(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】IL-4Rアンタゴニストを投与することによる慢性自発性蕁麻疹を治療するための方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20240730BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240730BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20240730BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20240730BHJP
【FI】
A61K39/395 U ZNA
A61P17/00
C07K16/28
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504774
(86)(22)【出願日】2022-07-25
(85)【翻訳文提出日】2024-02-29
(86)【国際出願番号】 US2022038185
(87)【国際公開番号】W WO2023009437
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2022-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597160510
【氏名又は名称】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】REGENERON PHARMACEUTICALS, INC.
(71)【出願人】
【識別番号】515337475
【氏名又は名称】サノフィ・バイオテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ニキル・アミン
(72)【発明者】
【氏名】エリザベス・ラウズ
(72)【発明者】
【氏名】レーダ・マンネン
(72)【発明者】
【氏名】アレン・ラディン
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドラ・ストゥジェパノヴィチュ
(72)【発明者】
【氏名】ナイミッシュ・パテル
(72)【発明者】
【氏名】エリベルト・シュタウディンガー
【テーマコード(参考)】
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA14
4C085AA16
4C085BB18
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG04
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA09
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
対象における慢性自発性蕁麻疹を治療または予防するための方法が提供される。インターロイキン-4受容体(IL-4R)アンタゴニスト、例えば、抗IL-4R抗体またはその抗原結合フラグメントを含む治療用組成物をそれを必要とする対象に投与する工程を含む方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
慢性自発性蕁麻疹(CSU)を有する対象を治療するための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与する工程を含み、
抗体またはその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含み、
対象は、H1抗ヒスタミン療法および抗IgE抗体療法により以前に効果的に治療されなかった、方法。
【請求項2】
対象は、H1抗ヒスタミン剤の使用にかかわらず依然として症状を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
H1抗ヒスタミン剤は、抗体またはその抗原結合フラグメントと組み合わせて投与される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
H1抗ヒスタミン剤は、セチリジン、レボセチリジン、フェキソフェナジン、ロラタジン、デスロラタジン、ビラスチン、およびルパタジンからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
対象は、オマリズマブに対して不耐性であるか、またはオマリズマブの使用にもかかわらず依然として症状を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
対象は、成人である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
抗体またはその抗原結合フラグメントは、初回量として、続いて1つまたはそれ以上の第2の用量として対象に投与される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
初回量は、約600mgであり、各第2の用量は、約300mgである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
各第2の用量は、2週間毎に投与される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
対象は、12歳~18歳未満である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
抗体またはその抗原結合フラグメントは、初回量として、続いて1つまたはそれ以上の第2の用量として対象に投与される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
対象は、30kg以上かつ60kg未満の体重を有し、初回量は、約400mgであり、各第2の用量、は約200mgである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
各第2の用量は、2週間毎に投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
対象は少なくとも60kgの体重を有し、初回量は、約600mgであり、各第2の用量は、約300mgである、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
各第2の用量は、2週間毎に投与される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
対象は、6歳~12歳未満である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
抗体またはその抗原結合フラグメントは、初回量として、続いて1つまたはそれ以上の第2の用量として対象に投与される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
対象は少なくとも30kgの体重を有し、初回量は、約400mgであり、各第2の用量は、約200mgである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
各第2の用量は、2週間毎に投与される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
対象は、30kg未満かつ少なくとも15kgの体重を有し、初回量は、約600mgであり、各第2の用量は、約300mgである、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
各第2の用量は、4週間毎に投与される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
対象は、30kg未満かつ少なくとも15kgの体重を有し、初回量は、約300mgであり、各第2の用量は、約300mgである、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
各第2の用量は、4週間毎に投与される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
対象は、少なくとも2歳かつ6歳未満である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
対象は、15kg未満かつ少なくとも5kgの体重を有し、初回量は、約200mgであり、各第2の用量は、約200mgである、請求項17に記載の方法。
【請求項26】
各第2の用量は、4週間毎に投与される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
対象は、少なくとも2歳かつ6歳未満である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
慢性自発性蕁麻疹(CSU)を有する対象を治療するための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与する工程を含み、
抗体またはその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含み、
対象は、12歳~18歳未満であり、
抗体またはその抗原結合フラグメントは、初回量として、続いて1つまたはそれ以上の第2の用量として対象に投与され、
抗体またはその抗原結合フラグメントは、体重に依存する投与量で対象に投与される、方法。
【請求項29】
対象は、30kg以上かつ60kg未満の体重を有し、初回量は、約400mgであり、各第2の用量、は約200mgである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
対象は少なくとも60kgの体重を有し、初回量は、約600mgであり、各第2の用量は、約300mgである、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
各第2の用量は、2週間毎に投与される、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
慢性自発性蕁麻疹(CSU)を有する対象を治療するための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与する工程を含み、
抗体またはその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含み、
対象は、6歳~12歳未満であり、
抗体またはその抗原結合フラグメントは、初回量として、続いて1つまたはそれ以上の第2の用量として対象に投与され、
抗体またはその抗原結合フラグメントは、体重に依存する投与量で対象に投与される、方法。
【請求項33】
対象は少なくとも30kgの体重を有し、初回量は、約400mgであり、各第2の用量は、約200mgである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
各第2の用量は、2週間毎に投与される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
対象は、30kg未満かつ少なくとも15kgの体重を有し、初回量は、約600mgであり、各第2の用量は、約300mgである、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
各第2の用量は、4週間毎に投与される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
H1抗ヒスタミン剤は、抗体またはその抗原結合フラグメントと組み合わせて投与される、請求項28~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
慢性自発性蕁麻疹(CSU)を有する対象を治療するための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与する工程を含み、
抗体またはその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含み、
対象は、12歳~18歳未満であり、
抗体またはその抗原結合フラグメントは、初回量として、続いて1つまたはそれ以上の第2の用量として対象に投与され、
抗体またはその抗原結合フラグメントは、体重に依存する投与量で対象に投与され、
対象は、抗ヒスタミン療法により以前に効果的に治療されなかった、方法。
【請求項39】
対象は、30kg以上かつ60kg未満の体重を有し、初回量は、約400mgであり、各第2の用量は、約200mgである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
対象は少なくとも60kgの体重を有し、初回量は、約600mgであり、各第2の用量は、約300mgである、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
各第2の用量は、2週間毎に投与される、請求項39または40に記載の方法。
【請求項42】
慢性自発性蕁麻疹(CSU)を有する対象を治療するための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与する工程を含み、
抗体またはその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含み、
対象は、6歳~12歳未満であり、
抗体またはその抗原結合フラグメントは、初回量として、続いて1つまたはそれ以上の第2の用量として対象に投与され、
抗体またはその抗原結合フラグメントは、体重に依存する投与量で対象に投与され、
対象は、抗ヒスタミン療法により以前に効果的に治療されなかった、方法。
【請求項43】
対象は少なくとも30kgの体重を有し、初回量は、約400mgであり、各第2の用量は、約200mgである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
各第2の用量は、2週間毎に投与される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
対象は、30kg未満かつ少なくとも15kgの体重を有し、初回量は、約600mgであり、各第2の用量は、約300mgである、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
各第2の用量は、4週間毎に投与される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
対象は、H1抗ヒスタミン剤の使用にもかかわらず依然として症状を有する、請求項38~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
H1抗ヒスタミン剤は、抗体またはその抗原結合フラグメントと組み合わせて投与される、請求項38~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
H1抗ヒスタミン剤は、セチリジン、レボセチリジン、フェキソフェナジン、ロラタジン、デスロラタジン、ビラスチン、およびルパタジンからなる群から選択される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
慢性自発性蕁麻疹(CSU)を有する対象を治療するための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与する工程を含み、
抗体またはその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含み、
対象は、12歳~18歳未満であり、
抗体またはその抗原結合フラグメントは、初回量として、続いて1つまたはそれ以上の第2の用量として対象に投与され、
抗体またはその抗原結合フラグメントは、体重に依存する投与量で対象に投与され、
対象は、抗IgE抗体療法により以前に効果的に治療されなかった、方法。
【請求項51】
対象は、30kg以上かつ60kg未満の体重を有し、初回量は、約400mgであり、各第2の用量、は約200mgである、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
対象は少なくとも60kgの体重を有し、初回量は、約600mgであり、各第2の用量は、約300mgである、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
各第2の用量は、2週間毎に投与される、請求項51または52に記載の方法。
【請求項54】
慢性自発性蕁麻疹(CSU)を有する対象を治療するための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与する工程を含み、
抗体またはその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含み、
対象は、6歳~12歳未満であり、
抗体またはその抗原結合フラグメントは、初回量として、続いて1つまたはそれ以上の第2の用量として対象に投与され、
抗体またはその抗原結合フラグメントは、体重に依存する投与量で対象に投与され、
対象は、抗IgE抗体療法により以前に効果的に治療されなかった、方法。
【請求項55】
対象は少なくとも30kgの体重を有し、初回量は、約400mgであり、各第2の用量は、約200mgである、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
各第2の用量は、2週間毎に投与される、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
対象は、30kg未満かつ少なくとも15kgの体重を有し、初回量は、約600mgであり、各第2の用量は、約300mgである、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
各第2の用量は、4週間毎に投与される、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
対象は、オマリズマブに対して不耐性であるか、またはオマリズマブの使用にもかかわらず依然として症状を有する、請求項50~58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
慢性自発性蕁麻疹(CSU)を有する対象を治療するための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与する工程を含み、
抗体またはその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含み、
対象は、12歳~18歳未満であり、
抗体またはその抗原結合フラグメントは、初回量として、続いて1つまたはそれ以上の第2の用量として対象に投与され、
抗体またはその抗原結合フラグメントは、体重に依存する投与量で対象に投与され、
対象は、H1抗ヒスタミン療法および抗IgE抗体療法により以前に効果的に治療されなかった、方法。
【請求項61】
対象は、30kg以上かつ60kg未満の体重を有し、初回量は、約400mgであり、各第2の用量、は約200mgである、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
対象は少なくとも60kgの体重を有し、初回量は、約600mgであり、各第2の用量は、約300mgである、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
各第2の用量は、2週間毎に投与される、請求項61または62に記載の方法。
【請求項64】
慢性自発性蕁麻疹(CSU)を有する対象を治療するための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与する工程を含み、
抗体またはその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含み、
対象は、6歳~12歳未満であり、
抗体またはその抗原結合フラグメントは、初回量として、続いて1つまたはそれ以上の第2の用量として対象に投与され、
抗体またはその抗原結合フラグメントは、体重に依存する投与量で対象に投与され、
対象は、H1抗ヒスタミン療法および抗IgE抗体療法により以前に効果的に治療されなかった、方法。
【請求項65】
対象は少なくとも30kgの体重を有し、初回量は、約400mgであり、各第2の用量は、約200mgである、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
各第2の用量は、2週間毎に投与される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
対象は、30kg未満かつ少なくとも15kgの体重を有し、初回量は、約600mgであり、各第2の用量は、約300mgである、請求項64に記載の方法。
【請求項68】
各第2の用量は、4週間毎に投与される、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
対象は、オマリズマブに対して不耐性であるか、またはオマリズマブの使用にもかかわらず依然として症状を有する、請求項60~68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
対象は、H1抗ヒスタミン剤の使用にもかかわらず依然として症状を有する、請求項60~69のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
H1抗ヒスタミン剤は、抗体またはその抗原結合フラグメントと組み合わせて投与される、請求項60~70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
H1抗ヒスタミン剤は、セチリジン、レボセチリジン、フェキソフェナジン、ロラタジン、デスロラタジン、ビラスチン、およびルパタジンからなる群から選択される、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
治療は、痒み重症度スコア(ISS)、蕁麻疹重症度スコア(HSS)、蕁麻疹活動性スコア(UAS)、血管性浮腫活動性スコア(AAS)、蕁麻疹コントロール試験(UCT)、皮膚科生活の質指数(DLQI)、小児皮膚科生活の質指数(CDLQI)、慢性蕁麻疹の生活の質質問票(CU-Q2oL)、変化についての全般的患者心象(PGIC)、重症度についての全般的患者心象(PGIS)、Euroqol-5項目(EQ-5D)、Euroqol-5項目小児バージョン(EQ-5D Y)からなる群から選択される1つまたはそれ以上の患者によって報告されたアウトカム(PRO)における改善をもたらす、請求項1~72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
PROは、痒み重度スコア(ISS)であり、対象は、7日間にわたる痒み重度スコア(ISS7)の減少を有する、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
ISS7の減少は、少なくとも5である、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
PROは、蕁麻疹重症度スコア(HSS)であり、対象は、7日間にわたる蕁麻疹重症度スコア(HSS7)の減少を有する、請求項73に記載の方法。
【請求項77】
HSS7の減少は、24週間の治療時に少なくとも10である、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
PROは、蕁麻疹活動性スコア(UAS)であり、対象は、7日間にわたる蕁麻疹活動性スコア(UAS7)の減少を有する、請求項73に記載の方法。
【請求項79】
UAS7の減少は、少なくとも10である、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
対象のUAS7は0である、請求項78に記載の方法。
【請求項81】
PROは、蕁麻疹活動性スコア(UAS)であり、対象のUASは6以下である、請求項78に記載の方法。
【請求項82】
PROは、7日間にわたる血管性浮腫活動性スコア(AAS7)であり、対象は、AASスコアの減少を有する、請求項73に記載の方法。
【請求項83】
PROは、蕁麻疹コントロール試験(UCT)であり、対象は、UCTスコアの増加を有する、請求項73に記載の方法。
【請求項84】
対象のUCTは12以上である、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
PROは、皮膚科生活の質指数(DLQI)であり、対象はDLQIスコアの減少を有する、請求項73に記載の方法。
【請求項86】
PROは小児皮膚科生活の質指数(CDLQI)であり、対象はCDLQIスコアの減少を有する、請求項73に記載の方法。
【請求項87】
PROは、慢性蕁麻疹生活の質質問票(CU-Q2oL)であり、対象は、CU-Q2oLスコアの減少を有する、請求項73に記載の方法。
【請求項88】
PROは、変化についての全般的患者心象(PGIC)であり、対象は、PGICスコアの減少を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項89】
PROは、重症度についての全般的患者心象(PGIS)であり、対象は、PGISスコアの減少を有する、請求項73に記載の方法。
【請求項90】
PROは、Euroqol-5項目(EQ-5D)またはEuroqol-5項目小児バージョン(EQ-5D Y)であり、対象は、EQ視覚アナログスケール(EQ VAS)スコアの増加を有する、請求項73に記載の方法。
【請求項91】
PROの改善は、抗体またはその抗原結合フラグメントによる12週間の治療で起こる、請求項73~90のいずれか1項に記載の方法。
【請求項92】
PROの改善は、抗体またはその抗原結合フラグメントによる24週間の治療で起こる、請求項73~90のいずれか1項に記載の方法。
【請求項93】
抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療前に、対象は、16以上のUAS7スコアを有する、請求項1~92のいずれか1項に記載の方法。
【請求項94】
抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療前に、対象は、8以上のISS7スコアを有する、請求項1~93のいずれか1項に記載の方法。
【請求項95】
抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療前に、対象は、血管性浮腫を有する、請求項1~94のいずれか1項に記載の方法。
【請求項96】
抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、対象が経験する痒みのない日数の増加をもたらす、請求項1~95のいずれか1項に記載の方法。
【請求項97】
抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、対象が経験する蕁麻疹のない日数の増加をもたらす、請求項1~96のいずれか1項に記載の方法。
【請求項98】
抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、経口コルチコステロイドによる対象の治療の必要性の低下をもたらす、請求項1~97のいずれか1項に記載の方法。
【請求項99】
必要とされる経口コルチコステロイドの投与量は減少する、請求項92に記載の方法。
【請求項100】
経口コルチコステロイド治療が必要とされる日数は減少する、請求項92または93に記載の方法。
【請求項101】
抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、抗ヒスタミンレスキュー薬による対象の治療の必要性の低下をもたらす、請求項1~100のいずれか1項に記載の方法。
【請求項102】
必要とされる抗ヒスタミンレスキュー薬の投与量は減少する、請求項95に記載の方法。
【請求項103】
抗ヒスタミンレスキュー薬が必要とされる日数が減少する、請求項95または96に記載の方法。
【請求項104】
抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)配列および配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含む、請求項1~103のいずれか1項に記載の方法。
【請求項105】
抗体は、デュピルマブである、請求項98に記載の方法。
【請求項106】
抗体またはその抗原結合フラグメントは、自己注射器、針およびシリンジ、またはペンを使用して投与される、請求項1~105のいずれか1項に記載の方法。
【請求項107】
抗体またはその抗原結合フラグメントは、プレフィルドデバイスを使用して投与される、請求項100に記載の方法。
【請求項108】
抗体またはその抗原結合フラグメントは、皮下投与される、請求項100に記載の方法。
【請求項109】
慢性自発性蕁麻疹(CSU)を有する対象を治療するための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与する工程を含み、
抗体またはその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含み、
対象は、2歳~6歳未満であり、
抗体またはその抗原結合フラグメントは、初回量として、続いて1つまたはそれ以上の第2の用量として対象に投与され、
抗体またはその抗原結合フラグメントは、体重に依存する投与量で対象に投与される、方法。
【請求項110】
対象は、少なくとも15kg~30kg未満の体重を有し、初回量は、約300mgであり、各第2の用量は、約300mgである、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
各第2の用量は、4週間毎に投与される、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
対象は、少なくとも5kg~15kg未満の体重を有し、初回量は、約200mgであり、各第2の用量は、約200mgである、請求項109に記載の方法。
【請求項113】
各第2の用量は、4週間毎に投与される、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
H1抗ヒスタミン剤は、抗体またはその抗原結合フラグメントと組み合わせて投与される、請求項109~113のいずれか1項に記載の方法。
【請求項115】
対象は、H1抗ヒスタミン剤の使用にもかかわらず依然として症状を有する、請求項109~114のいずれか1項に記載の方法。
【請求項116】
H1抗ヒスタミン剤は、抗体またはその抗原結合フラグメントと組み合わせて投与される、請求項109~115のいずれか1項に記載の方法。
【請求項117】
H1抗ヒスタミン剤は、セチリジン、レボセチリジン、フェキソフェナジン、ロラタジン、デスロラタジン、ビラスチン、およびルパタジンからなる群から選択される、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
対象は、活動性のアトピー性皮膚炎を有さない、請求項1~117のいずれか1項に記載の方法。
【請求項119】
対象は、慢性誘発性寒冷蕁麻疹(CICU)を有さない、請求項1~118のいずれか1項に記載の方法。
【請求項120】
対象の体重は、60kg未満である、請求項18に記載の方法。
【請求項121】
対象は、少なくとも30kg~60kg未満の体重を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項122】
対象は、少なくとも6歳かつ12歳未満である、請求項26に記載の方法。
【請求項123】
対象の体重は、60kg未満である、請求項32に記載の方法。
【請求項124】
対象は、少なくとも5kg~15kg未満の体重を有し、初回量は、約200mgであり、各第2の用量は、約200mgであり、各第2の用量は、4週間毎に投与される、請求項32に記載の方法。
【請求項125】
対象は、60kg未満の体重を有する、請求項42に記載の方法。
【請求項126】
対象は、少なくとも5kg~15kg未満の体重を有し、初回量は、約200mgであり、各第2の用量は、約200mgであり、各第2の用量は、4週間毎に投与される、請求項42に記載の方法。
【請求項127】
対象は、60kg未満の体重を有する、請求項54に記載の方法。
【請求項128】
対象は、少なくとも5kg~15kg未満の体重を有し、初回量は、約200mgであり、各第2の用量は、約200mgであり、各第2の用量は、4週間毎に投与される、請求項54に記載の方法。
【請求項129】
対象は、60kg未満の体重を有する、請求項64に記載の方法。
【請求項130】
対象は、少なくとも5kg~15kg未満の体重を有し、初回量は、約200mgであり、各第2の用量は、約200mgであり、各第2の用量は、4週間毎に投与される、請求項64に記載の方法。
【請求項131】
対象は、少なくとも30kg~60kg未満の体重を有し、初回量は、約400mgであり、各第2の用量は、約200mgであり、各第2の用量は、2週間毎に投与される、請求項109に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年7月26日に出願された米国仮出願第63/225,716号、2021年9月3日に出願された米国仮出願第63/240,734号、2022年2月23日に出願された米国仮出願第63/313,041号、2022年6月20日に出願された米国仮出願第63/353,654号、2022年3月4日に出願されたEP優先権出願第22315049.1号の利益を主張し、これらの内容はあらゆる目的のために参照によってその全体を組み入れる。
【0002】
発明の分野
本開示は、それを必要とする対象における慢性自発性蕁麻疹(CSU)の治療および/または予防に関する。本開示は、それを必要とする対象におけるCSUを治療または予防するためのインターロイキン-4受容体(IL-4R)アンタゴニストの投与に関する。
【背景技術】
【0003】
以前は慢性特発性蕁麻疹および慢性蕁麻疹としても知られた慢性自発性蕁麻疹は、最も頻度の高い皮膚疾患のうちの1つである。常時、人口の0.5%~1%がこの疾患に罹患している。(非特許文献1を参照のこと)。慢性自発性蕁麻疹は、原因が特定されないまま6週間を超えて持続する、そう痒性の膨疹(蕁麻疹)と突発型の皮膚反応が自発性に出現することを特徴とし、血管性浮腫を伴うことがある。すべての年齢群が罹患する可能性があるが、発生率のピークは20~40歳である。罹病期間は一般に数年であるが、より重症の症例、血管性浮腫を併発する症例ではより長くなる傾向があり、身体の蕁麻疹、または自己血清皮膚試験の陽性(自己反応性)を伴う。慢性自発性蕁麻疹は生活の質に大きな悪影響を及ぼし、睡眠不足および精神的併存症が頻繁にみられる。また、直接的および間接的な医療費だけでなく、仕事および私生活でのパフォーマンスの低下という点でも、社会に大きな影響を与える。(同書を参照のこと)。
【0004】
慢性自発性蕁麻疹の患者は、血管性浮腫の有無にかかわらず、肥満細胞および好塩基球の調節障害に続発する衰弱性の蕁麻疹およびそう痒症を経験する。アゴニスト自己抗体または抗原が架橋した細胞表面結合型免疫グロブリンE(IgE)を介したFcガンマ受容体(FcεRI)の活性化によるこれらの細胞のタイプの脱顆粒は、ヒスタミンおよび他の炎症性メディエーターを放出し、局所組織の浮腫およびそう痒症を引き起こす。蕁麻疹の多くの症状は、主にH1-受容体に対するヒスタミン(肥満細胞メディエーター)の作用によって媒介され、H1-抗ヒスタミン剤(H1-AH)による治療が治療の中心である。(非特許文献2を参照のこと)。患者のおよそ50%は、従来のH1-AH療法で症状のコントロールを達成している。(非特許文献3を参照のこと)。抗ヒスタミン剤を増量しても、患者のおよそ40%~50%は症状が残る。オマリズマブが治療効果を発揮する機序は、血清IgEの低下とそれに伴うIgE受容体の下方調節に制約されていると考えられる。オマリズマブによるIgEの標的化はCSU患者を治療に成功しているが、すべての患者がこの治療に同じように応答するわけではない。(非特許文献4を参照のこと)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Maurer Mら Unmet clinical needs in chronic spontaneous urticaria. A GA(2)LEN task force report. Allergy. 2011;66(3):317~30頁
【非特許文献2】Zuberbier Tら The EAACI/GA2LEN/EDF/WAO guideline for the definition、classification、diagnosis and management of urticaria. Allergy. 2018;73(7):1393~414頁
【非特許文献3】Kaplan AP. Chronic spontaneous urticaria: pathogenesis and treatment considerations. Allergy Asthma Immunol Res. 2017;9(6):477~82頁
【非特許文献4】Maurer Mら Omalizumab for the treatment of chronic idiopathic or spontaneous urticaria. N Engl J Med. 2013;368(10):924~35頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、要求は満たされていない。したがって、CSUを治療するための新規治療に対する要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、慢性自発性蕁麻疹(CSU)を有する対象を治療するための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与する工程を含み、抗体またはその抗原結合フラグメントが、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含み、対象が、H1抗ヒスタミン療法および抗IgE抗体療法により以前に効果的に治療されなかった、方法が提供される。
【0008】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、H1抗ヒスタミン剤の使用にもかかわらず依然として症状を有する。
【0009】
ある特定の模範的な実施形態では、H1抗ヒスタミン剤は、抗体またはその抗原結合フラグメントと組み合わせて投与される。ある特定の模範的な実施形態では、H1抗ヒスタミン剤は、セチリジン、レボセチリジン、フェキソフェナジン、ロラタジン、デスロラタジン、ビラスチン、およびルパタジンからなる群から選択される。
【0010】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、オマリズマブに対して不耐性であるか、またはオマリズマブの使用にもかかわらず依然として症状を有する。
【0011】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は成人である。ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、初回量として、続いて1つまたはそれ以上の第2の用量として対象に投与される。ある特定の模範的な実施形態では、初回量は、約600mgであり、各第2の用量は、約300mgである。ある特定の模範的な実施形態では、各第2の用量は、2週間毎に投与される。
【0012】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は12歳~18歳未満である。ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、初回量として、続いて1つまたはそれ以上の第2の用量として対象に投与される。ある特定の模範的な実施形態では、各第2の用量は、2週間毎に投与される。
【0013】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも60kgの体重を有し、初回量は、約600mgであり、各第2の用量は、約300mgである。ある特定の模範的な実施形態では、各第2の用量は、2週間毎に投与される。
【0014】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は6歳~12歳未満である。ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、初回量として、続いて1つまたはそれ以上の第2の用量として対象に投与される。
【0015】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも30kgの体重を有し、初回量は、約400mgであり、各第2の用量は、約200mgである。ある特定の模範的な実施形態では、各第2の用量は、2週間毎に投与される。
【0016】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、30kg未満かつ少なくとも15kgの体重を有し、初回量は、約600mgであり、各第2の用量は、約300mgである。ある特定の模範的な実施形態では、各第2の用量は、4週間毎に投与される。
【0017】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、30kg未満かつ少なくとも15kgの体重を有し、初回量は、約300mgであり、各第2の用量は、約300mgである。ある特定の模範的な実施形態では、各第2の用量は、4週間毎に投与される。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも2歳~6歳未満である。
【0018】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、15kg未満かつ少なくとも5kgの体重を有し、初回量は、約200mgであり、各第2の用量は、約200mgである。ある特定の模範的な実施形態では、各第2の用量は、4週間毎に投与される。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも2歳~6歳未満である。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも2歳~12歳未満である。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも6歳~12歳未満である。
【0019】
ある特定の模範的な実施形態では、対象の体重は、60kg未満である。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも30kg~60kg未満の体重を有する。
【0020】
ある特定の模範的な実施形態では、治療は、痒み重症度スコア(ISS)、蕁麻疹重症度スコア(HSS)、蕁麻疹活動性スコア(UAS)、血管性浮腫活動性スコア(AAS)、蕁麻疹コントロール試験(UCT)、皮膚科生活の質指数(DLQI)、小児皮膚科生活の質指数(CDLQI)、慢性蕁麻疹の生活の質質問票(CU-Q2oL)、変化についての全般的患者心象(PGIC)、重症度についての全般的患者心象(PGIS)、Euroqol-5項目(Euroqol-5 dimensions)(EQ-5D)、Euroqol-5項目小児バージョン(Euroqol-5 dimensions Youth version)(EQ-5D Y)からなる群から選択される1つまたはそれ以上の患者によって報告されたアウトカム(PRO)における改善をもたらす。
【0021】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、痒み重症度スコア(ISS)であり、対象は、7日間にわたる痒み重症度スコア(ISS7)の減少を有する。ある特定の模範的な実施形態では、ISS7の減少は、少なくとも5である。
【0022】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、蕁麻疹重症度スコア(HSS)であり、対象は、7日間にわたる蕁麻疹重症度スコア(HSS7)の減少を有する。
【0023】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、蕁麻疹活動性スコア(UAS)であり、対象は、7日間にわたる蕁麻疹活動性スコア(UAS7)の減少を有する。ある特定の模範的な実施形態では、UAS7の減少は、少なくとも10である。ある特定の模範的な実施形態では、対象のUAS7は0である。
【0024】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、蕁麻疹活動性スコア(UAS)であり、対象のUASは6以下である。
【0025】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、7日間にわたる血管性浮腫活動性スコア(AAS7)であり、対象は、AASスコアの減少を有する。
【0026】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、蕁麻疹コントロール試験(UCT)であり、対象は、UCTスコアの増加を有する。ある特定の模範的な実施形態では、対象のUCTは12以上である。
【0027】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、皮膚科生活の質指数(DLQI)であり、対象はDLQIスコアの減少を有する。
【0028】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは小児皮膚科生活の質指数(CDLQI)であり、対象はCDLQIスコアの減少を有する。
【0029】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、慢性蕁麻疹生活の質質問票(CU-Q2oL)であり、対象は、CU-Q2oLスコアの減少を有する。
【0030】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、変化についての全般的患者心象(PGIC)であり、対象は、PGICスコアの減少を有する。
【0031】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、重症度についての全般的患者心象(PGIS)であり、対象は、PGISスコアの減少を有する。
【0032】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、Euroqol-5項目(EQ-5D)またはEuroqol-5項目小児バージョン(EQ-5D Y)であり、対象は、EQ視覚アナログスケール(EQ VAS)スコアの増加を有する。
【0033】
ある特定の模範的な実施形態では、PROの改善は、抗体またはその抗原結合フラグメントによる12週間の治療で起こる。ある特定の模範的な実施形態では、PROの改善は、抗体またはその抗原結合フラグメントによる24週間の治療で起こる。
【0034】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療前に、対象は、16以上のUAS7スコアを有する。
【0035】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療前に、対象は、8以上のISS7スコアを有する。
【0036】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療前に、対象は、血管性浮腫を有する。
【0037】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、対象が経験する痒みのない日数の増加をもたらす。
【0038】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、対象が経験する蕁麻疹のない日数の増加をもたらす。
【0039】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、経口コルチコステロイドによる対象の治療の必要性の低下をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、必要とされる経口コルチコステロイドの投与量は減少する。ある特定の模範的な実施形態では、経口コルチコステロイド治療が必要とされる日数は減少する。
【0040】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、抗ヒスタミンレスキュー薬による対象の治療の必要性の低下をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、必要とされる抗ヒスタミンレスキュー薬の投与量は減少する。ある特定の模範的な実施形態では、抗ヒスタミンレスキュー薬が必要とされる日数が減少する。
【0041】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)配列および配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含む。ある特定の模範的な実施形態では、抗体はデュピルマブである。
【0042】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、自己注射器、針およびシリンジ、またはペンを使用して投与される。ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、プレフィルドデバイスを使用して投与される。
【0043】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、皮下投与される。
【0044】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、活動性アトピー性皮膚炎または慢性誘発性寒冷蕁麻疹(CICU)を有さない。
【0045】
別の態様では、慢性自発性蕁麻疹(CSU)を有する対象を治療するための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与する工程を含み、抗体またはその抗原結合フラグメントが、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含み、対象が12歳~18歳未満であり、抗体またはその抗原結合フラグメントが、初回量として、続いて1つまたはそれ以上の第2の用量として対象に投与され、抗体またはその抗原結合フラグメントが体重に依存する投与量で対象に投与される、方法が提供される。
【0046】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は60kg未満の体重を有し、初回量は、約400mgであり、各第2の用量は、約200mgである。
【0047】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は少なくとも60kgの体重を有し、初回量は、約600mgであり、各第2の用量は、約300mgである。
【0048】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、60kg未満の体重を有する。
【0049】
ある特定の模範的な実施形態では、各第2の用量は、2週間毎に投与される。
【0050】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも5kg~15kg未満の体重を有し、初回量は、約200mgであり、各第2の用量は、約200mgであり、各第2の用量は4週間毎に投与される。
【0051】
ある特定の模範的な実施形態では、治療は、痒み重症度スコア(ISS)、蕁麻疹重症度スコア(HSS)、蕁麻疹活動性スコア(UAS)、血管性浮腫活動性スコア(AAS)、蕁麻疹コントロール試験(UCT)、皮膚科生活の質指数(DLQI)、小児皮膚科生活の質指数(CDLQI)、慢性蕁麻疹の生活の質質問票(CU-Q2oL)、変化についての全般的患者心象(PGIC)、重症度についての全般的患者心象(PGIS)、Euroqol-5項目(EQ-5D)、Euroqol-5項目小児バージョン(EQ-5D Y)からなる群から選択される1つまたはそれ以上の患者によって報告されたアウトカム(PRO)における改善をもたらす。
【0052】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、痒み重症度スコア(ISS)であり、対象は、7日間にわたる痒み重症度スコア(ISS7)の減少を有する。ある特定の模範的な実施形態では、ISS7の減少は、少なくとも5である。
【0053】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、蕁麻疹重症度スコア(HSS)であり、対象は、7日間にわたる蕁麻疹重症度スコア(HSS7)の減少を有する。
【0054】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、蕁麻疹活動性スコア(UAS)であり、対象は、7日間にわたる蕁麻疹活動性スコア(UAS7)の減少を有する。ある特定の模範的な実施形態では、UAS7の減少は、少なくとも10である。ある特定の模範的な実施形態では、対象のUAS7は0である。
【0055】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、蕁麻疹活動性スコア(UAS)であり、対象のUASは6以下である。
【0056】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、7日間にわたる血管性浮腫活動性スコア(AAS7)であり、対象は、AASスコアの減少を有する。
【0057】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、蕁麻疹コントロール試験(UCT)であり、対象は、UCTスコアの増加を有する。ある特定の模範的な実施形態では、対象のUCTは12以上である。
【0058】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、皮膚科生活の質指数(DLQI)であり、対象はDLQIスコアの減少を有する。
【0059】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは小児皮膚科生活の質指数(CDLQI)であり、対象はCDLQIスコアの減少を有する。
【0060】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、慢性蕁麻疹生活の質質問票(CU-Q2oL)であり、対象は、CU-Q2oLスコアの減少を有する。
【0061】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、変化についての全般的患者心象(PGIC)であり、対象は、PGICスコアの減少を有する。
【0062】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、重症度についての全般的患者心象(PGIS)であり、対象は、PGISスコアの減少を有する。
【0063】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、Euroqol-5項目(EQ-5D)またはEuroqol-5項目小児バージョン(EQ-5D Y)であり、対象は、EQ視覚アナログスケール(EQ VAS)スコアの増加を有する。
【0064】
ある特定の模範的な実施形態では、PROの改善は、抗体またはその抗原結合フラグメントによる12週間の治療で起こる。ある特定の模範的な実施形態では、PROの改善は、抗体またはその抗原結合フラグメントによる24週間の治療で起こる。
【0065】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療前に、対象は、16以上のUAS7スコアを有する。
【0066】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療前に、対象は、8以上のISS7スコアを有する。
【0067】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療前に、対象は、血管性浮腫を有する。
【0068】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、対象が経験する痒みのない日数の増加をもたらす。
【0069】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、対象が経験する蕁麻疹のない日数の増加をもたらす。
【0070】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、経口コルチコステロイドによる対象の治療の必要性の低下をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、必要とされる経口コルチコステロイドの投与量は減少する。ある特定の模範的な実施形態では、経口コルチコステロイド治療が必要とされる日数は減少する。
【0071】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、抗ヒスタミンレスキュー薬による対象の治療の必要性の低下をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、必要とされる抗ヒスタミンレスキュー薬の投与量は減少する。ある特定の模範的な実施形態では、抗ヒスタミンレスキュー薬が必要とされる日数が減少する。
【0072】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)配列および配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含む。ある特定の模範的な実施形態では、抗体はデュピルマブである。
【0073】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、自己注射器、針およびシリンジ、またはペンを使用して投与される。ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、プレフィルドデバイスを使用して投与される。
【0074】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、皮下投与される。
【0075】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、活動性のアトピー性皮膚炎または慢性誘発性寒冷蕁麻疹(CICU)を有さない。
【0076】
別の態様では、慢性自発性蕁麻疹(CSU)を有する対象を治療するための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与する工程を含み、抗体またはその抗原結合フラグメントが、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含み、対象が6歳~12歳未満であり、抗体またはその抗原結合フラグメントが、初回量として、続いて1つまたはそれ以上の第2の用量として対象に投与され、抗体またはその抗原結合フラグメントが体重に依存する投与量で対象に投与される、方法が提供される。
【0077】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも30kgの体重を有し、初回量は、約400mgであり、各第2の用量は、約200mgである。ある特定の模範的な実施形態では、各第2の用量は、2週間毎に投与される。
【0078】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、30kg未満かつ少なくとも15kgの体重を有し、初回量は、約600mgであり、各第2の用量は、約300mgである。ある特定の模範的な実施形態では、各第2の用量は、4週間毎に投与される。
【0079】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、60kg未満の体重を有する。
【0080】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも5kg~15kg未満の体重を有し、初回量は、約200mgであり、各第2の用量は、約200mgであり、各第2の用量は、4週間毎に投与される。
【0081】
ある特定の模範的な実施形態では、H1抗ヒスタミン剤は、抗体またはその抗原結合フラグメントと組み合わせて投与される。
【0082】
ある特定の模範的な実施形態では、治療は、痒み重症度スコア(ISS)、蕁麻疹重症度スコア(HSS)、蕁麻疹活動性スコア(UAS)、血管性浮腫活動性スコア(AAS)、蕁麻疹コントロール試験(UCT)、皮膚科生活の質指数(DLQI)、小児皮膚科生活の質指数(CDLQI)、慢性蕁麻疹の生活の質質問票(CU-Q2oL)、変化についての全般的患者心象(PGIC)、重症度についての全般的患者心象(PGIS)、Euroqol-5項目(EQ-5D)、Euroqol-5項目小児バージョン(EQ-5D Y)からなる群から選択される1つまたはそれ以上の患者によって報告されたアウトカム(PRO)における改善をもたらす。
【0083】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、痒み重症度スコア(ISS)であり、対象は、7日間にわたる痒み重症度スコア(ISS7)の減少を有する。ある特定の模範的な実施形態では、ISS7の減少は、少なくとも5である。
【0084】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、蕁麻疹重症度スコア(HSS)であり、対象は、7日間にわたる蕁麻疹重症度スコア(HSS7)の減少を有する。
【0085】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、蕁麻疹活動性スコア(UAS)であり、対象は、7日間にわたる蕁麻疹活動性スコア(UAS7)の減少を有する。ある特定の模範的な実施形態では、UAS7の減少は、少なくとも10である。ある特定の模範的な実施形態では、対象のUAS7は0である。
【0086】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、蕁麻疹活動性スコア(UAS)であり、対象のUASは6以下である。
【0087】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、7日間にわたる血管性浮腫活動性スコア(AAS7)であり、対象は、AASスコアの減少を有する。
【0088】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、蕁麻疹コントロール試験(UCT)であり、対象は、UCTスコアの増加を有する。ある特定の模範的な実施形態では、対象のUCTは12以上である。
【0089】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、皮膚科生活の質指数(DLQI)であり、対象はDLQIスコアの減少を有する。
【0090】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは小児皮膚科生活の質指数(CDLQI)であり、対象はCDLQIスコアの減少を有する。
【0091】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、慢性蕁麻疹生活の質質問票(CU-Q2oL)であり、対象は、CU-Q2oLスコアの減少を有する。
【0092】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、変化についての全般的患者心象(PGIC)であり、対象は、PGICスコアの減少を有する。
【0093】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、重症度についての全般的患者心象(PGIS)であり、対象は、PGISスコアの減少を有する。
【0094】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、Euroqol-5項目(EQ-5D)またはEuroqol-5項目小児バージョン(EQ-5D Y)であり、対象は、EQ視覚アナログスケール(EQ VAS)スコアの増加を有する。
【0095】
ある特定の模範的な実施形態では、PROの改善は、抗体またはその抗原結合フラグメントによる12週間の治療で起こる。ある特定の模範的な実施形態では、PROの改善は、抗体またはその抗原結合フラグメントによる24週間の治療で起こる。
【0096】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療前に、対象は、16以上のUAS7スコアを有する。
【0097】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療前に、対象は、8以上のISS7スコアを有する。
【0098】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療前に、対象は、血管性浮腫を有する。
【0099】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、対象が経験する痒みのない日数の増加をもたらす。
【0100】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、対象が経験する蕁麻疹のない日数の増加をもたらす。
【0101】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、経口コルチコステロイドによる対象の治療の必要性の低下をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、必要とされる経口コルチコステロイドの投与量は減少する。ある特定の模範的な実施形態では、経口コルチコステロイド治療が必要とされる日数は減少する。
【0102】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、抗ヒスタミンレスキュー薬による対象の治療の必要性の低下をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、必要とされる抗ヒスタミンレスキュー薬の投与量は減少する。ある特定の模範的な実施形態では、抗ヒスタミンレスキュー薬が必要とされる日数が減少する。
【0103】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)配列および配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含む。ある特定の模範的な実施形態では、抗体はデュピルマブである。
【0104】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、自己注射器、針およびシリンジ、またはペンを使用して投与される。ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、プレフィルドデバイスを使用して投与される。
【0105】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、皮下投与される。
【0106】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、活動性のアトピー性皮膚炎または慢性誘発性寒冷蕁麻疹(CICU)を有さない。
【0107】
別の態様では、慢性自発性蕁麻疹(CSU)を有する対象を治療するための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与する工程を含み、抗体またはその抗原結合フラグメントが、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含み、対象が12歳~18歳未満であり、抗体またはその抗原結合フラグメントが初回量として、続いて1つまたはそれ以上の第2の用量として対象に投与され、抗体またはその抗原結合フラグメントが体重に依存する投与量で対象に投与され、対象が、抗ヒスタミン療法により以前に効果的に治療されなかった、方法が提供される。
【0108】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は60kg未満の体重を有し、初回量は、約400mgであり、各第2の用量は、約200mgである。
【0109】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は少なくとも60kg未満の体重を有し、初回量は、約600mgであり、各第2の用量は、約300mgである。
【0110】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、60kg未満の体重を有する。
【0111】
ある特定の模範的な実施形態では、各第2の用量は、2週間毎に投与される。
【0112】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも5kg~15kg未満の体重を有し、初回量は、約200mgであり、各第2の用量は、約200mgであり、各第2の用量は、4週間毎に投与される。
【0113】
ある特定の模範的な実施形態では、治療は、痒み重症度スコア(ISS)、蕁麻疹重症度スコア(HSS)、蕁麻疹活動性スコア(UAS)、血管性浮腫活動性スコア(AAS)、蕁麻疹コントロール試験(UCT)、皮膚科生活の質指数(DLQI)、小児皮膚科生活の質指数(CDLQI)、慢性蕁麻疹の生活の質質問票(CU-Q2oL)、変化についての全般的患者心象(PGIC)、重症度についての全般的患者心象(PGIS)、Euroqol-5項目(EQ-5D)、Euroqol-5項目小児バージョン(EQ-5D Y)からなる群から選択される1つまたはそれ以上の患者によって報告されたアウトカム(PRO)における改善をもたらす。
【0114】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、痒み重症度スコア(ISS)であり、対象は、7日間にわたる痒み重症度スコア(ISS7)の減少を有する。ある特定の模範的な実施形態では、ISS7の減少は、少なくとも5である。
【0115】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、蕁麻疹重症度スコア(HSS)であり、対象は、7日間にわたる蕁麻疹重症度スコア(HSS7)の減少を有する。
【0116】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、蕁麻疹活動性スコア(UAS)であり、対象は、7日間にわたる蕁麻疹活動性スコア(UAS7)の減少を有する。ある特定の模範的な実施形態では、UAS7の減少は、少なくとも10である。ある特定の模範的な実施形態では、対象のUAS7は0である。
【0117】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、蕁麻疹活動性スコア(UAS)であり、対象のUASは6以下である。
【0118】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、7日間にわたる血管性浮腫活動性スコア(AAS7)であり、対象は、AASスコアの減少を有する。
【0119】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、蕁麻疹コントロール試験(UCT)であり、対象は、UCTスコアの増加を有する。ある特定の模範的な実施形態では、対象のUCTは12以上である。
【0120】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、皮膚科生活の質指数(DLQI)であり、対象はDLQIスコアの減少を有する。
【0121】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは小児皮膚科生活の質指数(CDLQI)であり、対象はCDLQIスコアの減少を有する。
【0122】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、慢性蕁麻疹生活の質質問票(CU-Q2oL)であり、対象は、CU-Q2oLスコアの減少を有する。
【0123】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、変化についての全般的患者心象(PGIC)であり、対象は、PGICスコアの減少を有する。
【0124】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、重症度についての全般的患者心象(PGIS)であり、対象は、PGISスコアの減少を有する。
【0125】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、Euroqol-5項目(EQ-5D)またはEuroqol-5項目小児バージョン(EQ-5D Y)であり、対象は、EQ視覚アナログスケール(EQ VAS)スコアの増加を有する。
【0126】
ある特定の模範的な実施形態では、PROの改善は、抗体またはその抗原結合フラグメントによる12週間の治療で起こる。ある特定の模範的な実施形態では、PROの改善は、抗体またはその抗原結合フラグメントによる24週間の治療で起こる。
【0127】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療前に、対象は、16以上のUAS7スコアを有する。
【0128】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療前に、対象は、8以上のISS7スコアを有する。
【0129】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療前に、対象は、血管性浮腫を有する。
【0130】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、対象が経験する痒みのない日数の増加をもたらす。
【0131】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、対象が経験する蕁麻疹のない日数の増加をもたらす。
【0132】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、経口コルチコステロイドによる対象の治療の必要性の低下をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、必要とされる経口コルチコステロイドの投与量は減少する。ある特定の模範的な実施形態では、経口コルチコステロイド治療が必要とされる日数は減少する。
【0133】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、抗ヒスタミンレスキュー薬による対象の治療の必要性の低下をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、必要とされる抗ヒスタミンレスキュー薬の投与量は減少する。ある特定の模範的な実施形態では、抗ヒスタミンレスキュー薬が必要とされる日数が減少する。
【0134】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)配列および配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含む。ある特定の模範的な実施形態では、抗体は、デュピルマブである。
【0135】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、自己注射器、針およびシリンジ、またはペンを使用して投与される。ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、プレフィルドデバイスを使用して投与される。
【0136】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、皮下投与される。
【0137】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、活動性のアトピー性皮膚炎または慢性誘発性寒冷蕁麻疹(CICU)を有さない。
【0138】
別の態様では、慢性自発性蕁麻疹(CSU)を有する対象を治療するための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与する工程を含み、抗体またはその抗原結合フラグメントが、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含み、対象が6歳~12歳未満であり、抗体またはその抗原結合フラグメントが初回量として、続いて1つまたはそれ以上の第2の用量として対象に投与され、抗体またはその抗原結合フラグメントが体重に依存する投与量で対象に投与され、対象が、抗ヒスタミン療法により以前に効果的に治療されなかった、方法が提供される。
【0139】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも30kgの体重を有し、初回量は、約400mgであり、各第2の用量は、約200mgである。ある特定の模範的な実施形態では、各第2の用量は、2週間毎に投与される。
【0140】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、30kg未満かつ少なくとも15kgの体重を有し、初回量は、約600mgであり、各第2の用量は、約300mgである。ある特定の模範的な実施形態では、各第2の用量は、4週間毎に投与される。
【0141】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、60kg未満の体重を有する。
【0142】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも5kg~15kg未満の体重を有し、初回量は、約200mgであり、各第2の用量は、約200mgであり、各第2の用量は、4週間毎に投与される。
【0143】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、H1抗ヒスタミン剤の使用にもかかわらず依然として症状を有する。
【0144】
ある特定の模範的な実施形態では、H1抗ヒスタミン剤は、抗体またはその抗原結合フラグメントと組み合わせて投与される。ある特定の模範的な実施形態では、H1抗ヒスタミン剤は、セチリジン、レボセチリジン、フェキソフェナジン、ロラタジン、デスロラタジン、ビラスチン、およびルパタジンからなる群から選択される。
【0145】
ある特定の模範的な実施形態では、治療は、痒み重症度スコア(ISS)、蕁麻疹重症度スコア(HSS)、蕁麻疹活動性スコア(UAS)、血管性浮腫活動性スコア(AAS)、蕁麻疹コントロール試験(UCT)、皮膚科生活の質指数(DLQI)、小児皮膚科生活の質指数(CDLQI)、慢性蕁麻疹の生活の質質問票(CU-Q2oL)、変化についての全般的患者心象(PGIC)、重症度についての全般的患者心象(PGIS)、Euroqol-5項目(EQ-5D)、Euroqol-5項目小児バージョン(EQ-5D Y)からなる群から選択される1つまたはそれ以上の患者によって報告されたアウトカム(PRO)における改善をもたらす。
【0146】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、痒み重症度スコア(ISS)であり、対象は、7日間にわたる痒み重症度スコア(ISS7)の減少を有する。ある特定の模範的な実施形態では、ISS7の減少は、少なくとも5である。
【0147】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、蕁麻疹重症度スコア(HSS)であり、対象は、7日間にわたる蕁麻疹重症度スコア(HSS7)の減少を有する。
【0148】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、蕁麻疹活動性スコア(UAS)であり、対象は、7日間にわたる蕁麻疹活動性スコア(UAS7)の減少を有する。ある特定の模範的な実施形態では、UAS7の減少は、少なくとも10である。ある特定の模範的な実施形態では、対象のUAS7は0である。
【0149】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、蕁麻疹活動性スコア(UAS)であり、対象のUASは6以下である。
【0150】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、7日間にわたる血管性浮腫活動性スコア(AAS7)であり、対象は、AASスコアの減少を有する。
【0151】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、蕁麻疹コントロール試験(UCT)であり、対象は、UCTスコアの増加を有する。ある特定の模範的な実施形態では、対象のUCTは12以上である。
【0152】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、皮膚科生活の質指数(DLQI)であり、対象はDLQIスコアの減少を有する。
【0153】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは小児皮膚科生活の質指数(CDLQI)であり、対象はCDLQIスコアの減少を有する。
【0154】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、慢性蕁麻疹生活の質質問票(CU-Q2oL)であり、対象は、CU-Q2oLスコアの減少を有する。
【0155】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、変化についての全般的患者心象(PGIC)であり、対象は、PGICスコアの減少を有する。
【0156】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、重症度についての全般的患者心象(PGIS)であり、対象は、PGISスコアの減少を有する。
【0157】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、Euroqol-5項目(EQ-5D)またはEuroqol-5項目小児バージョン(EQ-5D Y)であり、対象は、EQ視覚アナログスケール(EQ VAS)スコアの増加を有する。
【0158】
ある特定の模範的な実施形態では、PROの改善は、抗体またはその抗原結合フラグメントによる12週間の治療で起こる。ある特定の模範的な実施形態では、PROの改善は、抗体またはその抗原結合フラグメントによる24週間の治療で起こる。
【0159】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療前に、対象は、16以上のUAS7スコアを有する。
【0160】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療前に、対象は、8以上のISS7スコアを有する。
【0161】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療前に、対象は、血管性浮腫を有する。
【0162】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、対象が経験する痒みのない日数の増加をもたらす。
【0163】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、対象が経験する蕁麻疹のない日数の増加をもたらす。
【0164】
ある特定の模範的な実施形態において、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、経口コルチコステロイドによる対象の治療の必要性の低下をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、必要とされる経口コルチコステロイドの投与量は減少する。ある特定の模範的な実施形態では、経口コルチコステロイド治療が必要とされる日数は減少する。
【0165】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、抗ヒスタミンレスキュー薬による対象の治療の必要性の低下をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、必要とされる抗ヒスタミンレスキュー薬の投与量は減少する。ある特定の模範的な実施形態では、抗ヒスタミンレスキュー薬が必要とされる日数が減少する。
【0166】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)配列および配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含む。ある特定の模範的な実施形態では、抗体はデュピルマブである。
【0167】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、自己注射器、針およびシリンジ、またはペンを使用して投与される。ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、プレフィルドデバイスを使用して投与される。
【0168】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、皮下投与される。
【0169】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、活動性のアトピー性皮膚炎または慢性誘発性寒冷蕁麻疹(CICU)を有さない。
【0170】
別の態様では、慢性自発性蕁麻疹(CSU)を有する対象を治療するための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与する工程を含み、抗体またはその抗原結合フラグメントが、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含み、対象が12歳~18歳未満であり、抗体またはその抗原結合フラグメントが初回量として、続いて1つまたはそれ以上の第2の用量として対象に投与され、抗体またはその抗原結合フラグメントが体重に依存する投与量で対象に投与され、対象が抗IgE抗体療法により以前に効果的に治療されなかった、方法が提供される。
【0171】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は60kg未満の体重を有し、初回量は、約400mgであり、各第2の用量は、約200mgである。
【0172】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は少なくとも60kgの体重を有し、初回量は、約600mgであり、各第2の用量は、約300mgである。
【0173】
ある特定の模範的な実施形態では、各第2の用量は、2週間毎に投与される。
【0174】
ある特定の模範的な実施形態では、治療は、痒み重症度スコア(ISS)、蕁麻疹重症度スコア(HSS)、蕁麻疹活動性スコア(UAS)、血管性浮腫活動性スコア(AAS)、蕁麻疹コントロール試験(UCT)、皮膚科生活の質指数(DLQI)、小児皮膚科生活の質指数(CDLQI)、慢性蕁麻疹の生活の質質問票(CU-Q2oL)、変化についての全般的患者心象(PGIC)、重症度についての全般的患者心象(PGIS)、Euroqol-5項目(EQ-5D)、Euroqol-5項目小児バージョン(EQ-5D Y)からなる群から選択される1つまたはそれ以上の患者によって報告されたアウトカム(PRO)における改善をもたらす。
【0175】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、痒み重症度スコア(ISS)であり、対象は、7日間にわたる痒み重症度スコア(ISS7)の減少を有する。ある特定の模範的な実施形態では、ISS7の減少は、少なくとも5である。
【0176】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、蕁麻疹重症度スコア(HSS)であり、対象は、7日間にわたる蕁麻疹重症度スコア(HSS7)の減少を有する。
【0177】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、蕁麻疹活動性スコア(UAS)であり、対象は、7日間にわたる蕁麻疹活動性スコア(UAS7)の減少を有する。ある特定の模範的な実施形態では、UAS7の減少は、少なくとも10である。ある特定の模範的な実施形態では、対象のUAS7は0である。
【0178】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、蕁麻疹活動性スコア(UAS)であり、対象のUASは6以下である。
【0179】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、7日間にわたる血管性浮腫活動性スコア(AAS7)であり、対象は、AASスコアの減少を有する。
【0180】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、蕁麻疹コントロール試験(UCT)であり、対象は、UCTスコアの増加を有する。ある特定の模範的な実施形態では、対象のUCTは12以上である。
【0181】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、皮膚科生活の質指数(DLQI)であり、対象はDLQIスコアの減少を有する。
【0182】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは小児皮膚科生活の質指数(CDLQI)であり、対象はCDLQIスコアの減少を有する。
【0183】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、慢性蕁麻疹生活の質質問票(CU-Q2oL)であり、対象は、CU-Q2oLスコアの減少を有する。
【0184】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、変化についての全般的患者心象(PGIC)であり、対象は、PGICスコアの減少を有する。
【0185】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、重症度についての全般的患者心象(PGIS)であり、対象は、PGISスコアの減少を有する。
【0186】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、Euroqol-5項目(EQ-5D)またはEuroqol-5項目小児バージョン(EQ-5D Y)であり、対象は、EQ視覚アナログスケール(EQ VAS)スコアの増加を有する。
【0187】
ある特定の模範的な実施形態では、PROの改善は、抗体またはその抗原結合フラグメントによる12週間の治療で起こる。ある特定の模範的な実施形態では、PROの改善は、抗体またはその抗原結合フラグメントによる24週間の治療で起こる。
【0188】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療前に、対象は、16以上のUAS7スコアを有する。
【0189】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療前に、対象は、8以上のISS7スコアを有する。
【0190】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療前に、対象は、血管性浮腫を有する。
【0191】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、対象が経験する痒みのない日数の増加をもたらす。
【0192】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、対象が経験する蕁麻疹のない日数の増加をもたらす。
【0193】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、経口コルチコステロイドによる対象の治療の必要性の低下をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、必要とされる経口コルチコステロイドの投与量は減少する。ある特定の模範的な実施形態では、経口コルチコステロイド治療が必要とされる日数は減少する。
【0194】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、抗ヒスタミンレスキュー薬による対象の治療の必要性の低下をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、必要とされる抗ヒスタミンレスキュー薬の投与量は減少する。ある特定の模範的な実施形態では、抗ヒスタミンレスキュー薬が必要とされる日数が減少する。
【0195】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)配列および配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含む。ある特定の模範的な実施形態では、抗体はデュピルマブである。
【0196】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、自己注射器、針およびシリンジ、またはペンを使用して投与される。ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、プレフィルドデバイスを使用して投与される。
【0197】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、皮下投与される。
【0198】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、活動性のアトピー性皮膚炎または慢性誘発性寒冷蕁麻疹(CICU)を有さない。
【0199】
別の態様では、慢性自発性蕁麻疹(CSU)を有する対象を治療するための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与する工程を含み、抗体またはその抗原結合フラグメントが、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含み、対象が6歳~12歳未満であり、抗体またはその抗原結合フラグメントが初回量として、続いて1つまたはそれ以上の第2の用量として対象に投与され、抗体またはその抗原結合フラグメントが体重に依存する投与量で対象に投与され、対象が抗IgE抗体療法により以前に効果的に治療されなかった、方法が提供される。
【0200】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも30kgの体重を有し、初回量は、約400mgであり、各第2の用量は、約200mgである。ある特定の模範的な実施形態では、各第2の用量は、2週間毎に投与される。
【0201】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、30kg未満かつ少なくとも15kgの体重を有し、初回量は、約600mgであり、各第2の用量は、約300mgである。ある特定の模範的な実施形態では、各第2の用量は、4週間毎に投与される。
【0202】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、オマリズマブに対して不耐性であるか、またはオマリズマブの使用にもかかわらず依然として症状を有する。
【0203】
ある特定の模範的な実施形態では、治療は、痒み重症度スコア(ISS)、蕁麻疹重症度スコア(HSS)、蕁麻疹活動性スコア(UAS)、血管性浮腫活動性スコア(AAS)、蕁麻疹コントロール試験(UCT)、皮膚科生活の質指数(DLQI)、小児皮膚科生活の質指数(CDLQI)、慢性蕁麻疹の生活の質質問票(CU-Q2oL)、変化についての全般的患者心象(PGIC)、重症度についての全般的患者心象(PGIS)、Euroqol-5項目(EQ-5D)、Euroqol-5項目小児バージョン(EQ-5D Y)からなる群から選択される1つまたはそれ以上の患者によって報告されたアウトカム(PRO)における改善をもたらす。
【0204】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、痒み重症度スコア(ISS)であり、対象は、7日間にわたる痒み重症度スコア(ISS7)の減少を有する。ある特定の模範的な実施形態では、ISS7の減少は、少なくとも5である。
【0205】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、蕁麻疹重症度スコア(HSS)であり、対象は、7日間にわたる蕁麻疹重症度スコア(HSS7)の減少を有する。
【0206】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、蕁麻疹活動性スコア(UAS)であり、対象は、7日間にわたる蕁麻疹活動性スコア(UAS7)の減少を有する。ある特定の模範的な実施形態では、UAS7の減少は、少なくとも10である。ある特定の模範的な実施形態では、対象のUAS7は0である。
【0207】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、蕁麻疹活動性スコア(UAS)であり、対象のUASは6以下である。
【0208】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、7日間にわたる血管性浮腫活動性スコア(AAS7)であり、対象は、AASスコアの減少を有する。
【0209】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、蕁麻疹コントロール試験(UCT)であり、対象は、UCTスコアの増加を有する。ある特定の模範的な実施形態では、対象のUCTは12以上である。
【0210】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、皮膚科生活の質指数(DLQI)であり、対象はDLQIスコアの減少を有する。
【0211】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは小児皮膚科生活の質指数(CDLQI)であり、対象はCDLQIスコアの減少を有する。
【0212】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、慢性蕁麻疹生活の質質問票(CU-Q2oL)であり、対象は、CU-Q2oLスコアの減少を有する。
【0213】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、変化についての全般的患者心象(PGIC)であり、対象は、PGICスコアの減少を有する。
【0214】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、重症度についての全般的患者心象(PGIS)であり、対象は、PGISスコアの減少を有する。
【0215】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、Euroqol-5項目(EQ-5D)またはEuroqol-5項目小児バージョン(EQ-5D Y)であり、対象は、EQ視覚アナログスケール(EQ VAS)スコアの増加を有する。
【0216】
ある特定の模範的な実施形態では、PROの改善は、抗体またはその抗原結合フラグメントによる12週間の治療で起こる。ある特定の模範的な実施形態では、PROの改善は、抗体またはその抗原結合フラグメントによる24週間の治療で起こる。
【0217】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療前に、対象は、16以上のUAS7スコアを有する。
【0218】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療前に、対象は、8以上のISS7スコアを有する。
【0219】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療前に、対象は、血管性浮腫を有する。
【0220】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、対象が経験する痒みのない日数の増加をもたらす。
【0221】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、対象が経験する蕁麻疹のない日数の増加をもたらす。
【0222】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、経口コルチコステロイドによる対象の治療の必要性の低下をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、必要とされる経口コルチコステロイドの投与量は減少する。ある特定の模範的な実施形態では、経口コルチコステロイド治療が必要とされる日数は減少する。
【0223】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、抗ヒスタミンレスキュー薬による対象の治療の必要性の低下をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、必要とされる抗ヒスタミンレスキュー薬の投与量は減少する。ある特定の模範的な実施形態では、抗ヒスタミンレスキュー薬が必要とされる日数が減少する。
【0224】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)配列および配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含む。ある特定の模範的な実施形態では、抗体は、デュピルマブである。
【0225】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、自己注射器、針およびシリンジ、またはペンを使用して投与される。ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、プレフィルドデバイスを使用して投与される。
【0226】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、皮下投与される。
【0227】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、活動性のアトピー性皮膚炎または慢性誘発性寒冷蕁麻疹(CICU)を有さない。
【0228】
別の態様では、慢性自発性蕁麻疹(CSU)を有する対象を治療するための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与する工程を含み、抗体またはその抗原結合フラグメントが、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含み、対象が12歳~18歳未満であり、抗体またはその抗原結合フラグメントが初回量として、続いて1つまたはそれ以上の第2の用量として対象に投与され、抗体またはその抗原結合フラグメントが、体重に依存する投与量で対象に投与され、対象が、H1抗ヒスタミン療法および抗IgE抗体療法により以前に効果的に治療されなかった、方法が提供される。
【0229】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は60kg未満の体重を有し、初回量は、約400mgであり、各第2の用量は、約200mgである。
【0230】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は少なくとも60kgの体重を有し、初回量は、約600mgであり、各第2の用量は、約300mgである。
【0231】
ある特定の模範的な実施形態では、各第2の用量は、2週間毎に投与される。
【0232】
ある特定の模範的な実施形態では、治療は、痒み重症度スコア(ISS)、蕁麻疹重症度スコア(HSS)、蕁麻疹活動性スコア(UAS)、血管性浮腫活動性スコア(AAS)、蕁麻疹コントロール試験(UCT)、皮膚科生活の質指数(DLQI)、小児皮膚科生活の質指数(CDLQI)、慢性蕁麻疹の生活の質質問票(CU-Q2oL)、変化についての全般的患者心象(PGIC)、重症度についての全般的患者心象(PGIS)、Euroqol-5項目(EQ-5D)、Euroqol-5項目小児バージョン(EQ-5D Y)からなる群から選択される1つまたはそれ以上の患者によって報告されたアウトカム(PRO)における改善をもたらす。
【0233】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、痒み重症度スコア(ISS)であり、対象は、7日間にわたる痒み重症度スコア(ISS7)の減少を有する。ある特定の模範的な実施形態では、ISS7の減少は、少なくとも5である。
【0234】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、蕁麻疹重症度スコア(HSS)であり、対象は、7日間にわたる蕁麻疹重症度スコア(HSS7)の減少を有する。
【0235】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、蕁麻疹活動性スコア(UAS)であり、対象は、7日間にわたる蕁麻疹活動性スコア(UAS7)の減少を有する。ある特定の模範的な実施形態では、UAS7の減少は、少なくとも10である。ある特定の模範的な実施形態では、対象のUAS7は0である。
【0236】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、蕁麻疹活動性スコア(UAS)であり、対象のUASは6以下である。
【0237】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、7日間にわたる血管性浮腫活動性スコア(AAS7)であり、対象は、AASスコアの減少を有する。
【0238】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、蕁麻疹コントロール試験(UCT)であり、対象は、UCTスコアの増加を有する。ある特定の模範的な実施形態では、対象のUCTは12以上である。
【0239】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、皮膚科生活の質指数(DLQI)であり、対象はDLQIスコアの減少を有する。
【0240】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは小児皮膚科生活の質指数(CDLQI)であり、対象はCDLQIスコアの減少を有する。
【0241】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、慢性蕁麻疹生活の質質問票(CU-Q2oL)であり、対象は、CU-Q2oLスコアの減少を有する。
【0242】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、変化についての全般的患者心象(PGIC)であり、対象は、PGICスコアの減少を有する。
【0243】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、重症度についての全般的患者心象(PGIS)であり、対象は、PGISスコアの減少を有する。
【0244】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、Euroqol-5項目(EQ-5D)またはEuroqol-5項目小児バージョン(EQ-5D Y)であり、対象は、EQ視覚アナログスケール(EQ VAS)スコアの増加を有する。
【0245】
ある特定の模範的な実施形態では、PROの改善は、抗体またはその抗原結合フラグメントによる12週間の治療で起こる。ある特定の模範的な実施形態では、PROの改善は、抗体またはその抗原結合フラグメントによる24週間の治療で起こる。
【0246】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療前に、対象は、16以上のUAS7スコアを有する。
【0247】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療前に、対象は、8以上のISS7スコアを有する。
【0248】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療前に、対象は、血管性浮腫を有する。
【0249】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、対象が経験する痒みのない日数の増加をもたらす。
【0250】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、対象が経験する蕁麻疹のない日数の増加をもたらす。
【0251】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、経口コルチコステロイドによる対象の治療の必要性の低下をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、必要とされる経口コルチコステロイドの投与量は減少する。ある特定の模範的な実施形態では、経口コルチコステロイド治療が必要とされる日数は減少する。
【0252】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、抗ヒスタミンレスキュー薬による対象の治療の必要性の低下をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、必要とされる抗ヒスタミンレスキュー薬の投与量は減少する。ある特定の模範的な実施形態では、抗ヒスタミンレスキュー薬が必要とされる日数が減少する。
【0253】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)配列および配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含む。ある特定の模範的な実施形態では、抗体はデュピルマブである。
【0254】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、自己注射器、針およびシリンジ、またはペンを使用して投与される。ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、プレフィルドデバイスを使用して投与される。
【0255】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、皮下投与される。
【0256】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、活動性のアトピー性皮膚炎または慢性誘発性寒冷蕁麻疹(CICU)を有さない。
【0257】
別の態様では、慢性自発性蕁麻疹(CSU)を有する対象を治療するための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与する工程を含み、抗体またはその抗原結合フラグメントが、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含み、対象が6歳~12歳未満であり、抗体またはその抗原結合フラグメントが初回量として、続いて1つまたはそれ以上の第2の用量として対象に投与され、抗体またはその抗原結合フラグメントが、体重に依存する投与量で対象に投与され、対象が、H1抗ヒスタミン療法および抗IgE抗体療法により以前に効果的に治療されなかった、方法が提供される。
【0258】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも30kgの体重を有し、初回量は、約400mgであり、各第2の用量は、約200mgである。ある特定の模範的な実施形態では、各第2の用量は、2週間毎に投与される。
【0259】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、30kg未満かつ少なくとも15kgの体重を有し、初回量は、約600mgであり、各第2の用量は、約300mgである。ある特定の模範的な実施形態では、各第2の用量は、4週間毎に投与される。
【0260】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、オマリズマブに対して不耐性であるか、またはオマリズマブの使用にもかかわらず依然として症状を有する。
【0261】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、H1抗ヒスタミン剤の使用にもかかわらず依然として症状を有する。
【0262】
ある特定の模範的な実施形態では、H1抗ヒスタミン剤は、抗体またはその抗原結合フラグメントと組み合わせて投与される。ある特定の模範的な実施形態では、H1抗ヒスタミン剤は、セチリジン、レボセチリジン、フェキソフェナジン、ロラタジン、デスロラタジン、ビラスチン、およびルパタジンからなる群から選択される。
【0263】
ある特定の模範的な実施形態では、治療は、痒み重症度スコア(ISS)、蕁麻疹重症度スコア(HSS)、蕁麻疹活動性スコア(UAS)、血管性浮腫活動性スコア(AAS)、蕁麻疹コントロール試験(UCT)、皮膚科生活の質指数(DLQI)、小児皮膚科生活の質指数(CDLQI)、慢性蕁麻疹の生活の質質問票(CU-Q2oL)、変化についての全般的患者心象(PGIC)、重症度についての全般的患者心象(PGIS)、Euroqol-5項目(EQ-5D)、Euroqol-5項目小児バージョン(EQ-5D Y)からなる群から選択される1つまたはそれ以上の患者によって報告されたアウトカム(PRO)における改善をもたらす。
【0264】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、痒み重症度スコア(ISS)であり、対象は、7日間にわたる痒み重症度スコア(ISS7)の減少を有する。ある特定の模範的な実施形態では、ISS7の減少は、少なくとも5である。
【0265】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、蕁麻疹重症度スコア(HSS)であり、対象は、7日間にわたる蕁麻疹重症度スコア(HSS7)の減少を有する。
【0266】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、蕁麻疹活動性スコア(UAS)であり、対象は、7日間にわたる蕁麻疹活動性スコア(UAS7)の減少を有する。ある特定の模範的な実施形態では、UAS7の減少は、少なくとも10である。ある特定の模範的な実施形態では、対象のUAS7は0である。
【0267】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、蕁麻疹活動性スコア(UAS)であり、対象のUASは6以下である。
【0268】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、7日間にわたる血管性浮腫活動性スコア(AAS7)であり、対象は、AASスコアの減少を有する。
【0269】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、蕁麻疹コントロール試験(UCT)であり、対象は、UCTスコアの増加を有する。ある特定の模範的な実施形態では、対象のUCTは12以上である。
【0270】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、皮膚科生活の質指数(DLQI)であり、対象はDLQIスコアの減少を有する。
【0271】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは小児皮膚科生活の質指数(CDLQI)であり、対象はCDLQIスコアの減少を有する。
【0272】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、慢性蕁麻疹生活の質質問票(CU-Q2oL)であり、対象は、CU-Q2oLスコアの減少を有する。
【0273】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、変化についての全般的患者心象(PGIC)であり、対象は、PGICスコアの減少を有する。
【0274】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、重症度についての全般的患者心象(PGIS)であり、対象は、PGISスコアの減少を有する。
【0275】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、Euroqol-5項目(EQ-5D)またはEuroqol-5項目小児バージョン(EQ-5D Y)であり、対象は、EQ視覚アナログスケール(EQ VAS)スコアの増加を有する。
【0276】
ある特定の模範的な実施形態では、PROの改善は、抗体またはその抗原結合フラグメントによる12週間の治療で起こる。ある特定の模範的な実施形態では、PROの改善は、抗体またはその抗原結合フラグメントによる24週間の治療で起こる。
【0277】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療前に、対象は、16以上のUAS7スコアを有する。
【0278】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療前に、対象は、8以上のISS7スコアを有する。
【0279】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療前に、対象は、血管性浮腫を有する。
【0280】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、対象が経験する痒みのない日数の増加をもたらす。
【0281】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、対象が経験する蕁麻疹のない日数の増加をもたらす。
【0282】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、経口コルチコステロイドによる対象の治療の必要性の低下をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、必要とされる経口コルチコステロイドの投与量は減少する。ある特定の模範的な実施形態では、経口コルチコステロイド治療が必要とされる日数は減少する。
【0283】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、抗ヒスタミンレスキュー薬による対象の治療の必要性の低下をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、必要とされる抗ヒスタミンレスキュー薬の投与量は減少する。ある特定の模範的な実施形態では、抗ヒスタミンレスキュー薬が必要とされる日数が減少する。
【0284】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)配列および配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含む。ある特定の模範的な実施形態では、抗体はデュピルマブである。
【0285】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、自己注射器、針およびシリンジ、またはペンを使用して投与される。ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、プレフィルドデバイスを使用して投与される。
【0286】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、皮下投与される。
【0287】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、活動性のアトピー性皮膚炎または慢性誘発性寒冷蕁麻疹(CICU)を有さない。
【0288】
別の態様では、慢性自発性蕁麻疹(CSU)を有する対象を治療するための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与する工程を含み、抗体またはその抗原結合フラグメントが、それぞれ配列番号3、4、5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、8を含む3つの軽鎖CDR配列を含み、対象が2歳~6歳未満であり、抗体またはその抗原結合フラグメントが、初回量として、続いて1つまたはそれ以上の第2の用量として対象に投与され、抗体またはその抗原結合フラグメントが、体重に依存する投与量で対象に投与される、方法が提供される。
【0289】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも15kg~30kg未満の体重を有し、初回量は、約300mgであり、各第2の用量は、約300mgである。ある特定の模範的な実施形態では、各第2の用量は、4週間毎に投与される。
【0290】
ある特定の模範的な実施形態では、H1抗ヒスタミン剤は、抗体またはその抗原結合フラグメントと組み合わせて投与される。
【0291】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも5kg~15kg未満の体重を有し、初回量は、約200mgであり、各第2の用量は、約200mgである。ある特定の模範的な実施形態では、各第2の用量は、4週間毎に投与される。
【0292】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも30kg~60kg未満の体重を有し、初回量は、約400mgであり、各第2の用量は、約200mgであり、各第2の用量は、2週間毎に投与される。
【0293】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、H1抗ヒスタミン剤の使用にもかかわらず依然として症状を有する。
【0294】
ある特定の模範的な実施形態では、H1抗ヒスタミン剤は、セチリジン、レボセチリジン、フェキソフェナジン、ロラタジン、デスロラタジン、ビラスチン、およびルパタジンからなる群から選択される。
【0295】
ある特定の模範的な実施形態では、治療は、痒み重症度スコア(ISS)、蕁麻疹重症度スコア(HSS)、蕁麻疹活動性スコア(UAS)、血管性浮腫活動性スコア(AAS)、蕁麻疹コントロール試験(UCT)、皮膚科生活の質指数(DLQI)、小児皮膚科生活の質指数(CDLQI)、慢性蕁麻疹の生活の質質問票(CU-Q2oL)、変化についての全般的患者心象(PGIC)、重症度についての全般的患者心象(PGIS)、Euroqol-5項目(EQ-5D)、Euroqol-5項目小児バージョン(EQ-5D Y)からなる群から選択される1つまたはそれ以上の患者によって報告されたアウトカム(PRO)における改善をもたらす。
【0296】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、痒み重症度スコア(ISS)であり、対象は、7日間にわたる痒み重症度スコア(ISS7)の減少を有する。ある特定の模範的な実施形態では、ISS7の減少は、少なくとも5である。
【0297】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、蕁麻疹重症度スコア(HSS)であり、対象は、7日間にわたる蕁麻疹重症度スコア(HSS7)の減少を有する。
【0298】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、蕁麻疹活動性スコア(UAS)であり、対象は、7日間にわたる蕁麻疹活動性スコア(UAS7)の減少を有する。ある特定の模範的な実施形態では、UAS7の減少は、少なくとも10である。ある特定の模範的な実施形態では、対象のUAS7は0である。
【0299】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、蕁麻疹活動性スコア(UAS)であり、対象のUASは6以下である。
【0300】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、7日間にわたる血管性浮腫活動性スコア(AAS7)であり、対象は、AASスコアの減少を有する。
【0301】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、蕁麻疹コントロール試験(UCT)であり、対象は、UCTスコアの増加を有する。ある特定の模範的な実施形態では、対象のUCTは12以上である。
【0302】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、皮膚科生活の質指数(DLQI)であり、対象はDLQIスコアの減少を有する。
【0303】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは小児皮膚科生活の質指数(CDLQI)であり、対象はCDLQIスコアの減少を有する。
【0304】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、慢性蕁麻疹生活の質質問票(CU-Q2oL)であり、対象は、CU-Q2oLスコアの減少を有する。
【0305】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、変化についての全般的患者心象(PGIC)であり、対象は、PGICスコアの減少を有する。
【0306】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、重症度についての全般的患者心象(PGIS)であり、対象は、PGISスコアの減少を有する。
【0307】
ある特定の模範的な実施形態では、PROは、Euroqol-5項目(EQ-5D)またはEuroqol-5項目小児バージョン(EQ-5D Y)であり、対象は、EQ視覚アナログスケール(EQ VAS)スコアの増加を有する。
【0308】
ある特定の模範的な実施形態では、PROの改善は、抗体またはその抗原結合フラグメントによる12週間の治療で起こる。ある特定の模範的な実施形態では、PROの改善は、抗体またはその抗原結合フラグメントによる24週間の治療で起こる。
【0309】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療前に、対象は、16以上のUAS7スコアを有する。
【0310】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療前に、対象は、8以上のISS7スコアを有する。
【0311】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療前に、対象は、血管性浮腫を有する。
【0312】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、対象が経験する痒みのない日数の増加をもたらす。
【0313】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、対象が経験する蕁麻疹のない日数の増加をもたらす。
【0314】
ある特定の模範的な実施形態において、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、経口コルチコステロイドによる対象の治療の必要性の低下をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、必要とされる経口コルチコステロイドの投与量は減少する。ある特定の模範的な実施形態では、経口コルチコステロイド治療が必要とされる日数は減少する。
【0315】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントによる治療は、抗ヒスタミンレスキュー薬による対象の治療の必要性の低下をもたらす。ある特定の模範的な実施形態では、必要とされる抗ヒスタミンレスキュー薬の投与量は減少する。ある特定の模範的な実施形態では、抗ヒスタミンレスキュー薬が必要とされる日数が減少する。
【0316】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)配列および配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含む。ある特定の模範的な実施形態では、抗体はデュピルマブである。
【0317】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、自己注射器、針およびシリンジ、またはペンを使用して投与される。ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、プレフィルドデバイスを使用して投与される。
【0318】
ある特定の模範的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、皮下投与される。
【0319】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、活動性のアトピー性皮膚炎または慢性誘発性寒冷蕁麻疹(CICU)を有さない。
【0320】
本開示の前述のおよび他の特徴および利点は、添付の図面と合わせられる例示的な実施形態の次の詳細な説明からより十分に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0321】
【
図1】実施例1の試験デザインの概要を図解的に描写する図である。試験AおよびCは、オマリズマブナイーブの参加者を有する。試験Bは、オマリズマブに対して不耐性または不完全応答者である参加者を有する。デュピルマブ300mgをQ2W/Q4W、デュピルマブ300mg(2mL)のSC注射を1回投与する。デュピルマブ200mgをQ2W、デュピルマブ200mg(1.14mL)のSC注射を1回投与する。適合するプラセボは、タンパク質(すなわち活性物質)を添加しない同じ製剤で調製される。成人:300mgをQ2W;青少年:<60kgでは200mgをQ2Wまたは≧60kgでは300mgをQ2W;(試験Aおよび試験Cのみ)6~<12歳の小児:≧60kgでは200mgをQ2Wまたは<30kgかつ≧15kgでは300mg。EOS=試験終了;EOT=治療終了;R=ランダム化;SC=皮下;Q2W=2週毎;Q4W=4週毎。
【
図2A】H1抗ヒスタミン剤治療の使用にもかかわらず依然として症状を有するCSUを有する患者におけるデュピルマブの2つのランダム化プラセボ対照試験(実施例1)の活動スケジュールの表を示す。
【
図2B】H1抗ヒスタミン剤治療の使用にもかかわらず依然として症状を有するCSUを有する患者におけるデュピルマブの2つのランダム化プラセボ対照試験(実施例1)の活動スケジュールの表を示す。
【
図2C】H1抗ヒスタミン剤治療の使用にもかかわらず依然として症状を有するCSUを有する患者におけるデュピルマブの2つのランダム化プラセボ対照試験(実施例1)の活動スケジュールの表を示す。
【
図3】CSU関連患者によって報告されたアウトカム指標である蕁麻疹活動性スコアを決定するために使用される質問票を示す。
【
図4】CSU関連患者によって報告されたアウトカム指標である、蕁麻疹コントロール試験に使用される質問票を示す。
【
図5A】CSU関連患者によって報告されたアウトカム指標である、慢性蕁麻疹生活の質質問票を示す。
【
図5B】CSU関連患者によって報告されたアウトカム指標である、慢性蕁麻疹生活の質質問票を示す。
【
図5C】CSU関連患者によって報告されたアウトカム指標である、慢性蕁麻疹生活の質質問票を示す。
【
図6】試験Aの概要を示す図を示す。試験Aは24週間デュピルマブによる治療を受けるオマリズマブナイーブの参加者を含む。
【
図7】試験Aの統計学的検定階層を示す図である。この図には、12週と24週における主要エンドポイントのp値が示されている。
【
図8】プラセボに対する、デュピルマブ治療群の12週目と24週目のベースラインからの最小二乗平均(LS平均)変化におけるISS7の減少を図解的に描写する図である。
【
図9】プラセボ群とデュピルマブ治療群の両群における、ベースライン~36週目までのISS7の経時的変化の平均値のプロットを示す図である。
【
図10】プラセボに対する、デュピルマブ治療群の12週目と24週目のベースラインからの最小二乗平均(LS平均)変化におけるUAS7の減少を図解的に描写する図である。
【
図11】プラセボ群とデュピルマブ治療群の両群における、ベースライン~36週目までのUAS7の経時的変化の平均値のプロットを示す図である。
【
図12】12週と24週におけるプラセボ群とデュピルマブ治療群の両群におけるUAS7部分応答者(UAS7が6以下である患者)のパーセンテージを図解的に描写する図である。デュピルマブ治療群は、両時点においてUAS7部分応答者のパーセンテージがより高い。
【
図13】12週と24週におけるプラセボ群とデュピルマブ治療群の両群におけるUAS7完全応答者(UAS7が0に等しい患者)のパーセンテージを図解的に描写する図である。デュピルマブ治療群は、両時点においてUAS7完全応答者のパーセンテージがより高い。
【
図14】12週と24週におけるプラセボ群とデュピルマブ治療群の両群におけるISS7最小重要差(MID)に達した患者(ISS7が5以上減少した患者)のパーセンテージを図解的に描写する図である。デュピルマブ治療群は、両時点においてISS7 MIDに達した患者のパーセンテージがより高い。
【
図15】プラセボ群とデュピルマブ群の両群において、ベースラインからのISS7の低減が5ポイント以上であった患者の割合の36週目までの経時的プロットを描写する図である。
【発明を実施するための形態】
【0322】
本開示を説明する前に、本開示は、かかる方法および条件が変わり得るため、記載した特定の方法および実験条件に限定されないということが理解されるものとする。本開示の範囲が、添付した特許請求の範囲によりのみ限定されるため、本明細書中で用いられる用語は、特定の実施形態のみを記述する目的のためであり、限定することを意図しないということも理解されるものとする。
【0323】
別段に定義されていない限り、本明細書において使用されているすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する当技術分野の当業者によって共通して理解されるのと同じ意味を有する。
【0324】
本明細書で使用される場合、用語「約」とは、特定の列挙した数値に関して用いる場合、その値は、列挙した値から1%以下まで変わり得るという意味である。例えば、本明細書で使用される場合、「約100」という表現には、99および101ならびにその間のすべての値(例えば、99.1、99.2、99.3、99.4など)が含まれる。
【0325】
本明細書で使用される場合、用語「治療する」、「治療すること」などは、症状を緩和する、一時的にもしくは恒久的に症状の因果関係を除去する、または指定された障害もしくは状態の症状の出現を予防するもしくは遅くすることを意味する。
【0326】
本明細書中に記載のものと類似のまたは等価の任意の方法および材料が、本明細書の開示の実行において用いることができるが、典型的な方法および材料は、ここに記載される。本明細書で述べたすべての刊行物は、参照によってその全体を本明細書に組み入れる。
【0327】
本開示は、慢性自発性蕁麻疹(CSU)を治療するための方法および組成物を提供する。
【0328】
本明細書で使用される場合、「蕁麻疹(urticaria)」は、膨疹(すなわち、蕁麻疹(hive(s)))の形成および/または数分または数時間持続する可能性のある血管性浮腫の発症を特徴とする皮膚状態を指す。本明細書で使用される場合、「慢性蕁麻疹」または「CU」は、少なくとも週に2回、6週間にわたり発生する再発エピソードによって定義される蕁麻疹を指す。
【0329】
本明細書で使用される場合、「慢性自発性蕁麻疹」または「CSU」は、少なくとも6週間にわたって、対象に膨疹および/または血管性浮腫が誘発または惹起されるCUのサブセットを指し、CSUは、特定の原因またはトリガーを有さない。
【0330】
本明細書で使用される場合、「膨疹」とは、皮膚の盛り上がった、痒みを伴う(すなわち、そう痒性)部位を指す。膨疹は「蕁麻疹」と互換的に使用することができる。膨疹の強度は、以下で議論されるものを含め、当技術分野で公知の種々の評価ツールを用いて特徴付けることができる。
【0331】
本明細書で使用される場合、「血管性浮腫」は、皮膚や粘膜のすぐ下にある皮膚や組織の下層が膨張する部位を指す。腫脹は、例えば、顔、舌、喉頭、腹部、腕および/または脚に生じることがある。発症は、典型的には数分~数時間であり、典型的には数時間~数日で解消する。
【0332】
CSU関連患者によって報告されたアウトカム(PRO)指標を改善するための方法
それを必要とする対象において、1つまたはそれ以上のCSU関連患者によって報告されたアウトカム(PRO)指標を改善するための方法であって、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法もまた提供される。
【0333】
CSU関連PRO指標の例としては、以下のものが挙げられる:(1)蕁麻疹活動性スコア(UAS)、(2)血管性浮腫活動性スコア(AAS)、(3)蕁麻疹コントロール試験(UCT)スコア、(4)皮膚科生活の質指数(DLQI)、(5)小児皮膚科生活の質指数(CDLQI)、(6)慢性蕁麻疹生活の質質問票(CU-Q2oL)スコア、(7)変化についての全般的患者心象(PGIC)、(8)重症度についての全般的患者心象(PGIS)、(9)Euroqol-5項目(EQ-5D)スコア、および(10)Euroqol-5項目小児バージョン(EQ-5D Y)スコア。
【0334】
「CSU関連PRO指標の 改善」とは、UCTスコアおよびEQ視覚的アナログスケール(EQ VAS)スコアの1つまたはそれ以上のベースラインからの増加、および/または蕁麻疹活動性スコア(UAS)、血管性浮腫活動性スコア(AAS)、皮膚科生活の質指数(DLQI)、小児皮膚科生活の質指数(CDLQI)、慢性蕁麻疹生活の質質問票(CU-Q2oL)、変化についての全般的患者心象(PGIC)、および重症度についての全般的患者心象(PGIS)のうちの1つまたはそれ以上のベースラインからの減少を意味する。本明細書で使用される場合、CSU関連PRO指標に関する「ベースライン」とという用語は、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投与前または投与時の患者のPRO指標の数値を意味する。
【0335】
CSU関連パラメーターが「改善された」かどうかを決定するために、パラメーターは、ベースライン時に、および本明細書に記載される医薬組成物の投与後の時点で、定量化される。例えば、CSU関連パラメーターは、医薬組成物による初回治療後、1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、6日目、7日目、8日目、9日目、10日目、11日目、12日目、14日目に、もしくは3週目、4週目、5週目、6週目、7週目、8週目、9週目、10週目、11週目、12週目、13週目、14週目、15週目、16週目、17週目、18週目、19週目、20週目、21週目、22週目、23週目、24週目、またはそれ以上で測定することができる。治療の開始後の特定の時点でのパラメーターの値とベースライン時のパラメーターの値との間の差を用いて、CSU関連パラメーターの「改善」(例えば、場合によっては、測定されている特定のパラメーターに応じて、増加または減少)がされているかどうかを確立する。
【0336】
本明細書で使用される場合、用語「獲得する」または「獲得すること」とは、物理的実体または値、例えば、CSU関連パラメーターを「直接獲得すること」または「間接的に獲得すること」により、物理的実体、または値、例えば、数値の所有を得ることを意味する。「直接獲得すること」とは、物理的実体または値を得るために、ある方法を行う(例えば、合成または分析方法を行う)ことを意味する。「間接的に獲得すること」とは、別のパーティーまたは供給源(例えば、物理的実体または値が直接獲得される第三者検査室)から物理的実体または値を受け取ることを指す。物理的実体を直接獲得することには、物質的存在、例えば、出発材料の物理的な変化を含む、方法を行うことが含まれる。模範的な変化には、2種以上の出発材料から物理的実体を作製すること、物質を剪断するまたは断片化すること、物質を分離するまたは精製すること、2種以上の別々の実体を混合物に合わせること、共有または非共有結合を壊すまたは形成することを含む化学反応を行うことが含まれる。値を直接獲得することには、サンプルまたは別の物質の物理的な変化を含む方法を行うこと、例えば、物質、例えば、サンプル、分析物、または試薬の物理的な変化を含む分析方法を行うこと(本明細書中で、時折、「物理分析」と称する)が含まれる。
【0337】
間接的に獲得される情報は、例えば、書面または電子形態、例えば、オンラインデータベースまたはアプリケーション(「App」)などで供給される、報告の形態で提供することができる。報告または情報は、例えば、医療機関、例えば、病院もしくは診療所;または医療提供者、例えば、医師もしくは看護師により提供することができる。
【0338】
痒みのない日数:ある特定の実施形態によれば、患者へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、対象によって経験される痒みのない日数のベースラインからの増加をもたらす。例えば、それを必要とする対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、対象によって経験される痒みのない日数のベースラインからの増加を、1カ月当たり約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、または31日もたらす。
【0339】
蕁麻疹のない日数:ある特定の実施形態によれば、患者へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、対象によって経験される蕁麻疹のない日数のベースラインからの増加をもたらす。例えば、それを必要とする対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、対象によって経験される蕁麻疹のない日数のベースラインからの増加を、1カ月当たり約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、または31日もたらす。
【0340】
痒み重症度スコア:ある特定の実施形態によれば、患者へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、痒み重症度スコア(ISS)のベースラインからの減少をもたらす。ISS7は、7日間、1日の同じ時間に記録された毎日のISSスコア(0=なし~3=激しさの範囲)の合計として定義される。ISS7は0~21の範囲であり、スコアが高いほど病勢が悪いことを示す。ISS7の最小重要差(MID)は4.5~5である。
【0341】
ベースラインからのISS7スコアの減少をもたらす治療方法が提供される。例えば、IL-4Rアンタゴニストを必要とする対象にIL-4Rアンタゴニストを投与すると、ISS7スコアがベースラインから約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21ポイント低下する。
【0342】
蕁麻疹重症度スコア:ある特定の実施形態によれば、患者へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、蕁麻疹重症度スコア(HSS)のベースラインからの減少をもたらす。HSS7は、7日間、1日の同じ時間に記録された毎日のHSSスコア(0=なし~3=50を超える蕁麻疹まで)の合計として定義される。HSS7は0~21の範囲であり、スコアが高いほど病勢が悪いことを示す。HSS7の最小重要差(MID)は5~5.5である。
【0343】
HSS7スコアのベースラインからの減少をもたらす治療方法が提供される。例えば、IL-4Rアンタゴニストを必要とする対象にIL-4Rアンタゴニストを投与すると、HSS7スコアがベースラインから約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21ポイント低下する。
【0344】
蕁麻疹活動性スコア:ある特定の実施形態によれば、患者へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、蕁麻疹活動性スコア(UAS)のベースラインからの減少をもたらす。UAS、すなわち蕁麻疹活動性スコア(UAS)は、有効な患者によって報告されたアウトカム(PRO)指標である。毎日のUASは、毎日の蕁麻疹重症度スコア(HSS、0=なし~3=50個以上の蕁麻疹までの範囲)と毎日の痒み重症度スコア(ISS、0=なし~3=強いまでの範囲)の合計であり、2つの主要な蕁麻疹の徴候および症状は膨疹と痒みである。毎日のUASスコアは0~6ポイント/日の範囲である。毎日のUASスコアは7日間にわたり合計され、UAS7は0~42までの範囲であり、HSS7およびISS7構成成分から構成される。UAS7は、CSUの活動を予測的に測定する確立され、広く許容されたPROツールである。(Mlynek Aら How to assess disease activity in patients with chronic urticaria? Allergy. 2008;63(6):777~80頁を参照のこと)。これは、近年のCSUのほとんどの臨床試験において、主要なアウトカムパラメーターおよび医療行為として使用されている。(Maurer Mら Omalizumab for the treatment of chronic idiopathic or spontaneous urticaria. N Engl J Med. 2013;368(10):924~35頁;Casale TBら Similar efficacy with omalizumab in chronic idiopathic/spontaneous urticaria despite different background therapy. J Allergy Clin Immunol Pract. 2015;3(5):743~50頁を参照のこと)。CSU参加者のスコアの変化の解釈を助けるために、9.5~10.5の範囲の最小重要差(MID)値が定義されている。(Hollis Kら Comparison of urticaria activity score over 7 days(UAS7)values obtained from once-daily and twice-daily versions: Results from the ASSURE-CSU study. Am J Clin Dermatol. 2018;19(2):267~74頁;Hawro Tら The urticaria activity score-validity, reliability, and responsiveness. J Allergy Clin Immunol Pract. 2018;6(4):1185~90頁;Mathias SDら Evaluating the minimally important difference of the urticaria activity score and other measures of disease activity in patients with chronic idiopathic urticaria. Ann Allergy Asthma Immunol. 2012;108(1):20~4頁を参照のこと)。UAS7は、0~42の範囲であり、スコアが高いほど疾患活動性が高いことを示す。1~6のスコアは、蕁麻疹が十分にコントロールされていることを示す。7~15のスコアは、軽度の蕁麻疹を示す。16~27のスコアは、中等度の蕁麻疹活動性を示す。28~42のスコアは、重度の蕁麻疹活動性を示す。UAS7スコアが6以下であれば、蕁麻疹は十分にコントロールされていると考えられる。完全応答者(痒みも蕁麻疹もない)は、UAS7が0である。
【0345】
ベースラインからのUASまたはUAS7スコアの減少をもたらす治療方法が提供される。例えば、それを必要とする対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、ベースラインからのUAS7スコアの約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、または42ポイントの減少をもたらす。
【0346】
血管性浮腫活動性スコア:ある特定の実施形態によれば、患者へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、血管性浮腫活動性スコア(AAS)のベースラインからの減少をもたらす。血管性浮腫活動性スコア(AAS)は、血管性浮腫の活動性を評価する有効なPRO指標である(Weller Kら Development, validation、and initial results of the Angioedema Activity Score. Allergy. 2013;68(9):1185~92頁を参照のこと)。AASには、過去24時間の血管性浮腫の有無を記録する患者が含まれる。血管性浮腫が存在する場合、患者は、腫脹エピソードが発生した日の時間、ならびにこの腫脹エピソードがもたらした重症度ならびに日常機能および外見への影響に関する5つの追加質問に回答する。各AAS項目は0~3ポイントの間でスコア化され、すなわち、1日のAASの最小値と最大値は0ポイントと15ポイントである。毎日のAASは7日間のスコア(AAS7)に合計され、7日間のスコアは0~105ポイントの範囲である(上掲)。およそ8ポイントのAAS7のMIDが確立されている(上掲)。
【0347】
ベースラインからのAASまたはAAS7スコアの減少をもたらす治療方法が提供される。例えば、それを必要とする対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、ベースラインからのAASまたはAAS7スコアの約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、または105ポイントの減少をもたらす。
【0348】
蕁麻疹コントロール試験:ある特定の実施形態によれば、患者へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、蕁麻疹コントロール試験スコアのベースラインからの増加をもたらす。蕁麻疹コントロール試験(UCT)は、蕁麻疹コントロールを評価するための有効なPRO指標であり(Weller Kら Development, validation, and initial results of the Angioedema Activity Score. Allergy. 2013;68(9):1185~92頁)、4項目に基づく(蕁麻疹症状のそう痒および膨疹の重症度、治療頻度が不十分、QoL障害、全体的な蕁麻疹コントロール)。各項目は5ポイントのリッカートタイプスケール(0~4ポイントでスコア化)で格付けされる。低スコアは、疾患活動性が高く、疾患コントロールが低いことを示す。UCT総スコアは、4つの個別項目のスコアをすべて加算して算出される。したがって、UCTの最小スコアは0ポイント、最大スコアは16ポイントであり、16ポイントのスコアは完全な疾患コントロールを示す(Weller Kら Development, validation, and initial results of the Angioedema Activity Score. Allergy. 2013;68(9):1185~92を参照のこと)。UCTスコアが12以上であれば、疾患が十分にコントロールされていることを示す。UCTのMIDは3である。
【0349】
ベースラインからのUCTスコアの増加をもたらす治療方法が提供される。例えば、それを必要とする対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、ベースラインからのUCTスコアの約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16ポイントの増加をもたらす。
【0350】
皮膚科生活の質指数(DLQI):ある特定の実施形態によれば、患者へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、DLQIスコアのベースラインからの減少をもたらす。皮膚科生活の質指数(DLQI)は、成人参加者における皮膚科特有のHRQoLを測定するために開発されたPROである(Finlay AY、Khan GK. Dermatology life quality index(DLQI): a simple practical measure for routine clinical use. Clin Exp Dermatol.1994;19:210~6頁を参照のこと)。この手段は、皮膚疾患が参加者の前週の健康関連の生活の質(HRQoL)に与える影響を評価する10項目を含む。項目は、症状、余暇活動、仕事/学校または休日の過ごし方、親密な関係を含む人間関係、治療の副作用、および皮膚疾患を有することに対する感情的反応をカバーしている。これは、臨床および臨床試験において使用される有効な質問票である(Chernyshov PV. The evolution of quality of life assessment and use in dermatology. Dermatology. 2019;235(3):167~74頁を参照のこと)。応答スケールは、9項目についての4ポイントのリッカートスケールである(0=「全くない」、3=「非常にある」)。仕事/試験に関する残りの1項目は、仕事/試験が妨げられたかどうか、および(「いいえ」の場合)仕事/試験でどの程度皮膚状態が問題となったかを尋ねており、この項目は3ポイントのリッカートスケール(「全くない」~「とてもある」)で格付けされる。全体的なスコア化は0~30ポイントの範囲であり、高スコアはHRQoLが低いことを示す。慢性特発性蕁麻疹を有する参加者におけるDLQIのMIDは、DLQI総スコアと参加者が評価した痒みの重症度スコアの変化を用いた分布分析とアンカーに基づくアプローチの統合分析を使用して、2.24~3.10ポイントの範囲にあると報告された(Shikiar Rら Minimal important difference(MID)of the dermatology life quality index(DLQI): results from patients with chronic idiopathic urticaria. Health Qual. Life Outcomes. 2005; 3:36頁)。
【0351】
ベースラインからのDLQIスコアの減少をもたらす治療方法が提供される。例えば、それを必要とする対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、ベースラインからのDLQIスコアの約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30の減少をもたらす。
【0352】
小児皮膚科生活の質指数(CDLQI):ある特定の実施形態によれば、患者へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、CDLQIスコアのベースラインからの減少をもたらす。小児皮膚科生活の質指数(CDLQI)は、小児のHRQoLに対する皮膚疾患の影響を測定するために設計された有効な質問票である(Lewis-Jones MS、Finlay AY. The children’s dermatology life quality index(CDLQI): initial validation and practical use. Br J Dermatol.1995;132(6):942~9頁を参照のこと)。患者は10項目の質問に応答する(疾患に伴う症状の感じ、余暇、学校または休日への疾患の影響、人間関係、睡眠、および皮膚疾患に対する治療の副作用)。この手段の回収期間は7日間である。10個の質問のうちの9個は、0=全くない/質問に答えていない~3=とてもある、までの範囲の4ポイントのリッカート尺度で採点される。質問7は、さらに1つ回答可能な項目を有し(不登校)、これにはスコア3が割り振られる。CDLQI総スコアは、各質問のスコアの合計であり、最高30および最低0である。スコアが高ければ高いほど、小児のHRQoLに与える影響は大きい。患者は、DLQI(≧16歳)またはCDLQI(≧12歳~<16歳)を終える。
【0353】
ベースラインからのCDLQIスコアの減少をもたらす治療方法が提供される。例えば、それを必要とする対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、ベースラインからのCDLQIスコアの約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30の減少をもたらす。
【0354】
慢性蕁麻疹生活の質質問票(CU-Q2oL):ある特定の実施形態によれば、患者へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、CU-Q2oLスコアのベースラインからの減少をもたらす。CU-Q2oLは、CSUを有する成人参加者のQoLを評価するために使用される疾患特異的手段である。(Baiardini Iら A new tool to evaluate the impact of chronic urticaria on quality of life: chronic urticaria quality of life questionnaire(CU-QoL). Allergy. 2005;60(8):1073~8頁を参照のこと)。CU-Q2oLは、そう痒感、腫脹、生活活動への影響、睡眠の問題、限界、外見の6つのQOL要素を含む23項目の自記式質問票である。各項目は、5ポイントのリッカートスケール(1=全くない、5=非常にある)でスコア化され、参加者はそれぞれの要素でどの程度困っているかを示す。個々の項目は合計され、CU-Q2oLの総合スコアとなり、次いで、0~100のスケールに変換され、スコアが高ければ高いほどQoL障害が大きいことを示す。
【0355】
ベースラインからのCU-Q2oLスコアの減少をもたらす治療方法が提供される。例えば、それを必要とする対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、ベースラインからのCU-Q2oLスコアの約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100の減少をもたらす。
【0356】
変化についての全般的患者心象(PGIC):ある特定の実施形態によれば、患者へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、PGICスコアのベースラインからの減少をもたらす。変化についての全般的患者心象(PGIC)は、1項目の質問票であり、参加者に、参加者が試験治療を開始する直前と比較して、CSUの変化に関する総合的な自己評価を7ポイントスケールで与えるよう求める。回答の選択肢は以下の通りである:0=「非常に良くなった」、1=「中等度に良くなった」、2=「少し良くなった」、3=「変化なし」、4=「少し悪くなった」、5=「中等度に悪くなった」、6=「非常に悪くなった」。(Guy Wら ECDEU Assessment Manual for Psychopharmacology. Rockville, MD: US Department of Health, Education, and Welfare Public Health Service Alcohol, Drug Abuse, and Mental Health Administration, 1976を参照のこと)。
【0357】
ベースラインからのPGICスコアの減少をもたらす治療方法が提供される。例えば、それを必要とする対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、ベースラインからのPGICスコアの約1、2、3、4、5、または6の減少をもたらす。
【0358】
重症度についての全般的患者心象(PGIS):ある特定の実施形態によれば、患者へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、PGISスコアのベースラインからの減少をもたらす。重症度についての全般的患者心象(PGIS)は、1項目の質問票であり、参加者に、過去1週間の参加者の疾患の重症度の全体的な自己評価を4ポイントスケールで与えるよう求める。回答の選択肢は以下の通りである:1=「なし」、2=「軽度」、3=「中等度」、4=「重度」。(Guy Wら ECDEU Assessment Manual for Psychopharmacology. Rockville, MD: US Department of Health, Education, and Welfare Public Health Service Alcohol, Drug Abuse, and Mental Health Administration、1976を参照のこと)。
【0359】
ベースラインからのPGISスコアの減少をもたらす治療方法が提供される。例えば、それを必要とする対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、ベースラインからのPGISスコアの約1、2、または3の減少をもたらす。
【0360】
Euroqol-5項目(EQ-5D)およびEQ-5D小児バージョン(EQ-5D Y):ある特定の実施形態によれば、患者へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、EQ-5DまたはEQ-5D Yスコアのベースラインからの増加をもたらす。Euroqol-5項目(EQ-5D)は、EuroQol Groupによって開発された健康状態の標準化されたPRO尺度であり、臨床的および経済的評価のための簡単で一般的な健康の尺度を提供する。成人バージョンの質問票は16歳以上の患者に適応されている。EQ-5Dは、記述式とEQ視覚的アナログスケール(EQ VAS)の2つの部分からなる。EQ-5D 5L記述式は、以下の5つの要素を含む:移動性、セルフケア、普段の活動、痛み/不快感、および不安/抑うつ。各要素には5つの問題認知レベルを有する:「問題なし」、「軽度の問題」、「中等度の問題」、「重度の問題」、および「活動ができない」の5段階である。(Herdman Mら Development and preliminary testing of the new five-level version of EQ-5D(EQ-5D-5L). Qual. Life Res. 2011;20(10):1727~36頁を参照のこと)。回答者は、5つの要素のそれぞれにおいて最も適切な記述に対してボックスにチェックを入れる(またはバツを入れる)ことによって彼/彼女の健康状態を示し、これによりその要素のレベルを表す1桁の数が得られる。5つの要素について数字を組み合わせて、回答者の健康状態を表す5桁の数字とすることができる。EQ VASは、エンドポイントが「想像できる最良の健康状態(100)」および「想像できる最も悪い健康状態(0)」と標識された垂直のVAS上に回答者自身で格付けした健康状態を記録する。この情報は、個々の回答者によって判断された健康アウトカムの定量的な尺度として使用することができる。EQ-5DYouthバージョン(EQ-5D Y)は、≧6歳~<12歳の小児および12歳~15歳の青少年に投与される。(Wille Nら Qual. Life Res. 2010;19(6):875~86頁)。EQ-5D-Yは、EQ-5D-3Lに基づき、EQ-5D記述式およびEQ VASの2頁から本質的になる。EQ-5D-Yの記述式は以下の5つの要素を含む:移動性、自分の世話、普段の活動、痛みや不快感および不安、悲しみまたは不幸感。各要素は3つのレベルを有する:問題なし、多少の問題ありおよび多くの問題あり。EQ VASは、エンドポイントが「あなたが想像できる最良の健康状態」および「あなたが想像できる最も悪い健康状態」と標識された垂直のVAS上に回答者自身で格付けした健康状態を記録した。患者は、EQ-5D YまたはEQ-5D質問票を終える。
【0361】
ベースラインからのEQ VASスコアの増加をもたらす治療方法が提供される。例えば、それを必要とする対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、ベースラインからのEQ VASスコアの約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100の増加をもたらす。
【0362】
小児皮膚科生活の質指数(C-DLQI)
C-DLQIは、皮膚疾患が小児の健康関連の生活の質(HRQoL)HRQoLに与える影響を測定するために作成された有効な質問票である。C-DLQIは、≧4歳~<16歳の小児を対象に検証される。C-DLQIは、4~12歳の小児に対して推奨されており、参加者自身が質問票を完成させるべきであるが、幼年者は親/養育者からの補助を受けながら質問票を完成させてもよい。参加者は、10個の質問(疾患に伴う症状の感じ、余暇、学校または休日への疾患の影響、人間関係、睡眠、および皮膚疾患に対する治療の副作用)に対する回答を与える。この手段の回収期間は1週間(7日間)である。10個の質問のうちの9個は、0=全くない/質問に答えていない~3=とてもあるまでの4ポイントのリッカートスケールでスコア化される。質問7は、さらに1つ回答可能な項目を有し(不登校)、これにはスコア3が割り振られる。C-DLQI総スコアは、各質問のスコアの合計であり、最高30および最低0である。スコアが高ければ高いほど、小児のHRQoLに与える影響は大きい。
【0363】
幼児の皮膚科生活の質指数(IDQOL)
IDQOLは、<4歳の小児に使用するために設計された有効な質問票である。質問票は、小児の養育者/保護者が完成させる。質問票の回収期間は1週間(7日間)である。質問は全部で11項目あり、10項目は4ポイントのリッカートスケールでスコア化されたLife Quality Indexのトピックに着目するものであり、およびもう1項目は5ポイントのリッカートスケールでDermatitis Severityに着目するものである。Life Quality Indexの質問1、5~10では、スコア化は、いつも=3~全くなし=0。質問2では、スコア化は、いつも泣いているなど=3、とても気がかり=2、少し気がかり=1、機嫌がよい=0。質問3では、スコア化は、2時間を超える=3、1~2時間=2、15分~1時間=1、0~15分=0である。質問4では、スコア化は、5時間以上=3、3~4時間=2、1~2時間=1、1時間未満=0である。皮膚炎の重症度については、5ポイントのリッカートスケールのスコア化は、非常に重症=4~なし=0である。IDQOL総スコアは、各質問のスコアの合計であり、最高30および最低0である。スコアが高ければ高いほど、小児のHRQoLに与える影響は大きい。
【0364】
修正した蕁麻疹活動性スコア(UAS)
蕁麻疹活動性スコア(UAS)は、有効な患者報告アウトカム(PRO)指標である。本試験では、小児および青少年患者の体表面積が小さいことを考慮し、UASの修正バージョン(mUAS)が使用される。mUASは、毎日の蕁麻疹重症度スコア(HSS、0~3の範囲(0=なし、1=軽度:(1~<10個の膨疹/24時間)、2=中等度:(10~30個の膨疹/24時間)、および3=強い:(>30個の膨疹/24時間または膨疹の広い融合性部位))および毎日の痒み重症度スコア(ISS、0=なし~3=強いの範囲)の合計から導出される。膨疹と痒みは蕁麻疹の2大症状である。毎日のmUASの合計スコアは、0~6(痒み重症度スコアは0~3、蕁麻疹重症度スコアは0~3)の範囲である。毎日のmUASスコアは7日間にわたり合計され、UAS7は0~42の範囲であり、7日間にわたる蕁麻疹重症度スコア(HSS7)および7日間にわたる痒み重症度スコア(ISS7)構成成分から構成される。mUAS7の完了は、4歳以上の参加者の場合は小児または親/介護者/法定後見人によって行われ、4歳未満の参加者の場合は親/介護者によって行われるべきである。
【0365】
UAS7は、CSUの活動を予測的に測定する確立され、広く許容されたPROツールである。CSU参加者のスコアの変化の解釈を助けるために、9.5~10.5の範囲の最小重要差(MID)値が定義されている。
【0366】
痒み重症度スコア(ISS)は、0=なし~3=強いまでの範囲の0~3のリッカートスケールでスコア化される単一項目のスケールである。ISSは毎日収集され、上述のようにmUASを導出するために使用される。
【0367】
蕁麻疹重症度スコア(HSS)は、0 = なし~3 = 強いまでの範囲の0~3のリッカートスケールでスコア化される単一項目のスケールである。HSS は毎日収集され、上述のようにmUASスコアを導出するために使用される。
【0368】
インターロイキン-4受容体アンタゴニスト
本明細書において特徴付けられる方法は、IL-4Rアンタゴニストを含む治療用組成物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む。本明細書で使用される場合、「IL-4Rアンタゴニスト」は、in vitroまたはin vivoでIL-4Rが細胞上で発現されると、IL-4Rに結合するかまたはそれと相互作用し、IL-4Rの正常な生物学的なシグナル伝達機能を阻害する任意の薬剤である。IL-4Rアンタゴニストのカテゴリーの限定されない例には、小分子IL-4Rアンタゴニスト、抗IL-4Rアプタマー、ペプチド系IL-4Rアンタゴニスト(例えば、「ペプチボディ」分子)、および抗体またはヒトIL-4Rに特異的に結合する抗体の抗原結合フラグメントが含まれる。ある特定の実施形態によれば、IL-4Rアンタゴニストは、本明細書の他の部分に記載されている、方法の文脈において用いることができる抗IL-4R抗体を含む。例えば、一実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、IL-4Rに特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントであり、それぞれ配列番号1および2の重鎖可変領域(HCVR)および軽鎖可変領域(LCVR)からの重鎖および軽鎖(相補的決定領域)CDR配列を含む。
【0369】
用語「ヒトIL-4R」(hIL-4R)とは、インターロイキン-4(IL-4)に特異的に結合するヒトサイトカイン受容体、例えば、IL-4Rαを指す。
【0370】
用語「抗体」とは、4本のポリペプチド鎖、ジスルフィド結合により相互接続された2本の重(H)鎖および2本の軽(L)鎖を含む免疫グロブリン分子、ならびにそれらの多量体(例えば、IgM)を指す。それぞれの重鎖は、重鎖可変領域(本明細書でHCVRまたはVHと略される)および重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2、およびCH3を含む。それぞれの軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書でLCVRまたはVLと略される)および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つのドメイン(CL1)を含む。VHおよびVL領域は、相補的決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域にさらに細区画することができ、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、さらに保存される領域で分散することができる。各VHおよびVLは、次の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4でアミノ末端からカルボキシ末端まで配列される、3つのCDRおよび4つのFRから構成される。異なる実施形態では、抗IL-4R抗体(またはその抗原結合部分)のFRは、ヒト生殖系列配列と同一であっても、自然にまたは人工的に修飾されていてもよい。アミノ酸コンセンサス配列は、2種以上のCDRの並列分析(side-by-side analysis)に基づいて定義することができる。
【0371】
用語「抗体」はまた、完全な抗体分子の抗原結合フラグメントを含む。本明細書で使用される場合、用語抗体の「抗原結合部分」、抗体の「抗原結合フラグメント」などには、抗原に特異的に結合して複合体を形成する、任意の天然起源の、酵素により得られる、合成の、または遺伝子改変のポリペプチドまたは糖タンパク質が含まれる。抗体の抗原結合フラグメントは、任意の適当な標準的な技法、例えば、タンパク質消化またはDNAコード化抗体可変、場合により、定常ドメインの操作および発現を用いる組換え遺伝子工学技法を用いた、例えば、完全な抗体分子に由来し得る。かかるDNAは、公知であり、かつ/または例えば、商業的供給源、(例えば、ファージ抗体ライブラリを含めた)DNAライブラリから容易に入手でき、もしくは合成することができる。DNAは、例えば、1つもしくはそれ以上の可変および/もしくは定常ドメインを適当な配置に配列する、またはコドンを導入する、システイン残基を創出する、アミノ酸を修飾する、付加する、もしくは欠失させるために、化学的にまたは分子生物学技法を用いることにより配列し操作することができる。
【0372】
抗原結合フラグメントの限定されない例には:(i)Fabフラグメント;(ii)F(ab’)2フラグメント;(iii)Fdフラグメント;(iv)Fvフラグメント;(v)単鎖Fv(scFv)分子;(vi)dAbフラグメント;および(vii)抗体の超可変領域(例えば、単離された相補的決定領域(CDR)例えば、CDR3ペプチドなど)、または束縛されたFR3-CDR3-FR4ペプチドを模倣するアミノ酸残基からなる最小認識単位が含まれる。他の操作された分子、例えば、ドメイン特異的抗体、単一ドメイン抗体、ドメイン欠失抗体、キメラ抗体、CDR移植抗体、二重特異性抗体、三重特異性抗体、四重特異性抗体、ミニボディ、ナノボディ(例えば、一価ナノボディ、二価ナノボディなど)、小モジュール免疫医薬品(SMIPs:smすべて modular immunopharmaceuticals)、およびシャーク可変IgNARドメインなども、「抗原結合フラグメント」という表現の範囲内に包含される。
【0373】
抗体の抗原結合フラグメントは、一般に、少なくとも1つの可変ドメインを含む。可変ドメインは、任意のサイズまたはアミノ酸組成物であり得、1つまたはそれ以上のフレームワーク配列に隣接するまたはそれを有するフレーム単位である少なくとも1種のCDRを一般に含む。VLドメインに関連するVHドメインを有する抗原結合フラグメントにおいて、VHおよびVLドメインは、任意の適当な配列で互いに対して位置し得る。例えば、可変領域は、2量体であり得、VH-VH、VH-VLまたはVL-VL2量体を含有する。あるいは、抗体の抗原結合フラグメントは、単量体VHまたはVLドメインを含むことができる。
【0374】
ある特定の実施形態では、抗体の抗原結合フラグメントは、少なくとも1つの定常ドメインに共有結合される少なくとも1つの可変ドメインを含むことができる。本明細書に記載される抗体の抗原結合フラグメント内で見出すことができる可変および定常ドメインの限定されない、模範的な配置には、(i)VH-CH1;(ii)VH-CH2;(iii)VH-CH3;(iv)VH-CH1-CH2;(v)VH-CH1-CH2-CH3;(vi)VH-CH2-CH3;(vii)VH-CL;(viii)VL-CH1;(ix)VL-CH2;(x)VL-CH3;(xi)VL-CH1-CH2;(xii)VL-CH1-CH2-CH3;(xiii)VL-CH2-CH3;および(xiv)VL-CLが含まれる。上に挙げた模範的な配置のうちいずれかを含めた、可変および定常ドメインの任意の配置では、可変および定常ドメインは、互いに直接連結してもよく、完全なもしくは部分的なヒンジまたはリンカー領域により連結してもよい。ヒンジ領域は、単一のポリペプチド分子中で隣接する可変および/または定常ドメイン間の可動性または半可動性の結合をもたらす少なくとも2個(例えば、5、10、15、20、40、60個またはそれ以上)のアミノ酸からなり得、一般に、ヒンジ領域は、2~60個の間のアミノ酸、一般に、5~50の間、または、一般に、10~40個の間のアミノ酸からなり得る。さらに、本明細書に記載される抗体の抗原結合フラグメントは、互いにおよび/または1つもしくはそれ以上の単量体VHもしくはVLドメインと(例えば、ジスルフィド結合により)非共有結合性会合において、上に挙げた可変および定常ドメイン配置のうちのいずれかのホモ2量体またはヘテロ2量体(または他の多量体)を含むことができる。
【0375】
完全な抗体分子と同様に、抗原結合フラグメントは、単一特異性でも多特異性(例えば、二重特異性)でもよい。抗体の多特異性抗原結合フラグメントは、少なくとも2つの異なる可変ドメインを一般に含み、各可変ドメインは、別々の抗原にまたは同じ抗原において異なるエピトープに特異的に結合することが可能である。任意の多特異性抗体フォーマットは、当技術分野で利用可能なルーチンの技法を用いて、本明細書に記載される抗体の抗原結合フラグメントとの関連での使用に適合することができる。
【0376】
抗体の定常領域は、抗体が補体を固定し、細胞依存性細胞毒性を媒介する能力において重要である。したがって、抗体のアイソタイプは、抗体が、細胞毒性を媒介するのが望ましいか否かに基づいて選択することができる。
【0377】
用語「ヒト抗体」には、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変および定常領域を有する抗体が含まれる。それにもかかわらず、本明細書に記載されるヒト抗体は、例えば、CDR、特に、CDR3において、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、in vitroでのランダムもしくは部位特異的突然変異生成によりまたはin vivoにおける体細胞突然変異により導入される突然変異)を含むことができる。しかしながら、用語「ヒト抗体」は、別の哺乳動物種、例えば、マウスなどの生殖系列に由来するCDR配列が、ヒトフレームワーク配列に移植されている抗体を含まない。
【0378】
用語「組換えヒト抗体」には、組換え手段により製造される、発現される、創出されるもしくは単離される、すべてのヒト抗体、例えば、宿主細胞にトランスフェクトされる組換え発現ベクターを用いて発現される抗体(さらに以下に記載される)、組換え、コンビナトリアルヒト抗体ライブラリから単離された抗体(さらに以下に記載される)、ヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離された抗体(例えば、Taylorら(1992年)Nucl.Acids Res.20巻:6287~6295を参照のこと)または他のDNA配列へのヒト免疫グロブリン遺伝子配列のスプライシングを伴う他の任意の手段により製造される、発現される、創出されるもしくは単離される抗体が含まれる。かかる組換えヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変および定常領域を有する。しかしながら、ある特定の実施形態では、かかる組換えヒト抗体は、in vitro突然変異生成(または、ヒトIg配列についてトランスジェニックの動物が用いられる場合、in vivo体細胞突然変異生成)にかけられ、したがって、組換え抗体のVHおよびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VHおよびVL配列に由来するおよびそれらに関連する時、in vivoでヒト抗体生殖系列レパートリー内で天然に存在し得ない配列である。
【0379】
ヒト抗体は、ヒンジ不均一性に関連する2つの形態で存在することができる。1つの形態では、免疫グロブリン分子は、2量体が、鎖間の重鎖ジスルフィド結合により結合される適当な4つの鎖構築物およそ150~160kDaを含む。第2の形態では、2量体は、鎖間のジスルフィド結合によって連結されず、共有結合した軽鎖および重鎖(ハーフ抗体(half-antibody))から構成される分子約75~80kDaは、形成される。これらの形態は、さらに親和性精製後に、分離することが極めて難しい。
【0380】
様々な無処置のIgGアイソタイプにおける第2の形態の出現の頻度は、それだけには限らないが、抗体のヒンジ領域アイソタイプに関連する構造的差異による。ヒトIgG4ヒンジのヒンジ領域における単一のアミノ酸置換は、第2の形態の出現(Angalら(1993)Molecular Immunology 30巻:105頁)を、ヒトIgG1ヒンジを用いて一般に観察されたレベルに有意に下げることができる。例えば、製造において、望ましい抗体の形態の収率を改善することが望ましいこともある、ヒンジ、CH2、またはCH3領域において1つまたはそれ以上の突然変異を有する抗体が、提供される。
【0381】
「単離された抗体」とは、その自然環境の少なくとも1種の構成成分を同定されているおよび分離されているおよび/またはそれから回復している抗体を意味する。例えば、生物の少なくとも1種の構成成分から分離されているもしくはそれから除去されている抗体、または抗体が、天然に存在するもしくは自然に産生される組織もしくは細胞から分離されているもしくはそれから除去されている抗体は、「単離された抗体」である。単離された抗体には、組換え細胞内のin situにおける抗体も含まれる。単離された抗体は、少なくとも1回の精製または単離工程にかけられている抗体である。ある特定の実施形態によれば、単離された抗体は、他の細胞材料および/または化学物質が実質的になくてもよい。
【0382】
用語「特異的に結合する」などは、抗体またはその抗原結合フラグメントが、生理学的条件下で比較的安定している抗原と複合体を形成することを意味する。抗体が抗原に特異的に結合するか否かを決定するための方法は、当技術分野で周知であり、例えば、平衡透析、表面プラズモン共鳴などを含む。例えば、本発明において特徴付けられる通りIL-4Rを「特異的に結合する」抗体は、IL-4Rと結合する抗体、またはその部分を含み、KDは、表面プラズモン共鳴アッセイにおいて測定された通り、約1000nM未満、約500nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満、約90nM未満、約80nM未満、約70nM未満、約60nM未満、約50nM未満、約40nM未満、約30nM未満、約20nM未満、約10nM未満、約5nM未満、約4nM未満、約3nM未満、約2nM未満、約1nM未満、または約0.5nM未満である。しかしながら、ヒトIL-4Rと特異的に結合する単離された抗体は、他の抗原、例えば、他の(非ヒト)種から得られたIL-4R分子への交差反応性を有し得る。
【0383】
本方法のために有用な抗IL-4R抗体は、抗体が由来した、対応する生殖系列配列と比較して、重鎖および軽鎖可変ドメインのフレームワークおよび/またはCDR領域における1個またはそれ以上のアミノ酸置換、挿入、および/または欠失(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10個の置換および/または1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10個の挿入および/または1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10個の欠失)を含み得る。かかる突然変異は、本明細書中で開示されるアミノ酸配列を、例えば、公共の抗体配列データベースから入手可能な生殖系列配列と比較することにより、容易に確認することができる。本明細書中で開示されるアミノ酸配列のうちのいずれに由来する、抗体、およびそれらの抗原結合フラグメントの使用を伴う方法であって、1個もしくはそれ以上のフレームワークおよび/または1個もしくはそれ以上の(例えば、四量体抗体に対して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12個もしくは抗体のHCVRおよびLCVRに対して1、2、3、4、5もしくは6個)のCDR領域内の1種またはそれ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10種のアミノ酸)は、抗体が由来する生殖系列配列の対応する残基、または別のヒト生殖系列配列の対応する残基、または対応する生殖系列残基の保存的アミノ酸置換に突然変異する(かかる配列の変化は、本明細書において集合的に「生殖系列突然変異」と称する)、方法が提供される。当業者は、本明細書中で開示される重鎖および軽鎖可変領域配列から始まって、1種もしくはそれ以上の個別の生殖系列突然変異またはそれらの組合せを含む、多数の抗体および抗原結合フラグメントを容易に製造することができる。ある特定の実施形態では、VHおよび/またはVLドメイン内のフレームワークおよび/またはCDR残基のすべては、抗体が由来する元の生殖系列配列において見出された残基に戻って突然変異する。他の実施形態では、ある特定の残基のみ、例えば、FR1の第1の8個のアミノ酸内でもしくはFR4の最後の8個のアミノ酸内で見出された突然変異した残基のみ、またはCDR1、CDR2もしくはCDR3内で見出された突然変異した残基のみが、元の生殖系列配列に戻って突然変異する。他の実施形態では、フレームワークおよび/またはCDR残基のうち1つまたはそれ以上は、異なる生殖系列配列の対応する残基(すなわち、抗体が本来由来する生殖系列配列と異なる生殖系列配列)に突然変異する。さらに、抗体は、フレームワークおよび/またはCDR領域内の2回以上の生殖系列突然変異の任意の組合せを含んでもよく、例えば、ある特定の個別の残基は、特定の生殖系列配列の対応する残基に突然変異し、元の生殖系列配列と異なるある特定の他の残基は、維持されるまたは異なる生殖系列配列の対応する残基に突然変異する。獲得した後、1つまたはそれ以上の生殖系列突然変異を含む抗体および抗原結合フラグメントは、1つまたはそれ以上の所望の特性、例えば、結合特異性の改善、結合親和性の増加、(場合によっては)アンタゴニストのまたはアゴニストの生物学的特性の改善または増強、免疫原性の低下などについて容易に試験することができる。こうした一般の方式において得られた抗体および抗原結合フラグメントの使用は、本開示内で包含される。
【0384】
1回またはそれ以上の保存的置換を有する、本明細書中で開示されるHCVR、LCVR、および/またはCDRアミノ酸配列のうちいずれかの変種を含む、抗IL-4R抗体の使用を伴う方法。例えば、本明細書中で開示されるHCVR、LCVR、および/またはCDRアミノ酸配列のうちいずれかに対して、例えば、10回以下、8回以下、6回以下、4回以下などの保存的アミノ酸置換によって、HCVR、LCVR、および/またはCDRアミノ酸配列を有する抗IL-4R抗体の使用が提供される。
【0385】
用語「表面プラズモン共鳴」とは、例えば、BIAcore(商標)システム(Biacore Life Sciences division of GE Healthcare、Piscataway、NJ)を用いて、バイオセンサーマトリックス内でタンパク質濃度の変更を検出することにより、リアルタイム相互作用の分析を可能にする、光学的現象を指す。
【0386】
用語「KD」とは、特定の抗体抗原相互作用の平衡解離定数を指す。
【0387】
用語「エピトープ」とは、パラトープとして公知の抗体分子の可変領域における特定の抗原結合部位と相互作用する抗原決定基を指す。単一の抗原は、1つを超えるエピトープを有し得る。したがって、異なる抗体は、抗原において異なる領域に結合することができ、異なる生物学的効果を有し得る。エピトープは、立体構造でも直鎖でもよい。立体構造のエピトープは、直鎖のポリペプチド鎖の異なるセグメントから得られた空間的に並列されるアミノ酸により産生される。直鎖エピトープは、ポリペプチド鎖中の隣接するアミノ酸残基により産生されるものである。ある特定の状況において、エピトープは、抗原における糖類、ホスホリル基、またはスルホニル基の部分を含むことができる。
【0388】
用語「実質的な同一性」または「実質的に同一な」は、核酸またはそのフラグメントを指す場合、別の核酸(またはその相補鎖)と、適切なヌクレオチドの挿入または欠失と共に最適にアライメントされた場合、以下で論じられるように、FASTA、BLASTまたはGapなどの配列同一性のあらゆる周知のアルゴリズムによって測定した場合、ヌクレオチド塩基の少なくとも約95%、または少なくとも約96%、97%、98%もしくは99%においてヌクレオチド配列同一性があることを示す。
【0389】
用語「実質的な類似性」または「実質的に類似した」は、ポリペプチドに適用される場合、2つのペプチド配列が、例えばGAPまたはBESTFITプログラムによって、デフォルトギャップウェイトを使用して最適にアライメントされる場合、少なくとも95%の配列同一性、または少なくとも98%もしくは99%配列同一性を有することを意味する。模範的な実施形態では、同一ではない残基位置は、保存的アミノ酸置換によって異なっている。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、類似の化学的特性(例えば、電荷または疎水性)を有する側鎖(R基)を有する別のアミノ酸残基で置換されている置換である。一般的に、保存的アミノ酸置換は、タンパク質の機能特性を実質的に変化させないと予想される。2つまたはそれより多くのアミノ酸配列が保存的置換によって互いに異なる場合、配列同一性パーセントまたは類似性の程度は、置換の保存的性質に関して補正するために上方調整される場合がある。この調整を行うための手段は、当業者では周知である。(例えば、参照によって本明細書に組み入れるPearson(1994)Methods Mol.Biol.24:307~331頁を参照のこと)。類似の化学的特性を有する側鎖を有するアミノ酸の基の例としては、(1)脂肪族側鎖:グリシン、アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシン;(2)脂肪族ヒドロキシル側鎖:セリンおよびスレオニン;(3)アミドを含有する側鎖:アスパラギンおよびグルタミン;(4)芳香族側鎖:フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファン;(5)塩基性側鎖:リシン、アルギニン、およびヒスチジン;(6)酸性側鎖:アスパラギン酸およびグルタミン酸、ならびに(7)硫黄を含有する側鎖、システインおよびメチオニンが挙げられる。模範的な保存的アミノ酸置換基は、バリン-ロイシン-イソロイシン、フェニルアラニン-チロシン、リシン-アルギニン、アラニン-バリン、グルタミン酸-アスパラギン酸、およびアスパラギン-グルタミンである。代替として、保存的な置き換えは、参照によって本明細書に組み入れるGonnetら(1992)Science 256:1443 45頁で開示されたPAM250対数尤度マトリックスにおいて、正の値を有するあらゆる変化である。「中程度に保存的な」置き換えは、PAM250対数尤度マトリックスにおいて負ではない値を有するあらゆる変化である。
【0390】
ポリペプチドの配列類似性は、配列同一性とも称され、典型的には、配列分析ソフトウェアを使用して測定される。タンパク質分析ソフトウェアは、保存的アミノ酸置換を含む様々な置換、欠失および他の改変に割り当てられた類似性の測定を使用して類似の配列を一致させる。例えば、GCGソフトウェアは、GapおよびBestfitなどのプログラムを含有しており、これらをデフォルトパラメーターを用いて使用して、密接に関連したポリペプチド、例えば異なる生物種由来の相同なポリペプチド間の、または野生型タンパク質とその突然変異タンパク質との間の配列相同性または配列同一性を決定することができる。(例えば、GCGバージョン6.1を参照のこと)。ポリペプチド配列はまた、FASTAを使用して、デフォルトまたは推奨されたパラメーター、GCGバージョン6.1におけるプログラムを使用して比較してもよい。FASTA(例えば、FASTA2およびFASTA3)は、クエリー配列とサーチ配列との間における最良のオーバーラップの領域のアライメントおよびパーセント配列同一性を提供する(Pearson(2000)上記)。本開示の配列を異なる生物からの多数の配列を含有するデータベースと比較する場合の別の模範的なアルゴリズムは、デフォルトパラメーターを使用する、コンピュータープログラムBLAST、特にBLASTPまたはTBLASTNである。(例えば、Altschulら(1990)J.Mol.Biol.215:403~410およびAltschulら(1997)Nucleic Acids Res.25:3389~402を参照のこと、これらのそれぞれは、参照によって本発明に組み入れる)。
【0391】
ヒト抗体の製造
トランスジェニックマウスにおいてヒト抗体を生成するための方法は、当技術分野で公知である。任意のかかる公知の方法は、ヒトIL-4Rを特異的に結合するヒト抗体を作製するために用いることができる。
【0392】
VELOCIMMUNE(登録商標)技術(例えば、米国特許第6,596,541号、Regeneron Pharmaceuticalsを参照のこと)またはモノクローナル抗体を生成するための任意の他の公知の方法を用いて、ヒト可変領域およびマウス定常領域を有するIL-4Rへの高親和性キメラ抗体は、最初に単離される。VELOCIMMUNE(登録商標)技術には、マウスが抗原刺激に応答してヒト可変領域およびマウス定常領域を含む抗体を産生するような、内因性マウス定常領域遺伝子座に操作可能に連結されるヒト重鎖および軽鎖可変領域を含むゲノムを有するトランスジェニックマウスの生成を使用する。抗体の重鎖および軽鎖の可変領域をコードするDNAは、単離され、ヒト重鎖および軽鎖定常領域をコードするDNAに操作可能に連結される。次いで、DNAは、完全ヒト抗体を発現することが可能である細胞中で発現される。
【0393】
一般に、VELOCIMMUNE(登録商標)マウスは、目的の抗原で曝露され、リンパ性細胞(例えば、B細胞)は、抗体を発現するマウスから回収される。リンパ性細胞は、骨髄腫細胞株と融合して、不死のハイブリドーマ細胞株を製造することができ、かかるハイブリドーマ細胞株は、スクリーニングされ、選択されて、目的の抗原に特異的な抗体を産生するハイブリドーマ細胞株が同定される。重鎖および軽鎖の可変領域をコードするDNAは、単離し、重鎖および軽鎖の望ましいアイソタイプ定常領域に連結することができる。かかる抗体タンパク質は、細胞、例えば、CHO細胞中で産生することができる。あるいは、軽鎖および重鎖の抗原特異的キメラ抗体または可変ドメインをコードするDNAは、抗原特異的リンパ球から直接単離することができる。
【0394】
最初に、ヒト可変領域およびマウス定常領域を有する高親和性キメラ抗体は、単離される。抗体は、当業者に公知の標準的な手順を用いて、親和性、選択性、エピトープなどを含めた、望ましい特徴について特徴付けられ、選択される。マウス定常領域は、所望のヒト定常領域と置き換えられて、本明細書に記載される完全ヒト抗体、例えば、野生型もしくは修飾されたIgG1またはIgG4が産生される。選択された定常領域が、特定の使用によって変わることがあり、高親和性抗原結合および標的特異性の特徴は、可変領域に存在する。
【0395】
一般に、本方法において用いることができる抗体は、固相においてまたは溶相中で固定化される抗原に結合することにより測定される場合、前述した通り、高親和性を有する。マウス定常領域は、所望のヒト定常領域と置き換えられて、本明細書に記載される完全ヒト抗体が産生される。選択された定常領域が、特定の使用によって変わることがあり、高親和性抗原結合および標的特異性の特徴は、可変領域に存在する。
【0396】
一実施形態では、本明細書に記載される方法の文脈において用いることができるIL-4Rと特異的に結合するヒト抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(HCVR)内に含まれる3つの重鎖CDR(HCDR1、HCDR2およびHCDR3)を含む。抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(LCVR)内に含まれる3つの軽鎖CDR(LCVR1、LCVR2、LCVR3)を含むことができる。HCVRおよびLCVRアミノ酸配列内でCDRを同定するための方法および技法は、当技術分野で周知であり、本明細書中で開示されるその指定されたHCVRおよび/またはLCVRアミノ酸配列内でCDRを同定するために用いることができる。CDRの境界を同定するために用いることできる模範的な慣例には、例えば、Kabatの定義、Chothiaの定義、およびAbM定義が含まれる。一般用語において、Kabatの定義は、配列多様性に基づき、Chothiaの定義は、構造ループ領域の位置に基づき、AbM定義は、KabatとChothiaのアプローチとの間の折衷である。例えば、Kabat、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、National Institutes of Health、Bethesda、Md.(1991年);Al-Lazikaniら、J.Mol.Biol.273巻:927~948(1997年);およびMartinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86巻:9268~9272頁(1989年)を参照のこと。公共のデータベースはまた、抗体内のCDR配列を同定するために利用可能である。
【0397】
ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1および2の重鎖および軽鎖可変領域アミノ酸配列対(HCVR/LCVR)から得られた6種のCDR(HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2およびLCDR3)を含む。
【0398】
ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号3/4/5/6/7/8のアミノ酸配列を有する6種のCDR(HCDR1/HCDR2/HCDR3/LCDR1/LCDR2/LCDR3)を含む。
【0399】
ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1および2のHCVR/LCVRアミノ酸配列対を含む。
【0400】
ある特定の実施形態では、抗体は、配列番号1および2のHCVR/LCVRアミノ酸配列対を含むデュピルマブである。
【0401】
ある特定の実施形態では、抗体配列は、デュピルマブであり、配列番号9および10の重鎖/軽鎖アミノ酸配列対を含む。
【0402】
デュピルマブHCVRアミノ酸配列:
EVQLVESGGGLEQPGGSLRLSCAGSGFTFRDYAMTWVRQAPGKGLEWVSSISGSGGNTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKDRLSITIRPRYYGLDVWGQGTTVTVS(配列番号1)。
【0403】
デュピルマブLCVRアミノ酸配列:
DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLLYSIGYNYLDWYLQKSGQSPQLLIYLGSNRASGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGFYYCMQALQTPYTFGQGTKLEIK(配列番号2)。
【0404】
デュピルマブHCDR1アミノ酸配列:
GFTFRDYA(配列番号3)。
【0405】
デュピルマブHCDR2アミノ酸配列:
ISGSGGNT(配列番号4)。
【0406】
デュピルマブHCDR3アミノ酸配列:
AKDRLSITIRPRYYGL(配列番号5)。
【0407】
デュピルマブLCDR1アミノ酸配列:
QSLLYSIGYNY(配列番号6)。
【0408】
デュピルマブLCDR2アミノ酸配列:
LGS(配列番号7)。
【0409】
デュピルマブLCDR3アミノ酸配列:
MQALQTPYT(配列番号8)。
【0410】
デュピルマブHCアミノ酸配列:
EVQLVESGGGLEQPGGSLRLSCAGSGFTFRDYAMTWVRQAPGKGLEWVSSISGSGGNTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKDRLSITIRPRYYGLDVWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG(配列番号9)(アミノ酸1~124=HCVR;アミノ酸125~451=HC定常)。
【0411】
デュピルマブLCアミノ酸配列:
DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLLYSIGYNYLDWYLQKSGQSPQLLIYLGSNRASGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGFYYCMQALQTPYTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号10)(アミノ酸1~112=LCVR;アミノ酸112~219=LC定常)。
【0412】
ある特定の実施形態では、本開示の抗体またはその抗原結合フラグメントは、SCB-VL-39/SCB-VH-92;SCB-VL-40/SCB-VH-92;SCB-VL-41/SCB-VH-92;SCB-VL-42/SCB-VH-92;SCB-VL-43/SCB-VH-92;SCB-VL-44/SCB-VH-92;SCB-VL-44/SCB-VH-62;SCB-VL-44/SCB-VH-68;SCB-VL-44/SCB-VH-72;SCB-VL-44/SCB-VH-82;SCB-VL-44/SCB-VH-85;SCB-VL-44/SCB-VH-91;SCB-VL-44/SCB-VH-93;SCB-VL-45/SCB-VH-92;SCB-VL-46/SCB-VH-92;SCB-VL-47/SCB-VH-92;SCB-VL-48/SCB-VH-92;SCB-VL-49/SCB-VH-92;SCB-VL-50/SCB-VH-92;SCB-VL-51/SCB-VH-92;SCB-VL-51/SCB-VH-93;SCB-VL-52/SCB-VH-92;SCB-VL-52/SCB-VH-62;SCB-VL-52/SCB-VH-91;SCB-VL-53/SCB-VH-92;SCB-VL-54/SCB-VH-92;SCB-VL-54/SCB-VH-62;SCB-VL-54/SCB-VH-68;SCB-VL-54/SCB-VH-72;SCB-VL-54/SCB-VH-82;SCB-VL-54/SCB-VH-85;SCB-VL-54/SCB-VH-91;SCB-VL-55/SCB-VH-92;SCB-VL-55/SCB-VH-62;SCB-VL-55/SCB-VH-68;SCB-VL-55/SCB-VH-72;SCB-VL-55/SCB-VH-82;SCB-VL-55/SCB-VH-85;SCB-VL-55/SCB-VH-91;SCB-VL-56/SCB-VH-92;SCB-VL-57/SCB-VH-92;SCB-VL-57/SCB-VH-93;SCB-VL-57/SCB-VH-59;SCB-VL-57/SCB-VH-60;SCB-VL-57/SCB-VH-61;SCB-VL-57/SCB-VH-62;SCB-VL-57/SCB-VH-63;SCB-VL-57/SCB-VH-64;SCB-VL-57/SCB-VH-65;SCB-VL-57/SCB-VH-66;SCB-VL-57/SCB-VH-67;SCB-VL-57/SCB-VH-68;SCB-VL-57/SCB-VH-69;SCB-VL-57/SCB-VH-70;SCB-VL-57/SCB-VH-71;SCB-VL-57/SCB-VH-72;SCB-VL-57/SCB-VH-73;SCB-VL-57/SCB-VH-74;SCB-VL-57/SCB-VH-75;SCB-VL-57/SCB-VH-76;SCB-VL-57/SCB-VH-77;SCB-VL-57/SCB-VH-78;SCB-VL-57/SCB-VH-79;SCB-VL-57/SCB-VH-80;SCB-VL-57/SCB-VH-81;SCB-VL-57/SCB-VH-82;SCB-VL-57/SCB-VH-83;SCB-VL-57/SCB-VH-84;SCB-VL-57/SCB-VH-85;SCB-VL-57/SCB-VH-86;SCB-VL-57/SCB-VH-87;SCB-VL-57/SCB-VH-88;SCB-VL-57/SCB-VH-89;SCB-VL-57/SCB-VH-90;SCB-VL-57/SCB-VH-91;SCB-VL-58/SCB-VH-91;SCB-VL-58/SCB-VH-92;およびSCB-VL-58/SCB-VH-93からなる群から選択される軽鎖可変領域(LCVR)および重鎖可変領域(HCVR)配列対(LCVR/HCVR)を含む。
【0413】
ある特定の実施形態では、本開示の抗体またはその抗原結合フラグメントは、SCB-VL-44/SCB-VH-92のLCVR/HCVR配列対を含む。
【0414】
ある特定の実施形態では、本開示の抗体またはその抗原結合フラグメントは、SCB-VL-54/SCB-VH-92のLCVR/HCVR配列対を含む。
【0415】
ある特定の実施形態では、本開示の抗体またはその抗原結合フラグメントは、SCB-VL-55/SCB-VH-92のLCVR/HCVR配列対を含む。
【0416】
ある特定の実施形態では、本開示の抗体またはその抗原結合フラグメントは、SCB-92-HCDR1のHCDR1配列、SCB-92-HCDR2のHCDR2配列、およびSCB-92-HCDR3のHCDR3配列を含むHCVR、ならびにSCB-55-LCDR1のLCDR1、およびSCB-55-LCDR2のLCDR2、およびSCB-55-LCDR3のLCDR3を含むLCVRを含む。
【0417】
ある特定の実施形態では、本開示の抗体またはその抗原結合フラグメントは、SCB-92-HCDR1のHCDR1配列、SCB-92-HCDR2のHCDR2配列、およびSCB-92-HCDR3のHCDR3配列を含むHCVR、ならびにSCB-55-LCDR1のLCDR1、およびSCB-54-LCDR2のLCDR2、およびSCB-55-LCDR3のLCDR3を含むLCVRを含む。
【0418】
ある特定の実施形態では、本開示の抗体またはその抗原結合フラグメントは、SCB-92-HCDR1のHCDR1配列、SCB-92-HCDR2のHCDR2配列、およびSCB-92-HCDR3のHCDR3配列を含むHCVR、ならびにSCB-55-LCDR1のLCDR1、およびSCB-54-LCDR2のLCDR2、およびSCB-44-LCDR3のLCDR3を含むLCVRを含む。
【0419】
以下の表1に列挙された抗体は、US10,774,141により詳細に記載されており、あらゆる目的のために参照によってその全体を本明細書に組み入れる。
【0420】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【0421】
ある特定の実施形態では、本開示の抗体またはその抗原結合フラグメントは、MEDI-1-VL/MEDI-1-VH~MEDI-42-VL/MEDI-42-VHからなる群から選択される軽鎖可変領域(LCVR)および重鎖可変領域(HCVR)配列対(LCVR/HCVR)を含む。
【0422】
ある特定の実施形態では、本開示の抗体またはその抗原結合フラグメントは、MEDI-37GL-VL/MEDI-37GL-VHのLCVR/HCVR配列対を含む。
【0423】
ある特定の実施形態では、本開示の抗体またはその抗原結合フラグメントは、MEDI-37GL-HCDR1のHCDR1配列、MEDI-37GL-HCDR2のHCDR2配列、およびMEDI-37GL-HCDR3のHCDR3配列を含むHCVR、ならびにMEDI-37GL-LCDR1のLCDR1、およびMEDI-37GL-LCDR2のLCDR2、およびMEDI-37GL-LCDR3のLCDR3を含むLCVRを含む。
【0424】
以下の表2に列挙された抗体は、あらゆる目的のために参照によってその全体を本明細書に組み入れるUS8,877,189により詳細に記載されている。
【0425】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【0426】
ある特定の実施形態では、本開示の抗体またはその抗原結合フラグメントは、AJOU-90-VL/AJOU-83-VHのLCVR/HCVR配列対を含む。
【0427】
ある特定の実施形態では、本開示の抗体またはその抗原結合フラグメントは、AJOU-84-HCDR1のHCDR1配列、AJOU-85-HCDR2のCHDR2配列、およびAJOU-32-HCDR3のHCDR3配列を含むHCVR、ならびにAJOU-96-LCDR1のLCDR1、およびAJOU-60-LCDR2のLCDR2、およびAJOU-68-LCDR3のLCDR3を含むLCVRを含む。
【0428】
以下の表3に列挙された抗体は、あらゆる目的のために参照によって本明細書にそれらの全体を組み入れるWO2020/096381およびKimら(Scientific Reports. 9:7772.2019)により詳細に記載されている。
【0429】
【0430】
ある特定の実施形態では、本開示の抗体またはその抗原結合フラグメントは、11/3、27/19、43/35、59/51、75/67、91/83、107/99、123/115、155/147、および171/163からなる群から選択される軽鎖可変領域(LCVR)および重鎖可変領域(HCVR)配列対(LCVR/HCVR)を含む。
【0431】
以下の表4に列挙された抗体は、あらゆる目的のために参照によって本明細書にそれらの全体を組み入れるUS7,605,237およびUS7,608,693により詳細に記載されている。
【0432】
【0433】
医薬組成物
IL-4Rアンタゴニストを患者に投与する工程を含む方法であって、IL-4Rアンタゴニストが、医薬組成物内に含有される、方法が提供される。本明細書に記載される医薬組成物は、適当な移動、送達、耐性などを提供する適当な担体、添加剤、および他の薬剤と共に配合される。多数の適切な配合物は、すべての薬剤師に公知の処方集:Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、PAにおいて見出すことができる。これらの配合物には、例えば、粉末、パスタ剤、軟膏剤、ゼリー、ワックス、油、脂質、脂質(カチオン性またはアニオン性)含有ベシクル(例えば、LIPOFECTIN(商標))、DNAコンジュゲート、無水吸収パスタ剤、水中油型および油中水型乳剤、乳剤carbowax(様々な分子量のポリエチレングリコール)、半固形ゲル剤、ならびにcarbowaxを含有する半固形混合物が含まれる。Powellら、「Compendium of excipients for parenteral formulations」PDA(1998年)J.Pharm.Sci.Technol.52巻:238~311頁も参照のこと。
【0434】
患者に投与される抗体の用量は、患者の年齢およびサイズ、症状、状態、投与の経路などに応じて変わり得る。用量は、一般に、体重または体表面積に従って算出される。状態の重症度に応じて、治療の頻度および持続時間は、調整することができる。抗IL-4R抗体を含む医薬組成物を投与するための有効な投与量およびスケジュールは、経験に基づき決定することができ、例えば、患者の進行は、定期的評価、および適宜調整される用量によりモニターすることができる。さらに、投与量の種間のスケーリングは、当技術分野で周知の方法を用いて行うことができる(例えば、Mordentiら、1991年、Pharmaceut.Res.8巻:1351頁)。
【0435】
様々な送達系は、公知であり、本明細書に記載される医薬組成物を投与するために用いることができ、例えば、リポソームにおけるカプセル化、微小粒子、マイクロカプセル、変異ウイルスを発現することが可能な組換え細胞、受容体によって媒介されるエンドサイトーシスである(例えば、Wuら、1987年、J.Biol.Chem.262巻:4429~4432頁を参照のこと)。投与の方法には、それだけには限らないが、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、気管内、硬膜外、および経口経路が含まれる。本組成物は、任意の好都合な経路により、例えば、注入またはボーラス注射により、上皮または粘膜皮膚の裏層(例えば、口腔粘膜、直腸および腸粘膜など)を通した吸収により投与してもよく、他の生物活性薬剤と一緒に投与してもよい。
【0436】
本明細書に記載される医薬組成物は、標準の針およびシリンジにより皮下にまたは静脈内に送達することができる。さらに、皮下送達に関して、ペン型送達デバイス(例えば、ペン型自己注射器)は、本明細書に記載される医薬組成物を送達することにおいて容易に適用される。そのようなペン型送達デバイスは、再利用可能または使い捨てであり得る。再利用可能なペン型送達デバイスは、医薬組成物を含有する取り替え可能なカートリッジを一般に利用する。カートリッジ内のすべての医薬組成物が投与され、カートリッジが空になったら、空のカートリッジは、容易に廃棄し、医薬組成物を含有する新たなカートリッジと取り替えることができる。次いで、ペン型送達デバイスは、再利用することができる。使い捨てのペン型送達デバイスにおいて、取り替え可能なカートリッジはない。むしろ、使い捨てのペン型送達デバイスは、デバイス内のリザーバーに保持される医薬組成物が予め充填される。リザーバーは医薬組成物が空になったら、デバイス全体は廃棄される。
【0437】
多数の再利用可能なペン型および自己注射器送達デバイスは、医薬組成物の皮下送達における用途がある。例には、それだけには限らないが、ほんのわずかな例を挙げると、AUTOPEN(商標)(Owen Mumford、Inc.、Woodstock、UK)、DISETRONIC(商標)ペン(Disetronic Medical Systems社、Bergdorf、Switzerland)、HUMALOG MIX 75/25(商標)ペン、HUMALOG(商標)ペン、HUMALIN 70/30(商標)ペン(Eli Lilly and Co.、Indianapolis、IN)、NOVOPEN(商標)I、IIおよびIII(Novo Nordisk、Copenhagen、Denmark)、NOVOPEN JUNIOR(商標)(Novo Nordisk、Copenhagen、Denmark)、BD(商標)ペン(Becton Dickinson、Franklin Lakes、NJ)、OPTIPEN(商標)、OPTIPEN PRO(商標)、OPTIPEN STARLET(商標)、およびOPTICLIK(商標)(Sanofi-Aventis、Frankfurt、Germany)が含まれる。本明細書に記載される医薬組成物の皮下送達における用途がある使い捨てのペン型送達デバイスの例には、それだけには限らないが、ほんのわずかな例を挙げると、SOLOSTAR(商標)ペン(Sanofi-Aventis)、FLEXPEN(商標)(Novo Nordisk)、およびKWIKPEN(商標)(Eli Lilly)、SURECLICK(商標)自己注射器(Amgen、Thousand Oaks、CA)、PENLET(商標)(Haselmeier、Stuttgart、Germany)、EPIPEN(Dey、L.P.)、およびHUMIRA(商標)ペン(Abbott Labs、Abbott Park IL)が含まれる。大量送達デバイス(例えば、大量注射器)の例には、それだけには限らないが、ボーラス注射器、例えば、BD Libertas West SmartDose、Enable Injections、SteadyMed PatchPump、Sensile SenseTrial、YPsomed YpsoDose、Bespak Lapasなどが含まれる。
【0438】
洞への直接投与の場合、本明細書に記載される医薬組成物は、例えば、マイクロカテーテル(例えば、内視鏡およびマイクロカテーテル)、エアロゾライザー、粉末ディスペンサー、ネブライザーまたは吸入器を用いて投与してもよい。本方法には、エアロゾル化した配合物の形態での、IL-4Rアンタゴニストのそれを必要とする対象への投与が含まれる。例えば、IL-4Rに対するエアロゾル化した抗体は、患者においてCSUを治療するために投与してもよい。エアロゾル化した抗体は、例えば、参照によってその全体を本明細書に組み入れる米国特許第8,178098号に記載される通り、製造することができる。
【0439】
ある特定の状況において、医薬組成物は、制御放出系で送達することができる。一実施形態では、ポンプは、用いることができる(Langer、上記を参照;Sefton、1987年、CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14巻:201頁を参照のこと)。別の実施形態では、ポリマー材料は、用いることができ;Medical Applications of Controlled Release、Langer and Wise(編)、1974年、CRC Pres.、Boca Raton、Floridaを参照のこと。さらなる他の実施形態では、制御放出系は、組成物の標的の近くに置くことができ、したがって、全身投与量のほんの一部だけを要する(例えば、Goodson、1984年、in Medical Applications of Controlled Release、上記、2巻、115~138頁を参照のこと)。他の制御放出系は、Langer、1990年、Science 249巻:1527~1533頁の総説で論じられる。
【0440】
注射用製剤は、静脈内、皮下、皮内および筋肉内注射、点滴静注などのための剤形を含み得る。これらの注射用製剤は、公知の方法により製造することができる。例えば、注射用製剤は、例えば、抗体もしくは前述したその塩を、注射用に常法により用いられる無菌の水性媒体または油性媒体に溶解する、懸濁するまたは乳化することにより、製造することができる。注射用の水性媒体として、例えば、生理的食塩水、グルコースを含有する等張液および他の補助剤などがあり、これは、適切な可溶化剤、例えば、アルコール(例えば、エタノール)、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート80、HCO-50(硬化ヒマシ油のポリオキシエチレン(50mol)付加物))などと組み合わせて用いることができる。油性媒体として、例えば、ゴマ油、ダイズ油などが用いられ、これらは、可溶化剤、例えば、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと組み合わせて用いてもよい。したがって、製造される注射は、一般に、適切なアンプルに充填される。
【0441】
有利には、前述した経口または非経口使用のための医薬組成物は、有効成分の用量に適合するのに適した単位投与量で剤形に製造される。単位投与量におけるかかる剤形には、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、注射(アンプル)、坐剤などが含まれる。
【0442】
本明細書に記載される、用いることができる抗IL-4R抗体を含む模範的な医薬組成物は、例えば、US8,945,559に開示されている。
【0443】
投与量
本明細書に記載される方法に従って対象に投与されるIL-4Rアンタゴニスト(例えば、抗IL-4R抗体)の量は、一般に、治療有効量である。本明細書で使用される場合、語句「治療有効量」とは、1つまたはそれ以上のCSU関連PRO指標の改善(本明細書の他の部分で定義される通り)をもたらすIL-4Rアンタゴニストの量を意味する。「治療有効量」はまた、対象においてCSUの進行を抑制する、予防する、低減する、または遅延するIL-4Rアンタゴニストの量を含む。
【0444】
抗IL-4R抗体の場合では、治療有効量は、抗IL-4R抗体約0.05mg~約700mg、例えば、約0.05mg、約0.1mg、約1.0mg、約1.5mg、約2.0mg、約3.0mg、約5.0mg、約7.0mg、約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約280mg、約290mg、約300mg、約310mg、約320mg、約330mg、約340mg、約350mg、約360mg、約370mg、約380mg、約390mg、約400mg、約410mg、約420mg、約430mg、約440mg、約450mg、約460mg、約470mg、約480mg、約490mg、約500mg、約510mg、約520mg、約530mg、約540mg、約550mg、約560mg、約570mg、約580mg、約590mg、約600mg、約610mg、約620mg、約630mg、約640mg、約650mg、約660mg、約670mg、約680mg、約690mg、または約700mgであり得る。ある特定の実施形態では、抗IL-4R抗体300mgが、投与される。
【0445】
個別の用量の範囲内で含有されるIL-4Rアンタゴニストの量は、対象の体重キログラム当たりの抗体ミリグラム(すなわち、mg/kg)に関して表すことができる。例えば、IL-4Rアンタゴニストは、対象の体重kg当たり約0.0001~約10mgの用量で患者に投与してもよい。例えば、IL-4Rアンタゴニストは、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kgまたは6mg/kgの用量で投与することができる。
【0446】
ある特定の実施形態では、初回量は、負荷用量とほぼ同じである。ある特定の実施形態では、初回量は、負荷用量の、約1.1×、約1.2×、約1.3×、約1.4×、約1.5×、約1.6×、約1.7×、約1.8×、約1.9×、約2.0×、約2.5×、約3.0×、またはそれより多くである。
【0447】
ある特定の実施形態では、2回以上(例えば、2、3、4、または5回以上)の用量が、「初回量」または「負荷用量」として治療レジメンの開始時に、それに続き、より少ない頻度で投与される後続の用量(例えば、「維持用量」)が投与される。一実施形態では、維持用量は、負荷用量または初回量よりも少ない場合がある。例えば、IL-4Rアンタゴニスト600mgの1回またはそれ以上の負荷用量を投与した後、約75mg~約300mgの維持用量を投与することができる。ある特定の実施形態では、本方法は、約400mgまたは約600mgのIL-4Rアンタゴニストの初回量または負荷用量を含む。ある特定の実施形態では、本方法は、約200mgまたは約300mgのIL-4Rアンタゴニストの1つまたはそれ以上の第2の用量または維持用量を含む。
【0448】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、30kgを超える体重を有する小児対象であり、IL-4Rアンタゴニストは、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、または約600mgの用量で投与される。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、30kgを超える体重を有する小児対象であり、IL-4Rアンタゴニストは、約400mgの初回量および約400mgの1つまたはそれ以上の第2の用量で投与され、第2の用量は、隔週(q2w)で投与される。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、30kgを超える体重を有する小児対象であり、IL-4Rアンタゴニストは、約300mgの初回量および約300mgの1つまたはそれ以上の第2の用量で投与され、第2の用量は、隔週(q2w)で投与される。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、30kgを超える体重を有する小児対象であり、IL-4Rアンタゴニストは、約200mgの初回量および約400mgの1つまたはそれ以上の第2の用量で投与され、第2の用量は、隔週(q2w)で投与される。特に模範的な実施形態では、対象は、30kgを超える体重を有する小児対象であり、IL-4Rアンタゴニストは、約400mgの初回量または負荷用量および約200mgの1つまたはそれ以上の第2の用量または維持用量で投与され、第2の用量は、隔週(q2w)で投与される。
【0449】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、30kg以下の体重および少なくとも15kgの体重を有する小児対象であり、IL-4Rアンタゴニストは、約50mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、または約600mgの用量で投与される。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、30kg以下の体重および少なくとも15kgの体重を有する小児対象であり、IL-4Rアンタゴニストは、約600mgの初回量および約600mgの1つまたはそれ以上の第2の用量で投与され、第2の用量は、4週間毎(q4w)に投与される。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、30kg以下の体重および少なくとも15kgの体重を有する小児対象であり、IL-4Rアンタゴニストは、約500mgの初回量および約500mgの1つまたはそれ以上の第2の用量で投与され、第2の用量は、4週間毎(q4w)に投与される。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、30kg以下の体重および少なくとも15kgの体重を有する小児対象であり、IL-4Rアンタゴニストは、約400mgの初回量および約400mgの1つまたはそれ以上の第2の用量で投与され、第2の用量は、4週間毎(q4w)に投与される。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、30kg以下の体重および少なくとも15kgの体重を有する小児対象であり、IL-4Rアンタゴニストは、約300mgの初回量および約300mgの1つまたはそれ以上の第2の用量で投与され、第2の用量は、4週間毎(q4w)に投与される。特に例示的な実施形態では、対象は、30kg以下の体重および少なくとも15kgの体重を有する小児対象であり、IL-4Rアンタゴニストは、約600mgの初回量および約300mgの1つまたはそれ以上の第2の用量または維持用量で投与され、第2の用量は、4週間毎(q4w)に投与される。
【0450】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、15kg未満かつ少なくとも5kgの体重を有する小児対象であり、IL-4Rアンタゴニストは、約50mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、または約600mgの用量で投与される。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、15kg未満かつ少なくとも5kgの体重を有する小児対象であり、IL-4Rアンタゴニストは、約300mgの初回量および約300mgの1つまたはそれ以上の第2の用量で投与され、第2の用量は、4週間毎(q4w)に投与される。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、15kg未満かつ少なくとも5kgの体重を有する小児対象であり、IL-4Rアンタゴニストは、約250mgの初回量および約250mgの1つまたはそれ以上の第2の用量で投与され、第2の用量は、4週間毎(q4w)に投与される。特に例示的な実施形態では、対象は、15kg未満かつ少なくとも5kgの体重を有する小児対象であり、IL-4Rアンタゴニストは、約200mgの初回量および約200mgの1回以上の第2の用量で投与され、第2の用量は、4週間毎(q4w)に投与される。
【0451】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、60kg未満体重を有する青少年対象であり、IL-4Rアンタゴニストは、約50mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、または約600mgの用量で投与される。一部の模範的な実施形態では、対象は、60kg未満の体重を有する青少年対象であり、IL-4Rアンタゴニストは、約400mgの初回量および約200mgの1つまたはそれ以上の第2の用量または維持用量で投与され、第2の用量は、隔週(q2w)で投与される。ある特定の模範的な実施形態では、対象は、30kg以上かつ60kg未満の体重を有する青少年対象であり、IL-4Rアンタゴニストは、約50mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、または約600mgの用量で投与される。一部の模範的な実施形態では、対象は、30kg以上かつ60kg未満の体重を有する青少年対象である 、IL-4Rアンタゴニストは、約400mgの初回量および約200mgの1つまたはそれ以上の第2の用量または維持用量で投与され、第2の用量は、隔週(q2w)で投与される。
【0452】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は、少なくとも60kgの体重を有する青少年対象であり、IL-4Rアンタゴニストは、約50mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、または約600mgの用量で投与される。特に模範的な実施形態では、対象は、少なくとも60kgの体重を有する青少年対象であり、IL-4Rアンタゴニストは、約600mgの初回量および約300mgの1つまたはそれ以上の第2の用量または維持用量で投与され、第2の用量は、隔週(q2w)で投与される。
【0453】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は成人であり、IL-4Rアンタゴニストは、約50mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、または約600mgの用量で投与される。特に例示的な実施形態では、対象は成人であり、IL-4Rアンタゴニストは、約600mgの初回量および約300mgの1つまたはそれ以上の第2の用量または維持用量で投与され、第2の用量は、隔週(q2w)で投与される。
【0454】
ある特定の模範的な実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、プレフィルドデバイスを使用して、150mg/mLの濃度で投与される。一部の実施形態では、プレフィルドデバイス中の150mg/mLのIL-4Rアンタゴニスト溶液は、2mLの注射で300mgのIL-4Rアンタゴニストを送達するために使用される。ある特定の模範的な実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、プレフィルドデバイスを使用して、175mg/mLの濃度で投与される。一部の実施形態では、プレフィルドデバイス中の175mg/mLのIL-4Rアンタゴニスト溶液は、1.14mLの注射で200mgのIL-4Rアンタゴニストを送達するために使用される。
【0455】
併用療法
本明細書に記載される方法のある特定の実施形態は、IL-4Rアンタゴニストと組み合わせて、1つまたはそれ以上の追加の治療剤を対象に投与する工程を含む。本明細書で使用される場合、「と組み合わせて」という表現は、追加の治療薬が、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の前に、その後にまたはそれと同時に投与されることを意味する。いくつかの実施形態では、用語「と組み合わせて」には、IL-4Rアンタゴニスト、および第2の治療薬の逐次または同時投与が含まれる。CSUもしくは関連する状態もしくは合併症を治療するための方法であって、相加または相乗活性のための第2の治療薬と組み合わせて、IL-4Rアンタゴニストを投与する工程を含む、方法が提供される。
【0456】
例えば、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の「前」に投与する場合、追加の治療薬は、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投与の約72時間、約60時間、約48時間、約36時間、約24時間、約12時間、約10時間、約8時間、約6時間、約4時間、約2時間、約1時間、約30分、約15分、または約10分前に投与してもよい。IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の「後」に投与する場合、追加の治療薬は、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投与の約10分、約15分、約30分、約1時間、約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約10時間、約12時間、約24時間、約36時間、約48時間、約60時間、または約72時間後に投与してもよい。IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物と「同時の」投与は、追加の治療薬が、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投与の5分未満の範囲以内で(その前に、その後に、もしくはそれと同時に)別々の剤形で対象に投与される、または追加の治療薬およびIL-4Rアンタゴニストを含む、合わせた単回投与量の配合物として、対象に投与されることを意味する。
【0457】
模範的な実施形態では、IL-4Rアンタゴニストと組み合わせて投与される追加の治療剤は、基礎療法剤である。模範的な実施形態では、基礎療法は、抗ヒスタミン剤および抗IgE抗体の一方または両方を含む。ある特定の実施形態では、本方法は、基礎療法の必要性を低減させる。例えば、ある特定の実施形態では、本方法は、用量を低減させるか、および/または基礎療法の頻度を低減させる。
【0458】
追加の治療薬は、例えば、別のIL-4Rアンタゴニスト(例えば、表1~4に列挙された1つまたはそれ以上の適当なIL-4Rアンタゴニスト)、IgEアンタゴニスト、抗ヒスタミン剤、IL-1アンタゴニスト(例えば、米国特許第6,927,044号に記載されているIL-1アンタゴニストを含む)、IL-5アンタゴニスト、IL-5Rアンタゴニスト、IL-6アンタゴニスト、IL-6Rアンタゴニスト(例えば、米国特許第7,582,298号に記載されている抗IL-6R抗体を含む)、またはIL-17アンタゴニストである場合がある。
【0459】
模範的な実施形態では、追加の治療薬は、H1抗ヒスタミン剤である。一部の実施形態では、H1抗ヒスタミン剤は、セチリジン、レボセチリジン、フェキソフェナジン、ロラタジン、デスロラタジン、ビラスチン、およびルパタジンからなる群から選択される。
【0460】
さらに模範的な実施形態では、追加の治療薬は、抗IgE抗体である。一部の実施形態では、抗IgE抗体は、オマリズマブである。一部の実施形態では、抗IgE抗体は、リゲリズマブである。
【0461】
いくつかの実施形態では、IL-4Rアンタゴニストと組み合わせて投与される追加の治療薬は、ワクチンである。ある特定の模範的な実施形態では、ワクチンは、ウイルス性ワクチンまたは細菌性ワクチンである。ある特定の模範的な実施形態では、ワクチンは、生きた(例えば、生きた弱毒化した)ウイルス性ワクチンまたは生きた(例えば、生きた弱毒化した)細菌性ワクチンである。
【0462】
適当なワクチンには、それだけに限らないが、アデノウイルス、炭疽(例えば、AVAワクチン(BioThrax))、コレラ(例えば、Vaxchora)、ジフテリア(例えば、DTaP(Daptacel、Infanrix)、Td(Tenivac、ジェネリック)、DT(ジェネリック)、Tdap(Adacel、Boostrix)、DTaP-IPV(Kinrix、Quadracel)、DTaP-HepB-IPV(Pediarix)、DTaP-IPV/Hib(Pentacel))、A型肝炎(例えば、HepA(Havrix、Vaqta)、HepA-HepB(Twinrix))、B型肝炎(例えば、HepB(Engerix-B、Recombivax HB、Heplisav-B)、DTaP-HepB-IPV(Pediarix)、HepA-HepB(Twinrix))、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)b型(Hib)(例えば、Hib(ActHIB、PedvaxHIB、Hiberix)、DTaP-IPV/Hib(Pentacel))、ヒトパピローマウイルス(HPV)(例えば、HPV9(Gardasil 9))、インフルエンザ(flu)(例えば、IIV(またIIV3、IIV4、RIV3、RIV4およびccIIV4とも称される)(Afluria、Fluad、Flublok、Flucelvax、FluLaval、Fluarix、Fluvirin、Fluzone、Fluzone High-Dose、Fluzone Intradermal)、LAIV(FluMist))、日本脳炎(例えば、JE(Ixiaro))、麻疹(例えば、MMR(M-M-R II)、MMRV(ProQuad))、髄膜炎菌(例えば、MenACWY(Menactra、Menveo)、MenB(Bexsero、Trumenba))、流行性耳下腺炎(例えば、MMR(M-M-R II)、MMRV(ProQuad))、百日咳(例えば、DTaP(Daptacel、Infanrix)、Tdap(Adacel、Boostrix)、DTaP-IPV(Kinrix、Quadracel)、DTaP-HepB-IPV(Pediarix)、DTaP-IPV/Hib(Pentacel))、肺炎球菌(例えば、PCV13(Prevnar13)、PPSV23(Pneumovax23))、ポリオ(例えば、Polio(Ipol)、DTaP-IPV(Kinrix、Quadracel)、DTaP-HepB-IPV(Pediarix)、DTaP-IPV/Hib(Pentacel))、狂犬病(例えば、Rabies(Imovax Rabies、RabAvert))、ロタウイルス(例えば、RV1(Rotarix)、RV5(RotaTeq))、風疹(例えば、MMR(M-M-R II)、MMRV(ProQuad))、帯状ヘルペス(例えば、ZVL(Zostavax)、RZV(Shingrix))、天然痘(例えば、Vaccinia(ACAM2000))、破傷風(例えば、DTaP(Daptacel、Infanrix)、Td(Tenivac、ジェネリック)、DT(ジェネリック)、Tdap(Adacel、Boostrix)、DTaP-IPV(Kinrix、Quadracel)、DTaP-HepB-IPV(Pediarix)、DTaP-IPV/Hib(Pentacel))、結核、腸チフス(例えば、Typhoid Oral(Vivotif)、腸チフス菌多糖類(Typhoid Polysaccharide)(Typhim Vi))、水痘(例えば、VAR(Varivax)、MMRV(ProQuad))、黄熱病(例えば、YF(YF-Vax))などが含まれる。適当なワクチンはまた、その全体があらゆる目的のために本明細書に組み入れる米国疾病対策予防センター(US Centers for Disease Control)のワクチンリスト(cdc.gov/vaccines/vpd/vaccines-list.html)でも列挙されている。一部の実施形態では、ワクチンは、破傷風、ジフテリア、百日咳および/または季節性3価/4価インフルエンザワクチンのためのものである。
【0463】
いくつかの実施形態では、ワクチンは、不活化ワクチン、組換えワクチン、結合ワクチン、サブユニットワクチン、多糖類ワクチン、またはトキソイドワクチンである。いくつかの実施形態では、ワクチンは、黄熱病ワクチンである。いくつかの実施形態では、ワクチンにより治療された対象は、CSUのために、IL-4Rアンタゴニストと同時に治療される。
【0464】
ある特定の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストによる治療は、ワクチンによる治療の前に中止または終結される。ある特定の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストによる治療は、ワクチンの投与の前に、約1~約9(例えば、約1、約1と1/2、約2、約2と1/2、約3、約3と1/2、約4、約4と1/2、約5、約5と1/2、約6、約6と1/2、約7、約7と1/2、約8、約8と1/2、約9またはそれ以上)週間中止される。いくつかの実施形態では、IL-4Rアンタゴニストによる治療は、ワクチンの投与の前に、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、約52、約53、約54、約55、約56、約57、約58、約59、または約60日間中止される。
【0465】
ある特定の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストによる治療は、ワクチンによる治療の後、再開される。ある特定の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストによる治療は、ワクチンの投与の後、約1~約14(例えば、約1、約1と1/2、約2、約2と1/2、約3、約3と1/2、約4、約4と1/2、約5、約5と1/2、約6、約6と1/2、約7、約7と1/2、約8、約8と1/2、約9、約9と1/2、約10、約10と1/2、約11、約11と1/2、約12、約12と1/2、約13、約13と1/2、約14、約14と1/2、またはそれ以上)週間で再開される。いくつかの実施形態では、IL-4Rアンタゴニストによる治療は、ワクチンの投与の後、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、約52、約53、約54、約55、約56、約57、約58、約59、約60、約61、約62、約63、約64、約65、約66、約67、約68、約69、約70、約71、約72、約73、約74、約75、約76、約77、約78、約79、約80、約81、約82、約83、約84、約85、約86、約87、約88、約89、または約90日で再開される。
【0466】
ある特定の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストの有効性は、ワクチンと組み合わせた投与によって、またはそれに続くワクチンの投与によって減少されない。
【0467】
いくつかの実施形態では、ワクチンの有効性は、IL-4Rアンタゴニストと組み合わせた投与によって、またはIL-4Rアンタゴニストの前のおよび/もしくはそれに続く投与によって減少されない。いくつかの実施形態では、ワクチンがIL-4Rアンタゴニストと共投与される場合、対象は、ワクチンに対する血清防御的な中和力価を発生させる。
【0468】
ある特定の模範的な実施形態では、対象は本明細書に記載されるワクチンが投与され、その場合、ワクチンの投与の前、その間、またはその後に、対象は少なくとも1つの用量のIL-4Rアンタゴニストが投与される。
【0469】
投与レジメン
ある特定の実施形態によれば、IL-4Rアンタゴニストの複数回の用量は、定義された時間的経過にわたって対象に投与してもよい。かかる方法は、IL-4Rアンタゴニストの複数回の用量を対象に逐次に投与する工程を含む。本明細書で使用される場合、「逐次的に投与する」とは、IL-4Rアンタゴニストの各用量は、異なる時点で、例えば、所定の間隔(例えば,時間、日数、週間、または月)により分けられた異なる日に対象に投与されるという意味である。IL-4Rアンタゴニストの単一の初回量、その後、IL-4Rアンタゴニストの1回またはそれ以上の第2の用量、場合により、その後、IL-4Rアンタゴニストの1回またはそれ以上の第3の用量を、患者に逐次的に投与する工程を含む方法が提供される。
【0470】
治療応答が達成される限りは、週約4回、週2回、週1回(q1w)、2週毎に1回(2週毎は、隔週、2週に一度またはq2wと同義的に使用される)、3週毎に1回(3週に一度またはq3w)、4週毎に1回(毎月またはq4w)、5週毎に1回(q5w)、6週毎に1回(q6w)、7週毎に1回(q7w)、8週毎に1回(q8w)、9週毎に1回(q9w)、10週毎に1回(q10w)、11週毎に1回(q11w)、12週毎に1回(q12w)、またはそれより低い頻度での投与頻度で、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を対象に投与する工程を含む方法が提供される。
【0471】
抗IL-4R抗体を含む医薬組成物の投与を含むある特定の実施形態において、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mgまたは約600mgの量の週1回の投与が採用できる。抗IL-4R抗体を含む医薬組成物の投与を含む他の実施形態において、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mgまたは約600mgの量の2週毎に1回の投与(2週毎は、隔週、2週に1度またはq2wと同義的に使用される)が採用できる。抗IL-4R抗体を含む医薬組成物の投与を含む他の実施形態において、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mgまたは約600mgの量の3週毎に1回の投与が採用できる。抗IL-4R抗体を含む医薬組成物の投与を含む他の実施形態において、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mgまたは約600mgの量の4週毎に1回の投与(毎月の投与)が採用できる。抗IL-4R抗体を含む医薬組成物の投与を含む他の実施形態において、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mgまたは約600mgの量の5週毎に1回の投与が採用できる。抗IL-4R抗体を含む医薬組成物の投与を含む他の実施形態において、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mgまたは約600mgの量の6週毎に1回の投与が採用できる。抗IL-4R抗体を含む医薬組成物の投与を含む他の実施形態において、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mgまたは約600mgの量の8週毎に1回の投与が採用できる。抗IL-4R抗体を含む医薬組成物の投与を含む他の実施形態において、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mgまたは約600mgの量の12週毎に1回の投与が採用できる。ある特定の模範的な実施形態では、投与経路は、皮下である。
【0472】
用語「週」とは、(n×7日)±3日、例えば(n×7日)±2日、(n×7日)±1日、または(n×7日)の期間を意味し、「n」は、週の数、例えば、1、2、3、4、5、6、8、12週間またはそれ以上を示す。
【0473】
用語「初回量」、「第2の用量」、および「第3の用量」とは、IL-4Rアンタゴニストの投与の時系列を意味する。したがって、「初回量」は、治療レジメンの開始時に投与される用量(「ベースライン用量」または「負荷投与量」とも称する)であり;「第2の用量」は、初回量の後に投与される用量であり;「第3の用量」は、第2の用量の後に投与される用量である。初回量、第2の用量、および第3の用量は、IL-4Rアンタゴニストの同じ量をすべて含むことができ、投与の回数に関して互いに異なり得る。しかしながら、ある特定の実施形態では、初回量、第2の用量および/または第3の用量において含有されるIL-4Rアンタゴニストの量は、治療中に互いに変わる(例えば、必要に応じて上げたり下げたりして調整される)。ある特定の実施形態では、2回以上(例えば、2、3、4、または5回)の用量は、「負荷投与量」として治療レジメンの開始時に投与され、続いて、より少ない回数で投与されるその後の用量(例えば、「維持量」)で投与される。一実施形態では、維持量は、負荷投与量より少なくてもよい。例えば、600mgまたは400mgのIL-4Rアンタゴニストの1つまたはそれ以上の初回量または負荷用量を投与し、それに続いて約75mg~約400mgの第2の用量または維持量を投与してもよい。一実施形態では、第2の用量/維持量は、初回量/負荷用量と等しくてもよい。例えば、300mgまたは200mgのIL-4Rアンタゴニストの1つまたはそれ以上の初回量/負荷用量を投与し、それに続いてそれぞれ約300mgまたは約200mgの第2の用量/維持量を投与してもよい。一実施形態では、ローディング用量は分割されており、例えば、異なる時点で投与される2回以上の用量、例えば、最初の負荷用量の2週間後に2回目の負荷用量が投与される2回のローディング用量である。
【0474】
ある特定の実施形態では、初回量は、約50mg~約600mgのIL-4Rアンタゴニストである。一実施形態では、初回量は、600mgのIL-4Rアンタゴニストである。別の実施形態では、初回量は、400mgのIL-4Rアンタゴニストである。
【0475】
ある特定の実施形態では、第2の用量は、約50mg~約600mgのIL-4Rアンタゴニストである。一実施形態では、維持量は、300mgのIL-4Rアンタゴニストである。一実施形態では、維持量は、200mgのIL-4Rアンタゴニストである。
【0476】
ある特定の実施形態では、初回量は、維持量の3倍である。ある特定の実施形態では、初回量は、維持量の2倍である。ある特定の実施形態では、初回量は、維持量に等しい。
【0477】
一部の実施形態では、対象は小児であり、15kg未満の体重かつ少なくとも5kgの体重を有し、初回量は、200mgの抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、1つまたはそれ以上の第2の用量は、4週毎(q4w)に投与される200mgの抗体またはその抗原結合フラグメントを含む。
【0478】
一部の実施形態では、対象は小児であり、30kg以下の体重かつ少なくとも15kgの体重を有し、初回量は、600mgの抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、1つまたはそれ以上の第2の用量は、4週毎(q4w)に投与される300mgの抗体またはその抗原結合フラグメントを含む。
【0479】
一部の実施形態では、対象は小児であり、30kg以下の体重かつ少なくとも15kgの体重を有し、初回量は、300mgの抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、1つまたはそれ以上の第2の用量は、4週毎(q4w)に投与される300mgの抗体またはその抗原結合フラグメントを含む。
【0480】
一部の実施形態では、対象は小児であり、30kgを超える体重を有し、初回量は、400mgの抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、1つまたはそれ以上の第2の用量は、隔週(隔週は、2週間毎、2週間に1回またはq2wと互換的に使用される)で投与される200mgの抗体またはその抗原結合フラグメントを含む。
【0481】
一部の実施形態では、対象は青少年であり、60kg未満の体重を有し、初回量は、400mgの抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、1つまたはそれ以上の第2の用量は、隔週(隔週は、2週間毎、2週間に1回またはq2wと互換的に使用される)で投与される200mgの抗体またはその抗原結合フラグメントを含む。模範的な実施形態では、対象は青少年であり、30kg以上かつ60kg未満の体重を有し、初回量は、400mgの抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、1つまたはそれ以上の第2の用量は、隔週(隔週は、2週間毎、2週間に1回またはq2wと互換的に使用される)で投与される200mgの抗体またはその抗原結合フラグメントを含む。
【0482】
一部の実施形態では、対象は青少年であり、60kgを超える体重を有し、初回量は、600mgの抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、1つまたはそれ以上の第2の用量は、隔週(隔週は、2週間毎、2週間に1回またはq2wと互換的に使用される)で投与される300mgの抗体またはその抗原結合フラグメントを含む。
【0483】
一部の実施形態では、対象は成人であり、初回量は、600mgの抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、1つまたはそれ以上の第2の用量は、隔週(隔週は、2週間毎、2週間に1回またはq2wと互換的に使用される)で投与される300mgの抗体またはその抗原結合フラグメントを含む。
【0484】
模範的な一実施形態では、各第2および/または第3の用量は、直前の用量の1~14(例えば、1、1と1/2、2、2と1/2、3、3と1/2、4、4と1/2、5、5と1/2、6、6と1/2、7、7と1/2、8、8と1/2、9、9と1/2、10、10と1/2、11、11と1/2、12、12と1/2、13、13と1/2、14、14と1/2またはそれ以上)週間後に投与される。語句「直前の用量」とは、一連の多回投与で、その用量を妨げない順序でその次の用量の投与前に患者に投与される、IL-4Rアンタゴニストの用量を意味する。
【0485】
本方法は、IL-4Rアンタゴニストのかなり多数の第2および/または第3の用量を患者に投与する工程を含むことができる。例えば、ある特定の実施形態では、単一の第2の用量のみ、患者に投与される。他の実施形態では、2回以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8回またはそれ以上)の第2の用量は、患者に投与される。例えば、ある特定の実施形態では、単一の第3の用量のみ、患者に投与される。他の実施形態では、2回以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8回またはそれ以上)の第3の用量が、患者に投与される。
【0486】
複数の第2の用量を含む実施形態では、各第2の用量は、他の第2の用量と同じ回数で投与してもよい。例えば、各第2の用量は、直前の用量の1~2週間後に患者に投与してもよい。類似的に、複数の第3の用量を含む実施形態では、各第3の用量は、他の第3の用量と同様の回数で投与してもよい。例えば、各第3の用量は、直前の用量の2~4週間後に患者に投与してもよい。あるいは、第2および/または第3の用量が患者に投与される回数は、治療レジメンの間に変わり得る。投与の回数は、臨床検査後に個別の患者の必要性に応じて医師により、治療中に調整することもできる。
【0487】
CSUまたは関連する状態を治療するための、IL-4Rアンタゴニストおよび第2の治療薬の患者への逐次投与を含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、本方法は、IL-4Rアンタゴニストの1回もしくはそれ以上の用量、その後、第2の治療薬の1回もしくはそれ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8回もしくはそれ以上)の用量を投与する工程を含む。例えば、IL-4Rアンタゴニストの1回もしくはそれ以上の用量約75mg~約600mgを投与することができ、その後、第2の治療薬(例えば、本明細書の他の部分に記載される通り、H1抗ヒスタミン薬または抗IgE抗体)の1回またはそれ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8回またはそれ以上)の用量は、CSUの1種またはそれ以上の症状を治療する、緩和する、軽減するまたは寛解させるために、投与することができる。いくつかの実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、1つまたはそれ以上のCSU関連パラメーターの改善をもたらす1回またはそれ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8回またはそれ以上)の用量で投与され、その後、CSUの少なくとも1種の症状の再発を予防するために第2の治療薬が投与される。代替的な実施形態は、IL-4Rアンタゴニスト、ならびに第2の治療薬の同時投与に関係する。例えば、IL-4Rアンタゴニストの1回またはそれ以上の(例えば、2、3、4、5、6、7、8回またはそれ以上)の用量が投与され、第2の治療薬が、IL-4Rアンタゴニストに対して類似のまたは異なる回数で別々の投与量で投与される。いくつかの実施形態では、第2の治療薬は、IL-4Rアンタゴニストの前、その後またはそれと同時に投与される。
【0488】
ある特定の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、隔週で、12週間、14週間、16週間、18週間、20週間、22週間、24週間、26週間、28週間、30週間、32週間、34週間、36週間、38週間、40週間、42週間、44週間、46週間、48週間またはそれ以上投与される。他の実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、4週間に1回、12週間、16週間、20週間、24週間、28週間、32週間、36週間、40週間、44週間、48週間またはそれ以上投与される。詳細な実施形態では、IL-4Rアンタゴニストは、少なくとも24週間投与される。
【0489】
ある特定の実施形態では、インターロイキン-4受容体(IL-4R)と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントの剤形を含むキットであって、抗体またはその抗原結合フラグメントが、CSUの治療のために、それぞれ配列番号3、4、および5を含む3つの重鎖CDR配列、ならびにそれぞれ配列番号6、7、および8を含む3つの軽鎖CDR配列を含む、キットが提供される。ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)配列および配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)配列を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、デュピルマブである。
【0490】
キットは、ラベルまたは添付文書を含むことができ、ラベルまたは添付文書は、CSUの治療のために剤形を投与するための指示書を含む。説明書は、CSUの治療のために本明細書にさらに記載される投与レジメンを記載し得る。
【0491】
治療集団
本明細書で提供される方法は、IL-4Rアンタゴニストを含む治療用組成物をそれを必要とする対象に投与する工程を含む。表現「それを必要とする対象」は、CSUの1つもしくはそれ以上の症状もしくは兆候を示す、またはCSUと診断されているヒトまたは非ヒト動物を意味する。
【0492】
関連する実施形態では、「それを必要とする対象」は、IL-4Rアンタゴニストを受ける前に、抗ヒスタミン薬を処方されたか、または現在服用している対象である。一部の実施形態では、対象は、H1抗ヒスタミン薬を現在服用している。模範的な実施形態では、対象は、セチリジン、レボセチリジン、フェキソフェナジン、ロラタジン、デスロラタジン、ビラスチン、およびルパタジンからなる群から選択されるH1抗ヒスタミン薬を現在服用している。例えば、IL-4Rアンタゴニストを投与する直前の6週間以上の間、H1抗ヒスタミン薬を定期的に服用している患者にIL-4Rアンタゴニストを投与する工程を含む方法(このような先行治療は、本明細書において「基礎治療」と称される)が提供される。
【0493】
他の模範的な実施形態では、「それを必要とする対象」は、IL-4Rアンタゴニストを受ける前に、IgEアンタゴニストを処方されたか、または現在服用している対象である。IL-4Rアンタゴニストの投与と組み合わせて基礎治療を継続する治療方法が提供される。例えば、IL-4Rアンタゴニストの投与の直前に、IgEアンタゴニストの定期的なコース(このような治療歴は、本明細書では「基礎治療」と称される)を受けてきた患者にIL-4Rアンタゴニストを投与する工程を含む方法が提供される。
【0494】
さらに他の実施形態では、H1抗ヒスタミン薬、IgEアンタゴニスト、またはその両方の量は、IL-4Rアンタゴニスト投与の開始前またはその後に、漸減される。
【0495】
別の模範的な実施形態では、「それを必要とする対象」は、IL-4Rアンタゴニストを受ける前に、H1抗ヒスタミン薬に対して難治性のCSUの診断を有する。一部の実施形態では、対象のCSU症状は、H1抗ヒスタミン薬による治療にもかかわらず持続する(すなわち、対象は、H1抗ヒスタミン薬による治療に抵抗性である)。
【0496】
さらなる模範的な実施形態では、「それを必要とする対象」は、オマリズマブなどのIgEアンタゴニストに対してナイーブである(すなわち、対象は、以前にIgEアンタゴニストで治療されていない)。
別の実施形態では、「それを必要とする対象」は、オマリズマブなどのIgEアンタゴニストに不耐性である(すなわち、対象は、IgEアンタゴニスト治療に関連する有害作用を経験する)。
別の実施形態では、「それを必要とする対象」は、オマリズマブを含むIgEアンタゴニストに対する不完全応答者である(すなわち、対象は、IgEアンタゴニストによる治療にもかかわらず、CSU症状を経験し続ける)。
【0497】
一部の実施形態では、「それを必要とする対象」は、以下からなる群から選択される:18歳以上の対象、12歳以上の対象、12~17歳(12~<18歳)の対象、6~11歳(6~<12歳))、2~11歳(2~<12歳)の対象、および2~5歳(2~<6歳)の対象。いくつかの実施形態では、「それを必要とする患者」は、成人、青少年、および小児からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、「それを必要とする患者」は、成人年齢18歳以上、青少年年齢12~17歳(12~<18歳)、小児年齢6~11歳(6~<12歳)、および小児年齢2~5歳(2~<6歳)からなる群から選択される。対象は、2歳未満、例えば、12~23カ月、または6~11カ月であり得る。特に模範的な実施形態では、対象は、6歳~<12歳の小児(本明細書では「小児」対象とも称される)である。ある特定の実施形態では、それを必要とする対象は、少なくとも5kgかつ15kg未満の体重を有する2~<6歳の小児である。ある特定の実施形態では、それを必要とする対象は、30kgを超える体重を有する6~<12歳の小児である。ある特定の実施形態では、それを必要とする対象は、30kg以下および少なくとも15kgの体重を有する6~<12歳の小児である。ある特定の実施形態では、それを必要とする対象は、少なくとも60kgの体重を有する12~<18歳の青少年である。模範的な実施形態では、それを必要とする対象は、60kg未満の体重を有する12~<18歳の青少年である。他の模範的な実施形態では、それを必要とする対象は、30kg以上かつ60kg未満の体重を有する12~<18歳の青少年である。
【0498】
ある特定の実施形態では、CSUを治療するための方法であって、(a)少なくとも300個の細胞/マイクロリットルの血中好酸球レベルを示す対象を選択する工程と、(b)対象に、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を投与する工程とを含む、方法が提供される。
【0499】
ある特定の実施形態では、CSUを治療するための方法であって、(a)200~299個の細胞/マイクロリットルの血中好酸球レベルを示す患者を選択する工程と、(b)IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を患者に投与する工程とを含む、方法が提供される。
【0500】
ある特定の実施形態では、CSUを治療するための方法であって、(a)200個未満の細胞/マイクロリットルの血中好酸球レベルを示す患者を選択する工程と、(b)IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を患者に投与する工程とを含む、方法が提供される。
【0501】
ある特定の実施形態では、CSUを治療するための方法であって、(a)少なくとも150個の細胞/マイクロリットルの血中好酸球レベルを示す患者を選択する工程と、(b)IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を患者に投与する工程とを含む、方法が提供される。
【0502】
ある特定の実施形態では、CSUを治療するための方法であって、(a)少なくとも100個の細胞/マイクロリットルの血中好酸球レベルを示す患者を選択する工程と、(b)IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を患者に投与する工程とを含む、方法が提供される。
【0503】
ある特定の実施形態では、CSUを治療するための方法であって、(a)100個未満の細胞/マイクロリットルの血中好酸球レベルを示す患者を選択する工程と、(b)IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を患者に投与する工程とを含む、方法が提供される。
【0504】
いくつかの実施形態では、「それを必要とする対象」は、ワクチン、例えばウイルス性ワクチンまたは細菌性ワクチンにより治療される対象である。いくつかの実施形態では、ワクチンは、生ワクチン、例えば、生きた(例えば、生きた弱毒化した)ウイルス性ワクチンまたは生きた(例えば、生きた弱毒化した)細菌性ワクチンである。
【0505】
適当なワクチンには、それだけに限らないが、アデノウイルス、炭疽(例えば、AVAワクチン(BioThrax))、コレラ(例えば、Vaxchora)、ジフテリア(例えば、DTaP(Daptacel、Infanrix)、Td(Tenivac、ジェネリック)、DT(ジェネリック)、Tdap(Adacel、Boostrix)、DTaP-IPV(Kinrix、Quadracel)、DTaP-HepB-IPV(Pediarix)、DTaP-IPV/Hib(Pentacel))、A型肝炎(例えば、HepA(Havrix、Vaqta)、HepA-HepB(Twinrix))、B型肝炎(例えば、HepB(Engerix-B、Recombivax HB、Heplisav-B)、DTaP-HepB-IPV(Pediarix)、HepA-HepB(Twinrix))、インフルエンザ菌b型(Hib)(例えば、Hib(ActHIB、PedvaxHIB、Hiberix)、DTaP-IPV/Hib(Pentacel))、ヒトパピローマウイルス(HPV)(例えば、HPV9(Gardasil 9))、インフルエンザ(flu)(例えば、IIV(またIIV3、IIV4、RIV3、RIV4およびccIIV4とも称される)(Afluria、Fluad、Flublok、Flucelvax、FluLaval、Fluarix、Fluvirin、Fluzone、Fluzone High-Dose、Fluzone Intradermal)、LAIV(FluMist))、日本脳炎(例えば、JE(Ixiaro))、麻疹(例えば、MMR(M-M-R II)、MMRV(ProQuad))、髄膜炎菌(例えば、MenACWY(Menactra、Menveo)、MenB(Bexsero、Trumenba))、流行性耳下腺炎(例えば、MMR(M-M-R II)、MMRV(ProQuad))、百日咳(例えば、DTaP(Daptacel、Infanrix)、Tdap(Adacel、Boostrix)、DTaP-IPV(Kinrix、Quadracel)、DTaP-HepB-IPV(Pediarix)、DTaP-IPV/Hib(Pentacel))、肺炎球菌(例えば、PCV13(Prevnar13)、PPSV23(Pneumovax23))、ポリオ(例えば、Polio(Ipol)、DTaP-IPV(Kinrix、Quadracel)、DTaP-HepB-IPV(Pediarix)、DTaP-IPV/Hib(Pentacel))、狂犬病(例えば、Rabies(Imovax Rabies、RabAvert))、ロタウイルス(例えば、RV1(Rotarix)、RV5(RotaTeq))、風疹(例えば、MMR(M-M-R II)、MMRV(ProQuad))、帯状ヘルペス(例えば、ZVL(Zostavax)、RZV(Shingrix))、天然痘(例えば、Vaccinia(ACAM2000))、破傷風(例えば、DTaP(Daptacel、Infanrix)、Td(Tenivac、ジェネリック)、DT(ジェネリック)、Tdap(Adacel、Boostrix)、DTaP-IPV(Kinrix、Quadracel)、DTaP-HepB-IPV(Pediarix)、DTaP-IPV/Hib(Pentacel))、結核、腸チフス(例えば、Typhoid Oral(Vivotif)、腸チフス菌多糖類(Typhoid Polysaccharide)(Typhim Vi))、水痘(例えば、VAR(Varivax)、MMRV(ProQuad))、黄熱病(例えば、YF(YF-Vax))などが含まれる。適当なワクチンはまた、その全体があらゆる目的のために本明細書に組み入れる米国疾病対策予防センター(US Centers for Disease Control)のワクチンリスト(cdc.gov/vaccines/vpd/vaccines-list.html)でも列挙されている。
【0506】
いくつかの実施形態では、ワクチンは、不活化ワクチン、組換えワクチン、結合ワクチン、サブユニットワクチン、多糖類ワクチン、またはトキソイドワクチンである。いくつかの実施形態では、ワクチンは、黄熱病ワクチンである。いくつかの実施形態では、ワクチンにより治療された対象は、CSUのために、IL-4Rアンタゴニストと同時に治療される。いくつかの実施形態では、対象は、ワクチンの投与の前に、IL-4Rアンタゴニストによる治療を中止する。
【0507】
ある特定の実施形態において、対象は、IL-4Rアンタゴニストによる治療を、ワクチンの投与の前に、約1~約9(例えば、約1、約1と1/2、約2、約2と1/2、約3、約3と1/2、約4、約4と1/2、約5、約5と1/2、約6、約6と1/2、約7、約7と1/2、約8、約8と1/2、約9、またはそれ以上)週間中止する。ある特定の実施形態では、対象は、IL-4Rアンタゴニストによる治療を、ワクチンの投与の前に、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、約52、約53、約54、約55、約56、約57、約58、約59、または約60日間中止する。
【0508】
ある特定の実施形態では、対象は、ワクチンによる治療の後、IL-4Rアンタゴニストによる治療を再開する。ある特定の実施形態では、対象は、ワクチンの投与の後、1~14(例えば、約1、約1と1/2、約2、約2と1/2、約3、約3と1/2、約4、約4と1/2、約5、約5と1/2、約6、約6と1/2、約7、約7と1/2、約8、約8と1/2、約9、約9と1/2、約10、約10と1/2、約11、約11と1/2、約12、約12と1/2、約13、約13と1/2、約14、約14と1/2、またはそれ以上)週間でIL-4Rアンタゴニストによる治療を再開する。ある特定の実施形態では、対象は、IL-4Rアンタゴニストによる治療を、ワクチンの投与の後、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、約52、約53、約54、約55、約56、約57、約58、約59、約60、約61、約62、約63、約64、約65、約66、約67、約68、約69、約70、約71、約72、約73、約74、約75、約76、約77、約78、約79、約80、約81、約82、約83、約84、約85、約86、約87、約88、約89、または約90日で再開する。
【0509】
薬力学的なCSU関連パラメーターを評価するための方法
IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投与によって生じる、それを必要とする対象において1つもしくはそれ以上の薬力学的なCSU関連パラメーターを評価するための方法が提供される。CSU症状の発生率の低下または1つもしくはそれ以上のCSU関連PRO指標の改善は、1つまたはそれ以上の薬力学的なCSU関連パラメーターの改善と相関し得るが;そのような相関は、すべての場合において必ずしも観察されるわけではない。
【0510】
「薬力学的なCSU関連パラメーター」の例としては、例えば、以下:(a)バイオマーカー発現レベル;ならびに(b)血清タンパク質およびRNA分析が挙げられる。「薬力学的なCSU関連パラメーターの改善」とは、例えば、1種またはそれ以上のバイオマーカー、例えば、IgE、好酸球レベル、c反応性タンパク質(CRP)、IL-6、D-2量体、中血小板量(MPV)、IL-17、IL-18、IL-31、IL-33、およびメタロプロテイナーゼ-9のベースラインからの減少を意味する。本明細書で使用される場合、薬力学的なCSU関連パラメーターに関して用語「ベースライン」とは、本明細書に記載される医薬組成物の投与前または投与時の患者についての薬力学的なCSU関連パラメーターの数値を意味する。
【0511】
薬力学的なCSU関連パラメーターを評価するために、パラメーターは、ベースラインで、および医薬組成物の投与後の時点で定量化される。例えば、薬力学的なCSU関連パラメーターは、医薬組成物での最初の治療後の、約1日目、約2日目、約3日目、4日目、約5日目、約6日目、約7日目、約8日目、約9日目、約10日目、約11日目、約12日目、約14日目、または約3週目、約4週目、約5週目、約6週目、約7週目、約8週目、約9週目、約10週目、約11週目、約12週目、約13週目、約14週目、約15週目、約16週目、約17週目、約18週目、約19週目、約20週目、約21週目、約22週目、約23週目、約24週目に、またはそれより後に測定してもよい。治療の開始後の特定の時点でのパラメーターの値とベースライン時のパラメーターの値との間の差を用いて、薬力学的なCSU関連パラメーターの変化、例えば、「改善」(例えば、場合によっては、測定される特定のパラメーターに応じて、増加または減少)があるかどうかを確立する。
【0512】
ある特定の実施形態では、患者へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、特定のバイオマーカーの発現の減少または増加などの変化を引き起こす。CSU関連バイオマーカーとしては、総IgE、c反応性タンパク質(CRP)、IL-6、D-2量体、中血小板量(MPV)、IL-17、IL-18、IL-31、IL-33、およびメタロプロテイナーゼ-9が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、CSU患者へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、総血清IgEレベルの減少を引き起こす可能性がある。その低下は、IL-4Rアンタゴニストの投与後約1週目、約2週目、約3週目、約4週目、約5週目またはそれ以上に検出することができる。バイオマーカーの発現は、当技術分野で公知の方法によりアッセイすることができる。例えば、タンパク質レベルは、ELISA(酵素結合免疫吸着測定法)により測定することができる。RNAレベルは、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応に結合された逆転写(RT-PCR)により測定することができる。
【0513】
上記で論じた通り、バイオマーカーの発現は、血清中のタンパク質またはRNAの検出によりアッセイすることができる。血清サンプルを用いて、IL-4Rアンタゴニストによる治療に対する応答に関連する追加のタンパク質もしくはRNAバイオマーカー、または(例えば、可溶性IL-4Rα、IL-4、IL-13などを測定することによる)IL-4/IL-13シグナル伝達をモニターすることもできる。いくつかの実施形態では、RNAサンプルを用いて、RNAレベル(非遺伝分析)、例えば、バイオマーカーのRNAレベルを決定し、他の実施形態では、RNAサンプルは、トランスクリプトームシーケンシング(例えば、遺伝分析)のために用いられる。
【0514】
配合物
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、i)IL-4Rに特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメント約150mg/mL、ii)ヒスチジン約20mM、iii)アセテート約12.5mM、iv)スクロース約5%(w/v)、v)塩酸アルギニン約25mM、viポリソルベート80)約0.2%(w/v)を含む組成物に製剤化され、配合物のpHは、約5.9であり、配合物の粘度は、約8.5センチポイズである。
【0515】
代替の実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、i)IL-4Rに特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメント約175mg/mL、ii)ヒスチジン約20mM、iii)アセテート約12.5mM、iv)スクロース約5%(w/v)、v)塩酸アルギニン約50mM、およびvi)ポリソルベート80約0.2%(w/v)を含む組成物に製剤化され、配合物のpHは、約5.9であり、配合物の粘度は、約8.5センチポイズである。
【0516】
具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1のアミノ酸配列を含むHCVRおよび配列番号2のアミノ酸配列を含むLCVRを含む。
【0517】
具体的な実施形態では、抗体は、デュピルマブを含む。用語「デュピルマブ」はまた、別段の規定がない限り、それらのあらゆるバイオシミラーも含む。
【0518】
適当な安定化された配合物は、あらゆる目的のためにその全体が参照によって本明細書に組み入れるUS8,945,559にも記載されている。
【0519】
本開示は、以下の実施例によってさらに例示されるが、これは、さらなる限定として解釈されるべきではない。図面、表ならびに本出願にわたり引用されたすべての参考文献、特許および公開された特許出願の内容は、あらゆる目的のために明示的に参照によって本明細書に組み入れる。
【0520】
さらに、本開示に従って、当技術分野の技術の範囲内の従来の分子生物学、微生物学、および組換えDNA技術を採用することができる。このような技術は、文献で詳細に説明されている。例えば、GreenおよびSambrook、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第4版(2012)Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New York;DNA Cloning:A Practical Approach、第I巻および第II巻(D.N.Glover編、1985);Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait編、1984);Nucleic Acid Hybridization[B.D.HamesおよびS.J.Higgins編(1985)];Transcription And Translation [B.D.HamesおよびS.J.Higgins編(1984)];Animal Cell Culture [R.I.Freshney編(1986)];Immobilized Cells And Enzymes[IRL Press、(1986)];B.Perbal、A Practical Guide To Molecular Cloning(1984);F.M.Ausubelら(編)、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons,Inc.(1994)を参照されたい。
【0521】
論文、特許、および特許出願の内容、ならびに本明細書で言及または引用された他のすべての文書および電子的に入手可能な情報は、個々の各刊行物が参照によって組み入れることが具体的かつ個別に示されている場合と同程度に、参照によってその全体を本明細書に組み入れる。出願人は、そのような論文、特許、特許出願、または他の物理的および電子的文書から、あらゆる資料および情報を本出願に物理的に組み入れる権利を留保する。
【0522】
本発明をその具体的な実施形態を参照して説明してきたが、本発明の真の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更を加えることができ、均等物を代用することができることを当業者は理解すべきである。本明細書に開示された実施形態の範囲から逸脱することなく、適切な均等物を使用して、本明細書に記載された方法の他の適切な修正および適応を行うことができることは、当業者には容易に明らかであろう。さらに、特定の状況、材料、組成物、プロセス、プロセスの工程(複数可)を、本発明の目的、趣旨および範囲に適合させるために、多くの修正を行うことができる。このような修正はすべて、本明細書に添付の特許請求の範囲に含まれることが意図される。ここで、ある特定の実施形態を詳細に説明したが、以下の実施例を参照することにより、同じことがより明確に理解されるが、これらは例示のみを目的とするものであって、限定的であることを意図しない。
【実施例】
【0523】
次の例は、本開示において特徴付けられる方法および組成物をどのように作製し用いるかの完全な開示および記載を当業者に提供するために示され、本発明者らが、これらの開示と考えるものの範囲を限定することを意図していない。用いられる数(例えば、量、温度など)に関して精度を保証するよう努めているが、一部の実験誤差および偏差は、考慮するべきである。別段示されない限り、部は、重量部であり、分子量は、平均の分子量であり、温度は、摂氏温度であり、圧力は、大気圧であるか、または大気圧に近い。
【0524】
次の実施例において用いられる模範的なIL-4Rアンタゴニストは、デュピルマブと名付けられたヒト抗IL-4R抗体である(本明細書では「mAb1」またはDUPIXENT(登録商標)とも称される)。
【実施例1】
【0525】
オマリズマブ未投与の患者およびオマリズマブ不耐性または不完全応答者である患者において、H1抗ヒスタミン剤治療の使用にもかかわらず依然として症状を有する慢性自発性蕁麻疹(CSU)を有する患者におけるデュピルマブの3つのランダム化二重盲検プラセボ対照多施設並行群間試験
【0526】
試験の根拠
慢性自発性蕁麻疹(CSU)は、慢性特発性蕁麻疹(CIU)とも呼ばれ、血管性浮腫を有するかまたは有さない痒みを伴う膨疹(蕁麻疹)が、特定の既知の原因なしに6週間を超えて持続することを特徴とする一般的な状態である。慢性自発性蕁麻疹の患者は、血管性浮腫の有無にかかわらず、肥満細胞および好塩基球の調節障害に続発する衰弱性の蕁麻疹およびそう痒症を経験する。アゴニスト自己抗体または抗原が架橋した細胞表面結合型免疫グロブリンE(IgE)を介したFcガンマ受容体(FcεRI)の活性化によるこれらの細胞のタイプの脱顆粒は、ヒスタミンおよび他の炎症性メディエーターを放出し、局所組織の浮腫およびそう痒症を引き起こす。蕁麻疹の多くの症状は、主にH1-受容体上のヒスタミン(肥満細胞メディエーター)の作用によって媒介され、H1-抗ヒスタミン剤(H1-AH)による治療が治療の主軸となっている(Zuberbier Tら The EAACI/GA2LEN/EDF/WAO guideline for the definition, classification, diagnosis and management of urticaria.Allergy.2018;73(7):1393~414頁を参照のこと)。患者のおよそ50%は、従来のH1-AH療法で症状のコントロールが得られる(Kaplan AP.Chronic spontaneous urticaria:pathogenesis and treatment considerations.Allergy Asthma Immunol Res.2017;9(6):477~82頁を参照のこと)。抗ヒスタミン剤を増量しても、患者のおよそ40%~50%は症状を有する。
【0527】
オマリズマブが治療効果を発揮する機序は、血清IgEの低下とそれに伴うIgE受容体の下方調節に制約されていると考えられる。オマリズマブによるIgEの標的化はCSU患者の治療に成功しているが、すべての患者がこの治療に同じように応答するわけではない(Maurer Mら Omalizumab for the treatment of chronic idiopathic or spontaneous urticaria.N Engl J Med.2013;368(10):924~35頁を参照のこと)。したがって、要求は満たされていない。
【0528】
この必要性を満たす一つの可能性は、肥満細胞および好塩基球の生存と機能に重要なシグナル伝達経路を標的とする新規治療法である。デュピルマブによるIL-4/IL-13の遮断は、CSU患者に対する新しい治療アプローチを示す。これはIgEを標的とした治療法よりもさらに上流に作用する新規の治療法であるため、ここで記載した臨床試験は、抗ヒスタミン剤単独が無効であった患者、抗ヒスタミン剤とオマリズマブの両方が無効であった患者、またはオマリズマブに不耐性であった患者におけるデュピルマブの効能を示す。デュピルマブがIgE依存性および非依存性の機序によって蕁麻疹および/または血管性浮腫をどの程度阻害するのかを検討し始めるには、2つの試験のそれぞれが同様に重要である。
【0529】
デュピルマブは、インターロイキン-4受容体アルファサブユニット(IL-4Rα)を対象とする完全ヒトモノクローナル抗体(mAb)であり、IL-4Rαはインターロイキン(IL)-4受容体I型およびII型の構成成分であり、後者はIL-13の受容体でもある。デュピルマブがIL-4Rαに結合すると、IL-4とIL-13の両方のシグナル伝達が遮断される。
【0530】
試験概要
プロトコールには、H1-AH治療の使用にもかかわらず依然として症状を有するCSU患者を対象とした3つの試験が含まれており、1つの試験には、オマリズマブ未投与患者(試験A)が含まれ、もう1つの試験にはオマリズマブに不耐性または不完全応答である患者(試験B)が含まれる。試験Cは、試験Aと同様のデザインで同じ試験集団において行われ、2つの適切かつ十分にコントロールされた臨床試験のデータを提供するという保健当局の要件を満たす。3つの試験は同様のデザインであり、2つの試験(試験Aおよび試験C)はオマリズマブ未投与である参加者を対象とし、1つの試験(試験B)はオマリズマブに不耐性または不完全応答である参加者を対象とする。試験Aおよび試験Cは、成人、青少年(≧12~<18 歳)および小児(一部の選択された国では≧6~<12歳)を含む。試験Bは、成人および青少年を含む。選択された投与レジメンは、成人では600mgの負荷用量でデュピルマブ300mgを2週間毎(q2w)、スクリーニング時に>60kgの青少年では600mgの負荷用量で300mgをq2w、またはスクリーニング時に<60kgの青少年では400mgの負荷用量で200mgをq2w、およびスクリーニング時に≧30kgの体重を有する≧6~<12歳の小児では400mgの負荷用量で200mgをq2w、またはスクリーニング時に<30kgかつ≧15kgの体重を有する≧6~<12歳の小児では、600mgの負荷用量で300mgをq4wである。
【0531】
これらの3つの試験のすべてにおいて、標的集団は、H1-AH単独による治療にもかかわらず依然として症状を有するCSU患者からなり、これらの患者は重大な満たされない医学的ニーズを有する。蕁麻疹の定義、分類、診断および管理に関する更新された国際ガイドライン(Zuberbier Tら The EAACI/GA2LEN/EDF/WAO guideline for the definition, classification, diagnosis and management of urticaria.Allergy, 2018;73(7):1393~414頁)は、エビデンスに基づく推奨および治療アルゴリズムを提供する。このアルゴリズムの工程1および2は、それぞれ非鎮静性H1-AHを承認用量、または増量(最大4倍)して使用することである。工程3の治療選択肢は、オマリズマブ、シクロスポリンA、またはモンテルカスト(LTRA)である。このプロトコールでは、承認用量の4倍までのH1-AHをバックグラウンド薬として使用することができる(工程1および2)。
【0532】
3つの試験で予想される参加者の総数は、およそ384人のランダム化された参加者である。
【0533】
オマリズマブ未投与集団で行われる試験Aでは、およそ130人の参加者がランダム化される。これは、各介入アームにランダムに割り当てたおよそ65人の参加者に相当する。登録された参加者のおよそ5%は青少年であり、登録された参加者の最大およそ5%は≧6~<12歳の小児である(一部の選択された国では小児と青少年の両方が採用された)。試験Aでランダム化された実際の参加者数は138人であった。
【0534】
オマリズマブ不耐性または不完全反応の集団で行われる試験Bでは、およそ104人がランダム化される予定であった。登録された参加者のおよそ%は青少年であった(一部の選択された国で採用された)。試験の募集は終了し、試験Bのランダム化された最終参加者数は108人であった。最初のランダム化された83人の参加者が中間分析カットオフ日までに24週間の治療期間を完了し、無益性基準を満たした時点で中間分析を実施した。まだ試験治療を受けている参加者については試験治療を中止し、すべての参加者が追跡期間を完了する必要がある。
【0535】
オマリズマブ不完全応答者とは、少なくとも300mgのオマリズマブで、4 週毎に(q4w)、少なくとも3カ月治療し(最低3回の注射)、治験責任医師の評価により確認されて、オマリズマブ中止をもたらす不十分な応答しか有さなかった参加者と定義される。
【0536】
目的
主要目的H1-AHの使用にもかかわらず依然として症状を有するCSUを有する試験参加者においてデュピルマブの効能を実証すること(試験A:オマリズマブ未投与、試験B:オマリズマブ不耐性または不完全応答)。
【0537】
副次的な目的
- 様々な時点で、蕁麻疹活動性複合エンドポイントおよび痒みまたは蕁麻疹に対するデュピルマブの効能を、様々な時点において個別に実証すること。
- 血管性浮腫に対するデュピルマブの効能を実証すること。
- 蕁麻疹コントロールに対するデュピルマブの効能を実証すること。
- 健康関連の生活の質、全疾患の状態および重症度の改善を実証すること。
- 経口コルチコステロイド(OCS)による治療を必要とする患者の割合を減少させるデュピルマブの能力を評価すること。
- 安全性評価項目を評価すること。
- デュピルマブの免疫原性を評価すること。
【0538】
他の目的
- 蕁麻疹複合スコアおよびその構成成分で評価項目を実証すること
- 健康関連の生活の質および健康状態の指標を実証すること
【0539】
エンドポイント
主要エンドポイント:
- 24週目の週毎の痒み重症度スコア(ISS7)のベースラインからの変化(EUおよびEU参照国を除く)。
- EUおよびEU参照国のみでは:24週目の週毎の蕁麻疹活動性スコアのベースラインからの変化(UAS7、患者が報告した痒みと蕁麻疹の複合スコア)。
【0540】
副次的エンドポイント:
- 12週目*および24週目の週毎の蕁麻疹活動性スコア(UAS7)のベースラインからの変化(EUおよびEU参照国を除く)。
- 12週目*および24週目におけるISS7のベースラインからの変化(EUおよびEU参照国)。
- 12週目および24週目における週毎の蕁麻疹重症度スコア(HSS7)のベースラインからの変化。
- ISS7最小重要度(MID)(ISS7≧5)応答までの時間。
- 第12週*および第24週*におけるISS7 MID(≧5ポイント)応答者の割合。
- すべての時点におけるISS7のベースラインからの変化(作用の発生は、最初のp<0.05で評価され、その後の測定では第24週まで有意なままである)。
- 12週目*および24週目*にUAS7≦6である患者の割合。
- 12週目*および24週目*にUAS7=0である患者の割合。
- 第12週および第24週における7日間にわたる血管性浮腫活動性スコア(AAS7)のベースラインからの変化。
- 12週目および24週目における蕁麻疹コントロール試験(UCT)のベースラインからの変化。
- 12週目および24週目における良好にコントロールされた患者(UCT≧12)の割合。
- 12週目および24週目における、≧16歳の患者における皮膚科生活の質指数(DLQI)および≧6歳~<16歳の患者における小児皮膚科生活の質指数(CDLQI)による健康関連の生活の質(HRQoL)のベースラインからの変化。
- 12週目および24週目におけるCSUの変化についての全般的患者心象(PGIC)。
- 12週目および24週目におけるCSUの重症度についての全般的患者心象(PGIS)のベースラインからの変化。
- 予定された治療期間中にCSUに対してOCSを受けた患者のtime-to-eventおよび割合。
- 治療下で発現した有害事象(TEAE)または重篤な有害事象(SAE)を経験した参加者の割合。
- デュピルマブに対する治療下で発現した抗薬物抗体(ADA)の経時的発現率。
【0541】
測定の適切性
この試験で使用した評価は、CSUを有する参加者における治療の評価のための標準的なものである。CSUは、痒みを伴う蕁麻疹、血管性浮腫、またはその両方が6週間を超えて再発することを特徴とする(Zuberbier Tら Epidemiology of urticaria:a representative cross-sectional population survey.Clin Exp Dermatol.2010; 35:869~73頁;Grob JJら Comparative study of the impact of chronic urticaria, psoriasis and atopic dermatitis on the quality of life.Br J Dermatol.2005; 152:289~95頁)。
【0542】
主要エンドポイントは、24週目の週毎の痒み重症度スコア(ISS7)のベースラインからの変化(EUおよびEU参照国を除く)と、24週目の週毎の蕁麻疹活動性スコア(UAS7、患者が報告した痒みと蕁麻疹の複合スコア)のベースラインからの変化(EUおよびEU参照国)である。痒みは、CSUにおいて生活の質に影響を及ぼす最も重要な患者に関する症状のうちの1つであり、患者が自分の病気をどのように認識しているかに大きく関連している。ISS7は、蕁麻疹活動性スコアUAS7(痒みと蕁麻疹の両方を評価する複合スコア)の2つの構成成分のうちの1つであり、CSUの活動性を前向きに測定するための患者報告アウトカムツールとして確立され、広く受け入れられており(Mlynek Aら How to assess disease activity in patients with chronic urticaria? Allergy.2008; 63:777~80頁)、近年CSUのほとんどの臨床試験で主要なアウトカムパラメーターとして使用されている。(Maurer Mら Omalizumab for the treatment of chronic idiopathic or spontaneous urticaria.N Engl J Med.2013;368(10):924~35頁;Casale TBら Similar efficacy with omalizumab in chronic idiopathic/spontaneous urticaria despite different background therapy.J Allergy Clin Immunol Pract.2015;3(5):743~50頁)。
【0543】
血管性浮腫はCSUにおいて非常によくみられる臨床的特徴として記載されている。CSU患者の最大40%が蕁麻疹と血管性浮腫の混合型を呈し、10%が血管性浮腫のみを呈する。(Moolani Y、Lynde C、Sussman G.Advances in understanding and managing chronic urticaria [version 1; peer review:2 approved].F1000Res.2016;5.pii:F1000 Faculty Rev-177.Available from:URL:https://doi.org/10.12688/f1000research.7246.1)。CSU患者における血管性浮腫の活動性を測定するために十分に開発され、十分に検証された手段である血管性浮腫活動性スコア(AAS)(Weller Kら Development, validation, and initial results of the Angioedema Activity Score.Allergy.2013;68(9):1185~92頁)を評価し、血管性浮腫の活動性を調査した。
【0544】
徴候および症状の概要を提供するUASおよび血管性浮腫に加えて、疾患のコントロールに関する患者の自己評価についての洞察を得ることが重要である。疾患の全体像を把握し、治療経過における疾患のコントロールを評価するために、CSU患者において十分に開発され、検証された手段として、蕁麻疹コントロール試験を使用した。(Weller Kら Development and validation of the urticaria control test:A patient-reported outcome instrument for assessing urticaria control.J Allergy Clin Immunol.2014; 133:1365~72頁)。
【0545】
最後に、CSUを有する患者はかなりのHRQoL障害を経験する。したがって、それぞれ、成人および小児患者の皮膚科特有の生活の質を測定するために開発された2つの手段である皮膚科生活の質指標(DLQI)または小児皮膚科生活の質指標(CDLQI)(Finlay AY、Khan GK. Dermatology life quality index (DLQI):a simple practical measure for routine clinical use. Clin Exp Dermatol.1994;19:210~6頁;Lewis-Jones MS、Finlay AY. The children‘s dermatology life quality index(CDLQI): initial validation and practical use. Br J Dermatol.1995;132(6):942~9頁)を評価した。
【0546】
試験デザイン
試験デザインの概要を
図1に示す。プロトコールは、同一デザインの2つの試験を含み、1つはオマリズマブ未投与の参加者(試験A)、もう1つはオマリズマブ不耐性または不完全応答の参加者(試験B)である。試験Aは、成人、青少年(≧12~<18歳)および小児(一部の選択された国では≧6~<12歳)を含んだ。試験Bは成人および青少年を含んだ。両試験とも24週間の二重盲検ランダム化プラセボ対照試験であり、H1-AHの使用にもかかわらず依然として症状を有するCSUを有する患者におけるデュピルマブの使用を評価するものである。本試験では、1日1回、7日間の平均で別々にスコア化された痒みおよび蕁麻疹、7日間の平均でスコア化された蕁麻疹活動性スコア(複合)による痒みおよび蕁麻疹の頻度/重症度、血管性浮腫活動性、蕁麻疹コントロール、患者の健康関連の生活の質(HRQoL)、ならびに健康状態に対するデュピルマブの効果を評価した。
【0547】
オマリズマブ不完全応答者とは、少なくとも300mgのオマリズマブで、4週毎に(q4w)、少なくとも3カ月間皮下に(SC)治療し(最低3回の注射)、治験責任医師の評価により確認されて、オマリズマブ中止をもたらす不十分な応答しか有さなかった患者と定義される。オマリズマブに対する不耐性または不完全な反応に関する情報は、患者の医療記録に十分に記録されなければならない。
【0548】
両試験AおよびBでは、個々にスコア化された痒みおよび蕁麻疹の頻度/重症度に対する、蕁麻疹活動性スコア(複合スコア)による、血管性浮腫活動性、蕁麻疹コントロールに対する、ならびに参加者のHRQoLおよび健康状態に対するデュピルマブの効果が評価された。
【0549】
各試験AおよびBは、参加者および治験責任医師に対してそれぞれ盲検化/マスク化された2つのアームの並行治療試験である。これらの試験はデュピルマブまたはプラセボによる治療に関する二重盲検試験であるが、≧6~<12歳の青少年および小児の異なる体重カテゴリーに対して使用されるデュピルマブの用量レベル(300mg/適合するプラセボまたは200mg/適合するプラセボ)の容量サイズ(2mLおよび1.14mL)が異なるため、体重に基づく用量レベルに対して盲検化されない。さらに、小児では、IMPの投与頻度が異なるため(q4wとq2w)、用量レジメンに対して盲検化されない。活動スケジュールを
図2に示す。
【0550】
2つ(試験AおよびB)はそれぞれ3つの期間からなる:
- スクリーニング期間(2~4週間)。
- IMP治療期間(24週間±3日):およそ234名の参加者(試験Aでは130名の参加者、試験Bでは104名の参加者)を以下の治療のうちの1つにランダム化する(1:1):
デュピルマブ:
成人:300mgを2週間毎(q2w);
青少年:スクリーニング時に体<60kgの青少年には200mgをq2w、またはスクリーニング時に≧60kgの青少年には300mgをq2w;
試験A:≧6~<12歳の小児:スクリーニング時に≧30kgの小児には200mgをq2w、およびスクリーニング時に<30kg~≧15kgの小児には300mgをq4w;
適合させたプラセボ
【0551】
1日目に、割り当てた治療群と同等の負荷量を投与する。デュピルマブ300mgをq2w/q4wまたは適合させたプラセボアームに割り当てられた患者は、1日目に2mLの注射を2回受ける。デュピルマブ200mgをq2wまたは適合させたプラセボアームは、1日目に1.14mLの注射を2回受ける。
- IMP治療後の期間(12週間±3日)。
【0552】
2つの試験のそれぞれでは、参加者は推奨用量の最大4倍量の長時間作用型非鎮静性H1-AHによる確立された標準治療のバックグラウンド療法を継続した。スクリーニング来診(来診1)時に患者が推奨用量の4倍を超える用量を服用していた場合、治験責任医師はスクリーニング来診(来診1)時に規定された範囲内で患者の用量を調整することができた。患者は、救済治療が開始されるような再発を経験しない限り、試験期間中同じ用量を毎日服用し続けた。承認されたH1-AH用量(スクリーニング時に使用された維持用量)の1~3倍量を服用している参加者は全員、スクリーニング期間、治療期間、追跡期間中、推奨用量の4倍を超えない限り、救済治療としてH1-AH薬の追加用量の服用を許可された。H1-AHを最大許容量まで増量してもなお症状がコントロールできない場合、参加者は治療期間中および追跡期間中に救済治療としてOCSを短期間服用することができた。承認されたH1-AH用量の4倍をすでに服用している参加者は、治療期間中および追跡期間中、救済治療として経口コルチコステロイド(OCS)を短期間服用することを許可された。しかし、一次分析のために、OCS使用後に収集したデータは欠測とし、OCS使用前のベースライン後の最悪値を使用した。
【0553】
試験デザインの科学的根拠
試験AおよびBのそれぞれでは、最適化されたバックグラウンド療法に加えて中等度から重度の症状を有するCSU患者においてIMPの効果を評価するランダム化プラセボ対照試験デザインが、H1-AHの使用にもかかわらず依然として症状を有し、オマリズマブ未投与または不耐性もしくは不完全応答であるCSUを有する患者におけるデュピルマブの効能および安全性を調査するための最も適切なデザインであると考えられた、
【0554】
試験Aはオマリズマブ未投与の患者を標的とした。CSU患者の50%より多くがH1抗ヒスタミン剤治療に応答しない。(Zuberbier Tら The EAACI/GA2LEN/EDF/WAO guideline for the definition, classification, diagnosis and management of urticaria.Allergy.2018;73(7):1393~414頁;Zuberbier Tら The EAACI/GA(2)LEN/EDF/WAO guideline for the definition, classification, diagnosis, and management of urticaria:the 2013 revision and update.Allergy.2014;69(7):868~87頁)。
【0555】
試験Bは、オマリズマブ治療を受けたCSU患者を標的とした。およそ20%~40%の患者はオマリズマブに応答せず、有効な第3選択治療がないままであり、これらの患者は最も満たされない医学的ニーズを有する。(Zuberbier Tら The EAACI/GA2LEN/EDF/WAO guideline for the definition, classification, diagnosis and management of urticaria.Allergy.2018;73(7):1393~414頁)。本試験では、オマリズマブ不耐性患者も標的とした。
【0556】
試験Aの青少年患者のおよそ5%、試験Bの青少年患者のおよそ5%を含めることは、オマリズマブの臨床開発プログラムと一致しており、CSUを有する青少年患者の有病率に近似する。(Zuberbier T、Aberer W、Asero R、Bindslev-Jensen C、Brzoza Z、Canonica GWら EAACI/GA(2)LEN/EDF/WAO guideline for the definition, classification, diagnosis, and management of urticaria:the 2013 revision and update.Allergy.2014;69(7):868~87頁)。
【0557】
試験終了の定義
参加者は、最後の試験終了時(EOS)の来診を含め、試験の全相を完了した場合、試験を完了したとみなされる。参加者が治療期間を早期に中止したが、予定された EOS来診まで追跡調査を完了した場合、その参加者は完了者とみなされる。全体的なEOSは、本試験の最後の参加者の最後の来診日と定義される。
【0558】
試験集団
組み入れ基準
2つの試験AおよびBのそれぞれについて、参加者は以下の基準すべてに当てはまる場合のみ、試験に参加する資格がある:
年齢
I1.試験Aおよび試験C:参加者はインフォームドコンセント署名時に≧6~80歳であること。
試験B:参加者は、インフォームドコンセントに署名する時点で、≧12歳(または治験実施医療機関の所在国における青少年の法定最低年齢)~80歳でなければならない。
注:現地の規制により≧6~<12歳の小児の登録が認められていない国では、募集は≧12歳(または治験実施医療機関の国における青少年の最低法定年齢)の者に限定される。現地の規制により≧6~<12歳の小児および青少年の登録が認められていない国では、募集は≧18歳の者に限定される。
【0559】
参加者のタイプおよび疾患の特徴
以下のすべてによって定義されるように、ランダム化時点でH1-AHに対して難治性のCSUと診断された参加者:
I2.スクリーニング来診(来診1)の>6カ月前にCSUと診断された。
I3.スクリーニング来診(来診1)の前の任意の時点で、この期間にH1-AHを使用しているにもかかわらず、>6週間連続して痒みおよび蕁麻疹が存在する。
I4.CSU治療のために試験で定義された H1-AH を使用している参加者。注:参加者は、スクリーニング前の非鎮静性H1-AH用量を維持すること。推奨用量の4倍までしか許可されない。参加者がスクリーニング時に推奨用量の4倍を超える用量を服用している場合、治験責任医師はスクリーニング来診(来診1)時に参加者の用量を規定の範囲に調整することができる。H1-AH用量は、スクリーニング来診(来診1)前に少なくとも連続3日間安定していなければならない。
I5.ランダム化前の7日間:
- UAS7>16
- ISS7>8
注:本試験に適格であるためには、ランダム化前の7日間に電子日記(e-日記)(UAS7およびISS7)の欠測がないことが必要である。
I6.試験A(オマリズマブ未投与):オマリズマブ未投与の参加者。
試験B(オマリズマブ不耐性または不完全応答者):オマリズマブ不完全応答者とは、少なくとも300mgのオマリズマブで、4 週毎に(q4w)、少なくとも3カ月間治療し(最低3回の注射)、治験責任医師の評価により確認されて、オマリズマブ中止をもたらす不十分な応答しか有さなかった患者と定義される。注:オマリズマブに対する不耐性または不完全な反応に関する情報は、患者の医療記録に十分に記録されなければならない。
I7.参加者は試験期間中、毎日症状のe-日記を完了する意思と能力があること。
【0560】
試験概要
参加者数
2つの試験で予想される参加者総数は、ランダム化されたおよそ234人であった。
【0561】
オマリズマブ未投与集団で行われた試験Aでは、およそ130人の参加者がランダム化された。これは各介入アームにランダムに割り当てられたおよそ65人の参加者に相当する。登録された参加者のおよそ5%が青少年であり、最大およそ5%が≧6~<12歳の小児であることが計画された(一部の選択された国では小児と青少年の両方が採用された)。
【0562】
オマリズマブ不耐性または不完全応答集団で行われた試験Bでは、およそ104名の参加者をランダム化した。これは各介入アームにランダムに割り当てられたおよそ52人の参加者に相当する。登録された参加者のおよそ5%が青少年であることが計画された(いくつかの選択された国で募集された)。中間分析は、ランダム化された最初の80名の患者が中間分析カットオフ日までに24週の治療期間を完了した場合に実施した。
【0563】
登録された参加者のおよそ30%~40%が血管性浮腫を有すると予想された。
【0564】
オマリズマブ不完全応答者とは、少なくとも300mgのオマリズマブで、4週毎に(q4w)、少なくとも3カ月間治療し(最低3回の注射)、治験責任医師の評価により確認されて、オマリズマブ中止をもたらす不適切な応答しか有さなかった参加者と定義される。
【0565】
介入群および期間
組み入れ基準および除外基準を満たした患者を、以下の治験薬(IMP)治療群のうちの1つにランダム化した(1:1):
- デュピルマブ:
- 成人:300mgを2週間毎(q2w)
- 青少年:スクリーニング時に<60kgの青少年には200mgをq2w、スクリーニング時に≧60kgの青少年には300mgをq2w
- 試験A(のみ):≧6~<12歳の小児:スクリーニング時に≧30kgの小児には200mgをq2w、スクリーニング時に≧15kgの小児には300mgをq4w
- 適合させたプラセボ
【0566】
試験期間(参加者1人当たり)
- スクリーニング期間(2~4週間)
- ランダム化IMP治療期間(24週間)
- IMP治療(12週間)後
【0567】
試験介入
治験薬:
- デュピルマブ300mgおよびプラセボと適合するデュピルマブ300mgは、視覚的に区別できないプレフィルドシリンジで供給される。
- デュピルマブ200mgおよびプラセボと適合するデュピルマブ200mgは、視覚的に区別できないプレフィルドシリンジで供給される。
デュピルマブ
製剤:
- デュピルマブ300mg:150mg/mLのデュピルマブ溶液をプレフィルドシリンジに充填し、2mLの注射液で300mgを送達するか、または
- デュピルマブ200mg:175mg/mLのデュピルマブ溶液をプレフィルドシリンジに充填し、1.14mLの注射液で200mgを送達する
投与経路:皮下(SC)注射
投与レジメン:
- 1日目の初回負荷投与(2回)後、q2w/q4wに1回注射
プラセボ:
製剤:
- プラセボと適合するデュピルマブ300mg:デュピルマブを含まない活性製剤と同じ製剤300mgをプレフィルドシリンジに充填し、プラセボを2mLの注射液で送達するか、または
- プラセボと適合するデュピルマブ200mg:デュピルマブを含まない活性製剤と同じ製剤200mgをプレフィルドシリンジに充填し、1.14mLの注射液で送達する
投与経路:SC注射
用量レジメン:
- 1日目の初回負荷投与(2回)後、q2w/q4wに1回注射
参加者は推奨用量の4倍までの長時間作用型非鎮静性H1-AHによる確立された標準治療のバックグラウンド療法を継続した。スクリーニング来診(来診1)に参加者が推奨用量の4倍を超える用量を服用していた場合、治験責任医師はスクリーニング来診(来診1)に規定された範囲内で参加者の用量を調整することができた。参加者は、救済治療を開始できるような再発を経験しない限り、試験期間中、同じ用量を毎日服用し続けた。以下のH1-AHのリストが許可され、推奨用量が記載されている:
- セチリジン10mgを1日1回(qd)。
- レボセチリジン塩酸塩5mgをqd
- フェキソフェナジン60mgを1日2回または180mgをqd
- ロラタジン10mgをqd
- デスロラタジン5mgをqd
- ビラスチン20mgをqd
- ルパタジン10mgをqd
- 治験依頼者と協議後に他のH1-AH
【0568】
試験介入
試験介入とは、試験プロトコールに従って試験A、試験Bまたは試験Cの参加者に投与されることを意図した治験介入、市販製品、プラセボまたは医療機器と定義される。投与される試験介入の概要は以下の表5に示されている。
【0569】
【0570】
24週間の治療期間中、治験薬(IMP)は14±3日毎(q2w)、<30kgかつ≧15kgの小児には28±3日毎(q4W)に投与される。
【0571】
治験責任医師またはその代理人は、来診2で参加者(または保護者/法定代理人/介護者)に対し、IMPの調製方法と注射方法をトレーニングした。施設スタッフは2回の注射のうち最初の用量を注射した。参加者(または保護者/法定代理人/介護者)は、治験責任医師または治験代理人の監督下で2回目の注射を行った。
【0572】
参加者が試験来診する場合、臨床手順および採血に続いてIMPが投与される。患者は少なくとも30分間モニターされるべきである。モニタリング期間は、国別または施設別の要件に従って延長することができる。
【0573】
参加者(または親/法的委任を受けた代理人/介護者)がIMPを投与できないかまたはIMPを投与する意思がない場合、予定外の訪問によって施設で注射が行われる;または、試験施設で投与が予定されていない用量について、資格を有する施設の職員および/または医療専門家(例えば、訪問看護サービス)がIMPを投与するように手配することができる。
【0574】
皮下注射部位は、大腿上部、腹部4区分、または上腕のいずれかを交互に行い、連続投与中に同じ部位に2回注射しないようにする。上腕への注射は、訓練を受けた者(治験責任医師または治験分担医師による訓練を受けた親/法的委任を受けた代理人/介護者)または医療従事者のみが行うことができ、参加者自身が行うことはできない。IMP注射は、患者が蕁麻疹または血管性浮腫を有するエリアでは避けるべきである。
【0575】
参加者/保護者/法的委任を受けた代理人/介護者は、注射後少なくとも30分間(または国別または地域別の要件に従ってそれより長く)自宅で自己監視/モニターするために、過敏反応の潜在的な徴候や症状を認識するために施設スタッフによるトレーニングを受けるべきである。過敏症状の場合には、患者は医療機関/救急に連絡するべきである。
【0576】
治験施設以外での投与については、注射に関連する情報を記録するための紙日誌が提供される。この日誌は、患者の試験ファイルのソースデータとして保管される。
【0577】
非治験薬
参加者は、長時間作用型の非鎮静性H1-AHを推奨用量の4倍まで用い、確立された標準治療のバックグラウンド療法を継続すること。スクリーニング来診(来診1)時に参加者が推奨用量の4倍を超える用量を服用している場合、治験責任医師はスクリーニング来診(来診1)時に規定された範囲内で参加者の用量を調整することができる。参加者は、救済治療が開始されるような再発を経験しない限り、試験期間中、同じ用量を毎日服用し続けるべきである。以下のH1-AHのリストが許可され、推奨用量が記載されている:
- セチリジン10mgを1日1回(qd)。
- レボセチリジン塩酸塩5mgをqd
- フェキソフェナジン60mgを1日2回または180mgをqd
- ロラタジン10mgをqd
- デスロラタジン5mgをqd
- ビラスチン20mgをqd
- ルパタジン10mgをqd
- 治験依頼者と協議後に他のH1-AH
【0578】
安全上の注意を含むH1-AHに関連する他の情報については、National Productラベルを参照のこと。
【0579】
患者を治療群に割り当てる方法
患者は1:1の比率で治療アームにランダム化された。ランダム化はまず年齢別に層別化された(試験Aでは成人対青少年対小児、試験Bでは成人対青少年;試験Aでは小児が全サンプルサイズのおよそ5%まで、試験Aおよび試験Bではそれぞれ青少年が全サンプルサイズのおよそ5%まで)。成人では、ランダム化は国別にさらに層別化された。青少年/≧6歳~<12歳の小児では、ランダム化はそれ以上層別化されなかった。
【0580】
登録された参加者のおよそ30%~40%が血管性浮腫を有すると予想された。
【0581】
ランダム化された参加者とは、治療が投与されたかどうかに関係なく、ランダム化された介入に割り付けられた参加者(すなわち、IRTにより登録された参加者)と定義される。参加者が、本試験において複数回ランダム化されることはない。
【0582】
盲検化の方法
デュピルマブ300mg/200mgおよびプラセボに適当するデュピルマブ300mg/200mgは、各用量について視覚的に区別できないように、同一に適合させた2mL/1.14mLのプレフィルドシリンジで提供された。シリンジと箱には治療キット番号が標識されている。これらのはデュピルマブまたはプラセボによる治療に関する二重盲検試験であるが、≧6~<12歳の青少年および小児の異なる体重カテゴリーに対して使用されるデュピルマブの用量レベル(300mg/適合するプラセボまたは200mg/適合するプラセボ)の容量サイズ(2mLおよび1.14mL)が異なるため、体重に基づく用量レベルに対して盲検化されない。さらに、小児では、IMPの投与頻度が異なるため(q4wとq2w)、用量レジメンに対して盲検化されない。
【0583】
併用療法
参加者が登録時に受けているか、または試験中に受ける薬またはワクチン(市販薬または処方薬、ビタミン剤、および/またはハーブサプリメントを含む)は、以下と共にすべて一緒に記録されなければならない:
- 使用の理由
- 投与開始日と終了日を含む投与日。
- 用量および頻度などの投与量情報。
【0584】
長時間作用型の非鎮静性H1-AHは、推奨用量の4倍までであれば、バックグラウンド薬として、またレスキュー薬としてオンデマンドで許可される。
【0585】
試験期間中、以下の治療法の併用は禁止される。これらの治療を受けている参加者は試験治療を中止すること:
- 全身性免疫抑制因子(免疫抑制薬/免疫調節薬)例えば、全身性コルチコステロイド(経口または非経口[静脈内、筋肉内、SC])、シクロスポリン、ミコフェノール酸モフェチル、インターフェロンガンマ、ヤヌスキナーゼ阻害剤、アザチオプリン、メトトレキサート、ヒドロキシクロロキン、ダプソン、スルファサラジン、コルヒチンなど。注:OCSの短期間が救済治療、抗線溶薬トラネキサム酸およびイプシロン-アミノカプロン酸として認められている。
- 他のモノクローナル抗体(生物学的応答改質剤である)
- 光線療法(日焼けベッドを含む)
- IVIG
- プラズマフェレーシス
- 他の治験薬
【0586】
試験期間中、以下の治療法の併用は禁止されているが、プロトコールに反してこれらの治療を受けている参加者では、試験治療を中止する必要はなかった:
- 局所コルチコステロイド
- 局所カルシニューリン阻害剤
- 局所および経口抗ヒスタミン剤(バックグラウンド療法として認められているものを除く)
- ドキセピンの定期投与(5日以上連続して毎日または隔日)
- LTRAおよびH2受容体アンタゴニストは、安定していてCSU以外の疾患のために服用する場合を除く。
【0587】
レスキュー薬
承認された非鎮静性H1-AH用量(スクリーニングで使用された維持用量)の1~3倍を服用しているすべての参加者は、スクリーニング、治療、および追跡期間中、推奨用量の4倍を超えない限り、救済治療としてH1-AH薬の追加用量を服用することが許可された。H1-AHを最大許容量まで増量してもなお症状がコントロールできない場合、参加者は治療期間中および追跡期間中に救済治療としてOCSを短期間服用することができた。承認されたH1-AH用量の4倍の安定用量を服用している参加者は、治療期間中および追跡期間中、救済治療としてOCSを短期間服用することが許可された。一貫性を確保するため、可能であれば、経口プレドニン40mg(または臨床的に同等のOCS)を開始用量として5~7日間OCSを使用し、その後治験責任医師の判断により漸減することが推奨される。
【0588】
最初の抗ヒスタミン剤維持用量は試験期間中安定したままとし、参加者は救済治療が不要になった後も維持用量を継続すること。
【0589】
許可されたレスキュー薬の使用は、可能であれば、治験治療開始後少なくとも8週間は延期すべきである。レスキュー薬の投与日時、およびレスキュー薬の名称と投与レジメンを記録しなければならない。
【0590】
H1-AHおよびOCSに関する他の情報(安全上の注意を含む)については、National Productを参照のこと。
【0591】
試験介入の中止
まれに、参加者が試験介入を永久に中止する必要が生じる場合がある。試験介入が恒久的に中止される場合、参加者は治療終了(EOT)来診時に計画されたすべての評価を行い、早期の治療中止来診を完了すべきである。
【0592】
参加者は、理由の如何を問わず、いつでも IMP治療を中止することができ、これは治験責任医師の決定であってもよい。治療中止の理由を文書化し、eCRF に文書で記録するよう全力を尽くすこと。
【0593】
以下の理由により、患者が試験治療から永久に離脱すること:
- 本人または法的に認められた代理人(法的に認められた代理人とは、適用法に基づいて、参加希望者に代わって、患者が試験に関与する手続きに参加することに同意する権限を与えられた個人または司法他の機関をいう)が要請した場合。
- 治験責任医師の見解により、本試験の継続が参加者の福利を損なうと判断された場合。
- 治験依頼者からの特別な要請があった場合。
- プロトコールを逸脱した場合、治験責任医師または治験依頼者の判断による。
- 治験責任医師が要求したコードが破られた場合、試験への介入は永久に中止される。
- 妊娠。
- IMPに関連し、治療を必要とするアナフィラキシー反応または全身性アレルギー反応。
- 子宮頸部上皮内がん、皮膚の扁平上皮癌または基底細胞癌を除き、試験中に悪性腫瘍と診断された場合。
- 日和見感染症、または免疫不全状態を示唆するような性質もしくは経過をとる他の感染症。
- 血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)>3×正常上限値(ULN)および総ビリルビン>2×ULN。
- ベースラインALT≦2×ULNの場合は血清ALT>5×ULN、ベースラインALT>2×ULNの場合はALT>8×ULN。
- 参加者が、禁止されている薬物の使用を必要とする医学的状態を発症した場合。
【0594】
効能評価
効能データは電子デバイスを使って収集した。e-日記は、UAS7およびAAS7質問票のようなPROの毎日の記録、およびH1-AH薬の使用に使用される。このデバイスは、スクリーニング来診(来診1)時に、使用説明書を含めて配布され、参加者/両親/介護者/法定代理人にデバイスの使用に関して指示された。記録された情報は毎日このデバイスからダウンロードされた。EOS来診の際、e-日記はダウンロードされ、施設に返却された。定期的に、施設スタッフは参加者のe日記からダウンロードした情報をベンダーのウェブサイトで確認する必要がある。特に、UAS7とAAS7をレビューしている疾患の状態、バックグラウンド療法の遵守状況、e-日記全体の遵守状況をチェックすべきである。施設は対象に関して適切な追跡調査を行うべきである。<16歳の青少年と同じ質問票が6~<12歳の小児にも用いられた。UCT、DLQI(≧16歳)/CDLQI(≧6~<16歳)、CU-Q2oL、5段階EuroQol 5項目質問票(EQ-5D-5L)(16歳)/EuroQol 5項目小児質問票(EQ-5D-Y)(6歳以上16歳未満)、PGIC、PGIS、および欠席/欠勤日数の質問票については、参加者は施設訪問時に、施設に提供されたタブレットに質問票を記入した。このデバイスは試験期間中、施設に保管される。
【0595】
蕁麻疹活動性スコア
蕁麻疹活動性スコア(UAS)は、有効な患者によって報告されたアウトカム(PRO)指標である。毎日のUASは、毎日の蕁麻疹重症度スコア(HSS、0=なし~3=50個以上の蕁麻疹までの範囲)と毎日の痒み重症度スコア(ISS、0=なし~3=強いまでの範囲)の合計であり、2つの主要な蕁麻疹の徴候および症状は膨疹と痒みである。毎日のUASスコアは0~6ポイント/日の範囲である。毎日のUASスコアは7日間にわたり合計され、UAS7は0~42までの範囲であり、HSS7およびISS7構成成分から構成される。UAS7は、CSUの活動を予測的に測定する確立され、広く許容されたPROツールである。(Mlynek Aら How to assess disease activity in patients with chronic urticaria? Allergy.2008;63(6):777~80)。これは、近年のCSUのほとんどの臨床試験において、主要なアウトカムパラメーターおよび医療行為として使用されている(Maurer Mら Omalizumab for the treatment of chronic idiopathic or spontaneous urticaria.N Engl J Med.2013;368(10):924~35頁; Casale TBら Similar efficacy with omalizumab in chronic idiopathic/spontaneous urticaria despite different background therapy.J Allergy Clin Immunol Pract.2015;3(5):743~50頁)。CSU参加者のスコアの変化の解釈を助けるために、9.5~10.5の範囲の最小重要差(MID)値が定義されている。(Hollis Kら Comparison of urticaria activity score over 7 days (UAS7)values obtained from once-daily and twice-daily versions:Results from the ASSURE-CSU study.Am J Clin Dermatol.2018;19(2):267~74頁; Hawro Tら The urticaria activity score-validity, reliability, and responsiveness.J Allergy Clin Immunol Pract.2018;6(4):1185~90頁; Mathias SDら Evaluating the minimally important difference of the urticaria activity score and other measures of disease activity in patients with chronic idiopathic urticaria.Ann Allergy Asthma Immunol.2012;108(1):20~4頁)。
【0596】
血管性浮腫活動性スコア
血管性浮腫活動性スコア(AAS)は、血管性浮腫の活動性を評価する有効なPRO指標である。(Weller Kら Development, validation, and initial results of the Angioedema Activity Score.Allergy.2013;68(9):1185~92頁)。AASは、参加者が過去24時間の血管性浮腫の有無を毎日文書で記録する日記である。血管性浮腫が存在する場合、参加者は腫脹エピソードが発生した日の時間、およびこの腫脹エピソードがもたらした重症度と日常機能および外見への影響に関する5つの追加質問に答える。各AAS項目は0~3ポイントの間でスコア化され、すなわち、1日のAASの最小値と最大値は0ポイントと15ポイントである。毎日のAASは7日間のスコア(AAS7)に合計され、7日間のスコアは0~105ポイントの範囲である(上掲)。およそ8ポイントのAAS7のMIDが確立されている(上掲)。
【0597】
蕁麻疹コントロール試験
蕁麻疹コントロール試験は、4つの項目:蕁麻疹症状のそう痒および膨疹の重症度、治療頻度が不十分、QoL障害、全体的な蕁麻疹コントロールに基づき、蕁麻疹コントロールを評価するための有効なPRO指標である(Weller Kら Development, validation, and initial results of the Angioedema Activity Score.Allergy.2013;68(9):1185~92頁)。各項目は5ポイントのリッカートタイプスケール(0~4ポイントでスコア化)で格付けされる。低スコアは、疾患活動性が高く、疾患コントロールが低いことを示す。UCT総スコアは、4つの個別項目のスコアをすべて加算して算出される。したがって、UCRスコアは最小値および最大値は、0および16であり、16ポイントのスコアは完全な疾患コントロールを示す。(Weller Kら Development, validation, and initial results of the Angioedema Activity Score.Allergy.2013;68(9):1185~92頁)。
【0598】
皮膚科生活の質指数および小児皮膚科生活の質指数
皮膚科生活の質指数(DLQI)は、成人参加者の皮膚科に特異的なHRQoLを測定するために開発されたPROである。(Finlay AY、Khan GK.Dermatology life quality index (DLQI):a simple practical measure for routine clinical use.Clin Exp Dermatol.1994;19:210~6頁)。この手段は、前週における参加者のHRQoLへの皮膚疾患の影響を評価する10項目を含む。項目は、症状、余暇活動、仕事/学校または休日の過ごし方、親密な関係を含む人間関係、治療の副作用、および皮膚疾患を有することに対する感情的反応をカバーしている。これは、臨床現場および臨床試験で使用される有効な質問票である>(Chernyshov PV.The evolution of quality of life assessment and use in dermatology.Dermatology.2019;235(3):167~74頁)。応答スケールは、9項目についての4ポイントのリッカートスケールである(0=「全くない」、3=「非常にある」)。仕事/試験に関する残りの1項目は、仕事/試験が妨げられたかどうか、および(「いいえ」の場合)仕事/試験でどの程度皮膚状態が問題となったかを尋ねており、この項目は3ポイントのリッカートスケール(「全くない」~「とてもある」)で格付けされる。全体的なスコア化は0~30ポイントの範囲であり、高スコアはHRQoLが低いことを示す。DLQI総スコアと参加者が評価した痒みの重症度スコアの変化を用いた分布およびアンカーに基づくアプローチの統合分析を使用して、慢性特発性蕁麻疹の参加者におけるDLQIのMIDは2.24~3.10ポイントの範囲であると報告された。(Shikiar Rら Minimal important difference (MID)of the dermatology life quality index (DLQI):results from patients with chronic idiopathic urticaria.Health Qual.Life Outcomes.2005; 3:36頁)。
【0599】
小児皮膚科生活の質指数(CDLQI)は、小児のHRQoLへの皮膚疾患の影響を測定するために設計された有効な質問票である。(Lewis-Jones MS、Finlay AY.The children’s dermatology life quality index(CDLQI):initial validation and practical use.Br J Dermatol.1995;132(6):942~9頁)。患者は10項目の質問に応答する(疾患に伴う症状の感じ、余暇、学校または休日への疾患の影響、人間関係、睡眠、および皮膚疾患に対する治療の副作用)。この手段の回収期間は7日間である。10個の質問のうちの9個は、0=全くない/質問に答えていない~3=とてもある、までの4ポイントのリッカートスケールでスコア化される。質問7は、さらに1つ回答可能な項目を有し(不登校)、これにはスコア3が割り振られる。CDLQI総スコアは、各質問のスコアの合計であり、最高30および最低0である。スコアが高ければ高いほど、小児のHRQoLに与える影響は大きい。患者は、DLQI(≧16歳)またはCDLQI(≧12~<16)を終える。
【0600】
慢性蕁麻疹生活の質質問票
CU-Q2oLは、CSUを有する成人参加者のQoLを評価するために使用される疾患特異的手段である。(Baiardini Iら A new tool to evaluate the impact of chronic urticaria on quality of life:chronic urticaria quality of life questionnaire(CU-QoL).Allergy.2005;60(8):1073~8頁)。CU-Q2oLは、そう痒感、腫脹、生活活動への影響、睡眠の問題、限界、外見の6つのQOL要素を含む23項目の自記式質問票である。各項目は、5ポイントのリッカートスケール(1=全くない、5=非常にある)でスコア化され、参加者はそれぞれの要素でどの程度困っているかを示す。個々の項目は合計され、CU-Q2oLの総合スコアとなり、次いで、0~100のスケールに変換され、スコアが高ければ高いほどQoL障害が大きいことを示す。
【0601】
CSU疾患の変化についての全般的患者心象およびCSU疾患の重症度についての全般的患者心象
変化についての全般的患者心象(PGIC)は、1項目の質問票であり、参加者に、参加者が試験治療を開始する直前と比較して、CSUの変化に関する総合的な自己評価を7ポイントスケールで与えるよう求める。回答の選択肢は以下の通りである:0=「非常に良くなった」、1=「中等度に良くなった」、2=「少し良くなった」、3=「変化なし」、4=「少し悪くなった」、5=「中等度に悪くなった」、6=「非常に悪くなった」。
【0602】
重症度についての全般的患者心象(PGIS)は、1項目の質問票であり、参加者に、過去1週間の参加者の疾患の重症度の全体的な自己評価を4ポイントスケールで与えるよう求める。回答の選択肢は以下の通りである:1=「なし」、2=「軽度」、3=「中等度」、4=「重度」。患者は、PGICおよびPGISを終える。
【0603】
EuroQol 5項目質問票
Euroqol-5項目(EQ-5D)は、EuroQol Groupによって開発された健康状態の標準化されたPRO尺度であり、臨床的および経済的評価のための簡単で一般的な健康の尺度を提供する。成人バージョンの質問票は16歳以上の患者に適応されている。EQ-5Dは、記述式とEQ視覚的アナログスケール(EQ VAS)の2つの部分からなる。EQ-5D 5L記述式は、以下の5つの要素を含む:移動性、セルフケア、普段の活動、痛み/不快感、および不安/抑うつ。各要素には5つの問題認知レベルを有する:「問題なし」、「軽度の問題」、「中等度の問題」、「重度の問題」、および「活動ができない」の5段階である。(Herdman Mら Development and preliminary testing of the new five-level version of EQ-5D (EQ-5D-5L).Qual.Life Res.2011;20(10):1727~36頁)。回答者は、5つの要素のそれぞれについて、最も適切な記述に対してチェックを入れる(または×をつける)ことで、自分の健康状態を示すよう求められる。その結果、その要素のレベルを表す1桁の数字が得られる。5つの要素について数字を組み合わせて、回答者の健康状態を表す5桁の数字とすることができる。EQ VASは、エンドポイントが「想像できる最良の健康状態(100)」および「想像できる最も悪い健康状態(0)」と標識された垂直のVAS上に回答者自身で格付けした健康状態を記録する。この情報は、個々の回答者によって判断された健康アウトカムの定量的な尺度として使用することができる。
【0604】
EQ-5D小児バージョン(EQ-5D Y)は、6歳以上~12歳未満の小児および12歳~15歳の青少年に投与される。(Wille Nら Qual.Life Res.2010;19(6):875~86頁)。EQ-5D-Yは、EQ-5D-3Lに基づき、EQ-5D記述式およびEQ VASの2頁から本質的になる。EQ-5D-Yの記述式は以下の5つの要素を含む:移動性、自分の世話、普段の活動、痛みや不快感および不安、悲しみまたは不幸感。各要素は3つのレベルを有する:問題なし、多少の問題ありおよび多くの問題あり。EQ VASは、「想像し得る最高の健康状態」と「想像し得る最悪の健康状態」をエンドポイントとする縦型のVASで、若年患者の自己評価による健康状態を記録する。患者は、EQ-5D YまたはEQ-5D質問票を終える。
【0605】
欠席/欠勤日数
就労または就学している患者には、前回の試験評価以降の病欠/欠席日数を報告するよう求めた。
安全性評価
身体検査
- 完全な身体検査には、皮膚、鼻腔、目、耳、呼吸器、循環器、消化器、神経、リンパ、筋骨格系が含まれる。
- 治験責任医師は、以前に重篤な疾患に罹患したことがある場合には、その疾患に関連する臨床徴候に特に注意を払う必要がある。
- 新たな所見や以前の所見の悪化は、新たな有害事象として報告されるべきである。
生命徴候
- 生命徴候は5分間の安静後、半座位または座位で測定し、腋窩温または口腔温(体温測定は試験期間中同じ方法で行う)、収縮期および拡張期血圧、脈拍および呼吸数を含む。
- 血圧と脈拍の測定は、完全に自動化デバイスを用いて同じ腕で評価されるべきである自動化デバイスが使用できない場合のみ、手技を使用する。
- 体重(kg)はスクリーニング時(来診1)およびEOT/EOS受診時に測定される。身長はスクリーニング時(来診1)に測定される。身長と体重は室内着を着用し、靴を履かずに測定する。
心電図
- 心拍数を自動的に計算し、PR、QRS、QT、QTc間隔を測定するECG装置を用いて、単回の標準的な12誘導ECGを得る。ECGは仰臥位で10分間安静にしてから記録されるべきである。
臨床安全検査室評価
- 治験責任医師は、臨床検査報告書を確認し、この確認を文書化し、試験中に発生した臨床的関連の変化をCRFのAEセクションに記録しなければならない。臨床検査報告書は、原資料と共に提出されなければならない。臨床的に重要な臨床検査異常所見とは、治験責任医師が参加者の状態について予想されるよりも重篤であると判断しない限り、基礎疾患と関連しないものをいう。
- 試験参加中に臨床的に有意に異常とみなされた値を示したすべての臨床検査は、値が正常値またはベースラインに戻るか、治験責任医師またはメディカルモニターが臨床的に有意とみなさなくなるまで繰り返されるべきである。
- 治験責任医師が合理的と判断する期間内に正常値/ベースラインに戻らない場合、病因を特定し、スポンサーに通知しなければならない。
- 施設の地元の検査施設で実施された、プロトコールで規定された検査項目以外の検査項目による検査値が、参加者管理の変更を必要とする場合、または治験責任医師が臨床的に重要であると判断した場合(例えば、SAE、AE、または用量の変更)、その結果をCRFに記録しなければならない。
【0606】
有害事象および重篤な有害事象
特に注目すべき有害事象
特に注目すべき有害事象(AESI)とは、治験依頼者の製品またはプログラムに特有の、科学的および医学的に懸念されるAE(重篤または非重篤)であり、継続的なモニタリングと治験責任医師による治験依頼者への速やかな通知が必要なものをいう。このような事象は、その特徴を明らかにし理解するために、さらなる調査が必要となる場合がある。特に注目すべき有害事象は、治験実施計画書の改訂により、試験中に追加、修正または削除することができる。
【0607】
これらの AESIについては、重篤度基準を満たさない場合でも、SAE通知に対して、CRF(送付予定)の該当頁またはe-CRFの画面を使用して、治験依頼者に直ちに(すなわち24時間以内に)情報提供される。
- アナフィラキシー反応
- 全身性過敏反応
- 蠕虫感染症
- 重度の結膜炎または眼瞼炎
- 角膜炎
- 臨床症状を伴う好酸球増多(または臨床症状を伴う好酸球増多)
- 著しいALT上昇
- ベースラインALTが≦2×ULNの参加者では、ALTが>5×ULNであるか、または
- ベースラインALTが>2×ULNである場合は、ALTは>8×ULNである。
- IMP/非治験薬(NIMP)を用いた試験に参加した女性対象の妊娠および男性対象のパートナーの女性の妊娠
- 臨床試験に参加した女性参加者または臨床試験に参加した男性参加者の女性パートナーに生じた妊娠。
SAEとして認められるのは、重篤度基準のうち1つを満たした場合のみである。
- 女性参加者の妊娠事象では、IMPは中止されるべきである。
- 女性参加者または男性の女性パートナーにおける妊娠の追跡調査
アウトカムが決定されるまで、参加は必須である。
- 異常妊娠アウトカム(例えば、自然流産、胎児死亡、死産、
先天異常、子宮外妊娠)。
- IMP/NIMPによる症候性過量投与(重篤または非重篤)
- IMPの過量投与(偶発的または意図的)とは、治験責任医師により疑われる事象、または 参加者により自発的に通知される事象であり、11日未満の投与間隔の間に意図された用量の少なくとも2倍と定義される。状況(すなわち、偶発的または意図的)は、過量投与フォームに明記すること。
- 任意のNIMPによる過量投与(偶発的または意図的)とは、治験責任医師により疑われるか、または参加者により自発的に通知された事象であり、意図された治療間隔内に、処方された1日最大用量の少なくとも2倍と定義される。「状況(すなわち、偶発的または意図的)は、過量投与フォームに明確に規定されるべきである。」
【0608】
有害事象は、参加者(または適切な場合には、介護者、親、代理人、または参加者の法的に認められた代理人)によるものである。治験責任医師および有資格の被指名者は、AEまたはSAEの定義を満たす事象を検出、文書化、記録する責任を有し、重篤であり、試験介入または試験手順に関連すると考えられる、または 参加者が試験介入を中止する原因となったAEを追跡調査する責任を有する。
【0609】
薬力学
IgEはこの試験で評価された唯一の薬力学的パラメーターである。
【0610】
サンプルサイズの決定
3つの試験で予想される参加者の総数は、およそ384人のランダム化された参加者である。
【0611】
分析のための集団
各試験(A、BおよびC)で別々に行われる分析のために、以下の集団を各試験(A、BおよびC)で別々に定義した(表6):
【0612】
【0613】
統計解析
このセクションは主要エンドポイントと副次的エンドポイントの統計解析の概要である。以下の表7は効能の分析結果を示す。
【0614】
【0615】
安全性分析
すべての安全性分析は安全性集団に対して実施された。安全性結果の概要は治療群別に示した。ベースライン値は一般にランダム化前の入手可能な最後の値と定義される。安全性分析を以下の表8にまとめる。
【0616】
【0617】
試験Aの方法、結果、および結論の概要
方法:LIBERTY-CSU CUPID試験A(NCT04180488)である、ランダム化プラセボ対照24週間第3相試験は、抗ヒスタミン剤による治療にもかかわらず依然として症状を有した≧6歳のCSU患者におけるデュピルマブの効能と安全性を評価した。抗ヒスタミン剤の標準用量または≦4分の1の用量を服用している患者を、デュピルマブ300mg(成人/青少年≧60kg)または200mg(青少年<60kg/小児≧30kg)を2週間毎に皮下投与する群(n=70)、または適合するプラセボを2週間毎に皮下投与する群(n=68)にランダム化した。主要および重要副次的エンドポイントは、7日間の痒み重症度スコア(ISS7)および7日間の蕁麻疹活動性スコア(UAS7)の24週でのベースラインからの変化を含んだ。他の副次的エンドポイントには、7日間にわたる蕁麻疹重症度スコア(HSS7)の24週目のベースラインからの変化が含まれた。
【0618】
試験Aの結果
図6に示されているように、試験Aにはオマリズマブ未投与の参加者が含まれ、デュピルマブで24週間治療した。
【0619】
試験Aの統計学的検定階層を
図7にまとめる。この図には12週と24週の主要エンドポイントのp値が示されている。
【0620】
ベースライン特性は治療群間で概ね均衡していた。ベースライン時のISS7、UAS7、およびHSS7(デュピルマブ/プラセボ)の平均値はそれぞれ、15.7/16.1、30.8/31.9、および15.0/15.8であった。24週目に、ISS7(範囲:0~21)のベースラインからの最小二乗(LS)平均変化は-10.2/-6.0(それぞれ、デュピルマブ/プラセボ)(LS平均差-4.2;P=0.0005)、UAS7(範囲:0~42)では-20.5/-12.0(差-8.5;P=0.0003)であった。
【0621】
主要エンドポイントであるISS7は、臨床的および統計学的有意性を満たした。ベースラインからの最小二乗平均(LS平均)変化におけるISS7の結果は、
図8に図解的に描写される。12週時には、ISS7(範囲0~21)(ベースラインからのLS平均)は、デュピルマブ群で-8.37、プラセボ群で-6.01であった(差-2.37、p=0.0377)。24週時には、デュピルマブ群のISS7(ベースラインからのLS平均値)は-10.24、プラセボ群は-6.01であった(差は-4.23、p=0.0005)。
図9は、プラセボ群とデュピルマブ治療群の両群における、ベースライン~36週目までのISS7の経時的変化の平均値のプロットを示す。ISS7スコアの範囲は0~21であり、最小重要差(MID)範囲は4.5~5である。
【0622】
主要エンドポイントであるUAS7は、臨床的および統計学的有意性を満たした。ベースラインからの最小二乗平均(LS平均)変化におけるUAS7の結果は、
図10に図解的に描写される。12週目には、デュピルマブ群のUAS7(範囲:0~42)(ベースラインからのLS平均値)は、ー16.81、プラセボ群ではー11.79であった(差はー5.02、p=0.0223)。24週時には、デュピルマブ群のUAS7(ベースラインからのLS平均値)は-20.53、プラセボ群は-12であった(差は-8.53、p=0.0003)。
図11は、プラセボ群とデュピルマブ治療群の両群における、ベースライン~36週目までのUAS7の経時的変化の平均値のプロットを示す。UAS7スコアの範囲は0~42であり、最小重要差(MID)範囲は9.5~10.5である。
【0623】
デュピルマブ治療群とプラセボ群の24週でのUAS7部分応答者および完全応答者のパーセンテージは、統計学的に有意であった。
図12は、12週および24週におけるプラセボ群およびデュピルマブ治療群の両方におけるUAS7部分応答者(UAS7が6以下である患者)のパーセンテージを図解的に描写する。12週では、プラセボ群の18%が部分応答者で、デュピルマブ治療群の34%が部分応答者であった(p=0.0215)。24週では、プラセボ群の24%が部分応答者で、デュピルマブ治療群の46%が部分応答者であった(p=0.0075)。
図13は、12週と24週におけるプラセボ群とデュピルマブ治療群の両群におけるUAS7完全応答者(UAS7が0に等しい患者)のパーセンテージを図解的に描写する。12週では、プラセボ群の9%が部分応答者で、デュピルマブ治療群の16%が部分応答者であった(p=0.2152)。24週では、プラセボ群の13%が部分応答者で、デュピルマブ治療群の31%が部分応答者であった(p=0.0199)。
【0624】
ISS7の最小重要差(MID)を有する患者のパーセンテージ(ISS7が5以上減少した患者)は、プラセボ群に対してデュピルマブ治療群で24週目に統計学的に有意であった。
図14は、プラセボ群とデュピルマブ治療群における12週と24週のISS7 MIDに達した患者のパーセンテージを図解的に描写する。12週目では、プラセボの53%およびデュピルマブで試料した患者の70%がISS7 MIDに到達した(p=0.0971)。24週目では、プラセボの43%およびデュピルマブで試料した患者の73%がISS7 MIDに到達した(p=0.0014)。
図15は、プラセボ群とデュピルマブ群の両群において、ベースラインからのISS7の低減が5ポイント以上であった患者の割合の36週目までの経時的プロットを描写する。
【0625】
24週でのHSS7(範囲:0~21)のベースラインからのLS平均変化は、デュピルマブ群で-10.3、プラセボ群で-5.9であった(差-4.4、P=0.0003)。
【0626】
デュピルマブは、ベースライン血清総IgEが<100IU/mLまたは≧100IU/mLであるかにかかわらず、24週でISS7により測定した痒みを有意に減少させた(ベースライン全集団の血清総IgEの中央値は101.0IU/mLであった):ISS7 LSのプラセボに対する平均差(95%信頼区間)は、それぞれ-4.24(-7.86、-0.62)および-4.63(-8.22、-1.04)であった。さらに、デュピルマブはベースライン血清総IgE値にかかわらず、24週でUAS7により測定される蕁麻疹活動性を有意に減少させた:UAS7のLSのプラセボに対する平均差(95%信頼区間)は、IgE<100IU/mLまたは≧100IU/mLではそれぞれ、-8.17(-15.04、-1.29)および-10.63(-17.72、-3.54)であり、HSS7では、-4.2(-7.60、-0.70)/-6.1(-9.95、-2.33)、UAS7では-8.2(-15.04、-1.29)/-10.6(-17.72、-3.54)であった。デュピルマブ/プラセボの治療下で発現した有害事象(TEAE)の発生率は35(50.0%)/40(58.8%)、注射部位反応は8(11.4%)/9(13.2%)、結膜炎は0/1(1.5%)、重篤なTEAEは2(2.9%)/5(7.4%)であった。
【0627】
デュピルマブは、ベースラインIgE値に関係なく、H1抗ヒスタミン剤抵抗性のCSUを有する患者において臨床的に意味のある統計学的に有意な改善を示し、忍容性も良好であった。
【0628】
安全性の結果 試験A
全体的な治療下で発現した有害事象(TEAE)はデュピルマブとプラセボで同等の35(50.0%)/40(58.8%)であり、注射部位反応の発生率は8(11.4%)/9(13.2%)、結膜炎0/1(1.5%)、重篤なTEAEは2(2.9%)/5(7.4%)であった。TEAE、重篤なTEAE、治療中止に至ったTEAE、およびSAEは、デュピルマブに対してプラセボでより多く観察された(プラセボで死亡1(自殺)、プラセボで結膜炎1、プラセボ群でデュピルマブ治療でより高い発生率の皮膚障害(18対9)(デュピルマブ治療の1に対してプラセボで5の血管性浮腫を含む)。部位反応は同程度の発生率であった(プラセボ9対デュピルマブ治療8)。デュピルマブ治療群では2件のAESIが観察された(妊娠および過敏症)。TEAEの概要を以下の表9に示す。TEAEの詳細な内訳は表10に提供される。いずれの治療群においても患者の少なくとも5%で報告された全体的な治療下で発現した有害事象は、プラセボとデュピルマブで同程度であった。
【0629】
【0630】
【0631】
全体として、デュピルマブの忍容性は良好であり、CSUにおいて許容可能な安全性プロファイルを示した。安全性プロファイルは、承認された集団および適応症で観察されたデュピルマブの既知の安全性プロファイルと一致していた。CSU患者において新たな安全性シグナルは報告されなかった。予期せぬ重篤な有害事象の疑いは報告されず(SUSAR)、重篤な心血管事象も、悪性腫瘍も認められなかった。
【0632】
患者のアウトカム:試験Aにおける患者のアウトカムを以下の表11に示す。プラセボ群(27%)対デュピルマブ治療群(9%)では3倍の脱落が観察された。治療方針は、脱落後の利用可能なデータを使用することであった。MIは欠測データを表す。最悪観測値延長法(WOCF)は治験責任医師による効能の欠如が理由の場合、欠損データに用いられた。
【0633】
【0634】
人口統計学:試験Aの患者の人口統計学は以下の表12に示されている。小児患者は合計6名で、デュピルマブ群には6~11歳の小児2名、プラセボ群とデュピルマブ群にはそれぞれ12~17歳の青少年2名が含まれた。試験Aには65を超える高齢患者が12名含まれた。女性患者(66%)が多く含まれた。
【0635】
【0636】
疾患特徴:試験Aにおける患者の疾患特性は以下の表13にまとめられている。ベースラインISS7はデュピルマブ治療群とプラセボ群の両方で約16であった。ベースラインUAS7はデュピルマブ治療群とプラセボ群の両方で約31であった。ベースラインHSS7はデュピルマブ治療群とプラセボ群の両方で約15であった。試験Aの患者の約45%は血管性浮腫を有した。ベースライン総IgEは、デュピルマブ治療群とプラセボ群の両方で100未満が約50%、100超が約50%であった。ベースラインH1-抗ヒスタミン剤は、デュピルマブ治療群とプラセボ群の両方で標準用量が約50%、標準用量より高用量が約50%であった。
【0637】
【0638】
事前に定義された病歴/手術歴:試験Aの参加者の病歴/手術歴を以下の表14に示す。これらの患者の病歴/手術歴は、CSUおよび併存するアトピー性疾患に関する発表文献と一致している。活動性のアトピー性皮膚炎は除外基準であった。
【0639】
【0640】
レスキュー薬:24週間の治療期間中に治験責任医師が記録したレスキュー薬の概要を以下の表15に示す。
【0641】
【0642】
試験Aの小児患者データの概要:合計6名の小児患者がランダム化された。12~17歳の青少年4名が含まれた。2名の青少年患者は、デュピルマブを受け、療法の患者がCSUの徴候および症状の低減を示した。プラセボ群の2名の青少年患者では、1例は効能の欠如で患者の判断で治療を停止し、1例はCSUの徴候および症状の軽減を報告した。デュピルマブ治療を受けていた6~11歳の小児2名は、効能の欠如を理由に患者の判断で早期に治療を停止した(1例は4週目、もう1例は10週目に停止)。デュピルマブは小児CSU患者において全体的に良好な安全性を示した。いずれの小児患者においてもTEAEは報告されなかった。
【0643】
試験Aの結論
全体として、デュピルマブは、H1抗ヒスタミン剤の使用にもかかわらず依然として症状を有するCSUを有する患者において、臨床的に意味のある統計学的に有意な効能を示し、忍容性も良好であった。
【0644】
さらに、CSUの病態におけるIL-4とIL-13の役割は不明とされていたため、これらの結果は予想外であった。(Gimenez-Arnau AMら The Pathogenesis of Chronic Spontaneous Urticaria:The Role of Infiltrating Cells J Allergy Clin Immunol Pract 2021 Jun;9(6):2195~2208を参照のこと)。特に、「the pathogenesis of chronic spontaneous urticaria (CSU)typically focus[ed] on mechanisms by which cutaneous mast cells (MCs)may be activated to initiate the process」。(上掲、2195頁)。さらに、「the basophil is thought to have an important role in the pathogenesis of CSU given its similarities to the MC as a major source of histamine and expression of the high-affinity receptor for IgE」。(上掲、2199頁)。さらに、「circulating IL-4, as well as IL-4 produced by PBMCs, does not seem elevated in the majority of patients with CSU」および「no correlation with disease activity or ASST [autologous serum skin test] could be made」も公知である。(上掲、Degirmenciら Analysis of the Association of Chronic Spontaneous Urticaria with Interlekin-4,-10, Transforming Growth Factor-β1, Interferon-γ, Interleukin-17A and-23 by Autologous Serum Skin Test.Postepy Dermatol Alergol.2017 Feb;34(1):70~76頁およびConfino-Cohen Rら Low Stimulated IL-4 Secretion in PBMC from Patients with Chronic Idiopathic Urticaria.Cytokine.2004 Jul 21-Aug 7;27(2-3):74~80頁を引用する)。「IL-13 serum levels in patients with CSU do not correlate with disease activity」も公知である。(Gimenez-Arnau AMら The Pathogenesis of Chronic Spontaneous Urticaria:The Role of Infiltrating Cells J Allergy Clin Immunol Pract 2021 Jun;9(6):2195~2208頁、Chenら Different Expression Patterns of Plasma Th1-, Th2-, Th17- and Th22-related Cytokines Correlate with Serum Autoreactivity and Allergen Sensitivity in Chronic Spontaneous Urticaria.J Eur Acad Dermatol Venereol.2018 Mar;32(3):441~448頁を引用する)。よって、IL-4およびIL-13を阻害する抗体がCSUを治療するのに有効であることを実証する本試験において提供される結果は予想外であった。
【0645】
第3相CSU臨床試験は、主要エンドポイントおよびすべての重要副次的エンドポイントを達成した。24週では、デュピルマブはベースラインIgE値に関係なく、痒みおよび蕁麻疹の活動性スコア(痒みと蕁麻疹)をほぼ2分の1に低減させた。デュピルマブを標準治療の抗ヒスタミン剤に追加することで、生物製剤未投与の患者において、試験Aの抗ヒスタミン剤単独(プラセボ)で治療したものと比較して、痒みおよび蕁麻疹が有意に低減した。
【0646】
本試験(n=138)において、デュピルマブを標準治療の抗ヒスタミン剤に追加することで、24週で、標準治療単独と比較して、痒みおよび蕁麻疹の活動性(痒みおよび蕁麻疹)の低減が約2分の1倍となり、有効治療期間を超えても持続的な効果が観察された。本試験の結果は、米国における主要エンドポイント(EUにおける副次的エンドポイント)である22ポイントの痒みの重症度スケール(デュピルマブで10.24ポイント改善、標準治療6.01点改善、p=0.0005)によって測定して、標準治療(抗ヒスタミン剤)での35%に対してデュピルマブで痒みの重症度の63%の低減を示した。
【0647】
試験の結果は、EUにおける主要エンドポイント(米国における副次的エンドポイント)である43ポイントの蕁麻疹活動性スケール(デュピルマブで20.53ポイント対標準治療で12.00ポイント、p=0.0003)により測定して、標準治療での37%に対してデュピルマブで蕁麻疹活動性(痒みおよび蕁麻疹)の重症度の65%の低減を示した。さらに、デュピルマブで治療した患者のうち、それぞれ標準治療患者の43%と13%と比較して、73%が痒みに関して臨床的に意義のある差を経験し、31%が完全な疾患コントロールを経験した(p<0.02)。
【0648】
UAS7とISS7のレスポンダーの応答者分析を含む他のエンドポイントは24週で満たされた。12週目のISS7およびUAS7も統計学的に有意であった。
【0649】
特筆すべきは、デュピルマブによる治療は24週目まで停滞することなく、12週間の追跡期間中も持続し、ベースラインIgEレベルに関係なく一貫していたことである。
【0650】
本試験では、承認された皮膚科適応におけるデュピルマブの既知の安全性プロファイルと同様の安全性結果が示された。24週間の治療期間において、治療下で発現した有害事象の全体的比率は、デュピルマブ群とプラセボ群で概ね同程度であった(デュピルマブでは50%、標準治療では59%)。最も一般的な有害事象は注射部位反応であった(デュピルマブ11%、標準治療13%)。結膜炎はデュピルマブ患者0名、標準治療患者1名で報告された。全体的な有害事象、重篤な有害事象、治療中止に至った有害事象、およびSAEは、プラセボ群とデュピルマブ群で多く観察された。
【0651】
試験Bの結論
CSU臨床プログラムの試験Bは、オマリズマブに対して難治性の慢性自発性蕁麻疹(CSU)を有する患者においてデュピルマブを評価したものであり、重要なエンドポイントで数値的改善が観察されたが、事前に規定された中間分析に基づく無益性により、最近中止された。安全性データは、試験Aおよび承認された皮膚科適応におけるデュピルマブの既知の安全性プロファイルと概ね一致していた。
【実施例2】
【0652】
コントロールできない慢性自発性蕁麻疹(CSU)を有する≧2歳~<12歳の男女の参加者におけるデュピルマブの薬物動態および安全性を検討する多施設単一アーム試験
【0653】
試験の根拠
慢性蕁麻疹は、血管浮腫を有するかまたは有さない痒みを伴う膨疹(蕁麻疹)が、6週間を超えて出現することで定義される。慢性自発性蕁麻疹(CSU)は、誘発因子が特定されていない蕁麻疹である。デュピルマブによるIL-4/IL-13の遮断は、CSU患者に対する新しい治療法の可能性を示している。
【0654】
抗ヒスタミン剤が治療の中心であるが、最大50%の患者は抗ヒスタミン剤のみでは依然としてコントロールできない。オマリズマブによるIgE標的療法はCSU患者の治療に成功しているが、すべての患者がこの療法に応答するわけではなく、また12歳未満の患者には承認されていない。小児のCSUを有する患者の治療は依然として困難であり、これらの病態生理学はすべての年齢グループで同じであると考えられており、抗ヒスタミン剤が第一選択治療である。しかし、これらの適応症、特に小児集団における新規治療に対するアンメットニーズは依然として高い。
【0655】
試験デザイン
これは、コントロール不能な慢性自然発症CSUを有する≧2歳~<12歳の患者におけるデュピルマブのPKおよび安全性を評価する多施設単一アーム24週間の第3相試験である。
【0656】
本試験の主要な目的は、PKプロファイルを特徴付けすることであり、第2の目的は、コントロールできないCSUを有する≧2歳~<12歳の小児におけるデュピルマブの安全性プロファイルを評価することである。本試験では、この年齢グループにおける治療に対する応答に関する臨床情報を収集するが、効能分析はすべて記述的である。
【0657】
この試験は3つの期間からなる:
- スクリーニング期間(2~4週間)
- 試験介入期間(24週間)
- 追跡期間(12週間)
- 試験期間は38~40週間(スクリーニングと追跡調査を含む)
- 試験来診数は8回である。
【0658】
スクリーニング期間
スクリーニングの前に、参加者はCSUに対して非鎮静性H1-抗ヒスタミン剤による治療を受けていなければならない。
【0659】
スクリーニング期間は2~4週間である。
【0660】
治療期間
スクリーニング期間が成功裏に終了した後、参加者は治療期間を開始する。参加者は全員、体重および年齢に基づいて、初回負荷用量を有するかまたは有さず、4週間毎(Q4W)または2週間毎(Q2W)にデュピルマブを皮下投与される。
【0661】
治療期間後
すべての参加者は、治療期間終了後、試験介入を行わずに12週間の治療後追跡期間を終了する。
治験薬
- デュピルマブ(SAR231893;DUPIXENT)。
製剤
- 注射用溶液。
投与経路
- 皮下(SC)
【0662】
目的
主要目的
デュピルマブの血清中濃度を経時的に特徴付けること。
副次的目的
- デュピルマブの安全性を評価すること。
- デュピルマブの免疫原性を評価すること。
- H1-抗ヒスタミン剤の使用または適切な予防措置にもかかわらず依然として症状を有するCSUでデュピルマブを受けた参加者の健康関連のQoLの改善を評価すること。
- H1-抗ヒスタミン剤の使用にもかかわらず依然として症状を有するCSUを有する患者において、デュピルマブが蕁麻疹の活動性、痒み、蕁麻疹の重症度スコアに及ぼす影響を評価すること。
エンドポイント
- 12週目および24週目のCtroughを含む血清中の経時的なデュピルマブ濃度。
- 安全性および忍容性の評価:TEAEまたはSAEの発生率。
- デュピルマブに対するADAの経時的発生率。
- 4歳~12歳未満の小児における24週目のC-DLQIのベースラインからの変化。
- 2歳~4歳未満の小児における24週目のIDQOLのベースラインからの変化。
- 24週目の修正UAS7のベースラインからの変化。
- 24週目の修正ISS7のベースラインからの変化。
- 24週目の修正HSS7のベースラインからの変化。
【0663】
組み入れ基準
参加者は、以下の基準すべてに当てはまる場合のみ、本試験に参加する資格がある:
【0664】
年齢
参加者は、インフォームドコンセントに署名する時点で、≧2歳~<12歳でなければならない。
【0665】
参加者のタイプおよび疾患の特徴
スクリーニング来診の>6カ月前にCSUと文書で診断された参加者。
【0666】
CSUを有する参加者
定期的なH1-抗ヒスタミン剤治療にもかかわらず、スクリーニング時に依然として症状を有するCSU(血管浮腫を有するかまたは有さない再発性の痒みを伴う膨疹を特徴とする)患者。
【0667】
体重
体重が≧5kg~<60kg。
【0668】
コンプライアンス
参加者/両親/介護者/参加者の法的に認められた代理人(適切な場合)であって、試験来診および関連手順に従う意思および能力を有する者。
【0669】
除外基準
以下の基準のいずれかに当てはまる場合、参加者は本試験から除外される:
【0670】
医学的状態
CSU以外の慢性蕁麻疹の基礎となる病因。
【0671】
本試験のアウトカムの評価に支障をきたす可能性のある、CSU以外の皮膚罹患率の存在。
【0672】
CSUとCICUの両方の診断を同時に受けた参加者。
【0673】
活動性ADを有する参加者。
【0674】
患者の試験参加に悪影響を及ぼすような重篤な合併症。
【0675】
活動性結核または非結核性抗酸菌症、または治療が不完全なTBの既往歴を有する患者。
【0676】
内寄生虫感染症と診断されたか、またはその疑いがあるか、またはそのリスクが高い。
【0677】
スクリーニング来診(V1)前2週間以内、またはスクリーニング期間中に全身性抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌剤による治療を必要とする活動性の慢性または急性感染症。
【0678】
免疫不全の既知または疑い。
【0679】
活動性の悪性腫瘍またはベースライン来診前5年以内の悪性腫瘍の既往歴。
【0680】
デュピルマブ(任意の賦形剤を含む)に対する全身性の過敏症またはアナフィラキシーの既往歴。
【0681】
過去にデュピルマブの臨床試験に参加したことがあるか、または市販のデュピルマブによる治療を受けたことがある。
【配列表】
【国際調査報告】