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特表2024-529467CT45に特異的に結合する抗原結合タンパク質
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】CT45に特異的に結合する抗原結合タンパク質
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/725 20060101AFI20240730BHJP
   C07K 14/73 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240730BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240730BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20240730BHJP
   G01N 33/574 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
C07K14/725 ZNA
C07K14/73
C12N15/12
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/02 C
A61K39/395 N
A61P35/00
A61K48/00
A61K35/12
G01N33/574 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505122
(86)(22)【出願日】2022-07-27
(85)【翻訳文提出日】2024-03-25
(86)【国際出願番号】 EP2022071104
(87)【国際公開番号】W WO2023006828
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】21188018.2
(32)【優先日】2021-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】63/203,582
(32)【優先日】2021-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/335,399
(32)【優先日】2022-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】506258073
【氏名又は名称】イマティクス バイオテクノロジーズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【弁理士】
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(74)【代理人】
【識別番号】100221545
【弁理士】
【氏名又は名称】白江 雄介
(72)【発明者】
【氏名】ユセフ,ザーラ
(72)【発明者】
【氏名】ブルンク,ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】モリッツ,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ブンク,ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァーグナー,クラウディア
(72)【発明者】
【氏名】マウラー,ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】ウンフェルドルベン,フェリックス
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG20
4B064CA10
4B064CA19
4B064DA01
4B064DA13
4B065AA93X
4B065AA93Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4B065CA46
4C084AA13
4C084NA14
4C084ZB261
4C085AA14
4C085AA16
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE01
4C087AA01
4C087AA03
4C087BB63
4C087CA04
4C087CA12
4C087NA14
4C087ZB26
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA50
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、主要組織適合複合体(MHC)タンパク質との複合体で存在しているCT45抗原ペプチドに特異的に結合する抗原結合タンパク質であって、CT45抗原ペプチドは、配列番号138のアミノ酸配列(KIFEMLEGV)を含むか、またはからなり、かつ抗原結合タンパク質は、相補性決定領域CDRa1、CDRa2およびCDRa3を含む可変ドメインVAを含む第1のポリペプチドと、CDRb1、CDRb2およびCDRb3を含む可変ドメインVを含む第2のポリペプチドとを含む抗原結合タンパク質を提供する。抗原結合タンパク質をコードする核酸、核酸を含むベクター、抗原結合タンパク質を発現する組換え細胞および抗原結合タンパク質を含む医薬組成物もまた提供される。本発明はさらに、医薬での使用のための抗原結合タンパク質および抗原結合タンパク質を製造する方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主要組織適合複合体(MHC)タンパク質との複合体で存在しているCT45抗原ペプチドに特異的に結合する抗原結合タンパク質であって、前記CT45抗原ペプチドは、配列番号138のアミノ酸配列(KIFEMLEGV)を含むか、またはからなり、かつ前記抗原結合タンパク質は、相補性決定領域(CDR)CDRa1、CDRa2およびCDRa3を含む可変ドメインVを含む第1のポリペプチドと、CDRb1、CDRb2およびCDRb3を含む可変ドメインVを含む第2のポリペプチドとを含み、
1)CDRa1は、配列番号14のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号16のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号19のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号21のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
2)CDRa1は、配列番号24のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号133のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号75のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号136のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
3)CDRa1は、配列番号24のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号63のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号66のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号68のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
4)CDRa1は、配列番号90のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号92のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号66のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号96のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
5)CDRa1は、配列番号2のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号4のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号8のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号10のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
6)CDRa1は、配列番号53のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号55のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号58のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号60のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
7)CDRa1は、配列番号71のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号72のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号75のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号77のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
8)CDRa1は、配列番号99のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号101のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号75のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号104のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
9)CDRa1は、配列番号80のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号82のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号85のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号87のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
10)CDRa1は、配列番号107のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号109のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号112のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号114のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
11)CDRa1は、配列番号125のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号127のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号112のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号130のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、または
12)CDRa1は、配列番号117のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号119のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号58のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号122のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
13)CDRa1は、配列番号24のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号35のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号38のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号40のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
14)CDRa1は、配列番号24のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号26のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号29のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号31のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、または
15)CDRa1は、配列番号43のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号45のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号48のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号50のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
前記抗原結合タンパク質は、1、2または3個よりも多くのアミノ酸突然変異を有しない前記CDRa1、CDRa3、CDRb1およびCDRb3配列を含み、CDRa1、CDRa3、CDRb1および/またはCDRb3のそれぞれは、1、2または3個のアミノ酸突然変異を含んでもよい、
抗原結合タンパク質。
【請求項2】
1)CDRa2は、配列番号15のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号20のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり
2)CDRa2は、配列番号25のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号76のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
3)CDRa2は、配列番号25のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号67のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
4)CDRa2は、配列番号91のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号95のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
5)CDRa2は、配列番号3のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号9のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
6)CDRa2は、配列番号54のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号59のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
7)CDRa2は、配列番号15のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号76のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
8)CDRa2は、配列番号100のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号76のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
9)CDRa2は、配列番号81のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号86のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
10)CDRa2は、配列番号108のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号113のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
11)CDRa2は、配列番号126のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号113のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
12)CDRa2は、配列番号118のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号59のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
13)CDRa2は、配列番号25のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号39のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
14)CDRa2は、配列番号25のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号30のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、または
15)CDRa2は、配列番号44のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号49のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
前記抗原結合タンパク質は、1、2、3または4個よりも多くのアミノ酸突然変異を有しない前記CDRa2およびCDRb2配列を含み、CDRa2および/またはCDRb2のそれぞれは、1、2、3または4個のアミノ酸突然変異を含んでもよい、
請求項1に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項3】
前記抗原結合タンパク質は、TCRであり、好ましくは、前記TCRは、α/β TCR、γ/δ TCR、一本鎖TCR、膜結合型TCR、可溶性TCR、一価、二価または多価TCR、単一特異性、二重特異性または多重特異性TCR、TCRの機能的断片、およびTCRの機能的断片を含む融合タンパク質またはキメラタンパク質からなる群から選択され、より好ましくは、前記TCRは、α/β TCRまたはγ/δ TCR、最も好ましくはα/β TCRである、請求項1または2に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項4】
は、配列番号13、132、62、89、1、52、70、98、79、106、124、116、34、23、および42からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号13、132、62、89、1、52、70、98、79、106、124、116、34、23、および42に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有し、かつ請求項1もしくは2に記載のCDRa1、CDRa2およびCDRa3を含むアミノ酸配列を含むか、またはからなり;かつVは、配列番号18、135、65、94、7、57、74、103、84、111、129、121、37、28および47からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号18、135、65、94、7、57、74、103、84、111、129、121、37、28および47に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有し、かつ請求項1もしくは2に記載のCDRb1、CDRb2およびCDRb3を含むアミノ酸配列を含むか、またはからなり、前記CDRa1、CDRa2、CDRa3、CDRb1、CDRb2および/またはCDRb3配列は、1、2または3個のアミノ酸突然変異、好ましくはアミノ酸置換を含んでもよい、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項5】
前記抗原結合タンパク質は、定常ドメインをさらに含み、前記定常ドメインは、配列番号5、750、751、156、11、32および157からなる群から選択される、好ましくは配列番号5、750、751、11および32からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号5、750、751、156、11、32もしくは157に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはからなる、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項6】
前記第1のポリペプチドは、配列番号17、134、64、93、6、56、73、102、83、110、128、120、36、27、46および158~172からなる群から選択される、好ましくは配列番号17、134、64、93、6、56、73、102、83、110、128、120、36、27および46からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号17、134、64、93、6、56、73、102、83、110、128、120、36、27、46、もしくは158~172に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつ前記第2のポリペプチドは、配列番号22、137、69、97、12、61、78 105、88、115、131、123、41、33、51および173~187からなる群から選択される、好ましくは配列番号22、137、69、97、12、61、78 105、88、115、131、123、41、33および51からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号22、137、69、97、12、61、78 105、88、115、131、123、41、33、51もしくは173~187に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはからなる、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項7】
前記抗原結合タンパク質は、配列番号146(SP-05-0001)、配列番号147(SP-05-0002)、配列番号148(SP-05-0003)、配列番号149(SP-05-0004)、配列番号150(SP-05-0005)、配列番号151(SP-05-0006)、配列番号152(SP-05-0007)、配列番号153(SP-05-0008)、配列番号154(SP-05-0009)および配列番号155(SP-05-0010)からなる群、好ましくは配列番号146(SP-05-0001)、配列番号147(SP-05-0002)、配列番号148(SP-05-0003)、配列番号150(SP-05-0005)、配列番号151(SP-05-0006)、配列番号152(SP-05-0007)、配列番号153(SP-05-0008)、配列番号154(SP-05-0009)および配列番号155(SP-05-0010)からなる群、より好ましくは配列番号147(SP-05-0002)、配列番号151(SP-05-0006)、配列番号152(SP-05-0007)および配列番号155(SP-05-0010)からなる群から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5個、または全ての類似ペプチドに有意に結合しない、請求項1~6のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項8】
前記抗原結合タンパク質は、
- CD4+ T細胞、特にCD4+ CD8- T細胞、および/または
- CD8+ T細胞、特にCD8+ CD4-T細胞
を活性化可能であり、
かつ前記抗原結合タンパク質は、好ましくはTCR、より好ましくはα/β TCRまたはγ/δ TCRである、
請求項1~7のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質をコードする配列を含む核酸。
【請求項10】
請求項9に記載の核酸を含むベクター。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質、または請求項9に記載の核酸、または請求項10に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項12】
請求項1~8のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質、請求項9に記載の核酸、請求項10に記載のベクター、または請求項11に記載の宿主細胞と、適宜、医薬的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項13】
医薬での使用のための、好ましくは増殖性疾患、特にがんの処置および/または診断方法での使用のための、請求項1~8のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質、請求項9に記載の核酸、請求項10に記載のベクター、請求項11に記載の宿主細胞、または請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
生物学的サンプル中のがん、特にCT45を発現するがんを検出するインビトロの方法であって、
a)前記生物学的サンプルを請求項1~8のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質と接触させること、および
b)前記生物学的サンプルへの前記抗原結合タンパク質の結合を検出すること
を含む方法。
【請求項15】
請求項1~8のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質を製造する方法であって、
a)宿主細胞を準備すること、
b)請求項1~8のいずれかに記載の抗原結合タンパク質をコードする核酸を含む遺伝子コンストラクトを準備すること、
c)前記遺伝子コンストラクトを前記宿主細胞に導入すること、および
d)前記宿主細胞により前記遺伝子コンストラクトを発現させること
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CT45タンパク質由来抗原に対する抗原結合タンパク質、特に、MHCとの複合体中の腫瘍発現CT45-IP抗原ペプチドに特異的に結合する抗原結合タンパク質に関する。抗原結合タンパク質は、CT45発現増殖性疾患の診断、処置および予防での使用のために提供される。抗原結合タンパク質をコードする核酸、核酸を含むベクター、抗原結合タンパク質を発現する組換え細胞および抗原結合タンパク質を含む医薬組成物がさらに提供される。
【背景技術】
【0002】
T細胞ベース免疫療法は、主要組織適合複合体(MHC)の分子により提示される、腫瘍関連または腫瘍特異的タンパク質に由来するペプチドエピトープを標的とする。これらの腫瘍関連抗原(TAA)は、がん細胞により特異的に発現される、かつ/またはがん細胞において上方調節される、全てのタンパク質クラス、例えば酵素、受容体、転写因子等に由来するペプチドであり得る。細胞表面タンパク質のみを標的とすることができるCAR-T療法および現行の抗体ベースアプローチとは異なり、T細胞ベース免疫療法は、さもなければアクセス不可能な細胞内タンパク質の標的化を可能にし、そのため標的の数および多様性を大きく増加させる。
【0003】
「がん精巣抗原45(CT45)」は、直接的なタンデムリピート中の9つのほぼ同一の遺伝子(典型的にはA1、A2、A3、A5、A6、A7、A8、A9およびA10と命名される)の多遺伝子ファミリーである。9つ全てのCT45遺伝子は、189アミノ酸の推定上のタンパク質をコードする。通常は精巣生殖細胞においてのみ発現されるCT45A1タンパク質は、肺がん、乳がんおよび卵巣がんにおいても発現されることが示された[Chen, Y. T. et al., Int.J Cancer 124 (2009): 2893-2898]。CT45A1はまた、多発性骨髄腫において不良な予後および不良なアウトカムと関連付けられることも示された[Andrade, V. C. et al., Exp.Hematol. 37 (2009): 446-449]。CT45A1は、上皮間葉転換(EMT)および転移遺伝子を上方調節して、EMTおよび腫瘍播種を促進する遺伝子として記載された。さらに、CT45A1は、がん幹細胞様細胞の開始または維持に関与して、腫瘍形成および悪性進行を促進するとして記載された[Yang, P. et al., Curr.Pharm.Des 21 (2015): 1292-1300]。乳がんモデルにおけるCT45A1過剰発現は、様々な発がんおよび転移遺伝子の上方調節、ERKおよびCREBシグナル伝達経路の構成的な活性化ならびに腫瘍形成、浸潤および転移の増加をもたらすことが示された。CT45A1のサイレンシングは、がん細胞遊走および浸潤を減少させることが示された。CT45A2は、デノボの二表現型急性白血病を有する小児患者において新規のスプライシングされたMLL融合パートナーであることが示されており、そのため白血病誘発に関連する可能性がある[Cerveira, N. et al., BMC.Cancer 10 (2010): 518]。CT45は、がん細胞株および肺がん検体の両方において頻繁に発現されることが示された[Chen, L. et al., Cancer Res 65 (2005): 5599-5606]。CT45は、正常な成体組織において限られた発現を有するかまたは発現を有しないので、免疫療法介入のための魅力的な標的である。
【0004】
MHCとの複合体中の細胞内標的を特異的に認識する新たな抗がん剤の開発は、処置困難ながん、特に固形腫瘍を解明するための最も重要な鍵の1つである。そのため、がん細胞に高度に特異的な細胞内タンパク質を特異的に標的とする新たな抗がん剤を開発することが必要とされている。本発明は、配列番号138のアミノ酸配列(KIFEMLEGV)を含むCT45抗原ペプチドに特異的に結合する新規の抗原結合タンパク質、および増殖性疾患、特にがんの処置においてそのような分子を使用する方法を提供することによりその必要性に対処する。本発明の抗原結合タンパク質は、高い安定性、高い親和性、高い機能的なアビディティ、高い有効性および高い特異性によりキャラクタリゼーションされる。CT45抗原ペプチドに結合する以前に記載された抗原結合タンパク質と比較して、本発明の抗原結合タンパク質は、増加した安定性、増加した親和性、増加した機能的なアビディティ、増加した有効性および/または増加した特異性の内の少なくとも1つを呈する。本発明の抗原結合タンパク質は、そのため、先行技術の抗原結合タンパク質よりも有効および安全の両方である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様では、本発明は、主要組織適合複合体(MHC)タンパク質との複合体で存在しているCT45抗原ペプチドに特異的に結合する抗原結合タンパク質であって、CT45抗原ペプチドは、配列番号138のアミノ酸配列(KIFEMLEGV)を含むか、またはからなり、かつ抗原結合タンパク質は、相補性決定領域(CDR)CDRa1、CDRa2およびCDRa3を含む可変ドメインVを含む第1のポリペプチドと、CDRb1、CDRb2およびCDRb3を含む可変ドメインVを含む第2のポリペプチドとを含み、
CDRa1は、配列番号80のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号82のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号85のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号87のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
CDRa1は、配列番号71のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号72のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号75のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号77のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
CDRa1は、配列番号24のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号63のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号66のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号68のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
CDRa1は、配列番号90のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号92のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号66のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号96のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
CDRa1は、配列番号2のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号4のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号8のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号10のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
CDRa1は、配列番号53のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号55のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号58のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号60のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
CDRa1は、配列番号24のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号133のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号75のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号136のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
CDRa1は、配列番号99のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号101のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号75のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号104のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
CDRa1は、配列番号14のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号16のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号19のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号21のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
CDRa1は、配列番号107のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号109のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号112のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号114のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
CDRa1は、配列番号125のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号127のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号112のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号130のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、または
CDRa1は、配列番号117のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号119のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号58のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号122のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
CDRa1は、配列番号24のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号35のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号38のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号40のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
CDRa1は、配列番号24のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号26のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号29のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号31のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、または
CDRa1は、配列番号43のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号45のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号48のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号50のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
抗原結合タンパク質は、1、2または3個よりも多くのアミノ酸突然変異を有しない前記CDRa1、CDRa3、CDRb1およびCDRb3配列を含む、
抗原結合タンパク質に関する。
【0007】
第2の態様では、本発明は、本発明の第1の態様の抗原結合タンパク質をコードする配列を含む核酸に関する。
【0008】
第3の態様では、本発明は、本発明の第2の態様の核酸を含むベクターに関する。
【0009】
第4の態様では、本発明は、本発明の第1の態様の抗原結合タンパク質、本発明の第2の態様の核酸、または本発明の第3の態様のベクターを含む宿主細胞に関する。
【0010】
第5の態様では、本発明は、本発明の第1の態様の抗原結合タンパク質、本発明の第2の態様の核酸、本発明の第3の態様のベクターまたは本発明の第4の態様の宿主細胞と、適宜、医薬的に許容される担体とを含む医薬組成物に関する。
【0011】
第6の態様では、本発明は、本発明の第1の態様の抗原結合タンパク質を製造する方法であって、(a)宿主細胞を準備する工程、(b)本発明の第1の態様のいずれかの抗原結合タンパク質をコードするコード配列を含む遺伝子コンストラクトを準備する工程、(c)遺伝子コンストラクトを宿主細胞に導入する工程、および(d)宿主細胞により遺伝子コンストラクトを発現させる工程を含む方法に関する。
【0012】
第7の態様では、本発明は、医薬での使用のための、本発明の第1の態様の抗原結合タンパク質、本発明の第2の態様の核酸、本発明の第3の態様のベクター、本発明の第4の態様の宿主細胞、または本発明の第4の態様(the fourth aspect)の医薬組成物に関する。
【0013】
第8の態様では、本発明は、増殖性疾患の処置および/または診断方法での使用のための、本発明の第1の態様の抗原結合タンパク質、本発明の第2の態様の核酸、本発明の第3の態様のベクター、本発明の第4の態様の宿主細胞、または本発明の第4の態様の医薬組成物に関する。
【0014】
第9の態様では、本発明は、生物学的サンプル中のがんを検出するインビトロの方法であって、(a)生物学的サンプルを本発明の第1の態様の抗原結合タンパク質と接触させる工程、および(b)生物学的サンプルへの抗原結合タンパク質の結合を検出する工程を含む方法に関する。
【0015】
定義
「CT45抗原ペプチド」は、CT45A1(Uniprotアクセッション番号Q5HYN5下でアクセス可能な配列番号749)、CT45A2、CT45A3、CT45A5、CT45A6、CT45A7、CT45A8、CT45A9およびCT45A10のアミノ酸143~151に対応するアミノ酸配列KIFEMLEGV(配列番号138)を含むか、またはからなる。このCT45抗原ペプチドはまた、本明細書では、「CT45ペプチド」または「CT45-IP」とも称される。CT45抗原ペプチドは、腫瘍関連または腫瘍特異的タンパク質に由来するペプチドエピトープであり、主要組織適合複合体(MHC)の分子、好ましくはMHC Iにより細胞表面上に提示される。より具体的には、CT45抗原ペプチドは、HLAタンパク質、好ましくはHLA-A、より好ましくはHLA-A*02との複合体にて細胞表面上に提示される。最も好ましい実施形態では、CT45抗原ペプチドは、アミノ酸配列KIFEMLEGV(配列番号138)からなる。CT45抗原ペプチドが、アミノ酸配列KIFEMLEGV(配列番号138)に加えてさらなるアミノ酸を含む場合には、CT45抗原ペプチドの全長は、好ましくは30または20個のアミノ酸を超えない、より好ましくは15個のアミノ酸を超えない、よりいっそう好ましくは12個のアミノ酸を超えない。CT45抗原ペプチドが、配列番号138に加えてさらなるアミノ酸を含む場合には、配列番号138のアミノ酸は、抗原ペプチドがMHCタンパク質との複合体中に存在する場合にMHCタンパク質のペプチド結合溝内に好ましくは位置する。当業者は、MHC I上に提示される抗原ペプチドは、通常、12個以下のアミノ酸であることを認識している。しかしながら、ペプチドがMHCタンパク質上に人工的にロードされる場合には、MHC I上に人工的にロードされた抗原ペプチドは12個のアミノ酸よりも長くてもよいことは妥当である。「抗原」または「標的抗原」という用語は、本明細書で使用される場合、抗原結合部位の結合を受けることが可能である分子もしくは分子の部分または複合体を指し、前記抗原結合部位は、抗原結合タンパク質、好ましくは本発明の抗原結合タンパク質中に存在する。本発明に関連する抗原は、CT45抗原ペプチド、より具体的には、MHCタンパク質、例えばHLAタンパク質、例えばHLA-A*02との複合体中のCT45抗原ペプチドである。
【0016】
「CT45-IP:MHC複合体提示細胞」は、本明細書では、MHC分子との複合体中のCT45-IPをその表面上に提示する細胞を指す。好ましい実施形態では、CT45-IP:MHC複合体提示細胞は腫瘍細胞であり、腫瘍は、好ましくは、本明細書の下記の「治療方法および使用」セクションで定義されるがんである。本発明に関連して、CT45-IP:MHC複合体は、正常(健常)組織中の細胞(「健常細胞」とも称される)の表面上または異なる抗原提示ペプチドをロードされているかもしくはペプチドをロードされていないコントロール細胞の表面上の前記複合体のレベルと比較して、CT45-IP:MHC複合体提示細胞の細胞表面上に過剰提示される。「過剰提示される」は、CT45-IP:MHC複合体が、健常組織またはコントロール細胞において存在するレベルの少なくとも2倍、好ましくは5倍~10倍のレベルで存在することを意味する。
【0017】
「CT45-IP:MHC複合体提示細胞」の例は、本出願の実施例で使用されたCT45-IPロードT2細胞またはNCIH1703もしくはA375腫瘍細胞である。
【0018】
「ドメイン」は、タンパク質の任意の領域であり得、一般に、配列相同性に基づいて定義されており、特定の構造的なまたは機能的な実体を指していることが多い。
【0019】
本発明に関連する「免疫グロブリン(Ig)ドメイン」という用語は、Greekキートポロジー(Greek key topology)を有する2つのβ-シート中に配置された7~9個の逆並行βストランドの2層サンドイッチからなるタンパク質ドメインを指す。Igドメインは、おそらく、天然に存在するタンパク質中で最も頻繁に使用される「構築ブロック」である。Igドメインを含むタンパク質は、免疫グロブリンスーパーファミリー(例えば、抗体、T細胞受容体(TCR)、および細胞接着分子を含む)に組み込まれる。Igドメインの例は、抗体およびTCRの可変ドメインおよび定常ドメインである。
【0020】
本発明に関連する「V」は、TCR由来CDR配列およびTCR由来フレームワーク配列を含むTCR可変ドメインを指す。CDRおよびフレームワーク配列は、TCR α鎖(Vα)、β鎖(Vβ)、γ鎖(Vγ)またはδ鎖(Vδ)の可変ドメイン、好ましくはVαに由来してもよい。本発明に関連するVドメインのCDRおよびフレームワーク配列は、必ずしも同じTCR鎖に由来する必要はない。いくつかの実施形態では、1つのTCR可変ドメイン(ドナーTCRのTCR可変ドメイン)に由来するCDRは、別のTCR可変ドメイン(アクセプターTCRのTCR可変ドメイン)上にグラフトされる。例えば、ドナーTCRは、TRAV5およびTRAJ17によりコードされるVαを含んでもよく、かつアクセプターTCRは、TRAV14およびTRAJ33によりコードされるVを含んでもよい。ドナーTCRのCDR1、CDR3および適宜CDR2がアクセプターTCR上にグラフトされる場合、CDRは、異なるフレームワーク領域の状況において存在するが、CDRにより与えられる抗原ペプチドについての親和性および特異性は変化せず、即ち、グラフト後に、アクセプターTCRの可変ドメインは、ドナーTCRの可変ドメインと実質的に同じ、抗原ペプチドについての親和性および特異性を有する。
【0021】
本発明に関連する「V」は、TCR由来CDR配列およびTCR由来フレームワーク配列を含む可変ドメインを指す。CDRおよびフレームワーク配列は、TCR α鎖(Vα)、β鎖(Vβ)、γ鎖(Vγ)またはδ鎖(Vδ)の可変ドメイン、好ましくはVβに由来してもよい。本発明に関連するVドメインのCDRおよびフレームワーク配列は、必ずしも同じTCRに由来する必要はない。いくつかの実施形態では、1つのTCR可変ドメイン(ドナーTCRのTCR可変ドメイン)に由来するCDRは、別のTCR可変ドメイン(アクセプターTCRのTCR可変ドメイン)上にグラフトされる。例えば、ドナーTCRは、TRBV2およびTRBJ2-1によりコードされるVを含んでもよく、かつアクセプターTCRは、TRBV27およびTRBJ1-5によりコードされるVを含んでもよい。ドナーTCRのCDR1、CDR3および適宜CDR2がアクセプターTCR上にグラフトされる場合、CDRは、異なるフレームワーク領域の状況において存在するが、CDRにより与えられる抗原ペプチドについての親和性および特異性は変化せず、即ち、グラフト後に、アクセプターTCRの可変ドメインは、ドナーTCRの可変ドメインと実質的に同じ、抗原ペプチドについての親和性および特異性を有する。
【0022】
CDRは、異なるアルファ可変ドメインまたは異なるベータ可変ドメインの間で交換/グラフトされてもよいだけでなく、TCRアルファ可変ドメインからTCRベータ、ガンマもしくはデルタ可変ドメインへ、またはTCRベータ可変ドメインからTCRアルファ、ガンマもしくはデルタ可変ドメインにグラフトされてもよい。
【0023】
本発明に関連するVαは、TCR α鎖の可変ドメインを指す。
【0024】
本発明に関連するVβは、TCR β鎖の可変ドメインを指す。
【0025】
本発明に関連するVγは、TCR γ鎖の可変ドメインを指す。
【0026】
本発明に関連するVδは、TCR δ鎖の可変ドメインを指す。
【0027】
本発明に関連するVは、抗体軽鎖の可変ドメインを指す。
【0028】
本発明に関連するVは、抗体重鎖の可変ドメインを指す。
【0029】
本発明に関連するCは、抗体軽鎖の定常ドメインを指す。
【0030】
本発明に関連するCH1、CH2、およびCH3は、抗体重鎖(具体的にはIgG重鎖)の定常ドメインを指す。
【0031】
抗原決定基としても既知である「エピトープ」という用語は、免疫系により認識される抗原の部分のことである。本明細書で使用される場合、エピトープという用語は「構造エピトープ」および「機能エピトープ」という用語を含む。「構造エピトープ」は、抗原に結合した場合に抗原結合タンパク質によりカバーされる抗原(例えば、ペプチド-MHC複合体)のアミノ酸である。典型的には、抗原結合タンパク質のアミノ酸の任意の原子から5Å以内に存在する抗原の全てのアミノ酸がカバーされるとみなされる。抗原の構造エピトープは、X線結晶解析またはNMR解析を含む当該技術分野で既知の方法により決定され得る。抗体の構造エピトープは、典型的には、20~30個のアミノ酸を含む。TCRの構造エピトープは、典型的には、20~30個のアミノ酸を含む。本明細書で定義されている「機能エピトープ」は、構造エピトープを形成するアミノ酸のサブセットであり、非共有結合的相互作用(例えば、H-結合、塩橋、芳香族スタッキング、もしくは疎水性相互作用)を直接形成することにより、または抗原の結合立体構造を間接的に安定化させることにより、本発明の抗原結合タンパク質またはその機能的断片と界面を形成するのに重要な抗原のアミノ酸を含み、例えば、突然変異スキャニングにより決定される。本発明に関連して、機能エピトープはまた、「結合モチーフ」とも称される。典型的には、抗体が結合した抗原の機能エピトープは、4~6個のアミノ酸を含む。典型的には、ペプチド-MHC複合体の機能エピトープは、ペプチドの2~6または7個のアミノ酸と、MHC分子の2~7個のアミノ酸とを含む。MHC Iにより提示されたペプチドは、典型的には8~10個のアミノ酸を有することから、それぞれの所与のペプチドのアミノ酸のサブセットのみが、ペプチド-MHC複合体の機能エピトープの一部である。エピトープ(特に、本発明の抗原結合タンパク質が結合する機能エピトープ)は、結合界面の形成に必要とされる抗原のアミノ酸を含むか、またはからなる。
【0032】
「主要組織適合複合体」(MHC)は、脊椎動物において獲得免疫系が外来分子を認識するのに必須の細胞表面タンパク質のセットであり、これにより組織適合性が決定される。MHC分子の主な機能は、病原体由来の抗原に結合し、それを細胞表面に提示して適切なT細胞に認識させることである。ヒトMHCはまた、HLA(ヒト白血球抗原)複合体(または単にHLA)とも呼ばれる。そのため、好ましい実施形態では、MHCは、HLAである。MHC遺伝子ファミリーは、クラスI、クラスII、およびクラスIIIの3つのサブグループに分けられる。ペプチドとMHCクラスI分子(MHC I)との複合体は、適切なT細胞受容体(TCR)を持つCD8陽性T細胞(CD8+ T細胞)により通常は認識され、ペプチドとMHCクラスII分子(MHC II)との複合体は、適切なTCRを持つCD4陽性ヘルパーT細胞(CD4+ T細胞)により通常は認識される。CD4およびCD8は、それぞれMHC IおよびMHC IIへの結合においてTCRの補助受容体として通常は機能する。いくつかの例外的な場合には、ペプチドとMHC Iとの複合体は、CD8陰性(特にCD8陰性、CD4陽性)T細胞により認識される[Soto et al., 2013, Cancer Immunol Immunother. 2013 Feb;62(2): 359-369]。CD8陽性T細胞およびCD4陽性T細胞の応答は、共同して相乗的に抗腫瘍効果に寄与することから、腫瘍関連抗原および対応するT細胞受容体の同定およびキャラクタリゼーションは、がん免疫療法、例えばワクチンおよび細胞療法のがん免疫療法の開発において重要である。HLA-A遺伝子は、6番染色体の短いアーム上に位置しており、HLA-Aの成分である大きなα鎖をコードしている。HLA-A α鎖の変異は、HLAの機能にとって重要である。この変異により、集団での遺伝子多様性が促進される。それぞれのHLAは、ある特定の構造のペプチドに対する親和性が異なることから、HLAの種類が多いということは、細胞表面に「提示」される抗原の種類が多いということを意味する。本開示に関連するMHCクラスI HLAタンパク質は、HLA-Aタンパク質、HLA-Bタンパク質、またはHLA-Cタンパク質であり得、好適にはHLA-Aタンパク質であり得、例えばHLA-A*02であり得る。MHCクラスI依存性免疫反応では、ペプチドは、腫瘍細胞により発現されるある特定のMHCクラスI分子に結合可能でなければならないだけでなく、その後に特異的T細胞受容体(TCR)を持つT細胞により認識されなければならない。
【0033】
「MHCタンパク質との複合体中の抗原ペプチド」は、本明細書では、MHC分子に非共有結合的に結合している抗原ペプチドを指す。具体的には、抗原ペプチドは、MHC分子により形成された「ペプチド結合溝」に位置している。MHC分子と抗原ペプチドとの複合体は、本明細書では、「ペプチド-MHC複合体」または「pMHC複合体」とも称される。CT45抗原ペプチドの場合には、この複合体はまた、「CT45抗原ペプチド-MHC複合体」または「CT45-IP:MHC複合体」とも称される。
【0034】
「HLA-A*02」は、特定のHLA対立遺伝子を示しており、文字Aは、対立遺伝子を示しており、接頭辞「*02接頭辞」は、A2血清型を示す。
【0035】
「抗原結合タンパク質」という用語は、本明細書では、抗原、特にMHCとの複合体中の抗原ペプチドに特異的に結合することができる抗原結合部位を含むポリペプチドまたは2個もしくはより多くのポリペプチドの複合体を指す。本明細書に関連して使用される場合、抗原結合タンパク質という用語は、下記に記載されるような複数の異なるフォーマットの抗原結合タンパク質を含み、該フォーマットとして、可溶性抗原結合タンパク質、膜結合型抗原結合タンパク質、一価、二価および多価抗原結合タンパク質、単一特異性、二重特異性および多重特異性抗原結合タンパク質、一本鎖抗原結合タンパク質ならびに2個またはより多くの鎖、融合タンパク質およびキメラタンパク質を含む抗原結合タンパク質が挙げられる。該用語は、TCR、抗体またはキメラ抗原受容体(CAR)の全体構造を有する抗原結合タンパク質を含む。本発明の抗原結合タンパク質は、TCR由来CDR、特に、TCR由来CDRa1、CDRa3、および適宜CDRa2を含む可変ドメインV、ならびにTCR由来CDRb1、CDRb3、および適宜CDRb2を含む可変ドメインVを含む。特定の実施形態では、Vドメイン全体および/またはVドメイン全体は、TCRに由来し、そのため、TCRアルファ、ベータ、ガンマまたはデルタ可変ドメイン(Vα、Vβ、VγまたはVδ)である。好ましい実施形態では、抗原結合タンパク質は、TCRである。いくつかの実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、本明細書で定義されているVおよびV、ならびにさらに、VまたはVに直接的にまたは間接的に融合された追加のドメインを含む。そのような抗原結合タンパク質は、「融合タンパク質」と称され得る。「融合タンパク質」である本発明の抗原結合タンパク質に含まれる追加のドメインの例を、下記に列挙する。抗原結合タンパク質が二重特異性または多重特異性抗原結合タンパク質である場合、それは、本明細書で定義されているVおよびVに加えて、少なくとも1つのさらなる可変ドメイン、好ましくは2つの可変ドメイン、および適宜、定常ドメインを含み、可変および/または定常ドメインは、抗体またはTCRに由来してもよい。抗原結合タンパク質は、そのため、2つの異なる抗原結合部位(1つは、VおよびVにより形成され、1つは、追加の少なくとも1つ、好ましくは2つの、可変ドメインにより形成される)を含み、例えば二重特異性抗体で既知であるように、同時に2つの異なる抗原に特異的に結合することができる。いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、TCR由来VおよびVならびに追加的に2つの抗体由来可変ドメイン、特にVおよびVを含む。抗体およびTCRの両方の要素を含むそのようなコンストラクトはハイブリッドフォーマットを表し、例えば、「二重特異性TCR-抗体融合タンパク質」と称され得る。そのような二重特異性融合タンパク質において、可変ドメインは、様々な方向で並べられてもよい。そのような二重特異性融合タンパク質を製造するための技術は当業者に既知であり、当業者は、そのため、様々なフォーマットにおいて二重特異性抗原結合タンパク質を生成および製造するために、本明細書で定義されている可変ドメインを容易に使用することができる。当業者は、所望される立体構造におけるフォールディングを確実にするために好適なリンカーを選択することが完全に可能である。
【0036】
「少なくとも1」は、本明細書では、1つまたは複数の指定の対象を指しており、例えば、1、2、3、4、5、もしくは6、またはより多くの指定の対象を指す。例えば、少なくとも1個の結合部位は、本明細書では、1、2、3、4、5、もしくは6個、またはより多くの結合部位を指す。
【0037】
本発明に関連する「二重特異性」という用語は、2つの異なる抗原に対して少なくとも2種の価数および結合特異性を有する抗原結合タンパク質を指しており、そのため少なくとも2つの抗原結合部位を含む。「価数」という用語は、抗原結合タンパク質の結合部位の数を指しており、例えば、2価抗原結合タンパク質は、2つの結合部位を有する抗原結合タンパク質に関する。結合部位は、同一のまたは異なる標的に結合し得、即ち、2価抗原結合タンパク質は、単一特異性(即ち、1つの標的に結合する)であってもよいし、二重特異性(即ち、2つの異なる標的に結合する)であってもよい。本発明の抗原結合分子は、TCR由来のCDRを含む少なくとも1つの抗原結合部位を含む。好ましい実施形態では、本発明の抗原結合分子は、少なくとも1つのTCR由来の抗原結合部位を含む。
【0038】
抗原結合タンパク質はTCRであることが好ましい。「TCR」という用語は、本明細書で使用される場合、ネイティブなTCRおよび操作されたTCRの両方を含む。
【0039】
「ネイティブTCR」は、自然界から単離され得る野生型TCRを指す。ネイティブTCRは、免疫グロブリンスーパーファミリーのヘテロ二量体細胞表面タンパク質であり、このタンパク質は、シグナル伝達の媒介に関与するCD3複合体の不変のタンパク質と会合している。ネイティブヘテロ二量体TCRは、αβ型およびγδ型で存在しており、これらは、構造的に類似しているが、位置およびおそらく機能も異なる。ネイティブな、全長αβヘテロ二量体TCRは、α鎖およびβ鎖からなる。α鎖は、TRAV遺伝子によりコードされる可変領域(V領域)、TRAJ遺伝子によりコードされる結合領域(J領域)、およびTRAC遺伝子によりコードされる定常領域(C領域)を含む。β鎖は、TRBV遺伝子によりコードされる可変領域(V領域)、TRBJ遺伝子によりコードされる結合領域(J領域)およびTRBC遺伝子によりコードされる定常領域(C領域)を含み、通常は、V領域とJ領域との間にTRBD遺伝子によりコードされる短い多様性領域(D領域)を含むが、このD領域は、J領域の一部とみなされることが多い[Lefranc, (2001), Curr Protoc Immunol Appendix 1: Appendix 10]。異なるα鎖およびβ鎖可変、結合および定常領域をコードする遺伝子は、IMGT命名法において固有の番号で言及されている[Folch and Lefranc, (2000), Exp Clin Immunogenet 17(1): 42-54;Scaviner and Lefranc, (2000), Exp Clin Immunogenet 17(2): 83-96;LeFranc and LeFranc, (2001), "T cell Receptor Factsbook", Academic Press]。TCR遺伝子に関するさらなる情報を、国際的なImMunoGeneTics情報システム(登録商標)、Lefranc M-P et al., (Nucleic Acids Res. 2015 Jan;43(Database issue):D413-22;およびhttp://www.imgt.org/)に見出し得る。
【0040】
タンパク質レベルにおいて、TCR α、β、γおよびδ鎖は、2つの免疫グロブリンドメイン、可変ドメインおよび定常ドメインを含む。可変ドメインはV(D)J領域に対応する。定常ドメインはC領域に対応する。定常ドメインは、膜近位ドメインであり、本発明に関連して、膜貫通(TM)ドメインおよび短い細胞質テイルも含む。定常ドメインおよび可変ドメインのそれぞれは鎖内ジスルフィド結合を含む。可変ドメイン(αβ TCR中のVαおよびVβならびにγδ TCR中のVγおよびVδは)、相補性決定領域(CDR)を含む高度に多型のループを含有する。
【0041】
それぞれのTCR可変ドメインは、フレームワーク配列に埋め込まれた3つの「TCR相補性決定領域」(CDR)を含み、1つは、CDR3と命名された超可変領域である。本発明に関連して、CDRa1、CDRa2、およびCDRa3は、α鎖CDRを示し、CDRb1、CDRb2、およびCDRb3は、β鎖CDRを示す。CDRa1およびCDRa2をコードする配列はTRAVに含まれ、CDRa3をコードする配列はTRAVおよびTRAJに含まれ、CDRb1およびCDRb2をコードする配列はTRBVに含まれ、CDRb3をコードする配列は、TRBV、TRBDおよびTRBJに含まれる。TCRでは、CDR1およびCDR3アミノ酸残基は、抗原ペプチドと接触し、CDR2アミノ酸残基は、HLA分子と主に接触する(Stadinski et al., J Immunol. 2014 June 15; 192(12): 6071-6082; Cole et al., J Biol Chem. 2014 Jan 10;289(2):628-38)。そのため、TCRの抗原特異性は、CDR3およびCDR1配列により定義される。CDR2配列は、抗原特異性の決定には必要ないが、ペプチド:MHC複合体に対するTCRの全体的な親和性で役割を果たし得る。
【0042】
「TCRフレームワーク領域」(FR)は、CDR間に挟まれたアミノ酸配列を指しており、即ち、異なるTCR間である程度保存されている可変ドメインの部分を指す。α鎖、β鎖、γ鎖、およびδ鎖可変ドメインは、それぞれ、本明細書ではそれぞれFR1-a、FR2-a、FR3-a、FR4-a(α鎖またはγ鎖の場合)、およびFR1-b、FR2-b、FR3-b、FR4-b(β鎖またはδ鎖の場合)と呼ばれる4つのFRを有する。従って、α鎖またはγ鎖可変ドメインは、(FR1-a)-(CDRa1)-(FR2-a)-(CDRa2)-(FR3-a)-(CDRa3)-(FR4-a)と説明され得、β鎖またはδ鎖可変ドメインは、(FR1-b)-(CDRb1)-(FR2-b)-(CDRb2)-(FR3-b)-(CDRb3)-(FR4-b)と説明され得る。本発明に関連して、α、β、γ、またはδ鎖可変ドメイン中のCDR/FR配列は、IMGT定義に基づいて決定される(Lefranc et al., Dev. Comp. Immunol., 2003, 27(1):55-77; www.imgt.org)。従って、TCRまたはTCR由来のドメインに関連する場合のCDR/FRアミノ酸位置は、前記IMGT定義に従って示される。好ましくは、可変ドメインVαのCDR/FRアミノ酸位置のIMGT位置は、TRAV24*01のIMGTナンバリングに類似して付与され、および/または可変ドメインVβのCDR/FRアミノ酸位置のIMGT位置は、TRBV12-3*01のIMGTナンバリングに類似して付与される。
【0043】
「操作されたTCR」は、ネイティブなTCRに密接に似ているが、可変および/もしくは定常ドメイン中に軽微な改変を含むタンパク質、例えば、ヒト化されたTCR、もしくは改善されたヘテロ二量体化もしくは発現レベルを有するTCRであってもよく、または一本鎖TCR、可溶性TCR、一価、二価もしくは多価TCR、単一特異性、二重特異性もしくは多重特異性TCR、TCRの機能的断片、もしくはTCRの機能的断片を含む融合タンパク質もしくはキメラタンパク質であってもよい。
【0044】
「TCRの機能的断片」は、標的抗原についての、その由来となる親TCRの親和性、機能的なアビディティおよび/または特異性を保持するか、または実質的に保持するTCRの断片を指す。これに関連する「親TCR」は、機能的断片の由来となる全長TCRを指す。標的抗原ペプチドへの結合はCDR1およびCDR3配列により定義され、標的抗原ペプチドMHC複合体への結合は、CDR1、CDR2およびCDR3により定義されるので、親TCRのCDR1およびCDR3および適宜CDR2配列を含む抗原結合タンパク質は、標的抗原についての親TCRの親和性、機能的なアビディティおよび/または特異性を保持する。CDRはフレームワーク領域(FR)を差し挟まれる必要があるが、フレームワーク領域の特定のアミノ酸配列は標的抗原特異性に直接的に関与しないことを当業者は認識している。機能的なTCR断片の例として、単一の可変ドメイン、例えばTCRアルファ、ベータ、ガンマもしくはデルタ可変ドメイン、またはα、β、δもしくはγ鎖の断片、例えば膜貫通ドメインおよび短い細胞質テイルを有しないα、β、δもしくはγ鎖が挙げられる。「断片」という用語は、本明細書で使用される場合、天然に存在する断片(例えばスプライス変異型またはペプチド断片)および人工的に構築された断片、特に、遺伝子技術的手段により得られる断片を指す。
【0045】
TCRの機能的断片は、例えば、下記に概説されるように測定された標的抗原に対する結合についてのKが、親TCRのKと同一であるか、または、10倍、5倍、3倍、もしくは2倍以下に増加しているか、もしくは10分の1、5分の1、3分の1、もしくは2分の1以上に減少している、好ましくは減少している(increased or reduced, preferably reduced, no more than 10x, 5x, 3x, or 2x)場合に、標的抗原についての保持されたまたは実質的に保持された親和性を有するとみなされる。
【0046】
TCRの機能的断片は、例えば、標的抗原についての機能的なアビディティが、親TCRの機能的なアビディティと同一であるか、または50%、40%、30%、20%、15%、10%、8%、5%、3%、2%もしくは1%以下、増加もしくは減少している、好ましくは減少している場合に、標的抗原についての保持されたまたは実質的に保持された機能的なアビディティを有するとみなされる。特に、TCRの機能的断片は、例えば、細胞傷害性アッセイ、好ましくは下記に記載されているルシフェラーゼ放出アッセイにおいて測定された親タンパク質の標的に応答したその細胞傷害活性が、親TCRの細胞傷害活性と同一であるか、または50%、40%、30%、20%、15%、10%、8%、5%、3%、2%もしくは1%、好ましくは10%、8%、5%、3%、2%もしくは1%以下、増加もしくは減少している、好ましくは減少している場合に、標的抗原についての保持されたまたは実質的に保持された機能的なアビディティを有するとみなされる。
【0047】
TCRの機能的断片は、親TCRの標的抗原ペプチド以外のペプチドに有意に結合しない場合に、標的抗原についての保持されたまたは実質的に保持された特異性(即ち、標的抗原に特異的に結合する能力)を有するとみなされる。
【0048】
「α/β TCR」または「γ/δ TCR」という用語は、上記されているα鎖およびβ鎖、またはγ鎖およびδ鎖をそれぞれ含むTCRを指す。そのようなTCRはまた、「全長TCR」または「従来型TCR」としても記載され得る。α/β TCRまたはγ/δ TCRは、ネイティブなTCRであってもよいか、またはネイティブなTCRの構造を保持する操作されたTCR、即ち、上記されている可変および/もしくは定常ドメイン中に軽微な改変を含む操作されたTCR、例えばヒト化されたTCRであってもよい。
【0049】
「一本鎖TCR(scTCR)」は、本明細書で使用される場合、TCRの可変ドメインが単一ポリペプチド上に位置しているTCRを示す。典型的には、scTCR中の可変ドメインは、リンカーにより分離されており、前記リンカーは、典型的には、10~30個のアミノ酸、例えば、25個のアミノ酸を含む。
【0050】
「キメラタンパク質」は、本明細書では、複数の種からの配列を含むタンパク質を指す。「キメラTCR」は、本明細書では、複数の種からの配列を含むTCRを指す。好ましくは、本発明に関連するキメラTCRは、ヒトからの少なくとも1つのドメインおよびマウスからの1つのドメインを含むα鎖を含んでもよい。より好ましくは、本発明に関連するキメラTCRは、ヒトα鎖の可変ドメイン、および、例えば、マウスTCR α鎖の定常ドメインを含むα鎖を含んでもよい。
【0051】
「抗体」という用語は、本明細書で使用される場合は、ネイティブなおよび操作された抗体を含むことが意味される。「操作された抗体」という用語は、機能的抗体断片、一本鎖抗体、単一ドメイン抗体、二重特異性または多重特異性抗体を含む。
【0052】
ネイティブな「抗体」は2つの重鎖および2つの軽鎖を含み、重鎖は、ジスルフィド結合により互いに連結されており、かつそれぞれの重鎖は、ジスルフィド結合により軽鎖に連結されている。軽鎖には、ラムダ(λ)およびカッパ(κ)の2種が存在している。抗体分子の機能的活性を決定する下記の5種の主な重鎖クラス(またはアイソタイプ)が存在している:IgM、IgD、IgG、IgA、およびIGE。それぞれの鎖は、異なるドメイン(領域とも称される)を含む。軽鎖は、可変ドメイン(V)および定常ドメイン(C)という2つのドメインを含む。重鎖は、抗体アイソタイプに応じて、下記の4または5つのドメインを含む:可変ドメイン(V)、ならびに3または4つの定常ドメイン(まとめてCと称されるCH1、CH2、およびCH3、適宜CH4)。軽(V)鎖および重(V)鎖の両方の可変ドメインは、抗原に対する結合認識および特異性を決定する。軽(C)鎖および重(C)鎖の定常ドメインは、抗体鎖の会合、分泌、胎盤通過性、補体結合、およびFc受容体(FR)への結合等の重要な生物学的特性を付与する。
【0053】
抗体の特異性は、抗体結合部位と抗原決定基との間の構造的相補性に存在する。抗体結合部位は、主に「抗体相補性決定領域」(CDR)または超可変領域に由来する残基で構成されている。時には、非超可変領域またはフレームワーク領域(FR)の残基が、ドメイン全体の構造、ひいては結合部位に影響を及ぼす。CDRは、ネイティブ抗体結合部位の天然Fv領域の結合親和性および特異性を定義するアミノ酸配列を指す。抗体の軽鎖および重鎖は、それぞれ、それぞれCDR1-L、CDR2-L、CDR3-L、およびCDR1-H、CDR2-H、CDR3-Hと呼ばれる3つのCDRを有する。従って、抗体の抗原結合部位は、重鎖V領域および軽鎖V領域のそれぞれ由来のCDRセットを含む6つのCDRを含む。「抗体フレームワーク領域」(FR)は、CDR間に介在しているアミノ酸配列を指しており、即ち、抗体軽鎖および重鎖の可変領域の、単一種において異なる抗体間で比較的保存されている部分を指す。抗体の軽鎖および重鎖は、それぞれ、それぞれFR1-L、FR2-L、FR3-L、FR4-L、およびFR1-H、FR2-H、FR3-H、FR4-Hと呼ばれる4つのFRを有する。従って、軽鎖可変ドメインは、(FR1-L)-(CDR1-L)-(FR2-L)-(CDR2-L)-(FR3-L)-(CDR3-L)-(FR4-L)と説明され得、重鎖可変ドメインは、(FR1-H)-(CDR1-H)-(FR2-H)-(CDR2-H)-(FR3-H)-(CDR3-H)-(FR4-H)と説明され得る。本明細書で使用される場合、「ヒトフレームワーク領域」とは、天然に存在するヒト抗体のフレームワーク領域と実質的に同一(約85%以上、特に、90%、95%、97%、99%、または100%)であるフレームワーク領域のことである。本発明に関連して、抗体軽鎖または重鎖の可変ドメインにおけるCDR/FR定義は、IMGT定義に基づいて決定される(Lefranc et al., Dev. Comp. Immunol., 2003, 27(1):55-77; www.imgt.org)。従って、所与の可変鎖のCDR1、CDR2、およびCDR3のアミノ酸配列、ならびにFR1、FR2、FR3、およびFR4のアミノ酸配列は、前記IMGT定義に従って示される。
【0054】
本発明の抗体、TCR、または抗原結合タンパク質のCDRのアミノ酸配列を知ることにより、当業者は、フレームワーク領域(例えば、TCRフレームワーク領域または抗体フレームワーク領域)を容易に決定し得る。CDRが示されていない場合には、当業者は、最初に、TCRに関するIMGT定義または抗体に関するIMGT定義に基づいてCDRアミノ酸配列を決定し得、次いで、フレームワーク領域のアミノ酸配列を決定し得る。
【0055】
操作された抗体フォーマットは、機能的抗体断片、一本鎖抗体、単一ドメイン抗体、およびキメラ抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体、または多重特異性抗体を含む。操作された抗体フォーマットとして、抗体の軽鎖可変ドメインがTCRのα鎖可変ドメインで置き換えられていてもよく、かつ重鎖可変ドメインがTCRのβ鎖可変ドメインで置き換えられていてもよいか、またはその逆であってもよい、コンストラクトがさらに挙げられる。「機能的抗体断片」は、その標的抗原に結合する能力、特にその標的抗原についての親和性および/または特異性を保持する全長抗体の部分を指す。好ましくは、機能的抗体断片は、全長抗体の抗原結合領域または可変領域を含む。機能的抗体断片の例として、Fv、Fab、F(ab’)2、Fab’、dsFv、(dsFv)2、scFv、sc(Fv)2、およびダイアボディが挙げられる。機能的抗体断片はまた、重鎖抗体等の単一ドメイン抗体でもあり得る。「Fab」という用語は、IgGをプロテアーゼ(例えば、パパイン)で処理して得られる断片の内、H鎖のN末端側の約半分とL鎖全体とがジスルフィド結合を介して互いに結合している、分子量が約50,000ダルトンであり抗原結合活性を有する抗体断片を示す。Fv断片は、抗体のFab断片のN末端部分であり、1本の軽鎖および1本の重鎖の可変部分からなる。
【0056】
本明細書で使用される場合、抗原結合タンパク質の「フォーマット」は、ドメイン(特に、可変ドメインおよび適宜定常ドメイン)の定義された空間的配置を指定する。そのような抗原結合タンパク質フォーマットの重要な特徴は、下記である:ポリペプチド鎖の数(一本鎖、二本鎖、または多重鎖)、異なるドメインを連結するリンカーのタイプおよび長さ、可変ドメインの数(従って、価数の数)、異なる可変ドメインの数(従って、異なる抗原に対する特異性の数、例えば、二重特異性、多重特異性)、ならびに可変ドメインの順序および方向(例えば、クロスオーバー、パラレル)。
【0057】
「ヒト化抗体」という用語は、完全にまたは部分的に非ヒト起源であり、かつヒトにおける免疫反応を回避するかまたは最小限に抑えるために、ある特定のアミノ酸(特に、重鎖および軽鎖のフレームワーク領域中)を置き換えることにより改変されている抗体を指す。ヒト化抗体の定常ドメインは、主にヒトのCドメインおよびCドメインである。抗体配列のヒト化のための多数の方法が、当該技術分野で既知であり;例えば、Almagro & Fransson (2008) Front Biosci. 13: 1619-1633による概説を参照されたい。
【0058】
本出願の文脈において、「参照配列と少なくとも85%同一」である配列とは、参照配列の全長との85%以上、特に、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を全長にわたり有する配列のことである。参照配列と「少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一」のアミノ酸配列からなるタンパク質は、参照配列と比較して突然変異(例えば、欠失、挿入、および/または置換)を含み得る。置換の場合には、参照配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列からなるタンパク質は、参照配列とは別の種に由来する相同配列に対応し得る。
【0059】
本出願の文脈において、「同一性の割合」は、グローバルペアワイズアラインメントを使用して算出され得る(即ち、2つの配列が、その全長にわたり比較される)。2つ以上の配列の同一性を比較する方法は、当該技術分野で公知である。例えば、Needleman-Wunschグローバルアラインメントアルゴリズム(Needleman and Wunsch, 1970 J. Mol. Biol. 48:443-453)を使用して、2つの配列の全長を考慮した場合の最適なアラインメント(ギャップを含む)を見出す「ニードル」プログラムを使用し得る。ニードルプログラムは、例えば、ebi.ac.uk World Wide Webサイトで入手可能であり、下記の刊行物でさらに説明されている[EMBOSS: The European Molecular Biology Open Software Suite (2000) Rice, P. Longden, I. and Bleasby, A. Trends in Genetics 16, (6) pp. 276-277]。本発明に従う2つのポリペプチド間の同一性の割合は、“Gap Open”パラメータ 10.0、“Gap Extend”パラメータ 0.5、およびBlosum62マトリックスでEMBOSS:ニードル(グローバル)プログラムを使用して算出される。
【0060】
「アミノ酸突然変異」は、欠失、挿入または置換であってもよい。
【0061】
「アミノ酸置換」は、保存的または非保存的であってもよい。一実施形態では、置換は保存的置換であり、保存的置換では、1つのアミノ酸は、類似の構造的および/または化学的特性を有する別のアミノ酸に置換される。
【0062】
一実施形態では、保存的アミノ酸置換として、アミノ酸の同クラスの別のアミノ酸[例えば、(1)非極性:Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Met、Phe、Trp;(2)非荷電極性:Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn、Gln;(3)酸性:Asp、Glu;および(4)塩基性:Lys、Arg、His]による置換も挙げられ得る。他の保存的アミノ酸置換をまた、下記のように行ない得る:(1)芳香族:Phe、Tyr、His;(2)プロトン供与体:Asn、Gln、Lys、Arg、His、Trp;および(3)プロトン受容体:Glu、Asp、Thr、Ser、Tyr、Asn、Gln(例えば、内容全体が参照により組み込まれる米国特許第10,106,805号明細書を参照されたい)。
【0063】
別の実施形態では、保存的置換を、表1に従って行ない得る。タンパク質改変に対する耐性を予測する方法を、例えば、Guo et al., Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 101(25):9205-9210 (2004)(この内容は、その全体が参照により組み込まれる)で見出し得る。
【0064】
【表1】
【0065】
本発明の抗原結合タンパク質は、1つまたは複数の天然に存在するアミノ酸の代わりに、合成アミノ酸を含み得る。そのような合成アミノ酸は、当該技術分野で既知であり、例えば下記が挙げられる:アミノシクロヘキサンカルボン酸、ノルロイシン、α-アミノ n-デカン酸、ホモセリン、S-アセチルアミノメチル-システイン、トランス-3-およびトランス-4-ヒドロキシプロリン、4-アミノフェニルアラニン、4-ニトロフェニルアラニン、4-クロロフェニルアラニン、4-カルボキシフェニルアラニン、β-フェニルセリン β-ヒドロキシフェニルアラニン、フェニルグリシン、α-ナフチルアラニン、シクロヘキシルアラニン、シクロヘキシルグリシン、インドリン-2-カルボン酸、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸、アミノマロン酸、アミノマロン酸モノアミド、N’-ベンジル-N’-メチル-リシン、N’,N’-ジベンジル-リシン、6-ヒドロキシリシン、オルニチン、α-アミノシクロペンタン カルボン酸、α-アミノシクロヘキサン カルボン酸、α-アミノシクロヘプタン カルボン酸、α-(2-アミノ-2-ノルボルナン)-カルボン酸、α,γ-ジアミノ酪酸、α,β-ジアミノプロピオン酸、ホモフェニルアラニン、およびα-tert-ブチルグリシン。
【0066】
一実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、グリコシル化され得るか、アミド化され得るか、カルボキシル化され得るか、リン酸化され得るか、エステル化され得るか、N-アシル化され得るか、例えばジスルフィド架橋を介して環化され得るか、もしくは酸付加塩に変換され得、および/または二量体化され得るかもしくは重合され得るか、またはコンジュゲートされてもよい。
【0067】
「共有結合的連結」は、本明細書では、例えば、ジスルフィド結合、またはポリペプチドリンカー等のリンカーもしくはリンカー配列を介したペプチド連結もしくは共有結合的連結を指す。
【0068】
「リンカー」という用語は、本明細書で使用される場合、抗原結合部位を形成するために正しく折り畳むのに十分なドメインまたは要素(例えば、二重特異性抗原結合の可変ドメイン)の可動性を提供するためにドメイン間またはドメインと薬剤との間に挿入される1つまたは複数のアミノ酸残基を指す。
【0069】
いくつかの実施形態では、リンカーは、リンカーが存在していないことを意味する0個のアミノ酸からなる。リンカーは、アミノ酸配列レベルで、可変ドメイン間または可変ドメインと定常ドメインとの間(または二量体化ドメイン間)それぞれの転移で挿入される。抗体ドメインおよびTCRドメインのおおよそのサイズがよく理解されていることから、ドメイン間の転移を特定し得る。ドメイン転移の精密な位置は、実験データにより実証されるか、またはモデリングもしくは二次構造予測の技術により推定され得るような二次構造エレメント、例えばベータシートまたはアルファ-ヘリックスを形成しないペプチドストレッチを位置決定することにより決定され得る。
【0070】
リンカーは、それぞれの文脈において別途指定されない限り、少なくとも1~30個のアミノ酸の長さであり得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、2~25個、2~20個、または3~18個のアミノ酸の長さであり得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、14、13、12、11、10、9、8、7、6、または5個以下のアミノ酸の長さのペプチドであり得る。他の実施形態では、リンカーは、5~25個、5~15個、4~11個、10~20個、または20~30個のアミノ酸の長さであり得る。他の実施形態では、のリンカーは、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30個のアミノ酸の長さであり得る。特定の実施形態では、のリンカーは、24個未満、20個未満、16個未満のアミノ酸残基の長さであり得、12個未満、10個未満、例えば、5~24個未満、10~24個未満、または5~10個未満のアミノ酸残基の長さである。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、1個以上のアミノ酸残基の長さであり、例えば、1個超、2個超、5個超、10個超、20個超のアミノ酸残基の長さであり、22個超のアミノ酸残基の長さである。好ましい実施形態では、リンカーは、グリシン/セリンリンカー、即ち、グリシンおよびセリン残基からなるか、または本質的にからなるリンカーである。
【0071】
本開示の抗原結合タンパク質は、合成であり得、組換えであり得、単離され得、操作され得、および/または精製され得る。
【0072】
「操作された」抗原結合タンパク質、特に、本発明に関連する操作されたTCRは、生物工学的方法により、特に、ネイティブなタンパク質配列中にアミノ酸突然変異を導入することにより、改変されているタンパク質を指す。そのような生物工学的方法は当業者に周知である。
【0073】
「精製された」は、ポリペプチド(例えば、本発明の抗原結合タンパク質)またはヌクレオチド配列(例えば、本明細書で説明されている抗原結合タンパク質またはその機能的断片をコードするヌクレオチド配列)に言及する場合には、示されている分子が、同一タイプの他の生物学的高分子の実質的非存在下で存在していることを意味する。「精製された」という用語は、特に本明細書で使用される場合、同一タイプの生物学的高分子の少なくとも75重量%、85重量%、95重量%、または98重量%が存在していることを意味する。「精製された」という用語は、本明細書で使用される場合、抗原結合タンパク質が、その治療的、診断的、予防的、研究または他の使用に干渉するDNA、RNA、タンパク質、ポリペプチドまたは細胞を含まないことをさらに示し得る。
【0074】
特定のポリペプチドをコードする精製された核酸分子は、主題のポリペプチドをコードしない他の核酸分子を実質的に含まない核酸分子を指しており、しかしながら、この分子は、組成の基本特性に悪影響を及ぼさないいくつかのさらなる塩基または部分を含み得る。
【0075】
「単離された」という用語は、天然状態から変化したかまたは取り出されたことを意味する。例えば、生きている動物中に天然に存在する核酸またはペプチドは、「単離され」てはいないが、天然状態の共存物質から部分的または完全に分離された同一の核酸またはペプチドは、「単離され」ている。単離された核酸またはタンパク質は、実質的に精製された形態で存在し得るか、または例えば宿主細胞等の非天然環境中で存在し得る。単離された抗原結合タンパク質は、異なる抗原特異性を有する他の抗原結合タンパク質を実質的に含まない(例えば、CT45-IPに特異的に結合する抗原結合タンパク質は、CT45-IP以外の抗原に特異的に結合する抗原結合タンパク質を実質的に含まない)。さらに、単離された抗原結合タンパク質は、他の細胞物質および/または化学物質を実質的に含まない場合がある。
【0076】
「組換え」分子とは、組換え手段により調製されているか、発現されているか、作製されているか、または単離されている分子のことである。組換え分子は、天然には存在していない。
【0077】
「遺伝子」という用語は、1種または複数種のタンパク質または酵素の全てまたは一部を構成するアミノ酸の特定の配列をコードするかまたはそれに対応するDNA配列を意味しており、例えばこの遺伝子が発現される条件を決定する制御DNA配列(例えば、プロモーター配列)を含んでもよいし、含まなくてもよい。構造遺伝子ではないいくつかの遺伝子は、DNAからRNAへと転写され得るが、アミノ酸配列へとは翻訳されない。他の遺伝子は、構造遺伝子のレギュレーターとして機能し得るか、またはDNA転写のレギュレーターとして機能し得る。特に、遺伝子という用語は、タンパク質をコードするゲノム配列(即ち、レギュレーター、プロモーター、イントロン、およびエクソンの配列を含む配列)を対象とし得る。
【0078】
「親和性」は、本発明に関連して、抗原結合タンパク質とその抗原(即ち、MHCタンパク質との複合体中のCT45-IPペプチド)との間の平衡結合により定義される。親和性は、平衡解離定数(K)として通常は表される。
【0079】
「K」は、抗原結合タンパク質とその抗原との間の平衡解離定数(koff/konの比)である。Kおよび親和性は、逆相関している。K値は、抗原結合タンパク質の濃度に関係しており、K値が低いほど、抗原結合タンパク質の親和性が高くなる。K値は、表面プラズモン共鳴(SPR)または生体層干渉法(BLI)による会合速度および解離速度の測定等の様々な既知の方法により実験的に評価し得る。当業者に既知であるように、それらの実験のために使用される実験条件、例えば使用される緩衝液、タンパク質の濃度は、結果に強く影響を及ぼし得る。
【0080】
「機能的なアビディティ」は、MHCとの複合体中の標的抗原ペプチドへの結合で、エフェクター細胞、好ましくはT細胞を活性化させる抗原結合タンパク質、好ましくはTCRの能力を記載するパラメータとして、本発明に関連して定義される。エフェクター細胞、好ましくはT細胞の活性化は、機能アッセイ、特に、下記に記載されているサイトカイン産生アッセイまたは細胞傷害性アッセイにおいて測定され得る。いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質の機能的なアビディティは、機能アッセイにおいて決定されたEC50が低い、例えば、下記に記載されている細胞傷害性アッセイにおいて約60nM未満、約10nM未満、もしくは約1nM未満である、かつ/または機能アッセイにおいて決定された活性が高い、例えば、それぞれの機能アッセイにおいて定義される最大活性の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、もしくは少なくとも95%である場合に、高いとみなされる。機能アッセイに依存して、最大活性は、既知の高い機能的なアビディティを有する参照タンパク質の活性または下記に記載されている「最大溶解コントロール」の活性であってもよい。
【0081】
「有効性」は、MHCとの複合体中の標的抗原ペプチドをその表面上に提示するがん細胞を殺滅するエフェクター細胞、好ましくはT細胞を活性化させる抗原結合タンパク質、好ましくはTCRの能力を記載するパラメータとして、本発明に関連して定義される。有効性は、機能アッセイ、特に、下記に記載されている生細胞モニタリング細胞傷害性アッセイにおいて決定され得る。
【0082】
「機能アッセイ」において、抗原結合タンパク質は、例えば、「エフェクター細胞(E)」中で発現され、かつエフェクター細胞は、「標的細胞(T)」と、即ち、ペプチド-MHC複合体を提示する抗原提示細胞と共培養される。機能アッセイは、そのためまた、「共培養アッセイ」としても記載され得る。本明細書に記載される全ての細胞培養アッセイのために、細胞培養温度は好ましくは約37℃である。好ましくは、抗原結合タンパク質はTCRであり、かつエフェクター細胞はT細胞である。標的細胞は、抗原ペプチドを人工的にロードされた細胞(例えばT2細胞)であってもよいか、または表面上に標的抗原ペプチドを内因性に提示する細胞(例えばCT45を発現するがん細胞)であってもよい。ペプチド-MHC複合体への抗原結合タンパク質の結合は、エフェクター細胞の活性化をもたらす。機能アッセイのタイプに依存して、活性化の程度を測定するための異なるリードアウトがある。サイトカイン産生アッセイにおいて、エフェクター細胞によるサイトカイン(例えばTNF-α、IFN-γ、CD107a+、IL-2および/またはグランザイムB)の産生が決定される。細胞傷害性アッセイにおいて、エフェクター細胞による標的細胞の殺滅が、例えば、標的細胞、特にがん細胞の増殖における低下を測定することにより(例えば生細胞モニタリング細胞傷害性アッセイにおいて)、または標的細胞からの細胞内タンパク質の放出を測定することにより、決定される。細胞傷害性アッセイにおいて測定される好適な細胞内タンパク質は、内因性タンパク質、例えば、抗原提示細胞により発現されるLDHまたはトランスジェニックタンパク質、例えばルシフェラーゼであり得る。
【0083】
本発明に関連して、「T2細胞」という用語は、TAP機能を欠いているMHCI分子(HLA-A2)を発現する細胞を指す。T2細胞は、異なる濃度の外因性抗原ペプチドを容易に人工的にロードされ得る。T2細胞は、例えば、[Hosken and Bevan, Science 1990 Apr 20;248(4953):367-70]において記載されている。T2細胞は、例えばATCC(American Type Culture Collection)から、商業的に入手可能である。T2細胞のローディングは、当業者に既知の標準的な細胞培養条件下で、T2細胞を約2時間、所望される濃度の抗原ペプチドとインキュベートすることにより達成され得る。本発明に関連して、ある特定の濃度、例えば1μM、100nM、10nM、1nM、100pM、10pM、1pMの抗原ペプチドとインキュベートされるT2細胞は、前記濃度の抗原ペプチドをロードされたT2細胞と称され、例えば、10μMの抗原ペプチドとインキュベートされたT2細胞は、10μMの抗原ペプチドをロードされたT2細胞と称される。
【0084】
「E:T比」という用語は、エフェクター細胞(即ち、抗原結合タンパク質、特にTCRを発現する、免疫細胞、特にT細胞)の標的細胞に対する比を指す。いくつかの実施形態では、E:T比は、播種比、即ち、免疫細胞、特にT細胞の総数の、標的細胞の総数に対する比に対応する。いくつかの実施形態では、E:T比は、播種比よりも低い。これは、例えば低いエレクトロポレーション効率に起因して、全ての免疫細胞が抗原結合タンパク質を発現するわけではない、即ち、全ての免疫細胞がエフェクター細胞であるわけではない場合に適用される。いくつかの実施形態では、播種比は、E:T比のおおよその値として使用される。いくつかの実施形態では、E:T比は、エレクトロポレーション効率を考慮に入れて播種比を調整することにより決定される。
【0085】
例示的なルシフェラーゼ放出アッセイは、方法セクションにおいて記載されており、実施例1および2において行われている。ルシフェラーゼ放出アッセイの特定の実施形態では、エフェクター細胞は、TCRを一過的にまたは安定的に発現するT細胞、好ましくは予備刺激されたT細胞、例えば、TCRをコードするmRNAをエレクトロポレートされたT細胞、またはTCRをコードする核酸を安定的に形質導入されたT細胞、例えば、TCRをコードする核酸を含むレンチウイルスベクターを形質導入されたT細胞である。これらのエフェクター細胞は、ルシフェラーゼを発現する標的細胞と共培養される。好ましくは、標的細胞は、抗原ペプチドをロードされたT2細胞である。好ましくは、エフェクター細胞および標的細胞は、2:1~1:2、好ましくは1:1の比において播種される。定義された時間、例えば12~38時間、好ましくは18~30時間、より好ましくは約24時間の共培養の後に、上清中のルシフェラーゼの量が測定され、高いルシフェラーゼ濃度は、高い殺滅活性、およびそのため、提示されたペプチドについての、抗原結合タンパク質、好ましくはTCRの高い機能的なアビディティを示す。抗原結合タンパク質の機能的なアビディティは、細胞傷害性アッセイ、好ましくは上記に定義されているルシフェラーゼ放出アッセイにおいて、標的細胞に対するエフェクター細胞の細胞傷害活性が、コントロール毒性試薬の細胞傷害活性の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%である場合に、高いとみなされる。細胞傷害活性は100%よりも高いものであり得ることを当業者は認識している。これは、100%の細胞傷害活性は、毒性試薬との標的細胞のインキュベーションを指す「最大溶解コントロール」により定義されるという事実に起因する。いくつかの実施形態では、毒性試薬は、標的細胞の溶解をもたらす界面活性剤、例えばTriton-X100、Tween-20、Tween-80またはNP-40である。いくつかの具体例では、最大溶解コントロールは、標的細胞培養物に0.2% Triton-X100溶液を加えることを含む。毒性試薬の細胞傷害活性、即ち、毒性試薬により殺滅された標的細胞の数は、100%として定義される。標的細胞は共培養の間に依然として増殖することができるので、エフェクター細胞は、最大溶解コントロールの間に殺滅された毒性試薬(the toxic reagent)よりも多くの数の標的細胞を細胞傷害性アッセイの間に最終的に殺滅し得る。そのような場合には、算出される細胞傷害活性は100%よりも高い。
【0086】
例示的なサイトカイン産生アッセイは、方法セクションにおいて記載されており、実施例3において行われている。サイトカイン産生アッセイの特定の実施形態では、エフェクター細胞は、TCRを発現するT細胞、好ましくは予備刺激されたT細胞、例えば、TCRをコードする核酸を一過的にトランスフェクトされたかまたは安定的に形質導入されたT細胞、好ましくは、TCRをコードするmRNAをエレクトロポレートされたT細胞である。これらのエフェクター細胞は、好ましくは抗原ペプチドをロードされたT2細胞である標的細胞と共培養される。好ましくは、エフェクター細胞および標的細胞は、2:1~1:2、好ましくは1:1の比において播種される。共培養は、好ましくは、分泌遮断剤の存在下で行われる。定義された時間、例えば3~7時間、好ましくは約5時間の共培養の後に、エフェクター細胞は、例えばCD107a+、IFN-ガンマ、TNFアルファ、IL-2およびグランザイムBから選択される、少なくとも1つの細胞内サイトカインについて染色されて、サイトカインを産生するエフェクター細胞の量が決定される。抗原結合タンパク質の機能的なアビディティは、抗原が、上記に定義されているサイトカイン産生アッセイにおいてエフェクター細胞を活性化可能である場合に、特に、標的細胞との共培養でサイトカインを産生するエフェクター細胞の数が、免疫細胞、例えば生CD4、CD8および/またはCD3細胞の集団当たり少なくとも2%、少なくとも2.5%、好ましくは少なくとも3%である場合に、高いとみなされる。好ましくは、標的細胞との共培養でサイトカインを産生するエフェクター細胞の数は、エフェクター細胞の総数当たり少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%である。上記に説明されるように、例えば低いエレクトロポレーション効率に起因して、全ての免疫細胞が抗原結合タンパク質を発現するわけではなく、即ち、共培養アッセイにおいて播種された全ての免疫細胞がエフェクター細胞であるわけではない。
【0087】
例示的な生細胞モニタリング細胞傷害性アッセイは、方法セクションにおいて記載されており、実施例5において行われている。生細胞モニタリング細胞傷害性アッセイの特定の実施形態では、エフェクター細胞は、TCRを一過的にまたは安定的に発現するT細胞、好ましくは予備刺激されたT細胞、例えば、TCRをコードするmRNAをエレクトロポレートされたT細胞である。これらのエフェクター細胞は、CT45-IP抗原ペプチドを内因性に発現しかつ提示し、かつ適宜CT45-IP抗原ペプチドを追加的にロードされた腫瘍細胞と共培養される。いくつかの実施形態では、腫瘍細胞はA375細胞またはNCIH-1703細胞である。腫瘍細胞は好ましくは蛍光標識される。生細胞モニタリング細胞傷害性アッセイのいくつかの実施形態では、全T細胞[TCRを発現するT細胞(=エフェクター細胞)およびTCRを発現しないT細胞を含む]の播種比は、9:1~0.5:1、例えば9:1、6:1、3:1、2:1または1:1である。いくつかの実施形態では、E:T比は6:1~0.2:1である。抗原結合タンパク質の有効性は、上記に定義されている生細胞モニタリング細胞傷害性アッセイにおいて、腫瘍細胞の殺滅(腫瘍細胞増殖における減少により決定される)が、6:1またはそれ未満、5:1またはそれ未満、4:1またはそれ未満、3:1またはそれ未満、好ましくは2:1またはそれ未満、より好ましくは1:1またはそれ未満、よりいっそう好ましくは0.5:1またはそれ未満のE:T比において観察される場合に、高いとみなされる。
【0088】
「EC50」とも呼ばれる「最大半量有効濃度」は、典型的には、特定の暴露時間後にベースラインと最大値との中間の反応を誘発する分子の濃度を指す。EC50値が低ければ低いほど、分子の機能的なアビディティはより高い。EC50値は、例えば、上記される機能アッセイまたは他のELISAもしくはフローサイトメトリーベース殺滅アッセイを使用して、様々な既知の方法により実験的に評価され得る。
【0089】
上記されている機能アッセイにおいてEC50を決定するために、抗原提示細胞、例えばT2細胞上にロードされた異なる濃度の抗原ペプチドが「ペプチド滴定実験」において使用される必要がある。ペプチド滴定を伴う例示的なルシフェラーゼ放出アッセイは、方法セクションにおいて記載されており、実施例1において行われている。特定の実施形態では、「EC50」は、標的細胞、特に、CT45抗原ペプチドをロードされたT2細胞が、上記に定義されているルシフェラーゼ放出においてエフェクター細胞と共培養された場合に、ベースラインと最大との間の半分の応答を誘導する、前記標的細胞上にロードされた抗原ペプチドの濃度を指す。抗原結合タンパク質の機能的なアビディティは、細胞傷害性アッセイ、好ましくは上記に定義されているルシフェラーゼ放出アッセイにおいて決定されたEC50が、約60nM未満、約50nM未満、約30nM未満、約25nM未満、好ましくは約20nM未満、約15nM未満、約10nM未満、より好ましくは約5nM未満、約2.5nM未満、約1.5nM未満または約1nM未満である場合に、高いとみなされる。
【0090】
「デキストラマー染色」は、抗原結合タンパク質を発現する細胞を、10個のCT45-IP:MHC複合体を含む蛍光標識された多量体と接触させることを伴う。
【0091】
本発明に関連する「特異性」という用語は、その標的ペプチドを、異なるアミノ酸配列を有するペプチド、例えば、下記に定義されている類似ペプチドから識別する抗原結合タンパク質の能力を表す。抗原結合タンパク質は、標的ペプチドへの結合が、類似ペプチドへの結合よりも有意により高い親和性および/またはより高い機能的なアビディティと共に起こる場合に、標的ペプチドについて特異的であるとみなされる。抗原結合タンパク質の特異性は、アミノ酸配列CDRa1、CDRa3、CDRb1およびCDRb3により決定される。CDRa2およびCDRb2のアミノ酸配列はMHC分子に接触し、抗原特異性のために要求されない。
【0092】
本発明に関連して、「類似ペプチド」は、本明細書では、潜在的なオフターゲットペプチドを指しており、即ち、生化学的/生物物理学的特性に基づいて本発明の抗原結合分子が結合する可能性があり得るペプチド(例えば、限定されないが、相同配列または類似モチーフ)を指す。類似ペプチドは、典型的には、8~12個のアミノ酸の長さである。本発明に関連する類似ペプチドは、典型的には、提示されるMHC、特にMHCIである。さらに、本発明に関連する類似ペプチドとして、CT45抗原ペプチドのアミノ酸配列に類似するアミノ酸配列を含むかまたはからなるペプチド、より特に、CT45抗原ペプチドのエピトープと比較して、一部または全てのアミノ酸が、CT45抗原ペプチドのエピトープを構成するアミノ酸と同一および/または類似の生化学的/生物物理学的特性を有するエピトープを含むペプチドが挙げられる。いくつかの実施例では、本発明に関連して調査する類似ペプチドを、CT45-IPの結合関連位置内での類似性スコアリング、および正常組織での少なくとも1つの検出の要件を使用して、腫瘍および正常組織により提示されたHLA-A*02結合ペプチドのデータベース(XPRESIDENT(登録商標)データベース)から選択した。MHCタンパク質により提示される類似ペプチドへの抗原結合タンパク質の結合は、有害反応を引き起こす場合がある。そのような有害反応は、Lowdell et al., Cytotherapy, published on December 4, 2018で報告されている特定のTCRと健康組織中の類似ペプチドとの交差反応性等の「オフ腫瘍(off-tumor)」副作用の場合がある。
【0093】
特に、下記のペプチドは、本発明に関連する類似ペプチドである:配列番号146(SP-05-0001)、配列番号147(SP-05-0002)、配列番号148(SP-05-0003)、配列番号149(SP-05-0004)、配列番号150(SP-05-0005)、配列番号151(SP-05-0006)、配列番号152(SP-05-0007)、配列番号153(SP-05-0008)、配列番号154(SP-05-0009)および配列番号155(SP-05-0010)。
【0094】
類似ペプチドの中には、検出可能な程度まで本発明の抗原結合タンパク質の結合を受けないいくつかの類似ペプチド、例えば、バックグラウンドレベルを超える機能アッセイにおける結合シグナルまたは応答が検出可能でないペプチドがあることを当業者は認識している。これに関連する「バックグラウンドレベル」は、非相同的な、「非類似」ペプチド、例えばコントロールペプチドNYESO1-001について、またはペプチドの非存在下で観察される機能アッセイにおける結合シグナルまたは応答を指す。
【0095】
他の類似ペプチドについて、低いが、有意でない結合が検出可能であってもよい。これらの後者の類似ペプチドもまた、「潜在的に関連する」類似ペプチドとして記載され得る。抗原結合タンパク質は、類似ペプチドおよび標的抗原ペプチドへの結合が、類似の、好ましくは同一の実験条件下で比較された場合に、下記の少なくとも1つが該当する場合に、類似ペプチドに有意に結合しない、およびその標的抗原ペプチドについて特異的であるとみなされる:
- 上記されている機能アッセイにおいて決定された、類似ペプチドに応答した機能的なアビディティが、標的抗原ペプチドCT45-IPに応答した機能的なアビディティの25%またはそれ未満、20%またはそれ未満、15%またはそれ未満、10%またはそれ未満である。
- 上記されている細胞傷害性アッセイにおいて決定された、類似ペプチドに応答した細胞傷害活性が、標的抗原ペプチドCT45-IPに応答した細胞傷害活性の25%またはそれ未満、20%またはそれ未満、15%またはそれ未満、10%またはそれ未満である。
- 上記されている機能アッセイ、好ましくは細胞傷害性アッセイにおいて決定された、類似ペプチドのEC50が、標的抗原ペプチドCT45-IPのEC50と比較して、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200または少なくとも500倍増加している。
- 類似ペプチドについてのKが、標的抗原ペプチドCT45-IPについてのKと比較して、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも75、または少なくとも100倍増加している。
【0096】
本明細書に関連して、特定の値を指す場合の「約」という用語は、値が、±10%、±9%、±8%、±7%、±6%、±5%、±4%、±3%、±2%または±1%まで逸脱してもよいことを示すことが意味される。
【0097】
抗原結合タンパク質
第1の態様では、本発明は、主要組織適合複合体(MHC)タンパク質との複合体で存在しているCT45抗原ペプチドに特異的に結合する抗原結合タンパク質であって、CT45抗原ペプチドは、配列番号138のアミノ酸配列(KIFEMLEGV)を含むか、またはからなり、かつ抗原結合タンパク質は、相補性決定領域(CDR)CDRa1、CDRa2およびCDRa3を含む可変ドメインVを含む第1のポリペプチドと、CDRb1、CDRb2およびCDRb3を含む可変ドメインVを含む第2のポリペプチドとを含み、
1)CDRa1は、配列番号14のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号489、好ましくは配列番号519のアミノ酸配列を含み、CDRb1は、配列番号19のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号504のアミノ酸配列を含み、
2)CDRa1は、配列番号24のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号490、好ましくは配列番号520のアミノ酸配列を含み、CDRb1は、配列番号75のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号505、好ましくは配列番号526のアミノ酸配列を含み、
3)CDRa1は、配列番号24のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号491のアミノ酸配列を含み、CDRb1は、配列番号66のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号506、好ましくは配列番号527のアミノ酸配列を含み、
4)CDRa1は、配列番号90のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号492のアミノ酸配列を含み、CDRb1は、配列番号66のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号507、好ましくは配列番号528のアミノ酸配列を含み、
5)CDRa1は、配列番号2のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号493のアミノ酸配列を含み、CDRb1は、配列番号8のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号508、好ましくは配列番号529のアミノ酸配列を含み、
6)CDRa1は、配列番号53のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号494、好ましくは配列番号521のアミノ酸配列を含み、CDRb1は、配列番号58のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号509、好ましくは配列番号530のアミノ酸配列を含み、
7)CDRa1は、配列番号71のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号495のアミノ酸配列を含み、CDRb1は、配列番号75のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号510、好ましくは配列番号531のアミノ酸配列を含み、
8)CDRa1は、配列番号99のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号496、好ましくは配列番号522のアミノ酸配列を含み、CDRb1は、配列番号75のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号511のアミノ酸配列を含み、
9)CDRa1は、配列番号80のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号497のアミノ酸配列を含み、CDRb1は、配列番号85のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号512、好ましくは配列番号532のアミノ酸配列を含み、
10)CDRa1は、配列番号107のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号498、好ましくは配列番号523のアミノ酸配列を含み、CDRb1は、配列番号112のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号513、好ましくは配列番号533のアミノ酸配列を含み、
11)CDRa1は、配列番号125のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号499のアミノ酸配列を含み、CDRb1は、配列番号112のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号514、好ましくは配列番号534のアミノ酸配列を含み、
12)CDRa1は、配列番号117のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号500のアミノ酸配列を含み、CDRb1は、配列番号58のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号515、好ましくは配列番号535のアミノ酸配列を含み、
13)CDRa1は、配列番号24のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号501、好ましくは配列番号524のアミノ酸配列を含み、CDRb1は、配列番号38のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号516、好ましくは配列番号536のアミノ酸配列を含み、
14)CDRa1は、配列番号24のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号502、好ましくは配列番号525のアミノ酸配列を含み、CDRb1は、配列番号29のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号517、好ましくは配列番号537のアミノ酸配列を含み、または
15)CDRa1は、配列番号43のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号503のアミノ酸配列を含み、CDRb1は、配列番号48のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号518、好ましくは配列番号538のアミノ酸配列を含み、
抗原結合タンパク質は、1、2または3個よりも多くのアミノ酸突然変異を有しない前記CDRa1、CDRa3、CDRb1およびCDRb3配列を含む、
抗原結合タンパク質に関する。
【0098】
CDRa3およびCDRb3に含まれる上記のアミノ酸配列はCDRa3およびCDRb3の中心アミノ酸(本明細書において「CDR3コア」とも称される)である。本発明者らは、CDR3配列内で、抗原ペプチドへの特異的結合に最も関連するアミノ酸を含むコア配列が定義可能であり、CDR3コアの外側のアミノ酸は抗原ペプチドへの特異的結合にあまり関連しないことを見出した(データ示さず)。CDR3コアはCDR3の中心の8アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、CDR3コアは、特にCDR3配列が12アミノ酸以下である場合に、CDR3の中心の8アミノ酸からなる。12アミノ酸よりも長いCDR3配列の場合、CDR3コアは、さらなるアミノ酸、特に中心の9~13アミノ酸を含んでもよい。
【0099】
実施形態1(15個の内)として本明細書に記載される全ての実施形態は、好ましくは、他の実施形態1(15個の内)と組み合わせられる。同様に、それぞれ実施形態2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15(15個の内)として本明細書に記載される全ての実施形態は、好ましくは、それぞれ他の実施形態2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15(15個の内)と組み合わせられる。例えば、実施形態1(15個の内)のCDR1およびCDR3配列は、好ましくは、実施形態1(15個の内)のCDR2配列と組み合わせられる。
【0100】
好ましい実施形態では、
1)CDRa3は、配列番号16のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号21のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
2)CDRa3は、配列番号133のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号136のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
3)CDRa3は、配列番号63のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号68のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
4)CDRa3は、配列番号92のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号96のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
5)CDRa3は、配列番号4のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号10のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
6)CDRa3は、配列番号55のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号60のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
7)CDRa3は、配列番号72のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号77のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
8)CDRa3は、配列番号101のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号104のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
9)CDRa3は、配列番号82のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号87のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
10)CDRa3は、配列番号109のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号114のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
11)CDRa3は、配列番号127のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号130のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、または
12)CDRa3は、配列番号119のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号122のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
13)CDRa3は、配列番号35のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号40のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
14)CDRa3は、配列番号26のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号31のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、または
15)CDRa3は、配列番号45のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号50のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
抗原結合タンパク質は、1、2または3個よりも多くのアミノ酸突然変異を有しない前記CDRa1、CDRa3、CDRb1およびCDRb3配列を含む。
【0101】
1、2または3個よりも多くのアミノ酸突然変異を有しないCDRa1、CDRa3、CDRb1およびCDRb3配列を含む抗原結合タンパク質は、本明細書では、CDRa1、CDRa3、CDRb1および/またはCDRb3のそれぞれにおいて1、2または3個のアミノ酸突然変異を含んでもよい抗原結合タンパク質を指す。
【0102】
抗原結合タンパク質の好ましい実施形態では、
1)CDRa2は、配列番号15のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号20のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
2)CDRa2は、配列番号25のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号76のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
3)CDRa2は、配列番号25のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号67のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
4)CDRa2は、配列番号91のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号95のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
5)CDRa2は、配列番号3のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号9のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
6)CDRa2は、配列番号54のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号59のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
7)CDRa2は、配列番号15のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号76のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
8)CDRa2は、配列番号100のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号76のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
9)CDRa2は、配列番号81のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号86のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
10)CDRa2は、配列番号108のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号113のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
11)CDRa2は、配列番号126のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号113のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
12)CDRa2は、配列番号118のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号59のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
13)CDRa2は、配列番号25のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号39のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
14)CDRa2は、配列番号25のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号30のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、または
15)CDRa2は、配列番号44のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号49のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
抗原結合タンパク質は、1、2、3または4個よりも多くのアミノ酸突然変異を有しない前記CDRa2およびCDRb2配列を含む。
【0103】
1、2、3または4個よりも多くのアミノ酸突然変異を有しないCDRa2およびCDRb2配列を含む抗原結合タンパク質は、本明細書では、CDRa2および/またはCDRb2のそれぞれにおいて1、2、3または4個のアミノ酸突然変異を含んでもよい抗原結合タンパク質を指す。
【0104】
本発明の抗原結合タンパク質の全ての実施形態では、CDRa1、CDRa2、CDRa3、CDRb1、CDRb2およびCDRb3配列内のアミノ酸突然変異が存在する場合、それは、好ましくはアミノ酸置換、より好ましくは保存的アミノ酸置換である(表1を参照)。CDR配列は、2個よりも多くの、好ましくは1個よりも多くの、アミノ酸突然変異を含まないことが好ましい。アミノ酸突然変異が存在する場合、それは、それぞれのCDR配列の最初または最後の位置にあることがさらに好ましい。最も好ましい実施形態では、CDR配列はいかなるアミノ酸突然変異も含まない。
【0105】
既知のアミノ酸配列中への突然変異の導入は、当該技術分野において周知の標準的な手順であり、当業者にとってルーチンの作業である。それぞれの方法は、当該分野において既知である(例えば2007年以来のStratageneのQuikChange Site Directed Mutagenesis Kit)。当業者は、そのため、特定の突然変異、例えば置換を、一般にアミノ酸配列中におよび特にCDR配列中に導入することが非常に十分に可能である。
【0106】
その標的への結合についてのCDRの変異体のスクリーニングもまた、当業者により応用される標準的な手順である。本出願は、CT45-IPペプチドへの本発明の抗原結合タンパク質の結合を決定するためのサイトカイン産生およびルシフェラーゼ放出アッセイを含む、機能アッセイに言及する。CT45-IPペプチドへの本発明の抗原結合タンパク質の結合はまた、デキストラマー染色により決定され得る。
【0107】
CDR中のアミノ酸突然変異のアウトカムは容易に予測可能でないことがあるが、当業者は、過度の負担なしに複数の突然変異体を生成およびスクリーニングすることが十分に可能である。当業者は、そのため、CDR内に1、2または3個のアミノ酸突然変異を有する抗原結合タンパク質を生成し、その後に、表3のCDR配列を含む抗原結合タンパク質と同じ結合特性を有する抗原結合タンパク質を同定することができる。
【0108】
好ましい実施形態では、1または2個よりも多くのアミノ酸突然変異、好ましくは1個よりも多くのアミノ酸突然変異、より好ましくは1個よりも多くのアミノ酸置換、最も好ましくは1個よりも多くの保存的アミノ酸置換は、CDRa3および/またはCDRb3の中心の8アミノ酸内、即ちCDR3コア内に含まれない。CDR3が12個より多くのアミノ酸を含む場合、1または2個よりも多くのアミノ酸突然変異、好ましくは1個よりも多くのアミノ酸突然変異、より好ましくは1個よりも多くのアミノ酸置換、最も好ましくは1個よりも多くの保存的アミノ酸置換は、CDRa3および/またはCDRb3の中心の9~13アミノ酸内、即ちCDR3コアマックス(CDR3 core max)内に含まれないことがよりいっそう好ましい(表3)。
【0109】
いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、例えば、抗原結合タンパク質を発現する細胞(抗原結合タンパク質が膜結合型である場合)、好ましくはリンパ球、より好ましくはT細胞またはNK細胞、より好ましくはT細胞において、免疫応答を誘導する。いくつかの実施形態では、免疫応答はまた、本発明の抗原結合タンパク質により動員される細胞において誘導されてもよい(抗原結合タンパク質が、例えばT細胞またはNK細胞に結合し、それにより該細胞を動員することが可能な可溶性の、二重特異性抗原結合タンパク質である場合)。好ましくは、免疫応答は、インターフェロン(IFN)γおよび/または腫瘍壊死因子(TNF)αの産生の増加によりキャラクタリゼーションされる。免疫応答は、好ましくは、CT45抗原ペプチドとMHCタンパク質との複合体を表面上に提示する腫瘍細胞に対するものである。
【0110】
いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、CT45抗原ペプチドとMHCタンパク質との複合体に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、CT45抗原ペプチドは、配列番号138からなる。いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、MHCタンパク質との複合体の配列番号138のアミノ酸配列に特異的に結合する。
【0111】
本発明の全ての態様では、CT45抗原ペプチドは、MHCクラスI HLAタンパク質、例えばHLA-A、HLA-BまたはHLA-C、好ましくはHLA-A、より好ましくはHLA-A*02との複合体中に存在することが好ましい。
【0112】
本発明の抗原結合タンパク質は、高い安定性、CT45-IP抗原ペプチドについての高い親和性、CT45-IP抗原ペプチドについての高い機能的なアビディティ、CT45-IP抗原ペプチドを提示する腫瘍細胞の殺滅における高い有効性および/またはCT45-IP抗原ペプチドについての高い特異性によりキャラクタリゼーションされる。
【0113】
本発明の抗原結合タンパク質は、増加した安定性、増加した結合親和性、増加した機能的なアビディティ、増加した有効性および/または増加した特異性、好ましくは、類似の、好ましくは同一の実験条件下で測定された場合に参照タンパク質と比較して増加した結合親和性、増加した機能的なアビディティ、増加した有効性および/または増加した特異性を有する。
【0114】
「参照タンパク質」は、本明細書では、本発明の抗原結合タンパク質が比較されるタンパク質を指す。本発明の抗原結合タンパク質と参照タンパク質との比較は、好ましくは並行して、同様の(好ましくは同一の)実験条件下で行われる。比較されるパラメータに依存して、そのような参照タンパク質は、例えば、本発明に関連して定義されているCDR配列を含まないCT45抗原ペプチドに結合するTCR、CT45に由来する異なる抗原ペプチドに結合するTCR、または無関連の抗原ペプチド、例えば抗原ペプチドNYESO1-001(配列番号188)に結合するTCRであってもよい。参照タンパク質は、好ましくは、比較される抗原結合タンパク質と同じフォーマットである。抗原結合タンパク質がTCRである場合には、好適な参照タンパク質はまた、TCRである。
【0115】
「増加した安定性」は、本明細書では、例えば、同じ実験条件下の参照タンパク質と比較して増加した抗原結合タンパク質の発現レベルを指す。本発明の抗原結合タンパク質は、高い発現レベル、特に、類似の、好ましくは同一の実験条件下で測定された場合に参照タンパク質と比較して増加した発現レベルを有する。本発明者らは、実施例4において、抗原結合タンパク質はT細胞において高い発現レベルを呈することを示した。抗原結合タンパク質の発現レベルは、例えば、デキストラマー染色により測定され得る。
【0116】
本発明の抗原結合タンパク質は、CT45-IP抗原ペプチドについての高い親和性、特に、類似の、好ましくは同一の実験条件下で測定された場合に参照タンパク質と比較して増加した親和性を有する。
【0117】
本発明の抗原結合タンパク質は、CT45-IP抗原ペプチドについての高い機能的なアビディティ、特に、類似の、好ましくは同一の実験条件下で測定された場合に参照タンパク質と比較して増加した機能的なアビディティを有する。本発明者らは、実施例1において、抗原結合タンパク質はCT45-IP抗原ペプチドについての高い機能的なアビディティを呈することを示した。機能的なアビディティは、機能アッセイ、特に、上記されている細胞傷害性アッセイにおいて決定され得る。機能的活性の測定は、ペプチド滴定実験においてEC50を決定することを含むことができる。
【0118】
本発明の抗原結合タンパク質は、CT45-IP抗原ペプチドを提示する腫瘍細胞の殺滅における高い有効性、特に、類似の、好ましくは同一の実験条件下で測定された場合に参照タンパク質と比較して増加した有効性を有する。本発明者らは、実施例5において、抗原結合タンパク質はCT45-IP抗原ペプチドを提示する腫瘍細胞の殺滅における高い有効性を呈することを示した。有効性は、機能アッセイ、特に、上記されている生細胞モニタリング細胞傷害性アッセイにおいて決定され得る。
【0119】
好ましい実施形態では、抗原結合タンパク質は、CT45-IPの構造エピトープに特異的に結合する。より好ましい実施形態では、抗原結合タンパク質は、CT45-IPの機能エピトープに特異的に結合する。本発明者らは、本発明の抗原結合タンパク質による結合に関連するCT45-IPの残基を同定するために実験を行った(実施例2、表4)。本発明者らは、配列番号138のアミノ酸3、4、5、6および7位が結合に関連することを同定した。そのため、いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、配列番号138の3、4、5、6および7位からなる群から選択される2、3または4箇所のアミノ酸位置を含むかまたはからなる機能エピトープに特異的に結合する。抗原結合タンパク質による結合に関連する残基はまた、CT45-IPの「結合モチーフ」とも称され得る。正確なエピトープまたは機能エピトープの決定は、使用された方法および選択されたカットオフ値に依存してわずかに変動し得ることを当業者は認識している。本発明に関連して、エピトープは、上記されている細胞傷害性アッセイ(ルシフェラーゼ放出)において決定されている。実験条件は実施例2においてさらに定義される。
【0120】
少なくとも1つの位置が置換されている、配列番号138に従うアミノ酸配列は、本明細書に関連して「CT45-IP変異型配列」と称される。特に、1つの位置はアラニンに置換される(配列番号139~145)。CT45-IP変異型配列を有するペプチドは、本明細書では、CT45-IP変異型ペプチドとも称される。1つの実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、減少した機能的なアビディティ、特に、配列番号138の3、4、5、6および7位の内の少なくとも1つがアラニンに置換されているCT45-IP変異型ペプチドに対する細胞傷害性アッセイ、より具体的には上記されているルシフェラーゼ放出アッセイにおける減少した細胞傷害活性、特に、CT45-IPについての機能的なアビディティと比較して70%より大きく、80%より大きく、90%より大きくまたは95%より大きく減少した機能的なアビディティを示す。
【0121】
本発明の抗原結合タンパク質は、CT45-IP抗原ペプチドについての高い特異性、特に、類似の、好ましくは同一の実験条件下で測定された場合に参照タンパク質と比較して増加した特異性を有する。本発明者らは、実施例2において、本発明の抗原結合タンパク質は、標的抗原、即ちMHCタンパク質との複合体中のCT45抗原ペプチドと高い特異性と共に結合することを実証している。
【0122】
本発明者らは、例えば、CT45-IPの配列および/またはモチーフに類似しており、そのため、CT45-IPに抗原結合タンパク質が結合するリスクが増加する、潜在的なオフターゲットペプチドを同定した。
【0123】
いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、配列番号146(SP-05-0001)、配列番号147(SP-05-0002)、配列番号148(SP-05-0003)、配列番号149(SP-05-0004)、配列番号150(SP-05-0005)、配列番号151(SP-05-0006)、配列番号152(SP-05-0007)、配列番号153(SP-05-0008)、配列番号154(SP-05-0009)および配列番号155(SP-05-0010)からなる群から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5個、または全ての類似ペプチドに有意に結合しない。いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、配列番号146(SP-05-0001)、配列番号147(SP-05-0002)、配列番号148(SP-05-0003)、配列番号150(SP-05-0005)、配列番号151(SP-05-0006)、配列番号152(SP-05-0007)、配列番号153(SP-05-0008)、配列番号154(SP-05-0009)および配列番号155(SP-05-0010)からなる群から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5個、または全ての類似ペプチドに有意に結合しない。いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、配列番号147(SP-05-0002)、配列番号151(SP-05-0006)、配列番号152(SP-05-0007)および配列番号155(SP-05-0010)からなる群から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5個、または全ての類似ペプチドに有意に結合しない。
【0124】
好ましい実施形態では、VおよびVは、TCR可変ドメイン、特に、TCRアルファ、ベータ、ガンマまたはデルタ可変ドメインである。いくつかの実施形態では、Vは、TCRアルファ、ガンマまたはデルタ可変ドメインであり、かつVは、TCRベータ、ガンマまたはデルタ可変ドメインである。好ましくは、VはTCRアルファ可変ドメインであり、かつVはTCRベータ可変ドメインであるか、またはVはTCRガンマ可変ドメインであり、かつVはTCRデルタ可変ドメインであるか、またはVはTCRアルファ可変ドメインであり、かつVはTCRガンマ可変ドメインであるか、またはVはTCRデルタ可変ドメインであり、かつVはTCRベータ可変ドメインである。好ましい実施形態では、VはTCRアルファ可変ドメインであり、かつVはTCRベータ可変ドメインである。いくつかの実施形態では、Vは、TCRアルファ可変ドメインに由来するCDR1およびCDR3および適宜CDR2を含むTCRガンマ可変ドメインであり、かつ/またはVは、TCRベータ可変ドメインに由来するCDR1およびCDR3および適宜CDR2を含むTCRデルタ可変ドメインである。
【0125】
好ましくは、V内で、
1)FR1-aは、配列番号539、554もしくは569を含むか、もしくはからなり;
FR2-aは、配列番号584を含むか、もしくはからなり;
FR3-aは、配列番号599もしくは614を含むか、もしくはからなり;かつ/もしくは
FR4-aは、配列番号629を含むか、もしくはからなり;または
2)FR1-aは、配列番号540、555もしくは570を含むか、もしくはからなり;
FR2-aは、配列番号585を含むか、もしくはからなり;
FR3-aは、配列番号600もしくは615を含むか、もしくはからなり;かつ/もしくは
FR4-aは、配列番号630を含むか、もしくはからなり;または
3)FR1-aは、配列番号541、556もしくは571を含むか、もしくはからなり;
FR2-aは、配列番号586を含むか、もしくはからなり;
FR3-aは、配列番号601もしくは616を含むか、もしくはからなり;かつ/もしくは
FR4-aは、配列番号631を含むか、もしくはからなり;または
4)FR1-aは、配列番号542、557もしくは572を含むか、もしくはからなり;
FR2-aは、配列番号587を含むか、もしくはからなり;
FR3-aは、配列番号602もしくは617を含むか、もしくはからなり;かつ/もしくは
FR4-aは、配列番号632を含むか、もしくはからなり;または
5)FR1-aは、配列番号543、558もしくは573を含むか、もしくはからなり;
FR2-aは、配列番号588を含むか、もしくはからなり;
FR3-aは、配列番号603もしくは618を含むか、もしくはからなり;かつ/もしくは
FR4-aは、配列番号633を含むか、もしくはからなり;または
6)FR1-aは、配列番号544、559、もしくは574を含むか、もしくはからなり;
FR2-aは、配列番号589を含むか、もしくはからなり;
FR3-aは、配列番号604もしくは619を含むか、もしくはからなり;かつ/もしくは
FR4-aは、配列番号634を含むか、もしくはからなり;または
7)FR1-aは、配列番号545、560もしくは575を含むか、もしくはからなり;
FR2-aは、配列番号590を含むか、もしくはからなり;
FR3-aは、配列番号605もしくは620を含むか、もしくはからなり;かつ/もしくは
FR4-aは、配列番号635を含むか、もしくはからなり;または
8)FR1-aは、配列番号546、561もしくは576を含むか、もしくはからなり;
FR2-aは、配列番号591を含むか、もしくはからなり;
FR3-aは、配列番号606もしくは621を含むか、もしくはからなり;かつ/もしくは
FR4-aは、配列番号636を含むか、もしくはからなり;または
9)FR1-aは、配列番号547、562もしくは577を含むか、もしくはからなり;
FR2-aは、配列番号592を含むか、もしくはからなり;
FR3-aは、配列番号607もしくは622を含むか、もしくはからなり;かつ/もしくは
FR4-aは、配列番号637を含むか、もしくはからなり;または
10)FR1-aは、配列番号548、563もしくは578を含むか、もしくはからなり;
FR2-aは、配列番号593を含むか、もしくはからなり;
FR3-aは、配列番号608もしくは623を含むか、もしくはからなり;かつ/もしくは
FR4-aは、配列番号638を含むか、もしくはからなり;
11)FR1-aは、配列番号549、564、もしくは579を含むか、もしくはからなり;
FR2-aは、配列番号594を含むか、もしくはからなり;
FR3-aは、配列番号609もしくは624を含むか、もしくはからなり;かつ/もしくは
FR4-aは、配列番号639を含むか、もしくはからなり;または
12)FR1-aは、配列番号550、565もしくは580を含むか、もしくはからなり;
FR2-aは、配列番号595を含むか、もしくはからなり;
FR3-aは、配列番号610もしくは625を含むか、もしくはからなり;かつ/もしくは
FR4-aは、配列番号640を含むか、もしくはからなり;または
13)FR1-aは、配列番号551、566もしくは581を含むか、もしくはからなり;
FR2-aは、配列番号596を含むか、もしくはからなり;
FR3-aは、配列番号611もしくは626を含むか、もしくはからなり;かつ/もしくは
FR4-aは、配列番号641を含むか、もしくはからなり;または
14)FR1-aは、配列番号552、567もしくは582を含むか、もしくはからなり;
FR2-aは、配列番号597を含むか、もしくはからなり;
FR3-aは、配列番号612もしくは627を含むか、もしくはからなり;かつ/もしくは
FR4-aは、配列番号642を含むか、もしくはからなり;または
15)FR1-aは、配列番号553、568もしくは583を含むか、もしくはからなり;
FR2-aは、配列番号598を含むか、もしくはからなり;
FR3-aは、配列番号613もしくは628を含むか、もしくはからなり;かつ/もしくは
FR4-aは、配列番号643を含むか、もしくはからなり;かつ
内で、
1)FR1-bは、配列番号644もしくは659を含むか、もしくはからなり;
FR2-bは、配列番号674もしくは689を含むか、もしくはからなり;
FR3-bは、配列番号704もしくは719を含むか、もしくはからなり;かつ/もしくは
FR4-bは、配列番号734を含むか、もしくはからなり;または
2)FR1-bは、配列番号645もしくは660を含むか、もしくはからなり;
FR2-bは、配列番号675もしくは690を含むか、もしくはからなり;
FR3-bは、配列番号705もしくは720を含むか、もしくはからなり;かつ/もしくは
FR4-bは、配列番号735を含むか、もしくはからなり;または
3)FR1-bは、配列番号646もしくは661を含むか、もしくはからなり;
FR2-bは、配列番号676もしくは691を含むか、もしくはからなり;
FR3-bは、配列番号706もしくは721を含むか、もしくはからなり;かつ/もしくは
FR4-bは、配列番号736を含むか、もしくはからなり;または
4)FR1-bは、配列番号647もしくは662を含むか、もしくはからなり;
FR2-bは、配列番号677もしくは692を含むか、もしくはからなり;
FR3-bは、配列番号707もしくは722を含むか、もしくはからなり;かつ/もしくは
FR4-bは、配列番号737を含むか、もしくはからなり;または
5)FR1-bは、配列番号648もしくは663を含むか、もしくはからなり;
FR2-bは、配列番号678もしくは693を含むか、もしくはからなり;
FR3-bは、配列番号708もしくは723を含むか、もしくはからなり;かつ/もしくは
FR4-bは、配列番号738を含むか、もしくはからなり;または
6)FR1-bは、配列番号649もしくは664を含むか、もしくはからなり;
FR2-bは、配列番号679もしくは694を含むか、もしくはからなり;
FR3-bは、配列番号709もしくは724を含むか、もしくはからなり;かつ/もしくは
FR4-bは、配列番号739を含むか、もしくはからなり;または
7)FR1-bは、配列番号650もしくは665を含むか、もしくはからなり;
FR2-bは、配列番号680もしくは695を含むか、もしくはからなり;
FR3-bは、配列番号710もしくは725を含むか、もしくはからなり;かつ/もしくは
FR4-bは、配列番号740を含むか、もしくはからなり;または
8)FR1-bは、配列番号651もしくは666を含むか、もしくはからなり;
FR2-bは、配列番号681もしくは696を含むか、もしくはからなり;
FR3-bは、配列番号711もしくは726を含むか、もしくはからなり;かつ/もしくは
FR4-bは、配列番号741を含むか、もしくはからなり;または
9)FR1-bは、配列番号652もしくは667を含むか、もしくはからなり;
FR2-bは、配列番号682もしくは697を含むか、もしくはからなり;
FR3-bは、配列番号712もしくは727を含むか、もしくはからなり;かつ/もしくは
FR4-bは、配列番号742を含むか、もしくはからなり;または
10)FR1-bは、配列番号653もしくは668を含むか、もしくはからなり;
FR2-bは、配列番号683もしくは698を含むか、もしくはからなり;
FR3-bは、配列番号713もしくは728を含むか、もしくはからなり;かつ/もしくは
FR4-bは、配列番号743を含むか、もしくはからなり;または
11)FR1-bは、配列番号654もしくは669を含むか、もしくはからなり;
FR2-bは、配列番号684もしくは699を含むか、もしくはからなり;
FR3-bは、配列番号714もしくは729を含むか、もしくはからなり;かつ/もしくは
FR4-bは、配列番号744を含むか、もしくはからなり;または
12)FR1-bは、配列番号655もしくは670を含むか、もしくはからなり;
FR2-bは、配列番号685もしくは700を含むか、もしくはからなり;
FR3-bは、配列番号715もしくは730を含むか、もしくはからなり;かつ/もしくは
FR4-bは、配列番号745を含むか、もしくはからなり;または
13)FR1-bは、配列番号656もしくは671を含むか、もしくはからなり;
FR2-bは、配列番号686もしくは701を含むか、もしくはからなり;
FR3-bは、配列番号716もしくは731を含むか、もしくはからなり;かつ/もしくは
FR4-bは、配列番号746を含むか、もしくはからなり;または
14)FR1-bは、配列番号657もしくは672を含むか、もしくはからなり;
FR2-bは、配列番号687もしくは702を含むか、もしくはからなり;
FR3-bは、配列番号717もしくは732を含むか、もしくはからなり;かつ/もしくは
FR4-bは、配列番号747を含むか、もしくはからなり;または
15)FR1-bは、配列番号658もしくは673を含むか、もしくはからなり;
FR2-bは、配列番号688もしくは703を含むか、もしくはからなり;
FR3-bは、配列番号718もしくは733を含むか、もしくはからなり;かつ/もしくは
FR4-bは、配列番号748を含むか、もしくはからなり、
FR1-a、FR2-a、FR3-a、FR4-a、FR1-b、FR2-b、FR3-bおよびFR4-bのそれぞれは、8、7、6、5、4、3、2または1個のアミノ酸突然変異を適宜含んでもよい。
【0126】
いくつかの実施形態では、好ましくは、
1)FR1-aは、配列番号539を含むか、もしくはからなり;
2)FR1-aは、配列番号540を含むか、もしくはからなり;
3)FR1-aは、配列番号541を含むか、もしくはからなり;
4)FR1-aは、配列番号542を含むか、もしくはからなり;
5)FR1-aは、配列番号543を含むか、もしくはからなり;
6)FR1-aは、配列番号544を含むか、もしくはからなり;
7)FR1-aは、配列番号545を含むか、もしくはからなり;
8)FR1-aは、配列番号546を含むか、もしくはからなり;
9)FR1-aは、配列番号547を含むか、もしくはからなり;
10)FR1-aは、配列番号548を含むか、もしくはからなり;
11)FR1-aは、配列番号549を含むか、もしくはからなり;
12)FR1-aは、配列番号550を含むか、もしくはからなり;
13)FR1-aは、配列番号551を含むか、もしくはからなり;
14)FR1-aは、配列番号552を含むか、もしくはからなり;または
15)FR1-aは、配列番号553を含むか、もしくはからなり、
FR1-a、FR2-a、FR3-aおよびFR4-aのそれぞれは、8、7、6、5、4、3、2または1個のアミノ酸突然変異を適宜含んでもよい。
【0127】
いくつかの実施形態では、好ましくは、
1)FR3-aは、配列番号599の10位の外側に8、7、6、5、4、3、2もしくは1個のアミノ酸突然変異を適宜含む、配列番号599を含むか、もしくはからなり;
2)FR3-aは、配列番号600の11位の外側に8、7、6、5、4、3、2もしくは1個のアミノ酸突然変異を適宜含む、配列番号600を含むか、もしくはからなり;
3)FR3-aは、配列番号601の5位の外側に8、7、6、5、4、3、2もしくは1個のアミノ酸突然変異を適宜含む、配列番号601を含むか、もしくはからなり;
4)FR3-aは、配列番号602の12位の外側に8、7、6、5、4、3、2もしくは1個のアミノ酸突然変異を適宜含む、配列番号602を含むか、もしくはからなり;
5)FR3-aは、配列番号603の22位の外側に8、7、6、5、4、3、2もしくは1個のアミノ酸突然変異を適宜含む、配列番号603を含むか、もしくはからなり;
6)FR3-aは、配列番号604の25位の外側に8、7、6、5、4、3、2もしくは1個のアミノ酸突然変異を適宜含む、配列番号604を含むか、もしくはからなり;
7)FR3-aは、配列番号605の21位の外側に8、7、6、5、4、3、2もしくは1個のアミノ酸突然変異を適宜含む、配列番号605を含むか、もしくはからなり;
8)FR3-aは、配列番号606の18位の外側に8、7、6、5、4、3、2もしくは1個のアミノ酸突然変異を適宜含む、配列番号606を含むか、もしくはからなり;
9)FR3-aは、配列番号607の24位の外側に8、7、6、5、4、3、2もしくは1個のアミノ酸突然変異を適宜含む、配列番号607を含むか、もしくはからなり;
10)FR3-aは、配列番号608の21位の外側に8、7、6、5、4、3、2もしくは1個のアミノ酸突然変異を適宜含む、配列番号608を含むか、もしくはからなり;
11)FR3-aは、配列番号609の7位の外側に8、7、6、5、4、3、2もしくは1個のアミノ酸突然変異を適宜含む、配列番号609を含むか、もしくはからなり;
12)FR3-aは、配列番号610の30位の外側に8、7、6、5、4、3、2もしくは1個のアミノ酸突然変異を適宜含む、配列番号610を含むか、もしくはからなり;
13)FR3-aは、配列番号611の18位の外側に8、7、6、5、4、3、2もしくは1個のアミノ酸突然変異を適宜含む、配列番号611を含むか、もしくはからなり;
14)FR3-aは、配列番号612の19位の外側に8、7、6、5、4、3、2もしくは1個のアミノ酸突然変異を適宜含む、配列番号612を含むか、もしくはからなり;または
15)FR3-aは、配列番号613の23位の外側に8、7、6、5、4、3、2もしくは1個のアミノ酸突然変異を適宜含む、配列番号613を含むか、もしくはからなる。
【0128】
いくつかの実施形態では、好ましくは、
1)FR2-bは、配列番号674を含むか、もしくはからなり;
2)FR2-bは、配列番号675を含むか、もしくはからなり;
3)FR2-bは、配列番号676を含むか、もしくはからなり;
4)FR2-bは、配列番号677を含むか、もしくはからなり;
5)FR2-bは、配列番号678を含むか、もしくはからなり;
6)FR2-bは、配列番号679を含むか、もしくはからなり;
7)FR2-bは、配列番号680を含むか、もしくはからなり;
8)FR2-bは、配列番号681を含むか、もしくはからなり;
9)FR2-bは、配列番号682を含むか、もしくはからなり;
10)FR2-bは、配列番号683を含むか、もしくはからなり;
11)FR2-bは、配列番号684を含むか、もしくはからなり;
12)FR2-bは、配列番号685を含むか、もしくはからなり;
13)FR2-bは、配列番号686を含むか、もしくはからなり;
14)FR2-bは、配列番号687を含むか、もしくはからなり;または
15)FR2-bは、配列番号688を含むか、もしくはからなり、
FR1-b、FR2-b、FR3-bおよびFR4-bのそれぞれは、6、5、4、3、2または1個のアミノ酸突然変異を適宜含んでもよい。
【0129】
いくつかの実施形態では、好ましくは、
1)FR2-bは、配列番号689の16位の外側に6、5、4、3、2もしくは1個のアミノ酸突然変異を適宜含む、配列番号689を含むか、もしくはからなり;または
2)FR2-bは、配列番号690の17位の外側に6、5、4、3、2もしくは1個のアミノ酸突然変異を適宜含む、配列番号690を含むか、もしくはからなり;
3)FR2-bは、配列番号691の5位の外側に6、5、4、3、2もしくは1個のアミノ酸突然変異を適宜含む、配列番号691を含むか、もしくはからなり;
4)FR2-bは、配列番号692の15位の外側に6、5、4、3、2もしくは1個のアミノ酸突然変異を適宜含む、配列番号692を含むか、もしくはからなり;
5)FR2-bは、配列番号693の7位の外側に6、5、4、3、2もしくは1個のアミノ酸突然変異を適宜含む、配列番号693を含むか、もしくはからなり;
6)FR2-bは、配列番号694の13位の外側に6、5、4、3、2もしくは1個のアミノ酸突然変異を適宜含む、配列番号694を含むか、もしくはからなり;
7)FR2-bは、配列番号695の11位の外側に6、5、4、3、2もしくは1個のアミノ酸突然変異を適宜含む、配列番号695を含むか、もしくはからなり;
8)FR2-bは、配列番号696の11位の外側に6、5、4、3、2もしくは1個のアミノ酸突然変異を適宜含む、配列番号696を含むか、もしくはからなり;
9)FR2-bは、配列番号697の1位の外側に6、5、4、3、2もしくは1個のアミノ酸突然変異を適宜含む、配列番号697を含むか、もしくはからなり;
10)FR2-bは、配列番号698の1位の外側に6、5、4、3、2もしくは1個のアミノ酸突然変異を適宜含む、配列番号698を含むか、もしくはからなり;
11)FR2-bは、配列番号699の16位の外側に6、5、4、3、2もしくは1個のアミノ酸突然変異を適宜含む、配列番号699を含むか、もしくはからなり;
12)FR2-bは、配列番号700の7位の外側に6、5、4、3、2もしくは1個のアミノ酸突然変異を適宜含む、配列番号700を含むか、もしくはからなり;
13)FR2-bは、配列番号701の11位の外側に6、5、4、3、2もしくは1個のアミノ酸突然変異を適宜含む、配列番号701を含むか、もしくはからなり;
14)FR2-bは、配列番号702の1位の外側に6、5、4、3、2もしくは1個のアミノ酸突然変異を適宜含む、配列番号702を含むか、もしくはからなり;または
15)FR2-bは、配列番号703の7位の外側に6、5、4、3、2もしくは1個のアミノ酸突然変異を適宜含む、配列番号703を含むか、もしくはからなる。
【0130】
好ましい実施形態では、
1)Vは、配列番号189、もしくは配列番号189に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有し、かつ配列番号14を含むCDRa1、配列番号489を含むCDRa3、および適宜、配列番号15を含むCDRa2を含むアミノ酸配列を含み;かつVは、配列番号339、もしくは配列番号339に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有し、かつ配列番号19を含むCDRb1、配列番号504を含むCDRb3および適宜、配列番号20を含むCDRb2を含むアミノ酸配列を含み、または
2)Vは、配列番号190、もしくは配列番号190に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有し、かつ配列番号24を含むCDRa1、配列番号490を含むCDRa3、および適宜、配列番号25を含むCDRa2を含むアミノ酸配列を含み;かつVは、配列番号340、もしくは配列番号340に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有し、かつ配列番号75を含むCDRb1、配列番号505を含むCDRb3および適宜、配列番号76を含むCDRb2を含むアミノ酸配列を含み、または
3)Vは、配列番号191、もしくは配列番号191に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有し、かつ配列番号24を含むCDRa1、配列番号491を含むCDRa3、および適宜、配列番号25を含むCDRa2を含むアミノ酸配列を含み;かつVは、配列番号341、もしくは配列番号341に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有し、かつ配列番号66を含むCDRb1、配列番号506を含むCDRb3および適宜、配列番号67を含むCDRb2を含むアミノ酸配列を含み、または
4)Vは、配列番号192、もしくは配列番号192に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有し、かつ配列番号90を含むCDRa1、配列番号492を含むCDRa3、および適宜、配列番号91を含むCDRa2を含むアミノ酸配列を含み;かつVは、配列番号342、もしくは配列番号342に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有し、かつ配列番号66を含むCDRb1、配列番号507を含むCDRb3および適宜、配列番号95を含むCDRb2を含むアミノ酸配列を含み、または
5)Vは、配列番号193、もしくは配列番号193に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有し、かつ配列番号2を含むCDRa1、配列番号493を含むCDRa3、および適宜、配列番号3を含むCDRa2を含むアミノ酸配列を含み;かつVは、配列番号343、もしくは配列番号343に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有し、かつ配列番号8を含むCDRb1、配列番号508を含むCDRb3および適宜、配列番号9を含むCDRb2を含むアミノ酸配列を含み、または
6)Vは、配列番号194、もしくは配列番号194に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有し、かつ配列番号53を含むCDRa1、配列番号494を含むCDRa3、および適宜、配列番号54を含むCDRa2を含むアミノ酸配列を含み;かつVは、配列番号344、もしくは配列番号344に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有し、かつ配列番号58を含むCDRb1、配列番号509を含むCDRb3および適宜、配列番号59を含むCDRb2を含むアミノ酸配列を含み、または
7)Vは、配列番号195、もしくは配列番号195に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有し、かつ配列番号71を含むCDRa1、配列番号495を含むCDRa3、および適宜、配列番号15を含むCDRa2を含むアミノ酸配列を含み;かつVは、配列番号345、もしくは配列番号345に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有し、かつ配列番号75を含むCDRb1、配列番号510を含むCDRb3および適宜、配列番号76を含むCDRb2を含むアミノ酸配列を含み、または
8)Vは、配列番号196、もしくは配列番号196に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有し、かつ配列番号99を含むCDRa1、配列番号496を含むCDRa3、および適宜、配列番号100を含むCDRa2を含むアミノ酸配列を含み;かつVは、配列番号346、もしくは配列番号346に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有し、かつ配列番号75を含むCDRb1、配列番号511を含むCDRb3および適宜、配列番号76を含むCDRb2を含むアミノ酸配列を含み、または
9)Vは、配列番号197、もしくは配列番号197に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有し、かつ配列番号80を含むCDRa1、配列番号497を含むCDRa3、および適宜、配列番号81を含むCDRa2を含むアミノ酸配列を含み;かつVは、配列番号347、もしくは配列番号347に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有し、かつ配列番号85を含むCDRb1、配列番号512を含むCDRb3および適宜、配列番号86を含むCDRb2を含むアミノ酸配列を含み、または
10)Vは、配列番号198、もしくは配列番号198に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有し、かつ配列番号107を含むCDRa1、配列番号498を含むCDRa3、および適宜、配列番号108を含むCDRa2を含むアミノ酸配列を含み;かつVは、配列番号348、もしくは配列番号348に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有し、かつ配列番号112を含むCDRb1、配列番号513を含むCDRb3および適宜、配列番号113を含むCDRb2を含むアミノ酸配列を含み、または
11)Vは、配列番号199、もしくは配列番号199に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有し、かつ配列番号125を含むCDRa1、配列番号499を含むCDRa3、および適宜、配列番号126を含むCDRa2を含むアミノ酸配列を含み;かつVは、配列番号349、もしくは配列番号349に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有し、かつ配列番号112を含むCDRb1、配列番号514を含むCDRb3および適宜、配列番号113を含むCDRb2を含むアミノ酸配列を含み、または
12)Vは、配列番号200、もしくは配列番号200に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有し、かつ配列番号117を含むCDRa1、配列番号500を含むCDRa3、および適宜、配列番号118を含むCDRa2を含むアミノ酸配列を含み;かつVは、配列番号350、もしくは配列番号350に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有し、かつ配列番号58を含むCDRb1、配列番号515を含むCDRb3および適宜、配列番号59を含むCDRb2を含むアミノ酸配列を含み、または
13)Vは、配列番号201、もしくは配列番号201に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有し、かつ配列番号24を含むCDRa1、配列番号501を含むCDRa3、および適宜、配列番号25を含むCDRa2を含むアミノ酸配列を含み;かつVは、配列番号351、もしくは配列番号351に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有し、かつ配列番号38を含むCDRb1、配列番号516を含むCDRb3および適宜、配列番号39を含むCDRb2を含むアミノ酸配列を含み、または
14)Vは、配列番号202、もしくは配列番号202に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有し、かつ配列番号24を含むCDRa1、配列番号502を含むCDRa3および適宜、配列番号25を含むCDRa2を含むアミノ酸配列を含み;かつVは、配列番号352、もしくは配列番号352に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有し、かつ配列番号29を含むCDRb1、配列番号517を含むCDRb3および適宜、配列番号30を含むCDRb2を含むアミノ酸配列を含み、または
15)Vは、配列番号203、もしくは配列番号203に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有し、かつ配列番号43を含むCDRa1、配列番号503を含むCDRa3および適宜、配列番号44を含むCDRa2を含むアミノ酸配列を含み;かつVは、配列番号353、もしくは配列番号353に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有し、かつ配列番号48を含むCDRb1、配列番号518を含むCDRb3および適宜、配列番号49を含むCDRb2を含むアミノ酸配列を含む。
【0131】
好ましい実施形態では、
1)Vは、配列番号189、249、264もしくは279を含み;かつVは、配列番号339、399、414もしくは429を含み、または
2)Vは、配列番号190、250、265もしくは280を含み;かつVは、配列番号340、400、415もしくは430を含み、または
3)Vは、配列番号191、251、266もしくは281を含み;かつVは、配列番号341、401、416もしくは431を含み、または
4)Vは、配列番号192、252、267もしくは282を含み;かつVは、配列番号342、402、417もしくは432を含み、または
5)Vは、配列番号193、253、268もしくは283を含み;かつVは、配列番号343、403、418もしくは433を含み、または
6)Vは、配列番号194、254、269もしくは284を含み;かつVは、配列番号344、404、419もしくは434を含み、または
7)Vは、配列番号195、255、270もしくは285を含み;かつVは、配列番号345、405、420もしくは435を含み、または
8)Vは、配列番号196、256、271もしくは286を含み;かつVは、配列番号346、406、421もしくは436を含み、または
9)Vは、配列番号197、257、272もしくは287を含み;かつVは、配列番号347、407、422、もしくは437を含み、または
10)Vは、配列番号198、258、273もしくは288を含み;かつVは、配列番号348、408、423もしくは438を含み、または
11)Vは、配列番号199、259、274もしくは289を含み;かつVは、配列番号349、409、424もしくは439を含み、または
12)Vは、配列番号200、260、275もしくは290を含み;かつVは、配列番号350、410、425もしくは440を含み、または
13)Vは、配列番号201、261、276もしくは291を含み;かつVは、配列番号351、411、426もしくは441を含み、または
14)Vは、配列番号202、262、277もしくは292を含み;かつVは、配列番号352、412、427もしくは442を含み、または
15)Vは、配列番号203、263、278もしくは293を含み;かつVは、配列番号353、413、428もしくは443を含む。
【0132】
いくつかの実施形態では、
1)Vは配列番号189を含み;かつVは配列番号414を含み、または
2)Vは配列番号190を含み;かつVは配列番号415を含み、または
3)Vは配列番号191を含み;かつVは配列番号416を含み、または
4)Vは配列番号192を含み;かつVは配列番号417を含み、または
5)Vは配列番号193を含み;かつVは配列番号418を含み、または
6)Vは配列番号194を含み;かつVは配列番号419を含み、または
7)Vは配列番号195を含み;かつVは配列番号420を含み、または
8)Vは配列番号196を含み;かつVは配列番号421を含み、または
9)Vは配列番号197を含み;かつVは配列番号422を含み、または
10)Vは配列番号198を含み;かつVは配列番号423を含み、または
11)Vは配列番号199を含み;かつVは配列番号424を含み、または
12)Vは配列番号200を含み;かつVは配列番号425を含み、または
13)Vは配列番号201を含み;かつVは配列番号426を含み、または
14)Vは配列番号202を含み;かつVは配列番号427を含み、または
15)Vは配列番号203を含み;かつVは配列番号428を含む。
【0133】
は、好ましくは、配列番号13、132、62、89、1、52、70、98、79、106、124、116、34、23、および42からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号13、132、62、89、1、52、70、98、79、106、124、116、34、23、および42に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有し、かつ、CDRa1、CDRa2およびCDRa3配列が、1、2もしくは3個のアミノ酸突然変異を含んでもよい、本発明の抗原結合タンパク質に関連して定義されているCDRa1、CDRa2およびCDRa3を含むアミノ酸配列を含むか、またはからなる。Vは、好ましくは、配列番号18、135、65、94、7、57、74、103、84、111、129、121、37、28および47からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号18、135、65、94、7、57、74、103、84、111、129、121、37、28および47に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有し、かつ、CDRb1、CDRb2およびCDRb3配列が、1、2もしくは3個のアミノ酸突然変異を含んでもよい、本発明の抗原結合タンパク質に関連して定義されているCDRa1、CDRa2およびCDRa3を含むアミノ酸配列を含むか、またはからなる。
【0134】
本発明の抗原結合タンパク質のアミノ酸配列、および対応するDNA配列において、それぞれ改変および変更を行ない得、それでも尚、望ましい特性を有する機能的な抗原結合タンパク質またはポリペプチドを得ることができる。
【0135】
好ましい実施形態では、
1)Vは、配列番号13のアミノ酸配列、もしくは配列番号13に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号18のアミノ酸配列、もしくは配列番号18に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;
2)Vは、配列番号132のアミノ酸配列、もしくは配列番号132に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号135のアミノ酸配列、もしくは配列番号135に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;
3)Vは、配列番号62のアミノ酸配列、もしくは配列番号62に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号65のアミノ酸配列、もしくは配列番号65に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;
4)Vは、配列番号89のアミノ酸配列、もしくは配列番号89に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号94のアミノ酸配列、もしくは配列番号94に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;
5)Vは、配列番号1のアミノ酸配列、もしくは配列番号1に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号7のアミノ酸配列、もしくは配列番号7に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;
6)Vは、配列番号52のアミノ酸配列、もしくは配列番号52に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号57のアミノ酸配列、もしくは配列番号57に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;
7)Vは、配列番号70のアミノ酸配列、もしくは配列番号70に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号74のアミノ酸配列、もしくは配列番号74に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;
8)Vは、配列番号98のアミノ酸配列、もしくは配列番号98に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号103のアミノ酸配列、もしくは配列番号103に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;
9)Vは、配列番号79のアミノ酸配列、もしくは配列番号79に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号84のアミノ酸配列、もしくは配列番号84に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;
10)Vは、配列番号106のアミノ酸配列、もしくは配列番号106に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号111のアミノ酸配列、もしくは配列番号111に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;
11)Vは、配列番号124のアミノ酸配列、もしくは配列番号124に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号129のアミノ酸配列、もしくは配列番号129に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;
12)Vは、配列番号116のアミノ酸配列、もしくは配列番号116に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号121のアミノ酸配列、もしくは配列番号121に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;
13)Vは、配列番号34のアミノ酸配列、もしくは配列番号34に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号37のアミノ酸配列、もしくは配列番号37に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;
14)Vは、配列番号23のアミノ酸配列、もしくは配列番号23に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号28のアミノ酸配列、もしくは配列番号28に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;または
15)Vは、配列番号42のアミノ酸配列、もしくは配列番号42に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号47のアミノ酸配列、もしくは配列番号47に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
およびVは、本発明の抗原結合タンパク質に関連して定義されているCDR配列を含み、CDR配列は、1、2または3個のアミノ酸突然変異を含んでもよく、好ましくはアミノ酸突然変異を含まない。
【0136】
好ましい実施形態では、
1)Vは、配列番号13、204、219もしくは234を含むか、もしくはからなり;かつVは、配列番号18、354、369もしくは384を含むか、もしくはからなり、または
2)Vは、配列番号132、205、220もしくは235を含むか、もしくはからなり;かつVは、配列番号135、355、370もしくは385を含むか、もしくはからなり、または
3)Vは、配列番号62、206、221もしくは236を含むか、もしくはからなり;かつVは、配列番号65、356、371もしくは386を含むか、もしくはからなり、または
4)Vは、配列番号89、207、222もしくは237を含むか、もしくはからなり;かつVは、配列番号94、357、372もしくは387を含むか、もしくはからなり、または
5)Vは、配列番号1、208、223もしくは238を含むか、もしくはからなり;かつVは、配列番号7、358、373もしくは388を含むか、もしくはからなり、または
6)Vは、配列番号52、209、224もしくは239を含むか、もしくはからなり;かつVは、配列番号57、359、374もしくは389を含むか、もしくはからなり、または
7)Vは、配列番号70、210、225もしくは240を含むか、もしくはからなり;かつVは、配列番号74、360、375もしくは390を含むか、もしくはからなり、または
8)Vは、配列番号198、211、226もしくは241を含むか、もしくはからなり;かつVは、配列番号103、361、376もしくは391を含むか、もしくはからなり、または
9)Vは、配列番号79、212、227もしくは242を含むか、もしくはからなり;かつVは、配列番号84、362、377、もしくは392を含むか、もしくはからなり、または
10)Vは、配列番号106、213、228もしくは243を含むか、もしくはからなり;かつVは、配列番号111、363、378もしくは393を含むか、もしくはからなり、または
11)Vは、配列番号124、214、229もしくは244を含むか、もしくはからなり;かつVは、配列番号129、364、379もしくは394を含むか、もしくはからなり、または
12)Vは、配列番号116、215、230もしくは245を含むか、もしくはからなり;かつVは、配列番号121、365、380もしくは395を含むか、もしくはからなり、または
13)Vは、配列番号34、216、231もしくは246を含むか、もしくはからなり;かつVは、配列番号37、366、381もしくは396を含むか、もしくはからなり、または
14)Vは、配列番号23、217、232もしくは247を含むか、もしくはからなり;かつVは、配列番号28、367、382もしくは397を含むか、もしくはからなり、または
15)Vは、配列番号42、218、233もしくは248を含むか、もしくはからなり;かつVは、配列番号47、368、383もしくは398を含むか、もしくはからなる。
【0137】
より好ましくは、
1)Vは、配列番号13のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号18のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;
2)Vは、配列番号132のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号135のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;
3)Vは、配列番号62のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号65のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;
4)Vは、配列番号89のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号94のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;
5)Vは、配列番号1のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号7のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;
6)Vは、配列番号52のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号57のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;
7)Vは、配列番号70のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号74のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;
8)Vは、配列番号98のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号103のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;
9)Vは、配列番号79のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号84のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;
10)Vは、配列番号106のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号111のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;
11)Vは、配列番号124のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号129のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;
12)Vは、配列番号116のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号121のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;
13)Vは、配列番号34のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号37のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;
14)Vは、配列番号23のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号28のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;または
15)Vは、配列番号42のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号47のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなる。
【0138】
別の実施形態では、
1)Vは、配列番号13を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号369を含むか、もしくはからなり、または
2)Vは、配列番号132を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号370を含むか、もしくはからなり、または
3)Vは、配列番号62を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号371を含むか、もしくはからなり、または
4)Vは、配列番号89を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号372を含むか、もしくはからなり、または
5)Vは、配列番号1を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号373を含むか、もしくはからなり、または
6)Vは、配列番号52を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号374を含むか、もしくはからなり、または
7)Vは、配列番号70を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号375を含むか、もしくはからなり、または
8)Vは、配列番号198を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号376を含むか、もしくはからなり、または
9)Vは、配列番号79を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号377を含むか、もしくはからなり、または
10)Vは、配列番号106を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号378を含むか、もしくはからなり、または
11)Vは、配列番号124を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号379を含むか、もしくはからなり、または
12)Vは、配列番号116を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号380を含むか、もしくはからなり、または
13)Vは、配列番号34を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号381を含むか、もしくはからなり、または
14)Vは、配列番号23を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号382を含むか、もしくはからなり、または
15)Vは、配列番号42を含むか、もしくはからなり、かつVは、配列番号383を含むか、もしくはからなる。
【0139】
抗原結合タンパク質は、一価または多価、例えば四価、三価もしくは二価であってもよい。
【0140】
抗原結合タンパク質は、単一特異性または多重特異性、例えば四重特異性、三重特異性もしくは二重特異性である。
【0141】
いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、可溶性タンパク質である。
【0142】
本発明の抗原結合タンパク質では、第1および第2のポリペプチドは、単一のポリペプチド鎖に含まれ得る。そのような一本鎖コンストラクトは、例えば、一本鎖TCR(scTCR)または一本鎖二重特異性抗原結合タンパク質、特に一本鎖二重特異性TCR、もしくは一本鎖二重特異性TCR-抗体分子であってもよい。
【0143】
第1および第2のポリペプチドは2つのポリペプチド鎖に含まれること、即ち、Vは第1のポリペプチド鎖に含まれ、かつVは第2のポリペプチド鎖に含まれることが好ましい。
【0144】
抗原結合タンパク質はTCRであることが好ましい。TCRは、α/β TCR、γ/δ TCR、一本鎖TCR、膜結合型TCR、可溶性TCR、一価、二価もしくは多価TCR、単一特異性、二重特異性もしくは多重特異性TCR、TCRの機能的断片、TCRの機能的断片を含む融合タンパク質またはTCRの機能的断片を含むキメラタンパク質からなる群から選択されてもよい。好ましい実施形態では、TCRは、α/β TCRまたはγ/δ TCR、好ましくはα/β TCRである。本発明に関連して、抗原結合タンパク質は好ましくはTCRであると記載される場合は常に、これは、最も好ましくは、抗原結合タンパク質は、α/β TCRまたはγ/δ TCR、好ましくはα/β TCRであることをさらに含意する。1つの実施形態では、TCR定常ドメイン配列は、任意の好適な種、例えば任意の哺乳動物、例えば、ヒト、ラット、サル、ウサギ、ロバ、またはマウス、好ましくはヒトまたはマウス、より好ましくはヒトに由来してもよい。1つの実施形態では、TCRは、αβ TCRであり、かつ配列番号5、750、751または156、好ましくは配列番号5、750または751のα鎖定常ドメイン(TRAC)配列、および配列番号11、32または157、好ましくは配列番号11または32のβ鎖定常ドメイン(TRBC1またはTRBC2)配列を含む。
【0145】
好ましくは、第1のポリペプチドは、配列番号17、134、64、93、6、56、73、102、83、110、128、120、36、27、46および158~172からなる群から選択される、好ましくは配列番号17、134、64、93、6、56、73、102、83、110、128、120、36、27および46からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号17、134、64、93、6、56、73、102、83、110、128、120、36、27、46もしくは158~172に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有し、かつ、CDRa1、CDRa2およびCDRa3配列が、1、2もしくは3個のアミノ酸突然変異を含んでもよい、本発明の抗原結合タンパク質に関連して定義されているCDRa1、CDRa2およびCDRa3を含むアミノ酸配列を含むか、またはからなり;かつ第2のポリペプチドは、配列番号22、137、69、97、12、61、78、105、88、115、131、123、41、33、51および173~187からなる群から選択される、好ましくは配列番号22、137、69、97、12、61、78、105、88、115、131、123、41、33および51からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号22、137、69、97、12、61、78、105、88、115、131、123、41、33、51もしくは173~187に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有し、かつ、CDRb1、CDRb2およびCDRb3配列が、1、2もしくは3個のアミノ酸突然変異を含んでもよい、本発明の抗原結合タンパク質に関連して定義されているCDRa1、CDRa2およびCDRa3を含むアミノ酸配列を含むか、またはからなる。
【0146】
より好ましくは、第1のポリペプチドは、配列番号17、134、64、93、6、56、73、102、83、110、128、120、36、27、46および158~172からなる群から選択される、好ましくは配列番号17、134、64、93、6、56、73、102、83、110、128、120、36、27および46からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号17、134、64、93、6、56、73、102、83、110、128、120、36、27、46、もしくは158~172に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有し、かつアミノ酸突然変異を有しない本発明の抗原結合タンパク質に関連して定義されているCDRa1、CDRa2およびCDRa3を含むアミノ酸配列を含むか、またはからなり;かつ第2のポリペプチドは、配列番号22、137、69、97、12、61、78 105、88、115、131、123、41、33、51および173~187からなる群から選択される、好ましくは配列番号22、137、69、97、12、61、78 105、88、115、131、123、41、33および51からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号22、137、69、97、12、61、78 105、88、115、131、123、41、33、51もしくは173~187に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有し、かつアミノ酸突然変異を有しない本発明の抗原結合タンパク質に関連して定義されているCDRa1、CDRa2およびCDRa3を含むアミノ酸配列を含むか、またはからなる。
【0147】
好ましい実施形態では、
1)第1のポリペプチドは、配列番号17のアミノ酸配列、もしくは配列番号17に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号22のアミノ酸配列、もしくは配列番号22に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;
2)第1のポリペプチドは、配列番号134のアミノ酸配列、もしくは配列番号134に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号137のアミノ酸配列、もしくは配列番号137に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;
3)第1のポリペプチドは、配列番号64のアミノ酸配列、もしくは配列番号64に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号69のアミノ酸配列、もしくは配列番号69に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;
4)第1のポリペプチドは、配列番号93のアミノ酸配列、もしくは配列番号93に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号97のアミノ酸配列、もしくは配列番号97に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;
5)第1のポリペプチドは、配列番号6のアミノ酸配列、もしくは配列番号6に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号12のアミノ酸配列、もしくは配列番号12に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;
6)第1のポリペプチドは、配列番号56のアミノ酸配列、もしくは配列番号56に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号61のアミノ酸配列、もしくは配列番号61に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;
7)第1のポリペプチドは、配列番号73のアミノ酸配列、もしくは配列番号73に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号78のアミノ酸配列、もしくは配列番号78に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;
8)第1のポリペプチドは、配列番号102のアミノ酸配列、もしくは配列番号102に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号105のアミノ酸配列、もしくは配列番号105に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;
9)第1のポリペプチドは、配列番号83のアミノ酸配列、もしくは配列番号83に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号88のアミノ酸配列、もしくは配列番号88に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;
10)第1のポリペプチドは、配列番号110のアミノ酸配列、もしくは配列番号110に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号115のアミノ酸配列、もしくは配列番号115に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;
11)第1のポリペプチドは、配列番号128のアミノ酸配列、もしくは配列番号128に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号131のアミノ酸配列、もしくは配列番号131に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;
12)第1のポリペプチドは、配列番号120のアミノ酸配列、もしくは配列番号120に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号123のアミノ酸配列、もしくは配列番号123に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;
13)第1のポリペプチドは、配列番号36のアミノ酸配列、もしくは配列番号36に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号41のアミノ酸配列、もしくは配列番号41に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;
14)第1のポリペプチドは、配列番号27のアミノ酸配列、もしくは配列番号27に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号33のアミノ酸配列、もしくは配列番号33に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;または
15)第1のポリペプチドは、配列番号46のアミノ酸配列、もしくは配列番号46に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号51のアミノ酸配列、もしくは配列番号51に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり;
第1および第2のポリペプチドは、本発明の抗原結合タンパク質に関連して定義されているCDR配列を含み、CDR配列は、1、2または3個のアミノ酸突然変異を含んでもよく、好ましくはアミノ酸突然変異を含まない。
【0148】
好ましい実施形態では、
1)第1のポリペプチドは、配列番号17、294、309もしくは324を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号22、444、459もしくは474を含むか、もしくはからなり;
2)第1のポリペプチドは、配列番号134、295、310もしくは325を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号137、445、460もしくは475を含むか、もしくはからなり;
3)第1のポリペプチドは、配列番号64、296、311もしくは326を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号69、446、461もしくは476を含むか、もしくはからなり;
4)第1のポリペプチドは、配列番号93、297、312もしくは327を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号97、447、462もしくは477を含むか、もしくはからなり;
5)第1のポリペプチドは、配列番号6、298、313もしくは328を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号12、448、463もしくは478を含むか、もしくはからなり;
6)第1のポリペプチドは、配列番号56、299、314もしくは329を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号61、449、464もしくは479を含むか、もしくはからなり;
7)第1のポリペプチドは、配列番号73、300、315もしくは330を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号78、450、465もしくは480を含むか、もしくはからなり;
8)第1のポリペプチドは、配列番号102、301、316もしくは331を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号105、451、466もしくは481を含むか、もしくはからなり;
9)第1のポリペプチドは、配列番号83、302、317もしくは332を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号88、452、467もしくは482を含むか、もしくはからなり;
10)第1のポリペプチドは、配列番号110、303、318もしくは333を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号115、453、468もしくは483を含むか、もしくはからなり;
11)第1のポリペプチドは、配列番号128、304、319もしくは334を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号131、454、469もしくは484を含むか、もしくはからなり;
12)第1のポリペプチドは、配列番号120、305、320もしくは335を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号123、455、470もしくは485を含むか、もしくはからなり;
13)第1のポリペプチドは、配列番号36、306、321もしくは336を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号41、456、471もしくは486を含むか、もしくはからなり;
14)第1のポリペプチドは、配列番号27、307、322もしくは337を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号33、457、472もしくは487を含むか、もしくはからなり;または
15)第1のポリペプチドは、配列番号46、308、323もしくは338を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号51、458、473もしくは488を含むか、もしくはからなる。
【0149】
より好ましくは、
1)第1のポリペプチドは、配列番号17を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号22を含むか、もしくはからなり;
2)第1のポリペプチドは、配列番号134を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号137を含むか、もしくはからなり;
3)第1のポリペプチドは、配列番号64を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号69を含むか、もしくはからなり;
4)第1のポリペプチドは、配列番号93を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号97を含むか、もしくはからなり;
5)第1のポリペプチドは、配列番号6を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号12を含むか、もしくはからなり;
6)第1のポリペプチドは、配列番号56を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号61を含むか、もしくはからなり;
7)第1のポリペプチドは、配列番号73を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号78を含むか、もしくはからなり;
8)第1のポリペプチドは、配列番号102を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号105を含むか、もしくはからなり;
9)第1のポリペプチドは、配列番号83を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号88を含むか、もしくはからなり;
10)第1のポリペプチドは、配列番号110を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号115を含むか、もしくはからなり;
11)第1のポリペプチドは、配列番号128を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号131を含むか、もしくはからなり;
12)第1のポリペプチドは、配列番号120を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号123を含むか、もしくはからなり;
13)第1のポリペプチドは、配列番号36を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号41を含むか、もしくはからなり;
14)第1のポリペプチドは、配列番号27を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号33を含むか、もしくはからなり;または
15)第1のポリペプチドは、配列番号46を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号51を含むか、もしくはからなる。
【0150】
他の実施形態では、
1)第1のポリペプチドは、配列番号17を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号459を含むか、もしくはからなり;
2)第1のポリペプチドは、配列番号134を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号460を含むか、もしくはからなり;
3)第1のポリペプチドは、配列番号64を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号461を含むか、もしくはからなり;
4)第1のポリペプチドは、配列番号93を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号462を含むか、もしくはからなり;
5)第1のポリペプチドは、配列番号6を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号463を含むか、もしくはからなり;
6)第1のポリペプチドは、配列番号56を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号464を含むか、もしくはからなり;
7)第1のポリペプチドは、配列番号73を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号465を含むか、もしくはからなり;
8)第1のポリペプチドは、配列番号102を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号466を含むか、もしくはからなり;
9)第1のポリペプチドは、配列番号83を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号467を含むか、もしくはからなり;
10)第1のポリペプチドは、配列番号110を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号468を含むか、もしくはからなり;
11)第1のポリペプチドは、配列番号128を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号469を含むか、もしくはからなり;
12)第1のポリペプチドは、配列番号120を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号470を含むか、もしくはからなり;
13)第1のポリペプチドは、配列番号36を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号471を含むか、もしくはからなり;
14)第1のポリペプチドは、配列番号27を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号472を含むか、もしくはからなり;または
15)第1のポリペプチドは、配列番号46を含むか、もしくはからなり、かつ第2のポリペプチドは、配列番号473を含むか、もしくはからなる。
【0151】
いくつかの好ましい実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、例えば、発現および安定性を増加させ得る異種配列、好ましくはマウス配列の導入により操作されてもよい。同様に、当該技術分野で既知のさらなる安定化突然変異(例えば、国際公開第2018/104407号パンフレット、PCT/EP2018/069151、国際公開第2011/044186号パンフレット、国際公開第2014/018863号パンフレット)、例えば、可変ドメインにおける望ましくないアミノ酸の置き換え、ならびに/または、例えばTCRの定常ドメインの間の、ジスルフィド結合の導入、および不対システインの除去が導入されてもよい。
【0152】
特に、TCR定常ドメイン配列を切断または置換により改変して、TRACのエクソン2のCys4と、TRBC1またはTRBC2のエクソン2のCys2との間のネイティブなジスルフィド結合を欠失させ得る。アルファ鎖および/またはデルタ鎖の定常ドメイン配列をまた、TRACのThr48およびTRBC1またはTRBC2のSer57のシステイン残基の置換によっても改変し得、前記システインは、TCRのアルファ定常ドメインとベータ定常ドメインとの間にジスルフィド結合を形成する。TRBC1またはTRBC2は、定常ドメインの75位でのシステインからアラニンへの突然変異、および定常ドメインの89位でのアスパラギンからアスパラギン酸への突然変異をさらに含み得る。定常ドメインは、さらにまたはあるいは、ネイティブTRACおよび/またはTRBC1/2配列に対するさらなる突然変異、置換、または欠失を含み得る。TRACおよびTRBC1/2という用語は、天然の多型変異体(例えば、TRACの4位でのNからKへ)を包含する(Bragado et al Int Immunol. 1994 Feb;6(2):223-30)。
【0153】
いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、一価または多価、例えば四価、三価もしくは二価である。
【0154】
いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、二重特異性、特に二重特異性TCR、二重特異性抗体または二重特異性TCR-抗体分子である。抗原結合タンパク質が二重特異性「抗体」である場合、抗原結合部位の1つは、本発明の抗原結合タンパク質に関連して定義されているTCR由来CDR1、CDR3および適宜CDR2配列を含み、他の抗原結合部位は全体が抗体由来であってもよいことを当業者は認識している。
【0155】
いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質は可溶性タンパク質である。いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質は可溶性TCRである。本明細書で使用される場合、「可溶性TCR」という用語は、例えばジスルフィド結合により連結された、TCR α鎖およびβ鎖の細胞外部分を含むが、ネイティブなタンパク質の膜貫通およびサイトゾルドメインを欠いた、ネイティブなTCRのヘテロ二量体切断型変異体を指す。
【0156】
1つの実施形態では、抗原結合タンパク質はヒト起源であり、これは、ヒト遺伝子座から生成され、従ってヒト配列を含むとして理解される。
【0157】
いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、ヒト化、キメラ化および/またはマウス化されている。
【0158】
一実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、下記:
(i)1箇所または複数箇所のさらなる抗原結合部位;
(ii)細胞質シグナル伝達領域を含んでもよい膜貫通領域;
(iii)診断薬;
(iv)治療薬;
の内の1つまたは複数をさらに含む。
【0159】
上記に列挙された成分(i)~(v)が、本発明の抗原結合タンパク質に融合したポリペプチドである場合には、この抗原結合タンパク質は、「TCR融合タンパク質」とも称され得る。
【0160】
さらなる抗原結合部位は、存在する場合、それは、好ましくは、抗体由来である。
【0161】
代替的なドメイン、例えば、内因性の膜貫通領域の代わりに膜アンカードメインを有する、抗原結合タンパク質、特にTCRが本発明により包含される。TCRの発現もしくは安定性および/または鎖対合を向上させるためにTCR可変ドメインまたは定常ドメイン中に点突然変異を有する抗原結合タンパク質、特にTCRもまた包含される。
【0162】
本発明に関連する「膜貫通領域」は、例えば、TCRアルファまたはベータ膜貫通ドメインであり得る。
【0163】
「細胞質シグナル伝達領域」は、例えば、TCRアルファまたはベータ細胞内ドメインであり得る。
【0164】
「診断薬」は、本明細書では、検出可能な分子または物質(例えば、蛍光分子、放射性分子、またはシグナルを生じる(直接的または間接的)ことが当該技術分野で既知のあらゆる他の標識を指す。
【0165】
当該技術分野で既知の「蛍光分子」として、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、フィコエリトリン(PE)、青色レーザーで使用されるフルオロフォア(例えば、PerCP、PE-Cy7、PE-Cy5、FL3、およびAPCまたはCy5、FL4)、赤色、紫色、またはUVレーザーで使用されるフルオロフォア(例えば、パシフィックブルー、パシフィックオレンジ)が挙げられる。
【0166】
「放射性分子」として、I123、I124、In111、Re186、Re188、Tc99等のシンチグラフィ研究用の放射性原子が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の抗原結合タンパク質はまた、核磁気共鳴(NMR)撮像(磁気共鳴撮像、MRIとしても既知である)用のスピン標識(例えば、ヨウ素-123、インジウム-111、フッ素-19、炭素-13、窒素-15、酸素-17、ガドリニウム、マンガン、または鉄)も含み得る。
【0167】
そのような診断薬は、抗原結合タンパク質に直接結合(即ち、物理的に連結)されていてもよいし、間接的に連結されていてもよい。
【0168】
「治療薬」は、本明細書では、治療効果を有する薬剤を指す。治療薬(therapeutic agent)および治療薬(therapeutic drug)という用語は、本明細書では互換的に使用される。一実施形態では、治療薬は、細胞傷害剤または放射性同位体等の成長阻害剤であり得る。
【0169】
「成長阻害剤」または「抗増殖剤」(これらは無関係に使用される得る)は、インビトロまたはインビボのいずれかで細胞(特に腫瘍細胞)の成長を阻害する化合物または組成物を指す。
【0170】
「細胞傷害剤」という用語は、本明細書で使用される場合、細胞の機能を阻害するかもしくは予防するおよび/または細胞の破壊を引き起こす物質を指す。「細胞傷害剤」という用語は、化学療法剤、酵素、抗生物質、および毒素(例えば、細菌、真菌、植物、または動物起源の低分子毒素または酵素活性毒素)(これらの断片および/または変異体を含む)、ならびに下記で開示する様々な抗腫瘍剤または抗癌剤を含むことが意図されている。いくつかの実施形態では、細胞毒製剤は、タキソイド、ビンカ、タキサン、メイタンシノイドもしくはメイタンシノイド類似体(例えば、DM1もしくはDM4)、小薬、トマイマイシンもしくはピロロベンゾジアゼピン誘導体、クリプトフィシン誘導体、レプトマイシン誘導体、オーリスタチンもしくはドラスタチン類似体、プロドラッグ、トポイソメラーゼII阻害剤、DNAアルキル化剤、抗チューブリン剤、CC-1065、またはCC-1065類似体である。
【0171】
「放射性同位体」という用語は、癌の処置に適した放射性同位体を含むことが意図されており、例えば、At211、Bi212、Er169、I131、I125、Y90、In111、P32、Re186、Re188、Sm153、Sr89、およびLuの放射性同位体を含むことが意図されている。そのような放射性同位体は、一般には、主にベータ線を放射する。一実施形態では、放射性同位体は、アルファ放射体同位体であり、より正確には、アルファ線を放射するトリウム227である。
【0172】
いくつかの実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、直接的に、または切断可能なもしくは切断不可能なリンカーを介して、少なくとも1種の成長阻害剤に共有結合している。そのような少なくとも1種の成長阻害剤が結合している抗原結合タンパク質はまた、コンジュゲートとも称され得る。切断可能なリンカーは、細胞内での抗原結合タンパク質からの細胞毒製剤または成長阻害剤の放出を促進する。例えば、酸不安定性リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、エステラーゼ不安定性リンカー、光不安定性リンカー、またはジスルフィド含有リンカー(例えば、米国特許第5,208,020号を参照されたい)を使用し得る。このリンカーはまた、場合によっては、より良好な耐性をもたらす可能性がある「切断不可能なリンカー」(例えば、SMCCリンカー)でもあり得る。
【0173】
そのようなコンジュゲート(例えば、免疫コンジュゲート)の調製は、国際公開第2004/091668号パンフレット、またはHudecz, F., Methods Mol. Biol. 298: 209-223 (2005) and Kirin et al., Inorg Chem. 44(15): 5405-5415 (2005)(これらの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)で説明されており、当業者は、そのような少なくとも1種の成長阻害剤が結合している本発明の抗原結合タンパク質の調製に転用し得る。
【0174】
あるいは、本発明の抗原結合タンパク質と、細胞傷害性ポリペプチドまたは増殖阻害性ポリペプチドとを含む融合タンパク質を、組換え技術またはペプチド合成により作製し得る。DNAの長さは、互いに隣接しているコンジュゲートの2つの部分をコードするそれぞれの領域を含んでもよいし、コンジュゲートの所望の特性を破壊しないリンカーペプチドをコードする領域により分離された、コンジュゲートの2つの部分をコードするそれぞれの領域を含んでもよい。
【0175】
本発明の抗原結合タンパク質をまた、プロドラッグ(例えば、ペプチジル化学療法剤、国際公開第81/01145号パンフレットを参照されたい)を活性抗癌剤(例えば、国際公開第88/07378号パンフレットおよび米国特許第4,975,278号明細書を参照されたい)に変換するプロドラッグ活性化酵素にポリペプチドをコンジュゲートさせることにより、依存性酵素媒介プロドラッグ療法でも使用し得る。
【0176】
いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、配列番号138のアミノ酸1、3および4位を含むか、またはからなる機能エピトープに特異的に結合する。いくつかの好ましい実施形態では、これらの抗原結合タンパク質は、配列番号138のアミノ酸1、3、4および5位、または1、3、4および6位または1、3、4、5および6位または1、3、4、5、6および7位を含むか、またはからなる機能エピトープに特異的に結合する。
【0177】
いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、配列番号138のアミノ酸4、6および7位を含むか、またはからなる機能エピトープに特異的に結合する。いくつかの好ましい実施形態では、これらの抗原結合タンパク質は、配列番号138のアミノ酸1、4、6および7位、または3、4、6および7位または1、3、4、6および7位を含むか、またはからなる機能エピトープに特異的に結合する。
【0178】
いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、配列番号138のアミノ酸5および7位を含むか、またはからなる機能エピトープに特異的に結合する。いくつかの好ましい実施形態では、これらの抗原結合タンパク質は、配列番号138のアミノ酸5、6および7位、または3、4、5、6および7位を含むか、またはからなる機能エピトープに特異的に結合する。
【0179】
いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、配列番号146(SP-05-0001)、配列番号147(SP-05-0002)、配列番号148(SP-05-0003)、配列番号149(SP-05-0004)、配列番号150(SP-05-0005)、配列番号151(SP-05-0006)、配列番号152(SP-05-0007)、配列番号153(SP-05-0008)、配列番号154(SP-05-0009)および配列番号155(SP-05-0010)からなる群の類似ペプチドに有意に結合しない。
【0180】
いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、配列番号146(SP-05-0001)、配列番号147(SP-05-0002)、配列番号148(SP-05-0003)、配列番号150(SP-05-0005)、配列番号151(SP-05-0006)、配列番号152(SP-05-0007)、配列番号153(SP-05-0008)、配列番号154(SP-05-0009)および配列番号155(SP-05-0010)からなる群の類似ペプチドに有意に結合しない。
【0181】
本発明の抗原結合タンパク質のVおよびVに含まれるV領域およびJ領域をコードする遺伝子を表2に列挙する。アノテーションは、参照データベースとしてIMGT/GENE-DB(バージョン:28/11/2019)を使用してGeneData 11.0.1により行った。
【0182】
いくつかの実施形態では、Vは、TRAV14、特にTRAV14/DV4によりコードされるV領域、ならびに配列番号24のCDRa1および配列番号25のCDRa2を含む。
【0183】
いくつかの実施形態では、Vは、TRBV13によりコードされるV領域、ならびに配列番号75のCDRb1および配列番号76のCDRb2を含む。
【0184】
いくつかの実施形態では、Vは、TRBV4-1によりコードされるV領域、ならびに配列番号58のCDRb1および配列番号59のCDRb2を含む。
【0185】
いくつかの実施形態では、Vは、TRBV6-1によりコードされるV領域、ならびに配列番号112のCDRb1および配列番号113のCDRb2を含む。
【0186】
本発明者らは、本発明の抗原結合タンパク質は、CD8+ T細胞中で発現された場合、抗原提示細胞によりMHC上に提示されたCT45-IPへの結合で前記CD8+ T細胞を活性化可能であることを示した。
【0187】
CD8+ T細胞の他に、ヘルパーT細胞と称されるCD4+ T細胞もまた、全ての種類の異なる免疫細胞にエンゲージする協調的に指揮された免疫応答のために決定的である。そのコグネイトペプチド-MHC複合体との遭遇後のT細胞の完全な活性化のために、それぞれの補助受容体の追加の結合が通常は必要である。CD8+ T細胞の場合、この助けはCD8補助受容体により提供され、CD4+ T細胞の場合、この助けはCD4補助受容体により提供される。希少な場合にのみ、CD8+ T細胞に由来するTCRは、CD4+ T細胞に移入された場合に、CD4+ T細胞の活性化をもたらすために十分に強い細胞内シグナル伝達を誘発することができる。
【0188】
本発明者らは、本発明の抗原結合タンパク質のいくつかは、CD4+ T細胞、特にCD4+ CD8- T細胞中で発現された場合、抗原提示細胞によりMHC上に提示されたCT45-IPへの結合で前記CD4+ CD8- T細胞を活性化可能であることを示した(実施例3、データ示さず)。
【0189】
本発明に関連して、抗原結合タンパク質は、上記に定義されているサイトカイン産生アッセイにおいて、抗原結合タンパク質を発現するT細胞(即ち、エフェクター細胞)が、CT45-IP抗原ペプチドを提示する標的細胞との共培養で少なくとも1つの細胞内サイトカインを産生する場合に、特に、抗原結合タンパク質を発現し、かつ少なくとも1つの細胞内サイトカインを産生するT細胞の数が、分析されたT細胞の集団、例えばCD4またはCD8 T細胞当たりで少なくとも2%、少なくとも2.5%、好ましくは少なくとも3%である場合に、「T細胞を活性化可能である」とみなされる。
【0190】
そのため、いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、CD8+ T細胞、特にCD8+ CD4- T細胞、および/またはCD4+ T細胞、特にCD4+ CD8- T細胞を活性化可能である。好ましい実施形態では、抗原結合タンパク質は、CD4+ T細胞、特にCD4+ CD8- T細胞を活性化可能である。換言すれば、抗原結合タンパク質、好ましくはTCRは、CD8から独立してCD4+T細胞を活性化可能である。換言すれば、抗原結合タンパク質、好ましくはTCRは、CD8の非存在下でCT45抗原ペプチドとMHC分子との複合体に結合可能である。最も好ましい実施形態では、抗原結合タンパク質は、CD4+ T細胞、特にCD4+ CD8- T細胞と、CD8+ T細胞、特にCD8+ CD4- T細胞との両方を活性化可能である。好ましい実施形態では、抗原結合タンパク質はTCRである。
【0191】
本発明に関連して、抗原結合タンパク質は、上記されている機能的サイトカイン産生アッセイにおいて、サイトカイン産生が、前記CD4+またはCD4- CD8+ T細胞集団の少なくとも2%、少なくとも2.5%、好ましくは少なくとも3%において検出される場合に、T細胞集団を活性化可能であるとみなされる。分泌されるサイトカインは例えばIFN-ガンマおよび/またはTNF-アルファであり得る。
【0192】
CD8+ T細胞由来TCRを介するCD4+ T細胞の活性化は、CD8補助受容体をTCRと共にCD4+細胞に移入することにより増強され得る。本発明者らは、本明細書に記載されるCT45-IP特異的TCRおよびCD8とのCD4+ T細胞の併用トランスフェクションは、CT45-IP提示腫瘍細胞の殺滅を有意に増強することを示した(実施例8、データ示さず)。エンゲージするCD4+ T細胞は、CD8+ T細胞と並んで、細胞免疫療法のために多くの利点をもたらす。CD4+ T細胞は、腫瘍細胞に対する直接的な細胞傷害性を誘発できるだけでなく、他の免疫細胞にエンゲージして、長期持続性の抗腫瘍効果に寄与することができる。このヘルパー機能は、サイトカイン、ケモカインおよび共刺激分子を提供することにより発揮され、細胞傷害性CD8+ T細胞のサポート、エフェクターおよびメモリーT細胞の形成、マクロファージ/樹状細胞の活性化および成熟、樹状細胞のライセンシング(これは次いで有効にCD8+ T細胞を刺激してCD8+ T細胞エフェクターおよびメモリー形成を駆動する)、先天免疫細胞、例えばNK細胞の活性化、メモリーB細胞の形成ならびに多くの他の効果を含む。
【0193】
いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、特に一過性発現後に、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、または少なくとも40%の平均発現を有する。TCRの平均発現は、実施例に記載されているTCR表面染色により決定され得る。染色は、当該技術分野において既知の技術により行われ得る。例えば、染色は、特定のV抗体(ヒトTCRの場合)、または抗mTCRB抗体(キメラTCRの場合)または標識されたCT45-IP:MHC多量体(例えば四量体もしくはデキストラマー)を使用して行われ得る。そのような染色は、特定の細胞集団を同定するための染色とさらに組み合わせられてもよい。
【0194】
抗原結合タンパク質1
いくつかの実施形態では、本発明は、主要組織適合複合体(MHC)タンパク質との複合体で存在しているCT45抗原ペプチドに特異的に結合する抗原結合タンパク質であって、CT45抗原ペプチドは、配列番号138のアミノ酸配列(KIFEMLEGV)を含むか、またはからなり、かつ抗原結合タンパク質は、相補性決定領域(CDR)CDRa1、CDRa2およびCDRa3を含む可変ドメインVを含む第1のポリペプチドと、CDRb1、CDRb2およびCDRb3を含む可変ドメインVを含む第2のポリペプチドとを含み、CDRa1は、配列番号14のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa3は、配列番号16のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRb1は、配列番号19のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつCDRb3は、配列番号21のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa1、CDRa3、CDRb1および/またはCDRb3配列は、1、2または3個のアミノ酸突然変異を含んでもよい、抗原結合タンパク質に関する。前記CDR配列を含む抗原結合タンパク質は以下において「抗原結合タンパク質1」とも称される。抗原結合タンパク質1の好ましい実施形態では、CDRa2は、配列番号15のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつCDRb2は、配列番号20のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa2および/またはCDRb2配列は、1、2、3または4個のアミノ酸突然変異を含んでもよい。抗原結合タンパク質1は、配列番号138の1、3、4、5、6および7位からなる群から選択される4、5または6箇所のアミノ酸位置を含むか、またはからなる機能エピトープに特異的に結合する。例えばルシフェラーゼ放出アッセイにおいて測定される、抗原結合タンパク質1を発現するT細胞によるCT45-IP:MHC複合体提示細胞、例えばCT45-IPロードT2細胞の殺滅の誘導についてのEC50は、約30nM未満、約25nM未満、約20nM未満、約15nM未満または約10nM未満である。抗原結合タンパク質1は、配列番号146(SP-05-0001)、配列番号147(SP-05-0002)、配列番号148(SP-05-0003)、配列番号149(SP-05-0004)、配列番号150(SP-05-0005)、配列番号151(SP-05-0006)、配列番号152(SP-05-0007)、配列番号153(SP-05-0008)、配列番号154(SP-05-0009)および配列番号155(SP-05-0010)からなる群から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5個、または全ての類似ペプチドに有意に結合しない。抗原結合タンパク質1の好ましい実施形態では、Vは、配列番号13のアミノ酸配列、または配列番号13に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつVは、配列番号18のアミノ酸配列、または配列番号18に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはからなり;VおよびVは、抗原結合タンパク質1について上記されているCDR配列を含み、CDR配列は、1、2または3個のアミノ酸突然変異を含んでもよく、好ましくはアミノ酸突然変異を含まない。好ましくは、抗原結合タンパク質1のアルファ鎖可変領域はTRAV38-1によりコードされ、かつ/または抗原結合タンパク質1のベータ鎖可変領域はTRBV7-9によりコードされる。好ましい実施形態では、抗原結合タンパク質1は、CD8+ T細胞、特にCD8+ CD4- T細胞、および/またはCD4+ T細胞、特にCD4+ CD8- T細胞を活性化可能である。
【0195】
抗原結合タンパク質2
いくつかの実施形態では、本発明は、主要組織適合複合体(MHC)タンパク質との複合体で存在しているCT45抗原ペプチドに特異的に結合する抗原結合タンパク質であって、CT45抗原ペプチドは、配列番号138のアミノ酸配列(KIFEMLEGV)を含むか、またはからなり、かつ抗原結合タンパク質は、相補性決定領域(CDR)CDRa1、CDRa2およびCDRa3を含む可変ドメインVを含む第1のポリペプチドと、CDRb1、CDRb2およびCDRb3を含む可変ドメインVを含む第2のポリペプチドとを含み、CDRa1は、配列番号24のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa3は、配列番号133のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRb1は、配列番号75のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつCDRb3は、配列番号136のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa1、CDRa3、CDRb1および/またはCDRb3配列は、1、2または3個のアミノ酸突然変異を含んでもよい、抗原結合タンパク質に関する。前記CDR配列を含む抗原結合タンパク質は以下において「抗原結合タンパク質2」とも称される。抗原結合タンパク質2の好ましい実施形態では、CDRa2は、配列番号25のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつCDRb2は、配列番号76のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa2および/またはCDRb2配列は、1、2、3または4個のアミノ酸突然変異を含んでもよい。抗原結合タンパク質2は、配列番号138の3、4、5、6および7位からなる群から選択される3、4または5箇所のアミノ酸位置を含むか、またはからなる機能エピトープに特異的に結合する。例えばルシフェラーゼ放出アッセイにおいて測定される、抗原結合タンパク質2を発現するT細胞によるCT45-IP:MHC複合体提示細胞、例えばCT45-IPロードT2細胞の殺滅の誘導についてのEC50は、約30nM未満、約25nM未満、約20nM未満、約15nM未満、約10nM未満または約5nM未満である。抗原結合タンパク質2は、配列番号146(SP-05-0001)、配列番号147(SP-05-0002)、配列番号148(SP-05-0003)、配列番号149(SP-05-0004)、配列番号150(SP-05-0005)、配列番号151(SP-05-0006)、配列番号152(SP-05-0007)、配列番号153(SP-05-0008)、配列番号154(SP-05-0009)および配列番号155(SP-05-0010)からなる群から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5個、または全ての類似ペプチドに有意に結合しない。抗原結合タンパク質2の好ましい実施形態では、Vは、配列番号132のアミノ酸配列、または配列番号132に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつVは、配列番号135のアミノ酸配列、または配列番号135に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはからなり;VおよびVは、抗原結合タンパク質2について上記されているCDR配列を含み、CDR配列は、1、2または3個のアミノ酸突然変異を含んでもよく、好ましくはアミノ酸突然変異を含まない。好ましくは、抗原結合タンパク質2のアルファ鎖可変領域はTRAV14/DV4によりコードされ、かつ/または抗原結合タンパク質2のベータ鎖可変領域はTRBV13によりコードされる。好ましい実施形態では、抗原結合タンパク質2は、CD8+ T細胞、特にCD8+ CD4- T細胞、および/またはCD4+ T細胞、特にCD4+ CD8- T細胞を活性化可能である。
【0196】
抗原結合タンパク質3
いくつかの実施形態では、本発明は、主要組織適合複合体(MHC)タンパク質との複合体で存在しているCT45抗原ペプチドに特異的に結合する抗原結合タンパク質であって、CT45抗原ペプチドは、配列番号138のアミノ酸配列(KIFEMLEGV)を含むか、またはからなり、かつ抗原結合タンパク質は、相補性決定領域(CDR)CDRa1、CDRa2およびCDRa3を含む可変ドメインVを含む第1のポリペプチドと、CDRb1、CDRb2およびCDRb3を含む可変ドメインVを含む第2のポリペプチドとを含み、CDRa1は、配列番号24のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa3は、配列番号63のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRb1は、配列番号66のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつCDRb3は、配列番号68のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa1、CDRa3、CDRb1および/またはCDRb3配列は、1、2または3個のアミノ酸突然変異を含んでもよい、抗原結合タンパク質に関する。前記CDR配列を含む抗原結合タンパク質は以下において「抗原結合タンパク質3」とも称される。抗原結合タンパク質3の好ましい実施形態では、CDRa2は、配列番号25のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつCDRb2は、配列番号67のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa2および/またはCDRb2配列は、1、2、3または4個のアミノ酸突然変異を含んでもよい。抗原結合タンパク質3は、配列番号138の3、4、5、6および7位からなる群から選択される3、4または5箇所のアミノ酸位置を含むか、またはからなる機能エピトープに特異的に結合する。例えばルシフェラーゼ放出アッセイにおいて測定される、抗原結合タンパク質3を発現するT細胞によるCT45-IP:MHC複合体提示細胞、例えばCT45-IPロードT2細胞の殺滅の誘導についてのEC50は、約15nM未満、約10nM未満、約5nM未満、約2.5nM未満または約1.5nM未満である。抗原結合タンパク質3は、配列番号146(SP-05-0001)、配列番号147(SP-05-0002)、配列番号148(SP-05-0003)、配列番号149(SP-05-0004)、配列番号150(SP-05-0005)、配列番号151(SP-05-0006)、配列番号152(SP-05-0007)、配列番号153(SP-05-0008)、配列番号154(SP-05-0009)および配列番号155(SP-05-0010)からなる群から選択される、好ましくは配列番号146(SP-05-0001)、配列番号147(SP-05-0002)、配列番号149(SP-05-0004)、配列番号150(SP-05-0005)、配列番号151(SP-05-0006)、配列番号152(SP-05-0007)、配列番号153(SP-05-0008)、配列番号154(SP-05-0009)および配列番号155(SP-05-0010)からなる群から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5個、または全ての類似ペプチドに有意に結合しない。抗原結合タンパク質3の好ましい実施形態では、Vは、配列番号62のアミノ酸配列、または配列番号62に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつVは、配列番号65のアミノ酸配列、または配列番号65に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはからなり;VおよびVは、抗原結合タンパク質3について上記されているCDR配列を含み、CDR配列は、1、2または3個のアミノ酸突然変異を含んでもよく、好ましくはアミノ酸突然変異を含まない。好ましくは、抗原結合タンパク質3のアルファ鎖可変領域はTRAV14/DV4によりコードされ、かつ/または抗原結合タンパク質3のベータ鎖可変領域はTRBV27によりコードされる。好ましい実施形態では、抗原結合タンパク質3は、CD8+ T細胞、特にCD8+ CD4- T細胞、および/またはCD4+ T細胞、特にCD4+ CD8- T細胞を活性化可能である。
【0197】
抗原結合タンパク質4
いくつかの実施形態では、本発明は、主要組織適合複合体(MHC)タンパク質との複合体で存在しているCT45抗原ペプチドに特異的に結合する抗原結合タンパク質であって、CT45抗原ペプチドは、配列番号138のアミノ酸配列(KIFEMLEGV)を含むか、またはからなり、かつ抗原結合タンパク質は、相補性決定領域(CDR)CDRa1、CDRa2およびCDRa3を含む可変ドメインVを含む第1のポリペプチドと、CDRb1、CDRb2およびCDRb3を含む可変ドメインVを含む第2のポリペプチドとを含み、CDRa1は、配列番号90のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa3は、配列番号92のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRb1は、配列番号66のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつCDRb3は、配列番号96のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa1、CDRa3、CDRb1および/またはCDRb3配列は、1、2または3個のアミノ酸突然変異を含んでもよい、抗原結合タンパク質に関する。前記CDR配列を含む抗原結合タンパク質は以下において「抗原結合タンパク質4」とも称される。抗原結合タンパク質4の好ましい実施形態では、CDRa2は、配列番号91のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつCDRb2は、配列番号95のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa2および/またはCDRb2配列は、1、2、3または4個のアミノ酸突然変異を含んでもよい。抗原結合タンパク質4は、配列番号138の3、4、6、7および8位からなる群から選択される3、4または5箇所のアミノ酸位置を含むか、またはからなる機能エピトープに特異的に結合する。例えばルシフェラーゼ放出アッセイにおいて測定される、抗原結合タンパク質4を発現するT細胞によるCT45-IP:MHC複合体提示細胞、例えばCT45-IPロードT2細胞の殺滅の誘導についてのEC50は、約25nM未満、約20nM未満、約15nM未満、約10nM未満、約5nM未満、約2.5nM未満または約1.5nM未満である。抗原結合タンパク質1は、配列番号146(SP-05-0001)、配列番号147(SP-05-0002)、配列番号148(SP-05-0003)、配列番号149(SP-05-0004)、配列番号150(SP-05-0005)、配列番号151(SP-05-0006)、配列番号152(SP-05-0007)、配列番号153(SP-05-0008)、配列番号154(SP-05-0009)および配列番号155(SP-05-0010)からなる群から選択される、好ましくは配列番号147(SP-05-0002)、配列番号148(SP-05-0003)、配列番号149(SP-05-0004)、配列番号150(SP-05-0005)、配列番号151(SP-05-0006)、配列番号152(SP-05-0007)、配列番号154(SP-05-0009)および配列番号155(SP-05-0010)からなる群から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5個、または全ての類似ペプチドに有意に結合しない。抗原結合タンパク質4の好ましい実施形態では、Vは、配列番号89のアミノ酸配列、または配列番号89に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつVは、配列番号94のアミノ酸配列、または配列番号94に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはからなり;VおよびVは、抗原結合タンパク質4について上記されているCDR配列を含み、CDR配列は、1、2または3個のアミノ酸突然変異を含んでもよく、好ましくはアミノ酸突然変異を含まない。好ましくは、抗原結合タンパク質4のアルファ鎖可変領域はTRAV3によりコードされ、かつ/または抗原結合タンパク質4のベータ鎖可変領域はTRBV6-2によりコードされる。好ましい実施形態では、抗原結合タンパク質4は、CD8+ T細胞、特にCD8+ CD4- T細胞、および/またはCD4+ T細胞、特にCD4+ CD8- T細胞を活性化可能である。
【0198】
抗原結合タンパク質5
いくつかの実施形態では、本発明は、主要組織適合複合体(MHC)タンパク質との複合体で存在しているCT45抗原ペプチドに特異的に結合する抗原結合タンパク質であって、CT45抗原ペプチドは、配列番号138のアミノ酸配列(KIFEMLEGV)を含むか、またはからなり、かつ抗原結合タンパク質は、相補性決定領域(CDR)CDRa1、CDRa2およびCDRa3を含む可変ドメインVを含む第1のポリペプチドと、CDRb1、CDRb2およびCDRb3を含む可変ドメインVを含む第2のポリペプチドとを含み、CDRa1は、配列番号2のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa3は、配列番号4のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRb1は、配列番号8のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつCDRb3は、配列番号10のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa1、CDRa3、CDRb1および/またはCDRb3配列は、1、2または3個のアミノ酸突然変異を含んでもよい、抗原結合タンパク質に関する。前記CDR配列を含む抗原結合タンパク質は以下において「抗原結合タンパク質5」とも称される。抗原結合タンパク質5の好ましい実施形態では、CDRa2は、配列番号3のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつCDRb2は、配列番号9のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa2および/またはCDRb2配列は、1、2、3または4個のアミノ酸突然変異を含んでもよい。抗原結合タンパク質5は、配列番号138の3、6、7および8位からなる群から選択される2、3または4箇所のアミノ酸位置を含むか、またはからなる機能エピトープに特異的に結合する。例えばルシフェラーゼ放出アッセイにおいて測定される、抗原結合タンパク質5を発現するT細胞によるCT45-IP:MHC複合体提示細胞、例えばCT45-IPロードT2細胞の殺滅の誘導についてのEC50は、約25nM未満、約15nM未満、約10nM未満、約5nM未満、約2.5nM未満、約1.5nM未満または約1nM未満である。抗原結合タンパク質5は、配列番号146(SP-05-0001)、配列番号147(SP-05-0002)、配列番号148(SP-05-0003)、配列番号149(SP-05-0004)、配列番号150(SP-05-0005)、配列番号151(SP-05-0006)、配列番号152(SP-05-0007)、配列番号153(SP-05-0008)、配列番号154(SP-05-0009)および配列番号155(SP-05-0010)からなる群から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5個、または全ての類似ペプチドに有意に結合しない。抗原結合タンパク質5の好ましい実施形態では、Vは、配列番号1のアミノ酸配列、または配列番号1に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつVは、配列番号7のアミノ酸配列、または配列番号7に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはからなり;VおよびVは、抗原結合タンパク質5について上記されているCDR配列を含み、CDR配列は、1、2または3個のアミノ酸突然変異を含んでもよく、好ましくはアミノ酸突然変異を含まない。好ましくは、抗原結合タンパク質5のアルファ鎖可変領域はTRAV35によりコードされ、かつ/または抗原結合タンパク質5のベータ鎖可変領域はTRBV9によりコードされる。好ましい実施形態では、抗原結合タンパク質5は、CD8+ T細胞、特にCD8+ CD4- T細胞、および/またはCD4+ T細胞、特にCD4+ CD8- T細胞を活性化可能である。
【0199】
抗原結合タンパク質6
いくつかの実施形態では、本発明は、主要組織適合複合体(MHC)タンパク質との複合体で存在しているCT45抗原ペプチドに特異的に結合する抗原結合タンパク質であって、CT45抗原ペプチドは、配列番号138のアミノ酸配列(KIFEMLEGV)を含むか、またはからなり、かつ抗原結合タンパク質は、相補性決定領域(CDR)CDRa1、CDRa2およびCDRa3を含む可変ドメインVを含む第1のポリペプチドと、CDRb1、CDRb2およびCDRb3を含む可変ドメインVを含む第2のポリペプチドとを含み、CDRa1は、配列番号53のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa3は、配列番号55のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRb1は、配列番号58のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつCDRb3は、配列番号60のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa1、CDRa3、CDRb1および/またはCDRb3配列は、1、2または3個のアミノ酸突然変異を含んでもよい、抗原結合タンパク質に関する。前記CDR配列を含む抗原結合タンパク質は以下において「抗原結合タンパク質6」とも称される。抗原結合タンパク質6の好ましい実施形態では、CDRa2は、配列番号54のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつCDRb2は、配列番号59のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa2および/またはCDRb2配列は、1、2、3または4個のアミノ酸突然変異を含んでもよい。抗原結合タンパク質6は、配列番号138の1、3、4および6位からなる群から選択される2、3または4箇所のアミノ酸位置を含むか、またはからなる機能エピトープに特異的に結合する。例えばルシフェラーゼ放出アッセイにおいて測定される、抗原結合タンパク質6を発現するT細胞によるCT45-IP:MHC複合体提示細胞、例えばCT45-IPロードT2細胞の殺滅の誘導についてのEC50は、約30nM未満、約25nM未満、約20nM未満、約15nM未満、約10nM未満または約5nM未満である。抗原結合タンパク質6は、配列番号146(SP-05-0001)、配列番号147(SP-05-0002)、配列番号148(SP-05-0003)、配列番号149(SP-05-0004)、配列番号150(SP-05-0005)、配列番号151(SP-05-0006)、配列番号152(SP-05-0007)、配列番号153(SP-05-0008)、配列番号154(SP-05-0009)および配列番号155(SP-05-0010)からなる群から選択される、好ましくは配列番号146(SP-05-0001)、配列番号147(SP-05-0002)、配列番号148(SP-05-0003)、配列番号150(SP-05-0005)、配列番号151(SP-05-0006)、配列番号152(SP-05-0007)、配列番号153(SP-05-0008)、配列番号154(SP-05-0009)および配列番号155(SP-05-0010)からなる群から選択される、より好ましくは配列番号146(SP-05-0001)、配列番号147(SP-05-0002)、配列番号148(SP-05-0003)、配列番号150(SP-05-0005)、配列番号151(SP-05-0006)、配列番号152(SP-05-0007)、および配列番号155(SP-05-0010)からなる群から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5個、または全ての類似ペプチドに有意に結合しない。抗原結合タンパク質6の好ましい実施形態では、Vは、配列番号52のアミノ酸配列、または配列番号52に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつVは、配列番号57のアミノ酸配列、または配列番号57に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはからなり;VおよびVは、抗原結合タンパク質6について上記されているCDR配列を含み、CDR配列は、1、2または3個のアミノ酸突然変異を含んでもよく、好ましくはアミノ酸突然変異を含まない。好ましくは、抗原結合タンパク質6のアルファ鎖可変領域はTRAV12-3によりコードされ、かつ/または抗原結合タンパク質6のベータ鎖可変領域はTRBV4-1によりコードされる。好ましい実施形態では、抗原結合タンパク質6は、CD8+ T細胞、特にCD8+ CD4- T細胞、および/またはCD4+ T細胞、特にCD4+ CD8- T細胞を活性化可能である。
【0200】
抗原結合タンパク質7
いくつかの実施形態では、本発明は、主要組織適合複合体(MHC)タンパク質との複合体で存在しているCT45抗原ペプチドに特異的に結合する抗原結合タンパク質であって、CT45抗原ペプチドは、配列番号138のアミノ酸配列(KIFEMLEGV)を含むか、またはからなり、かつ抗原結合タンパク質は、相補性決定領域(CDR)CDRa1、CDRa2およびCDRa3を含む可変ドメインVを含む第1のポリペプチドと、CDRb1、CDRb2およびCDRb3を含む可変ドメインVを含む第2のポリペプチドとを含み、CDRa1は、配列番号71のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa3は、配列番号72のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRb1は、配列番号75のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつCDRb3は、配列番号77のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa1、CDRa3、CDRb1および/またはCDRb3配列は、1、2または3個のアミノ酸突然変異を含んでもよい、抗原結合タンパク質に関する。前記CDR配列を含む抗原結合タンパク質は以下において「抗原結合タンパク質7」とも称される。抗原結合タンパク質7の好ましい実施形態では、CDRa2は、配列番号15のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつCDRb2は、配列番号76のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa2および/またはCDRb2配列は、1、2、3または4個のアミノ酸突然変異を含んでもよい。抗原結合タンパク質7は、配列番号138の1、4、6および7位からなる群から選択される3または4箇所のアミノ酸位置を含むか、またはからなる機能エピトープに特異的に結合する。例えばルシフェラーゼ放出アッセイにおいて測定される、抗原結合タンパク質7を発現するT細胞によるCT45-IP:MHC複合体提示細胞、例えばCT45-IPロードT2細胞の殺滅の誘導についてのEC50は、約5nM未満、約2.5nM未満、約1.5nM未満または約1nM未満である。抗原結合タンパク質7は、配列番号146(SP-05-0001)、配列番号147(SP-05-0002)、配列番号148(SP-05-0003)、配列番号149(SP-05-0004)、配列番号150(SP-05-0005)、配列番号151(SP-05-0006)、配列番号152(SP-05-0007)、配列番号153(SP-05-0008)、配列番号154(SP-05-0009)および配列番号155(SP-05-0010)からなる群から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5個、または全ての類似ペプチドに有意に結合しない。抗原結合タンパク質7の好ましい実施形態では、Vは、配列番号70のアミノ酸配列、または配列番号70に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつVは、配列番号74のアミノ酸配列、または配列番号74に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはからなり;VおよびVは、抗原結合タンパク質7について上記されているCDR配列を含み、CDR配列は、1、2または3個のアミノ酸突然変異を含んでもよく、好ましくはアミノ酸突然変異を含まない。好ましくは、抗原結合タンパク質7のアルファ鎖可変領域はTRAV38-2/DV8によりコードされ、かつ/または抗原結合タンパク質7のベータ鎖可変領域はTRBV13によりコードされる。好ましい実施形態では、抗原結合タンパク質7は、CD8+ T細胞、特にCD8+ CD4- T細胞、および/またはCD4+ T細胞、特にCD4+ CD8- T細胞を活性化可能である。
【0201】
抗原結合タンパク質8
いくつかの実施形態では、本発明は、主要組織適合複合体(MHC)タンパク質との複合体で存在しているCT45抗原ペプチドに特異的に結合する抗原結合タンパク質であって、CT45抗原ペプチドは、配列番号138のアミノ酸配列(KIFEMLEGV)を含むか、またはからなり、かつ抗原結合タンパク質は、相補性決定領域(CDR)CDRa1、CDRa2およびCDRa3を含む可変ドメインVを含む第1のポリペプチドと、CDRb1、CDRb2およびCDRb3を含む可変ドメインVを含む第2のポリペプチドとを含み、CDRa1は、配列番号99のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa3は、配列番号101のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRb1は、配列番号75のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつCDRb3は、配列番号104のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa1、CDRa3、CDRb1および/またはCDRb3配列は、1、2または3個のアミノ酸突然変異を含んでもよい、抗原結合タンパク質に関する。前記CDR配列を含む抗原結合タンパク質は以下において「抗原結合タンパク質8」とも称される。抗原結合タンパク質8の好ましい実施形態では、CDRa2は、配列番号100のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつCDRb2は、配列番号76のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa2および/またはCDRb2配列は、1、2、3または4個のアミノ酸突然変異を含んでもよい。抗原結合タンパク質8は、配列番号138の5および7位からなる群から選択される1または2箇所のアミノ酸位置を含むか、またはからなる機能エピトープに特異的に結合する。例えばルシフェラーゼ放出アッセイにおいて測定される、抗原結合タンパク質8を発現するT細胞によるCT45-IP:MHC複合体提示細胞、例えばCT45-IPロードT2細胞の殺滅の誘導についてのEC50は、約30nM未満、約25nM未満、約20nM未満、約15nM未満、または約10nM未満である。抗原結合タンパク質8は、配列番号146(SP-05-0001)、配列番号147(SP-05-0002)、配列番号148(SP-05-0003)、配列番号149(SP-05-0004)、配列番号150(SP-05-0005)、配列番号151(SP-05-0006)、配列番号152(SP-05-0007)、配列番号153(SP-05-0008)、配列番号154(SP-05-0009)および配列番号155(SP-05-0010)からなる群から選択される、好ましくは配列番号146(SP-05-0001)、配列番号147(SP-05-0002)、配列番号149(SP-05-0004)、配列番号150(SP-05-0005)、配列番号151(SP-05-0006)、配列番号152(SP-05-0007)、配列番号153(SP-05-0008)、配列番号154(SP-05-0009)および配列番号155(SP-05-0010)からなる群から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5個、または全ての類似ペプチドに有意に結合しない。抗原結合タンパク質8の好ましい実施形態では、Vは、配列番号98のアミノ酸配列、または配列番号98に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつVは、配列番号103のアミノ酸配列、または配列番号103に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはからなり;VおよびVは、抗原結合タンパク質8について上記されているCDR配列を含み、CDR配列は、1、2または3個のアミノ酸突然変異を含んでもよく、好ましくはアミノ酸突然変異を含まない。好ましくは、抗原結合タンパク質8のアルファ鎖可変領域はTRAV19によりコードされ、かつ/または抗原結合タンパク質8のベータ鎖可変領域はTRBV13によりコードされる。好ましい実施形態では、抗原結合タンパク質8は、CD8+ T細胞、特にCD8+ CD4- T細胞、および/またはCD4+ T細胞、特にCD4+ CD8- T細胞を活性化可能である。
【0202】
抗原結合タンパク質9
いくつかの実施形態では、本発明は、主要組織適合複合体(MHC)タンパク質との複合体で存在しているCT45抗原ペプチドに特異的に結合する抗原結合タンパク質であって、CT45抗原ペプチドは、配列番号138のアミノ酸配列(KIFEMLEGV)を含むか、またはからなり、かつ抗原結合タンパク質は、相補性決定領域(CDR)CDRa1、CDRa2およびCDRa3を含む可変ドメインVを含む第1のポリペプチドと、CDRb1、CDRb2およびCDRb3を含む可変ドメインVを含む第2のポリペプチドとを含み、CDRa1は、配列番号80のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa3は、配列番号82のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRb1は、配列番号85のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつCDRb3は、配列番号87のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa1、CDRa3、CDRb1および/またはCDRb3配列は、1、2または3個のアミノ酸突然変異を含んでもよい、抗原結合タンパク質に関する。前記CDR配列を含む抗原結合タンパク質は以下において「抗原結合タンパク質9」とも称される。抗原結合タンパク質9の好ましい実施形態では、CDRa2は、配列番号81のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつCDRb2は、配列番号86のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa2および/またはCDRb2配列は、1、2、3または4個のアミノ酸突然変異を含んでもよい。抗原結合タンパク質9は、配列番号138の1、3、4、5、6、7および8位からなる群から選択される5、6または7箇所のアミノ酸位置を含むか、またはからなる機能エピトープに特異的に結合する。例えばルシフェラーゼ放出アッセイにおいて測定される、抗原結合タンパク質9を発現するT細胞によるCT45-IP:MHC複合体提示細胞、例えばCT45-IPロードT2細胞の殺滅の誘導についてのEC50は、約5nM未満、約2.5nM未満、約1.5nM未満または約1nM未満である。抗原結合タンパク質9は、配列番号146(SP-05-0001)、配列番号147(SP-05-0002)、配列番号148(SP-05-0003)、配列番号149(SP-05-0004)、配列番号150(SP-05-0005)、配列番号151(SP-05-0006)、配列番号152(SP-05-0007)、配列番号153(SP-05-0008)、配列番号154(SP-05-0009)および配列番号155(SP-05-0010)からなる群から選択される、好ましくは配列番号146(SP-05-0001)、配列番号147(SP-05-0002)、配列番号148(SP-05-0003)、配列番号150(SP-05-0005)、配列番号151(SP-05-0006)、配列番号152(SP-05-0007)、配列番号153(SP-05-0008)、配列番号154(SP-05-0009)および配列番号155(SP-05-0010)からなる群から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5個、または全ての類似ペプチドに有意に結合しない。抗原結合タンパク質9の好ましい実施形態では、Vは、配列番号79のアミノ酸配列、または配列番号79に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつVは、配列番号84のアミノ酸配列、または配列番号84に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはからなり;VおよびVは、抗原結合タンパク質9について上記されているCDR配列を含み、CDR配列は、1、2または3個のアミノ酸突然変異を含んでもよく、好ましくはアミノ酸突然変異を含まない。好ましくは、抗原結合タンパク質9のアルファ鎖可変領域はTRAV5によりコードされ、かつ/または抗原結合タンパク質9のベータ鎖可変領域はTRBV2によりコードされる。好ましい実施形態では、抗原結合タンパク質9は、CD8+ T細胞、特にCD8+ CD4- T細胞、および/またはCD4+ T細胞、特にCD4+ CD8- T細胞を活性化可能である。
【0203】
抗原結合タンパク質10
いくつかの実施形態では、本発明は、主要組織適合複合体(MHC)タンパク質との複合体で存在しているCT45抗原ペプチドに特異的に結合する抗原結合タンパク質であって、CT45抗原ペプチドは、配列番号138のアミノ酸配列(KIFEMLEGV)を含むか、またはからなり、かつ抗原結合タンパク質は、相補性決定領域(CDR)CDRa1、CDRa2およびCDRa3を含む可変ドメインVを含む第1のポリペプチドと、CDRb1、CDRb2およびCDRb3を含む可変ドメインVを含む第2のポリペプチドとを含み、CDRa1は、配列番号107のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa3は、配列番号109のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRb1は、配列番号112のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつCDRb3は、配列番号114のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa1、CDRa3、CDRb1および/またはCDRb3配列は、1、2または3個のアミノ酸突然変異を含んでもよい、抗原結合タンパク質に関する。前記CDR配列を含む抗原結合タンパク質は以下において「抗原結合タンパク質10」とも称される。抗原結合タンパク質10の好ましい実施形態では、CDRa2は、配列番号108のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつCDRb2は、配列番号113のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa2および/またはCDRb2配列は、1、2、3または4個のアミノ酸突然変異を含んでもよい。抗原結合タンパク質10は、配列番号138の5、6および7位からなる群から選択される2または3箇所のアミノ酸位置を含むか、またはからなる機能エピトープに特異的に結合する。例えばルシフェラーゼ放出アッセイにおいて測定される、抗原結合タンパク質10を発現するT細胞によるCT45-IP:MHC複合体提示細胞、例えばCT45-IPロードT2細胞の殺滅の誘導についてのEC50は、約30nM未満、約25nM未満、約20nM未満、約15nM未満または約10nM未満である。抗原結合タンパク質10は、配列番号146(SP-05-0001)、配列番号147(SP-05-0002)、配列番号148(SP-05-0003)、配列番号149(SP-05-0004)、配列番号150(SP-05-0005)、配列番号151(SP-05-0006)、配列番号152(SP-05-0007)、配列番号153(SP-05-0008)、配列番号154(SP-05-0009)および配列番号155(SP-05-0010)からなる群から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5個、または全ての類似ペプチドに有意に結合しない。抗原結合タンパク質10の好ましい実施形態では、Vは、配列番号106のアミノ酸配列、または配列番号106に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつVは、配列番号111のアミノ酸配列、または配列番号111に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはからなり;VおよびVは、抗原結合タンパク質10について上記されているCDR配列を含み、CDR配列は、1、2または3個のアミノ酸突然変異を含んでもよく、好ましくはアミノ酸突然変異を含まない。好ましくは、抗原結合タンパク質10のアルファ鎖可変領域はTRAV1-2によりコードされ、かつ/または抗原結合タンパク質10のベータ鎖可変領域はTRBV6-1によりコードされる。好ましい実施形態では、抗原結合タンパク質10は、CD8+ T細胞、特にCD8+ CD4- T細胞、および/またはCD4+ T細胞、特にCD4+ CD8- T細胞を活性化可能である。
【0204】
抗原結合タンパク質11
いくつかの実施形態では、本発明は、主要組織適合複合体(MHC)タンパク質との複合体で存在しているCT45抗原ペプチドに特異的に結合する抗原結合タンパク質であって、CT45抗原ペプチドは、配列番号138のアミノ酸配列(KIFEMLEGV)を含むか、またはからなり、かつ抗原結合タンパク質は、相補性決定領域(CDR)CDRa1、CDRa2およびCDRa3を含む可変ドメインVを含む第1のポリペプチドと、CDRb1、CDRb2およびCDRb3を含む可変ドメインVを含む第2のポリペプチドとを含み、CDRa1は、配列番号125のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa3は、配列番号127のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRb1は、配列番号112のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつCDRb3は、配列番号130のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa1、CDRa3、CDRb1および/またはCDRb3配列は、1、2または3個のアミノ酸突然変異を含んでもよい、抗原結合タンパク質に関する。前記CDR配列を含む抗原結合タンパク質は以下において「抗原結合タンパク質11」とも称される。抗原結合タンパク質11の好ましい実施形態では、CDRa2は、配列番号126のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつCDRb2は、配列番号113のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa2および/またはCDRb2配列は、1、2、3または4個のアミノ酸突然変異を含んでもよい。抗原結合タンパク質11は、配列番号138の1、3、4、5、6および8位からなる群から選択される4、5または6箇所のアミノ酸位置を含むか、またはからなる機能エピトープに特異的に結合する。例えばルシフェラーゼ放出アッセイにおいて測定される、抗原結合タンパク質11を発現するT細胞によるCT45-IP:MHC複合体提示細胞、例えばCT45-IPロードT2細胞の殺滅の誘導についてのEC50は、約60nM未満である。抗原結合タンパク質11は、配列番号146(SP-05-0001)、配列番号147(SP-05-0002)、配列番号148(SP-05-0003)、配列番号149(SP-05-0004)、配列番号150(SP-05-0005)、配列番号151(SP-05-0006)、配列番号152(SP-05-0007)、配列番号153(SP-05-0008)、配列番号154(SP-05-0009)および配列番号155(SP-05-0010)からなる群から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5個、または全ての類似ペプチドに有意に結合しない。抗原結合タンパク質11の好ましい実施形態では、Vは、配列番号124のアミノ酸配列、または配列番号124に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつVは、配列番号129のアミノ酸配列、または配列番号129に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはからなり;VおよびVは、抗原結合タンパク質11について上記されているCDR配列を含み、CDR配列は、1、2または3個のアミノ酸突然変異を含んでもよく、好ましくはアミノ酸突然変異を含まない。好ましくは、抗原結合タンパク質11のアルファ鎖可変領域はTRAV22によりコードされ、かつ/または抗原結合タンパク質11のベータ鎖可変領域はTRBV6-1によりコードされる。好ましい実施形態では、抗原結合タンパク質11は、CD8+ T細胞、特にCD8+ CD4- T細胞、および/またはCD4+ T細胞、特にCD4+ CD8- T細胞を活性化可能である。
【0205】
抗原結合タンパク質12
いくつかの実施形態では、本発明は、主要組織適合複合体(MHC)タンパク質との複合体で存在しているCT45抗原ペプチドに特異的に結合する抗原結合タンパク質であって、CT45抗原ペプチドは、配列番号138のアミノ酸配列(KIFEMLEGV)を含むか、またはからなり、かつ抗原結合タンパク質は、相補性決定領域(CDR)CDRa1、CDRa2およびCDRa3を含む可変ドメインVを含む第1のポリペプチドと、CDRb1、CDRb2およびCDRb3を含む可変ドメインVを含む第2のポリペプチドとを含み、CDRa1は、配列番号117のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa3は、配列番号119のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRb1は、配列番号58のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつCDRb3は、配列番号122のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa1、CDRa3、CDRb1および/またはCDRb3配列は、1、2または3個のアミノ酸突然変異を含んでもよい、抗原結合タンパク質に関する。前記CDR配列を含む抗原結合タンパク質は以下において「抗原結合タンパク質12」とも称される。抗原結合タンパク質12の好ましい実施形態では、CDRa2は、配列番号118のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつCDRb2は、配列番号59のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa2および/またはCDRb2配列は、1、2、3または4個のアミノ酸突然変異を含んでもよい。抗原結合タンパク質12は、配列番号138の3、4、6および7位からなる群から選択される2、3または4箇所のアミノ酸位置を含むか、またはからなる機能エピトープに特異的に結合する。例えばルシフェラーゼ放出アッセイにおいて測定される、抗原結合タンパク質12を発現するT細胞によるCT45-IP:MHC複合体提示細胞、例えばCT45-IPロードT2細胞の殺滅の誘導についてのEC50は、約60nM未満、または約50nM未満である。抗原結合タンパク質12は、配列番号146(SP-05-0001)、配列番号147(SP-05-0002)、配列番号148(SP-05-0003)、配列番号149(SP-05-0004)、配列番号150(SP-05-0005)、配列番号151(SP-05-0006)、配列番号152(SP-05-0007)、配列番号153(SP-05-0008)、配列番号154(SP-05-0009)および配列番号155(SP-05-0010)からなる群から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5個、または全ての類似ペプチドに有意に結合しない。抗原結合タンパク質12の好ましい実施形態では、Vは、配列番号116のアミノ酸配列、または配列番号116に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつVは、配列番号121のアミノ酸配列、または配列番号121に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはからなり;VおよびVは、抗原結合タンパク質12について上記されているCDR配列を含み、CDR配列は、1、2または3個のアミノ酸突然変異を含んでもよく、好ましくはアミノ酸突然変異を含まない。好ましくは、抗原結合タンパク質12のアルファ鎖可変領域はTRAV27によりコードされ、かつ/または抗原結合タンパク質12のベータ鎖可変領域はTRBV4-1によりコードされる。好ましい実施形態では、抗原結合タンパク質12は、CD8+ T細胞、特にCD8+ CD4- T細胞、および/またはCD4+ T細胞、特にCD4+ CD8- T細胞を活性化可能である。
【0206】
抗原結合タンパク質13
いくつかの実施形態では、本発明は、主要組織適合複合体(MHC)タンパク質との複合体で存在しているCT45抗原ペプチドに特異的に結合する抗原結合タンパク質であって、CT45抗原ペプチドは、配列番号138のアミノ酸配列(KIFEMLEGV)を含むか、またはからなり、かつ抗原結合タンパク質は、相補性決定領域(CDR)CDRa1、CDRa2およびCDRa3を含む可変ドメインVを含む第1のポリペプチドと、CDRb1、CDRb2およびCDRb3を含む可変ドメインVを含む第2のポリペプチドとを含み、CDRa1は、配列番号24のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa3は、配列番号35のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRb1は、配列番号38のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつCDRb3は、配列番号40のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa1、CDRa3、CDRb1および/またはCDRb3配列は、1、2または3個のアミノ酸突然変異を含んでもよい、抗原結合タンパク質に関する。前記CDR配列を含む抗原結合タンパク質は以下において「抗原結合タンパク質13」とも称される。抗原結合タンパク質13の好ましい実施形態では、CDRa2は、配列番号25のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつCDRb2は、配列番号39のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa2および/またはCDRb2配列は、1、2、3または4個のアミノ酸突然変異を含んでもよい。抗原結合タンパク質13は、配列番号138の1、3、4、6および7位からなる群から選択される3、4または5箇所のアミノ酸位置を含むか、またはからなる機能エピトープに特異的に結合する。例えばルシフェラーゼ放出アッセイにおいて測定される、抗原結合タンパク質13を発現するT細胞によるCT45-IP:MHC複合体提示細胞、例えばCT45-IPロードT2細胞の殺滅の誘導についてのEC50は、約50nM未満、約30nM未満、約25nM未満、約20nM未満または約15nM未満である。抗原結合タンパク質13は、配列番号146(SP-05-0001)、配列番号147(SP-05-0002)、配列番号148(SP-05-0003)、配列番号149(SP-05-0004)、配列番号150(SP-05-0005)、配列番号151(SP-05-0006)、配列番号152(SP-05-0007)、配列番号153(SP-05-0008)、配列番号154(SP-05-0009)および配列番号155(SP-05-0010)からなる群から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5個、または全ての類似ペプチドに有意に結合しない。抗原結合タンパク質13の好ましい実施形態では、Vは、配列番号34のアミノ酸配列、または配列番号34に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつVは、配列番号37のアミノ酸配列、または配列番号37に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはからなり;VおよびVは、抗原結合タンパク質13について上記されているCDR配列を含み、CDR配列は、1、2または3個のアミノ酸突然変異を含んでもよく、好ましくはアミノ酸突然変異を含まない。好ましくは、抗原結合タンパク質13のアルファ鎖可変領域はTRAV14/DV4によりコードされ、かつ/または抗原結合タンパク質13のベータ鎖可変領域はTRBV19によりコードされる。好ましい実施形態では、抗原結合タンパク質13は、CD8+ T細胞、特にCD8+ CD4- T細胞、および/またはCD4+ T細胞、特にCD4+ CD8- T細胞を活性化可能である。
【0207】
抗原結合タンパク質14
いくつかの実施形態では、本発明は、主要組織適合複合体(MHC)タンパク質との複合体で存在しているCT45抗原ペプチドに特異的に結合する抗原結合タンパク質であって、CT45抗原ペプチドは、配列番号138のアミノ酸配列(KIFEMLEGV)を含むか、またはからなり、かつ抗原結合タンパク質は、相補性決定領域(CDR)CDRa1、CDRa2およびCDRa3を含む可変ドメインVを含む第1のポリペプチドと、CDRb1、CDRb2およびCDRb3を含む可変ドメインVを含む第2のポリペプチドとを含み、CDRa1は、配列番号24のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa3は、配列番号26のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRb1は、配列番号29のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつCDRb3は、配列番号31のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa1、CDRa3、CDRb1および/またはCDRb3配列は、1、2または3個のアミノ酸突然変異を含んでもよい、抗原結合タンパク質に関する。前記CDR配列を含む抗原結合タンパク質は以下において「抗原結合タンパク質14」とも称される。抗原結合タンパク質14の好ましい実施形態では、CDRa2は、配列番号25のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつCDRb2は、配列番号30のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa2および/またはCDRb2配列は、1、2、3または4個のアミノ酸突然変異を含んでもよい。抗原結合タンパク質14は、配列番号138の1、3、4および5位からなる群から選択される2、3または4箇所のアミノ酸位置を含むか、またはからなる機能エピトープに特異的に結合する。例えばルシフェラーゼ放出アッセイにおいて測定される、抗原結合タンパク質14を発現するT細胞によるCT45-IP:MHC複合体提示細胞、例えばCT45-IPロードT2細胞の殺滅の誘導についてのEC50は、約50nM未満、約30nM未満、約25nM未満または約20nM未満である。抗原結合タンパク質14は、配列番号146(SP-05-0001)、配列番号147(SP-05-0002)、配列番号148(SP-05-0003)、配列番号149(SP-05-0004)、配列番号150(SP-05-0005)、配列番号151(SP-05-0006)、配列番号152(SP-05-0007)、配列番号153(SP-05-0008)、配列番号154(SP-05-0009)および配列番号155(SP-05-0010)からなる群から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5個、または全ての類似ペプチドに有意に結合しない。抗原結合タンパク質14の好ましい実施形態では、Vは、配列番号23のアミノ酸配列、または配列番号23に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつVは、配列番号28のアミノ酸配列、または配列番号28に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはからなり;VおよびVは、抗原結合タンパク質14について上記されているCDR配列を含み、CDR配列は、1、2または3個のアミノ酸突然変異を含んでもよく、好ましくはアミノ酸突然変異を含まない。好ましくは、抗原結合タンパク質14のアルファ鎖可変領域はTRAV14/DV4によりコードされ、かつ/または抗原結合タンパク質14のベータ鎖可変領域はTRBV11-2によりコードされる。好ましい実施形態では、抗原結合タンパク質14は、CD8+ T細胞、特にCD8+ CD4- T細胞、および/またはCD4+ T細胞、特にCD4+ CD8- T細胞を活性化可能である。
【0208】
抗原結合タンパク質15
いくつかの実施形態では、本発明は、主要組織適合複合体(MHC)タンパク質との複合体で存在しているCT45抗原ペプチドに特異的に結合する抗原結合タンパク質であって、CT45抗原ペプチドは、配列番号138のアミノ酸配列(KIFEMLEGV)を含むか、またはからなり、かつ抗原結合タンパク質は、相補性決定領域(CDR)CDRa1、CDRa2およびCDRa3を含む可変ドメインVを含む第1のポリペプチドと、CDRb1、CDRb2およびCDRb3を含む可変ドメインVを含む第2のポリペプチドとを含み、CDRa1は、配列番号43のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa3は、配列番号45のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRb1は、配列番号48のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつCDRb3は、配列番号50のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa1、CDRa3、CDRb1および/またはCDRb3配列は、1、2または3個のアミノ酸突然変異を含んでもよい、抗原結合タンパク質に関する。前記CDR配列を含む抗原結合タンパク質は以下において「抗原結合タンパク質15」とも称される。抗原結合タンパク質15の好ましい実施形態では、CDRa2は、配列番号44のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつCDRb2は、配列番号49のアミノ酸配列を含むか、またはからなり、CDRa2および/またはCDRb2配列は、1、2、3または4個のアミノ酸突然変異を含んでもよい。抗原結合タンパク質15は、配列番号138の1、3、4、5、6および7位からなる群から選択される4、5または6箇所のアミノ酸位置を含むか、またはからなる機能エピトープに特異的に結合する。例えばルシフェラーゼ放出アッセイにおいて測定される、抗原結合タンパク質15を発現するT細胞によるCT45-IP:MHC複合体提示細胞、例えばCT45-IPロードT2細胞の殺滅の誘導についてのEC50は、約50nM未満、約30nM未満、約25nM未満または約20nM未満である。抗原結合タンパク質15は、配列番号146(SP-05-0001)、配列番号147(SP-05-0002)、配列番号148(SP-05-0003)、配列番号149(SP-05-0004)、配列番号150(SP-05-0005)、配列番号151(SP-05-0006)、配列番号152(SP-05-0007)、配列番号153(SP-05-0008)、配列番号154(SP-05-0009)および配列番号155(SP-05-0010)からなる群から選択される、好ましくは配列番号146(SP-05-0001)、配列番号147(SP-05-0002)、配列番号148(SP-05-0003)、配列番号149(SP-05-0004)、配列番号151(SP-05-0006)、配列番号152(SP-05-0007)、および配列番号155(SP-05-0010)からなる群から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5個、または全ての類似ペプチドに有意に結合しない。抗原結合タンパク質15の好ましい実施形態では、Vは、配列番号42のアミノ酸配列、または配列番号42に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつVは、配列番号27のアミノ酸配列、または配列番号27に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはからなり;VおよびVは、抗原結合タンパク質15について上記されているCDR配列を含み、CDR配列は、1、2または3個のアミノ酸突然変異を含んでもよく、好ましくはアミノ酸突然変異を含まない。好ましくは、抗原結合タンパク質15のアルファ鎖可変領域はTRAV21によりコードされ、かつ/または抗原結合タンパク質15のベータ鎖可変領域はTRBV5-1によりコードされる。好ましい実施形態では、抗原結合タンパク質15は、CD8+ T細胞、特にCD8+ CD4- T細胞、および/またはCD4+ T細胞、特にCD4+ CD8- T細胞を活性化可能である。
【0209】
本発明はまた、抗原結合タンパク質(特に、TCR)を提示する粒子、および粒子のライブラリ内の前記粒子の包含も含む。そのような粒子として、ファージ、酵母、リボソーム、または哺乳動物細胞が挙げられるが、これらに限定されない。そのような粒子およびライブラリを製造する方法は、当該技術分野で既知である(例えば、国際公開第2004/044004号パンフレット;同第01/48145号パンフレット,Chervin et al. (2008) J. Immuno. Methods 339.2: 175-184を参照されたい)。
【0210】
核酸、ベクター、および組換え宿主細胞
本発明の抗原結合タンパク質のポリペプチドは、核酸によりコードされ、インビボ(in vivo)、エクスビボ(ex vivo)またはインビトロ(in vitro)で発現され得る。そのため、第2の態様では、本発明は、本発明の第1の態様の抗原結合タンパク質をコードする1つまたは複数の配列を含むか、またはからなる1つまたは複数の核酸に関する。
【0211】
核酸は、1つの核酸分子に含まれてもよく、または2つもしくはより多くの核酸分子に分離されてもよく、それぞれの核酸分子は、本発明の第1の態様の抗原結合タンパク質をコードする1つまたは複数の配列の内の少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、1つの核酸分子は、本発明の抗原結合タンパク質の1つの部分または単量体(例えば本発明のTCRの2つの鎖の内の1つ)をコードし、かつ別の核酸分子は、本発明の抗原結合タンパク質の別の部分または単量体(例えばTCRの2つの鎖の内の他方)をコードする。いくつかの実施形態では、核酸は、2つまたはより多くの抗原結合タンパク質ポリペプチド鎖、例えば、少なくとも2つのTCR鎖をコードする。複数の抗原結合タンパク質ポリペプチド鎖をコードする核酸は、少なくとも2つの鎖配列の間の核酸切断部位を含むことができ、転写もしくは翻訳開始部位、例えば2つもしくはより多くの鎖配列の間の内部リボソーム進入部位(IRES)をコードすることができ、かつ/または2つもしくはより多くの抗原結合タンパク質鎖の間のタンパク質分解標的部位をコードすることができる。2つまたはより多くの抗原結合タンパク質ポリペプチド鎖が1つの核酸分子上にコードされる場合、2つまたはより多くの抗原結合タンパク質ポリペプチド鎖は、同じプロモーターの制御下または別々のプロモーターの制御下にあることができる。
【0212】
「核酸」という用語は、本発明に関連して、デオキシリボヌクレオチド、またはリボヌクレオチド塩基、または両方の一本鎖または二本鎖のオリゴマーまたはポリマーを指す。ヌクレオチド単量体は、核酸塩基、五炭糖(例えば、限定されないが、リボースまたは2’-デオキシリボース)、および1~3個のリン酸基で構成されている。典型的には、核酸は、個々のヌクレオチド単量体間のホスホジエステル結合により形成されている。本発明に関連して、核酸という用語は、リボ核酸(RNA)分子およびデオキシリボ核酸(DNA)分子を含むがこれらに限定されず、他の結合を含む核酸の合成形態も含む[例えば、Nielsen et al. (Science 254:1497-1500, 1991)で説明されているペプチド核酸]。典型的には、核酸は、一本鎖分子または二本鎖分子であり、天然に存在するヌクレオチドで構成されている。核酸の一本鎖の描写は、相補鎖の配列も(少なくとも部分的に)定義する。核酸は、一本鎖であってもよいし二本鎖であってもよいか、または二本鎖配列および一本鎖配列の両方の一部を含んでもよい。例示されている二本鎖核酸分子は、3’または5’オーバーハングを有し得、そのため、その全長にわたり完全な二本鎖である必要はないが、そうであると思われる。核酸という用語は、染色体または染色体セグメント、ベクター(例えば、発現ベクター)、発現カセット、裸のDNAまたはRNAポリマー、プライマー、プローブ、cDNA、ゲノムDNA、組換えDNA、cRNA、mRNA、tRNA、マイクロRNA(miRNA)、または低分子干渉RNA(siRNA)を含む。核酸は、例えば、一本鎖、二本鎖、または三本鎖であり得、任意の特定の長さに限定されない。別途示されない限り、特定の核酸配列は、明示的に示されている任意の配列に加えて、相補配列を含むか、またはコードする。
【0213】
好ましい実施形態では、核酸は、単離された核酸である。好ましい実施形態では、核酸は組換え核酸である。
【0214】
核酸は、細胞全体中に存在し得、細胞溶解物中に存在し得、または部分的に精製されているかもしくは実質的に純粋な形態の核酸であり得る。核酸は、標準的な技術により、他の細胞成分または他の夾雑物(例えば、他の細胞核酸またはタンパク質)から精製されている場合に、「単離されている」か、または「実質的に純粋になっている」。
【0215】
本開示の核酸分子を、増幅およびRNAの逆転写の方法が挙げられるがこれらに限定されない標準的な分子生物学的技術を使用し得ることができる。例えば可変鎖をコードするDAN断片が得られると、このDNA断片を、標準的な組換えDNA技術によりさらに操作して、例えば可変領域遺伝子を完全長鎖遺伝子へと変換させ得る。この操作では、変異体をコードするDNA断片は、別のDNA分子、または別のタンパク質(例えば、定常領域またはフレキシブルリンカー)をコードする断片に、作動可能に連結されている。「作動可能に連結されている」という用語は、この文脈で使用される場合、例えば、2つのDNA断片によりコードされるアミノ酸配列がインフレームのままであるように、またはタンパク質が所望のプロモーターの制御下で発現されるように、これら2つのDNA断片が機能的に連結されていることを意味することが意図されている。可変コードDNAを、定常領域をコードする別のDNA分子に作動可能に連結することにより、可変領域(例えば、可変アルファ領域および/または可変ベータ領域)をコードする単離DNAを完全長鎖遺伝子へと変換させ得る。例えばTCRまたは抗体に関するヒト定常領域遺伝子の配列は、当該技術分野で既知であり、この領域を包含するDNA断片を、標準的なPCR増幅により得ることができる。
【0216】
典型的には、前記核酸は、1つまたは複数のDNAまたはRNA分子を含み、該分子は、1つまたは複数の好適なベクターに含まれてもよい。
【0217】
第3の態様では、本発明は、本発明の第2の態様の核酸を含むベクターまたはベクターの集合物に関する。好ましくは、抗原結合タンパク質をコードする配列は、プロモーター配列に作動可能に連結されている。「ベクターの集合物」は、本明細書では、2つまたはより多くのベクターを指す。2つまたはより多くの抗原結合タンパク質ポリペプチド鎖が1つのベクター上にコードされる場合、2つまたはより多くの抗原結合タンパク質ポリペプチド鎖は、同じプロモーターの制御下または別々のプロモーターの制御下にあることができる。
【0218】
「ベクター」、「クローニングベクター」、および「発現ベクター」という用語は、DNAまたはRNA配列(例えば外来遺伝子)を宿主細胞に導入して、この宿主を形質転換して、導入された配列の発現(例えば、転写および翻訳)を促進し得る媒体を指す。
【0219】
様々な発現ベクターを採用して、抗原結合タンパク質またはその機能的断片をコードするポリヌクレオチドを発現させ得る。ウイルスベースの発現ベクターおよび非ウイルスベースの発現ベクターの両方を使用して、哺乳動物宿主細胞中において、本明細書で説明されている抗原結合タンパク質またはその機能的断片を産生させ得る。非ウイルス性のベクターおよびシステムとして、複数のプラスミド、プラスミド、コスミド、エピソーム、人工染色体、ファージ、またはウイルスベクターが挙げられる。
【0220】
そのようなベクターは、対象への投与時に前記ポリペプチドの発現を引き起こすかまたは誘導するために、調節エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、ターミネーター、および同類のもの)を含み得る。動物細胞用の発現ベクターで使用されるプロモーターおよびエンハンサーの例として、SV40の初期プロモーターおよびエンハンサー(Mizukami T. et al. 1987)、Moloneyマウス白血病ウイルスのLTRプロモーターおよびエンハンサー(Kuwana Y et al. 1987)、抗体重鎖のプロモーター(Mason JO et al. 1985)およびエンハンサー(Gillies SD et al. 1983)、ならびに同類のものが挙げられる。
【0221】
例えば、哺乳動物(例えば、ヒトまたは非ヒト)細胞中における、本明細書で説明されているポリヌクレオチドおよびポリペプチドの発現に有用な非ウイルスベクターとして、タンパク質の発現用に当該技術分野で既知の全ての好適なベクターが挙げられる。プラスミドの他の例として、複製起点を含む複製プラスミド、または組込みプラスミド(例えばpUC、pcDNA、pBR、および同類のもの)が挙げられる。
【0222】
「ウイルスベクター」という用語は、ウイルス起源の少なくとも1つの要素を含み、ウイルスベクター粒子へとパッケージされる能力を有しており、かつ少なくとも外来性核酸をコードする核酸ベクターコンストラクトを指す。ベクターおよび/または粒子を、インビトロまたはインビボのいずれかで細胞に目的の核酸を導入する目的に利用し得る。多数の形態のウイルスベクターが、当該技術分野で既知である。有用なウイルスベクターとして、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルスに基づくベクター、SV40、パピローマウイルス、エプスタイン・バーウイルス、ワクシニアウイルスベクター、およびSemliki Forest virus(SFV)に基づくベクターが挙げられる。組換えウイルスを、当該技術分野で既知の技術により製造し得、例えば、パッケージング細胞をトランスフェクトすることにより製造し得るか、またはヘルパープラスミドもしくはウイルスによる一過性トランスフェクションにより製造し得る。ウイルスパッケージング細胞の典型例として、PA317細胞、PsiCRIP細胞、GPenv+細胞、293細胞等が挙げられる。そのような複製欠損組換えウイルスを製造するための詳細なプロトコルを、例えば、国際公開第95/14785号パンフレット、同第96/22378号パンフレット、米国特許第5,882,877号明細書、同第6,013,516号明細書、同第4,861,719号明細書、同第5,278,056号明細書、および国際公開第94/19478号パンフレットで見出し得る。
【0223】
本明細書に記載される第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドは、同じベクターまたは別々のベクター、即ちベクターの集合物中に存在することができる。
【0224】
第4の態様では、本発明は、本発明の第1の態様の抗原結合タンパク質、本発明の第2の態様の核酸または本発明の第3の態様のベクターを含む宿主細胞に関する。宿主細胞は、特に本発明に従う核酸および/またはベクターを用いて、トランスフェクト、感染または形質導入または形質転換されてもよい。
【0225】
宿主細胞は、真核細胞、例えば、植物、動物、真菌、もしくは藻類、または原核細胞、例えば、細菌もしくは原生動物であり得る。宿主細胞は、培養された細胞または初代細胞、即ち、生物、例えば、ヒトから直接的に単離された細胞であり得る。宿主細胞は、接着細胞または懸濁された細胞、即ち、懸濁状態で増殖する細胞であり得る。組換え抗原結合タンパク質、例えばTCR、ポリペプチド、またはタンパク質を製造する目的のために、宿主細胞は好ましくは哺乳動物細胞である。最も好ましくは、宿主細胞はヒト細胞である。宿主細胞は任意の細胞タイプであり得、任意のタイプの組織を起源とすることができ、かつ任意の発生ステージであり得るが、宿主細胞は、好ましくは、末梢血白血球(PBL)または末梢血単核細胞(PBMC)である。より好ましくは、宿主細胞は、リンパ球、例えばT細胞、T細胞前駆細胞またはNK細胞である。NK細胞は、ウイルスに感染した細胞および腫瘍細胞を迅速に殺滅することができる天然に存在するリンパ球非T細胞である。NK細胞は、がん療法における細胞療法製造物としての使用のための腫瘍特異的TCRを発現するように操作され得る(Shimasaki et al., Nat Rev Drug Discov. 2020 Mar;19(3):200-218)。好ましい実施形態では、宿主細胞は、T細胞、例えばCD4もしくはCD8陽性T細胞またはγδ T細胞である。T細胞は、任意のT細胞、例えば、培養されたT細胞、例えば、初代T細胞、または培養されたT細胞株、例えば、Jurkat、SupT1等からのT細胞、または哺乳動物から得られたT細胞、好ましくはヒト患者からのT細胞もしくはT細胞前駆体であり得る。哺乳動物から得られる場合、T細胞は、血液、骨髄、リンパ節、胸腺、または他の組織もしくは流体が挙げられるがこれらに限定されない、多数の供給源から得られ得る。T細胞はまた、濃縮または精製され得る。好ましくは、T細胞はヒトT細胞である。より好ましくは、T細胞は、ヒトから単離されたT細胞である。T細胞は、任意のタイプのT細胞であり得、かつ任意の発生ステージであり得、CD4陽性ヘルパーT細胞、例えば、Th1およびTh2細胞、CD8陽性T細胞(例えば、細胞傷害性T細胞)、腫瘍浸潤細胞(TIL)、メモリーT細胞、ナイーブT細胞、ならびにγδ T細胞等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0226】
他の好ましい実施形態では、宿主細胞は、組換え発現用の細胞、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞または酵母細胞である(is or)。
【0227】
「形質転換」という用語は、宿主細胞が、導入された遺伝子または配列を発現して、所望の物質(典型的には、本明細書で説明されている抗原結合タンパク質またはその機能的断片)を産生するような、宿主細胞への「外来」(即ち外因性)遺伝子、DNA、またはRNA配列の導入を意味する。導入されたDANまたはRNAを受け取って発現する宿主細胞は、「形質転換されている」。
【0228】
本発明の核酸を使用して、好適な発現系で本発明の組換え抗原結合タンパク質を産生し得る。「発現系」という用語は、例えば、ベクターにより運ばれて宿主細胞に導入された外来DNAによりコードされるタンパク質の発現のための、好適な条件下での宿主細胞および適合するベクターを意味する。
【0229】
一般的な発現系として、大腸菌(E.coli)宿主細胞およびプラスミドベクター、昆虫宿主細胞およびバキュロウイルス(Baculovirus)ベクター、ならびに哺乳動物宿主細胞およびベクターが挙げられる。宿主細胞の他の例として、原核細胞(例えば細菌)、および真核細胞(例えば、酵母細胞、哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞等)が挙げられるが、これらに限定されない。具体例として、大腸菌(E.coli)、クリベロミセス属(Kluyveromyces)またはサッカロマイセス属(Saccharomyces)の酵母、哺乳動物細胞株(例えば、Vero細胞、CHO細胞、3T3細胞、COS細胞、HEK細胞等)、ならびに初代または確立された哺乳動物細胞培養物(例えば、リンパ芽球、線維芽細胞、胚細胞、上皮細胞、神経細胞、脂肪細胞等から産生されたもの)が挙げられる。例としてまた、マウスSP2/0-Ag14細胞(ATCC CRL1581)、マウスP3X63-Ag8.653細胞(ATCC CRL1580)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子が欠損しているCHO細胞(Urlaub G et al;1980)、ラットYB2/3HL.P2.G11.16Ag.20細胞(ATCC CRL1662)、および同類のものも挙げられる。いくつかの実施形態では、YB2/0細胞が好ましい場合があり、なぜならば、この細胞中で発現された場合には、キメラ抗体またはヒト化抗体のADCC活性が増強されるからである。好ましい実施形態では、上記される宿主細胞は、発現システムとして使用される。
【0230】
特に、本発明の抗原結合タンパク質のいくつか、特に、連結されていない2つのポリペプチドを含む抗原結合タンパク質の発現のために、発現ベクターは、第1のポリペプチド、例えばTCRアルファ鎖をコードする遺伝子および第2のポリペプチド、例えばTCRベータ鎖等をコードする遺伝子が別々のベクター上に存在するタイプ、または両方の遺伝子が同じベクター上に存在するタイプ(タンデムタイプ)のいずれかであってもよい。抗原結合タンパク質発現ベクターの構築の容易性、動物細胞中への導入の容易性、ならびに動物細胞中での2つのポリペプチド、例えばTCRアルファおよびベータ鎖の発現レベルの間の均衡の点において、ヒト化抗体に関連して記載されているタンデムタイプの発現ベクターは好ましい(Shitara K et al. J Immunol Methods. 1994 Jan. 3; 167(1-2):271-8)。ヒト化抗体に関連して記載されているタンデムタイプ発現ベクターの例として、pKANTEX93(国際公開第97/10354号パンフレット)、およびpEE18等が挙げられる。
【0231】
一実施形態では、そのような組換え宿主細胞を、本発明の少なくとも1種の抗原結合タンパク質の製造に使用し得る。
【0232】
医薬組成物
第5の態様では、本発明は、本発明の第1の態様の抗原結合タンパク質、本発明の第2の態様の核酸、本発明の第3の態様のベクターまたは本発明の第4の態様の宿主細胞と、適宜、医薬的に許容される担体とを含む医薬組成物に関する。
【0233】
本発明の抗原結合タンパク質は、CT45-IP抗原ペプチドを提示する細胞に対して細胞傷害性をもたらすことが可能であることが示されている。このペプチドは特に腫瘍細胞により提示されるので、本発明の抗原結合タンパク質は、患者において腫瘍細胞を破壊するために有用である。患者における免疫反応を、理想的には、免疫原性を増強する薬剤(即ち、アジュバント)と組み合わされた、説明されている抗原結合タンパク質の患者への直接投与により誘発し得る。そのような治療用ワクチン接種により生じる免疫反応は、腫瘍細胞に対して非常に特異的であることが予想され得、なぜならば、ペプチドKIFEMLEGV(配列番号138)は、正常組織上では、同程度のコピー数で提示されないかまたは過剰に提示されないからであり、患者の正常組織細胞に対する望ましくない自己免疫反応のリスクが予防される。
【0234】
本発明はまた、医薬品としての使用のための、本発明に係る抗原結合タンパク質にも関する。本発明はまた、医薬品としての使用のための、本発明の医薬組成物にも関する。
【0235】
「医薬組成物」または「治療用組成物」という用語は、本明細書で使用される場合、対象に適切に投与された場合に所望の治療効果を誘発可能な化合物または組成物を指す。
【0236】
いくつかの実施形態では、対象はまた、患者とも称され得る。
【0237】
そのような治療用組成物または医薬組成物は、投与様式に適合するように選択された薬学的にまたは生理学的に許容される製剤との混合物で、本発明の抗原結合タンパク質、または治療薬をさらに含む抗原結合タンパク質の治療上有効な量を含み得る。
【0238】
いくつかの実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、薬学的に許容される担体を通常は含む滅菌医薬組成物の一部として供給される。
【0239】
「薬学的に」または「薬学的に許容される」は、必要に応じて、哺乳動物(特に、ヒト)に投与された場合に、有害反応、アレルギー反応、または他の有害な反応を生じない分子実態および組成物を指す。薬学的に許容される担体は、任意のタイプの非毒性の固体、半固体、または液体の充填剤、希釈剤、カプセル化材料、または製剤化補助剤を指す。
【0240】
「薬学的に許容される担体」は、生理学的に適合する溶媒、増量剤、安定化剤、分散媒体、コーティング剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張化剤および吸収遅延剤、および同類のものを含み得る。一実施形態では、担体は、水性担体である。いくつかの実施形態では、水性担体は、本明細書で説明されている抗原結合タンパク質と組み合わされた場合に、改善された特性(例えば、改善された溶解性、有効性、および/または改善された免疫療法)を付与することが可能である。
【0241】
本発明において有用な医薬的に許容される担体または希釈剤のさらなる例として、安定化剤、例えばSPGA、炭水化物(例えばソルビトール、マンニトール、デンプン、スクロース、グルコース、デキストラン)、タンパク質、例えばアルブミンまたはカゼイン、タンパク質含有剤、例えばウシ血清または脱脂粉乳および緩衝剤(例えばリン酸緩衝剤)が挙げられる。
【0242】
医薬組成物の形態、投与経路、投与量、およびレジメンは、当然のことながら、処置する状態、疾病の重症度、患者の年齢、体重、および性別等に依存する。この医薬組成物は、(患者に投与する所望の方法に応じて)任意の好適な形態であり得る。この医薬組成物は、単位剤形で提供され得、一般に、密封容器で提供され得、かつキットの一部として提供され得る。そのようなキットは、通常は(必ずしもではないが)使用説明書を含むだろう。そのようなキットはまた、複数の前記単位剤形を含み得る。
【0243】
好ましくは、医薬組成物は、注射により、例えば、静脈内に投与される。医薬組成物が、本発明の抗原結合タンパク質、好ましくはTCRを発現する宿主細胞を含む場合、注射用の細胞のための医薬的に許容される担体は、任意の等張担体、例えば、生理食塩水(水中の約0.90% w/vのNaCl、水中の約300mOsm/LのNaCl、もしくは水1リットル当たり約9.0gのNaCl)、NORMOSOL R電解質溶液(Abbott、Chicago、IL)、PLASMALYTE A(Baxter、Deerfield、IL)、水中の約5%のデキストロース、または乳酸リンゲル液等を含んでもよい。一実施形態では、医薬的に許容される担体は、ヒト血清卵白(human serum albumen)を補充される。
【0244】
生物学的半減期等の経験による考察は、一般に、投与量の決定に寄与する。投与頻度は、決定されて治療期間中に調整され得、かつがん細胞の数の減少、がん細胞の減少の維持、がん細胞の増殖の減少、またはがん細胞の殺滅に基づいている。あるいは、抗原結合タンパク質の持続的連続放出製剤が適切であり得る。持続放出を達成するための様々な製剤およびデバイスが、当該技術分野で既知である。
【0245】
一実施形態では、抗原結合分子の投与量を、1回または複数回の投与を受けている個体において、経験的に決定し得る。個体に、抗原結合タンパク質の漸増投与量を投与する。抗原結合タンパク質の有効性を評価するために、がん細胞の状態のマーカーを追跡し得る。これには、FACS、他の撮像技術によるがん細胞の増殖および細胞死の直接測定、そのような測定により評価される場合の健康状態の改善、または受け入れられている検査により測定した場合の生活の質の向上、もしくは生存期間の延長が含まれる。投与量が、個体、疾患の段階、ならびに使用されている過去および同時の処置に応じて異なることは、当業者に明らかであるだろう。
【0246】
投与に使用される用量を、様々なパラメータの関数として適合させ得、特に、使用される投与様式の関数として適合させ得るか、関連する病理の関数として適合させ得るか、あるいは所望の処置期間の関数として適合させ得る。
【0247】
本発明の医薬組成物、ベクター、核酸、および細胞は、実質的に純粋な形態で提供され得、例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%純粋な形態で提供され得る。
【0248】
抗原結合タンパク質を製造する方法
第6の態様では、本発明は、本発明の第1の態様の抗原結合タンパク質を製造する方法であって、(a)宿主細胞を準備する工程、(b)本発明の第1の態様のいずれかの抗原結合タンパク質をコードするコード配列を含む遺伝子コンストラクトを準備する工程、(c)遺伝子コンストラクトを宿主細胞に導入する工程、および(d)宿主細胞により遺伝子コンストラクトを発現させる工程を含む方法に関する。
【0249】
1つの実施形態では、方法は、宿主細胞からの抗原結合タンパク質の単離および精製、ならびに、適宜、宿主細胞、好ましくはリンパ球、より好ましくはT細胞またはNK細胞、最も好ましくはT細胞中での抗原結合タンパク質の再構成をさらに含む。当業者は、抗原結合タンパク質を発現させるための好適な宿主細胞を選択することが完全に可能である。
【0250】
本発明の抗原結合タンパク質を、当該技術分野で既知の任意の技術(例えば、限定されないが、任意の化学的技術、生物学的技術、遺伝学的技術、または酵素的技術の単独または組合せ)により製造し得る。
【0251】
本発明の抗原結合タンパク質は、抗体精製手順(例えば、例えば、プロテインA-セファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、または親和性クロマトグラフィー)により、培養培地から好適に分離される。
【0252】
一実施形態では、発現された抗原結合タンパク質またはポリペプチドを回収することは、本明細書では、プロテインAクロマトグラフィー、カッパセレクトクロマトグラフィー、および/またはサイズ排除クロマトグラフィー、好ましくはプロテインAクロマトグラフィーおよび/またはサイズ排除クロマトグラフィー、より好ましくはプロテインAクロマトグラフィーおよびサイズ排除クロマトグラフィーを実施することを指す。
【0253】
所望の配列のアミノ酸配列を知ることにより、当業者は、ポリペプチドの製造のための標準的な技術により、本発明の抗原結合タンパク質を製造し得る。例えば、このタンパク質を、公知の固相法を使用して、特に、市販のペプチド合成装置(例えば、Applied Biosystems,Foster City,California製のもの)を使用して、かつ製造業者の指示に従って、合成し得る。あるいは、本発明の抗体および抗原結合タンパク質を、当該技術分野で公知の組換えDNAおよび遺伝性トランスフェクション技術により製造し得る[Morrison SL. et al. (1984) and patent documents US5,202,238; and US5,204, 244を参照されたい]。例えば、断片を、所望の(ポリ)ペプチドをコードするDNA配列を発現ベクターに組み込み、そのようなベクターを、所望のポリペプチドを発現する好適な真核生物または原核生物の宿主に導入した後に、DNA発現産物として得ることができ、その後、この断片を、公知の技術を使用して単離し得る。
【0254】
従来の組換えDNAおよび遺伝子のトランスフェクション技術に基づいてヒト化抗体を製造する方法は、当該技術分野で公知であり(例えば、Riechmann L. et al. 1988; Neuberger MS. et al. 1985を参照されたい)、本発明の抗原結合タンパク質の製造に容易に適用し得る。
【0255】
一例では、本発明の組換え抗原結合タンパク質の発現用のベクターを、例えば、HCMV由来のプロモーターエレメント、pUC19誘導体により制御されるモノシストロニックとして設計した。プラスミドDNAを、標準的な培養方法に従って例えば大腸菌(E.coli)中で増幅させ、その後に市販のキット(Macherey & Nagel)を使用して精製した。精製されたプラスミドDNAを、例えば、製造業者の指示に従って、CHO-S細胞の一過性トランスフェクションに使用した(ExpiCHO(商標)システム;Thermo Fisher Scientific)。トランスフェクトされたCHO細胞を、例えば32℃~37℃で6~14日にわたり培養し、ExpiCHO(商標)Feed溶液の1~2回の餌を与えた。
【0256】
条件付け細胞上清を、例えば、Sartoclear Dynamics(登録商標)Lab Filter Aid(Sartorius)を利用するろ過(0.22μm)により清澄化した。二重特異性抗原結合タンパク質を、例えば、親和性クロマトグラフィーおよびサイズ排除クロマトグラフィーをインラインで実施するように装備されたAekta Pure 25 L FPLCシステム(GE Lifesciences)を使用して精製した。親和性クロマトグラフィーを、例えば、標準的な親和性クロマトグラフィープロトコルに従ってプロテインAまたはLカラム(GE Lifesciences)で実施した。例えば、サイズ排除クロマトグラフィーを、例えば、標準プロトコルに従ってSuperdex 200 pg 16/600カラム(GE Lifesciences)を使用して、親和性カラムからの溶出(pH2.8)直後に実施して、高純度の単量体タンパク質を得た。タンパク質濃度を、例えば、予測されるタンパク質配列に従って算出された減衰係数を使用して、NanoDropシステム(Thermo Scientific)で決定した。濃度を、必要に応じて、Vivaspinデバイス(Sartorius)を使用して調整した。最後に、精製された分子を、例えば、2~8℃の温度で約1mg/mLの濃度にて、リン酸緩衝生理食塩水中で保存した。
【0257】
精製された二重特異性抗原結合タンパク質の品質を、例えば、Vanquish UHPLC-System内で、300 mM NaClを含む50mM リン酸ナトリウム(pH6.8)で動作するMabPac SEC-1カラム(5μm、7.8×300mm)によるHPLC-SECにより決定した。
【0258】
治療方法および治療用途
第7の態様では、本発明は、医薬での使用のための、本発明の第1の態様の抗原結合タンパク質、本発明の第2の態様の核酸、本発明の第3の態様のベクター、本発明の第4の態様の宿主細胞、または本発明の第4の態様の医薬組成物に関する。
【0259】
第8の態様では、本発明は、増殖性疾患の処置および/または診断方法での使用のための、本発明の第1の態様の抗原結合タンパク質、本発明の第2の態様の核酸、本発明の第3の態様のベクター、本発明の第4の態様の宿主細胞、または本発明の第4の態様の医薬組成物に関する。
【0260】
本発明の抗原結合タンパク質は、特に、増殖性疾患の予防および/または処置のための免疫療法、好ましくは養子細胞療法、より好ましくは養子T細胞療法での使用のためのものである。本発明の化合物の投与は、例えば、前記患者への本発明のリンパ球、好ましくはNK細胞またはT細胞、より好ましくはT細胞の注入を伴うことができる。好ましくは、そのようなリンパ球は、患者の自家リンパ球であり、本発明の核酸または抗原結合タンパク質をインビトロで形質導入される。
【0261】
好ましい実施形態では、増殖性疾患は、がん、特にCT45発現がんである。
【0262】
本発明に関連して、がんは、関連するペプチド、例えばCT45-IPペプチド等が、NCIによるガイドラインに従って全てのがんの98%超において提示される場合に、「CT45発現がん」(CT45「陽性」がんとも称される)であるとみなされる。ここで挙げられた全ての他の適応症では、生検を、これらの癌の処置で標準的であることから実施し得、ペプチドを、XPresident(登録商標)および関連する方法に従って[国際公開第03/100432号パンフレット;同第2005/076009号パンフレット;同第2011/128448号パンフレット;同第2016/107740号パンフレット、米国特許第7,811,828号明細書、同第9,791,444号明細書、および米国特許出願公開第2016/0187351号明細書(それぞれの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に従って]同定し得る。一実施形態では、例えば、本発明の抗原結合タンパク質を使用することにより、がんを容易にアッセイする(即ち、診断する)。抗原結合タンパク質を使用して、抗原を発現するがんを同定する方法は、当業者に既知である。癌腫は、身体の臓器を補強するかまたは覆う皮膚または組織で出現する特定のタイプのがんであることから、「がん」および「癌腫」という用語は、本明細書では互換的に使用されないことを理解しなければならない。
【0263】
1つの実施形態では、CT45発現がんは、肺がん、NSCLC、胆嚢がん、胆管がん、リンパ節がん、卵巣がん、食道がん、肝臓がん、子宮がんおよび黒色腫からなる群から選択される。
【0264】
1つの実施形態では、がんは、CT45抗原が、過剰発現される、突然変異している、かつ/またはCT45抗原ペプチドが提示されるがんである。そのようながんは、例えば本発明の抗原結合タンパク質を使用することにより、容易にアッセイ(即ち診断)される。抗原結合タンパク質を使用して、抗原を発現するがんを同定する方法は、当業者に既知である。
【0265】
別の態様では、本発明は、増殖性疾患の処置方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の、本明細書において上記で定義されている本発明の抗原結合タンパク質、核酸もしくはベクター、宿主細胞または医薬組成物を投与することを含む方法に関する。
【0266】
特定の実施形態では、本発明は、増殖性疾患を有する対象の処置方法であって、前記対象に、細胞表面上に本発明の抗原結合タンパク質を発現するリンパ球、好ましくはNK細胞またはT細胞、より好ましくはT細胞を投与することを含む方法に関する。
【0267】
「対象」または「個体」という用語は、互換的に使用され、例えば、ヒトまたは非ヒト哺乳動物であり得、好ましくはヒトであり得る。
【0268】
本発明に関連して、「処置する」または「処置」という用語は、治療的処置(即ち、所与の疾患を有する対象におけるもの)および/または予防的もしくは防止的処置(即ち、所与の疾患を発症しやすい対象におけるもの)の両方を含む。治療的処置は、障害または状態の1つまたは複数の症状の好転、軽減および/またはその進行の阻害を意味する(and means)。防止的処置は、障害または状態の1つまたは複数の症状の発生の予防を意味する。従って、処置は、疾患の完全な治癒をもたらす処置を指すだけでなく、疾患の進行を減速させ、疾患の発生を予防しもしくは遅延させ、かつ/または対象の生存を長期化させる処置も指す。
【0269】
一実施形態では、「疾患」または「障害」とは、本発明の抗原結合タンパク質による処置から利益を得るであろうあらゆる状態のことである。一実施形態では、これには、対象を問題の障害にかかりやすくさせる病理学的状態を含む慢性および急性の障害または疾患が含まれている。「処置が必要な」という用語は、障害を既に有する対象、および障害を予防すべきである対象を指す。
【0270】
がん等の「増殖性疾患」は、細胞の無秩序なおよび/または不適当な増殖を伴う。
【0271】
1つの実施形態では、処置方法は、免疫療法、特に養子自家または異種細胞療法、好ましくはT細胞療法を含む。
【0272】
好ましい実施形態では、抗原結合タンパク質は、TCRまたはその機能的断片であるか、またはそれを含む。
【0273】
抗原結合タンパク質は宿主細胞の表面上に発現されることが好ましい。
【0274】
1つの実施形態では、処置方法は、抗原結合タンパク質を発現する宿主細胞の投与を含み、宿主細胞は、T細胞、T細胞前駆細胞またはNK細胞、好ましくはT細胞である。
【0275】
1つの実施形態では、宿主細胞、好ましくはT細胞、T細胞前駆細胞またはNK細胞、より好ましくはT細胞は、自家である。
【0276】
1つの実施形態では、宿主細胞、好ましくはT細胞、T細胞前駆細胞またはNK細胞、より好ましくはT細胞は、同種である。
【0277】
1つの実施形態では、抗原結合タンパク質は、治療活性剤、好ましくは、放射性核種、化学療法剤および毒素からなる群から選択される治療活性剤にコンジュゲートされる。
【0278】
1つの実施形態では、処置方法は、処置を必要とする対象に少なくとも1つの化学療法剤を投与することをさらに含む。
【0279】
1つの実施形態では、処置方法は、処置を必要とする対象に放射線療法を投与することをさらに含む。
【0280】
関連する態様では、本発明は、増殖性疾患、特に、MHCタンパク質との複合体中のKIFEMLEGV(配列番号138)のアミノ酸配列を含むか、またはからなるペプチドを提示するがんを有する患者において免疫応答を誘発する方法であって、患者に本開示の抗原結合タンパク質を投与することを含み、前記がんは、肺がん、NSCLC、胆嚢がん、胆管がん、リンパ節がん、卵巣がん、食道がん、肝臓がん、子宮がんおよび黒色腫からなるがんの群から選択される方法に関する。1つの実施形態では、前記方法において言及される免疫応答は細胞傷害性T細胞応答である。
【0281】
さらに別の態様では、本発明は、対象における増殖性疾患の処置用の医薬の製造のための、本発明の抗原結合タンパク質、核酸もしくはベクター、宿主細胞または医薬組成物の使用に関する。
【0282】
さらに別の態様では、本発明は、対象において疾患を処置するための、本発明の抗原結合タンパク質、核酸もしくはベクター、宿主細胞または医薬組成物の使用に関する。
【0283】
がん治療のガイドラインを示すテキストは、Cancer, Principles and Practice of Oncology, 4th Edition, DeVita et al, Eds. J. B. Lippincott Co., Philadelphia, Pa. (1993)である。関連分野で認識されているように、特定のタイプのがん、および他の因子(例えば、患者の全身状態)に従って、適切な治療アプローチが選択される。本発明の抗原結合タンパク質を、それ自体で使用し得るか、またはがん患者の処置で他の抗新生物剤を使用する治療レジメンに加え得る。
【0284】
従って、いくつかの実施形態では、例えば、抗原結合タンパク質を、化学療法剤、非化学療法剤、抗新生物剤、および/または放射線等のがん処置で広く採用されている様々な薬物および処置と同時に、その前に、またはその後に投与し得る。
【0285】
「診断」は、本明細書では、医学的診断を指し、いずれの疾患または状態が、ある人の症状および徴候を説明するのかを決定することを指す。
【0286】
抗原結合タンパク質またはその医薬組成物の「治療上有効な量」は、任意の医学的処置に適用可能な妥当なベネフィット/リスク比で前記増殖性疾患を処置するのに十分な量の抗原結合タンパク質を意味する。しかしながら、本発明の抗原結合タンパク質、核酸またはベクター、宿主細胞または医薬組成物の1日当たりの総使用量は、健全な医学的判断の範囲内で主治医により決定されることが理解されるだろう。任意の特定の患者に関する具体的な治療上有効な用量は、様々な因子に依存しており、この因子として下記が挙げられる:処置される障害および障害の重症度;採用される具体的な抗原結合タンパク質の活性;採用される具体的な組成物;患者の年齢、体重、全体的な健康状態、性別、および食事;採用される具体的なポリペプチドの投与時間、投与経路、および排出速度;処置の継続期間;採用される具体的なポリペプチドと併用されるかまたは同時に使用される薬物;ならびに医学技術分野で公知の同類の因子。例えば、所望の治療効果を得るのに必要なレベルと比べて低いレベルで化合物の用量を開始し、所望の効果が得られるまで投与量を徐々に増加させることが当業者に公知である。
【0287】
一実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質による処置の有効性を、例えば、がんのマウスモデルにおいて、例えば、処置群とコントロール群との間の腫瘍体積の変化を測定することにより、インビボでアッセイする。
【0288】
本発明の抗原結合タンパク質、本発明の核酸または本発明のベクター、本発明の宿主細胞または本発明の医薬組成物を、任意の実現可能な方法により投与し得る。
【0289】
本明細書で開示されているように、いくつかの実施形態では、本明細書の上記で定義されている宿主細胞を、本明細書で説明されている医療用途または処置方法で使用する。そのような実施形態では、宿主細胞は、好ましくはリンパ球、例えばNK細胞、T細胞またはT細胞前駆細胞、好ましくはCD4および/もしくはCD8陽性T細胞またはγδ T細胞、最も好ましくはCD4および/またはCD8陽性T細胞、最も好ましくはCD4および/またはCD8陽性T細胞である。
【0290】
従って、本発明の宿主細胞(好ましくは、T細胞)を、治療用組成物の有効成分として使用し得る。そのため、本発明はまた、ペプチドKIFEMLEGV(配列番号138)を含むポリペプチドを標的細胞が異常発現する患者において標的細胞を殺滅する方法であって、患者に、宿主細胞(好ましくはT細胞)の有効数を投与することを含む方法も提供する。この方法に関連して、宿主細胞は、対象に投与されると、好ましくは免疫反応を誘発する。
【0291】
ある態様では、TCRにより誘発された反応、またはT細胞反応は、インビトロ、エクスビボまたはインビボにおける、KIFEMLEGV(配列番号138)等のペプチドにより誘発されるエフェクター機能の増大および活性化を指し得る。MHCクラスIにより制限された細胞傷害性T細胞の場合には、例えば、エフェクター機能は、ペプチドパルスされた、ペプチド前駆体パルスされた、もしくは天然にペプチドを提示する標的細胞の溶解、ペプチドにより誘発されるサイトカイン(好ましくは、インターフェロン-ガンマ、TNF-アルファ、もしくはIL-2)の分泌、ペプチドにより誘発されるエフェクター分子(例えば、グランザイムもしくはパーフォリン)の分泌、または脱顆粒であり得る。
【0292】
本発明に関連して、T細胞を医薬品として使用する場合には、通常、T細胞を、アフェレーシスにより細胞から採取する。次いで、T細胞を、その細胞表面上で本発明の抗原結合タンパク質を発現するように遺伝子操作し、次いで、遺伝子操作されたT細胞を増殖させて、次いで対象に再注入する。この例では、抗原結合タンパク質は、好ましくは膜結合型抗原結合タンパク質、より好ましくはTCRである。
【0293】
従って、宿主細胞は、本明細書の上記「核酸、ベクター、および組換え宿主細胞」セクションで説明されているように、本発明に係る核酸および/またはベクターでトランスフェクトされているか、感染されているか、または形質転換されている。
【0294】
本発明の抗原結合タンパク質を発現させるために宿主細胞をトランスフェクトした場合には、好ましくは、細胞は、抗原結合タンパク質を発現可能な発現ベクターを含む。次いで、宿主細胞は、活性化宿主細胞と称され得る。
【0295】
このいわゆるT細胞の養子移入のプロトコルは、当該技術分野で公知である。概説を、Gattioni et al.およびMorgan et al.[Gattinoni, L. et al., Nat.Rev.Immunol. 6 (2006): 383-393;Morgan, R. A. et al., Science 314 (2006): 126-129]で見出し得る。
【0296】
本発明の目的のために、投与される本発明の第1の態様の抗原結合タンパク質、本発明の第2の態様の核酸、本発明の第3の態様のベクター、本発明の第4の態様の宿主細胞、または本発明の第5の態様の医薬組成物の量または用量は、合理的な時間枠にかけて対象または動物において、例えば、治療的なまたは予防的な応答をもたらすために十分なものであってもよい。例えば、本発明の抗原結合タンパク質、核酸、ベクター、宿主細胞、または医薬組成物の用量は、投与の時点から、約2時間またはより長い期間、例えば、12~24時間またはより長い時間において、がん抗原に結合するため、またはがんを検出、処置もしくは予防するために十分であるべきである。ある特定の実施形態では、期間はよりいっそう長いものであり得る。用量は、本発明の抗原結合タンパク質、核酸、ベクター、宿主細胞、または医薬組成物の有効性および動物(例えば、ヒト)の状態の他に、処置される動物(例えば、ヒト)の体重により決定される。
【0297】
多くの他の方法を使用して、インビトロでT細胞を生成し得る。例えば、自己腫瘍浸潤リンパ球を、CTLの生成で使用し得る。Plebanski et al. (Plebanski, M. et al., Eur.J Immunol 25 (1995): 1783-1787)は、T細胞の調製において自己末梢血リンパ球(PLB)を使用した。同様に、B細胞を、自己T細胞の製造で使用し得る。
【0298】
T細胞の調製では同種細胞も使用し得、方法が、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6805861号明細書で詳細に説明されている。
【0299】
ペプチドKIFEMLEGV(配列番号138)に対して本発明の抗原結合タンパク質を発現する宿主細胞は、治療に有用である。そのため、本発明のさらなる態様は、本発明の上述の方法により得られる活性化宿主細胞を提供する。
【0300】
上記方法により製造される活性化宿主細胞は、ペプチドKIFEMLEGV(配列番号138)を含むポリペプチドを異常発現する細胞を特異的に認識し得る。
【0301】
「異常発現される」により、本発明者らはまた、ポリペプチドが、正常な(健康な)組織の発現レベルと比較して過剰発現されていること、または腫瘍が由来する組織では遺伝子がサイレントであるが腫瘍内では遺伝子が発現されることも意味する。「過剰発現される」により、本発明者らは、ポリペプチドが、正常組織中に存在するレベルの少なくとも1.2倍のレベルで存在することを意味しており、好ましくは、正常組織中に存在するレベルの少なくとも2倍、より好ましくは少なくとも5倍または10倍のレベルで存在することを意味している。
【0302】
ある態様では、宿主細胞(特に、T細胞)は、その抗原結合タンパク質(特に、そのTCR)を介してCT45-IP:MHC複合体と相互作用する(例えば結合する)ことにより、細胞を認識する。宿主細胞は、ペプチドKIFEMLEGV(配列番号138)を含むポリペプチドを標的細胞が異常発現する患者の標的細胞を殺滅する方法で有用であり、この患者に、活性化宿主細胞の有効数を投与する。患者に投与されるT細胞は、患者に由来し得、上述したように活性化され得る(即ち,自己T細胞である)。あるいは、T細胞は、患者由来ではないが、別の個体由来である(即ち、それらは異種T細胞である)。そのような場合には、これは、個体が健康な個体である場合に好ましい。「健康な個体」により、本発明者らは、個体が、一般に良好な健康状態であり、好ましくは、適格性の免疫系を有しており、より好ましくは、容易に検査されて検出され得る任意の疾患に罹患していないことを意味する。
【0303】
インビボでは、本発明に係るCD8陽性T細胞の標的細胞は、腫瘍の細胞(MHCクラスIIを発現することがある)および/または腫瘍(腫瘍細胞)を取り囲む間質細胞(MHCクラスIIも発現することがある)であり得る[Dengjel, J. et al., Clin Cancer Res 12 (2006): 4163-4170]。
【0304】
診断用途
CT45は、本明細書の上記で定義されたがんの表面上で発現される。CT45抗原ペプチドは、がんマーカーを構成し、従って、抗がん治療の有効性を示すために使用される可能性を有するか、または疾患の再発の検出のために使用される可能性を有する。
【0305】
そのため、別の態様では、本発明は、診断薬としての使用のための、特に、インビボ診断薬としての使用のための、第1の態様の抗原結合タンパク質、第2の態様の核酸、第3の態様のベクター、第4の態様の宿主細胞、または第5の態様の医薬組成物を提供する。好ましい実施形態では、この診断薬は、増殖性疾患の診断用である。より好ましい実施形態では、診断剤は、MHCタンパク質との複合体中のKIFEMLEGV(配列番号138)のアミノ酸配列を含むか、またはからなるペプチドを提示するがんの診断用であり、好ましくは、前記がんは、肺がん、NSCLC、胆嚢がん、胆管がん、リンパ節がん、卵巣がん、食道がん、肝臓がん、子宮がんおよび黒色腫からなるがんの群から選択される。
【0306】
ある実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、治療薬に対する患者の感受性を決定するために、抗がん治療の有効性をモニタリングするために、または処置後の疾患の再発を検出するために、CT45を発現する腫瘍を標的とする治療に関連するアッセイの構成要素として使用される。
【0307】
そのため、本発明のさらなる目的は、対象中でのCT45発現をインビボで検出するための使用のための、または対象の生物学的サンプル中でのCT45発現をエクスビボもしくはインビトロで検出するための使用のための、本発明に係る抗原結合タンパク質に関する。前記検出は、特に、
a)対象におけるがんの存在の診断、または
b)CT45を標的とする治療剤に対する、がんを有する患者の感受性の決定、または
c)腫瘍細胞上のCT45抗原ペプチドの提示を検出することによる;抗CT45がん療法の有効性のモニタリング、もしくは、特に本発明の抗原結合タンパク質を用いた療法のための、抗CT45がん療法後のがんの再発の検出
のために意図されてもよい。
【0308】
一実施形態では、抗原結合タンパク質は、インビトロまたはエクスビボでの使用のために意図される。
【0309】
さらに別の態様では、本発明は、生物学的サンプル中のがんを検出するインビトロの方法であって、(a)生物学的サンプルを本発明の第1の態様の抗原結合タンパク質と接触させる工程、および(b)生物学的サンプルへの抗原結合タンパク質の結合を検出する工程を含む方法に関する。
【0310】
キット
最後に、本発明はまた、本発明の少なくとも1種の抗原結合タンパク質を含むキットも提供する。
【0311】
1つの実施形態では、キットは、
a)本明細書において上記の「抗原結合タンパク質」セクション中で定義されている本発明の少なくとも1つの抗原結合タンパク質、前記抗原結合タンパク質をコードする核酸、前記核酸を含むベクター、または前記抗原結合タンパク質、核酸および/もしくはベクターを含む宿主細胞、
b)適宜、パッケージング材料、ならびに
c)適宜、前記抗原結合タンパク質が、がんを処置するために有効であることまたはがんの処置のための使用のためのものであることを示す前記パッケージング材料内に含有される標識またはパッケージング挿入物
を含む。
【0312】
好ましい実施形態では、キットは、本発明の抗原結合タンパク質をコードする核酸、またはこの核酸を含むベクターを含む。キットは、細胞、好ましくはT細胞、T細胞前駆細胞またはNK細胞、より好ましくはT細胞の表面上での抗原結合タンパク質の調節可能な発現のための使用説明書をさらに含んでもよい。
【0313】
本開示のキットは、細胞、好ましくはT細胞、T細胞前駆細胞またはNK細胞、より好ましくはT細胞の表面上の抗原結合タンパク質の調節可能な発現のために有用な任意の他の試薬、例えば核酸または発現ベクターを細胞に導入するために有用なトランスフェクション/形質導入試薬をさらに含んでもよい。
【0314】
キットが、本発明の抗原結合タンパク質をコードする核酸、またはこの核酸を含むベクターを含む宿主細胞、即ち、本発明の抗原結合タンパク質を発現可能な宿主細胞を含むこともまた好ましいことがある。
【0315】
キットの構成要素は別々の容器中に存在してもよく、または複数の構成要素は単一の容器中に存在してもよい。好適な容器として、単一のチューブ、またはプレート(例えば、96ウェルプレート、384ウェルプレート等)の1つもしくは複数のウェル等が挙げられる。
【0316】
関連する実施形態では、本発明の少なくとも1種の抗原結合タンパク質は、単室および/または多室のプレ充填シリンジ[例えば、液体シリンジおよび凍結乾燥シリンジ(lyosyringe)]に入っている。
【0317】
一実施形態では、本発明は、単回容量投与単位を製造するためのキットを包含する。
【0318】
従って、一実施形態では、本発明のキットのa)で言及されている本発明の少なくとも1種の抗原結合タンパク質は、第1の容器に入っている本発明の乾燥抗原結合タンパク質である。次いで、このキットは、水性製剤が入っている第2の容器をさらに含む。
【0319】
従って、一実施形態では、キットは、
a)本明細書の上記「抗原結合タンパク質」セクションで定義されている本発明の少なくとも1種の乾燥抗原結合タンパク質が入っている第1の容器、
b)水性製剤が入っている第2の容器、
c)適宜パッケージング材料、および
d)適宜前記抗原結合タンパク質ががんの処置に有効であるかまたはがんの処置のための使用に有効であることを示す、前記パッケージング材料に含まれるラベルまたはパッケージング挿入物
を含む。
【0320】
水性製剤は、典型的には、本明細書の上記「医薬組成物」セクションで定義されている薬学的に許容される担体を含む水溶液である。
【0321】
関連する実施形態では、「第1の容器」および「第2の」容器は、多室のプレ充填シリンジ(例えば、凍結乾燥シリンジ)のチャンバーを指す。
【0322】
本願全体を通して、「および/または」という用語は、これが接続する場合の内の1つまたは複数が起こり得ることを包含すると解釈されるべき文法上の接続詞である。例えば、「そのような天然配列タンパク質を、標準的な組換え方法および/または合成方法を使用して調製し得る」という文言は、天然配列タンパク質を、標準的な組換え方法および合成方法を使用して調製し得ること、または天然配列タンパク質を、標準的な組換え方法を使用して調製し得ること、または天然配列タンパク質を、合成方法を使用して調製し得ることを示す。
【0323】
さらに、本願全体を通して、「含む」という用語は、具体的に言及された全ての特徴だけでなく、任意の、追加の、不特定のものも包含すると解釈されるべきである。本明細書で使用される場合、「含む」という用語の使用はまた、具体的に言及された特徴以外の特徴が存在していない(即ち、「からなる」)実施形態も開示する。
【0324】
さらに、不定冠詞「a」または「an」は、複数を除外しない。ある特定の手段が相互に異なる従属請求項で列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組合せが有利に使用され得ないことを示すものではない。
【0325】
これより、本発明を、下記の図面および実施例を参照してより詳細に説明する。本明細書で引用されている全ての文献および特許文献は、参照により本明細書に組み込まれる。本発明を、下記の説明において詳細に示して説明しているが、実施例は例示的なものであり限定的ではないと考えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0326】
図1-1】TCRをトランスフェクトされたT細胞によるCT45-IPペプチドロードT2細胞の殺滅効率により測定された機能的なアビディティ(EC50)。構成的にルシフェラーゼを発現するT2細胞に、滴定された量のCT45-IPペプチドをロードし、次に特定のTCRをトランスフェクトされたCD8+ T細胞と共培養した。死にゆくT2細胞により放出される上清中のルシフェラーゼ活性を測定することにより殺滅を分析した。2人の異なるドナーの細胞を用いてアッセイを2回繰り返した(塗りつぶした丸および菱形記号により示される)。試験されたTCRの半数最大殺滅効率を算出することにより機能的なアビディティを評価した。
図1-2】TCRをトランスフェクトされたT細胞によるCT45-IPペプチドロードT2細胞の殺滅効率により測定された機能的なアビディティ(EC50)。構成的にルシフェラーゼを発現するT2細胞に、滴定された量のCT45-IPペプチドをロードし、次に特定のTCRをトランスフェクトされたCD8+ T細胞と共培養した。死にゆくT2細胞により放出される上清中のルシフェラーゼ活性を測定することにより殺滅を分析した。2人の異なるドナーの細胞を用いてアッセイを2回繰り返した(塗りつぶした丸および菱形記号により示される)。試験されたTCRの半数最大殺滅効率を算出することにより機能的なアビディティを評価した。
図1-3】TCRをトランスフェクトされたT細胞によるCT45-IPペプチドロードT2細胞の殺滅効率により測定された機能的なアビディティ(EC50)。構成的にルシフェラーゼを発現するT2細胞に、滴定された量のCT45-IPペプチドをロードし、次に特定のTCRをトランスフェクトされたCD8+ T細胞と共培養した。死にゆくT2細胞により放出される上清中のルシフェラーゼ活性を測定することにより殺滅を分析した。2人の異なるドナーの細胞を用いてアッセイを2回繰り返した(塗りつぶした丸および菱形記号により示される)。試験されたTCRの半数最大殺滅効率を算出することにより機能的なアビディティを評価した。
図1-4】TCRをトランスフェクトされたT細胞によるCT45-IPペプチドロードT2細胞の殺滅効率により測定された機能的なアビディティ(EC50)。構成的にルシフェラーゼを発現するT2細胞に、滴定された量のCT45-IPペプチドをロードし、次に特定のTCRをトランスフェクトされたCD8+ T細胞と共培養した。死にゆくT2細胞により放出される上清中のルシフェラーゼ活性を測定することにより殺滅を分析した。2人の異なるドナーの細胞を用いてアッセイを2回繰り返した(塗りつぶした丸および菱形記号により示される)。試験されたTCRの半数最大殺滅効率を算出することにより機能的なアビディティを評価した。
図1-5】TCRをトランスフェクトされたT細胞によるCT45-IPペプチドロードT2細胞の殺滅効率により測定された機能的なアビディティ(EC50)。構成的にルシフェラーゼを発現するT2細胞に、滴定された量のCT45-IPペプチドをロードし、次に特定のTCRをトランスフェクトされたCD8+ T細胞と共培養した。死にゆくT2細胞により放出される上清中のルシフェラーゼ活性を測定することにより殺滅を分析した。2人の異なるドナーの細胞を用いてアッセイを2回繰り返した(塗りつぶした丸および菱形記号により示される)。試験されたTCRの半数最大殺滅効率を算出することにより機能的なアビディティを評価した。
図2-1】配列類似ペプチドについての交差反応性の確認。構成的にルシフェラーゼを発現するT2細胞に、ペプチド当たり10μMの濃度のCT45-IPペプチド、10の異なる配列類似ペプチド、無関連ペプチドコントロールNYESO1-001をそれぞれロードしたか、またはロードしなかった。それらのT2細胞を次に、特定のTCRをトランスフェクトされたCD8+ T細胞と共培養した。死にゆくT2細胞により放出される上清中のルシフェラーゼ活性を測定することにより殺滅を分析した。2人の異なるドナーの細胞を用いてアッセイを2回繰り返した(黒バー=アッセイ1、ドナー1;赤バー=アッセイ2、ドナー2)。
図2-2】配列類似ペプチドについての交差反応性の確認。構成的にルシフェラーゼを発現するT2細胞に、ペプチド当たり10μMの濃度のCT45-IPペプチド、10の異なる配列類似ペプチド、無関連ペプチドコントロールNYESO1-001をそれぞれロードしたか、またはロードしなかった。それらのT2細胞を次に、特定のTCRをトランスフェクトされたCD8+ T細胞と共培養した。死にゆくT2細胞により放出される上清中のルシフェラーゼ活性を測定することにより殺滅を分析した。2人の異なるドナーの細胞を用いてアッセイを2回繰り返した(黒バー=アッセイ1、ドナー1;赤バー=アッセイ2、ドナー2)。
図2-3】配列類似ペプチドについての交差反応性の確認。構成的にルシフェラーゼを発現するT2細胞に、ペプチド当たり10μMの濃度のCT45-IPペプチド、10の異なる配列類似ペプチド、無関連ペプチドコントロールNYESO1-001をそれぞれロードしたか、またはロードしなかった。それらのT2細胞を次に、特定のTCRをトランスフェクトされたCD8+ T細胞と共培養した。死にゆくT2細胞により放出される上清中のルシフェラーゼ活性を測定することにより殺滅を分析した。2人の異なるドナーの細胞を用いてアッセイを2回繰り返した(黒バー=アッセイ1、ドナー1;赤バー=アッセイ2、ドナー2)。
図2-4】配列類似ペプチドについての交差反応性の確認。構成的にルシフェラーゼを発現するT2細胞に、ペプチド当たり10μMの濃度のCT45-IPペプチド、10の異なる配列類似ペプチド、無関連ペプチドコントロールNYESO1-001をそれぞれロードしたか、またはロードしなかった。それらのT2細胞を次に、特定のTCRをトランスフェクトされたCD8+ T細胞と共培養した。死にゆくT2細胞により放出される上清中のルシフェラーゼ活性を測定することにより殺滅を分析した。2人の異なるドナーの細胞を用いてアッセイを2回繰り返した(黒バー=アッセイ1、ドナー1;赤バー=アッセイ2、ドナー2)。
図2-5】配列類似ペプチドについての交差反応性の確認。構成的にルシフェラーゼを発現するT2細胞に、ペプチド当たり10μMの濃度のCT45-IPペプチド、10の異なる配列類似ペプチド、無関連ペプチドコントロールNYESO1-001をそれぞれロードしたか、またはロードしなかった。それらのT2細胞を次に、特定のTCRをトランスフェクトされたCD8+ T細胞と共培養した。死にゆくT2細胞により放出される上清中のルシフェラーゼ活性を測定することにより殺滅を分析した。2人の異なるドナーの細胞を用いてアッセイを2回繰り返した(黒バー=アッセイ1、ドナー1;赤バー=アッセイ2、ドナー2)。
図3-1】TCR表面染色。pHLA-Dextramer結合により測定されたTCR発現のフローサイトメトリー評価。ヒストグラムは、CT45-IP-HLA-A2*02デキストラマーを用いた染色後のTCR-mRNAをエレクトロポレートされたT細胞(黒線)およびMock-TCRコントロール(ライトグレーの点線)を示す。陽性事象パーセントをプロットで示す。Mock-TCRコントロールは、デキストラマー陰性区画用の参照として使用している。
図3-2】TCR表面染色。pHLA-Dextramer結合により測定されたTCR発現のフローサイトメトリー評価。ヒストグラムは、CT45-IP-HLA-A2*02デキストラマーを用いた染色後のTCR-mRNAをエレクトロポレートされたT細胞(黒線)およびMock-TCRコントロール(ライトグレーの点線)を示す。陽性事象パーセントをプロットで示す。Mock-TCRコントロールは、デキストラマー陰性区画用の参照として使用している。
図4】腫瘍細胞株への有効性。我々の関心対象のTCRを発現するT細胞のありまたはなしで共培養されたRFPを発現する腫瘍細胞株の生細胞モニタリング。腫瘍細胞を表す赤色カウントを48hの期間にかけて定量化し、時点0hに対して正規化した。左側のプロットは腫瘍細胞株NCIH1703を示し、右側のプロットは細胞株A375の増殖を示す。Mock-TCR(陰性コントロール、上)、TCR-9(中央)およびTCR-7(下)をエレクトロポレートされたCD8+ T細胞を示す。陽性コントロールとして10μMのCT45-IPペプチドを追加的にロードされた標的細胞(中央に点を伴う丸)の他に、エフェクター細胞なしの標的細胞(アステリスク)および関心対象のTCRを発現する異なるE:T比のエフェクター細胞(灰色の異なる濃淡の丸)を使用した。
【発明を実施するための形態】
【実施例
【0327】
材料および方法
TCRの同定
アルファおよびベータTCR鎖配列を健常ドナーのT細胞から単離した。ペプチド特異的T細胞の濃縮を確実にするために、細胞をWalter et al., 2003 J Immunol., Nov 15;171(10):4974-8に記載されるようにCT45-IP-MHCおよびCD28(Priming)で被覆した人工的な抗原提示細胞を用いて繰り返し刺激し、その後に、CT45-IP-HLA-A*02四量体を使用して単一細胞を選別したか、または代替的にCT45-IPロードT2細胞を用いて刺激した。十分な拡大増殖後に、CT45-IP-HLA-A*02四量体を使用して細胞を選別した。
【0328】
例えばMolecular Cloning, Laboratory Manual, Fourth Edition by Green and Sambrookに記載されるように標準的な方法、例えば5’ RACEおよびサンガーシークエンシングを介してTCRヌクレオチド配列を得た。TCRのV領域およびJ領域をコードする遺伝子を表2に列挙する。アノテーションは、参照データベースとしてIMGT/GENE-DB(バージョン:28/11/2019)を使用してGeneData 11.0.1により行った。TCRアミノ酸配列を表3に列挙する。
【0329】
【表2】
【0330】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【表3-6】
【表3-7】
【表3-8】
【表3-9】
【表3-10】
【表3-11】
【表3-12】
【0331】
TCRの再発現
ヒト定常鎖ドメインを、疎水性を増強するための膜貫通ドメイン中の追加の突然変異を有するそれらのマウス対応物により交換した。両方の改変は、Jin et al., JCI Insight. 2018;3(8):e99488において記載されている。
【0332】
機能的な特性を評価するために、同定されたTCRを、TCR mRNAエレクトロポレーション技術を使用して健常ドナーの初代T細胞中で再発現させた。簡潔に述べれば、T7転写をTCRアルファおよびベータ鎖ヌクレオチド配列のDNA鋳型上で行った。得られたTCR mRNAを、共培養実験において検証された外因性TCRの一過性発現のための予備活性化されたT細胞のエレクトロポレーションのために使用した。
【0333】
共培養アッセイ(機能的なアビディティ、特異性、およびTCRモチーフの評価)
TCRの機能的な特性を、T2細胞を用いた共培養実験において評価した。CD8+ T細胞を予備刺激し、TCR mRNAをエレクトロポレートした。共培養の日に、ルシフェラーゼを形質導入されたT2細胞に、異なる濃度のペプチドCT45-IP(配列番号138)(機能的なアビディティの評価、EC50)、10μMの濃度の配列類似ペプチド(配列番号146~155)、またはそれぞれのTCRの平均EC50を10~30倍上回る濃度範囲のCT45-IPペプチドのアラニン置換変異体(配列番号139~145)(TCRモチーフ決定)のいずれかをロードした。コントロールとして、10μMの濃度の無関連ペプチドNYESO1-001(配列番号188)およびロードされていないT2細胞を使用した。簡潔に述べれば、T2細胞をそれぞれの量のペプチドと2時間インキュベートし、その後に洗浄および採取した。
【0334】
モデルTCR 1G4-a95Lyをエレクトロポレートされた細胞の他に、外因性TCRを有しないmockエレクトロポレートT細胞をコントロールとした。T細胞およびペプチドロードT2細胞を1:1の比で播種し、上清採取まで24hインキュベートした。上清を、ペプチド特異的T細胞により殺滅されたアポトーシス/ネクローシスT2細胞により放出されるルシフェラーゼの存在についての分析に供した。特異的な基質を加えることにより、上清中に存在するルシフェラーゼの量を、マイクロプレートリーダーにおいて化学発光シグナルを測定することにより決定した。
【0335】
CD4+ T細胞における機能性についての試験
CD3+ T細胞を刺激し、TCR mRNAをエレクトロポレートした。終夜のインキュベーション後に、TCRをトランスフェクトされたT細胞を、10μMのCT45-IP(配列番号138)または10μMの無関連NYESO1-001(配列番号188)ペプチドのいずれかをロードされたT2細胞と1:1の比で共培養した。共培養の開始の直後に、サイトカイン分泌遮断試薬を加え、37℃で5hインキュベートした。その後に、T細胞を、異なる表面マーカー、例えばCD4およびCD8のための蛍光標識された抗体で染色した。固定および透過処理の後に、細胞を細胞内サイトカイン(TNF-αおよびIFN-γ)について染色し、フローサイトメーター上で分析した(データ示さず)。
【0336】
共刺激分子CD8のレンチウイルス併用形質導入
MHCクラスI制限TCRの形質導入後にCD4 T細胞を免疫応答に関与させるために、共刺激分子CD8を用いる併用形質導入を実行した。その目的のために、TCR鎖の他にCD8分子をコードするレンチウイルスベクターを、予備刺激されたCD3+ T細胞の形質導入のために使用した。IL-2の追加と共にプレートに被覆されたCD3および抗CD28を使用してT細胞を24h活性化させた。予備滴定された濃縮されたレンチウイルス上清を、レンチウイルス粒子の形質導入増強用のアジュバント、例えば、Lentiboost(登録商標)試薬(Sirion Biotech)と共に細胞に加えた。T細胞をより大きい細胞培養フラスコに連続的に移しながら、増加容量の培地および減少濃度のIL-2を使用して10日にかけてT細胞を拡大増殖させた。T細胞の形質導入効率および静止状態を細胞の凍結に先立ってフローサイトメトリーを介して確認した。その後に、CT45-IP提示腫瘍細胞に対する殺滅効率におけるCD8併用トランスフェクションの効果を生細胞モニタリング殺滅アッセイにおいて分析した(データ示さず)。
【0337】
TCR表面染色
エレクトロポレートおよび予備活性化されたCD8+ T細胞を用いて表面マーカー染色を行った。この目的のために、抗CD8、CD3および/またはmTCRB抗体を使用した他に、蛍光標識されたDextramer(コンジュゲートされたCT45-IP-HLA-A*02または無関連NYESO1-001-HLA-A*02を有するデキストラマー骨格)を用いてTCR染色を行った。30分後に、細胞を洗浄し、固定し、その後にフローサイトメトリーにより分析した。デキストラマー陽性細胞を定義するために、ゲートを、無関連ペプチド-MHCデキストラマーを用いて染色された細胞のシグナルに従って設定した。
【0338】
生細胞モニタリング殺滅アッセイ
赤色蛍光タンパク質(RFP)を発現する腫瘍細胞株の増殖を、生細胞イメージングシステムを使用して、赤色物体カウントを経時的に定量化することによりモニターした。細胞株NCIH1703およびA375を、本発明のTCRを発現するT細胞と9:1、3:1もしくは1:1のE:T比で共培養したか、またはT細胞なしで培養し、48hの期間にかけてモニターした。陽性コントロールとして、標的細胞に10μMのペプチドCT45-IPをロードした。経時的な腫瘍細胞株増殖の低下は腫瘍細胞殺滅についての指標である。
[実施例1]
【0339】
機能的なアビディティ
15個全ての同定されたCT45-IP特異的TCRは、図1に示される半数最大殺滅能力EC50として表されるペプチド滴定実験により測定された場合の高い機能的なアビディティを示す。測定されたEC50値は0.15nM~59.5nMの範囲に及ぶ。特に、EC50値は、7.78nM(TCR-1);4.69nM(TCR-2);1.02nM(TCR-3);1.31nM(TCR-4);1.32nM(TCR-5);3.25nM(TCR-6);0.48nM(TCR-7);6.52nM(TCR-8);0.15nM(TCR-9);8.75nM(TCR-10);59.50nM(TCR-11);47.47nM(TCR-12);11.38nM(TCR-13);17.69nM(TCR-14);18.60nM(TCR-15)である。
[実施例2]
【0340】
特異性およびTCRモチーフ
本明細書に記載されるTCRを、10個のCT45-IP配列類似ペプチド(配列番号146~155)を認識する能力を試験することによりそれらの特異性プロファイルについて試験した。CT45-IPおよびCT45-IP配列類似ペプチドを用いたローディングは、低いシグナルを検出するために、10μMの非常に高い濃度で行った。TCRは、CT45-IP以外の別のペプチドへの結合を示さなかった。図2において描写されるように、ペプチドSP-05-0004(配列番号149)に対する軽微な結合シグナルがTCR-9およびTCR-6について検出された。TCRのキャラクタリゼーションはまた、表4に列挙されているCT45-IPペプチドに対するTCR結合モチーフの決定を伴った。この目的のために、CT45-IPアラニン交換ペプチド変異体(配列番号139~145)を、15個全てのTCRを用いた共培養実験において試験した。アラニン交換ペプチドは、それぞれのTCRの平均EC50を10~30倍上回る濃度範囲において試験した。関連する位置は数(ペプチド中のアミノ酸の位置を指す)により示され、関連しない位置はハイフンにより表され、試験されなかった位置はxにより標識される。
【0341】
【表4】
[実施例3]
【0342】
CD4機能性
CD4+ T細胞における機能性についての試験を上記のように行った。15個の試験されたTCRの中で、本発明者らは、CD8+ T細胞の他にCD4+ T細胞において機能性を示すTCRを同定した(データ示さず)。
[実施例4]
【0343】
表面発現
本明細書に記載されるTCRの表面発現をCT45-IP-HLA-A2*02デキストラマー染色により測定し、図3に示した。表面発現は、TCR mRNAエレクトロポレーション後のCD3+ T細胞におけるゲーティング後に0.53%(TCR-11)~55.5%(TCR-5)の陽性事象で変動した。特に、表面発現は、8.9%(TCR-1);39.1%(TCR-2);27.2%(TCR-3);39.1%(TCR-4);61.1%(TCR-5);2.9%(TCR-6);53.3%(TCR-7);60.7%(TCR-8);44.0%(TCR-9);52.8%(TCR-10);6.6%(TCR-11);20.1%(TCR-12);53.1%(TCR-13);11.6%(TCR-14);22.6%(TCR-15)であった。
[実施例5]
【0344】
腫瘍細胞株に対する有効性
2つの腫瘍細胞株、細胞当たり約30コピーのCT45-IPを有するA375および細胞当たり約150コピーのCT45-IPを有するNCIH1703を、TCR-9、TCR-7またはMock-TCRを発現するCD8+ T細胞と共培養した(図4)。2つの細胞株を殺滅するためのそれらのTCRの有効性を生細胞モニタリング実験において評価した。<2の正規化された赤色物体カウントにより測定された場合に、Mock-TCRは腫瘍細胞増殖の有意な減少をもたらさないが、TCR-9およびTCR-7は、6:1(TCR-9)または1.8:1(TCR-7)のE:T比においてCT45-IPペプチドをロードされた腫瘍細胞株(NCIH1703&A375)、6:1(TCR-9)または1.8:1(TCR-7)のE:T比において追加のペプチドローディングなしの腫瘍細胞株(NCIH1703&A375)、ならびに2:1(TCR-9)または0.6:1(TCR-7)および0.6:1(TCR-9)または0.2:1(TCR-7)のE:T比において腫瘍細胞株(NICIH1703)を効率的に殺滅する。
[実施例6]
【0345】
安全性ウィンドウ
それぞれペプチドCT45-IPおよびSP-05-0004の滴定系列をロードされたT2細胞を使用して共培養アッセイを行った。EC50 SP-05-0004をEC50 CT45-IPで割ることで安全性ウィンドウを決定した(データ示さず)。
[実施例7]
【0346】
CT45-IP提示
CT45-IP抗原ペプチドの検出頻度を初代および培養された腫瘍サンプルにおいて分析した。結果の要約を表5に示す。表において、>0%の発現を+として示し、≧10%の発現を++として示し、≧30%の発現を+++として示す。提示が検出された腫瘍実体は、胆管がん(CCC)、肝臓がん(HCC)、皮膚がん(細胞株同定に起因して、MEL)、リンパ節がん(NHL)、非小細胞肺がん(NSCLC)、卵巣がん(OC)、食道がん(OSCAR)および子宮がん(UEC)である。
【0347】
【表5】
[実施例8]
【0348】
腫瘍細胞に対するCT45-IP特異的TCRおよびCD8を併用形質導入されたCD4+ T細胞の有効性
CT45-IPを提示する腫瘍細胞を、本明細書に記載されるCT45-IP特異的TCRおよびCD8を併用形質導入されたCD4+ T細胞またはCD3+ T細胞と共培養した。T細胞の殺滅有効性を生細胞モニタリング実験において評価した。CT45-IP特異的TCRおよびCD8の併用形質導入で、<2の正規化された赤色物体カウントにより測定された場合の腫瘍細胞株の効率的な殺滅が観察された(データ示さず)。
【0349】
項目
1.主要組織適合複合体(MHC)タンパク質との複合体で存在しているCT45抗原ペプチドに特異的に結合する抗原結合タンパク質であって、前記CT45抗原ペプチドは、配列番号138のアミノ酸配列(KIFEMLEGV)を含むか、またはからなり、かつ前記抗原結合タンパク質は、相補性決定領域(CDR)CDRa1、CDRa2およびCDRa3を含む可変ドメインVを含む第1のポリペプチドと、CDRb1、CDRb2およびCDRb3を含む可変ドメインVを含む第2のポリペプチドとを含み、
1)CDRa1は、配列番号14のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号16のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号19のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号21のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
2)CDRa1は、配列番号24のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号133のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号75のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号136のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
3)CDRa1は、配列番号24のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号63のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号66のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号68のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
4)CDRa1は、配列番号90のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号92のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号66のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号96のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
5)CDRa1は、配列番号2のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号4のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号8のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号10のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
6)CDRa1は、配列番号53のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号55のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号58のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号60のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
7)CDRa1は、配列番号71のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号72のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号75のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号77のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
8)CDRa1は、配列番号99のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号101のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号75のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号104のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
9)CDRa1は、配列番号80のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号82のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号85のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号87のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
10)CDRa1は、配列番号107のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号109のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号112のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号114のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
11)CDRa1は、配列番号125のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号127のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号112のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号130のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、または
12)CDRa1は、配列番号117のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号119のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号58のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号122のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
13)CDRa1は、配列番号24のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号35のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号38のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号40のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
14)CDRa1は、配列番号24のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号26のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号29のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号31のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、または
15)CDRa1は、配列番号43のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRa3は、配列番号45のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、CDRb1は、配列番号48のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb3は、配列番号50のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
前記抗原結合タンパク質は、1、2または3個よりも多くのアミノ酸突然変異を有しない前記CDRa1、CDRa3、CDRb1およびCDRb3配列を含み、CDRa1、CDRa3、CDRb1および/またはCDRb3のそれぞれは、1、2または3個のアミノ酸突然変異を含んでもよい、
抗原結合タンパク質。
【0350】
2.
1)CDRa2は、配列番号15のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号20のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
2)CDRa2は、配列番号25のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号76のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
3)CDRa2は、配列番号25のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号67のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
4)CDRa2は、配列番号91のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号95のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
5)CDRa2は、配列番号3のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号9のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
6)CDRa2は、配列番号54のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号59のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
7)CDRa2は、配列番号15のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号76のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
8)CDRa2は、配列番号100のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号76のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
9)CDRa2は、配列番号81のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号86のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
10)CDRa2は、配列番号108のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号113のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
11)CDRa2は、配列番号126のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号113のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、または
12)CDRa2は、配列番号118のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号59のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
13)CDRa2は、配列番号25のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号39のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
14)CDRa2は、配列番号25のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号30のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、または
15)CDRa2は、配列番号44のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、かつCDRb2は、配列番号49のアミノ酸配列を含むか、もしくはからなり、
前記抗原結合タンパク質は、1、2、3または4個よりも多くのアミノ酸突然変異を有しない前記CDRa2およびCDRb2配列を含み、CDRa2および/またはCDRb2のそれぞれは、1、2、3または4個のアミノ酸突然変異を含んでもよい、
項目1に記載の抗原結合タンパク質。
【0351】
3.前記抗原結合タンパク質は、前記CT45抗原ペプチドとMHCタンパク質との複合体に特異的に結合する、項目1または2に記載の抗原結合タンパク質。
【0352】
4.前記MHCタンパク質は、HLAタンパク質、より具体的にはHLA-A、よりいっそう具体的にはHLA-A*02である、項目1~3のいずれか1つに記載の抗原結合タンパク質。
【0353】
5.前記抗原結合タンパク質を発現するT細胞によるCT45-IP:MHC複合体提示細胞の殺滅の誘導についてのCT45-IPのEC50は、約60nM未満、約50nM未満、約30nM未満、約25nM未満、約20nM未満、約15nM未満、約10nM未満、約5nM未満、約2.5nM未満、約1.5nM未満または約1nM未満である、項目1~4のいずれか1つに記載の抗原結合タンパク質。
【0354】
6.前記抗原結合タンパク質は、配列番号138の3、4、5、6および7位からなる群から選択される2、3または4箇所のアミノ酸位置を含むか、またはからなる機能エピトープに特異的に結合する、項目1~5のいずれか1つに記載の抗原結合タンパク質。
【0355】
7.前記抗原結合タンパク質は、配列番号146(SP-05-0001)、配列番号147(SP-05-0002)、配列番号148(SP-05-0003)、配列番号149(SP-05-0004)、配列番号150(SP-05-0005)、配列番号151(SP-05-0006)、配列番号152(SP-05-0007)、配列番号153(SP-05-0008)、配列番号154(SP-05-0009)および配列番号155(SP-05-0010)からなる群、好ましくは配列番号146(SP-05-0001)、配列番号147(SP-05-0002)、配列番号148(SP-05-0003)、配列番号150(SP-05-0005)、配列番号151(SP-05-0006)、配列番号152(SP-05-0007)、配列番号153(SP-05-0008)、配列番号154(SP-05-0009)および配列番号155(SP-05-0010)からなる群、より好ましくは配列番号147(SP-05-0002)、配列番号151(SP-05-0006)、配列番号152(SP-05-0007)および配列番号155(SP-05-0010)からなる群から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5個、または全ての類似ペプチドに有意に結合しない、項目1~6のいずれか1つに記載の抗原結合タンパク質。
【0356】
8.前記第1のポリペプチドおよび前記第2のポリペプチドは2つのポリペプチド鎖上に含まれており、好ましくは、Vは、第1のポリペプチド鎖に含まれており、かつVは、第2のポリペプチド鎖に含まれている、項目1~7のいずれか1つに記載の抗原結合タンパク質。
【0357】
9.前記抗原結合タンパク質は、一本鎖抗原結合タンパク質、好ましくは一本鎖TCR、または一本鎖二重特異性抗原結合タンパク質、好ましくは一本鎖二重特異性TCRである、項目1~7のいずれか1つに記載の抗原結合タンパク質。
【0358】
10.前記抗原結合タンパク質は、一価または多価、例えば四価、三価もしくは二価である、項目1~9のいずれか1つに記載の抗原結合タンパク質。
【0359】
11.前記抗原結合タンパク質は、単一特異性または多重特異性、例えば四重特異性、三重特異性もしくは二重特異性である、項目1~10のいずれか1つに記載の抗原結合タンパク質。
【0360】
12.前記抗原結合タンパク質は、可溶性タンパク質である、項目1~11のいずれか1つに記載の抗原結合タンパク質。
【0361】
13.前記抗原結合タンパク質は、TCRである、項目1~12のいずれか1つに記載の抗原結合タンパク質。
【0362】
14.前記TCRは、α/β TCR、γ/δ TCR、一本鎖TCR、膜結合型TCR、可溶性TCR、一価、二価または多価TCR、単一特異性、二重特異性または多重特異性TCR、TCRの機能的断片、およびTCRの機能的断片を含む融合タンパク質またはキメラタンパク質からなる群から選択される、項目13に記載の抗原結合タンパク質。
【0363】
15.前記TCRは、α/β TCRまたはγ/δ TCR、好ましくはα/β TCRである、項目13に記載の抗原結合タンパク質。
【0364】
16.下記:
(i)1つまたは複数のさらなる抗原結合部位;
(ii)細胞質シグナル伝達領域を適宜含む、膜貫通ドメイン;
(iii)診断剤;
(iv)治療剤
の内の1つまたは複数をさらに含む、項目1~15のいずれか1つに記載の抗原結合タンパク質。
【0365】
17.前記1つまたは複数のさらなる抗原結合部位は、VおよびVを好ましくは含むか、またはからなる、抗体由来抗原結合部位を含む、項目16に記載の抗原結合タンパク質。
【0366】
18.Vは、配列番号13、132、62、89、1、52、70、98、79、106、124、116、34、23、および42からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号13、132、62、89、1、52、70、98、79、106、124、116、34、23、もしくは42に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有し、かつ項目1もしくは2に記載のCDRa1、CDRa2およびCDRa3を含むアミノ酸配列を含むか、またはからなり;かつVは、配列番号18、135、65、94、7、57、74、103、84、111、129、121、37、28および47からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号18、135、65、94、7、57、74、103、84、111、129、121、37、28もしくは47に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有し、かつ項目1もしくは2に記載のCDRb1、CDRb2およびCDRb3を含むアミノ酸配列を含むか、またはからなり、前記CDRa1、CDRa2、CDRa3、CDRb1、CDRb2および/またはCDRb3配列は、1、2または3個のアミノ酸突然変異、好ましくはアミノ酸置換を含んでもよい、項目1~17のいずれか1つに記載の抗原結合タンパク質。
【0367】
19.VおよびVは、TCR可変ドメイン、好ましくはTCRアルファ、ベータ、ガンマまたはデルタ可変ドメインであり、より好ましくは、Vは、TCRアルファまたはガンマ、好ましくはアルファ、可変ドメインであり、かつVは、TCRベータまたはデルタ、好ましくはベータ、可変ドメインである、項目1~18のいずれか1つに記載の抗原結合タンパク質。
【0368】
20.前記抗原結合タンパク質は、定常ドメインをさらに含み、前記定常ドメインは、配列番号5、750、751、156、11、32、および157からなる群から選択される、好ましくは配列番号5、750、751、11および32からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号5、750、751、156、11、32もしくは157に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはからなる、項目1~19のいずれか1つに記載の抗原結合タンパク質。
【0369】
21.前記第1のポリペプチドはTCRアルファ鎖であり、かつ前記第2のポリペプチドはTCRベータ鎖であるか、または前記第1のポリペプチドはTCRガンマ鎖であり、かつ前記第2のポリペプチドはTCRデルタ鎖であり、好ましくは、前記第1のポリペプチドはTCRアルファ鎖であり、かつ前記第2のポリペプチドはTCRベータ鎖である、項目1~20のいずれか1つに記載の抗原結合タンパク質。
【0370】
22.前記第1のポリペプチドは、配列番号17、134、64、93、6、56、73、102、83、110、128、120、36、27、46および158~172からなる群から選択される、好ましくは配列番号17、134、64、93、6、56、73、102、83、110、128、120、36、27、46からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号17、134、64、93、6、56、73、102、83、110、128、120、36、27、46もしくは158~172に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはからなり、かつ前記第2のポリペプチドは、配列番号22、137、69、97、12、61、78、105、88、115、131、123、41、33、51および173~187からなる群から選択される、好ましくは配列番号22、137、69、97、12、61、78、105、88、115、131、123、41、33、51からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号22、137、69、97、12、61、78、105、88、115、131、123、41、33、51もしくは173~187に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%もしくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはからなる、項目1~21のいずれか1つに記載の抗原結合タンパク質。
【0371】
23.前記抗原結合タンパク質は、
i.配列番号138のアミノ酸1、3および4位、好ましくは、配列番号138のアミノ酸1、3、4および5位、もしくは1、3、4および6位もしくは1、3、4、5および6位もしくは1、3、4、5、6および7位;
ii.配列番号138のアミノ酸4、6および7位、好ましくは、配列番号138のアミノ酸1、4、6および7位、もしくは3、4、6および7位もしくは1、3、4、6および7位;または
iii.配列番号138のアミノ酸5および7位、好ましくは、配列番号138のアミノ酸5、6および7位、もしくは3、4、5、6および7位
を含むか、またはからなる機能エピトープに特異的に結合する、項目1~22のいずれか1つに記載の抗原結合タンパク質。
【0372】
24.前記抗原結合タンパク質は、
i.配列番号146(SP-05-0001)、配列番号147(SP-05-0002)、配列番号148(SP-05-0003)、配列番号149(SP-05-0004)、配列番号150(SP-05-0005)、配列番号151(SP-05-0006)、配列番号152(SP-05-0007)、配列番号153(SP-05-0008)、配列番号154(SP-05-0009)および配列番号155(SP-05-0010);または
ii.配列番号146(SP-05-0001)、配列番号147(SP-05-0002)、配列番号148(SP-05-0003)、配列番号150(SP-05-0005)、配列番号151(SP-05-0006)、配列番号152(SP-05-0007)、配列番号153(SP-05-0008)、配列番号154(SP-05-0009)および配列番号155(SP-05-0010)
からなる群の類似ペプチドに有意に結合しない、項目1~23のいずれか1つに記載の抗原結合タンパク質。
【0373】
25.前記抗原結合タンパク質は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、または少なくとも40%の平均発現を有する、項目1~24のいずれか1つに記載の抗原結合タンパク質。
【0374】
26.Vは、TRAV14、特にTRAV14/DV4によりコードされるVセグメント、ならびに配列番号24のCDRa1および配列番号25のCDRa2を含む、項目1~25のいずれか1つに記載の抗原結合タンパク質。
【0375】
27.Vは、
i. TRBV13によりコードされるVセグメント、ならびに配列番号75のCDRb1および配列番号76のCDRb2;
ii. TRBV4-1によりコードされるV領域、ならびに配列番号58のCDRb1および配列番号59のCDRb2、または
iii. TRBV6-1によりコードされるV領域、ならびに配列番号112のCDRb1および配列番号113のCDRb2
を含む、項目1~26のいずれか1つに記載の抗原結合タンパク質。
【0376】
28.前記抗原結合タンパク質は、
- CD4+ T細胞、特にCD4+ CD8- T細胞、および/または
- CD8+ T細胞、特にCD8+ CD4-T細胞
を活性化可能であり、
かつ前記抗原結合タンパク質は、好ましくはTCR、より好ましくはα/β TCRまたはγ/δ TCRである、
項目1~27のいずれか1つに記載の抗原結合タンパク質。
【0377】
29.項目1~28のいずれか1つに記載の抗原結合タンパク質をコードする1つまたは複数の配列を含む1つまたは複数の核酸。
【0378】
30.項目29に記載の核酸を含むベクターまたはベクターの集合物。
【0379】
31.項目1~28のいずれか1つに記載の抗原結合タンパク質、または項目29に記載の核酸、または項目30に記載のベクターもしくはベクターの集合物を含む宿主細胞。
【0380】
32.前記宿主細胞は、
- リンパ球、好ましくはT細胞、T細胞前駆細胞もしくはNK細胞、より好ましくはCD4もしくはCD8陽性T細胞;または
- 組換え発現用の細胞、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞もしくは酵母細胞
である、項目31に記載の宿主細胞。
【0381】
33.項目1~28のいずれか1つに記載の抗原結合タンパク質、項目29に記載の核酸、項目30に記載のベクターもしくはベクターの集合物、または項目31もしくは32に記載の宿主細胞と、適宜、医薬的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【0382】
34.医薬での使用のための、項目1~28のいずれか1つに記載の抗原結合タンパク質、項目29に記載の核酸、項目30に記載のベクターもしくはベクターの集合物、項目31もしくは32に記載の宿主細胞、または項目33に記載の医薬組成物。
【0383】
35.増殖性疾患、特にがんの処置および/または診断方法での使用のための、項目1~28のいずれか1つに記載の抗原結合タンパク質、項目29に記載の核酸、項目30に記載のベクターもしくはベクターの集合物、項目31もしくは32に記載の宿主細胞、または項目33に記載の医薬組成物。
【0384】
36.増殖性疾患、特にがんの処置方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の、項目1~28のいずれか1つに記載の抗原結合タンパク質、項目29に記載の核酸、項目30に記載のベクターもしくはベクターの集合物、項目31もしくは32に記載の宿主細胞、または項目33に記載の医薬組成物を投与することを含む方法。
【0385】
37.前記がんは、CT45発現がん、より具体的には、肺がん、NSCLC、胆嚢がん、胆管がん、リンパ節がん、卵巣がん、食道がん、肝臓がん、子宮がんおよび黒色腫からなるがんの群から選択される、項目35に記載の使用のための抗原結合タンパク質、核酸、ベクターもしくはベクターの集合物、宿主細胞もしくは医薬組成物または項目36に記載の処置方法。
【0386】
38.前記処置方法は、免疫療法、特に養子自家または異種T細胞療法を含む、項目35もしくは37に記載の使用のための抗原結合タンパク質、核酸、ベクターもしくはベクターの集合物、宿主細胞もしくは医薬組成物または項目36もしくは37に記載の処置方法。
【0387】
39.前記抗原結合タンパク質は、TCRである、項目35、37もしくは38のいずれか1つに記載の使用のための抗原結合タンパク質、核酸、ベクターもしくはベクターの集合物、宿主細胞もしくは医薬組成物または項目36~38のいずれか1つに記載の処置方法。
【0388】
40.前記抗原結合タンパク質は、宿主細胞の表面上に発現される、項目35もしくは37~39のいずれか1つに記載の使用のための抗原結合タンパク質、核酸、ベクターもしくはベクターの集合物、宿主細胞もしくは医薬組成物または項目36~39のいずれか1つに記載の処置方法。
【0389】
41.前記処置方法は、前記抗原結合タンパク質を発現する宿主細胞の投与を含み、前記宿主細胞は、T細胞、T細胞前駆細胞またはNK細胞、好ましくはT細胞である、項目35もしくは37~40のいずれか1つに記載の使用のための抗原結合タンパク質、核酸、ベクターもしくはベクターの集合物、宿主細胞もしくは医薬組成物または項目36~40のいずれか1つに記載の処置方法。
【0390】
42.前記宿主細胞、好ましくは前記T細胞、T細胞前駆細胞またはNK細胞、より好ましくは前記T細胞は、自家である、項目40に記載の使用のための抗原結合タンパク質、核酸、ベクターもしくはベクターの集合物、宿主細胞もしくは医薬組成物または項目40に記載の処置方法。
【0391】
43.前記宿主細胞、好ましくは前記T細胞、T細胞前駆細胞またはNK細胞、より好ましくは前記T細胞は、同種である、項目40に記載の使用のための抗原結合タンパク質、核酸、ベクターもしくはベクターの集合物、宿主細胞もしくは医薬組成物または項目40に記載の処置方法。
【0392】
44.前記抗原結合タンパク質は、治療活性剤にコンジュゲートされている、項目35もしくは37~43のいずれか1つに記載の使用のための抗原結合タンパク質、核酸、ベクターもしくはベクターの集合物、宿主細胞もしくは医薬組成物または項目36~43のいずれか1つに記載の処置方法。
【0393】
45.前記治療活性剤は、放射性核種、化学療法剤および毒素からなる群から選択される、項目44のいずれか1つに記載の使用のための抗原結合タンパク質、核酸、ベクターもしくはベクターの集合物、宿主細胞もしくは医薬組成物または項目44のいずれか1つに記載の処置方法。
【0394】
46.前記処置方法は、処置を必要とする前記対象に少なくとも1つの化学療法剤を投与することをさらに含む、項目35もしくは37~45のいずれか1つに記載の使用のための抗原結合タンパク質、核酸、ベクターもしくはベクターの集合物、宿主細胞もしくは医薬組成物または項目36~45のいずれか1つに記載の処置方法。
【0395】
47.前記処置方法は、処置を必要とする前記対象に放射線療法を投与することをさらに含む、項目35もしくは37~46のいずれか1つに記載の使用のための抗原結合タンパク質、核酸、ベクターもしくはベクターの集合物、宿主細胞もしくは医薬組成物または項目36~46のいずれか1つに記載の処置方法。
【0396】
48.それを必要とする対象においてがんを処置する方法であって、
a)前記対象から細胞を単離すること;
b)項目1~28のいずれか1つに記載の抗原結合タンパク質をコードするベクターまたはベクターの集合物を用いて前記細胞を形質転換して、形質転換された細胞を製造すること;
c)前記形質転換された細胞を拡大増殖させて、複数の形質転換された細胞を製造すること;および
d)前記複数の形質転換された細胞を前記対象に投与すること
を含む方法。
【0397】
49.それを必要とする対象においてがんを処置する方法であって、
a)健常ドナーから細胞を単離すること;
b)項目1~28のいずれか1つに記載の抗原結合タンパク質をコードするベクターまたはベクターの集合物を用いて前記細胞を形質転換して、形質転換された細胞を製造すること;
c)前記形質転換された細胞を拡大増殖させて、複数の形質転換された細胞を製造すること;および
d)前記複数の形質転換された細胞を前記対象に投与すること
を含む方法。
【0398】
50.前記形質転換された細胞は、リンパ球、好ましくはNK細胞またはT細胞またはT細胞前駆細胞、より好ましくはT細胞である、項目48または49に記載の方法。
【0399】
51.増殖性疾患の処置用の医薬の生産のための、項目1~28のいずれか1つに記載の抗原結合タンパク質の使用。
【0400】
52.生物学的サンプル中のがん、特にCT45を発現するがんを検出するインビトロの方法であって、
a)前記生物学的サンプルを項目1~28のいずれか1つに記載の抗原結合タンパク質と接触させること、および
b)前記生物学的サンプルへの前記抗原結合タンパク質の結合を検出すること
を含む方法。
【0401】
53.項目1~28のいずれか1つに係る抗原結合タンパク質を製造する方法であって、
a)宿主細胞を準備すること、
b)項目1~28のいずれかに記載の抗原結合タンパク質をコードする1つまたは複数の核酸を含む遺伝子コンストラクトを準備すること、
c)遺伝子コンストラクトを宿主細胞に導入すること、および
d)宿主細胞により遺伝子コンストラクトを発現させること
を含む方法。
【0402】
54.前記宿主細胞からの前記抗原結合タンパク質の単離および精製、ならびに適宜、T細胞中での前記抗原結合タンパク質の再構築をさらに含む項目53に記載の方法。
【0403】
55.前記抗原結合タンパク質の細胞表面提示をさらに含む、項目53または54に記載の方法。
【0404】
56.前記遺伝子コンストラクトは、前記抗原結合タンパク質をコードする前記核酸に作動可能に連結されているプロモーター配列を含む発現コンストラクトである、項目53~55のいずれか1つに記載の方法。
【0405】
57.前記遺伝子コンストラクトは、レトロウイルストランスフェクションにより前記宿主細胞に導入される、項目53~56のいずれか1つに記載の方法。
図1-1】
図1-2】
図1-3】
図1-4】
図1-5】
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図2-4】
図2-5】
図3-1】
図3-2】
図4
【配列表】
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【国際調査報告】