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特表2024-529438吸引の改善を可能にする設計の吸引カテーテルシステムおよび吸引状態の評価
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】吸引の改善を可能にする設計の吸引カテーテルシステムおよび吸引状態の評価
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/22 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
A61B17/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504784
(86)(22)【出願日】2022-07-08
(85)【翻訳文提出日】2024-03-05
(86)【国際出願番号】 US2022036562
(87)【国際公開番号】W WO2023009296
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】17/385,581
(32)【優先日】2021-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】515075382
【氏名又は名称】ミビ・ニューロサイエンス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Mivi Neuroscience,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】オーグル,マシュー エフ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160EE30
(57)【要約】
導管およびポンプに接続される取付具を有する吸引カテーテルを備える吸引血栓除去システムが記載されている。吸引カテーテルアセンブリは、ガイドカテーテルおよび吸引カテーテルを含むことができる。吸引カテーテルは動脈内に、遠位開口部が凝血塊の近位側に位置付けられるように位置付けることができる。取付具は、血栓を吸引流から除去するためのフィルタを含むことができる。取付具は、ポンプへの流量を測定するための流量計を含むことができる。取付具は、取付具内の圧力を測定するための圧力センサを含むことができる。吸引カテーテルは、圧力および流量測定値に基づいて操作できる。取付具は、吸込み延長部の接続吸引とドッキングして、別の取付具を使用せずに吸込み延長部を止血隔離部から取り外し、吸込み延長部から凝血塊を除去できるようにするドッキングマニホルドを含むことができ、それによって異物が除去された吸込み延長部をさらに使用するために効率的に再挿入できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタを有する近位端から遠位開口部まで延びる吸引内腔を含む吸引カテーテルアセンブリと、
止血弁を含む第一の分枝とコネクタを含む第二の分枝とを備える分岐マニホルドを含む取付具(fittings)であって、前記分岐マニホルドは前記吸引カテーテルアセンブリの前記コネクタに取り付けられる取付具と、
ポンプと、
前記ポンプと前記第二の分枝の前記コネクタとに接続される導管であって、チューブと、前記チューブに接続された入口および出口を有するフィルタとを含み、前記入口は前記第二の分枝の前記コネクタに、または前記第二の分枝の前記コネクタの12センチメートル以内に接続される導管と、
を備える、
吸引血栓除去システム。
【請求項2】
前記チューブは柔軟であり、約0.25インチ以下の口径と少なくとも約4フィートの長さを有する、
請求項1に記載の吸引血栓除去システム。
【請求項3】
前記吸引カテーテルアセンブリは、
内腔に沿った内径と、外径とを有するガイドカテーテルであって、前記内径および前記外径は前記ガイドカテーテルの長さに沿った位置に応じ得るガイドカテーテルと、
遠位端、接続区画(connection section)、および前記接続区画から近位側に延びる制御要素を含む吸引カテーテルあって、前記接続区画は、適切な位置において、その内腔に沿って前記接続区画と前記ガイドカテーテルとの間の流れを制限または排除するような嵌め合い(fit)で前記ガイドカテーテルと係合し、前記吸引カテーテルの前記遠位端が前記ガイドカテーテルの遠位開口部から延出できるよう前記吸引カテーテルが前記ガイドカテーテルの前記内腔内での移動を可能にするための値(value)を有する外径を有する吸引カテーテルと、
を含む、
請求項1または2に記載の吸引血栓除去システム。
【請求項4】
前記取付具は、前記止血弁と前記ガイドカテーテルの前記近位端との間に、少なくとも前記吸引カテーテルの長さと同じ長さを提供する管状区画(tubular segment)を含む、
請求項3に記載の吸引血栓除去システム。
【請求項5】
前記取付具は、コネクタから前記止血弁まで延びる第一の管状区画であって、少なくとも前記吸引カテーテルと同じ長さを有する第一の管状区画と、弁を有し終端にコネクタを有する少なくとも1つのY分岐および止血弁を有する第二の分枝に接続された入口管状区画を含むドッキング分岐マニホルドと、を含み、
前記入口管状区画は、前記Y分岐の遠位側の位置において前記吸引カテーテルの前記接続区画の前記近位端と係合して、中央内腔から前記ドッキング分岐マニホルドまでの連続的な流体チャネルを形成するドッキング構造を含み、
前記入口管状区画の少なくとも一部は、前記止血弁を通じて挿入され、前記止血弁の中に固定されるように構成される、
請求項3に記載の吸引血栓除去システム。
【請求項6】
前記フィルタは、前記入口と前記出口との間の流路に沿って内部チャンバを画定するフィルタ本体と、前記内部チャンバ内にフィットするように構成されたフィルタエレメントであって、それによって前記入口と前記出口との間の流れが前記フィルタエレメントを通って流れるフィルタエレメントと、を含み、
前記入口は第一のコネクタに関連付けられ、前記出口は第二のコネクタに関連付けられる、
請求項1~5のいずれか1項に記載の吸引血栓除去システム。
【請求項7】
前記フィルタエレメントは、前記内部チャンバ内で前記入口と前記出口との間の流れを分離するように構成されたメッシュスクリーンであって、それによって前記入口から前記出口への流れが前記メッシュスクリーンを通過するメッシュスクリーン、を含む、
請求項6に記載の吸引血栓除去システム。
【請求項8】
前記入口および出口は、キャップの円周に沿って選択された位置に位置付けられ、
前記キャップは、前記入口から前記キャップの中央部分へと延びる第一のチャネルと、前記出口から前記フィルタ本体の内部へと延びる第二のチャネルと、を含み、前記入口を通って流れる流体がフィルタエレメントを通過してから前記第二のチャネルを通って出る、
請求項6または7に記載の吸引血栓除去システム。
【請求項9】
前記第二の分枝は前記第一の分枝の遠位側にある、
請求項1~8のいずれか1項に記載の吸引血栓除去システム。
【請求項10】
前記取付具は流体源に接続された第三の分枝を含む、
請求項1~9のいずれか1項に記載の吸引血栓除去システム。
【請求項11】
前記第一の分枝の前記止血弁は近位マニホルドに接続され、
前記近位マニホルドは、流体源に接続された第一の分枝と、第二の分枝から止血弁を通って近位側に延びる制御要素と、を有する、
請求項1~10のいずれか1項に記載の吸引血栓除去システム。
【請求項12】
コネクタを有する近位端から遠位開口部まで延びる吸引内腔を含む吸引カテーテルアセンブリと、
止血弁を含む第一の分枝とコネクタを含む第二の分枝とを備える分岐マニホルドを含む取付具と、
ポンプと、
前記ポンプと前記第二の分枝の前記コネクタとに接続される導管と、
前記取付具に接続されて、前記取付具内の圧力を測定する圧力センサと、
前記導管に接続されて、前記ポンプへの流量を測定する流量計と、
前記圧力および前記流量を表示するように構成される1つまたは複数のディスプレイを含むコントローラと、
を備える、
吸引血栓除去システム。
【請求項13】
前記吸引カテーテルアセンブリは、
内腔に沿った内径と、外径とを有するガイドカテーテルであって、前記内径および前記外径は前記ガイドカテーテルの長さに沿った位置に応じ得るガイドカテーテルと、
遠位端、接続区画、および前記接続区画から近位側に延びる制御要素を含む吸引カテーテルあって、前記接続区画は、適切な位置において、その内腔に沿って前記接続区画と前記ガイドカテーテルとの間の流れを制限または排除するような嵌め合いで前記ガイドカテーテルと係合し、前記吸引カテーテルの前記遠位端が前記ガイドカテーテルの遠位開口部から延出できるよう前記吸引カテーテルが前記ガイドカテーテルの前記内腔内での移動を可能にするための値を有する外径を有する吸引カテーテルと、
を含む、
請求項12に記載の吸引血栓除去システム。
【請求項14】
前記取付具は、コネクタから前記止血弁まで延びる第一の管状区画であって、少なくとも吸引カテーテルと同じ長さを有する第一の管状区画と、弁を有し終端にコネクタを有する少なくとも1つのY分岐および止血弁を有する第二の分枝に接続された入口管状区画を含むドッキング分岐マニホルドと、を含み、
前記入口管状区画は、前記Y分岐の遠位側の位置において吸引カテーテルの前記接続区画の前記近位端と係合して、中央内腔から前記ドッキング分岐マニホルドまでの連続的な流体チャネルを形成するドッキング構造を含み、
前記入口管状区画の少なくとも一部は、前記止血弁を通じて挿入され、前記止血弁の中に固定されるように構成される、
請求項12または13に記載の吸引血栓除去システム。
【請求項15】
前記ポンプと前記第二の分枝の前記コネクタとの間で前記導管に接続されたフィルタを含み、
前記フィルタは、前記導管の中を流れる凝血塊を保持するように構成され、
前記フィルタは前記取付具に隣接する、
請求項12~14のいずれか1項に記載の吸引血栓除去システム。
【請求項16】
第二の分岐マニホルドは前記分岐マニホルドの前記第二の分枝の前記コネクタに取り付けられ、前記第二の分岐マニホルドは、前記圧力センサに接続された第一の分枝と前記流量計に接続された第二の分枝とを有し、
前記流量計は前記ポンプと高圧チューブとの間にあり、前記フィルタから少なくとも約6フィートの高圧チューブにより分離され、
前記流量計を通るチャネルは、前記高圧チューブより大きい口径を有する、
請求項12~15のいずれか1項に記載の吸引血栓除去システム。
【請求項17】
前記流量計はパドルホイールを含む、
請求項12~16のいずれか1項に記載の吸引血栓除去システム。
【請求項18】
前記流量計は超音波トランスデューサを含む、
請求項12~16のいずれか1項に記載の吸引血栓除去システム。
【請求項19】
前記コントローラは、患者のリアルタイムのX線画像、前記取付具内の前記圧力、および前記ポンプへの前記流量を1つのディスプレイ上で同時に表示するように構成される、
請求項12~18のいずれか1項に記載の吸引血栓除去システム。
【請求項20】
前記導管は、少なくとも6フィートの高圧チューブを含む、
請求項12~19のいずれか1項に記載の吸引血栓除去システム。
【請求項21】
前記第二の分枝は前記第一の分枝の遠位側にある、
請求項12~20のいずれか1項に記載の吸引血栓除去システム。
【請求項22】
前記分岐マニホルドは流体源に接続された第三の分枝を含む、
請求項12~21のいずれか1項に記載の吸引血栓除去システム。
【請求項23】
前記第一の分枝のコネクタは近位マニホルドに接続され、
前記近位マニホルドは、流体源に接続された第一の分枝と、第二の分枝から近位側に延びる制御要素とを有する、
請求項12~22のいずれか1項に記載の吸引血栓除去システム。
【請求項24】
患者の血管系から血栓を除去するために吸引カテーテルシステムを使用するシステムであって、
前記吸引カテーテルシステムは、吸引カテーテルを含む吸引カテーテルアセンブリと、止血弁を含む第一の分枝とコネクタを含む第二の分枝とを有する分岐マニホルドを含む取付具と、ポンプと、前記ポンプと前記第二の分枝の前記コネクタとに接続された導管と、前記取付具に接続され前記取付具内の圧力を測定する圧力センサと、前記取付具に接続され前記ポンプへの流量を測定する流量計と、前記圧力および前記流量を表示するように構成された1つまたは複数のディスプレイを含むコントローラと、を備え、
使用方法は、
前記吸引カテーテルの遠位吸引開口部が凝血塊の近位側に位置するように、前記吸引カテーテルを動脈内に位置付けることと、
患者の前記血管系からの流体を前記吸引カテーテルの前記遠位開口部へと吸引することと、
前記取付具内の流量および圧力をモニタすることと、
圧力および流量の測定値に基づいて前記吸引カテーテルを操作することと、
を含む、
システム。
【請求項25】
前記使用方法は、
凝血塊の状態のリアルタイムのX線画像をビデオモニタでモニタすること、
をさらに含む、
請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
流量および圧力の測定値はビデオモニタ上に表示される、
請求項24に記載のシステム。
【請求項27】
前記使用方法は、
前記圧力が予想範囲を超えるか、または前記流量の測定値が閾値未満の流量を示す場合に、前記吸引カテーテルを引き抜くこと、
をさらに含む、
請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記使用方法は、
前記吸引カテーテルを伸展した止血取付具の中に位置付けること、
をさらに含み、
前記止血取付具は、前記分岐マニホルドの前記第一の分枝と嵌合するコネクタと、前記コネクタと前記止血弁との間の管状部分とを含み、前記管状部分は少なくとも前記吸引カテーテルと同じ長さである、
請求項24に記載のシステム。
【請求項29】
前記吸引カテーテルアセンブリは、内腔を有するガイドカテーテルを含み、前記吸引カテーテルは遠位開口部を含む管状部分と制御構造とを有し、
前記伸展した止血取付具は、前記コネクタの中に部分的に挿入できる遠位部分を含むドッキング分岐マニホルドを含み、前記コネクタは、止血シールと、前記止血弁と流体連通する第一の分枝と、潅流流体源に接続された第二の分枝とを有する第一の止血弁であり、
前記使用方法は、
前記制御構造を使って吸込み延長部カテーテルの前記管状部分を引き込み、前記ドッキング分岐マニホルドの前記遠位区間の中の前記管状部分の近位端とドッキングさせることと、
前記ドッキング分岐マニホルドと前記吸引カテーテルを、前記第一の止血弁を通じて近位取付具から取り外すことと、
前記吸引カテーテルに潅流を行い、前記吸引カテーテルからごみを取り除くことと、
をさらに含む、
請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記使用方法は、
フィルタのごみを視覚的に点検すること
をさらに含む、
請求項24に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大脳動脈等、曲がりくねった経路を有する体内血管において使用される、吸引治療の効率的かつ安全な動作のために設計された取付具(fittings)を有する設計の吸引カテーテルシステムに関する。特に、本発明は、ガイドカテーテルと、ガイドカテーテル内に摺動可能に配置された吸込み延長部とを含む吸引カテーテルシステムと、吸込み延長部の加工と再使用の効率的な評価を可能にする取付具と、に関する。
【背景技術】
【0002】
脳内血管における処置は、急性脳卒中イベントの改善または脳内血管内のその他の介入のためのアプローチとして普及しつつある。脳内血管は、特に複雑に曲がりくねった経路をたどり、これらの血管内の標的位置に到達するのがより困難となり得る。患者のそれ以外の血管もまた、標的位置への到達がより困難となる曲がりくねった経路をたどる可能性がある。
【0003】
吸引カテーテルは、血管からの凝血塊除去に関して使用されている。さらに、経皮処置中の虚血傷害の大きな理由は血栓の形成であり得、これはより細い、より末梢の血管を詰まらせる。単独で、または塞栓保護デバイスとともに使用される吸引カテーテルは、処置中に形成される血栓を捕捉するのに有効であり得る。有効な器具を脳の細い血管に送達して凝血塊を除去し、および/または凝血塊を捕捉することは依然として難しい。
【0004】
大脳動脈内の凝血塊によって虚血発作が引き起こされる可能性がある。凝血塊は、血流を阻止し、血流の阻止により、脳組織のその血液供給が阻まれる可能性がある。凝血塊は、局所的に生じる血栓、または、別の場所から血管閉塞の場所まで移動した塞栓である可能性がある。組織への血液供給の遮断の影響を低減させるために、時間は重大な要素である。特に、できるだけ短時間で血流を回復させることが望ましい。大脳動脈系は、内頸動脈に接続されている、高度に分岐した血管系でもある。大脳動脈は、非常に迂遠である。治療デバイスは、大脳動脈内に配置されるために大脳動脈によってもたらされる迂遠経路に沿って進むことができなければならない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
第一の態様では、本発明は、吸引カテーテルアセンブリと、取付具と、ポンプと、導管とを含む吸引血栓除去システムに関する。吸引カテーテルアセンブリは一般に、吸引内腔を含む。吸引内腔は近位端から遠位開口部まで延びることができる。吸引内腔の近位端はコネクタを含む。取付具は一般に、分岐マニホルドを含む。分岐マニホルドの第一の分枝は一般に、止血弁を含む。分岐マニホルドの第二の分枝は一般に、コネクタを含む。分岐マニホルドは、吸引カテーテルアセンブリのコネクタに取り付けることができる。導管は、ポンプおよび第二の分枝のコネクタに接続できる。導管は一般に、チューブとフィルタを含む。フィルタはチューブに接続された入口と出口を有することができる。入口は、第二の分枝のコネクタに、またはそこから12センチメートル以内に接続することができる。
【0006】
さらなる態様では、本発明は、吸引カテーテルアセンブリと、取付具と、ポンプと、導管と、圧力センサと、流量計と、コントローラとを含む吸引血栓除去システムに関する。吸引カテーテルアセンブリは一般に、吸引内腔を含む。吸引内腔は、近位端から遠位開口部まで延びることができる。吸引の近位端は、コネクタを含む。取付具は一般に、分岐マニホルドを含む。分岐マニホルドの第一の分枝は一般に、止血弁を含む。分岐マニホルドの第二の分枝は一般に、コネクタを含む。導管はポンプおよび第二の分枝のコネクタに接続できる。圧力センサは、取付具に取付具に接続でき、取付具内の圧力を測定する。流量計は導管に接続でき、ポンプへの流量を測定する。コントローラは一般に、圧力および流量を表示するように構成された1つまたは複数のディスプレイを含む。
【0007】
さらなる態様では、本発明は、患者の血管系から血栓を除去するために吸引カテーテルシステムを使用する方法に関する。本方法の実行のために、吸引カテーテルシステムは、吸引カテーテルと、分岐マニホルドとを含み、第一の分枝が止血弁を含み、第二の分枝がコネクタを含む取付具と、ポンプと、ポンプおよび第二の分枝のコネクタに接続された導管と、取付具に接続されて取付具内の圧力を測定する圧力センサと、取付具に接続されてポンプへの流量を測定する流量計と、圧力および流量を表示するように構成された1つまたは複数のディスプレイを含むコントローラとを含む吸引カテーテルアセンブリを含むことができる。本方法は、吸引カテーテルを動脈内に、吸引カテーテルの遠位吸引開口部が凝血塊の近位側に位置付けられるように位置付けるステップと、患者の血管系から吸引カテーテルの遠位開口部の中へと流体を吸引するステップと、取付具内の流量および圧力をモニタするステップと、吸引カテーテルを圧力および流量の測定結果に基づいて操作するステップとを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】吸込み延長部を備えるガイドカテーテルを含む吸引カテーテルシステムの、ガイドカテーテルがガイドカテーテル内の構造が見えるように透明に示されている側面図である。
図2】ルアーフィッティングから遠位端まで延びるガイドカテーテルの実施形態の側面図である。
図3図2のガイドカテーテルのうち図2の点3-3間の部分の、カテーテルの中心軸を通る平面に沿った部分断面図である。
図4図2のガイドカテーテルのうち図2の点4-4間の部分の、カテーテルの中心軸を通る平面に沿った部分断面図である。
図5図2のガイドカテーテルのルアーフィッティングとの接続に適した分岐止血弁の側面図である。
図6】吸込み延長部の実施形態の側面図である。
図7図6の吸込み延長部の、一部の隠れた構造が破線で示される上面図である。
図8図6の吸込み延長部の、図7の線8-8に沿った側断面図である。
図9図6の線9-9に沿った部分断面図である。
図10図6の線10-10に沿った部分断面図である。
図11図11のカテーテルの、図9の線11-11で示される正射影図に沿った部分断面図である。
図12図6のカテーテルの、図8の線12-12に沿った端断面図である。
図13】吸込み延長部の代替実施形態の部分断面図であり、拡大挿入図は、制御ワイヤの、制御ワイヤのコイル状端部を用いた近位部分への取付けを示す。
図14図13の線14-14に沿った断面図である。
図15】管状延長部がテーパ部により接続された異なる直径の2つの管状区画を有する吸込み延長部の代替実施形態の上面図である。
図16図15に示される吸込み延長部の代替実施形態の、図15の線16-16に沿った断面図である。
図17】ハンドルが制御構造に取り付けられ、制御構造の端が、ハンドルの制御装置上のその位置に関する動きを制限するようにねじられている制御構造の近位端の代替実施形態である。
図18】屈曲部を有する吸引チップの部分断面図である。
図19】屈曲部と角度の付いた開口部を有する吸引チップの部分側面図である。
図20】緩やかな湾曲を有する吸引チップの部分断面図である。
図21】非円形断面を有するガイドカテーテルの係合区画と接触する吸込み延長部の接続区間の端断面図である。
図22】本明細書で説明する吸引システムを含む、体内血管での選択された経皮処置のために一緒に、または選択された部分的組合せで使用可能な医療デバイスの集合の概略図である。
図23】ガイドカテーテルに隣接する2つの別々の構成要素とともに示され、これら2つの構成要素がY分岐マニホルドと延長止血取付具である近位取付具の部分側面図である。
図24】近位止血弁がガイドカテーテルの隣接している単独の分岐しない構成要素を備える、ドッキング分岐マニホルドとともに使用するのに適した第一の代替実施形態の部分側面図である。
図25】ガイドカテーテルから延びる3分岐マニホルドと1つの分岐に取り付けられた延長止血取付具とを備える、ガイドカテーテルに取り付けられた近位取付具の別の代替実施形態の部分側面図である。
図26】ガイドカテーテルから延びる近位取付具の、取付具がY分岐マニホルドと、Yの一方の分岐に接続されたT分岐マニホルドと、T分岐のまっすぐの分岐から延びる延長止血取付具と、T分岐導管に沿って取り付けられた負圧装置とを備える、さらなる代替実施形態の部分側面図である。
図27】ポンプとの接続、および圧力センサへの取り付け用になされたY分岐マニホルドの斜視図である。
図28】電子コネクタを有する圧力センサに適合された管状取付具に取り付けられたY分岐マニホルドの側面図である。
図29】1つの分岐に沿った末端圧力センサおよび圧力センサと接続するための電気コネクタを備えるY分岐マニホルドの側面図である。
図30】分岐する流体送達チャネルを備えるドッキング分岐マニホルドの第一の実施形態の側面図である。
図31A】ドッキング要素を備えるドッキング分岐マニホルドの代替実施形態の側面図である。
図31B】分岐マニホルドの分枝のうちの1つに取り付けられた負圧装置を備える図31Aのドッキング分岐マニホルドの側面図である。
図31C図31Aのドッキング分岐マニホルドの、ドッキング要素の遠位端を示す部分断面図である。
図32】ガイドカテーテル、吸引システムのための近位取付具の一部を形成する分岐マニホルドを備える第一の取付具要素、およびドッキング分岐マニホルドの側面図であり、隠れたドッキング要素は破線で示される。
図33】ガイドカテーテル、追加の分枝を有する分岐マニホルドを備える第一の取付具要素の代替実施形態、およびドッキング分岐マニホルドの側面図である。
図34A】吸込み延長部が装填された図31Aに示されるガイドカテーテルに接続された取付具構成要素の側面図であり、吸込み延長部の制御構造が取付具の近位端から出ている状態が示される。
図34B図34Aの第一の取り付け要素およびドッキング分岐マニホルドの一部の部分断面図であり、断面は内腔の中心軸を通り、吸込み延長部はドッキング分岐マニホルドと係合するドッキング位置にある。
図34C】吸込み延長部が分離位置にある点を除き、図34Bに示されるような図34Aの第一の取付具要素およびドッキング分岐マニホルドの一部の部分断面図である。
図35A】組み立てられたピンバイスハンドルの側面図である。
図35B図35Aのピンバイスから分離されたコレットの断面図である。
図35C】ヘッドが取り外された状態のピンバイスの側面図である。
図35D】構成要素が中心軸に沿って分離されている、図35Aのピンバイスハンドルの分解図である。
図36A】波型フィルタエレメントを有するフィルタの分解斜視図である。
図36B図36Aのフィルタの側面図である。
図36C図36Aのフィルタエレメントを通る流れを示す斜視図である。
図37A】ファイバ製フィルタエレメントを有するフィルタの分解斜視図である。
図37B】シート状フィルタ材料のパッキングを有するフィルタの分解斜視図である。
図38A】スクリーンフィルタエレメントを有するフィルタの分解斜視図である。
図38B図38Aのフィルタの側面図である。
図39A】キャップの下に固定されたコンパートメント内にスクリーンフィルタエレメントを有するフィルタの側面図である。
図39B図39Aのフィルタの分解側面図である。
図39C図39Aのフィルタのキャップの断面図である。
図39D図39Aのフィルタの断面図である。
図40】流量計の側面図である。
図41】圧力センサの側面図である。
図42】パドルホイールを有する流量計の断面図である。
図43】圧力センサの断面図である。
図44A】ガイドカテーテル、分岐マニホルドを備え、第一の分岐が圧力センサを有する第一の取付具要素、流量センサ、フィルタ、および負圧源を有する吸引システムのための近位取付具の実施形態の側面図である。
図44B】圧力センサが分岐マニホルドの第二の分枝上にある、図44Aの吸引システムの代替実施形態である。
図45】吸引システムの実施形態の、神経血管系内のある位置から近位取付具に向かう部分図である。
図46】人間の患者と、脳内血管の中にカテーテルを案内するための代替的なアクセスアプローチの略図である。
図47】ガイドカテーテルから凝血塊までのガイドワイヤに沿った医療デバイスの送達を示す、分岐する血管区画内の図である。挿入図は、ガイドカテーテルの2つの内部区間の拡大図を示す。
図48】凝血塊を除去するために使用中の吸引システムの、血管のある区画内の略図である。
図49】吸引システムが凝結塊の上流に位置決めされ、繊維系フィルタが凝血塊の下流に展開された、血管のある区画の略図である。
図50】凝血塊の除去を容易にするために、繊維系フィルタが吸引チップに向かって引っ張られて凝血塊がチップへと引き込まれた、図49の血管の区画の略図である。
図51】吸引システムが凝血塊の上流に位置決めされ、繊維系フィルタが凝血塊の下流に展開され、他の医療デバイスが凝血塊に位置決めされた、血管のある区画の略図である。
図52】他の医療デバイスが凝血塊の除去のために一緒に使用されている、図51の血管の区画の略図である。
図53】神経血管系内の位置から近位取付具まで延びる治療システムの、凝血塊を除去するための吸引適用および任意選択による他の処置ステップの後に示される部分図であり、図中の挿入図はガイドカテーテル内の管状延長部の断面図を示す。
図54】管状延長部がガイドカテーテルの中に引き込まれている図53の治療システムの遠位部分の部分図であり、図中の挿入図はガイドカテーテル内の管状延長部の遠位端の断面図を示す。
図55】管状延長部が、吸込み延長部の接続区画が挿入図の断面図に示されているようにガイドカテーテルの外部の近位取付具の中にあるように十分に引き込まれている、図53の治療システムの近位端の部分図である。
図56】管状延長部がガイドカテーテルから引き込まれているが、近位取付具内に取り囲まれたままである、図53の治療システムの近位端の部分図であり、左側の挿入図はY分岐マニホルド内の管状延長部の遠位端(および、破線で示される延長取付具内の遠位延長部の代替的配置)の断面図を示し、右側の挿入図は、制御ワイヤが止血弁を通って延びている、延長止血取付具内の吸込み延長部の接続区画を示す。
図57図53の治療システムの近位端の部分図であり、管状延長部はガイドカテーテルから引き出されているがシールされた止血弁を有する近位取付具に取り囲まれた状態のままであり、左の挿入図はY分岐マニホルド内の管状延長部の遠位端(および、破線で示される伸展した止血取付具内の遠位延長部の代替的配置)の断面図を示し、右の挿入図は、分岐マニホルドが止血弁に接続され、制御ワイヤが分岐マニホルドの止血弁を通って延びる、伸展した止血取付具内の吸込み延長部の接続区画を示す。
図58図53の治療システムの近位端の部分図であり、遠位端に凝血塊の少なくとも一部がある管状延長部が分岐マニホルドにドッキングされ、治療システムのシールされた止血弁から完全に引き抜かれている。
図59】一体型ディスプレイを示し、ディスプレイは患者の画像と、圧力および流量を示すウィンドウを表示する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
吸引カテーテルシステムがさらに改良され、これは特に急性脳卒中の治療に適した吸引プロセスの、より信頼性の高い制御を提供する。特に、フィルタがカテーテルシステムの近位取付具内に位置付けられて、ポンプからより離れた位置で吸引流から血栓を除去し、凝血塊除去中の強力な吸引圧力が保持される。さらに、近位取付具内に流量計を含めることにより、吸引プロセスの状態に関する貴重な情報が提供され、凝血塊除去の状態を理解することを通じてプロセスをよりよく制御できる。近位取付具のこのような改良された設計は、臨床的観点から吸引プロセスを全体的にさらに改良する、吸引カテーテルシステムのその他の重要な設計と組み合わせることができる。
【0010】
本明細書に記載の近位取付具の設計は一般に、各種の吸引カテーテルシステムの中で有効に使用できる。しかし、取付具の改良は、近位端からガイドカテーテルに、その遠位端がガイドカテーテルを超えて延びるように挿入されるよう設計される吸引カテーテルまたは吸込み延長部を有するシステムにとって特に有利であり得る。このような吸引カテーテルシステムは単独の吸引内腔を形成し、それは吸引カテーテル/吸込み延長部の遠位端からガイドカテーテルの遠位端まで、ガイドカテーテルの中で吸引カテーテル/吸込み延長部を通って延びる。見方によって、吸引カテーテルシステムの構成要素は、吸引内腔をガイドカテーテルの遠位端より先まで延ばすというその役割に関して吸込み延長部と呼ばれることも、またはそれが吸引中に患者の体内に完全に挿入されても吸引カテーテルの役割を果たすために吸引カテーテルと呼ばれることも合理的である。それゆえ、用語は互換的に使用される。
【0011】
吸引血栓除去システムのための近位取付具における過去の改良によって、吸引をテザー(tether)およびシーリング区画とともに有効に使用することが可能となり、それによってカテーテルがガイドカテーテルの中に、遠位区画がガイドカテーテルの遠位端から外に延び、吸引内腔を形成するガイドカテーテル内のシーリング区画が吸引カテーテルを通る内腔とガイドカテーテルの1区画を含む状態で送達されるようにされる。過去の改良は、吸引カテーテルの全長をガイドカテーテルから分離された近位取付具の中に、ただし止血弁の背後に設置できるようにしたほか、吸引カテーテルとの継続的な流体接続を保持しながら、吸引カテーテルを止血弁の背後から取り除くことができるようにし、それによって吸引カテーテルから閉塞物を除去し、吸引カテーテルをガイドカテーテルの中に位置付けられる、次の吸引を実行するため止血弁の背後に効率的に戻すことができる。本明細書に記載の追加の改良により、より効率的な吸引および吸引システムの状態の評価が実現される。
【0012】
圧力センサは吸引プロセスの状態に関する有益な情報を提供できるが、この情報は不完全であり、したがって曖昧である可能性があり得る。本明細書に記載されているように、流量計が近位取付具内に提供されて、プロセスの状態を明確にすることのできる追加情報が提供される。たとえば、圧力変化はある程度の閉塞を示唆し得て、流量状態の精査により、閉塞の程度と、時間が経過して圧力変化だけよりさらに影響の大きい変化が生じる可能性に関する貴重な情報を提供できる。また、流量の突然の増加は、凝血塊の移動または除去を示す可能性があり、これによって医療従事者にフィルタ内の凝血塊の有無のチェックを促すことができる。様々な設計の流量計をこの目的のために採用でき、たとえば商用超音波流量計であり、これは配管、チューブ等のような流れを収容する構造に好都合にクリップで取り付けることができる。
【0013】
シリンジまたはその他のような各種の負圧装置を使って吸引カテーテルから血液を吸引できるが、急性脳卒中の介入にとって特に重要であり得る安定した再現可能な負圧を提供するために医療用ポンプの使用が望ましい。医療用ポンプは、様々な肺に対する、外科的な、および血管に対する処置に使用するために市販されている。ポンプを保護するために、これらのポンプは一般に、ポンプハウジングにおいて液体を回収するための大型のキャニスタと、キャニスタ内に捉えられずに逃れた細菌および残留物があればそれを捕集するためのフィルタとを有する。それでもなお、ポンプと吸引カテーテルシステム構成要素との間に、一般に比較的長い高圧区画、すなわち医療用チューブがある。吸引システムは、患者の血管系にアクセスするために滅菌され、ポンプは様々な実用的な制約によって特に滅菌されない。これらの滅菌された構成要素と滅菌されていない構成要素とを接続しやすくするために、一般に少なくとも長さ6フィートという長いチューブが提供されて、これらの異なる環境の実用的な仕切りが作られる。
【0014】
高圧チューブは比較的小径であり、これは凝血塊がチューブの中で移動しているとき以外は問題とならない。凝血塊は、高圧チューブの中で有効に吸引されたとしても、それがポンプにおける流体回収のための大型キャニスタまで移動する間に吸引システム内の負圧を大幅に低下させる。チューブの長さが長いため、凝血塊が凝血塊を捕捉する大型のキャニスタに到達するまでに短くない時間が必要となる。本明細書に記載の改良型システムでは、高圧チューブの遠位端に、またはその付近に、凝血塊を捕捉するための比較的小さいが有効なフィルタが提供される。フィルタは一般に、片側で取付具に、反対側で高圧チューブに接続されるが、いくつかの実施形態において、フィルタは、チューブまたはその他の流れを収容する導管のうちの対応する区画と接続された取付具の12センチメートル以内に取り付けることができる。ある意味において、取付具の端はフィルタとの接続部とみなすことができ、高圧チューブは患者を直に取り囲む滅菌された環境をポンプの周囲の、清潔であるが必ずしも滅菌されていない環境から分離する区画と考えることができる。フィルタは一般に、限定的な長さにわたり有効に増大した口径と、流れをそれほど制限せずに血液中の凝血塊を捕捉する内部構造または材料を有する。フィルタはまた、フィルタが高圧チューブの閉塞を回避するために使用されているか否かを問わず、凝血塊の状態に関する情報、すなわちそれが捕捉されて、安全な位置にあることが特定されたかを提供するという観点からも有益であり得る。フィルタは滅菌状態で提供でき、フィルタの使用によって高圧チューブからかなりの凝血塊を排除できる。このような構造により、吸引手順の制御を格段に改良でき、および/または凝血塊の捕捉を視覚化することができる。取付具の付近の滅菌された位置でフィルタを使用することにより、たとえば参照によって本願に援用されるGaldonikらによる、「Aspiration Catheters for Thrombus Removal」と題する米国特許第9,662,129号に記載された吸引カテーテル等の設計ほか、本明細書に記載の設計の吸引カテーテルを用いた処置を改良できる。
【0015】
吸引血栓除去術は、希望のタイミングでオン、オフしながら吸引を比較的安定にかけることにより臨床的に実行されていた。あるモデルスタディでは、周期的吸引、たとえば0.5~5ヘルツの吸引パルスによって改善された吸引が得られることが示唆されている。参照により本願に援用される、Goodらの「Hydrodynamics in Acute Ischemic Stroke Catheters Under Static and Cyclic Aspiration Conditions」、 Cardiovascular Engineering and Tehchnology,Vol.11(6),December 2020,689-698を参照されたい。臨床現場では、力は重要であるが、凝血塊にかかる力への影響を考慮すべきである。周期的吸引は、本明細書に記載のカテーテルシステムを使ってかけることができる。周期的吸引を実現するためのポンプ技術は、参照によって本願に援用される、「Aspiration Devices and Methods」と題するJanardhanらによる米国特許第10,390,926号に記載されている。周期的吸引の下での凝血塊の破砕および塞栓化を回避するために、周期的吸引をかける際には、以下にさらに説明される遠位フィルタ装置を利用することが望ましいこともある。
【0016】
吸引カテーテルシステムは、高い流量での吸引を提供できる、より細い遠位管を有する吸込み延長部を備えるガイドカテーテルを含むことができる。この2部式システムは、強力な吸引能力の利点を提供しながら、それと同時に、ガイドカテーテルを所定の位置に残した状態で処置を効率的に実行することに関するある程度のフレキシビリティも提供する。吸込み延長部を取り外して吸込み延長部から素早く異物を除去し、ガイドカテーテルを所定の位置に保持しながら吸込み延長部を再挿入できる取付具の設計を説明する。具体的には、取付具要素はドッキング構造において吸込み延長部の近位開口部と係合し、吸込み延長部から異物を除去できる。追加または代替実施形態では、吸込み延長部の管状部分(管状延長部)をガイドカテーテルから引き出し、その際に吸込み延長部の管状延長部が止血弁を通らないようにすることができるようにするために、近位取付具を提供できる。吸込み延長部の端にドッキングされるドッキング取付具によって、取付具と接触でき、その間に吸込み延長部からごみを吹き飛ばし、それによって止血弁を通じて異物が除去された吸込み延長部を再挿入し、追加の吸引をかけるために再挿入できるようにする方法を説明する。多くの処置において、吸引ノズルから1回または複数回異物除去し、閉塞した血管を再び開放させることができる。吸込み延長部の効率的なクリーニングにより、処置を大幅に容易化できる。
【0017】
いくつかの実施形態において、吸込み延長部は接続区画を有し、これはガイドカテーテルの内面と接触する非対象の円周を有し、2か所で接触して有効な流体シールを提供しながら、ガイドカテーテル内での吸込み延長部の並進を提供する。代替または追加的実施形態では、ガイドカテーテルは、より小径の、それが吸込み延長部の遠位方向への移動を有効に制限する管状要素の遠位部分を有することができる。吸引カテーテルシステムを吸込み延長部の、吸引内腔の一部がガイドカテーテル内腔に関して、いくつかの実施形態ではガイドカテーテルが患者の体内にある期間全体にわたりシールされた構成のままであるようにする吸引カテーテルシステムの使用方法を説明する。改善された処理は、適当なバックエンドツールに関連付けられた圧力トランスデューサによるリアルタイムでのライン圧力測定を用いてガイドすることができる。吸引カテーテルは、動脈等の体内血管から血栓と凝血塊を除去するために有利に使用できる。血管には小さい直径を有する可能性のあるものがあり、治療箇所は迂遠経路に沿って下流にあることがあり、このような血管では、血管内の治療箇所に到達することのできるカテーテル構造に制約がある。
【0018】
本明細書に記載される設計は摺動可能な吸込み延長部を含み、これは対応するガイドカテーテルとともに使用されるようになすことができ、それは、吸込み延長部がガイドカテーテルの遠位端から展開されたときに吸引内腔全体の大部分を形成する。本願の改良された実施形態では、カテーテルシステムの近位端に位置付けられた取付具は、医療処置を改善して、閉塞した血管の血行再建をより効率的に実行できるように設計できる。効率の向上により、患者の血管系にカテーテルが留置される時間を短くし、医療従事者がその処置にかける時間を減らすことができる。吸引カテーテルシステムは体内のいずれの適当な血管でも使用できるが、システムは、たとえば急性脳卒中の治療のために大脳血管において特に望ましい可能性がある。吸引カテーテルシステムは、血栓除去のための独立した吸引カテーテルとして有効に使用できる。さらに、吸引カテーテルシステムは、血栓除去治療システムまたはその他の医療システムの構成要素として、血栓を破壊するための血栓係合デバイスおよび/または処置中に生成される凝血塊を捕捉できるフィルタ構造等のほか、吸引カテーテルシステムに向かって引っ張るために使用される他の医療デバイスを使用して、吸引を提供するのに有効であり得る。治療システムは、脳卒中の治療のために有効に設計できる。
【0019】
本技術分野において一般に低侵襲処置と呼ばれるより侵襲性の低い処置は、医療状況において、多くの場合、患者の回復時間を短縮し、うまくいけば適切な場合に転帰を改善する。特に、低侵襲処置は、一般に、血管系において、さまざまな治療プロセスの実施のために、選択された血管内の遠い場所に到達するように、カテーテルベースのシステムを使用して実施される。これらの処置はまた、血管腔を通る送達を強調するために、観血的処置(open surgical procedures)とは対照的に、経皮的処置または経血管的処置(transluminal procedures)とも呼ぶことができる。本明細書における考察は、虚血的脳卒中の治療に焦点を当て、それは、デバイスが、これらの臨床的に重要な状態を治療するために有効であり得るためである。しかしながら、血管系および他の体内脈管の両方における他の処置に本デバイスを使用することができる。患者は、ヒトを含み、ペットおよび家畜を含む他の動物を含むことができる。近位および遠位という用語は、本技術分野におけるそれらの慣習的な意味で使用され、すなわち、近位は、血管系または他の脈管内の経路に沿った患者の体内への進入点に近い方を指し、遠位は、血管系内の経路に沿った進入点から遠い方を指す。
【0020】
摺動可能な吸込み延長部は概して、ガイドカテーテルの内壁と係合して適当な締まりばめ(tight fit)の状態をなす接続区画を含む。接続区画は概して、接続区画から近位方向に延びる制御ワイヤ等の制御構造と、制御構造から遠位方向に延びる管状延長部とをつなげる。制御構造は概して、患者の体外に延びて、吸込み延長部を、その遠位端が血管内の治療箇所の付近にあるように位置決めするようにする。管状延長部は、任意選択による湾曲チップを有していてもよく、ガイドワイヤ上で血管内の到達しにくい箇所に到達するようにうまく追跡できる。
【0021】
血栓は、血管から血栓を除去するために吸引を適用している間に吸込み延長部の遠位端に保持できるため、吸込み延長部の管状延長部を吸引適用によりガイドカテーテルの中に引き込み、血栓の塞栓化および血管の上流に移動し得る血栓の喪失の機会を減らすことが望ましい可能性がある。塞栓化のリスクをさらに低減させるために、ガイドカテーテルを患者から抜去する前に、吸引を適用して管状延長部をガイドカテーテルから完全に取り外すことが望ましい可能性がある。処置の大部分で、吸込み延長部から異物を除去し、吸込み延長部を再挿入し、その血管のまた別の血栓を除去することが有益であり得る。最善の結果を実現するために、吸引プロセスを2回、3回、またはおそらくそれより多い回数だけ繰り返すことが効果的であり得る。
【0022】
管状延長部をガイドカテーテルから、吸込み延長部の管状延長部を止血弁に通さずに、ガイドカテーテルから取り外すことができるようにする、カテーテルシステムの後面における望ましい近位取付具を説明する。管状延長部の近位端は一般に開いているため、管状延長部の近位端が止血弁を通過すると、管状延長部およびおそらくガイドカテーテルの内腔が周囲環境に露出し得て、これは望ましいかもしれないし、望ましくないかもしれない。追加の取付具要素により、吸込み延長部を止血弁から取り外して、取付具が常に吸込み延長部に取り付けられた状態のままカテーテルから異物を除去することができ、それによって吸込み延長部を素早く再配置できる。ドッキング取付具は遠位ドッキング構造を含むことができ、これによって吸込み延長部の近位端を有効な液密シール内のドッキング構造にドッキングして、止血弁から一緒に取り外せるようにすることができる。前述のように、このような吸込み延長部の異物除去は複数回繰り返すことができる。
【0023】
近位取付具は、血管の内部に露出するデバイスの内部を止血隔離状態に置くことができる。すると、ガイドカテーテルは吸引システムの一体構成要素を形成し、それによって吸込み延長部を含むがそれに限定されないその他の構成要素を導入できる。取付具はすると、このような構成要素の止血導入を提供でき、他方でポンプやシリンジ等の負圧装置およびおそらく造影剤、薬剤、またはその他の所望の流体の導入するための送達ポートに接続できる。流体IV造影剤(IV contrast dye fluids)は当業界でよく知られている。薬剤は、適当な液体の形態で送達できる。すると、これらの取付具により、吸引ノズルはガイドカテーテルの中で、およびガイドカテーテルの外へと相対的に移動させられるほか、その他の機能が提供される。
【0024】
吸込み延長部のための制御構造は、以下にさらに記載されるワイヤ様要素とすることができる。ガイドカテーテルおよび吸引カテーテルを望ましい程度に単純な設計とするために、吸込み延長部をガイドカテーテルの遠位端から押し出せるようにすることができ、これによってガイドカテーテルが所定の場所にある間に吸込み延長部を患者の体内から回収することが困難または不可能となり得る。制御構造上のマークによって、制御構造をこのように動かそうとされないようにすることができるが、ユーザがマークを無視するかもしれない。この可能性を回避するために、ハンドルまたはグリップを制御構造に固定できる。ハンドルの設計から適当であれば、制御構造を曲げ、ねじり、またはそれ以外に歪曲させて、ハンドルを取り外すことを困難または不可能にすることができる。すると、ハンドルは吸込み延長部の遠位延長部をガイドカテーテルの中に限定することができ、それによって吸込み延長部をガイドカテーテルの遠位端の外へと延ばすことができない。
【0025】
いくつかの実施形態では、管状延長部をガイドカテーテルから引き出すが、止血隔離状態のままとするのに適した適当な近位取付具は、分岐構造の後に取付具の管状部分を有し、管状区画は吸込み延長部を止血弁の背後の隔離領域内の、ガイドカテーテルの管状要素の外に保持するのに十分な長さを有する。いくつかの適当な構成は後述されており、その他の構成は、これらの実施形態の説明からわかる。吸引は概して取付具の別の分岐から適用されることと、マニホルド全体に複数の分岐を提供でき、これらは使用のために組み立てられる分離可能な構成部品であってもなくてもよいことと、を指摘できる。この隔離構造は、止血隔離状態から引き出される前のノズルの状態を評価でき、取付具と組み合わせて使用して、適切な取付具のための吸込み延長部を切断することなく、止血隔離状態にないときに吸込み延長部から有効に異物を除去できる。
【0026】
近位取付具内の圧力の測定は、処置に関する貴重な情報を提供できる。圧力センサの設置のためのありうる構造は後で説明する。近位取付具内で圧力がゼロに近いと、ライン内のポンプまでの流れは事実上、制約されない。流れが吸込み延長部を通って流れるときの圧力により、測定可能な圧力低下が生じるが、ポンプ圧よりかなり低い圧力のままであることが観察される。吸込み延長部が血栓で詰まると、または吸込み延長部がねじれると、測定された圧力はポンプ圧に近くなる可能性があり、これは概して、流れがカテーテル内で基本的にブロックされていることを示す。閉塞を知ることは、効率と安全性に関して処置を大幅に改善するために利用できる。たとえば、処置の早い段階で閉塞が生じた場合、これはねじれを示唆していることもある。処置のより遅い段階での閉塞は、ひっかかった血栓でカテーテルが閉塞したことを示唆する可能性があり、これは概して、造影剤またはその他の灌流液をそのカテーテルから送達すべきではないことを知らせており、それは、送達の圧力によってカテーテルをすでに閉塞させていた血栓が血管のさらに奥まで押し動かされる可能性があるからである。代替的方法で圧力トランスデューサを導入できる。たとえば、圧力トランスデューサはマニホルドの取付具の内壁に沿って、または取付具に接続された管に、圧力測定を提供する構成で設置できる。圧力センサは、位置に応じて滅菌されても、されなくてもよい。
【0027】
脳卒中の治療のために、治療デバイスは、動脈を通して脳の血管まで前進することができる。一般に急性脳卒中の治療に関連する血管は、血流において内頸動脈から下流であり、動脈は、一般に、血管が動脈血管系を下流方向に進むに従い、分岐し、平均径が低減する。身体は、右内頸動脈および左内頸動脈を有する。便宜上、内頸動脈から下流の血管は、本明細書では大脳動脈と呼ぶ。大脳動脈は、カテーテルベースのシステムにより、たとえば、鼠径の大腿動脈、腕の動脈、または頸部の頸動脈から、本技術分野において既知であるもの等、止血処置および適切な取付具を用いてアクセスすることができる。大脳動脈は迂遠経路をたどることが知られており、血管の径が小さいことのほか、出血性卒中の状態を引き起こす可能性のある血管損傷からの危険なリスクから、血管に沿った追跡デバイスもまた複雑となり得る。それでもなお、脳卒中治療では、曲がりくねった細い動脈にアクセスすることが望ましい可能性がある。本明細書に記載するデバイスは、これらの曲がりくねった細い大脳動脈における有利な使用に対して設計されるが、当業者であれば、他の医療処置におけるこれらのデバイスの有用性を理解するであろう。
【0028】
本吸引カテーテルシステムは、大脳への処置に適した摺動可能な吸込み延長部が設けられたガイドカテーテルを取り入れる。血管の処置では概して、ガイドカテーテルを使用することにより、治療デバイスを送達しやすくしながら、ほとんどの場合に治療部位に至る保護されたチャネルを提供することを通じて、血管壁に対するリスクの低い、より迅速で正確な送達を可能にすることができる。大脳への処置では、ガイドカテーテルを患者の体外から、ガイドカテーテルの遠位端を頸動脈または内頚動脈内に入れて血管への差入地点に設置できる。それゆえ、ガイドカテーテルは、治療部位に比較的近い位置に内腔を提供できる。いくつかの実施形態では、従来のガイドカテーテルを使用して所望の吸引カテーテルを組み立てることができるが、他の実施形態では、特定のガイドカテーテルの設計を使用して吸引カテーテルシステムが形成される。ガイドカテーテルの大きさにより、治療部位に送達される治療構造の直径に対する限界が設定されるが、これは概して大きな問題ではなく、それは、延長可能なデバイスは、より小さい構成で送達し、その後延長された状態で展開できるからであり、および血管の大きさは概してガイドカテーテルから遠位方向に向かって減少し、より大きい治療デバイスの必要性が低下するからである。本明細書に記載の吸引デバイスは吸込み延長部を提供し、これは、吸込み延長部の接続区画を、吸込み延長部をガイドカテーテルの内腔の内壁と接触するように位置決めすることを通じて、ガイドカテーテルの遠位端から調節可能な量だけ突出させることができる。接続区画は、ガイドカテーテルの壁と十分密なシール状態を作ることができ、それによってガイドカテーテル内腔内の吸引は、吸込み延長部の内腔に沿って伝えられる。所望の程度の吸引は、ガイドカテーテルの近位端にかけられる吸引を使用して吸込み延長部を通じて得ることができる。
【0029】
吸込み延長部は概して、接続区画と、接続区画から近位方向に延びる制御構造と、接続区画から遠位方向に延びる管状延長部とを備える。吸込み延長部は概してガイドカテーテルと接触し、そのチップが選択された位置、たとえば大脳血管を閉塞させている血栓の位置の付近で処置を実行するためにガイドカテーテルの遠位側の選択された位置にある状態で位置決めされるように設計できる。治療箇所とガイドカテーテルの遠位端の相対位置は概して具体的な医学的状況によって異なるため、吸込み延長部をガイドカテーテルからどの程度延ばすかは、制御ワイヤ等の制御構造を用いた吸込み延長部の相対移動を通じて調節できる。吸込み延長部は、ガイドカテーテル内腔の中で過剰な力を必要とせずに移動すべきであり、これは、隣接する表面の片側または両側に低摩擦ポリマーを使用することにより容易にされることもある。
【0030】
吸込み延長部の接続区画はガイドカテーテルの内壁と接触するようになされ、それによって接続区画周辺の、吸込み延長部の内腔を通って流れない流れをほとんどまたは完全に阻止し、その一方で接続区画の少なくとも一部をガイドカテーテル内に保持し、また、患者の血管内のガイドカテーテルに関して吸込み延長部を適切に問題なく摺動させるようになされる。このような接触を形成する構成要素の様々な実施形態は、参照により本明細書に組み込まれる、「Catheter Systems for Applying Effective Suction in Remote Vessels and Thrombectomy Procedures Facilitated by Catheter Systems」と題する、Ogleらによる米国特許出願公開第2017/0143938号明細書(以降、‘938出願という)において論じられている。‘938出願では近位部分と呼ばれる接続区画は、非円筒断面形状を有することができる。このような非円筒形断面形状は有利なことに、ガイドカテーテルと円周に沿って2か所で接触し、接続区画の円周の残りの区画の周囲に小さい隙間があるようになされ得る。ガイドカテーテルの内腔と接触すると、接続区間に幾分かの力が加わり、それが円周を部分的に丸くする。接続区画のためのこの非円筒形状により、ガイドカテーテル壁と接続区画との間の流れを有効にブロックしながら、接続区画が長さ方向に移動して吸込み延長部のチップを血管内で位置決めするのを阻止しない。接続区画の非円筒形状の導入は、参照により本願に援用される、「Suction Catheter Systems for Applying Effective Aspiration in Remote Vessels,Especially Cerebral Arteries」と題するOgleによる米国特許第10,478,535号明細書(以下、‘535号特許という)に記載されている。
【0031】
吸込み延長部の接続区画の非円形の断面形状は概して楕円と説明することができる。楕円は、少なくとも一部に、楕円の長い方の寸法に沿った長軸(major axis)と長い方の寸法に直交する楕円の短い方の寸法に沿った短軸(minor axis)により特徴付けることができる。すると、接続区画は長軸に関連する円周に沿った点に関連する2か所でガイドカテーテルの係合区画の内面と接触するか、または非常に近付くことができる。それに対応して、非円形の断面は平均半径により特徴付けることができ、平均半径はガイドカテーテルとの全体的に非常に小さい隙間を提供しながら、依然として所望の機能を提供できる。
【0032】
非円形断面を形成するために、接続区画の表面に沿った制御ワイヤの接続と、所望の形状を提供するほか、接続区画と制御ワイヤの接続を強化する追加のポリマーとを通じて隆起を形成することができる。楕円の断面を有する接続区画の構造のさらなる実施形態を後述する。このように、接続区画断面の非円形形状は、それが吸込み延長部の構造全体と適合してガイドカテーテルと接触するように設計できる。
【0033】
また、吸込み延長部の接続区画がガイドカテーテルの遠位端から出ないようにすることが望ましいため、吸込み延長部および/またはカテーテルは、吸込み延長部の遠位方向への移動を制限するように設計できる。いくつかの異なる設計のガイドカテーテルおよび/または吸込み延長部の特徴は、‘938号出願および‘535号特許に記載されている。ガイドカテーテル構造を簡素化し、従来のガイドカテーテルの設計を使用できるようにするために、吸込み延長部の遠位方向への移動を制限するいかなる特定の構造的特徴も持たないガイドカテーテルを使用することが望ましい可能性がある。しかし、すると吸引カテーテルの移動は制御構造の動きを通じて制限されるべきである。制御構造上のマークに基づくユーザへの指示は、ユーザによるエラーを引き起こしやすく、それによって吸込み延長部の接続区画をガイドカテーテルの遠位端の先へと延ばしすぎることになり得る。本明細書に記載の制御構造に追加される要素により、ユーザが吸込み延長部を延ばしすぎることが防止される。
【0034】
吸込みの流れが吸引カテーテルに閉じ込められるガイドカテーテルを通じて送達される吸引カテーテルと比較して、本願では、吸引カテーテルの長さの大部分を吸引カテーテルシステムの制御要素と置き換える。このように吸引カテーテルの長さの大部分を制御要素と置き換えることにより、吸引カテーテルのチップを患者の血管内で前進させる際の摩擦を低くできるデバイスが得られ、それは、制御ワイヤまたはその他の制御要素がその動きに対してより小さい抵抗を提供できるからである。吸込み延長部のチップには、ガイドワイヤ上でデバイスを追跡しやすくするために湾曲したチップを与えることができる。本明細書に記載の設計では、ガイドワイヤ上でチップを追跡するために湾曲チップを備える吸引用の吸込み延長部は、吸込み延長部の遠位端における、またはその付近の摺動部分を移動させる制御ワイヤまたはその他の制御要素を使用して非常に到達しにくい箇所へと有効に案内でき、この設計は、大脳血管等到達しにくい血管に到達する能力を犠牲にすることなく、良好な吸引能力を提供する。吸込み延長部の移動中に、吸引内腔のガイドカテーテル部分は所定の箇所に保持できる。
【0035】
吸引が適当な負圧装置でガイドカテーテルの近位端に、またはその付近に加えられると、流体は吸込み延長部の端の遠位開口部の中に吸い込まれる。強力な吸引は、吸込み延長部を通じて伝達できることがわかった。吸引内腔は、概して吸引システムの近位端における、またはその付近の近位区画に関連する取付具に取り付けられた負圧装置から、ガイドカテーテル内腔を通って吸込み延長部まで、および吸込み延長部と吸込み延長部の管状延長部の接続区画を通って遠位開口部まで延びる。適当な負圧装置にはたとえば、シリンジ、ポンプ、またはその他が含まれる。ガイドカテーテルは、吸引内腔全体のかなりの区画として大きい内腔を提供できる。すると、有効な吸引内腔は、ガイドカテーテルが寄与する大きい近位区画と、1つまたは複数のテーパ区画を有することのできる吸込み延長部が寄与するテーパ状遠位区画とを有するように見える。
【0036】
吸込み延長部の管状延長部は、ガイドカテーテル内腔に対して小さい径と、その遠位端をより細い血管に留置できるようにする高い柔軟性の内腔を有する。しかしながら、管状延長部の内腔は、それにより内腔を通って治療箇所まで追加の治療デバイスを送達できるのに十分に大きい径に保持される。吸込み延長部のチップにおける外径は概して(直径の単位はmm=(Fr値)/3であり、Frはフレンチカテーテルスケールを表す)ガイドカテーテルの遠位区画の外径より少なくとも約1.5Fr小さい。管状延長部の径がより小さいことにより、大脳血管等の所望の血管へのアクセスが可能となる。
【0037】
これまでに、良好な吸引特性は遠位区画において径が縮小する吸引カテーテルで得られることが見出された。それゆえ、たとえば吸引カテーテルの長さの大部分を外径6Frとすることができ、遠位区画の外径は5Frであってよく、これは内径の減少にほぼ対応する。このようなカテーテルは、5Frカテーテルに適した血管へのアクセスを提供できるが、その長さ全体沿って5Frのカテーテル本体を備える吸引カテーテルよりかなりよい吸引を提供できる。市販の先細カテーテル、たとえばMi-Axus(商標)カテーテル(MIVI Neuroscience,Inc)およびACE(商標)64カテーテル(Penumbra,Inc.)は良好な臨床成果を示している。先細吸引カテーテルおよび大脳動脈内の血栓除去術へのその使用については、参照により本明細書に援用される、「Aspiration Catheters for Thrombus Removal」と題する、Galdonikらの米国特許第9,532,792号明細書(以降、‘792特許という)に記載されている。これらのカテーテルは遠位の径と一致する一定の径のカテーテルより良好な吸引を実現するが、摺動式の吸込み延長部を備える本願の吸引カテーテルシステムは、よりよい吸引を提供することがわかっており、これは、吸引内腔の長さの大部分にわたる径が吸引内腔の遠位開口部に提供される吸引にかなりの程度で寄与することを示唆している。
【0038】
本明細書に記載のデバイスを使用する処置の初期部分は概して、血管内の治療箇所にアクセスすることを含む。ガイドワイヤは、到達しにくい箇所へのアクセスを容易にするように設計されている。ガイドワイヤという用語は、本明細書において、内部構造を有していてもいなくてもよいワイヤ構造を広く指すために使用されており、テバイスの長さの少なくとも一部にわたり閉鎖内腔を持たないこともあるコアワイヤ-オーバチューブ一体構造、コイル、またはその他のように、それらが中実の金属または金属織物から形成されているかいないかにかかわらず、ガイドワイヤと呼ばれる。
【0039】
特に、本明細書に記載のデバイスにより、凝血塊で完全に、または一部閉塞した血管の再灌流を提供するための処置を実行できる。大脳動脈内の凝血塊は、相応に重篤な結果を伴う卒中の原因となり得るため、これらの状態の治療において時間は重要である。ガイドカテーテルを備える吸込み延長部は、凝血塊またはその破片の除去に有益であり得る吸引を提供するために使用できる。それゆえ、吸込み延長部とガイドカテーテルおよび負圧装置との組合せは、血栓除去術のための独立したデバイスとして使用できる。しかしながら、吸引機能を備える吸込み延長部は、たとえば、凝血塊またはその一部の除去を容易にする繊維系フィルタおよび/またはその他の構成要素も含む治療システムの一部として有効に使用できる。膨張可能チップを備える送達カテーテルはアクセスしやすいように設計されるため、他の各種の処置を行うためのツールとして有益である。
【0040】
処置のいくつかの実施形態では、ガイドワイヤは、閉塞位置に、またはその付近に設置でき、位置決め可能な吸込み延長部を備えるガイドカテーテルは、閉塞部の上流の血管内に設置でき、ガイドワイヤは、吸込み延長部の内側を通って延びる。吸引カテーテルシステムが単独で使用される場合、吸込み延長部は、ガイドワイヤ上の制御ワイヤを使用して凝血塊付近の適当な位置まで前進させることができる。すると、ガイドワイヤを取り外した、または取り外さない状態で、吸引を開始して、凝血塊またはその一部を遠位開口部の中に、または吸込み延長部のチップに当たるように吸い込むことができる。吸引は、吸込み延長部および/またはガイドカテーテルが患者から抜去されるときに継続されても、されなくてもよい。
【0041】
吸込み延長部での吸引は凝血塊除去のみのためのデバイスとして有効であり得るが、吸引カテーテルシステムとともに使用するために、追加の治療システムを他のデバイスと組み合わせることができる。特に、フィルタデバイスは、塞栓保護と、凝血塊またはその一部の除去を容易にするためのツールの両方を提供するために使用でき、それにはフィルタデバイスで凝血塊と直接係合することが含まれてもよい。関心対象の細い血管において有効に使用できる繊維系フィルタ/塞栓保護システムが開発されている。特に、適当な作動システムを備える繊維系フィルタシステムは、低プロファイル状態で閉塞部を通過して送達するために使用でき、除去プロセス中に凝血塊の破片が解放されればそれから保護するように展開できる。
【0042】
吸引カテーテルシステムおよびおそらくは治療システムのその他の構成要素を患者から抜去するプロセス中に、吸引は概して、血栓の塞栓化のリスクが十分に低減するまで継続される。吸込み延長部では、血栓が内腔内にあり、および/またはチップで捉えられていることもある。吸込み延長部の管状区画の近位端は概して開放しており、それによって管状延長部の近位端が止血弁から取り除かれると、管状延長部の吸引内腔は周囲環境に露出する可能性がある。まだ患者の体内にある管状延長部の内腔の露出は好ましくない可能性があるため、本明細書に記載されているように、まだ患者の体外のシステムの隔離された区画内にある間に、管状延長部をガイドカテーテルの外に停止させることのできる取付具が考案されている。吸引は、管状延長部が患者から抜去され、周囲とは隔離されるがガイドカテーテルの外にある間は継続できる。
【0043】
いくつかの処置では、管状延長部を、それが患者の体内から抜去された状態で異物除去することが望ましい場合がある。異物が除去されると、管状延長部を患者の体内に再導入して、さらなる血栓を回収できる。このような処置では、ドッキング分岐マニホルドは、管状延長部の素早い取り外しとクリーニングを容易にするように構成できる。延長カテーテルを、凝血塊で血栓が塞栓化する前に血管に戻すことが望ましい。ドッキング分岐マニホルドは一般に、入口管状区画と、一方の分枝の端においてフローバルブに接続された取付具を有する少なくとも1つのY分岐を有する。フローバルブは一般に、潅流流体源に接続された少なくとも第二のポートを有するが、いくつかの実施形態では、このフローバルブまたはその他のフローバルブを使って、代替流体源および/または吸引源を制御できる。ドッキング分岐マニホルドは一般に、止血弁を有する第二の分枝を有する。ドッキング分岐マニホルドは、ドッキング構造を含む遠位端において管状入口部を有する。ドッキング構造は、第一の分岐マニホルドの止血弁を通過でき、それによってこれを第一の分岐マニホルドの管状区画の中に位置付けることができる。
【0044】
ドッキング分岐マニホルドは一般に、流体源、たとえば貯蔵部に接続されたシリンジ、加圧容器、またはポンプ等からの流体を使ってカテーテルに潅流を行うために使用できる。ドッキング分岐マニホルドは、複数の流体源、たとえば造影剤流体源、治療薬剤流体源、および/または緩衝食塩水等の潅流流体源を備えることができるが、造影剤を閉塞したカテーテルの潅流に使用することもできる。また、吸引が第一の取り付け要素から送達されるように構成される代わりに、またはそれに加えて、吸引はドッキング分岐マニホルドから吸引システムに送達することもでき、その場合、たとえば前述の図面に示されているように、任意選択によりマニホルドを含まなくてよい。ドッキング分枝マニホルドが第二の流体および/または吸引のほか、他のいずれかの流体を送達するために使用される場合、ドッキング分岐マニホルドは第二の分枝に沿って追加の分枝および/または追加の分岐を含むことができる。
【0045】
一般に、近位側に延びる吸込み延長部の制御構造は止血弁を通過でき、その際、弁は制御構造の周囲で適切なシールにより閉じる。一般に、制御構造は第一の分岐マニホルドの止血弁と第二の分岐マニホルドの止血弁との両方を通過でき、それによってマニホルドの外からそれを操作できる。ドッキング構造は、制御構造の周囲で摺動できる。この構成では、管状延長部の近位端は、ドッキング構造とともにドッキングされた位置に引き込むことができる。ドッキング構造は、管状延長部を釈放可能に保持するように構成され得る。たとえば、ドッキング構造は締まり嵌め(interference fit)を利用して管状延長部を固定し得る。実施形態では、ドッキング構造は管状入口部分の内壁の狭小部分を含むことができる。たとえば、管状入口部の内表面は、管状入口部の内径が管状延長部の外径より小さくなるまで内側にテーパが付けられ得る。代替または追加的実施形態では、ドッキング構造は管状入口部の内表面にフランジを含み得る。実施形態では、ドッキング構造は管状入口部の内表面に、管状延長部を固定するための摩擦嵌合の状態を作るように構成された材料を含み得る。ドッキング構造は、管状入口部の内表面に、管状延長部の外表面の、それに対応する構造と整合する構造を含み得る。たとえば、ドッキング構造は、管状入口部の内表面に、管状延長部の外表面上の歯と整合するように構成された爪を含み得る。
【0046】
管状延長部がドッキング構造にドッキングされた状態で、ドッキングマニホルドを第一のマニホルドから外し得る。ドッキング分岐マニホルドは、第一の取付具要素の止血弁を開き、ドッキング分岐マニホルドを第一の取付具要素から引き出し、管状延長部が弁から外れたところで第一の止血弁を再びシールすることにより、吸込み延長部とともに分離できる。管状延長部が第一の取付具要素から外れているときに、その中に捕捉された血栓が管状延長部から除去され得る。ドッキング分岐マニホルドに取り付けられた流体源弁を開くことにより、流体は管状延長部を通って流れることができる。流体は管状延長部内に捕捉された血栓および他のあらゆるごみや物質を洗い流し得る。管状延長部は、異物が除去されたところで、患者の体内に戻され得る。患者の体内に再導入される前の環境にさらされたいずれの構成要素も再滅菌することが望ましいこともあるが、一般に、吸込み延長部は患者の体外で滅菌状態に保持されるため、さらに滅菌することなく血管系に戻すことができる。管状延長部を再導入するために、第一の取付具要素の第一の止血弁を開いて、管状延長部およびドッキング構造が第一の取付具要素の中に入ることができるようにすべきである。ドッキング構造が第一の取付具要素の中の所定の位置にあるとき、止血弁は閉じられ得る。制御構造は、管状延長部をドッキング構造から出して、ガイドカテーテルの中に入れ、また患者の体内の所望の位置に戻すように移動させるために使用され得る。いくつかの例では、吸引は、管状延長部から異物が除去された状態で吸引が保持され得る。他の例では、管状延長部がガイドカテーテル内に配置されていないときに、吸引を停止することが好ましい場合もある。
【0047】
血管の血行再建が完了した後、カテーテルが患者の体内から抜去される。使用される特定の取付具に応じて、カテーテルの安全な抜去のためにいくつかの代替手順を使用できる。取付具が、止血シール内の吸込み延長部を取り外すための隔離区画を有する場合、管状延長部がガイドカテーテルの外に安全に停止されると、処置を完了させることができ、これには一般に、吸引の終了と閉塞解消の確認が含まれる。処置の終了時に、ガイドカテーテルは患者から安全に抜去できる。取付具が隔離区画を含まない場合、吸込み延長部はガイドカテーテルを抜去する前に止血弁を通って取り外されても、取り外されなくてもよい。吸込み延長部が止血弁を通って取り外されず、それがガイドカテーテルから隔離される場合、吸込み延長部の遠位端は一般に、ガイドカテーテルが抜去される時にガイドカテーテルの内腔内に安全に位置付けられ、吸引は処置のうち、ガイドカテーテルの抜去を含む少なくとも一部において続けられ得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、処置のうちの吸引が加えられる部分を通じて、近位取付具内の圧力をモニタできる。近位取付具内の圧力が予想範囲内にとどまれば、その処置を行っている医師はそれがわかったことに基づいて先に進めることができる。圧力が上昇すると、医師は、概して管状延長部を通じて流体を送達することなく、患者から吸込み延長部を抜き取る等、適当な行動をとることができる。
【0049】
本明細書に記載のデバイスおよびそれに対応するプロセスは、凝血塊を血管から除去する治療処置を実行するための改善された機能を提供する。本明細書に記載するように、デバイスは経皮的処置のための医療システムにおいて様々な組合せで使用できる。改善された処置は、さらなる安全手段を提供しながら、デバイスを扱う医療従事者により実行される現実的なステップを提供する。
【0050】
<摺動式吸込み延長部/吸引カテーテルを備える吸引カテーテルシステム>
より大きい近位吸引とより小径の吸込み延長部を有する吸引内腔により得られる良好な吸引を利用した、ガイドカテーテル内腔を近位吸引内腔として使用する吸引カテーテルシステムを説明する。横方向に摺動可能な吸込み延長部または吸引カテーテルは、ガイド内腔内にある近位区画から延び、吸込み延長部/吸引カテーテルはより小さい遠位の径を有して細い血管へのアクセスを提供し、その他の治療構造および/または塞栓保護構造を送達するほか、血管からごみを除去するために望ましい吸引レベルを提供できる。前述のように、吸込み延長部と吸引カテーテルという用語は互換的に使用される。制御ワイヤまたはその他の制御構造を吸込み延長部に取り付けて、摺動を制御し、吸込み延長部を固定されたガイドカテーテルおよび標的治療箇所に対して選択的に横方向に設置できるようにすることができる。いくつかの実施形態では、吸込み延長部は接続区画を含み、これは、非円筒形の断面を有し、円周に沿って2つの部分で接触するガイドカテーテル内腔と接触する。この非円筒接触は、吸込み延長部の近位部分の外側とガイドカテーテルの内部の近位位置との間の流れをブロックしながら、吸込み延長部をガイドカテーテルに対して比較的容易に摺動させることかできる。具体的なガイドカテーテルの設計は、そのシャフトに沿って様々な管状要素を組み込んで所望の柔軟性を提供することができ、より小径の遠位管状要素を使用して、吸込み延長部の近位区画をガイドカテーテル内腔の中に保持できる。
【0051】
図1を参照すると、吸引システム100は、吸引用ガイドカテーテル102および吸込み延長部104を含む。吸引用ガイドカテーテル102は、近位区画106と管状シャフト108を含む。近位区画106は概して、ハンドルとして使用するのにも適しており、概して近位取付具120、吸引ポート122、および任意選択による制御ワイヤポート124のほか、おそらく、所望の機能とアクセスを提供する他の追加のポートおよび/または取付具を含むことができ、これらのポートおよび取付具はすべて、分岐構成または他の適当な構成に配置できる。概して、近位取付具120は、ガイドワイヤおよび/または、代替的治療構造および/または塞栓保護デバイス等、ガイドワイヤ上でガイドカテーテル内腔の中に送達される構造を進入させるための適当な止血弁、ルアーフィッティングまたはその他を含むことができる。
【0052】
本明細書に記載の改良型実施形態では、近位取付具120は、吸込み延長部104の管状延長部をその中に設置でき、ガイドカテーテル102の管状シャフト108の中に、または止血弁を通じて周囲環境へと延びないようにするセグメントを含むことができる。吸引システム100の近位端における固定具の所望の特徴は近位取付具120に統合できるが、Tuohy-Borstコネクタ等のコネクタと、Y分岐、止血弁、および吸込み延長部の管状延長部を保管する延長管状取付具等、その他の所望の特徴を、近位取付具120に使用のために取り付けられる取付構成部品として提供するための取付具の接続部を含む近位取付具120の実施形態を通じて、設計の柔軟性を実現できる。近位取付具120と統合するための追加の機能的特徴を有する適当な取付具は、以下の本開示が別々の構成要素としてではなく近位取付具120の一体部分と考えることができると理解して、治療システムのセクションで詳しく後述する。
【0053】
吸引システム100とともに使用するために、適当な塞栓保護デバイスをガイドワイヤに取り付けることができ、および/またはその他の治療構造を使用できる。適当な治療構造はさらに後述されており、たとえば繊維系フィルタ、ステント、ステントリトリーバ、アテローム切除デバイスまたはその他を含むことができる。図1に示されるように、負圧装置126が吸引ポート122に接続されて示され、適当な負圧装置にはたとえば、シリンジ、蠕動運動ポンプもしくはその他の適当なポンプ等のポンプ、アスピレータ/ベンチュリ、またはその他が含まれる。適当なポンプはGomco(商標)ブランドポンプまたはDRE DM-660(商標)ポンプ等、Allied Healthcare Products,Incから入手できる。
【0054】
一般に、管状シャフト108はその長さに沿ってほぼ一定の径を有することができるか、または一部のガイドカテーテルは、異なる径の区画を有することができ、概して、より大径の区画の遠位側により小径の区画がある。本明細書に記載のいくつかの実施形態では、管状シャフトの長さの大部分は一定の径を有して吸込み延長部の接続区画と所望の接触をなし、接続区画は管状シャフトの係合区画と呼ぶことができ、患者への吸引の送達に適した構成の吸込み延長部と係合するように設計される。管状シャフトのうち係合区画の近位側の部分は、係合区画に対してより大きい内径と概してより大きい外形とを有することができる。従来のガイドカテーテルはいくつかの実施形態では吸引カテーテルシステムに使用できるが、特定の設計を後述する。管状シャフトのうち遠位管状部分は、吸込み延長部104の一部を管状シャフト108内に保持するために、わずかにより小さい内径を有することができる。管状シャフト108は、患者の体内での管状シャフトの位置決めのほか、ガイドカテーテル内腔内の吸込み延長部の接続区画の位置決めを容易にするための1つまたは複数の放射線不透過性マーカバンドを有することができ、図1は、管状シャフト108の遠位端付近にマーカバンド128を示しているが、希望に応じて代替的な位置を使用できる。後述のように、管状シャフト108は内面および/または外面またはその一部にコーティングを有することができる。
【0055】
吸込み延長部104は概して、接続区画140と、管状延長部142と、制御ワイヤ等の制御構造148とを備える。接続区画140の全部または一部は、ガイドカテーテル102の内腔内にとどまるように構成できる。図1に示されるように、接続区画140は放射線不透過性マーカバンド152を含むことができるが、いくつかの実施形態では、接続区画はマーカバンドを持たなくてもよく、また、他の実施形態では複数のマーカバンドを含むことができ、管状延長部142は管状延長部142の遠位端の付近に放射線不透過性マーカバンド154を有するように示されているが、再び、管状延長部142は希望に応じて複数の放射線不透過性マーカバンドを含むことができる。制御構造148は、近位部分140と接続し、組み立てたデバイスにおいて、カテーテルの外に延び、たとえば制御ワイヤポート124または近位取付具120を通って外に出る制御ワイヤまたはその他とすることができる。制御構造148は、シャフト106の内腔内の接続区画140の位置決めを制御するために使用できる。制御構造148は制御ツール156を含むことができ、これはたとえばハンドル、スライド、または、制御ワイヤもしくは他の接続要素を固定して、制御ワイヤの移動を容易にすることのできるもの等のその他である。いくつかの実施形態では、複数のワイヤまたは円筒形ワイヤアセンブリ等の代替構造により、近位部分を吸引カテーテルシステムの近位端に接続して、近位区画の位置決めに関して所望の制御レベルを提供できる。
【0056】
前述のように、吸込み延長部の接続区間はガイドカテーテルの内腔を適当なインタフェースと係合させ、吸込み延長部の接続区画間の血液の流れを減少させ、または排除しながら、ユーザが吸込み延長部をガイドカテーテルに対して並進させて、管状延長部のチップを位置決めできるようにする。吸込み延長部の接続区画が非円形の断面を有する所望の設計は、特にこれらの基準を満たすことがわかった。本明細書に記載の材料の選択により、吸込み延長部の接続区画とガイドカテーテルの内部との間の非常に小さい平均隙間も使用できる。組み立てたときに、ガイドカテーテルの内腔は、円周に沿った2か所で吸込み延長部の接続区画と接触でき、これは、接続区画の断面を部分的に丸くすることができる。この2か所で接触する構成は、流れの望ましい閉じ込めを提供しながら、使用者は吸込み延長部を適当な容易さで摺動させることができる。
【0057】
吸込み延長部の接続区画(またはその一部)の非円形の断面は概して、ほぼ楕円の形状とすることができる。この用語により限定することは意図されないが、いくつかの実施形態では、断面は従来の卵型の断面に似た1つの対称軸を有することができる。後述のように、楕円形状は、ワイヤ制御構造を近位区画に取り付けることによって生成できるが、その他の構造的特徴を使用して楕円形状を導入でき、これはたとえばほぼ1つの対称軸または2つの対称軸を設けるが、楕円は非対称とすることもできる。概して、楕円の断面は、長軸、たとえば対称軸に沿った長い方の寸法と、短軸、たとえば長軸に垂直な、円周を接続する最長の線分とにより部分的に特徴付けることができる。具体的な形状は明示されないため、長軸と短軸の仕様は楕円を十分に特定しないものの、長軸と短軸は楕円の寸法および相対的形状に関する重要な情報を提供でき、これは特に、形状が概して円形の形状からかけ離れていないからである。また、平均隙間は、楕円の断面の円周(C)の最大値を使用し、透過的な円に変換して適当な平均直径を求めることによって定義できる(D=C/π)。
【0058】
ガイドカテーテルの実施形態を図2図4に示す。図2を参照すると、ガイドカテーテル160はTuohy-Borstコネクタ、ルアーコネクタ、またはその他の一部とのコネクタ取付ハブ162と、シャフト164と、ストレインリリーフサポート(strain relief support)166とを備える。この実施形態では、シャフト164の近位端はストレインリリーフサポート166を通ってコネクタ取付ハブ162に至り、構成部品は接着剤により相互に固定できる。また、メスコネクタ168は、1つまたは複数の分岐を有する回転止血弁を有していてもよい分岐コネクタ等、近位取付具上のオスコネクタ取付具と接続するためのコネクタ取付ハブ162の近位端に配置される。
【0059】
シャフト164のうち、近位端に近い部分の断面図を図3に示す。図3の実施形態を参照すると、シャフト164は、埋め込まれたステンレススチールのワイヤ編組(wire braid)182と潤滑ライナ184、たとえばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはその他のフッ素ポリマーを備えるポリマーチューブ180を含む。図4は、シャフト164の遠位端を示す。図4に示されるように、放射線不透過性マーカバンド186はポリマー管の中のシャフト164の遠位端付近に埋め込まれる。また、管の遠位区画188は、後でさらに説明するように、シャフト164の遠位端に設置され、わずかに減少した内径を有する。図3および図4に示されるように、金属編組は、マーカバンド186の付近で終了し(または、マーカバンドと重なり、その後終了し)、遠位区画188にはこの実施形態では金属編組がない。さらに後述するようにシャフトに含まれるポリマー管の組成は、シャフト164の長さに沿って変化することができ、それによってたとえばシャフトの柔軟性がシャフトの遠位端に向かって増大する。いくつかの実施形態では、ポリマー管の隣接する別の区画を加熱して相互に結合させ、さらに、上部がアーチ状のシャフトの大部分を強化する金属編組および/またはコイルでさらに支持することができる。いくつかの実施形態では、シャフト164の大部分は、遠位区画188を除き、一定の内径を有して、ガイドカテーテルの中の遠位区画188の近位側のいずれの位置に位置決めされた吸込み延長部を通じても吸引をかけるようにすることができる。しかし、代替的実施形態では、シャフト164の近位区画は希望に応じてより大きい径を有することができ、それは、ガイドカテーテルの近位区画は吸引をかけるために吸込み延長部の接続区画を位置決めするのに使用されないこともあるからである。制御ワイヤ上の適当なマーカを使用して、吸込み延長部が吸引をかけるのに適正に位置決めされるのを確実にすることができる。
【0060】
潤滑コーティング、たとえば親水性コーティングをシャフト164またはその一部の外面上に配置できる。適当な親水性コーティングにはたとえばポリビニルアルコール、ヘパリン系コーティング、またはその他が含まれる。親水性コーティング溶液は、たとえばLUBRICENT(登録商標)(米国ミネソタ州のHarland Medical Systems)またはSERENE(商標)(米国ミネソタ州のSurmodics,Inc.)等、市販されている。材料および製造プロセスのさらなる説明は以下に提供される。
【0061】
ガイドカテーテルの外径(D)は約5.5Fr(直径1.667mm)~約10Fr(直径3.333mm)、さらなる実施形態では約6Fr(直径1.833mm)~約9Fr(直径3mm)、およびいくつかの実施形態では約6.25Fr(直径2mm)~約8.5Fr(直径2.833mm)とすることができる。ガイドカテーテルの測定値は概して外径に関しており、内径は外径より壁厚の2倍小さい。一般に、シャフト164の主要部分の内径(d)は約0.8mm~約3.175mmの範囲、さらなる実施形態では約0.9mm~約2.85mm、およびさらなる実施形態では約1.00mm~約2.7mmの範囲とすることができる。遠位区画188の内径(d)をシャフト164の係合区画の内径(d)に関する縮小量は、約0.034mm(0.00134インチ)~約0.25mm(0.0098インチ)、さらなる実施形態では約0.05m(0.002インチ)~約0.20mm(0.0079インチ)とすることができる。ガイドカテーテルシャフトの長さは、約30cm~約150cm、さらなる実施形態では約35cm~約130cm、さらなる実施形態では約40cm~約120cmとすることができ、概して対応する手順に適するように選択される。いくつかの実施形態では、遠位区画188の長さ(L)は約1mm~約50mm、さらなる実施形態では約1.5mm~約25mm、他の実施形態では約2mm~約20mmとすることができる。当業者であれば、上記明示的な範囲内の寸法のさらなる範囲が企図され、本開示の範囲内にあることが理解されよう。
【0062】
図2のガイドカテーテルを使用して図1と同様の近位取付具を形成するために、図5に示される実施形態のように、Y分岐止血弁コネクタ190を使用できる。Y分岐止血弁コネクタ190は、オスコネクタ192と、分岐する流路を有するY分岐フレーム194と、回転する止血弁196と、コネクタ198と、コネクタ198においてY分岐フレーム194に接続された管200と、管200に接続された吸引デバイス202とを備える。オスコネクタ要素192は、図2のメスコネクタ要素168に取り付けることができる。図5に概略的に示されているように、制御ワイヤ204とガイドワイヤ206はどちらも、止血弁196から出ているように示されており、ガイドワイヤ206は治療デバイスをガイドカテーテルから止血弁を通るように案内するために使用できる。各種の分岐止血弁コネクタが、米国ユタ州のMerit Medical等の民間のサプライヤから入手できる。より一般的に、様々な取付具をガイドカテーテル160のコネクタ取付ハブ162に取り付けることができ、吸込み延長部の管状延長部を設置するための部分を備える取付具の改良型実施形態について、以下の治療システムのセクションでより詳しく説明する。
【0063】
吸込み延長部の実施形態が図6図12に示されている。図6を参照すると、吸込み延長部230は制御ワイヤ232と、接続区画234と、管状延長部236とを備える。接続区画234は、接続区画から近位方向に延びる制御ワイヤ232および、接続区画から遠位方向に延びる管状延長部236と接続する。一般に、制御ワイヤ232は、組み立てられた吸引カテーテルシステムにおいて管状延長部236とともにガイドカテーテルに対して相応に移動できる、引く力と押す力を接続区画234へ伝達する中実ワイヤ、コイル、またはその他とすることができる。制御ワイヤ232は、いずれの妥当な断面形状を有することもでき、これは制御ワイヤの長さに沿った様々な箇所で異なっていてもよい。また、制御ワイヤは、制御ワイヤの遠位端に向かってテーパ状として、円周がより小さくなるようにすることができる。概して、制御ワイヤ232はステンレススチール、チタン、またはその他の生体適合金属で製作されるが、適切なバランスの剛性と柔軟性を有する他の材料も原則として使用できる。いくつかの実施形態では、制御ワイヤは、その長さに沿った平均径が約0.010インチ(0.254mm)~約0.040インチ(1.01mm)、さらなる実施形態では約0.0125インチ(0.32mm)~約0.030インチ(0.76mm)の丸形金属ワイヤである。制御ワイヤ232の長さは概して、ガイドカテーテルのそれより幾分長く、それによってガイドワイヤはガイドカテーテルの近位端から延び、たとえばガイドカテーテルより5cmまたはそれ以上長い。当業者であれば、上記明示的な範囲内の寸法のさらなる範囲が企図され、本開示の範囲内にあることが理解されよう。
【0064】
接続区画234は概して、管状延長部236より大きい外径により区別され、管状延長部236は接続区画234から遠位方向に延びる。図6図12の実施形態では、管状延長部236はほぼ一定の外径および内径を有し、管状延長部に沿って径が減少するさらなる実施形態を後述する。図10の断面図を参照すると、管状延長部は、ポリマー管240と、金属コイル補強材242と、放射線不透過性マーカバンド244とを備える。金属コイル補強材242は平型金属ワイヤを含むことができ、これはいくつかの実施形態では、さらに後述するようにほぼ放射線不透過性マーカバンド244から接続区画234内の放射線不透過性マーカバンドまで延びるが、金属コイル補強材はマーカバンドの上に延びることができる。ポリマー管240は、管状延長部236の長さに沿って同じままとすることができ、またはポリマーは管状延長部236に沿った異なる位置において変化することができ、たとえば遠位方向に、より柔軟となる。構成中にポリマーの異なる区画を加熱して結合することができ、金属コイル補強材242のほか、任意選択によりポリマー被覆層は、ポリマー管の接続された区画をさらに安定化させることができる。管状延長部236の、放射線不透過性マーカバンド244の遠位側のチップ246は、金属補強材を持たないポリマー管240を備えることができる。PTFE等の低摩擦ライナ248またはその他のフッ素ポリマーは、管状延長部236および/または接続区画234の長さまたはその一部に沿って延びることができる。
【0065】
接続区画234と制御ワイヤ232および管状延長部236との間の関係が図6図8に示されている。接続区画234の部分断面図が図9図11、および図12に示され、構造の特定の詳細を示している。接続区画234は、ポリマー管260と放射線不透過性マーカバンド262を備えることができる。ポリマー管260は近位開口部264を有し、これはポリマー管の長さ方向軸に対して角度をつけて、デバイスを吸込み延長部から送達しやすくすることができるが、希望に応じて直角を使用できる。角度αは図8に表示されており、25度~約85度、さらなる実施形態では約30度~約80度、さらなる実施形態では約33度~約75度の範囲とすることができる。当業者であれば、上記明示的な範囲内の寸法のさらなる範囲が企図され、本開示の範囲内にあることが理解されよう。
【0066】
制御ワイヤ232と接続区画234との接触は、構成要素を相互に固定することと接続区画234の形状を形成するのに役立てることとの両方の目的に適い、これはガイドカテーテル内腔の内部との所望の接触を提供するように選択できる。具体的には、接続区画と制御ワイヤとの接続は、接続区画の楕円の断面を形成しやすくすることができる。代替実施形態では、制御ワイヤ232の終端は平型ワイヤコイルとすることができ、これは、‘938出願に記載され、後述するように、ポリマー管に埋め込まれて、接続区画の形状を実質的に保持する。さらなる、または代替実施形態では、接続区画の楕円形状は、ポリマーの成形(molding)またはその他の整形(shaping)を通じて導入でき、これは埋め込まれた制御ワイヤによる隆起と組み合わされても、組み合わされなくてもよい。楕円の断面の適当な寸法と接続区画を形成するための加工については、さらに後述する。低摩擦ライナ248は、図9および図11に示されるように、接続区画234の内腔を通って延びることができ、またはいくつかの実施形態では、希望に応じて別の低摩擦ライナを接続区画234に含めることができる。
【0067】
図8図11、および図12を参照すると、制御ワイヤ232の遠位端はポリマー管260に関連するポリマー内に埋め込まれる。ポリマー壁を補完して制御ワイヤ232を固定することにより、断面形状が変化し、その結果、図12において明確にわかるように、長軸(L)が短軸(L)より長くなる。前述のように、非円形の断面は、吸込み延長部とガイドカテーテルとの接触にとって有利である。非円形の形状の接続区画280の代替実施形態の断面が図13および図14に示されている。この実施形態では、制御ワイヤ284の端の平坦な金属コイル282が、非円形の断面のポリマー管286に埋め込まれる。非円形の断面は、この実施形態では、図14の断面においてわかるように、円周の1つの縁に沿ってより厚い壁のポリマーを形成することを通じて形成される。対応する円形の実施形態は、‘938出願の図21および図22に示されている。接続区画は、その長さ全体にわたりほぼ一定の外径を有していてもいなくてもよく、外径はその長さの少なくとも一部にわたり、管状延長部の隣接区画の外径へとテーパ状、たとえば漸進的テーパ、段階式テーパ、またはその組合せであってよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、接続区画の近位端は、取付具要素のドッキング要素にドッキングさせて、吸込み延長部をそれに関連する取付具要素の中での止血隔離状態から取り外すことができるようにするのに適している。吸込み延長部とドッキングしたこのような取付具は、ドッキング位置において吸込み延長部から凝血塊を除去するために使用できる。凝血塊が除去されると、吸込み延長部は、患者の体内に再導入して患者の血管から別の血栓を除去するためにさらに使用することができる。適当な取付具を以下に詳しく説明する。
【0069】
吸込み延長部の代替実施形態が図15および図16に示されている。吸込み延長部300は、制御ワイヤ302と、接続区画304と、管状延長部306とを備える。制御ワイヤ302および接続区画304は、図6図12の実施形態の、それぞれ制御ワイヤ232および接続区画234と同じとすることができる。図16を参照すると、制御ワイヤ302の遠位端はポリマー中の接続区画304に埋め込まれ、接続区画304の表面に沿って膨張部308を形成する。接続区画304の内腔への近位開口部310は、接続区画304の軸に対して角度αをなす。接続区画304は、放射線不透過性マーカバンド312を含む。接続区画304の本体はポリマー管314である。低摩擦ライナ316、たとえばPTFEまたはその他のフッ素ポリマーは、接続区画304および/または管状延長部306の内腔またはその選択された部分に沿って延びることができる。平型金属ワイヤコイル等の金属補強材は、ポリマー管314またはその一部を補強できる。図16に示されるように、平型金属ワイヤコイル318は、放射線不透過性マーカバンド312の遠位側のポリマー管314にわたって埋め込まれ、管状延長部306まで延びる。さらに、図12および図14に示される非対象の断面のほか図11および図13の制御ワイヤ取付方式は、図15および図16の実施形態にも適用できる。
【0070】
図15および図16を参照すると、管状延長部306は、第一の管状区画330と、テーパ区画332と、第一の管状区画330より小径の第二の管状区画334とを備える。テーパ区画332は、第一の管状区画330の直径と第二の管状区画334の直径との間でテーパが付いている。第二の管状区画334は、放射線不透過性マーカバンド336を含む。平型金属ワイヤコイル318は放射線不透過性マーカバンド336から接続区画304内の、ポリマー管に埋め込まれた放射線不透過性マーカバンド312まで延びる。第二の管状区画334の、放射線不透過性マーカバンド336の遠位側の端は、金属補強材を有していなくてよい。前述のように、低摩擦ライナ316は、管状延長部306の長さまたはその選択された部分にわたり内腔壁に沿って延びることができる。第一の管状区画330、テーパ区画332、および第二の管状区画334の本体は概して熱可塑性ポリマー管を含む。ポリマー管の区画は、加熱して相互に結合し、さらに埋め込まれた平型金属ワイヤコイル318により、任意選択により金属補強材を被覆する熱収縮ポリマーフィルムまたはその他によりさらに支持できる。ポリマー管の組成は、希望に応じて、特定の柔軟性を選択するために長さに沿って変化させることができ、概してデバイスの遠位端に向かってより柔軟となり、ポリマー組成は異なる区画330、332、334で、および/または区画内で変化させることができる。
【0071】
図15および図16に示されるように、テーパ区画332は第一の管状区画330のより大径から第二の管状区画334のより小径へと直径の直線的遷移を提供する。代替実施形態では、テーパ区画の直径は希望に応じて非線形であり得るが、変化は概して単調である。テーパ区画は、押出加工を通じて、または熱可塑性ポリマーをマンドレル形状に適合させること、もしくは当業界で知られているその他の好適なプロセスの手法を通じて形成できる。
【0072】
吸込み延長部の重要な態様は、ガイドカテーテルに対して小径の吸引チップであり、図15および図16の実施形態の第二の管状区画の直径の縮小により、細い神経血管の中へとさらに到達させることができる。すると、有効な吸引内腔がガイドカテーテルから吸込み延長部の接続区画の中へ、および、直径がさらに減少する可能性のある管状延長部の中へと延びる。接続区画の内径は、第一の管状区画の内径と同じであっても、そうでなくてもよい。管状延長部が小径であることにより、細く曲がりくねった血管の中に到達でき、より大径の近位吸引内腔の使用によって、適当な箇所に到達する能力を損なわずに吸引性能は大幅に向上する。
【0073】
図17は吸込み延長部の代替実施形態を示しており、制御構造はその近位端に、またはその付近にハンドルを有する。図17に関して、制御構造/ワイヤ340はその近位端の付近に固定されたハンドル342を有する。ハンドル342は、ハンドルを切り離すための構造を含んでいてもいなくてもよい。ハンドルのある特定の実施形態について以下に詳しく説明する。制御構造/ワイヤ340は、その遠位端にねじり部344を有し、ハンドル342が制御構造340から外れないようになっている。ねじり部344は、曲げ部、ノット、アンカ、またはハンドル342が制御構造340から外れるのを防止または阻止するためのその他の構造もしくは歪曲を指し、またはそれに置き換えることができる。
【0074】
吸引強度をさらに提供するために、管状延長部自体が、図15および図16の実施形態に示されるような、直径が減少する異なる区画を有することができる。概して、動脈は径が徐々に減少するため、幾分大径の区画は選択された細い血管の中に吸引チップを到達させることと矛盾しないことが望ましいこともある。第一の管状区画に関して、この区画は概して、ほぼ一定の直径(概して、壁厚がほぼ一定と仮定して、内径または外径)を有し、これは概して約0.95D~約[d+0.1(D-d)]、さらなる実施形態では約0.925D~約[d+0.25(D-d)]、およびいくつかの実施形態では約0.9D~約[d+0.35(D-d)]であり、dは第二の管状区画の直径、Dは接続区画の平均直径である。第一の管状区画の長さは、管状延長部の全長、たとえば第一の管状区画、第二の管状区画、および任意選択による遷移区画の全長、または相応の実施形態では単独の管状区画のみの全長(図6のL)の約10%~約90%、さらなる実施形態では約20%~約80%、およびさらなる実施形態では約30%~約70%とすることができる。接続区画の長さ(図6のL)は約4mm~約8cm、およびさらなる実施形態では約5mm~約6cmとすることができる。当業者であれば、上の明示的範囲内のさらなる寸法および相対寸法の範囲が企図され、本開示の範囲内にあることが理解されよう。図15および図16は、直径が第二の管状区画へと1回減少する管状延長部を示しているが、他の実施形態では、直径がさらに減少する、一定の径の追加の管状区画があり得るが、これはさらに上述の管状延長部の全長をさらに分割する。たとえば、1つのさらなる中間管状区画、2つのさらなる中間管状区画、または3つ以上のさらなる中間管状区画があり得る。
【0075】
管状延長部または、異なる内径の複数の管状区画を有する実施形態では管状延長部の遠位管状区画は、ガイドカテーテルの係合区画の内径の約20パーセント~約90パーセント、さらなる実施形態では約30パーセント~約85パーセント、さらなる実施形態では管状シャフトの係合区画の内径の約35パーセント~約80パーセントとすることができる。たとえば、管状延長部の遠位端の内径は、約0.5mm~約1.9mm、さらなる実施形態では約0.6mm~約1.8mm、および他の実施形態では約0.65mm~約1.75mmの範囲とすることができる。管状延長部の長さは約3cm~約60cm、いくつかの実施形態では約5cm~約55cm、さらなる実施形態では約8cm~約50cmとすることができる。当業者であれば、上記明示的な範囲内のさらなる範囲が企図され、本開示の範囲内にあることが理解されよう。
【0076】
管状延長部の遠位端は、その応力を受けていない自然な状態で屈曲または湾曲し得る。概して、屈曲チップカテーテルは、吸引能力を不利に変化させることなく、ガイドワイヤ上でカテーテルを追跡しやすくすることができる。たとえば、参照により本明細書に援用される「Tracking Aspiration Catheter」と題する、Boldenowらの米国特許第8,021,351号明細書を参照されたい。屈曲吸引チップの2つの一般形態が図18および図19に示されている。図18を参照すると、吸引チップ350は、直線区画352と、屈曲部354と、屈曲チップ区画356の軸にほぼ垂直な平坦遠位開口部358を有する屈曲チップ区画356とを備える。図19を参照すると、吸引チップ364は、直線区画366と、屈曲部368と、屈曲チップ区画370の軸に対して垂直以外の角度の斜めの遠位開口部372を有する屈曲チップ区画370とを備える。屈曲チップ区画356、370は概して円筒形であり、対応する直線区画352、366とほぼ同じ直径を有することができる。図18および図19では2つの形状の開口部が示されているが、いずれの適正な形状の開口部も概して使用できる。
【0077】
吸込み延長部380の屈曲チップの具体的な実施形態が図20に示されている。この実施形態で、遠位端382は湾曲しており、この実施形態の遠位端に直線区画はないが、代替実施形態では遠位端に短い直線区画があってもよい。遠位端382は吸込み延長部380の直線区画384から延びる。曲線の弧はほぼ円形であるが、他の緩やかな弧も使用でき、この場合、曲率半径は弧の平均とすることができる。
【0078】
この実施形態では、チップの曲率は漸進的であり、遠位端は直線区画を持たないこともある。角度γは、初期湾曲点から遠位開口の中央で得たチップの自然点に基づいて画定できる。いくつかの実施形態では、角度γは約5度~約21度、さらなる実施形態では約7度~約20度とすることができる。緩やかな湾曲を実現するために、曲率半径は概して比較的大きく、いくつかの実施形態では、曲率半径は約21mm~約100mm、さらなる実施形態では約25mm~約75mmとすることができる。いくつかの実施形態では、チップの、湾曲部の後の直線部分の長さは約1cm以下、他の実施形態では約0.1mm~約6mm、さらなる実施形態では約0.5mm~約4mmとすることができる。代替実施形態では、湾曲部は緩やかな弧からなり、その遠位側に大きい直線区画はなく、それによって湾曲部または屈曲部は角度と曲率半径とにより特定される。当業者であれば、上記明示的な範囲内のさらなる角度、半径、および長さ範囲が企図され、本開示の範囲内にあることが理解されよう。
【0079】
前述のように、吸込み延長部の接続区画は、非円形の楕円の断面を有することができ、これはすると、ガイドカテーテルの内腔の内面と接触し、内面に円周に沿った2か所で接触することができる。吸込み延長部の接続区画とガイドカテーテルの係合区画との間の接触により、これらの表面間の流れを減らし、または排除し、それによって吸引流れの基本的に全部が吸込み延長部の内腔を通る。それと同時に、吸込み延長部は、係合区画内で長さ方向に位置付けることができ、それによって使用者は制御構造をスライドさせることにより吸込み延長部を位置決めできる。これらの様々な条件は、所望の機能を提供するように有効にバランスをとることができる。
【0080】
図21を参照すると、ガイドカテーテルの係合部分402内の吸込み延長部の接続区画400の断面図が示されている。接続区画400の断面の非円筒形の特徴を容易に見ることができる。要素間の接触により、接続区画400の楕円形状は、特に接続区画400の長軸の歪曲されていない長さが係合区画402の内径より大きい場合、ガイドカテーテルから分離されたその形状に対して歪む可能性がある。接続区画400は、係合部分402の内腔の内面と2つの接触箇所404、406で接触できる。接触箇所404、406の大きさは概して、要素の寸法、接続区画400の形状、および材料特性に依存する。概して、接触箇所の境界を正確に画定する必要がない。
【0081】
前述のように、非円筒形の接続区画は、長軸、短軸、および円周から得られた平均直径で特徴付けることができる。これらのパラメータに基づき、接続区画400と係合部分402との間の接触の重要な点を、長軸と短軸との差、制約されていない接続区画400の長軸と係合区画402の内径との差、および係合区画402の内径と接続区画400の平均直径との差で特定することができる。たとえば、長軸と短軸との差は、約30マイクロメートル~約160マイクロメートル、さらなる実施形態では約50マイクロメートル~約140マイクロメートルとすることができる。いくつかの実施形態では、係合区画402の内面の直径と接続区画の平均直径との差として測定される公差は、たとえば約4サウ(thou)(1サウ=1/1000インチ、4サウ~102.6マイクロメートル)以下、さらなる実施形態では約3サウ(76.2マイクロメートル)以下、さらなる実施形態では約1.75サウ(45マイクロメートル)以下、他の実施形態では約1サウ(25.4マイクロメートル)~約1.75サウ(45マイクロメートル)とすることができ、計測の不確かさにおいて約ゼロとすることができる。ガイドカテーテルから分離された接続区画の長軸がガイドカテーテルの内径より大きい実施形態の場合、制約されていない(すなわち、ガイドカテーテルから分離された)接続区画400の長軸と係合区画402の内径との差は、約0~約250マイクロメートル、さらなる実施形態では約15マイクロメートル~約150マイクロメートル、他の実施形態では約20マイクロメートル~約100マイクロメートルとすることができる。当業者であれば、上記明示的な範囲内のさらなる寸法差の範囲が企図され、本開示の範囲内にあることが理解されよう。
【0082】
カテーテル構成要素は、たとえば、ステンレス鋼もしくは合金、たとえばNitinol(登録商標)等の金属、または、ポリエーテルアミドブロックコポリマー(PEBAX(登録商標))、ナイロン(ポリアミド)、ポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリシロキサン(シリコーン)、ポリカーボネートウレタン(たとえば、ChronoFlex AR(登録商標))、それらの混合物、それらの組合せ、または他の好適な生体適合性ポリマー等のポリマーを含む、1種または複数種の生体適合性材料から形成することができる。放射線不透過性は、ワイヤまたはバンド等、白金-イリジウム合金、タンタル、タングステン、金、プラチナ-タングステン合金またはそれらの混合物等、金属マーカを添加することにより、または、ポリマー樹脂に添加された、硫酸バリウム、三酸化ビスマス、次炭酸ビスマス、粉末タングステン、粉末タンタル等、放射線不透過剤(radio-pacifier)を通して、達成することができる。硫酸バリウムが添加され、様々なショア硬さの値を持つ医療用PEBAXが市販されている。さらに、カテーテルの特定の区画に対して所望の剛性/可撓性を導入する材料により、カテーテルの選択された区画を形成することができる。同様に、1種もしくは複数種の金属および/または1種もしくは複数種のポリマー等、好適な材料から、取付具構成要素を形成することができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、ガイドカテーテル、それらの吸込み延長部分または適切な部分が、ポリマーを補強する金属要素が埋め込まれた熱可塑性ポリマー、例えば上記のポリマー等を含む。ワイヤは、ポリマー管ライナの上に、管ライナの上の適所でワイヤを維持するために幾分かの張力で編み組まれ、コイル状に巻かれ、または他の方法で配置することができる。いくつかの実施形態では、最上部の上に熱収縮ポリマー等のポリマージャケットを配置し、加熱して、構造上のカバーを収縮、融合させることができ、および/またはポリマー管を熱によって軟化させて、金属補強材の組込みを可能にすることができる。ポリマーの軟化温度および/または熱収縮温度を超える温度まで加熱し、その後冷却すると、補強金属は、ポリマー内に埋め込まれる。適切な実施形態では、ライナおよびジャケットは、同じ材料でも異なる材料でもあり得る。好適なワイヤとしては、たとえば、平坦なステンレス鋼ワイヤ等が挙げられる。ワイヤ径は、約0.00025インチ(0.00635mm)~約0.004インチ(0.1mm)、さらなる実施形態では、約0.0005インチ(0.013mm)~約0.003インチ(0.075mm)の範囲であり得る。適切な実施形態では、1インチあたりの編組ピックは、約20~約250ピック/インチ、さらなる実施形態では、約50~約150ピック/インチであり得る。適切な実施形態では、コイルは、たとえば、約0.005インチ(0.13mm)~約0.1インチ(2.54mm)、さらなる実施形態では、約0.01インチ(0.26mm)~約0.050インチ(1.27mm)のピッチを有する、シングルフィラメントまたはマルチフィラメントコイルであり得る。当業者であれば、明示的な後述する範囲内のさらなる範囲が考えられ、本開示の範囲内にあることが理解されよう。ワイヤは、適切な量の可撓性を維持しながら、さらなる機械的強度を追加する。ワイヤは、幾分かの放射線不透過性を提供することができるが、放射線不透過性バンドが、概して、ワイヤに対してより暗く識別可能な画像を提供する。しかしながら、ワイヤの画像は、処置中にカテーテルのさらなる視覚化を提供することができる。
【0084】
カテーテルから放射線不透過性バンドが偶発的に除去される可能性を低減させ、放射線不透過性バンドが血管内で他の物体に引っ掛かる可能性を低減させるために、金属補強ワイヤを使用して、放射線不透過性バンドを覆うかまたは封入することができ、金属ワイヤは後に、ポリマー内に埋め込まれる。いくつかの実施形態では、金属ワイヤの上にポリマージャケットを配置することができ、それは、対応して放射線不透過性バンドを覆っており、熱接着もまた、放射線不透過性マークバンドを埋め込む。金属ワイヤの下にマーカバンドを配置することにより、壁がねじれる(kinked)かまたはつぶれた(collapsed)場合に、カテーテルからバンドが分離するのを防止することができる。カテーテル壁のつぶれまたはねじれが発生する場合、バンドの表面にわたる編組ワイヤは、マーカバンドの上に折り畳まれて、マーカバンドが構造から分離するのを防止する。
【0085】
<治療システム>
本明細書に記載の吸引システムは、急性脳卒中の状態を治療する場合の脳内血管等の血管から凝血塊を有効に除去するために使用できる。特に、‘792特許の細いチップのカテーテルは、急性塞栓性脳卒中患者の血流を回復するための人体臨床試験でよい成績を上げ、患者の転帰は良好であった。本明細書に記載のデバイスは、誘導しにくい血管へのアクセス能力を保持しながら、さらによりよい吸引を提供することが予想され得る。しかしながら、一部の急性脳卒中の状態またはその他の塞栓性イベントでは、本明細書に記載の吸引カテーテルシステムをその他の医療器具とともに用いて治療を行うことが望ましい可能性がある。さらに、本明細書に記載の吸込み延長部を使用するための改良された手順を提供する近位取付具の特定の望ましい実施形態をこのセクションで説明する。特に、近位取付具の改造により、止血弁を通過せずにガイドカテーテルから吸込み延長部の管状延長部を取り外すことができる。いくつかの実施形態では、近位取付具は追加の分岐取付具をさらに含むことができ、これは吸込み延長部の近位端とドッキングして、止血弁の背後の隔離位置から好都合に取り外せるようにし、吸込み延長部の血栓による閉塞の除去と再挿入を好都合に行えるようにする。血栓による閉塞は、ドッキングYコネクタの分枝から送達される潅流で除去でき、その際、吸込み延長部はドッキングされたままで、患者の血管の別の閉塞部分をさらに除去するように吸込み延長部を素早く戻すことができる。また、近位取付具は、吸引プロセスの状態に関する貴重な情報を提供できる圧力センサを用いて改造できる。圧力情報の入手可能性を利用して、処置の様々な点を改善し、効率を向上させ、患者に対する潜在的リスクを低減させることができる。
【0086】
図22を参照すると、ガイドワイヤ452と、塞栓保護システム454と、ガイドカテーテル458と吸込み延長部460とが分離された状態で示される吸引カテーテルシステム456と、経皮的医療デバイス462と、マイクロカテーテル464と、送達カテーテル466と、近位取付具468と、負圧装置、たとえばポンプまたはシリンジ等470と、ディスプレイユニット472を備える治療システム450が示されている。近位取付具468の適当な構成要素について以下に説明する。医療システムのすべての実施形態がこれらの構成要素の全部を有しているとは限らず、一部の医療システムの実施形態は、各タイプの複数の構成要素、たとえば複数の異なる経皮的医療デバイスを有することもある。近位取付具468のために望ましい実施形態をカバーする好適な構造は以下のセクションで説明する。
【0087】
曲がりくねった体内血管での使用に適したガイドワイヤは、参照により本明細書に援用される、「Medical Guidewires for Tortuous Vessels」と題する、Pokorneyらの米国特許第10,518,066号明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、塞栓保護システム454は、デバイスを送達するガイド構造を備えることができ、これらのシステムには別々のガイドワイヤが使用されてもされなくてもよい。吸引カテーテルシステム456について本明細書で詳しく説明し、本明細書に記載の各種の実施形態は、医療システムと使用するため、および独立したデバイスとして使用するために改造できる。特に難しいデバイスの送達のために希望される場合は、医療システムは‘938出願に記載されているように、送達カテーテル466を含むことができる。
【0088】
本明細書に記載する医療システムでの使用に好適である、小さいフィルタの縦方向の広がりを有し、血管内の送達を容易にするように好適な操作に対して設計された塞栓保護デバイスが開発された。たとえば、ともに参照により本明細書に援用される、「Fiber Based Embolic Protection Device」と題する、Galdonikらによる米国特許第7,879,062号明細書、および「Steerable Device Having a Corewire Within a Tube and Combination with a Medical Device」と題する、Galdonikらによる米国特許第8,092,483号明細書を参照されたい。曲がりくねった血管内に送達するように特に設計されたさらなる繊維系フィルタデバイスは、参照により本明細書に援用される、「Embolectomy Devices and Method of Treatment of Acute Ischemic Stroke Condition」と題する、Galdonikらによる米国特許第8,814,892号明細書(以降、‘892特許)に記載されている。補足的な構造の使用もまた、本明細書の記載の手順において企図される。‘892特許は、吸引カテーテルと使用される凝血塊係合器具としてのフィルタデバイスの使用について記載する。‘892特許はまた、凝血塊との係合を容易にする補完構造の使用も想定している。ファイバ製フィルタを備えるDAISe(商標)凝血塊除去システムは、MIVI Neuroscience,Inc.により開発中である。補完構造の使用も、本明細書に記載の処置において考慮される。
【0089】
マイクロカテーテルは、大脳血管等の細い血管にアクセスできるように設計されており、大脳マイクロカテーテルは、たとえばProwler Select(商標)(Cordis Neurovascular Inc.)およびSpinnaker Elite(商標)(Boston Scientific Co.)等、が市販されている。もちろん、マイクロカテーテルという用語は幅広いデバイスをカバーし、本説明は本明細書に記載の処置に有益なカテーテルに焦点を絞ることができる。いくつかの実施形態では、マイクロカテーテルは、近位区画より細い遠位区画を含むことができる。しかしながら、さらなる実施形態では、マイクロカテーテルは、その長さに沿ってほぼ一定の直径を有することができ、それによって他のデバイスをマイクロカテーテル上で送達しやすい。小さい遠位直径により、カテーテルが脳内の曲がりくねった血管内を進むことができる。遠位区画は非常に柔軟で、血管内を進行するのに十分であるが、ねじれに対抗できる弾性を有する。マイクロカテーテルは、少なくとも1つの内腔を含む。マイクロカテーテルはすると、他の治療デバイス、吸引、治療薬、または状態を治療するその他の手段を送達するために使用できる。マイクロカテーテルは選択された大きさを有することができ、いくつかの実施形態では、マイクロカテーテルの遠位外径は約1.0Fr~約3.5Fr、さらなる実施形態では約1.5Fr~約3Fr、長さは約30cm~約200cm、さらなる実施形態では約45cm~約150cmとすることができる。当業者であれば、上記明示的な範囲内の大きさのさらなる範囲が企図され、本開示の範囲内にあることが理解されよう。
【0090】
経皮的医療デバイス762に関して、適当なデバイスとしては、たとえば凝血塊係合デバイス、血管形成バルーン、ステント送達デバイス、ステントリトリーバ等のアテレクトミーデバイス等が挙げられる。望ましい血栓係合デバイスは、参照により本明細書に援用される、「Thrombectomy Devices and Treatment of Acute Ischemic Stroke With Thrombus Engagement」と題する、Ogleらの米国特許第10,463,386号明細書に記載されている。ステントは、たとえば、バルーン拡張式、自己拡張式、または他の任意の適度な機構を用いて拡張可能であり得る。バルーン拡張式ステントはまた、血管中の凝血塊と係合する送達のためにバルーンに圧着することができる。いくつかのバルーン-ステント構造は、各々が参照により本明細書に援用される、「Stent Delivery Device」と題する米国特許第6,106,530号明細書、「Method of Making an Angioplasty Balloon Catheter」と題する米国特許第6,364,894号明細書、および「Ballon[sic] Catheter For Stent Implantation」と題する米国特許第6,156,005号明細書にさらに記載されている。自己拡張式ステントは、ともに参照により本明細書に援用される、「Gradually Self-Expanding Stem」と題する、Jantzenらによる米国特許第8,764,813号明細書、「Self-Expanding Stent」と題する、Cottone,Jr.らによる同第8,419,786号明細書にさらに記載されている。
【0091】
凝血塊治療プロセスが完了した後、吸込み延長部の管状延長部をガイドカテーテルから少なくとも部分的に外してから、ガイドカテーテルを患者から抜去することが有利であることがわかっている。この抜去プロセス中に管状延長部の一部が止血弁を通って取り除かれると、管状延長部の近位端が閉鎖するように設計されていないため、血管と患者の体外との間の隔離が失われる可能性がある。患者の体外とカテーテルシステムの内部との間の隔離が失われると、望ましくない量の出血という結果を招くほか、ノズルに関連する捕捉された血栓の制御が複雑となる可能性がある。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の取付具の設計は、止血弁の遠位側にあり、管状延長部の近位端にアクセスするために接続される管状保管領域を含めることを通じてこれらの問題に対処することが意図されている。いくつかの好適な設計を本明細書で説明する。管状延長部のこの取り外しによる失血は、本明細書に記載のドッキング分岐マニホルドの使用により減らし、またはなくすことができる。以下の説明の中で指摘するように、取付具の構造は市販の要素のために組み立てることができ、または特に本明細書に記載の吸引システムおよび/または治療システムのための特定の取付具としても設計できる。
【0092】
吸引システムを用いた処置中、吸込み延長部の管状延長部は、患者の体内から取り外されて凝血塊を除去してから、再挿入され、血栓をさらに取り除き得る。管状延長部から凝血塊を除去することには一般に、ガイドカテーテルから、および止血弁から取り外すことが含まれる。管状延長部から閉塞が除かれた後、これは止血弁を通って患者の体内に再挿入される。凝血塊を除去することには一般に、流体を近位端から遠位端へと逆流させることが含まれる。本明細書に記載の取付具により、吸込み延長部の接続区画をドッキングY取付具のドッキング要素にドッキングさせて、止血弁を通じて除去されるようにすることができる。止血弁を通じて除去されると、潅流流体がY取付具の一方の分枝から送達されて、管状延長部に潅流を行うことができ、吸込み延長部とさらに接続する必要がない。Yのもう一方の分枝は一般に、止血弁等を含み、そこを制御構造が通過し、弁を閉じることにより、潅流流体を吸込み延長の中へと向けることができる。
【0093】
第一の取付具要素は、過去において、参照により本願に援用される、「Supplying Effective Aspiration in Remote Vessels,Especially Cerebral Aerteries」と題するOgleによる米国特許出願公開第2019/0183517号明細書に記載されている。本願の第一の取付具要素は基本的に、近位取付具の範囲とすることができるが、本願の望ましい実施形態では、近位取付具はドッキング分岐マニホルドをさらに含む。ドッキング分岐マニホルドを使用することにより、取付具は吸引の提供および/または造影剤または治療用化合物等の潅流液体の送達の場所に関するさらなる選択肢を含むことができる。それゆえ、前述の近位取付具はドッキング分岐マニホルドと係合するための第一の取付具要素にも当てはめることができるが、第一の取付具要素は、特定の機能がドッキング分岐マニホルドを使って実行される場合、希望に応じて、より少ない、または異なる分岐を用いて設計することができる。それゆえ、本明細書に記載の実施形態のいくつかは、いくつかの実施形態では相応に簡素化することができる。
【0094】
吸込み延長部を止血区間内に引き込む近位取付具の第一の取付具要素の3つの代表的な実施形態が図23図26に示されており、その中でデバイス吸込み延長部の管状延長部を1つまたは複数の止血弁の背後にシールされたマニホルドの中に保持する。図23図26に示されるように、近位取付具は複数の取付具構成要素から組み立てられ、これらの取付具は、これらの第一の取付具要素から吸引できるように設計される。しかしながら、希望に応じて、構成要素の1つまたは複数は単一構造として製造でき、それに応じて1つまたは複数のコネクタ群が排除され、特定の構成には、使いやすさ、コスト、パッケージング、業界水準、使用中の設計の柔軟性、またはその他等、様々なトレードオフが含まれている可能性がある。図23および図24に示されるように、構成要素は分離されて示されているが、対照的に、図25および図26では複数の構成要素が接続されて示されている。もちろん、特定の用途では、マニホルド全体の追加の構成要素を最終的な近位取付具の構造の中に組み込むことができる。たとえば、圧力センサの取付を可能にする実施形態を以下に示す。また、マニホルドのその他の構成要素は、取付具に関連付けられる吸込み延長部のドッキングと引き抜きを可能にし、吸込み延長部の閉塞を除去することができる。
【0095】
図23を参照すると、取付具500はガイドカテーテル504と接続するのに適したY分岐マニホルド502と、延長止血取付具506と、を含む。ガイドカテーテル504は、前述のガイドカテーテルの実施形態のうちのいずれであってもよい。Y分岐マニホルド502は、ガイドカテーテル504と流体連通する複数のコネクタを提供する。図23に示されるように、Y分岐マニホルド502は3つコネクタ510、512、514を含み、これらはTuohy-Borstコネクタ、ルアーコネクタ、または他の好適なコネクタとすることができる。コネクタ510は、ガイドカテーテル504と接続するように選択できる。コネクタ512は、ポンプ等の負圧源または灌流流体源用等の各種の接続を提供するためのさらなる分岐マニホルドに接続でき、概して負圧装置との少なくとも1つの接続を有する。コネクタ514は、延長止血取付具506と接続するように構成される。延長止血取付具506は、Y分岐マニホルド502との嵌合接続のためのコネクタ516と、止血弁518と、コネクタ516と止血弁取付具518との間の管状部分520とを含む。管状部分520は、いくつかの実施形態では、管状延長部または接続区画のいずれの部分も止血弁を通過することなく、吸込み延長部の管状延長部をガイドカテーテル504から取り外すのに適した長さを有することができるが、近位制御構造は概して止血弁を通過し、これは処置を通じた取り得る構成である。この実施形態では、伸展した止血取付具506が十分に長く、管状延長部の遠位端が1つまたは複数の分枝、たとえばコネクタ512に続く分枝の近位側にあり、ガイドカテーテルから、またはその中に吸引または潅流を提供する際に管状延長部が邪魔にならないようにすることが望ましい可能性がある。図24は、吸引を送達するように構成されたドッキング分岐マニホルドと使用するのに適した、分岐を持たない第一の取付具要素の代替実施形態を示している。分岐のない第一の取付具要素522は、コネクタ524、分岐しない管状要素526、および止血弁528を含む。
【0096】
管状部分520の長さは、管状延長部の長さのほか、潜在的に希望に応じてY分岐マニホルド502の、それに関係する長さに応じて選択でき、これはまとめて、管状延長部を接続区画とともにガイドカテーテルの外部で止血隔離状態に置くための管状区画と呼ぶことができる。管状延長部を管状部分520の中に完全に引き込んで、マニホルドの残りの部分が開くようにすることは望ましい場合もあれば、望ましくない場合もある。換言すれば、管状部分自体が少なくとも管状延長部と同じ長さであることが望ましい可能性がある。図24の分岐しない管状要素526に関して、この要素は、管状延長部の引き抜きが分岐しない管状要素526の中で完全に隔離されるようにするのに適した長さを有していてもいなくてもよい。図23および図24の近位取付具の第一の取付具要素について考えられる代替実施形態の範囲について、管状区画の寸法は、特定の構造においてほぼ同じとすることができる。概して、延長止血取付具506の管状部分520の長さは約8cm~約55cm、さらなる実施形態では約9cm~約50cm、他の実施形態では約10cm~約45cmとすることができる。当業者であれば、上記明示的な範囲内の長さのさらなる範囲が企図され、本開示の範囲内にあることが理解されよう。
【0097】
代替または追加的実施形態では、延長止血取付具506は、いずれかの端の2つのコネクタを備える管状要素と、反対の端のルアーまたはその他のコネクタを備える別々の止血弁を含むことができ、これらは相互に接続されて、事実上、図23に示されるものと同等の構造が形成される。同様に、1つまたは複数のさらなる取付具構成要素を、延長止血取付具506とY分岐マニホルド502との間の適当なコネクタ、たとえばさらなる分岐要素を使用して接続することができ、同様に、さらなる取付具構成要素をコネクタ512において接続して、取付具にさらなる特徴、たとえは圧力センサまたはその他の構造の接続を提供することかできる。それゆえ、管状延長部を閉じた取付具の中に引き込む能力を提供する一方で、近位取付具は、所望の機能を提供するための適当な構造を用いて改造できる。この説明は複数の取付具構成要素を組み立てて全体的な取付具構造を提供することに焦点が絞られているが、これらの構成要素の1つまたは複数は、たとえばY分岐マニホルド502と延長止血取付具506を、コネクタ514および516を管状の単一区画(unitary section of tubing)に置き換えることによって単一構造に統合する等、対応する単一構造の一体部分として形成でき、同様の統合はさらなる構造を追加するためにも行うことができる。Y分岐マニホルド502と延長止血取付具506の特徴を組み込んだ単一構造は、延長止血弁部分を備える分岐マニホルドを含み、これは図24の構造の好適な代替となり得る。それゆえ、接続要素の各種の組合せ、単一構成要素の再設計、およびその他を実施して、所望の近位取付具の設計を形成できる。
【0098】
図25の第一の取付具要素の代替構成を参照すると、3分岐マニホルド530がガイドカテーテル504に接続され、延長止血取付具520が3分岐マニホルド530の1つの分岐のコネクタに接続されている。3分岐マニホルド530は、ガイドカテーテル504の近位コネクタ536に接続された第一のコネクタ534と、第一の分岐コネクタ538と、第二の分岐コネクタ540と、止血弁542とを含む。第二の分岐コネクタ540は延長止血取付具506に接続され、これは図24に関して詳しく説明されている。第一の分岐コネクタ536は負圧源に直接またはさらなる分岐マニホルドを通じて接続できる。止血弁542は、補足的治療構造またはその他の所望のデバイスの導入のために使用できる。再び、図25に示される構造は、希望に応じて追加の構成部品にさらに分割できる。たとえば、3分岐マニホルドは、事実上、2つの連続するY分岐コネクタを使用して形成できる。再び、図24に関して上述したように、追加の取付具構成要素を図25の近位取付具構造に接続して、追加の特徴を提供できる。また、同様に、近位取付具の1つまたは複数の別々の構成要素を単一構造として構成できる。それゆえ、所望の近位取付具の構成を設計するために、構成部品の追加および/または組合せ/結合プロセスを組み合わせることができる。
【0099】
図26を参照すると、対称Y分岐構造を用いる近位取付具の第一の取付具要素のさらなる実施形態が示されている。図26に示されるように、対称Y分岐マニホルド550は、ガイドカテーテル504に接続された第一のコネクタ552と、分岐止血弁554と、分岐コネクタ556とを含む。分岐コネクタ556はT分岐取付具558と接続される。T分岐取付具558はTコネクタ560を有し、これは負圧装置562、たとえばシリンジまたはポンプに接続されて示されている。T分岐コネクタ556は延長止血取付具506にさらに接続され、これについては図24に関して詳しく説明されており、それにはその要素の寸法が含まれるがこれに限定されない。T分岐コネクタ556は、嵌合相手のコネクタ556、516とそれぞれ接続するためのコネクタ564、566を含む。図26に示される構造は、その構造を形成するために使用される複数の構成要素で形成でき、たとえば、止血弁554を備える別々の構成要素が、相応に変更された対称Y分岐マニホルド550上の嵌合相手のコネクタに適当なコネクタで接続される。再び、さらなる取付具構成要素を図26の近位取付具構造に接続して、図24に関して上述した追加の特徴を提供することができる。また、同様に、近位取付具の1つまたは複数の別々の構成要素は単一構造として構成できる。したがって、所望の近位取付具の構成を設計するために、構成部品の追加および/または組合せ/結合プロセスを組み合わせることができる。
【0100】
様々な潜在的な構成要素を含む近位取付具は、いくつかの実施形態では構成要素の放射線への曝露を含むことができる滅菌状態での組立てに適した材料で形成することができる。構成要素は、硬質および/または柔軟材料のいずれか、たとえば本明細書において挙げたポリマーで形成でき、コネクタはシールの形成に適した材料の組合せ、たとえばエラストマーから形成できる。硬質構成要素はたとえば、ポリカーボネートまたはその他の好適なポリマーから形成できる。延長止血取付具506の管状部分520は、より柔軟なポリマー、たとえばカテーテル本体について前述したポリマーのうちの1つまたは複数、たとえばポリエーテルアミドブロックコポリマー(PEBAX(登録商標))、ナイロン(ポリアミド)、ポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリシロキサン(シリコーン)、ポリカーボネートウレタン(たとえば、ChronoFlex AR(登録商標))、それらの混合物、それらの組合せ、または他の好適な生体適合ポリマーから形成できる。前述のように、各種の取付具の構造を、実施形態の様々な構成要素に追加されるか、またはこれを細分する追加の構成要素から組み立てることができ、および/または構成要素は、相応に成形された一体構造として形成できる。それゆえ、特定の設計は、既存の市販の構成要素から組み立てることができ、または取付具の全部または一部をこれらの用途のために特に製造することもできる。
【0101】
近位取付具はまた、処置をガイドするのを助ける圧力センサを備えることもできる。ポンプが負圧の供給に使用される場合、ポンプで設定された圧力が差圧限界を確立する。流体がポンプに自由に流れると、ポンプまでの導管内の差圧は比較的小さくなり得る。流れが事実上完全にブロックされると、ライン内のゲージ圧はほぼポンプ圧となることができ、これは吸引を示す負圧である。中間の圧力レベルは、ある程度の流れの抵抗の原因となり得る正常なカテーテルもしくは吸込み延長部の構成により流れが制約されていること、または様々な考え得る発生源からの流れが、それほど深刻ではない程度でブロックされていることを示すこともある。いずれの場合も、さらに後述するように、近位取付具内のライン圧力を測定することにより、処置において助けとなる貴重な情報を提供できる。
【0102】
近位取付具に関連する圧力センサについては各種の考え得る構成があり、3つの代表的な実施形態が図27図29に示されている。図27を参照すると、ポンプ570と圧力ゲージ572は、図5および図24図26に示されるような、ガイドカテーテルに接続される取付具の中のマニホルドコネクタに取付け可能なコネクタ576を含むYマニホルド574に接続されている。ポンプ570と圧力ゲージ572は、それぞれ管578、580を使用してYマニホルド574に接続できる。管578、580のYマニホルド574への接続は適当なコネクタで実現でき、またはこれらは構成要素と一体に形成できる。この実施形態では、ポンプ570および任意選択により圧力ゲージ572は滅菌されていなくてよいが、これらのデバイスから患者にはいかなる流れも到達しないことが意図される。滅菌されていない構成要素が患者の流体から適切に隔離されれば、この構成は、たとえデバイスが滅菌されなくても容認可能であり得る。適切な滅菌分離を提供するための選択された長さ、たとえば6フィートの分割線が、図27において矢印で注釈された破線で概略的に示されている。
【0103】
いくつかの具体的なポンプが上述された医療用の市販の吸引ポンプは、約-1~約-26水銀柱インチ(-25mmHg~-660mmHg)のゲージ圧で動作できる。医療用の高圧管もまた、たとえばMIVI Neuroscience,Inc.(HFT 110(商標))またはPenumbra,Inc.から入手可能である。高圧チューブは、0.07インチ~1.0インチ、さらなる実施形態では約0.075インチ~0.5インチ、他の実施形態では0.08インチ~0.25インチの内径と、少なくとも約4フィート、さらなる実施形態では少なくとも約6フィート、いくつかの実施形態では6フィート~約20フィートの長さを有することができる。当業者であれば、上述の明確な範囲内のまた別のチューブ寸法範囲も想定され、本開示に含まれることがわかるであろう。高圧チューブは一般に、負圧を受けたときにチューブがつぶれるのを阻止するように補強される。チューブは一般に柔軟であり、たとえばカテーテルの構築に関して本明細書に記載したタイプのポリマーから構築できる。
【0104】
圧力センサを用いて改造された取付具のさらなる実施形態が図28に示されている。図28の取付具構成要素は、遠位コネクタ592、近位コネクタ594、および分岐コネクタ596を備えるY分岐コネクタ590と、分岐コネクタ590に接続されて示されている第一のコネクタ600および第二のコネクタ602を備える圧力センサ構成要素598とを含む。圧力センサ構成要素598は、圧力センサ構成要素598の側壁に取り付けられた圧力センサ604をさらに含む。電気ワイヤ606は圧力センサ604から延び、電気コネクタ608にその終端があり、これはマルチピンクリップまたはその他の好適なコネクタ構成とすることができる。電気コネクタ608は、好適なモニタまたはディスプレイに接続するのに適したものとすることができる。圧力センサ構成要素598として使用する商用圧力センサ構成要素は、たとえば米国ニュージャージ州プリンストンのPendoTECHから市販されている。これらの構成要素は滅菌状態で購入でき、またはこれらはガンマ線照射の使用等の好都合な方法を使用して使用前に滅菌できる。ポンプまたはその他の負圧装置は、第二のコネクタ602または、最終的に組み立てられた近位取付具のその他の適当な部分、たとえばドッキング分岐マニホルドに関連するコネクタに接続できる。
【0105】
圧力センサを用いて改造された取付具構成要素の他の実施形態が図29に示されている。この実施形態では、Yマニホルド620は、近位取付具の他の構成要素に接続するためのコネクタ622と、ポンプまたはその他に接続するための管626に接続されたコネクタ624とを含む。Yマニホルド620は、導管の端に圧力センサ630を備えるように改造された分岐628をさらに含む。圧力センサ630は、コネクタキャップ上に適応させることができ、またはそれは分岐628とシール状態で結合できるか、もしくはそれ以外にシールされたアタッチメントを用いて改造される。圧力センサ630はマルチピンクリップ等の電気コネクタに終端を有する電気ケーブル632に動作可能に取り付けられる。医療用に適した圧力センサのダイまたはアセンブリは、例えばMerit Medical Systems,Inc.から市販されており(Merit Sensors)、これをこのように接続するために改造できる。
【0106】
前述のように、近位取付具は、管状延長部の閉塞除去のプロセスを容易にするドッキング分岐マニホルドを含むことができ、いくつかの考え得る特徴にさらに工夫を凝らす2つの具体的な実施形態を説明するが、第一の取付具要素と同様に、様々な構成要素の設計が適当であり得る。ドッキング分岐マニホルドの第一の代表的な実施形態が図30に示されている。図30に示されるように、ドッキング分岐マニホルドは、第一の流体源、第二の流体源、および吸引源とともに示されている。代替実施形態では、第一の流体源のみを使用することも、または第一の流体源のみと吸引源とを使用することもできる。同様に、第一の流体源および第二の流体源のみを使用することもできる。さらなる実施形態では、第三またはそれ以上の流体源を導入することができる。ドッキング分岐マニホルド561は、管状本体563、ドッキング入口管565、サイドポートおよびチャネル567、ならびに管状本体563に沿ったサイドポートおよびチャネル567の近位側の近位止血弁569を含む。サイドポートおよびチャネル567は、弁571、アクセスマニホルド573、第一の流体源575、第二の流体源577、および吸引源579に接続される。流体源575および577は、貯蔵部、送達システム、たとえばシリンジ、ポンプ等を含むことができ、任意選択により弁を含み得る。適当な弁としてはたとえば、活栓、Merit Medical等から入手可能な流量制御スイッチ、各種の機械的または電動弁またはその他が含まれ得る。吸引源は、適切な圧力チューブとともにポンプまたはその他の負圧装置を含むことができ、任意選択により、別の弁にも関連付けることができる。
【0107】
ドッキング分岐マニホルドの第二の代表的な実施形態が、吸込み延長部を取り外し、吸込み延長部に関連する血栓やその他の物質を除去し、吸込み延長部を患者の体内に戻して、他の血栓を収集するために使用され得るドッキング分岐マニホルド601の図31図34に示されている。図31Aは、ドッキング分岐マニホルド601の側面図を示す。ドッキング分岐マニホルド601は、遠位端に入口管状区画603を含む。入口管状区画603の近位側に、コネクタ605を有する第一の分枝612がある。実施形態では、流体源弁607がコネクタ605でドッキング分岐マニホルド601に接続される。流体源弁607は、第二のポート623を有する。流体源弁607は二方弁であっても、多ポート弁であってもよい。いくつかの実施形態では、流体源弁607は活栓であるが、たとえば前述のいくつかの弁のように、他の流量制御要素も使用でき、それが望ましいこともある。流体源弁607は、流体源と流体連通し得て、流体源弁607を開くと流体がドッキング分枝マニホルド601の中に流れ、流体源弁607が閉じると流体がドッキングマニホルド601に流れるのが阻止されるように構成され得る。ある例として、陽圧装置、たとえばポンプまたは加圧容器、装填されたシリンジ609その他が図31Bに示されている。ドッキング分岐マニホルド601の1つの分枝は一般に、吸込み延長部に関連付けられる制御構造が通過できるようにする止血弁611を含む。
【0108】
ドッキング分岐マニホルド201は一般に管状本体613を含み、これは入口管状区画603に接続されるテーパの付いたコネクタ614を含むことができるが、接続区画の正確な構成は一般に、重要ではない。いくつかの実施形態は、ドッキング分岐マニホルド601の管状本体613は、止血弁内にシールするように選択された材料からなる遠位区画616と、遠位区画とは異なる材料を含む、さらにY分岐を含むように成形され得る近位区画618を含むことができる。コネクタ625は、任意選択により遠位区画616と近位区画618とを結合するために使用でき、コネクタ625は適当な材料で形成できる。コネクタ625は、外から見えても見えなくてもよく、外径、内径、または両方の径は変化してもしなくてもよい。適当な材料が選択されれば、管状本体613は1つの材料から形成できる。
【0109】
図31Cはドッキング分岐マニホルド601の部分断面図を示し、入口管状区画603の遠位部分がドッキング構造617を含むことを示している。ドッキング構造617は、前述の実施形態のいずれかのような吸込み延長部の近位端を解放可能に保持するように構成され得る。例えば、ドッキング構造617は、締まり嵌めを使って吸込み延長部の接続区画の近位端を固定し得る。実施形態では、ドッキング構造617は、入口管状区画603の内壁619の内部テーパ部を有するように構成できる。たとえば、入口管状区間603の内表面621は、管状入口部の内径が吸込み延長部の遠位端の外径より小さくなるまで内側にテーパが付けられ得る。追加または代替実施形態では、ドッキング構造617は入口管状区画603の内表面621にフランジを有し得て、これは無限に鋭いテーパ部と考えることができる。実施形態では、ドッキング構造617は、吸込み延長部の接続区画の近位端の、それに対応する構造と整合するように構成された構造も含み得る。例えば、ドッキング構造617は、管状入口区画603の内表面621上に、管状延長部の外表面の歯と整合するように構成された爪を含み得る。しかしながら、一般に、ドッキング構造は、少なくとも吸込み延長部の接続区画の近位端のほぼ液密状態の嵌合を提供する、たとえば細くなる管状構造等、いずれの適当な構造とすることもできる。
【0110】
図32の部分図に示されているように、吸引カテーテルシステムは一般に、ガイドカテーテル631を含み、Yマニホルド633が第一の取付要素として示され、前述のガイドカテーテルの実施形態および第一の取付具要素のいずれもこの構成のために一般的に使用できる。図32に示されるように、ドッキング分岐マニホルドは図31Aに示される構造であり、この図に関して説明された代替構造が図32の実施形態にも同等に当てはまる。第一の取付具要素633は、コネクタ635、管状本体637、コネクタ641を有する分岐導管639、および止血弁643を含む。同様に、第一の取付具要素およびドッキング分岐取付具のその他の実施形態が、組み立てられたシステムに組み込むことができる。ドッキング分岐マニホルド601は、近位区画618が止血弁643を通じて挿入されたときにY分岐マニホルド633と整合するように設計できる。理解すべき点として、各種のマニホルド構成が本願の範囲に含まれる。たとえば、本開示の吸引カテーテルシステムは、Y分岐マニホルド633で利用できる2つの経路に限定されない。たとえば、図24Bに示されるような分岐のない第一の取付具要素を使用できる。他の例として、図33は、3分岐マニホルド651を含む吸引カテーテルシステムを示している。それ以上の分枝を有するマニホルドも使用でされ得る。代替的に、マニホルドを相互に接続して、追加の経路を作り得る。例えば、追加のマニホルドをコネクタ653または第二のコネクタ655に取り付けることができる。3分岐マニホルド651はコネクタ658においてガイドカテーテル631に接続される。3分岐マニホルド651の近位端で、入口管状区画603は止血弁659を通って挿入され、Y分岐マニホルド633内で吸込み延長部とドッキングできるようにする。同様に、第一の取付具要素は、図24図26に関して示されるような、延長された止血取付具として機能する一体構造または構造構成要素を含むことができ、これは吸込み延長部の管状延長部を止血環境内でガイドカテーテルから取り外せるようにし、図30図34の構造はそれに対応して、寸法の構造の調整に基づいてこの能力を含むと解釈することができる。
【0111】
図34Aは、構成要素を通して配置された吸込み延長部を有する図32の組立済みシステムを示し、制御ワイヤ661が止血弁615から延びているように示される。図34Bは、図34Aに示される吸引カテーテルシステムの一部の断面図を示す。制御ワイヤ661はドッキング分岐マニホルド601を通過し、吸込み延長部663に固定される。前述のように、ドッキング分岐マニホルドが負圧装置に接続されて構成される実施形態では、分岐マニホルドを備える第一の取付具要素、希望に応じて分岐しない第一の取付具要素に置き換えることもできるが、このシステムは任意選択により、複数の利用可能なコネクタの中の選択されたコネクタから吸引を提供することができ、または第一の取付具要素のマニホルドの接続を、負圧装置との接続の代わりに、造影剤または治療用化合物を送達するために使用できる。
【0112】
図34Bは、ドッキング構造617にドッキングされた吸込み延長部663を示す。しかしながら、制御ワイヤ661は、たとえばそれを押して操作でき、それによって軸方向の力を遠位方向にかけ、吸込み延長部663をドッキング構造617から釈放し、吸込み延長部663を患者の体内に再導入する。反対に、吸込み延長部663がドッキングされていないとき、制御ワイヤ661は、吸込み延長部663の近位端をドッキング構造617の中に引き込んで、吸込み延長部663の管状延長部が固定されるように操作できる。たとえば、制御ワイヤ661を近位方向に引き、吸込み延長部663が入口管状区画603のテーパ部と締まり嵌めの状態を形成するようにすることができる。代替的に、図34Cに示されるように、制御ワイヤ661は、制御ワイヤがドッキング構造617全体を通じて延び、それにより吸込み延長部663の管状延長部がドッキング分岐マニホルド601の遠位側となるようにすることができる。
【0113】
吸込み延長部663がドッキング構造617にドッキングされると、ドッキング分岐マニホルド601はY分岐マニホルド633から分離でき、それによって吸込み延長部663は止血弁635を通じて近位側に引き込まれる。構造が分離すると、流体源弁607が開き、流体がドッキング分岐マニホルド601の中に流れ、ドッキング構造617を通り、その後、吸込み延長部663を通ることができ得る。流体の流れによって、血栓または吸込み延長部663の管状延長部の中に捕捉された血栓またはその他の物質が外れる。流体の例には、たとえば滅菌水、生理食塩水、造影剤、またはその他の滅菌流体が含まれる。処置が継続中であれば、吸込み延長部663から閉塞が除去されたところで、止血弁635を通じてそれをY分岐マニホルド633に再挿入し得る。ドッキング分岐マニホルド601が再挿入され、Y分岐マニホルド633内に固定されると、制御ワイヤ661は、ドッキング構造617から吸込み延長部663を外し、吸込み延長部663の管状延長部を患者の体内に再導入して、閉塞した血管から他の凝固物質を捕集するように患者の体内に再導入するために使用され得る。
【0114】
図31図34のドッキング分岐マニホルドの具体的な実施形態は代表的実施形態であるが、他の実施形態は適切な追加のコネクタ、追加の流量制御要素、異なる分岐角度等を用いて3つ以上の分岐を有することもできる。特に、図30に関して記載された特徴は、図31図34の第二の代表的構造に合わせて調整できる。たとえば、ドッキング分岐マニホルドの第一の分岐は流体源弁を含むことができ、これは、流体源から発せられることのできる流れまたは、ポンプ等、流体をマニホルドから吸引する吸引源への流れを制御する。第一の分枝からのさらなる分枝を使用するのではなく、追加の分枝をマニホルドに提供して、追加の流体源および/または吸引源にアクセスできるようにすることができ、これは図25に示される近位取付具の第一の分岐マニホルドのためのいくつかの分枝と同様となる。当業者であれば、本明細書の教示をもとに、設計を機能的制約に基づいて調整することができる。
【0115】
ドッキング分岐マニホルドは一般に、取り扱いと操作に好都合である適当な寸法を有し、内部寸法は、本明細書に記載の各種のデバイスの取り扱いに適している。ドッキング分岐マニホルドの構成要素は、本明細書中で提供されるポリマー等、硬質および/または柔軟材料のいずれでも形成でき、コネクタは、その構成要素の意図された機能に適しているかぎり、適当な材料の組合せから形成できる。硬質構成要素はたとえば、ポリカーボネート、ポリイミド、金属、またはその他の適当なポリマーから形成できる。ドッキング分岐マニホルドのうち、近位取付具の止血弁に固定される部分は、止血弁によりつぶされないように十分な機械的強度を有するべきであり、これは、材料および壁厚の適切な選択を通じて実現できる。実施形態では、管状部分はより柔軟なポリマーから形成でき、これはたとえばカテーテル本体について前述したポリマーのうちの1つまたは複数であり、たとえばポリエーテルアミドブロックコポリマー(PEBAX(登録商標))、ナイロン(ボリアミド)、ポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリシロキサン(シリコーン)、ポリカーボネートウレタン(たとえば、ChronoFlex AR(登録商標))、これらの混合物、これらの組合せ、またはその他の適当な生体適合ポリマーである。前述のように、各種の取付具構造は、追加の構成要素から組み立てる、実施形態の各種の構成要素に追加される、またはそれを分割することができ、および/または構成要素は相応に成形される一体構造として形成できる。それゆえ、特定の設計は、既存の市販の構成要素から組み立てることができ、または取付具の全部または一部をこれらの用途のために特別に製造することができる。実施形態では、構成要素の一部を半透明または透明にし得る。ユーザが構成要素の内部を視覚的に点検できることが有利であり得る。いくつかの処置では、ユーザが、吸込み延長部がマニホルド内に入り、ドッキング構造と係合したことを視覚的に特定できることが望ましいこともある。それゆえ、透明であることは特に、ドッキング構造が配置されることになる位置にある取付具について検討されるべきであり、視覚的点検は、物理的な触覚による評価とともにドッキングを確認するのに役立ち得る。いくつかの処置では、管状延長部を止血環境から取り外す前に、ユーザが管状延長部の捕捉された血栓またはその他のごみを視覚的に点検することが望ましいこともある。
【0116】
本明細書に記載の吸引システムの使用は、吸込み延長部の本体をガイドカテーテル内で移動させるように制御ワイヤ等の制御構造を操作することを含む。この移動は一般に、管状延長部をガイドカテーテルの遠位端から延ばすことのほか、吸込み延長部をガイドカテーテルの近位端から取り外すことを含む。いくつかの実施形態では、ガイドカテーテルは、吸込み延長部の接続区画と係合して、吸込み延長部の接続区画がガイドカテーテルの遠位開口部から動かないようにするためのストッパまたはその他の整合構造を含まない。吸込み延長部の接続区画がガイドカテーテルの遠位開口部を通過した場合、ガイドカテーテルを患者の体内から抜去しなければ処置の目的を回復することは困難であり得、その結果、望ましくない遅れが生じて患者へのリスクを生じさせ、処置時間にかかわるコストが増大する可能性がある。制御構造に、医療従事者に制御構造を決して挿入しないように指示するマークを提供できるが、このようなシステムにはユーザのエラーに関する望ましくないレベルのリスクが伴い得る。
【0117】
ハンドルを制御構造に、制御構造の近位端またはその付近において固定して、制御構造を握りやすくするほか、制御構造をガイドカテーテルに挿入しすぎないようにすることができる。グリップまたはハンドルはすると、ハンドルが止血弁を通って挿入されるのを阻止するための形状または制御構造に垂直な十分な厚さを有することができる。様々な構成がグリップまたはハンドルに適している可能性があるが、一般に、これらは医療従事者が処置中に操作するために片手で握りやすいものであるべきである。ハンドルは、制御構造にしっかりと取り付けることができ、またはグリップは制御構造上で位置を変更できる。グリップの位置を変更できる場合、制御構造の近位端を曲げ、結び、ねじり、またはそれ以外に変化させて、ある構成要素を壊さなければグリップを取り外すことが困難または不可能となるようにすることができる。使用のために、ハンドルは、それが特定の位置に永久的に固定されていない場合、適切に支持されるべきである。ハンドルの位置を変更でき、たとえば異なる取付具またはガイドカテーテルの実施形態とともに使用できる場合、ハンドルの固定はねじ、クリップ、スナップ、その他の固定具、または他の適当な構造により提供でき、これらは製品の製造中、または適切な指示によりユーザにより係合させることができる。
【0118】
1つの代表的実施形態では、ハンドルはピンバイス(pin vise)により提供される。図35A図35Cは、ぎざぎざのついたコレットホルダ673、コレット675、およびヘッド677を有するピンバイス671の実施形態を示す。実施形態では、ヘッド677は1つまたは複数のリブ679を有し得る。リブ679により、制御ワイヤ681を保持または解放するためにヘッド677を回しやすくなり得る。さらに、リブ679は、ピンバイス671が、例えば手術トレイまたはテーブル上に置いたときに転がらないようにするのに役立ち得る。コレット675は、制御ワイヤを受けるように構成されたスルーホール683を有する。制御ワイヤがスルーホール683に挿入されているとき、ヘッド677をねじ山685の周囲で第一の方向に回転させると、コレット675はグリップのようにバイス内の制御ワイヤを圧迫し、ヘッド677を反対方向に回転させると、コレット675は制御ワイヤを解放する。制御ワイヤがコレット675に固定されているとき、コレットホルダ673を操作して、制御ワイヤおよび対応する吸込み延長部を制御し得る。例えば、コレットホルダ673をひねると、制御ワイヤにトルクがかかり得る。コレットホルダ673を軸方向に引くと、吸込み延長部が患者から引き抜かれ、および/または吸込み延長部がドッキング構造内にドッキングされ得る。同様に、コレットホルダ683を軸方向に押すと、吸込み延長部はドッキング構造から解放され得て、および/または吸込み延長部は患者の血管系内に再び位置付けられ得る。
【0119】
本明細書に記載の吸引システムは、吸引源を備え、吸引カテーテルを操作するための近位取付具の付近にフィルタを含み得る。フィルタの例が図36A図36C図37A図37B図38A図38B、および図39A図39Dに示されている。フィルタの構成要素は、取付具構成要素について前述した金属およびポリマーで構築できる。フィルタ材料は、後述の材料から構成できる。取付具からの流れから凝血塊を除去するように構成されたフィルタは、高圧チューブの上流、たとえば高圧チューブのすぐ上流に取り付けられてそれに接続される。高圧チューブは一般に、少なくとも6フィートの長さで、滅菌および非滅菌構成要素を分離する。フィルタのその他のコネクタは、残りの取付具に直接または間接に接続でき、取付具の各種の構成および相対的位置は本明細書に記載されている。
【0120】
図36A図36Cを参照すると、フィルタ800は管状本体801、前方部分803、およびエンドキャップ805を有する。実施形態では、前方部分803は漸進的なテーパ部を有する。実施形態では、前方部分803は円錐形である。前方部分803は一般に、雄のルアーコネクタ等のコネクタ807を含む。取り外し可能なエンドキャップ805は一般に、雌のルアーコネクタ等のコネクタ809を含む。接続部807、809および管状本体801は流体連通し、それによって流体はフィルタ800を通過し得る。接続部807、809の少なくとも一方は吸引システムの高圧チューブに容易に取り付けられ、他方でもう一方は近位取付具に取り付けることができる。実施形態で、接続部807、809はルアーコネクタである。管状本体801は、吸引システムの比較的小径の高圧チューブより大きい口径を有する。したがって、吸引システムの高圧チューブ内の流れの障害となり得る凝血塊等のごみは、管状本体801の中に回収され得て、高圧チューブ内の流量の障害とならない。エンドキャップ805は、管状本体801に接着剤または熱接着等により結合でき、またはさらなる実施形態では、管状本体801と摩擦嵌合、ねじ接続、バヨネット係合、またはその他の好都合の係合により解放可能に係合することができる。
【0121】
いくつかの実施形態では、管状本体801の平均口径は、約0.4インチ~約5インチ、さらなる実施形態では約0.5インチ~約3.5インチ、さらなる実施形態では約0.6インチ~約3インチの範囲とすることができる。管状本体801に沿った口径はほぼ一定であることが好都合であり得るが、この口径は平均的な仕様の範囲内の機能を変えることなく、合理的に変更できる。管状本体801の長さは、約0.5インチ~約8インチ、さらなる実施形態では約0.75インチ~約7インチ、他の実施形態では約1インチ~約6インチとすることができる。当業者であれば、上述の明確な範囲内その他の範囲も想定され、本開示に含まれることがわかるであろう。一般に、フィルタ800は、ポリカーボネート、アクリルポリマー、ポリアミド、高密度ポリエチレン、ポリエステル、そのコポリマー等の適当なポリマーから形成できる。ルアーフィッティングは複数の構成を含むことができ、適切に構築するか、Merit Medical等のサプライヤから購入できる。
【0122】
管状本体801は、フィルタ800および取り付けられた管を通る流量にほとんど影響を与えずに凝血塊を捕捉するように構成された、フィルタマトリクスまたはその他の材料等の追加の構造を含み得る。図36A図36Cは、波型フィルタエレメント821を備えるフィルタ800の分解図を示す。管状本体801はねじ山部分811を有し、これはエンドキャップ805と整合する。波型フィルタ821は管状本体801の内部チャンバ813内にフィットするように構成され、キャップ内に相手となるねじ山を有するエンドキャップ805がねじ山部分811に固定されると、その中に完全に収容される。波型フィルタ823は、管状本体801とともに動作するときに、フィルタ821を通る所定の数の流路を作るパターンで配置された複数のリブ823を有する。異なる構成の波型フィルタ821は、異なる数の流路825および任意選択により異なる構成のリブを有し得る。凝血塊が波型フィルタ821に入ると、それは流路825のうちの1つを進むことができ、リブ823のうちの1つの中にとどまる。凝血塊が入り込んでも、流体は引き続きリブ823の周囲で流れ、それによって取り付けられた高圧チューブ内の流量は、波型フィルタ821内にとどまった凝血塊による影響を実質的に受けない。
【0123】
図37Aおよび図37Bは、異なるフィルタエレメントを備えるフィルタ構造を示す。フィルタマトリクスフィルタエレメント827は繊維マトリクスを有し、これは流体が概して障害を受けずに通過できるようにしながら、凝血塊を繊維エレメント内に捕捉できる。繊維マトリクスフィルタエレメント827は、たとえばセルロース繊維、ポリエステル繊維、またはその他の合理的な繊維要素を含むことができる。折り畳まれたマトリクスエレメント829は折り畳まれた材料であり、これは流体が折り畳み部の周囲および/または折り畳まれた材料を通って流れる間に、凝血塊を材料の折り畳み部の中に捕捉できる。折り畳まれたマトリクスエレメント829は、ろ紙を血液成分が通過できるのに適当な孔径を有する折り畳まれたろ紙を含むことができる。フィルタエレメント821、827、または829は一般に、それが近位取付具に近いため、使用のために滅菌され、蒸気または放射滅菌等、適当な滅菌剤を選択できる。一般に、これは滅菌状態で出荷され、処置室内の適当な滅菌条件下で滅菌包装が開けられて、組み立てられるだろう。
【0124】
図38A図38Bを参照すると、スクリーン型フィルタエレメントを備えるフィルタ800の実施形態が分解された形態で示されている。フィルタエレメント830は開放端835を含み、これはエンドキャップ805が管状本体801に固定されると、有効にシールされた構成でエンドキャップ805と係合する係合リング845の中に形成される。フィルタエレメント830は、任意選択によるフレーム831、閉鎖端リング833、フィルタスクリーン837、および支柱839をさらに含む。フィルタスクリーンが十分に自立する、たとえば織られた、または溶接された金属スクリーン等である場合、フレーム831は使用されなくてよく、リング833および845はフィルタスクリーンに直接取り付けることができる。支柱839は、フィルタエレメント830を組み立てられたフィルタの中の管状本体081内で安定化させ、他方で、流れがリング833を通過できるようにする。閉鎖端リング833の内部は、フィルタスクリーン837を有する(図38Aの円形挿入図に示される)か、完全に閉じることができる。この実施形態のフィルタ800は、フィルタエレメント830を管状本体801にいずれの方向にも挿入できるように設計できる。原則として、図38A図38Bの実施形態のフィルタ800は、いずれの方向への流れでも動作でき、このフィルタのいくつかの実施形態では、流れが開口部835からフィルタエレメント850の内部へと入り、凝血塊を含む流れがフィルタスクリーン837を通ってフィルタ800から出ることが制約されるようにすることが望ましい。
【0125】
図39A図39Dを参照すると、フィルタ850は図36図38のフィルタの代替構成を有し、図39A図39Dの構成は、フィルタとの接続部がフィルタ本体に接続されていないため、フィルタの内部に容易にアクセスできるようにする。フィルタ850は、フィルタ本体851とエンドキャップ853とを有する。エンドキャップ853は、高圧チューブおよび近位取付具に取り付けられるように構成された接続部855、857を含む。実施形態では、接続部855、857はルアーフィッティングである。フィルタ本体851はエンドキャップ853の中央部分859と整合する。実施形態では、フィルタ本体851とエンドキャップ853の中央部分859はそれぞれ対応するねじ山881、883を有し、それによってフィルタ本体851は中央部分859と螺合され、シールを形成する。希望に応じて、中央部分859はワッシャまたはガスケット885を含むことができ、これらはフィルタ本体851と係合し、またはそこに螺合される。フィルタ本体851はさらに、閉鎖下端865の反対の開放上端863および、それらの間の内部チャンバ部分867を有する。エンドキャップ853は、第一の接続部855から中央部分859のほぼ中心まで延びる第一のチャネル875を有し、それによってチャネルはフィルタ本体851の内部チャンバ867と流体連通する。第一のチャネル875はすると、フィルタ本体851に向かって、たとえば約90度曲がり、流れを方向付ける。エンドキャップ853は、第二の接続部857から中央部分859のほぼ周辺まで延びる第二のチャネル877を有し、第二のチャネル877は、ワッシャ/ガスケット883により取り囲まれる領域の外のフィルタ本体851の縁部に向かって、たとえば90度曲がり、それによってスクリーンフィルタエレメント861の外部の流れは第二のチャネル877へと流れることができる。
【0126】
フィルタ850は、フィルタエレメント861または同様のフィルタ構造を有し得る。スクリーンフィルタエレメント861は、フィルタ本体851の内部チャンバ部分867内にフィットするように構成され、エンドキャップ853がフィルタ本体851に固定されると、その中に完全に収容される。フィルタエレメント861は任意選択により、開放上端871の反対の下端の閉鎖端869とそれ等の間のメッシュスクリーン873とを有する。いくつかの実施形態では、閉鎖端869はフィルタ本体851の下部と係合して、凝血塊がスクリーンフィルタエレメント861から出るのを制約する。閉鎖端869は代替的に、流れが端を通れるようにするスクリーンを有することができる。たとえばフィルタエレメント861の開放端871から入る流体は、フィルタ850から出るためにスクリーン873を通過する。フィルタエレメント861は、フィルタエレメント861とチャンバ部分の壁との間に適切なギャップができるようにするほか、内部チャンバ部分851の出口への流路ができるような大きさとすべきである。たとえば、図39Dに示されるように、フィルタエレメント861はチャンバ部分851の内径より小さい外径を有し得る。流れ841は、第一のチャネル875を通じてフィルタエレメント861に入る。実施形態では、フィルタエレメント861は、フィルタ本体851の高さとほぼ一致する高さを有し、それによってフィルタエレメント861は、フィルタ本体851がエンドキャップ853に固定されたときに所定の位置に保持される。いくつかの実施形態では、上端853はワッシャ(washer)等を含むことができ、これはフィルタ本体851がエンドキャップ853と係合した時にフィルタエレメント861の上部と係合する。
【0127】
実施形態では、エンドキャップ853の中央部分859は、フィルタエレメント861の上部と係合するリップ(lip)、突出部、および/またはガスケットを有し得る。チャンバ部分851の壁とフィルタエレメント861との間にギャップが保持されるべきであり、それによって流れ841は、スクリーン837を通過した際に、引き続きフィルタエレメント861とチャンバ部分851の壁との間にあり得て、最終的に接続部857を通じてインラインフィルタ850から出る。流れ841は逆転可能にできることを認識すべきであり、フィルタ850は流れが接続部857に入り、接続部855から出る場合も動作し得るが、凝血塊の捕集は2つの流れの方向で必ずしも等しいとはかぎらない。当業者であれば、本願の教示に基づいて、機能的に同等の他の構成を有するようにこれらの設計を調整できる。たとえば、Oリング、ワッシャ、ガスケットその他を含めることを、流れ841を方向付けるシールとして使用し得て、それも本開示の範囲から逸脱しない。それに加えて、図39Cは直線的に入口と出口に接続される第一のチャネル875と第二のチャネル877を示しているが、この構成にする機能上の必要性はなく、それぞれの入口と出口は、入口と出口が相互に干渉しないかぎり、円周に沿って相互に関して選択された角度に配置できる。図の直線的な構成は、様々な状況で好都合であり得る。
【0128】
メッシュスクリーン837は、流体の流れが基本的に妨害されないようにしながら適切に凝血塊を捕集する大きさであり得る。メッシュスクリーンの目的は、チューブを通る流れの障害となり得る凝血塊を除去することであり、患者のために血液を浄化することではないため、スクリーンの孔径は特に小さくする必要はない。1ミリメートル未満、さらなる実施形態では0.5ミリメートル未満の孔径が適切であり得、一般に孔径は小さすぎるべきではなく、たとえば少なくとも約0.1mmより大きい。他の実施形態には同様に有効なフィルタサイズを検討できる。比較的に大きい孔を有するメッシュの場合、フィルタに繊維を含めて、凝血塊の捕捉を助けることができ、特に図39に示されるような構成では、重力がさらに凝血塊の捕捉を支援できる。ファイバのパッキングは、流れを大きく制約せず、またはフィルタ内が過剰に見えにくくすることなく、凝血塊捕捉を容易にするように選択できる。実施形態では、フィルタ本体851は透明であり得、それによってフィルタ850内に捕捉されたごみを視覚的に評価できる。透明である場合、凝血塊がフィルタ内に捕捉されたか否かを識別できることは、安全性を向上させ、医療従事者による処置の実行をガイドする助けとなることができる。
【0129】
図40を参照すると、圧力センサ900は雌のルアーフィッティング901、雄のルアーフィッティング903、およびそれらの間のチャネル905を有する。圧力センサ900は、圧力センサ900を通る流体の圧力測定値を表示するディスプレイ907を有し得る。実施形態では、ディスプレイ907は圧力センサ900と一体であり得る。実施形態は、ディスプレイ907は、たとえば電気接続または無線接続を介して圧力センサ900に接続される別の表示ユニットであり得る。以下により詳しく説明するように、実施形態では、ディスプレイ907は処置中に複数のソースからの出力を同時に表示できる多機能ディスプレイに組み込まれ得る。雌のルアーフィッティング901と雄のルアーフィッティング903とは、チャンバ905内の流体と流体連通する。
【0130】
図41を参照すると、流量計930は雌のルアーフィッティング931、雄のルアーフィッティング933、およびそれらの間のチャネル935を有する。流量計930は、流量計930を通る流体の流量の測定値を表示するディスプレイ937を有する。実施形態では、ディスプレイ937は、流量計930に組み込まれ得る。実施形態では、ディスプレイ937は、たとえば電気接続または無線接続(Bluetooth等)を介して流量計930に接続される別の表示ユニットであり得る。以下により詳しく説明するように、実施形態では、ディスプレイ935は処置に複数のソースからの出力を同時に表示できる多機能ディスプレイに組み込まれ得る。流量計930の読み取り値は、複数の表示装置上に同時に表示できる。雌のルアーフィッティング931と雄のルアーフィッティング933とは、チャネル935を通って流れる流体と流体連通する。
【0131】
図42に示されるように、実施形態では、流量計926はパドルホイール909を有し、これは1つまたは複数のパドル911がチャネル905の中に途中まで延びるように位置付けられる。チャネル905を流れる流体は、1つまたは複数のパドル911を押して、パドルホイール909を回転させる。流量は、回転するときのパドルホイール909の回転速度に関連付けられる。
【0132】
図43に示されるような代替実施形態では、超音波流量計928は第一のトランシーバ939と第二のトランシーバ941とを有する。第一および第二のトランシーバ939、941は、計算ユニット943と電気的に通信する。第一のトランシーバ939は第一の超音波信号945を発し、これはチャネル935の内表面937で流体流からの変調とともに反射されて、第二のトランシーバ941により受信される。第二のトランシーバ941は第二の超音波信号947を発し、これはチャネル935の内表面937で反射され、第一のトランシーバ939により受信される。実施形態では、第一および第二のトランシーバ939、941は超音波トランスデューサおよび/または超音波センサである。計算ユニット943は、第一および第二のトランシーバ939、941からの出力を受信する。実施形態では、計算ユニット943は第一および第二のトランシーバ939、941からの出力を使って、チャネル935を通って流れる流体の特性を計算することができる。たとえば、計算ユニット943は、935を通って流れる流体の流量を特定できる。超音波流量計は、これらの目的に適応させるように市販されている。たとえば、Dynasonics超音波流量計(たとえば、0.5インチ口径までの管のDynasonics DXN流量計(Badger Meters,Inc.,ウィスコンシン,USA))を管にクリップで取り付けて、ドップラ超音波効果に基づいて流量を測定できる。
【0133】
本明細書に記載の吸引システムの近位取付具に取り付けられたフィルタ800、圧力センサ900、流量計930、および負圧源951を含む近位取付具の構成の例が図44Aおよび図44Bに示されている。図44Aを参照すると、近位取付具468は、圧力センサ900、流量計930、フィルタ800、および負圧源470と流体連通する第一の分枝932を有するように示されている。このような配置では、流量と圧力の測定はどちらも、負圧源951と整列する吸引システムの第一の分枝で行われる。代替配置では、図44Bに示されるように、近位取付具468は流量計930、フィルタ800、および負圧源951と流体連通する第一の分枝934を有するように示されている。第二の分枝936は、圧力センサ900と流体連通するように示されている。したがって、近位取付具468の圧力は、負圧源951に取り付けられた分枝とは独立して測定され得る。本明細書の教示に基づいて、構成要素の配置の他の様々な構成を実現できる。
【0134】
図45は、カテーテルの要素が患者の体内に挿入されている吸引システムの実施形態の部分図を示す。吸引システムの遠位部分は神経血管系971の中に示され、管状延長部973がガイドカテーテル975から延びていることを図解している。吸引システムの近位部分は、患者挿入地点977から近位側に延びるガイドカテーテル975と、ガイドカテーテル975から近位側に延びる吸引システムの近位取付具468を示す。実施形態では、近位取付具468は本明細書で提示された複数の実施形態に記載される所望の機能を提供するために各種の分枝を有する。実施形態では、分枝1001、1003、1005は、3分岐マニホルド、または直列に接続された2つのマニホルド等、各種の構成の複数のマニホルドであり得る。実施形態では、第一の分枝1001は第二の分枝1003の遠位側にある。実施形態では、第二の分枝1003は第三の分枝1005の遠位側にある。この特定の実施形態では、第一の分枝1001は流体源1007に接続され得る。第二の分枝1005は、圧力センサ900、流量計930、フィルタ1000、および負圧源470を含み得る。圧力センサ900は圧力センサディスプレイ907に接続され、流量計930は流量センサディスプレイ937に接続される。実施形態では、第二の分枝1003はY分岐マニホルドを含み、これは圧力センサに接続された第一の分枝1011と、フィルタ1000、流量計930、および負圧源1009に接続された第二の分枝を有する。実施形態では、Y分岐マニホルドの第一の分枝1011は、Y分岐マニホルドの第二の分枝1013の遠位側にある。実施形態では、フィルタ1000は流量計930の遠位側にある。
【0135】
伸展した止血取付具1018は第三の分枝1005にコネクタ1017において接続され、終端に止血弁1019を有する。伸展した止血取付具1018は、止血弁1019においてドッキング分岐マニホルドと結合でき、ドッキング分岐マニホルドの適当な実施形態については前述した。実施形態では、伸展した止血取付具1019は、ドッキング分岐マニホルド1021と組み合わせられ得る。ドッキング分岐マニホルド1021は、流体源1023に接続された第一の分枝を有し得る。制御ワイヤ1025は、分岐マニホルド1021の第二の分枝から止血弁1027を通って延びる。
【0136】
吸引カテーテルシステムは一般に、e-ビーム(e-beam)またはガス滅菌等により適切に滅菌される。吸引カテーテルシステムの構成要素はまとめて、または別々に、当業界で知られているプラスチックパッケージ等の密閉パッケージに包装できる。パッケージには、一般にFDAおよびその他の規制当局の規則にしたがって適切にラベル表示される。吸引カテーテルシステムは、ガイドワイヤ、フィルタデバイス、および/またはその他の医療機器等の他の構成要素と一緒に包装できる。包装されたシステムは一般に、法的規制にしたがって詳細な使用説明書を添付して販売される。
【0137】
<治療システムを利用する処置>
前述のように、本明細書に記載の吸引カテーテルシステムを含む医療システムは、独立した治療デバイスとしての吸引カテーテルシステムとともに、おそらくはガイドワイヤおよび/またはその他の送達支援デバイスと併せて使用でき、または虚血性血管閉塞の治療のための補足的治療デバイスとともに使用できる。特に、いくつかの実施形態では、吸引システムは塞栓保護デバイスとともに使用され、さらなる実施形態では、いずれかの形態の凝血塊係合デバイス、ステント、バルーン、アテレクトミーデバイス、またはその他も使用されてよい。いずれの場合も、概してガイドワイヤが治療部位へのアクセスを提供するために使用される。吸引カテーテルシステムのガイドカテーテル部分は、吸込み延長部を導入する前に位置決めされても、されなくてもよい。特定の構成要素の構造はすでに上で詳しく説明しており、本セクションではデバイスの使用に焦点を絞ることができるように、繰り返さない。各種の取付具構成要素の代替実施形態の使用は、当業者によって本願の教示に基づいて調整できる。
【0138】
急性虚血性脳卒中の状態を治療するために、図46を参照すると、患者700が3つの代替的な血管アクセスポイント、大腿動脈702、腕の動脈704、または首の頸動脈706とともに示されている。アクセスポイントに関係なく、カテーテルとそれに伴うデバイスは、左または右の頸動脈に案内され、脳の大脳動脈710の中の凝血塊508に到達する。図47の概略図を参照すると、凝血塊708は大脳動脈710の中に示され、ガイドワイヤ712はその遠位端が凝血塊を通過した位置に位置決めされている。ガイドカテーテル714は、頸動脈706内でガイドワイヤ上に位置決めされる。吸込み延長部716は接続区画718とともにガイドカテーテル714内にあり、管状延長部720はガイドワイヤ712上でガイドカテーテル714から延びる。図48を参照すると、管状延長部720は、ガイドワイヤ上で凝血塊708に近い位置まで進めることができる。吸引は、図中、流れの矢印で示されるように加えることができる。ガイドワイヤ712は、吸引が加えられる前に取り外されても、取り外されなくてもよい。吸引カテーテルにより、さらなる医療デバイスで介入することなく、虚血性脳卒中の原因となる凝血塊の除去が成功している。しかしながら、より難しい凝血塊の場合、詳しく後述するように、追加の治療デバイスを使用できる。
【0139】
上記に示されるような、圧力検知機能を備えるように改造された近位取付具の実施形態を使用して、図48に関して説明した吸引の開始をその効率に関して確認できる。負圧がカテーテルシステムに加えられてから適当な流れが確立されると、近位取付具内の圧力は適当な範囲となり得る。予想される圧力の正確な範囲は概して、吸込み延長部の具体的な設計に依存し、容認可能な圧力範囲は相応に調節可能である。いずれの場合も、圧力は処置中にリアルタイムで確認することができ、特定の吸引カテーテル構成要素について改造された仕様と比較される。吸引の開始の直後の時点の圧力が、設定された容認可能範囲に基づいて予想されるものよりポンプの負圧に近ければ、医師は、吸引を止めて、または止めずに、吸込み延長部を送達された状態から少なくとも部分的に引き込むことができる。部分的な引込みは、完全に取り外さずに吸込み延長部のねじれを解こうとする際に利用できる。さらに後述するように、止血弁を通過せずに患者のための管状延長部を取り外すことができるような近位取付具が使用される場合、管状延長部は目視でチェックでき、管状延長部を周囲雰囲気にさらさずに済む。管状延長部が使用できる状態であることを確認した後、または吸込み延長部を交換した後、吸込み延長部を再び送達できる。
【0140】
プロセスを開始するとき、システムは一般に、滅菌食塩水でプライミングされ、吸引システムからポンプへと空気が取り除かれる。すると、圧力および流量測定は、食塩水および/または血液がシステムに引き込まれたときには血液等の液体パラメータに関する。吸引システムを使って急性虚血性脳卒中イベントに関連する実際の凝血塊を除去する場合、血管内の異物を完全に取り除く前に、管状延長部自体が詰まることがよく見られる。したがって、管状延長部から凝血塊を除去して、吸込み延長部を脳血管に再導入し、他の血栓を取り除くことが望ましい可能性がある。異物の除去と再導入は、必要に応じて繰り返すことができる。本明細書に記載の取付具は、このプロセスを容易にすることができ、このプロセスを実行するためのこれらの取付具の使用を以下にさらに説明する。吸込み延長部から凝血塊を除去したいという希望と、吸込み延長部の再導入はまた、以下に記載の追加の治療構造を使っても実行され得る。
【0141】
流量計の使用は、処置をガイドする重要な追加のパラメータを提供する。圧力変化はいくつかの重複する情報を提供し得るものの、追加の流量測定値は追加のガイダンスを提供できる。流量が低下すると、これは凝血塊がどこかにとどまっていること、または吸込み延長部がねじれたことを示し得る。処置の段階に応じて、吸込み延長部/吸引カテーテルをガイドカテーテルから取り外して、凝血塊があればそれを除去することかできる。すると、これによってガイドカテーテルをチェックすることができ、閉塞がなくなったことを確認できる。流量の急増は、凝血塊が除去されたことを示し得る。凝血塊がフィルタ内にあれば、処置が進んだことを示し得るが、フィルタ内で凝血塊が認められなければ、医療従事者は凝血塊があり得る他の箇所を慎重にチェックして、凝血塊が意図せず患者の体内へと再び方向付けられるのを防止するために処置を注意深く進めることができる。
【0142】
図49および図50を参照すると、繊維系フィルタデバイスの使用が、吸引カテーテルシステムとの使用において示されている。図49に示されるように、凝血塊708は大脳動脈710内に示され、ガイドワイヤ736上に支持された展開済みの繊維系フィルタ734は、フィルタが凝血塊を通過して展開された状態で位置決めされている。繊維系フィルタ734は、基本的に血管、すなわち大脳動脈710の壁まで延びる繊維要素を有することができる。管状延長部736は、その遠位端が凝血塊のすぐ近位側にある状態で位置決めでき、吸引カテーテルシステムの残りの部分はこの図では示されていない。図50を参照すると、繊維系フィルタ734は、吸引を加えて凝血塊730を除去しやすくしながら、管状延長部736の方に引くことができる。凝血塊708は、吸引により破壊して除去でき、および/または凝血塊708の全部または一部を管状延長部736の中に、任意選択により繊維系フィルタの全部または一部とともに引き入れることがき、および/または凝血塊708の全部または一部を、繊維系フィルタが凝血塊を保持した状態で、管状延長部736の開口部まで保持できる。いずれの場合も、凝血塊が適切に安定化されたら、依然として血管またはカテーテル内にあるデバイスおよび凝結塊のすべてを患者から除去できる。デバイスの取外しについてはさらに後述する。
【0143】
凝血塊除去を容易にするための追加の医療デバイスのさらなる使用が図51および図52に示されている。図51に示されるように、凝血塊708は大脳動脈710に示され、治療デバイス754は凝血塊に位置決めされ、ガイドワイヤ758上で支持される展開済みの繊維系フィルタ756は、フィルタが凝血塊を過ぎて展開された状態で位置決めされる。凝血塊と係合するための適当な治療デバイスは上述した。選択された治療デバイスは、概して展開された繊維系フィルタからの保護により、および任意選択により吸引により展開される。凝血塊に治療デバイスが係合すると、凝血塊の残りの部分の回収物と治療デバイスとが、図51に示されるプロセスと同様に、図52に示されるように除去できる。特に、治療デバイスを取り外すことができるが、ステント等の一部はそこに残されてもよく、除去は血管中のフィルタおよび/または凝血塊の残りの破片の除去とともに進め、または行うことができる。凝血塊708の全部または一部は、吸引によりまだ破壊されて除去されていなければ、管状延長部736の中に、任意選択により繊維系フィルタの全部または一部とともに引き込むことができ、および/または凝血塊708の全部または一部は、繊維系フィルタが凝血塊を保持した状態で管状延長部736の遠位開口部まで保持できる。再び、凝血塊が適切に安定化されたら、依然として血管またはカテーテル内にあるデバイスおよび凝血塊のすべてを患者から除去できる。複数の追加の治療デバイスの使用は、上で概説した処置を延長して追加の医療デバイスにかかわるステップを繰り返すことにより実行できる。
【0144】
また、図47図52の実施形態では、近位取付具に接続された圧力センサを使用して処置をガイドすることができる。負圧が開始されたときに近位取付具内の圧力が標的範囲の外の圧力まで上昇した場合、ねじれを取り除いたり、吸込み延長部を交換したり/なくしたりするように是正のための注意やその他の適当な注意を払うことができる。さらに、吸引がかけられ、凝血塊への対処が行われたように見えたら、近位取付具内の圧力をチェックして、凝血塊とカテーテルの状態、たとえば凝血塊が吸込み延長部の遠位端にひっかかっているかいないか等を評価できる。近位取付具内の圧力に基づいて適切な措置をとることができる。
【0145】
図53は、大脳動脈750内の凝血塊を治療した後の吸引治療システムを示す。管状延長部752は、その遠位端が大脳動脈750内にあるように位置決めされており、血栓754は開口部にある場合もない場合もある。ガイドカテーテル756は、その遠位端が頸動脈758内にある状態で位置付けられる。ガイドカテーテル756の内部のある区画は、図53のバルーン挿入図に示されている。吸込み延長部752の接続区画760は、近位方向に延びる制御ワイヤ762とともにガイドカテーテル756内にある。患者の脚764は、脚から延びる、止血弁768を備えるイントロデューサシース766とともに示されている。ガイドカテーテル756は、止血弁768から延びている。Y分岐マニホルド770は、コネクタ772においてガイドカテーテル756の遠位端に接続される。延長止血取付具774は、コネクタ776においてY分岐マニホルド770と接続され、その終端は止血弁778にある。制御ワイヤ762は止血弁778から延びる。Y分岐マニホルド770はコネクタ780を有し、これはコネクタ780に接続するためのコネクタ784を備えるさらなるY分岐マニホルド782に接続可能である。Y分岐マニホルドは、ポンプまたはその他の負圧装置に接続可能な負圧ライン786と、図27図29に示されるような適当な圧力センサに接続可能な圧力センサライン788に接続できる。図53の取付具は、止血弁778におけるドッキング分岐マニホルドと組み合わせることができ、ドッキング分岐マニホルドの適当な実施形態は上述されている。Y分岐マニホルド770と伸展した止血取付具774の組合せは、第一の取付要素の構成要素と考えることができる。
【0146】
図48に示される処置の段階(血栓が所望の通りに除去されたことを前提とする)および図53に示される処置の段階で、機器を患者から徐々に抜去する処置のステップを開始できる。図54図56は、吸込み延長部を止血弁の背後でガイドカテーテルから完全に取り外すための伸展した取付具を使用する抜去プロセスを示す。図57および図58は、吸込み延長部の効率的な異物除去と再導入を行うドッキングY取付具の使用を示す。他の構成要素を取り除き、処置の成功を確認する間に、ガイドカテーテルを所定の位置に保持することが有利である可能性がある。概して、ガイドカテーテルは、処置が完全に終了するまで所定の場に保持することが望ましく、これは、ガイドカテーテルの設置には多大な労力がかかわるからである。前述のように、吸込み延長部は、処置全体が完了する前に、取り外され、凝血塊が除去され、追加の血栓除去の他に再導入され得る。この吸込み延長部の取り外しと再導入とは、ガイドカテーテルが所定の位置に固定されたまま実行できる。近位取付具での圧力読み取り値は、吸込み延長部752への流れが閉塞しているかもしれない状態に関する有益な情報を提供できるが、ポンプへの流体流の終了等、他の、より定性的な評価を行うことができる。
【0147】
図54を参照すると、ガイドカテーテル756は依然として頸動脈758の中の所定の位置にあり、大脳動脈750にはデバイスおよび凝血塊がない。図54に関連するバルーン挿入図を参照すると、さらなる拡大断面図がガイドカテーテル756の内部の中にある吸込み延長部752の遠位端を示している。血栓(血栓790)は、ガイドカテーテル756の遠位端に関連している場合も関連していない場合もあり、これは吸込み延長部752がガイドカテーテル756の中に引き込まれたときにその場に、および/または吸込み延長部752の遠位端に堆積する可能性がある(血栓754)。再び、近位取付具での圧力計測は、カテーテルシステムからポンプ等の負圧装置への流れを血栓がブロックしている可能性に関する有益な情報を提供できる。
【0148】
図55を参照すると、バルーン挿入図が、吸込み延長部752を患者からさらに引き抜いたときの、吸込み延長部752の接続区画760がT分岐マニホルド770の中にあるさらなる拡大断面図を示している。この状態で負圧をかけ続けると、流体が吸込み延長部752を通じてではなく、ガイドカテーテル756から吸い出される。吸込み延長部752が詰まっているか否かにかかわらず、この状態はガイドカテーテル756の端における血栓790をさらに除去する能力を提供でき、吸引により、血栓790があった場合にこれを処置のその後の部分のためにさらに安定化させることができる。処置のこの段階で、近位取付具内の圧力は、ガイドカテーテル756への液体の流れに関する情報を提供できる。
【0149】
吸込み延長部752をガイドカテーテル756から完全に取り除いた状態が図56に示されている。図56の遠位側のバルーン挿入図は、吸込み延長部752の遠位端がT分岐マニホルド770の中にあるさらなる拡大図を示しているが、吸込み延長部752の遠位端はそのバルーン挿入図につなげられた破線により示されるように、延長止血取付具774の中に完全に引き込むことができる。図56の近位側のバルーン挿入図は、延長止血取付具774の中の接続区画760が止血弁778の遠位側の位置にあるさらなる拡大断面図を示している。再び、近位取付具内の圧力は、処置のこの部分において情報を提供するのに有益であり得る。
【0150】
ガイドカテーテル756は凝血塊の治療後に患者から抜去できるが、ガイドカテーテルが所定の位置にある状態で、吸込み延長部752をその展開位置に関して少なくとも部分的に取り除いて、吸引システム構成要素に関連して捕捉されることもあるが患者から十分に除去されていない血栓の塞栓化のリスクを低減させることが望ましい可能性がある。図44図46は、吸込み延長部を取り外す3つの段階を示しており、その時点でガイドカテーテル756を、概してイントロデューサ766の止血弁768を通じて患者から抜去することを選択できる。図54に示されるように、吸込み延長部752の遠位端がガイドカテーテル756の中にある状態で、吸込み延長部752に関連するいずれの血栓もガイドカテーテル756内にあり、それにより、塞栓を伴う可能性が低くなる。図55を参照すると、前述のように、接続区画760がY分岐マニホルド770の中にあり、吸込み延長部752が詰まっているか否かにかかわらず、吸引はガイドカテーテル756の内腔に直接かけられ、このようにガイドカテーテル756に吸引を直接かけることにより、塞栓形成の可能性を低減するという点で安全性がさらに増す。さらに、図56に示されるように、吸込み延長部752をガイドカテーテル756から完全に取り外すと、吸込み延長部752に関連する血栓の塞栓化に対する安全性が増す。図56に示されるように、吸込み延長部752は止血弁778の背後で隔離されたままであり、この状態は、ガイドカテーテル756内の圧力の望ましい制御を行うことができ、これが塞栓化のほか、汚染のリスクもさらに低下させる。
【0151】
図57は、止血弁778を通じて挿入される遠位端と近位側に延びる制御ワイヤ762とを有するドッキング分岐マニホルド601を示す。前述のように、ドッキング分岐マニホルド601の使用により、吸込み延長部の効率的な異物除去と再導入が可能となる。図57に示されるように、吸込み延長部752はガイドカテーテル756から取り外されるが、止血弁778の背後の隔離部にとどまる。吸込み延長部752が詰まった場合、図の構成により、血栓の塞栓化に対する安全性が高められる。しかしながら、吸込み延長部752を患者の体内に安全に再導入するために、まず吸込み延長部752から凝血塊を除去すべきである。前述のように、制御ワイヤ762は、ドッキング分岐マニホルド601内に吸込み延長部752をドッキングさせるために使用され得る。
【0152】
図58は、止血弁778の背後の隔離部から完全に引き出されているドッキング分岐マニホルド601と吸込み延長部752の両方を示す。この構成では、吸込み延長部752の近位端は入口管状区画603内にドッキングされる。さらに、凝血塊708の少なくとも一部が吸込み延長部752の遠位端に詰まっているように示されている。凝血塊708が吸込み延長部752の一部に詰まっているまま吸込み延長部752を患者の体内に再導入することは、安全でない可能性がある。したがって、吸込み延長部752が止血弁778から完全に取り外された状態で、弁607を開き得て、シリンジ609等の陽圧装置が流体を吐出して、吸込み延長部752から凝血塊708を洗い流し得る。吸込み延長部752から異物が除去されると、吸込み延長部752は止血弁778を通って再挿入され得る。吸込み延長部752を患者の体内に再導入するために滅菌状態に保持するための滅菌手順を使用できる。いくつかの処置では、異物除去された吸込み延長部752は、追加の塞栓を回収するために患者の体内に完全に再導入され得る。前述のように、ドッキングマニホルドは、吸引、造影剤、または処置の実行を容易にするためのその他の流体を送達するように構成できる。これらの追加または代替実施形態の場合、処置は簡単に変更できる。
【0153】
図59は、血栓除去部位における患者のリアルタイムのX線画像682を圧力値684および流量686とともに表示するビデオモニタ680を示す。これらの画像の全てを同時に見えるようにすることを通じて、医療従事者は処置の次のステップに関する意思決定を行うための全ての情報にアクセスできる。
【0154】
ベンチテストおよび計算を実施し、ガイドカテーテルと接触する、またはその他の市販の吸引カテーテルへの吸込み延長部の使用の一般的吸引性能を評価した。これらの結果は、‘938出願に記載されており、参照によって本明細書に援用する。
【0155】
上記実施形態は、限定ではなく例示するように意図されている。さらなる実施形態は特許請求の範囲内にある。さらに、本発明は、特定の実施形態に関して説明したが、当業者であれば、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態および細部を変更することができることが理解されよう。上述した文献の参照によるいかなる援用も、本明細書における明示的な開示に対して反対のいかなる主題も援用されないように限定される。本明細書において、別段明確に指示がない限り、考察において示唆されるように、所定の構造、構成および/またはプロセスが、構成要素、要素、成分または他の部分とともに記載される程度まで、本明細書の開示は、所定の実施形態、所定の構成要素、要素、成分、他の部分またはそれらの組合せを備える実施形態とともに、主題の基本的な性質を変更しない追加の特徴を含むことができる、こうした所定の構成要素、成分もしくは他の部分またはそれらの組合せから本質的に構成される実施形態を包含することが理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30.34C】
図31A
図31B-31C】
図32
図33
図34A-34B】
図35A
図35B
図35C
図35D
図36A
図36B
図36C
図37A
図37B
図38A
図38B
図39A
図39B
図39C
図39D
図40
図41
図42
図43
図44A
図44B
図45
図46
図47
図48
図49
図50
図51
図52
図53
図54
図55
図56
図57
図58
図59
【国際調査報告】