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特表2024-529458クロレラブルカルリス形質転換用生体鉱物化ベクター及び形質転換体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】クロレラブルカルリス形質転換用生体鉱物化ベクター及び形質転換体
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/79 20060101AFI20240730BHJP
   C12N 1/13 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 15/60 20060101ALN20240730BHJP
   C12N 15/87 20060101ALN20240730BHJP
   C12N 15/55 20060101ALN20240730BHJP
   C12N 15/53 20060101ALN20240730BHJP
   C12N 15/31 20060101ALN20240730BHJP
【FI】
C12N15/79 Z ZNA
C12N1/13
C12N15/60
C12N15/87 Z
C12N15/55
C12N15/53
C12N15/31
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505021
(86)(22)【出願日】2021-12-07
(85)【翻訳文提出日】2024-03-22
(86)【国際出願番号】 KR2021018446
(87)【国際公開番号】W WO2023008664
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】10-2021-0097954
(32)【優先日】2021-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524033906
【氏名又は名称】グリーン ミネラル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】チョン,グァン ファン
(72)【発明者】
【氏名】シム,ジン ゴン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ホスク ショーン
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA83Y
4B065AA84X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065BB02
4B065BB03
4B065BB11
4B065BC01
4B065BC48
4B065BD22
4B065CA60
(57)【要約】
本発明は、クロレラブルガリス(Chlorella vulgaris)形質転換用ベクターシステム、これを用いたクロレラブルガリス形質転換方法及びクロレラブルガリス形質転換体に関する。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Coccomyxa C-169 rbcS2(Coccomyxa C-169 ribulose-1,5-bisphosphate carboxylase/oxygenase(RuBisCo) small subunit 2)遺伝子のプロモーター;
Coccomyxa subellipsoidea C-169のベータ型炭酸脱水酵素をコードするヌクレオチド配列;及び
Coccomyxa C-169 rbcS2遺伝子のターミネーター配列;
を含むことを特徴とする、クロレラブルカルリス(Chlorella vulgaris)形質転換用生体鉱物化ベクター。
【請求項2】
前記プロモーターは、配列番号2の塩基配列を含む、請求項1に記載の生体鉱物化ベクター。
【請求項3】
前記目的タンパク質コーディングヌクレオチド配列は、プロモーターに作動的に結合している(operatively linked)、請求項1に記載の生体鉱物化ベクター。
【請求項4】
前記ターミネーター配列は、配列番号3の塩基配列を含む、請求項1に記載の生体鉱物化ベクター。
【請求項5】
選択標識として抗生剤耐性遺伝子をさらに含む、請求項1に記載の生体鉱物化ベクター。
【請求項6】
前記抗生剤耐性遺伝子は、スペクチノマイシン、パロモマイシン、アンピシリン、ゼオシン及びブレオマイシンからなる群から選ばれる1種以上の抗生剤の耐性遺伝子である、請求項5に記載の生体鉱物化ベクター。
【請求項7】
レポーター分子をコードする遺伝子をさらに含む、請求項1に記載の生体鉱物化ベクター。
【請求項8】
前記レポーター分子は、成長促進タンパク質、蛍光タンパク質及び加水分解酵素からなる群から選ばれる1種以上である、請求項7に記載の生体鉱物化ベクター。
【請求項9】
前記蛍光タンパク質は、ルシフェラーゼである、請求項7に記載の生体鉱物化ベクター。
【請求項10】
前記加水分解酵素は、β-グルクロニダーゼインである、請求項7に記載の生体鉱物化ベクター。
【請求項11】
前記生体鉱物化ベクターは、金粒子衝撃法(gold particles bombardment)を用いる微細藻類形質転換用である、請求項1に記載の生体鉱物化ベクター。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の生体鉱物化ベクターにより形質転換されたことを特徴とするクロレラブルカルリス(Chlorella vulgaris)。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2021年07月26日に大韓民国特許庁に提出された大韓民国特許出願第10-2021-0097954号に対して優先権を主張し、当該特許出願の開示事項は、本明細書に参照によって組み込まれる。
本発明は、クロレラブルカルリス(Chlorella vulgaris)形質転換用ベクターシステム、これを用いたクロレラブルカルリス形質転換方法及びクロレラブルカルリス形質転換体に関する。
【背景技術】
【0002】
クロレラブルガリス(Chlorella vulgaris)は、緑藻植物門(Chlorophyta phylum)に属する単細胞微細藻類である。クロレラブルガリスは光合成機構を持っているので、光合成をしながら、光、二酸化炭素、水、及び少量のミネラルだけでも速く生長することから、フォトバイオリアクタ(photobioreactor)の研究に多く利用されている。
【0003】
また、バイオマス(biomass)当たりに脂質含有量が約42%程度と高いほうであるので、バイオディーゼル代用として可能なバイオ燃料開発研究にも多く利用される。最近では、クロレラブルガリスを用いて放射性同位元素である90Srを除去できるという研究が発表されたことがある。
【0004】
選択標識としてハイグロマイシンB耐性遺伝子(hygromycin B resistance gene)、ゼオシン抵抗性遺伝子(zeocin resistance gene)、クロラムフェニコールアセチル伝達酵素遺伝子(chloramphenicol acetyltransferase gene;CAT gene)などを用いて電気穿孔(electroporation)した結果、染色体DNAに挿入(integration)はされたが、一時的に形質転換体が作られ、すぐに抵抗性(resistance)失った。
【0005】
形質転換方法には、ガラスビーズ(glass beads)、電気穿孔及びアグロバクテリウム媒介(agrobacterium-mediated)形質転換方法などが用いられているが、効率的な選択標識(selectable marker)及び形質転換システム(transformation system)の不在によって、クロレラブルガリスの利用に制限がある現状である。
【0006】
技術の発展に伴って電力の使用量は急増し、エネルギー消費と生産の効率性は増加している。電力の使用量が急増し、それによる生産の効率性のために原電を用いた電力の生産が世界的に注目されている。その生産の効率性と共に常に台頭しているのが、原電事故、汚染水による放射能汚染、及び金属イオンによる汚染の問題である。
その上、産業現場で使われる希少金属であるSr、Cs、Liなどは海外輸入に依存している国家的問題に直面しており、このような問題は二次電池の市場が増加するに伴ってより深刻化し、そのリサイクルに対する問題も大きな産業的、国家的問題として台頭している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明者らは、クロレラブルガリス(Chlorella vulgaris)の形質転換方法を開発しようと鋭意努力した結果、Coccomyxa C-169(以下、C-169;以前にはクロレラブルガリスと知られていたが、再命名されている。)のプロモーター(Promotor)及びターミネーター(terminator)部位を予測して配列を得、Sh ble遺伝子と融合(fusion)して合成した。Streptomyces verticillusブレオマイシン(bleomycin)(Sh ble)遺伝子の中間にいかなるイントロンも挿入しなかったし、合成されたDNA断片(fragment)はSwaI/KpnI制限酵素処理してpSP124Sベクターにクローニングし、これをpKA650と命名した。
また、pKA650ベクターにおいてStreptomyces verticillus bleomycin(Sh ble)遺伝子の中間に、目的遺伝子であるベータ型炭酸脱水酵素(beta-type carbonic anhydrase)をクローニングし、これをpJG002と命名した。
【0008】
その後、金粒子衝撃法(gold particle bombardment)で形質転換した後、ゼオシンが含まれた培地で培養して選択的に選別した。選別による培養によってコロニーを得ることによって形質転換体を製造し、本発明を完成するに至った。
したがって、本発明の目的は、クロレラブルガリス形質転換用ベクターシステムを提供することである。
本発明の他の目的は、クロレラブルガリス形質転換方法を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、クロレラブルガリス形質転換体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、クロレラブルガリス(Chlorella vulgaris)形質転換用ベクターシステム、これを用いたクロレラブルガリス形質転換方法及び微細藻類形質転換体に関する。
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0010】
本発明の一態様は、次を含むクロレラブルガリス形質転換用ベクターシステムに関する:
Coccomyxa C-169 rbcS2(Coccomyxa C-169 ribulose-1,5-bisphosphate carboxylase/oxygenase(Rubisco)small subunit 2;Coccomyxa C-169 リブロース-1、5-二リン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ(Rubisco)小サブユニット2)遺伝子のプロモーター;
目的タンパク質をコードするヌクレオチド配列;及び
Coccomyxa C-169 rbcS2遺伝子のターミネーター配列。
【0011】
本発明において、プロモーターは、配列番号2の塩基配列を含むものであってよく、又は前記配列番号2の塩基配列に対して実質的同一性を有する塩基配列を含むものであってよく、例えば、配列番号2の塩基配列からなるものであってよいが、これに限定されるものではない。
本発明の一例において、配列番号2の塩基配列を含むプロモーターは、配列番号1に含まれた配列番号2の配列の3’末端に1~50bpの塩基をさらに含む配列のものであってよいが、これに限定されるものではない。
【0012】
本発明において、ターミネーター配列は、配列番号3の塩基配列を含むものであってよく、又は前記配列番号3の塩基配列に対して実質的同一性を有する塩基配列を含むものであってよく、例えば、配列番号3の塩基配列からなるものであってよいが、これに限定されるものではない。
【0013】
本発明において、目的タンパク質コーディングヌクレオチド配列は、プロモーターに作動的に結合している(operatively linked)ものであってよい。
本発明において、用語「作動的に結合している(operatively linked)」とは、核酸発現調節配列(例えば、プロモーター配列、シグナル配列、又は転写調節因子結合位置のアレイ)と他の核酸配列との機能的な結合を意味し、これによって、前記調節配列は、前記他の核酸配列の転写及び/又は翻訳を調節する。
【0014】
本発明において、目的タンパク質コーディングヌクレオチド配列は、ターミネーター配列の3’末端に連結されたものであってよいが、これに限定されるものではない。
【0015】
本発明において、ベクターシステムは、選択標識をさらに含むものであってよい。
本発明において、選択標識は、抗生剤耐性遺伝子であってよいが、これに限定されるものではない。
本発明において、抗生剤は、スペクチノマイシン、パロモマイシン、アンピシリン、ゼオシン及びブレオマイシンからなる群から選ばれる1種以上であってよいが、これに限定されるものではない。
本発明において、選択標識は、既存の使用しようとする抗生剤に対する様々な選択標識遺伝子を選択することができる。例えば、カナマイシン抗生剤耐性を有させるアミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ、クロラムフェニコール抗生剤耐性に関与するクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼなどがある。
本発明において、選択標識がブレオマイシンである場合に、選択標識は、配列番号4の塩基配列を含むものであってよく、又は前記配列番号4の塩基配列に対して実質的同一性を有する塩基配列を含むものであってよく、例えば、配列番号4の塩基配列からなるものであってよいが、これに限定されるものではない。
本発明において、選択標識が導入された形質転換されたクロレラブルガリスを選別する方法は、選択標識によって発現する表現型を用いて、当業界に広く知られた方法によって容易に実施可能である。例えば、前記選択標識が特定抗生剤耐性遺伝子である場合には、前記抗生剤が含まれている培地で形質転換体を培養することによって形質転換体を容易に選別することができる。
【0016】
本発明において、ベクターシステムは、レポーター分子をコードする遺伝子をさらに含むものであってよい。
本発明において、レポーター分子は成長促進タンパク質、蛍光タンパク質及び加水分解酵素からなる群から選ばれる1種以上であってよいが、これに限定されるものではない。
本発明において、蛍光タンパク質はルシフェラーゼであってよいが、これに限定されるものではない。
本発明において、加水分解酵素はβ-グルクロニダーゼであってよいが、これに限定されるものではない。
【0017】
本発明において、ベクターシステムは、配列番号1の塩基配列を含むものであってよく、又は前記配列番号1の塩基配列に対して実質的同一性を有する塩基配列を含むものであってよく、例えば、配列番号1の塩基配列からなるものであってよいが、これに限定されるものではない。
【0018】
本発明において、ベクターシステムは、金粒子衝撃法(gold particles bombardment)を用いたクロレラブルガリス形質転換用のものであってよい。
本発明において、「ベクター(vector)」は、宿主細胞で目的遺伝子を発現させるための手段を意味する。例えば、プラスミドベクター、コスミドベクター及びバクテリオファージベクター、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクター及びアデノ関連ウイルスベクターのようなウイルスベクターを含む。
本発明において、組換えベクターとして使用可能なベクターは、当業界でしばしば使用されるプラスミド(例えば、pSC101、pGV1106、pACYC177、ColE1、pKT230、pME290、pBR322、pUC8/9、pUC6、pBD9、pHC79、pIJ61、pLAFR1、pHV14、pGEXシリーズ、pETシリーズ及びpUC19など)、ファージ(例えば、λgt4λB、λ-Charon、λΔz1及びM13など)又はウイルス(例えば、SV40など)を操作して作製されてよく、例えば、pSP124Sベクター骨格であってよいが、これに限定されるものではない。
本発明において、ベクターシステムは典型的に、クローニングのためのベクター又は発現のためのベクターとして構築されてよい。
【0019】
本発明において、発現のためのベクターは、当業界において植物、動物又は微生物で目的タンパク質を発現させるのに使用される通常のものを使用することができる。
【0020】
本発明において、ベクターシステムは、当業界に公知された様々な方法によって構築されてよい。
本発明において、用語「実質的な同一性」は、それぞれの塩基配列と任意の他の塩基配列を極力対応するように整列し、その配列を分析して、前記任意の他の塩基配列がそれぞれの塩基配列と70%以上、90%以上、又は98%以上の配列相同性を有することを意味する。
本発明の他の態様は、次の段階を含むクロレラブルガリス形質転換体製造方法に関する:
Coccomyxa C-169 rbcS2遺伝子のプロモーター、目的タンパク質コーディングヌクレオチド配列、及びCoccomyxa C-169 rbcS2遺伝子のターミネーター配列を含むベクターをクロレラブルガリスに導入する形質転換段階。
【0021】
本発明において、形質転換段階は、金粒子衝撃法(gold particles bombardment)を用いて行うことができる。
本発明において、形質転換段階の細胞分裂期(cell stage)は、対数期(log phase)であってよい。対数期において最も効率が高い。
本発明において、対数期は、OD686値が0.4~0.6、0.45~0.6、0.5~0.6、0.55~0.6、例えば0.6であってよい。
本発明において、形質転換段階の細胞密度は、60mm直径当たり(per 60mm diameter)5.0*10~8.0*10、60mm直径当たり1.0*10~8.0*10、60mm直径当たり2.0*10~8.0*10、60mm直径当たり3.0*10~8.0*10、60mm直径当たり4.0*10~8.0*10、60mm直径当たり1.0*10~7.0*10、60mm直径当たり2.0*10~7.0*10、60mm直径当たり3.0*10~7.0*10、60mm直径当たり4.0*10~7.0*10、60mm直径当たり1.0*10~6.0*10、60mm直径当たり2.0*10~6.0*10、60mm直径当たり3.0*10~6.0*10、60mm直径当たり4.0*10~6.0*10、60mm直径当たり1.0*10~5.0*10、60mm直径当たり2.0*10~5.0*10、60mm直径当たり3.0*10~5.0*10、60mm直径当たり4.0*10~5.0*10、例えば、60mm直径当たり4.8*10であってよい。
【0022】
本発明において、形質転換段階の真空(Vacuum)は、27.0~29.0 inchs Hg、27.5~29.0 inchs Hg、28.0~29.0 inchs Hg、28.5~29.0 inchs Hg、例えば、29.0 inchs Hgであってよい。
本発明において、形質転換段階のターゲット距離は、3~9であってよく、例えば、3、6又は9であってよい。
本発明において、形質転換段階の圧力は、1200~1300psi、1210~1300psi、1220~1300psi、1230~1300psi、1240~1300psi、1250~1300psi、1260~1300psi、1270~1300psi、1280~1300psi、1290~1300psi、例えば、1300psiであってよい。
【0023】
本発明において、プロモーターは、配列番号2の塩基配列を含むものであってよく、又は前記配列番号2の塩基配列に対して実質的同一性を有する塩基配列を含むものであってよく、例えば、配列番号2の塩基配列からなるものであってよいが、これに限定されるものではない。
本発明の一例において、配列番号2の塩基配列を含むプロモーターは、配列番号1に含まれた配列番号2の配列の3’末端に1~50bpの塩基をさらに含む配列であってよいが、これに限定されるものではない。
【0024】
本発明において、ターミネーター配列は、配列番号3の塩基配列を含むものであってよく、又は前記配列番号3の塩基配列に対して実質的同一性を有する塩基配列を含むものであってよく、例えば、配列番号3の塩基配列からなるものであってよいが、これに限定されるものではない。
本発明において、目的タンパク質コーディングヌクレオチド配列は、プロモーターに作動的に結合している(operatively linked)ものであってよい。
本発明において、目的タンパク質コーディングヌクレオチド配列は、ターミネーター配列の3’末端に連結されているものであってよいが、これに限定されるものではない。
【0025】
本発明において、ベクターは、選択標識をさらに含むものであってよい。
本発明において、選択標識は、抗生剤耐性遺伝子であってよいが、これに限定されるものではない。
本発明において、抗生剤は、スペクチノマイシン、パロモマイシン、アンピシリン、ゼオシン及びブレオマイシンからなる群から選ばれる1種以上であってよいが、これに限定されるものではない。
本発明において、選択標識は、既存の使用しようとする抗生剤に対する様々な選択標識遺伝子を選択できる。その例として、カナマイシン抗生剤耐性を有させるアミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ、クロラムフェニコール抗生剤耐性に関与するクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼなどがある。
本発明において、選択標識が導入された形質転換されたクロレラブルガリスを選別する方法は、選択標識によって発現する表現型を用いて、当業界に広く知られた方法によって容易に実施可能である。例えば、前記選択標識が特定抗生剤耐性遺伝子である場合には、前記抗生剤が含まれている培地で形質転換体を培養することによって形質転換体を容易に選別することができる。
【0026】
本発明において、ベクターシステムは、レポーター分子をコードする遺伝子をさらに含むものであってよい。
本発明において、レポーター分子は、成長促進タンパク質、蛍光タンパク質及び加水分解酵素からなる群から選ばれる1種以上であってよいが、これに限定されるものではない。
本発明において、蛍光タンパク質はルシフェラーゼであってよいが、これに限定されるものではない。
本発明において、加水分解酵素はβ-グルクロニダーゼであってよいが、これに限定されるものではない。
【0027】
本発明において、ベクターは、配列番号1の塩基配列を含むものであってよく、又は前記配列番号1の塩基配列に対して実質的同一性を有する塩基配列を含むものであってよく、例えば、配列番号1の塩基配列からなるものであってよいが、これに限定されるものではない。
【0028】
本発明の形質転換体製造方法は、クロレラブルガリス形質転換体を維持する形質転換体を提供する。
本発明のさらに他の一態様は、前記ベクターシステムを用いたクロレラブルカルリス形質転換用生体鉱物化ベクター及びこれを導入した形質転換体に関する。
本発明の一態様は、次を含むクロレラブルカルリス形質転換用生体鉱物化ベクターに関する:
Coccomyxa C-169 rbcS2(Coccomyxa C-169 ribulose-1,5-bisphosphate carboxylase/oxygenase(RuBisCo) small subunit 2)遺伝子のプロモーター;
Coccomyxa subellipsoidea C-169のベータ型炭酸脱水酵素をコードするヌクレオチド配列;及び
Coccomyxa C-169 rbcS2遺伝子のターミネーター配列。
本発明において、プロモーターは、配列番号2の塩基配列を含むものであってよく、又は前記配列番号2の塩基配列に対して実質的同一性を有する塩基配列を含むものであってよく、例えば、配列番号2の塩基配列からなるものであってよいが、これに限定されるものではない。
【0029】
本発明の一例において、配列番号2の塩基配列を含むプロモーターは、配列番号7に含まれた配列番号2の配列の3’末端に1~50bpの塩基をさらに含む配列であってよいが、これに限定されるものではない。
本発明において、ターミネーター配列は、配列番号3の塩基配列を含むものであってよく、又は前記配列番号3の塩基配列に対して実質的同一性を有する塩基配列を含むものであってよく、例えば、配列番号3の塩基配列からなるものであってよいが、これに限定されるものではない。
【0030】
本発明において、コッコミクササブエリプソイディア(Coccomyxa subellipsoidea)C-169のベータ型炭酸脱水酵素コーディングヌクレオチド配列は、プロモーターに作動的に結合している(operatively linked)ものであってよい。
本発明において、用語「作動的に結合している(operatively linked)」とは、核酸発現調節配列(例えば、プロモーター配列、シグナル配列、又は転写調節因子結合位置のアレイ)と他の核酸配列との機能的な結合を意味し、これによって前記調節配列は前記他の核酸配列の転写及び/又は翻訳を調節する。
本発明において、コッコミクササブエリプソイディア(Coccomyxa subellipsoidea)C-169のベータ型炭酸脱水酵素コーディングヌクレオチド配列は、ターミネーター配列の3’末端に連結されていてよいが、これに限定されるものではない。
本発明において、ベクターは、選択標識をさらに含むものであってよい。
本発明において、選択標識は、抗生剤耐性遺伝子であってよいが、これに限定されるものではない。
【0031】
本発明において、抗生剤は、スペクチノマイシン、パロモマイシン、アンピシリン、ゼオシン及びブレオマイシンからなる群から選ばれる1種以上であってよいが、これに限定されるものではない。
本発明において、選択標識は、既存の使用しようとする抗生剤に対する様々な選択標識遺伝子を選択してよい。その例には、カナマイシン抗生剤耐性を有させるアミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ、クロラムフェニコール抗生剤耐性に関与するクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼなどがある。
本発明において、選択標識がブレオマイシンである場合に、選択標識は、配列番号4の塩基配列を含むものであってよく、又は前記配列番号4の塩基配列に対して実質的同一性を有する塩基配列を含むものであってよく、例えば、配列番号4の塩基配列からなるものであってよいが、これに限定されるものではない。
本発明において、選択標識が導入された形質転換されたクロレラブルガリスを選別する方法は、選択標識によって発現する表現型を用いて、当業界に広く知られた方法によって容易に実施可能である。例えば、前記選択標識が特定抗生剤耐性遺伝子である場合には、前記抗生剤が含まれている培地で形質転換体を培養することによって形質転換体を容易に選別することができる。
本発明において、ベクターは、レポーター分子をコードする遺伝子をさらに含むものであってよい。
【0032】
本発明において、レポーター分子は、成長促進タンパク質、蛍光タンパク質及び加水分解酵素からなる群から選ばれる1種以上であってよいが、これに限定されるものではない。
本発明において、蛍光タンパク質はルシフェラーゼであってよいが、これに限定されるものではない。
本発明において、加水分解酵素はβ-グルクロニダーゼであってよいが、これに限定されるものではない。
本発明において、ベクターは、配列番号7の塩基配列を含むものであってよく、又は前記配列番号7の塩基配列に対して実質的同一性を有する塩基配列を含むものであってよく、例えば、配列番号7の塩基配列からなるものであってよいが、これに限定されるものではない。
本発明の一態様は、次を含むクロレラブルカルリス形質転換用生体鉱物化ベクターで形質転換された形質転換体に関する:
Coccomyxa C-169 rbcS2(Coccomyxa C-169 ribulose-1,5-bisphosphate carboxylase/oxygenase(RuBisCo) small subunit 2)遺伝子のプロモーター;
Coccomyxa subellipsoidea C-169のベータ型炭酸脱水酵素コーディングヌクレオチド配列;及び
Coccomyxa C-169 rbcS2遺伝子のターミネーター配列。
【0033】
明細書の複雑性を避けるために、クロレラブルカルリス形質転換用生体鉱物化ベクターの内容は省略し、それは上述した通りである。
本発明のさらに他の一態様は、次の段階を含む目的タンパク質の製造方法に関する:
Coccomyxa C-169 rbcS2遺伝子のプロモーター、目的タンパク質コーディングヌクレオチド配列;及び、Coccomyxa C-169 rbcS2遺伝子のターミネーター配列を含むベクターをクロレラブルガリスに導入する形質転換段階;及び
形質転換されたクロレラブルガリスを培養して目的タンパク質を得る培養段階。
本発明において、目的タンパク質コーディングヌクレオチド配列は、プロモーターに作動的に結合している(operatively linked)ものであってよいが、これに限定されるものではない。
本発明において、形質転換段階は、金粒子衝撃法(gold particles bombardment)を用いることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明は、クロレラブルガリス(Chlorella vulgaris)形質転換用ベクターシステム、これを用いたクロレラブルガリス形質転換方法及びクロレラブルガリス形質転換体に関する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の一実施例に係るpKA650ベクター地図である。
図2】本発明の一実施例によってガラスビーズ方法を用いた形質転換時に、効率性が低下し、形質転換がよくなされていないことを確認した結果を示す写真である。
図3】本発明の一実施例に係るベクターシステムに抵抗遺伝子を導入し、これに対する形質転換によって抗生剤耐性を有する突然変異体を確保した結果を示す写真である。
図4】本発明の一実施例によって確保された突然変異体の遺伝的情報を確認した結果を示す写真である。
図5】本発明の一実施例によって突然変異体維持の確認のために継代培養した結果を示す写真である。
図6】本発明の一実施例に係るpJG002ベクター地図である。
図7】本発明の一実施例によって実施例2のような生体弾道学的に形質転換を行い、それに対する継代培養後に抗生剤耐性が維持されることを濃度別に確認した結果である。
図8】本発明の一実施例によって形質転換体の遺伝子、タンパク質的発現を確認するために、総タンパク(Whole protein)SDS-PAGEを用いて、目的タンパク質であるベータ型炭酸脱水酵素(beta-type carbonic anhydrase)の約43kDaのバンドサイズを確認した結果写真である。
図9】本発明の一実施例によって目的タンパク質のバンドの確認のためにMALDI-TOFを行った結果である。
図10】本発明の一実施例によって遺伝子的確認のためにサザンブロット(southern blot)によって目的遺伝子の有無を確認した結果を示す写真である。
図11】本発明の一実施例によって野生型と形質転換体のSr生体鉱物化を比較した結果を示す写真である。
図12】本発明の一実施例によって野生型と形質転換体のSr生体鉱物化の定量的な比較のためにICP-MSを用いて分析した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
次を含むクロレラブルカルリス(Chlorella vulgaris)形質転換用生体鉱物化ベクター:
Coccomyxa C-169 rbcS2(Coccomyxa C-169 ribulose-1,5-bisphosphate carboxylase/oxygenase(RuBisCo) small subunit 2)遺伝子のプロモーター;
Coccomyxa subellipsoidea C-169のベータ型炭酸脱水酵素コーディングヌクレオチド配列;及び
Coccomyxa C-169 rbcS2遺伝子のターミネーター配列。
【0037】
[実施例]
以下、本発明を下記の実施例によってより詳細に説明する。ただし、これらの実施例は、本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0038】
製造例1.プラスミド構築及びクローニング
放線菌(Streptomyces verticillus)のゲノミックDNAからブレオマイシン(bleomycin)耐性遺伝子(Sh ble)の配列を得た。ブレオマイシン耐性遺伝子の5’部分にはCoccomyxa C-169 rbcS2遺伝子のプロモーター配列を、3’部分にはCoccomyxa C-169 rbcS2遺伝子のターミネーター配列を接合させて得た全体配列であるSh-bleを合成した(GenScript、米国)。合成した遺伝子をSwa I及びKpn Iで制限酵素処理してpSP124Sベクターに挿入した。得られたプラスミドをpKA650と命名し、ベクター地図を図1に示した。
図1から確認できるように、ベクター地図のOriVは複製起源(replication origin)、Sh bleは、Streptomyces verticillusブレオマイシンのプロモーター及びターミネーターが結合しているSh ble遺伝子、AmpRはアンピシリン耐性遺伝子、C-169-bleはCoccomyxa C-169 rbcS2遺伝子のプロモーター配列であり、3’部分は、Coccomyxa C-169 rbcS2遺伝子のターミネーター部分である。
【0039】
製造例2.クロレラブルガリスに形質転換
2-1.ガラスビーズ方法を用いた形質転換
ガラスビーズ(Glass bead)を使用する簡単で迅速なガラスビーズ形質転換法を用いた。この方法は、ガラスビーズを入れて物理的な力を加えることで、細胞との物理的な摩擦によって細胞の細胞膜に穴を作って所望のプラスミドを導入する方法である。
表1に記載された条件によって実験を行った。具体的には、細胞を常温(25℃)でガラスビーズを用いてボルテックスし、細胞の一部を破砕した。その後、重力でビーズと上澄液を分離し、上澄液にDNAを添加した。その後、37℃でゆっくり回転させながら回復を進行させた。抗生剤含有の固体培地に分注した後、形質転換体を確認した。その結果を図2に示した。
【0040】
【表1】
図2から確認できるように、効率性が低下し、形質転換がよくなされていないことを確認した。
【0041】
2-2.遺伝子銃方法を用いた形質転換
植物形質転換方法である遺伝子銃(gene gun)を用いた金粒子衝撃法(gold particles bombardment)を用いて形質転換をした。この技術は、微細粒子加速又は生体弾道学とも呼ぶが、遺伝子銃と呼ばれる機械の公式名称は微細粒子衝撃法(microparticle bombardment)である。微細粒子でプラスミドを覆って形質転換する方法である。微細粒子は大きさに比して非常に重いので細胞をよく突き抜いて入る。微細粒子を高速で細胞の方向に飛ばしながら周辺を鋼鉄網で覆うことで、細胞に粒子をより多く飛ばせる。細胞中に入った微細粒子にコートされたDNAが放出されて植物の遺伝体に入ることができる。この微細粒子として金を使って形質転換をした。
【0042】
具体的には、下記の表2のように、金粒子衝撃法で形質転換をさせるために、様々な条件を変えながら実験を行った。まず、真空(Vacuum)とヘリウム圧力(Helium Pressure)は固定し、細胞分裂期(Cell stage)、濃度、金粒子の噴射範囲、ターゲット距離(Target Distance)、細胞の実験環境を考慮して実験を行った。
条件を確立する過程で遺伝子銃(Gene gun)の金粒子の噴射範囲と圧力を考慮して47mm、50mm、60mmで実験したし、ターゲット距離の変化によって行い、適正位置としてターゲット距離3で実験を行った。また、細胞分裂期が多く進行されると微細藻類の膜が厚くなって実験が困難であるため、OD値の変化に応じて初期分裂期から実験を行った。また、細胞の密度は直径(diameter)によって調節して実験を行った。
【0043】
【表2】
表2及び図3から確認できるように、失敗時には、抗生剤含有の固体培地で生長できず、成功時にコロニーを形成するが、160704の条件の場合においてのみ、プロモーターの作動(突然変異体)を確認した。その後、同条件によって目的のタンパク質(Carbonic anhydrase)を導入して突然変異体を形成した。
【0044】
実験例1.遺伝的情報確認
それの遺伝的情報の確認のために、ゲノミックDNAを確保し、PCRとシーケンシングによって導入遺伝子を確認した。具体的には、遺伝子を確認するPCRを行うために、下記の表3のプライマーセットを作製し、プライマーセットを用いて98℃8分で前変性化(pre denaturation)を行い、98℃1分、53.5℃30秒、72℃1分を30サイクル、72℃7分でPCRを行ったし、これをシーケンシング分析を用いて確認した。これは表3に示した。
そして、本発明者の目的とするブレオマイシン耐性遺伝子の5’部分にはCoccomyxa C-169 rbcS2遺伝子のプロモーター配列を、3’部分にはCoccomyxa C-169 rbcS2遺伝子のターミネーター配列を接合させて得た全体配列であるSh-bleを確認するために、M13 primer setでPCRを行った。98℃8分で前変性化を行い、98℃1分、54℃40秒、72℃2分30秒を30サイクル、72℃7分でPCRを行い、PCRによって目的DNAバンドを確認した。その結果は図4に示した。
【0045】
【表3】
図4から確認できるように、ターゲット遺伝子の総サイズである約2kb程度においてバンドを確認した。これを、DNA遺伝子分析を用いて目的遺伝子と一致するかを確認し、その結果を表4に示した。
【0046】
【表4】
表4から確認できるように、CLUSTAL 2.1多重整列(multiple sequence alignment)の結果、目的遺伝子であるSh-bleのDNA塩基配列を確保した遺伝子情報と対照したとき、完全に一致することを確認した。
【0047】
実験例2.突然変異体維持の確認
突然変異体の維持のために、継代培養によって突然変異体の維持を確認し、その結果を図5に示した。図5から確認できるように、突然変異体の維持のために、継代培養によって突然変異体の維持を確認した。
【0048】
実験例3.生体鉱物化
実施例1:プラスミド構築及びクローニング
pKA650ベクターに基づいて目的タンパク質に対する遺伝子を挿入してゼオシンに対する耐性を有し、目的タンパク質を発現するためのプラスミド構築及びクローニングである。Streptomyces verticillusSh ble)のゲノミックDNAからブレオマイシン耐性遺伝子(Sh ble)の配列を得た。Coccomyxa C-169 rbcS2(ribulose-1,5-bisphosphate carboxylase/oxygenase small subunit)遺伝子のプロモーター及びターミネーター配列をそれぞれSh bleの5’及び3’部分に付けて作られた全体配列を合成した。この配列をpKA650と命名し、合成されたpKA650において前記全体配列であるSh-bleの中間遺伝子であるBleoRを、C-169ベータ型炭酸脱水酵素遺伝子を置換して合成した後、制限酵素KpnIApaIを使って重複したプロモーター部分を挿入した。クローニングされたプラスミドは図6に示し、これをpJG002と命名した。
【0049】
実施例2:クロレラブルガリス形質転換
pJG002ベクターを用いた形質転換方法は、前記pKA650ベクターを用いた形質転換方法と同一である。
具体的には、感応細胞を作るために、500mLフラスコに300ml滅菌MBM培地(KNO 2.5mM、MgSO7HO 0.3mM、KHPO 0.43mM、KHPO 1.29mM、NaCl 0.43mM、CaCl*2HO 0.068mM、FeSO*7HO 0.1g、A5金属混合物ml/L)を準備し、クロレラブルガリスを接種して23℃、100rpmの条件で培養した。OD686値が0.5~0.6になると、クロレラブルガリスを遠心分離機で得た後、セル数を確認した。
【0050】
セル数を確認した後、セル密度を4.8*10で準備する。その後、金粒子衝撃法のために導入するpKA650を制限酵素KpnIで線形化(linearized)するように準備する。あらかじめ滅菌状態で準備しておいたリテイニングキャップ(retaining cap)、ブラス調整可能ネスト(Brass Adjustable Nest)、マイクロキャリアホルダー(Micro carrier Holder)、停止スクリーン(Stopping screen)、マイクロキャリア(Macrocarrier)を準備し、破裂板(Rupture disk)は70%イソプロパノールで洗浄した。破裂板を乾かし、その間に、プラスミド及び金粒子の混合物を準備する。まず、20回の衝撃(bombardment)のために、金12mgをMicrofugeチューブに入れ、70%エタノールを1ml添加した。5分間最大速度でボルテックスし、5秒間遠心分離機を作動して上澄液を除去した。
【0051】
金粒子を蒸留水1ml、ボルテックス1分、1分間停止、5秒遠心分離をした後、上澄液を除去する順に3回反復して洗浄する。そして、205ulの50%グリセロールを添加し、5分間ボルテックスで溶解させる。ボルテックス速度を2~3にしてボルテックスを持続し、10回の衝撃のために100ulの金粒子を新しいmicrofugeチューブに移した後、ボルテックスしながら10ul DNA(0.5~20ug/ul)、100ul 2.5M CaCl、40ul 0.1Mスペルミジンを順に添加しながらピペッティングで混ぜる。混ぜた後、2分間ボルテックスを持続し、1分間停止させる。2秒間遠心分離機をダウンして上澄液を除去する。上澄液が除去されると、70%エタノールを300ul入れて1分待ち、上澄液を除去した後、100%エタノールを300ul入れて1分を待つ。再び除去し、100%エタノール110ulを添加して持続したボルテックスでペレットを溶解させる。
【0052】
菌粒子混合物(Gold Particle Mix)が完成すると、マイクロキャリアの中央に11ulを載せ、5~10分間乾かす。その間に、準備した細胞を培地上に60mm直径で均一に広げる。そして、ブラス調整可能ネスト(Brass Adjustable Nest)に停止スクリーン(Stopping screen)を載せ、乾燥済みマイクロキャリア(Microcarrier)を載せる。そして、ホルダー(Holder)で固定し、遺伝子銃機器(gene gun instrument)をオンして5分予熱する。予熱が終わると、破裂板をリテイニングキャップに入れて銃の部分に回して挿入する。そして、マイクロキャリアが組み合わせられたブラス調整可能ネストをはめ込んでターゲット距離3に、細胞の敷かれた培地を載せてドアを閉じる。ヘリウムガスを開いて真空(vacuum)を押す。真空(vacuum)が29(inchs Hg)、ヘリウム圧力が1300psiになると、fireボタンを押し続けていれば圧力が上がって1100psiになり、金粒子が発射される。衝撃(bombardment)後、培地は、23℃インキュベーションを用いて回復期を持つ。
【0053】
実施例3:クロレラブルガリス形質転換体確認
実施例2のような生体弾道学的に形質転換を行い、それに対する継代培養後に抗生剤耐性が維持されることを濃度別に確認し、図7に示した。総形質転換体は、42個の形質転換体を確保した。これは、実施例2での培地を活用して光を照射しながら継代を持続した。
このような形質転換体の遺伝子、タンパク質的発現を確認するために、総タンパクSDS-PAGEを用いて目的タンパク質であるベータ型炭酸脱水酵素の約43kDaのバンドサイズを確認し、その結果を図8に示した。
このような目的タンパク質のバンドの確認のためにMALDI-TOFを行い、その結果を図9に示した。
本発明は、形質転換体のタンパク質的発現を確認し、また耐性に対する継代維持を確認することで発明を進行したし、遺伝子的確認のためにサザンブロットによって目的遺伝子の有無を確認し、その結果を図10に示した。
図10から確認できるように、目的遺伝子の大きさと同じ位置でDNAのバンドを確認したし、これは、PCRを用いたDNAシーケンシングでも確認した。
【0054】
実施例4:Sr生体鉱物化
形質転換体の機能は、Sr生体鉱物化に対する機能増大を提供するために、生体鉱物化結晶を顕微鏡を用いて同一量での結晶化の視覚化によって確認した。まず、野生型(WT)であるクロレラブルガリスのSr生体鉱物化能力を確認した。
具体的には、OD 0.6までクロレラブルガリスを光条件で培養する。培養後に、25℃、4000rpm、15分で滅菌を維持した条件で微細藻類を集める。そして、3mM NaHCOで3回微細藻類を洗浄する。その後、セルを1*10^7に合わせて準備した3mM NaHCOにSr 200ppmを添加した後、準備したクロレラブルガリスを混合して4℃で4時間以上培養する。そして、ロジゾン酸ナトリウム0.004%で染色して顕微鏡で観察し、その結果を図11に示した。
図11から確認できるように、WTの結晶化は、形質転換体に比べて低い量の生体鉱物化結晶が確認された。また、定量的な比較のためにICP-MSで分析し、その結果を図12及び表5に示した。
【0055】
【表5】
図12及び表5から確認できるように、形質転換体は野生型に比べて最大で約160%増大した生体鉱物化結晶を有することを確認した。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、クロレラブルガリス(Chlorella vulgaris)形質転換用ベクターシステム、これを用いたクロレラブルガリス形質転換方法及びクロレラブルガリス形質転換体に関する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【配列表】
2024529458000001.app
【手続補正書】
【提出日】2024-04-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Coccomyxa C-169 rbcS2(Coccomyxa C-169 ribulose-1,5-bisphosphate carboxylase/oxygenase(RuBisCo) small subunit 2)遺伝子のプロモーター;
Coccomyxa subellipsoidea C-169のベータ型炭酸脱水酵素をコードするヌクレオチド配列;及び
Coccomyxa C-169 rbcS2遺伝子のターミネーター配列;
を含むことを特徴とする、クロレラブルカルリス(Chlorella vulgaris)形質転換用生体鉱物化ベクター。
【請求項2】
前記プロモーターは、配列番号2の塩基配列を含む、請求項1に記載の生体鉱物化ベクター。
【請求項3】
前記ベータ型炭酸脱水酵素をコードするヌクレオチド配列は、プロモーターに作動的に結合している(operatively linked)、請求項1に記載の生体鉱物化ベクター。
【請求項4】
前記ターミネーター配列は、配列番号3の塩基配列を含む、請求項1に記載の生体鉱物化ベクター。
【請求項5】
選択標識として抗生剤耐性遺伝子をさらに含む、請求項1に記載の生体鉱物化ベクター。
【請求項6】
前記抗生剤耐性遺伝子は、スペクチノマイシン、パロモマイシン、アンピシリン、ゼオシン及びブレオマイシンからなる群から選ばれる1種以上の抗生剤の耐性遺伝子である、請求項5に記載の生体鉱物化ベクター。
【請求項7】
レポーター分子をコードする遺伝子をさらに含む、請求項1に記載の生体鉱物化ベクター。
【請求項8】
前記レポーター分子は、成長促進タンパク質、蛍光タンパク質及び加水分解酵素からなる群から選ばれる1種以上である、請求項7に記載の生体鉱物化ベクター。
【請求項9】
前記蛍光タンパク質は、ルシフェラーゼである、請求項に記載の生体鉱物化ベクター。
【請求項10】
前記加水分解酵素は、β-グルクロニダーゼインである、請求項に記載の生体鉱物化ベクター。
【請求項11】
前記生体鉱物化ベクターは、金粒子衝撃法(gold particles bombardment)を用いる微細藻類形質転換用である、請求項1に記載の生体鉱物化ベクター。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか記載の生体鉱物化ベクターにより形質転換されたことを特徴とするクロレラブルカルリス(Chlorella vulgaris)。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸脱水酵素が導入されたクロレラを含むことを特徴とする、生体鉱物化組成物。
【請求項2】
炭酸脱水酵素がベータ型炭酸脱水酵素である、請求項1に記載の生体鉱物化組成物。
【請求項3】
炭酸脱水酵素が導入されたクロレラが、炭酸脱水酵素をコードする塩基配列を含むベクターで形質転換されている、請求項1に記載の生体鉱物化組成物。
【請求項4】
ベクターが、Coccomyxa C-169 リブロース-1、5-二リン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ(Rubisco)小サブユニット2(rbcS2)遺伝子のプロモーターを含む、請求項3に記載の生体鉱物化組成物。
【請求項5】
前記プロモーターは、配列番号2の塩基配列を含む、請求項4に記載の生体鉱物化組成物。
【請求項6】
前記炭酸脱水酵素をコードするヌクレオチド配列は、プロモーターに作動的に結合している(operatively linked)、請求項3に記載の生体鉱物化組成物。
【請求項7】
炭酸脱水酵素が導入されたクロレラが、金粒子衝撃法(gold particles bombardment)を用いて形質転換されたものである、請求項1に記載の生体鉱物化組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の生体鉱物化組成物を培養することを含む、ことを特徴とする生体鉱物化方法。
【請求項9】
培養が、培養クロレラにより生体鉱物化結晶を形成することである、請求項8に記載の生体鉱物化方法。
【国際調査報告】