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特表2024-529481撮像ユニットを備えた皮膚処置装置及びその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】撮像ユニットを備えた皮膚処置装置及びその方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/06 20060101AFI20240730BHJP
   A61N 5/067 20060101ALI20240730BHJP
   A61B 18/20 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
A61N5/06 Z
A61N5/06 B
A61N5/06 C
A61N5/067
A61B18/20
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024505260
(86)(22)【出願日】2022-09-22
(85)【翻訳文提出日】2024-01-29
(86)【国際出願番号】 EP2022076354
(87)【国際公開番号】W WO2023052230
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】21200278.6
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.Blu-ray
3.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】ボームファ マリウス イオシフ
(72)【発明者】
【氏名】ファン アベーレン フランク アントン
(72)【発明者】
【氏名】フェルハーゲン リエコ
(72)【発明者】
【氏名】スンマ キラン クマール
【テーマコード(参考)】
4C026
4C082
【Fターム(参考)】
4C026AA01
4C026GG06
4C026HH02
4C026HH24
4C082PA01
4C082PA02
4C082PA03
4C082PC01
4C082PC10
4C082PE02
4C082PE10
4C082RA01
4C082RA10
4C082RJ06
4C082RL02
4C082RL24
(57)【要約】
皮膚処置を装置で行うかどうかを決定する方法とその装置が提供される。この方法は、処置される皮膚領域の画像フレームを得るステップと、キャプチャされた画像フレームの処理期間中に装置の変位を感知するステップと、感知された変位に基づき、皮膚処置を実行するかどうかを決定するステップとを有する。この装置は、処置される皮膚領域の画像フレームをキャプチャするよう構成された画像キャプチャユニットと、皮膚領域における装置の変位を感知するよう構成されたモーション/位置センサと、キャプチャされた画像フレームを処理期間中に処理し、モーションセンサから、処理期間中の装置の変位を受信し、及び受信した変位に基づき、処置を行うかどうかを決定するよう構成された制御手段とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚処置のための装置であって、
処置される皮膚領域の画像フレームをキャプチャする画像キャプチャユニットと、
前記皮膚領域における前記装置の変位を感知するモーション/位置センサと、
制御手段とを有し、前記制御手段が、
処理期間中に前記キャプチャされた画像フレームを処理し、
前記モーションセンサから、前記キャプチャされた画像フレームを処理する前記処理期間中に生じる前記皮膚領域における前記装置の変位に関する変位情報を受信し、
前記受信した変位情報に基づき、処置を行うかどうかを決定する、装置。
【請求項2】
前記制御手段が更に、前記処理期間中の前記皮膚領域における前記装置の変位がゼロであることを前記変位情報が示すとき、処置源を有効にし、及び/又は、前記処理期間中の前記皮膚領域における前記装置の変位がゼロでないことを前記変位情報が示すとき、処置源を無効にする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
皮膚処置を行うための処置源を更に有する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記制御手段が更に、撮像された処置領域が皮膚処置に適していると決定するとき、処置源を有効にする、請求項1乃至3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
ユーザインタフェースユニットを更に有し、前記ユーザインタフェースユニットへのユーザ入力を検出するとき、前記制御手段が、前記画像フレームをキャプチャするように前記画像キャプチャユニットを制御する、請求項1乃至4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記モーションセンサが更に、前記皮膚領域に対する前記装置の初期位置を検出し、前記制御手段は、前記検出に基づき、前記画像フレームをキャプチャするように前記画像キャプチャユニットを制御する、請求項1乃至5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記モーションセンサが、皮膚接触センサを有する、請求項1乃至6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記皮膚接触センサが処置ヘッドの前記皮膚領域への初期接触を検出するとき、前記制御手段が更に、前記画像フレームをキャプチャするように前記画像キャプチャユニットを制御する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記制御手段が、前記処理期間中に前記撮像された皮膚領域との接触が確立されたままであるか否かに基づき、処置を実行するか否かを決定する、請求項7又は8に記載の装置。
【請求項10】
前記制御手段が更に、前記受信した変位に基づき、前記処理期間中に新たな画像フレームをキャプチャするように前記画像キャプチャユニットを制御する、請求項1乃至9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記処理期間が、10~1000ミリ秒である、請求項1乃至10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記処置源が、光源である、請求項3乃至11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
装置による皮膚処置を行うか否かを決定する方法において、
処置される皮膚領域の画像フレームをキャプチャするステップと、
処理期間中に、前記キャプチャされた画像フレームを処理するステップと、
前記キャプチャされた画像フレームを処理する前記処理期間中に発生した、前記皮膚領域における前記装置の変位に関する変位情報を受信するステップと、
前記受信した変位情報に基づき、前記皮膚処置を行うかどうかを決定するステップとを有する、方法。
【請求項14】
前記処理期間中の前記皮膚領域における前記装置の変位がゼロであることを前記受信した変位情報が示すとき、前記皮膚処置を有効にする、及び/又は、前記処理期間中の前記皮膚領域における前記装置の変位がゼロでないことを前記受信した変位情報が示すとき、前記皮膚処置を無効にするステップを更に有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
具現化されたコンピュータ可読コードを持つコンピュータプログラムであって、前記コンピュータ可読コードが、適切なコンピュータ又は制御手段による実行時に、請求項13又は14に記載の方法が実行されることをもたらす、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、皮膚又は毛髪処置用装置及びその方法に関し、特に、撮像ユニット又は画像キャプチャユニットを含む装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像ユニットを備えた皮膚処置装置が知られる。光線療法又は光脱毛を伴う皮膚処置装置も知られる。場合によっては、後続の処置ステップが同じ皮膚領域に実行されないケースを避けるため、処置される皮膚領域が撮像して記録される。これは、処置領域の位置に対する現在位置を検出する変位センサによって実現される。処置領域の重複による、又は以前に処置された皮膚領域における意図しない繰り返される適用による、皮膚領域の反復的な処置が、皮膚への損傷をもたらす可能性がある。処置領域の記録は、処置が光を用いて実行されるとき、例えば強力パルス光(IPL)のような適用において、更に望ましい。他のケースでは、周囲の皮膚を処置することなく、正確な光強度を用いてある部分を選択的に処置するため、処置される皮膚が、処置前に記録され、シミ又はタトゥーの有無に関して分析される。以下の詳細は、非治療的な皮膚処置のために、他のエネルギー形態の中でも特に光を使用する装置に関する。
【0003】
US2016/045762A1は、皮膚表面を処置する装置を開示し、そこでは、コントローラが、変位センサにより感知された皮膚表面に対する装置の変位に基づき、処置の適用を制御する。変位センサにより提供される変位情報は、特定の皮膚領域がすでに以前に処置されたかどうかを決定するため、又は装置の変位の決定された速度へと処置を調整するために使用される。
【0004】
EP3685786A1は、対象の身体にパーソナルケア動作を行うためのハンドヘルド装置を開示する。この装置は、対象の身体に対する装置の位置及び/又は向きが決定されることを可能にする撮像ユニット及び変位センサを備える。撮像ユニットによりキャプチャされた身体の画像は、装置が身体に接触していないときの装置の位置及び/又は向きを決定するために使用される。変位センサは、装置が身体に接触しているとき、身体に沿った装置の変位を測定するために使用される。装置は更に、撮像ユニット及び変位センサにより決定された身体に対する装置の位置及び/又は向きに基づき、パーソナルケア動作を制御するよう構成されたコントローラを持つ。
【0005】
US2012/029353A1は、皮膚表面に沿った超音波プローブの移動速度を決定し、その移動速度が治療のために正確であるかどうかを決定するために使用される位置又はモーションセンサを持つ超音波プローブを含む、超音波治療のためのシステムを開示する。一実施形態では、位置センサは、傷跡、ほくろ及びタトゥーなど、皮膚表面に存在する特定の特徴をジオタグするためのカメラ又はビデオキャプチャ装置を有し、これは、治療パラメータの設定、治療経過若しくは成功の決定、又は治療プローブの位置決めなどに有用である。位置センサは、治療プローブの位置を追跡することができ、追跡された位置は、所定の治療計画と比較されることができる。
【0006】
US2021/145514A1は、対象の皮膚の皮膚科学的レーザー治療のための装置を開示する。この装置は、制御システムの制御の下で、治療対象の皮膚領域全体にわたりパルスレーザビームを走査するために、所定の経路をたどるように作業ヘッドを移動させるよう構成された位置決め装置を有する。装置は、治療中の対象の動きを検出するために、作業ヘッド上に配置されたカメラなどの1つ又は複数の動き検出器を更に有することができる。制御システムは、検出された対象の動きを補償するために作業ヘッドがたどる経路を修正するよう構成されることができ、又は検出された動きが大きすぎたり若しくは速すぎたりするとき治療を停止するよう構成されることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
美容皮膚処置装置、特に光脱毛装置の使用中、処置を行う前に、処置される皮膚の情報を得ることは、一つの目的である。IPL装置では例えば、装置の安全な使用のため、シミ又はタトゥーのある皮膚領域の処置を避けることが一般的に推奨される。
【0008】
斯かる情報は、装置に組み込まれた撮像要素により得られることができる。しかしながら、カメラのような撮像ユニットは、画像データのキャプチャ及び処理の間一定の待ち時間を発生させる。言い換えれば、画像フレームがキャプチャされた時点から、キャプチャされた画像フレームが処理(データ読み出し及びデータ転送を含む)される時点までの期間Tは、0より大きい。更に、画像の解像度が高ければ高いほど、待ち時間も長くなる。この待ち時間又は遅延を減らすことを目標にすることが望ましいが、装置の追加コスト及び製造の容易さを含む理由から、これは必ずしも達成されるわけではない。
【0009】
皮膚領域の画像が撮像ユニットにより一旦キャプチャされると、ユーザが皮膚領域から皮膚処置装置を意図的又は非意図的に移動させる場合があるという問題が存在する。この場合、処理された画像は、その特定の瞬間におけるその装置の下の皮膚の特徴をもはや反映しなくなる。これは、望ましくない。なぜなら、皮膚の分析されていない部分で処置が行われることになるからである。
【0010】
本発明の目的は、効果的な皮膚処置を行うため画像処理の遅れを考慮した方法及びその装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一側面によれば、皮膚処置用の装置が提供される。この装置は、処置される皮膚領域の画像フレームをキャプチャするよう構成された画像キャプチャユニットと、皮膚領域における装置の変位を感知するよう構成されたモーションセンサ又は位置センサと、キャプチャされた画像フレームを処理期間中に処理し、キャプチャされた画像フレームを処理する処理期間中に発生した、皮膚領域における装置の変位に関する変位情報をモーションセンサから受信し、受信した変位情報に基づき処置を行うかどうかを決定する制御手段とを有する。装置による皮膚処置を行うかどうかを決定する方法が更に提供される。この方法は、コンピュータで実行される。この方法は、処置される皮膚領域の画像フレームを取得するステップと、キャプチャされた画像フレームを処理期間中に処理するステップと、キャプチャされた画像フレームを処理する処理期間中に発生した、皮膚領域における装置の変位に関する変位情報を受信するステップと、受信した変位情報に基づき、皮膚処置を行うかどうかを決定するステップとを有する。
【0012】
本発明の別の側面によれば、上記制御手段は、上記処理期間中の上記皮膚領域における上記装置の変位がゼロであることを上記変位情報が示すとき、処置源を有効にし、及び/又は、上記処理期間中の上記皮膚領域における上記装置の変位がゼロでないことを上記変位情報が示すとき、上記処置源を無効にするように更に構成される。対応する方法は、処理期間中の皮膚領域における装置の変位がゼロであることを受信した変位情報が示すとき、処置を有効にするステップ、及び/又は、処理期間中の皮膚領域における装置の変位がゼロでないことを受信した変位情報が示すとき、処置を無効にするステップを有する。
【0013】
本発明の更に別の態様によれば、装置は処置源を有する。言い換えれば、この装置は、画像キャプチャユニット、モーションセンサ、制御手段を含む自己完結型である。それは、処置を行うかどうかを決定することができ、及び処置を行うことができる。
【0014】
本発明の更に別の態様によれば、制御手段は更に、撮像された処置領域が皮膚処置に適していると決定するとき、処置源を有効にするよう構成される。対応する方法は、撮像された処置領域が皮膚処置に適していると決定するとき、処置源を有効にするステップを有する。
【0015】
本発明の更に別の態様によれば、装置は更にユーザインタフェースユニットを有する。上記制御手段は、上記ユーザインタフェースユニットに対するユーザ入力を検出するとき、上記画像フレームをキャプチャするように上記画像キャプチャユニットを制御するよう構成される。対応する方法は、ユーザインタフェースユニットへのユーザ入力を検出するとき、画像フレームをキャプチャするように画像キャプチャユニットを制御するステップを含む。
【0016】
本発明の更に別の側面によれば、モーションセンサは更に、皮膚領域に対する装置の初期位置を検出するよう構成され、上記制御手段は、上記検出に基づき、上記画像フレームをキャプチャするように上記画像キャプチャユニットを制御するよう構成される。対応する方法は、モーションセンサにより皮膚領域に対する装置の初期位置を検出するステップと、この検出に基づき、画像フレームをキャプチャするように画像キャプチャユニットを制御するステップとを含む。
【0017】
本発明の更に別の側面によれば、モーションセンサ又は位置センサが皮膚接触センサを有する。言い換えれば、初期位置は、皮膚領域との接触を介して検出される。接触が登録されると、画像キャプチャユニットが有効にされる。
【0018】
本発明の更に別の態様によれば、制御手段は、撮像された皮膚領域との接触が処理期間中に確立されたままであるか否かに基づき、処置を実行するか否かを決定する。対応する方法は、撮像された皮膚領域との接触が処理期間中に確立されたままであるか否かに基づき、処置を実行するか否かを決定するステップを有する。
【0019】
本発明の更に別の側面によれば、上記制御手段は、上記受信した変位に基づき、上記処理期間中に新たな画像フレームをキャプチャするように上記画像キャプチャユニットを制御するように更に構成される。この方法は、受信した変位に基づき、処理期間中に新たな画像フレームをキャプチャするように画像キャプチャユニットを制御するステップを含む。
【0020】
本発明の更に別の態様によれば、処理期間は10~1000ミリ秒、好ましくは100~500ミリ秒、より好ましくは20~50ミリ秒である。
【0021】
本発明の更に別の態様によれば、処置源は、発光ダイオード、レーザー又はハロゲンランプといった光源である。
【0022】
本発明の更に別の態様によれば、コンピュータプログラム製品が提供され、これは、その中に具現化されたコンピュータ可読コードを持つコンピュータ可読媒体を有し、このコンピュータ可読コードは、適切なコンピュータ又は処理ユニットによる実行時に、コンピュータ又は処理ユニット(制御手段)に上述の方法、及び以下に列挙される詳細を実行させるよう構成される。
【0023】
これら及び他の側面並びに更なる利点が、以下に記載される実施形態から明らかとなり、実施形態を参照して説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態による皮膚処置用の装置1のブロックダイアグラムを示す図である。
図2】本発明の実施形態による皮膚処置用の装置1と皮膚処置装置10とを有するシステムの別のブロックダイアグラムを示す図である。
図3】本発明の実施形態による皮膚処置装置10を示す図である。
図4】本発明の例示的な実施形態による装置1又は10により実行される一般的な方法を示す図である。
図5】画像フレームを処理しながら装置1又は皮膚処置装置10の変位を検出し、それに基づき制御動作を実行する方法を示す図である。
図6】本発明の例示的な実施形態による、装置1又は皮膚処置装置10を用いて皮膚処置を行うかどうかを決定する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
添付図を参照して開示される本発明の様々な例示的実施形態の包括的理解を助けるために、本書において例示される事項が提供される。
【0026】
従って、当業者であれば、請求される発明の範囲から逸脱することなく、本書に記載される例示的な図/実施形態の様々な変更及び修正が行われることができることを理解するであろう。特に、本発明の様々な側面の特定の特徴の組み合わせがなされうる。本発明の態様又は実施形態は、本発明の別の態様又は実施形態に関連して説明される特徴を追加することにより、更に有利に強化され得る。
【0027】
更に、特定の手段に関連する機能は、集中型であっても分散型であってもよく、ローカルであっても遠隔であってもよい。コンピュータプログラムは、他のハードウェアとともに、又はその一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体に格納/配布されることができるが、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを介してなど、他の形態で配布されることもできる。用語「含む」及び「有する」並びにその派生語は、限定されることなく包含を意味する。更に、不定冠詞「a」又は「an」による要素への参照は、要素が1つだけ存在することを文脈が明らかに要求しない限り、その要素が2つ以上存在する可能性を排除するものではない。不定冠詞「a」又は「an」は通常、「少なくとも1つ」を意味する。
【0028】
「A、B及びCの少なくとも1つ」という表現は、「A、B、及び/又はC」を意味し、例えばBだけが存在すれば十分である。特許請求の範囲に記載される任意の参照符号は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0029】
本書で使用される、例えば、「処理」、「コンピューティング」、「計算」、「決定」、「確立」、「分析」、「チェック」などの用語は、非限定的な態様において、コンピュータ、コンピューティングプラットフォーム、コンピューティングシステム、又は他の電子コンピューティング装置の動作及び/又はプロセスを指すことができ、コンピュータ、コンピューティングプラットフォーム、コンピューティングシステム、又は他の電子コンピューティング装置は、コンピュータのレジスタ及び/又はメモリ内の物理(例えば電子)量として表現されるデータを、コンピュータのレジスタ及び/若しくはメモリ内の物理量、又は操作及び/若しくはプロセスを実行する命令を格納し得る他の情報非一過性記憶媒体(例えば、メモリ)内の物理量として類似的に表現される他のデータへと操作及び/又は変換する。本書で使用される「複数」及び「複数の」という用語は、例えば「複数」又は「2つ以上」を含む場合がある。「複数」又は「複数の」という用語は、本書全体を通じて、2つ以上の部品、装置、要素、ユニット、パラメータなどを表すために使用される場合がある。明示的に記載されない限り、本書に記載される方法の実施形態は、特定の順序又はシーケンスに拘束されない。更に、他の態様が特定されない限り、記載された方法の実施形態又はその要素のいくつかは、同時に、同じ時点で、又は一致して発生又は実行され得る。
【0030】
図1は、本発明の実施形態による皮膚処置用装置1のブロック図を示す。装置1は、以下に説明するように皮膚処置を行うかどうかを決定するよう構成される。装置1は、以下から明らかなように、皮膚処置に適している。この実施形態では、装置1が処置を実行できる必要はないと考えられる。それは、処置を行うかどうかを決定する。
【0031】
図2は、装置1が皮膚処置装置10と結合される、別のブロック図を示す。その後、皮膚処置を行うために、このシステムが使用されることができる。
【0032】
図3において、装置1、又はその中に含まれる要素は、皮膚処置装置10の一部である。皮膚処置装置10は、IPL装置であってもよい。
【0033】
皮膚処置装置10は、処置ヘッド11を含む。処置ヘッド11は、処置がその皮膚表面(皮膚領域)に適用されるとき、皮膚表面に配置されるよう構成される。一実施形態では、処置ヘッド11は、皮膚処置装置10の残りの部分から取り外し可能であり、再装着可能とすることができる。
【0034】
図1の実施形態では、装置1は、少なくとも画像キャプチャユニット12、制御手段13、及びモーション/位置センサ14を含む。
【0035】
図3に示すような実施形態では、装置1は光ベースの皮膚処置装置10に組み込まれる。皮膚処置装置10における画像キャプチャユニット12を実現する例は、WO2021122703の図2又はEP出願番号21180439.8の図6に開示される。後述するように、本発明は光による処置に限定されるものではない。
【0036】
図1又は図2のような別の実施形態では、画像キャプチャユニット12は、その筐体の適切な位置で皮膚処置装置10に取り外し可能に付けられるモバイルユーザ装置1のカメラであってもよい(例えば、EP出願番号20170690.0又はPCT/EP2021/059613の図2に開示されるように、機械的レセプタクルを介して)。この場合、装置1が皮膚処置の適用を制御できるように、皮膚処置装置及び/又は装置1を構造的に修正する方法が当業者には既知である。装置1及び皮膚処置装置10は、図2に示すように、無線通信システムを介して互いに接続されることができる。
【0037】
非限定的な態様において、皮膚処置装置10において、少なくとも1つの画像キャプチャユニット12は、装置10のヘッド部分に含まれることができる。これは、図3に示される。
【0038】
画像キャプチャユニット12は、処置される皮膚領域の画像フレームをキャプチャするよう構成される。実施形態では、画像キャプチャユニット12は、ユーザ起動時、即ち、装置1又は10のユーザインタフェースユニット16の操作を介したユーザ入力の登録時に、画像フレームをキャプチャする。別の実施形態では、画像キャプチャユニット12は、皮膚接触測定に基づき、画像フレームをキャプチャする。これがどのように実現されるかの詳細は、本書の以下の部分に記載される。こうして画像フレームによりキャプチャされた皮膚領域は、本書では撮像された皮膚領域と呼ばれる。前述したように、斯かる画像キャプチャは、処置が実行される前に皮膚領域を調査又は分析することを目的としている。皮膚にほくろ又は他の皮膚病変がある領域が存在する場合、斯かる領域には処置を行わないことが望ましい。
【0039】
制御手段13は、画像キャプチャユニット12からキャプチャされた画像フレームを受け取り、キャプチャされた画像フレームを処理する。
【0040】
制御手段13は、皮膚処置装置10の内部にあるか、又は外部装置に配置されていてもよく、その場合、皮膚処置装置10は、外部の制御手段から処理された情報を受信する。これは、例えばBluetooth、NFC、WiFiなどの無線通信技術を介して実現されることができ、その選択肢は当業者に知られる。図2は、無線通信システムを介して互いに結合された装置1及び皮膚処置装置10を含むシステムの一例を示す。
【0041】
一実施形態では、画像キャプチャユニット12は、キャプチャされた画像を処理することができる。更に別の実施形態では、画像は、画像キャプチャユニット12及び制御手段13により共同で処理されてもよい。
【0042】
画像(画像キャプチャユニット13)の解像度及び制御手段13の処理能力に基づき、キャプチャされた画像を処理するのに必要な特定の処理期間が存在する。この時間は、キャプチャされた画像データを転送し/受信し、データを処理し、及び/又は処理したデータを出力するのに要する時間を含む。
【0043】
画像処理期間は、数ミリ秒、例えば20ミリ秒から数百ミリ秒のオーダーとすることができる。
【0044】
実施形態では、図1又は図2に示すように、モーションセンサ14は皮膚処置装置10の外部にあり、装置1に含まれる。その後、モーションセンサ14が皮膚領域における装置1の変位を感知する。装置1は皮膚処置装置10に結合されるので、モーションセンサ14は更に、装置1の変位を処理して、皮膚領域における皮膚処置装置10の変位と相関させることができる。これは特に、装置1が装置10に物理的に付けられる場合である。実施形態では、画像キャプチャユニット12、モーションセンサ14、及び制御手段13は、装置1のメモリに格納されたソフトウェアアプリケーションを介して制御されることができる。装置1及びその方法は、中でも、ソフトウェアアプリケーションを通したユーザ入力を介して制御される。
【0045】
別の実施形態では、図3に示すように、モーションセンサ14は皮膚処置装置10に内蔵される。モーションセンサ14は、皮膚領域における皮膚処置装置1の変位を感知する。
【0046】
装置1又は皮膚処置装置10は、有線又は無線方式での通信を可能にするために、追加のセンサ又はトランシーバーのような要素といった追加の回路18を含むことができる。
【0047】
装置1のモーションセンサ14は、制御手段13と通信可能に結合される。前述したように、制御手段13は、装置1又は皮膚処置装置10に配置されることができる。画像キャプチャユニット12、制御手段13、及びモーションセンサ14は、必ずしも1つの装置内に配置される必要はない。
【0048】
図3の実施形態では、モーションセンサ14は、皮膚表面における処置ヘッド11の変位を感知するよう構成された1つ又は複数の変位感知装置を含む。モーションセンサ14が、皮膚処置装置10の処置ヘッド11の代わりに、又はそれに加えて、別の基準を用いて変位を測定することも可能である。
【0049】
一実施形態では、モーションセンサ14は機械的変位センサである。
【0050】
別の実施形態では、モーションセンサ14は、逐次画像を使用する光学センサ、例えばカメラである。
【0051】
実施形態では、画像キャプチャユニット12は光学式モーションセンサ14としても機能することができる。
【0052】
図1の実施形態では、モーションセンサ14は、モバイルユーザ装置(例えば、スマートフォン)にあるような外部カメラを使用して実現されることができる。この方法は、画像キャプチャユニット12として機能するモバイル装置のモーションセンサ14を利用することができる。制御手段13は、画像を解析して、第1の画像フレーム内の1つの基準位置にある皮膚の特徴が、第2の画像フレーム内の別の位置に移動したかどうかを検出する。
【0053】
制御手段は、モーションセンサ14から、装置1及び/又は皮膚処置装置10の変位に関する情報を受信するよう構成される。
【0054】
本発明の目的は、撮像された皮膚領域が、その後のステップで処置される皮膚領域に対応することを確実にすることである。説明を簡潔にするため、以下の説明は、図3の実施形態に示すように、画像キャプチャユニット12、制御手段13及びモーションセンサ14が皮膚処置装置10の一部である実施形態に焦点を当てる。
【0055】
モーションセンサ14は、キャプチャされた画像フレームの画像処理期間中の処置ヘッド11の変位を感知する。画像処理期間は、(装置パラメータに対応する)所定の/予め記憶された値とすることができ、又は(異なる画像解像度、プログラミング命令に基づき)可変とすることが可能であり、装置10(又は1)が特定の画像フレームを処理するのに要する時間を規定する。
【0056】
一実施形態では、モーションセンサ14は、画像処理期間中、撮像された皮膚領域に対する処置ヘッド11の変位を感知する。制御手段13は、キャプチャされた画像フレーム及び/又はその中の皮膚の特徴から、撮像された皮膚領域の位置情報を抽出するよう構成され、画像キャプチャユニット12若しくは光学モーションセンサ14によりキャプチャされた後続の画像フレームを解析することにより、又は機械的モーションセンサから位置座標を取得することにより、撮像された皮膚領域及び/又は皮膚の特徴の変位を取得するよう構成される。
【0057】
感知された変位に基づき、制御手段13は、皮膚処置装置10の処置源15の機能を制御する。
【0058】
前述したように、実際の実施態様において、画像キャプチャユニット12、制御手段13、及びモーションセンサ14を有する装置1は、モバイルユーザ装置又はスマートフォンの一部であってもよく、これは、処置装置と通信することによって(これにより処置装置を制御することによって)、皮膚処置の適用を制御するのに適している。
【0059】
処置源15は、皮膚処置装置10の処置ヘッド11に配置されることができる。例えば、処置源15は、(例えば、可視、紫外線、赤外線、又は高周波放射線の)放射線源、電磁装置、熱源、機械的装置(例えば、バイブレータ、機械式マッサージ器、シェーバー、又は他の機械装置)、又は別の皮膚処置装置を含むことができる。図1に示す例は、処置源15が放射線源である皮膚処置装置10に関する。処置源11は、処置ヘッド11に配置されることに限定されず、処置を実行するため、放出されたエネルギー(光、熱、音、振動、回転など)を皮膚に伝える他の手段がある限り、皮膚処置装置10における他の場所に配置されることもできる。処置源15の動作は制御手段13により制御される。制御手段13は、ユーザインタフェースユニット16の操作を介したユーザ入力、モーションセンサ14からの感知情報、画像キャプチャユニット12によりキャプチャされた画像フレームの特性、及びプログラムされた命令の少なくとも1つに基づき、処置源15の動作、言い換えれば、皮膚処置の適用を制御することができる。
【0060】
モーションセンサ14からの感知情報。
【0061】
制御手段13は、キャプチャされた画像フレームの処理期間中、又は画像フレームの処理中に、皮膚処置装置10及び/又は処置ヘッド11(又は上述した装置1)の変位に関する情報を受信するよう構成される。変位は、最後に撮像された皮膚領域の位置に対して測定されることができる。
【0062】
制御手段13は、感知された変位に基づき、処置を行うか否かを決定する。例えば、測定された変位に基づき、処置源15を有効にする又は無効にすることができる。
【0063】
画像処理期間中の変位がゼロであれば、処置源13は有効にされる。処置源13は、皮膚処置装置10のボタンを押すようにユーザに示すため、ユーザインタフェースユニット16にトリガ信号を送信することにより有効にされることができ、又は制御手段13により自動的に有効にされることができる。皮膚処置装置10は、最後に撮像された皮膚領域から、又は、前の画像がキャプチャされた瞬間から、移動していない[T0,P0→T1,P0]と決定される。ここで、P0は、画像キャプチャユニット12により皮膚領域の画像がキャプチャされた時刻T0に登録された、撮像された皮膚領域の位置座標の集合である。制御手段13により画像が処理された時刻T1において、感知された位置は依然としてP0であり、これは画像処理期間T1-T0の間、装置が静止していたことを意味する。
【0064】
画像処理期間中の変位が0でない場合、処置源13は無効にされる。皮膚処置装置10は、最後に撮像された皮膚領域から、又は、前の画像がキャプチャされた瞬間から、移動した[T0,P0→T1,P0]と決定される。ここで、P0は、画像キャプチャユニット12により皮膚領域の画像がキャプチャされた時刻T0に登録された、撮像された皮膚領域の位置座標の集合である。制御手段13により画像が処理された時刻T1において、感知された位置座標はP1に対応する。P1はもはや、画像キャプチャユニット12により時刻T0に撮像又はキャプチャされた皮膚領域の位置を反映しない。
【0065】
制御手段13は、処理期間中、即ち画像フレームを処理している間に、又は推定される処理期間T1-T0の後に、変位を即座に決定することができる。推定される処理期間の値は、装置のメモリに予め記憶されていてもよい。この値は、画像の解像度、制御回路の処理能力などの要因に基づき規定されることができる。
【0066】
一実施形態では、画像が時間T1で処理されるとき、又は所定の処理期間の後に、変位がゼロでないことを制御手段13が検出する場合、それは、更なる(例えば第2の)画像フレームをキャプチャするため、画像キャプチャユニット12にトリガ信号を送信し、その画像フレームは、新たな位置P1における皮膚領域のものである。
【0067】
実施形態において、画像処理期間T1-T0の間の中間時間Tintにおいて変位がゼロでないことを制御手段13が検出する場合、それは、更なる画像フレームをキャプチャするために、前にキャプチャされた画像フレームを処理するために必要な遅延を追加することなしに、画像キャプチャユニット12にトリガ信号を送信する。この画像フレームは、Tintにおける新しい位置の皮膚領域の画像フレームである。以前にキャプチャされた画像フレームは、装置のメモリから削除されるか、又は将来の使用のためにそこに保存される。
【0068】
処理期間中のチェックの結果、装置1は、最後にキャプチャされた皮膚画像から装置の変位があったかどうかを決定し、撮像された皮膚が処置された皮膚(又は処置されるであろう皮膚)と同じ場合にのみ処置を実行することが可能である。
【0069】
ユーザインタフェースユニット16の操作を介したユーザ入力。
【0070】
実施形態では、ユーザがユーザインタフェースユニット16の操作を介してコマンドを入力するとき、制御手段13は、画像キャプチャユニット12にトリガ信号を送信するよう構成される。
【0071】
一実施形態では、制御手段13は、例えば変位が所定の閾値を超えるかどうかをチェックすることにより、ユーザインタフェースユニット16を使用するユーザにより、変位が意図的にトリガされたかどうかを検出するよう構成される。制御手段13は、画像処理後、時刻Tlで、又は画像処理期間中の任意の時間瞬間Tintで、感知された変位があるかどうかをチェックすることができる。
【0072】
画像キャプチャユニット12によりキャプチャされた画像フレームの特性。
【0073】
本発明の別の目的は、ほくろ及びタトゥーを含む皮膚の凹凸など、処置に適さない領域には処置を行わないことである。
【0074】
この点で、制御手段13は、撮像された皮膚領域が処置に適しているかどうかをチェックするよう構成される。それは、対象となる皮膚領域の不適切性を示す皮膚特性の有無をチェックする。
【0075】
制御手段13は、撮像された領域が処置に適していると決定すると、処置源(処置パルス)を有効にする。皮膚処置装置10がIPL装置である場合、治療パルスは光パルスである。
【0076】
制御手段13は、撮像された皮膚領域が皮膚処置に不適当であると決定すると、処置領域の変更をユーザに示す信号をユーザインタフェースユニット16に送信する。
【0077】
図4は、本発明の例示的な実施形態による、装置1又は10により実行される一般的な方法を示す。
【0078】
ステップ401は、処置される皮膚領域の画像フレームを得るステップを有する。画像は、手動のトリガを介して得られ、又は接触若しくは近接検出などの開始モードを検出することにより自動的に得られる。開始位置は装置により登録される。
【0079】
ステップ402は、キャプチャされた画像フレームの処理期間中に装置の変位を感知するステップを有する。変位は開始位置に対して計算される。
【0080】
ステップ403は、感知された変位に基づき皮膚処置を行うかどうかを決定するステップを有する。
【0081】
この方法の詳細は、装置1又は10により実行されるステップとして上記に記載される。
【0082】
装置の機能性と同様に、装置により実行される上述のステップのいずれかが、方法において組み合わせられることができる。
【0083】
図5は、画像フレームを処理しながら装置1又は皮膚処置装置10の変位を検出し、それに基づき制御動作を実行する方法に関する。この具体的な実施形態では、モーションセンサ14は皮膚接触センサ17であり、即ち装置1は更に皮膚接触センサを含む。任意の動き検出手段が本発明において実現されることができることは、当業者には既知である。
【0084】
接触センサは、光学式若しくは画像式(例えば、カメラを使用し、接触モード対非接触モードにおける画像の差を得る)とすることができ、又は例えば処置ヘッド11と皮膚との接触を登録するとき、静電容量の変化を測定する静電容量センサとすることができる。皮膚接触センサは代替的に、超音波又は近接センサとすることができる。
【0085】
モーションセンサは、画像キャプチャユニット12の待ち時間(画像処理に要する時間)よりも高速であることが理解される。処理のために取得される画像の解像度に基づき、待ち時間は数十ミリ秒の範囲になるか、又はそれ以上になるかもしれない。従って、モーションセンサはミリ秒以下、理想的には更に速い応答時間を提供することが好ましい。
【0086】
ステップ501では、処置ヘッドの初期皮膚接触を検出するステップが、皮膚接触センサにより実行される。制御手段は、皮膚接触センサ17により得られた情報を処理して、皮膚領域との接触を決定する。接触が登録された皮膚領域は、開始/初期位置/領域であり、これに対して動きが検出される。言い換えると、この方法は、モーションセンサ(ここでは皮膚接触センサ)からの情報を利用して、処置制御を開始する。
【0087】
ステップ502では、画像フレームをキャプチャするステップが、画像キャプチャユニット12により実行される。
【0088】
ステップ503では、画像フレームを処理するステップが、制御手段13により開始される。このステップの間、制御手段は、処理期間中に皮膚接触センサ17から得られる情報を介して皮膚との接触を検出し続ける。
【0089】
ステップ504では、皮膚処置の適用を制御するステップ、又は処置を実行するかどうかを決定するステップが、制御手段13により実行される。例えば、処理期間中(画像フレームを処理している間の任意の時間瞬間)に皮膚との接触が失われたと決定される場合、制御手段13は、装置1が画像フレームを処理する間に変位し、処置されるべき皮膚領域がもはや撮像された領域に対応しないと決定する。それは、処置源15にトリガ信号を送り、処置源を無効にする。上述したように、処置源15は装置1の外部に配置されることができる。更に、それは、装置が接触を登録した新しい位置で第2の画像フレームを取得するために、画像キャプチャユニット12にトリガ信号を送信し、ステップ502に戻ることができる。装置動作の遅延を回避するため、処理期間T(Tint<T1)であっても、第2のフレームがキャプチャされることができる。これは、画像解像度、処理パラメータ等の要素に基づく所定の処理期間T1-T0が装置内に予め記憶される場合に特に有効であり、変位が検出される時間瞬間が所定値T1-T0未満である場合に特に有効である。本方法は更に、その動作がユーザにより開始されたものであるか否かをチェックし、そうでない場合には、動作制御のため、ユーザインタフェースユニット16を介してユーザに警告を表示してもよい。
【0090】
T1において、皮膚接触センサ17が期間T1-T0を通して接触を登録したと決定される場合、制御手段13は、トリガ信号を処置源15に送り、撮像された皮膚領域で処置源を有効にする。
【0091】
上記の実施形態は、本発明において組み合わせられることができ、又は別々に実現されることができる。
【0092】
図6は、上記の具体的なステップの少なくとも一部を組み合わせた実施形態における、装置1又は皮膚処置装置10を用いる皮膚処置を行う方法を示す。
【0093】
ステップ601では、皮膚処置を開始する方法が、制御手段13により実行される。前述したように、この方法は、ユーザインタフェースユニット16を介してユーザにより開始されるか、及び/又は皮膚接触センサ17により特定の皮膚領域との接触を登録することにより装置1により自動的に開始される(これは、図3の実施形態から十分に明らかなように、モーションセンサにより取得される開始位置のインジケーションである)。
【0094】
ステップ602において、本方法は処置される皮膚領域の画像フレームをキャプチャする。
【0095】
ステップ603では、画像フレームが処理される。画像処理と同時に、本方法は、装置1及び/又は10の変位をチェックする。このチェックに基づき、この方法は、撮像された皮膚領域への処置の適用を制御する。この制御は、処置源にトリガ信号を送ってそれを有効/無効にすることで実行されることができる。
【0096】
変位がゼロの場合、即ち装置が撮像された皮膚領域から移動していない場合、ステップ604において、皮膚処置を行う間の安全を確実にするため、例えば、画像フレーム内の特定の皮膚特性を識別することにより、皮膚領域が処置に適しているかどうかが決定される。皮膚領域が処置に適していると決定される場合、本方法はステップ605で処置源を有効にする。他方、皮膚領域が適していない場合、ステップ606で、処置源が無効にされる。ステップ607において、ユーザは、ユーザインタフェースユニット16を介して制御手段13により送信されるフィードバック信号により、新たな皮膚領域に装置1又は10を配置するよう促されることがある。この方法は、ステップ608で新しい皮膚領域で新しい画像をキャプチャし、ステップ603にて、本方法を繰り返す。
【0097】
変位がゼロでないと決定される場合、ステップ609で処置源(及び従って処置)が無効にされる。この方法は更に、変位が意図的なものであるかどうかを確認するために、変位の範囲を計算することができる。意図的でない場合、ユーザにメッセージが表示される。ステップ610では、ステップ601で皮膚接触センサとの接触を登録することにより画像フレームのキャプチャが開始される実施形態において、この方法は、新しい皮膚領域(変位後)で新しい画像フレームを自動的にキャプチャすることができ、この方法はステップ603から繰り返される。ステップ601で方法がユーザにより開始されると、新しい画像フレームをキャプチャするように、ユーザインタフェースユニット16を介してユーザにフィードバックが通知されることができる。方法ステップ601は、次の処置セッションのために再開されることができる。
【0098】
従って、本発明による装置は、前述の方法のいずれか又は組み合わせに基づき機能し得ることを理解されたい。
【0099】
従って、本発明は、位置トリガ画像キャプチャを提供するだけでなく、装置の位置をキャプチャする画像ユニットの処理制約を補償する処置決定の態様も提供する。
【0100】
制御手段13は、本書で説明する様々な機能を実行するために、ソフトウェア及び/又はハードウェアを用いて、複数の態様で実現されることができる。制御手段13は、必要な機能を実行するため、及び/又は必要な機能を実現するべく制御手段13の要素を制御するため、ソフトウェア又はコンピュータプログラムコードを用いてプログラムされることができる、1つ又は複数のマイクロプロセッサ又はデジタル信号プロセッサ(DSP)を有することができる。制御手段13は、いくつかの機能(例えば、増幅器、前置増幅器、アナログ-デジタル変換器(ADC)及び/又はデジタル-アナログ変換器(DAC))を実行するための専用ハードウェアと、他の機能を実行するためのプロセッサ(例えば、1つ又は複数のプログラムされたマイクロプロセッサ、コントローラ、DSP及び関連回路)との組み合わせとして実現されることができる。本開示の様々な実施形態において採用され得る要素の例は、以下に限定されるものではないが、従来のマイクロプロセッサ、DSP、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ニューラルネットワークを実現するためのハードウェア、及び/又はいわゆる人工知能(AI)ハードウェアアクセラレータ(即ち、メインプロセッサと並行して使用され得る、AIアプリケーション用に特別に設計されたプロセッサ又は他のハードウェア)を含む。
【0101】
制御手段13は、メモリを有するか、メモリと関連付けられることができる。メモリは、装置1若しくは10の動作を制御する際、及び/又は本書に記載の方法を実行若しくは行う際に制御手段13による使用のためのデータ、情報、及び/又は信号(画像を含む)を記憶することができる。いくつかの実現では、メモリは、制御手段13により実行可能なコンピュータ可読コードを記憶する。その結果、制御手段13が、本書に記載の方法を含む1つ又は複数の機能を実行する。特定の実施形態では、プログラムコードは、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、コンピュータ、又はサーバ用のアプリケーションの形態とすることができる。メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、スタティックRAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、リードオンリメモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)及び電気的消去可能PROM(EEPROM)などの揮発性及び不揮発性のコンピュータメモリを含むキャッシュ又はシステムメモリといった任意のタイプの非一過性の機械可読媒体を有することができる。メモリユニットは、メモリチップ、光ディスク(コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)又はBlu-Rayディスクなど)、ハードディスク、テープストレージソリューション、又はメモリスティック、ソリッドステートドライブ(SSD)、メモリカードなどのソリッドステート装置の形態で実現されることができる。
【0102】
ユーザインタフェースユニット16は、任意の1つ又は複数のサーバ、データベース、ユーザ装置及びセンサを含む他の装置へのデータ接続及び/又は他の装置とのデータ交換を可能にするトランシーバーを含んでいてもよい。それは、WiFi、Bluetooth、Zigbee、又は任意のセルラー通信プロトコル(Global System for Mobile Communications(GSM)、Universal Mobile Telecommunications System(UMTS)、Long Term Evolution(LTE)、LTE-Advancedなどを含むが、これらに限定されない)を使用して動作することができる。
それは更に、以下に限定されるものではないが、キーボード、キーパッド、1つ若しくは複数のボタン、スイッチ又はダイヤル、マウス、トラックパッド、タッチスクリーン、スタイラス、カメラ、マイクなどを含む、任意の適切な入力要素を制御するための回路を含むことができる。ユーザーインターフェースは、以下に限定されるものではないが、ディスプレイユニット又はディスプレイスクリーン、1つ又は複数のライト又は光要素、1つ又は複数のスピーカ、振動要素等を含む、任意の適切な出力要素を含むことができる。
【0103】
装置1又は10の実際的な実現は、図に示した要素に対する追加的な要素を含むことができる点を理解されたい。
【0104】
本書に開示された寸法及び数値は、記載された正確な数値に厳密に限定されると理解されるものではない。その代わりに、特に指定がない限り、斯かる各寸法は、言及される値と、その値を取り囲む機能的に等価な近似値との両方を意味することが意図される。同様に、特に指定がない限り、本書に記載される寸法は、当業者に既知の一般的な実験室での測定技術を使用して測定されるものである。
【0105】
本開示は、上述の例示的な実施形態で説明されてきたが、当業者には様々な変更及び修正が示唆され得る。本開示は、特許請求の範囲に含まれるものとして斯かる変更及び修正を包含することを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-01-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚処置のための装置であって、
皮膚処置を行うための処置源と、
処置される皮膚領域の画像フレームをキャプチャする画像キャプチャユニットと、
前記皮膚領域における前記装置の変位を感知するモーション又は位置センサと、
制御手段とを有し、前記制御手段が、
処理期間中に前記キャプチャされた画像フレームを処理し、
前記モーション又は位置センサから、前記キャプチャされた画像フレームを処理する前記処理期間中に生じる前記皮膚領域における前記装置の変位に関する変位情報を受信し、
前記受信した変位情報に基づき、処置を行うかどうかを決定し、
前記処理期間中の前記皮膚領域における前記装置の変位がゼロであることを前記変位情報が示すとき、前記処置源を有効にし、及び/又は、前記処理期間中の前記皮膚領域における前記装置の変位がゼロでないことを前記変位情報が示すとき、前記処置源を無効にする、装置。
【請求項2】
前記制御手段が更に、撮像された処置領域が皮膚処置に適していると決定するとき、前記処置源を有効にする、請求項に記載の装置。
【請求項3】
ユーザインタフェースユニットを更に有し、前記ユーザインタフェースユニットへのユーザ入力を検出するとき、前記制御手段が、前記画像フレームをキャプチャするように前記画像キャプチャユニットを制御する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記モーション又は位置センサが更に、前記皮膚領域に対する前記装置の初期位置を検出し、前記制御手段は、前記検出に基づき、前記画像フレームをキャプチャするように前記画像キャプチャユニットを制御する、請求項1乃至のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記モーション又は位置センサが、皮膚接触センサを有する、請求項1乃至のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記皮膚接触センサが処置ヘッドの前記皮膚領域への初期接触を検出するとき、前記制御手段が更に、前記画像フレームをキャプチャするように前記画像キャプチャユニットを制御する、請求項に記載の装置。
【請求項7】
前記制御手段が、前記処理期間中に前記撮像された皮膚領域との接触が確立されたままであるか否かに基づき、処置を実行するか否かを決定する、請求項又はに記載の装置。
【請求項8】
前記制御手段が更に、前記受信した変位に基づき、前記処理期間中に新たな画像フレームをキャプチャするように前記画像キャプチャユニットを制御する、請求項1乃至のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記処理期間が、10~1000ミリ秒である、請求項1乃至のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記処置源が、光源である、請求項乃至のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
装置による皮膚処置を行うか否かを決定する方法において、
処置される皮膚領域のキャプチャされた画像フレームを画像キャプチャユニットから受信するステップと、
処理期間中に、前記キャプチャされた画像フレームを処理するステップと、
前記キャプチャされた画像フレームを処理する前記処理期間中に発生した、前記皮膚領域における前記装置の変位に関する変位情報をモーション又は位置センサから受信するステップと、
前記受信した変位情報に基づき、前記皮膚処置を行うかどうかを決定するステップと
前記処理期間中の前記皮膚領域における前記装置の変位がゼロであることを前記受信した変位情報が示すとき、前記皮膚処置を有効にする、及び/又は、前記処理期間中の前記皮膚領域における前記装置の変位がゼロでないことを前記受信した変位情報が示すとき、前記皮膚処置を無効にするステップとを有する、方法。
【請求項12】
具現化されたコンピュータ可読コードを持つコンピュータプログラムであって、前記コンピュータ可読コードが、適切なコンピュータ又は制御手段による実行時に、請求項11に記載の方法が実行されることをもたらす、コンピュータプログラム。
【国際調査報告】