(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】放射線の量を決定する方法
(51)【国際特許分類】
G01T 1/04 20060101AFI20240730BHJP
G01N 23/095 20180101ALI20240730BHJP
【FI】
G01T1/04
G01N23/095
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504828
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-02-01
(86)【国際出願番号】 FI2022050502
(87)【国際公開番号】W WO2023007058
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513323128
【氏名又は名称】トゥルン イリオピスト
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100230514
【氏名又は名称】泉 卓也
(72)【発明者】
【氏名】ミーカ ラストゥサーリ
(72)【発明者】
【氏名】イサベラ ノールボ
(72)【発明者】
【氏名】サミ ヴオリ
【テーマコード(参考)】
2G001
2G188
【Fターム(参考)】
2G001AA02
2G001HA13
2G001KA01
2G188KK02
(57)【要約】
本発明は、センサ材料に照射された1zm~10pmの波長を有する放射線又は粒子放射線の量を決定する方法に関するものであり、この方法は、前記センサ材料を前記放射線又は粒子放射線に一定時間曝すこと、曝された前記センサ材料を、色の強度を測定するように構成された装置による測定にかけること、反射光、透過光、又は検出光の色の強度を測定すること、反射光、透過光、又は検出光の色の測定強度に基づいて、前記センサ材料が曝された放射線又は粒子放射線の量を決定することを含む。前記センサ材料は、(M')8(M''M''')6O24(X,X')2:M''''で表される材料を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ材料に照射された1zm~10pmの波長を有する放射線又は粒子放射線の量を決定する方法であって、該方法は、
-前記センサ材料を前記放射線又は粒子放射線に一定時間曝すこと、
-曝された前記センサ材料を、色の強度を測定するように構成された装置による測定にかけること、
-反射光、透過光、又は検出光の色の強度を測定すること、
-反射光、透過光、又は検出光の色の測定強度に基づいて、前記センサ材料が曝された放射線又は粒子放射線の量を決定すること、を含み、
ここで、前記センサ材料は、式(I)で表される材料を含み、
(M')
8(M''M''')
6O
24(X,X')
2:M'''' 式(I)
ここで、
-M'は、カルシウムの単原子陽イオン、又はIUPAC元素周期表の第1族から選択されるアルカリ金属の単原子陽イオン、又はそのような陽イオンの任意の組み合わせを表し、
-M''は、IUPAC元素周期表の第13族から選択される元素の3価の単原子陽イオン、又はIUPAC元素周期表の第3族~第12族のいずれかから選択される遷移元素の3価の単原子陽イオン、又はそのような陽イオンの任意の組み合わせを表し、
-M'''は、IUPAC元素周期表の第14族から選択される元素の単原子陽イオン、又はIUPAC元素周期表の第13族と第15族のいずれかから選択される元素の単原子陽イオン、又はZnの単原子陽イオン、又はそのような陽イオンの任意の組み合わせを表し、
-Xは、IUPAC元素周期表の第17族から選択される元素の陰イオン、又はそのような陰イオンの任意の組み合わせを表すか、又はXは存在しないか、であり、
-X'は、IUPAC元素周期表の第16族から選択される1つ又は2つ以上の元素の陰イオン、又はそのような陰イオンの任意の組み合わせを表すか、又はX'が存在しないかであり、
-M''''は、IUPAC元素周期表の希土類金属から選択される元素のドーパント陽イオン、又はIUPAC元素周期表の遷移金属から選択される元素のドーパント陽イオン、又はCa、Ba、Sr、Tl、Pb、若しくはBiのドーパント陽イオン、又はそのような陽イオンの任意の組み合わせを表すか、又はM''''は存在しないか、であり、
ただし、XとX'の少なくとも一方は存在する、方法。
【請求項2】
前記センサ材料が曝された放射線又は粒子放射線の量を決定することは、反射光、透過光又は検出光の色の測定強度を、測定強度値及び対応する放射線値を含むデータベースと比較することによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記データベースは、ルックアップテーブルとグラフの少なくとも一方を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記センサ材料が放射線又は粒子放射線に曝される期間は10年までである、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記放射線又は粒子放射線は、ガンマ線である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
色の強度を測定するように構成された前記装置は、色分光光度計、光検出器及びカメラからなるグループから選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
M'は、IUPAC元素周期表の第1族から選択されるアルカリ金属の単原子陽イオン、又はそのような陽イオンの任意の組み合わせを表すが、M'はNa単独の単原子陽イオンを表さない、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
M'が、Li、Na、K、Rb、Cs、及びFrからなるグループから選択される、少なくとも2つの異なるアルカリ金属の単原子陽イオンの組み合わせを表す、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
M''が、Al及びGaからなるグループから選択される金属の3価の単原子陽イオン、又はそのような陽イオンの組み合わせを表す、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
M''が、Bの3価の単原子陽イオンを表す、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
M'''が、Si及びGeからなるグループから選択される元素の単原子陽イオン、又はそのような陽イオンの組み合わせを表す、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
M'''が、Al、Ga、N、P、及びAsからなるグループから選択される元素の単原子陽イオン、又はそのような陽イオンの任意の組み合わせを表す、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
Xが、F、Cl、Br、I、及びAtからなるグループから選択される元素の陰イオン、又はそのような陰イオンの任意の組み合わせを表す、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
X'が、O、S、Se、及びTeからなるグループから選択される1つ又は2つ以上の元素の単原子又は多原子陰イオン、又はそのような陰イオンの任意の組み合わせを表す、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
M''''が、Yb、Er、Tb、及びEuからなるグループから選択される元素の陽イオン、又はそのような陽イオンの任意の組み合わせを表す、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
M''''が、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、W、及びZnからなるグループから選択される元素の陽イオン、又はそのような陽イオンの任意の組み合わせを表す、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記センサ材料を、ポリマーマトリックスに配置することをさらに含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
空間の少なくとも一部における放射線マップを作成する方法であって、
-請求項1に記載の式(I)で表される材料を含むセンサ材料を、前記空間の少なくとも一部をカバーするように配置すること、
-前記センサ材料に照射された放射線又は粒子放射線の量を決定するために、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法を使用することと、
-前記センサ材料に照射された放射線又は粒子放射線の量の決定値とその位置に基づいて、前記空間における放射線マップを提供すること、
を含む、方法。
【請求項19】
ガンマ線によるイメージングための請求項1~17のいずれか1項に記載の方法の使用。
【請求項20】
請求項1に記載の式(I)で表される材料を含む、ガンマ線照射用の線量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ材料に照射された1zm~10pmの波長を有する放射線又は粒子放射線の量を決定する方法に関する。本発明はまた、空間における放射線マップを検出・作成する方法、そのような方法の使用、さらに線量計に関する。
【背景技術】
【0002】
ソーダライト材料の一種であるハックマナイトは、Na8Al6Si6O24(Cl,S)2の化学式を持つ天然鉱物である。ハックマナイトをベースとする合成材料を調製することができ、これらの材料もハックマナイトと呼ばれる。これらの合成材料は、例えば、国際公開第2017/194825および国際公開第2017/194834号に記載されており、様々な装置、例えば、放射線の強度を検出及び表示するため装置(国際公開第2019/092309号に記載されている)や放射線の量を決定するため装置(国際公開第2019/092308号に記載されている)に使用することができる。国際公開第2019/092308に記載される方法では、放射線の量は、熱処理及び/又は光刺激に曝された結果としてセンサ材料によって放出される可視光の量に基づいて決定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、測定対象に対する又は空間における放射線量を決定する代替方法、特にガンマ線に使用できる方法を提供することである。好適には、この方法は他の電磁放射線や粒子放射線にも使用可能である。本発明の具体的な目的は、使いやすい方法でガンマ線を決定する方法を提供することであり、したがって、このような使用のために、着用可能な線量計又は他の容易に持ち運び可能な装置の製造を可能にすることである。また、具体的な目的の1つは、パッシブ型ガンマ線検出器、すなわち検出のための電子機器を必要としないガンマ線検出器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、独立請求項の特徴によって規定される。いくつかの具体的な実施形態は従属請求項に規定されている。
【0005】
第1の態様によれば、センサ材料に照射された1zm~10pmの波長を有する放射線又は粒子放射線の量を決定する方法が提供され、該方法は、
-前記センサ材料を前記放射線又は粒子放射線に一定時間曝すこと、
-曝されたセンサ前記材料を、色の強度を測定するように構成された装置による測定にかけること、
-反射光、透過光、又は検出光の色の強度を測定すること、
-反射光、透過光、又は検出光の色の測定強度に基づいて、前記センサ材料が曝された放射線又は粒子放射線の量を決定すること、を含み、
ここで、センサ材料は、式(I)で表される材料を含み、
(M')8(M''M''')6O24(X,X')2:M'''' 式(I)
ここで、
-M'は、カルシウムの単原子陽イオン、又はIUPAC元素周期表の第1族から選択されるアルカリ金属の単原子陽イオン、又はそのような陽イオンの任意の組み合わせを表し、
-M''は、IUPAC元素周期表の第13族から選択される元素の3価の単原子陽イオン、又はIUPAC元素周期表の第3族~第12族のいずれかから選択される遷移元素の3価の単原子陽イオン、又はそのような陽イオンの任意の組み合わせを表し、
-M'''は、IUPAC元素周期表の第14族から選択される元素の単原子陽イオン、又はIUPAC元素周期表の第13族と第15族のいずれかから選択される元素の単原子陽イオン、又はZnの単原子陽イオン、又はそのような陽イオンの任意の組み合わせを表し、
-Xは、IUPAC元素周期表の第17族から選択される元素の陰イオン、又はそのような陰イオンの任意の組み合わせを表すか、又はXは存在しないか、であり、
-X'は、IUPAC元素周期表の第16族から選択される1つ又は2つ以上の元素の陰イオン、又はそのような陰イオンの任意の組み合わせを表すか、又はX'が存在しないかであり、
-M''''はドーパントを表すか、又はM''''は存在しないか、であり、
ただし、XとX'の少なくとも一方は存在する、方法である。
【0006】
第2の態様によれば、空間における放射線マップを作成する方法が提供され、この方法は、
-式(I)で表される材料を含むセンサ材料を、空間における少なくとも2つの異なる場所に配置することと、
-前記センサ材料に照射された放射線又は粒子放射線の量を決定するために、上記で定義された方法を使用することと、
-前記センサ材料に照射された放射線又は粒子放射線の量の決定値とその位置に基づいて、前記空間における放射線マップを提供することとを含む。
【0007】
第3の態様によれば、ガンマ線によるイメージングのために、センサ材料に照射された1zm~10pmの波長を有する放射線又は粒子放射線の量を決定するための方法の使用が提供される。
【0008】
第4の態様によれば、式(I)で表される材料を含むガンマ線照射用の線量計が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態によるいくつかのサンプルからの反射光の色強度を示す。
【
図2】
図2は、実施形態によるいくつかのサンプルの光の反射率を示す。
【
図3】
図3は、実施形態によるいくつかのサンプルの光の反射率を示す。
【
図4】
図4は、実施形態によるいくつかのサンプルの光の反射率を示す。
【
図5】
図5は、実施形態によるいくつかのサンプルの光の反射率を示す。
【
図6】
図6は、実施形態によるいくつかのサンプルの光の反射率を示す。
【
図7】
図7は、
図2~6に使用したサンプルの光の反射率の積算値を示す。
【
図8】
図8は、
図2~6に使用したサンプルの光の反射率の積算値を示す。
【
図9】
図9は、
図2~6に使用したサンプルのCIE L*a*b座標の値を示す。
【
図10】
図10は、
図2~6に使用したサンプルのCIE L*a*b座標の値を示す。
【
図11】
図11は、
図2~6に使用したサンプルのCIE L*a*b座標の値を示す。
【
図12】
図12は、
図2~6に使用したサンプルのCIE L*a*b座標の値を示す。
【
図13】
図13は、
図2~6に使用したサンプルのCIE L*a*b座標の値を示す。
【
図14】
図14は、
図2~6に使用したサンプルのCIE L*a*b座標の値を示す。
【
図15】
図15は、
図2~6に使用したサンプルのCIE L*a*b座標の値を示す。
【
図16】
図16は、ガンマ放射後のいくつかのサンプルを示す。
【
図17】
図17は、ガンマ放射後のいくつかのサンプルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書は、センサ材料に照射された1zm~10pmの波長を有する放射線又は粒子放射線の量を決定する方法に関し、該方法は、
-前記センサ材料を前記放射線又は粒子放射線に一定時間曝すこと、
-曝されたセンサ前記材料を、色の強度を測定するように構成された装置による測定にかけること、
-反射光、透過光、又は検出光の色の強度を測定すること、
-反射光、透過光、又は検出光の色の測定強度に基づいて、前記センサ材料が曝された放射線又は粒子放射線の量を決定すること、を含み、
ここで、センサ材料は、式(I)で表される材料を含み、
(M')8(M''M''')6O24(X,X')2:M'''' 式(I)
ここで、
-M'は、カルシウムの単原子陽イオン、又はIUPAC元素周期表の第1族から選択されるアルカリ金属の単原子陽イオン、又はそのような陽イオンの任意の組み合わせを表し、
-M''は、IUPAC元素周期表の第13族から選択される元素の3価の単原子陽イオン、又はIUPAC元素周期表の第3族~第12族のいずれかから選択される遷移元素の3価の単原子陽イオン、又はそのような陽イオンの任意の組み合わせを表し、
-M'''は、IUPAC元素周期表の第14族から選択される元素の単原子陽イオン、又はIUPAC元素周期表の第13族と第15族のいずれかから選択される元素の単原子陽イオン、又はZnの単原子陽イオン、又はそのような陽イオンの任意の組み合わせを表し、
-Xは、IUPAC元素周期表の第17族から選択される元素の陰イオン、又はそのような陰イオンの任意の組み合わせを表すか、又はXは存在しないか、であり、
-X'は、IUPAC元素周期表の第16族から選択される1つ又は2つ以上の元素の陰イオン、又はそのような陰イオンの任意の組み合わせを表すか、又はX'が存在しないかであり、
-M''''はドーパントを表すか、又はM''''は存在しないか、であり、
ただし、XとX'の少なくとも一方は存在する、方法である。
【0011】
本方法では、放射線量は、直接又は間接的に放射線に曝されたセンサ材料の色の強度に基づいて決定される。本方法は、様々な放射線源の監視に使用することができ、例えば、放射線が本来照射されるべきでない領域に飛散していないことを確認したり、所定の時間枠内で人が受けている放射線量の監視に使用したりすることができる。また、本方法は、検出後に検出器を読み取るためだけに電子機器が必要とされ、検出中は必要とされないパッシブ型ガンマ線検出器の製造も可能にする。さらに、本方法は、高密度物体のテネブレッセンス・イメージング(tenebrescence imaging)や、食品への放射線照射、食品又は医療用包装又は装置の滅菌などのモニタリングに使用することができる。
【0012】
一つの実施形態によれば、センサ材料が曝された放射線又は粒子放射線の量を決定することは、反射光、透過光又は検出光の色の測定強度を、測定された強度値及び対応する放射線値からなるデータベースと比較することによって実施される。データベースは、ルックアップテーブルとグラフの少なくとも一方を含んでもよい。
【0013】
このようなデータベースでは、強度値及び対応する放射線値は所与であり、管理された条件下、すなわち使用される放射線量が既知である条件下で実施された測定に基づいている。データベースは、ルックアップテーブルであることに加えて、他の適切な形式のデータ構造であってもよい。データベースは、自動的に使用されるようにしてもよく(すなわち、プロセスはコンピュータ化されてもよい)、手動で使用されるようにしてもよい。測定された強度をデータベースの情報と比較すると、材料が曝された放射線量を決定することができる。
【0014】
本方法で量を測定できる放射線には、1zm~10pmの波長を有する放射線及び粒子放射線が含まれる。一実施形態によれば、放射線は電磁放射線である。別の実施形態によれば、放射線はガンマ線である。また、放射線は、アルファ線、ベータ線、陽子線、中性子線及び/又は陽電子線などの粒子放射線であってもよい。
【0015】
したがって、放射線は、1zm(ゼプトメートル、すなわち1.0×10-21m)、500zm、1am(アトメートル、すなわち1.0×10-18m)、500am、1fm(フェムトメートル、すなわち1.0×10-15m)、500fm、又は1pm(ピコメートル、すなわち1.0×10-12m)から、500zm、1fm、500fm、1pm、又は10pmまでの波長を有してもよい。例えば、ガンマ線の波長範囲は1zm~10pmである。
【0016】
上記の方法で強度を決定できる放射線は、例えば医療機器、診断、医療処置、洗浄、食品製造、消毒など、さまざまな用途に使用される。
【0017】
ある態様によれば、式(I)で表される材料を含むガンマ線照射用の線量計も提供される。この線量計は、パッシブ型線量計であり、したがって、製造が容易であり、軽量で持ち運びやすい(すなわち、例えば、ポケットに入れることができる形状に製造することができる)。同様に、粒子放射線用の線量計を製造することも可能である。
【0018】
本方法で決定できる放射線のエネルギーは、例えば、40keV~2MeVを含む、例えば、1keV~1000TeVである。上限は2000TeVまでも可能である。
【0019】
本方法では、センサ材料は一定期間前記放射線に曝される。センサ材料が放射線に曝されるこの期間は、最大10年であってもよい。例えば、この期間は、5分、10分、15分、30分若しくは45分、1時間、5時間、10時間、15時間若しくは20時間、1日、5日、10日、15日、20日、25日若しくは30日、又は1年、5年若しくは10年までとしてもよい。この期間は、一般的に、その方法が使用される用途、すなわち、例えば、人が受ける放射線量を監視するために使用されるのか、又は放射線マップを提供するために使用されるのかに依存する(以下でより詳細に説明される)。
【0020】
曝露されたセンサ材料は、色の強度を測定するように構成された装置による測定にかけられる。このような装置は、例えば、色分光光度計、光検出器(光センサとも呼ばれることがある)、及びカメラからなるグループから選択することができる。カメラは、例えば、色の強度を定量化することができるコンピュータプログラム又はアプリにリンクされていてもよい。このように、色の強度を測定するように構成された装置に応じて、反射光、透過光、又は検出光の色の強度を測定する。
【0021】
理論に束縛されることを望むものではないが、本発明者らは、反射、透過又は検出光の色は、材料が曝された放射線に依存すると考える。すなわち、ガンマ線を照射されたセンサ材料は、紫外線を照射された同じセンサ材料とは異なる色を有すると考える。このように、本方法は、材料が曝された放射線の種類を判定するためにも使用することができる。あるいは、材料の異なる場所の前に異なる波長フィルターを設置し、それぞれの場所があらかじめ決められた波長の放射線のみを受けるようにすることも可能である。
【0022】
光の色の強度の測定は、好ましくは、センサ材料が測定前に可視光に曝されることなく、又は少なくとも最小限の時間(例えば、数分又は最大30分など)だけ曝された状態で行われる。色の強度を即座に測定することができない場合、センサ材料は最も好ましくは遮光容器に入れ、室温で保存する。
【0023】
式(I)の材料は、その上に照射された放射線を保持できるように構成された光学活性材料、すなわち、照射された放射線を内部に捕捉できる材料である。
【0024】
一実施形態において、M'は、Na、Li、K、Rb、Cs、及びFrからなるグループより選択されるアルカリ金属の単原子陽イオン、又はそのような陽イオンの任意の組み合わせを表す。別の実施形態では、M'は、IUPAC元素周期表の第1族から選択されるアルカリ金属の単原子陽イオン、又はそのような陽イオンの任意の組み合わせを表すが、ただし、M'は、Na単独の単原子陽イオンを表さない。一実施形態によれば、M'は、Li、Na、K、Rb、Cs、及びFrからなるグループから選択される異なるアルカリ金属の少なくとも2つの単原子陽イオンの組み合わせを表す。別の実施形態によれば、M'はアルカリ土類元素を表す。
【0025】
一実施形態では、M'は、IUPAC元素周期表の第1族のグループから選択される異なるアルカリ金属又はアルカリ土類元素の少なくとも2つの単原子陽イオンの組み合わせ、を表す。アルカリ土類元素が存在する場合、M'8における化学量数は、M'原子によって誘起される全体電荷が8+を維持するように調整される。一実施形態では、M'は、IUPAC元素周期表の第1族から選択される異なるアルカリ金属の少なくとも2つの単原子陽イオンの組み合わせを表し、この組み合わせは、多くとも98mol%、多くとも95mol%、多くとも90mol%、多くとも85mol%、多くとも80mol%、多くとも70mol%、多くとも60mol%、多くとも50mol%、多くとも40mol%のNaの単原子陽イオン、又は多くとも30mol%のNaの単原子陽イオン、又は多くとも20mol%のNaの単原子陽イオンを含む。
【0026】
さらに別の実施形態では、M'は、Liの単原子陽イオンを表す。一実施形態では、M'は、Kの単原子陽イオンを表す。一実施形態では、M'は、Rbの単原子陽イオンを表す。一実施形態において、M'は、Csの単原子陽イオンを表す。一実施形態において、M'は、Frの単原子陽イオンを表す。
【0027】
一実施形態では、M''は、Al及びGaからなるグループから選択される金属の3価の単原子陽イオン、又はそのような陽イオンの組み合わせを表す。一実施形態において、M''は、Bの3価の単原子陽イオンを表す。一実施形態において、M''は、IUPAC元素周期表の第4周期から選択される遷移元素の3価の単原子陽イオン、又はそのような陽イオンの任意の組み合わせを表す。一実施形態において、M''は、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、及びZnからなるグループから選択される元素の3価の単原子陽イオン、又はそのような陽イオンの任意の組み合わせを表す。
【0028】
一実施形態では、M'''は、Si、Ge、Al、Ga、N、P、及びAsからなるグループから選択される元素の単原子陽イオン、又はそのような陽イオンの組み合わせを表す。一実施形態では、M'''は、Si及びGeからなるグループから選択される元素の単原子陽イオン、又はそのような陽イオンの組み合わせを表す。一実施形態では、M'''は、Al、Ga、N、P、及びAsからなるグループから選択される元素の単原子陽イオン、又はそのような陽イオンの組み合わせを表す。一実施形態において、M'''は、Al及びGaからなるグループより選択される元素の単原子陽イオン、又はそのような陽イオンの組み合わせを表す。一実施形態において、M'''は、N、P、及びAsからなるグループから選択される元素の単原子陽イオン、又はそのような陽イオンの任意の組み合わせを表す。一実施形態において、M'''は、Znの単原子陽イオンを表す。
【0029】
一実施形態において、Xは、F、Cl、Br、I、及びAtからなるグループより選択される元素の陰イオン、又はそのような陰イオンの任意の組み合わせを表す。一実施形態において、Xは、F、Cl、Br、及びIからなるグループより選択される元素の陰イオン、又はそのような陰イオンの任意の組み合わせを表す。一実施形態では、Xは存在しない。
【0030】
一実施形態において、X'は、O、S、Se、及びTeからなるグループより選択される元素の陰イオン、又はそのような陰イオンの任意の組み合わせを表す。一実施形態において、X'は、O、S、Se、及びTeからなるグループより選択される1つ又は2つ以上の元素の陰イオン、又はそのような陰イオンの任意の組み合わせを表す。一実施形態において、X'は、O、S、Se、及びTeからなるグループより選択される1つ又は2つ以上の元素の単原子又は多原子の陰イオン、又はそのような陰イオンの任意の組み合わせを表す。一実施形態では、X'はSの陰イオンを表す。一実施形態では、X'は(SO4)2-、又は他の硫黄オキシアニオンである。さらに別の実施形態では、X'は存在しない。
【0031】
本明細書において、X及びX'の少なくとも一方が存在するという条件は、特に断らない限り、X又はX'のいずれかが存在する、あるいはX及びX'の両方が存在すると理解されるべきである。
【0032】
一実施形態では、材料は少なくとも1つの遷移金属イオンでドープされている。
【0033】
M''''はドーパントを表すか、又はM''''は存在しないかである。一実施形態によれば、M''''は、IUPAC元素周期表の希土類金属から選択されたドーパント陽イオン、又はIUPAC元素周期表の遷移金属から選択されたドーパント陽イオン、又はCa、Ba、Sr、Tl、Pb、若しくはBiのドーパント陽イオン、又はそのような陽イオンの任意の組み合わせを表す。ドーパントは、任意の元素又は元素の任意の組み合わせであってよい。ドーパントは、例えば、材料の機能に関与しない元素であってもよい。
【0034】
一実施形態では、材料は、式(I)で表され、M''''は、IUPAC元素周期表の遷移金属から選択される元素の陽イオン、又はCa、Ba、Sr、Tl、Pb、若しくはBiの陽イオン、又はそのような陽イオンの任意の組み合わせを表す。一実施形態において、M''''は、IUPAC元素周期表のfブロックの遷移金属から選択される元素の陽イオンを表す。一実施形態において、M''''は、元素のIUPAC周期表のdブロックの遷移金属から選択される元素の陽イオンを表す。一実施形態において、M''''は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、W、及びZnからなるグループから選択される元素の陽イオン、又はそのような陽イオンの任意の組み合わせを表す。一実施形態において、M''''は、Tiの陽イオンを表す。一実施形態では、M''''は、IUPAC元素周期表の希土類金属から選択される元素のドーパント陽イオンを表す。一実施形態では、M''''は、Yb、Er、Tb、及びEuからなるグループから選択される元素の陽イオン、又はそのような陽イオンの任意の組み合わせを表す。一実施形態では、M''''は、2つ又は3つ以上のドーパント陽イオンの組み合わせを表す。
【0035】
一実施形態では、材料は、式(I)で表され、M''''は存在しない。この実施形態では、材料はドープされない。一実施形態では、式(I)で表される材料は、材料の総量を基準として0.001~10mol%、又は0.001~5mol%、又は0.1~5mol%の量でM''''を含む。
【0036】
さらなる実施形態によれば、式(I)で表される材料は残留物を含む。これらの残留物は、材料の製造工程に由来し、最大1mol%、又はそれ以上、例えば最大10mol%の量で存在し得る。
【0037】
一実施形態では、式(I)で表される材料は、以下からなるグループから選択される。
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Ga)6Si6O24(Cl,S)2:Ti,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Cr)6Si6O24(Cl,S)2:Ti,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Mn)6Si6O24(Cl,S)2:Ti,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Fe)6Si6O24(Cl,S)2:Ti,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Co)6Si6O24(Cl,S)2:Ti,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Ni)6Si6O24(Cl,S)2:Ti,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Cu)6Si6O24(Cl,S)2:Ti,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,B)6Si6O24(Cl,S)2:Ti,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Mn6Si6O24(Cl,S)2:Ti,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Cr6Si6O24(Cl,S)2:Ti,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Fe6Si6O24(Cl,S)2:Ti,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Co6Si6O24(Cl,S)2:Ti,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Ni6Si6O24(Cl,S)2:Ti,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Cu6Si6O24(Cl,S)2:Ti,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8B6Si6O24(Cl,S)2:Ti,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Ga6Si6O24(Cl,S)2:Ti,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Al6Si6O24(Cl,S)2:Ti,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Al6(Si,Zn)6O24(Cl,S)2:Ti,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Al6(Si,Ge)6O24(Cl,S)2:Ti,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Al6Zn6O24(Cl,S)2:Ti,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Al6Ge6O24(Cl,S)2:Ti,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Al6(Ga,Si,N)6O24(Cl,S)2:Ti,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Al6(Ga,Si,As)6O24(Cl,S)2:Ti,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Al6(Ga,N)6O24(Cl,S)2:Ti,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Al6(Ga,As)6O24(Cl,S)2:Ti,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Ga)6Ge6O24(Cl,S)2:Ti,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Cr)6Ge6O24(Cl,S)2:Ti,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Mn)6Ge6O24(Cl,S)2:Ti,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Fe)6Ge6O24(Cl,S)2:Ti,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Co)6Ge6O24(Cl,S)2:Ti,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Ni)6Ge6O24(Cl,S)2:Ti,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Cu)6Ge6O24(Cl,S)2:Ti,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,B)6Ge6O24(Cl,S)2:Ti,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Mn6Ge6O24(Cl,S)2:Ti,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Cr6Ge6O24(Cl,S)2:Ti,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Fe6Ge6O24(Cl,S)2:Ti,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Co6Ge6O24(Cl,S)2:Ti,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Ni6Ge6O24(Cl,S)2:Ti,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Cu6Ge6O24(Cl,S)2:Ti,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8B6Ge6O24(Cl,S)2:Ti,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Ga6Ge6O24(Cl,S)2:Ti,
ここで
x+y+z≦1であり、
x≧0、y≧0、z≧0である。
【0038】
さらに好適な材料としては、LiNa7Al6Si6O24(Br,S)2:Srがあり、Srの量は3~6mol%である。また、この材料は、例えば1mol%の量のCuを含んでもよい。式(I)で表されるいくつかの好適な材料は、以下からなるグループから選択することができる。
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Ga)6Si6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Cr)6Si6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Mn)6Si6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Fe)6Si6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Co)6Si6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Ni)6Si6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Cu)6Si6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,B)6Si6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Mn6Si6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Cr6Si6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Fe6Si6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Co6Si6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Ni6Si6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Cu6Si6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8B6Si6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Ga6Si6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Al6Si6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Al6(Si,Zn)6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Al6(Si,Ge)6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Al6Zn6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Al6Ge6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Al6(Ga,Si,N)6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Al6(Ga,Si,As)6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Al6(Ga,N)6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Al6(Ga,As)6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Ga)6Ge6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Cr)6Ge6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Mn)6Ge6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Fe)6Ge6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Co)6Ge6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Ni)6Ge6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Cu)6Ge6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,B)6Ge6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Mn6Ge6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Cr6Ge6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Fe6Ge6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Co6Ge6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Ni6Ge6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Cu6Ge6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8B6Ge6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Ga6Ge6O24(Br,S)2:Sr,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Ga)6Si6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Cr)6Si6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Mn)6Si6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Fe)6Si6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Co)6Si6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Ni)6Si6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Cu)6Si6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,B)6Si6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Mn6Si6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Cr6Si6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Fe6Si6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Co6Si6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Ni6Si6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Cu6Si6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8B6Si6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Ga6Si6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Al6Si6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Al6(Si,Zn)6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Al6(Si,Ge)6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Al6Zn6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Al6Ge6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Al6(Ga,Si,N)6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Al6(Ga,Si,As)6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Al6(Ga,N)6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Al6(Ga,As)6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Ga)6Ge6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Cr)6Ge6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Mn)6Ge6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Fe)6Ge6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Co)6Ge6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Ni)6Ge6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,Cu)6Ge6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8(Al,B)6Ge6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Mn6Ge6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Cr6Ge6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Fe6Ge6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Co6Ge6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Ni6Ge6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Cu6Ge6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8B6Ge6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
(LixNa1-x-y-zKyRbz)8Ga6Ge6O24(Br,S)2:Sr,Cu,
ここで
x+y+z≦1であり、
x≧0、y≧0、z≧0である。
【0039】
この材料は、Armstrong & Weller (Armstrong, J.A.; Weller, J.A. Structural Observation of Photochromism. Chem. Commun. 2006, 1094-1096)に基づいた文献である、Norrbo et al.(Norrbo, I.; Gluchowski, P.; Paturi, P.; Sinkkonen, J.; Lastusaari, M., Persistent Luminescence of Tenebrescent Na8Al6Si6O24(Cl,S)2: Multifunctional Optical Markers. Inorg. Chem. 2015, 54, 7717-7724)による反応で合成することができる。一例として、化学量論量のゼオライトA及びNa2SO4、並びにLiCl、NaCl、KCl及び/又はRbClを出発物質として使用することができる。少なくとも1つのドーパントを、例えばTiO2などの酸化物、塩化物、硫化物、臭化物、又は硝酸塩として添加することができる。材料は以下のように調製することができる。まず、ゼオライトAを、500℃で1時間乾燥させてもよい。その後、最初の混合物を空気中850℃で、例えば2時間、5時間、12時間、24時間、36時間、48時間、又は72時間加熱してもよい。その後、この生成物を、室温まで自然に冷却し、粉砕してもよい。最後に、この生成物を、12%のH2と88%のN2からなる気体が流れる環境下で、850℃で2時間、再度加熱してもよい。必要であれば、過剰なLiCl/NaCl/KCl/RbCl不純物を除去するために、調製したままの材料を水で洗浄してもよい。純度は粉末X線回折測定法を用いて確認できる。
【0040】
この材料は粉末状で調製され、通常、粉末状で使用される。粉末中の粒子径は、透過型電子顕微鏡で測定したところ、通常約5~10μmで、面積はImageJプログラムにおける分水嶺分割アルゴリズムを用いて写真から求めた。
【0041】
別の実施形態によれば、処理された材料は式(II)を有する。
(M')8(M''M''')6O24(X,S)2:M'''' 式(II)
ここで
-M'は、IUPAC元素周期表の第1族から選択されるアルカリ金属の単原子陽イオン、又はそのような陽イオンの任意の組み合わせを表し、
-M''は、IUPAC元素周期表の第13族から選択される元素の3価の単原子陽イオン、又はIUPAC元素周期表の第3族~第12族のいずれかから選択される遷移元素の3価の単原子陽イオン、又はそのような陽イオンの任意の組み合わせを表し、
-M'''は、IUPAC元素周期表の第14族から選択される元素の単原子陽イオン、又はそのような陽イオンの任意の組み合わせを表し、
-Xは、IUPAC元素周期表の第16族から選択される元素の陰イオン、又はIUPAC元素周期表の第17族から選択される元素の陰イオン、又はそのような陰イオンの任意の組み合わせを表し、
-M''''は、IUPAC元素周期表の希土類金属から選択される元素のドーパント陽イオン、又はIUPAC元素周期表の遷移金属から選択される元素のドーパント陽イオン、又はそのような陽イオンの任意の組み合わせを表すか、又はM''''は存在しないか、である。
【0042】
上記の式(I)による材料の異なる構成成分に関する様々な実施形態及び選択肢は、式(II)による材料にも準用される。
【0043】
本明細書の材料は、一般的に無毒で安価であり、再利用やリサイクルが可能であるという利点もある。
【0044】
上述した方法は、始めに、センサ材料をポリマーマトリックスに配置することを含む。
【0045】
一実施形態によれば、ナイフコーティング又はドクターブレーディングとしても知られるテープキャスティングを用いて、ポリマーマトリックスに材料を配置することができる。テープキャスティングは、セラミック又は金属粒子懸濁液の薄いシートが基板上にキャストされるプロセスである。この流体は、揮発性の非水性溶媒、分散剤、結合剤、及び乾燥物、すなわち式(I)を有する材料を含んでもよい。このプロセスは、懸濁液を調製し、それを基材の表面に塗布することを含んでもよい。結合剤は乾燥物粒子の周囲にポリマーネットワークを形成してもよく、可塑剤は結合剤の軟化剤として機能してもよい。これらの物質を組み合わせると、曲げたときにテープがひび割れたり剥がれたりしにくくなりうる。分散剤を、粒子の凝集を解き、懸濁液を均質化するために使用してもよい。
【0046】
したがって、一実施形態によれば、材料は、材料をテープキャスティング成分と混合することによってポリマーマトリックスに配置される。当該技術分野で知られているように、任意の適切かつ一般的なテープキャスティング成分を使用することができる。一実施形態によれば、テープキャスティング成分は、エタノールAa、エチルメチルケトン、トリトンX-100、フタル酸ベンジルブチル及びポリビニルブチラールを含む。
【0047】
ポリマーマトリックス、すなわちテープキャスティングポリマーは、1種又は数種の異なるポリマーから構成することができる。エネルギー変換器として作用することができる、すなわち光学的に刺激されたルミネッセンス発光によって励起されることができる任意のポリマーを使用することができる。一実施形態によれば、ポリマーは、フタル酸ベンジルブチル、ポリビニルブチラール、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0048】
したがって、ポリマーマトリックスにテープ状にキャストされた材料は、コンピュータ断層撮影(CT)イメージングやその他のイメージングに使用できる画像検出器として機能する。イメージング技術は、プレート又は検出器、又はプレートと検出器の組み合わせを使用することができる。検出器は、例えばガンマ線検出器であってもよい。式(I)による材料を、例えばコーティング又はフィルムとして表面に付着させてもよい。プレート又は検出器の基板は、ガラス又はポリマーを含んでもよく、ガラス又はポリマーから構成されてもよい。基板は、ガラス層又はポリマー層を含んでもよく、ガラス層又はポリマー層から構成されてもよい。基板は、さらなる層を含んでもよい。また、基板は、印刷用紙などのアタッチメント層、及び/又は厚紙層などのベース層、あるいは所望又は必要とされる他の層を含んでもよい。画像検出器は、さらなる層及び/又は成分を含んでもよい。画像検出器は、式(I)で表される材料をイメージング目的の検出器材料として使用することを可能にするという付加的な有用性を有する。この画像検出器は、Ba(F,Cl,Br,I)2:Eu及びCsI:Tiのような現在使用されている材料と比較して、非毒性で安価である光学活性材料を利用するという更なる付加的な有用性を有する。この画像検出器には、再利用可能でリサイクル可能であるという付加的な有用性もある。さらに、この画像検出器は、複雑な分析システムを必要とすることなく、ポイントオブケア分析に使用することができる。
【0049】
本明細書はさらに、装置に関し、この装置は、本明細書に記載される1つ又は2つ以上の実施形態による材料を含む。一実施形態では、この装置は、ガンマ線センサ、ガンマ線検出器、ガンマ線インジケータ、ガンマ線量インジケータ、粒子放射線センサ、粒子放射線検出器、粒子放射線インジケータ、又は粒子放射線量インジケータである。
【0050】
さらなる態様によれば、ガンマ線によるイメージングのために、センサ材料に照射された1zm~10pmの波長を有する放射線又は粒子放射線の量を決定するための方法の使用が提供される。
【0051】
一実施形態では、装置は、ガンマ線治療、例えばガンマナイフ手術/放射線治療用のガンマ線センサである。別の実施形態では、装置は、陽子線治療(proton radiation therapy)、例えば陽子線治療(proton beam therapy)用の陽子線センサである。また、装置は、高速中性子線治療(neutron beam therapy)などの中性子線治療(neutron radiation therapy)用の中性子線センサであってもよいし、例えばアルファ粒子線治療やベータ粒子線治療などのアルファ粒子線治療やベータ粒子線治療用のアルファ粒子線センサやベータ粒子線センサであってもよい。
【0052】
一実施形態では、装置は、ガンマ線の放射方向、放射源、放射強度、放射波長、又は粒子放射線の放射方向、放射源、放射強度を検出するための宇宙用途のセンサ又は検出器である。
【0053】
本方法はさらに、偽造品の監視にも使用できる。この場合、上記で定義した式(I)の既知化合物を含む小型装置を、製造現場で商品に取り付ける。例えば偽造品が輸入されている疑いがある場合、その商品をあらかじめ決められた時間ガンマ線に曝し、その結果生じる光の色の強度を測定してもよい。この色の強度が製造者の表示と異なる場合、その製品を偽造品であると判断してもよい。
【0054】
別の態様によれば、空間の少なくとも一部における放射線マップを作成する方法が提供され、この方法は、
-式(I)で表される材料を含むセンサ材料を、空間の少なくとも一部をカバーするように配置すること、
-前記センサ材料に照射された放射線又は粒子放射線の量を決定するために、上記で定義された方法を使用することと、
-前記センサ材料に照射された放射線又は粒子放射線の量の決定値とその位置に基づいて空間における放射線マップを提供することとを含む。
【0055】
したがって、上記で定義した式(I)の材料とセンサ材料に照射された放射線の量を決定するための上記で定義した方法とを使用するこの方法は、例えば、他の材料又は装置を照射するために使用される空間を監視することを可能にする。実際、このような空間では、放射線を特定の点又は特定の場所に照射することが望まれる場合がある。このような場合、本方法によって、放射線が放射線源から誤った方向に向けられているかどうか、及び/又は放射線がどの程度散乱、反射、及び/又は透過しているかを監視することが可能になるだろう。また、空間全体に均等な放射線を照射することが目的である場合に、本方法を、実際にそうなっていること、及び、実際にそうなっておらず、空間の一部の領域がより少ない放射線しか照射されていないことを監視するために使用することができる。
【0056】
開示される本発明の実施形態は、本明細書に開示される特定の構造、工程、又は材料に限定されるものではなく、関連技術分野における当業者によって認識されるであろうそれらの均等物に拡張されることを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のみに使用され、限定を意図するものではないことを理解されたい。
【0057】
さらに、記載された特徴、構造、又は特性は、1つ又は2つ以上の実施形態においてあらゆる適切な方法で組み合わせることができる。本明細書では、本発明の実施形態を十分に理解するために、長さ、幅、形状等の例など、多数の具体的な詳細を提供する。
【0058】
本明細書では、「comprise」及び「include」という動詞は、特定されていない特徴の存在を排除するものでも、要求するものでもない、開かれた限定(open limitation)として使用される。従属項で特定された特徴は、特に明示しない限り、相互に自由に組み合わせることができる。さらに、本書を通じて「a」又は「an」、すなわち単数形の使用は、複数形を排除するものではないことを理解されたい。
【0059】
以下の実験の節では、本発明をさらに説明するために、材料の具体的な使用例を示す。
【0060】
実験の節
例1-材料の調整
試験された材料は以下の式で示され、以下の結果ではNa、Br、K、Li、Rb、MT46で示されている。
Na: Na8Al6Si6O24(Cl,S)2
Br: Na8Al6Si6O24(Br,S)2
K: (K,Na)8Al6Si6O24(Cl,S)2
Li: (Li,Na)8Al6Si6O24(Cl,S)2
Rb: (Rb,Na)8Al6Si6O24(Cl,S)2
MT46: LiNa7Al6Si6O24(Br,S)2:Sr (7重量%)
【0061】
材料の合成では、まずゼオライトAを500℃で1時間乾燥させた。化学量論量のゼオライトA、NaCl、RbCl、KCl、LiCl、NaBr、Na2SO4、及びLiBrを、以下に示すように、材料に応じて、出発材料として使用した。ドーパントを使うときは、臭化物SrBr2が添加された。表1に各サンプルの合成条件を示す。
【0062】
出発材料は以下のとおりであった。
Na: ゼオライトA, NaCl, Na2SO4
Br: ゼオライトA, NaBr, Na2SO4
K: ゼオライトA, KCl, Na2SO4
Li: ゼオライトA, LiCl, NaCl, Na2SO4
Rb: ゼオライトA, RbCl, Na2SO4
MT46: ゼオライトA, NaBr, LiBr, Na2SO4 and SrBr2
【0063】
【0064】
次に、これらの材料を、エタノールAa(15重量%)、エチルメチルケトン(=2-ブタノン、30重量%)、2-[4-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェノキシ]エタノール(商品名Triton X-100で販売、2重量%)、フタル酸ベンジルブチル(BBP、6重量%)及びポリビニルブチラール(PVB、7重量%)を含み、上記で調製した材料の量が40重量%である、テープキャストポリマーマトリックスに別々に懸濁させた。その後、この混合物をポリエステル・プロジェクター透明シートに、ウェット厚さ300μmでキャストした。そして、得られたプレートを以下に述べるように放射線に曝した。
【0065】
上記の材料に加えて、Durr社(uは、uにウムラウト)の口腔内CRイメージングプレートサイズ2もテストした(以下、「Durr」と表記)。
【0066】
2.ガンマ線への曝露
プレートに対して、1.1732MeVと1.3325MeV(平均、1.250MeV)のガンマ線を放出する60Co線源を用いて放射線を照射した。放射線の質を保証するために使用された方法はISO 4037-1:2019で、換算係数はISO 4037-3:2019のとおりであり、不確かさ(JCGM 100:2008に準拠してk=2)は2.3%であった。照射は、周囲気圧、温度20~22℃、相対湿度40~60%で行った。
【0067】
以下の説明において、「サンプルプレートを分析する」という用語は、コニカミノルタ社のCM-2300d携帯用分光計でサンプルの反射スペクトル及びL*、a*、b*色座標を測定し、Durr社のVistaScan Mini Viewイメージングプレートリーダーでプレートの内容物を読み取ることに対応する。サンプルは、照射後に測定した取得シグナルから基準値を差し引くために、照射前にも測定された。
【0068】
まず、上記のように調製したNa、Br、K、Li、Rbプレートのセットに対して、放射線源から293cmの距離で30mGyの空気カーマ値の放射線を34秒間照射し、照射後5分以内に分析した。Na、Br、K、Li、Rbサンプルの別セットに対して、293cmの距離で30cGyの空気カーマ値の放射線を338秒間照射し、照射後5分以内に分析した。最後に、さらにNa、Br、K、Li、Rbサンプルの別セットに対して、78cmの距離で1.0Gyを77秒間照射し、照射後5分以内に分析した。
【0069】
これらの照射に加え、他にもNa、Br、K、Li、Rbの5種類のサンプルセットと、MT46とDurrの追加サンプルに対して、放射線を照射した。これらのサンプルは、放射線源から1、2、3、4、5、すなわち51.5、60.6、78.0、134、293cmの距離に64時間置かれた。これらの距離は、それぞれ、7000、5000、3000、1000、204Gyの空気カーマ値に対応する。
【0070】
この照射の後、プレートは、照射終了後2時間、天井付近に出口を示すかすかな照明だけがある暗闇に置かれた。2時間後、サンプルを分析した。照射条件を表8に示す。測定値から基準値を差し引いた結果、
図2-6と表8に示すようなスペクトルが得られた。以下、議論する。
【0071】
3.アルファ線への曝露
また、Na8Al6Si6O24(Cl,S)2の2つのサンプルに対して、エネルギー59.5keV、空気カーマ率0.011mGy/h、空気カーマ4.488mGyのアルファ線とガンマ線を放出する241Am線源を用いて、17時間にわたってアルファ線の照射を行った。サンプルは放射線源から1cmの位置に置かれ、参照サンプルは鉛ブロックの後ろに置かれた。
【0072】
サンプルに対して、アルミニウムフィルター(アルファ線を遮断するが、ガンマ線を遮断しない)を使用した場合と、使用しなかった場合(つまり、サンプルに対してアルファ線とガンマ線の両方が照射される)の両方について、放射線を照射した。
【0073】
結果
図1は、ガンマ線を照射したサンプルプレートからの反射光の色強度(任意の単位)とガンマ線の空気カーマ値(Gy)を示す。一番上の曲線はBrサンプル、上から2番目はRbサンプル、真ん中はNaサンプル、上から4番目はLiサンプル、一番下の曲線はKサンプルに対応する。見てわかるように、色の強度はガンマ線の増加とともに増加し、これらの実験中に、材料ごとに異なる頭打ちレベルに達する。
【0074】
図2~6は、30mGyのガンマ線を照射したプレート(
図1と同じプレート)の反射率差(パーセント、縦軸)と波長(ナノメートル、横軸)を示している。
図2はNaサンプル、
図3はBrサンプル、
図4はLiサンプル、
図5はKサンプル、
図6はRbサンプルに対応する。各図において、一番上の曲線は200Gyの空気カーマ値、上から2番目は1000Gyの空気カーマ値、3番目(つまり真ん中)は3000Gyの空気カーマ値、上から4番目は5000Gyの空気カーマ値、一番下は7000Gyの空気カーマ値をそれぞれ用いた場合のサンプルの結果である。
図6では、一番下の2つの曲線は実質的に重なっている。
【0075】
図2~6は、放射線の増加に伴って色の強度が増加することを明確に示している。このように、所定の放射線量に対する測定値をデータベース化することで、センサ材料が受けた放射線量を測定することができる。
【0076】
図7は、
図2~6の結果と同じプレートについて、反射率差の積算値(縦軸)と空気カーマ(Gy、横軸)を、
図8は同じ結果を規格化したものを示す。
図7で、これらの右端の曲線(空気カーマ7000Gy)を見ると、一番上がKサンプル、上から2番目がLiサンプル、真ん中がNaサンプル、上から4番目がRbサンプル、一番下がBrサンプルである。反射率差の積算値を正規化すると(
図8)、すべての曲線はほぼ同じ形状になる。
【0077】
色を3つの値で表すCIE L*a*b座標(L*は知覚的な明度、a*とb*は人間の視覚に固有の4つの色(赤、緑、青、黄)を対応する)は、
図1~5に示したスペクトルと同じ測定値から得られ、以下の表2~6に示される。
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
これらの座標は、色の強度を定量化する別の方法であり、センサ材料が受けた放射線量を決定するための本方法でも使用できる。
【0084】
また、これらの座標の値を縦軸に、空気カーマ(Gy)を横軸にした座標を
図9~13に示す。各図において、四角は座標L*の値、丸は座標a*の値、三角は座標b*の値を示す。
図9にNaサンプル、
図10にBrサンプル、
図11にLiサンプル、
図12にKサンプル、
図13にRbサンプルの結果を示す。
【0085】
空気カーマ(単位Gy)は、空気カーマとL*の間の指数相関によって、検出されたL*値から求めることができる。
空気カーマ=A+B×e(C×L*)
【0086】
表7は、OriginLab社のOrigin 2016ソフトウェアを使って、実験で得られた空気カーマ対L*の曲線を上記の式にフィッティングして得られた、試験材料に対するA、B、Cの値を示す。
【0087】
【0088】
図14は、試験材料(Na、Li、K、Rb、Br)のL*値を空気カーマ(Gy)の関数として示している。丸はBrサンプル、白抜きの四角はRbサンプル、黒い四角はNaサンプル、三角はLiサンプル、十字はKサンプルを示す。
図15は、空気カーマ(kGy)の関数としてのa*及びb*座標の値を示している。
【0089】
また、照射後にプレートを評価し、画像が形成されたか否かを判定した。評価はDurr Dental社の市販CRプレートリーダーで行った。結果を以下の表8に示す。0.030、0.30及び1.0Gyの空気カーマ値の照射を受けたサンプルは、対応する照射シーケンスが終了した1分後に分析され、204、1000、3000、5000及び7000Gyの照射を受けたサンプルは、64時間の照射が終了してから2~3時間後に分析された。
【0090】
【0091】
表8の結果は、調製されたハックマナイト材料が、驚くことに、1.0Gyという低い空気カーマ値から7000Gyまでのイメージングプレート特性を表すことを示している。
【0092】
図16と17は、ガンマ線照射後のサンプルの一部、すなわちサンプル上に画像が形成された証拠を示す。
図16の左側の写真は、線源(空気カーマ7000Gy)から51.5cmの距離にあるBrサンプルの照射2時間後の写真である。右の写真は、線源(空気カーマ3000Gy)から78.0cm離れたLiサンプルの照射2時間後の写真である。
図17では、左側に線源(空気カーマ1Gy)から293cmの距離にあり、照射終了から1分後に撮影されたNaサンプルが示され、右側には線源(空気カーマ7000Gy)から51.5cmの距離にあり、照射終了から3時間後に測定されたMT46サンプルが示される。
【0093】
アルファ線とガンマ線を照射したサンプルについて、連続スペクトルを出力するOcean Optics社のLS-1-Calを光源とし、Avantes社のAvaSpec HS-TECで反射スペクトルを分析することで、それぞれの色の強度を測定した。結果を表9に示す。
【0094】
【0095】
サンプルに対してアルファ線とガンマ線の両方を照射した場合、色の強度(単位は任意)は明らかに高くなり、アルファ線も式(I)の材料の発色を引き起こすことが示された。
【国際調査報告】