改変の組み合わせを含むTadA*7.10である:V82G+Y147T+Q154S、I76Y+V82G+Y147T+Q154S、L36H+V82G+Y147T+Q154S+N157K、V82G+Y147D+F149Y+Q154S+D167N、L36H+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+N157K+D167N、L36H+I76Y+V82G+Y147T+Q154S+N157K、I76Y+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+D167N、又はL36H+I76Y+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+N157K+D167N。一部の実施形態では、TadAバリアントは、MSP605、MSP680、MSP823、MSP824、MSP825、MSP827、MSP828、又はMSP829である。
【0104】
塩基エディター:「塩基エディター(BE)」又は「核酸塩基エディター(NBE)」は、ポリヌクレオチドに結合し、核酸塩基修飾活性を有する薬剤を意味する。様々な実施形態では、塩基エディターは、ガイドポリヌクレオチド(例えば、ガイドRNA)と併せて、核酸塩基修飾ポリペプチド(例えば、デアミナーゼ)及びポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインを含む。様々な実施形態では、薬剤は、塩基編集活性を有するタンパク質ドメイン、すなわち、核酸分子(例えば、DNA)内の塩基(例えば、A、T、C、G、又はU)を修飾することができるドメインを含む生体分子複合体である。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドプログラマブルDNA結合ドメインは、デアミナーゼドメインに融合又は連結される。一実施形態では、薬剤は、塩基編集活性を有する1つ以上のドメインを含む融合タンパク質である。別の実施形態では、塩基編集活性を有するタンパク質ドメインは、ガイドRNAに連結される(例えば、ガイドRNA上のRNA結合モチーフ及びデアミナーゼに融合されたRNA結合ドメインを介して)。一部の実施形態では、塩基編集活性を有するタンパク質ドメインは、核酸分子内の塩基を脱アミノ化することができる。一部の実施形態では、塩基エディターは、DNA分子内の1つ以上の塩基を脱アミノ化することができる。一部の実施形態では、塩基エディターは、DNA内の窒素系塩基を脱アミノ化することができる。一部の実施形態では、塩基エディターは、RNA内の窒素系塩基を脱アミノ化することができる。一部の実施形態では、塩基エディターは、リボヌクレオシドを脱アミノ化することができる。一部の実施形態では、塩基エディターは、デオキシリボヌクレオシドを脱アミノ化することができる。一部の実施形態では、塩基エディターは、シトシンを脱アミノ化することができる。一部の実施形態では、塩基エディターは、シチジンを脱アミノ化することができる。一部の実施形態では、塩基エディターは、アデノシンを脱アミノ化することができる。一部の実施形態では、塩基エディターは、DNA内のシトシン(C)又はアデノシン(A)を脱アミノ化することができる。一部の実施形態では、塩基エディターは、DNA内のシトシン(C)及びアデノシン(A)を脱アミノ化することができる。一部の実施形態では、塩基エディターは、シチジン塩基エディター(CBE)である。一部の実施形態では、塩基エディターは、アデノシン塩基エディター(ABE)である。一部の実施形態では、塩基エディターは、アデノシン塩基エディター(ABE)及びシチジン塩基エディター(CBE)である。一部の実施形態では、塩基エディターは、アデノシンデアミナーゼに融合されたヌクレアーゼ不活性型Cas9(dCas9)である。一部の実施形態では、塩基エディターは、塩基除去修復の阻害因子(例えば、UGIドメイン、又はdISNドメイン)に融合される。一部の実施形態では、融合タンパク質は、デアミナーゼに融合されたCas9ニッカーゼと、塩基除去修復の阻害因子(例えば、UGIドメイン又はdISNドメイン)と、を含む。他の実施形態では、塩基エディターは、脱塩基の塩基エディターである。塩基エディターの詳細は、国際PCT出願第2017/045381号(WO2018/027078)及び同第PCT/US2016/058344号(WO2017/070632)に記載されており、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。また、Komor,A.C.,et al.,“Programmable editing of a target base in genomic DNA without double-stranded DNA cleavage”Nature 533,420-424(2016)、Gaudelli,N.M.,et al.,“Programmable base editing of A・T to G・C in genomic DNA without DNA cleavage”Nature 551,464-471(2017)、Komor,A.C.,et al.,“Improved base excision repair inhibition and bacteriophage Mu Gam protein yields C:G-to-T:A base editors with higher efficiency and product purity”Science Advances 3:eaao4774(2017)、及びRees,H.A.,et al.,“Base editing:precision chemistry on the genome and transcriptome of living cells.”Nat Rev Genet.2018 Dec;19(12):770-788.doi:10.1038/s41576-018-0059-1を参照されたく、その全容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0105】
塩基編集活性:「塩基編集活性」とは、(例えば、塩基を脱アミノ化することによって)ポリヌクレオチド内の塩基を化学的に変化させるように作用することを意味する。一実施形態では、第1の塩基は、第2の塩基に変換される。一実施形態では、塩基編集活性は、シチジンデアミナーゼ活性であり、例えば、標的C・GをT・Aに変換する。別の実施形態では、塩基編集活性は、アデノシン又はアデニンデアミナーゼ活性であり、例えば、A・TをG・Cに変換する。別の実施形態では、塩基編集活性は、シチジンデアミナーゼ活性であり、例えば、標的C・GをT・Aに変換し、かつアデノシン又はアデニンデアミナーゼ活性であり、例えば、A・TをG・Cに変換する。
【0106】
塩基エディター系:「塩基エディター系」という用語は、標的ヌクレオチド配列の核酸塩基を編集するための系を指す。様々な実施形態では、塩基エディター(BE)系は、(1)標的ヌクレオチド配列中の核酸塩基を脱アミノ化するための、ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメイン(例えば、Cas9)、デアミナーゼドメイン、及びシチジンデアミナーゼドメイン、並びに(2)ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインと併せて、1つ以上のガイドポリヌクレオチド(例えば、ガイドRNA)を含む。様々な実施形態では、塩基エディター(BE)系は、アデノシンデアミナーゼ又はシチジンデアミナーゼから選択される核酸塩基エディタードメイン、及び核酸配列特異的結合活性を有するドメインを含む。一部の実施形態では、塩基エディター系は、(1)標的ヌクレオチド配列中の1つ以上の核酸塩基を脱アミノ化するための、ポリヌクレオチドプログラマブルDNA結合ドメイン及びデアミナーゼドメインを含む塩基エディター(BE)、並びに(2)ポリヌクレオチドプログラマブルDNA結合ドメインと併せて、1つ以上のガイドRNAを含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインは、ポリヌクレオチドプログラマブルDNA結合ドメインである。一部の実施形態では、塩基エディターは、シチジン塩基エディター(CBE)である。一部の実施形態では、塩基エディターは、アデニン又はアデノシン塩基エディター(ABE)である。一部の実施形態では、塩基エディターは、アデニン又はアデノシン塩基エディター(ABE)又はシチジン塩基エディター(CBE)である。
【0107】
生物学的に活性:本明細書で使用される場合、「生物学的に活性」という語句は、生物学的系、特に生物において活性を有する任意の薬剤の特徴を指す。例えば、生物に投与される場合、その生物に対して生物学的効果を有する薬剤は、生物学的に活性であるとみなされる。特定の実施形態では、ペプチドが生物学的に活性である場合、ペプチドの少なくとも1つの生物学的活性を共有するそのペプチドの一部分は、典型的には、「生物学的に活性」な部分と称される。
【0108】
開裂:本明細書で使用される場合、開裂は、本明細書に記載のCRISPR系のヌクレアーゼによって作製される標的核酸の切断を指す。一部の実施形態では、開裂事象は、二本鎖DNA切断である。一部の実施形態では、開裂事象は、一本鎖DNA切断である。一部の実施形態では、開裂事象は、一本鎖RNA切断である。一部の実施形態では、開裂事象は、二本鎖RNA切断である。
【0109】
相補的:「相補的」又は「相補性」とは、核酸が、伝統的なワトソン-クリック又はフーグスティーン塩基対形成のいずれかによって、別の核酸配列と水素結合(複数可)を形成することができることを意味する。相補的な塩基対形成は、G-C及びA-T塩基対形成だけでなく、イノシンなどの普遍的な塩基を伴う塩基対形成も含む。相補性パーセントは、第2の核酸配列と水素結合を形成(例えば、ワトソン-クリック塩基対形成)することができる核酸分子内の隣接した残基のパーセンテージを示す(例えば、10個のヌクレオチドを有する第2の核酸配列に対して塩基対形成される第1のオリゴヌクレオチド中の合計10個のヌクレオチドのうちの5、6、7、8、9、又は10個のヌクレオチドは、それぞれ、50%、60%、70%、80%、90%、及び100%の相補性を表す)。相補性パーセントを決定するために、第2の核酸配列と水素結合を形成(例えば、ワトソン-クリック塩基対形成)することができる核酸分子内の隣接した残基のパーセンテージを計算し、最も近い整数に四捨五入される(例えば、23個のヌクレオチドを有する第2の核酸配列に対して塩基対形成される第1のオリゴヌクレオチド中の合計23個のヌクレオチドのうちの12、13、14、15、16、又は17個のヌクレオチドは、それぞれ、52%、57%、61%、65%、70%、及び74%を表し、それぞれ、少なくとも50%、50%、60%、60%、70%、及び70%の相補性を有する)。本明細書で使用される場合、「実質的に相補的」とは、それらが生物学的な条件下でハイブリダイゼーション可能であるような鎖間の相補性を指す。実質的に相補的な配列は、60%、70%、80%、90%、95%、又は更には100%の相補性を有する。更に、2つの鎖が、それらのヌクレオチド配列を調べることによって、生物学的な条件下でハイブリダイゼーションすることができるかどうかを決定する技術は、当該技術分野で周知である。
【0110】
クラスター化して間隔を開けた短い回文配列反復(CRISPR)関連(Cas)系:本明細書で使用される場合、CRISPR-Cas9系は、CRISPRエフェクター、RNAガイド、及びCRISPR遺伝子座からの他の配列及び転写物をコードする配列を含む、CRISPRエフェクターの発現に関与する、又はその活性を指向する核酸及び/又はタンパク質を指す。一部の実施形態では、CRISPR系は、操作された天然に生じないCRISPR系である。一部の実施形態では、CRISPR系の成分は、系の1つ以上の成分をコードする核酸(複数可)(例えば、ベクター)、タンパク質形態の成分(複数可)、又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0111】
CRISPRアレイ:「CRISPRアレイ」という用語は、本明細書で使用される場合、CRISPR反復及びスペーサーを含む核酸(例えば、DNA)セグメントを指す。一部の実施形態では、CRISPRアレイは、第1のCRISPR反復の第1のヌクレオチドで始まり、最後の(末端)CRISPR反復の最後のヌクレオチドで終わる、CRISPR反復及びスペーサーを含む。典型的には、CRISPRアレイ中の各スペーサーは、2つの反復の間に位置する。「CRISPR反復」又は「CRISPR直接反復」、又は「直接反復」という用語は、本明細書で使用される場合、CRISPRアレイ内の配列バリエーションをほとんど示さないか、又は全く示されない複数の短い直接反復配列を指す。
【0112】
CRISPR関連タンパク質(Cas):「CRISPR関連タンパク質」、「CRISPRエフェクター」、「エフェクター」、又は「CRISPR酵素」という用語は、本明細書で使用される場合、RNAガイドによって特定される核酸上の標的部位に酵素活性を行う、及び/又は結合するタンパク質を指す。種々の実施形態では、CRISPRエフェクターは、エンドヌクレアーゼ活性、ニッカーゼ活性、エキソヌクレアーゼ活性、トランスポザーゼ活性、及び/又は切除活性を有する。他の実施形態では、CRISPRエフェクターは、ヌクレアーゼ不活性である。
【0113】
crRNA:「CRISPR RNA」又は「crRNA」という用語は、本明細書で使用される場合、特定の核酸配列を標的化するためにCRISPRエフェクターによって使用されるガイド配列を含むRNA分子を指す。典型的には、crRNAは、標的認識を媒介する配列、及びtracrRNAと二本鎖を形成する配列を含む。一部の実施形態では、crRNA:tracrRNA二本鎖は、CRISPRエフェクターに結合する。
【0114】
二本鎖:本明細書で使用される場合、「二本鎖」は、2つの一本鎖核酸の相互作用によって形成された二重らせん構造を指す。二本鎖は、典型的には、互いに関して逆平行に配向された2つの一本鎖核酸間の塩基の対水素結合、すなわち、「塩基対形成」によって形成される。二本鎖における塩基対形成は、概して、ワトソン-クリック塩基対形成によって行われ、例えば、グアニン(G)は、DNA及びRNAにおけるシトシン(C)と塩基対を形成し、アデニン(A)は、DNAにおけるチミン(T)と塩基対を形成し、アデニン(A)は、RNAにおけるウラシル(U)と塩基対を形成する。塩基対が形成され得る条件としては、生理学的又は生物学的に関連する条件(例えば、細胞内:pH7.2、140mMのカリウムイオン、細胞外pH7.4、145mMのナトリウムイオン)が含まれる。更に、二本鎖は、隣接するヌクレオチド間の相互作用を積み重ねることによって安定化される。本明細書で使用される場合、二本鎖は、塩基対形成又は相互作用を積み重ねることによって確立され得るか、又は維持され得る。二本鎖は、実質的に相補的であり得るか、又は完全に相補的であり得る2つの相補的核酸鎖によって形成される。いくつかの塩基にわたって塩基対形成する一本鎖核酸は「ハイブリダイゼーションする」と言われる。
【0115】
エクスビボ:本明細書で使用される場合、「エクスビボ」という用語は、多細胞生物内ではなく、外部で増殖した細胞又は組織において生じる事象を指す。
【0116】
機能的同等物又は類似体:本明細書で使用される場合、「機能的同等物」又は「機能的類似体」という用語は、アミノ酸配列の機能的誘導体の状況において、元の配列の生物学的活性と実質的に同様の生物学的な活性(機能又は構造のいずれか)を保持する分子を示す。機能的誘導体又は同等物は、天然誘導体であってもよく、又は合成的に調製されてもよい。例示的な機能的誘導体としては、タンパク質の生物学的な活性が保存されることを条件として、1つ以上のアミノ酸の置換、欠失、又は付加を有するアミノ酸配列が挙げられる。置換するアミノ酸は、望ましくは、置換されたアミノ酸と同様の化学物理的特性を有する。同様の望ましい化学物理的特性としては、電荷の類似性、かさ高さ、疎水性、親水性などが含まれる。
【0117】
半減期:本明細書で使用される場合、「半減期」という用語は、タンパク質濃度又は活性などの量が、期間の開始時に測定されたその値の半分に低下するのに必要な時間である。
【0118】
ハイブリダイゼーションする:「ハイブリダイゼーションする」とは、ストリンジェントな様々な条件下で、相補的なポリヌクレオチド配列(例えば、本明細書に記載の遺伝子)又はその一部分の間で二本鎖分子を形成することを意味する。(例えば、Wahl,G.M.and S.L.Berger(1987)Methods Enzymol.152:399、Kimmel,A.R.(1987)Methods Enzymol.152:507を参照されたい)。「ハイブリダイゼーション」は、相補的な核酸塩基間のワトソン-クリック水素結合、フーグスティーン水素結合、又は逆フーグスティーン水素結合であり得る水素結合によって生じる。例えば、アデニン及びチミンは、水素結合の形成を通して対合する相補的な核酸塩基である。
【0119】
改善する、増加する、又は低減する:本明細書で使用される場合、「改善する」、「増加する」、若しくは「低減する」という用語、又は文法的同等物は、本明細書に記載の治療の開始前の同じ個体における測定値、又は本明細書に記載の治療の不在下での対照対象(又は複数の対照対象)における測定値などの、ベースライン測定値に対する値を示す。「対照対象」は、治療されている対象と同じ形態の疾患に罹患している対象であり、治療されている対象とほぼ同じ年齢である。
【0120】
インデル:本明細書で使用される場合、「インデル」という用語は、核酸配列における塩基の挿入又は欠失を指す。一般的に変異をもたらし、遺伝的バリエーションの一般的な形態である。
【0121】
阻害:本明細書で使用される場合、「阻害」、「阻害する」、及び「阻害すること」という用語は、目的のタンパク質又は遺伝子の活性及び/又は発現を減少又は低減するプロセス又は方法を指す。典型的には、タンパク質又は遺伝子を阻害することは、本明細書に記載されるか、又は当該技術分野で認識される1つ以上の方法によって測定される、タンパク質又は遺伝子の発現又は関連する活性を少なくとも10%以上、例えば、20%、30%、40%、若しくは50%、60%、70%、80%、90%若しくはそれ以上低減させること、又は1倍より大きい、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、50倍、100倍若しくはそれ以上の発現又は関連する活性の低下を指す。
【0122】
インビトロ:本明細書で使用される場合、「インビトロ」という用語は、多細胞生物内ではなく、人工環境、例えば、試験管又は反応容器内、細胞培養内などにおいて生じる事象を指す。
【0123】
インビボ:本明細書で使用される場合、「インビボ」という用語は、ヒト及び非ヒト動物などの多細胞生物内で生じる事象を指す。細胞ベースの系の文脈では、用語は、(例えば、インビトロ系とは対照的に)生細胞内で生じる事象を指すために使用され得る。
【0124】
リンカー又はスペーサー:リンカー又はスペーサーは、gRNA配列の末端位置をNSL配列から物理的に分離して、gRNAのCas結合及び機能を可能にするヌクレオチド又はアミノ酸配列である。一部の実施形態では、リンカーは、RNAである。一部の実施形態では、リンカーは、化学部分である。一部の実施形態では、リンカーは、ペプチドである。一部の実施形態では、リンカーは、DNAである。一部の実施形態では、リンカーは、化学リンカー、例えば、PEG9/18である。一部の実施形態では、リンカーは、DNAリンカーである。
【0125】
オリゴヌクレオチド:本明細書で使用される場合、「オリゴヌクレオチド」という用語は、概して、約5~約100個のヌクレオチドの一本鎖又は二本鎖DNAのポリヌクレオチドを指す。オリゴヌクレオチドは、「オリゴマー」又は「オリゴ」としても知られており、遺伝子から単離されてもよく、又は化学的に合成されてもよい。
【0126】
PAM:「PAM」又は「プロトスペーサー隣接モチーフ」という用語は、CRISPR-Cas9などの、CRISPR系による開裂の標的となる核酸領域に続く短い核酸配列(通常、2~6個の塩基対の長さ)を指す。Casヌクレアーゼが切断するために、PAMが必要とされる場合があり、概して、切断部位から3~4個のヌクレオチドの下流に見出される。
【0127】
ポリペプチド:「ポリペプチド」という用語は、本明細書で使用される場合、ペプチド結合を介してともに連結されたアミノ酸の連続鎖を指す。用語は、任意の長さのアミノ酸鎖を指すために使用されるが、当業者は、用語が長鎖に限定されず、ペプチド結合を介してともに連結された2つのアミノ酸を含む最小鎖を指すことができることを理解するであろう。当業者に既知のように、ポリペプチドは、処理及び/又は修飾され得る。本明細書で使用される場合、「ポリペプチド」及び「ペプチド」という用語は、互換的に使用される。
【0128】
予防する:本明細書で使用される場合、「予防する」又は「予防」という用語は、疾患、障害、及び/又は状態の発生に関連して使用される場合、疾患、障害、及び/又は状態を発症するリスクを低減することを指す。
【0129】
タンパク質:「タンパク質」という用語は、本明細書で使用される場合、別個の単位として機能する1つ以上のポリペプチドを指す。単一のポリペプチドが別個の機能単位であり、別個の機能単位を形成するために他のポリペプチドとの永続的又は一時的な物理的会合を必要としない場合、「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、互換的に使用され得る。個別機能単位が、互いに物理的に会合する1つより多くのポリペプチドからなる場合、「タンパク質」という用語は、物理的にカップリングされ、個別単位としてともに機能する複数のポリペプチドを指す。
【0130】
参照:「参照」の実体、系、量、条件のセットなどは、本明細書に記載のように試験の実体、系、量、条件のセットなどと比較されるものである。例えば、一部の実施形態では、「参照」抗体は、本明細書に記載のように操作されていない対照抗体である。
【0131】
RNAガイド:「RNAガイド」又は「ガイドRNA」という用語は、本明細書に記載のタンパク質の標的核酸への標的化を促進するRNA分子を指す。例示的な「RNAガイド」又は「ガイドRNA」としては、同族のtracrRNAと組み合わせたcrRNA又はcrRNAが挙げられるが、これらに限定されない。後者は、独立したRNAであってもよく、又はリンカー(sgRNA)を使用して単一のRNAとして融合されてもよい。一部の実施形態では、RNAガイドは、化学的又は生化学的修飾を含むように操作され、一部の実施形態では、RNAガイドは、1つ以上のヌクレオチドを含み得る。「RNAガイド」又は「ガイドRNA」という用語は、NLS-gRNAも指す。
【0132】
一本鎖リガーゼ:本明細書で使用される場合、「一本鎖リガーゼ」という用語は、そのライゲーション活性のためにオリゴヌクレオチドスプリント又はテンプレートを必要としないリガーゼを意味する。
【0133】
スプリント又はオリゴヌクレオチドスプリント:「スプリント」又は「オリゴヌクレオチドスプリント」という用語は、少なくとも2つ、3つ、又はそれ以上の一本鎖RNAヌクレオチドとハイブリダイゼーションすることができる一本鎖RNA若しくはDNA、又は他のポリマーを指す。例えば、スプリントは、オリゴヌクレオチドスプリントを指し得る。
【0134】
対象:「対象」という用語は、本明細書で使用される場合、診断、予後、又は療法が望まれる任意の対象を意味する。例えば、対象は、哺乳動物、例えば、ヒト又は非ヒト霊長類(類人猿、サル、オランウータン、又はチンパンジーなど)、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ウシ(cattle)、又はウシ(cow)であり得る。
【0135】
sgRNA:「sgRNA」、「シングルガイドRNA」、又は「ガイドRNA」という用語は、(i)ガイド配列(crRNA配列)及び(ii)Cas9ヌクレアーゼリクルーティング配列(tracrRNA)を含有する、シングルガイドRNAを指す。
【0136】
実質的な同一性:「実質的な同一性」という語句は、アミノ酸又は核酸配列間の比較を指すために本明細書で使用される。当業者に理解されるように、2つの配列は、概して、対応する位置に同一の残基を含有する場合、「実質的に同一」であるとみなされる。当該技術分野で周知であるように、アミノ酸又は核酸配列は、様々なアルゴリズムのうちのいずれかを使用して比較され得、それは、ヌクレオチド配列についてはBLASTN、及びアミノ酸配列についてはBLASTP、ギャップ付きBLAST、及びPSI-BLASTなどの市販のコンピュータプログラムで利用可能なものを含む。例示的なかかるプログラムは、Altschul,et al.,Basic local alignment search tool,J.Mol.Biol.,215(3):403-410,1990、Altschul,et al.,Methods in Enzymology、Altschul et al.,Nucleic Acids Res.25:3389-3402,1997、Baxevanis et al.,Bioinformatics:A Practical Guide to the Analysis of Genes and Proteins,Wiley,1998、及びMisener,et al.,(eds.),Bioinformatics Methods and Protocols(Methods in Molecular Biology,Vol.132),Humana Press,1999に記載される。同一の配列を同定することに加えて、上述のプログラムは、典型的には、同一性の程度の指標を提供する。一部の実施形態では、2つの配列が、対応する残基の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上が、関連するひと続きの残基にわたって同一である場合、実質的に同一であるとみなされる。一部の実施形態では、関連するひと続きは、完全な配列である。一部の実施形態では、関連するひと続きは、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500又はそれ以上の残基である。
【0137】
標的核酸:「標的核酸」という用語は、本明細書で使用される場合、CRISPR-Cas9系が結合する任意の長さのヌクレオチド(オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド)、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、又はそれらの類似体のいずれかを指す。標的核酸は、コーディング領域又は非コーディング領域を含み得る三次元構造を有し得、エクソン、イントロン、mRNA、tRNA、rRNA、siRNA、shRNA、miRNA、リボザイム、cDNA、プラスミド、ベクター、外因性配列、内因性配列を含み得る。標的核酸は、修飾されたヌクレオチド、メチル化されたヌクレオチド、又はヌクレオチド類似体を含み得る。標的核酸は、非核酸成分とともに散布されてもよい。標的核酸は、一本鎖、二本鎖、若しくは多重鎖のDNA若しくはRNA、ゲノムDNA、cDNA、DNA-RNAハイブリッド、又はプリン及びピリミジン塩基、若しくは他の天然、化学的若しくは生化学的に修飾された、非天然、若しくは誘導体化されたヌクレオチド塩基を含むポリマーであるが、これらに限定されない。
【0138】
治療有効量:本明細書で使用される場合、「治療有効量」という用語は、任意の医学的治療に適用可能な妥当な利益/リスク比で治療される対象に治療効果を与える治療分子(例えば、本明細書に記載の操作された抗体)の量を指す。治療効果は、客観的であり得る(すなわち、何らかの試験又はマーカーによって測定可能である)、又は主観的であり得る(すなわち、対象が効果の指標を与えるか、又は効果を感じる)。特に、「治療有効量」とは、疾患と関連する症状を改善すること、疾患の発症を予防又は遅延させること、及び/又は疾患の症状の重症度若しくは頻度を減少させることなどによって、特定の疾患若しくは状態を治療、改善、若しくは予防するのに有効であるか、又は検出可能な治療効果若しくは予防効果を示すのに有効である治療分子又は組成物の量を指す。治療有効量は、複数の単位用量を含み得る投与レジメンで投与することができる。任意の特定の治療分子について、治療有効量(及び/又は有効な投与レジメン内の適切な単位用量)は、例えば、投与経路、又は他の薬剤との組み合わせに依存して変動し得る。また、任意の特定の対象に対する特定の治療有効量(及び/又は単位用量)は、治療されている障害及び障害の重症度;用いられる特定の薬剤の活性;用いられる特定の組成物;対象の年齢、体重、一般的な健康、性別及び食事;用いられる特定の治療分子の投与時間、投与経路、及び/又は排泄若しくは代謝速度;治療期間;並びに医学分野で周知の同様の因子を含む、様々な因子に依存し得る。
【0139】
tracrRNA:「tracrRNA」又は「トランス活性化crRNA」という用語は、本明細書で使用される場合、CRlSPR関連タンパク質が特定された標的核酸に結合するのに必要な構造を形成する配列を含むRNAを指す。
【0140】
治療:本明細書で使用される場合、「治療」(「治療する」又は「治療すること」も)という用語は、特定の疾患、障害、及び/又は状態の1つ以上の症状又は特徴の発症を部分的に又は完全に緩和、改善、軽減、阻害、遅延、それらの重症度の低減、及び/又はそれらの発生率を低減する治療分子(例えば、本明細書に記載のCRISPR-Cas治療タンパク質又は系)の任意の投与を指す。そのような治療は、関連する疾患、障害、及び/若しくは状態の兆候を示していない対象、並びに/又は疾患、障害、及び/若しくは状態の早期兆候のみを示している対象の治療であり得る。代替的又は追加的に、そのような治療は、関連する疾患、障害及び/又は状態の1つ以上の確立された兆候を示す対象のものであってもよい。
【0141】
図面は、限定のためではなく、例示の目的のみのためである。
【図面の簡単な説明】
【0142】
図1】NLS配列にコンジュゲートされたgRNAの例示的な概略図である。この特定の設計では、gRNAの3’末端は、ペプチドスペーサーのN末端、続いてSV40に由来するNLS配列にコンジュゲートされる。
図2】spCas9のN末端に融合したアデニンデアミナーゼを含む塩基エディターで達成されるアデニンのグアニン塩基への(AからGへの)変換パーセンテージの結果を示す例示的なグラフである。AからGへの変換パーセンテージ(y軸)は、塩基エディターをコードするmRNAの様々な比率(1:1、1:3、及び1:9)で、NLSの有無にかかわらず、様々なガイドRNAについてプロットされる。「リポ対照」は、リポフェクタミン中の塩基エディターgRNA(NLSを含まない)をコードするmRNAを含む。「リポ対照」は、LNP群に対するトランスフェクション対照として機能するように製剤化した。
図3A】異なる修飾を有するgRNAの例示的な概略図である。「EM」(末端修飾)gRNAは、2’OMe修飾を有する3’及び5’末端の両方に3個のヌクレオチドを有する。「HM1」(重度修飾1)は、47%の2’OMe修飾で修飾されたgRNAを有する。「HM2」(重度修飾2)は、60%の2’OMe修飾で修飾されたgRNAを有する。「HM3」(重度修飾3)は、88%の2’OME及び2’F修飾で修飾されたgRNAを有する。実施例2に使用されるNLS-gRNAは、末端修飾を含む。
図3B】マウスにおいてspCas9のN末端に融合したアデニンデアミナーゼを含む塩基エディターで達成されるアデニンのグアニン塩基への(AからGへの)変換パーセンテージの結果を示す例示的なグラフである。AからGへの変換パーセンテージ(y軸)は、NLSの有無にかかわらず、及びgRNAにおける様々な修飾の有無にかかわらず、様々なガイドRNAについてプロットされる。
図4A】非ヒト霊長類(NHP)においてspCas9のN末端に融合したアデニンデアミナーゼを含む塩基エディターで達成される塩基編集効率の結果を示す例示的なグラフである。肝臓における塩基編集効率(y軸)は、NLSの有無にかかわらず、及びgRNAにおける様々な修飾の有無にかかわらず、様々なガイドRNAについてプロットされる。
図4B】毒性学結果を示す一連の例示的なグラフである。AST及びALTレベルを投与後24時間で測定し、異なるgRNAを含む製剤による投与前のAST/ALTレベルと比較して、倍率変化を示す。
図5】マウスにおいてsaCas9のN末端に融合したアデニンデアミナーゼを含む塩基エディターで達成されるアデニンのグアニン塩基への(AからGへの)変換パーセンテージの結果を示す例示的なグラフである。オンターゲット及びバイスタンダー編集の両方についてのAからGへの変換パーセンテージ(y軸)を、様々な純度及び修飾を有する様々なガイドRNAについてプロットした。
図6A】huG6PC-R83Cに対してヘテロ接合性のトランスジェニックマウスモデルの肝臓抽出物におけるGSD1a変異のインビボ修正を示す。図6Aは、インビボワークフローを示す概略図である。塩基エディターmRNA及びgRNAを担持する脂質ナノ粒子(LNP)を、R83C変異を保有するhuG6PC(huR83C HET)に対してヘテロ接合性のトランスジェニックマウスにおいて、IV注射を介して投与した。
図6B】huG6PC-R83Cに対してヘテロ接合性のトランスジェニックマウスモデルの肝臓抽出物におけるGSD1a変異のインビボ修正を示す。図6Bは、バイスタンダー編集に対してオンターゲットを比較するMSP828を使用するGSD1a R83C変異のAからGへの塩基編集効率を示す棒グラフである。
図6C】TadAアデノシンデアミナーゼバリアントMSP605、MSP824、MSP825、MSP680、MSP828、及びMSP820を使用する、R83C変異を保有するhuG6PCに対してヘテロ接合性のトランスジェニックマウスモデルにおけるGSD1a R83C変異の修正を示す棒グラフである。インビトロスクリーニングを実行して、R83C修正のための所望の塩基エディターを選択した。gRNA及び代表的な塩基エディターのLNP共製剤を、huG6PC-R83Cに対してヘテロ接合性のトランスジェニックマウスにおいて、(1mpkの亜飽和用量で)インビボで投与した。LNP治療されたhuG6PC-R83Cヘテロ接合体トランスジェニック動物の肝臓におけるR83C修正のためのバリアントの塩基編集効力を図6Cに示す。バリアントMSP828は、これらの条件下で高レベルのオンターゲット活性をもたらした。AからGへの塩基編集効率は、オンターゲット及びバイスタンダー編集について示される。
図7】正常及び機能喪失g6pc機能並びに関連する転帰を示す概略図を示す。GSD-Ia(又は本明細書におけるGSD1a)は、g6pc遺伝子における変異によって引き起こされる常染色体劣性障害である。酵素の活性部位に位置するR83Cは、白人GSD-Ia患者において特定された最も広く見られる病原性変異であり、G6Paseの不活性化と関連している。G6Pase機能の喪失は、生命を脅かす低血糖、発作、及び更には死亡をもたらす可能性がある。低血糖を緩和するために、患者は、昼夜を通して、ゆっくりとしたグルコース放出処方によって、グルコース補充の厳格かつ頻繁な遵守を維持しなければならない。1回の用量の見逃し又は遅延が、緊急の低血糖を引き起こす可能性がある。多くの合併症の中で、肝臓の拡大、尿酸、乳酸、及び脂質の蓄積は、GSD-Ia患者で一般的である。
図8】本明細書に記載の塩基エディターが、編集ウィンドウ内で永続的な、予測されるヌクレオチド置換を生成することを示す概略図を示す。R83C変異は、g6pc遺伝子において単一のG>A変換を導入する。アデニン塩基エディター(ABE)は、ゲノムDNAにおけるAからGへのプログラマブル変換を可能にし、したがって、この変異を修正するために使用され得る。図8は、本明細書に記載のABE及び塩基編集の有用性を示す。ABEは、ガイドRNAに相補的である標的DNAに結合し、一本鎖DNAの伸長を曝露する。デアミナーゼは、標的アデニンをイノシンに変換し、Cas酵素は、反対側の鎖をニックし、次いで修復され、塩基対の変換を完了する。点変異の直接的な修復は、遺伝子機能の回復のための可能性を有する。
図9A】標的ヌクレオチド部位、並びにバイスタンダー及びPAMヌクレオチドの描写、かつ不死化HEK293細胞に使用されるABEが、R83Cの顕著な正確な修正率をもたらすことを示す棒グラフを提供する。g6pc遺伝子におけるAからGへの変換についての塩基エディターを、R83Cの修正のために最適化した。図9Aには、GSD-Ia R83C変異についての標的DNA配列(CCACCAGTATGGACACTGTCCAAAGAGAAT(配列番号17))及び基礎となるアミノ酸翻訳(WWYPCQGFLI、配列番号18)が示されている。標的編集は、位置12で二重下線により示される。編集ウィンドウはまた、位置6で一重下線により示される可能性のあるバイスタンダーを含み、同義変換をもたらし得る編集が位置10に示される。スクリーニングのために、HEK293細胞株を生成して、R83C変異を保有するg6pc導入遺伝子を発現させ、塩基エディターmRNA及びgRNAでトランスフェクトした。対立遺伝子頻度を、高スループット標的化アンプリコン次世代配列決定(NGS)によって評価した。
図9B】標的ヌクレオチド部位、並びにバイスタンダー及びPAMヌクレオチドの描写、かつ不死化HEK293細胞に使用されるABEが、R83Cの顕著な正確な修正率をもたらすことを示す棒グラフを提供する。g6pc遺伝子におけるAからGへの変換についての塩基エディターを、R83Cの修正のために最適化した。バリアント1~5は、最適化された標的修正のために操作された、gRNA及び塩基エディターRNAの組み合わせを表す。バリアント5は、限定的なバイスタンダー編集を用いるR83C修正のためのおよそ60%の標的化された塩基編集効率をもたらした(図9B)。
図10】3週間齢のホモ接合huR83C(Hom huR83C)マウスが、GSD-1aの予想される成長障害及び代謝欠陥の特徴を示したことを実証する写真画像及び棒グラフを提示する。実験のために、マウスG6PCの代わりにヒトG6PC-R83C導入遺伝子を発現するGSD-Iaマウスを生成して、インビボでの塩基編集を検証した。示された結果は、huR83Cに対してホモ接合のマウスが出生後の致死性を示したことを確認し、それらは死産であったか、又は24時間以内に死亡した。グルコース補充療法において、動物は少なくとも3週齢まで生存し、同腹仔対照と比較して、体重の低減、肝臓の拡大、顕著なG6Pase阻害、及び血清代謝産物の異常を伴うGSD-Iaの特徴的な病理学的兆候を明らかにした。臨床及び公表された報告と一致する表現型。
図11A】本明細書に記載の塩基エディター(ABE)によって達成されるインビボ修正のドットプロットを示す。図11Aは、成体及び新生のヘテロ接合性huR83Cマウスの肝臓における、効率的な脂質ナノ粒子(LNP)媒介性塩基編集(huG6PC-R83C修正)を示す。インビボでのR83C修正のための塩基編集効率を検証するために、LNP媒介性送達を、huR83Cに対してヘテロ接合性のより少ない脆弱性のトランスジェニックマウスにおいて最初に最適化した。図6Aにおける概略図は、IV注射を介して投与した、脂質ナノ粒子(LNP)、又は塩基エディターmRNA及びgRNAのLNP共製剤を用いる、これらの実験のためのインビボワークフローを示す。ホモ接合マウスの新生児の致死性を考慮して、LNP投与は、出生直後のヘテロ接合性huR83Cマウスの側頭静脈を介して用いられ、活性は、尾静脈を介して投与されたLNPを受けた成体ヘテロ接合性huR83Cマウスで見られた活性と比較された。全肝臓抽出物のNGS分析は、より広い範囲の効率を有する、成体でおよそ40%の塩基編集効率及び新生児で最大約60%の効率を明らかにした。バイスタンダー編集は、成体及び新生児において低いままであった。
図11B】本明細書に記載の塩基エディター(ABE)によって達成されるインビボ修正のドットプロットを示す。図6Aにおける概略図は、IV注射を介して投与した、脂質ナノ粒子(LNP)、又は塩基エディターmRNA及びgRNAのLNP共製剤を用いる、これらの実験のためのインビボワークフローを示す。ホモ接合マウスの新生児の致死性を考慮して、LNP投与は、出生直後のヘテロ接合性huR83Cマウスの側頭静脈を介して用いられ、活性は、尾静脈を介して投与されたLNPを受けた成体ヘテロ接合性huR83Cマウスで見られた活性と比較された。全肝臓抽出物のNGS分析は、より広い範囲の効率を有する、成体でおよそ40%の塩基編集効率及び新生児で最大約60%の効率を明らかにした。バイスタンダー編集は、成体及び新生児において低いままであった。図11Bは、肝臓におけるLNP媒介性R83C修正が、新生児のホモ接合huR83Cマウス及び同腹仔ヘテロ接合性huR83Cマウスの生存と関連することを示す。簡潔に述べると、huR83Cに対してホモ接合の新生児マウスを、ガイドRNA及びABEをコードするmRNAを含有するLNPで治療した。治療されたマウスは、グルコース療法の不在下で、低血糖誘発性発作を伴わずに正常に3週齢まで成長した。治療されたホモ接合huR83Cマウスは、huR83Cに対してヘテロ接合性であった同腹子対照と一致して、総肝臓抽出物において最大約60%の編集効率(すなわち、約60%のR83C修正)を示した。
図12A】huG6PC-R83Cに対してホモ接合のマウスにおける本明細書に記載の塩基編集を示す棒グラフ及び免疫組織化学染色画像を示し、GSD-Ia病態を逆転させるために、ほぼ正常な代謝機能を回復させる。図12Aにおけるグラフ中の最も暗い棒によって示されるように、3週間で、治療されたホモ接合huR83Cマウスが、グルコース、トリグリセリド、コレステロール、乳酸、及び尿酸を含むほぼ正常な血清代謝産物マーカーの回復を伴って、適切な代謝機能を示したことを検証した。更に、LNP治療ホモ接合huR83CマウスにおけるG6PC活性の生化学的アッセイ(生化学的に及び鉛-ホスフェート染色を介して評価される)は、同腹仔対照のものと一致した。GSD-Iaの別の臨床的提示である肝腫大は、主に、過剰なグリコーゲン及び脂質沈着によって引き起こされる。
図12B】huG6PC-R83Cに対してホモ接合のマウスにおける本明細書に記載の塩基編集を示す棒グラフ及び免疫組織化学染色画像を示し、GSD-Ia病態を逆転させるために、ほぼ正常な代謝機能を回復させる。免疫組織化学分析は、LNP治療マウスにおける正常な肝細胞サイズ及び脂質沈着を明らかにした(図12B)。結果は、R83C変異及びGSD-Iaと関連する代謝欠陥を修正するための塩基編集の可能性を実証する。
図13】本明細書に記載の塩基編集を介する24時間の絶食チャレンジ中に、ホモ接合huG6PC-R83Cマウスにおける単回LNP用量投与が正常血糖を維持したことを示す棒グラフを示す。
図14】カプラン-マイヤー生存曲線を生成して、huG6PC-R83Cに対してホモ接合の新生トランスジェニックマウスの生存を、ABE mRNAを介する塩基編集後又は未治療のいずれかで推定したことを示す。新生マウスを、以下のプライマー、ユニバーサルフォワードプライマー(5’-ACCTACTGATGATGCACCTTTGATCAATAGAT-3’(配列番号61))、マウス特異的リバースプライマー(5’-CATCACCCCTCGGGATGGTTCTT-3’(配列番号62))、ヒト特異的リバースプライマー1(5’-CAGCCCAGAATCCCAACCACAAAAT-3’(配列番号63)、及びヒト特異的リバースプライマー2(5’-AGACCAGCTCGACTTGGGATGG-3’(配列番号64))を使用して、ゲノムテールDNAにおいてPCR分析を介して遺伝子型決定した。生存は、huG6PC-R83Cに対してホモ接合のトランスジェニックマウスについて注目された。未治療マウスは、死産(n=6)であったか、又は8時間(n=6)及び24時間(n=1)で死亡したかのいずれかであった。15%グルコース注射の投与は、生存を32時間(n=5)、48時間(n=2)、及び56時間(n=2)に延長した。huG6PC-R83Cに対してホモ接合の全てのABE治療マウスは、3週間における研究の終了まで生存した。
図15A】Cy5染料で蛍光タグ付けされたgRNAの概略図である。
図15B】Cy5染料で蛍光タグ付けされたNLSにコンジュゲートされたgRNAの概略図である。
図15C】Nuc Blueによる核染色を示す。
図15D】Cy5による核染色及びALAS1/sg23 gRNAの局在化を示す。
図15E】NLS-gRNAの増強された核局在化を示す。
図15F】PXB細胞におけるgRNA及びNLS-gRNAの核局在化を示すグラフである。NLSにコンジュゲートされたとき、gRNAは、核に効果的に局在化された。ABE8.8.
図16】3’末端でsaCas9エフェクターに結合したNLSコンジュゲートのモデルである。
図17A】例示的な5%の末端修飾gRNA及び例示的な25%の重度修飾saHM03 gRNAの配列を提供する。
図17B】末端修飾gRNA及び重度修飾saHM03 gRNAに対する例示的なNLSコンジュゲートgRNAのAからGへの塩基編集効率の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0143】
CRISPR-Cas系に使用するためのgRNAの効力を増強するための、方法、組成物、及びキットが本明細書に提供される。本発明は、一部の態様では、成功した編集事象の頻度を増加する、CRISPR-Cas系に使用するための増加した効力を有する、NLS配列にコンジュゲートされたgRNA(NLS-gRNA)を産生する方法を提供する。本発明のNLS-gRNAは、gRNAの核へのより良好な輸送を提供して、細胞質RNaseから保護し、RNPの形成のためのgRNAのより高い局所濃度を増加させることができる。本発明のNLS-gRNAは、NLS配列を含まない対応するgRNAと比較して顕著により高い効力を有し、また、高度に修飾されたgRNAと比較してより高い効力を示す。
【0144】
NLS配列にコンジュゲートされたgRNA(NLS-gRNA)は、例えば、増加した効力を含む潜在的な多数の利点を有する。例えば、本発明のNLS-gRNAは、NLS配列を含まないその対応するgRNAに対して、顕著により高い塩基編集効率を提供する。更に、末端修飾を有する(例えば、3’末端及び/又は5’末端に2’OMe修飾を含む)NLS-gRNAは、高度に修飾されている(例えば、40%超、60%超、又は88%超の修飾された)gRNAと比較して、より高い効力を提供する。
【0145】
本発明の様々な態様は、以下のセクションで詳細に説明される。セクションの使用は、本発明を限定することを意図するものではない。各セクションは、本発明の任意の態様に適用することができる。本出願では、「又は」の使用は、別段明記されない限り、「及び/又は」を意味する。
【0146】
ガイドRNA(gRNA)
本明細書で使用される場合、ガイドRNA(gRNA)は、別段注記されない限り、NLS配列にコンジュゲートされたガイドRNA(NLS-gRNA)も指す。gRNAは、標的配列に相補的なポリヌクレオチド配列を含む。gRNAは、標的核酸配列とハイブリダイゼーションし、CRISPR複合体の標的核酸への配列特異的結合を指向する。一部の実施形態では、RNAガイドは、標的核酸配列に対して50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の相補性を有する。
【0147】
一部の実施形態では、gRNAは、約50個のヌクレオチド~250個のヌクレオチドである。一部の実施形態では、gRNAは、約50個のヌクレオチド~500個のヌクレオチドである。一部の実施形態では、gRNAは、約50個のヌクレオチド~1,000個のヌクレオチドである。一部の実施形態では、gRNAは、約50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、又は250ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、gRNAは、約50~75ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、gRNAは、約75~100ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、gRNAは、約100~125ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、gRNAは、約125~150ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、gRNAは、約150~175ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、gRNAは、約175~200ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、gRNAは、約200~225ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、gRNAは、約225~250ヌクレオチド長である。
【0148】
一部の実施形態では、gRNAは、ライゲーションされたcrRNA及びtracrRNAを含む。様々なcrRNA及びtracrRNA配列は、当該技術分野で既知であり、例えば、とりわけ、いくつかのII型CRISPR-Cas9系(例えば、WO2013/176772)、Cpf1、SaCas9、Cas12と関連したものである。
【0149】
gRNAは、任意の標的配列を標的化するように設計され得る。最適なアラインメントは、Needleman-Wunschアルゴリズム、Smith-Watermanアルゴリズム、Burrows-Wheelerアルゴリズム、ClustlW、ClustlX、BLAST、Novoalign、SOAP、Maq及びELANDを含む配列をアラインメントするための任意のアルゴリズムを使用して決定される。
【0150】
一部の実施形態では、gRNAは、細胞のゲノム内の独自の標的配列を標的化するように設計される。一部の実施形態では、gRNAは、PAM配列を欠くように設計される。一部の実施形態では、gRNA配列は、mFold又はGeneiousを含む折り畳みアルゴリズムを使用して、最適な二次構造を有するように設計される。一部の実施形態では、gRNAの発現は、誘導性プロモーター、例えば、ホルモン誘導性、テトラサイクリン又はドキシサイクリン誘導性、アラビノース誘導性、又は光誘導性の下であり得る。
【0151】
一部の実施形態では、gRNA配列は、CRISPR関連タンパク質と複合体を形成し、いずれの実質的なヌクレアーゼ活性もなしに特定の標的に結合し得る「死んだcrRNA」、「死んだガイド」、又は「死んだガイド配列」である。
【0152】
一部の実施形態では、gRNAは、糖ホスフェート骨格又は塩基において化学修飾されている。一部の実施形態では、gRNAは、ヌクレアーゼ耐性又は塩基対形成を改善するための、以下の修飾2’O-メチル、2’-F又はロック核酸のうちの1つ以上を有する。一部の実施形態では、gRNAは、2-チオウリジン又はN6-メチルアデノシンなどの修飾された塩基を含有し得る。
【0153】
一部の実施形態では、gRNAは、他のオリゴヌクレオチド、ペプチド、タンパク質、タグ、色素、又はポリエチレングリコールとコンジュゲートされている。
【0154】
一部の実施形態では、gRNAは、三次元構造に起因して特定の標的分子に結合するアプタマー又はリボスイッチ配列を含む。
【0155】
一部の実施形態では、gRNAは、2、3、4、又は5個のヘアピンを有する。
【0156】
一部の実施形態では、gRNAは、6個のヌクレオチドを含むポリT配列を含む転写終結配列を含む。
【0157】
gRNAの核局在化(NLS)配列へのコンジュゲーション
一態様では、本発明は、gRNAの3’末端を介してNLS配列にコンジュゲートされたgRNAを提供する。一態様では、本発明は、gRNAの5’末端を介してNLS配列にコンジュゲートされたgRNAを提供する。一態様では、本発明は、gRNAの内部部位を介してNLS配列にコンジュゲートされたgRNAを提供する。
【0158】
実施形態では、gRNAは、リンカーを介してNLSにコンジュゲートされる。実施形態では、当該リンカーは、化学部分(例えば、L)及び/又はペプチド部分(例えば、ペプチドスペーサー)を含む。
【0159】
実施形態では、gRNAは、化学部分(例えば、L)を介してNLSに直接コンジュゲートされる。実施形態では、化学部分(例えば、L)は、非ペプチド性である。実施形態では、化学部分(例えば、L)は、gRNA及びNLSの両方に共有結合している。
【0160】
実施形態では、gRNAは、ペプチド部分(例えば、ペプチドスペーサー)を介してNLSにコンジュゲートされる。実施形態では、ペプチド部分(例えば、ペプチドスペーサー)は、gRNA及びNLSの両方に共有結合している。
【0161】
実施形態では、gRNAは、化学部分(例えば、L)及びペプチド部分(例えば、ペプチドスペーサー)の両方を含むリンカーを介してNLSにコンジュゲートされる。実施形態では、かかるコンジュゲートは、化学部分L(例えば、非ペプチド性の化学部分)がgRNA及びペプチドスペーサーに共有結合しており、ペプチドスペーサーがNLSに共有結合している、式(I)による構造を有することができる。
【化2】
【0162】
一部の実施形態では、NLS配列のN末端は、化学部分(例えば、L)及びペプチド部分(例えば、ペプチドスペーサー)の両方を含むリンカーを介してgRNAの3’末端にコンジュゲートされる。一部の実施形態では、NLS配列のC末端は、化学部分(例えば、L)及びペプチド部分(例えば、ペプチドスペーサー)の両方を含むリンカーを介してgRNAの5’末端にコンジュゲートされる。一部の実施形態では、NLS配列中の内部アミノ酸は、化学部分(例えば、L)及びペプチド部分(例えば、ペプチドスペーサー)の両方を含むリンカーを介してgRNAの3’末端にコンジュゲートされる。一部の実施形態では、NLS配列中の内部アミノ酸は、化学部分(例えば、L)及びペプチド部分(例えば、ペプチドスペーサー)の両方を含むリンカーを介してgRNAの5’末端にコンジュゲートされる。一部の実施形態では、NLS配列中の内部アミノ酸は、化学部分(例えば、L)及びペプチド部分(例えば、ペプチドスペーサー)の両方を含むリンカーを介してgRNAの内部ヌクレオチドにコンジュゲートされる。
【0163】
実施形態では、gRNAは、ペプチドスペーサー又はNLSアミノ酸配列のC末端に共有結合した化学部分(例えば、L)を介してNLSにコンジュゲートされる。
【0164】
実施形態では、gRNAは、ペプチドスペーサー又はNLSアミノ酸配列のN末端に共有結合した化学部分(例えば、L)を介してNLSにコンジュゲートされる。
【0165】
実施形態では、gRNAは、gRNAの3’末端に共有結合した化学部分(例えば、L)を介してペプチドスペーサー又はNLSにコンジュゲートされる。
【0166】
実施形態では、gRNAは、gRNAの5’末端に共有結合した化学部分(例えば、L)を介してペプチドスペーサー又はNLSにコンジュゲートされる。
【0167】
実施形態では、化学部分(例えば、L)は、ペプチドスペーサー又はNLSのチオール含有残基(例えば、システイン残基)に共有結合している。
【0168】
実施形態では、化学部分(例えば、L)は、ペプチドスペーサー又はNLSのセレン含有残基(例えば、セレノシステイン残基)に共有結合している。
【0169】
実施形態では、化学部分(例えば、L)は、ペプチドスペーサー又はNLSのアミノ含有残基(例えば、リジン残基)に共有結合している。
【0170】
実施形態では、化学部分(例えば、L)は、ペプチドスペーサー又はNLSのフェノール含有残基(例えば、チロシン残基)に共有結合している。
【0171】
実施形態では、リンカー(例えば、本明細書に記載のチオール、セレン、アミノ、又はフェノール含有残基)の形成に使用されるアミノ酸残基は、化学修飾を含む。
【0172】
一部の実施形態では、gRNAは、還元的アミノ化を介してNLSにコンジュゲートされる。一部の実施形態では、gRNAは、NLS天然化学ライゲーションにコンジュゲートされる。gRNAは、チオールエンクリックを介してNLSにコンジュゲートされる。
【0173】
リンカーの調製に有用な例示的な化学物質が本明細書に記載されている。本明細書に記載の化学部分は、下部構造L及び/又はLを更に含んでもよく、L及びLは、各々独立して、C1~12アルキレン又はC2~12ヘテロアルキレンである任意選択的に置換された基である。実施形態では、L及びLは、オキソ(=O)置換基(例えば、1つ又は2つのオキソ置換基)を含む。
【0174】
マレイミド-チオール/マレイミド-セレノール付加物
実施形態では、化学部分(例えば、L)は、マレイミド-チオール付加物を含む。
【0175】
実施形態では、gRNAは、マレイミド基とチオール基との間の付加反応又はチオール-エンクリック反応を使用してNLSにコンジュゲートされる。
【0176】
実施形態では、マレイミド-チオール付加物含有部分は、チオール基を含むgRNA、及びマレイミド基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。実施形態では、マレイミド-チオール付加物含有部分は、マレイミド基を含むgRNA、及びチオール基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。
【0177】
実施形態では、化学部分(例えば、L)は、マレイミド-セレノール付加物を含む。実施形態では、gRNAは、マレイミド基とセレノール基との間の付加反応を使用してNLSにコンジュゲートされる。実施形態では、マレイミド-セレノール付加物含有部分は、セレノール基を含むgRNA、及びマレイミド基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。実施形態では、マレイミド-セレノール付加物含有部分は、マレイミド基を含むgRNA、及びセレノール基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。
【0178】
実施形態では、化学部分(例えば、L)は、
【化3】

を含み、式中、Yは、S又はSeである。
【0179】
実施形態では、Yは、Sである。実施形態では、化学部分(例えば、L)は、
【化4】

を含む。実施形態では、
【化5】

部分は、チオール基を含むgRNA、及びマレイミド基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。実施形態では、マレイミド-チオール付加物含有部分は、マレイミド基を含むgRNA、及びチオール基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。
【0180】
実施形態では、Yは、Seである。実施形態では、化学部分(例えば、L)は、
【化6】

を含む。実施形態では、
【化7】

部分は、セレノール基を含むgRNA、及びマレイミド基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。実施形態では、マレイミド-セレノール付加物含有部分は、マレイミド基を含むgRNA、及びセレノール基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。
【0181】
実施形態では、化学部分Lは、以下の構造(A)を有し、式中、Yは、S又はSeである、
【化8】
【0182】
実施形態では、Yは、Sである。実施形態では、*は、gRNAへの共有結合を表す。実施形態では、**は、ペプチドスペーサー又はNLSへの共有結合を表す。実施形態では、**は、ペプチドスペーサーへの共有結合を表す。
【0183】
チオエーテル/セレノエーテル
実施形態では、化学部分(例えば、L)は、チオエーテル基を含む。
【0184】
実施形態では、gRNAは、ヨードアセトアミド基とチオール基との間のコンジュゲーション反応を使用してNLSにコンジュゲートされる。
【0185】
実施形態では、チオエーテル含有部分は、チオール基を含むgRNA、及びヨードアセトアミド基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。実施形態では、チオエーテル含有部分は、ヨードアセトアミド基を含むgRNA、及びチオール基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。
【0186】
実施形態では、化学部分(例えば、L)は、セレノエーテル部分を含む。実施形態では、gRNAは、ヨードアセトアミド基とセレノール基との間のコンジュゲーション反応を使用してNLSにコンジュゲートされる。実施形態では、セレノエーテル含有部分は、セレノール基を含むgRNA、及びヨードアセトアミド基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。実施形態では、セレノエーテル含有部分は、ヨードアセトアミド基を含むgRNA、及びセレノール基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。
【0187】
実施形態では、化学部分(例えば、L)は、
【化9】

を含み、式中、Yは、S又はSeである。
【0188】
実施形態では、Yは、Sである。実施形態では、化学部分(例えば、L)は、
【化10】

を含む。実施形態では、
【化11】

部分は、チオール基を含むgRNA、及びヨードアセトアミド基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。実施形態では、
【化12】

部分は、ヨードアセトアミド基を含むgRNA、及びチオール基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。
【0189】
実施形態では、Yは、Seである。実施形態では、化学部分(例えば、L)は、
【化13】

を含む。実施形態では、
【化14】

部分は、セレノール基を含むgRNA、及びヨードアセトアミド基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。実施形態では、
【化15】

部分は、ヨードアセトアミド基を含むgRNA、及びセレノール基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。
【0190】
ジスルフィド(チオール-ジスルフィド交換化学)
実施形態では、化学部分(例えば、L)は、ジスルフィド基を含む。実施形態では、gRNAは、ジスルフィド含有基とチオール基との間のチオール-ジスルフィド交換反応を使用してNLSにコンジュゲートされる。
【0191】
実施形態では、ジスルフィド含有部分は、チオール基を含むgRNA、及びジスルフィド基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。実施形態では、ジスルフィド含有部分は、ジスルフィド基を含むgRNA、及びチオール基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。
【0192】
実施形態では、化学部分(例えば、L)は、
【化16】

を含む。実施形態では、
【化17】

部分は、チオール基を含むgRNA、及びジスルフィド基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。実施形態では、
【化18】

部分は、ジスルフィド基を含むgRNA、及びチオール基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。
【0193】
オキサジアゾールチオエーテル
実施形態では、化学部分(例えば、L)は、オキサジアゾールチオエーテル基を含む。実施形態では、gRNAは、チオール基とスルホニルオキサジアゾール基との間の反応を使用してNLSにコンジュゲートされる。
【0194】
実施形態では、オキサジアゾールチオエーテル含有部分は、スルホニルオキサジアゾール基を含むgRNA、及びチオール基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。実施形態では、オキサジアゾールチオエーテル含有部分は、チオール基を含むgRNA、及びスルホニルオキサジアゾール基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。
【0195】
実施形態では、化学部分(例えば、L)は、
【化19】

を含む。実施形態では、
【化20】

部分は、スルホニルオキサジアゾール基を含むgRNA、及びチオール基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。実施形態では、
【化21】

部分は、チオール基を含むgRNA、及びスルホニルオキサジアゾール基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。
【0196】
尿素/チオ尿素/ジチオカルバメート(イソ(チオ)シアネート化学)
実施形態では、化学部分(例えば、L)は、尿素基を含む。実施形態では、gRNAは、アミノ(例えば、一級アミン)基とイソシアネート基との間の反応を使用してNLSにコンジュゲートされる。
【0197】
実施形態では、尿素含有部分は、アミノ(例えば、一級アミン)基を含むgRNA、及びイソシアネート基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。実施形態では、尿素含有部分は、イソシアネート基を含むgRNA、及びアミノ(例えば、一級アミン)基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。
【0198】
実施形態では、化学部分(例えば、L)は、チオ尿素基を含む。実施形態では、gRNAは、アミノ(例えば、一級アミン)基とイソチオシアネート基との間の反応を使用してNLSにコンジュゲートされる。実施形態では、チオ尿素含有部分は、アミノ(例えば、一級アミン)基を含むgRNA、及びイソチオシアネート基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。実施形態では、チオ尿素含有部分は、イソチオシアネート基を含むgRNA、及びアミノ(例えば、一級アミン)基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。
【0199】
実施形態では、化学部分(例えば、L)は、
【化22】

を含み、式中、Xは、S又はOである。
【0200】
実施形態では、Xは、Oである。実施形態では、化学部分(例えば、L)は、
【化23】

を含む。実施形態では、
【化24】

部分は、アミノ(例えば、一級アミン)基を含むgRNA、及びイソシアネート基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。実施形態では、
【化25】

部分は、イソシアネート基を含むgRNA、及びアミノ(例えば、一級アミン)基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。
【0201】
実施形態では、Xは、Sである。実施形態では、化学部分(例えば、L)は、
【化26】

を含む。実施形態では、
【化27】

部分は、アミノ(例えば、一級アミン)基を含むgRNA、及びイソチオシアネート基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。実施形態では、
【化28】

部分は、イソチオシアネート基を含むgRNA、及びアミノ(例えば、一級アミン)基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。
【0202】
実施形態では、化学部分(例えば、L)は、ジチオカルバメート基を含む。実施形態では、gRNAは、チオール基とイソチオシアネート基との間の反応を使用してNLSにコンジュゲートされる。
【0203】
実施形態では、ジチオカルバメート含有部分は、チオール基を含むgRNA、及びイソチオシアネート基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。実施形態では、ジチオカルバメート含有部分は、イソチオシアネート基を含むgRNA、及びチオール基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。
【0204】
実施形態では、化学部分(例えば、L)は、
【化29】

を含む。実施形態では、
【化30】

部分は、チオール基を含むgRNA、及びイソチオシアネート基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。実施形態では、
【化31】

部分は、イソチオシアネート基を含むgRNA、及びチオール基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。
【0205】
ジアゼニルフェノール
実施形態では、化学部分(例えば、L)は、ジアゼニルフェノール基を含む。実施形態では、gRNAは、フェノール基とジアゾニウム基との間の反応を使用してNLSにコンジュゲートされる。
【0206】
実施形態では、ジアゼニルフェノール含有部分は、フェノール基を含むgRNA、及びジアゾニウム基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。実施形態では、ジアゼニルフェノール含有部分は、ジアゾニウム基を含むgRNA、及びフェノール基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。
【0207】
実施形態では、実施形態では、化学部分(例えば、L)は、
【化32】

を含む。実施形態では、
【化33】

部分は、フェノール基を含むgRNA、及びジアゾニウム基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。実施形態では、
【化34】

部分は、ジアゾニウム基を含むgRNA、及びフェノール基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。
【0208】
トリアゾリジンジオニルフェノール
実施形態では、化学部分(例えば、L)は、トリアゾリジンジオニルフェノール基を含む。実施形態では、gRNAは、フェノール基と環状ジアゾジカルボキサミド基との間の反応を使用してNLSにコンジュゲートされる。
【0209】
実施形態では、トリアゾリジンジオニルフェノール含有部分は、フェノール基を含むgRNA、及び環状ジアゾジカルボキサミド基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。実施形態では、トリアゾリジンジオニルフェノール含有部分は、環状ジアゾジカルボキサミド基を含むgRNA、及びフェノール基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。
【0210】
実施形態では、化学部分(例えば、L)は、
【化35】

を含む。実施形態では、
【化36】

部分は、フェノール基を含むgRNA、及び環状ジアゾジカルボキサミド基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。実施形態では、
【化37】

部分は、環状ジアゾジカルボキサミド基を含むgRNA、及びフェノール基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。
【0211】
トリアゾール(クリック化学)
実施形態では、化学部分(例えば、L)は、トリアゾール基を含む。実施形態では、gRNAは、アルキン基とアジド基との間の1,3-双極子付加環化を使用してNLSにコンジュゲートされる。
【0212】
実施形態では、トリアゾール含有部分は、アルキン基を含むgRNA、及びアジド基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。実施形態では、トリアゾール含有部分は、アジド基を含むgRNA、及びアルキン基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。実施形態では、1,3-双極子付加環化は、銅触媒付加環化である。実施形態では、1,3-双極子付加環化は、歪み促進付加環化である。
【0213】
実施形態では、化学部分(例えば、L)は、
【化38】

を含む。実施形態では、
【化39】

部分は、アルキン基を含むgRNA、及びアジド基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。実施形態では、
【化40】

部分は、アジド基を含むgRNA、及びアルキン基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。
【0214】
実施形態では、化学部分(例えば、L)は、
【化41】

を含み、環A及び環Bの各々が、任意選択的に置換されたアリール基である。実施形態では、環Aは、存在する。実施形態では、環Aは、存在しない。実施形態では、環Bは、存在する。実施形態では、環Bは、存在しない。実施形態では、環A及び環Bの両方が存在する。実施形態では、環A及び環Bの両方が存在しない。実施形態では、
【化42】

部分は、アルキン基を含むgRNA、及びアジド基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。実施形態では、
【化43】

部分は、アジド基を含むgRNA、及びアルキン基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。
【0215】
実施形態では、化学部分(例えば、L)は、
【化44】

を含み、環A及び環Bの各々が、任意選択的に置換されたアリール基である。実施形態では、環Aは、存在する。実施形態では、環Aは、存在しない。実施形態では、環Bは、存在する。実施形態では、環Bは、存在しない。実施形態では、環A及び環Bの両方が存在する。実施形態では、環A及び環Bの両方が存在しない。実施形態では、
【化45】

部分は、アルキン基を含むgRNA、及びアジド基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。実施形態では、
【化46】

部分は、アジド基を含むgRNA、及びアルキン基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。
【0216】
ジアザノルカラジエン
実施形態では、化学部分(例えば、L)は、ジアザノルカラジエン基を含む。実施形態では、gRNAは、シクロプロペン基とテトラジン基との間のディールス・アルダー反応を使用してNLSにコンジュゲートされる。
【0217】
実施形態では、ジアザノルカラジエン含有部分は、シクロプロペン基を含むgRNA、及びテトラジン基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。実施形態では、ジアザノルカラジエン含有部分は、テトラジン基を含むgRNA、及びシクロプロペン基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。
【0218】
実施形態では、化学部分(例えば、L)は、
【化47】

を含み、式中、Rは、C1~6アルキルである。実施形態では、
【化48】

部分は、シクロプロペン基を含むgRNA、及びテトラジン基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。実施形態では、
【化49】

部分は、テトラジン基を含むgRNA、及びシクロプロペン基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。
【0219】
アミド/スルホンアミド
実施形態では、化学部分(例えば、L)は、アミド基を含む。実施形態では、gRNAは、カルボキシル基とアミノ基(例えば、一級アミン)との間のコンジュゲーション反応を使用してNLSにコンジュゲートされる。
【0220】
実施形態では、アミド含有部分は、カルボキシル基を含むgRNA、及びアミノ(例えば、一級アミン)基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。実施形態では、アミド含有部分は、アミノ基(例えば、一級アミン)を含むgRNA、及びカルボキシル基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。実施形態では、カルボキシル基は、活性化カルボキシル基である。実施形態では、カルボキシル基は、1-エチル-3-(3-ジメチル-アミノプロピル)カルボジイミド(EDC)又はジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)などのカルボジイミドによって活性化される。実施形態では、カルボキシル基は、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)誘導体(例えば、スルホ-NHS)によって活性化される。
【0221】
実施形態では、化学部分(例えば、L)は、
【化50】

を含む。実施形態では、
【化51】

部分は、カルボキシル基を含むgRNA、及びアミノ(例えば、一級アミン)基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。実施形態では、
【化52】

部分は、アミノ基(例えば、一級アミン)を含むgRNA、及びカルボキシル基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。
【0222】
実施形態では、化学部分(例えば、L)は、スルホンアミド基を含む。実施形態では、gRNAは、スルホニル基とアミノ(例えば、一級アミン)基との間のコンジュゲーション反応を使用してNLSにコンジュゲートされる。実施形態では、スルホンアミド含有部分は、スルホニル基を含むgRNA、及びアミノ(例えば、一級アミン)基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。実施形態では、アミド含有部分は、アミノ(例えば、一級アミン)基を含むgRNA、及びスルホニル基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。
【0223】
実施形態では、化学部分(例えば、L)は、
【化53】

を含む。実施形態では、
【化54】

部分は、スルホニル基を含むgRNA、及びアミノ(例えば、一級アミン)基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。実施形態では、
【化55】

部分は、アミノ(例えば、一級アミン)基を含むgRNA、及びスルホニル基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。
【0224】
アミン(グルタルアルデヒド化学)
実施形態では、化学部分(例えば、L)は、アミノ基を含む。実施形態では、gRNAは、アミノ基(例えば、一級アミン)とアルデヒド基との間のコンジュゲーション反応、続いて還元反応を使用してNLSにコンジュゲートされ、アミン含有部分を形成する。
【0225】
実施形態では、アミン含有部分は、アミノ基(例えば、一級アミン)を含むgRNA、及びアルデヒド基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。実施形態では、アミン含有部分は、アルデヒド基を含むgRNA、及びアミノ基(例えば、一級アミン)を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。
【0226】
実施形態では、アミン含有部分は、二官能性架橋試薬(例えば、グルタルアルデヒドなどのジアルデヒド)から形成される。実施形態では、アミン含有部分は、アミノ基(例えば、一級アミン)を含むgRNA、アミノ基(例えば、一級アミン)を含むNLS(又はペプチドスペーサー)、及びジアルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド)から形成される。実施形態では、アミン含有部分は、アルデヒド基を含むgRNA、アルデヒド基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)、及びジアミノアルカンから形成される。
【0227】
実施形態では、化学部分(例えば、L)は、
【化56】

を含み、式中、Lは、C1~6アルキルである。実施形態では、
【化57】

部分は、アミノ基(例えば、一級アミン)を含むgRNA、アミノ基(例えば、一級アミン)を含むNLS(又はペプチドスペーサー)、及びジアルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド)から形成される。実施形態では、
【化58】

部分は、アルデヒド基を含むgRNA、アルデヒド基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)、及びジアミノアルカンから形成される。
【0228】
実施形態では、化学部分(例えば、L)は、アミノ基を含む。実施形態では、gRNAは、アミノ(例えば、一級アミン)基とトレシル(2,2,2-トリフルオロエタンスルホニル)基との間のコンジュゲーション反応を使用してNLSにコンジュゲートされる。実施形態では、アミン部分は、アミノ(例えば、一級アミン)基を含むgRNA、及びトレシル(2,2,2-トリフルオロエタンスルホニル)基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。実施形態では、アミン含有部分は、トレシル(2,2,2-トリフルオロエタンスルホニル)基を含むgRNA、及びアミノ(例えば、一級アミン)基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。
【0229】
実施形態では、化学部分(例えば、L)は、
【化59】

を含む。実施形態では、
【化60】

部分は、アミノ(例えば、一級アミン)基を含むgRNA、及びトレシル(2,2,2-トリフルオロエタンスルホニル)基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。実施形態では、
【化61】

部分は、トレシル(2,2,2-トリフルオロエタンスルホニル)基を含むgRNA、及びアミノ(例えば、一級アミン)基を含むNLS(又はペプチドスペーサー)から形成される。
【0230】
一部の実施形態では、NLS-gRNAは、crRNAを含む。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、tracrRNAを含む。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、crRNA及びNLS-gRNAを含む。
【0231】
一部の実施形態では、直鎖状ガイドRNAは、最初に合成される。このアプローチでは、2つ以上の別個のRNAは、一緒にライゲーションされる。一部の実施形態では、第1のRNAは、トランス活性化RNA(tracrRNA)を含み、第2のRNAは、クラスター化して規則的に散在する短い回文配列反復(CRISPR)RNA(crRNA)を含む。
【0232】
一部の実施形態では、tracrRNA配列を含むRNAは、tracrRNAの一部分が5’末端にホスフェートを含有するように合成される。このアプローチでは、2つの形態のライゲーションが可能であり、これらの両方は、ステムループ領域内に見出される。第1の形態のライゲーションは、T4 RNAリガーゼ1の天然な部位であるヘアピンの末端ループ内で生じる。第2の形態のライゲーションは、T4 RNAリガーゼ2及びDNAリガーゼの天然物である二本鎖内で生じる。この形態のライゲーションの利点のうちの1つは、融合gRNAと断片不純物との間の溶出時間の顕著な差異のために、断片不純物が容易に除去可能であることである。
【0233】
化学的に修飾されたNLS-gRNA
一部の実施形態では、ガイドRNAの第1の末端及び/又はガイドRNAの第2の末端は、その骨格又はその塩基のうちの1つ以上に対する化学修飾を含む。例えば、化学的に修飾されたRNAは、化学合成を含むことができ、天然ヌクレオチドに類似しない修飾された糖、塩基、骨格、又は官能基を含む高度に修飾されたモノマーを導入するために使用することができる。
【0234】
したがって、一部の実施形態では、ガイドRNAの第1の末端及び/又はガイドRNAの第2の末端は、修飾された塩基を含む。一部の実施形態では、修飾されたRNAとしては、以下、2-メトキシエトキシA、2-メトキシエトキシMeC、2-メトキシエトキシG、2-メトキシエトキシTなどの2’-O-メトキシ-エチル塩基(2’-MOE)のうちの1つ以上が挙げられる。他の修飾された塩基としては、例えば、2’-O-メチルRNA塩基、及びフルオロ塩基が挙げられる。様々なフルオロ塩基が既知であり、例えば、フルオロC、フルオロU、フルオロA、フルオロG塩基が挙げられる。様々な2’-O-メチル修飾もまた、本明細書に記載の方法とともに使用され得る。例えば、以下の2’Oメチル修飾のうちの1つ以上を含む以下のRNAを、記載の方法とともに使用することができる:2’-OMe-5-メチル-rC、2’-OMe-rT、2’-OMe-rI、2’-OMe-2-アミノ-rA、アミノリンカー-C6-rC、アミノリンカー-C6-rU、2’-OMe-5-Br-rU、2’-OMe-5-I-rU、2-OMe-7-デアザ-rG。
【0235】
一部の実施形態では、ガイドRNAの第1の末端及び/又はガイドRNAの第2の末端は、以下の修飾、ホスホロチオエート、2’O-メチル、2’フルオロ(2’F)、DNAのうちの1つ以上を含む。
【0236】
一部の実施形態では、ガイドRNAの第1の末端及び/又はガイドRNAの第2の末端は、3’及び5’末端に2’OMe修飾を含む。
【0237】
一部の実施形態では、ガイドRNAの第1の末端及び/又はガイドRNAの第2の末端は、以下の修飾のうちの1つ以上を含む:2’-O-2-メトキシエチル(MOE)、ロック核酸、架橋核酸、アンロック核酸、ペプチド核酸、モルホリノ核酸。
【0238】
一部の実施形態では、ガイドRNAの第1の末端及び/又はガイドRNAの第2の末端は、以下の塩基修飾のうちの1つ以上を含む:2,6-ジアミノプリン、2-アミノプリン、シュードウラシル、N1-メチル-シュードウラシル、5’メチルシトシン、2’ピリミジノン(ゼブラリン)、チミン。
【0239】
他の修飾された塩基には、例えば、2-アミノプリン、5-ブロモdU、デオキシウリジン、2,6-ジアミノプリン(2-アミノ-dA)、ジデオキシ-C、デオキシイノシン、ヒドロキシメチルdC、反転dT、イソ-dG、イソ-dC、反転ジデオキシ-T、5-メチルdC、5-メチルdC、5-ニトロインドール、Super T(登録商標)、2’-F-r(C、U)、2’-NH2-r(C、U)、2,2’-無水-U、3’-デソキシ-r(A、C、G、U)、3’-O-メチル-r(A、C、G、U)、rT、rI、5-メチル-rC、2-アミノ-rA、rスペーサー(脱塩基)、7-デアザ-rG、7-デアザ-rA、8-オキソ-rG、5-ハロゲン化-rU、N-アルキル化-rNが含まれる。
【0240】
本明細書では、他の化学的に修飾されたRNAを使用することができる。例えば、ガイドRNAの第1の末端及び/又はガイドRNAの第2の末端は、例えば、5’,Int,3’アジド(NHSエステル)、5’ヘキシニル、5’,Int,3’5-オクタジイニルdU、5’,Intビオチン(アジド)、5’,Int6-FAM(アジド)、及び5’,Int5-TAMRA(アジド)などの修飾された塩基を含み得る。本明細書に記載の方法とともに使用され得るRNAヌクレオチド修飾の他の例としては、例えば、5’リン酸化及び3’リン酸化などのリン酸化修飾が挙げられる。RNAはまた、以下の修飾、アミノ修飾、ビオチン化、チオール修飾、アルキン修飾子、アデニル化、アジド(NHSエステル)、コレステロール-TEG、及びジゴキシゲニン(NHSエステル)のうちの1つ以上を有し得る。
【0241】
核酸塩基エディター
ポリヌクレオチドの標的ヌクレオチド配列を編集、修飾、又は改変する核酸塩基エディターは、本明細書に記載の方法及び組成物において有用である。本明細書に記載の核酸塩基エディターは、典型的には、ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメイン及び核酸塩基編集ドメイン(例えば、アデノシンデアミナーゼ又はシチジンデアミナーゼ)を含む。ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインは、結合したガイドポリヌクレオチド(例えば、gRNA)と併せた場合、標的ポリヌクレオチド配列に特異的に結合し、それによって、塩基エディターを編集されることが望まれる標的核酸配列に局在化することができる。
【0242】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される核酸塩基エディターは、塩基編集活性を改善する1つ以上の特徴を含む。例えば、本明細書に提供される核酸塩基エディターのいずれかは、低減したヌクレアーゼ活性を有するCas9ドメインを含み得る。一部の実施形態では、本明細書に提供される核酸塩基エディターのいずれかは、ヌクレアーゼ活性を有さないCas9ドメイン(dCas9)、又はCas9ニッカーゼ(nCas9)と称される二本鎖DNA分子の一方の鎖を切断するCas9ドメインを有することができる。いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、触媒残基(例えば、H840)の存在により、標的化された核酸塩基の反対側の非編集(例えば、脱アミノ化されていない)鎖を切断するCas9の活性が維持される。触媒残基の変異(例えば、D10からA10へ)は、標的化された残基(例えば、A又はC)を含有する編集された(例えば、脱アミノ化された)鎖の切断を防止する。かかるCas9バリアントは、gRNAが規定する標的配列に基づいて、特定の位置で一本鎖DNA切断(ニック)を生成することができ、非編集鎖の修復をもたらし、最終的には、非編集鎖上で核酸塩基の変化をもたらす。
【0243】
ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメイン
ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインは、ポリヌクレオチド(例えば、RNA、DNA)に結合する。塩基エディターのポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインは、それ自体、1つ以上のドメイン(例えば、1つ以上のヌクレアーゼドメイン)を含み得る。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインのヌクレアーゼドメインは、エンドヌクレアーゼ又はエキソヌクレアーゼを含み得る。エンドヌクレアーゼは、二本鎖核酸の一本鎖、又は二本鎖核酸分子の両方の鎖を切断することができる。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドプログラマブルヌクレオチド結合ドメインのヌクレアーゼドメインは、標的ポリヌクレオチドの0、1、又は2本の鎖を切断することができる。
【0244】
内部挿入を有する融合タンパク質
核酸プログラマブル核酸結合タンパク質、例えば、核酸プログラマブルDNA結合タンパク質(napDNAbp)に融合された異種ポリペプチドを含む融合タンパク質が本明細書に提供される。異種ポリペプチドは、天然又は野生型napDNAbpポリペプチド配列に見出されないポリペプチドであり得る。異種ポリペプチドは、napDNAbpのC末端、napDNAbpのN末端でnapDNAbpに融合され得るか、又はnapDNAbpの内部の位置に挿入され得る。
【0245】
一部の実施形態では、異種ポリペプチドは、napDNAbpの内部の位置に挿入される。一部の実施形態では、異種ポリペプチドは、デアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ)又はその機能的断片である。例えば、融合タンパク質は、Cas9ポリペプチドのN末端断片及びC末端断片に隣接するデアミナーゼ(例えば、アデノシンデアミナーゼ)を含み得る。融合タンパク質中のデアミナーゼは、アデノシンデアミナーゼであり得る。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA(例えば、TadA*7.10又はそのバリアント)である。
【0246】
一部の実施形態では、融合タンパク質は、構造:
NH2-[napDNAbpのN末端断片]-[デアミナーゼ]-[napDNAbpのC末端断片]-COOH、
NH2-[Cas9のN末端断片]-[アデノシンデアミナーゼ]-[Cas9のC末端断片]-COOHを含み、
式中、「]-[」の各事例は、任意選択的なリンカーである。
【0247】
デアミナーゼは、循環順列変異体(circular permutant)デアミナーゼであり得る。例えば、デアミナーゼは、循環順列変異体アデノシンデアミナーゼであり得る。一部の実施形態では、デアミナーゼは、循環順列変異体TadAであり、TadA参照配列において番号付けされているアミノ酸残基116で循環順列変異されている。一部の実施形態では、デアミナーゼは、循環順列変異体TadAであり、TadA参照配列において番号付けされているアミノ酸残基136で循環順列変異されている。一部の実施形態では、デアミナーゼは、循環順列変異体TadAであり、TadA参照配列において番号付けされているアミノ酸残基65で循環順列変異されている。
【0248】
融合タンパク質は、2つ以上のデアミナーゼを含み得る。融合タンパク質は、例えば、1、2、3、4、5個、又はそれ以上のデアミナーゼを含み得る。一部の実施形態では、融合タンパク質は、1つのデアミナーゼを含む。一部の実施形態では、融合タンパク質は、2つのデアミナーゼを含む。融合タンパク質中の2つ以上のデアミナーゼは、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、又はそれらの組み合わせであり得る。2つ以上のデアミナーゼは、ホモ二量体であり得る。2つ以上のデアミナーゼは、ヘテロ二量体であり得る。2つ以上のデアミナーゼは、napDNAbpにおいて直列に挿入され得る。一部の実施形態では、2つ以上のデアミナーゼは、napDNAbpにおいて直列ではない場合がある。
【0249】
一部の実施形態では、融合タンパク質中のnapDNAbpは、Cas9ポリペプチド又はその断片である。Cas9ポリペプチドは、バリアントCas9ポリペプチドであり得る。一部の実施形態では、Cas9ポリペプチドは、Cas9ニッカーゼ(nCas9)ポリペプチド又はその断片である。一部の実施形態では、Cas9ポリペプチドは、ヌクレアーゼ死Cas9(dCas9)ポリペプチド又はその断片である。融合タンパク質中のCas9ポリペプチドは、全長Cas9ポリペプチドであり得る。場合によっては、融合タンパク質中のCas9ポリペプチドは、全長Cas9ポリペプチドではない場合がある。Cas9ポリペプチドは、例えば、天然に存在するCas9タンパク質に対して、N末端又はC末端で切断され得る。Cas9ポリペプチドは、循環順列変異されたCas9タンパク質であり得る。Cas9ポリペプチドは、標的ポリヌクレオチド及びガイド核酸配列に依然として結合することができる、Cas9ポリペプチドの断片、部分、又はドメインであり得る。
【0250】
一部の実施形態では、Cas9ポリペプチドは、Streptococcus pyogenes Cas9(SpCas9)、Staphylococcus aureus Cas9(SaCas9)、Streptococcus thermophilus1 Cas9(St1Cas9)、又はそれらの断片若しくはバリアントである。
【0251】
Cas9ポリペプチドのN末端断片及びC末端断片に隣接する異種触媒ドメインを含む融合タンパク質は、本明細書に記載の方法における塩基編集にも有用である。Cas9及び1つ以上のデアミナーゼドメイン、例えば、アデノシンデアミナーゼを含むか、又はCas9配列に隣接するアデノシンデアミナーゼドメインを含む融合タンパク質は、標的配列の非常に特異的かつ効率的な塩基編集にも有用である。ある実施形態では、キメラCas9融合タンパク質は、Cas9ポリペプチド内に挿入された異種触媒ドメイン(例えば、アデノシンデアミナーゼ、シチジンデアミナーゼ、又はアデノシンデアミナーゼ及びシチジンデアミナーゼ)を含有する。一部の実施形態では、融合タンパク質は、Cas9内に挿入されたアデノシンデアミナーゼドメイン及びシチジンデアミナーゼドメインを含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、Cas9内で融合され、シチジンデアミナーゼは、C末端に融合される。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、Cas9内で融合され、シチジンデアミナーゼは、N末端に融合される。一部の実施形態では、シチジンデアミナーゼは、Cas9内で融合され、アデノシンデアミナーゼは、C末端に融合される。一部の実施形態では、シチジンデアミナーゼは、Cas9内で融合され、アデノシンデアミナーゼは、N末端に融合される。
【0252】
アデノシンデアミナーゼ及びシチジンデアミナーゼ並びにCas9を有する融合タンパク質の例示的な構造は、以下のように提供される:
NH2-[Cas9(アデノシンデアミナーゼ)]-[シチジンデアミナーゼ]-COOH、
NH2-[シチジンデアミナーゼ]-[Cas9(アデノシンデアミナーゼ)]-COOH、
NH2-[Cas9(シチジンデアミナーゼ)]-[アデノシンデアミナーゼ]-COOH、又は
NH2-[アデノシンデアミナーゼ]-[Cas9(シチジンデアミナーゼ)]-COOH。
【0253】
一部の実施形態では、上記の一般的なアーキテクチャで使用される「-」は、任意選択的なリンカーの存在を示す。
【0254】
様々な実施形態では、触媒ドメインは、アデノシンデアミナーゼ活性などのDNA修飾活性(例えば、デアミナーゼ活性)を有する。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA(例えば、TadA*7.10)である。一部の実施形態では、TadAは、TadAバリアントである。一部の実施形態では、TadAバリアントは、Cas9内で融合され、シチジンデアミナーゼは、C末端に融合される。一部の実施形態では、TadAバリアントは、Cas9内で融合され、シチジンデアミナーゼは、N末端に融合される。一部の実施形態では、シチジンデアミナーゼは、Cas9内で融合され、TadAバリアントは、C末端に融合される。一部の実施形態では、シチジンデアミナーゼは、Cas9内で融合され、TadAバリアントは、N末端に融合される。TadAバリアント及びシチジンデアミナーゼ並びにCas9を有する融合タンパク質の例示的な構造は、以下のように提供される:
NH2-[Cas9(TadAバリアント)]-[シチジンデアミナーゼ]-COOH、
NH2-[シチジンデアミナーゼ]-[Cas9(TadAバリアント)]-COOH、
NH2-[Cas9(シチジンデアミナーゼ)]-[TadAバリアント]-COOH、又は
NH2-[TadAバリアント]-[Cas9(シチジンデアミナーゼ)]-COOH。
【0255】
一部の実施形態では、上記の一般的なアーキテクチャで使用される「-」は、任意選択的なリンカーの存在を示す。
【0256】
他の実施形態では、融合タンパク質は、核局在化シグナル(例えば、二分核局在化シグナル)を含有する。他の実施形態では、核局在化シグナルのアミノ酸配列は、MAPKKKRKVGIHGVPAA(配列番号4)である。上記の態様の他の実施形態では、核局在化シグナルは、以下の配列によってコードされる:
ATGGCCCCAAAGAAGAAGCGGAAGGTCGGTATCCACGGAGTCCCAGCAGCC(配列番号5)。他の実施形態では、Cas12bポリペプチドは、RuvCドメインの触媒活性をサイレンシングする変異を含有する。他の実施形態では、Cas12bポリペプチドは、D574A、D829A、及び/又はD952A変異を含有する。他の実施形態では、融合タンパク質は、タグ(例えば、インフルエンザヘマグルチニンタグ)を更に含有する。
【0257】
一部の実施形態では、融合タンパク質は、napDNAbpドメイン(例えば、Cas12由来ドメイン)を含み、内部融合された核酸塩基編集ドメイン(例えば、デアミナーゼドメイン、例えば、アデノシンデアミナーゼドメインの全部又は一部)を有する。一部の実施形態では、napDNAbpは、Cas12bである。
【0258】
非限定的な例として、アデノシンデアミナーゼ(例えば、TadA*8.13)をBhCas12bに挿入して、核酸配列を効果的に編集する融合タンパク質(例えば、TadA*8.13-BhCas12b)を産生することができる。
【0259】
gRNAを使用する遺伝子編集
本明細書に記載のNLS-gRNAは、標的化された遺伝子編集のための好適な遺伝子編集系とともに使用することができ、これは、遺伝子サイレンシング事象、又は所望の標的遺伝子の発現における発現の改変(例えば、増加又は減少)をもたらすことができる。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載のNLS-gRNAは、標的化された転写活性化、標的化された転写抑制、標的化されたエピゲノム修飾、又は標的化されたゲノム修飾のための方法において使用することができ、本方法は、真核細胞内に、(a)本明細書で定義されるNLS-gRNA、(b)少なくとも1つのCRISPR/Casタンパク質、又は少なくとも1つのCRISPR/Casタンパク質をコードする核酸を導入することを含み、(a)及び(b)と染色体DNAにおける標的配列との相互作用が、標的化された転写活性化、標的化された転写抑制、標的化されたエピゲノム修飾、又は標的化されたゲノム修飾をもたらす。
【0260】
一部の実施形態では、本明細書に記載のNLS-gRNAは、以下を含む遺伝子編集系において使用することができる。本明細書に記載のNLS-gRNAであって、RNAガイドが、標的核酸にハイブリダイゼーションすることができる直接反復配列及びスペーサー配列を含む、NLS-gRNA;遺伝子編集タンパク質であって、遺伝子編集酵素が、RNAガイドに結合し、RNAガイドに相補的な標的核酸配列の切断を引き起こすことができる、遺伝子編集タンパク質。
【0261】
一部の実施形態では、本明細書に記載のNLS-gRNAは、以下を含む遺伝子編集系において使用することができる。本明細書に記載のNLS-gRNAであって、RNAガイドが、標的核酸にハイブリダイゼーションすることができる直接反復配列及びスペーサー配列を含む、NLS-gRNA;並びに遺伝子編集タンパク質;遺伝子編集タンパク質が、デアミナーゼに融合されており、遺伝子編集タンパク質融合が、RNAガイドに結合し、RNAガイドに相補的な標的核酸配列を編集することができる。
【0262】
一部の実施形態では、本発明は、真核細胞内の標的核酸の発現を改変する方法を提供し、細胞を遺伝子編集タンパク質及び本明細書に記載のNLS-gRNAと接触させることを含み、NLS-gRNAが、標的核酸にハイブリダイゼーションすることができる直接反復配列及びスペーサー配列を含み、遺伝子編集タンパク質が、NLS-gRNAに結合し、NLS-gRNAに相補的な標的核酸配列の切断を引き起こすことができる。
【0263】
一部の実施形態では、本発明は、真核細胞内の標的核酸の発現を改変する方法を提供し、細胞を遺伝子編集タンパク質及び本明細書に記載の合成NLS-gRNAと接触させることを含み、NLS-gRNAが、標的核酸にハイブリダイゼーションすることができる直接反復配列及びスペーサー配列を含み、遺伝子編集タンパク質が、NLS-gRNAに結合し、NLS-gRNAに相補的な標的核酸配列を編集することができる。
【0264】
一部の実施形態では、本発明は、真核細胞内の標的核酸を修飾する方法を提供し、細胞を遺伝子編集タンパク質及び本明細書に記載のNLS-gRNAと接触させることを含み、NLS-gRNAが、標的核酸にハイブリダイゼーションすることができる直接反復配列及びスペーサー配列を含み、遺伝子編集タンパク質が、NLS-gRNAに結合し、NLS-gRNAに相補的な標的核酸配列を編集することができる。
【0265】
一部の実施形態では、遺伝子編集方法又は系は、部位特異的な様式で標的DNAを修飾するエフェクターを有する融合タンパク質を含み、修飾活性は、メチルトランスフェラーゼ活性、デメチラーゼ活性、アセチルトランスフェラーゼ活性、デアセチラーゼ活性、キナーゼ活性、ホスファターゼ活性、ユビキチンリガーゼ活性、脱ユビキチン化活性、アデニル化活性、脱アデニル化活性、SUMO化活性、脱SUMO化活性、リボシル化活性、脱リボシル化活性、ミリストイル化活性、脱ミリストイル化活性、インテグラーゼ活性、トランスポザーゼ活性、リコンビナーゼ活性、ポリメラーゼ活性、リガーゼ活性、ヘリカーゼ活性、又はヌクレアーゼ活性を含み、これらのうちのいずれかは、DNA又はDNA関連ポリペプチド(例えば、ヒストン又はDNA結合タンパク質)を修飾することができる。
【0266】
一部の実施形態では、遺伝子編集方法又は系は、アデノシン又はシトシン塩基を修飾することができ、部位特異的塩基エディターとして機能することができるデアミナーゼ酵素を含む、ヌクレオチド塩基を化学的に修飾することによって、DNA配列を編集することができる酵素を有する融合タンパク質を含む。例えば、通常、RNAを基質として使用する、APOBEC1シチジンデアミナーゼは、Cas9に融合しているとき、一本鎖及び二本鎖DNAに標的化することができ、シチジンをウリジンに直接変換し、ADAR酵素は、アデノシンをイノシンに脱アミノ化する。したがって、デアミナーゼを使用する「塩基編集」は、1つの標的DNA塩基の別の塩基へのプログラマブル変換を可能にする。様々な塩基エディターは、当該技術分野で知られており、本明細書に記載の方法及び系において使用することができる。例示的な塩基エディターは、例えば、Rees and Liu Nature Review Genetics,2018,19(12):770-788に記載されており、その内容は本明細書に組み込まれる。
【0267】
一部の実施形態では、塩基編集は、遺伝子をサイレンシングするための終止コドンの導入をもたらす。一部の実施形態では、塩基編集は、アミノ酸配列を改変することによって、改変されたタンパク質機能をもたらす。
【0268】
一部の実施形態では、本明細書に記載のNLS-gRNAは、標的DNAの転写を調節する遺伝子編集方法又は系において使用することができる。一部の実施形態では、NLS-gRNAは、tRNA、rRNA、snoRNA、siRNA、miRNA、及び長ncRNAを含む標的非コードRNAの発現を調節する遺伝子編集方法又は系において使用することができる。
【0269】
一部の実施形態では、本明細書に記載のNLS-gRNAは、好適な遺伝子編集系を使用してクロマチンループ構造の標的化された操作のために使用される。調節ゲノム領域間のクロマチンループの標的化された操作は、遺伝的欠陥を克服するか、又は異常なエンハンサー-プロモーター接続を阻害するために、内因性クロマチン構造を操作し、新しいエンハンサー-プロモーター接続の形成を可能にする手段を提供する。
【0270】
一部の実施形態では、本明細書に記載のNLS-gRNAは、有益な臨床バリアント又は抑制変異の挿入による病原性変異の修正のための遺伝子編集系と併せて使用される。
【0271】
AからGへの編集
一部の実施形態では、本明細書に記載の塩基エディターは、アデノシンデアミナーゼドメインを含む。塩基エディターのかかるアデノシンデアミナーゼドメインは、アデニン(A)核酸塩基のグアニン(G)核酸塩基への編集を、Aを脱アミノ化してイノシン(I)(これは、Gの塩基対合特性を示す)を形成することによって、促進することができる。アデノシンデアミナーゼは、デオキシリボ核酸(DNA)中のデオキシアデノシン残基のアデニンを脱アミノ化する(すなわち、アミン基を除去する)ことができる。一部の実施形態では、AからGへの塩基エディターは、イノシン塩基除去修復の阻害因子、例えば、ウラシルグリコシラーゼ阻害因子(UGI)ドメイン又は触媒不活性イノシン特異的ヌクレアーゼを更に含む。いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、UGIドメイン又は触媒不活性イノシン特異的ヌクレアーゼは、脱アミノ化アデノシン残基(例えば、イノシン)の塩基除去修復を阻害又は防止することができ、これは、塩基エディターの活性又は効率を改善することができる。
【0272】
アデノシンデアミナーゼを含む塩基エディターは、DNA、RNA、及びDNA-RNAハイブリッドを含む任意のポリヌクレオチドに作用することができる。ある特定の実施形態では、アデノシンデアミナーゼを含む塩基エディターは、RNAを含むポリヌクレオチドの標的Aを脱アミノ化することができる。例えば、塩基エディターは、RNAポリヌクレオチド及び/又はDNA-RNAハイブリッドポリヌクレオチドの標的Aを脱アミノ化することができるアデノシンデアミナーゼドメインを含むことができる。ある実施形態では、塩基エディターに組み込まれるアデノシンデアミナーゼは、RNAに作用するアデノシンデアミナーゼ(ADAR、例えば、ADAR1又はADAR2)又はtRNAに作用するアデノシンデアミナーゼ(ADAT)の全部又は一部を含む。アデノシンデアミナーゼドメインを含む塩基エディターは、DNAポリヌクレオチドのA核酸塩基を脱アミノ化することができる可能性もある。ある実施形態では、塩基エディターのアデノシンデアミナーゼドメインは、ADATがDNAにおける標的Aを脱アミノ化することを可能にする1つ以上の変異を含むADATの全部又は一部を含む。例えば、塩基エディターは、以下の変異のうちの1つ以上を含むEscherichia coli由来のADAT(EcTadA)の全部又は一部を含むことができる:D108N、A106V、D147Y、E155V、L84F、H123Y、I156F、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異。
【0273】
一部の実施形態では、本明細書に記載の塩基エディターは、アデノシンデアミナーゼドメイン(例えば、アデノシンデアミナーゼバリアントドメイン)を含む融合タンパク質を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントドメインは、TadA*7.10アミノ酸配列における改変の組み合わせを含有し、その組み合わせは、V82G、Y147T/D、Q154S、並びにL36H、I76Y、F149Y、N157K、及びD167Nのうちの1つ以上である。一部の実施形態では、TadA*7.10アミノ酸配列における改変の組み合わせは、V82G+Y147T+Q154S、I76Y+V82G+Y147T+Q154S、L36H+V82G+Y147T+Q154S+N157K、V82G+Y147D+F149Y+Q154S+D167N、L36H+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+N157K+D167N、L36H+I76Y+V82G+Y147T+Q154S+N157K、I76Y+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+D167N、若しくはL36H+I76Y+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+N157K+D167N、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する改変である。塩基エディターのかかるアデノシンデアミナーゼドメインは、アデニン(A)核酸塩基のグアニン(G)核酸塩基への編集を、Aを脱アミノ化してイノシン(I)(これは、Gの塩基対合特性を示す)を形成することによって、促進することができる。アデノシンデアミナーゼは、デオキシリボ核酸(DNA)中のデオキシアデノシン残基のアデニンを脱アミノ化する(すなわち、アミン基を除去する)ことができる。
【0274】
一部の実施形態では、本明細書に提供される核酸塩基エディターは、1つ以上のタンパク質ドメインを一緒に融合することによって作製することができ、それによって、融合タンパク質が生成される。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される融合タンパク質は、融合タンパク質の塩基編集活性(例えば、効率、選択性、及び特異性)を改善する1つ以上の特徴を含む。例えば、本明細書に提供される融合タンパク質は、低減したヌクレアーゼ活性を有するCas9ドメインを含むことができる。一部の実施形態では、本明細書に提供される融合タンパク質は、ヌクレアーゼ活性を有さないCas9ドメイン(dCas9)、又はCas9ニッカーゼ(nCas9)と称される二本鎖DNA分子の一方の鎖を切断するCas9ドメインを有することができる。いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、触媒残基(例えば、H840)の存在により、標的化されたAの反対側のTを含有する非編集(例えば、脱アミノ化されていない)鎖を切断するCas9の活性が維持される。Cas9の触媒残基の変異(例えば、D10からA10へ)により、標的化されたA残基を含有する編集された鎖の開裂が防止される。かかるCas9バリアントは、gRNAが規定する標的配列に基づいて、特定の位置で一本鎖DNA切断(ニック)を生成することができ、非編集鎖の修復をもたらし、最終的には、非編集鎖上でTからCへの変化をもたらす。一部の実施形態では、AからGへの塩基エディターは、イノシン塩基除去修復の阻害因子、例えば、ウラシルグリコシラーゼ阻害因子(UGI)ドメイン又は触媒不活性イノシン特異的ヌクレアーゼを更に含む。いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、UGIドメイン又は触媒不活性イノシン特異的ヌクレアーゼは、脱アミノ化アデノシン残基(例えば、イノシン)の塩基除去修復を阻害又は防止することができ、これは、塩基エディターの活性又は効率を改善することができる。
【0275】
アデノシンデアミナーゼを含む塩基エディターは、DNA、RNA、及びDNA-RNAハイブリッドを含む任意のポリヌクレオチドに作用することができる。ある特定の実施形態では、アデノシンデアミナーゼを含む塩基エディターは、RNAを含むポリヌクレオチドの標的Aを脱アミノ化することができる。例えば、塩基エディターは、RNAポリヌクレオチド及び/又はDNA-RNAハイブリッドポリヌクレオチドの標的Aを脱アミノ化することができるアデノシンデアミナーゼドメインを含むことができる。ある実施形態では、塩基エディターに組み込まれるアデノシンデアミナーゼは、RNA(ADAR、例えば、ADAR1又はADAR2)に作用するアデノシンデアミナーゼの全部又は一部を含む。別の実施形態では、塩基エディターに組み込まれるアデノシンデアミナーゼは、tRNAに作用するアデノシンデアミナーゼ(ADAT)の全部又は一部を含む。アデノシンデアミナーゼドメインを含む塩基エディターは、DNAポリヌクレオチドのA核酸塩基を脱アミノ化することができる可能性もある。ある実施形態では、塩基エディターのアデノシンデアミナーゼドメインは、ADATがDNAにおける標的Aを脱アミノ化することを可能にする1つ以上の変異を含むADATの全部又は一部を含む。例えば、塩基エディターは、以下の変異のうちの1つ以上を含むEscherichia coli由来のADAT(EcTadA)の全部又は一部を含むことができる:D108N、A106V、D147Y、E155V、L84F、H123Y、I156F、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異。
【0276】
アデノシンデアミナーゼは、任意の好適な生物(例えば、E.coli)に由来し得る。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、原核生物由来である。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、細菌由来である。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、Escherichia coli、Staphylococcus aureus、Salmonella typhi、Shewanella putrefaciens、Haemophilus influenzae、Caulobacter crescentus、又はBacillus subtilis由来である。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、E.coli由来である。一部の実施形態では、アデニンデアミナーゼは、本明細書に提供される変異(例えば、ecTadAにおける変異)のいずれかに対応する1つ以上の変異を含む、天然に存在するアデノシンデアミナーゼである。任意の相同タンパク質における対応する残基は、例えば、配列整列及び相同残基の決定によって特定することができる。本明細書に記載の変異のいずれか(例えば、ecTadAにおいて特定された変異のいずれか)に対応する、任意の天然に存在するアデノシンデアミナーゼにおける(例えば、ecTadAに対して相同性を有する)変異は、それに応じて生成することができる。
【0277】
アデノシンデアミナーゼ
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、1つ以上のアデノシンデアミナーゼドメインを含む。一部の実施形態では、本明細書に提供されるアデノシンデアミナーゼは、アデニンを脱アミノ化することができる。一部の実施形態では、本明細書に提供されるアデノシンデアミナーゼは、DNAのデオキシアデノシン残基におけるアデニンを脱アミノ化することができる。アデノシンデアミナーゼは、任意の好適な生物(例えば、E.coli)に由来し得る。一部の実施形態では、アデニンデアミナーゼは、本明細書に提供される変異(例えば、ecTadAにおける変異)のいずれかに対応する1つ以上の変異を含む、天然に存在するアデノシンデアミナーゼである。当業者は、例えば、配列整列及び相同残基の決定によって、任意の相同タンパク質における対応する残基を特定することができるであろう。したがって、当業者は、本明細書に記載の変異のいずれか、例えば、ecTadAにおいて特定された変異のいずれかに対応する、任意の天然に存在するアデノシンデアミナーゼにおける(例えば、ecTadAに対して相同性を有する)変異を生成することができるであろう。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、原核生物由来である。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、細菌由来である。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、Escherichia coli、Staphylococcus aureus、Salmonella typhi、Shewanella putrefaciens、Haemophilus influenzae、Caulobacter crescentus、又はBacillus subtilis由来である。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、E.coli由来である。
【0278】
増加した効率(>50~60%)及び特異性を有するアデノシンデアミナーゼバリアントが本明細書に提供され、記載される。特に、本明細書に記載のアデノシンデアミナーゼバリアントは、ポリヌクレオチド内で所望の塩基を編集する可能性が高く、改変されることが意図されない塩基(すなわち、「バイスタンダー」)を編集する可能性が低い。
【0279】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadAデアミナーゼ由来である。特定の実施形態では、TadAは、PCT/US2017/045381(WO2018/027078)(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるTadAのうちのいずれか1つである。
【0280】
野生型TadA(wt)アデノシンデアミナーゼは、以下の配列(TadA参照配列とも称される)を有する:
MSEVEFSHEYWMRHALTLAKRAWDEREVPVGAVLVHNNRVIGEGWNRPIGRHDPTAHAEIMALRQGGLVMQNYRLIDATLYVTLEPCVMCAGAMIHSRIGRVVFGARDAKTGAAGSLMDVLHHPGMNHRVEITEGILADECAALLSDFFRMRRQEIKAQKKAQSSTD(配列番号6)
【0281】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、全長E.coli TadAデアミナーゼである。例えば、ある特定の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、以下のアミノ酸配列を含む:
MRRAFITGVFFLSEVEFSHEYWMRHALTLAKRAWDEREVPVGAVLVHNNRVIGEGWNRPIGRHDPTAHAEIMALRQGGLVMQNYRLIDATLYVTLEPCVMCAGAMIHSRIGRVVFGARDAKTGAAGSLMDVLHHPGMNHRVEITEGILADECAALLSDFFRMRRQEIKAQKKAQSSTD(配列番号7)。
【0282】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、原核生物由来である。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、細菌由来である。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、Escherichia coli(E.coli)、Staphylococcus aureus(S.aureus)、Salmonella typhimurium(S.typhimurium)、Shewanella putrefaciens(S.putrefaciens)、Haemophilus influenzae(H.influenzae)、Caulobacter crescentus(C.crescentus)、Geobacter sulfurreducens(G.sulfurreducens)、又はBacillus subtilis由来である。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、E.coli由来である。
【0283】
しかしながら、本出願において有用な追加のアデノシンデアミナーゼが当業者には明らかであり、かつ本開示の範囲内であることを理解されたい。例えば、アデノシンデアミナーゼは、tRNAに作用するアデノシンデアミナーゼ(ADAT)のホモログであり得る。限定されるものではないが、例示的なAD ATホモログのアミノ酸配列には、以下が挙げられる:
【0284】
Staphylococcus aureus(S.aureus)TadA:
MGSHMTNDIYFMTLAIEEAKKAAQLGEVPIGAIITKDDEVIARAHNLRETLQQPTAHAEHIAIERAAKVLGSWRLEGCTLYVTLEPCVMCAGTIVMSRIPRVVYGADDPKGGCSGSLMNLLQQSNFNHRAIVDKGVLKEACSTLLTTFFKNLRANKKSTN(配列番号8)
【0285】
Bacillus subtilis(B.subtilis)TadA:
MTQDELYMKEAIKEAKKAEEKGEVPIGAVLVINGEIIARAHNLRETEQRSIAHAEMLVIDEACKALGTWRLEGATLYVTLEPCPMCAGAVVLSRVEKVVFGAFDPKGGCSGTLMNLLQEERFNHQAEVVSGVLEEECGGMLSAFFRELRKKKKAARKNLSE(配列番号9)
【0286】
Salmonella typhimurium(S.typhimurium)TadA:
MPPAFITGVTSLSDVELDHEYWMRHALTLAKRAWDEREVPVGAVLVHNHRVIGEGWNRPIGRHDPTAHAEIMALRQGGLVLQNYRLLDTTLYVTLEPCVMCAGAMVHSRIGRVVFGARDAKTGAAGSLIDVLHHPGMNHRVEIIEGVLRDECATLLSDFFRMRRQEIKALKKADRAEGAGPAV(配列番号10)
【0287】
Shewanella putrefaciens(S.putrefaciens)TadA:
MDEYWMQVAMQMAEKAEAAGEVPVGAVLVKDGQQIATGYNLSISQHDPTAHAEILCLRSAGKKLENYRLLDATLYITLEPCAMCAGAMVHSRIARVVYGARDEKTGAAGTVVNLLQHPAFNHQVEVTSGVLAEACSAQLSRFFKRRRDEKKALKLAQRAQQGIE(配列番号11)
【0288】
Haemophilus influenzae F3031(H.influenzae)TadA:
MDAAKVRSEFDEKMMRYALELADKAEALGEIPVGAVLVDDARNIIGEGWNLSIVQSDPTΑΗAEIIALRNGAKNIQNYRLLNSTLYVTLEPCTMCAGAILHSRIKRLVFGASDYKTGAIGSRFHFFDDYKMNHTLEITSGVLAEECSQKLSTFFQKRREEKKIEKALLKSLSDK(配列番号12)
【0289】
Caulobacter crescentus(C.crescentus)TadA:
MRTDESEDQDHRMMRLALDAARAAAEAGETPVGAVILDPSTGEVIATAGNGPIAAHDPTAHAEIAAMRAAAAKLGNYRLTDLTLVVTLEPCAMCAGAISHARIGRVVFGADDPKGGAVVHGPKFFAQPTCHWRPEVTGGVLADESADLLRGFFRARRKAKI(配列番号13)
【0290】
Geobacter sulfurreducens(G.sulfurreducens)TadA:
MSSLKKTPIRDDAYWMGKAIREAAKAAARDEVPIGAVIVRDGAVIGRGHNLREGSNDPSAHAEMIAIRQAARRSANWRLTGATLYVTLEPCLMCMGAIILARLERVVFGCYDPKGGAAGSLYDLSADPRLNHQVRLSPGVCQEECGTMLSDFFRDLRRRKKAKATPALFIDERKVPPEP(配列番号14)
【0291】
E.Coli TadA(ecTadA)のある実施形態は、以下を含む:
MSEVEFSHEYWMRHALTLAKRARDEREVPVGAVLVLNNRVIGEGWNRAIGLHDPTAHAEIMALRQGGLVMQNYRLIDATLYVTFEPCVMCAGAMIHSRIGRVVFGVRNAKTGAAGSLMDVLHYPGMNHRVEITEGILADECAALLCYFFRMPRQVFNAQKKAQSSTD(配列番号3)
【0292】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、本明細書に提供されるアデノシンデアミナーゼのうちのいずれかに記載のアミノ酸配列のうちのいずれか1つと少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも99.5%同一であるアミノ酸配列を含む。本明細書に提供されるアデノシンデアミナーゼが、1つ以上の変異(例えば、本明細書に提供される変異のいずれか)を含み得ることを理解されたい。本開示は、特定の同一性パーセント、加えて、本明細書に記載の変異のいずれか又はそれらの組み合わせを有する、任意のデアミナーゼドメインを提供する。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、参照配列又は本明細書に提供されるアデノシンデアミナーゼのいずれかと比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、21、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50個、又はそれ以上の変異を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、当該技術分野で既知であるか、又は本明細書に記載のアミノ酸配列のうちのいずれか1つと比較して、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、又は少なくとも170個の同一の隣接したアミノ酸残基を有するアミノ酸配列を含む。
【0293】
本明細書に提供される変異のいずれか(例えば、TadA参照配列に基づく)が、他のアデノシンデアミナーゼ、例えば、E.coli TadA(ecTadA)、S.aureus TadA(saTadA)、又は他のアデノシンデアミナーゼ(例えば、細菌アデノシンデアミナーゼ)に導入され得ることを理解されたい。本明細書に提供されるように変異され得る相同アミノ酸残基を特定するために、追加のデアミナーゼを同様に整列させることができることは、当業者には明らかであろう。したがって、TadA参照配列において特定された変異のいずれかは、相同アミノ酸残基を有する他のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTada)において作製され得る。本明細書に提供される変異のいずれかは、TadA参照配列又は別のアデノシンデアミナーゼにおいて、個別に、又は任意の組み合わせで作製され得ることも理解されたい。
【0294】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるD108X変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるD108G、D108N、D108V、D108A、若しくはD108Y変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含む。しかしながら、本明細書に提供されるように変異され得る相同アミノ酸残基を特定するために、追加のデアミナーゼを同様に整列させることができることを理解されたい。
【0295】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるA106X変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるA106V変異、又は別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における対応する変異を含む。
【0296】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるE155X変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含み、Xの存在は、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるE155D、E155G、又はE155V変異、又は別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における対応する変異を含む。
【0297】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるD147X変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含み、Xの存在は、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるD147Y変異、又は別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における対応する変異を含む。
【0298】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるA106X、E155X、又はD147X変異、又は別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における対応する変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、E155D、E155G、又はE155V変異を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、D147Yを含む。
【0299】
本明細書に提供される変異のいずれか(例えば、TadA参照配列のecTadAアミノ酸配列に基づく)が、他のアデノシンデアミナーゼ、例えば、S.aureus TadA(saTadA)、又は他のアデノシンデアミナーゼ(例えば、細菌アデノシンデアミナーゼ)に導入され得ることを理解されたい。ecTadAにおける変異残基に対してどの程度相同であるかは、当業者には明らかであろう。したがって、ecTadAにおいて特定された変異のいずれかは、相同アミノ酸残基を有する他のアデノシンデアミナーゼにおいて作製され得る。本明細書に提供される変異のいずれかは、ecTadA又は別のアデノシンデアミナーゼにおいて、個別に、又は任意の組み合わせで作製され得ることも理解されたい。
【0300】
例えば、アデノシンデアミナーゼは、変異の組み合わせ(例えば、V82G+Y147T+Q154S、I76Y+V82G+Y147T+Q154S、L36H+V82G+Y147T+Q154S+N157K、V82G+Y147D+F149Y+Q154S+D167N、L36H+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+N157K+D167N、L36H+I76Y+V82G+Y147T+Q154S+N157K、I76Y+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+D167N、又はL36H+I76Y+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+N157K+D167N)を含有し、かつ1つ以上の追加の変異を含有し得る。追加の変異としては、例えば、TadA参照配列におけるD108N、A106V、E155V、及び/若しくはD147Y変異、又は別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における対応する変異が挙げられる。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列における以下の変異群(変異群は、「;」によって分離される)、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含む:D108N及びA106V;D108N及びE155V;D108N及びD147Y;A106V及びE155V;A106V及びD147Y;E155V及びD147Y;D108N、A106V、及びE155V;D108N、A106V、及びD147Y;D108N、E155V、及びD147Y;A106V、E155V、及びD147Y;並びにD108N、A106V、E155V、及びD147Y。しかしながら、本明細書に提供される対応する変異の任意の組み合わせが、アデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)において作製され得ることを理解されたい。
【0301】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8X、T17X、L18X、W23X、L34X、W45X、R51X、A56X、E59X、E85X、M94X、I95X、V102X、F104X、A106X、R107X、D108X、K110X、M118X、N127X、A138X、F149X、M151X、R153X、Q154X、I156X、及び/若しくはK157X変異のうちの1つ以上、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける1つ以上の対応する変異を含み、Xの存在は、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8Y、T17S、L18E、W23L、L34S、W45L、R51H、A56E、若しくはA56S、E59G、E85K、若しくはE85G、M94L、I95L、V102A、F104L、A106V、R107C、若しくはR107H、若しくはR107P、D108G、若しくはD108N、若しくはD108V、若しくはD108A、若しくはD108Y、K110I、M118K、N127S、A138V、F149Y、M151V、R153C、Q154L、I156D、及び/又はK157R変異のうちの1つ以上、あるいは別のアデノシンデアミナーゼにおける1つ以上の対応する変異を含む。
【0302】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8X、D108X、及び/若しくはN127X変異のうちの1つ以上、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける1つ以上の対応する変異を含み、Xは、任意のアミノ酸の存在を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8Y、D108N、及び/若しくはN127S変異のうちの1つ以上、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける1つ以上の対応する変異を含む。
【0303】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8X、R26X、M61X、L68X、M70X、A106X、D108X、A109X、N127X、D147X、R152X、Q154X、E155X、K161X、Q163X、及び/若しくはT166X変異のうちの1つ以上、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける1つ以上の対応する変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸の存在を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8Y、R26W、M61I、L68Q、M70V、A106T、D108N、A109T、N127S、D147Y、R152C、Q154H、若しくはQ154R、E155G、若しくはE155V、若しくはE155D、K161Q、Q163H、及び/又はT166P変異のうちの1つ以上、あるいは別のアデノシンデアミナーゼにおける1つ以上の対応する変異を含む。
【0304】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8X、D108X、N127X、D147X、R152X、及びQ154Xからなる群から選択される1、2、3、4、5、若しくは6個の変異、又は対応する変異、又は別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸の存在を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8X、M61X、M70X、D108X、N127X、Q154X、E155X、及びQ163Xからなる群から選択される1、2、3、4、5、6、7、若しくは8個の変異、又は対応する変異、又は別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸の存在を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8X、D108X、N127X、E155X、及びT166Xからなる群から選択される1、2、3、4、若しくは5個の変異、又は対応する変異、又は別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸の存在を示す。
【0305】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、H8X、A106X、及びD108Xからなる群から選択される1、2、3、4、5、若しくは6個の変異、又は対応する変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸の存在を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、H8X、R26X、L68X、D108X、N127X、D147X、及びE155Xからなる群から選択される1、2、3、4、5、6、7、若しくは8個の変異、又は対応する変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸の存在を示す。
【0306】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8X、R126X、L68X、D108X、N127X、D147X、及びE155Xからなる群から選択される1、2、3、4、5、6、若しくは7個の変異、又は対応する変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸の存在を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8X、D108X、A109X、N127X、及びE155Xからなる群から選択される1、2、3、4、若しくは5個の変異、又は対応する変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸の存在を示す。
【0307】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8Y、D108N、N127S、D147Y、R152C、及びQ154Hからなる群から選択される1、2、3、4、5、若しくは6個の変異、又は対応する変異、又は別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における変異を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8Y、M61I、M70V、D108N、N127S、Q154R、E155G、及びQ163Hからなる群から選択される1、2、3、4、5、6、7、若しくは8個の変異、又は対応する変異、又は別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における変異を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8Y、D108N、N127S、E155V、及びT166Pからなる群から選択される1、2、3、4、若しくは5個の変異、又は対応する変異、又は別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における変異を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8Y、A106T、D108N、N127S、E155D、及びK161Qからなる群から選択される1、2、3、4、5、若しくは6個の変異、又は対応する変異、又は別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における変異を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8Y、R26W、L68Q、D108N、N127S、D147Y、及びE155Vからなる群から選択される1、2、3、4、5、6、7、若しくは8個の変異、又は対応する変異、又は別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における変異を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8Y、D108N、A109T、N127S、及びE155Gからなる群から選択される1、2、3、4、若しくは5個の変異、又は対応する変異、又は別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における変異を含む。
【0308】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異のうちの1つ以上又は1つ以上の対応する変異を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるD108N、D108G、若しくはD108V変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるA106V及びD108N変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるR107C及びD108N変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8Y、D108N、N127S、D147Y、及びQ154H変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8Y、D108N、N127S、D147Y、及びE155V変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるD108N、D147Y、及びE155V変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8Y、D108N、及びN127S変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるA106V、D108N、D147Y、及びE155V変異、又は別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における対応する変異を含む。
【0309】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるS2X、H8X、I49X、L84X、H123X、N127X、I156X、及び/若しくはK160X変異のうちの1つ以上、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける1つ以上の対応する変異を含み、Xの存在は、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるS2A、H8Y、I49F、L84F、H123Y、N127S、I156F、及び/若しくはK160S変異のうちの1つ以上、又は別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における1つ以上の対応する変異を含む。
【0310】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、L84X変異アデノシンデアミナーゼを含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるL84F変異、又は別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における対応する変異を含む。
【0311】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH123X変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH123Y変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含む。
【0312】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるI156X変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるI156F変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含む。
【0313】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるL84X、A106X、D108X、H123X、D147X、E155X、及びI156Xからなる群から選択される1、2、3、4、5、6、若しくは7個の変異、又は対応する変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸の存在を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるS2X、I49X、A106X、D108X、D147X、及びE155Xからなる群から選択される1、2、3、4、5、若しくは6個の変異、又は対応する変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸の存在を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8X、A106X、D108X、N127X、及びK160Xからなる群から選択される1、2、3、4、若しくは5個の変異、又は対応する変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸の存在を示す。
【0314】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるL84F、A106V、D108N、H123Y、D147Y、E155V、及びI156Fからなる群から選択される1、2、3、4、5、6、若しくは7個の変異、又は対応する変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける変異を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるS2A、I49F、A106V、D108N、D147Y、及びE155Vからなる群から選択される1、2、3、4、5、又は6個の変異を含む。
【0315】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH8Y、A106T、D108N、N127S、及びK160Sからなる群から選択される1、2、3、4、若しくは5個の変異、又は対応する変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける変異を含む。
【0316】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるE25X、R26X、R107X、A142X、及び/若しくはA143X変異のうちの1つ以上、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける1つ以上の対応する変異を含み、Xの存在は、野生型のアデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるE25M、E25D、E25A、E25R、E25V、E25S、E25Y、R26G、R26N、R26Q、R26C、R26L、R26K、R107P、R107K、R107A、R107N、R107W、R107H、R107S、A142N、A142D、A142G、A143D、A143G、A143E、A143L、A143W、A143M、A143S、A143Q、及び/若しくはA143R変異のうちの1つ以上、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける1つ以上の対応する変異を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列に対応する本明細書に記載の変異のうちの1つ以上、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける1つ以上の対応する変異を含む。
【0317】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるE25X変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるE25M、E25D、E25A、E25R、E25V、E25S、若しくはE25Y変異、又は別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における対応する変異を含む。
【0318】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるR26X変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるR26G、R26N、R26Q、R26C、R26L、若しくはR26K変異、又は別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における対応する変異を含む。
【0319】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるR107X変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるR107P、R107K、R107A、R107N、R107W、R107H、若しくはR107S変異、又は別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における対応する変異を含む。
【0320】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるA142X変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるA142N、A142D、A142G変異、又は別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における対応する変異を含む。
【0321】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるA143X変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるA143D、A143G、A143E、A143L、A143W、A143M、A143S、A143Q、及び/若しくはA143R変異、又は別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における対応する変異を含む。
【0322】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH36X、N37X、P48X、I49X、R51X、M70X、N72X、D77X、E134X、S146X、Q154X、K157X、及び/若しくはK161X変異のうちの1つ以上、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける1つ以上の対応する変異を含み、Xの存在は、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH36L、N37T、N37S、P48T、P48L、I49V、R51H、R51L、M70L、N72S、D77G、E134G、S146R、S146C、Q154H、K157N、及び/若しくはK161T変異のうちの1つ以上、又は別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)における1つ以上の対応する変異を含む。
【0323】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH36X変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるH36L変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含む。
【0324】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるN37X変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるN37T若しくはN37S変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含む。
【0325】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるP48X変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるP48T若しくはP48L変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含む。
【0326】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるR51X変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるR51H若しくはR51L変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含む。
【0327】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるS146X変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるS146R若しくはS146C変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含む。
【0328】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるK157X変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるK157N変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含む。
【0329】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるP48X変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるP48S、P48T、若しくはP48A変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含む。
【0330】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるA142X変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるA142N変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含む。
【0331】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるW23X変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるW23R若しくはW23L変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含む。
【0332】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるR152X変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含み、Xは、野生型アデノシンデアミナーゼにおける対応するアミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列におけるR152P若しくはR52H変異、又は別のアデノシンデアミナーゼにおける対応する変異を含む。
【0333】
一実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、変異H36L、R51L、L84F、A106V、D108N、H123Y、S146C、D147Y、E155V、I156F、及びK157Nを含み得る。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA参照配列に対する以下の変異の組み合わせを含み、組み合わせの各変異は、「_」によって区切られ、変異の各組み合わせは、括弧の間にある:
(A106V_D108N)、
(R107C_D108N)、
(H8Y_D108N_N127S_D147Y_Q154H)、
(H8Y_D108N_N127S_D147Y_E155V)、
(D108N_D147Y_E155V)、
(H8Y_D108N_N127S)、
(H8Y_D108N_N127S_D147Y_Q154H)、
(A106V_D108N_D147Y_E155V)、
(D108Q_D147Y_E155V)、
(D108M_D147Y_E155V)、
(D108L_D147Y_E155V)、
(D108K_D147Y_E155V)、
(D108I_D147Y_E155V)、
(D108F_D147Y_E155V)、
(A106V_D108N_D147Y)、
(A106V_D108M_D147Y_E155V)、
(E59A_A106V_D108N_D147Y_E155V)、
(E59A cat dead_A106V_D108N_D147Y_E155V)、
(L84F_A106V_D108N_H123Y_D147Y_E155V_I156Y)、
(L84F_A106V_D108N_H123Y_D147Y_E155V_I156F)、
(D103A_D104N)、
(G22P_D103A_D104N)、
(D103A_D104N_S138A)、
(R26G_L84F_A106V_R107H_D108N_H123Y_A142N_A143D_D147Y_E155V_I156F)、
(E25G_R26G_L84F_A106V_R107H_D108N_H123Y_A142N_A143D_D147Y_E155V_I156F)、
(E25D_R26G_L84F_A106V_R107K_D108N_H123Y_A142N_A143G_D147Y_E155V_I156F)、(R26Q_L84F_A106V_D108N_H123Y_A142N_D147Y_E155V_I156F)、
(E25M_R26G_L84F_A106V_R107P_D108N_H123Y_A142N_A143D_D147Y_E155V_I156F)、(R26C_L84F_A106V_R107H_D108N_H123Y_A142N_D147Y_E155V_I156F)、(L84F_A106V_D108N_H123Y_A142N_A143L_D147Y_E155V_I156F)、
(R26G_L84F_A106V_D108N_H123Y_A142N_D147Y_E155V_I156F)、
(E25A_R26G_L84F_A106V_R107N_D108N_H123Y_A142N_A143E_D147Y_E155V_I156F)、
(R26G_L84F_A106V_R107H_D108N_H123Y_A142N_A143D_D147Y_E155V_I156F)、
(A106V_D108N_A142N_D147Y_E155V)、
(R26G_A106V_D108N_A142N_D147Y_E155V)、
(E25D_R26G_A106V_R107K_D108N_A142N_A143G_D147Y_E155V)、
(R26G_A106V_D108N_R107H_A142N_A143D_D147Y_E155V)、
(E25D_R26G_A106V_D108N_A142N_D147Y_E155V)、
(A106V_R107K_D108N_A142N_D147Y_E155V)、
(A106V_D108N_A142N_A143G_D147Y_E155V)、
(A106V_D108N_A142N_A143L_D147Y_E155V)、
(H36L_R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_S146C_D147Y_E155V_I156F_K157N)、
(N37T_P48T_M70L_L84F_A106V_D108N_H123Y_D147Y_I49V_E155V_I156F)、
(N37S_L84F_A106V_D108N_H123Y_D147Y_E155V_I156F_K161T)、
(H36L_L84F_A106V_D108N_H123Y_D147Y_Q154H_E155V_I156F)、
(N72S_L84F_A106V_D108N_H123Y_S146R_D147Y_E155V_I156F)、
(H36L_P48L_L84F_A106V_D108N_H123Y_E134G_D147Y_E155V_I156F)、
(H36L_L84F_A106V_D108N_H123Y_D147Y_E155V_I156F_K157N)
(H36L_L84F_A106V_D108N_H123Y_S146C_D147Y_E155V_I156F)、
(L84F_A106V_D108N_H123Y_S146R_D147Y_E155V_I156F_K161T)、
(N37S_R51H_D77G_L84F_A106V_D108N_H123Y_D147Y_E155V_I156F)、
(R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_D147Y_E155V_I156F_K157N)、
(D24G_Q71R_L84F_H96L_A106V_D108N_H123Y_D147Y_E155V_I156F_K160E)、
(H36L_G67V_L84F_A106V_D108N_H123Y_S146T_D147Y_E155V_I156F)、
(Q71L_L84F_A106V_D108N_H123Y_L137M_A143E_D147Y_E155V_I156F)、
(E25G_L84F_A106V_D108N_H123Y_D147Y_E155V_I156F_Q159L)、
(L84F_A91T_F104I_A106V_D108N_H123Y_D147Y_E155V_I156F)、
(N72D_L84F_A106V_D108N_H123Y_G125A_D147Y_E155V_I156F)、
(P48S_L84F_S97C_A106V_D108N_H123Y_D147Y_E155V_I156F)、
(W23G_L84F_A106V_D108N_H123Y_D147Y_E155V_I156F)、
(D24G_P48L_Q71R_L84F_A106V_D108N_H123Y_D147Y_E155V_I156F_Q159L)、
(L84F_A106V_D108N_H123Y_A142N_D147Y_E155V_I156F)、
(H36L_R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_A142N_S146C_D147Y_E155V_I156F_K157N)、
(N37S_L84F_A106V_D108N_H123Y_A142N_D147Y_E155V_I156F_K161T)、
(L84F_A106V_D108N_D147Y_E155V_I156F)、
(R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_S146C_D147Y_E155V_I156F_K157N_K161T)、
(L84F_A106V_D108N_H123Y_S146C_D147Y_E155V_I156F_K161T)、
(L84F_A106V_D108N_H123Y_S146C_D147Y_E155V_I156F_K157N_K160E_K161T)、
(L84F_A106V_D108N_H123Y_S146C_D147Y_E155V_I156F_K157N_K160E)、(R74Q_L84F_A106V_D108N_H123Y_D147Y_E155V_I156F)、
(R74A_L84F_A106V_D108N_H123Y_D147Y_E155V_I156F)、
(L84F_A106V_D108N_H123Y_D147Y_E155V_I156F)、
(R74Q_L84F_A106V_D108N_H123Y_D147Y_E155V_I156F)、
(L84F_R98Q_A106V_D108N_H123Y_D147Y_E155V_I156F)、
(L84F_A106V_D108N_H123Y_R129Q_D147Y_E155V_I156F)、
(P48S_L84F_A106V_D108N_H123Y_A142N_D147Y_E155V_I156F)、
(P48S_A142N)、
(P48T_I49V_L84F_A106V_D108N_H123Y_A142N_D147Y_E155V_I156F_L157N)、
(P48T_I49V_A142N)、
(H36L_P48S_R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_S146C_D147Y_E155V_I156F_K157N)、
(H36L_P48S_R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_S146C_A142N_D147Y_E155V_I156F)、
(H36L_P48T_I49V_R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_S146C_D147Y_E155V_156F_K157N)、
(H36L_P48T_I49V_R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_A142N_S146C_D147Y_E155V_I156F_K157N)、
(H36L_P48A_R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_S146C_D147Y_E155V_I156F_K157N)、
(H36L_P48A_R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_A142N_S146C_D147Y_E155V_I156F_K157N)、(H36L_P48A_R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_S146C_A142N_D147Y_E155V_I156F_K157N)、
(W23L_H36L_P48A_R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_S146C_D147Y_E155V_I156F_K157N)、
(W23R_H36L_P48A_R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_S146C_D147Y_E155V_I156F_K157N)、
(W23L_H36L_P48A_R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_S146R_D147Y_E155V_I156F_K161T)、
(H36L_P48A_R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_S146C_D147Y_R152H_E155V_I156F_K157N)、
(H36L_P48A_R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_S146C_D147Y_R152P_E155V_I156F_K157N)、
(W23L_H36L_P48A_R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_S146C_D147Y_R152P_E155V_I156F_K157N)、
(W23L_H36L_P48A_R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_A142A_S146C_D147Y_E155V_I156F_K157N)、
(W23L_H36L_P48A_R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_A142A_S146C_D147Y_R152P_E155V_I156F_K157N)、
(W23L_H36L_P48A_R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_S146R_D147Y_E155V_I156F_K161T)、
(W23R_H36L_P48A_R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_S146C_D147Y_R152P_E155V_I156F_K157N)、
(H36L_P48A_R51L_L84F_A106V_D108N_H123Y_A142N_S146C_D147Y_R152P_E155V_I156F_K157N)。
【0334】
一部の実施形態では、TadAデアミナーゼは、TadAバリアントである。一部の実施形態では、TadAバリアントは、TadA*7.10である。特定の実施形態では、融合タンパク質は、(例えば、単量体として提供される)単一のTadA*7.10ドメインを含む。他の実施形態では、融合タンパク質は、ヘテロ二量体を形成することができる、TadA*7.10及びTadA(wt)を含む。一実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、Cas9ニッカーゼに結合した、TadA*7.10に結合した野生型TadAを含む。
【0335】
一部の実施形態では、TadA*7.10は、少なくとも1つの改変を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、以下の配列における改変を含む:
TadA*7.10
【0336】
MSEVEFSHEYWMRHALTLAKRARDEREVPVGAVLVLNNRVIGEGWNRAIGLHDPTAHAEIMALRQGGLVMQNYRLIDATLYVTFEPCVMCAGAMIHSRIGRVVFGVRNAKTGAAGSLMDVLHYPGMNHRVEITEGILADECAALLCYFFRMPRQVFNAQKKAQSSTD(配列番号3)
【0337】
一部の実施形態では、TadA*7.10は、アミノ酸82及び/又は166における改変を含む。特定の実施形態では、TadA*7.10は、以下の改変のうちの1つ以上を含む:Y147T、Y147R、Q154S、Y123H、V82S、T166R、及び/又はQ154R。他の実施形態では、TadA*7.10のバリアントは、以下の群から選択される改変の組み合わせを含む:Y147T+Q154R、Y147T+Q154S、Y147R+Q154S、V82S+Q154S、V82S+Y147R、V82S+Q154R、V82S+Y123H、I76Y+V82S、V82S+Y123H+Y147T、V82S+Y123H+Y147R、V82S+Y123H+Q154R、Y147R+Q154R+Y123H、Y147R+Q154R+I76Y、Y147R+Q154R+T166R、Y123H+Y147R+Q154R+I76Y、V82S+Y123H+Y147R+Q154R、及びI76Y+V82S+Y123H+Y147R+Q154R。
【0338】
一部の実施形態では、TadA*7.10のバリアントは、L36H、I76Y、V82G、Y147T、Y147D、F149Y、Q154S、N157K、及び/又はD167Nの群から選択される1つ以上の改変を含む。一部の実施形態では、TadA*7.10のバリアントは、V82G、Y147T/D、Q154S、並びにL36H、I76Y、F149Y、N157K、及びD167Nのうちの1つ以上を含む。他の実施形態では、TadA*7.10のバリアントは、以下の群から選択される改変の組み合わせを含む:V82G+Y147T+Q154S、I76Y+V82G+Y147T+Q154S、L36H+V82G+Y147T+Q154S+N157K、V82G+Y147D+F149Y+Q154S+D167N、L36H+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+N157K+D167N、L36H+I76Y+V82G+Y147T+Q154S+N157K、I76Y+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+D167N、L36H+I76Y+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+N157K+D167N。
【0339】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアント(例えば、TadAバリアント)は、欠失を含む。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、C末端の欠失を含む。特定の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、TadA*7.10、TadA参照配列、又は別のTadAにおける対応する変異に対して、残基149、150、151、152、153、154、155、156、及び157で始まるC末端の欠失を含む。
【0340】
他の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアント(例えば、TadA*8)は、TadA*7.10、TadA参照配列、又は別のTadAにおける対応する変異に対して、以下の改変、Y147T、Y147R、Q154S、Y123H、V82S、T166R、及び/若しくはQ154Rのうちの1つ以上を含む単量体である。他の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアント(TadA*8)は、TadA*7.10、TadA参照配列、又は別のTadAにおける対応する変異に対して、Y147T+Q154R、Y147T+Q154S、Y147R+Q154S、V82S+Q154S、V82S+Y147R、V82S+Q154R、V82S+Y123H、I76Y+V82S、V82S+Y123H+Y147T、V82S+Y123H+Y147R、V82S+Y123H+Q154R、Y147R+Q154R+Y123H、Y147R+Q154R+I76Y、Y147R+Q154R+T166R、Y123H+Y147R+Q154R+I76Y、V82S+Y123H+Y147R+Q154R、及びI76Y+V82S+Y123H+Y147R+Q154Rの群から選択される改変の組み合わせを含む単量体である。
【0341】
他の実施形態では、TadA*7.10、TadA参照配列、又は別のTadAにおける対応する変異に対して、以下の改変、R26C、V88A、A109S、T111R、D119N、H122N、Y147D、F149Y、T166I、及び/又はD167Nのうちの1つ以上を含むアデノシンデアミナーゼバリアント(例えば、TadA*8)単量体を含む、本開示の塩基エディター。他の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアント(TadA*8)単量体は、TadA*7.10、TadA参照配列、又は別のTadAにおける対応する変異に対して、R26C+A109S+T111R+D119N+H122N+Y147D+F149Y+T166I+D167N、V88A+A109S+T111R+D119N+H122N+F149Y+T166I+D167N、R26C+A109S+T111R+D119N+H122N+F149Y+T166I+D167N、V88A+T111R+D119N+F149Y、及びA109S+T111R+D119N+H122N+Y147D+F149Y+T166I+D167Nの群から選択される改変の組み合わせを含む。
【0342】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアント(例えば、MSP828)は、TadA*7.10、TadA参照配列、又は別のTadAにおける対応する変異に対して、以下の改変、L36H、I76Y、V82G、Y147T、Y147D、F149Y、Q154S、N157K、及び/又はD167Nのうちの1つ以上を含む単量体である。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアント(例えば、MSP828)は、TadA*7.10、TadA参照配列、又は別のTadAにおける対応する変異に対して、V82G、Y147T/D、Q154S、並びにL36H、I76Y、F149Y、N157K、及びD167Nのうちの1つ以上を含む単量体である。他の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアント(TadAバリアント)は、TadA*7.10、TadA参照配列、又は別のTadAにおける対応する変異に対して、V82G+Y147T+Q154S、I76Y+V82G+Y147T+Q154S、L36H+V82G+Y147T+Q154S+N157K、V82G+Y147D+F149Y+Q154S+D167N、L36H+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+N157K+D167N、L36H+I76Y+V82G+Y147T+Q154S+N157K、I76Y+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+D167N、L36H+I76Y+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+N157K+D167Nの群から選択される改変の組み合わせを含む単量体である。
【0343】
他の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、2つのアデノシンデアミナーゼドメイン(例えば、TadA*8)を含むホモ二量体であり、各々、TadA*7.10、TadA参照配列、又は別のTadAにおける対応する変異に対して、以下の改変、Y147T、Y147R、Q154S、Y123H、V82S、T166R、及び/又はQ154Rのうちの1つ以上を有する。他の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、2つのアデノシンデアミナーゼドメイン(例えば、TadA*8)を含むホモ二量体であり、各々、TadA*7.10、TadA参照配列、又は別のTadAにおける対応する変異に対して、Y147T+Q154R、Y147T+Q154S、Y147R+Q154S、V82S+Q154S、V82S+Y147R、V82S+Q154R、V82S+Y123H、I76Y+V82S、V82S+Y123H+Y147T、V82S+Y123H+Y147R、V82S+Y123H+Q154R、Y147R+Q154R+Y123H、Y147R+Q154R+I76Y、Y147R+Q154R+T166R、Y123H+Y147R+Q154R+I76Y、V82S+Y123H+Y147R+Q154R、及びI76Y+V82S+Y123H+Y147R+Q154Rの群から選択される改変の組み合わせを有する。
【0344】
他の実施形態では、各々、TadA*7.10、TadA参照配列、又は別のTadAにおける対応する変異に対して、以下の改変、R26C、V88A、A109S、T111R、D119N、H122N、Y147D、F149Y、T166I、及び/又はD167Nのうちの1つ以上を有する2つのアデノシンデアミナーゼドメイン(例えば、TadA*8)を含むアデノシンデアミナーゼバリアント(例えば、TadA*8)ホモ二量体を含む、本開示の塩基エディター。他の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、2つのアデノシンデアミナーゼドメイン(例えば、TadA*8)を含むホモ二量体であり、各々、TadA*7.10、TadA参照配列、又は別のTadAにおける対応する変異に対して、R26C+A109S+T111R+D119N+H122N+Y147D+F149Y+T166I+D167N、V88A+A109S+T111R+D119N+H122N+F149Y+T166I+D167N、R26C+A109S+T111R+D119N+H122N+F149Y+T166I+D167N、V88A+T111R+D119N+F149Y、及びA109S+T111R+D119N+H122N+Y147D+F149Y+T166I+D167Nの群から選択される改変の組み合わせを有する。
【0345】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、2つのアデノシンデアミナーゼドメイン(例えば、TadA*7.10)を含むホモ二量体であり、各々、TadA*7.10、TadA参照配列、又は別のTadAにおける対応する変異に対して、以下の改変、L36H、I76Y、V82G、Y147T、Y147D、F149Y、Q154S、N157K、及び/又はD167Nのうちの1つ以上を有する。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、2つのアデノシンデアミナーゼバリアントドメイン(例えば、MSP828)を含むホモ二量体であり、各々、TadA*7.10、TadA参照配列、又は別のTadAにおける対応する変異に対して、以下の改変、V82G、Y147T/D、Q154S、並びにL36H、I76Y、F149Y、N157K、及びD167Nのうちの1つ以上を有する。他の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、2つのアデノシンデアミナーゼドメイン(例えば、TadA*7.10)を含むホモ二量体であり、各々、TadA*7.10、TadA参照配列、又は別のTadAにおける対応する変異に対して、V82G+Y147T+Q154S、I76Y+V82G+Y147T+Q154S、L36H+V82G+Y147T+Q154S+N157K、V82G+Y147D+F149Y+Q154S+D167N、L36H+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+N157K+D167N、L36H+I76Y+V82G+Y147T+Q154S+N157K、I76Y+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+D167N、L36H+I76Y+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+N157K+D167Nの群から選択される改変の組み合わせを有する。
【0346】
他の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、野生型アデノシンデアミナーゼドメインと、TadA*7.10、TadA参照配列、又は別のTadAにおける対応する変異に対して、以下の改変、Y147T、Y147R、Q154S、Y123H、V82S、T166R、及び/又はQ154Rのうちの1つ以上を含むアデノシンデアミナーゼバリアントドメイン(例えば、TadA*8)とのヘテロ二量体である。他の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、野生型アデノシンデアミナーゼドメインと、TadA*7.10、TadA参照配列、又は別のTadAにおける対応する変異に対して、Y147T+Q154R、Y147T+Q154S、Y147R+Q154S、V82S+Q154S、V82S+Y147R、V82S+Q154R、V82S+Y123H、I76Y+V82S、V82S+Y123H+Y147T、V82S+Y123H+Y147R、V82S+Y123H+Q154R、Y147R+Q154R+Y123H、Y147R+Q154R+I76Y、Y147R+Q154R+T166R、Y123H+Y147R+Q154R+I76Y、V82S+Y123H+Y147R+Q154R、及びI76Y+V82S+Y123H+Y147R+Q154Rの群から選択される改変の組み合わせを含むアデノシンデアミナーゼバリアントドメイン(例えば、TadA*8)とのヘテロ二量体である。
【0347】
他の実施形態では、塩基エディターは、野生型アデノシンデアミナーゼドメインと、TadA*7.10、TadA参照配列、又は別のTadAにおける対応する変異に対して、以下の改変、R26C、V88A、A109S、T111R、D119N、H122N、Y147D、F149Y、T166I、及び/又はD167Nのうちの1つ以上を含むアデノシンデアミナーゼバリアントドメイン(例えば、TadA*8)とのヘテロ二量体を含む。他の実施形態では、塩基エディターは、野生型アデノシンデアミナーゼドメインと、TadA*7.10、TadA参照配列、又は別のTadAにおける対応する変異に対して、R26C+A109S+T111R+D119N+H122N+Y147D+F149Y+T166I+D167N、V88A+A109S+T111R+D119N+H122N+F149Y+T166I+D167N、R26C+A109S+T111R+D119N+H122N+F149Y+T166I+D167N、V88A+T111R+D119N+F149Y、及びA109S+T111R+D119N+H122N+Y147D+F149Y+T166I+D167Nの群から選択される改変の組み合わせを含むアデノシンデアミナーゼバリアントドメイン(例えば、TadA*8)とのヘテロ二量体を含む。
【0348】
他の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、野生型アデノシンデアミナーゼドメインと、TadA*7.10、TadA参照配列、又は別のTadAにおける対応する変異に対して、以下の改変、L36H、I76Y、V82G、Y147T、Y147D、F149Y、Q154S、N157K、及び/又はD167Nのうちの1つ以上を含むアデノシンデアミナーゼバリアントドメイン(例えば、TadA*7.10)とのヘテロ二量体である。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、野生型アデノシンデアミナーゼドメインと、TadA*7.10、TadA参照配列、又は別のTadAにおける対応する変異に対して、以下の改変、V82G、Y147T/D、Q154S、並びにL36H、I76Y、F149Y、N157K、及びD167Nのうちの1つ以上を有するアデノシンデアミナーゼバリアントドメイン(例えば、MSP828)とを含むヘテロ二量体である。他の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、野生型アデノシンデアミナーゼドメインと、TadA*7.10、TadA参照配列、又は別のTadAにおける対応する変異に対して、V82G+Y147T+Q154S、I76Y+V82G+Y147T+Q154S、L36H+V82G+Y147T+Q154S+N157K、V82G+Y147D+F149Y+Q154S+D167N、L36H+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+N157K+D167N、L36H+I76Y+V82G+Y147T+Q154S+N157K、I76Y+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+D167N、L36H+I76Y+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+N157K+D167Nの群から選択される改変の組み合わせを含むアデノシンデアミナーゼバリアントドメイン(例えば、TadA*7.10)とのヘテロ二量体である。
【0349】
他の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、TadA*7.10ドメインと、TadA*7.10、TadA参照配列、又は別のTadAにおける対応する変異に対して、以下の改変、Y147T、Y147R、Q154S、Y123H、V82S、T166R、及び/又はQ154Rのうちの1つ以上を含むアデノシンデアミナーゼバリアントドメイン(例えば、TadA*8)とのヘテロ二量体である。他の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、TadA*7.10ドメインと、TadA*7.10、TadA参照配列、又は別のTadAにおける対応する変異に対して、Y147T+Q154R、Y147T+Q154S、Y147R+Q154S、V82S+Q154S、V82S+Y147R、V82S+Q154R、V82S+Y123H、I76Y+V82S、V82S+Y123H+Y147T、V82S+Y123H+Y147R、V82S+Y123H+Q154R、Y147R+Q154R+Y123H、Y147R+Q154R+I76Y、Y147R+Q154R+T166R、Y123H+Y147R+Q154R+I76Y、V82S+Y123H+Y147R+Q154R、及びI76Y+V82S+Y123H+Y147R+Q154Rの群から選択される改変の組み合わせを含むアデノシンデアミナーゼバリアントドメイン(例えば、TadA*8)とのヘテロ二量体である。
【0350】
他の実施形態では、塩基エディターは、TadA*7.10ドメインと、TadA*7.10、TadA参照配列、又は別のTadAにおける対応する変異に対して、以下の改変、R26C、V88A、A109S、T111R、D119N、H122N、Y147D、F149Y、T166I、及び/又はD167Nのうちの1つ以上を含むアデノシンデアミナーゼバリアントドメイン(例えば、TadA*8)とのヘテロ二量体を含む。他の実施形態では、塩基エディターは、TadA*7.10ドメインと、TadA*7.10、TadA参照配列、又は別のTadAにおける対応する変異に対して、R26C+A109S+T111R+D119N+H122N+Y147D+F149Y+T166I+D167N、V88A+A109S+T111R+D119N+H122N+F149Y+T166I+D167N、R26C+A109S+T111R+D119N+H122N+F149Y+T166I+D167N、V88A+T111R+D119N+F149Y、及びA109S+T111R+D119N+H122N+Y147D+F149Y+T166I+D167Nの群から選択される改変の組み合わせを含むアデノシンデアミナーゼバリアントドメイン(例えば、TadA*8)とのヘテロ二量体を含む。
【0351】
他の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、TadA*7.10ドメインと、TadA*7.10、TadA参照配列、又は別のTadAにおける対応する変異に対して、以下の改変、L36H、I76Y、V82G、Y147T、Y147D、F149Y、Q154S、N157K、及び/又はD167Nのうちの1つ以上を含むアデノシンデアミナーゼバリアントドメイン(例えば、TadA*7.10)とのヘテロ二量体である。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、TadA*7.10ドメインと、TadA*7.10、TadA参照配列、又は別のTadAにおける対応する変異に対して、以下の改変、V82G、Y147T/D、Q154S、並びにL36H、I76Y、F149Y、N157K、及びD167Nのうちの1つ以上を有するアデノシンデアミナーゼバリアントドメイン(例えば、MSP828)とを含むヘテロ二量体である。他の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、TadA*7.10ドメインと、TadA*7.10、TadA参照配列、又は別のTadAにおける対応する変異に対して、V82G+Y147T+Q154S、I76Y+V82G+Y147T+Q154S、L36H+V82G+Y147T+Q154S+N157K、V82G+Y147D+F149Y+Q154S+D167N、L36H+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+N157K+D167N、L36H+I76Y+V82G+Y147T+Q154S+N157K、I76Y+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+D167N、L36H+I76Y+V82G+Y147D+F149Y+Q154S+N157K+D167Nの群から選択される改変の組み合わせを含むアデノシンデアミナーゼバリアントドメイン(例えば、TadA*7.10)とのヘテロ二量体である。
【0352】
一部の実施形態では、TadA*8は、表8A、10、11、又は13に示されるバリアントである。表8A、10、11、及び13は、TadAアミノ酸配列における特定のアミノ酸位置の番号、及びTadA-7.10アデノシンデアミナーゼにおけるそれらの位置に存在するアミノ酸を示す。表8A、10、11、及び13はまた、その全容が参照により本明細書に組み込まれる、M.Richter et al.,2020,Nature Biotechnology,doi.org/10.1038/s41587-020-0453-zに記載されているファージ補助非連続的進化(PANCE)及びファージ補助連続的進化(PACE)後のTadA-7.10に対するTadAバリアントのアミノ酸変化を示す。一部の実施形態では、TadA*8は、TadA*8a、TadA*8b、TadA*8c、TadA*8d、又はTadA*8eである。一部の実施形態では、TadA*8は、TadA*8eである。
【0353】
特定の実施形態では、アデノシンデアミナーゼヘテロ二量体は、TadA*8ドメインと、Staphylococcus aureus(S.aureus)TadA、Bacillus subtilis(B.subtilis)TadA、Salmonella typhimurium(S.typhimurium)TadA、Shewanella putrefaciens(S.putrefaciens)TadA、Haemophilus influenzae F3031(H.influenzae)TadA、Caulobacter crescentus(C.crescentus)TadA、Geobacter sulfurreducens(G.sulfurreducens)TadA、又はTadA*7.10から選択されるアデノシンデアミナーゼドメインとを含むことができる。
【0354】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、TadA*8である。一実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、アデノシンデアミナーゼ活性を有する以下の配列又はその断片を含むか又はそれから本質的になるTadA*8である:
MSEVEFSHEYWMRHALTLAKRARDEREVPVGAVLVLNNRVIGEGWNRAIGLHDPTAHAEIMALRQGGLVMQNYRLIDATLYVTFEPCVMCAGAMIHSRIGRVVFGVRNAKTGAAGSLMDVLHYPGMNHRVEITEGILADECAALLCTFFRMPRQVFNAQKKAQSSTD(配列番号16)
【0355】
一部の実施形態では、TadA*8は切断される。一部の実施形態では、切断型TadA*8は、全長TadA*8に対して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、6、17、18、19、又は20個のN末端アミノ酸残基を欠失している。一部の実施形態では、切断型TadA*8は、全長TadA*8に対して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、6、17、18、19、又は20個のC末端アミノ酸残基を欠失している。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、全長TadA*8である。
【0356】
一実施形態では、本明細書に記載及び/又は例示される融合タンパク質は、野生型TadAを含み、本明細書に記載のアデノシンデアミナーゼバリアント(例えば、TadA*8)に連結され、Cas9ニッカーゼに連結される。特定の実施形態では、融合タンパク質は、(例えば、単量体として提供される)単一のTadA*8ドメインを含む。他の実施形態では、塩基エディターは、TadA*8とTadA(wt)とを含み、ヘテロ二量体を形成することができる。
【0357】
一部の実施形態では、TadA*8は、TadA*8.1、TadA*8.2、TadA*8.3、TadA*8.4、TadA*8.5、TadA*8.6、TadA*8.7、TadA*8.8、TadA*8.9、TadA*8.10、TadA*8.11、TadA*8.12、TadA*8.13、TadA*8.14、TadA*8.15、TadA*8.16、TadA*8.17、TadA*8.18、TadA*8.19、TadA*8.20、TadA*8.21、TadA*8.22、TadA*8.23、又はTadA*8.24である
【表1】
【0358】
一部の実施形態では、TadAバリアントは、表6に示されるバリアントである。表6は、TadAアミノ酸配列における特定のアミノ酸位置の番号、及びTadA*7.10アデノシンデアミナーゼにおけるそれらの位置に存在するアミノ酸を示す。一部の実施形態では、TadAバリアントは、MSP605、MSP680、MSP823、MSP824、MSP825、MSP827、MSP828、又はMSP829である。一部の実施形態では、TadAバリアントは、MSP828である。一部の実施形態では、TadAバリアントは、MSP829である。
【表2】
【0359】
一実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、野生型TadAを含み、本明細書に記載のアデノシンデアミナーゼバリアントに連結され、Cas9ニッカーゼに連結される。特定の実施形態では、融合タンパク質は、(例えば、単量体として提供される)単一のバリアントTadAドメインを含む。他の実施形態では、融合タンパク質は、ヘテロ二量体を形成することができるバリアントTadA及びTadA(wt)を含む。
【0360】
一部の実施形態では、TadAバリアントは切断される。一部の実施形態では、切断型TadAは、全長TadAバリアントに対して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、6、17、18、19、又は20個のN末端アミノ酸残基を欠失している。一部の実施形態では、切断型TadAバリアントは、全長TadAバリアントに対して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、6、17、18、19、又は20個のC末端アミノ酸残基を欠失している。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼバリアントは、全長TadAバリアントである。
【0361】
特定の実施形態では、TadA*8は、太字で示される以下の位置のいずれかにおいて、1つ以上の変異を含む。他の実施形態では、TadA*8は、下線で示される位置のいずれかにおいて、1つ以上の変異を含む:
【0362】
例えば、TadA*8は、TadA*7.10、TadA参照配列、又は別のTadAにおける対応する変異に対して、以下、Y147T、Y147R、Q154S、Y123H、及び/又はQ154Rのうちのいずれか1つ以上を単独で又は組み合わせて、アミノ酸位置82及び/又は166(例えば、V82S、T166R)に改変を含む。
【0363】
特定の実施形態では、改変の組み合わせは、TadA*7.10、TadA参照配列、又は別のTadAにおける対応する変異に対して、Y147T+Q154R、Y147T+Q154S、Y147R+Q154S、V82S+Q154S、V82S+Y147R、V82S+Q154R、V82S+Y123H、I76Y+V82S、V82S+Y123H+Y147T、V82S+Y123H+Y147R、V82S+Y123H+Q154R、Y147R+Q154R+Y123H、Y147R+Q154R+I76Y、Y147R+Q154R+T166R、Y123H+Y147R+Q154R+I76Y、V82S+Y123H+Y147R+Q154R、及びI76Y+V82S+Y123H+Y147R+Q154Rの群から選択される。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、以下の改変のうちの1つ以上を含む:R21N、R23H、E25F、N38G、L51W、P54C、M70V、Q71M、N72K、Y73S、V82T、M94V、P124W、T133K、D139L、D139M、C146R、及びA158K。1つ以上の改変が、下線及び太字フォントで上記の配列に示されている。
【0364】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、以下の改変の組み合わせのうちの1つ以上を含む:V82S+Q154R+Y147R、V82S+Q154R+Y123H、V82S+Q154R+Y147R+Y123H、Q154R+Y147R+Y123H+I76Y+V82S、V82S+I76Y、V82S+Y147R、V82S+Y147R+Y123H、V82S+Q154R+Y123H、Q154R+Y147R+Y123H+I76Y、V82S+Y147R、V82S+Y147R+Y123H、V82S+Q154R+Y123H、V82S+Q154R+Y147R、V82S+Q154R+Y147R、Q154R+Y147R+Y123H+I76Y、Q154R+Y147R+Y123H+I76Y+V82S、I76Y_V82S_Y123H_Y147R_Q154R、Y147R+Q154R+H123H、及びV82S+Q154R。
【0365】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、以下の改変の組み合わせのうちの1つ以上を含む:E25F+V82S+Y123H、T133K+Y147R+Q154R、E25F+V82S+Y123H+Y147R+Q154R、L51W+V82S+Y123H+C146R+Y147R+Q154R、Y73S+V82S+Y123H+Y147R+Q154R、P54C+V82S+Y123H+Y147R+Q154R、N38G+V82T+Y123H+Y147R+Q154R、N72K+V82S+Y123H+D139L+Y147R+Q154R、E25F+V82S+Y123H+D139M+Y147R+Q154R、Q71M+V82S+Y123H+Y147R+Q154R、E25F+V82S+Y123H+T133K+Y147R+Q154R、E25F+V82S+Y123H+Y147R+Q154R、V82S+Y123H+P124W+Y147R+Q154R、L51W+V82S+Y123H+C146R+Y147R+Q154R、P54C+V82S+Y123H+Y147R+Q154R、Y73S+V82S+Y123H+Y147R+Q154R、N38G+V82T+Y123H+Y147R+Q154R、R23H+V82S+Y123H+Y147R+Q154R、R21N+V82S+Y123H+Y147R+Q154R、V82S+Y123H+Y147R+Q154R+A158K、N72K+V82S+Y123H+D139L+Y147R+Q154R、E25F+V82S+Y123H+D139M+Y147R+Q154R、及びM70V+V82S+M94V+Y123H+Y147R+Q154R。
【0366】
一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、以下の改変の組み合わせのうちの1つ以上を含む:Q71M+V82S+Y123H+Y147R+Q154R、E25F+I76Y+V82S+Y123H+Y147R+Q154R、I76Y+V82T+Y123H+Y147R+Q154R、N38G+I76Y+V82S+Y123H+Y147R+Q154R、R23H+I76Y+V82S+Y123H+Y147R+Q154R、P54C+I76Y+V82S+Y123H+Y147R+Q154R、R21N+I76Y+V82S+Y123H+Y147R+Q154R、I76Y+V82S+Y123H+D139M+Y147R+Q154R、Y73S+I76Y+V82S+Y123H+Y147R+Q154R、E25F+I76Y+V82S+Y123H+Y147R+Q154R、I76Y+V82T+Y123H+Y147R+Q154R、N38G+I76Y+V82S+Y123H+Y147R+Q154R、R23H+I76Y+V82S+Y123H+Y147R+Q154R、P54C+I76Y+V82S+Y123H+Y147R+Q154R、R21N+I76Y+V82S+Y123H+Y147R+Q154R、I76Y+V82S+Y123H+D139M+Y147R+Q154R、Y73S+I76Y+V82S+Y123H+Y147R+Q154R、及びV82S+Q154R、N72K_V82S+Y123H+Y147R+Q154R、Q71M_V82S+Y123H+Y147R+Q154R、V82S+Y123H+T133K+Y147R+Q154R、V82S+Y123H+T133K+Y147R+Q154R+A158K、M70V+Q71M+N72K+V82S+Y123H+Y147R+Q154R、N72K_V82S+Y123H+Y147R+Q154R、Q71M_V82S+Y123H+Y147R+Q154R、M70V+V82S+M94V+Y123H+Y147R+Q154R、V82S+Y123H+T133K+Y147R+Q154R、V82S+Y123H+T133K+Y147R+Q154R+A158K、及びM70V+Q71M+N72K+V82S+Y123H+Y147R+Q154R。一部の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、単量体として発現される。他の実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、ヘテロ二量体として発現される。一部の実施形態では、デアミナーゼ又は他のポリペプチド配列は、例えば、融合タンパク質の成分として含まれる場合、メチオニンを欠く。これにより、位置の番号付けが変化する場合がある。しかしながら、当業者は、かかる対応する変異が、同じ変異(例えば、Y73S及びY72S、並びにD139M及びD138M)を指すことを理解するであろう。
【0367】
一部の実施形態では、TadA*9バリアントは、単量体である。一部の実施形態では、TadA*9バリアントは、野生型TadAアデノシンデアミナーゼを有するヘテロ二量体である。一部の実施形態では、TadA*9バリアントは、別のTadAバリアント(例えば、TadA*8、TadA*9)を有するヘテロ二量体である。TadA*9アデノシンデアミナーゼの追加の詳細は、国際PCT出願第PCT/2020/049975号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。一実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、野生型TadAを含み、本明細書に記載のアデノシンデアミナーゼバリアント(例えば、TadAバリアント)に連結され、Cas9ニッカーゼに連結される。特定の実施形態では、融合タンパク質は、(例えば、単量体として提供される)単一のTadAバリアントドメインを含む。他の実施形態では、塩基エディターは、TadA*8とTadA(wt)とを含み、ヘテロ二量体を形成することができる。
【0368】
特定の実施形態では、融合タンパク質は、(例えば、単量体として提供される)単一のTadAバリアントドメインを含む。一部の実施形態では、TadAバリアントは、Cas9ニッカーゼに連結される。一部の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、ヘテロ二量体としてのTadAバリアントに連結された野生型TadA(TadA(wt))を含む。他の実施形態では、本明細書に記載の融合タンパク質は、ヘテロ二量体としてのTadAバリアントに連結されたTadA*7.10を含む。一部の実施形態では、融合タンパク質は、TadAバリアント単量体を含む。一部の実施形態では、融合タンパク質は、TadAバリアントとTadA(wt)とのヘテロ二量体を含む。一部の実施形態では、融合タンパク質は、TadAバリアントとTadA*7.10とのヘテロ二量体を含む。一部の実施形態では、融合タンパク質は、2つのTadAバリアントのヘテロ二量体を含む。一部の実施形態では、TadAバリアントは、表5、6、以下、又は本明細書に提供される任意の他のTadAバリアントから選択される。
【0369】
一部の実施形態では、デアミナーゼ又は他のポリペプチド配列は、例えば、融合タンパク質の成分として含まれる場合、メチオニンを欠く。これにより、位置の番号付けが変化する場合がある。しかしながら、当業者は、かかる対応する変異が、同じ変異を指すことを理解するであろう。
【0370】
本明細書に提供される変異のいずれか、及び任意の追加の変異(例えば、ecTadAアミノ酸配列に基づく)は、任意の他のアデノシンデアミナーゼに導入され得る。本明細書に提供される変異のいずれかは、TadA参照配列又は別のアデノシンデアミナーゼ(例えば、ecTadA)において、個別に、又は任意の組み合わせで作製され得る。
【0371】
AからGへの核酸塩基編集タンパク質の詳細は、国際PCT出願第PCT/2017/045381号(WO2018/027078)及びGaudelli,N.M.,et al.,“Programmable base editing of A・T to G・C in genomic DNA without DNA cleavage”Nature,551,464-471(2017)に記載されており、その全容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0372】
G6PC遺伝子におけるヌクレオチドを標的とするための核酸塩基エディターの使用
G6PC遺伝子におけるヌクレオチドを標的とする核酸塩基エディターの適合性は、本明細書に記載されるように評価される。。
【0373】
核酸塩基エディターの活性は、本明細書に記載のように、すなわち、標的遺伝子を配列決定して標的配列における改変を検出することによって評価される。サンガー配列決定について、精製されたPCRアンプリコンをプラスミド骨格にクローニングし、形質転換し、ミニプレップし、単一のプライマーを用いて配列決定する。配列決定は、次世代配列決定技術を使用して行ってもよい。次世代配列決定を使用する場合、アンプリコンは、300~500bpであり得、非対称に配置された意図された切断部位を有する。PCR後、次世代配列決定のアダプター及びバーコード(例えば、Illuminaマルチプレックスアダプター及びインデックス)を、例えば、高スループット配列決定(例えば、Illumina MiSeq)に使用するために、アンプリコンの末端に追加してもよい。
【0374】
一部の実施形態では、核酸塩基エディターは、目的のポリヌクレオチドを標的とするために使用される。一実施形態では、本明細書に記載の核酸塩基エディターは、核酸配列、例えば、GSD1a関連変異を保有するG6PCポリヌクレオチドを標的とするために使用されるガイドRNAと併せて、細胞(例えば、肝細胞)に送達され、それによって、標的遺伝子、すなわち、G6PCを改変する。
【0375】
一部の実施形態では、塩基エディターは、ガイドRNAによって標的化され、目的の遺伝子(例えば、G6PC)の配列に1つ以上の編集を導入する。一部の実施形態では、1つ以上の改変は、グルコース-6-ホスファターゼ(G6PC)遺伝子に導入される。一部の実施形態では、1つ以上の改変は、R83Cである。一部の実施形態では、1つ以上の改変は、Q347Xである。一部の実施形態では、改変は、NCBI参照配列番号AAA16222.1の下に見出される、代表的なホモサピエンスG6PCタンパク質に導入される。一部の実施形態では、改変は、GenBank参照配列番号U01120.1の下に見出される、代表的なホモサピエンスG6PC核酸配列に導入される。
【0376】
治療用途
本明細書に記載のNLS-gRNAは、様々な治療用途のための遺伝子編集系において使用することができる。したがって、一部の実施形態では、障害又は疾患の治療を必要としている対象において障害又は疾患を治療する方法が提供され、本方法は、対象に、本明細書に記載のNLS-gRNAを遺伝子編集系とともに投与することを含む。様々な遺伝子編集系が当該技術分野で既知であり、例えば、CRISPR-Cas9、Cpf1、SaCas9、Cas12が挙げられる。本明細書に記載のNLS-gRNAは、任意の遺伝子編集系とともに使用することができる。例えば、Casタンパク質は、Streptococcus、Campylobacter、Nitratifr actor、Staphylococcus、Parvibaculum、Roseburia、Neisseria、Gluconacetobacter、Azospirillum、Sphaerochaeta、Lactobacillus、Eubacterium、Corynebacter、Carnobacterium、Rhodobacter、Listeria、Paludibacter、Clostridium、Lachnospira、Lachnospiraceae、Clostridiaridium、Leptotrichia、Francisella、Legionella、Alicyclobacillus、Methanomethyophilus、Porphyromonas、Prevotella、Bacteroidetes、Helcococcus、Leptospira、Desulfovibrio、Desulfonatronum、Opitutaceae、Tuberibacillus、Bacillus、Brevibacilus、Methylobacterium、Butyvibrio、Perigrinibacterium、Pareubacterium、Moraxella、Thiomicrospira、又はAcidaminococcusを含む属からの生物に由来する。特定の実施形態では、Cpflエフェクタータンパク質は、Eubacterium、Lachnospiraceae、Leptotrichia、Francisella、Methanomethyophilus、Porphyromonas、Prevotella、Leptospira、Butyvibrio、Perigrinibacterium、Pareubacterium、Moraxella、Thiomicrospira、又はAcidaminococcusから選択される属からの生物から選択される。
【0377】
Cas種の非限定的な例としては、Streptococcus pyogenes、Streptococcus thermophiles、Sterptococcus aureas Neisseria meningitides、Treponema denticola、Francisella tularensis、Campylobacter jejuni、Corynebacterium ulcerans、Corynebacterium diphtheria、Spiroplasma syrphidicola、Prevotella intermedia、Spiroplasma taiwanense、Streptococcus iniae、Belliella baltica、Psychroflexus torquis、Streptococcus thermophilus、Listeria innocua、Geobacillus stearothermophilus、Streptococcus constellatus、Sharpea spp.分離株RUG017、Veillonella parvula、Ezakiella peruensis、Lactobacillus fermentum株AF15-40LB、及びPeptoniphilus sp.Marseille-P3761が挙げられる。
【0378】
一部の実施形態では、本明細書に記載のNLS-gRNAは、遺伝子編集系と併せて使用され、様々な疾患及び障害、例えば、遺伝的障害(例えば、単一遺伝子疾患)、ヌクレアーゼ活性によって治療され得る疾患、並びに様々ながんなどを治療し得る。
【0379】
一部の実施形態では、本明細書に記載のNLS-gRNAは、遺伝子編集系と併せて使用され、(例えば、1つ以上の核酸残基を挿入、欠失、又は変異させることによって)標的核酸を修飾するために標的核酸を編集し得る。例えば、一部の実施形態では、CRISPR系は、本明細書に記載のNLS-gRNAとともに使用され、所望の核酸配列を含む外因性ドナーテンプレート核酸(例えば、DNA分子又はRNA分子)を含む。CRISPR系で誘導される開裂事象が解消されると、細胞の分子機構は、開裂事象の修復及び/又は解消において外因性ドナーテンプレート核酸を利用するであろう。代替的に、細胞の分子機構は、開裂事象の修復及び/又は解消において内因性テンプレートを利用することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載のNLS-gRNAは、遺伝子編集系と併せて使用され、標的核酸を変化させ、挿入、欠失、及び/又は点変異をもたらす)。一部の実施形態では、挿入は、瘢痕のない挿入である(すなわち、開裂事象の解決時に追加の意図されない核酸配列をもたらさない標的核酸への意図された核酸配列の挿入)。ドナーテンプレート核酸は、二本鎖又は一本鎖核酸分子(例えば、DNA又はRNA)であり得る。
【0380】
一態様では、本明細書に記載のNLS-gRNAは、RNA、毒性RNA、及び/又は変異RNA(例えば、スプライシング欠陥又は切断)の過剰発現によって引き起こされる疾患を治療するために遺伝子編集系と併せて使用することができる。
【0381】
一部の実施形態では、本明細書に記載のNLS-gRNAは、遺伝子編集系と併せて使用され、様々な疾患を引き起こすRNA依存性機能に影響を及ぼすトランス作用変異を標的とすることができる。
【0382】
一部の実施形態では、本明細書に記載のNLS-gRNAは、遺伝子編集系と併せて使用され、スプライシング欠陥及び疾患を引き起こし得るシス作用スプライシングコードを破壊する変異を標的とすることができる。
【0383】
本明細書に記載のNLS-gRNAは、抗ウイルス活性、特にRNAウイルスに対する遺伝子編集系と併せて使用することができる。例えば、ウイルスRNA配列を標的とするために選択された好適なNLS-gRNAを使用して、ウイルスRNAを標的とする。
【0384】
本明細書に記載のNLS-gRNAは、遺伝子編集系と併せて使用され、対象(例えば、ヒト対象)におけるがんを治療することができる。例えば、異常である(例えば、点変異を含む、又は代替的にスプライシングされる)RNA分子を標的化することにより、がん細胞における細胞死(例えば、アポトーシスを介して)を誘発することが見出される。
【0385】
本明細書に記載のNLS-gRNAは、遺伝子編集系と併せて使用され、対象における感染性疾患を治療することができる。例えば、感染体細胞における細胞死を標的化し、誘導するために、感染体(例えば、細菌、ウイルス、寄生虫又は原生動物)によって発現されるRNA分子を標的化することによる。本明細書に記載の合成ガイドRNAは、遺伝子編集系と併せて使用され、細胞内感染体が宿主対象の細胞に感染する疾患を治療し得る。
【0386】
ポリヌクレオチド配列を標的DNA配列中に挿入することが望ましい用途においては、挿入されるドナー配列を含むポリヌクレオチドも細胞に提供される。「ドナー配列」又は「ドナーポリヌクレオチド」とは、部位指向性修飾ポリペプチドによって誘導される開裂部位に挿入される核酸配列を意味する。ドナーポリヌクレオチドは、開裂部位でのゲノム配列に対して十分な相同性、例えば、開裂部位に隣接する、例えば、開裂部位の約50塩基以下以内、例えば、約30塩基以内、約15塩基以内、約10塩基以内、約5塩基以内、又は開裂部位に直接隣接するヌクレオチド配列と70%、80%、85%、90%、95%、又は100%の相同性を含有し、それと相同性を有するゲノム配列との間の相同性指向性修復を支持する。約25、50、100、若しくは200ヌクレオチド、又は200ヌクレオチド超の、ドナーとゲノム配列との間の配列相同性(又は10~200ヌクレオチド以上の任意の整数値)は、相同性指向性修復を支持するであろう。ドナー配列は、任意の長さ、例えば、10ヌクレオチド以上、50ヌクレオチド以上、100ヌクレオチド以上、250ヌクレオチド以上、500ヌクレオチド以上、1000ヌクレオチド以上、5000ヌクレオチド以上などであり得る。
【0387】
ドナー配列は、典型的には、置換するゲノム配列と同一ではない。むしろ、ドナー配列は、相同性指向性修復を支持するのに十分な相同性が存在する限り、ゲノム配列に関して、少なくとも1つ以上の単一塩基変化、挿入、欠失、逆位、又は転位を含み得る。一部の実施形態では、ドナー配列は、標的DNA領域と2つの隣接配列との間の相同性指向性修復が標的領域に非相同配列の挿入をもたらすように、2つの相同領域と隣接する非相同配列を含む。ドナー配列はまた、目的のDNA領域に相同ではなく、目的のDNA領域への挿入を意図していない配列を含有するベクター骨格を含んでもよい。概して、ドナー配列の相同領域(複数可)は、組換えが所望されるゲノム配列と少なくとも50%の配列同一性を有するであろう。ある特定の実施形態では、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、又は99.9%の配列同一性が存在する。ドナーポリヌクレオチドの長さに応じて、1%~100%の任意の値の配列同一性が存在し得る。
【0388】
ドナー配列は、ゲノム配列と比較して特定の配列の差異、例えば、制限部位、ヌクレオチド多型、選択可能なマーカー(例えば、薬剤耐性遺伝子、蛍光タンパク質、酵素など)などを含み得、これらは、開裂部位でのドナー配列の挿入の成功を評価するために使用され得るか、又は場合によっては、他の目的のために(例えば、標的化されたゲノム遺伝子座での発現を示すために)使用され得る。場合によっては、コード領域に位置する場合、そのようなヌクレオチド配列の差異は、アミノ酸配列を変化させないか、又はサイレントアミノ酸変化(すなわち、タンパク質の構造又は機能に影響を与えない変化)を行うであろう。代替的に、これらの配列の差異には、マーカー配列の除去のために後で活性化され得るFLP、loxP配列などの隣接組換え配列が含まれ得る。
【0389】
ドナー配列は、一本鎖DNA、一本鎖RNA、二本鎖DNA、又は二本鎖RNAとして細胞に提供され得る。細胞内に直鎖状形態又は環状形態で導入され得る。直鎖状形態で導入された場合、ドナー配列の末端は、当業者に既知の方法によって(例えば、エキソヌクレオチド分解から)保護され得る。例えば、1つ以上のジデオキシヌクレオチド残基が直鎖状分子の3’末端に付加され、及び/又は自己相補的オリゴヌクレオチドが一方若しくは両方の末端にライゲーションされる。外因性ポリヌクレオチドを分解から保護するための追加の方法としては、末端アミノ基(複数可)の付加、並びに例えば、ホスホロチオエート、ホスホルアミデート、及びO-メチルリボース又はデオキシリボース残基などの修飾されたヌクレオチド間連結の使用が挙げられるが、これらに限定されない。直鎖状ドナー配列の末端を保護する代替として、配列の追加の長さは、組換えに影響を与えることなく分解され得る相同性の領域の外側に含まれてもよい。ドナー配列は、例えば、複製起点、プロモーター、及び抗生物質耐性をコードする遺伝子などの追加の配列を有するベクター分子の一部として細胞に導入され得る。更に、ドナー配列は、DNA標的化RNA並びに/又は部位指向性修飾ポリペプチド及び/若しくはドナーポリヌクレオチドをコードする核酸について上に記載されるように、裸の核酸として、リポソーム若しくはポロキサマーなどの薬剤と複合体化された核酸として導入され得るか、又はウイルス(例えば、アデノウイルス、AAV)によって送達され得る。
【0390】
上に記載の方法に従って、エクスビボで目的のDNA領域を開裂及び修飾、すなわち、「遺伝子組換え」し得る。一部の実施形態では、選択可能なマーカーが目的のDNA領域に挿入されている場合と同様に、細胞の集団は、遺伝子組換え細胞を残りの集団から分離することによって、遺伝子組換えを含むものに対して濃縮され得る。濃縮する前に、「遺伝子組換え」細胞は、細胞集団の約1%以上(例えば、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、8%以上、9%以上、10%以上、15%以上、又は20%以上)しか構成しない可能性がある。「遺伝子組換え」細胞の分離は、使用される選択可能なマーカーに適切な任意の好都合な分離技術によって達成され得る。例えば、蛍光マーカーが挿入されている場合、細胞は、蛍光活性化細胞選別によって分離され得、細胞表面マーカーが挿入されている場合、細胞は、親和性分離技術、例えば、磁気分離、親和性クロマトグラフィー、固体マトリックスに親和性試薬が結合した「パニング」、又は他の好都合な技術によって、不均一集団から分離され得る。正確な分離を提供する技術としては、蛍光活性化細胞選別機が挙げられ、これは、複数のカラーチャネル、低角度及び鈍角光散乱検出チャネル、インピーダンスチャネルなどの様々な程度の洗練を有することができる。細胞は、死細胞と関連する染料(例えば、ヨウ化プロピジウム)を用いることによって、死細胞に対して選択され得る。遺伝子修飾された細胞の生存率に過度に有害ではない任意の技法が用いられ得る。修飾されたDNAを含む細胞に対して高度に濃縮された細胞組成物は、この様式で達成される。「高度に濃縮された」とは、遺伝子組換え細胞が、細胞組成物の70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、例えば、約95%以上、又は98%以上であることを意味する。言い換えれば、組成物は、遺伝子組換え細胞の実質的に純粋な組成物であり得る。
【0391】
本明細書に記載の方法によって産生される遺伝子組換え細胞は、直ちに使用され得る。代替的に、細胞を、液体窒素温度で凍結し、長時間保管し、解凍して再利用可能であり得る。かかる場合、細胞は、通常、10%のジメチルスルホキシド(DMSO)、50%の血清、40%の緩衝培地、又はかかる凍結温度で細胞を保存するために当該技術分野で一般的に使用されるいくつかの他のかかる溶液中で凍結され、凍結された培養細胞を解凍するために当該技術分野で一般的に既知の様式で解凍される。
【0392】
遺伝子組換え細胞は、様々な培養条件下で、インビトロで培養され得る。細胞は、培養で増殖し得る、すなわち、細胞の増殖を促進する条件下で増殖し得る。培地は、例えば、寒天、メチルセルロースなどを含有する液体又は半固体であり得る。細胞集団は、通常、ウシ胎仔血清(約5~10%)、
【0393】
L-グルタミン、チオール、特に2-メルカプトエタノール、及び抗生物質、例えば、ペニシリン及びストレプトマイシンが補充された、Iscoveの改変DMEM又はRPMI1640などの適切な栄養培地に懸濁され得る。培養物は、制御性T細胞が応答性である成長因子を含有し得る。本明細書で定義される成長因子は、膜貫通受容体に対する特定の効果を介して、培養物中又は無傷の組織中のいずれかで、細胞の生存、増殖及び/又は分化を促進することができる分子である。成長因子には、ポリペプチド及び非ポリペプチド因子が含まれる。
【0394】
このように遺伝子組換えされた細胞は、例えば、疾患を治療するために、若しくは抗ウイルス薬、抗病原薬、又は抗がん治療薬として、遺伝子治療などの目的のために、農業における遺伝子組換え生物の産生のために、又は生物学的研究のために、対象に移植され得る。対象は、新生児、若年者、又は成人であり得る。特に目的であるのは、哺乳動物の対象である。本方法で治療され得る哺乳動物種としては、イヌ及びネコ、ウマ、ウシ、ヒツジなど、並びに霊長類、特にヒトが含まれる。動物モデル、特に小型哺乳動物(例えば、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ラゴモルファ(例えば、ウサギ)など)を実験調査のために使用してもよい。
【0395】
細胞は、対象に単独で、又は、例えば、細胞が移植される組織内の細胞の成長及び/又は組織化を支持するための好適な基質若しくはマトリックスとともに、提供され得る。通常、少なくとも1×10個の細胞、例えば、5×10個の細胞、1×10個の細胞、5×10個の細胞、1×10個の細胞、1×10個の細胞又はそれ以上が投与される。細胞は、以下の経路、非経口、皮下、静脈内、頭蓋内、脊髄内、眼内、又は脊髄液中のうちのいずれかを介して対象に導入され得る。細胞は、注射、カテーテルなどによって導入され得る。細胞はまた、トランスジェニック動物(例えば、トランスジェニックマウス)を生成する目的のために、胚(例えば、胚盤胞)に導入されてもよい。
【0396】
対象への治療の投与回数は変動し得る。遺伝子組換え細胞を対象内に導入することは、1回の事象であってもよいが、特定の状況においては、かかる治療は、限られた期間にわたって改善を誘発し、一連の継続的な反復治療を必要とする場合がある。他の状況においては、効果が観察される前に、遺伝子修飾細胞の複数回投与が必要とされる場合がある。正確なプロトコルは、疾患又は状態、疾患のステージ、及び治療される個々の対象のパラメータに依存する。
【0397】
本発明の他の態様では、例えば、疾患を治療するために、又は抗ウイルス薬、抗病原薬、若しくは抗がん治療薬として、遺伝子治療などの目的のために、農業における遺伝子組換え生物の産生のために、又は生物学的研究のために、再び、DNA標的化RNA及び/又は部位指向性修飾ポリペプチド及び/又はドナーポリヌクレオチドが用いられ、細胞DNAをインビボで修飾する。これらのインビボ実施形態では、DNA標的化RNA及び/又は部位指向性修飾ポリペプチド及び/又はドナーポリヌクレオチドは、個体に直接投与される。DNA標的化RNA及び/又は部位指向性修飾ポリペプチド及び/又はドナーポリヌクレオチドは、ペプチド、小分子及び核酸の対象への投与のための当該技術分野におけるいくつかの周知の方法のうちのいずれかによって投与され得る。DNA標的化RNA及び/又は部位指向性修飾ポリペプチド及び/又はドナーポリヌクレオチドは、様々な製剤に組み込まれ得る。より具体的には、本発明のDNA標的化RNA及び/又は部位指向性修飾ポリペプチド及び/又はドナーポリヌクレオチドは、適切な薬学的に許容される担体又は希釈剤との組み合わせによって薬学的組成物に製剤化され得る。
【0398】
薬学的調製物は、薬学的に許容されるビヒクルに存在する1つ以上のDNA標的化RNA及び/又は部位指向性修飾ポリペプチド及び/又はドナーポリヌクレオチドを含む組成物である。「薬学的に許容されるビヒクル」とは、連邦又は州政府の規制機関によって承認された、又は米国においてリスト化されたビヒクルであり得る。
【0399】
薬局方又はヒトなどの哺乳動物において使用するための他の一般に認められた薬局方。「ビヒクル」という用語は、哺乳動物に投与するために本発明の化合物が製剤化される希釈剤、アジュバント、賦形剤、又は担体を指す。かかる薬学的ビヒクルは、脂質、例えば、リポソーム、例えば、リポソームデンドリマー;水、並びに、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などの石油起源、動物起源、植物起源、又は合成起源のものを含む油、生理食塩水などの液体;アカシアゴム、ゼラチン、デンプンペースト、タルク、ケラチン、コロイドシリカ、尿素などであり得る。加えて、補助剤、安定化剤、増粘剤、潤滑剤、及び着色剤を使用してもよい。薬学的組成物は、錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、軟膏剤、溶液剤、坐剤、注射剤、吸入剤、ゲル剤、微粒子剤、及びエアロゾル剤などの固体、半固体、液体又は気体形態の調製物に製剤化され得る。したがって、DNA標的化RNA及び/又は部位指向性修飾ポリペプチド及び/又はドナーポリヌクレオチドの投与は、経口、口腔、直腸、非経口、腹腔内、皮内、経皮、気管内、眼内などの投与を含む様々な方式で達成され得る。活性剤は、投与後に全身性であってもよく、又は、局所投与の使用、壁内投与、又は移植部位に活性用量を保持するように作用するインプラントの使用によって局所的であってもよい。活性剤は、即時活性のために製剤化され得るか、又は持続放出のために製剤化され得る。
【0400】
いくつかの状態、特に中枢神経系の状態の場合、血液脳関門(BBB)を通過するための薬剤を製剤化する必要がある場合がある。血液脳関門(BBB)を介した薬物送達のための1つの戦略は、マンニトール又はロイコトリエンなどの浸透手段によって、又は生化学的にブラジキニンなどの血管作用性物質の使用によってのいずれかで、BBBの破壊を伴う。BBB開口部を使用して特定の薬剤を脳腫瘍に標的化する可能性も1つの選択肢である。BBB破壊剤は、組成物が血管内注射によって投与されるときに、本発明の治療用組成物と共投与され得る。BBBを通過するための他の戦略には、カベオリン1媒介性トランスサイトーシス、グルコース及びアミノ酸担体などの担体媒介性トランスポーター、インスリン又はトランスフェリンの受容体媒介性トランスサイトーシス、並びにp-糖タンパク質などの活性流出トランスポーターを含む、内因性トランスポーター系の使用を伴ってもよい。血管の内皮壁を横断する輸送を容易にするために、能動輸送部分もまた本発明において使用するための治療用化合物にコンジュゲートされてもよい。
【0401】
代替的に、BBBの背後への治療薬の薬物送達は、局所送達、例えば、くも膜下腔内送達によってであってもよい。
【0402】
典型的には、有効量のDNA標的化RNA及び/又は部位指向性修飾ポリペプチド及び/又はドナーポリヌクレオチドが提供される。エクスビボ方法に関して上で考察されたように、DNA標的化RNA及び/又は部位指向性修飾ポリペプチド及び/又はドナーポリヌクレオチドの有効量又は有効用量は、陰性対照、例えば、空のベクター又は無関係なポリペプチドと接触させた細胞と比較して、2つの相同配列間で観察される組換えの量の2倍以上の増加を誘導する量である。組換えの量は、例えば、上に記載され、当該技術分野において知られる、任意の便利な方法によって測定され得る。投与されるDNA標的化RNA及び/又は部位指向性修飾ポリペプチド及び/又はドナーポリヌクレオチドの有効量又は有効用量の計算は、当業者の技能の範囲内であり、当業者にとっては日常的である。投与される最終量は、投与経路及び治療される障害又は状態の性質に依存する。一部の実施形態では、約0.01~1mpkの例示的な用量が使用される。
【0403】
特定の患者に与えられる有効量は、様々な要因に依存し、そのうちのいくつかは患者ごとに異なる。有能な臨床医は、必要に応じて疾患状態の進行を停止又は逆転させるために、患者に投与する治療剤の有効量を決定することができるであろう。LD50動物データ、及び薬剤についての利用可能な他の情報を利用して、臨床医は、投与経路に応じて、個体の最大安全用量を決定することができる。例えば、静脈内投与される用量は、治療用組成物が投与される流体のより大きい体積を考えると、髄腔内投与される用量よりも多い場合がある。同様に、治療濃度を維持するために、身体から急速に除去される組成物は、より高い用量で、又は反復用量で投与されてもよい。通常の技術を利用して、有能な臨床医は、日常的な臨床試験の過程で特定の治療薬の投薬量を最適化することができるであろう。
【0404】
薬剤に含めるために、DNA標的化RNA及び/又は部位指向性修飾ポリペプチド及び/又はドナーポリヌクレオチドは、好適な商業的供給源から入手し得る。一般的な提案として、用量当たりの非経口的に投与されるDNA標的化RNA及び/又は部位指向性修飾ポリペプチド及び/又はドナーポリヌクレオチドの総薬学的有効量は、用量応答曲線によって測定され得る範囲にある。
【0405】
DNA標的化RNA及び/又は部位指向性修飾ポリペプチド及び/又はドナーポリヌクレオチドに基づく療法、すなわち、治療的投与に使用されるDNA標的化RNA及び/又は部位指向性修飾ポリペプチド及び/又はドナーポリヌクレオチドの調製物は、無菌である必要がある。滅菌性は、滅菌濾過膜(例えば、0.2μm膜)を通した濾過によって容易に達成される。治療用組成物は、概して、滅菌取り出し口を有する容器、例えば、皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有する静脈注射用溶液バッグ又はバイアルに配置される。DNA標的化RNA及び/又は部位指向性修飾ポリペプチド及び/又はドナーポリヌクレオチドに基づく療法は、水溶液として、又は再構築のための凍結乾燥製剤として、単位用量又は複数用量容器、例えば、密封アンプル又はバイアルに保管され得る。凍結乾燥製剤の例として、10mLのバイアルを、5mlの滅菌濾過1%(w/v)の化合物の水溶液で充填し、得られた混合物を凍結乾燥する。注入溶液は、静菌注射用水を使用して凍結乾燥化合物を再構成することによって調製される。
【0406】
薬学的組成物は、所望の製剤に応じて、動物又はヒト投与のための薬学的組成物を製剤化するために一般的に使用されるビヒクルとして定義される希釈剤の薬学的に許容される非毒性の担体を含むことができる。希釈剤は、組み合わせの生物学的活性に影響を与えないように選択される。かかる希釈剤の例は、蒸留水、緩衝水、生理食塩水、PBS、リンゲル溶液、デキストロース溶液、及びハンクス溶液である。加えて、薬学的組成物又は製剤は、他の担体、アジュバント、又は非毒性、非治療用、非免疫原性安定剤、賦形剤などを含み得る。組成物はまた、pH調整剤及び緩衝剤、毒性調整剤、湿潤剤並びに洗剤などの、生理学的条件に近似する追加の物質を含み得る。
【0407】
組成物はまた、例えば抗酸化物質などの様々な安定化剤のうちのいずれも含み得る。薬学的組成物がポリペプチドを含む場合、ポリペプチドは、ポリペプチドのインビボでの安定性を増強するか、又はそれ以外の場合、その薬理学的特性を増強する(例えば、ポリペプチドの半減期を増加させ、その毒性を低減し、溶解性又は取り込みを増強する)様々な周知の化合物と複合体化され得る。そのような修飾又は複合体化剤の例としては、サルフェート、グルコネート、シトレート及びホスフェートが挙げられる。組成物の核酸又はポリペプチドはまた、それらのインビボ属性を増強する分子と複合体化され得る。そのような分子には、例えば、炭水化物、ポリアミン、アミノ酸、他のペプチド、イオン(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、マンガン)、及び脂質が含まれる。
【0408】
薬学的組成物は、予防的及び/又は治療的処置のために投与され得る。活性成分の毒性及び治療有効性を、例えば、LD50(集団の50%に対して致死的な用量)及びED50(集団の50%に対して治療的に有効な用量)を決定することを含む、細胞培養物及び/又は実験動物における標準的な薬学的手順に従って決定し得る。毒性効果と治療効果との間の用量比は、治療指標であり、それは、比LD50/ED50として表すことができる。大きい治療指標を示す療法が好ましい。
【0409】
細胞培養及び/又は動物研究から得られたデータを、ヒトについての投薬量の範囲の製剤化において使用することができる。活性成分の投薬量は、典型的には、低毒性のED50を含む循環濃度の範囲内のラインである。投薬量は、用いられる剤形及び利用される投与経路に依存して、この範囲内で変動し得る。
【0410】
薬学的組成物を製剤化するために使用される成分は、高純度であることが好ましく、潜在的に有害な汚染物質を実質的に含まない(例えば、少なくともナショナルフード(NF)グレード、概して少なくとも分析グレード、及びより典型的には少なくとも医薬グレード)。更に、インビボでの使用を意図した組成物は、通常、無菌である。所与の化合物を使用する前に合成しなければならない範囲で、得られる産物は、典型的には、合成又は精製プロセス中に存在し得る任意の潜在的な毒性剤、特に任意のエンドトキシンを実質的に含まない。親投与のための組成物はまた、無菌であり、実質的に等張性であり、GMP条件下で作製される。
【0411】
送達系
本明細書に記載のNLS-gRNAを、所望の遺伝子編集系成分とともに、ベクター、担体、例えば、脂質ナノ粒子などの様々な送達系によって、目的の細胞に送達することができる。
【0412】
本明細書に記載のNLS-gRNAを、有機又は無機であり得るナノ粒子によって送達することができる。ナノ粒子は、当該技術分野で周知である。任意の好適なナノ粒子設計を使用して、ゲノム編集系の成分、又はかかる成分をコードする核酸を送達することができる。例えば、有機(例えば脂質及び/又はポリマー)ナノ粒子は、本開示のある特定の実施形態では、送達ビヒクルとして使用するのに好適であり得る。ナノ粒子製剤、及び/又は遺伝子導入における使用のための例示的な脂質を表2(以下)に示す。
【表3-1】
【表3-2】
【0413】
表3は、遺伝子導入及び/又はナノ粒子製剤における使用のための例示的なポリマーを列挙する。
【表4-1】

【表4-2】
【0414】
表4は、本明細書に記載されるCas9をコードするポリヌクレオチドのための送達方法を要約する。
【表5-1】

【表5-2】
【0415】
別の態様では、本明細書に記載のNLS-gRNAを含むゲノム編集系の送達は、リボ核タンパク質(RNP)を細胞に送達することによって達成され得る。RNPは、標的gRNAとの複合体中に、核酸結合タンパク質(例えば、Cas9)を含む。RNPは、例えば、Zuris,J.A.et al.,2015,Nat.Biotechnology,33(1):73-80によって報告されているように、エレクトロポレーション、ヌクレオフェクション、又はカチオン性脂質媒介性の方法などの既知の方法を使用して細胞に送達され得る。RNPは、CRISPR塩基編集系での使用に有利であり、特に、トランスフェクトが困難な細胞(例えば、初代細胞)に有利である。加えて、RNPはまた、特に、CRISPRプラスミドにおいて使用され得る真核生物プロモーター(例えば、CMV又はEF1A)が十分に発現していない場合、細胞内のタンパク質発現で生じ得る困難を緩和することができる。有利には、RNPの使用は、細胞内への外来DNAの送達を必要としない。更に、核酸結合タンパク質とgRNA複合体とを含むRNPは、時間とともに分解されるため、RNPの使用は、オフターゲット効果を制限する可能性がある。プラスミドベースの技術の場合と同様の様式で、RNPを使用して、結合タンパク質(例えば、Cas9バリアント)を送達し、相同組換え修復(HDR)を誘導することができる。
【0416】
CRISPR系(例えば、本明細書に記載の合成gRNAを含む)を駆動するために使用されるプロモーターは、AAV ITRを含み得る。これは、ベクター内の空間を占有し得る追加のプロモーターエレメントの必要性を排除するために有利であり得る。解放された追加の空間を使用して、追加のエレメント(例えば、ガイド核酸又は選択可能なマーカー)の発現を駆動することができる。ITR活性は比較的弱いため、選択されたヌクレアーゼの過剰発現による潜在的な毒性を低減するために使用することができる。
【0417】
任意の好適なプロモーターを使用して、Cas9及び該当する場合、ガイド核酸の発現を駆動し得る。遍在的な発現の場合、使用され得るプロモーターとしては、CMV、CAG、CBh、PGK、SV40、フェリチン重鎖又は軽鎖などが挙げられる。脳又は他のCNS細胞での発現の場合、好適なプロモーターとしては、全てのニューロンに対してシナプシンI、興奮性ニューロンに対してCaMKIIα、GABA作動性ニューロンに対してGAD67若しくはGAD65又はVGATなどが挙げられ得る。肝細胞での発現の場合、好適なプロモーターとしては、アルブミンプロモーターが挙げられる。肺細胞での発現の場合、好適なプロモーターとしては、SP-Bが挙げられ得る。内皮細胞の場合、好適なプロモーターとしては、ICAMが挙げられ得る。造血細胞の場合、好適なプロモーターとしては、IFNβ又はCD45が挙げられ得る。骨芽細胞の場合、好適なプロモーターとしては、OG-2が挙げられ得る。
【0418】
場合によっては、別個のプロモーターが、同じ核酸分子内の塩基エディター及び適合するガイド核酸の発現を駆動する。例えば、ベクター又はウイルスベクターは、塩基エディターをコードする核酸に作動可能に結合された第1のプロモーターと、ガイド核酸に作動可能に結合された第2のプロモーターとを含むことができる。
【0419】
ガイド核酸の発現を駆動するために使用されるプロモーターとしては、U6又はH1などのPolIIIプロモーターが挙げられ得る gRNAアデノ随伴ウイルス(AAV)を発現するには、PolIIプロモーター及びイントロンカセットの使用。
【0420】
Cas9は、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レンチウイルス、アデノウイルス、又は他のプラスミド若しくはウイルスベクタータイプを使用して、特に、米国特許第8,454,972号(アデノウイルスのための製剤、用量)、米国特許第8,404,658号(AAVのための製剤、用量)、及び米国特許第5,846,946号(DNAプラスミドのための製剤、用量)、並びにレンチウイルス、AAV、及びアデノウイルスを伴う臨床試験に関する臨床試験及び刊行物からの製剤及び用量を使用して送達され得る。例えば、AAVの場合、投与経路、製剤、及び用量は、米国特許第8,454,972号及びAAVを伴う臨床試験と同様であり得る。アデノウイルスの場合、投与経路、製剤、及び用量は、米国特許第8,404,658号及びアデノウイルスを伴う臨床試験と同様であり得る。プラスミド送達の場合、投与経路、製剤、及び用量は、米国特許第5,846,946号及びプラスミドを伴う臨床試験と同様であり得る。用量は、平均70kgの個体(例えば、成人男性)に基づくか、又は推定され得、患者、対象、異なる体重及び種の哺乳動物に対して調整され得る。投与頻度は、年齢、性別、全般的な健康状態、患者若しくは対象の他の状態、及び対処される特定の状態若しくは症状を含む通常の要因に応じて、医師又は獣医(例えば、医師、獣医)の範疇である。ウイルスベクターは、目的の組織に注射され得る。細胞型特異的塩基編集の場合、塩基エディター及び任意選択的なガイド核酸の発現は、細胞型特異的プロモーターによって駆動され得る。
【0421】
インビボでの送達の場合、AAVは、他のウイルスベクターよりも有利であり得る。場合によっては、AAVは低毒性を可能にし、これは、免疫応答を活性化し得る細胞粒子の超遠心分離を必要としない精製方法に起因し得る。場合によっては、AAVは、宿主ゲノムに組み込まれないため、挿入変異誘発を引き起こす可能性が低くなる。
【0422】
AAVは、4.5又は4.75Kbのパッケージング制限を有する。4.5Kb又は4.75Kbを超える構築物は、ウイルス産生の著しい低下をもたらし得る。例えば、SpCas9はかなり大きく、遺伝子自体が4.1Kbを超え、AAVへのパッケージングが困難になる。したがって、本開示の実施形態は、従来のCas9よりも長さが短い開示されるCas9の利用を含む。
【0423】
AAVは、AAV1、AAV2、AAV5、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。標的化される細胞に関してAAVのタイプを選択することができ、例えば、脳又は神経細胞を標的化するためのAAV血清型1、2、5、又はハイブリッドカプシドAAV1、AAV2、AAV5、又はそれらの任意の組み合わせを選択することができ、心組織を標的化する場合、AAV4を選択することができる。AAV8は、肝臓への送達に有用である。これらの細胞に関する特定のAAV血清型の作表は、Grimm,D.et al,J.Virol.82:5887-5911(2008))に見出すことができる。
【0424】
レンチウイルスは複雑なレトロウイルスであり、分裂細胞と分裂終了細胞の両方において感染し、それらの遺伝子を発現する能力を有する。最も一般的に知られているレンチウイルスは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)であり、他のウイルスのエンベロープ糖タンパク質を使用して、広範囲の細胞型を標的化する。
【0425】
レンチウイルスは、以下のように調製することができる。pCasES10(レンチウイルス転写プラスミド骨格を含む)をクローニングした後、トランスフェクションの前日に、低継代(p=5)のHEK293FTを、10%ウシ胎仔血清を含み抗生物質を含まないDMEM中で、T-75フラスコ内で50%コンフルエンスに播種した。20時間後、培地をOptiMEM(無血清)培地に交換し、4時間後にトランスフェクションを行った。細胞を、10μgのレンチウイルス導入プラスミド(pCasES10)及び以下のパッケージングプラスミドを用いてトランスフェクトする:5μgのpMD2.G(VSV-gシュードタイプ)、及び7.5μgのpsPAX2(gag/pol/rev/tat)。トランスフェクションは、カチオン性脂質送達剤(50μlのLipofectamine 2000及び100ulのPlus試薬)を含む4mLのOptiMEM中で行うことができる。6時間後、培地を、10%胎仔ウシ血清を含み抗生物質を含まないDMEMに交換する。これらの方法は、細胞培養中に血清を使用するが、無血清の方法が好ましい。
【0426】
レンチウイルスは、以下のように精製することができる。ウイルス上清を48時間後に回収する。上清は、最初にデブリを除去し、0.45μmの低タンパク質結合(PVDF)フィルターを通して濾過する。次いで、超遠心分離機で、24,000rpmで2時間スピンする。ウイルスペレットを、50μlのDMEM中に、4℃で一晩再懸濁する。次いで、それらをアリコートし、-80℃ですぐに凍結する。
【0427】
別の実施形態では、ウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)に基づく最小非霊長類レンチウイルスベクターも企図される。別の実施形態では、RetinoStat(登録商標)は、ウマ伝染性貧血ウイルスベースのレンチウイルス遺伝子療法ベクターであり、血管新生抑制タンパク質であるエンドスタチン及びアンジオスタチンを発現し、これは、網膜下注射によって送達されることが企図される。別の実施形態では、自己不活性化レンチウイルスベクターの使用が企図される。
【0428】
系の任意のRNA、例えば、NLS-gRNA又はCas9コードmRNAは、RNAの形態で送達され得る。Cas9コードmRNAは、インビトロ転写を使用して生成することができる。例えば、Cas9のmRNAは、以下のエレメントを含むPCRカセットを使用して合成することができる:T7プロモーター、任意選択的なkozak配列(GCCACC)、ヌクレアーゼ配列、及びβグロビン-ポリAテール由来の3’UTRなどの3’UTR。カセットは、T7ポリメラーゼによる転写に使用することができる。ガイドポリヌクレオチド(例えば、gRNA)は、T7プロモーター、続いて、配列「GG」、及びガイドポリヌクレオチド配列を含むカセットからのインビトロ転写を使用して転写することもできる。
【0429】
発現を増強し、可能性のある毒性を低減するために、Cas9配列及び/又はガイド核酸は、例えば、シュードU又は5-メチルCを使用して、1つ以上の修飾ヌクレオシドを含むように修飾され得る。
【0430】
本開示は、一部の実施形態では、細胞又は生物を修飾する方法を包含する。細胞は、原核細胞又は真核細胞であり得る。細胞は、哺乳動物細胞であり得る。哺乳動物細胞の多くは、非ヒト霊長類、ウシ、ブタ、げっ歯類、又はマウス細胞である。本開示の塩基エディター、組成物、及び方法によって細胞に導入される修飾は、抗体、デンプン、アルコール、又は他の所望の細胞出力などの生物学的産物の産生の改善のために細胞及び細胞の子孫が改変されるようにすることができる。本開示の方法により細胞に導入される修飾は、細胞及び細胞の子孫が、産生された生物学的産物を変化させる改変を含むようにすることができる。
【0431】
系は、1つ以上の異なるベクターを含むことができる。一態様では、Cas9は、所望の細胞型、好ましくは真核細胞、好ましくは哺乳動物細胞又はヒト細胞の発現のために、コドン最適化される。
【0432】
概して、「コドン最適化」とは、天然配列の少なくとも1つのコドン(例えば、約1、2、3、4、5、10、15、20、25、50若しくはそれ以上又は約1、2、3、4、5、10、15、20、25、50超若しくはそれ以上のコドン)において、天然アミノ酸配列を維持しながら、その宿主細胞の遺伝子でより頻繁に又は最も頻繁に使用されるコドンで置換することによって、目的の宿主細胞における発現を増強させるための核酸配列を修飾するプロセスを指す。様々な種は、特定のアミノ酸の特定のコドンについて特定のバイアスを示す。コドンバイアス(生物間のコドン使用の差異)は、多くの場合、メッセンジャーRNA(mRNA)の翻訳の効率と相関し、これは次いで、とりわけ、翻訳されるコドンの特性及び特定のトランスファーRNA(tRNA)分子の利用可能性に依存すると考えられている。細胞において選択されるtRNAの優位性は、概して、ペプチド合成で最も頻繁に使用されるコドンの反映である。したがって、遺伝子は、コドン最適化に基づいて所与の生物における最適な遺伝子発現のために調整され得る。コドン使用率表は、例えば、www.kazusa.orjp/codon/(2002年7月9日に参照)で入手可能な「コドン使用率データベース」で容易に入手可能であり、これらの表は、いくつかの方式で適合され得る。Nakamura,Y.,et al.“Codon usage tabulated from the international DNA sequence databases:status for the year 2000”Nucl.Acids Res.28:292(2000)を参照されたい。特定の宿主細胞における発現のために特定の配列を最適化するためのコドンに関するコンピュータアルゴリズムも利用可能であり、例えば、Gene Forge(Aptagen、Jacobus,Pa.)も利用可能である。一部の実施形態では、操作されたヌクレアーゼをコードする配列中の1つ以上のコドン(例えば、1、2、3、4、5、10、15、20、25、50、若しくはそれ以上のコドン、又は全てのコドン)は、特定のアミノ酸について最も頻繁に使用されるコドンに対応する。
【0433】
パッケージング細胞は、典型的には、宿主細胞に感染することが可能なウイルス粒子を形成するために使用される。そのような細胞には、アデノウイルスをパッケージングする293細胞、及びレトロウイルスをパッケージングするpsi.2細胞又はPA317細胞が含まれる。遺伝子療法に使用されるウイルスベクターは、通常、核酸ベクターをウイルス粒子にパッケージングする細胞株を産生することによって生成される。ベクターは、典型的には、パッケージング及びその後の宿主への組み込みに必要な最小限のウイルス配列を含み、他のウイルス配列は、発現されるポリヌクレオチド(複数可)のための発現カセットによって置き換えられる。欠損したウイルス機能は、典型的には、パッケージング細胞株によってトランスで供給される。例えば、遺伝子療法で使用されるAAVベクターは、典型的には、宿主ゲノムへのパッケージング及び組み込みに必要なAAVゲノム由来のITR配列のみを有する。ウイルスDNAは、他のAAV遺伝子(すなわち、rep及びcap)をコードするがITR配列を欠くヘルパープラスミドを含む細胞株にパッケージングすることができる。細胞株は、ヘルパーとしてアデノウイルスで感染され得る。ヘルパーウイルスは、AAVベクターの複製及びヘルパープラスミド由来のAAV遺伝子の発現を促進することができる。場合によっては、ヘルパープラスミドは、ITR配列を欠くために、かなりの量でパッケージ化されない。アデノウイルスによる汚染は、例えば、アデノウイルスがAAVよりも感受性が高い熱処理によって低減することができる。
【0434】
薬学的組成物
本開示の他の態様は、(例えば、本明細書に記載のNLS-gRNAを含む)遺伝子編集系を含む薬学的組成物に関する。「薬学的組成物」という用語は、本明細書で使用される場合、薬学的使用のために製剤化された組成物を指す。一部の実施形態では、薬学的組成物は、薬学的に許容される担体を更に含む。一部の実施形態では、薬学的組成物は、追加の薬剤(例えば、特異的送達用、半減期の増加、又は他の治療用化合物)を含む。
【0435】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、化合物を体のある部位(例えば、送達部位)から別の部位(例えば、臓器、組織、又は体の一部分)に運搬若しくは輸送することに関与する、液体若しくは固体充填剤、希釈剤、賦形剤、製造助剤(例えば、潤滑剤、タルクマグネシウム、ステアリン酸カルシウム若しくはステアリン酸亜鉛、又は立体酸(steric acid))、又は溶媒封入材などの、薬学的に許容される材料、組成物、又はビヒクルを意味する。薬学的に許容される担体は、製剤の他の成分と適合性であるという意味で「許容される」ものであり、対象の組織に害を及ぼさない(例えば、生理学的に適合性、無菌性、生理学的pHなど)。
【0436】
薬学的に許容される担体としての役割を果たすことができる材料のいくつかの非限定的な例としては、以下が挙げられる:(1)乳糖、グルコース及びスクロースなどの糖類、(2)トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプンなどのデンプン、(3)カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、微結晶セルロース、及び酢酸セルロースなどのセルロース及びその誘導体、(4)粉末トラガント、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及びタルクなどの潤滑剤、(8)ココアバター及び坐剤ワックスなどの賦形剤、(9)ピーナッツ油、綿実油、紅花油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及び大豆油などの油、(10)プロピレングリコールなどのグリコール、(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコール(PEG)などのポリオール、(12)オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルなどのエステル、(13)寒天、(14)水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどの緩衝剤、(15)アルギン酸、(16)パイロジェンフリー水、(17)等張生理食塩水、(18)リンゲル溶液、(19)エチルアルコール、(20)pH緩衝溶液、(21)ポリエステル、ポリカーボネート、及び/又はポリ酸無水物、(22)ポリペプチド及びアミノ酸などの膨張剤、(23)エタノールなどの血清アルコール、並びに(23)薬学的製剤に用いられる他の非毒性の適合性物質。湿潤剤、着色剤、剥離剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤、芳香剤、防腐剤、及び抗酸化剤も、製剤中に存在し得る。「賦形剤」、「担体」、「薬学的に許容される担体」、「ビヒクル」などの用語は、本明細書において互換的に使用される。
【0437】
薬学的組成物は、製剤のpHを、生理学的pHを反映する所定のレベルで、例えば、約5.0~約8.0の範囲に維持するために、1つ以上のpH緩衝化合物を含むことができる。水性液体製剤に使用されるpH緩衝化合物は、アミノ酸、又はアミノ酸の混合物(例えば、ヒスチジン、又はヒスチジン及びグリシンなどのアミノ酸の混合物)であり得る。代替的に、pH緩衝化合物は、好ましくは、製剤のpHを所定のレベルに(例えば、約5.0~約8.0の範囲に)維持し、かつカルシウムイオンをキレートしない薬剤である。かかるpH緩衝化合物の例示的な例としては、イミダゾール及び酢酸イオンが挙げられるが、これらに限定されない。pH緩衝化合物は、製剤のpHを所定のレベルに維持するのに好適な任意の量で存在してもよい。
【0438】
薬学的組成物はまた、1つ以上の浸透圧調節剤、すなわち、製剤の浸透圧特性(例えば、張力、オスモラリティ、及び/又は浸透圧)を、レシピエント個体の血流及び血液細胞で許容されるレベルに調節する化合物を含み得る。浸透圧調節剤は、カルシウムイオンをキレートしない薬剤であり得る。浸透圧調節剤は、製剤の浸透圧特性を調節する、当業者に既知又は利用可能な任意の化合物であり得る。当業者は、本発明の製剤で使用される所与の浸透圧調節剤の適合性を経験的に決定することができる。好適なタイプの浸透圧調節剤の例示的な例としては、塩(例えば、塩化ナトリウム及び酢酸ナトリウム)、糖(例えば、スクロース、デキストロース、及びマンニトール)、アミノ酸(例えば、グリシン)、並びにこれらの薬剤及び/又は薬剤のタイプのうちの1つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。浸透圧調節剤(複数可)は、製剤の浸透圧特性を調節するのに十分な任意の濃度で存在してもよい。
【0439】
一部の実施形態では、薬学的組成物は、例えば、遺伝子編集のために、対象への送達のために製剤化される。本明細書に記載の薬学的組成物を投与する好適な経路としては、局所、皮下、経皮、皮内、病巣内、関節内、腹腔内、膀胱内、経粘膜、歯肉、歯内、蝸牛内、鼓室内、臓器内、硬膜外、髄腔内、筋肉内、静脈内、血管内、骨内、眼周囲、腫瘍内、脳内、及び脳室内投与が挙げられるが、これらに限定されない。
【0440】
一部の実施形態では、本明細書に記載の薬学的組成物は、疾患部位に局所的に投与される。一部の実施形態では、本明細書に記載の薬学的組成物は、注射によって、カテーテルによって、坐剤によって、又はインプラントによって、対象に投与され、インプラントは、シアラスティック(sialastic)膜又は繊維などの膜を含む、多孔性、非多孔性、又はゲル状物質である。
【0441】
他の実施形態では、本明細書に記載の薬学的組成物は、制御放出系において送達される。一実施形態では、ポンプを使用することができる(例えば、Langer,1990,Science 249:1527-1533、Sefton,1989,CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:201、Buchwald et al.,1980,Surgery 88:507、Saudek et al.,1989,N.Engl.J.Med.321:574を参照されたい)。別の実施形態では、ポリマー材料を使用することができる。(例えば、Medical Applications of Controlled Release(Langer and Wise eds.,CRC Press,Boca Raton,Fla.,1974)、Controlled Drug Bioavailability,Drug Product Design and Performance(Smolen and Ball eds.,Wiley,New York,1984)、Ranger and Peppas,1983,Macromol.Sci.Rev.Macromol.Chem.23:61を参照されたい。また、Levy et al.,1985,Science 228:190、During et al.,1989,Ann. Neurol. 25:351、Howard et ah,1989,J.Neurosurg.71:105も参照されたい)。他の制御放出系は、例えば、上記のLangerで考察されている。
【0442】
一部の実施形態では、薬学的組成物は、対象(例えば、ヒト)への静脈内又は皮下投与に適した組成物として、通常の手順に従って製剤化される。一部の実施形態では、注射による投与のための薬学的組成物は、可溶化剤としての滅菌等張使用における溶液、及び注射部位の疼痛を緩和するためのリグノカインなどの局所麻酔剤である。一般に、成分は、例えば、活性剤の量を示すアンプル又はサシェなどの密封容器中の乾燥した凍結乾燥粉末又は水を含まない濃縮物として、別々に又は単位剤形で一緒に混合されてのいずれかで供給される。医薬品が注入によって投与される場合、医薬品は、滅菌医薬品グレードの水又は生理食塩水を含む注入ボトルを用いて分注され得る。薬学的組成物が注射によって投与される場合、投与前に成分が混合され得るように、注射用の滅菌水又は生理食塩水のアンプルが提供され得る。
【0443】
全身投与のための薬学的組成物は、液体、例えば、滅菌生理食塩水、乳酸リンゲル溶液、又はハンクス溶液であってもよい。加えて、薬学的組成物は、固体形態であってもよく、使用の直前に再溶解又は懸濁され得る。凍結乾燥形態も企図される。薬学的組成物は、脂質粒子又は小胞(例えば、非経口投与にも好適なリポソーム又は微結晶)内に含まれ得る。粒子は、組成物がその中に含まれている限り、単層(unilamellar)又は多層(plurilamellar)などの任意の好適な構造の粒子であり得る。化合物は、融合脂質ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、低レベル(5~10mol%)の陽イオン性脂質を含む「安定化プラスミド脂質粒子」(SPLP)に封入され、ポリエチレングリコール(PEG)コーティングによって安定化され得る(Zhang Y.P.et ah,Gene Ther.1999,6:1438-47)。かかる粒子及び小胞には、N-[l-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチル-アンモニウムメチルサルフェート又は「DOTAP」などの正に帯電した脂質が特に好ましい。そのような脂質粒子の調製は周知である。例えば、米国特許第4,880,635号、同第4,906,477号、同第4,911,928号、同第4,917,951号、同第4,920,016号、及び同第4,921,757号を参照されたい(それらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0444】
本明細書に記載の薬学的組成物は、例えば、単位用量として投与又は包装され得る。「単位用量」という用語は、本開示の薬学的組成物に関して使用される場合、対象のための単位投薬量として好適な物理的に分離された単位を指し、各単位は、必要な希釈剤(すなわち、担体又はビヒクル)と関連して所望の治療効果がもたらされるように計算された所定の量の活性物質を含む。
【0445】
更に、薬学的組成物は、薬学的キットとして提供され得、(a)凍結乾燥形態の本発明の化合物を含む容器、及び(b)薬学的に許容される希釈剤(例えば、本発明の凍結乾燥化合物の再構築又は希釈に使用される滅菌物)を含む第2の容器を含む。任意選択的に、医薬品又は生物学的製品の製造、使用、又は販売を規制する政府機関によって規定される形式の通知が、かかる容器(複数可)に付随してもよく、通知は、ヒト投与のための製造、使用、又は販売の機関による承認を反映する。
【0446】
別の態様では、上に記載の疾患の治療に有用な材料を含む製造品(article of manufacture)が含まれる。一部の実施形態では、製造品は、容器及びラベルを含む。好適な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、及び試験管が挙げられる。容器は、様々な材料、例えば、ガラス又はプラスチックから形成され得る。一部の実施形態では、容器は、本明細書に記載の疾患を治療するのに有効な組成物を保持し、無菌アクセスポートを有し得る。例えば、容器は、皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有する、静脈内輸液バッグ又はバイアルであり得る。組成物中の活性剤は、本発明の化合物である。一部の実施形態では、容器上の、又は容器に付随するラベルは、組成物が、選択された疾患を治療するために使用されることを示す。製造品は、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液、又はデキストロース溶液などの、薬学的に許容される緩衝液を含む第2の容器を更に含み得る。これには、商業及び使用者の観点から望ましい他の材料が更に含まれ得、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、及び使用説明書を含む添付文書が挙げられる。
【0447】
一部の実施形態では、CRISPR系(例えば、本明細書に記載のCas9を含む)は、薬学的組成物の一部として提供される。一部の実施形態では、薬学的組成物は、本明細書に提供される融合タンパク質のうちのいずれかを含む(例えば、LubCas9を含む、本明細書に記載の核酸塩基エディターを含む)。一部の実施形態では、薬学的組成物は、本明細書に提供される複合体のいずれかを含む。一部の実施形態では、薬学的組成物は、gRNAとカチオン性脂質との複合体を形成するRNAガイドヌクレアーゼ(例えば、Cas9)を含むリボ核タンパク質複合体を含む。一部の実施形態では、薬学的組成物は、gRNA、核酸プログラマブルDNA結合タンパク質、カチオン性脂質、及び薬学的に許容される賦形剤を含む。薬学的組成物は、任意選択的に、1つ以上の追加の治療活性物質を含むことができる。
【0448】
キット
一態様では、本明細書に記載のNLS-gRNAは、上記の方法及び組成物に開示されるエレメントのうちのいずれか1つ以上を含有するキットによって提供され得、及び又は産生され得る。例えば、キットは、NLS-gRNA、リガーゼ、及び好適な緩衝試薬を含み得る。
【0449】
一部の実施形態では、キットは、核酸塩基エディターを更に含む。
【0450】
一部の実施形態では、キットは、本明細書に記載のエレメントのうちの1つ以上を利用するプロセスで使用するための1つ以上の試薬を含む。試薬は、任意の好適な容器に提供され得る。例えば、キットは、1つ以上の反応又は保管緩衝液を提供し得る。試薬は、特定のアッセイにおいて使用可能な形態、又は使用前に1つ以上の他の成分の添加を必要とする形態(例えば、濃縮物又は凍結乾燥形態)で提供され得る。緩衝液は、炭酸ナトリウム緩衝液、重炭酸ナトリウム緩衝液、ホウ酸塩緩衝液、Tris緩衝液、MOPS緩衝液、HEPES緩衝液、及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない、任意の緩衝液であり得る。一部の実施形態では、緩衝液は、アルカリ性である。一部の実施形態では、緩衝液は、pHが、約7~約10である。一部の実施形態では、キットは、ガイド配列及び調節エレメントを作動可能に連結するように、ベクターに挿入するためのガイド配列に対応する1つ以上のオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、キットは、相同組換えテンプレートポリヌクレオチドを含む。
【0451】
本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、それらの全体が参照により組み込まれる。加えて、材料、方法、及び実施例は、単に例示であり、限定することを意図するものではない。別途明示されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者によって通常理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと同様又は同等の方法及び材料を本発明の実施又は試験に使用することができるが、好適な方法及び材料が本明細書に記載されている。
【実施例
【0452】
以下の実施例は、本発明の作製及び実施の好ましいモードのいくつかを説明する。しかしながら、これらの実施例は、例示のみを目的とし、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0453】
実施例1:NLS-gRNAのエクスビボ有効性
この実施例は、本発明のNLSにコンジュゲートされた例示的なgRNA(NLS-gRNA)及びそのエクスビボでの有効性を説明する。固相ペプチド合成によって、NLS配列及びペプチドスペーサーを含むペプチドを合成した。合成されたペプチドを、図1に示すように、チオール基を介してgRNAの3’末端にコンジュゲートした。当業者が理解するように、リンカー及びペプチドスペーサーを、本発明の実施において修飾することができる。更に、NLS、gRNA、及び/又はリンカーの配列を修飾することができる。
【0454】
NLS-sgRNAを調製し、CRISPR-Cas9塩基エディターをコードするmRNAを有する脂質ナノ粒子中で製剤化した。製剤を、3つの異なる比率のmRNA:sgRNA(1:1、3:1、及び9:1)で肝細胞に送達した。図2に示すように、NLS-sgRNAは、NLS配列を含まないgRNAと比較して、顕著により高い塩基編集効率を示した。
【0455】
この実施例におけるデータは、CRISPR-Cas系(例えば、塩基編集)を、NLS配列にコンジュゲートされるgRNAを使用することによって改善することができることを示す。特定の理論に拘束されることを望まないが、CRISPR-Cas系の改善は、細胞質RNaseからgRNAを保護する核へのNLS-gRNAのより良好な輸送、gRNAの局所濃度の増加、したがってリボ核酸複合体(RNP)の形成、及び核へのより高い移入速度に部分的に起因し得る。更に、カチオン性NLS配列は、エンドソームエスケープを促進することによって部分的に作用し得る。
【0456】
実施例2:NLS-gRNAのインビボ有効性
この実施例は、高度に修飾されたgRNAと比較しても、NLS-gRNAがインビボでの塩基編集を顕著に改善することを示す。この実施例では、spCas9 gRNAを、spCas9ニッカーゼ及びアデノシンデアミナーゼを含むアデニン塩基エディター(ABE)とともに使用した。
【0457】
様々な修飾を有するgRNAを調製した。図3Aに示すように、末端修飾(EM)gRNAは6%の修飾を含み、重度修飾1(HM1)gRNAは47%の修飾を含み、重度修飾2(HM2)gRNAは60%の修飾を含み、重度修飾3(HM3)gRNAは88%の修飾を含む。NLS-gRNAは、gRNAの3’末端にコンジュゲートされたNLS配列及び6%の修飾を含む。両方とも同じ塩基エディターをコードする2つの異なるmRNAを調製した。mRNA2と比較して、mRNA1は、3’及び5’UTR配列でコドン最適化される。mRNA1又はmRNA2のいずれかとのgRNAの様々な組み合わせをLNP中で製剤化し、図3Bに示すように、0.03mpk又は0.01mpkの亜飽和用量でマウスに送達した。
【0458】
結果は、NLS-gRNAが、全てのEM、HM1、HM2、又はHM3 gRNAと比較して、より高い塩基編集有効性を示したことを示す。特に、超低用量(0.01mpk)であっても、塩基編集は、NLS-gRNAに対して可視であり、重度に修飾された(HM1、HM2、及びHM3)gRNAよりも顕著に高かった。更に、NLS-gRNAをより低い効力のmRNA(mRNA2)と組み合わせることで、mRNAの品質を補った。末端修飾gRNAを用いるmRNA2の塩基編集効率は約5%であったのに対し、gRNAをNLS-gRNAで置き換えることで、塩基編集効率を30%超まで増加させた。
【0459】
実施例3:非ヒト霊長類(NHP)におけるNLS-gRNAの有効性
この実施例は、NLS-gRNAを使用することによる塩基編集効率の改善がNHPにおいても観察されることを示す。この実施例では、spCas9 gRNAを、spCas9ベースのアデニン塩基エディター(ABE)とともに使用した。
【0460】
塩基エディターをコードする様々なgRNA及びmRNAを、図4Aに示すように、脂質ナノ粒子中で製剤化した。製剤を1.0mpkでNHPに送達し、塩基編集効率を肝臓で決定した。結果は、mRNA1を有するNLS-gRNA(g5-BVN)及びmRNA1を有するHM3 gRNA(g4-BVB)が、最も高い塩基編集効率を示し、続いてg2-BVI、g3-BVV、及びg1-BVEであった。特に、末端修飾を有するNLS-gRNA(g1-BVN及びg7-BG3IN)は、NLSを含まないそれぞれの末端修飾gRNAと比較して(それぞれ、g1-BVE及びg6-BG3IEと比較する)、2倍超の塩基編集効率を示した。
【0461】
次に、NHPにおいて毒性学研究を行った。臨床病態を評価するために、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)レベルを測定した。ALT及びASTのより高いレベルは、肝臓の損傷と相関している。図4Bに示すように、全ての試験品について、投与後24時間に、AST及び/又はALTの最小~軽度の増加が観察された。特に、末端修飾を有するNLS-gRNAを含むg5-BVNは、最も低いAST及びALTの増加を示した。更に、臨床病態パラメータの他の顕著な変化は観察されなかった。
【0462】
全体として、この実施例におけるデータは、NLS-gRNAが、減少した毒性で、NHPにおけるCRISPR-Cas系(例えば、塩基編集効率)を改善することを示す。
【0463】
実施例4:saCas9におけるNLS-gRNAの用途
この実施例は、NLS-gRNAが様々なCasタンパク質に適用され得ることを示す。この特定の実施例では、Staphylococcus aureus Cas9(saCas9)を使用した。特に、saCas9は、以前の実施例に示されているspCas9編集と適合性のない独自のガイドを必要とする。
【0464】
グリコーゲン蓄積症1a型(GSD1a)は、GSD1aを有する患者の約80%に影響を及ぼすグルコース-6-ホスファターゼ(G6PC)遺伝子における変異によって引き起こされる。R83C変異は、グリコーゲン蓄積症1a型(GSD1a)と診断された毎年約900人の米国患者に影響を及ぼす。この変異は、G6PCタンパク質の位置83(R83C)にシステインを導入する単一塩基置換である。R83Cの正確な修正は、G6PCの発現を回復し、グルコース代謝を正常化する可能性が高いであろう。
【0465】
gRNAを調製し、その純度を決定した。2つの異なる骨格化学を有するgRNAを研究に使用した(sg029対sg093)。Sg093ガイドは、2’-OMe及びホスホチオエート修飾による末端修飾を有する)。塩基エディターをコードする様々なgRNA及びmRNAを、gRNA:mRNAの1:1の比率でLNP中で製剤化した。huG6PC-R83Cに対してヘテロ接合性の成体トランスジェニックマウスに、1mpkの亜飽和用量でLNP製剤を投与した。
【0466】
図5は、80%の純度が最大の塩基編集レベルをもたらす、塩基編集効率とgRNAの純度との間の相関を示す。更に、NLS-gRNAは、NLS配列を含まない他のsg093ガイドに対して、spCas9タンパク質での効力の改善を示し、本発明のNLS-gRNAが複数のCasタンパク質にわたって適用され得ることを示した。
【0467】
実施例5:NLS-gRNAを使用するGSD1a R83Cマウスにおける代謝欠陥のインビボ塩基編集修正
この実施例では、GSD1a R83Cマウスにおける代謝欠陥を修正するために、NLS-gRNAに関連して、アデニン塩基エディター(ABE)のバリアントを使用した。R83C変異は、g6pc遺伝子において単一のG>A変換を導入する。本明細書に記載のNLS-gRNAと組み合わせたABEは、ゲノムDNAにおけるAからGへのプログラマブル変換をもたらし、したがって、この変異を修正するためのそれらの有用性を支持している。
【0468】
G6PC gRNA配列は、以下に示されるG6PC標的配列の相補体にハイブリダイゼーションする:
【0469】
NNGRRT PAM配列(すなわち、Staphylococcus aureus Cas9(saCas9))は、上記に下線が引かれている。gRNA配列は、以下のとおりである:CAGUAUGGACACUGUCCAAA(配列番号2)。
【0470】
TadAバリアントMSP605、MSP824、MSP825、MSP680、MSP828、及びMSP829(表1を参照されたい)を使用するアデノシンデアミナーゼ塩基エディター(ABE)並びにsaCas9nの塩基編集効率を、huG6PCに対してヘテロ接合性であり、グリコーゲン蓄積症1a型(GSD1a)についてのR83C変異を保有するトランスジェニックマウスモデルを使用してインビボで評価した(図6B及び6C)。インビボでの効率的なゲノム編集のためのsaCas9の使用、及びsaCas9 sgRNA足場の例示は、A.Ran et al.(2015,Nature,Vol.520,pages 186-191)に記載されている。
【表6】
【0471】
図6Aは、塩基エディターをトランスジェニックマウスに導入するために使用されるインビボワークフローを示す。塩基エディターmRNA及びNLS-gRNAを担持する脂質ナノ粒子(LNP)を、静脈内(IV)注射を介して1mg/kgの用量でトランスジェニックマウスに投与した。全肝臓抽出物からの次世代配列決定データは、R83Cについて顕著な修正を明らかにした(図6B及び6C)。TadAバリアントMSP828は、低いバイスタンダー編集で、R83C変異の約40%の正確な修正を示した。このレベルの変異修正は、グルコース恒常性を回復することが期待される。
【0472】
実施例6:GSD1a R83Cマウスにおける代謝欠陥のインビボ塩基編集修正
GSD1aの概要
図7に概略的に示すように、(GSD1a)は、G6PC遺伝子における変異によって引き起こされる常染色体劣性障害である。白人のGSD1a患者において特定された最も広く見られる病原性変異は、酵素の活性部位に位置し、G6Paseの不活性化と関連するR83Cである。G6Pase機能の喪失は、生命を脅かす低血糖、発作、及び更には死亡をもたらす可能性がある。低血糖を緩和するために、患者は、昼夜を通して、ゆっくりとしたグルコース放出処方によって、グルコース補充の厳格かつ頻繁な遵守を維持しなければならない。1回の用量の見逃し又は遅延が、緊急の低血糖を引き起こす可能性がある。多くの合併症の中で、肝臓の拡大、尿酸、乳酸、及び脂質の蓄積は、GSD1a患者で一般的である。
【0473】
永続的かつ予測可能な単一ヌクレオチド置換を生成するための記載された塩基エディターの有用性
R83C変異は、g6pc遺伝子において単一のG>A変換を導入する。本明細書に記載のアデニン塩基エディター(ABE)は、ゲノムDNAにおけるAからGへのプログラマブル変換をもたらし、したがって、この変異を修正するためのそれらの有用性を支持している。図8に概略的に示すように、アデニン塩基エディターは、CRISPR-Cas酵素に接続された進化したTadAデアミナーゼを含有する融合タンパク質である。塩基エディターは、(CRISPR-Cas9酵素上に重なり合った)ガイドRNAに相補的である標的DNAに結合し、一本鎖DNAの伸長を曝露する。デアミナーゼは、標的アデニンをイノシンに変換し、Cas酵素は、反対側の鎖をニックし、次いで修復され、塩基対の変換を完了する。したがって、点変異の直接的な修復は、遺伝子機能の回復のための可能性を有する。
【0474】
この実施例では、g6pc遺伝子におけるA>G変換についての塩基エディターを、R83Cの修正のために最適化した。図9Aには、GSD1a R83C変異(WWYPCQGFLI、配列番号18)についての標的DNA配列(CCACCAGTATGGACACTGTCCAAAGAGAAT(配列番号17))及び基礎となるアミノ酸翻訳が示されている。編集される標的核酸塩基は、位置12で二重下線で表される。編集ウィンドウはまた、位置6で一重下線で表されて示される、可能性のあるバイスタンダーを含む。同義変換をもたらし得る編集は、位置10に示される。
【0475】
スクリーニングのために、R83C変異を保有するG6PC導入遺伝子を発現したHEK293細胞株を生成し、塩基エディターmRNA及びgRNAでトランスフェクトした。対立遺伝子頻度を、高スループット標的化アンプリコン次世代配列決定によって評価した。バリアント1~5は、最適化された標的修正のために操作された、gRNA及び塩基エディターRNAの組み合わせを表す。バリアント5は、R83C修正及び限定的なバイスタンダー編集のためのおよそ60%の標的化された塩基編集効率をもたらした(図9B)。
【0476】
マウスインビボ疾患モデル及びR83C単一ヌクレオチド変異のインビボ修正の実証
R83C塩基編集のインビボ修正
インビボでのR83C修正のための塩基編集効率を検証するために、マウスG6pcの代わりにヒトG6PC-R83C導入遺伝子を発現する新規GSD1aマウスを生成した。huR83Cに対してホモ接合のマウスは、出生後の致死性を示し、離乳(21日)までほとんど生存しなかったことが確認された。グルコース補充療法において、動物は少なくとも3週齢まで生存し、同腹仔対照と比較して、体重の低減、肝臓の拡大、顕著なG6Pase阻害、及び血清代謝産物の異常などの、GSD1aの特徴的な病理学的兆候を明らかにした(図7)。この表現型は、ヒトにおける公表された及び臨床報告と一致する。
【0477】
インビボ実験について、ホモ接合マウスの新生児の致死性のために、huR83Cに対してヘテロ接合性であったトランスジェニックマウスにおいてLNP媒介性送達を試験した。図6Aにおける概略図は、IV注射を介して投与した、脂質ナノ粒子、又は塩基エディターmRNA及びgRNAのLNP共製剤を用いるインビボワークフローを示す。ホモ接合マウスの新生児の致死性を考慮して、出生直後に側頭静脈を介してLNP投与を行い、活性を成体マウスにおけるものと比較した。全肝臓抽出物の次世代配列決定(NGS)分析は、より広い範囲の効率を有する、成体でおよそ40%の塩基編集効率及び新生児で最大約60%の効率を明らかにした(図11A)。バイスタンダー編集は、成体及び新生児において低いままであった。(図11A)。
【0478】
huR83Cに対してホモ接合の新生マウスを、ガイドRNA及びABEをコードするmRNAを含有する脂質ナノ粒子(LNP)で治療した。治療されたマウスは、グルコース療法の不在下で、低血糖誘発性発作を伴わずに、生存し、正常に3週齢まで成長したことが見出された。治療されたホモ接合huR83Cマウスは、huR83Cに対してヘテロ接合性であった同腹子対照と一致して、総肝臓抽出物において最大約60%の編集効率を示した(図11B)。したがって、LNP媒介性R83C修正が、ホモ接合huR83Cマウスの生存と関連していたことが実証された。
【0479】
インビボでのR83Cの修正のための塩基編集によるGSD-1a病態の逆転
【0480】
3週間で、治療されたホモ接合huR83Cマウスが、対照と比較して、図12Aにおいてより暗い色の棒によって実証されるように、グルコース、トリグリセリド、コレステロール、乳酸、及び尿酸を含むほぼ正常な血清代謝産物の回復を伴って、適切な代謝機能を示したことを検証及び確認した。更に、LNP治療ホモ接合huR83CマウスにおけるG6PC活性の生化学的アッセイの結果(生化学的に及び鉛-ホスフェート染色を介して評価される)は、同腹仔対照のものと一致した。(図12A)。
【0481】
肝腫大は、GSD1aの別の臨床的提示であり、主に、肝臓における過剰なグリコーゲン及び脂質沈着によって引き起こされる。塩基編集後のホモ接合huG6PC-R83Cマウスにおける肝腫大の程度を評価するために、3週齢の新生児マウスから肝臓切片を採取し、ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)並びにオイルレッドO染色を介して免疫組織化学分析を実施した(図12B)。GSD-1aと一致して、無視できるG6Pase活性(図12B、中央パネル、H&E)を示すホモ接合マウスからの肝臓切片において、顕著な脂質沈着(重度のH&E染色)及び拡大した肝細胞が可視化された。回復したG6PC活性を示す塩基編集されたホモ接合huG6PC-R83Cマウス(「HOM huR83C」、右パネル、図12B)の場合、脂質沈着は顕著に低減し、対照(左パネル)(図12B、脂質)と一致し、肝細胞サイズの回復は明らかであった。したがって、免疫組織化学分析は、LNP治療マウスにおける正常な肝細胞サイズ及び脂質沈着を明らかにした。(図12B)。まとめると、データは、R83C変異を修正し、GSD1aと関連する代謝欠陥及び病態を逆転させる塩基編集の能力を実証する。加えて、これらのデータは、GsD-1aについての塩基編集を介して、機能回復及び陽性の臨床転帰の更なる支持を与える。
【0482】
この実施例に記載されるように、インビトロ及びインビボでR83Cの正確な修正を達成した新規のアデニン塩基エディター及びガイドRNAを生成し、検証した。ABE及びgRNAのLNP媒介性送達は、対照と一致する肝臓G6Pase活性及び代謝機能の回復を伴い、顕著な塩基編集効率、すなわち、最大約60%の塩基編集効率をもたらした。
【0483】
単回LNP用量投与は、塩基編集を介する24時間の絶食チャレンジ中に正常血糖を維持する。
GSD-1a病態の特徴的な症状は、空腹時低血糖であり、数分以内に血糖値が急激に低下する。huG6PC-R83Cに対してホモ接合のGSD-1aトランスジェニックマウスにおいて、本明細書に記載の塩基編集治療後、動物が24時間(hr)の絶食を維持できるかどうかを試験するために、完全な概念実証研究を実施した。この研究では、LNP治療された(1.5mpk)GSD-1a動物及び健康な対照において、100%の動物生存を24時間の絶食期間後に達成した。加えて、正常な空腹時グルコースレベルが、対照マウス及び治療されたマウスにおいて24時間の空腹時前後に測定され、これは低血糖治療閾値(>60mg/dL)を上回るレベルを維持していた(図13)。
【0484】
R83C変異を修正するための塩基エディターでの使用のためのG6PC標的配列
実施例1に記載のG6PC標的配列及びガイドRNAに加えて、本明細書に記載のR83C変異を修正するための塩基編集をもたらすための塩基エディターと併せて使用され得る代替G6PC標的配列としては、表7に示されるものが含まれる。示されるように、標的配列は、使用に好適なPAM及び塩基エディター、例えば、本明細書に記載のIBEの種類を含む。表7におけるプロトスペーサー配列では、標的化された「A」ヌクレオチド(すなわち、A8~A15)の位置は太字/下線で示される。G6PC gRNA配列は、表7に示されるG6PC標的配列の相補体にハイブリダイゼーションする。PAM配列(例えば、SpCas9)は、表7に下線が引かれている。
【0485】
表7に記載されるインレイド塩基エディター(IBE)は、デアミナーゼドメインがCRISPR-Casタンパク質、例えば、Cas9に対して内部にある(内部に埋め込まれた)アーキテクチャを有するCas9及びTadAの構造を指す。IBEアーキテクチャは、他の塩基エディターと比較してより大きい幅の潜在的な塩基編集標的を可能にし、好適に配置されるCas9プロトスペーサー隣接モチーフ配列の要件によって制限されない。かかるIBEは、シフトされた編集ウィンドウを示し、より高い編集効率を示し、したがって、DNA及びRNAオフターゲット編集頻度を低減した正準編集ウィンドウの外側の標的の編集を可能にした。したがって、IBEは、DNAを標的とするために使用される任意の所与のCRISPR-Casタンパク質に対して作成され得る編集ウィンドウの範囲を拡大することによって、潜在的な塩基編集標的の幅を拡大する。デアミナーゼを異なる戦略的位置でCRISPRタンパク質に挿入することによって、デアミナーゼの活性部位を再配置することができ、IBEを従来の編集ウィンドウの外で編集することができるようにする。IBEアーキテクチャは、上記及びS.Haihua Chu et al.,The CRISPR Journal,Vol.4,No.2;2021年4月20日にオンラインで公開(DOI:10.1089/crispr.2020.0144)に記載されている。
【表7】
【0486】
表7のG6PC標的配列の相補体にハイブリダイゼーションするgRNA配列は、以下のとおりである(5’から3’に):CCACCAGUAUGGACACUGUC(配列番号19)、CACCAGUAUGGACACUGUCC(配列番号20)、ACCAGUAUGGACACUGUCCA(配列番号21)、CCAGUAUGGACACUGUCCAA(配列番号22)、CAGUAUGGACACUGUCCAAA(配列番号23)、AGUAUGGACACUGUCCAAAG(配列番号24)、GUAUGGACACUGUCCAAAGA(配列番号25)、及びUAUGGACACUGUCCAAAGAG(配列番号26)。
【0487】
本明細書に記載の生成物、組成物、及び方法に使用するためのプロトスペーサー及びPAM配列は、(5’から3’に)、
であり、PAM配列、
は下線が引かれている。上記に提示されるように、標的配列の相補体にハイブリダイゼーションするgRNA配列は、CAGUAUGGACACUGUCCAAA(上記の配列に示す3’PAM配列GAGAAT)(配列番号2)である。
【0488】
本明細書に記載の方法で使用されるgRNA配列は、以下を含むか又はそれからなる:
CACCAGUAUGGACACUGUCCAAAGUUUUAGUACUCUGUAAUGAAAAUUACAGAAUCUACUAAAACAAGGCAAAAUGCCGUGUUUAUCUCGUCAACUUGUUGGCGAGAUUUU(配列番号27)、又は
CCACCAGUAUGGACACUGUCCAAAGUUUUAGUACUCUGUAAUGAAAAUUACAGAAUCUACUAAAACAAGGCAAAAUGCCGUGUUUAUCUCGUCAACUUGUUGGCGAGAUUUU(配列番号28)。
【0489】
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法で使用されるgRNA配列は、1つ以上の修飾ヌクレオシドを含む。2つの例示的な配列を以下に提供する:
【0490】
sgRNA_096:23ntプロトスペーサー
mCsmAsmCsCAGUAUGGACACUGUCCAAAGUUUUAGUACUCUGUAAUGAAAAUUACAGAAUCUACUAAAACAAGGCAAAAUGCCGUGUUUAUCUCGUCAACUUGUUGGCGAGAmUsmUsmUsU(配列番号29)
【0491】
sgRNA_097:34ntプロトスペーサー
mCsmCsmAsCCAGUAUGGACACUGUCCAAAGUUUUAGUACUCUGUAAUGAAAAUUACAGAAUCUACUAAAACAAGGCAAAAUGCCGUGUUUAUCUCGUCAACUUGUUGGCGAGAmUsmUsmUsU(配列番号30)。
【0492】
RNA修飾の文脈では、「s」は、先行するヌクレオチドが3’ホスホチオエートを有することを示し、「m」は、次のヌクレオチドが2’OMeであることを示す。例えば、ホスホチオエート及び2’OMeを有するヌクレオチドは、形態「mNs」を有する。ホスホチオエート及び2’OMeの両方を有する2つの連続したヌクレオチドがある場合、それは「mNsmNs」と表記される。
【0493】
実施例7:材料及び方法
上記に記載される実施例及びその中の実験に利用される材料及び方法は、以下に記載される。
【0494】
動物飼育
全ての動物研究は、Taconicの除外植物相健康基準(Excluded Flora health standard)の下で実施した。huG6PC-R83Cマウスの生存を維持するために、マウス1匹当たり100~150ulの15%グルコースの毎日投与される皮下注射からなるグルコース療法。グルコース注射は、塩基エディターmRNA及びgRNAによるLNP治療後にマウスに投与しなかった。
【0495】
インビボLNP投与ワークフロー
huG6PC-R83Cホモ接合マウスにおけるp.R83C変異を修正するために、塩基エディターmRNA及びgRNAのLNP共製剤を、出生直後のP1歳におけるマウスの側頭静脈を介して1.5mpk(キログラム当たりのミリグラム)の用量で投与した。グルコース療法は、LNP治療マウスに投与しなかった。LNP治療マウスは、離乳(21日)まで、それぞれの生母によって同腹仔対照と並行して飼育され続け、その時点で、それらを表現型解析した。全ての研究について、年齢一致の野生型及びヘテロ接合性huG6PC-R83C同腹仔を対照として使用した。21日目に、肝臓から採取したゲノムDNA、成長特徴、並びに血清及び肝臓マーカーを分析した。
【0496】
脂質ナノ粒子(LNP)製剤
塩基エディター(塩基エディターをコードするmRNA)及びガイドRNAを、脂質ナノ粒子中で1:1の重量比で共封入した。LNPは、4つの脂質成分:イオン化可能な脂質、DSPC、コレステロール、及び脂質アンカーPEGを含有するエタノール溶液と、3.0のpHでのRNAの水溶液を急速に混合することによって生成した。2つの溶液を、Precision Nanosystemsからのベンチトップマイクロ流体デバイスを使用して混合した。混合後、製剤を、1×TBS(Sigma-Aldrich、カタログ番号94158)に対して、4℃で一晩透析した。その後、それらを100K MWCO Amicon Ultra遠心分離チューブ(Millipore Sigma、カタログ番号UFC910096)を使用して濃縮し、0.2ミクロンフィルター(Pall corperation、カタログ番号4602)で濾過した。Quant-iT Ribogreen(ThermoFisher Scientific、カタログ番号R11491)を使用して総RNA濃度を決定し、Malvern Panalytical Zetasizerを使用して粒径を決定した。
【0497】
次世代配列決定(NGS)
次世代配列決定(NGS)を使用して、LNP治療動物の全肝臓抽出物からのゲノムDNA中の塩基編集された対立遺伝子の頻度を決定した。LNP治療後、マウスを安楽死させ、肝臓全体を除去し、液体窒素中でスナップ凍結した。凍結マウス肝臓を、Geno/Grinder 2010(Ops Diagnostics、Lebanon,NJ,USA)を使用して粉末形態に粉砕し、ゲノムDNAを、製造業者の仕様に従ってQuick Extract溶解緩衝液を使用して肝臓粉末から単離した。ゲノムDNAを、プライマー対:フォワードプライマー、GGGCATTAAACTCCTTTGGG(配列番号31)及びリバースプライマー、AGTCTCACAGGTTACAGGGA(配列番号32)を使用して、huG6PCエクソン2を保有する約170ヌクレオチド断片を産生するために、後続のPCR増幅ステップにおいて直接使用した。NGSアダプターを追加し、得られたアンプリコンを、製造業者の説明書に従ってIllumina MiSeq機器を使用して配列決定した。
【0498】
血清代謝産物
血清代謝産物を測定するために、R83Cヒト化トランスジェニックマウスから血液を採取した。次いで、血清を分離し、全血から抽出し、その後、代謝産物アッセイに使用した。関連する包括的な研究後評価のために、血清グルコース、血清コレステロール、及び血清トリグリセリドを全て分析した。血清グルコース及び血清コレステロールを、ThermoFisher Scientific(Waltham,MA,USA)Infinity Glucose Liquid Stable Reagent(カタログ番号:TR15421)及びInfinity Cholesterol Liquid Stable Reagent(カタログ番号:TR13421)をそれぞれ含む肝細胞培地を使用して調製した。血清トリグリセリドを、Sigma-Aldrich(St.Louis,MO,USA)からのSerum Triglyceride Quantification Kit(カタログ番号:MAK266)を使用して測定した。尿酸を、製造業者の仕様(Thermo Fisher Scientific(Waltham,MA,USA)に従ってUric Acid Liquid Stable Reagentを使用して測定した。血清乳酸を、BioAssay Systems(Hayward,CA,USA)からのEnzyFluo L-Lactate Assay Kitを使用して分析した。
【0499】
マウスの空腹時血糖分析は、食物剥奪後の前後24時間に尾静脈を介する血液サンプリングを伴った。血糖値を、HemoCue Glucose 201 System(HemoCue America、CA,USA)を使用して測定した。
【0500】
ホモ接合huG6PC-R83Cマウスについてのカプラン-マイヤー生存推定値
カプラン-マイヤー生存曲線を生成して、huG6PC-R83Cに対してホモ接合の新生トランスジェニックマウスの生存を、ABE mRNAを介する塩基編集後(緑色がかった青色)又は未治療(灰色、図14)のいずれかで推定した。新生マウスを、以下のプライマー、ユニバーサルフォワードプライマー(5’-ACCTACTGATGATGCACCTTTGATCAATAGAT-3’(配列番号59))、マウス特異的リバースプライマー(5’-CATCACCCCTCGGGATGGTTCTT-3’(配列番号60))、ヒト特異的リバースプライマー1(5’-CAGCCCAGAATCCCAACCACAAAAT-3’(配列番号61))、及びヒト特異的リバースプライマー2(5’-AGACCAGCTCGACTTGGGATGG-3’(配列番号62))を使用して、ゲノムテールDNAにおいてPCR分析を介して遺伝子型決定した。生存は、huG6PC-R83Cに対してホモ接合のトランスジェニックマウスについて注目された。未治療マウスは、死産(n=6)であったか、又は8時間(n=6)及び24時間(n=1)で死亡したかのいずれかであった。15%グルコース注射の投与は、生存を32時間(n=5)、48時間(n=2)、及び56時間(n=2)に延長した。huG6PC-R83Cに対してホモ接合の全てのABE治療マウスは、3週間における研究の終了まで生存した。
【0501】
グルコース-6-ホスファターゼ-アルファ活性アッセイ
Lei,K.-J.,et al.,1996,Nature Genetics,13(2):203-9により記載されるように、肝臓ミクロソーム単離及びミクロソームホスホヒドロラーゼアッセイを行った。Arnaotova et al.(2021,Mol.Therapy.,Vol.29,No 4)におけるアッセイ方法論は、以下のように記載されている。「Glucose-6-phosphatase dependent substrate transport in the glycogen storage disease type-1a mouse.Nat.Genet.13,203-209)。ホスホイドロラーゼアッセイにおいて、50mMのカコジル酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)、2mMのEDTA、10mMのグルコース-6-ホスフェート(G6P)、及び適切な量のミクロソーム調製物を含有する反応混合物(50uL)を30℃で10分間インキュベートした。破壊されたミクロソーム膜を、0.2%デオキシコレート中で無傷の膜を20分間、4℃でインキュベートすることによって調製した。非特異的ホスファターゼ活性は、破壊されたミクロソーム調製物をpH5で10分間、37℃でプレインキュベートして、酸不安定性G6Pase-アルファを不活性化することによって推定した。G6Pase-アルファ活性の1単位は、1mgのミクロソームタンパク質当たりの1分当たりの1nmolのG6P加水分解を表す。ミクロソームG6Pase-アルファアッセイについてのより低いレベルの定量化は、2単位である。」
【0502】
G6Pase-アルファの酵素組織化学分析は、Lee,Y.M.,Jun,H.S.Pan,C.-J.Lin,S.R.,Wilson,L.H.,Mansfield,B.C.,and Chou,J.Y.(2012)に記載されるように行った。Prevention of hepatocyellular adenoma and correction of metabolic abnormalities in murine glycogen storage disease type Ia by gene therapy.Hepatology 56,1719-1729。Arnaotova et al.,(2021,Mol.Therapy.,Vol.29,No 4)に記載されるように、10μm厚の肝臓組織切片を、40mMのトリスマレイン酸塩(pH6.5)、10mMのG6P、300mMのスクロース、及び3.6mMの硝酸鉛を含有する溶液中で、室温で10分間インキュベートした。すすぎ後、肝臓切片を0.09%硫化アンモニウム溶液中で室温で2分間インキュベートし、捕捉されたリン酸鉛が褐色の硫化鉛に変換した後、可視化された。
【0503】
免疫組織化学
免疫組織化学的手順を、Arnaotova et al.,2021,Mol.Therapy.,Vol.29,No 4に記載されるように行った。簡潔には、H&E染色を、10%中性緩衝ホルマリン中に保存された肝臓切片上で行い、オイルレッドO染色を、標準的な手順に従って、凍結保存された最適切断温度化合物(OCT)に包埋された肝臓切片上で行った。染色された切片は、Axiocam 506カメラ及びZen 2.6ソフトウェア(Carl Zeiss、White Plains,NY,USA)を備えるImager A2m顕微鏡を使用して可視化された。
【0504】
実施例8:NLSはガイドRNAの核移入を促進する
この実施例では、ガイドRNAの核移入に対する核局在化シグナルの効果を評価した。
【0505】
簡潔に述べると、核局在化シグナル(NLS)ペプチドに融合したgRNA(図15A)及びNLSを含まない同族対照gRNA(図15B)を、Cy5.5染料で蛍光標識した。ヒト肝細胞を、未修飾及びNLS修飾gRNAでリポフェクションし、リポフェクション後24時間及び48時間で蛍光を顕微鏡的に測定した。定量化のためにNucBlue染色を使用して、核エンベロープを青色に対比染色した(図15C)。
【0506】
結果は、NLSペプチドにコンジュゲートされていないgRNA(図15D)と比較して、gRNAがNLSペプチドにコンジュゲートされたときに核により効率的に局在化されることを示した(図15E)。
【0507】
相対平均蛍光強度(MFI)を、図15Fに示すように定量化した。結果は、ABE8.8単独で観察されたMFIがPBS治療でのバックグラウンド蛍光に匹敵する一方で、gRNAでのABE8.8が約300MFI単位への蛍光の増加を示したことを示した。しかしながら、gRNAをNLSにコンジュゲートした場合、約500MFI単位の増加した蛍光が存在した。gRNA単独では約300MFI単位の蛍光を示したが、NLSコンジュゲートgRNAを添加すると、約550MFI単位の増加した蛍光をもたらした。
【0508】
全体として、この研究からの結果は、NLSにコンジュゲートした場合、gRNAが核に効果的に局在化されたことを示した。
【0509】
実施例9:NLS-gRNAは、マウスの肝臓において高い効力の遺伝子編集を示す
この実施例では、低用量のNLS gRNAを投与されたhuG6PC-R83Cホモ接合マウスの肝臓において、遺伝子編集の能力を調べた。
【0510】
簡潔に述べると、huG6PC-R83Cホモ接合マウスにおけるp.R83C変異を修正するために、実施例7に先に記載されている方法を使用して、1型末端修飾(EM1)を有するNLS-gRNAを、出生直後のP1歳におけるマウスの側頭静脈を介して0.25mpk(キログラム当たりのミリグラム)用量の亜飽和用量で投与した。NLSコンジュゲートは、3’末端にコンジュゲートされたときにsaCas9エフェクターと適合することが見出される(図16)。この実施例では、5%の末端修飾gRNA及び/又は25%の重度修飾saHM03 gRNAも並行して試験した。配列を以下及び図17Aに提供する。
【0511】
【表8】
【0512】
図17Bにおける結果に示されるように、NLS-gRNAは、末端修飾gRNA又は重度修飾saHM03での5%未満に対して、10%よりも大きいAからGへの塩基編集を示した。
【0513】
全体として、結果は、NLS-gRNAが、末端修飾gRNAに対して、効力において2倍を超えるブーストをもたらすことを示した。結果は、NLS-gRNAが高い効力の遺伝子編集をもたらしたことを実証した。
【0514】
他の実施形態
前述の説明から、本明細書に記載の実施形態に変形及び修正を加えて、様々な用法及び条件に採用することができることは明らかであろう。かかる実施形態はまた、以下の特許請求の範囲の範囲内である。
【0515】
本明細書における変数の任意の定義における要素のリストの列挙は、任意の単一の要素として、又はリストされた要素の組み合わせ(又は副組み合わせ)として、その変数の定義を含む。本明細書におけるある実施形態の列挙は、任意の単一の実施形態として、又は任意の他の実施形態若しくはその一部と組み合わせて、その実施形態を含む。
【0516】
本明細書に言及される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、各個々の刊行物、特許、又は特許出願が、具体的かつ個別に、参照により援用されることが示されているかのように、参照により本明細書に援用される。任意の別段の指示がない場合、本明細書に述べられている刊行物、特許、及び特許出願は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0517】
同等物及び範囲
当業者であれば、本明細書に記載の本発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を認識するか、又は通常の実験を超えない実験を使用して確認することができるであろう。本発明の範囲は、上記の説明に限定されることを意図するものではなく、むしろ、以下の特許請求の範囲に記載されるとおりである。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9A-B】
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図15F
図16
図17A
図17B
【配列表】
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【国際調査報告】